1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
令和五年四月二十五日(火曜日)
午前十時開会
─────────────
委員の異動
四月二十日
辞任 補欠選任
越智 俊之君 衛藤 晟一君
小林 一大君 古庄 玄知君
山本 啓介君 北村 経夫君
四月二十一日
辞任 補欠選任
衛藤 晟一君 越智 俊之君
古庄 玄知君 小林 一大君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 吉川 沙織君
理 事
青山 繁晴君
石井 正弘君
中田 宏君
田島麻衣子君
石井 章君
委 員
越智 俊之君
太田 房江君
片山さつき君
北村 経夫君
小林 一大君
長峯 誠君
松村 祥史君
村田 享子君
森本 真治君
石川 博崇君
里見 隆治君
猪瀬 直樹君
礒崎 哲史君
岩渕 友君
平山佐知子君
国務大臣
経済産業大臣
国務大臣 西村 康稔君
事務局側
常任委員会専門
員 山口 秀樹君
政府参考人
内閣官房GX実
行推進室長
兼経済産業省経
済産業政策局長 飯田 祐二君
内閣官房GX実
行推進室次長
兼経済産業省産
業技術環境局長 畠山陽二郎君
内閣官房GX実
行推進室次長 龍崎 孝嗣君
公正取引委員会
事務総局経済取
引局長 藤本 哲也君
経済産業省大臣
官房審議官 藤本 武士君
経済産業省通商
政策局通商機構
部長 柏原 恭子君
資源エネルギー
庁長官官房資源
エネルギー政策
統括調整官 山田 仁君
資源エネルギー
庁省エネルギー
・新エネルギー
部長 井上 博雄君
資源エネルギー
庁資源・燃料部
長 定光 裕樹君
資源エネルギー
庁電力・ガス事
業部長 松山 泰浩君
中小企業庁経営
支援部長 横島 直彦君
国土交通省道路
局次長 佐々木正士郎君
環境省大臣官房
審議官 小森 繁君
環境省大臣官房
審議官 針田 哲君
環境省大臣官房
審議官 松本 啓朗君
環境省総合環境
政策統括官 上田 康治君
─────────────
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に
関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/0
-
001・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、山本啓介君が委員を辞任され、その補欠として北村経夫君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/1
-
002・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房GX実行推進室長兼経済産業省経済産業政策局長飯田祐二君外十五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/2
-
003・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/3
-
004・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/4
-
005・越智俊之
○越智俊之君 おはようございます。自由民主党の越智俊之です。本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
私は、広島県の瀬戸内海に浮かぶ島、江田島市といういわゆる中山間地域、島嶼部と言われる地域で建設業に従事しておりました。また、地域活性化を目的とした小さな宿泊施設も営んでおります。いずれも中小・小規模事業者です。また、商工会という事業の発展、そして地域振興に寄与するという団体の若手の会である青年部という会の一員として地域の様々な課題に取り組んでまいりました。
私は、一地域密着の中小・小規模事業者であり、また、今回のGX推進について、全国の地域の雇用と生活を守る中小企業・小規模事業者の立場から質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず、全体像をお聞かせください。
これまで三年以上、コロナ禍による需要消失等により、地域の中小企業・小規模事業者は大きな影響を受けてきました。そのような厳しい環境の中でも、地域の雇用と生活を守るために歯を食いしばって耐えてきた事業者の皆様に心から敬意を表しております。その事業者に対して、政府は、持続化給付金を始め小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金、ものづくり補助金、事業再構築補助金などの施策や、今では足下の燃料費高騰による物価の上昇への対応など、ありとあらゆる政策をしていただいたことに感謝しております。
これからがコロナ禍からの経済回復であり、また正念場だと考えておりますが、これまでの中小企業・小規模事業者対策から、今回のGXやDXの対応など、事業を守りながらも自ら積極的に攻めていく中小企業・小規模事業者への支援が重要であり、これらが地域の未来をつくっていくことになると考えておりますが、経済産業大臣として今後どのような中小企業・小規模事業者対策を考えていらっしゃるのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/5
-
006・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) おはようございます。
お答え申し上げます。
御指摘のように、コロナ禍におきまして、私も担当大臣、そして経済再生担当大臣でありました。まさに中小企業の皆さんが大変苦しい思いをしておられる、それに対しまして、持続化給付金や雇用調整助成金、あるいは協力金などの仕組みで何とか事業、雇用を守っていくという方針で臨んでおりました。
中小企業の皆さんもそのコロナ禍を乗り越えてようやくこれから需要が回復してくるという時期に来ていると思うんですが、そこに来てのロシアのウクライナ侵略で様々な物資、物価高ということで、また引き続き厳しい経営環境にあるというふうに認識をしております。引き続き、こうしたエネルギー負担の軽減策、あるいは取引適正化、価格転嫁策、そして今後返済開始がピークを迎えますいわゆるゼロゼロ融資の借換えの円滑化を含む資金繰り支援など、万全を期していきたいというふうに思っております。
そうした中で、商工会の皆さんにも地域地域で地域の中小企業を守る取組、御貢献をいただいておりまして、改めて敬意を表したいというふうに思います。
その上で、この特に地域で人口減少、少子高齢化を迎え、大きな時代の転換点ともいうべき時期を迎えております。中小企業・小規模事業者の方々が事業を継続し、更に発展をさせていくためには、やはり時代のこの変化に応じたDXとか、今回御審議いただいておりますGX、グリーントランスフォーメーション、気候変動への取組、こうした事業環境の変化に対応したいわゆる構造改革への取組、いろんな挑戦も必要になってくるんだろうというふうに思います。
このため、経産省として、ものづくり補助金、IT導入補助金、事業再構築補助金、そして販路開拓などを支援する持続化補助金、さらには、円安メリットを生かして一万者の方々に輸出を始めてもらおうという輸出支援、こうしたことを含めて中小企業対策、昨年末の補正予算で約一兆円手当てをしております。着実に、できるだけ早く、早期に執行していくべく取り組んでいるところでございます。
こうした取組を通じまして、中小企業・小規模事業者の方々が生産性を向上、人手不足の中でも生産性を向上させ、そして賃上げにもつなげていく、そうした取組や、また、新しい挑戦をしていく構造改革への取組など後押しすることで成長と所得向上、これは中小企業、地域においてもそうした好循環が実現できるように、経産省としてしっかりと応援をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/6
-
007・越智俊之
○越智俊之君 大臣、力強いお言葉ありがとうございます。引き続き、中小企業・小規模事業者支援、何とぞよろしくお願いいたします。
次に、成長志向型カーボンプライシングの導入の狙いについてでございます。
気候変動対策と産業競争力強化の両立は極めて重要であると考えております。その中で、我が国の企業が積極的にGX投資を行うことが必要不可欠であります。他方、例えば鉄鋼、セメント、紙パルプなど、現時点では脱炭素への代替手段がない産業や、雇用の七割を占める中小企業・小規模事業者への配慮も必要でございます。
今回の成長志向型カーボンプライシング構想の導入の狙いを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/7
-
008・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
今般の成長志向型カーボンプライシング構想の導入の狙いでございますけれども、欧米でもGX実現に向けた投資競争が加速する中で、我が国においても、今後十年間で百五十兆円を超えるGX投資を官民協調で実現し、二〇五〇年カーボンニュートラル等の排出削減の目標と産業競争力強化、経済成長を共に達成していくところが狙いであると思っております。
GX投資は、民間企業や民間金融機関から見ますと、今御指摘いただきましたような、まだまだカーボンニュートラルの技術が存在していない分野の技術開発を行って社会実装するための新技術リスクや、脱炭素投資をしてもそれがグリーンな製品としてリターンを確保できるかどうかという需要リスクなど、事業に係る不確実性が高い分野であると考えております。
このため、新たにGX経済移行債を創設し、これを活用して国による大胆な先行投資支援を行っていくことでGX投資を強力に推進してまいりたいと考えております。
加えて、カーボンプライシングでございますが、炭素排出に対する値付けを行うことによりGX関連の製品や事業の付加価値を向上させ、その収益性を高めるものであります。
他方で、代替技術がない業界もございます。したがって、企業がGXに取り組む期間を設けた上で、その水準を徐々に引き上げていく方針をあらかじめ明示することで企業がGXに必要な投資や取組を前倒しで行うインセンティブを付与する、そういうものであるというふうに思っております。
このように、中小・小規模企業も取り残すことなく、GX投資の促進に向けて総合的に政策を講じることで、世界をリードし、世界の脱炭素化に貢献できる革新的な技術開発を進め、排出削減と産業競争力強化、経済成長と排出削減を共に実現していくと、これが狙いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/8
-
009・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
次に、カーボンプライシング導入による事業者や国民の負担についてお聞かせ願います。
法案において、発電部門に対して一部有償でCO2の排出枠を割り当てて、その量に応じて特定事業者負担金を徴収する結果、発電事業者が電気料金に転嫁することとなります。また、今度は、化石燃料輸入事業者に対して輸入する化石燃料に由来するCO2の量に応じて化石燃料賦課金が課された結果、化石燃料輸入事業者が川下の事業者に転嫁することになります。
このため、結果として事業者や国民負担が上がっていくのではないかという懸念がありますが、この点についてどのように対応していくのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/9
-
010・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
御指摘のカーボンプライシングにつきましては、これは、代替技術の有無ですとか、あるいは国際競争力への影響を踏まえて導入しなければ、我が国経済あるいは国民生活への悪影響が生じる可能性があると考えてございます。
このため、今般導入する成長志向型カーボンプライシングにおきましては、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲内、すなわち、今後、石油石炭税収がGXの進展により減少いたしまして、それから再エネ賦課金総額が再エネ電気の買取り価格の低下によってピークを迎えた後に減少していく範囲内で導入していくと、こういうことにしております。
このように、企業活動や国民生活に与える負担が過度なものにならないようカーボンプライシングを導入していくことに加えまして、GX投資の前倒しによりまして、水素や蓄電池などの新たな市場の早期立ち上げによる経済成長ですとか、化石燃料に要する費用あるいは安定供給に伴うリスク、これらが低減をすること、それから、脱炭素電源である再エネの低コスト化などによりまして事業者や国民に恩恵がある制度としていきたいと、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/10
-
011・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
続いて、中小企業・小規模事業者の経営者にとってのGXについてお聞かせ願いたいと思います。
私の地元の広島県内の仲間でもある中小企業・小規模事業者の経営者に聞いても、GXに取り組みたいんだという気持ちはあっても、そもそも自社のCO2の排出量の算定の方法とか手段が分からないという方々が非常に多いです。
自社のCO2排出量を把握するためにどのような方法があるのでしょうか、また、その取組に対してどのような支援があるのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/11
-
012・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
御指摘いただきましたとおり、中小企業におきましては、自社の排出量などの把握方法やその具体的な削減方法が分からないといった課題があるというふうに重々承知しております。
このため、中小企業のGXの取組は、カーボンニュートラル対策についてまず知ること、それから自社の排出量などを把握すること、その上で排出量等を削減する、こういうステップで進めることが重要であるということで考えておりまして、先般閣議決定いたしましたGX基本方針でもその旨を明記し、関係省庁が連携して取り組んでいるところでございます。
御指摘のCO2排出量の測り方につきましては、中小企業の理解促進のため、算定方法を分かりやすくまとめた広報資料を作成して周知を行うとともに、民間事業者や日本商工会議所が算定ツールを提供していると承知しておりまして、生産性向上を目的として、温室効果ガスの排出量を簡易に把握できるようなシステムの導入にも活用可能な補助金などにより支援も行っているところでございます。
さらに、これは環境省の取組になりますけれども、省エネ法、温対法、フロン法の電子報告システムというのがあるんですけれども、これを改修をいたしまして、中小企業が排出量を算定できるようなシステムに改修するということに取り組んでいるところと承知しております。
こうした取組に加えまして、中小機構における相談窓口の設置、あるいは専門家によるエネルギー使用の改善アドバイスの実施、それから、その支援機関から中小企業への支援策の積極活用を働きかけるプッシュ型の支援などを講じるとともに、中小企業大学校による中小企業向けのカーボンニュートラルに関する研修なども行っているところでございます。
さらに、大企業やサプライチェーンでの中小企業を支援を促す工夫も講じているところでございまして、例えば、我が国の排出量の四割に相当する企業が参加するGXリーグにおきましては、自らの排出削減だけではなく、サプライチェーンの中の企業に対する削減の取組支援を求めるということとともに、下請事業者の脱炭素化に係る取組も含めた下請中小企業振興法の振興基準の周知徹底、あるいはグリーン化の取組も対象としているパートナーシップ構築宣言の更なる拡大などによりサプライチェーン全体でのGXの取組を促進していく、そういう考えでございます。
引き続き、関係省庁とも連携いたしまして、CO2排出量の算定を含め、中小企業・小規模事業者のGXに向けた取組を支援してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/12
-
013・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
引き続き、様々なシステム、サービスの周知、御尽力いただきたいと思いますが、次に、中小企業庁に質問いたします。
今回のGXに向けた取組は、大企業については前向きな対応が可能だと考えておりますが、中小企業・小規模事業者にとってはGX対応そのものが人材や資金面を含めて難しいことが多いです。
今後、中小企業・小規模事業者がGX対応を進めるために、例えば商工会や商工会議所を始めとして、単年度ではなく長期的な見通しを担保した上で複数年での支援が必要であると考えますが、単なる省エネ対策ではなく、これらの中小企業・小規模事業者のGX対応に対する支援について、中小企業庁の見解を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/13
-
014・横島直彦
○政府参考人(横島直彦君) 中小企業のGX推進については、本年二月に閣議決定されたGX実現に向けた基本方針においても、中小企業を取り残すことなく社会全体のGXに向けた取組を推進していくことを掲げています。
中小企業・小規模事業者がGXを達成するためには、投資コストや情報不足、人手不足などの課題を克服する必要があります。これらの課題に対応するため、政府としては、例えばものづくり補助金のグリーン枠を拡充するとともに、省エネ補助金において複数年の投資計画に切れ目なく対応できる新たな仕組みを創設しました。また、事業再構築補助金のグリーン成長枠について、中小企業・小規模事業者に使い勝手が良くなるよう、研究開発期間を二年から一年に短縮するなど、要件緩和を行っています。
さらに、こうした支援策がより効果的に中小企業・小規模事業者に届くよう、商工会、商工会議所の相談体制の強化や中小機構における相談窓口の設置、さらに専門家によるエネルギー使用の改善アドバイスの実施等を行っています。特に、全国商工会連合会においては、今年三月に中小・小規模事業者に対するグリーン化支援のためのマニュアルを策定されたと承知しています。これにより、経営指導員の支援能力の底上げが期待されます。
こうした商工会、商工会議所等の取組への支援も含めて、中小企業・小規模事業者が現実的に取り組めるところからGXを進めていけるよう、しっかりと支援をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/14
-
015・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
次に、地域の中小企業のJ―クレジット創出に対する取組についてお聞かせ願いたいと思います。
J―クレジット制度は、中小企業・小規模事業者や農林事業者など幅広い主体が排出削減に取り組むための制度として存在していると承知しております。現在、年間百万トンのクレジット創出が行われておりますが、今後のニーズを踏まえると十分な量となっていないと考えます。また、地域の中小企業・小規模事業者の声を聞くと、制度を知らない、手続が煩雑などの意見もあります。
これまでに中小企業・小規模事業者が創出した具体的な事例を紹介した上で、今後、中小企業・小規模事業者が更に活用していくための取組についてお聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/15
-
016・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
御指摘のJ―クレジット制度でございますけれども、中小企業・小規模企業者を含め様々な主体による排出削減、吸収量をクレジットとして認証する制度でございまして、クレジットの付与をインセンティブとして再エネ、省エネ設備の導入などへの投資を促すことを目的としてございます。
このため、中小企業、小規模企業の皆様が積極的に制度を活用していただくことは重要だと考えておりまして、J―クレジット制度そのものの普及啓発や制度改善を図ってまいります。
具体的には、複数の中小企業の排出削減活動などを一つのプロジェクトとして取りまとめるプログラム型プロジェクトの活用促進ですとか、プロジェクト登録時の事務局による相談対応、書類作成支援などの申請サポート、あるいは地域の経済産業局と連携した企業向け説明会の開催などを行っているところでございます。
御指摘の中小企業などによる具体的な事例といたしましては、三つほど御紹介しますけれども、一つは、金属加工事業者が工場の照明をLEDなどの高効率のものに切り替えた事例ですとか、製材会社が木質バイオマスボイラーを導入した事例、それから三つ目は、ボイラー供給事業者やガス事業者が取りまとめ役になりまして、従来型ボイラーから高効率ボイラーへの入替えですとか重油からガス燃料への燃料転換を、プログラム型プロジェクトを活用して中小企業を含めた複数の事業者のクレジット創出を支援した事例などがございます。
中小企業の、地域の中小企業・小規模事業者の皆様にとっても十分活用してクレジットを創出していただける制度であるというふうに考えておりますし、今後もその工夫を重ねてまいりたいと思っております。
引き続き、関係省庁と連携いたしまして、中小企業・小規模事業者にも更にJ―クレジット制度を活用していただけるよう取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/16
-
017・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
次に、環境省さんにお尋ねを申し上げます。
地域の中小企業・小規模事業者でも積極的にCO2の削減か吸収でしっかりともうける仕組みをつくる必要があります。金融支援でありますが、環境省様はESG地域金融というコンセプトで取り組んでおります。
具体的にはどのような取組を行っているのか、お聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/17
-
018・上田康治
○政府参考人(上田康治君) お答えいたします。
地域の脱炭素化を進めるに当たっては、地域のあらゆる主体が連携して取り組むことが重要であり、とりわけ中小企業・小規模事業者を顧客に持つ地域金融機関の役割は重要であると認識しております。
環境、社会、企業統治といった要素を考慮に入れて行う投融資を指すESG金融においては脱炭素化は重要な課題と認識されており、環境省としても、国際的に進展するESG金融の動きを地域金融機関の経営や投資、投融資行動の実践につなぐべく、いわゆるESG地域金融の実践、促進に係る取組を継続してきているところでございます。
具体的には、地域の脱炭素化を地域経済の発展につなげることを目指す金融機関の検討への支援や、気候変動関連情報を開示する仕組みであるTCFD提言に基づきESG金融の基盤となる情報開示に取り組む金融機関の支援、また、中小企業が金融機関から融資を受けて脱炭素投資を行う場合に金融機関を通じて中小企業の金利負担の一部を補助する事業などを実施しているところでございます。
さらに、令和五年度は、地域全体での中小企業等の脱炭素化を支援を促進するため、地域金融機関や自治体、商工会議所等の経済団体等が協力して中小企業等への支援体制の構築に取り組むモデル事業を実施するとともに、中小企業等に対して脱炭素化に関するアドバイスの提供や実践の支援を行う人材を育成するため、脱炭素アドバイザー資格認定制度を創設し、金融機関の職員を含む地域で脱炭素化に取り組む人材による環境省のガイドラインに適合した民間資格の取組を後押しすることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/18
-
019・越智俊之
○越智俊之君 まとめます。
この取組が、是非とも中山間地域、島嶼部、そして中小企業・小規模事業者へ持続的発展につながることを期待しております。
私、今回、国会議員になってというか、人生で初めて質問させていただきました。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/19
-
020・村田享子
○村田享子君 おはようございます。御安全に。立憲民主・社民の村田享子です。
私もまず、今、越智委員も取り上げられましたけれども、成長志向型カーボンプライシングについてお尋ねをいたします。
私がやっぱり懸念しているのがこの価格転嫁、カーボンプライシングの価格転嫁が、中小企業にしわ寄せが結果的に行くんじゃないかということなんです。
衆議院の経済産業委員会の御答弁では、このカーボンプライシングによる価格上昇分の転嫁については、適切な転嫁が行われていくものと認識をしてございますといった言葉もございましたけれども、中小企業にしわ寄せが行かない、こういった適切な転嫁というのをどう担保していくおつもりなのか、大臣、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/20
-
021・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘の化石燃料賦課金あるいは特定事業者負担金といったカーボンプライシングの転嫁についてでありますが、民間事業者の経済活動や他の事業者との競争など、様々な個別の要因によって影響されますので一概に言いにくいところあるんですけれども、しかしながら、適切な転嫁が行われていくということは重要であるというふうに認識をしております。
その適切な転嫁を推進する上では、サプライチェーンを通じたカーボンプライシングの転嫁状況を公平かつ正確に把握していくということが必要となってまいります。これはなかなか世界的にも難しい課題とされておりまして、どのような方策、工夫があるか、今後よく考えていきたいというふうに思っております。
その上で、今般導入しますカーボンプライシングにつきましては、中小企業を始め事業者にとって過度な負担とならないように、企業がGXに取り組む一定の期間を設けた上で、エネルギーに係る負担の総額が中長期的に減少していく範囲内ということで導入することにしております。
加えて、国による二十兆円規模の先行投資支援を講じていきますので、意欲ある企業のGX投資を強力に引き出していくことを通じて、水素や蓄電池などの新たな市場の早期立ち上げ、これによる経済成長、また、早期立ち上げることによって価格も、利用する価格も落ちてくると思いますのでそういった効果、それから、化石燃料に要する費用や安定供給に伴うリスクを低減していくこと、そして、重なる面がありますけれども、脱炭素電源である再エネについても低コスト化につながってくるというふうに思っております。
こうしたことを実現しながら、中小企業を始めとする事業者、国民、幅広く恩恵がある形で是非進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/21
-
022・村田享子
○村田享子君 ちょっと今のやっぱり御答弁の中に関連してちょっとお聞きしたいんですけれども、確かに中小企業の皆さんもカーボンニュートラル一生懸命取り組んでいらっしゃいます。ただ、やっぱりどうしても価格転嫁がどうなっていくのかというのをすごくやっぱり気にされていて、今の御答弁の中で、そのサプライチェーンにおけるカーボンプライシングの転嫁状況を正確に把握することは世界的にも難しい課題だといった大臣のお話あったんですけど、やっぱり中小企業の皆さんが取引先に価格転嫁の交渉をするときには、価格転嫁の根拠というのを明確に示す必要があります。
二〇二二年、昨年九月の価格交渉促進月間のフォローアップ調査の結果を見させていただいたところ、その中で、原材料費というのは比較的価格転嫁が進んでいる一方、労務費とエネルギーコストは価格転嫁が難しい状況となっている、そういった調査結果になっています。
中小企業の方に、何でエネルギーの価格転嫁って難しいんですかというふうにお聞きをすると、やっぱりそのエネルギー価格というのは毎月変動するものなので、従来と比べて幾ら上がりましたと、だからこの分価格転嫁してくださいねというのが原材料費と比べて明確に示しにくい。その労務費については三月の政労使会議でも話題になって、人件費のところちょっとピックアップして見ていこうねといったお話があったのは承知をしているんですが。
このエネルギーのコストの価格転嫁をどうしていくのかというのがやっぱり中小企業の皆さん、いまだに課題だと思うんですが、この辺のところ、エネルギーコストの価格転嫁はこれからどう取り組んでいかれるのか、見ていかれるのか、ちょっとお考えあればお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/22
-
023・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) ありがとうございます。
価格転嫁、今、私ども、中小企業などの賃上げ進めるために様々な形で取り組んでおりまして、これ、交渉をどう進めていくかということになると思うんですね。原材料費はできるけれども労務費とかエネルギーコストはできないと、これもむしろ商慣習とかそういうことをしっかり変えていくと。さらに、まさにこれ親元から下請まで続けてということなので、いろんなパートナーシップ構築宣言含めて、そうした中でしっかり、原材料だけじゃなくてほかのものについてもちゃんと価格転嫁ができるように全体として価格転嫁対策を進めていきたいと、そんなふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/23
-
024・村田享子
○村田享子君 やっぱりこのサプライチェーン全体として、あと商慣習として大分根強く残っているものもあると思いますので、是非とも、そのエネルギーコスト、労務費含めて価格転嫁、これからも取り組んでいただきたいと思います。
重ねてカーボンプライシングについてお聞きをしますが、今回、カーボンプライシングというのはGX移行債の償還に充てていくといったお話なんですけれども、このカーボンプライシングをいつまで続けていくのか、カーボンプライシングの終わりについてはこの法律の中では明記がないというふうに理解をしておりますけれども、この移行債の償還が終わってもカーボンプライシングは続けていくというような理解でよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/24
-
025・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
今般導入いたしますカーボンプライシングは、御指摘のように、結果として生じる収入をGX経済移行債の償還に充てるものではございますけれども、この制度趣旨は、炭素排出に対する値付けを行うことによりましてGX関連の製品や事業の付加価値を向上させてその収益性を高めるものであります。また、企業がGXに取り組む期間を設けた上で、その水準を徐々に引き上げていく方針をあらかじめ明示すること、こうしたことを併せて、企業がGXに必要な投資や取組を前倒しで行うインセンティブを付与すると、こういう趣旨でございます。
この法律案、今回の法律案におきましては、御指摘のように、カーボンプライシングの具体的な終期は定めておりませんけれども、カーボンニュートラル実現の目標年限となっている二〇五〇年頃の将来におきまして、今御説明申し上げたような制度趣旨に照らして制度を継続する必要性があるかどうかを検討していくことになるというふうに考えております。
いずれにいたしましても、二〇五〇年カーボンニュートラルと経済成長、産業競争力強化を共に実現していく中で、GX投資の進捗状況、あるいはグローバルな動向や経済への影響、技術開発の動向などを踏まえまして不断に進捗評価を実施いたしまして、必要の見直しを効果的に行っていく中で適切な終期も検討していくことになろうかと、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/25
-
026・村田享子
○村田享子君 前回の私の質疑の中でもお聞きしたのが、やっぱり二〇五〇年というのはカーボンゼロではなくて、やっぱりCCUSを使いながらニュートラルにしていくという。であれば、やっぱりCO2というのは、まあ本当はゼロになればいいんでしょうけど、二〇五〇年になっても出続けている部分ってあるかもしれないわけなんですよね。そうなったときに、CO2をどうしても出さざるを得ない皆さんが、カーボンプライシング、いつまでも続いていくものなのかなというのは、やっぱり予見可能性をある程度高めていくことが私は必要なんじゃないかなというふうに思います。
仮にそういったカーボンプライシングが償還終わっても続けるのかというのもありますし、先ほどから価格転嫁の話をしていますけれども、諸外国においては、カーボンプライシングの収入の使途として、価格転嫁で負担が増えた例えば低所得者層の方に支援をするというような使われ方もするようなんですけれども、こういった対策というのは現時点で考えていらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/26
-
027・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) 繰り返しになりますけれど、成長志向型カーボンプライシング構想は、負担を考慮いたしまして取組期間を設け、エネルギーに係る負担の総額が中長期的に減少していく範囲内で導入するということでございます。
また、二十兆円規模の先行投資支援では、排出削減のみならず経済成長、競争力強化についても重要な、強化も併せて実現することを重要な要件としておりまして、民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業であること、技術革新性、事業革新性のあるものといった要件を満たすものを支援していくこととしておりますけれども、例えば、効果の高い断熱窓への改修などの住宅の省エネ投資、それからクリーンエネルギー自動車の導入支援など、活用いただいた国民の皆様にはエネルギーコストやカーボンプライシングの負担が小さくなるような、そういう支援も含まれております。
さらに、GXの実現により化石燃料に過度に依存しない経済構造、産業構造をつくり上げることで強靱なエネルギー供給構造が確保されて、仮に昨年二月のロシアによるウクライナ侵略のような事態が発生した場合であっても国民生活や企業活動に大きな影響が生ずることにならないように、これは所得の多寡にかかわらず国民の皆様に恩恵が生ずるような、そうした結果を目指してまいりたいと考えております。
御質問いただきました低所得者層の方の支援を目的とした支援は想定してございませんけれども、広く国民の皆様に裨益するような取組をしっかり進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/27
-
028・村田享子
○村田享子君 是非、国民の皆様につながるような支援とともに、やっぱり低所得者の方というのは、カーボンニュートラルに資する住宅とか自動車とかありますよ、補助金出しますよといっても、そもそものやっぱり元手のお金がないという方もいらっしゃると思うので、やっぱりそこから考えて是非いっていただきたいなと思います。
続いて、この委員会でも度々議論になっておりますが、公正な移行について大臣にお聞きをします。
大臣の御答弁の中でも、GX推進戦略を策定する際に公正な移行を明記をしていく、具体的には、我が国でGXを実現するに当たって、公正な移行の観点から、新たに生まれる産業への労働移行を適切に進めていくというお話だったんですけれども、やっぱりここで働く者が気にしているのは、ただ労働移動する、新しい仕事がありました、よかったですではなくて、やっぱり今やっている仕事より賃金が下がるとか労働条件が悪くなるということであれば、それはやっぱり公正な移行ではないんじゃないかなと思うんです。
特に、今回のカーボンニュートラルの話は、やっぱり菅総理のときに二〇五〇年にやりましょうということで、やっぱり国が進めてきたことでありますので、この公正な移行に当たっては是非ともこういった雇用の質というのも考えて私は進めていくべきだと思うんですけれども、それについてのお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/28
-
029・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 全く問題意識は共有しておりまして、このGXの実現、実行に当たっては、日本の強みでありますこの技術力を生かした革新的技術開発、これを進めて、その成果を世界にも展開していくということを通じながら、既存の産業の変革、また新たな産業の創出、こうしたことを進めていきたいというふうに思っております。
その実現を国としても支えていくべく、御議論になっておりますGX経済移行債を活用した二十兆円規模の先行投資支援を行うということと同時に、リスキリングなど人材育成の取組、そしてグリーン分野を含む成長分野への円滑な労働移動への環境整備、これも進めていきたいというふうに思います。
まさに、GXはコストではなくて成長のエンジンであるというふうに今捉えられてきておりますし、そうあるべきだというふうに思います。雇用の質の向上を始めとする公正な移行の観点も踏まえてGXを推進し、排出削減を実現しながら、同時に雇用、所得の拡大を実現し、全体として、日本全体を再び成長軌道に乗せていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/29
-
030・村田享子
○村田享子君 是非とも、働く全ての方のやっぱり所得拡大につながる、そういった取組をしていただきたいなと思います。
今、技術力を生かして世界にというお話ありましたけれども、今、やっぱり私も全国回っている中でやっぱり一番御不安の声が多いのは、自動車のエンジン関係を作っている皆さんなんですね。決して、今、皆さん、エンジンのお仕事が今ないわけではない、むしろ毎日忙しくエンジン関係の部品を作っている。だけれど、国の方針を見ると、いつまで自分たちのこの仕事が残っているのかが分からない。
そういった不安の中で、でもまずは目の前の仕事をするという中で、すごく一番この皆さんに国としてもやっぱり着目していかないといけない、支援をしないといけないんじゃないかなというふうに思うんですが、こういったところへの支援について取組をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/30
-
031・藤本武士
○政府参考人(藤本武士君) お答え申し上げます。
自動車の電動化を進めていくに当たりましては、地域の自動車産業を支える部品サプライヤーも含めまして、カーボンニュートラルに向けて前向きに取り組んでいただくことが重要と考えております。例えば、エンジン部品の中小サプライヤーが新たに電動車部品の製造に挑戦するといったような事業転換の取組について積極的に支援をしてまいります。
具体的には、全国各地に支援拠点を開設しまして、実地研修やセミナー、相談対応、専門家の派遣といった伴走型の支援を行いますとともに、事業再構築補助金による設備投資や人材育成への補助も通じて攻めの業態転換、事業再構築を後押ししてまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/31
-
032・村田享子
○村田享子君 今、事業再構築補助金のグリーン成長枠、そういった御説明もありましたけれども、現場の皆さんに聞くと、もうとにかく今仕事も忙しいし、今、物づくりの現場、人手不足ですので、研究開発や人材育成のやっぱり余裕がないというお話なんです。
グリーン成長枠については、今回、賃上げをしたところにはインセンティブを付けますよといった内容にもなっているんですけど、やっぱり今の賃上げの状況を見ると、報道では、賃上げできている、今までにない回答だというところもありますが、やっぱり中小企業の皆さん、なかなか厳しくて、インセンティブは付いているけれども、この賃上げ、うちはできないなという感じなんですよね。
今、恐らく御説明の中にもあった事業だと思うんですけれども、そういった中で、私が今、経産省の皆さんの事業において、この令和四年度から始まった、カーボンニュートラルに向けた自動車部品サプライヤー事業転換支援事業というものが始まりました。ここのところは、やっぱり先ほども伴走型支援ということありましたけれども、本当に今とにかく仕事が忙しい、でも、そういった皆さんにやっぱり国がもっともっと直接お話も伺うような感じで支援をしていかなければいけないんじゃないかなと思っています。
そういった意味で、この令和四年度から始まったこの支援事業の実績ですね、どれぐらい活用されていたのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/32
-
033・藤本武士
○政府参考人(藤本武士君) お答え申し上げます。
御指摘の支援事業につきましては、昨年八月から全国各地に支援拠点を開設しております。今年の三月末時点で、セミナー及び実地研修を全国で八十四回開催しまして、延べ二千九百三十八社が参加をしました。また、六百七十五件の個別相談を実施するとともに、専門家派遣は計六十三社に御活用いただいたところです。令和五年度は、これまで十か所であった支援拠点を新たに四か所増設しまして、より地域に寄り添った支援体制を整える予定にしております。
引き続き、各地域の支援拠点と協力しながら、中小サプライヤーへの支援を充実させてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/33
-
034・村田享子
○村田享子君 御説明ありがとうございます。
本事業の行政事業レビューシートを見させていただきまして、中間目標が、令和六年度で本事業の支援を活用して実際に事業転換のステージを進めることができた企業数というのが六百というふうに記載がございます。
やっぱり、私の感覚だと、もっともっとここに関わる事業の数って多いんじゃないかなというふうにも思うんですが、本当に実際どれぐらいの企業が次のステージに進めたのか、そこのところも見ていただきたいなと思いますし、やっぱりそのエンジン回りの皆さんがおっしゃっているのが、電動化を国としても進めるということなんだけれども、その合成燃料の内燃機関についても利用をしていくという話なので、本当に自分たちのエンジンがなくなるのか残るのか、どれぐらい残るのかというその方針にすごく振り回されているということなので、そういった方針というのもしっかり皆さんに併せてお伝えをいただければなというふうに思います。
続きまして、国によるGX投資促進策についてお聞きをします。
この法案の第四条で、国は技術及び事業に革新性があり中長期的に高い政策効果が見込まれる事業分野に政策資源を集中的に投入しということで、国が投資先の判断を行っていくということなんですけれども、やっぱりその企業の皆さんからいうと、今その技術の開発のスピードもすごく進んでいるので、やっぱり小まめに自分たちと連携を取ってほしいと、現場で何が起きているのか国からもっと話を聞いてほしいなというようなことなんですけれども、そういった業界団体や学識者の皆さんとの連携をどのように取っていかれるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/34
-
035・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
GX経済移行債を活用した先行投資支援でございますけれども、民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業であること、技術革新性、事業革新性があるものといった投資促進策の具体的な基本原則をGX基本方針ではお示ししてございます。
この基本原則にのっとりまして、国内外における技術開発の動向、市場やそのポテンシャルなどを踏まえた上で必要な投資促進策を講じていくことが重要であると思っておりまして、そのため、投資促進策につきましては、まず結果が出ることが明確なものは民間にお任せをすると。その一方で、技術の不透明性が高くリスクのある革新的技術開発を官民で協調して進めること。それから、その検討に当たりましては、御指摘いただきましたとおり、技術開発や競争力の状況につきましては、産業界や有識者といった外部の専門家の目を入れた仕組みを入れて実行していくこと。加えて、排出削減と産業競争力強化、経済成長を両立する観点から、効果の高い施策に重点を置いて取り組んでいくことと。こんなような仕組みとしたいと思っております。
また、投資促進策につきましては、官民のGX投資の進捗状況、グローバルな動向や経済への影響、技術開発の動向なども踏まえまして定期的に進捗評価をして、不断の見直しをしながら施策を講じてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/35
-
036・村田享子
○村田享子君 是非お取組、そのようにお願いをいたします。
今回、まあいろいろ、カーボンニュートラルに資する製品の開発であるとかそういったものにこれから投資が行われていくと思うんですけれども、一つ御相談が私のところにあったのが、今、建設機械とか荷役機械、フォークリフトとかシャベルとか、こういったものも電動化であったり燃料電池を使ったものを普及させていこうと取組が進んでいますと。
ただ、このフォークリフトとかショベルというのは基本的に事業所内で使うので、充電したいとか水素を補給したいと思って大型の建設機械が道路に出ていって、じゃ、あそこで充電しましょうねというわけにはいかないと。やっぱり、大型の建設機械は分解して運ばないといけないので、幾ら道の中にそういった施設が整えられてもやっぱり使えないと。やっぱり、こういった建設機械や荷役機械の電動化、燃料電池、こういうのを進めるには、事業所の中に充電施設とか水素ステーションがあることが必要だという。
なので、こういったところ、事業所内にこういったものを設備するための取組を進めてほしいという要望があるんですけれども、ここへの取組、ちょっとお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/36
-
037・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、産業機械の分野につきましても、港湾や空港等のカーボンニュートラル化を進めるという観点から、例えば水素の利用、あるいは電動化といったような推進は非常に重要だと考えております。
この点、産業機械分野におきましては、今まではやっぱり一定規模の水素需要が見込めないと持続可能な事業実施がなかなか見込みにくいということございまして、水素につきましては、これまで経産省として、産業機械向けの水素ステーション、事業所内のやつは支援対象に含めず、まずは乗用車、商用車向けの水素ステーションの支援に重点化してきたという経緯ございます。
一方で、今のような御指摘も踏まえまして、令和四年度からは、こうした水素ステーションから、産業機械って充填圧力が違うんですけれども、こうした異なる燃料電池フォークリフトなどにも充填ができるよう水素ステーションのマルチ化を支援対象として認めたところです。
ただ、これをやりましても委員御指摘の点が十分達成されるわけではございませんので、今後、関係省庁ともよく連携しながら、中小企業含め事業者の方々からのニーズを把握しつつ更なる支援の在り方を検討していきたいと、かように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/37
-
038・針田哲
○政府参考人(針田哲君) 二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて産業分野の脱炭素化が重要であり、フォークリフトやショベル等の様々な分野で車両の電動化は必要不可欠であるというふうに考えております。環境省では、民間事業者等を対象に燃料電池フォークリフトの購入への補助を行っており、これまで三百六十三台の導入実績がございます。
引き続き、産業界の脱炭素に向けて、中小企業等のニーズを把握し、関係省庁と連携して必要な支援に取り組みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/38
-
039・村田享子
○村田享子君 是非、建設機械、荷役機械におけるこういった充電施設、水素ステーション、取組をお願いいたします。
最後に、ちょっと基本的なところではあるんですが、今回の質疑の中でも、公正な移行を始めGX推進戦略にいろいろ盛り込んでいくといったお話がありました。このGX基本方針とこのGX推進戦略、何が違うのか、そしてこのGX推進戦略もGX実行会議にかけられるものなのか、それを最後に教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/39
-
040・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
本年二月に閣議決定いたしましたGX実現に向けた基本方針につきましては、連合の芳野会長構成員を始めとして、経済団体、消費者団体、地域の金融機関、学識経験者などの多様な構成員や関係大臣が参画するGX実行会議で精力的に御議論いただいた上で、パブリックコメントを経て取りまとめました。
こうした点を踏まえて、本法律案に基づき策定することになります脱炭素成長型経済構造移行推進戦略、いわゆるGX推進戦略の案につきましては、GX実現に向けた基本方針に沿ったものとしつつ、今回の国会における法案審議等での御議論や基本方針策定後の状況変化も必要に応じて反映して策定することにしたいと思っております。具体的な段取りにつきましてはこれから検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/40
-
041・村田享子
○村田享子君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/41
-
042・森本真治
○森本真治君 おはようございます。立憲民主・社民の森本真治でございます。村田委員に引き続きまして質問をさせていただきます。
私からも、まず取り上げたいのが、先ほど村田委員が言及をされましたけれども、公正な移行ということが今回の議論でもキーワードになっておりますので、少しこのことについての私なりの問題提起と、また政府、経産省さんのお考えについてまずは確認をしたいというふうに思います。
今回のこのGXでございますけれども、基本方針にも記載がありますが、産業革命以来のこの化石エネルギー中心の産業構造、そして社会構造の大転換、まさにこれから革命を起こしていくんだというふうに私は理解をしております。その中で、もちろん経済活動だけではなくて、社会全体の転換、大転換がこれから起こさなければならないという、大変壮大なこれから取組が始まっていくんではないかというふうに思います。
この基本方針の中の、社会全体のGXの推進の中にこの公正な移行という記載が掲げられているということでございます。先ほどの御説明もありましたし、この間の議論の内容についても聞かせていただいておるんですが、まず、この議論をする前提として、少し今の、経産省さん、大臣、御認識を伺いたいんですが、社会全体のこのGXという中にこの公正な移行ということが書かれているということですね。
この公正な移行というものの意義というか狙い、これ、社会全体の変革の中にこれが入っているということについての、少しもう一度、改めてになるかもしれませんが、解説、御説明をいただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/42
-
043・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 公正な移行ですね、これ、GX実行会議におきましても、まさに連合の芳野構成員の御意見も踏まえてこうした基本方針の中に明記をしているところですが、実は、G7の札幌、北海道で行われたエネルギー大臣、気候変動、気候担当大臣会合におきましても、このコミュニケの中に公正な移行というのを明記されておりまして、まさに、全ての人に働きがいのある人間らしい仕事と質の高い雇用を創出する必要性を強調するということで、まさにILOが示したそうしたことを踏まえながら、G7各国で、このグリーントランスフォーメーションを進めていく中で公正な移行ということが非常に重要な取組だということで合意が得られているところであります。
そして、今御指摘ありましたように、日本全体でGXを実行していく中で、当然、それぞれの地域、産業においてもGX、取組進めなきゃいけませんので、そうしたそれぞれの地域、産業においてこのGXを進めていく中で、まさに基本方針の中に明記したこの公正な移行という考え方の下で、我々、全体として新しい社会、経済の構造に変えていくところをしっかり進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/43
-
044・森本真治
○森本真治君 この公正な移行の定義というか考え方というのは、それぞれ識者によってもいろんな考え方が、これ一つのものに明確化されているわけでもないのかなというふうに私自身は認識をしておるんですね。
それで、これは第一生命経済研究所の牧之内さんという方の論文がちょっとあって御紹介したいんですが、そもそもこの公正な移行というものは、二〇〇九年のCOPの15ですね、国際労働組合総連合、ITUCが提唱した考えということで、特に、この間の議論でもあるんですが、やっぱり働く人たちに視点を置いて、例えば人への投資しっかりと、今でいいますとリスキリングの話とかもあります。しっかりとしたこの就労支援というようなことをする。人への投資をしっかりすることによって、働く人たちが新たな、今の既存の産業から新しい産業で働く場合にしっかりと後押しをする、公正にそこへ移行してもらうという、そういう考えの議論が中心にもなっているというふうに思うんですけれども。
私が今日ちょっともう一つ問題提起をしたいというふうに思うのは、そもそもの受皿となる地域であったり産業、新たな産業の創出ということも含めた公正な移行というふうに考えていかないと、人の質はどんどんと上がっていっても、そこで働く場所がないということになってしまっては元も子もないというような問題意識を実は持っておるんですね。
先ほど地域の産業の話もちょっと言及、大臣もされたというふうにも思うんですが、そういう中で考えますと、今回この議論などで、また二〇〇九年のこの新たな概念ということで新しいようにも見えますが、過去にもそれぞれの地域であったり産業が斜陽化していって、その地域がある意味人口減少などがしてきたという過去の事例というのは我が国においても幾つもあるわけでございます。
例えば、炭鉱の町の話もありますし、特に企業城下町というか地方都市ですね、工場誘致をして、それで地域経済を発展させていったその工場が閉鎖をされて、その地域がどうなったのかというようなことは当然これまでもあるわけでございまして、言葉自体は最近何かよく言いますけれども、何らこの問題というのは昔からない話でも何でもないということなんですね。
それで、ちょっとまず確認したいのが、今経産省さんの認識として、ある意味こういう過去の例というのも、当然今後の施策の中で参考にもなるわけでございますから、かつてのそのような炭鉱業であったり、地方都市の工業閉鎖による影響で、逆にうまく再生できた地域というのも当然あると思うんです。どのようにしてそれができたのかというような成功事例などをどのように認識しているのかというようなこととか、当然、いろんな対策というのもこの間も取ってきたけどなかなか地域が衰退していった地域もあると思う。そういう教訓ですね、そういうことをしっかりとここでもう一度再確認をしないと、今回のGXの新たなそのような公正な移行ということにもつながらないと認識をしておりますので、そういう過去の我が国に起きた、そういう産業構造が変わっていったときに起きたことについてのですね、どのように認識をしているかというようなことについてもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/44
-
045・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
御指摘ありがとうございます。まさにおっしゃいますとおり、公正な移行をするためには新しい職をしっかりつくっていかなくてはいけないと。
先日、官邸でも国内投資の官民フォーラムというのを開きまして、地域でいろんな経済対策等によってどれぐらい投資が進んでいるかという現場の声を聞きましたけれども、これは圧倒的に半導体等のDXやGXの投資が地方で進んでおりまして、雇用もたくさん地方で生まれてきております。こうしたところに特に人が、新しい、まさに今御質問ございましたけれども、技術を持った人が求められるので、そこに向かってリスキリング等を含めていろんな措置を講じて人の移動を進めていくと。職をしっかりつくった上で、リスキリングや雇用移動をする中で人がそちら側に移っていくということを進めていきたいというふうに思っております。
それで、今御指摘ございました過去のいろんな衰退産業の結果等につきましては、例えば御質問いただいた、今後どうなるか分かりませんけれども、車につきましても、内燃機関かEVかといろんな議論があると思っております。ここについてはしっかり分析をしながら今後に生かしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/45
-
046・森本真治
○森本真治君 今日は、ちょっと資料を付けさせていただきました。資料一というのを御覧いただきたいんですけれども、私の選挙区広島です。先ほど越智委員も広島、江田島の対岸ですね、呉、呉というところがありまして、そこに日本製鉄瀬戸内製鉄所というのがあって、これは多くの皆さんも御案内だと思うんだけど、これが今年の九月には完全に閉鎖をするということで、今非常に呉の皆さん、これはそこで働く皆さんだけではなくて、地域全体が今後の新たなこの呉の経済をどうしていくかということについて模索が続けられているという状況でございます。
ちょっとこれ、広島県に、今の現状ということで、中国経産局さんとか労働局さんも含めて、国、自治体一体となっていろんな取組をしていただいているというふうに思うんですが、私がここで少しちょっと問題提起したかったのが、この対策というものについて、ここに書いてありますように、例えば就職相談とかそういうことは一生懸命やっていただいておりまして、この間、元々三千人働いていた方が今は千五百人ぐらいになっているんですけれども、この間の人については大体九割ぐらいが再就職をしたというようなことがあります。
ただ、この九月で完全閉鎖をしたら今後どうするかというときに、先ほどから繰り返しになりますが、人ということに着目を、働く皆さんに着目をすれば、例えば今の技術を持って新たな同じような同業の仕事に就く場合は呉を離れるということがあるわけですね。いろんな地域に行くということですね。もちろん、本人、御本人の意思で自分の技術というものをこのまま生かして離れていくということはいいんだけど、当然この呉からは人がいなくなっていくという話になるわけです。
じゃ、そういう人たちが、ちゃんと呉にいたくても離れていくという人に対しては、呉のしっかりとした雇用の場という、その産業というものをどうつくっていくかということなんですが、若干私の認識では、これまでの国や県なども含めた取組の中でそういうところはちょっと見えてこないなというふうに思っておるんです。
ですから、この公正な移行というときに、じゃ、その地域全体のビジョンというか、そういうものもしっかりと自治体の皆さんにも描いてもらうということは非常に重要であって、そのときにやっぱり国としてもしっかりとサポートしていく、連携をしていくということですね、やっぱりそのことが非常に重要だというふうに思うんです。
それで、実際私、これ参考になるのではないかなというふうに思っておるのが、今、福島で行われております福島イノベーション・コースト構想などというのはまさにそういうイメージではないかと私思っておるんですね。ですから、これを、今回のこのGXにおいても、多分全国各地でこのようなことという課題は起きてくるわけでございますから、しっかりとこのGX版のそれぞれの地域で町の未来を築いていくもっと明確なこのビジョンを頑張って作ってもらおうという、やっぱりそういうことって非常に重要だと思いますので、是非国としてもそのような観点で更なる取組ということを地域の皆さんとも進めていっていただきたいと思いますが、それについての認識をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/46
-
047・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 時代の変化に応じて、当然、いわゆる構造改革というか新陳代謝、まあ人力車はだんだんなくなって自動車に行ったように、いろんな変化があると思いますので、その変化に対応した、その地域を支える中堅・中小企業あるいは働く皆さん方も、その時代に、変化にちゃんと対応できるような支援策の下で、まさに新しい時代の経済社会の構造の中でまた生きがいを持って仕事ができる、こういう取組が非常に重要だというふうに思っております。
そして、今まさに脱炭素化というこのGXを国全体で進める、当然地域でも進めていかなきゃいけない中でいろんな変化が起こってくると思いますけれども、それに対しては、例えばGXリーグで六百社以上の企業が参加をしてくれておりますが、その多くは地域に工場を持ちサプライチェーンを持っております。そして、当然、その会社全体で脱炭素化を進めていくには、地域の工場でも進めていかなきゃいけない、地域でも進めていかなきゃいけない、また、そこ、それを支えるサプライチェーン、協力企業の皆さんとも一緒にやっていかなきゃいけないと、そうした取組もこのGXリーグの中では求めておりますので、二十兆円の先行投資の中でそうした地域におけるGXの取組も是非支援をしていきたいというふうに考えております。
あわせて、御指摘のように、自治体のビジョンのようなものを支援をしてはどうかという御指摘だと思いますが、これまでも、環境省におきましてこの地域の将来ビジョンなどを定めた自治体を脱炭素先行地域として選考し、かなり多くの地域が選定をされているものというふうに承知をしておりますが、各府省庁、政府全体での支援策も活用しながら、各地域における新たな再エネの導入や省エネ型の設備の導入とか、こういったことも進めてきているものというふうに思います。
いずれにしても、御指摘のように、地域ごとにそれぞれの、まあ城下町的なところもあるでしょうし、いろんな産業が立地している自治体もあると思います。自治体ごとに全体として将来どういう地域の社会、経済の構造にしていくのか、そうした取組を経産省としては産業界の方から支援をしていく、そして自治体への支援、これは環境省であったり総務省であったり、そういったところと連携しながら、まあ言わば縦と横で糸を紡ぎながら地域のGXを、取組をしっかりと後押ししていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/47
-
048・森本真治
○森本真治君 大臣から言及いただいた、今日環境省さんもお越しいただいていると思うんですけれども、先ほどお話のあった脱炭素先行地域ということで取組が今進められているというふうに思います。
ちょっとこれ、私の認識が違っていたら説明もいただきたいんですが、私の先ほど来の思いという中で、地域全体をどのように描いていくかというときのこの今回の社会実装というか、これについては、個別の施策ですね、具体的な施策の後押しということでもないかなというふうに思うんで、じゃ、例えば、この取組を進めることによって地域の経済がどのようになっていくのだろうかとか、そこの雇用創出効果とかも含めてやっぱり前提となるそういうものがあって、それに基づいて一つ一つのやっぱり取組というものが必要になってくると思うんだけど、今環境省さんのこの取組というのは、まあ脱炭素というか地球温暖化対策という部分だけど、経済成長とかという部分までも含めてこの取組などでは進めていけるのかというようなことも含めて、この事業の内容についての御説明もちょっと確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/48
-
049・小森繁
○政府参考人(小森繁君) 脱炭素先行地域につきましては、先生も御案内のとおり、二〇五〇年を待つことなく前倒しでカーボンニュートラル達成を目指す、そういった先進的な取組を全国のモデルとしてやっていただくということでございますけれども、今先生から御指摘ございましたけれども、単なるカーボンニュートラルだけということではなく、地域課題を解決し、住民の暮らしの質の向上を同時実現していくと、このために自治体始め地域の皆様方いろいろ知恵を出していただいて応募していただいていると、こういう状況でございます。
そして、二〇二五年までに少なくとも百か所以上を選定することとしておりますけれども、現在までに二回募集を行って、今現在三回目をやっておるところでございますが、今のところ四十六の地域を選定してございます。現在第三回目で、更に増えていくと、増やしていくということを取り組んでいるところでございます。
選定した地域に対してでございますけれども、地域脱炭素の推進のための交付金を始め各府省の支援策も活用して重点的に支援を行い、脱炭素掛ける地域活性化というようなことでしっかりと対策が進んでいくようにというふうに考えております。
選定した各地域でしっかりとカーボンニュートラルを実現していただくとともに、全国にこのようなモデル的なものを見ながら普及、更に波及していくように考えておりまして、地元で様々な課題ございますけれども、地方環境事務所を環境省持っておりますが、ここが丁寧に地域と伴走しながら支援をしていきたい、こんなふうに考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/49
-
050・森本真治
○森本真治君 先ほど申しましたように革命を起こすわけで、二〇三〇年がまず第一目標ですね。その中で、これ二〇二五年までに百か所ということで、この規模も含めてその革命を起こすに値するぐらいのこの事業なのかどうかというようなことも私はあろうかというふうに思いますね。
当然、今後の取組の中で、この事業の拡大ですね、柔軟にというか積極的にやっぱり取り組んでいただかなければならないというふうに思いますし、今後のこのGX投資の部分が、この資料の中で見ますと、例えば自治体の中にはこれ共同で民間も入っているということで、そういうのも連携して活用ができるのかどうかというところは分かりませんが、不断の見直しで更に加速をしていただきたいというふうに思いますので、そのところの部分だけ、しっかりやりますという答弁だけいただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/50
-
051・小森繁
○政府参考人(小森繁君) 今御指摘いただいたような方向でしっかり努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/51
-
052・森本真治
○森本真治君 それでは、ちょっと中小企業の関係はちょっと後に回させていただきたいというふうに思いまして、エネルギー、GX推進とエネルギー安定供給のことについても幾つか確認をさせていただきたいというふうに思います。
それで、まず一つですね、この二〇三〇年の電源構成のところについて確認もしたいというふうに思いますが、まずは、この二〇三〇年の電源構成というのがエネルギー基本計画で今目標を立てられているんですけど、この電源構成、まあもちろんこれだけではないと思うんですが、当然、これは二〇三〇年度の温室効果ガス四六%実現ということがこの電源構成の中で実現がされていくという理解で、まずちょっとそこの部分確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/52
-
053・山田仁
○政府参考人(山田仁君) お答え申し上げます。
二〇三〇年度の電源構成ということで我々示しておりますけれども、これは二〇三〇年度四六%削減を目指す中で、徹底した省エネや非化石エネルギーの拡大を進める上での需給両面における様々な課題の克服を想定した場合にどのようなエネルギー需給の見通しとなるかを示すものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/53
-
054・森本真治
○森本真治君 これまでも御説明あったと思うんですけれども、この目標についても、経産省さんとすれば相当野心的な目標だと、この実現するにも相当これはハードルが高いというか、だけどここまでやらなければいけないんだという中でこういう目標を立てられているというふうに思うんですね。そうすると、この実現に向けては、国としてもあらゆる、これはもうお金も含めてですね、民間に対しても相当な後押しというものが求められてくるんだというふうに思うんですが。
資料の二を御覧いただければというふうに思います。
これは大手の電力会社さんですね、旧一般電力事業者さん、この電源について、やっぱり電力については、この大手の皆さんがしっかりとこの二〇三〇年の国の掲げる目標に向けて取り組んでいただけるかどうかということが非常にこの成功に向けても、達成に向けても重要な鍵を握るんだというふうに思いますが、この二〇二一年度で、これは私の方で各社のホームページをちょっと調べて作らせていただいたものでございますが、ここからこの二〇三〇年の目標に向けていくというのは、やっぱり各社によって相当これ体力も違いますし、細やかに個別に企業ごとに対応もしていってあげなければいけないというふうに思います。
それで一方で、これ資料三なんですけれども、ちょっとこれも余り詳しくはないんですが、じゃ、本当に各電力事業者さんが二〇三〇年度のこの目標、国の目標に向けて、じゃ、実際にそこにコミットして経営計画なり事業計画というのを作っているのかというふうに見たときに、現時点で、これもホームページなどで調べた結果ですけれども、経営計画などが出てくるのは記載のようなところしか今のところは出ていないということなんですね。
それでまず、これ経産省さんの認識をお伺いしたいと思いますが、現時点でのこの各電力事業者さんの経営計画なりビジョンというか事業計画というものは、二〇三〇年度に向けてお互いに国とコミットができて進んでいるというふうに考えていらっしゃるのかということをですね、この状況などを見てまず見解をお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/54
-
055・山田仁
○政府参考人(山田仁君) お答え申し上げます。
御指摘の、今資料でもございますけれども、この旧一般電気事業者のこの経営計画につきましては、各社の置かれた状況に応じて作成をされる、現時点でのそれぞれの状況に応じて作成されるというものでございまして、二〇三〇年度のその電源構成目標とは必ずしも一致するものではないというふうに認識をしております。
一方で、我々といたしましては、この二〇三〇年度の電源構成目標の達成に向けて、これは旧一般電気事業者に限りませんけれども、電力セクター全体での脱炭素化に向けた取組を加速させるといったようなことにつきまして、必要な政策を講じていきたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/55
-
056・森本真治
○森本真治君 ですから、今回のこの法律が通ってからになるのかどうか、まあただ、既にもうこの基本方針というかGX戦略というものがある中でいうと、各事業者さんとは個別に、いろんなそういう丁寧に、そういうこの国の方の目標達成に向けての話合いというか、できることは何かないですかとか、そういうようなことはやられるというお考えでよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/56
-
057・山田仁
○政府参考人(山田仁君) お答え申し上げます。
我々、こういったエネルギー政策に関しましては、事業者との様々な場面での意見交換等を行っておりまして、そういった意味ではそれぞれの事業者の取組なども適切に把握しながら、これからのその我々の政策を考えてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/57
-
058・森本真治
○森本真治君 今後、GX投資ということで二十兆円プラス民間も含めて百五十兆ということで数字があるわけでございますけれども、当然、じゃ、それぞれの個別のこの電力事業者さんが今後投資をしてこの目標を達成していくためにはこのぐらいの投資額が必要だろうとかというようなことも当然国の方でも把握をして、それに見合った支援というか投資ということがやっていくという必要性が私はあるんだというふうに思うんですね。
だから、今回のこの二十兆円、百五十兆円のところの中には当然そういう積み上げの部分も含めてしっかりと対応ができているのかということですね、その辺りの根拠というか、それについてもお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/58
-
059・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
官民で十年間で百五十兆円の投資ということで、二十兆円規模の支援するということで、それぞれ国会でもお答え申し上げていますけれども、例えば非化石電源でこれくらいとか一応内訳を持って取組を進めてまいりたいと思っております。その中には当然電力も入ると思っております。
ただ、これ、先ほども御質問ございましたけれども、決め打ちをして、今から十年後を決め打ちをしないで、毎年、予算につきましては、これからも毎年、この法律を通していただいた後は財政当局に要求をして、国会で御審議いただいたものについて移行債を発行して手当てしていくと、こういうプロセスを踏むことと、それから技術開発の動向ですとか投資の動向ですとか国際競争の動向を見ながら、そうしたものを見て、先ほど申し上げましたけれども、定点観測をして進捗を評価しながら、柔軟に見直しながら進めてまいりたいと思いますが、電力会社の方々のCO2排出量というのは非常に大きゅうございますので、電力会社の方がしっかり取り組めるような仕組みを頭に置きながら取組を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/59
-
060・森本真治
○森本真治君 目標だけは掲げてあとは民間の方でしっかりやれというような話では当然いけないわけでございまして、特にこの電力の部分についてが肝になると私は思っておりますので、是非その辺りの丁寧な対応ということはお願いをさせていただきたいというふうに思いますし、それともう一つ、この二〇三〇年の中で、原子力を二〇から二二%ということも目標として掲げられていらっしゃいます。
現在稼働中のもので大体六・九%ということでございますけれども、これは昨年のGXの会議などで岸田総理大臣が今年の夏からこの許可済みの七基については稼働を進めるというようなことを言われているというふうに思うんですが、政府の方でそれできるのかなというふうにちょっとまず一つ思うんですけれども、この夏から大丈夫でしょうか、稼働については。その状況について説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/60
-
061・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
原子力発電所の再稼働につきましては、委員御指摘のとおり、あくまで高い独立性を持った原子力規制委員会の新規制基準の適合審査というものがまずあるわけでございまして、これで認められた場合のみ、その判断を尊重して、御地元の理解ということが大前提で、これを得ながら再稼働を進めていくことになります。
ですので、政府の立場として何基がいつ動くということを申し上げることはできませんし、予断を持ったことを申し上げることはできないものと思いますが、いずれにせよ、脱炭素の目標に対して積極的に進めていく必要があると考えてございますので、再稼働に向けて国としてもできることは積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/61
-
062・森本真治
○森本真治君 許可済みがもう今七基あるんだというふうに思いますけれども、これはもう、でも地元の合意も済んでおるということでよかったんですよね。あとはもう細かな後の手続というか、細かい部分の補正が終われば動くという理解でいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/62
-
063・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
委員御指摘いただきました七基というものが設置変更許可いただいているところでございますけれども、そのうち御地元の理解表明を頂戴しているのは四基でございまして、残りの三基のところについては御地元の御理解を含めて取組を進めていく必要があると認識してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/63
-
064・森本真治
○森本真治君 何となく、昨年のGXでは七基を稼働させるんだというようなふうにも、国民の中にも受け止めておる人もおるんだと思いますが、先ほど言われるように、これは国の方で動かすという話ではなくて、規制委員会などのしっかりとした丁寧な手続があってだというふうには思いますが。
ちなみに、これ夏以降と言っていますから、以降っていつなんだろうというふうにはありますが、少なくとも、電力の需給逼迫の課題などを含めるとこの夏ですね、さらには今度の冬ですね、ここの部分には着実にこの辺りが、もうこれは規制委員会のもちろん厳格な審査ということが経ながらではありますけれども、やっぱりきちんと対応していかなければならないんだというふうに思います。
若干、国の方でこれを進めることはできないでしょうということと矛盾するかもしれません。何か七基、稼働は進めますみたいなことを言っているというふうに私理解しておるので、この辺りはしっかりとやっていかないと、その先のこの二〇三〇年の二〇%という話にもつながらないという話だと私思います。
ちなみに、この七基が稼働して、大体このパーセント、今六・九はどのぐらいまで上がっていくんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/64
-
065・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
ちょっと今手元にデータがございません。パーセントとしてはちょっと申し上げにくいところではございますけれども、いずれにいたしましても、できるだけ早く再稼働が進めていくように、このためには安全をめぐる新規制基準対応に対する審査への対応を産業界、事業者としてもしっかりと進めていく必要があろうかと考えています。
ですので、先行審査での知見の共有ですとかノウハウ含めて、産業大としてしっかりと取り組んでいけるような体制づくり、ここについては産業界任せにするのではなく国もしっかり取り組んでいきたいと考えておりますし、また、地元の御理解となります避難計画のお話、若しくは原子力に対する理解促進ということについての取組、こういったことについても国もしっかりと前に出て取組を進めていきたいと考えて、いずれにしろ、前に進めていけるように取組を進めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/65
-
066・森本真治
○森本真治君 結局、この二〇三〇年度の電源構成なども、本当にこれ現実的なのという話の中の一つが、今のお話などを聞いていても、確実にこの目標に向かってどのような手順を踏んでいけばここは達成するんだというような、どれだけ例えば原発でも動かせば達成できるのかというところが恐らくないんだというふうに思うんですよね。
そういう中でこういう目標だけ立てても、だから、これ前回、参考人の方からの意見でもあったんだけど、この二〇三〇年度の原発二〇%というのが本当にこれは現実的でないんだから再生可能エネルギーをしっかりと取り組んでいかなければならないというような意見とかも意見としてあったというふうにも私は思っておりますね。
ですから、例えば、せめてこの審査中の部分も含めてで、じゃ、これが確実に稼働ができたら何%になっていくんだというところが、どうも私、説明を聞いていても全く見えてこないんですね。ですから、やっぱりそうすると、このGXの実現のそもそも論のこの二〇三〇年度のこの電源構成の実現性にもつながってくると思いますし、じゃ、繰り返しになりますが、電力事業者さんたちがですね、これから本当に経営計画、事業計画というのをまあある意味大きく変更もしてもらわなければならない可能性もある中だけど、じゃ、その辺りについて国としてどこまで関わっていくのかというようなことについても見えてこないという中でいうと、まあ若干、これからやります、これからやりますというようなことも、まあまあ、まずは骨格だと思うんで、今回の法案もですね、少しちょっと不安が残るなということは指摘もさせていただかなければならないというふうに思っております。
カーボンプライシングについてちょっとこれ確認もさせていただきたいんですが、二十兆円のまずは投資というときに、これは私は、積み上げて二十兆円というものがなっているのかなというところの根拠がなかなか不明確だなというふうに思っておりまして、むしろ今後の、FITであったり石石税の減少分のところの、まあ言わば償還部分の額が二十兆円ぐらいだから二十兆円というようにも私は取れてしまうんですけども、そうすると、これも、この実現に向けてこれだけの投資が必要だというところの根拠が私は不明確だというふうに思っておりますが、あくまでもこの負担を増やさないために、経済活動にブレーキを掛けてはいけないという中で、このFIT、石石税の減少分の枠に収まる投資だというふうな設定にも受け止めてしまうんですけども、その辺りについて説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/66
-
067・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
決してそういうことではございませんで、まさに百五十兆円の投資が十年間で必要であるという認識の下で、私ども、例えば水素はどれぐらい、これも、じゃ、どれぐらいその技術が、技術開発が進んで安くなるかというのも、まあある意味想像、想定しながら産業界と対話をして積み上げた部分と、それからもう一つ、世界の国々が、これももちろん、例えばEUも今度新しい政策で少し支援を上乗せするかもしれませんけれども、アメリカが例えばインフレ抑制法案で幾らと、例えば、これベースになるのは、CO2の排出量ですとか、経済規模に応じて世界の国がこの分野にどれぐらい投資しているのかという、その二つの観点から二十兆円程度は必要だということで積み上げてまず必要性を決めまして、その上でいろんな、石石税の減った範囲、それからFITの賦課金がピークを迎えて減った範囲ということで、それ取れそうだからこの額ということは決してございませんで、むしろその必要額があって、これを、じゃ、回収するときに経済に悪影響を与えないように、経済と両立するようにカーボンプライシングを入れていくためにどうすればいいかという中で今回の案を策定させていただいた、そういう手順でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/67
-
068・森本真治
○森本真治君 あと、負担の公平性という観点、先ほどもちょっと村田委員も価格転嫁の話もされたんですが、私の方でも一点、特に、今回、電力事業者さんに負担というものがちょっと重く掛かってしまうんだけど、じゃ、それが料金に適切に価格転嫁できるかという話になったときに、規制料金ですね、今、規制料金だとまたこれ電気事業者さんの方の負担になってしまう、適切に価格転嫁できないということですね。やっぱりその懸念は出ております。
やっぱりその辺りもしっかりと、事業者さんだけに過度な負担にならないように、公平に負担を分かち合うという制度の仕組みというのはやっぱり考えていかなければならないと思いますので、この規制料金のことも含めてお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/68
-
069・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
カーボンプライシングの転嫁、御指摘のところでございますけれども、これは、先ほど大臣からも御答弁いたしましたけれども、民間事業者の経済活動、あるいは他の事業者との競争など、様々な個別の要因によって影響されるものでございまして、まあそういう状況ではあるんですけれども、適切な転嫁が行われることは重要だと、このように考えております。
この法案に基づきますカーボンプライシング、これ、導入時期が五年後以降となります。そういう中で、今後詳細を検討していくこととなるため、現時点で規制料金に与える影響、あるいはその中でどう転嫁できるかということについて予断を持ってお答えするということはなかなか難しいところではあるんですけれども、各規制料金制度の趣旨や制度設計ですとか、あるいは排出削減と産業競争力、経済成長を共に実現していくという今回の成長志向型カーボンプライシング構想の趣旨などを踏まえまして、今後、適切な転嫁の在り方についてきちっと検討してまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/69
-
070・森本真治
○森本真治君 本当、今回は、今後適切に対応するというような答弁も多く目立つ、まあ不確実性がやっぱり拭い切れないような状況かなというふうにも私自身は感想としては持っております。
ちょっと、あと三分しかありません。最後に、中小企業の関係で、公正取引委員会さんにもお越しいただいておりますが、やっぱり価格交渉ですね。今回のこの取組が経済活動にとっても不利益を被るようなことがあってはいけません。例えば、正当な価格というものをそこに転嫁しようとしても、取引上やっぱりその部分について不利益になってしまうような懸念ももしかしたらあるんではないかというようなこととか、脱炭素の取組がしっかり、まあこれはちょっと逆に説明してもらいたいんですけれども、やっぱりこれ、社会全体のルールというか、脱炭素をしっかりしていないから取引しませんよというようなことが、これ公平な交渉ということにちょっとどうなるのかなというような疑念を持ってしまったりするんで、ルールを明確にしないといけないというふうにも思うんですね。
やっぱりその下においてきちんとした取引ということができていかなければならないんで、非常にそういうところが、やっぱり負担も増えてコストが掛かってくるということも想定されるけれども、そこがなかなか転嫁させてもらえないとか、交渉の、取引の条件としていろんな過度な負担というものを押し付けられていくというようなことがあってはいけませんので、まずはしっかりとしたルール作りですね、これはやっぱりしていただきたいというふうに思いますので、取引委員会さんの方の御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/70
-
071・藤本哲也
○政府参考人(藤本哲也君) 今回、公正取引委員会といたしまして、グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法の考え方というものを公表しております。
この中で、例えば取引の相手方に対しまして、温室効果ガス削減を目的とした要請を行って、取引の相手方がその要請を実現するために必要なコスト負担を考慮せずに対価を一方的に定める行為、あるいは温室効果ガス削減を理由として経済上の利益を無償で提供させる行為、こういった行為などにつきましては、どのような行為が優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となるか、こういったものを想定例とともに考え方を示してございます。
公正取引委員会といたしましては、企業による脱炭素の取組が進む中で、中小企業者が不当な不利益を受けないよう、このガイドラインなどにおいて考え方を周知していくとともに、独占禁止法に違反する事案については厳正に対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/71
-
072・森本真治
○森本真治君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/72
-
073・石川博崇
○石川博崇君 おはようございます。公明党の石川博崇でございます。
私からもGX推進法案について、前回に引き続きまして質問させていただきたいと思います。特に、先日、当委員会では参考人の皆様をお迎えをいたしまして大変貴重な御意見を頂戴しましたので、それらを踏まえた質問をさせていただきたいと思います。
参考人質疑でも私から述べさせていただきましたけれども、今年から政府が発行いたしますGX移行債、二十兆円規模、十年間、これをいかに今後民間の、まあ官民ですけれども、百五十兆円の大規模投資を引き出していくかということが大変重要な要素となるというふうに考えております。
先般、参考人からは、政府が社会全体のコミットメントとして高い目標を掲げること、またカーボンプライシングの導入時期などを示した上でGX支出に向けた支援をダイナミックに行っていくこと、こうしたことが官民大規模投資を引き出していく上で有効であるという話もございました。まさに今回の法案がその内容となっているというふうに考えております。
そこでお伺いをいたしますけれども、十年間の期間、総額二十兆円のGX移行債発行していることについて、時間軸、さらには規模、この観点から、制度設計が産業競争力の強化や温室効果ガス削減目標への貢献という観点から十分な効果を発揮するものと考えているのか、政府の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/73
-
074・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
欧米を中心といたしまして、脱炭素化を成長の機会と捉えて、いかに先行して利益を得るかという新技術、新製品の実装と市場獲得の大競争が始まっているというふうに考えております。こうした中、まず十年間程度の先行投資支援で我が国の構造転換を促し、いち早く新市場獲得を実現することが重要であると考えておりまして、今後十年間で百五十兆円超の官民一体でのGX投資を実現していくと、こういう方針を示させていただきました。
この百五十兆円超の官民投資を喚起するために、新たな市場、需要の創出に効果的につながるよう、規制、制度的な措置と一体的に二十兆円規模の大胆な先行投資を講じていくこと、カーボンプライシングによるGX投資先行インセンティブを導入すること、そして国内外から民間資金の供給拡大に向けて官民協調でいわゆるブレンディッドファイナンス、様々なリスクに応じていろんな支援措置を講じるブレンディッドファイナンス等の活用を推進するという、三つの投資促進策を一体的に講じていくことといたしました。
こうした成長志向型カーボンプライシング構想を実現していく中でこのフレームを、先ほど来申し上げておりますけれども、まずスタートをし、それから国内外の競争の状況とか技術の状況を踏まえて柔軟に進捗評価と見直しをしながら、結果として支援の効果が十分に発揮されるようにしっかり運営していくと、こういうことが大事だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/74
-
075・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
先日、参考人の方からは、今の御答弁の中にもありましたが、欧州や米国においてGX投資の動きが非常に活発化しているというお話もありました。特にアメリカでは、昨年八月に成立させたインフレ削減法、IRA、これで再エネ、クリーン水素などの気候変動対策、またエネルギー安全保障、これらを含めて十年間で約五十兆円程度の国による支援策を講ずるというふうにされておりまして、これまでにない大規模な支援を行っていくという状況でございます。
こうした諸外国との比較におきまして、今御答弁もありました我が国の投資規模、あるいは支援策、これはどのように評価できるのか、政府のお考えを示していただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/75
-
076・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
先ほど来申し上げておりますけれども、今後十年間で百五十兆円超の官民のGX投資を実現していくために、今後十年間で二十兆円規模の先行投資支援で行うと、こういうことでございます。この規模につきましては、諸外国の動向、国際機関等の分析、各産業、企業との様々な議論、既存の脱炭素関連のプロジェクト等を参考にしながら、総理を議長になっていただいているGX実行会議や関連する有識者会議で議論を踏まえまして、世界でGX投資競争が本格化する中で、日本が今後十年間で百五十兆円を超えるGX投資を実現していくために必要な規模ということで議論した上で決めさせていただきました。
この規模は、先ほど申し上げましたけれども、排出量の状況とか経済規模の観点から、これ、現時点では他の先進国の支援規模と遜色ないものというふうに思っておりまして、まずこれをお認めいただいて、しっかり進めて結果を出してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/76
-
077・石川博崇
○石川博崇君 そこで、大臣にお伺いをしたいと思いますが、今局長の方から規模、それから、これから官民投資を引き出していく上での政府の方針という話がありましたけれども、これからその百五十兆円、二十兆円を呼び水として引き出していくためには、案件形成などについて政府の力強いコミットメントというものが必要だというふうに思います。
法律案では、第四条で、今後の進めていく上で、投資やその他の事業活動が積極的に行われるよう、事業環境の整備を総合的かつ計画的に行うこと、これを国の責務としていただいております。この事業環境の整備について、具体的にどのようなことを行うのか、国の責務をわざわざこの法律案に明確に規定していることの意義について、大臣の御決意をお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/77
-
078・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のように、第四条におきまして国の責務を規定をしておりまして、これ、GX投資は民間のみで進めることは困難、あるいは限界があることを踏まえて定めているものであります。
具体的には、まず、GXを実現するための革新的技術開発、これは技術の実現可能性に係る不確実性などが高く、民間企業のみでは投資が進まないおそれがあるということ、このため、国として足下からGX経済移行債を活用した、先ほど来ございます二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行い、強力にGX投資を推進していくということであります。
また、こうしたGX投資を促進していくには、規制や制度の整備も必要となります。例えば、水素、アンモニアについては支援・規制一体型での包括的な制度整備を検討しておりまして、既存燃料との価格差に着目した支援とか、あるいは拠点整備支援に向けた制度を整備する、クリーン水素へ移行するための規制的措置の検討、こうしたことを進めていく考えであります。
さらに、GX実現に向けては電化が重要な鍵であります。事業者や国民に対して安価な非化石電源が安定的に供給されるよう、再エネの主力電源化などを進めていくことも必要な事業環境の整備だと思っております。
その上で、こうした事業環境の整備を国が前面に立って総合的かつ計画的に行っていく旨を法律案の中に明確に示し、あわせて、本法律案に基づくGX推進戦略において更に具体的な方向を定めることで事業者のGX投資に対する予見可能性、これを高めてGX投資を一層引き出すことにつながる意義があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/78
-
079・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。国の責務をしっかり果たしていただくことを要望申し上げたいと思います。
それでは、GX移行債で調達した資金の使途について御質問させていただきたいと思います。
審議会では、水素、アンモニア、再エネ、蓄電池、製造業の省エネ、燃料転換などの補助、また金融支援が想定されるとされておりました。この中にもありますけれども、省エネの推進、これがGXに資するのみならず、現下のエネルギー価格高騰にも効果がございます。政府として最優先で取り組んでいただきたいというふうに思います。
ともすると、GXといいますと、革新的な、将来的な技術開発、あるいは大規模な投資案件、こうしたことに注目が集まりがちですけれども、地道に、中小企業も含めて、また国民の生活の態様も含めて地道に省エネを推進をしていくということが極めて重要でありまして、ここにGXの投資も大規模に、大胆に行っていくということが非常に大事ではないかと思います。
そこで、こうした省エネもGX投資の対象になるかということを確認をさせていただくとともに、政府として省エネの推進に今後どのような方針で取り組んでいくのか、御説明をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/79
-
080・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
GX経済移行債による支援は、排出削減のみならず、経済成長、競争力強化についても重要な要件としてございます。高度な技術で化石資源の削減と収益性向上の双方に資する成長投資、それから、技術的に削減効果が高く、直接的に国内排出削減に資するものなどを支援対象としております。
そうした意味で、省エネ投資は、将来にわたりエネルギーコストが低減する持続性の高い対策でございまして、御指摘のとおり、エネルギー価格が高騰する中ではますます重要であるというふうに思っております。
こうした省エネ投資では、製造業等での大幅な省エネを実現してコストダウンを通じた競争力強化にもつながる設備投資支援等も想定しておりまして、今後も技術的に先端的な取組などの支援要件を満たすものにつきましては対象としてまいりたいと思っております。
これまでの省エネ投資促進策に加えまして、今般のGX経済移行債も活用して、家庭や企業における省エネを強力に促進してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/80
-
081・石川博崇
○石川博崇君 是非よろしくお願いします。
もう一つ、やはり我が国が強みを有する技術分野への投資ということが極めて重要だと思っております。特に水素、アンモニア、この普及への期待というものは極めて強いものがありまして、さらに、今後の我が国の産業競争力強化という観点からも、この水素、アンモニアについては重要な分野と考えております。
そこで、水素、アンモニア、この火力の混焼については、トランジションプロジェクトと言われるわけですけれども、これが主要な支援対象となり得るという理解でいいのか、また、その他我が国の強みのあるインフラ整備、あるいはサプライチェーンの構築、オペレーション、またメンテナンス、産業保安といったその横の分野についても支援対象となるのか、確認をさせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/81
-
082・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
GX経済移行債を活用した先行投資支援は、排出削減と産業競争力強化、経済成長の双方を同時に実現するために行うものでございます。具体的には、御答弁申し上げておりますとおり、民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業であること、国内の人的、物的投資拡大につながるもの、あるいは技術革新性、事業革新性があるものといった要件を満たせば対象となり得ると、こういう考え方で進めております。
御指摘の水素、アンモニアなどのプロジェクトに関しましては、今後、GX経済移行債の要件を満たせば支援対象となり得るものと考えておりますけれども、その上で、脱炭素効果を有する石炭火力のアンモニア混焼ですとか専焼への転換、こうしたものも排除するものではございませんので、対象になり得るものだというふうに考えております。
また、インフラ整備、あるいはサプライチェーンの構築、オペレーションやメンテナンス、産業保安といった横の分野につきましては、個別にその性質等に応じまして支援の是非を検討することになるというふうに考えております。
いずれにいたしましても、要件を満たし支援の対象となったものについては、個々の事業の実用化の段階、あるいは事業のリスク、あるいは市場、製品の性質などに応じまして適切な部分に適切な支援を実施していく必要があると、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/82
-
083・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
もう一点確認させていただきたいのは、GX基本方針では、このGX移行債、トランジションボンドとして新たな国際標準に準拠した形で発行する場合には、次の三つの課題があるというふうに指摘されております。一つ目は、市場における一定の流動性の確保、それから二つ目は、発行の前提となる民間も含めたシステム上の対応、そして三つ目は、調達した資金の支出管理等の課題を、支出等が課題であると、この三つの課題をクリアして国際的な認証を得て実施していく必要があるとされておりました。
これらの課題に対する対応、特に調達した資金の支出管理について政府においてどのような検討がなされるのか、御説明をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/83
-
084・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
まさに、御指摘のようなGX経済移行債を個別銘柄として発行する際には、広く金融市場等に受け入れられることが重要だと考えておりまして、御指摘のとおり、GX実現に向けた基本方針で課題を掲げておりますけれども、その課題を解決し、透明性と信頼性を確保していく必要があると思っております。
特に、最後おっしゃいましたその資金調達の管理方法につきましてでございますけれども、これは国際資本市場協会が示すガイドラインなどを踏まえまして、調達前の段階で資金の追跡が可能となるようフレームワークを明示するとともに、調達後も定期的にレポーティングを行うこととし、これらの一連のプロセスを、民間の第三者認証を取ることによりまして既に金融市場で流通するESG債と同様に透明性、信頼性を確保していくことを検討しております。
あわせて、御指摘いただきました流動性の確保ですとかシステム上の問題についてもしっかりと対応してまいりたいと、このように考えております。
その上で、制度の設計につきましては、市場環境あるいは市場関係者の意見も踏まえまして決定していく必要があるというふうに考えておりまして、関係省庁で連携して検討を深めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/84
-
085・石川博崇
○石川博崇君 この点を指摘させていただきましたのは、特にアジア地域で現実的なトランジションを支援していくためには、我が国の強みを生かし、先ほど申し上げました水素や燃料アンモニアのサプライチェーン構築等で我が国がしっかり貢献していくということが重要だと考えております。
水素、アンモニアの火力混焼につきましては、火力発電の延命につながるという批判的な御意見もございます。しかし、このトランジションである混焼を経て最終的にCO2を排出しないゼロエミッション火力発電を実現できれば、出力が変動する再生可能エネルギーを補う調整力としてもカーボンニュートラルの実現に貢献することが期待されております。
その意味で、国際社会のしっかりと理解と信認を得ていく上で、先ほど御説明いただきました資金の支出管理、しっかり行える体制を整えていくということ、それから国際社会から理解を得られる環境を整備していくこと、これが極めて重要だというふうに考えております。
本年は、我が国が議長国となるG7サミットが間もなく広島で開催される予定でございますけれども、G7各国に対しましても、現実的なこのエネルギートランジションの重要性というものを粘り強く訴えるとともに、我が国のエネルギー関連技術、これをその有効な手段として貢献できるということを世界にアピールしていただきたいというふうに考えております。
この国際社会の理解を得ていく方針、また、日本が提唱しておりますAZEC、アジア・ゼロエミッション共同体構想、これを主導し、実現させることの御決意について、大臣から御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/85
-
086・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のように、エネルギーをめぐる状況というのは各国千差万別であります。今回のGX気候・エネルギー・環境大臣会合におきましても、多様な道筋の下で共通のゴールを目指すということは合意がなされました。特に、再エネ、省エネが進んでも、引き続き火力発電が重要な電源となるアジア、これは需要が急激に伸びていきますので、それを補うにはやはり一定の火力発電は必要だということ、そうしたアジアを中心に、現実的かつ多様なエネルギートランジションの手段として水素、アンモニアを利用した火力発電のゼロエミッション化、これが有効であるというふうに認識をしておりますし、共通の理解も得られているところであります。
我が国としても、この水素、アンモニアの発電分野での利用を進め、その技術を磨き上げて、アジアにおける安定供給と脱炭素化のこの両立に貢献をしていく考えであります。今回の閣僚会合での議論を足掛かりとして、御指摘のG7広島サミット、そしてG20やAPEC、IPEF、日米豪印によるクアッドなど、様々な枠組みを通じてこうした考え方を訴えていく考えでございます。
先月には、アジアの国々とともにAZEC、アジア・ゼロエミッション構想ですね、この閣僚会議を開催をいたしまして、水素、アンモニア等の脱炭素技術に関する今後の政策の方向性に関し、認識を共有したところであります。
今後、AZEC構想の実現に向けた取組を進めることで関連技術の海外展開、これに向けた環境整備を行うとともに、国際的な理解の推進も引き続き図っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/86
-
087・石川博崇
○石川博崇君 少し残していますが、切りがいいのでここで終わらせていただきたいと思います。
本法案の早期成立、そしてその執行に向けて政府には力強く取り組んでいただきますよう要望を申し上げて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/87
-
088・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 日本維新の会、猪瀬直樹です。
今日は、まず、カーボンニュートラル達成に向けた主要電源となるべき地熱発電について伺います。
二〇三〇年の電源構成の目標のうち地熱は一%なんですが、この地熱の一%って意外に大事なんでね。この日本は世界第三位のポテンシャルを持っている、しかし現実は第十位であると。今日お配りした、これ前にもお配りしていますが、ちょっと見ていただいて、これ、ずっと日本、これ五年ごとに棒グラフが立っているんだけれども、日本だけ横ばいなんですよ、ほかの国はみんな右肩上がり。一体何やっていたのかということなんだよね、これは。
地熱が一%といっても、百五十万キロワットなんで原発二つ分ぐらいに当たるんですよ。しかもベースロード電源なんですから、太陽光とか風力の不安定さに比べて非常に安定した電源であると。しかも、世界第三位の資源国。
実は、再生エネルギー五〇%もう達成しているドイツは羨ましいと言っているんですよ。ドイツに地熱ないよと、ほとんど。それから、海も日本は世界第六位の海の広さを持っている、ドイツはちょっとしかないよと、海が。にもかかわらず、ドイツは五〇%達成しているわけだけれどもね。
日本は、それだけ風力の環境に恵まれ、地熱の環境に恵まれ、にもかかわらず、たった一%の目標設定してしかいないのに、にもかかわらず、その一%もできそうもないと、ここが問題なんでね。本来、我々持っている資源量は原発二十個から三十個分の資源量を持っているわけ、地熱が。全くそのポテンシャルを生かしていない。
僕は「カーボンニュートラル革命」という本を書きましたけど、歴史的に見ると、地熱というのは今までにチャンスが幾つかあった。一九六〇年代、日本は電力が足りなくて水力発電、「黒部の太陽」とか有名な映画ありますよね、ああいう水力一生懸命頑張るときに地熱も頑張り始めた。水力、地熱で何とかやっていこうとやっていた。火力発電は後から追いかけてきているわけですけども、そういう時期があったのが一九六〇年代ですよ。そのときには岩手の松川地熱発電所とか、これは約一万キロで、大分の大岳発電所もこれも一万キロぐらい、そういうのが造られているんだよね。
二度目の追い風はオイルショックだと。一九七三年のオイルショック。このときに、石油の代替エネルギーとして、石油が入ってこないと、どうしたらいいかということで地熱が注目される。そこから地熱がどんどん増えていって、九〇年ぐらいまでは増えていって、今六十万キロワットぐらいになっているわけですね。そのときはもう世界第五位まで行っていますからね。そこから進んでいない、全く。百五十万キロワットを目標にして六十万キロワットしかやっていない。そこに、今立てている計画は七十万キロワット。足すと百三十だよ、二十足りない、どうするんですか、これ。ということをまたこれから詰めていくけどね。
要するに、ベースロード電源としての地熱を、原子力があの当時はこれから未来の電源だということで希望を持っていたんでそっちの方に一気に行くんだけれども、そういうことで、三・一一の後にFIT制度が導入されて、地熱、一キロワット四十円ぐらいするから、これはいけるぞと動き出した人たちもいるんだけれども、やっぱり稼働までに十年掛かるので余り進んでいないということですよね。
それで、百五十万キロワットにどうやって近づくことができるのかという話を今ちょっとしているけれども、現状は六十万キロワットで、今現在経済産業省が開発を支援している開発中の発電所が七十万キロワットと。単純に、だから六十と七十足して百三十で、百五十に二十万キロ足りないよねと、これをどうやって二〇三〇年度の目標値でこのあと足りない二十をやるんですかと。この操業開始見通し、はっきりさせていただきたいということで、西村大臣、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/88
-
089・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 委員御指摘のように、私も、世界有数の二千三百万キロワットを超える資源量、可能性があり、そしてまたベースロード電源としても期待できると。さらには、この地熱発電の設備、全世界のシェアの七五%ぐらいは日本企業が持っているということから考えても、是非この地熱は加速して取り組みたいというふうに考えております。
御指摘のように、足下〇・三%、六十万キロワットから、三〇年度、三倍となる一%に引き上げる目標を設定しているところでありますが、お話ございましたように、JOGMECが既に支援中の約七十万キロワットに相当する地熱資源量の開発支援を着実に進めていくということとともに、現在約三十か所の地点でJOGMEC自らが先導的に資源量の調査を実施しております。それらの結果を踏まえつつ、新たに約三十六万キロワット相当の新規開発の支援を行っていく考えであります。
加えて、従来から実施しておりますFIT・FIP制度に基づく支援に加えまして、JOGMECにおいては事業者が実施する初期調査への補助、支援、そして海外の地熱探査事業への参画を通じた先進的な技術、ノウハウの獲得、さらには、これ開発のリードタイムが一定掛かりますので、この短縮に向けた探査精度の高度化などの技術開発、さらには地域と事業者の対話を促進する理解促進活動強化、こういったことを着実に進めていきたいというふうに考えております。
操業開始の見通しについて一概にお答えすることは困難でありますけれども、JOGMECが債務保証による支援を行っている岩手県の安比の地熱発電所は二四年に、秋田県のかたつむり山発電所は二七年の操業開始に向けて開発が進んでいるものと承知をしております。
いずれにしましても、この目標の達成に向けて、更なる新規案件の開発も促進すべく、関係省庁とも連携しながら取り組んでいきたい、加速していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/89
-
090・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 これ参考人でいいんだけど、今大臣が三十六万キロワットを追加すると、そうすると、さっき言った六十足す七十で百三十で、三十六足せば百六十六だから百五十には達するというんだが、この三十六の、付けやいばで言っているからね、これ。これどうやって可能になるんですか。不可能な数字をただ挙げて、手着けましたと言っていたって、最低でも十年掛かるんですよ、長いものだと三十年掛かるんですよ。
だから、こういうことの期間短縮の手を打っているのかどうか、抜本的な対策がなければできないので、この辺は、参考人、どういうふうに数字のつじつま合わせをしているのか、つじつまは合うのか合わないのか、そこをきちっと説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/90
-
091・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、地熱は、特に地下の構造や温度などを把握するための地表、掘削調査、あるいは地域との合意形成に時間が掛かりまして、通常十年程度のリードタイムを必要としてございます。
先ほど大臣も答弁しましたとおり、このリードタイムを短縮していくと、三十六万キロワット分の新規開発を行いつつリードタイムを短縮するということが喫緊の課題でございまして、まずは、事業者の開発に先駆けて、国立公園などを中心とした有望地点の資源量調査をJOGMECが先導的に実施しまして、その結果を随時公表していくとともに、掘削機器の技術を開発しまして、従来と比べて約二倍の掘削能率、約五倍の耐久性を実現するような機器の今普及に努めているところでございます。
加えて、地域の合意形成の促進に向けて、第三者の専門的見地から助言を行う地熱資源開発アドバイザリー委員会の設置をして、随時、自治体ですとか地元の事業者のサポートに当たったり専門家の派遣をしたりするというようなことを通じましてリードタイムをできる限り短縮する取組を行ってございます。
直近では、JOGMECの支援を開始してから約七年で操業を開始した熊本県南阿蘇湯の谷地熱発電所などの例も出てきておりまして、二〇三〇年の目標達成に向けて、引き続き着実に加速しながら取り組んでいきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/91
-
092・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 その熊本のやつだって一番早くて七年で、今二〇二三年だから、二〇三〇年まで、これからやるのは間に合わないよ。
まあそれはともかく、それで、環境省に今度は伺うんだけど、要するに、二〇二一年の四月に小泉環境大臣が環境省による地熱開発加速化プランというのを作ったということで、そのいわゆる環境アセスを早くするということなんだけれども、それがどのくらい早くこれからまだなるのか。それから、ついでにもう少し言うと、その環境アセスは七千五百キロワット以下ということになっているけれども、これを一万キロに拡大するとか、環境アセスの不必要なものが七千五百キロワット以下だから、もっと一万キロまで持っていくとかね、そういうことについて答えを考えているのかどうか、環境省、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/92
-
093・松本啓朗
○政府参考人(松本啓朗君) お答えいたします。
環境省におきましては、令和三年四月に地熱開発加速化プラン、これを発表いたしました。これに基づきまして、地域での合意形成を図りながら、守るべき自然は守りながら地熱利活用を促進するという観点から、令和三年九月に自然公園法の運用の見直しを行いました。
まず、具体的には、従来、国立・国定公園の第二種、第三種特別地域内における地域開発は原則認めないという方針だったものを、小規模な地産地消型、そしてまた自然環境との調和が図られた優良事例については容認いたしまして、積極的に進める方向に転換したものでございます。また、温泉法の運用につきましても、同じく令和三年九月に、開発事業者が持続可能な形で地熱資源を利用する計画を策定した場合には、蒸気を取り出す井戸の掘削許可、これにおきまして離隔距離規制等を設けないことにしました。
あと、また、御指摘の環境アセスについてですけれども、審査の迅速化に係る運用に関する通知を発出したり、前倒し環境調査に関するガイドラインを作成するなど、迅速化に資する情報を自治体、事業者に提供しています。これにおきまして、実績ベースで地熱発電所の環境アセスメントの期間は二年弱短縮されております。これ、環境アセスにつきましては、法律でやるものと、また条例、各自治体において条例でやるものと分かれていますけれども、それぞれ自治体と連携しながらアセスを取り組んでまいりたいと考えております。
こうした取組を踏まえながら、関係省庁とも連携して、引き続き、地熱開発調和、自然環境との保全との調和が図られた地熱共生型の、失礼しました、地域共生型の地熱利活用を促進してまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/93
-
094・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 まあ環境アセス、短くするというのは当然なんだけどね。
これ、三月九日の西村大臣の答弁で、発電設備をパッケージにしてコスト削減して、本来、調査から掘削とかいろいろやって十年とかそれ以上掛かるのを五年ぐらいでできるような、そんなスタートアップも出てきているという話がありました。これ業務スーパーの話だと思うのね。
業務スーパーというちょっと変わったスーパーがあって、それは全国に一千店舗ぐらいのフランチャイズ持っている。この創業者がなかなか商売人のセンスを持っていて、自分の事業を息子に譲って、一千店舗の業務スーパーを息子に譲って、自分は株式会社町おこしエネルギーというのをつくった。この沼田社長とこの前話したんだけれども、要するに、自分で立ち上げたスーパーはもういいとして、新しくやるのは五千キロワットの地熱をやるんだと、地熱は掘削設備を独自開発して開発期間を短縮すると。例えば、穴掘るこういう、がっちゃんがっちゃんという、こういうやつにブルドーザーみたいにキャタピラ着けて、そこでそのまま今度は移動して、次のところでまた穴がっちゃんがっちゃん掘るわけ。つまり、非常に効率がいいやり方をすると。一々組立てしなくていいわけ。これはやっぱり、こういうものを造っていくと早くなることは確か。何で五千キロワットなんだいと聞いたら、環境アセスの問題が出てくるから、五千キロワットにすれば環境アセス要らないからということで、まあそういうことなんだけれども。
これ、ビジネスモデルとしては非常によくできている。大体投資額一式締めて百億円。穴掘るのに三十億円、上の発電施設に七十億円、発電施設の三十五億円は自分で出して、あとの三十五億円は上場企業にパートナーとしてフランチャイズでやらせる、そうすると百億円のパッケージできると。百億円のパッケージができると、大体一晩で単価四百万円ぐらい入る、FITで四十円だからね。それを十五年続ければ二百億円ぐらい入る、で、完全にペイする、その後FITなくなって安くなってもずっと入り続ける。こういう、民間人の商売人に考えさせないと駄目なんです、こういうのは。頭いいですよ、やっぱり。
大臣、これ、僕は大臣にちゃんと話したのかと言ったら話したと言うから、何分話したと言ったら二十分だという。二十分じゃ駄目なの、こういう話は。一時間半ぐらいみっちり聞かないと、そうすると商売の秘密というのは大体分かってきて、なるほどそういうやり方なのかと、こうなるわけ。そうすると、これを展開していけばいいことになる、まあ民間だからね。
それで、ここで更に僕が申し上げたいのは、これ面白いんだけど、この人、掘削技術者の学校をつくったの。僕もこの間ずっと、さっきの表で分かるように、九〇年代までは日本は地熱発電やっているから、そこから二十年以上の空白があるわけ、そうすると技術者いないの、全く。僕もどこかで、一回見に行った地熱発電も韓国の業者使っているわけ、掘削の人いないから。今、掘削の技術者は七十代から八十代、そこから二、三十年ぽっこり抜けているから、そこなんだよ、これからどうするかというのは。
それで、この沼田さんという社長だけど、掘削技術者を養成する専門学校を北海道の白糠町につくった。それで、一年間カリキュラムで学費は年間百二十万円、今生徒数十五名、八十名まで増やせると。これやらないと、今技術を継承させないと、今の二十代、三十代の人にこれ教えないと駄目なんです、もうなくなっちゃうから、技術が。これはリスキリングです、まさに。これをやって、あるいは三十代、四十代の工場労働者の方でもいいんですよ、ここに来てやって、年額百二十万円払うと。これ、経産省が授業料全額補助ですよ、これ。間違いなくやるべきですよ。
これは参考人より大臣かな、そういう、これは参考人ってちょっとやってあるけど、これ決断してください。これやれば少し違いますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/94
-
095・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) まず、御指摘のこの地熱をめぐるベンチャー企業、御指摘のこの町づくりエネルギー含めて、町おこしエネルギー含めて幾つかございまして、できる限り私お会いをしています。時間は短いかもしれませんけど、その前後にまた我々のスタッフとの打合せがあり、中身を詰めてから会いますので、その時間でゼロから百までその場で聞くわけではありませんから、しっかりと対応しておりますけれども。
いずれにしても、幾つかのベンチャーがあります。お湯がなくても熱があれば地熱発電できるようなベンチャーも出てきておりますし、このベンチャーも、まさにスタートアップも十年以上掛かるところを五年で短縮して、小さな規模だけれども、おっしゃるように元が取れていく、採算が取れるという仕組み、我々、こうしたスタートアップ、ベンチャー企業、最大限応援をしていきたいというふうに思っております。
そうした中で、人材育成についても、学校をつくられてということで本当に敬意を表したいと思います。十数人、今在学中だと聞いております。同校に対しては、JOGMECがこの日本地熱協会とも連携して教科書作成の協力を行ったり、また、必要があれば講師の派遣なども行っていきたいと考えております。まさにリスキリングの一例、GXのリスキリングの一例だと思いますので、しっかりと連携しながら協力できることをしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/95
-
096・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 ただ、ちょっとそこで、ベンチャーにはJOGMECが投資してくれないんだそうですけど、そこはどうなっているのかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/96
-
097・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
経済産業省におきましては、JOGMECを通じて各種助成を行っております。一千キロワット以上の開発計画を持つ案件を対象に、地表調査、掘削調査に対する補助金、あるいは探査段階での出資、あるいは運転開発段階での債務保証といったメニューをそろえてございまして、ベンチャー企業も含めて、地熱開発事業者から要望があればこのような形での支援を切れ目ない形で実施しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/97
-
098・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 いずれにしろ、二〇三〇年の電源構成においては、地熱の百五十万キロワットというのは間に合いません。今、だから、町おこしエネルギー会社とかいろいろ頑張ってもらうんだけれども、今のやり方では無理ですし、そもそも間に合わないと分かっていても何もやらなかったということが問題なんです。
僕があえて今ここでお話しするのは、「昭和十六年夏の敗戦」という本、西村大臣も御覧になっていますよね。これ、石破さんが前、菅直人首相にこれ読んだかってやっていましたよね。それから、二年ぐらい前に、自民党の中央政治大学院で、中谷元さん主宰の勉強会で、ここでも僕はこの「昭和十六年夏の敗戦」の説明をいたしました。
これ何が一番問題なのかということを改めて申し上げますが、御存じのように、一九七三年にオイルショックがあった。オイルショックがあって、日本は本当にどうしたらいいか分からなくなった。そのときに、オイルショックがあって、じゃ、未来のエネルギー計画を考えようじゃないかと。これが、一九七四年に資源エネルギー庁ができたんですよ。そのときにサンシャイン計画というものを作った。太陽光、原子力、地熱、それから油母頁岩って、オイルシェールですね。今オイルシェールできるようになりました。今メタンハイドレートって話あるけど、その当時はまだ挙がっていないんだけど、オイルシェールは二、三十年以上先だと言われていて、今のメタンハイドレートが何十年先だと言われているのと同じようなもの。それで、何十年先にはできるんです。それもあった。それできるようになっている。そういう、すごくサンシャイン計画って、物すごいやっぱり、日本はこれからエネルギーをちゃんとやっていくんだという、わざわざ資源エネルギー庁つくった。
そういうことで、そのときに、石油が入ってこないということで、日本はまだ九州や北海道に炭鉱が残っていたんで、石炭を液化するというのも入っていたんです。石炭液化って一体何なのかというと、石炭に圧力を加えて石油を作るということなんだけどね。僕は、そのときに資源エネルギー庁のいろんなメニューを見てなるほど、なるほどと思っていて、石炭液化というのをちょっと調べていたら、昭和十二年に日本人造石油事業法というのができていて、昭和十二年、そのときに、人造石油というのは石炭液化のことなのね。要するに石炭から石油を作る、そういう事業法を作っていて、大変な予算を付けて、七か年計画で、昭和十二年から作っていって七か年だから、まあいいや。それで、昭和十六年ぐらいの段階では百二十万トンぐらいできると、そういう予想だった。
この「昭和十六年夏の敗戦」の話だけど、昭和十六年の四月に総力戦研究所ができた。総力戦研究所ができて、そしてアメリカと戦争やったらどうなるかというシミュレーションをやるんですね。そのときに、まさに皆さんのような若い官僚が、三十代前半の若い官僚が集まって、読んでいますよね、そういう、そして民間人から、民間からも集まって、三十人ぐらいで模擬内閣をつくるんです。そして、将来商工省なら商工省の事務次官になる、将来大蔵省の事務次官になる、あるいは将来陸軍大臣、陸軍省のトップになるというふうな、陸軍大尉あるいは海軍少佐、軍人は少ないんですけど、あるいは大蔵次官、いろんなまあ、あるいは日銀総裁、実際、その日銀総裁になると思われた人は将来日銀総裁になっていますから、そういう人ばっかりを三十人集めて、三十代前半の優秀な、で、シミュレーションをやるんです。このシミュレーションをなぜやったかというと、エネルギー問題だったんですね、基本は。つまり、アメリカから石油が入ってこない、八月一日から石油禁輸になりますから。そのときに我々はどうしたら生き残るんだというテーマになるわけです。
そこで、我々がどうやったら生き残るかというテーマで模擬内閣でシミュレーションをやると、やっぱりインドネシア、オランダ領インドネシア、インドネシアに行って石油を取ってくるしかないだろうと、こういうシミュレーションの課題を与えられて、徹底的にやってみます。そうすると、オランダに、オランダ領インドネシアに行って石油を掘削して、掘削技術者何人とか機械を幾つとか全部やって、計算して、船に、タンカーに載せて日本に来ると。ところが、途中でアメリカの潜水艦に撃沈されてしまうということで撃沈率というのを計算する。これはロイズの統計を使うんですね。日本郵船の人もいましたから、その総力戦のスタッフに。日本郵船とか日本製鉄も、民間企業もいましたからね。
それで、そういうロイズの統計を使って、イギリスの商船隊がナチス・ドイツの潜水艦にどのくらいやられるかという撃沈率を全部チェックします。そうすると、インドネシアから日本にタンカーが帰ってくる撃沈率というのが出ます。撃沈率がかなり高いわけだけれども、国内で生産する船舶量がそれより多ければ、行って帰ってくるのに増えるわけですから、大丈夫なんですよ。ところが、国内の生産量と撃沈率がだんだんだんだん逆転してきます。そうすると石油は戻ってきません。ということで日本は負けると。これは、「昭和十六年夏の敗戦」というタイトルは、昭和十六年に日本は、昭和二十年じゃなくて、負けたんだという結論が出たというタイトルですけれども。
そこで、模擬内閣としては、もうこれで、三年か四年はぎりぎりもたせても最後にソ連が参戦して終わりであるということで、資源は全部、その石油が、エネルギーがなくなって力尽きる。まあ原爆以外は全部正確に予測できていました。
じゃ、何を僕は申し上げたいかというと、実際の内閣は、じゃ、どうしたか。昭和十六年の十月に東条内閣ができて、そこでやっぱり同じ計算を始めます。やっぱりどうするかという話ですから、石油がないんだから。そうすると、やっぱりインドネシアに取りに行くという話になります。そのときのやっぱりファクトを整理します。そうすると、ここに期待値が入ってくるんですね。ですから、その撃沈率の計算をロイズのデータと違うデータで撃沈率を計算すると船舶量の方が多くなると。それが一つと。
もう一つは、先ほど言いました昭和十二年の人造石油事業法によって人造石油が百二十万トンできているということを前提にする。ところが、人造石油はできていなかった。これ、パイロットプラントはできたけれども、結局ドイツは人造石油は三百万トンできていた、ドイツの方が技術水準が高いんです。だから、結局、パイロットプラントできても、CCSもそうなんだよ、できないんだから、あれ。それで、パイロットプラントできても工場生産ができなきゃ駄目なんで、それはやっぱりエンジニアリングの水準の問題なんでね、高圧でパイプに圧力を掛けると爆発したりする。だから、それがうまくいかなくて、結局人造石油はほとんど生産できなかった。ドイツは三百万トンできていた。
そこで、最後の御前会議というか、大本営政府連絡会議で、石油の需給についての、そこの最後の山場になった。そのときにどうしたかというと、数字をやっぱりちょっとごまかしたんですね。新潟県で石油が二十万トンぐらい取れましたよ、当時ね。そこに人造石油を三十万トン取れるというふうに入れます。実際は取れていない。そこに更に海軍の備蓄、陸軍の備蓄、民間の備蓄を合わせて幾らになるかと。そこに対して、どんどん消費していきますから、軍艦一つ動かす、飛行機を動かすだけでもどんどん消費していきますし、民間も民需がありますから消費していきますけれども、そこに撃沈率を計算すると。そうすると、結局、インドネシアから帰ってくる分はそこそこに撃沈されるけれども、結局多少は入ってくると、こういう計算になって、そこで、大本営政府連絡会議でどういう結論になったかというと、総力戦研究所の模擬内閣と同じような議論になって、そこでどうなったかというと、鈴木企画院総裁というのがいたわけですね。
企画院というのは、物資の全部総元締の官庁ですから、その後、戦後、経済企画庁になって、そして西村さんが経済財政担当大臣になった、そういう流れの役所ですよ。今経済産業大臣ですけど。その鈴木企画院総裁が結論を、みんな、鈴木さん、結局数字はどうなんだと、ほかの陸軍大臣から大蔵大臣からみんな聞くわけだ、どうなんだと。そうしたら、あの、五一%できますみたいに答える。こう揺れて、で、できますという答えになっちゃうわけよ。
つまり、それは、鈴木企画院総裁は、その場の空気でできませんと言えなかったんだよ。だから、ちょっと鉛筆なめちゃった。で、できるということになった。できないものをできるとやったその同調圧力とその空気の中で鈴木総裁は追い詰められた。
僕は、一九八二年に、九十三歳で生きておられた鈴木大臣に聞きました、鈴木総裁に。結局、数字的には無理だったんじゃないですか。いや、確かにそうだと、だけど、あの場では自分ができないとは言えなかったと、こういうふうに言っているんですね。まあ、じゃそれで、それで始めていいのかという問題ですね、基本的には。
僕が申し上げたいのは、数字をやっぱりごまかしちゃ駄目なんです。資源エネルギー庁は理想に燃えてスタートしたんです。そして、その第二次世界大戦の反省を踏まえて、オイルショックを今の経済安保の状態の中でどうやって切り抜けるかということを考えて、それで資源エネルギー庁がサンシャイン計画作った。地熱を非常に大事に考えた。資源小国だけど、地熱は資源大国だからということで考えたんだけれども、それが途中でおざなりになっていったということですね。
この二〇三〇年の電源構成の中でたった一%、たった一%だけれども、このたった一%をごまかしちゃ駄目なので、原発二基分あるんですから、これで。達成されない数字を並べて、それでやっていますやっています、で、最後に、人造石油じゃないけど、できていませんでしたと、こういうふうなことじゃしようがないんで。だったら、できていなかったらインドネシアに石油取りに行くしかないよねという話になっちゃうわけだから。そういうことの積み重ねを、マイナスの積み重ねをやっていたら、これ、じり貧になりますよ。
G7のこの間の環境大臣会合でも日本はまるでG7の抵抗勢力みたいな感じになっていて、先進国はもうどんどんどんどん進んでいっているのに日本は言い訳ばっかりしている。グローバルサウスだってどんどんどんどん自然エネルギーを入れているんですよ、火力発電もあるけれども。ベトナムの火力発電はイギリスの銀行が撤退したんですよ。それで、太陽光発電にしたら参加したんですよ。そのくらいみんなどこに投資したらいいのかということについてやっぱり倫理的な感覚持っているんですよね。
まあそれはともかく、ちょっと時間が来ましたので、僕が言いたいことは、この電源構成の三六%から三八%という自然再生エネルギーについて、本気でやる気があるのかということですね、改めて。
それから、原発は、日本維新の会は原発は当座賛成ですよ。だけど、元々は反対なんですよ。だけど、足りないというからある程度動かさなきゃしようがない、こういうことですよ、立場上。足りなかったら困るんだから。だけど、ちゃんと後で解決しなさいよということを申し上げて、大臣、本当にここは腹くくっていただきたい。よろしくお願いいたします。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/98
-
099・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) まず、委員御著書であります「昭和十六年夏の敗戦」ですね、これ、自民党でも一時ブームになりまして、まさに自民党内で一世を風靡した書物であります。みんな恐らく読んでいるものと思います。そこで、中に書かれておりますように、客観的な数字に基づくシミュレーション、現実的にしっかりとそれを見据えて対応するということの重要性、私も全くそのとおりだと思います。
サンシャイン計画のお話ありましたけれども、あのときの様々な新エネルギーの開発、これが今生きているものは多数ありますし、もう一つ、省エネのムーンライト計画、これも多くの省エネの技術が進んだというふうに私自身は認識をしております。
その上で、G7におきましても、それぞれの国の事情がありますので取組は違いますが、私どもも、まあやれない、おっしゃるように、やれないことをやれるとは我々言っておりません。現実的に着実にやれること、これを積み重ねていきながら三〇年四六%削減、そして二〇五〇年カーボンニュートラルを目指していくということでありますが、G7の中でもそうした現実的なアプローチを共有しながら、それぞれの国の取組があります。
確かに、ドイツも再エネ八〇%ということで目指しておりますが、いざそれが、再エネが稼働しないときにはフランス、七〇%原子力動かしているフランスからも買えるというグリッドが、送配電網が整備されておりますので、事情が違うということもございます。
その上で、四六%削減に目掛けてですね、目指して、再エネ三六から三八、そして原発は二〇から二二。原発も、先ほど議論ありましたけれども、今十基動いておりまして、七基が許可を得ております。十基が審査中でありますので、これら合計二十七基が動けば大体このぐらいの数字になるものというふうに思いますし、再エネも、洋上風力、今四海域で入札を行っておりますが、先ほど来御指摘のあります地熱も加速して、新たなこうしたベンチャーも生まれてきておりますので、そうした取組を後押ししながら、是非、現実的に歩みを加速しながら、この目標に向けて達成をしていきたいというふうに考えております。
私、今回、G7でまさに各国の本当に意欲的な取組を目の当たりにしましたので、日本も、今回この二十兆円の政府の先行投資、これで様々な技術開発あるいは社会実装を加速することでこの三六から三八%、トータルで四六%削減、必ず実現できるように取り組んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/99
-
100・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 西村大臣が先頭を走ってやっていただきたいと思います。岸田総理はちょっと検討という言葉が多いので、是非頑張っていただきたい。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/100
-
101・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時二十一分休憩
─────・─────
午後一時二十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/101
-
102・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/102
-
103・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
このGX推進法、やはり中身、一番今回目玉となるのがこの成長志向型カーボンプライシングの中の内容だというふうに思いますので、これまでも質疑の中でいろいろと御議論はされてきておりましたけれども、私の方からもちょっとこれ深掘りした点で確認を幾つかさせていただきたいというふうに思います。
一応お手元、皆さんのお手元には参考資料ということで、本法案の説明資料の中から中長期の推移イメージということでグラフも皆様のお手元にはお配りをさせていただきました。
これまでの説明から、このまさに緑色の三角形の部分になりますけれども、ここの部分がまさにこのカーボンプライシングの部分に該当し、今回、GX経済移行債、これを二〇五〇年まで、移行債を発行して、これを原資で様々な取組もしてもらうと、その移行債を二〇五〇年までに賦課金それから負担金のそれぞれの収入によって償還をしていくと、こういう全体計画だというふうに理解をしております。
そこで、改めてになるんですけれども、この賦課金と負担金のそれぞれのこの収入の額といいますか、どれぐらい収入を、年度ごとに収入を、賦課を掛けていくのかという、二〇五〇年までの全体のイメージについていま一度確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/103
-
104・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
御指摘の化石燃料賦課金と特定事業者負担金につきましては、過度な負担とならないよう、お示しいただいたような形で、エネルギーに係る負担の総額、具体的には石油石炭税と再エネ賦課金が中長期的に減少していく範囲で導入することといたしております。これらの制度は五年後以降に導入するものでございまして、GXの進展状況にも影響されることなどから、石油石炭税や再エネ賦課金の推移を含め、現時点で正確に見通すことは難しいというふうに思っております。
強いてその上で計算を、試算を試みますと、例えば、石油石炭税収がGXの進展に伴って直線的に減少いたしまして、その範囲内で化石燃料賦課金を導入していくというある意味大胆な仮定を置いた場合には、その収入総額は二〇五〇年度までに約九兆円になるというふうに試算されるわけでございます。
また、再エネ賦課金が減少していく範囲内で導入していく特定事業者負担金の推移でございますけれども、今後の再エネ導入状況ですとか将来の有償オークションの状況などにより影響を受けるため、現時点で正確に見通すことはやはり困難だと思っております。
一方で、これも現状、二〇一二年度のFIT制度開始直後の三年間、これ利潤配慮期間と申しまして、この間に認定を受けた相対的に高い価格、これ三十二円から、キロワットアワー当たり三十二円から四十円という高い価格で買い取っておりましたけれども、ここで買い取っていたそういう事業用太陽光発電の買取り費用、これが年間二兆円を上回っております。
これらの事業用太陽光発電設備の買取り期間が二〇三二年度以降順次終了していくことで減少してまいりますので、その意味で、毎年幾らということもなかなか言えないんですけれども、その再エネ賦課金が減少していく、そういうその面積はかなり大きいものになると思っておりまして、ここで特定事業者負担金を措置していくと、こういうことになろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/104
-
105・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
そうしますと、今、今のイメージでお話をいただきましたけれども、この二つの三角形と表現しましょうか、この色の付いた部分のこのお金に関しては、まずはGXを進めていこうとする原資になるということの意味合いとして一つ。それともう一つは、このカーボンニュートラルに向けて取組が進んでいる業者となかなか進まない業者に対して、進んだ人たちへのインセンティブですね、より進めれば負担が少なくなりますよというインセンティブという二つの意味合いがあるというふうに整理をして改めて理解をしますけれども。
これ、さっき私、自分自身の説明の中で、二〇五〇年までにこれを償還をするという全体的なスキームだというふうに理解をしますが、これ条文の八条には、GX移行債に関しては、令和三十二年度なので二〇五〇年度という意味合いですけれども、令和三十二年度までの間に償還するものとするというふうに書いてありますので、までの間ということは幅を持たせているわけですよね。ちょうど五〇年頃ではなくて幅を持たせているということは、前倒しでこれが償還が終わるということも想定をしているということだと思うんですけれども、この幅を持たせている理由、要は、つまり前倒しで終わるというふうに設定をしている理由について改めて伺いたいんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/105
-
106・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) これは、二〇五〇年までには本当に返そうということでありまして、我々としましては、毎年度のいわゆる減少幅という、その中で化石燃料賦課金と特定事業者負担金を措置していくわけですけど、その減少幅が必ずしも、先ほど御説明申し上げたように、分からないということで、その正確な数字が分からない中でも二〇五〇年までにはしっかり返していくということを表した表現になってございまして、必ずしも前倒しで返していこうという意図で必ずしも書いているというわけでは必ずしもありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/106
-
107・礒崎哲史
○礒崎哲史君 とすると、ちょっと意地悪な見方をしていきますと、ほとんどの事業者がうまく推移したとすると、負担金なり賦課は低い水準でずっと推移していくということは償還までに時間が掛かる。それに対して、なかなか皆さん進捗しないというときには、負担金、賦課は高い状態で推移をするので償還は早く済むという理解も意地悪な見方をするとできると思うんですが、理論的にはこういう考え方はあり得るという理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/107
-
108・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) これは、化石燃料の使用量が減ってまいりますと、これ一方で、この化石燃料賦課金あるいは特定事業者負担金の単価というのは、これは御説明しておりますとおり、徐々に上げていくという設計になってございますので、使用量が少なくなると必ずしもその収入が減るという関係にはございませんで、その単価が上がっていくにつれて当然その収入もそれに応じて増えていくと、こういう格好になってまいります。
したがって、この先ほどお示ししていただいているこの隙間の中でやっていくので、この隙間がいっぱい空くと、当然その論理的には課し得るんですけれども、その中で、一方では経済成長、それから競争力との関係を考えながら単価も設定をしてやっていくということになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/108
-
109・礒崎哲史
○礒崎哲史君 そうすると、これ、単価をどう設定するかでまさにその負担額が変わってくるということですから、場合によっては、その進捗がうまく進んでいるのか進んでいないかというよりも、実際に単価をどう決めるかというのが物すごく大きな影響があって、場合によっては、一生懸命頑張っていたときと頑張っていないときの、さらにインセンティブの意味合いがあるというお話をさっきしましたけれども、インセンティブがうまくここに表現できなくなるような単価の付け方というのが発生しちゃうんじゃないかと。つまり、全員がうまくいってもうまくいかなくても二〇五〇年までだというふうにもししてしまったときには、そこにはほとんどインセンティブって働かなくなってしまいますので、ここ、これから多分ここの制度設計をされると思うんですけれども、ここ相当気を付けて単価というのはセットしていかないとインセンティブが働かなくなる可能性がもしかするとあるかもしれない。
当然、最終的には事業ごとに進捗に差は出ると思うので、そこにインセンティブという、差は必ずできるとは思うんですけれども、ただ、値付けの仕方によっては期待するようなインセンティブが働かなくなる可能性もあるというふうにもちょっと考えられるかなと思いましたので、ちょっとその点少し危惧しましたので、懸念点ということで今日は改めて一つやり取りをさせていただきました。
この後の詳細な制度設計の観点では、やはりしっかりと頑張った人がしっかりと報われるんだということ、そこのことも一つやっていただきながら、ただ、全体的に負担が掛かり過ぎてしまえば、それは経済全体がまたうまくいかなくなるということにもつながりかねませんので、その点についても配慮いただきながらということで、大変難しいやりくりだとは思いますけれども、是非その点は懸念点ということで今日改めてお伝えをさせていただきました。
続いて、二つ目の質問なんですけれども、特定事業者排出の枠に関してです。
今回、二〇三三年からこれ本格的に制度としてはスタートすることになりますけれども、現在、この特定事業者の対象を発電事業者というふうに決めておられますけれども、まず、今回、発電事業者と限定した理由についてお伺いしたいのと、あわせて、今後この対象者が追加される可能性について、現状のお考えについて確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/109
-
110・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 二〇三三年度から開始する有償オークションでありますけれども、EUなどの事例も我々踏まえながら検討を進めてきております。既に商用化された再エネ等の代替技術を有する発電事業者を対象にするということであります。
今後の対象者の追加については、現時点において具体的な想定はしておりませんけれども、今後の代替技術の開発の動向や各国の動向、さらには本年四月から開始をするGXリーグにおいて試行的に実施します排出量取引、この制度の実施状況なども踏まえて将来的に検討を行っていく課題というふうに認識をしております。
その上で、GXリーグには、電力に限らず、鉄鋼など多排出産業を含め現時点で六百社以上の賛同があります。EUと同水準の国内排出量の四割以上をカバーする形で始動することになります。プレッジ・アンド・レビュー方式でありますので、参画企業は自ら、二〇二五年までの排出削減目標を自ら設定をして、そして市場取引も活用して削減を行っていくということであります。余り低い水準ですと市場からの評価が悪くなりますし、できもしないことを言うのも負担が大きくなりますので、かなり意欲的に野心的な削減目標を掲げているものと、多くの企業が野心的に取り組んでいるものというふうに認識をしております。
まずはこの枠組みを効果的に活用しながら、国、企業双方が、実際やっていきますので、この知見やノウハウを蓄積していき、その上で二六年度からの排出量取引制度の本格稼働、そして御指摘の三三年度の有償オークション開始と。国際動向あるいは技術開発の進捗も踏まえ、段階も踏みながら、排出削減と産業競争力強化、経済成長を共に実現してまいりたいというふうに考えております。
御指摘の点でありますが、二〇三〇年四六%削減でありますので、この段階でまだCO2はそれなりに出ておりますし、出たものはもちろんCCSなりCCUSもあります。二〇五〇年ニュートラルを目指してやっておりますが、その段階で技術がどうなっているか、まだ予見がなかなか難しい部分もあります。
ですので、まずはこのGXリーグを稼働させながら、そして二六年度からの本格稼働、排出量取引をしながら、その下で様々な状況を見ながら判断をしていきたいと思いますが、現時点では発電事業者を対象として、具体的な追加については想定をしていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/110
-
111・礒崎哲史
○礒崎哲史君 質問レクのときにも、EUの制度、こうしたものも少し参考にしているというお話もありました。やはり最終的には、これは将来的には世界各国で様々なCO2の排出量の取引、あるいは課税対象ということで行われていくことになろうかというふうに思います。やはり特定の事業に負担が掛かったりですとか、そうするとやっぱり世界との競合していく観点でも不都合が生じる可能性もありますので、これは日本の考え方を主軸にしながらも、しっかりと世界の動きも見ていただきながら取組を進めていただきたいというふうに思います。
それと、あと、これは一点、要望だけにさせていただきますが、例えばその電力事業者が自分たちで燃料を海外から輸入をして発電をするという形を取ったときに、輸入した段階でそこで課税が、炭素課税がされて、さらにそれを発電して売電をするといったときにまた賦課金が掛かるような、二重で取るようなことにはならないように、この点は前回、やり取りの中では注意しますという御発言ありましたけれども、この点改めて、私の方からも是非ルール作りはそこをしっかりとしていただきたいということでお願いをしたいというふうに思います。
もう一つ、ちょっと質問の順番変えてになるんですが、今、特定事業者排出枠ということでお伺いをしましたけれども、最後、五番目のちょっと質問に先に行きたいんですけれども、CO2の排出枠、今回無償枠と有償枠と二つの枠がありますけれども、有償枠はオークションでやり取りをするということになります。それに関しては経産大臣の下でしっかりと取引価格を含めて決めていくということが法文の中にもありますが、無償枠の割当ての考え方というのはこれどうなっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/111
-
112・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
一般的に、諸外国の制度におきましては、二酸化炭素の排出枠を対象者に割り当てる際に二つの方法ございまして、一つは有償枠でございまして、オークションで国が販売する、こうしたものを有償枠。それから二つ目は無償枠で、過去の実績や生産活動の効率性等を踏まえて無償で交付する。こういう二通りが存在するというふうに認識しております。
本法律案において規定する排出枠につきましては、特定事業者が行う発電事業に係る二酸化炭素の排出量に相当する量、相当する枠を特定事業者排出枠と定義しております。この特定事業者排出枠が有償と無償と、こういうことになるわけなんですけれども、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲内で制度を導入することなどを踏まえて、経済産業大臣は、この特定事業者排出枠を特定事業者に対して有償又は無償で割り当てる、こう規定しているわけでございます。すなわち、有償枠と無償枠を組み合わせて交付をすると、こういうことを想定しております。
その無償枠、有償枠はオークションでというのは御指摘のとおりですけれども、有償枠の割当てなどの制度の実施に必要な詳細規定につきましては、この法律案の附則に基づきまして、この法律の施行後二年以内に必要な法制上の措置を講ずるものとしておりまして、今後、具体的にその決め方とかそういうのをしっかり検討してまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/112
-
113・礒崎哲史
○礒崎哲史君 今御説明いただいたのは、条文でいきますと、恐らくこの十五条、十六条、十七条、この辺りの御説明をいただいたんだというふうに理解をいたしますけれども、これ十五条は、今もう本当にお話をいただいたとおり、有償と無償を共に経産大臣が割り当てるということになっているんですね。その後、十五条の二項ですとか十六条、その後ろを見ますと、有償で行う枠に関してはということで、有償枠に関してはかなり細かい規定、この法文の中には書かれているんですけれども、無償枠がこの後出てこなくなるんですよ、無償枠が。
その後、排出枠に関する業務委託ということで、この脱炭素成長型経済構造移行推進機構のところに、経産大臣からこの機構に対して、この枠ですね、枠についての業務を行わせることができるような中身に移っていくわけですけれども、無償枠に関して余り法律に前段で規定がない中で、機構に対してこの枠に関しての業務を委託できるようにするというふうにしたときに、無償枠は、一体誰が、どの事業者に、どれぐらい枠を出すのかというのは、これ誰が決めることになるのか。大臣が決めることになるのか、それとも機構の方でこれを扱うことになるのか、ちょっと条文上、済みません、私読み込めなかったので、この点確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/113
-
114・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) これは、御指摘の法律の第十五条に基づきまして経済産業大臣が有償又は無償で割り当てるものとするということにしてございますので、これは割り当てる主体は経済産業大臣ということになります。
先ほど申し上げたこの特定事業者排出枠、これは、条文にもありますけれども、発電事業に係る二酸化炭素の排出量に相当する枠ということでありまして、じゃ、この相当する枠というのをどうやって決めるのかと、これが実績に基づいてやるのか、あるいは効率に基づいてやるのか、こういったことについては今後なお検討していく必要があると思っていますけれども、この相当する枠というのが特定事業者排出枠になります。そのうち有償のものの決め方は、今回の法律でも一定程度詳細に書いてございます。その残りの部分が無償ということになるわけでございまして、ここの具体的な決め方は、先ほど申し上げたように、この特定事業者排出枠全体の決め方とともに今後検討を深めていきたいと、このように考えているところでございます。
機構との関係でございますけれども、経済産業大臣が無償で割り当てると、こういうことなわけですけれども、したがって責任主体は経済産業大臣なんですけれども、これに関連する業務を一部又は全部を委託することができるということでありますので、その必要となる関連の業務を機構がやることはございますけれども、あくまでも交付をする主体は経済産業大臣と、こういうことになるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/114
-
115・礒崎哲史
○礒崎哲史君 やはりこの枠、無償の枠、有償の、まあ有償は特にオークションなので実際の取引、公な取引になりますけど、無償枠というものが、やはりこれ、事業者にとっては、その枠がどれぐらい、どれぐらいの期間を確保できるのかというのは、もう自分たちの、もうそれこそ生きるか死ぬかぐらいのところに多分なる可能性もあります。そうすると、彼らもそこは固唾をのんで見守る状況だと思いますし、相当大きな権限になると思います、その枠を決めるということそのものが。だとすると、それが機構の方に預けられるってもし仮になったとすると大変危険だなというふうに思ったので、今日改めて確認をしましたけれども、あくまでもそこは大臣の方でということでおっしゃっていただきましたので、ひとつ安心だと思います。
でも、ただ、今申し上げたとおり、これ本当に事業者にとっては生き死にが懸かる大変重要なことになりますので、これを決定していく際のプロセス、どういう内容でどういうふうに、こういうふうに決まったのかということは極めて透明性を持って、できればしっかりそれは公表をするということも含めて、そうしないと事業者間のやはり公平性にも欠けると思いますので、是非透明性を持ってそこはしっかりと経産省としても説明責任を果たす、そうした形で進めていただけるように、ルール作り含めてしっかりと決めていただくことお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/115
-
116・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
前回の質疑では、日本が、海外のグリーン国債では認められていない石炭を始めとする化石燃料と水素、アンモニアとの混焼に投資を進めようとしている問題、これを中心に質問をしました。今日は、同じく海外のグリーン国債で認められていない原子力の問題を中心に質問をしていきます。
GX基本方針では、今後十年間で百五十兆円規模のGX投資を官民で実現するとして、そのために二〇二三年度から十年間GX経済移行債を発行し、その発行収入で二十兆円規模の先行投資をするとしています。投資の対象には原子力も含まれています。移行債の収入は、エネルギー特別会計のエネルギー需給勘定で経理するとされています。
本法案では、特別会計に関する法律の九十一条の三が新設されることによって、国会の議決を経た脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策に要する費用の財源に充てるため、予算で定める金額を限り、エネルギー需給勘定から電源開発促進勘定、電促勘定ですよね、への繰入れができるというふうにされています。原子力関連予算への支出が可能になるということです。それでいいか確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/116
-
117・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
エネルギー特別会計におきましては、各勘定ごとに具体的な使途が定められておりまして、原子力関係の予算は従来から電源開発促進勘定に計上をしているところでございます。
GX経済移行債を活用した先行投資支援につきましては、原子力関係の支援を行う場合には、御指摘のように、エネルギー需給勘定から電源開発促進勘定への繰入れを行い、電源開発促進勘定の電源利用対策から支出をするということとされてございます。
ただし、その前提として、GX経済移行債による支援対象につきましては、GX実現に向けた基本方針でお示ししているとおり、排出削減のみならず、経済成長、競争力強化も重要な要件としてございまして、民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業であること、あるいは技術革新性、事業革新性があるものといった考え方を支援基準として示しております。
原子力についても、こうした要件を満たせば支援対象になり得るところでございまして、実際、令和五年度当初予算に高速炉、それから高温ガス炉の実証炉の研究開発に関する予算を計上しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/117
-
118・岩渕友
○岩渕友君 資料の一を御覧ください。
これは原子力関係予算の内訳ということなんですけれども、二三年度当初予算のうち、原子力関係予算の約八割は電促勘定なんですね。
それで、今答弁の中にもあったんですけれども、二三年度の当初予算には、既にGX推進対策費ということで高速実証炉開発事業、そして高温ガス炉実証開発事業が計上をされています。
それぞれ計上されている額は幾らでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/118
-
119・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
令和五年度当初予算におきまして、高温ガス炉実証炉事業として約四十八億円、高速炉実証炉事業として約七十六億円計上しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/119
-
120・岩渕友
○岩渕友君 今答弁があった高速炉も、そして高温ガス炉も、経産省が次世代革新炉というふうにしているものです。今後十年間で約一兆円の投資をするとしています。
ところが、政府が示したロードマップでも、この高速実証炉の運転が始まるとされているのは二〇四〇年代。そして、高温ガス実証炉も、運転開始は二〇三〇年代というふうにされているんですね。
先日の参考人質疑の中で自然エネルギー財団の大林ミカ事業局長が述べておられましたけれども、二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指すというけれども、二〇三〇年、二〇三五年にどれだけ大規模な温室効果ガスの削減ができるのか、自然エネルギーを増やせるのか、このことが世界では議論されていると。それなのに、脱炭素のためだとする法案であるにもかかわらず、二〇三〇年までの削減にとても間に合わないということですよね。
しかも、フィンランドの次世代革新炉、オルキルオト三号機というのがありますけれども、これは、二〇〇五年建設開始、二〇〇九年運転開始予定でしたけれども、試運転を開始したのが二〇二二年です。建設費も当初の三倍以上に膨らんだということで、この次世代革新炉には膨大な時間、そして開発費用が掛かるということも懸念をされます。
既に成立をした二二年度第二次補正で先行的に一・一兆円分を一般国債で発行し、二三年度にGX経済移行債に借り換える措置が行われています。二〇二三年度予算の約五千億円と合わせると約一・六兆円分のGX経済移行債の発行が予定をされています。
こうしたやり方は過去にも行われているでしょうか。確認をします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/120
-
121・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
本法案におきましては、GX投資の一環として一般会計の令和四年度第二次補正予算において先行的に措置した費用の権利義務につきましては、原則としてエネルギー対策特別会計のエネルギー需給勘定に帰属するということとしているところでございます。
一般会計において措置した費用の権利義務を特別会計に帰属させる前例といたしましては、一般会計の平成二十三年度第三次補正予算において措置された復興費用の権利義務につきまして、原則として平成二十四年度に創設された東日本大震災復興特別会計に帰属することとした例があると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/121
-
122・岩渕友
○岩渕友君 今答弁があったように、東日本大震災のときに復興債を出したと。そのときと類似だというんですけれども、その中身は違うわけですよね。
復興債のときちょっと改めて確認すると、二〇一一年第三次補正審議とともに復興財源確保特措法が出されて創設をされたものです。国会での議論を経て、二〇一二年の通常国会で特別会計法改正案が出されて今回と類似の規定が設けられたと。予算はあくまで補正予算なんですが、権利義務のみ承継させるという仕組みでした。
当時の国会審議の中では、参議院で自民党議員の方がこんなことを言っていると。本来であれば、本年度の補正予算を含めて全ての復興費用とその財源を特別会計で管理すべき、国民に負担をお願いする以上、少なくとも復興に用いる全ての資金の流れとその財源を、地方公共団体の施策も含めて具体的に明らかにすることが必要と、こういう意見があって、復興のための特別会計での管理ということになりました。
資料の二を見ていただきたいんですけれども、これ、左は復興債ですけれども、第三次補正予算のフレームですが、この復興債は補正予算の中にその内容が記載をされていたんですよね。けれども、右側、GX経済移行債については、補正予算にその内容についての記載がないわけですよね。今回の仕組みというのは、この予算のフレーム見ただけでは内容が分からないと、非常に見えづらい不透明なものだということですよね。
本法案では、法案の成立後に経産大臣がGX推進戦略を決めるというふうにしています。この二十兆円にもなる投資先というのは戦略に基づいて決められるというふうになっています。ところが、二二年度二次補正、二三年度当初予算には既に、先ほどもお話ししたように、GX経済移行債を財源とするメニューが盛り込まれています。
これは誰がどういう基準で決めたものでしょうか。大臣に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/122
-
123・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) GX経済移行債の支援対象についてのお尋ねであります。
GX実現に向けた基本方針におきまして、排出削減のみならず、経済成長、競争力強化も重要な要件としております。民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業であって、そして技術革新性、事業革新性があるものといった考え方を支援基準として既にお示しをしております。こうした要件を満たせば支援対象となり得るわけですが、私ども、外部の有識者の意見なども踏まえて支援の判断を検討していく考えであります。
その上で、こうしたGX経済移行債を活用した具体的な事業につきましては、毎年度、財政当局との調整を経た上で、本法律案を規定しているとおり、国会での予算案の議決を経て決定することとしております。外部の有識者の意見を聞き、また予算に計上する中で審議をいただいた上で決定するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/123
-
124・岩渕友
○岩渕友君 今答弁があったように、GXの基本方針では、支援分野の優先順位付け、そして支援対象事業の選定などにおいては、定期的に支援事業の進捗評価、分析を行って支援継続の要否などを確認するためのチェック機能を設けると。でも、これだけなんですよね。設けるとあるだけなんですよね。
それで、ちょっと今の答弁と重なるかもしれないんですけど、大臣にお聞きしたいのは、投資先の決定に国会が関与できないということになるんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/124
-
125・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) まず、要件につきましては、先ほど申し上げましたように、その基本方針において、革新性があること、そして投資判断が民間企業のみではなかなか難しいというふうな要件をお示しした上で、外部の有識者の意見も聞きながら我々決定をしているところであります。
その上で、財政当局と調整を行って、いわゆる査定のようなもので財政当局とやり取りを行った上で国会での予算案として提出をし、そこで国会でも議決をいただくと、審議をいただいて議決をいただいた上で決定するというプロセスを考えております。
そして、少し触れられましたように、進捗については、GX実行会議などにおいても様々な意見をいただきながら、定期的に進捗評価を行って、特に海外の技術開発のスピードが速いものもありますので、そういう意味で、きちんと革新的な、革新性を持って進んでいるかというふうなこと、国際的な動向とか技術開発の、国際的な技術開発の動向なども見ながら、進捗を確認しながら判断をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/125
-
126・岩渕友
○岩渕友君 今答弁にあったように、民間のみでは投資判断が真に困難な案件だとか、産業競争力強化、経済成長及び排出削減のいずれの実現にも貢献する分野を対象とする、こういうふうにされているわけですけれども、いずれも非常に抽象的なんですよね。これ、経産省が恣意的に決められる条件だというふうになっていると思うんです。
それで、資料の三を御覧いただきたいんですけれども、これはGX経済移行債を含むGXの関連投資の内訳イメージということです。
民間の環境国債は、投資対象のプロジェクトが脱炭素に貢献をしているのか高い透明性が求められているんですよね。GX基本方針にある主な投資先には、各分野でどれだけの排出削減をするのか、そのことへの記載がないんですよね。でも、投資先だけはもう既に決まっていると。内容が非常に不透明で、経産省に白紙委任をするものだということです。
GXの第四回の実行会議の中では、委員の方のお一人が、何を資金使途としてどのような発行方法かということは、我が国としてのGX推進への取組や考え方を国内のみならず海外の関係者にも発信することになるとして、十分に議論を尽くすことが重要だ、こういうような意見を述べられているんですね。参考人質疑の中でも大林参考人が、推進戦略を一省庁のみで策定していいのかどうか懸念を抱いていると、こういうふうに述べておられました。
そこで、大臣にお伺いするんですけれども、この脱炭素経済社会への移行を実際に担うのは広範な企業の皆さんであり、自治体であり、国民の皆さんですよね。この推進戦略の策定プロセス、これを明らかにするべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/126
-
127・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 本法律案に基づきますGX推進戦略でありますけれども、経済産業大臣がその案を作成するわけでありますが、財務大臣、環境大臣等の関係大臣と協議をし、政府として閣議決定を行うものであります。
また、本戦略は、総理を議長、GX推進担当大臣であります私を副議長として、産業界、労働界、労働団体、そして消費者団体、学識経験者など多くの有識者や、そして関係大臣も参画しますGX実行会議におきまして取りまとめ、パブリックコメントを経て策定をしましたGX実現に向けた基本方針に沿って策定する方針でございます。
この本戦略の策定に当たっては、さらにGX実行会議等の外部の有識者の意見を聞く機会も設けていく考えであります。先ほども少し触れましたけれども、様々な技術開発の国際的な動向など、こういうものを見ながら進捗を確認し、必要な見直しは行っていく考えであります。
いずれにしても、経産省が勝手に決めるということではなく、関係省庁、そして外部の有識者の意見も聞きながら策定を進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/127
-
128・岩渕友
○岩渕友君 そもそも、この基本方針を作るときにパブリックコメントも行われたわけですけれども、その多くが反対意見だったわけですよね。そして、基本方針の説明会も行われたんですけれども、出された意見というのは基本方針には反映をされなかったんですよね。これでいいのかということがそもそも問われていたわけです。
それで、GXのこの第四回の実行会議では、確立された国際ルールへの配慮も重要であり、ウオッシュと評価されることは絶対に避けなければならないという意見も述べられています。投資対象には、原子力や、化石燃料と水素、アンモニア混焼、CCSが予定されていて、前回の質疑でも指摘をしたとおり、グリーンウオッシュ、この批判は避けられません。さらに、前回の質疑で、これまで欧州などで発行されてきた国債で原子力や、化石燃料と水素、アンモニアとの混焼を使途とした事例は確認できていない、これ大臣の答弁であったわけですよね。
これでグリーンだと国際的に認められるのか。削減効果がない、投資も集まらない、経済発展も期待できないということになるんじゃないかということが懸念をされます。
さらに、排出削減基準について、EUタクソノミーでは具体的な排出量が決められているんです。けれども、その一方で、前回の質疑で、一律の数値基準を評価することは困難だというような答弁がありましたけれども、排出量の基準も決められないということなんですよね。
この成長志向型カーボンプライシングも自主的な排出量取引ということになっています。
参考人質疑で大林参考人から、そもそも本格的な開始時期が遅いじゃないかということや、対象が非常に限られていると、こうした問題点が指摘をされていました。経産省の資料でも、排出量取引の短所ということで、自主参加であること、そして削減目標が自主設定であること、自主遵守に任されているということで企業間で公平性が保たれないんじゃないかと、こういうことまで自ら指摘をしているという状況です。これでは、本来企業に求められている排出削減が見込めないんじゃないかと国内外の専門家が指摘をしています。
大臣に伺うんですが、これをどう受け止めているのか、そして、実際に二〇三〇年に温室効果ガスをどれだけ減らせるのか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/128
-
129・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 今回の成長志向型カーボンプライシング構想でありますけれども、もう御案内のとおり、国による二十兆円規模のですね、大胆な先行投資支援を行っていく、そして、企業がGXに取り組む一定期間を設けた上で、カーボンプライシングを当初低い負担から導入してだんだん引き上げていくという方針をあらかじめ示すということで、早期にGXに取り組むほど、排出削減に取り組むほど将来の負担が軽くなる仕組みでありますので、意欲ある企業のGX投資あるいは取組を足下から前倒しで引き出していきたいというふうに思っておりますし、排出量取引制度においても、今年度から開始するGXリーグにおいて試行的に実施していきたいと考えておりますが、この枠組みは、電力、鉄鋼など多排出産業を含めて六百社以上の賛同表明を得ております。EUと同等水準の国内排出量の四割以上をカバーするというものであります。
おっしゃったように、プレッジ・アンド・レビューという方式で自主的に目標を定めますので、余り低いと市場から評価されませんし、高過ぎると実現できないということで、それなりに意欲的な目標を各社共に示していくものというふうに想定をしておりますし、また、この枠組みにおいて当面GXリーグを試行的にやりますので、国、企業の双方が知見やノウハウを蓄積していくという中で、二六年度からの排出量取引制度の本格稼働、そして三三年度からの有償オークションにつなげていきたいというふうに考えております。
二〇三〇年度にエネルギーミックスの目標を示しております再エネの三六から三八などを含めてこうしたものを実現していくことを加速をしていく、そして確実なものにしていく、それがカーボンプライシング構想だと、成長志向型のカーボンプライシングというふうに認識をしております。
私どもとして、技術開発を加速しながら、社会実装も加速しながら、四六%削減、三〇年度ですね、この達成を確実に実現していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/129
-
130・岩渕友
○岩渕友君 時間なのでまとめますけれども、世界と比べても非常に遅いと、そして、その炭素価格ということについても世界と比べて非常に低く、低い価格になっているということです。
本法案にはまだまだ議論すべきことがあるので、徹底審議を求めて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/130
-
131・平山佐知子
○平山佐知子君 平山佐知子です。よろしくお願いいたします。
カーボンプライシングについて伺ってまいります。
今回は、石炭とか石油といった化石燃料にCO2の含有量に応じて税金を掛ける炭素税ではなくて、それに似た賦課金というこの仕組みが導入されますけれども、この賦課金の対象がやはり非常に限られているというふうに感じています。通常は幅広い業者に対してCO2排出量に応じた課税を行う炭素税ですけれども、今回の賦課金、それから負担金の対象になるのは電力会社とかガス会社、石油元売会社、商社など、石油、化石燃料を輸入する事業者に限られるということです。なぜこの炭素税ではなくて賦課金、それから負担金といった制度としたのか。
また、こうした今回の賦課金の対象が限られるのは、幅広い事業者について排出量の実績を測定することが難しいといった実務上の問題がその理由とされているんですけれども、そうすると、この制度では日本企業全体にこのCO2削減を強く促すという本来の目的が達成しないんじゃないかという懸念もあるわけです。
先日もその点、参考人の皆様から、それぞれの立場からお話を伺ったんですけれども、この点について大臣はどういうふうにお考えなのか、伺わせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/131
-
132・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) まず、成長志向型カーボンプライシングということで、一定期間を置いて徐々に引き上げて、低い水準から引き上げていく、そして先行的に二十兆円規模の支援を行っていくということで、意欲ある企業の取組などを、技術開発やGX投資、これを強力に前倒しして引き出していきたいということがまず一つであります。
その上で、カーボンプライシング自体につきましては、御指摘の一律の炭素税とは異なって、市場機能を活用することで効率的かつ効果的な排出削減が可能となる排出量取引制度、これは市場の中で価格が必要であれば高くなっていきますというところはあります。変動する中で、市場メカニズムを生かしながらということで排出量取引制度。
さらに、これ、全体の四割をカバーする企業、これはEUと大体同じでありますが、そうすると負担のないところも出てきますので、公平性の確保という観点、それからカーボンニュートラルの実現を加速をするという両方の観点から、広く化石燃料を対象とした化石燃料賦課金を組み合わせるという仕組みとしたわけであります。
そして、賦課金とした理由の一つですけれども、これもきめ細かく運用していくと。これ、減少する幅の中で考えていきますので、きめ細かく運用ができるということで賦課金の仕組みを取っておるわけでありますが、いずれも、排出量取引制度と化石燃料賦課金の制度、これを組み合わせて効果的かつ広範にGXへの動機付けを行っていくということであります。
いずれにしても、この成長志向型カーボンプライシングを実現することで、カーボンニュートラルと経済成長、競争力強化を共に実現していければというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/132
-
133・平山佐知子
○平山佐知子君 きめ細かく見ていくという今お話もありましたし、先日の参考人の伊藤参考人からも、やっぱり今後どうしていくのか、またその対応というのは何度も見直しをしながら進めていくという、そういうお話もありましたので、そういうことだと理解をいたしました。
そして、このGX経済移行債の償還財源ですが、まずはこの化石燃料賦課金を二〇二八年度から徴収をし始めまして、その後、特定事業者負担金を二〇三三年度から徴収すると、それで二〇五〇年度には償還されるということなので、二十年程度で二十兆円を生み出す必要があるわけです。
先ほどからも議論になっていますけれども、化石燃料賦課金はCO2の量に応じて徴収されるとありますが、EUではCO2排出一トン当たり一万円前後の炭素税を徴収しているということも伺っておりますが、今回その単価、やはり幾ら程度なのかと。やっぱりこれ、どれくらいの規模の負担になるのかと企業側も大変心配している部分だと思いますので、その辺りを伺いたいということと、またその徴収方法ですとか、徴収できなかったときの罰則、これはどのようになっているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/133
-
134・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、OECDによるデータにおいて、欧州で炭素税やエネルギー関係諸税、この炭素価格が炭素一トン当たりにしますと一万円程度となっている国があることは承知をしているところでございます。しかしながら、中身見ていくと、例えば現時点で炭素税の炭素価格が一万円を超えているスウェーデンにおきましては発電用途ですとかあるいは原料用途は免税をされておりまして、こういう例など、各国の経済や産業等の事情を踏まえて制度全体が設計されているところでありまして、炭素価格のみで単純比較を行うのはなかなか難しいかなというふうに考えているところでございます。
その上で、今般のカーボンプライシングについてでございますけれども、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲内、具体的には、GXの進展で石油石炭税収が減少し、再エネ賦課金もそのピークを迎えた後減少していく、その範囲内で制度を導入していくということで、GXの進展の状況次第で、先ほどの質問にもございましたけれども、化石燃料賦課金の単価は変わり得るものだと考えております。
このため、御指摘のカーボンプライシングの単価につきまして、五から十年後に制度が導入される中で、現時点で具体的な水準をお答えするのは困難でございます。
また、まさに委員御指摘の徴収方法ですとか、徴収ができなかったときの罰則などにつきましては、これは制度実施に必要な詳細規定だと思っておりますけれども、これにつきましては、この法律案におきまして、この法律の施行後二年以内に規定することとされておりまして、今後詳細な検討を行った上できちんと定めていきたいと、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/134
-
135・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
やはり企業側も、負担についてはしっかり提示してほしいということで、心配もあると思いますし、やっぱり当然ながら、事業計画をした上で企業は事業を進めていますので、是非なるべく早めにきちんとした形で提示をしていただきますようお願いを申し上げます。
次に、排出量取引制度について伺ってまいります。
資料一を御覧いただきたいと思います。
これは、大手電力会社の二〇二二年度の第三・四半期決算と通期見通し、示したものです。ロシアのウクライナ侵略などによって燃料価格高騰したことが主な原因と言えると思いますけれども、どこも非常に大変な状況になっているということが分かります。
先ほどの賦課金とともにこのGX経済移行債の償還財源として挙げられているのが特定事業者負担金です。これは発電事業者に対して課せられるものですけれども、現在火力発電主体となっている我が国の大手電力会社の負担は、これを考えると相当なものになると思います。更なるこの負担上乗せとなれば、電力会社、大手ですね、電力会社の運営、どういうふうになるのか、非常にこれは心配も出てくるわけです。
というのも、今日もそうした議論ありましたけれども、結果的にこの負担金を電力料金に転換されてしまえば、多くの産業に非常に大きな影響を及ぼすことになりかねないということ考えられますので、これについてはいかがかということ。また、逆に、これから電力各社が再エネ転換進めていけば、排出枠、この収入は減額してしまうといった矛盾も生まれるんじゃないかということも考えられますけれども、これについての考えを聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/135
-
136・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) カーボンプライシングにつきましては、御指摘のように、代替技術の有無とか国際競争力への影響なども踏まえて導入しないと、我が国経済、国民生活への悪影響も生じるわけであります。
このため、法律案のカーボンプライシングは、企業がGXに取り組む一定期間を設けた上で導入することとしております。例えば、御指摘の特定事業者負担金についても二〇三三年度から導入するということであります。
加えて、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲内で導入するということでありますし、あわせて、足下から先行的に二十兆円による大胆な投資支援を行うということで排出削減と経済成長、競争力強化を共に実現する制度設計としております。
その中で、御指摘のように、再エネの導入が進みますと、化石燃料を用いた電源が減少することで負担金の対象となる電源の量が減少する可能性があります。その一方で、負担金の単価は徐々に引き上げていく方針でありますので、負担金の総額は自動的に減少するわけではないということであります。ですから、必ずしも償還が難しくなるものではありません。
ただ、いずれにしましても、過度な負担が生じないように、そのような形でカーボンプライシングを導入していくことが重要であります。
まずは、二十兆円規模の大胆な先行投資を支援していくことで経済成長と排出削減を共に実現していきたいと考えておりますが、GXリーグで様々な試行的な取組していきますので、また、再エネ始め様々な新しい技術、そして社会実装、こうしたものも見ながら、しっかりと制度設計、この後していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/136
-
137・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
私、心配しているのは、やっぱりこの電力の安定供給をどう確保していくかということだと思っていまして、この再エネをやはり最大限にこれから増やしていくとしても、やはり現実的に見ると火力をなくすことは今すぐには難しいという中で、そんな中で、やっぱり大手電力会社は安定的にこの電力を供給することを確保していくために火力を動かしているというところもあると思っています。
ですから、今、単価が上がってという話もありましたけれども、そんな中で単価を上げていく、これからの見込みで上がっていく中で、安定供給に寄与しているところだけが結果的には負担、過度な負担になってしまうというところがないような形で、やはりこのバランスを見ながら進めていただきたいと思いますし、大臣もおっしゃってくださったこの産業競争力強化をするためにもこれ大事なところだと思っていますので、是非よろしくお願いいたします。
次に、化石燃料賦課金、この特定事業者負担金はGX経済移行債の償還財源とされていて、繰り返しになりますが、その額、二十年間で約二十兆円になるということです。
それでは、この二〇五〇年度を目安とされている償還後、午前中も議論になっていましたけれども、この賦課金、負担金の徴収はどうされるのか、その後も徴収をされるのであれば、その後の活用先、どういうふうに考えていらっしゃるのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/137
-
138・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
今般導入するカーボンプライシングは、結果として生じる収入をGX経済移行債の償還に充てるものではございますけれども、御答弁申し上げましたとおり、この制度趣旨といたしましては、炭素排出に対する値付けを行うことによりましてGX関連の製品や事業の付加価値を向上させてその収益性を高めるものとすること、それからまた、企業がGXに取り組む期間を設けた上で、その水準を徐々に引き上げていく方針をあらかじめ明示することで、こうしたことによりましてその企業がGXに必要な投資や取組を前倒しで行うインセンティブを付与するところにあると、そういう趣旨になってございます。
この法律案におきましては、カーボンプライシングの具体的な終期、定めておりませんけれども、カーボンニュートラル実現の目標年限となっている二〇五〇年頃の将来において、こうした制度趣旨に照らして制度を継続する必要性があるかどうかを検討していくことになるというふうに考えております。したがって、その先、償還し終わった後の活用先も、それをまずやるかどうかを決めた上で、やるとなった場合にどういうものにするのかということを検討するということかと思います。
いずれにいたしましても、二〇五〇年カーボンニュートラルと経済成長、産業競争力強化を共に実現していく中で、GX投資の進捗状況、グローバルな動向や経済への影響、技術開発の動向などを踏まえて、不断に進捗状況を評価し必要な見直しを効果的に行っていく中で適切な終期も検討してまいりますし、その中で、やるとなった場合にはこの活用先を検討していくと、こういうことになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/138
-
139・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
おっしゃるように、やっぱり時代がどういうふうに変化しているかは分からないですし、そのときの地球環境がどうなっているかも分からないですし、二〇五〇年の後、カーボンニュートラルが達成した後も、もしかしたら地球温暖化対策もっともっと取っていかなくてはいけないということになりかねませんので、やっぱり今後も時代のこの変化をしっかり見ながら対応というのが必要なのかなと私も思いました。
それでは、次ですけれども、カーボンプライシング、やっぱり、あめとむちではないですが、やっぱり徴収だけではなくてそのインセンティブを与える仕組み、これは私も必要だと思っています。
そんな中で、例えばグリーンカーボンとかブルーカーボンにも価格付けをして、増やせば減税させるなどといったインセンティブを与えるこの仕組みはいかがかなと思っていまして、それによって積極的にこの増やす努力、これも必要になってくるんじゃないかなと思っています。
国交省の資料によると、森林など植物による陸域での炭素の回収はおよそ十九億トン、海域ではおよそ二十五億トンとされています。四方を海に囲まれた日本ですから、特にこのブルーカーボンの宝庫とされている中で、CO2削減のこのポテンシャル相当高いと思っています。二〇二〇年に制定された二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略には、このブルーカーボンについて、カーボンオフセットの検討を行うという記載がありました。
現在、政府では、このブルーカーボンですとかグリーンカーボンの活用についての進捗状況どういうふうになっているのか、また、インセンティブ付与に対してのこの提案について、今後の検討などについて、方針お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/139
-
140・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの達成に向けましては、どうしても脱炭素が困難な分野からのCO2排出を相殺するために、委員御指摘のグリーンカーボンですとかブルーカーボンを含む大気中のCO2を回収、吸収し貯留、固定化するネガティブエミッション技術の開発などを進め、産業化につなげることが重要だと考えております。私どももポテンシャルが相当あるというふうに思っております。
我が国におきましては、重要な社会課題に対し野心的な目標を設定し挑戦的な研究開発を推進するムーンショット型研究開発事業におきまして、大気中のCO2を直接回収する、これDACといいます、ダイレクト・エア・キャプチャー、こういう技術につきまして、高効率かつ省エネな技術の開発に加えまして、玄武岩などにCO2が固定化される岩石の風化プロセス、あるいは植物や海藻などによるCO2の固定プロセスといった自然プロセスを人為的に加速させる技術と、その効果の定量化に向けた技術の開発を行っているところでございます。
また、経産省におきましては、ネガティブエミッション市場創出に向けた検討会というのを今年三月に立ち上げました。ここでは、技術開発動向や社会実装、産業化に向けて重視すべき要素の整理、それから今後の取組方針について議論を進めているところでございます。
この検討会の議論も踏まえまして、御指摘のそのネガティブエミッションに対するインセンティブの付与も含めまして、産業化に向けて必要な支援策について引き続き検討を深めてまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/140
-
141・平山佐知子
○平山佐知子君 DACとか様々、ネガティブエミッション、このインセンティブ与えることができれば、やっぱり自然破壊、例えば森林を伐採して太陽光発電設備を設置するなどといった自然破壊などを抑制しつつカーボンニュートラルに寄与することができると、つながるというふうに考えておりますので、是非その辺りのテーマを引き続き進めていただきたいとお願いを申し上げます。
最後に、GX推進機構について伺います。
先ほど来から出ていますけれども、このGX推進機構は経産大臣が監督することとされていますけれども、機構は、その業務の性質から高い中立性とか公平性が求められて、また、その債務保証などの金融支援を行う際に当たっては、非効率な支援、支出にならないよう厳しく監視する、その必要があります。しかし、このGX推進官庁である経済産業省のみとなりますと、例えば環境保護とか脱炭素といった点ではチェックが甘くなってしまうのではないかという懸念もあります。
このGX推進機構へのチェックを含めて、政府のやはりGX投資の取組について、例えば専門家などによる第三者的機関を立ち上げるといったように、分野横断的に定期的な検証をしたり提言を受けたりする仕組みを整備する必要もあるのではないでしょうか。また、GX推進機構の業務状態などを定期的に国会がチェックする仕組みをつくるべきではないかとも考えますが、それぞれいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/141
-
142・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のGX推進機構の運営につきましてでありますが、組織として、まさに御指摘の効率的、効果的なマネジメントを行う観点から、民間の創意工夫が生かされるべき、そういう形とすべきだというふうに考えております。
具体的には、機構運営における重要事項については運営委員会を設置してその議決を経ることとしており、委員については、GXに資する事業、金融、法律あるいは会計に関して専門的な知識と経験を有する方を任命することとしております。こうした政府以外の知識やノウハウを生かすことで適切なガバナンスを行い、機構運営の透明性と客観性を担保していきたいと考えております。
その上で、GXの分野は技術開発や各国の動向が大きく変化していく、スピード感も変わってくる可能性がありますので、そうしたことも踏まえ、GX推進機構を含めその政策の実行に当たっては、GX実行会議等において進捗評価を定期的に実施し、必要な見直しを効果的に行ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/142
-
143・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
巨額のお金が動いて、また巨大な権限を持つ機構になりますので、是非国民に疑念を抱かれないような形で進めていただきたいと思います。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/143
-
144・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後二時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X00620230425/144
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。