1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年十一月十八日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第七号
令和四年十一月十八日
午前十時開議
第一 離島振興法の一部を改正する法律案(衆
議院提出)
第二 公職選挙法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
第三 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第四 検察官の俸給等に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、民法等の一部を改正する法律案(趣旨説明
)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/0
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001・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
民法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/1
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002・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。齋藤健法務大臣。
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/2
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003・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 民法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、無戸籍者の問題を解消し、児童虐待を防止するなどの観点から、民法等の一部を改正しようとするものであります。
その要点は、次のとおりであります。
第一に、民法の一部を改正して、嫡出推定規定を見直し、母の婚姻の解消等の日から三百日以内であっても、母の再婚後に生まれた子は、再婚後の夫の子と推定することとし、これに伴い不要となる女性の再婚禁止期間に関する規定を削除するとともに、嫡出否認をすることができる者の範囲及び嫡出否認の訴えの出訴期間を見直し、また、事実に反する認知についてその効力を争うことができる期間を設けるなどの措置を講じ、さらに、親権者の懲戒権に関する規定を削除し、子の監護及び教育において子の人格を尊重することや体罰をしてはならないことなどの規定を新設することとしております。
第二に、国籍法の一部を改正して、事実に反する認知の効力を争えなくなった場合でも、事実に反する認知によっては日本国籍を取得することができないことを明らかにする規定を設けることとしております。
第三に、人事訴訟法及び家事事件手続法の一部を改正して、嫡出否認の判決又は審判が確定した場合に、その内容をこの判決等により嫡出推定を受けることになる母の前夫に通知すること等の規定を設けることとしております。
第四に、生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律の一部を改正して、嫡出否認をすることができる者の範囲の見直しに係る民法の一部改正に伴い、第三者の精子を用いた生殖補助医療により出生した子について、妻及び子の嫡出否認権を制限する規定を設けることとしております。
第五に、児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正して、親権者や児童相談所長等が児童に対して行う監護及び教育等に関する必要な措置について、子の監護及び教育等に係る民法の一部改正と同様の見直しを行うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/3
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004・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。福島みずほ君。
〔福島みずほ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/4
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005・福島みずほ
○福島みずほ君 立憲・社民共同会派の福島みずほです。
立憲民主・社民の会派を代表し、質問をいたします。
葉梨大臣が更迭をされ、齋藤健大臣になりました。山際大臣も更迭をされています。疑惑だらけで説明ができない寺田総務大臣も辞任、更迭されるべきではないでしょうか。このような総務大臣の下で国会の審議はできません。即刻辞任、更迭されるよう強く求めてまいります。
統一教会問題に対する法務大臣の決意をまずお聞きします。
統一教会については、何十年と霊感商法をやってきた統一教会の広告塔に多くの自民党の国会議員がなり、被害を拡大させてきたという問題と、政策がゆがめられてきたという二つの問題があります。統一教会は、霊感商法などによって人々の生活、人生、家族を破壊をしてきました。憲法に家族条項が必要だと言いながら、逆に家族を破壊してきたのです。
政治は人を幸せにするためにあります。しかし、統一教会とタッグを組むことで人を不幸にしてきた自民党の政治とは一体何なんでしょうか。
二〇〇五年頃、政治の力によって統一教会への捜査が止まったという警察官の証言を何人もの人が聞いています。政治の作為と不作為が両方問われなければなりません。統一教会への解散請求はなされなければなりません。
法務大臣として今後どのように取り組むのか、決意をお聞かせください。
統一教会などによって、ジェンダー平等、性教育、選択的夫婦別姓、同性婚、LGBTQの問題や様々な人権問題が後退し、阻まれてきたという問題があります。
統一教会などの影響をなくし、日本が人権先進国としてこの国会で立法が進むようにすべきだと考えますが、法務大臣の決意をお聞かせください。
法務大臣、葉梨前大臣の発言についてどう考えますか。
葉梨前大臣は、死刑が人の命を奪うものであることを軽視し、法務大臣の仕事は死刑を執行することであると当然のことと考え、深く考えていなかったことが大問題ではないでしょうか。
国連の自由権規約委員会で、日本の法制度について、十月十三日、十四日、審査が行われ、そして総括所見、勧告がなされました。その中で、死刑についても言及があります。
パラグラフの二十一(a)死刑の廃止を検討し、必要に応じて、死刑廃止に向けた世論を喚起するための適切な啓発措置を通じて、死刑廃止の必要性について国民に周知すること。一方、締約国は、モラトリアムの確立を検討し、これを優先事項として、死刑犯罪の数を減らし、規約に従って死刑を最も重要な犯罪に厳格に限定することを確保すべきである。(c)死刑囚の再審請求や恩赦に執行停止効果を持たせ、死刑囚の精神的健康状態を独立したメカニズムで審査し、再審請求に関する死刑囚とその弁護士との全ての面会の厳格な秘密性を保証するなど、死刑事件についての必要的で効果的な再審査のシステムを確立すること。
世界の趨勢は死刑廃止です。国家による殺人である戦争と死刑は廃止すべきです。この勧告をどう受け止めますか。
再審請求中の死刑執行はすべきではありません。死刑台から再審無罪で生還した人は四人と言われていますが、冤罪で死刑判決を受けた人はほかにもたくさんいます。飯塚事件やハンセン病を理由に特別法廷で死刑になった菊池事件など、冤罪による死刑執行の可能性が極めて高いのです。取り返しが付きません。
大臣、この勧告をどう受け止め、どう実現していきますか。
自由権規約委員会は、入管制度、難民政策についても厳しく言及をしています。
パラグラフ三十三(a)国際基準にのっとった包括的な難民保護法制を早急に採用すること。(c)仮放免中の移民に必要な支援を提供し、収入を得るための活動に従事する機会の確立を検討すること。(e)行政機関による収容措置に対する代替措置を提供し、入管施設における上限期間を導入するための措置を講じ、収容が、必要最小限度の期間のみ、かつ行政機関による収容措置に対して存在する代替措置が十分に検討された場合にのみ、最後の手段として用いられるよう確保し、移民が、収容の合法性について判断する裁判所の手続に実効的に訴え出ることができるよう確保する措置を実施すること。
これをどう受け止め、実現していきますか。
名古屋刑務所事件の死亡事件などがあり、当時の森山法務大臣は法務大臣の首と責任を懸けて監獄法の改正に着手し、法律が成立をしました。名古屋入管での死亡事件があり、だからこそ、齋藤法務大臣には、かつて提出し廃案になった法案ではなく、与野党で賛成できる国際水準の難民保護法案と入管法改正案を抜本的に作り、国会上程していただきたいのです。歴史に残る法務大臣になってください。
選択的夫婦別姓、同性婚、LGBTQについても勧告で言及されています。
まず、選択的夫婦別姓の実現についてお聞きをします。
パラグラフ十五(c)社会における女性と男性の役割に関する固定観念が法の下の平等に対する女性の権利の侵害を正当化するために使用されないよう、民法七百三十三条と七百五十条の改正を含めて闘い続けなければならない。
一九九六年の法制審議会の答申のうち、二〇一三年に婚外子の法定相続分の差別撤廃、今年、二〇二二年四月、成人年齢が十八歳になることに伴い、男女の婚姻年齢を同じにすることが実現し、さらに、今まさにこの国会で再婚禁止期間の廃止が実現しつつあります。残るは選択的夫婦別姓のみです。答申から二十六年、なぜこれだけが実現せず取り残されているのか。実現すべきではないでしょうか。
同性婚やLGBTQについても、パラグラフ十一(b)同性カップルが、公営住宅へのアクセス、それから、及び同性婚を含む規約に定められている全ての権利を締約国の全領域で享受できるようにすること。(c)生殖器又は生殖能力の剥奪及び婚姻していないことを含む性別変更を法的に認めるための正当な理由で各要件の撤廃を検討すること。
大臣は、同性婚のアンケートに対して、どちらかといえば賛成と答えています。同性婚の実現をすべきではないでしょうか。選択的夫婦別姓や同性婚を認めても、あなたの生活、人生、結婚に全く影響はありません。幸せな人をつくるだけなんです。増やすだけなんです。是非取り組むよう、よろしくお願いいたします。
女性の再婚禁止期間は国連の女性差別撤廃委員会からも廃止が勧告されていたものであり、今回規定が削除されることは評価できます。
今回上程されている嫡出推定規定に関する民法改正の立法趣旨の一つは、無国籍の子供たちをなくすということです。衆議院法務委員会で前大臣は、無国籍、無戸籍ゼロを目指し、無戸籍者をなくすことが法務大臣、法務省としての目標であり責務であると明確に述べられました。新大臣も同じ覚悟をお持ちですか。
今回の民法改正の柱は、母親が再婚すれば子供も再婚相手、つまりは後婚の夫の子と推定し、出生届の提出ができるというものです。逆に言えば、再婚しなければ離婚後三百日以内に生まれた子供は前婚の夫の子と推定をされ、これまでどおりの扱いが続きます。母親は、前夫と交渉したり法的手続に訴えなければならないことに懸念を持ち、出生届を出さないという状況は変わりません。
結婚解消後法律上の結婚をしなければ救済されない点は、多様化する家族形態の観点から疑問です。すぐ再婚して子供が生まれるということは簡単ではありません。
現実的には、DV事案などの場合、離婚すること自体が厳しく、離婚後すぐ再婚するということのハードルは高いです。父母が様々な事情ですぐ法律上の結婚ができない場合に子供を救済できません。また、今回の法律案では、子供の出生時に再婚をしていなければ従前どおり前婚の夫の子供とされ、出産の日以降に再婚をしても再婚後の夫の子供にはなりません。母親の再婚の有無、またそのタイミングで子供の父が全く変わってしまうという規定にどこまで合理性があるのでしょうか。公平でしょうか。
大臣や法務省の無戸籍ゼロへの覚悟とは裏腹に、母親が再婚しない、できないケースでは、結局、無戸籍の子供になってしまい、問題の解決にはならないと考えます。今回の改正での効果は極めて限定的で、無戸籍の子供を生じさせないという立法趣旨を満たすことはできないのではないでしょうか。
嫡出というのは正当なという意味があると言われています。先進諸国ではそういう言い方をせず、婚外子、婚内子という言い方に変え、そもそもそのような区別をなくす方向にあります。嫡出という概念そのものを見直し、婚外子も含めた父親の推定規定の在り方まで進むべきではないですか。国会でも嫡出という言葉を見直すべきだと度々指摘されてきましたが、嫡出推定規定の見直しの際にその用語をどうするかが検討事項だとの答弁に終始してきました。では、今回の見直しの際に十分な検討がされたのでしょうか。それでもなお引き続き嫡出という言葉を民法で使用する意図をお示しください。
また、出生届も問題です。嫡出子かそうでないかをまずチェックされる欄は変更されるべきではないですか。かつて法務省は、変えるべく戸籍法改正法案を作りました。今こそ上程すべきではないですか。
国籍法三条三項の新設は大問題です。
認知が無効になると遡及して国籍まで失ってしまうという重大な問題について質問をします。
認知後何年経過しても、そして何歳になっても、取得した日本国籍を認知時などに遡って剥奪されてしまいます。何十年と日本で日本人として暮らしていても、仮に認知が無効になれば、日本人でなくなり、強制退去の対象になってしまいます。配偶者や子供、孫がいれば、その人たちも含めて強制退去の対象になります。日本人でなくなって無国籍になった場合、どこに強制退去させるのでしょうか。重大な人権問題となります。
法案には、日本国籍が剥奪となることにより無国籍状態となる当事者についての例外、救済規定が全くありません。法務大臣は、この問題の認識がありますか。衆議院の法務委員会では、個々的に判断するという答弁もありました。どのように解決をされるのでしょうか。
子供の虐待について質問をします。
厚生労働省に設置された体罰等によらない子育ての推進に関する検討会の取りまとめにおいて、たとえしつけのためだと親が思っても、身体に何らかの苦痛を引き起こし、又は不快感を意図的にもたらす行為である場合は、どんなに軽いものであっても体罰に該当し、法律で禁止されますとの体罰の定義と具体例が示されています。
体罰をする親は、往々にして体罰と思っておらず、適切なしつけだと考えています。今回の改正案の、親権を行う者は、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならないとすることは、どんなに軽いものであっても体罰に該当するという子どもの権利条約の一般的意見八号や、厚生労働省の検討会の取りまとめの定義を変更するものであり、親の体罰を是認するものになるのではないでしょうか。
政治は人を幸せにするためにあります。
様々な人の多様な生き方を保障する法制度の実現が必要です。今回の法改正は一歩前進です。しかし、無戸籍のゼロを実現するには程遠い内容であること、父親の推定の根本的な見直しをする必要があること、国籍法三条三項が甚大な人権侵害を起こすこと、子供の虐待の規定の問題点など、問題や課題があります。また、民法といえば、選択的夫婦別姓と同性婚も実現する必要があります。
様々な人の多様な生き方を保障する法制度の実現が国会で必要です。そのために奮闘するということを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/5
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006・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 福島みずほ議員にお答え申し上げます。
まず、いわゆる旧統一教会問題に関し、今後の取組に向けた決意についてお尋ねがありました。
この点につきましては、先般、関係省庁連絡会議で申し合わせた、被害者の救済に向けた総合的な相談体制の充実強化のための方策を関係省庁と連携して着実に実施し、被害者の救済に向けた取組に万全を尽くしてまいります。
なお、自民党に関する御指摘につきましては、法務大臣としてお答えをする立場にはございません。
次に、旧統一教会などによる様々な人権問題への影響等についてお尋ねがありました。
御指摘のような問題に関する政府の取組に旧統一教会などの特定の団体の影響があったとは考えていません。
全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を送ることができる、多様性が尊重される社会を実現することは重要であり、そのような観点から、国民各層の意見、国会における議論の動向も踏まえつつ、必要な検討を行ってまいります。
次に、葉梨前大臣の発言についてお尋ねがありました。
この点につきましては、葉梨前大臣自身が説明を尽くされるべきものと認識しています。
私自身につきましては、自分が果たさなければならない職責に影響が出るような発言は厳に慎まなければならないと考えています。
次に、自由権規約委員会からの死刑に関する勧告についてお尋ねがありました。
自由権規約委員会において、我が国が提出した第七回政府報告について審査が行われ、本月三日、総括所見が公表されたことは承知いたしております。総括所見のうち、死刑に関する事項として、死刑の廃止を検討することなどの勧告等がされたものと承知しています。死刑の廃止は適当ではないと考えていますが、いずれにしても、今後、勧告等の内容を精査し、我が国の実情等を踏まえ、適切に対処してまいります。
次に、我が国の出入国在留管理行政に関する自由権規約委員会からの勧告等についてお尋ねがありました。
総括所見のうち、我が国の入管行政に関して自由権規約委員会からの勧告等がされたことは承知いたしております。この勧告等では、我が国の入管行政における対応について、歓迎されているものもあるなど、一定の評価もされているものと認識しています。
また、我が国の出入国在留管理制度は、出入国管理及び難民認定法等に基づき、制度と運用の両面において手続の適正性が確保されているものと考えております。今後、勧告等の内容を精査し、その趣旨を尊重しつつ、我が国の実情等を踏まえ、適切に対処してまいります。
次に、選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。
法務省は、平成八年の法制審議会の答申を受け、同年及び平成二十二年に選択的夫婦別氏制度を導入するための法案を準備しましたが、国民の間や当時の政権内にも様々な意見があったこと等から、法案の提出には至りませんでした。
夫婦の氏の在り方については、現在でも国民の間に様々な意見があり、今後とも、国民各層の意見や国会における議論を踏まえ、その対応を検討していく必要があると考えています。
次に、同性婚制度の実現についてお尋ねがありました。
全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を送ることができる、多様性が尊重される社会を実現することは重要であると考えています。
もっとも、同性婚制度の問題は、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、国民的なコンセンサスと理解を得た上でなければ進めることができないと考えています。
次に、無戸籍者解消に向けた覚悟についてお尋ねがありました。
無戸籍者にならないようにすることは法務省や法務大臣の使命であり、無戸籍者問題を解消するよう努めてまいりたいと考えています。
次に、嫡出推定制度に関する本改正法案の合理性についてお尋ねがありました。
嫡出推定制度の意義は、婚姻の夫の子である蓋然性が高いことを踏まえ、子の出生の時点で父子関係を定め、子の地位の安定を図ることにあります。このような意義に照らすと、嫡出推定の例外を設ける場合にも、誰の子である蓋然性が高いか、また、戸籍窓口における形式的審査により認定を行うことが可能かを考慮する必要があります。
そこで、母の再婚後に出生した子は再婚後の夫の子の蓋然性が高く、その事実は形式的審査で認定可能であることから、母の再婚後に出生した子に限って再婚後の夫の子と推定することとする規律は合理的であると考えています。
次に、母が再婚しない場合における無戸籍の解消についてお尋ねがありました。
本改正法案では、子及び母にも否認権を認めることとしており、母親が再婚していないため前夫の子と推定される場合でも、否認権が適切に行使されることによって無戸籍者問題の解消が図られるものと考えています。
法務省としましては、引き続き、無戸籍の方に寄り添った支援を継続するなど必要かつ可能な支援を行い、否認権が適切に行使されるように取り組んでまいります。
次に、嫡出概念の見直し等についてお尋ねがありました。
現行法上、嫡出である子と嫡出でない子では、法律上の父子関係の成立のみならず、親権者、氏、入籍すべき戸籍の決まり方においても異なる規律がされており、これらの規律を見直すことについては、それぞれの規律ごとに具体的な立法事実や国民の意識等を踏まえた検討が必要と考えられます。
一般に、民事基本法制については、国民の意識や社会情勢の変化等に対応し、不断に見直しをしていくことが重要であると考えていますが、現時点では、嫡出という概念を見直し、それを前提とした父子関係の推定の規律を設ける必要があるとは考えていません。
次に、嫡出という用語の見直しについてお尋ねがありました。
法制審議会民法(親子法制)部会においても、一部の委員から、嫡出という用語を見直し、婚外子という用語にする意見も出されましたが、この用語についても差別的であるとの指摘がされるおそれがあるなどの意見もあり、嫡出の用語の見直しは要綱に盛り込まれなかったものと承知しています。
法令用語については、国民の意識や社会情勢の変化等を踏まえ、必要に応じて見直しをしていくべきものと考えており、引き続き、そうした情勢等を注視していきたいと考えています。
次に、出生届書に嫡出子又は嫡出でない子の別を記載することについてお尋ねがありました。
法律婚主義を採用する現行制度の下においては、嫡出子と嫡出でない子との間には、民法上、嫡出子は父母の氏を称し、嫡出でない子は母の氏を称するなど、子の氏等に関して異なる取扱いがされています。そして、戸籍法上も、かかる民法の規定を受けて、子が入籍すべき戸籍について、嫡出子と嫡出でない子との間で異なる取扱いをしています。
この点について、最高裁平成二十五年九月二十六日判決は、出生届書に嫡出子と嫡出でない子の別を記載すべき旨を定める戸籍法の規定は不合理な差別的取扱いを定めたものではないと判断しています。
したがって、現時点で出生届書のチェック欄を変更する予定はありませんが、この点については様々な御意見があるものと承知しており、どのような方策が適切か考えてまいります。
次に、出生届書の記載に関する戸籍法の改正についてお尋ねがありました。
御指摘の問題に関する戸籍法の改正については、平成二十五年当時、緊急性に乏しいと判断し、その改正案の国会への提出を見送ったものであり、現時点で法改正を行うことは考えておりませんが、この問題についてはどのような方策が適切か考えてまいります。
次に、本改正案における国籍法の改正についてお尋ねがありました。
できるだけ無国籍者の発生を防止する等の配慮をすることが重要であると認識しています。
法務局においては、日本の国籍を取得するための手続や外国の大使館等における所要の手続に係る案内を、無国籍者の身分関係や意向等を踏まえて行う等の取組を行っています。また、退去強制手続を受けることになった場合でも、個別の事案に応じ、例えば、本邦で学校教育を受けるなどの事情を考慮し、法務大臣の裁量によって在留特別許可がされることがあります。
引き続き、無国籍者の置かれた立場に配慮しつつ、無国籍状態の解消に向け、可能な対応をしてまいります。
最後に、本改正案の体罰の意義についてお尋ねがありました。
本改正法案の体罰とは、子の問題行動に対する制裁として子に肉体的な苦痛を与えることをいい、体罰に該当する行為は、当然に子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動に該当し、許されないと考えています。
したがって、本改正法案によって親権者による体罰が是認されることにはなりません。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/6
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007・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 梅村みずほ君。
〔梅村みずほ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/7
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008・梅村みずほ
○梅村みずほ君 日本維新の会の梅村みずほです。
ただいま議題となりました民法等の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問いたします。
今回の改正の主な内容は、嫡出推定規定の見直しと女性の再婚禁止期間の廃止、嫡出否認制度に関する規律の見直し、懲戒権に関する規定等の見直しの三点です。
まず、嫡出推定規定の見直しについて伺います。
父子関係は、母子関係とは異なり、生物学上の存否を明らかにすることが困難であることから、法律上で父子関係を確定し、父子という身分関係の法的安定の確保を図り、家庭の平和を保持するというのが嫡出推定の妥当性であると認識をしています。
しかし、それは一昔、二昔前のロジックであり、DNA鑑定、遺伝子検査等が発達、進歩した現在、イギリスのコモンロー上の原則として行われているように、子の遺伝上の父が法的な父となることが好ましいと考えます。
嫡出推定制度ではなく、DNA鑑定等を用い生物学上の父の確定を行うべきであると考えますが、いかがでしょうか。日本において生物学的な親子と社会学的な親子はどちらが優位であるべきかと併せて、法務大臣の御見解をお尋ねいたします。
女性の望まぬ妊娠や出産後の痛ましい虐待死事件、また、赤ちゃんポストに預けられた子と母の実情等を問題視されながらも、子供をつくった生物学上の父親の責任の所在について、この国会ではなかなか議論になりません。
DNA鑑定等によって、日本に生まれる子供たちの生物学上の父親を可能な限り明らかにする必要性について、法務大臣の御見解をお示しください。
次に、女性の再婚禁止期間の廃止について質問します。
イタリア、インドなどは再婚禁止規定がある一方、ノルウェー、ドイツ、オランダなどはその期間が廃止されており、諸外国でも規定が分かれています。女性のみに規定のあった再婚禁止期間が廃止されることに歓迎の声は多いものの、廃止後に起こり得る問題についてはどのように考えているか、法務大臣の所見をお聞かせください。
また、今回は国籍法の一部を改正して、事実に反する認知の効力を争えなくなった場合でも、事実に反する認知によっては日本国籍を取得することができないという規定を設けることも含まれております。
虚偽認知による国籍の不正取得を防止するためと認識をしていますが、緊張感高まる昨今の世界的な安全保障情勢に鑑みても、国籍の不正取得を防止することは我が国にとって大変重要であります。懲戒権や嫡出推定のついでのように議論をしてよいものとは思えません。外交的、防衛的観点から十分に検討する必要があると考えますが、いかがでしょうか。法務大臣に問います。
懲戒権についてお尋ねいたします。
懲戒権を児童虐待の口実にさせない、そのための法改正がまさに今回であり、いよいよ民法から懲戒権という言葉が削除されます。
虐待防止の啓発、虐待の早期発見は言わずもがな重要である一方、いかに児童虐待を未然に防ぐかが肝要であり、その観点から今回の法改正がなされるものと理解しております。
しかし、今回の法改正をもってしても、児童虐待はなくならないでしょう。我が子をあやめた親たちは、なぜ拷問さながらの所業で我が子を絶命に至らしめたのか。子供をたたくことをやめられない親たちは、なぜ眠りについた我が子の寝顔に毎夜ごめんねと謝りながらも手を上げることをやめられないのか。その根本を探る必要があります。
令和三年度の相談対応件数は二十万七千六百五十九件で過去最多となり、平成二十七年度の十万三千二百八十六件から、僅か六年で倍増という数字になっています。数が増えたから即座に問題というのではなく、虐待問題の重大さが社会に認知された側面、疑いの段階で通報してくださる方が増加した側面など、様々な要因があろうかと思いますが、厚生労働省は、保護者が我が子を虐待する原因分析をどのように実施されているでしょうか。
児童虐待の罪に問われた保護者や保護者と内縁関係にある者の中には、自らも親との愛着形成がなされぬまま、壮絶な人生をたどった人がいます。
児童虐待による悲劇を繰り返さぬためには、罪を犯した当事者や、虐待疑いで児童相談所と関わった当事者の生育歴や妊娠の経緯、子育てにおける困難要因の本格的な調査や研究、分析が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
また、ゼロ歳ゼロ日児の虐待死が最多であることから、未受診妊婦や若年出産等、出産後の育児に際してのハイリスク要因を調査し、出産の段階からアウトリーチ型の支援や福祉につなげる方策が必要と考えますが、厚生労働大臣の御見解をお聞かせください。
今回の改正の意義を広く国民に認知していただくことは大変重要です。子育て中の親権者を始め広く国民に普及し、虐待防止の世論を今以上に高めていく具体的方策について、法務大臣にお尋ねいたします。
子供には、丸いほっぺでおなかいっぱい御飯を食べてほしい、明るく笑い、こけて泣いても立ち上がり、将来への夢を描いて健やかに育ってほしい、美しい国土と豊かな文化、味わい深い伝統と歴史に恵まれた日本を誇りに思い、自分と他人の心と体と人生を大切にしながら人間力を磨き、この国の未来を紡いでほしい。そのためには、大人が子供たちの目線に合わせる社会であらねばならないはずですが、今の日本は、子供たちが大人を気遣い、精いっぱいに我慢をしているのが実情ではないでしょうか。
虐待を受けながらも、僕が私が悪い子だからと耐える子供。離婚して会えなくなった親が恋しいけれど、寂しさを我慢している子供。感染症対策もそうかもしれません。大人たちが徹底していない黙食やマスクの着用を実質強制されている地域や学校は多く、子供の成長や発達に教育学や脳科学の専門家からも警鐘が鳴らされています。
多くの幼い子供たちは、自分に権利があることを知りません。政治に声を届けるすべも知りません。岸田総理のおっしゃる、こどもまんなか社会の実現のためにも、子供の持つ権利について子供たちへ伝えることが重要と考えますが、法務大臣の御見解をお聞かせください。
また、子どもの権利条約を学習指導要領に入れることへの是非を文部科学大臣に問います。
この法改正に伴い、児童福祉法及び児童虐待防止法からも懲戒権の記述がなくなりますが、学校教育法第十一条においては、教師から児童生徒に対する懲戒権の規定がそのまま残されています。
文部科学大臣にお尋ねいたします。
民法改正を受けて、学校教育法第十一条を見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。
文部科学省が昨年十二月に公表した令和二年度の体罰の実態把握についてでは、全国の小中学校などで八百七十一名の子供たちが体罰を受けていると明らかにされています。懲戒権という言葉が学校教育法に残る限り、体罰はなくならないと考えますが、大臣の御見解をお願いします。
また、度々問題となる指導死についてですが、文部科学省の各種資料には指導死という言葉はありません。なぜでしょうか。
法務大臣にも尋ねます。
虐待の口実にされるとの理由で民法から懲戒権という言葉を削除するにもかかわらず、学校教育法に懲戒権が残ることに合理性があるとお考えでしょうか。
旧統一教会問題で、各党は何とか被害者を救済するべく協議を進めています。長年放置されていた問題にメスを入れる重要な局面であり、多くの国民が納得できる形での立法に我が党も力を尽くす所存です。
私は、いわゆる宗教二世です。小学五年生の頃に母が入信したのをきっかけに、親の愛情が自分から神へと離れていくのを、小さな家庭があっけなく崩壊していく様子を、そして、ささいな心の隙間から人が信仰にのめり込みマインドコントロールされていく過程をつぶさに見てきました。今も傷が癒えることはなく、これからもその傷は繰り返し痛むでしょう。
寄附上限を定めることや相談体制も重要ですが、親にとっての聖域は時に子供にとっての生き地獄となり、一人の人間の心と体と人生を傷つけ、一つの家庭のささやかな幸せを握り潰していきます。宗教は、人の心を救うもの、尊いものです。一方で、宗教の名を借りた反社会的な団体による児童虐待を許さないでください。
宗教を原因とした虐待は、その一つ一つがささいなケースもあります。しかし、たった一つの心ない言葉が積み重なっていじめ自死へつながるように、二十四時間三百六十五日、厳しい規律に縛られ、親にコントロールされる生活は、緩慢な拷問ともいうべき苦痛を子供たちに与えることがあります。
こうした問題についても対応できるよう、児童虐待防止法において検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。虐待を受けた宗教二世を救済する法令を整備するお考えをお持ちでしょうか。厚生労働大臣に伺います。
年間八十一万人しか新生児が生まれないこの国で、元気いっぱいに産声を上げてくれたにもかかわらず、虐待、いじめ、犯罪被害、自殺などで大人になることができなかった子供たちがいます。一生の傷と生きづらさを抱え、必死に生きる子供たちがいます。彼らの無念や苦痛を法律に変え、未来の子供たちを健やかに育める日本をつくることは、彼らへの慰めともなります。
日本維新の会は、全てを懸けて次世代のための政治を行っていくことをお誓いし、私の質問を終了します。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/8
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009・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 梅村みずほ議員にお答えをいたします。
まず、父子関係の確定にDNA型鑑定等を用いること等についてお尋ねがありました。
嫡出推定制度の意義は、婚姻関係を基礎として父子関係を推定することで、子の出生の時点で父子関係を定め、子の地位の安定を図ることにあります。仮に、DNA型鑑定等により父を確定するとすれば、家庭の平穏を害する懸念があり、また、父が鑑定に応じないときは子の父が確保されないおそれがあるなど、子の利益の観点からも妥当ではありません。したがって、DNA型鑑定等が発達した現在でも嫡出推定制度を維持する必要があります。
実子に関する法律上の父子関係は、嫡出推定制度又は認知によって生じます。父子間に血縁関係がない場合には訴えにより父子関係が否定されることがありますが、法定の期間が経過すると血縁関係の有無にかかわらず法律上の父子関係が争えなくなるという点で、必ずしも血縁関係の有無のみによって定まるものではないと言えます。
このようなことから、生物学的な親子と社会学的な親子の関係は、一方が他方に常に優位に立つものではないと言えます。
次に、DNA型鑑定等により生物学上の父を明らかにする必要性についてお尋ねがありました。
子の生物学的な父が子に対して負うべき責任の在り方の問題は、民法上の規律とは別個に様々な視点から論じられるべきであると考えられることから、法務省の所管を超える問題であり、お答えすることは困難であります。
次に、再婚禁止期間の廃止により生じ得る問題についてお尋ねがありました。
女性の再婚禁止期間の定めは、前夫の嫡出推定と再婚後の夫の嫡出推定との重複を回避することを目的として設けられていたものです。
本改正法案では、離婚等により婚姻を解消した日から三百日以内に生まれた子であっても、母の再婚後に生まれた場合には再婚後の夫の子と推定することとしたため、推定の重複により父が定まらない事態は生じなくなることから、再婚禁止期間はその必要性がなくなり、廃止することとしています。
このような廃止の理由に照らせば、女性の再婚禁止期間の廃止によって法律上何らかの問題が生ずるということは想定されないと考えます。
次に、本改正案における国籍法の改正についてお尋ねがありました。
本改正法案では、認知による国籍の取得に関する規定は、認知について反対の事実があるときは適用しないこととしております。
この国籍法の改正は、虚偽認知による国籍取得の防止が重要であるとの認識の下、民法の改正により国籍取得についての従前の取扱いに疑義が生ずることがないように明文で規定したものです。国籍制度の在り方については、今後とも、国民の意識や国際的な動向等も踏まえながら議論していく必要があると考えています。
なお、御指摘に係る観点からの検討の必要性については、法務省の所管ではないと考えられるため、お答えは差し控えます。
次に、本改正法案の周知についてお尋ねがありました。
児童虐待の防止に向けた明確なメッセージを国民に向けて発することにより児童虐待の防止を図るという本改正法案の趣旨からすれば、親権者を始め広く国民に対し本改正法案の意義を周知、広報することは極めて重要であると考えています。児童虐待の防止をより一層進めていくため、本改正法案の意義について、厚生労働省等と連携するなどして周知、広報に取り組んでまいります。
次に、子供の持つ権利を子供たちに伝えることの重要性についてお尋ねがありました。
子供が自分自身の権利について認識し、理解することは、子供の権利擁護にとって極めて重要であると考えています。法務省の人権擁護機関では、学校における人権教室の実施など、各種の人権啓発活動に取り組んできたところですが、今後とも、その一層の充実に努めてまいります。
最後に、学校教育法の懲戒権に関する規定についてお尋ねがありました。
民法第八百二十二条は親権者の懲戒権に関する規定であり、その削除を踏まえて、学校教育法第十一条の校長等の懲戒権に関する規定を見直すかどうかについては、同法を所管する文部科学省において検討されるべき事項であると認識をいたしております。(拍手)
〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/9
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010・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 梅村みずほ議員から、失礼、梅村みずほ議員の御質問にお答えいたします。
児童虐待の原因分析及びアウトリーチ型の支援や福祉につなげる方策についてお尋ねがありました。
厚生労働省においては、毎年度、児童虐待による重篤な事案の再発防止につなげるため、死亡事例に関する背景要因等の分析、検証を実施しているところであります。
加えて、虐待に至った要因について、今年度の調査研究事業において分析を行うこととしております。その結果も踏まえて、必要な対応を進めてまいります。
また、妊産婦や児童の安全確保を図るため、アウトリーチによる出産直後の子育て家庭の状況把握を行う事業に取り組んでいるところでありますが、さらに、今後、妊娠期から出産、子育てまで一貫して身近で相談に応じ、様々なニーズに即した必要な支援につなぐ伴走型の相談支援を充実するとともに、妊娠届出時と出生届出時を通じて合計十万円相当の経済的支援を実施することとしております。
これに加えて、改正児童福祉法に基づき、全ての妊産婦、子育て世帯、子供の包括的な相談支援体制の強化や、生活に困難を抱える妊産婦等に、一時的な住まいや食事の提供など、日常生活の支援を行う事業にも取り組んでまいります。
虐待防止法の定義や宗教二世の救済についてお尋ねがありました。
現行の虐待防止法第二条各号に該当する行為を保護者が行った場合には、宗教の信仰等、保護者の意図にかかわらず、児童虐待に該当し得るものであり、現行法で対応可能と考えております。この点に関して、保護者の信仰に関連することのみをもって消極的な対応を取らないことと併せ、自治体に周知したところであります。
また、児童相談所等が相談において適切に対応できるようにするためのQアンドAを、当事者や支援者の方々の御意見も伺いながら、年内を目途に作成をしているところであります。
児童虐待の被害に苦しまれている宗教二世の方々の救済が着実に図られるようにしてまいります。(拍手)
〔国務大臣永岡桂子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/10
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011・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 梅村みずほ議員にお答えいたします。
子どもの権利条約を学習指導要領に入れることについてお尋ねがありました。
学習指導要領は、教育課程の大綱的な基準であり、個別具体の事項を網羅的に扱うことにはなっておらず、個別の条約名について盛り込むことはなじみにくいと考えています。
このため、学習指導要領上、児童の権利に関する条約という文言は明記されていませんが、関連する記述として、例えば、中学校の社会科公民的分野において基本的人権の尊重の理解を扱うことなどを規定をしております。なお、令和三年度より中学校で使用されている社会科公民的分野の教科書などにおいて児童の権利に関する条約に関する記載があります。各学校においてしっかりと指導が行われるよう、学習指導要領の趣旨徹底に努めてまいります。
次に、学校教育法第十一条の見直しの必要性についてお尋ねがありました。
民法第八百二十二条の懲戒権の規定は、民法第八百二十条が定める監護教育権の一環として行われるしつけのうち、子に問題行動等があった場面について特に規定を置いたものであり、児童虐待の防止等に資するため、今般の改正で当該規定を削除しても、引き続き民法第八百二十条に基づき親権者が適切なしつけを行うことはできるものと承知をしております。
これに対し、学校教育法に規定する懲戒とは、学校が教育目的を達成するため、教育上必要な範囲で叱責、注意や、退学、停学等を行うことができるとされており、今般の民法改正の趣旨とは異なることから、学校教育法第十一条を見直す必要はないと考えております。
次に、体罰及び指導死についてお尋ねがありました。
体罰は学校教育法第十一条で禁止されていること、また、指導死という言葉についてはその定義が一般に定まっていませんが、教職員による不適切な指導等が不登校や自殺のきっかけになる場合もあることから、体罰や不適切な行動等は学校教育においていかなる場合においても決して許されることではないということでございます。
文部科学省においては、平成二十九年に通知を発出し、児童生徒の特性や発達段階を十分に考慮せず、いたずらに注意や叱責を繰り返すことは、児童生徒を精神的に追い詰めることになりかねないことなどを示すとともに、生徒指導担当者向けの研修会等において周知をしてきました。
さらに、八月二十六日に公表した生徒指導提要の改訂案においては、威圧的、感情的な言動で指導するなど、不適切な指導と捉えられ得る例を具体的に示すとともに、指導を行った際に、児童生徒を一人にせず、心身の状況を確認するなど、指導後のフォローが重要であることなどを示したところです。
文部科学省としては、体罰や不適切な指導が根絶されるよう、引き続き取り組んでまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/11
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012・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 川合孝典君。
〔川合孝典君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/12
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013・川合孝典
○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。
会派を代表し、民法等の一部を改正する法律案について、齋藤法務大臣に御質問します。
法案質疑の前に、霊感商法による被害者救済法の在り方について一言触れさせていただきます。
現在与野党で議論が行われている被害者救済法は、今後の被害を生じさせないことに主眼を置いて、消費者契約法や国民生活センター法等の改正を行おうとしています。
国民民主党は、こうした動きに加えて、刑法を改正して心理的な支配を利用して不当に財物を得る行為への処罰規定を設けるとともに、組織的犯罪処罰法を改正して当該罪への刑の加重を行うことを提案いたしております。また、当該法人の法令違反行為に対して行政庁の的確な権限行使のため、関係法令の適用が行えるように担保することを求めております。被害者救済とともに再発防止策の実効性を高める観点から、罰則規定の創設が必要であるということを強く求めてまいりたいと考えております。
では、法案の質問に入ります。
今回の民法改正は、子供の利益、地位を保全する観点から民事基本法制を改善するものであり、その意義は大きいものと認識しております。その一方で、親子関係の根幹を成す親権などは、社会の現状や制度の整合性、安定性の観点から明確な規定を盛り込み切れなかった積み残しの課題もございます。
まず、民法八百二十二条に規定されてきた懲戒権規定の削除について質問します。
前回、二〇一一年の民法改正では、親権喪失の要件を親権者の行為態様の側から定めておりましたが、今回の法改正では、子供の権利が害されているかどうかという子供側からの規定する内容に転換しております。懲戒権規定を削除した上で、一般的な観点から親権の適切な行使とはいかなるものかということを明文化するということで包括的に児童虐待への対策を推進しようとするものであり、評価できる内容だと考えております。
民法八百二十条は、親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負うという監護教育権を規定しています。そして、民法八百二十二条は、この監護教育権の規定に基づき、必要な範囲内でその子を懲戒できることを規定していますが、この民法八百二十二条の懲戒権規定が児童虐待を正当化する口実に使われるおそれがあることから、今回、懲戒権規定が削除され、加えて、民法八百二十一条に新たに子の人格の尊重を設けることで児童虐待の防止を実現しようとする、これが今次法改正の趣旨であります。
そこで質問でありますが、子の人格の尊重を規定する民法八百二十一条には、親権を行う者は、監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならないと今回規定することになります。では、この体罰に該当する行為とはどのような行為を指すのか、具体的にお聞かせください。あわせて、子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動とはいかなる言動なのかも併せて御説明をお願いしたいと思います。
この点について、法案要綱の補足説明では、心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動の内容は、実体法上禁止されるべきことについて、社会的コンセンサスが形成される行為に限られるものであるとの説明がありますが、範囲が不明確であります。
そこで質問ですが、この社会的コンセンサスが形成されている行為とはどのような行為と考えればよいのか、御説明をお願いします。
また、子供の利益を図るため、親権者に子供の監護教育の指針を示す今回の法改正が、困難な事情を抱える親をむしろ追い込むことになり、かえって子の利益を害するとの指摘がなされております。したがって、社会、経済、メンタルヘルスなど多面的な観点から、困難な状況を抱えている親への適切な支援が極めて重要になるものと考えられます。この点について法務大臣の認識をお伺いします。
ちなみに、令和二年の定員合理化五か年計画に基づいて現在人員の削減が各省庁で行われておりますが、司法を取り巻く環境やニーズが大きく変容する現在、人員削減ありきの議論ではなく、法改正と併せて人的基盤の充実強化も議論すべきかと考えます。
定員合理化五か年計画が進む中、今次民法改正に伴って必要となる家庭裁判所の支援体制の強化をどのように図っていくのか、併せて法務大臣にはお伺いします。
次に、国籍法の改正について御質問します。
認知の届出について、国籍法三条に三項が新設されました。無論、偽装認知による国籍取得は決して認められるものではありませんが、今回の国籍法改正には幾つかの疑問が残っております。そもそも、現行刑法においても偽装認知は公正証書原本不実記載罪に該当しますので、新たに国籍法三条に三項を設けなくても刑法で処罰できるものと考えます。なぜわざわざ国籍法三条に三項を加える必要があったのか、法務大臣の説明を求めます。
これまで、認知によって成立ないし確定された親子関係が、期間の制限なく認知無効の訴えによって覆される可能性がこれまでありました。いつまでも子供の地位が不安定な状況に置かれることとなる現状に鑑み、認知無効の訴えにおける権利濫用を制限する観点から、今回、民法七百八十六条を改正して、認知無効の訴えに七年間という期間制限を設けて子供の地位の保全を図ることとしております。
しかし、同時に、国籍法三条に三項を新設して、国籍法三条の手続に限っては民法七百八十六条の改正の仕組みを適用せず、認知が事実に反する場合は、仮に認知後何十年が経過していても国籍法三条に基づく国籍取得を認めず、既に取得している日本国籍をその取得時に遡って喪失させることとなります。
私は日本国籍の不正取得を決して容認しない立場であり、偽装や虚偽の国籍申請を行った当事者の日本国籍を剥奪することに異論はありません。しかし一方で、婚外子として出生したことについて、子供自身に責任はありません。今回の国籍法三条三項の追加は、その解釈、運用のいかんによっては、認知が事実に反した場合、日本で生まれて日本人として育ってきた子供が出生時に遡って国籍を剥奪され、不法在留者として強制退去の対象者になるという最大の不利益を被ることとなります。
無戸籍児を減らすという民法改正の立法趣旨に明らかに逆行するとの指摘には合理性があるものと考えますが、この点について法務大臣の認識を伺います。
あわせて、今回の国籍法三条三項は、認知に反する事実がある場合に国籍取得を無効にすることを規定するものでありますが、認知自体を無効にするか否かは条文に記載されておりません。国籍法三条三項は認知自体を無効にするものなのでしょうか。法務大臣にお伺いします。
最後に、今後検討すべき課題について御質問をします。
現行国籍法では、日本人の父親から認知された外国籍の子供は国籍法三条一項の規定によって日本国籍を取得できますが、そのときに外国籍の離脱は求められておりません。したがって、この子供は複数国籍を持つこととなります。一方、日本国籍を持つ人が外国籍を取得すると、国籍法十一条一項の規定によって選択の余地のないまま日本国籍の離脱を求められます。
外国籍を持っている人が日本国籍を取得すると複数国籍を持つことが可能である一方、日本国籍を持つ人が外国籍を取得すると日本国籍を失ってしまう現状の規定は整合性に欠けるとの指摘は的を射ているものと考えられます。
国際化が進展する現代社会に即した国籍法改正の議論を進めるべきと考えますが、法務大臣の御認識をお伺いし、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/13
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014・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 川合孝典議員にお答え申し上げます。
まず、体罰に該当する行為についてお尋ねがありました。
本改正法案における体罰とは、子の問題行動に対する制裁として子に肉体的な苦痛を与えることをいいます。どのような行為が子に肉体的な苦痛を与える行為に当たるかについては、当該行為の態様のほか、子の年齢、健康、心身の発達状況、当該行為が行われた場所的、時間的状況等が考慮されることになりますが、どんな事情であれ、個別的な判断に委ねられることになりますが、一般論としては、子を殴るといった行為は体罰に当たると考えられます。
次に、子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動の意義についてお尋ねがありました。
本改正法案の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動とは、子に不当に肉体的又は精神的な苦痛を与え、その健やかな身体又は精神の発達に悪影響を与え得る言動をいいます。
どのような言動が子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動に当たるかについては、最終的には具体的な事案を前提とした裁判所における個別的な判断に委ねられますが、一般論としては、例えば、幼少の子の問題行動に対する制裁として、深夜、家から締め出したり、長時間にわたり罵倒し続けたりといった言動はこれに当たる可能性が高いと考えます。
次に、子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動に関し、社会的コンセンサスが形成されている行為の意義についてお尋ねがありました。
子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動とは、社会通念に照らして法律上禁止されるべきと言える行為をいいますが、法制審議会における検討の過程で、そのような行為を意味するものとして社会的コンセンサスが形成されている行為との表現が用いられたものと承知しています。
次に、困難な事情を抱える親への支援についてお尋ねがありました。
本改正法案民法第八百二十一条は、親権者の監護教育権の行使における行為規範を示すものです。このような行為規範が示されることにより、困難な事情を抱える親が子育ての仕方について心理的に追い込まれることなどがないよう支援をしていくことは、子の利益を図る観点からも重要であると考えています。
困難な事情を抱える親に対する支援については、既に厚生労働省において様々な支援に取り組んでいるものと承知しており、法務省としても、本改正案の意義に関する周知、広報等を通じて、このような取組に必要な協力をしてまいります。
次に、家庭裁判所の人的基盤の充実強化についてお尋ねがありました。
家庭裁判所の体制整備の在り方については、事件の動向等、裁判所を取り巻く様々な状況を踏まえ、最高裁判所において適切に判断されるべきものと考えています。したがって、例えば、今後、家庭裁判所の負担が増加し、裁判所の職員が不足するような状況になれば、最高裁判所において、職員の定員を増員するための立法依頼がされるものと思われます。
法務省としても、裁判所関連の法律を所管する立場から、引き続き、最高裁判所の判断を尊重しつつ、適切に対応してまいります。
次に、国籍法第三条第三項の新設についてお尋ねがありました。
本改正法案は、民法を改正し、認知の民事法上の効力に係る見直しをするものであるところ、日本国民である父により認知された子の日本国籍の取得の可否は、国籍法という公法における認知の効力の問題として別途検討する必要があります。
本改正法案では、我が国の国籍を取得することを目的とする虚偽の認知が行われることがあってはならないことを踏まえ、国籍法を改正し、認知による国籍の取得に関する規定は認知について反対の事実があるときは適用しないこととして、事実に反する認知がされた場合には国籍の取得は認められないとの従前からの確立した規律を維持することを明らかにし、この点について疑義が生じることがないようにしたものです。
次に、本改正法案における国籍法の改正について、民法改正の立法趣旨に関連してお尋ねがありました。
認知が事実に反する場合でも日本国籍を取得できるとすることは、結果的に、真偽を問わず、父の認知さえあれば日本国籍を取得することはできることになります。しかし、そのような結果は、国籍の付与という公法上の法律関係においては適切ではありません。本改正法案における国籍法第三条第三項の規定は、そのような観点を踏まえ、従前からの確立した規律を維持することを明らかにしたものです。したがって、本改正法案における国籍法の改正内容は、認知の民事法上の効力を見直す趣旨に反するものではないと考えています。
他方、無戸籍や無国籍状態を解消していくことは重要であると認識しておりますので、引き続き可能な支援を行ってまいります。
次に、国籍法第三条第三項と認知の効力についてお尋ねがありました。
国籍法第三条第三項は、事実に反する認知がされた場合には国籍の取得は認められないとの従前からの確立した規律を維持することを明らかにしたものです。民法上の認知の効力は民法の規律に従って判断されるものであり、国籍法第三条三項の規定が影響を及ぼすことはありません。
最後に、国際化が進展する現代社会における国籍法の改正についてお尋ねがありました。
今回の国籍法の改正は、虚偽認知の防止が重要であるとの認識の下、今回の民法の改正によって国籍取得に係る従前の取扱いに疑義が生ずることがないように明文で規定したものですが、御指摘の重国籍への対応を含め、国籍法の改正については、国民の意識や国際的な動向等も踏まえながら議論していく必要があると考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/14
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015・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 仁比聡平君。
〔仁比聡平君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/15
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016・仁比聡平
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表し、民法等一部改正案について質問いたします。
戦後民法は、一九四七年、日本国憲法施行に伴い、家父長制を柱とする家制度を廃止し、女性と子供を無権利者とした明治民法を根本的に改めて出発しました。しかし、嫡出、非嫡出の差別や、父の子に対する支配権の色濃い親権概念、懲戒権など、差別的規定をそのまま引き継ぐ不十分さを残しました。
刑法においても、性犯罪における抗拒不能要件や堕胎罪など、憲法に照らし改正されるべき不当な規定が残されています。
憲法二十四条は、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」と定めています。
本改正案も、憲法と国際人権水準の要求に応えるものにならなければならないと考えますが、法務大臣、いかがですか。
戦後、憲法二十四条の完全実施を求める民法改正運動は高揚し、本法案の柱の一つである再婚禁止期間の削除は、男女平等の見地から、既に昭和二十九年の法制審議会民法部会身分法小委員会で検討されていました。
世界人権宣言を始め国際人権水準の発展、とりわけ一九七九年に採択された女性差別撤廃条約は、我が国の民法改正運動を大きく励ましました。
一九八五年、ようやく政府はこの条約を批准し、新国内行動計画が策定され、九一年には、具体的施策として、男女平等の見地から夫婦の氏や待婚期間の在り方等を含めた婚姻及び離婚に関する法制の見直しを行うと盛り込まれたのです。
一九九六年、法制審議会によって仕上げられた民法改正要綱は、こうした運動の中で、婚姻年齢の男女平等、再婚禁止期間の見直し、選択的夫婦別姓の実現、嫡出、非嫡出を問わない子の相続分の平等など、家族法制の抜本的な改正を目指した極めて重要なものでした。
以来、二十六年がたちます。法務大臣、この間、その実現に背を向け続けてきたのが自民党政治ではありませんか。
法は改正されず、深刻な状態に置かれた当事者の真摯な訴訟によってその不作為がただされ続けてきました。国籍法非嫡出子差別をめぐる二〇〇八年違憲判決、婚外子相続分差別をめぐる二〇一三年違憲判決、そして、再婚禁止期間の一部を違憲とした二〇一五年判決など、憲法違反の判決を下されなければ重い腰を上げず、それでも抜本的な改正を避け続けてきた姿勢は、法務大臣、もう改めるべきではありませんか。
本法案は、女性のみに課せられた再婚禁止期間を削除するものです。
明治二十三年の旧民法は、血統の混乱を防止する、妊娠の有無が女性の体型から分かるのは六か月などとして、離婚した女性全てに再婚禁止期間を定め、戦後民法はこれをそのまま引き継ぎました。単に父子関係の推定の重複を避けるだけであればほかの手段があるにもかかわらず、女性に対してのみ婚姻の自由を著しく制約してきた憲法違反がようやく正されるところに本改正の大きな意義があると言うべきです。
今日、立法府と行政に問われているのは、封建的な性差別を拭い去り、個人の尊重、ジェンダー平等をあらゆる法制度と施策に貫くことではありませんか。法務、男女共同参画担当大臣、それぞれ伺います。
政府は、嫡出推定規定の見直しで再婚禁止が不要となったと説明しています。元々、嫡出という用語は、戦前の家制度の下、家督相続の跡取りである長男を嫡男と特別扱いし、婚外子を排除するなど、正統か正統でないかを意味する差別的概念です。法務大臣、この用語そのものをもうやめるべきではありませんか。
嫡出推定の見直しについて、法務省は、無戸籍児、無戸籍者の深刻な問題解消のためといいますが、問題は、現行法の妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する、婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に、つまり破綻した法律婚中に懐胎したものと推定するとの規定をそのままにするところにあります。
改正案は、妊娠が再婚届の前でも、再婚届出後に生まれたらその夫の子と推定する規定を置くものですが、両親が様々な事情で法律上の婚姻を届け出ない場合、現行法同様の問題が残ることになります。
戸籍上は夫、けれど、DVやモラハラなどによって婚姻関係が破綻し、苦しんできた女性が、新たなパートナーとの間で子を授かることは決して非難されることではありません。ところが、出生届を出せば、離婚が成立していない戸籍上の夫が子の父と推定されてしまう。それでは無戸籍者問題はなくならないのではありませんか。大臣、問題をどのように解決しようとしているのですか。
国籍法三条の改正は問題です。外国人と日本人との子として認知された子が、血縁のない事実が判明した場合、遡って日本国籍を失う懸念があります。何ら責任のない子が不法滞在扱いされ、住民票や健康保険がなくなるなら、日本で生まれ、日本人として円満に暮らしてきた生活の基盤とアイデンティティーが奪われることになります。法務大臣、どのように解決しようとしているのですか。この部分は削除すべきではありませんか。
懲戒権は、長年、虐待を正当化する口実になっていると厳しく指摘されてきました。にもかかわらず、相次ぐ児童虐待という重大な事態に迫られ、親権は子の利益のために行使されるべきものと明記した二〇一一年民法改正でも懲戒権は削除されませんでした。
本法案による削除は、体罰禁止を明記した二〇一九年児童虐待防止法改正など、党派を超えた努力がようやく実るものです。法務大臣、余りに遅過ぎたというべきではありませんか。
国連子どもの権利委員会は、二〇一一年、どんなに軽いものであっても子供に対するあらゆる形態の暴力は認められないと我が国に求めています。
本法案で、親権者に対して、子供の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならないと求める規定を置くことは大切です。ただ、突如法案に盛り込まれた子の心身の健全な発達に有害という文言が、健全な発達に必要なしつけだなど、新たな虐待の口実に使われてはなりません。子どもの権利委員会の指摘も踏まえ、そうした懸念を払拭する法務大臣の答弁を求めます。
翻ってみたとき、九六年法制審答申のうち、今や実現していないのは選択的夫婦別姓だけです。速やかに実現すべきではありませんか。
また、同性婚を認めないことは合理的根拠を欠き、法の下の平等に照らし違憲であると厳しく指摘した二〇二一年札幌地裁は、性自認が自らの意思に基づいて選択、変更できないことは、現在は確立した知見になっていると述べています。大臣はどう受け止めていますか。
女性差別撤廃条約を実効ならしめる個人通報制度を定めた選択議定書は速やかに批准すべきです。同意見書を採択した地方議会は、九月までに百六十四府県市町村に上ります。
女性差別撤廃委員会は、二〇〇三年、我が国への総括所見で、選択議定書により提供される制度は、司法の独立性を強化し、女性に対する差別への理解を進める上において司法を補助するものであると強調しました。その意義を、来日したパトリシア・シュルツ委員は、人権の保護における司法の基本的役割は国際的な審査を受け入れることによって強化されるのですと述べられました。当然のことです。ところが、その意義を問う私の質問に、葉梨前法務大臣は、コメントをすることは控えさせていただきたいと答弁を避けました。
そこで、改めて伺います。
齋藤法務大臣並びに外務、男女共同参画担当大臣、条約委員会の総括所見の意義をどのように理解していますか。
自民党は、統一協会と半世紀にわたり深く癒着し、反共、改憲、ジェンダー平等への敵対で一致し、相互に利用し合ってきました。その影響を拭い去り、憲法と国際人権水準に照らし、個人の尊重、多様性が光る社会を実現をするよう強く求めて、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/16
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017・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 仁比聡平議員にお答え申し上げます。
まず、本改正法案と憲法及び国際人権水準との関係についてお尋ねがありました。
本改正法案の内容は、憲法並びに我が国が締結した条約及び確立された国際法規に反するものでないと考えています。
次に、平成八年の法制審議会の答申の実現についてお尋ねがありました。
平成八年二月にされた法制審議会の答申の内容のうち、女性の婚姻適齢の引上げ、嫡出子と嫡出でない子の間の法定相続分の区分の撤廃及び再婚禁止期間の短縮については、既に法改正がされています。
選択的夫婦別氏制度の導入に関しては、平成八年及び平成二十二年に、法案の提出に向け、法制審議会の答申を踏まえた改正案を準備しました。しかし、この問題については国民の間に様々な意見があったことなどから、改正法案の提出にまでは至らなかったものと認識しております。
なお、法務大臣として、自民党の姿勢についての評価は差し控えたいと思います。
次に、法改正に関する姿勢についてお尋ねがありました。
法制審議会の平成八年の答申のうち法改正に至ったものは最高裁判所の違憲判決が契機となっていますが、本改正法案の嫡出推定制度の見直しや女性の再婚禁止期間の廃止などは最高裁判所の違憲判断が存在するわけではなく、違憲判決がされない限り抜本的な改正を避け続けるといった御指摘は当たりません。
次に、個人の尊重とジェンダー平等についてお尋ねがありました。
現行法の女性の再婚禁止期間の定めは、平成二十七年最高裁判決においても合憲とされていますが、本改正法案により、結果として、男女の区別なく、再婚禁止期間がなくなります。
本改正法案では、離婚等により婚姻を解消した日から三百日以内に生まれた子であっても、母の再婚後に生まれた場合には再婚後の夫の子と推定することとしたため、推定の重複により父が定まらない事態は生じなくなることから、再婚禁止期間は、その必要性がなくなり、廃止することとしたものです。
本改正法案は幾つかの内容を含んでいますが、全体として、憲法に定められている個人の尊重、法の下の平等、両性の平等の理念に合致するものと考えています。
次に、嫡出の用語の見直しについてお尋ねがありました。
嫡出でない子という用語について、最高裁判所は、民法の規定上、法律上の婚姻関係ない男女の間に出生した子を意味するものとして用いられており、差別的な意味合いを含むものではないと判示しています。
法制審議会民法(親子法制)部会においても、一部の委員から、嫡出という用語を見直し、婚外子という用語にする意見も出されましたが、この用語についても差別的であるとの指摘がされるおそれがあるなどの意見もあり、嫡出の用語の見直しは要綱に盛り込まれなかったものと承知しています。
法令用語については、国民の意識や社会情勢の変化等を踏まえ、必要に応じて見直しをしていくべきものと考えており、引き続き、そうした情勢等を注視していきたいと考えています。
次に、母が離婚や再婚をしていない場合における無戸籍者の解消についてお尋ねがありました。
本改正法案では、子及び母にも否認権を認めることとしており、母が離婚又は再婚をしていないため、真実の父と異なる者の子と推定される場合でも、否認権が適切に行使されることによって無戸籍者問題の解消が図られるものと考えています。
法務省としては、引き続き、無戸籍の方に寄り添った支援を継続するなど、必要かつ可能な支援を行い、否認権が適切に行使されるように取り組んでまいります。
次に、本改正法案における国籍法の改正についてお尋ねがありました。
本改正法案は、認知が事実に反する場合には国籍の取得は認められないとの従前からの確立した規律を維持することを明らかにしたものであり、削除することは相当ではありませんが、無国籍者の発生を防止する等の配慮は重要であると認識しています。
法務局においては、日本の国籍を取得するための手続や外国の大使館等における所要の手続に係る案内を無国籍者の身分関係や意向等を踏まえて行う等の取組を行っています。また、退去強制手続を受けることになった場合でも、個別の事案に応じ、例えば本邦で学校教育を受けているなどの事情を考慮し、法務大臣の裁量によって在留特別許可が付されることがあります。
無国籍者の置かれた立場に配慮しつつ、無国籍状態の解消に向け、可能な対応をしてまいります。
次に、懲戒権に関し、民法第八百二十二条を削除する本改正法案の提出に至る経緯について、遅過ぎではないかとのお尋ねがありました。
平成二十三年の民法改正において、同法第八百二十条に子の利益のためにとの文言を加え、令和元年の児童福祉法等の一部を改正する法律の附則において、民法の懲戒権の規律の在り方について検討を加える旨の規定が置かれました。
そこで、令和元年六月、法務大臣から法制審議会に対し諮問を行い、その答申を経て、法務省において本改正法案を作成、提出したものであり、このような経緯を踏まえると、同条の削除が遅過ぎたとの御指摘は当たらないと考えています。
次に、子の心身の健全な発達に有害という文言が新たな虐待の口実として使われる懸念についてお尋ねがありました。
本改正法案の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動とは、子に不当に肉体的又は精神的な苦痛を与え、その健やかな身体又は精神の発達に悪影響を与え得る行為をいいます。そして、この要件に該当するか否かは、行為者の主観を基準に判断されるのではなく、親権者が子の心身の健全な発達に必要な行為であると考えていても、客観的に監護教育権の行使として相当ではないと認められる行為は、子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動に該当し、許されないと考えています。また、体罰に該当する行為は当然にこの要件に該当し、許されないと考えています。
次に、選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。
法務省は、平成八年の法制審議会の答申を受け、同年及び平成二十二年に選択的夫婦別氏制度を導入するための法案を準備しましたが、国民の間や当時の政権内にも様々な意見があったこと等から、法案の提出には至りませんでした。
夫婦の氏の在り方については、現在でも国民の間に様々な意見があり、今後とも、国民各層の意見や国会における議論を踏まえ、その対応を検討していく必要があると考えています。
次に、同性婚に関する札幌地裁判決の受け止めについてお尋ねがありました。
御指摘の札幌地裁判決では、同性愛者に対して、婚姻によって生じる法的効果の一部ですらも享受する法的手段を提供していないことは、その限度で憲法第十四条第一項に違反するとの判断がされたと承知しています。また、この判決では、同性愛は人の意思によって変更することが困難なものであって、このことは確立された知見に至っているとの判断がされたと承知しています。
もっとも、この判決は確定前の判決であり、また、同種訴訟の大阪地裁判決では、憲法第十四条第一項に違反しないとの異なる判断がされており、さらに、同種訴訟が他の裁判所にも係属しているといった事情があることから、まずはそれらの判断等を注視してまいりたいと思います。
次に、個人通報制度を定めた女子差別撤廃条約の選択議定書についてお尋ねがありました。
二〇〇三年に採択された女子差別撤廃委員会による日本政府報告審査についての総括所見において、御質問にある指摘がされたことは承知しております。個人通報制度は、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度と認識しております。個人通報制度の受入れについては、所要の検討が必要であると認識しております。
引き続き、外務省を中心とした政府全体で各方面の意見を聞きつつ、同制度の導入の是非について真剣に検討を進めてまいりたいと考えております。
最後に、個人が尊重され、多様性が光る社会の実現などについてお尋ねがありました。
自民党に関する御指摘については法務大臣としてお答えを差し控えますが、政府は、これまでも、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向けた取組を着実に進めてきたところであり、今後ともこの取組を推進してまいります。(拍手)
〔国務大臣小倉將信君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/17
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018・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 個人の尊重とジェンダー平等をあらゆる法制度と施策に貫くことについてお尋ねがありました。
男女共同参画社会基本法の第三条においては、男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行わなければならないという基本理念が示されております。
その上で、同法の第八条では、立法府、行政府を含む国は、そうした基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する旨定められております。
女子差別撤廃条約の選択議定書についてのお尋ねがありました。
選択議定書に規定される個人通報制度について、政府としては、条約実施の効果的な担保を図るという趣旨から注目すべき制度であると考えており、真剣に検討を進めているところです。
御指摘の総括所見については、条約実施における個人通報制度などの意義について委員会の見解を示したものと認識しております。
内閣府としては、男女共同参画社会の形成の促進の観点から、外務省を始めとする政府全体での検討について、関係府省とよく連携をしてまいります。(拍手)
〔副大臣武井俊輔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/18
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019・武井俊輔
○副大臣(武井俊輔君) 女子差別撤廃条約の選択議定書に関する総括所見についてお尋ねがございました。
まず、同選択議定書に設けられております個人通報制度は、条約の実施の効果的な担保を図る趣旨から注目すべきものであると考えております。
その上で、女子差別撤廃委員会から出されます見解などにつきまして、我が国の司法制度や立法政策との関係でどのような対応をすべきかなど検討するべき論点がありますことから、各方面の意見などを踏まえ、早期締結について真剣に検討をしているところでございます。
総括所見の内容につきましては、我が国に対し法的拘束力を有するものではございませんが、関係省庁にしかるべく情報を共有し、関係省庁で連携して十分に検討することとしております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/19
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020・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/20
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021・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第一 離島振興法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長蓮舫君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔蓮舫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/21
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022・蓮舫
○蓮舫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果について御報告申し上げます。
本法律案は、離島が我が国及び国民の利益の保護及び増進に重要な役割を担っていることに鑑み、離島振興法の有効期限を十年延長するとともに、目的規定を整備し、都道府県の責務に係る規定を定め、医療、介護サービス、交通、情報通信、産業、教育、エネルギーその他の分野における施策の充実等を図ろうとするものであります。
委員会におきましては、提出者衆議院国土交通委員長より趣旨説明を聴取した後、離島の実情を踏まえて離島指定解除を検討する必要性、離島における医療や交通の確保、通信や教育の充実等に向けた取組、離島外の人材の活用に向けた取組等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/22
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023・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/23
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024・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/24
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025・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第二 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員長古川俊治君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔古川俊治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/25
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026・古川俊治
○古川俊治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、衆議院議員選挙区画定審議会が行った衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告を受けて衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定を行うとともに、衆議院比例代表選出議員の各選挙区において選挙すべき議員の数を改めようとするものであります。
委員会におきましては、区割り変更に関する有権者への周知、議員定数増による一票の較差是正、洋上投票制度の対象の拡大の必要性、寺田総務大臣の政治資金及び選挙運動費用に係る問題等について質疑が行われました。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して井上哲士委員より、れいわ新選組を代表して舩後靖彦委員より、それぞれ反対する旨の意見が述べられました。
討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/26
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027・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/27
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028・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/28
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029・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第三 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案
日程第四 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長杉久武君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔杉久武君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/29
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030・杉久武
○杉久武君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
両法律案は、一般の政府職員の給与改定に伴い、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額の改定を行おうとするものであります。
委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、法曹人材の確保に向けた処遇改善の必要性、官民給与の実態調査の在り方及び賃金水準の官民較差の相当性、裁判官、検察官の人的体制整備の在り方と勤務実態等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本維新の会を代表して梅村委員より両法律案に反対する旨の意見が述べられました。
討論を終局し、順次採決の結果、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/30
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031・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/31
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032・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/32
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033・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015254X00720221118/33
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