1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年十一月二十二日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
十一月十七日
辞任 補欠選任
吉井 章君 世耕 弘成君
十一月二十一日
辞任 補欠選任
世耕 弘成君 小林 一大君
山崎 正昭君 永井 学君
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出席者は左のとおり。
委員長 杉 久武君
理 事
加田 裕之君
三木 亨君
牧山ひろえ君
谷合 正明君
川合 孝典君
委 員
小林 一大君
古庄 玄知君
山東 昭子君
永井 学君
福岡 資麿君
森 まさこ君
和田 政宗君
石川 大我君
福島みずほ君
佐々木さやか君
梅村みずほ君
鈴木 宗男君
仁比 聡平君
国務大臣
法務大臣 齋藤 健君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 小野寺真也君
最高裁判所事務
総局刑事局長 吉崎 佳弥君
事務局側
常任委員会専門
員 久保田正志君
政府参考人
法務省大臣官房
審議官 柴田 紀子君
法務省民事局長 金子 修君
法務省刑事局長 川原 隆司君
法務省矯正局長 花村 博文君
法務省訟務局長 春名 茂君
出入国在留管理
庁次長 西山 卓爾君
公安調査庁次長 田野尻 猛君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
(入管収容施設における被収容者の死亡事案に
関する件)
(判検交流に関する件)
(刑事手続における被害児童ヘの配慮に関する
件)
(死刑制度に関する件)
(技能実習制度に関する件)
○民法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/0
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001・杉久武
○委員長(杉久武君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、吉井章君及び山崎正昭君が委員を辞任され、その補欠として小林一大君及び永井学君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/1
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002・杉久武
○委員長(杉久武君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省大臣官房審議官柴田紀子君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/2
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003・杉久武
○委員長(杉久武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/3
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004・杉久武
○委員長(杉久武君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/4
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005・加田裕之
○加田裕之君 おはようございます。加田裕之でございます。
今日の一般質疑に際しまして、特に、十一月十八日、東京入管におけます被収容者自殺事案についてお伺いしたいと思います。大変痛ましい事件であり、私も心から、衷心よりお悔やみ申し上げたいと思いますし、また、再発防止についても努めていただきたいと思っております。
まずなんですけれども、報道によりましたら、亡くなられた方は自殺であったということなんですけれども、この事実関係についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/5
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006・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 委員御指摘のとおり、令和四年十一月十八日、東京入管の被収容者一名がお亡くなりになりました。まずは、亡くなられた方の御冥福をお祈りいたしたいと存じます。
その上で、御説明を申し上げます。
現時点で把握している事実関係として、亡くなられたのは五十歳代のイタリア人男性であり、この方は、令和四年十月二十五日から、仮放免が取り消されたことにより東京入管に収容されていたものでございます。
令和四年十一月十八日午前七時二十二分の職員による発見時、この方は、引き裂かれたテレビの電気コードを巻き付けた五十円玉二枚を輪ゴムで固定して、両こめかみに当て、コンセントに差し込み、通電した状態で居室内に敷かれた就寝用のマットレスの上に横たわっていた状態であったということです。その後、午前七時二十六分に職員が救急搬送を依頼したものの、午前九時十六分に搬送先病院での死亡が確認されました。
亡くなられた方は単独で居室に収容され、本人以外が居室内に立ち入った状況はないことや、発見時の本人の状況など、現時点で得られている情報からは自殺と考えているところでございます。
いずれにいたしましても、収容施設において被収容者が亡くなられたことを重く受け止め、引き続きしっかりと事実確認を行い、適切に対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/6
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007・加田裕之
○加田裕之君 ここで大事なことは、今回のこのことについて、職員はどのような経緯で御本人の状況を発見したのか、当日の職員の対応は本当に適切だったのかどうか、そのことについてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/7
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008・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 当日の対応ですが、現時点で把握している限りでは、当日の午前七時二十二分頃、職員が亡くなられた方の居室に立ち入ったところ、御本人が倒れていることを確認、発見後、職員は直ちにAEDなどによる心肺蘇生措置を行うとともに、午前七時二十六分に救急搬送を要請、その後、病院に搬送されましたが、午前九時十六分に搬送先病院で死亡が確認されたというものでございました。
詳細な事実関係は確認中でございますが、職員は発見後、必要な救命措置を行い、直ちに救急搬送を行ったと承知しており、現時点ではその対応に不適切な点は見当たらないと考えております。
いずれにいたしましても、事実関係をしっかり確認してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/8
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009・加田裕之
○加田裕之君 言わば、先ほど答弁ありましたように、しっかりと事実関係を確認していただきたいと思っております。
そうした中におきまして、今後の調査方針について、先ほども事実関係をしっかりと調査するというお話ありましたけれども、これからの調査方針についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/9
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010・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) まずは、地方官署を監督する立場であります本庁におきまして、しっかりとした事実関係の確認を行った上で、更なる詳細な調査の要否やその方法などを検討し、適切に対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/10
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011・加田裕之
○加田裕之君 やはり、こうやって入管の施設の中におきまして自殺者が出たということはやはり大変ゆゆしきことであり、そしてまた大変遺憾なことでもございます。是非とも、この再発防止に向けてももちろんでございますし、事実関係の調査ということについてもやはりきっちりと丁寧にやっていただきたいと思っております。これは要望にしておきますので、コメントは求めません。
続きまして、先日来私も何度も取り上げておりますこの神戸の神戸家裁におきます事件記録の破棄、これは神戸家裁だけでなく全国の部分についてもそうなんですが、この事件記録の破棄についてお伺いしたいと思うんですけれども、このことにつきましてこの前質問いたしましたところ、また、有識者委員会の開催ということにつきましてペーパーが回ってまいりました。十一月二十五日金曜日と二十八日、第二回ということで、これはしっかりとこういう形で公表していただいたということ、そして、このことについて迅速にやっていただいたことについては評価を申し上げたいと思います。
その一方で、先般、私質問しました中におきまして、重く受け止めておりますということを言われました。私は、この委員会を始める前というものにつきまして、これはもう責任追及ではないんです、これ誰が、処罰しろとかそういう話では全くありません。今回、指導監督するというのはやはり最高裁の私は責務でありますし、仕事だと思っております。このことについて、司法行政上の判断に基づいて答弁もされておりますので、私は、まずこの委員会、第一回、第二回、これは有識者が開くという部分にありますけど、その前提条件といたしまして、やはり私は謝罪ということをしっかりとやっていただきたいと思っております。
その点について、先般は、答弁については、重く受け止めますということを言われました。この重く受け止めるということについては、私はやはり、先般の違う、衆議院の委員会の方においても、事件記録というものは国民の、誰のものであるかということの問いにつきましては、国民のものであるという答弁をされました。言わば、国民のものであるという、国民の財産、貴重な記録財産というものが破棄されたということについてやはり重く受け止めていただいておるんですが、やはり、その中にはやはり謝罪という部分も私は含まれるべしであると思っております。
先般のその重く受け止めるという中のことにつきましての、重く受け止めるという言葉の中についての謝罪という意味についての見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/11
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012・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
神戸家裁の件を始めとする耳目を集めた少年保護事件記録等の廃棄が行われた当時は、特別保存を適切に行うための仕組みが整備されておらず、規程、通達の趣旨に沿った適切な運用がされていたとは言い難い状況にあったものであり、これは庁全体、さらには裁判所全体の問題であるというふうに考えております。
このことにつきまして、最高裁として重く受け止め、率直に反省をしているところであり、事件に関係する方々を含む国民の皆様に対し申し訳なく思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/12
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013・加田裕之
○加田裕之君 もちろんですけど、今のこの真摯な答弁というのを私も聞きまして、思います。もちろん、誰かを罰してほしいとか、当時の担当者、今聞き取りもされておりますので、ヒアリングされている中において、当時の職員を処罰しろとかそういうことを言っているんではないんです。やはり、これからの部分に向けて、それからまた、有識者委員会というのはあくまでも有識者委員会でありますので、これをしっかりと指導監督するといいますか、そのことについては最高裁がやはり私はリーダーシップを持ってやっていただきたいと思っております。
このことについては、是非ともリーダーシップを持ってやっていただくということをよろしくお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。この問題についてはまた引き続き取り上げさせていただきたいと思いますが、以上をもちまして終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/13
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014・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえです。
本日の一般調査に係る質疑を担当させていただきます。よろしくお願いいたします。
前回の福島議員に引き続きまして、判検交流についてお伺いしたいと思います。
東京地裁で行政処分の取消しなどの訴訟を担当する行政訴訟専門部の部総括裁判長を務めていた春名茂氏が、九月一日付けで法務省に異動しました。国が被告となる訴訟に国側の代理人として対応する訟務検事が所属する訟務局のトップである訟務局長に就かれました。この人事は、裁判所と法務省、検察庁の間の人事交流である判検交流によるものです。
この人事につきましての懸念を表明した福島議員の前回質疑に関し、大臣はこういうふうに答弁されています。法曹は法という客観的な法律に従って活動するものでありまして、裁判官、検察官、弁護士のいずれの立場においても、その立場に応じて職責を全うするものであると考えています。要は、法曹という職種の人間は法律に基づいて行動するので心配要らないというふうに説明されているんですね。言わば性善説に基づいた御見解ですが、そもそも三権分立や司法の独立は性悪説を背景としています。懸念に対する回答としては、私は説得力に欠けると思います。
通告しておりませんが、前回質疑の関連質問ですので、大臣、御答弁お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/14
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015・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 繰り返しになってしまうんですけど、まず、個別の人事について私が一つ一つコメントをすることは差し控えたいと思っておりますが、あくまでも一般論でありますが、先日答弁させていただいたとおりに、法曹は法という客観的な規律に従って活動するということでありますので、裁判官、検察官、弁護士のいずれの立場においても、その立場に応じて職責を全うするものであるというふうに考えています。したがって、裁判所において国を当事者等とする訴訟を担当していた裁判官が訟務局に異動し当該訴訟に関与することについて、直ちに職務上問題があるとは考えておりません。
ただし、国を当事者等とする訴訟の遂行に当たりましては、裁判の公正性や職務の中立公正な執行に疑念を抱かれることのないように、かつて裁判長として担当していた訴訟には関与しないこととする、そういった対応を行っているものと承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/15
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016・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 このような人事は、三権分立や司法の独立といった憲法上の要請に反する懸念があるばかりでなく、具体的な裁判においても司法の公正それから中立性に懸念を持たせることになりまして、問題が極めて大きいと考えております。
今回の人事交流によって、現在も続いている行政事件に関して、裁判官同士の話合いなどの内容を国側の責任者が知っているという事態が生じてしまいました。評議の秘密が侵されているわけです。司法の公正、裁判の公平を害する人事としか言いようがないと思うんですね。
実際、この人事は裁判の公正への信頼を害するとして、有志の弁護士らが十月三十一日、最高裁長官と法務大臣宛てに抗議する申入れを行ったことは御承知のとおりだと思います。司法の公正、裁判の公平への信頼は、この人事で実際に害されているわけです。もしこの人事を正当化しようとするならば、このような人事が裁判の公平を害さないということを異論の出ない論理で証明するか、裁判の公平以上にこの人事によって得られる利益が大きいという比較考量論による論証をするしかないと思うんですね。
私や裁判の当事者は裁判の公平を害すると確信しております。裁判の公平以上にメリットが大きいとお考えの当該人事の狙い、それから理由付けを、どなたがそのような判断をしたのかも含めて御説明いただければと思います、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/16
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017・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 繰り返しになって恐縮ですけど、御質問は個別の人事に関するものでありますので、私からは答弁は控えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/17
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018・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 行政部の部総括経験者が訟務局長に就任したケースは過去に二回あるんですけれども、いずれも、間に別のポストに行って、そして異動されているんですね。今回のように別のポストを経由しない直接的な異動は前例のないものなわけです。前例のない人事、特にそれが高位の公職である場合には、当然説明責任が伴ってしかるべきだと思います。その人事に憲法上の疑義さえ呈されているならばなおさらです。
その点を御考慮の上で、改めて私の先ほどの質問に具体的に御回答いただければと思います、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/18
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019・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 繰り返しになりますが、本件御質問は個々の人事に関することでありますので、私からの答弁は差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/19
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020・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 局長人事は閣僚了解事項でありまして、高度に政治性を伴うものです。このような公務に携わる上級職について、行政庁において仮にどんなに不適切な人事が行われたとしても、国会は具体的な事情に踏み込めないとおっしゃっているようなものだと思うんですね、今の御答弁だと。
前回の委員質疑で大臣はこう答弁されています。国の当事者等とする訴訟の遂行に当たっては、裁判の公正性や職務の中立公正な遂行に疑念を抱かれることのないよう、かつて裁判所において担当していた訴訟には関与しないなどの対応を行っているとのことです。
春名氏が東京地裁時代裁判長を務めておられたジャーナリストの安田純平さんの弁護団が不公平な裁判をおそれ、春名局長が安田氏の訴訟に関与しないことを要望していたこと等に対応した措置と見られるわけです。不公平な、不公正な裁判が行われるのではないかという訴訟当事者の不安に対応したことについては、一定の評価ができるかと思います。
これに関連して、春名氏御自身にお聞きします。春名氏が就任された訟務局長の職責を御説明いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/20
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021・春名茂
○政府参考人(春名茂君) お答えいたします。
訟務局は、国の利害に関係のある争訟に関する事務をつかさどることとされておりまして、訟務局長は、国、局の責任者としてその所掌事務を統括する立場にあるものと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/21
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022・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 おっしゃるとおりです。
春名氏は、国が被告となる訴訟に国側の代理人として対応する訟務検事が所属する訟務局のトップです。部下の総務検事が、あっ、訟務検事が抱える訴訟の内容を聴取し、状況に応じた指示を出すのは業務そのものなのです。そうであるのに、国が被告となる複数の訴訟に関与しないということは、訟務局長としての職位に附属する権限を行使しないということで、現在の職務に対して不誠実であり、そして訟務局長として不適格となるのではないでしょうか。
関連ですので、大臣、お答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/22
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023・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) これ、繰り返しになりますけど、先ほど一般論として申し上げましたが、法曹は法という客観的な規律、これに従って活動するものでありますので、裁判官、検察官、弁護士、いずれの立場においてもその立場に応じて職責を全うするものであるというふうに考えておりますし、申し上げたように、裁判所において国を当事者等とする訴訟を担当した裁判官が訟務局に異動し当該訴訟に関与することについて、直ちに職務上問題があるとは考えておりません。
ただしということで、国を当事者等とする訴訟の遂行に当たっては、裁判の公正性や職務の中立公正な遂行に疑念を抱かせることのないよう、かつて裁判長として担当していた訴訟に関与しないこととする対応を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/23
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024・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 非常に残念な答弁を繰り返されていますが、といっても、関与すべきと主張しているわけではないんですね。関与したなら関与したで問題はより大きくなりますし、裁判の公平を害するということになりますから、二律背反でどうにもならないと思います。
関連して、春名局長にお伺いします。
裁判長を務めていた訴訟には関与せずという方針を日常の業務の中でどのように実践しているのでしょうか。関与せずの中身を具体的にお示しいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/24
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025・春名茂
○政府参考人(春名茂君) お答えいたします。
訟務局におきましては、当職がかつて裁判長として担当していた訴訟に関する決裁について官房長を決裁者とするなど、当職が関与しない対応を行っているところでございます。
したがいまして、当職は、かつて裁判長として担当しておりました訴訟につきまして自ら決裁などをすることはございませんで、一切の関与をしていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/25
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026・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 一切の関与をしていないというふうにおっしゃいますけれども、そもそも、関与しないといっても、それはどのように裏付けられているのかなと思うんです。
裁判官の場合には、忌避申立てが認められれば当該裁判官は正式にその訴訟の担当から外れ、かつ、裁判官の独立保障によって、忌避された裁判への影響の回避についてある程度信頼できる制度的裏付けはあります。ですが、裁判官の独立が保障されている司法分野と異なって、行政は組織での業務でありまして、言わばチーム戦です。そのような行政の世界で、責任者ではあるがこの一部の業務には関与しないと言っても、どのような根拠でそれを信じられるというのでしょうか。まあ悪く取れば、言っているだけではないかという懸念さえ当事者に生じると思うんですね。
関与せずという方針が実践されているということを信頼できる裏付けを是非御提示いただきたいと思います、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/26
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027・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 本当に繰り返しになるんですが、それぞれ職務をするに当たっては、例えば法曹は法という客観的な規律に従って活動するということが前提になっておりますので、裁判官や検察官、弁護士のいずれの立場においても、その立場に応じて職責を全うをしているというものでありますので、繰り返しになって恐縮ですが、裁判所において国を当事者等とする訴訟を担当していた裁判官が訟務局に異動して当該訴訟に関与することについて、直ちに職務上の問題があるとは我々としては考えておりません。その上で、先ほど局長からも答弁をさせていただいたような対応をしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/27
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028・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 非常に先ほどから残念な答弁を、御答弁を繰り返されていますが、本当に問題の根本についてお考えになってお答えになっているのかなと、本当に不思議に思います。
決裁に関わらないだけでは、裁判の公正を保つという意味では明らかに不十分です。アドバイスをしたり指示を出したりすることも訴訟の一方当事者としての国を利することになります。それを防ぐためには、例えば情報ということでいえば、元裁判長である訟務局長が持つ情報が当該訴訟を担当する部下から完全に遮断され、それが制度的に保障される、若しくは仕組み的に確保される、あるいはルールとして強制力ありの形で規定される、こういった具体的なことが実践されるわけではないわけですよね。訴訟当事者の不安を払拭するに足る関与せずとは到底言えないと思います。また、仮にここまでやれたとしても、やっぱり先ほどの根本的な問題は残ります。
先ほども触れましたように、裁判官について、裁判の公正を妨げる事情がある場合には当該事件の審理から外れる忌避申立てという手段があるにはあります。ですが、今回は逆のパターンです。すなわち、今回のように裁判官を外れ法務省に出向する人事異動について、人事権者以外は回避する手段はないわけです。
元々、判検交流には、三権分立や裁判所や裁判官の独立の見地から批判が根強くございました。刑事分野では、刑事事件を担当する裁判官と、捜査、公判を担当する検察官の交流人事が二〇一二年に廃止されましたが、民事分野では、民事裁判官と訟務検事の交流が続いております。
今回のように民事分野においても回避できない不都合を生じる運用事例が生じた以上は、判検交流自体の妥当性について再考すべきであると強く感じております。
離婚後の子供の親権について、法制審議会の家族法制部会は、今月十五日、父母双方が持つ共同親権の導入と、どちらか一方に限る現行の単独親権の維持を併記した中間試案をまとめました。家族法制部会での議論の取りまとめについて、元々法務省は、当初九月にパブコメを実施することを予定されておりました。ですが、八月二十六日に開かれた自民党法務部会において、法務省が家族法制部会の議論状況を説明しましたところ、一部の議員から中間試案の内容の変更を求める強い要求がありまして、法務省側が取りまとめを見送る方向で場を収めたと報じられています。
そして、実際に、同月三十日の家族法制部会では、同日の中間取りまとめが見送られました。関係者によりますと、八月三十日の家族法制部会第十九回会議に出席した専門家委員十八人のうち、少なくとも六割超の十二人が、取りまとめを延期したり試案の内容を変更したりすることを問題視して異議を表明したと報じられています。配付資料、二にございます。
家族法制部会第十九回会議の議事録は現在作成中でまだ公開されておりませんが、議事速報には以下のような記載があります。配付資料、三ですが、まず、多くの委員や幹事から、この部会における中間試案の取りまとめの在り方や基本的な姿勢についての意見が示された、その中では、一、この部会が、法務大臣からの諮問を受けて、学識経験を有する委員が議論する場であることや、二、中間試案は、この部会の中での議論に基づいて取りまとめられるべきであるとの認識が示されたというふうになっていますが、書いてありますが、外部からの圧力が掛かり、それに対して委員からの反発があったことを示唆するかのような微妙な記載だと思うんですね。
この記載について、どのような事態を前提として、どのような発言があったのか、御説明いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/28
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029・金子修
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
御指摘の八月三十日開催の法制審議会家族法制部会第十九回会議におきましては、今委員から御紹介がありました、この部会が法務大臣からの諮問を受けて学識経験を有する委員が議論する場であるということや、中間試案はこの部会の中での議論に基づいて取りまとめられるべきである旨の御意見、そのほか、家族法制の在り方を検討する際には国民の声に耳を傾けるという姿勢が重要であるなどの御意見が、御発言があったところです。
このような発言があった背景ですが、その当時、父母の離婚後の子の養育の在り方などについての家族法制の見直しに対して国民の間に様々な意見があったことを前提にしまして、家族法制部会における中間試案の取りまとめの在り方や基本的な姿勢に関する意見を述べるものであるというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/29
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030・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 議事録が出るので詳細は言えないということなんでしょうかね。せっかく公開と定めているのですから、家族法制部会の議事録をより迅速に公開していただきたいと思います。
八月三十日の家族法制部会での配付資料、四ですが、では、焦点となった共同親権導入をめぐり、甲案ですが、共同親権導入、乙案は単独親権のみの現行制度維持と大別した上で、甲①案は原則共同親権、例外単独親権、甲②案は原則単独親権で例外共同親権とされていました。三つの選択肢が示されていたわけです。
それに対しまして、パブコメが延期された後の中間試案においては、先ほどの三択に加えて、共同親権か単独親権かを父母の協議や裁判で個別に判断できるという内容が、当初は注釈の中に記載されていた内容にすぎなかったんですが、甲③案として先ほど申し上げた三つの案に加えられた、並列されて、事実上四つの選択肢として示されました。
この変更を起案したのは事務局でしょうか。八月三十日の家族法制部会で、選択肢の一つとして格上げするようにという具体的な意見が出たのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/30
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031・金子修
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
十一月十五日に開催されました法制審議会家族法制部会第二十回会議で示された中間試案の案は、同部会におけるこれまでの議論を踏まえて事務当局、これは法務省民事局の参事官室になりますが、が起案したものでございます。
もっとも、この第二十回会議で示された中間試案の案は、八月三十日に開催された第十九回会議で示された資料について分かりやすさの観点から表現の修正を施したものであり、中間試案の内容を実質的に変更したものではありません。
また、甲③という案も引き続き注の中に入っている案でございまして、その意味で、特定の案を格上げしたようなものでもございません。
委員御指摘の考え方を甲③案と呼ぶアイデアは、六月二十一日に開催された第十六回会議で同部会の委員の一部から示されていたものでございます。また、八月三十日の第十九回会議におきましても、中間試案が国民一般にとって分かりやすいものとなるような工夫が必要ではないかといった意見が示されておりました。
このように、第二十回会議で事務当局から示された中間試案の案は、家族法制部会におけるこれまでの議論を踏まえて作成されたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/31
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032・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 この変更に与党の意見が全く反映されていないと言い切れるんでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/32
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033・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 今局長が答弁したとおり、第二十回会議で示された中間試案の案は、八月三十日に開催されました第十九回の会議で示された資料について分かりやすさの観点から表現の修正を施したものでありまして、委員御指摘の甲③案の点も含めまして、中間試案の案の内容を実質的に変更したものではないと承知をいたしております。
また、事務当局から示されました中間試案の案は、法制審議会家族法制部会におけるこれまでの議論を踏まえて作成されたものでありまして、与党の意向とは関係していないものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/33
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034・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 事前のレクでも形式修正のみで実質修正はないとの御説明でしたけれども、最も関心の高い主要論点で選択肢として提示されるか、注釈として重要性が薄い形で扱われるかは十分実質的な修正だと思います。
法務省は、今月十五日の中間試案取りまとめを前にした十日、今回の中間試案の内容を自民党法務部会で説明し、了承を得ました。今後、この中間試案の内容をパブリックコメントにかけることになります。
ほかの法案についても、法制審の試案の取りまとめについて、政権与党の部会における了解を取るルールとなっているんでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/34
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035・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 法制審が中間試案を取りまとめるに当たりまして、特定の政党の了承を得なければならない、そういうルールは存在をしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/35
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036・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 法制審は、法相が任命した学識経験者で構成され、諮問されたテーマを調査研究するという機関です。パブコメなどを活用して法案作成の準備をします。議論の内容は部会を含め議事録で公開されるため、透明性が保たれ、試案を取りまとめる際に政党の事前了承は必要ないとされています。
宮崎政久自民党法務部会長も、報道によりますと、本来は党の了解は不要だが、自民が原因で延期となっていた経緯を踏まえたと、異例の対応であることを認めていらっしゃるとのことです。
今回の取りまとめに際して、なぜ通常では求めない異例というべき与党の部会了解手続を経由することになったんでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/36
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037・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 十一月十日に自民党の法務部会が開催をされ、その際、法務省の担当者から、家族法制部会における中間試案の取りまとめに向けた議論の状況というものを御報告をさせていただいたというふうに承知をしています。
この会議におきましては、法務省側から自民党法務部会に対しまして了承とか了解を求めたという事実はございません。そのように聞いております。
なお、一般論としては、与野党問わず、所掌の事務について説明を求められれば、法務省としては、御理解いただけるよう丁寧に説明を行うべきものというふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/37
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038・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 法制審の審議や運営についての中立性、独立性に関する法務大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/38
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039・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 法制審議会は、それぞれの委員の先生がその学識経験に基づいて調査審議を行っていただく場であるということであります。ですから、この調査審議の過程で様々な御意見に耳を傾けることは重要なことであるというふうに思っていますが、法制審議会の議事は、委員以外の特定の政党や団体の意見に拘束されるべきものではないと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/39
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040・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 法制審議会は、法務大臣の諮問に応じ、様々な分野から選ばれた学識経験者の方々が、専門家が法務に関する重要事項等を調査審議する公的機関なわけです。審議の中立性、それから独立性は重要な要素であり、意見を述べること自体は問題とは思いませんが、審議や答申の中身や取扱いについて、法制審の主体性を侵害する形で介入するというのは私は不適切だと思います。
今後の我が国の家族の形に大きな影響を与える問題だけに、議論の透明性の維持は重要な要素であり、報道が事実で、法制審の主体性が脅かされるような状況だったとすれば、審議の経緯でこのような事態が生じたのは極めて残念に思います。
なお、この問題に関する今回の私の質疑は、共同親権の是非に関するいずれか一方の立場からの立論ではなく、公正な結論に至るまでの過程や手続について事実関係を確認したものであることを申し添えさせていただきたいと思います。
続いて、技能実習生について質問したいと思います。
平成二十八年十一月に成立した技能実習法は、附則第二条におきまして、施行後五年をめどにして、必要があると認めるときは規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしています。
技能実習法が施行された平成二十九年十一月一日なので、今年の十一月一日で施行後五年となります。これに対して、古川元法務大臣は、特定技能制度・技能実習制度に係る法務大臣勉強会を開催して各界の有識者から意見を聞き、その後は外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の下に有識者会議を設けて議論を進める意向を示されました。葉梨前法務大臣も、就任後の記者会見で、関係閣僚会議やその下に置かれた有識者会議で検討していくと述べられました。
技能実習法の附則で定められた検討というのはこの有識者会議等における検討ということでしょうか。また、この有識者会議はまだ設置されていないようですが、いつ頃設置され、いつ頃から検討が始まるのでしょうか。また、結論が出るのはいつ頃になる予定でしょうか。
また、この法務大臣勉強会は、設置した古川大臣から十か月もたたないうちに三人目の大臣を迎えることになります。新大臣は、所信で、この勉強会で把握した課題、論点なども踏まえつつとおっしゃっていましたが、何をどのように把握されておられ、どのような問題意識をお持ちなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/40
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041・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 技能実習制度は、御指摘のように、法律の規定による検討の時期に差しかかっておりますことから、有識者会議を設け、各界の有識者の方々に御議論いただくべき会議の開催に向けて準備を進めてきたところでありますが、実は、本日、内閣官房長官と私が共同議長を務めます外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議が開催されまして、この有識者会議の設置が決定をされたところでございます。
日程の御質問ありましたが、具体的な日程は調整中なんですが、年内に第一回の会議を行うべく、今、各委員の先生方と日程調整を行っているところであります。
結論を得る時期にも御質問ありましたが、私としては、来年の秋頃に最終的な報告書を関係閣僚会議に提出いただくような日程感で精力的に御議論をいただきたいと考えておりますが、有識者会議の議論によるものでございますので、予断を持ってお答えをすることはちょっと困難かなということは御理解をいただきたいと思っています。
また、古川元法務大臣が、特定技能制度・技能実習制度に係る法務大臣勉強会を開催されまして、技能実習の目的と実態の乖離や転籍に関する指摘など、様々な問題点を整理をしていただいております。私といたしましても、この法務大臣勉強会を通じて把握された課題等についてはしっかりと受け止めていかなければいけないというふうに考えております。
いずれにしても、有識者会議において様々な視点から御議論をいただき、政府全体で丁寧に議論を進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/41
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042・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 技能実習の問題点は既におおむね明らかになっておりますので、断固実行を行うべき時期に来ておりますので、よろしくお願いいたします。
質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/42
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043・佐々木さやか
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
まず冒頭、十一月十八日に東京入管で五十歳代の男性の方が亡くなられたという事案につきましては、先ほど加田委員からも御質問がございましたけれども、しっかりとこの事実確認、そしてこのことに関します調査というものをしっかりとやっていただきたいというふうに思っております。大切な命が失われたということを重く受け止めていただいて、先ほどの質問では、この事件が発生して倒れられているところを発見された以降の経緯について御説明がありましたけれども、この方がそれまでの間、心身の不調を訴えていらっしゃったのかとか、そうしたことも含めてしっかりと調査をいただきたいと思います。このことは冒頭申し上げて、お願いにとどめたいと思います。
それでは、質問に入りますけれども、今日は、コートハウスドッグについて取り上げたいと思います。
コートハウスドッグという言葉、御存じでしょうか。虐待や性被害に遭った子供が被害状況を証言したり、また司法面接、こういったところで話をする際に非常に強いストレスが掛かるわけですけれども、こういった心理的負担を軽減させるためにその面接や法廷に付き添う特別な訓練を受けた犬のことでございまして、日本では付添い犬という名前でも呼ばれております。
このコートハウスドッグは、子供に対する虐待や性被害に関して取組が進んでおりますアメリカで日本よりも先にこういった取組が広がりまして、アメリカでは現在二百五十頭ほど活躍をしているそうでございますけれども、日本では、神奈川にあります民間団体の方々が日本でも何とかこの制度を確立したいということで頑張っていらっしゃいまして、二〇二〇年に初めて日本の裁判所で、子供の被害者が法廷で証言をする際にコートハウスドッグが付き添ったということを私も当時報道で拝見をいたしました。
このコートハウスドッグですけれども、例えばアメリカでの一つの事例というか話を聞いたことがあるんですけれども、性的虐待に遭った子供が面接の中でどういう自分が被害に遭ったのかということを証言しなければいけない。そのときに本当に大変つらい思いをするわけですけれども、自分の体を強くかきむしって、けがをしてしまうんじゃないかと、それぐらいの状況になってしまう。でも、コートハウスドッグが付き添ってくれることで、その犬をなでて落ち着いてその面接を終えることができたとか、こういった、本当に、大人であっても犯罪被害に遭ったり、ましてやその性被害、性犯罪、性暴力の被害者の方々というのは、本当に自分がどういうことを体験してしまったのかということを話すときに更に深く傷を負うわけでございまして、それは大人の場合でも様々なところで問題が指摘されておりますが、本当に子供たちにとってはそれ以上の大変な心理的負担、精神的負担を負うものでございます。
こういったこのコートハウスドッグの取組、子供たちのことを本当に考えれば日本でも私は普及をしてほしいと思うんですけれども、先ほど御紹介したように、二〇二〇年に初めて裁判所で日本でも付添いが認められたと聞いておりますけれども、この活動に取り組んでいます神奈川にある民間団体の方々に私もお話を聞いたんですが、その事件ごとに、また法廷ごとに裁判所にコートハウスドッグの付添いについて上申をして、そして許可、許可を受けなければ犬を連れていくことはできませんし、必ずしもその裁判所が理解があるかどうかというのは話をしてみなければ分かりませんので、言ってみれば、そのときになってみないと、どれだけこの準備をしてきても実際にこの付添いが、コートハウスドッグの付添いができるかどうか分からない、そうしたこの手間といいますか、活動の様々な障害も実際にはあるというふうに伺いました。
まず最高裁にお聞きしたいんですけれども、このコートハウスドッグの同行につきまして、被害者である子供の人権の擁護、また利益の擁護というところもそうですし、また、コートハウスドッグが付き添うことによって、証言をしてもいいと、こういうふうに子供が決意をするということもあるそうであります。つまり、適切な刑事裁判手続を実現をしていく、適切にこの証言を得るという観点でも非常に重要ではないかと思うんですけれども、是非、裁判所におけるこのコートハウスドッグの活動が円滑に進むように、裁判所においてしっかりとこの理解をしていただきたいというふうに思うんですけれども、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/43
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044・吉崎佳弥
○最高裁判所長官代理者(吉崎佳弥君) お答え申し上げます。
裁判所といたしましても、刑事事件におきまして特に年少の証人が証言をする場合には、その負担に十分配慮をした上で適切な事実認定を行う必要があると考えているところでございますが、証人を保護するためにどのような措置をとることが適切かにつきましては、事案の性質や証人の状態、当該措置の実施を求める申出の内容等の具体的事情に即しまして、各裁判体が訴訟指揮権に基づきまして個別に判断しているものと承知しております。
委員御指摘がありました犬を付き添われることを認めるかどうかにつきましても、今述べましたような具体的な事情等に即しまして、各裁判体が訴訟指揮権に基づきまして適切に判断しているものと承知してございます。
事務当局として個別事案の判断内容を周知することは難しゅうございますけれども、今後も、委員の御指摘も含めまして、証人の負担軽減に向けた実務の動向を注視しつつ、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/44
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045・佐々木さやか
○佐々木さやか君 裁判所とお話しすると、そういう訴訟指揮権の問題であると。つまり、個別の案件のことなので何ともなりませんというような答弁なんですが、そうではなくてということを私は申し上げているわけでありまして、やはり、制度化されていないことの問題でもありますし、また、裁判所もいろんな裁判官の研修やっていらっしゃったりとか、それから、性犯罪被害の関係については、まさにこの個別の裁判所の判断である事実認定に関することについて、被害者の心理状態のこととか被害者の支援団体の皆さんからお話を聞いたりとか、そういったことも努力をされているわけでありまして、こういった子供の権利ということ、被害に遭った子供たちの保護ということについても是非見識を深めていただきたいと思います。
それから、コートハウスドッグの活動には検察の協力も不可欠なわけですけれども、検察庁においては、法務省においてはどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/45
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046・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
犯罪の被害に遭われた方は犯罪によりその心身に重大な被害を受けている場合が多く、捜査、公判におきまして、その負担軽減に十分配慮することが必要であると承知しております。とりわけ児童虐待事案につきましては、心身に重大な被害が及ぶことから、いわゆる二次的被害を防ぎ、被害児童の健全な成長を損なわないよう、児童であるという被害者の特性を十分に踏まえた配慮が必要であるものと承知しております。
御指摘のコートドッグなど、付添い犬による法廷への付添いについても、公判出廷に伴う児童の心理的負担を軽減するための取組の一つであるものと認識しております。検察当局におきましても、付添い犬による付添いも含め、被害者の特性に応じた配慮を行っていることの必要性は認識しているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/46
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047・佐々木さやか
○佐々木さやか君 配慮の必要性について認識をしていただいているということでございますので、是非理解を深めていただきたいと思います。
私が民間団体の方々からお話聞いたときには、基本的に理解してくださる検察官、裁判官も多いというふうに聞いていますので、検察官、裁判官を信頼したいと思いますけれども、やはり、何といいますか、中には、ある程度説得をしないと必要性を分かってもらえないという場合もあるそうでありますので、やはり認識を是非深めていただきたいというふうに思っております。
それから、児童虐待や性的被害に遭った子供たちに関することとして、司法面接、この制度の今改正の議論が進んでおります。コートハウスドッグが例えば付き添って司法面接、協同面接が行われたとしても、そのときの面接の録音、録画、これは現在の刑事訴訟法上、証拠にすることにハードルがあるわけでありまして、これをしっかり活用できるようにするということで今議論を進めていただいていますので、ちょっと時間が余りないので、この点の議論については端的にお答えをいただければと思うんですけれども、しっかりと議論をしていただきたいと思います。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/47
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048・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
性犯罪に対処するための法整備につきましては、現在、法制審議会の部会において調査審議が進められているところでございまして、十月二十四日の部会において、それまでの御議論を踏まえた今後の検討のためのたたき台として試案が示され、その後、試案を基に更に御議論が行われているところでございます。
委員御指摘の点につきましては、被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則の新設という諮問事項に対応して、試案におきまして、反対尋問の機会を保障しつつ、主尋問に代えて、子供も含め性犯罪の被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体を公判の証拠とすることができるようにする案が示されており、今後、試案を基に更に御議論が行われる予定でございます。
法制審議会において充実した御議論が行われるよう、引き続き適切に対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/48
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049・佐々木さやか
○佐々木さやか君 大臣に最後お伺いしたいと思うんですけれども、今の司法面接のこともそうなんですが、現行の刑事司法手続というのは、被害者が子供であることの想定を余りしていないんですね。大人が中心なんです。先ほど、証言を証拠にすることの課題ということも申し上げたんですけれども、原則は、法廷に実際に行って、で、証言をする人というのは、自分とその敵対する関係の人から厳しい尋問を受けて、いわゆる反対尋問というものを受けて、それでも証言が揺るがないと、しっかり証言できる、それで初めて証拠として採用できるという仕組みになっています。ですので、これは本当に、大人であっても、初めて法廷に行ってそういった反対尋問を受けるというのは非常に大変なことですけれども、とりわけ、こうした厳しい状況に置かれた子供たちにそれができるかといったら無理なわけでと私は思います。
ですから、どうしても大人中心になっているこの日本の司法手続というのはなかなかこの被害者のことに思いをはせていないなということも思うんですけれども、そういったことからも、先ほど私が申し上げたコートハウスドッグですとか司法面接といったことも含めて、是非大臣には、この刑事手続における子供の権利利益の擁護ですとか子供に寄り添った制度運用ということについて是非取組を進めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/49
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050・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 児童虐待など子供に対する犯罪はその心身に深刻な影響をもたらすものでありますし、刑事手続においても将来に対する悪影響を防止すると、そのために、その心情や特性に十分配慮した対応が取られることは非常に重要であるというふうに認識をしています。
子供を含めて被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則の新設、このお話ありましたが、現在、法制審議会の部会において法制審議が進められているところであり、私としてはその充実した議論を期待しているところであります。
また、検察当局においては、平成二十七年十月から、警察、児童相談所と連携をしまして、被害児童の事情聴取に先立って協議を行い、代表者が聴取を行う取組を実施するなど、児童の負担の軽減に向けて一定の取組を進めているものと承知しております。検察当局においては、今後とも、御指摘のコートハウスドッグの付添いなども含め、被害者の方の特性や要望を踏まえつつ適切な配慮を行っていくものと承知をいたしております。
いずれにいたしましても、犯罪の被害者に対しては、その特性を踏まえたきめ細やかな対応が必要であります。第四次犯罪被害者等基本計画においても、犯罪被害者等施策は、その個別的事情を正確に把握し、その変化にも十分留意しながら、個々の事情に応じて適切に実施されなければならないとされているところであります。
犯罪の被害者が子供である場合には、子供の特性を十分理解し、子供の権利利益に寄り添った対処を行っていくことが必要であるものと承知をしており、今後とも必要な検討をしてまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/50
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051・佐々木さやか
○佐々木さやか君 ありがとうございました。
時間になりましたので、終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/51
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052・杉久武
○委員長(杉久武君) この際、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に公安調査庁次長田野尻猛君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/52
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053・杉久武
○委員長(杉久武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/53
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054・鈴木宗男
○鈴木宗男君 先ほど牧山委員の方から、判検交流についての話ありました。検事と裁判官の交流、刑事事件についてはなくなりましたね。これは二〇一二年からですか。これ、私が国会で相当質問主意書出して、政府にやめた方がいいと。当時、司法ジャーナリストの魚住昭さんが、この判検交流というのは泥棒と警察が交流しているようなものだという極めて分かりやすい指摘をされておりました。
私自身も裁判やって、検察、裁判官と向き合うとき、同じ土俵の人が交流しておったんでは、これは私は、どこかで情が働いたり、どこかで何がしかの人間的な関係で左右される面があると思うから、ここは絶対駄目だと言ってきましたね。
ただ、今、民事ではなおこの判検交流が続いている。私は、刑事事件でやめたならば民事もそうすべきだと思いますけれども、大臣、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/54
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055・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) これ、先ほど来から答弁をさせていただいておりますけど、一般論としては、法曹は法という客観的な規律がありますものですから、それに従って活動するというものであると考えておりまして、裁判官、検察官、弁護士のいずれの立場においても、その立場に応じて職責を全うするものであるというふうに考えておりますので、裁判所において国を当事者等とする訴訟、これ担当していた裁判官が訟務局に異動し当該訴訟に関与することについて、直ちに職務上の問題が生ずるというふうには考えていないところであります。
ただ、その運用に当たりましては、国の当事者等とする訴訟の遂行に当たっては、裁判の公正性ですとか職務の中立公正な遂行に疑念を抱かれることのないよう、かつて裁判長として担当した訴訟には関与しないという対応を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/55
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056・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣ね、検察官は行政ですね、裁判官は司法ですよね、我々立法府です。三権分立をもって民主主義ですね、日本の議会制度になっていますね。間違いなく裁判官は司法であって、そして検察官が行政であるならば、疑念を持たれないようにするといっても、疑念を持つ人が出てくるのは当然でないでしょうか、単純に考えて。委員の皆さん方もどうです。
私は、疑念を持たれないと、それは当たり前ですよ。それは行政でも立法府でもどこでも疑念持たれちゃいけませんよ。三権分立といいながら、何で裁判官と検察官の交流はいいんだという。一般的に考えたら、もし、昔、司法修習が同期だとか、あるいは同じ職場にいたとなれば、人間として何がしかの感情が働くのは当たり前じゃないですか。疑念を持たれないようにといったって、疑念持つのが普通ではないでしょうか。先生方、どうでしょう。
私は、そういった意味でも、ここは見直しをした方がいいんじゃないかということを言っているんですよ。現に刑事事件ではやったわけですから、一二年に。民事もそれは検討すべき今時期に来ているんでないかという。人材の活用は、登用必要ですけれども、それぞれの分野でやるべき話なんですよ。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/56
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057・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 委員御案内のとおりだと思うんですけど、判検交流そのものにつきましては、法務省が所掌する司法制度あるいは民事、刑事の基本法令の立案、訴訟事件の遂行等の事務におきまして、裁判所の経験を有する法律専門家である裁判官を任用させていただくことの必要性はあるんだろうと思っています。また、裁判官が裁判官以外の法律専門職としての経験その他の多様な経験を積むことが、多様で豊かな知識、経験を備えた視野の広い裁判官を確保することにつながっていくことから、意義があるんだろうというふうに考えているところであります。
ただ、繰り返しになりますが、その配置につきましては、申し上げましたように、訴訟部門のような国を当事者等とする訴訟の遂行に当たり、裁判の公正性や職務の中立な、公正な、中立公正な遂行に疑念を抱かれないような対応はしっかりしていかなくちゃいけないというふうに考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/57
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058・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、その疑念を抱かれないのはこれ当然ですからね。ただ、私は、これ検討に値するんでないかと思いますよ。
これ、どう考えても、司法と行政が何でこれ一緒になります、単純に考えて。ここは是非とも、大臣、今の時代から見ても、私はそれぞれのつかさつかさで、みんな真面目に懸命にやっていると思いますよ。私自身は、これ民主主義というのは信用ですから、信頼ですから、私は疑念は持たないけれども、ただ、一般的に見れば、どうしてもちょっとどこかで何がしかの感情が働くんでないかという気持ち持つのは当然でありますからね。
私は、ここは一遍になくせといっても無理かもしれませんけれども、徐々に減らしていくとか何か知恵を出すべきときでないかと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/58
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059・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 御答弁としては繰り返しになりますが、私も公務員時代、十数か所仕事をしてまいりまして、利益が相反するような仕事もしてきましたが、その場その場でその職責をしっかり尽くしていくことに努力してきましたので、やはり判検交流そのものをやりながらも、その裁判の公正性や職務の中立公正な遂行に疑念や支障がないように進めていくということが大事なんじゃないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/59
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060・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、多くの弁護士さんの中でも、やっぱり判検交流については疑問に思っていますよ。私の主任弁護人、弘中惇一郎さんといいます、なんかも、判検交流はおかしいと思っている一人であります。あと、足利事件を扱った佐藤さんにしても、この方も日本では著名な弁護士さんですけど、この方も同様の見解持っていますね。私は、そういった人たちがそれなりの頭づくりをしているならば、ここは大臣、せっかく齋藤大臣、私は期待の法務大臣だと思っていますので、頭にちょっと入れて、今後考えていただきたいなと、こう思っております。
これ、質問通告なしに話しながらも、齋藤大臣が非常に真摯な答弁してくれまして、この点は感謝、お礼を申し上げます。
さきの法務委員会で、私は死刑の告知についての話をしました。花村矯正局長、私は、あなたの答弁聞いて、告知をすることによって過大な苦痛を与えることにもなりかねないことからという、あなた答弁されました。これは、あなたの認識でしゃべっているんですか、それとも法務省等全体としての見解なり認識でしゃべっているんですか。お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/60
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061・花村博文
○政府参考人(花村博文君) お答え申し上げます。
死刑執行の告知につきましては、御案内のとおり、死刑確定者本人に対しまして、執行の当日、執行に先立って行っているところでございます。
本人に対しまして執行の当日より前に告知した場合には、その心情の安定を害することが懸念されますとともに、かえって過大な苦痛を与えることにもなりかねないことから、現在の取扱いはやむを得ないものというふうに我々考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/61
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062・鈴木宗男
○鈴木宗男君 花村局長、昭和五十年前は告知していましたね。ところが、昭和五十年に告知をしたその死刑囚が自殺をした。それから今までの告知というのをなくして今に至っているという理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/62
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063・花村博文
○政府参考人(花村博文君) お答えいたします。
かつて、一部の施設におきまして、心情の安定した一部の死刑確定者に対しまして、執行の前日以前にその旨を告知する取扱いをしていた例もあるようでございます。相当以前のことでもあり、その詳細については把握できていないところでございますけれども、現在の取扱いにつきましては、先ほど申し上げたとおり、死刑確定者本人に対しまして、執行の当日、執行に先立って行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/63
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064・鈴木宗男
○鈴木宗男君 法務大臣、死刑囚には告知はしないけれどもだ、その事件の被害者、家族には告知をするようになりました。これは三年前からですね、二〇二〇年十月二十一日からだと私は記憶していますけれども、被害者の遺族、関係者、家族に告知するならば、私は死刑囚の家族等に告知するのも当然ではないかと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/64
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065・花村博文
○政府参考人(花村博文君) お答え申し上げます。
死刑確定者の家族に事前に執行を通知した場合には、通知を受けた家族に対しまして無用な精神的苦痛を与えること、仮に通知を受けた家族と本人との面会が行われました場合、本人が執行の予定を知ることにより、先ほど申し上げたような同様の状況が懸念されますことから、現在の取扱いはやむを得ないものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/65
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066・鈴木宗男
○鈴木宗男君 これ、委員の皆さん方も、遺族、被害者の方々には告知をする、いわゆる死刑囚はいつ執行しますよと言うならば、私は、せめて死刑囚の家族にも、実はこういうことになりましたと言って、最後、何がしかの人道的な配慮で、五十年前は、昭和五十年前までは面会もしていたわけですから、死刑執行になってから、なるというか、決まったら、何か言いたいことないか、あるいは誰かに会いたいかとか、それなりの人間的な配慮をしていたんですね。それは今の時代でも私は生かされていいのではないかと思うんですよ。
ここは大臣、是非とも齋藤法務大臣のときに、今の時代に合った、あるいは、私は、やっぱり価値、人の価値として、死ぬまでやっぱり死刑囚にも人権はあるわけでありますから、そういったことを配慮していただいて何か考えていただきたいと思うんですけれども、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/66
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067・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 鈴木委員のその問題意識は本当に重く深刻なものだと私は受け止めているわけでありますが、その死刑確定者の御家族に事前に執行を通知するという場合には、確かに通知を受けた御家族に対して無用な精神的苦痛というのもかなりあるんだろうと思うんですね、事前に知るということは。だから、それが本当にいいのかどうかということについて私はいろんな御意見があり得るんじゃないかなと思っているのが正直なところであり、今の運用については理解をしているところであります。
ただ、一点、事実関係なんですけど、被害者の方の親族あるいはこれに準じる方から御希望があった場合には死刑を執行した事実を通知するということですので、事後の通知になっているということはちょっと補足させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/67
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068・鈴木宗男
○鈴木宗男君 今、大臣、事後じゃなくて、こうなりますということもやる、希望なり申出があれば答えるというふうに、二〇二〇年の十月二十一日の発表では我々伝え聞いたんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/68
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069・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) その点に関する取扱いについて、私の方からお答えをさせていただきます。
委員御指摘の二〇二〇年、令和二年の十月から、被害者の方の親族又はこれに準ずる方々からの御希望に基づいて死刑に関する通知をしているものでございますが、その通知を申し上げる事実というのは、死刑を執行したという事実でございます。すなわち、死刑執行後にその事実をお伝えするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/69
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070・鈴木宗男
○鈴木宗男君 これ、刑事局長、私が知る限りでは、死刑執行を公表する前の段階で電話などで執行日や執行場所を通知するというふうにあのとき法務省発表していると思いますけれども、これ、局長、いい悪いの話じゃないんですから、要は正確を期すために言っているだけの話ですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/70
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071・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
まさに今、鈴木委員の御指摘のように、公表の前ということでございます。公表というのは、当然、死刑を執行して、その後執行した事実を公表するものでございまして、この被害者の親族等の方々への通知は執行した後にということでございまして、その公表の前だからということは直ちにその死刑の執行の前ということを意味しておりませんので、繰り返し、委員が正確に事実をということでございますので、改めて申し上げさせていただきますと、死刑を執行した後、その死刑を執行したという事実を被害者の親族等の方々へお伝えすると、そういうことにしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/71
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072・鈴木宗男
○鈴木宗男君 そうすれば、じゃ、死刑になった人の家族には、今日執行しましたとかということは法務省としては連絡はしているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/72
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073・花村博文
○政府参考人(花村博文君) 死刑確定者の御家族には執行の後に連絡をしておるというふうなところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/73
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074・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、これ、今双方の、被害者あるいは死刑囚の話聞いても、初めて分かる人も多いと思いますけれども、是非ともここは、私は人道的な配慮というか処置はしてやった方がいいんでないかなと。やっぱり最後言いたいことが家族にあるだろうし、やっぱりこれ命の重さというのを考えてほしいんですよ。
我々政治家、私がいつも思っているのは、計算のできる価値は簡単なんです。やっぱり計算のできない価値なんですよ。計算のできない価値というのは何かといったら、優しさだとか、思いやりだとか、愛情だとか、慈しみなんですよ。このことを是非とも私は、法務行政に関わる、特に命に関わる判断というのは、私は大事でないかと思っているんですね。これ齋藤大臣ならば私たちはできると、こう思いますので、是非ともリードしていただきたいなと、こう思っています。
そこで、矯正局長、私は、矯正施設の皆さん、刑務官、よくやっていると思うんですけれども、私自身の経験から、刑務所で刑務官のことを先生と呼びます。私は、上から目線で、これが矯正に大きな私は影響を与えていると思っているんですよ。受刑者がみんな、先生、先生と言う。私は言いませんでしたけど、私は名前で誰々刑務官と言いましたけど、普通の人は、何というか、ごますりみたくして、先生と言うんですよ。
これ、矯正局長、その先生と呼ばれる事実を知っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/74
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075・花村博文
○政府参考人(花村博文君) 今御指摘ございましたように、受刑者、収容者の方から職員に話をする際に、例えば、担当というふうに呼びかけることもあれば先生というふうに呼びかけることもあるというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/75
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076・鈴木宗男
○鈴木宗男君 局長、そこ、はっきりしてください。担当と呼ばせるっていう表現ないと思いますよ。私はそれは確認したんですから。一般の受刑者はみんな、先生なんですよ。あとは、担当とは言いません、何々さんですね。
だから、局長、そこら辺、私はしっかり指導してもらいたい。全国それは一律の私はルール作りをした方がいいと思うんです。今各施設で、それぞれ施設の判断で様々なルール作っていますね。私は、法務大臣、ここは全国一律の私はルールにするべきだと思うんです。
そして、矯正局長、日常会話に私は標準語を使わせるべきだと思います。法務大臣、ガリって分かります、ガリ。空下げだとか宅下げだとか、いわゆる日常使わない日本語を使わせるんですよ。御飯のことを物相なんて言わせる。私はこれ失礼な言い方だったと思いますよ、御飯に対して。物を大事にするという気持ち持つならば、きちっと日常用語使わせるべきです。
この点、法務大臣、私は厳しく指導していただきたい。更生させる、社会復帰させるというならば、やっぱり正しい日本語、正しい日常会話をやるべきなんです。この点、大臣、どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/76
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077・花村博文
○政府参考人(花村博文君) お答えします。
今先生から御指摘のあった点、非常に重く受け止めまして、例えば職員の呼びかけ方についてでありますとか、いわゆる刑務所内での用語についての使用方法につきまして、ちょっと考えさせていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/77
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078・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、私も、この死刑囚の問題なんかで矯正局長の答弁聞いていると、やっぱり上から目線ですよ。何をもって愛情かという、まあ大臣も言われましたけれども、配慮することが、何をもって愛情かといったって、矯正局長、あなただけの価値観じゃないんですよ。多くの人がどう思っているかということを考えるべきですよ。
この点、私は厳しく、やっぱり先に立つ人が心優しくなければ部下まで伝わりませんから。政治家見ていても、長続きする政治家、長続きしない政治家、何がポイントかといったら、人間味の問題ですよ。この点、局長、あなたが今矯正局で責任者であるならば、私はもっと優しさだとか人間味を持ってもらいたい、言葉一つ一つに。そうでなければもちません。同時に、現場の人は一生懸命やっているんですよ。ただ、一人二人の跳ね上がりがいると、その組織は、私は、また駄目になります。それは、我々政治家の場面でも言えることだと思っているんですね。
そういった意味では、是非とも法務大臣、やっぱり社会復帰させる、あるいは更生させるんだという気持ちがあるんならば、ふだんから私は、同じ目線で、日常会話にしても上からの押し付けるような言いぶりさせないで、元々この刑事施設は、昔の、明治時代の陸軍からの伝統を引いているんですよ、この物言いにしても、あるいはこの食事の出し方、収容の仕方等も。ここら辺、いろんな本出ていますから、参考になるかと思いますから、私もそういったものを見ながら、あるいは、私が一年間収監生活送っている間に佐藤優さんがそういった本たくさん送ってくれまして、私も勉強したんですけどね。
どうか法務大臣、やっぱりこの人権というのは皆五分だという意味でもやっぱり配慮いただきたいなと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/78
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079・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 刑事施設におきましては主として受刑者を処遇しているわけで、その目的は改善更生や円滑な社会復帰を図ることにあるわけでありますので、その目的に合致するような処遇をしっかりしていかなくちゃいけないということはおっしゃるとおりだと思っていますので、私も目配りをしていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/79
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080・鈴木宗男
○鈴木宗男君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/80
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081・川合孝典
○川合孝典君 国民民主党の川合孝典です。
通告にはありませんが、この間の判検交流に関するやり取りを聞かせていただいておりまして、一言法務大臣に申し上げたいことがございます。
質問に対するお答えとしては、大臣としてそうお答えされるしかないことだと思っておりますが、そもそもこういった疑念が生じているということ自体が問題ということでありまして、そのことについてどう受け止めて、今後の人事をどうしていくのかということが問われなければいけないと思っております。
この場合、既にこの人事に対して問題の指摘がされているわけでありますから、仮に今後の訴訟で国に有利な判決が出た場合には、この新たな訟務局長の存在というものが取り沙汰されることになるわけでありまして、その判決内容が適正かどうかということ以前の問題として、疑念がそのまま将来に先送りされることにつながる、そうならないように、これまでの人事では、裁判、判事をやっていらっしゃった方が判検交流で動かれたときには、たちまち利益相反を推定されるような場所には人事異動させないということを多分やってきたんだと思うんです。そういう意味では、今回の人事異動というのは、私は外形的に見て軽率だったと言われても仕方がないと思っています。
そのことを踏まえて、これ、局長の人事権というのは私は大臣にあると思っていたんですが、先ほどの大臣の御答弁を聞いている限りは、何となく、まあなられたばかりだから仕方がないのかもしれませんが、人ごとのようにちょっと聞こえましたので、そのことだけはちょっと指摘させていただきたいと思います。
このままの状態を放置しておきますと、より問題が大きくなってきて、この判検交流全体の話が例えば予算委員会を始めとするより大きな委員会で注目を集めることになるわけでありまして、法曹の、優秀な法曹の方をそれぞれの立場で能力を発揮していただくための人事、これが適正に機能するためには、それ以前の問題として、組織としてこの人事の在り方、いわゆる判事、検事のそれぞれの立ち位置というものをきちんと整理する必要があるということは指摘させていただきたいと思います。
私からはそれだけ申し上げさせていただいて、質問に入りたいと思います。
まず、東京入管の事案について、先ほど加田先生始め何人の方かが御指摘をされておりましたけど、私からも少し確認させていただきたいことがあります。
これ、テレビの電気コードを引きちぎって、五十円玉に結んで、こめかみにゴムで巻いてという、こういう一連の行動をされていたわけでありますが、電気コードというのは、で、その上で、ベッドで倒れているところが見付かったという話だったんですが、そんな長い電気コードがこの室内にはそもそも存在していたものなんでしょうか。これ、ちょっと入管の方にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/81
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082・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 使用された電気コードでございますが、居室に天井からつり下げる形のテレビが置いてありまして、もとより被収容者が御覧いただくためのテレビですけれども、そのテレビの電気コードございます。で、コンセントは天井に付いておりまして、天井からこうテレビの方に電気を送るという、まあその電気コードが引きちぎられた状態であったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/82
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083・川合孝典
○川合孝典君 それで、その引きちぎった電気コードを使ってベッドまで引っ張ってきたということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/83
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084・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 天井にコンセントがありますが、コンセントは抜けます。で、電気コードはちぎります。そうすると、このコンセントが、この差し込む、差し込み口、何て言うんですか、差し込み口の付いたコードを居室の方、居室の方というか、マットレスがあるところに持ってきたというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/84
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085・川合孝典
○川合孝典君 つまり、ベッド脇にコンセントがあるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/85
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086・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/86
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087・川合孝典
○川合孝典君 分かりました。
ちなみに、自死、自殺をしようと思えば、ひも一本あればできるわけでありますので、どこまで防止できるのかということについては、これは物すごく難しい問題だとは思うんですけれども、今回こうやって国民の耳目を集める事件、事案になったということでありますので、同様のことが今後繰り返されることになると、これはやっぱり入管としての対応が今後問われることにもなろうかと思いますが、こうした、まあそうですね、ちなみに家電製品というのは、この室内での取扱いというのはどういうふうになっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/87
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088・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 先ほど申し上げたテレビが備え付けられているほかは、御使用いただく電気ポットがございまして、これも電気で、電気コードでつながっているということでございます。
なお、居室、電気の利用につきましては、その居室におきまして午前七時から午後十時まで通電をするということになっておりまして、それ以外の時間では通電をしていないという状態にしてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/88
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089・川合孝典
○川合孝典君 入管職員の方の仕事を増やすような話になったら申し訳ない話ではあるんですけれども、そこまで注意しながらいろんな対応をしていらっしゃるにもかかわらず、今回こういう事象が起きたと。で、このコードを引きちぎって、中の線をむいて、いろんな作業をやってということには相当な手間暇が当然掛かっているわけでありますし、そうしたそのいわゆる不審な挙動が把握し切れなかったというところ、これは部屋にカメラがなかったからということではありますけれど、そのことの問題があると同時に、通電時間が七時から二十二時までだということであれば、再通電する前にどういうことをしなければいけないのかみたいなことも含めて、業務の手順というものをですね、入管の職員の皆さんのその業務手順というものを少し見直す必要があるのではないのかなと思いますが、その点も含めて今後御検討いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/89
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090・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) いずれにしても、今まだ事実確認中でございますし、その確認の結果、更なる調査が必要であれば適切な対処をしていきたいと考えておりますので、委員の御指摘の点も含めて検討したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/90
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091・川合孝典
○川合孝典君 この間、一連の名古屋入管の話も含めて様々なやり取りをさせていただく中で、対応をかなり頑張ってやっていただいていることについては理解しておりますが、再発をしっかりと防止するためにどういう対応が実効性が高い取組なのかということについては、きちっと精査して取組進めていただきたいと思います。
それでは、質問、本題の質問の方に入らせていただきたいと思います。
私は、今日、技能実習生の関係のことについて少し確認をさせていただきたいと思いますが、愛媛県で起こったちょっと事案について幾つか確認をさせていただきたいと思います。
先日、十一月の中旬であったと思いますが、新聞で報道されました愛媛県の縫製工場における技能実習生への残業代の未払事案について、これちょっと確認させていただきたいと思います。
口頭で説明しますからちょっと皆さん分かりにくいかもしれませんが、この事案は、二〇二〇年の四月から今年の九月末まで、おおよそ二年半、ベトナム人技能実習生をこの縫製工場が十一人実習をしていただいていた、この残業代が全く未払であったという、その総額、残業代だけで二千七百万円ということでありまして、そういう事案であります。そして、この不正が明らかになった縫製工場は早々に自己破産の手続に入るとのことで、この労働債権の回収には極めて困難を恐らく伴うであろうということが見通されているということであります。
これまで法務省としてもこの技能実習生の問題については様々なお取組を進めていただいているにもかかわらず、いまだにこうした事件が起こるのは、やっぱり制度自体の不備を明らかに示しているということだと私は考えております。
そこで、どこにこれ、今後、この技能実習制度や特定技能の議論を進めていく上で、今の技能実習制度にどう、どこに問題があるのかということを少し確認する意味で質問させていただきます。
まず、一つ目の質問ですが、この当該企業、縫製工場へ技能実習生を紹介した監理団体があるはずでございますが、今回のこの事案についてどういった説明を法務省さんの方にしているのかをお教えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/91
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092・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 委員御指摘の事案についての個別の内容につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと考えておりますが、一般論として申し上げますと、監理団体は、定期又は臨時に実習実施者に対して監査を実施し、御指摘のようなその残業代未払などの不適正事案の把握に努めております。
具体的には、認定計画と異なる作業に従事させていないか、雇用計画に基づき適切に報酬が支払われているか、人権侵害行為が行われていないかなどについて、技能実習責任者や技能実習生と面談等を実施することを通じて、事実確認、事実関係を確認し、法令違反の疑いがあれば実習実施者に対して改善を図るように指導、助言を行うとともに、その結果を外国人技能実習機構宛てに報告する責務があるというふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/92
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093・川合孝典
○川合孝典君 ルールはそうなっていますけれども、二年半以上にわたって見付けることすらできなかったということは、今次長がおっしゃったことはこのケースでは全く機能していなかったということの証左であります。
加えて質問したいと思いますけれども、この事案については事前に私のところにも現場から幾つか情報が寄せられておりまして、この技能実習生さんだけがこういう状況なのか、日本人の当然従業員さんもいらっしゃるわけでありますので、どうなっているのかということを伺いましたところ、日本人の従業員さんは定時退社させた上で、技能実習生だけが残業を、にさせていたといったような情報も入ってきているんですよね。
これ、じゃ、監理団体は一体何をチェックしていたのかと、実地検査していたのかという話になるわけなんですけど、この辺りのところについて、機構の方では実態を把握しているんでしょうか。あわせて、今後、実態把握するつもりはあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/93
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094・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) これも個別具体的な事案の内容に関することについてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じますけれども、現在、この事案発覚して、現在も調査中であるということは申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/94
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095・川合孝典
○川合孝典君 軽々に個別事案については答弁を差し控えるとおっしゃっていますけど、どういう根拠で差し控えることになっているのか、規定上の根拠をお教えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/95
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096・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 基本的には、私ども行政機関として情報を出す場合には、いわゆる情報公開法にのっとって対応することとしておりますけれども、本件につきまして、委員お尋ねの事項につきましては、この情報公開法五条に定める法人に関する情報、あるいは事務又は事業に関する情報に該当するほか、個別関係者の個人に関わる情報にも配慮する必要があるということで差し控えさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/96
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097・川合孝典
○川合孝典君 現時点では差し控えるということなのか、将来にわたってこのまま情報を、既にこれ事件っていうか、問題が表面化しておるわけですよ。そのことに対して説明責任を果たす上で必要な情報を開示するというのは当たり前だと思いますけどね。
だから、そこをきちっと、出すべき、情報を開示すべきものが何なのかということを、それから、守らなければいけない情報が何なのかということをきちんと整理できないままに、隠すような見え方の対応をされていることが様々な問題を長期化させているんだと思いますけれども、この問題についても、明らかに生じていること自体は、法律、ルールに違反した行為がなされているわけですよ。それを、要は、個別事案については答弁差し控えますという一言で、要は答弁をそれだけで終わらせるから、隠蔽していると、要はそういう指摘につながってくるわけでありまして、この件についての情報の公開も含めて、それが本当に個人情報保護法を始めとする様々な法令に抵触するものなのかどうなのか、このことについてきちんと精査した上で、改めて、日を改めて御答弁いただきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/97
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098・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) まずは、処分をいたしますればその処分については公表いたします。また、その事案に応じてでございます、公表することによる公益性、これはもちろん考慮の上、委員御指摘の点は改めて検討させていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/98
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099・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。
あわせて、この監理団体についても不手際があったということは結果から明確になっているわけでありますので、そもそもどういう対応をしてきたのかということも含めて精査をしていただきたいと思います。
加えて質問なんですが、技能実習機構による実際の監理団体やいわゆる実習受入先企業の実地検査というのは、三年に一回なんですよね、機構は。監理団体も年に一回です。というこの頻度で、本当に適正に技能実習制度がそれぞれの実習先企業で運用されているのかということについて、チェックし切れないんじゃないのかと。まあ、かねてからそういう指摘はされていたわけでありますが、この検査の在り方ですね、いついつ行きますと言って実地検査に行く、そうすると、当然のことながら都合が悪いものは場合によっては見えなくすることだって可能なわけでありますし、そうしたいわゆる実地検査、現場の検査の在り方自体を今後見直していかなければいけないと思うんですが、これ通告しておりませんけれども、お話聞かれていて、大臣、どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/99
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100・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 定期検査、臨時検査につきましては、今委員が御指摘いただいたとおりでございます。
それで、検査の方法については、今、公正、統一的に実施できるように、検査マニュアルのほか、検査方針等を策定して実行しているところでございます。
また、検査担当職員の資質向上のために、検査方針の周知であるとか、あるいはOJT、あるいは指導担当職員向けの研修などを実施して資質の向上に努めているところでございますが、他方、委員の御指摘にもございますとおり、実地検査につきましては、限られた人員で多くの機関を検査することが必要になりまして、統一的な指針の下、様々な検査対象を検査することになりますことから、一定の限界があることは事実でございます。
その上で、引き続き実地検査の実を上げられるよう、質、量共に上げられるように鋭意努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/100
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101・川合孝典
○川合孝典君 今、御答弁の中で、いわゆる人員不足のことを指摘されました。もう当然、人員不足だと思います。限られた人数で数十万人いらっしゃる技能実習生を要は監理しなければいけないということでありますから、そもそも人員体制から無理があるということは私も理解しております。そうした状況の中で、そのマニュアルを整備して、個人のスキルアップを行ってという、そのことももちろん大事なんですが、それでもやっぱり限界があると思うんですね。
で、そうなったときに、ここまで外国人労働者の受入れというものが進んで、かつ国としても外国人の労働力を必要とする状況になってきている中で、外国人労働者の皆さんのいわゆる権利、人権や労働条件をきちっと守っていくということを考えたときに、場合によっては、私は、自治体、地方自治体ですとか、都道府県のいわゆる労働局ですとか、労働基準監督署ですとか、そういういわゆる労働に関わる役所はほかにもあるわけでありますので、そういったところとの連携といったようなことも考えるべき時期に来ているのではないのかと思います。
で、これは済みません、通告せずに質問してばっかりで誠に申し訳ないんですけれど、他省庁とのこの問題に関する連携の在り方等についても議論する必要があると思うんですけど、大臣、どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/101
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102・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) この外国人技能実習機構では、実地検査等において計画どおりに技能実習が行われていないことですとか法令違反を把握した場合には指導監督を行って、事案の内容に応じて主務省庁において必要な行政処分等を行うことになっているわけでありますので、まずはこの制度の適正化ということに努めていかなくてはいけないわけでありますが、ただ、御案内のように、今委員の御指摘もありましたけど、技能実習制度の在り方等については様々な問題点も、論点も指摘されておりますので、今後開催する、まあ今後って、今日発表した有識者会議においてそういった様々な御意見を伺いながら、政府全体で丁寧に議論を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/102
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103・川合孝典
○川合孝典君 今後の議論に大変私も期待しているところでありますが、結論が出て実際動き出すまでにはまだしばらく時間を要するのも事実であります。
今生じている問題に対してどう対応するのかということも当然議論されなければいけないんですが、実は、技能実習生がこういう状況、今回の事案のように二年半にもわたって問題が表面化せずにここまで来た理由、最大の理由は、これを技能実習生が当事者の立場から申立てを行うことで職を失ってしまう、要は自国に送還されてしまうということを恐れてのことなわけであります。制度自体は、技能実習生の権利というものをきちんと守るという立場で制度設計がそもそもされているわけですが、当の技能実習生の方は実習先企業からのやっぱり圧力を恐れて、本来主張すべき権利が主張し切れていない状況があるんです。
よって、今すぐできることとして問題提起させていただきたいんですが、技能実習生の方が、要はその不利益を被らずに申立て、要は情報を上げてこれる、申立てができるような制度の枠組みというものを是非考えていただきたいというふうに私は思っております。
時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますけれど、そうしたことも含めて、有識者会議で今後議論進めることと同時に、今できること、今やらなければいけないことがあるということの問題提起をさせていただきまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/103
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104・仁比聡平
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
十一月十八日に発見された東京入管収容中の五十代のイタリア人男性が死亡された事件についてお尋ねをします。
入管にまずお尋ねいたしますけれども、改めて、どのように亡くなられたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/104
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105・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 現在把握している事実関係でございますけれども、令和四年十一月十八日午前七時二十二分の職員による発見時、この亡くなられた方は、引き裂かれたテレビの電気コードを巻き付けた五十円玉二枚を輪ゴムで固定して両こめかみに当て、コンセントに差し込み通電した状態で、居室内に敷かれた就寝用のマットレスの上に横たわっていた状態であったということでございます。
その後、午前七時二十六分に職員が救急搬送を依頼したものの、午前九時十六分に搬送先病院での死亡が確認されたというものでございます。
なお、搬送先病院医師の所見では、推定される死因は電撃傷であったというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/105
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106・仁比聡平
○仁比聡平君 先ほど来の質疑で、天井からつるされているテレビの、天井のコンセントにつながっているテレビの電源コード、電気コードを引き裂いたという表現をされているんですけれども、かなり高い位置にあると思うんですが、踏み台になるようなものが居室にあるのか、加えて、手で引きちぎったということなのか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/106
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107・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) これも事実確認中ではございますが、室内にはテーブルがございました。
それから、私も引きちぎったという表現をいたしましたが、実際、コードを切った方法についても今事実確認中でございまして、明確なことは今お答えできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/107
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108・仁比聡平
○仁比聡平君 刃物のようなものがあったのかということも調査中ということなんだろうと思いますけれども、生きている収容者を入管が最後に確認をしたのはいつなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/108
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109・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 詳細な事実関係、今確認中でございますが、当日未明の時点では、亡くなられた方が居室内で動いている状況が確認をされております。また、居室内のコンセントに通電されるのは午前七時であったため、現時点で把握された事実関係からは、亡くなられた方は午前七時前までは生存していたものと推測をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/109
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110・仁比聡平
○仁比聡平君 動いているというのは、その居室をどんなふうに確認をしたということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/110
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111・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 動哨確認ももちろんございますけれども、そのほかに、居室内には監視カメラはございませんが、ほかの箇所に監視カメラがあって、それに映っている状況からも確認が取れたということでございますが、その点も含めて今詳細については確認をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/111
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112・仁比聡平
○仁比聡平君 ということは、その動いている収容者を、入管といいますか警備官といいますかが確認されていたということのようなんですけれども、そのときの様子というのはどんな様子だったか。というのは、先ほど来御説明いただいているような亡くなり方で自殺をしたと思われるということは、この収容者が相当深い自殺念慮に襲われていた、とらわれていたというふうにも思われるんですけれども、そうした様子というのはなかったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/112
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113・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) その動静の具体的な様子につきましても、今事実を本庁の方で改めて確認をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/113
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114・仁比聡平
○仁比聡平君 大臣、収容中に収容者が亡くなったということの重み、そして、こういう形で自殺をされたということについてはどうお感じになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/114
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115・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、十一月十八日に東京入管の被収容者がお亡くなりになりまして、まずもって亡くなられた方の御冥福をお祈りをしたいと思っています。
当然のことながら、入管収容施設に収容されている方が亡くなるということは本来あってはならないことだと思っておりますので、大変重く受け止めなければいけないと認識しています。被収容者の死亡事案などが生じないように処遇全般を適切に行うことは、出入国在留管理行政の私は責務であるというふうに思っております。
まずは、入管庁において、今委員いろいろ御指摘されましたけど、そういう御指摘あるわけでありますので、しっかりと経緯、死に、死亡に至る経緯の確認をしっかりして、適切に対処していかなくちゃいけないと考えております。私からも、事実関係をしっかりと確認して適切に対処するよう指示をしたところでありますので、それをしっかり実行させていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/115
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116・仁比聡平
○仁比聡平君 その、まず、今回の件の事実関係の調査についても、この十一月十八日の未明以降に起こったことは無論のことですけれども、この亡くなられた被収容者の収容やその原因というところにもしっかり遡って、遡ってというか、視野をきちんと大きく持って取り組まなければならないと思うんですが、その点で大臣にもし、確認いただければと思いますが、配付した資料の二枚目に、本年九月十六日に水戸地方裁判所で下された判決文から私の方で抜粋をいたしました。これは、牛久の入管、つまり東日本入国管理センターで死亡したカメルーン人男性をめぐる国家賠償請求事件に係る判決です。
収容者は、その意思にかかわらず居住を東日本入管センター内に限定されて移動の自由を制限されていたことにより、自由に入国者収容所外の医師による診療等を受けることができない立場にあった。したがって、その反面として、東日本入管センターの職員らには、その職務を行うについて、被収容者であったAに対し、その生命、身体の安全や健康を保持するために社会一般の医療水準に照らして適切な医療上の措置をとるべき注意義務があったというべきであるという、こうした判決ですけれども、この判決の一般論、これについては法務省として、大臣として、そのとおりだとお認めいただけるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/116
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117・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 今委員御指摘の部分は、判決文から、判決文の指摘でございます。国の主張は一部認められておりませんで、当方としては控訴している状況でございますので、この判決文の記載についてのコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。
ただ、我が方としても、被収容者処遇規則というのがございます。そこには、「所長等は、被収容者がり病し、又は負傷したときは、医師の診療を受けさせ、病状により適当な措置を講じなければならない。」と定めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/117
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118・仁比聡平
○仁比聡平君 この期に及んでといいますか、裁判としては、救急車を呼ぶ義務があったか、あるいは、被収容者亡くなられたんですが、この救急車を呼ばなかったことと因果関係があるかという点が争点になっています。ですが、今の局長の答弁からもうかがわれるように、つまり、被収容者は入管において移動の自由を制限される、自由に外の医師による診療等を受けることができないという、そういう拘禁状態に置かれるわけですよね。その反面として、入管には、生命、身体の安全や健康を保持するために社会一般の医療水準に照らして適切な医療上の措置をとるべき注意義務があったというのがこの判決なわけですね。
大臣、この被収容者の生命、身体の安全や健康を保持するための社会一般の医療水準に照らしての適切な医療上の措置、これは、収容所においてこれはちゃんととられなきゃいけないでしょう。処遇規則とおっしゃるんだったら、処遇規則はそれを意味しているんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/118
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119・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 入管収容施設において、被収容者は、この判決文にも指摘されているとおり、自己の意思により自由に施設外の医療を受けることができないという状況にございます。そのため、その健康の保持と社会一般の医療水準に照らし適切な医療上の措置を行うことは、収容を行う国の責務であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/119
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120・仁比聡平
○仁比聡平君 やっと中身はお認めになったわけですね。
その生命、身体の安全や健康を保持するというときに、身体的な、けがをしているとかあるいは内臓の疾患があるとかですね、いうことと同時に、いうことと同じに、並んでですね、精神面での健康、これも当然保持されなければならないし、そうした精神医療、典型的には、も社会一般の水準に照らして適切に行われるべきですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/120
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121・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 今答弁をいたしました医療上の措置には、当然ながら精神疾患に対する措置も含まれるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/121
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122・仁比聡平
○仁比聡平君 この十八日に亡くなられた被収容者ですけれども、入所時には健康状態に関する質問書やあるいは入所時健診というのも行われるわけです。その後、やり取りといいますか、収容中の警備官とのやり取りというのもあるだろうと思いますけれども、その中でこの自殺念慮を疑わせる、したがって、御本人の申出があればもちろんだけれども、入管の側からカウンセリングのような機会を持ったらどうかと促したり、あるいはお医者さんが事実上診に行ってみたり、あるいは入管の方で強制的にそうした診療を受けていただいたりという、そうした精神的な医療というのは行われたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/122
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123・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) その点も含めまして事実確認中でございますが、御本人様、御本人は庁内医師が複数回診療を行ったということは確認できております。ただし、収容後、精神科医師が受診を行ったという事実は把握できておりません。あっ、受診を、失礼、撤回します。御本人が収容後、精神科医師の受診を受けたということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/123
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124・仁比聡平
○仁比聡平君 精神科の医師の受診は行っていないということなんですね。内科の先生が御覧になったのかどうかということもあるんですけれども、そもそも現在の入管では、被収容者の診療に関する判断というのは医師が直接行うのではありませんよね。医師の診察に立ち会った入管職員の報告に基づいて、収容所長あるいは入管の局長が行うということになっている。
これ、けがとか内臓疾患なんかのときだって、インフォームド・コンセントがこれで成り立つのかということは、私、甚だ疑問なんですけれども、特にメンタル、自殺念慮に襲われると、それがなぜかなどというのは、信頼関係が結ばれなければきちんと把握をして適切な治療を行うということは、私、できないんだと思うんですよ。これを、仮放免を取り消して、社会での生活を奪われて収容された、その収容の当局が生殺与奪の権握っているという中で、この方が苦しまれたのではないかと。自ら精神科でのカウンセリングなんかを申し出るというみたいなことは、到底そういう状況にはなかったのではないかと。
だから、本当にこういう自殺の防止のためにも、適切な治療を受けよう、受けてもらおうと、受けさせようということであれば、この入管の中での医療の在り方ということを根本的に改めなければならないのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/124
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125・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 先ほども申し上げたとおり、規則に定められているとおりに医師の診察を、診療を受けさせ、病状により適切な措置を講じなければならないということが所長等に義務付けられていることから、当然ながら、その被収容者の状況に応じて、精神疾患の疑いも含めてですね、そういった疑いがあれば必要な措置を講じなければならないということになりますので、その点はその所長以下職員も目くばせをしていくのが当然であろうかというふうに一般論としては考えます。
ただ、本件につきましては今事実確認中でございますので、本件に関しましてはちょっと今お答えできる状況にはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/125
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126・仁比聡平
○仁比聡平君 今、入管が本件においては事実確認中で答えられないと言うとおり、つまり、自殺されたということはおよそ、恐らく間違いのないことですよね。亡くなり方も、ちょっとなかなかない亡くなり方じゃないですか。よほどの自殺念慮があっただろうと思うんですよ。だけれども、結果自殺をされた、その間、精神科的なケアはなされていないという、それはもうはっきりしているわけで、だから、このままでは自殺は防止できないでしょうということなんですね。
先ほど来の質問の中で、この収容が仮放免の取消しだということはもう既に御答弁がありました。この仮放免の取消しとこの精神的な影響、仮放免の取消しによる収容が精神面に及ぼす影響というのは、私は大きいんではないかと思います。
ついこの十一月三日に、国連の自由権規約委員会が日本に対してこの入管の人権侵害について勧告を行いました。同種の勧告というのは、二〇〇七年の拷問禁止委員会、二〇一三年の同委員会、二〇一四年の自由権規約委員会、二〇一八年の人種差別撤廃委員会、あるいは二〇二〇年の国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会など、相次いでいる、後を絶たないわけです。
ここで特に厳しく指摘をされているのが、収容の長期化、あるいは上限もないじゃないか、無期限に収容されるじゃないか、あるいは外国人が不当な取扱いを受けているではないかと、司法による独立した審査もないではないかなどなんですよね。
そうした長期収容に、一旦社会に出ていたんだけれども仮放免取り消されて収容されてしまったと、これは被収容者にとって絶望感を高じるという大きな要素に私はなると思うんですが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/126
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127・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 御指摘の点を含めて、その入管収容施設へ収容されるということが、事案によっては、まあ一般論でありますけど、当該外国人の精神状態に悪影響を及ぼすということは、私はあり得るんだろうと考えています。そのような外国人に対しましては、精神科医による診察等の医療上の措置をとるなど、人道に配慮した適切な対応を行うことは当然に必要なことであると私は承知をしております。
ただ、本件につきましては、今委員が御指摘されたことからも分かりますように、様々事実関係を確認しなくちゃいけないことが多々あろうかと思いますので、まずはその事実確認を優先をして対応していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/127
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128・仁比聡平
○仁比聡平君 今の大臣の答弁、大切なことだと思うんですよ。
となると、やっぱり改めて、収容者、新たに収容される人、そのうち、収容前の在留資格がどういうもので、収容された理由は何なのか、これ、仮放免の取消しという本件のような事案がどれぐらいあるのか、それから、収容が終了するということがありますよね、その内訳という、そうした今の現在の入管の収容の実態を国民的にちゃんと明らかにして、医療の必要性、人員の配置の問題などもきちんと議論できていくような、そうした統計をちゃんと取って明らかにすべきではありませんか。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/128
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129・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 私どもでその統計として把握しているのは、あるいは入所総数であるとか出所総数、被送還者数、在留特別許可件数、仮放免許可件数等でございます。
委員の問題意識、あるいはその収容あるいは収容を解かれるということに関連するものとしてはそういう統計を取ってございますが、ある一定の時点で収容されている者がその後どういう内訳で収容を解かれるのか、解かれてないのかといったところを統計として把握していることはございません。
もちろん、個々の処遇において、ある者が収容され仮放免になったが取り消されて送還されたというような一連の経緯はもちろん個々で把握しておりますけれども、それを、ちょっとイメージがよく湧かないんですけれども、それをこの統計的なもので数値的に何か整理をしているということではございません。
それから、もう一つ、委員御指摘あった収容前の在留資格、これについては統計を取ってございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/129
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130・仁比聡平
○仁比聡平君 質問にお答えになっていないのでちょっとあえてもう一回聞きますけど、それはそうなんですよ、今。だから、生殺与奪の権を握っている入管が、自分ところのブラックボックスの中で我が裁量ですというふうに言っていたら、何にも変わらないじゃないですか。ちゃんとどんなことになっているのか分かるように、統計のその取り方はいろいろあるでしょう、それを明らかにすべきだと。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/130
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131・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) その問題意識として、例えばですが、収容期間が結局どのぐらい長くなっているのか、長くなっていないのかといったところについては、昨年統計を取って、数字を取ってみたことはございます。ですので、その委員の御指摘、何かこう抽象的には分かるんですけど、具体的にどのような数字で統計を取っていいのかが、いま一つ私も理解が及ばないところがございます。申し訳ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/131
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132・杉久武
○委員長(杉久武君) おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/132
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133・仁比聡平
○仁比聡平君 大臣が最後までお立ちにならないので今日はこれで終わりますが、入管は、中で自分たちは知っているからっていうことでしょう、つまりね。知っている人がちゃんと整理してみんなに知らせるというのが本来の当たり前であって、私もよく聞き方考えたいと思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/133
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134・杉久武
○委員長(杉久武君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/134
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135・杉久武
○委員長(杉久武君) 民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。齋藤法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/135
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136・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 民法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、無戸籍者の問題を解消し、児童虐待を防止するなどの観点から、民法等の一部を改正しようとするものであります。
その要点は、次のとおりであります。
第一に、民法の一部を改正して、嫡出推定規定を見直し、母の婚姻の解消等の日から三百日以内であっても、母の再婚後に生まれた子は、再婚後の夫の子と推定することとし、これに伴い不要となる女性の再婚禁止期間に関する規定を削除するとともに、嫡出否認をすることができる者の範囲及び嫡出否認の訴えの出訴期間を見直し、また、事実に反する認知についてその効力を争うことができる期間を設けるなどの措置を講じ、さらに、親権者の懲戒権に関する規定を削除し、子の監護及び教育において子の人格を尊重することや体罰をしてはならないこと等の規定を新設することとしております。
第二に、国籍法の一部を改正して、事実に反する認知の効力を争えなくなった場合でも、事実に反する認知によっては日本国籍を取得することができないことを明らかにする規定を設けることとしております。
第三に、人事訴訟法及び家事事件手続法の一部を改正して、嫡出否認の判決又は審判が確定した場合に、その内容をこの判決等により嫡出推定を受けることとなる母の前夫に通知すること等の規定を設けることとしております。
第四に、生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律の一部を改正して、嫡出否認をすることができる者の範囲の見直しに係る民法の一部改正に伴い、第三者の精子を用いた生殖補助医療により出生した子について、妻及び子の嫡出否認権を制限する規定を設けることとしております。
第五に、児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正して、親権者や児童相談所長等が児童に対して行う監護及び教育等に関する必要な措置について、子の監護及び教育等に係る民法の一部改正と同様の見直しを行うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/136
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137・杉久武
○委員長(杉久武君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015206X00820221122/137
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