1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年三月十四日(火曜日)
午後二時三十九分開会
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委員の異動
三月十日
委員安達澄君は議員を辞職した。
三月十三日
辞任 補欠選任
野上浩太郎君 星 北斗君
藤川 政人君 神谷 政幸君
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出席者は左のとおり。
委員長 酒井 庸行君
理 事
浅尾慶一郎君
大家 敏志君
西田 昌司君
横沢 高徳君
上田 勇君
委 員
神谷 政幸君
佐藤 信秋君
馬場 成志君
古川 俊治君
星 北斗君
宮沢 洋一君
宮本 周司君
勝部 賢志君
柴 愼一君
秋野 公造君
横山 信一君
浅田 均君
梅村 聡君
大塚 耕平君
小池 晃君
神谷 宗幣君
堂込麻紀子君
国務大臣
財務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(金融)
) 鈴木 俊一君
副大臣
内閣府副大臣 藤丸 敏君
財務副大臣 秋野 公造君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 鈴木 英敬君
厚生労働大臣政
務官 本田 顕子君
事務局側
常任委員会専門
員 小松 康志君
政府参考人
公正取引委員会
事務総局経済取
引局取引部長 品川 武君
金融庁総合政策
局審議官 堀本 善雄君
総務省大臣官房
審議官 鈴木 清君
財務省主計局次
長 中村 英正君
財務省主税局長 住澤 整君
国税庁次長 星屋 和彦君
厚生労働省大臣
官房審議官 日原 知己君
厚生労働省大臣
官房審議官 朝川 知昭君
経済産業省大臣
官房スタートア
ップ創出推進政
策統括調整官 吾郷 進平君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/0
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001・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) ただいまから財政金融委員会を開会をいたします。
委員の異動について御報告をいたします。
昨日までに、野上浩太郎君及び藤川政人君が委員を辞任され、その補欠として星北斗君及び神谷政幸君が選任をされました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/1
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002・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
所得税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、財務省主税局長住澤整君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/2
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003・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/3
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004・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言をお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/4
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005・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 自由民主党の浅尾慶一郎です。
冒頭、鈴木財務大臣が金融担当大臣も兼務されておりますので、ちょっと、昨日の質疑通告ではなくて、急遽、今日確認のために質疑通告をさせていただきましたけれども、御案内のとおり、米国においてシリコンバレーバンクあるいはシグネチャーバンクといった金融機関が破綻するというようなことが起きました。
これに対して、本日の閣議後の記者会見で鈴木大臣は、足下の金融市場ではリスク回避的な動きが指摘されておりますが、米国当局は信用不安を拡大させないための措置を迅速に講じていると指摘をされ、現在の日本の金融機関は総じて充実した流動性、資本基盤を維持しておりまして、金融システムは総体として安定していると。そしてまた、現時点では、今回の破綻が日本の金融システムの安定に重大な影響を及ぼす可能性は低いとおっしゃっておられます。私もそのとおりだというふうに思っております。
特に、日本の場合は、新たな、流動性という観点も含めて、日本銀行の総裁が決まりましても、当面、過去二十五年程度の日銀の金融政策を継承するということで、現在の量的・質的、長期、短期の金融政策を維持するということでありますので、米国とは更に状況が異なるというふうに思っております。
そういう観点も含めて、現在の日本の金融システムの安定に重大な影響を及ぼす可能性は低いということで、改めて鈴木大臣に御質問させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/5
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006・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今、浅尾先生から御質問の中でも触れていただいたところでありますけれども、足下の金融市場ではリスク回避的な動きが指摘されておりますが、米国当局は、経営破綻した二行の預金の全額保護など、信用不安を拡大させないための措置を迅速に講じていると承知をいたしております。
また、現在、日本の金融機関は総じて充実した流動性、資本基盤を維持しており、金融システムは総体として安定していると評価をいたしております。このため、現時点では、今回の破綻が日本の金融システムの安定に重大な影響を及ぼす可能性は低いものと、そのように考えております。
いずれにいたしましても、金融庁としては、今後の国内外の経済・金融市場の動向でありますとか、それが日本の金融機関に与える影響等について注視していく必要があると、そのように考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/6
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007・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 ありがとうございます。
それでは、本題の所得税法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。
税法については、公平、中立、簡素ということが原則だというふうに言われておりまして、公平の原則というのは、それぞれの負担能力に応じて、まあ担税力と言ってもいいかもしれません、負担をしていただく。中立の原則というのは、税制ができるだけ個人や企業の経済活動における選択をゆがめることがないようにすることという定義だと思います。簡素の原則とは、税制の仕組みをできるだけ簡素なものとし、納税者が理解しやすいものとするということだというふうに理解しておりますが、そうした理解でよろしいかどうか、財務大臣、御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/7
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008・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 御指摘のとおり、税制の基本原則として公平、中立、簡素が挙げられると認識しております。そして、具体的には公正の原則、中立の原則、簡素の原則、今、浅尾先生が述べられたとおりであると、そのように認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/8
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009・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 それではまず、公平、中立、簡素でありますが、簡素の原則について伺ってまいりたいと思いますが、今日、実は私、この所得税法等の一部を改正する法律案の関係資料というのを持ってまいりましたが、今回の改正だけで実はこれだけ分厚いということから考えると、なかなか簡素というのは、もちろん目標としては当然簡素にしなきゃいかぬということでありますが、難しいのかなというふうに思っております。
そういう中で、少しでも簡素に近づけていったらどうかという趣旨で質問させていただきたいと思いますが、今回の改正の中で研究開発税制というものを取り入れていただきました。この骨子は何か、御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/9
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010・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
令和五年度税制改正案におきます研究開発税制の見直しでございますが、研究開発投資の増加に向けたインセンティブを強化する観点から、控除率のカーブについて、試験研究費の増加率に応じたメリットをより高める一方、控除率の下限を引き下げまして、めり張りのある形にいたしました。
また、控除率が上限に達した企業に対してもインセンティブが機能することを期待する仕組みとして、控除上限の方を研究開発費の増減率に応じて変動させる新たな仕組みを導入するなどの見直しを行うことといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/10
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011・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 今御答弁いただいたんですが、もう少し具体的に伺いますと、例えばある会社が研究開発費として一億円を使ったといたします。そうすると、まず一億円は費用として、損金として計上した上で、その後、計算された税から一億円の一定割合を控除できるという二段階。最初は丸々費用として控除できる、その後、一億円の一定割合を控除できる、そういう仕組みということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/11
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012・住澤整
○政府参考人(住澤整君) 委員から御指摘のとおり、この研究開発税制の対象になっております試験研究費につきましては、まず企業会計上も費用とされた上で税法上もそれを損金として扱うということでございまして、その上でその試験研究費の一定割合については更に税額控除という形で支援を行う制度になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/12
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013・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 かなり複雑なような気がするんですね。一回一億円を売上げから引いて利益を計算した後、もう一回その利益から引くということなんであります。
そうすると、簡素という考え方もありますけれども、どうやってその企業に政策目的に従ってお金を使っていただくかという、活力という考え方もあるんではないかなというふうに思っておりますが、こうした活力という考え方について財務大臣はどのように考えておられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/13
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014・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 税制の基本原則につきましては先ほど申し述べましたが、公平、中立、簡素だと、そのように考えております。このうち簡素の原則とは、税制の仕組みをできるだけ簡素なものとして納税者が理解しやすいものとするということであり、重要なものであると考えております。
その一方で、浅尾先生から活力といった御提案もあり、こうした観点からは、研究開発費の増加等、特定の政策目的を実現するため租税特別措置を活用することもございますが、特定の政策目的を実現するために有効な政策手段となる一方で、租特でありますが、税負担のゆがみを生じさせる面もあるほか、税制としては複雑となり、必ずしも簡素となり得ない面もあると、そのように考えます。
このため、政府といたしましては、こうした租税特別措置につきましては、その必要性や有効性を適切に見極めて、不断に見直しを行っていく必要があると、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/14
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015・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 租税特別措置という形でお金を使っていただく、その必要性、私も認識をしております。
同時に、やはり分かりやすいという方がいいのかなというふうにも思っておりまして、例えば、私の知り合いでシンガポールでも会社を持っている人から聞いた話の例を出させていただきますと、シンガポールの税制においては、例えば従業員を研修をした場合に使った費用が円で百万円だとすると、その四倍まで費用として計上できると。この場合、百万円使っているんだけど、損金として落とせるのが四百万円と、四倍償却できる制度を採用しているというふうに伺いました。
こういう方が少なくとも納税者にとってみると分かりやすいんじゃないかなと。一旦引いた後、税金計算してまた引くというのは、最終的に利益にならなかったら引けないというようなこともあるでしょうし、なかなかそちらの方が分かりやすいんじゃないかなというふうに思いますが、こうした、費用として計上する段階で、もし租税特別措置法という形でその費用の分を何倍かに引いていくというような考え方、こういうことについてはどのように考えておられるか、財務大臣、御答弁お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/15
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016・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 特例的な償却を含めまして租税特別措置につきましては、先ほども申し述べましたが、特定の政策目的を実現するために有効な政策手段となる一方で、税負担のゆがみを生じさせる面があることから、必要性や有効性を見極めて真に必要なものに限定していくことが基本であると考えております。
その上で、会計上で費用として計上するのはあくまで実際に使った費用分である中で、浅尾先生御提案のように、特定の費用についてその何倍かを税法上でのみ特別に損金算入させるということにつきましては、そもそも政策目的に照らして必要性があると言えるか、また、減収になりますので、減収に見合うだけの有効性があるかという点、そういう点を踏まえて慎重に検討していく必要があるのではないかと、そのように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/16
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017・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 今、費用として使った額にというような御答弁をいただきました。
では、例えば、実際に費用として使いました固定資産の償却についてちょっと伺ってまいりたいと思いますが、この固定資産、何かを買った場合、固定資産になりましたよと、建物であれば大きなものでしょうし、そうでなければ内装品ということなんですが、この固定資産を全額当期の費用として認めずに償却年限を税法で定める理由について、主税局長、御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/17
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018・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
固定資産の減価償却でございますが、これは企業会計の方におきましても、毎年毎年の収益と固定資産に対して行った投資、これの収益と費用を対応させるという観点から行われているものでございます。
税法上におきましても、この固定資産の減価償却については、課税所得を計算する際に、この収益と費用を適正な形で対応させ、費用配分を行うというために行うものでございまして、その際に、公平公正な課税を確保する観点から、統一的な取扱いを確保するために、使用実態を調査いたしまして、それを踏まえて資産別に税務上の耐用年数を定めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/18
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019・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 じゃ、ちょっと具体的な例で伺っていきたいと思いますが、飲食店がありますと。飲食店の場合、もちろんその中身、料理の中身が大事になってくると思いますが、同時に、場合によっては内装等で、まあ目新しいものでお客さんを集めるというようなケースもあろうかと思いますが、飲食店の各備品等の償却年限は何年でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/19
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020・星屋和彦
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
飲食店の内装に要する資産につきましては、建物、建物附属設備、器具備品など様々なものがございまして、取得する資産に応じて法人税法上適用される耐用の年数は異なりますが、例えば、器具備品のうち、机、椅子等の家具で接客業用のものの耐用年数は五年とされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/20
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021・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 これぐらいの内装であればこれぐらいの売上げで回収をしようというのは、むしろその事業者に任せた方が自由にお金が使われるんじゃないかと。要は、お金を動かしていくということが経済を活性化させる上では大事ということでありますので、先ほどの、まあこれは使った費用でありますから、何年でその使った費用を回収するかということについてはこれは事業者に任せるべきではないかなというふうに思います。
仮に事業者が自由に、例えば家具、備品を一年で費用として計上しますよと、そうしたときにどうなるかというと、その期についてはその分だけ費用が多くなるので利益は減りますが、翌期以降は償却する資産がなくなるので税金が増えるということになるわけなので、そこはむしろ自由に事業者に、国が締まるのでなくて任せた方が、簡素というところにもつながりますし、あるいはまたお金を動かすという意味での活力にもつながると思いますけれども、そうしたことについて、こうした自由償却の制度について財務大臣はどのように考えておられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/21
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022・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほど主税局長から答弁させていただきましたが、固定資産の減価償却は課税所得を計算する際の適正な費用分配を行うものでありまして、公平公正な課税を確保する観点から統一的な取扱いとするために、使用実態を踏まえて資産別に税務上の耐用年数を定めているところであります。その上で、特段の政策的必要性が認められる場合には即時償却や特別償却を認めてきており、令和五年度税制改正におきましても、即時償却等を含む中小企業経営強化税制の二年延長を行うことといたしております。
こうした政策的必要性に基づく即時償却等がある中では、現状、自由な減価償却を認めるまでの必要性は認められないのではないかと、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/22
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023・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 お金が使えるような制度について、また引き続きこれは提案をしてまいりたいというふうに思っておりますけれども。
もう一点、お金を動かしていくという意味では、これ法人、個人にかかわらずでありますけれども、接待交際費、これはお金が使われるわけでありますが、この接待交際費の個人と法人でどのような違いがあるのか。損金として算入できるものとして、個人は青天井で算入できますと、法人については資本金の規模とかそれによって違うということでありますが、この現行の決まりについてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/23
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024・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
交際費につきましては、まず法人税の方について申し上げますと、冗費あるいは乱費の抑制という観点から原則として課税を行う、すなわち損金に算入しないという取扱いにされております。
その上で、これに対する特例といたしまして、資本金百億円以下の企業については飲食費の五〇%までの損金算入を認めるということになっておりまして、また、中小法人につきましては、飲食費の五〇%までの損金算入か、あるいは年間八百万円までの定額の控除限度額までの損金算入、これらの間の選択適用を認めるという仕組みになっております。
一方で、個人事業者の場合につきましては、接待交際費に制限を設けることなく必要経費に算入する扱いになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/24
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025・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 主税局長に伺いますけれども、個人と法人で、それは所得税法なのか法人税法なのかという違いはあるのかもしれませんが、法人は無駄遣いをするな、個人はしてもいい、まあ無駄遣いかどうかは別として、制限がないと。その違いというのは何かその説明ができるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/25
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026・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
交際費につきましては、法人税におきましても、元々は本法においては損金算入される扱いになっておるわけなのですが、歴史的な経緯といたしましては、例えば社用族でありますとか交際費天国と言われたように、特に会社にお勤めの方々が、この交際費の存在によって、ある意味、そういった乱費あるいは冗費と呼ばれるような状況になっているのではないかという指摘があったという社会的な背景もございまして、法人税について租税特別措置によって損金算入を制限する扱いが始まりました。
そういった経緯がございまして、個人についてはそういった御指摘も社会的背景もなかったものですから、そういった取扱いにはなっていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/26
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027・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 この話は、多分、法人税率が高いときは、恐らく、税で取られるぐらいだったら接待交際費で使うというような話とも絡んでくるところもあろうかと思います。
先ほど来申し上げておりますが、簡単な方がいいというのが、簡素な方がいいというのは税法の基礎でありますけど、同時に、お金を動かしていくという、経済を活性化させるという面からすると、現行のルールを変えて、例えば元々の法人税法の基本に戻して、法人についても個人と同じような扱いにしていったらどうかということについて財務大臣のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/27
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028・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 仮に損金算入限度額を撤廃した場合でありますが、先ほども答弁にもありましたが、冗費の抑制が適切に行われなくなるおそれや財政的な影響といった課題があると考えております。
いずれにいたしましても、今後の交際費課税の在り方につきましては、大多数の中小企業が損金算入の枠を使い切れていないという状況にあることなども踏まえつつ、慎重に検討していく必要があるのではないかと、そのように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/28
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029・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 ありがとうございます。
それでは、次の公平の方に移らせていただきたいと思います。
今日は税の話でありますけれども、負担能力という観点で保険料についても伺っていきたいなというふうに思っておりますが、まず所得税に、今回の税法の中で、その一部、何というか、備忘的に改正しているところがありますが、分離課税を入れた経緯はどういうところにあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/29
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030・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
所得税におきましては、できるだけ包括的に所得を捉えまして、それに対して累進税率を適用するといういわゆる総合課税の考え方が原則ではございますが、一方で、金融関係の所得でありますとか土地の譲渡所得などについては、その特性に鑑みて、例外として分離課税の仕組みが導入されております。
具体的に申し上げますと、上場株式の譲渡益や配当などの金融所得につきましては、金融資産の流動性が極めて高いという中で、諸外国においても分離課税を、様々な形態はございますが、採用している国が多く見られるということ、また、一般の投資家にとって簡素で分かりやすい税制とすることが望ましいといった観点から、原則として分離課税の仕組みが取られております。
また、非上場の株式についても、譲渡益に関しては上場株式と同様の分離課税が行われており、一方で、配当については原則として総合課税が行われているという状況にございます。
また、土地などの長期譲渡所得については、総合課税にした場合、取得から売却までの一定期間を経て生じるために一度に多額の税負担が生じること、また、税負担を小さくするために土地の切り売りを招くおそれがあることなどの観点を踏まえて分離課税とされているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/30
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031・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 一億円の壁という言葉がありますけれども、この原因は、端的に言えば分離課税があるから、つまり不動産の譲渡所得や、あるいは株式の譲渡所得といったものが、税率が二〇・何%という形で決まっているということで分離課税になっているという理解をしております。
この不動産については、先ほどお答えいただきましたとおり、その譲渡所得について、毎年恒常的に発生するわけではないので、ある年五〇%掛けられちゃったらちょっと不公平だということなんだろうと思いますし、逆にその株式も、ベンチャーを創業した人が最初数年間か何年間か赤字であるということを考えると、そしてまた、リスクとリターンとの考えを考えると分離課税の方が公平かなと私自身は思いますけれども、そうした理解でいいかどうか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/31
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032・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
まず、一億円の壁と呼ばれる現象が起こる理由は、御指摘のとおり、株式の譲渡益、あるいはその長期譲渡所得、土地等の長期譲渡所得について、国分でいいますと一五%の税率による分離課税が行われていることによるものでございます。
また、そういった分離課税が行われている背景として、土地の長期譲渡所得については、委員御指摘のとおり、長期にわたる発生という背景がございます。これは先ほど申し上げたとおりでございます。
また、株式につきましても、長い期間にわたって発生する所得という場合もございますので、そういった場合には一定程度この平準化の必要性というものは出てくるということは、これは長期譲渡所得の場合と同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/32
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033・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 時間の関係で次の方の質問に移らせていただこうと思いますが、この支払に法的な義務がある税と社会保険料ではどういうふうに異なるのかということについて、どちらも法的には払わなければいけないということでありますが、そのことについて、まず厚生労働政務官、そして財務省に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/33
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034・住澤整
○政府参考人(住澤整君) まず、社会保険料との違いも踏まえて、税の方の性格について御説明申し上げますと、講学上、租税に関しましては、国又は地方公共団体が特別の給付に対する反対給付としてではなく、公共サービスを提供するための資金を調達する目的で、法律の定めに基づいて私人に課する金銭給付であるというふうに定義されているものと承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/34
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035・日原知己
○政府参考人(日原知己君) 続きまして、社会保険料についてお答えをさせていただきます。
社会保険制度は、傷病等のリスクに備えましてあらかじめ保険料を負担することで、保険事故に対して必要な給付を受ける仕組みでございまして、社会保険料につきましてはその拠出と保険給付が対価的な関係にあるというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/35
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036・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 そういう説明になるんだろうと思います。
一方で、ちょっといろいろ調べてみたら、国民健康保険料という名目で国民健康保険のお金を徴収する場合と、国民健康保険税という形で徴収する場合がそれぞれの自治体に委ねられているというふうに思いますが、そうした理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/36
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037・鈴木清
○政府参考人(鈴木清君) お答えをいたします。
市町村が国民健康保険料として徴収するか国民健康保険税として徴収するかにつきましては、市町村の判断により、条例においていずれかを選択することとされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/37
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038・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 そこの中身は、保険に加入している人からするとどっちも国民健康保険に加入しているんですが、取られる名目が税か保険料かで名前が違うというだけかなと思ったら、実は国民健康保険税の方が、税なので先取特権があるとかですね、いろんな面で徴収がしやすいということになっております。
先ほどの厚生労働省の事務方の御説明だと、端的に言うと、給付に対してマッチングしているから保険料と言っているんだけど、実際に払っている段階では税として取っているところもあるということを考えると、そろそろこの保険の中におけるいろんな不公平なところ、先ほど申し上げました、負担能力に応じて徴収ができるところを改めたらどうかなということでこれから説明を、質問させていただきたいと思いますが、厚生年金保険料が掛かる収入の上限はどれぐらいでしょうか。あるいは、健康保険料、協会けんぽか組合健保といった保険料が掛かる現行の年収の上限はどれくらいか。そして、国民健康保険について掛かる収入、あっ、これは所得になりますけれども、所得の上限はどれぐらいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/38
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039・朝川知昭
○政府参考人(朝川知昭君) お答えいたします。
まず、厚生年金保険の件でございますが、標準報酬の月額の上限が六十五万円とされておりまして、これは報酬月額が六十三万五千円以上の方が該当いたします。また、標準賞与額は一回当たり百五十万円を上限として設定されております。このため、お尋ねの厚生年金保険料の保険料負担が上限に到達する年収につきましては、現行の制度の考え方に照らして賞与を年二回として計算しますと、一千六十二万円となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/39
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040・日原知己
○政府参考人(日原知己君) 続きまして、医療保険に関しましてお答えをさせていただきます。
まず、健康保険でございますけれども、標準報酬月額の上限は百三十九万円とされてございまして、これは報酬月額が百三十五万五千円以上の方が該当してまいります。また、標準の賞与額は年間五百七十三万円を上限として設定されてございます。このため、お尋ねの健康保険の保険料負担が上限に到達する年収、こちらにつきまして機械的に算出をいたしますと、約二千二百万円となるものでございます。
また、国民健康保険の賦課限度額に該当する水準でございますけれども、こちらは市町村ごとに異なってまいりますが、平均的な例で試算をいたしますと、給与収入で約一千百四十万円以上の方が対象となるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/40
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041・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 これ、年収一千六十二万とか二千二百万、それなりの額でありますが、これ、上限をなくしても、要するにそれ以上収入があるわけですから、なくしたら、じゃ、それ以上の収入のところに負担能力がないか、担税能力がないかというとそんなことはないわけでありまして、なくしたらどれぐらいになるのかなと。昨日、レクで厚生労働省に調べたらどうですかと言ったら、ちょっと今その数字がないということでありましたので。
かつて、私が衆議院の調査室に頼んで調べたところ、年間で一兆五千億円ぐらい、収入の上限をなくすと出てくるということでありまして、その担税力、まあ税じゃないというふうに言われると担税力という言葉が使えるかどうかは別として、負担能力という面においてはこうしたことがあっていいんじゃないかなというふうに思いますが、そもそも、まず何で年収に上限があるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/41
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042・朝川知昭
○政府参考人(朝川知昭君) お答えいたします。
標準報酬に上限を設けている理由でございますけれども、年金でいいますと、高所得者に将来、現状よりも高い年金を支払うということになる、すなわち、払っていただいた保険料に応じた給付ということになりますので、標準報酬がすごい高くなると年金の額も高くなって給付が過剰になるおそれがあるということ、あるいは、高所得者、事業者、あっ、事業主の社会保険料負担の増加につながると、そういったことを考慮して上限が設定されていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/42
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043・日原知己
○政府参考人(日原知己君) 続きまして、医療保険についてお答え申し上げます。
医療保険につきましても、ただいまの年金と重なる部分もございますけれども、やはり受益との関連におきまして、被保険者の納付意欲に与える影響、あるいは円滑な運営を確保する観点、そういったものも踏まえまして、被保険者の保険料負担、こちらに一定の限度を設けているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/43
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044・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 かねて厚生労働省はそういう説明されるんですけれども、より分かりやすい健康保険の方から先に言います。
じゃ、病気になって使う額がこの程度だからというんだったら、そもそも公的保険にする必要性ないんじゃないですか。払える人はいっぱい払っていただいてほかの人の医療費を負担してもらった方がより公平なんじゃないかというふうに思います。
それから、年金も、払ったよりも多くもらえるというふうな御説明がありますが、これは本人が払った保険料より多くもらえるというだけであって、実際は同額を事業主が負担していますから、正確に言うと、今の制度でいうと、大体一万円払うと一万五千円もらえるという制度になっていますから、事業主が負担している同額の、二万円を足すと、二万払って一万五千返ってくるというのが年金の制度でありまして、実は七五%。二五%はほかの方に回っていくということになりますから、そういう面でもこの年収の上限というのをなくしていった方がいいんではないかなというふうに思います。
そこで、厚生労働大臣政務官に是非御決意のほどを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/44
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045・本田顕子
○大臣政務官(本田顕子君) 浅尾慶一郎先生にお答え申し上げます。
上限を設けている理由につきましては先ほど政府参考人としても説明をさせていただきましたけれども、様々に今、上限を引き上げることにつきましては社会保障審議会のところで幾つか論点整理が出ております。
具体的に申しますと、給付と負担の公平が求められる中で公的保険の仕組みでどこまで所得再分配の機能を追求するのか、報酬比例の仕組みの下、高所得者に、将来、現状よりも高い年金を支払うことになり、給付が過剰になるおそれがあること、高所得者や事業主の社会保険料負担の増加につながるという論点でございます。
一方で、保険料に係る国民の負担に関する公平を確保する観点から、健康保険と厚生年金の両制度においては、最高等級に該当する被保険者の占める割合や被保険者の平均の標準報酬月額に着目し、標準報酬月額の上限を見直す仕組みを設けており、実際に、直近の標準報酬月額の上限額の引上げにつきまして、健康保険では平成二十七年に、厚生年金では政令改正で令和二年九月に引上げも行っております。
こうした仕組みにより、適切な負担を求めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/45
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046・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 少なくとも、是非厚生労働省において、年収の上限をなくした場合にどれぐらいの保険料の増収効果があるか、その数字は調べていただきたいと思います。これ答弁は結構ですけれども、是非そのことはお願いしておきたいというふうに思います。
時間がほとんどありませんので、最後の中立については多分一問だけということになるかと思いますが、今日の通告の中で、消費税を例えば課税されるものとしていろいろなものがありますが、ほとんど人件費に該当するけれども消費税が課税される外注費というのもあり得るのかなと。
例えば、パソコン教室で教える人がパソコン教室の先生を業務委託という形で委託をした場合には、その人に払う事実上人件費、仕入れも何もありませんから、は消費税課税取引になる。一方で、その人を社員にすると給与ということで非課税になるということになりますが、そうするとどういったことになるかというと、このパソコン教室の経営者からしても、あるいはそこで働いている人からしても、従来の一千万まで人件、まあ一千万まで非課税、要するに納税義務はないという形になりますと、給料でもらおうとプラス消費税でもらおうと、まあ委託料プラス消費税でもらった方が給料でもらうより場合によっちゃ多くもらえる、まあ同額であったとしても別に懐は痛まない。一方で、その経営者からすると、その人に払った想定の消費税分が引けるということになりますので、納税額が減ってくるということになるんではないかなと。まあ両方が得をするというところにあるんじゃないかなというふうに思いますが。
この間いろいろと、インボイス制度でいろんなことが指摘をされておりますけれども、こうしたその、事実上人件費なんだけれども、そこに消費税が課税される場合と課税されない場合によって経営者の側がある行為、経営行為をするというのは、まさに中立の原則に反するような形になっているんじゃないかというふうに思いますが、その点についてちょっとお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/46
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047・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、受注者側が免税事業者であるような場合につきまして、委員が今おっしゃいましたとおり、現状必ずしも中立的ではないという状況が生じ得るのは事実でございます。しかしながら、今御示唆いただきましたように、インボイス制度の導入によって原則として免税事業者からの仕入れは最終的には仕入れ税額控除の対象外ということになってまいりますので、受注者側が免税事業者である場合においても発注者の給与か外注費かの選択に対して今御指摘のような問題は生じなくなるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/47
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048・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 時間になりましたので終わりますけれども、今、最後の点だけ一つだけ指摘をさせていただきますと、インボイス制度になっても、一千万以下、八十万概算控除されるとなると同じ問題が若干残るということであります。公平、中立、簡素という原則にできるだけ近づけていくというのが本来あるべき姿だというふうに思いますので、引き続きこの話についていろいろと話をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/48
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049・柴愼一
○柴愼一君 立憲民主・社民の柴です、柴愼一です。よろしくお願いします。
所得税法の一部を改正する法律案について、さきに三月八日の本会議でも質問をさせていただきました。今日また更に深掘りする議論をさせていただけたらというふうに思います。
まずは、成長と分配の好循環の実現に向けた政府の対応についてということでお伺いします。
岸田総理の総裁の選挙に立候補したときの特設サイトを改めて見させていただきました。「経済には、成長と分配の両面が必要です。正に「成長なくして分配なし」です。しかし、同時に、分配なくして消費・需要の盛り上がりはありません。「分配なくして次の成長なし」も大いなる真実です。」という記載があって、分配を重視されるんだなというふうに受け止めました。まさに新しい資本主義の姿、新自由主義からの転換が明確に示されたんだというふうに思っていますが。
ただ、総理に就任以降は、やっぱり成長と分配の好循環を回すという発言になっているということから、まず成長しなきゃいけないんだと、それから分配なんだというふうな意味に取れるということで、分配の重要性というのが少しトーンダウンしたかなというふうに思っています。
好循環を回していくということについては共通認識に立つわけですが、今は、成長と分配の今どのステージにあるという認識でしょうか。好循環に向けた現状認識、今もまだ成長が必要なのか、どういうふうに認識なのかということについて見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/49
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050・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 自公政権への政権交代以降は、アベノミクスなど大胆な経済政策を強力に推進をすることにより、デフレではないという状況をつくり出して、GDPや企業収益、さらには雇用環境も改善をされてきたものと考えてございます。
その上で、岸田政権は、成長か分配かではなく、成長も分配もが基本的な方針でありまして、分配は重要でありますけれども、十分な分配の原資をつくり出すための成長戦略の実行が持続可能な経済社会の実現には重要と考えられます。
さらに、その成長の果実を広く国民お一人お一人に分配し、成長を支える新たな需要を創出することで次の更なる成長につなげてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/50
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051・柴愼一
○柴愼一君 ただ、やっぱり賃金が上がらないということを含めて、やっぱり分配がちょっと足りないんじゃないかというふうに思います。
本会議でも触れたんですが、岸田総理のあの年頭会見で、この三十年間、企業業績が伸びても期待されたほど賃金が伸びず、想定されたトリクルダウンは起きなかった、私はこの問題に終止符を打ち、賃金が毎年伸びる構造をつくるというふうにおっしゃっています。本当にそうだなというふうに思うんですが。言われているとおり、企業業績は伸びましたと、けれども、トリクルダウンは起きなかったという発言なんですよねと思ったときに、アベノミクスの成果、果実は一定得られたんだけど、好循環を回すには至っていないという意味として理解していいのか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/51
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052・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 一部繰り返しになりますけども、政権交代以降、アベノミクスによってデフレではないという状況をつくり出して、GDPや企業収益、さらに雇用環境の改善があったと。一方で、多くの日本企業において、長期にわたる低成長やデフレの経験などから、企業収益は増加したものの、賃上げや国内投資には結び付かず、内部留保が増加をしてきたと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/52
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053・柴愼一
○柴愼一君 明確におっしゃっていただけないんですが、トリクルダウンは起きなかったというのは総理が言っているわけです。
アベノミクス、日銀の異次元の金融緩和によって、多くの副作用はあったというふうに思いますが、成果がゼロではなかったというふうに思いますと、トリクルダウンの元となる原資はたまっているんだというふうに思います。アベノミクスのこの成果、果実は企業の内部留保、株価の上昇という形でたまっていて、それを好循環を回す原資にしていくという、これが今政治に求められているんだというふうに思います。
財務省の法人企業統計、二〇二一年度の企業の内部留保は、前年度比六・六%増の五百十六兆四千七百五十億円ということで、一七年度以来の伸び率だったということです。十年連続で過去最高ということです。これを何とかしなきゃいけないんじゃないかという問題意識です。
今週は、二〇二三春季生活闘争の回答指定日、山場を今迎えているということで、労使が真剣な交渉を積み上げています。既に幾つかの企業からは満額回答とか前向きな対応が示されているという報道もあって、引き続き注視、結果を注視していきたいなというふうに思っていますが、私、労働組合の出身なんですが、これまでも賃上げ交渉を一生懸命頑張ってきたんですが、巨額な、よく組合員から言われる、巨額の内部留保があるにもかかわらず賃上げが実現できないのは、組合の対応が、交渉が弱いからだとか、企業内組合で、だから駄目なんだみたいな声もあったんですが、企業ごとにいわゆる内部留保、会計上はBSの利益剰余金に計上されているのかなというふうに思いますが、それもいろんな形で、資産として現預金で持たれたりとか、有価証券、また有形固定資産で保有されているということなので、さっき言った五百十六兆全てが使えるわけじゃないというのは理解していますが、一般論として、内部留保を人件費に使用、賃上げの原資とすることは可能でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/53
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054・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 今、柴先生、背景についてお話しになりましたけれども、内部留保を含む資金の使途、これは個別企業の判断において決定されるものと。その上で、企業が内部留保を増加させて、それが当面使う当てのない現預金として保有されている場合に、経済の好循環につながりにくいことから、賃上げや設備投資に向かうことが重要と、これは私たちも同様に考えているところでございます。
政府としては、新しい資本主義の旗印の下、官民連携で成長分野への投資と人への投資を推進することで、成長力の強化と構造的な賃上げに取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/54
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055・柴愼一
○柴愼一君 ありがとうございます。
現預金として、使わないお金として内部留保を持っているんだったらそれ賃上げに使うのはいいんじゃないかとおっしゃっていただいたんですが、内部留保は、日々の商売で賃金を払った後に残った後の利益が積み上がったものなんですよね、税金も払った上で。労働者への適正な配分がされずに巨額の内部留保が存在していると。それを賃上げとかサプライチェーン全体の取引適正化に使っていくというのは本当そうだというふうに思うんですけど、現実問題として、内部留保となった段階で経営者の手から離れると、離れて株主に帰属する財産になるんだと。
だから、経営者が自由に処分、だから賃上げに使ったりとかするお金じゃないですよねということですよねと。だから、内部留保は経営者の裁量の範囲内にある当期の損益計算書の中の数字ではないんだということなんですよね。
そうすると、労使による賃上げ交渉というのは、当該年度のでき上がり、どのぐらいもうかっているんだということとか、次年度の経営計画とか損益見通しによって行われます。とすると、損益計算書に費用として計上される人件費をどれだけ毎年の商売の中で、フローの中での交渉になるので、金庫の中に入っている内部留保を持ってこいというのはできない、現実的にすごく難しいですよねと。政府の要請によって労使が賃上げの必要性を認識していても、結局、労使交渉で、じゃ、給料を出しますと、決算を赤字にするほど賃金を引き上げるということは現実問題としては難しいんだというふうに思います。
給料、政府の要請で給料を上げ過ぎて赤字になりましたと、株主配当できませんということは、取締役会であるとか株主が許さないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/55
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056・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) だからこそ、これも繰り返しになりますけど、だからこそ、この新しい資本主義の旗印の下で官民連携で、成長分野への投資、人への投資を推進して成長力の強化と構造的な賃上げに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/56
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057・柴愼一
○柴愼一君 ありがとうございます。
ですから、労使交渉で、まあ組合が頑張っても、会社が頑張っても、内部留保で賃上げをする、使って賃上げするというのは難しいんだということだと思います。そのことを前提に、更にちょっと議論を続けたいというふうに思います。
アベノミクス、まあ日銀の金融緩和によって積み上がったこの果実を、内部留保を成長と分配の好循環を回すために活用する必要があるんだというふうに思いますが、一方で、今私が申し上げたとおり、内部留保を賃上げとか取引適正化の原資として活用することはやっぱり難しいんだということでいくと、一方でまた日銀の金融政策で賃上げを実現するべきじゃないかということも言われていますが、まさに政府と日銀が協力して取り組むということは重要ですけど、日銀の金融政策で賃上げを実現するというのはやっぱり無理があるんだというふうに思うと、これは政治の責任、政策で対応する必要があるというふうに思います。
これまでも、内部留保に対する活用に向けた具体策というのは、西田先生が法人税の税率引き上げろと、これは内部留保の増加を抑制する効果があるというふうに思いますし、共産党さんが、内部留保への課税、で、それを財源に中小企業の支援の原資とするということを含め、というのも提案されてきていますが、政府からはいろんな理由でゼロ回答だというふうに思います。
ただ、日本が今置かれた状況を考えると、何もしないというわけにはいかないんじゃないかというふうに思います。企業の内部留保を成長と分配の好循環実現に活用するための措置が必要だというふうに思います。ちょっと具体的な提案がなくて本当に申し訳ないんですが、内部留保を動かしていくための何か刺激が必要だというふうに思います。
具体的な政策、税制措置の検討の必要性について政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。これは、大臣、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/57
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058・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 柴先生から企業内の内部留保の活用について一連の御質問があったわけでありますが、内部留保の活用につきましては秋野副大臣から答弁をさせていただいたとおりでありますけれども、政府といたしましては、経済成長の果実が適切に分配され次なる成長への投資に回っていくこと、これが成長と分配の好循環を拡大していくために重要であると、基本的な考えであります。
こうした点から、岸田内閣におきましては、新しい資本主義の考え方の下、賃上げに向けた取組や適正な価格転嫁対策だけではなく、成長分野における大胆な投資を官民が連携して中長期的かつ計画的に推進していくことが重要であると考えております。
例を挙げますと、GXについて申し上げれば、政府としてカーボンプライシングによって得られる将来の財源を裏付けとしたGX経済移行債を発行いたしまして、今後十年間で二十兆円の先行投資支援を行うことで官民合わせて百五十兆円のGX投資の実現を図っていくこととしているところでございます。
こうした中長期的な成長投資につながるような政策が重要であると考えているところでありまして、我が国の企業がアニマルスピリッツを発揮し、成長分野への投資を強化することで民需主導の持続的な経済成長を実現すべく、政府といたしましても、骨太の方針二〇二二などに基づきまして各種取組を進めていきたいと考えているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/58
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059・柴愼一
○柴愼一君 是非検討いただきたいというふうに思います。このことは引き続きまた議論させていただくということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
インボイス制度です。
これも本会議でも質問させていただいたんですが、免税事業者が値引きを要求されたり、取引から排除される不安とか懸念の払拭がされるのか、されているのかについて、公正取引委員会から見解をいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/59
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060・品川武
○政府参考人(品川武君) お答え申し上げます。
公正取引委員会では、関係省庁と共同でインボイスQアンドAを公表いたしておりまして、その中で、インボイス制度の導入に際して独占禁止法あるいは下請法上問題となり得る行為について考え方を明らかにしてございます。
免税事業者との取引の停止につきましては、独占禁止法の観点からは、事業者がどの事業者と取引をするかということ、それ自体は基本的に自由なわけでございますけれども、例えば、取引上の地位が相手方に優越している事業者が、インボイス制度の実施を契機としまして免税事業者である仕入先に対して一方的に著しく低い取引価格を設定して、これに応じない相手方との取引を停止するというような場合には問題となるおそれがあるという考え方をQアンドAで明らかにしてございます。
取引の停止に関してはこの考え方に基づいて対応いたしますけれども、実際の違法な行為、独占禁止法上違法な行為の実効を確保するための手段として取引を拒絶していないかというようなことでありますとか、取引の停止に至る事実関係、取引の停止の理由といったものを個別に調査をいたしまして、問題となるか否かを判断してまいります。
公正取引委員会としては、関係事業者からの相談には丁寧に対応して違反行為の未然防止を図りますほか、違反が認められれば、これは厳正に対処していくというスタンスでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/60
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061・柴愼一
○柴愼一君 そういうことなんですよねと。事業者がどの事業者と取引するか、基本的に自由ですということで、駄目なのは、一方的に、優越的な地位の濫用として一方的に言うのが駄目なんだと。だから、丁寧な交渉で双方納得すれば問題ないということになっているということで、だから、取引停止も、著しく低い取引価格を設定して、これに応じない場合は取引停止だと言うときは独禁法上の問題となるおそれがありますよとしていますが。
もう一方で、だから、インボイス発行事業者と免税事業者を、例えば取引元が区分して作業するの、経理するの大変なので、なので、もう事務負担掛かるのでやめたいということについては独禁法上問題ないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/61
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062・品川武
○政府参考人(品川武君) 取引先事業者がインボイス制度施行後に真に免税事業者との取引に係る事務が煩雑になるということのみが原因となって取引を停止するという場合に、それ自体を独占禁止法上の問題とすることは困難であると思いますけれども、いずれにせよ、ここは個別に判断をすることになりますので、先ほど申し上げたように、その停止の経緯でありますとか停止の真の理由は何かということを個別に判断して対応してまいるということかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/62
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063・柴愼一
○柴愼一君 問題とすることは困難だという御回答をいただきました。
仕入れ税額控除相当額の一定割合を控除可能とする経過措置が設けられていますが、その終了後、期間が経過後、仕入れ税額控除ができないことを理由に免税事業者との取引を見直す、これはどう判断されるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/63
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064・品川武
○政府参考人(品川武君) そこにつきましては、こちらもやはりその個別の事情に基づいて判断をするということになりますけれども、いずれにせよ、一方的に不利益を押し付けることが独占禁止法上問題になる行為でございますので、そういった条件を提示した上で、その条件をのまない場合には取引を拒絶をするというようなことがあれば、これは取引を、不利益を押し付けるための手段としてそういった取引の停止を行っているということになりますので、そういった場合は問題になり得るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/64
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065・柴愼一
○柴愼一君 ただ、仕入れ元としては、仕入れ税額控除ができるところとできないところがあったときにどういう判断をするのかというのは、当然、税額控除できる方と取引するということにならざるを得ないんだというふうに思います。言われているとおり、結果として不安は払拭されないということだと思います。でも、そして、それは公正取引委員会が別に悪いわけじゃないですねと。独禁法というのはそういうものなんだということだと思います。このことを政府はどう思っていらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/65
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066・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
このインボイス制度、複数税率の導入に伴いまして必要となってくる制度ということでございますけれども、その円滑な導入を期する観点から、まず、軽減税率制度の実施から最初の四年間につきましては、免税事業者からの仕入れであっても全額の控除を可能とするといった手当てをいたしております上に、次の三年間、本年の十月からの三年間でございますが、これについては免税事業者からの仕入れであっても八割の税額控除を可能とすると。そして、その次の三年間につきましても五割の控除を可能とするということで、免税事業者が行う取引への影響を十分長い期間にわたって緩和する観点から、この十年間にわたる経過措置が設けられているところでございます。
また、免税事業者と申しましても、その取引の態様は様々でございまして、免税事業者が行う取引の約六割がBツーC、消費者向けの取引になっておりまして、この部分に関してはインボイスの影響は基本的に生じないということ、またBツーBの取引の場合でも、相手方が課税売上げ五千万円以下の小規模な事業者であって簡易課税制度を適用している場合には、相手方はインボイスを必要といたしませんので、その場合にも影響がないということでございます。
また、今回の令和五年度税制改正案におきましても、免税事業者の方が課税事業者に転換される場合についても、追加的な負担軽減のための経過措置を講ずることとしておりまして、また、免税事業者の方と取引先の課税事業者との間の取引関係がどのような状況にあるのかということによって、その方々が受ける影響というのも様々であるというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/66
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067・柴愼一
○柴愼一君 制度全体として見れば、いろんな状況もあるし、影響を受ける人、受けない人ということがあるんだというふうに思いますけど、それぞれの事業者見てみれば、自分のことで死活問題なんですよねということを考えたときに、やっぱりインボイスの問題だということも含めて明確に廃止を求めたいというふうに思いますが、廃止を求めるとこれ以上議論が進まなくなっちゃうので、百歩譲って、また更にインボイス制度の問題点について伺っていきたいというふうに思います。
今局長がおっしゃられたように、今般の、今回の税制措置の中でいくと、納税額に係る負担軽減措置のものじゃなくて、今言われたように、仕入れ税額控除相当額の一定割合を控除可能とする経過措置を設定した意味を教えていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/67
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068・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
まず、免税事業者から課税事業者の方が仕入れをされた場合の経過措置については、これは平成二十八年度改正でインボイス制度の導入が法制化されました際に既に設けられていたものでございまして、その内容は、先ほど申し上げたとおり、本年の十月以降三年間は八割控除、その先三年間は五割控除を認めるというものでございます。
今回の改正案において新たに手当てをいたしております経過措置は、現在免税事業者の方、一千万円以下の課税売上げで消費税の納税義務が免除されている方が、インボイスの導入を契機といたしまして課税事業者になるということを新たに選択をされた場合に、三年間の経過措置といたしまして、納税していただく額を売上げに掛かってくる消費税額の二割にとどめるという経過措置を設けることといたしておりまして、これによって事務負担と税負担の激変緩和を図るということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/68
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069・柴愼一
○柴愼一君 だから、負担軽減をするというんであれば、頑張って商売してくださいとか、負担が増えるので段階的にしていきますというのは分かるんですが、その仕入れ税額控除八割見るのを三年、半分を三年としている意味、だから、その六年間のうちに課税事業者に転換してくださいということを言っているわけじゃないんですよねと、免税業者は免税業者のままでいてもいいということの意味がなかなか腹落ちしないなというふうに、(発言する者あり)はい、わな、わなですか、ということなんだと思う。
ですから、言われている、免税事業者としてそのまま残ることは可能なんだけれども、経過措置終了後は免税事業者は明らかに取引条件が不利になるということだというふうに思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/69
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070・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
このインボイス制度、軽減税率制度を導入するために必要な制度として二十八年度改正で導入が決められたものでございます。また、世界各国の消費税、付加価値税の制度においては、日本以外では基本的にこのインボイス制度が採用されているということでございまして、今、免税事業者の取扱いについての御指摘でございますが、免税事業者の場合、元々事務負担の軽減の観点からこの事業者免税点制度というものが設けられておりまして、税負担と事務負担の軽減が図られてきたという流れがあるわけですけれども。
一方で、この複数税率を導入していく上では必要不可欠な制度ということで導入が決められ、そしてこの十年間にわたる経過措置が設けられている趣旨としては、一気にこの完全なインボイス制度に移行いたしますと、やはり事業者に対する影響も非常に大きくなってまいりますので、徐々に円滑な移行を図っていく観点からこの経過措置を設けているというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/70
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071・柴愼一
○柴愼一君 なかなか平行線で進まないんですが。
先ほどの公正取引委員会とのやり取りのとおり、やっぱりその経過措置終了後は値引き交渉であるとか取引停止というのを止める方策はないんだというふうに思いますと。で、廃業を検討しているフリーランスとか小規模事業者が多く存在するということですと。ただ、そういう制度になっていますと言うだけでは、やっぱり政府、行政の不作為じゃないかというふうに思うと、廃止を求めていますけど、せめて実態をつぶさに把握した上で経過措置期間の延長を含めて何らかの対応を検討するべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/71
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072・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
先ほど公正取引委員会から答弁がございました独占禁止法上の考え方というのは、経過措置期間が終わった後におきましても、つまり、経過措置が八割控除から五割控除になり、その先なくなるというそれぞれの局面においても当然適用になるものだというふうに考えております。
その上で、この事業者に対する影響の緩和につきましては、今申し上げた制度面での対応に加えまして、取引環境の整備ということで、先ほど公取から御説明申し上げました対応、そして下請法等においては書面調査、あるいは下請Gメンの活用といったような取組を通じて、取引環境の整備に政府を挙げて取り組んでまいりますし、また、予算面における取組といたしましても、IT導入補助金でありますとか持続化補助金を活用したインボイスに移行する上での中小事業者に対する支援というのも経済対策の一環として充実をしてきております。
インボイスについては、こういった様々な環境整備を行いながら、円滑な移行を期してまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/72
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073・柴愼一
○柴愼一君 時間が来ましたので、インボイス、引き続きまた求めていきたいと、廃止を求めていきたいというふうに思います。
時間になりましたので、通告したNISAについてはまた次回に譲りたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/73
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074・勝部賢志
○勝部賢志君 立憲民主・社民の勝部賢志でございます。
私も引き続いて質疑をさせていただきますが、先ほども質疑がありましたけれども、シリコンバレー銀行とシグネチャーバンクの経営破綻の問題について、その影響も含めてお伺いをしたいと思います。
昨日、バイデン大統領はテレビ演説で、預金者保護に万策を尽くす異例の方針を示されましたが、政府は今般の金融ショックの影響をどのように分析をされているのか。
大臣は今朝、重大な影響を及ぼす可能性は低いとの認識を示されました。いたずらに混乱をさせるようなことは言う必要がないかというふうには思いますけれども、東京の株式相場は大幅に下落をしているということですとか、複数の銀行株がこれまた大幅安に見舞われているということもありますので、このアメリカの二銀行の破綻の影響が我が国の金融市場にどのような影響を与えているというふうに現状見ているのか、是非その点、もう一度お聞かせをいただきたいと。
さらに、影響が拡大していくことも考えられるわけで、そういった場合の対策をどのように考えておられるのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/74
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075・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 三月十日のシリコンバレーバンクの経営破綻、そして三月十二日のシグネチャーバンクの経営破綻を受けまして、米国当局は両行の預金を全額保護をするとともに、金融機関に対する流動性供給策を講じることを公表しておりまして、信用不安の影響を拡大させないための取組を迅速に米国当局として行っていると、そのように承知をいたしているところであります。
そして、現在、日本の金融機関は総じて充実した流動性資本基盤を維持しておりまして、金融システムは総体として安定していることも踏まえれば、現時点で今回の二つの銀行の破綻が日本の金融システムの安定に重大な影響を及ぼす影響は低いと考えているところでございます。
いずれにいたしましても、日本への影響というものがあってはならないわけでございまして、金融庁といたしましては、今後の国内外の経済・金融市場の動向、それが日本金融機関に与える影響などにつきまして注視をしてまいります。そして、必要に応じまして、金融機関に対し有価証券運用等に関する適切なリスク管理体制の構築を促すなど、適切な対応をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/75
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076・勝部賢志
○勝部賢志君 コロナもあっていろいろ、何というんですか、社会的な、経済にもいろいろ課題がある中でようやく持ち直しをこれから期待をするような状況にあるわけですので、今お話がありましたように、注視をしながら適切な対応を機敏にしていただくことをお願いをしておきたいというふうに思います。
続きまして、税制に関わる二つの壁の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
先週の土曜日は三月十一日ということで、東日本大震災発災から十二年目を迎えました。開催中のWBCでは被災地出身の佐々木投手が好投して、被災地の方々や、それのみならず日本国民に勇気を与える活躍に称賛の声が上がっています。しかしながら、被災地の生活再建あるいは地域再建はいまだ道半ばでありまして、とりわけ福島第一原発事故の被災地では、廃炉作業もふるさとへの帰還も、ようやく緒に就いたばかりという状況でございます。
政府主催の追悼式典は、昨年、十年を区切りに開催されなくなりました。それから一年が経過して、岸田政権は、今年、原発再稼働あるいは新増設に大きくかじを切ろうとしています。が、一方で、ロシア・プーチン大統領は原発への攻撃やあるいは核兵器による恫喝を繰り返しておりまして、このような国際的な危機を引き起こしている最中に、喉元過ぎれば熱さを忘れるという状況が今この日本に起きているのではないかと大変危惧しているところであります。
そして、あわせて、総理が声高に言っていた新しい資本主義ですとか、あるいは令和型所得倍増計画ということも格差是正というよりはむしろ格差拡大の方に向かっているのではないか、つまり資産倍増、一億総投資、これはまさに今お話をした格差拡大の方向だというふうに言わざるを得ないと思っています。
そんな中で、先ほど申し上げた壁の問題なんですけれども、その一つは、岸田総理、当初の公約でもありましたけれども、所得が多いほど実際の税負担率が下がる一億円の壁の是正について、御自身が提起をされておりました。今般の金融課税、金融資産課税の対象が一億円から三十億円に変わったわけですけれど、なぜそのようなことになったのかということを端的にお聞きをしたいと思いますので、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/76
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077・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
いわゆる一億円の壁と呼ばれる問題につきましては、従来から政府及び与党の税制調査会におきまして、税負担の公平性を確保する観点でありますとか、またこの市場への影響という観点も踏まえまして、総合的な検討を行うということが課題とされていたところでございます。
今般の見直しに当たりましても、昨年の秋に政府の税制調査会においても御議論をいただきまして、その際、社会保険料も加味してみた場合、かなりの高所得者層の負担率の方が低所得者層よりも低い状況が生じており、所得税の負担構造として大きな問題があるという御指摘があった一方で、譲渡所得につきましては、長期間にわたって価値が発生して、それがいっときに発生するという面もございますので、その平準化を行う必要性というのも勘案する必要があるといったような御指摘もあり、様々な御意見があったわけでございます。
これらの議論を踏まえて、年末の与党の税制調査会において、幅広い観点から御議論をいただいた上で、今般、おおむね平均的な水準としては、約三十億円を超えるような極めて高い水準の所得を対象として、最低限の負担を追加的に求める措置を導入することとしたものでございます。ただし、いわゆる金融所得に該当する株式の譲渡所得などしか所得がないという場合については、三十億ではなく約十億円を超えたところで追加的な負担が発生するということになります。
こういった水準で負担が発生するような措置にいたしました背景としては、先ほどの政府税調での議論の中でもございましたが、株式譲渡所得については、長期間にわたって価値が発生して、いっときに課税が発生するということがございますので、通常の経常的に発生している給与所得や事業所得と同じような総合課税を行いますと、特に金額が低い場合には負担のレベルとしては高くなり過ぎるといったようなこともあるわけでございますので、そういった事情もしんしゃくして制度設計を行った結果であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/77
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078・勝部賢志
○勝部賢志君 後半の説明は言ってみれば少し言い訳がましいところがあるなというふうに実は思うんですけれども、やっぱり厳しく切り込むということができなかったということなんだと思うんですね。
そこでお聞きしたいんですけれど、これはその一億円を対象にしてやったときの効果と三十億円以上としたときの格差是正効果を比べるとどのようになるのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/78
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079・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
一億円を超える所得がある方の人数は、令和二年分のデータで申しますと、約一万九千人となっております。その一方で、平均的な水準でこの三十億を超える所得のある方は、同じく令和二年分の所得について申し上げますと、二百人から三百名程度ということでございますが、先ほど申し上げた一億円超の所得のある方、一万九千人の中で一万八千人程度の方は五億円以下の所得のところに分布をしておりまして、その方々の負担率は一億円以下の方々の負担率と比べて必ずしも大きく低下しているわけではないという事情もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/79
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080・勝部賢志
○勝部賢志君 二〇一九年の六月に金融庁金融審議会市場ワーキング・グループの報告書、高齢社会における資産形成・管理という報告があった、報告書があるんですけれども、これは話題になりました老後二千万円が必要という中身になっていて、国会でも問題になりましたが、当時の麻生金融担当大臣は報告書の受取を拒否をしたということなんです。
二千万円どころか、貯蓄ゼロの世帯が六十代以上でも三〇%以上、二十代では半数近くとも聞いていますが、世帯ごとの貯蓄ゼロ、あっ、世代ごとの貯蓄ゼロ世帯の割合を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/80
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081・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
金融広報中央委員会、これが直近で令和四年度に実施しております家計の金融行動に関する世論調査というのがございまして、これが二人以上の世帯の調査によりますと、運用、そういった目的で保有している預貯金や金融商品がゼロであるというふうに回答した世帯の割合は全体で二三・一%でございます。これを世帯主の年齢別で見ますと、二十代で三五・七%、三十代で二三・九%、四十代で二六・一%、五十代で二四・四%、六十代で二〇・八%、七十代で一八・七%となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/81
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082・勝部賢志
○勝部賢志君 全体で四分の一は貯蓄がゼロということです。
先ほど、一億円以上、五億円以上、三十億という話もありました。本当にこれはごくごく一部の方々なんですが、その人たちに、そういう所得のある人たちに対する税制も先ほど言ったように私は改善が必要だというふうに思っていますけれども、一方で、この貯蓄ゼロという世帯がこれほど多い今状況になっている中で、NISAを始めとした拡充だとか、あるいは昨年の委員会でも私何度か訴えたんですけれど、教育資産の一括贈与に係る贈与税の非課税措置、いわゆる銀のスプーン税制なるものがまた更に今年も延長されていると。つまり、その貯蓄ゼロという世帯に対する十分な対応よりも、何かその所得の多い人たちの切り込みは十分になされていないというのが今の岸田政権の状況、つまりは安倍政権時代から続いている状況が一向に変わっていないのではないかということなんです。
そこでお伺いしたいんですけれども、NISAの拡充を始め、資産倍増は、そもそも先ほど言ったように貯蓄がない人たちがこのNISAに投資をできる状況にあるかというと、決してそんな状況ではないと思います。端的に言って、私は格差拡大政策ではないかというふうに思います。
逆に、老後が最低でも二千万円必要だと言うならば、障害を持つ方など限定的に縮小されたいわゆるマル優制度の貯蓄非課税優遇枠をやっぱり二千万円に拡大をするというような、拡大実施をするというような、そういうことの方がむしろ多くの国民に対象となる制度になるのではないかというふうに考えます。そのことについて大臣の見解をお伺いをしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/82
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083・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 我が国の家計金融資産、これは二千兆円を超えるわけでございますが、その半分以上はリターンの少ない現預金で保有されておりまして、中間層でも気楽に投資できる環境が整備されているアメリカでありますとかあるいはイギリスと比較して、家計金融資産の伸びが低い水準にとどまっているのはそうした投資環境の違いも背景にあるものと考えております。
家計の安定的な資産形成を支援していくためには、特に低金利環境の中でこの御提案のような貯蓄非課税優遇枠を拡大するということではなく、中間層を含めた幅広い層がリターンの大きい資産に投資しやすい環境を整備をし、家計の金融資産所得の拡大と成長資金の供給拡大によって成長と資産所得の好循環を実現させていくことが重要であると考えております。
今般のNISAの見直しは、これは中間層などがこれまで以上に長期、積立て、分散投資による資産形成を行いやすくするものと考えておりまして、これまで投資の経験がなかった方々を含め、中間層等の資産形成をより一層サポートすることができるものと考えております。
そして、このNISAの拡充に当たりましては、税制優遇の恩恵が高所得者層や既に多くの資産を保有している層に偏ることがないように、年間投資枠や一生涯にわたる非課税保有限度額の設定によりまして投資余力が大きい層に対するこの際限のない優遇とならないように留意をしておりまして、今回の見直しが格差拡大につながるとは考えていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/83
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084・勝部賢志
○勝部賢志君 私が申し上げたのは、やはり四分の一、国民の四分の一が資産ゼロだということ、貯蓄がゼロという世帯があるということなので、今のNISAの中間層がその保有額に対する拡大があるという部分についてはまあ一定程度分かる部分もあるんですけれども、やはり対応として、その貯蓄のない方々にどういうような対応をしていくのかということは、これ政府全体として、今言ったNISAだけの問題ではないので、ここは十分検討し、やはり改善をしていかなければならないと思います。
そういう意味で、その壁の問題二つ目についてお聞きをしたいと思うんですけれども、これは岸田総理も自ら口にされて、女性の就労制約となってきた百三十万円の壁の見直しをするということを表明をされたわけですけれども、この問題は、御存じのとおり、以前から相当指摘があったわけですけれども、税制度やあるいは社会保障制度、雇用制度が複雑に絡み合った問題であって、その検討、見直しは先送りされ続けてきた問題だと、まあつまりは非常に大きな難しい問題だというふうに理解をしています。けれども、そこに踏み込んでいくということでありましたので、私どもも相当期待をしておりますし、何度も是非その実現に向けて要求をしてきたところであります。
そこでお伺いをしたいのは、今政府内部では、岸田総理が正式に指示としてこの見直し作業を進めている状況にあるのかどうか。そして、その検討状況がどのようになっていて、いつまでにその方向性を示そうとしているのか。お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/84
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085・中村英正
○政府参考人(中村英正君) 今先生御指摘いただきました百三十万の壁、こちらは直接的には社会保険の話でございまして、社会保障を所管する厚生労働省を中心に検討しております。
時期につきましては、具体的な検討期限が示されているものとは承知はしておりませんけれども、昨年十二月の全世代型社会保障構築会議の報告書でも大きな方針示されておりまして、それを踏まえながら検討拡大、あっ、適用拡大を始めとする取組を進めていきまして、働き方に中立的な制度の構築を図り、公平性の観点から政府として幅広く対応してまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/85
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086・勝部賢志
○勝部賢志君 岸田総理からは正式にこれを検討するようにという指示が出ているという理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/86
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087・中村英正
○政府参考人(中村英正君) あっ、済みません。失礼いたしました。失礼いたしました。
総理が施政方針演説におきまして制度を見直すということをおっしゃっておりまして、それの下に政府として指示を受けて検討しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/87
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088・勝部賢志
○勝部賢志君 検討状況は前向きに進んでいるという理解でよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/88
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089・中村英正
○政府参考人(中村英正君) はい。
政府、厚労省と連携を取りながら、見直しの検討を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/89
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090・勝部賢志
○勝部賢志君 先ほど私が申し上げましたように、非常に難題だというか、大分時間が掛かってきた課題で、今回、総理もしっかり指示をして、検討するようにということでありますので、是非成果あるものになるように期待をしております。また、引き続きこの点は注視をしていきたいというふうに思っています。
時間がなくなりましたので、最後の質問になるかというふうに思いますが、資産市場のミニバブル問題というふうに私は名付けているんですが、どういうことかというと、先ほど言ったように、貯蓄ゼロの世帯は先ほど申し上げたようにいるわけなんですけれども、しかし、資産市場はある意味バブルを迎えていると。円安効果で外国人投機も含めてマンションの価格が大変高騰しております。平均価格は既に九〇年代のバブル期を超えているという状況です。首都圏、あるいは私は北海道ですけれど、札幌ですとか旭川のマンションも相当に、何ていうんですか、高くなっていて、いわゆる億ションと呼ばれるものが増えてきているんですね。
ただ、問題なのは、時価と路線価の格差から、節税とか相続税対策に使われて、いわゆる不動産を買って節税対策にしようとしている動きが増えてきているということが問題になっている。特にタワーマンションなんかはその節税をするには大変有利な物件だということで、そういう状況があると。
そのような中で、昨年四月に、相続税に係るマンション投資を行き過ぎた相続税対策と認定をして、国の徴税権を認めた最高裁の判断がありました。今般、マンションの投資に関し、節税利用対策の見直しが行われるというふうに聞いております。どのような内容で検討をされているのか、お示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/90
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091・星屋和彦
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
マンションの相続税評価につきましては、国税庁が定める通達により評価した相続税評価額と時価が大きく乖離している事例が把握されておりまして、実質的な課税の公平性を確保する観点から、相続税申告後に国税当局が改めて評価を行い、課税処分を行うといったケースも発生しているところでございます。
こうした課税処分をめぐる訴訟におきまして、国税が勝訴した昨年四月の最高裁判決以降、マンションの評価額の乖離について対応が必要との指摘や、国税当局の課税処分を避けるため取引を控えるといった不動産市場への影響を懸念する声が見られたところでございます。
このため、国税庁といたしましては、先般、学識者や不動産業界関係者等で構成される有識者会議を設置をいたしまして、マンション評価額の時価との乖離につきまして、まずは実態把握や要因分析を進めていくこととしたところでございます。
今後、有識者会議において、様々な御意見を丁寧に伺いながら、財産評価基本通達の改正について検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/91
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092・勝部賢志
○勝部賢志君 先ほど言ったような節税対策で購入をすることが頻繁になっていって、更にその価格が上がっていくというようなことで、一般の庶民にはというか、私どもには手が届かないような状況になってきているということなどもありますので、しっかりとした対応をお願いをしたいというふうに思います。
時間が来ましたので、終わります。
〔委員長退席、理事大家敏志君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/92
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093・横山信一
○横山信一君 公明党の横山信一でございます。
まず、NISAからお伺いしていきたいと思います。
NISA制度は、平成二十二年度税制改正において、金融所得課税の一体化の取組の中で、個人の株式市場への参加を促すために創設をされました。その後の延期を経て、平成二十六年一月に開始をされております。平成二十九年度の税制改正には、家計の安定的な資産形成を支援する観点からつみたてNISAが創設をされ、現行制度に至っております。
平成二十五年度与党税制改正大綱では、NISA制度の目的として、家計の安定的な資産形成を支援するとともに、経済成長に必要な成長資金の供給を拡大するというふうにされております。そのNISA制度の目的は現在まで変わっておりません。
そのNISAの利用実態を見ますと、令和四年九月末時点で、新たに開設をされたNISAの口座は千七百五十三万口座、貸付額は二十九兆円、約二十九兆円ということでありまして、国民には一定程度認知をされていると、また利用も進んでいるというふうに考えられるわけです。
そこで、NISA制度が日本経済及び家計の、この目的にあった資産形成支援に果たした役割をどのように考えるのか、大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/93
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094・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) NISA制度ができましてこれまでの間、日本経済及び家計の資産形成支援において果たした、どういう役割があったのかというお尋ねであると思います。
NISA制度は、長期、積立て、分散投資による資産形成を支援していく上で利便性の高い制度でありまして、直近、昨年十二月末時点の速報値でありますけれども、口座数は約千八百四万口座、買い付け額は約三十・七兆円まで伸びております。さらに、現状、NISAの利用者の七割は年収五百万円未満でありまして、過半数は世帯保有金融資産一千万円未満となっております。こうしたような状況を踏まえますと、NISAは中間層を含めた幅広い層に対して資産形成の入口として定着しつつあると考えています。
一方、貯蓄から投資への流れはいまだ道半ばでありまして、これまでも、NISA制度が活用されることによって一定程度家計の資金が企業の成長投資の原資となる役割を果たしてきたと思いますが、金融庁といたしましては、更に利用者の裾野を広げつつ、持続的な企業価値向上の恩恵が金融資産所得の拡大という形で家計にも及ぶ、成長と資産所得の好循環の実現を目指していきたいと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/94
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095・横山信一
○横山信一君 資産形成の入口という言い方をされましたけれども、令和二年度税制改正におきましてNISA制度が改正をされ、令和六年度から新制度に移行する予定でした。具体的には、つみたてNISAは口座開設可能期間を五年間延長し、一般NISAは新NISAへと改めるというものでありました。
しかし、金融業界等からこの新NISAの仕組みが複雑で分かりにくいという声が上がっておりました。岸田総理は、令和四年九月のニューヨーク証券取引所の講演の中でNISA制度の恒久化を表明したことを契機に検討が進められることになりました。
そこで、この現行制度や予定されていた新NISAにどのような課題があったのか、御説明お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/95
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096・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
現行のNISA制度についてでございますけれども、例えば制度が時限的措置である、あるいは非課税保有期間が有限である、あるいはつみたてNISAと一般NISAを併用できないといった点について改善の要望があったと認識をしております。
さらに、二〇二四年からの施行予定とされていました二階建ての新しい一般のNISAについてですけれども、議員御指摘のとおり、二階建てで制度が複雑といった声も寄せられておりました。
こうしたことから、今般のNISAの抜本的拡充、恒久化に当たっては、国民にとってより簡素で分かりやすくて、なおかつ使い勝手が良い制度にすると、こういう観点から見直しの検討をしたものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/96
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097・横山信一
○横山信一君 今回の改正案におきまして、非課税保有期間及び口座開設可能期間を無期限化するということにし、また年間投資上限額については、つみたて投資枠を百二十万、成長投資枠を二百四十万に拡充をいたします。さらに、一生涯における非課税保有限度額を新たに設定をし、一千八百万といたしました。
投資余力のある高所得者層の投資をより促すと、先ほど最初の質問で五百万未満の方たちも多い、多く参加されているんだということで、まあ一定の中間層の支持を得ているという分析をされておりましたが、一方で、その高所得者層の投資をより促すという観点からすると、金融市場に資金が供給され、企業及び経済の成長に資するという点では、非課税限度額をより高くしてもよかったのではないかという考え方もあると思うんですが、一千八百万の根拠をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/97
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098・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
今般のNISAの見直しでございますが、政府としては、こういう制度の見直しによりまして、これまで投資の経験のなかった方を含めまして幅広い層の長期、積立て、分散投資による資産形成を促すと、こういう観点からの見直しでございます。
その際に、新しいNISAにおいては、年間投資枠や一生涯にわたる非課税保有期間限度額、一千八百万でございますけれども、これを設定することによって投資余力が大きい層に対する際限のない優遇とならないように、こういうふうに留意をして制度を設計しております。
この千八百万の水準についてでございますけれども、若年期から始めても長期間にわたってこつこつと投資を継続できると、その結果として資産形成を行うことは可能になると、こういうふうな観点から水準を設定させていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/98
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099・横山信一
○横山信一君 総理は令和四年六月の閣議決定で、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画ですけれども、この中にですね、家計が豊かになるために家計の預金が投資にも向かい、持続的な企業価値向上の恩恵が家計に及ぶ好循環をつくる必要があるとし、資産所得倍増プランを策定するということになりました。
同プランには、五年間でNISA総合口座を千七百万から三千四百万、買い付け額を二十八兆円から五十六兆円へという目標を掲げております。こうした数値目標も大事なんですけれども、その出発点となった、家計が豊かになる、これが具体的にはどのような状況を指すのかと。先ほど来申し上げているように、その中間層の人たちが支持を得ているということであれば、また若年層からつみたてNISAを利用するということであれば、その家計を豊かにするというのはどのような状態を指すのかと。
例えば、老後にお金の心配せずに暮らせる、まあ何というか、安易な考え方かもしれませんが、そういうその国民の多くが投資を、NISA制度によって投資をしてもらう、投資をするということであれば、この政府が目指す家計が豊かになるというのは、ある意味これから投資を考えようとする人たちにとっては、その具体的なイメージを持ってもらうという意味では大事なことだと思うんですけれども、これはどういうものなのか、大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/99
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100・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 豊かな家計ということのイメージということでございますが、老後あるいは子育てについて金銭的な制約を感じることなく暮らすことができること、これは多くの家計にとって豊かさの一つの姿ではないかと思います。
〔理事大家敏志君退席、委員長着席〕
一方で、ライフスタイルが多様化している現代社会において何を豊かと感じるかはそれぞれの家計で異なる面もあって、一概に申し上げることはなかなか難しいと思います。
しかし、金融庁といたしましては、そうしたそれぞれの家計が描く豊かな暮らし方を実現できるよう、資産形成面においてサポートしていくことが重要であると考えています。
具体的に申し上げますと、人生の様々なステージで必要となる資金の確保に向けて、個々人が若いうちから将来を見据えて自らのライフプランを検討するとともに、それぞれのニーズに見合う金融サービスを適切に選択できるよう環境を整備していくこと、これが重要であると考えています。
そうした観点から、資産所得倍増プランに基づきまして、NISAの抜本的拡充、恒久化のほか、官民一体で金融経済教育に関する戦略的な対応の推進、金融事業者等による顧客本位の業務運営の定着、底上げなど、政策を総動員をして、国民の安定的な資産形成を通じて、それぞれの家計が描く豊かな暮らし方、これを実現していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/100
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101・横山信一
○横山信一君 家計を豊かにするというのは貯蓄だけじゃないんだよという、まあ要するに投資をしっかり見据えてくださいというメッセージを出していくという点では、NISAというのは非常に重要な役割を持っているのかなというふうに思っております。
我々の世代は、両親含めて、資産といったら貯金しかなかったんですね。そういう環境の中で育ってきているわけですが、そうではなく、投資をするんだというのがこれから非常に重要になってくる、そういう役割を今後も一層果たしていただきたいというふうに思います。
スタートアップについて伺いますが、今回の改正案では、スタートアップへの投資を促すために、保有株式の譲渡益を元手に創業した場合に再投資分を非課税とする措置が創設をされます。スタートアップへの投資を促すためにエンジェル税制が設けられていますが、それに加えて、自己資金による創業を対象とする新たな措置を導入いたします。その背景について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/101
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102・吾郷進平
○政府参考人(吾郷進平君) お答えいたします。
スタートアップは、社会的課題を成長のエンジンに転換して、持続可能な経済社会を実現する新しい資本主義の考え方を体現するものの一つでございます。
こうしたこともございまして、政府は、昨年十一月にスタートアップ育成五か年計画を策定いたしまして、幅広いスタートアップ育成支援策を講ずることとしたところでございます。他方、日本の開業率は、米国や欧州に比べまして低い水準で推移しているところでございます。創業に当たっては、資金の不足や金銭面の損失リスク、これが足かせになっているという現状がございます。
こうした点を踏まえまして、令和五年度税制改正におきましては、自らリスクを取って出資をする創業者の行為を金銭面から力強く後押しするため、保有株式の譲渡益を元手に創業した場合に、出資分につき二十億円を上限として株式譲渡益を課税しない制度を創設するところとしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/102
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103・横山信一
○横山信一君 我が国のエンジェル税制においては、譲渡段階での優遇措置として、スタートアップへの投資により損失が出た場合、その年の株式譲渡益から損失額を控除できる、また三年間の繰越控除を認めるということになっています。
しかし、米国の類似の税制と比較すると、我が国ではスタートアップ投資に失敗したときの金銭的なリスクが大きいという指摘があります。これは今回の改正で改善されるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/103
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104・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) ちょっと先ほどの経産省の答弁とかぶりますけども、今回の改正におきましては、スタートアップエコシステムの抜本的な強化を図る観点から、税制面の対応として、自らのリスクを取って自己資金で創業する場合、特に資金の集まりにくい創業初期のプレシード、シード期のスタートアップに再投資した場合に限り株式譲渡益を非課税とする、そのような措置を設けたところであります。
御指摘の損失額の繰越控除の期間につきましては、従来のエンジェル税制と同様に三年間としておりますけども、これまでは課税の繰延べ措置であったものを非課税措置としたこと、その上限額については、アメリカの類似の制度でありますQSBSの規模を超える二十億円を上限とするなど、相応のリスクを伴うスタートアップ等への成長資金の供給を促す仕組みとなっていると考えております。
政府として、こうした環境整備を通じて、我が国のスタートアップ育成に向けて取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/104
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105・横山信一
○横山信一君 災害関連税制について伺います。
特定非常災害による損失について、その繰越控除期間を現行の三年から五年に延長する、こういう見直しを行うことを評価をしたいというふうに思います。
東日本大震災のときには、この期間、特例措置として、実際、三年から五年にこの繰越控除期間が延長されました。この間、東北税理士会ではデータを取っておりまして、東日本大震災で被災した事業者の申請数というのを集計をしております。それによると、三年では事業の整理ができずに、規模が大きいので本当に身の回りの整理するのに時間掛かってしまいますが、その整理ができずに申請できない事業者が多くいるということが分かりました。で、四年目になると、通常三年ですから、それを延長して五年になって、四年目になると、まあ三年目ほどではないんだけれども、それでもかなりの数の申請が出てきたと。五年目になってようやく減少ということになるということが明らかになりました。
日税連では、この東北税理士会のデータを基にして、五年間の災害損失控除の延長措置を求めておりました。公明党としても、それを受けて、私も党の復興・防災部会長をやっておりまして、この日税連の要望を受けて、年末の与党の税制改正議論の中でこれを何とか取り上げてもらうようにということで、党の単独要望として毎年上げてきたんですけれども、上げるたびごとに非常に冷たい対応が毎年のようにありまして、今年も無理なのかなという、昨年末もそういう思いで、党単独要望で出していたんでありますが、まあそれが突然変わったので正直びっくりしたんですけれども、東北税理士会も非常に喜んでくれております。
しかし、この災害による損失が雑損失としてこの繰越控除期間残ったんですけれども、いわゆるこの雑損失には、災害だけではなくて盗難や横領というのも実は含まれております。で、同じように盗難も横領も三年から五年間に延びたわけです。
災害による損失というのは、盗難などと比べると被害額が非常に大きい、また被災者は生活基盤の再建にも相当の時間を要すると。事実、東北税理士会の取ったデータでも実際そうだったわけでありますから、三年では整理が付かないというところがかなりあったということでありますので、そういうことを考えれば、この災害の被災者に対しての税制面での配慮というのは必要だけれども、一方で、盗難等による損失と一緒にするのはどうなのかなと、切り分けて扱うべきだったんじゃないのかというふうにも思うわけですけれども、大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/105
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106・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 昨今の頻発する自然災害への対応というものは政府としても大変重要な課題であって、税制においても災害への対応ということ、これは重要なことであると思っております。
令和五年度税制改正におきましては、御指摘のように、被害が極めて甚大で広範な地域の生活基盤が著しく損なわれ、被災前のように生活の糧を得るまでに時間を要するような災害の被災者や被災事業者に特に配慮するという観点から、特定非常災害による損失に係る雑損失と純損失の繰越期間につきまして、損失の程度や記帳水準に応じまして、現行の三年から五年に延長する措置を講ずることとしたところでございます。
その上で、横山先生の御提案は、災害損失控除を切り分けて、所得から控除する順番を最後にすることであると、そういうふうに理解をするところでございますが、所得税における控除の順番につきましては、災害によって生じた、災害を言わば必要経費として考慮するのと同様に、人的控除よりも先に災害による損失に係る控除を行うものとなっておりまして、現行の仕組みは、それぞれの控除の性質に鑑み適切なものと考えているところであります。
いずれにいたしましても、災害対応重要でございますが、この災害への対応につきましては、税制だけではなくて、歳出も含めた総合的な対応を行うことが重要であると思い、今後も適切に対応してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/106
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107・横山信一
○横山信一君 現実問題としては、盗難によるこうした雑損失というよりも災害の方が圧倒的に大きいわけですから、まあ、一緒でもいいんですけれども、最優先でやっていただくということでもありますし、しっかりとやっていただきたいと思います。
ところで、この相続までの間に災害による滅失あるいは財産価値の著しい低下などがあっても、現行では、相続時精算課税制度によって、課税価格への加算額というのは贈与時のものになっています。
しかし、災害により相続時の受贈財産の金額が贈与時を大きく下回り、回復の見込みがないという場合もあり得ます。これらの扱いはどうなるのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/107
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108・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
相続時精算課税制度を選択された場合、委員御指摘のとおり、選択後に行われた生前贈与につきましては、贈与を受けた財産の評価は、贈与時点の時価で評価を行うということになっております。
今回の令和五年度税制改正案におきましては、相続時精算課税制度の下で受贈した土地や建物が、災害によりましてその土地の贈与時の価格の十分の一以上の割合の被害を受けた場合などにおきまして、例外的に相続時にその課税価格から被害を受けた額を控除する仕組みを新たに創設することといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/108
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109・横山信一
○横山信一君 改正をしていただけるということであります。
教育資金の一括贈与について伺います。
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、制度創設直後の平成二十五年度においては新規契約数六万七千五百八十一件、新規信託財産設定額四千四百七十八億円の利用がありましたが、その後大きく減少し、令和三年度においては、それぞれ八千九百六十二件、八百三十一億円というふうに低迷をしております。低迷というか減少しております。
そもそも、本制度は、家計資産をより早期に若年世代に移転させて、子育て世代の教育資金を確保することによって消費を拡充すると、拡大する、また、経済活性化を図るということを目的にしております。高所得者の利用を過度に制限すれば、利用件数の更なる低迷につながり、経済活性化の効果が薄くなったりはしないのか。この点について大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/109
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110・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置でありますが、これは経済対策として創設をされましたが、創設当初と比較しますと利用件数が減少しております。
この減少の要因につきまして一概に申し上げることは困難でありますけれども、創設当初の需要が一巡をして、それに伴い経済効果も減ってきていると認識をしているところであります。
また、本措置につきましては、導入当初から格差の固定化につながりかねないといった指摘もあったことから、今般、節税的な利用につながらないよう所要の見直しを行ったところでありますが、これは、贈与者が亡くなられたときの相続財産が一定以上の場合等に限った見直しでありまして、過度な制限とはならないと、そのように考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/110
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111・横山信一
○横山信一君 確認をさせていただきました。
本制度は、導入当初から、富裕層の子弟の教育をサポートするもので、いわゆる格差の固定化を助長するという指摘がありました。その後、この格差固定化防止の観点から累次の制度改正が行われてきております。
今回の改正におきましても、節税的な利用につながらないように見直しが行われるということでありますが、格差解消の懸念は払拭されるのか、秋野副大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/111
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112・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 今回の見直しにつきましては、資産を多く保有する者による利用が多い等の状況を踏まえまして、節税的な利用につながらないよう、贈与者が亡くなられたときの相続財産が一定以上の場合にその時点の使い残しを相続財産に加算すること、また、契約終了時の残高に課す贈与税の税率を特例税率から一般税率に引き上げるとしてございます。
先ほど大臣からもございましたけれども、与党税制改正大綱において、次の期限到来時には、利用件数や利用実態等を踏まえ、制度の在り方について改めて検討とされておりますので、政府としましても、利用件数や利用実態等の把握に引き続き努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/112
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113・横山信一
○横山信一君 じゃ、オープンイノベーションについて伺いますが、オープンイノベーション促進税制は既存株式を取得した場合も適用可能とするなどの見直しがなされます。
既存株式について、取得から五年以内に成長要件を満たした場合には五年経過後も税制上のメリットが継続する仕組みです。この成長要件について、売上増加型では売上げ一・七倍以上、成長投資型では研究開発費一・九倍以上、研究開発特化型では研究開発費二・四倍以上とされておりますけれども、それぞれの根拠について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/113
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114・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
オープンイノベーション促進税制につきましては、このスタートアップエコシステムの抜本強化の重要性に鑑みまして、今回、MアンドAにも適用できるよう、既存株の取得も対象とした上で、その対象となっているスタートアップの成長に真につながるよう、MアンドAから五年以内に売上高や投資規模等の成長要件を満たした場合にその後も減税メリットが継続し得るような制度といたしたところでございます。
この成長要件につきましては、まず、既に売上高が増加するフェーズにおきましては売上高のこの増加の状況、また、営業赤字ではあるが、極めて旺盛な研究開発を行うようなフェーズにおきましては研究開発費の増加の状況に関する要件を設定しているところでございます。
このうち、売上増加型の成長要件については、マザーズに二〇〇七年から二〇一七年の十年間に上場した企業のうち、いわゆる外れ値を除くため、上場後五年後の売上高の上位と下位の五%を除いた上で、上場五年後の売上げの伸び率が上位二五%に該当する企業の成長率を使用して、五年以内に売上高一・七倍以上といった要件を設定したところでございます。
成長投資型、研究開発特化型につきましても、同様に、こうした実績値をベースに算出した平均値等に基づいて成長要件を設定しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/114
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115・横山信一
○横山信一君 今回の改正案では、研究開発税制のオープンイノベーション型について、共同研究、委託研究の対象となる研究開発型スタートアップの定義を見直し、その範囲を拡大します。経産省によれば、この見直しによって研究開発型スタートアップに該当する企業が現行の約二百社から二千社に拡大すると、二千社以上ですね、に拡大するというふうにされています。
スタートアップと他の企業との共同研究等を推進することの重要性は理解しますが、約十倍にまで対象企業が拡大するということになりますと、当然それをしっかりと見ていくという部分についても相当な労力が必要になってくるわけでありますけれども、この共同研究等を通じて、税制優遇に見合う成果が得られたかどうかなど、税制の効果を適切に検証していくということについてどう考えるのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/115
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116・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 研究開発税制については、令和五年度税制改正におきまして、更なるオープンイノベーションの促進に向けて、幅広いスタートアップ企業との共同研究、委託研究を促すため、研究開発型スタートアップ企業の対象を大幅に充実を、拡充をすることとしております。
今回の対象の大幅拡充の効果につきましては、今後、まずは関係省庁において租特透明化法に基づく適用実態調査の調査結果などを踏まえつつ適切に評価するなど、しっかりとフォローアップをしていただくことが重要であると考えております。
財務省といたしましても、引き続き、租税特別措置については、この研究開発税制も含めその必要性や政策効果、これをよく見極めた上で不断の見直しに努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/116
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117・横山信一
○横山信一君 じゃ、インボイスについても伺います。
インボイス制度は、複数税率下で適切な課税を行うために令和五年十月から導入されます。これまでの日本の消費税制度を大きく変えるもの、また新たに生じる事業者の負担には十分配慮するということが重要であります。今回の改正案におきましても、事業者の方々の不安を受けて各種の負担軽減策が講じられることになっております。
インボイス制度の課題ばかりが報道等でも出てくるわけでありますが、一方で、先ほどの答弁にもありましたけれども、付加価値税を導入しているOECD加盟国では、日本と米国を除く、まあアメリカは付加価値税がありませんので、日本とアメリカを除くOECD加盟国は全てインボイスが導入されているということであります。
それは、このインボイス制度というのは消費税制度を運用する上で重要なものだということが国際社会の中にもあるということでありますが、このインボイス制度、円滑に導入するために政府としてどのような対応を考えているのか、大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/117
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118・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) インボイス制度、十月からの移行ということにつきまして、中小・小規模事業者の方々から様々な御心配の声が寄せられているということ、これは財務省としても真剣に受け止めておりまして、政府一体で連携して、きめ細かく対応することとしております。
この対応の具体的なことを申し上げますと、制度移行後も六年間は免税事業者からの仕入れであっても一定の割合を控除できる経過措置を設けているほか、令和五年度の税制改正におきましては、免税事業者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を売上税額の二割に軽減する三年間の負担軽減措置、一定以下の事業者の行う少額の取引についてインボイスの保存がなくとも帳簿のみで仕入れ税額控除を可能とする六年間の事務負担軽減措置などを講じることとしております。
また、令和四年度補正予算におきましては、事業者のインボイス対応のための準備が円滑に進みますように、IT導入補助金について、インボイス対応のため、より安価な会計ソフトでも購入できるよう、より安価な会計ソフトも購入できるよう補助対象の拡大、持続化補助金について、インボイス発行事業者に転換した場合の補助金額の五十万円一律引上げなど、様々な支援策の充実を盛り込んでおります。
さらに、免税事業者を始めとした中小・小規模事業者の取引について、独禁法、下請法等の取扱いの明確化、各事業者団体への法令遵守要請、書面調査や下請Gメンといった取組を通じまして取引環境の整備に政府を挙げて取り組むなど、きめ細かく対応をしているところであります。
インボイス制度、これは複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものでありまして、本年十月から円滑に実施できますように、引き続き関係省庁で連携しながら万全の対応を図ってまいりたいと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/118
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119・横山信一
○横山信一君 様々な不安の声は多くあるわけですから、しっかりとそれに応えられる対応をお願いしたいと思います。
承認酒類製造者についても伺いたいと思いますが、酒類製造者は、歴史的、文化的に地域社会とのつながりが深く、地域の中核的な存在としての役割があります。その点では、今回の改正は品目から人への見直しということで評価できるものであります。収益基盤の確保に意欲的に取り組む小規模な酒類製造者が製造する全品目の酒類を対象といたします。これまでは、対象品目ごとの前年度課税移出数量が千三百キロ以下の酒造製造者でありました。それが今回はどのように変わるかというと、前年度課税移出数量が三千キロリットル以下の者に変わるということでありますが、この三千キロリットル以下の者というのは一体その地域の中のどういう人たち、どういう事業者を指すのか、主税局長に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/119
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120・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
今般の改正案で創設されますこの酒税の新しい特例制度でございますが、経営基盤の強化に意欲的に取り組む酒類製造者であって、前年度の酒類の総課税移出数量が三千キロ、これは全ての酒類合算してでございますが、三千キロリットル以下の酒類製造者の酒税を軽減するものでございます。
その適用対象者の状況でございますが、この三千キロリットル以下の酒類製造者数は酒類製造者数全体の九八%程度となっておりまして、これまでの旧制度の適用を受けていたほとんどの酒類製造者が新制度の対象となるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/120
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121・横山信一
○横山信一君 町の造り酒屋はほとんど入ってくるということでありますので、安心をいたしました。
今日は藤丸副大臣にも来ていただいておりますので、質問させていただきます。
メガバンクらが推進をしている小口の資金決済サービス、ことら送金というのが昨年十月から始まったんですけれども、安価で効率的な送金が手軽にできるという利便性が注目をされております。
金融庁ではこのような動きをどう見ているのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/121
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122・藤丸敏
○副大臣(藤丸敏君) このことら送金というのは、政府の成長戦略を踏まえた取組でありまして、金融界において検討が進められてきたものであります。
個人間の小口決済の利便性の向上を目指す取組でありますので、金融庁としても歓迎しているところでございます。問題は、利便性と安全性の両立が図られることが重要でありますので、それを期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/122
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123・横山信一
○横山信一君 利便性と安全性という言葉が出てまいりましたけれども、利便性でいうと、この送金額十万円未満となっていまして、例えば、親元から子供の、大学行っている子供に仕送りするにしても、あるいは授業料を送るにしても十万円ではちょっと足りないという、そういうことがあります。
どういう規制があるのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/123
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124・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
ことら送金における一件当たりの送金上限、これは十万円以下とされていますけれども、これ法規、規制等ですね、法規制等でですね、基づいて設定されたものではございません。これはあくまでも、ことら送金の運営主体であります株式会社ことらにおいて設定されたものということでございます。
この上限ですけれども、サービスの稼働に向けて検討が行われたわけですが、一方で、決済の安全性の確保とか、あるいはそのために金融機関におけるリスク管理の負担と、これをなるべく抑制して、できるだけ多くの金融機関ができるだけ早期にこのことら送金に参加していただくと、こういう観点から検討がなされたものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/124
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125・横山信一
○横山信一君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/125
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126・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。
午後四時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X00320230314/126
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