1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
令和五年六月六日(火曜日)
午前十時開会
─────────────
委員の異動
六月二日
辞任 補欠選任
舩後 靖彦君 天畠 大輔君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 山田 宏君
理 事
こやり隆史君
島村 大君
比嘉奈津美君
川田 龍平君
山本 香苗君
委 員
生稲 晃子君
石田 昌宏君
神谷 政幸君
友納 理緒君
羽生田 俊君
藤井 一博君
星 北斗君
本田 顕子君
石橋 通宏君
打越さく良君
高木 真理君
窪田 哲也君
若松 謙維君
東 徹君
松野 明美君
田村 まみ君
芳賀 道也君
倉林 明子君
天畠 大輔君
衆議院議員
修正案提出者 上野賢一郎君
修正案提出者 中島 克仁君
修正案提出者 佐藤 英道君
修正案提出者 田中 健君
国務大臣
厚生労働大臣 加藤 勝信君
副大臣
厚生労働副大臣 伊佐 進一君
大臣政務官
厚生労働大臣政
務官 本田 顕子君
事務局側
常任委員会専門
員 佐伯 道子君
政府参考人
内閣府大臣官房
審議官 滝澤 幹滋君
厚生労働省大臣
官房生活衛生・
食品安全審議官 佐々木昌弘君
厚生労働省医政
局長 榎本健太郎君
厚生労働省健康
局長 佐原 康之君
厚生労働省保険
局長 伊原 和人君
─────────────
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢
の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活
動の継続に資する環境の整備を図るための旅館
業法等の一部を改正する法律案(第二百十回国
会内閣提出、第二百十一回国会衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/0
-
001・山田宏
○委員長(山田宏君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、舩後靖彦君が委員を辞任され、その補欠として天畠大輔君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/1
-
002・山田宏
○委員長(山田宏君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/2
-
003・山田宏
○委員長(山田宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/3
-
004・山田宏
○委員長(山田宏君) 新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/4
-
005・打越さく良
○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。
本法律案は、昨年の第二百十回臨時国会での審議が見込まれたため、当時から、業界団体などから早期成立を望む声が上げられました。その一方、ハンセン病患者、元患者や障害者団体などの方々から、感染症の感染者等に対する差別、偏見を助長するものだと厳しい批判も出されました。
これには歴史的な経緯があります。感染症予防法は、九八年に伝染病予防法、性病予防法、後天性免疫不全症候群予防法を統合して制定されました。
当時の公衆衛生審議会は、過去におけるハンセン病患者を始めとする感染症患者に対する差別や偏見が行われた事実や、らい予防法が存在し続けたことが、結果として患者、入所者とその家族の尊厳を傷つけ、多くの苦しみを与えてきた事実、同法が平成八年に廃止されるに至った経緯への深い反省が必要であると指摘し、現行の伝染病予防法は集団の感染病予防に重点を置いてきたことから人権の尊重に配慮した法律とは言い難い、今回の見直しに当たっては、患者、感染者を社会から切り離すといった視点で捉えるのではなく、患者の人権を尊重し、差別や偏見なく一人一人が安心して医療を受けて早期に社会に復帰できる等の健康な生活を営むことができる権利、個人の意思の尊重、自らの個人情報を知る権利と守る権利等に配慮することが重要であると述べています。
日本の公衆衛生行政が差別的で人権への配慮が足りなかった点が厳しく指摘されました。こうしたことから、関連する法律においても、差別や偏見が助長される要因は注意深く摘み取っておかなければなりません。
日弁連は、宿泊拒否制限の緩和について、宿泊を必要とする者に宿泊場所を提供する、野宿、行き倒れ防止という観点から、宿泊施設の公共性に鑑み、一次的に宿泊客の身体や生命の安全を確保し、ひいては憲法十三条、二十二条に由来する移動の自由を担保すると、重要な意義を強調しています。このことから、宿泊拒否を可能とする事由は極めて限定されなければなりません。
ハンセン病の元患者やHIV感染者への宿泊拒否事案への反省から、いわれのない宿泊拒否など決して繰り返してはならないことは、旅館業法の見直しに係る検討会、厚生労働省はもとより、業界団体、患者団体等全てに共通する問題意識でした。こうしたことから、衆議院において法案に対して述べられた様々な懸念について与野党が真摯な協議を行い、事業承継の経過措置等を含む修正が行われたことに敬意を表します。
第五条において、「伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められる」を「特定感染症の患者等である」と改められたことについて、衆議院で我が党の阿部知子議員の質問で、その等が拡大解釈を生まないかとの懸念が表明されています。現行規定の伝染病の疾病にかかっていると明らかに認められる場合と、衆議院厚生労働委員会における答弁で等に当たるものとして示された感染法上の疑似症患者又は無症状病原体保有者には隔たりがあるように思われます。
どのような運用が行われるのか、阿部議員の問題意識である無症状者はどのような取扱いとなるのか、分かりやすく説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/5
-
006・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
今委員に御指摘いただいたように、この特定感染症の患者等は、患者のほか、感染症法の八条の規定に基づいて感染症の患者とみなされる疑似疾患者や無症状病原体保有者も含むこととしています。
これ、実際に現場でどうかということでございますが、これは感染症法における考え方にも従って、原則として医師の診断に基づいて判断されることになりますので、ホテルの現場においてあなたは患者等ですとか、そういうふうな区別がされるというものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/6
-
007・打越さく良
○打越さく良君 現場にもそのような認識は徹底していただきたいというふうに考えます。
本来宿泊拒否ができないという立て付けであって、宿泊拒否については極めて限定的に解釈すべきであることについて、修正案を受けて改めて大臣に御認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/7
-
008・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 今委員からお話がありました旅館業の営業者は、旅館業法によって、宿泊拒否事由に該当する場合を除き宿泊を拒んではならないとされております。この法案もその体系を変更するものでは全くなく、営業者は、宿泊拒否事由に該当するかどうか判断するに当たり、宿泊しようとする方の状況等に配慮するとともに、客観的な事実に基づいて慎重に検討することが求められると考えております。
衆議院における修正において、まず、厚労大臣が専門家等の意見を聴いて、営業者が宿泊拒否等に適切に対処するために必要な指針を定めるとされたこと、また、営業者は、宿泊しようとする方の状況などに配慮して、みだりに宿泊を拒むことがないようにするとともに、宿泊を拒む場合には、宿泊拒否事由のいずれかに該当するかどうかを客観的な事実に基づいて判断し、宿泊しようとする方からの求めに応じてその理由を丁寧に説明することができるようにするなどの修正が行われたところであり、こうした規定に基づき、旅館、ホテルの現場で適切な運用が図られるよう取り組んでいきたいと考えております。
またさらに、この法案では、旅館、ホテルの現場において適切なサービスが提供されるよう、従業員に対する必要な研修の機会の付与を旅館業の営業者の努力義務としているところであります。
指針の内容を周知していただくとともに、旅館、ホテルにおいて指針を踏まえた適切な対応がなされるようしっかりと取り組ませていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/8
-
009・打越さく良
○打越さく良君 今もお話にありましたとおり、修正案も踏まえて、宿泊拒否については、営業者の説明責任と適切に対応するためのガイドラインが作成されることになっており、速やかな対応を望みます。
そのスケジュール感と現在想定しているガイドラインの内容についても、可能な範囲で結構ですので、御説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/9
-
010・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
委員御指摘のガイドライン、衆議院での修正踏まえて指針という言い方にいたしますけれども、この指針は、スケジュールですけど、公布の日から起算して六月を超えない範囲内のできるだけ早い時期、できるだけ早い時期に策定したいと考えております。
次に、内容についてですけれども、営業者は、宿泊しようとする者の状況等に配慮して、みだりに宿泊を拒むことがないようにすること、いわゆる迷惑客の宿泊拒否の対象となる事例としては、宿泊者が従業員を長時間にわたって拘束し、又は従業員に対する威圧的な言動や暴力行為をもって苦情の申出を繰り返し行う場合等が該当すること、さらに、障害を理由として宿泊を拒むことができないことを盛り込むことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/10
-
011・打越さく良
○打越さく良君 今の御答弁で、障害を理由にした拒否は良くないということを盛り込んでいただけるということだったんですけれども、でも、なお心配残っておりまして、私が、昨年四月二十一日のこの委員会において、ワクチン接種会場に盲導犬を連れて入れなかったという事例を挙げました。その報道によると、視覚障害者が一人の場合、あるいは盲導犬を伴ったりした場合に、施設側の方から、人手不足とか安全上の理由などという説明で宿泊を拒まれるという事例があったと、そういった報道があったんですね。
こうした事例は、盲導犬ユーザーの約三割が、三割もが宿泊施設での受入れ拒否を経験しているという調査からも、常態化している、残念ながら常態化していることがうかがえるわけです。
障害者差別禁止法や身体障害者補助犬法などによってそれがあるにもかかわらず、現場に周知が徹底されていないという嘆かわしい状況であるということで、この法案そのものの話でもないんですけれども、改めてこれらの法律の周知状況について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/11
-
012・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
まず、旅館業法上の扱いですが、先ほど大臣からお答えしたとおり、まず、基本的には宿泊を拒んではならないとしています。障害を有することや身体障害者補助犬を同伴していることのみを理由に宿泊拒否はできないものと考えています。
次に、障害者差別解消法の関係ですが、平成二十七年に、旅館、ホテルを含む衛生事業者に対するガイドライン、具体的には障害者差別解消法衛生事業者向けガイドラインというものを定めたところです。
また、身体障害者補助犬法につきましても、本年五月に、旅館、ホテルの関係団体に対して、補助犬の受入れのポイント等をまとめたリーフレットについて、旅館、ホテルへの周知を依頼したところでございます。これは、自治体、また関係団体を介してでございます。
御指摘のとおり、この法案でも研修を行うことになっておりますので、こうした場を通じて、御指摘の点はしっかりと周知を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/12
-
013・打越さく良
○打越さく良君 ちょっと後の質問の方でもその研修などについて伺っていきたいんですけれども、この改正案の、宿泊しようとする者が、営業者に対し、その実施に伴う負担が過重であってほかの宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求を繰り返したときと、これについては、衆議院において、その要求内容が厚生労働省令で定めるとして、明確化するという修正が加えられました。
これによって、繰り返しのようですけれども、やっぱり障害者団体などからの懸念である、盲導犬などを伴った場合とか、あるいは車椅子ではやはり宿泊できないということになるんじゃないかという不安が払拭されなければなりません。これについては、この修正案の提出者に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/13
-
014・中島克仁
○衆議院議員(中島克仁君) 御質問ありがとうございます。打越委員の御質問にお答えいたします。
第五条第一項第三号の規定はいわゆる迷惑客を想定したものでありますが、障害者団体から、例えば盲導犬を連れていく場合や車椅子が必要な場合に宿泊拒否事由に該当することになるのではないかという御懸念が示されておりました。このような御懸念を踏まえ、修正案においては、第五条第一項第三号の要求を厚生労働省令で定めるものとし、厚生労働省令でその内容を明確化することで、およそ障害を理由とするものでないことを明らかなこととしております。
なお、厚生労働省令では、例えば、宿泊者が従業員を長時間にわたって拘束し、又は従業員に対する威圧的な言動をもって苦情の申出を行う場合、他の宿泊者に対するサービスと比較して過剰なサービスを行うよう求められる場合などを規定することなどを想定していると聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/14
-
015・打越さく良
○打越さく良君 是非現場に誤解がないように、こうした場合も宿泊拒否していいんだというような誤解が広がらないようにと望んでおります。
そして、改正案による第五条第四号、衆議院修正によって第五条第一項第三号になるものですけれども、この号においては、その実施に伴う負担が過重であってほかの宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求と、これは結局誰が判断するのかということが問題になるかと思うんですね。事業者の一方的な判断によって障害者の宿泊拒否といった差別ができることになってしまわないかということが、NPO法人DPIの昨年十月十一日の声明の中にあったと思います。
修正案では厚生労働省令で定められることになりましたが、これは確実に、こうした差別ができることになるんじゃないかという懸念に対して呼応したものになるのかということについて質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/15
-
016・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
まず、衆議院厚生労働委員会の附帯決議でも、営業者による恣意的な運用がなされないということを、ちゃんと明確かつ限定的な内容とするよう努めたところでございます。
さらに、厚生労働省令も、先ほど法案提出者からの御指摘いただいたような二点をまず盛り込みたいと考えておりますし、さらに、その運用においても恣意的にならないように、指針等を活用してその周知徹底に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/16
-
017・打越さく良
○打越さく良君 具体的に大切になってくるのは、救済あるいは苦情の仕組みだと思うんですね。国連の障害者の権利委員会が昨年九月九日の総括所見、勧告において、障害に基づく差別の被害者が利用しやすい苦情や救済の仕組みがないことの懸念を示しておられました。苦情や救済の仕組みが脆弱な中で新たな偏見や差別を生み出しかねない法改正は、条約や障害者基本法の理念と正反対ではないかということがNPO法人日本障害者協議会の昨年十月十八日の声明で指摘されているところです。
なお、苦情や救済の仕組みが明らかでないということで、これから指針を定めるということが五条の二で明らかにはなっているんですけれども、これが苦情や救済の仕組みも念頭にしたものになるのかということは気掛かりですが、是非そうしたものにしていただきたいと、これは要望させていただきます。
そして、次の質問ですけれども、改正案による第三条の五第二項において、営業者は、旅館業の施設において特定感染症の蔓延の防止に必要な施策を適切に講じ、及び高齢者その他の特に配慮する宿泊者に対してその特性に応じた適切な宿泊に関するサービス提供するため、その従業員に対して必要な研修の機会を与えるように努めなければならないとされております。
このことについてですけれども、第四回の検討会において、日本視覚障害者団体連合会の意見聴取人を務められた橋井常務理事より、ホテルの接遇に関しては、職員マナーがかなり行き届いているところはいいのですが、ホテルの中あるいは旅館の中に入っているレストランとかお土産売場といった業者関係は、視覚障害者が行ってもなかなか対応できないというのがありますと。利用する私たち、私たちというのは視覚障害者の方たちのことですけれども、その方たちから見れば、中に入っているレストランの人は別の会社ということではなくて、やっぱりホテルあるいは旅館の人だと思っていますと。それはやっぱり差別ではないかと、ホテルや旅館の人ではなくて、レストランの人だということであってもやはり差別ではないかと。それは無理もないと思うんですね。だから、そういった方たちについても一緒に職員研修やっていただきたいということを要望されていました。
こうした不安にはどのようにお応えになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/17
-
018・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
今回提出した法案では、研修のところについては、従業者に対して必要な研修の機会を与えるよう努めなければならないとなっているため、この法律をそのまま適用すると、その従業員、直接従業者ではない方に対しての研修を行うことは法的には難しいと考えておりますが、委員御指摘のとおり、それぞれのレストランや土産店等の営業者において、提供するサービスの性質等に応じて必要な研修等が行われることが望ましいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/18
-
019・打越さく良
○打越さく良君 やはりちょっと今の御答弁だと不安が残ってしまうというか、これはこの私たち立法者としてどのように手当てするかも一緒に考えなければいけないところかと、これは宿題として残されているところかなと受け止めました。
そして、この旅行について、障害者、病気のある方について改正案にも懸念が非常に根強かったということの背景には、バリアフリー化というものが遅々として進んでいないということがあるんではないかと思います。
例えば、第四回の検討会において、一般財団法人全日本ろうあ連盟の理事で福祉労働委員会の有山副委員長が、聴覚障害のある方へのアンケートを実施したと、その回答者の五百人のうち何と三百三十一人、六六%もが差別的な取扱いを受けたと、もう痛ましいことに回答していらっしゃるんですね。そしてまた、差別というか、もう人員削減が響いてカウンターが無人のところも増えて、困難がむしろ増しているということもおっしゃっていました。
旅館業などももう経営が困難で、いろいろ努力しておられるのかもしれないんですけれども、なかなか、そういった事態になっておりまして、一部、何というか、熱心なところで意欲的なところがバリアフリー化をやっているとか、あるいは研修もやっていますとかいうことに任せていていいのかと。
やっぱり、こうした検討会で指摘された課題についてを調査して、どうしたらいいかということを考えるときではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/19
-
020・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 旅館・ホテル施設にとどまらず、バリアフリー化、これしっかり進めることは大事だと思います。
旅館業の全国団体である全国旅行ホテル生活衛生同業組合連合会では、手すり等の設備等で一定の基準を満たす宿をシルバースター施設として登録する制度の運用を図っているほか、国交省では、宿泊施設バリアフリー化促進事業などを通じて、ホテルや旅館の適切なバリアフリー化を推進しているものと承知をしております。
厚労省としても、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、また国交省と連携し、そうした制度あるいは事業の周知等をしっかりと図ることを通じて、バリアフリー化が一層進むよう取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/20
-
021・打越さく良
○打越さく良君 そうした好事例というか、バリアフリー化の好事例を進めていただくような事業もとても大切とは思うんですけれども、この全体的な底上げというか、そのためには、やはり調査して課題を抽出していただきたいと要望いたします。
そして、第三回の検討会で、大阪HIV訴訟原告団の花井意見聴取人が、ジェンダー、セクシュアリティーなどによって、どんな施設であっても差別してはいけないということが日本の今の現代的な社会規範であると指摘しておられました。この法案とは違うことなんですけれども、残念ながら、国会の方で、LGBT理解増進法案すら進まない状況でございます。だから、なかなかこういった、それが社会規範になっているのかということは心もとない状況ではないかと思います。
東京都青年の家事件、すなわち、東京都の宿泊施設が同性愛者団体の利用を拒んだことの違法性が争われた事件がございました。この訴訟自体は、一九九七年九月、原告団体の全面勝訴となったんですけれども、しかし、この差別を禁止する法律はいまだないんですね。
ジェンダー、セクシュアリティーなどによって、宿泊などについても差別してはいけないということが周知されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/21
-
022・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えします。
まず、旅館業法では、性的マイノリティーの方について、これらの宿泊拒否、旅館業法で定める宿泊拒否事由に該当しない場合は宿泊拒否はできません。
このため、厚生労働省では、平成三十年の一月に旅館業における衛生等管理要領を改正し、宿泊者の性的指向等を理由として宿泊を拒否することなく適切に配慮するようお示ししているところでございます。この点については、引き続き周知を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/22
-
023・打越さく良
○打越さく良君 LGBT差別の禁止については、本当に国会の方が宿題を抱えている状態で、進めなければいけないと考えております。
近年、カスタマーハラスメント対策の必要性が強調されるようになっています。本法案に当たっても、旅館業等の利用者だけではなく、働く方の健康が守られるべきであることは当然です。修正案によって、不当な差別や正当な理由のない宿泊拒否が許されないことはより明確になりましたが、これは、働く方の健康と、感染症へのおそれや不安の解消にも資するものであるという理解でよろしいでしょうか。修正案提出者に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/23
-
024・中島克仁
○衆議院議員(中島克仁君) お答えいたします。
先ほども申し上げたとおり、第五条第一項第三号の規定はいわゆる迷惑客の事案を想定した宿泊拒否事由であり、その旨を修正により明確化することとしております。また、修正案においては、感染防止対策への協力の求めに正当な理由なく応じない場合における旅館業の営業者による対応の在り方について、今後政府において検討し、必要な措置を講ずる旨の検討条項を設けることとしております。これらの規定は、いずれも旅館業の施設の従業員の健康と安全を確保するという観点が欠かせないものであるという趣旨に立ったものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/24
-
025・打越さく良
○打越さく良君 今、御答弁、とても大切だと思うんですけど、ちょっと改めて、観光業の産別組織であるサービス・ツーリズム産業労働組合連合会が、不当な差別は決してあってはならないということは大前提、その大前提の上に、利用者だけではなく働く者の健康も守られるべきであり、利用者と事業者、どちらか一方が弱い立場に立たされるべきではないと、非常にこれ重要な訴えだと思うんですね。
見解を、修正案提出者、厚生労働省に改めて求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/25
-
026・中島克仁
○衆議院議員(中島克仁君) 修正案では、感染防止対策への協力の求めに正当な理由なく応じない場合における旅館業の営業者に対する対応の在り方について政府において検討し、必要な措置を講ずる旨の検討条項を設けることとしております。
必要な措置の内容については政府が適切に決定するものと承知をしておりますが、その検討に当たっては、患者団体や障害者団体等から出されている不当な差別を受けることになるのではないかといった御懸念が払拭されるよう配慮することはもちろんのこと、旅館業の施設の従業員や他の利用者の健康や安全を確保することなど様々な事情が考慮されるものと考えております、考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/26
-
027・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
先ほどの衆議院の法案提出者に加える形で申し上げたいと思います。
まず、三条の五の二項による研修の規定、この中にも特定感染症の蔓延の防止とかが含まれておりますし、また、五条の二にあります指針、この中でも感染防止対策等に関しての適切な対処はございますので、こういった形で、働く方の、従業員の健康等の安全確保を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/27
-
028・打越さく良
○打越さく良君 済みません、感染症に対する施策についての質問に移りたいと思います。
人類の歴史は感染症との闘いであって、日本の衛生行政も感染症との闘いから始まっています。明治後期から大正期は結核対策が懸案となって、一九三七年に保健所法が制定されました。当時の河原田稼吉内務大臣は、一般国民に対し保健上万般の指導をなす機関たる保健所の設置を企画し、国民体位の向上、日常生活の衛生的改善、結核その他疾病予防についてあらゆる角度から保健上の指導をなす機関として保健所を位置付けました。河原田は、保健所は、大体人口二十万ないし十二、三万につき一か所の割合をもって全国に設置し、必要の地には支所を設けしむる予定と述べています。
現状の保健所はこの基準に達していないはずですが、それはどのような施策の推移によるものなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/28
-
029・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
昭和十二年の保健所法制定のときには、国民の体力を積極的に向上させることを目的として、全国に保健所は四十九か所設置をされまして、その後、順次増設されております。そして、戦後の昭和二十二年には、保健所は、食品衛生それから急性感染症予防等の業務を加えた形で公衆衛生の第一線機関として強化され、保健所数は六百七十五か所となっております。その後、結核の死亡者数が著しく減少した一方で、脳血管疾患やがんあるいは心疾患の死亡率が年々上昇し、生活習慣病対策等に対する保健所の地域住民に果たす役割は増大し、昭和五十九年に、これは最大となりますが、八百五十五か所となっております。そして、平成六年に保健所法を改め地域保健法が制定され、平成九年頃からは保健所の数は徐々に減少し、令和五年時点では四百六十八か所となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/29
-
030・打越さく良
○打越さく良君 ニッセイ基礎研究所の三原氏が、戦後、結核が死亡理由の上位からランクを下げていくとともに、公衆衛生は医療保険制度の後景に退いていくことになったと分析しています。しかし、保健所設置数が減少したのは九〇年代半ば以降であり、これは、厚生労働省がしばしば指摘する地方分権推進の流れと軌を一にしています。
地方分権推進と保健所数減少の相関関係について、厚生労働省の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/30
-
031・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) 保健所の数につきましては、特に大きな契機となりますのは、平成六年に制定した地域保健法があると思います。
これの背景としては、急速な高齢化の進展、そして、今述べました疾病構造の変化、それから、地域住民のニーズの多様化等に対応した地域保健の新たな体系を構築するとともに、都道府県と市町村の役割を見直して、住民に身近なサービスについて主たる実施主体を市町村に変更し、あわせて、市町村保健センターの設置促進を図ったというものでございます。
具体的には、母子保健分野など住民に身近な保健サービスについては保健所から市町村へ移譲するとともに、広域的、専門的かつ技術的な拠点として保健所の機能強化を図るとともに、都道府県保健所の所管区間を地域二次医療圏等とおおむね一致させることを原則としたことにより、保健所数が減少したと考えております。
保健所の数は減少傾向にあるものの、近年ほぼ横ばいで推移しておりまして、業務の合理化を図りつつ、地域の実情を踏まえながら、必要な体制の確保に努めていただいているものと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/31
-
032・打越さく良
○打越さく良君 もう少し議論を深めていきたいんですけど、ちょっと時間がないので、最後に一点、コロナ禍においてこの日本の医療制度の脆弱性が指摘されることになり、保健所数の減少についても負の側面として語られるようになりました。
五月三十日の質疑では、保健所との連携が行えない地衛研の問題も取り上げました。感染症は地衛研が設置されている地域を選んで発生すると考えているのかという私が質問したところ、どこの地域であっても必要な機能が十分に確保されていることが必要であると、かみ合わない答弁、これはいただけないと考えます。
地域医療構想における病床推計に感染症が考慮されていないこともコロナ禍であらわになりました。しかし、五類移行後、公立・公的医療機関では、コロナ禍が収まった後、また病床削減と統廃合が加速されるのではないかと懸念が広まっています。こうした懸念にどうお応えになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/32
-
033・榎本健太郎
○政府参考人(榎本健太郎君) 申し上げます。
新型コロナへの対応に当たりましては、公立、公的、民間を問わずに、多くの医療機関において、その機能に応じて感染症患者の受入れや一般の患者さんの対応など、役割を適切に果たしてきていただいたというふうに承知してございます。
厚生労働省におきましては、中長期的な人口構造の変化に伴う地域の医療ニーズに応じて、病床の削減や統廃合ありきではなく、病床機能を明確化した上で相互に連携することにより、質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指して二〇二五年までの地域医療構想を進めているところでございまして、各医療機関において、二〇二五年に向けた対応方針の策定や検証、見直しを行うといったことを求めているところでございます。
これは、新型コロナ対応を通じて明らかになりました地域の医療機関の役割分担などの課題にも対応するものでございまして、現に、今回の新型コロナ対応の経験を踏まえて改めて対応方針を検討していただいている医療機関もあるというふうに承知してございます。
引き続き、都道府県の御意見をよくお伺いしながら、地域医療構想を着実に進めていきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/33
-
034・打越さく良
○打越さく良君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/34
-
035・川田龍平
○川田龍平君 立憲民主党の川田龍平です。
旅館業法の質問に入る前に、大臣には、しっかりと健康保険証の紙の保険証、これを廃止しないように是非お願いしたいと思います。法案は通りましたけれども、やっぱり今も、障害者の人たちや、特に高齢者の施設の介護の現場では、やっぱり今も、マイナンバーカードに健康保険証が取って代わることについては懸念の声も今もありますので、是非しっかり、今後、法律は通ったとしても、やっぱり健康保険証、紙の保険証をなくさないということで、是非再度検討していただきたいと思います。是非よろしくお願いいたします。
それから、コロナワクチンの問題も、これもやっぱり是非しっかりと、大臣にはしっかり考えていただければというふうに思っております。
それでは、質問に入らせていただきます。
政府の旅館業法等改正案、昨年の十月の臨時国会に提出をされ、衆議院の審査が行われないまま継続審査となりました。そして、本年五月八日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が五類へと移行し、五月二十四日に衆議院で審査が開始されました。
法案提出から審査開始までに実に八か月の期間が経過をいたしました。この間、政府案に対しては、宿泊拒否要件を緩和することで、感染症患者や障害者等に対する差別助長、営業者と宿泊者とのトラブルの多発など様々な問題が懸念されたことから、再考を求める声が私の元にも寄せられました。
こうした中で、衆議院では、宿泊拒否事由から感染防止対策への協力の求めを受けた者が正当な理由なく応じない場合を削除することや、みだりな宿泊拒否を禁止すること、宿泊者に対する感染防止対策への協力の求めや宿泊拒否事由等に関して営業者が適切に対処するために必要な指針を定めることを追加するなどの修正が行われることになりました。
このように、衆議院では極めて問題の多い政府案を大幅に修正することになり、国会の役割が発揮されることとなりましたが、修正に至るまでの交渉の過程では様々な御苦労があったものと推察いたします。
改めて、政府の旅館業法等改正案の問題点をどのように捉えていたのか、政府案の修正に至るまでの過程と修正案取りまとめで御苦労された点、さらには修正に向けた政治家としての御決意について、修正案提出者に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/35
-
036・中島克仁
○衆議院議員(中島克仁君) 御質問ありがとうございます。
政府案においては、旅館業法改正の関係では、差別防止の徹底を図りつつ、感染症の蔓延防止の観点からの宿泊拒否事由の明確化を講ずるとともに、生活衛生関係営業等に関する各法律の改正の関係では、事業譲渡による営業者の地位の承継における手続の簡素化のための措置を講ずることとされております。
これらの点に関し、まず旅館業法の改正に対しては、ハンセン病元患者等の団体や障害者団体等から、宿泊拒否の条文の改正によって、これを契機とした恣意的な宿泊拒否が行われるようになるのではないか、偏見や差別を助長することにならないかといった意見が出されており、また、生活衛生関係営業等に関する各法律改正に対しては、事業譲渡による営業者の地位の承継手続の簡素化により衛生水準が低下することになるのではないかといった懸念が示されておりました。
昨年の十月に政府案が提出されてから半年以上が経過しており、その間、新型コロナウイルス感染症の五類感染症への移行などの変化もありました。このことを踏まえ、与野党において政府案に対する修正協議の場が持たれることとなり、その場において真摯な議論が重ねられ、いただいた御意見や御懸念についてはしっかりと対応する必要があるとの認識を共有をし、修正案の提出に至ったところであります。
政府においては、修正案の趣旨及び内容を踏まえ、このような御意見や御懸念を払拭することができるよう適切な運用がされることを期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/36
-
037・川田龍平
○川田龍平君 ありがとうございました。
宿泊拒否に関しては、二〇〇三年に熊本県のホテルでハンセン病の元患者が宿泊を拒否される事件が起こり、社会の中にある差別や偏見の根深さが露呈された一方で、営業者は宿泊を拒んではならないという大原則が再認識されたはずでした。しかし、政府は、この二十年足らずでこの大原則をほごにする法案を提出したことについては、過去の教訓が全く生かされておらず、憤りを感じざるを得ません。
また、昨年の臨時会において政府案が提出されたときと比べると、新型コロナウイルス感染症の状況が大きく変わりました。こうした中で、旅館業法等の改正の意義すら失われたと感じた委員がこの中にも多くいらっしゃったのではないでしょうか。
このように、差別助長等の問題、新型コロナウイルス感染症の状況変化といった点を踏まえれば、政府は、国会の指摘を受けるまで欠陥法案を放置するのではなく、速やかに法案を撤回し、再検討した上で出し直しすべきではなかったでしょうか。厚生労働大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/37
-
038・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 今回の法案の提出に当たって、一つは、旅館、ホテルの現場から、新型コロナの流行期に宿泊者に対して感染防止対策への実効的な協力要請を行うことができず、施設の適切な運営に支障を来した、すなわち、そこに泊まっているお客さん、また従業員の健康も確保できない、またそこで働いておられる方々からも、いわゆる迷惑客の対応について、迷惑客の宿泊を拒む根拠規定が必要だなどの御指摘がいただき、しかし他方で、これまでも、今委員お話があったように、旅館、ホテルにおける不当な宿泊拒否の事例があり、また今回の法律が、こうした対応がそうしたことを助長してしまうんではないかという懸念があり、そうした中で、我々も関係者からもいろいろお話を聞く中で今回の法案を提出させていただいたところでございます。
さらに、そこは国会において、今委員と、また答弁者からもお話がありましたように、真摯な御議論をいただいて、今回の法案が修正という形で衆議院を通過したということでございます。
我々としても、今申し上げた、こうした対応していかなきゃならないニーズ、しかし、その中においてしっかり留意をしていかない点、そうしたものも踏まえたそうした中身になっているというふうに認識をし、法案の成立をしていただけたら、この法案にのっとって適切な運用を図っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/38
-
039・川田龍平
○川田龍平君 昨日からNHKの「一〇〇分de名著」で「ショック・ドクトリン」という番組が流れていますけれども、こういったパンデミックに合わせて、乗じてこの規制緩和をするという状況がまさにそれではないかと私は思います。
私は、政府が法案を撤回しなかったこと、さらには、この衆議院の修正で政府が大幅な見直しを容認したことの背景について、これは私のうがった見方かもしれませんが、何らかの狙いがあったのではないかと考えています。実は、改正の本命は、この生活衛生関係営業等の事業譲渡に関する見直しだったのではないでしょうか。
今回の改正では、旅館業、飲食店等食品衛生法に定める三十二業種、理美容業など生活衛生関係営業等の事業譲渡について、事業を譲り受けた者は、新たな許可の取得等を行うことなく営業者の地位を承継することができるようになります。現行制度では相続、合併、分割に認められているものでありますが、これを営業譲渡にまで拡大するという規制緩和を推し進めようとするものです。
しかし、この規制緩和について、規制改革会議における議論のほか、我が党の部会で聴取した限りでは、現行制度で何が問題なのか、それによって生活衛生関係営業等の事業承継にどのような影響が及ぼされているのかなど、厚生労働省から納得のいく説明を聞くことはできませんでした。
私はこのとき、立法事実のない規制緩和ありきの法改正を行うものだと初めて気が付きました。新型コロナウイルス感染症の影響という理由を付けて旅館業法の宿泊拒否等の見直しに紛れ込ませて法改正を狙ったものではないでしょうか。
生活衛生関係営業等の事業譲渡については立法事実が判然とせず、規制緩和を急ぐ理由はないと考えますが、現行制度の何が問題であるのか、それによって生活衛生関係営業等の事業承継がどのような影響を及ぼされているのか、さらに、法改正により事業譲渡による承継がどの程度促進されるものなのかについて、それぞれ厚生労働大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/39
-
040・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) まず、現行制度においては、生活衛生関係営業等の営業者が事業譲渡を行う場合には、新たな許可の取得、届出が行う必要があり、そのために必要な書類を都道府県等に提出しなければならないほか、理容所、美容所、クリーニング所においては、改めて都道府県等による施設の使用前検査を受ける必要があるわけであります。
こうしたことを踏まえて、平成三十年度、日本商工会議所などから規制改革推進会議に対して、飲食店等の事業譲渡の手続について相続の場合と同様に簡素化するという要望が出され、この要望を受けて規制改革会議において検討が行われ、令和二年七月の規制改革実施計画において、事業譲渡の手続について相続の場合と同様の簡素化を実現する方針が閣議決定をされ、さらに、令和四年十月には、生活衛生同業組合中央会から、本法案により、個人事業主、法人事業主の別なく事業譲渡を行う場合の手続簡素化が図られることには意義があるとして、法案の成立を求める要望書が提出されたところでございます。
新型コロナの感染症の、当時でありますが、対応の中で、生活衛生関係営業等の事業環境が厳しくなっている中、本法律案により手続を簡素化することは、今申し上げた業界のニーズに合っているところであります。また、営業者が必要に応じて円滑かつ簡便に事業譲渡が行われるということになると、地域において当該サービスの提供が継続して行われやすくなる、こういった効果もあるというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/40
-
041・川田龍平
○川田龍平君 今回の事業譲渡の見直しについては、業界から懸念する声も寄せられています。
例えば、サービス・ツーリズム産業労働組合連合会は、簡易な審査のみで事業譲渡を行えるようになるため、宿泊業の性質上、宿泊者の生命、財産を守る観点で適正に事業が運営されるか懸念があると、ついては、国が十分関与して適正に審査することを求めるとの意見が示されております。
新型コロナウイルス感染症の影響により、旅館業を始め厳しい経営環境を強いられた事業者が増加する中で、私は、事業承継の手続を簡素化する規制緩和により、かえって外資等の、とって都合の良い環境をつくり出しているのではないかと大変危惧をしています。外資等による買いたたきのような事態が起こることはないと考えてよろしいでしょうか。厚生労働大臣の見解を伺います。
また、事業譲渡に関しては一部譲渡が可能であり、その場合の多くが雇用を一旦打ち切られることになるとの指摘もありますが、今回の法改正では一部譲渡も認められることになるんでしょうか。さらに、一部譲渡を認める場合に、雇用の継続を求める手だて、これは用意されているんでしょうか。併せて大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/41
-
042・山田宏
○委員長(山田宏君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/42
-
043・山田宏
○委員長(山田宏君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/43
-
044・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 失礼いたしました。ちょっと、一部事前に聞いていなかった件があったので確認させていただきました。
本法案では、先ほど申し上げたような対応をすることによって、事業ができなくなった営業者が店舗を閉鎖するのではなく、他者に事業を譲渡する事例が増加し、地域における事業の継続、そして雇用の継続も実現されやすくなるものと考えております。
その上で、事業譲渡そのものは、新規開設の場合と異なり、構造設備の基準を満たす施設を引き継いで事業を行うものであることから、本法案では、旅館業以外は、相続等の場合と同様に事業譲渡後に都道府県等に届出を行う仕組みとしております。
他方、旅館業の事業譲渡については都道府県等の承認を要することとしており、譲受人が欠格事由に該当していないかなどを確認し、必要に応じて指導等を行うことになるため、その際、旅館業の事業の継続や適切な衛生管理の重要性、また、これらを実現するために必要な雇用の継続の重要性等についても周知するよう取り組んでいきたいと考えております。
なお、一部譲渡のお話がありましたが、今回の対象は全部譲渡であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/44
-
045・川田龍平
○川田龍平君 サービス連合さんからは、これは承継の場合にも問題が起きていると、そういう問題があったということも聞いております。しっかり適正な、このやっぱり検査等もしっかりやっていただく必要があると思います。我が党には、そういった検査をやっていた自治体職員の方もおりますけれども、鬼木さんがそうだったということなんですが、是非こういった職員の人たちの負担も考えて、やっぱりしっかりとやっていただきたいと思っております。
次に、改正案では、旅館業法第四条二の追加をし、特定感染症が発生している期間に限り、営業者が宿泊者に対して感染防止策への協力要請等を行うことを可能とすることとしています。この特定感染症は、感染症法上の一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症のうち入院の規定が適用されるもの、新感染症です。
法案提出当時は、今回の新型コロナウイルス感染症は新型インフルエンザ等感染症に位置付けられていました。しかし、先ほど述べたとおり、新型コロナウイルス感染症は本年の五月八日に五類感染症に移行したため、現在のところ特定感染症には該当しません。にもかかわらず、四条の二を追加する改正を行うことは時機を失したものと言わざるを得ません。
特定感染症発生期間中における営業者による協力要請を規定する四条の二を追加する改正については、今回において急いで行う必要はないのではないでしょうか。今国会では、現行法五条一項の一号の要件を伝染性疾患から特定感染症に限定する改正のみで十分ではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/45
-
046・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
まず、今回の新型コロナウイルス感染症の流行期においては、旅館、ホテルの現場から、宿泊者や従業員の安全確保も含め、協力要請を行うことができないことによって施設の適正な運営が困難であったとの意見が寄せられました。
このため、今回のこの法案では、結果的に五月八日に五類感染症へと新型コロナウイルス感染症は位置付けが変更されましたけれども、次なる感染症の発生に備えるためにこの規定が必要と考えて、法案を引き続き提出しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/46
-
047・川田龍平
○川田龍平君 今回の新型コロナウイルス感染症への対応でなく、将来の別の感染症のパンデミックに備えて四条の二を追加するというのであれば、まず、新型コロナウイルス感染症対策を検証し、感染症対策全体の在り方を考える中で、宿泊者に対する協力要請等に関する海外法制なども十分に比較検討した上で旅館業法の在り方を検討すべきだと考えます。
営業者による、感染症の症状を呈している宿泊者に対する法律上の協力要請権限を規定している海外法制の事例はありますでしょうか。また、海外では感染症患者に対してどのような宿泊規制がなされており、今回の新型コロナウイルス感染症への対応においてどのような課題や問題が生じたのか、厚労省は把握、分析されましたでしょうか。御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/47
-
048・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えします。
我が国では、旅館業の営業者には旅館業法により宿泊拒否に制限が掛かっているところでございますが、諸外国では、基本的に国の法令によって営業者による宿泊拒否に制限が掛かっておりません。まず、これが大前提です。
その上で、感染防止対策への協力要請に関する特段の法令上の規定がなくても協力要請を実効的に行うことが諸外国では可能になっているものと考えております。この調べですけれども、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、シンガポールにおいて調査を行ったところでございます。
ただ、営業者による宿泊拒否を制限する法令がなくても、例えばシンガポールの事例ですけれども、新型コロナウイルス感染症の流行への対応として、法令に基づき、宿泊施設への入場者が特定の症状を有するかどうかを確認し、有症状者の入場の拒否などが行われているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/48
-
049・川田龍平
○川田龍平君 改正案では、四条の二第一項において、営業者は、特定感染症の症状を呈している宿泊者に対し、医師の診断の結果その他の当該者が同号に該当するかどうかを確認するために必要な事項として厚生労働省令で定めるものを営業者に報告することを求めることができると規定されており、営業者が宿泊者に診察要請、診断結果報告要請等を行う法的権限が付与されることとなります。また、四条の二第四項では、宿泊者は正当な理由がない限り協力要請に応じなければならないと規定しています。
しかし、せき、熱、倦怠感などの症状の有無、内容、程度は千差万別であり、医師の診察を受けるかどうかは本来宿泊者本人の意思決定に委ねられるべき事項です。営業者が宿泊者に対して診察要請、診断結果報告要請等を行った場合にそれに応じなければならないとすることは、患者の自己決定権、プライバシー権を侵害するおそれがあるのではないでしょうか。大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/49
-
050・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) まず、今法案では、宿泊しようとする者が特定感染症の症状を呈しているものの特定感染症の患者等に該当するかどうか明らかでない場合に、営業者の独自の判断ではなく医師の診断の結果などの客観的な事実に基づいて、その者の状態に応じた適当な措置を講じられるよう、営業者が必要な報告を求められるようにする趣旨の規定が改正後の旅館業法第四条の二第一項第一号のイということになるわけであります。したがって、この規定により、旅館業の営業者が宿泊者に対して医師の判断を受けることを強制できるようになるものではございません。
また、営業者は、医師の判断、医師の診断の結果などの報告を求める場合、宿泊しようとする者の置かれている状況などを十分に考慮することが重要と考えております。そのため、宿泊しようとする者が、症状は特定感染症以外の要因によるものであるが具体的な要因は報告したくないなどといった場合には、他の宿泊者や従業員に感染させないように宿泊することへの協力を求めた上で、それ以上の報告を求めずに宿泊を認める取扱いとすることも考えており、宿泊者が明らかにしたくない情報の報告を強制できるようなものではないということであります。
以上のことも含めて、本法案が成立した場合には、関係者による検討会で検討を行った上、旅館業の営業者が感染防止対策への協力要請等に適切に対処するための指針、これを作成したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/50
-
051・川田龍平
○川田龍平君 この指針をしっかり見てみなければならないと思います。営業者による診察要請、診断結果報告要請等について、患者の自己決定権、プライバシー権を侵害するおそれがあることは払拭できません。
そこで、営業者による協力要請は、四条の二第一項第一号ロに基づく客室待機要請等を原則とすべきではないでしょうか。診察要請や診断結果報告要請などは、例外的に限定的に行われるべきだと考えます。
例外的要件として、例えば、客室待機要請などでは感染拡大防止を図ることができない極めて例外的な事情があること、また医療機関が逼迫していないこと、医療機関受診が宿泊者の体調、症状、年齢、移動距離、移動手段、天候、家族、同行者などの事情から見て容易であること、ほかに取るべき手段が存在しないことといったことが考えられます。
また、例外的に診察要請、診断結果報告要請などを行う場合には、営業者による十分な説明を行った上で、宿泊者が自発的に診察、診断結果報告等に同意する旨を明らかにした書面を作成することが望ましいのではないでしょうか。
第四条の二第一項第一号による営業者からの協力要請は、ロの客室待機要請等を原則とすること、例外的に診察要請、診断結果報告要請を行う場合の要件、書類作成の必要性について、今後策定するガイドラインにおいて明確にすべきと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/51
-
052・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
まず、委員御指摘の四条の二第一項一号のイの規定につきましては、これはまず、先ほど大臣からお答え差し上げたとおり、医師の診断の結果などの客観的な事実に基づいて、宿泊者の状態に応じて適切な措置を講じられるようにするものでございます。
一方で、今度、ロの規定を適用することを考えたときに、特定感染症の症状を呈しているものの特定感染症の患者等に該当するかどうかが明らかでない場合に要請を掛けることになるわけです。そうなると、宿泊者の状態を十分に把握しない段階で客室での待機要請等がなされかねず、特定感染症以外が原因で症状を呈している者に対しても過大な措置となり得るため、これは慎重な運用、適用が必要になるところでございます。
このため、旅館業法に基づく感染防止対策の協力を求める場合、宿泊者の置かれている状況等を十分に考慮することが重要であるということが根っこにございますので、それを指針等で策定し、先ほど委員御指摘のとおり、この指針においてその運用の考え方をできるだけ明らかにしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/52
-
053・川田龍平
○川田龍平君 この営業者が宿泊者に対して診察要請、診断結果報告要請等を行う際、執拗に要請に応じるように求めたり、事実上強要、威圧したりするようなことがあってはなりません。こうしたこともガイドラインにおいて明示し、不適切な運用がなされることのないよう十分周知徹底を図り、指導を行っていただきたいと思います。
執拗な要請、事実上の強要を防ぐためにどのように対応されるのか、大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/53
-
054・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) まず、旅館業の営業者は、医師の診断の結果など、特定感染者の患者等に該当するかを確認するために必要な事項の報告を求めるに当たり、宿泊しようとする方に対し、医師の診断を受けることを強制することはできないと考えております。
また、営業者は、医師の診断の結果などの報告を求める場合も、宿泊しようとする者の置かれている状況等を十分に考慮することが重要であり、そのため、宿泊しようとする者が先ほど申し上げたような場合には、他の宿泊者や従業員に感染させないように宿泊することへの協力を求めた上で、それ以上の報告は求めずに宿泊を認める取扱いとすることを考えております。
いずれにしても、この法案が成立した場合において適正な、適切な対処が行われるよう、指針の策定も含めて取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/54
-
055・川田龍平
○川田龍平君 この営業者の診察要請、診断結果報告要請等に対して宿泊者が同意しないことを理由に、又は同意しないことを契機として、損害賠償、制裁金等の請求、サービスの不提供などといった不利益取扱い、差別的扱いは行われることがないという理解でよろしいでしょうか。この点についても、ガイドラインにおいて明示していただきたいと考えます。
また、宿泊者が営業者からの協力要請に応じない場合に、違法行為をするおそれがあるとして、五条に基づく宿泊拒否が行われることはないと考えてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/55
-
056・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) まず、この法案による改正後の旅館業法四条の二第一項一号イの医師の診断の結果などの報告の求めに応じない者の対応でございますけれども、これは衆議院に修正いただいたことで、こうした報告の求めなどの感染防止対策への協力要請に応じない場合の宿泊拒否に関する規定が削除されたことから、このことのみをもって旅館業の営業者が宿泊を拒むことは認められないことになります。
こうしたことも含めて、委員御指摘の指針等を通じて、様々なその御指摘いただいている点についてはしっかり対応を周知したいと考えておりますし、その上で、適切な感染防止対策が講じられなければ他の宿泊者や従業員に感染が拡大するおそれがあるため、この点については、旅館業の営業者には、旅館業法により宿泊拒否に制限が掛かっている中での旅館業の施設について、宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならないとの義務が課されているところでございます。
こうした点等を含めて、様々な点については検討会で整理し、指針等で示してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/56
-
057・川田龍平
○川田龍平君 四条の二第一項第一号ロでは、宿泊者は、特定感染症の症状を呈している者に対して客室待機要請等ができることとしており、四条の二第四項では、正当な理由がない限り協力の求めに応じなければならないと規定されています。
客室待機をする場合には、食事、体調管理などが十分可能な環境が整備されている必要があります。療養経過観察が困難な環境下での客室待機を要請されることのないよう、営業者は、必要な環境を整備した上で客室待機要請を行うこと、また客室待機の執拗な要請、強要を行ってはならないことをガイドラインで示す必要があると考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/57
-
058・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
まず、この法律では、例えば従業員への研修等でも特定感染症の蔓延防止というものが定められております。このため、待機要請を行う際に、必要に応じて様々な、例えば動線管理だとか換気だとかを行われていく中で、一方で、個々の施設によってどこまで対応できるかというのが異なりますので、御指摘の食事だとか体調管理といったところがどこまで適切にできるかというのは、個々の施設によって異なることになろうかと思います。
いずれにせよ、感染防止の基本的な考え方については、今後の指針等、また、それを踏まえての研修等で反映してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/58
-
059・川田龍平
○川田龍平君 宿泊者が営業者による診察要請、診断結果報告要請等に応じる際に発生する費用負担についてはどのようにお考えでしょうか。
営業者からの要請は宿泊施設における感染拡大防止のためですから、医療機関への交通費、診察費、調剤費、診断書費用などは、宿泊者でなく、営業者又は営業者を通じて最終的には政府が費用負担すべきではないかと考えますが、費用負担の在り方についての見解をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/59
-
060・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) 宿泊契約の内容や宿泊者の状況等にもよりますが、基本的には、医療機関を受診する主体である宿泊しようとする者が負担するものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/60
-
061・川田龍平
○川田龍平君 もし宿泊者が、営業者が費用負担をしない限り診察要請に応じないと要求した場合、紛争が発生するリスクがあります。その場合、負担が過剰な要求を繰り返すものとして宿泊拒否につながることにならないでしょうか。診察要請、診断結果報告要請等に応じる際の費用負担を宿泊者が拒否したことを理由に五条に基づく宿泊拒否がなされることはないと理解していますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/61
-
062・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) 費用負担を理由にして応じないことそのものは、改正後の旅館業法五条一項三号の宿泊拒否事由には該当しないものと考えております。
当然ながら、その際に、五条一項三号に該当するような、従業員に対して長時間にわたって拘束し等の行為が行われた場合については別ですけれども、基本的には、このことのみをもって宿泊拒否事由には該当しないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/62
-
063・川田龍平
○川田龍平君 最後に、この四条の二第四項では、四条の二第一項各号の協力の求めに対して、正当な理由がない限りその求めに応じなければならないと規定しています。この規定は、法的義務ではなく、あくまでも法的拘束力のない責務規定であると考えますが、いかがでしょうか。責務規定にとどまると解さなければ、必要最小限度を超えた過大な権利制限として許されないものと考えますが、大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/63
-
064・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 今御指摘の規定については、宿泊しようとする方は、旅館業の営業者から感染防止対策への協力の求めがあったときは、正当な理由がない限りその求めに応じなければならないとされております。
この規定を設けるのは、旅館業の営業者には、旅館業法により宿泊拒否に制限が掛かっている中で、旅館業の施設について宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならないとの義務が課されており、当該義務を果たすためには、相応の法令上の根拠をもって宿泊者に対し感染防止対策への協力を求めることができるようにする必要があるためであります。
他方で、衆議院における修正によって、感染防止対策への協力要請に正当な理由なく応じない者に関する宿泊拒否事由の規定は削除されることとなっております。このため、宿泊する方が、しようとする方が、改正後の旅館業法第四条の二第四項の規定に違反した場合であっても、他の宿泊拒否事由に該当する場合を除いては、旅館業の営業者が宿泊を拒むことは認められず、また、同項の規定の違反に対し罰則等の規定が設けられているわけでもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/64
-
065・川田龍平
○川田龍平君 このガイドラインで明示し切れない部分について、正当な理由か否かを判断するに当たっては、宿泊者の意思、立場、状況等を最大限尊重しなければならないと思います。是非そういった最大限の宿泊者の意思、立場、状況を尊重していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。一言でお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/65
-
066・山田宏
○委員長(山田宏君) 時間が過ぎておりますので、答えは簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/66
-
067・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) まず、趣旨は先ほど申し上げたとおりであります。
この場合の正当な理由に関しても、関係者による検討会で検討した上で策定する指針において、具体的にどのような場合が該当するのか、営業者が感染防止対策への協力を求めるに当たっては、宿泊しようとする者の、方の置かれている状況などを十分に考慮することが重要であること、協力を拒まれた場合に、営業者が正当な理由かどうか判断する際にも、協力を求めるときと同様に、宿泊しようとする方の置かれている状況などを十分に踏まえる必要があるといった旨について盛り込むことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/67
-
068・川田龍平
○川田龍平君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/68
-
069・東徹
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
今日は、新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案についての質疑ということで、非常に長いタイトルだったんですけれども、まあ一応、今日はこれについて質疑ということなんですが。一般的に、よく旅館業法、旅館業法ということで、昨年の臨時国会でも、もう出さないのかな、出さなくなって、今回の通常国会でももう出さないのかなというふうに思っていたんですが、まさかまさか、結局出してくることになったということで、筋が悪い……(発言する者あり)どうぞ、もし御発言があれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/69
-
070・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) いや、提出したのではなくて、継続審査ということで、引き続きの審査をお願いしているというのが今の状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/70
-
071・東徹
○東徹君 継続審査ということかもしれませんが、私はこれ、今回もう審議しないのかなというふうに思っておりました。
これやっぱり、僕は余り束ね法案に対して文句は言わないんですけれども、やっぱりそれは、一本一本出すわけにいきませんから、ある程度類似する法案を一緒に出すというのはこれはいつも理解させていただいておりまして、束ね法案は駄目だとかは余り言いませんが、今回の法案も、先ほど川田委員の方からもありましたけれども、旅館業法と併せて生活衛生関係営業等の規制緩和ということで、規制緩和についても、特に我々としては、規制緩和、必要な規制緩和はやっぱりやっていくべきだというふうな立場でありますが、今回の法案の中には食鳥処理の法案が入っているということで、これはやっぱり食の安全、安心の確保からもこれは問題だというふうに思っております。
こういう全く内容の異なるものを一つに出されてきたということですけれども、まず、この旅館業法と生活衛生関係営業等の規制緩和、これを一本で法案提出してきたのはなぜか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/71
-
072・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
本法案による改正内容は、委員御指摘の、まず一つが、旅館業の施設において感染症の蔓延を防止するための措置等を講じるもの、もう一つが、生活衛生関係営業等において事業譲渡による事業承継を円滑に行うことができるようにするものでございますが、このいずれの改正も、生活衛生関係営業等の営業者が継続して事業活動を営むことができるように措置するものであることから、この提出した法案においては、改正の趣旨、目的は同じものと考えております。
また、同じ規制形態を持っている生活衛生関係営業等に関する各法律について規制が不整合になるのは適切でなく、各法律において事業を承継する者が許可又は届出営業者の地位を承継するための同一内容の規定を設ける必要があることから、生活衛生関係営業等に関する各法律の一体的な改正が必要と考えております。
この点は、先ほどの委員御指摘の食鳥についても同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/72
-
073・東徹
○東徹君 そもそもこれ、旅館業法はコロナ禍でやっぱり宿泊客に対するいろんな問題があって、それで旅館業者からやっぱり法改正をしてほしいというふうな対応があって出てきた内容と、今回の、私は、その生活衛生関係営業等の事業の譲渡とか、そういったことに対する規制緩和とは全く別物だというふうに思います。
今回の法律の名称なんですが、これ、新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応してという、これ修正案ですけれども、この文言から始まる名称になっていたんですけれども、これ、修正によってこの文言そのものもなくなるということで、これでは、恐らくこれ、新型コロナが五類に変更されたというふうな中で、法案自体がもうこれ時期が遅くなったと、もう時機を逸してしまったということだというふうに思いますが、これの法改正の趣旨そのものがこれ変わってきているわけですよね。
厚労省としてはこの修正をどのように受け止めているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/73
-
074・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
昨年十月の本法案の提出時の題名については、新型コロナウイルス感染症等への対応の中で、先ほど申し上げた旅館業の施設における感染防止対策に係る課題が顕在化、当時もう既にしていましたし、また、旅館業等の事業環境が厳しさを増しているという情勢の変化に対応して、旅館業を始めとする生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るという本法案の背景事情を端的に表す、まあ長いですけれども、端的に表す題名と考えておりました。
このような情勢の変化、結果として、今置かれている状況については現在も変わるところはないものと考えておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが五類感染症へと変更となったことなどを踏まえ、衆議院における修正案では、題名から、先ほどの新型コロナ云々に対応してとの文言を削除する修正が行われたものと考えております。
一方で、次なる感染症への備えという意味で、この法案は引き続き御審議いただきたいと考えておったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/74
-
075・東徹
○東徹君 ここまでこれ内容がやっぱりタイトルから変わってくるわけですから、題名からですね、趣旨もやっぱり変わってきているわけですよ。これ、大臣が趣旨説明読んでおられましたけれども、先日ですね、その内容からもこれは大きくやっぱり変わってきているというふうに思いますね。
今回の法案修正ですけれども、宿泊拒否事由の削除とか、それから、法案の重要な部分というものがこれなくなっているわけです。旅館部分のこのカスタマーハラスメントの対応を除くと、もう今すぐにこれは法改正する必要があるのかというふうな内容になっているわけですけれども。
この名称も内容もこれ大幅に修正するくらいなら、これは一度撤回して次の国会で出し直しすべきじゃなかったのかとか、加藤大臣はやっぱりこういうときにリーダーシップを発揮してもう一遍出し直すべきじゃないかと、やっぱりこう言うべきだったんじゃないのかなと私は思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/75
-
076・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 先ほども申し上げさせていただきましたけれども、まさに今回の法案の背景には、旅館やホテルの現場において感染対策において大変悩まれた、そうした声が我々のところにも届いてきたわけでありますし、また、実際現場で働く方々も、これまでも含めて対応に苦慮されている、そうした中で改正をしてほしい。しかし、他方で、これまでの不当な宿泊拒否等の事例もあって、今回の法案がそうしたことを助長するんではないかという懸念の声も頂戴をし、それらも踏まえて、今回法案を作成する段階においても、様々な方から意見を聞きながら作らせていただいた。
それから、今、法案のタイトルのお話がありましたが、ただ、足下で見ていても、新型コロナウイルス関連倒産、やっぱり飲食店中心にですね、特に返済等の状況も出てくる中で、大変状況は厳しいというのはいまだ変わっていないというふうに考えているところでございますので、そうした事情の中で、衆議院において与野党において真摯な御努力をいただいて修正をしていただいた。我々としては、それをしっかり受け止めさせていただくとともに、現時点においても、まあ感染は今ちょっと次のステージになりますけれども、そうした対応することも今の段階で備えておく必要があるということから、この法案の審議を引き続きお願いをさせていただいているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/76
-
077・東徹
○東徹君 感染対策ということをおっしゃられましたけれども、感染対策だったら、もうかなりこの修正の内容は大幅に変わってきてしまっているなというふうに思うわけです。
私は、全て反対しているわけではなくて、全て反対しているわけではなくてですね、これ、食鳥処理は、やっぱりこの厚生労働省として、ここはやっぱり規制緩和しちゃ駄目でしょうと、こう思っているわけですよね。
資料をこれ配付させていただいておりますけれども、「鶏肉は十分加熱を! カンピロバクター食中毒が急増」ということで、沖縄県がこれ注意を呼びかけております。また、宮崎県も最近の報道でもありました。
カンピロバクターによってこれ生じる、ギラン・バレー症候群とよく言いますが、どういった症状になるのか、改めて御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/77
-
078・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
ギラン・バレー症候群は、多くの症例においては、細菌やウイルスに感染し、感染症の症状が現れた後、一週間から四週間後に手足のしびれや筋力低下を来す神経炎と考えられております。こうした神経炎の症状については、四週間以内に最も悪い状態になり、その後軽快することが多いとされております。本症候群は、一般に良好な経過をたどると考えられておりますが、人工呼吸器管理が必要となるなど重篤化する症例もあることから、早期の治療開始が必要でございます。
また、カンピロバクター症候群は、あっ、ギラン・バレー症候群は、約七〇%は神経炎の発症前に何らかの感染を来しておりまして、そのうち約六割は上気道感染、約二割は消化器感染がその要因として考えられております。消化器感染のうち、特に下痢を伴う症例についてはカンピロバクター感染が認められることが多いことから、カンピロバクター感染もギラン・バレー症候群の一因となっているものと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/78
-
079・東徹
○東徹君 このカンピロバクターによるギラン・バレー症候群になった人、私も身近におりまして、大学生だったんですけれども、ギラン・バレーになって、何というんですかね、もう筋力が低下して即車椅子になって、まあもちろん回復したんですけれどもね、回復したんですけれども、ちょっと問題が、非常に、重篤化まではならなかったですけど、回復したんですけれども、やっぱり非常に怖い病気だなというふうに思いました。
改めて今、ギラン・バレーについてお伺いしましたけれども、今回の法案には、生活衛生関係営業等の事業承継の際に、新たに許可を取る必要がなくなるわけです。そういう規制緩和になっているわけですけれども、食鳥処理事業では、十分な対応が行われていないと、先ほどのカンピロバクターによる食中毒が発生してギラン・バレー症候群につながっていくという危険性があるわけでして、ほかのクリーニング事業とかそういったものとはもう全く全然違うものなんですね。
お配りしたこの配付資料、先ほども加藤大臣が日本商工会議所からの要望がありましたというふうなお話がありました。これ、資料二の日本商工会議所のこの要望の中に、生前に営業者の地位を譲渡する際の手続を簡素化することということで、飲食店、旅館、理容院、美容院、クリーニング店等を営む個人事業者がというふうなことでこれあるわけですけれども、この中には食鳥事業はないわけです。
食鳥事業もないのに、なぜあえてこの食鳥処理業を規制緩和の対象にしたのか、お伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/79
-
080・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
まず、この食鳥処理法を含め、今回の改正対象としている八つの法律、食品衛生法、理容師法、美容師法、興行場法、旅館業法、公衆浴場法、クリーニング法ですね、これらにつきましては、公衆衛生上の見地から、その営業を行うに当たって許可の取得や届出を求めていること、また、許可や届出に際しては、基本的に構造設備が基準に適合しているかどうかの確認を行い、適合している場合には許可等が行われる仕組みとされていること、そのため、相続、合併、分割が行われた際には、新規の許可や届出を不要とする営業者の地位の承継に関する規定が既に設けられていること、こういった共通のその法的な枠組みを有することから、これら八つの法律を本法案による改正対象としたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/80
-
081・東徹
○東徹君 先ほども言いましたように、クリーニング店と併せて食鳥処理業も併せて規制緩和するというのは、これ健康被害を助長させるようなものだというふうに思うわけです。これ本来、厚生労働省は、やっぱりこういった健康被害をなくすために厚生労働省があるわけですから、本来はやっぱりこういう規制緩和はやるべきではありません。
食鳥処理業では、今も相続や合併、分割といったことが生じた場合に、新たな許可を取らないで営業者の地位を承継できるというふうにされておりますけれども、相続等の事業承継の場合、事業承継後に保健所の監視指導、全てこれ行われているのかどうか、行われているとすれば承継後どれくらいで行われているのか、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/81
-
082・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) まず、食鳥の屠殺、解体を行う食鳥処理業を営もうとする者は、食鳥処理法第三条に基づいて、都道府県知事等の許可を受けなければならないとされております。この食鳥処理法においては、食鳥処理業者に相続、合併又は分割があった場合に、その事業を承継する者は、改めて許可を受けることなく食鳥処理業者の地位を承継する旨の規定が既に設けられておりますが、この地位の承継後に監視指導を実施するかどうかについては、これはもう法律の立て付け上の各地方自治体の判断により、必要に応じて実施しているものと承知しております。
実例を申し上げたいと思います。保健所による通常の監視指導については、都道府県、保健所設置市、特別区が定める食品衛生監視指導計画というものがございます。これに基づいて行われております。大阪市のケースで申し上げますと、食品衛生監視指導計画においては、食鳥処理業について年に一回実施することとされております。令和三年度の実例で申し上げますと、大規模一施設、小規模六十八施設の監視指導を実施しているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/82
-
083・東徹
○東徹君 前にもこれ大臣から答弁あって、既に、確かに、相続とか合併、分割といった、生じた場合は、既に許可を取らないで営業者の地位を承継することができるわけですけれども、今回譲渡ですから、僕は、こういう相続とか合併とか分割とまた譲渡とはやっぱり違うというふうに思っていまして。例えば、Aさんという食鳥処理事業者が、今度私がやることになった。資格者は持っていますよと、食鳥処理の資格持った人いますよ、やりますよ。でも、私、全然知識も何もない、けれども、譲渡してもらったら、これ営業することができるわけですよね。
それはやっぱり、これはやっぱり規制緩和じゃなくて、これ逆に良くないんですよ。だから、これ、この間、大臣は自信持って答えておられましたけれども、やっぱりそこは違うということは是非これ御理解いただきたいなというふうに思います。
これ、実際には、これ自治体の判断で、事業承継後の保健所、指導監視が行われていない状況にあることからすると、今回の規制緩和というのはやっぱり問題があるというふうに思うわけですね。
今回の法案の修正案において、地位が承継された日から起算して六か月を経過するまでの間において、保健所の指導監視を行うこととされておりますけれども、これによって、保健所の体制を整えた上で、実際に保健所の指導監視がこれ必ずされることになるのかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/83
-
084・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
まず、この本法案による食鳥処理業者の事業譲渡における手続の簡素化については、衆議院での修正により、都道府県等は、地位が承継された日から六月以内に少なくとも一回調査しなければならない旨の規定を設けることとなったところでございます。これに関し、衆議院厚生労働委員会の附帯決議においても、事業譲渡後可能な限り速やかに実地検査を含めた必要な調査が行われるようにすることとされたところでございます。
本法案が成立した場合には、この附帯決議を踏まえ、事業譲渡が行われた際、先ほど六月と申し上げましたが、保健所において可能な限り速やかに、かつ、もう一つ大事なのは、今議員御指摘いただいた、ちゃんと体制を整えて確実に監視指導を行うことだと思っておりますので、このようなことを自治体に要請してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/84
-
085・東徹
○東徹君 今答弁にあった衆議院の附帯決議ですけれども、ここは、「承継後可能な限り速やかに実地検査を含めた必要な調査」というふうに文言があるわけですけれども、これ、可能な限り速やかにというのは大体いつまでにというふうに想定しているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/85
-
086・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
これは、一年の中でも、例えばその監視指導の繁忙期なのか否かとかによってこれは一概に申し上げることはできませんが、ここで大事なのは、先ほど委員の御指摘にもありましたし、私も御答弁差し上げた、拙速に行って見逃しとかあってはならないので、確実に、できるだけ速やかに、かつ確実に行える体制を整えていく、その範囲においての速やかにというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/86
-
087・東徹
○東徹君 これ、できる限り速やかにというふうな言い方しかないわけですけれども、またこれ、是非、今回参議院の方でも、このことについては是非附帯決議に入れてくださいということで入れさせていただきたいというふうに思っておりますが、何度も言うように、カンピロバクター、ギラン・バレー症候群、これやっぱり本当、危険な病気だと私は思いますよ。
女優で有名な方でいうと、大原麗子さんもこのギラン・バレー症候群になられました。もう今はお亡くなりになられましたですけど。やっぱりそういう芸能人の方もちょこちょこなられたというふうなこともたまに報道で見たりもします。
だから、減ってきてはいる傾向にはありますけれども、まだまだこのカンピロバクターによるギラン・バレーというのはやっぱりあるということで、厚労省として、やっぱりここはしっかりと対応していく、ほかの理容院とか美容院とかクリーニングとかとは全然違うものだということを是非認識していただきたいなというふうに思います。
それで、あと最後に、全国生活衛生営業指導センターについてお伺いをさせていただきます。
これ、全国生活衛生営業指導センターというのは、私は厚労省の天下り団体だというふうに思っておるわけですけれども、生活衛生法第五十七条の九によると、要件を満たす一般財団法人の申出を受けた厚生労働大臣がその法人を全国生活衛生営業指導センターとして指定するということになっているわけですけれども、今はこれ、公益財団法人全国生活衛生営業指導センターが大臣から指定を受けて事業を行っておるわけですけれども、令和三年度の実績で九億六千七百万円の補助金がこれ出されているわけですね、センターに。
これ厚労省から出されておるわけですけれども、私は天下り団体だというふうに思っているわけですけれども、センターの専務理事には厚労省のこれOBが天下りをされておるわけです。これ、厚労省のOBが天下りしている法人をセンターとして指定することは、厚労省の業界との癒着の表れじゃないかというふうに思ったりしますし、業界に対する適切な指導も、もうなれ合い、もたれ合いになっていくんではないですかというふうに思うわけですが、これ、大臣、どのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/87
-
088・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 全国生活衛生営業指導センター、今委員御指摘のように、当該法律に基づいて、厚生労働大臣の指定を受けて、衛生水準の維持向上や利用者、消費者の利益の擁護の見地から、生活衛生関係営業全般の健全な発展を図るための事業等を行っているところでございます。同センターは、都道府県生活衛生営業指導センター、また業種ごとの生活衛生同業組合連合会などと連携をして、生活衛生関係営業の営業者に対して必要な指導や支援を行っております。そのような業務を行うために必要な人材を確保する観点から、同センターの判断の下で採用が行われているものと承知をしております。
このセンターには厚生労働省の元職員が在籍しておりますが、国家公務員の再就職については再就職等監視委員会の下で厳格な監視が行われていると承知をしており、国家公務員法の規制の下で適切に行われているものと認識をしております。また、厚生労働省から生活衛生関係営業の業界に対して適切な指導を行うことができなくなるといったことは全くございません。これまでも厚生労働省から公衆衛生等に関する様々な指導を行ってきたところであり、今後も引き続き必要な指導を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/88
-
089・東徹
○東徹君 加藤大臣は、この公益財団法人全国生活衛生営業指導センターが、まあ適切な指導とか支援とかおっしゃっていますけれども、全てのお店というか、そういったところに対してそんなことが本当にできるというふうに思っておっしゃっているのかなと、つくづく今ちょっと御答弁を聞いていて思ったわけです。
もうこれ以上通告していませんですよ、通告していませんですけれども、改めて、じゃ、これ、どんな指導、それから支援をしているのか、御説明をいただいてよろしいでしょうか。通告していませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/89
-
090・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
厚生労働省から生活衛生業界に対して指導した実例を申し上げたいと思います。(発言する者あり)まずは例を、どのような指導をしているかということを申し上げております。
例えば、本年二月でございますけれども、基準を上回るレジオネラ属菌が検出され、都道府県に虚偽の報告をした入浴施設についての報道がなされた実例がございました。こうした際には、旅館業、公衆浴場業の生衛組合連合会に対してレジオネラ対策、コンプライアンス遵守の周知徹底を要請するだとか、また、昨年のケースで申し上げますと、これも同じくレジオネラに関するケースでございますけれども、これは死亡事例がございました。こういった際にも同様のことを周知徹底を依頼したところでございます。
その前の年、令和三年になりますと、五月に東京オリンピック・パラリンピックが控えている時期でございました。その際には、旅館業に対して、宿泊者名簿の管理の徹底、日本国内に住所を有しない外国人宿泊者の旅券の写しの保存等を依頼する。その更に前年、令和二年だと、新型コロナウイルス感染症が発生した年でございますので、その対応について感染防止対策の推進策を協議して行うと、こういった形で厚生労働省が指導等を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/90
-
091・東徹
○東徹君 時間がちょっとあと三分ぐらいあるので、ちょっとこれ、本当だったら終わってもいいなと思ったんですけれども、ちょっと余りにもあれかなと思ったので御質問させていただきますが、これ、厚生労働省から十八億円、トータルすると十八億円の補助金が出ているわけですね。さっきの財団、生活衛生営業指導センターには九億六千七百万円の補助金が出ているわけですけれども。
今、レジオネラ菌の話がありました、審議官から、レジオネラ菌の話。僕はこれ、レジオネラ菌のそういったものは本来都道府県がやるべきだと思いますが、違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/91
-
092・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
まず、直接的には、それぞれの法については、都道府県等、保健所設置市、特別区が行うものでございます。一方で、全国四十七都道府県共通的にリスクがあるもの、まさにこの入浴施設におけるレジオネラですとか、また新型コロナ感染症といった呼吸器感染症といったケースがございます。こういったものについては、個々の都道府県等による指導も重要ですけれども、それを全国統一的、画一的、また、より新しい知識、知見を共有するという意味でも、厚生労働省、そして、ここの全国センターを介しての指導、要請というものが有効と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/92
-
093・東徹
○東徹君 それこそ、厚生労働省と都道府県とでしっかりとやっぱりそういう対策をやっていくべき話であって、天下り団体に別にその必要性というのは僕は余りないんじゃないのかなというふうに思います。
以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/93
-
094・芳賀道也
○芳賀道也君 国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。
法案の審議に入る前に、昨日の地方デジタル特別委員会で大きな問題が明らかになりました。本人の承諾がなく、言わば勝手にマイナンバーカード、承諾なくマイナンバー保険証にひも付けられた例が五件あったという趣旨の審議官から答弁がありました。
加藤大臣は隠蔽をするような大臣ではないというのは分かっているんですが、あえてですね、このことでルールの変更を市町村への通知だけで済ませていて、で、昨日ようやく答弁の中で明らかに、私の質問の答弁の中で明らかになって、昨日の夕方から、報道などでは大きく報じられております。
地方への通知で済ませて、一定のルールも変えていたのにしっかりと広報しなかった。これは隠蔽したと取られても仕方がないのではないかとも思うんですけれども、大臣、御見解いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/94
-
095・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 今御指摘の点、これ、まさにひも付けの誤り、これはいろいろ御指摘いただいて、我々も対応しておりますが、こうしたひも付けの段階で生じたものではなくて、むしろ各市町村、要するに保険者の段階の話ではなくて、各市町村の窓口でマイナンバーカードを交付する際に様々な支援をされておられる、その中において、マイナンバーカードの健康保険証等の利用の登録に関する支援も行われていると承知をしておりますが、その際に、本人の意向が十分に確認されず支援が行われ、結果、本人が利用登録を希望していなかったにもかかわらず利用登録されたという事例があり、これについては、実は昨年九月に新聞報道がなされ、そして昨年十二月、衆議院の総務委員会でもその関連が取り上げられたところでございまして、また一部の自治体からも照会がありました。
これを受けて、そもそも御本人の同意なく行われた手続であることから、御本人からの解除希望に基づき自治体から厚労省に申出のあった場合には、自治体に、個別に利用登録を解除する、解除するところは我々の仕事でございますので、それについて二月一日に自治体宛てにその旨を通知をさせていただき、これまでそうした規定に基づいて五件の解除がなされたということを、昨日のですかね、昨日の委員会で御報告をさせていただいたということでございます。
別にこのことを私どもとして隠していたわけではなくて、既に各都道府県にもそうしたことを、そうした対応をするということは申し上げてきたところでございますが、今後とも、そうした事例があった場合については、その都度都度、タイミングを見てしっかりと公表させていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/95
-
096・芳賀道也
○芳賀道也君 今初めて昨年九月に明らかにしていたということは聞きましたが、九月に明らかになって、こうしたことがないように対策というのは取られたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/96
-
097・伊原和人
○政府参考人(伊原和人君) 自治体のこの支援事業は、マイナンバーカード、公金口座の話とか、あるいは健康保険証のひも付けの支援ということを行っておられまして、それをちゃんと適正にやっていただくということについてはデジタル庁の方からいろいろ御指導いただいているというふうに承知してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/97
-
098・芳賀道也
○芳賀道也君 しかも、昨日の質疑の中では、誤登録が大臣に報告が遅れたということもありましたので、大臣に報告はなされたのかという質問をしましたら、大臣に報告はしましたと。では、最初に分かったのがいつなのか、大臣への報告はいつだったのかと聞いたら、通告してある質問だったにもかかわらず、すぐには分かりませんという回答で、実は委員会が終わった後、与党の委員からも、いや、あの回答はいけないねと、もっと頑張れ厚生労働省という発言まであったということなんですけれども。
二月一日にも報告があり、大臣としては、これはやはり負の情報も明らかにすることがマイナンバーやマイナンバー保険証の信頼性を高めることですから、しっかりと公表してくれよというのはおっしゃったのか、大臣に報告があったのはいつだったのか、教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/98
-
099・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) ちょっと経緯を詳細に申し上げさせていただきますと、先ほど申し上げた、去年の九月に新聞、これ地方紙でありますけれども、報道がありました。去年の十二月、その事案を踏まえて衆議院の総務委員会で質疑がなされました。事務方から私に対して、そうした場合に解除するというその方針については昨年の一月の段階で相談があり、失礼、今年ですね、今年の一月の段階で相談があり、そうした方向で適切に処理をしてくれということを申し上げ、二月の段階でその旨を通知をしたところでございます。
ただ、五件についてという件数そのものについては、昨日の段階で私は承知をしていたという経緯でありますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/99
-
100・芳賀道也
○芳賀道也君 昨日の審議で明らかになった経緯は、実はこの厚生労働委員会で、ひも付けを例えばマイナポータルから解除できるのかという政府の答弁がありました。基本、明らかに個人情報が漏れるという以外は番号変えられないということもあって、基本できないんだという答弁だった。
ところが、私の質問を聞いていてくれた一般の方が、私の質問も見て、そして実際に国の相談電話に電話をしたら、いや、市町村に相談してくださいという相談電話の案内だったと。これは、政府答弁と違う内容を電話相談で答えているのはおかしいのではないかというところで、実は本人の希望に沿わずに、ミスだけれども勝手にマイナンバーカード申し込まれている例があったのだというのはそこで明らかになった。
これ本当に問題だと思いますし、この厚生労働委員会でもこのひも付けの問題については質問をしていて、その回答では何らこのことは触れられていなかった。このことはやっぱり問題じゃないかと思うんですが、大臣はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/100
-
101・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) いろんな事案があれば、タイミングを見て公表することが大事だという委員の御指摘はそのとおりだと思います。
ただ、先ほど冒頭申し上げたように、そのひも付けに係る過程で生じた話と、別途支援作業で生じた話と、そこは今回ちょっと異なっているということ、そこは委員御理解いただいた上で御質問いただいているというふうに思っております。
いずれにしても、こうした事案の中で、国民の皆さんに不信、懸念、これが生じないようにしっかりとした対応を図るとともに、様々な事案が発生すれば、そのタイミングを見てそうした公表を今後ともしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/101
-
102・芳賀道也
○芳賀道也君 実際にこの二月一日、通知が出されました。すると、市町村はそういったケースがあるときに解除できるようになった。このことは、更に同じようなケースがあった場合、国として、厚労省として、件数の報告がきちんとなされるようなシステムになっているのか。今後そういうことが更にあったら、これはもう、市町村でそのことをやれば、もう国はちょっと新たに調査しないと分からないのか、その辺はどうなんですか。調査も必要だと思うんですけれども、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/102
-
103・伊原和人
○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
個別にその一度ひも付けたものを解除する場合には、一度国の方に上げていただく必要がございます。ということで、全て件数等については国で把握できる仕組みになっておりますので、先ほど大臣から御答弁させていただきましたように、今後、解除した件数、そうしたことについては公表してまいりたいと、このように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/103
-
104・芳賀道也
○芳賀道也君 これ、信頼性を、逆にマイナスの情報も公開することで高まるということもありますので、その辺はしっかりとやっていただきたいと思います。また、今後、誤情報なども新たな件数も明らかになってきますので、こうしたことも踏まえて、証明書の交付などでは、マイナンバーでは今止めているというようなこともあるわけですから、今後明らかになってきた情報で必要なことがあれば、そうした一旦立ち止まるというようなことも是非科学的に検討して判断をしていただきたいと思います。
それでは、本法案の質疑に入ります。
まず最初に、新型コロナ禍、ホテル、旅館の皆さんは大変な思いされました。この法案については、様々にそのことを踏まえて配慮していただいている法案だということで、基本的には賛成の立場という地元のホテル、旅館の方も多いんですけれども、その地元のホテル、旅館の方からは、この法案どうこうよりも何よりも、厚労大臣に一つ訴えてほしいことがあるんだと。
我々、このコロナ禍で、医療の専門家でもないのにホテル療養ということで、突然、病院で引き受けない人たちを、医学の知識もないので懸命に、でも受け入れて頑張ってきたと、本当に混乱があって大変だったんだと。今後、このような大混乱、ホテル療養を受け入れることで大混乱がないように、あるいは、次なる感染症の拡大、パンデミック、そうしたもののときにも、このようなことがないように厚労省しっかりやってくれるのだろうか、そのことを聞いてくれというのが山形県のホテル、旅館の一番の質問だったんで、是非、厚労大臣、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/104
-
105・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 特に今回の感染拡大の中においては、当初は入院でということでありましたけれども、その後感染者数が増加する中で、宿泊療養あるいは自宅療養といったことの対応をお願いをする。そうした中で、旅館や宿泊の皆さん方には、宿泊療養の場を提供していただくということで大変御協力をいただいたことに、心から感謝申し上げたいというふうに思います。
今後の新型コロナ対応でありますけれども、今般、言わば後付けでお願いをしていったということでありますから、やっぱりその辺をしっかり踏まえて、昨年十二月に成立した改正感染症法では、平時から、都道府県等と宿泊施設の間で宿泊施設の確保のための協定を結ぶこととしております。協定を結ぶに当たっては、宿泊施設の確保に要する費用の負担の方法についても盛り込むこととしております。また、都道府県等と宿泊施設との円滑な連携を図るため、地域の実情に応じて都道府県連携協議会の活用も図ることとしております。
次の感染症に備え、また今回のコロナ対応における経験、また反省を踏まえて、平時からそうした取組を行い準備を進めていくことによって、宿泊施設の方々に対しても、円滑に受け止めていただく、またそうした協力をしていただける、そうした体制、環境をしっかりつくっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/105
-
106・芳賀道也
○芳賀道也君 是非、感染拡大を防ぐことももちろんですけれども、こうした過去にあった大混乱を起こさないような仕組みづくりもしっかりやっていただきたいと思います。
その背景には、突然、医療の知識もない者が受け入れて離職につながったというようなことも各ホテル、旅館ではありますので、これもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
次に、今回の法改正の焦点の一つとなっている宿泊禁止について、二〇〇三年十一月に熊本県で起きたハンセン病元患者のアイスターホテル宿泊拒否事件を忘れてはなりません。
配付資料の一ページから七ページとして、宿泊拒否事件に関する菊池恵楓園のホームページの写しを載せていますので、御覧ください。
資料の一ページにもあるように、歴史を振り返れば、ハンセン病療養所の入所者の自治会など患者団体の皆さんが何十年にもわたり運動を続けてこられて、一九九六年四月にらい予防法が廃止され、二〇〇一年五月にらい予防法違憲国家賠償請求訴訟が熊本地裁で患者側勝訴、国も控訴を断念して判決が確定しました。しかし、ハンセン病元患者への偏見、差別が依然として根強く残っていることをこの温泉宿泊拒否事件が示しました。
各地の療養所では、元患者から、療養所から一歩も出られない生活を入所者の皆さんに長年にわたり強制されてきて、その反省として、各都道府県の事業で、元患者のふるさとに帰り元患者同士の交流を進めるふるさと訪問里帰り事業が行われています。
宿泊拒否を受けたのは、熊本県にある療養所菊池恵楓園の入所者の皆さんで、温泉地として知られている熊本県の黒川温泉に泊まろうというふるさと訪問里帰り事業でした。この事業自体も、地元の偏見、差別が依然として根強く、元患者の皆さんが、生まれた町、生まれ育った実家に帰れないから、その代わりとして県内の観光地に招待しようという取組です。この二〇〇三年に起きたハンセン病元患者の皆さんへの宿泊拒否事件のことを、私たちは忘れてはならないと考えます。
そして、ハンセン病については、長年にわたる偏見と差別、そして政府などの人権侵害があったことも忘れてはなりません。もちろん国会にも、ハンセン病患者や元患者に対する偏見や差別を助長し、政府その他の人権侵害に加担していた責任があります。私たちは、差別、偏見、人権侵害を繰り返さないための戒めとして、私たち自身が何らかの理由で差別や偏見を受けるような立場になったとしても救済される道を開いておくためにも、ハンセン病を始め、これまでの様々な差別、偏見、人権侵害の歴史を忘れてはならないと考えます。
そこで、加藤大臣に伺います。
これまで長年行われてきたハンセン病患者の強制収容と強制的な隔離、強制的な不妊手術、家族との断絶などの人権侵害、そして差別、偏見に加担してきた責任について、厚生労働省のトップとしてどのように反省をしていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/106
-
107・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) ハンセン病患者、元患者の方々、またその御家族におかれて、長い間、強制隔離施策などを内容とするらい予防法が抜本的に見直されることがなく存続し続けた。その結果、尊厳が傷つけられ、人権上の制限、また偏見、差別などを受け、平穏に生活することを妨げられたというふうに認識をしておりますし、また、らい予防法が見直された後においても、様々な偏見、差別が残念ながら今日まで続いているということを強く認識をしているところでございます。
厚労大臣としては、こうしたことを改めて心に刻み、そうした関係者の皆さんに深くおわびを申し上げるとともに、ハンセン病問題の歴史を深く反省し、偏見、差別の解消に向けて取組を進めていくとともに、こうした事態を二度と起こさないと、こういった決意を申し上げたいというふうに思います。
また、らい予防法が廃止された後も、今委員から御指摘のあったような宿泊拒否事件が生じているわけであります。そのことを、したがって、今日でもそうした偏見、差別が残っているんだと、そのことをしっかりと私たちは認識をしながら、ハンセン病問題を含めた人権問題への不断の取組、これをしっかりと進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/107
-
108・芳賀道也
○芳賀道也君 関連して伺いますが、ハンセン病元患者の皆さんのふるさと訪問里帰り事業、新型コロナで一旦これも止まっていました。次回は、希望者がいるので実施する方向だと熊本県の御担当からも伺っています。
このふるさと訪問里帰り事業、各県独自の事業だということですけれども、反省も踏まえて、厚労省からも、各県のふるさと里帰り事業、予算の一部補助を出す考えというのはおありになりませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/108
-
109・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) 現時点では、これは都道府県の事業として行っております。御指摘も踏まえまして検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/109
-
110・芳賀道也
○芳賀道也君 是非こうした面も検討していただきたいと思います。
また、現在続いている、元患者の療養所で著しく少ない医療、後遺症のほか、複数の病気を抱えても満足に治療を受けられない現状について、伊佐副大臣はどう認識し、これから医療をどうすべきだとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/110
-
111・伊佐進一
○副大臣(伊佐進一君) 国立ハンセン病療養所の入所者の平均年齢は、現在八十七・九歳というふうに高齢化が進んでおります。ハンセン病の後遺症に加えまして生活習慣病等を発症するなど、医療の必要性と、また多様性が増している状況にあるというふうに承知をしてございます。
このような状況を踏まえまして、療養所における医療の提供に加えて、近隣の医療機関の医師に定期的に療養援助にお越しいただくと、こういった療養所内の医療体制の強化を図ることとしてございます。また、厚労省としても、療養所における医師確保に資するように、例えば令和五年度の予算におきましては、大学等から医師派遣に対する協力謝金の支給でありますとか、電子カルテの導入に必要な経費、こういったものの予算を確保しているところでございます。
引き続き、国立ハンセン病療養所における入所者の皆様の療養環境を第一に考えまして、良質な療養環境の提供に努めてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/111
-
112・芳賀道也
○芳賀道也君 こうした面でもしっかりと取り組んでください。
配付資料三ページから五ページを御覧いただきたいと思いますが、宿泊拒否のニュースが全国ニュースになって大きな批判を受けたホテル側、謝罪に訪れましたけれども、謝罪を拒否するというようなことがあり、今度は入所者側にいわれなき誹謗中傷などが行われ、また、この問題でホテルが廃業することになり、ホテル側に対して訴訟を起こした際も、従業員の皆さんがホテル側に対して訴訟を起こした際も、入所者のせいで従業員が解雇になったという、事実とは違う誹謗中傷などを行われました。やっぱり正しい情報がしっかり伝わる、そのことも重要だということをこれが示しています。
それと同時に、誰かを憎む必要のない社会、お互いが尊重され尊敬する、そのような社会をつくるよう努力していかなければなりませんと菊池恵楓園歴史資料館の宿泊拒否事件のページの最後には書かれています。私たち国会議員も正しい情報に基づく質疑や発言をしなければならないのは当然ですし、誰かを憎む必要のない社会、尊重される、お互いが尊重されて尊敬される社会になる必要があります。
この誹謗中傷について、国会議員という公職に就く一人の人間として、差別のない社会づくりについて、加藤大臣の御見解伺えますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/112
-
113・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 先ほど申し上げましたけれども、今回の感染症患者等に対する偏見、差別、こうしたことが生じることのない社会、この実現について、やっぱり現状そうしたことがあるということをしっかり認識をした上で、不断な努力を重ねていくことが必要だというふうに考えております。
厚労省としても、様々な機会を通じて、またそうしたリーフレット等も作成させていただいております。周知啓発等にしっかりと取り組ませていただきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/113
-
114・芳賀道也
○芳賀道也君 次に、本法案で新たにできる宿泊者に求める協力について伺います。
特定感染症に感染している症状を示す者、示す方に旅館側が求めるものとして、第四条の二第一項第一号イに規定される厚生労働省令の概要、そして、ロで規定される宿泊者の協力内容を定める厚生労働省令の概要はどのようなものになり、いつまで決まるでしょうか。さらに、この項の三号で言う政令の概要はどのようなもので、いつまで決まりますか。
特定感染症の症状がある方や特定感染症の患者と宿泊事業者のトラブルを防ぐため、この省令、政令の内容についても広く周知、広報することが必要だと考えますが、現時点で周知、広報の進め方についてお考えがあればお教えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/114
-
115・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) それぞれお答えいたします。
まず、四条の二第一項第一号のイの省令のところでございますけれども、これについては、医師によって特定感染症の患者と診断されたか、症状が特定感染症以外の要因により生じたものであるかについて定めることを想定しています。
次に、四条の二第一項一号ロの方でございますけれども、こちらについては、客室等での待機や健康状態等の確認のほか、発生した特定感染症に応じて、感染症法等において感染防止対策として求められた措置に即するもの等を想定しています。
次ですけれども、四条の二第一項第三号により、同項第一号及び第二号に該当しない方に求める協力の内容としては、これ政令で定めるものですが、健康状態等の確認のほか、発生した特定感染症に応じて、感染症法等において感染防止対策として求められた措置に即するものを想定しております。
これらについては、まずスケジュールですけれども、これはもう六月以内、公布の日から六月を超えない範囲において定めることになっておりますし、また周知、これは極めて重要でございますので、まず、従業員に対する研修ですとか、また、国民に対してのホームページを通じた普及等を考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/115
-
116・芳賀道也
○芳賀道也君 これ周知も大事ですので、しっかりとやってください。
本日は、田中衆議院議員にもお越しをいただいて、修正案についても御説明をいただきます。修正案提出者の田中衆議院議員に、修正案による附則第二条について伺います。
第四条の二第一項に定める協力の求めに正当な理由なく応じない方がいた場合どう対応するのか、政府に検討を求め、必要な措置を講じるよう附則で規定しています。
第四条の二第一項の協力の求めに正当な理由なく応じない宿泊者に対する必要な措置には宿泊拒否は含まれないという理解でよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/116
-
117・田中健
○衆議院議員(田中健君) お答えいたします。
御指摘の条項に関わる本則の修正部分に関しては、ハンセン病元患者等の団体、障害者団体等から、恣意的な宿泊拒否が行われるようになるのではないか、また偏見や差別を助長することにならないかなど、これを懸念する御意見が出されていたところであります。
このような御意見を真摯に受け止めまして、修正案においては、第五条第一項第二号を削除することといたしました。ただし、感染防止対策への協力の求めに正当な理由なく応じない場合に旅館業の営業者がどのような対応をすればよいのかという課題は、引き続き残されているものと認識をしています。
そこで、その対応の在り方については、今後政府において検討し、必要な措置を講ずる旨の検討条項を設けるものとしています。
必要な措置の内容については政府が適切に決定するものと承知はしておりますが、その検討に当たっては、先ほど申し上げたような御懸念が払拭されるよう配慮することや、旅館業の施設の従業員や他の利用者の健康や安全を確保することなど様々な事情が考慮され、まずは宿泊拒否事由の拡大以外の事項が検討されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/117
-
118・芳賀道也
○芳賀道也君 懸念を払拭するために修正もしていただいて、しっかりと進めていただきたいと思います。ありがとうございました。
委員長にお願いです。修正案御提出者の皆様の質問はこれで終了です。退席についてお取り計らいをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/118
-
119・山田宏
○委員長(山田宏君) 田中健君には御退室いただいて構いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/119
-
120・芳賀道也
○芳賀道也君 次に、旅館業法第五条の宿泊拒否事由の規定について伺います。
解釈次第では、予約客が存在する以上休館は許されない、施設や従業員に何が起ころうとも宿泊させなければならないということになってしまっていると現場から聞いています。
例えば、大雪や大雨、災害、台風、JRや航空便が早々に運休や欠航をしていても、宿泊施設は、来るか来ないか分からない予約客のため、危険を冒してスタッフを出勤させなければならないという不合理なことになっているのではないかという話です。
こうした場合、経営者の判断で休館できると明確に旅館業法に書くべきではありませんか。また、働き方改革として、お客の少ない時期に定休日を設定できるとしっかりと旅館業法に盛り込むべきではないでしょうか。厚労省としての見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/120
-
121・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) 二点お答えいたします。
まず、災害の場合でございますけれども、災害により宿泊施設に物的被害が生じたり従業員が出勤できなかったりといった非常に深刻な場合には、現行法でも、現行法の旅館業法第三条第三号に、宿泊施設に余裕のないときに該当しますので、これは宿泊を拒むことは可能となっております。ただ単に宿泊客が訪れる可能性が低いことのみをもっての宿泊を拒否することについては、これは旅館業の公共性等を踏まえると、難しいとは考えております。
もう一点、休日のところ、定休日のところでございます。
この旅館業法が定めているのは、公衆衛生や国民生活の向上のために必要な内容でございますので、定休日については、営業者の判断に基づき設定されるべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/121
-
122・芳賀道也
○芳賀道也君 働き方改革もありますし、休業できるというような規定ですとか、そういったものも必要だと思いますので、御検討をお願いをいたします。
今回の法改正では、旅館業のほか、食品衛生法に規定する三十数業務、理美容施設、食鳥処理施設、興行場、クリーニングの事業譲渡した際、都道府県知事の承認があればこの営業者の地位の許認可を取り直すことなく継承されます。ただ、旅館業は、宿泊される方の生命、財産を守ることが求められることから、事業譲渡を都道府県知事が認める際に、簡単な審査にとどまることなく、事業の重要性、継続性について事業の譲受人に指導すべきだと考えますが、加藤大臣の御見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/122
-
123・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 本法案では、生活衛生関係営業等の事業譲渡において、新たな許可の取得、届出がなくても、事業を譲り受けた者が営業者の地位を継承できるようにしております。
この手続の簡素化は、自らは事業を継続することができなかった営業者が、店舗を閉鎖するのではなくて他の者に事業を譲渡する事例が増加し、これによって、地域における事業の継続、そして雇用の維持にもつながるものと考えております。
また、本法案においては、旅館業法の事業承継について、相続等の場合と同様に都道府県等の承認を要することとしており、譲受人が欠格事由に該当していないかどうか等を確認し、必要に応じ指導等を行うこととしており、その際、旅館業の事業の継続、適正な衛生管理の重要性、また、これらを実現するために必要な雇用の継続の重要性、これらについても周知をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/123
-
124・芳賀道也
○芳賀道也君 今、大臣のお答えの中にも雇用の継続というのがありましたが、特にホテル、旅館業では、スキルのある従業員の皆さんがいてくださるというのが宝になりますので、この雇用の継続について、もう少し、ちょっとホテル、旅館業については、認可の際の審査の基準として何らかの条件などを付けていただくということは考えられないんでしょうか。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/124
-
125・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 雇用の継続それ自体を事業譲渡の条件にというお話でありますが、旅館業法そのものが公衆衛生の確保などを目的とするということで作られております。
施設の構造設備や営業者の欠格状況等と直接関係のない規制を課すこと、これはなかなか難しいと考えておりますが、ただ、先ほど申し上げましたように、その継続的な事業の継続、また適正な衛生管理、そういった意味からする雇用の継続の重要性、そのことはしっかりと周知していきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/125
-
126・芳賀道也
○芳賀道也君 雇用の継続についてもお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/126
-
127・倉林明子
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
修正されました旅館業法案に対し、関係団体から、障害者の関係団体からですね、障害者の差別につながる懸念がなお指摘されております。
そこで、障害者差別解消法では、障害者に対する不当な差別的取扱いというのは禁止されております。これ、令和六年、来年の四月から、障害者に対する合理的配慮が民間企業にもこれ義務化されるということになります。ホテル、旅館などのサービス業において禁止される差別的取扱いとは何に当たるか、求められる合理的配慮の範囲はどうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/127
-
128・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) まず、差別的取扱いについてでございます。
これは、障害者差別解消法第八条第一項においてのそういう規定がございますが、これらに基づいて厚生労働大臣が、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針に即してガイドラインを定めています。この中で、身体障害者補助犬の同伴を拒否すること、対応を後回しにすること、サービスの利用に必要な情報提供を行わないこと、こういったものが不当な差別的取扱いとしています。
次に、合理的配慮についてでございます。
同じく、先ほど申したガイドラインにおいて、例えば、施設内の段差にスロープを渡すこと、手話、要約筆記、筆談、図解、振り仮名付き文書を使用するなど、本人が希望する方法で分かりやすい説明を行うことなどを例示しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/128
-
129・倉林明子
○倉林明子君 範囲でいいますと、合理的配慮ということでいうと、本来の業務に付随するものに限るという限定があるということでもあろうかと思うんですね。そもそも宿泊は断ってはならないのが原則だということは、先ほど来の質疑でも確認がされてあります。
ところが、これ、全日本ろうあ連盟が二〇一八年に行ったアンケート、聞こえないことを理由に差別的取扱いを受けた、先ほど紹介ありましたけれども、六六パーだと。その上、宿泊拒否、この事例がやっぱりありまして、三・九%、二十二人もあったということなんです。これ、いまだに、盲導犬が犬だということで宿泊の拒否の事案も伺っているところなんですね。
法案は、関係団体の意見も踏まえて修正されたものの、第五条三項では、宿泊を拒否できる要件として、営業者にとって負担が過重であると、この規定が残ったということになっているわけです。そして、ここに懸念も示されております。
その内容は省令で決めるとしているわけですけれども、この内容について、障害者差別解消法との、来年、令和六年四月から始まるこの義務化は民間事業者にも義務化されるということとの関係、整合性はどうやって確保するのか。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/129
-
130・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) まず、今回の第五条第一項第三号の規定、改正後でありますけれども、いわゆる迷惑客への対応ということで現場からも声が出てきたところでございます。
現時点で、この規定の委任を受けた厚生労働省令において迷惑客の宿泊拒否事由に該当する具体的な事例としては、宿泊サービスに従事する従業員を長時間にわたって拘束し、又は従業員に対する威圧的な言動や暴力的行為をもって苦情の申出を行うことなどを定めることを考えております。
旅館業法の改正後においても、旅館業の営業者は、障害者差別解消法を遵守し、障害を理由として不当な差別的取扱いをしてはならない、このことには全く変わるものではございません。
さらに、今回の改正後の旅館業法第五条第一項第三号の実施に伴う過剰な要求については、厚生労働省令で更に明確化、限定的にするということにもされているところでございます。
そういった意味においても、今回の改正は、障害者差別解消の趣旨、それに沿った対応を図っていくというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/130
-
131・倉林明子
○倉林明子君 障害者団体から、本法案改正に当たって差別禁止規定を盛り込むよう要請されておりました。障害者への合理的配慮を求めることをきっかけに宿泊拒否という差別的取扱いを引き起こしてはならないと、これはっきりさせておく必要があると思うんです。
同時に、私、大事だと思うのは、省令等定めていくと、ガイドラインも含めてですけれども、障害者団体からは、意見を聞きおくヒアリングだけじゃなくて、ちゃんと検討会のメンバーに入ってもらって一緒に作っていくということ必要ではないかと思います。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/131
-
132・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 本法案が成立した場合には検討会で検討を行うということになるわけでありますけれども、いわゆる迷惑客に係る宿泊拒否事由の具体的な事例を厚生労働省令で定めるとともに、旅館業の営業者が宿泊拒否等に適切に対処するための指針を策定したいと考えております。
検討会での議論においては、障害者や患者などを含めて様々な方の意見を反映させていくことが重要であると考えており、関係者から丁寧に意見を伺うことができるよう、適切に構成員の選定等を行っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/132
-
133・倉林明子
○倉林明子君 当事者意見をきちんと反映させる仕組みというのが要ると思うんです。ヒアリングじゃなくて、やっぱり検討会メンバーとしてきちんと入ってもらうということが大事だと、当事者意見の反映という仕組みにきちんとしてほしいなということです。
障害者に、これ、合理的配慮を求めるということをためらわせてはならないと思うんですよね。旅館業法改正が障害者差別解消法、円滑な施行の妨げになるようなことがあってはならないと。いや、目的としては、度重なる過剰な要求に対して歯止めが、それに対して明確に行為規定していくということが盛んに説明されるんだけれども、その障害者に対して差別解消法が合理的配慮義務付けということ始まっていく中でもあるので、そういうことをためらわせると、現場でためらわせるというようなことになってはならないわけなので、その点についての考え方、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/133
-
134・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) ちょっと先ほどと重複するような感じもするところではございますが、障害者差別解消法の合理的配慮が求められるような事例については、改正後の旅館業法第五条第一項第三号に該当せず、また、第五号の他の各号に該当する場合を除き、宿泊を拒否する、できないものと考えております。
改正後においても、旅館業の営業者は障害者差別解消法を遵守する必要があり、合理的な配慮が求めることには変わりはないということでございます。今般の改正、先ほど申し上げましたように、障害者差別解消法の趣旨に沿ったものという、その趣旨を踏まえて対応していくものと考えているところでございます。
さらに、障害のある宿泊者等に対し、その状態や障害等の特性に応じた適切なサービスが提供されるよう、本法案によって旅館業の営業者の努力義務とされる従業員への研修等も活用して、取組をしっかり進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/134
-
135・倉林明子
○倉林明子君 まあ、言うたら、障害者差別解消法、これがちゃんとやられるんだから大丈夫というふうに聞こえるんだけれども、実際に紹介したように、その聾唖の方が実際に宿泊拒否を受けていると。盲導犬だってこれだけ普及してきても、それで拒否されるということ残っていて、合理的配慮の義務化が始まっていくと。そういうときにこれ同時に実施されるということになるので、障害者団体からの懸念があるということを申し上げているんです。
そういう意味で、是非当事者も参加してもらって、合理的に、円滑な、障害者差別解消法の円滑な施行が旅館、ホテル業でできるようにしっかり意見聞いてほしいということですので、よろしくお願いしたいと思うんです。
法案では、特定感染症の患者等である者は宿泊を拒否できるということになっておるわけで、新型コロナの場合、今五類ということになったので外れているわけですが、症状ではコロナかどうか分からぬわけですよ。発熱とか、風邪と違いってほとんどなくて、無症状感染者というものがあります。感染力持ってます。濃厚接触者という場合もあります。これつかんで対応してきたのはコロナだったんですよね。
こういう場合、特定感染症の患者等と、等にこれ入るんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/135
-
136・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
感染症法の規定で、患者に加えて、今回のこの旅館業法では疑似症患者、感染症法の六条第十項、また無症状病原体保有者、先ほど御紹介いただいた、これは六条の第十一項になります。加えて、新感染症の所見がある者に該当する者を言って、宿泊することにより、旅館業の施設において特定感染症を蔓延させるおそれがほとんどないものを除くという規定になっています。
端的にここから申し上げます。無症状病原体保有者については、これは患者等に含まれるという形になります。(発言する者あり)はい。無症状病原体保有者は含まれる。一方で、濃厚接触者、これは基本的には含まれない、この時点では陰性なわけですから。
ただ、この一つ、新型コロナの経験を踏まえますと、令和四年一月に、オミクロン株の感染が急拡大した時期において厚生労働省が外来診療の対応について通知を出した、事務連絡を出しております。
この中で、地域の感染状況に応じて診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている場合において、で、次です、同居家族などの感染者の濃厚接触者が有症状となった場合には、医師の判断により、検査を行わなくとも臨床症状で判断。これは疑似症例という判断でございます、疑似症患者という判断でございますので、なので、濃厚接触者については、ごくごく、その状況においてですけれども、今のようなケースについては疑似症患者、この場合は等に含まれるという運用になろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/136
-
137・倉林明子
○倉林明子君 つまり、無症状が入るというわけでしょう。そうなると、一体……(発言する者あり)無症状感染者、入るという説明じゃなかったですか。入る。済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/137
-
138・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) 無症状病原体保有者、これは病原体保有、つまり陽性ですので入ると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/138
-
139・倉林明子
○倉林明子君 つまり、それは検査しないと分からぬのですよ。検査しないと、並んでいてもどっちが感染者かというのを特定できないんですよ、その営業者にとっては。そこまでやっぱり求めていくということが、営業者、このコロナの場合、とりわけそういうこと起こり得るわけですよね。検査してから来てくださいということになるのか。
そういう意味でいうと、営業者の裁量が入るような余地というのを非常に懸念するんですよ。本来の宿泊断ってはならないということにきちんとつなげるということになると、どんな、特定感染症に限定したといっても、無症状感染者かもしれないと思って営業者が見たら、検査を求める、病院にかかってくれと、拒否につながりかねないという懸念はやっぱりあるんですよね。
今後、どんな新興感染症が発生するかというのは想定できません。今度のコロナのような症状、経過をたどるような特定感染症も、これまでは想定されてこなかったものです。だから、目に見える障害あるいは症状、これによっての宿泊拒否が拡大しないだろうかという懸念も一方であるわけです。
日本難病・疾病団体協議会によりますと、今日資料で付けたんです、これは、見たら、何か赤いものが皮膚、発疹出ています。何かに感染したんじゃないだろうかと素人目には見えかねないんですよ。こういう、皮膚に何らかの症状のある疾患ということでいいますと、膠原病、乾癬、天疱瘡、これ、それぞれもうこういうふうに出ますよという写真なんです。いずれも実はこれ自己免疫疾患で、感染のおそれはないんです。感染のおそれはない。でも、見て分からない無症状感染者と違って、見て、これ感染症と違うんかということに営業者はなりかねないと思うんですね。
私は、関節の変形とか医療的ケア児でも心配の声上がっていましたけれども、多様な難病の理解、こういうことも営業者には求められると思うんですよ。ガイドラインと併せてもう研修の充実もしていかないと、無用な、宿泊を断るということにつながりかねない、差別の助長につながりかねないと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/139
-
140・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 本法案が成立した場合、関係者による検討会で検討を行い、旅館、ホテルの現場で適切な対応が行われるようにするための指針を策定したいと考えており、策定に当たっては、患者団体、障害者団体等の意見もよく聴いて検討を進めていきたいと考えております。
この法案では、旅館、ホテルの現場において適切なサービスが提供されるよう、従業員に対して必要な研修の機会を与えることを旅館業の営業者の努力義務とする規定を新たに設けることとしております。この研修を通じて、感染防止対策の適切な実施、また、過去の宿泊拒否事例も踏まえ、今回の改正が感染症患者等の不当な差別的取扱いにつながることのないようにすること、障害者等の特に配慮を要する宿泊者に対して、その状態や障害等の特性に応じた適切なサービスを提供できるようにすること等が図られるようにしたいと考えており、御指摘のような障害や症状を来す疾患等への理解を深めることも含めていきたいと考えております。
従業員の研修が充実したものになるよう、障害者団体から意見を聞くとともに、旅館、ホテルの関係団体にも御協力いただきながら研修ツールの策定等に取り組むとともに、研修の講師に障害者等の当事者を加える等の好事例の紹介や、旅館業の営業者による研修の実施の有無やその内容等についての定期的な確認、これらをしっかり行っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/140
-
141・倉林明子
○倉林明子君 不合理な不利益や偏見、差別に絶対つながってはならないということを申し上げて、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/141
-
142・天畠大輔
○天畠大輔君 代読します。
れいわ新選組の天畠大輔です。
合理的配慮を制限する旅館業法等改正案について質問します。
今般の法改正の基となった旅館業の見直しに係る検討会では、感染症対策が出発点だったものの、モンスタークレーマーやカスタマーハラスメント対応も俎上にのりました。閣法は、衆議院での修正を経たものの、感染症拡大防止の大義名分を利用して、本来は全く別問題であるいわゆるカスタマーハラスメント対策が無理やりねじ込まれたという意味で、立法事実を大きく欠く法案であることに違いはありません。
本来、カスタマーハラスメント問題は、旅館業のみならず、民民契約における優越的地位の濫用や、買手が売手よりも圧倒的に強いという日本の商習慣全体の中で議論すべき事柄であるにもかかわらず、今般の法改正によって、合理的配慮が必要な障害者が更なる差別にさらされるという大きな危険に直面しています。
さて、旅館業法修正案第五条三には、宿泊拒否事由としてこのように書かれています。宿泊しようとする者が、営業者に対し、その実施に伴う負担が過重であって他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省で定めるものを繰り返したとき。
本案において、負担が過重という文言を使用する必要はなぜあったのでしょうか。簡潔にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/142
-
143・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 障害者差別解消法第八条では、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利擁護、権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、障害者障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならないと規定をされておりますが、ここで言う負担が過重については、事業者において事業への影響や実現可能性等の要素を考慮し、個別具体的な状況に応じて総合的、客観的に判断することが必要と承知をしております。
本法案では、こうした法律上の文言の用い方も参考にしつつ、改正後の旅館業法第五条第一項第三号において、実施に伴う負担が過重でない要求についてまで宿泊拒否の対象とするものでないことを明らかにするため、負担が過重という文言を使用することとしたところであります。この実施に伴う負担が過重な要求については、更に厚生労働省で明確化、限定化、限定的にすることにしております。
したがって、障害者差別解消法の合理的な配慮が求められるような事例については、改正後の旅館業法第五条第一項第三号に該当しないと考えており、同第五条の他の各号に該当する場合を除き、宿泊を拒否することはできないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/143
-
144・天畠大輔
○天畠大輔君 代読します。
そうです。負担が過重というのは、障害者差別解消法にある文言です。しかし、この文言を旅館業法改正で使うことは問題です。
内閣府に伺います。
何が過重な負担に当たるのかの判断について、障害者差別解消法の基本方針ではどのように記載されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/144
-
145・滝澤幹滋
○政府参考人(滝澤幹滋君) お答え申し上げます。
合理的配慮の提供における過重な負担については、障害者差別解消法に基づく政府全体の方針であります基本方針において、過重な負担については、行政機関等及び事業者において個別の事案ごとに事務事業への影響の程度や実現可能性の程度等の要素を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的、客観的に判断することが必要であることを過重な負担の基本的な考え方としてお示しをしております。
また、改正障害者差別解消法の施行日である令和六年四月からの適用に向け、本年三月に基本方針を改定いたしまして、過重な負担に当たると判断した場合は、行政機関等及び事業者と障害者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら建設的対話を通じて相互理解を図り、代替措置の選択も含めた対応を柔軟に検討することが求められることも新たにお示しをしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/145
-
146・天畠大輔
○天畠大輔君 つまり、建設的対話が重要ということです。代読お願いします。
資料一を御覧ください。障害者差別解消法においては、過重な負担という文言は、負担が過重でないときは合理的な配慮をしなさい、又は努めなさいという文脈で使われています。つまり、できないことをすべきだと求めているのではなく、利害関係者双方の建設的な対話に基づき、無理なくできることを探ろうとする関係づくりを要請しているのです。資料二にあるように、障害者基本法でも同じです。
ところが、資料三を御覧ください。本案では、宿泊業者にとって過重な負担とサービス阻害のおそれがあれば、その要求を退けるだけでなく、その人物の宿泊までも拒否するという大変厳しい内容を定める法文となっています。言い換えれば、全く逆のベクトルで負担が過重という文言が使われているのです。
今内閣府から答弁があったように、合理的配慮における配慮とは、同情や思いやり、気遣いをいうのではありません。社会生活上の様々な障壁を事業者と利用者が共に乗り越えていくための一つの合意形成の手法であり、それらを実現していくための転換や調整機能を指します。
二〇二四年四月一日には、改正障害者差別解消法が施行されるに当たり、旅館業者を含む民間事業者の合理的配慮提供が法的義務化されます。本案が民間事業者の合理的配慮提供の推進を阻む可能性は払拭できないと考えますが、政府の見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/146
-
147・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 本法案による改正後の旅館業法第五条第一項第三号の規定は、いわゆる迷惑客への対応について、旅館業の営業者が無制限に対応を強いられた場合には、感染防止対策を始め本来提供すべきサービスが提供できず、旅館業法上求められる業務の遂行に支障を来すおそれがあることから設けるものであります。現時点でこの規定の委任を受けた厚生労働省令において、迷惑客の宿泊拒否事由に該当する具体的な事例として、宿泊サービスに従事する従業員を長時間にわたって拘束し、又は従業員に対する威圧的な言動や暴力的行為をもって苦情の申出を行うこと等を定めることを考えているところであります。
障害者差別解消法の合理的配慮が求められるような事例については、改正後の旅館業法第五条第一項第三号に該当しないと考えており、第五号の他の各号に該当する場合を除き、宿泊を拒否することはできないものと考えております。
また、本法案による旅館業法の改正後も、旅館業の営業者は改正障害者差別解消法の遵守する必要があり、合理的な配慮が求められることに変わりはなく、今般の改正は障害者差別解消法の合理的配慮を阻害するものではなく、それに沿った運営が求められているものと認識をしております。
また、本法案が成立した場合には、旅館、ホテルの現場で適切な対応が行われるよう、どのような事例が宿泊拒否事由に当たるかも含め、障害者やハンセン病元患者等の団体などからも意見を伺いながら政省令や指針を策定したいと考えております。
障害のある宿泊者に対し、その状態や障害者等の特性に応じた適切なサービスが提供されるよう、本法案によって、旅館業の営業者の努力義務とされる従業員の研修等も活用した取組を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/147
-
148・山田宏
○委員長(山田宏君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/148
-
149・山田宏
○委員長(山田宏君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/149
-
150・天畠大輔
○天畠大輔君 負担が過重という文言が残る以上は、我々障害者の懸念は全くもって払拭されないのです。大臣、文言の変更をいま一度検討していただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/150
-
151・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 先ほども答弁させていただきました実施に伴う負担が過剰な要求については、この法案において、厚生労働省令で更に明確化、限定的にするということにさせていただいております。また、この省令の検討に当たっては、関係者の御意見等もしっかり踏まえながら進めさせていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/151
-
152・山田宏
○委員長(山田宏君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/152
-
153・山田宏
○委員長(山田宏君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/153
-
154・天畠大輔
○天畠大輔君 文言の変更について検討していただきたいです。代読お願いします。
障害者が排除される危険性などは杞憂だと言う人がいるかもしれません。しかし、こんな事例があります。脳性麻痺で言語障害のある方が店員と話そうとしたところ、発語に時間が掛かり、泥酔していると誤解され、通報されてしまった。電動車椅子ユーザーで大柄な体型の障害者が、介助者一人では移乗が難しいので、足を一緒に持つだけの少しのお手伝いを従業員に頼んだところ、宿泊を断られてしまった。
合理的配慮への理解が十分に進んでいるとは言えない中で、これらに似た事例が長期間の拘束と捉えられない保証がどこにあるでしょうか。迷惑客や感染症対策など様々なものを一緒くたにし、その結果、合理的配慮を阻みかねない状況をつくった政府の不注意さには猛省を求めます。
さて、二〇二〇年、未知の感染症へのおそれが社会を覆う中で、多くの旅館業者が宿泊療養施設として、罹患者や医療従事者の療養、隔離生活を支えました。宿泊療養は旅館業の公共性を大いに発揮した好事例ではないでしょうか。確保部屋数が最大となった令和四年三月時点で、宿泊療養施設として開設されていたホテル等は約七万四千室、宿泊療養者数は約一万九千名であったと伺っています。
この宿泊療養の中で取り組まれた合理的配慮の事例と評価について、厚労省からお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/154
-
155・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
宿泊療養における障害特性に応じた合理的配慮の提供例としては、例えば、遠隔手話サービスや電話リレーサービス、音声認識・筆談アプリの利用によるコミュニケーション支援や、振動、発光機能のある呼出しベルや警報ブザーの配備による緊急対応への備えといった取組があったものと承知をしております。
厚生労働省としては、宿泊療養において、それぞれの障害特性を踏まえ、適切な配慮がなされるよう、各自治体において取り組んでいただいたものと認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/155
-
156・天畠大輔
○天畠大輔君 代読します。
宿泊療養の中でも様々な合理的配慮の取組があり、厚労省も適切だったと評価されているとのことです。
新型コロナウイルスの感染症の蔓延時には、それまでは健常者としてきた方が、ある日突然、未知の感染症に罹患し、特別な支援や助けを要する状況に陥ったわけです。コロナ禍の宿泊療養の取組は、あらゆる人、とりわけ弱い立場にある人が路頭に迷うことがないという旅館業法の立法精神を体現したものではなかったのでしょうか。世界各国を見渡しても、宿泊療養の事例は珍しいと聞きます。日本の旅館業の公共性の高さを政府がもっときちんと踏まえるならば、宿泊拒否の拡大という今回の法改正にはならなかったのではないでしょうか。
本法案における過重な負担と障害者差別解消法におけるそれはベクトルが全く逆であり、使うべきではないと改めて申し上げ、質疑を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/156
-
157・山田宏
○委員長(山田宏君) 午後二時に再開することとし、休憩いたします。
午後零時三十九分休憩
─────・─────
午後二時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/157
-
158・山田宏
○委員長(山田宏君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/158
-
159・藤井一博
○藤井一博君 自由民主党の藤井一博でございます。
質問の機会をいただき、ありがとうございます。
旅館業法関連法案につきましては、この度のコロナ禍を通して様々な問題点が挙げられ、その解決のために法案を策定された関係者の皆様方に敬意を表します。
その上で、法案の運用に当たって、内容についての御質問をさせていただきます。
本法案については、新型コロナウイルス感染症への対応の中で、旅館業の施設における感染防止対策に係る課題が顕在化するとともに、旅館業を含めた生活衛生関係営業等の事業環境の厳しさが増し、こうした情勢の変化に対応して、その事業活動の継続に資する環境の整備を図る必要性が高まったことから提出されたものと認識をしております。
現在、新型コロナウイルス感染症は五類感染症に移行しており、立案当時とは状況が異なっておりますが、次なる感染症に備えて、今回の新型コロナで経験した課題に対応しておくことが重要であります。
また、いわゆる迷惑客への対応で旅館、ホテルのフロントの方々などが苦しんでおり、カスタマーハラスメントが新たに宿泊拒否の対象に位置付けられることも重要であります。
改めて、加藤厚生労働大臣から、旅館、ホテルの現場の声も含めて、今回の改正法案の趣旨を説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/159
-
160・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 今回の改正に当たりましては、旅館、ホテルの現場の方々から、新型コロナの流行期に宿泊者に対して感染防止対策への実効的な協力要請を行うことができず、施設の適切な運営に支障が生じることがあった、また、いわゆる迷惑客について、旅館業の営業者が無制限に対応を強いられた場合には、感染防止対策を始め旅館業の施設において本来提供すべきサービスが提供できず、旅館業法上求められる業務の遂行に支障を来すおそれがあったなどの意見が寄せられたところでございます。
旅館、ホテルの労働組合の方々からも、いわゆる迷惑客への対応について、迷惑客の宿泊を拒む根拠規定が必要であるとの意見もいただいたところでございます。
本法案では、そうした意見も踏まえ、旅館業法について、次なる感染症の発生に備えて旅館業の営業者から宿泊者に対する感染防止対策への協力要請の規定を設けるとともに、宿泊者が、実施に伴う負担が過重であって他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省令で定めるものを繰り返したときに宿泊を拒むことができる旨の規定を設けるなどの対応を取ることといたしました。また、旅館業、ホテルの適正な運営の確保に資する改正を行うこととしており、これを早期に実現することが必要と考えております。
本法案が成立した場合には、関係者などによる検討会において検討を行った上で、旅館、ホテルの現場で適切な対応が行われるようにするための指針を策定するなど、円滑な施行に向けた取組を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/160
-
161・藤井一博
○藤井一博君 コロナ禍の経験を通して、この五類に移行した段階で次なる感染症に備えてという意味では、時宜を得た法案であると思います。
次に、衆議院における修正案は、旅館、ホテルにおいて宿泊者が不当に取り扱われないよう配慮した内容となっており、ハンセン病元患者様や障害のある方々の御懸念を踏まえ、必要な修正が行われたものと考えております。
一方で、営業者はみだりに宿泊を拒むことがないようにするといった、旅館業の営業者に対して制限を課すような内容が新しく追加されるなど、旅館業の営業者にとっては厳しい内容となっている印象もあります。
宿泊者が不当な宿泊拒否を行われないようにすることは当然でありますけれども、旅館、ホテルにおいて、宿泊者全体や従業員の安全を含めて適切な施設運営が行えるようにすることも同時に重要であります。
厚生労働省として、この修正案をどのように受け止めて、どのように対応していくおつもりか、お考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/161
-
162・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
この法案については、感染症の患者や障害者の不当な宿泊拒否が生じるおそれ等の御懸念を踏まえ、衆議院において、宿泊拒否事由から、感染防止対策への協力の求めを受けた者が正当な理由なく応じない場合を削除すること、また、宿泊拒否事由に係る宿泊しようとする者から営業者に対する要求について、厚生労働省令で定めるものと明記し、厚生労働省令で明確化すること、営業者はみだりに宿泊を拒むことがないようにする等の規定を追加することなどの修正案が可決されたところでございます。
厚生労働省としては、これらの指摘を踏まえ、また、先ほど大臣の答弁にもありました検討会では十分対応を練って、その上で政省令、指針等を策定し、そして、さらには宿泊者、従業員の安全に資するような運営をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/162
-
163・藤井一博
○藤井一博君 この法案が必要となった立法趣旨を踏まえた運用がやはり必要であると思います。
次に、この法案を基にした上での医療提供体制の確保についてお伺いをいたします。
医療提供体制の確保につきましては、午前中にも芳賀先生が、地元の方の非常に強い御意見を踏まえた上での御発言をされて、その中での議論は行われたところでありますけれども、私としても非常に大切な点であると思っておりますので、私からも質問させていただきます。
衆議院の議論の中で、厚生労働省から、宿泊しようとする方が特定感染症の患者に該当する場合であっても、医療機関等が逼迫しており入院調整等に時間を要し、その方の行き場がなくなるおそれがあるときは、旅館業の営業者は、宿泊を拒むのではなく、その宿泊者に対して感染防止対策への協力要請を行い、客室等で待機させるといった対応を取っていただきたいとの説明がなされております。
特定感染症の患者については、その者の置かれている状況等を考慮せずに宿泊を拒むことは適切でないことは理解できます。一方で、特定感染症の患者については、感染症法において入院等の措置が講じられ、医療機関等において治療や療養がなされるものとなっていることからすると、旅館、ホテルで特定感染者の患者に該当する宿泊者を受け入れることは、旅館、ホテルにとってかなりの負担となります。
特定感染症について宿泊拒否ができるという法改正を行うからには、前提として、感染拡大期において医療逼迫がすることがないような強靱な医療提供体制を構築することが必要であると考えますが、厚生労働省のお考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/163
-
164・榎本健太郎
○政府参考人(榎本健太郎君) お答え申し上げます。
今回の旅館業法の改正法案におきましては、今委員御指摘ございましたように、特定感染症ということで、新たに位置付けが感染症についてなされております。感染症法における一類感染症、二類感染症、そして新型インフルエンザ等感染症、新感染症のほか、指定感染症のうち入院等の規定が適用されるということを予定しているというところでございます。
これらの感染症につきましては、感染力や重篤性などに鑑みて、感染症法上の類型に基づいて患者が入院、宿泊療養等の対象となり、原則医療機関等において必要な治療、療養を受けるべき状態であるということ、また、不特定多数の者が長時間同一の空間を共有して宿泊する際に宿泊者や従業員の間で蔓延するおそれがあり、罹患した場合の重篤性が高いこと、そして、旅館業の営業者にとりましては蔓延防止のために必要な業務が通常の宿泊サービスを超えて過大な負担となることなどを踏まえて規定することとしているものでございまして、特定感染症の患者などにつきましては、原則、都道府県等の確保する医療機関等において必要な治療、療養を受けるべきものと考えているところでございます。
具体的には、改正旅館業法案において定めております特定感染症のうち、感染症法における一類感染症及び二類感染症については、各都道府県において第一種及び第二種感染症指定医療機関が定められているというところでございまして、そうした感染症の患者が発生した場合には、原則として、この今申し上げた一種、二種の感染症指定医療機関が入院を担当するということになってまいります。
また、新型インフルエンザ等感染症、新感染症及び指定感染症につきましては、昨年十二月に成立いたしました改正感染症法等に基づきまして、都道府県と医療機関との間で、現在、病床確保に係る協定の締結に向けて取り組んでいるところでございますが、こういった協定を締結した医療機関が入院を担当するということになってまいります。
こうした取組を通じまして、医療機関において特定感染症の患者などの方々が適切に医療を受けることができますように、私どもとしても、地域の医療提供体制の確保に努めていきたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/164
-
165・藤井一博
○藤井一博君 私、大変懸念いたしますことは、やはり、仮に感染拡大期に医療逼迫が起きていて、この度この法改正が行われることで、旅館、ホテルはコロナも、例えれば、コロナ感染者の方を宿泊拒否をすることができてしまうということがあるので、そうなった場合に、その該当者が宙ぶらりんになるような状況というのは大変懸念をしております。
私、鳥取県でコロナ禍経験していたんですけれども、鳥取県においては、病原性が強くて感染拡大期において、早期発見、早期治療という鳥取方式という形が奏功して、これ評価いただいたと思っております。その中での経験を通して考えますに、鳥取県は人口が少ないからそういうことができたんだというお声もありましたけれども、やはりその分、対応病床も少ない中でどのように対応するかというところは大変な工夫が要りました。病床を確保しつつ、さらに、軽症、中等症で、その当時は健康な若い方でも急変する可能性があったので、ホテルを療養病床とした。そこには当然、医師の目、看護師の目が常に入るように、オンラインを駆使しながら、周辺の医療従事者の協力を得てそういった療養場所を確保したということがございます。
来るべき感染症に備えて、そういったことは事前にやはりしっかり準備をしておかないといけないという思いが、やはりコロナ禍を経験してありますので、そのことについては、いま一度しっかりと医療提供体制の確保ということに力を入れていただきたいと思います。
次に移ります。
コロナが第五類となり、インバウンド需要も増えてきております。その中で、海外から日本へ宿泊に来ていただける方々も増加傾向にありまして、このこと自体は、日本における旅館業を発展していくという意味でうれしく思っているところでございます。ただ、この度の法改正を考えるに、今後の感染症の動向によっては、外国人観光客の方々でも、感染症にかかっていたりした場合に宿泊拒否等の対応が必要になる場合も想定をされます。
旅館業法の改正に基づいての拒否事由は、午前中の川田先生の議論の中にもありましたとおり、外国とはやはり法制が異なる中で、拒否事由等も外国の方がなかなか理解し難い点もあるのかなと思います。外国人観光客の入国が増えている現状で、感染拡大までの例えば過渡期とかにこのような対応をしないといけなくなった場合に、外国人の方々への対応等について、例えば対外用ガイドラインの記載や案内板の対応なり、何かしらの手だてを旅館、ホテルへ担保すべきと思いますけれども、厚生労働省のお考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/165
-
166・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、外国人の理解いただいた上で入国いただくということは非常に重要です。新型コロナウイルス感染症の対応でも、例えば我が国における基本的な感染防止対策ですとか、あと、水際措置における必要な内容等についての周知を行ってきたところでございます。これについては、日本政府観光局、JNTOですとか、また外務省等と連携して、SNS、ホームページ、またリーフレットということで取り組んだところでございます。
今後も、必要な対応については、その時々の新たなスキルもあるわけですから、それにのっとって発信していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/166
-
167・藤井一博
○藤井一博君 場合によっては、移動中に発熱して、また旅館の方が、そういった外国人の方への対応のときに、検査場だったり医療機関へのそういった誘導も必要になる場合も想定されますので、その辺は丁寧に、やはり準備というか対応を備えておいていただきたいなと思います。
続きまして、宿泊拒否事由としてある、特定感染症の患者等であるときということについて少し質問させていただきたいと思います。
午前中の倉林先生の議論の中でありましたけれども、この特定感染症の患者等には無症状者で病原体を保有する方も含まれるというお話でございました。やはりこういった場合に、その診断をするに当たっては、PCR検査が、コロナ禍の経験を通して考えると非常に重要になってくるんではないかと思っております。
ただ、そういった感染拡大期にいかにPCR検査の数を確保するであるとか、また、たくさんの事業者がありますけれども、そのPCRの質ですよね、ここで検査した結果とほかで検査した結果が違うであるとか、これは、Ct値がやはり検査機器だったり試薬によっても違うというところで、なかなか統一することは難しいと思うんですけれども、やはり精度管理という面では、非常に感染症と闘う際に、PCR検査の精度管理というものが重要になってくると思っております。
そのことについて、全国的に行われるPCR検査の精度管理、また検査の数の確保、また結果を迅速に出すための工夫など推し進めていかなければならないと思いますけれども、厚生労働省のお考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/167
-
168・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
感染症の診断が必要な場合に行う検査の精度管理、御指摘のとおり重要であると考えております。検査には様々な種類がありまして、その種類に応じて適切な精度が保たれているかを確認をしているところでございます。
行政が行う検査につきましては、感染症法の施行規則におきまして、検査施設における検査の精度管理の定期的な実施及び精度管理に関する都道府県等による調査を定期的に受けることが求められております。さらに、御指摘のPCR検査につきましては、鋭敏な検査である一方で、適切な精度管理が特に必要であることから、今般の新型コロナ対策においては、PCR検査を行う民間検査機関や医療機関等を対象に精度管理事業を実施をしているところでございます。
今後は、検査の精度管理につきましては、国立健康危機管理研究機構がその役割を担うことになります。現在、国立感染症研究所が精度管理の対象としている行政検査を行う公的検査機関はもとより、民間の検査機関、民間の検査会社による検査も含め、各検査機関で実施された検査結果の評価と還元を行うことにより、各検査機関の技術水準の向上を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/168
-
169・藤井一博
○藤井一博君 感染症と闘う際に、PCR検査というのは本当に大きな武器になってまいりましたので、その武器をしっかり磨くという意味で、精度管理、是非進めていただきたいと思います。
次に、修正案における宿泊拒否事由の行為該当例について、これは午前中、どのような省令の内容になるかというお答えはいただいておりますので、それを受けて、この法改正前から拒否事由を都道府県条例においても定めることができるとされておりますけれども、全国の各都道府県において、拒否事由というもの、様々な事例が規定されていると思います。宿泊拒否は、ある意味では人の権利に関わる問題でありますので、この全国都道府県条例について、省令との兼ね合いにおいては厚生労働省としてどのようにお考えか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/169
-
170・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
条例で定めることができるのは、都道府県等が地域の実情に応じた事由を定めることができるように規定されております。一方、今回の法改正も含めてですけれども、法律で定めるということは、ある意味で全国で共通の場合について定めるものでございますので、厚生労働省令で定めるに当たっては、こうした全国の事例も踏まえ、その上で法律でやるべきものについて省令で定め、そして、引き続き条例で定めることができる規定も残していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/170
-
171・藤井一博
○藤井一博君 不当な宿泊拒否等が起きることがないように、その辺はしっかり国として、厚生労働省として管理をしていただきたいと思います。
この法案成立したとして、その後にやっぱり運用する上でも様々な問題が解決しないといけないと思っております。そのために、国民の皆様の安心、安全のために議論しないといけないことはしていくという姿勢でやってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
時間になりましたので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/171
-
172・山本香苗
○山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。
今日は最後でございます。ゆっくり確認をさせていただきたいと思いますので、しっかり御答弁いただきたいと思います。
まず、修正案提出者であります佐藤衆議院議員にお伺いいたしますが、政府提出案の題名から「新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して」という文言が修正案では削除されました。
この題名の修正の理由をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/172
-
173・佐藤英道
○衆議院議員(佐藤英道君) 政府案の題名につきましては、新型コロナウイルス感染症対応の中で旅館業の施設における感染防止対策に関わる課題が顕在化し、また、旅館業等の事業環境が厳しさを増しているという情勢の変化に対応して、旅館業などの生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るという本法案の背景事情を端的に表す題名としているものであると承知をしております。
このような情勢の変化に対応するという趣旨は現在においても変わるものではありませんが、提出から半年以上の時間が経過し、現在では新型コロナウイルス感染症が五類感染症に移行していることなどに鑑みると、法案の題名に「新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して」の文言があると、今となっては不要な法改正なのではないかとの誤解を招きかねない。このため、法案の題名からこの文言を削除することといたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/173
-
174・山本香苗
○山本香苗君 政府提出法案の第五条第一項二におきましては、宿泊拒否事由として、感染防止対策への協力の求めを受けた者が正当な理由なく応じないときというのを新たに追加をしておりましたけれども、修正案においてはこの規定が丸ごと削除されました。
この背景、また理由をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/174
-
175・佐藤英道
○衆議院議員(佐藤英道君) 委員御指摘の修正に関しては、ハンセン病の元患者等の団体、障害者団体等から、これを懸念する御意見が出されていたところであります。
具体的に申し上げれば、例えば、感染症に関わる宿泊拒否の条文の改正によって、感染者は、社会に感染を拡大する迷惑、危険な存在であるとして、いたずらに偏見と差別を生じさせることになるのではないか、難病や慢性疾病の患者、障害者やその家族の宿泊が必要以上に制限、拒否されることにならないかといったものであると承知しており、これらの御意見を真摯に受け止める必要があると考えます。これらの事情を踏まえ、修正案におきましては、第五条第一項第二号を削除することとしました。
なお、感染防止対策への協力の求めに正当な理由なく応じない場合に旅館業の営業者がどのような対応をすればよいのかという課題は、引き続き残されていると認識をしております。
そこで、対応の在り方については、今後、政府において検討し、必要な措置を講ずる旨の検討条項を設けることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/175
-
176・山本香苗
○山本香苗君 修正案におきましては、政府提出法案の第五条第一項の二、今ですね、を削除するとともに、これだけではなくて、第五条一項第三項において、宿泊しようとする者が、営業者に対して、その実施に伴う負担が過重であって他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省で定めるものを繰り返したときと、要求の省令による明確化を図り、また、第五条二項に新たに、旅館業の公共性を踏まえ、かつ宿泊者の状況等に配慮して、みだりな宿泊拒否を禁止する旨の規定を新たに追加するなどの修正を行うことになっておりますが、これらの修正によりまして、今御紹介いただきましたようなハンセン病の方々や障害者団体等の方々から寄せられていた懸念は解消できるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/176
-
177・佐藤英道
○衆議院議員(佐藤英道君) 先ほど申し上げましたとおり、政府案に対しては、ハンセン病の元患者等の団体、障害者団体等から懸念が示されていたところであります。
与野党の修正協議は、これらの団体からも意見聴取を重ね、一定の御理解を賜りながら進めてきたものであり、委員御指摘の条項も、その御意見を真摯に受け止め、修正に至ったものであります。
このほか、修正案では、宿泊拒否等に関し旅館業の営業者が適切な対応ができるよう、厚生労働大臣が指針を定めることとしております。この指針の策定に当たっては、旅館業の施設の利用者から意見を聴かなければならないとされており、患者団体、障害者団体等の御意見もお聴きして、意見交換を行いながら検討を進めていくことが期待されております。
また、附則第二条第二項に、過去に不当な差別的取扱いがあったことを踏まえつつ、今後における宿泊拒否事由の運用状況をしっかりフォローアップし、必要に応じて所要の措置を講ずる旨の検討条項を設けることとしております。
このような措置を講ずることで、ハンセン病の元患者等の団体や障害者団体から寄せられていた御懸念も、できる限りの範囲で解消できたのではないかと認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/177
-
178・山本香苗
○山本香苗君 できる限りの範囲での解消という話で、午前中もいろいろなお話がございました。
やはり、第五条の一項第三項における過重な負担とは何なのかと。また、障害や難病等への対応を過重な負担とされ、宿泊拒否されるということはあり得ないのか。また、過重な負担というだけで宿泊拒否事由とはならないということでよろしいか。三点まとめてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/178
-
179・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
まず、負担が過重につきましては、午前中も大臣から御答弁差し上げたとおり、障害者差別解消法における法律上の文言の用い方も参考にしつつ、改正後の旅館業法において、実施に伴う負担が過重でない要求についてまで宿泊拒否の対象とするものではないことを明らかにするため、負担が過重という文言を使用することといたしました。
実施に伴う負担が過重な要求については、厚生労働省令で明確化、限定的にすることから、障害者差別解消法の合理的配慮が求められるような事例については、改正後の旅館業法第五条第一項第三号に該当しないということになりますし、また、第五条の他の各号に該当する場合を除き、宿泊を拒否することはできないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/179
-
180・山本香苗
○山本香苗君 午前中の議論の中にもありましたけど、これはあくまでカスタマーハラスメントを念頭に置いたものであって、障害や難病等を抱えられている方々に対する規定ではない、障害者差別解消法に逆行するものではないということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/180
-
181・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) 委員御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/181
-
182・山本香苗
○山本香苗君 第五条の二項に、みだりな宿泊拒否の禁止等において、宿泊を拒む場合には、客観的な事実に基づいて宿泊拒否事由に該当するかどうか判断するとありますけれども、ここで、客観的な事実に基づく判断というのはどのように行うことを規定されていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/182
-
183・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
この客観的な事実に基づく判断の方法に関しては、営業者が主観的な判断によって宿泊を拒むのではなく、例えば、改正後の旅館業法第五条一項一号の特定感染症の患者について判断する際は、これは医師の診断の結果など、特定感染症の患者に該当するかどうかの報告内容に基づいて判断すること、また、先ほど来の三号の迷惑客について判断する際は、厚生労働省令で定める要求を繰り返していると、こういう事実に基づいて判断することを求めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/183
-
184・山本香苗
○山本香苗君 できる限りこの現場の判断が迷わないようにするために、なかなか一律というのは難しいかもしれませんけれども、数字的なものも含めてしっかりお示ししていただきたいと思いますし、また、何よりも新たな差別や偏見を助長するものには決してなってはならないというわけでございますので、当事者参画の下、丁寧な議論というものをしていただきたいと重ね重ねお願い申し上げたいと思っております。
提出者の佐藤衆議院議員におかれましてはここまでで結構でございますので、委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/184
-
185・山田宏
○委員長(山田宏君) 佐藤英道君には御退席いただいて構いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/185
-
186・山本香苗
○山本香苗君 続きましては、コロナ禍におきまして、この生活衛生関係で大きな問題となりました、コロナでお亡くなりになった方の御遺体の関係についてお伺いをさせていただきたいと思います。
コロナでお亡くなりになられた方の御遺体の取扱いにつきましては、令和二年の七月に経産省と厚労省でガイドラインが定められまして、今年の一月六日に、加藤大臣にも御答弁いただきまして、改正をしていただきました。それによって、コロナでお亡くなりになった方の御遺体については、詰め物などを医療機関でちゃんと適切に行うことによって、原則納体袋に収容する必要がなくなるという考え方をお示しをしていただきました。
その後、コロナの感染症法上の取扱いが五類へと変更になった五月八日からは、基本的な感染対策については個人や事業主の判断に委ねることを基本としつつも、引き続き、体液等による接触感染リスクがあることは変わらないことから、御遺体に適切な感染対策を講じることは継続すると、このような形でガイドライン残っているわけであります。
そこでお伺いしたいんですが、このガイドラインは今後どのような形になっていくのか、お考えをお伺いさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/186
-
187・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、五月八日以降の運用につきましては、四月二十六日に改正を行ったところでございます。内容は、先ほど委員御紹介いただいたとおりでございます。
今後の取扱いにつきましては、新型コロナウイルス感染症の感染状況、また感染によるリスクの状況、さらには葬儀や火葬等の現場における取扱いの動向等踏まえつつ引き続き検討し、また、そのガイドラインの改廃等について取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/187
-
188・山本香苗
○山本香苗君 是非、このガイドラインの取扱いにつきましては、エビデンスもしっかり示していただきたいと思いますし、かつ、関係者の方々のヒアリング等も含め、丁寧にやっていただきたいと思っております。
その上で、こういう形で丁寧に丁寧にこの間やってきたわけですけれども、ガイドライン幾ら改定をしたとしても、御遺体を取り扱っていらっしゃる全ての事業者にきちんと周知徹底ができない、どこにどれだけどういう事業者が実際やっているかが分からないと、この問題は依然として残っているわけでございまして、そのために、事業者の方のみならず、消費者団体や地方自治体等々から、御遺体を適切に取り扱う事業者の届出制というものをつくってもらいたいと、そういうお声が、この問題もコロナ禍においても更に高まってきております。
そこで、こうした要望にお応えするために、応える方策を検討するために、厚生労働省におきまして、令和四年度厚生労働省の科研費を使って、人が死亡してから火葬されるまでの御遺体の取扱いの現状、課題等を把握するための調査研究を行っていただきました。その調査の結果を御説明いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/188
-
189・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
主な調査結果、二点申し上げます。
まず、火葬場につきましては、遺体安置の機能を有する火葬場が約七割あり、遺体安置に関するトラブルや問題については約九八%の火葬場がなしと回答しました。
二点目、葬儀場については、業界団体に加入している事業者を対象に調査を行いました。その結果、遺体安置施設を有する事業者が六割強であり、遺体安置に関するトラブルや問題については約八二%の事業者がなしと回答したところでございます。
ただ、先ほど申したとおり、これは加入している事業者に限定した調査であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/189
-
190・山本香苗
○山本香苗君 調査をしようとしたら、加入しているところしか見えていなかったのでそこしかできなかったということなんですけれども。
ただ、今回の調査をやってみてよかったと思ったのは、加入されている事業者さんたちの実態は分かったと。どういう形できちんとできる、適切な事業をやるためにはどういう体制が必要なのかというのはある程度見えてきたと思うんですが、それ以外の実態というのが今回の調査では残念ながら分からないわけであります。
しかし、今問題なのは、この実際調査に協力していない、そういったところに加入していない事業者の実態でありまして、この実態を是非とも、消費者センターだとか警察だとか地方自治体等々と連携をしながら、是非とも把握をしていただきたいと思っております。
といいますのも、この間、例えば御遺体の取り間違い、また御遺体の写真を撮影したり、またわいせつ行為を行うなど、極めて悪質な事件が発生しています。ただ、事件が起きても、それを業として取り締まること全くできないわけでありまして、ちゃんとしていない業者の実態をあぶり出すような調査を是非ともしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/190
-
191・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
先ほどの令和四年度がある意味でパイロット的に行ったのに対して、令和五年度の調査におきましては、業界団体に加入していない事業者も含めて調査を行うことと、まずこれが大前提とした上で、調査項目について、遺体の処置、保管、作業者の感染防止対策といった公衆衛生面での課題のほか、利用者、消費者との関係、従業員等の資質向上、行政との関係などの項目を調査することによって、今委員御指摘いただいたような、遺体を取り扱う事業者の実態や課題等について幅広く把握できるようにしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/191
-
192・山本香苗
○山本香苗君 そこで、大臣、是非、本当に二〇〇〇年には年間亡くなる方が百万人弱ぐらいだったのが、今はもう、二〇二一年には百四十四万人まで達しました。要するに多死社会、多く亡くなる方の社会の到来だと言われているわけなんですけれども、公衆衛生の観点からも、また個人の尊厳を守るという観点からも、御遺体をきちっと適切に取り扱う事業者の登録制度か届出制度みたいなものはもう本当に喫緊の課題だと、必要不可欠だと思うんですが、大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/192
-
193・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) それぞれの遺族の方にとっても、家族の遺体がしっかりと取り扱われることは大変大事だと思います。
遺体を取り扱う事業者についてはこれまでも様々な御指摘をいただき、令和三年十二月の参議院の予算委員会で、山本委員から当時の厚生労働副大臣に対して御質問があり、それに対して、今後見込まれる高齢者数の増加を踏まえれば、公衆衛生上の観点からも事業者の届出制等を含めた検討が求められている状況にあると承知をしており、まずは厚労省として国内の実態等に関して調査を行うと答弁をし、今やり取りがあった令和四年をさせていただきました。
ただ、必ずしも十分実態が把握できていないということで、令和五年度についても調査を行うこととしておりますので、これらの調査を踏まえて、事業者の届出制等の要否を含め、遺体の取扱いに関する規制の在り方について検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/193
-
194・山本香苗
○山本香苗君 是非前向きに御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
実は、御遺体のみならず、御遺骨の管理についても法的根拠がございません。総務省の実態調査によりますと、二〇二一年十月に全国の市町村で管理、保管していた無縁遺骨は約六万柱あったことが確認されました。ただ、無縁遺骨といっても、身元も親族も分からないという御遺骨は本当僅かで、大半は、身元も親族も分かっているのに引き取られない御遺骨で、その数は急増しておりまして、公設の納骨堂も置場がない状況になっております。総務省の自治体への聞き取り調査では、執務室内のキャビネットや倉庫、遺品整理事業者の倉庫などに保管している事例が報告されています。
自治体からは、国に対しまして、親族への遺骨引取りの意思確認の統一基準が決まっていないため判断に困る、法定相続人になり得るのが三親等内なので意思確認しているけど、三親等だと意思確認しても回答自体もらえないので事務的負担が重い、できれば、親、兄弟、子まで確認すれば足ることとするなど統一基準を国に定めてほしい等々、声が寄せられております。
総務省の行政評価報告書には、法令上、引取り者のない死亡人の遺骨の保管に関する規定がない中、今後、このように市区町村等が保管せざるを得ない遺骨が更に増加することが想定されることから、厚生労働省においても課題を把握し、遺骨の保管の在り方について検討を行い、方向性を示すことが望まれると指摘をされているわけです。この指摘を是非真摯に受け止めて、厚生労働省でルールを作っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/194
-
195・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
自治体において、引取り手のいない方の遺骨が安らかに弔われるような環境づくりが行われることは、これは重要と認識しております。
先ほどの本年三月二十八日の総務省の報告書にあったとおり、厚生労働省においても課題を把握、これは私ども、墓埋法、墓地埋葬法を持っておるからでございますけれども、そうした上で、厚生労働省のみで検討できる課題ではないということも事実です。よって、関係省庁とも連携しながら、どういった対応が考えられるかということを整理し、また検討を重ねてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/195
-
196・山本香苗
○山本香苗君 この問題はまた引き続きさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/196
-
197・山田宏
○委員長(山田宏君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/197
-
198・天畠大輔
○天畠大輔君 れいわ新選組の天畠大輔です。
合理的配慮を制限する本案に反対します。代読お願いします。
私は、生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論いたします。
反対する理由の第一は、宿泊拒否事由の中で、負担が過重であってという文言を用いているからです。
具体的には、第五条三号において、客が旅館業者に対し、負担が過重であって他の客へのサービス提供を著しく阻害するおそれがあると厚生労働省令で定める要求を繰り返したときには宿泊拒否できると定めています。
障害者差別解消法では、過重な負担は、負担が過重でないときは合理的な配慮をしなさい、又は努めなさいという文脈で使われています。その双方の建設的な対話に基づき、無理なくできることを探ろうとする関係づくりを要請しています。
しかし、旅館業法改正案はその逆で、宿泊拒否できる理由の一つとして使っていますし、過重な負担かどうかを判断する主体は事業者側です。様々な措置を講じたとしても、障害者差別解消法の文脈から離れた過重な負担という文言を含む本案が、民間事業者の合理的配慮提供を後退させる可能性は払拭できないと考えます。
さらに、法律の条文は、前例参照、つまりコピー・アンド・ペーストを繰り返して作られます。今後、様々な分野の法律で、差別解消法の文脈と切り離された負担が過重といった文言が使われることになることも非常に危惧します。
そもそもこの法改正の検討会は、感染症対策が議論される過程で、同時にモンスタークレーマーへの対応も俎上にのりました。その結果、過重な負担という文言が飛び出しました。しかし、本来、カスタマーハラスメント問題は、旅館業のみならず、優越的地位の濫用や日本の商習慣全体の中で議論すべき事柄であり、全く別問題です。
これまで政府と当事者が何とかつくり上げてきた権利擁護の仕組みを水泡に帰する今回の改正を見逃すことはできません。
反対する理由の第二は、体温測定などの感染症対策に正当な理由なく応じない場合に宿泊拒否できるようにする道がまだ残されているからです。
この規定は、衆議院での修正の過程で本則からは外れました。しかし、附則第二条一項で、感染症対策に正当な理由なく応じない場合の対応の在り方について検討し、所要の措置を講ずると定められています。この所要の措置では、宿泊拒否事由が講じられるか否かの検討も排除されてはいません。
しかし、感染症対策に協力しない宿泊者に必要な対応は、本来、宿泊拒否ではありません。地域の保健所や医療機関との連携の下で、救援、保護、見守りの観点からの新たな対応や支援がされるべきです。
社会の分断を深める宿泊拒否の拡大は、公である政府が先導すべきことではないと申し上げ、反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/198
-
199・山田宏
○委員長(山田宏君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/199
-
200・山田宏
○委員長(山田宏君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、川田君から発言を求められておりますので、これを許します。川田龍平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/200
-
201・川田龍平
○川田龍平君 私は、ただいま可決されました新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会及び国民民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一、旅館業の営業者が感染防止対策への協力を求める場合は、宿泊しようとする者の置かれている状況等を十分に踏まえた上で、協力の必要性及び内容を判断するよう、適切に指導すること。
二、旅館業法第四条の二第一項は、旅館業の営業者が宿泊しようとする者に対して医師の診断を受けることを強制できるものではないことを明らかにして周知すること。
三、宿泊しようとする者が特定感染症の患者に該当するかどうかを確認した結果の営業者への報告は、口頭による報告も含めること。
四、旅館業法第四条の二第三項に基づく厚生労働大臣の意見聴取に当たっては、感染症患者、障害者等の旅館業の施設の利用者からも意見を聴取すること。
五、旅館業法第四条の二第四項の正当な理由については、宿泊しようとする者の置かれている状況等を十分に踏まえた上で、協力の必要性の有無及び協力の内容について適正性・公平性が図られるよう、柔軟に幅広く解釈・運用すべきであることを営業者に周知すること。また、営業者の実施した協力の求めの内容等について適切に把握し、その適正性・公平性を確認すること。
六、宿泊しようとする特定感染症の症状を呈している者が診察等に容易に応じることができるよう、地域における旅館業の施設と医療機関との連携を確保すること。
七、旅館業の営業者が適切に対処するために必要な指針の策定に当たっては、宿泊しようとする者が特定感染症の患者等に該当した場合であっても医療機関等が逼迫しており入院調整等に時間を要するときは宿泊拒否ではなく感染防止対策への協力を求め個室等で待機させることが望ましいこと、旅館業の営業者は障害者差別解消法等を遵守し、障害を理由とする差別は許されず障害を理由とする宿泊拒否はできないこと、障害者差別解消法第八条第二項の「実施に伴う負担が過重でない」ものは宿泊拒否事由に当たらないことを明確にすること。
八、宿泊拒否事由に係る宿泊しようとする者からの営業者に対する要求についての厚生労働省令を定めるに当たっては、営業者による恣意的な運用がなされないよう明確かつ限定的な内容とするよう努めること。
九、本法附則第二条第一項に基づき、正当な理由なくこれに応じないときの対応の在り方について所要の措置を講ずるに当たっては、今回の修正があったことを受け止め、患者・障害者の差別助長防止に配慮し、まずは宿泊拒否事由の拡大以外の事項の検討を行うこと。
十、旅館業の営業者と宿泊しようとする者が混乱することなく対応できるよう、本法による旅館業法の改正の内容及び指針について、周知徹底すること。
十一、旅館業の営業者に対し、差別防止のための研修教材の準備や研修を担う人材の育成等に対する支援を行うこと。また、旅館業の営業者の研修の実施の有無・内容等について、定期的に確認すること。さらに、営業者が従業者の就職時及び就職後も定期的に研修を行うように指導・助言すること。
十二、旅館業の施設には不特定多数の者が宿泊することに鑑み、科学的知見に基づいた換気設備等の感染防止のために必要な対策等についての周知を行うとともに、感染防止対策を担う人材育成を支援すること。
十三、旅館業は宿泊者の移動・生命・財産を守ることが求められている重要な事業であることを踏まえ、旅館業の事業譲渡が行われた場合には、事業を承継した者に対して事業の継続性について十分に周知すること。
十四、生活衛生関係営業等の営業者の地位の承継後六月以内に少なくとも一回行わなければならないとされる都道府県知事等による業務の状況の調査について、承継後可能な限り速やかに実地検査を含めた必要な調査が行われるようにすること。
十五、生活衛生関係営業等のうち、特に食鳥処理業をはじめとする食肉関連営業においては、カンピロバクターによる食中毒の危険性に鑑み、カンピロバクターによる食中毒の防止のための対策を検討すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/201
-
202・山田宏
○委員長(山田宏君) ただいま川田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/202
-
203・山田宏
○委員長(山田宏君) 多数と認めます。よって、川田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、加藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。加藤厚生労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/203
-
204・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/204
-
205・山田宏
○委員長(山田宏君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/205
-
206・山田宏
○委員長(山田宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114260X01820230606/206
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。