1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年十一月八日(火曜日)
午前十時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 山下 雄平君
理 事
堂故 茂君
船橋 利実君
宮崎 雅夫君
徳永 エリ君
舟山 康江君
委 員
加藤 明良君
滝波 宏文君
藤木 眞也君
山田 俊男君
山本 啓介君
若林 洋平君
石垣のりこ君
小沼 巧君
田名部匡代君
下野 六太君
安江 伸夫君
串田 誠一君
紙 智子君
須藤 元気君
寺田 静君
国務大臣
農林水産大臣 野村 哲郎君
副大臣
農林水産副大臣 勝俣 孝明君
大臣政務官
農林水産大臣政
務官 藤木 眞也君
事務局側
常任委員会専門
員 笹口 裕二君
政府参考人
総務省大臣官房
審議官 北原 久君
文部科学省大臣
官房審議官 西條 正明君
厚生労働省大臣
官房生活衛生・
食品安全審議官 佐々木昌弘君
農林水産省大臣
官房総括審議官 杉中 淳君
農林水産省大臣
官房技術総括審
議官兼農林水産
技術会議事務局
長 川合 豊彦君
農林水産省大臣
官房統計部長 菅家 秀人君
農林水産省消費
・安全局長 森 健君
農林水産省輸出
・国際局長 水野 政義君
農林水産省農産
局長 平形 雄策君
農林水産省畜産
局長 渡邉 洋一君
農林水産省経営
局長 村井 正親君
農林水産省農村
振興局長 青山 豊久君
林野庁長官 織田 央君
水産庁長官 神谷 崇君
環境省大臣官房
審議官 松本 啓朗君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
(農作物の残留農薬基準に関する件)
(動物用医薬品に関する件)
(甘味資源作物の生産に関する件)
(水田農業政策に関する件)
(土壌診断の在り方に関する件)
(農業における女性活躍の推進に関する件)
(農福連携の推進に関する件)
(食料安全保障の強化に向けた水産業の振興に
関する件)
○競馬法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/0
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001・山下雄平
○委員長(山下雄平君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省大臣官房審議官北原久君外十四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/1
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002・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/2
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003・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/3
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004・山本啓介
○山本啓介君 おはようございます。自由民主党の山本啓介でございます。
本日の質疑の時間を与えていただきましたことに、山下委員長を始め委員各位の皆様方に心から御礼を申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
野村大臣、そして勝俣副大臣、藤木政務官におかれましては、この度の就任、誠におめでとうございます。心からお喜びを申し上げます。また、日頃より農林水産行政全般にわたり熱心なお取組をいただいておりますことに心からの敬意と感謝を申し上げます。誠にありがとうございます。
大変緊張しておりまして、不慣れな質問、たどたどしくなるかもしれませんが、答弁の方で端的に、できれば大変恐縮ながら時間調整をいただければ有り難く存じます。どうぞよろしくお願いいたします。持ち時間は二十分であります。地方からの声をしっかりとお届けしたいと思いますので、御指導をよろしくお願いいたします。
本日の質問のテーマ、これは食料安全保障についてであります。
我が国の狭い国土、そして少ない資源の中において、どうやってこの食料に関する安全保障をしっかりと構築していくか、これは最近において混迷を極める国際情勢から迫られたものではなくて、かつてからあった私は我が国の課題であろうかと思います。
そういう中において、食料自給率の向上は大変重要な取組であります。ここ数か月、ウクライナの関係や北朝鮮の関係、さらには中国との関係などにおいて、国外のものに頼っている我が国においては様々な物の価格が高騰しています。今回初めて臨む農林水産委員会、大臣の所信や一日目の答弁を伺っておりました。国内にあるものをしっかり利用しようと、大変力強く御発言をいただきました。
その食料安全保障上のリスクが高まっている中、国内生産に転化し、食料自給率を向上させていく必要があるということ、そして、そのためには、人材育成や生産資材など、国内の生産の環境づくりにも早急に取り組む必要があると認識します。生産物、オールジャパンでやっていく、そして、それらを生産していく環境もしっかりとオールジャパンで取り組んでいく、その決意を改めて大臣よりお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/4
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005・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 御質問ありがとうございます。
私はずっと、この大臣就任以来もそうでありますが、食料の安全保障について皆さん方にお訴えをしてきたところでありまして、この食料安全保障というのが国の安全保障、そしてまた、食料の安全保障というのは大きな国のこれは責務だと、こんなふうに思っておりまして、将来にわたって食料を安定的に確保していくということは、国内で生産できるものはできる限り国内で生産すると、そして、人材の、そのためには人材の確保なり、今お話がありましたように生産資材の確保にもしっかり取り組むことが必要だと、こんなふうに思っております。
農林水産業を担う人材の確保、育成に当たっては、就業前後の技術習得のための研修あるいは資金面での対策、こういったことや、あるいは機械、施設等の導入、いろんな形でのサポートすることが必要だと、こんなふうに思っておりまして、新たな技術開発なり事業化を目指すスタートアップの支援にも取り組んでいきたいと思っております。
生産資材のお話もありまして、その生産資材の確保については、特に飼料の増産、酪農を始めとする畜産の皆さん方が大変お困りでございますので、飼料の増産、それから肥料の高度化。いよいよ秋肥が上がってまいりました。したがいまして、この国産化も推進しながら、輸入する生産資材への過度な依存をやはりこれは低減させなければならないと、こんなふうに思っております。これにより、我が国の食料供給の構造転換を促す取組を講ずることにしております。
こうした施策を着実に進め、国内の生産基盤を強化することにより食料安全保障の強化に取り組むとともに、食料自給率の結果として向上を図ってまいりたいと、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/5
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006・山本啓介
○山本啓介君 ありがとうございます。
大変分かりやすい、そして岸田内閣が進める農業全般について、農林水産業全般についての御答弁をいただきました。是非とも、野村大臣のリーダーシップの下、全国津々浦々その取組が徹底されますこと、地域と連携ができますことをお願いを申し上げたいと思います。
しかしながら、今のお話もそうでありますし、私、当選から任期をいただき三か月余りたってまいりました。その中において、これらの食料安全保障や自給率の話、残念ながら、水産に関する議論が余りにも少ない。海洋県、水産県長崎から来た私にとっては、本当に少し心細い思いをするところであります。
海洋国家における我が国においては海の恩恵をもっと活用すべきであり、離島や国境の島などにおいては、水産業を営む方々が島の外に出張って、海域を広げ、経済活動をすることによって必然的に他国からの干渉を防ぐ国境監視機能も有しています。そして、最近、魚離れが深刻になっていますが、国や業界団体が普及活動や水産物の消費拡大などに力を入れていることは十分承知をいたしているところであります。
そもそも、我が国はかつてから魚を食してきた伝統もございます。その伝統を国が教育の中でもしっかりと取り組んでいることも理解しますが、もっともっと更に強化をしていく必要があると私は思います。
この食料安全保障、この中においての水産業、もっともっと力強く、もっともっと明確に位置付ける必要があるかと思いますが、大臣の御答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/6
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007・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 私の前任者の大臣は水産関係出身でありましたから、大変水産には力を入れておられました。一方、私は農業部門の出身でありますので、そういう意味では、先生から見て、ああ、今回の大臣は水産には全く力を入れていないなと、こんなふうに思われておるのかなと思ってちょっと残念でありますが、私のところも島々が多くて大変水産の盛んなところでございまして、また養殖も大変盛んでございます。したがいまして、ブリとカンパチは日本一というぐらいの生産量を誇っておりますので、そういう意味での水産についても、昨日も組合長さん方や、あるいはまた市町村長もこの水産関係の陳情をいただいたところでございます。
水産業というのはやっぱり良質なたんぱく質のこれは供給源でありますので、我々は食料安全保障の観点からもこの水産に力を入れていかなきゃならないと。しかし、今、今まで捕れていた魚が捕れなくなったというようなこともよく聞かされますので、じゃ、どうするのかってなると、あとはやっぱりこれは養殖じゃないかということも昨日話をしたところなんですが、そういう意味では、食料の安全保障の観点から、これはやっぱり水産業というのは重要な位置にありますので、是非水産業へも力を入れていきたいと、こんなふうに思っております。
やはり、この輸入がやっぱり、これは農産物も一緒ですが、水産も輸入が非常に多いわけでありますから、こういった輸入依存度の高い資材なり、あるいはまた原材料の国産への転換、こういったことにもやはり同じようにこれは努力していかなければならないと思います。
今委員の方から御指摘がありましたけれども、水産業はその物だけではなくて、やはり環境という意味、あるいはその地域を守っている藻場だとか干潟といった環境生態系の保全や、国境監視にも大変これは、役に立っていると言えば失礼な言い方ですが、そういうようなことが機能を有しているというふうに思っております。
長崎の選出でありました谷川先生が国境離島の委員長をされまして、我々もその中に入って、私のところ、長崎が一位、それから二位が鹿児島県が国境離島が多いわけでありますから、無人島になったらこれはもうすぐに攻め込まれてくるぞと、こういうことから、できるだけ国境離島に人が住めるような、そういう環境づくりをしようじゃないかということで、委員会を党の中に立ち上げて、そして法律まで作っていただきました。
したがって、そういった意味で、その水産業というのは、今委員おっしゃいましたように、物だけではなくていろんな機能を持っているということでありますので、是非ともそういった我々は水産業の持つ多面的な機能も生かしながら今後振興を図っていかなければならないと、こんなふうに思っておりますので、どうか、長崎、鹿児島といえばやはり水産県でありますので、そういった意味でも御尽力をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/7
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008・山本啓介
○山本啓介君 ありがとうございました。私は野村大臣の水産振興の取組信じておりますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
今、国境離島に関しても、大変すばらしい御見識と、そしてお取組についてのお話もいただきました。
令和四年六月一日の衆議院の予算委員会において、我が党の江藤議員が総理に対してこのような質問を行っております。我が国もかつては水産大国であった、魚介類の自給率は一〇〇%を超えていた、しかし、残念ながら自給率は五七%まで落ちている、これを回復することは私は大事だと思いますと。この質問に対し総理は、食料安全保障の観点から水産の重要性を改めて答弁をされています。
いろいろと調べてみましたが、令和四年度の水産庁の予算は千九百十九億円、これはGDP対比で〇・〇三%にとどまるものであります。漁業者の数は、今十五万人を切ろうとしています。我が国の周りはまさしく海でありますので、これからも持続的に、この十五万人がもっと増えて多くの方々が地域を守り、そして水産振興に取り組む、その十五万人に対して、大臣から最後もう一言いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/8
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009・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 水産庁の予算、それから林野庁というのもありますが、私どもは短辺的に見せてもらうものですから、横、横でのこの見方というのはできなかったんですが、いや、これは水産庁も林野庁も、二千億と先ほどおっしゃいましたけども、補正予算まで入れますと大体三千億です。この三千億というのはどの数字と匹敵するかといいますと、水活の予算と一緒なんですよ。米に三千億、一方では水産庁、林野庁で同じ三千億ですから、これはやっぱり予算としては少ないといいますか、小さい規模になっている、江藤先生がおっしゃったとおりだと思います。
ですから、今回の補正予算の中でもそういったものを考えながら要求をさせていただいておるところでございます。特に、水産関係の予算は漁港があったりあるいはまた漁船があったり、いろんなこれは、また農業もいろんな機種があるわけですけれども、水産の場合また金額が大きくなったものですから、そういう意味ではなかなか満足な、漁業者の皆さん方に満足な予算措置というのはできていないのではないかなと、こんなふうにも思っておりまして、可能な限り、今日は水産庁長官も来ておりますので、そういった意味で、皆さん方の応援のこういったお話を聞きますと、今後予算獲得にも力が入っていくだろうと、こんなふうに思いますので、是非みんなで一緒に頑張ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/9
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010・山本啓介
○山本啓介君 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
大変厳しい予算の中でありますが、これまでもしっかりと水産行政にお取組をいただいております。水産庁長官、お尋ねしたいと思います。
東シナ海における中国漁船の対策について質問をしたいと思います。
長崎、地元巻き網漁業者から、東シナ海で中国漁船が多いところ百隻以上が秩序なく操業しており、巻き網漁船が操業が困難な状況にあるという要望をいただきました。また、日中中間線付近では中国がガス田開発を進めており、令和四年五月には日本漁船に対する操業妨害も発生したと聞いています。水産庁や外務省を通じて問題提起をしておりますが、まだ向こうから回答はありません。そのような状況から、近年は、中国漁船が休漁期間である五月から七月だけが東シナ海での操業の中心となってしまっています。巻き網漁船のサバの漁獲量が十年間で実に半減をしている、そのような状況を見させていただきました。
これらの日中国交の今の状況、政治的な状況、そういったものは理解をいたしますが、東シナ海で経営活動をしビジネスを展開している、多くの従業員やそして地域の方々を暮らしを支えている、その取組が今、無秩序な状況によって得れるものが得れなくなっております。外国漁船の操業対策事業なども既に取り組んでいただいておりますし、支援規模では積立ぷらす、漁業共済など大変大きなものをいただいております。しかしながら、この東シナ海においては、中国漁船が我が国漁船の操業や資源に影響を及ぼしている状況にあります。
この対応、今現行どのように見て、そしてこれからの見通しはどのようなものがあるのか、御答弁を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/10
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011・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
東シナ海におきましては、委員御指摘のように、漁獲能力の高い虎網漁船などを含め多数の中国漁船が確認されており、こうした中国漁船の状況は当面続くものと見込まれます。
この対策といたしましては、これら多数の中国漁船が侵犯操業をしないようしっかりした取締り活動を行っていることに加えまして、また、資源の管理につきましても、東シナ海から日本海のサバにつきましては我が国自身が厳しい資源管理措置をとっておるところでございますが、こうした措置の効果がより確かなものとなるよう、中国側と協議や協力を推進していく必要があると考えております。
さらに、中国漁船により支障が出ております我が国の巻き網漁船などの円滑な操業の確保につきましても、中国側に必要な申入れなどを行っていくとともに、影響を受ける漁業者に対する適切な国内対策を講じていく所存でございます。
なお、中国との間には、御指摘の東シナ海の問題に加え、大和堆における違法操業など様々な問題がありますことも踏まえ、総合的、戦略的に対応を検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/11
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012・山本啓介
○山本啓介君 ありがとうございます。
資源管理の在り方についてお尋ねいたします。
特に今お話をいたしました東シナ海における外国漁船の漁獲については、把握をできるそういう手段が限定されているという説明をいただきました。これから国際社会において我が国が資源管理をリードしていく、更なる取組を行っていく、そういうときの前提としては、しっかりとした確かな数字を把握することが必要だと、そのように思っています。
適正な資源管理のためのデータの適切に把握すること、外国漁船の隻数や漁獲量及び国内の漁獲実態を適正に把握した上で資源管理を推進すべきではないかと思いますが、答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/12
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013・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
改正漁業法に基づく資源管理におきましては、科学的な資源評価に基づく数量管理を基本とすることとしております。
東シナ海における主要な漁獲物であるサバやアジなどの浮魚類につきましては、分布域は中国から韓国、日本水域と広くありますが、我が国周辺水域が主要な分布域になっており、また、我が国水域内に大きな産卵場が存在しております。このため、我が国の漁獲データや調査船による調査の情報に基づく科学的な資源評価を行うことで、我が国水域の資源の回復や持続的な利用につながり、また、我が国漁業者にとっても漁獲量の安定や増加などの利益が享受できるものと考えております。
他方で、委員御指摘のように、より精度の高い資源評価のためには利用できるデータが多い方が望ましいことは確かではございまして、資源管理の取組と並行いたしまして、関係国や関係機関などの情報交換を通じて、これら、特に中国を中心とする外国漁船の漁獲データなどの入手に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/13
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014・山本啓介
○山本啓介君 最後ですけれども、沿岸漁業者の支援についてお尋ねします。
一次産業は人件費などがなかなか価格に反映しにくい、だからこそ、創業支援などの支援事業はたくさんありますけれども、それが家族や家庭に入る、手取りにつながるものは少ないと伺っています。
沿岸漁業者のライフステージを踏まえ、漁業者が生活できるような支援の在り方について、最後、御答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/14
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015・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 時間が来ておりますので、簡潔に答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/15
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016・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) はい。
水産業の成長産業化の実現に向けて漁業就業者を確保、育成していくためには、漁業経営が継続できるような環境を整備するとともに、日々操業する現役世代とその家族が将来にわたって安定的な生活を送ることができるよう、一定の所得の確保が図られることが重要でございます。
今後とも、各浜の漁業者の皆様の声をしっかりと伺いながら、漁業者の経営の安定を図りつつ、持続的な水産業の成長産業化と漁村の活性化を推進してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/16
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017・山本啓介
○山本啓介君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/17
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018・石垣のりこ
○石垣のりこ君 立憲民主・社民の石垣のりこです。およそ一年ぶりの農林水産委員会での質疑になります。どうぞよろしくお願いいたします。
まずは野村大臣に伺います。
野村大臣、所信で我が国の農林水産業が直面する課題を列挙されまして、今まさに、国内の生産基盤を維持強化し、将来にわたって食料を安定的に供給していくためのターニングポイントを迎えているというふうに述べられています。
日本の食料安全保障に関して、今もお話ありましたけれども、このターニングポイントに立つ農林水産大臣として、まず、これまでどのような農政であったのか、そして、これからどのような方向に転換すべきだとお考えなのか、御答弁お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/18
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019・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げます。
私が今ターニングポイントに立っているというふうにおっしゃっていただきましたが、私はやっぱり、この日本の情勢、高齢化が進んでいる、あるいは担い手が少なくなってきた、そういった国内情勢もあるし、あるいは、海外においてはウクライナのような生産国が今戦争でそれがストップしているというような、内外のいろんな情勢が大きく変化してきている。その中で、じゃ、日本の農業、食料というのは今までどおりでいいのかと、金さえあれば食料品もあるいは生産資材も買えた時代から、もうそういうことがままならぬ世の中になってきたと。
一方では、日本の人口はどんどん減っておりますが、一方の海外ではもう百万人に、百億人に達しようというぐらいに人口増加があって、食料の争奪戦というのはこれはもう時期の問題だろうと、こんなふうに思っておりますので、今の日本の農業をやっぱり構造を変えていかないと、これは子や孫にひもじい思いをさせてしまうおそれがあるのではないかと。今をやはりターニングポイントと捉えて、日本の生産構造なりあるいは農業構造をやっぱり変えていく必要があるだろうと思ってターニングポイントという言葉を使わさせていただいたわけであります。
したがって、そのキーワードになるのは、国内生産ができるものは国内で、できる限りそれでやって、そして国内で生産していく方向に転換するべきであると、こんなふうに思っておりまして、基本法の見直しにもお願いを今しているところでございます。
このために、今、麦や大豆、大分自給率も低かったんですけれども、今現在、例えば小麦でいいますと、七%、私が記憶しているところでは七%がもう既に一七%まで少し上がってきました。大豆にしても、今まで一九%だったのがこれが二五%ぐらいまでに上がってきているということで、こういう形で、小麦にしても大豆にしても、海外依存の高い品目の生産拡大をしていかなければならないだろうと、こんなふうに思いますし、一方では、一番穀物で余っているのは米だけですから、この米を使わない手はないと、こういうふうに思いますので、米粉に力を入れていこうと、こんなふうに思っておりますし、農水省の方では、麺に適した米、あるいはパンに適した米、こういうものをずっとリストアップしてありますので、このことを広げていこうじゃないかなと、こんなふうに思っておりまして、また、生産資材におきましては、堆肥やそれから下水汚泥の資源なども活用しながら、できるだけ国内にあるものの利活用というのが必要だろうと、これが私の考えておりますターニングポイントだと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/19
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020・石垣のりこ
○石垣のりこ君 ありがとうございます。
食料、おっしゃったように、人間の命と健康の維持に欠かせないものでございます。構造の転換とお話しされましたけども、この農業というのは、医療、教育などと同様に、やはり公共的な性格があると。ゆえに、食料を一般の工業製品と同じように市場メカニズムに任せて資本による自由な利潤の追求を放置してしまいますと、人々が生きる権利が根本から脅かされてしまうという事態になりかねません。先進国において農業が医療、教育とともに産業的な規制の対象になっているというのは、農業のそうした側面が強いからだというふうに考えます。
大臣もおっしゃっていましたように、食料自給率、現在四割を切るまでになっておりますし、農業人口、耕作面積も減少し続けているということで、人々を飢えさせないという国の最も基本的な責務を果たしていくためには、やっぱりこれまでの農政の何が問題で現状がどうであるのかということを信頼のおけるデータを基に分析して今後の議論をしていかなければならないということを強く考えております。
その中で、今回ちょっと土づくりという点に関してこの問題を考えていきたいと思うんですけれども、喫緊の物価対策、物価高対策として肥料価格高騰対策事業がございます。資料の一枚目です。
予備費およそ七百八十七億円が充てられておりますが、条件として、化学肥料の二割削減に取り組むこととなっております。この化学肥料削減の取組のメニューの一つに、これは今回のメニューだけじゃないんですけども、至る所にやっぱり土壌診断によるこの施肥計画というのが挙げられているわけです。
土壌診断のこの意義と内容について、これ簡潔に御説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/20
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021・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
土壌診断は、農作物の生産基盤となる土壌に関して、通気性、排水性等の物理性と、養分の含有量、化学性といった性質を把握、分析するもので、これを実施いたしますと、例えばリン酸が過剰、あるいはカリが過剰、あるいはpH値が低いために石灰の施用が必要などの処方箋を作ることが可能となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/21
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022・石垣のりこ
○石垣のりこ君 土づくりの場合に、こういう成分の調査というのはもちろんなんですけども、そうした化学性と、あと物理性、生物性という三要素があると言われております。それぞれ独立したものではなくて、関係し合って豊かな土壌がつくられるというのは皆さんも御承知のことと思います。
できれば、この三要素、総合的に見ていくべきだとは思うんですけども、今日のところはこの化学肥料の低減ということを念頭に置いて化学性の面から考えていきたいと思いますが、この土壌診断で肥料コストを削減しようとする事業というのが今回のこの肥料価格高騰対策事業以外に、そのことを主眼とした、二枚目の資料になります、肥料コスト低減体系緊急転換事業というのが、昨年の補正予算でこの事業がつくられておりまして、これについて伺いたいと思います。
これ、今年の九月に五次募集が行われているんですけれども、この予算と実施状況を御説明いただいていいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/22
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023・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
肥料コスト低減体系緊急転換事業、農業者の肥料コストの低減に向けて、土壌診断に対する定額の支援ですとか、堆肥等の国内資源の運搬、散布等に資する経費への二分の一の支援、これを行うものでございます。本事業につきましては、本年四月に土壌診断だけでも支援が行えるように運用を改善いたしまして、取組の加速化を進めております。
本事業、現在も実施中ではありますが、五回の公募が終了した九月末の時点では、二十一道府県六十七か所で取り組まれておりまして、対象農業者数は約四千名というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/23
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024・石垣のりこ
○石垣のりこ君 これ、五次募集が行われているという段階で何となく分かるんですけれども、まだまだやっぱり取り組む方が少ないということになると思います。
そもそも、化学肥料の原料というのはほぼ一〇〇%輸入に依存しているということはもう周知の事実でございますので、この対策というのは今始まったことではないわけですよね。なので、肥料の価格高騰対策で令和三年度の補正予算で少なくとも組むべき予算かと言われると、これ甚だ疑問でしかございません。これ、対症療法的に取り組む課題では本来ないはずだと思います。
そもそも、全国で土壌診断というのがどのくらい行われているのか、農林水産省というのは把握しているんでしょうか。また、先ほどのように土壌診断が進まない理由についてもお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/24
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025・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
少し前の調査結果になりますけれども、農林水産省が二〇一三年に約千人の農業者に対して行った意識・意向調査では、継続的に土壌診断に取り組んでいる農業者の方、約四割、まだ土壌診断に取り組んだことがない農業者、約三割いらっしゃいました。同調査におきましては、土壌診断を継続的に行っていない理由として、一つは、一度行えばしばらく行う必要はないと考えていた、また、土壌診断結果を基に施肥改善などにつなげる指導者がいないといった点も挙げられております。
こうした課題を解決するために、当省におきましては、一つは、土壌診断により品質や収量の向上、施肥量の低減につながったという情報の発信をいたしましたり、土壌診断や施肥の改善の専門性を有する土づくりの専門家の育成の支援を行う、またさらに、土壌診断を実施する際の費用への支援ですとか、土づくり専門家の活用への支援も行うこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/25
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026・石垣のりこ
○石垣のりこ君 私は、この土壌診断をもっともっと積極的に行っていただいた方がいいというふうに考えます。なぜならば、今の農業というのは、自分の慣れ親しんだ土地だけではなくて、いろいろ、農地集約であって新しい土地でやることもありますし、転作もありますし、作物の転換しながら作っていくというようなことで、気象条件も変わっていますので、すごい経験豊富な農家の方であっても、自分のその土地の土の状態がどうなっているのかということを、やっぱり経験値だけではなくて、客観的なデータを基に知ることができた方がやっぱりより生産力が上がるのではないかというふうに考えます。
その上で、この土壌診断の必要性について、この次のページですね、三ページ目の資料にも書かれているわけなんですけれども、今お話にもありましたように、一回やったらしばらくやらなくていいと思っていたとか、その土壌診断に対する理解及びその診断をいただいた結果を見ても、それをどのように活用していったらいいのか、それをサポートするような人材がどんどん少なくなっているということが今指摘されていたと思いますが、土壌診断の必要性がありつつ、やっぱりなかなか理解されていないというのは、これはもったいないというか、今後改善されるべき課題だと思っております。
この土づくりに関する国の施策、これは皆さんの方が私以上にお詳しいかもしれませんが、戦後、一九五三年に施肥改善調査事業に始まって、七五年には地力実態調査というのが行われまして、一九七九年に土壌環境基礎調査、これはおよそ二十年掛けて一九九九年に終了していますけれども、各地、全国各地、定点調査が行われ、二十年掛けたデータの蓄積があったわけです。
それが、これは五ページ目の資料を御覧いただくと、これは水田の結果ではございますけれども、過去の調査結果による全国の水田土壌の可給態窒素の改善目標達成状況というような形で、全国の、これは水田ですけれども、状況が一応農林水産省として把握されているわけなんですね。
ところが、九九年以降、その経過の中で、八三年には土壌調査を担当してきた全国の都道府県農業試験場の土壌保全調査職員に補助してきた人件費が廃止されたという過程があり、二〇〇五年には三位一体の改革で国主体の土壌保全事業が国から地方への税源移譲になって、それ以降は都道府県の判断に委ねられてきたという、土地、土づくり大事だよと言いながら、国は自治体で責任を持ってやってくださいねと、で、その税源は移譲されているけれども、担保されていないまま、その責任においてこの土づくりというのが残念ながら進められているという現状があると思います。
なので、九九年以降も一応調査は行われているんですが、その手前の四枚目の資料、これは農業環境対策課の資料になりますけれども、土づくりコンソーシアムというのが設立されて、そこがまとめた資料になっておりますが、参考値として挙げられている右上の一九七九年から一九八三年の一巡目のところの資料の赤で囲んであるところですが、県数、これ三十三県、一部二十九になっているところありますけれども、大体がもうこのぐらいのデータがそろっているんですけれども、ほかの都道府県の一巡目と比較した六、七、八巡目の資料を見てみると、この県数、データが集まってくる県数もばらばらで、かつ調査項目も都道府県によって違うということで、こういう非常に中途半端なデータの把握がされているわけなんですね。
これで、肥料を減らすために土づくりの調査をしてくださいと言ってお金をいろんなところに掛けてやったところで、どのぐらいやっているかも把握できていない、掛けたお金に対する費用対効果も分からないということでは、これ本当にもったいないなと。生産力をアップしていく、肥料を減らしていくということを考えるのであれば、こうしたデータをしっかり取っていかなければならないのではないかと。自治体任せではなくて、国が責任を持って調査に努めて広く共有すべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/26
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027・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げます。
石垣委員おっしゃるように、この土づくりというのはやっぱり農業にとっては一番基礎中の基礎でありまして、物づくりは土づくりからということで、私もたたき込まれたことがございます。隣におります藤木政務官は自分で農業をやっておられますから、そういう意味では一番実感があるんだろうと、こんなふうに思います。
ただ、今おっしゃいましたように、全国一律的に国がやるというのはいかがなものかなということを私は思います。なぜかといいますと、全国の土というのはそれぞれ土が違います。例えば、私の鹿児島はシラス土壌です。ボラ、そしてコラ、こういった土壌の質が違うところを同じような形で土壌診断して、そして一律的にやれるということにはならないんで、一番身近なところ、例えば先ほどおっしゃった県なりがやっぱりそこはきちっとした技連会というのをつくっておりますので、そういう技術者の集まりのところで、この我が郷土の土はこういう種類だからこういった肥料が不足するな、しているなということは、やはり県の方が一番これは握っているというよりも、調査しているはずでありますから、そこでやっぱり適正な肥料の施肥というのが出てくるんだろうと思っております。
ですから、何を言いたいかといいますと、やはりこの土というのはそれぞれのところで違うんで、そしてそれぞれの地域での技術屋さんの皆さん方がやっぱり調査をして、土壌診断をして、それに合うやっぱり肥料というのを施肥をしてもらうというのが最もいいことだろうと思っております。
したがいまして、今おっしゃいましたように、この土壌診断をやっているところ、やっていないところ、いろいろまだ濃淡がありますんで、我々としては、農水省としては、土壌診断を実施する農業者への費用の助成、あるいは土づくりに必要な堆肥等の購入、運搬、散布等の支援を更にやっていきたいと思いますし、AIを活用した簡便な土壌診断技術の開発、実証に対する支援、こういったことを今回補正予算の中で検討を今やっているところでございますので、今後とも農業者の土づくりの取組を支援をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/27
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028・石垣のりこ
○石垣のりこ君 地域地域によってその土の質などが違うというのは、土壌図みたいなものがあって全国いろいろ見ることができるようになっているのはもちろん存じ上げているんですけれども、それぞれの地域でそれぞれに合った対応をするというのはもちろんなんですが、そのことがどうなっているのか、現状がどうなっているのかを把握するということに関しては、これは各地域のみの責任の話ではなくて、国がどういう今後土づくりの政策を進めていくかという上で、国としてちゃんと責任を持って、こんなばらばらなデータが集まってくるような状態ではなくて、その部分の責任を担保してくださいということをお話ししておりました。是非とも御検討いただきたいと思います。
今、質問の半分で、本当は飼料の、飼料米についても伺おうと思ったんですけれども、全く進みませんでしたので、次回に行きたいと思います。
最後に申し上げておきたいのが、前回の質疑の中でもいろいろ皆さんから出ておりましたけれども、その土づくりの上でやっぱり堆肥を使用していきましょうということが呼びかけられております。堆肥を使用する、推進していくならば、やはり畜産との連携というのは欠かせないわけですよね。しかしながら、現状、畜産農家、特に酪農家が苦境にあるということは野村大臣も重々御存じのことと思いますけれども、宮城でもやっぱり年内に廃業を決意された方がいるというお話が届いております。どうしても輸入飼料に頼らざるを得ない大きな規模の飼育農家、まあ肥育農家も含めてですね、大きければ大きいほど、よりやっぱりこの円高による物価高の影響が強く出ているということで、是非とも、まずは目の前の危機に対して、営農を支える支援、間もなく出されるということでしたけれども、しっかり緊急にお願いしたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/28
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029・徳永エリ
○徳永エリ君 立憲民主・社民の徳永エリです。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。
まずは、てん菜の交付対象数量の削減についてお伺いしたいと思います。
てん菜、北海道で生産されている砂糖の原料です。このてん菜に向けた交付金、この対象数量、現行が六十四万トンなんですが、これを四年掛けて二〇二六砂糖年度までに五十五万トンまで削減するということが先日農水省から示されました。九万トンの削減ということになるわけであります。現在、北海道のてん菜の作付面積は五万五千二百ヘクタール、この作付面積を五万ヘクタールまで減らしていくということであります。
てん菜は、直播の普及によって生産コストも下がりましたし、それから労働力も軽減をいたしました。また、収量も堅調に推移していたんですね。ですから、現場では、作付面積を増やして機械も更新して意欲的に取り組んでおりました。ところが、こういった方針を示されたわけであります。さらには、北海道においては、このてん菜は輪作体系の要となっておりまして、この作付け転換をすることによって輪作体系が崩壊するのではないかという懸念と落胆の声が現場に広がっております。
これまでこういった影響を考えて、農林水産省、それから生産者団体、また糖業関係者と協議を行ってきたということでございますが、これまでの経緯と、この方針を受けて大臣としてどのようにお受け止めをされているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/29
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030・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) 済みません、経緯を話させていただきます。
てん菜から需要ある作物への転換につきましては、昨年の夏以降、担当課長が北海道の産地に入りまして、JAの組合長など生産者団体と意見交換を重ね、本年に入りましてからは更にてん菜糖、糖業も参加する意見交換を六回にわたり実施するなど、継続的な意見交換を行ってきたところでございます。その結果、関係者間で糖価調整制度を維持していくという点で意見が一致したことから、今般、当省として、先ほど御紹介いただきました令和八砂糖年度までに同制度の砂糖勘定の単年度収支が黒字化するようにてん菜の交付対象数量を五十五万トンとする方針を示させていただいたところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/30
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031・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げます。
この時期になりますと毎年ビートの問題が出てきて、私どもの党の中でも議論が出てきたところでありまして、どうしてもその限度を超えていくんじゃないか、今年は豊作だったということで、豊作を喜べない時期もありました。そして、そのことがやっぱり毎年毎年議論されて、特に北海道しかないビートですから、北海道の先生方が大変このことに心配されて、輪作体系の基礎となるというか中心になるのがビートだと、こういったお話もずっと私どもも聞かされてきました。
しかし、今回のこのコロナで砂糖の消費ががっくりと減りました。そして、これはまた北海道の、何でだろうと思っておりましたら、北海道のおいしい私の好きなバター何とかだったっけかな、そういうお菓子が大変売れなくなったという話も聞きまして、砂糖の消費ががた減りしたということであります。私の鹿児島で作っております黒糖も、なかなかこれは外からのお客さんがお見えにならないものですから消費が落ち込んで、そして大変在庫が積み上がっていると、こんな状態であります。
特にビートの場合は数量が多いだけに、この赤字が、砂糖会計の赤字が、私どものサトウキビと、それからビートを合わせたものが、今年の見込みでいきますと百十二億円ぐらいの累積赤字があるのではないかと、こんなふうに、昨年が七十一億ですから、今年はまたそれに三十億ぐらい上乗せした赤字の累積になっていくと。そうなると、ビートだけではなくて、じゃ、サトウキビはどうするんだという今度は問題が起きてくるものですから、どうしてもこの砂糖会計を何とか正常な形に戻していかなければならないだろうということから、今、平形局長が申し上げましたような形で数量を毎年少しずつ、まあ少しずつというか、十万トンと先ほどおっしゃいましたが、五年間で十万トンということでありますから、少しずつほかのものに転作をしていただきたいと、こんな思いでございまして、それに対する対策についても、今、今回の補正予算の中で検討を進めているところでございます。
てん菜を含めた北海道の畑作を将来にわたってやっぱり継続していくためには、こういう形で毎年問題になるビートの生産量についてどうするかということをもうここ辺で、ここらできちっとした整理をしておかないと将来にやはり禍根を残すだろうと、こんな思いがありまして、今回、北海道のJAの皆さんや、あるいはまたビートを作っておられる生産者との話合いも進めながら十万トンの減産ということをお願いをするところでありますが、しかしながら、確かに連作でやっておられますので、中心であることは間違いないと思っているんですが、ほかのものに、例えばジャガイモの種芋なんか、鹿児島、長崎は北海道からバレイショの種芋を持ってこない限りはバレイショの産地としてなかなか難しい、発展ができないわけでありますので、是非この種芋の生産というのを力を入れていただきたいなと、こういうふうにも思っておりまして、ほかの作目にも何か転換に必要な農業機械の支援なり、あるいは種バレイショへの供給拡大等への支援、こういったことを今回補正予算でお願いをしているところでございます。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/31
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032・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 指名されてから答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/32
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033・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) 失礼しました。
訂正でございます。大臣今申し上げました七十一億、百十二億というのは単年度の赤字でございます。累積は令和三年で四百四十八億の見込みです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/33
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034・徳永エリ
○徳永エリ君 作付け転換の支援や機械の更新の支援、こういったことはしっかりやっていただきたいと思いますけれども、某農協の組合長さん、この三者協議に加わっておりましたけれども、とてもじゃないけれども、もう三者で協議するには重過ぎる、この課題はと、一体何を作ったらいいんだというふうにおっしゃっておりました。
とにかく、地域によってはそのビート以外のものを作るのがなかなか難しい。加工用の芋を作れといっても、シストやシロシスト、こういった線虫が発生しているところもあります。地域によっていろんな課題がありますから、しっかり地域の事情を聞いていただきながら、地域に合った支援をしっかりしていただきたいと思います。
それから、今回は畑作の交付単価の改定、この時期でもあるわけですね。報道によりますと、国産麦、この振興、増産をしていくということでありますけれども、小麦も、今回さらにこの畑作の交付単価、免税事業者と課税事業者と初めて二本に分かれるという形になりましたけれども、北海道は課税事業者が、大規模ですから多いんでしょう。そうしますと、小麦の単価も一二%も下がっているんです。それから、てん菜もこの状況の中で二六%も交付単価が下がっているんです。やはり、この農家の皆さんがしっかり意欲を維持するためにも、こういった交付単価もしっかりこういうときだからこそ上げていただく。この間も申し上げましたけれども、北海道の農家は六十五歳以上が四割です。開拓魂なんて言っている場合ではありません。政策の見直しによって意欲を損なわれるわけですから、ここはしっかりと受け止めていただいて、お支えをいただきたいと思います。
それから、輪作体系の崩壊という部分では、必ずしもこのてん菜を砂糖に仕向けなくてもいいと私は思っております。かつて、十勝の清水町というところでバイオエタノール工場を造ったことがありました。二〇〇九年から二〇一五年まで稼働していて、国からの補助金がなくなって稼働が停止したわけでありますけれども、今こそ、てん菜、サトウキビ、規格外の麦、それからトウモロコシ、これ、これから増産しようとしているものもあるわけですよね。こういったものを使って、バイオエタノール、これガソリンの代替をするわけですから、造ったらいいじゃないですか。大規模の工場じゃなくて、小規模な工場で、地域で回せばいいじゃないですか。
こういったこともしっかり考えていただいて、てん菜の作付けの維持、できれば、五十五万トンということですけれども、一気に減っていってしまうかもしれません。こういったこともしっかり受け止めていただきながら今後検討していただきたいということ、時間がないので意見として申し上げておきたいというふうに思います。
それから次に、肥料法の改正についてお伺いしたいと思います。
資料を御覧いただきたいと思いますが、先日の委員会でも、下水汚泥資源を活用した肥料の国産化等を政府は強力に推進しようとしていることに対する懸念について少しだけお話をさせていただきました。汚泥など産業廃棄物の利用拡大については、安全確保の重要性が増すことから、しっかり議論し、農家などに丁寧に説明をしていくことが必要だと思っています。
実は、この問題も、農業団体の方から心配だという声が上がったんで取り上げさせていただいています。その背景には、北海道の現場から、二〇〇六年八月に、函館市の亀田農協が出荷したカボチャから、一九七二年に農薬登録が失効してから三十年以上たって残留農薬基準を超えるヘプタクロルが検出されたことがありまして、同じようなことが起きないかということを心配しているわけであります。汚泥に由来する肥料が、安全基準は満たしていても、長年土壌に成分が蓄積されることによってこのヘプタクロルと同じような問題が起きやしないかということを心配しています。
先日、大臣、百年安心とおっしゃっていましたけれども、あれは重金属の基準ですから。是非とも、これから御指摘しますけれども、ほかの物質のことも御懸念をいただきたいと思います。
それで、この資料に関してなんですけれども、令和元年に肥料取締法が改正されて、肥料の品質の確保等に関する法律に法律の題名も変わりましたけれども、そもそもこの改正は、平成三十一年の四月から令和元年六月にかけて規制改革推進会議による検討、答申がなされたもので、肥料の原料メーカーや製造メーカーの要望を受けての改正であり、肥料取締法を抜本的に見直すことを目的に、規格の見直しや肥料の混合の拡大の規制緩和、登録手続の簡素化を図る改正となっているんです。さらに、委員会審議の際には、下水汚泥の肥料利用に関しては、法律事項以外の制度改正だったために、改正内容に関する資料もありませんでしたし、ほとんど議論ができなかったという状況であります。
下水汚泥を含む未利用資源を肥料原料として利用しやすくするための環境整備は昨年の十二月から実施されているという状況で、そこで改めてこの資料についてお伺いしたいと思うんですけれども、まず、下水汚泥由来のリン回収物に係る制度の見直しです。
これまでMAP法が主流でしたけれども、MAP法に関しては従来から植害試験が不要となっておりました。この見直しによって、HAP法も灰アルカリ抽出法も、これ植害試験を不要にしたんですね。この資料に書いておりますけれども、事業者負担の軽減のためって書いているんですね。安全性が確認されたとか、そういうことではなくて、事業者負担の軽減のためと書いてあるんで大変心配しているんですけれども、この見直しはどうしてこうなったのかということ。
それから、②、汚泥系肥料の規格の大くくり化。これ、そもそも、原料の発生元を明確にするために、それに応じた規格が細分化されて設定されていたんです。それを、新規格では大くくり化してしまったと、どこが発生元か分からなくしてしまったということであります。
それから、③、焼成した汚泥、これも新規格では汚泥という文字が全くなくなっておりますので、汚泥に加熱したということが分からなくなっております。
こういった見直しをなぜ行ったのか、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/34
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035・森健
○政府参考人(森健君) お答えいたします。
まず、植害試験の関係でございます。令和三年十二月に肥料の公定規格の見直しを行いまして、その中で、産業副産物や汚泥を原料とする肥料に使用できる原料の種類や条件を明確にした原料規格というものを新設いたしました。従前、こうした産業副産物等を利用した肥料につきましては、様々な成分が含まれる可能性があるということで製品段階での植害試験を義務付けておりましたけれども、この原料規格の創設に伴いまして、原料段階での植害試験を原則求めるというルールにしたところでございます。
ただし、これには例外がございまして、他の成分が含まれない単一化合物など純度の高い原料については植害試験を不要としたということでございます。御指摘のHAP法又は灰アルカリ抽出法により汚泥から回収したリンについては、これに当たるとして植害試験を不要としたということでございます。
それから、二つ目の規格の大くくり化の点でございますが、肥料製品の規格につきましては、従前、肥料製品の種類が増加することに伴いましてその数が非常に多く細分化され、複雑で分かりにくいといったような課題がございました。このため、先ほど申し上げました公定規格の改正の中で、原料や製造方法ごとに規格が分かれておりました副産肥料や汚泥肥料等について、原料規格を導入した上でこの規格を大くくり化したということでございます。
このうちの汚泥肥料につきましては、資料にありますとおり、六つの製品の規格を一本化したということでございますが、これによりまして、汚泥肥料の生産業者は、複数の種類の汚泥を原料に利用する場合に一つのものとして登録の申請を行うことができるようになったということでございますけれども、生産業者に対しましては、使用した原料の製品への表示を義務付けております。利用者は、原料の由来を把握することが可能ということでございます。
三点目の科学的知見に基づいた規格の見直しということでございますけれども、これも少し簡単に御説明申し上げたいと思いますが、ここに載っております溶成汚泥灰ケイ酸リン肥及び溶成汚泥灰複合肥料につきましては、汚泥を焼いた、焼成した上で千四百度以上で溶融したものでありまして、その成分はリン酸、ケイ酸、アルカリ分などでありまして、重金属は製造過程で蒸発、除去されております。
このように、製造方法の特性から品質が安定していると、あるいは肥料成分が保証可能だということで規格の統合をしたということでございます。登録に当たりましては、従前どおり、汚泥の収集場所、処理方法等を確認しておりまして、原料の由来を特定することは可能というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/35
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036・徳永エリ
○徳永エリ君 これまでも汚泥に由来する肥料は使っていたんです。しかし、今回は、肥料コストが高騰しているということと、それから原料が輸出先の国から入ってこないかもしれないという、こういう状況の中で、国産化を推進しようという中でこの汚泥の活用という話が出てきたわけで、これまでとは状況が違いますので、本当に慎重に対応していただきたいということをお願いしたいと思います。
下水では処理が難しいと言われている医薬品の成分は安全なのか。昔と違って医薬品を服用している高齢者の方が多い。また、農村地域でも家畜伝染病予防対策として抗生物質を多く使っていますから、耐性菌の問題は果たして大丈夫なのか。また、コロナ禍で殺菌、抗菌剤も大量に使われ、下水に流入しています。また、環境省では、化学物質の内分泌錯乱作用によっても生物や環境に影響があるかどうか、河川など水環境における調査研究をしています。何が流入しているか分からない汚泥を肥料として還元して土壌に蓄積したり残留したりすることはないのか、規制や監視が必要ないのかどうかも、是非この機会にしっかり議論をした上で進めていただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。
EUには予防原則という概念があります。EUの法律を見てみますと、例えばドイツ、下水汚泥利用法、二〇一六年の改正で、汚泥中のリンの分離回収を促進する一方で、農地への汚泥還元を減らす狙いで、処理人口五万人以下の小規模下水処理場を除いて、下水汚泥の農地への還元を禁止しています。
また、スイスです。廃棄物の管理に関する法律、二〇一六年改正では、下水汚泥の農地還元は既に禁止され、焼却処分することが義務付けられています。二〇一六年から、下水汚泥及び屠畜場廃棄物からのリン回収を義務付けているということです。
それから、オランダ。二〇一五年の水防法等の一部を改正する法律の一部施行、既に下水汚泥の農地還元は禁止していて、MAP回収に力を入れるということで、欧州は、汚泥からのリンの回収、利用を進めるための規制、制度、こういったものが進められているという状況でありますから、これ、みどり戦略にもともすると逆行しかねませんから、しっかり大臣のリーダーシップで現場に問題が起きないように慎重に対応していただきたい、規制や監視も含めてお願い申し上げたいと思います。
時間が参りましたので、ちょっと聞きたいことが十分聞けなかったんですけれども、これで終わらせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/36
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037・下野六太
○下野六太君 公明党の下野六太でございます。質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
早速ですけれども、農福連携についてお尋ねしたいと思います。
今、農福連携という言葉は多くの人が知るところになっておりますけれども、この農福連携という言葉はいつ誕生したのでしょうか。どこから農福連携という言葉が生まれたのでしょうか。その誕生の経緯と今日までの歴史を教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/37
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038・勝俣孝明
○副大臣(勝俣孝明君) ありがとうございます。
農福連携は、障害者等が農林水産業に携わることにより自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組であります。
農業と福祉の連携につきましては、昭和五十年代頃から先進的な農業経営体や福祉事業者により農業分野での障害者就労が取り組まれてきたところでございますが、その当時はまだ農福連携と呼称は用いられておりませんでした。その後、平成二十八年の六月に閣議決定されたニッポン一億総活躍プランにおいて、障害者の身体面、精神面にもプラスの効果がある農福連携の推進として、政府の文書において農福連携が使われ始めたというふうに承知しております。
農福連携につきましては、全国的な機運醸成を図りその取組を強力に推進するため、令和元年六月に農福連携等推進会議において農福連携等推進ビジョンが決定されたところでありまして、このビジョンに基づき障害者等が働きやすい環境整備への取組を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/38
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039・下野六太
○下野六太君 歴史とこれまでの農福連携の言葉の誕生等を丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございます。
農福連携自体は昭和の時代ぐらいからあったということでありますけれども、農福連携という言葉自体は誕生してから五年ぐらいしかまだたっていないというように答弁をいただきました。
農水省では、毎年、ノウフク・アワードとして農福連携の優良事例を表彰していると思いますけれども、このノウフク・アワードの狙いを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/39
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040・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) お答えいたします。
農林水産省では、農福連携等応援コンソーシアムの主催によりまして、令和二年度より全国で農福連携に取り組む団体、企業や個人から御応募をいただいて、その優れた取組を表彰するノウフク・アワードを実施しております。
このアワードを通じまして、農福連携の多様な事例を発掘、表彰することで農福連携の価値を多くの方々に知っていただくとともに、農福連携に取り組む機運を高め、取組の全国的な横展開につなげることを目指しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/40
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041・下野六太
○下野六太君 ありがとうございます。
農福連携の狙いは、障害者等の農業分野での活躍を通じて障害者等の自信や生きがいの創出、社会参画の促進に資する取組であり、担い手不足や高齢化が進む農業分野における働き手の確保につながるものであるとともに、共生社会の実現にも貢献するものであると認識していますが、この中で書かれてあります障害者等の等とは何を指すのでしょうか。お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/41
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042・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) お答えいたします。
委員から御指摘いただきましたように、農福連携は、障害者等が農林水産業に携わることにより自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組でございます。また、これにより、担い手不足や高齢化が進む農業分野における新たな働き手の確保につながるものであるとともに、共生社会の実現にも貢献するものでございます。
令和元年六月に決定した農福連携等推進ビジョンにおきましては、障害者のみならず、高齢者、引きこもりの状態にある者といった働きづらさや生きづらさを感じている者の就労、社会参画の機会の確保や、犯罪や非行をした者の立ち直りに向けた取組を推進することとしておりまして、障害者等の等にはこのような方々を指しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/42
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043・下野六太
○下野六太君 ありがとうございます。
この障害者等の等の説明が、これがなかなか私は、国民全般には周知がされていないことが私は問題ではないかというふうに感じております。
それでは、先ほどの質問と重なる部分があるかと思いますけれども、大切なことですので丁寧に確認させていただきたいと思います。
農水省が推進している農福連携の福祉とは、具体的に言うとどのような人々、そしてどのようなことを指すのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/43
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044・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) お答えいたします。
農福連携と申しますのは農業と福祉の連携の略でございますけれども、この福祉につきましては、辞書等で調べますと、幸福でありますとか、公的扶助やサービスによる生活の安定、充足との意味があるとされております。
農福連携において使っております福祉につきましては、農福連携等推進ビジョンにもありますように、障害者のみならず、高齢者、引きこもりの状態にある者といった働きづらさや生きづらさを感じている者、犯罪や非行をした者等の多様な方々が農業分野での活躍を通じまして生活の安定や充足を図るものというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/44
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045・下野六太
○下野六太君 ありがとうございます。
ちょっと次の質問は、調べにくい、答弁が難しい答弁になるかと思いますけれども、答え、できる範囲でお願いしたいと思います。
ノウフク・アワードでグランプリを受賞をされておられる団体の中で、農業に従事しておられる方々はどのような方々なのでしょうか。障害を有しておられる方だけではないと思います。その割合が分かれば教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/45
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046・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) ノウフク・アワードにおきましては、二〇二〇年度からこれまで三団体がグランプリを受賞しているところでございます。
例えば、昨年のノウフク・アワード二〇二一でグランプリを受賞いたしました静岡県の京丸園株式会社では、障害者のみならず、引きこもりの方などが農作業に従事しているところでございます。その実績は、聞き取りによりますと、障害者が二十六名、引きこもりの状態にある方が四名働いているということでございまして、様々な方々が活躍できる場を創出していただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/46
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047・下野六太
○下野六太君 御丁寧に答弁いただきまして、ありがとうございます。
今答弁いただいたとおり、障害者の方だけではないということで、障害者の方が二十六名、引きこもりの方が四名を、ノウフク・アワードでグランプリを受賞された京丸園さんではお勤めになっていたというふうなことであります。
農福連携の入口は障害者を対象としていると思いますけれども、実際のところは生きづらさを抱えておられる方々全般が参加をしておられると思います。生きがいを求めて集まってこられる方々は、障害者の方、引きこもりの方、かつて法を犯した方、ホームレスの方、経済的な困窮者、高齢者の方々等、様々な事情を抱えた方々のようであるというふうに思います。農福連携を主宰される方や団体の代表者の方々は、あなたは障害者だから参加していいですよ、あなたは障害者でないから駄目ですよ、参加できませんよと断ることはないと思います。
私は、生きづらさを抱えておられる方々で農業の就労を希望される方々を、農業を通して人生の生きがい、人間性回復を目指す、目指していくべきだと考えています。それが本当の意味での農福連携ではないかというふうに思っています。
農福連携の対象となる方々を含め、農福連携に対する大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/47
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048・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げます。
今委員からお話がありましたように、この農福連携につきましては、先ほど局長の方からもお答え申し上げましたけれども、農福連携等推進ビジョンにおいても、農福連携の対象を、障害者だけではなく、高齢者、引きこもりの状態にある者といった働きづらさや生きづらさを感じている者の就労、社会参画の機会の確保なり、あるいは犯罪や非行をした者の立ち直りに向けた取組に広げていくことが重要だというふうに思っております。
我が省としては、ビジョンに基づき、障害者等の農林水産業に関する技術習得や、その作業に配慮した生産、加工、販売施設整備への支援、そして農福連携の具体的な実践を助言する専門人材の育成等により、働きやすい環境整備を進めてきたところでございます。
今後も引き続き、農福連携の推進を通じて、障害者を含む多様な人々が生きがいを共につくり、高め合うことができる社会の実現に貢献してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/48
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049・下野六太
○下野六太君 ありがとうございます。
大臣の御答弁の中から、農福連携は障害者だけでなく生きづらさを抱えておられる多様な方々を農業で救っていくんだというような御決意をいただけたことが、非常に私も多くの今生きづらさを抱えておられる方々にとって勇気が出る御答弁だったと思います。
皆様御存じの八〇五〇問題は、今や九〇六〇問題に移行しつつあります。日本社会には様々な問題や課題が山積しておりますけれども、中でも最も大きな問題は、私は引きこもりの問題だと思っております。しかし、総理の所信に対する質疑でも予算委員会でもほとんど議論されませんでした。
私は、人生の希望の光が見えてこない引きこもり問題を解決に導かねばならないと思います。引きこもり状態にある当事者に生きがいを感じていただける仕事としては農業が一番良いのではと考え、当事者やその御家族、関係者と農業現場で意見交換を繰り返してきました。山梨県北杜市、山形県の米沢市、静岡県浜松市、和歌山県田辺市、宮崎県宮崎市に出向き、現地で懇談を重ねてきました。
引きこもり状態にある方々は、全国で少なく見積もっても約百十六万人と言われています。日本の全人口に対して一%、つまり百人に一人が引きこもり状態にあるというこの現状、これは最も大きな社会問題だと思いますけれども、先ほども述べたように、これ、この問題解決には政治が本気で取り組めていないというのが現状だというふうに思っています。これが一番大きな問題ではないかと思っています。
所管は厚労省であるということは承知はしています。しかし、農水省の農福連携の制度でこの引きこもり問題解決に向けて取り組むことはできないのでしょうか。大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/49
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050・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) ありがとうございました。
農福連携の現場では、先ほど来お話がありますように、障害者だけではなくて、引きこもり状態にある方もその対象となっております。
具体的な例を申し上げた方がお分かりやすいんではないかと思いますが、埼玉県の就労継続支援事業所、これは埼玉福興株式会社というところでございますが、引きこもり状態にある方を積極的に受け入れて、農家三百軒のネギの苗作りを始め、水稲や露地で野菜を栽培をしている実例がございます。
また、神奈川県のNPO法人、農スクールと呼んでおりますが、は、引きこもり状態にある方の生活リズムを整えて、徐々に就農に向けた内容に移行するプログラムを実施しておりまして、その結果、令和二年におきましては五名の方が就農をしておられます。
我が省としては、引き続き、農福連携の取組を通じて、引きこもりの状態にある人など働きづらさや生きづらさを感じている者の就労、社会参画の確保に向けた取組を展開していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/50
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051・下野六太
○下野六太君 優良事例の御紹介もいただきまして、ありがとうございます。
しかし、問題が、障害者を対象とした就労の支援の事業所においては、その障害者の方と引きこもりの方と同じ作業を例えば農業でするにもかかわらず、障害をお持ちの方に対しては、国から点数的な報酬が出ると、その職員に対してですね。しかし、同じ作業を指導しているにもかかわらず、生きづらさを抱えておられる方、引きこもりの方、かつて法を犯した方、そういった方に対しては、国は、厚労省の方としては支援をするいろいろな施策を御用意をいただいてはいますけれども、現場としてはそれを、団体のリーダーの方や経営者の方々は、非常にそこは問題が私はあるというふうに思っておりますので、引きこもり問題解決においては、やはり法律をしっかり作って、あまねくやっぱり救っていく、そういうところに持っていかねばいけないというふうに思っておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
続いて、家畜診療所についてお尋ねしたいと思います。
家畜診療所の現状を教えていただきたいと思います。家畜診療所では、常駐する獣医の皆様の採用、監督はどのようになっているのでしょうか。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/51
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052・村井正親
○政府参考人(村井正親君) お答えいたします。
家畜診療所は、農業保険法に基づき、共済事業を行う農業共済組合等が設置できることとされており、令和三年四月一日時点で全国四十三道府県に二百十七か所設置されております。
獣医師の採用につきましては、家畜診療所を運営する農業共済組合又は都道府県連合会がそれぞれ独自に行っております。令和三年四月一日時点で全国に千七百六十名の獣医師が在籍しております。
家畜診療所を含む農業共済組合等への監督につきましては、農業共済組合につきましては複数の都道府県域をまたぐものを除いては都道府県知事が、都道府県連合会等その他の農業共済団体につきましては農林水産大臣が実施することとなっており、その業務又は会計に関する検査、命令等を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/52
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053・下野六太
○下野六太君 ありがとうございます。
福岡県の家畜診療所で、獣医の確保が難しいという問題と、農家が減少して赤字経営が続いているという問題があると伺っています。家畜診療所の制度を見直すときに来ているのではないかというふうに思います。
国として、赤字経営が続いている家畜診療所の問題にどのように対応をしていただけますでしょうか。農水省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/53
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054・藤木眞也
○大臣政務官(藤木眞也君) お答えをいたします。
恐らく、福岡県の方、私もここ二、三年同じ相談を受けておりましたし、私も経営上、家畜診療所の獣医さんにお世話になっている関係で、非常に共通の認識として、この課題、これまでも農水省の方々と議論をさせていただいておりました。
そういう中で、家畜診療所については、畜産農家の減少や点在化等によって診療効率が低下をし、収支状況が悪化をしている事例がたくさんございます。組合員との間で話合い等を行いながら、診療料金の見直し等の対応が行われていると承知をしております。
国としては、家畜診療所の安定的な運営といった面で実態に応じた診療点数の設定も重要であることから、今般、遠隔診療の診療点数の新規設定や往診の診療点数の実態に見合った設定等を進めているところです。
引き続き、家畜診療所の安定的な運営に資するよう、今後も同診療所の診療体制、実態を踏まえた診療点数の適正化に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/54
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055・下野六太
○下野六太君 是非、赤字経営にはならないような診療点数の制度改定を是非お願いしたいと思います。
以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/55
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056・串田誠一
○串田誠一君 日本維新の会の串田誠一でございます。
今日は、動物用医薬品と獣医師の医療行為について質問させていただきたいと思うんですけれども、最初に、動物用医薬品とは何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/56
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057・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 動物用の医薬品につきましては、余り聞き慣れない法律なんですが、薬機法、薬品の薬に医療機器の機、薬機法ということで制定されておりまして、医薬品であって、専ら動物のために使用されることが目的とされておるところでございます。
動物医薬品は、安全な畜水産物の安定的な生産に貢献するだけでなく、愛玩動物の健康の保持にも寄与し、人と動物の共生する社会の実現を図るために不可欠でございます。動物医薬品の品質、有効性及び安全性の確保、その使用による危害の発生、拡大防止のための規制、それから国産動物医薬品の開発、供給の支援に取り組んでおるところでございますが、まだこの動物医薬品についての国内メーカーからの登録申請はございません。
したがって、今心配されておりますもので、猫のコロナでございまして、これも国内にはそういう承認された医薬品がないことから、輸入して、そしてそれでやってるという話も聞いているところでございまして、なかなかこの動物医療、医薬品というのは、日本ではなかなか開発が進んでないという実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/57
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058・串田誠一
○串田誠一君 随分先までの質問も答えていただいてありがとうございます。
最初に、その動物用医薬品の中には抗生物質というのも入るわけでございますが、先ほどほかの方からの質問もございまして、この抗生物質を大量に使い続けると、薬剤耐性菌という、効かなくなってしまうということで、今世界的にも大変問題となって、将来は恐らくがんよりも死亡者数が増えるんではないかというふうに言われているんですけれども、問題は、この農水省が所管をする抗生物質の動物用の医薬品は治療に使うだけであるならこれ問題ないんですけれども、成長促進あるいは生産量を増加するために抗生物質を使われているんではないかと思うんですが、日本はこれ禁止をしておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/58
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059・森健
○政府参考人(森健君) 薬剤耐性菌の関係の御質問だというふうに理解をしております。
薬剤耐性菌につきましては、二〇一六年四月に、政府全体として薬剤耐性対策アクションプランを策定しまして、薬剤耐性対策を推進しているところでございます。
その一環として、リスク評価の結果、人、健康に悪影響を及ぼすおそれがあると評価された飼料添加物については、指定の取消しなどを行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/59
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060・串田誠一
○串田誠一君 抗生物質を成長促進に使うということを日本は全面的には禁止していないわけですけれども、EUはこれ禁止しているんではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/60
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061・山下雄平
○委員長(山下雄平君) どなたですか。
速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/61
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062・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/62
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063・森健
○政府参考人(森健君) EUにおきましては、禁止に向けて現在議論を進めているというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/63
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064・串田誠一
○串田誠一君 農水省が今年の八月一日に各事業者にその情報告知をして、EUは成長促進に禁止をするということで情報提供されているんだと思うんですけれども、こういうように、治療に使うだけだったら制限されるんですけれども、成長促進だとか生産量を増加するために抗生物質を使うというようなことになるともう切りがなくなってしまうというようなことで農水省は製造業者に対してその情報を提供したんだと思うんですけれども、そうすると、EUに輸出するのだけは使わない、国内に使うものは構わないというようなことになるわけで、日本の国民は余り心配せずに食べるだろうということなのかもしれませんけれども、ただ、インバウンドとして四千万人もの人がこれから日本にやってくるときに、自分の国が使わなくなっているものを使う食材を日本で食べるだろうかというのは前回からも質問させていただいているんですけれども、そういう観点で、インバウンドも含めまして、日本、この成長促進には使わないというようなことの要望をさせていただきたいんですが、検討していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/64
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065・森健
○政府参考人(森健君) お答えいたします。
現在、先ほど御答弁申し上げましたとおり、政府全体で薬剤耐性対策を推進する中で、農林水産省としましては、動物分野の対策といたしまして、薬剤耐性菌の監視、動向調査の充実、さらに、抗菌剤の使用を最小限とするというために生産者への抗菌剤の適正使用の指導、啓発、さらに、獣医師に対しても慎重使用の啓発等を行っております。
さらに、先ほど申し上げましたとおり、リスク評価の結果、悪影響を及ぼすおそれがあると評価したものは指定の取消しを行っているということでございますので、引き続きリスク評価に、科学的なリスク評価に沿って対応してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/65
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066・串田誠一
○串田誠一君 未知の疾病が発生したときに日本の国民だけはその薬が効かないというようなことが起きるということは全く想定できないわけではありませんので、他国がこの耐性菌、薬剤耐性菌に対して非常に慎重な対応を始めたということをやはり国も検討していただきたいと思います。
次に、サルモネラ菌なんですけれども、これも、ケージの中にいる鳥の場合とケージにいない鳥の場合とでサルモネラ菌保有率が違うという研究成果、ありませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/66
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067・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
今委員が御指摘いただいたような形でのサルモネラ菌のその保有率を、厚生労働省では鳥肉になってからは行っておりますけれども、ケージに入ったその形での調査という形では行ってはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/67
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068・串田誠一
○串田誠一君 国立医薬品食品衛生研究所の安全情報部が出されている資料には、ケージの中にいる鳥の方がサルモネラ菌の保有率が高いというのが発表されているし、そういうようなことで、ヨーロッパは二〇一二年にバタリーケージというのを禁止したというふうに言われているわけでございます。
そういう意味で、サルモネラ菌というものがそういう科学的にも証明されている中で、先ほども申し上げましたように、日本の国民は余り心配しないで食べるだろうということなのかもしれませんけれども、国際社会になってきますとやはり日本国民も敬遠することになるし、インバウンドで、自分の国ではバタリーケージの、そのサルモネラ菌も考えて禁止をされている国の人が日本にやってきたときに、ケージの、バタリーケージの卵を食べるだろうかというようなことを考えていただきたいというふうに思うんですけれども。
先ほど大臣がちょっとお話をしていただきましたFIPという猫の伝染性腹膜炎について質問させていただきたいと思うんですけれども、難病ということで、猫の保護団体だとか猫等非常に詳しい人は大概知っている難病なんですけれども、この難病に関する薬、これ致死率が一〇〇%なもの、もうほぼ一〇〇%なものですから、何とか助けたいということでいろいろなその薬を使われているんですけれども、こういう治療薬があるということは把握しているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/68
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069・森健
○政府参考人(森健君) FIPにつきましては、猫コロナウイルスが原因で発症する伝染性の腹膜炎ということでございます。
現在、FIPの治療薬として国内で承認されている動物用医薬品はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/69
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070・串田誠一
○串田誠一君 そこで、たくさんの声を私いただくんですけれども、何とか承認してもらえないだろうかという話なんですが、この承認、未承認というところが、まあちょっと誤解があるかと思うんですけれども、農水省が承認をしていないというような事実はあるんですか。
〔委員長退席、理事堂故茂君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/70
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071・森健
○政府参考人(森健君) お答えします。
現時点でFIPに効果があるとされる抗ウイルス薬の承認申請はいただいておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/71
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072・串田誠一
○串田誠一君 まず、ここで誤解を解きたいと思うんですけれども、農水省がその承認をしていないんではなくて、医薬会社から承認申請がなされていないということで確認させていただきたいと思うんですが、国内では、固有名詞言いませんけれども、Mから始まったりXから始まったりというような治療薬があって、それが非常に効果があるというふうに言われているんですけれども、それらの会社から承認申請がなされていないという事実でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/72
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073・森健
○政府参考人(森健君) お答えいたします。
先ほどお答えしましたとおり、現在、FIPに効果があるとされる抗ウイルス薬の承認申請はいただいていないところでございます。
十分な科学的データとともに承認申請がもしあれば、農水省による審査が遅滞なく行われます。その結果、有効性だけでなく、品質や安全性等についても問題ないと判断されれば承認がされるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/73
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074・串田誠一
○串田誠一君 それの、その承認できるかどうかというところの問題の中で特許権が関連しているということは把握されているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/74
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075・森健
○政府参考人(森健君) 申し訳ございません。通告、その点については通告をいただいておりませんので、今現在、手持ちの資料がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/75
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076・串田誠一
○串田誠一君 承認をしてくれば検討をするということなんですけれども、その承認をするに当たっての特許問題というものが絡んでくるというふうに言われておりますので、是非この点に関しても、農水省、動物用医薬品に関しては動物の健康を守るというのも目的になっているわけですので、是非、本当にたくさんの国民が猫を救いたいと思っている声たくさんいただいているので、農水省、積極的にこの分野に関しても研究開発を進めていただきたい、あるいは支援をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
〔理事堂故茂君退席、委員長着席〕
次に、獣医師さんの医療行為に関して、医療過誤という問題があるんですけれども、獣医師を所管しているのはどこでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/76
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077・森健
○政府参考人(森健君) 農林水産省が獣医師法に基づき一定水準の知識、技能を有する者に獣医師免許を与えるとともに、獣医療法に基づきまして、獣医療を提供する体制を整備するため、飼育動物の診療を行う獣医師の確保を図っているという役割分担でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/77
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078・串田誠一
○串田誠一君 ネットで調べると動物の医療過誤というのがたくさん出てくるわけで、それだけたくさんこの問題に関して家族同然の犬や猫を失ってしまった人たちの悲しみというのが載っているわけでございますけれども、この医療過誤に関する所管をしているところはどこでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/78
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079・森健
○政府参考人(森健君) 農林水産省におきましては、獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針というのを定めておりまして、その中で、飼育者のニーズに適切に対応した獣医療を提供し得るよう、診療技術の修得体制の充実の促進というものを図っているところでございます。
一方で、獣医師によります動物の医療過誤の状況につきましては、これは人の医療とは異なりまして、農水省として把握する制度は有していないというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/79
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080・串田誠一
○串田誠一君 是非、農水省は獣医師を所管しているわけで、まあ私の周りには立派な獣医師さんばかりなんですけれども、時にはそういう医療過誤で苦しんでいるという方もたくさんいらっしゃるということの中で、その医療過誤に関してもいろいろな意味での調査研究というようなものの、あるいは対策の提案というようなことをしていただきたいというふうに思うんですけれども、その獣医師が行うことに関して、例えばどういうところがその医療過誤で苦しんでいるのかということを検討したり調査したりということは、これまではないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/80
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081・森健
○政府参考人(森健君) お答え申し上げます。
医療過誤というものについてどのような形で起こるのかといった点は、なかなか個別の現場の問題ということで難しい、判断が難しいところでございますが、解釈が難しいところでございますが、例えば、いわゆる獣医師が飼育者に対するインフォームド・コンセントを徹底しているかといったようなところは問題としてはあると思っております。
先ほど申し上げました獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針の中でも、このインフォームド・コンセントの徹底についての啓発を図るということとしているところでございまして、これは農水省、獣医師の団体等が実施をいたします研修会等におきましても、この獣医師の職業倫理等についての研修を行っておりまして、こうした研修を農水省が支援をするといったような形を取っております。
今後も、必要に応じまして、各都道府県及び獣医師の団体と連携いたしまして、獣医師のコンプライアンスの徹底、さらに、先ほど申し上げました医療過誤を起こさないような技術の向上等を促進してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/81
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082・串田誠一
○串田誠一君 かつて「白い巨塔」というドラマがありましたけれども、医療過誤に関する立証というのは被害者側は大変難しいわけでございます。
そういったようなことの医学的な見地というものを求めても、同業者としてはなかなか書いてくれないというようなこともあるし、立証方法というのは大変難しいわけでございますので、国民の声の中では、そういう治療行為が行われている手術のときには録画をしてほしいというような声もございますけれども、こういうようなことを提案する所管というのはどちらにすればよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/82
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083・森健
○政府参考人(森健君) そういった具体的な要望がございましたら、農林水産省の私ども担当課の方にも情報提供、御連絡をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/83
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084・串田誠一
○串田誠一君 被害者のためにも是非証明のしやすいような、それはどちらにとっても、しっかりした医療行為をしていると言いたい側も証明できればいいわけですから、是非そういったような形で国民の声を届けたいと思っております。
次に、どうしてこの動物の医療過誤が軽視されるのかというと、まず、動物は物という扱い方になっているものですから、その損害額が非常に低いということと、あとは人間と違って過失犯がなくて故意犯しかないというようなこともございます。
そこで、余りにもずさんな医療行為、あるいは説明が行われていない、あるいは調査がしっかりと順序立って行われていないというような場合に、結果が十分予測できるにもかかわらずそれを行った場合には、動物愛護法四十四条で未必の故意による立件というものもできるのかどうか、一般論としてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/84
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085・松本啓朗
○政府参考人(松本啓朗君) お答えいたします。
動物愛護管理法第四十四条では、愛護動物のみだりな殺傷や虐待等に対する罰則が規定されております。
ここで言うみだりなとは、正当な目的がない、また手段として社会的に相当ではないことと解されておりまして、こうした行為により動物を死傷させたり衰弱させた場合には、本罰則が適用されることとなります。
さて、獣医師が法令等に基づき行う動物への医療行為についてですが、これは治療を目的とした社会的に正当なものとして認められる行為だと考えております。したがって、適切な獣医療水準に基づき行われる限りは、結果的に動物を死傷又は衰弱させた場合であっても、一般的には動物愛護殺傷罪又は動物愛護、あっ、愛護動物虐待罪は成立しない、一般的にはそういうふうに考えております。
ただし、獣医師による医療行為でありましても、適切な医療水準を逸脱し、必要以上に苦痛を与える等の社会通念上相当でない取扱いによって動物を死傷又は衰弱させた場合には動物愛護殺傷罪又は愛護動物虐待罪が成立することはあり得る、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/85
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086・串田誠一
○串田誠一君 刑事的な犯罪が成立をする余地があるということを発言していただきました。
最後に、先ほどインフォームド・コンセントの話がありましたが、この獣医学部というのは、これ文科省が今度は所管をしているところでございますので、是非、医療過誤が行われないようなインフォームド・コンセントを含めましたそのカリキュラム、しっかりとしていただきたいと思うので、その点について答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/86
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087・西條正明
○政府参考人(西條正明君) お答えいたします。
文部科学省においては、獣医学教育の質保証を図るため、全国の獣医学部等の教員で組織された有識者会議に委託し、平成二十三年にモデル・コア・カリキュラムを策定しております。現在、全ての獣医学部等ではこのモデル・コア・カリキュラムに準拠した教育が行われていると承知しております。このモデル・コア・カリキュラムでは、獣医倫理・動物福祉学や小動物内科学実習などの科目において、御指摘のインフォームド・コンセントを適切に行えることが到達目標として設定されているところでございます。
文部科学省といたしましては、大学と連携し、引き続き、インフォームド・コンセントの必要性、重要性についても十分に理解した優れた獣医師の育成に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/87
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088・串田誠一
○串田誠一君 治療薬やあるいは医療過誤につきましても、また当事者の声、そして勉強会などを開催しながら、引き続き取り組んでいきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/88
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089・舟山康江
○舟山康江君 国民民主党の舟山康江でございます。
今日は、持続可能な農林水産業に向けてどんな政策が必要なのか、そんな問題提起を含めて質問をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
十月二十八日に総合経済対策が取りまとめられました。令和四年度第二次補正予算で二十九兆円規模を措置したいということでありましたけれども、予備費除くと二十四兆円ちょっとぐらいなのかなと思っております。
この中には施設園芸等燃油価格高騰対策も盛り込まれていますけれども、この等ですね、施設園芸等の等には、これまでお茶が入っていたと理解しておりますけれども、野菜以外、野菜、お茶以外の林産物等も対象にする方向の検討はあるんでしょうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/89
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090・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げます。
キノコ類につきましては、施設の加温なり製品の乾燥等にA重油を使用しておりますが、経営費に占める割合というのは一割程度でありまして、燃料費の割合が施設園芸では二、三割と、こう言われておりますので、比較的に低いということから、この施設園芸セーフティネット構築事業の対象にはしておりません。
今般、ウクライナ情勢によりまして、燃油高騰のみならず、キノコ生産に必要な小麦ふすま、いわゆる菌床に使います小麦ふすま、それからおが粉等の生産資材価格も高騰して経営に大きな影響を与えているというふうに認識をいたしております。
このために、今般の総合経済対策で特用林産物の生産支援対策を盛り込んでございます。したがって、この中でキノコ生産の実態に即した支援を行う方向で現在検討しておりまして、今日の夕方閣議決定を、数字もなると、こういうことになっておりますので、今夕にはそのことの方向が出るというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/90
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091・舟山康江
○舟山康江君 ありがとうございます。
経営費に占める燃油費の割合がさほど高くないということでこの対象には入っていないという説明でありました。野菜に限るということではないという、そんな理解をさせていただきましたけれども、キノコの中でもシイタケなんかは結構燃油の割合が高いと聞いております。是非そういった実態を含めた対応をこれからも御検討いただきたいと思いますし、今大臣から御答弁いただきました。私も地元から、燃油もそうだし、電気も上がっている、そして何よりも今お話しいただいた資材価格も非常に上がっていると、こんなことでありました。
そういう中で、やはりこの資材、生産資材に対する支援を、多分これ初めてなのかなと思うんですね。これまで特用林産物、キノコ類に関しては余り支援がなかったということで以前もちょっと問題提起をさせていただきましたけども、こうやって生産資材に対しての何らかの補助を創設いただけるということは、やっぱり現場の生産者にとっては非常に心強いと思っておりますので、是非しっかり対応いただきたいと思っています。
さて、私は、こういった今の農業の現状、やはり資材価格が上がる中で、価格が安い、ここに大変大きな問題があると思うんですね。やはりそのため、今のこのいわゆる現状の価格といわゆる生産費との乖離については、一つは、今御説明いただいたように、資材価格の高騰を抑え、何とか生産費を下げていくという対応が一つと、もう一つ価格転嫁、いわゆる適正な価格はどうあるべきなのか、この議論は非常に大事なんだと思っております。
十月二十五日の大臣からの所信的挨拶の中にも適正な価格形成という発言がございました。まさにこの適正な価格形成に向けて取り組んでいきたいということでしたけども、どうすれば適正な価格形成ができていくのか、その辺をやっぱりもっと考えていかないと。単にコストを下げることだけでは、なかなか、現状幾らそこの支援をしてもやっぱりそれでも赤字であるとすれば、なかなか持続可能な農林水産業は成り立っていかないという中でどうやって価格に反映させていくのか、この辺り具体的に今お考えのことがあればお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/91
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092・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げます。
舟山委員おっしゃりますように、農産物の価格を、このコストが上がった分は上乗せした形で価格形成、いわゆる適正に価格に反映できるというのが一番これは重要だと思っております。
このために、政府全体で取りまとめました転嫁円滑化施策パッケージに基づいた今取組をしておるところでございますが、農林水産省としても、食品製造業者それから小売業者、さらにはそういった方々に大臣名で協力要請を行っているところでございまして、食品の値上げについて一方では消費者の皆さん方のまた御理解もいただかなければならないと、そのための広報も講じているわけでございます。
今後、生産、流通のこの実態等を踏まえて、コストを反映した価格が形成されるためには何が必要なのか。今現在、もう委員御承知のように、フランスではエガリム法ができまして価格転嫁の法律ができたわけでありますが、日本でこういう形でできるのかできないか、今調査研究も進めさせていただいてフランスに派遣をしたところでございます。
したがいまして、今どういうことが考えられるかというのは申し上げられるような状況ではないんですけれども、いろんな形で、農林分野で何ができるかということについての環境整備を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/92
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093・舟山康江
○舟山康江君 ありがとうございました。
このなかなか適正な価格転嫁ができていないという問題は、農林水産物のみならず、ほかの業界でも今大変大きな問題になっていますけれども、事、農産物、農林水産物に関しては、もう以前からですね、このコスト割れの状況の生産、こういったものがあらゆる品目に広がっておりましたので、その一つの打開策として、今言及いただきましたフランスのエガリム法なんかも非常に有効なのかと思っておりますので、そういったことも含めてしっかり対応する。
そして、何か世の中がもう安けりゃいいという風潮になっていますけれども、やっぱりそこを、安ければ結局生産が行き詰まって、最終的には消費者にとって非常に不幸なことになると、こういったことも含めて、何というんでしょうか、理解の醸成等、あとは商慣行もあると思うんですね、買いたたきの風潮とかそういったのをなくすように、やっぱりこれを機に取り組んでいただきたいと思っております。
昨年年末の政府全体のパートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化会議には農林水産省が入っていませんでしたので大変心配したんですけれども、是非、農水省も、ある意味非常に大きな問題を抱えている分野の一つだと思いますので、対応よろしくお願いします。
そして、もう一つちょっと論点提起をさせていただきたいのが、もちろん、今、さっき私、質問しましたけれども、燃油価格の高騰対策ですとか資材の価格抑制対策、それから配合飼料に関しても、これ前回質問しました、いわゆる価格高騰に対する対策等があります。要はコストをどう下げていくのか、そういった対策がこれはこれで必要だと思います。そして、価格転嫁の対策も必要だと思います。
ただ、もう一点ですね、やはり、特に土地利用型農業に関して言えば、どこの国も同じ問題に直面していますけれども、やはり価格がコストに対して相対的に安い、いわゆる赤字状態になっていると、こういった問題はいろんな対策を取ってもなかなか一遍に解決していないと思うんですね。
そんな中で、例えば畜産に関して言えば、いわゆるマルキン、これは簡単に言えばコストとその販売価格の差を一定程度埋めていこうという経営安定対策になっていますけれども、こういった形、いわゆる不足払いに近いような所得の補償対策で対応するという方策と、そして、同じくこの畜産に関して言えば、今触れましたけれども、いわゆるこのコストを下げる、餌代を下げるといった対策、両面あると思うんですね。
前回もちょっと問題提起しましたけれども、餌代を下げるというところに関して、配合飼料を使っている人、それこそ単品の餌を自分のところで配合して使っている人、ここに対応の差があるというところで、何とかこの不公平を埋めていただきたいという思いが一つあるんですけれども、それと、ちょっとまた別の観点からいえば、コストを下げるところに補助金を出すのか、コストはそれはそれとして受け止めて、その分、いわゆるその所得を確保する、まさにマルキンの方で対応するべきなのか。
これは、畜産に関しては両方対策がありますので、どういうことが望ましいのか、やはりしっかりと考えていく必要があると思いますし、ほかの農作物に対しても、まさにコストを支援するのか、コストは、そこは今の状況の中で受け入れつつ、でも、コストが上がれば所得が減りますから、赤字になりますから、そこを埋めるような経営安定対策に切り替えていくのか、やっぱりそこはしっかり大きな視点で何か考えていかないと、今後のいわゆるこのまさに持続可能な農林水産業の在り方について、何か整合性が取れていかなくなっちゃうんじゃないのかなって気がするんですけれども、その辺り、今農水省として、全体のこの経営安定対策の在り方について何か御議論があるのか、今の方向性がどのような方向性で考えているのか、お答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/93
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094・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) 今、畜産の話出ましたので、土地利用型作物全般に所管する者として申し上げますと、一つコスト割れという意味でいうと、特に諸外国との国境措置が余り多くない、米以外の作物の土地利用型、これはもう恒常的にコスト割れを起こしているということで、担い手経営安定法というものによりまして、麦、大豆、てん菜、バレイショも含めてなんですけれども、これコスト割れのところを毎年計算をして、三年に一遍単価変えということなんですけれども、それが一つのコスト割れのところの対策なんですが、ただ一方で、燃油もそうなんですが、例えば肥料の価格ですとか、非常に一時的に高騰する場面がございます。このときにゲタ対策でやろうと思うと数年後というふうに単価改定になりますので、非常に高騰したときには高騰する対策を打つというふうにしています。
ただ、恒常的にこの生産性を上げていかなければいけないというのは、これはやはり交付金という形よりは、例えば強い農業づくり交付金ですとか直接支払というよりは、規模拡大、それから施設の整備、機械の整備、こういったことによりまして品質の向上と収量の向上、これが図られていることによってだんだん実はコスト割れが小さくなっていくという方向が目指すべき方向だということで、いろんな施設、機械の補助等を組み合わせながら、恒常的なコスト割れはゲタ対策で支援をしていくと、そういうふうな形で今進めているところでございます。
これについて、今回の基本法等の在り方の中でこれがどのぐらい奏功しているのかということは多分議論をしていかなければいけない課題だとは思っておりますけれども、現在はこの形で進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/94
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095・舟山康江
○舟山康江君 今お話しいただいたように、急激なコストアップについてやっぱり緊急に今やっているような価格高騰対策は、私はこれはこれで必要だと思うんです。
ただ、それのみならず、まさに恒常的なコスト割れは、今、米以外という話がありましたけれども、残念ながら、今見ていると、米もコスト割れの状況が多くのいわゆる経営規模層で起きている。
そして、更に言えば、これも大臣、所信でも触れておられましたけれども、やっぱり生産基盤が非常に弱っていると。農業就業者人口も減って、就業者数も減っている、農地面積も減っている、生産量もやはり減っているものが多いということの中で、やっぱりここを後押しするときに、果たして、その規模を拡大する、生産性向上を図る、これ否定するものじゃないですけれども、やっぱりより多くの人に農業を継続していただけるような環境をつくっていくことも併せて考えていかないと、どんどんとこの経営基盤の弱体化が進んでしまうんじゃないかと、そんな気がするんです。
みどり戦略は私はいい方向だと思いますけれども、ヨーロッパなんかを見てみますと、やはりこういった有機に切り替えていく、環境保全型農業に切り替えていくに当たっては、やはりしっかりとその所得を補償しながら進めていくという、そんな方向性、まあ施策とセットなわけですよ。こういったことをしっかり組み込んでいかないと、なかなか、その大きな方向、目指す方向性は正しくても、でも、その結果、基盤が弱ってしまうということになりかねないと思いますので、是非、大臣、こういったところも含めて総合的な対策を打っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/95
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096・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 大事な御指摘をいただきました。
先ほど局長の方からもちょっとお答えしましたけれども、今、基本法を見直しをいたしておりまして、その中でも部会をつくってそういった議論もしていただこうということを考えておりまして、今からこの議論が進んでいくんだろうと思いますが、その中には、今おっしゃいましたような、あるいは先ほどの質問のような価格形成の在り方ということも一つのテーマにはなってくるというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/96
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097・舟山康江
○舟山康江君 是非、やっぱりこれだけ今世界情勢が緊迫化している、そしてまた異常気象も頻発する中で、いかに、まさに安全保障という言葉がいっぱい出てきますけれども、やっぱり国内の生産基盤をしっかり強くしていく、そして、やっぱり農業に携われる人を増やしていくということが大事だと思いますので、その観点での御議論を、私たちもしっかりとしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
さて、水田活用直接支払交付金の見直しに関してお聞きしたいと思います。
改めて、五年間に一度も水張りをしない農地は交付金の対象外とするこの理由について端的にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/97
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098・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) もうこれは舟山委員が一番御存じのはずなんですけれども、この水田活用の直接支払交付金は、水田において主食用米から他の作物転換を支援するためのものでございまして、平成二十九年度にこの実施要領を改正して見直したところでありますが、その中に二つ大きなあれがあります。
堰などを、あぜなどを、水をためる設備を有しない農地や用水路を有しない農地など、水稲の作付けが困難な農地は交付金の対象外であることを、これを明確にしたわけでございます。
したがって、今お尋ねの水活の直接交付金、こういったような理由で、今二つ申し上げましたが、これで交付金はもう対象外にするということを二十九年に明確にして、要領を改正したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/98
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099・舟山康江
○舟山康江君 済みません、ちょっと質問が悪かったのかもしれませんけれども、要は、その水田機能を維持しなければいけないという理由は、やっぱり水をためる必要がある、何というのかな、水田の機能をしっかりと維持することがまさに多面的にも非常に、多面的役割を維持するためにも必要だということなのか、あと、よく聞こえてきたのが、連作障害が起こるからやはりちゃんとブロックローテーション等をしてほしい、そのためにずっと同じところで作り続けるのはよくないという意味なのか、その両方あるということでいいんでしょうか。それ、イエスかノーかでお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/99
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100・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
おっしゃるとおり、一つは水田の機能を維持するということと、あと水田で、中で稲と麦、大豆等をブロックローテーション、これが緑の政策的にも適合しているということで、両方の意味で進めてきているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/100
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101・舟山康江
○舟山康江君 そうすると、例えばその水田を転作して十年、二十年と連作をしているところ、実際自分、地元でもあるんですけれども、連作障害がない、収量低下も品質低下もないとすれば、それは問題ないという理解でよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/101
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102・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) 今おっしゃった中で、連作障害がないといって、例えば畑作物だけで輪作をして障害がないとすれば、それは水田ではなく畑作物の一般的な畑地として取り扱っていただいた方がより効率的になりますので、水田であれば、水田の機能を維持しているということはやはり確認はしなければいけないので、一定期間例えば水稲を作付ける、あるいは水稲以外でも水張りを一か月以上で確認すると、そういう方法を取っていただきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/102
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103・舟山康江
○舟山康江君 実際にこれ本当に調べていただきたいんですけれども、同じもの、例えば地元でも、大豆を十年作り続けてようやく十年目で収量も品質も上がってきたという、これ実際聞くんですよ。そういったところの実態をしっかり調べていただくと同時に、こういう、山形も雪国ですけれども、おのずと一年のもう数か月、三分の一ぐらい雪に閉ざされていて、実質湛水しているような形になっているんですよね。こういったものは湛水しているとみなされるのかな、だから連作障害が起こんないんじゃないのかなって気もするんですよ。雪解けのときなんか水がずっとたまったまま一か月ぐらいあって、あっ、これ湛水の役割なのかななんて思ったりするんですけれども、この辺りも、どう扱えばいいのか、どういう効果があるのか是非検証いただきたいということをお願い申し上げまして、時間が来ましたので終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/103
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104・紙智子
○紙智子君 日本共産党の紙智子です。
農林水産省は、昨年の十二月に水田活用交付金の厳格化、見直しを公表しました。しかし、現場からは唐突過ぎるなどの意見が出されました。今年に入って、参議院に百八十二件の意見書が出されております。その中には、慎重な対応という表題もあるんですけれども、見直しの撤回や中止を求めるものもかなりあります。
北海道農協中央会を始めとする農業関係五団体に道庁と市長会と市町村でつくる北海道の関係機関連絡会議、ここが九月に提案書を提出しています。この提案書では、全国的な米の需給安定のため、生産の目安を踏まえた作付けを推進して、多様なニーズに対応した米の生産、販売や経営の効率化を図るなど、それぞれの地域で将来を見据えた活力ある産地づくりを進めてきたと、ところが、見直しは本道の水田農業経営を始め農業、農村に様々な影響を及ぼす可能性があるということで、危機感を表しているわけです。
こうやって関係団体がまとまって提案書を出したということについて、やっぱり重く受け止めてほしいと思うんです。同時に、こういう経過を見ますと、水田活用交付金の厳格化、見直しは、これ、現場に混乱と不安を与えたんじゃないかと思うんですけど、大臣の認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/104
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105・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 我々の、自民党のときもいろいろこの見直しについての御意見はいただいてまいりましたし、そしてまた、農水省としては、これまで産地ごとの意見交換会を四千三百回実施していろんな意見をお伺いしたところでございます。意見交換の個別事例の把握なり、あるいは全国調査を通じて現場の課題の把握に努めてきたところでございます。
したがいまして、令和五年産以降も、引き続き、米、麦、大豆等の需要に応じた生産が行われるように、現場の課題を踏まえて、畑作目の産地形成を促進するための支援、それから水田の汎用化、畑地化等のための基盤整備や施設整備など、今後の補正予算において必要な対策が措置されるように現在検討を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/105
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106・紙智子
○紙智子君 現場に混乱を与えたんじゃないでしょうかという認識聞いたんですけど、それはお答えになっていないんですけど、それだけ四千三百回をね、話合いしなきゃいけなくなったというのは、やっぱりそのとおりいかなかったからだというふうに思うんですよ。
転作で牧草を生産している地域というのは混乱していて、これ今年からやっていますからね。今年度からいきなり三万五千円出ていた補助金が一万円に削減されたら、農地を引き受けた農家に地代が払えない、土地改良区の賦課金も払えないなどの混乱を極めたわけです。
私、三月に質問したときに、当時は金子農水大臣だったんですけど、助成金は削減するけれども産地交付金で上乗せできるんだと答えたんですね。それで、じゃ、どのぐらいのところがそれ使っているんだろうと思って東日本の各県に聞いたんですけど、北海道が五千円出しただけで、あとはどこもやっていないですよ。で、北海道では、水活交付金が出なければ水利代や地代が払えないという意見が出ています。
産地交付金だけでは対応できないんじゃないかというふうに思うんですけど、その認識はありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/106
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107・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
牧草につきましては、今年度から、生産に要するコスト差ということなので、収穫のみを行う年は一万円、播種、管理、収穫まで行う年は三万五千円というふうにしたところでございます。
これに関しまして、紙先生おっしゃるとおり、北海道では産地交付金を活用して十アール当たり五千円の支援ということにしたんですが、ほかの都道府県につきましては、産地交付金、作物、それから単価決められることになっておるんですが、上乗せのものが東北等の米の主産地において、それぞれの判断でそれぞれの品目に乗せられているということで、北海道の場合、特に牧草に対しての関心が特に強く、その道内のあれを踏まえて設定されたものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/107
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108・紙智子
○紙智子君 ということは、ほかのところもやっているということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/108
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109・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) ほかのところはほかのところで、牧草以外の、例えば野菜ですとか、例えば飼料用米ですとか麦ですとか、それぞれにそれぞれの戦略として、産地の中で考えている品目に上乗せをしているという、そういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/109
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110・紙智子
○紙智子君 本年度の対策も必要なんだけれども、来年度もこれ支援策必要じゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/110
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111・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) 紙先生おっしゃるとおり、今回の経済対策でも、大臣申し上げたとおり、特に畑地化ですとか汎用化ですとか、そういった対策も今回の補正予算の中で検討はしておりますし、来年の当初予算に向けて、これからしっかりした予算は活用して、獲得をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/111
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112・紙智子
○紙智子君 今回の見直しによって、いきなりやっぱり補助金削減されて先が見えないという訴えがあるわけですから、そのことを踏まえて考えるべきだと思います。
それから、水田活用交付金を活用して中山間地でソバの生産も行われているんですけれども、農業新聞の九月二十四日付けで、水田見直し影響、秋田県調査、ソバ六割やめるという見出しで記事が出ていました。面積ベースでソバは六〇%、大豆は三四%が作付けをやめるか借地を返すというふうに回答していると。ソバにとって影響は大きいんじゃないかというふうに思うんですけど、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/112
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113・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
全国のソバ生産の約六割は水田を活用して行われておりますが、水田においても需要に応じた生産を進めていくことが必要と考えています。このため、畑作物の生産が定着する水田は畑地化を促すようなことを今後進めていきたいというふうに思っております。
このため、これまで把握に努めてきた現場の課題も含めて、一つは、畑地化後に麦、大豆のほか、ソバも含めて生産が定着するまでの一定期間の継続的な支援ですとか、畑作物の産地化に向けた基盤整備への支援等を今般の補正予算に盛り込み、需要に応じた生産に取り組む生産者に対しての支援策を検討しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/113
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114・紙智子
○紙智子君 ということは、今言われたように、一定期間支援することを検討しているということですね。はい、分かりました。
それから、水活見直しで農水省が水張り一か月提起という記事が出ていました。それで、五年で一度も水張りしない場合は水活の助成金の対象外とする方針なんだけれども、水張り期間を確認する必要があるので、水張り期間は一か月以上をめどにするというふうに言うわけですよね。そこで、だけども、一か月以上水張りということで問題が解消するかどうかというふうに思うんです。
北海道の石狩川から大型の揚水機を使って水を使っている地域では、土地改良区は河川管理者である国から使用期間、使用量の許可を得て水を使っているんですね。七月から八月にかけて小麦を収穫した後に水を張るというふうになったとしても、夏場に大量の水が確保できるのかということや、河川管理者がそれを認めるのかとか、それから揚水機の電気代や人件費の経費はどうするのかとか、水を張ったんだけども、再び水を抜いて、次は秋まき小麦の種まきに果たして間に合うのかとかですね、多くの課題があるんですよね。
この水張り一か月という提起が実現可能かどうか、可能だと考えているかどうかということについてお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/114
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115・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
水田機能の確認につきましては、畦畔や用水路の有無で確認しようとすると現場において判断が困難なケースがあることから、水稲作付けを基本といたしますが、水稲作付け以外の方法で水張りをする場合は、用水による湛水状態が持続する期間として一か月以上水を張ることにより水田機能を有していると判断することとしたところでございます。
北海道におかれましては、小麦の収穫後に、八月に水張りをしていただく、あるいは八月の中下旬に用水により湛水をして、止め水を行うことにより一か月間の湛水を実施していただくことは可能だというふうに考えております。
農林水産省としては、地域における輪作体系を踏まえて適切なタイミングで水張りを実施していただくよう周知に努めますが、現場において水を張る順番ですとか期間について十分検討していただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/115
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116・紙智子
○紙智子君 やっぱりまだ不安なんですよね。ですから、実際それでやれるのかということはいっぱい不安持っているので、そこはしっかり、丁寧に話に乗っていただきたいと思うんです。
それと、畑地化にしていく方向というふうに言われたんだけど、畑地化にするというのであれば、麦や大豆で本作ができる方向を示す必要があると思うんです。水田活用交付金の厳格化、見直しというのが、これ土地改良、土地利用型の農業を農政の中にどう位置付けるかということでもあるわけですよね。牧草にしても、水張り一か月にしても、これ地域が抱える課題というのはそれぞれ違うわけですよ。本当にいろいろ、多種多様だというふうに思うんです。
ですから、やっぱり、見直ししたんだけども、一旦はこれ白紙に戻して、土地利用型の農業の在り方をもっとしっかりと検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
それから、次のテーマなんですけど、これ先週舟山さんもやったんですけど、農業集落調査の廃止についてです。農林水産省が農業集落調査を廃止する方針を出したと。この方針に対して、反対声明などが多くの学会から出されているんですね。ちょっといろいろ調べてみたら、現在分かる範囲でいうと、農村計画学会、日本農業経済学会、林業経済学会理事会、農村問題研究学会幹事会、日本村落研究学会理事会、経済地理学会、日本地理学会理事会、人文地理学会常任理事会、歴史学研究会、日本史研究会、中山間地フォーラムなどです。
それで、ネット署名が短い期間の中に千人超えて集まってきていると。短期間の間にどうしてこれだけの声明が次々出されているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/116
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117・菅家秀人
○政府参考人(菅家秀人君) お答えいたします。
今委員より御指摘ございましたとおり、農業集落調査につきましては、学会等から調査の継続を求める多数の御意見をいただいております。これは、学会の研究者の方々などが本調査を学術研究上重視をされているということによるものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/117
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118・紙智子
○紙智子君 そうなんですよね。非常に貴重な統計としていろんな研究に使われてきているので、これがなくなっちゃったらいろんな障害出てくるということを訴えているわけですよ。その中身一つ一つは紹介はしませんけれども、やっぱり非常に大事なんだと思うんです。
それで、調査票の項目についても聞きたいんですけれども、例えば寄り合いの開催と地域活動の実施状況、それから地域資源の保全、それから実行組合についても聞いているわけですね。その中には、農業集落の行事とか、福祉厚生とか、集落共有財産、共有施設の管理とか、定住の促進などが入っているんですけれども、なぜこういう項目を聞いているのかについて説明いただきたいんですけど。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/118
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119・菅家秀人
○政府参考人(菅家秀人君) お答えいたします。
農業集落調査は、御指摘今ございましたように、寄り合いの開催状況、地域の活動の実施状況などなどを調査するものでございます。
この調査は、農業が営まれる現場でございます農業集落におきまして、農業に関連して地域でどのような活動が営まれているか、こういったことを把握をいたしまして、農業集落、農村の振興の観点から関係行政部局や学術研究に携わる方々に利活用いただくというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/119
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120・紙智子
○紙智子君 やっぱり地域の集落の持っている意味だとか、そういうことも含めていろいろ幅広く分かるものになっていると思うんですね。
ちょっと総務省にお聞きするんですけれども、この調査というのは農業に直接関係しない項目も含めていろいろ聞いているわけなんですけど、これ、農業集落調査がもし廃止となったら、それに代わるような調査や統計というのはほかにあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/120
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121・北原久
○政府参考人(北原久君) お答えいたします。
委員お尋ねの農業項目以外の調査項目というのは今お話がございました農業集落の寄り合い等についての調査事項ということと理解してございますけれども、国が実施している他の統計調査においてこれらを調査事項とするものは承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/121
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122・紙智子
○紙智子君 そうなんですよね。なくなっちゃうわけですよね。
それで、声明を幾つか紹介したいんですけれども、中山間地フォーラムの書いてある文言の中では、農村振興のための実態把握として特に重要なものが地域コミュニティー機能の状況であり、きめ細かな施策推進を図るためには、全ての個別集落について数字だけでは表せない活動状況などを把握することが極めて重要になると、農業集落調査は農業振興の重要な基盤となるものであるというふうに述べています。
それから、林業経済学会の理事会の意見の中では、農林水産省、あっ、二〇二五年農林センサスにおいて農業集落調査を廃止するという方針を提案してきているけれども、これが確定、もししたならば、これまで蓄積されてきたデータの継続性が失われ、農業集落調査が保持してきた通時的な資料としての、また統計的な資料としての価値が大きく損なわれます。ちょっと中飛んで、特に中山間地域の研究を旨とする林業経済学において、農林水産省提案は学術的に看過できない重大な問題だということを書いているんですね。
それから、ちょっともう一つぐらい紹介すると、これは人文地理学会が書いているものですけど、今回廃止候補に挙がっている項目は、集落の寄り合いや地域活動の実施状況、地域資源の有無、実行組合の有無など定性データが中心だと。前回二〇二〇年の調査でも、行政情報や民間データを利用した代替把握で省力化、合理化が図られたが、その検証もなしに今回の廃止案は時期早尚だと考えますということで、大体どの意見も見直しを求めているものが多いわけなんですよね。
それで、集落のこの持続性というのは、日本農業の持続性と言っても過言じゃないと思うんです。食料・農業・農村基本計画は、都道府県や市町村、関係省庁や民間とともに現場に出向いて直接把握し、把握した内容を調査、分析の上で課題の解決を図る取組を継続的に実施する。現場に出向いてこれ直接把握するというふうに言ってるわけですね。
大臣に伺いたいんですけれども、この農業の担い手不足とか限界集落などが今言われているときに、農村振興や農村政策をつくる上でも、この統計の連続性を担保する上でも、廃止方針というのはこれ取り下げるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/122
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123・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 紙委員の御指摘、そしていろんな方々からもこういった御指摘をいただきました。
実は、何でその廃止を今回するかといった原因は、全国の十四万集落のうちの五万集落からこれに答えていただけなかったと。それで、農林の、農林事務所、農政局の組織の方で全部聞き取り調査をせざるを得なかったという大変苦労を掛けた面がございました。
これは、個人情報との関連だということで協力いただけなかったわけですが、しかしながら、今のやり方と同じ方法でもうやることは非常に難しいなということから、農林業センサスの農林業経営体調査の中で、今、先ほど来お話がありました寄り合いの開催状況だとか今まであったような回答をしてもらうことによって、引き続き同様のデータを収集することができるのではないかという見直しを今やっておりまして、実は本日、この農林業センサス研究会というのが開催されますが、この中で御議論をいただいてこれを変えていこうという考え方で、完全に廃止するということにはならないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/123
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124・紙智子
○紙智子君 見直しを今検討している途中ということなので、どういう見直しなのかというのはもちろん注目するんですけど、やっぱり、実際に出向いて調べていくというのは人手が要るというか、職員が減らされているということもあると思うんですけど、やっぱり重要な貴重な統計は、そこは確保してでもやるということでなければいけないと思うし、今、やり方を変えて今までのようなことを把握できるように考えているということでもあるので、是非ちょっとその方向で取り組んでいただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/124
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125・須藤元気
○須藤元気君 こんにちは。無所属の須藤元気です。
前回の質疑における野村大臣の御答弁の中で、鹿児島県が独自の有機肥料で栽培した無農薬、有機栽培を広く海外に輸出しているとのこと、大変感銘を受けました。
鹿児島県のこの無農薬の緑茶、あっ、緑茶じゃないです、無農薬の、有機栽培のお茶、大変味わい深く、私、屋久島の有機緑茶を飲んでおります。
きっかけは、屋久島、屋久杉ですか、屋久杉を見に屋久島に行ったときなんですけれども、屋久杉を見るのに往復十時間ぐらい歩くんですが、ガイドさんが途中で出してくれた緑茶が物すごくおいしくて、もう本当にサウナ上がりのビールだったり、トレーニング後のプロテインのように体にしみ渡りました。その緑茶が今飲んでいる有機緑茶であります。
そもそも鹿児島県がお茶の無農薬、有機栽培に取り組むきっかけとなったのが、海外、とりわけ欧米への輸出拡大を目指してとのことと理解しておりますが、欧米に農作物を輸出するには、当然、残留農薬基準というものが問題となってまいります。みどりの食料システム戦略はこうした輸出振興を視野に入れたものかと推察されますが、国内の残留基準と欧米の残留基準との整合性というものが気になるところです。
ここで一つお伺いします。
海外、特にEUにおけるネオニコチノイド系やグリホサートなどは、輸入農作物の残留農薬基準など大変厳しいことで知られております。現在どのようなものになっているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/125
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126・水野政義
○政府参考人(水野政義君) お答えいたします。
一般に、農薬の使用方法は、各国の害虫の種類、気候風土等により異なるため、同じ作物であっても国によって残留基準値が異なる場合もあり、日本の基準値がEU等の諸外国の基準値より高いものもあれば低いものもあります。
農林水産省では、輸出促進を図るため、主な品目について諸外国の残留農薬基準を調査、把握し、情報提供しております。その調査によりますと、例えば、EUにおける茶の残留農薬基準については、グリホサートでは二ppmとなっています。また、ネオニコチノイド系のうちチアクロプリドは一〇ppm、アセタミプリドは〇・〇五ppm、ジノテフランは〇・〇一ppmとなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/126
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127・須藤元気
○須藤元気君 このEUの残留農薬規制に対して我が国の規制値はどうなっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/127
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128・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。二点お答えいたします。
まず、残留基準値についてです。
お茶に使用されるグリホサートの残留基準値は、我が国では一ppmと定めており、先ほど御紹介したEUの基準の二ppmよりも厳しくなっております。また、ネオニコチノイド系農薬のうち、同様に先ほど御紹介したチアクロプリド、アセタミプリド、ジノテフランについての我が国の残留基準値はそれぞれ、二五ppm、三〇ppm、二五ppmであり、いずれもEUの基準値の方が厳しくなっております。
次に、EUとの相違についてお答えします。
我が国における食品中の農薬の残留基準値は、農薬を適正に使用した場合の残留試験の結果等に基づき、食品安全委員会による食品健康影響評価を踏まえ、人の健康を損なうおそれがないよう、私ども厚生労働省において設定しております。
農薬の使用方法や使用の有無は各国の害虫の種類や気候風土により異なるため、同じ食品であっても国によって残留基準値が異なる場合があり、先ほどのお茶で使用される農薬についても我が国とEUで異なった残留基準値が設定されているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/128
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129・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
と言いつつも、このEUで使用が禁止されている農薬が日本に結構輸出されていると、国際環境団体、グリーンピースとかが指摘もしております。
あと、御存じかと思いますが、ネオニコ系でいえば、日本では水田で使われています。カメムシが米のでん粉を吸うと黒い点のあるお米ができてしまい価格が下がり、それを防ぐためカメムシ退治で必要がありました。しかし、現在ではほとんど精米工場には色が付いたお米を自動的に取り除く機械が設置されていますから、そこまで必要がないはずです。
農薬が全て悪いというわけではないんですが、とにかく日本の農薬の残留基準が緩いままでみどりの食料システム戦略を推進する施策矛盾は少し奇妙に感じます。これは一体どういうことなのか、御説明お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/129
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130・勝俣孝明
○副大臣(勝俣孝明君) ありがとうございます。
先ほど厚労省から答弁がありましたとおり、我が国で使用される農薬は、食品安全基本法、農薬取締法及び食品衛生法に基づき科学的に安全性を確保しておりますので、EUと残留農薬基準値が異なっていたとしても、我が国で使用方法を守って使用される限り、人の健康上、安全性に問題が生じることはないものと考えております。
一方で、とりわけ化学農薬は、高温多湿で病害虫の発生が多い我が国において安定的な生産を行うために必要な資材であるものの、環境負荷の低減を図るためにはできるだけ使用量を減らしていく必要があると考えております。このため、委員御指摘のとおり、みどりの食料システム戦略においては、化学農薬の使用量の低減や化学農薬を使用しない有機農業の拡大について目標を定めた上で、その実現に向けて、リスクのより低い化学農薬等の開発、改正植物防疫法に基づく総合防除の取組、有機農業についての技術確立や地域ぐるみの取組などを総合的に進めていくこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/130
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131・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
物によって違う、処分基準、違うとは思うんですけれども、全体的に考えて日本は決してその規制が厳しいというふうには思えないと思います。お米の国である日本の国産米の方が輸入米より基準値が緩くなるというのもおかしな話だと思います。ですから、国内向けの農作物も輸出向けと同等の残留農薬基準に合わせるべきではないかと私は思います。
ここで、野村大臣にお伺いします。
それを進める手順として、鹿児島県の緑茶生産におけるペレット堆肥の活用事例などを横展開して全国に広げていくなり、方法は幾らでもあると思います。是非、御見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/131
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132・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げます。
須藤委員から鹿児島のことをお聞きいただいたものですからお答えをさせていただきたいと思いますが、昨年来、農水省でみどりの食料システム戦略を各県にも、もちろん経済連等にも説明があったわけですが、いち早くそれを取り組んだということであります。その背景には、鹿児島県、畜産県でありますので、牛ふんにしても豚ぷんにしても、それから鶏ふんにしましてもたくさんございます。それから、堆肥センターも持っておりますんで、これからやっぱり肥料を有機肥料に切り替えていこうと。特に、先ほどお話がありましたように、お茶の輸出では、EUにしてもアメリカにしても、有機栽培のお茶でないとなかなか取引ができません。
したがって、そういったお茶の販売拡大に備えるためにも何らかの有機農法でやっていこうじゃないかということで一部の人がやっておったんですけれども、今回、みどりの食料システムの戦略を全国展開をしたいと、こんな思いもありまして、今、先ほど御指摘のありましたような有機JASの認証を受けた農地の面積も今拡大をしつつありまして、今度の秋肥から、秋の肥料、これはお茶に、お茶は秋の肥料になりますので、この秋肥から、今申し上げましたような有機のお茶の肥料を組合さんに配布をし、供給をしているところでございまして、そういった意味では、畜産県でないとなかなかできない問題。といいますのは、肥料の成分の中に牛ふん、豚ぷん、鶏ふん、両方あるものですから、この三つがないと、成分的に植物に、その生育のために結果としてどうなのかという、豚ぷんだけ使えばいいとか牛ふんだけ使えばいいとかというものではなくて、この三つを組み合わせたところが鹿児島県の大きなみそになってくるだろうと。そして、今、全国展開もしようということで、ペレット化してこれを出しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/132
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133・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
その鹿児島モデルみたいなものを全国に広げていただければと思います。農業は国民の健康を支える大変重要な役割になっております。それを守るためにもみどりの食料システム戦略があると理解していますので、是非、減農薬にも力を入れていただければと思います。
さて、続きまして、アニマルウエルフェアについて質問させていただきます。
今年の一月一日からドイツでは採卵鶏の雄ひよこを殺処分することを禁止し、フランスが今年末までに、またイタリアでは二〇二六年に禁止するとのことです。
雄ひよこは卵を産まないことから、生まれて一日目にふ化場で殺処分をされてしまいます。まずお聞きしますが、日本では何羽の雄ひよこが殺処分されているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/133
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134・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) お答えをいたします。
採卵鶏の雄は卵を産みませんので、生まれてすぐに殺処分をされるというのは御指摘のとおりでございます。
我が国におきまして、採卵鶏の雄のひながどの程度生まれて殺処分されているかについて直接的な統計データなどはございませんが、一般社団法人でございます日本種鶏孵卵協会が推計をしております令和三年の全国の採卵鶏の雌のひなの出荷羽数が約一億一千万羽という推計でございますので、ほぼ同程度の羽数の雄も生まれているものと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/134
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135・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
シンプルに考えれば、雌が一億一千万羽ということは、同じ数の雄が殺処分されているということになります。
では、雄ひよこの殺処分の方法としてどのような方法が取られているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/135
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136・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) お答えをいたします。
雄のひよこの殺処分の方法でございますが、我が国も加盟しておりますアニマルウエルフェアの国際的な指針、国際基準を策定しているOIEにおきまして平成十七年に疾病の管理を目的とした殺処分に関する指針が採択されておりまして、その中で、ひなの殺処分は、直ちに死亡するか、死亡するまでの間の意識喪失状態に直ちに至る方法を用いるということが推奨されてございます。
この国際基準を受けまして、私ども、令和二年に畜産振興課長の通知を出しまして、家畜の殺処分を農場内で実施しなければならない場合には、直ちに死亡させるか、あるいは直ちに意識喪失状態に至るようにするなど、できる限り苦痛の少ない方法により殺処分するよう指導をしてございます。
現在、我が国における採卵鶏、雌のひなの生産過程で生まれてくる雄のひなの殺処分については、マセレーターを利用した殺処分ですとか窒息死といった方法が取られていると聞いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/136
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137・須藤元気
○須藤元気君 正直、余りこの殺処分の質問とかはしたくないんですが、僕も同じ雄として、何かおちんちんが付いているだけで生まれてすぐ殺されてしまうというのが、ちょっと本当、胸も股間も痛みまして、やはり、同じこの魂を宿る生き物にやはり敬意を持つことというのは大切だと思います。
人間が動物などほかの生命に対しての取扱い方と、人間が同様に弱い立場にいる人、人間に対しての取扱い方の構造というのは、そこまで大きく変わらないと思います。今世界で起きている多くの社会問題というのは、その全ての生命に対して優しくするというスタンスを持つことで変わっていくと私は思っております。
さて、ドイツのライプチヒ大学では、卵の時点でひよこの性別を約九八%の精度で判別する方法を考案しております。セレグトというものらしいんですが、まず、卵をセンサーで受精しているかどうかをチェックします。そして、レーザーで卵の殻に〇・数ミリの小さな穴を空けて検査し、雌と判断されればふ化するまでふ卵器で育てられます。そして、受精していない卵や雄と判断された卵はどうするかといいますと、高たんぱく質飼料として加工されます。
そこでお聞きしますが、このほかに世界ではどのような取組をしているのか、農水省で把握されていることがあれば教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/137
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138・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) お答えをいたします。
採卵鶏の雄のひなを直ちに殺処分しない場合の取扱いでございますけれども、これ、ヨーロッパを中心に、まず一つ目といたしまして、卵肉兼用種、卵と肉両方の兼用種を採用しまして、雄については肉用として育てる、雌については卵、採卵用として利用するというのが一つございます。また、二つ目といたしまして、採卵鶏の雄のひなをそのまま肥育して食用の肉として利用するというものもございます。また、三番目といたしまして、今委員御指摘のありましたけれども、ふ化する前に卵の中で鑑別する卵内鑑別を実施するという、そういった三つの方法が検討あるいは研究されていると承知をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/138
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139・須藤元気
○須藤元気君 そういった実際にものが世界である中で、日本もやろうと思えばできるはずです。これらの世界の動きに対し、日本ではどのような施策を考えているのか、技術開発をしているのか、また検討していることがあれば教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/139
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140・藤木眞也
○大臣政務官(藤木眞也君) お答えいたします。
私もこのお話聞くまでは、牛、豚に関しては雄は肉に回っていくというふうに存じ上げておりましたが、鳥に関してがこういう状況にあるというのを、いい勉強させていただきました。ありがとうございました。
そういう中から答弁を申し上げますと、農林水産省としましては、アニマルウエルフェアについてOIEコードに基づいた指針を国として示すべく検討中であります。我が国のアニマルウエルフェアの水準の向上に努めてまいりたいと考えております。
こうした中、雄のひなの殺処分を回避する手法としては、卵肉兼用種により雄の肉用、また雌は卵用として利用する方法や、採卵鶏の雄のひなをそのまま肥育する方法については、現段階で国内での取組や研究の事例は承知をしてございません。一方、卵内鑑別技術の開発については、我が国において、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構や京都大学において研究が行われていると承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/140
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141・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
生まれたその日に雄ひよこを殺処分するというこの養鶏の慣行を終わらせるために、日本でも、今からこの技術開発や新たな取組への移行の検討、また移行に係る費用についての議論が必要だと思っております。是非、日本でも進めてください。
私の質問は以上になります。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/141
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142・寺田静
○寺田静君 無所属の寺田と申します。今日もよろしくお願いいたします。
秋田では、先週、第百四十五回の種苗交換会というものが開かれておりまして、これは戦前、戦後、コロナ禍の間も一度も休むことなく続けられてきたもので、全県から農家が集まって、その年の作物を出品して競い、情報交換はもとよりですけれども、より良い種苗の交換が行われる全国でも珍しい会だというふうに聞いております。大臣は所信の中で、機会があるごとに現場に足を運びたいというふうにおっしゃっておられましたので、前回の質疑の後にパンフレットもお渡しをさせていただきました。
その種苗交換会の席でですけれども、長年自民党に所属をされ、農家をしながら農政を一筋でやってこられた自治体議員の方にこう言葉を掛けていただきました。大規模化、スマート化と言うけれども、みんながみんなそれでやっていけるわけではないと、うちも九十代の親の介護をしながらやっていると、食事を食べさせておむつを替えて、自分を産んでくれた母がどんどん小さくなっていくのを見るのはつらいと、みんないろいろ、いろいろある、先祖代々の土地だけれども、農地だけれども、究極は農地は事業者に任せることができると、でも、それでは集落は崩壊してしまうと、こういうことを忘れないでやってほしいというふうに言われました。
私自身、返す言葉が見付かりませんでした。私が不勉強なだけかもしれませんけれども、今の農政はやっぱり大規模化、効率化ということばかりが言われて、こうした高齢の担い手が何とか踏ん張ってきた体もだんだん利かなくなって、いよいよどうしようもなくなって、自分でやることを泣く泣く諦めて、せめて先祖代々から受け継いだ農地を自分の代で荒らすわけにはいかないからと手広くやっている人に任せるときが来ると、こういうことをどこか安全なところから、私自身も農家でないので私自身も含めてですけれども、どこかこう高みから眺めて冷たく待っているだけというふうに感じられるのが今の農政、日本の農政の大枠の印象ではないかと私自身は思っております。
国際情勢の厳しさが増す中、また自給率の向上も図らなければならないことなどを考えれば、この大規模化、効率化というところが重視をされるのは分かるんですけれども、でも、余りにそれ以外に、厳しい、支援が乏しいというのが今の現状ではないかと。それゆえにこうした声が聞かれるのではないかということを考えております。
前回御紹介した大潟村ですけれども、ここの農家の平均年齢が他の市町村より十歳若いということから分かるとおり、大規模化が向いているところはある意味自力でも稼いでいける、若い人がやっぱり稼げるから農業をやっていこうと思えて集まってくるんではないかと思うんです。ただ、今そうではないところがやはり問題なのではないかと私は思っています。
大臣が再三おっしゃっている農業の持つ多面的機能ですね、農村コミュニティーの維持であるとか水源の涵養、景観の維持、里山と人里の境界の維持ですとか、こうしたものに国はきちんと価値を見出して、その機能を担っているこの中山間地、家族経営の小規模な農業従事者にその価値に見合う対価を渡すことができていないのではないかと、手薄なのではないかというふうに思うんですが、現状が手薄であるという認識は大臣におありになるでしょうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/142
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143・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げます。
今御指摘がありましたように、効率化、大規模化というのが今までずっと進んできた基本法の中で農政の行く道だったわけでありますが、今おっしゃいましたように、じゃ、それだけで地域は守れるのか、あるいは中山間地は成り立っていくのかということも考えておりまして、先般、これは令和二年の三月の基本計画でもこういったようなうたい方をしてあります。意欲ある農業者を、経営規模の大小や法人か家族経営かの別を問わず、幅広く育成、支援しますと。先ほど委員おっしゃったような方向であるというふうに思いますが、このことを令和二年の基本計画の中でうたい込んでありますから、これに基づいて我々はやっていこうと思っております。
したがいまして、御指摘の地域社会の維持に重要な役割を果たしております多様な農業経営体についても、その役割を踏まえて、多面的機能支払あるいは中山間地の直接支払等を含めて支援を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/143
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144・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
支援は一応いろいろやっていますというお答えであって、また大臣が基本法、この基本計画も見直すということを所信の中でもおっしゃっておられますので、こういったところにも目配りをしていきたいというお答えであるというふうに理解をしております。ただ、それであれば、こうして、どうしてこのような方がまだ政治の世界に入って間もない私にこのようなことをおっしゃっていただいたのかということをもう少し考えていただきたいと思うんです。
次に、このこととも少し絡みますけれども、豪雪地帯での雪寄せのことについてお伺いをしたいと思います。
この場にも北海道や東北の委員が多くおられますけれども、大臣は鹿児島の御出身ということで、雪国の暮らしに余り御存じはないかもしれないとも思いつつですけれども、間もなく雪が降り始めまして、ここから三月ぐらいまでの間、秋田のようなところ、特に内陸部は雪が積もって、農家は雪寄せにも追われます。
農家の家というのは一般の家庭よりも敷地が大抵広いものですから、農協の青年部の方からこんなお話をいただいたんです。集落に残っている若い人間は自分だけで、まとめて除雪作業をやってあげていると、これからももちろんやってあげたいし、こんな話をするのも嫌なんだけど、ガソリン代も持ち出しなんだと、せめてガソリン代だけでも出れば有り難いんだと。こういうところなんだろうなというふうに思うんです。
このことは役所の方に事前にもお伺いをしました。家の敷地ということなら、国土交通省とかそれぞれの自治体でやっている支援を利用できないのかとも言われました。
参考人の方で結構です。どの役所のものでも結構ですけれども、この方の要望に沿うような支援はありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/144
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145・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) お答えいたします。
豪雪地帯につきましては、全国の経営耕地面積の約六割、米の産出額の約五割を占めるなど、我が国の重要な食料の供給基地であると認識しております。
本年三月に豪雪地帯対策特別措置法が改正されまして、これを受けまして、政府全体で検討しております第七次豪雪地帯対策基本計画では、除排雪の担い手の確保及び除排雪体制の整備の促進の項目の追加等を検討しているところでございます。
当省におきましては、中山間地域における農業生産活動を支援いたします中山間地域等直接支払制度で、交付金を活用して、地域の農業者等が共同で農道や生活道の除雪等の活動をしている活動を支援している事例がございます。
今後も、関係省庁と連携し、豪雪地帯対策の推進に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/145
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146・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
今年三月にもまた改正されているということで、じゃ、この冬は使えるようになるのかなということを願っておりますけれども、今まであったもので少なくともうまくいっているのであれば、こういう声は聞かれないんだと思うんです。
国土交通の予算であるとか自治体の予算であると言われたらあれですけれども、やっぱり農家の家の敷地というのは広いと、私が言うまでもないことですけれども、農業機器や果実の仕分けやら箱詰め作業やら、とにかく広いということがあって、一般家庭と一緒にできるものではないですし、また、この委員会室の三分の一か二分の一ぐらいの面積に一晩三十センチ、四十センチと積もって、ひどいときは一日に三回も雪寄せをしなければいけないと。
こういう状況を何とか御理解をいただいて、制度があっても使えないという目詰まりが生じないように、大臣からも、何とか使える制度ができるように御指導いただきたいと思いますけれども、一言大臣、決意をいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/146
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147・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) ただいま青山局長の方から話がありましたように、直接的なこの除雪機等の燃料費への支援というのはなかなかこれはもう難しいし、これは先ほどもございましたように、国交省なりあるいは総務省、こういった形で共有しながら、今後とも現場の声を踏まえながら豪雪地域の対策の推進を努めていきたいと思っておりますが、ただ、農水省でいいますと、先ほどの青山局長とダブるんですけれども、中山間地の直接支払の中にそういったことができるような仕掛けになっておりますので。ただ、これはお一人でということじゃなくて、地域でのやっぱり話合いといいますか、グループでの取組が前提になりますことは御承知おきいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/147
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148・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
その辺りに使いにくさがあるのかなということも思っております。ただ、ばらばらに申請にたくさん来られても困るということがあるのかもしれませんけれども、このようにどんどん人がいなくなっているという現状を踏まえていただいて、何とか使いやすい制度に変えていっていただきたいなというふうに思っております。
次に、農業における女性の置かれている状況について質問をさせていただきたいと思います。今年の九月、農水省で出されている農業における女性活躍の推進についての資料に関してお伺いをしていきたいと思っております。
この資料によれば、女性は基幹的農業従事者の約四割を占める重要な担い手であるとして、今後の農業の発展、地域経済の活性化のためには、生活者の視点や多彩な能力を持つ女性農業者が力を発揮していけるようにすることが重要として、農協や農業委員、土地改良区の理事などに占める女性の割合を引き上げていくとして、成果目標などが記されております。
農水省として、女性の意見の反映が大事だと、引き上げる必要があると考えておられる理由を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/148
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149・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げます。
今委員御指摘にありましたように、農業経営の大体四割を、あっ、農業従事者ですね、四割を女性が占めておりまして、言わば昔は母ちゃん農業というぐらいに奥さん方、女性の方の活躍が目立っておりましたが、現在もやっぱり四割はその中心を占めていただいております。
やはり女性が農業経営に関わりますと利益の増加が見込まれるというのが一つあります。それから二つは、農業経営において重要な役割というのは、やっぱり地域の女性の視点といいますか、加工なり販売、こういったところはやはり女性の目でないと、なかなか男性が気付かないところもありますし、畜産におきましては女性が非常に活躍する場が多うございまして、特に繁殖農家でいきますと、今は多頭飼育になってミルクを与えるんですが、人工ミルクなんですけれども、これはもう女性でないとなかなか子牛が来ないと。ここに藤木さんも、自分でやっておられますけれども、奥さんがほとんどやっておられますから、子牛の育て方はやっぱり女性だと、こういう話はよく聞かされまして、女性の活躍の場というのはいろんなところでやっていただいているというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/149
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150・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
それでは、現状でですけれども、農業経営や地域の農業団体等において、その四割を占める重要な担い手である女性たちの意見は十分に反映されているとお考えかどうか、参考人の方にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/150
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151・村井正親
○政府参考人(村井正親君) お答えいたします。
現状、認定農業者に占める女性割合が五・一%、農業委員に占める女性の割合が一二・四%、また農協役員に占める女性の割合が九・〇%となっております。これらの割合は徐々に高まってきておりますけれども、第五次男女共同参画基本計画における女性割合の目標には達しておりません。
女性の意見を農業や地域の方針策定に十分に反映できるよう、引き続き努力が必要であると認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/151
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152・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
先ほど大臣からも御答弁をいただいておりましたけれども、女性が関わるとやっぱり経営にもいい影響があるんだというようなことで、今日、資料も三枚配らせていただきました。
一枚目が、女性が経営に関わった場合に経常利益の増加率が高いということです。規模の問題もありますから一概には言えませんけれども、少なくとも相関関係にあるということがこの資料からは読み取れるところであると思います。
ただ、実際には、現場はどうかというようなことをまた私も種苗交換会の機会を捉えて聞いてみましたけれども、女性たちに聞くと、女性が必要だから来てくれと呼ばれて会議に行くけれども、参加していざ意見を言ってみると、何言ってんだと、黙っておけという冷たい目にさらされると。オリンピック組織委員会の森前会長の発言ですね。女性が多い会議は時間が掛かるとか、文科省の言うとおり女性を四割にするなら女性の発言時間を制限しないといけないとかいう発言を思い出しました。男性たちにとっては、何か笑いとともにこのまま何事もなく過ぎるだろうなと思われていたと思うんですけれども、結局、森会長は数週間で辞任に追い込まれたということがあったと思います。
地域の農業の会議というのは恐らく御高齢の男性が多くて、女性たちはやっぱりこういうプレッシャーを感じながらいるのだろうなというふうに思います。農業関係のドキュメンタリー、秋田のとある地域が取り上げられたものがあって、私も見ましたけれども、会議の様子で、席に着いているのは男性ばかりで、女性たちはお茶や食事を給仕するために立ち働いていると。そもそもこの席に着く機会を与えられていないというところもあると思いますし、席に着いたとしても、そこに発言権があるかとなると別問題となっていると。
こうした女性を含めた少数者が自由に発言できる風土づくりに有効なのは、会議に一定数の女性を入れることが大事だというふうに言われております。こうした会議体、女性が何割になれば解決されると考えておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/152
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153・村井正親
○政府参考人(村井正親君) お答えいたします。
令和二年十二月に閣議決定されました第五次男女共同参画基本計画におきましては、指導的地位に占める女性の割合が二〇二〇年代の可能な限り早期に三〇%程度となるよう目指して取組を進めると策定されているところでございます。
この趣旨を踏まえまして、農林水産省といたしましても、農業委員会、農業協同組合、土地改良区のそれぞれの分野において、女性が方針策定に参画し女性の声を反映させていけるよう女性の登用を推進してまいりたいと考えておりますが、今御指摘いただきましたように、何よりも男性も含めて意識改革をいかに進めていくかということが大変重要であるというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/153
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154・寺田静
○寺田静君 ありがとうございました。
その意識改革のために必要な数値も、この三割、この三割が担保されることが何より大事なんだというふうに思います。
ちょっと時間が迫ってまいりましたので質問飛ばさせていただきますけれども、事前に配付しました資料に、現在、農水省として定めた成果目標、数値目標を示させていただきました。農水省の資料ですけれども、まだ目標も三割には届いておりません。私としては、どうしてもこの三割というところを維持することが、発言のしやすさ、そして意思の反映のために、そして男性の意識改革のためにも欠かせない数値なんだろうというふうに思います。
そこで、大臣に最後お伺いしたいと思います。
この一定の数値の目標、大臣はもしかしたら数値目標、余りお好きではないかもしれなくて、数字が独り歩きするなどということも衆議院の質疑の方でおっしゃっておられるので、余りお好きでないかもしれないんですけれども、私自身は、少なくともこの最低三割の達成のために、達成したところにはプラスアルファでお金を渡すなどとして、言わばそうした形で強制力を持って、何かインセンティブを持って進めていくことも私は必要ではないかというふうに思っておりますが、最後、お伺いできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/154
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155・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 私も長いことJAにおりましたので、女性の役員の確保というのは非常に難しかったというのを覚えています。それは、今現在は農協の役員さんで女性の占める割合は九%しかありません。農業委員会は一二・四%。これをやっぱり、先ほど局長が申しましたように、早く三〇%まで持っていこうということで努力はされているんですが、なぜ女性に私が現役時代に困ったかというと、皆さん尻込みされるんです、女性の方の方が。したがって、是非なっていただきたいというのも一つ、一方では言うんですけれども、いや、私はできませんとか、あるいは、農協の場合なんか責任が伴いますんで、それがあるものですからなかなか引受手が少ないということですけれども、今徐々に増えつつあることも間違いないんで、これからも努力しながら農水省としても支援をしていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/155
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156・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
時間が来たから終わりにしたいと思いますけれども、尻込みをされるというお話でしたけれども、少なくとも私が聞いている限りやりたいと思っている女性はたくさんいるので、十回でも二十回でも声を掛けていただきたいと思っております。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/156
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157・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/157
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158・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 次に、競馬法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。野村農林水産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/158
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159・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 競馬法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
地方競馬については、令和二年度には二十九年ぶりに売得金が九千億を超えるなど、堅調な売上げとなっていますが、施設の老朽化が著しく進行しており、地方競馬主催者が今後長期にわたり多額の施設整備費用を負担していかなければならない状況になっております。
また、馬産地については、軽種馬生産農家戸数が約二十年間減少し続け、現在も多くの経営体において後継者が確保できていない状況にあります。
さらに、近年、競馬関係者による勝馬投票券の購入、給付金の不適切受給等が発生し、競馬に対する国民の信頼が揺らぎかねない状況になっております。
このような状況を踏まえ、地方競馬の経営基盤や馬産地の生産基盤の強化を安定的に推進するとともに、競馬に対する国民の信頼を確保するための措置を講ずるため、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、地方競馬の支援措置の拡充についてであります。競馬活性化計画の目的及び記載事項を見直すとともに、地方競馬の活性化を図るため、地方競馬全国協会の畜産振興勘定から競馬活性化勘定への資金の繰入れ措置の恒久化及び日本中央競馬会が地方競馬全国協会に対し必要な資金を支援するための措置の延長を行うこととしております。
第二に、馬産地への支援措置の恒久化であります。競走馬の生産の振興を図るため、日本中央競馬会が地方競馬全国協会に対し必要な資金を支援するための措置の恒久化を行うこととしております。
第三に、競馬に対する国民の信頼を確保するための措置の充実についてであります。日本中央競馬会又は都道府県若しくは指定市町村が競馬の円滑な実施を確保するため必要があると認めたときに競馬主催者として必要な処分を行うことができる必要な措置を講ずるとともに、競馬関係者による勝馬投票券の購入又は譲受けに関する罰金額の上限を二百万円に引き上げるなどの措置を講ずることとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/159
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160・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015007X00320221108/160
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