1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年五月二十五日(木曜日)
午前十時二分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 吉川 沙織君
理 事
青山 繁晴君
石井 正弘君
中田 宏君
田島麻衣子君
石井 章君
委 員
越智 俊之君
太田 房江君
片山さつき君
北村 経夫君
小林 一大君
長峯 誠君
松村 祥史君
村田 享子君
森本 真治君
石川 博崇君
里見 隆治君
猪瀬 直樹君
礒崎 哲史君
岩渕 友君
平山佐知子君
事務局側
常任委員会専門
員 山口 秀樹君
参考人
公益財団法人地
球環境産業技術
研究機構理事長
東京大学名誉教
授 山地 憲治君
東京大学生産技
術研究所教授 岩船由美子君
特定非営利活動
法人原子力資料
情報室事務局長 松久保 肇君
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本日の会議に付した案件
○脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立
を図るための電気事業法等の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○連合審査会に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/0
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001・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、公益財団法人地球環境産業技術研究機構理事長・東京大学名誉教授山地憲治君、東京大学生産技術研究所教授岩船由美子君及び特定非営利活動法人原子力資料情報室事務局長松久保肇君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、山地参考人、岩船参考人、松久保参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず山地参考人からお願いいたします。山地参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/1
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002・山地憲治
○参考人(山地憲治君) 御紹介いただきました地球環境産業技術研究機構、RITEの理事長を務めております山地でございます。
私は、今はほとんど卒業しましたが、二十年以上にわたって総合資源エネルギー調査会の様々な審議会に関与させていただきました。その経験も踏まえて、略称ですけど、GX脱炭素電源法、この法案について、お配りしております意見メモ、本当一枚物の簡単なメモですが、それに沿って参考人として発言させていただきます。
まず、本法案の位置付けについてですが、本法案は、GX実現に向けた基本方針に基づいておりまして、既に成立した、これも略称ですけど、GX推進法とともにGX実現のために不可欠な法案と考えております。
重要なことは、我が国のエネルギー政策の基本であるSプラス3Eのバランスを回復することです。最近のエネルギー政策は、二〇五〇年カーボンニュートラル実現という野心的な目標が掲げられたことで気候変動対策に偏っていたと思います。そのような状況の中で、ロシアのウクライナ侵攻によってエネルギー安全保障やエネルギー価格の安定の重要性がハイライトされました。つまり、エネルギー安定供給確保を前提としたGXに向けた取組が必要です。そのためには、再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限に活用する必要があり、本法案はその政策を明確にしたものと考えます。
本法案は大きく、再生可能エネルギーの導入支援と原子力の活用、この二つで構成されていると思います。
まず、再生可能エネルギーについては、規律ある再生可能エネルギーの主力電源化が必要ですが、これまでの政策について、二〇一二年から施行されているFIT、固定価格買取り制度の導入以降を振り返ってみたいと思います。
劇薬と呼ばれたFITには功罪があります。劇薬と言われたのは、効果も大きいが副作用も大きいと懸念されていたためです。FITの導入によって、特に太陽光発電が急速に拡大し、今では八千万キロワット以上、以前の、第五次のエネルギー基本計画の二〇三〇年目標はもう既に上回っています。また、太陽光発電の発電量は水力の発電量を超えました。
一方で、FIT賦課金という名の国民負担が二〇一七年度に年間で二兆円を超えまして、昨年度まででの累積で十七兆円という巨大なものに膨れ上がっております。しかも、残念なことに、国民が負担したお金の多くは国内で回らず、太陽光パネルのほとんどは中国からの輸入という状況でございます。
ここ十年ほどで太陽光や風力など自然条件によって出力が変動する電源が急速に増大して、へき地とか洋上など需要地から遠く離れた位置に設置されていたために、電力需給バランスの維持のために、発電コストに加えて、調整力の調達や電力系統整備など、系統の統合費用と呼ばれる発電に加えた外部コストが発生しています。また、FITによって投資リスクが大幅に低下しまして、リスクの低い小規模太陽光案件が乱立して、設備認定の権利を転売するなどの行為も多発しております。これに伴い、景観の悪化や土壌流出など、地域社会とのトラブルとか不十分な管理による災害なども発生しております。
このような状況に対して、二〇一七年から運用を始めた改正FIT法、それから二〇二〇年に成立して順次運用が始まっているエネルギー強靱化法による対応が行われました。
改正FIT法では、健全な再エネ事業促進に向けて、それまで設備認定ということでやっていたんですけど、事業認定ということに変えまして、認定時期の変更を行って運転開始期限を設定しました。これは太陽光パネルの値下がりを待って建設や稼働を遅らせる未稼働案件への対応です。また、FIT対象事業者に設備管理や情報開示などを義務付けました。そのほか入札制度の導入等も行われました。
エネルギー強靱化法、これは束ね法案ですけど、その中で再エネ特措法の改正、電事法の改正があるんですが、ここでは市場価格に一定のプレミアムを上乗せする市場連動型のFIPという制度を導入を定めました。フィード・イン・プレミアムと申します。また、再エネのポテンシャルを生かすため、送電網の増強費用の一部を賦課金方式で支える制度、それから太陽光パネルなど設備の廃棄を適切に行わさせるために廃棄費用の外部積立てを原則義務化としました。また、認定後も一定期間内に運転開始しない場合には認定を失効させるということが可能になりました。
このような対応を踏まえた上で、今回のGX脱炭素電源法が準備されたわけです。今回の法案では、地域と共生した再エネの導入拡大支援として大きく三項目設定されています。既に説明されていると思いますけれども、系統整備のための制度、それから再エネの追加投資の促進、それと事業規律の強化です。いずれも今までの対応を更に充実させるものです。系統整備では、マスタープランとも呼ばれる整備計画の認定、それから工事に着手した段階からの交付金の交付などがあります。
また、追加投資促進では、追加投資部分に既設部分と区分した新たな買取り価格を適用する制度が導入されます。従来は、既設部分も含めて新たな買取り価格を適用していたわけですが、買取り価格は時間とともに低下されますので、既設部分に対しても低い買取り価格が適用されるということで追加投資のインセンティブがなかったんですけれども、インセンティブを付けるようにした。
それから、事業規律強化では、法令等への違反をした事業者に対してFIT・FIP交付金の一時留保、それから違反が解消されなかった場合は交付金の返還措置、それから認定要件として周辺地域への事前の周知が追加されております。
今回の改正法案、審議会での議論も踏まえて、今までの対応をより充実させて実効性のあるものにするということで、規律ある再エネの主力電源化に向けて高い意義を持つと考えております。
次に、原子力の活用についてですけれども、私自身は関連する審議会での議論には関わっておりませんので、断片的になりますが私見を述べさせていただきたいと思います。
今回の法案は、原子力活用の意義の確認と活用のための制度整備に向けたものと受け止めております。
まず、二〇一一年三月、福島原子力事故後、原子力政策は極めて曖昧な状態が続いていたと思います。最新の第六次エネルギー基本計画でも、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応というところにおいてこう書かれている。原子力については、国民からの信頼確保に努め、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していくと、こう記述されているんですけど、その上で、安全を最優先し、経済的に自立し脱炭素化した再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減するとも記されているわけです。
また、二〇五〇年を見据えた二〇三〇年に向けた政策対応についても、原子力は長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源であると記してはおりますが、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進めると記されています。
結局のところ、原子力の価値は認めつつも、安全性が確認された原子力発電所の再稼働を進めると書かれているだけで、原子力の未来が開かれていないと感じておりました。
これに対して、今年二月に示されたGX実現に向けた基本方針では、再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用するとしておりまして、その上で、地元の理解を得た原子炉の再稼働を進めるに加えて、次世代革新炉の開発、建設に取り組むとか敷地内での次世代革新炉への建て替えに言及しておりまして、運転期間についても、原子力規制委員会による厳格な安全審査を前提に、一定の停止期間に限り、追加的な延長を認めるとしております。
今回の法案は、このGX実現に向けた基本方針に沿うもので、冒頭にも述べましたが、Sプラス3Eのバランスの回復に向け意義あるものと考えております。
ただ、運転期間について、原則四十年を維持していることには科学的観点から違和感を持っております。現行の原子炉等規制法の運転期間制限と、これを電事法に移管して柔軟性を持たせたこと自体は改善だと考えておりますけれども、そもそも、現行の炉規法における運転期間制限は政治的に決められたことであって科学的根拠はないと私は考えておりますので、そのことは指摘しておきたいと思います。
それから、ロシアのウクライナ侵攻以降、世界的な原子力復活の動きがありますが、この動向に沿って我が国でもというのではなくて、そもそも、エネルギー政策の基本方針であるSプラス3Eのバランスある実現のために我が国では原子力活用が必要だという認識を持っていただきたいと思います。
最後に、今回の法案に廃炉拠出金制度が含まれておりますが、電力自由化の中で原子力活用を進めるためには、この制度も必要だと思っております。原子力の電源としての経済的特徴は、投資が巨大、つまり固定費が高くて燃料費などの運転費が安いということです。また、原子力への懸念を持つ方が多くて、巨額の投資には大きなリスクが伴います。したがって、新設投資の回収リスクを下げる対応が必要です。今年から実行される長期脱炭素電源オークションで対応できるかどうか、ここについては見極めが必要と考えています。また、原子力には、運転後あるいは運転終了後も使用済核燃料とか廃炉とか、負のバックエンド資産が残ります。これに対応しなきゃいけない。今回の法案における廃炉拠出金は、このような負の残存資産に対応するものとして適切と考えております。
私からは以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/2
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003・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) ありがとうございました。
次に、岩船参考人にお願いいたします。岩船参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/3
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004・岩船由美子
○参考人(岩船由美子君) 東京大学生産技術研究所の岩船と申します。
こちらの資料を基に御説明させていただきます。
私の今日のお話は、GX脱炭素電源法、この議論には直接触れるものではないですけれども、一つの大きな柱が再生可能エネルギーの主力化ということですので、その文脈で、かつそれを実際に進めていくためにはどうすればいいかという視点で、山地先生と一緒ですけれども、3EプラスSという視点を重視してお話ししたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、二枚目になります。
3EプラスSの実現ですけれども、よくよく考えると、確かにこれを同時実現したいのは事実なんですけれども、やはりトレードオフがあるなと。しかも、優先順位がある。先ほどもお話ありましたけれども、やはりその安定供給をマストとして、環境も今回の、今の方向性ではマストだとすると、やはり経済性の面でどこまで負担できるかという視点で考えなくてはいけないと思います。経済的な負担をどこまで受け入れられるか、受け入れられる水準に収めるためには、やはりエネルギーシステム、電力システム全体の全体最適化、効率化が私は重要だと思っております。
三ページ目、お願いいたします。
私は、元々は山地研究室を出まして山地先生の弟子ということもありまして、各種の国の委員としても参加させていただいております。そこで、方々でこれまで言ってきたことを一通り整理してみたいとここで思いました。
まず、一つ目のポツです。費用対効果の良い順にやはり政策は進められるべきだろう。ここは、もちろん取る時間軸ですとか技術の分解に、解像度によって何がいいかというのを決めるのは非常に難しいんですけれども、長期的な見通しというのは不確実性も大きいですので、手前ではなるべく最大限確度の高い既存技術の導入を進めるべきではないかと思っております。
次の二つ目が、GXで経済が潤い、国民負担を増やすことなくカーボンニュートラルができるというのは、やはり私は幻想だと思っております。もちろん、ここは丁寧な分析は必要です。でも、恐らく確実に国民は痛みを伴うので、ここは政治的にしっかりした説明が必要ではないかと思います。カーボンニュートラルに対する国民の取組をなるべく促すような支援が必要だと思います。
三つ目です。系統運用の効率化が非常に重要だと思っております。自由化によって様々な市場が乱立しているような状況でありますけれども、市場が必ずしも適切に機能するわけではないと思います。非効率な運用になっていないか、もちろん市場の監視はたゆまなく続ける必要があるんですけれども、もっと良い運用の仕組みがないかということを常に考えるべきではないかと思います。ここで今、もうちょっと先になりますけれども、キロワットアワー、前日のスポット市場とデルタキロワット、調整力市場ですね、これを今、同時約定していこうという方向になっていますので、これは非常に効率化という観点から見ると適切だと思います。
四つ目、長期脱炭素電源オークションの導入がこれからされますと。ということは、電源確保というのは、結局のところ、まあFITもそうなんですけれども、基本、総括原価的な方向に向かっていると思います。そうしなければ、そもそも脱炭素は難しいですし、安定供給も難しい状況にあると思います。ですので、じゃ、競争して何がうれしいかということを、もう少し競争の価値というものをこの辺りで立ち止まって考えるべきではないかと思います。
次が電化です。
電化というのは、カーボンニュートラル政策にとっては非常に重要だと思うんですけれども、昨今の電気代高騰もありまして、今余り人気のないメニューになっております。ですけれども、柔軟性向上、脱燃焼という視点からは非常に重要だと思います。これは、ただ黙っていても電化は進みませんので、何らか促進のドライバーが必要かと思います。電化できる分野は電化で対応し、電化できない分野で、例えば水素ですとかそういう高いオプションを入れていくというような対応が必要かと思います。
下から二つ目、これはまた何度かこの後も述べるんですけれども、電力の市場価格をやはり小売価格に連動させるような仕組みが必要だと思います。
最後ですけれども、今は一律のエネルギー料金補助のようなかなり巨額な補助がされているわけですけれども、それも一定は必要ではあるんですけれども、やはりそのカーボンニュートラルに向かう方向を支援するようなめり張りのある政策をお願いしたいと思います。こんな感じです。
四枚目なんですけれども、これは再エネ関連に関して私がこれまで述べてきたことです。
やはり再エネ、小さいものがたくさんできる、で、事業者も本当に多数です。そういう小容量の発電設備がもう何万、何百万と増加する中、管理のためのデータベースをまずはしっかり作るべきではないかと。駄目な事業者がいれば、やはりその地域の、地元の再エネに対する風当たりというのは非常に強くなります。今、あちこちで反対運動が起こっているのも管理が不十分なものも多いからと認識しております。そういうデータベースが作ればそのデータベースを管理に生かすこともできると思いますので、是非ここはもっと進めていただきたいと思います。
先ほどマスタープランのお話もありましたけれども、基本的には、今電源は固定、電源の位置は固定で、それに対して最適なネットワークという視点でマスタープランは検討されております。ただ、本来は、ネットワークと電源配置というのはセットで全体最適の観点で私は検討されるべきではないかと思います。
これは何かといいますと、やはり需要に近いところに電源が立地誘導できると余分なネットワーク増強が要らないということがあります。もちろん、気候的に、風が強い北海道とかに再エネの賦存量がたくさんあることは分かるんですけれども、例えば千葉の辺りの洋上風力をもっと増やすとか、そういうことによって需要地に近い方向に電源を立地誘導してくるという視点も私は重要かと思っております。
太陽光発電は、やはり地面型は、かなりもう非常にその景観ですとか、あとは様々な土地利用の観点から難しくなってきておりますので、建物屋根上のPVの設置というのを後押しする制度が必要で、今そちらの方には向かっていると思います。
あとは、これも後ほど話すんですけれども、抑制ありきでの制度設計をお願いできないかと思います。太陽光の抑制が今非常に問題になっておりますが、それ自体はそこまで、それ自体が問題ではなく、抑制はなるべく避けたいんですけれども、ただ一定抑制していくことを見越した上で太陽光が入っていかないと、二〇五〇年のカーボンニュートラルにはとても届かないのではないかと思います。
四ページ目は、系統の柔軟性確保のために需要側のデマンドレスポンスが重要で、制度設計と技術開発が必要という点でございます。
ちょっと時間的にもしかしたら厳しいのかもしれないんですけれども、五ページ目には、そのカーボンニュートラル実現のための、少しでも経済性を良くするような仕組みですね、それについてリストアップしたものでございます。
ここは、まあ繰り返しになる部分もありますけれども、基本的に需要側の仕組みをうまく取り込んでいく必要があるのではないかと思います。
五ページで、これまで言っていないことで強調したいのは、スマートメーターですね。例えば、日本ではもう全ての需要家にスマートメーターが付くという、非常に価値高いわけですけれども、このデータ利用に関してはかなり制約があります。
もちろんプライバシーを懸念される需要家さんが多いことは理解できるんですけれども、ただ、そのために全く研究者ですらこのデータが扱いにくいというような状況に今なっておりますので、プライバシーには配慮しつつ、もう少しうまくデータを活用していくような方向、デジタル化にも資すると思いますので、そこを何とか進めていけないかと思います。
一番下の既存技術の徹底的な活用ということでは、これまでにもお話出ているような気もするんですけれども、従来型の電気温水器のヒートポンプ式へのリプレースですとか、既にあるヒートポンプ給湯器の昼運転化への補助、あとは建物の性能向上というのが非常に重要な視点かと思います。
六ページがその出力抑制の議論なんですけれども、こちらは当然、経済産業省さんの方でも対策の検討は進んでおります。
系統対策、連系線等の増強、供給対策、火力発電、バイオマスも含むですね、最低出力の引下げ、そして需要対策、これは電池への補助とかそういうものでございます。
ただ、非常にこちら頑張っていると思うんですけれども、それでも、特にこの春ですね、物すごく抑制量が増えて、また、もっと抑制量何とかしてくれという強い要望はあるようなんですけれども、出力抑制の抑制のための過度な費用負荷というのは、増加というのは私は避けるべきではないかと思います。
基本的な視点に立ち返れば、そもそも需給が一致しなければ不要なものは不要ですと。例えば、水力発電でも、水が多いときは水あふれちゃって使えないわけです。でも、それはもったいないとは誰も言わないわけですね。ということもあります。
PV、太陽光発電の過積載というのは、全て、ほとんど今の事業者さんみんなやっていると思います。パネル容量に対してパワコンの容量が小さくて、パワコンの容量に対してパネル容量が一・五倍とかになっているんですけど、その分というのは実は捨てているわけですね、そこをある意味。なので、事業者判断でそういうところは捨てているのに、系統側の理由で進める、捨てることに関しては物すごくネガティブな印象を持たれるということがあります。
出力抑制自体は悪ではなくて、ある意味調整力とも言えるわけです。カーボンニュートラルの実現レベルには、需要を大幅に上回るような再エネが必要です。一定程度、出力抑制前提で経済性が成立するコスト水準が必要かと思います。
それでも、ただ、まだ再エネは増やしたい、たとえ九州のようなところでも増やしていきたいというのであれば、かつコスト低下が最近止まっている感じもありますので、やはり出力抑制を含めた事業性成立のための支援というかなり高いレベルの支援が必要になるかと思われます。
次のページが、再エネ出力抑制緩和のための需要対策として、これは今年の四国電力の四月二十七日の需給バランスとスポット価格を示したものです。黄色い部分が太陽光発電です。黒い線が需要です。上の茶色い部分がこれ太陽光が抑制された部分ということになります。
私がこれで一番言いたいことは、実は、四国電力は非常に、これ中国電力もそうなんですけど、電気温水器がまだ多い。ヒートポンプ給湯器でもなくて電気温水器が実は多くて、下に数字あるんですけれども、環境省さんの統計から持ってきているんですけれども、電気温水器が一二・七%の普及率、ヒートポンプ給湯器が三割なので、夜中にそれが動いているんですね。
このグラフの中で、赤い枠で囲った部分が電気温水器、これはヒートポンプ給湯器と電気温水器両方なんですけど、の需要で、私がその出力から推計した矢印の長さが恐らく夜中に動いている部分だと思われます。これだけの、今、夜中にわざわざ動いて、しかも昼間はPV捨てているというのが四国電力さんの現状なわけです。これは四国電力さんだけじゃなくて、今、電気温水器、ヒートポンプ給湯器は基本夜に動かすように設計されていますので、これが昼間にもしシフトできれば非常に価値が高いわけです。
しかも、今、スポット価格見ると、下の図です、これ四十八こまになっていますので三十分単位の価格なんですけれども、昼間ずっとゼロ円になっているわけですね。という状況ですので、このスポット価格が適切に小売料金に連動できれば、この赤い部分の需要を、まあ最初はその制御機能ないので難しいですけれども、シフトできる可能性はあるのではないかと私は思います。
当然、電気温水器を制御付きのヒートポンプにするインセンティブを与えれば、この赤い部分というのは大分削除されて、このオレンジの、上の茶色のその部分が削減できるというようなこともあり得ると思います。
八ページになります。八ページは、需要の柔軟性向上ということで、EV、ヒートポンプ給湯器、電池の、この辺りの制御価値について申しております。
これからEV、電気自動車、ヒートポンプ給湯器たくさん入ってきますので、それらが入ってくると大型発電所数十基分の調整力になります。料金メニューによる誘導というのができると、それに、そういう機器を、小さい機器もうまく活用することができると思います。
九ページが参照にすべきと思われるカリフォルニアの例でして、カリフォルニアでは、州内の五大電力会社に対して地域ごとにダイナミックなプライシングを義務付けるような新基準を設定して、それをデータベースで価格を管理するというような仕組みがあります。こういったものを参照していくべきではないかと思います。
済みません、まとめます。
十ページが最後に申し上げたいことでして、産業政策的視点はこのとおりなんですけれども、やはりエネルギー政策的な視点は、供給対策だけじゃなくて需要対策を、それが再エネをうまく活用することになると思います。ここにあるように、これまで安定供給、安定供給と言ってきたんですけれども、需要もうまく活用して安定需給へ向かうべきではないかと思っております。
長くなりました。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/4
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005・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) ありがとうございました。
次に、松久保参考人にお願いいたします。松久保参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/5
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006・松久保肇
○参考人(松久保肇君) NPO法人原子力資料情報室の松久保肇と申します。
原子力資料情報室は、一九七五年から脱原発を目指して研究活動を行っている市民シンクタンクです。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
資料の方、お手元の資料をおめくりください。
本日、テーマ、GX電源法でございますけれども、大きく四点の問題点があると考えています。第一に、福島の教訓がないがしろにされているということです。
おめくりください。
今回、法改正に当たっては、国や国会は福島の被災者の声に全く耳を傾けてきませんでした。私、原子力小委員会という経産省の委員会の委員も務めていますけれども、その場でも全く福島の声は聞いていません。国策民営の果てにあったあの事故から十二年たった今でも故郷に帰ることができない人々が数万人単位でいるという中で、これは非常に大きな問題だと思います。
原子力基本法改正案では、福島事故を真摯に反省するという記述があります。であれば、今からでも遅くはないので、被災者を招いたヒアリングなど、参議院で行われてはいかがでしょうか。
おめくりください。
また、この間、国会議論を拝見していますと、運転期間制限は利用政策で導入されたと言わんばかりの答弁が繰り返されています。しかしながら、運転期間制限が福島原発事故の教訓を踏まえて安全規制として導入されたことは、当時の政府資料や答弁を見れば明らかなことです。例えば、二〇一二年の内閣官房の資料には、経年劣化等により安全上のリスクが増大することから、運転することができる期間を制限というふうに明記されています。
おめくりください。
また、二〇一二年の高市早苗議員の質問主意書に対し政府は、安全上のリスクを低減するため発電用原子炉の運転期間を制限とか、現行の制度においては運転期間を制限していない点が十分ではないというふうに答弁しています。
運転期間規制が導入された際、安全規制としてこれ導入されたことはもう明らかなことです。運転期間規制が利用政策だというのであれば、それはそれで構わないんです。でも、であれば、原子力規制委員会はそう判断した理由を示すべきだと考えます。
そもそも、世界に存在する最高齢原発、五十四年です。まだ六十年の原発は存在しません。また、例えばフランス規制当局、ASNというものありますけれども、こちら、二〇二一年の年次報告書では、原発の運転期間延長について、現時点では原子炉の五十年を超える継続運転に関する結論を導き出すことはできないとか、一部の原子炉の特殊な特徴のために現在の方法では六十年までの運転能力を実証することはできない可能性などという記述があります。
六十年超原発の審査基準まだ決まっていない中で、なぜ原子力規制委員会、六十年超の原発の劣化状況を確認できるというふうに断言できるのでしょうか。余りに前のめり過ぎるのではないでしょうか。
おめくりください。
もう一点、福島事故の大きな教訓は規制と推進の分離でした。運転期間規制は安全規制として導入されました。だから、推進から分離した規制当局が運転期間を認めるということになったわけです。
今回、法改正では、原子力規制委員会が認可していた運転期間延長を電事法に移管して、経産省が認可するというふうにしています。これは、推進と規制の分離への大きな逆行だと考えます。国際的に見ても、運転期間を認可しているのは多くが規制機関であり、それ以外の国でも規制機関が安全性を確認した上で認可しているという状況です。電事法改正案では、運転期間の認可に当たって原子力規制委員会は何ら関与しません。最低でも原子力規制委員会に何らかの関与をさせるべきだと考えます。
おめくりください。
今回、法改正の検討過程では、原子力規制庁と経済産業省が運転期間延長に関して事前に調整を行っていたことが明るみに出ました。この経緯、昨年十二月、私ども原子力資料情報室に情報提供いただいたことで明らかになったわけですけれども、その中でいろいろおかしなことが出てきています。中でも、規制庁と経産省の答弁に矛盾が出ているというところが問題だと思っています。
昨年七月以来、経産省と事前協議を規制庁は行っていたわけですけれども、その中で、経産省側から示された資料について、規制庁は、協議とは関係のないメモを受け取った資料に書いてしまったということで、経産省から再度霞ケ関駅でその資料を受け渡すという怪しげなことまでして入手して、既存のものは破棄したというふうに説明しています。ところが、経産省側は国会での答弁で、規制庁は面談時に説明した内容を書き込んで、そのメモを書き込んでしまったので、きれいなものが欲しいといって渡したというふうに説明しています。つまり、規制庁側と経産省側の答弁に矛盾が生じているわけです。どちらかが間違った説明をしていることになります。なぜこんなことになっているのでしょうか。
おめくりください。
七月二十七日に岸田首相が原子力に関する政策的課題を示すように指示した翌日、経産省は運転期間規制の改正イメージを規制庁に説明しています。その中にこのような資料がありました。運転期間規制、制限は利用政策、規制庁が提案者とならない法構成が必要、安全規制が緩んだように見えないことも大事などという記載です。内容自体もおかしく、他省庁に示すのは極めて不適切なものだと思います。実際、西村経産大臣も個人的なイメージやメモだと答弁されています。
しかしながら、経産省は、省として他省庁に他省庁が所管する法の改正を申入れする際に、担当管理職の個人的なイメージやメモを上司との相談なく勝手に説明しに行くものなのでしょうか。元々規制庁は、経産省傘下の原子力安全・保安院でした。規制庁の現在のトップファイブは全て経産省出身者となっています。であればこそ、経産省は規制庁に対して慎重な距離感が必要なはずだと考えます。規制庁はそのような口出しに対して問題視しているようにも見えません。高い独立性が求められる規制庁と推進官庁である経産省の間になれ合いの関係性があることも示しているのではないでしょうか。
電事法改正案では、運転期間延長認可は脱炭素や電力安定供給に資することが要件だというふうにされています。つまり、経産省は、脱炭素、電力安定供給にこの原発が必要だから運転期間を延長を認可するわけです。一方で、原子炉の劣化状況に、ここまでが安全とかここまでが危険という明確な境界線というのはなかなか見出しにくいところがあります。
そういった不確かさの中で、人間が総合的にいろんな状況を判断して評価することになります。こういった微妙な判断をするときに、原発が脱炭素、安定供給に必須という推進側からの圧力が存在する中で、推進側とさらになれ合いの関係がある中で、規制委は安全側の判断ができるのか、非常に疑問だと考えています。
おめくりください。
次に、時間軸の問題です。おめくりください。
世界気象機関が最近出した報告書によれば、今後五年間で世界の平均気温が産業革命前と比べて一・五度以上になることは六六%の確率で発生するというふうに報告されています。パリ協定の達成目標は実質的にほぼ不可能になったということです。極めて危機的な事態だと考えます。
おめくりください。
二〇二二年のG7で、二〇三五年までに電力部門の完全又は大部分の脱炭素化というものが合意されまして、今回のG7でも確認されました。
この間、原発の建設期間は長期化傾向にあります。中には十年を超えるものも全く珍しくありません。今回お示ししているのは原発の建設期間の中央値ですけれども、これは完成したもののみをお示ししています。建設中のものを含めると更に長期化しています。政府は二〇三〇年代前半に革新軽水炉を建設開始するという計画示していますけれども、二〇三五年の脱炭素化には原発新設は全く役に立ちません。
おめくりください。
一九九五年以降、風力、太陽光、原発の設備容量の推移を見ると、この三十年近く、風力、太陽光は著しく成長している一方で、原発は各国の強力な支援があったにもかかわらずほとんど成長していません。成長、将来の予測を見ても、風力、太陽光の飛躍的な伸びと比べて、原子力鈍いことが分かります。
なお、このグラフ、国際エネルギー機関の資料を基に作っていますけれども、国際原子力機関の資料では、近年の原発の設備容量は減少傾向にあるということがあります。
おめくりください。
新設原発はこういった問題があるわけですけれども、既設原発にも多くの問題があります。特に、多くの原発再稼働できていないということもそうですけれども、再稼働できても使用済燃料貯蔵能力という問題があるからです。原子力事業者は対策取っていますが、現状のままであれば、近い将来、各原発、貯蔵能力の限界を迎えます。つまり、再稼働しても数年でまた止まってしまうということになりかねないということです。
おめくりください。
原発、CO2排出量が比較的少ない電源だというふうにされています。しかし、CO2排出量だけで原発を選択するべきではありません。原発建て替えや運転期間延長を考えると二一〇〇年を見据える必要があるからです。気象庁によれば、日本沿岸の海面水位は上昇していき、浸水被害は増加、極端な水位の評価も必要。さらに、豪雪が増加したり、台風の強度が強まるといった可能性も指摘されています。原発立地の多くは一九七〇年までに選択されました。つまり、今から五十年前に行われたわけです。つまり、気候変動への評価は全く行われていません。
原子力基本法改正案では、原子力利用が脱炭素社会の実現に資するよう、国が措置をとる責務があるというふうに記載されています。原発が単にCO2を排出しないから脱炭素だというのは誤りだと考えます。気候変動が現実のものとして存在する以上、例えば極端気象と事故の重ね合わせや安全性、例えば原発の温排水などによる環境影響などが考慮されてしかるべきだと考えます。
おめくりください。
この間、原子力政策、高い目標を立てては失敗するということを繰り返してきています。新設は期待できず、再稼働も安全性や地元理解の観点から限定的だと思います。今回、原子力基本法では、原発推進を国の責務だというふうにしています。しかし、これでは政策の柔軟性を失うことにつながります。既にエネルギー政策基本法の中で、エネルギー安定供給や温暖化対策などは明記されているところです。原子力という単一の電源にこのような責務を明記する必要は全くないと考えます。
現行エネルギー基本計画では、二〇三〇年に原子力で二〇から二二%を賄うというふうにしていますけれども、同じ失敗を繰り返しているようにも見えます。もう原子力に政策資源を投資、浪費しているような余裕はないんだと考えます。
おめくりください。
一方、最新のIPCC報告書によれば、CO2削減効果では、太陽光、風力が圧倒的に大きく安価だということになっています。一方、原発や例えばCCS、CCUSは、高価で削減効果はそれほどないというところです。
おめくりください。
環境省の報告によれば、日本の現在の発電電力量の二倍という豊かな再エネポテンシャルが日本には存在します。また、太陽光や風力は導入が比較的短期間にできるというメリットもあります。これを使わない手はないと考えます。
おめくりください。
次に、原発のコストになります。おめくりください。
この十二年間、多くの原発が稼働しないまま、それでも維持費は電気料金に計上されて消費者が負担してきています。原発でこの間一キロワットアワーも発電しなかった事業者の原発維持費を各社の有価証券報告書から分析しました。そうしたところ、十二・六二兆円、私たち払ってきているということになります。結果、電気料金、原発維持費分上昇しているということです。今後も再稼働状況を見通せず、それでも消費者は負担を強いられているということになります。一体あとどれだけ負担させるつもりなのかということです。どこかで損切りを考えるべきだと考えます。
おめくりください。
この間、国内外で発電コスト試算が何度も行われてきています。ここでは、経産省の試算と米国の投資銀行ラザードのものを示しました。原子力の発電コストは上昇、再エネの発電コストは下落著しいことが分かります。以前から、電力会社は原発の巨額の新設コストを負担できないというふうに言ってきており、経産省は、建設費などを事業環境整備だと称して電力消費者に転嫁する方針を審議会などで示しています。
おめくりください。
他方、国のエネルギー関連の研究開発支出を見ると、一九七四年から二〇二一年の累計で十六・六兆円、そのうち原子力関連が十一兆円と、圧倒的に原子力が優遇されてきたことが分かります。事故後ある程度減少していますけれども、それでも最大の支出先はいまだ原子力であります。今後、政府はGX債で捻出した資金を用いるなどして原子力への支出を増やす方針ですけれども、原子力にそこまでの価値があるのか考えるべきだと考えます。
おめくりください。
最後に、核燃料サイクルについてお話しします。おめくりください。
政府は、高速炉サイクルが実現すれば、使用済燃料の有害度が減るまでに、そのまま処分すると十万年掛かるところを高速炉サイクルでは三百年になるのだと説明しています。
ですが、高速炉サイクルの実現には二つの要素があります。高速炉と再処理です。そしてこの二つがいずれもまだ成立していません。
高速炉は、一九六〇年代には七〇年代に実用化だというふうに言っていたものが、いまだ完成していないものです。世界で唯一高速炉が動いているロシアでは、高速炉で二十七回のナトリウム漏れ事故、十四回のナトリウム火災事故があったと報告されています。このようにハイリスクな施設を日本は許容可能なのでしょうか。
再処理にしても、一九九三年に建設が始まった六ケ所再処理工場が、一九九七年に完成するはずが、二十六回の延長を重ねていまだ完成していません。しかも、完成してもこの工場はプルサーマル後の使用済燃料、使用済MOX燃料ですね、は再処理できません。六ケ所再処理工場の事業費は現時点で十三・五兆円とされています。使用済MOX燃料を再処理する場合、これをもう一つ造る必要があるということです。
おめくりください。
高速炉は再処理、実用化できるかで、実用化できても商業的には成立可能か未知数です。MOX再処理はできても非常にコスト高です。一方、プルサーマル後に出る使用済MOX燃料の放射性毒性は通常の使用済燃料に比べて高いのが特徴です。なので、使用済燃料の十万年時点の毒性が、使用済MOX燃料の百万年時点の値とほぼ同等になっているわけです。
つまり、高速炉サイクルが実現しなければ、私たち三百年どころか百万年の使用済燃料を大量に抱え込むということになるわけです。将来世代への責任を言うのであれば、せめて高速炉サイクルの技術的、商業的な実現可能性が見えるまで再処理やプルサーマルは停止するべきだと思います。
おめくりください。結論申し上げます。
福島第一原発事故の教訓や反省をうたうのであれば、まず福島の被災者の声を聞くべきだと思います。
炉規法や電事法改正も明らかな規制の後退ですので、改正案は廃案にするべきだと思います。少なくとも、運転期間延長に当たっては規制委員会の関与を明記するべきだと考えます。
原子力基本法で原発推進を国の責務だとすることは、国の政策判断の自由度をなくすことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/6
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007・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 松久保参考人、恐れ入りますが、時間来ておりますので、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/7
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008・松久保肇
○参考人(松久保肇君) はい、分かりました。
屋上屋を重ねる必要はないと、ここに書かせていただいているとおりの内容ですので、お読みいただければと思います。
以上になります。済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/8
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009・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/9
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010・小林一大
○小林一大君 自由民主党の小林一大です。
本日は質疑の機会をいただきまして、ありがとうございました。また、参考人の先生方には、それぞれのお立場より貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。
まず、山地参考人にお話をお伺いしたいと思いますけれども、再エネ発電事業について、今回の法案では、安全面、防災面、景観、環境への影響など、地域の懸念に対応するための再エネ特措法を改正し、事業規律の強化を行うこととしております。
こうした取組、地域と共生した再エネの導入に当たっては重要だと思いますけれども、一方で、再エネに対する投資を萎縮させないことも重要だと思っています。
政府の掲げる目標に対して事業者の取組を加速させていくことが必要と考えますが、事業規律と再エネの最大限導入のバランス、どうこれから考えていくべきと思いますか。山地参考人に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/10
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011・山地憲治
○参考人(山地憲治君) 御質問ありがとうございます。
事業規律、非常に重要なことと考えておりますので、先生もそこはお考えだと思うんですけど、ただ、それが今後の再エネの新しい展開に阻害要因になるんじゃないかと、そういう御懸念かと思います。
私は、事業規律は維持しながらも、例えば再エネを増やしていく方策、先ほどちょっと屋根の上の太陽電池とありましたけど、これに関してはむしろ買取り価格を上げるという対応をしましたし、あるいは洋上風力の開発においては、セントラル方式という言い方もしていますけれども、政府がある意味区域を指定して事業の整備環境をつくる、あるいは協議体をつくるとか、あるいは系統との接続のところでも一体として考えるとか、そういう事業環境整備という方も進めていっておりますので、事業規律を保ちながら再エネを増やしていくという対応は、今も行われていますし、今後も注意深くその点に配慮しながら進めていけばいいんではないかと考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/11
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012・小林一大
○小林一大君 次に、系統整備についてお聞かせをいただきたいと思いますけれども、再エネの適地と大消費地が離れている我が国では、系統の整備は本当に必要だというふうに思います。
今回の法案でも、安定供給の確保の観点から、特に重要な送電線のうち、再エネの利用の促進に資するものについて資金調達環境の整備が措置されておりますけれども、山地参考人の系統整備の更なる加速化に向けた取組について何かお考えがあれば教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/12
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013・山地憲治
○参考人(山地憲治君) ありがとうございます。
系統整備非常に重要だということは、私の最初の冒頭の意見の中でも申し上げました。
そのときにちょっと時間がなかったので余り触れられませんでしたけれども、系統混雑のために系統の利用を抑制しているというルールがありますけれども、その部分を、例えば、一回線が使えなくてもちゃんと需給バランス取れるというようなところで一回線の余裕を持っているんだけれども、その部分も日頃から一部は使っていこうじゃないか、もし事故が起こったら対応をしていく、あるいは、そういうのをコネクト・アンド・マネージ、まず接続させておいてその後で系統混雑においてマネージしていくというやり方です。ノンファーム型の接続ということで対応をしていく。これは今後の情報社会でいろんなアジャイルな制御が可能になっていきますから、いけます。
もう一つは、費用便益分析、マスタープランがそうなんですけれども、やはり系統整備、費用が掛かりますけれども、便益についてもちゃんと評価をして、費用便益分析をして、費用を上回る便益が期待できる分、しかも、それは例えば温暖化対策のような場合ですと、全国民で賦課金方式で負担するとか、そういうことを進めていく。そういうことも今までもやってきたし、今回の法案の中で更にそれを充実させていく、そういう対応をしていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/13
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014・小林一大
○小林一大君 ありがとうございました。
先ほどの参考人の御説明の中では出てこなかったですけれども、立地地域の理解についてお伺いをしたいと思います。
今回の原子力基本法改正案では、国や事業者が防災対策など地域の課題の解決に向けた取組を推進していく責務を負うことは明記されましたけれども、その具体策までは示されていません。
うちの地元にも柏崎刈羽原子力発電所ありますけれども、立地地域が求めているのは、避難道路の整備や防災拠点施設の整備など地域の実情に応じた防災対策の更なる充実、そして立地地域の経済の活性化や、福祉、教育など暮らしの基盤づくりに、地域を支える一員であるとの自覚を持って国や事業者も取り組んでいただきたいということだと思います。
この点について、長年原子力政策に携わってこられたお立場から、政府の取組をどのように評価して、今後の課題はどこにあるのか、お考えか、山地参考人にお伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/14
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015・山地憲治
○参考人(山地憲治君) この問題、やっぱり地域の方の理解を得つつ進めていく。その電源開発、あるいはそれに関係する様々な設備を建てていく中で、やっぱり地域が振興して活性化していくと、そういう施策、今までも進めてきたわけですけれども、そこは非常に重要なところだと考えています。
だから、単に発電設備あるいはそれに関する設備を造っていくというだけじゃなくて、それを通して地域が発展していく、それを例えば地域と事業者の間で、あるいは国も介在して、相談していく場をつくるとか、そういうことが今までも議論の中では出てきておりますし、これは別に法律に定めなくてもやれることですし、今後も進めていく。だから、地域の発展とともにエネルギーシステムの拡充を図っていく。非常に重要なポイントだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/15
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016・小林一大
○小林一大君 加えて、関連して、今度は立地地域の方々だけでなく、電気の利用者である都市部の方々にも原子力の価値や必要性を理解いただきたいというふうに立地地域の人間としては思っています。
しかし、原子力がなくなると安定供給や価格がどうなってしまうのかや、一方で原子力の利用に伴うリスクにはどんなものがあるのか、こうした点は特に発電所が身近にない地域の皆さんにはイメージがしにくい面もあろうかと思います。
これまでエネルギーの国民理解に携わってこられた御経験から、山地参考人、都市部を含めた消費者に原子力の必要性、メリット、デメリットを的確に御理解いただく上で、どのような説明の仕方やコミュニケーションの在り方が必要になるとお考えか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/16
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017・山地憲治
○参考人(山地憲治君) この問題も昔からある問題でして、例えば東京に住んでいる我々が使っている電気が新潟や福島から送られてきている、あるいはそれ以外の遠くから送られてきている、それに対する東京で電気を使用する我々が十分理解しなきゃいけないんですけれども、そこが不足していることは確かだと思います。
これまでもそういうことに関していろいろな説明の努力をしてきたわけですけれども、更にその電源地域と消費地域との間の対話を促進していく、情報を共有していく、そういうことは引き続き重要だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/17
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018・小林一大
○小林一大君 ありがとうございます。
続きまして、岩船参考人にお話を伺いたいと思います。
岩船参考人からの御説明のページの四ページにもありましたけれども、再エネの発電設備は小規模なものが全国各地に多数存在をして、それを網羅的に把握して管理して、事業規律を強化していくことが重要だと、データベース化することが重要だというお話をお伺いをさせていただきました。
加えて、再エネ発電事業の実施には、土地開発などに関する法令など様々な法令を遵守する必要があるため、関係省庁や自治体などとの連携も欠かせないというふうに思います。一方で、現時点においては、関係省庁や自治体が横断的に活用できるシステムの構築がまだ十分ではないというふうに思います。
データベースの活用を含め、関係省庁や自治体との更なる連携強化に向けて今後どのように対応していくべきか、岩船参考人の御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/18
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019・岩船由美子
○参考人(岩船由美子君) 御質問ありがとうございます。
この点に関しましては、大量小委の委員会等でもかなり前から指摘したつもりなんですけれども、やはり、何というんですかね、その管理のためのシステムつくるというところにきちんとした予算が充てられていない気がしています。
もちろん、ホームページの拡充ですとか、その辺りは取組はされているんですけれども、かなりその事務コストも膨大になっているような気もしますので、少しそこは前倒しできちんとした予算を付けた上で全国管理するものをつくるべきだと私は思いますし、それによって、日本はそこまでは進んでいないんですけれども、例えばアメリカなどでは再生可能エネルギーのリアルタイムな発電量等もかなり公開の方向に進んでいますので、そういうものと連動して、もっと活用可能性も広がると思いますので、まずはしっかりした予算を付けていただいて管理システムをつくる。
かつ、もう一つ思っているのは、その市民からの、地元の方からの声を吸い上げるような仕組み。もちろん、今もあるんですけれども、ホームページのところ、サイトにあるんですけれども、そういうものがもっと利用しやすくなるような仕組みで、例えば柵がない施設を報告していただくとか、そういうようなことがやりやすくなるようなことを目指すべきではないかと思います。それは、エネルギー分野の人だけでは駄目で、恐らく情報系の人たちと議論しながらいい仕組みをつくることが私は重要ではないかと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/19
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020・小林一大
○小林一大君 ありがとうございます。
先ほど来、系統整備の話、山地参考人にもお伺いをいたしましたし、先ほど岩船参考人からもいただきました。
偏在する再エネを大需要地に送電するために本当に必要だと思いますが、一方で、先ほどもちらりとお話しいただきましたけど、再エネが多く入るエリアにデータセンターなど大きな需要を逆に立地誘導できれば、増強が必要となる系統を効率化することも考えられると思います。また、新設には費用も時間も掛かることから、今ある系統を有効に使うことが本当に重要だと思いますが、今ある系統の有効活用や、電源、需要の立地誘導をどのように進めていくべきか、岩船参考人の御意見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/20
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021・岩船由美子
○参考人(岩船由美子君) これもすぐにできることではないんですけれども、例えば一つの方法として価格シグナルで誘導するという方法もあると思います。
今議論、今進められている発電側課金も、元々は立地誘導的な観点もあった課金方法なんですけれども、更にもっと言うと、ネットワーク上で地点別に料金を決めていく、しかもそれが時間別に変わっていくみたいなところで、需要が少ないところはその価格が、何ですかね、安くなってしまうわけですね。そういうふうに、そういう地点別の料金みたいなものがうまく稼働すると、もう少し立地誘導の方向に向かう可能性はあるかなと思います。
ただ、土地の安い部分、賦存量の大きいところと需要地に近いところってどうしてもその土地代とかが高くなると思いますので、限界はあると思うんですけれども、そこは、洋上風力の場合、あれほど大規模なものであれば、ある程度国としてここがいい地域だというような縛り方はできると思うんですけれども、太陽光は本当に難しいとは思うんですけれども、そこはやっぱり補助のめり張りを付けていく。さっきの屋根上に関しては賦課金、あっ、賦課金じゃないですね、もうちょっと、FIT上げましたというような話もありますので、そういうようなめり張りを付けていくことが私は重要ではないかと思います。都市型には厚く手当てすると、屋根上には手当てすると、そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/21
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022・小林一大
○小林一大君 電力の需給バランスのお話、最後に御説明をいただきましたけれども、電気が余る時間帯に再エネの発電が抑制されることもあります。今後、更なる再エネ大量導入のためにも、こうした再エネの発電量の抑制を低減することは重要な取組だというふうに御説明をいただきました。
このためには、系統整備に加えて、例えば日中の太陽光が余る時間帯に需要を創出するなどによる、需要をシフトする、いわゆるディマンドリスポンスと呼ばれる取組など需要側の対策を更に大胆に推し進めていくことが重要とのことでありますけれども、この点に関して政府が改めてどのように取り組んでいくべきか、岩船参考人の御見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/22
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023・岩船由美子
○参考人(岩船由美子君) 去年から分散資源の活用に関する議論というのは実は経済産業省さんの方でもスタートしておりまして、私もその委員を務めさせていただいております。
これまで、デマンドレスポンスは高圧、特高といった産業需要のような大きいものがターゲットだったわけなんですけれども、今後は、先ほど途中でも説明しましたように、電気自動車ですとかヒートポンプ給湯器のような小さい低圧リソースをうまく活用していくことが重要で、今はそれが市場取引できる環境にないわけですね。そこをどうアグリゲートしてうまく市場に取り込んでいって取引をするか。取引する前には、途中で申しましたように、小売価格をうまく設計することによって、そういうものを活用できるような、需要家側が活用したくなるようなインセンティブをつくっていくことが私は重要だと思います。
ダイナミックのプライシングまでいかなくても、少なくとも昼間安い価格で夕方と朝高い価格というのは、小売事業者さんにとっても本来はその方が望ましい状況にもう既になってきていると思います。そういう料金メニューをうまくつくっていくことが重要ではないか。少なくとも、それを用意して、小売事業者さんに用意していただいて、選ぶか選ばないかは最終的には需要家さんの判断ですけれども、そういうものをまずは整備していくようなルールを作ることが重要ではないかと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/23
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024・小林一大
○小林一大君 岩船参考人、ありがとうございました。
そろそろ時間になりましたので、最後、済みません、松久保参考人には御質問できず、申し訳ございませんでした。
お三方、ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/24
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025・村田享子
○村田享子君 立憲民主・社民の村田享子です。
今日は、参考人の皆様、貴重なお話をどうもありがとうございます。
私、まず山地参考人にお聞きをいたします。
山地参考人のお話の中で、今回この法案の中でも、この原子力発電所の運転期間というのをやっぱりどう考えていくのかというのがこの委員会でもテーマになっています。山地参考人からは、この運転期間原則四十年というのは非科学性がある、科学的観点から疑問があるといったお話ございましたが、山地参考人から見たこの運転期間というのはどういうふうなお考えなのか、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/25
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026・山地憲治
○参考人(山地憲治君) 御質問ありがとうございます。
発電所、原子力発電所を造る、運用する、しかし、定期検査をする、悪いところは補修していく、取り替える。例えば、PWRですと蒸気発生器のような大きなものも取り替えていますし、BWRでも原子炉圧力容器の中の炉心部のところの構造物を取り替えたこともある、そういう保守とか修理をしていくわけですね。定期的にそれで安全を確認していく。
今回の法案でいうと、炉規法の方の中に残っている三十年運転、それ以降は十年以内にチェックしていく、そういうことで私は運転期間を定めていくというのが基本だと考えております。単に時間経過で四十年というのは余りにも乱暴な議論だったと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/26
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027・村田享子
○村田享子君 ありがとうございます。
あわせて、山地参考人に原子力発電に関わるコストについてお聞きをしたいんですけれども、先ほど松久保参考人の方からは、原子力発電には巨額なコストが掛かるというお話もありました。山地参考人のお話の中でも、やっぱり原子力発電所は新設の投資の最初のコストが掛かる、動かしたらコストは安いというようなお話がございましたが、トータルで見てきたときに、山地参考人が今原子力発電のコスト、どういうふうなお考えなのか、お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/27
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028・山地憲治
○参考人(山地憲治君) まず、新設とそれから既設の再稼働と、これ両方分けて考える必要がある。
既設の分については、安全対策を強化して、ほとんどの部分、既に投資済みです。つまり、サンクコストになっているわけですので、それ、今から掛かるコストじゃないわけですよね。もちろんそれもありますけどね、運転開始までに。だから、その部分を考えると、既設に関しては圧倒的に私は経済性は高いと考える。
それから、じゃ、新設はどうか。確かに、ヨーロッパのEPRなんて十年以上掛かって建設しているというところがある。建設期間が長いということは巨額の資金を投入しますから、利子もありますし、当然コストが上がります。ただ一方で、例えば韓国がアブダビに造ったPWRは非常に短い、まあ短いといっても標準的な時間ですね、今までの経過、それで造れている。そういうケースもある。ケース・バイ・ケースである。
きちんと工期を守って造れれば、私は投資回収年か運転期間にもよりますけれども、それで十分回収できる経済性を今も原子力が持っていると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/28
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029・村田享子
○村田享子君 あともう一つ、山地参考人にお聞きをしたいんですけれども、山地参考人は大学で原子力工学を学ばれてずっと原子力の研究をされてきたということで、今週新聞報道があったんですけれども、日本の企業が海に浮かぶ浮体式の原子力発電所の開発プロジェクトに参画をするといったニュースがございました。
新聞記事の中では、こういった浮体式の原子力発電所は地震の影響を受けにくいであるとか、また陸上の原子力発電所に比べると建設費用を下げられるといったことも載っていたんですけれども、山地参考人、この浮体式原子力発電所についてどうお考えなのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/29
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030・山地憲治
○参考人(山地憲治君) 先生御指摘のそれ、私、原子力工学の出身ですけれども、研究者として、社会人として原子力に関わってきていたのは四十歳ぐらいまででございまして、あとはエネルギー全般とか温暖化対策をやってきていまして、今原子力の専門家かと言われると、そうでもないんですけど。ただ、私、もちろん原子力に関して当然関心は高く持っていますから、いわゆる浮体式の原子力発電所に関してもコメントしたこともございます。
今SMRというのが言われていますよね。いろんなタイプがありますけど、軽水炉も結構多いんですけど。浮体式のサイズからいうと、元々、今我々は発電用の原子炉が念頭にありますけど、世界の原子力は動力用の原子炉というのは実は舶用の原子炉というのがあるわけですね。艦船が中心で、潜水艦とか航空母艦ですけど、ロシアは砕氷船も持っている。ロシアは一部、発電船のような形で浮体式の小さい原子力発電所も造っている。そういう軽水炉の、まあ舶用炉も含めば、浮体式の発電、舶用炉というのは動力ですけど発電ももちろんできるわけなんですので、そういう意味では技術的実績があると思っているわけです。ただ、日本も原子力船「むつ」を開発していたんですけど、やっぱり寄港地であるとか基地を造るということができなかったものですから結局商業化できませんでしたけど、技術的にはできる。
だから、浮かべて多少動かせる、どこか必要なところへ持っていけるような形での浮体式の原子力発電所というのは技術的にあり得ると考えています。ただ、日本がすぐやれというところまでは私は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/30
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031・村田享子
○村田享子君 山地参考人、ありがとうございました。
続いて、岩船参考人にお聞きをいたします。
やっぱり先生のお話の中では、やっぱりカーボンニュートラル実現のためにやっぱり需要側もやっていかないといけないことがある、時にやっぱり国民にも負担は伴うものだといったお話がございまして、事前にいただいた資料の中で、岩船参考人が駒場リサーチキャンパスでの公開講演ということで、カーボンニュートラル実現のためのエネルギー需要家の役割といったテーマでお話しされたものの中に、やっぱりその住宅の省エネをどう進めていくかという話で、日本がこうして高齢化が進んでいく中で、ただやっぱり高齢世代にとっては、なかなか家を新しくするというモチベーションもないですし、取りあえず今使えるならそれを使っていこう、あと、やっぱりこの政府がいろいろな省エネのための買換えの政策をしたとしても、なかなか高齢世代の方にそういった情報が伝わっているのだろうかというようなことも考えられると思うんですが、こういった高齢世代向けの方々への省エネ対策といったもの、先生、どういったお考えなのか、もっと詳しく教えていただければなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/31
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032・岩船由美子
○参考人(岩船由美子君) 御質問ありがとうございます。
この点に関して、私どもまだ今でも研究途上なんですけれども、本当に高齢者の方に何かしていただくというのはかなり難しいというのが一番最初に出た結論です。ただ、やはり家が重要になるとは思いますので、高齢になって独り暮らし、大きいうちに独り暮らしみたいな、でも地元を離れたくないみたいな方が本当に多いので、やはり六十歳ぐらいのリタイアする頃に自分のライフスタイルの途中としてこの先の住みかを考えるとか、そういう機会をインしてもらうことが重要なのではないかなと思っております。
やはり家庭向けの丁寧な政策進めるとなると、国からの声では全く響かないというのは本当事実なので、そういう意味でも、今環境省さんでも脱炭素先行地域みたいな取組されていると思うんですけれども、自治体が核になって、エネルギーだけでなくて、もちろん見守り等も含めて、もう少しきめ細かい政策を打つためのプラットフォームみたいなものをつくってはどうかというようなことも我々今検討して提案したりしておりますので、その地域地域の実情に合い、かつ誰がその最終需要家までラストワンマイル埋めてリーチできるのかというような点から考えて、例えば地元、その地域の小売事業者もあり得ますし、もう少し健康管理するようなケアマネさんとかと連携してとか、そういう少しエネルギーだけじゃない枠組みで最終需要家にリーチするような方法というのを丁寧にどうあるべきかというのを我々も今考えている途中ですので、是非また研究が進みましたら御報告させていただければと思います。済みません、答えになっていませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/32
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033・村田享子
○村田享子君 岩船参考人、ありがとうございます。
やっぱり家というと、私、今四十歳になるんですけれども、やっぱり同世代も家買い始めて、やっぱり子育てしやすい家とか、そういう観点では考えるんですけど、やっぱり自分が年を取ったときにその家に住み続ける、子供が巣立った後、家の広さがどうなのかとか、介護が自分が必要になったらそれに合わせた家の造りがいいよねとか。あわせて、今先生が言われたように、やっぱりそこに環境、省エネという観点も入れながら、その地域と密着して家というのを総合的に考えないといけないんだなというふうに感じました。ありがとうございます。
最後に、松久保参考人にお聞きをしたいと思います。
松久保参考人におかれましては、二〇二二年の二月から原子力の小委員会の委員、そして二〇二二年の四月からは革新炉ワーキンググループ委員ということで、本当に国の政策を検討されてきたということで、やっぱり今のこの岸田政権になってからのこの原子力政策、エネルギー政策というのをどうお感じになられているか、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/33
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034・松久保肇
○参考人(松久保肇君) 御質問ありがとうございます。
委員になってそんなに長くやっていないわけですけれども、急展開だなというふうにやはり思っています。いきなりな動きだなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/34
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035・村田享子
○村田享子君 ありがとうございます。
今回、先生のお話にもございましたが、その原子力発電のやっぱり運転期間に関して、やっぱり炉規法から電事法に移し替えるというものがどうなのかといった議論が行われていますが、ここについての松久保参考人のお考え方を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/35
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036・松久保肇
○参考人(松久保肇君) ありがとうございます。
先ほども申し上げましたけれども、福島第一原発事故の教訓、大きな教訓は規制と推進の分離だったわけですね。その中で、運転期間は規制が見るものだということで規制の側に移したわけですね。それが今回、その規制と推進がごっちゃになる形でやるわけで、これ非常に問題だというふうに思います。特に、規制側が推進からかなり圧力を受けるという状況になってしまいますので、やはりそれがあったからこそ規制と推進を分離したはずなのに、そこがまた元に戻ってしまうのかというところで非常に愕然としているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/36
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037・村田享子
○村田享子君 前回のこの委員会の議論の中でも、この運転期間に関するその認可については、電事法に移す必要はないんじゃないかと、やっぱりそのまま炉規法のままで運転期間についてはしっかり定めていくべきじゃないかといった話も出ているんですけど、これについてもいかがでしょうか、松久保参考人にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/37
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038・松久保肇
○参考人(松久保肇君) もし仮に運転期間延ばすにしても、最低限炉規法の中で収めるべきだというふうに思います、私はもう大反対なんですけれども。ただ、少なくともその規制と推進を分離したという大前提があったはずですので、そこは守るべきだというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/38
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039・村田享子
○村田享子君 あと、松久保参考人にお聞きをしたいのが、今回の資料の中にもございましたけれども、このGX脱炭素電源法の中では、原子力基本法についても改正が行われるということになります。やっぱり原子力基本法というのは原子力の憲法と言われるこういった法律になるわけですが、改めてこの法律の改正についてのお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/39
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040・松久保肇
○参考人(松久保肇君) 御質問ありがとうございます。
原子力基本法の中に今回脱炭素とか国が推進するとかいった責務を書くわけですけれども、元々、エネルギー計画、基本法の基になっているエネルギー、何だったかな、ちょっと今ど忘れしちゃったんですけど、エネルギー政策基本法か、の中で既にそういったことはもう明記されているわけですよね。で、一電源にすぎないわけですよね、原子力というのはやはり。その一電源にすぎない原発をここまで国が推進するということを書く必要があるのかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/40
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041・村田享子
○村田享子君 ありがとうございます。
以上です。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/41
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042・石川博崇
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。
本日は、三人の参考人の先生方、大変お忙しい中、貴重な御意見をお聞かせいただきまして、大変ありがとうございます。
まず、岩船参考人に系統整備についてお伺いをしたいと思います。
岩船先生は、エネルギーマネジメントの御専門であられますし、また広域連系系統のマスタープラン、ルールの在り方検討委員会に委員としても参画されてきたというふうに承知をしております。今後、再エネを大胆に、大幅に導入拡大していくためには系統の整備が不可欠であるわけですけれども、三月にマスタープラン策定をされたことは大きな前進であるというふうに認識をしております。
今後、このマスタープランをどのように実際に展開をしていくのかということが非常に重要になってくると思います。特に、要する費用が六兆円から七兆円という巨額な費用が示されているわけでして、これをどのように賄っていくのかということも大きな課題だと思います。
今回の法案で、この系統整備について、国が認定した整備計画に対して着工段階からの交付金の支援あるいは貸付けを受ける、こういったことが盛り込まれているわけですけれども、このマスタープランの確実な実現という観点から、今回のこの新たな支援策、どのように評価されていらっしゃるか。また、このマスタープランを具体的に進めていく上でどのような点に政府として関心を持ち、また注意をしていくべきというふうにお考えか、御所見をお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/42
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043・岩船由美子
○参考人(岩船由美子君) 御質問ありがとうございます。
マスタープランの巨額な固定費に関しては、やはりそれぞれの一般送配電事業者だけでは負担し切れない部分がありますので、今回のような措置がとられたのは非常に実効性を高める上で重要ではないかと私も思っております。
その上で、やはり、先々長く、かつその電源の立地のタイミングと本当にその系統増強のタイミングが合っていくかというのも重要な視点だと思われますし、実際、マスタープランよりももっと解像度高くBバイCの分析が広域系統整備委員会の方ではスタートしておりまして、まずはその費用対効果のいいところからといいますか、実際に、それこそ沿岸地域の漁業組合さんとのやり取りですとか、日本の海溝深いのでそこが本当にHVDCが行けるのかとか、具体的な検討が今進んでおりますので、様々な方々の御協力も得ながら、そこは速やかにまずは一旦早期の着工に向けて進めているところだと思います。
やっぱり重要なのは、その電源のでき方としっかり合わせていくことだと思っておりますし、特にその北海道の洋上の場合は、それを北海道内に結ぶということに関しては、まだまだその安全面の方で北海道電力さんなんかも懸念を持っていらっしゃいますので、そういうしっかりしたシミュレーションをした上で、本当に一遍北海道に持っていって地内を通してから運んでくるのかとか、それでなければ直接洋上風力から東京に持ってくるようなルートがいいのではないかというような検討もありますので、そういった技術的な検討をしっかりと併せてやっていくということが私は重要ではないかと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/43
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044・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
続けて岩船参考人にお伺いしたいと思いますが、この六兆円から七兆円という巨額な費用、これを縮減できないのかということについて是非お聞かせいただきたいと思うんですが。
例えば、海底送電線を含む北海道―東北―東京のこの送電網の費用、約二・五兆円から三・四兆円と試算されていて、一兆円近い幅があるわけですよね。こういった経済効率性を考えていくということも今後系統整備進めていく上で非常に重要なんではないかというふうに思いますし、また、負担の公平性、透明性という観点も踏まえて、望ましい費用負担の在り方についても御意見があれば、御所見お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/44
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045・岩船由美子
○参考人(岩船由美子君) ありがとうございます。
私は、ただ、このHVDC等に関しましても、かなりその長期的なコスト低下というのが既に織り込まれているような試算だったりするので、正直言って、これから更にコストが低減できるかというと、そこは余り期待できないかなという印象がございます。やはり具体的な計画に落とすと様々な問題点も上がってきているやに見えますので、そこは難しい部分があるんではないかと思います。
そうですね、なので、やはりその具体的な、マスタープランがありまして、マスタープランではこういう前提で計算しました、ですけれども、具体的に計画を進めていくとそことずれが出てきておりますみたいなところがあるのであれば、そこは逐次、公にしていってお認めいただいていくしか私はないのかなと思っております。
そこは、やはりその再エネ、遠くの再エネ立地、それをどう運んでくるかという視点で考えると、この整備が必要だという判断になったわけなので、全くこれでつくらない、じゃ、コストが膨らんだらつくらないってことは恐らくできないと思いますので、そこはそのBバイCをしっかり見極めつつ、費用対効果のいいところから着実に取り組んでいくということだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/45
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046・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
続いて、三人の参考人の先生方にそれぞれお聞きをしたいんですが、今回、高経年化した原子炉に対して新たな規制制度が盛り込まれることになっております。原子力に対する国民の信頼ということを得ていく上では、規制制度全体への国民の信頼、特に原子力規制委員会が厳格な規制をしっかり行っているということが重要だというふうに思います。今回、現行の二つの規制制度を統合する形で、新たに長期施設管理計画認可制度、まあ三十年、そして十年、十年という形で、二つの規制制度を統合する新たな規制の厳格化を行うとしておりますけれども、これが実際に機能していくということが何よりも重要だというふうに思います。
その観点から、この新たな制度についての御評価と、これが実際にどのようにきちっと実際に機能して国民からの信頼を得ていくのかということについて、それぞれ参考人の先生方から御所見をお伺いできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/46
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047・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) まず、山地参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/47
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048・山地憲治
○参考人(山地憲治君) 先ほどもちょっとその四十年運転期限に関して申し上げたんですけれども、今回、それとまた並行して、炉規法の下で原子力規制委員会が三十年を超えたら十年までごとにチェックしていくという仕組みが導入されている。これは実は、炉規法改正前というか、福島原子力事故前にも行っていたことでありまして、その部分に関してはきちんとやっていけると思っております。
その上で、じゃ、利用の方について、電事法の方に関して、四十年以降の、まあ今回の法案の中でいうと、止まっている期間をどれぐらいカウントして延長させるかということですけど、この今度の運用自体はできると私は思っております。十年も止まるというのは原子力発電所の投資をした場合には当初考慮されていなかったことで、時間経過じゃなくて、やっぱり運転年数によって寿命を考えていくということが大事だと思っていますので、その部分はこの電事法の方に含まれた部分のところで対応していけるんではないかと期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/48
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049・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 次に、岩船参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/49
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050・岩船由美子
○参考人(岩船由美子君) 私は原子力の方は専門ではございませんので基本的には発言は控えたいと思っているんですけれども、ここまで正直言ってその運転間隔が空くとも思っていなかったわけですね、やっぱり十年ぐらいには。ですので、ここのハードルを越えるというのは非常に大変だなという印象はあります。
ただ、今、電気料金の値上げによって、需要家側はかなり原子力に関してはあった方が安いのではないかという期待が大きくなっているようには見受けられますので、そこはやはりあればあっただけ今の料金を下げるという意味では効果的だろうと。そういう意味では、以前よりはアクセプタンスは上がっているのかなという印象はあります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/50
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051・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 最後に、松久保参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/51
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052・松久保肇
○参考人(松久保肇君) 御質問ありがとうございます。
先ほども申し上げましたけれども、原発の劣化状況にここからが危険、ここからが安全みたいな明確な境界線というのはなかなかつくりづらくて、これは更田前委員長もおっしゃっていることなんですけれども、かなりグレーゾーン、グレーゾーンというか、まあ明確なラインがないので、どこかで決めをつくらなきゃいけない、工学的な判断を行わなきゃいけないと、委員がですね、原子力規制委員会が行わなきゃいけないというふうな発言をされています。つまり、その明確な決めがない中で、人間が判断しなきゃいけないという状況になるわけですね。
先ほど申し上げたとおり、例えば、電力安定供給に必須であるとか、そういった圧力が掛かっている中で、ちゃんと安全側の判断ができるのかどうかという覚悟が規制委員会に問われていると思うんですけれども、これまでの答弁を見ている限り、そういった覚悟が見えないというふうに思っています。そこが非常に懸念されるところだというふうに思います。
一方で、その原発の再稼働によってどれぐらいコストが下がるかというところなんですが、私ちょっと東京電力のもので試算をしてみました。そしたら、〇・四円パー・キロワット・アワーぐらいしか下がっていないということが分かるんです、柏崎刈羽原発の六、七号機の再稼働によってですね。
ということで、その程度の価値しかないものということになってしまうわけですね。それをここまでコストを投じて物事やるべきことなのかどうかというのは、やっぱりもうちょっと考えるべきところなんじゃないかなというふうに思っています。
以上になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/52
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053・石川博崇
○石川博崇君 山地参考人に続けてお伺いをしたいと思います。
以前、山地参考人は、いただいた資料によりますと、原子力産業新聞のインタビューで、原子力に対する負のイメージを払拭をして、国民の信頼を回復することの重要性を指摘されていらっしゃいます。
今回の法案でも、原子力基本法を改正しまして、立地地域の住民、都市の住民を始めとする国民の原子力に対する信頼を確保し、その理解を得ることを国の責務として新たに規定しております。
政府がその国民の信頼を回復するためにどのような取組を具体的に行っていくべきというふうにお考えか、山地参考人から御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/53
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054・山地憲治
○参考人(山地憲治君) 冒頭の私の意見の中でも申し上げましたけれども、国はやっぱり今まで原子力に対する取組が非常に曖昧だったわけですね、少なくともエネルギー基本計画の中に記述されていることに関しては。そこについて、今回、だから、そういう意味ではちょっと余計なことを言うと、エネルギー基本計画をもう一度、まあもちろん三、四年ごとに改定していきますけど、その中でその原子力の位置付けをより明確にする必要があると思いますけど、いずれにしても、やっぱり国が前面に立って原子力を活用していくんだということを国民に対して示す、そこが非常に重要なことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/54
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055・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
私からの質問は以上でございます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/55
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056・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 参考人の皆さん、お忙しいところ大変御出席いただきましてありがとうございます。
この間の、四十年から六十年に延長するというその問題なんですが、これハードの問題であって、四十年が六十年にしたらどうかという、そういう話と、もう一つ大事なのは、それを本当に管理できるかというソフト面の問題が大きいんじゃないかと、そういうふうに思っているんですね。
それで、柏崎刈羽、小林先生は地元ですよね。柏崎刈羽っていつになったらできるんですか、というか再稼働するんですか。全然分からないですね。原子力規制委員会がこの間もテロ対策できていないじゃないかというふうなことをやって、つまり稼働を停止している期間が永遠に延びていく感じがするんですね。
何を申し上げたいかというと、この二〇三〇年のエネルギーミックスのときに、無理やり二〇%から二二%と原子力を決めちゃっているのが、そもそもつじつま合わせの数字じゃないかと思っているんですね。
実際にそれが実現できるのかどうかということなんですが、僕は、政府側の委員に質問するんじゃなくて参考人の先生にお聞きしたいんですが、それで、実際そんなこと可能なんですかと、二〇%から二二%。それが一つと、山地委員にちょっとお尋ねしたいんですね、長年おやりになってきたんで。二〇%から二二%は可能なのかどうかということと、つまり、四十年から六十年に延ばすことはできると、できるとして、しかし、現状止まっているものがいっぱいたくさんあって、柏崎刈羽のように、管理ができていない、テロ対策ができていないというふうなことで何度も原子力規制委員会からストップが掛かっていると。そうすると、それを管理する東電という会社がそもそも原発の管理能力があるのかどうかというふうなところまで先生の御所見をお伺いしたいなというふうに思うんですけど、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/56
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057・山地憲治
○参考人(山地憲治君) どうお答えしていいのかとちょっと考えておりますけれども、まず、二〇三〇年に原子力比率を二〇から二二%にするということは、現在再稼働を待っている原子炉、かなりの部分、規制委員会の審査もパスしておるところがありますので、私はその再稼働で対応して可能だと考えていると、これが一つです。
だが、だけど、具体的に、個別的に、じゃ、柏崎刈羽は、規制委員会の審査のいわゆるメインのところは進んでいる、地元との調整も比較的うまくいっているんですけれども、テロ対策のところで非常に管理のまずいところがあった、それで今は再稼働できないでいる。この部分がどうなっていくか。これはやっぱり、当然、その電力会社の管理能力が問われているところで、そこを規制委員会がどう評価するかというところだと思います。
私は、そこに関しては、何項目かあって何項目クリアした、残りが幾つかというような報道がされていますけれど、その部分もきちんと対応していくということで目標、政策目標であるところを達成していくんだと、そういうふうに関係者に努力をお願いしたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/57
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058・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 ありがとうございます。
松久保参考人にお尋ねさせていただきますが、今の東電に管理能力があるかどうかという話ですけれども、そもそも福島の原発事故というのは管理能力がなかったから起きたと思っているんですけれども、そのハードそのものということもあるけれどもソフトの問題だと思っているんですが、その柏崎刈羽原発で原子力規制委員会がチェックして、二〇二〇年にIDカードの不正利用によって中央制御室に勝手に人が入っちゃったということが一つあって、その次に、二〇二一年の一月に侵入検知器がピーピー鳴っちゃったと、こういうことで故障していると、これがさっきのテロ対策できているのかという話なんですけれども。
東電の体質というのが、これ何度も何度も繰り返し駄目じゃないか、駄目じゃないかと言ってもまた起きるわけですよね。ここについての御所見ですね、お伺いしたいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/58
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059・松久保肇
○参考人(松久保肇君) 振り返れば、東電トラブル隠しという問題がありましたよね、あの福島第一原発のトラブルを隠していたりとか。そのとき、全ての東京電力の原発が停止するという事態に至って、電力安定供給にも問題が出るみたいな経緯があったわけですね。で、福島第一原発事故があった後も柏崎刈羽で同じようなことがずっと繰り返されている。最近だと、何ですかね、書類を車のボンネットに載せて、ボンネットだか上に載せて、で、走り出してばあっと飛び散ったというどうしようもない事象もあるわけですよね。
つまり、もう、何ですかね、危機管理がどうしようもない会社という状態だというふうにもう国民の印象が付いてしまっているというふうに思うんですね。ここから巻き返すのってかなり大変なことだというふうに思いますし、緊張感がほぼない状態になってしまっているという状況の中で、やっぱり東京電力に管理力ないんじゃないかなというふうに私自身は思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/59
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060・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 事故から十年以上たってもまだ何か治っていないというか、何かそういう非常に深い病巣を感じるんですね。
まあそれはともかく、これから新しい次世代のSMRとかそういうことに期待したいんですが、ハード的にはですね、山地先生に、ちょっとこれから、先ほど質問ありましたけれども、SMRは各国でやっているけど、日本はどこまでできているのか、期待していいものなのかどうか、期待したいんですけど、どこまで行っているのかということなんです。その辺をお尋ねしたいんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/60
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061・山地憲治
○参考人(山地憲治君) SMRについては、コンセプトとしては昔からあったコンセプトです。で、現実に、しかし稼働しているのがあるかというと、まだない。まあアメリカで着手されているものがある。で、日本はどう関わっているか。カナダで提案しているSMRの、BWRの300だったと思いますけど、プロジェクトには日本企業も参加している。そういう意味では技術は持っていると思います。
ただし、まず必要なことは再稼働待ちの原子力発電所の稼働であって、SMRとかその次世代革新炉と言われるものはその次のものだというふうに考えます。
SMRは、安全性のことも言われますけれども、基本的にはいろんなものはほとんど各々工場生産して現地では組み立てていくというもので、安全審査上の効率がいいとか、そういうことが言われております。あるいは工期が短縮できるとか。
ただ、それは言われていることなので、きちんとした実例をやっぱり持たないと、そこに過度に期待してしまっては足下が危うくなるというふうに私は考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/61
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062・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 おっしゃること非常によく分かりますね。
しかし、いつになるか分からないということだと、前提として考えることは、二〇三〇年にはまずあり得ないということですよね。そうすると、二〇五〇年もあり得るかどうかと、その辺はどうなんですか、山地先生。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/62
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063・山地憲治
○参考人(山地憲治君) 二〇五〇年にはあり得ると考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/63
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064・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 分かりました。
あと、岩船参考人にお尋ねしますけど、デマンドレスポンスの重要性について御指摘ありましたけれども、この委員会においても再三EV車の普及促進について何度も提案したり質問したりしてきたんですが、その蓄電池としての役割ですね、その蓄電池としての役割、都市型の屋根に太陽光パネルを置くということも含めて、これがかなりきちんと行き渡ったら相当の力になるとは思っているんですけれども、なぜか日本はそこが遅れているんですね。EV車のまず普及が遅れている。意識も遅れているんですね。
でも、これ昼間の余った太陽光電池を蓄電したらかなりの蓄電池の容量になると思うんですけれども、車が、日本人の持っている車の量、二千万台ぐらいあったかな、どのぐらいあったかな……(発言する者あり)八千万台、八千万台だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/64
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065・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 委員長の指名を受けてから御発言ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/65
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066・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 八千万台あるわけで、相当なあれになるんですが、その辺の岩船参考人の御提案というか、御意見をお伺いしたいんですけど、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/66
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067・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 岩船参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/67
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068・岩船由美子
○参考人(岩船由美子君) 失礼いたしました。
日本の車は八千万台ぐらいありまして、乗用車も一世帯当たり一・二台とかそんな台数ありますので、乗用車だけでも十分な価値がありますと。ただ、なかなかやっぱり普及が進んでいない、まずは普及を進めなきゃいけないと。普及が進んだ上でそのV2Hのコストを安くしていかなくてはいけないという二段階のハードルがあるので、余り進んでいない状況ではあります。
ただ、わざわざ蓄電池、定置式の蓄電池を置くよりは、やはり走るために基本的には使うものですので、非常に経済性もいいわけですね、そこの部分に関して見ると。もちろん家にいるだけだと太陽光との相性は悪いですけれども、勤務地充電などと組み合わせれば、十分昼間吸える能力はあると思います、日本の車は九〇%ぐらいほとんど止まっていると言われていますので。
ですので、私としては何とかそこをクリアして普及につなげていきたいと思うんですけれども、なかなかやっぱりその長距離の走行ですとか、急速充電のインフラが不十分だからというので、日本はどちらかというとかなりネガティブな反応がまだまだ多いです。
ただ、去年に比べる、二〇年に比べると二一年のセールスは倍にはなっているので、まずはその完全なピュアEVじゃなくてもプラグイン型のEVでもいいので、充電できるものであればいいので、そういうところから着実に進めていく、そこを支援していくべきではないかと思います。
あと、もう一つ問題は、日本の世帯って半分は集合住宅に住んでいるんですね。集合住宅に住むと、やはり充電設備という意味でリーチできないというのが結構大きなハードルとして挙げられますので、集合住宅にこれからどうその充電設備を普及させていくかというのはもう一つ重要な視点で、そこは東京都さんなんかは結構取り組まれている方だとは思うんですけれども、そういうきめ細かい需要家ニーズに応えていくことが重要だと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/68
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069・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 時間が少ないので、最後。
じゃ、岩船参考人、経済産業省、腰が重いんですよ。どういうふうに岩船参考人だったらそれを具体化できるような言い方ができますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/69
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070・岩船由美子
○参考人(岩船由美子君) ありがとうございます。
ただ、昨年から次世代のDR活用の検討会もできましたし、今年はそこでEVにフォーカスしたEVグリッドワーキンググループというのもできたんです。ですので、自動車メーカー、あとは電力会社、あとはそれをうまく使うアグリゲーターなどが集まって、どううまくEVを普及させつつ系統に活用できるかというような視点で議論がもっと進むと思いますので、まずはそこに期待したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/70
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071・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/71
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072・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎でございます。
今日は、三名の参考人の皆さん、貴重な御意見、本当にありがとうございました。
私からは、まず山地参考人と岩船参考人のお二人にお伺いしたいと思います。
今日、お二人の参考人からは、Sプラス3Eという、このバランスの観点からお話をいただいて、まさにこのバランスをどのように保っていくかが重要で、かつ、特に今回はGXということで、グリーントランスフォーメーション、ここが更にクローズアップされた状況の中でどのように進めていくかという観点かと思います。
そうはいいましても、このグリーン化を進めていく、でも同時に、やはり電力の安定供給というものはこれはやはり欠かせないものでもあるというふうに思います。
その意味で、今回の法案というよりもちょっと全体的な視点ということで御質問したいんですけれども、二〇一六年から電力の自由化ということで全面的な自由化が進められました。ここでもう六年から七年という歳月が流れてきましたけれども、この間のやはりこの電力の自由化によって、安定供給であったり、あるいは再生可能の導入であったり、こうしたものに対してどのような効果が果たしてあったのか、あるいはどのようなデメリットが出てきたのか、やはりこれが私自身非常に気になっています。
今日、岩船参考人の方からお話の中で全体最適というお考え方もお示しいただいて、まさにそのとおりだというふうに私も感じています。その一方で、今日、電源の立地誘導なんていうコメントもこの資料の中にはありました。そうすると、まさに電力の自由化を進めていく中で、でも立地誘導するという、その整合性というのはどういうふうに考えたらいいのかなというのもちょっと疑問として浮かびましたので、それぞれの参考人の観点で、この自由化の功罪といいましょうか、その観点でのお話を、御所見をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/72
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073・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) まず、岩船参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/73
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074・岩船由美子
○参考人(岩船由美子君) 御質問ありがとうございます。
そうですね、難しい問題ではあるんですけれども、自由化で良かったことは何だろうという意味で、ですから、市場の価格というのがシグナルになり得るようになったというのは私はいいことだとは思っております、基本的に。ただ、その自由化と再エネを増やさなきゃいけないというタイミングが重なったために、日本の場合、そこが一遍に来てしまったために、自由化して競争するメリットというのが余り生まれない、しかも再エネの増加って、先ほども言いましたように、基本的に総括原価的に増やさなきゃいけないようなストーリーになる中で、自由化とは非常に相性が悪かったということがまさに起こっていると思います。
なので、ですから、自由化の失敗みたいなことを言う方も多いとは思うんですけれども、ただ、それを失敗と言ってしまってはもう先もなくなってしまいますので、やはりそこは市場として取引すべきところは取引、で、そうじゃなくて、もう少し全体最適的に、例えばさっき言った系統運用なんかは、わざわざ市場化する必要もないところはしないとか、そういうような区分けを今後していかなくちゃいけないんじゃないかと思っています。
電源立地の誘導に関しても、何も強制的にここに造りなさいというのではなくて、さっき言いましたように、きちんと市場からシグナルが出るのであれば、そこにつなぐのは高いよと、こっちの方が安いよとか、あっ、こっちの方がもうかりますよというようなシグナルが出れば、それが立地誘導の効果になるわけで、そういう価格を働かせるという意味では、電力の自由化というのは、市場をつくったというのは私は一定の効果はあると思いますし、とてもその電力会社の情報が透明に、オープンになったというのは私はこれは非常に高い価値だと思っておりますので、だから、情報はしっかり共有しつつ、市場でまずかったところは無理無理もう市場を諦めるという、これからはそういう、何というんですかね、めり張りが重要ではないかと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/74
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075・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 次に、山地参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/75
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076・山地憲治
○参考人(山地憲治君) 先生が取り上げられた電力自由化の問題は、非常に難しい問題だと思っています、基本的には。
市場を通して効率的なビジネスを行うというのは理想なんですけれども、電力というのはやっぱり瞬時瞬時で需給バランスが取れなきゃいけない、設備が要る、長期投資が必要なわけですね。だから、固定費の回収という仕組みがないといけない。自由化の前は原価主義でしたから固定費回収はあったんだけど、今回の一連の自由化が始まるに先立ってJEPXというキロワットアワーの卸市場できたんですけど、これは、基本的には固定費というよりもマージナルコストの、限界費用の方なんですね。それでは固定費が回収できない。
今、容量市場、キロワットの市場とか、あるいはデルタキロワットの調整力の市場とか、で、容量市場は四年先の一年間だけしかマーケットないので、やっぱり長期のために、長期固定、長期脱炭素電源オークションというのを今年から始めるんですけれども、これで二十年ぐらいで回収する。その部分でまだ試行しているなというのが私の印象です。
それは、しかし、全くこれではうまくいかないのか、やっぱり元の原価主義に戻らなきゃいけないのか、私はそこまでは思っていません。
混乱を招いたのは、JEPXという、自由化の中で、FITという制度があって、FITはまさに原価主義に、原価にプラスのアルファで買取り価格を決めたわけです。これは圧倒的に有利なわけですね。その部分が非常にゆがんだ状態をつくってしまったな。しかし、今や、ちょっと少なくとも去年ぐらいから卸市場相当上がってきて、その分賦課金少なくなったんですけれども、いろんな経験を積んできていると。だから、今後、いろんな市場、制度をつくっていかなきゃいけない。今回議論されている法案もその一部だというふうに私は考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/76
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077・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございました。
またちょっと後ほどお伺いしたいと思いますが、その前に、先に松久保参考人にお伺いをしたいと思います。
ちょっと今とは全然また違う観点ですけれども、今回の法案の中で、やはり原子力、原発を稼働していく上で本当に安全なのかどうかというそこの検証、まさに原子力規制委員会がどのように審査をして結果を出していくか、そこが大変重要だというふうに思っています、重要な要素の一つというふうに考えています。
その意味で、松久保参考人から見たときに、この原子力規制委員会の今の審査体制ですとかそういうチェックの中身に関して、ちょっと懸案事項なり、ちょっと御心配な点があれば、その点についての御意見を頂戴できればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/77
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078・松久保肇
○参考人(松久保肇君) 御質問ありがとうございます。
元々日本の原発は四十年稼働を前提にして造ってきたので、原子炉の劣化状況を確認するための監視試験カプセルというものを入れているんですけれども、あれが四十年分ぐらいしかそもそもないという問題があります。電力会社は、あれを、監視試験片ですね、監視試験カプセルというものの中にちっちゃい監視試験片というものが入っているんですけれども、これを割って劣化状況を確認、引きちぎったり割ったりして劣化状況を確認しているんですね。
で、そこが非常に懸念されるところだと思うんです。電力会社は、もうないので、なくなってきているので、使った監視試験片を再生利用するというふうに言っているんですけれども、この再生利用というのは本当にうまくいくのかどうか。そもそも再生利用できないところも、部位も存在するので、そういったところをどうするのかというところはやっぱり懸念されるところかなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/78
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079・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
ちょっと今ので関連してなんですけれども、日本の原子力規制委員会はそういうチェックの仕方ということで、チェックの仕方そのものというのは、もし御存じであればなんですが、世界のその他の国のチェックの仕方というのがもし、どういうふうになっているのか、日本と比較して何か違いがあれば、その点についても御意見をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/79
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080・松久保肇
○参考人(松久保肇君) 基本各国同じなんですけれども、ただ、例えばそのチェックの仕方って、監視試験片を割ったりとか、あと超音波探傷といって、その原子炉圧力容器の中の傷をどうやって調べるかとかいうやり方があるんですけれども、その超音波探傷のやり方がもうちょっと日本よりは海外の方が進んでいる可能性もあるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/80
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081・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございました。大変参考になりました。ありがとうございました。
そうしましたら、次に、また今度は山地参考人の方にお伺いをしたいんですが、今日お話しいただいた中で、エネルギー安全保障の観点ですとか、あるいはその実際にFITの功罪のところでお話しいただきましたけれども、再エネの賦課金で実際に徴収をしたものが結局、中国からパネルを買うことに使われているということで、これは経済安全保障という観点でもつながってくるんだというふうに思います。
それでいくと、もう皆さん御案内のとおり、この太陽光パネルであったり、あるいは風力発電の風車、こうした点については日本は独自ではもうできなくて、今、海外から輸入をせざるを得ないという状況になります。そうしますと、このエネルギー安全保障の観点でいけば、確かに国内の一次エネルギーを使って電気を生み出すという観点にはなりますけれども、総合的な経済安全保障の観点でいくとやはり大きな課題が結果的に残るのかなと。補修含めて、本当に日本の中で純粋に生み出したエネルギーと言えるのかというふうになると思います。
そうしますと、その観点をしっかりと取り組んで、国内でそれが全てできるようにしていくというのが理想だというふうには思うんですけれども、それというのは本当に実現可能なのかどうか、やろうとすればやはりどういったところに重視をして優先度を置いて取り組んでいくべきなのか、その点についての御所見をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/81
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082・山地憲治
○参考人(山地憲治君) 安全保障、エネルギー安全保障も含めてですけど、経済安全保障、非常に大事なんですけれど、単に経済効率性ということだけを言えば、世界から安いものを調達してくる、これが経済効率性はいいと思いますけど、そこにやっぱり安全保障問題が関わってくる、そういう構図だと思います。
今、太陽光もそうなんですけど、実はバッテリーとか、そういうところでも希少のミネラル、鉱物関係のところも、まあ中国に限らないんですけど、特定の国に偏在していて、いわゆるエネルギーの安全保障、例えばエネルギー源の太陽光は日本だからいいよね、バッテリーは日本でためるんだからいいよねじゃないんだけど、それを作るときの資源を外国に頼っている、しかも特定の外国に頼っているという場合には、当然やっぱり安全保障上の配慮が必要だ、それに対する対応を取っていく、皆さんかなりそういう意識が出てきていると思います。
最近、再エネに関してもいわゆる安定供給上の問題があるんだ、それは何かというとそのミネラルの問題だ、希少なですね、そういう認識がどんどん高まってきています。日本だと、例えば海の、海底の資源を使うとか、いろいろな技術開発も行われておりますので、今後そういう意識を持って、経済効率とその安全保障を両立させていくということを引き続き努力していくことは非常に重要だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/82
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083・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
これも先ほどの電力自由化とも関わってくるのかもしれませんが、どこから何を買ってくるか、どういう設備を造るかというのはあくまでも事業者側の考えになるので、なかなかコントロールというのを国でやるのは難しいのかもしれませんけれども、ありがとうございました。
多分最後の質問になろうとは思いますけれども、最後に岩船参考人にお伺いをしたいと思います。
系統設備の件でお伺いをしたいんですけれども、これ、今回マスタープランというものが出されました。かなりの容量のものを全国的に配備をしていくということにはなりますけれども、これ、例えば、先ほど言われたとおり、全体最適という考え方で、例えば分散電源にしていくとか、あるいは蓄電池、先ほど猪瀬さんの方からありましたけれども、それこそEVを使ったビークル・ツー・ホームを使ってうまくグリッドをつくっていくなんていう形を取るとこのマスタープランで出されているものというものがまた様々変わっていくと思いますし、もしかするとそこまで系統整備をしなくてもいいのではないかという観点もあろうかというふうに思うんですが。
そうすると、系統整備を少しでも抑止をしていけばコストが低減できるので、そういう方向に考えていくべきなのか、それとも、万が一、それでもやっぱり安定的に電気をつなげていくんだということからすれば、強力な系統整備をしていかなければいけないというふうな観点もあると思うんですけれども、これどういう方向性で考えていけばいいのか、今の時点での岩船参考人のお考え、聞かせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/83
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084・岩船由美子
○参考人(岩船由美子君) 御質問ありがとうございます。
ここは本当に意見の分かれるところだと思うんですけれども、私は、なるべく既存のネットワークをうまく活用していくことでカーボンニュートラルに向かっていくという方向が望ましいと思っています。
なので、電源の立地誘導もですから重要だと、もちろん需要も誘導できるのであれば誘導していくべきだというふうには思ってはおります。北海道だけじゃなくて、東北の方が、東北でも結局風況はいいのであれば、本当に北海道までつなぐ必要あるんですかというような議論だって十分あり得ると思います。
そういう意味では、電源と、重要なのは電源とネットワークと両方の、その電源配置も含めた最適化を本来私はすべきだと思っていて、例えば東京電力さんなんかがそういうシミュレーションを既にしていたりしていて、余りネットワーク増強なしにですね、ただ、あれはカーボンニュートラルまで達したかどうかはちょっと微妙なんですけれども、かなり、余り巨大なネットワーク増強なしに再エネで日本が賄えるというような試算も実は出ていたりもするんです。
なので、私が重要だと思うのは、複数の人のシミュレーション等、分析等をやっぱり見比べることによって、それぞれの結果の背景、シナリオがどうなっているかというような比較をしながらエビデンスベースで議論していくことだと思っております。
私は、どちらかというと、やっぱり将来は不確実性が大きいので、なるべく固めに、系統増強はなるべく最小限にすべきだ派ですけれども、そこは立場によっていろんなことを言われる方がいらっしゃるというのが事実だと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/84
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085・礒崎哲史
○礒崎哲史君 今日はどうもありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/85
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086・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
参考人の皆様、本日は貴重な御意見をいただきました。ありがとうございます。
松久保参考人に幾つかお伺いをしたいと思います。
今日お話をいただいた冒頭に、福島の声を聞くべきだと、被災者の声を聞くべきというお話がありました。私は福島県の出身なんですけれども、東京電力福島第一原発の事故の被害が今も続いているという状況の下で、本法案は原発に回帰をするというようなその大転換の中身になっているんですね。そうしたことはあってはならないというふうに考えています。
それで、どういう思いでこの福島の声を聞くべきだというふうに御提案をいただいたのかというのを教えていただきたいというのが一つ。
そして、この法案に関わって、自分たちの未来の問題だと、将来の問題だって、そこに関わる問題だということで、若い方たちからも声が上がっているんですけれども、そうした若い方たちの思いについて、もし御存じだったら御紹介いただきたいなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/86
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087・松久保肇
○参考人(松久保肇君) 御質問ありがとうございます。
私は原子力資料情報室という団体に入ったのが二〇一二年なんですね。それまでは東京金融取引所という取引所で市場の監視とかそんなことをやっていた人間なんです。なので、先ほど来、市場の話があってすごく気になっているところではあるんですけれども、それはまた別にして。
やっぱり、その当時、福島第一原発事故と東日本大震災で非常に私もショックを受けて、皆さんショックを受けられたと思うんですけれども、私も非常にショックを受けて、もうこの原子力というシステムはやっぱり人間と、人類と共存できないシステムであるというふうに思って転職をしたんですね。なので、今回のこの原子力に回帰していくという政策自体、非常に憤りを持って見ています。
この間、私、原子力小委員会なんかで、国民の声を聞くべきだということを繰り返し申し上げてきましたけれども、一度もそういった機会設けていただくこともできず、非常に、まあ正直申し上げて、非常に残念だと思っていますし、また申し訳ないなというふうにも、委員としてですね、申し訳ないなというふうにも思っています。
二点目の未来の問題ということですけれども、次世代の方々、例えば私ももちろん若い方々とお付き合いなんかもしているんですけれども、彼ら、特に気候変動の問題に非常に危機感を持って取り組んでいらっしゃいます。
もう現実に、先ほど申し上げたとおり、一・五度目標というもの自体が非常に危機的な状況になっているという中で、彼ら、既に発生している気候危機に対する被害というものも目の当たりにしている中で、今回日本の政策はもう明らかに気候危機に対して後ろ向きであって、既存の産業とか、例えば原子力とかでカーボンニュートラルと言っているわけですけれども、それは現実的にはそのカーボンニュートラルを遅らせるにすぎないものだというふうに理解されています。なので、そういったものに対して非常に憤りを持って見ていらっしゃる状態だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/87
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088・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
私も、やっぱりこれだけの大転換があって、あれだけの事故があったのに、福島の声を聞く機会がないというか、その被災者の声を聞く機会がないというのは非常に問題だというふうに思っていて、やっぱり意見を聞くべきだというふうに思っています。
それで、続けて松久保参考人に伺うんですけれども、今回その脱炭素ということで原発を進めようということが法案の中身になっているわけなんですけれども、脱炭素ということでいえば、今世界の大きな流れは再生可能エネルギーの導入を進めようということで、その導入が進んでいるということですよね。脱炭素というのであれば、原発ではなくて再生可能エネルギーの導入を進めるべきだというふうに思うんです。
それで、先ほどお話の中で原発のコストのお話があったかというふうに思うんですね。このコストの問題は、国民の負担にもなるし将来世代の負担にもなっていくということで非常に重要だというふうに思うんです。それで、原発のコスト、そして再生可能エネルギーのコストについてもちょっと改めて教えていただきたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/88
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089・松久保肇
○参考人(松久保肇君) ありがとうございます。
原発のコストですけれども、既設と新設でちょっと分ける必要があるというふうに思います。
新設に関しては、もう既に国際的ないろんな調査が行われていますけれども、まあ勝負ありという状態になっているのは明らかなんですね。原子力は高い、再生可能エネルギーは安いという状況になっている。
一方で、例えばその系統を、再生可能エネルギー入れるためには系統に何か増強しなきゃいけないとか、あとはその変動性、再生可能エネルギーの多くは変動性なのでその変動性を対応しなきゃいけないということで、例えば、そういったものを考慮して統合コストという考え方なんかも導入されているんですけれども、でも、こういったものも余り過大評価するべきでないというふうな国際的な議論が行われているという状況だと思います。つまりは、再生可能エネルギーの方は安いと、既設に関してはですね、という状況です。
一方で、既設に関しては、状況によって安いものと高いものというものが出てくると思います、再生可能エネルギーと比較したときに。例えば、先ほどちょっと申し上げたかもしれないんですけれども、東京電力柏崎刈羽原発六、七号機の再稼働によってどれぐらい電気料金安くなるかというと、東京電力の試算だと九百億円というふうに表明されているんですね。これが一家庭当たりで、一世帯当たり大体どれぐらいになるかといったら、月当たり百二十二円という状況なんです。
一方で、原発の維持費にどれぐらい使っているかというと、七百円ぐらい使っているんですね、その原発を再稼働するのにどれぐらい使うかというとですね。七百円ぐらい使うということになります。つまりは、原発の維持費は異常に高くて、価格競争力はほぼほぼもうないと。つまり、再稼働した原発によっては、あるものもあれば、例えば長いこと再稼働できていない原発なんかはもう価格競争力はそもそも存在しないという状況になっているものもあるという状態だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/89
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090・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
続けて松久保参考人にお伺いをします。
原発の運転期間についてお聞きをしたいと思うんですけれども、先ほどお話をいただいた中に運転期間の制限は安全規制として導入をしたんだというお話がありました。この間、国会審議いろいろ続けてきているんですけれども、山中規制委員長は、運転期間のこの規定は安全規制ではないという答弁を衆議院でもそして参議院でもずっと繰り返しているんですね。
それで、運転期間が設けられた経過、そしてこの設けられたということの意味について、御存じのことがあれば教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/90
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091・松久保肇
○参考人(松久保肇君) ありがとうございます。
私もちろん政府にいたわけではないので、外から見ていたということになってしまうわけですけれども、そういった観点で見ていても、やっぱり、先ほどお示しした資料にあるとおりなんですけれども、運転期間規制は安全規制として導入された。
一方で、例えば米国の運転期間の規制に関しては競争政策上導入されたというふうに、アメリカの、何ですかね、運転期間規制に関する文書を読んでいるとそういうことが書いてあるわけですね。ただ、それって決まったのが一九五四年とかそれぐらいのレベルの話なんです。その当時、原発はもうずっと使えるんだという電力会社側と、あと、原発の運転期間はある程度決めておきたいという政府側の考えがあって、そのせめぎ合いの中で四十年とかという設定が行われたわけですね。
ただ一方で、その四十年という設定を行ったがために、機材の寿命、設計寿命を四十年というふうに設定して原発を造ったのも事実なんです。なので、競争政策上、例えばアメリカでは競争政策上そういう年数を決めたんだけれども、だからそれを前提として設計寿命を四十年で原発を造ったということも事実なんです。
つまりは、物事って何でもそうですけれども、機械ってその設計寿命を設定して建設するわけですね。そうすると、その設計寿命期間が来れば、バスタブカーブといって、寿命が末期に来れば来るほど機械の故障率が高くなっていくというのも、これもう理の当然な話なんですね。なので、やっぱり原発には寿命があるというのは、それもう科学的な知見だというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/91
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092・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
この運転期間に関わってもうちょっとお聞きしたいんですけれども、この法案の中では、原発を六十年超えても運転できるようにするということになるわけなんですけれども、この老朽原発の危険性ということについて教えていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/92
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093・松久保肇
○参考人(松久保肇君) ありがとうございます。
特に問題になってくるのは、原子炉の圧力容器の中性子照射脆化という問題です。これ、何が起きているかというと、原子炉の中で核分裂が起きるわけですね。そうすると、中性子がたくさん出てくるわけですけれども、これが原子炉の炉壁にぶつかって、金属なんですけれども、その金属にぶつかってその金属の分子的な構造を変えてしまうわけですね。劣化していけばいくほど、金属って元々粘り強い性質、ぱりんと割れない性質があるんですけれども、これがだんだんぱりんと割れる性質に変わっていく、中性子照射脆化ということなんですね、これが。
例えば、何かしらの原子炉で事故があって、原子炉を急速に冷却しなきゃいけないというときに冷却水を入れますよね。そうすると、その原子炉の中と外で温度差がすごく出てしまうわけですね、急冷するために。そうすると、場合によっては原子炉がぱりんと割れてしまうということになりかねないわけです。そうすると、冷却水入れても冷やすことができない、まあ漏れていくわけですから冷やすことができないという状況になってしまいかねないわけですね。それ、非常に危機的な状況だというふうに思います。
ほかにも、最近、高浜原発で明らかになったところですけれども、原発を造ったときに施工不良なんかがあって、ケーブルが、ケーブルの問題なんですけど、ケーブルがほかのケーブルに覆いかぶさってしまっていて、それがためにハンダ付けが緩んでしまって電気信号がうまく送れなくなって制御棒が入っちゃったというふうな問題があります。
これは、制御棒が入ったからまだよかったんですけれども、安全側の事故だったのでよかったんですけれども、危険側に、例えば制御棒を入れようと思っても入らないような問題だってあり得るかもしれない。そういった水平展開、きちんとできているのかどうか。
それ、施工時にそういう施工をしてしまったがためにそういう事故が起きたわけですけれども、ただ、それから四十年近くたってそれ分かっていなかったわけです。ずっとその施工状況がずっと続いていたわけですね。それが見付からなかった、四十年間、というのが非常に問題だと思うんですね。
原発の老朽化の評価というのは、原発が完璧に施工されたことを前提にして評価を行っています。ということは、でも、そういった完璧に施工されたということはまああり得ないわけですよね。何かしらの人為的なミスというのは当然あり得るわけで、そういった事故は、事象はきちんと評価できているのかというのはやっぱり非常に懸念されるところだというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/93
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094・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
その六十年超の運転に関わってちょっと更に聞きたいんですけれども、その六十年を超えて運転をするというその認可の申請について、そこで求める追加点検の考え方ということが規制委員会の中で了承されたということなんですけれども、その内容についてどんなふうに見ていらっしゃるか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/94
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095・松久保肇
○参考人(松久保肇君) ありがとうございます。
基本的には、これまでやってきたことと同じことをやりますよと言っているにすぎないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/95
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096・岩渕友
○岩渕友君 安全性の担保という点ではどんな、どのように御覧になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/96
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097・松久保肇
○参考人(松久保肇君) そうですね、やっぱりどんどん古くなっていけば古くなっていくほど、例えば設計が古くなっていくとか、そういったことだって当然あり得るわけですよね。福島第一原発事故なんかのときには、地下にディーゼルジェネレーターがあったことによって津波で問題になったということがありましたけれども、そういったあからさまな事象じゃなくても、どんどんどんどん古くなっていきますので、そうすると、新しい知見でこれ問題になるよねといったところが出てくるわけですね。
一応バックフィットというものはあるわけですけれども、ただ、それが厳密に活用されるかどうかというのはやっぱりその規制委員会の覚悟が問われているというふうに思うんですけれども、その辺り本当にどうなのかなということを先ほど来ちょっと申し上げているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/97
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098・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
時間になったので終わりたいと思うんですけれども、山地参考人と岩船参考人にはお尋ねできずに申し訳ありませんでした。本日は本当にありがとうございました。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/98
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099・平山佐知子
○平山佐知子君 平山佐知子です。
今日は、本当に三人のそれぞれのお立場からのお話をありがとうございました。
私は、気候変動問題とか温暖化防止、それから二〇五〇年カーボンニュートラルと、これを宣言した以上は、国を、みんな同じ方向を向いて進めていかなくてはいけないと思っていますし、そのためにもこの再エネは最大限導入していくためにもうみんなで努力をしていかなくてはならないと思っています。
ただ一方で、今日もお話しいただきましたけど、Sプラス3Eのバランスなどお話をいただきました。電力の安定供給、それから電気料金のことなどを考えますと、やはりこれ現実的に対応していくべきだと思っています。無理に進めることはあってはならないと思っています。
やっぱりこの今の社会を考えますと、子供から高齢者までスマホを使って、それから今話題のチャットGPTも電力を大変必要とするということも伺っていますし、これからますますこの電力が必要となる社会の中でこの安定供給を失っては、やはり暮らしも困ります、それから産業も困っていくということになりますので、あらゆるエネルギー源を否定することなく、様々イノベーションも、社会的にも技術的にもしっかりと起こしていって、それを総合的に考えていくべきだと私も思っております。山地参考人の以前いただいた資料にもそういうようなお話が書かれていまして、まさに共感をして読ませてもらった次第です。
その中で、ちょっとまずは山地参考人に伺わせていただきます。
先ほどからありますけれども、SMRの現状と将来の可能性についてもお話をいただきました。その以前読ませてもらった資料の中に、特にその軽水炉のSMRの将来の可能性、期待しているということで読ませてもらいましたけれども、その辺りについて、お考えとか、なぜそういうふうに思われるのかということを少しお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/99
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100・山地憲治
○参考人(山地憲治君) ありがとうございます。
SMRについては今までも何回か御質問もございました。
おっしゃるように、私、そうですね、SMRに、学術会議の雑誌かな、SMRの中でも軽水炉に期待しているって書いた記憶がございます。
その前提として、SMR、スモール・モジュラー・リアクターって言われるものはいろんな種類があるんですね。軽水炉もありますけれども、実はナトリウム冷却炉というのもあるし、溶融塩炉というのもあるし、高温ガス炉というのもあるんですけど、私が軽水炉のSMRを勧めたのは、これも先ほどどなたかの先生からの質問に答えたように、舶用炉ですね、船の原子炉として、そのSMRのサイズ、出力サイズに近いものが、既に実は発電用の原子炉、今は四百基ぐらい動いていると思うんですけど、舶用の原子炉も、動いているというよりも、造ったものでいうと二百から三百ぐらい造っているわけです。そのサイズというのは、数万キロワットから数十万キロワット、まあ二十万弱キロワットぐらいのもので、ちょうどSMRに合うサイズ。
これらは、初期のものは実は液体金属冷却のものもあったんですけれども、ほとんどが軽水炉冷却です。つまり、水冷却ですね、普通の水の冷却です。それも加圧水型です、ほとんどが。そういう意味で、経験があるということですね。そういう意味で、軽水炉型のSMRが一番リアリティーがあるんじゃないかというふうに申し上げているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/100
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101・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
それから、それに関連してといいますか、小型モジュール炉と水素の関連でちょっと伺いたいなと思っている、山地参考人に伺わせていただきたいんですけれども、その小型モジュール、まあ一番早いのは既設のものに付けてという、置いてというのが一番実効性というか現実性が早い段階でできるのかもしれませんけれども、将来的にその小型モジュール炉と併せてそれを利用しながら、その水素需要地に近いところで電解装置によるこの水素を製造する、この可能性についてはどんなものがお考えとしてあるのか、ちょっとその辺りも聞かせていただきたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/101
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102・山地憲治
○参考人(山地憲治君) 原子力を使って水素を製造する、これも我が国を含めていろいろ技術開発が進んでいるところで、ただ、実は研究開発というのはチャレンジを狙うものですから、我が国の場合ですと高温ガス炉という高温の熱が出るものを使って、熱分解ですね、熱分解で水素を作るということをやっていたんですけど、当然、原子炉ですから発電できるわけで、電気を使って電気分解するということもできるわけで、水を電気分解して水素を作るんであれば原子力でなくてもいいんですけど、CO2を出さずに水素ができるという意味では再生可能エネルギーと原子力だと思うんですが、そこに原子炉を使うとしたら別にSMRである必要は特にないというふうに私は考えます。
むしろ、サイズですかね、需要規模とか置くところとかということで、余り大型のものよりというふうにお考えかもしれませんけど、発電してしまったら電気としての利用の一部として水を電解して水素を作るということができますので、余りサイズのコンパティビリティーはないのかもしれない。ただ、非常に、その例えば電力系統が届かないようなへき地でエネルギーシステムをつくらなきゃいけないというときには、電気だけじゃ済まない部分を水素で賄うということはあり得るとは思いますけれど、日本のケースにはそれほどそういう状態は考えにくいかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/102
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103・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
続いて、岩船参考人に伺わせてもらいたいなと思っています。
先ほどから系統整備の問題、様々議論はありまして、私も今までお話伺ったような同じような考えがあって、もちろんこのマスタープランに示したような六兆、七兆掛けてしっかりと中長期的に見れば系統を整備増強していくというのは大変必要なことだと思っています。
その一方で、先ほどもありますように、地域の巡回型ですよね、例えばVPPとかPPAなどを介して地域で電力を循環させていくことということは、自立分散型のエネルギーシステム、これの構築であったり、自家消費型の太陽光発電と蓄電池を導入することがその地域の資源の活用であったり地域創生にもつながりますし、地域のレジリエンス強化の観点からも重要ではないかなという考えもあります。
それを同時に進めていくべきではないかとか、そのどちらかを重きを置くというよりもバランスだとは思っているんですけれども、その辺りのことについて、まだもしお考えがあれば聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/103
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104・岩船由美子
○参考人(岩船由美子君) 御質問ありがとうございます。
そうですね、地域の話をすると、自立循環というのは必ずセットで議論されることは多いんですけれども、ただ電力に関して言うと、正直言うと、広域で運用する方が経済的にいいというのはもう明らかだと私は思います。なので、太陽光発電たくさん置ける場所がある自治体は、そこでもう都会にそれを売ってもうかるでも、私は正直言っていいと思っています。わざわざ閉じようとすると、電池等の貯蔵設備がたくさん必要になって、それはそれで高く付くエネルギーシステムになってしまうわけで、そこはやっぱり留意しなくてはいけないと思います。
で、そうですね、やっぱり高くなるというのが一番大きい問題だと思いますし、何といいますかね、ただ、熱をうまく使うというようなシステムであればやっぱり地域性はありますので、そこはやっぱりミックスして考えていく必要があると思います。
で、レジリエンスの問題は必ず言われるんですけれども、私は、だからってレジリエンスで全部のエリアを賄う必要はないんじゃないかと。災害の頻度等を考えると、ある程度、例えば家にPVを置ける人はEVとかを活用できるような仕組みはいいと思いますし、自治体にしても、公共用の施設に公共用の車をEV化して太陽光発電を置いておけば、その建物にさえ来れば一定の電力供給は受けられると、そのぐらいの仕組みにしておく方が、そのレジリエンスもやればやるほどお金は掛かりますので、費用対効果的にはその建物がうまく機能するというのが理想ではないかと思います。
もう一つ言うと、常時はその公共用の車を市場価格見ながらうまく、電池をうまく使っておいて、アービトラージといいますか、安いときに買って高いときに放電するみたいな仕組みも入れておいて、非常時はその住民のために活用できる、そういった仕組みを、たくさん拠点を増やしていくことで、私は無駄な配電線とか引く必要もなくて実現できるのではないかと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/104
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105・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
その系統整備に関して、ちょっと先ほどこれをもう一度読んでいたところ、山地参考人のところに、直流海底ケーブルなどの技術開発が展開されて海外との電力系統連系などに発展していく可能性もというふうに書いてあったんですけれども、こういう、実現可能として、その海外との系統連系というのも考えられることなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/105
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106・山地憲治
○参考人(山地憲治君) そういうことを書いた記憶が今よみがえってまいりましたけれども、日本でも、海底直流で連系しているところは北海道とか本州、それから四国と紀伊半島とか幾つかあるんですけど、要するに、もう海底で大電力を送ろうとすると直流じゃないと駄目。だけど、これ国内に限られている。長距離の海底直流送電というのはなかったんですが、今回、マスタープランの中に、北海道から本州へ、東京とかですね、非常に長距離の海底の直流送電を考えている。そうなると、朝鮮半島であるとか、あるいはサハリンであるとか、そういうところと連系できます。
日本のやっぱり電力システムの運用の難しいところは、孤立しているというところなんですよね。もちろん朝鮮半島の場合にはその間にもちょっと難しい国がありますけれども、電力は、先ほど岩船さんが言ったように、広域で連系していくと調整がよりやりやすくなる。しかも、直流で連系していると交流の同期を取らなくていいという便利なこともあるので。ただ、もちろん、国と国との関係があるのでリスクはある。だけども、将来的にはアジアと日本の電力系統がつながる可能性があるなと思って、ちょっと夢という気持ちを込めて書きました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/106
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107・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
やっぱり日本は孤立、海に囲まれているというところで、なかなか外から持ってくることが難しいという状況の中で読ませてもらったので、私も、あっ、そういうことも可能なのかなと、ちょっと勉強というか頭の片隅にもしっかり置かせていただいてこれからの将来考えていきたいなと思っています。
それから、先ほど、あっ、ごめんなさい、行ったり来たりで、岩船参考人に、ちょっと書かれているところで伺いたいんですけれども、このスマートメーターなどの情報の徹底活用、データの共有化ということがカーボンニュートラル実現のために効率化につながっていくというふうに書かれています。この辺りについて、もう少し詳しく伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/107
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108・岩船由美子
○参考人(岩船由美子君) 御質問ありがとうございます。
これは、例えば先ほどお話に出た自治体での活用などにも使える分野だと思っております。そもそも、今エネルギーがどんなふうにそのエリアで使われているかという情報自体が余り分からないわけですね。ですけれども、スマートメーターさえあれば、電気に関しては全部の需要家に付いているわけですから、本来それが適切に集められれば、それこそ時間帯ごとの挙動も分かるわけです。そこで、例えば、あとは、そのEVの普及状態ですとか、蓄電池の普及状態とか、あとはPVの普及状態みたいなものと照らし合わせると、で、どういうところをもう少し強化していけばいいみたいな政策立案にも使えるのではないかと思っています。
もう一つは、エネルギー診断的な役割だと思っております。我々の研究室でもやっているんですけれども、そのスマートメーターの情報というのは時間ごとの解像度がありますので、そこの家のベースの電力消費量がどのぐらいかとかも分かるわけですね。
ただ、今は、実はその自分のデータすら、自分のデータを電力会社に問い合わせて、そのスマートメーターのデータくださいと言っても、実はもらえないような状況になっているんですね。とてもそこは残念なんですけれども。
ところが、例えばアメリカ等ではグリーンボタンというのがありまして、各電力会社の情報、その電力データ、ガスもあるんですけれども、の出し方というか、情報の整理の仕方が統一されていて、自分のデータであればそこをダウンロードできる。あとは、自分が委任状を出した事業者もそれをダウンロードできるみたいな仕組みが実はあって、そういうものを、本来、日本はせっかくスマートメーター付けるんだから普及させてほしいなと思ったんですけれども。
今はやはり、消費者団体さん等で、やはりスマートメーターのデータというのはすごく個人情報だから、やっぱり余り下手な事業者には出してほしくないという意向がちょっと強過ぎて、そこ、かなり大きなバリアになっていますので、もう一回そこを議論を深めて、もう少し使いやすいような仕組みにしていただけないかというのはあちこちでお願いしているような状況です。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/108
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109・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
確かに、スマートメーターを自分で確認するという意識がこれまでなかったので、そういう非常に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
済みません、時間が来てしまいまして、松久保参考人、ありがとうございました。
ここまでで終わらせていただきます。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/109
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110・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
参考人の皆様におかれましては、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
この際、先般本委員会が行いました視察につきまして、視察委員の報告を聴取いたします。田島麻衣子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/110
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111・田島麻衣子
○田島麻衣子君 去る五月十八日に当委員会が行いました視察について、その概要を御報告申し上げます。
視察委員は、吉川沙織委員長、石井正弘理事、青山繁晴理事、中田宏理事、石井章理事、越智俊之委員、太田房江委員、小林一大委員、長峯誠委員、松村祥史委員、村田享子委員、石川博崇委員、礒崎哲史委員、岩渕友委員、平山佐知子委員及び私、田島麻衣子の十六名であり、茨城県の日本原子力発電株式会社東海発電所及び東海第二発電所において、脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案の審査に資するための視察を行いました。
視察では、まず、一九六六年に我が国初の商用原子炉として営業運転を開始し、一九九八年に営業運転を終了した東海発電所の廃止措置の状況、及び、我が国初の出力百万キロワットを超える大型原子力発電所として一九七八年に営業運転を開始し、二〇一八年九月に新規制基準に対応した原子炉設置変更許可を、同年十月に工事計画認可を、また、同年十一月に最長六十年の運転期間延長認可をそれぞれ取得した東海第二発電所の安全性向上対策の状況について、概要説明を聴取しました。
また、東海第二発電所の原子炉建屋内においてケーブル火災防止対策の状況や使用済燃料プールなどを視察した後、安全性向上対策として進められている防潮堤、緊急用海水ポンプピット、常設代替高圧電源装置置場等の建設工事の現場を視察しました。
それとともに、海水ポンプの東日本大震災時の状況、難燃ケーブルへの取替えなど内部火災への対応、ケーブル等の経年劣化対策、建設に使用されるセメントの状況、流下注水についての考え方、協力会社及び現場作業員の現況と人手確保への対応、クリアランス対象物の利用・保管状況、原子力規制委員会による今後の対応、原子力発電所に対するテロ対策の強化の重要性等について、質疑応答、意見交換を行いました。
以上が視察の概要であります。
最後に、今回、法案審査のため有意義な視察を実施できたことに関しまして、御多忙の中、日本原子力発電株式会社の村松衛取締役社長を始め御協力をいただいた方々に対し、厚く御礼を申し上げまして、報告を終わります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/111
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112・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 以上で視察委員の報告は終了いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/112
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113・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案について、内閣委員会からの連合審査会開会の申入れを受諾することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/113
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114・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/114
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115・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/115
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116・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 次に、連合審査会における政府参考人の出席要求に関する件及び参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案審査のための連合審査会に政府参考人及び参考人の出席要求があった場合には、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/116
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117・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01120230525/117
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