1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年十二月十日(土曜日)
午前九時開会
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委員の異動
十二月九日
辞任 補欠選任
三木 亨君 宮崎 雅夫君
岸 真紀子君 福島みずほ君
村田 享子君 打越さく良君
宮崎 勝君 矢倉 克夫君
十二月十日
辞任 補欠選任
宮崎 雅夫君 三木 亨君
梅村 聡君 音喜多 駿君
田村 智子君 山添 拓君
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出席者は左のとおり。
委員長 松沢 成文君
理 事
こやり隆史君
中田 宏君
石橋 通宏君
安江 伸夫君
委 員
赤松 健君
生稲 晃子君
神谷 政幸君
古賀友一郎君
島村 大君
三木 亨君
宮崎 雅夫君
宮本 周司君
山田 太郎君
石垣のりこ君
打越さく良君
福島みずほ君
矢倉 克夫君
音喜多 駿君
田村 まみ君
山添 拓君
国務大臣
内閣総理大臣 岸田 文雄君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(消費者
及び食品安全)
) 河野 太郎君
副大臣
内閣府副大臣 大串 正樹君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 尾崎 正直君
事務局側
第二特別調査室
長 荒井 透雅君
政府参考人
警察庁長官官房
審議官 友井 昌宏君
消費者庁次長 黒田 岳士君
法務省大臣官房
審議官 保坂 和人君
法務省大臣官房
司法法制部長 竹内 努君
法務省人権擁護
局長 松下 裕子君
文部科学省大臣
官房審議官 西條 正明君
文化庁審議官 小林万里子君
厚生労働省大臣
官房審議官 野村 知司君
厚生労働省大臣
官房審議官 本多 則惠君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○消費者契約法及び独立行政法人国民生活センタ
ー法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/0
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001・松沢成文
○委員長(松沢成文君) ただいまから消費者問題に関する特別委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、宮崎勝さん、岸真紀子さん、村田享子さん及び三木亨さんが委員を辞任され、その補欠として矢倉克夫さん、福島みずほさん、打越さく良さん及び宮崎雅夫さんが選任されました。
また、本日、梅村聡さん及び田村智子さんが委員を辞任され、その補欠として音喜多駿さん及び山添拓さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/1
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002・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案及び法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、警察庁長官官房審議官友井昌宏さん外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/2
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003・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/3
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004・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案及び法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案の両案を一括して議題とし、内閣総理大臣に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/4
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005・宮崎雅夫
○宮崎雅夫君 おはようございます。自由民主党の宮崎雅夫でございます。
本日は、大変重要な法案の審議で質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。御礼を申し上げます。
早速質問に入らせていただきます。
消費者庁に設置をされました霊感商法等の悪質商法への検討会でありますとか報道等を通じまして、多くの被害者の皆さんはほとんど自己破産になるような状態まで献金をさせられる、そういう状況であるとか、その中、被害者の子供さんたち、いわゆる宗教二世の皆さんは、学校に給食費が払えず進学もできないといった極めて深刻な状況が明らかとなっております。
岸田総理は、旧統一教会の被害者の皆さんと内々にお会いになられたと伺っております。凄惨な経験を直接伺われたというふうに承知をしております。昨日の本委員会の参考人質疑では、統一教会の元二世信者の方が御自身の経験についても述べられたわけでございます。
深刻な被害が明らかになる中で、被害者の皆さんに救済の手が差し伸べられていなかったことについて、政治家の一人として私もじくじたる思いでございます。実効性のある被害救済、未然防止などのための法制度の整備に向けて、これまで重ねてきました与野党そして政府の努力の成果である本法案を早く成立、施行させる必要があるというふうに考えております。
同時に、本法案は被害者救済と被害防止に向けたこれは大きな一歩でありますけれども、実効性のある措置を講じていくためには、しっかり検証をして、フォローをしていかなければなりません。本法案が一部修正をされて衆議院を通過した際に、昨日参考人としてお話をいただいた元二世信者の方が報道のインタビューに答えられ、その中で、被害者の声により短期間で法案ができたことに感謝するというふうに言われた一方で、課題は残っていると、実効性を伴った見直しをしてほしいと、こういうふうにも語られたと報道されておりました。昨日の参考人質疑でも同様の御意見を述べられたというふうに思っております。
今回、与野党協議によりまして新法におきましては衆議院で修正をされまして、見直し規定は施行後三年を目途から二年と短縮をされたわけでございます。この見直し規定の重さを更に私も実感をした次第でございます。
岸田総理ももちろんこのような被害者の方の声を御承知なわけでございますけれども、旧統一教会による被害防止と被害者救済の更なる実効性の向上のためにどう取り組んでいこうとお考えなのか、まず岸田総理にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/5
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006・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、委員御指摘のように、私も被害者の方々から直接話を聞き、この事態の深刻さ、そして政治の責任の大きさ、こうしたものを痛感し、何としても早急な対応をしなければならないということで関係省庁に指示を出してきたところですが、その中で、まず一つは、宗教法人法に基づく報告書、徴収・質問権の行使により事実把握と実態解明を進めるということ、また、被害者の救済に向けた相談体制を充実させるということ、そして、今後同様の被害を生じさせないために法制度の見直しをしっかり行うということ、こういったこの三つの方針で臨んでまいりました。
そして、この国会に改正法、新法、この提出をさせていただき、御審議をいただいているわけですが、こうした法律の成立後も政府としてこの実効性を高めるために様々な努力をしていかなければならない、このように思っています。まずは、今言った三つの方針、これは引き続きしっかりと維持し、追求していかなければならないと思います。そして、その上で、法律の解釈の明確化など、この法律の実効性の向上、さらには、この法律の運用におきましても適切な運用が図られるように様々な支援の取組も続けていかなければならない、このように感じています。
是非、法律、今御審議いただいているわけですが、成立していただいたならば、引き続き、政府として今申し上げたようなこの取組を引き続き続けていくべく努力をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/6
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007・宮崎雅夫
○宮崎雅夫君 総理、ありがとうございました。是非本当に引き続き総理のリーダーシップでもって取組を続けていただきたいというふうに思います。
まずは、本法案が成立をした後でございますけれども、しっかりとやはり今の時点でも活用されて、実効性をもちろん上げていくための最大限のこれ努力をしていかないといけないというふうに思うわけでございます。
被害の状況を見てみますと、九月五日から十月末の時点で、政府の相談窓口で旧統一教会によるとされた被害に関する相談は二千三百六十七件あったとされております。被害を受けておられる、そういうふうに思われる方がまだまだ多数いらっしゃるというふうに推測をされるわけでございます。
今回の法整備では、禁止行為の規定の明確化や取消しの対象範囲の拡大、さらに、取消し権の行使期間の延長、裁判上、裁判外における消費者保護の実効性の向上を図るほか、被害者本人はもとより、子や配偶者の生活等の維持にも配慮した特例を設けるなど、相当広い範囲で対応が盛り込まれておりますけれども、これらの措置を必要とする方々、すなわち被害を受けておられる多くの皆さんに具体的にこれ知っていただくこと、理解をしていただくこと、これが大切だというふうに思います。
そこで、今回、法整備に、どのような場面でどのような救済措置が活用ができる想定なのか、河野大臣から具体的に分かりやすくお示しをいただければと思います。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/7
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008・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) 今回の新法によりまして、寄附のうち、契約ではない単独行為についても取消しが可能となります。例えば、法人等が個人に対し退去妨害をすることによって困惑して遺贈の意思表示をさせたような場合、個人はその意思表示を取り消すことが可能になります。
また、消費者契約法の改正では、霊感等による知見を用いた告知による勧誘に関する取消し権について、対象範囲を拡大するとともに、行使期間を伸長した上で、現行の取消し権について時効が完成していないものにも適用いたします。例えば、改正法案の施行時に、追認をすることができるときから十一か月の状態、あと一か月で取消し権が時効消滅するというような場面でも、二年一か月の間は取消し権の行使が可能となります。
さらに、国民生活センター法の改正でADRの迅速化を図ることとしております。これによって、過去の事案でも、国民生活センターでADRの手続を迅速に行うことで被害の救済を可能とすることができます。
こうした新法、改正法により、これまで救済できなかった被害をより幅広く救済をし、かつ、将来に向けて被害の未然防止に役立つものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/8
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009・宮崎雅夫
○宮崎雅夫君 大臣、ありがとうございました。是非とも、今御説明をいただいたようなことも含めて、分かりやすさというのは非常に大切なことでございます。動画配信サービスなども活用していただいて、大臣の発信力で是非分かりやすい情報発信をお願いを申し上げたいと思います。
これまでの審議などで議論や質疑が多くなされたものの一つは、マインドコントロール、これをめぐるものであったというふうに思います。これは統一教会が、寄附の勧誘に際しまして、被害者を困惑させるという形よりも、不安をあおったり、不安に乗じたりして、いわゆる現実感や価値観を変えさせられて精神的に自由な判断ができない状況にした後に、これ進んで寄附をするように仕向ける、マインドコントロール下に置くところに問題があったというふうに理解をしております。
ただ、やはり皆様も御指摘のとおり、このマインドコントロール下での寄附を制限をする難しさというのは、外見上だけ見れば被害者は困惑しているかどうかの区別が付かない、内心の問題となるというところにあるわけでございます。そこで、内心の問題ともなるマインドコントロールに対処しようと、寄附の勧誘を行うに当たっての配慮義務、これを新法に設けたところであります。
この配慮義務規定によって被害救済と防止についてどのように実効性を確保していくのか、河野大臣にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/9
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010・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) この配慮義務に関しましては、寄附の勧誘が個人の自由な意思を抑圧し、その勧誘を受ける個人が寄附をするか否かについての適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにすること、こういうことなど、その勧誘によってもたらされる結果としての個人の状態を規定をしております。これは、いかなる行為によるものであったとしても寄附勧誘の際にはそのような結果をもたらしてはいけないという規範を示すものであり、禁止行為とする場合よりも、こうした結果を招く、より幅広い行為を捉えることができると考えております。配慮義務に反するような不当な寄附の勧誘行為が行われた場合には、民法上の不法行為の認定、そしてそれに基づく損害賠償請求が容易となり、被害救済の実効性が高まると考えております。
衆議院において修正案が可決されましたが、これにより、寄附の勧誘者に対し被勧誘者への十分な配慮を行うことを求めるとともに、配慮義務に違反する法人等に対して一定の場合に勧告、公表あるいは報告徴収を可能とする、そういうことになりました。いわゆるマインドコントロール下で適切な判断をすることが困難な状態に陥った場合の被害の救済などについても、より一層実効性の向上が図られるものと認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/10
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011・宮崎雅夫
○宮崎雅夫君 大臣、ありがとうございました。配慮義務にすることで救済の幅が広がるということ、また、修正によって更にそれがより幅も広がるというようなことで理解をさせていただきました。
次の質問に移らせていただきます。
宗教二世の方々のお話では、不当な勧誘による多額の寄附に伴う困窮等について児童相談所や学校の先生に相談をしても、信教の自由でありますとか家庭内の問題じゃないかということを理由に相談に乗ってもらえなかったという例があったというふうに聞いております。消費生活センターや児童相談所などの公的な機関で相談体制の強化、これは冒頭総理からもお話があったところでありますけれども、法テラスとの連携など、これも図っていくべきだというふうに考えております。
そして、法テラスに相談をしていただいて裁判になれば、被害を受けている方というのは、ただですら経済的に厳しいという中で裁判費用等の金銭的な負担もこれ当然生じてくるわけであります。裁判費用等の金銭的な支援など、実質的な救済につながる支援の充実も図るべきだというふうに考えます。
また、孤独や孤立対策に取り組むNPOの方によれば、若い方々は、公的機関がよく使っておられる電話でありますとか直接面接という、そういう形での相談よりも、ウエブ上でのチャットであるとかメール、SNSでの相談を好むというふうに言われております。宗教二世の若い方々もNPOの方が話を聞いてもらいやすい、まあ相談しやすいのかなというふうに感じることもございます。
そこで、宗教二世の方々の悩み、苦しみをしっかりすくい上げて救済へつなげていかないといけないわけですけれども、裁判費用等への公的負担等々を通じた法テラスの活用に向けた実質的な支援でありますとか、消費生活センター、児童相談所や法テラスといった公的機関、それから民間、NPOとの連携の強化ということがやはり大切ではないかというふうに考えるわけでございますけれども、河野大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/11
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012・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) いわゆる宗教二世の方々に対する支援について、この旧統一教会問題の関係省庁連絡会議において、被害者の救済に向けた総合的な相談体制の充実強化のための方策を取りまとめているところでございます。
そこでは、法テラスの抜本的な充実強化、宗教二世も念頭に置いた精神的、福祉的支援の充実及び子供、若者の救済について各関係機関で実施をする具体的な諸施策を明記し、これについてそれぞれが連携して取り組んでいくということを確認をしているところでございます。
また、新法においても、法人等の不当な勧誘により寄附をした者に対する支援として、法テラスと関係機関あるいは関係団体との連携の強化というのも規定をいたしました。
消費者庁としても、引き続き、消費生活センターを含めた関係機関における連携の強化を図ることによって、被害者の救済に万全を尽くしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/12
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013・宮崎雅夫
○宮崎雅夫君 ありがとうございます。
是非、やはり関係機関が非常に多いわけでございますので、どの施策もそうでございますけれども、関係機関、役所間での連携だけじゃなくていろんなプレーヤーがおられるわけですので、その連携ということは非常に大切だと思いますし、特に役所の横の連携というのはこれはもう政治がやるべきことでありますので、河野大臣、是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。
最後の質問に移らせていただきたいというふうに思います。
今回の法案、一刻も早く成立をさせて被害者の方々の救済へ大きな一歩を踏み出さないといけないということでありますけれども、今回の法案については逆の見方をされる方もいらっしゃるわけでございます。真っ当な活動を行って一般的な寄附を受け取っておられるNPO法人や学校法人、宗教法人の皆さん方からは、正当なこれ善意による寄附までこれ影響を受けてしまうんじゃないかと、そういうふうな受け取り方をされる方も当然いらっしゃるんだろうと思います。まあそういうような危惧の声が聞こえてくるわけでございます。
ただ、これは、そもそも今回の法案は、あくまでも不当な寄附の勧誘を行う法人等にこれは網を掛け得るということであるわけでございます。本法案の趣旨の周知徹底を図ることで適切な寄附の勧誘を行っているNPO等の懸念を払拭をしないといけないということ、それから、NPO等の活動でありますとか我が国伝統的な風習、そして、これから醸成をしていかないといけないということでもあると思いますけれども、我が国の寄附文化と、これへの影響がこれ出ないようにしていくことも同時に極めて重要なことだというふうに考えております。
この点につきまして、岸田総理の御所見をお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/13
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014・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 新法案においては、この法の運用に当たっては、NPO法人等様々な法人の活動における寄附の重要性に留意しなければならない、この旨規定をしております。また、本法案における禁止規定あるいは配慮義務は、社会通念上不当な勧誘行為と考えられるものに限っているものです。そのため、通常のNPO法人等であれば寄附の勧誘に支障があるといったことはなく、寄附文化の醸成に対する不当な抑圧、抑制につながらないと考えております。むしろ、この不当な寄附の勧誘行為が防止されることによって、寄附への理解や寄附勧誘への安心感が高まることにもつながり得ると考えます。
なお、今後とも、NPO法人等の関係者に御懸念があるようであれば、本法案の趣旨についてしっかりと説明を尽くしていくこと、これは続けていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/14
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015・宮崎雅夫
○宮崎雅夫君 総理、ありがとうございました。
先ほどの一連の質問でも申し上げましたし、今総理からも、御懸念があるようであればNPOの皆さん方にも説明を尽くしたいというお話もございました。被害者の皆さん方、国民の皆さん方、いろんな方々に分かりやすくこれ御説明をしていくと。いろんな機会を通じて、総理、そして河野大臣からも発信を是非お願いを申し上げたいと思います。それが被害者救済でありますとか総理もおっしゃった予防というようなことにもつながってくると思いますし、相談を受けられる方、相談体制の充実も含めて、そういうことを含めて実効性を上げていくと、フォローしていくということを是非改めてお願いを申し上げまして、私からの質問とさせていただきました。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/15
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016・福島みずほ
○福島みずほ君 立憲・社民の福島みずほです。
総理にお聞きをします。
元総理大臣を含め多くの自民党の国会議員が統一教会の広告塔となり、被害の拡大に寄与してきたと考えられる点についてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/16
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017・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 閣僚を含む多くの議員が社会的に問題がある旧統一教会、その関係団体と接点を有していたことが明らかになり、国民の皆様の政治への信頼を傷つけたことにつきましては、率直におわびを申し上げなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/17
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018・福島みずほ
○福島みずほ君 選挙の際に統一教会と政策協定書を結んだ全ての国会議員の名前を明らかにすべきではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/18
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019・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今申し上げたように、この政治の信頼を傷つけたことを率直におわび申し上げると同時に、自民党においては、各議員それぞれが旧統一教会との過去の関係を八項目に分けて詳細に点検、報告し、新たな接点が判明した場合にはその都度追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底すること、これを方針して、方針としております。
委員の御質問は政策協定書を結んだ議員の名前を明らかにすべきではないかということでありますが、一般的に、選挙ということを考えましたときに、選挙においては様々な団体からアプローチあるいは推薦を受けます。そして、その中で様々なやり取り、様々な文書のやり取り等が行われる、これは委員御承知のとおりであります。
そうした中にあって、この御指摘の政策協定書等、名前は様々でありますが、そうしたものについて署名したことが選挙での支援につながっているか、これがポイントであると考えています。その点について、この党として所属国会議員による点検結果を取りまとめ、これを公表しているということであります。
この文書がそうした支援につながったかどうか、この点について、すなわち、その文書と党への報告との関係については、各議員がそれぞれ本人説明すべきであり、その説明を行っていると承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/19
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020・福島みずほ
○福島みずほ君 全く駄目ですよ。なぜ今回この法案が議論なっているか。すさまじい霊感商法の被害があって、何とかしなくちゃいけないって全ての政党が思っているからじゃないですか。自民党は政策協定書を結んだ国会議員がたくさんいるんですよ。二桁いるんですよ。明らかにすべきじゃないですか。なぜそれを明らかにしないのか。総理自身がこの問題をきちっと究明するという覚悟がないですよ。それでは駄目ですよ。
自民党の地方自治体議員と統一教会の関係についても、徹底的に総裁として調査すべきではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/20
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021・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 選挙の中でいろいろなやり取りが行われる、文書のやり取りが行われる、これが今の現実であります。その中にあって、そうした文書のやり取りが結果として選挙の支援につながったかどうかがポイントであると御説明をさせていただいています。それをこの各議員が説明すべきである、このように申し上げています。
そして、今の質問は地方議員の方でありますが、これ地方議員につきましては、まず、自民党として、この旧統一教会及び関連団体と一切関係を持たない方針である、この方針を踏まえて既にこのガバナンスコードを改定し、この対応、まあ方針について党所属全国会議員、それから全国の都道府県連にこれを通知をしたところであり、これを徹底していくというのが自民党の方針であります。実際、この徹底する方針について、全国の都道府県連、全国の地方組織と自民党党本部の間でどのように徹底していくのか、その方策について議論を進めているというのが現状であります。こうしたことを通じて地方議員においても徹底を図っていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/21
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022・福島みずほ
○福島みずほ君 選挙って一番重要じゃないですか。政策協定結んで選挙を応援してもらい、その政策の実現をするんですよ。統一教会と何十人もやってきた、これきちっと出すべきですよ。
そして、自治体議員についてなんですが、今、自民党の自治体議員で、今後統一教会と付き合い、かつ選挙の応援も受けると公言をしている人たちがいます。総理、これいいんですか。総裁としてこれ公認するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/22
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023・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まさに今申し上げたように、党本部とこの全国の地方組織の間で、今申し上げた、こうした旧統一教会あるいは関連団体との関係を未来にも、未来に向けて持たない、絶っていくという方針を徹底するためにはどうあるべきなのか、こうした議論を今行っています。選挙における公認、推薦の在り方も含めて、この党の方針を徹底させるためにはどうあるべきなのか、是非、党本部としても地方組織としっかり議論を行い、徹底の方策を考えていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/23
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024・福島みずほ
○福島みずほ君 駄目ですよ。自治体議員についても徹底究明しなくちゃ駄目じゃないですか。未来に向かって関係を持たないと言いながら、今後議論するんだったら、公認するんですか。これからも関係持つと言っている議員をまさに公認するんですか。未来への関係絶つという総理の言葉と違うじゃないですか。曖昧ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/24
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025・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 未来に向けて関係を絶つ、これは自民党全体の方針であります。それを徹底するためにどうするべきなのか、地方においてどうするべきなのかということについて、選挙における公認、推薦の在り方も含めて今議論を行っているということを申し上げています。
是非、御理解いただける、多くの国民の皆さんに御理解いただけるありようについて、地方においてもしっかり明らかにしていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/25
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026・福島みずほ
○福島みずほ君 国民にとっては、未来についての関係を絶つというのであれば、今後も関係持つと言っている議員は公認しないということですよ。それ当たり前ですよ。これから議論なんという問題じゃないじゃないですか。公認すべきではないですよ。
そして次に、統一教会の内部文書で、これは鈴木エイトさんが明らかにしましたが、第二次男女共同参画基本計画策定の際に、ジェンダーという言葉を使わせない、そのために安倍晋三さんと山谷えり子さんのチェックが受けられるように国会議員などに働きかけるという内部文書が明らかになりました。かくかくさようにいろんなところで影響を与えている、自民党の政策に関与していると思われます。
憲法改正、家庭教育支援条例、家庭教育支援法案、青少年健全育成法案を進めること、これは政策協定書の中で、家庭教育支援法と青少年健全育成法を進めるということが政策協定書に盛り込まれています。選択的夫婦別姓やLGBT差別禁止法、同性婚法案の反対、性教育への反対など、政治に対する介入、関与を徹底的に明らかにすべきではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/26
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027・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 政府における政策決定については、まず、幅広く国民の皆さんの意見の要望、意見や要望を聞くとともに、関係省庁、有識者、専門家、そして国会議員などとの議論を経て政策決定を行う、様々なプロセスを経てこの政策を決定している、これが実態であります。いわゆる特定のこの一団体の要望によって政策が不当にゆがめられることはないと考えております。
これ、なお、御指摘の第二次男女共同参画基本計画には、ジェンダーという言葉は盛り込まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/27
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028・福島みずほ
○福島みずほ君 当時、ジェンダーという言葉が入るか入らないか大問題になっていました。これだけ霊感商法でたくさんの被害を出した統一教会の意見も、幅広く国民の意見として聞いてきたということを今おっしゃったようなものじゃないですか。まさしく、政策が何でゆがめられたのか、きちっと検証すべきです。
それから、自民党日本国憲法改正草案とまさしく統一教会の憲法改正、一致しています。憲法九条改悪、緊急事態条項、そして重要なのは家族条項の規定です。
自民党の日本国憲法改正草案二十四条一項は、家族は社会の自然かつ基礎的な単位であり尊重される、家族は互いに助け合わなければならないというのが入っています。統一教会も、まさに家族条項を入れるべきだということを強く主張しています。安倍総理が、元安倍総理が去年、統一教会に向けて出したメッセージもこの言葉が入っています。家族は社会の自然かつ基礎的な単位であり、この家族が大事だ、それを尊重するということがまさにそのメッセージで入っています。同じじゃないですか。
そして、私は思います。家族は大事です。国際人権上も大事です。難民などによって家族がばらばらにならないことを権利として保障する、家族に対する不当な介入をさせない、これは権利です。だけれども、家族の中で重圧があったり、その中で個人が抑圧される、弾圧される、DVや虐待がある、それももう一つの側面で、そちらも見なければなりません。
自民党日本国憲法改正草案はまさに統一教会と一緒、そしてまさに個人ではなく家族です。憲法十三条の個人の尊重を人の尊重と置き換えています。個人が嫌なんですよ。個人の尊重、嫌なんですよ。基本的人権の軽視。
そして、自民党日本国憲法改正草案QアンドAは、私たちは天賦人権論に立ちませんとまで書いてあります。どういうことですか、同じじゃないですか。個人の尊重じゃなく、で、家族は互いに助け合わなければならないというのが自民党の日本国憲法改正草案二十四条一項です。これ、道徳じゃないですか。公助よりも自助ですか。何があっても個人は我慢しろということですか。家父長制的な家族の規定なんじゃないですか。おかしいですよ。これで全く一致しているんですよ。
だから、選択的夫婦別姓などにも反対、選択的夫婦別姓は家族を崩壊させる、解体すると言われてきましたと批判している人がいました。しかし、選択的夫婦別姓で家族は壊れません。統一教会、霊感商法によって家族が、生活が、人生がよっぽど壊れてきたんじゃないんですか。
この家族条項について、そして、どうして自民党の日本国憲法改正草案がこういうものになったのか、経過と、それからそれに関する徹底的な調査が必要だと考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/28
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029・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 統一教会の考え方と自民党の憲法の考え方が関係あるとおっしゃりたいのだとは思いますが、先ほど政府の政策決定について申し上げましたが、自民党においても、政策を決定するに当たって、この様々な専門家、有識者との議論を行い、そして議論、関係議員が集まって、重要な課題については何日にもわたって何百人の自民党国会議員が集まって議論を積み重ねていき、その結果として自民党の政策を決定するということであります。憲法に至っては、これ結党以来この議論を積み重ねて今日まで議論を続けてきた、こうしたことであります。
こうした重層的なこの政策決定のプロセス、そして憲法に対する今日までの取組の積み重ね、これを考えますときに、この個別のこの項目が一致しているからとして、一団体に自民党の憲法改正に対する考え方が影響を受けたということは、これは指摘当たらないと私は思っております。
是非、こうした自民党の政策決定の在り方についてもこれから丁寧に説明することによって、一団体によってこの政策がゆがめられたなどということは言われない、こういったこの説明をしっかり尽くしていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/29
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030・福島みずほ
○福島みずほ君 検証もしなければ分からないじゃないですか。実際、一致しているんですよ。何百人という自民党の国会議員が何らかの形で関与していた、だったら影響受けている可能性、大いにあるじゃないですか。秘書を送り込まれた、あるいはたくさんのボランティアを受け止めた、だったら影響受けている可能性あるじゃないですか。現に、憲法九条、緊急事態条項、家族の条項とが全く一致しているじゃないですか。こんな中で、影響受けていないという総理の言葉は分からないですよ。調査してなくて何で分かるんですか。きちっと調査すべきです。
総裁、これは、自民党として統一教会とのこれまでの関係を徹底究明し、自民党として報告書を出すべきではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/30
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031・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 統一教会の主張については私は詳細は承知しておりませんが、これ、自民党の考え方と一致する部分もあれば一致していない部分もあると承知をしております。
例えば、憲法改正のこの議論についても、自民党の今の憲法改正につきましては、四項目について改正を考えるべきだと申し上げております。この四項目、自衛隊の明記の問題、緊急事態宣言への対応、教育の充実、そして参議院の合区の問題、一票の較差の問題、これを取り上げています。
少なくともこの家族の問題というのはこの四項目の中に入っていないわけでありますし、こうしたもの、こうした様々な議論、一部分一致しているからとして影響を受けたというのは、これは実態を見誤ることになるのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/31
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032・福島みずほ
○福島みずほ君 自民党は、日本国憲法改正草案発表して、QアンドAも発表しているじゃないですか。だから申し上げているんです。調査もしないで何でそんなことが言えるんですか。党として責任持って、私たちは今日、全ての政党でこの法案議論しているんですよ。そこまで問題が起きたからこそ、私たちは議論しているんですよ。そのもとになったまさに自民党の関与に関して、きっちり調査し、報告書を出すべきです。
ところで、昨日、統一教会の側から段ボール八箱届き、十四日には文部科学大臣が二度目の質問をするというふうに言われています。解散請求すべきだと考えますが、総理、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/32
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033・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 旧統一教会については、この解散命令の請求の適否を判断するためにも、まずは報告徴収・質問権の行使を通じて、旧統一教会の業務等に関して具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにし、法律にのっとり必要な対応を行っていくという方針であります。
御指摘のように、昨日、旧統一教会に報告を求めていた資料について文部科学省に接到したと聞いており、現在、提出された資料を分析するとともに、十四日に第二回の報告徴収・質問権に関する諮問を行うため宗教法人審議会を開催する予定だと承知しております。
解散請求を行うべきではないかという御質問でありますが、こうした法律の手続に従ってスピード感を持って適切に対応していく、これが政府の方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/33
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034・福島みずほ
○福島みずほ君 スピード感を持って解散請求を早く行われるように強く要望いたします。
次に、この法案ですが、これは寄附に限定している、つまり売買契約とかは入らないわけです。売買契約などはほかの法律でやるとお聞きをしましたが、今までそれでできなかった。寄附だけにしたら、今度は売買契約でやりますよ。私は五千万の聖書という統一教会のものを見たこともあります。
寄附でやる、寄附で規制したら、今度は売買契約が横行するんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/34
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035・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) 御指摘のような売買契約につきましては、消費者契約法の対象となり、不当な勧誘行為により困惑して契約した場合には取り消すことが可能です。また、民法上の不法行為の認定やそれに基づく損害賠償請求の対象ともなります。
また、安いものを法外な高値で売買するような契約につきましては、これは個別具体的な事案によるものでございますが、新法の適用を逃れるために外形上売買契約の体裁を取ったにすぎないと判断される場合には、その実態は寄附と認められ、新法の適用対象となり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/35
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036・福島みずほ
○福島みずほ君 施行日以降に行われる寄附の勧誘に適用される法律であり、過去三十年間以上行われた霊感商法による被害を救済することはできません。
問題が残ると思いますが、問題はあるんですよ。総理、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/36
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037・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 過去に遡って被害を救済できないではないかという御指摘でありますが、今回のこの二法案においても、この時効の伸長や、あるいは配慮義務規定による不法行為の認定、損害賠償請求をより容易にすることができる、あるいは、過去に不安をあおられ、現在もその状態が継続する方に対して、これからその不安に乗じて寄附勧誘すること、これを禁止することになるなど、この過去の被害にも対応できるよう、これ最大限配慮されています。
そして、今後も法律の実効性を高める努力、法律の適正な運用を進める努力、こうしたものはしていかなければなりませんし、過去のこの被害に関しましては特に相談体制の充実等を通じて救済に向けての道筋をつくっていく、こうした努力が必要であると考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/37
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038・福島みずほ
○福島みずほ君 三条の寄附の勧誘を行うに当たっての配慮義務ですが、多くの方からこれは禁止規定にすべきだという質問が出ております。私はそのとおりだと思います。強盗に入ったときに余り傷つけないように配慮するっていったって、元々それは禁止すべきことなんですよ。これは禁止規定にすべきだということを強く申し上げます。
次に、四条六号の寄附の勧誘に関する規制で、重大な不利益を回避するためには、当該寄附をすることが必要不可欠である旨を告げることというのが要件になっています。
では、これはどうでしょうか。御先祖様が助けてくれと叫んでいるので、寄附をすることも一つの選択肢かもしれません、一つの選択肢ですと言うの、これは当たりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/38
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039・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) 必要不可欠という要件は、これまで何度も答弁をしておるように、必ずしも必要不可欠という言葉をそのままに告げる必要はございません。勧誘行為全体として、それと同等程度の必要性や切迫性が示されている場合には適用可能だと思っております。
御指摘のようなことがこの第四条第六項に該当するか否かは、これは個別具体的な事案で当てはめていくことでございますので一概にお答えはできませんが、一般論として、純粋に選択肢の一つとして提示される程度であれば直ちに第四条第六項に該当することはないと思いますが、外見上選択肢の一つとして提示された場合であっても、消費者の置かれた状況や全体の文脈に照らしてほかの選択肢がない状況で告げられたものであれば、不可欠と同等程度の必要性や切迫性が示されたものとして該当することはあり得るんだろうと思います。
一般的に許容されている宗教活動などの中には、一定程度不安に乗じる要素を有していたり、重大な不利益を回避しようとする目的で行われるものも含まれていると考えられることから、困惑による意思表示の取消しを認めるべき告知としては、必要不可欠あるいはそれと同等程度の必要性や切迫性が示されている必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/39
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040・福島みずほ
○福島みずほ君 河野大臣の答弁で、厄払いや交通安全祈願が禁止行為に含まれないようにするためには必要不可欠と告げるという要件が必要とするが、厄払いや交通安全祈願は、そのままでは重大な不利益を回避することができないという不安のような切迫した不安をあおったり、それに乗じて献金をさせるケースではありません。そのままでは重大な不利益を回避することができないという不安をあおったり、乗じてという規定で通常の宗教活動と切り分けることは可能です。交通祈願とか厄払いってそんな、あなたの先祖がとやるわけじゃなくて、普通に祈願をしてもらうというものだと思います。しかも、リーズナブルな金額だったら何も問題はありません。
ですから、不可欠という文言が通常の宗教活動との切り分けのために必要とは言えないのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/40
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041・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) 委員はそうおっしゃいますが、やはり様々、厄年であったり、あるいは試験の合格に対する不安を抱いている、そういうときに合格祈願であったり厄払いというものがあるわけでございますから、やはりそこは必要不可欠という切迫性、必要性が示されていなければならぬというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/41
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042・福島みずほ
○福島みずほ君 厄払いや交通安全祈願って、普通に祈願してもらうというものですよ。必要不可欠というと、それもあなたの選択肢と言ったらもう当たらない。さっきの答弁で実際適用がされるようにと思いますが、あらゆる選択肢を考慮しみたいな、それも選択肢ですよと言ったら当たらないようになるのはやっぱりおかしい。
これ、必要不可欠という要件は不要です。削除すべきか、実際はこれは無力化していくように、適用される、まあ無力化って変ですが、やはり適用に当たっては考慮されるべきだというふうに考えております。
七条一項、当該行為の停止その他必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができるとされていますが、その他必要な措置とはどのような行為が含まれるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/42
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043・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) 第四条、第五条の規定に違反する行為に対して行われる勧告において当該行使、当該行為の停止のほかに想定されている法人などがとるべき必要な措置としては、違反に係る規制の遵守を求める措置、改善のための取組などについての報告を求める措置、あるいは勧誘を受けた個人に対して勧誘行為が禁止規定に反していた旨の通知をさせる措置などが想定されると思います。
また、配慮義務違反に対する勧告としては、違反に係る規制の遵守を求める措置が想定をされます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/43
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044・福島みずほ
○福島みずほ君 今後はこれ、例えば寄附の返還を勧告することはできないかとか、様々な検討を是非お願いします。
寄附の意思表示の取消しについてお聞きをいたします。
これは、寄附は契約や単独行為として行われる場合があり、いずれも契約書がなく成立をします。契約書、領収書がない場合、どのように立証するのか。立証責任は原告にあります、あると言われています。そうですよね。そうすると、実際は、でも、何月何日幾ら寄附したか、何にも書類もなければ記憶も曖昧、そういうことはとても多いと思います。
ですから、今後は、このことに関しては契約書を交付する、あるいは領収書を必ず出す、あるいは、私たちも政治資金規正法がありますが、一定金額以上はちゃんと帳簿にその団体に記載させる、そんなことがこれからガイドラインなどで絶対に必要だと考えますが、透明性に向けた努力について、いかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/44
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045・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) 困惑して意思表示をしたことの立証責任は取消しを主張する者が行うこととなります。それはおっしゃるとおりです。
その立証方法としては、契約書、領収書が有用だと考えますけども、これらの書面がなくとも、例えば銀行口座の取引履歴、あるいはその他前後の経緯から事実関係を立証することも考えられるだろうと思います。
一定の場合に書面作成を義務付けることについては、当事者に負担が生じ、広く社会一般に影響を与えることとなりますので、慎重な検討を要すると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/45
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046・福島みずほ
○福島みずほ君 必ずしも銀行の帳簿だけで立証できないですよ。しかも、何回もやっていると本人もよく分からない。でも、原告が立証責任を負うわけですから、負担じゃないですよ。契約書を出す、領収書を出す、帳簿に書く、当たり前じゃないですか。みんなやっていますよ、社会生活上は。これを是非義務付けるように、心からお願いいたします。
債権者代位権の行使について一言申し上げます。
無資力要件があるので、実際使えないんじゃないか、扶養されてない子供などはこれを使えないという問題点があります。また、扶養義務に係る定期金債権については、やっぱり請求できる金額が多額の寄附を取り戻すのに少額となって救済が限定的じゃないかということがあります。
一つ質問いたします。専業主婦の妻が夫の収入から献金してしまう場合、妻に収入がない、これ家事審判でそのお母さんに扶養請求しても多分認められないと思うんですね。こういう場合、子供は請求できないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/46
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047・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) 自らの権利を保全するために必要な範囲で他者の権利を行使することを認める制度であります債権者代位権を活用しやすくしております。これによって、個人の財産権を侵害せず、家族らの被害救済につなげることができると考えております。
債権者代位という権利は他者の権利の行使を認める制度ですから、債務者が無資力である場合に限って認められるものであって、個人の財産権の保護の観点からこの要件を見直すことは困難だと思っております。
今後、この債権者代位権の適切な行使に向けて、法テラスあるいは関係機関で連携した相談体制の充実などを進めて、実効性のあるものにしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/47
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048・福島みずほ
○福島みずほ君 この法律が、今後、寄附などに関して取消しやいろんな救済が進むこと、今困っていらっしゃる人たちにもやはりそれが影響を及ぼすこと、そして、取りも直さず、駄目なものは元から断たなきゃ駄目、解散請求がきちっと行われ、議論きちっとされることということ、それから自民党としてきっちり報告書を出し、けじめを付けてほしいということを強く申し上げ、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/48
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049・打越さく良
○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。
七月八日に安倍元総理が殺害されるという大変痛ましい事件が起こりました。容疑者の母は統一教会の熱心な信者であり、容疑者は統一教会に恨み、犯行に及んだということから、統一教会に関する関心が一気に高まりました。この結果、数多くの日本国民が統一教会による被害に遭い、幸福追求権や生存権、二世たちの信教の自由などが侵害され続けてきたことが問題として大きくクローズアップされました。
立憲民主党は、この事態を受け、七月に旧統一教会被害対策本部を立ち上げるとともに、野党国対ヒアリングなどにおいて被害者や弁護団、支援者の方々と意見交換を行い、被害の実態の把握に努め、救済のための立法を検討してまいりました。政府に対し、ヒアリングを行うとともに、救済策についてただしてまいりました。
これらを踏まえて、十月十七日には、立憲民主党、維新の会、社会民主党の三党で悪質献金被害救済法案を衆議院に提出しました。法案提出に至る過程で、衆議院法制局に、連日朝から晩まで無理をお願いし、多大な貢献をいただきました。本院においても感謝の意を表します。
その後、十月二十一日からは、四党与野党協議会が九回にわたって開かれました。私たちは、被害救済のための救済法の成立を何としても図りたいという思いから、与党にも精力的に働きかけました。その後、与野党幹事長会談などが行われ、法案協議が進められました。私たちは、新法の制定に後ろ向きの与党の背中を強く押し続けてまいりました。
当初、与党は新法は作らないと大変後ろ向きでしたけれども、宗教二世や元信者の皆様、弁護団の強力な後押しによって、臨時国会、この国会の開会時にはもう想定もされていなかった新法が会期末に至って政府から提出されました。多々課題をはらんだものとはいえ、法案提出を決断した総理の判断には敬意を表します。
さて、岸田総理は八日の本会議で、宗教法人法に基づく報告徴収・質問権の行使等を通じた事実把握を行うことを石橋議員に答弁されました。質問権の行使について、文化庁は宗教法人法に基づいて統一教会に初めて質問権を行使し、今現在、回答文書が既に届けられたということです。
質問と回答はいずれも当面の間非公表とされていますが、総理は内容の報告を受けているのでしょうか。受けているとすれば、現段階での受け止めについて明らかにしてください。あっ、総理に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/49
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050・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 旧統一教会に対しては、十一月二十二日に文部科学大臣が宗教法人法に基づき報告徴収・質問権を行使し、法人の組織運営や収支に関する情報について十二月九日を期限として報告するよう求めていたところ、昨日、その資料の提出があったと承知をしています。
御質問は、その内容を報告を受けているかということでありますが、これ、昨日届いた資料、膨大な資料だと聞いております。段ボール箱で八箱以上の膨大な資料ということでありますので、その内容について現時点で報告は受けてはおりませんが、文部科学省において、まずは提出を受けた資料、早急に分析を行っていきたいと思います。そして、十四日に第二回の報告徴収・質問権に関する諮問を行うため宗教法人審議会を開催する予定であると承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/50
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051・打越さく良
○打越さく良君 是非速やかな分析をお願いいたします。
総理は、十一月八日、統一教会の被害者三人の方と非公式に面会されたということで、凄惨な経験を直接伺い、政治家として胸が引き裂かれる思いがしたとおっしゃっています。総理はこのとき、政府として今国会を視野にできる限り早く法案を国会に提出すべく最大限の努力を行うと表明されました。その被害者の方々と面会されたということがこの国会での早期法案提出の決断につながったということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/51
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052・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 旧統一教会問題における被害者の救済及び再発防止は、今国会における最重要課題の一つであり、消費者庁に対し、総力を挙げて法制度の検討を進め、法案化が完了したものから可能な限り早急に国会に提出するよう指示をしてまいりました。その結果、まずは消費者契約法等の改正案を提出させていただき、そしてそれに加えて、寄附勧誘に関する規制を行う新法案についても、法制化できたことから追加的に国会に提出をさせていただきました。
そして、委員の方から今、被害者の面会がそれに影響を与えたのではないかということですが、被害者の面会において凄惨な経験をお伺いし、被害救済、再発防止に対する思いを新たにし、検討を更に加速させたということは感じております。また、消費者庁においても河野大臣筆頭に同じく強い思いを持って本件に対応したことも、今国会で二法案を提出できたことにつながった、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/52
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053・打越さく良
○打越さく良君 その御決断は評価いたします。
ところで、総理は、一時間半にわたったこの被害者の方々との面会において被害者の方々からは具体的な要望はなかったと二十八日の衆議院予算委員会で答弁なさっているんですけれども、にわかには信じ難いんですけれども、もしそうだとしても、総理の側から要望を伺うべきではなかったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/53
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054・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の被害者の方々との面会ですが、この面会においては、大変な経験をされた被害者の方々が話されたことを、自然な形でお話しいただけるようお話を聞かせていただくことに注力させていただきました。実際、話を聞いておりまして、凄惨な経験を思い出しながらお話をされるだけでもこれは大変な負担を感じておられるんだなということも感じました。よって、その雰囲気の中で何が、何を要望されますかというようなことを私から口を挟むことは控えさせていただいた、こういったことであります。
しかし、直接に要望はお伺いはしませんでしたが、こうした話を基に具体的政策につなげること、これはまさにこの政治や行政の責任であると私は感じました。こうした話を伺い、具体的なこの政策につなげていかなければいけない、そういった思いで二法案を国会に提出させていただいた、こういった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/54
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055・打越さく良
○打越さく良君 被害者の方々から、先ほど申し上げたとおり、私たちの党の旧統一教会被害対策本部でも、本当に大変な御経験と、それからその思いから政治への期待というものも大変伺ってきたんですね。ですから、やはりこの法案で私たちとしては被害者の方々に喜んでいただきたい、受け止めていただきたいんですけれども、なかなかまだまだ課題が残されていると。本当に昨日あるいは衆議院の参考人質疑の中からも、まだまだ課題が残されている、たくさん指摘されたと思います。非常に重いことだと思います。
法案については、商法等の悪質商法への対策検討会の委員も務められた紀藤正樹弁護士は、被害者にとっては初めの一歩ですが、未来が大きな一歩となっていくかは今後の政府と国会の意欲と決断に懸かっています、積み残された家族被害、児童虐待、海外への資金流出、政治への浸透など課題が山積みですと、もっともなツイートをされています。また、霊感商法等への悪質商法への対策検討会の座長代理も務められて、昨日も参考人としていらした宮下修一先生も、衆議院の参考人質疑で、今後の改正案だけで終わりということにするのではなくて、更により良いものに発展させていくことが大事とおっしゃっていました。
総理は、衆議院で、法の執行状況、社会の変化を見た上で見直しを考えないといけないと答弁されています。本法案審議中にも、参考人の皆様からも既にもう本当にこの法案について様々な問題点が指摘されたと。そういったことにおいて、救済法案というこの通称のままだと誤解を与えるのではないかということも参考人の方から指摘されていました。
必要であれば、もう年明けの通常国会も直ちに法案を改正していくと、その決意をお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/55
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056・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 法律の成立後は、この実効性を高めるために、政府としても、この法律の解釈を明確にする、あるいは法律を適切に活用してもらうための相談体制、これを充実させるなど、努力を続けていかなければならないと思っています。
その上で、法施行後の見直しに当たりましては、法律の執行の状況及び社会経済情勢の変化などを勘案すべく、一定の法運用の実績を確保する必要はあると考えています。しかし、その上で必要であるならば、この見直しということについても検討していかなければならないと認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/56
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057・打越さく良
○打越さく良君 実績を見た上でということですと、本当に被害者の方々の思いに即したものになるのかと。もっとスピード感を持って考えていただきたいと考えます。
河野大臣も、衆議院で、法律が成立した後、社会の状況、法律の適用の状況等を踏まえながら、見直しの必要があるならば適切に対応していく、こういった姿勢は政府としても大事にしていきたいと思っていますと答弁されています。改めて決意をお願いします。
そして、見直しについては検討会なども活用していかれるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/57
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058・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) 法律の施行後の見直しに当たっては、法律の執行の状況及び社会経済の情勢の変化などを勘案し、一定の法運用の実績を確保し、それを見ながら対処してまいりたいと思っております。
これまでに度々答弁しておりますように、見直しの検討の形式は、検討会を、まあこれは様々な検討会、形はあると思いますが、検討会を立ち上げ、いずれにせよ、被害防止、救済のために実効的な政策を講じるべく、しっかりスピード感を持ってやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/58
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059・打越さく良
○打越さく良君 本当にこの緊急性に鑑みて提出に踏み切った法案であると思われます。この不断の見直しが必要であるということは与野党のコンセンサスであるということを常に念頭に置いていただきたいと考えます。
そして、ちょっと時間が厳しいので、少し飛ばさせていただきます。恐縮です。
消費者契約法第四条三項六号についてですが、改正案では、当該消費者だけではなく、親族の生命、身体、財産その他の重要な事項について、そのままでは現在生じ、若しくは将来生じ得る重大な不利益を回避することができないとの不安をあおり、又はそのような不安を抱いていることに乗じて、その重大な不利益を回避するためには、当該消費者契約を締結することが必要不可欠である旨を告げるものとすることとされています。
相手の、相手方の弱みに付け込むという、乗じたという文言が入ったことは評価します。しかし、その解釈として、時間的にどのくらいの時間を、期間を想定しているのかが不明なわけですね。被害者に分かりやすい答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/59
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060・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 消費者契約法第四条第三項第六号では、霊感等の知見に基づく告知に関し、不安をあおる場合のみならず、不安を抱いていることに乗じる場合をも取消し権の対象としております。契約当時は自分が困惑しているか判断できない状態であったとしても、冷静になって考えると、契約時に不安に乗じられ、困惑していた、して契約したということであれば、そのような主張、立証を行って取消し権を行使することは可能であると考えます。
そして、御質問は、要は当初入信したときから実際寄附を行うまでの間、具体的な期間はどうなのかということだと思いますが、この具体的な期間は要件とはしておりません。ですから、入信してから実際寄附を行うまでの間、これが五年であっても十年であっても、これは対象になると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/60
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061・打越さく良
○打越さく良君 改正によって条文が更に長くなり、被害者の方々にとって読みにくいのではないかと思うんですね。先ほども質問にありましたけれども、読み、理解しやすい説明が必要だと思います。逐条解説のようなものとは別に、一般向けの解説が非常に重要ではないかと思われます。
そして、必要不可欠という文言は改正前より強い表現ということで、私たちも強く削除を求めていました。現在行われている不法行為裁判で、必要不可欠ではなくても違法性が認められるケースがある、そうしたケースすら、この文言が入ったことによって認められなくなってしまうのではないかと。
新たな厳しい規範ができることで不法行為裁判にマイナスの影響が出てくるのではないかという懸念が生じてしまっているんですが、この懸念は当たらないということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/61
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062・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 必要不可欠の要件については、たしか先ほど河野大臣の答弁の中にもあったと思います。必ずしもその言葉そのまま告げるのではなくして、同等の必要性と切迫性が示される場合には適用可能であるということでありますが、今回の同法の改正は、現行の規定に比べ行為規範を明確にするものであり、この不法行為の認定が厳格になる、要は狭まる、こうしたことではないと考えております。こうした点についても、法律の解釈などでも周知していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/62
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063・打越さく良
○打越さく良君 新法第十条の債権者代位権の行使に対する特例ですが、これはもう被害者の家族の救済にほとんどならないということは、もう昨日の委員会でも阿部参考人が指摘されていました。まず第一歩の法案ということであっても、こうした厳しい評価、重く受け止めなければならないと思います。
私も弁護士として養育費とかあるいは婚姻費用の事件を担ってきましたけれども、本当に月々僅かな金額なわけですね。仮に親が数百万円とか数千万円の献金をしたとして、非常に僅かな金額しか取り消せない、手続も煩雑ということになると、救済にならないのではないかと失望されても仕方がないというふうに思います。
ただ、総理は、家庭裁判所において判断される際の参考とされる考え方がある一方、実際の算定については、個別の事情による判断となるため、宗教二世の立場に立ってできる限り救済可能性を確保すると、非常に希望の持てる答弁をされていたんですね。
これはすなわち、今の家裁実務が依拠しているいわゆる算定表に縛られ、僅かな金額を機械的に算出するということではなくて、親が数百万円とか数千万円の献金をしたなどの事情も参照して、親が献金していなければ大学に進学できた、学費の支払もできた、学業を継続できていた、それなのにといった事情も当然考慮して金額が算定されるべきという希望を抱ける見解でおられるということでよろしいでしょうか。二世の救済の観点から是非そういう運用であるべきと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/63
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064・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、新法、新法案においては、債権者が自己の債権を保全するために必要な範囲で他者の権利を行使することを認める制度を設けています。御指摘の債権者代位権の特例でありますが、この債権の特定に当たっては、先日答弁したとおり、個別の事情を考慮して家庭裁判所において適切に判断されるべきものであると考えます。例えば、養育費に係る債権であれば、通常は、親がこれまでどの程度の額を寄附していたかではなく、主に親の収入や子の生活費等が考慮されるものと承知しています。
そして、委員の方から、これでは不十分ではないかという御指摘でありますが、この新法においては、これに加えて、この家族の生活を困窮させるまでの寄附の勧誘をしないよう、配慮義務というのを設けております。この配慮義務に違反する寄附の勧誘があった場合、家族が民法上の不法行為認定及びそれに基づく損害賠償請求を行いやすくなると考えております。そして、こうした損害賠償請求の際の損害賠償の判断に当たっては、親がこれまでした寄附の金額なども考慮され得るものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/64
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065・打越さく良
○打越さく良君 もう少し、今度せっかく新法で作るこの債権者代位権の行使の特例なのですから、その運用に当たっても、柔軟な、機械的じゃない柔軟な、子供たちが希望が持てるようなことでお願いしたいと思ったんですけれども、是非それは要望としてお願いしておきます。
そして、ちょっと順番を入れ替えさせていただきまして、最後の質問について伺います。
統一教会が国会で初めて取り上げられたのは、一九六九年四月九日の衆議院地方行政委員会です。国会でこれほどの長きにわたり問題とされてきた統一教会問題ですが、一方で、政治家が自ら統一教会のイベントに参加し、選挙で支援を受けるなどの癒着が指摘されてまいりました。
一九七七年四月一日の参議院予算委員会で、当時の福田赳夫総理は、統一教会の帝国ホテルで開かれた文鮮明の希望の日晩さん会に出席したことを認めた上で、次のように発言しています。
その人、その人というのは文鮮明ですけれども、その人の話を聞いておりますと、私の言うのと同じことを言っているんです。人間は憎しみ合っちゃいかぬ、助け合わなければいかぬ、協調と連帯、私のその協調と連帯と言うのと同じことを言っておるので、その話を聞いて私は大変感銘を受けました、私と同じことを、私の考えと同じことを言っていらっしゃると、大変私は話を聞いて感激しましたという挨拶をしたことを記憶しております。
この晩さん会の実行委員長は岸信介元総理でした。このときの福田総理の挨拶は、一九七七年四月六日の衆議院法務委員会で明らかにされています。
それは、アジアに偉大な指導者現る、その名は文鮮明、私はこのことを伺いまして久しいのですが、今日は待ちに待ったその文先生と席を同じくし、また御高邁なる御教示にあずかりまして、本当に今日はいい晩だなあと、気が晴れ晴れとしましたというところから始まって、最後は、文先生、本当に立派なお話を承りありがとうございました、締めくくられています。
これらは、現在、ウエブ上の動画でも確認できます。
福田元総理や岸元総理以来、これまで多くの自民党政治家が統一教会の広告塔となり、結果として、統一教会のマインドコントロールや高額献金被害によって国民の財産が奪われ、被害が拡大してきました。
二〇一五年の旧統一教会の名称変更が、旧統一教会の実態隠しに加担して被害を拡大、継続させてしまいました。名称変更による統一教会が正体を隠し、知らないうちに教義を教え込み、信者に仕立て上げてしまった。そのこと、その問題を政治は不問にするわけにはまいりません。
岸田総理、聞いてください。岸田内閣に至るまで、統一教会が政治、行政に影響を与えてきたことの検証が行われなければなりません。総理は、十月五日の衆議院本会議で、我が党の西村智奈美代表代行の質問に対し、未来に向かって当該団体と関係を持たないことを徹底することが大切であると答弁なさいました。
しかし、未来に向かっていくには、過去にしっかりと向き合わなければいけないはずです。これまでの統一教会との関係や政策決定への影響等を徹底的に洗い出し、改めるべきは改めるべきです。先ほどの福島議員の質問に対しても、率直なところ、大変そっけない対応でした。知らなかったでは済まないわけですね。
この統一教会との関係の徹底究明が自民党総裁である総理の責務です。大いなる決意を述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/65
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066・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、幾つか御指摘があったと思いますが、まず、この問題、長年にわたってこの政治が責任を果たしてこなかった、そして、旧統一教会の被害者の方々が今これだけ多く存在されておられるということについては、政府として、そして政治として重く受け止めなければならないと思います。
その上で、この閣僚を始め多くの国会議員が社会的に問題のある旧統一教会あるいは関係団体と接点を持つことによって政治の信頼を傷つけることになったことについては、率直におわびを申し上げているところです。
そして、この過去の経緯を見ますと、このどのような接点があったかということについてはその様々なケースがあり、そして、そのときのこの政治家の判断や認識、この心の中に関わる部分が多いからこそ、この実態把握についてはそれぞれの報告を基に党としてまとめている。これは、各党とも基本的な考え方は同じであると思っています。
その中にあっても、自民党として、八項目の分類等、より具体的なこの党としての取りまとめを行っており、そして、その上で、未来に向けて関係を絶つということを申し上げております。
そして、この行政あるいは自民党の政策決定に一団体が影響を及ぼすということはないということは先ほど再三申し上げたとおりであります。この政治の信頼ということについても説明を尽くしていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/66
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067・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 申合せの時間が参りましたので、質疑をおまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/67
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068・打越さく良
○打越さく良君 残念です。引き続き追及したいと思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/68
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069・石垣のりこ
○石垣のりこ君 立憲民主・社民の石垣のりこです。昨日に引き続き質問をいたします。
まず、先ほど、旧統一教会から回答が届いたということで話がございました。岸田総理も報告を受けたということですけれども、(発言する者あり)まあ話は、話は聞いていると、届いたという話は聞いているということですよね。(発言する者あり)受けた、はい、内容の話ではなく、取りあえず、届いたという報告は受けているということでお話がありましたけれども、同じ昨日なんですが、旧統一教会の元信者二世の方たちが今回のこの統一教会、解散命令を裁判所にもう是非とも出していただきたいと、請求するように申入れ書と賛同署名を文化庁に提出しています。二十万四千五百八十八筆ということで、この件は御存じでしたでしょうか。
あっ、総理に伺っているんで、済みません、総理、御存じでしたか。(発言する者あり)済みません、知ってるか知ってないか。済みません、通告はしてませんが、御存じかどうかだけ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/69
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070・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 文化庁から報告はまだ受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/70
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071・石垣のりこ
○石垣のりこ君 後ほどまた総理の方にも同じように提出をしたいというような要望もあるということですので、改めて受け止めていただきたいとは思うんですが、このタイミングで元信者二世の方たち及び支援者の皆さん含めこの二十万四千五百八十八筆の署名が集まり、もう早く、もう是非とも解散命令を請求していただきたいという思いがあると。いろんな方からいろんな形でまた署名ですとか思いは届いているかとは思うんですけども、このことに対して、岸田総理、どのようにお受け止めになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/71
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072・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 解散命令の請求については、先ほども答弁させていただきましたが、その前提として、宗教法人法に基づく質問権の行使、報告徴収、これを行うことによって、この実態をしっかり把握をし、具体的な証拠、資料に基づく具体的な根拠をしっかりと確認することで適切に対応する、法律のこのプロセスに従って手続を進めているところであります。
すぐにでも請求をするべきだという御指摘でありますが、政府としては、法律がある以上、法律に従って、その中で最大限スピード、スピード感を持って対応する、法治国家においてはそれがあるべき姿であると思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/72
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073・石垣のりこ
○石垣のりこ君 是非とも迅速に、そして丁寧に対応することも必要だと思いますけれども、早くちゃんと判断を、適切に判断をしていただきたいというふうに私からも申し上げたいと思います。
そして、総理に伺いますが、昨日、河野大臣にもお話を、御質問させていただきました。この新法の実効性を増していくためにいろんな省庁、関係省庁がしっかりと連携をしていくことが大事であると。その上で、一つ有効な情報共有として、宗教法人から提出される収支決算書、これは毎年提出されるわけですけれども、この収支決算書というのは、今回の新法の発端ともなった旧統一教会、宗教法人だけではないんですが、今回の法律に関してはこういう収支報告書というのも大きな重要な資料として共有されるべきではないだろうかと。
特に、今回の新法は十三条に、内閣総理大臣は、この法律の目的を達成するために必要と認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、説明、そのほか必要な協力を求めることができるという規定がございますので、是非これを使っていただいて、より積極的な情報共有をして、適切な判断を適切な時期に出せるようにしていただきたいと考えるんですが、岸田総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/73
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074・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、法律が成立したならば、その法律の実効性を高める努力をするということは重要です。その際に、御指摘のように関係省庁がよく連携して取り組む必要がある、それはそのとおりだと思います。
そして、委員の方から収支決算書という御指摘がありましたが、その連携するために必要な共有すべき資料というのは案件によって様々だと思います。その案件に応じて共有すべき情報、この個別の事案に応じて異なることから、その事案の状況や性質を踏まえて適切に共有すべき資料、情報を判断していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/74
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075・石垣のりこ
○石垣のりこ君 この案件ということです。もちろんそうだとは思います。しかし、今回、献金、悪質な献金を規制する法律なわけですよね。ということは、やっぱりお金に関わる必要な情報というところの一つにこの収支報告というのものせられ、挙げられるんじゃないだろうかというところで、非常に関係の深い重要な資料だと思いますので、是非ともこういうところを、別に公にいろんな方に見せてくれと言っているわけじゃなくて、省庁間でしっかりと連携するものの中の一つに、非常に有効な資料になるんじゃないかと。
もしかしたら、こういうことがちゃんと共有されていればここまでひどい被害が生まれなかったんじゃないだろうかと、そういうことももちろん想定され得るわけですから、しっかりとこの点、検討していただきたいというか、是非とも実行していただきたいと思います。
もう一言、答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/75
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076・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の点も踏まえて適切に判断をいたします。その案件に応じて必要な資料、関係省庁でしっかり共有する、これは大事なことであります。その連携をしていくために必要な資料を共有していくよう、政府としても努めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/76
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077・石垣のりこ
○石垣のりこ君 ありがとうございます。
この実効性ということでちょっと続いて伺いたいと思うんですが、今回の立法のきっかけとなりました旧統一教会に関してなんですけれども、二〇一五年に旧統一教会が名称変更の申請をしたと。それで、最終的に文化庁、文科省が受理をして、文化庁が出したということになるわけですけれども、その申請受理した、そして認証した理由について改めて御説明いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/77
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078・小林万里子
○政府参考人(小林万里子君) お答え申し上げます。
宗教法人法上、形式上の要件を備えた申請は所轄庁において受理される必要があります。所轄庁は、受理した場合、同法二十八条に基づく審査を行い、要件を備えていると認めたときは認証する旨の決定を行う必要がございます。
二〇一五年に旧統一教会が名称変更の申請を行った際にも、この規定に基づいて手続を行ったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/78
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079・石垣のりこ
○石垣のりこ君 形式的に要件を満たしていたと、形式上の要件を満たしていたということで認証したということなんですが、今回、この新法案で、三条、四条、義務、配慮義務及び禁止行為、こういうことを、配慮義務違反であるとか禁止行為を行って新法によって行政措置とか処分がなされた場合、最終的に公表ということになるわけですけども、この宗教法人、若しくは刑罰もありますけれども、例えば宗教法人が名称変更を出したと、で、書類に不備がなかったといった場合に、これは認証され得るんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/79
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080・小林万里子
○政府参考人(小林万里子君) 今御説明申し上げましたとおり、名称変更の手続といいますのは、宗教法人法上は認証制度を取っておりますので、委員おっしゃったとおりでございます。
ただ、非常に仮定の話でございますので、様々なタイミングがあるかと思いますので、個別具体的な事実関係を前提とせずにお答え申し上げるのは少し困難でございますけれども、恐らく、委員がおっしゃっていらっしゃるような、名称変更をしてしまうと新法の方で名前を公表した時点で分からなくなってしまうというような問題意識でいらっしゃるんだと思います。
先生の御指摘の点、理解しておりますので、その点、消費者庁としっかり連携してまいりたいと思います。個別の仮定のお話でございますので、実際にどういうふうに進めたらよろしいのか、検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/80
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081・石垣のりこ
○石垣のりこ君 今の御回答だと、今回新法が成立した後に、この法律に違反するような行為があった宗教団体、今回はもちろん宗教団体には規定されていませんけれども、限定されていませんけれども、宗教団体でしょう、宗教法人法が関わってくるわけですから、が法律に違反をしたとしても、名称変更を申請して書類上の形式が整っていれば名称変更が認められてしまうということなんですね。
そうすると、この悪質献金の被害を防止するという観点で、もちろんお金は一定程度抑制され得るかもしれません、金額的には。若しくはその行為としては抑制され得るかもしれませんが、その被害を更に拡大していくこと、被害を広げていくということに関しては、ちょっと名称変更の抑止力には、この法律がその実効性という広い意味で考えたときに薄れてしまうんじゃないかということだと思うんですけども、この点に関して、総理、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/81
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082・松沢成文
○委員長(松沢成文君) どなた、総理ですか、石垣さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/82
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083・石垣のりこ
○石垣のりこ君 総理、総理、はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/83
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084・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 河野大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/84
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085・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) 名称変更できるかどうか、これはもう文化庁に御判断をいただくことになりますが、消費者庁といたしましては、これ例えば公表をするときには、そのときの名称だけでなくその前の名称、当然にどの団体か特定できるように公表していかなければならないと思っておりますので、その時点での名称のみならず必要な名称については公表をするということは、これ当然やっていかなければいかぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/85
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086・石垣のりこ
○石垣のりこ君 前後の、名称変更が承認された場合に、前後の名称をもちろん公表するということはあり得ると思いますけども、タイムラグがあることだってもちろんあるわけですよね。名前が結局は正体隠しと言われるような手法でこういう献金がなされていたり、関連団体がなされていたりすると、その名称変更されてしまうと更に被害が分からなくなってしまうというか、その被害拡大の防止が難しくなってしまうということがあり得ると。
今までもそういうことがもちろんあったわけですから、これはしっかりと本当に連携していただいて、形式上の要件を満たせばということにはならないと思いますし、今の御回答の流れからいえば、二〇一五年に、司法上で様々な違法行為が認められていながら二〇一五年に旧統一教会の名称変更がなされたということ自体がやっぱりおかしいことなんだと思います。
今ここで、もし仮にそういうことがあったらやはり問題であるという意識があるのであれば、ここのところはしっかりと状況を、いろんな議員がもう申し上げていますけれども、明らかにやっぱりしていただかないと話の整合性が付かないと思いますので、この点、しっかりと対応していただきたいということを申し上げたいと思います。
総理、一言お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/86
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087・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の点については、まず、名称変更が行われた二〇一五年の時点において、旧統一教会に対し、民事裁判の確定判決で指摘されている状況を解決することを求めるとともに、正体隠しなどの批判をされることがないよう、とり得る最大限の措置を講ずるよう強く求めたということ、さらには、文化庁のホームページにおいて掲載されている宗教年鑑では変更前の旧統一教会の名称が併記されている、こうした対応が取られています。
そして、委員の問題意識につきましては、今後とも、文化庁とそして消費者庁、関係省庁の中でよく連携をすることによって被害を防ぐために最大限努力していくことは重要であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/87
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088・石垣のりこ
○石垣のりこ君 しっかりとお願いしたいと思います。
その上でも、やはり、正体隠しに該当するであろう配慮義務の中に入っている三条三項が配慮義務であるということは問題が大きいと思いますので、これもしっかりと禁止規定に、具体的な行為として書かれておりますので、禁止規定に格上げしていただきたいということも申し上げます。
そして、岸田総理、今国会の初め、所信の質疑も私させていただきましたが、その際に、すぐ、今すぐにでも、やっぱりこの二世の問題だったり、宗教的、宗教虐待というものが様々な相談窓口で、家族の問題だから、信教の自由だからといって妨げられてきたということ、本当にこれも罪深いというか、行政の不作為、政治の不作為であるというふうに私は考えております。
総理に伺いますけれども、この新法案のきっかけとなった旧統一教会問題の中でも、家族、その家族の中でも特にこの二世の皆さんの問題というのをどのように認識されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/88
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089・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の宗教二世の方々については、法的なトラブル、もちろん大きな問題ですが、それに加えて、精神的、心理的な困難、さらには貧困等の問題、こうした様々な問題を抱えておられると承知をしております。
特にその宗教二世の中でも、未成年の方、特に子供さんについては、自ら声を上げにくい、与えられた環境で生きるしかないと諦めてしまう、こういった事情があります。また、成人については、長期にわたる困難な、困難を経験し、自己肯定感を持てない、周囲から孤立する、こういう場合が多い。
こうした様々な問題を抱えている方が多いと認識をしており、こうした方々に関係各機関、緊密に連携する形で適切な支援を行っていかなければならない、このように認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/89
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090・石垣のりこ
○石垣のりこ君 私のその代表質問のときにも、私は十月七日に質問させていただきましたけれども、その前日、十月六日に、厚生労働省の子ども家庭局長名で、市町村及び児童相談所における虐待相談対応についてという通知を出していただいているということで御答弁いただいておりましたが、これは緊急対応としては非常に重要だったと思います。
すぐに対応できる、相談窓口で断らないということで重要だと思うんですけども、今後やはり、これもいろんな議員が言っていると思いますが、児童虐待防止法はもちろんなんですが、様々な法律の中の禁止されるべき虐待の定義の中に宗教虐待ということをしっかりと対象として盛り込んでいただくということが重要になると考えますが、岸田総理のお考え聞かせていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/90
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091・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) ちょっと、宗教虐待という言葉を使われましたが、その言葉の定義そのものについてよく慎重に検討した上で、そういった問題についてどう対応するか、こういった議論を行うべきではないかと思いながらお話は聞いておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/91
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092・石垣のりこ
○石垣のりこ君 宗教を理由として、じゃ、断ることすらも本来ならできないわけですよね。宗教を理由に、それは信教の自由だということになるのかもしれませんが、宗教を理由とした虐待行為というふうに、それもどういうふうな定義をなさるかというのももちろん今後検討の余地はあるとは思いますけれども、今まで宗教を理由に、家族の問題だ、それは信教の自由の問題だから踏み込まないというふうにして窓口でも相談を断ってきたわけですけれども、この部分をやっぱり今後、今もやはり被害は続いていて、岸田総理もお会いになられた中に二世の方もいらっしゃったというふうに記憶をして、中身は、いらっしゃるのかというのはちょっと私も記憶定かでありませんが、現在もやっぱりそういう形で、非常に深い傷を負って、未成年のみならず成人された方も含めて、社会生活を営むのに本当に困難を抱えている方がたくさんいらっしゃいます。
その方たちをしっかりとサポートしていくためにやっぱり法律に、こういう通知だけじゃなくて、しっかりと、ここ、対象として国が支えていくんだということを明示しなければならないというふうに考えておりますので、その言葉の定義という点ではまだこれから検討の余地はあるかもしれませんけれども、是非ともよろしくお願いしたいと思います。
お一言、御答弁いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/92
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093・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のような点につきましても、まず、関係省庁、関係機関あるいは関係団体、この法テラスを中心に連携を強化していくことが重要であり、政府としても予算面、体制面でしっかり後押しをしていきたいと思いますが、あわせて、市町村や児童相談所における虐待対応に関するQアンドAの作成など、共有すべき事例ですとか考え方について周知徹底をさせていく、こうしたこの具体的な内容、対応面におきましても共有を図っていくこと、これは重要なことではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/93
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094・石垣のりこ
○石垣のりこ君 ありがとうございます。
その相談窓口として、公的な相談窓口もなんですけれども、やはり今までそういうことが窓口のところでシャットアウトされていたということで、地元のNPOの方とか様々な形で、やっぱり個人的に若しくは小さな団体だったりとか、そういう関連の中で支えていらっしゃった方がいますので、そういう支援をされてきた方たちへの支援という点でも、若しくはあとネットワークですね、やっぱり関連を取りながら、連携を取りながらしっかりと対応していただくということをお願い申し上げたいと思います。
その点で、先ほど、済みません、ちょっと話が前後してしまいますが、新法の、新法案の三条の三項に関してなんですが、是非とも配慮義務から禁止規定に上げていただきたいということでちょっと伺いたいんですけれども、公益法人法、公益認定法人法とも言ったりしますが、禁止規定である十七条の三号を見ていただきますと、これ昨日、参考人からのお話もありましたけども、こことほぼ同じ文言であると。これ、なので、禁止規定として問題がない、上げられるのではないかということで、これ、なぜ禁止規定としないのか、公益法人法との関係でお答えいただきたいんですが、河野大臣、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/94
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095・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) 公益法人認定法十七条第三号の文言は、新法第三条三号の文言とほぼ同じでございます。
しかし、自らの申請によって高い公益性の認定を受けた上で法人としての適切なガバナンスを常時求められる公益法人に対する規制と、業種、業態を問わずあらゆる法人を対象とする寄附の不当な勧誘の防止の観点からの行為の規制については、その効果は必ずしも同一ではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/95
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096・石垣のりこ
○石垣のりこ君 全体から見たら、それぞれのもちろん文脈で読むということはあり得るんだと思いますが、とはいえ、文言としてほぼ違わないというところで、一つその禁止行為に格上げするというか、禁止行為として認定するに足り得る具体性のある文言だということは言えるのではないかと思います。これ、引き続き、是非ともやはり禁止行為にすべき内容だと思いますので、こちらの方の引き続きの検討を申し上げていきたいと思います。
その上でなんですが、新法に関しての話はこれからも引き続きしていかなければなりません。新法案、まだ成立はしておりませんけれども、あくまでもこれ、今まだ現在進行形で被害が続いているという御認識、岸田総理にはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/96
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097・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) はい。今現在被害を受けて困難な状況にある方々が大勢おられるわけですから、状況は現在進行形であると認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/97
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098・石垣のりこ
○石垣のりこ君 ですので、今回、岸田総理が大変な中で、先ほどからも様々な指摘がなされておりますけれども、ちまたでは、SNSなどでは、やはりこの統一教会の片棒を担いでくるような行為を行ってきた議員のことをつぼ議員というふうに言われたりとか、そういうふうにもう非常に残念な言われようだったりするわけです。あってはならないことだと思いますし、それが政治の不作為につながってきたのであればというか、つながってきたんだと思いますし、ここは本当にしっかりと反省すべきことだと思います。
その中でも、そういう多くの議員を抱える中でも、総理がここまで新法について積極的に取り組んでいただいたことには最後に敬意を表したいと思います。ただし、この参議院でのきつきつの日程の中で、こうした時間だけは取っていただいても、熟議をしていくというスケジュール感には一切なかったということに関しては一言苦言を呈しておきたいと思います。
最後には、一言、引き続きのこの法案、被害者の救済に関して御努力をいただくということをお願い申し上げて、私の質問といたします。
岸田総理の最後の一言だけお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/98
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099・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 先生、質問は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/99
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100・石垣のりこ
○石垣のりこ君 努力に、今後の取組に関して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/100
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101・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まだ審議をいただいている最中ではありますが、もし法律を成立させていただいたならば、その実効性を向上を高めるために引き続き政府として全力で取り組んでいかなければならないと考えています。
法の解釈、あるいは法を適切に運用していくためにも、活用していただくためにも、相談体制においてもより充実させていかなければならないなど、成立後も政府として取り組まなければいけない課題はたくさんあると認識をしております。
是非、法律の実効性を高めて、一人でも多くのこの被害者の方々、困っている方々を救えるよう、結果につなげるよう、政府としても全力で取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/101
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102・石垣のりこ
○石垣のりこ君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/102
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103・石橋通宏
○石橋通宏君 立憲民主・社民の石橋通宏です。
総理、今日は対総理質疑、総理にこうやってこの法案、極めて重要な法案について質問させていただける私たちにとっても最後のチャンスだと思っておりますが、今、石垣委員からもありました、総理、本当に極めて異例な形で参議院でこうして審議をさせていただいています。本来ですと国会を延長していただいて十分な審議を尽くしたかった、これはもう本音です。
ただ、その中で、この参議院で与野党協力させていただいて、何とかいい審議をしようということでやらせていただいて、冒頭、宮崎委員からもありましたけれども、昨日は参考人質疑も、衆議院以上に充実した参考人質疑をやらせていただけたと思っております。
総理、お忙しかったので昨日の参考人質疑は直接御覧にはなれなかったと思いますし、中身まだ報告を受けておられないかもしれませんが、ここは是非議事録ではなく動画で見ていただきたいなと。とりわけ、被害二世、二世信者、元二世信者の小川さゆりさんがこの会場で直接意見陳述をいただきました。極めて画期的なことだと私は思っております。総理に対する感謝の言葉も述べておられました。ただ同時に、この法案では子供たちは救済できないと、被害二世は救済されないと、残念ながらそのことも強く申し述べておられました。だから、これから是非より良いものが作られるように頑張ってほしいというメッセージも我々に対していただきました。総理、時間あったら是非その言葉を聞いていただきたいというふうに強くお願いしたいと思います。
その責任が我々にもありますので、総理、今日はもうちょっと何とかこの法案がせめて実効性があるように幾つか提案をさせていただきたいと思いますので、総理からの是非前向きな答弁をお願いできればと思います。
最初に、今日るる統一教会に対する解散権の、あっ、解散命令請求の話、今回の質問に対する回答の話がありました。総理も述べたように、今回もう段ボール八箱以上と、また二回目の質問権の行使に向けてという話もありましたが、総理、客観的な事実を明らかにするための今回の質問権の行使だという答弁を繰り返しておられます。しかし、多くの被害者の方々が、いや、そうはいったって、旧統一教会が真実を回答するはずがないという懸念を示されています。宗務課の皆さんが回答を御覧になったって、それが真実かどうか分からないと思います。
であれば、これ、回答を公開しませんか、総理。公開して、多くの被害者、声を上げられない方々、潜在的に苦しんでおられる方々、そういう方々に見ていただければ、統一教会が真実を回答しているのかどうかが明らかになります、分かります。
総理、是非これ回答していただいて、真実かどうなのか、新事実を明らかにできるかどうか、それやっていただけないでしょうか。もし大っぴらにできないのであれば、せめて当事者の方々、被害者の方々、弁護団の方々をこの回答が真実かどうかのチェックに関わらさせていただけないでしょうか。総理、是非決断をお願いします。総理にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/103
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104・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、報告徴収・質問権の行使に当たって、その回答が昨日接到しました。それについて分析をするわけですが、委員の方から、その分析では実態が分からないのではないか、こういった指摘がありましたが、もちろん、その文化庁においても法律の専門家を始めあらゆる分野の専門家を総動員して分析をするということであります。
そして、解散請求、解散命令の請求につきましては、そうした質問権の行使とそして報告徴収によって得た情報に加えて、弁護士の団体あるいは各省庁、関係機関、そうしたあらゆるところから情報を得た上で、証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにしていくということであります。
もちろん、その報告徴収・質問権の行使によって得た情報、これも大変重要でありますが、それだけで解散命令の請求を判断するというものではありません。政府も、全体として、これまで積み重ねてきた様々な情報、そしてこれからも弁護士の方々の団体など様々な団体、関係機関から情報を得て、それを総合的に分析した上で判断をしていく、こういったものであると思います。
その上で、具体的にこれ、情報公開しろ、明らかにしろということでありますが、それは文化庁の手続に関わる問題でありますので、文化庁から説明をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/104
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105・小林万里子
○政府参考人(小林万里子君) 回答につきましては、これまでも申し上げておりますように、今後の質問権行使、報告徴収・質問権の行使につきまして、その静ひつな環境の確保というものが困難になりますので、控えさせていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/105
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106・石橋通宏
○石橋通宏君 昨日と同じ答弁するなら答弁しなくたっていいんですよ。
総理、様々な形で客観性を確認するとは言っていただきました、弁護団の方々等々。であれば、必ず、これが本当に真実なのか、客観的な事実の確認ですから、そういった当事者方々、被害者、弁護団、そういった方々に、本当にそれが真実なのか、事実なのか、それを是非、今総理に答弁いただきましたので是非やっていただきたい。それをやったかどうかのチェックは是非国会にさせていただきたい。そのことはお願いしておきたいと思います。総理、うなずいていただきましたので、そうしていただけると信じております。
今回の法案の最大の問題点、多くの被害者の方々、弁護団の方々がこの法案では残念ながら被害者救済ができないと言っていたのは、やはり第四条の問題です。第四条の要件が、寄附に際して禁止行為を行って困惑させて献金させる。これが旧統一教会の被害実態、勧誘実態に合致していないのではないか、これでは多くの被害者がそもそも救済できないのではないかという問題が指摘をされ、これはもう衆議院から参議院に至るまで、ずっとこの問題については総理も答弁をお願いしてまいりました。
参議院本会議での私の質問に対する総理の答弁、一歩前進していただいたかなという答弁をいただけたと思っています。
資料の三に総理の答弁を引用させていただきました。資料の三のAのところです。結局、あの資料の二、これ予算委員会でも付けさせていただいた旧統一教会の典型的な献金システムということで、最初は恐怖感、困惑させるけれども、次第に義務感、そしてやがて使命感でもう献金を繰り返していくと、こういった状況になって、総理は、後から冷静になって考えると不安に乗じられ困惑していた寄附だったと気付いたということであれば、そのような主張、立証を行って取消し権を行使することが可能であるという答弁をしていただきました。
ただ、問題は、立証が極めて困難、ほぼ不可能ではないかということです。時に十年、二十年前のことです。証拠がないんです。立証できないんです。ということで、昨日もやり取りをさせていただいたのが、いや、主張すれば足りるのだということで、昨日お願いしたところ、資料四の整理を消費者庁にしていただきました。すなわち、訴訟においては、困惑していたと本人が言うことで立証活動の一態様と言えると。
つまり、総理、主張すればいいのだと。証拠が具体的にはないんです。でも、きちんとそのときに主張していただければ、それをもって立証になるのだということで、総理、これで大きく救済の範囲が広がると思います。総理、そういうことでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/106
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107・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、一般論として、裁判では、当事者は主張をし、その主張を立証する必要があると考えています。
今回の事例の場合、法廷で、困惑していたと訴状で主張し、その立証のために、例えば記憶を証言することとなります。この立証の過程で、主張の繰り返しとはなりますが、困惑していたと証言することもあると考えられ、その証言が立証の重要な要素になることはあり得ます。実際に、消費者契約法に関する裁判例で、消費者の供述等から勧誘の態様を認定し、消費者を困惑させたと認定しているものも存在いたします。
最終的には、裁判所において、当事者双方の主張、立証を踏まえて事案ごとに困惑の案件が認められるかどうか判断されるものではありますが、今申し上げたような形で主張というのは大変重要な要素になると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/107
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108・石橋通宏
○石橋通宏君 総理から極めて重要な答弁を今いただいたと思います。
まだまだ我々はやっぱり不十分だとは思いますが、今の総理の御答弁で、証言、これで立証に係る重要な要素になるのだということ、これで何とか証拠がない方々についても救済の道を開いていただきたいと、今後の対応も是非お願いしておきたいと思います。
その上で、結局、総理、今回のこういう立て付けでいうと、まさに総理が御答弁いただいたように、やっぱり脱会しないと救済の道がない。結局、信者のままであれば、先ほど言ったようにマインドコントロール下に置かれているわけですから、取消し権の行使はされないわけです。もう信じ込んだ状態で献金、寄附を繰り返しているということですから、この法案では救済されません。なので、脱会して、後になってということになりますと、総理、脱会が極めて重要な要素の一つになってくると思われます。
しかし、これ、我々もヒアリングの中でもうかなりの声聞きました。脱会が極めて困難なんです。極めて難しい。それは、いざ脱会しようとしても団体側が、この場合、旧統一教会、あらゆる手段を使って脱会させないんですね。で、いろんな事例聞いておりますと、それ、その手段は明らかに今回の四条の不法行為に当たるのではないか、若しくは三条の一号、この配慮義務の構成要素には十分当たり得るような形でこの脱会阻止をやっている団体、そういう場合には、総理、この脱会阻止をそういう不当、違法な形で本人の意に反して行うような場合には当然三条の配慮義務違反にも当たるし、四条の禁止行為にも当たり得ると思いますが、総理、そういう整理でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/108
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109・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) 宗教団体からの不当な脱会阻止、これは今回提出している法案の対象ではございません。
ただし、法人等が寄附の勧誘をするに際して、法人等の事務所から個人が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から退去させないことにより個人を困惑させる行為は、これは禁止行為となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/109
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110・石橋通宏
○石橋通宏君 今の後段のところは極めて重要です。総理、是非、総理、今の河野大臣答弁の前段のところは極めて遺憾です。
だって、そうでしょう、総理。結局、脱会させない、それは寄附、献金行為を続けさせるために脱会させないわけです。結局被害が続くわけです、それを対象にしないと言っていた、しまった瞬間に。だから、今おっしゃったように、禁止行為の対象であると、そういう不当な、違法な行為をもって脱会阻止して引き続き被害を続けさせるような行為は禁止行為の対象にしないとおかしいはずです。さらには、第、配慮義務の一号には当たると思います。
総理、是非総理の責任で、その可能性も含めて、今後、実効性を高めるために今後も努力するんだという冒頭の総理の答弁であれば、その可能性を是非しっかりと整理をして今後の実効性ある運用につなげていただきたいと思いますが、総理、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/110
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111・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今、河野大臣からお答えしたように、この不当な脱会措置はこの今回提出している法案の対象ではありませんが、例えば、この法人等が寄附の勧誘をするに際し、法人等の事務所から個人が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から退去させないことにより個人を困惑させる行為は禁止行為となる、具体的な事例によってはこの法律の禁止行為の対象に該当することもあり得るということを答弁させていただきました。
よりこうした法律の解釈についても明確なものとする、実効性を高めるためにしっかりと相談体制を用意する等、政府としてもこの法律ができる限り多くの被害者の救済につながるように努力することは重要であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/111
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112・石橋通宏
○石橋通宏君 そこを是非、総理、今後の対応の中で、今の脱会阻止、禁止行為に当たり得るような形でのというところは整理をして対応いただきたい、約束をいただけたと思います。
同時に、総理、そういった脱会支援をされている方々が多数頑張っておられます。極めて困難な状況の中、時には脅されて命の危険もあるような中で脱会に向けた支援を懸命にやっておられる団体や個人の方々がたくさんおられます。そういった、こういった不当な行為を繰り返すような団体から脱会を支援するような、そういう方々への支援も今後の中で検討していただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/112
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113・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、信教の自由の観点から、個人が信じる宗教団体からの脱会を支援することを国が行うということは難しいと考えています。
しかし、脱会についてお困りの方々からの相談については、総合的な相談体制を充実する中で対応できるように政府として取り組んでいくことは考えていかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/113
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114・石橋通宏
○石橋通宏君 後段のところは是非よろしくお願いし、私たちは通常の宗教団体の話をしているのではありません。不当な行為を繰り返すという、ここでその対象になるような団体からの脱会ということを申し上げているので、今の後段のところを是非、総理、しっかり総理の責任においてやっていただきたいと思います。
配慮義務についても、今日もるる話がありました。配慮義務、我々は禁止行為にすべきだと思います。是非、次なる二年後の見直しの中では禁止行為にしていただきたい、強くお願いをしておきたいと思いますが。
衆議院での修正について、これはまあ前向き、前進に受け止めたいとは思いますが、重ねて、この配慮義務にした、そして勧告、公表、そしてそのための報告の対象にもした、これは前進だと思いますが、報告に従わなかった場合にどうなるのかということについて、昨日、発議者の山井衆議院議員からは、報告をしないということは法人にとって有利な情報が、情報が取れなくなると、その結果、規定を遵守していないのだと判断することもあると、そうすれば勧告にそれがつながるのだと。つまり、報告を要請した、でも、それに従わない、これは何かおかしいよねといって勧告につながると。
是非そういう運用にしていただきたいと思いますが、総理、そういう形でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/114
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115・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 法人等が報告の求めに応じないことによって直ちに勧告の対象になるわけではありませんが、この報告徴収に先立って配慮義務を遵守していないことについて相応の情報を得ていると考えられるところ、報告徴収に応じないという対応自体が同様の支障が生じるおそれが著しいと判断される一つの根拠と認められ、勧告の対象となる事態を招くこと、これは考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/115
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116・石橋通宏
○石橋通宏君 そこも、総理、大事な答弁だと思います。是非、今後の運用、実効性あるというところで、そのことについて、是非明確化を図りながら具体的な対応お願いしたいと思います。
今日も、附則第二条の話、残念ながら、私たちこの法案を是非遡及適用してほしいというお話をしました。ただ、残念ながら遡及適用が難しいということで、これまで数多くの被害者を出してきた、とりわけ二世の方々、成人されている方々、結局、被害に遭った結果、生活困窮で本当に厳しい状況にある方々、そういった方々が直接的には救済にならない。先ほども河野大臣から一定のプラスにはなるんだという答弁もありましたが、ただ、直接的な救済の対象にはなりません。
そうであれば、総理、やっぱりこれまでの長年の政治の不作為を我々真摯に反省するのであれば、今回の法案の直接の救済対象にはならないけれども、そういう被害者の方々に対する、例えば経済的な救済策だとか、様々な形で支援をするような、別途何らかの方策を是非検討していただきたいと思うのですが、それに併せて、そういう方々を支援していただいている団体や、そういう方々への支援も含めて、総理、是非総理の責任において検討していただけないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/116
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117・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、御審議いただいている法律、法案の中においても、過去や現在の被害救済にも対応できるよう最大限の措置は講じております。
消費者契約法の改正法案では、霊感等による知見を用いた告知の場合の取消し権の行使期間を伸ばした上で、時効が完成していない現行の取消し権の行使期間も併せて伸ばすこととして、これによって現在被害に遭っている方の救済範囲を広げることができると考えておりますし、また、新法案の配慮義務については、それ自体が遡って適用されることはないものの、寄附勧誘に当たっての規範を示すものであり、こうした規範は過去の寄附に関する被害についての民法上の不法行為の認定やそれに基づく損害賠償請求の裁判の実務において考慮される可能性があると考えておりますし、また、過去いわゆるマインドコントロールを受けて、これから寄附される、こういった方に対しても被害を抑制する効果があります。
そして、これに加えて、委員御指摘のように、政府としては、この相談体制等を通じて、現在この被害に遭っている方をいかに救っていくのか、支援をしていくのか、これをこの関係省庁横断的にしっかりとした体制を講じて対応していきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/117
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118・石橋通宏
○石橋通宏君 その最後のところだけお聞きしたのですが。
我々は、是非、具体的な経済的な支援も含めた救済策を是非早急に講じていただきたいと思いますが、総理、今、しっかりこれから相談、いろいろお聞きしながら、今回二世の方々が、本当これまで声を上げられなかった方々が今声を上げられております。そういった方々がこれからも声を上げられるように、そして実態を聞いていただいて、じゃ、そういった方々にどういう救済策を提供していくのか、そのことをお願いしておきたいと思います。
時間が来ましたのでこれで終わりにしますが、最後に、検討会のことを言っていただきました。検討会、是非早急に立ち上げて対応いただきたいと思いますが、この検討会も、是非、役所の方々だけでやるのではなくて、重ねて、被害当事者の方々、二世の方々、そして弁護団の方々、支援団体の方々、被害の実態が分かる当事者の方々を是非検討会のメンバーに加えて実効性ある検討をいただきたいと思いますが、最後に総理、その決断をお聞きして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/118
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119・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の検討会ですが、検討の形式、これは様々のものがあると思いますが、いずれにせよ、更に実効的な政策を講ずるべく、御指摘の在り方についても検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/119
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120・石橋通宏
○石橋通宏君 ありがとうございました。是非実効性ある形で検討いただきたい。
我々も、今後も引き続き政府に対して様々具体的な提言も行って責任を果たしていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げて、今日の質問終わりにさせていただきます。
ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/120
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121・松沢成文
○委員長(松沢成文君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、宮崎雅夫さんが委員を辞任され、その補欠として三木亨さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/121
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122・矢倉克夫
○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。
私、二十年前に、友人、知人の義父母が高額なつぼを買わされたという話を聞きまして、弁護士資格を持っている人間として、個人としてアドバイスをさせていただきました。その折も、本当に悪質な行為に激しい怒りを覚えるとともに、宗教という名をかたってやっていることにすごい憤りを感じた思いがしております。
こういう経験をしながら、このような形で世間的に大きく問題になるまで政治家として関われてこなかったことということは、自己の不明を今恥じているところであります。こういう被害は是非もう本当に撲滅していかなければいけないというふうに改めて強く感じております。
総理も、お話もお伺いしている限り、被害者三名の方に一時間半にわたって面談をされたというふうに伺いました。まず総理に、その面談の中で被害者の方々が何に一番苦しまれているとお感じになったのか、御答弁、お話を総理のお言葉でお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/122
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123・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、私は旧統一教会の被害者の方々とお会いをし、この三名の方からお話を伺わせていただきました。そして、その中で様々な凄惨な経験を直接伺いました。財産被害ですとかDV被害ですとか、あるいは学校、地域における人間関係ですとか、あるいは親子や家族関係についても語っていただきました。
その中で最も強く感じたのは、やはり被害を受けられた方々の孤独な状況に置かれている、その精神的な負担、これが誠に大きいので、大きかったのではないか、こんなことを感じながらお話を聞かせていただいた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/123
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124・矢倉克夫
○矢倉克夫君 公明党としても十月に、総理にこの被害者の方々への救済のための提言を申し上げました。私もその場にいさせていただいたんですけど、特に相談体制の整備など、法テラスの拡充なども含めて申し上げたわけですが、やはり大事なのは、今総理もおっしゃっていただいた、被害者の方々はやっぱり理解されないとかそういう孤独な思い、話しても駄目だというようなやっぱり思いがあるというふうに思うんですね。
そうすると、相談体制をつくるだけじゃなくて、やっぱり相談する場所に来られない方々へのこの対応をどうするかがいいかということも非常に重要だと思います。それについて、総理の御見解をお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/124
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125・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、相談する場所に来られない方もおられる、そういった方々の声をどう政府として受け止めるのか、様々な工夫をしなければならないと思います。これ、具体的なこの方策についてはいろいろ用意しております。是非、それについては政府参考人から答弁をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/125
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126・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
法テラスでは、霊感商法等対応ダイヤルを設置いたしまして、フリーダイヤルやメールにより未成年者を含むお困りの方から幅広く相談を受け付け、お悩みの内容や相談者の居住地等に応じ適切な相談機関等を紹介しておるところでございます。
また、法テラスでは、資力の乏しい方に対し、弁護士等による無料法律相談を実施しておりますところ、相談場所まで赴くことが困難な方につきましては、電話、オンライン相談や出張相談を利用することもできるようになっております。
法務省としては、より利用しやすい相談方法等について不断の検討を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/126
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127・矢倉克夫
○矢倉克夫君 相談を受け付ける体制を拡充というのは大事なんですけど、やっぱり来られない方、そこにどうするか。やっぱり、あらゆるつながりとかを、学校とかのつながりとかを含めて、声を上げられない方に対して行政の方からアウトリーチをする、そういう視点もやはり必要になってくるかというふうに思います。いわゆるソーシャルワークの動き等でありますけど、こういう、ここに本来であれば本来の宗教は関わってくるものだというふうに私は思っておりますが、それは後で時間があるときにまた議論をさせていただきたいというふうに思います。
とにかく、寄り添う支援というのをしっかりと総理主導で行っていただきたいというふうに思いますので、お願い申し上げます。
時間の関係で次に行かせていただきたいと思いますが、法案に絡めて、法案の関係であります。
最大の論点である刑罰権の対象たる禁止行為の範囲について、ここは、禁止行為の範囲というのは、この刑罰、これは旧統一教会のみならず全ての法人等に事案、また要件に該当し得る限り対象になり得るものでありますし、この禁止行為の範囲というのは国家に刑罰権を付与する範囲というふうにも言えます。
改めて総理にお伺いしたいと思うんですけど、この禁止行為は明確でないといけないというふうにおっしゃっておりますが、これはなぜそのようにお考えになるのか。権力には常に濫用のおそれがあるということ、これは権力を行使する総理自身どのように捉えているのかということにも絡めまして、総理からの御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/127
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128・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 禁止行為の対象となる場合、刑事罰の適用にもつながるものであることから、現行のこの日本の法体系に照らせば要件の明確化が必要となります。このような観点から、新法における禁止行為の規定は、法人等の行為類型を可能な限り客観的で明確なものとして規定することといたしました。
そして、委員の方から、権力は常に濫用されるおそれがある、これとの関係で申し上げても、権力に常に濫用のおそれがあること、これは御指摘のとおりであるからこそ、この要件については明確性が求められるものであると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/128
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129・矢倉克夫
○矢倉克夫君 先日、駐日英国大使と話をしたときに印象的だったのが、民主国家と専制国家の違いというのは刑罰に関して権力の濫用のおそれを感じるかどうかというところであるというふうに、まさに民主国家の要請としても明確性というのは非常に重要だと思います。
それで、総理がおっしゃった事情から、この禁止行為のみでは、行為を明白かつ厳格なものにしなければならない、おのずと対象も限られてしまうわけでありますが、そして、そこに規定していない行為は禁止されていないというような逆のメッセージも発し得ることもあり得ます。
そこで、今回法案では、この禁止規制の限界を補足しつつ、同様の事案が二度と起きないように、禁止行為と配慮義務の二重構造として、個人の意思決定への不当な介入をしないように法人等への意識付けを図るべく配慮義務を加えたと私は理解をしております。被害者救済に資する現実的なアプローチであるというふうに思っております。
その点について総理にもお伺いしたいんですけど、これは見方を変えると、刑罰という国家権力作用のみでの解決ではなく、さらに、それに加えて、当事者同士の意識啓発を通じて被害の防止を図るものだというふうにも思っております。私、問題解決にはこれこそ大事な視点であるというふうに、根本的な解決としては、このような悪質な団体を生まない土壌を官民挙げて不断の努力をしていく、官民挙げて不断の努力をしてつくっていく、これがこれからは重要だという意味もあるというふうに思います。
配慮義務についてもそのような意味があるということも込めるべきとも考えておりますし、これについて総理の御見解と御決意等をお伺いできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/129
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130・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げましたが、禁止行為の対象とする場合、要件の明確化が必要となります。こうした中で、現在の規定は、現行の日本の法体系の中で許される限り最大限、禁止行為や取消し権の対象とするとの方針の下、規定を行いました。
一方、この配慮義務については、適切な判断をすることが困難な状態等、勧誘によってもたらされる結果としての個人の状態、これを規定いたしました。これは、いかなる行為によるものであったとしても寄附勧誘の際にはそのような結果をもたらさないようにすべきという規範を示すものであり、禁止行為とする場合より、こうした結果を招く、より幅広い行為を捉えることができるため、民法上の不法行為認定及びそれに基づく損害賠償請求を容易とする効果が高いと考えております。
こうした二段階の制度とすることで、悪質な寄附の被害の防止や救済に向けて高い実効性が期待できると考えています。また、寄附勧誘の適正化により寄附文化が一層醸成され、悪質な団体を生まない土壌をつくることにもつながると期待をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/130
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131・矢倉克夫
○矢倉克夫君 こういう結果を生まない、民間の中でのまた意識啓発というのもやはり重要だというようなこともあるかというふうに思います。
その配慮義務でありますけど、河野大臣にお伺いしたいんですが、配慮義務に勧告が設けられたことが、この勧告制度があることそのものが、ある意味寄附を、マイナスのイメージを生むことで寄附文化育成を阻害するのではないかという御懸念がNPOなどからも寄せられております。
法案はこの辺りの懸念について条文上配慮されていると考えますが、改めてその確認とともに、適切な運用に向けた大臣の御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/131
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132・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) 新法案の配慮義務は社会通念上不当な勧誘行為に限定しており、通常のNPO法人などの寄附の勧誘行為に支障が生じるとは考えておりません。
新法案の審議で修正された配慮義務規定違反に対する勧告、公表の行政措置につきましては、その発動に、個人の権利の保護に著しい支障が明らかに生じていると認められる場合などの要件が設けられております。勧告、公表の規定があることをもって寄附文化の醸成が不当に抑制されるとは考えておりません。むしろ、不当な勧誘行為が防止される実効性が高まることで、寄附への御理解あるいは寄附の勧誘への安心感が高まることにつながるのではないかと考えております。
新法案では、法の運用に当たって、NPO法人など様々な法人の活動における寄附の重要性に留意しなければならない旨を規定しておりまして、法案が成立した暁には、法の適切な運用にしっかりと取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/132
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133・矢倉克夫
○矢倉克夫君 今大臣がおっしゃった寄附への御理解、安心感というのも大事だと思います。
総理に伺いたいと思いますが、配慮義務がこの寄附を受ける側の意識啓発という趣旨も有するという議論を一歩進めまして、この際、主に寄附をする側に回る国民一般についても、寄附リテラシーの向上といいますか、それを図るきっかけとしてもよいかというふうに思っております。世の中にどういう寄附や献金があるかを広く知るとともに、寄附や献金をする際、それが何の目的でどのように使われているかを主体的に考え判断する意識と能力を向上させることというのは、被害の防止、発生にも、発生防止にも資するだけでなくて、諸外国に比べて低いとされている健全な寄附文化の土壌を国民全体でつくるきっかけにもなるというふうに思っております。
より良い寄附とは何か、国民全体で考える寄附リテラシー向上運動、総理の御見解をお伺いしたいというふうに思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/133
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134・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 新法案により不当な寄附の勧誘行為が防止されることによって、寄附をする者による寄附への理解や寄附勧誘への安心感が高まることにつながると考えられると申し上げて、申し上げているわけですが、また、法案成立の暁には、寄附文化の抑制に、抑制につながらないよう、NPO法人、学校法人、宗教法人等にもその趣旨を広報する予定でありますが、その際、これらの団体と連携して、学校教育や地域等の現場で寄附の役割や意義等について情報発信をしていくことなども検討していきたいと思います。
これらを契機として、国民の寄附リテラシーの向上につながることを期待してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/134
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135・矢倉克夫
○矢倉克夫君 是非、そういうプラスの方向にも行くような議論のきっかけを是非巻き起こしていただきたいというふうに思います。
次の質問に行きたいと思いますけど、宗教がクローズアップされておりますが、政治学者の姜尚中さんは、宗教団体など中間団体の機能というのを、自由と自己責任だけの世界で人と人のつながりをなくしている、そういう、そこから人と人のつながりを回復して、社会の足腰を強くすることだと。これが痩せ細られると、自分の悩みを誰にも言えないような土壌になってしまうというような話もされておりました。
私も、宗教の大事な機能の一つは人と人のつながりをつくって孤立させないことであるというふうに理解もしております。総理に対して、この宗教が社会に与える意義というのをどのようにお考えかを、御認識をお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/135
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136・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 宗教は、社会生活において、まず人を支え、そして委員御指摘のように人と人とのつながり、こうしたことにおいても重要な役割を担っていると考えます。歴史の中で人々が受け継いできた文化であると考えております。
そのような宗教の理解を進める観点から、宗教的な信仰のある方も、そうでない方も、自己と異なる立場の方々に対してお互いを認め合う態度を育むことが重要であると考えています。そのことが憲法の定める内心の自由や信教の自由の実現の上でも大きな意味を持つと考えており、こうした観点から、国民の主体的な意思に基づき社会的な議論がなされることがよいのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/136
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137・矢倉克夫
○矢倉克夫君 私も親と同じ信仰を持っておりますが、これは親がやっているからではなくて、自分の中でそしゃくをして、いろいろ格闘もしながら、自分の人格形成の一部に今はしているところであります。
海外などは、自ら有する信仰に誇りを持ってお互い啓発し合うということも非常に普通なんですけど、日本の場合は、宗教とは何かとか、宗教が自分の世界にとっていかなる意味があるかということを余り議論できない、むしろちょっと敬遠するような、タブーになるような土壌が、やはり独特の風土があるかなというふうに思っています。私は、これが国民の宗教というものに対する正しい理解を阻害して無関心を生むとともに、かえって、結果として、宗教とは言えない宗教まがいのもの、集団に対する批判的な思考もなくなって、それをはびこらせるような結果も生んでしまっているのではないかというふうに思います。
根本解決には、やはりこの宗教の機能や役割といったものを認識を深め合える機会というのをもっと持っていくとともに、宗教というものをオープンに議論できるような環境というものもやっぱり必要かというふうに思いますが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/137
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138・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員の今の御指摘の点については、先ほどの答弁の後半の部分に重なるかとは思いますが、こうした宗教の理解を進める観点から、自己と異なる立場の方々に対してお互い認め合う態度を育むことが重要である、さらには、こうした観点から、国民の主体的な意思に基づいて社会的な議論がなされること、これが大切なのではないかと思います。すなわち、国等が関与する形での議論ではなくして、やはり国民がそれぞれ主体的にこうした問題について考えていく、こうした雰囲気をつくることが重要であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/138
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139・矢倉克夫
○矢倉克夫君 おっしゃるとおり、主体的に議論し合えるような関係、これはまた非常に重要だというふうに思います。
そして、ちょっと最後の、ちょっと時間がありませんので最後の質問にさせていただきたいと思います。一問飛ばして、一番最後の質問で、恐縮ですけど。
今回の問題、本当に姜尚中さんもやっぱり同じようなことを、安倍元総理のあの事件に対しての容疑者、本当に許されないことでありますが、彼も孤独を抱えていたのだろうというようなことを別の記事でもおっしゃっておりました。そういうものに対してしっかりと支え合っていけるような宗教の役割というのはやはり非常に重要かというふうに思いますが、これは、政治と宗教の問題というふうにではなく、ほかの方もいろいろとおっしゃっていますけど、社会的に多くの問題を抱えた団体と政治家との関わりの問題であるというふうに私も理解もしております。
最後、総理に改めてお伺い申したいんですが、今回の件を通じて、やっぱり一番リテラシーというのを求められているのは政治家。政治家が有権者とつながるというのは、これ、より良い社会をつくっていくためでありますけど、やはりそのつながる相手が社会的に多くの問題を抱えて被害者を出している場合、そのつながり自体が更なる被害とともに政治への不信を招いていくということもあり得ると思います。
そういう危機感に対して、総理として、今後なくしていくためにどのような御認識持っていらっしゃるのか。こういう問題となる団体が今回は宗教団体というふうに形を取っておりましたが、それに限らず、全ての団体などとのお付き合いにおいて国民の目を意識し襟を正すべきと考えると思いますが、総理の御所見と、最後に決意をお伺いをいたしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/139
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140・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、閣僚を含む多くの議員が社会的に問題がある旧統一教会、その関係団体と接点を有していたことが明らかになり、国民の皆様の政治への信頼を傷つけたこと、これを率直におわびを申し上げます。自民党においては、今後関係を持たないことを徹底すること、これを方針としております。
また、委員御指摘のとおり、活動の社会的相当性が懸念される組織、団体から不当な政治的影響力を受けているなどと誤解されるような行動は厳に慎まなければならず、政治家一人一人が国民の目を常に意識しながら取り組んでいかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/140
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141・矢倉克夫
○矢倉克夫君 私自身も同じ政治家として、同じ思いでまた決意を持っていきたいというふうに思います。
被害が起きないように、しっかりとまた、これからが勝負であると思います。法案の成立をいただく後であっても、更にこのようなことが起きないようにちゃんとした継続的な動きが必要であるということも私からも申し上げまして、質問を終えたいと思います。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/141
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142・音喜多駿
○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
いよいよ、このいわゆる救済法案の審議も本日が最後の審議となりました。衆参のねじれがない状態で衆議院の採決が済みますと、どうしても一段落といった空気が流れてしまいますが、この参議院における審議は極めて重要なものであります。
法務大臣などを歴任された、弁護士でもある谷垣禎一元自民党総裁がこうした談話を残したと言われています。裁判官の方から、判決に迷ったときには国会の会議録を読み直して法律の趣旨を理解するようにしているという話を聞いたことがある、それ以来、私は、国会での質疑は常に将来の裁判において参考になるようにとの意識で努めてきた、こう谷垣元総裁がおっしゃったと伝えられています。これ、非常に示唆に富む御発言であると思います。
今日の審議における総理や皆様の御答弁が将来の司法あるいは行政運営にも影響を残し、被害者救済に資することになるかもしれないと、その思いを共有いたしまして、昨日、串田議員より子細の確認、議論はさせていただきましたので、本日は大枠で建設的な前向きな議論ができればと思いますので、総理や皆様、よろしくお願い申し上げます。
さて、本臨時国会最初の予算委員会で、私は、既に大きな社会問題になっていた旧統一教会の高額献金に係る問題について、総理に対して、私たちは既に仲間だと、一緒のプレーヤーなんだと申し上げ、そして、今国会中に新法を共に作り上げることを呼びかけさせていただきました。九回にわたる与野党協議などを経て、あわや先送りかという場面もありましたが、総理の強いリーダーシップにより救済法案が政府から出され、本日を迎えていることについて、まずは心から感謝を申し上げます。
その上で、初めに、本法案の背景と立法事実について改めて総理にお伺いをいたします。
この救済法案については、我々がさきに提出した議員立法の議論の最中からも、与野党双方の議員あるいは有識者から、拙速ではないかと、立ち止まるべきではないかという異論や批判も受けておりました。いわく、本法律案は安倍晋三元首相の暗殺事件、銃撃事件を契機としており、それを受けて立法府が新法を策定するということは、言わば被告人の暴力的主張、テロを容認することにもなりかねないのではないかというものです。こうした批判や指摘に対して総理はどうお答えになりますか。
そもそも本法律案の立法事実は何であり、かかる事実について総理はどの程度深刻であったと考えているでしょうか。改めてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/142
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143・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず一点目ですが、この暴力的行為により自らの主張を通そうとすること、これは絶対に許されません。これはいかなる場合においても同じであると考えています。
そして、二点目の立法事実に関する御質問ですが、旧統一教会の問題等に関し、いわゆる霊感商法に加えて、この社会的に許容し難い悪質な寄附の勧誘の問題の深刻さ、これが明らかになってきました。このため、この消費者契約に該当しない寄附も含めてあらゆる寄附について法制度の見直しを行うことといたしました。
消費者契約法の改正により取り消すことができる範囲を拡大するとともに、不当な寄附の勧誘を禁止するなどの規律を設ける新法、新法案により、消費者契約法と併せて寄附の勧誘を受ける者の保護を図ることといたしました。これによって、これまで救済できなかった被害をより幅広く救済でき、将来に向けて被害の防止に役立つと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/143
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144・音喜多駿
○音喜多駿君 テロリストの主張に流されてはならないと、ニュージーランドのアーダーン首相は国内で起きたテロ事件に際して、ニュージーランドは男に何も与えない、名前もだと述べて、事件が社会にあらゆる影響を与えることを強く否定をいたしました。これ、重要なことだと思います。
その一方で、何がきっかけであれ、現に存在することが明らかになった社会悪への対処と、何より被害者の救済に対して、政治は正面から向き合う責任があります。
旧統一教会に係る問題は、立法府や政府が三十年間放置をしてきたものだと被害者や弁護団からも強く指摘をされています。これは後ほど議論またさせていただきますが、宗教法人法に基づく質問権が過去一度も使われてこなかったことなど、社会的に問題があっても、信教の自由を理由に、カルト的な宗教法人に対しても政府はある種の手心を加えてきたのではないかと、そうした疑念を国民は幅広く持ってしまっております。
そこでまず、本法案を取りまとめる実務者となった消費者庁、黒田次長にお伺いいたしますが、これまで、社会的に問題のある宗教団体の行為について、宗教団体であるがゆえに規制、取締りにちゅうちょし過ぎてきたんじゃないか、こうした反省が本法案には込められているのかどうか、この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/144
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145・黒田岳士
○政府参考人(黒田岳士君) 確かに委員御指摘のとおり、例えば消費生活相談の現場などにおきましては、宗教問題には立ち入らないといった姿勢があったということは否めないということがございます。そうしたこともありまして、今回の問題を契機に、関係機関に対して、宗教に係ることのみを理由として消極的対応を行えないように幅広く周知したところでございます。
ただ、消費者庁創設後まだ十年ぐらいしかたっておりませんが、宗教団体に限らず、主体が何であれ、例えば世界に名立たる大企業でありましても、自ら所管する法の執行におきましてちゅうちょするといったことは一切ございません。本法案の設立、成立の暁におきましても、本法案の執行についても従来と同じ姿勢で臨んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/145
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146・音喜多駿
○音喜多駿君 ありがとうございます。
今率直に御答弁いただいたとおり、やはりこれは消費者庁に限らず、宗教というとなかなか難しいということで、行政介入が二の足を踏んでいた面というのはやはり事実は私もあると思うんです。
これまで宗教団体を何らかの形で監視をする、規制するという役割を主に担っていたのは、警察を除けば文化庁でしたが、新法の成立によって消費者庁の役割というのもますます大きくなります。是非ともこれまでの政府の対応の反省を生かしていただき、本法案に記された広範な寄附を対象とした禁止行為、これが行われていないか厳しく監視をし勧告する権限を担っていただくことを望みます。
そして、総理にもお伺いをいたします。
信教の自由等は極めて重要ではありますが、それは絶対無制限なものではありません。財産権や公共の福祉など、ほかの権利と矛盾、衝突する場合は政治が調整をする必要があります。トラブル団体には、宗教法人であれ、政治団体であれ、いずれの団体であれ、ちゅうちょなく対応するべきと考えますが、総理の基本方針はいかがでしょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/146
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147・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の信教の自由ほか、学問の自由、政治活動の自由など、重要な価値に対しては必要な配慮を行うことが重要と考えており、この点については、新法にも十分配慮すべき旨、これ規定をしたところです。
しかし一方、宗教法人か否か、政治団体であるか否か関係なく、この悪質な寄附の勧誘被害を防止し救済する必要がある、これは言うまでもないと考えます。悪質な寄附の勧誘に対しては、ちゅうちょせず適切に法を執行してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/147
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148・音喜多駿
○音喜多駿君 先日、政府として質問権の行使、これを行ったことも承知しており、新法と併せて社会的に問題がある団体に対するこれまでの政府の対応、これは一歩踏み込んだものに変わったということは理解をしております。抵抗する向きもあろうかと思いますが、是非とも政府として、宗教団体を含めてこのトラブル団体に対する対応についてマインドをチェンジしていっていただきたいと思います。
一方で、本法案は宗教団体のみを規制するものではございません。我々が事前に提出した野党案、議員立法もそうでしたが、本法案でも全ての法人に掛かる規制となっています。それゆえ、野党案も含めて、宗教法人以外にも広げたことによって寄附文化を萎縮させ、寄附で運営している福祉や教育団体等全てに悪影響を与えるといった批判もありました。
こうした関連する当事者について、本来は立法過程で議事録が付されるような正式な会議体に入っていただいて検討を重ねていくと、こういったことが通常の立法過程かと思いますが、今回かなり急な日程ということもあって、どこまでこうした団体へのヒアリングや配慮があったのかが不透明です。寄附を中心に活動しているNPOなどから具体的なヒアリングは行ってきたのかどうか、これ消費者庁にまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/148
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149・黒田岳士
○政府参考人(黒田岳士君) 今委員が御指摘になったような形での、その正式な議事録が残るような形ではございませんが、本法案を立案していく過程では、宗教法人の方もそうですし、以外の方にも、様々なNPO団体の方から意見を伺う機会がございました。その中では、例えば、配慮義務を規定することに伴う正当な寄附への副作用を最小化してほしいとか、またNPOと寄附者双方に丁寧な周知が必要、こういった御要望をいただいております。
引き続き、NPO法人等の関係者の方々の御懸念を丁寧にお伺いした上で、これを払拭すべく、新法案の趣旨についてしっかりと説明を尽くしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/149
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150・音喜多駿
○音喜多駿君 まさに、しっかりとこの本法案の趣旨、目的、これを伝えていって、成立後も引き続き、まさに丁寧な説明していただいて、真っ当な活動をしている団体には影響がないんだということをお伝えいただきたいと思います。
私は、この日本において寄附文化が根付かないと考えられる理由の一つとして、寄附を募る団体がこれは真っ当な活動をしているのかどうか、社会的に問題があるのかどうか、外形的な判断がなかなか付かないという点があるのではないかとも考えております。
本法案が禁止しているような寄附の様態、態様が公然と行われている現状があるがゆえ、一事が万事、全ての寄附が怪しく見えてしまうと、そういう社会のマインドが寄附文化を妨げる一因となっているのではないでしょうか。今回の新法制定によって、むしろ国内における寄附文化の醸成のきっかけになってほしいとも私は願っております。
そこで、他の委員からも指摘がありましたが、総理に改めてお伺いしたいんですが、NPO等から寄せられた意見を踏まえて、本法案では寄附文化を萎縮させないということをどのように説明できますか。また、寄附について明確なルールがあった方がむしろ寄附文化醸成に資するという意見について、総理の見解をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/150
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151・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 新法案においては、法の運用に当たっては、NPO法人等様々な法人の活動における寄附の重要性に留意しなければならない、この旨規定をしております。また、本法案における禁止規定や配慮義務は、社会通念上不当な勧誘行為と考えられるものに限っているものです。そのため、通常のNPO法人等であれば寄附の勧誘に支障があるといったことはなく、寄附文化の醸成に対する不当な抑制につながらないと考えております。むしろ、不当な寄附の勧誘行為が防止されることによって、寄附への理解、寄附勧誘への安心感、これが高まることにもつながり得ると考えております。
なお、今後とも、NPO法人等の関係者に御懸念があるようであれば、本法案の趣旨についてしっかりと説明を尽くしてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/151
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152・音喜多駿
○音喜多駿君 後段が本当に重要だと思います。寄附文化を萎縮させるものではないし、むしろそれは促進していくと、そういったことも期待できるということは、総理始め政府の方からしっかりと情報発信をしていただきたいというふうに思います。
続いて、本法案の救済範囲についてお伺いをいたします。
今国会に、宗教のこの献金被害の当事者の方、いわゆる宗教二世の方の生の声も多くいただいております。昨日のこの委員会にも小川さゆりさん、参考人として出席もいただきましたし、総理も関係者にお会いしたと伺いました。しかしながら、本法案は、そうした過去に被害を受けていた方についてはほとんど救済できないと、これはもうずっとるる指摘がなされてきております。
この点、本法案によって、過去に不当な寄附の勧誘を受けて行われた寄附者はどこまで救済されるのか。例えば、献金被害者の子供が既に亡くなった親の過去の扶養範囲内に係る献金被害に気付いた場合、本法案で救済ができるんでしょうか。あるいは、不法行為請求において本法案における配慮義務は考慮されるんでしょうか。これ改めて消費者庁に見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/152
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153・黒田岳士
○政府参考人(黒田岳士君) この新法案や改正法案は、施行日以降の寄附の勧誘について適用されるものでございます。原則として、過去に不当な寄附の勧誘を受けて行われた寄附者は救済することはできません。
なお、消費者契約法の改正法案では、霊感等による知見を用いた告知の場合の取消し権の行使期間を伸ばした上で、時効が完成していない現行の取消し権の行使期間も伸ばすこととしておりますので、これに該当する場合には、過去に不当な寄附の勧誘を受けて行われた寄附者であっても救済されるものと考えております。
さらに、新法案の配慮義務については、それ自体が遡って適用されることはないんです、ありませんが、寄附勧誘に当たっての規範を示すものでございます。こうした規範は、過去の寄附に関する被害についての民法上の不法行為認定や、それに基づく損害賠償請求の裁判の実務においても考慮され得る可能性があると考えております。このような場合には、過去に不当な寄附の勧誘を受けて行われる、行われた寄附者であっても救済され得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/153
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154・音喜多駿
○音喜多駿君 我々はやっぱり過去にも遡及するとしますが、我々、議員立法では特別補助という制度を使って過去の被害回復も一定程度できる仕組みを提案していただけに、今の状態は甚だ残念ではあります。
ただ、直接的に本法案をもって過去の寄附者は救済されないということでありますが、個々人が行う不法行為請求においては本法案における配慮義務違反が考慮され得る可能性があるという御答弁であって、こうした御答弁をもって今国会の会議録に残していくということは意義があると考えています。個々人の訴訟における法適用の解釈については、これはもちろん司法府の裁量とはなってしまいますが、我々としても、本法案の趣旨がこうした個々人の請求でも酌み取られるということを強く期待をするものです。
ただ一方で、現時点で声を上げている方々の多くは、やはり本法案では救済がされません。メディアはこの法律案を救済新法と略して報じておりますが、果たして救済の要素というのはどこにあるのか。昨日もこれ議論上がっておりましたけれども、率直に言ってこれ不明瞭です。これまでの審議の中でも指摘されているように、実際、新法の名前や中身には救済の文字が欠けています。入っていません。
そこで、これは総理にもお伺いしたいんですけれども、本法案の目的は、第一条より、寄附の勧誘を受ける者の保護ということでありますが、寄附の勧誘を受けた者の救済、これを目的としなかった理由は何か。その上で、新法の名前から救済が抜け落ちた理由は、やはりこれ過去や現在進行形の被害者を救済することはややもすると難しく、防止が主眼にならざるを得ないという御自覚があるんではないかとも思料するものですが、総理の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/154
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155・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、この二法案については、現在社会問題化している悪質な寄附勧誘による被害を防止し、そしてさらに被害者の救済を図るためのものであると考えています。
その被害者の救済を図る部分については、ただいま黒田次長の方から御説明させていただいた二点がありますが、それに加えて、過去いわゆるマインドコントロールを受けて、そして不安を抱いている方に対し、今後その不安に乗じて寄附勧誘を行うような行為、これを禁止行為とし、取引権、取消し権の対象とすることで新たな被害の発生を抑制する効果がある、すなわち既に過去マインドコントロールを受けている方に対しても被害を、被害の発生を防止するという形で救済を考えられる、そういった効果があるとも考えます。
この新法案、そして改正法案、相まって被害の救済と、そしてその再発防止に対応できるものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/155
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156・音喜多駿
○音喜多駿君 本法案のもちろん名前に救済は入っていませんが、過去の被害者も含めて救済する意思は変わらない、強いと、そういう総理の思いであると受け取りました。それは本当に共通していると思います。
ならばこそ、やはり本法案の成立だけでは不十分であるという点は、我々としては何度でも強調したい点なんですね。この点、本法案の成立だけでは、いわゆるカルト宗教に係る問題、宗教二世の問題、被害の全てが解決できるとはこれ考えていない旨を政府や総理も何度も御答弁されていると思います。どうした点が具体的に課題として今後残っていくと考えているのかどうか、これ率直な御意見を総理にお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/156
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157・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 旧統一教会については、宗教法人法に基づく法人、報告徴収・質問権の行使等により事実把握と実態解明を進めることと、被害者救済に向けた相談体制を強化すること、そして今後同様の被害を生じさせないための法制度の見直し等にしっかり取り組んでいく、この三つの方針で臨んでいるところですが、その中で、この被害の防止、救済に全力を尽くす思いを強く持ち、この法制、改正法案、新法案の国会提出に向けて努力をしてきたところです。
新法案では、現行の日本の法体系の中で許される限り悪質な寄附勧誘について最大限、禁止行為や取消し権、行政措置、刑事罰の対象とするなど、実効的なものにいたしました。
しかし、今後も、この法律が成立した後についても、法の執行状況等もしっかりと見ていかなければなりません。この法律の解釈の明確、あるいは法律の実効性を高める努力、この法律の適正な運用、相談体制の充実を図った上で、更に必要な見直しなどがあるかどうか、これについて全力で取り組んでいきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/157
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158・音喜多駿
○音喜多駿君 せっかくなので、総理御自身のお言葉でもう少し聞きたいなというふうに思っているんですけども。
少し聞き方変えますと、やはり我々は本法案だけでは残念ながらちょっと被害者の救済、防止には不十分な面が多々あると思うんですが、総理は自ら宗教のこの被害の当事者の方々、関係者三名と面会をされました。それで、この本法案の成立をもって、面会された三名の方からの要望あるいは切実な思いに十分応えられたと説明ができますか。もしそれが難しいとすれば、改善に向けて今後どのような行動をお約束をしていくのか、この思いを改めてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/158
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159・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、今も申し上げたように、現行の法体系の中で許される限り悪質な寄附勧誘について最大限、禁止行為や取消し権や行政措置や刑事罰の対象とするなど、これ実効的なものにしたと考えておりますが、こうした国会の審議においても様々な御指摘もいただいています。
法律の成立後についても、実効性を高める、先ほど申し上げたような努力をしながら、まずは、その法律の運用状況あるいは社会の変化、こうしたこともしっかり見た上で更に何が必要なのか、必要な見直しについても考えていく、こういった姿勢を政府としても持ち続けていきたいと思います。
その中で、もちろん、この法律においては、先ほど申し上げたように、最大限法律に落とし込める内容を盛り込んだと政府としては考えておりますが、様々な指摘もしっかり受けながら、引き続き、この実効性を高めるためにはどうしたらいいかという観点から必要な見直しは行っていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/159
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160・音喜多駿
○音喜多駿君 昨日、小川さゆりさんもここに来て、総理の言葉に既に感謝の言葉を述べておられました。期待していることはやっぱり更なる踏み込んだ対応であるというふうに思いますので、是非、総理御自身の言葉で、そしてリーダーシップで今後も改善を進めていっていただきたいということは改めて強く要望したいと思います。
次に、本法案の法解釈についてもお伺いをいたします。
法律の解釈には安定性が必要です。しかしながら、本法案は突貫工事であったことが否めず、それゆえに、この国会審議の質疑、答弁というのも非常に重要になっております。実際、今回、総理などの答弁によって法の解釈の方向性が定まる事項も本法案には多いように見受けられ、困惑の状態や必要不可欠の定義など、新たに国会答弁で示されたものも幾つかありました。
その上で、今後は法律の解説において説明を尽くしていくという答弁がこれ多発されてきたわけでありますけども、このように、法律の解説において説明を尽くすと答弁された事項、これ本来全部列挙していただきたいんですが、幾つか代表的なものを列挙していただきたいんですが、消費者庁、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/160
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161・黒田岳士
○政府参考人(黒田岳士君) ただいま御指摘の例を列挙いたしますと、例えば、新法の第三条の寄附の勧誘を行うに当たってはと、第四条の寄附の勧誘をするに際しの使い分け、例えばその中で、例えばその際しの時間的な概念、今委員の御指摘の困惑の規定の趣旨とか必要不可欠の規定の趣旨、またさらに、修正後の新法第七条の禁止行為に係る報告や勧告を発動する要件等が御議論されたと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/161
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162・音喜多駿
○音喜多駿君 今次長が挙げていただいたところ、まさに本当に重要なところで、我々野党としては、改善を、もちろん法律に明確に書き込んでほしい、あるいは条文に書いてほしいと主張してきたポイントでもあるんですが、こうしたことは現状法律の解説において説明を尽くしていくと、そういう状態としてとどめ置かれている。これからの対応が重要だということになっているわけでありますので、これ確実に遂行していただく必要があると思います。
政府は、この法律の解説、すなわち逐条解説やガイドライン、これ作成するということはもう約束されているわけですが、これ実効性確保のために本当極めて重要なんですが、そうした詳細な逐条解説やガイドラインの作成は、これ罰則の施行というのを待たずに、これ早急に作成、公表すべきと考えます。いつ頃までの公表を目指すのか。また、これまでにも上がった本法に対する種々の疑問に対する回答について、規制の対象となる法人のみならず、被害者や被害者家族にどのような広報体制をしいていくのか。この点を総理にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/162
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163・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 被害の救済と再発防止に当たっては、これまで被害に遭われた皆様、また、これから被害に遭う可能性のある国民の皆様に法律の内容をよく御認識いただく必要があると考えています。また、今回新たに措置された禁止規定や配慮義務については、各種法人等に対しても制度の内容をしっかりと説明していく必要があると考えています。
法律が成立したならば、まずは政省令の整理が必要となると思いますが、政府としては、できるだけこの作業を急ぎ、年初には逐条解説等の作成に努め、ホームページへの掲載を始め、様々な方法を通じて積極的かつ広範な周知に努めてまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/163
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164・音喜多駿
○音喜多駿君 年初にはという具体的な時期も明言いただきまして、ありがとうございます。
これ、完成したら出すんじゃなくて、もうできたところから、確定したところからもう随時出していただいて、被害者救済に資するような、弁護団の方が参考にできる、被害者の方々もこれなら私がこの法律使えるかもしれないと、そういう情報を積極的にもう年初から次々に発信していただきたいと思いますので、是非とも総理のリーダーシップで推し進めていただいて、もちろん河野大臣も一緒に御尽力いただきたいというふうによろしくお願いを申し上げます。
次に、最後に入ったこの修正案についてお伺いをしたいと思います。
この最終最後、修正案、与野党で整いまして、この配慮義務の点に関して、十分にという文言が入ったことばかりが注目されがちなんですが、実はこれ、法律の構成が変わっていること、これ余り皆さん報道してくれないし注目してないんですが、この法律の構成が変わっていることが重要なんだと私は受け止めています。具体的には、修正案では、配慮義務については総則ではなくて寄附の不当な勧誘防止の一節に入りました。
この法律の構成の変更は、法律の持つ実効性や説得力を向上させる上で意義のあるものであると私は捉えているんですが、この修正案を受け手である消費者庁はどのように評価されているのか、消費者庁にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/164
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165・黒田岳士
○政府参考人(黒田岳士君) 配慮義務が、禁止行為、これ四条、五条でございますが、や違反に対する措置、六条、七条と並んで第二章の寄附の不当な勧誘を防止するための規定として位置付けられ、単なる民事ルールにとどまらず、行政的な措置により担保される義務とされ、その実効性が更に向上したものと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/165
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166・音喜多駿
○音喜多駿君 そうなんですよ。ちょっと端的な答弁いただきましたけども、これ、当初の政府案だと、この配慮義務というのはどういう位置付けなのかというのはこれ不明確だったと私は思うんですね。このいろんな協議の中で、言わば妥協の産物かのように、後付けで入ったかのようにもややもすると見えていたものが、今回この法律の構成が明確になって、一定の効果に結び付くものになったのではないかと、私もこれは立法事務者の一人として捉えています。
これ、総理にもまた念のためお伺いしたいんですが、こうした法律の構成が更に変わったこと、配慮義務の遵守に係る勧告等の行政処分が入ったこと、さらに、十分にという条文修正によって配慮義務の実効性が向上したというふうに考えますが、総理の受け止めと、実効性の確保についてのお考えを改めてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/166
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167・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の修正によって、法律等の寄附の勧誘に当たっての配慮義務がより一層遵守されるべきものとして明確化されるとともに、行政措置により配慮義務違反に対しても適正化に向けた是正を促すことができることとなり、法律の実効性、これは向上したものであると考えます。
政府としては、法案が成立した際には、修正の趣旨も踏まえ、法律の適正な運用を行っていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/167
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168・音喜多駿
○音喜多駿君 これ、もちろん、修正がなされてもまだまだと、もっと改善できたという思いはあります。ただ、政府・与党が修正協議に真摯に応じていただいたことには感謝を申し上げたいと思います。
今後は、この実効性が確保しっかりされているか、ある程度これ短い期間で、そんな長く一年二年ということじゃなくて、短い期間で振り返って、不備があれば、改善点があれば本法案の更なるブラッシュアップをしていくと、そのように考えておりますので、その点、是非、政府・与党にも御協力をお願いしたいというふうに思います。
ちょっと通告の順番変えまして、次に、違反行為に対する効果について、大項目五番目について飛んで伺いたいというふうに思います。
本法案の行政措置として最も強い効果を持つものが、これ公表です。特に、社会的に問題がある宗教法人については、公表がされることはこれは大きな影響力があると思われます。行政措置の公表がされるほど悪質な行為を繰り返している団体というのは、その法人格の存立が疑われる事態だとも思われます。
そこで、これ総理に是非確認したいんですが、本法案に基づく行政措置がなされた場合、それは宗教法人法の質問権の行使にどのような影響を与えると考えておられるのか。私は、特にこの公表しても一向に態度が改まらない場合などです、その先にはこれ行政処分はないわけで、刑事罰はないわけですけども、でも、公表しても例えば直らない、こういった場合などは、この結果は質問権の発動に向けた重要な考慮要素の一つになり得ると私は理解していますが、それで間違いがないかどうか、総理の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/168
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169・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 新法案第七条三項の内閣総理大臣からの命令を受けて公表された法人等は、新法案の義務に違反する行為をしていると認められたことを意味することから、宗教法人法に基づく報告徴収・質問権を行使する際の一般的な基準、この基準に照らして、報告徴収・質問権の行使を判断するに当たっての疑いの根拠となり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/169
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170・音喜多駿
○音喜多駿君 根拠になり得ると明確な答弁いただきました。参考人、大丈夫ですか、それで。間違いないですね、はい。ありがとうございます。
ですので、やはりこの行政処分は今回刑事罰には直結しないわけではありますけども、配慮義務違反、こうしたものを繰り返していれば、当然質問権、その先にある解散権まで影響があるということで理解をしたいと、整理をしたいというふうに思います。
そうなると、これ消費者庁と文化庁との連携というのが必要になってくること、それに加えて、こうした社会問題のある宗教団体、いわゆるカルト団体等に対する政府の姿勢について、これ温度差というのを統一する必要があると考えています。
この点、私が与野党協議等々を続けていく中で、消費者庁は、社会的に問題があるトラブル団体、いわゆるカルト宗教団体含めたトラブル団体の規制に言わば積極的だなと感じる一方で、ちょっと文科省さん、文化庁さんは、まあ宗教ということが絡むと、これちょっと極めて後ろ向き、消極的であったということで、非常に強く感じましたので、この点は総理には留意をしていただきたいと思っています。
その上で、文科省所管の宗教法人法には、報告、勧告、命令、公表等のこの行政措置の規定がありません。この点、本法案では、宗教法人にも当然です、報告、勧告、命令、公表等の行政措置が適用されることを踏まえれば、宗教法人法にもこうした行政措置を加える改正を私は検討するべきと考えますけども、総理の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/170
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171・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、宗教法人法は、憲法に定める信教の自由や政教分離を基本として、宗教団体に法人格を与え、自由で自主的な活動をするための基礎を確保することを目的として、そのための手段を定めるものです。
一方、新法案は、寄附の勧誘の結果としての個人の権利が侵害されることを防止するため、対象となる法人類型を限定せず、各法人が寄附の勧誘のためにする行為に着目をして不当な寄附の勧誘を禁止するとともに、そのような法人等に対する行政上の措置等を定めるものであります。
このように、それぞれ法律の目的が異なっており、また、新法案の制定に伴い宗教法人法にも適用される行政措置が新たに設けられることになるため、宗教法人法に新法案に定めるのと同様の行政措置を更に設ける必要はないと考えています。
いずれにせよ、御指摘の宗教法人法の改正等については、まずは新法を含めて政府の現下の対応に万全を期した上で議論されるべき課題であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/171
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172・音喜多駿
○音喜多駿君 総理は、まあ文科省だか文化庁が用意した答弁を忠実に今多分読み上げられているので、そういう結論にはなるんだと思いますが、確かに宗教法人法は第一条で法律上の能力を与えること、これを目的としており、他の行政法に見られるような当事者団体の適切な管理や規制を直接の目的とはしておりません。また、信教の自由も非常に大切です。
しかしながら、法律上の能力を与えることが目的であるというのであれば、これ、裏を返せば、社会的に問題があり、法律上の能力を与えることがふさわしくないと思われる団体には段階的に法律上の能力を制限するということは、これはあってしかるべきであり、目的は表裏一体で、むしろ沿っていると言えるんじゃないかと私は思います。
質問権と解散請求の間のきめ細やかな行政措置を用意することは可能である、これはむしろ宗教団体にとってもプラスになる側面も私は大きいんじゃないかなというふうに思います。ただ、先ほど来申し上げているように、どうにも政府はこの宗教法人法の改正というには消極的、手を着けたがっていないのかなというふうに見受けられます。
そこで、この残された課題である宗教法人法の改正について少し是非議論させていただきたいんですが、というのも、この政府が消極的であることの一つの証左として、先日、衆議院の同じこの本法案の審議において、我が党の堀場幸子議員の宗教法人法改正に関する質問に対して答弁に立った簗文科副大臣が、新法に対する答弁として呼ばれているので、宗教法人法改正の話はできないという答弁をされていました。これ、ちょっとあり得ない話だと私思います。
法案というのは効果が複雑に絡み合っているものであり、だからこそ事前に通告をした上で広範な質疑を、議員とそして答弁者で質疑応答を行うわけです。実際、この参議院の審議の場においては、そのような答弁拒否は今のところ起こっていないわけです。さきの衆議院での法案審議における答弁拒否、この対応は国会の答弁としては誠に不誠実なものであり、文科省、文科副大臣としてはこれ明らかな怠慢ではないかと考えますが、総理、どう思われますか。見解をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/172
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173・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 簗文部科学副大臣の答弁、この趣旨は、まず宗教法人法を改正する必要はないという認識を述べた上で、まず今は、新法を含めこの現下の様々な取組を実施し、被害者の救済や被害の予防に万全を期すこと、これが大事であるという趣旨で答えたものであると理解をしています。
今後、こういった趣旨がより明確に伝わるよう、丁寧な答弁に努めさせたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/173
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174・音喜多駿
○音喜多駿君 ここはそんなに言い争って時間を使いたくありませんけども、見ている側が今の総理の御答弁のように受け取ったかどうかというと、私はちょっと疑問だというふうに思います。
本法律案の立法事実の一つに、旧統一問題に代表される宗教法人の一つによる不当な行為があったということは、これはもう明らかです。もちろん多くの宗教法人は問題なく活動しているわけではありますが、立法事実に関連して宗教法人法の改正の話題が出てくることはこれ当然であって、できればセットで、難しければ将来的に改正が必要ではないかと、そうした思い、考えが当然私、我々にはあります。総理には任命責任がありますから、この点、文科省と副大臣にも対応の改善について厳しく注意をしていただきたいというふうに思います。
繰り返しになりますが、総理も先ほど来申し上げられているように、本法案だけではこの被害の全てというのは解決はできません。これは皆さん認めていることだと思います。先ほど申し上げた報告、勧告、命令、公表といった行政措置を宗教法人法に追加するということも必要だと思いますし、今回は見送られた数値による高額寄附の上限規制、これも再検討するべきと考えます。
また、領収書が双方になくて寄附をしたことが証明できないと、これ、旧統一教会で実際に返還を拒否されたと、記録が残っていないから幾ら返せばいいか分かりません、返せませんということで拒否をされたという事例も実際に直近で報道されました。ゆえに、この寄附した際の領収書の記録、保管を、主たる受取手である宗教法人あるいは法人に義務付けるということも検討する必要があります。こうした論点は、引き続き議論、検討、やっていくべきだと考えますが、総理の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/174
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175・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今、法案の審議をお願いしていますが、法律が成立した後も、その実効性を高めるために何をしなければならないのか、政府としても努力しなければならないと思います。
法律の解釈の明確化、もちろんでありますし、法律をより活用しやすくするために様々な相談窓口を用意し、そして支援をしていく、こうしたことも重要です。そして、それと併せて、法案の見直しということについても、まずは法、法律の適用の状況ですとか社会の変化、これを見る、一定のこの法律施行の経過を見なければならないとは思いますが、その上で、必要な見直しについても、引き続き多くの関係者の意見を聞きながら検討していく姿勢は政府としても大事にしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/175
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176・音喜多駿
○音喜多駿君 ありがとうございます。
ちょっとこれ、一個、更問いで総理に聞きたいんですが、特にこの寄附金のこの領収書の保管というのがやはり極めて重要だと思っていまして、さきに前段で、寄附のやっぱり文化を醸成していくためには明確なルールを設けることがむしろ資するんだと、寄附文化の醸成にも資するんだというようなやり取りもさせていただきました。やっぱり今、寄附というのは、現金で払って、お気持ちだからということで領収書を発行したりとかそんな不粋なことはしないというか、そういう形でやっぱり右から左に、記録が残らないということが多いわけですよ。ただ、我々政治家だって、当然、寄附をもらえば領収書を発行して、一定以上は公開義務があると。
こういう寄附に対して、やっぱり領収書を一定金額以上はちゃんと記録しなさいということは、私はむしろ寄附文化のしっかりルール作って、寄附文化醸成していくことに同じように資すると思いますけども、この点、ちょっと総理の思いというか、お考えをお聞かせいただきたいんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/176
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177・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、法律が成立した後、この法律の実効性を高めるべく、政府としては最大限努力をしていきたいと思います。その際に、寄附に際した際の領収書のこの記録の義務付け等の論点については、この法律をしっかり施行する、そして実効性を高める、そういった努力をした上でまた議論されるべき議論であると思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/177
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178・音喜多駿
○音喜多駿君 ありがとうございます、お答えいただきまして。やっぱりちょっと歯切れが悪いなと思うんですけれども。
ただ、もうこれ多分総理もお気付きのように、いかに悪質な寄附が取り消せる、あるいは取り返せるというような法律ができても、記録が残ってなければ、そこからですね、もうその入口の手前から話が始まるわけですから、やっぱりこの領収書、この寄附の記録をどう位置付けるかということは、まさに実効性を高めるための一丁目一番地の議論であると他の委員からも御指摘がありましたけども、これはもう最優先で議論していただきたいというふうに思いますので、強くお願いを申し上げます。
加えて、この宗教法人については、もう一つの論点として、これ税制があります。社会的に問題があると思われている団体にまで優遇された税制が認められるのかという問題、これはずっと強く指摘をされていることであり、国民の多くが強く矛盾を感じています。総理はこうした声をどのように受け止めていらっしゃるか。
悪質なトラブル団体まで税制優遇の対象とならないように、宗教法人に認定されれば即座に全てこの宗教法人としての税制優遇がされるという仕組みではなくて、宗教法人の認定基準と税制優遇の基準をこれ分けると、そういったことも一案と考えますけども、総理の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/178
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179・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の税制措置ですが、これ宗教法人が他の公益法人等と同様に公益的な活動を目的とする組織と位置付けられているから措置されているものと考えております。
御指摘のように、仮に宗教法人のみを別に取り扱うということは、こうした現状の取扱いや、宗教法人法第八十四条に、宗教法人に対する公租公課に関係がある法令を制定し、若しくは改廃する場合においては、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないよう特に留意しなければならないと規定されている、この規定等を踏まえた上で慎重に議論される必要があると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/179
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180・音喜多駿
○音喜多駿君 他の公益法人も認可はされれば一律で税制は優遇されていると、そういったお話かと思いますが、ただ、宗教法人は他の公益法人等と異なって、公益性があるものと認められるとしても政教分離の原則等の関係から公的補助というのが受け取ることができない、こうした違いがあるわけですね。ゆえに、公的補助が大っぴらに受けられる他の公益法人等とはその存立意義というのがやや異なります。これは宗教法人が他の公益法人等とは異なった性格を有する法人形態であるということを意味していると思います。
宗教に関する税制上の位置付けは、宗教には公益性があるものと認めた上で、適切なこれは立法政策に委ねられるというふうに理解ができます。すなわち、これ税制については他の公益法人等とは別の制度を設けても、私はこれは許されることではないかというふうに思います。
信頼される税務行政のためには、これ社会的な共感ということが必要であります。一般市民の目から見て、やはりトラブル体質、こうしたものを構造を秘めていると思われるような悪質な団体については、その税制が優遇されていて税務行政に支障が出てくると、こういうことがあってはなりませんから、是非、税制についても検討を加えていただく。
諸外国では、宗教法人の認定と税制優遇が別々に審査される、別に規定されているという国もありますので、これはすなわちイコールではないという前提に立って、これは聖域なく議論をしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
では、残された最後の十分で、最後にこの未成年者からの請求について幾つか伺っていきたいと思います。
本法案の作成に当たっては、親が信者という宗教二世や、その困難にも注目が集まりました。その中でも、親が多額の寄附をすることで生活困窮や家庭崩壊など子供たちの経済的な被害が明るみになり、このような問題を解決する一つの手段として返還請求というのがあるわけであります。
しかしながら、本法案では、扶養義務に基づく返還請求は主に未成年が対象となり、成人した家族は多くの場合で請求の対象外です。また、未成年者が親の意向に反して取戻しを請求するのは現実的には困難ではないかということも、これは数多く指摘をされています。
具体的にどういうプロセスでこれ使われるかというのが私はいまだに余り想像が付かないんですけども、具体的にどういうことが想定されるのか、これ消費者庁の参考人にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/180
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181・黒田岳士
○政府参考人(黒田岳士君) 委員御指摘の扶養の義務につきましては、この新法の第十条第四項第四号で定めておりますが、直系血族及び兄弟姉妹が対象でありまして、主として未成年が対象となることが多いものと考えております。しかし、例えば病弱であるなど個別具体的な事情がある場合には、成人した家族も救済の対象とはなり得ると考えております。
この親権者による適切な親権の行使が期待できないなどの場合の未成年者の権利の行使につきましては、親権の停止、未成年後見人の選任、親権者と子との利益が相反するときの特別代理人の選任など、各種の手続が存在しております。未成年自らが、未成年者自ら訴訟等の手続を行うことは実際上困難な場合もございますので、法テラスと関係機関が連携した相談体制の充実を行っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/181
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182・音喜多駿
○音喜多駿君 これ、もう昨日来ずっとこの相談体制の強化ということ言われているんですけども、これ具体的には出てこないかもしれない。
例えばですよ、やはり、じゃ、十歳とか十二歳とか、まだまだなかなか意識もはっきりできないような子供が自分の被害に少し気付いたというときに、ただ、やはり取り返せるものは扶養請求権、扶養の内であって、親が一億円、二億円献金したとしても、ごく一部しか取り返せないと。具体的にそれをやっぱり法律にまで、法律家につなげて訴訟までできるっていうことは私どうしても想定できないんですけども、そういう場合も相談窓口から何か対応できるんですか。十歳の音喜多駿君が電話しましたと、私の親はこういうことですと、何とかしてくださいと言ったら、これは果たしてこういう立法の行使につなげられるのかというと、その辺、いかがなものなんでしょうか。伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/182
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183・黒田岳士
○政府参考人(黒田岳士君) そういったいかなる場合でも対応できるような形で相談体制を工夫していきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/183
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184・音喜多駿
○音喜多駿君 何かすごい前向きな答弁ではあるんですけど、もうちょっと、是非、そういったケースがなかなか私はやっぱり救済につなげられないんじゃないかという懸念はありますけども、相談にはしっかり応じていただいて、具体的な救済につなげていただきたいと思います。
未成年自身ですと、やっぱり実際には、親の意向に反してこれ取戻し請求することはやっぱり難しいと私は思います。法テラスとの連携という話も上がりましたが、そうはいっても、より身近に相談してきた人というのがやはりこういう救済においては理想なんだろうと思います。
それで、私が想像するに、一つあり得るとすれば、やっぱり児童相談所、その未成年の、何らか、親が両親共に宗教、悪質な宗教に被害に遭ってしまって、でも本人たち自覚がない、子供としてどうしようってなったときに、助けを求めて手を差し伸べられるのは、やっぱり今の機能だと児童相談所なわけですね。
そうすると、この児童相談所の所長なり職員なりが、これは、未成年者が例えばこういう権利を行使したい、請求する際に必要である特別代理人に、児童相談所の職員、所長などふだんからこの支援に関わる行政官がなれるのかどうか、また児童相談所に勤める弁護士であればどうか、これ厚生労働省の参考人にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/184
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185・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
御指摘の特別代理人でございますけれども、これ裁判所が選任するということで、その選任のための資格、例えば法曹資格がないと駄目とか、そういったような要件というのは特段設けられていないものというふうに承知をしております。
具体的にどのような方が特別代理人に選任されるのかというのは、そういうことでは裁判所において個別の事例ごとに判断されるというふうに承知をしておりますので、一概に申し上げるのはなかなか難しいところではございます。そうした中で、児童相談所の職員であるとか弁護士が選任されるということも、この要件が特に定められていないという点においては、こういった方々が選任されるということもあらかじめ排除されているものではないというふうに受け止めてはおります。
その上でではございますけれども、児童相談所といいますのは、現在はやはり児童虐待等の相談対応に忙殺されている状況でもございます。さらには、その役割としては親子関係の調整を担っていくという業務を担っているというような機関でもございます。そういう意味で、現実的には、まず事実行為として特別代理人選任の手続を紹介したり、あるいは法テラスの利用をサポートしていくといったことが基本になるのではないのかなというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/185
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186・音喜多駿
○音喜多駿君 詳細な御答弁ありがとうございます。
選択肢で排除されないと。最初、行政官だとなれないんじゃないかとか、いろんなちょっとやり取りもさせていただきたいんですが、可能性としてはあり得るということで整理をさせていただきました。
というのは、私もこの社会的養護の問題というのはずっと地方議員時代から取り組んでまいりましたけども、この未成年者が何か権利を行使したいと、例えば家を借りたいとかいうときに、ただ、親の同意、成人の同意がないと何もできないというときには、施設長であるとか児相の関係者というのが、この代理人というか連帯保証人ですか、その保証人になると、そうしたケースも見てきましたので、やはりこういった身近な行政官というのがなる可能性というのもあるんじゃないかなというふうに思います。
こうした、今おっしゃっていただいたように、ただ、さはさりとて、児童相談所の職員というのは、本当に今、虐待、今ある虐待対応などに忙殺されている、もうケース百件とか百二十件一人当たり持っているような状況で、そして今回、この宗教被害というのは、やはり最初消費者庁から答弁あったように、今までややもすると児童相談所は介入できないということで、少し困難だということで避けてきた面もあると思うんですが、今後は、そうしたことも当然避けなければなりませんから、更なる体制強化、専門性を充実させて人員も強化していくということが必要になるというふうに思いますし、じゃ、法的対応力を有するやはり弁護士と連携をするべきです。
現在、一部の児童相談所には常勤弁護士も配置されておりますけども、やはり、これ全ての児童相談所に常勤弁護士を配置するなど、児童相談所のこの体制強化、この必要性というのは今回の件を受けて一層高まったというふうに考えますけども、総理のこの御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/186
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187・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 児童相談所においては、法的な検討を要する事案にも常時適切に対応できるよう、児童福祉法上、弁護士の配置又はこれに準ずる措置を行うこととされており、国としても弁護士配置のための支援、これを行っております。
こうした取組の結果として、現在、全ての児童相談所において弁護士の配置又は弁護士事務所との委託契約の締結をしており、弁護士との協力体制、これを構築しております。
また、弁護士の配置等のほか、児童福祉司や児童心理司の増員に関しても、年内にプランをまとめて着実な実行に取り組むこととしております。さらに、法テラス等の関係機関との連携を強化するなど、児童相談所の充実図ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/187
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188・音喜多駿
○音喜多駿君 今御答弁いただけたように、政府が着手して頑張っていらっしゃるということは私も存じているんですが、もう必要であればより一層予算付けて、本当スピード感を持って進めていただきたいというふうに思います。まだまだ常勤弁護士じゃなくて非常勤弁護士というところも多いかと思いますので、是非実態確認の方もよろしくお願いしたいというふうに思います。
さて、未成年者からの請求の実効性確保については、やはり前提としてこの児童虐待防止、いわゆる二世被害の実態把握ということも重要です。これは、これにおいては、縦割り解消を目的に設立されるこども家庭庁、この役割も私は大きく期待されているんじゃないかというふうに考えています。
本法案成立後に見込まれる省庁との連携の枠組みにこのこども家庭庁というのを、子供の視点からこども家庭庁を参画させる予定はあるのかどうか、この点を岸田総理にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/188
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189・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 二世被害問題の実態把握、これは重要であると考えており、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議には既に厚生労働省の子ども家庭局も構成員として入っており、来年設立が予定されるこども家庭庁も引き続きこの問題に取り組んでまいります。新法成立後には、新法の法執行についても、こども家庭庁を含めて関係省庁の連携の下でしっかりと取り組んでまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/189
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190・音喜多駿
○音喜多駿君 前日にもこの事前のレクチャーで、こども家庭庁の準備室にこれどのように対応していくのかと尋ねたところ、もう声が掛かればこれは前向きに当然対応していくということを担当者の方も述べておりました。
こども家庭庁には、関連する省庁の縦割り解消を含めて取り組むこと、この機能がすごい期待されていますので、是非これは進めていただきたいというふうに思います。
この新法も、やはり完全なものではなくて、見直しが不断に必要であります。そのためには、現在把握し切れていない被害の実態を明らかにして、今後の改正や運用面で実効性を担保するためにも、まずはこれ実態把握というのがこれ当然必要になってくると考えます。
具体的には、やっぱりこの子供の面というのがまだやはり非常に弱いと思いますので、未成年者のこの被害実態を今後どのように把握していくのか、現在いわゆる宗教二世と呼ばれている方々にどのような問題があるか、これ行政として幅広く調査を改めてする考えはないかどうか、この点を岸田総理にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/190
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191・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 現在、法テラスに霊感商法等対応ダイヤルを設置し、関係団体の連携の下、旧統一教会問題を含め、相談対応を行っているところです。
このような相談対応の結果、これを分析しながら、未成年や宗教二世の方の被害実態の把握に努めていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/191
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192・音喜多駿
○音喜多駿君 そういった被害の実態、これしっかり把握していくと、宗教二世も含めてということであると思いますので、これ是非お願いしたいと思います。
宗教、いわゆる宗教二世であるがゆえに、運動会や遠足などの学校行事に参加できない、そういった事案などもこれは多数聞いております。
我が国が批准しております子どもの権利条約には、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利があります。加えて、我が国の憲法では、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利が尊重されています。
これは、一つの信仰というのを理由に制限されてよいものではありません。これ以上子供たちの被害が及ばないように、幅広く調査を行っていただきたいということをお願いしたいと思います。
ちょうどお時間となりました。この議員立法、三か月間にわたりまして実務者として関わらせていただいて、本日成立見込みでございますけども、本日をスタート地点として、より良いものをつくり上げていくために、政府・与党ともしっかりと引き続き議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/192
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193・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時二十五分休憩
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午後一時二十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/193
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194・松沢成文
○委員長(松沢成文君) ただいまから消費者問題に関する特別委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案及び法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案の両案を一括して議題とし、内閣総理大臣に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/194
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195・田村まみ
○田村まみ君 皆様、お疲れさまです。国民民主党・新緑風会の田村まみです。
今ほど議題になりました新法もそうなんですけれども、今日は、まず初めに、私、消費者契約法の質問をさせていただきたいと思います。
通告の一と二を、総理、まとめてさせていただこうと思うんですけれども、前回の通常国会における消費者契約法の改正の議論の際も消費者契約法の抜本的見直しを求める声が上がっていましたし、参考人質疑もやりましたけども、皆さん口々におっしゃっていましたが、特に取消し権の書きぶりについては、そこの解釈について、質疑多く時間取られたわけなんですね。
ただ、やっぱり、取消し権は強い効果と事業者の行為規範としての機能を持つということから、事業者の予見可能性、それを確保するためということで要件の明確化を満たすことが必要であるとの考えから、誰もが本来脆弱な状況に陥って付け込まれる可能性があるんですけれども、どうしてもそこから議論が引き戻されるっていう繰り返しが、昨日の参考人、増田参考人からも平成三十年の議論まで戻る話になるっていうようなこともありました。
附帯決議、消費者契約法の前回の附帯決議では、消費者契約法の消費者法令における役割等を多角的な見地から整理し、抜本的かつ網羅的なルール設定の在り方について検討すること、これが付されております。
今回の消費者契約法はあくまで旧統一教会問題を受けた対応であって、付け込み型契約等について一部進展は見られたものの、いわゆるこの附帯決議に付されている抜本的見直しというものになっていません。法律ができて、ここに不具合があるということでちょっとずつ直していったんですけども、そうすると、どんどんどんどん狭まっていって、本来脆弱な消費者の皆さんのためにどうやってこの法律考えていくのかというところが見えづらくなっているってことなのかなというふうに思っています。
この野党や国民の世論から、その求めに応じて今国会での法案提出を総理が指示したことで、政府、与野党が力を合わせて新法もできましたし、何よりも、消費者契約法が本当になかなか動かないって言われているのにこういう改正ができたということの結果になりそうです。
是非、この消費者契約法の抜本的見直しですね、いわゆる脆弱な消費者の人たちにしっかりと焦点を当てていく、こういう見直し、是非やっていただきたいというふうに思うんですけれども、総理の消費者契約法の全体の見直しの必要性の認識と、その見直しのスケジュール感、是非総理にリーダーシップを持って示していただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/195
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196・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、委員御指摘のように、さきの通常国会における消費者契約法の改正法案の審議において、既存の枠組みにとらわれない抜本的かつ網羅的なルール設定の在り方について検討を開始すべき旨の附帯決議、これが付されました。
この附帯決議を踏まえ、現在、消費者庁において有識者懇談会を開催し、消費者契約法を含めた消費者法全体の抜本的な見直しに向けた検討を進めているところです。
そうしますと、この検討の範囲、かなり広範なものになります。また、これ関係者の数、これが多数に上る、こうした点もあります。こういったことから、見直しの具体化には相応の時間を要するということを報告を受けています。ただ、そういった状況にはありますが、河野大臣の下でスピード感を持ってこうした取組を進めてもらいたいと思っております。
政府としても、御指摘の点等も踏まえながら、大変この大きな作業が予想はされますが、最大限のスピード感を持って取り組んでいきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/196
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197・田村まみ
○田村まみ君 最大限のスピードというふうにいただきました。
本当に、私も国会に送ってもらって今四年目が始まっているんですけども、三年前から消費者問題特別委員会でこの消費者契約法の取消し権の話になると、どうしてもやっぱり事業者の人たちの予見可能性みたいなことも出てくるし、あとは、その消費者の脆弱性というところにどうやってそこを定義していくかというところの難しさがあります。
今回の旧統一教会の信者の入信の入口ということも考えたときに、やっぱり、例えば学生さんで大学に受かるかどうか不安になっている状態とかというのも、ふだんははつらつとして生活していても脆弱な状態に陥っているとか、そういう、この消費者契約法の中での脆弱性というところというのはいろんなことに私つながっていくというふうに思いますので、言っていただいたとおり、多くのステークホルダーがいるという意味では、議論の時間、意見を聞いていく時間というのは時間が掛かるんですけども、やっぱりここ重要だというふうに思いますので、その日数詰めて、今回もこの質疑、日数詰めて大事な話やっていますから、たくさんの人を寄せて聞く話だったり、しっかりと議論することと時間というのは、それはやり方次第だというふうに思いますので、是非お願いします。
次に、今日も議題になりましたけれども、過去の被害者の皆さんの救済というところがなかなか難しいというところが議論になっています。
新法となる法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案について、これ伺っていきたいんですけども、今日も音喜多委員からもありました、法律案には救済という言葉が一言も書かれていません。私、昨日も河野大臣にもお伺いしたんですよね。この法案について、報道等では被害者救済法案だったり、新聞の紙面の見出しだと救済法とかいうふうな形で報道されています。
昨日、参考人の皆さんに、実は河野大臣に質問した後にお伺いしたんですよね。
宮下参考人、この検討会、消費者の霊感商法の検討会に入られた宮下参考人は、救済へ向けた一歩で、この呼び方、通称というのは不適切と受け止めていないと。これ、法律分かっていて、その議論に関わっていた方たちは、多分、過去の方だったり、今現在進行形なんだけれども、救済の手だてがあるということが御存じなんでこういう発言になるんだろうと。総理の答弁もそういう答弁でした。
しかし、残りの三人の、増田参考人は、中身をなかなか法律として、法律細かく理解できていない一般市民の人たちがどう受け止めるかというところは少し疑問があって、言い方は本当の意味で理解していってもらおうと思ったら少し考えた方がいいと思うとか、元宗教二世の被害者である小川参考人は、世間一般の方が統一教会の被害者が救われると思うだろうが、信仰の強制などこの法案だけで全て救われるわけではない、また阿部、弁護士である参考人は、過去の被害も救済するような印象を抱く方もいると思う、規制法案といった呼び方の方がよいのではないかというような発言をされました。
報道がどう報道するかというのは、もちろんそれぞれ各社の自由であります。しかし、この法律、現実は、法律は施行日より前に遡って適用はされない不遡及がありますし、とりわけ刑罰を遡って適用することは憲法によっても禁じられています。実際、法案名も、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案であって、救済とは一言も明示されていません。
法律の実態と国民の、生活者の皆さんからのイメージ、期待が余り離れてしまうというのは、この法律を有効に機能させていく上では障害になり得る可能性もあるんではないかというふうに思っております。
岸田総理、この救済法案と呼ぶことが駄目と私言わないです。もうここまで来たら、いわゆる旧統一教会の皆さんのいろんな被害を基に議論した法律だということの認識、私コンセンサス取れていると思うんですよね。ただ、今回施行される法律ということをしっかり皆さんに理解してもらおうと思ったときには、この呼び方、通称ということは多少、私、工夫が要ると思うんですよね。
総理、私の今の発言の受け止め、また国民に法律の内容を正しく理解してもらっていくというところの中でのお考え、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/197
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198・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員の方から、この今審議いただいている法律を救済法案と呼ぶことについてどう考えるかという御質問をいただきました。
まず、この法律、その改正案と新法案、この二つの二法案においても過去の被害救済に対応できるよう最大限の措置を講じているということについては、午前中の質疑の中でも何度か答弁をさせていただきました。消費者契約法の改正案において、取消し権の行使期間を伸ばした上で、時効が完成していない現行の取消し権の行使期間も伸ばすことにするなど救済の範囲を広げるですとか、あるいは、新法の配慮義務について、これはその一つの規範を示すものであり、これが過去の寄附に関する被害について民法上のこの不法行為認定や損害賠償請求といったことについて実務においても考慮される可能性があるとか、それから、いわゆるマインドコントロールを受けている方がこれから寄附の勧誘を受けた場合に、今回この不安に、不安に乗じ寄附勧誘を行うことを禁止行為を、行為とする、こういったことによってこの被害の発生を抑制する効果があるとか、こうした法律の中においてもこの過去の被害救済に対応できる内容を盛り込んでいるということ、これもしっかり説明しておかなければなりません。
さらに加えて、政府の対応としては、過去の、過去被害を受けておられる方の救済としては、何といっても相談体制、これを具体的に現実的に充実させることが何よりも重要だと、こういったことも説明をさせていただいています。
この法律をどう呼ぶかということについて私から触れることは控えますが、この実態をしっかり説明をして、そして何よりも被害、被害からの救済に具体的につなげてもらう、こうしたことに道筋をつくっていかなければならないと思いますし、そのための説明責任も政府としてしっかり果たしていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/198
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199・田村まみ
○田村まみ君 丁寧に御説明いただきました。
前段のところ、救済は全くされないなんて私も思っていません。ただ、この消費者行政の中での法律、先ほど来出ている消費者契約法なんて、一般市民の人でも分かれば、自分は消費者だと理解していて、そのときの契約についての何かの法律なんだなというふうに分かります。
ここの、事やっぱり消費者庁管轄の法律というのは、法律の専門家じゃなくていわゆる一般市民の人たちが使う法律、自分たちの生活の中で関わってくる法律だと思うんですよね。だから、例えばやっぱり悪質寄附規制法とか寄附にまつわる規制法と言った方が、自分が何かを寄附しようと思ったときにどういうふうに守られているかということを見に行きやすくなるんだと思うんですよね。それは、何かこれから寄附文化をという話とかも出ていましたけど、寄附しようと思ったときにいきなり何か自分がだまされるなんて思っていないと思うので、救済されるための法律探してから寄附しようなんて思わないと思うんですよ。
私が申し上げたいところ、そこなんですよね。なので、是非一般の消費者の人たちがこれから寄附文化をもういま一歩醸成させていく、また、いろんな御心配をされている普通に活動されている、寄附を受けながら活動されている人たちが、あなたたち、安心してください、こういうので守られていますからというふうに、寄附のときもあるんですよ、法律というふうに声掛けやすくなるために、私、この名前って大事だということを指摘させていただいています。総理が言ってしまうとなかなかそればっかりが先走ってしまうので、ここでお話しされないということは承知はしますけども、また担当大臣である河野大臣にも是非その工夫はお願いしておきたいというふうに思います。
昨日ちょっと話が、私の説明が悪かったので余り私の意図が通じなかったんで、是非、河野大臣、よかったら、昨日のと今日の話を受けて、今のネーミングの話、何か御感想あれば、通告していないですけども、言っていただいていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/199
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200・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) ようやく委員の意図することは理解いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/200
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201・田村まみ
○田村まみ君 いや、もうそれだけでも私は大分前進できたと思います。昨日どうやって伝えたらいいんだろうと一晩中悩みました。これは翌日の質疑でよかったです。これが来週に持ち越されると一週間ぐらい悩まなきゃいけなくなったと思いますので。是非、消費者の人たちが、一般の人たちが自分たちが寄附行為をするというときに使える法律なんだというふうに認識できるようお願いしたいと思います。
その上で、先ほど、やっぱりまだまだとはいえ、やはり寄附の規制だけですので、これだけじゃ救われないという話、救済されない部分が多くあるということで、旧統一教会及びその関連団体の活動によって、これまで過去被害に遭った方、これを機会に被害を受けていることを認識した方、いわゆる宗教二世の皆さんに対する被害者救済については、今回の法案とは別途に政府として対応、取り組まれるのでしょうか。これまでも何度も御答弁いただいていましたけど、改めて私からもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/201
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202・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 政府として宗教二世の方々に対してこの法案以外にもしっかり対応するかという御質問の趣旨だと思いますが、まず、そのとおりしっかり対応いたします。
宗教二世の方々の置かれている状況は様々でありますが、それに対して、政府として、この法テラスを中心とした関係省庁のネットワークをつくる、そして、未成年者の方等、それぞれの事情に応じて、児童相談所ですとか、それからスクールカウンセラーですとか、様々な機関としっかり連携することによって、具体的にどう対応していいのか、これを専門家も交えて真剣に相談に乗れる体制を用意するなど、この法律以外にも様々な体制を組むことによって宗教二世の方々に寄り添った対応を行っていくことは重要であると認識をしており、それを実践していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/202
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203・田村まみ
○田村まみ君 総理、通告してない質問をします。
先ほどの音喜多委員の質問聞きながら、私もこの質問重なるなと思いながら聞いていたときに、やっぱり孤独な状況、孤立している状況、ここっていうのはやっぱり密接に関係しているんじゃないかというときに、岸田総理になってから、なかなか孤独・孤立担当大臣の活躍の場面が見えないなというふうに思っているんですけど。
私、この連携強化の中で、やっぱりそのいわゆる宗教に入信してしまうというようなことだったり、いろんなことを付け込まれるというときに、やっぱりその孤独だったり孤立だったりという状況、また、被害者の方たちからも話を聞いていると、どうしても閉ざされた中での話だったり家庭内だけの話で、その孤独、孤立な状況になっていくと。最終的にその行き先としてスクールカウンセラーだったりとか精神保健福祉だったりとか書いてあるんですけども、やっぱり、それ網羅的にやっぱり考えようと思ったときには、孤独・孤立担当大臣いらっしゃるわけなんで、是非ここしっかり活躍していただきたいなと思うんですけど、これ、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/203
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204・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 孤独、孤立されて、孤独にあり、そして孤立されている方々に対する配慮、これは大変重要だと思っています。
だからこそ、例えばNPO法人に対する支援ですとか、あるいは子供、未成年の方、子供の、子供さんたちへの支援等を考えますときに、このこども家庭庁を始めとするそういった施設との連携も重要である、こうした視点も大切にしていかなければなりません。
孤独、孤立という視点につき、視点から考えましても、孤独・孤立担当大臣、この担当大臣を中心にこういった連携をしっかり考えていく、こういった体制も政府として用意をしていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/204
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205・田村まみ
○田村まみ君 少子化大臣としては、大分予算委員会でも小倉大臣答弁されていたんですけど、なかなか孤独、孤立という切り口で御活躍が見られないなというふうに思っています。
やっぱりこういう問題、網羅的にですし、やっぱり切り口としては孤独、孤立というのは私重要だと思います。
宗教二世とか若年者と言っているけど、どうもお子さんばっかりというふうに見えているかもしれませんが、いわゆるその宗教二世という方たちも、もう私と同い年ぐらい、四十六歳、五十歳ぐらいになっている方たちもいらっしゃいます。そうすると、やっぱり子供子供というところにばかり今ちょっと焦点も行き過ぎているので、その孤独、孤立というところで見ていただいた上で、その年齢とか属性に合わせてということでの対応必要だと思いますので、是非そこはしっかりリーダーシップ取るようにと、また御指示いただければと思います。通告なしのところ、ありがとうございました。
ここで、済みません、昨日もお伺いして、先ほど来、被害に遭っている方たちのその相談体制、充実強化という話が出ております。
今日、済みません、土曜日なのに警察庁の方に来ていただきました。
この被害者の救済に向けた総合的な相談体制の充実強化のための方策というところ、その先を見ていますと、この警察による適切な関与が挙げられています。いろんな相談対応のところにも行き先で警察っていうのが挙がっていたということで、この報告書にもまとめられています。
直ちに刑罰法令違反とは言えない場合でも、適切な相談機関への紹介、これがなされるかなというのが私いささか心配だったんですよね。やはり、昨日も参考人の小川さゆりさんに聞いたときに、行き先の中で、相談先の中で警察というのも出てきました。
この方策が出た後、この現場への周知徹底だったりとか、宗教というワードが出るとなかなか踏み込んでの対応がしづらいっていうのはいろんなところからも声が出ていますので、この適切な関与についてどのように警察庁として取り組まれるか、答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/205
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206・友井昌宏
○政府参考人(友井昌宏君) お答えいたします。
警察庁におきましては、都道府県警察に対して通達を発出し、旧統一教会関係省庁連絡会議により設置された合同相談窓口における相談の内容や紹介先などの分析結果を提供の上、直ちに刑罰法令違反とは言えない場合も含め、適切な対応を指示しております。
今後とも、関係機関と連携を図るとともに、必要に応じ適切な相談窓口を教示するなど、被害者の救済に資する相談対応に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/206
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207・田村まみ
○田村まみ君 ありがとうございます。
いろんな対応のときに、ついつい一般市民としては警察、交番、頼っちゃうんですよね。私、子供を産めなかったので、児童相談所ってどこにあるかって考えたときに、大分、調べたら遠いところにある。でも、やっぱり交番というのは、いつもふだんから通学路とかに見える場所だったりとか、生活圏内にある場所なので、やっぱり何か被害を受けたっていうときに交番にというところは、私はやっぱり重要な役割を担うと思っています。
信者を教化育成を理由とした家族からの体罰などについて、警察や弁護士、行政に相談に行っても、宗教というワードが出ると門前払いをされると小川さゆりさん、昨日の参考人から発言がありました。この関係省庁がまとめていただいた相談体制強化の方策の中で、今後の取組のところには記載されているんですけれども、事、今言ったように少し遠出がしづらい若者、子供のところの虐待やいじめや貧困等の具体的相談ということで、特に宗教のその教育、教化育成を理由にした虐待というところも被害として挙がっています。
こういうときには、なかなか、先ほど言っていただいたとおり、事件になっているということが認められなくても、刑罰法令に即座に抵触するわけじゃなくても、ちゃんと相談に乗りますっていうんですけど、意外と現場で話を聞くとここのハードルが高いっていうことがありますので、改めて、通達も出していただいたんですけど、今日、是非お願いをしたくて来ていただきました。
総理も、是非その点はまた留意いただければというふうに思います。
委員長、警察庁の方への質問はこれで終わりますので、退室いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/207
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208・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 友井審議官、退室いただいて結構です。御苦労さまでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/208
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209・田村まみ
○田村まみ君 次に、少し飛ばしまして、大きな三ポツの括弧一の⑥まで行きます。済みません、通告なるべく早めにと思って出したので、抜いちゃいました。
岸田総理は、十月十九日の参議院予算委員会で、宗教法人法第八十一条の解散命令の請求要件に民法の不法行為も入り得ると、ここで初めて答弁をされました。新法の第三条の配慮義務違反についても、法令違反として解散命令の請求要件に入り得るとの見解でしょうか。また、宗教法人法の第七十八条について、報告及び質問を求める要件になるのかということ、この配慮義務がその要件になるのかということを伺いたいと思います。新法の方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/209
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210・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 新法案第三条の配慮義務に違反する行為は法律違反となることから、命令、解散命令請求の要件である宗教法人法八十一条一項一号の法令に違反してということに該当し得ると考えます。
また、宗教法人法第七十八条の二に基づく報告徴収・質問権を行使するに当たっては、その要件となっている所轄庁が宗教法人法に定める解散命令事由に該当するような事態についての疑いがあると判断するための一般的な基準が定められており、新法、新法案三条の配慮義務に違反する行為は報告徴収・質問権の行使に、行使を判断するに当たっての疑いの根拠となり得ると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/210
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211・田村まみ
○田村まみ君 その先の判断はそれぞれですが、なり得るという線がつながったということを確認しました。
そもそも、三十年来政治が放置してきた、私自身もこうやって社会の一員として暮らしてきたという中でいくと、この問題について向き合ってなかった時間の方が長かったということ。一方で、この臨時国会で短い時間で解決をしていかなきゃいけないというところで最大限やったということは承知していますが、今後の宗教法人法の改正によるこの献金規制の在り方だったり、またカルト対策の本質的な議論、これがやっぱり必要だというふうに思います。
昨日、簗副大臣や参考人の方はまあなかなか難しい問題だということだというふうに答弁が続いたんですけれども、やっぱりこの問題の始まり、ここだったというふうに思います。是非検討を含めて始めるべきじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか、岸田総理。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/211
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212・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、今、政府としては、旧統一教会の問題に関しまして、一つは宗教法人法に基づく報告徴収・質問権の行使等を通じた事実把握、実態解明、そして二つ目として相談体制の強化による被害者の救済、三つ目として今後同様の被害を生じさせないための法制度の整備、この三つの対策を並行して進めているわけですが、その中で、この三つ目の一つの具体化、具体例といたしまして、消費者契約法の改正案に加えて新法を国会に提出し審議をお願いしている、こうしたことであります。
そして、御指摘のカルト対策あるいはこの宗教法人法の改正、こうした議論は、まずは今申し上げた政府の取組、新法も含めて万全を期してこの取り組んでいく、その上で議論されるべき課題であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/212
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213・田村まみ
○田村まみ君 昨日もほぼ同じ答弁だったんですけど、朝から、昨日からずっと指摘がある、要は、これはあくまでやっぱり寄附の部分が大部分なので、この新法がどうやってきちっと適用されてどんなふうに効果があるかっていうのは見なきゃいけないんですけども、それ以外の課題というところの中で、もちろん海外との、宗教に関わる国民の状況、文化も違うっていうのもそうですけども、このカルト対策っていう、このカルトという定義すらも皆さん様々な形で使っているわけですよね。
なので、やっぱりこの宗教をかたったいろんな悪質な行為をする団体っていうことについての研究だったり、何か対応していかなきゃいけないかっていうこと、これをやることで、結果的にもしかしたら宗教法人法変えるのか、違う対策かってなるかもしれないけど、この問題に正面から向き合わないと、やはり今回の発端となった旧統一教会の問題っていうところ、この一点だけじゃないというふうに私思うので、是非その広いところで御検討いただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか、カルト対策。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/213
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214・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、政府としては、先ほど申し上げた三つの方策を法律成立後もしっかりと進めていかなければならないと思います。そして、法律成立したならば、その実効性を高めるべく様々な取組を進めてまいります。そうした状況をしっかりと把握した上で、その上で議論すべき課題であるということをそのカルト対策等について申し上げているところです。
政府としては、まずは先ほど申し上げた方針をしっかりと追求した上で、その先にこの御指摘の点についても議論をしていくべき課題であると思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/214
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215・田村まみ
○田村まみ君 もう問いませんけど、カルトというとどうしても宗教っていうふうなところが日本の中では多く受け止めてらっしゃる方もいるのかなと。ただ、宗教だけじゃないと思うんです、カルトっていうふうに呼ばれるいろんな定義の中で。だから、そういうことでの是非検討をしていただきたいってことを申し上げましたので、まずは今の新法と今やっている三つの方策というふうにありましたけど、引き続き求めていきたいというふうに思います。
今回のこの寄附規制の新法を立法することになった、そのときに、本当に真っすぐな道だったのかっていうと、元総理が銃弾に倒れて、その犯人の人生の背景が世に出たことから、旧統一教会問題、いわゆる霊感商法、開運商法への対応の強化を求める社会的な要請が高まってきた。それを踏まえて、消費者庁において、河野大臣の強力なリーダーシップによって、霊感商法等の悪質商法への対策検討会、これが開催されて、消費者被害の発生及び拡大の防止を図るための対策を検討するということでやっていきました。
ただ、そのときにもう分かっていたんですけども、霊感商法と呼ばれるものは、物品を介するだけじゃなくて、最近は消費者契約法の範囲外になる寄附や献金が問題になっているんだっていう話が多く出始めたときに、今回の新法でいく、最初、四条の不当勧誘禁止、これですよね、これ、勧誘の禁止、ここがまずいんじゃないかっていうことで、ここから話し合われたと思うんです。
これを禁止したいんだけれども、消費者契約法に入らないから新法を作ろう。で、その後に、勧誘が問題だけども、その寄附とか中身、お金だけじゃなくて、住居だったり土地、また借金をするっていうことで生活に支障が出るから、資金調達方法の悪質性も取り締まろうっていうことで言ったんですけれども、なかなか宗教法人だけ、一つの特定の団体のためだけに法律を作るというのは難しいということで、最後に、やっぱり寄附全体の規制だっていうことで最後の第三条のこの寄附の勧誘配慮義務ができたということがどうもこの禁止規定と配慮義務の認識の難しさを生んだんじゃないかなというふうに私は思っています。
この配慮義務が禁止規定でない問題は、衆議院での修正案で、私は、寄附の不当な勧誘防止の二章に入ったということは少し明確になったというふうには思いますけれども、現場ではまだまだ足りないという声ありますので、是非ここも不断な検討、お願いしたいと思います。
その上で、改めて最後にお伺いしておきます。
岸田総理、八日の衆議院の消費者問題特別委員会において、新法の第三条の配慮義務規定について、民法上の不法行為認定及びそれに基づく損害賠償を容易とする効果が高いとの考えを述べられていますが、損害賠償を容易とする効果が高い、この容易というところ、これ具体的にどういうことを指しているのか、お示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/215
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216・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 配慮義務は、個人が寄附をするか否かについて適切な判断をすることが困難な状況に、状態に陥るなどの結果を招かないよう、寄附勧誘の際の配慮義務を課すものです。
このような配慮義務を規定することで、そうした状態につながるような不当な寄附勧誘行為についてより広く包括的に捉えることができ、民法上の不法行為の認定が容易となると考えます。そして、不法行為が認定されれば、それに基づく損害賠償の請求が可能となります。被害の回復、救済の手段として裁判実務において最も活用されているのは民法上の不法行為に基づく損害賠償請求でありますから、その活用を容易にすることは被害救済実務の実効性に寄与すると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/216
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217・田村まみ
○田村まみ君 確認したい答弁いただきました。
結果的に、とはいえ、三条の配慮の中身を立証することが困難だという主張もあります。消費者契約法の中での付け込み型の話のときも必ずそうなんです。より広く包括的に捉えようと思うと、細かく書き過ぎるとそれ以外のことが抜けてしまうんじゃないか、だからこう広く書くんだ、だけど広かったら当たるかどうかが分かりづらいという、いつもその議論になってしまうので、今回の議事録含めて、しっかりと消費者庁にはその内容を分かるように明示的にQアンドAなり作っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/217
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218・山添拓
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
参議院でこの法案の審議が始まったのは、おととい午後三時の本会議からです。実質丸二日にすぎません。半世紀にわたる政治の不作為が、その責任が問われる中、会期末の日程ありきで一日二日で結論を出してよい問題ではないはずです。これまでの様々な取組には敬意を表しますが、国会は国会です。与党の理事も、おとといから理事会で異例のことと繰り返し発言されています。衆議院で法案に賛成した会派の議員からも、法案の解釈や実効性について疑問を呈する質問も相次いでいます。
総理に伺いますが、こういう中、とにかく通してしまうことが総理の言う丁寧な説明なんですか。この法案は総理にとってそんなに軽いものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/218
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219・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、政府としては、この被害者の方々を救済し、そしてこうした被害が将来に向けて発生しないようにこの法律を作らなければならない、そういった問題意識を強く持ち、この国会において法案を提出するべく総力を挙げてこの努力をしてまいりました。そして、法律の提出を行い、御審議をお願いしている次第です。
そして、国会のありようについては国会の皆様方に御判断いただかなければならないと思いますが、その範囲内で、政府としては最大限、この法律に込めた思い、そして法律の実効性、これを丁寧に説明させていただく努力をしていかなければならないと考えます。
是非、与えられた日程の中で政府として説明責任を果たしていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/219
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220・山添拓
○山添拓君 いや、そんなことないですよ。必要であれば、更に充実した審議ができるようにするべきだと思うんですね。我が党は会期の延長も申し入れてきました。これ自体、異例の対応です。今日、この後、質疑を終局し、採決すること自体に反対だということは表明したいと思います。
昨日の参考人質疑で、元信者二世の小川さゆりさんが意見陳述されました。自らの両親を通して経験された統一協会による被害の数々は、聞くたびにこちらがつらくなるほどのものです。深く傷つき、体調を崩しながらも訴えてきたのは、政府が本当に動いてくれるのか信じられない、被害拡大の張本人の与党側に動きが見られないから被害者がそこまでやるしかなかったという事実を忘れないでいただきたいとお話しでした。
長年の被害に対する政治の責任について、本会議でも総理に質問をいたしました。政府が放置してきたことはお認めになりました。しかし、その根底に自民党と統一協会とが癒着を深めて被害を拡大させてきた、そういう認識をお持ちかという問いにはお答えがありませんでした。お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/220
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221・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、閣僚を含む多くの議員が社会的に問題がある旧統一教会、その関係団体と接点を有していたこと、これが明らかになり、国民の皆様の政治に対する信頼を傷つけたことについて、もう率直におわびを申し上げております。
そして、自民党においては、それぞれこの各議員が旧統一教会との関係、過去の関係、これを詳細に点検、報告をし、説明責任を尽くした上で今後関係を持たない、これを徹底することとしております。
是非、こうしたその自民党としての方針を地方においてもしっかり徹底することによって、自民党の対応について国民の皆様方に御理解をいただき、政治の信頼回復に努めたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/221
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222・山添拓
○山添拓君 地方との話はまた後でお聞きしますので。
多くの自民党の議員の皆さんが票欲しさに接近して、そして広告塔ともなってきたわけですね。その下で被害を拡大させたという認識をお持ちなのかどうかと伺っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/222
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223・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 様々なこのケースがあり、様々な事態があったと思います。しかし、その全体として政治に対する信頼を傷つけたこと、これは重く受け止め、そしておわびを申し上げなければならないと申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/223
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224・山添拓
○山添拓君 そうじゃないですよ。被害を拡大させた、そのことへの認識はお示しにならないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/224
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225・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今申し上げたように、様々なケースがありました。様々な事態の中で全体として政治の信頼を傷つけた、このことについて重く受け止めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/225
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226・山添拓
○山添拓君 いまだに様々とか全体としてということでごまかしになられる。それでは本当に被害救済できるのかということだと思うんですね。
衆議院の参考人質疑で全国弁連の川井弁護士から、昨日は参議院で阿部弁護士から、統一協会の被害救済という意味では新法の内容は余りにも不十分という意見が述べられました。特に政府・与党において被害者の生の声を聞いた時間、量が圧倒的に少なかった、その情報量と理解の差が認識の差になっているという意見も述べられました。
総理は、この法案で救済しようとする統一協会による被害とはどういうものだと認識していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/226
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227・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 政府におきましては、深刻な事態が報じられる中にあって、改めて、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議が設置した合同電話相談窓口や、その機能を継承して法テラスに設置した相談窓口、あるいは全国の消費生活センターなどの各種相談機関等を通じて被害の実態を把握してきたところです。
その相談事例として、金銭トラブル等の法律相談、もちろん多くありましたが、親族間の問題、心の健康に関するものなど様々なものがありました。ただ、その背景には社会的に許容し難い悪質な寄附の勧誘が行われていた場合が多い、こうした認識の下に今回法律の作成を指示し、そして国会の、国会において法案の審議をお願いしている、こうしたことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/227
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228・山添拓
○山添拓君 その悪質さの中身を伺っているんですね。正体を隠し、知らないうちに教化する、やがて義務感や使命感で自発的に献金するようになる、こういう被害実態をどこまで把握して法案提出に至ったのかが問われると思います。
本会議で、献金を求める際の記録について制度化が必要ではないかと質問しました。今日も少し議論がありました。長い期間を経て脱会し、賠償請求しようと思ったときには記録がないと、証拠集めのためにまた長い時間が掛かる、そういう事例もあると伺います。ところが、総理の答弁は、銀行から取引履歴を入手するなどして、寄附をした日時や金額を明らかにすることも可能というものでした。
資料をお配りしています。宗教二世に取られた緊急アンケートです。献金の証明について法律でどんな条件が必要かという問いに、一番多いのは領収書の交付義務、七六・六%、次が帳簿等記録の長期保存義務、七三・四%。
やはりこういう被害の実態あるいは声に向き合って対策取っていくことが必要なんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/228
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229・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げたような取組で本当に多くの方々の声を聞いてきました。そして、この御指摘のようなアンケートも政府としてしっかり受け止めなければならないと思います。しかし、その全体の中でこの具体的な事例を考えましたときに、法、日本の法体系において法律の中に盛り込まれる要素、できるだけ盛り込まなければいけない、こうしたことで法律の作成に臨んできました。
様々な指摘は引き続きしっかりと受け止めますが、この法律の成立、執行はこの大きな救済の手掛かりになると考えております。その上で、様々な声も引き続き聞きながら、法律の執行状況もしっかり確認した上で、必要な見直し等についても考えていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/229
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230・山添拓
○山添拓君 これは、被害救済に取り組んできた全国弁連からも提起されている内容です。高額の寄附を受け取った場合に帳簿の作成を義務付け、寄附をした本人から求められたときは帳簿の開示を義務付ける、そういう仕組みは十分検討に値すると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/230
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231・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今回用意した法律においても、多くの事態において被害の救済につながるものであると思っています。まずはこの法律をしっかり執行させ、実効性を上げていきたいと思います。その上で、様々な御指摘についても引き続きしっかりと伺いながら、法律のこの執行状況もしっかり確認した上で、必要であれば見直しは考えていく、これが政府の方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/231
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232・山添拓
○山添拓君 取消し権があっても幾らが被害額かも把握し難いと、そういう事実が既にあるわけです。今朝も議論がありました。やっぱりこれは検討していただきたいと思います。
法案四条六号の禁止規定について伺います。
マインドコントロールされた下での被害救済に実効性があるのか、これが一番の焦点です。義務感や使命感から献金する、本人が困惑していない場合に取消し権の対象になるのか、これ、条文上は明確ではありません。総理が、寄附当時は困惑しているか判断できない状態でも、脱会後に冷静になって考えると、当時、不安に乗じて困惑して寄附をしたということであれば、そのような主張、立証を行って取消し権の行使は可能と、こういうふうに述べて解釈を拡大されました。
昨日、この委員会で消費者庁に伺いますと、困惑には何となく二種類あるという答弁があったんですね。本当は帰ってほしいのに帰ってくれない、内心帰ってくれと思いながら無理やりサインさせられたというような本人が自覚している場合の困惑と、いわゆるマインドコントロール下で困惑していること自体に本人が気付いていない場合の困惑があるのだと、そういうことだったんですが、総理、困惑に二つあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/232
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233・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) 昨日申し上げたのは、本人が自覚している困惑と、本人が当時はマインドコントロール下にあって自覚していないけども後から気付いてそのときに困惑していた、これは取消しの対象になる、そういうものがある、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/233
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234・山添拓
○山添拓君 その二つの困惑は、法律上、別々に規定されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/234
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235・黒田岳士
○政府参考人(黒田岳士君) ここでいう困惑で規定しています。だから、別々に規定はしていません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/235
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236・山添拓
○山添拓君 義務感や使命感に基づいて自発的に献金するのは、やはりそれは困惑ではないだろうと思うんですね。後から振り返って困惑というふうに説明されてきたわけですが。で、とうとうその困惑には二種類あるんだという説明になったわけです。これは裁判になったら裁判所も困惑すると思うんですよ。
昨日、消費者庁の次長は、そのことは一連の議論の中ではっきりしたことだというふうに述べられました。二つの困惑があるということですね。議論の経過の中で判明してきたことであれば、その議論を踏まえて法案に反映させるべきなんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/236
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237・黒田岳士
○政府参考人(黒田岳士君) 議論の中を踏まえてといいますか、元々困惑にはそもそも様々なパターンがあるということで、最初からその含んだ形でこういうふうに規定しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/237
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238・山添拓
○山添拓君 いや、違うんですよ。昨日は、その場で自ら困惑を自覚している場合の困惑と、マインドコントロールされてその時点では自分では困惑しているか判断できない、後から脱会しマインドコントロールが解けた状態になって初めて困惑していたと分かる、そういう困惑は別のものなんだと、二種類あるんだと、それが議論を経て分かったんだというふうにおっしゃったわけです。そうであれば、その違いが分かるような条文に本来するべきだと思います。法律に明記するべきだと様々指摘されてきたところです。
大臣に伺いたいんですが、本人がマインドコントロールされ、自分では困惑しているかどうか判断できない状態でも勧告はできるというのが昨日の答弁でした。しかし、これもよく分からないんですね。本人が困惑を自覚していない、法人側も困惑させていないと主張するでしょう。それでも困惑している人がいるんだと。
法案の四条違反の行為があり、勧告できるというのは、これ一体何を根拠に判断していくことになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/238
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239・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) もうこの統一教会のことで申し上げれば、既に様々不当行為が認められております。法人側が困惑させてないと言い張ったとしても、もう客観的に見て困惑が起きているという事態がありますから、それと同じようなことが行われていたら、それは当の本人はマインドコントロール下で困惑に気付いていないかもしれないけども、客観的にそこで困惑が起きているということを認めるのはそんなに難しいことではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/239
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240・山添拓
○山添拓君 そうなりますと、統一協会については、既に脱会された方、マインドコントロールが解けて主張されている方も大勢おりますから、今大臣が言われたように、困惑する、させるような事態が多数行われていることが既にはっきりしていると。そうなりますと、この法案が成立したら、施行したら直ちに勧告と、そういうことを予定されているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/240
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241・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) 施行後の勧誘行為というのがこれは対象になってくるんだろうと思いますから、どの時点になるのか分かりませんが、そのようなことがあり、ここで定めている要件に合うようなことが起きた場合に、それは勧告ということになるんだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/241
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242・山添拓
○山添拓君 それは速やかに勧告なり実効性のある措置をとれるように対応していただきたいとは思うんですが、私は今の法案の文言のままでは統一協会側から様々な反論も予想されるのではないかと思います。
例えば、衆議院で川井参考人が紹介した東京高裁の二〇一七年十二月二十六日の判決があります。二〇〇一年に路上で正体を隠して勧誘、その後、正体を隠されたまま教化され、献金もさせられ、二〇〇四年になって統一協会であることが明かされました。二〇〇五年三月、礼拝に参加し、教会長が涙を流して説教する姿を見て、自分に何かできないかと尋ねて百五十万円の祝福献金をしたなどというものです。
これは被害総額としては一千万円、何千万円に上るというものですが、当初不安を抱かせ入信させたかもしれませんが、献金させる段階では不安を抱いていない、必要不可欠と告げることももちろんしていない、自分に何かできないかと自発的に言ってきていますから、したがって困惑もないわけです。
統一協会による特徴的な被害事例の一つですが、総理、この法案でこういう事例で救済し得るでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/242
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243・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 結論からいうと、救済できると思います。入信から寄附行為までタイムラグがある、また、寄附の時点で本人は困惑してないと思っていたとしても、脱会後振り返ってみたら、あの時点で困惑したというふうに考えたときに、本人としてこの法律の適用を考えるという形で救済されると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/243
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244・山添拓
○山添拓君 長い期間があっても一連の寄附勧誘と見られるからと、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/244
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245・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 一連の寄附勧誘が行われている、入信時に生じた不安が継続していた状況の下で、この不安に乗じて献金することが不可欠と告げられ困惑した場合、後に脱会後取消し権が発生する、このように理解をしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/245
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246・山添拓
○山添拓君 この判決では、統一協会が綿密に構築した過程に従って、組織的、計画的に勧誘、教化を行い、教義を信じ込ませ、献金させ続け、入信させ、献身的に活動を行わせたと。原告は統一協会の計画どおりに信者になったことが認められています。
しかし、それでもなお、一連の不法行為とは認めなかったんですね。常に不安や恐怖を感じていたものではないと、言われるままに行動していたわけではない、統一協会との関係の解消が不可能あるいは困難であったとまでは認められない、そういう認定がされているんです。
総理は、入信前後から寄附まで一連の寄附勧誘と判断でき、事後的に当時困惑していたと考えた場合には取消し権の対象となり得ると、こう答弁されてきました。しかし、一連の寄附勧誘という評価は裁判上かなり難しいです。統一協会に反論もされやすいです。そういうことは認識されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/246
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247・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、私は、入信前後から寄附に至るまでが一連の寄附勧誘であると判断でき、また、事後的に寄附当時困惑していたと考えた場合には、入信当初と寄附の勧誘にタイムラグがある場合にあっても取消し権の対象になり得る、こういった趣旨を述べたものでありますが、入信から寄附までが一連の寄附勧誘とみなしにくい場合でも、例えば入信時に生じた不安が継続していた状況の下で、その不安に乗じて献金することが必要不可欠と告げられ困惑した場合、これはやはり取消し権が発生すると考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/247
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248・山添拓
○山添拓君 今紹介したこの事件の場合でも一連の不法行為とは認められませんでしたので、個別の判断となっていったんですね。不法行為が認められたり認められなかったりしています。一体の寄附勧誘でありながら、つまり、不安に乗じて行われた一つ一つの行為でありながら、やっぱりそれぞれ不法行為が認められたり認められなかったりしています。取消し権についてもそうなっていくことが予想されると思います。結局、被害者の主張、立証、あるいは裁判所による条文の解釈と判断に大きく依拠する条文だと言えると思います。弁護団が不安視するのも当然です。
統一協会の組織的不法行為責任を認めた事案です、私が先ほど紹介したのは。この典型的な事案の中で、救済に懸念がある。総理は大丈夫だとおっしゃるんですが、私はやっぱり、裁判で主張し、立証していく中ではそうそう簡単にはいかないように感じます。これはやはり被害実態を本当に踏まえているとは言えない、そういう前提があるからではないかと思います。
総理は、マインドコントロールによる寄附は多くの場合不安に乗じた勧誘であり、取消し権の対象となると述べました。しかし、果たして本当にそのように言えるのか。遡って困惑と考えた、そういうよく分からない解釈が入り込んで、本当に救済されるのかということはやっぱり懸念があります。
これは、寄附を勧誘する側にとっても大事だと思うんですね。統一協会以外のほかの団体も主体に含まれるわけです。条文上の明確化がされなければ、寄附を勧誘する側にとっても困る事態が起きるだろうと。困惑させてはならないという条文なのに、そのとき本人が困惑していなくても、後から遡って困惑と言われる可能性がある。それでは、何が禁止されているのか明確ではないということになると思います。ですから、私は、やはりより明確な条文にするべきだと思うんですね。
資料をお配りしています。二ページです。
我が党は八日の朝、衆議院で修正案を提出しておりました。その要綱です。幾つかありますが、中心点は、四条六号を困惑類型とは別の禁止類型とすること。
この第一の一、禁止行為の二を御覧いただきたいと思います。個人を寄附をするか否かについて適切な判断をすることが困難な状態に陥らせ、又は個人がそのような状態に陥っていることに乗じ、寄附の勧誘をしてはならないという規定にすると。で、この第二にありますように、これに違反してされた寄附は取り消すことができるようにする。取消し権は、民法のとおり、寄附のときから二十年に時効を伸ばすというものです。
これは、全国弁連の皆さんの主張を参考に作り、衆議院法制局にも御尽力いただいたもので、昨日、阿部参考人も救済にかなり役立つ条文だと意見を述べられました。他党の皆さんが作られた案とも一部重なるものだと思います。
総理に伺いますが、こういう条文にすることは可能であり、すべきではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/248
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249・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、先ほど来の委員の御意見の中で、間違いなくこうした法律を作ることによって取消し権が今度行使できることがより明確になると考えています。この法律の意味はあると思っています。
そして、その上で、御指摘のこの案、御党の案でありますが、これは、衆議院における御党提出の修正案については、国会においてその取扱いが議論されたものであり、政府として直接コメントすることは控えなければならないと思っています。様々な党から様々な御意見があった、これは今後考える上で様々な参考にはさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/249
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250・山添拓
○山添拓君 衆議院の法制局で憲法や民法の原則との関係も整理しながら調整いただいた規定です。駄目ということはないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/250
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251・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げました。コメントは控えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/251
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252・山添拓
○山添拓君 いや、政府の案に対して、修正としてこういう規定も可能ではないかという提案なんですね。
政府案について、現行法の中で、憲法の中でぎりぎりのところでやったものだというふうにおっしゃるものですから、いや、憲法や民法の原則の範囲内でもここまでは規定できるんではないかと、つまり、今の困惑類型にこだわった在り方から、別の規定の在り方というのは、これはあり得るんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/252
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253・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 様々な御意見はあります。政府としては、今の日本の法体系の中で最大限内容を盛り込み、そして被害の救済につながるべく法律を作成いたしました。そして、是非成立をお願いしたいと思っています。
政府としては最善のものを用意したと信じて御審議をお願いしているわけですが、ただ、この執行後の状況ですとか社会の変化等の中で法案の執行状況を判断した上で、様々な御意見を参考に必要な見直しについては考えていく、こうした姿勢は大事にしていきたい、このように申し上げています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/253
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254・山添拓
○山添拓君 総理が、遡って考えてみると困惑していたというような困惑の二類型目を用意されたというのは、現在の困惑させてはならないという条文では取り込み切れない被害があると、その規制の必要性があるということを端的に表していると思います。これまでの文言に固執するべきではないと思います。
もう一つ、配慮義務についても禁止規定とする条文案を示しています。見ていただきたいのですが、法人等は、寄附の勧誘をするに際し、①寄附の勧誘を受ける個人に対し、当該寄附の勧誘を行う法人等を特定するに足りる事項を告げないこと、又は②寄附の勧誘を受ける個人に対し、寄附される財産の使途について誤認させるおそれのある行為をすることにより、寄附の勧誘を行う法人等の主体又は寄附される財産の使途について誤認させてはならないものとすることと。法案で言うと三条三号の条文を禁止規定にする、そういう条文案です。
総理は、衆議院の審議で配慮義務の内容を客観的で明確なものとして規定することは可能かと問われて、否定はされませんでした。ですから、こういうふうに禁止規定にしていくことも可能ではあると思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/254
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255・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 配慮義務に、まず、禁止行為、これは法人がどのような行為をしてはならないのか、これを客観的に、客観的、明確に規定するべきであると考えます。そして、配慮義務については、適正な判断をすることが困難な状態等、結果としての個人の状況に、状態に、状態を規定しているものであります。よって、配慮義務の方は、こうした結果を招く、招く、より幅広い行為を捉えることができる、こうしたものであります。
そして、配慮義務を禁止行為に置き換えられるのではないか、そのように御質問がありましたが、禁止行為とするためには誤認されるおそれのある行為を規定することになるわけですが、その行為を規定するということになりますと、結果的にその範囲が限定的になってしまう可能性があると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/255
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256・山添拓
○山添拓君 今の総理の説明を受けて、それを踏まえてなお禁止規定にすることは可能であり、そうすべきだというのが昨日の参考人質疑での参考人の御意見だったんですね。いや、何かありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/256
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257・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) ですから、もし禁止行為にした場合に範囲が限定的になると説明しています。できるできないかじゃなくて、した場合に対象が限定的になってしまう、そういった判断の下に、禁止行為と配慮義務、この二段階でより幅広くその救済を実現しよう、これが法律の趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/257
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258・山添拓
○山添拓君 それでもなお禁止規定が必要だという御意見だったんですよね。(発言する者あり)いや、そうなんですよ。大臣、首振っておられるけれども。いやいや、参考人の御意見がそうだったということですよ。何でそれ否定されるんです。これからも弁護団や様々な取り組んでいる皆さんの声は違うといって聞かないつもりですか、首を振って。さっき、これからもいろんな意見を踏まえていくとおっしゃったじゃないですか。なぜ、この場でそうやって首を振って、その意見は受け入れられないということを示されるんです。
禁止規定は明確にというお話もありましたが、昨年、この国会で強行された土地利用規制法の場合には、禁止行為は機能阻害行為と、これだけだったんですよね。今日、国会では、与党の議員からも権力の行使は抑制的にという発言がありました。私もそのとおりだと思いますが、最も抑制的であるべき治安立法では曖昧な文言でよしとして、統一協会の被害救済では明確なものまで明確でないと言い張って禁止規定に盛り込むことを拒まれる。これ、どういうことかと私は思います。
統一協会による報告徴収、対する報告徴収・質問権が行使され、昨日が回答期限となっていました。その分析はこれからだと思います。しかし、既に把握している法令違反の事実も少なくないはずです。
総理に伺います。政府は、この間、一九九四年以降、民事裁判で統一協会の責任が認められた事件を少なくとも二十二件把握していると説明してきました。この二十二件について、法令違反の組織性、悪質性、継続性はどのように確認していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/258
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259・小林万里子
○政府参考人(小林万里子君) お答え申し上げます。
その二十二件につきましては今コメントは差し控えたいと思いますけれども、済みません、裁判例の把握状況などは、報告徴収・質問権の適正な行使、その後の対応に支障を来す懸念がありますことから、今の段階ではお答えを控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/259
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260・山添拓
○山添拓君 つまり、二十二件のここまでの分析では、少なくとも解散命令を請求するには至っていない、その判断をするまでには至っていないということなんだと思うんですね。
そうすると、要するに、統一協会によるこれまでの法令違反、積み重ねられてきた裁判例の下での被害実態、やっぱり政府として十分把握できていないということなんではないでしょうか。だから、この法案も生煮えになっている、被害実態を十分反映したものと言えない、そういう状態にあるんじゃないかと思います。参考人質疑で出された意見も踏まえて、やっぱり丁寧に審議し、法案を修正するべきだと思います。
統一協会への解散命令請求、そして被害の防止救済を本気で進める上でも、自民党と統一協会の癒着の解明は引き続き求められます。総理は、自民党議員と統一協会との新たな接点が判明した場合、その都度追加的に報告、説明を行うことを徹底すると述べてきました。ところが、本会議で、九月に自主点検の結果を公表した後、追加的に報告、説明した議員は何名で、どのような関係が判明したのかという質問に、党として取りまとめの発表は行っていないと述べられました。なぜですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/260
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261・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 党の方針についてはこれまで度々申し上げておりますが、各議員それぞれが旧統一教会との過去の関係を八項目に分けて詳細に点検、報告し、新たな接点が判明した場合にはその都度追加的にそれぞれ報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底する、これが方針であります。その方針に従って、この御指摘いただいた点についても、それぞれ報告、説明をするということがこの党の方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/261
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262・山添拓
○山添拓君 九月には公表されたのに、その後、公表をされない理由は何かあるんでしょうか。取りまとめが追い付かないぐらいにたくさん寄せられているとか、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/262
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263・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) その後、様々な追加的な指摘について、それぞれ報告、説明を行っていると承知をしています。
今後とも、こうした接点等について御指摘をいただいた、あるいは判明した、そういったことについては追加的に報告、説明を行っていく、こうした方針が党の方針であります。それに従って御指摘の点についても報告、説明すべきであると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/263
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264・山添拓
○山添拓君 癒着の解明には全く後ろ向きだと思います。政務三役も含めて、自らきちんと報告などされていないですよ。これまでの癒着の解明もないのに、将来も何もあったものではありません。引き続き徹底解明を求めて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/264
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265・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。御苦労さまでした。
他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
これより両案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/265
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266・山添拓
○山添拓君 日本共産党を代表し、消費者契約法等改正案に賛成、法人寄附不当勧誘防止法案に反対の討論を行います。
統一協会は、霊感商法や高額献金、集団結婚などで多くの人の財産、家庭、人生そのものまで奪ってきました。その加害行為の中核は、正体を隠して勧誘し、伝道を教化し、教義を教え込み、信者にする、信教の自由の侵害にあります。この被害実態に即した新法が必要です。
法案について、昨日、全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣参考人は、余りに不十分であり見直すべきと意見を述べました。委員の皆さんの多くが同じ思いなのではありませんか。
元二世信者の小川さゆり参考人は、特に政府・与党の皆さんに被害者の声をもっと聞いていただきたいと訴えました。被害実態を踏まえた法案でないことが最大の問題です。
法案四条六号は、寄附の勧誘をするに際し、不安をあおり、又は不安に乗じて、寄附が必要不可欠と告げることによって困惑させてはならないとする条文です。
統一協会のように入信から献金の要求までタイムラグがある場合を含むのか、マインドコントロールされ献金の時点で困惑していないケースを含むのかなど多くの懸念があります。
総理がマインドコントロールを抜け出し、当時困惑していたと考えた場合には取消しできると述べたために、政府が困惑には二種類あるなどと条文から読めない説明をせざるを得ない法案になっています。裁判に耐え得るものか、極めて疑問です。
いわゆる困惑類型ではなく、我が党の修正案でも提起したように、個人を適切な判断をすることが困難な状態に陥らせ、又は当該個人がそのような状態に陥っていることに乗じ、寄附の勧誘をしてはならないなどとする条文に改めるべきです。
法案三条は、強制力のない配慮義務にとどめるのではなく、禁止規定とすべきです。特に三号の正体隠しや使途のごまかしなどは行為として明確であり、当然禁止すべきです。衆議院の修正で十分にという文言が加えられましたが、司法判断における効果は不明瞭です。また、配慮義務違反による勧告は、個人の権利保護に著しい支障が生じる場合でなければならないなど厳しい要件が課され、本当に勧告までなされるのか疑問です。
債権者代位の特例が設けられますが、本人がマインドコントロールされ、取消し権を行使しないときに家族が代位権で取り消すのはなかなか難しいと政府も述べました。財産を取り戻せる範囲は扶養義務の範囲に限定され、無資力要件があり、未成年の子が行使する場合の困難など、使いにくい制度であることは明らかです。禁止される資金調達要求については、生命保険の解除など生活維持に必要な財産に広げ、取消し権の行使期間は二十年とするべきです。
本院における審議が始まったのは、一昨日夕方の本会議です。半世紀にわたる政治の不作為の責任が問われる中、会期末の日程ありきで一日二日で結論を出してよい問題ではありません。委員会審議の時間を衆議院より多少積み増ししたからといって、拙速審議のそしりは免れません。
条文の文言解釈も審議の進め方も、余りにずさんで不十分です。被害者や宗教二世、被害救済に取り組んできた弁護士などの声に応えた実効ある規制とするために、会期を延長し、徹底審議で必要な修正を行うべきことを強調し、反対討論とします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/266
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267・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
まず、消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/267
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268・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/268
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269・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
この際、石橋さんから発言を求められておりますので、これを許します。石橋通宏さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/269
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270・石橋通宏
○石橋通宏君 私は、ただいま可決されました消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案及び法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会及び国民民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
「消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案」及び「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案」に対する附帯決議(案)
政府は、両法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。
一 法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律附則第五条の検討に当たっては、国会における審議において実効性に課題が示された点について検討し、必要な措置を講ずること。その際、不当な勧誘行為による被害者、被害対策に携わる弁護士等関係者を含む多様な者の意見を聴取しつつ、検討を進めること。
二 円滑な法運用を可能とすべく、法施行後、政府は速やかに行政措置の基準を示すとともに、配慮義務の内容についても具体例を示すなどして周知すること。また、配慮義務規定に定められた自由な意思を抑圧し、適切な判断ができない状況等の具体例について、継続的に事例の収集、分析を行うこと。
三 効果的に取消権の行使や配慮義務規定の活用ができるようにするため、政府は、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案(以下「新法」という。)及び消費者契約法改正案の国会における審議を踏まえて、その解釈について、十分な周知をすること。
四 新法が、寄附勧誘の不法行為該当性に関してこれまで裁判所で示されてきた解釈を限定する趣旨のものではないことを確認し、周知徹底すること。
五 禁止行為の違反に対する法人等への勧告・命令を実効あるものとするため、罰則の適用に当たっては、実行者のみが制裁対象となることがないよう両罰規定を設けた趣旨を踏まえ、新法の規定内容・趣旨について、関係機関等に対して周知すること。
六 悪質な勧誘行為を受けたことにより、取消権又は債権者代位権を有している者が、実際にはその取消権又は債権者代位権を行使することができない事態が生じないよう、法テラス等においてきめ細かな相談体制を構築するとともに、相談体制の整備に留まらず、権利行使の実効性確保に必要な支援措置を十分に講ずること。その上で、活用状況の確認をしつつ必要な措置を講ずること。
七 親権者が寄附をしている場合には未成年の子が債権者代位権を行使することは困難であることから、未成年者の子の援助を充実すること。
八 霊感商法等の悪質商法への対策検討会で示された家族による財産保全又は管理の制度について現状や課題を把握し、必要な検討を行うこと。
九 国は、法人等からの不当な勧誘により寄附をした者等の実効的救済を図るため、日本司法支援センターを中核とする関係機関及び関係団体等相互間の連携を緊密に図り、包括的な支援体制の整備・強化及びその周知広報を徹底するとともに、償還免除の拡大、給付制の導入、常勤弁護士や契約弁護士の積極的活用等を含め、民事法律扶助制度の充実・強化やこれを実現するための日本司法支援センターの人的・物的体制の拡充に向けた検討を進め、必要な措置を講ずること。
十 親族間の問題、心の悩み、宗教二世を含むこどもが抱える問題等の解決に向け、法的支援にとどまらず、心理専門家によるカウンセリング等の精神的支援、児童虐待や生活困窮問題の解決に向けた支援等を一体的・迅速に提供するなどの支援体制を構築すること。成人した宗教二世についても、親子間の葛藤や心の悩み、就職等も含め社会参画の困難性を抱えていることから、同様の支援や、就労の支援等の支援体制を構築すること。
十一 不当な勧誘行為によって、既に多くの被害者やその家族が困窮している現状に鑑み、新法の適用外となる被害者等に対する支援について検討し、必要な措置をできるだけ速やかに講ずること。また、被害者等を支援する団体や困惑からの回復を支援する団体に対する支援についても検討し、措置すること。
十二 円滑な法運用を可能とすべく、法施行後、政府は速やかに国会での答弁内容を含めて条文解説、Q&Aなどを作成し、消費者、事業者、各種の裁判外紛争処理機関、都道府県及び市区町村における消費者行政担当者等に十分周知し、ホームページ等において公表すること。また、禁止行為の違反に対する行政措置については、当該措置が十分に機能するよう体制を整備すること。
十三 行政措置を導入して民事ルールと相まって被害の防止・救済を実現しようとする新法の意義や配慮義務その他の規定に係る新法の成立過程における国会での議論も踏まえて、第二百八回国会における附帯決議で求められた、消費者契約法の消費者法令における役割を多角的見地から整理し直した上で、既存の枠組みに捉われない抜本的かつ網羅的なルール設定の在り方についての検討をすすめること。
十四 消費者契約法第四十条により、独立行政法人国民生活センター及び地方公共団体が、適格消費者団体に対し提供する消費者紛争に関する情報を内閣府令で定める際には、消費者取引に関連する幅広い情報が提供できるよう検討すること。
十五 独立行政法人国民生活センターは、独立行政法人国民生活センター法第四十二条第二項による公表について、消費者被害の拡大を防ぐため、事業者の名称を迅速に公表することができるよう体制を整備すること。
十六 地方消費者行政の体制の充実・強化のため、恒久的な財政支援策を検討するとともに、消費者行政担当者及び消費生活相談員に対する研修の充実、消費生活相談員の処遇改善等による人材の確保その他適切な施策を実施すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/270
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271・松沢成文
○委員長(松沢成文君) ただいま石橋さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/271
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272・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 全会一致と認めます。よって、石橋さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、河野内閣府特命担当大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。河野内閣府特命担当大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/272
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273・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/273
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274・松沢成文
○委員長(松沢成文君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/274
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275・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/275
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276・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
消費者問題に関しての総合的な対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/276
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277・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/277
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278・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/278
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279・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
閉会中の委員派遣につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/279
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280・松沢成文
○委員長(松沢成文君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014536X00520221210/280
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