1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年六月六日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
六月六日
辞任 補欠選任
森本 真治君 水野 素子君
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出席者は左のとおり。
委員長 吉川 沙織君
理 事
青山 繁晴君
石井 正弘君
中田 宏君
田島麻衣子君
石井 章君
委 員
越智 俊之君
太田 房江君
片山さつき君
北村 経夫君
小林 一大君
長峯 誠君
松村 祥史君
水野 素子君
村田 享子君
森本 真治君
石川 博崇君
里見 隆治君
猪瀬 直樹君
礒崎 哲史君
岩渕 友君
平山佐知子君
国務大臣
経済産業大臣 西村 康稔君
事務局側
常任委員会専門
員 山口 秀樹君
政府参考人
内閣府知的財産
戦略推進事務局
次長 澤川 和宏君
法務省大臣官房
審議官 保坂 和人君
文化庁審議官 中原 裕彦君
経済産業省大臣
官房サイバーセ
キュリティ・情
報化審議官 上村 昌博君
経済産業省大臣
官房技術総括・
保安審議官 辻本 圭助君
経済産業省大臣
官房審議官 蓮井 智哉君
経済産業省経済
産業政策局長 飯田 祐二君
特許庁長官 濱野 幸一君
特許庁総務部長 清水 幹治君
特許庁審査業務
部長 野村 栄悟君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○不正競争防止法等の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/0
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001・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
不正競争防止法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府知的財産戦略推進事務局次長澤川和宏君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/1
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002・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/2
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003・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 不正競争防止法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/3
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004・小林一大
○小林一大君 自民党の小林一大でございます。
それでは、議題となっています不正競争防止法等の一部を改正する法律案について、法改正ではデジタル化、国際化に対して知財制度を見直すということでありますけれども、質問をさせていただきたいと思います。
デザイナー等クリエーティブな業界のニーズに応えるべく商標の登録要件の緩和、また、メタバースなどデジタル空間での新しい経済取引が活発化している中で、他人の商品の形態を模倣して販売、商売するような行為をメタバースのようなデジタル空間でも規制対象とするなど、デザイン、ブランド等の保護の強化を行うに加えて、特許庁等の知的財産手続のデジタル化、そしてまた、外国公務員の贈賄に対する罰則の強化拡充を行うなど、まさに時代の要請に対応した法改正だと認識をしておりますけれども、まず初めに、今回の知財一括法の改正の狙いを改めて大臣にお伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/4
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005・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) おはようございます。よろしくお願いします。
委員御指摘のとおり、産業構造の変化に伴いまして、付加価値の源泉が物からサービス、さらには無形資産へと大きく移り変わってきております。そうした中で、知的財産の重要性がますます高まってきているということであります。
現在、日本のサービス収支で見てみますと、この知的財産等使用料の国際収支は世界で三番目の黒字国でありますけれども、まあアメリカが九兆円、ドイツが四兆円という中で日本は二兆円でありますので、増加をしてきておりますし黒字ではありますけれども、アメリカやドイツに比べるとまだ少なく、知的財産の一層の活用を促していくことが重要だというふうに考えております。
また、御指摘がありましたように、AIやメタバースなど新たな技術が登場し、それらの活用も含めて経済活動がグローバル化をしてきているという中で、知的財産制度もそうした時代の変化に対応したものとしていかなければならないということであります。そうした背景を踏まえまして、今回の不正競争防止法等の改正では、デジタル化や国際化の更なる進展など、時代の要請に対応して知的財産制度を一体的に見直すものであります。
具体的にポイントだけ申し上げますと、メタバースなどデジタル空間での新たな経済取引が活発化している中で、デジタル空間における模倣行為を防止する、そのための制度整備、さらに、スタートアップなど事業活動が多様化している中で、登録可能な商標の拡充や意匠登録手続の簡素化などを行って、知財を有効に活用した新規事業展開を後押ししていくこと、また、知的財産手続のデジタル化や外国公務員贈賄に対する罰則の強化拡充などの制度整備も併せて行うことにしております。
今回の法改正によりまして、クリエーター、デザイナー、スタートアップなど、知的財産制度を大いに活用いただいて、この知財戦略を持ちながら経営をしっかりと前に進めていただくということを期待をしております。そして、こうした取組全体を通じて、無形資産への投資の拡大、そしてイノベーションの促進、こうしたことを強力に推し進め、日本の成長につなげていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/5
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006・小林一大
○小林一大君 ありがとうございました。法改正の趣旨について改めて理解をさせていただきました。
今のお話にもあったとおり、法改正では、スタートアップ等の事業活動の多様化に対応してブランド、デザイン等の保護を強化するということを狙いにしているというふうに承知しています。
ブランドの保護強化に関して、商標制度の見直しについてまずはお伺いをさせていただきたいと思いますが、いわゆるコンセント制度を導入することにしているというふうに承知をしております。
既に登録されている商標権の権利者が同意すれば、後から類似する商標を出願する事業者も商標権が取れるとのことですけれども、このコンセント制度はスタートアップ等のビジネス展開をどのように後押しすることになるのか伺いたいということと、加えて、事業者にとって、コンセント制度を活用して類似する商標であっても活用したいというような場合はどのようなビジネスの場面で起きるかなど、導入のニーズについてまずは伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/6
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007・野村栄悟
○政府参考人(野村栄悟君) お答え申し上げます。
ある商品やサービスについて、需要者、消費者に訴求力を持つ商標は必ずしも無尽蔵ではないため、商品やサービスについて消費者に訴求できる商標を検討すると似通ってしまうという状況がございます。このため、様々な業界から、先に出願し登録された商標の権利者による同意、すなわちコンセントがあれば後から出願された類似する商標であっても登録を認めるコンセント制度の導入が求められているところでございます。
例えば、コンピューターソフトウエアに関しては、近年、商標出願が増加傾向にあり、同じコンピューターソフトウエアといってもゲーム用、医療用、人事管理用など、用途が異なる商品が販売されておりますところ、消費者に受け入れられる商標の文字列等には限りがあることから、ヒアリング等においてコンピューターソフトウエアを取り扱う事業者から強い制度導入の要請がございました。他方で、先に商標権を取得している権利者にとりましても、使用する場面が異なり混同を生じない場合には、類似する登録商標の併存を認めたとしてもビジネス上の不利益は考えにくいため、コンセント、すなわち同意を与えることも十分にあると考えられるところでございます。
このように、消費者から受け入れられる文字列等には限りがありますため、後から出願する者は既に商標登録されている似たような商標があっても用途など使用する場面を分けた上で登録するニーズが想定され、新規に事業展開を行う中小企業、スタートアップ等の商標選択の幅を広げる観点から制度を導入したいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/7
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008・小林一大
○小林一大君 ありがとうございます。
後から商標を出すスタートアップや中小企業、こうした会社が取得できる商標の選択肢や消費者に訴求する商標の選択肢が広がるという意味でいい方向性だと思いますが、このコンセント制度を利用する際には、後から出願する事業者は先に商標権を取得している権利者から同意を取得する必要もあります。これは民民の交渉になると思っていますけれども、権利者にとっては後から商標を出願する者の商標登録を許容するインセンティブがあるのかとも疑問に思います。
そうした中、例えば、後から商標を出願する者が権利者からコンセントを得るときに金銭の支払が求められてしまうのかなど、この同意がどうやった条件の下で行われるかどうかは、コンセント制度の利用を考えるときに極めて重要だというふうに考えます。
そこで、コンセント制度において、権利者が出願者にコンセントを与えるときには金銭の支払を条件とするのか、またほかにどのような条件が付されると考えるのか、お伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/8
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009・野村栄悟
○政府参考人(野村栄悟君) お答え申し上げます。
コンセント制度において、権利者が出願人にコンセント、すなわち同意を与える際に両者の間で締結される契約における条件には様々なケースが考えられるところでございます。
御指摘ございましたように、金銭の支払を条件とする場合もありますけれども、金銭の支払を伴わずに、例えば商標を使用する場面を分けて混同を生じないようにすること、あるいは、権利者が将来的に反対の立場になった際、具体的には自身が新たな商標を出願した際に、相手方の登録商標が存在する場合にコンセントを与えてもらうこと、又は、商標の登録を受けているが不使用の場合に商標の不使用取消し審判を請求しないことなどの条件で同意することも考えられるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/9
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010・小林一大
○小林一大君 コンセント制度の今お話いただきましたけど、お話にあったような事業者のニーズに応えて導入されるとのことですが、類似する商標が登録されている場合に、それがコンセント制度により登録されたものなのか、一方でほかの事業者や消費者にとって分かりにくくなるおそれもあると思います。
諸外国ではコンセント制度が導入されているという説明も以前伺ったことあるんですけれども、コンセント制度により登録された商標であるかどうか、諸外国ではどのように情報提供しているのかを参考にして、日本においてもそのような公示する仕組みが必要ではないかというふうに思います。コンセント制度によって登録された商標を公示する仕組みについてどのようにお考えか、お伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/10
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011・野村栄悟
○政府参考人(野村栄悟君) お答え申し上げます。
既にコンセント制度を導入している諸外国においては、公報、登録簿、商標検索ツール上でコンセント制度により登録された商標であることが特定できるよう措置されている例があると承知をしております。
我が国におきましては、ユーザーからの御要望などを踏まえ、登録後に発行される商標公報及び商標等の検索ツールとして利用されております無料のデータベース、J―PlatPatにおいて公示を行うことを想定しているところでございます。具体的には、商標公報及びJ―PlatPatにおきまして、御指摘ございましたように、コンセント制度が適用され登録となった商標であることがユーザーに分かるよう公示を行っていく予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/11
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012・小林一大
○小林一大君 ありがとうございます。
もう一つの改正の一つの大きな柱として、他人の氏名を含む商標を登録しやすくする改正も行うものと承知をしております。近年、裁判例が厳格になったことに伴って氏名を含む商標の登録が難しくなったことが背景にあると承知をしていますけれども、この氏名を含む商標に関する改正についても、まず改正が必要とされた背景についてお伺いをさせていただきます。
どのようなニーズがあって、氏名を含む商標に関してどのような商標の登録が認められなかったのか、改正の必要についてお伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/12
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013・野村栄悟
○政府参考人(野村栄悟君) お答え申し上げます。
例えば、ファッション業界などにおきましては、デザイナーなどの氏名をブランド名として採用することが多いところ、氏名を含む商標権を取得するニーズが存在しております。しかし、現行の商標法の規定上、構成中に他人の氏名を含む商標は、当該他人の承諾がない限り商標登録を受けることができないこととなっております。
この趣旨は他人の人格権の保護にありますが、近時の裁判例におきましては、本規定が厳格に解釈された結果、人格権侵害の蓋然性の高低、例えば、他人の氏名の知名度の有無などは考慮されず、商標の構成中に他人の氏名を含むかどうかのみで判断されているところでございます。このため、特許庁の審査、審判でも同様に厳格な判断がなされている状況でございます。その結果、例えば、片仮名でヨウジヤマモト、あるいはアルファベットでTAKEO KIKUCHIといった形でデザイナーの氏名のブランド名を商標として出願しましても、同姓同名の他人の御承諾がない限り、当該商標の登録が認められないという事態が生じているところでございます。
そこで、本改正案では、自己の名前で事業活動を行う者などがその名前を商標として利用できるよう、氏名を含む商標の登録に際して承諾を得ることが必要な他人の氏名には知名度の要件を課すこととしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/13
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014・小林一大
○小林一大君 今、具体的な事例の紹介もありましたけれども、確かにデザイナーやクリエーターにとっては氏名を含む商標権を取得するニーズというのは高いように思います。
今、知名度というお話いただきましたけれども、今回の改正では、氏名を含む商標について、知名度のない同姓同名の他人からは承諾を得なくてもよいということにして、氏名を含む商標を登録しやすくするものと承知をしています。
この知名度、どのように判断されるのかがポイントとなってくると思うんですけれども、特許庁においては氏名を含む商標の出願があったときに他人の氏名の知名度の有無を判断するということでございますけれども、どのように判断をするのか、お伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/14
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015・野村栄悟
○政府参考人(野村栄悟君) お答え申し上げます。
今回の改正案では、氏名を含む商標の登録に際して承諾を得ることが必要な他人の氏名には知名度の要件を課すこととしており、出願された商標の商品分野の需要者、消費者の間に広く認識されている、いわゆる周知か否かを要件とすることとしているところでございます。この知名度の要件の具体的な内容や判断の運用につきましては、第一に、現行の商標法における既存の著名の審査例や裁判例の判断枠組みや、第二に、諸外国においての類似の制度における知名度の要件の運用状況を参考に審議会において議論し、審査基準を策定していくこととしております。
その上で、例えば、周知の程度の審査は、新聞、雑誌、インターネット記事などを参照し、取り上げられている分野、媒体の影響範囲、注目されている期間などを総合考慮しまして判断していくことを想定しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/15
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016・小林一大
○小林一大君 ありがとうございました。
続いて、デザインの保護強化に関して伺いたいと思いますが、今回の改正で、冒頭の改正の趣旨の御説明の中でも触れられていましたけど、デザイナーやクリエーターの皆さんがSNS等でデザインを公開してマーケットの感触を探ってから意匠権を取得する場合の負担を軽減する改正が盛り込まれています。
現行の意匠法では、出願前に何度か意匠を公開した場合は、その全てについて網羅的に証明書を提出しないと、新しいデザインではないということになって登録が認められないというふうにお聞きしました。最近では、一方で、デザイナーやクリエーターがSNSなどを利用する場面が増えていると思いますので、今回の改正で思い切って最初の日の公開のみ提出を、証明書を提出すればよいという形で負担を軽減することは、スタートアップや中小企業の皆様から歓迎される改正だと思います。
一方で、最初の公開について引き続き証明書を提出する必要があるということですから、例えば思い切って証明書の提出を求めないということは検討できないのかとも思います。要件緩和はこれで十分なのか、もっと緩和してほしいというニーズはないのか、お伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/16
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017・清水幹治
○政府参考人(清水幹治君) お答え申し上げます。
現行法では、意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるためには、ウェブサイトへの意匠の掲載など、出願前に意匠を公開した全ての行為につきまして網羅的に証明書を提出していただく必要がございます。
他方で、SNS等による公開の機会の増加など、近年のビジネス環境の変化に伴い網羅的な証明書の作成が出願人の負担となっており、例えば、中小企業が意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるために、新聞報道、SNS、自社ホームページ、クラウドファンディングサイト、物販イベントへの出展など、計四十一回の全ての公開行為について証明書を提出していただいた例などがございます。
今回の改正は、このような同一又は類似の意匠を自ら出願よりも前に公開する行為が複数あったときも、最も早い公開日における公開行為について証明書を提出すれば例外規定の適用を受けられることとし、証明書の作成負担を大幅に軽減するものとなっております。
御指摘いただきましたような証明書の提出を不要にするなどの更なる緩和を求める意見もユーザーからはございました。しかしながら、証明書は意匠登録後に第三者が閲覧可能となり、例外規定が適用された意匠の範囲を第三者に示す役割がありますところ、仮に証明書の提出を不要といたしますと、登録意匠について例外規定の適用の有無が分からず、無効審判を請求しようとする第三者の予見可能性を損なうおそれがございます。
このため、今回の、最も早い公開日の公開行為について証明書の提出を課すといたしました改正は、第三者の予見可能性の確保と出願人の手続の負担軽減というニーズへの対応を両立する観点から、最大限の要件緩和を行うものとなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/17
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018・小林一大
○小林一大君 ありがとうございます。バランス考えた最大限の手続負担の軽減というふうに承知をいたしました。
ただ、この負担軽減も、ユーザーがその内容をしっかり理解して活用できなければ意味がないというふうに思います。意匠権の制度を必ずしも十分に御存じではないデザイナーやクリエーターの方もいらっしゃるのではないかと思います。ユーザーへの制度の周知が非常に重要になってくると思いますけれども、この例外規定が適用される範囲や手続についてユーザーにどのように周知徹底をしていくのか、お伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/18
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019・清水幹治
○政府参考人(清水幹治君) お答え申し上げます。
委員の御指摘のとおり、改正内容の周知が重要でありまして、特許庁といたしましては、これまでの意匠制度ユーザーだけではなく、デザイナーやクリエーターを含め、これまで意匠制度を用いる機会が余りなかった方に対しても周知活動を徹底して取り組んでまいります。
具体的に少し申し上げますと、複数のSNSで何度も公開したときでありますとか、クラウドファンディングで公開したデザインへの意見を受けて何度か改良をしたような場合にどの公開行為を証明すれば足りるのかなど、手続の際に間違いが生じやすいケースや迷いやすいケースにおける判断のポイントについて分かりやすく示すQアンドA集を作成する予定としております。
また、これらの内容につきまして、全国各地のユーザーに向けた説明会を開催して丁寧に説明をいたしますとともに、e―ラーニング教材をインターネットで提供するなどいたしまして、広く周知を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/19
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020・小林一大
○小林一大君 周知徹底、よろしくお願いします。
続きまして、不正競争防止法の改正内容について伺います。
現行の不正競争防止法は、他人の商品の形態を模倣した商品を、類似している行為を形態模倣提供行為という不正競争行為として規制していますけれども、これは、意匠権や著作権などのほかの知的財産権では保護されないような、流行が早くて創作性も認められないようなファッション等の実用的で量産される商品にも保護を与えている重要な規制だというふうに理解しています。
他方で、現行では、形態模倣提供行為に対する保護は有体物、すなわちリアルに存在する商品に限って与えられるとされています。今回の改正は、この保護を無体物、すなわちデジタル空間上における商品に与えられるよう対象を拡充するものであって、メタバースなどのデジタル空間上で小物を売買するような新たなビジネスモデルなど、デジタル化という、事業環境という時代変化を踏まえた改正であると承知していますけれども、事業者からのニーズ、どのようなものがあったのか、今回の改正はそのニーズを踏まえた改正になっているのか、最初にお伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/20
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021・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) 御指摘いただきましたとおり、近年、メタバース上でアバターに着せる服や小物など、デジタル空間での利用を前提とした商品が登場してきてまいります。これに伴いまして、リアルの衣服等を販売している事業者からは、リアルの世界でも模倣されるケースが多数あるため、リアルの商品がデジタル空間で模倣される事案が増えるとの懸念があるといった指摘、また、デジタル空間上でアバターに着せる衣服等を販売する事業者からは、デジタルの商品は有体物よりも形態を模倣しやすく、デジタルの商品をデジタル空間上で模倣してもうけようという行為が増加するのではないかという懸念があるといった指摘がなされていると承知しております。
今回の改正では、他人の商品形態を模倣した商品の提供行為につきまして、電気通信回線を通じて提供する行為を追加することによりまして、リアルの商品形態をデジタル空間上で模倣して提供する行為、デジタルの商品の形態をデジタル空間上で模倣して提供する行為等が新たにその規制対象になり、事業者からのニーズを踏まえたものになっていると考えております。
今回の改正につきまして、デジタル空間上でアバターに着せる衣服等を販売するデザイナーの方からは、模倣品の流通を妨げるようになり、ファッションデザイナーの活躍できる場が広がるといった歓迎の声も上がっているところでございます。
このように、本改正により、デジタル空間における事業展開も含め、デザイナーやクリエーターの方々の創作活動にも貢献できるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/21
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022・小林一大
○小林一大君 ありがとうございます。
メタバース等の進展によってデジタル空間上で模倣品が販売されることなどへの懸念に対応するものであって、事業者からも歓迎される声を踏まえての改正だということであります。
クリエーターやデザイナー等のデジタル上の創作活動が保護されることになるということで、いい方向だと思いますが、一方で、規制が強化されるということは、従来自由に行うことができた活動の一部が制限されるということだとも思います。メタバース等による新たなビジネスの発展を阻害することなく、むしろそうしたビジネスを後押ししていくためには、クリエーターやデザイナー等の活動が不用意に制限されることがあってはいけません。
当然、政府においてもそうした点に配慮した上での改正だというふうに承知をしておりますけれども、デジタルでの商品の形態模倣提供行為が規制されることが別のクリエーター等の創作活動を阻害することにはならないのか、お伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/22
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023・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
現行の不正競争防止法で規制対象にしております有体物の形態模倣品の提供行為につきましては平成五年の法改正により措置いたしましたが、その際にも、今御指摘いただきました点と同様に、創作活動を阻害することになるのではないかといった懸念もいただいておりました。
こうした指摘も踏まえまして、形態模倣品の提供行為を不正競争と位置付けるに際しましては、商品形態を模倣すること、すなわち他人の商品の形態に依拠して、他人の商品の形態と実質的に同一の商品を作り出して提供するいわゆるデッドコピー品に限って規制対象といたしました。また、事業活動への影響を考慮いたしまして、形態模倣品の提供行為に対する差止め請求等の対象になるのは商品が販売されてから三年以内の商品と限定し、販売後三年を経過した商品の形態模倣品の提供行為は措置の対象とならないということにいたしました。
このように、形態模倣品の提供行為を不正競争と位置付けるに際しまして、クリエーター等の創作活動への影響も考慮した必要最小限の規制としているところでございまして、現実にも、こうした事業者からは、この規制が創作活動を阻害しているという指摘はいただいてないところでございます。
今回の法改正によりまして、有体物から、デジタル空間における形態模倣品の提供行為も不正競争と位置付けることにいたしておりますけれども、その際、先ほど申し上げた現行の形態模倣行為における判断の枠組みは、デジタル空間における形態模倣にも同様に適用されるというふうに考えております。
産業構造審議会不正競争防止小委員会におきましても、クリエーター等の創作活動にも配慮した上で、改正に賛同するという方向が示されたところでございます。また、デザイナーや業界の関係者からも、むしろこうしたデジタル空間における形態模倣品の提供行為に対する規制を歓迎するという声もいただいております。
今後、このような考え方につきまして、クリエーターの方々の認識、理解を深めるために、ファッション関係の業界団体などを始めとする関係機関とも連携しながら、今回の法改正を機に、積極的にセミナーなどを現地で行うなど、制度の周知徹底にも努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/23
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024・小林一大
○小林一大君 ありがとうございます。
今回の規制、酷似した物まね品を販売等する場合に限られたものであり、保護される期間についても今ほど御説明いただきました。販売開始から三年間ということであります。メタバース等のデジタル空間上での新たなビジネスを発展させるクリエーター等の創作活動は阻害するものではないというふうに理解をさせていただきます。
次に、営業秘密の使用等の推定規定の拡充についてお伺いをさせていただきますが、営業秘密が盗まれ、それが不正に使用されたとしても、不正使用されていることを裁判で立証するためには証拠が必要であり、通常は、原告、すなわち営業秘密を盗まれた者がその証拠を提出する必要があります。しかし、そうした証拠は、被告、すなわち営業秘密を盗んだと疑われる者が保有をしていることが多くて、例えば営業秘密を盗んだと疑われる者が管理する工場の内部に存在していることが多いというふうにされます。このため、立証が困難だというふうに言われます。
平成二十七年の改正によって、被告に営業秘密が盗まれたことと、盗まれた営業秘密を使用すれば生産できる製品を被告が生産していることの二点を立証すれば、盗まれた営業秘密を被告が不正使用していることを推定をして、不正使用されていること自体を立証する必要はないとする、いわゆる使用等の推定規定が創設されたというふうに承知をしていますが、その対象は、現行では産業スパイなど、元々営業秘密にアクセス権限のなかった者に限定されていました。今回の改正によって、元従業員など、元々営業秘密にアクセス権限があった者にも対象を拡充することとしています。そうした対象拡充は、営業秘密保有者にとっては営業秘密の不正使用に関して立証負担が軽減されるというメリットがある一方で、元従業員、転職者受入れ企業にとっては不正使用していないことの立証責任を負うことも考えられます。
近年、副業や転職が活発になって労働移転しやすい環境が整ってきている中で、使用等の推定規定の適用対象が今回の法改正のように拡充されることによって円滑な労働移転を阻害することにはならないのかという懸念もあるかと思いますが、どのように対応するのか、お伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/24
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025・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) お答え申し上げます。
産業構造審議会の不正競争防止小委員会における議論におきましても、この使用等の推定規定の適用対象の拡充に賛成する御意見があった一方で、御指摘のあったとおり、従業員の転職や独立、業務遂行を萎縮させるなどの制約が生じるのではないかとの懸念も示されたところでございまして、適用対象を転職者や転職者を受け入れる企業へ拡充するに当たっては、適切な限定を設けることを前提に改正することが適切であるとされたところでございます。
こうした議論を踏まえまして、今回の改正案では、現行法の使用等の推定の対象が、いわゆる産業スパイなど、営業秘密にアクセス権限のない者などの悪質性が高いと認められる行為に限定されているのと同様に、悪質性が高いと認められる場合に限って転職者等にも対象を拡充することとしているところでございます。
具体的には、元従業員などの営業秘密へのアクセス権限自体はあった方が、その拡充につきましてはですね、営業秘密が記録された媒体などを許可なく複製した場合などに限って適用対象とする、また、不正な経緯を知らずに取得したんですが、その後で不正な経緯を知った方への拡充につきましては、警告書などがその前の職場から届いたりして不正な経緯を事後的に知ったにもかかわらず、営業秘密が記録された媒体等を消去や廃棄もせずに保持している場合などに限って適用対象としているところでございます。
このような適用対象の限定に加えまして、中小企業を含めた多くの企業の法令に対する理解を深める、それから従業員の転職、独立や業務遂行を萎縮させる等の悪影響が生じることがないよう、引き続き、経済団体、中小企業団体などの関係機関とも連携しながら、今回の法改正を機に積極的なセミナー等々を各地で行うなど、制度の周知に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/25
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026・小林一大
○小林一大君 ありがとうございます。
とはいえ、なかなか分かりづらいところも多くあると思うので、今ほどもお話しいただきましたけれども、セミナーなどを通じて制度の周知徹底を行うことによって、円滑な労働移転を阻害することにならないよう対処することをお願い申し上げたいと思います。
次に、損害賠償算定規定の拡充について伺わさせていただきます。
営業秘密侵害等の損害額を立証することが困難であることから、現行法では、損害額を営業秘密侵害品の販売数量に営業秘密保有者の一個当たりの利益額を掛け合わせて算出する損害賠償額算定規定が設けられていると説明をいただきました。しかしながら、現行法では、営業秘密保有者の生産、販売能力超過分は損害額として認められなかったと承知をしています。
今回の改正によって、生産、販売能力超過分については、侵害者にライセンスしたものとみなして、そのライセンス料相当額も損害賠償額として増額請求できるよう規定が拡充されたと理解しておりますけれども、事業者のニーズはどのようなものがあったのか、今回の改正はそのニーズを踏まえた改正になっているのか、お伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/26
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027・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
御指摘いただきましたとおり、現行法におきましては、営業秘密を侵害された場合の損害額の算定規定におきましては、侵害者が販売した数量に被侵害者の一個当たりの利益の額を乗じて得た額を被侵害者が受けた損害の額とすることができるというふうにしておりますけれども、この損害の額は、この規定を用いて損害額を算定する場合には、被侵害者の生産や販売等の能力に応じた額を超えない限度というふうにされてございます。
このため、被侵害者の販売等の能力に応じた額を超える分の損害を請求したとしても認められないことになっておりまして、例えば、中小企業の営業秘密を侵害した規模の大きな企業が大量に侵害品を販売している場合であっても、営業秘密を侵害された中小企業は、自らの販売等の能力を超えない限度でしか損害を請求しても認められないという状況でございました。
この点に関しまして、産業構造審議会不正競争防止小委員会において、産業界からは、生産能力等を超える損害部分に相当するライセンス料相当額を考慮して損害賠償請求できる旨の規定を不正競争防止法に導入することについて賛成するといった御指摘や、報告書の取りまとめに先立ちまして行われましたパブリックコメントにおきまして、被害者救済の観点から、営業秘密の不正な取得行為につきましては、生産能力等を超える損害部分に相当するライセンス料、相当使用料額の増加要因の考慮を行うべきであるという御意見もいただいたところでございます。
こうした意見等を踏まえまして、今回の法改正により、販売等の能力を超える分について侵害者に使用許諾をしたとみなして使用許諾料相当額として損害賠償額を増額できる規定を追加することといたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/27
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028・小林一大
○小林一大君 ありがとうございます。
今回の改正によって被侵害者の販売等の能力を超えた部分についても増額請求することは可能になる理由をお聞かせいただきました。適切な損害回復が可能につながっていくことを期待をさせていただきます。
最後に、外国公務員贈賄に対する罰則の強化拡充について伺います。
外国公務員に対する賄賂は可能性としては国内でも行われることがあり得ますけれども、主には海外で支払われるものだというふうに承知をしています。一方、現行の不正競争防止法は、国外で贈賄行為を行ったのが日本国民であれば処罰可能ですが、日本国民以外ですと、単独で国外で贈賄行為を行った場合には処罰は困難な場合があるものと思います。
そうした中、今回の法改正は、新たに日本企業で働く外国人従業員が海外で贈賄行為を行ったとしても処罰対象にするものです。これは、日本企業が外国人従業員を隠れみのとして外国公務員に贈賄を支払うような事案が実際に起きているため法改正をするということだというふうには思いますけれども、外国公務員贈賄罪において、今回日本企業の外国人従業員についても処罰規定を導入した背景をお伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/28
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029・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) お答え申し上げます。
現行法では、御指摘いただいたとおりでございますが、日本企業の外国人従業員が日本の国外で外国公務員などに対する贈賄行為を単独で行った場合には処罰対象とはなりません。また、原則、当該外国人が働く日本企業も処罰できないと考えられます。
これまで、経済産業省において把握している限りでは、日本企業の外国人従業員が海外で単独で贈賄行為に及んだという事案は承知をしてございませんが、外国公務員贈賄は海外で行われることが想定される犯罪というのは御指摘いただいたとおりでございまして、その贈賄行為が日本企業の業務に関して行われた行為であるにもかかわらず、従業員の国籍の相違によって従業員と日本企業に対する外国公務員贈賄罪の適用の有無が異なることは不合理であると考えられます。
さらに、OECDからも、日本企業による賄賂が日本人以外の従業員によって支払われた場合にも当該日本企業を処罰し得るようにすべきだという勧告をいただいておりまして、その他の優先勧告の事項も含めまして、十分な進展がなかった場合には何らかの措置を講ずる可能性が高いということも指摘されたところでございます。
このような状況も踏まえまして、昨年八月に、新たに先ほどの不正競争防止小委員会の中にワーキンググループを設置をいたしまして有識者に御議論いただいたところ、日本法人の外国人従業員が国外で単独で贈賄を行った場合について、当該外国人従業員を処罰し得る規定を創設し、その結果としての当該法人も処罰し得るようにすることが適切である旨の御提言をいただいたところでございます。
これを受けまして、外国公務員贈賄防止条約をより高い水準で的確に実施するため、日本に主たる事務所を有する法人の外国人従業員の国外犯を処罰し得る規定を設け、それに伴い当該法人も処罰できることを明確化することとしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/29
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030・小林一大
○小林一大君 時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/30
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031・村田享子
○村田享子君 御安全に。おはようございます。立憲民主党の村田享子です。
今日は、不正競争防止法等の一部を改正する法律案について、私は、デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド、デザイン等の保護強化の部分を中心にお聞きをいたします。
まず、氏名を含む商標登録のところをお聞きをしたいと思います。
今回、登録可能な商標の拡充として、氏名を含む商標も一定の場合には他人の承諾なく登録を可能にするとあります。その目的として、自己の名前で事業活動を行う者等がその名前を商標として利用できるようとのことですが、この出願者が自己の名前ではなく他人の名前を登録する場合はどうなのかというのを確認させていただきます。
例えば、会社で創業者の名前を使いたい、先代の名前を使いたい、このようなある程度関係のある他人の名前を登録したいという場合もあるでしょうし、また、出願人と全く関係のない他人の名前を、例えば西村大臣の子供の頃、子供の西村大臣を見た方が、いや、この子は何か優秀そうだなと、何か末は博士は大臣かということで、今のうちにこの西村康稔という名前を商標登録しようというような、ある意味氏名の青田買いみたいなことも私はあり得るんじゃないかなというふうに今回の改正案を見ながら思ったわけなんですけど、こういった出願人と無関係な氏名への登録への対応はどうなっているかということ。
あわせて、今回の改正案、商標法の改正案第四条第一項第八号になるわけなんですが、他人の氏名を含む商標であって、政令で定める要件に該当しないものは商標登録を受けることができないとありまして、具体的な内容は政令で定めるとなっているんですね。ここのところ、どういったものを今想定しているのか、併せて教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/31
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032・野村栄悟
○政府参考人(野村栄悟君) お答え申し上げます。
今御指摘いただきましたような論点も踏まえまして、今般の商標法第四条第一項第八号の改正により、承諾を要する他人の氏名に一定の知名度の要件を課すに当たり、一定の知名度を有しない他人の氏名であっても、出願商標に含まれる氏名とは無関係な者による出願や不正の目的を有する出願等のいわゆる濫用的な出願については登録を認めないようにしておく必要がございます。
このため、今般の法改正においては、一定の知名度を有しない他人の氏名を含む出願でありましても、濫用的な出願を拒絶できるよう、出願人側の事情を考慮する要因として政令で定める要件を規定することとしているところでございます。
そして、具体的には、第一に、出願人と商標に含まれる氏名との関連性、例えば出願商標中に含まれます他人の氏名が出願人の自己氏名、創業者や代表者の氏名、既に使用している店名である場合かどうかなどといったこと、第二に、出願人の目的、意図、例えば他人への嫌がらせの目的の有無、先取りして商標を買い取らせる目的の有無といったことなどを考慮する要件を課す規定を政令に設けることを想定しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/32
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033・村田享子
○村田享子君 やっぱり名前というものはすごく大事なものでございますので、そこのところはしっかりと定めていただきたいと思います。
続きまして、意匠登録手続の要件緩和のところについてお聞きをいたします。
今回、こちらの要件緩和が行われるということで、マーケティングや製品PR、またクラウドファンディングにおいて意匠登録出願前にデザインが複数のECサイトやSNSに公開されるといった場合に、今回の法改正によって出願される方の負担軽減につながるということは評価をしております。
今回、この部分の改正について、いただいた経産省の資料では、この手続緩和の例として、ブレスレットとイヤリングの絵、写真が使われておりました。私も利用したことがあるんですけれども、今インターネット上でハンドメードの作家さんが個人でたくさんいらっしゃって、アクセサリー、バッグ、スマホケースなどがインターネット上で多く販売をされている状況がございます。私の友人でも活躍されている方がいます。
経産省の調査を見ますと、こういったハンドメードを中心に扱うアプリやサイトを運営する主要な事業者というのが大きく二つありまして、両者合わせての市場規模は約三百二十億円、これからも伸びるんじゃないかという話もございますし、この二つ以外にも、メルカリといった総合的なフリマアプリでもこういったハンドメード品は販売されているので、実際の市場規模はもっと大きいのではないかとも言われています。
例えば、今二つ大きなところあると申し上げましたが、日本のハンドメードマーケットプレイスの先駆けとされるクリーマというところでいうと約二十五万人、今、国内最大級のマーケット、ミンネでは作家、ブランド数が八十七万人。もちろん重複している部分もあると思うんですけれども、すごく多くの方が出品をされていて、企業ではなくてやっぱり個人による出品がメインとなっています。
この今ハンドメード業界で問題になっているのが、やっぱり作品の模倣の問題なんです。インターネットで簡単に多くの作品を見ることができます。この作品が今人気ですよというようなランキングも出ていますので、その人気のある商品をまねて、自分はもっと安く売ることでもうけを出すというようなやっぱり問題が起きているんですね。
こういった現状に対して、もちろん経産省でも取組は行われていて、ファッションのローガイドブックというのも私も拝見をしましたが、例えばここで言われているのが、この実用品のまず著作権があるんじゃないかという話なんですけど、実用品の著作権というのは意匠権とすみ分けるということで、実用品のデザインを著作物と認めるためには美的鑑賞の対象となり得る美的特性を備えることが必要ということで、こういったアクセサリーといったものを、著作権による保護というのは一部のデザインに限られるというふうに書かれておりました。
また、不正競争防止法で訴えればというふうに考えると、すごくその作品が有名であったり、やっぱりそれなりの販売実績がなければ、ちょっと不正競争防止法で訴えるのも難しいと。
で、今回要件が緩和される意匠登録についてなんですけど、やっぱり現状としては、やっぱり時間やコストが意匠登録に掛かるので利用されていないというふうに聞いています。また、実際に、じゃ、意匠登録を自分の作品で取ったとしても、やっぱり全てのインターネット上の作品を今チェックすることはできないし、また、ハンドメード作品を買うお客さんから見ると、どれが意匠登録を取ったもので、いや、実はこの作品はパクりなんだというのもやっぱり全部は分からないわけなんですよね。
ということでいうと、今回その意匠登録の要件が緩和されることは、私はこれは一つ評価できるとは思うんですけれども、実際のやっぱりハンドメード業界においてはこの意匠登録がなかなか活用されていないというのが現状ではないかと思います。
このハンドメードの作品を出店されている皆さんでやっぱりよく聞くのが、女性が家事とか子育てのその合間の時間を縫って自分の好きな作品を作って、そして売って、もちろん自分のお金を稼げるというところもありますし、そういった売買を通じてお客さんとコミュニケーションを取れるというのもすごく今メリットのある活動になっていると思います。そういった皆さんをやっぱり守っていくためにも、相談窓口の設置であったり、やっぱりこういった模倣というのはそもそも駄目なんですよというのをネット、広報を通じて周知をして模倣を未然に防ぐということも私は必要なのではないかと考えますが、大臣の御見解を是非お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/33
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034・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のとおり、今回の法改正におきましては、個人のデザイナーの方あるいはクリエーターの方がSNS上でデザインを活用したマーケティングを行うなど様々ビジネスが多様化している中で、この意匠登録手続の要件緩和の措置を講じているところであります。
そして、加えて、御指摘のように、こうした個人のデザイナー、クリエーターの方々が円滑にこの意匠権を取得、活用できるような支援も大事だと思っております。
もう既にお読みいただいていると思いますが、こういったパンフレットも作らせていただいて、ここにも入っているんですけれども、約三万一千件を超える意匠登録はあるんですが、一一%はまさに指輪とかバッグとか、そうしたハンドメードのものも含まれております。もちろん、多くはロボットとか車の形態とか電子機器なんかが入っているんですけれども、こうした個人のデザイナー、クリエーターの方も活用いただくことが重要だと思っております。
経産省におきましては、個人事業主も始めとして、中小企業の方あるいはスタートアップの方が技術、ブランド、デザインなど知的財産について相談可能な知的相談支援窓口、総合窓口を四十七都道府県に設置をしております。知的財産を活用した経営力、個人のビジネスをしっかりと続けていける、発展させていける、そうした支援を行っているところであります。この窓口において、個人のデザイナー、クリエーターの方々からの意匠権の取得、そして活用に関する御相談もきめ細かく支援をしていきたいというふうに思っております。
また、特許庁のウェブサイトでも、この意匠権の取得や活用に関する様々な、いわゆる初めての方、初心者向けのコンテンツなども掲載をして、ユーザーに広く周知をしているところであります。
例えば、意匠制度の概要や活用法、そして出願手続の基本を四こま漫画で分かりやすく説明したガイドブック、この中に入っておりますが、こうしたものを公表し、e―ラーニングの教材もインターネットで提供しているところであります。
いずれにしても、できる限り個人の事業主の方も活用できるようにしっかりと支援を行っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/34
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035・村田享子
○村田享子君 是非、この個人でされている方が多いというのがやっぱりハンドメードの私は特徴だと思っていて、企業として何かしら物を売る場合はやっぱり企業の中でちゃんと法律の研修というのがあると思うんですけど、やっぱり個人の場合はなかなかそういった教育の機会がない。せっかく今そういった相談窓口であったりウェブサイトもありますよということですので、そういったところも含めてもっともっと周知していただきたいなと思います。
今、やっぱりインターネットが普及したことによって、誰でも表現ができるし、自分の作品を発表してやっぱり売ることができる、これはすごい変化だと私は思います。
知財立国ということを政府も進めておりますが、企業はもちろんなんですけど、やっぱり個人に対して私は小さいうちから知財への意識を向上させる取組って大事なんじゃないかなと思っていまして、やっぱりこういったルールを小さい頃から学ぶことによって、やっぱり自分のオリジナルのアイデアを持つって重要なんだなとか、このアイデアをちゃんと社会は、国は評価して、守ってくれて、ビジネスチャンスにつながるんだなということで、やっぱりイノベーションの高まりにも私はなっていくと思いますので、是非個人に向けたこういった知財への意識の向上というのも是非進めていただきたいなと思います。
じゃ、続いて、先ほども出ました、ちょっとメタバースの話に移ります。
デジタル空間における模倣行為の防止ということが今回改正案に入っておりますけれども、やはりこのデジタル空間というのはリアルな国境を越えて広がる空間でもございます。なので、今回国内においてはこういった法改正が行われるわけなんですけれども、海外において同様なデジタル空間における模倣行為の防止に関する法整備の状況はどうなっているのか、又はメタバースに関して今世界共通のルールといったものはあるのか、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/35
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036・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
メタバースに関する世界共通ルールがあるということは、私ども承知してございません。主要国では、未登録デザインを模倣する行為を規制する法律自体はございますけれども、デジタル空間上の形態模倣品の提供行為を不正競争として明確化した法令で規定しているものは、まだ確認した限り存在していないという状況でございます。
しかしながら、先ほども申し上げましたけれども、メタバースなどのデジタル空間での利用を前提とした商品が登場してきておりまして、模倣品を提供し、もうけようとする行為が増加するのではないかという懸念が寄せられておりますので、今回の不正競争防止法の改正でメタバース上の形態模倣品を提供する行為を規制対象とすると、我が国においてはそうした今回制度を御提案させていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/36
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037・村田享子
○村田享子君 衆議院の議事録を見ましたところ、日本のリアルの真正品がデジタル空間で模倣されて、その模倣品の販売品、その模倣された場所が海外であっても、その模倣品の販売対象が日本人向け、結果の発生地が日本であればこの日本の裁判所で判断できるといった議論は衆議院であったんですけれども、その模倣品の販売対象が海外向けであった場合、日本向けではなかった場合というのは規制の対象にはなるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/37
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038・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) お答え申し上げます。
今の御指摘のように、日本から海外向けの場合、それは結局、今委員から御指摘あったように、どのような、損害が発生する場所はどちらなのかということの解釈によって決まる場合がございます。ですので、完全に海外のお客さんに向けた場合にあっては、日本で、ただ、それで利益を得ただろうという主張もあるかもしれません。そうなりますと、その利益を得たということで日本で罰することはできる可能性もあると思いますので、そこは最終的には裁判所の御判断になると思いますけれども、そういった解釈がされる場合には日本でも訴追される可能性はあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/38
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039・村田享子
○村田享子君 あと、今回、この経産省の資料の中では、現行法では、リアル空間の真正品をリアル空間で模倣することは規制をされていますと。で、今回の改正案で、リアル空間の真正品がデジタル空間で模倣されること、またデジタル空間の真正品がデジタルで模倣されることが規制の対象となっているということなんですけど、デジタル空間の真正品をリアル空間で模倣するということも私はあり得るんじゃないかなと思いますが、ここも規制の対象になっているという理解でよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/39
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040・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
今回の法改正によりまして、他人の商品形態を模倣した商品の提供行為につきまして、電気通信回線を通じて提供する行為を追加することといたしております。したがいまして、今御指摘いただきましたリアルの商品形態をデジタル空間で模倣して提供する行為、それからデジタルの商品の形態をデジタル空間上で模倣して提供する行為に加えまして、今御指摘がございましたデジタルの商品の形態をリアルで模倣して提供する行為につきましても、今回の御提案させていただいている制度では新たに規制対象となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/40
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041・村田享子
○村田享子君 最後に、営業秘密の侵害についてお聞きをします。
先ほど小林委員も取り上げていらっしゃいましたけれども、この営業秘密の漏えいが、二〇二一年の警察による営業秘密侵害事件の摘発が二十三件となりまして、警察庁の統計がある二〇一三年以降この件数が過去最高というふうになっています。やっぱり、政府として円滑な労働移動を推進しているんですが、今この漏れている営業秘密が何なのかというと、技術情報、設計図とかですね、ここはよく報道もあるんですけれども、この技術情報より今よく摘発されているのが名簿とか仕入れデータといった営業情報になっています。
やっぱり転職を進めるんであれば、転職する人、転職元、転職先、それぞれの立場で、この営業秘密漏えいしたらいけないよということをもっと私は取組を進めるべきだというふうに考えますが、これについて、大臣、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/41
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042・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のとおり、営業秘密侵害事件の摘発が近年増加をしております。少し前にありましたカッパ・クリエイトのケースなども記憶に新しいところであります。この要因は、まさに御指摘ありました近年の雇用の流動化に伴って、転職時に従業員が以前に在籍していた企業の営業秘密を持ち出す事例が増大しているものというふうに承知をしております。
こうしたリスクを防ぐためには、中小企業含めて、多くの企業と従業員に対して、この営業秘密の持ち出しが不正競争防止法違反になるという、この制度の普及啓発、周知徹底が重要であるというふうに考えております。
これまでも、周知徹底、普及啓発のために、まさに分かりやすいハンドブック、そして手引の作成、配布をしてきておりますし、警察庁など関係省庁や産業界との情報共有を目的とした営業秘密官民フォーラムも開催をしてきております。また、独立行政法人の工業所有権情報・研修館、INPITにおける中小企業などを始めとする営業秘密等の情報漏えい防止対策の東京、大阪などにおける相談窓口の設置など、企業向けの相談体制の整備も行ってきているところであります。
引き続き、経済団体、そして中小企業団体等の関係機関とも連携をしながら、今回の法改正を機に積極的にセミナーなどを各地で行っていきたいと思いますし、また、営業秘密の取扱い上の注意点などについて啓発する従業員向けのパンフレットを新たに作成をしていきたい、こうしたことを通じて制度の周知徹底に努めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/42
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043・村田享子
○村田享子君 終わります。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/43
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044・森本真治
○森本真治君 おはようございます。立憲民主党の森本真治でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
法案の質疑に入る前にちょっと一点だけ、大臣、恐縮なんですがお伺いしたいことがあります。
先月の二十六日に、予算委員会、ちょっと私質問立たせていただいて、ちょっと大臣海外行っていらっしゃったんでやり取りができなかったものでしたから、ちょっと今日この場をお借りして少しそのときの議論の続きということで一点だけさせていただきたかったんですけれども、労働移動の円滑化ということで、今、政府、人への投資、重点施策ということで今位置付けられていらっしゃる中で、予算委員会で後藤大臣と少しやり取りをさせていただいたんですけれども、政府としてこの労働移動をどのような分野からどのような分野に円滑に移行させていくのかというようなもし考えがありますかって聞いたときに、デジタル分野などの成長分野へ労働移動をさせていくんだというような答弁だったんですね。
それで、私が問題提起をさせていただいたのは、成長分野かどうかにかかわらず、我が国の経済、また国民生活にとって常に維持をしていかなければならない分野というのが当然あるという中で、それが、じゃ、成長、まあ衰退分野とは言わないけれども、当然そういう分野への人材をどう確保していくかということですね、そんな問題意識をお伝えしたんです。
で、今、政府でも実際に、重要インフラということで十四分野、情報通信、金融、航空、空港、鉄道、電力、ガス、政府・行政サービス、医療、水道、物流、化学、クレジット、石油、この十四分野を重要インフラと位置付けて、今は特にサイバーなどのセキュリティーとかそういう部分について、たしか重要インフラに対して対策を取っていくということになっているんですが、今、この現在においても、特にこの重要インフラの保守とか維持管理、メンテナンス、その技術者の皆さんの人材不足が今指摘をされておりまして、実際に二〇二二年の有効求人倍率でも、例えば機械整備・修理という分野では四・五倍、電気工事では三・六倍という今有効求人倍率ですね。
これ、民間の会社が調査をしたレポートがあって、二〇一五年の段階で大体メンテナンス技術者が三万人不足しているというようなデータを出しちゃったんです、出されたんです。これが二〇三〇年には二十一万人不足をするというような最近報告を出しまして、今現在でも、例えば通信設備、金融機関のATMによる障害の発生であったり鉄道の電気設備トラブルですね、このようなことが最近ちょっと報道などでもなされるようになってきた。
これらについて、人材が不足することによって復旧が極めて困難で対応に時間を要することになれば非常に社会生活に混乱を来すという中で、もちろんこの労働移動ということ、非常に成長分野の労働移動大事なんだけれども、やっぱり同時に、このような分野に対しての人材をどのように確保していくかということについて課題提起しましたら、後藤大臣は、これらについてはそれぞれの事業を所管する省庁において検討することになるんですというような答弁をされてしまいまして、私、政府一体として取り組んでほしいなと思ったんですけど、特出しで経済産業省の話をされちゃったんですね。電気保安人材の部分ということを特出しをされて、電気保安人材の安定確保については経済産業省において行われるものと承知をしておりますという答弁だったので、大臣いらっしゃらなかったんで、じゃ、どうするんですかということをちょっと確認一点だけしたかったんです。
それで、まず、この電気保安分野、今日はそこに限りますが、まずはそこに対する今の、現在の人材不足というところの認識をまずお持ちなのかどうかということを、これ参考人の方だと思いますが、聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/44
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045・辻本圭助
○政府参考人(辻本圭助君) 電気保安分野、これ委員御指摘のとおり、国民生活の基盤となる重要インフラ、電気を支える分野でございますけれども、その人材につきましては、保安を担う人材の新たな入職者、これが減っております。また、既に就業している人間、これも高齢化が進んでおります。加えまして、カーボンニュートラルの実現といったところでの再エネ発電設備の追加、これによりまして人手不足は重要な課題であるという認識をしております。
一例を申し上げます。電気設備の保安を担う者としましては、これ法律で選任が義務付けられております電気主任技術者というのがございます。これやるために試験が必要なんですけれども、直近十年間の免状を取得した人、試験を受けて免状を取得した人は、その前の十年間、これ直近が二〇一二年が二〇二一年、その前が二〇〇二年が二〇一一年なんですけど、一割、約五千人減っております。加えまして、また、保安業務を請け負う団体、これ電気保安協会といったものございますけれども、そこの所属している電気主任技術者、これ実は六十代以上が六割を占めているというふうに高齢化が進んでおります。
さらに、再エネ発電設備の増加、先ほど申し上げましたけれども、大規模な設備の保安を担う人材、これも現状六千人程度で今ちょうど合っている状況でありますけれども、二〇三〇年ぐらいにはこれ七千ぐらいになると、したがいまして、今で千人程度不足するという可能性があるという認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/45
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046・森本真治
○森本真治君 人手不足の懸念ということはあるんではないかというような御答弁だったというふうに思うんですね。
その中で、後藤大臣は、経産省の方では業界の認知度向上などの人材確保の取組をされているというような言い方だったんだけれども、例えばですけれども、今、例の二〇二四年問題、運輸業界などについて、これ政府全体としてやっていますよね。例えば、認知度向上などというレベルで人材を確保するのか。当然これ、まあリスキリングはありますが、例えば若い世代の、これこの委員会でもいろいろ議論ありますけど、例えば若い世代の、学生のレベルから、例えば理工系の、工業高校とかも含めてになりますが、そういう学生さんたちをしっかりとやっぱり育てていくということになると、これ当然、経産省だけではなくて、文科省なども含めて一体的な、これやっぱり政府一体としての、私、この人材不足、特に重要インフラの人材を守っていくかということは必要だと思うんで、大臣、今日はちょっと問題提起なんですが、是非、このリスキリング、労働移動の円滑化と併せて、やっぱり重要インフラの人材をどう守っていくのか、これ社会で大混乱を起こすということで二〇三〇年ショックというようなことを問題提起を民間の方もされているんですが、ちょっとこれ認識を持っていただいて、政府としてやっぱり人材不足の総合的な対策を進めていく必要があると思うんですが、これやっぱり人への投資の、新しい資本主義の一つとして、今、実行計画もそろそろまとまるというふうにも、新しい資本主義のですね、伺ってもおりますが、ちょっとその辺り、政府全体としても共有していただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/46
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047・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) もう御指摘のとおり、人手不足が我が国経済にとって最大の課題だというふうに認識をしております。いわゆる基本インフラを支える方々、鉄道にしても金融にしても、そしてそれぞれの補修があったり部品があったりしますので、おっしゃったような機械そして鉄鋼関係の方々含めて、もうかなりの人手不足の状況にあるというふうに認識をしております。
あわせて、エッセンシャルワーカーと呼ばれる我々の生活を支えていただいている方々、コロナのときにも感染リスクを負いながらも日々活動してこられた方々、こうした方々ももう人手不足の中で厳しい状況にあるというふうに思っております。
これは、一つ一つの業種の対応はともかくとして個別にまたお答えをさせていただければと思いますけれども、全体としてこれをどうしていくかというのはもう非常に大きな課題でありまして、この間、女性、高齢者の活躍ということでかなり就業者の数は増えてきておりますが、これも限界に近づいてきていると。もちろん、女性について言えば非正規の方がまだ多いですから、不本意で非正規になっている方々を正規にもっともっと登用して活用、活躍してもらうということが重要だと思いますし、さらに、高齢者も、お元気な方は、労働人口六十四歳、六十五歳ぐらいまでで計算していますけれども、最近では健康寿命延びておりますので、六十九歳、七十歳近くまで元気で働ける意欲ある方もおられますので、そうした方々の活躍含めてまずはやりながら、その上でさらにリスキリング、これはデジタル化によって効率よく仕事をしていくということで、今まで一時間掛かったものが四十五分、三十分で済めばそれは人手不足の解消になっていきますし、そうしたこと、これをAIの技術あるいはロボット、コンピューターを使ってやっていくということ。おっしゃった物流にしても、トラックは実際には平均の積載率は四割ですので、六割空いていますので、これをうまく調整して共同配送などできれば、これもできれば将来はコンピューター、AIを使って調整していければもっと効率よく配送できますので。
そうしたことを通じて、この人手不足をどう解消していくかということを、これはもう本当にそれぞれの業界ごとの取組と同時に、まさにデジタル化、技術を使ってどう解消していくかということを含めて対応していかなきゃいけないと、そういう危機感、そして問題意識を持っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/47
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048・森本真治
○森本真治君 是非お願いしたいと思います。
これまで経産省としても、例えばスマート保安の促進というような法改正も先般議論でやったこともありましたし、一体的なIT技術を活用する、デジタルを活用すると同時に、人材不足を、なり手をどう確保するかとか、これやっぱりトータルの戦略的なやっぱりグランドデザインを描いていくということの重要性は是非指摘をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
それでは、法案に関してでございますけれども、まずは、各論の前に、これ知的財産ということで、今回その法案でございますが、ちょっと総論的に確認をしたい、ちょっと私も少し再認識をしたいというふうに思っておるところがあるのが、我が国が、この知的財産立国ですね、知的財産立国ということを打ち出されていて、まさにこれは世界有数の知的財産を我が国は持っているんだというような認識の中で、様々な、じゃ、この知的財産の適切な保護であったり、その利便性の向上を図っていくということでのこの各法案を整備していくという考え方に立っていると思うんですけれども。
よく、まあ、この知的財産でもそうです、技術でもそうなんですが、我が国は世界に誇るそういう技術力であったり知的財産を有しているんだということをよくいろんなところで言うんだけれども、実際に、じゃ、それが経済成長の部分に本当につながっているのかということが、よく言う、技術は一流でも、これはちょっと皮肉っぽくなりますけれども、商売の方がなかなか上手じゃないからうまくいかないんだとかというような議論がある中で、この知的財産立国というのが大体二十年、この間、我が国として知的財産立国ということで打ち出してから、様々な知的財産戦略本部、これもう総理が本部長になっているんだというふうに思うんですが、やっているんですが、実際に、じゃ、経済の方がどうだったのかということですよね。よく言われるように、この失われた三十年というような話もあって、じゃ、本当にこの技術、知的財産というものが経済成長にしっかりつながっているのかということ、その辺りがよく分からないんですが。
まず、経産省さんとしては、政府ですね、政府としてはその辺りのつながりというものをどういうふうに今現状を認識をされているのかということをちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/48
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049・澤川和宏
○政府参考人(澤川和宏君) お答え申し上げます。
知的財産基本法に基づきまして、先ほど議員御指摘ございました総理大臣を長とする知的財産戦略本部が設置されております。そこにおきまして、知的財産の創造、保護、活用に関する関係省庁の施策を毎年、知的財産推進計画として取りまとめているというところでございます。
最近の主な成果、申し上げさせていただきますと、二〇二一年の知財計画を踏まえて、今国会で成立いたしました著作権法の改正がございます。これはデジタル時代にふさわしい新たな著作権処理の仕組みを創設するものでございまして、我が国のコンテンツ産業の更なる成長を促すものというふうに考えております。
また、現在審議が行われております不正競争防止法の改正案におきます限定提供データにつきましても、価値あるデータの利活用を促進し競争力強化の基盤をつくると、そういう観点から、二〇一七年に知財本部の下に設けた委員会で制度創設の方向性を提唱したものでございます。
その一方で、御指摘のように、我が国の知財エコシステムがイノベーション創出に十分貢献できていないと、そういう御指摘もございます。これに対応する形で、関係者の意識変革でございますとか、また、知財や関係人材のマッチング、流動性向上と、そういう様々な施策をこれまでの知財計画に盛り込んできているところでございます。
現在になりますが、近日中に知財計画二〇二三と、そういうものを策定できるように、私ども内閣府を中心に作業を進めているところでございます。
今後とも、知的財産が我が国競争力の向上や新たな価値の創出につなげられるように、関係省庁と連絡して施策を推進してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/49
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050・森本真治
○森本真治君 御答弁いただいたように、この知的財産がイノベーションにしっかりとつながっているのかというようなところについてのやっぱり課題を言われる方もいらっしゃるということだったと思うんですね。
そうすると、まあ御答弁あったように、近々、知的財産推進計画ですね、これが発表されるんだというふうに思いますけども、やっぱりその計画の中には、しっかりとこの経済成長にどうつなげていくのかというようなところも含めてのやっぱり戦略性を持った取組ということが必要になってくると思うし、特に、今日もまあこれいろいろこの知的財産に関する法案の審議をしておりますけれども、結構、これ、近年というか、かなり改正がどんどんどんどん行われているというのは、当然、これやっぱりデジタル化の中でいろんな進展があるから、結構これスピード感を持ってこの法整備もやっていかなければならないということなんだろうなというふうに思います。ですから、今日これ終わって、当面はこれで状況見ましょうという話に多分ならないんだというふうに思うんですね。
やっぱり、もしかしたら、今課題としては挙がってきているけどもこの今回の審議には間に合わなかったようなこともあるかもしれないし、整理が間に合わなかったというようなこともあったらすぐにまた法改正の議論になるかもしれませんが、しっかりと、一つは、戦略性を持ったこの知的財産に関する戦略、それと、やっぱり時代の流れが速いですから、しっかりとこれに追い付くようなスピード感を持った体制整備ということを是非やっていただきたいということで、大臣、せっかくなので、推進本部の本部長は総理でございますが、本部長は今日は答弁してもらうことができませんので、副本部長でいらっしゃると思うので、そういう立場からも、是非この知的財産戦略の考え方も含めて御答弁いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/50
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051・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のように、非常に速いスピードで産業構造、社会の構造が変化をしつつある中、まさに物からサービス、サービスから無形資産へとこの価値の源泉が変わってきている部分があります。知的財産戦略というのは非常に重要な位置付けになるというふうに思います。
先ほども申し上げましたとおり、日本はこの貿易収支で見ても黒字でありますので、一定の経済成長にはつながってきているものと思いますけれども、アメリカやドイツに比べるとまだ少ないと、小さいということもありますので、積極的にこの知財戦略進めていかなきゃならないという認識であります。
そうした中で、まさに御指摘ありましたように、デジタル空間の登場、あるいは多様化、グローバル化してきておりますので、そのビジネスに対応した知財制度の見直し、そして、新たな活力を生み出していくその中小企業あるいはスタートアップによる知財の活用促進、これを支援をしながら、オープンイノベーションの実現などを是非後押しをしていきたいというふうに考えております。
今回の法改正の中でも、そのスタートアップ、個人事業主であるデザイナーやクリエーターなどの多様化した事業活動の実態を踏まえて、SNSを使用した意匠に関するマーケティング、あるいはデジタル空間でのアバターに着せる服や小物の販売など、ブランド、デザインなど保護強化の改正を行うこととしているところでありますし、また、スタートアップが知財を活用するという観点から、ビジネスの専門家とともにスタートアップに対して弁理士、弁護士など専門家を派遣をして経営戦略と一体となった知財戦略を構築していくこと、あるいは、ベンチャーキャピタルが知財支援を行えるように、ベンチャーキャピタルに対して知財専門家の派遣など取り組んでいきたいというふうに考えております。
そして、もう一点御指摘のあった、まさに動きが速いから間に合わない部分があるじゃないかという点でありますが、昨今のチャットGPTに代表される生成AIですね、これがどういうふうに今後なっていくのかという点、この議論をめぐっては、著作権を始めとするこの知的財産権の侵害のおそれもありますし、機密情報などの漏えい、セキュリティーの問題もあります、プライバシーの侵害などもあると思います。こうしたリスクも踏まえながら、イノベーションをどう起こしていくかということのこのバランスが非常に重要だと思っております。
いずれにしましても、こうした新たな技術、新たな変化の中でデジタル化が更に進展していくことももちろん想定されますので、この時代の要請に対応しながら、知財制度も適切なタイミングで適切に見直していきたいと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/51
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052・森本真治
○森本真治君 本当、国際環境も含めてということになると思いますので、他の諸国にやっぱり後れを取らないようにしっかり環境整備なども含めてこれは進めていただかなければならないというふうに思いますので、是非その取組をお願いをさせていただきたいというふうに思います。
ちょっと時間の関係もあるので、損害賠償の方を先にやらせていただきたいというふうに思います。
それで、今回の法案でライセンス料相当額ということですよね、この損害賠償として認められるということだというふうに思うんですが、ちょっとこれ衆議院の議論も議事録などを見させていただいたんですが、なかなか、これ、じゃ具体的な、これまで認められなかった部分の、どのぐらいの能力超過分ということの具体的なところがちょっとなかなか見えにくいなというふうにも思ったりもしたので、ちょっとその考え方について確認をさせていただきたいというふうに思うんですが。
今回の新たなこの不正競争の方での導入については、先行して行われておった、これ特許法の方ですよね、特許法の方での措置ということを踏まえて、それと同じように今回の措置を導入するということだというふうに思うんですが、実際にこれまで先行して行われていた特許法での措置でこの超過分の考え方などがどのように行われていて、同じような考え方でやるということなのかということですね。
実際に、効果というか、実績、実績という言い方でいいか分かりませんが、その辺りもどうだったのかということをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/52
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053・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) お答え申し上げます。
令和元年の特許法などの改正前でございますけれども、侵害者が得た利益のうち、権利者の生産や販売能力を超える部分、今御指摘ありましたが、そこについて、特許法の関係の裁判例において、これを損害賠償額に算入するということを否定するという傾向が強くなっておりました。これを受けまして、令和元年の特許法等の改正におきまして、特許権者の生産能力を超えるとして損害が認められなかった部分につきましても、侵害をした方に、侵害をした者にライセンスをしたとみなして、それでその分の損害賠償を請求できるといった旨の規定が措置をされたところでございます。
その後、特許法の最新の裁判例におきましては、特許権者の損害として従来は否定される傾向にあったと申し上げましたが、そういった部分につきまして、ライセンス料額も損害として認められる事例も出てきているところでございまして、より適切な権利者の救済につながっているものと承知をしてございます。
このような特許法における裁判例の状況に加えまして、特許法においてこの規定を設けた趣旨、すなわち権利をライセンスして利益を得る場合があるというこの知財の性質でございますが、これは不正競争防止法の営業秘密等でありましても、その行為をライセンスして認めることにより利益を得ることができるという場合があるという点では同様でございますので、不正競争防止法におきましても、特許法等と同様に、被侵害者の生産能力などを超える損害部分に相当するライセンス料等を考慮して損害を請求できるという旨を措置すると、こういう御意見を産構審の不正競争防止小委員会で賛成の御意見を取りまとめられたということでございまして、それを踏まえて今回措置することとしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/53
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054・森本真治
○森本真治君 それで、これも衆議院の答弁では、じゃ、具体的なこの損害額の確定というか認定は当然これは裁判所が認定するという話の説明があって、じゃ、この侵害された方が請求をするときの積算ですよね、それをどういうふうに考えるかというときに、例えば当該営業秘密の実際の使用許諾契約における使用料率、例えば、でもそれが明らかにならない場合、これは業界における使用料の相場も考慮に入れてというような御説明もあったり、ただ一方で、じゃ、その相場というふうになっていますが、裁判では、この平均的な、業界における平均的なライセンス料の二倍の損害額を算定した、認めたというようなことがあるとか、ちょっとこの裁判所の判断もよく分からないなというふうに思って、ちょっとその辺りを今日は裁判所の方に聞いてみようと思ったけど、さすがにそれはちょっとできないということだったんですが、結構だからこれはもうある程度裁判所の方にも任せていくという話なんですか。ある程度の見通しが立たないと分からないですよね。この辺りどういうふうに考えればいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/54
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055・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
大変申し訳ありませんけれども、詳細につきましては、やはりそれぞれの訴訟ごとに裁判所で示されると、これが原則的な考え方だと思っております。
しかしながら、ほかのケースで損害賠償で請求してライセンス料相当分を請求している判例がございまして、これは衆議院でも御答弁させていただきましたけれども、特許法や不正競争防止法でそういう例がございまして、そうしたものでは先ほど委員御指摘の点もございますし、営業秘密自体の価値とか営業秘密の内容や重要性、ほかのものによる代替可能性とか、それから、営業秘密を製品に用いた場合の売上げ、利益への貢献や侵害の態様とか、営業秘密保有者と侵害者の競業関係とか営業秘密保有者の営業方針などを一応考慮をして、それで諸事情を考慮して判断されるんですけれども、私ども、そういう判例や、こうした場合にはこういうふうになりましたよということをしっかり整理をして逐条解説に書いたり、それからしっかり説明をするということで、もちろんケース・バイ・ケースで少し裁判で違う点はあろうかと思いますけれども、まさに今回、規模の小さい方向けの制度改正で、そういう立証が大変困難でいらっしゃると思うので、そうしたところについてなるべく透明性が持てるような環境整備は私どもできると思っておりますので、しっかりやっていきたいなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/55
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056・森本真治
○森本真治君 当然、損害賠償というのは、例えば民事、いろんな民事の損害賠償でも、当然これをしたらこれだけの損害額だって決まっているわけでもないし、いろんな論点を整理して、最終的には司法が判断するということだから、難しいとは思うんだけども、でも、私は基本的にこういう制度は、新たな措置は賛成の立場でございますが、思った以上に手間が掛かる割には損害額が認められないというような話だと、なかなかこれを利用しようという話にもちょっとならないということもあろうかと思うんで、ちょっとその辺り、判例の積み上げがどうなっていくかということを見極めながらかもしれませんが、今御答弁いただいたように、しっかりとそこは整理をしていただきながら、事業者の皆さんに対しての、よりこの措置を活用していただくというか、しっかりやっていただくということは大事だというふうに思っております。
それともう一点、これもちょっと確認なんですけども、今回のこの法、条文の中で、ちょっと私よく分からなかったんで説明していただきたいんですが、第五条の四項ですかね、この損害賠償の中で、裁判所は、金銭の額を認定するに当たっては、営業上の利益を侵害された者が、当該行為の対価について、不正競争があったことを前提として当該不正競争をした者との間で合意をするとしたならば、当該営業上の利益を侵害された者が得ることとなるその対価を考慮することができる。
私ね、これ、裁判所に対して、要は司法の判断の中の部分を条文に書くということが、司法のところをですね、えっ、こういうことってあるのかなというふうに、あくまでも裁判所の方の判断でしょう。ある意味、これ法律の中で、これ裁判所の認定について縛っているということになるんじゃないかなというふうに思ったんですが、ちょっとそういうことではないんですかね、ちょっとその辺りについて説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/56
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057・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) お答え申し上げます。
確かにこれ、なかなか読みにくい規定でございまして、恐縮でございます。この規定、趣旨といたしましては、営業秘密などの侵害行為があった場合に、これ不正競争の場合ですけれども、この損害賠償額の算定方法の一つとして、先ほどから議論がございますが、ライセンス料相当額によって算出する場合がございます。
今回この新設する五条第四項でございますけれども、事前にライセンスを得ることなく侵害行為があった場合、侵害行為がなくて通常のライセンス契約をする場合と比較をしたら、これ通常は、ライセンス契約が、侵害した場合には当然、それを踏まえたライセンス契約になると当然それはライセンス料は上がるだろうというのが通常考えられるところでございまして、それを通常のライセンス料と比較しまして、ライセンス料をより高い相当額の増額が図られるということを、裁判所もそれも考慮できるようにしたらいかがでしょうかという意味の趣旨を記載したものでございます。
これ、あくまで、令和元年の特許法の改正にも同様の規定ございまして、同じライセンスにより利益を得られることができる場合があるということで導入したものでございます。
もちろん、これはあくまで裁判所が考慮することができる旨を明確化しているにすぎませんので、実際に考慮するか否か、これも含めて裁判所において御判断いただくということは認識してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/57
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058・森本真治
○森本真治君 済みません、ちょっと時間がなりました。ちょっとその辺り、もう一遍私も整理、理解をしたいというふうに思いますが、分かりました。
で、コンセンサス制度、ちょっと通告しておったんですが、もうちょっと時間となってしまいました。申し訳ございません。
質問の方、以上とさせていただきます。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/58
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059・石川博崇
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
今回の不正競争防止法等の一部を改正する法律案、知的財産の分野におけるデジタル化また国際化、こうした環境の変化を踏まえまして、時代の要請に対応した知的財産制度の一体的な見直しを図る内容でございます。本日は、それぞれ多岐にわたる改正事項ございますが、現場の中小企業またスタートアップの皆様にとって使い勝手が良いものになっているのか、またどのようなメリットがあるのか、こうした観点から質問をさせていただきたいと思いますので、政府の皆様には丁寧かつできる限り分かりやすい御説明をいただければというふうに思います。
まず、中小企業、スタートアップの知的財産の総論的な話ですけれども、中小企業、スタートアップの成長投資あるいは賃上げのための原資の確保において、知財を自らの強みとして経営資源として生かしていく知財経営、これを通じた稼ぐ力の向上がますます重要となっております。
経済産業省は今年の五月二十四日にこの知財活用アクションプランを改定いたしまして、これまでの中小企業・スタートアップの知財活用アクションプランと大学の知財活用アクションプランの二つのプランを統合して公表されました。
まず、政府参考人からお伺いをしたいのは、これまでのこの二つのアクションプランでどのような成果があって、どのような課題が見えてきたのか伺いたいと思いますし、また、今回新たに統合した知財活用アクションプランに期待される効果について御説明をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/59
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060・濱野幸一
○政府参考人(濱野幸一君) お答えを申し上げます。
中小企業やスタートアップの知財を活用した経営力支援の強化や大学シーズの事業化支援の強化を目的といたしまして、中小企業・スタートアップの知財活用アクションプラン及び大学の知財活用アクションプラン、これを令和三年の十二月に策定をいたしました。
この中小企業・スタートアップの知財活用アクションプランに基づきまして、例えば、工業所有権情報・研修館、INPITと中小企業基盤整備機構等の支援機関との協定締結を通じた各種の連携支援、また、知財戦略立案を支援するための中小企業合計六十三社への知財専門家派遣等を行うとともに、大学の知財活用アクションプランに基づきまして、大学シーズの事業化に向けた知財戦略の立案を支援するための合計三十四の大学への知財専門家による伴走支援等、こういった取組を鋭意進めてきたところでございます。
これらの取組を推進する中で、施策効果の更なる向上に向けて、地域の中小企業、スタートアップ、大学を施策の対象として一体的に捉えて、研究開発から社会実装までを切れ目なく支援する体制構築の必要性を把握したところでございます。
こういった課題を踏まえまして、地域のニーズに即したきめ細かいワンストップ知財経営支援サービスの提供、大学シーズを始めとする研究成果の社会実装までを実現する知財戦略の浸透、経営戦略と知財戦略の一体化、こういったところを狙いといたしまして、両アクションプランを統合し、本年五月に改定をさせていただいたところでございます。
こうした新たな知財活用プランを通じた取組によりまして、中小企業やスタートアップの経営力の強化や大学シーズの事業化に更に一層資することを期待をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/60
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061・石川博崇
○石川博崇君 今御説明いただきましたとおり、先月、五月二十四日に新たなアクションプランを公表していただきました。西村経済産業大臣には、是非、こうしたアクションプランを含めて、中小企業またスタートアップの知財活用支援に力強く取り組んでいただきたいと思いますが、御決意をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/61
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062・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) まさにイノベーションや競争力の源泉が無形資産に変わってきた中で、知財の活用、中小企業や、イノベーションを起こす原動力の主体であるスタートアップの経営力強化のために極めて重要であります。このため、従来から中小企業やスタートアップへの支援に力を入れているところでありますが、一層取組を強化するために、本年五月に知財活用アクションプランの改定にも取り組んだところであります。御指摘のとおりであります。
そして、この新たなアクションプランに基づいて、スタートアップに対しまして、ビジネスの専門家とともに弁理士、弁護士など知財の専門家を派遣をして、経営戦略と一体となった知財戦略の構築支援の強化、そして、ベンチャーキャピタルが知財支援を行えるようベンチャーキャピタルへの知財専門家の派遣、さらには大学の研究開発成果の社会実装を実現するディープテックスタートアップへの知財支援の強化などに取り組んでいきたいというふうに考えております。
また、先ほど来お話ありますけれども、本年三月には、特許庁、独立行政法人工業所有権情報・研修館、INPIT、日本弁理士会及び日本商工会議所が知財経営支援ネットワークを構築してきたところであります。こうした支援体制を活用しながらきめ細かい支援に取り組んでいきたいというふうに考えております。
そして、今回の改正におきましても、中小企業、スタートアップなど、知財を有効に活用した新規事業展開を後押しするべく、登録可能な商標の拡充や意匠登録手続の簡素化などの措置を盛り込んだところであります。
こうしたことを通じまして、無形資産への投資を促進をし、知財を活用しながらイノベーションを起こしていく、そうした中小企業やスタートアップへの取組、これまで以上に強力に後押ししていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/62
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063・石川博崇
○石川博崇君 是非大臣のリーダーシップに御期待を申し上げたいと思います。
それでは、具体的な法案の中身に入らせていただきたいと思います。
まず、意匠法でございますが、意匠登録においては、御案内のとおり、新規性が要件とされておりますけれども、これまで、出願人自らが出願前の意匠を製品PR等のために公開したような場合については、例外として新規性を喪失しなかったものとして扱える手続が定められております。
しかしながら、これまでは、出願人が出願前に意匠を複数回公開していた場合には、現在の現行法では、その全ての公開意匠について、自ら公開したことを証明する書類を提出しなければならないこととされておりまして、極めて手続が煩雑であるという現場の声があったところでございます。
今回、そうした状況を踏まえて、最先の公開の、一番最初のその公開における公開意匠についてのみ証明する書面を提出すれば足りるように手続が緩和されることになります。
この改正を行う理由、また意義について、特にスタートアップや中小企業を始めとした企業のデザインを活用した事業展開にどのようにメリットがあるのかという観点も含めて御説明をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/63
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064・清水幹治
○政府参考人(清水幹治君) お答え申し上げます。
近年、知的財産の分野におきましては、デジタル技術の活用などに伴いまして、SNSを使用した意匠に関するマーケティングでありますとか、意匠を公開する形で事業費を集めるクラウドファンディングなど、特にスタートアップや中小企業、デザイナーやクリエーター等による活動が多様化してございます。こうした知的財産を活用した事業、取組の中でも意匠権を活用できるようにするということが重要でございます。
意匠権を取得するためには、ただいま御指摘ございましたとおり、新規性、すなわち新しいデザインであること等の要件を満たすことが必要でありまして、出願前に自ら公開している場合も新規性を喪失したとして登録を拒絶することになります。このとき一定の要件を満たせば例外が認められておりますけれども、SNS等で自ら何度も公開した場合は公開したケース全てについての証明書を網羅的に提出することをお願いをしてまいりました。これが特にスタートアップ、中小企業にとっては大きな負担となっていると承知をしております。
このため、これら意匠を活用した事業を後押しする観点で、今般、最も早い公開日の公開行為についてのみ証明書を提出すれば、その日以降の公開についての証明は不要とする旨の改正を行うことといたしました。
手続の緩和による負担軽減によりまして、スタートアップや中小企業、デザイナーやクリエーターの意匠権の取得を促進し、デザインを活用した事業展開を後押しをしてまいりたいと思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/64
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065・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
続きまして、先ほども質問ございましたけれども、デジタル空間上における模倣行為の防止について私からもお伺いをしたいと思います。
近年、デジタル空間における経済活動が活発化しておりまして、従来フィジカルで行われてきた事業のデジタル化、これも加速をしております。そうした中で、フィジカルとデジタルの間を交錯するような知的財産の利用が多数想定されている中で、今回の不正競争防止法の改正案では、デジタル空間における形態模倣商品の提供行為も不正競争防止法の規制対象とすることとしております。
こうした改正について、例えばアパレル会社などがリアルと同じデザインの衣類をメタバース上のアバター向けに販売する、こうしたことも適用対象になりまして、権利保護が図られると歓迎する声があると承知しているところでございます。
一方で、こうしたデジタル空間上の商品については既に著作権法上で保護されるものもあると理解しておりますけれども、このデジタル空間上の商品について、今回の不正競争防止法の改正で保護されることとなるものと、従来著作権法上で保護されるものとはどのような違いがあるのか、今日は文科省にも来ていただいておりますけれども、文科省の政府参考人、経産省の政府参考人、それぞれから御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/65
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066・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) まず、文化庁中原審議官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/66
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067・中原裕彦
○政府参考人(中原裕彦君) 著作権法におきましては、著作物は思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものとされておりまして、無体物について私人の財産権等を規定しているところでございます。
これによりまして、その著作物の要件を満たす場合には、現実空間のみならず、デジタル空間における利用についても著作権法で保護され、その利用に当たりましては原則として著作権者の許諾を得る必要があるというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/67
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068・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 次に、飯田経済産業政策局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/68
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069・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
デジタル空間上における商品につきましては、今御答弁がありましたけれども、当該商品の形態が著作権法上の著作物として保護されるためには、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであることが必要であるというふうにされております。
これに対しまして、不正競争防止法の他人の商品形態を模倣した商品提供行為につきましては著作物に求められるような創作性は要求されておらず、商品の形態が他人の商品に依拠して、実質的に同一と言えるほどに酷似しているものであれば規制等の対象になり得ると、こういう違いがございます。
したがいまして、今回の不正競争防止法の改正により、デジタル空間上の形態模倣品の提供行為も不正競争と位置付けられることによりまして、必ずしも著作権法の保護の対象とならないアバター用の小物、洋服といったデジタル空間において流通する量産された実用品の形態模倣品の提供を規制の対象とするものでございます。
保護対象期間も、不正競争防止法は三年、日本国内において最初に販売されてから三年間でございますが、著作権法は著作者の死後七十年間という形で、保護の内容についても差がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/69
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070・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
こうしたメタバース上のコンテンツ創作、また利用等をめぐる新たな法的課題については、政府の中で知的財産戦略本部にメタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議を立ち上げていただいて、これまで課題把握及び論点整理を行ってきていただきました。先般、五月の二十三日に、この官民連携会議として、メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等に関する論点整理を公表していただいたところでございます。
今回、こうした論点整理の中にも含まれておりますけれども、不正競争防止法の形態模倣商品の提供行為については改正が行われることとなりますけれども、それ以外にも様々な論点整理していただきました。著作権法、意匠法、商標法などの現行の知的財産法についてどのような課題があるとされているのか伺いたいと思いますし、また、今後更なるルール整備というものも必要なことになるというふうに考えますが、どのような方向性で検討を進めようとしているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/70
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071・澤川和宏
○政府参考人(澤川和宏君) 私ども内閣府知財事務局におきましては、先ほど議員からお話がございましたメタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議を設置いたしまして、メタバースにおける活動の実態と知的財産に係る諸法令との関係、また、求められる対応及び留意すべき事項等について議論を行いまして、本年五月に論点整理として取りまとめたところでございます。
その一例を御紹介申し上げますと、例えば、現実空間で保護の対象となっている商品のデザインがメタバースの中では同様の保護がされないおそれがあると、そういう事例が指摘されておりまして、現在、不正競争防止法の改正法案が審議されているというふうに承知しております。
また、このほかでございますが、現実空間における実在のブランド名等が仮想空間内で無断で使用されると、そういう事案に対しましては、現実空間と仮想空間双方において商標登録を出願するといった対抗手段が有効であるといったような整理を行っているところでございます。
今後、この論点整理を関係者向けのガイドラインということで周知してまいりたいと、そういうことを通じて官民一体となったソフトローの充実というものに努めてまいりたいというふうに考えております。また、あわせて、今後の技術の進展でございますとかビジネスの動向等を注視しながら、必要な検討を継続してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/71
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072・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
論点整理していただいて今後ガイドラインで周知される、また必要な検討を更に進めるということでございます。時代の変化は非常にスピード感ございますので、スピード感持って取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、先ほど森本先生からもございましたが、私からも損害賠償額の算定規定の見直しについてお伺いをしたいと思います。
今回の不正競争防止法改定では、先ほどもありましたとおり、営業秘密等の損害賠償額算定規定の見直しが行われまして、従来の自社の生産、販売能力を超える分の損害額について、ライセンス料相当額分を増額できるというふうになります。これによって営業秘密等の保護が一層強化されるというふうに考えておりますが、一方で、中小企業にとりましては、賠償額の多寡だけでなく、立証自体がそもそも負担であるというお声がございます。中小企業がライセンス料相当額の立証を行うことは容易ではないというふうに思いますので、この改正によって中小企業が本当にメリットを受けられるのかどうか、経産省はどのように考えていらっしゃるのか、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/72
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073・飯田祐二
○政府参考人(飯田祐二君) お答え申し上げます。
先ほど来御審議いただいておりますけれども、まず、営業秘密の侵害における損害につきましては、その損害額が侵害行為によって生じたことを立証することは非常に困難でございまして、現在、不正競争防止法で損害額を侵害品の販売数量に被侵害者の一個当たりの利益を掛け合わせて算定する規定が設けられております。
まさに今回の改正案におきましては、販売等の能力を超える分の損害額についてライセンス料相当分として増額できることとしておりまして、これは本当に、自分の規模が小さくて、むしろ大きな人に侵害をされてたくさん販売された場合に、今までは自分の販売数量までという算定規定だったものを、ライセンス料としてその大きな主体が販売したものについても請求できるというふうに変えるので、これは委員御指摘の中小企業、特に中小企業にとってはメリットがあるような規定だろうというふうに思ってございます。
ただ、これも森本委員からもお話ございましたけれども、これ、立証するのは、算定規定を設けるといっても、最低限、例えば侵害額の販売数量とか一個当たりの利益というものもやらなくちゃいけませんし、ライセンス料というのも裁判で争って、これを請求して、ある意味、裁判であれば認めていただかなくちゃいけないということで、これ先ほど申し上げましたので細かく申し上げませんけれども、営業秘密の実際の使用許諾料等、今までの裁判事例はございますけれども、これらを踏まえてしっかり請求していただかなくちゃ使えないものでございまして、そのために、まず少なくとも逐条解説には、これまでの裁判例がどういうものであって、どういうことが必要なのかということを明確にしてお示しするとともに、今回の改正内容に含めまして、改正内容を含めて、不正競争防止法につきましては経済団体、特に中小企業団体、私どもの地方経済産業局とも連携して、各地域の支援相談機関などに対してしっかり周知徹底をして、しっかり、まずこういうことができるようになったということを知っていただいて、じゃ、それをやるためには何が必要かということを御理解いただけるように、しっかり説明してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/73
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074・石川博崇
○石川博崇君 周知徹底をやっていただくということを是非お願いしたいと思いますが、そもそも、その中小企業がこうした知的財産を侵害された場合に裁判所に提訴すること自体がハードルが高いんですよね。
今年の四月二十日、日本商工会議所と東京商工会議所が知的財産政策に関する意見を公表しておりますが、その中で、中小企業は、自社の知的財産が侵害された際に、裁判費用、また専門家費用、これが大きな負担となり、訴訟提起をちゅうちょしてしまう、こうしたことから、こうした訴訟、提訴手数料の定額化、減額化、こうしたことが必要だという意見を示しておられます。
このような訴訟をそもそも行うことのハードルが高い中小企業にどのように支援をしていくのか、その必要性について経済産業省から御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/74
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075・濱野幸一
○政府参考人(濱野幸一君) お答え申し上げます。
我が国のイノベーション促進のためには、中小企業等が自社の優れた技術やアイデアを知的財産として保護し、活用していくことが重要でございます。とりわけ、知的財産に関する訴訟は、これは技術やノウハウに関する高度な専門知識を要する場合が多いことから、知財訴訟に関する支援も非常に大切であると認識をしてございます。
このため、中小企業等が知財の取得や活用のみならず、他者からの侵害に対する備えについても身近に相談できる場として、知財総合支援窓口を全国四十七都道府県に設置をしてございます。この窓口におきましては、弁護士や弁理士などの専門家が、模倣品を製造、販売している者への警告書の作成方法等も含め、無料できめ細かなアドバイスを行っております。
さらに、特に海外におきまして権利侵害等の被害に遭った中小企業に対しましては、ただいま申し上げますような費用面の支援も実施をしているところでございます。
申し上げますと、冒認出願、これは正当な権利を有しない他者によってなされた出願のことでございますけれども、この冒認出願等によりまして不正に他者に権利を取得され、海外企業から訴えられる等の被害を受けている場合には、異議申立てや審判請求、訴訟や対抗措置に係る費用等を助成をしてございます。
また、模倣品被害を受けている場合には、模倣品の製造元や流通経路等を把握するための侵害調査や、その調査結果に基づく模倣品の製造販売事業者への警告文作成、行政摘発の申請に係る代理人費用などを助成をしているところでございます。
今後とも、中小企業等が知的財産をしっかり活用し、知的財産訴訟にも対応できるよう、きめ細かく支援してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/75
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076・石川博崇
○石川博崇君 是非きめ細やかな支援をお願いしたいと思います。
続いて、国際的な営業秘密侵害事案における手続の明確化について御質問をさせていただきます。
国際的な営業秘密の侵害行為につきまして、今回の不正競争防止法改正によって、日本国内で管理された日本企業の営業秘密であれば、海外で不正使用されたとしても日本でも裁判をできることが明確化されたところでございます。経団連など経済界からは、こうした制度の整備が不十分であると様々累次にわたって指摘があったところでございまして、これを解消するものとして期待をしたいというふうに思っておりますが、一方で、大企業にとりましては、既に海外進出もしている、裁判を海外で提起することもできる環境を持っている、そうした大企業にとっては、裁判を海外でするのか国内でするのか選択の幅が広がるという点があろうかと思いますが、中小企業にとってどのようにメリットがあるのか、経産省の認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/76
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077・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) お答え申し上げます。
国際的な営業秘密侵害事案における手続の明確化の中小企業にとってのメリットという御質問だと思います。
これ、まさに御指摘のとおり、過去の民事訴訟において、日本の裁判所に裁判管轄が認められるか、また日本の不正競争防止法が適用されるか不明確だったので、その論点に多くの時間が割かれるという事例がございまして、こうした争いに多くの時間が割かれないように規定を整備して、日本の裁判所でも日本の民事の損害賠償を請求できることを明確化してほしいというのは、先ほど御指摘あったように、経団連等からも御要望があったところでございますが、昨年、日本商工会議所ですね、中小企業団体からも、日本の重要な技術、ノウハウなどの営業秘密を外国企業が不正に取得、利用して日本企業に損害を与えた場合、疑義なくより広く不正競争防止法に基づく損害賠償請求が可能となる制度措置を検討してほしいという御要望をいただいたところでございます。
今回の改正によりまして、海外で不正に使用された日本企業の営業秘密につきまして、刑事と同様に日本で民事訴訟を行えることが明確になりますので、法務知識、社内の体制、資金など大企業に比べ制約のある中小企業にとりましても、裁判になったときに管轄をめぐる争いの長期化が避けられるので、管轄をめぐる争いを気にせず、より訴訟提起がしやすくなるということ、さらに、海外の訴訟相手、特に訴訟を提起されたことや敗訴判決が出ることにレピュテーションリスクを感じることが予想されるような大企業、こういった企業を和解を含めた日本での交渉の場に引き出すことが容易になるといった点で有利な状況が生まれるものというふうなことを有識者からも御指摘いただいているところでございます。
中小企業では、やはり取引のグローバル化によって海外展開が今後進むと、さらに、インターネットの技術の発展によりまして海外での営業秘密侵害の増加というのは中小企業にとりましても懸念されるところでございますので、この国内で事業を行う中小企業等にとりましても、日本の裁判所で不正競争防止法に基づき裁判できることで予見可能性が高まることによりまして、管轄をめぐる争いについてのコストや負担が軽減され、中小企業にとってもより安心した企業の海外ビジネス展開が可能になるものと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/77
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078・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございました。
以上、中小企業、またスタートアップの皆様にとって使い勝手が良いものに、更に法律の施行、運用において磨きを掛けていただきたいということを御要望申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。
今日はありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/78
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079・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/79
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080・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、森本真治君が委員を辞任され、その補欠として水野素子君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/80
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081・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 休憩前に引き続き、不正競争防止法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/81
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082・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 日本維新の会の猪瀬直樹です。
本日は、不正競争防止法等の改正案ということですが、商標法、意匠法、特許法なども含めて、知的財産に関して一括して改正するものと理解しています。
そこで、まず、デジタル空間における形態模倣行為の防止について伺います。
これまでリアル空間において規制されていた形態模倣行為、つまりよく似た物まね品ですが、これをデジタル空間においても同様に適用する法案ということですが、知財に関する法律は、不当競争防止法以外にも著作権法、意匠法、商標法など幾つも存在しています。ブランド品の偽物にロゴを付けて売ったり、ロゴがなくてもほぼ同じものを売ったりすることはこれまで規制されていたと思うんですけれども、今回のデジタル空間において、これまで著作権法、意匠法、商標法等で規制されていた範囲と今回新たに不当競争防止法にて対応する範囲について、それぞれについて分かりやすく説明をお願いいたします。
まず、著作権法は文化庁ですね、お願いします。続いて特許庁、経産省、それぞれお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/82
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083・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) まず、文化庁中原審議官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/83
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084・中原裕彦
○政府参考人(中原裕彦君) お答え申し上げます。
著作権法では、著作物は思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものとされており、無体物について私人の財産権等を規定をしております。
これによりまして、著作物の要件を満たす場合には、現実の空間のみならず、デジタル空間における利用につきましても著作権法で保護され、その利用に当たっては原則として著作権者の許諾を得る必要がございます。このため、著作権者の許諾を得ずに無断で著作物を利用した人は著作権を侵害することとなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/84
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085・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 次に、特許庁濱野長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/85
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086・濱野幸一
○政府参考人(濱野幸一君) お答え申し上げます。
デジタル空間における画像の意匠権による保護につきましては、現行は、自動販売機の商品選択画像やカーナビの経路表示画像のように、画像デザインによって機器や機器に関連するサービス等の付加価値を向上させるものに限って保護の対象としてございまして、装飾的な画像や映画、ゲーム等のコンテンツ画像は保護対象となってございません。
デジタル空間における画像の意匠権による保護につきましては、昨年、法曹界、産業界、学界の有識者を構成員とします特許庁政策推進懇談会において検討いたしましたところ、意匠権による画像の保護範囲を装飾的な画像やコンテンツ画像にまで拡大することは、意匠権が不競法の形態模倣規制とは異なり、他者の模倣ではなく自分が独自に創作した意匠に対しても他者の権利が及ぶため、クリエーターの創作活動に与える影響を懸念する声があったことから、中長期的視野で検討を深める必要がある旨、取りまとめられたところでございます。
このような議論も踏まえまして、今後もユーザーの意見も聞きながら、必要に応じ対応を検討してまいりたいと考えております。
商標法に関しましては、現行法上もデジタル空間内での使用を意図した商標登録は可能でございまして、必要な保護を受けることも可能でございます。例えば、有体物の靴を模したデジタル空間内の靴はコンピュータープログラムとして分類されますため、デジタル空間内の靴についての権利を欲する場合にはコンピュータープログラムについて商標登録をすることが可能でございます。ただし、商標権者でない者がデジタル空間内の商品についての登録商標をデジタル空間内の商品に付して販売する場合、この場合には権利侵害と認定される可能性が高うございますが、現実世界の商品、例えば靴についてのみ登録された商標をデジタル空間内の商品、靴に付して販売する場合には権利侵害と認定されない可能性がございます。
このような点も含めまして、引き続き、司法判断の蓄積や国際的な動向を注視しつつ、保護の在り方について必要な検討をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/86
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087・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 最後に、経産省蓮井審議官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/87
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088・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) 今まで著作権それから商標、意匠について御説明がありましたが、こちら不正競争防止法の他人の商品形態を模倣した商品の提供行為でございます。こちらは、例えば先ほど御説明にありました著作権における著作物に求められるような創作性というのは要求されておらず、商品の形態が他人の商品に依拠をして、実質的に同一と言えるほどに酷似しているいわゆるデッドコピー品でありましたら、それは量産されるような実用品、こういった場合は通常著作権の対象になりませんけれども、そういったものであっても規制の対象になります。
今回の改正は、まさにそれを無体物を想定した電気通信回線を通じて提供する行為というのを追加いたしますけれども、これによりまして、アバター用の小物ですとか洋服、こういった必ずしも著作権の保護の対象とはならないような量産された実用品のデジタル空間における形態模倣品の提供行為が新たに規制の対象となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/88
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089・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 次に、営業秘密などの保護強化についてお願いいたします。
今回の改正では、損害賠償の対象を物品だけではなくてデータや役務の提供についても拡充すること、それから、損害額の算定の際に、自社の生産、販売能力を超える部分についてもライセンス料相当額として増額できるようになること、これらがポイントと理解しておるんですが、どちらについてもデジタル化社会の進展に対応した妥当な改正と評価していますが、逆に言うと、今まで対応していなかったのが遅過ぎるぐらいではないかと思うのですね。
実は、二〇一九年に特許法と商標法、意匠法、実用新案法については既に先行して同趣旨の改正を行っているようですが、いずれも同じ経産省管轄の法律ですが、不当競争防止法について改正時期が現在までずれ込んだ理由は何なんでしょうか。西村大臣、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/89
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090・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のように、令和元年に特許法改正を行ったときにも、この不正競争防止法に同様の規定を導入すべきかどうかの議論があったわけであります。しかしながら、当時は不正競争防止法における具体的な産業界のニーズであるとか意見も十分に踏まえるべきと判断をし、まずは特許法等における導入の状況を見ながら改めて検討するということに当時したものであります。
その後、特許法などの最新の裁判例として、特許権者の損害として従来は否定される傾向にあった部分についてライセンス料額も損害として認められる事例も出てきております。より適切な権利者の救済につながってきているものという認識でございます。こうしたことも受けながら、不正競争防止法として、令和三年から、産業構造審議会不正競争防止小委員会におきまして検討を行ってきたものであります。
営業秘密の保有者等についても特許法と同様に営業秘密などを他人にライセンスすることにより利益を得ることができる場合があり、不正競争防止法においても特許法等と同様の規定を導入すべきとの意見があり、まさに御指摘のように、こうした意見が小委員会として賛成の意見で取りまとめられたという、このことを受けて今回措置をすることにしたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/90
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091・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 続いて、二〇一九年の特許法、商標法、意匠法、実用新案法の改正の後、この改正の効果が発揮され、損害賠償の範囲や金額の大きさに影響があった裁判例等はあるでしょうか。もしあれば具体的な事例を御説明ください。特許庁、経産省、それぞれどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/91
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092・清水幹治
○政府参考人(清水幹治君) お答え申し上げます。
令和元年の特許法改正におきまして、特許権侵害による損害額の算定方法が見直されまして、特許権者側の損害額に基づいて損害額を算定する際に、特許権者の生産能力等を超えるとして損害が認められなかった部分についても、侵害をした者にライセンスしたとみなして損害賠償を請求できることとなりました。
また、今申し上げた改正内容は特許権者側の損害額に基づいた算定方式の件でございますが、特許法上、侵害した者の利益から特許権者の損害額を推定することが別の規定で認められているところ、この場合も特許権者の生産能力等を超える額が損害額として認められるかどうか争いがございました。
令和元年改正後の特許権侵害の裁判では、マッサージチェアの特許権侵害の損害が、特許権侵害が争われた事案におきまして、侵害した者の利益から特許権者の損害額を推定する場合でも、特許権者の生産能力等を超える部分で侵害した者の利益がある場合には、それをライセンス相当額として特許権者に損害を認めると判示をされまして、知財訴訟では高額な約二十七億円の損害額が認定されるなど、令和元年の特許法改正の趣旨に即した判決が行われていると承知をしております。
このように、令和元年改正以降、高額賠償を認める裁判例出てきておりまして、改正の効果が認められると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/92
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093・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 経産省はよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/93
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094・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) 令和元年の特許法等の改正では、この不正競争防止法の改正はしてございませんので、それは、我々の方ではまだそういった具体的な判例は承知をしてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/94
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095・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 今国会においては著作権法についても同様の改正が行われました。改正自体は評価するとして、別会社で別の法律について同趣旨の改正を同じ国会で行うのは珍しいように見えるんですね。
今国会、改正の時期が不当競争防止法と重なったのは、経産省と文科省で協議などを行っていたんでしょうか。経緯や理由をお聞かせください。これ、両者で話し合っているのか、いないのか、文化庁参考人、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/95
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096・中原裕彦
○政府参考人(中原裕彦君) 文化庁におきましては、令和三年七月に、文部科学大臣より、デジタルトランスフォーメーション時代に対応した著作権制度、政策の在り方につきまして文化審議会に対してその諮問を行いまして、審議事項とされた著作権侵害に対する実効的救済などについて審議をいたしたところでございます。
審議におきましては、近年の海賊版によるその著作権侵害の状況を踏まえ、令和元年の特許法などの改正を参考に、関係者へのヒアリングや著作権法制における意義、効果の検討などを行いました。この議論の結果を受けまして、損害賠償額の算定方法の見直しを盛り込んだ著作権法の改正法案を取りまとめ、五月十七日に成立を頂戴したところでございます。
文化庁としましては、その法改正の周知も含めまして、海賊版被害の防止に向けた取組を進めてまいりたいというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/96
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097・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 ちょっと今のお答えの中で、経産省とのすり合わせはどうしたのかということについてもうちょっと言っていただきたいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/97
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098・中原裕彦
○政府参考人(中原裕彦君) 閣議決定としまして法案を提出する際におきましては、当然法案の内容につきましては全政府一体ということで、経済産業省を含む関係省庁と協議をしながら進めてきているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/98
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099・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 分かりました。
文化庁はこれで退室されて結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/99
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100・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 文化庁中原審議官、御退席いただくのであれば退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/100
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101・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 つい先週の五月三十一日に、かっぱ寿司の前の社長が、かっぱ寿司の社長ですね、この前辞めましたけど、前にいたはま寿司から営業秘密に当たる仕入価格などのデータを不正に持ち出して、不正競争防止法違反、営業秘密領得などの罪で起訴された裁判の一審判決出ましたが、判決によると、前社長は、はま寿司の食材の原価や仕入先に関するデータを持ち出して、カッパ社の当時の商品部長にメールで送信して両社の原価を比較する資料を作成させたということなんですね。判決は懲役三年、執行猶予四年、罰金二百万円と有罪判決になりました。
今回の法改正によって、今後ももし類似の事件が起こった場合、その量刑が重くなったり罰金が高額になったりとか、そういう裁判所の判断に影響を与える点は考えられるんでしょうか。参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/101
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102・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) お答え申し上げます。
今回の法改正のうち、営業秘密に関する措置につきましては、民事において、生産や販売等の能力に制約のある企業の損害の回復がより適正に行えるよう、先ほど来御議論いただいておりますけれども、令和元年に改正された特許法などを参考にいたしまして、被侵害者の販売等の能力を超える分の損害額についてライセンス料相当分額を増額できるという措置でございます。これ民事でございまして、今回、営業秘密に関して罰則に関する改正はしてはございません。
お尋ねのまさに大手回転ずしチェーン店の元社長による営業秘密の持ち出しに関する事案、これ刑事事案でございますけれども、こちら、報道によれば、大手回転ずしチェーン店の親会社に在籍していた当時、転職元の仕入れや商品原価に関するデータを不正に入手し、転職先に転職した後に、同社の商品部長とデータを共有して商品原価の比較表を作ったというふうに伺っているところでございます。
この事案につきましては、大手企業間の営業秘密漏えいに関する刑事の事案でございまして、その上で、侵害された営業秘密の内容が仕入れデータだということでございます。今般の損害賠償額の算定規定の主な対象は、先ほど来議論になっておりますけれども、生産や販売の能力に制約のある中小企業などを主に念頭にしたような規定でございまして、その数量的な算定ルールでございます。したがいまして、これを適用する場合とは、今回のちょっと例とは基本的にはちょっと対象となる場面は異なるものというふうに理解してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/102
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103・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 続いて、外国公務員贈賄に対する罰則強化について伺います。
今回、OECDからの勧告を踏まえて罰則を強化するということなんですが、昔の昭和の時代には、アジア、アフリカ、それ以外にも中近東とか東ヨーロッパとか、世界中の多くの国で公務員に対する贈収賄は日常茶飯事で、言わばビジネス上の必要悪として認識されていたような感じでしたが、その後、OECDが一九九七年に外国公務員贈賄防止条約を採択したことを受けて、日本も一九九八年に不正競争防止法を改正して外国公務員などに対する贈賄の規制を導入した、こういう経緯ですけれども、そもそも国際的に外国公務員への贈収賄について規制を厳しくするきっかけは、いつ頃、何が原因だったのでしょうか。また、その後、現在までの世界的な規制強化の経緯、また現状における諸外国との罰則レベルの比較について、西村大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/103
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104・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 御質問の外国公務員への贈賄に対する罰則導入の世界的な流れについてでありますが、一つの契機は、一九七〇年代前半に起きました国際的な汚職事件でありますロッキード事件などを踏まえて、一九七七年の米国での海外腐敗防止法、FCPAの制定であるというふうに認識をしております。その後、世界的な汚職の増加、また、特定の国のみによる外国公務員贈賄対策では効果が限られるという、こうした認識、意識の高まりを受けまして、一九八九年にOECDにおきまして条約制定に向けた議論が開始され、一九九七年に外国公務員贈賄防止条約が採択されたところであります。現在では四十四か国が同条約を批准しておりまして、各国において外国公務員贈賄罪を国内法で規定をしております。
日本におきましては、他のOECD外国公務員贈賄防止条約加盟国と同等の水準とは言えないということであるとか、あるいは効果的な犯罪抑止を図る必要性がより高まっているということなどから、今般の法改正により、まず、自然人に対する罰金刑の上限額を五百万円から三千万円に引き上げます。また、法人に対する罰金刑の上限額を三億円から十億円に引き上げるということとしております。いずれも国内の経済犯罪の中では最高レベルの法定刑となります。
この結果、各国の罰則の措置状況について把握している限りで申し上げますと、条約加盟四十四か国のうち、自然人についての罰金刑の上限額が規定されている加盟二十一か国のうち三千万円超とする国が十六か国となります。また、法人については、罰金刑の上限額が規定されている加盟二十か国中で十億円超とする国が八か国となります。
こうした各国の措置状況も踏まえて、今般の法改正によりまして、日本の法定刑の水準は他の加盟国の水準と比較しても遜色ないものとなるというふうに考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/104
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105・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 ロッキード事件が端緒であるということは我々もちょっと知っておいた方がいいかなというふうに改めて思いましたけどね。
で、この外国公務員の贈収賄について、例えば今の時代で、個人旅行者や出張する企業の社員が例えば入国時に難癖を付けられて利益供与を要求されるような事例は、今でも一部の国では見受けられると思うんですね。このような事例も今回強化された罰則の対象となるんでしょうか。これは参考人ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/105
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106・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) お答え申し上げます。
個別具体な事案についての外国公務員贈賄罪の成立か否かにつきましては捜査当局が収集した証拠に基づき個別に判断するということではございますのですが、一般論として申し上げますと、不正競争防止法の十八条一項に規定するとおり、やはり国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために外国公務員に対する金銭等の利益を供与したと判断される場合には、その供与した金銭の多寡によらず、外国公務員贈賄罪が適用され得るということになると解されます。
なお、一般論として申し上げれば、今委員御指摘いただいた個人旅行者については、通常でありますと国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るためとは考えにくいのではないかというふうに思われますので、そういった場合であれば、外国公務員贈賄罪が適用されないと判断され得る場合もあるものと考えられます。ただし、ただの旅行ではなく企業の社員の出張などの場合について、これも個別事案次第でございますけれども、入国の際の利益供与だとしても、これが国際的な商取引に関してという、先ほど来申し上げているその利益供与だと、営業上の不正の利益を得るための利益供与だと認められる場合、こういった場合にはこの外国公務員贈賄罪が適用され得る場合もあるものと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/106
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107・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 こういう贈収賄を防いでいくためには、罰則の強化だけではなくて、諸外国政府への働きかけや海外で活動する日本企業へのサポートなど、様々な取組が必要だというふうに思いますが、利益供与等を外国公務員から要求された場合の相談窓口や政府としてのサポート体制について、現在どのような施策を行っているか、また今後強化していく予定はあるかどうか、参考人にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/107
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108・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) お答え申し上げます。
経済産業省では、今委員御指摘のような、外国公務員の贈賄の防止に向けた総合窓口というのが設置してございまして、広く御相談を受け付けておりますけども、この三年ですね、二〇二〇年四月以降でもう百件近く、九十件以上の対応をしているところでございます。
今御指摘ありましたとおり、さらに、企業単位で不当な要求を拒絶するというのは非常に難しいという面もございますので、こういった場合には、現地の日本大使館や領事館、こちらの日本企業の支援窓口がございますし、それから独立行政法人のいわゆるジェトロ、さらに現地の商工会議所などに相談をするほか、これらの機関を通じて不当な要求を停止するように現地政府に要求すると、こういう対応も可能だということも含めて今周知しているところでございます。
今般の改正と併せまして、これ、外国公務員贈賄の防止指針というのを我々出しておりまして、これまさに企業の皆様にこういったことしないふうにしましょうねという周知なども行っているわけでございますが、こういったもの、さらにその手引ですとかパンフレット、こういったものもございまして、これも改訂いたします。それで、ホームページの公開に加えまして、全国の知財の支援の、総合の支援窓口や国内外のジェトロの事務所、さらに関係団体に配布、加えて現地の日本大使館、領事館等への担当者への改正内容に関するウェブ研修、こういったものを通じまして海外進出企業に対する支援に注力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/108
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109・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 国際的な営業秘密侵害事案の手続明確化について伺います。
国外での営業秘密の侵害についても日本の裁判所に訴訟を提起でき、日本の不正競争防止法を適用するという件ですよね、これから。これまで日本の裁判所には訴訟を提起することは可能だったのでは、可能だったんじゃなかったのかということなんですね。で、ちょっと昔の新日鉄とポスコの例を挙げていただいて、それで今回、どこがそれで違ってきたのかということを説明願いたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/109
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110・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) お答え申し上げます。
今御指摘いただいた過去の裁判事例でございます。
大手の鉄鋼メーカー、当時の新日鉄住金の元社員が、この新日鉄住金が持っている方向性電磁鋼板、これトランスの芯などに使いますけれども、この電磁鋼板に係る営業秘密を韓国の鉄鋼メーカー、ポスコに流出させたということで、新日鉄住金がポスコに対しまして、不正競争防止法に基づき、これ営業秘密侵害でございますが、約一千億円の損害賠償等を求める民事訴訟を二〇一二年に東京地方裁判所に提起をいたしました。他方、ポスコの方は、この訴訟における新日鉄住金が主張する請求権が不存在であるとの確認を求める訴訟を韓国の裁判所に提起をしたこともございまして、日本の裁判所に裁判管轄が認められるか、また日本の不正競争防止法が適用されるかが一つの争点になったものと認識してございます。
この訴訟、最終的には、両当事者の間でその他の関連訴訟も含め和解が二〇一五年に成立をいたしましたので、裁判所は裁判管轄や準拠法について特段判断を示されなかったと理解しておりますけれども、裁判管轄や準拠法をめぐる争いに多くの時間が割かれているという指摘はございました。
こうした海外で発生した日本企業の営業秘密の侵害について、裁判管轄や準拠法をめぐる争いに多くの時間が割かれることがないよう、今回の法改正により、海外で営業秘密が不正利用等をされたとしても、それが日本の企業、日本で事業を行う企業の営業秘密であり、日本においてそれが管理されているものである限りは、日本の裁判所で日本の不正競争防止法に基づき損害賠償等を請求できるということを明確化したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/110
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111・猪瀬直樹
○猪瀬直樹君 時間なくなってきましたので終わりにしますが、日本の裁判所でできるということで、本来はもっと早くそれができていればよかったなという反省に基づいて、今回この法律改正ということですね。分かりました。
これで質問終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/111
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112・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史です。どうぞよろしくお願いをいたします。
午前中の質疑の中で、同じ関心を持った先生方多かったので、少し質問がかぶりましたので、その点についてはちょっと飛ばし飛ばしで質問をしていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
まず、デジタル空間における模倣行為の防止ということで、午前中の質疑でも、リアルな空間とデジタルな空間でどういうふうに模倣するとそれが今回の法律上引っかかるのかという、こういう質問がありまして、どういう組合せであろうとも引っかかるんだというのが今回の法改正ということで理解をいたしました。
では、その上でなんですけれども、いわゆるこの商品というものの規定の中に、このデジタルのもの、まあ無体物という言い方を法律の中では考え方として持っていますけれども、この無体物を今回含むということにしたわけですが、したんですけれども、今回、不正競争防止法第二条がそれに当たると思いますけれども、この中には余り細かいことというのは実は記載がありません。
調べてみますと、不正競争防止小委員会の報告書の中で、今回はその法改正は行わずにまずは逐条解説等に記載することというふうに、これが記載がありました。つまりそのとおり行われたということなんですけれども、あえてこれを法改正ではなくて逐条解説の中で記載していくという、こういう方向で進められた理由について確認をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/112
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113・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) お答え申し上げます。
今御指摘のとおりでございますが、現行法の逐条解説におきましては、この形態模倣商品の提供行為における商品の形態でございますけれども、これは二条四項に規定ございまして、有体物の形態でなければならず、無体物は含まれないと、これ逐条解説にも記載しているところでございます。
この理由は、従前はメタバースなどのデジタル空間で商品の形態を模倣する、あるいは商品というものを譲り渡したりして模倣すると、こういう行為そのものが想定されなかったということがございます。
しかし、先ほど来御議論ございますように、近年では、アバターに着ける服ですとか小物、こういったデジタル空間での利用を前提とした商品が登場してきておりますので、こうしたデジタル空間上の商品の形態を模倣してもうけようという行為の増加も懸念されておりますので、今回の改正は、デジタル空間上の形態模倣品の提供行為も不正競争に含まれるようにするものでありまして、具体的には、無体物を想定した電気通信回線を通じて提供する行為ということを追加するものでございまして、その旨の文言を法律上入れるものでございます。したがいまして、今回の改正によりまして、商品の形態あるいは商品には無体物も含まれると解することになります。
その際、御指摘のような、商品の定義を改正をして商品に無体物を含むと規定するところも検討したところでございますが、現行の不正競争防止法において、電気通信回線を通じた商品の提供を既に不正競争としている規定がございまして、例えば隣にあります二条一項の一号、いわゆる周知表示混同惹起行為という、表示を混同させてしまうような行為でありますとか、第二号の著名表示冒用行為というのもございますけれども、こういったものの中では、商品に無体物も含むという解釈が実務上も定着してございます。
これに倣いまして、今回も、商品の定義を改正するのではなく、第三号における商品についても、電気通信回線を通じて提供する行為を追加すると、その文言を追加することによって、商品の定義を変えるのではなく、第三号の商品には無体物も含むと、一号、二号と倣って同じように解釈をするということが実務上の観点からも適切だというふうに考えまして、さらにこの実務家、有識者の御議論もいただきまして、不正競争防止小委員会でもこういった御意見もいただきまして、それを踏まえてこの度改正することとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/113
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114・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
今まである考え方、それの延長上にしっかりと入るようにということで整理された考え方を拡大できるようにしていったということで理解をいたしました。
ただ、やはり、実際に防止をするという意味では、広くこれが理解をされないと意味がありませんので、これはもう法律が改正された暁の話になりますけれども、しっかりと関係者の方、もうそれこそ経営者、商品開発されている方、さらにはこうしたことのもうスペシャリストであります弁理士の方、そうした方たちにしっかりと、これ、中身については展開をしていただいて、また、今、個人事業主という形でいろいろ商売をされている方たちもいらっしゃいますので、できるだけ分かりやすく発信をしていただくこと、これは要望としてさせていただきたいと思います。
今、無体物ということで、デジタル空間の中でこうした法整備を整えたということなんですけれども、午前中の質疑でもありましたが、デジタル空間って別に国境がないので、じゃ、日本の国内法はどこまで適用されるのかということ、これを改めて確認をしたいんですけれども、今回の法改正が及ぶ範囲として、例えば、その事業者が国内で登録されている事業者なのか、それともサーバーが置いてあるところを該当させるのか、何をもって国内法を適用させていくのかというその考え方について確認させていただきたいのと、あわせて、その点に関して国際ルールなどで既にまとまっている方向性などがあれば併せて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/114
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115・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 不正競争や知的財産権の侵害を始めとする民事紛争は、国境をまたいで発生した場合の話でありますけれども、一般論として、まず裁判管轄、先ほども少し議論がございました、すなわち、いずれの国の裁判所で裁判を行うのかという点、それから準拠法、すなわち、いずれの国の法律で裁判を行うのかということが問題になるわけであります。このうち、例えば不法行為における裁判管轄と準拠法の決定におきましては、その不法行為による侵害の結果が発生した地がどこになるかによって判断されるということで、これは国際的にこのような考え方が取られているものと認識をしております。
今回の法改正におけるデジタル空間での模倣行為を防止する措置でいえば、形態を模倣した商品の販売が海外のサーバーで行われた場合であっても、そのサービスが日本国内の消費者を主な対象としている場合など、不法行為による侵害の結果が発生した地が日本国内であると裁判所が判断するときには、日本の裁判所で日本の不正競争防止法に基づき措置を求めることができるというふうに考えられます。
なお、今般改正の対象としております未登録デザインを模倣する行為を規制する法律については、世界共通のルールはないものというふうに認識しております。主要国では、こうしたデザインも保護する法律自体はあるものの、デジタル空間上の形態模倣品の提供行為を不正競争として明確化した法令は確認した限りでは存在していないというふうに認識をしております。
このデジタル分野における新しい技術の進展、そして諸外国の制度整備の状況、これは引き続き注視をしていきながら、リスクに対応しながら適切な利活用を後押しできるよう、引き続き適切な知的財産制度の整備に取り組んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/115
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116・中原裕彦
○政府参考人(中原裕彦君) お答え申し上げます。
著作権の分野におきましては、その原則を定めた様々な条約に基づき各国が定める法律において、互いにその著作物を保護しているところでございます。デジタル空間においてその著作物を利用する場合には、利用者の国籍にかかわらず、日本における利用の場合には日本の著作権法が適用されることとなります。
国際私法の上におきましては、そのデジタル空間上の著作物に日本からアクセスでき、著作権侵害等の不法行為による損害が日本において発生していると考えられる場合、日本における著作権及びその侵害の有無などについては、日本の著作権法に照らして判断することができるものになるというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/116
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117・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
やはり、これも今日幾つか議論がやはり出ていますけれども、商標なのか意匠なのか、それとも著作権なのか、その対象物が何になるかによって、ルールにやっぱり若干違いもありますし、国際的なまだルール作りについても差が出てきているという状況であります。先ほどお話ありましたけれども、やはり、じゃ、国内の非常に優れたデザインを模倣して海外で商売をしたとなると、じゃ、これはどうやって適用するんだとなったら、これやった者勝ちの状況にもまだなってしまうということでもありますので、ただ、これは国際的なルール作りが大変重要になると思いますので、ここは是非経産省の方でもリーダーシップを発揮していただいて、こうした国際ルール作りもしっかりと進めていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
続いての質問ですが、これ、じゃ、実際に何か損害が発生したときの損害額の考え方、改めて確認をさせていただきたいんですけれども、これも不正競争防止小委員会の中で議論がなされて、実際にデジタル空間とリアルの空間の中でのデザインが模倣されたときの損害の影響ですね、これは同列に比較できないんではないかという考え方が実はこの小委員会の中でも議論がされていましたけれども、結果的に、やはりリアル空間とデジタル空間というのは市場がやっぱりそれぞれ違いますので、そこの損害の考え方というものについては違いがあっても仕方がないとは思いますけれども、今回改めて、このデジタル空間でリアルな製品のデザインの模倣がされたとした場合における損害額、これどのような考え方で算定をするのか、その確認をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/117
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118・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) お答えを申し上げます。
御指摘のとおり、この不正競争防止小委員会において、リアル商品とデジタル商品で市場が異なる場合、利益が侵害されたと言えないんじゃないかという御意見がございました。
形態模倣品の提供行為を不正競争としている趣旨でございますけれども、やはりこれ先行者の市場先行の利益というインセンティブを保障しまして、商品化のために掛けた労力、時間、費用の回収を保護するということでございます。
この趣旨に鑑みますと、リアルの商品を模倣したデジタル商品が提供されたとして、それが先行者の市場先行の利益を侵害していると認められない場合は差止め等の対象にはならないというふうに考えられますけれども、これに対しまして、デジタル空間上でリアルな商品を模倣したデジタル商品が提供された場合であって、模倣者が商品化のためのコストですとか売れないかもしれないというリスク、これを大幅に軽減できるとか、あるいは一方で、先行者が新たな市場に参入する際の先行者メリットが著しく減少すると、で、個性的な商品開発や市場開拓への意欲が阻害されるというようなことが生じた場合には、市場が異なっていても、先行者の営業上の利益が侵害されているというふうに言えるのではないかと考えられます。
例えば、ライセンスを受けずにデジタルの形態模倣品を提供する行為によって、市場がリアルとデジタルで異なるとしても、先行者のライセンスの機会が失われて、その結果、利益が侵害されることとなり得る場合もあると考えられます。この場合、具体的なライセンス料の算定に当たりましては、先ほど来議論ございますけれども、従来の裁判例における判断を踏まえますと、実際の使用許諾契約におけるライセンス料率、それが明らかでない場合には、業界におけるライセンス料の相場観なども考慮に入れながら、原告の商品の形態の独自性とか認知度などなど、訴訟に現れた諸事情を総合考慮して判断されるものと考えておりますが、こういった今日の改正内容を含めまして、逐条解説で損害賠償算定規定のこうした考え方、更なる明確化を図ってまいるとともに、裁判例の蓄積も注視しながら、こうした考え方、裁判例を積極的に周知してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/118
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119・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
先ほどの逐条解説にしっかりと記載をというところとこれも関係しますけれども、やはりこれ、こういう状況においてもこういうやはり損害額の考え方があるんだということ、これしっかりと発信をしていくということが、まあそもそも防止の方にも、抑制していく方向にもつながると思いますので、こうした点についてもしっかりと分かりやすくまた発信をしていただきたいと思いますし、やはり、本当に優れたデザインのものが、個人で出しているものが、ある意味組織的にそういう模倣品を作って商売をするような人たちの目に留まったときに、やはり多額の損害賠償が求められるということになれば、やはりクリエーターの人たちの能力がしっかりとそこで保護されることにもつながると思いますので、是非そういった取組は進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
恐らくちょっと最後の質問になると思いますけれども、ちょっとやはりこれが気になりました。生成AIですね。この生成AIによる作品、最近でいけば、絵画、もうそれこそ写真のようなものもありますし、デザインもあると思います。さらには、チャットGPTを使えばいろんな小説も作れるでしょうし、映画の脚本なんかも今作り始めようとしている、そういうトライアルがあるというふうには見ていますけれども、この生成AIで作られた作品に対して発生する権利というのがどのように及んでいくのかという観点と、また、そもそもその生成AIをしっかりと教育していくためのディープラーニング等で使われる教材、こうしたもののベースの作品に対する保護、こうしたことに対する現状の課題認識と、あと検討の状況について確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/119
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120・中原裕彦
○政府参考人(中原裕彦君) お答え申し上げます。
いわゆるAI生成物を生み出す過程におきまして、AIの利用者に創作意図があり、かつAI生成物を得るための創作的寄与があれば、利用者がその思想、感情を創作的に表現するためにAIという道具を利用して、道具を使用してAI生成物を生み出したものとして、当該AI生成物は著作物になるものと考えられます。この場合、著作者となる当該利用者がAI生成物の著作権者となります。
一方、AI生成物のうち、利用者の寄与が認められないような簡単な指示を入力して生成したにとどまる場合などAIによって自律的に生成されるAI生成物については、現行の著作権法上は著作物とはならないと考えられます。
また、AI開発として行われるその深層学習などにつきましては、著作権法第三十条の四の規定によりまして、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としないというときには著作権者の許諾なく利用することができることとされております。なお、同条では、著作権者の利益を不当に害する場合などについては適用されない旨を定めているところでございます。
文化庁といたしましては、このようなAIと著作権の関係について、セミナー等を開催して普及啓発に努めるとともに、今後、AIの開発やAI生成物の利用に当たっての論点を速やかに整理し、考え方を周知啓発してまいりたいというふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/120
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121・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ますます科学技術発達していくと思いますので、法整備の方が遅れることがなきように、しっかりとまた検討を進めていただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/121
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122・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
初めに、特許法の改正について質問をします。
法案では、中小・小規模事業者等の特許に関する手数料の減免について、一部件数制限を設けるとしています。
資料の一を御覧ください。右側なんですけれども、手数料の減免申請件数が一番多い企業は一者で年間三千件を超えているんですけれども、この企業を含めて千件を超える企業が四件となっています。平均件数が一者当たり三・一件とあるので、申請が一部の企業に偏っているということがこの表を見れば分かります。
今回の改正では、資力等の制約がある事業者の発明を奨励し産業発達を促進するという制度の趣旨を踏まえて件数制限を設けるとしています。
そこで伺うんですけれども、この一部の企業が法の趣旨とは違う形で減免申請を行ってきたということが特許庁の収支や剰余金にも影響を与えたのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/122
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123・清水幹治
○政府参考人(清水幹治君) お答え申し上げます。
特許法では、高い潜在能力を有するが資金、人材面の制約で十全な知財活動を実施できない者による発明を奨励する等の目的の下で、中小企業等に対して審査請求料の減免制度を設けております。委員御指摘のとおり、一方、一部の者におきましては平均的な大企業をも大きく超えるような件数の審査請求を行い減免の適用を受けるという、必ずしも制度趣旨にそぐわない制度利用が見られているところでございます。こうした実態を踏まえて、減免制度の本来的趣旨にのっとった制度運用を行うため、審査請求料の減免を受けられる件数に一定の上限を今回設けたいというものでございます。
なお、今般の措置はあくまで制度趣旨にそぐわないと考えられる一部の利用についての適正化を図るものでありますが、減免の適用件数に一定の上限を設け、これを超える審査請求については手数料を満額納付いただくこととなりますので、他の条件が同じであれば、特許特別会計に入る手数料収入を増加させる方向に働く、財政の好転につながるものと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/123
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124・岩渕友
○岩渕友君 いずれにせよ、今回の措置は必要なものだというふうに考えています。
それで、ここからは知的財産制度の要である特許庁審査官の体制について質問をしていきたいと思います。
初めに、大臣に伺いますけれども、この特許庁審査官が果たしている役割の重要性について、大臣の認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/124
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125・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 特許権、意匠権、商標権といった産業財産権、これは権利者がつくった発明等について独占的な権利を与えることで事業化などに活用するものであり、まさに我が国のイノベーション促進にとって非常に重要であるという認識であります。
御指摘のように、特許庁では、特許、意匠、商標の産業財産権の付与のための審査という重要な業務をそれぞれの専門性を持つ審査官が日々審査に従事してくれております。
例えば、特許審査官は、優れた特許技術によるグローバルな事業展開を促し我が国のイノベーションの促進に寄与するため、世界最高品質、最高速度の目標を掲げて、特許審査の質及びスピードを担保するために審査請求から権利化まで十四か月という審査期間に関する政府目標を掲げて、それに向けて迅速、的確な審査に取り組んでいるところであります。また、意匠、商標の審査官も、デザインを基点としたイノベーションの創出及びイノベーションの創出に応じた新たなビジネスモデルに係るブランドの保護に貢献しているものというふうに認識をしております。
さらに、特許庁の知的財産制度については国際的な評価も高く、WIPOやJICAとも連携して、審査官はまだ知財制度が発展途上である途上国、新興国への制度構築の支援なども行ってもらっております。この中で、特許庁の審査官が専門家として派遣され、セミナーやワークショップの開催、人材育成においても大きな役割を果たしているものと承知をしております。
このように、特許庁の審査官は国内外での産業財産権の活用やその促進に非常に重要な役割を果たしてくれているものというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/125
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126・岩渕友
○岩渕友君 今答弁にあったように、非常に高い専門性を持って重要な役割を果たしているということですよね。さらに、大臣は、衆議院の議論の中では、懸命な努力を重ねていると、敬意と感謝を申し上げたいというふうにも答弁されているので、そのとおりかなというふうにも思います。
そういう重要な役割を果たしている審査官ですけれども、衆議院で我が党の笠井亮議員の質疑で、二〇二一年の審査官一人当たりの年間処理件数が欧米と比較をすると約二・五倍だということが確認をされています。
そこで、日本と世界の状況を比較してみたいと思います。
日本、米国、欧州、中国について、特許審査官の直近の人数は何人でしょうか。そして、一人当たりの審査件数は何件になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/126
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127・濱野幸一
○政府参考人(濱野幸一君) お答え申し上げます。
日米欧中の四つの知財庁におけます特許審査官の人数は、全ての庁について統計データを取得できる二〇二〇年の報告書に基づけば、日本国特許庁が千六百六十六人、米国知財庁は八千二百三十人、欧州知財庁は四千九十九人、中国知財庁は一万三千七百四人となっております。
また、各庁における特許審査官一人当たりの審査件数につきましては、一概には比較は難しいものの、同様に各日米欧中の四つの統計データに基づき、国内出願の審査件数と国際出願の審査件数の合計をそれぞれの知財庁の特許審査官の数で割ることで一人当たりの審査件数を試算をいたしましたところ、二〇二〇年におきまして、日本国特許庁は年間百六十四件であるのに対しまして、米国知財庁は年間七十二件、欧州知財庁は年間五十七件、中国知財庁は年間九十一件となってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/127
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128・岩渕友
○岩渕友君 二〇二一年の最新のデータのところも出ている部分もあると思うんですけれども、欧州と比較をすれば約三倍、米国と比較をすると二倍以上、中国と比べると二倍近くになっていると。政府が掲げるその特許審査期間の迅速化や世界最高品質の特許の実現というのは現場の審査官の負担によって支えられているというのが実態です。
同じように、意匠審査官について、日本、米国、欧州、中国について、直近の人数は何人でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/128
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129・濱野幸一
○政府参考人(濱野幸一君) お答え申し上げます。
日米欧中の四つの知財庁におけます意匠審査官の人数につきましては、全ての庁についてデータを取得できる二〇二〇年の報告書に基づけば、日本国特許庁が五十人であるのに対し、米国知財庁が百九十三人、欧州知財庁が二十六人、中国知財庁が二百七十六人となってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/129
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130・岩渕友
○岩渕友君 中国が特許出願も意匠の登録出願も増えているわけなんですけど、その中国が特許審査官も意匠審査官も増やしているわけですよね。体制の点では日本は世界から遅れているという状況になるんだと思います。
この日本の特許庁審査官は十年以上減らされてきているんですね。特許・実用新案部門では、恒常審査官の人員不足を補うために、二〇〇四年以降、任期付審査官、任期五年で最長十年という任期で第一期、第二期と採用をし対応をしてきました。ところが、二〇二四年度以降、任期の期限を迎えて、毎年百人ずつ減っていくということになります。二〇二八年度には特許審査官数は何人になっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/130
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131・濱野幸一
○政府参考人(濱野幸一君) お答え申し上げます。
任期付審査官につきましては、特許審査の質の向上と迅速化を目的といたしまして、二〇〇四年度から時限定員による増員を認めていただいてございますが、今年度末から毎年約百名分ずつ時限定員の期限が到来することとなってございます。その前提で、全ての時限定員の期限が到来する二〇二八年度の定員数につきまして、産業構造審議会第十八回知的財産分科会にお示しした試算に基づけば、千百三十名という数字を提示させていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/131
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132・岩渕友
○岩渕友君 資料の二を御覧いただきたいと思うんですけれども、今答弁いただいたとおり、二〇二八年度は、恒常審査官は千百三十人になる予定だと。ところが、任期付審査官はゼロになっちゃう、ゼロ人になっちゃうんですよね。これが二〇二三年度から比較をすると、全体として約三割減ということになってしまうんですよね。三割減て、これもうすごく大きい減少ということになると思うんです。
それで、この二〇一三年に閣議決定をされた知的財産政策に関する基本方針では、今後十年間、知的財産制度の基盤となる特許庁の審査体制について、任期付審査官の確保など、必要な整備、強化を図る、このことを明記しています。このままでは二〇二八年には三割減だということです。この審査の速度や質を維持するためにも、更に向上させていくためにも、審査官の体制強化、これもうどうしても必要だと思うんですね。
そこで、大臣、この人員の拡充を検討するべきではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/132
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133・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) お答え申し上げます。
国家公務員であります特許審査官の定員につきましては、政府全体の定員合理化計画を踏まえるというのが前提であります。そうした中ではありますが、特許庁としては審査業務に対して必要な定員について精査を行って、関係部署との調整などを行っていくことにしております。また、審査業務の一層の効率化を図りながら、いずれにしても必要な審査能力はしっかりと確保したいというふうに考えております。
例えば、特許庁では、これまでも特許文献調査の外注なども活用し業務の効率化を図ってきておりますし、また、平成二十九年、二〇一七年からは、特許審査における外国特許文献への特許分類付与や、発明内容を入力すると関連する過去の特許を類似度の高い順に検索表示する機能などにAI技術、人工知能も活用しておりまして、現在更なる精度向上を図っているところであります。
引き続き、審査に適切に対応できるよう、こうした外部リソース、あるいは先端技術も柔軟に活用しながら審査のスピード、質、必要な審査能力は確保していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/133
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134・岩渕友
○岩渕友君 私も効率化を図ったり外注したりするということは駄目だって言っているわけじゃないんですよ。そういうことは活用すればいいと思うんですけれども、三割も減るということなので、せめて任期付きの審査官を増やすことを検討するとか、私たちは恒常審査官増やすべきだと思っていますけど、せめて任期付きも含めて検討するぐらいのことは大臣あってもいいと思うんですよ。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/134
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135・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) これなかなか苦慮しているところでありまして、政府全体の、やはり行政全体の効率化ということもあります。定員の合理化というものがあります。
他方、今後、グローバル化、あるいは先端技術どんどん出てくる中でこの知的財産、特許というものもしっかりと対応していかなきゃいけないという、そうした中で非常に苦慮しておりますけれども、まずはこの外部リソース、そして先端的なAIの技術なども活用して、何とか必要な審査能力は確保していきたいというふうに考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/135
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136・岩渕友
○岩渕友君 先ほど来議論しているように、一人当たりの審査官の負担もすごく重いわけですよね。非常に重要な役割果たしていると、専門性を持っているというふうに大臣もおっしゃったとおりで、重要だって言うんであれば、せめて検討ぐらいは必要だと思うんですよ。それが大臣の役割だと思うんですけど、大臣、もう一度いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/136
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137・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 一般論で申し上げれば、政府全体の役割、これは各省を含めて、縦割りの中で一定の定員の確保、削減などやっていくのではなく、むしろ、政府全体の中でより重きを成してきている政策、そして必要な人員確保という観点があると思いますので、私どもとして、当然、経産省としての役割全体を見ながら、そして政府全体の中で私どもとして必要なことは言っていきたいというふうに思っております。これはもう一般論としてそういう考えで対応したいというふうに思っております。
その中で、この特許の審査というものについて必要な能力をどういうふうに確保していくのか、このことは常に検討は進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/137
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138・岩渕友
○岩渕友君 人員も含めて検討をしていただくと、審査官を増やすということも、それは減るわけですから、三割もね。そのことも含めて検討をしていただきたいと強く求めておきたいと思います。
先ほどから話をしているように、世界の国々と比べても日本の審査官の負担、非常に大きいので、審査官の負担これ以上増やさないということでも、審査能力を確保するという点でも体制の強化、必要だということを述べて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/138
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139・平山佐知子
○平山佐知子君 平山佐知子です。よろしくお願いいたします。
このデジタル社会の発展というのは、私たちの暮らし、様々な面で恩恵をもたらしていると思っています。地元、私の静岡県ですね、地元の特産の一つにお茶、緑茶が挙げられますけれども、国内需要の低迷や単価の下落などといった原因で、昭和五十八年のピーク時から比べますと、今ではその産出額、残念ながら七割減と厳しい状況にあります。
一方で、その中でもデジタル社会の恩恵とも言える明るい兆しと言えるのは海外への輸出額、これを見ますと堅調に増えてきているということです。緑茶の日本からの輸出額を見ますと、近年で一番少なかった平成二年に比べますと、令和四年にはおよそ五十二倍にまで拡大してきています。
さらに、最近ではスパークリングティーと呼ばれる炭酸入りのお茶、こういったものも登場するなど、新しい付加価値もつくり出されて世の中に送り出されているという。お茶産業に携わる皆様方の熱意とか努力、それからまたこのデジタル社会の発展ということが同時に進行していくということが、新たな可能性また更に広がってきているのかなということも感じております。
お茶の例を挙げましたが、国内にはほかにも、例えば中小企業が持つ技術とか経験とか、まだまだ世界で戦えるものはたくさんあると思っています。ただ、そのときにリスクとなるのが模倣被害、それから技術情報の流出など知的財産侵害の懸念です。
そこで伺いたいんですが、現在行っている新規輸出一万者プログラムや海外ビジネス投資支援パッケージなどは意欲ある企業の攻めを支援する内容ですが、こうしたものも含めて、知的財産の侵害リスク、それから被害の回避、軽減させるこの守りの支援は行われているのかどうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/139
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140・清水幹治
○政府参考人(清水幹治君) お答え申し上げます。
議員御指摘のとおり、中小企業等の海外進出やビジネス展開を支援する上では、適切に知財権を取得していただく又は知財権をしっかりと保護するということが重要であると考えてございます。
海外ビジネス投資支援パッケージは、海外投資のリスクやハードルを下げる支援を強化するものでありますが、かかるリスクには知的財産権の侵害や模倣品の増加も含まれていることから、知的財産権の侵害リスク、被害の回避、軽減にも配意したものとなっていると認識をしております。
また、新規輸出一万者プログラムにおいても、知財専門家によるアドバイスの提供等、事業者への守りの支援も含め、包括的に支援を実施しているところでございます。
また、企業の海外展開を支援をいたしますジェトロ、日本貿易振興機構やINPIT、独立行政法人工業所有権情報・研修館等とも連携し、企業等が知財権の適切な保護を行うための支援も特許庁としても行ってございます。
具体的には、中小企業等が権利侵害への対応策も含め知的財産に関するあらゆる悩みについて相談可能な知財総合支援窓口の全国四十七都道府県への設置、INPIT本部に海外展開に応じた知的財産リスクやその具体的対策等に関するアドバイス、支援を行う常駐の海外知的財産プロデューサーを配置すること、また、ジェトロを通じまして、海外展開企業に対するハンズオン支援や権利保護のためのマニュアルの作成、セミナー等の実施、中小企業等による外国への出願費用や海外で権利侵害された場合の訴訟費用等への助成、また、海外における権利侵害対策をまとめたマニュアルや知的財産権侵害の事例集等の作成及びホームページでの公表、こうした取組を実施しているところでございます。
今後とも、海外展開支援を行う様々な機関や取組等とも連携をしながら、中小企業等の海外進出やビジネスの展開の後押しを行っていきたいと思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/140
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141・平山佐知子
○平山佐知子君 守りの支援、詳細ありがとうございます。
デジタル空間では、今、SNSを上手に利用しまして企業も自社製品の広告や販売を行っていますけれども、それをどうモニタリングしていくのかということも課題の一つだと思います。単体のサービスで、国内だけでも数千万、世界では数十億ものアカウントがあるなど、デジタル空間はこの無限の広がりがあるわけです。そうした中で、中小企業などは所有する知的財産が侵害されていないかどうか常にモニタリングをしていく必要があるわけで、これを一企業で担うには限界があって、かなりこれ大変な業務になると思います。ましてやスタートアップ、それから中小企業では、モニタリングのノウハウ、これが乏しかったり、人員や資金的な余裕も含めて懸念している部分があると思います。
今回の法改正の対象は、スタートアップ、中小企業等の知的財産を活用した新規事業を後押しするためということです。企業活動を促進することだけでなく、先ほどから言っているこの守ることもまた経済産業省の役割の一つであり、知的財産を守るためのモニタリング事業を企業間の共同事業として仲介していくなど、しっかりと支援していくことも大切だと思います。
こうしたデジタル空間におけるスタートアップ、中小企業のモニタリング、これをどういうふうにサポートしていく考えなのかも伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/141
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142・清水幹治
○政府参考人(清水幹治君) お答え申し上げます。
我が国のイノベーション促進のためには、中小企業やスタートアップが自社の優れた技術やアイデアを知的財産として保護し、活用していくことが重要であろうかと思います。
また、議員御指摘のデジタル空間におけるリスクのモニタリング等もしっかりと進めていく必要があろうかと思ってございます。その際の知財の侵害に関する支援をしっかり行っていくことが重要であると認識をしておりまして、経済産業省では様々な取組を行ってございます。
まず、中小企業やスタートアップが、知財の取得や活用方法のみならず、他者からの侵害に対する備えについても身近に相談できる場といたしまして、知財総合支援窓口を全国四十七都道府県に設置をしてございます。この窓口では、弁護士や弁理士などの専門家が、模倣品を製造、販売している者への警告書の作成方法等も含めて、無料できめ細かなアドバイスを行っているというものでございます。また、デジタル空間におけるこうした知財権のリスクモニタリング等の方法につきましても必要に応じて情報提供等を行っているというものでございます。
また、スタートアップにつきましては、専門家が伴走しながら事業戦略に連動した知財戦略の構築を支援するIPAS事業や、知財に関する情報提供、知財専門家とのネットワークの形成を行うプラットフォームであるIPBASE、こうしたものの提供等を通じまして、スタートアップがモニタリング等も含めて他者の侵害行為に対応できるように取り組んでいるところでございます。
これらの取組を通じまして、引き続き、中小企業、スタートアップが知財の侵害に備え、また仮に侵害された場合でも迅速に対応できるような支援に着実に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/142
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143・平山佐知子
○平山佐知子君 このモニタリング、企業がして、所有する知的財産が侵害されていること、これが発見された場合ですが、その後は一般的には侵害行為を行った者に対して民事での対応を行うことになります。意匠、商標権侵害事件の訴訟を行おうとした場合ですが、インターネット上での侵害が匿名だとしますと、発信者情報開示請求がおよそ二か月、その後の裁判では更におよそ五か月の月日が掛かるということを聞いています。
アメリカでは、著作権の侵害を主張する者から法定の形式的要件を満たす通知を受領したプロバイダーなどは、著作権侵害情報か否かの実体的判断を経ずに一旦当該著作権侵害とされる情報を削除すれば責任を負わないこととされていますノーティス・アンド・テークダウン制度が導入されています。これはやや権利者の保護に重きを置いていて、時間や費用、手間などを考えますと、被害を訴える側の負担が軽いのではないかと考えています。
当然ながら、企業などにとっては、この労力とか時間を掛けずに被害を最小限に食いとどめたいと思うことは当然だと思いますけれども、今後はどのような適切な権利保護を行っていこうと考えていらっしゃるのか。今後ますます膨大な件数の訴訟が行われることも想定されます。このデジタル空間で発生した知的財産の訴訟への支援など検討を行っているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/143
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144・清水幹治
○政府参考人(清水幹治君) お答え申し上げます。
我が国の知的財産権は、それぞれの法律におきまして権利者による権利保護が適切に行われる制度を担保しているものと認識をしております。例えば、今回の不正競争防止法の改正では、メタバース上でアバターが着る服など、デジタル空間上で形態を模倣した商品を提供する行為も不正競争に位置付け、デジタル空間上での模倣行為を防止し、デザイナー、クリエーター等の権利保護を図ることとしてございます。
こうしたそれぞれの法律の措置が適切に活用されるためには、中小企業等が権利侵害への対応を適切に認識することが重要でございます。このため、中小企業等に向けて、訴訟への対応方策等も含めた権利侵害への対策マニュアルを作成、公表しているところでございます。また、先ほども御説明申し上げました、様々な相談、ワンストップで支援する体制として、国内の全国四十七都道府県に知財総合支援窓口を設置をしているほか、ジェトロを通じて、海外においても専門家による適切なサポートが受けられる体制を整備しているところでもございます。
さらに、特に海外におきましては、権利侵害等の被害に遭った中小企業に対しては幾つかの費用面の支援なども実施をしているところでございます。
御紹介申し上げますと、まず、冒認出願、正当な権利を有しない他者によってなされた出願等によりまして不正に他者に権利を取得され、海外企業から訴えられる等の被害を受けている場合には、異議申立てや審判請求、訴訟や対抗措置に係る費用等を助成をしております。また、模倣品被害を受けている場合は、模倣品の製造元や流通経路等を把握するための侵害調査や、その調査結果に基づく模倣品の製造販売事業者への警告文作成や、行政摘発の申請に係る代理人費用などを助成をしております。
今後も、国内外の制度整備の動向や企業等からの支援のニーズを適時適切に把握をして、必要な支援の提供に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/144
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145・平山佐知子
○平山佐知子君 デジタル空間では、先ほどからもありますけれども、法規制の迅速化、これスピードが速いので、これも重要になってくると思っています。
二〇〇一年頃には、ピア・ツー・ピアを用いたファイル共有ソフトウエアなどが登場して、ネットワーク上には映画、音楽を始めとする知的財産のデータがアップロードされて、それを不特定多数のユーザーがダウンロードするといった行為が行われて問題になりました。さらには、これ取り締まったとしても次の新しい技術が出てくるといった具合に、イタチごっこのような状況が続いていると言えるかと思います。
このような中、デジタル分野における知的財産の保護を始めとする法制の整備などは、やはりここでとどまるのではなくて加速をしていかなくてはならないと考えますが、これについての大臣の考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/145
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146・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のように、過去、ピア・ツー・ピアの技術を発展させたファイル共有ソフトの登場によって、当時は不可能とされていた大容量データの送受信が可能になった結果、映画やゲーム、音楽などの著作物のデータが著作権者、著作隣接権者の許可なく流通し、この侵害が問題となったわけであります。また、情報漏えい系のウイルスの流行によって、政府の内部資料や企業の営業秘密など、意図しないデータの流出が社会問題ともなってきたものというふうに思います。
このように、新たな技術が登場してくる際には、その技術に潜むリスクを正しく把握し、そのリスクへの適切な対応を行いつつ、その技術による変革をチャンスと捉え、まさにスピード感を持って導入、利活用を進めていくことが重要であります。当然、必要な法改正も適切に進めていかなければなりません。
例えば、今話題となっておりますチャットGPTなど新たな生成AIをめぐる議論におきましても、著作権始め知的財産権の侵害や機密情報、個人情報の漏えいなど懸念されるリスクも踏まえながら、一方でイノベーションの創出に向け利用、開発も行っていくべく、このAI戦略会議におきまして有識者から暫定的な論点整理が示され、議論を進めているところであります。
また、今回の法改正、改正法案におきましては、デジタル化の更なる進展を踏まえて、時代の要請に対応して知財制度を一体的に見直すこととしておりまして、もう御議論ありますように、メタバースなどデザイン空間でのそうした模倣行為を防止する措置を盛り込むなどしているところであります。
今後とも、デジタル分野における新たな技術の発展を、スピードが非常に速いですから、しっかりと注視しながら、リスクに対応しながら適切な利活用を後押しできるよう、引き続き知的財産制度の整備、これはもう不断に取り組んでいかなきゃいけないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/146
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147・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。リスクに対応という話もありました。
最後、質問、もう短い時間なので意見だけにとどめますけれども、やはりこの急激に変化するデジタル空間というのは、先ほども申し上げたとおり、私たちの生活に恩恵をもたらす一方で様々な懸念もあるわけです。
そんな中で、やっぱりユーザー側の知識というのも大切だと思いまして、インターネットの情報をしっかり正しく理解をして、その善しあしを正しく判断して運用していくということ、この能力ですね、いわゆるネットリテラシーということも大切だと思いますので、発信者、利用側、どちらも恩恵が得られるような、そんな社会をしっかりとつくっていかなくてはいけないと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/147
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148・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
不正競争防止法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/148
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149・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/149
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150・吉川沙織
○委員長(吉川沙織君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114080X01420230606/150
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