1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年十二月八日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
十二月六日
辞任 補欠選任
木村 英子君 舩後 靖彦君
十二月八日
辞任 補欠選任
磯崎 仁彦君 山本 啓介君
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出席者は左のとおり。
委員長 古賀友一郎君
理 事
上月 良祐君
森屋 宏君
山田 太郎君
吉田 忠智君
塩田 博昭君
委 員
有村 治子君
磯崎 仁彦君
衛藤 晟一君
自見はなこ君
広瀬めぐみ君
三宅 伸吾君
山谷えり子君
山本 啓介君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
水野 素子君
三浦 信祐君
柴田 巧君
高木かおり君
上田 清司君
井上 哲士君
舩後 靖彦君
国務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(規制改
革)) 岡田 直樹君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 自見はなこ君
厚生労働大臣政
務官 畦元 将吾君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
政府参考人
内閣官房新しい
資本主義実現本
部事務局次長 松浦 克巳君
内閣府政策統括
官 笹川 武君
内閣府民間資金
等活用事業推進
室長 英 浩道君
国土交通省水管
理・国土保全局
下水道部長 松原 誠君
国土交通省航空
局航空ネットワ
ーク部長 大野 達君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民間資金等の活用による公共施設等の整備等の
促進に関する法律の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/0
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001・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、木村英子君が委員を辞任され、その補欠として舩後靖彦君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/1
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002・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長松浦克巳君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/2
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003・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/3
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004・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/4
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005・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 自由民主党の広瀬めぐみでございます。本日は質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
PFI法、すなわち民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律は、民間の資金や技術を活用し、国民の皆様に低廉かつ良好な公的サービスを提供することを目的にし、平成十一年法律施行以来、数回の改正を経て、現在は平成二十五年に策定されたアクションプランを基本にして官民連携を推進していると理解しております。
資料一として、公共施設等運営事業等の重点分野の主な進歩状況を示します。これらはPFIの重点事業で、水道や道路など、私たちの生活の根幹を支える事業でありますが、過去二十三年間のPFI法の活用によりどのような事業が行われてきたか、改めてお答え願います。
また、資料二の一として、事業規模合計等を示します。これを見ると、平成二十五年から令和二年までの八年間におけるPFI事業の規模は約二十七兆円であり、アクションプランが順調に推移しているのかと思いますが、正しい認識でしょうか。お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/5
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006・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答え申し上げます。
PFIにつきましては、官と民が連携して、老朽化した公共施設の改修などに民のノウハウや資金を最大限活用するものであり、効率的かつ効果的で良好な公共サービスの提供や、新たな雇用や投資を伴う民間ビジネス機会の拡大を通じ、地域におけるにぎわいの創出や社会課題の解決を図るための有効な手段として実施されてきたところでございます。
PFI法が施行された平成十一年度から令和二年度までの累計で、学校施設が二百一件、公営住宅百二十七件、こういったものを始めとする分野において、累計で八百七十五件の事業についてPFIの実施方針が公表されたところでございます。
特に、空港や上下水道分野など、市民生活や経済活動に密着するとともに今後施設の維持管理が重要であって民間ビジネス拡大効果が特に高い分野については、PFIアクションプランの重点分野に位置付け、PFIの積極的な推進を図ってきたところでございます。
そういう意味で、先ほど事業規模の話もございましたが、今まではPFIについてしっかりと推進をしてきたと、それなりに成果も上がっているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/6
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007・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 お答え、どうもありがとうございました。PFI事業が私たちの生活の根幹を支え、この十年間でしっかり発展してきたことが分かりました。
次に、今回の改正に当たり、国はPFI事業の発展と拡大をデジタル田園都市国家構想及び地方創生と結び付け、新しい資本主義を実現する一つの方法と位置付けています。
そこで、資料三及び資料四をお示しします。資料三のPFI事業の実施状況を見ると、北は北海道から南は沖縄まで、PFI事業が全国の地方公共団体にあまねく広がっていることが分かります。また、資料四の令和二年度PFI事業における地域企業の参画状況を見ると、PFI事業の九五%に地域企業が参加していることが分かります。
他方、このPFI法の一つの懸念として、都市部の大企業だけが特に潤うシステムではないかとも言われております。実際、資料四を見ると、地域企業は百億円以上の事業には参加していませんし、十億円以上百億円未満の事業についても三二%のみでございます。
地方創生をうたったPFI事業ですが、本当に地域に貢献しているのかをお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/7
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008・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答え申し上げます。
PFIは、歳出削減効果のみではなく、住民満足度の向上や地域のにぎわい創出、地域課題の解決などの多様な効果も見込まれ、地域活性化に貢献しているものと認識しております。
例えば、岡山県の津山市では、伝統的建造物の町家を改装した高級宿泊施設の運営が国際的にも評価され、観光客の誘客、地域の消費拡大に寄与しております。また、神奈川県の茅ケ崎市では、地域企業を中心とした民間事業者を選定し、総合スポーツ公園を整備をしております。市民の多様なニーズに対応可能なクラブハウスの設置や各種スポーツ教室の実施などにより、計画を上回る利用者数を実現しております。また、山形県東根市では、図書館、美術館等の文化施設を一体的に整備、運営し、新たな芸術文化拠点として市民に質の高いサービスを提供しております。こういったことで効果があると思っております。
それから、その地域企業の参画でございますが、PFI事業について、御指摘のように資金やノウハウを擁する大企業が参加、参入しやすい一面があることは確かでございますが、他方で、PFI事業をそれぞれの地域に合った形で展開するためには、地域の町づくりの中核を担う地域の金融機関や地元企業に参加していただくことが重要であります。これまでも、行政や地域金融機関や地元企業等の関係者が集い、ノウハウ習得や案件形成に向けた対話、それから異業種を含む事業者間の交流を図る地域プラットフォームの形成、運営の支援などを行ってまいりました。また、今回の法改正によって、PFI推進機構による地域金融機関への助言等の業務を追加することとしております。
内閣府としては、引き続き、これらの取組を通じて地域金融機関、地元企業などの支援に取り組むとともに、地域活性化に資する多様な効果を生み出していく好事例の発信ですとか、他都市のモデルとなる事業形成の支援等を通じて、地域活性化に資するPFI事業の創出を推進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/8
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009・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 PFI法の事業が地域で役に立っていることがよく分かりました。
次に、資料五の現行法と改正法の抜粋をお示しします。現行法は、そのほかの公益的施設として包括的な文言が規定されているのに対し、改正案は、スポーツ施設、集会施設と明示をしています。あえて明示をした意図は何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/9
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010・英浩道
○政府参考人(英浩道君) 本年六月に策定されたPPP/PFI推進アクションプランにおいて、地域づくりの核となるスポーツ施設や身近な拠点となる集会施設など、新たな分野における活用拡大の方向性を打ち出したところでございます。これらの施設につきましては、現行法上もPFI事業の対象となり得るということでございますが、対象施設として明示されていないために、対象となるか疑義が生じる可能性も考えられるところでございます。
このため、今回の法改正においては、これらの施設をPFI法に基づく事業対象として明確に位置付けることで、PFIの活用を更に推進し、各地域におけるにぎわいの創出や交流拠点の形成を推進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/10
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011・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 お答え、ありがとうございます。私たちの生活にとって非常に重要な施設を特に推進したいという意図が分かりました。
ただ、これらの重要施設が官民連携となると、事業の収益が悪化した場合に、サービスが低下する、施設利用費が値上げされるなど、住民が不利益を被る危険性はないのでしょうか。また、このような危険を回避し、良い経営をしていくには、能力のある事業者の選定が重要であると思います。
そこで、資料六及び資料七の事業者選定フローを示します。このフローチャートに基づき、厳しい要件の下、民間事業者の選定が行われるわけですが、特に重要なのが背景がグレーの部分、民間事業者との対話、事業スキームや要求水準等作成のための対話と思います。
例えば、事業計画と金融リスクの事前予測などですが、地方ではノウハウが少ない分野と思いますが、こういった点について政府からの支援はあるのか。そして、民間事業者が選ばれるための一番重要な要件は何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/11
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012・英浩道
○政府参考人(英浩道君) PFI事業においては、民間事業者の有する技術及び経営資源、その創意工夫等が十分に発揮され、低廉かつ良好なサービスが国民に対して提供されるよう、価格以外の要素を事業者選定に用いる総合評価一般競争入札方式や公募型プロポーザル方式が一般的に取られております。
そして、PFI事業を実施するに当たっては、管理者側のみで事業目的やニーズを満たすことができる手法や要求水準等を適切に設定することが困難な場合も多いことから、応募予定者との間で競争的対話などを実施し、事業スキーム、資金調達スキーム、運営方法などについて多面的な観点から幅広い提案を求めることが重要と考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/12
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013・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間が参りましたので、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/13
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014・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 御答弁、誠にありがとうございました。PFI法の概要が明らかになり、また、疑問点が解消されました。
昨日、テレビに内閣官房参与の方が出演され、少子化が牙をむくというお話をされていました。そんな折、出産一時助成金を現行四十二万円から五十万円に上げるという岸田総理の本気の少子化対策も示されました。地方創生は重要な少子化対策でもあります。官民連携で地方を元気にして、全ての年代の方々が豊かに生きることができる新しい資本主義の実現に向け、これからもしっかり頑張っていただきたいと思います。
質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/14
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015・水野素子
○水野素子君 立憲民主・社民、水野素子でございます。本日は質問の機会を賜りまして、誠にありがとうございます。
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の改正案、いわゆるPFI法の改正法案でございますが、私自身も、JAXAにいたときにPFIの導入を担当したこともありましたので、そのメリット、あるいは近年少し出てきている課題につきまして問題意識がありまして、本日はお尋ねをさせていただきます。
まずは、PFI制度そのものの評価につきまして御質問させていただきます。
岡田大臣の提案理由説明によりますと、PFIは、新しい資本主義における新たな官民連携の柱として、大規模な事業規模目標を計画されています。さて、この岸田総理が提唱する新しい資本主義、これ、どこが新しく、そしてその下で行う官民連携、これはこれまでの官民連携とどこが違って何が新しいのかをまず教えていただきたく、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/15
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016・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答え申し上げます。
岸田政権が掲げる新しい資本主義でございますが、これは、マーケットに任せれば全てうまくいくという、まあ新自由主義的な考え方というんでしょうか、それが生んだ弊害というものもあると思いますので、こうした弊害を乗り越えて、しかしながら、一方で、行政単独で何でもできるものではないというふうにも考えて、官と民が連携をしてそれぞれの役割を果たすことで、様々な社会課題の解決を成長のエンジンへと転換をしていくものというふうに理解をしております。
PFIは、御承知のとおり、二十年以上前に創設された制度ではありますが、官と民が連携して民のノウハウを最大限に活用することで、厳しい財政状況の中でもインフラの老朽化などの社会課題を解決し、そこから新たなビジネス機会や市場を創造していくことができる仕組みと考えております。
このPFIが目指すところは、先ほど申し上げた岸田政権が掲げる新しい資本主義、あるいは新たな官民連携と方向性がしっくり合うのではないかというふうにも思っておりまして、この岸田内閣の下で更に推進していくべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/16
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017・水野素子
○水野素子君 ありがとうございます。
導入から二十年以上たっておりますこのPFIは、これ自体は新しい制度ではございません。そして、PFIの先駆者でありますイギリスにおいて、英国の会計検査院から、PFIの効果が低く、従来の制度の方が有利だったケースも多くあるという指摘を受け、イギリスでは、二〇一八年、四年前に、既に新規事業に適用しないとしてPFI等が廃止されています。
資料一、御覧ください。
日本でも会計検査院が同様の指摘をしています。この導入から二十年を経過したPFI制度の成果、あるいは改善すべき課題につきまして、政府はどのように客観的に評価しているか、お教えください。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/17
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018・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答え申し上げます。
我が国のPFI事業、これまで八百七十五件の実績があり、事業者選定時のVFMは平均して一六・八%ということであります。また、平成二十五年度から令和二年度までの八年間での歳出削減及び歳入増加の効果は、合計約二兆円といった効果を上げております。また、こうした歳出削減等の定量的な効果に加えて、住民満足度の向上でありますとか、地域のにぎわいの創出でありますとか、地域課題解決などの言わば定性的な効果というものも見逃せないところだと思います。
他方、先ほどお話のありました会計検査院から指摘のあったVFMの適切な算出に加えて、小規模自治体におけるPFI事業の実施率がいまだ低いといった課題もあると認識をしております。
このため、地方公共団体等における実態や国内外の動向等も踏まえながら、アクションプラン等に基づく取組を着実にすることでこうした課題の解消を図り、PFI事業の更なる活用の拡大につなげてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/18
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019・水野素子
○水野素子君 御説明ありがとうございます。
一方で、これは、私も調べてみますと、評価は内閣府によるものが多いんですね。推進側ではなく客観的な評価が求められている、これが会計検査院の指摘だと思いますが、この点につきましていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/19
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020・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) 会計検査院の評価の対象というのが専ら国の施設に限定されているということで、地方公共団体に関してはお調べになっていないというようなこともございますけれども、しかし、その御指摘については重く受け止めて、今後、改善の方向で、これは不断の改善といいますか、常により良きものを目指していくという方向で、マニュアルを作ったり、それをまた有識者の御意見を伺いながら改定をしたいと、そういう不断の努力を続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/20
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021・水野素子
○水野素子君 より良い制度の運営を目指してより客観的な評価を行って改善を進めていくということで、これは、実は企業秘密を理由としてなかなか一般的には情報を取れないものもありますので、内閣府の方で意識的に客観的な評価も行っていただきたいと思います。
さて、資料二を御覧ください。
実は、やはり事業者が破綻する例というのも、タラソ福岡あるいは名古屋港イタリア村など起きております。どのような再発防止策を講じているか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/21
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022・英浩道
○政府参考人(英浩道君) PFIに関しまして、受注した民間事業者の経営破綻に伴い事業継続が困難となったPFI事業の事例として、今御指摘いただいたような案件があることは承知をしております。
いずれも、制度の創設後、初期に実施された事案であり、リスクの分担、管理に関する事前の合意や検証、あるいは行政などによるモニタリングの実施などが十分に行われていなかったことが原因という指摘がなされたところでございます。
こうした事態の再発を防ぐために、リスクの分担やモニタリングに関するガイドラインを制定し、地方公共団体等に周知をしてきたところでございます。地方公共団体等における取組が徹底されるよう、ガイドラインの周知徹底を引き続き図るとともに、制度所管として実態把握に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/22
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023・水野素子
○水野素子君 これらの事業は税金で運営されている公共事業というものでありますから、一般の事業と違いますので、是非、破綻が起きないように、よりしっかりと対応いただきたいと思います。
さて、資料三、御覧ください。
水道などのライフラインに近い公共事業もPFIの対象として法に掲げられております。しかし、海外では水道の再公営化が進むなど、そういう状況にある中で、なぜ日本では今、水道事業のPFI、推進しているのでしょうか。また、この水道などライフラインとして安心な事業の安定的な維持が不可欠なインフラは本来PFIに適するのか、二点につきましてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/23
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024・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答え申し上げます。
PFI事業につきましては、そのサービス内容や水準について契約に定めておりまして、事業者は当該契約に従って事業を実施する必要があるほか、地方公共団体等による適切なモニタリングや必要に応じた改善命令の実施などを行うこととしております。
これらを通じて、適切な公共サービスの提供を担保しつつ、PFIのメリットである民間ノウハウの活用が図ることができると考えておりまして、水道事業についても同様と考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/24
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025・水野素子
○水野素子君 引き続きまして、PFIの適用、どのような事業に適用するのが適切なのかという観点から、次の質問に移ってまいります。
大臣にお尋ねしたいと思います。このPFI、これが義務か任意かというところでございます。
もちろん、官民連携を進めることは意義があります。そして、PFIにもメリットはあります。しかし、先ほど見てきましたように、海外では廃止されているなど課題もあり、PFIは万全な制度ではありません。そのため、具体的な事業ごとにPFIによる実施が適切かどうかを地方自治体などの事業主体が慎重に検討する必要があると考えます。
PFI法第三条では、事業により生ずる収益等をもって費用を支弁することは可能である等の理由により民間事業者に行わせることが適切なものについて、できる限り実施するようと規定しております。
法文上、PFIは強制ではなく任意と思われますが、念のためお尋ね申し上げます。PFIは、義務ではなく、地方公共団体など公共施設等の管理者等事業主体がPFIによる実施が適切と自主的に判断した場合に活用する任意の制度という理解でよろしいか、お尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/25
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026・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答え申し上げます。
これは端的に申しまして、PFIの実施は強制的なものではないというふうに理解しております。
このPFI事業は、地方公共団体が管理する公共施設等を効果的かつ効率的に整備、運営するための手法の一つであり、その手法を採用するかどうかは当然ながら各地方公共団体の自主的な判断によるところでありまして、これを国が活用を強制するということは起こり得ないと、こういう認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/26
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027・水野素子
○水野素子君 ありがとうございます。PFIの適用は任意であり強制ではない、そのようなことは起こり得ないという力強い御答弁いただきました。
それでは、続けて同じことを聞いてまいりますけれども、このPFIは適切な場合には実施するようにということでございますが、法文上はそうでございますが、しかし、二〇一五年辺り、いわゆる骨太方針、経済財政運営と改革の基本方針以降辺りから、PPP、PFI制度の促進、優先的適用自体が目的となって、趣旨がずれてきているのではないでしょうか。
資料四以降でございますけれども、内閣府民間資金等活用事業推進会議が決定した、多様なPPP/PFI手法導入を優先的に検討するための指針あるいはPPP/PFI手法導入優先的検討規程策定の手引などにおきまして、事業費総額十億円以上又は単年度事業費一億円以上の公共施設整備等事業全てでPFIを優先的に検討するような指針が、方針が出ておりまして、さらに、課題となりますのは、PPP、PFIを導入しない場合はその根拠を公表するものとして、さらに、その旨の規程、優先的検討規程を制定するように内閣府から文書で全ての自治体に要請がなされているところであります。そして、その自治体の対象、二十万以上の自治体から人口十万人以上の自治体まで拡大するというのが昨今の流れとなっているようでございます。
資料四、御覧ください。
こちらが要請文書、要請の文書でございます。こちらの箱囲みのところ、PPP、PFIの飛躍的拡大のためということが目的としてうたわれており、さらに、下の方では、人口二十万人以上の地方公共団体、平成二十八年度までに優先的検討規程を定めていただきますようお願いするというふうになっているわけでございます。
そして、資料五、こちらは手引からの抜粋になりますけれども、これも同じように文書として各自治体に通知がなされております。これらにおいて、この手前の条項において、先ほどの十億以上、総額、あるいは単年度一億というのも明記されているわけですけれども、その結果、導入に適しないと評価した場合は公表せよ、そしてさらに、その次、こちらは先ほどの優先規程のひな形として通知がされているものです。そして、その別紙、資料六はその別紙でございます。
このように、全てを検討した上でこれを導入しない場合には公表せよということが、いわゆる行政文書として通知、要請というタイトルでなされているというのが現場の実態であります。
これ、大臣、お考えいただきたいんですけれども、余りPFIに慣れていない地方自治体、大変な負担になってまいります。そのために業務遂行が滞ってしまう、あるいはPFIが分からないから専門家を頼もうじゃないかというようなことになればまた別途の費用も生じてくるわけであります。これは本当に大変な負担を現場に強いているのではないでしょうか。
先ほどPFI制度は任意であるとおっしゃられたのと、この法は、そのように任意で適当な場合には、適切な場合にはPFIで実施せよというのが法の趣旨でございますが、これは実態としては強制に近いことになって現場に負担を強いているように思われますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/27
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028・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答え申し上げます。
委員御指摘のように、人口十万人以上の自治体に対して、事業費総額が十億円以上又は単年度の運営等の費用が一億円以上の事業を対象にPFIの導入を優先的に検討することを御要請をしているところであります。
しかしながら、該当する全ての事業について検討を求めているというわけではなくて、例えば、PFI事業としての実績が多く、費用の削減が期待できる建築物でありますとか、あるいは利用料金を徴収する施設などに絞り込んで行うことも併せてお示しをしているところであります。
また、地方公共団体等からのお声を踏まえて、先生も御指摘のようにやはり負担が大きいということもございましょうから、本年九月に優先検討に係る手続の一部を簡素化できるようにしたところであります。
引き続き、地方公共団体の現場の御負担に十分配慮しながら、PFI事業の活用の拡大に取り組んでまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/28
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029・水野素子
○水野素子君 私も、たくさん自治体の皆様等の現場のお声、この件は本当に負担が多いという御意見をいただいています。この手引等、基本的にはPFIの事業全体を対象にしながら、額あるいは対象の一部を例外にしているのであって、その他については、基本的には全てPFIを優先的に検討した上で、導入しない場合にはそれをこのような算定根拠も含めて示せということなのでございますので、本当に現場においては負担が大きいので、是非とも是正を、運用の是正をお願いしたいと考えております。
そもそもPFIは、先ほどのように、メリットもありますけれども、海外では廃止した国もあるということで、基本的には万全な制度ではありませんので、地方の状況にも配慮をして、適切なときに自主的な判断で運用、自治体がそれを実施していくということを旨としていただきたいと思います。
そして、それでは先ほどの要請文書、資料四でありますけれども、念のため伺います。
こちらは要請という文書でございますが、文末、一番最後に技術的助言であると書かれております。これは助言なんですね、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/29
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030・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答え申し上げます。
今御指摘がございましたように、この優先的検討課題の規程の要請につきましては地方自治法に基づく技術的な助言でございまして、私どもとしてはこれを是非自治体に策定いただきたいというお願いをしておりますけれども、あくまでも技術的な助言ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/30
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031・水野素子
○水野素子君 そういたしましたら、要請という書きぶりではさすがにちょっと強いのではないでしょうか。
そういったことも含めまして、PFI法の本来の趣旨、適切なときにPFIを実施をすることで国民に低廉でより良いサービスを提供したい、それが適切な場合にはPFIを活用しましょうということが目的でございますので、自治体に無理にPFIを実施あるいは検討させるというような乖離を生むような運用、関連する指針、手引等の行政文書の見直しを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/31
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032・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) このPFIは、もう委員重々御承知のとおり、本当に委員はお詳しくていらっしゃるので恐縮でありますが、やはり地方自治体の自主性、主体性というものがなければこのPFIというものは成り立たないということは国としても十分に承知をしておるところでありまして、そのお声、御意見というものをしっかり酌み取ってまいる、そういう運用に努めさせていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/32
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033・水野素子
○水野素子君 ありがとうございます。地域の現場の声を聞きながら不断の改善を進めていくという力強いお言葉、ありがとうございます。
もう一点だけ、地元企業、中小企業等への配慮につきまして、大臣にお尋ねしたいと思います。
自治体の公共事業、水道などのライフラインを始め、例えば本当に緊急対応のとき、地域に密着した企業さんによるきめ細やかな対応が期待できる地元企業に発注する一定のメリットがあります。あるいは、地域産業の発展のためには、やっぱり地域にとって公共事業の受注というのは大事なんですね。
これらの地域産業発注のメリットというものは先ほどのようなPFIの客観的な算定根拠の中には出てこない別の大事な価値だと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/33
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034・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) 御指摘のとおり、地域の町づくりの中核を担う地元企業がこのPFI事業に参加することは極めて重要であると私ども考えてございまして、このような観点から、事業主体である地方公共団体の判断によって、事業者の選定において、まず代表企業に市内工事の受注実績があることを義務付ける、また構成員に市内企業を、市内というか、その自治体の中の企業を含むことを義務付ける又は加点をする、それからその市内企業に一定金額以上の下請業務を出すことを義務付けると、こうして地元の企業が事業に参画しやすくしている例も多くあると承知をしております。
なお、PFI事業に参画しようとする場合は、大企業や外資系企業、地元企業を含めた複数の関係企業の間で公募条件を満たす役割分担をあらかじめ決めた上で応募が行われることが一般であり、大企業や外資系企業が、これはいろいろと御懸念もされておるところでありますけれども、何もせずに下請企業扱いをして地元企業が不利益を被るような、そういうことはないと、こういうふうに考えております。また、そのようにあらねばならないというふうに我々も考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/34
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035・水野素子
○水野素子君 ありがとうございます。
資料の七を御覧ください。
今、逆にこちらの御答弁いただいたのかもしれないんですけれども、この資料七の表の特に下ですね、地域企業が代表企業として参画しているかどうか。先ほども委員から別の質問もあったと思いますけれども、やっぱり大きな規模のものでは少なくて、中間規模でも少なくて、ということはどういうことかというと、やっぱり地元の企業さん、まだまだPFI、PPP、慣れていません。
自治体も慣れていない中で、外資企業あるいは大企業、もうPPP、PFIをビジネスとしているような大きな企業がまず取ってしまって下請に出すということであれば、これは中間経費の中抜きのような状態を生んでいるのではないかと思うんですけど、そのようなことを改善されていくということを先ほどおっしゃったかと思うんですけど、念のためお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/35
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036・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) あらかじめ委員がそのような御懸念をお持ちではないかと思って先ほど御答弁を申し上げておりましたけれども、改めて申し上げます。
PFI事業に参画しようとする場合には、大企業や外資系企業、地元企業を含めた複数の関係企業の間で公募条件を満たす役割分担をあらかじめ決めた上で応募が行われることが一般的であり、それぞれに役割分担が明確にされておりますので、大企業や外資系企業が何もせずに中間経費を中抜きしているという、そういう御懸念は必ずしも当たらないかと思いますけれども、しかし、こういうことがかりそめにもあってはいけないということをしっかりと見ていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/36
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037・水野素子
○水野素子君 先ほど私も、選定基準における加点のような形である程度制度的な保障をした方がいいのではないかという御提案を今日しようと思っておりまして、やっぱり大規模事業であっても地域の企業が受けていくことができる、その成長を促すことも必要だと思うんですね。なので、だんだんと地元の企業さんが大きな事業もPPP、PFIで受けていくことができる、それを促す、そして、そのためにも何らかの、地元企業については先ほどのような違った価値がありますので、緊急対応、あるいは地域の産業の振興ですね、そういった観点からの加点を例えばガイドラインに盛り込む等の検討をしていただければということで、御意見として申し上げます。
それでは、次に進みます。
株式会社民間資金等活用事業推進機構、いわゆるPFI推進機構につきましてお尋ね申し上げます。
さて、PFI、プライベート・ファイナンシャル・イニシアチブ、プライベートとうたっていますですね。ということでは、民間の資金やノウハウの活用というのが本来の趣旨でございます。
資料八、御覧ください。
このPFI法でそもそも設立されているPFI推進機構、資本金は官民で二百億と書かれております。半分、百億が政府、財務省出資となっておりますが、残る半分におきましても、五〇%の株、株主が日本政策投資銀行でございますので、いわゆる七五%が公的出資のものでありますから、ちょっとこれではプライベート・ファイナンシャル・イニシアチブとは言えないのではないかと思うんですね。グローバルな意味では、このような例はまれであろうと思うんです。
資料九、御覧ください。
当時、PFI法の当時、平成二十五年、国会答弁におきまして、十五年もたてば多数の民間のインフラファンドが組成されていることを想定していると御説明がなされています。なぜ想定どおりにならず、この度期限を延長することとなってしまったのか、原因をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/37
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038・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答え申し上げます。
インフラ投資市場が未成熟である原因といたしまして、PFI事業の案件数が少なく、投資市場において商品となり得る収益性のあるPFIの事業の数がまだ十分でないこと、それから、PFI事業に対してリスクマネーを供給する資金供給者が少ないことが挙げられます。
このほか、地域経済の中心的な存在である地域金融機関におけるPFI事業に対する経験、ノウハウ、人材の不足、小規模自治体におけるPFI事業の実績が少ないことも市場の成熟に向けて解決すべき課題だと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/38
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039・水野素子
○水野素子君 是非客観的にもう少ししっかりと評価して、改善を施していただきたいと思うんですが、外部要因だけが主な原因かというだけではやっぱり難しいところもありますから、是非、今後、この延長を受けてしっかりとイグジットしていくということで、次にお尋ねしたいのは解散に向けたロードマップでございます。
PFIの本来の趣旨は、民間金融が参入して、その民間金融の資金とあるいはノウハウの活用が求められているものでございます。そのため、民業圧迫とならないために、そしてやっぱり期限は守るべきでございますから、内閣府から伺ったところによりますと、保有する株式、債権等の処分に五年程度掛かると聞いております。
今回、五年延長するということですから、令和十年度からその処分、株式、債権等の処分を開始して、令和十四年度末までに全ての業務を終了して解散するという計画でありますね。念のためお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/39
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040・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答え申し上げます。
今般の法改正事項に基づけば、PFI推進機構は、令和十年度から債権等の処分を開始をして、令和十四年度末、令和十四年度末までに保有する全ての株式や債権の譲渡などの処分を行うと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/40
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041・水野素子
○水野素子君 地域の金融機関等にPFI、PPPのノウハウが多い事業体も多うございますので、是非とも、民業圧迫とならないように、早期に本来の意味でのPFI、プライベート・ファイナンシャル・イニシアチブに移行していただきたいと思います。
それでは、資料の十、御覧ください。
こちらが内閣府の資料でございますけれども、内閣府においてPFI推進機構が出した資料だったかと思いますけれども、こちらにおきまして、機構の役割ということでございます。
業務追加として、今回機構の業務の追加がなされているわけでございますけれども、これによりますと、公募開始前、事業検討段階におきましては、自治体、いわゆる発注側にアドバイスとともに、民間、民間企業者、潜在的に応募する可能性がある事業者にアドバイスをすると。そして、公募開始後は、地方公共団体等にはアドバイスはしないが、民間企業側、応募側にアドバイスをするということ。これは利益が相反している図でございますよね。
これ、談合の温床になるのではないかとちょっと心配になるんですけれども、利益相反を防ぐための制度的な措置を、少なくとも指針や手引など、法令上では無理であれば、指針や手引などの運用関連文書でしっかりと制度的に明示的に定めて保障すべきだと思うんですが、政府の対応をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/41
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042・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答え申し上げます。
ただいま水野委員御指摘になりましたように、PFI推進機構としても、この利益相反の可能性があり得るということはやはり認識をしなければいけないと思っております。このため、機構においては、利益相反が生じないように、発注者に助言する部署と民間事業者に資金供給する部署を分けてお互いの接触が生じないようにするとともに、利益相反が生じた場合は、その情報を収集して取締役会に報告することとしているというふうに存じます。
また、内閣府では、毎年実施している機構の業務の実績評価を通じて機構の取組状況の報告を受けておりまして、その際に利益相反に関する状況もしっかり確認をしているところであります。
なお、機構設立以降、経営に重大な影響を与えるなどの利益相反に関する事案として取締役会に報告された事例はないということでありますが、こういう制度的な保障というものも大事なことだと思っております。
こういうPFI制度及び機構の所管として実態把握に努めるとともに、懸念を持たれる事案が見付かった場合には機構に対して改善を強く求めてまいりたいと、このことはしっかりと我々の仕事として見ていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/42
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043・水野素子
○水野素子君 逆に、今の御説明を聞いて、やっぱりもっと心配になってしまったというのが実態でございまして、こちらの資料十にある民間事業者のビフォーですね、公募前にアドバイスする者と公募後のアドバイスする者はやっぱり同一であるとちょっとまずいとか、民間事業者と公共事業に接触する者は別に分けるのが少なくとも必要ではないかとか、あるいは社内でもその情報がしっかりと遮断できるシステムが保障されているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/43
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044・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) 先ほども申し上げたように、利益相反が生じないように、発注者に助言する部署と民間事業者に資金供給する部署を分けて互いの接触がないようにするということは、これは保障されておるというふうに承知をいたしております。また、そういうふうにしっかりと我々は注視していく、そのことをお約束を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/44
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045・水野素子
○水野素子君 これ、本当に大事な点ですので、自治体側も大事な税金で運営する公共事業なわけで、それを民営化するときに、民営化じゃないですね、PPP、PFIをやるときにも税金が基になっている事業であり、さらに、片やこの推進機構が運用するお金も七五%は公的な部分のお金でございますね。そういったことがもし特定企業の有利になるような運用に回ってしまうようであれば本当に重篤なことでございますので、是非ともよく、よくよくしっかりと、情報がしっかりと分けられる、あるいは、もしかしたら同じ組織にいること自体物すごく難しい運用だと思うんですけれども、必ずや利益相反にならない制度的な構築を行っていただきたいとお願い申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
今回、変更提案を可能にするという改正があったかと思います。さて、この変更提案ですけれども、特に発注後に自治体側、事業主体側の発注側の負担を増やすような変更をもし許すものであるとしたら、当初、業者を選定する際のよりどころとなっていたはずのLCC、ライフサイクルコストあるいはバリュー・フォー・マネー、どれぐらいの収益があるかとか、どれぐらいのメリットがあるかという算定自体が変わってきちゃうわけですね。基本的な前提や算定が変わることになってしまいます。そうしますと、制度が骨抜きになるのではないかという心配が起きるわけです。そのため、予測不能な大規模自然災害など例外的な事象を除きまして、自治体と発注者側の費用負担が増える形での変更は原則として認めるべきではないと考えます。
国民に対する低廉かつ良好なサービスの提供に合致する場合に変更できるという改正の趣旨は、低廉かつ良好なサービスの提供に合致する場合の変更でございますから、更なる低廉かつ良好なサービスの提供がこの変更により可能であるという場合のみ認めるのでないかと思っておりますが、すなわち自治体等の発注者の経費が、負担が増加する変更は原則として認めないという理解でよろしいか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/45
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046・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答え申し上げます。
今般の改正は、コンセッション事業におきまして、事業開始後に民間、運営事業者の提案に基づいて、社会経済状況が大きく変化した場合において、運営事業の効率的、効果的な実施のために必要な対象施設の規模や配置の変更を可能としたものでございます。
その上で、実施方針の変更につきましては、運営事業者から公共施設等運営事業についての効果の増進及び効率性の向上に関する評価の結果を示す書類等を提出させた上で、国や地方公共団体が当該事業の適正かつ確実な実施の確保に支障を及ぼすおそれがなく、かつ、国民に対する低廉かつ良好なサービスの提供のために必要があると認めるときに限って行うことができると、これを明記しているところでございます。
したがって、今の委員の御指摘のような心配というのはないのかというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/46
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047・水野素子
○水野素子君 もう少し確認したいんですが、逆に心配になったんですけれども、変更提案というのは自治体等の事業主体側の事情あるいは天変地異のようなものではなくて、運用者側の事情による変更の提案ということを今おっしゃったかと思うんですけれども、それにより自治体側の負担が増える可能性も残ってしまうのではないかと思うんですけれど、その辺り、もう一度お答えいただきたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/47
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048・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答え申し上げます。
この施設の増改築を行う場合の費用負担につきましては、この事業の実施前に交わした契約に基づいて決まるべきものでございます。これは、実施方針を変更して対象施設の規模を拡大する場合の費用負担においても同様であるため、事業者、地方公共団体等の両方が費用を負担するということはあり得るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/48
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049・水野素子
○水野素子君 元々長いスパンでPPP、PFIというのはやるものですから、本来的にはライフサイクルコストの中でメンテナンスというのも積んでくるわけでございますね。そういった中で、よほどの事情がない限りは、やはり変更を、特に自治体、その実施、事業主体者側が費用を更に積み増さなければならないような変更は本来は認めない、そのようなことを、法文上は難しくても、是非、指針や手引などの運用上の文書、関連文書の中で行っていただきたいと思います。
一度始めた以上は御案内のようになかなかやめることは難しいんです。その上で、どんどんどんどん自治体が負担を増やしていくようなことには何らかの歯止めを掛けないと、この制度自体そもそも意味がある制度かどうか。それが最初に御紹介したような、イギリスのような、やはり五年たった後に余り意味がなかったということにならないように、是非ともしっかりと自治体側の負担は基本的にはなるべく増やさないという目線での事業変更のガイドラインを作っていただきたいと思います。
それでは、このように、PPP、PFI、私自身は自分も携わったことがありますし、民間のいろいろな資金あるいはノウハウを活用すること、意味があることだと思います。ですので、是非、この今回の延長、今回の改正を踏まえて、更に国民により良いサービスを低廉に提供する、そのような制度として更に発展していけばという期待も込めています。
一方で、海外ではやっぱり廃止したという事例もありますので、是非ともしっかりと客観的な目線で不断の評価と改善を行っていただきたい。そして、先ほど来大臣おっしゃっていただきましたけれども、地元にも様々な事情があります。自治体等が個別の事業において適切だと判断をして進められるような、その自主的な推進ができるような、そのような目線でこのPPP、PFIの推進を図っていただきたいと思いますし、その場合でも、特に地元企業、とりわけ中小企業に配慮した形で、その地元の発展にも資するという目線も持ちながら、この制度、引き続き運用いただきたい。
適切な制度の運営を希望いたしまして、少し早いですけれども、質問を終えたいと思います。
本日はありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/49
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050・塩田博昭
○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
今日はPFI法の一部を改正する法律案について質問させていただきますが、時間に限りがありますので、簡潔に今日は質問をさせていただきたいと、このように思います。
そもそも、公共施設整備やサービスの提供において民間資金や創意工夫を活用するPFIは、新たな官民連携の柱といたしまして地方創生やこれからのデジタル田園都市国家構想の推進力として大きな力を発揮するものと、私もそのように思っておりますけれども、ですから、PFIは、一九九九年の法施行から、コンセッション方式の導入やPFI推進機構の設置など六次の改正を加えながら二十三年目を迎えて、この間、多種多様な事業において数多くの成果を上げてきたんだと、このように私は思っております。しかし、その一方で、残念ながらトラブル事例や失敗例があることも事実でございます。
そこでお伺いいたしますけれども、これまでに何らかのトラブルによって事業が中止をしたり一時中断、契約解除に至った例はどれくらいあるのでしょうか。そして、地方公共団体における代表的な事例とともに、国が実施するPFI事業についても会計検査院報告から指摘を受けているものがございます。こうしたトラブルに至った原因についても簡潔にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/50
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051・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答え申し上げます。
内閣府で把握しているものといたしましては、まず事業者の経営悪化により事業継続が困難になった事例としては、病院ですとか余熱利用施設、小学校及び幼稚園の複合施設、廃棄物処理施設、観光施設、港湾施設、こういったものの計七件があると承知をしているところでございます。また、このほか、市の政策変更に伴って市による事業者への契約解除通知に至った事例が一件あるというふうに承知をしております。
このうち、その病院の事例では、事業の経営悪化や事業コストの当初の想定以上の増加などが原因となった合意解除、それから、余熱利用施設では、受注した民間事業者の経営破綻によるもので事業の経営継続が困難になったということを承知しております。こういった案件というのは、PFI制度の創設後、初期に実施された事業が多くて、多い状況でございます。
いずれにおいても、リスクの分担、管理に関する事前の合意や十分な検証、行政等によるモニタリングの実施などが十分に行われていなかったという指摘がされているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/51
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052・塩田博昭
○塩田博昭君 やはりこうした失敗事例からの教訓というのは非常に大事だと、このように思っております。
そして、こういう失敗事例から思い起こされるのが、やはり官民連携の事業方式の一つであります第三セクターでございます。昭和四十八年に全国で一気に広がりましたけれども、平成四年以降は減り続けていると、こういう状況でございます。
その経営状況を見てみますと、総務省の資料を見てみますと、第三セクター事業で、方式で事業を行っている約四割の法人が赤字になっていると。ですから、PFIにおいて第三セクター方式における失敗をやはり繰り返してはならないんだと、このように思っております。この失敗例から何を学んで次に何をなすのか、それがやはり大事だと、このように思っております。
そこで、PFIについては、二十三年間の中でのトラブル事例や失敗例を検証するということ、それとともに、PFIを導入した当初の目的を果たしているのかやその効果について事業評価を行うということがやはり重要なんだと、このように考えます。岡田担当大臣の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/52
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053・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答えを申し上げます。
今政府参考人からも御答弁申し上げましたけれども、この二十三年間のPFIの歴史の中で比較的初期のものとはいえ債務不履行や事業継続が困難になった事例を踏まえますと、やはりPFI事業のサービス水準や継続性を確保するには事業期間中の適切なモニタリングというものが欠かせない、この実施が重要になると考えております。
また、事業期間を終えた事業を分析して課題や反省点を明らかにし、今後の事業方式の選定や運営の改善に生かすためには、事後評価も重要と認識をしております。こうした認識の下、モニタリングや事後評価に関するガイドラインを策定し、各省庁や地方公共団体における適切な実施を求めてきたところであります。
他方、その事後評価については、これは衆議院での御審議でも、また会計検査院の報告においても指摘をいただいているところでありますが、なかなか事後評価が進まないのではないかという御指摘もあります。担当大臣としては、これが更なる改善に努める必要があると認識しておりまして、これは責任を持って果たしていきたいと思います。
このため、引き続き、モニタリングや事後評価の適切な実施を要請するだけではなくて、その実効性を更に向上させられるように、各府省等あるいは地方公共団体の実施状況の継続的な把握や、ガイドラインやマニュアルの見直しの検討などに不断に取り組んでまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/53
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054・塩田博昭
○塩田博昭君 今大臣からも、事業評価等についてしっかり責任を持って行っていきたいと、このような御答弁もいただきましたので、これからもしっかりその検証を含めてお願いをしたいなというふうに思います。
そして次に、今回の改正案には、PFI事業の対象となる公共施設に、地域住民の集会、交流拠点となる集会施設が追加をされております。これは各地の老朽化した施設を更新する需要があると見込んでの追加と聞いておりますけれども、そもそも、老朽化した集会施設を抱える地方の自治体にとって、PFI事業に対する理解、そして活用のノウハウが乏しいのではないかと、このように思います。そのことは、人口十万人から二十万人規模の自治体で四割、十万人未満では一割程度という、PFIの利用率が低い実態からも明らかではないかと、このように思います。
そこで、PFIを活用した経験の浅い地域に対して、その構想段階から自治体の担当者に寄り添った支援策が必要だと、このように思います。具体的な支援策がないと、まさに絵に描いた餅になってしまいかねないと。
積極的な支援策の方針について、岡田担当大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/54
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055・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答え申し上げます。
塩田委員御指摘のように、小規模自治体は大規模自治体に比べてノウハウや知見を有する職員が十分とは言えないために、やはりきめ細やかな支援が欠かせないと認識をいたしております。
こうした認識の下、これまでも地方公共団体における検討段階に応じて、地域プラットフォームの形成の支援、また基礎的な研修から個別事業の内容検討まで幅広く対応する専門家の派遣、またPFI推進機構による助言などを実施してまいりました。
今後、小規模自治体での活用の拡大を図るためには、引き続きこうした支援を継続するとともに、制度の認知、理解向上や人材育成につながるよう、地方公共団体のニーズを踏まえながら、出張講座やセミナーの開催など、更なる支援を検討してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/55
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056・塩田博昭
○塩田博昭君 やはり、こういう老朽化した施設を持っている自治体でも、やはり小さなところというのは、我々も様々御相談を受けたりする場合がありますけれども、ノウハウはやはり持っていないんですね。そういうことを考えると、どれだけそこに寄り添って支援をしていただけるかということがやっぱり大事なんだと、このように思いますので、是非そこはよろしくお願いしたいと思います。
次に、政府は、今年六月、PPP、PFIの事業規模を今後十年間で三十兆円とする目標を盛り込んだPPP/PFI推進アクションプランを決定をいたしました。岸田総理も、第十八回PFI推進会議において、新しい目標の達成に向けて、スタジアム、アリーナや文化・社会教育施設、公園を始めとする新たな分野、領域におけるコンセッション等の拡大をすると発言をされております。
アクションプランによると、事業規模目標の三十兆円の内訳については、類型一のコンセッション事業が七兆円、類型二の収益型事業が七兆円、類型三の公益不動産利活用事業が五兆円、類型四のサービス購入型等が七兆円、そしてその他の取組強化で四兆円と、このようになっております。
今回の改正案の条文に明文化され、追加されたのは、スポーツ施設と集会施設の二つのように思います。それ以外の様々な取組と併せて、目標の達成に向けた取組と決意を大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/56
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057・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答え申し上げます。
PFIを質と量の両面から充実させるために、本年六月にアクションプランを十年ぶりに大改定いたしまして、今後十年間の事業規模を三十兆円とする新たな目標を設定したのは塩田委員御指摘のとおりであります。この達成に向けまして、今年度から五年間を重点実行期間として、今回の法改正を含めて取組を抜本的に強化してまいることといたしております。
具体的に申し上げれば、御指摘のありましたスポーツ施設や集会施設の対象施設への追加に加えて、先ほどからお話に出ております小規模自治体への支援の強化、それからPFI推進機構の機能強化などに取り組むことにしておりまして、また、十一月には総理からアクションプランの目標上積みを視野に取組を強化するようにとの指示も出ているところであります。こうした指示も踏まえて、上下水道やスポーツ施設などこれからの活用が特に期待される重点分野について、今後取り組むべき事項を具体的に定めた計画を策定することとしております。
これらの取組を集中的に実行することにより、効率的かつ効果的で良好な公共サービスの実現や、新たな雇用や投資を伴う民間のビジネス機会の拡大を実現するとともに、目標を着実に達成するだけではなくて、その上積みを目指してまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/57
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058・塩田博昭
○塩田博昭君 最後に、新型コロナウイルス感染症によって休業や急激な需要減などの種々の影響を受けたPFI事業者に対して、内閣府は、令和二年七月、公共サービスの安定的、継続的な提供の必要性から、各種補助金などを活用してPFI事業者に必要な支援策を行うように要請をしております。
実施中のPFI事業において、どの程度の事業がコロナ感染の影響を受けて、支援策によってどの程度救済されたのか、お伺いしたいと思いますけれども、実際に影響を受けた事業の代表例として、まあ具体例もお聞きしたかったんですけれども、ちょっとお時間がございませんので、例えば関西空港など大きな影響があったと、このように思います。
そこで、ちょっと大臣にお伺いしますけれども、新型コロナ感染症はいまだ第八波の最中にあって、当面は、行動制限を伴わないとはいえ、残念ながら収束を見通せない、予断を許さない状況が続く中で、更なる継続的な支援策が必要なのではないかと、このように思います。大臣の見解を最後にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/58
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059・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) 簡潔に御答弁申し上げますれば、PFI制度を所管する立場として、引き続きこうした実態の把握に努めるとともに、関係省庁と連携しまして、官民のリスク分担の新たな手法の導入の検討を進めて、安定的かつ継続的な事業の実施に支障を来さないように全力を期してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/59
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060・塩田博昭
○塩田博昭君 しっかり取り組んでいただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/60
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061・高木かおり
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
まず、今回の法改正で大変大きなポイントとなっているというふうに思われますPFI推進機構の解散を五年間延長させるということ、これ重なる部分は多々ありますけれども、改めて質問をさせていただきたいと思います。
私ども日本維新の会は、PFIやPFIを含めたPPP、この官民連携自体については適切に進めていくべきだというふうに考えております。しかしながら、このPFI推進機構という組織について、この在り方については改めて確認をさせていただきたいというふうに思っております。
解散までの期間を延長するだけではなく、新たに仕事を増やしている、こういった点も、果たして本当に解散、これできるんであろうか、そんなお声も頂戴しております。
PFI推進機構をめぐっては、平成二十五年に始まって令和十年三月まで、この十五年間で解散させるというスケジュールでございました。この十五年間の内訳についても、最初の十年間で新規案件のスタートアップに関与して、最後の五年間で機構が保有する株式や債権を譲渡していって解散すると。けれども、今回の法案では、五年間延長するだけではなくて、事業を支援する民間事業者に対する助言や専門家の派遣、こういった業務を追加するものになっています。
そこで、大臣にお伺いしたいんですが、役目を終えて閉じるはずだった組織が設置期間を延ばしてむしろ役割を大きくしていることについて、これについて大臣、御説明をいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/61
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062・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答えします。
我が国の社会課題は多様化、複雑化をし、行政単独や、先ほども申し上げました、行政単独や市場任せでの解決が難しくなっているため、これまで以上に官民の連携による対応の推進が必要と認識しております。
PFIは、そういう意味で、官と民が連携をして民のノウハウを最大限に活用することで、インフラの老朽化など社会課題を解決するとともに、新たなビジネス機会や市場も創造する仕組みであり、更なる活用の促進が求められているところであります。
他方、現状では、PFIを資金面で支える民間のインフラ投資市場はいまだ成熟していない、こういうことから、PFI事業への資金供給とノウハウの提供を担うPFI推進機構は引き続き欠かせない存在と考えて今回の法案を提出させていただきました。
また、インフラ投資市場が未成熟である要因につきましては、収益性のあるPFI事業の数が十分ではないことやリスクマネーの供給者が少ないことに加えて、地域金融機関におけるノウハウや人材の不足も挙げられると存じます。こうした課題を解消するための方策の一つとして、今回の法改正事項でもありますPFI推進機構による地域金融機関への助言等を活用して、機構のノウハウなどの民間金融機関への移転を積極的に進めることとさせていただいております。
こうした取組やアクションプランの取組の推進によって、機構がなくても、機構がなくても民間金融機関からの資金供給のみでPFI事業の案件形成が自律的に進む状況をつくってまいりたいと考えておりまして、言い換えると、機構の役割を拡充することで、一旦は拡充することで機構の設置目的の達成に向けた取組を加速させて、結果的に機構が役割を終えて解散することもできる状況が早期に実現することを目指しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/62
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063・高木かおり
○高木かおり君 大臣、丁寧に御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
先ほど答弁の中にも、民間でのインフラ投資市場が成熟していないという、今成熟していないということなんですけれども、やはりこれ、前回のPFI法改正のタイミングで、つまり四年前の平成三十年の改正のときに、ここで業務を追加して、そのときから本腰を入れておけばよかったのではないかというふうにも思うわけです。
また、このPFI事業というのは一般的に数十年のスパンで契約することが多くて、PFI推進機構が手掛けてきた案件も二十年程度のものが多いというふうに聞いております。二十年程度の事業を手掛けるのに、設立してから十五年で先に解散するという形でよいのかどうかということも感じているわけです。つまり、この事業の最初のスタートアップを手伝って、出資、融資をして、走り出した後は契約満了まで見届けることなくその株式や債権をほかに売却してしまうと。こういったことで、今回のその売却について、機構解散期限が迫ってくると安く買いたたかれてしまうからなかなか売却できない、こういった理由もあって延長させてほしいというふうに聞こえるわけです。
しかしながら、そんなことは当初から予想できたのではないかなというふうに思っておりまして、大臣に再質問させていただきたいんですが、先ほど申し上げましたように、どうしてこの四年前のタイミングでてこ入れせずに今回業務を追加しているのか、また、解散期限が迫る中で株式、債権を売却する、このタイミングが難しいという点も当初から予測ができたことではないかということで、当初の段階や途中の法改正の段階で機構の設計や社会情勢への見通しが甘かったんではないかとも考えられるんですが、これ、大臣の所見を、大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/63
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064・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) 機構は、設立の当初から、インフラ投資市場の成熟に向けて民間投資の呼び水として質的、量的に民間資金を補完することで、設置期限の中でその役割が果たせるよう取り組んできたところであります。
想定していた期限内に機構が役割を終えることができなかったことは事実でございますが、機構の設置の前提条件でもあるインフラ投資市場を含む市場そのものがそもそも様々な社会経済の要因に左右されるものであり、先々を見通すことはなかなか難しかったということでございます。見通しが甘かったのではないかという御評価というものも、これは真摯に受け止めなくてはいけないというふうに考えております。より予見性を持って今後臨むということでございます。
他方、PFIは、岸田政権が掲げる新しい資本主義の新たな官民連携の柱として、地域課題に対応し、官民連携により対応することでこれまで以上に求められていると認識しておりますし、このため、今回の法改正において機構の機能拡充と設置期限の延長もお願いしているところであります。
今回の機構の機能拡充により、機構の設置目的の達成に向けた取組を加速させ、結果的に機構が役割を終え解散できる状況を早期に実現してまいりたいと、このことを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/64
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065・高木かおり
○高木かおり君 今回の延長を受けて、やはりしっかりとこの解散に向けて取り組んでいくことが非常に重要で、先ほど大臣からも答弁、様々いただきました。やはり、このPFI推進機構、当初の設立については相当力が入っていたけれども、どのようにこれ風呂敷を畳んでいくのかというこのしまい方については、なかなか、まあ大変、社会情勢であるとか様々な要因で難しい、見立てが甘かったと真摯に受け止めたいというような御答弁いただきましたけれども、是非ここはしっかりと期限内に今後解散ができるように取り組んでいただきたいと思いますが、大臣、最後にもう一言いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/65
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066・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答え申し上げます。
民間インフラ投資市場については、機構が存在しなくても民間金融機関からリスクマネーが提供され、PFI事業の案件形成が自律的に進む状況となれば成熟したものと判断できると考えております。しかしながら、まだそのような状況に至っていないと認識していて、こうした状況においてPFI推進機構が役割を終えたと判断することは難しいと考えていることは、先ほど申し上げたとおりであります。
なお、PFI推進機構については、民間のインフラ投資市場が未成熟である中、民間資金を補完する形で金融支援を行うことなどを目的に、時限的な機関として平成二十五年から十五年間として設立されたわけでありますから、こうした経緯を踏まえて、その設置期間についてはできる限り抑制的でなければならないと考えております。
その上で申し上げると、これから機構をどうするかについて、その時々の経済情勢や社会情勢、さらには今後の見通しも踏まえながら検討、判断する必要があるため、更なる期間延長するかどうかといった判断は現時点では難しいわけでありますけれども、この機構の設置をまずは五年間延長させていただいた上で、その期間内に最大限できることを進めてまいりたいと思います。そして、機構が役割を終えたと判断するための基準などについても、有識者あるいは金融機関等の意見も伺いながら今後検討をしてまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/66
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067・高木かおり
○高木かおり君 繰り返し御答弁いただいてありがとうございます。
はっきりなかなかもう断定できないというのは重々承知をしておりますが、是非しっかりと取り組んでいただきたいというふうに重ねてお願いを申し上げておきます。
それでは、次の質問に移りますが、PFI推進機構の解散条件とも言える、先ほども出てきました民間インフラ投資市場の成熟というのは、これをもう少し掘り下げてお聞きしたいんですけれども、これ、どのような指標をもってどの程度まで進めることができたら達成とみなすのか。先ほども御答弁の中で少し触れてはいただいていたんですけれども、この点についてももう少し詳しくお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/67
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068・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答え申し上げます。
先ほどの大臣の答弁とも重なりますけれども、民間インフラ投資市場につきましては、機構が存在しなくても民間金融機関からリスクマネーが提供され、PFI事業の案件形成が自律的に進む状況となれば成熟したと判断できるというふうに考えております。
その上で、今回、機構の設置をまず五年間延長させていただいた上で、その機構が役割を終えたと判断できるための基準についても、有識者や金融機関等の意見も伺いながら今後検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/68
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069・高木かおり
○高木かおり君 そうしましたら、この民間の市場の成熟ということと併せて、株式や債権、これきっちり処分していくということが条件になってくると思うんですけれども、この点について伺いたいと思います。
このPFI推進機構が保有する株式や債権、これ期限がある中で具体的にどのように処分をしていくんでしょうか、御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/69
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070・英浩道
○政府参考人(英浩道君) PFI推進機構につきましては、今回、財産処分期限を延長することとするため、現時点において機構の保有する全債権等に対しての具体的な処分計画があるわけではございません。ただ、原則として申し上げると、これはその案件ごとに相対で売却先を見付けていくということが基本になるというふうに考えております。
この機構の資産処分におきましては、国が出資していて、出資の毀損を回避する観点がありますので、処分損を出さずに可能な限り高い価格で売却する必要があるというふうに認識をしております。このために、国内外の経済の状況、金融市場の動向、投融資先のプロジェクトの状況などを見極めつつ、最適なタイミングを選択して処分を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/70
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071・高木かおり
○高木かおり君 まあ処分計画が今あるわけではないということですけれども、その辺りもやはり社会情勢をしっかり見極めながら今後やっていくということで理解をいたしました。
続いて、実際に解散するときになっての実務的な話をさせていただきますと、PFI推進機構には、十五年間、今回延長されれば二十年間ですけれども、地方の現場でのこのPFI事業を支援してきた知見やノウハウが蓄積されているものと思われます。
例えばイギリスを見ますと、PFIを推進してきた組織、PUKについて、イギリス財務省の内部組織、IUKとして再編をして政府が受け継いだということもありました。財務省の内部組織として取り組む手法であったり、まあこのIUK自体、その後も変遷があったわけなんですが、その点はひとまずおいておいて、政府が知見やノウハウを継承するという事例もあったわけですね。せっかく蓄積したものですから、継承していくことも考えていかなければいけないというふうな視点から質問をしたいと思います。
このPFI推進機構が解散すると想定し、解散するときですね、集積していた知見やノウハウ、これ、どこの組織がどのように受け継いでいくお考えでしょうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/71
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072・英浩道
○政府参考人(英浩道君) 将来PFI推進機構を解散した場合におけるその機構の知見やノウハウの承継先については、現時点で具体的な想定は持っていないところでございます。
この機構の知見やノウハウについては、まずは今回の法改正によって可能となる機構による地域金融機関への助言等を積極的に活用し、まずその地域の金融機関に移転することということを進めてまいりたいと思います。
その上で、今御指摘があった、その機構の知見やノウハウを集約して何らかの形でまとめて承継すべきという御指摘につきましては、その機構の知見やノウハウの活用の可能性について、今後、解散の具体化に併せて検討していくべきというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/72
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073・高木かおり
○高木かおり君 この知見というのは大きく分けて二つあると思っていて、一つは、その地方公共団体始めとした行政にとっての知見ということ、それからもう一つは、先ほどおっしゃっていただいたその地方銀行を始めとした金融機関にとっての知見と。で、行政寄りの知見については、まあ内閣府の方に既に蓄積もされているかも分かりません。PFI推進機構は、この出資や融資、その前段の事業評価に強みがあるわけですから、金融機関寄りの知見になってくると思われます。
この最後の収め方、風呂敷の畳み方、これ、どういうふうにしていくのか。PFI推進機構の今後の評価もこれによって変わってくるんではないかというふうに考えておりますので、最後の解散のときまで是非頑張っていただきたいというふうに思います。
それでは、次の質問に移りますけれども、このPFI推進機構という組織自体について、少しちょっと細かくなるんですけれども、質問をしていきたいと思います。
そもそも根本的な問いとして、このPFIのように、当時としては新しい手法のリスクマネーについて民間で手が出せない部分について、どうして政府系金融機関だけではカバーできないのかという趣旨で伺いたいと思います。
今日も少しそれに近い御質問も出ておりましたけれども、PFI推進機構のトップは、これ、日本政策投資銀行出身者の方が就いていらっしゃると。事業の性質的に日本政策投資銀行が単体で担える部分も少なくなかったんではないかというふうに思います。
日本政策投資銀行が単体でサポートする場合と、PFI推進機構としてサポートする場合、どのような違いがあるんでしょうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/73
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074・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答え申し上げます。
PFI推進機構はPFIの推進に特化した組織でございまして、支援基準を満たす案件であれば、リスクが高く民間だけでは十分に資金が供給されない事案も含めて民間資金の呼び水となる資金を供給しているところでございます。また、PFIに関する十分な経験と知見を有しておりまして、これに基づくノウハウの提供が可能であるというふうに考えております。
日本政策投資銀行においてもPFIの事業への融資を行っているというふうに承知をしておりますが、機構のようにPFIの推進という政策目的は担っておらず、またPFI事業への融資を主目的とはしておりませんので、幅広いノウハウの提供という面ではPFI推進機構の方に優位性があるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/74
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075・高木かおり
○高木かおり君 今お答えいただきましたように、特化することによって幅広いノウハウ、そういったものを提供できるからというふうに理解いたしました。
次に、PFI推進機構がどのような姿勢で運営されているのか、民間でできることにまで手を出していないのか、いわゆる民業圧迫と言われるような存在になっていないかという視点から確認をさせていただきたいと思います。
この事業を始めようという初期段階でPFI推進機構が地方公共団体から相談を受けるなど、そういったことがあっても財務面で民間の金融機関からの融資で事足りる場合、こういった場合は一切融資せずに機構としては見守る姿勢ということでよろしいのか、その点、一点確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/75
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076・英浩道
○政府参考人(英浩道君) PFI推進機構は、民間金融機関が行う金融等を量的あるいは質的に補完する、こういった資金の供給を行うものでございますので、民間金融機関の融資で足りる場合には、御認識のとおり、機構においては融資を行わないということにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/76
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077・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
現在、新規のPFI事業でいいますと、大体何割程度がPFI推進機構の金融的な、金銭的なサポートなしで自走できているのか、またその割合はどのように推移しているんでしょうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/77
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078・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答え申し上げます。
ちょっと割合という形でお答えするのは非常に難しいのですけれども、平成二十五年度から令和二年度までのPFIの事業件数は、二十五年度が二十九件、それから平成二十六年度が四十一件、平成二十七年度が三十三件、平成二十八年度が五十四件、平成二十九年度が六十三件、平成三十年度が七十三件、令和元年度が七十七件、令和二年度が五十九件というふうに推移をしております。令和二年度は新型コロナウイルス感染症の影響と考えられる減少があるものの、順調に増加しているところでございます。
また、その同じ期間、平成二十五年度から令和三年度までの機構の支援決定件数につきましては、平成二十五年度が一件、平成二十六年度が四件、平成二十七年度が十件、平成二十八年度が七件、平成二十九年度が六件、平成三十年度が六件、令和元年度が六件、令和二年度が十二件、令和三年度が二件というふうに推移をしておりまして、同様に、令和三年度はその新型コロナウイルス感染症の影響と思われる減少があるものの、順調に推移、増加をしているところでございます。
機構は、その設立以来、金融支援等を着実に実施をしておりまして、民間資金の呼び水となる資金の供給を通じてPFI事業の推進に寄与しているというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/78
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079・高木かおり
○高木かおり君 まあ割合という形ではなかなか御提示するのが難しいということだったんですけれども、この自走できている件数であるとかそういった割合というものが一〇〇%に近づいていけば、民間だけでやっていける理想的な社会へ近づいているというような指標になるんではないかという点でちょっとお聞きをしました。
数字で、件数でお答えをいただいたんですけれども、やはり、例えばそういった、先ほどの質問で、そういう指標があればこの市場が成熟していっている動向とか推移、これが分かると、やはり、例えば年度で組成されたPFI事業の規模の総額に対する、またその機構が融資した金額、こういった金額ベースの推移というのもあれば全体的なその動向というのが分かると思うんですね、そういった指標を出していただくと。そういったことを様々な視点から分析していくということが重要なのではないかというふうに考えております。
内閣府の下で実務者や有識者が集まるPFI推進委員会などでは既にこのような分析をやっていただいているのかもしれませんが、是非そういった視点も大事にしながら、このPFI事業をめぐる社会情勢についても考察をしていくことが必要なのではないかというふうに思っております。
次の質問に入りたいと思います。
PFI推進機構という名前を見ると、すごくこのPFIを推進していっていただくという、そういった機構なんだなという、名前からも前面に出ているわけですけれども、これ、政府としてできること、推進のために政府としてできるということが少なくないんではないかというふうに思っております。例えば、書類の標準化を進めるですとか事前評価の手順を定めるですとか、そういった政府としてできること、今以上にできることはないかと、このような考えの下、現状どういった進捗状況なのか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/79
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080・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、PFIの推進のためには、PFI推進機構による民間資金の補完やノウハウの提供といった支援以外にも、政府として取り組むべきものがあるというふうに考えております。
具体的には、政府として、PFI推進のための法制度の整備に加えまして、PFI導入の検討に資するように、リスク分担やVMFの評価に関するガイドライン、それから標準契約、各種マニュアルなどの策定、周知を行うとともに、PFIに関わる、PFIに携わる人材の育成を行ってきたところでございます。
さらに、PFIのアクションプランにおいては、今後の推進施策として、機構の活用だけでなく、PFI事業導入の手引きの改定や事後評価マニュアルの更なる周知に加えて、個別の分野におけるコンセッションの導入促進のため、スポーツ施設のガイドラインや水道に関する契約書のひな形の作成といった施策を掲げているところでございます。
PFIの更なる推進に資するように、機構の機能を活用するだけでなく、引き続き、政府としても各省庁と連携してこれらの施策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/80
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081・高木かおり
○高木かおり君 是非取り組んでいただきたいと思います。
次に、この政府自らが手を入れて整える部分とPFI推進機構が担うべき部分というのは、これ何を基準に分けているでしょうか。その点についてももう少しお答えいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/81
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082・英浩道
○政府参考人(英浩道君) 政府といたしましては、PFIの推進のための法制度の整備ですとか、ガイドライン等を通じた制度の解釈、運用を行うとともに、政府全体の方針を定めるアクションプランの策定やその推進を行っているところでございます。また、ノウハウの提供や人材の育成についても、機構を活用したものだけではなくて、ガイドライン等の周知はもちろん、専門家の派遣や地域プラットフォームの形成支援、ワンストップ窓口といった様々な施策を行っているところでございます。
一方、PFI推進機構につきましては、このPFI法に書かれた設立目的として、個別の事業に対して民間資金を補完するための資金の供給を行うこと、それから事業の実施に必要なノウハウの提供を行うこと、これが規定されておりまして、この範囲内において業務を行っているというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/82
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083・高木かおり
○高木かおり君 是非、そのPFI推進室であるとか、政府の方ですね、それから機構の方、ここも是非連携をしていっていただきたいなというふうに思います。そういった連携の下、もちろん基準を設けて、それぞれの役割というのはあると思うんですけれども、やはり全体的な御相談であるとかそういったものはPFI推進室の方でもやっていただいて、大変やっていただいているというふうにはお聞きをしております。そこと推進機構との連携というのも大変重要な部分ではないかというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
時間がもうほぼなくなってきてしまいまして、かなりちょっと質問を飛ばさせていただきまして、様々、今日はまた事後検証についてですとか、そういったこともいろいろお聞きをしたかったんですけれども、最後に大臣に総体的な質問をさせていただきたいというふうに思います。
事業がこれ行われている現場は地方が圧倒的に多いわけなんですが、この地方行政を縛る地方自治法にはこのように書かれています。最少の経費で最大の効果を上げる、こういうことですから、PFIを含めたPPP、それから官民連携の手法、これ地方自治法の理念や理想とも合致していると理解をしています。
そういった地方自治法が目指す理想を踏まえますと、PFIも含めてこの官民連携の手法というのは引き続きこれはやはり活用していくべきでございますけれども、今日は冒頭にこのPFI推進機構の解散についても取り上げさせていただきました。今後更に工夫できる余地があるとするならばどんな点があるのかも含めて、現在のところ分析をしているのかどうか、大臣に最後御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/83
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084・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答えいたします。
PFIについては、インフラの老朽化などの社会課題を解決し、地域の活力やにぎわいを取り戻すために不可欠な取組と考えております。
他方、PFI事業の更なる推進を図るためには、地域における活用の拡大、活用分野の拡大、民間による創意工夫の最大化、人材の確保などに取り組んでいく必要があると考えています。
このため、本年六月に改定されたアクションプランでは、地域プラットフォームの全都道府県への展開、スタジアム、アリーナや文化・社会教育施設などを新たな重点分野として設定すること、また事業者からの提案をより積極的に活用するための手続の導入、また地方公共団体への専門家派遣を通じた人材育成の強化など、取組の抜本的な強化が図られたことであります。
これらの取組を集中的に実行することにより、効率的かつ効果的で良好な公共サービスの実現や、新たな雇用や投資を伴う民間のビジネス機会の拡大を図ってまいりたいと存じます。
先ほど、高木委員が御指摘になりました地方自治法の目指す理想、最少の経費で最大の効果を上げると、このことを肝に銘じてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/84
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085・高木かおり
○高木かおり君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/85
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086・上田清司
○上田清司君 国民民主党・新緑風会の上田清司です。
先ほどから、水野議員を始め各委員の皆様方が非常に丁寧な、データを駆使しながら質疑をなさっておられます。大分出尽くしている部分もなきにしもあらずですが、私はどちらかというと、そもそも論を大臣にお伺いしたいと思っています。
今提出法案そのものは、これからより多くの場面で民間の力を活用して地域を活性化する、あるいはまた、日本の成長につなげていくという趣旨から、大型のものからややスポーツ施設とか公民館的なもの、小ぶりにはなりますが、大方のところはそうした方向に賛同するものではございます。それを前提にしながら、幾つか御質疑をさせてください。
私は、上下水道等、こういうものは、人間生活、社会生活の上で絶対必要条件とも言えるものではないかというふうに思っております。あるいは、電力を始め、エネルギーの供給源などもやっぱりそうかもしれません。したがって、電力会社やガス会社等には政府の規制があり、あるいはまた管理はされるという、そういうものがあるというふうに思っております。
そういう観点からすれば、上下水道などは基本的には民営化になじまないんじゃないかと。幾つか各国で再公営化という形の流れもあったりしております。こうしたところも、ある意味ではそうした部分を指摘するようなところではないかというふうに思いますが、改めて、上下水道、こうしたものは、民営化に、いわゆるコンセッション事業という形にはなっていますが、ざくっと言う民営化事業にはなじまないんじゃないかという考え方を私自身は持っておりますが、この点について大臣の所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/86
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087・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答え申し上げます。
上田委員ただいま御指摘のように、上下水道などの基礎的な社会インフラについては、これは行政が最終的な責任を担うことができる形で提供すべきものというふうに認識をしております。
こうした認識の下で、コンセッションにつきましては、いわゆる民営化とは異なり、地方公共団体が施設の所有権及び責任を有する制度となっておりまして、事業者に対して、契約に従い事業を行うこと、また事業の実施状況の報告の求めに応じること、さらには実地調査にも応じることなど、地方公共団体の指示に従わなければならないとされております。
こうした制度設計を踏まえますと、地方公共団体の意図に反する住民生活に支障を来すような事業の運用は起こり得ないし、あってはならないと、このようにはっきりとそこは私どもも考えているところであります。
なお、上下水道などにつきましては、今後大量の更新需要の発生が予想されております。だんだんと老朽化したものの更新需要というものがございます。住民生活を支える最重要のインフラでございまして、地方公共団体は着実に対応をしなければなりませんが、厳しい財政状況を踏まえると事業の効率化も不可欠であろうと考えております。
このため、上下水道などについても、地域の実情を踏まえつつコンセッションを活用することは有効な手段の一つと考えておりまして、上田委員御指摘のように、行政が最終的な責任を担うことを前提として、引き続き活用の推進を図ってまいりたいと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/87
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088・上田清司
○上田清司君 ありがとうございます。
埼玉県なんかの事例を申し上げると、比較的人口が増えているところ、あるいは人口減になりそうもないところなどでは、実はそのまま自治体が経営をやっております。そして、本当は民間にでも投げたいなというような人口減のところ、ずっと料金を上げざるを得ない、しかし上げれば住民から反対を受ける、そういう厳しい環境の中で非常に悩んでいる自治体、これ人口減、あるいは更に人口が縮小していくという。
つまり、民間の事業体は、営利企業として、何というんでしょうか、参入するマインドがあるところは実はそんなに参入してもらわなくてもいいんです。参入してもらいたいところに参入しにくいんです。これは、営利企業だから基本的にはそういう問題を抱えているんです。
じゃ、浜松市で下水道事業がいち早く展開された。御案内のとおり、政令市になるときに、言わば周辺の町や村を大きく浜松市は抱えました。この町や村はほとんどが赤字です、上下水道事業が。もう投げ出したかったんですね。それをある意味では大本の浜松市が全部受け入れて、事業にコンセッションを受け入れたと、こういうスキームなんですね。政令市なのですが過疎問題を扱っているところなんですよ。昔からある政令市の市長から聞きました。まさか政令市で過疎問題を考えなくちゃいけないチームができるなんて考えもしなかったなんて言ってですね、笑い話みたいな話なんですが。
まさに、浜松市は過疎問題を解決するためにこの問題をコンセッション事業で受け止めたという事態です。そうじゃない個々の過疎化しているような基礎自治体は、なかなかこうしたコンセッション事業を受け止めることができないんです。
原点に戻ります。
要は、コンセッション事業が成り立つようなところは別に自分たちでもできる、自分たちでできそうもないところは民間が動き出すマインドがない。この矛盾について大臣はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/88
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089・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答え申し上げます。
PFIの目指すところが行政の財政負担の軽減や民間の創意工夫を生かした良好なサービスの提供という点を踏まえると、PFIの活用は、私どもは、都市部に比べて、むしろ人口減少が進み財政状況も厳しいと考えられる地方部の小規模自治体にとってより効果的な取組なのではないかと、これが私どもの考え方であります。
一方で、小規模自治体は、大規模自治体に比べてノウハウや知見を有する職員が十分とは言えず、今後の推進に当たってはきめ細やかな支援が欠かせないというふうに考えているところであります。また、小規模自治体のPFI事業を担うべき地域企業もノウハウが不足しており、これら企業の参画を促進し、民間のアイデアをうまく引き出していくための環境整備も必要と考えております。
先ほどから上田委員に御教示をいただいておりますように、政令市であっても、近年合併によって政令市になったところなど、過疎の問題を抱え、こういう小規模自治体の悩みを共有しているところがあるという御教示は大変有意義なものであるというふうに受け止めた上で、その小規模の自治体こそ、こうした財政上の理由からも、今後このPFIによる上下水道の整備とか更新に活用していく余地が十分にあると、我々はそのように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/89
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090・上田清司
○上田清司君 公民館であるとか教育施設であるとか比較的規模の小さいものであれば、基礎的自治体の割と小さめのところでも民間の力を活用するような形の中で、言わばコンセッション事業も含めていろんなことが私はできるとは思いますが、上下水道みたいな非常に規模感のあるものになってくると難しいではないでしょうかということを申し上げていたんですね。これの回答はちょっとなかったんですが、これ、ちょっとまた時間が、繰り返しになってしまいますので、過ぎますので、もう一つ、メンテナンスの問題があります。
例えば、民間が事業を引き受けて小まめにメンテナンスをやっていけば大きなメンテナンスをしなくて済むんですが、やはり経費を使わないでより効果を上げるということになってくると、メンテナンスをおろそかにして、傷んだところで、はい、期間が来ました、お返ししますという形で、大きな今度はメンテナンスをする話になって、相当な費用が掛かることになります。
例えば、大きなイベントやスポーツなどをやっているさいたまスーパーアリーナなどでは極めて小刻みにメンテナンスをやっているんですね。これは、県が第一の株主の株式会社スーパーアリーナという会社が運営をしているわけですけれども、県の意向が発揮しているわけです。
そういうメンテナンスの面から見たときに、本当に民間のマインドで確実に施設を維持していくマインドが出てくるのか。市町村やあるいは自治体がグリップしているということでありますが、そもそもそのメンテナンスをしていく能力が元々あるのかどうか、それも含めて大臣の見識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/90
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091・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) ただいまのお尋ねにごく基本的なところを申し上げれば、やはり、そうした民間の事業者がメンテナンスをおろそかにすることによって、住民に対するサービスが、その水準が低下をするということは決してあってはならないことであろうと思います。そして、そのメンテナンス等の基準については、それぞれの地方自治体との協議の中でしっかりと定められていくべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/91
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092・上田清司
○上田清司君 かなり、浜松市なんかのモニタリングの報告を読み上げると、丁寧なモニタリングをやっていることもよく分かります。こうしたことがいい事例で展開されることを望んでいるところでございます。
御案内のように、スポーツ施設とかこういうものに関しては競争原理が働きます。したがって、様々な形のパターンがあっていいと思います。空港なども、必ずしも競争原理が働くとは思いませんが、文字どおり広い空間ですので、店舗、あるいは企画展、あるいは駐車場などの企画などを含めて様々な収入源を改めて広げていくという、これは多分、地方自治体の優秀な役所のメンバーといえどもかなわないんではないかというふうに思っています。
しかし、関西エアポート株式会社など、これ、二〇一九年四月から二〇二〇年の三月、あるいは二〇二〇年四月から二〇二一年三月、二〇二一年四月から二〇二二年の三月までの期末連結決算の当期の純損益を見ましたところ、コロナ禍があって、いずれも、当期純損益で三百三十五億、三百四十五億、三百二億と、極めて壊滅的な痛手を被っているわけであります。もちろん、政府としても様々な手当てをして最小限度負担が軽くなるようにはしておられることも事実ですが、こうした特別な場合が起こったときに、天地異変とは申し上げませんが、特別な場合が起こったときに、こうした民間のコンセッション事業について基本的にはどのような立場でこれをカバーするというようなことを考えておられるのか、大枠で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/92
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093・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答え申し上げます。
内閣府といたしましても、PFIを制度を所管する立場として、引き続き、こういったコロナ禍の実態の把握に努めるとともに、関係省庁と連携をして官民のリスク分担のための新たな手法の導入ですとかその検討を進めること、それから、そういったことによりまして安定的かつ継続的な事業の実施に支障を来さないようにしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/93
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094・上田清司
○上田清司君 このコンセッション事業の大本になった二〇一六年前後の未来投資会議の中で、当時、竹中平蔵教授が委員のメンバーとして非常に、何というんでしょうか、本来あげたくないものを国土交通省としては無理やり奪われたというような記録が議事録から見られることができました。
これは二〇一六年の未来投資会議の一節でございますが、航空ネットワーク、当時の部長さんが、いわゆる仙台空港、高松空港につきましては、事業価格の総額と民間委託前のEBITDAという比率を整理したところ、欧州の水準と比較して特に高い水準ではなかったというお話で、竹中、当時教授は、高いんじゃないかと、こういうお話をされて、その具体的な数字を、つまり資料を出せと、自分にくれと。でも、これは出すことはできませんと。で、余り迫ってくるので、じゃ、個人的にというか、先生にだけちゃんとお話をしますと言ったら、お話だけじゃなくて数字をどうしても出せということで、結果的には奪われたと、こういうことをですね、過去にあったと。で、コンセッション事業の中でこうした空港関係に社外取締役でありましたオリックスなんかが参入されていると。
いかにも、そういうことに関して、いかがなものかということで、当時、航空ネットワーク部長などは歯ぎしりをされたんじゃないかと思うんですが、まさかこの委員会の席で本当に頭にきましたということは言えないと思いますので、顔で表現していただければ有り難いなというふうに思っております。
御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/94
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095・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間が来ておりますので、簡潔に御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/95
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096・大野達
○政府参考人(大野達君) お答え申し上げます。
基本的に、当時の提出資料につきましては、基本的にはその公表資料を基に作成しておりまして、関係者の、入手した関係者に利益をもたらすような情報なく、利益相反の問題もないということで私ども聞いておりまして、そういう意味では、この顔で御判断していただければと思います。
よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/96
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097・上田清司
○上田清司君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/97
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098・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/98
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099・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、磯崎仁彦君が委員を辞任され、その補欠として山本啓介君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/99
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100・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 休憩前に引き続き、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/100
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101・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
PFI法が施行されて二十年以上が経過をいたしました。しっかりとした検証が必要です。
衆議院の質疑で、大臣は、PFIの目的について、法律に国民に対する低廉かつ良好なサービスの提供をすることと定められていると述べられました。しかし、午前中も話題になりました昨年の会計検査院の報告書では、二〇〇二年度から二〇一八年度までに国が実施した七十六事業のうち、事業期間が終了した公務員宿舎や庁舎の二十七の整備事業でPFI事業の方が従来方式よりも維持管理費相当額が高額になった、このことや、二十六事業で二千三百六十七件の債務不履行が発生していた、このことが明らかにされました。
大臣、こうした現実を前にしてもなお法の目的は果たされているという認識でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/101
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102・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答え申し上げます。
井上委員御指摘の会計検査院報告において、維持管理費相当額がPFI事業の方が高額となっていたことや債務不履行が発生したことを指摘されましたのは、これ、今も委員御紹介になりましたけれども、検査対象であった各府省のPFI事業の一部であり、地方公共団体を含む全てのPFI事業に必ずしも当てはまる指摘ではないと考えております。
その上で申し上げれば、PFIは公共の施設とサービスに民間の資金と創意工夫を最大限活用するものであり、行政にとっては公共サービスに係る財政負担が軽減され財政健全化に資する、住民にとっては民間の創意工夫を生かした良好なサービスを享受できる、地域経済にとっては新たな民間の事業機会の創出につながるといったメリットがございます。
具体的に財政負担の軽減については、平成二十五年度から令和二年度までの八年間で合計約二兆円の歳出削減及び歳入増加の効果がありました。そして、約三・二兆円の運営権対価収入も計上されております。また、歳出削減等の定量的な効果だけではなくて、住民満足度の向上、地域のにぎわい創出、地域課題の解決など、定性的な多様な効果も見込まれるところであります。
こうしたことを勘案いたしますと、現状において、国民に対する低廉かつ良好なサービスの提供を確保するというPFI法の目的は総じて達成されているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/102
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103・井上哲士
○井上哲士君 過去の審議の際も、政府は、問題が指摘されても、それは一部の問題だと言ってきたわけですね。しかし、私は、今回の会計検査院の報告書では相当こういう問題があるということが明らかになったと思うんです。そもそも、PFIによって低廉かつ良好なサービスが果たして成り立つのかと。
内閣府が策定したPFI事業契約との関連における業務要求水準書の基本的考え方という文書がありますが、これ、わざわざ留意点として、サービス水準が高くなれば一般的にコストも増大することから、安易に高い水準を規定することはVFM実現の観点から望ましいとは言えないとしております。
サービス向上させるとコストが増大すると政府自ら認めているということではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/103
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104・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答えします。
国が定めるPFIに関する基本方針において、PFIを選定する際の基準としましては、まず、サービス水準が同じ場合において財政負担の縮減が期待できること、又は財政負担が同じ場合においてサービス水準の向上が期待できることと、こういうことを定めておりまして、基本的にはそのコストとサービスの両方が高くなるといったPFI事業というのは想定しにくいところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/104
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105・井上哲士
○井上哲士君 いやいや、安くていいサービスになりますとさんざん言われてきたと思うんですよ。両方はなかなか難しいというお話でありました。
さらに、PFIが民間事業者が収益拡大を目的に附帯事業を行うことを可能にしております。
そこで何が起きているか。例えば、東海地方のある自治体では、屋内プールを備えた健康増進施設をPFIで整備をして、特別目的会社、SPCを構成するスポーツ事業に取り組む企業が子供たちのスイミング教室も附帯事業として運営するようになりましたけれども、この間、利用料が一・八倍に跳ね上がっているんですね。
当初は、市内の幼稚園、保育園児を対象とした水泳教室と三歳児を持つ親子を対象にした親子教室を市が直接実施する予定でしたけれども、これは現在行われておりません。ですから、幼児向けの水泳教室は全て民間企業の附帯事業で行われているんですね。市民にしてみれば、公共施設利用しているのに、予定されていた直接実施の水泳教室は行われずに、企業が附帯事業で行われているスイミング教室だけで、しかも利用料は一・八倍に値上がりになったと。
結局、民間企業が収益を上げるために、非営利で住民の福祉の増進という公共施設の本来の目的に沿った施設の利用が犠牲にされているという実態ではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/105
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106・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答えいたします。
PFI事業の実施に当たっては、PFI事業との相乗効果が期待できるような収益事業を附帯的に行うことを認めるケースがございます。委員御指摘の附帯事業ということであります。例えば、PFIによる体育館の整備事業において、レストランや店舗等の建設や運営を行うような場合が考えられるわけであります。
先ほど井上委員が東海地方のある自治体の例というのをお挙げになりましたが、委員御指摘の事例がただいま私が申し上げたような附帯事業に該当するものかどうか今にわかには分かりかねますが、PFI事業の実施に当たっては、当然ながら住民利用などの公共サービスの提供が確保されることが大前提であります。このことを申し上げておきたいと思います。
そのため、ガイドラインにおいて、地方公共団体に対し、住民の意見を聞きながら事業者が提供すべき公共サービスの水準を示すとともに、事業期間中にモニタリングを実施するように要請をいたしております。
地方公共団体においてガイドラインを踏まえて適切に取り組んでいただくとともに、制度所管の官庁として、その取組状況等を適切に把握し、制度上の改善等が必要と考えられる場合は、有識者の意見等を踏まえながら必要な検討を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/106
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107・井上哲士
○井上哲士君 相乗効果が認められる場合で公共サービスの提供の確保が前提だと答弁でありましたけど、先ほど申し上げた例は、当初やると言っていた、直接やると言っていた幼児用の水泳教室などが行われずに、民間だけが行って、そして一・八倍になっているという例なんですね。
さらに、このPFIは、収益向上のために従事する労働者の労働条件を悪化させるんじゃないか。
先ほど紹介したこの施設でスイミング教室を運営する民間企業は、同じ施設で別のスポーツ関連の教室の運営も行っております。六十六人の職員が働いていますが、正社員は九人です。残り五十七人は契約社員とアルバイト。求人サイトで確認しますと、アルバイトの時給は九百九十円で、愛知県の最低賃金を数円上回る程度なんですね。契約社員は時給千二百円と。月百五十時間換算しますと月十八万円程度にすぎませんから、ここから税金や社会保険料が差し引かれますと大変苦しい生活になりますし、しかも、契約社員は期間の定めのある不安定雇用ということであります。
この間、政府は、官から民へと称してこうしたPFIや指定管理者制度を始めて公共施設の民営化を進めてきました。しかし、民間が担うようになりますと、公共が実施していたときには必要なかった利益の配当であるとか役員の報酬などの利益をどうしても確保しなくてはなりません。必然的にこれは、働き手や担い手を非正規に置き換えて民間事業者が利益を確保していくということにならざるを得ないんじゃないでしょうか。
PFIにこうした構造上の問題があるということについての認識はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/107
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108・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答え申し上げます。
労働条件については、これは労働基準法等の関係法令に反しない限りにおいて労使が自主的に決定することとされていると、これは原則と承知しております。
一方で、PFI事業に限らないことでありますが、事業を効率的に行うとともに適切な品質やサービス水準を維持、継続するためには適切な人件費等を見積もっていくことが必要と、これも認識をしております。また、PFI事業は価格だけで競争を行うのではなくて、サービスの質を含めた総合評価落札方式により事業者選定を行うこととしているため、コストダウン以外の評価が反映されやすく、この旨はガイドラインでも周知を行っております。
先ほど申し上げた人件費等を適切に見積もっていくことが必要であること、これは今のガイドラインに明記しているわけではありませんけれども、これを私は明記することも検討してもよいと思っておりまして、こうしたことを考えれば、PFIの活用により労働条件を低下させるという構造上の問題はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/108
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109・井上哲士
○井上哲士君 現に、先ほど紹介したように、非常に非正規の方が多いという状況が生まれているわけです。構造上の問題にしてはならないというんであれば、例えば自治体とSPCが事業契約を結ぶ際に、SPCが業務委託をする先の企業との間での労働者の適正な労働条件の確保等を明記させるなど、ルールを検討するべきではないかと思います。
今、ガイドラインというお話もありましたけれども、こういうルールについてもう一回明確な答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/109
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110・英浩道
○政府参考人(英浩道君) PFIで実施する場合につきましてのその賃金等の労働条件は、労働基準法等の関係法令に違反しない範囲、限りにおいて労使が自主的に決定することとされております。法律によりその賃金等の基準を新たに設けることについては、既に公契約条例の制定している地方自治体等の状況なども注視しながら、今後も幅広い観点を踏まえた慎重な対応が必要というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/110
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111・井上哲士
○井上哲士君 やっぱりこれはまさに公契約なわけで、そこまで構造的なこの言わば賃下げの状況ができているということは、きちっと私はやっぱりルール化で正すべきだと思うんです。
今、公契約条例というお話がありました。自治体は適切な労働条件確保のために様々な努力をしております。発注する公共工事や業務委託等に従事する従業員の賃金の報酬の下限額などを決める公契約条例の制定が進んでいるんですね。ところが、一部には、PFI事業をこの公契約条例の対象にしていないところがあります。
PFI法の第七十六条は、「国及び地方公共団体は、特定事業の実施を促進するため、民間事業者の技術の活用及び創意工夫の十分な発揮を妨げるような規制の撤廃又は緩和を速やかに推進するもの」としております。
公契約条例でPFI事業も対象にするのは、この七十六条に言う撤廃とか緩和の対象ではないということで確認してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/111
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112・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答えします。
委員御指摘のように、PFI法の第七十六条は、PFI事業の促進のために民間事業者の技術の活用や創意工夫の十分な発揮が行われるよう、これらを妨げるような規制の緩和や撤廃を推進するという規定を設けておるところでございます。
この公契約条例においてPFIを対象にするか否かを含め、どのような事項を規定するかについては、これはその条例を定める各地方自治体の判断だというふうに考えておりますが、PFI法の第七十六条では、その人件費の過度な制限等を、失礼しました、人件費の過度な削減などを防止する自治体の取組を撤廃することを直接的に求めているものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/112
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113・井上哲士
○井上哲士君 つまり、確認しますけれども、自治体の判断で公契約条例の対象にPFIを入れるというのは差し支えないということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/113
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114・英浩道
○政府参考人(英浩道君) これは、自治体の判断によってそのようなことは可能というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/114
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115・井上哲士
○井上哲士君 是非徹底をしていただきたいと思うんですが。
PFI事業の妥当性を判断する上で、地方議会や地域住民に対する情報開示が非常に重要でありますが、PFIでは、民間企業であるSPCや、SPCが業務委託をする他の企業との間でどのような契約が行われているのか等の情報が企業秘密を理由にほとんど公開をされないんですね。
PFIの基本方針では、この事業の原則の一つに透明性原則を掲げているわけですが、この透明性原則というのは一体誰のための原則なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/115
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116・英浩道
○政府参考人(英浩道君) お答えします。
PFI事業につきましては、透明性原則として、特定事業の発案から終結に至る全過程を通じて透明性が確保されなければならないというふうにしているところでございます。これは一般の国民のための透明性の確保を意図したものというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/116
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117・井上哲士
○井上哲士君 果たして国民のためになっているのかという問題なんですね。
基本方針は、情報開示に関して、法第十五条第三項に規定するもののほか、公開することにより民間事業者の権利、競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれのある事項を除き、事業契約の内容を公表することとしております。これはやっぱり企業の利益擁護を原則にした情報開示の在り方だと言わざるを得ないんですね。もちろん、開示できない情報があることは承知をしております。否定はしません。ただ、この規定が障害となって、住民自治の観点から当然公開されるべき情報まで非開示にされることにつながっているんではないかと。
情報開示の在り方を住民自治を原則にした在り方に改めるべきではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/117
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118・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) ただいま御指摘のPFIの基本方針では、民間事業者の選定に関する資料や契約内容については公表を原則としております。その一方で、公表することにより民間事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのあるものについては例外として非公表にし得ることを認めておりますが、このおそれのあるものというのは、企業の独自の技術、ノウハウ等の含まれる資料や契約情報、こういったものであるというふうに認識をしております。こうしたことによって、民間事業者は安心してPFI事業に参画でき、自治体も民間事業者から事業の検討に必要な情報を提供してもらいやすくなり、幅広い事業の検討が可能になると考えられるところであります。
なお、住民自治を前提に定められた一般的な情報公開条例においても、民間事業者の権利や競争上の地位に関する情報等は非開示情報とすることができるとされておりまして、このPFIの基本方針と同様の書きぶりになっております。したがって、この自治体における情報公開の基本的な考え方に照らしても、これは適切なものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/118
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119・井上哲士
○井上哲士君 実際に何が起きているかと。これは愛知県岡崎市の例なんですけど、こども発達センターという事業があるんですけど、その妥当性を検証するために、SPCがどんな投資計画や収支計画を持っているか情報公開請求を、開示を求めたんですけど、出てきたのは全て黒塗りの資料と。そこで、不服審査請求をして、市の情報公開・個人情報保護審査会からも公開が妥当とされたんですね。でも、まだ出してないんですよ、市当局は。これは、やっぱりこういうのはふさわしくないと。
第三者機関であるこういう保護審査会などが開示が妥当とした情報は速やかに出るのが当然だと思いますけど、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/119
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120・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) ただいまの岡崎市の例については、この場で御教示をいただきましたので、その詳細については承知をしていないところでありますが、それは自治体の運営、これもまた地方自治でございますから、地方公共団体の運用によるところとは思いますけれども、やはりそういう御指摘の例があるのかどうか、これは私、確かめてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/120
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121・井上哲士
○井上哲士君 しっかり確かめていただきたいと思うんですね。
法案は、この事業に投資するインフラ投資市場が未形成であることから、機構の期限を五年間延長をいたします。
大臣は、衆議院の答弁で、このインフラ投資市場において商品となり得る収益性のあるPFI事業の数が十分でないということも言われておりますが、公共施設は本来は非営利で住民の福祉を増進することを目的としているわけで、それを投資家にとって魅力ある収益性の高い商品にしていくというのは、やはり公共施設の公共性を否定しなければ成り立たない方向ではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/121
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122・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) 先ほども申し上げたように、PFI事業の実施に当たっては、住民利用などの公共サービスの提供が適切に確保され、公共性が維持されていることが大前提となります。そうした前提条件を堅持しつつ、民間ならではの目線を生かして、施設を利用する方々や住民の利便性の向上に資するサービスを有償を含めて提供していただくことも可能としているところであります。
この点については、公共サービスの水準を維持した上で民間事業者の創意工夫を生かし実施されるものとして、PFI法や基本方針においても明記されているところでありまして、このようにPFI事業において公共性と収益性は両立するものであり、公共性を否定しなければ収益性を確保できないといったものでもないと、このように認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/122
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123・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間が参りましたので、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/123
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124・井上哲士
○井上哲士君 時間ですので終わりますが、近江八幡市が全国に先駆けてPFIを導入した市立総合医療センターは二年半で契約解除したんですね。その前に病院側が出したPFIの検証という報告書では、病院経営は本来非営利目的であり、病院が追求しようとする医療の効率と営利活動を目的とするSPCが追求する効率化性とは根本的に異質のものであると、こういう報告書を出しております。
そのことを指摘いたしまして、質問終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/124
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125・舩後靖彦
○舩後靖彦君 れいわ新選組、舩後靖彦でございます。
私は、難病ALSの進行により、喉に穴を空けて人工呼吸器を付けています。声を出すことができないため、パソコンによる音声読み上げ、文字盤による文章作成、秘書による代読によって質問を行います。聞き取りづらい部分もあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
まず、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、PFI法改正法案について御質問いたします。
PPP/PFIアクションプラン、令和四年改定版では、地域交流の場である公園、公民館などの身近な施設でのPPP、PFI活用を掲げています。内閣府や関係省庁は、公園、公民館などでPPP、PFIを活用する先導的モデル事業の形成に取り組み、そのモデル事業を横展開してPPP、PFIを推し進めようとしています。身近な施設をどのように造るかについては、利用する地域住民にとって使いやすい施設であることが最も重要なことだと思います。したがって、これらの施設の整備に当たっては、地域住民の声を聞き、地域住民が参加することが是非とも必要なこととなります。
そこで、PFIへの住民参加の必要性についてどのような御認識なのか、大臣にお伺いしたいと思います。また、あわせて、地域住民の声を聞く仕組みをどのように取り入れるおつもりなのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/125
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126・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) 舩後委員にお答え申し上げます。
公共施設を整備、改修する際には、事業目的、内容について地域の御理解を得た上で進めるべきものであり、そのプロセスにおいて関係住民の意見を十分聴取することが必要と認識しております。
その上で、PFIについて申し上げれば、事業の実施に際しては、住民の方々への情報の提供、また住民の方々の同意や理解を得るための啓発活動の推進、またパブリックコメントなどを通じた住民参加の促進などを行うよう地方公共団体に御要請しております。舩後委員御指摘のように、公民館、市民ホールといった住民の方々が日常的に利用する身近な施設については、特に利用者の声を事業内容に反映することが重要であると認識しております。
今後、こうした身近な施設でのPFIの活用の拡大を図ることといたしておりますが、地域のニーズに沿った取組が進められるよう、引き続き、住民の方々の声を適切に集めることの必要性や重要性を周知してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/126
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127・舩後靖彦
○舩後靖彦君 令和三年五月十四日に、会計検査院が国会及び内閣に対し、国が実施するPFI事業についてという報告書を出しています。そこでは多くの課題が指摘されていましたが、例えばVFM評価、支払に対し最も価値の高いサービスを提供するという考え方に当たって、PFI事業が有利になるような割引率を用いていたという事実も指摘されています。PFI事業実施判断の前提となるVFMが恣意的に算定されていたということであれば、PFIに対する国民の信頼を揺るがせることになりかねません。極めて遺憾なことだと思います。
今後、政府は会計監査院の指摘に対してどのように課題を解決していくお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/127
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128・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) お答え申し上げます。
舩後委員御指摘の会計検査院の報告では、各府省等、国でございますが、国におけるVFMを始めとして、PFIを推進していく上での重要な課題が示されたと認識しており、重く受け止めております。
この指摘を踏まえ、すぐに着手できる事項として、令和三年六月、各府省等や地方公共団体に対して、VFMの算定に加え、モニタリングや事後検証を適切に実施するように要請したところであります。
今後、各府省や地方公共団体の取組状況等を踏まえつつ、PFI事業のより効果的かつ効率的な実施につながるように、有権者の意見も踏まえながら、有識者の御意見も踏まえながら、各種ガイドラインやマニュアルの改定を含めて必要な対応を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/128
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129・舩後靖彦
○舩後靖彦君 次に、九月九日に出された国連障害者権利委員会からの対日本総括所見についてお伺いいたします。
幼少期の分断が社会の分断を生むということを指摘したいと思います。
ジュネーブでの建設的対話の結果、全ての条項に関して懸念と勧告、具体的にとるべき措置が示されましたが、特に十九条、自立生活と地域社会へのインクルージョン、及び二十四条、インクルーシブ教育に関する勧告について緊急の措置を講じる必要があると注意喚起しています。
このことについて、国別報告者のヨナス・ラスカス氏は来日講演で、障害の有無で分離した特別支援教育は、インクルーシブな社会で暮らしていく道のりを否定し、将来施設で暮らすことにつながる、インクルーシブ教育なくして障害のある人の自立生活はあり得ないとおっしゃいました。全く同感です。
障害者権利条約十九条が求める自立した生活とは、何でも人の手を借りずに自分でやることではありません。その逆で、自立とは、周りとつながる力を付けること、頼れる人、所を増やすこと、そして自分で決めることです。親、家族以外に地域社会でのつながりをつくっていくためには、幼少時から分け隔てられることなく学び育つことが重要です。
そこで、共生社会政策に関わる内閣府にお尋ねいたします。ラスカス氏のこの指摘について、いかがお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/129
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130・自見はなこ
○大臣政務官(自見はなこ君) 舩後委員御指摘の、インクルーシブな社会や、それを支えるインクルーシブ教育システムが重要であるということを強く認識しております。
文部科学省においては、インクルーシブ教育システムの実現に向けて、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごすための条件整備や一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場の整備を両輪として取り組んでいると承知をしております。
また、子供の心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指して、障害のある子供や子育ての支援につきましては、子供やその保護者の視点に立ち、特別な支援の充実と併せ、地域社会への参加、インクルージョンを推進することが非常に重要だと考えております。
内閣府といたしましては、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現が重要であると考えており、共生社会の実現に向けて、関係省庁と連携してしっかりと取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/130
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131・舩後靖彦
○舩後靖彦君 インクルーシブ教育についての質問を続けます。
障害者権利委員会は、分離、特殊教育を終わらせることを目的として、障害のある子供がインクルーシブ教育を受ける権利を認め、質の高いインクルーシブ教育に関する国家行動計画を採択することと勧告しました。これに対して、文教科学委員会で私が発言の趣旨を確認したところ、文科大臣は、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごす条件整備と教育的ニーズに応じた学びの場の整備を両輪として取り組んでおり、現在多様な学びの場で行われている特別支援教育を中止することは考えていないと答弁しました。
しかし、障害者権利条約二十四条、教育の条文解釈とも言える一般的意見第四号では、主流の教育制度と特別支援、分離教育制度という二つの教育制度が持続されることは相入れないと、文科省の言うツイントラックは認めていません。建設的対話においても、議長を務めたメキシコのガミオ委員から、子供は通常学校に行くか特別学校に行くか選ばされるべきではない、障害者権利条約は明確に特別教育を否定し、インクルーシブ教育を推進することを政府に求めていると指摘しています。文科大臣の発言は、権利条約を正しく理解しようとしない姿勢の表れであり、非常に残念に思います。
資料一を御覧ください。
これは、フランスの障害者雇用政策で使われている排除、分離、統合、包摂の四つのカテゴリーを図で表したものです。世界的潮流は統合からインクルージョンに向かおうという中、日本の教育状況は分離と統合のまだら状態にとどまっています。教育の場で分けていては、その後、社会に出てもどのように障害のある人と付き合ってよいか分からず、知らないゆえに偏見や差別が生じてしまいます。
資料二を御覧ください。
障害者雇用が進まず、雇用率達成のために障害者雇用を代行する会社が現れています。法的に問題がないとしても、この方式は、障害者が働くことを通して自己実現と経済的安定を図ること、企業の社会的責任として障害のある従業員が働きやすい環境整備、合理的配慮を定めた障害者雇用促進法の趣旨から完全に逸脱しています。こうした雇用率達成ありきで分離されたあしき雇用形態がはびこってしまうのも、障害のある人とない人が当たり前に共に過ごすことなく育ち、社会に出てから一緒に働くイメージが湧かないからだと記事で指摘されています。
次回の日本政府報告審査は、六年後の二〇二八年です。障害者権利条約の完全実施に向けて、分けた上で手厚くという日本の障害者政策の在り方を根本的に改める必要性、特に二十四条、教育に関する勧告の緊急措置が必要と考えます。
内閣府は、共生社会を進める立場からいかがお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/131
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132・自見はなこ
○大臣政務官(自見はなこ君) 先般公表された総括所見の中におきましては、障害者政策委員会の設置、情報アクセシビリティー、差別解消、バリアフリー、雇用促進及び文化芸術活動等の障害者の権利を促進する法律やガイドライン等の幅広い施策の取組が肯定的な側面として取り上げられました。
一方で、舩後委員が御指摘のとおりでありますが、意思決定、また地域社会での自立した生活、インクルーシブ教育等に関する事項に関しまして、障害者権利委員会としての見解及び勧告が示されたものと承知をしております。
この総括所見は法的拘束力を有するものではありませんが、今般示された障害者権利委員会の勧告等につきましては、関係府省庁において内容を十分に検討していくものと考えておりまして、御指摘の点についても、文部科学省において適切な検討が行われるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/132
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133・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/133
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134・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/134
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135・舩後靖彦
○舩後靖彦君 代読いたします。
内閣府さんは、勧告に沿って実施していただけるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/135
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136・自見はなこ
○大臣政務官(自見はなこ君) ありがとうございます。
繰り返しになりますが、御指摘の点についても、文部科学省においても適切な検討が行われるものと考えておりますが、内閣府といたしましてもしっかりと関わってまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/136
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137・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/137
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138・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/138
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139・舩後靖彦
○舩後靖彦君 代読いたします。
強く背中を押してください。これは意見です。
次に、入所施設の問題に移ります。
資料三を御覧ください。
これは、ジュネーブの建設的対話において、やまゆり園事件を経てなお施設で暮らす人たちがたくさんいることについて政府は考え直したことはあるか、長期的、中期的にどのように資源配分をして十九条に従った形で地域生活への移行を支援していくのかというロバート・マーチン委員からの質問に対する厚生労働省の回答です。マーチン委員は、障害ゆえに親からの虐待や施設入所を経験したニュージーランドの知的障害当事者です。
厚労省の回答に対して、私は強烈な違和感を覚えました。私自身、療護施設にいたとき、花見などしたことはありません。たとえ花見ができたとしても、障害のない人が好きなときに好きな人と好きな場所で花見をしているのとは違います。また、高い塀で囲まれた隔離施設でなく、日中活動があって外出ができたとして、厚生労働省の方々、施設の職員は施設でずっと暮らすことを望むのでしょうか。誰も望まないと思います。
では、なぜ障害者は施設で暮らさざるを得ないのか。それは、親亡き後を考えて、本人のニーズではなく、親、家族のニーズで入所が進められてきたからです。私も、ALSを発症し、人工呼吸器を付けなければいずれ死ぬことを宣告されたとき、当初は家族の介護負担を考え、呼吸器を付けることをためらいました。そのため、多くの障害者が自らの意思ではなく施設での暮らしを受け入れていくこともよく分かります。
資料四を御覧ください。
日本への総括所見と同じ日に発表された緊急時を含む脱施設化ガイドラインは、施設入所は障害者福祉ではなく強制的拘禁であると指摘し、施設収容を永続させる正当な理由はないとしています。既に、スウェーデンやニュージーランド、カナダのブリティッシュコロンビア州、オンタリオ州では、入所施設は廃止されています。
一方、日本でも、建設的対話で厚労省が回答したように、施設からの地域移行に取り組んではいます。しかし、退所者が出てもすぐに新規入所者で埋まってしまい、利用者数は一向に減りません。その背景には、一万八千人余りとも言われる障害者の入所施設待機者の存在があります。
資料五を御覧ください。
令和二年度時点で、地域移行者数、施設入所者の削減数共に第五期の目標値を下回るため、第六期は目標値を第五期より下げ、削減数の目標は一・六%以上の削減となっています。これでは何十年たっても半減すらできません。
加藤厚労大臣は、九月十六日の記者会見において、今回の総括所見の趣旨も踏まえながら引き続き取り組んでいきたいとおっしゃいました。勧告は、日本が共生社会に向けてやるべきことは、計画的に施設を廃止していくこと、それを迅速に実施することと明示しています。
内閣府にお尋ねいたします。
共生社会のビジョンとして、施設、精神病院を必要としない地域社会を打ち出すおつもりはおありですか。
あわせて、厚生労働省にお尋ねいたします。
誰もが安心して地域社会で自立して暮らせる社会に向けて、施設からの地域移行を加速化するとともに、新規入所をゼロにしていくことが必要です。そのためには、脱施設化ガイドラインに沿って、短期、中期、長期的計画を作り、地域で生活するための介助支援の量を圧倒的に増やし、重度訪問介護や行動援護、同行援護などにおける医学モデルに基づくサービス対象と内容の制約をなくし、柔軟で使いやすいサービスに転換することが必要と考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/139
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140・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間が来ておりますので、簡潔にお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/140
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141・自見はなこ
○大臣政務官(自見はなこ君) 障害者権利委員会の総括所見は法的拘束力を有するものではありませんが、厚生労働省において、総括所見の趣旨も踏まえながら、引き続き、障害者の地域移行も含めた障害福祉政策などの充実に取り組むものと承知をしております。
また、次期障害者基本計画案については、これまで障害者政策委員会で幅広く議論を積み重ねていただいており、この度の総括所見も踏まえながら議論が行われております。
内閣府といたしましては、引き続き、次回障害者基本計画の策定に向けて必要な対応をしっかりと行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/141
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142・畦元将吾
○大臣政務官(畦元将吾君) お答えします。
まず、地域移行の推進についてお答えいたします。
総括所見において御指摘のような施設からの地域移行を推進すべきと要請があることは承知しておりますが、厚生労働省としては、これまでも、地域、自治体が策定する障害福祉計画において、地域移行の目標値の設定の推進や、地域生活の移行、定着を支援するサービスの充実等により、施設からの地域移行を進めてきたところでございます。
一方、障害者支援施設には、強度行動障害を有する方、医療ケアが必要な方など専門的支援が必要な方も入所していることから、地域移行に当たっては、専門的支援の確保を含め、安心して地域で障害者が希望する生活ができる支援体制の整備とともに取り組むことを必要と考えております。
引き続き、障害福祉計画における目標値の設定やその実現に向けた取組に加え、今般提出している障害者総合支援法改正案による地域生活支援拠点などの整備により、障害者の希望に応じた暮らしの実現に向け、計画に取り組んでいきたいと思います。
もう一つ、訪問系サービス系についてお答えします。
訪問系サービスを含む一部の障害福祉サービスについてはサービスごとに対象者の要件となる障害支援区分を設定していますが、この障害支援区分は、市町村において、障害者手帳の等級や障害の程度だけでなく、障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要となる支援の度合いについて確定しているものです。
さらに、障害福祉サービスの支援については、障害支援区分に加え、介護を行う者の状況や障害福祉サービスの利用に関する意向、置かれている環境等を勘案して要否を決定しており、引き続き、必要な支援が行き届くよう、各自治体における適切な運営を促進してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/142
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143・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/143
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144・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党を代表して、PFI法改正案に対して反対の討論を行います。
PFIは、公共施設を民間企業に整備、運営させ、収益を上げようというものです。しかし、非営利で住民の福祉の増進を目的とする公共施設と企業の営利追求とはそもそも相入れないものです。
こうした根本的な矛盾を抱えたPFIは、本法施行後二十年以上が経過する中で、民間事業者の相次ぐ経営破綻などの問題事例を生み出してきました。会計検査院の報告でも明らかなように、低コストで質の高いサービスを提供するとのPFIの破綻は明白です。
質疑でも明らかにしたように、民間企業が収益を上げるために住民負担を引き上げ、施設で働く職員を非正規雇用に置き換えるなど、施設の公共性を犠牲にせざるを得ないのがPFIの本質です。にもかかわらず、岸田内閣は、PFIを新しい資本主義の中核としてデジタル田園都市国家構想の推進力と位置付け、今後十年で三十兆円の事業規模を目標に推進していくとしています。PFIの延命と推進を図るために出された本法案は、到底容認できるものではありません。
本法案は、コンセッション事業について、施設方針で定められた公共施設の規模や配置を事業期間の途中であっても民間事業者からの提案で変更可能としています。これは、営利を目的とする民間事業者の意向を反映させるためのものであり、公共施設管理者が実施方針で条件付けた政策目的が損なわれ、施設としての公共性が一層形骸化する懸念があります。
また、株式会社民間資金等活用事業推進機構、いわゆるPFI推進機構の設立期限の二〇二七年度末までの延長は、収益の上がらないPFI事業者の延命にほかなりません。機構が目指すインフラ投資市場の形成とは、公共施設を民間企業のための収益施設に変質をさせ、投資対象にしようとするというものであり、これを政府を挙げて推進するための機構の延長は断じて認められません。
民間企業の利益追求のために住民の福祉の増進という公共施設の本来の目的を犠牲にするPFIは即刻やめるべきだと述べまして、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/144
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145・舩後靖彦
○舩後靖彦君 れいわ新選組、舩後靖彦です。
私は、会派を代表して、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、PFI法改正法案について、反対の立場から討論いたします。
れいわ新選組がPFI法改正案に反対する第一の理由は、PFI事業が適切に運営されているとは言い難く、かつ問題点を指摘されても、それを真摯に受け止め、改善する姿勢が見られないからです。
令和三年五月の会計検査院報告書、国が実施するPFI事業についてでは、VFMの算定に当たってPFI事業が有利になる割引率を用いていた事実が指摘されています。PFI事業の実施判断の前提となるVFMが恣意的に算定されていたということであれば、効率の良くない事業に公費が投入されていたということです。割引率を操作して民間企業に便宜を与えていたのではないかという疑念を抱かせる状況は、国が主導権を持って徹底的に排除すべきではないでしょうか。しかし、一年半前に会計監査院から指摘を受けていながら、この点を抜本的に解決するという答弁は本委員会の質疑からも得られませんでした。
不適正な状態を是正することなくPFIの範囲を拡大するこの改正案には賛成することができません。
次に指摘したいのは、PFI事業への地域住民の参加が十分ではないということです。
PPP/PFIアクションプラン、令和四年改定版を見ると、公園、公民館などが地域交流の場であり、地域コミュニティーを形成するための重要な施設であるということは政府も認識しているようです。身近な施設は、利用する地域住民自身が使いやすい施設でなければなりません。これらの施設の建設や運営に当たっては、地域住民の声を聞き、地域住民が参加する仕組みを取り入れることが是非とも必要です。
しかしながら、地域住民が一定の決定権を持って参加するという仕組みは、残念ながら十分に取られていません。情報を提供し、理解を得るための啓発活動をし、パブリックコメントで意見を聞けば、それで住民参加は十分だと政府は考えているようです。住民に邪魔されないようにガス抜きをしておけばよいというこのような発想は、地域住民が主体であるという住民自治の理念に反するものです。
地域住民が主体的に参加する仕組みが一向につくられることなく、PFI事業を継続させ、拡大すらしようとしている本改正案には反対せざるを得ません。
以上、二点を指摘し、私の反対討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/145
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146・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/146
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147・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、吉田君から発言を求められておりますので、これを許します。吉田忠智君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/147
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148・吉田忠智
○吉田忠智君 私は、ただいま可決されました民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会及び国民民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 PFI事業を推進するに当たっては、民間が担うことによってコストの削減とサービスの向上が期待できる事業に限り実施されるよう徹底すること。
二 PFI事業の実施に当たっては、国民の安心・安全及び働く人の賃金・勤務労働条件に十分留意し、提供される公共サービスの水準が維持・向上されるとともに、地域経済の活性化に向けて地元企業、とりわけ中小企業の参画が促進されるよう、国及び地方公共団体が責任をもって管理すること。
三 PFI事業の事後評価及び諸外国の事例も含めた課題分析を行い、今後の事業実施に活かすこと。
四 株式会社民間資金等活用事業推進機構に対し、多額の国費が用いられていることに鑑み、出融資決定時及び実行後における当該出融資の情報開示を適切かつ定期的に行うよう求めることを通して、国民に対する説明責任を十分に果たすこと。
五 株式会社民間資金等活用事業推進機構は民間資金の呼び水の役割を果たすという設立の趣旨に鑑み、民業補完の原則に十分留意するとともに、民間インフラ投資市場の形成を延長期限内に行い、同機構の業務が早期に終了するよう最大限努めること。そのため、同機構が有するPFI事業に関する知見を地域金融機関に移転すること等を通じ、PFI事業に精通した民間の人材育成を積極的に図ること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/148
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149・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) ただいま吉田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/149
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150・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 多数と認めます。よって、吉田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、岡田内閣府特命担当大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。岡田内閣府特命担当大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/150
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151・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/151
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152・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/152
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153・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014889X00820221208/153
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