1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年十一月八日(火曜日)
午前十時三分開会
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委員の異動
十一月七日
辞任 補欠選任
高木かおり君 梅村 聡君
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出席者は左のとおり。
委員長 古賀友一郎君
理 事
上月 良祐君
森屋 宏君
山田 太郎君
吉田 忠智君
塩田 博昭君
委 員
有村 治子君
磯崎 仁彦君
衛藤 晟一君
自見はなこ君
広瀬めぐみ君
三宅 伸吾君
山谷えり子君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
水野 素子君
三浦 信祐君
梅村 聡君
柴田 巧君
上田 清司君
井上 哲士君
衆議院議員
内閣委員長 大西 英男君
国務大臣
国務大臣
(内閣官房長官) 松野 博一君
国務大臣
(国家公安委員
会委員長) 谷 公一君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(少子化
対策、男女共同
参画)) 小倉 將信君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(宇宙政
策)) 高市 早苗君
国務大臣 河野 太郎君
国務大臣 後藤 茂之君
内閣官房副長官
内閣官房副長官 磯崎 仁彦君
副大臣
外務副大臣 武井 俊輔君
厚生労働副大臣 伊佐 進一君
経済産業副大臣 中谷 真一君
政府特別補佐人
人事院総裁 川本 裕子君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 加野 幸司君
内閣官房内閣審
議官 齋藤 秀生君
内閣官房内閣審
議官 吉川 徹志君
内閣官房内閣参
事官 平野 雄介君
内閣官房こども
家庭庁設立準備
室審議官 長田 浩志君
内閣官房内閣情
報調査室内閣衛
星情報センター
次長 植田 秀人君
内閣官房内閣人
事局人事政策統
括官 窪田 修君
人事院事務総局
総括審議官 池本 武広君
内閣府男女共同
参画局長 岡田 恵子君
内閣府宇宙開発
戦略推進事務局
長 河西 康之君
内閣府子ども・
子育て本部統括
官 吉住 啓作君
警察庁警備局長 原 和也君
警察庁サイバー
警察局長 河原 淳平君
金融庁総合政策
局参事官 柳瀬 護君
外務省大臣官房
サイバーセキュ
リティ・情報化
参事官 大槻耕太郎君
外務省大臣官房
参事官 宮本 新吾君
財務省大臣官房
総括審議官 奥 達雄君
経済産業省大臣
官房審議官 恒藤 晃君
経済産業省大臣
官房審議官 澤井 俊君
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本日の会議に付した案件
○令和四年度電力・ガス・食料品等価格高騰緊急
支援給付金に係る差押禁止等に関する法律案(
衆議院提出)
○政府参考人の出席要求に関する件
○内閣の重要政策及び警察等に関する調査
(宇宙開発利用の推進体制の在り方に関する件
)
(国内外の情勢変化を踏まえたテロ対策の推進
に関する件)
(子育てに関する公的給付の所得制限の撤廃に
関する件)
(男女間の賃金格差の是正に向けた取組に関す
る件)
○一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/0
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001・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、高木かおり君が委員を辞任され、その補欠として梅村聡君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/1
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002・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 令和四年度電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金に係る差押禁止等に関する法律案を議題といたします。
提出者衆議院内閣委員長大西英男君から趣旨説明を聴取いたします。大西衆議院内閣委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/2
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003・大西英男
○衆議院議員(大西英男君) ただいま議題となりました令和四年度電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金に係る差押禁止等に関する法律案につきまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。
原油価格や物価の高騰により家計の負担が増加する中、今般、政府は、特に影響が大きい低所得者世帯に対し、一世帯当たり五万円の電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金を支給することとしたところであります。
本案は、この給付金の趣旨に鑑み、支給対象者が自ら給付金を使用することができるようにするための措置等を講ずるもので、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、この給付金の受給権は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができないこととし、また、その支給を受けた金銭も、差押えを禁止することとしております。
第二に、租税その他の公課は、その支給を受けた金銭を標準として課することができないこととしております。
第三に、施行期日を公布の日とするほか、所要の経過措置を設けております。
以上が、本案の趣旨及び内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/3
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004・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
令和四年度電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金に係る差押禁止等に関する法律案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/4
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005・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/5
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006・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/6
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007・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
内閣の重要政策及び警察等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官加野幸司君外十八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/7
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008・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/8
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009・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 内閣の重要政策及び警察等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/9
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010・水野素子
○水野素子君 立憲民主・社民、水野素子でございます。本日は、会派を代表して質問をさせていただきます。
おはようございます。まずは、私は、七月の参議院選挙に神奈川の皆様の御支援をいただきながらこの場に立たせていただいております。本日は、委員長を始め皆様のお力添えによりまして質問の機会をいただきましたこと、感謝申し上げます。
質問に先立ちまして、まずは内閣官房、内閣府への業務集中につきまして、懸念について見解を申し上げたいと思います。
資料一を御覧くださいませ。
このように内閣府にはたくさんの審議会等が設置されておりますけれども、多くの会議、審議会等は会議が非公開となってございます。
平成十一年の審議会等に関する閣議決定におきまして、審議会等、いわゆる隠れみのになっていないか、あるいは縦割り行政を助長していないかという御指摘、この状況になっているのではないかと懸念しております。
故安倍総理が主導されました官邸主導、スピーディーな意思決定など一定の効果はあったと思いますが、重要な方針を定める会議が非公開、あるいは委員選任が不透明な状況になりますと、官邸の暴走を止めることが難しくなります。
近年、政府・与党が国会を経ずに閣議決定で定める傾向が強いと感じております。立憲主義に対する重大な構造的問題があると考えております。
報道資料二、御覧くださいませ。
内閣官房、内閣府関係者には実は併任が多くございます。結局は、内部におきまして権限争いや縦割りを再生産しているのではないかという懸念も指摘されております。抜本的な構造改革は必要と考えておりますが、本日は時間の制約により問題提起にとどめます。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず、こども家庭庁につきまして御質問いたします。
資料三、御覧くださいませ。
こちらがこのほど設置されますこども家庭庁の創設イメージでございます。緑の部分が家庭庁となる部分、青い部分、これは、皆さん、学校教育、文部科学省所管部分が除かれることになっております。子供が真ん中と言いながら、残念ながらこれでは真ん中が抜けているのではないでしょうか。残念で思いますが、できるだけ縦割りにならないように是非運用の方でお願いしたいと思っております。
続きまして、報道資料四、御覧くださいませ。
こども家庭庁、この名称に家庭が付いた背景といたしまして、旧統一教会、世界平和統一家庭連合及びその政治部門の国際勝共連合の影響がささやかれておりますが、大臣にお伺いします。影響があったのかなかったのか、二者択一で御回答をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/10
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011・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) お答えいたします。
新しい組織の名称につきましては、昨年の十二月に閣議決定をしたこども政策の新たな推進体制に関する基本方針におきましてこども家庭庁といたしました。
このこども家庭庁の名称は、子供の健やかな成長にとって、家庭における子育てをしっかりと支えることが子供の幸せにつながるという趣旨であり、新しい組織の名称として適切であると考えております。この点、児童権利条約の前文の考えにおきましても、子供は、家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされているところであります。
イエスかノーかということでございましたので、新しい組織の名称をこども家庭庁としたことについて、何ら特定の団体からの影響はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/11
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012・水野素子
○水野素子君 御説明ありがとうございました。影響がなかったというふうな御回答をいただきましたので、今後調査をさせていただきまして、また必要に応じて御質問したいと思います。
それでは、子育て、保育環境につきまして御質問いたします。
子供への投資は未来への投資でございます。近年、共働き家庭が増えておりますので、国の支援が重要となっております。
資料五、御覧ください。
保育士の配置基準につきまして、一部を除きまして七十年以上改善がされておりません。例えば、四歳、五歳児では、幼児三十人に対して保育士一人となっています。
皆さん、御想像ください。子供が五歳、小さい子が三十人いるところを一人で見るのが基準となっている大変厳しい環境でございます。子供の安全あるいは養育環境を改善するために、さらには保育の現場の労働環境を改善して人材を確保していくためにも、保育士の配置基準を改善すべきと考えます。そのためには、保育士の人件費を含む子ども・子育て支援のための予算の増強が必要であります。
実際のところ、国からの支援、この資料によりましても、OECD諸国平均の、GDPでの、三分の一と、極めて低い日本は水準となっております。そのため、現場では最低賃金を下回るような状況も生じているわけです。
平成二十四年の参議院附帯決議及び平成二十七年閣議決定におきまして一兆円超程度の財源を確保するとされましたが、まだ一部しか履行されておりません。子供の笑顔を守って、深刻な少子化を克服するためにも、これを早期に達成して、さらに、国際水準を念頭に子ども・子育ての予算を増やしていく必要があると考えます。
大臣にお尋ね申し上げます。保育士配置基準の早期の改善の在り方あるいは保育、子育て予算の増額につきまして、お考えをお尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/12
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013・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) お答えさせていただきます。
子供予算については、新子育て安心プランなどに基づいて、幼児教育、保育の無償化や保育の受皿確保などに努めてきたところであります。
しかしながら、御指摘のこの表のOECD調査の就学前教育支出には、保育所や認定こども園等に対する公定価格ですとか、幼児教育、保育の無償化に関する支出が含まれてございません。そういった我が国の子育て支援の取組が適切に反映されていない面もあるんじゃないかというふうに思っております。こうした点を踏まえつつ、各国において就学前教育の制度が大きく異なるという前提の下でOECDが定める基準により国際比較を試みたものであること等も考慮すれば、単純に比較して論ずることはできないと考えております。
その上で、今後の子供政策に関する予算につきましては、こども家庭庁の下で、子供の視点に立って、期限、規模ありきではなく、必要な子供政策が何かをしっかりと議論した上で体系的にこれを取りまとめ、社会全体での費用負担の在り方の検討と併せて子供政策の充実に取り組んでまいります。
来年度の骨太の方針には、将来的な倍増を目指していく上での当面の方針、すなわち倍増への道筋について明確にしていきたいというふうに思っております。
保育所の保育士の配置基準についてでありますが、保育の質の向上のため、保育士等の配置の改善を図っていくことは極めて重要な課題と考えておりまして、三歳児に対する職員の配置改善に関しましては平成二十七年度から取り組んでおります。一方で、御指摘のとおり、いわゆる三千億円、〇・三兆円超の質の向上事項に含まれる一歳児や四、五歳児の配置改善については未実施となっておりますので、引き続き安定的な財源の確保と併せて検討していかなければいけないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/13
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014・水野素子
○水野素子君 ありがとうございます。ただいま大臣から力強いお言葉をいただきましたので、是非とも子ども・子育て予算の増額に向けてお願いしたいと思います。
続きまして、母子家庭の貧困問題、養育費の不払問題につきまして御質問申し上げます。
近年、子供食堂への需要が高まっていて、社会現象にもなっていると思います。この子供食堂への支援は強化が必要と思いますが、一方で、子供の貧困、そして、そもそもの背景である母子家庭貧困問題への対策も急務でございます。
資料六、御覧ください。
母子家庭の平均年収は約二百万で、半数以上が貧困世帯とも言われて、大変深刻な状況です。女性はそもそも非正規雇用が多く、一般に収入が低く不安定です。コロナ禍で職を失った人もたくさんいらっしゃいます。母子家庭貧困の根本原因はやはり養育費にございます。離婚後に養育費の支払を受けているのは四分の一、四分の三が受け取っていないわけです。養育費の支払義務を法制化するべきではないでしょうか。
また、資料七、御覧ください。
法制審の家族法制の見直しについて、先取特権、御検討いただいていらっしゃいますけれども、これでは申立てなど複雑な手続が必要となりますので、海外では行政による訴訟の代行、あるいは給与天引き又は立替払など、制度がたくさん導入されております。日本でも明石市で行政立替えの制度を導入しております。
大臣にお伺い申し上げます。養育費の支払義務を法制化、明文化すること、そして海外の例などを参考に不払時の簡便な手続を導入するべきだと考えますが、大臣の御見解をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/14
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015・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 子供の貧困の根絶のためには、子供そのものに対する支援や、あるいは一人親世帯への支援、更には女性に対する生活自立支援、いずれも重要だと思いますが、その上で養育費の履行確保につきましても政府として取り組むべき重要な課題というふうに認識しております。こちらについては、基本的には法務省の法制審議会家族法制部会において、養育費の履行確保も含めて、父母の離婚後の子の養育の在り方等について様々な角度から議論が進められていると承知をしております。
他方、養育費の確保に向けましては、法制審の結論を待つことなく、できることから取り組んでいくことも重要であると我々考えておりまして、現在、厚労省において、自治体における養育費確保に関する弁護士等による相談支援を実施すると同時に、公正証書の作成支援や保証会社における保証料補助など、養育費の履行確保等に資する取組を行う自治体の先進的な取組への支援を行っているところであります。
ただいま厚労省でありますけれども、来年四月からはこども家庭庁に引き継がれます。こども家庭庁の所掌になっても、こうした自治体における取組を促進していくとともに、子供政策の司令塔として、子供の視点に立って、家族法制を所管をする法務省とも緊密に連携をしながら、養育費の履行確保に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/15
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016・水野素子
○水野素子君 ありがとうございます。
養育費につきまして、もう一つ、教育費との関係につきまして御質問申し上げます。
養育費が支払えましても、適正な金額でなければやはり母子家庭の貧困問題は解決されません。現在存在する算定式は裁判のために司法修習所が作成したものでございまして、個別の事案により加算、減算されますので、標準式は、教育費については公立の中学、高校の学費のみをまずは定めています。そのため、教育費は、十四歳未満で年間約十三万、十五歳以上で約二十六万、私の方でざっと計算いたしましたが、仮にもしもらえたとして、ゼロ歳から成人までもらえたことを仮定して計算しても、三百万を少し超えるものにしかなりません。
一方で、資料八、御覧ください。文科省、文部科学省の調査によりますと、学校外活動費、塾等ですね、を含む学習費等相当額、こちら、幼稚園から大学進学まで全て公立又は国立の場合でも約八百万円、全て私立の場合は約二千三百八十万円に上ります。実態とこの算定式には大きな隔離がございます。
そして、更なる問題といいますか実態は、この算定式、今、日本で唯一の算定式でございます。公的な算定式でありますため、市販の解説本などでたくさん流通しております。裁判におきましてはこの算定式を基に実際には加算、減算がなされますけれども、離婚におきまして、養育費の交渉や合意は通常、裁判の前に行われます。そのため、この算定式が基本的には参考とされまして、ベースとなりまして、養育費に適正な教育費が含まれづらいのが実態となっております。養育費がなかなか支払われない、さらに教育費がほとんど含まれないことが、母子家庭、子供の貧困の大きな原因と考えます。
女性は、非正規雇用など収入が低い場合が多く、不安定でもあります。そのため、教育費も含まれないから、なかなかもらえないので、ダブル、トリプルワークで夜まで働きながら何とか教育費を捻出している厳しい方がたくさんいらっしゃいます。政府の法制審議会、一定額の教育費を設定する検討が行われていると聞いております。母子家庭が厳しい貧困状況にある、二家庭に一つが貧困にあるという実態に応じまして、適正な教育費が含まれる形での養育費を、算定式を国として策定、提示すべきと考えますけれども、大臣のお考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/16
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017・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) お答えいたします。
養育費の額につきましては、当事者の協議により定められ、当事者の協議が調わないとき又は協議をすることができないときには、家庭裁判所が個別具体的な事情に応じ審判により定めているものと承知しております。
言及をいただきました算定式につきましては、数名の裁判官による司法研究の成果として示されたものを最高裁判所で公表しているものと承知をいたしております。
具体的な算定式の策定につきましては、水野委員も言及いただきましたように、様々な議論があることは承知をしておりますが、私どもとしては、まだ養育費をきちんと受け取っていない方もたくさんいらっしゃいますので、まずは、先ほど申し上げた養育費の履行確保支援をする事業などを通じて、個々の事情に応じた取決めや支払が円滑に進められるよう支援をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/17
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018・水野素子
○水野素子君 コロナ禍で母子家庭の貧困は更に進んでおりますので、養育費が支払われること、そして、それには教育費がしっかりと考慮されることを是非とも念頭に置いていただきたいと思います。
さらに、母子家庭貧困の問題は、養育費のみならず、非正規雇用を始めとする男女の経済格差、さらには、日本ではそもそも高等教育の学費が高いことが背景にもなっています。教育費が家計を圧迫して、母子家庭のみならず、奨学金返済で苦しむ家庭や若者が多くなっております。これは少子化の大きな原因ともなっておりますので、ドイツやトルコなど、大学まで学費の無償化などを進めている国が多いので、我が国でも大学まで所得制限のない学費の無償化を推進、導入すべきと思っておりますので、意見として申し添えます。
続きまして、男女共同参画につきまして御質問を移らせていただきます。クオータ制度に関しましての質問でございます。
世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数、GGI、こちらで御案内のように、日本は世界最低レベル、百四十六か国中百十六位、OECD三十八位中三十七位、特に政治分野での女性活躍の推進が遅れております。
資料十、御覧くださいませ。
立憲民主党、本年七月の参議院選挙では候補者、当選者、いずれも女性五〇%以上を達成しておりますが、一例としては、自民党さんはいずれも約二〇%、政党により取組にばらつきがございます。
世界では百三十七か国の地域・国、クオータ制度を導入しており、資料十一のように、我が国でも平成三十年の法律が成立いたしましたが、各政党の努力義務にとどまっております。日本ではとりわけ政治分野の女性活躍が海外と比べて大変遅れておりますので、この法律を改正してクオータ制度をより強化すべきと考えますが、大臣の御見解、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/18
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019・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) お答えをさせていただきます。
政治分野における男女共同参画の推進は、政治に民意をより一層反映させる観点から極めて重要だというふうに考えております。
我が国の国会議員に占める割合は、女性の割合は、衆議院で一〇%弱、参議院で二五%強となっておりまして、ほかのG7の国々が三割から四割となっていることと比べても非常に低い水準にあると認識しております。
水野委員御指摘いただいた新法の二条におきましては、男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指すものとされておりまして、また、昨年六月の改正によりまして、政党等は候補者の数に関する目標設定に加え、新たに候補者の選定方法の改善等に自主的に取り組むよう努めるものとされました。
したがいまして、私どもとしては、同法に基づいて、まずは各政党等において自主的に取り組んでいただくことが重要だと思います。
その上で、例えば法律によって議席の一定数や女性候補者の比率について義務付けを行うことについては、機会均等原則や政治活動の自由など、憲法上の基本原則との関係等の課題が指摘をされておりまして、そのような中でどのような取組が可能なのかにつきましては、各党各会派において御議論いただくことが重要というふうに考えております。
そうした中で、私ども内閣府といたしましては、政治分野における男女共同参画に関する取組といたしまして、本年四月に作成した政治分野におけるハラスメント防止研修のための動画教材の活用の推進、各政党の取組の見える化、地方議会や地方公共団体における取組状況の見える化、諸外国における取組事例に関する調査、情報の提供など、こうした環境整備を通じて、引き続き政治分野における男女共同参画の取組を後押しをしていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/19
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020・水野素子
○水野素子君 ありがとうございます。
各国では更に進んでいる取組をしておりますので、是非とも、各政党任せではなく、国としてもどんどんと検討をして実施、改善を進めていただければと思っております。
続きまして、標準世帯の定義につきましてお伺いいたします。
日本でも家族の形態が多様化しておりますが、いまだにいわゆる一九七〇年に総務省が定義をいたしました標準世帯、夫婦と子供が二人、さらに一人だけが働いている、これがいまだに税制度や社会保障の給付、負担のベースとなっています。
資料十二、御覧ください。
五十年以上前に定められたこの標準家庭、名前が標準とされていますが、今全世帯の五%未満でございます。本日の社会の実態と乖離しております。
社会制度の設計の基本概念である標準世帯の定義、標準世帯の定義を早急に見直すべきと思われますが、大臣に御見解あるいは政府の検討状況をお尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/20
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021・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) まず、私どもの認識についてでありますが、我が国の社会保障制度、税制は昭和時代に形作られたものですが、現在では離婚件数は結婚件数の約三分の一、世帯全体に占める単独世帯及び一人親世帯の割合が約半分となりますなど、家族の姿は昭和の時代から大きく変化、多様化していると考えております。また、既婚女性の約六割が年収二百万未満でありまして、平成二十九年時点のデータではありますけれども、有配偶者の非正規雇用女性はいまだに四割程度はいわゆる就業調整を選択をしております。
こうした状況も踏まえまして、今年の六月に策定した女性版骨太の方針二〇二二におきましては、女性が長い人生を通じて経済的困窮に陥らないよう、女性の経済的な自立が極めて重要との認識の下、女性の視点も踏まえた社会保障制度や税制等について検討を行うことといたしております。
具体的には、男女共同参画会議の下に設置された民間有識者委員から成る計画実行・監視専門調査会において、現行の制度は就業調整を選択する人を増やしているのではないか、配偶者の経済力に依存しやすい制度は男女間賃金格差も相まって女性の経済的困窮に陥るリスクを高める結果となっているのではないか、そして現行の制度は分配の観点から公平な仕組みとなっていないのではないかなどの観点から必要な検討を行ってまいりたいというふうに思っております。
なお、女性就労の制約となっていると指摘されている各種制度の見直しにつきましては、全世代型社会保障構築会議においても働き方に中立的なものにしていくとの観点から議論が進められているものと承知しておりまして、そうした動きとも我々よく連携しながら検討を深めてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/21
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022・水野素子
○水野素子君 力強いお言葉をありがとうございます。是非とも今の実態に合わせた定義の見直しについて進めていただきたいと思います。
ここまでで小倉大臣への御質問は終わりだと思われますので、退席いただきまして結構でございます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/22
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023・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 小倉大臣は御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/23
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024・水野素子
○水野素子君 委員長、ありがとうございます。
続きまして、宇宙政策につきまして御質問させていただきます。
私、二十八年間宇宙機関で働いておりまして、物づくりを中心に日本の産業に競争力あるいは元気がなくなっていったこと、その原因といたしまして、やはり政治、行政の課題を超えていく必要があると思っております。長期的なビジョンの下に未来の技術あるいは産業を育てる法、政策が必要と考えておりまして、高市大臣のリーダーシップに期待しているところでございます。
まず、イプシロンロケット、こちら失敗は本当に残念でございましたが、瞬時に指令破壊を正常に行えたことで人命、人身に損害を与えずに済みました。我が国の技術と産業の発展に支障が生じないように、原因を究明して、改善して、早期に事業が再開されることを期待して、意見として申し上げます。
さて、二〇〇八年の宇宙基本法によりまして、宇宙は、研究開発のみならず、利用する時代に進展いたしました。産業の進展は大変喜ばしいですが、限られた国の宇宙予算の中で、研究開発あるいはそのための人材育成の優先度が下がってしまったのではないか、長期的な視点で先端の技術を生み出す力が諸外国に比べて弱くなってしまったのではないかと懸念しております。
その観点で準天頂衛星につきましてお尋ね申し上げます。
この準天頂衛星の計画は、当初、宇宙開発戦略本部設置当初から唯一内閣府の自主事業として開発、運用がなされております。
資料を御覧ください。資料十三、御覧くださいませ。
こちら、もう実運用段階に至っておると思われますし、また、測位衛星、これは、米国のGPSは防衛省、DODの事業となっておりまして、この準天頂衛星は日本版GPSとも呼ばれております。
防衛省や国交省など、測位衛星を本来主体的に運用、利用することが期待される省庁が、自ら計画して、予算を確保して運用、利用を行う方が合理的なように思われますが、なぜ内閣府が予算を獲得して開発、運用を今も行っているのか、大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/24
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025・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 水野委員はJAXAでも長年活躍された宇宙の専門家でございます。ロケットへの応援の言葉、ありがとうございます。
内閣府は、内閣の事務を助ける任務と、関係省庁の連携の確保を図るなどの任務を担っております。
まず、内閣府は、内閣の事務を助ける任務を達成するために、宇宙の基本的な政策の総合調整などを所掌事務といたしております。
御指摘の準天頂衛星「みちびき」でございますが、位置、時刻情報を提供するデジタル社会における基盤インフラでございまして、現在約三百九十件の製品に対応をしております。自動車の自動走行ですとかドローン、またスマートウオッチ、海洋分野、農作業の効率化など、複数の省庁の所管にまたがる多様な分野で利用されています。そういったことから、人工衛星の整備、管理も関係省庁の連携の確保を図るという任務を達成するために内閣府の所掌事務とされております。
なお、この準天頂衛星システムを内閣府の所管とする法改正をしていただいたのは平成二十四年、民主党政権のときでございまして、私はこのときの民主党政権の御判断を高く評価いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/25
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026・水野素子
○水野素子君 御答弁ありがとうございます。
例えば、通信衛星など複数の省庁にまたがるものもほかにもございまして、もう一つ申し上げたいのは、今、既に実運用の時代に準天頂も入っているということでございます。
今、政府部内では、年末に防衛三文書を改正をして、防衛予算、大幅な増強を検討されていると伺っています。米国ではGPS、防衛省が運用をしております。今、安全保障の戦略領域には、宇宙も戦略領域となっております。準天頂の位置付けにつきましては、例えば見直すようなこともあり得るのではないかと思っております。そして、限られた宇宙予算の中で未来を開く研究開発の予算を確保するということも意味があることではないかと思いますので、御検討いただきたいと意見として申し上げます。
また、もう一つ、内閣府は、こちらの十三にありますように、総合調整機能を図るところで、準天頂だけが一つ自主事業となっておりますけれども、これは内閣府が予算を取るということでございますが、こういう形と、調整機能と自主事業が混ざることで、いわゆる行司が相撲を取るような、身びいきのような、利益相反に、ような、そのようなことが起こり得るおそれもございますので、総合調整を行う省庁は自主事業を行えないことを原則とすべきではないかと私としては思うところがありますので、意見として申し上げさせていただきます。
続きまして、無人自動運転、水素製造等の研究開発につきまして、御質問をさせていただきます。
資料十四、御覧ください。
こちら、私も今度宇宙開発どのようなことにチャレンジをされるのかなとわくわくして見たんですけれども、一つやはりちょっと不思議だなと思われますのは、この無人自動運転技術、水素製造等の研究開発、これ全体に対して百九十七億と大変大きな額となっておりますが、直接宇宙には関係しない技術のようにも思われますので、簡潔に、なぜ宇宙予算として計上されているのか、御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/26
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027・中谷真一
○副大臣(中谷真一君) 先生には本当に宇宙関連、御支援に心から感謝を申し上げるところであります。
経済産業省の令和五年度概算要求は、宇宙関係予算二百三十四億円を計上しております。このうち、先生御指摘のとおり、無人自動運転技術の開発、水素製造技術の研究開発が含まれております。
このうち、無人自動運転技術の開発でございますけれども、これまで準備をしてまいりました宇宙インフラを使うという観点であります。ドローン、また空飛ぶ車の運航管理のための技術開発支援、また中型バスを用いた自動運転サービスの実証を行うための予算となっておりまして、これらの技術の実現には、先生御存じのとおり、衛星測位や衛星通信といった衛星関連技術が不可欠でございます。実際のプロジェクトの中でも活用するということでございまして、ここに計上しているというところであります。
また、水素製造技術の研究開発につきましては、これは高性能な燃料電池システムや水電解装置に関する技術開発を行う予算となっております。宇宙において水をまさにエネルギーにするというところでありまして、この水を水素に変えるとか、こういった技術が必要というふうにも言われているところであります。水素製造及び利用の両面で将来的に月面での活用も期待できるというところでありまして、宇宙関連予算として計上しております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/27
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028・水野素子
○水野素子君 御説明ありがとうございます。
いずれも大事な未来に向けた研究開発であるということは分かりましたが、宇宙と直接関係する技術であるかというところにおきましては、ほかの研究予算等を活用される、あるいはより宇宙に関係する予算の方を研究開発として宇宙予算に計上するということもあるのかなと感じるところもありますので、今後も少しウオッチ、今後も宇宙予算につきまして効率的な活用を期待しておりますと申し上げて、この質問は終わります。
続きまして、宇宙政策委員会の委員につきまして、宇宙政策委員会につきまして御説明、御質問いたします。
宇宙政策委員会令では、委員は学識経験者とするとされております。設立当初、国会で議論なされたようですけれども、初代の葛西さん、先日亡くなられてしまいましたけれども、この故葛西さんは宇宙に関する学識経験者ではありませんでした。
ちなみに、平成十一年閣議決定の審議会等の運営に関する指針等では、高齢者は原則として委員に選任しないということになっております。さらに、同指針等では、任期は二年、二年以内にされておりまして、まあ再任は妨げないとしておりますが、資料十五、御覧いただければと思いますが、本年五月に残念ながら八十一歳でお亡くなりになられた葛西氏を含み、ほぼ、ほぼ全ての委員が十年間、約十年間交代しておりません。
重要な政策を審議する委員ということで、こちら内閣府の方にも定められて、先ほどの図の方にも定められておりますが、この委員が固定化することで、もしかしたら既得権益化するおそれはないでしょうか。特に、宇宙のように急速に発展している分野において、シニアな方をトップとする固定的な委員会構成、さらに委員会自体が全体として非公開でありますと、世界から後れを取るおそれもあるのではないでしょうか。
宇宙政策委員会の委員の選任の具体的な手順及び約十年間委員を固定し続けた理由について御説明をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/28
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029・河西康之
○政府参考人(河西康之君) お答え申し上げます。
宇宙政策委員会でございますが、内閣府設置法におきまして、宇宙政策に関する重要事項等を調査審議し、内閣総理大臣又は関係大臣に意見を述べ、必要があるときは勧告をすることができるという機関でございます。
こうした役割を担っていただく委員につきましては、宇宙科学などの専門家のみならず、安全保障、法律といった分野の専門家、また、幅広く、幅広い視点から宇宙政策を御議論いただける方、こういった方々にお願いしてきているところでございます。
宇宙政策委員の任期でございますが、こちら二年とされているところでございます。二年ごとに、今申し上げましたような、宇宙政策委員の役割を担っていただく上で適切な方を選任又は再任をしているというところでございます。
本年七月でございますが、今御指摘のありましたように、九名の宇宙政策委員のうち七名が退任されたところでございます。うち六名は御指摘のとおり十年間お務めいただいたところでございますが、一名の方は四年で御退任されているところでございまして、必ずしも、御指摘のように委員を十年間固定というようなことでは必ずしもないところでございます。
今後も、二年ごとの任期、この二年ごとに判断して適切な方にお願いをしていくということかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/29
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030・水野素子
○水野素子君 御説明ありがとうございます。
宇宙分野に限りませんが、国の重要政策の策定に関わる審議会等の委員の選任、再任、そしてその運営は厳に透明性を確保すべきと思いますので、意見として申し述べます。
続きまして、スペースワン株式会社につきましてお尋ねしたいと思います。
日本から世界を目指す宇宙ベンチャーがどんどん育っていくのは大変喜ばしいと思っております。また、キヤノン電子株式会社を始めとした意識のあるベンチャーが育っていくことを本当に期待しておりますが、一点少し心配をしていることがございます。
このスペースワン株式会社、資料十六、御覧くださいませ。小型ロケット打ち上げ事業のために、和歌山県の串本町にスペースポート紀伊を建設しております。ロケットの打ち上げ、宇宙港の運営は、御案内のように、宇宙活動法に定める事前許可、政府の許可が必要となっております。打ち上げはシステムでありますので、航空機や船の安全確保、漁業など地場産業への影響への対応など、行政も連携して取り組まなければ実現できません。この沿岸は良い漁場で、紀伊半島南端、航空路線がたくさん通っているんですね。そして、地理的に南東方面が空いていても、宇宙港としては実は運用が難しく思われる地域であります。
日本では、鹿児島県内にJAXAが、種子島と内之浦、二つの宇宙港を既に運用しております。北海道大樹町、約三十年前から宇宙港を目指して施設整備を進めております。これらの既存地域に射場を増設する方が周辺環境を整えやすく、事業の早期開始、あるいはノウハウも蓄積していますので安全確保の観点でも望ましく、公的投資も集中できて費用対効果が良いと考えられます。
日本政策投資銀行がスペースワン株式会社の主要株主の一つですから、政府は計画当初から情報を把握していると考えられます。なぜ、宇宙港の運用が容易ではないと思われるところにゼロから、この和歌山県、この和歌山県には有力な議員がたくさんいらっしゃるわけですけれども、この和歌山県、ここにゼロから新しい宇宙港を造ることになったのか。また、間もなく、二〇二二年度中、遅れておりますが、二二年度中の打ち上げ開始ということで、事業許可の見通しにつきまして御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/30
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031・河西康之
○政府参考人(河西康之君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、スペースワン株式会社が和歌山県におきまして小型ロケットの打ち上げ事業を計画しているということは私ども十分承知しているところではございます。
一方、今、現時点におきましては、打ち上げ事業の実施に必要な許可でございます、委員御指摘のとおり、宇宙活動法上の許可が必要なわけでございますが、許可の申請書、まだ私どもに提出されていないという状況でございます。
同社から申請書が提出されましたら、法令に基づきまして適切にしっかりと審査を実施するということになるわけでございますが、審査前の案件、この許可の見通しにつきまして予断を持ってお答えすることはなかなかできないところでございまして、御容赦いただければというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/31
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032・水野素子
○水野素子君 ありがとうございます。
このスペースワン株式会社の初代の社長は、経産省さんを退官した後に複数の民間会社を経由して着任した比較的シニアな方で、現在の二代目も同様の方で、過去に宇宙開発戦略本部事務局長を務めた方でございます。これはいわゆる天下りではないかなというふうに心配もいたしますが、本日のところは、宇宙に限らず全体として天下りと言われるものが悪化しているように、宇宙に限りませんが感じられますので、これにつきましては精査して改めて質問することとして、意見にとどめます。
続きまして、情報収集衛星の運用状況につきましてお尋ねいたします。
北朝鮮ミサイル発射後に発せられたJアラート、これめぐる混乱もありましたが、しかし、発射してから着弾までは僅か十分程度です。発射より相当程度前に情報を収集して国民に知らせることが本来は望ましい、その観点で、九八年、北朝鮮テポドン発射を契機に導入された情報収集衛星の運用について問います。
一般的に、商用の衛星でも五十センチ以上のものが見える分解能がございます。この情報収集衛星を基に発射より相当程度前に現地の状況を収集して国民に情報提供を行いながら、その収集した画像等のファクトを基に外交交渉で発射を防ぐ努力が重要ではないかと思うところです。この点につきまして政府の御見解をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/32
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033・植田秀人
○政府参考人(植田秀人君) 我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさと不確実性を増しており、情報収集能力の強化は喫緊の課題と認識しております。こうした中、情報収集衛星につきましては、宇宙基本計画において示されている十機体制の確立により即時性、即応性の向上を図ることとしております。
当センターとしては、引き続き、情報収集衛星の体制強化を進め、情報収集能力を強化してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/33
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034・水野素子
○水野素子君 資料十七を御覧ください。
年末に向けて、安保関連三文書改正により、トマホークなど敵基地攻撃能力を獲得するようなことを増強されるという報道も伺っております。このような軍拡の競争よりも外交で防ぐ努力を、今宇宙とサイバーなど情報戦が世界の主流となっています。そのためには、武器を買い込むよりも、しっかりとファクトを取れる先端技術、こちらをより重視する方が必要ではないかと私は考えております。そしてさらに、そのファクトを基に外交で、あるいは国連改革も含む外交で抑止力を強めていく、その努力をもっと行ってほしいと思うところ、意見として申し述べます。
次に、日米地位協定につきまして、ここで、宇宙関係の高市大臣始め皆様、ありがとうございました。ありがとうございます。日米地位、あっ、済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/34
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035・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) それでは、高市大臣、中谷経産副大臣は御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/35
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036・水野素子
○水野素子君 最後に、時間の許す限り日米地位協定につきましてお尋ね申し上げます。
私の地元神奈川は沖縄に並び米軍基地が多く、基地を支えて働く皆様からたくさん相談を受けております。人権侵害ではないかと思われる事案もたくさん発生しており、これは結局は日米地位協定のひずみに突き当たります。米国とより対等なパートナーシップを築くことが、日米両国の健全かつ良好な協力関係のために必要であると考えられます。
資料十八、十九を御覧ください。
今般のコロナ禍におきまして、日本政府の感染対策、検疫が米軍構成員に適用されず、基地従業員、周辺住民は大変不安であり、国の水際対策としても問題がございます。私は国際法を勉強してまいりましたので、大変な違和感を覚えております。
日本国内の米軍基地への国内法の適用について伺います。
そもそも、一般国際法上、属地主義が優先されますので、そして特権免除、国内法令の適用除外の対象は大使館や公館、公務中の外交官に限定されております。日本国内の米軍基地及び基地に所在する米軍構成員には、原則として日本の国内法が適用されるべきものであります。
資料二十、御覧くださいませ。
日米地位協定により、例外的、限定的に国内法の適用が免除されているのは、合意されているのは、旅券及び査証に関する法令及び外国人の登録及び管理に関する法令のみでございます。九条でございます。また、三条におきまして、合衆国が管理、基地の管理、必要な全ての措置をとるとはされているものの、日米地位協定におきまして日本国内法の不適用を原則とする規定はございません。
そこで、政府にお尋ねいたします。
米軍基地関係者に対して日本国の検疫法、感染症法等に基づくコロナ対策は適用されるか、一つ目。二つ目は、労働基準法を始めとする労働関連法規、これの違反は労働基準監督署が是正措置に入るわけですけれども、労働基準法等の関係法令は米軍基地内で働く日本人労働者を守るために適用されるのか、二つ目。さらに、三つ目、国内法が適用されることを明文化するために、今の米軍基地、日米地位協定の改正を行うべきだと思いますが、この点。三点につきまして御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/36
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037・武井俊輔
○副大臣(武井俊輔君) お答えいたします。
一般的に、国家はその領域内に主権を有しております。その領域内における者につきましては、外国人を含めまして、属地的にその国の法令が適用されるところであります。また、一般的に、一般にですね、受入れ国の同意を得て当該受入れ国内にあります外国軍隊及びその構成員等につきましては、受入れ国の法令を尊重する義務を負うわけでありますけれども、個別の取決めがない限り、軍隊の性質に鑑みまして、その滞在目的の範囲内で行う公務につきましては受入れ国の法令の執行や裁判権等から免除されると考えられるところであります。
その上で、今御指摘ございました米軍関係者の検疫につきまして申し上げますと、一九九六年の日米合同委員会の合意に基づきまして、米軍人などが日本の民間空港から入国する場合におきましては日本政府による検疫が行われ、米軍関係者が直接米軍施設・区域内に入国する場合は米側が検疫手続を行うこととなっております。
また、二〇一三年の日米合同委員会の合意に基づきまして、米軍施設・区域の医療機関とまた地元の保健所の間で感染症に関し必要な情報共有を行うことにいたしておるところであります。
さらに、本年の一月には、日米合同委員会の下に新たに検疫・保健分科会を設置をいたしております。その上で、日米双方の保健当局の参加を得る形で議論を行っておりまして、検疫手続や感染症の対応につきまして、日米地位協定の下、日米合同委員会合意に基づき、日米間で連携して対応する枠組みを一層強化をしたところであります。
今申し上げた考え方の下、政府といたしまして、引き続き、この感染症の防止、感染防止対策の徹底及び地元の皆様の不安解消に向けて、日米間での連携を一層より強化していく考えであります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/37
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038・水野素子
○水野素子君 参考資料の最後の二十一、御覧ください。
今、国内法の適用があると伺ったと認識しております。感染症法等あるいは労働法等でございますね。これが沖縄県が作った資料でございますけれども、基本的には、日本は、実態としては原則不適用と現場ではなっていると感じられることが多い。これは、皆さん、海外との比較においてもバランスを逸している、国際法との乖離、さらに海外との実態との乖離がありまして、非常に不合理な状況であると考えます。
また、もしこの実態が現実であるとすれば、国会で承認されている日米地位協定の範囲を政府の運用が超えている、その結果、国民が元来有する権利を行政が狭めている憲法違反の疑いがあり、立憲主義の観点からも問題であると考えます。
速やかに日米地位協定を改正をいたしまして、日本国内法令の原則適用の明文化を始めとして、より健全なパートナーシップに向けた協定の改正を行うべきと考えますので、意見として申し上げます。
最後に、本日のように、政治、行政の構造的課題が山積しております。今後も改善に向けた提案を行ってまいりたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/38
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039・柴田巧
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
まず最初に、前回に引き続いて、国民保護の問題をお聞きをしていきたいと思います。
異例の頻度で北朝鮮からはこのミサイルの発射をされているわけですが、それに代表されるように、日本を取り囲む環境は、安全保障の環境は大きく変わりました。したがって、私どもは、総合的に防衛力を強化していくということを唱えているわけですが、同時に、いざというときにいかに迅速に住民の皆さんを避難をさせ命を守ってもらうか、被害をより小さなものにしていくかということにもっと力を入れるべきだと考えております。
ただ、この前のJアラートの問題も取り上げましたが、本当に大変この国民保護に関してはまた非常に心もとない点があると思っていまして、もっと政府におかれては真剣に緊迫感を持ってやっていただきたいと思っています。そんな観点で今日も質問をしていきたいと思いますが。
この前もお聞きをしましたが、地下避難施設を整備をしていくと、これは急いでやってもらわなきゃなりませんが、大事なのは、やはりいかにその地下避難施設にスムーズに避難をしていくかというやっぱり避難の手順というものが、あるいは訓練を行う際のマニュアルというものがなければ、いざというときに救える命も救えないということが起きるんではないかと心配をしています。
また、そういうマニュアル的なものがあれば地方自治体が独自に行う訓練などにおいても十二分に役立つものだと思っていますが、そこで、この地下避難施設への避難手順や訓練について定めたマニュアルを早期に策定すべきだと思っていますが、どのように取り組んでいるか、まずお聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/39
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040・齋藤秀生
○政府参考人(齋藤秀生君) お答えを申し上げます。
国と地方公共団体が共同で行う弾道ミサイルを想定した住民避難訓練につきましては、平成三十年六月以降実施を見合わせてきたところでありますが、本年に入り北朝鮮から弾道ミサイル等が高い頻度で発射されていることなどを踏まえ、本年九月から再開したところであります。これまでに六つの市町村において訓練を実施してきており、今年度内に合わせて十一の市町村で実施する予定であります。
今後、こうした訓練を全国各地のより多くの地域で実施をしていくためには、地方公共団体が訓練の企画、実施の参考とできるようなマニュアルの整備、配付が必要と考えております。このため、地方公共団体が訓練マニュアルとして使用できるよう、今年度順次実施しております国と地方公共団体の共同訓練について、例えば富山県魚津市におきましては地下施設への避難訓練を実施しましたことから、地下施設への避難手順を含め様々なパターンでの訓練の実績をいち早く公表いたしますとともに、年度末までに訓練実施の留意点などについても取りまとめ、地方公共団体に提供することを予定いたしております。
こうしたマニュアルを全国の地方公共団体に御活用いただき、更に多くの地域でより効果的かつ実践的な訓練が行われるよう、積極的に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/40
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041・柴田巧
○柴田巧君 四月四日でしたか、決算委員会でも今の問題を取り上げていたわけですが、あれから七か月余りたって、今、国の共同訓練がこうやってまた始まったわけですけれども、もっともっと本来は早く作業を進めておくべきではなかったかと思っていまして、いずれにしても、これ、より早期にマニュアルをきっちりと作っているということが極めて重要なことだと思っておりますので、改めて申し上げておきたいと思います。
それで、この地下避難施設を整備をしていくことは極めて重要ですが、これがいざというときにどこにあるかということが周知されていなければ、避難しようにもできないということになります。
例えば、津波であったり土砂崩れであったり大規模火災といった災害時の避難場所については、国が被害の状況をかたどった図記号を制定をしていますね。高潮とかあるいは津波だと、いわゆる波のマークになっています。これを見れば、そういうことが起きたときに逃げる場所なんだなというのは一目瞭然分かるわけですが、この津波や洪水であったり、あるいはそういった災害同様に避難に一刻の猶予もないにもかかわらず、このミサイル攻撃の際の避難先を示す統一基準、統一表示とか設置基準というのは実はありません。
で、不幸にしてミサイルが飛んでくるときにいつも地元にいるとは限らないわけで、旅先だったり出張先だったり、あるいは外国の人もいるかと思いますが、そういった場合に、そういった方々が、ここはミサイルが飛んできた場合には逃げれるところなんだ、逃げるところなんだということをやっぱり分かるようにしておくということが極めて重要なことだと思います。
そこで、このミサイル攻撃の際の避難先を示す統一表示、設置基準をやっぱりきちっと設けるべきだと、記号化を進めるという言葉がいいのかもしれませんが、そういうふうに進めていくべきだと思いますが、どのように取り組んでいくのか、お聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/41
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042・齋藤秀生
○政府参考人(齋藤秀生君) お答えを申し上げます。
避難施設の情報に係る周知、広報は、有事の際に住民が迅速かつ的確に避難を行うために大変重要な取組であると認識いたしております。
これまで内閣官房では、利用者の現在地周辺の避難施設の情報を国民保護ポータルサイトの地図上で確認できるようにしておりますほか、本年四月からツイッターを活用したプッシュ型の周知を新たに実施するなど、国民の皆様への分かりやすい周知の取組を強化しているところであります。
今後、これらの周知手段の機能の向上や更なる活用、また委員御指摘の避難施設の表示を含め、有事の際に住民が迅速かつ的確に避難が行えるよう、更なる避難施設情報の周知、広報の方策についてしっかりと検討し、取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/42
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043・柴田巧
○柴田巧君 今おっしゃったように、ポータルサイト、ツイッターも重要だと思いますが、一目瞭然で、いざというときにここが避難場所なんだなと分かるものをやっぱりきちっと用意しておくと、基準をつくっておくというのは重要だと思いますので、これも前回にも実は指摘をしたことでありますが、是非進めていただきたいと思いますので、改めて申し上げておきます。
さて、年末までにいわゆる防衛三文書が改定をされますが、その中で、この国家安全保障戦略は、言うまでもありませんが、安全保障に関する最高位の政策文書でありますが、現行の戦略には国民保護についての記述が実は具体的なものはありません。まあ核抑止力の文脈の中でミサイル防衛などとともに関連施策が列挙されているわけですが、その一つとして記述されているにすぎないわけですね。しかし、こういうふうに、この我が国の安全保障政策においては国民保護の位置付けというのが極めて弱いのが現実だと思っています。
しかし、この日本を守り抜く総合的な防衛体制を構築する上で、国民保護は、前回も申し上げてきましたように、今もお話をしておりますように、極めて重要だと思っているわけです。
このことについては、三月八日のこの委員会で官房長官に前にも御見解をお聞きをしました。官房長官は、新たな国家安全保障戦略の策定に当たっても、国民保護の扱いについて政府としてしっかり議論していきたいと考えていますと、こう答弁をされたわけですが、そこで、私自身は、この戦略に当たって、改定に当たって、より明確に、詳細にこの重要性を、国民保護の重要性を記述すべきだと思っていますが、官房長官は、そういうふうにお答えになったのを受けて、特にどのような点が盛り込まれるべきだとお考えになっているか、またその検討状況とともに併せてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/43
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044・松野博一
○国務大臣(松野博一君) お答えをいたします。
我が国を取り巻く安全保障環境が一段と厳しさを増す中、国民を守るために何が必要か、新たな国家安全保障戦略の策定のプロセスの中で、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討をしているところであります。
具体的な内容について予断することは差し控えさせていただきますが、先生御指摘のとおり、避難施設の確保を含めた国民保護は非常に重要な問題であると認識をしており、政府としてしっかりと議論をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/44
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045・柴田巧
○柴田巧君 まあ今日のところはまだ具体的なことは特におっしゃらなかったのですが、国民保護の重要性は認識をされているものと思っておりますので、やっぱり、せっかくこうやって改定をするわけですから、きちっとこの重要性が具体的にまた盛り込まれるようにしていただきたいということを求めておきたいと思います。
次に、テロ対策について質問を移っていきたいと思いますが、良好な治安を確保する上でテロ対策をしっかりやるというのは極めて重要なことでありますが、近年は、我が国においては、東京大会、二〇二〇年東京大会に向けてこのテロ対策の検討が進められてきました。二十五年には「世界一安全な日本」創造戦略を閣議決定をしましたし、平成二十九年には、国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部において、二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会等を見据えたテロ対策推進要綱等の作成をしてきました。
しかし、御存じのとおり、昨年で東京大会はもう終了しているわけですし、来年は広島サミットがあります。また、二〇二五年、令和七年になりますか、大阪万博などがあるわけでありまして、そして、先ほどから申し上げておりますように、この日本を取り囲むこの安全保障環境は緊迫の度を深めています。加えて、安倍元総理が銃撃されるという事件なども既にこの日本では起きているわけですから、テロには屈しないと、テロを許さないと、こういうメッセージを発する意味でも、新たな総合的なこのテロ対策が求められているのではないかと考えています。
そこで、今申し上げたように、この最近の情勢を踏まえたこの新たなテロ対策の政策、まあ戦略と言った方がいいのかもしれませんが、まとめていくということが必要なのではないかと思いますが、官房長官の御認識をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/45
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046・松野博一
○国務大臣(松野博一君) お答えをいたします。
国際テロ組織の活動の多様化やドローンのようなテロに使用されるおそれのある民生技術の高度化等に見られるように、テロをめぐる国内外の諸情勢は変化を続けており、関係府省庁において、これまでも、講ずべきテロ対策について不断の見直しを行ってきたところであります。
先生から御指摘があったとおり、他方、今後、G7広島サミットや大阪・関西万博といった重要な国際行事を控える中、テロ対策を含め、政府が推進すべき対策を取りまとめた「世界一安全な日本」創造戦略について、改定に向けた検討作業を進めているところであります。
テロの未然防止は政府の重要課題であり、国民の安全、安心を確保するため、今後ともテロ対策の充実強化を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/46
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047・柴田巧
○柴田巧君 官房長官も今おっしゃったように、このテロのありようも随分変わってきまして、いろんな情勢変化があると思っていますし、安倍元総理のああいう不幸な出来事も、テロもあったわけで、それらを踏まえて、やっぱりテロに強い、テロを許さない、そんな日本をつくるために、改定とおっしゃいましたが、しっかりとした政策を、戦略をまとめていただくように強く要望しておきたいと思います。
これで官房長官への質問はございませんので、御退席いただいて結構です。委員長、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/47
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048・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 松野内閣官房長官は御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/48
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049・柴田巧
○柴田巧君 それでは、ローンウルフ型テロについて、以下お聞きをしていきたいと思います。
御存じのとおり、組織的なテロの一員に加わらず、単独若しくは極めて少数で行うテロを一匹オオカミに例えてローンウルフ型と呼んでいますが、最近では、ローンウルフだとある意味ちょっと格好いいイメージを与えるのではないかということで、この犯罪者や違反者という意味を持つローンオフェンダーという言葉を使う向きもありますが、ここではよく通っているこのローンウルフ型テロと呼ばせていただきましたが。
このローンウルフ型テロは、従来はイスラム原理主義の影響を背景としたテロの文脈で警戒をされてきたということですが、昨今、アメリカでもこのイスラム過激派組織とは関係のない銃撃事件が増加しているのも事実であります。
そして、そういう中、我が国においても、先ほど来からお話ししております安倍元総理のああいう銃撃事件が起きて、国民に大きなショックを与えたわけで、あの事件は、あの山上容疑者がひそかに武器を製造して、人知れずある日突然犯行に及んだ典型的なローンウルフ型テロだと考えていますが、この手製の銃が製造できるということは広く知られたと。そういう意味では、身近でテロが起こり得るという危機感をやっぱり持たねばならないのだと思っております。
そこで、この安倍総理の銃撃事件などを受け、警察のローンウルフ型テロへの対処能力を向上させる必要があると思いますが、どう取り組んでいくのか、また、これは警察のみならず関係機関との連携強化が求められると思っておりますが、どのように取り組んでいくのか、併せて国家公安委員長にお聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/49
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050・谷公一
○国務大臣(谷公一君) 御指摘のように、近年、特定のテロ組織などと関わりがなくとも、社会における不満を抱く個人がインターネット上における様々な言説等に誘発され違法行為を敢行する事例が見受けられ、新たな脅威となっていると認識しております。
警察では、今般の警護の検証及び見直しを踏まえ、要人警護に万全を期すべく、ネット上の情報の収集を含めた様々な情報収集活動を強化しているところであります。また、銃器に対処するための資機材を始めとする警護に資する装備資機材の情報収集、開発及び導入に努めるとともに、警護に関する高度な訓練を実施するなどにより、委員御指摘のローンウルフ型テロへの対処能力の向上を図ることとしております。
加えて、テロの未然防止のためには、警察による取組のみでは十分ではございません。関係機関、民間事業者、地域住民などと緊密に連携してテロ対策を推進していきたいと思っております。
今後も、様々な措置を講じることにより適切な警察活動を実施するよう指導してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/50
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051・柴田巧
○柴田巧君 ありがとうございました。
今の御答弁も受ける形で具体的な施策についてお尋ねをしていきたいと思いますが、警察は今までも、このトラブルをもたらす可能性のある組織を把握をして、所属する人物を調べることでテロを未然に防いできたわけですが、このローンウルフ型はテロの組織に加わらないわけで、したがって、その行動を事前に知るというのは非常に難しいと考えられます。つまり、その組織的な犯行とは違い、兆候がつかみにくいというような特徴なんだと思っていますが。
そこで、警察では、公開情報を収集、分析するインターネット・オシントセンターというのがあります。これは平成二十八年に設立をされて、ウエブサイトやキーワードを指定してテロにつながる内容を自動収集し、担当者が分析するというもののようですが、やはりその公開情報の収集や分析がまず大事になってくるんだろうと思いますけれども。
そこで、このインターネット・オシントセンターを充実強化をしてこの公開情報の収集、分析を一層進めることが求められるんではないかと思いますが、どのように取り組んでいくのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/51
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052・原和也
○政府参考人(原和也君) お答えを申し上げます。
先ほど大臣から御答弁ございましたとおり、今般の警護の検証及び見直しを踏まえまして、要人警護に万全を期すべく、警察ではインターネット上の公開情報の収集を含めた様々な情報収集活動を強化しているところでございます。
御指摘のインターネット・オシントセンターは、インターネット上のテロやサイバー攻撃等に関連する公開情報を収集、分析するため平成二十八年に警察庁に設置されたものであり、現在、要人警護に係る情報収集活動においても大きな役割を果たしているところでございます。
警察といたしましては、今後も、同センターを活用しまして関連情報の収集、分析強化に取り組み、テロ対策に万全を期してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/52
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053・柴田巧
○柴田巧君 まずは、その公開情報の収集、分析に力を一層入れていただきたいと思いますが、このオシントセンターだけでは残念ながら限界があるのも事実で、警察以外の力もいろいろ借りていく必要があるんだと思います。
例の山上容疑者は、去年の春以降、火薬の材料となる農業用肥料をネットで購入して、ユーチューブで製造法を自ら調べて複数の手製の銃を完成させていたということであります。あの安倍元総理の銃撃事件の後、その事件を検証した報告書でも、テロ組織に属さない個人でもこのインターネットで銃器や爆発物の製造に関する情報を簡単に入手できるという視点が不足していたと強調されているわけでありますが、今般の銃撃事件を契機として、警察が業務委託をしているインターネット・ホットラインセンターというものがありますが、ここで、やっぱり銃や爆発物などの製造に関するネット上の書き込みやサイトを人の命に危険を与えかねない有害情報として扱い、サイトの管理者などに削除を要請するという報道がありました。
このインターネット・ホットラインセンターは、利用者から違法情報に関する情報提供を受け付けて、一定の基準に従って情報を選別した上で、警察への情報提供、電子掲示板の管理者等への送信防止措置の依頼等を行う団体と、設けられたわけでありますが、これまでも薬物や密売や児童ポルノなどの削除の要請を行ってきましたが、新たにこの銃などの製造情報のチェックも対象に加えるとともに、一般からの通報を受け付けることにしたということですけれども、こうした情報の対策についてやっぱり早急に行う必要があると思いますが、どのような取組を、そしていつから、もう一部始まっているのもあるのではないかと思いますが、どのように行っていくのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/53
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054・河原淳平
○政府参考人(河原淳平君) お答えいたします。
警察におきましては、インターネット上の違法・有害情報対策の強化を推進するため、都道府県警察が行うサイバーパトロールの強化、警察庁が委託するインターネット・ホットライン事業及びサイバーパトロール事業の取組強化、関係機関と連携した違法情報、有害情報対策の推進、これらについて検討し、順次実施しております。
御指摘のとおり、これらの取組については早急に対応する必要があると認識しておりまして、インターネット上に流通する銃に関係する売買等の情報収集を強化し、取締りや削除依頼につなげるよう都道府県警察に指示したところでございます。また、インターネット・ホットライン事業やサイバーパトロール事業につきましては、その対象に爆発物、銃砲等の製造方法等、危険性、緊急性が高い有害情報を追加することを検討しております。
これらの取組については、一部予算要求中のものもありますが、可能な限り速やかに開始できるよう関係機関等と協議を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/54
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055・柴田巧
○柴田巧君 しっかりとこれまた進めていただいて、そういう違法、有害な情報が流通しないというか、それによってまた事件などが起きないような手だてをしっかり講じていただきたいと思います。
このインターネット・ホットラインセンターは、ただ、通報を受けて対応するという仕組みになっているわけですね。したがって、より多くの人にその存在を知ってもらうという必要がそもそもあるのではないかと思っていますが、この莫大な、膨大なインターネット情報の中から有害情報を削除していくためには、こういうセンターがある、ありますよということをやっぱり広く知ってもらう、周知をしていくということが求められると思いますが、どのように取り組むのか、お尋ねをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/55
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056・河原淳平
○政府参考人(河原淳平君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、インターネット・ホットラインセンターの取組が有効に機能するためには、できる限り多くの方にこうした取組を知っていただく必要がございます。
このため、警察庁及び都道府県警察のウエブサイトに加え、ツイッター等のSNS、警察が行うセミナー等、様々な広報媒体、啓発機会を通じまして、インターネット・ホットラインセンターの取組について国民への周知を図ることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/56
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057・柴田巧
○柴田巧君 是非お願いをしておきたいと思います。
このローンウルフ型テロについては、この事例研究が進んでいるアメリカなどでは、いわゆるメンタルヘルス面の問題があるという指摘などもあります。やはり日本よりもアメリカなどが事例研究がどんどん進んでいるわけで、例えば日本を含む十八か国、八十八件の事例研究がありますが、非常に高い率でメンタルヘルス面の問題が見付かったという指摘もあります。
我が国としても、このローンウルフ型の犯罪に至る背景について調べていく、分析をする上で、対策を練る上で、諸外国の事例も参考に分析を進め、この犯罪を未然に防止していくという取組が必要ではないかと思いますが、どのようにやっていくのか、お尋ねをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/57
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058・原和也
○政府参考人(原和也君) お答えを申し上げます。
警察では、テロ対策の観点から、外国治安情報機関と緊密に連携するなどして、情報収集、分析を進めております。また、警護の観点からも、外国の警護当局との連携強化を図り、常に最新の知見を取り入れつつ警護の高度化に努めているところでございます。
今後とも、諸外国の様々な知見を取り入れながら、委員御指摘のローンウルフ型テロへの対処に万全を期してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/58
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059・柴田巧
○柴田巧君 今個々に幾つか聞いてまいりましたが、本当に警察のみならず、いろんな関係機関の連携をしながらこのローンウルフ型テロに備えていくというか、未然に防止をしていくということが大事だと思いますし、これは孤立問題とも、この根っこの部分ではそれもある、背景にあると思いますので、そういったものを含めた総合的な対策が必要だということがあると思います。また改めてローンウルフ型テロなどについてお聞きをしたいと思いますが、それぞれに対策をしっかりやっていただきますことをお願いをしておきたいと思います。
次に、テロからちょっと離れまして、この前、韓国で群衆雪崩が起きて多くの命が亡くなるということになりました。そのうちには邦人の方もいらっしゃったわけですが、この問題についてお聞きをしたいと思いますけれども、一たびああいうことが起きると甚大な被害が避けられないと。我が国でもしっかりこれ安全対策を再点検する必要があるんではないかと思います。
実際日本でも、御承知のとおり、そういったことがこれまでも起きてきたわけでありまして、この転倒の連鎖を生む群衆雪崩、例えば、よく知られているのでは明石市の花火大会がそうですが、十一人が亡くなり、百八十人以上が負傷したということですが、こういったことは、この後、それからいろいろな対策はあるというものの、日本でも今後起き得る可能性は多分にあるものと認識をして、対策をしっかり練らなければならないと思います。
特に今後、ちょっと第八波の傾向もありますが、規制や自粛が緩和されて行動制限がなくなって、街に人の流れが戻りつつ現実に今ありますし、日本国内でも最近は三年ぶりに行われる行事やイベントというのが、結構我々も呼ばれることが多くなってきましたが、そういったこともありますし、季節的にこれからクリスマスやあるいは初詣といったようなことなどもあります。したがって、日本でもあのような悲劇を起こさないために、警備に死角がないようにしていく必要があると思っています。
そこで、国家公安委員長にお尋ねをしますが、この前のソウルでの群衆雪崩による大惨事が発生をしたことをいかに教訓として酌み取っているか、そして、今後、日本における雑踏警備の万全を期していく必要があると思いますが、どのように取り組んでいくのか、併せてお聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/59
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060・谷公一
○国務大臣(谷公一君) お答えをします。
従来から警察では、祭礼等の行事に際して多数の人が集まることにより雑踏事故が発生するおそれがある場合には、あらかじめ行事の主催者や施設の管理者等に対して、自主警備計画の作成、警備員の配置、資機材の活用等の安全対策を取るように要請することとしています。また、自主警備に加え、警察官による対応が必要と判断される場合には、制服警察官による雑踏整理や交通事故整理等を実施し、雑踏事故の未然防止を図ることとしております。
韓国の事故について御指摘がございました。大変痛ましく、関係の皆様方に心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。
警察庁では、今回の韓国での事故を受け、全国警察に対し、地元の自治体や行事の主催者などと連携しつつ、雑踏整理や交通整理等を実施し、雑踏事故の防止を図るよう、改めて指示をしたところでございます。
引き続き、雑踏事故の防止に万全を期するよう、警察を指導してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/60
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061・柴田巧
○柴田巧君 是非、今お話をしましたように、いつ何どき日本でも同じようなことが起こりかねないわけでありまして、いろいろと対策も講じられてきているところでありますが、警備に死角のないようにしっかり取り組んでいただきますことをお願いを申し上げて、サイバー犯罪などについてもお聞きをしたかったのですが、時間がおおよそ来ましたので、これで終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/61
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062・上田清司
○上田清司君 国民民主党・新緑風会の上田清司でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日はコロナ即応病床と受入れ体制と補助金についてお伺いしたいと思います。
二〇二一年の十月に厚労省は、医療機関において適切に患者を受け入れていなかった場合には、病床確保料の返還や申請中の補助金の停止を含めた対応を行うという通知をしていると伺っておりますが、これは間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/62
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063・伊佐進一
○副大臣(伊佐進一君) お答え申し上げます。
今、上田委員おっしゃっていただいたとおりでございまして、この病床確保料については令和二年四月から実施しておりますが、実効性の担保を段階的に強化をしてまいりました。その中で随時強化を行い、引き続き実効性が高められるようにこれからも努力してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/63
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064・上田清司
○上田清司君 資料で提供しました図表は、雑誌「選択」の記事の表に、私、前段の部分を加え、数字においては厚労省に確認させていただいておりますので確かなものだと理解しております。
二〇二〇年度の地域医療機能推進機構と国立病院機構の登録即応病床数と受入れ人数を見ていただきたいところですが、それぞれ四二%と三七%で低水準に思いますが、この点については、副大臣、どのように思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/64
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065・伊佐進一
○副大臣(伊佐進一君) お答え申し上げます。
この病床の使用率、いわゆる幽霊病床というのが一時話題になりましたけれども、この病床について、昨年の秋、各都道府県に対しましてこの病床の運用実態を確認するように、依頼をさせていただきました。その中で、その結果、把握している範囲では、自治体が受入れ、この入院受入れを要請したものの受け入れられなかった事例の多くは正当な理由があったものというふうに承知をしております。
いずれにしても、実効性を高めていくことは重要なので、引き続き努力をしてまいりたいというように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/65
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066・上田清司
○上田清司君 各地方自治体の照会ではなくて、国民の税金で運営されている国立三系統の病院、つまり、国家が監視というんでしょうか、管理している、政府が管理している三病院でございますので、とりわけコロナで病床が逼迫しているときに、率先して厚労省が指示をして病床の受入れをしっかりやっていただくというのが筋目だったというふうに私は理解しておりますが、登録された病床数と実際受け入れた病床数は四二%と三七%で極めて低いと、はっきり言って。民間なんかと比べるとはるかに低いですね。この実態をどう思いますかということをお伺いしたんでありますので、もう一度答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/66
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067・伊佐進一
○副大臣(伊佐進一君) 今回のこの病床確保料につきましては、実効性を担保することは非常に大事だというふうに政府も認識をしております。
その上で、例えば、令和三年四月からは、受入れ要請があった場合に正当な理由なく断らないということをまず明確化をさせていただきまして、ポイントは、大事なことは、正当な理由とは果たして何だということだというふうに思っております。例えば、特定の疾患、透析患者はうちは設備がないので受け入れられないとか、こういうような実態も、先ほど答弁させていただきましたとおり、昨年秋には正当な理由があるかどうかについても確認をさせていただきました。
その上で、このそもそも正当な理由、実際にこうした患者を受け入れられるかどうかということを書面で締結することを医療機関に認めていこうと、あっ、医療機関に求めようということを令和三年十月から行わさせていただいております。
さらに、その上で、病床使用率が実際に、即応病床を申請されているけれども、受入れが、実際にそこまで診てないと、その率が低いという場合については、その多い少ないで補助段階に差を設けるということもやらせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/67
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068・上田清司
○上田清司君 どうも厚労省所管で直接管理しているところについては全然御回答されようとされない傾向がありますね。
やっぱり、それぞれ二〇二〇年度で三百二十四億、千二十九億の補助金も出しているんですね。それに見合う方の形で私は受入れやっていないと思っております。にもかかわらず、二〇二一年度も補助金の額が増えているんですね。極めて低水準の受入れにもかかわらず、補助金がそれぞれ二百四十五億、二百八十八億と増やしているんですね。これも奇怪なんですが。まあ、増やした結果、二〇二一年度の受入れの状況は良くなっていますね。七二%あるいは六五%ですね。しかし、これも全国的な平均で言えば決して高くない状態です。
つまり、国民の税金で賄われているこの三病院が、必ずしも三病院ではありません、病院の数は山ほどあるんですけれども、三機構がそういう実態がないというところに課題がある。これはもういろんなところで指摘されていたところですけれども、実はこういうことがはっきりしているということであります。
しかも、資料も見ていただきたいんですが、二〇二一年度の国立関係三系統の内部留保が極めて増加していると。新年度比の内部留保の増加額を見ていくと、地域医療機能推進機構は五百八億ですね。国立病院は五百九十九億、国立病院医療研究センターは四十三・六億。これをそれぞれいただいた補助金の中でどのくらいの割合なのかということをたまたま数字で追っかけたら、何と地域医療機能推進機構は補助金総額の八九%に匹敵するんですね。それから、国立病院機構も四五・五%、国立病院医療研究センターは八五・五%。つまり、内部留保の額というのが補助金でいただいたやつの大半になっているという、こんなばかなことがあっていいのかと。国立病院はお金をためるところじゃないんです。お金を使って治療をするところなんです。
こういう実態について、患者さんにメス入れるだけじゃなくて、厚労省がメスを入れるべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/68
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069・伊佐進一
○副大臣(伊佐進一君) この公的病院の受入れの今の実態あるいはこの内部留保の増加という、内部留保の増加額というところは委員のおっしゃっていただいたとおりだというふうに思っております。
ただ、今おっしゃっていただいたとおり、この使い方、これをしっかり、また内部留保があればそれをどう使っていくかということも重要だというふうに思っておりまして、五年ごとに当然これ中期計画というものに従ってこの運営をされていくと。その中で、当然この内部留保、お金の使われ方、今後どう使っていくかについて、あるいは適切に使われるかどうかにつきましても、厚労大臣の監督権限が及ぶところだというふうに思っております。
いずれにしましても、これ公立病院、公的病院あるいは私立病院、同一のルールで今交付されているという状況でございますので、しっかりと今後また監督権限をしっかりと持って見ていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/69
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070・上田清司
○上田清司君 そもそも、地域医療機能推進機構の所属病院数が五十七、国立病院機構、これ百四十、しかも設置法そのものの二十一条にこんなふうに書いてあるんですよ。厚生労働大臣は、公衆衛生上重大な危害が生じ、若しくは生じるおそれがある緊急の事態に対処する必要があると認められたときは、機構に対し、第十五条第一項、第二項の業務のうち必要な業務の実施を求めることができる。これは何だというと、要するに、いざというときにはしっかり受け入れろということなんです。それをやっていないということなんです。同じく、独立行政法人地域医療機能機構推進、あっ、ごめんなさい、今のは国立病院ですね、今度は地域医療機能推進機構法、ここにも同じ二十一条で全く同じ条文が書いてあるんですね。
だから、是非これは少し、今後第八波がひょっとしたらという話もありますので、しっかり受入れ体制ができるように、これは身内ですから、ある意味では、厚労省の職員の人もこの国立病院とか地域医療機能推進機構にも行ったり来たりしていますから。何となく、こう言っては大変失礼ですが、身内びいきぎみなところがありますのでメスが入らない。ここはすっぱり、しっかり政治のメスを入れるべきだと、このように思いますので、最後にしっかりやっていただくということを言っていただきたいと思いますが、副大臣、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/70
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071・伊佐進一
○副大臣(伊佐進一君) おっしゃっていただいたとおり、これ、身内びいきに当然なってはいけないことでありますし、あるいはそう見えても私はいけないことだというふうに思っております。ここはしっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。
今回、今現在審議いただいております感染症法の改正案でございますが、まさしくこうした問題意識もございまして、今回この法案に盛り込ませていただいておりますのは、感染症流行前と同水準の収益をしっかり補償する流行初期医療確保措置というものを導入させていただきます。これは当然、実際にコロナ対応したところに対して減収補填をするという仕組みにさせていただいておりますので、こういう法案の中身も通じまして、しっかりと委員おっしゃるような厳格な対応を行ってまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/71
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072・上田清司
○上田清司君 次の題に移らせていただきます。
国民民主党と新緑風会は、今国会召集日に、資料二、今のグラフの表の裏側になりますが、いわゆる所得制限撤廃法案を出しているところでございます。要するに、少子化に歯止めが掛からない部分に関して、中途半端な所得制限が、子供を産みたい、育てたいという、あるいはそれを担保する資金が十分でないという実態が起こっていることを踏まえて、後ほど御紹介したいと思いますが、そういう法案でございます。
そこで、大臣にお伺いしたいんですが、少子化担当大臣をつくられて御尽力もいただいているところですが、少子化に歯止めが掛かっているというふうに思っておりません、私は。事実、厚生省の人口動態調査資料、今年九月に発表されたところですが、二〇二一年の出生数が八十一・二万人、これ戦後最少と、合計特殊出生率も一・三〇、これも二〇〇五年の一・二六ショックと言われた戦後最低水準と比べてもそれに近いと、こういう実態になってきていると。
つまり、成果がないと思うんですが、この点について、少子化担当大臣として、もちろん過去の推移もいろいろありますけれども、どのような所感を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/72
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073・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) お答えをいたします。
私も、委員と同様に、少子化は、コロナの影響もありますけれども、深刻さを増していると思います。今年の前半、出生数四十万人切りましたので、ますます深刻化をする中で、我が国の少子化というのは静かなる有事だというふうに思っておりますし、少子化対策の抜本的な強化というのは待ったなしの課題だというふうに思っております。
我が国も、これまで、例えば保育所の整備をしてまいりまして、待機児童数も一番多いときは二万六千人超えておりましたが、足下はその十分の一になってございます。保育や幼児教育の無償化も実施をいたしました。例えば、今年に入ってからも、不妊治療の保険適用というのもスタートし、子育てと、育児と仕事の両立という意味では、男性の育休取得を促進をするような法改正も実施をさせていただきました。
ただ、やはりそれだけでは今の少子化を食い止めることはできないというわけですから、それぞれの少子化の課題をしっかりと特定をした上で、それぞれに適した政策を更に前に進めていくということが担当大臣として必要なことだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/73
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074・上田清司
○上田清司君 大臣は、全国一千七百の自治体の中で、合計特殊出生率が極めて、五年とか十年のスパンで上がった事例という、そういうものは御承知でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/74
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075・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 事前にちょっと質問、具体的にいただいておりませんでしたので、どの自治体がを挙げることはちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、千七百ある自治体の中で大変充実した子育て支援策をやってくださって、この五年、十年のスパンで出生率を上げたという自治体が複数あるということは存じ上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/75
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076・上田清司
○上田清司君 確かに人口五千とかの町などで極めて高い割合で出生率を上げたところもありますが、これを全国規模で学ぶとなると少し限界があるかなというふうに、特に政府が学ぶということになってくると。
そこにいくと、人口約三十万の明石市の子育て支援、これは、基本的に一・七近くまで来ていますので、一番近似値でですね、そういうことも考えると、そういう特別な研究というのは内閣府でなさらないんでしょうか。私は、政府を挙げてそういう研究をすることが大事だと思うんですけど、自治体の成功例というのをですね、どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/76
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077・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 御指摘の明石市の泉市長も、この前、内閣委員会で答弁も申し上げましたけれども、とある経済団体のフォーラムで御一緒させていただきました。市長のお話もじっくり聞く機会もございましたし、こども家庭庁の準備室といたしましては、政務三役で地方キャラバンというものを実施をさせていただきまして、非常に先進的な子育ての取組をしている自治体に伺いまして、様々な実情を伺っているところであります。
私自身も先週末に神奈川県の鎌倉市を訪れまして、例えば学校に行きづらい方に対する場づくりですとか、あるいは多様な参加者による子育て支援の状況を学ばさせていただきましたし、そういったものをしっかりと内閣府に持ち帰って検討を進めてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/77
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078・上田清司
○上田清司君 本題に戻りまして、所得制限を掛けることで逆転現象が起こっている事例も結構多くあります。
五百九十未満は、私立、公立を問わず、高校の部分では全く五百九十万未満はゼロでありますし、五百九十万から九百十万未満は、公立は全額補助、私学は三分の一支援、九百万以上は支援なしということになっておりますが、御案内のとおり、累進課税ですので納税が上がります。それから、それに合わせる形で社会保険料は負担が増えていきます。実額が減るということが起こってまいります。
そして、比較的、私立高校なんかに通わせる場合は授業料等々が高いという問題があります。したがって、例えば高校一年と高校三年生が考えられたときに、二人分はとてもじゃないけど無理ねと。ライフサイクルで考えている人もいます。比較的幼児は何とかなるけれどもと、しかし、中学、高校となってくると困難だねと。じゃ、二人でなくて一人ね、あるいは五人も四人もという話にはとてもならないから一人ねという話で、この所得制限によって総額が全然減る場合もあるんですね。境目の方なんか徹底的にそうですね。そんなのもう見えているわけです。しかも、今申し上げた社会保険料や税負担が重い。全然、所得制限を掛けることで子育て支援にならない形になってしまうんですね。
したがって、これだけじゃないんです、話は。いっぱいあるんです。第一、この政府による社会給付における所得制限というのは、子育て分野で六、教育分野で四、その他で二十八、三十八もあって、それぞれ事務コストとか掛かるんで、時間が参ったようですのでもう多くは語れませんが、これはとことん、基本的には撤廃する方向で一つ一つ見ていかなくちゃいけないと思いますが、たった一つ今事例を挙げましたけど、この点だけでも踏まえて、大臣の所感を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/78
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079・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間が来ておりますので、簡潔に答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/79
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080・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 各制度におけます所得制限の在り方については、個々の制度の目的や支援方法に応じて、それぞれの制度において必要性が判断されるものと考えております。
他方で、政策全体の中で、より広い方々に支援が行き届きやすくするようにという観点も大切であると考えておりまして、例えば、今検討しているような伴走型支援に伴う経済的支援などについては所得制限を設けず進める、検討しているところであります。
そういった様々な制度や支援を重層的に用意する中で、政策全体のバランスを踏まえて考えていく必要があるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/80
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081・上田清司
○上田清司君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/81
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082・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間が来ておりますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/82
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083・上田清司
○上田清司君 満足しませんが、ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/83
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084・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
まず、女性活躍推進法に基づく男女間の賃金格差の開示に関して、小倉担当大臣にお聞きいたします。
七月八日に、同法に基づく女性の活躍に関する情報公表項目に男女間の賃金差異を新設する厚生労働省令の改正が施行されました。これは、生涯賃金で一億円近い差が生じている異常な男女間の賃金格差を、是正を求める女性たちの長年の闘いが勝ち取った成果だと思います。私どもの党も繰り返しこの間求めてまいりました。
まず、今回のこの措置について、その趣旨、意義を担当大臣としてどのようにお考えか、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/84
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085・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 男女間の賃金格差について、我が国の現状を見ますと、女性の賃金は男性の賃金の約四分の三でありまして、OECD諸国と比較しても格差が大きくなっており、その是正は女性の経済的自立の実現に向けた最重要課題だと思っております。
男性と女性が同じ組織で働いていても職務や職責が異なることなどから、女性はより低賃金となる傾向が指摘をされております。こうした社内格差、いわゆる垂直分離に対しては、各組織においてそれぞれ要因を詳細に分析をして、女性の処遇改善につなげることが重要だと思っております。
こうした認識の下、委員御指摘のとおり、先般、女性版骨太の方針二〇二二に基づき、女性活躍推進法に基づく厚生労働省令改正が施行され、常用労働者三百一人以上の事業主について、男女間賃金格差の開示を義務化したところであります。
賃金格差の開示は、格差是正のための第一歩として極めて重要な意義を持つと考えております。また、こうした取組を通じて、企業の持続的成長のためには、女性を含め多様性を確保し、それを外部に発信することが不可欠であるという意識を広げていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/85
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086・井上哲士
○井上哲士君 男女間の賃金格差の是正は最重要課題だという御答弁もありました。
非正規雇用の七五%は女性が占めており、この正規と非正規の間の賃金格差が大きいわけですね。ですから、女性は男女間の格差に、この正規、非正規の雇用形態間による格差という二重の意味で虐げられている現状があるわけです。
今回の公表は重要な第一歩でありますけれども、男女賃金格差を全労働者、正規、非正規という三つの区分ごとにその割合をそれぞれ公表するというものであります。しかし、割合ですから、これですと、正規雇用の男性と非正規雇用の女性の格差というのは直ちには分からないわけですね。
私は、今、非正規の多くが女性占めて、二重の意味で虐げられているという現状にある中でいいますと、この状況を改善するためには、正規雇用の男性とそして非正規雇用の女性との賃金格差が明らかにされるべきだと思いますけれども、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/86
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087・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) この男女間の賃金格差の開示につきましては、委員御案内のとおり、一般事業者は厚生労働省で、私ども内閣府は特定事業者、いわゆる政府や地方自治体を担当しております。そういう意味では、民間部門における男女の賃金の差異の公表につきましては基本的には厚生労働省の所管となりますが、その上であえて申し上げれば、女性活躍推進法に基づく民間事業者による男女の賃金の差異の公表については、全労働者、正規雇用労働者及び非正規雇用労働者の三区分で開示することとされております。これは、従来、男女間賃金格差の国際比較などにおいて、フルタイム労働者の男女間賃金格差を用いることが通常ですが、我が国においては、正規雇用労働者、非正規雇用労働者、それぞれの不合理な待遇の格差の是正を進めていること等も踏まえ、比較可能性を確保する観点から、この三区分で開示することとしたものであると承知をしております。
したがいまして、所管の厚生労働省においては、御指摘の男性の正規雇用労働者と女性の非正規雇用労働者の間の賃金の差異の公表を義務付けることについては、現時点では考えていないというふうに承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/87
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088・井上哲士
○井上哲士君 国際的にはフルタイムの比較だけれども、日本の現状に合わせてこの区分をしたということなんですね。そうであれば、やっぱりそういう現状があるわけですから、私は、この区分ごとの公表に加えて、やはり正規の男性と非正規の女性というもののこの差を明らかにしないとやっぱり大きな問題の解決にならないと思うわけで、これは是非、担当大臣として厚労省ともしっかり話合いをしていただきたいと思うんです。
同様に、今回の対象は、労働者が三百一人以上の事業者が対象になっております。百一人から三百人の事業主を対象にすることについては、施行後の状況を踏まえ検討を行うと政府はしております。しかし、女性労働者の約半数が三百人以下の企業で働いているわけですね。これを踏まえますと、本当にやっぱり実態を把握し是正をする上でいえば、もう速やかに対象を広げるべきだと思いますけれども、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/88
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089・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) お答えいたします。
繰り返しで恐縮ですが、民間部門における男女の賃金の差異の公表につきましては厚生労働省の所管でありますが、お答えをいたしますれば、今般、常用雇用労働者三百一人以上の事業主について本情報公表が義務付けられておりまして、まずは当該事業者が適切に情報公表を行うことができるよう支援することで法の履行確保を図ることとしていると承知をしております。
その上で、今後、厚生労働省において、本制度の施行状況を踏まえつつ、常時雇用労働者百一人から三百人の事業主における公表の義務付けについて検討することになるというふうに承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/89
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090・井上哲士
○井上哲士君 それはやっぱり速やかにやるべきだと思うんですね。
大臣は先日の所信的挨拶で、男女間賃金格差の是正など、女性の経済的自立を政府一体で推進してまいりますと述べられました。まさに、政府の中で、いろんな各府省に関わる問題であっても、この男女間の様々な格差の是正をするという、やはりその一番の責任が私はやっぱり大臣だと思うんですね。そういう点で、是非イニシアチブを発揮をしていただきたいということで、今回の賃金格差の公表は大事な一歩でありますけれども、ゴールでなくスタートですから、しっかりこれを推進をしながら、同時に、この賃金格差の是正のための具体的措置をとるところまでは進める必要があると思います。
OECDは男女間賃金格差の国際比較に関する資料を公表しております。これは正規、非正規を合わせたフルタイム雇用の比較値でありますけれども、それによりますと、OECD平均の八八・四%に対して日本は七七・五%と、国際的に見ても男女間の格差は大きいわけですね、先ほどもありました。やはり、これ、日本の是正の取組が、にもかかわらず遅れていると、国際的に。これ、正す必要があると思うんです。
例えば、EUは、一九七五年の男女同一賃金指令、一九九七年のパートタイム労働指令等によって男女間の賃金格差の縮小を図ってきました。イギリスは、二〇一七年の平等法で、従業員二百五十名以上の企業に対する男女間賃金格差のデータ公表などの情報公開を義務付けるとともに、是正命令に従わない場合の罰金も規定をされております。フランスは、二〇一九年に施行された男女間の賃金格差是正に関する施行令で、従業員五十人以上の企業に対して賃金格差の指数公表を義務付けております。この指数は男女間賃金格差の有無、昇給昇格差などの基準に算定をされて、指数の合計が七五ポイントに満たない企業は三年以内に格差を是正しなければならないとされて、それが実施できない場合は賃金総額の一%に相当する過料が科せられると、こういうふうなことも行われているわけですね。こういう取組によってEU全体では男女間の賃金格差は八五・九%まで縮小しております。
こうした経験に学びますと、この公表の徹底とともに、日本においても、このような国際的な水準に基づいて男女間の賃金格差を解消するために、是正計画の策定と実施する仕組みなど、是正措置をしっかり進めていくということが検討すべき課題だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/90
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091・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) お答えをいたします。
今般の男女間賃金格差の開示義務化につきましては、諸外国において企業に対し男女間賃金格差の報告や分析の義務化を進めている状況も踏まえまして、格差是正に向けた取組として新たに決定したものであり、まずは本制度を着実に実行していくことが重要であると考えております。
また、賃金格差の是正に向けては、女性の正規雇用比率を増加させるなど、質の高い雇用の拡大に向けた対応も鍵となります。このため、女性デジタル人材の育成を通じた成長分野への労働移動、女性に多い非正規雇用労働者、御指摘いただきました、の正規化や処遇改善、男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備などに取り組んでまいります。
私も、関係者の御理解をいただきながら、先月ドイツで行われた男女共同参画担当大臣G7会合に出席をいたしました。大きなテーマが、やはり女性の経済的な自立や男女間の賃金格差でありまして、委員御指摘のとおり、中でもとりわけ格差が大きいのが我が国でございます。
そういう意味では、今後とも、委員が挙げられたイギリス、フランスを始めとした諸外国の動向も参考にしつつ、男女間賃金格差の是正に向けまして関係省庁と連携をしながら、まあ連携しながらというよりも、強力に私どもとして後押しをしながら、実効性のある施策について議論を進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/91
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092・井上哲士
○井上哲士君 強力に後押しをしたいという御答弁でありました。
やはり今回のこの公表はしっかり進めながら、やはり国際的にも非常に大きな格差を是正するという上で特別な取組が要ると思うんですね。先ほどあのイギリスやフランスの例も挙げましたけれども、EUは、そういう各国の独自の施策に加えて、更に踏み込んで、昨年の三月に賃金透明化指令案が提出されて、議論が進んでおります。この中で、同じ企業の労働者の男女別の賃金水準を、これは知る権利があるんだと、労働者に、このことを定めて、さらに、是正しない企業への罰金やペナルティーも含まれているわけですね。
先日のドイツの会議のお話もありましたけど、来年は、六月に開催される、G7の男女共同参画・女性活躍大臣会合が行われるわけですよね。まさにそこで大臣は重要な役割を果たされていただかなくちゃいけないわけで、先日の所信でも、この会議で国際的な議論や取組への貢献するということも言われました。そうであれば、今の公開制度をしっかり実施をしながら、本当に国際的な基準に沿って取組が前進するように政府が連帯してやる上で大臣の役割は大きいと思うんですね。
改めて、その点での決意と、そして方向を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/92
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093・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) まずは、今般からスタートをいたします企業ごとの男女間賃金格差の開示について、恐らく業種ごと、企業ごとに状況が分かると思います。それをしっかりと分析をして、我が国でこれだけ男女間の賃金格差が拡大をしている原因は何かということをきちんと見極めなければならないと思います。
その上で、御指摘いただいたように、六月には、来年の六月には我が国で初めて男女共同参画担当大臣・女性活躍担当大臣会合、G7開かれますので、そこに向けて、我が国としてこれから先どういった取組ができるのか、しっかり発信できるだけの検討を内部で進めていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/93
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094・井上哲士
○井上哲士君 是非強く進めていただきたいと思います。
大臣はこれで結構でございます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/94
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095・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 小倉大臣はここで御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/95
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096・井上哲士
○井上哲士君 政府は、国家公務員についても民間と同様に女性活躍推進法に基づく開示を行うとしておりますけど、一方、公務労働の職場では、この常勤職員と非常勤職員は民間以上に賃金など処遇の格差が指摘をされております。国家公務員法は一般職の常勤職員と同様に非常勤職員にも適用されるわけですが、同じ法律が適用されるのに格差が生じていると、こういう事態であります。
この間、労働組合の粘り強い運動で様々是正をされてまいりましたけれども、現在でも、常勤なら有給の病気休暇や生理休暇は、非常勤の方は無給なわけですね。それから、住居手当や扶養手当、寒冷地手当などは支給をされません。こうした現状は一刻も早く改善されるべきだと思いますが、人事院総裁、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/96
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097・川本裕子
○政府特別補佐人(川本裕子君) お答え申し上げます。
非常勤職員の処遇改善に関しましては、委員御指摘のとおり、人事院としては、これまでも順次取組を進めているところです。
休暇については、これまで、業務の必要に応じその都度任期や勤務時間が設定され任用されるという非常勤職員の性格を踏まえ、民間の状況などを考慮し、必要な措置を行っているところです。
非常勤職員の病気休暇等については、今後、民間企業の勤務条件制度等調査などを通じて引き続き状況などを注視し、必要に応じて検討を行っていきたいと思っています。
給与に関しては、給与法第二十二条第二項において、各庁の長は常勤の職員の給与との権衡を考えて予算の範囲内で給与を支給することとされ、人事院が発出した非常勤職員の給与に関する指針に基づき、各府省において取組が進められています。
人事院としては、今後も引き続き、各府省や民間の状況などにつきまして注視し、必要な検討を行っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/97
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098・井上哲士
○井上哲士君 是非改善を強く求めたいんですが、今回、今後議論になる一般職給与法の改正で一般職の初任給と若年層の俸給月額が引き上げられます。これが施行されますと、この措置は今年の四月に遡って適用されますけれども、非常勤職員の場合はどうなるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/98
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099・窪田修
○政府参考人(窪田修君) お答え申し上げます。
国の非常勤職員の給与につきましては、今ほど人事院総裁の方から御紹介ありましたように、各府省において常勤職員の給与との権衡を考慮して予算の範囲内で支給することとされておりますが、非常勤職員の基本給の改定時期につきましては、職務内容等が常勤職員に類似する非常勤職員につきましては、平成二十九年に、常勤職員の給与改定に準じて改定することを基本としつつ、当面は、遅くとも改正法の施行月の翌月の給与から改定するということを各府省で申し合わせております。
今回の法案が成立した場合には、各府省等において申合せの趣旨も踏まえて適切な対応がされるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/99
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100・井上哲士
○井上哲士君 かつては明確なルールがなくて、今の申合せで一定の改善はされたわけでありますが、しかし、これ、やっぱり差があるんですね。しかも、当面というのが五年前の申合せでありまして、もうこれ五年たっているわけで、やはりこれは、いつまでたっても当面の措置を続けるのではなくて、もっと抜本的改善が必要と思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/100
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101・窪田修
○政府参考人(窪田修君) この申合せを決めましたのが確かに平成二十九年ということで、それから時間もたっております。最近の、ここ二年ぐらいは給与の引上げも勧告されておりませんでしたが、最近の物価・賃金情勢を見ますと変化の兆しも見れますので、まずは人事院とも相談しながら、実態の調査をどうするかといった辺りから検討したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/101
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102・井上哲士
○井上哲士君 一刻も早く常勤職員に準じた支給にするべきだということを求めたいと思います。
今、様々指摘しましたけれども、一般職の常勤職員と非常勤職員の間に処遇や給与などの格差があります。一刻も早く改善する必要があると。にもかかわらず、今年の人事院勧告と一緒に出された職員給与に関する報告は、非常勤職員の処遇改善は全く触れていないんですね。これでは労働基本権の代償措置としての人事院の役割を果たしているのと言えるのかと私は思うんですが、非常勤の皆さんの処遇改善へ人事院として積極的役割を果たすべきかと思いますが、総裁、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/102
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103・川本裕子
○政府特別補佐人(川本裕子君) お答え申し上げます。
非常勤職員の処遇改善に関して、人事院としてはこれまでも順次取組を進めているところです。最近の例を挙げれば、休暇について、本年一月に出生サポート休暇、配偶者出産休暇及び育児参加休暇をいずれも有給で新設したほか、産前休暇及び産後休暇を有給にしています。
給与については、昨年七月に非常勤職員の給与に関する指針を改正いたしました。すなわち、期末手当及び勤勉手当に相当する給与について、任期が相当長期にわたる非常勤職員について、常勤職員と職務や勤務形態の類似する非常勤職員については、常勤職員に支給する期末手当及び勤勉手当に係る支給月数を基礎として、勤務期間、勤務実績などを考慮の上支給するよう努める由を規定しています。
公務における人材の確保が非常に厳しい状況にある中で、本年の報告はそれらについて言及させていただきました。非常勤職員の処遇改善について、人事院といたしましては、今後も引き続き、各府省や民間の状況などについて注視し、必要な検討を行うなど、適切な役割を果たしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/103
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104・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間が来ておりますので、質疑をおまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/104
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105・井上哲士
○井上哲士君 コロナの中で、公務労働の非常に大切さ、その中で非常勤の方の役割、非常に浮き彫りになったと思います。是非積極的な改善へ役割を果たしていただきたいと重ねて申し上げて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/105
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106・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/106
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107・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
政府から順次趣旨説明を聴取いたします。河野国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/107
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108・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
本年八月八日、一般職の職員の給与の改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としては、その内容を検討した結果、勧告どおり実施することが適当であると認め、一般職の職員の給与に関する法律等について改正を行うものであります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、指定職俸給表等を除く俸給表について、初任給及び若年層の俸給月額を引き上げることとしております。
第二に、勤勉手当の支給割合について、年間〇・一月分を引き上げること等としております。
このほか、施行期日、この法律の施行に関し必要な措置等について規定しております。
引き続きまして、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
この法律案は、特別職の職員の給与について、一般職の職員の給与改定に併せて、必要な改正を行うものであります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
秘書官の俸給月額及び内閣総理大臣等の特別職の職員の期末手当について、一般職の職員の給与改定に準じた措置を行うこととしております。
以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/108
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109・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00320221108/109
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