1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年十一月十日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
十一月九日
辞任 補欠選任
鶴保 庸介君 進藤金日子君
木村 英子君 舩後 靖彦君
十一月十日
辞任 補欠選任
石井 浩郎君 神谷 政幸君
竹谷とし子君 新妻 秀規君
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出席者は左のとおり。
委員長 蓮 舫君
理 事
青木 一彦君
長谷川 岳君
森屋 隆君
高橋 光男君
石井 苗子君
委 員
足立 敏之君
石井 浩郎君
大野 泰正君
梶原 大介君
神谷 政幸君
清水 真人君
進藤金日子君
豊田 俊郎君
永井 学君
山本佐知子君
吉井 章君
鬼木 誠君
三上 えり君
竹谷とし子君
新妻 秀規君
矢倉 克夫君
室井 邦彦君
嘉田由紀子君
浜口 誠君
田村 智子君
舩後 靖彦君
国務大臣
国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
副大臣
国土交通副大臣 豊田 俊郎君
国土交通副大臣 石井 浩郎君
大臣政務官
国土交通大臣政
務官 清水 真人君
事務局側
常任委員会専門
員 清野 和彦君
政府参考人
経済産業省大臣
官房審議官 恒藤 晃君
資源エネルギー
庁長官官房資源
エネルギー政策
統括調整官 南 亮君
資源エネルギー
庁省エネルギー
・新エネルギー
部長 井上 博雄君
国土交通省大臣
官房公共交通・
物流政策審議官 鶴田 浩久君
国土交通省不動
産・建設経済局
長 長橋 和久君
国土交通省道路
局長 丹羽 克彦君
国土交通省海事
局長 高橋 一郎君
国土交通省港湾
局長 堀田 治君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○港湾法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/0
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001・蓮舫
○委員長(蓮舫君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、木村英子君及び鶴保庸介君が委員を辞任され、その補欠として舩後靖彦君及び進藤金日子君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/1
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002・蓮舫
○委員長(蓮舫君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
港湾法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、国土交通省港湾局長堀田治君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/2
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003・蓮舫
○委員長(蓮舫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/3
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004・蓮舫
○委員長(蓮舫君) 港湾法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/4
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005・鬼木誠
○鬼木誠君 立憲民主・社民の鬼木誠でございます。若干とうは立っておりますが、七月参議院選挙初当選、新人の議員でございます。本日が初質問となります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本題に入ります前に、一言だけ、昨日の法務大臣の発言についてでございます。死刑という極めて大きな問題といいますか事象に対する発言、あるいは社会的な問題になっております旧統一教会に関する発言、極めて問題があるのではないかというふうに思っています。陳謝をなさったということではございますけれども、政府として、あるいは大臣として昨日の発言をどのようにお捉えになっているのか、通告をしていなくて大変恐縮でございますが、是非お答えいただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/5
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006・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 私も、報道に接しているだけで、全体を聞いているわけではございませんけれども、少なくとも報道で、報道にある限り、命の重さと法の厳正さの象徴である法務大臣として、その覚悟に欠ける発言だったと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/6
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007・鬼木誠
○鬼木誠君 ありがとうございます。誠実な御回答をいただいたというふうに思います。同様の問題意識を持っておりますので、これからやっぱり発言については注意いただきたいというようなことを改めて喚起をしておきたいというふうに思います。
それでは、本題に入らさせていただきます。
法案でございますけれども、本法案につきましては、世界的に進みつつある脱炭素化の取組の一環として、海運、港湾施設等の脱炭素化を進め、世界に後れを取ることのない環境をつくることに主眼があるというふうに捉えているところでございます。日本の港湾がその競争力を高める、国際的な港湾としての地位を回復するための必要な先行投資という意味を持ち、世界から選ばれる港湾となることを目指す法案であると理解をしているところでございますけれども、ただ、果たしてその実効性がどこまで確実なものなのかという点についてはまだまだ不明瞭だなというふうに感じざるを得ません。
その点を含めまして、なお不明な点、あるいは更に検討が必要と思われる点について幾つか御質問させていただきたいというふうに思います。
まずは、法案の基本方針の部分についてお尋ねをいたします。
第三条の二第三項では、港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針を定めるに当たって、地球温暖化の防止及び気候の変動への適応のため果たすべき港湾等の役割に配慮するものとされております。
この文末の配慮するという文言なんです。確かに、今までの法案のそのとおりの文言を使われてあるというふうには思うんですけれども、ただ、政府としてカーボンニュートラルを方針として高く掲げている、さらには、そのことを強く打ち出していくGXの取組を推し進めていくというのであれば、そのような国としての強い姿勢や構えというものを強調する、より強く打ち出すというような観点から表現の工夫も必要だったんではないかというふうに思っています。
あえて配慮という表現にとどめられたその理由等があればお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/7
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008・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 鬼木委員の国土交通委員会の初質問ということで、先ほどの答弁のときにちょっと言いそびれたものですから、ここで答弁させていただくこと、大変光栄に存じます。
この港湾法第三条の二に、港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針、以下基本方針とすると書いてありますが、その基本方針に、いろいろ文章があって、配慮するものとすることと、このようになっております。
この基本方針は、国の港湾行政の基本的な指針として、また、港湾管理者が港湾計画等を策定する場合の指針として定められるものでございます。このため、国土交通省としては、地球温暖化の防止のため果たすべき港湾の役割を基本方針に位置付け、その役割を港湾行政に適切に反映していきたいと考えております。
また、港湾管理者が新たに作成する港湾脱炭素化推進計画について基本方針との適合を求めることとしており、国土交通省としては、港湾の脱炭素化に向けた取組をしっかりと進めていきたいと考えております。この、配慮するという言葉だから弱いということでは決してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/8
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009・鬼木誠
○鬼木誠君 ありがとうございます。
決して弱いということではないということでございますけれども、やはりカーボンニュートラルを強い姿勢で進めていく、港湾においてもその実効性を高めていく、その姿勢がより感じられるような表現としての工夫があってもよかったんではないかということを重ねて指摘をしておきたいというふうに思います。
続きまして、ゼロエミッション船の開発、導入についてでございます。
国交省が目標とする、温室効果ガス排出量二〇五〇年までに実質ゼロにするということを達成するためには、ゼロエミッション船の開発の加速化、さらに、既存船のエンジンのローカーボンのものにするリプレースというものが重要、必要であろうというふうに思っています。
ただ、アンモニア燃料船については、二六年に実証実験、二八年に本格導入の見込み、水素燃料船については、二七年に実証実験、本格導入は三〇年以降の見込み。さらに、これらの次世代船舶の導入見込みの数については、二〇三〇年に十隻という形で衆議院の審議の際に大臣が答弁をなさっていらっしゃいます。果たして、このスピード感で大丈夫なのかというふうに思えてなりません。ゼロエミッション船の開発や導入が進まなければ、本改正案で進めようとしているカーボンニュートラルポートで整備をする船舶燃料補給施設や関連する構造物も飾りとなりかねない、そのような問題意識を持っております。
そこで、幾つかお尋ねをいたしたいというふうに思いますが、ゼロエミッション船の開発につきましては、この間の議論の中で、水素やアンモニアといったそれぞれの燃料の特性を踏まえた燃焼制御技術の開発など高度な技術開発が必要ということでございますけれども、乗り越えなければならない技術的困難さの克服、そのめどについて現状でどのようにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/9
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010・高橋一郎
○政府参考人(高橋一郎君) お答えを申し上げます。
国際海運からの抜本的な温室効果ガス排出削減を図る上で、委員御指摘のとおり、ゼロエミッション船の開発が重要かつ不可欠でございます。水素やアンモニアを燃料とするゼロエミッション船の実用化には、委員御指摘のとおり、それぞれの燃料の特性を踏まえた燃焼制御技術の開発など高度な技術開発が必要でございますため、グリーンイノベーション基金を用いまして、十年間で三百五十億円の予算を確保して支援を行ってございます。
具体的には、水素燃料は大変燃えやすい、燃焼の制御が困難であるとの課題がございますため、水素燃料を高圧で噴射することにより安定した燃焼を実現するエンジン開発等を行ってございます。また、アンモニア燃料は逆に大変燃えにくいとの課題を持ってございますため、高度な燃料噴射技術を用いまして、アンモニア燃料と燃焼補助燃料を層状に、層状に混合して噴射することで燃焼性を高めるよう取り組んでいるところでございます。
水素・アンモニア燃料船の実現に向けまして、このような技術的課題を克服すべく、グリーンイノベーション基金を活用して、必要な技術開発に全力で取り組んでまいる所存でございます。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/10
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011・鬼木誠
○鬼木誠君 今、分かりやすく説明をいただいたところでございますけれども、やっぱりゼロエミッション船の開発と燃料供給施設の整備、これはやっぱり車の両輪だと思うんですね。したがって、ゼロエミッション船の技術開発と導入が進んでいくことと併せて、供給施設の設備も、設置も進んでいく、そのような関係にあるというふうに思っています。
したがって、まず、やっぱり船の開発と導入に関する明確なロードマップや数値目標というものを示していく必要があるんではないかというふうに思っています。それらロードマップや数値目標をどのように今の段階で想定をしていらっしゃるのか、国としてのカーボンニュートラル全体の影響も大きいと思いますし、先ほど大臣答弁にもございました港湾の脱炭素化推進計画の検討と作成にも関係をするところであるというふうに思いますので、その辺についてもう一度聞かせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/11
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012・高橋一郎
○政府参考人(高橋一郎君) お答えを申し上げます。
国土交通省では、国際海運二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すことを昨年十月に公表いたしまして、これを世界共通の目標とすべく、国際海事機関IMOにおける検討をリードしておるところでございます。
カーボンニュートラルの実現は、我が国にとって国際的、社会的課題の解決に向けた責任ある貢献でありますとともに、我が国海事産業が世界に先駆けた技術開発によりまして国際競争力を強化するために逃してはならない好機であると考えてございます。このカーボンニュートラルの実現には、先ほど委員の御指摘にお答え申し上げましたゼロエミッション船を普及させるための技術開発がまず必要でございます。それとともに、ゼロエミッション船を普及させるための国際ルール作りが不可欠でございます。
国際ルール作りにつきましては、現在、IMOにおいて、温室効果ガス削減目標の議論を急ぎますとともに、排出削減のための具体的方策の検討が行われてございます。経済的手法と規制的手法を車の両輪として組み合わせまして、国際海運からの温室効果ガス排出を段階的かつ意欲的に削減するよう、我が国が国際ルール作りを主導してまいります。世界に先駆けた技術開発とそれを生かす国際ルール作りに取り組むことで、二〇五〇年カーボンニュートラルの達成を図ってまいりたいと存じております。
委員御指摘のように、アンモニア燃料船は二〇二六年からの実証運航開始、二〇二八年までのできるだけ早期に商業運航実現、また、水素燃料船は二〇二七年からの実証運航開始、二〇三〇年以降の商業運航を実現を目指してございます。現在、このような取組を通じまして、二〇三〇年時点でゼロエミッション船、まず十隻の就航を目標として開発に取り組んでおるところでございますが、私どもといたしましては、各事業の開発状況あるいは諸外国における開発動向も踏まえまして、開発を行っている事業者などと緊密に連携して適切な進捗管理を行い、プロジェクトを加速して進められるように全力で努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/12
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013・鬼木誠
○鬼木誠君 ありがとうございます。
数値目標として既に示されている部分についてお答えをいただいたところでございますけれども、ございましたように、技術開発あるいは国際的なルール作り、その進捗に合わせてより詳細な数値目標等が今後必要になってくるだろうというふうに思います。あわせて、しっかりした技術開発にも注力をいただきたいと思いますが、その数値目標やロードマップ、より明確なものの作成に向けても御努力をいただきたいというふうに思います。
次に、脱炭素化推進計画についてお伺いをしたいというふうに思います。
カーボンニュートラルポート形成計画の策定マニュアルを拝見をいたしますと、計画への記載事項として、CNPの形成計画の期間、それから目標年次、温室効果ガス排出量削減目標、水素、燃料アンモニア等の需要推計あるいは供給目標などが提示をされています。
しかし、港湾管理者ごとに策定をする計画が全体として国の目標に合致するものになるのかどうかということについては、現時点ではなかなか判断することができない。何より、まずは港湾管理者の皆さんが策定をするその目標がそれぞれの港湾の実態を踏まえた適切なものとなっていなければならないというふうに思っています。
港湾管理者の皆さんの自主性や主体性を尊重することを大前提とした上で、協議会において策定される計画が実効性あるものとなるような策定マニュアルの例えばアップデートなどを含めて、国としての積極的な助言やより具体的な支援が必要と考えておりますが、その点についていかがお考えか、お聞かせをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/13
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014・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
国土交通省では、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や、水素等の受入れ環境の整備等を図るカーボンニュートラルポートの形成に向けて、まず、二つの目標を定めております。
一つ目でございますが、港湾荷役の脱炭素化に関しましては、コンテナを取り扱う低炭素化荷役機械の導入割合を二〇三〇年度に七五%とする目標を定めております。また、水素等の供給に関しましては、港湾における水素、燃料アンモニア等の取扱貨物量を二〇三〇年に水素換算で百万トンとする目標を定めております。
これらの目標につきましては、港湾管理者が脱炭素化推進計画を作成する際の参考となりますようにマニュアルに示すこととしております。また、管理者が目標を含む計画の検討を行う際には、地方整備局等の職員が港湾脱炭素化推進協議会の構成員に加わりまして必要な助言を行うなど、しっかりと支援をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/14
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015・鬼木誠
○鬼木誠君 ありがとうございます。
ちょっと具体的なことを重ねてお尋ねをしたいと思いますけれども、例えば策定マニュアルの中では、公共ターミナルに出入りする船舶、車両等の物流活動、あるいは周辺に立地をする事業者のエネルギーの使用量を調査をしてCO2排出推計を算出をする、そして、これに対して目標年次におけるCO2削減目標を記載するということになっている。これ、大変難しい作業だというふうに思うんですね。港湾管理者の皆さんにとっても大きな負担になる、技術的にもかなり困難性が高い作業ではないかというふうに思っています。
御承知のように、自治体の職員、特に技術系の職員、今どんどんどんどん減っていっています。そのような中で、関係者の皆さんの広範な意見を聞きつつ、港湾管理者がKPIやKGIに基づいたロードマップあるいは計画を立てるためには、やっぱり技術的な支援というのがどうしても欠かせないというふうに思っています。
整備局の皆さんが協議会の中に入るということでございますけれども、以降求められる、例えば港湾管理者から具体的な支援要請等あった場合についてしっかりそれにお応えいただきたいと思いますが、その点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/15
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016・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
具体的な要請が出てきた場合につきましては、しっかりと支援できるように検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/16
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017・鬼木誠
○鬼木誠君 ありがとうございます。
港湾管理者が具体的な計画策定の段階でやっぱり困ることがないように、引き続き継続をした十分な支援というものをお願いをしたいというふうに思います。
それでは、次に推進協議会についてお尋ねをしたいというふうに思います。
協議会の構成員について、衆議院における審議の中で、港湾で荷役作業等を行う港湾労働者の代表を入れるべきではないかという質疑に対しまして、労働者の代表を含むことが可能だが、最終的には港湾管理者が適切に判断するものという大臣の御答弁がございました。
脱炭素化に向けた取組については、長期にわたる事業であるということ、港湾に極めて大きな変化をもたらすということ、計画の推進に向けては、船社や荷主はもちろん、運送事業者や港湾で働く人々など、関係する多くの皆さんの理解と協力というものが絶対に欠かせないだろうというふうに思っています。
港湾労働者の方とお話をさせていただくと、港湾の在り方が大きく変わっていく、その大きな変化の中で働き方という観点から悪い影響が出るんではないか、さらには最悪の場合は雇用がなくなってしまうんではないかと、そのような懸念や不安をお持ちだというふうにお聞きをしました。そのような懸念や不安というものがやっぱり払拭をされなければ、大きな事業を円滑に進めることはできないんではないかというふうに思っています。
やはり、計画策定の早い段階、できれば初期の段階から多方面の意見を包摂をする議論が協議会の中で必要ではないかというふうに思っています。したがって、働く者の代表の協議会への参加について、やっぱり配慮の必要があるというような国の問題意識を是非表明をしていただければ、そして、でき得れば、通知の発出、あるいはマニュアルへの追加記載など必要な措置についても御検討いただければというふうに思っておりますが、その点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/17
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018・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) この港湾脱炭素化推進協議会の構成員は、港湾管理者を中心に、脱炭素化の取組を行う民間事業者、関係する地方公共団体のほか、当該港湾の利用者、学識経験者その他の当該港湾管理者が必要と認める者と、このように規定されております。協議会の構成員には港湾労働者の代表を含めることも可能であり、各港湾の事情に応じて港湾管理者が適切に判断いただくこととしております。
なお、協議会の構成員については、要望等があれば必要に応じて港湾管理者にこれを国として伝えていきたいと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/18
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019・鬼木誠
○鬼木誠君 衆議院での同様の回答をいただいたものというふうに思います。
先ほど申し上げましたように、やっぱり働く者の代表、より多くの皆さんの声が反映できる計画作りに向けて、国としては引き続き、先ほども言いましたが、全体の声が包摂をされる議論というもの、そのことを求めていっていただきたいというふうに思いますし、これもまた先ほど同様に、港湾管理者からの問合せ等あったときには適切に御回答いただきますことを重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。
次に、港湾の管理、利用等の効率化と質の向上という観点からお伺いをしたいというふうに思います。
本改正案の第四十八条の四関係、電子情報処理組織の設置及び管理等により、いわゆるサイバーポートの実施が法に位置付けられることになるというふうに理解をしています。国土交通省が二〇一八年にまとめた港湾の中長期政策、PORT二〇三〇では、サイバーポート、AIターミナルなど港湾の完全電子化の形成が目指されている。AIターミナルの図説の中では、遠隔操作化、自動化によるクレーン能力の最大化、あるいはオペレーター労働環境の改善、自動運航船舶及び遠隔タグボートなど、AIやIoT技術を活用したイメージというものが例示をされているところでございます。
港湾作業は非常に重労働、常に危険と隣り合わせという状況でございまして、このような作業関連機器の自動化、省力化が現場の安全と安心に寄与することになる、そのことについては大いに歓迎するものでございますが、例えば、遠隔操作クレーンなどの導入を進めるとして、既存の労働者の権利や職域の確保が前提とならなければならないというふうに思っています。過度な規制緩和あるいは合理化につながることは絶対にあってはならないというふうに考えているところでございますけれども、この点についていかがお考えか、お聞かせをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/19
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020・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 港湾が繁栄するには荷主や船社から選ばれる港湾にならなければならない。選ばれる港湾を目指して、良好な労働環境と世界最高水準の生産性を有する、人を支援するAIターミナルの実現などに向け様々な取組を進めております。
一方で、ターミナルへの新技術の導入には、労使間の適切な合意形成が前提であると認識しております。国土交通省といたしましては、例えば、コンテナを積み降ろす大型の門形クレーンである遠隔操作RTGの導入に対する補助制度において、労働組合を含む関係者間で遠隔操作RTGの導入に関する合意形成がなされることを事業の採択審査の観点の一つとしております。
AIターミナルの実現には、港湾労働者を含む関係者の御理解と御協力が重要と考えており、丁寧な関係者調整の下、引き続き必要な取組を推進してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/20
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021・鬼木誠
○鬼木誠君 明快な答弁、ありがとうございました。
脱炭素化の取組の進展によって、先ほど申し上げましたように、港湾労働者の仕事が変わる事態が生じることはあり得ると思います。ただ、そのような場合には、労働者の配置転換あるいは職業訓練の実施など、労働者保護の観点からの取組ということについてもしっかり御支援をいただきたいというふうに思っています。
例えば、先ほど言った遠隔操作クレーンの操作研修でございますとか、事業者や労働者が今後必要となる技術等について習得をするための支援、これらについても、既にお考えと思いますけれども引き続き御検討いただきたいというふうに思っておりますし、職業訓練は厚生労働省の所管だというふうに思いますが、厚生労働省と十分に連携をしていただきながら、港湾で働く皆さんが安心して働くことができる、そして働き続けることができる、そのような職場環境の保全に向けて国としても御尽力を賜りたいというふうに思います。
改めて、大臣からその旨のお話を、御決意なりお聞かせをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/21
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022・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 職業訓練や研修等については厚生労働省の所管ではございますが、国土交通省においても、このような新技術の導入に伴う研修や職業訓練などに積極的に取り組んでいる事業者の先進的事例を収集し全国の事業者に展開するなど、厚生労働省と連携しつつ、港湾労働者が安心して働けるよう取り組んでまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/22
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023・鬼木誠
○鬼木誠君 ありがとうございました。是非よろしくお願い申し上げます。
最後に、緑地開発についてお尋ねをしたいというふうに思います。
港湾緑地につきましては、老朽化、陳腐化が進展をしているということでございますけれども、それらの現状を、全国的な現状をどのように今の段階で把握をしていらっしゃるのか、そして、そのような現状を招いた理由や背景というものをどう捉えていらっしゃるのか、お尋ねをしたいというふうに思います。また、今回の法改正によって港湾緑地がどの程度再生をされるのか、あるいは、先ほど御紹介をしたPORT二〇三〇で示された空間の再編等によるにぎわい拠点の形成というものについてどの程度前に進むのか、それらの見通しなどがあればお聞かせをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/23
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024・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
まず、港湾における緑地や広場でございますが、港湾労働者の労働環境の向上の場となるとともに、災害時における復旧復興活動の拠点や避難場所など様々な機能を果たしております。近年は、港湾管理者の厳しい財政制約等により十分な維持管理や更新がなされず、ベンチや休憩所等が劣化や汚損により使用禁止のまんまになっているケースが生じております。このような認識の下、老朽化、陳腐化した緑地等を適切に更新しつつ、より魅力的な空間を形成するためには、民間活力を最大限活用していくことが重要だと考えております。
今般の制度改正による効果といたしましては、本制度が港湾管理者及び民間事業者の自主的、主体的な発意により実施されるものであるため現時点で具体的な数字はお示しできませんけれども、港湾管理者や民間事業者へのヒアリングを通じて高い関心が寄せられているところでございます。
本法案が成立した際には、この制度が積極的に活用されるよう、港湾管理者や民間事業者に対して周知してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/24
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025・鬼木誠
○鬼木誠君 具体的な数値がなかなか示しにくいというのは分かるんです。ただ、ただ一方で、例えば、民間事業者でございますので、カフェなどを設置をする、一時的にはにぎわう、ただ、一時的なにぎわいを取り戻したとしてもだんだん集客が落ちていく、収益も落ちる、民間事業者は撤退をする、するとまた港湾緑地が寂れてしまう、荒れてしまうと、そういうマイナスの側面もひょっとしたら出てくるかもしれない、そのような懸念をどうしても抱いてしまう。
そのようなことについて、いわゆるその点についてはいかがお考えか、お聞かせいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/25
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026・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
本制度は、民間活力を最大限活用して地域のにぎわい創出を図ることを目的とした制度でございまして、緑地等の機能が損なわれて港湾の良好な環境形成に支障を来さぬよう、適切に制度を運用することが重要だというふうに考えております。
港湾管理者が民間事業者の計画を認定するに当たりましては、資金計画それから収支計画等の提出を求めまして、事業の確実性や事業者の適格性を厳正に審査することとしております。また、自然災害など民間事業者に責任を問うことが難しいリスクの発生時に備えまして、港湾管理者と民間事業者との間でリスク発生時の対応についてあらかじめ協定等で取り決めていただくことを想定しております。
国土交通省といたしましては、緑地等の本来の機能を損なうことのないよう、にぎわいがまた維持できますように適切な制度運用に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/26
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027・鬼木誠
○鬼木誠君 ありがとうございました。
今、適切なというようなことでございましたけれども、併せまして懸念をしておりますのは、緑地整備が集客に力点を置く余りに、例えば周辺道路の渋滞を招くなど、港湾が本来持つべき役割に対する悪い影響が出てくるんではないかというようなことについても懸念の声をお聞かせいただいているところでございます。
本来の港湾業務に支障を来すようなことがあってはならない、そして港湾で働く人々の安全な作業環境が損なわれるような事態を招いてはならない、このことは言うまでもございません。そのような事態を招かないためにも、是非大臣の方からその決意についてお聞かせをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/27
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028・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回のこの制度は、民間の活力を最大限生かして緑地等の再整備と魅力向上とを効果的に推進するためのものであり、地域のにぎわい創出を図る手段として既に港湾関係者から高い関心が寄せられているところです。一方、委員御指摘のとおり、この制度を活用することによって、港湾の役割として重要な物流や災害拠点の機能に支障を来すことはあってはならないと考えております。
私の地元広島、宇品港にもフェリーターミナルの横には広い広場がございまして、出店も出たり、また平日にはイベントが開催されます。選挙のときにはそこで街頭演説をやったりしてですね。そして、その周辺道路には国際コンテナを運ぶ物流車両が多く行き交っており、こうした機能をしっかり確保することが重要と考えております。
国土交通省としましては、引き続き、港湾における物流、防災等の機能をしっかり確保することを前提としながら、地域のにぎわい創出を両立させる方針で取り組んでまいりたいと決意しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/28
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029・鬼木誠
○鬼木誠君 ありがとうございました。
最後に、港湾施設全体をめぐる課題について意見を申し上げたいというふうに思います。
港湾施設の老朽化、深刻な課題でございますし、先ほどありましたように、自治体の財政状況、極めて厳しい状況が続いている、国の支援がなければ施設の維持管理もままならないという現状になっています。例えば施設の安全確保や予防保全の観点から極めて重要な定期点検、五年以内ということになっておりますけれども、この実施にすら苦慮をしているというような実態をお聞きをしている。さらには、港湾における高潮、津波対策等々の防災・減災に関する事業についても、新たな制度創設も含めたやっぱり国からの支援というものが必要だという強い声をいただいています。
財政面だけではなくて人員の面についての不安という声もあります。災害対応時の初期初動、緊急措置の実施においては、即応性や機動性を持つ現業職員も含めた体制の確保が重要なことは御承知のとおりでございますけれども、先ほどお話をしましたように、自治体職員減少が続いている、さらに技術系の職員についての確保が難しい、培ってきた経験や知識というものをしっかり継承していくということが大きな課題になっている、そのような課題もございます。
繰り返しになりますけれども、先進的な自治体、できる自治体はいいんです、そこについては是非支援いただきたいと思いますけれども、やりたくてもやれない、頑張りたくても頑張れない自治体がある、港湾管理者がある、そのような状況があるということは是非御承知おきをいただきたいというふうに思いますし、それぞれの港湾管理者の皆さんから寄せられる声について真摯に耳を傾けていただきながら、必要な御支援、継続的な御支援を国として行っていただくことを最後にお願い申し上げまして、質問を終えたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/29
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030・森屋隆
○森屋隆君 立憲・社民共同会派の森屋隆でございます。
大臣、鬼木委員から冒頭ありましたから答弁求めませんけれども、今国民は、三年に及ぶコロナ、そしてこの物価高で相当苦しんでいるんです。政治や政治家に対するこの不信が拡大しています。政治は国民からの信頼がなければ成り立たないと、こういうことだと思います。これ私も含めてですけれども、政治家の発言、振る舞い、もう一度襟を正していく、この委員会で共有できれば幸いです。
質問に入りたいと思います。
港湾緑地等の貸付けを可能とする認定制度についてお聞きをいたします。
今回の法改正において、港湾管理者は、民間事業者が作成した港湾環境整備計画の認定に当たって、社会還元可能な収益を見込めるものであるかどうかについてその審査能力が問われることとなると思いますが、国として港湾管理者に対する技術的助言やノウハウの提供が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
一方、認定計画実施者の事業見込みが甘くて収益が出せず社会還元ができない、認定された港湾環境整備計画どおりにいっていない場合、勧告、認定の取消しと、こういうふうに手続が進むことでよいのか、これは確認させてください。
また、非常災害やパンデミックなど、予測不能な外的要因で大幅な影響を受けた場合、社会還元ができなくなった場合にですね、前提に計画を変更してこの事業を続けることとなるのか、やはり認定取消しとするのか、どのような対処をしていくのかについてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/30
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031・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
三点の御質問と認識しております。
まず一点目の港湾管理者への助言、ノウハウ提供につきましては、委員御指摘のとおり、本制度を円滑に運用していくために必要な取組としておりまして、港湾管理者に対する技術的助言や説明会の開催、先行事例の情報提供などを通じて本制度を効果的に活用していただけるように取り組んでいくということであります。
二つ目の御質問につきましては、本制度において、港湾管理者は、認定を受けた港湾環境整備計画が認定基準に適合しないものとなったと認めるときには民間事業者に対して勧告することができるとともに、当該勧告に従わなかった場合は当該勧告を、認定を取り消すことができるということになっております。
三つ目。一方、自然災害の発生などで民間事業者に責任を問うことが難しい場合の対応につきましては、勧告や認定取消しではなくて、港湾管理者と民間事業者との間でリスク発生時の対応についてあらかじめ合意した取決めに基づきまして対処することが適切であるというふうに考えているところでございます。
国土交通省といたしましては、そういったリスク発生時の対応についても、事前に当事者間で取決めがなされるように、港湾管理者への技術的助言や先行事例の共有等を通じまして適切な制度運用に努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/31
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032・森屋隆
○森屋隆君 次に、水素関連施設の安全と保安対策についてお聞きをいたします。
脱炭素化の推進によって、今後、港湾地区においては水素関連施設が設置されていくこととなりますが、この緑地の再整備などで集客関連施設も増えていくこととなりますと、事故などが起きた場合に被害が当然拡大するおそれがあります。
その安全対策や保安対策の強化が必要と考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/32
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033・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
水素ガスの貯蔵それから消費等に際しましては、高圧ガス保安法や消防法など関係法令による規制が適用されることから、港湾においても水素を利用する関連施設の導入に際し、当該規制を遵守する必要があると考えております。
こうした状況を踏まえつつ、国土交通省では、カーボンニュートラルポートの取組を推進するために、今年度より水素燃料電池を搭載した荷役機械を安全かつ円滑に導入するための実証事業に着手するなど、安全対策に配慮しながら水素等の活用に向けた取組を進めております。本事業を通じて得られた知見等について他の港湾においても適切に活用できるように、技術上の基準の方に反映し、運用ガイドラインを整備するなど、引き続き港湾における脱炭素化の取組について安全性確保の上で着実に進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/33
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034・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
今回の改正では、国や港湾管理者が行うこの港湾工事のための調査を委託した者に対しても他人の土地へ立入り権限を付与するということになっていますけれども、この港湾管理を実施する国や港湾管理者の職員が減少する中で、この委託事業者の役割というのはますます重要になってくると、こういうふうに思っています。
その活用促進が当然重要になっていくんですけども、一方で、委託事業者が民有地内で調査を行うとした際、所有者の同意が得られず調査ができなかった事案が発生したということが今回のこの改正の背景にあると、こういうふうに聞いております。ただ、相手が今回の改正を知らないとまた主張すれば再び拒絶される、こういったおそれが当然あるわけでありまして、今回の改正内容をこの所有者に十分周知させる、こういった取組が必要だと思います。いかがでしょうか。
また、委託事業者の役割が今後増していけば、それを拒絶しようとする土地所有者との摩擦が当然これ増えるわけでありますから、港湾法では道路法や河川法のように土地所有者が正当な理由なくこの立入りを拒絶する場合にこの罰則というのはありませんから、今後立入り権限の実効性をどのように確保していくのか、この辺についてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/34
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035・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回の改正は、港湾工事のための調査又は測量を行うためやむを得ない必要があるときに限り、国土交通大臣又は港湾管理者が委任した者を他人の土地に立ち入らせることができるようにするものでございます。
委員の御指摘のとおり、調査等を円滑に実施するためには、平時より土地の所有者や占有者に今回の改正内容やその趣旨を御理解いただくことが重要であると認識しております。このため、臨海部に立地する民間企業等も参加する水際・防災対策連絡会議、これ、主要港湾には必ずございますが、この会議などの様々な機会を活用して今回の改正内容やその趣旨を周知するなど、実効性を確保できるようしっかりと取り組んでまいります。罰則はないわけですけれども、実効性あるように周知等徹底して行っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/35
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036・森屋隆
○森屋隆君 時間がありませんので、ちょっと簡潔にこれはお聞きしたいと思います。
現在の国際コンテナ戦略港湾の現状を聞きたいと思います。
トランシップの状況、コンテナ取扱いの国際ランキング、そして、先ほどもありましたけれども、コロナでサプライチェーンが混乱した、改めて確認されることがもしあれば、課題になっていることがあればお聞かせください。簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/36
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037・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
まず、トランシップの状況ですが、現状で約一%が我が国で積み替えられる他国からのトランシップ貨物であります。また、日本の対米輸出入コンテナ貨物のうち、約二五%が釜山港や上海港といった東アジア諸港で積み替えられているという状況がございます。
また、取扱別、コンテナ取扱個数における日本の港湾の順位でございますけれども、二〇二一年度で東京港が四十一位、横浜港が七十二位、神戸港が七十三位となっております。
三つ目の御質問でございますけれども、新型コロナウイルス感染症によりまして世界的に国際海上コンテナ物流は混乱しておりますが、例えば日本の国際コンテナ戦略港湾から北米西岸へ貨物を輸出する際には、直行航路による所要日数と海外の港湾で積み替えて輸送をした場合の所要日数が最大で七十日間差があるということでございまして、非常に深刻であると思っています。
引き続き、集貨、創貨、競争力強化の国際コンテナ戦略港湾をしっかり進めて、基幹航路の維持拡大を図ってまいりたいと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/37
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038・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
世界との競争ということで大変だと思いますけれども、やはりそこに勝っていけるような状況を作っていってもらいたいと、こういうふうに思います。
時間ですから、最後少し、要望ではありませんけれども、意見を述べさせていただきたいと思います。
二〇三〇年に向けた重要業績指数、いわゆるKPIでありますけれども、今言われた現状からすれば、私は相当ハードルがこれ高いと、こういうふうに思っています。
また、今回の法改正に当たり、港湾で働く方々からヒアリングをさせていただきました。ヒアリングでは、作業現場は常に危険との隣り合わせであり、仲間を殺さない、傷つけない、傷つかない、安全が永遠のテーマであると、こういうふうにおっしゃっていました。また、騒音問題なども含めて、とても皆がにぎわう観光地のような場所ではないんですよと、こういったこともおっしゃっていました。
したがって、今回の法改正が本当に生きるものにするためにも、先ほど大臣からもありましたけれども、今後も現場の働く方々の意見や要望をしっかりと聞いていただくことを切にお願いを申し上げまして、私からの質問を終えたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/38
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039・石井苗子
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
私は、幼稚園、小学校、高等学校と横浜港の近くで育ちまして、港には慣れ親しんで育ってきたわけですけれども、港のサプライチェーン、あるいは物流とCO2削減の関係性を考えたのは今日が初めてでございますので、よろしくお願いいたします。
日本には港と呼ばれるものが幾つあり、その規模にはどのくらいの差があるかを教えてください。日本のどの地域に港が密集していて、脱炭素化が現時点で進んでいるところはどこかを政府参考人にお答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/39
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040・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
日本全国には、港湾法上の港湾が九百九十三港ございます。港湾の規模については、例えば二〇二〇年の港湾取扱貨物量で見ますと、第一位の名古屋港は約一・七億トン、百位の酒田港は二百七十九万トンでありまして、約六十倍の開きがございます。
また、港湾が密集している地域については、例えば、東京湾、伊勢湾、大阪湾には、国際拠点港湾以上の我が国にとって非常に重要な港が二十三港のうちの約四割となる九港が集中しています。日本全体の港湾取扱貨物量の約三割で、また貿易額の約七割をこの九港で占めております。
また、脱炭素化の取組につきましては、現在三十九港において先行的に協議会等が設置されておりまして、港湾における脱炭素化の検討が進められている状況でございます。この中で、例えば、神戸港では液化水素用商用サプライチェーン構築のための実証事業が行われているほか、横浜港ではLNGバンカリング拠点の形成が進められるなど、先進的な取組が行われているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/40
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041・石井苗子
○石井苗子君 ありがとうございます。
九百九十三港、そのうちの三十九港ということで、中で、神戸港、横浜港がリーダーシップを取っているということなのですが、今回の改正は、世界的なムーブメントとなっているカーボンニュートラルに向けて、脱炭素社会を実現するに当たり港湾が果たすべき役割は何か、これを明確にして港湾における脱炭素化の推進を関係者一同で計画的にやっていこうとするものと理解をしております。
この関係者一同のところに、国民の皆様の協力を忘れてはならないと思うのですが、この今のお話ですと、港には種類もレベルもまちまちであるということが分かりました。港湾における脱炭素化の取組は港によりけりだということになるかと思うのですが、自治体の規模の差というのもあるのではないかと思っております。
そこで、それぞれの港湾における脱炭素化の取組の推進についてどんな計画を作っていくおつもりなのかを大臣にお伺いしたいと思います。
本法案では、港湾脱炭素化推進計画を作成し、港湾脱炭素化推進協議会を組織し、キー・パフォーマンス・インディケーター、KPIをセットし、水素換算を進めていくとしています。二〇二〇年時点でほぼゼロの状態の水素換算を二〇三〇年までに百万トン換算できるようにしていこうと書いてあります。
どこから何をやれば目標に近づけるのか、先ほどのこの選ばれた協議会の方々が理解していなければならないと思います。何を今すぐやれば少しでも脱炭素化社会に貢献していることになるのか、具体的な例があれば紹介していただきたい。
加えて、自治体の港湾管理者と運送事業者さんの間で脱炭素化に向けての役割分担、担当部署も異なるのではないかと思いますが、何から始まれば脱炭素化に貢献していることになるのかを説明する、つまり協議会を指導する、KPIのキーパフォーマンスというところの、リーダーシップとなるキーパフォーマーは誰なのか。
この二点についてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/41
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042・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) キーパフォーマーは、港湾管理者の役割が極めて重要だと思っております。港湾には、港湾管理者、港湾立地企業、物流事業者、地元自治体等の多岐にわたる関係者が存在するため、港湾管理者が中心となって、関係者の合意形成を図りながら各港湾の脱炭素化に向けた検討を進めていくこととなります。そういう意味で、港湾管理者の役割が極めて重要だと思います。
国土交通省としては、地方整備局等の職員が各港の港湾脱炭素化推進協議会の構成員に加わり、今回の法案で設けているKPIも踏まえた目標設定等に向けた技術的な助言を行うなどによって、港湾における脱炭素化に向けて中心的な役割を担う港湾管理者をしっかりと支援してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/42
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043・石井苗子
○石井苗子君 まず最初にどの辺りから手を着けていけばいいかという具体例をお示しいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/43
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044・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
この脱炭素化に取り組む技術開発もまだ途上の状態でございますので、短期、中期、長期と考えていかなきゃならないわけでございますが、まず短期につきましては、現在ターミナルに導入しております脱炭素型の荷役機械、こういったものの導入を更に進めていく必要があると思っております。また、中期、長期になりますと、例えばアンモニア混焼の石炭火力発電所が増えてきますので、必要な取扱いの施設の整備とか、そういうところが必要になってくると思っております。
こういう観点から、今直ちにできることは当然ございますし、それをしっかりやりながら、中期、長期の視点を持ちながら取り組んでいくことが必要だと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/44
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045・石井苗子
○石井苗子君 今直ちに何ができるかということを、今何をやっているのかということを周りの方、港の近くに住んでいる方も理解することが容易になっていくのが脱炭素社会に必要なことだと思っています。
かつてクールビズという言葉がありました。一般の方が何を何の目的でやっているのかということがクールビズで一言で分かる。カーボンニュートラルと言ったら、何をしているのがカーボンニュートラルにつながるのかということが分かるということがとても必要だと思っております。
カーボンニュートラルに向けて、港湾における水素燃料、アンモニアなどの受入れ拠点体制ですね、これは拠点を形成することだと思います。湾岸地域の脱炭素化により日本の社会に貢献しているという実感を持ってもらうためにはどうするか。
先ほどのKPIのインディケーターのところが指数になって、コンテナ貨物を取り扱う低炭素化荷役機械、先ほどありました荷役機械ですね、この導入割合、たちまちできることです、これを二〇二一年の四三%から、二〇二六年に六〇%、二〇三〇年に七六%にしていくというインディケーター、指数があるのですが、どこまで達成できたという見える化を目的とした中間報告のような取りまとめで進捗状況を公表するという計画がおありかどうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/45
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046・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) まずできることからということで、まず、先ほど局長から低炭素型荷役機械の導入をまず進めるという方針で御説明申し上げたところでございます。この低炭素型荷役機械の導入を促進するため、まず補助制度による支援を行っているところでございます。KPIの達成状況の見える化については、今後、港湾管理者が策定する港湾脱炭素化推進計画における目標の設定及び達成状況の把握等を基に国土交通省において集計し、公表することとしております。
国土交通省としては、このような取組を通じて、引き続き港湾の脱炭素化に向けた取組、特に見える化、しっかり進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/46
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047・石井苗子
○石井苗子君 何年までに中間報告をされるおつもりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/47
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048・堀田治
○政府参考人(堀田治君) 公表の仕方につきましては今後の検討事項となっておりますけれども、まず各地域で脱炭素化推進計画が作られて、ある程度まとまりができた段階で考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/48
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049・石井苗子
○石井苗子君 まだ未定だということで理解いたしました。
私が先ほどから申し上げておりますように、カーボンニュートラルをやるためだって言ったら一言で何をしているのかが分かるという国民意識を高めることが大切だと思うんですね。世界が驚いた地球温暖化における対策というのがあるんですけれども、銀座の商店街がひしゃくを持って全員が打ち水したというのがニュースになっておりまして、日本人というのは温暖化をこのように考えて、何を考えているんだろうかというふうに話題になったことが確かです。
そういうふうにぱっと分かるようになるということは、先ほどのお話に出てきておりますように、港周辺の環境づくりを脱炭素化するという目的で、民間事業者によるにぎわい創出に資する公共還元型の港湾緑地などの施設の整備というのが書いてあり、そこに連続して、カフェやレストランなど、国が自治体に契約で土地を貸すという認定制度を緑地のリニューアル目的で実施する計画と書いてありますけれども、今、株式なんかを見ますと、人が呼吸すること、多くのところに、多くの人が一か所に集まることというのがCO2を出すということで禁止する方向になっていっているんですね。今、緑地というものをこれからリニューアルするということで、そこに、先ほどありましたように、オーバーツーリズムという、人が集まり過ぎるということであると、これはCO2削減を実現化する社会に港湾の設備が貢献しているのだろうかと思われるわけです。
私は、いっそのことなら、緑の管理は緑だけをやるということで、そこには人を入れない、なぜなればカーボンニュートラルだからだというような方向に持っていった方がいいのではないかという個人的な意見を持っております。
CO2削減をやるなら緑化だけを中心に徹底するべきだと、私は、人を呼び込まない方がいい、そこには、選挙演説もしない方がいいというように思っていたわけですが、政府参考人の意見を伺いたいと思います。緑化の管理は誰の責任になりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/49
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050・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
緑地等の管理は、基本的には港湾管理者の責任になります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/50
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051・石井苗子
○石井苗子君 港湾管理者の責任ですか。私は、そこにレストランとかカフェとかというものをやるとしたら、そこから人は緑地に出てはいけない、その緑地の管理はレストランやカフェの人たちがやるというふうに理解していたんですが、異なるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/51
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052・堀田治
○政府参考人(堀田治君) 今申し上げましたのは、緑地の管理の責任、トータルとしての責任を誰が持つかということでございまして、契約に基づいて民間事業者が公共還元事業として緑地を管理する場合は、その緑地の管理の行為者は民間事業者になると思います。ただ、それを含めて適正に緑地が管理できているかどうかの責任を持つのはあくまでも港湾管理者であるというふうに申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/52
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053・石井苗子
○石井苗子君 先ほど、日本に九百三十三の港があるということになりますと……(発言する者あり)九十三ですね、九百九十三の港があるということになると、多分格差がすごい、もう全部が横浜港のようなことはないと思うんです。そうすると、そこににぎわいを持っていきたいというところと、いや、これ以上人が増えてしまったら、さっきのそのオーバーツーリズムによって、ごみは増えるわ、トラックは通れなくなるわ、渋滞は起きるわ、駐車場はみんなが止まってしまって使えなくなってしまう、そんな混乱や悪影響があってはいけないという港もあると思うんですね。そういった意味では、この被害が物流に悪影響が及ばないようにこの緑地化を考えていただきたいと思います。
経産省の方においでいただいておりますので、水素や燃料アンモニア供給の海外依存度、これを低くしていき、国内自給率を高めることでカーボンニュートラルを実施していくということ、この取組があれば御紹介お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/53
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054・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
水素、アンモニアはカーボンニュートラル実現に大変不可欠なエネルギーでございまして、社会実装に向けた課題は供給コストの低減とそれから需要の創出でございます。
委員御指摘のとおり、エネルギーの安全保障の観点からも、国内での製造基盤を水素について確立していくことというのは極めて重要な課題だというふうに考えてございます。例えばですが、既に取り組んでいる事例といたしましては、福島県浪江町におきまして、世界有数の水電解装置を活用した大規模な水素製造技術の実証、こうやってコストを下げていくといったような実証事業に取り組んでおります。あわせまして、二兆円のグリーンイノベーション基金も使いまして、より効率的なアンモニア製造技術、あるいは国内の再生可能エネルギー由来の水素製造技術をより高度化するといったような取組も進めてございます。
一方で、当面の間は海外の安価で豊富なエネルギーから製造される水素、アンモニアも活用することで必要な供給力を確保し、まずはしっかりと水素の需要を立ち上げていくということも重要と考えてございます。
カーボンニュートラル実現に向けまして、国内、海外を含めた多様な選択肢の中から、安定供給や経済合理性等をしっかり考慮しながら、水素、アンモニアの国内製造基盤の整備、そして国際サプライチェーンの構築を進めてまいりたいと、かように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/54
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055・石井苗子
○石井苗子君 中長期的な政策と言えるんではないかと思うんですね。KPIを掲げて港湾の脱炭素化推進を図る計画を作り実現化していかなければ、先ほどから申し上げております目標は達成できないと思っております。
CO2を削減するにはどんな工夫があるか一つ一つ考えていく中のものに、停泊している船の中で使う燃料を重油でなくすことというのがあると思います。船の停泊しているとき、油たいて中でいろいろ作業をしているわけなんですが、本法案が改正すれば、港に停泊している船が利用する燃料を電気燃料に置き換えてカーボンニュートラルポートの形成に貢献してもらう、重油や石炭をたいて船をつまりアイドリングさせるのではなくて、陸上電力供給施設を使ってもらうために税制特例措置を設けて陸上の固定資産税を減免する措置があると、これはいいアイデアだと思うんですが、本法案が改正しないと施行されないことになっていると伺っております。ということは、いまだに特定措置は実施されていないということでしょうか、お答えをいただきたい。もしそうであるならば、なぜ特例措置の期間が令和五年三月三十一日に限られているのでしょうか。
カーボンニュートラルの取組というのは、先ほど経産のお答えがありましたけれども、短期間で成果を上げるというのは大変難しいと思います。思い切って五年ぐらいの免税措置にしたらよいのではないかと思うのですが、どうして二年期限限定なのか、この理由も併せてお答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/55
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056・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
まず一点目でございますけれども、税制特例措置を現在適用されているかどうかということにつきましては、法案が改正されておりませんので適用されていないということになります。
それから、アイドリングストップの関係でございますけれども、停泊中の船舶に陸上から電力を供給することを可能とする陸上電力供給設備は、船舶のアイドリングをストップさせることができまして、港湾における脱炭素社会の実現に貢献する取組の一つでございます。
議員御指摘のとおり、陸上電力供給設備の導入につきましては、これは、与党の令和四年度税制改正大綱を踏まえまして、今般の港湾法改正により、国際戦略港湾等において港湾運営会社が取得する陸上電力供給設備に係る固定資産税の特例措置が令和五年三月三十一日までの期限で講じられることになっております。
国土交通省といたしましては、陸上電力供給設備の導入促進に向けて固定資産税の特例措置を一定期間継続することが必要というふうに考えておりまして、今後、特例措置の延長に向けてしっかりと対応してまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/56
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057・石井苗子
○石井苗子君 延長するんですね。何年延長することになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/57
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058・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
現在要求しているのは二年延長というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/58
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059・石井苗子
○石井苗子君 二年延長するということは、その後も延長するというふうに考えてよろしいかと思うんです。是非これをやっていただきたいと思います。税制措置でやっていただきたい。
時間が来ましたので、私は、横浜港からあのプリンセスの事件がありまして、クルーズ船がにぎわいを取り戻していかないということを大変苦しく、悲しく思っております。是非、再開のガイドラインを作って再開させていただきたいとお願い申し上げて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/59
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060・浜口誠
○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。
今日、港湾法の改正に関連して幾つか質問させていただきたいと思いますので、斉藤大臣始め、よろしくお願いしたいと思います。
まず最初に、日本の港湾のやっぱり競争力をしっかり強化していくということが大変に重要だというふうに思っています。
今、委員の先生方のところにも資料をお配りしておりますが、一ページ目の資料にコンテナの取扱量の推移という資料をお配りしています。日本の港別、あるいは日本全体を見てもですね、非常に順位を下げている、これはやっぱり危機感持たないといけないというふうに思っております。
また、昨年のコンテナ船の日本の港への寄港数がここ二十年で最低になったと、一番少なかったという結果も出てます。また、今年に入ってから、日本発の貨物の直行便の比率も六一%になってます。対前年同期比一〇%も減ってると。要は、日本から出した貨物が約四割は外国の港を通じて世界に運ばれていると、こういう実態です。
例えばですけども、韓国の釜山港を経由してトランシップ、積替えすると、リードタイムは二日から三日長くなると。これは、やっぱり日本の製造業にとっては競争力の観点からは非常にリスクが大きいということも指摘をされております。日本の港湾のやっぱり競争力をいかに高めていくのか、これはもう日本全体の競争力に直結しているということだと受け止めております。
そこで、大臣に、なぜ日本のこの港湾の競争力が低下してきているのか、また、これからどのような形で日本の港湾の競争力、回復させていくのか。国交省がその旗振りをしっかりしていかないといけないというふうに思っておりますので、大臣の御所見をまずはお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/60
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061・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 国土交通省としても大変な危機感を持っております。
新型コロナウイルス感染症の影響による世界的な国際海上コンテナ物流の混乱に加え、我が国の港湾は、釜山港や上海港といったアジアの主要港と比較して相対的に貨物量が少ないことなどにより、船舶の大型化が進む国際基幹航路の我が国への寄港数は減少傾向にございます。
一方で、コロナ禍前でございますけれども、コロナ禍前までは、京浜港、阪神港に寄港する国際基幹航路の輸送力は増加傾向にあったところであり、国際コンテナ戦略港湾政策によって一定程度の競争力を確保できていたと認識しております。
このような状況の中、日本の荷主からは、海外港での積替えではなく直行航路を志向する声が高まっており、サプライチェーンの強靱化等に資する国際基幹航路の維持拡大が一層重要と考えております。
このため、国際基幹航路の維持拡大に向けて、国際コンテナ戦略港湾政策における集貨、荷物を集める、まず荷物がなきゃいけませんので、荷物を集める集貨、荷物をつくる創貨、そして競争力強化の三本柱に加え、激変する国際情勢をにらみながら、強い危機感を持って必要な対策を実施してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/61
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062・浜口誠
○浜口誠君 危機感をしっかり持っていただくというのは本当に大事だと思いますので、それを具体的にどういう形で政策としてやっていくのか、ここが問われてくるところだと思います。
アジアを中心に、この競争力を付けてきている港湾というのは、結構トランシップの拡大で、規模のですね、港の規模を拡大してきているという傾向があります。またさらに、ターミナルの自動化とか、あるいは手続の電子化、そしてターミナルオープンゲート時間と、荷物をいつまで受け入れるかという、このオープン時間をもう二十四時間体制でやるとかですね、こういうことに積極的に取り組んで競争力を上げてきていると。
一方で、じゃ、日本の港は、やっぱり自国の貨物中心で、トランシップも非常に少ない。先ほど答弁ありましたし、資料の二枚目を見ていただくと、日本のトランシップのシェア、台湾とか韓国、中国、いろいろ香港とかありますけれども、一%台なんですね。非常にトランシップが少ないと。
この点も、日本の港湾の競争力という観点からはやっぱり改善していく必要がある。他国の荷物を日本でしっかり取り込んでいく、こういう戦略をやっていく必要があるんではないかというふうに思っておりますが、今後、このトランシップ、先ほどは直行便を増やすと、それも大事ですけれども、その一方でトランシップという考え方も、他国はこれを積極的にやっていますので、我が国においても非常に重要な視点だというふうに思っておりますが、この点に関して、大臣、御所見がありましたらお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/62
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063・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今委員お示しのように、他国からのトランシップ貨物、日本は現状で約一%ということでございます。他国からのトランシップ貨物を集積することは、国際コンテナ戦略港湾政策を進めていく上で重要であると考えております。
一方、日本の対米輸出入コンテナ貨物のうち、約二五%が釜山港や上海港といった東アジアの主要港で積み替えて輸送されている現状があり、そのような現状を踏まえると、まずはこの日本の貨物を国際コンテナ戦略港湾に集貨する取組を強力に進めていく必要があると考えております。今、釜山に行っている、いや、上海に行ってそこからアメリカ、例えばアメリカに行っているものを、日本から直接持っていくようにする、そのためには荷物がもっと必要ということになるわけですけれども、この政策を強化していく必要があるかと思います。
この集貨にしっかりと取り組んでいきたいと、このように思っておりまして、国土交通省もいろいろな形で民間企業と連携しながら、そのある意味で営業活動といいましょうか、そういうこともやっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/63
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064・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
是非、まさに荷主、あるいは船会社の皆さん始め関係者の皆さんとも、日本の港湾をいかに競争力あるものにしていくのか、国土交通省の皆さんも幅広いステークホルダーの皆さんの意見聞いていただいて、より競争力を高めていただきたいというふうに思っています。
そうした中で、港の競争力を高めていくために、三つぐらいの視点で改善も必要ではないかということが言われております。
まず一点目は、やっぱり内航船から外航船に荷物を、もう横持ちせずに、同一バース内でちゃんと積み替えるような港づくりをしていくということ。
二点目としては、先ほど少し申し上げましたけれども、ターミナルゲートのオープン時間、これ日本は朝の八時半から十六時半というのが一般的なんですね。でも、グローバルスタンダードはもう二十四時間いつでも荷物受け付けますという体制を引いている港が多いです。この辺りの、ターミナルゲートのオープン時間をどうしていくのかという点が二点目。
三点目は、貨物を受け入れる締切日というのがあるんですけれども、今、日本は、欧州とかあるいは米国向けの貨物については本船が入ってくる三日前までに来なきゃ受け付けないよということで早く締切日を設けているんですけれども、国際的な競争力がある港は一日前まで受け入れると、こういうリードタイムの短縮を行っています。
こういった改善をやることによって日本の港湾の競争力を高めていく必要があるんではないかと、このような指摘がありますので、この辺についても、国交省がいろんな皆さんの意見も聞きながら、そして海外の情報というのもしっかりと日本の港湾関係者にも伝えていただいて、どういうやり方が日本全体の港湾の競争力強化につながっていくのかというところをしっかり取りまとめていただきたいなというふうに思っておりますが、この三点に関して、現状であったり国交省の御見解があれば伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/64
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065・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
委員御指摘のように、非常に重要なポイントだと思っております。我々も従来から課題と認識しているところでございます。
まず、内航船から外航船への横持ちに関しましては、横浜港の南本牧埠頭のコンテナターミナルにおきまして、令和三年四月から全四バースの一体運用を開始したところでありまして、船舶の柔軟な着岸が可能となったことによりまして、内航、外航間の積替えの円滑化が図られております。バースホッピングは相当程度解消されました。それから、今後は国際コンテナ戦略港湾の他のコンテナターミナルにおいてもこのような一体利用の実現に向けて関係者と調整を進めてまいりたいと思っております。
また、コンテナターミナルにおける荷役につきましては、現在、元日を除きまして三百六十四日二十四時間対応可能でありまして、ゲートオープン時間につきましては、予約を受けた場合も含めると、八時半から大体夜の八時まで、二十時までとなっております。
また、これまで、実は神戸港や東京港におきましてゲートオープンの二十四時間化のモデル事業を実施したんですが、その結果、深夜での利用実績が非常に低調でして、現時点では二十四時間化は実施していない状況でございます。
このゲートオープン時間の拡大につきましては、荷主のニーズであったり労働条件の確保に係る労使の合意等を踏まえつつ適切に対応していく必要があるのだなと思っています。
また、貨物の締切日に関しましては、実態を複数船社に確認いたしましたところ、貨物情報の提出締切日を三日前とした上で、貨物そのものの搬入締切りを一日前とするなど、リードタイムを短くするための取組が進められているというふうに認識しております。
港湾の国際競争力を強化する上でリードタイムの短縮は重要な要素の一つと認識しておりまして、国土交通省といたしましては、港湾物流の電子化等による物流情報の円滑な共有や物流の効率化に引き続き取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/65
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066・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
いろいろな関係者とも今後も緊密に連携取っていただいて、日本は日本のオリジナルで国際競争力を高めていくというアプローチがあっていいと思いますので、全てが海外と同じにする必要はないと思いますけれども、より港湾の競争力強化につながるような対策の推進、改善の推進、改革をしっかりと進めていただきたいというふうに思っております。
そうした中で、港湾の合理化あるいは効率性の向上、さらにはサプライチェーン全体の物流の効率性を高めていくということも、日本の港湾始め、競争力の向上には不可欠だというふうに思っております。
いろいろ注目されている技術もあるんですね。お手元にRFIDの説明の資料を入れておりますが、このRFIDというのは、もう非接触です、コロナ禍で、もう別に接触しなくてもいいと。非接触で、電波を飛ばしていろんな情報を書換えすることができる、こういう新しい仕組みなんですけれども、今一部、ユニクロさんとかは、このRFIDタグを使っていろんな物流の効率化を図るための実証されております。
ただ、このRFIDというのはコストが高くて、物流の関係者の方に言わせると、このRFIDタグが一枚一円以下ぐらいのコストになれば、一気に使用が広がって、もう一気通貫で物流をこれ管理することができるので、飛躍的な物流の合理化、効率化につながるんではないかと。
そのイメージが資料の四枚目にありますけれども、いわゆる港とか工場とかから最終消費者の皆さんまで、これを全体スルーで把握することができる非常に画期的な技術になるのではないかと、こういうことも言われております。
是非こうした技術のやっぱり後押しを国としてもやっていただきたいなというふうに思っておりますが、このRFID、ICタグと言われるこのような技術の現時点の課題、そしてこれから将来戦略的に国交省として、国としてサプライチェーン全体の物流の効率化へ向けてどのような将来的な取組を計画しているのか、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/66
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067・鶴田浩久
○政府参考人(鶴田浩久君) お答え申し上げます。
サプライチェーンの全体最適化におきましては、委員御指摘の新技術の活用が非常に重要と考えております。昨年六月に閣議決定されました総合物流施策大綱におきましても、「RFID等で収集・共有したデータの活用を推進するなど、サプライチェーンの全体最適を見据えたデジタル環境の整備を図る。」とされております。
物流事業者におきましても、RFIDを導入して入出荷の検品作業を効率化するなど、取組は行われておりますけれども、御指摘ありましたように、一枚、タグ一枚当たりの単価が十円程度で、ほかの方式に比べまして高コストであることが課題となっております。
このRFIDの活用につきましては、これまで小売が、販売管理などの自社内の取組が中心でしたけれども、これを広げるために、経産省とも連携をして、発荷主、それから物流事業者、さらに着荷主が連携した取組の補助事業をやっております。そのほか、高度な商品管理が必要なものについてのトレーサビリティー向上ということで、医療機器物流においても活用促進なんかをやっております。
引き続き、関係省庁と連携をしまして、新技術を活用してサプライチェーン全体の効率を上げるということにしっかり取り組んでまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/67
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068・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
私も民間企業にいたときに、十何年前ですけれども、その頃から既に、RFIDを活用できないのかということでいろいろ社内的な検討もしていました。でも、今思えば、十数年たったんですけれども、余り進歩していないなと正直思います。もう十年たったらもう相当変わっているんじゃないかなと思ったんですけれども、この技術がですね、今言ったようにコストも、当時よりはちょっとは下がっていますけれども、まだ十円程度ということですね。
ただし、やっぱり使われる、利用の機会を増やさないとコストも下がってこないということだと思いますので、是非国挙げてこういった新たな技術をどんどん民間事業者と連携しながら広げていっていただいて、やっぱり日本がこの新しいサプライチェーン全体の輸送モデルをつくって、世界に売り込めるぐらいのものをつくっていただきたいなと、切にそう思っております。民間企業も非常にこういった技術は積極的に活用していきたいという強い意向も持たれているというふうに思いますので、是非大臣、国交省を挙げてやっていくという思いも込めて、一言いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/68
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069・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) まさに選ばれる港湾というために、いろいろな角度から技術を向上させていく、魅力を向上させていかなきゃいけないかと思いますが、この今のRFIDにつきましても大変重要な施策と今認識いたしました。しっかり進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/69
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070・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
では、続きまして、少し順番変えさせていただいて、港湾の減災・防災対策の観点から一点お伺いしたいと思います。
よく水は壊れないということが言われます。これは、津波とか地震が起こったときに、道路とか鉄道は被害を受けることがあるかもしれませんけれども、いわゆる海とか海路はもう津波が来てもさあっと元に戻ってしまう、こういう観点で言われますけれども、この海路だとか海上交通というのは、そういった意味では国土強靱化の最大の武器になるというふうに思っています。
私もあの東日本大震災のときに、仙台港が被災をしましたけれども、秋田港が非常に被害が少なくてすぐに使えるようになって、秋田港から物を日本全国に運ぶことができたということで非常に助かった経験がございます。
まさに港、港湾を災害に強い、壊れない港にしていく、あるいは被災してもすぐに復旧できる港湾にしていく、まさに港湾のBCP、あるいはリダンダンシーと言われる取組をしっかり進めていくことが減災・防災には非常に重要だというふうに思っておりますので、是非そういう観点から、港のBCPあるいはリダンダンシーの強化、これを国交省としてもしっかり進めていただきたいというふうに思っておりますが、政府としての見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/70
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071・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 港湾は我が国の物流を支える重要な役割を担っていることから、災害発生時においても港湾機能を維持することは極めて重要であり、緊急物資の輸送や経済活動の早期再開が可能となるよう、港湾の強靱化に向けた取組を進めていく必要があると認識しております。
このような認識の下、波浪や津波から港湾を守ることができる粘り強い防波堤の整備、それから岸壁、臨港道路の耐震化等を推進するとともに、広域的に複数の港湾が連携することによるリダンダンシーの確保等に取り組んでまいります。
国土交通省としては、国土強靱化に向け、引き続き、ハード、ソフトの両面から災害対策を推進し、安全、安心で豊かな国民生活を支える海上輸送ネットワークの確保に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/71
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072・浜口誠
○浜口誠君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/72
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073・田村智子
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
今月六日から気候変動枠組条約締約国会議、COP27が始まりました。八日には、国連のグテーレス事務総長の下につくられた専門家会議が、温室効果ガスネットゼロ、実質ゼロを自治体などが掲げる条件として、先進国では二〇三〇年までに石炭火力発電を廃止することなどを求めました。
本法案は、臨海部に集積する産業と連携し、港湾においてカーボンニュートラル、CO2排出実質ゼロを推進する仕組みをつくるとしています。港湾を含む臨海部は、石炭火力発電、鉄鋼など最もCO2を排出する産業が集積をしていて、二〇三〇年までの削減目標をどうするのか、そして実効性がある取組をどう進めるのかが急がれています。
法案の説明資料で示された二〇三〇年までの目標というのは、一つに、水素、燃料アンモニアの取扱貨物量を水素換算で百万トンとすること、そして二つに、港湾施設でコンテナを取り扱う低炭素化荷役機械の導入割合を七五%とすると、この二つが示されました。それでは、それぞれCO2の削減はどういうふうに見込んでいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/73
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074・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
本法案で掲げている目標を達成した場合のCO2削減量について、国土交通省港湾局において一定の仮定を置いて試算したところ、港湾における水素、燃料アンモニア等の取扱貨物量を二〇三〇年、水素換算で百万トンとする目標を実現した場合、この百万トンによるCO2削減量は約一千万トンです。また、コンテナを取り扱う低炭素型荷役機械の導入割合を二〇三〇年度に七五%とする目標を実現した場合のCO2削減量は約一万トンとなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/74
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075・田村智子
○田村智子君 これ、法案の説明資料になかったので、資料一で皆さんにもお配りしました。こういう試算だということなんですね。
二〇二〇年度、日本のCO2排出量は十億四千四百万トンと発表されています。このうち臨海部に集積する産業の排出量はどれくらいで、ここで示された約一千万トンというのは何%の削減になるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/75
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076・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
二〇二〇年度、日本全体のCO2排出量は約十億四千万トンでございまして、港湾、臨海部に多く立地する発電、鉄鋼、化学工業等の部門からのCO2の排出量はこの約六割に当たる約五億八千万トンとなっております。国土交通省港湾局が試算したCO2排出削減量約一千万トンをこの約五億八千万トンと比較すると、約二%に相当いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/76
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077・田村智子
○田村智子君 今の御説明もメールでも受けましたので、皆さんにお配りしました。
日本政府の削減目標、二〇一三年度比で二〇三〇年までに四六%削減、これは全世界平均よりも低い目標です。しかし、これと比べても、僅か二%、数値で示されたものは。しかも、水素、燃料アンモニアの輸入量が増大することが本当にCO2削減に結び付いていくのか。
百万トンというのは、いつからどういう産業でどれだけ使うことを見込んでいるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/77
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078・南亮
○政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。
水素、アンモニアですが、これは発電、輸送、産業など幅広い分野の脱炭素化に資するカーボンニュートラルの実現に向けた鍵だと、そのように考えております。
水素、アンモニアは主に発電部門での需要が見込まれまして、二〇二〇年代後半にも石炭火力へのアンモニア二〇%混焼技術、さらには二〇三〇年頃にはガス火力への水素混焼や専焼技術の商用化が予定されております。二〇三〇年度の電源構成において、水素、アンモニアで一%程度を賄うということを想定しているところでございます。
加えて、水素、アンモニアは、電化が困難な産業用の熱や化学分野での利用、燃料電池自動車や船舶といった運輸部門などの利用、こういった需要が見込まれているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/78
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079・田村智子
○田村智子君 水素、アンモニアは、現在、その製造過程でも、また大型貨物船での輸送でもCO2を大量に排出することになります。石炭火力発電でのアンモニア混焼もCO2を排出するのは当然なんですね。しかも、いまだ実証実験の段階だと。
冒頭指摘しましたとおり、そもそも石炭火力を廃止せずカーボンニュートラルというのは、国際的には実体を伴わない、つまりは、やっているふりとみなされます。水素燃料などの新技術は、航空機や大型船舶でのCO2排出ゼロのために必要です。
しかし、ここは二〇三〇年にその技術は間に合わない、二〇五〇年までにその新たな新技術での燃料をどうするのかということが専門家や科学者の方々から指摘されているんですよ。だから、二〇三〇年に間に合わないから、船舶とか航空機のところは、だから、それ以外の電力、製造などの産業は既に開発されている再エネ、省エネの技術によって脱炭素を進めることが直ちに求められているんです。
例えば、鉄鋼も、古鉄を原料に電気で精製する電炉方式は、鉄鉱石から精製する高炉方式、燃やしてやるやつですね、この高炉方式よりも三割エネルギー削減が可能とされています。ガス火力発電は、熱エネルギーの六割が排熱されてしまっている、現在の技術でもエネルギー効率を八割程度まで引き上げることが可能だと、こういうふうに専門家は指摘をしています。このような省エネへの投資というのは経済的な効果も大きいと考えられます。
大臣、冒頭申し上げたとおり、石炭火力なんですよ、結局、港湾局が試算したのも。石炭火力前提なんですよ、の削減計画。それは、国際的にはやってるふりにされてしまいます。必要なのは、港湾、臨海部という最もCO2を排出されるその部署、産業において再エネと省エネを思い切って進めるという戦略、これを持つことが求められているのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/79
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080・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 本法案では、港湾における水素、燃料アンモニア等の取扱貨物量を二〇三〇年で水素換算で百万トンとする目標を定めております。
この目標は、エネルギー基本計画において水素供給量を二〇三〇年に最大三百万トンに拡大することを目指すとされていることを踏まえ、現在からの増加分の約百万トンを海外調達や内航輸送の活用を前提に、全量を港湾で取り扱える環境整備を図ることを目標に設定したものでございます。
このように、本法案のKPIは政府の水素供給量に関する目標に沿って設定したものであり、国土交通省としては、政府のエネルギー政策に沿って、港湾における脱炭素化の推進など、港湾における必要な対応を講じてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/80
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081・田村智子
○田村智子君 ならば、政府のエネルギー計画の大胆な見直しがなければならないと。国際的にもう日本取り残されていきますね、こんな計画で進めていったら。
法案では、港湾管理者が港湾脱炭素化推進計画を作成できるとしています。衆議院の質疑で、せめて努力義務、できる規定ではなく努力義務規定にすべきではなかったのかという質問に対して、地方自治を尊重するという答弁がありましたが、気候危機打開のために自治体に協力と努力を促すということは地方自治の尊重と対立などしません。
また、ほかの法律との関係でも説明が成り立ちません。例えば、地域公共交通活性化再生法では、第五条一項で、地方公共団体は、地域旅客運送サービスの持続可能な提供の確保に資する地域公共交通の活性化及び再生を推進するための計画を作成するよう努めなければならない。これは、二〇二〇年の法改正で、できる規定から努力義務規定への引上げが行われたんです。
港湾脱炭素化の計画策定は努力義務にする必要がないという判断だったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/81
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082・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 港湾における脱炭素化の取組は、各港湾の機能や利用状況に応じて異なるとともに、関係する多岐にわたる民間事業者それぞれの事情を踏まえて対応することが必要です。また、港湾法の基本原則である地方自治を尊重する観点を踏まえ、港湾管理者が港湾脱炭素化推進計画を作成することができるということとした次第でございます。
国土交通省としましては、各港湾において港湾脱炭素化推進計画の作成に取り組んでいただけるよう、港湾管理者と連携しながらしっかりと取組を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/82
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083・田村智子
○田村智子君 政府の後ろ向きな姿勢がこういうところにも表れていると思うんですね。
この臨海部に集積する産業の脱炭素化、これ温暖化対策、気候危機打開にとって極めて重要なんです。我が党は、昨年九月に発表した気候危機打開二〇三〇戦略で、電力については、二〇三〇年までに石炭火力、原発の発電量ゼロ、再エネ五〇%という大転換を行うこと、そして、産業分野では、CO2排出量の多い企業が政府と協定を結んで、政府も企業も削減への責任を明確にして推進することを提起いたしました。これはイギリスなどの取組に学んでのものです。
今回、港湾管理者として自治体が計画を立てる上でも、企業がどう関わるのかが大変問われてきます。ところが、そもそもどの事業者がどれくらいのCO2を排出しているのか、基礎的なデータがないというのが今の自治体の現状なんですよね。これでは実効性ある計画を立てることもできなくなります。
港湾管理者が計画を策定するためには、まず政府が、今排出量これだけという試算をしているわけですから、それぞれの産業や企業についての何らかのデータをお持ちでしょう。そういう基礎的なデータを自治体に提供すべきだと思います。そして、大企業については、消費電力量や、化石燃料を直接使う産業では、そのCO2排出量、国も自治体も把握できるという仕組みをつくることが必要だと考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/83
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084・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 国もCO2の排出、CO2量で目標を定めておりますので、港湾における脱炭素化の推進に当たっては、港湾及びその周辺地域におけるCO2排出量が重要な指標の一つであると、このように我々も考えております。
港湾管理者によるCO2排出量の算定方法については、民間事業者への聞き取り調査等により得た情報に基づき推計することを基本としつつ、補足的に企業の生産量等からCO2排出量を推計する仕組みを構築しております。また、国土交通省が港湾管理者が設置する協議会へ参画しカーボンニュートラルの取組の支援を行うことで、民間事業者の協力が得やすい環境の整備を行っております。
国土交通省としましては、港湾管理者がCO2排出量を算定し、港湾脱炭素化推進計画をスムーズに策定できるよう、引き続き支援してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/84
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085・田村智子
○田村智子君 これ、今いろんな物の取引でも、我が社の製造品はCO2全く排出しない電力などで作っていますということが取引の条件になったりもしてきていますよね。だから、こういう、どの企業がどれだけ排出しているのか、特に排出量の多い産業においては見える化をしていかなければ、目標では達成できないですよね。現状がどうなのか、どこまで削減されているのか、その仕組みをつくることを是非急いでいただきたいと思います。
最後に、法案では、港湾緑地を民間が借りて収益施設を造り緑地を活用することを可能とする規制緩和が盛り込まれました。民間事業者が港湾環境整備計画を作り、港湾管理者、自治体の認定を受けることとしていますが、この認定の要件が条文上大変緩いものになっています。
港湾環境整備事業というのは、そもそも物流等が集中する港湾での環境悪化への対策として、港湾で働く人の環境整備、また地域の憩いの場としての緑地等が整備をされてきました。こうした意義を踏まえれば、計画策定の過程で、港湾で働く人やあるいは地域住民、現在緑地利用している方々、こういう皆さんの意見が反映される仕組みが必要ではないでしょうか。
また、貸付けの面積であるとか施設の規模であるとか、先ほどもいっぱい集まっちゃったら大変なことになると指摘ありましたけど、こういう何らかの上限などの規定も必要になってくるのではないかと考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/85
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086・堀田治
○政府参考人(堀田治君) 今、二点の御質問があったと思います。
まず最初の御質問でございますが、本制度におきましては、緑地等の利用者を始め広く市民の皆様から御意見をいただくために、民間事業者が作成した港湾環境整備計画を港湾管理者が認定する際には、あらかじめ公衆縦覧等を行うなど、手続の公平性、透明性を確保するために必要な措置を講ずることを義務付けております。国土交通省としては、こういった公衆縦覧等の手続が着実に行われるように、適切に制度運用に努めてまいりたいと思います。
あともう一つ、その施設の規模に関する制限でございますけれども、これにつきましては、そもそもこの制度を活用する場合には港湾管理者による公募が行われることを想定しておりますので、新たに整備される収益施設については、民間事業者の提案を踏まえて港湾管理者が判断するということになります。
ただ、この制度におきまして、民間事業者が作成いたしました港湾環境整備計画を港湾管理者が認定する際には、港湾計画の適合に加えまして、当該港湾の環境の向上への寄与であったり、あるいは利用者等に支障がないかなど、事業者が整備する収益施設等も含めて計画の内容を審査することとしておりまして、港湾の機能に著しく支障を来すおそれがあるものが整備されることを想定はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/86
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087・田村智子
○田村智子君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/87
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088・舩後靖彦
○舩後靖彦君 れいわ新選組、舩後靖彦でございます。
木村英子委員に代わって、初めて国土交通委員会で質問をさせていただきます。
質疑に当たり、合理的配慮に御理解をいただいた委員長、理事の皆様、委員の皆様にお礼申し上げます。よろしくお願いいたします。
まずは、皆様に少しだけ自己紹介をいたします。
四十一歳でALSを発症し、全身麻痺で二十四時間の介助を必要としています。人工呼吸器を使っており、たんの吸引などの医療的ケア、胃瘻での食事など、生命維持のケアが必要です。さらに、人工呼吸器を装着するため、気管切開をして声が出せません。文字盤を使い、視線と瞬きで一文字一文字介助者に読み取ってもらい、コミュニケーションを取っています。また、顔の筋肉は僅かに動かせますので、チューブをかんでセンサーを通してパソコンを操作、文章を作ったり、音声読み上げソフトを使って文章を読んだりしています。本日の質疑も音声読み上げソフトで行います。聞き取りづらい部分があるかもしれませんが、御了解いただければ幸いです。
それでは、港湾法の一部を改正する法律案について質問いたします。まず、本法案に大きく関連する水素戦略についてお尋ねします。
水素戦略について、抜本的な見直しが必要と考えます。近年の技術の発達で、電化で対応できる分野は広がっています。かつては電化が難しいとされていた大型のトラックや鉄道の一部などでも電化が進みつつあります。また先日、EUはハイブリッド車を含むガソリン車の新車販売を二〇三五年に禁止することを正式に決定しました。EUを始め世界では電気自動車への移行が急速に進んでいます。その一方で、水素を必要とする分野は縮小しています。国際再生可能エネルギー機関、IRENAも、水素は現在脱炭素化の代替手段がない用途に限って使用するのが最善と結論付けています。
日本は二〇一七年、世界に先駆けて水素基本戦略を策定し、あらゆる分野で水素が利活用されるという水素社会の実現を掲げました。そして、毎年四百億円から七百億円近い予算を投じてきました。しかし、その七割をつぎ込んだ家庭用燃料電池、エネファームと燃料電池乗用車の普及は低迷しています。エネファームは、二〇三〇年普及目標は五百万台ですが、現在の年間販売台数は四万、五万台で、このままだと目標の五分の一以下にとどまります。
燃料電池乗用車は更に悲惨です。
資料一、二を御覧ください。
経済産業省が二〇一七年に発表した水素基本戦略概要によると、二〇三〇年の普及目標は八十万台、二〇二〇年の目標は四万台となっていますが、二〇二〇年の実際の販売台数は七百六十一台と、目標の一%台です。このままでいくと目標には到底及ぶことができないのが明白です。全国各地に造られた水素ステーションもほとんど利用されていません。
政府の水素戦略の失敗は明らかです。それなのに、日本は水素社会という幻想から脱却できずに、水素のサプライチェーンの整備を大規模に推進しています。今回の港湾法改正もその一環です。
まずは、政府の水素戦略を根本から見直し、本当に必要な用途を見定め、その規模に応じた投資を行うべきだと思います。政府の考えをお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/88
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089・南亮
○政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。
我が国は、世界に先駆けて水素基本戦略を策定しまして、燃料電池自動車や定置用燃料電池の技術と導入に関しまして世界をリードしてきましたが、御指摘のとおり、政府の目標に比して足下の導入が進んでいない状況であります。その理由の一つはコストであり、水素の供給コストの低減が重要だと考えております。
追随するように各国が国家戦略を策定しまして水素導入に向けた動きが加速化する中、技術的にも追い上げが激しい状況でございます。しかしながら、依然として我が国は発電分野や液化水素の海上輸送、水電解装置といった新たなサプライチェーン上の技術等に関して強みを持っているということでございます。
そのため、各国が掲げる高い目標、近年のウクライナ情勢、我が国特有のエネルギー情勢を考慮しながら、カーボンニュートラル実現に向けた水素の役割等を改めて見直し、水素基本戦略の改定も検討していきたいと、そのように考えております。
その際、目標につきましては、国際協調の下設定されたものもあることから一律に見直すことは厳しいと考えておりますが、御指摘のとおり、政策資源を集中すべきという観点からは、予算や税を適切に配分してまいりたいと、そのように考えております。
特に、我が国が競争性を持つ技術を支援し、世界市場を獲得することで日本企業の成長につながるよう、技術開発の支援にとどまらず、海外展開や国際標準化に向けた取組を世界に先じて進めてまいりたいと、そのように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/89
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090・舩後靖彦
○舩後靖彦君 次に、経済の安定と安全保障上求められる水素エネルギー戦略の方向性についてお尋ねします。
ロシアのウクライナ侵略によるエネルギー危機によって、化石燃料からの脱却を急ぐ動きが世界中に広がっています。特に、ロシアの天然ガスなどに依存していたEUは、二〇三〇年までに再生可能エネルギー電力の割合を六九%に高める戦略です。
日本は現在、電気の七割を輸入の化石燃料に依存しています。そのため、化石燃料の価格や供給の変動によって日本の経済も大きな影響を受けてしまいます。現在の物価高も世界的なエネルギー価格の高騰が大きな要因です。また、エネルギーを輸入に依存している現状は、安全保障上も大きなリスクです。エネルギーの自給を高めるためにも、化石燃料依存から脱却し、省エネルギーと再生可能エネルギーをもっと推進すべきです。
水素についても、日本政府は化石燃料由来のいわゆるグレー水素、ブルー水素を優先してきましたが、これらは脱炭素化にはほとんど意味がありません。また、グレー、ブルー水素の大量輸入は、エネルギーの輸入依存度を下げることが重要となった今、それに逆行するものです。
日本が世界のグリーン水素ビジネスで大きな役割を果たせるよう、水素の戦略を見直し、再生可能エネルギーを利用した国産グリーン水素の供給を拡大するべきです。それがサプライチェーン整備などで努力を重ねてきた日本企業の実績を生かすことにもつながります。
現状、グリーン水素は非常に高いものの、今後、グリーン水素のコストは大幅に低下すると予想されています。自然エネルギーの拡大と低価格化、そして技術革新の成果です。これが、IEA、国際エネルギー機関を始め多くの研究機関の共通見解です。
グレー水素やブルー水素を利用するための港湾整備は間違った無駄なインフラ投資の上塗りになると私たちは考えますが、大臣の見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/90
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091・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 舩後委員、国土交通委員会で最初の御質問ということで、答えさせていただきます。光栄に存じます。
水素については、エネルギー基本計画において、カーボンニュートラルに必要不可欠なエネルギーと位置付けられております。舩後委員おっしゃるように、再生可能エネルギー由来の水素が最もいいというのは私も同感でございますけれども、しかし、水素社会に転換していく、この水素というのは、一つは燃料電池、これは車だけでなく今鉄道にも使われようとしております。そして、内燃機関にこの水素を使うという技術も今民間企業で研究開発されております。
この水素を使うという意味で、その使用量を増やしていかなくてはいけないというふうに我々は考えております。そのために、今後、海外から多くの水素等が輸入されることが想定されており、サプライチェーンの拠点である港湾においては水素等の受入れ環境の整備を進めていく必要があると考えております。
いずれにいたしましても、国土交通省としては、政府のエネルギー政策に沿って港湾における必要な対応を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/91
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092・舩後靖彦
○舩後靖彦君 続いて、脱炭素に向けた政府の取組についてお尋ねします。
昨年、参議院でも全会一致で改正地球温暖化対策推進法を可決し、二〇五〇年までの脱炭素社会の実現を目標に掲げました。今回の港湾法改正でも、第一の目的として脱炭素化の推進が挙げられています。
私たち、れいわ新選組も、脱原発、グリーンニューディールを公約として掲げています。原発の即時廃止、そして二〇五〇年までのできるだけ早い脱炭素実現を目指しています。ですから、当然、脱炭素化の推進には賛成です。
問題は、脱炭素化の中身です。政府の脱炭素計画全体の見直しが必要です。衆議院調査局の法案参考資料によると、CO2排出量の約六割を占める発電所、鉄鋼、化学工業などの多くが立地する臨海部産業の拠点、エネルギーの一大消費拠点となっている、そのため、港湾地域は、脱炭素エネルギーである水素や燃料アンモニアなどの輸入拠点となるとともに、これらの活用などによるCO2削減の余地も大きい地域であるとあります。
この港湾地域の脱炭素化の一環として政府が推進しようとしているのが、石炭火力発電所におけるアンモニア混焼です。しかし、現状のアンモニア混焼では石炭火力発電所から排出されるCO2はほとんど削減できないと国内外のシンクタンクやNGOが指摘しています。アンモニア混焼は、石炭火力発電所の延命措置にすぎません。その上、これらの水素やアンモニアは海外から船舶で運搬するので、輸送に大量の化石燃料を必要とし、大量のCO2を排出します。とても脱炭素化と言える代物ではありません。
このような脱炭素とは到底言えない技術やインフラに大規模投資を行うことは、本当に必要な脱炭素技術とインフラへの投資を阻害してしまいます。これは、世界で急速に進む産業構造の転換から日本だけが取り残されるという事態を招きかねません。IEA、世界エネルギー機関は、再生可能エネルギーなどクリーンエネルギーへの投資は二〇三〇年に世界で年間六百兆円以上になると試算しています。この巨大な市場で日本の産業や技術が競争力を持つことができるのか、ここ数年が勝負です。政府は、必要な技術やインフラを見極め、戦略的に投資することが求められます。
先ほどの資料でも、我が国においても、船舶燃料などの脱炭素化への対応や環境に配慮した港湾への転換を図らなければ、荷主や船社から選ばれず、競争力を失う事態にもなりかねないと危機感が示されています。それならば、なおさら石炭火力発電所の延命にすぎないアンモニア混焼は見直すべきではありませんか。政府の考えをお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/92
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093・南亮
○政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。
アンモニアですが、アンモニアは燃焼させてもCO2を排出しないカーボンニュートラルに向けて有望な燃料だと、そのように考えております。
発電部門では、二〇二〇年代後半にも石炭火力へのアンモニア二〇%混焼の商用化を予定しております。二〇三〇年には、年間約三百万トンの燃料アンモニアの国内需要、これによるCO2削減効果として年間約六百万トンを想定しているところでございます。その上で、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、二〇%混焼にとどまらず、混焼率の更なる向上や将来的な専焼化、さらには、船舶ですとか工業炉での活用、そういったものに向けた技術開発を進めているところでございます。
委員御指摘の現状のアンモニア混焼では石炭火力発電所から排出されるCO2はほとんど削減できないという点につきましては、製造時にCO2を処理していないアンモニアを活用する場合への御指摘と、そのように認識しておりますが、二〇三〇年度温室効果ガス排出削減目標や二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、アンモニアの大量供給、大量利用が不可欠でございまして、このため、アンモニアの供給量拡大、価格低下などにつながる需要創出がその社会実装の第一歩として必要であります。そのため、まずはそのアンモニアの由来を問わずに活用を進めていく方針を取っております。
他方、この方針、永続的にCO2を処理していないアンモニアを使い続けるということではございません。インフラ整備や技術開発、コスト低減などの進捗状況を見つつ、速やかにアンモニア全体のこのクリーン化を進めてまいりたいと、そのように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/93
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094・舩後靖彦
○舩後靖彦君 代読します。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/94
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095・蓮舫
○委員長(蓮舫君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十四分休憩
─────・─────
午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/95
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096・蓮舫
○委員長(蓮舫君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、石井浩郎君及び竹谷とし子君が委員を辞任され、その補欠として神谷政幸君及び新妻秀規君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/96
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097・蓮舫
○委員長(蓮舫君) 休憩前に引き続き、港湾法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/97
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098・山本佐知子
○山本佐知子君 ありがとうございます。
自由民主党の山本佐知子です。
この七月に、三重県の皆様のおかげさまをもちまして初当選させていただきました。今日は初質問ということで大変緊張しておりますが、どうか皆様、温かい目で見守っていただければと思います。ありがとうございます。ありがとうございます。
まず、この機会をいただきました委員長、理事の皆様、そして委員の皆様には御礼を申し上げます。
今日は、斉藤大臣、お見えではございませんけれども、副大臣、そして政務官の皆様にもどうぞよろしくお願いを申し上げます。
今日は朝から港湾法改正に関する質疑が続いております。先ほど数字が出ましたが、日本には九百九十三の港湾があります。そして、私の地元の三重県では二十の港湾がございます。そして、港湾以外にも日本には多くの漁港があります。海に囲まれた日本にとって、港はかつて生活の場であり、仕事の場であり、社交の場でもありました。しかし、地方の港はどんどん規模が小さくなり、衰退をしていき、都市の港湾も今様々な困難に直面をしています。今回の港湾改正が、脱炭素化を通して港湾の活性化、そして国際競争力の強化につながり、また地方創生の新たな形になることを期待をしております。
まず最初の質問です。先ほどビジョンの質問いただきましたが、私も冒頭、政府としての考え方、問わせていただきます。
港湾局から出されている世界の港湾取扱貨物量ランキング、先ほどはコンテナの量の統計が出ました。これによりますと、二〇〇五年、日本で一番多かったのは名古屋で世界十一位。二〇二〇年は、名古屋は依然国内一位ですが、世界では二十四位となっています。しかし、貨物量では、二〇〇五年、名古屋は一億八千七百万トン、十五年後の二〇年、二〇二〇年では一億六千九百万トン。絶対数はそれほど変わらないわけですね。じゃ、何が変わったのか。世界の他国の状況が大きく変わったわけであります。
二〇〇五年の一位は上海でした。四億四千三百万トンでした。そして、二〇二〇年、僅か十五年の間に、一位は寧波、これは上海の少し南に位置しておりますけれども、十一億七千二百万トンと一気に増加をしています。つまり、全世界の海運物流は年々活発化している、非常な勢いで増加をしている中で、日本の相対的地位が後退をしているということになります。
背景には様々な要因があります。午前中から多くの御示唆がありました。私は、日本の産業構造が変わり、多くの企業の生産拠点が海外に移ったこと、そして同時に、他国の港湾のキャパシティーとか機能が非常に向上していることなどが挙げられると思っています。
こうした中、今回の港湾法改正は、次の世代の燃料として水素や燃料アンモニア、これを輸入基地への転換を図るということ、また、臨海部でも脱炭素化を促進することで日本の港湾の価値を高め、国際競争力を強化しようとするものであります。
海に囲まれ、そして東アジアに位置するというこの日本の地政学的な特徴を鑑み、日本はこれからどのような港湾政策を目指していくのか、国の将来的なビジョンをまず伺いたいと思います。政務官、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/98
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099・清水真人
○大臣政務官(清水真人君) 委員の質問にお答えをいたします。
委員御指摘のとおり、日本の相対的な位置が下がってきているという話がございました。かねてから、国際コンテナ戦略港湾政策、これによりまして、集貨や創貨、競争力強化というものは行ってきたところでありますけれども、これに加えまして、さらに、脱炭素への対応など、国内外の激変する状況に合わせ港湾政策を展開する必要があると考えております。
こうしたことも踏まえ、国土交通省においては、二〇一八年に、二〇三〇年頃の将来を見据え、今後特に推進をすべき港湾政策の方向性について、港湾の中長期政策、PORT二〇三〇を作成をしたところであります。本政策におきまして、中長期政策の方向性として、グローバルチェーンを支える海上輸送網の構築、水素等の新たな資源エネルギーの受入れ、供給等の拠点の形成や、港湾・物流活動のグリーン化、情報通信技術を活用した港湾のスマート化、強靱化、これらから成る八本の柱を定めているところであります。
国土交通省といたしましては、本法案において、港湾の脱炭素化を推進することを含め、港湾の中長期政策であるPORT二〇三〇に沿った取組をしっかりと進め、港湾の国際競争力の向上を図り、我が国の経済、産業を支え、豊かで潤いのある国民生活の実現を図ってまいります。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/99
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100・山本佐知子
○山本佐知子君 地球温暖化を阻止し、また脱炭素化を進めるということ、これは非常に大事な大大大前提であります。そして、しかし一方で、日本は、その過程で、世界でルール作りをリードして、そして技術革新を図り日本のプレゼンスを上げていく、また産業構造をスムーズに転換をしていく、これが非常に大事であると思っております。
そして、加えて、忘れてならないのが地方においてであります。地方においては、例えば我が三重県では、今年四月に三重県港湾みらい共創本部というのをつくりました。これは、港湾の新たな価値を模索していくという非常にちょっとまだ大きなビジョンであるんですけれども、これから地方の港湾も地域の産業の活性化に資する場になることが私は非常に大事だと思っています。
次に、改正法案の三条の二について御質問させていただきます。
午前中もこの改正法案三条の二というところありましたけれども、私は別の視点なんですが、これは、港湾及び開発保全航路の開発等に関する基本方針を規定する条文であります。今回の改正で、基本方針が、その果たすべき港湾及び開発保全航路の役割に配慮して定めるものとするその理由が、地球温暖化の防止及び気候の変動への適応のためと新たに規定をされました。
地球温暖化の防止という記述は、今回の大きな趣旨である脱炭素化の促進の根拠になるものであります。しかし一方で、今回の改正案に気候の変動への適応という記述も明記されました。このことによって、地球温暖化防止のための脱炭素化だけでなく、気候変動による自然災害からも港湾整備の重要性、港湾の強靱化の必要性、これが大事なんだという、私は政府の意思も読み取ることができると思っています。
近年、気候変動によって海面水位が上昇し、台風など自然災害が激甚化しております。そして、高潮のリスクも本当に大きなものになっている。そんな中で、かさ上げの必要性など港湾整備も待ったなしの状況であります。改めて、この改正法案で気候の変動への適応を明記した趣旨、そして防災に対する姿勢も、これを御説明いただきますようお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/100
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101・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
気候変動対策は、温室効果ガスの排出削減対策であるいわゆる緩和策と、気候変動の影響による被害の防止、軽減対策である適応策というのが車の両輪となっております。港湾においては、緩和策としてのカーボンニュートラルポートの取組とともに、適応策としての気候変動を踏まえた港湾の強靱化の取組が重要であるというふうに認識しております。このため、今般の港湾法改正において、港湾等に関する基本方針に係る規定に地球温暖化の防止及び気候の変動への適応を加えるものであります。
臨海部においては、公共の施設とともに民間の施設も共存しておりますことを踏まえまして、今後、気候変動への適応策としての港湾の強靱化に向け、官民連携して取り組んでまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/101
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102・山本佐知子
○山本佐知子君 ありがとうございます。
私の地元には四日市港という港がございます。ここには民間、ここは背後に、皆様御存じのとおり、四日市のコンビナート地帯を控えております。そして、民間の企業もたくさん立地をしているところでありまして、通常、もちろん港湾部にも様々な民間の桟橋がございます。そして、他の工業地帯と違うところは、四日市港は民間の桟橋が航路に面しているところが非常に多いんですね。災害などで崩れると、たちまち航路が塞がってしまうということが起きます。
国交省では、民有護岸の耐震改修に係る無利子貸付制度がございますけれども、金利がゼロになったとしても、やっぱり港湾整備には膨大な費用が必要でして、実際、民間会社がこの制度活用を行うというのはなかなか難しいというのが現状であります。
強靱な国土づくりを目指して、そして港湾の桟橋や護岸整備、耐震化を進めるとともに、臨海部のこの民有地における防災対策への支援、これも是非これから将来的にも御検討いただければと思います。
次の質問に移らせていただきます。
多くの港湾では、実際の二酸化炭素排出量はターミナル外、つまり臨海部の産業地域での排出が多いわけであります。本気で脱炭素化を進めていくのであれば、民間企業との連携が不可欠です。しかし一方で、脱炭素化に向けた取組は、依然、技術開発段階がほとんどであり、企業が、一企業が明確に方向性を絞り、そして巨額の設備投資をするということは、現実には非常に困難であります。
今、コンビナートの企業というのは既存事業の見直しを徹底的にしていて、例えば、創立以来伝統的な事業であった部署を外部に売ったり、事業再編を急速に進めている大きなコンビナート会社もたくさんございます。専門化、ニッチ化、少数多品種で付加価値の高いものの生産販売を目指している、そんな傾向もたくさんございます。
果たして、水素、アンモニアという新しい燃料、この需要はどれだけあるのか、マーケットはどれだけ広がるのか。全てのサプライチェーンがなかなか見えづらい現状では、国が脱炭素化のビジョンや予算的支援を発信するということは民間企業の安心にもつながると思います。
公共面積が広い港湾部と民有地が広い臨海部ではおのずと支援内容も異なると思いますが、改正法案の内容を担保するために脱炭素化を実行することに対する予算措置、そして制度措置はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/102
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103・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
本法改正の内容については、カーボンニュートラルポートの形成を推進することを目的といたしまして、多岐にわたる関係者が一体となって脱炭素化の取組を推進するための枠組みとして、港湾脱炭素化推進計画の作成や脱炭素化推進協議会を組織することなどが含まれております。
このため、国土交通省としては、本法改正に先行いたしまして、脱炭素化を進める計画策定を支援するためのマニュアル整備や補助制度の創設を行ってきたところでございます。また、地方整備局等の職員が脱炭素化推進協議会の構成員に加わりまして、今後の脱炭素化に関する取組に関して助言等を行うことといたしております。
さらに、脱炭素化推進計画の実行に対しては、低炭素型荷役機械やLNG燃料船への燃料供給に必要な設備の導入支援に取り組むとともに、水素を用いた港湾荷役機械を導入するための実証事業等を行うことでカーボンニュートラルポートの形成を進めてまいります。
今後も、カーボンニュートラルポートを形成し、形成を実行していくために必要な支援について、技術革新や関係者間の調整状況等を踏まえながらしっかりと検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/103
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104・山本佐知子
○山本佐知子君 ありがとうございます。
先ほど来、脱炭素化推進計画のお話も様々な先生から出ております。この計画、これにはやっぱり企業の協議会への参画が不可欠であります。しかし、やっぱり企業の皆さんは温度差が非常に多い、大きいわけですね。そして、実際、じゃ、脱炭素化の取組がどういうことできるかというと、やっぱりまずは省エネ対策になってしまうわけであります。それではまだまだ抜本的な脱炭素化というのを進めることはできません。補助金という形でなくても、様々な施策の可能性はあると思いますので、本当に、港湾管理者である自治体と、そして企業体、様々な声を聞いていただいて進めていきたいと思います。
次に、具体的にこの港湾部での施策についても申し上げたいと思います。
脱炭素化を港湾部でなくてコンビナートでも進めるということ、これは、これまでの生産活動や仕組みを百八十度変えるような大改革と言えます。このため、今後の施策に対しても、これまでにない大胆な内容のものを展開していく必要がございます。
例えば、燃料関連の港湾施設を国直轄事業により整備して、そして民間事業者に貸し付けて事業者の負担を軽減する、あるいは、法規制や橋梁を、ごめんなさい、道路ですね、道路や橋梁を活用して燃料のためのパイプラインを一緒に整備をして、また各事業者とネットワーク化して効率的な新しいエネルギー、新エネルギーの供給網を構築するなど、今までにない思い切った政策が求められます。
確かに法制度や保安上の問題がこの壁になるということは否めませんが、安全性を徹底した上で、積極的なインフラ整備のための新しい制度設計なども必要ではないかと思います。見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/104
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105・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
まず、具体的なアイデアをどうもありがとうございます。
水素、アンモニアなどの新しいエネルギーの供給網を構築するに当たりましては、先を見据えた計画的なインフラ整備を進めることが何よりも重要であるというふうに考えております。他方、各地域における将来的な需要等が明らかでないことから、具体的な支援制度の検討のためにも、まずは関係者間での十分な議論や検討が必要であるというふうに考えております。そのため、港湾管理者が脱炭素化推進協議会における検討を踏まえまして脱炭素化に取り組む計画を作成し、その計画に基づいて各関係者がそれぞれの取組を進めることといたしております。
港湾における必要な対応や支援については、各港における調整状況等を踏まえながらしっかりと検討してまいりたいと思っております。
国土交通省としては、経済産業省を始めとする関係省庁とも連携しながら、港湾における脱炭素化の取組を強力に推進してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/105
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106・山本佐知子
○山本佐知子君 ありがとうございます。
今回、この法案は、カーボンニュートラルポート、これを促進をするということでありますけれども、同時に、経産省が進めるカーボンニュートラルコンビナート、これもやっぱり両輪であります。この二つを不可分なものとして、是非、省庁の垣根を越えて、そして地域の声を聞きながら政策を進めていただきたいと思っております。
ちょっと通告の順番をちょっと変えさせていただきますが、引き続き、今度は港湾部の土地利用について御質問をさせていただきます。
今回の法改正では、港湾管理者が定める区域において、用途規制を緩和をして、あるいは強化もできるような、そうした柔軟な運用が織り込まれたこと、これは大変評価に値するものだと思います。一方で、現実問題を考えますと、水素やアンモニアは、石油よりも大きな貯留施設、そして大型輸送船が必要です。港湾管理者、地方自治体としては、十分な土地の確保が、企業が脱炭素化を進める上で必要になってまいります。
しかし、大規模な土地造成には、長期的かつ、そして大きな費用負担が発生をしてまいります。一方で、企業も、皆が同時に、同じスピードで、同じマインドで脱炭素化の設備投資を行うわけでは決してありません。この土地需要の時期が分散することが予想されます。
そうした場合に、港湾管理者としては、土地の確保、また起債をした上で金利等発生をいたしますけれども、こういった土地の確保の用意をする上で大きなリスクが生じます。こうしたリスクを軽減するために国としてはどういった対策が求められるのか、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/106
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107・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
港湾臨海部に立地する企業が脱炭素化の取組を行うことによって、土地の利用形態が変化したり、新たな施設が必要となることが当然想定されております。その際、新たな土地の確保が必要になる場合もあると考えますけれども、港湾によっては用地造成が困難なケースもあります。このため、必要となる土地の確保のために、土地や施設の既存ストックを有効活用しながら効率的、効果的な土地利用の転換を図ることも重要であるというふうに考えております。
これらの取組を円滑に進めるために、港湾管理者が港湾脱炭素化推進協議会を設置いたしまして、関係者間の合意形成を図りながら、土地利用ニーズを共有しながら多岐にわたる関係者との連携を促し、継続的、計画的な調整等を行っていくことで新たな土地の需要にも対応できるのではないかというふうに考えているところでございます。
国土交通省におきましても、カーボンニュートラルポート形成を着実に実行していくために、地方整備局等の職員が港湾脱炭素化推進協議会の構成員に加わりましてこれらの取組に関して助言等を行うなど、臨海部における脱炭素化の取組への後押しをしっかり行ってまいりたいと思います。
また、実は国土交通省の方で、港湾管理者さんによる臨海部の用地分譲が円滑に行われるように、土地売却に関する情報について一元的に取りまとめましてホームページの方で公表する取組も行っております。
こうした取組を通じて、国土交通省は、引き続き港湾管理者が進める臨海部への立地促進活性化を支援してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/107
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108・山本佐知子
○山本佐知子君 ありがとうございます。
私の地元の四日市の臨海部の例を申し上げますと、実は余っている遊休地が本当にないわけなんですね。さらに、全国を目を転じますと、非常に活発に生産活動、経済活動をしている臨海部であればあるほど、恐らく遊休地はないんだと思います。しかし、そういったところであればあるほど、やっぱり活動は活発ですから、脱炭素化をもっと進めていかなきゃいけないわけです。そこにやっぱり矛盾が生じてまいります。
この土地については大変大きな課題ではありますけれども、是非それぞれの地域のまた事情、これをしっかり酌み取って、そして協議会ができるわけでございますので、そういったやっぱり脱炭素化を具体的に前に進めるためにはどうしたらいいのか。やっぱり企業の協力は絶対に必要ですから、そういった視点も忘れずに持ち続けて前に進めていただきたいと思っております。ありがとうございます。
それでは、私、ちょっと地域の問題についてここで触れさせていただきたいと思います。
先ほどから四日市という地名が出ております。皆様御存じのように、四日市コンビナート、これを背後に私たちは生活をしているわけでございますけれども、四日市、ようやく私たちも今年初めに、霞ケ浦地区国際物流ターミナルの新規整備事業が事業化されました。実に二十年ぶりの海上における大型事業の着手になります。本当にありがとうございます。引き続き、予算もいただきまして、円滑に進めるようにお願いいたします。
また、平成三十年に臨港道路霞四号というものが開通をいたしまして、物流コストの削減、そして並走している国道二十三号線の渋滞緩和に貢献をしています。
しかし、渋滞というのは実は三重県においては致命的でございまして、この四日市コンビナート周辺の道路、国道一号線、二十三号線、そして通称塩浜街道、これは県道でございますけれども、ここは本当に慢性的な渋滞でございます。そして、それによって逸失している経済コストも長年積み重なっておりますし、多くの企業がこの沿線から余りの渋滞を嫌忌しまして場所を移動している、そんな事態も発生をしております。
こうした周辺の道路状況、コンビナートのだけではなくて、また港湾のだけではなくて、それを出入りする車両などを鑑みれまして、こういった渋滞緩和も、港湾、臨海部の脱炭素化の全体像を考えた場合、非常に重要だと考えます。こうした周辺部の脱炭素化の取組、これについてもどのようにお考えか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/108
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109・丹羽克彦
○政府参考人(丹羽克彦君) お答え申し上げます。
四日市港を始めとする臨海部の工業地帯には、物流企業、また石油化学産業等の事業所、また工場等が集積しておりまして、国道一号、国道二十三号においては物流車両等における慢性的な渋滞が発生していると認識をいたしております。これらの渋滞を緩和し、四日市港等への輸送の更なる効率化を図るため、現在、国道一号の北勢バイパス、国道二十三号の鈴鹿四日市道路、中勢道路などの道路整備を現在進めているところでございます。
このうち、北勢バイパスにつきましては、市道日永八郷線から国道の四百七十七号バイパスまでの四・一キロ、これを令和六年度の開通に向けて、現在、橋梁、トンネル工事を進めているところでございます。
また、鈴鹿四日市道路につきましては令和二年度に事業化したところでございます。現在、整備に必要な用地幅を決める設計を実施をいたしております。
最後に、中勢道路についてでありますが、未開通区間である鈴鹿工区二・八キロについて、令和五年度の開通に向けた橋梁舗装工事を進めているところでございます。
引き続き、四日市港周辺の渋滞緩和に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/109
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110・山本佐知子
○山本佐知子君 ありがとうございます。北勢バイパス、特によろしくお願いいたします。
国道一号線は、東京―大阪間七百六十キロあります。その中で、一番渋滞をしているのが静岡の沼津なんですね。二番目がこの四日市なんですね。僅か人口三十万で、そんなに全国的に見たら大きな都市ではありませんけれども、何十年にわたってこの渋滞がこの四日市でずっとなっているということで、私たちも是非国交省さんとも一緒に連携を組みまして、この渋滞解決に乗り込んでいきたいと思っております。
さて、七番目の質問をさせていただきます。
この港湾を脱炭素化、進めることが私はゴールではなくて、やっぱり荷主そして船社から選ばれる港になるということ、これが目指すべきところだと考えております。
一昨日、大野先生が質問されたSAF、これは四日市のコンビナートでも作られているんですけれども、SAFはICAOという、国際民間航空機関という国際機関が目標を正式に設置しています。そして、船舶の場合には国際海事機関、これもやはり国際機関が脱炭素化をリードしています。
この港湾基準ですね、今度は。港湾基準も、このように国際基準を明確に設定すれば荷主や船社にアピールでき、まさに選ばれる港になります。
国交省では、港湾ターミナル・グリーン認証制度を国内向けにまず設定をするということですが、その具体的な内容をお教えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/110
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111・堀田治
○政府参考人(堀田治君) 全世界の企業経営に脱炭素を取り込む動きが世界的に進展する中で、港湾施設の脱炭素化などに取り組むことは、荷主や船社から選ばれる港湾となるために必要不可欠だと思っております。
このため、国土交通省では、港湾のそういった設備の導入であったり整備であったりのみならず、コンテナターミナルなどの脱炭素化の取組状況を客観的に評価する認証制度の導入に向けまして、学識経験者等の意見を聞きながら検討を行っております。具体的には、低・脱炭素型荷役機械の導入状況であったり、あるいは船舶への低・脱炭素燃料の供給機能の導入等を強化する方向で今検討をしております。
本認証制度は、国際展開も視野に入れて検討を進めておりまして、我が国の港湾が国内外の荷主や船社から選ばれる競争力のある港湾となるよう取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/111
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112・山本佐知子
○山本佐知子君 ありがとうございます。
基準を見える化するということ、そして同じルールの上で競争して取り組むということはモチベーションを上げるという上でも大事だと思っております。その後の海外展開にも期待をいたします。
最後の質問をいたします。
来年六月にG7国土交通大臣会合が志摩で行われます。志摩市は、実は地方港湾としては風光明媚な賢島港、浜島港ありまして、また伊勢志摩国立公園は全国で二番目にゼロカーボンパークとして認定をされました。様々なこういった脱炭素化の取組を行っております。
来年の大臣会合で話し合われる内容はまだ決まっていないかもしれませんが、こうした地元の活動、また今回の法改正を通じて、港湾における脱炭素化の取組を紹介して、また日本の港湾を大いにアピールしていただく絶好の機会だと私は思っておりますが、国交省さんとしての意気込みをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/112
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113・清水真人
○大臣政務官(清水真人君) 御質問にお答えをいたします。
我が国港湾における脱炭素化の取組を海外に発信していくことは非常に重要であると考えております。港湾の脱炭素化につきましては、日米両国間でのカーボンニュートラルポートに関する協定や、日米豪印の枠組みにおいてグリーン海運回廊の実現に向けた協力を進めるなど、海外との連携を図ってきているところであります。
こうした中、G7交通大臣会合の場を始め国際会議などを活用し、引き続き、我が国港湾の脱炭素化の取組を発信するなど、海外との連携強化にしっかりと努めてまいります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/113
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114・蓮舫
○委員長(蓮舫君) 大臣、一言ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/114
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115・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 来年、G7の交通大臣会合、三重県伊勢志摩で開催させていただきます。先ほど山本委員からお話がございましたように、しっかりとこの場で、交通全体、そして特に港湾の、港湾の脱炭素化についてもしっかり訴えていきたいと思っておりますし、日本の試みも発表していきたいと思っております。
山本委員、国土交通委員会での初質問ということで、今日答えるチャンスがないのかなと思っていたんですが、最後にチャンスを与えていただきまして答えさせていただくこと、大変光栄に存じております。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/115
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116・山本佐知子
○山本佐知子君 大臣、ありがとうございます。そして、委員長、ありがとうございました。ありがとうございます。
これで質問を終わらさせていただきます。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/116
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117・矢倉克夫
○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。
私、選挙区は埼玉ですけど、生まれは横浜でして、横浜港見て育って、港湾には非常に愛着もあります。今回の法案、脱炭素というのを切り口にして、この港湾の新しい価値、日本の港湾の新しい価値を開いていく意義のあるものだと思っておりますし、賛成であります。
その上で、早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。
まずお伺いしたいのは、競争力の強化になります。午前の議論でも、この日本の港湾の競争力、なかなか弱くなっているというようなお話がありました。その上で、今回の法案の概要資料によりましたら、臨海部に集積する産業と連携してカーボンニュートラルポートの取組を推進し、我が国の産業や港湾の競争力強化と脱炭素社会の実現に貢献とあります。
カーボンニュートラルポートの形成によって形成される、強化される国際競争力とは何であるのか、どのような指標で判断するのか、またカーボンニュートラルポートの形成がなぜ国際力強化になるのか、その関係性をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/117
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118・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
企業経営に脱炭素化を取り組むことが世界的に進展する中で、サプライチェーンの脱炭素化に取り組む荷主等が増えておりまして、これらのニーズにしっかり対応して港湾施設の脱炭素化に取り組むことが荷主や船社から選ばれる港湾になるために必要であると認識しております。
このため、国土交通省では、港湾のターミナル、コンテナターミナル等における脱炭素化の取組を促進するために、低炭素型荷役機械の導入支援などと併せて、コンテナターミナルなどの脱炭素化の取組状況を客観的に評価する認証制度の導入に向けて、学識経験者等の意見を聞きながら検討を行っております。具体的には、低・脱炭素型荷役機械の導入状況や船舶への低・脱炭素型燃料の供給設備の導入等を評価する方向で検討をしている状況でございます。
本認証制度については、先ほどもお答えしたとおりですが、国際展開も視野に入れて検討を進めておりまして、我が国の港湾が国内外の荷主や船社から選ばれる競争力のある港湾となるように取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/118
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119・矢倉克夫
○矢倉克夫君 選ばれる港にする意義があるということでありました。
今の答弁もお伺いして、改めて私からもお訴えしたいのは、やっぱり最後におっしゃっていただいた認証制度の国際展開でありますね。これ、ただ選ばれるのを待つだけじゃなくて、やっぱり選ばれるためのルール作りを、これをしっかりしていく、これはもう日本全体今まで弱みだったところでありますから、そういう視野も入れて、作るだけじゃなくて採用されるような、これはいろいろ政治も関わらなきゃいけない話でありますけど、そこの視点をしっかり入れて是非お願いをしたいというふうに思います。
では、次に行かせていただきたいと思いますが、法案の関係で、また、二〇一八年の七月に国交省が作成をした港湾の中長期政策、PORT二〇三〇では、今後、特に強く推進をする施策として八つ挙げておられます。その一つが港湾・物流活動のグリーン化でありますが、そこでは、LNG基地を強みとしたLNGバンカリング、船舶への燃料供給、この戦略を掲げていらっしゃいます。
我が国は、御案内のとおり、世界最大のLNG輸入国でありますから、それゆえに臨海部に多く、LNG基地が多くありまして、これも強みとして生かしていくのは非常に重要だと思いますけど、一方で、ロシアのウクライナ侵略、これを端を発して、LNGの輸入元の一つはもうロシアでありますから、そういう部分でのこの調達の不安定さというのも出てきている。LNGへの過度な依存も課題がないとは言えないというふうに考えております。
こういう観点を踏まえると、今後は、水素エネルギー、この水素エネルギーも港湾・物流活動のグリーン化の方策の一つとして位置付ける必要があると思いますが、PORT二〇三〇にはそこも必ずしも明確に書いていないのではという理解で私はおります。
改めて、このPORT二〇三〇で示した港湾の中長期政策、特に港湾・物流活動のグリーン化の趣旨と、そこにおける水素エネルギー強化の方向性を問うとともに、方向性に当たっての法案がどのように資するのか、見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/119
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120・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
国土交通省港湾局では、二〇一八年、二〇三〇年頃の将来を見据えまして、今後特に推進すべき港湾政策の方向性等について港湾の中長期政策として取りまとめをさせていただいております。
その中で、港湾・物流活動のグリーン化として、地球環境問題に港湾としても責任ある対応をしていくために、自然再生エネルギーである洋上風力発電の導入であったり、船舶等の低炭素化等によるCO2排出源対策、ブルーカーボン生態系の活用等によるCO2吸収源対策を促進することとしております。このうち、CO2排出源対策において取り組むこととしている船舶、荷役機械、トレーラー等の輸送機械の低炭素化においては、LNGのみならず水素の積極的な活用も重要であると認識をしているところでございます。
このような方向性を踏まえまして、本法案におきましては、官民の連携による協議会との協議を踏まえ、港湾管理者による脱炭素化推進計画の作成を行うと。それから、同計画の実現のために港湾管理者が定める区域内における構造物の用途規制を柔軟に設定できる特例であったり、手続のワンストップ化などの措置を講じまして、港湾における水素エネルギーの活用や関連施設の立地環境整備を進めるなど、港湾における脱炭素化を強力に推進してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/120
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121・矢倉克夫
○矢倉克夫君 港湾、PORT二〇三〇、本文も私読みましたけど、グリーン化の文脈では水素というのは必ずしも書いていなかったというふうに理解もしております。
今、読み込むという話もありましたが、例えば、カーボンニュートラルポートの形成に向けた施策の方向性、昨年十二月の国交省の文書ですけど、これでは、例えば、LNG発電が水素発電に変わっていく蓋然性が高いから、LNG基地が水素基地に転換していく可能性という、より踏み込んだ議論もあったりとかもしております。これ、是非、中長期的な施策の柱としても是非認識の上で進めていただきたいと思います。
ちょっと次の質問に移らせていただきたいと思います。
次、ちょっと一問まずちょっと飛ばしていただいて、経産省と国交省の方にお伺いもしたいと思います。
今申し上げた水素エネルギーの関係なんですけど、KPIで、港湾における水素、燃料アンモニア等の取扱貨物量、二〇三〇年百万トンと。脱炭素の関係でも話もありましたが、私は、脱炭素という部分と併せて、やはりエネルギー安全保障という点でも水素の可能性はやはり大きいと思います。
午前中、水素戦略についての評価の話があったわけでありますが、大臣もおっしゃっていただいたように、潜在的な需要というのはこれから非常に伸びていく。そして、やはり何といっても、今世界が水素製造にもやはり動いているわけで、水素の特徴というのは世界どこでも作れる、化石燃料のように地域が偏在しているとかそういうものではやはりないわけであります。で、そういう潮流をしっかり受け入れて、世界から水素を受け入れる窓口として日本の港湾を造っていくということは、調達の多様性をしっかり確保していくという意味合いでのエネルギー安全保障に非常に資するのではないかと思っており、そこはしっかりと進めていかなければいけないと思っております。
その上で、今日は資料をお配りをさせていただいて、これは、川崎重工業株式会社、隣に川崎重工業出身の新妻さんがいらっしゃるわけでありますけど、図ったわけでもないんですけど、こちらが進めていらっしゃる「すいそ ふろんてぃあ」、二号、これが左側の方に書いてあります。私も二年前にこれ視察させていただきましたが、設計含め、日本の技術の粋が集まっているなと思いました。
御案内かと思いますけど、今年の初頭にオーストラリアのビクトリア州ラトローブバレー産の褐炭から水素を製造する、これCCSの機能を、技術を使って、水素、CO2フリーという形で水素を作り、それを日本に持ち帰っていったわけであります。二月には無事に神戸港に帰港をした。特筆すべきは、やっぱりこれが、こういう水素運搬船が世界初で日本が実証実験をして行ったということはやはり特筆すべきでありますし、だからこそ、この分野の日本の強みというのを生かさない手はないのではないかと思っています。
その上で、今、川崎重工業もこの経験を生かして右のような形で大型、午前の議論でもこの水素社会の課題の一つはコストだという話があったわけでありますが、その課題を克服するためには大型化をして、当然容量として引き受けれるものを、そのものも大きくしていくことがコスト削減にはやはり資するわけであります。「すいそ ふろんてぃあ」に比べてタンク容量だけ見ても実は百三十倍、百三十倍の液化水素、これを運ぶことができる。これが実現すれば、コスト削減というのも大きく課題としては克服できるなと。
LNGというのも五十年前に開始をして一気に普及したわけでありますけど、それ以上に期待が掛かるわけでありますけど、現状、こういう水素運搬船の受入れが可能な港は現在神戸港のみというふうに理解もしております。政府としてこれを増やしていかなければいけないと私は思っておりますけど、そのために何が必要か、また、受入れのための設備支援などを必要と考えますが、政府の見解をまず経産省からお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/121
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122・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、カーボンニュートラルポートの形成と並行しまして、安定的かつ低コストな供給を実現する水素の国際サプライチェーンの構築が大変重要だと考えてございます。
そのため、経済産業省では、グリーンイノベーション基金も活用しながら、液化水素運搬船、先生御指摘の液化水素運搬船や陸上タンクといった油槽設備の大型化などに関する技術開発、実証を支援しているところでございます。
今後、さらに、御指摘のとおり、課題はコストでございますので、水素の価格低減に向けまして様々な分野での需要を創出するとともに、化石燃料と水素の価格差に対する支援を大胆に行っていくといった取組や、国内の受入れ拠点、石油化学コンビナートをどういうふうに変えていくのかといったようなインフラ整備支援についても検討を進めているところでございます。
引き続き、国土交通省とも連携させていただきながら、こうした技術開発、実証を着実に進めつつ、大規模な水素の国際サプライチェーンの構築を国内での製造基盤確保と併せてしっかりと進めていきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/122
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123・堀田治
○政府参考人(堀田治君) お答え申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、今後、海外から多量の水素等の輸入が想定されておりまして、安定的、低コストな供給を実現する国際サプライチェーンの構築が必要というふうに認識をしております。
現時点で、どの港でどれぐらいの需要が発生するかまだ明確ではございませんので、具体的な施設計画というのは立てられておりませんけれども、いずれにしても、港湾において、サプライチェーンの拠点として港湾管理者や民間企業等と協力して受入れ環境の整備を進めていく必要があるというふうに考えております。
国土交通省としては、こういった技術開発等の動向であったり、各港におけるカーボンニュートラルポート形成に向けた関係機関、関係者間の調整状況などを踏まえながら、港湾における必要な対応、そして支援についてしっかりと検討をしてまいります。その際には、引き続き、経済産業省を始めとする関係省庁とも連携しながら、港湾における脱炭素化の取組を強力に推進してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/123
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124・矢倉克夫
○矢倉克夫君 しっかり、特に国交省、進めていただきたいと思います。先ほど用地の話もありましたが、予算面も制度面も含めてしっかり進めていく準備を今からしっかり進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
ちょっと次の質問に移らせていただきたいと思います。また、資料、お配りをしている二枚目の方になりますが、あっ、失礼、資料は次でした。まずは、資料は、その前に物流関係の関係でちょっと質問をしたいと思います。あっ、資料はこちらですね。
地元、埼玉県なんですけど、物流業者が主に東京港で荷物を降ろし、また揚げるというようなことをやるわけでありますけど、現場からの声でお伺いしたのが、これ大臣にお伺いしたいと思いますが、東京港ではコンテナの搬出、搬入において五時間から六時間ぐらい長い待機時間が発生するというふうにも言われています、非常に困っていると。
その原因として、まず、何と考えておられるかということをお伺いするとともに、あわせて、その解決のために現場からも要請があったのが、ほかの主要港等では見られない自動化とかIT化が進んでいる名古屋港の取組が参考にすべきではないかというふうに思っております。
先ほど資料、ちょっと混乱しましたが、資料を改めて御覧をいただきたいと思うんですけど、こちら資料の二枚目の方は、日本で初めての自動化コンテナターミナルである名古屋港の飛島埠頭の南側、コンテナターミナルの写真になります。
右上の写真が世界初となる遠隔自動RTG、ラバータイヤ式ガントリークレーンで、左上の写真のように、遠隔操作室のオペレーターがモニター映像を確認しながら無人のRTGを操作することによって飛躍的に作業効率が向上したと。
また、ガントリークレーンと荷さばきの間のコンテナ輸送には自動制御で往復するAGV、自動搬送台車を導入して、RTGとの連携により更なる荷役作業の効率化が図られております。
こういったコンテナの搬入、搬出をチェックするゲートも一か所に集約して、トレーラーには携帯端末でコンテナの受渡し場所を指示するなど、IT技術を取り入れた時間短縮と効率化を図っているということであります。
今御紹介したような名古屋港同様の自動化、IT化を東京港で進めることができるよう国の支援をお願いしたいと思いますが、大臣からの御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/124
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125・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 東京港におけるターミナルゲート前の渋滞発生については様々な要因があり、例えばコンテナトレーラーの来場時間が集中しゲートの処理能力やターミナルの荷役能力を超えてしまうことなどが考えられております。これらの渋滞発生の要因を解消するためには、ICT技術の活用といった港湾におけるDXの更なる推進が必要と考えております。
このため、ゲート前の混雑解消を目的として国土交通省が開発したシステムであるCONPASの普及促進や、遠隔操作ができるRTG、タイヤ式門型クレーンを導入する民間事業者に対して導入費用の最大三分の一を補助する支援措置の実施などに取り組んでいるところでございます。
引き続き、東京港を含め、我が国コンテナターミナルの生産性向上に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/125
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126・矢倉克夫
○矢倉克夫君 ありがとうございます。
いろいろその港湾の中の関係者間の調整というのもやはり国がまたしっかりと行っていく、こういう自動化を含めた、最終的には働き方改革も、そこを資する意味での自動化というところで、是非そういう協議の場を設定するなど、また調整役としてもまた大臣のリーダーシップも是非よろしくお願いしたいというふうに思います。
次の質問にまた移らせていただきたいというふうに思いますが、次は、またちょっと港湾に関わる部分ではありますけど、ちょっとまた視点も変えまして、私は、建設業を支えているセメント業であったり生コン業とか、そういう産業をしっかりと支えていくためのプロジェクトチームの党の事務局長もさせていただいているわけでありますけど、最近よく、これは今年の年頭からもよく聞いていた話の一つが、このセメントなどの製造業で石炭を原料として使用しているわけでありますけど、その石炭価格が相当今の状況を踏まえて高騰をしている、これは燃料としてではなく原料としての石炭でありますが、まあそういう状況と。
加えて、やはり先ほど申し上げたウクライナ侵略、ロシアによるウクライナ侵略によって、政府の方針として当然ロシア産の石炭は使わないということになっております。
例えばオーストラリア産に切り替えるというような動きになるわけでありますけど、そうするとどういう状況になるかというと、ロシア、ロシア産の船舶というのは大体一トン級ぐらいなんですが、オーストラリア産は四トンであったりとか大型になったりとかしてきます。そういう大型化に対応する港の設備というのもやはり必要になってくると思いますし、揮発性など各国の石炭の性質を踏まえますと、設備投資として、ヤードの整備だったり発火防止の設備だったり、油槽設備等への支援というものもこれ必要になってくる。石炭の利用を低減する代替燃料の製造設備等への支援というのもまた更に必要になってくるかというふうに思っております。
こういった状況を踏まえた整備を図るためにも政府は後押しすべきだと思いますが、今日は経済産業省からもまた参考人来ていただいておりますが、こちらについてどのように支援をしていくのか、経産省から答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/126
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127・恒藤晃
○政府参考人(恒藤晃君) 石炭につきましては、本年四月以降、G7で協調し、ロシアへの依存を段階的に低減しているところでございます。
このため、セメント製造業などでロシア産の石炭を原料等として用いていた事業者におきましては、ロシア以外の石炭に切り替えるなどが必要となります。その際、性状の異なる石炭を扱うことになるため、多くのケースで、例えば自然発火性のある石炭を管理するための設備など、新たな設備投資が必要となります。これに関しましては、先月、委員が事務局長を務めておられます、公明党生コンクリート・セメント産業振興推進プロジェクトチームからもですね、当方の西村大臣に対しまして、こうした設備投資への支援につきまして御提言をいただいたところでございます。
経済産業省といたしましては、石炭などのロシアへの依存低減を進める事業者を支援するため、令和四年度予備費におきまして五十億円を措置し、設備投資等への支援を行っているところでございます。これに加えまして、今月八日に閣議決定されました令和四年度第二次補正予算案におきましても五十五億円を計上したところでございます。
こうした措置によりまして、ロシア産の石炭から他国の石炭等に切り替える事業者をしっかり支援していきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/127
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128・矢倉克夫
○矢倉克夫君 四月の段階で、関係者からは、私はまた関係者の方から聞いたとき、やはり設備投資など百億近く掛かるというようなお話が具体的にあったところでありました。しっかり引き続き政府としても取組をお願いしたいというふうに思っております。
最後、大臣にお伺いをしたいと思います。
ちょっと、今の絡みにも絡むところでもあるんですが、プロジェクトチームとしても大臣の方にもこの前申入れもさせていただきました。今のセメントだけではなくて、例えば、建設資材全般、骨材とかも含めてですね、今非常に価格高騰がやはり著しいわけであります。
先日もスライド条項の適用というような議論もありましたが、やっぱりそれを成していくには工事全体の予算というものもやはり拡充はこれ必須であります。ですから、まず、大臣にそれへの決意をお伺いするとともに、この建設資材価格高騰については、やっぱり国は民間発注者を含めてですね、サプライチェーン全体でしっかりと分担を図られるような環境整備をしていかなければいけないというふうに思います。なかなか転嫁がし得ないような中にあって、そういう転嫁がちゃんとし得るとともに、分担し得るような枠組みというものを。
で、例えば、このままですと、建設業を技術とかまた資材の調達などで支えている中小零細企業、やはり最後のしわ寄せが行ってしまうわけであります。プロジェクトチームの関係で申し上げると、例えば生コンなどは、セメントが価格が急激に一立米当たり三千円ぐらい一気に上がったりとかしてですね、そうすると、それはただ契約時の価格で、その後販売をしなければいけなくなるから、その三千円分が転嫁できないと、販売時に価格をスライドできるようなことをできればいいけど、商慣習でなかなかできないと。
そういう結果、やはり生コン業者が、東京の場合とか埼玉の場合とか、零細企業が多い生コン業者が負わなければいけないというようなことも多くあったりとかするわけであります。やはりこういった中小零細企業の持続可能性を図っていくということが、インフラ整備であったり防災対策など、命を守る建設業そのもののもう持続可能性に関わるところであります。
国として、関係者間での協議の実施や契約費用の透明性やリスク負担の在り方について議論すべきであると思いますが、最後、大臣の答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/128
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129・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 建設資材の価格高騰は大変大きな問題だということで、先日、公明党の生コンクリート・セメント産業振興プロジェクトチームからも御提言をいただいたところでございます。
矢倉委員御指摘の第一点目の予算の確保についてでございますが、政府として骨太の方針や今回の総合経済対策において、現下の資材価格の高騰等を踏まえ、適切な価格転嫁が進むよう促した上で、必要な事業量を確保する旨を位置付けておりまして、引き続き必要な事業量の確保、つまり予算の確保に取り組んでまいりたいと思っております。
そして、二点目の価格転嫁と関係者間の協議についてでございますが、直轄工事においては適正な請負代金の設定や契約後の状況に応じて必要となる契約変更に取り組むとともに、民間発注者や建設業団体等に対しても要請を行ってまいりました。引き続き、資材の価格上昇が適正に工事価格に反映されるよう、しっかりと取組を進めてまいります。
また、価格変動に関するリスクの負担の在り方も重要な検討課題であると考えており、関係者間での協議の実施や契約費用の透明性の確保といった点も含めて引き続き議論を行い、関係省庁とも連携しつつ、適切な価格転嫁に向けた環境整備に努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/129
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130・矢倉克夫
○矢倉克夫君 是非、建設業全体の持続可能性ということも含めて、よろしくお願いしたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/130
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131・蓮舫
○委員長(蓮舫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/131
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132・田村智子
○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、港湾法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
本法案は、港湾及び臨海部産業の脱炭素化に取り組むために、港湾管理者が民間企業と連携して計画を策定するなどを定めています。
臨海部に集積する産業はCO2排出の約六割を占めており、国として削減目標を明確にし、実効性ある取組を進めることが急務です。ところが、政府の目標は、港湾が扱う水素、燃料アンモニアの貨物量を二〇三〇年までに百万トンというもので、これは石炭火力発電でのアンモニア混焼を前提とした計画にほかなりません。しかも、臨海部の産業での五・八億トンのCO2排出量に対して、二〇三〇年度の削減量は僅か一千万トン、二%にすぎないことが審議を通じて明らかになりました。これでは、政府が掲げる二〇一三年度比四六%削減の達成すら困難だと言わなければなりません。
今月六日から、気候変動枠組条約締約国会議、COP27がエジプトで行われていますが、先進国の温室効果ガス削減の責任が厳しく問われています。石炭火力発電を二〇三〇年までに廃止することは、破局的な気候危機を止めるため、先進国である日本が果たすべき最低限の責任です。石炭火力を前提とした計画は断じて認められません。
また、港湾脱炭素化推進計画も、港湾管理者が策定できる規定にとどまっているのは政府の消極姿勢の表れにほかなりません。
第二に、港湾緑地等の貸付制度を導入することで、民間事業者が港湾緑地を収益目的で自由に使うことを可能としていることです。貸付けは港湾管理者による認定であり、貸付可能な土地面積や施設規模等、何らの規制もありません。騒音の緩和、港湾就労者の労働環境の改善、地域の憩いとレクリエーションの場、生物生態系の保全、防災、避難など、港湾緑地の本来の機能が損なわれかねないことを指摘し、反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/132
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133・蓮舫
○委員長(蓮舫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
港湾法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/133
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134・蓮舫
○委員長(蓮舫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、森屋君から発言を求められておりますので、これを許します。森屋隆君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/134
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135・森屋隆
○森屋隆君 私は、ただいま可決されました港湾法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会及び国民民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
港湾法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。
一 我が国の産業や港湾の国際競争力強化につなげるため、港湾における脱炭素化の取組を着実に推進するとともに、国際戦略港湾政策の強化、港湾の技術革新、港湾運営の諸課題の改善などに早期かつ適切に対応すること。また、港湾における脱炭素化の推進には船社等港湾の利用者による取組も極めて重要であることから、水素やアンモニアを動力源とする船舶の利用見込みやこれらによる脱炭素化の数値目標、効果についても指標として明確化するとともに、これらの船舶の早期実用化に向け必要となる技術開発への支援にも努めること。
二 港湾における脱炭素化の推進のため、地方港湾に対しても、港湾脱炭素化推進計画の策定を促すとともに、事業者が同計画に基づく港湾脱炭素化促進事業により取得する荷役機械に対する税制上の措置のみならず、同計画に伴って整備する港湾施設への補助等の予算措置について検討すること。あわせて、老朽化した港湾施設の更新、周辺道路の整備、航路の浚渫等、港湾管理に必要な事業に対する支援についても充実を図ること。
特に、水素等の関連施設における安全対策や保安対策については、港湾管理者等とともに万全を期すこと。
三 港湾脱炭素化推進計画の実効性確保の観点から、関係事業者の労使双方が港湾脱炭素化推進協議会の構成員として参画できるよう、港湾管理者に配慮を求めること。
特に、脱炭素化への取組や情報通信技術の活用が港湾労働者の雇用・就労に悪影響を及ぼさないよう関係者間の調整を十分に図ること。
四 感染症等のリスク発生時における港湾施設の管理代行が円滑に行われ、その機能が確実に維持されるよう、港湾管理者が要請を行うべき状況を事前に検討し、平常時から連携体制を確立する等十分に備えておくこと。
五 港湾の緑地等の再整備等における民間事業者の活用に当たっては、都市部から離れた港湾にあっても、魅力ある賑わい空間が創出できるよう、アクセス確保の在り方について検討すること。また、港湾における観光と物流の振興を両立させるため、観光客の増加によるオーバーツーリズムが物流に悪影響を及ぼさないよう港湾管理者等に適切な取組を促し、そのために必要な支援を行うこと。
六 港湾の緑地等の再整備における民間事業者の収益の充当に当たっては、同事業者の意見が十分に反映されるものとなるようにするとともに、認定された港湾環境整備計画以外の再整備等に関しては、民間事業者の収益を充当することがないよう、港湾管理者に配慮を求めること。また、港湾管理者が民間事業者の作成する港湾環境整備計画の認定を適切に行えるよう、技術的助言やノウハウの提供を行うこと。
七 気候変動や巨大地震による大規模災害に備えるとともに、災害時に早急な災害復旧を図れるよう、港湾における防災・減災対策を着実に推進し、そのために必要な国や港湾管理者の職員の確保に努めること。また、国や港湾管理者が行う港湾工事のための調査等を委託した民間事業者に対して立入権限が付与されることについて、港湾区域内の土地所有者等に十分な周知を図ること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/135
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136・蓮舫
○委員長(蓮舫君) ただいま森屋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/136
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137・蓮舫
○委員長(蓮舫君) 多数と認めます。よって、森屋君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、斉藤国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。斉藤国土交通大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/137
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138・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 港湾法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことは深く感謝、可決されましたことに深く感謝申し上げます。
今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長を始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。
誠にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/138
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139・蓮舫
○委員長(蓮舫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ないですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/139
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140・蓮舫
○委員長(蓮舫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014319X00420221110/140
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