1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年六月十三日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
六月八日
辞任 補欠選任
佐藤 信秋君 永井 学君
宮沢 洋一君 小林 一大君
六月九日
辞任 補欠選任
小林 一大君 宮沢 洋一君
永井 学君 佐藤 信秋君
六月十二日
辞任 補欠選任
岡田 直樹君 広瀬めぐみ君
加藤 明良君 山本 啓介君
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出席者は左のとおり。
委員長 酒井 庸行君
理 事
浅尾慶一郎君
大家 敏志君
西田 昌司君
横沢 高徳君
上田 勇君
委 員
佐藤 信秋君
白坂 亜紀君
馬場 成志君
広瀬めぐみ君
藤川 政人君
古川 俊治君
宮沢 洋一君
宮本 周司君
山本 啓介君
勝部 賢志君
柴 愼一君
秋野 公造君
横山 信一君
浅田 均君
梅村 聡君
大塚 耕平君
井上 哲士君
神谷 宗幣君
堂込麻紀子君
国務大臣
財務大臣 鈴木 俊一君
副大臣
財務副大臣 秋野 公造君
防衛副大臣 井野 俊郎君
大臣政務官
防衛大臣政務官 小野田紀美君
事務局側
常任委員会専門
員 小松 康志君
政府参考人
内閣官房内閣情
報調査室次長 七澤 淳君
内閣府大臣官房
審議官 野村 裕君
復興庁審議官 森田 稔君
外務省大臣官房
審議官 實生 泰介君
財務省主計局次
長 前田 努君
防衛省大臣官房
施設監 杉山 真人君
防衛省防衛政策
局長 増田 和夫君
防衛省整備計画
局長 川嶋 貴樹君
参考人
日本銀行総裁 植田 和男君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○派遣委員の報告
○我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要
な財源の確保に関する特別措置法案(内閣提出
、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/0
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001・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) ただいまから財政金融委員会を開会をいたします。
委員の異動について御報告をいたします。
昨日までに、加藤明良君及び岡田直樹君が委員を辞任され、その補欠として山本啓介君及び広瀬めぐみ君が選任をされました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/1
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002・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、財務省主計局次長前田努君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/2
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003・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/3
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004・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案の審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁植田和男君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/4
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005・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/5
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006・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案を議題といたします。
昨十二日に本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。横沢高徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/6
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007・横沢高徳
○横沢高徳君 おはようございます。
委員派遣について、御報告申し上げます。
昨十二日、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案の審査に資するため、委員派遣を行い、福島市において地方公聴会を開催いたしました。
派遣委員は、酒井委員長、浅尾理事、大家理事、西田理事、上田理事、加藤委員、白坂委員、柴委員、横山委員、梅村委員、大塚委員、井上委員、神谷委員、堂込委員及び私、横沢の十五名で、三名の公述人から意見を聴取した後、委員からの質疑が行われました。
まず、公述の要旨について報告いたします。
最初に、浪江町長の吉田栄光公述人からは、福島県の復興は着実に前進しているが、課題も多く、今後も中長期的な支援が必要であること、政府の令和五年度税制改正の大綱には復興財源の総額を確実に確保する旨の記述があり、しっかり取り組んでほしいと考えていること、復興特別所得税の税率引下げ及び課税期間の延長については、町民が不安感を抱かぬよう、政府が正確な情報発信や説明に努めてほしいと考えていることなどについて意見が述べられました。
次に、ドメーヌミカヅキ代表の及川恭平公述人からは、陸前高田市における農業の担い手が高齢世代中心であること、陸前高田市においてハード面での復旧はめどが付いた一方で、復興はまだ道半ばであり、引き続き支援が求められること、防衛の重要性は理解するものの、復興特別所得税の仕組みを防衛財源の確保に使用すべきでないことなどについて意見が述べられました。
最後に、ノーモア・フクシマいわき市民訴訟原告団長の伊東達也公述人からは、原子力発電所の事故によって福島県の人口が大幅に減少し、今なお回復していないこと、廃炉作業も計画どおり進んでいないなど、福島県民が被害を受け続けていること、復興特別所得税を防衛費に転用することには反対であることなどについて意見が述べられました。
公述人の意見に対し、各委員より、国の財源措置等により被災地における復興財源を更に増額する必要性、復興特別所得税に関する被災地の声や心情、自衛隊の機能及び規模に対する評価、被災地における第一次産業への新規参入者に対する支援の在り方、メディア等における防衛費に関する議論に対する若者の認識、復興特別所得税と防衛財源の関係についての政府の説明に対する評価、避難区域へ住民が戻りやすくするための方策、福島県の復興に向けた施策に関する意見等について質疑が行われました。
会議の内容は、速記により記録をいたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。
最後に、今回の地方公聴会の開催に当たりましては、公述人及び関係者の方々に、多大な御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。
以上で報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/7
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008・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) ありがとうございました。お疲れさまでございました。
以上で派遣委員の報告は終了をいたしました。
なお、地方公聴会の速記録につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/8
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009・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) これより質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/9
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010・柴愼一
○柴愼一君 おはようございます。立憲民主・社民の柴です、柴愼一です。
まずは、昨日、福島での地方公聴会が開催されました。私自身、初めての地方公聴会でしたが、酒井委員長を始め理事の皆様の御尽力、そして関係者の皆様の御協力によって有意義な公聴会になったというふうに思います。本当にありがとうございました。
三人の公述人から、それぞれの立場から生の声、思いを聞かせていただきました。私自身も多くの気付きがあったということで、今後の審議に生かしていきたいというふうに思っております。
それでは質問に入りたいというふうに思います。
まずは、令和十年度以降の防衛費の確保や水準などについてお聞きしたいというふうに思います。
防衛関係費は、その構造から、購入費を上回る維持費が必要であり、後年度負担が大きいという特徴があるというふうに認識をしています。令和十年度以降の防衛関係費の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/10
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011・小野田紀美
○大臣政務官(小野田紀美君) お答え申し上げます。
防衛力整備計画において、将来の防衛費の水準について、令和九年度の防衛関係費については八・九兆円程度とするとともに、その後の整備計画については、令和五年から九年度の五年間における集中的な整備を適正に勘案した内容とし、令和九年度の水準を基に安定的かつ持続可能な防衛力整備を進めることとされています。この点、今回の防衛力整備計画で相当数の部品や装備の整備を行うため、令和十年度以降は安定的かつ持続可能な防衛力整備を進めることが可能であると考えており、これを踏まえれば、防衛関係費の規模を持続可能な水準とできるものと考えております。
さらに、前中期防期間中には、様々な効率化努力により一・七兆円のコスト縮減を図っておりまして、このような取組を今後も実施してまいりたいと思っております。
いずれにいたしましても、令和十年度以降についても、その時点における国際情勢等を勘案しつつ、我が国を将来にわたり守り抜くために必要な防衛力の整備をしっかりと行っていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/11
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012・柴愼一
○柴愼一君 ありがとうございます。
やっぱり、防衛関係費はテレビとか冷蔵庫とは違うと、一旦買うとしばらくお金掛からないなということではないというふうに思います。維持費やライフサイクルコストも含めて掛かるということでいくと、図でいくと八・九兆円がずっと続いていくような、なっているということだと思います。
そうすると、この本法案は、令和五年度から九年度の五年間の防衛財源を確保、それも一部だというふうに私は思っていますが、令和十年度以降も同水準かそれ以上の財源を確保する必要があるというふうに思っていますが、その見通しについてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/12
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013・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 抜本的に強化される防衛力を将来にわたって維持強化していくためには、裏付けとなるしっかりとした財源が必要と考えております。具体的には、先生、先ほどおっしゃっていただきましたとおり、令和九年度以降、毎年度約四兆円の財源が必要と考えているところであります。
具体的には、歳出改革で一兆円強、決算剰余金の活用で〇・七兆円程度、防衛力強化資金を通じた税外収入の活用で〇・九兆円程度、税制措置で一兆円強必要になると考えておりまして、その上で、それぞれの財源の確保の見通しにつきまして具体的に申し上げますと、歳出改革につきましては、令和五年度予算において、骨太の方針に基づき、これまでの取組を実質的に継続する中で約〇・二兆円の防衛関係費の増額、確保をいたしました。令和六年度以降も毎年度の予算編成における歳出改革を継続し、令和九年度時点において令和四年度と比べて一兆円強の財源を確保できると考えております。
次に、決算剰余金については、直近十年間の平均が一・四兆円程度であることを踏まえまして、財政法上、公債又は借入金の償還財源に充てるべき二分の一を除く残りの二分の一の〇・七兆円程度を活用見込額として見込んでおりまして、過去の実績を踏まえた根拠ある見通しに基づく財源であると考えております。
税外収入につきましては、年度によって変動が生じます。単年度で見れば一定額の財源が確実に見込まれるものではありませんけども、令和五年度予算において、今後五年間の防衛力強化のための経費に充てられる税外収入四・六兆円を確保したことも踏まえ、年平均〇・九兆円程度の財源を確保できるよう、今後も引き続き更なる税外収入の確保に最大限努めていくとともに、防衛力強化資金を活用し、防衛力の整備に計画的、安定的に充てていきたいと考えております。
財務省としては、これらの様々な取組により、必要な財源、しっかりと確保してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/13
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014・柴愼一
○柴愼一君 御説明いただきましたが、安定財源と言われるものは、言えるものはほとんどないというふうに私は認識をしています。
そして、ここに来て骨太の方針の原案が示されているという中でいくと、今日の新聞にも、防衛財源、二五年度以降もということも報道されているということでいくと、ここに書いてあるのは、五兆円超の税外収入の上積みやその他の追加収入を含めた取組の状況を踏まえて柔軟に判断していくという考え方が示されています。そして、同様に骨太の方針の原案では、新型コロナウイルスで膨張した歳出の構造を平時に、平時に戻していくという方針を示されています。そういう報道もあります。
とすると、決算剰余金についてもコロナ前の水準というふうになるんじゃないかと、見込む額が確保できなくなるんではないかというふうに思いますが、この辺についての認識をお聞かせいただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/14
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015・前田努
○政府参考人(前田努君) お答えを申し上げます。
今、柴先生が御指摘がございました骨太の方針の原案でございますけれども、これにつきましては、まだ現在与党の方でも御議論中ということもございまして、ちょっとこの段階で我々の方からコメントすることは差し控えたいと考えてございまして、我々といたしましては、先ほど副大臣の方から御答弁ございましたとおり、しっかりと財源については確保していきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/15
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016・柴愼一
○柴愼一君 まさにこの法案を議論をしている最中にまた並行してそのような議論が行われ、だから、秋野副大臣がおっしゃっていただいていること自体が動いているという、議論の土台がぐらぐら動いているんじゃないかというふうに思うと、もう一度立ち止まって再提案するべきじゃないかというふうに思います。そのことは強く申し上げたいというふうに思います。
一方、本法案は、この防衛力を抜本的に強化する、抜本的に強化するための防衛費の一部を確保するというものです。我が会派は、衆議院の議論を始め、税制措置も含めた全体パッケージを示すべきというふうに主張をしてきています。それとともに、防衛力の安定的な確保を図るのであれば、そのことに加えて、令和十年度以降の財源の見通しも確たるものをしっかり併せて示すべきだというふうに考えますが、政府のお考え、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/16
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017・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 先ほど柴先生おっしゃいましたけど、税制措置の部分につきまして、まず開始時期につきましては、昨年末に閣議決定をした枠組みの下で、行財政改革を含めた財源調達の見通し、景気や賃上げの動向及びこれらに対する政府の対応を踏まえて、今後柔軟に判断していくこととしているというのは、総理からもかねて御説明をさせていただいているところであります。
御指摘いただきました税外収入等の更なる確保に努め、税制措置の開始時期については、閣議決定した枠組みの下で、引き続き、政府・与党で緊密に連携をして、柔軟に判断をしながら、財源、しっかりと確保してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/17
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018・柴愼一
○柴愼一君 また引き続き議論をさせていただきたいというふうに思います。
昨日の公聴会では、公述人の方から、防衛費の必要性というのは一定理解をしているんだと、大切なことだということはありつつも、やっぱり、説明が足りないとか納得感がないとか被災地に寄り添ったものではないという声もありました。一方、財源をしっかりと確保してほしいということは強く要望がされたというふうに思います。
二〇三七年末までとしていた復興特別所得税については一%下げるということで、何年延長する見通しかということについて確認したいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/18
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019・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 昨日、地方公聴会開かれて、様々御意見が出たということを先ほど御報告を聞きまして、しっかりと承ったところでございます。
そこでもいろいろと議論になったと思うんでありますが、復興特別所得税の課税期間でありますが、これの延長幅につきましては、税制改正大綱において、復興事業の着実な実施に影響を与えないよう必要な長さとすることで復興財源の総額を確実に確保するとされているところでございます。こうしたことから、柴先生御指摘の課税期間の延長幅、何年までというその延長幅の見通しにつきましては、税制改正大綱を踏まえて、今後改めて与党税制調査会において議論が行われるものと承知をしております。
現時点で、税制措置の開始時期を含め、具体的に言及することができないわけでございまして、そのことについては御理解をいただきたいと思いますが、我々としては、その延長幅、復興事業の着実な実施に影響を与えないような必要な長さとすると、それによって復興財源の総額を確実に確保する、その長さのその期間であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/19
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020・柴愼一
○柴愼一君 ありがとうございます。というか、どれだけ延ばすかはまだ未定ということですけど、そこがやっぱり財源確保されるのかどうかという不安につながっているんじゃないかというふうに思います。
復興庁は、復興事業に必要な額をどのように見積もっていらっしゃるんでしょうか。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/20
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021・森田稔
○政府参考人(森田稔君) お答えいたします。
現在、復興事業につきましては、令和三年から七年までの五年間を第二期復興・創生期間として取り組んでございまして、その三年に閣議決定された復興の基本方針におきましては、復興のステージが進むにつれて生じる新たな課題や多様なニーズにきめ細かく対応しつつ、本格的な復興再生に向けた取組を行う、それから、特に福島の復興再生につきましては中長期的な対応が必要であり、第二期復興・創生期間以降も引き続き国が前面に立って取り組むこととされてございます。
その上で、復興事業の規模と財源につきましては、平成二十三年度から令和七年度まで十五年間、総額三十二・九兆円程度と見込んでございますが、その先、令和八年度以降も見据えた今後の復興事業に係る費用の見込みにつきましては、事業の進捗状況、予算の執行状況、被災地からのニーズの変化等を丁寧に把握しながら検討していく必要があると考えております。
現時点では、この第二期、令和三年から令和七年の五年間の歳出のうち、実績としては一年目、令和三年度の決算しか確定していない時点でございますので、今後の費用の見込みにつきまして現時点でお示しすることは困難であると考えてございます。
いずれにいたしましても、税制改正大綱にもございますように、息の長い取組をしっかりと支援できるよう、確実に財源を確保することとされてございますので、復興庁といたしましても、必要な復興事業の実施に支障を来さないよう、予算の確保には取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/21
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022・柴愼一
○柴愼一君 ありがとうございます。
政府は、帰還困難区域の全てを避難指示解除するという方針を明らかにされています。とすると、除染をしていくというその除染の費用と、またその除染した土の処理も含めて、大変な額になるんじゃないかというふうに思っていまして、今言われたとおり、終わりが見通せない状況になっているとすると、いつまで延ばすのかということを含めて、まさに被災地の皆さんが不安になるんじゃないかというふうに思います。
その辺の、是非、政府の方針に基づく、どれだけ費用が掛かって、どれだけ復興特別所得税を徴収するのかということを是非試算いただいて、資料を提出いただきたいというふうに思います。
取り計らい、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/22
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023・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 後刻理事会で協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/23
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024・柴愼一
○柴愼一君 そして、復興事業もいつかは、いつかは完了する、完了するんだと思います。復興特別所得税も徴収不要となる時期がいつかは、いつかは来るというふうに思います。そうすると、その後は、このように防衛財源の安定的な財源が見通せない中で、防衛費確保のための所得税の付加税を二・一%にするんじゃないかというふうに私は思うんですが、それについて財務省としての考えはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/24
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025・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) これから先の防衛費の抜本的強化に係る財源の確保でありますけれども、令和十年以降も安定的に確保していかなければならないということで、私どももその先のことも考えているわけでありますが、更なる先のことにつきましては、その時々の税収がどうなっているのか、それから、その以前に、我が国を取り巻く安全保障環境がどういうふうに変化をしているのか、そういうことも踏まえて、そのときに時々のそういう重要な項目を勘案しながら決めていくということになるんだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/25
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026・柴愼一
○柴愼一君 おっしゃることはごもっとも、その先のことは本当にそのときに考えなければ分からないということでしょうが、これまでもやっぱり枠組みを、税確保の枠組みをつくったものについてはなかなか引き下げてこなかったということでいけば、そのことについても、やっぱり二・一%取っているとすればそれを継続していくんじゃないかというふうに私は思ってしまうんです。
そうすると、結果として、復興のためにということで国民が協力してきたその二・一%という復興特別所得税の枠組みをそのまま防衛費に流用することになるんじゃないかというふうに思います。それはまさに、枠組みの流用じゃなく、今度は乗っ取りになるんじゃないかというふうに思います。もしそうでないんであれば、もうそういうことはしないということを是非、目的税として終わったらそれはなくすんだということをちょっと明言いただけたらというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/26
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027・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) それは先ほど答弁させていただいたとおりでございまして、そのときの様々な変化し得る情勢がございますので、そういうもろもろを踏まえて判断していくということになるんだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/27
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028・柴愼一
○柴愼一君 目的税として説明をして、それで理解をいただいたものを目的終了後についても別なことに使うということが続けば、今後の政府の政策判断、政策決定に理解が得られなくなるというふうに思いますので、このことについては十分受け止めていただきたいというふうに思います。
続いて、我が国の財政状況についての認識をお聞かせいただきたいというふうに思います。
総合的な防衛力には財政余力が必要だというふうに言われています。特に有事の際は我が国の経済や財政面に大きな影響が生じるということで、なぜ財政余力が必要なのか、政府の認識についてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/28
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029・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 財政は国の信頼の礎でありまして、柴先生がおっしゃってくださいましたとおり、有事であっても日本の信用や国民生活が損なわれないようにするため、平素から財政余力を確保しておくことが不可欠と考えてございます。
この財政余力の確保ですけれども、有事の際に大幅に財政需要が増加するような場合にあっても、必要な資金を市場から調達することができるように、しっかりとした財政基盤を維持強化することであると理解をしております。そのためには、平素から我が国財政に対する市場からの信認を確保できるような財政運営を行うことが必要だと考えております。
その上で、我が国の財政余力について申し上げますと、現在、大量の国債が低金利でかつ安定的に市場で消化されており、市場の信認を維持し必要な資金を調達できているという意味では、財政余力が失われているような状況が生じているとは考えておりません。
一方で、日本の財政は、これまでの新型コロナへの対応に伴う累次の補正予算の編成等により、過去に類を見ないほど厳しさを増しております。こうした中で、有事の際における大幅な財政需要の拡大に適切に対応するためには、引き続き経済再生と財政健全化の両立に取り組むことで、平素からの財政余力を確保していくことが必要と考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/29
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030・柴愼一
○柴愼一君 現在は財政余力がある状況ということですが、今言われたとおり、現在はということだと思います。まさに、日銀や政府の取組によって二%のインフレが実現して、通常の金融政策に移行してきた際は、また違う状況になるんだというふうに思います。
財政余力については、やっぱり債務残高をこれ以上増やさないようにするということが必要だというふうに思います。もちろん、必要な政策にはその財源を付けていくということはもちろんです。そのことを踏まえた上で、その方向に少しでも着実に進んでいくということが大事だというふうに思っています。西田先生はちょっと意見が違うかもしれませんが。
現時点におけるプライマリーバランスの黒字化に向けた政府の方針、そして達成に向けた見通しについてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/30
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031・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 防衛費の抜本強化ということで、防衛費を増額をお願いしている中でPB黒字化に対する影響はどういうことになっていくのかという、そういう御質問だったと、こういうふうに理解いたします。
一月に内閣府から公表をされました中長期試算におきましては、今般の防衛力強化に係る歳出歳入両面の対応も織り込んだ上で試算を行っておりまして、その結果、力強い成長を実現をし、今後も歳出効率化努力を継続した場合には、前回の試算時、これは二〇二二年七月でありましたが、そのときと同様に、二〇二五年度に国と地方を合わせたプライマリーバランスが黒字化するという姿が示されているところであります。
したがいまして、今般の防衛力の抜本的強化とその財源確保の取組によるプライマリーバランス黒字化への影響、これは限定的であると考えておりますが、政府といたしましては、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信頼を確保できますように、経済再生と財政再建の両立を図ることで、引き続き責任のある経済財政運営に努めてまいりたいと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/31
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032・柴愼一
○柴愼一君 今の説明、ちょっと無理が、無理があるなというふうに思います。まさに、赤字国債の発行を抑制したりとか国債の償還に充てるべき決算剰余金も含めてそれを防衛費に回していくということになれば、プライマリーバランス黒字化に与える影響というのは限定的というのは余りにも小さな評価じゃないかというふうに思います。
平時においては、不測の事態に備えて財政余力を生み出す努力を続けていくということ、財政再建という視点だけではなくて、経済成長や我が国の経済の活力を生み出す政策を打つ原資が必要だというふうに思います。防衛力に偏った予算配分には大きな問題があるというふうに思います。もちろん必要だということは認識しつつも、そういうことを申し上げたいと思います。
そして、子ども・子育て予算、こども未来戦略方針においては、三兆円半ばとする財源も明らかになっていません。これらも含めて、我が国が直面する課題を全体的に、総合的に検討するべきだというふうに思いますが、政府の見解、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/32
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033・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今回の防衛力の抜本的強化については、私どもとして、これを強化にする財源、確かな財源、それをしっかり示させていただいたと思っております。
そして、子ども・子育ての財源につきましても、この間、この方針を示しまして、どうしても年末の予算編成過程に関わるものもありますので、それを待たなければならない部分もございますが、年末に向けてこの確かな財源をお示しをしていくということを言っているわけでありまして、今、柴先生から御指摘があったようなことにつきましても、政府としてしっかりとした枠組み、これを示していくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/33
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034・柴愼一
○柴愼一君 身の丈に合わない過大な防衛費の増額、そしてそのための無理やりの財源の確保は、結果として我が国の総合的な防衛力を低下させることになるということを改めて指摘をしたいというふうに思います。
財源確保に無理があれば、結果として、今申し上げたように、総合的な防衛力というのは低下をします。真に必要な防衛力、防衛装備を精査をしていくことが必要です。そのための詳細な内訳などに関する更なる質疑が必要であるということを申し上げて、時間になりましたので質問を終わりたいというふうに思います。引き続きの御審議、よろしくお願いします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/34
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035・浅田均
○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。
今日もまた、日銀の植田総裁にお越しいただいております。
先回のやり取りの中で、私にとりましては、植田総裁は非常に重要な発言をしていただいたと受け止めております。前回の本委員会で植田総裁は、長期的にインフレ率が二%になったときはインフレ予想も大体二%になるという御発言をされております。そうお考えになる根拠を教えていただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/35
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036・植田和男
○参考人(植田和男君) これは複数の御説明の仕方があると思いますけれども、まずごく単純なもので申し上げますと、現実のインフレ率が二%になって、私の頭の中ではそれがある程度の期間続くという状態というふうに考えましたので、それを人々がデータとして、あるいは報道として見るということが続くわけですから、予想インフレ率もだんだん二%に近づいていくであろうということが言えるかなと思った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/36
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037・浅田均
○浅田均君 何か割と単純な根拠ですね。単純な根拠が当たっている場合もありますけれども。
前回、総裁が講演された資料の中でフィリップス曲線というのを使われておりました。それで、私もフィリップス曲線というのを使わせていただいて、長期的に二%に上がっていくインフレ予想、期待インフレ率が二%に上がっていくという、上にシフトする分が予想インフレ率だというふうな御説明もいただいております。
それで、前回もお話しさせていただいたと思うんですけれども、そのフィリップス曲線というのは元々、失業率と物価に関わる式でございまして、カーブでございまして、それが変数を変えることによって、横軸にGDPギャップ、それから縦軸にCPIを取って、右肩上がりの、まあ曲線ですけれども、直線に近似されています。
長期的にそのインフレ率イコール予想インフレ率ということになりますと、GDPギャップはゼロになると。だからGDPギャップにガンマというのを掛けるんですけど、ガンマというのはゼロから一の値だと思いますけれども、ゼロにはならないので、GDPギャップはその時点でゼロになっているというふうにお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/37
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038・植田和男
○参考人(植田和男君) GDPギャップの方も、そちらの方を直接見るという見方でまず御説明しますと、マクロ的な需要と供給のギャップでございますので、長期的あるいは景気循環をならしてみれば、そこはゼロになっているというふうに考えるのが自然かと思います。
その上で、おっしゃいました、先生おっしゃいましたフィリップスカーブとの整合性ということで申し上げれば、それによれば、インフレ率がGDPギャップと期待インフレ率、予想インフレ率で決まるという関係ですので、ギャップのところがゼロになっている、それで予想インフレ率が二%になっているという姿は、左側にあります現実のインフレ率が二%になっているという姿と整合的であるということになるのかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/38
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039・浅田均
○浅田均君 この辺りまでは考え方は全く同じなんですけれど。
それで、先般、経済財政諮問会議で、植田総裁とか清滝先生とかそうそうたるメンバーが、マクロ経済、とりわけ金融政策について議論されているその議事録も読ませていただきました。経済財政諮問会議で骨太の方針二〇二三というのは出てきているんですけれども、その言語化させたものはあるんですけれども、その裏付けとなる資料がまだ公表されておりません。それで、資料として今皆様方に見ていただきたく配付させていただいているのは、一月の資料でございます。この一月の、六か月、五か月余りたっていますのでこれもかなり変わっているとは思うんですけれども、これを基にお話をせざるを得ないと。
今総裁がおっしゃいましたように、GDPギャップがゼロになっている、すなわち実際のリアルなGDPの成長率と、それから潜在成長率がイコールになっていると、差がゼロということはイコールになっているということでございます。この潜在成長率、実質GDP成長率、資料一ですね、見ていただきますと、潜在成長率と実質GDP成長率が同じ値になっているのは、今、昭和、昭和の次が令和でしたか、平成……(発言する者あり)あっ、そうか、令和。三二年と書いてあるの、これ。済みません、西暦です。西暦二〇三二年度、これ成長実現ケースなんですけれども、これを取らないことにはどうしようもありませんので成長実現ケースを取らせていただきましたけれども、潜在成長率とリアルな実質GDPの成長率が等しくなっているのが、あっ、済みません、二〇三二年と、それから二〇二六年から二七年にかけてになると思います。
ここで総裁にお伺いしたいのは、二〇二六年頃あるいは二〇三二年に潜在成長率とリアルの実質成長率が等価になって差がゼロになるということでありますが、この年の、これ通告で実質と書いてしまったんですが、名目成長率、名目のGDPは大体どれぐらいになっているとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/39
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040・植田和男
○参考人(植田和男君) 内閣府の試算では名目GDP成長率も示されているかと思います、この表にもございますが。これに対して私ども日本銀行では、二〇二六年あるいは三二年というような先のところまでの見通しは、残念ながら今のところ作成してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/40
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041・浅田均
○浅田均君 一つ注文があるんですけれど、GDPギャップの計算にしても、内閣府の計算と日銀の計算が常に若干ながら違っていると。だから、そういうところで予測して絶対実務もされているわけですので、そういうところなんかは、内閣府はこういう資料に基づいて結果はこういう結果を得ていると、それで日銀はこうですよと、いつも違うというところで試算が二つ出てくるんですね、GDPギャップにしてもマイナスの幅が違ったり。だから、そういうところを一つ工夫して、何とか統一のデータに基づいて政策を講じるというふうにしていただきたいなというのは、これは注文ですので、またお考えいただきたいと思います。
それで、今日はどうしても鈴木大臣にまでお尋ねする必要がありますので、もう一個、植田総裁にお尋ねしたいのは、この一月の中長期的なマクロ経済の姿、これも内閣府が作ったやつでありますけれども、資料の二の方ですね、これ成長実現ケースというやつで、細かい数字が並んでいるんですけれども、名目成長率というのはインフレ率プラス実質の経済成長率と、また名目長期金利はインフレ率プラス実質金利であると。インフレ率というのは毎回変更になるんですけれども、この成長実現ケースを見ますと、二〇二六年と二〇三二年、これ、さっき言いました潜在成長率とリアル実質成長率が等しくなるということで、インフレ予想がインフレ率イコールになるというところでございますが、二〇二六年と二〇三二年の名目長期金利は〇・六と三・一になっているんですね。これ、インフレ率が二%成長を達成しているということですから、実質金利はマイナス一・四%と一・一%という計算になります。
果たして、この長期金利で量的緩和をされていると、だから短期金利はもうゼロにへばりついて長期金利でマイナスの金利を導入して、それから十年物国債の利率がゼロ%になるようなQQEで調整をされているということであって、そういうところから見ますと、この実質金利がマイナス一・四%とか、まあ一・一%というのは考えられるんですけれども、実質金利がマイナス一・四%になるというような事態は、総裁はあり得るとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/41
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042・植田和男
○参考人(植田和男君) 御質問でありますが、私の立場から内閣府の試算結果についてコメントをさせていただくことは差し控えたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/42
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043・浅田均
○浅田均君 何か、ここでなかったらしゃべっていただけますか。いや、まあお答えにくいでしょうから答弁は求めませんけど、またそのうち、お近づきになって、一杯やりながら本音の話を聞かせていただきたいと思います。
それで、お待たせしました。
総裁、ありがとうございました。総裁に対する質問はここまででございますので、よろしければ御退席いただいて結構ですが、鈴木大臣がどういうことをおっしゃるか御関心があれば御在席いただいて結構でございます。
鈴木大臣、ここで……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/43
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044・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) もしよろしければ、総裁、御退席いただいても結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/44
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045・浅田均
○浅田均君 もしよろしければいらっしゃっても。(発言する者あり)あっ、そうか。じゃ、委員長に従います、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/45
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046・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) どうぞ、植田総裁、よかったら御退席しても結構です。いらっしゃるんならそのままでも結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/46
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047・浅田均
○浅田均君 ここで一番の本題に入りたいんですけれど、財務省は、この防衛力強化のための予算、将来的には財源を増税で、増税に求めると。とりわけ、所得税、法人税、たばこ税もありますけれども、所得税、法人税とした理由は何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/47
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048・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今般の防衛力強化の財源確保に当たりましては、増税ありきではなくて、国民の皆さんの御負担をできるだけ抑えるべく行財政改革の努力を最大限行った上で、それでもどうしても足りない約四分の一につきまして、今を生きる我々世代の、我々の将来世代への責任として税制措置での対応をお願いさせていただきたいと考えているところであります。
このうち、防衛力強化に係る税制措置の内容につきましては、与党税制調査会において、防衛力の強化は国民の命、暮らし、事業を守るためのものであるという観点や国民各層の負担能力や現下の経済情勢にも配慮しつつ、幅広い税目について議論が行われた結果、法人税、所得税、たばこ税という三税目による対応となったものであると、そのように承知をしているところであります。
その上で、法人税、所得税が対象とされた理由は、防衛力の強化、先ほど申し上げましたが、国民の命、暮らし、事業を守るためのものであって、個人や法人に広く裨益するものであることを踏まえたことによるものと、そのように理解をしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/48
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049・浅田均
○浅田均君 行革をやるだけやってとおっしゃいましたんですけど、私ども、大阪府府議会におりましたときに、大阪府というのは予算規模三兆円ですよ、それで年間千百億円の収支改善をやりました。橋下さんのときの改革です。だから、国の予算というのはその三十倍ぐらいあるわけですから、二千百億円とか、そういうちまちました行革というのは私どもにすれば行革に入らないと思いますので、もっと大なたを振るっていただきたいと思っております。
それで、今、日銀の植田総裁と議論させていただいておりまして、インフレ率、長期的に二%を目指していると、その暁には予想インフレ率、期待インフレ率も二%近くになっているだろうというお話でありましたけれども、今、国民の皆さんに、この所得税増やします、それから法人税も増やします、つまり国民の皆さんにとりましては可処分所得は減るわけですね。可処分所得は減って、期待インフレ率、インフレ予想が高まりつつあるのに、それに水を差すような政策ではないかというふうに私は思っておるんですが、鈴木大臣の御見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/49
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050・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今般の税制措置のうち、法人税につきましては、地域経済、雇用を支える中小企業に配慮する観点から、控除額五百万円、これは所得にいたしますと二千四百万円程度でありますが、そこまでは付加税が課されない仕組みとなっております。これによりまして、全法人の九四%は対象外となるなど、手厚い配慮がなされているところであります。
加えて申し上げますと、令和三年度において法人の申告所得金額が過去最高を記録するなど企業業績が好調である中、先ほど申し上げましたその法人税率に換算をいたしますと、付加税を課すわけでありますが、法人税率に換算すると一%程度の御負担をお願いをするものであります。つまり、対象も六%、そして負担をいただくものも法人税率に換算すると一%程度ということで配慮がなされているところでございます。したがいまして、賃上げを含む企業活動に対して過度な影響を与えるものとはなっていないと、そのように考えているところであります。
また、所得税につきましても、現下の家計の負担増にならないよう配慮する観点から、新たな付加税と復興特別所得税を合わせた付加税率が現在と変わらない仕組みとしているところでございます。その上で賃上げ、これは重要な政策課題でありまして、税制上も令和四年度税制改正において賃上げ税制の大幅な拡充を行ったところであります。
さらに、政府としては、賃上げに取り組む中小企業等の生産性向上の支援の拡充などに取り組むとともに、成長分野への円滑な労働移動への投資の強化と一体的に進めるなど、三位一体の労働市場改革に取り組むことで構造的な賃上げを目指していきたいと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/50
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051・浅田均
○浅田均君 もう時間来ておりますので終わりますが、重要なのは額ではなしにメッセージなんですよ、メッセージ。だから、インフレ率二%達成というのは、期待がそうさせるわけですので、それに水を掛けるような所得税増税とか、そういうのは御再考いただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/51
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052・大塚耕平
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
毎回、浅田先生がいい資料を配っていただけるので、秘書官、申し訳ないんですが、財務大臣に浅田先生の資料をちょっとお手元に御用意いただいていいですか。
財務大臣、今、浅田先生がお配りいただいた資料二の方に、内閣府のいわゆるマクロ経済や予算の見通しが二〇三二年まで書かれているんですが、今日質問させていただきたい二点目を先にお伺いしますと、今回、これ防衛財源の話をしているわけですが、十年後、二十年後の防衛費の所要規模というのはどんな感じになるというふうに大臣は御想像していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/52
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053・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) まず、新たな防衛力整備計画、今回お示ししたものにおきましては、将来の防衛費の水準について、二〇二七年度の、令和九年度でありますが、防衛関係費につきましては八・九兆円程度とするとともに、令和二十八年度、あっ、失礼しました、二〇二八年度、令和十年度以降の整備計画については、二〇二三年度から二〇二七年度までの五年間の装備品や施設の集中的な整備等を適正に勘案した内容として、二〇二七年度の水準を基に安定的かつ持続的、持続可能な防衛力整備を進めるものとするとしているところでございます。これに沿って防衛力を整備していきたいと考えております。
その上で、大塚先生からお尋ねのあります十年後、二十年後の防衛費の具体的な所要規模につきましては、やはり、その時点におけます我が国の安全保障環境に加えまして、今後の技術革新の進展の度合いなど、現時点では予見し難い様々な要因の影響も受けることと考えられますので、今の段階で具体的な規模等を責任を持って申し上げることはなかなか難しいと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/53
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054・大塚耕平
○大塚耕平君 大臣、今の浅田さんの資料の資料二を見てください。資料二の下の方に、国の一般会計の姿って書いてあるじゃないですか。これ歳出、二〇二一年度、百四十四兆六千億円、二〇三二年まで見通していて、途中は百十兆円台に下がって、二〇三二年には百三十九兆円になっていると。しかも、主要な内訳項目で社会保障関係費、地方交付税、国債費、その他とあって、これ、防衛費はここに入っていないんですよ。
つまり、これ内閣府には改めてまた来てもらってじっくり話しますけれども、政府全体の対応が物すごく不整合になっているんですね。もう内閣府も今までは、このマクロ経済モデルの予想で二十年間、こういう資料を出してこういう議論をしていたわけですが、今この期に及んで、こういう議論をしているときに、大体二〇三二年までこういう数字を出して、そこには防衛財源については何の想定も置いていないということでは、これ、この後の議論に大変支障を来すと思います。
この内閣府のモデルは、まあ長い皆さんは御承知のとおり、これ二〇〇〇年代にモデルを導入したけれども、これ随分昔は議論しましたけれども、日本の内閣府のモデルというのは他の先進国が使っている経済モデルに比べたら物すごい小規模なもので、しかも、そこに埋め込まれているロジックというのは、我が国の財政や金融政策が今のような状態を想定していないオーソドックスなロジックと。それから、モデルの計算の結果出てくるその変数よりもモデルを回すときにあらかじめ入れる外生変数の方が物すごく多いという、非常に信頼性に欠けるものなんですよ。
そういうものを片方では内閣府がこうやって示しながら、これから対外的な環境によっては防衛費どうなるか分からない中で今後の防衛財源の議論をしようとしている、というか今しているわけですね。だから、今たまたま浅田先生がお示しいただいたこの資料と、もう我が国の財政、金融が抱え込んでしまった非常に難しい状況と、そして今ここでやっている防衛財源の議論がうまくしっかりはまっていないということは御理解いただいた方がいいと思います。来年以降、もうこの内閣府のモデルをこういう項目で示す、しかも二〇三二年までこういう数字を出すということの当否については、私もちょっと内閣府呼んでしっかり議論をしますけれども、大いに問題があると思います。
それで、今日、私の方からは、もう一つ、戦間期財政金融政策史という、また面倒くさい資料をお出ししたんですが、これ実は、平成二十九年一月三十日に予算委員会で安倍総理とお話しさせていただくときに使ったものです。過去のものなので陳腐化する代物ではありません。財務省にも当時協力をしてもらって、財務省や日銀からデータも出してもらって作ったものなんですが、表面のシャドーを掛けてあるところが、これが俗に言う高橋財政が行われた時期であります。
高橋是清財務大臣、四回目に就任された後に、今でいう防衛費を増強しなきゃいけないということも含めて、三年間はやってみせますと、日銀による国債の直接引受けも含めてしっかりおやりになって、しかし三年たったところで、三五年の十二月に、一九三五年の十二月に、もう来年度はそういう予算編成はやりませんと、軍事費も例外ではありませんということをおっしゃって、それから二か月後に二・二六事件が起きたということであります。
財務大臣にお伺いしたいのは、財政当局として、マネタリーベースの対GDP比、今ももう過去例のない水準まで来ているわけですが、どの程度までは許容可能だというふうに考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/54
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055・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) マネタリーベース、これは流通現金と日銀当座預金の合計値でありますが、基本的には日銀が金融政策として行っている資産買入れの結果によって決まってくると承知をいたします。
二〇二三年五月末時点のマネタリーベースは約六百七十二兆円でありまして、日銀が金融緩和を推進する中で増加傾向にあると承知をしていますが、金融政策の具体的な手法、これは日銀に委ねられるべきと考えておりまして、金融政策の結果とも言い得るマネタリーベースの水準に関して政府としてコメントすること、これは控えたいと思うところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/55
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056・大塚耕平
○大塚耕平君 大臣、この私がお示しした今日の資料の表面の、その高橋財政のところの右の方の列を見てもらうと、数字がいっぱい並んでいますけれども、MBと書いてあるところがありますよね、MB、上に見ていただくと。これがマネタリーベースなんですよ。高橋財政の頃は、例えば一九三一年は前年比マイナス五・六、三二年は五・二、三三年は七・三とか、こういう水準なんですよ。アベノミクスの前半の頃には、このマネタリーベースは前年比四〇%とか五〇%で増えたわけです。
ちょっと裏面見ていただくと、結局、あの当時、副総裁になられた岩田規久男さんを中心にした皆さんのお考えに沿って、まあほかの皆さんもいたと思うんですが、政策が組み立てられたんですが、そのきっかけになった岩田規久男元副総裁の「昭和恐慌の研究」というこの本を引用して随分いろんな方がいろんなことをおっしゃっていたんですが、その当時も私申し上げましたけど、結果としては、この岩田さんたちの認識が間違っていたということが、もうこうやって十年たってもう赤裸々になってきているんですね。
その下の方にその引用が書いてありますが、例えば、赤字国債の日本銀行引受けを実行し、今日、高橋財政と呼ばれる新たな政策レジーム。当時も申し上げていたのは、もうその日銀が公開市場操作で事実上の日銀引受けをやっちゃっているので、これからやるという話じゃなくて、もうそれやっちゃっているんですと。それから、二段目の行も見ていただくと、低金利政策って書いてあるけど、もう低金利政策、もうやるところまでとことんやっちゃっていたわけですよ。
それから、財政支出の拡大もやっているし、それから一番下のところが、金本位制からの離脱って。これは、そういうことはもうなし得ない状況でしたが、金本位制からの離脱、つまり信用通貨制度を取っていて、だから、日本円が基軸通貨としての役割を果たすような状況をつくるんだったら分かりますよという話で、これは、実は一九八〇年代ぐらいから繰り返しいろんな人が主張して実現できなかった。しかし、これを実現するためには防衛力もしっかり持たなきゃいけないというのが、これが基軸通貨の要諦ですけれども。
つまり、今日申し上げたいことは、元々もうそういう状況になかったときにマネタリーベースを増やせば何とかなるという政策で十年走ってしまったんだけど、本当はその間に、まさしく科学技術であるとか人材育成であるとか、それから、それを担う人たちがそういうインセンティブを高めるような所得水準がどんどん上がっていくというようなことをやらなければならなかったんだけど、やれないで、十年たってみたら、そういう様々な問題が今ありますということが岸田総理も認めることになった。しかし、そのときに運悪く国際環境が厳しい状況になって、我が国は防衛費を増やさなきゃいけないと。そのときに、昔の伝統的な考え方と手法でやりますかということが今問われているんです。
だから、西田さんのような御主張とか私のような主張が意味を持ってくるわけで、もうこれは、申し訳ないけど、いかに優秀であっても財務省の官僚の皆さんや日銀の事務方の皆さんでは、これが三十年間平穏無事な中でやっていいですよと言われたらできますけれども、伝統的な考え方で、五年スパンで結論を求められているときに従来型の考え方の財確法ではうまくいかないということを申し上げて、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/56
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057・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
GDP比二%先にありきの大軍拡の下で、FMSによる米軍製兵器の爆買いの支払が青天井になるということを先日はただしました。
国内ではどうかと。自衛隊に関わる調達や事業では、これまで繰り返し談合が大問題になってきました。二〇〇六年の防衛施設庁による官製談合事件では、三人の現職、元職の職員が逮捕、有罪となって、防衛施設庁そのものが解体をされました。にもかかわらず、今、軍事予算の大幅拡大の中で、談合が巧妙なシステムで復活しつつあるのではないかと、今日はただしたいと思うんですね。
防衛省は、核攻撃被害も想定して、全国二百八十三地区、約二万三千棟の自衛隊施設の強靱化計画を、今年度から五年間で四兆円の予算で十年間掛けて進め始めています。
ところが、まだ予算が成立もしていない昨年の十二月から一部のゼネコンなどを集めて意見交換会を行って、参加企業から、お手元の資料一の、三枚ありますけれども、アンケートを取っております。受注可能な数や金額、希望する発注方式などをゼネコンから聞き取るものであります。このアンケートの返信先は、令和四年度施設整備技術支援業務を防衛省から受注した防衛基盤整備協会になっております。全体の構図は資料二に示しております。
しかし、この契約の仕様書には、アンケートを取ることは書いてありません。これ、防衛省の側から提案をしたのか、防衛基盤整備協会からの提案だったのか。そもそも発注前に事業者からアンケートを取るなどが過去に例があるんでしょうか。大臣、副大臣、防衛省、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/57
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058・杉山真人
○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。
安全保障環境が急速に厳しさを増す中、防衛力の持続性、強靱性の基盤となる防衛施設の十分な機能を確保することは重要であると認識しております。昨年十二月十六日に閣議決定された防衛力整備計画においては、施設整備に関して、武力攻撃等に対する自衛隊施設の抗堪性の向上、津波や浸水などの大規模自然災害対策、既存施設の老朽化、防護性能付与といった取組を、民間の知見を活用しつつ、集中して円滑に実施していくこととしております。
このため、今後の施設整備を集中して円滑に実施し、一日も早く事業効果を発揮させるため、建設業に携わる民間事業者との意見交換会を実施しました。この意見交換会は、専門家とも相談し、公正性を確認しながら進めてきたものであり、これまでの意見交換会の資料は当省のホームページにも掲載しており、意見交換会に参加していない民間事業者にも広く周知しているところであります。
集中する、実施する大規模な事業を競争性を確保しつつ円滑に進めていくためには、民間事業者の能力等を十分に把握した上で、できる限り多くの事業者が競争に参加できるよう検討を行う必要性があります。このような観点から、発注方式や発注規模に関する検討の資とするために、意見交換会において民間事業者の能力等に関してアンケート調査を実施することとしたものです。このアンケート調査は、防衛省がその内容や方法等も含め主体的に検討を実施してきたものであり、また、その内容についても、競争性を担保しつつ事業を実施していくために、事業の実施可能な規模感や効率的な実施方法等に関する、方法等を把握するためのものとなっております。
防衛省におきましては、できる限り多くの事業者が交渉に参加できるよう、これまでも必要に応じて建設業界等と意見交換会などを行っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/58
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059・井上哲士
○井上哲士君 関係ない長答弁しないでいただきたいんですが、過去に例があるかは答えられませんでした。発注前にゼネコンからアンケートを取るなど前代未聞だとゼネコンの元幹部も言っていますよ。
これ聞きっ放し、ないんですね。三月の第三回意見交換会では、業界の要望を踏まえたものとして、マスタープランの分割表、資料三も提示をされております。
防衛施設庁談合では、ゼネコンへの発注を割り振りする表、すなわち談合表の存在が大問題になりました。当時のこの事件の調査報告書の抜粋を資料四で配っておりますが、再就職先の確保等につながることを考慮して、事前に業界のOBを通じて業界の意向を確認した上で割り振り表の原案が作成されてきたと指摘しているんですね。発注前に業界の意向を聞くのは同じなんですよ。どのゼネコンがどれだけの数や金額の受注が可能であるかということを事前に把握をすれば、これ容易に割り振り表作成に使えるわけですね。
しかも、それと同じだけじゃありません。資料の二です、②を見ていただきたいんですが、防衛施設庁談合に関わった当時の防衛施設技術協会も解散になりました。その事業を引き継いだのが防衛基盤整備協会でありまして、今回この事業に応札したのは同協会のみで、落札率は実に九八%です。
そして、資料二にありますように、当時の防衛施設技術協会の理事長で元防衛施設庁幹部の生沢氏、施設庁の現職幹部であった松田氏、河野氏の三人が逮捕され有罪が確定し、松田、河野氏は懲戒免職となったんですね。ところが、驚くべきことに、この三人がこの防衛技術整備協会の役員に二〇一四年以降なっているんですよ。そして、この松田氏は協会の常勤理事であり、今回の事業の契約書を代表者として取り交わして、ゼネコンなどの連絡の窓口となっております。資料四を見ていただきますように、施設庁談合当時、建設企画課長だった松田氏は、ゼネコンへの割り振り表を作った本人なんです。
防衛施設庁の所管の公益法人である防衛基盤整備協会に施設庁談合で有罪となった三人が役員を務めて、そしてゼネコンからのアンケートの中心人物が当時割り振り表を作った本人である松田氏だと。そのことを防衛省は承知していたんですか、問題はないと思っているんですか。副大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/59
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060・井野俊郎
○副大臣(井野俊郎君) 先ほど答弁ありましたアンケート調査は、民間の事業者の能力等を十分に把握するために、防衛省がその内容や方法などを含め主体的に検討し、実施してきたものであります。
その上で、御指摘の公益社団法人防衛基盤整備協会は、我が防衛省が発注した令和四年度施設整備技術支援業務を一般競争入札により実施したものであり、業務の中でアンケートの調査の配付や取りまとめを行ったにすぎず、アンケート調査を主体的に行ったのは我々防衛省でありますので、委員の御指摘には当たらないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/60
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061・井上哲士
○井上哲士君 いや、知っていたのかどうかと聞いているんですよ。違う答弁しないでください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/61
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062・井野俊郎
○副大臣(井野俊郎君) 当時よりホームページ等には記載があったことは承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/62
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063・井上哲士
○井上哲士君 これ、防衛庁所管の公益法人なんですよ。そして、有罪になった人ですよ。そのために防衛施設庁は解体されたんですよ。その人が今これをやっていると。それを問題に思わないというのはどうかしていると思うんですね。
しかも、施設庁談合の調査報告書では、施設庁にとってそれまで経験したことのないような大規模工事である岩国飛行場滑走路移転事業を契機としてこのような割り振り表が作成され始めたと書いているんですね。今回の意見交換会で防衛省が配付した文書では、これまで経験したことがないような規模の事業量と、同じこと書いてあるんですよ。つまり、大規模な予算を理由に事前に業界の意向を確認をするという点で同じ、今後の割り振り、談合につながるのではないか。
当時の調査報告書は、この事件が防衛省・自衛隊に対する信頼を深く傷つけた責任を強く認識としているんですね。同じようなことを行わせようとしていること、このことを問題とは思わないのでしょうか。私は、個々の企業がどういう意向を持っているかということは、当然これ割り振りにつながりますから、これはもう廃棄をする、アンケートそのものを中止をする、事業そのものも抜本的に見直すべきだと思いますが、副大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/63
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064・井野俊郎
○副大臣(井野俊郎君) 先ほど、ちょっと済みません、一点だけ答弁の訂正がございまして、先ほど公益社団法人と申し上げております、公益財団法人の間違いでございました。その点だけちょっと訂正させていただきます。
その上で、先生御指摘の点でございますけれども、我々、防衛施設庁談合事件以来、抜本的な対策として、建設工事を入札する手続においては原則として一般競争入札による入札を行うこととしており、また平成十八年度からは総合評価方式を導入するなどしております。そのほかにも、電子入札などを通じて、なるべく人が会わないといいましょうか、そういう場がないようにということで取り組んでいるところでございます。
こういう取組を続けており、そういうようなことの談合とかは行われていないというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/64
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065・井上哲士
○井上哲士君 じゃ、何で当時談合の中心になって有罪になった人が今この事業の中心に座っているんですか。どう考えても私は国民の理解を得られないと思いますよ。
財務大臣にお聞きしますが、防衛施設庁談合を機に、財務大臣から各省庁に公共調達の適正化が発出をされました。その中で、公共調達については、競争性及び透明性を確保することが必要であり、いやしくも国民から疑念を抱かれるようなことがあってはならないとしています。今回の事件は明らかにこれに反すると思います。こんなことを見過ごしたら、他の省庁にも蔓延しかねないわけですね。不幸中の幸いで、まだ発注前で談合は起きておりません。
財務大臣、五年間で四兆円などの巨大予算で本当にいいのかと、談合につながるやり方が行われているんじゃないか、財務省として徹底調査をして事業の抜本見直しをするべきだと思いますが、財務大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/65
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066・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今回、今先生から御指摘のございます民間事業者との意見交換会でございますが、これ、今財務省、ああ、失礼しました、防衛省からもるる答弁がございましたが、入札手続の準備作業として実施されたものであると理解をしておりまして、公共調達の適正化の趣旨に反するものではないと、そのように考えておりますが、財務省といたしましては、防衛省・自衛隊の施設整備について、予算要求内容を精査するのみならず、執行段階においてもこの公共調達の適正化の趣旨を踏まえ適切に対応するよう防衛省に求めるとともに、個別の契約の見積りや進捗状況を含め、予算の執行状況をしっかりと確認をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/66
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067・井上哲士
○井上哲士君 国民から、およそ私はこれは理解されないと思います。しっかり状況を確認をしていただきたいし、そもそもこういう浪費や談合をつくり出す、五年間で四十三兆円という大軍拡そのものを見直し、中止をするべきだと、そのことを強く求めまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/67
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068・神谷宗幣
○神谷宗幣君 参政党の神谷宗幣です。
防衛予算の使い道についてお聞きしていきたいと思います。
先日の連合審査会で浜田防衛大臣から、情報戦への適切な対応を検討していくといった答弁をいただいたのですが、増額される防衛費の一覧を見ても、人による情報収集、分析活動、いわゆるヒューミント、ヒューマンインテリジェンスですね、に関わるような項目が出てきません。我が国が敵地攻撃能力を持ったとしても、情報やその分析能力がなければミサイル配備も張りぼてに終わってしまう可能性があります。
そこでお聞きしますが、自衛隊にはヒューマンインテリジェンスの部署はあるのでしょうか。また、国家全体としてどういったヒューマンインテリジェンスの体制を組んでいるのか、回答可能な範囲でお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/68
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069・増田和夫
○政府参考人(増田和夫君) お尋ねの件でございますけれども、国家安全保障戦略におきましては、政府として、特に人的情報については、その収集のための体制の充実強化を図るとしております。
御指摘の人的情報収集につきまして、防衛省におきましては、従来から諸外国の在外公館に派遣している防衛駐在官等によって実施しているところでございます。その上で、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさと不確実性を増す中、各国に派遣され情報収集等を行う防衛駐在官は、かつてないほど重要な役割を担っていると考えております。このため、今年度までの十年間で、時々の情勢に応じて、アジア、欧州、アフリカ各国への新規派遣などによりまして、防衛駐在官二十七名を増員いたしました。
防衛省といたしましては、引き続き防衛駐在官制度の充実は不可欠と考えておりまして、厳しい行財政事情や要員の確保、養成の観点を踏まえつつ、新規派遣や兼轄等の様々な選択肢を含め、ニーズに応じた適切な配置を実現するべく不断に検討してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/69
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070・七澤淳
○政府参考人(七澤淳君) お答え申し上げます。
現在の情報コミュニティーは、内閣直属の情報機関である内閣情報調査室を始め、警察庁、公安調査庁、外務省、防衛省といった情報コミュニティー各省庁が、内閣の下に相互に緊密な連携を保ちつつ、人的情報を含めた情報の収集、分析活動に当たっております。
具体的には、内閣官房長官が議長である内閣情報会議や、その下に置かれる合同情報会議を通じるなどして、各省庁が収集、分析した情報が集約され、総合的な評価、分析を行う体制が整備されておりまして、情報コミュニティーとして機能していると認識しております。
政府といたしましては、引き続き、各省庁の緊密な連携に努めつつ、政府における人的情報を含めた情報の収集、集約、分析の一層の充実強化を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/70
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071・神谷宗幣
○神谷宗幣君 回答ありがとうございました。
まず防衛省の方では、在外にはいるけど国内にはいないということですね。国内は、警察庁とか、そういった内調でやっているという体制ということが分かります。
次に、国民の命を守るという点で忘れてはいけないのは、岸田総理も最優先課題とすると表明されている拉致被害者の問題です。
我が国で北朝鮮による拉致が正面から取り上げられるようになったのは、事件から二十年以上たった小泉訪朝以降です。それまでは、警察がその可能性を指摘しても、様々な政治的な思惑や北朝鮮の工作活動により拉致の事実を否定したり無視したり、報道機関も積極的に取り上げようとしない状況が長く続いていて、拉致問題を取り上げると陰謀論者として扱われたというふうに聞いています。
そういう私自身も、一九九〇年代は高校生でして、地元福井県の小浜市の海岸線沿いの道路に、拉致があったかもしれないので目撃者は情報をくださいという看板を立っていたのを何度も見たんですが、こんな平和な時代に拉致なんてあり得ないだろうというふうに完全に私自身も平和ぼけしていた一人でありました。ですから、二〇〇二年に小浜市に地村保志さんが帰国されたときには、自分の無知さと無責任さを反省したことを強く記憶しています。
拉致の問題が放置されていたのは、日本の政治が北朝鮮の隠蔽工作やプロパガンダにまんまと引っかかっていたことの象徴だと思います。私は、そうした個人の反省もあるので、今回のコロナに関しても情報分析をしっかりやってほしいと繰り返し主張をしてきました。
拉致問題の発覚から二十年、被害者、その家族も高齢化している今、拉致問題の解決は待ったなしです。今回の予算でも、北朝鮮による拉致問題を含んで、外国に拉致された、誘拐された邦人を救出するためのオペレーション能力の向上といったものに充てられている予算はあるのか、聞かせてください。また、総理が最優先課題と言及するからには何らかの外交的な取組は考えておられると思いますが、説明できるものがあればお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/71
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072・増田和夫
○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。
個別の事案に対する対応というよりも、それ、まず予算の件で御質問がありましたのでお答え申し上げます。
令和五年度予算におきましては、自衛隊の在外邦人等の保護措置等、これは、保護措置というのは、在外邦人の警護や救出などの任務が自衛隊法で定まっていることもありまして、そのことを指しておりますが、保護措置だけではなくて、輸送等に係る統合運用を維持向上させることを目的としまして、多国間共同訓練、コブラゴールドに参加するための予算を計上してございます。
また、在外邦人等を保護する方策につきましては、個別具体的な状況によりますことから、その予算措置について網羅的にお示しすることは困難でございますけれども、令和五年度予算で申し上げますと、例えば、先般の在スーダン共和国邦人等の輸送に活用いたしましたC2輸送機二機の取得経費として、約五百九十七億円を計上しているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/72
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073・實生泰介
○政府参考人(實生泰介君) 外務省の方からお答えいたします。
拉致問題の解決、これに向けては、米国を始めとします関係国と緊密に連携しながら、我が国自身が主体的に取り組むことが重要であると認識しておりまして、これまで岸田総理自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合うという決意を述べてきているところであります。
そうした考えの下、これまで拉致問題については、北朝鮮への直接の働きかけに加えて、米国を含む関係各国に対し、ハイレベルでのあらゆる機会を捉えて累次にわたり拉致問題に関する日本の立場を説明してきており、これに対して多くの国から支持と理解を得てきているところであります。
我が国としては、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化の実現を目指すが、とりわけ、拉致被害者御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、これはもうひとときもゆるがせにできない人権問題であるというふうに認識をしております。
引き続き、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、全力で果断に取り組んでいく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/73
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074・神谷宗幣
○神谷宗幣君 ありがとうございました。
今、安全保障のお話をここでしていますけれども、人権問題というだけでなくて、安全保障の問題に関わってくる大きな問題だと思います。これからの防衛も必要ですけれども、安全保障も大事ですけれども、過去に起こったことの清算をきちっとしていただくところもしっかりと引き続きやっていただきたいと思います。
次に、元FBI捜査官のクレオン・スカウセン氏が一九五八年に書いた、裸の共産主義者、「ザ・ネイキッド・コミュニスト」という本があります。そこには、当時、アメリカの共産党が米ソ冷戦に勝利するために掲げていた四十五の活動目標というものが書かれています。
全部紹介する時間はないので例として幾つか紹介しますと、十五番、米国の政党の一つ又は両方を獲得する。十七番、学校を支配する、学校を社会主義や現在の共産主義のプロパガンダの伝達ベルトとして利用する。二十番、マスコミに潜入する、書評、社説、政策立案をコントロールする。二十一番、ラジオ、テレビ、映画における重要なポジションをコントロールする。二十五番、本、雑誌、映画、ラジオ、テレビでポルノやわいせつなものを宣伝し、文化的な道徳基準を破壊させる。二十六番、同性愛、堕落、乱交を正常、自然、健康的なものとして紹介する。四十番、制度としての家族を信用しない、乱婚と安易な離婚を推奨する。こういった目標が書かれています。
これらは、共産主義者が先進国での階級闘争によるプロレタリア革命が失敗に終わったことから、文化を主戦場にして定めた戦い方です。メディアや大学といったところの中間階級層の意識変革を狙い、伝統、文化、共同体を否定し、殊更少数派の意見を先鋭化させて、マジョリティーが何も反論できないような全体主義革命を成功させやすい新しい文化土壌や空気をつくるために設定されたものだと理解をしています。
アメリカでは、こういった目標の下、ずっと工作が続いていまして、近年では、ブラック・ライブズ・マター、BLMと呼びます、BLMという団体が活動をしてきました。BLMは全米で多くの破壊活動を行ってきた組織であり、二〇二〇年の五月末の約半月だけで、BLMによる暴動、略奪、破壊による保険会社の支払額は十億ドルに上ったというデータもあります。
この暴力団体、暴力集団BLMの創設者は三人の黒人女性でして、そのうちの二人は自分たちのことを洗練されたマルクス主義者であると、あっ、済みません、訓練されたマルクス主義者だと、はっきり自分たちで述べています。アメリカのABCニュースは、二〇二〇年六月二十一日付けの記事で、ブラック・ライブズ・マターの創設者たちは、当初から常にLGBTQの声を話題の中心に据えてきたという報道もしています。こうした事実もあるので、アメリカや欧州では、反LGBTQの法案が何百本も作られているという事実があります。
このように、今紹介した四十五の活動目標というのは、長い年月を掛けてアメリカ社会の文化破壊を進め、暴動や破壊を伴う団体をつくり上げてきました。そして、残念ながら、この目標の多くは日本でも実際に形になってきており、今回、LGBT法案が不自然な形で通過させられようとしています。参政党がLGBT法案に反対するのは、こういった事実や歴史的な背景を党員みんなで勉強しており、美辞麗句の裏にある政治的思惑に強い警戒心を持っているからです。また、海外の怪奇な団体とつながる日本の団体に新たな資金源を与えたくないからです。
以上を前提に質問をします。
日本が情報戦に力を入れるなら、海外でも見られるこのような文化的浸透工作に対して今後どういうふうに情報収集や分析を強化していくのか、お聞かせいただきたいと思います。
また、安全保障を考えるのであれば、こういった工作に対し国内のヒューマンインテリジェンス活動にも力を入れていくべきで、その方がミサイル配備よりもより少ない予算で国の守りというものを強化できるというふうに考えております。現状を鑑みると、日本の情報収集能力と分析力は決して十分とは思えません。ハードを整えても中から崩されては本当に意味がありませんので、今後、インテリジェンスの部署からの要求があれば更に予算は付けてもらえるのか、この点、財務大臣の所感もお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/74
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075・七澤淳
○政府参考人(七澤淳君) お答え申し上げます。
委員御指摘がございましたけれども、学術分野等、様々な分野の関係者に対しまして外国の機関等による諸工作が行われていると見られますところ、これに対しましては、情報収集、分析等に努めていく必要があるものと認識しております。
情報収集や分析の強化につきましては、昨年末に決定された国家安全保障戦略におきましても、国際社会の動向について、外交、軍事、経済にまたがり幅広く、正確かつ多角的に分析する能力を強化するため、多様な情報源に関する情報収集能力を大幅に強化する、特に、人的情報については、その収集のための体制の充実強化を図るなどと記載されたところでございます。
こうしたことも踏まえまして、情報機能の強化に向けた具体的方策を検討しつつ、その一層の充実強化に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/75
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076・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 私からは、一般的にインテリジェンスに係る予算について、その必要性について述べさせていただきたいと思いますが、我が国を取り巻く安全保障環境、これが厳しさを増す中で、国家の安全保障や国民の安全に関わる情報の収集、これは重要なものであると認識をいたしております。
この点、昨年末の国家安全保障戦略においても、我が国の安全保障のための情報に関する能力を強化していくこととされておりまして、これを踏まえ、まずは、その能力強化を担当する関係省庁において、今後必要となる予算を検討いただくことになると考えております。
財務省としても、予算要求の内容を踏まえまして、予算編成過程を通じて関係省庁とよく議論をして、予算面においても適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/76
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077・神谷宗幣
○神谷宗幣君 回答ありがとうございました。
時間になりましたので終わりますが、やはり日本は平和国家として世界に声を発していますので、戦って勝つのではなくて、戦わずに済むような、そういった国の守りを充実していただきたい。そのためには、情報戦、絶対予算と人を配置しないといけないと思いますので、今後、力を入れてやっていただきたいと要望して、終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/77
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078・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 茨城県選挙区の堂込麻紀子です。
本日もお時間頂戴して、ありがとうございます。
経済成長の実現と防衛財源の影響ということで御質問をさせていただければと思います。
先ほども鈴木大臣の方から防衛財源をしっかり示したという御見解をいただいておりますけれども、一定の経済成長が実現すれば企業業績の拡大等、増収、増加につながりまして、財政面でもプラスの効果をもたらすということから、まずは増税よりも経済成長を目指すべきではないかという意見も強く主張されてきました。
私も、社会人になり、長らく経済成長というのをなかなか実感を持てない中、これまで小売業界で働いてきました。働く現場でも、二〇二四年問題、また二〇二五年問題、様々問題が今、目の前に突き詰められているそのような現状で、働く者がなかなかその政治の中心にこれまでなれなかったというのが、今まさに私もこの現場に来させていただきまして、それを実感しているところではございます。
改めて、政治の力というのが経済の再生というところには本当に必要ですし、働く者がそこでちゃんと中心になれる国力を、礎を、基づいているその働く者、人というところ、投資を改めてしていかなくてはならないというふうに改めて実感をしておりますけれども、今後、一定の経済成長が実現して税収の自然増が生ずるということで、法人税、所得税、たばこ税に関する税制措置を始めとする防衛財源確保策に変化を生じさせる可能性があるのではないかというふうに考えますが、是非この点について御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/78
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079・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 政府といたしましては、度々申し上げているところでありますが、経済あっての財政、すなわち、まずは経済を立て直すことが重要であると考えておりまして、その結果として、見込み以上に税収が伸び、決算剰余金に反映されれば防衛力強化の財源として活用されることになると、そのように考えております。
その上で、経済成長による税収増については、中長期的な増収額を安定的に見込むことが難しいという点に、済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/79
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080・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) どうぞ、お水をお飲みください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/80
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081・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 済みません。
その上で、経済成長による税収増については、中長期的な増収額を安定的に見込むことが難しいという点に留意する必要があり、政府としては強化された防衛力を安定的に維持するためのしっかりとした財源確保の方法として税収増を見込んでいるわけではありません。
したがいまして、堂込先生から、財源確保策に変化が経済成長が実現すればあるのかというお尋ねでありますけれども、税収措置を含めた昨年末に決定した防衛力強化のための財源確保のフレーム、これを変更すること、これは考えておりません。
失礼しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/81
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082・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 ありがとうございます。
税制措置の内容の妥当性についてもお伺いできればと思います。
与党税制改正大綱及び政府の税制改正大綱において盛り込まれました税制措置の対象となる税目、先ほども触れていますが、法人税、所得税、たばこ税、こちらの選定理由として、財務大臣は、六月一日、財政金融委員会の私の質疑に対し、所得税、法人税については、防衛力の強化が国民の命、暮らし、事業を守るためのものであり、個人や法人に広く裨益するものであるということを踏まえて対象とされたと承知しているという旨を御答弁されております。
この税制措置に対して、同じく六月一日の財政金融委員会の参考人質疑においては、バランスが取れた考え方が示されているとする意見もあったその一方で、所得税については金融所得課税の見直しによる財源確保を行うべきという御意見も示されております。
財務大臣は財源確保策について、閣議決定を既にしており税制措置の内容を変更することは考えていないという旨の御答弁をされておりますが、こうした有識者の意見も参考にしつつ、公平公正な丁寧な制度設計を行っていくべきというふうに考えますが、改めて御認識をお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/82
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083・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今回の税制措置におきまして、法人税、所得税、たばこ税という三税目の対応になったこと、これは先生から今御指摘がございましたとおりに、与党の税制調査会において、防衛力の強化、これは国民の命、暮らし、事業を守るためであるという観点、国民各層の負担能力や現下の経済情勢に配慮して決められたものと、そのように承知をいたしております。
このうち、所得税について申し上げれば、防衛力の強化、これは国民に広く裨益するものであることを踏まえれば、それに係る費用も広く負担すべきであるため、所得全体に係る所得税の付加税によって対応することとしたこと、これは適切であると考えてございます。
こうした税制措置の内容、政府としても閣議決定をしておりまして、これを変更することは考えておりませんが、更なる詳細については今後改めて与党税制調査会において議論が行われるものと、そのように承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/83
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084・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 ありがとうございます。様々な可能性といいますか、含めて、御議論の方を是非していただきたいというふうに思っております。
次に、財政健全化の目標の考え方についてお伺いをいたします。
小泉内閣当時、二〇〇二年度、骨太の方針において国、地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化が目標として掲げられるようになりまして、目標年度の変更を伴いつつも、二〇二一年度まで明記をされてきております。しかし、骨太の方針二〇二二においては、財政健全化の旗を下ろさずに、これまでの財政健全化目標に取り組むという表現に改められております。
この財政健全化目標、どのような考え方に立っておられるのかというところをお伺いしたいと思いますが、また、骨太の方針二〇二三、防衛財源をめぐって議論されてきた財政余力の課題、これを踏まえて財政健全化の目標をどのように策定していくことになるのかというところを、鈴木大臣及び内閣府の御見解をお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/84
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085・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) じゃ、まず、内閣府野村審議官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/85
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086・野村裕
○政府参考人(野村裕君) お答え申し上げます。
骨太方針二〇二二では、御質問にございましたとおりに、財政健全化の旗を下ろさず、これまでの財政健全化目標に取り組むとされております。ここで言うこれまでの財政健全化目標、これは骨太方針二〇二一で策定された目標を指しております。具体的には、二〇二五年度の国、地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化を目指すこと、同時に、債務残高の対GDP比の安定的な引下げを目指すことを意味しております。経済あっての財政との考え方の下、この目標に向けて引き続き取り組む方針を示しているものであります。
また、骨太方針二〇二三についてお尋ねいただきましたが、これにつきましては、今月中の取りまとめに向けて調整が進められているところでありますので、具体的な内容については申し上げられないのでございますけれども、財政健全化の基本的な考え方につきましては総理が国会答弁されております。足下の経済状況に機動的に対応しつつ、同時に、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることのないよう、責任ある経済財政運営に努めていくと、こう答弁されております。
こうした基本的な考え方に沿った内容をお示しする方向で、今後、各方面と調整を経まして、本年の骨太方針の取りまとめを進めてまいる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/86
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087・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) ただいま内閣府から答弁がありました。そのとおりであるわけでございまして、政府としては従来の方針に変更をしたものではないわけでございます。
防衛力の強化や少子化対策を始めまして、様々な政策課題を抱える中にありましても、必要な政策対応はしっかりと行いつつも、歳出歳入両面の改革を進めることで、財政健全化目標の達成に向けて今後とも努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/87
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088・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 御答弁ありがとうございました。
先ほど大塚先生からも御指摘あったように、オーソドックスな考え方が、今はもしかしてそれがもう無理があるのではないかというところも踏まえて御議論を是非していただきたいというふうに思っています。
最後に、日本銀行の金融緩和と国債発行についてお伺いをいたします。
金融緩和の継続の必要性について、物価安定目標の下での日本銀行の政策判断によるところではありますけれども、このように、多額の国債を日本銀行が買い入れる、この環境が常態化しているということが国債に依存した財政につながっているのではないかという見方もしばしば示されております。
国債の約半分を日本銀行が保有している状況、今後の国債発行の在り方について、鈴木大臣より御認識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/88
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089・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 現在、日銀が行っております国債買入れ、これは、物価安定目標の達成という金融政策の目的を達成するため日銀が自らの判断で行っているものということをまず前段で申し上げた上で、政府といたしましては、日銀が国債を買い入れるとの前提に立った財政運営を行うことが適切とは考えておりません。また、市場からそのような疑いを持たれ、市場の信認を失うような事態を招くことがないようにしていく必要があると考えております。
財政は国の信認の礎であって、今後とも、財政健全化に向けてプライマリーバランスを二〇二五年度に黒字化することなどの方針の下、引き続き責任ある経済財政運営に努めてまいりたいと考えております。
その上で、国債の発行についてもお話があったと思います。国債管理政策として国債を安定的に発行していく観点から、市場ニーズを踏まえた発行を行うことが重要であり、引き続き、市場の状況や投資家の動向等を注視しつつ、市場参加者との丁寧な対話に努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/89
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090・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 御答弁ありがとうございます。
私の質疑の方は終了させていただきます。引き続きの議論をお願いいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/90
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091・酒井庸行
○委員長(酒井庸行君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。
午前十一時四十一分散会
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〔参照〕
福島地方公聴会速記録
期日 令和五年六月十二日(月曜日)
場所 福島市 エルティ ウェディング・パー
ティ エンポリアム
派遣委員
団長 委員長 酒井 庸行君
理 事 浅尾慶一郎君
理 事 大家 敏志君
理 事 西田 昌司君
理 事 横沢 高徳君
理 事 上田 勇君
加藤 明良君
白坂 亜紀君
柴 愼一君
横山 信一君
梅村 聡君
大塚 耕平君
井上 哲士君
神谷 宗幣君
堂込麻紀子君
公述人
浪江町長 吉田 栄光君
ドメーヌミカヅ
キ代表 及川 恭平君
ノーモア・フク
シマいわき市民
訴訟原告団長 伊東 達也君
─────────────
〔午後零時四十分開会〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/91
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092・酒井庸行
○団長(酒井庸行君) ただいまから参議院財政金融委員会福島地方公聴会を開会をいたします。
私は、本日の会議を主宰をいたします財政金融委員長の酒井庸行でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず、本日の地方公聴会に参加しております委員を御紹介をいたします。
私の右隣から、自由民主党の大家敏志理事でございます。
同じく西田昌司理事でございます。
同じく浅尾慶一郎理事でございます。
同じく加藤明良委員でございます。
同じく白坂亜紀委員でございます。
日本維新の会の梅村聡委員でございます。
日本共産党の井上哲士委員でございます。
各派に属しない議員の堂込麻紀子委員でございます。
次に、私の左隣から、立憲民主・社民の横沢高徳理事でございます。
公明党の上田勇理事でございます。
立憲民主・社民の柴愼一委員でございます。
公明党の横山信一委員でございます。
国民民主党・新緑風会の大塚耕平委員でございます。
各派に属しない議員の神谷宗幣委員でございます。
以上の十五名でございます。
次に、公述人の皆様を御紹介申し上げます。
浪江町長吉田栄光公述人でございます。
ドメーヌミカヅキ代表及川恭平公述人でございます。
ノーモア・フクシマいわき市民訴訟原告団長伊東達也公述人でございます。
以上の三名の皆様でございます。よろしくお願いを申し上げます。
この際、公述人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、大変御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
当委員会におきましては、現在、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案の審査を行っておりますが、本日は、本案について皆様から貴重な御意見を賜るため、当地福島市において地方公聴会を開会することとなった次第でございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、吉田公述人、及川公述人、伊東公述人の順にお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず吉田公述人にお願いをいたします。吉田公述人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/92
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093・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) 皆さん、こんにちは。
まず、お話をする前に、私から自己紹介を兼ねて皆様方に御礼を申し上げたいと思います。
私は、今、浪江町長を務めさせていただいております吉田栄光であります。昨年の八月五日に町長に就任をさせていただきました。それまでは県の議員として議員をさせていただきながら、党役員、そして議長等を含めて、特にあの十二年前の震災以降、一年間で五十六回上京させていただきました。今日おいでの多くの先生方始め、そして国民の方々には、国内外、様々我々に御支援をいただきましたこと、避難そして県民を代表して、まず改めて御礼を申し上げたいと思います。
震災の現状と課題について、まずお話をさせていただきます。
震災と原発事故から十二年が経過する中で、国始め様々な方々に支援いただいて、福島県の復興は着実に前に前進をしてまいりました。一方、本県は、震災と原発事故という未曽有の複合災害により、避難地域の復興再生や被災者の生活再建、産業、なりわいの再生、根強く残る風評、廃炉と汚染水・処理水対策など、様々な課題に直面をしております。今後も、復興に向けた中長期的な対応が必要であると考えるものであります。
特に、浪江町を含む双葉郡の多くの自治体はいまだ帰還困難区域が残り、多くの住民が県内外に避難し、自由な立入りもできない状況、最終的な避難指示の全面解除に向けては長く険しい道のりが続くと思っております。
実際、私も、今年の春、三月三十一日に解除になった特定復興再生拠点が私の生まれた家であります。当町は町の面積の八割がいまだ帰還困難区域というような状況でありまして、震災前の二万二千弱の人口は、いまだ帰還者そして移住者合わせて約二千人ぐらいというような状況になっております。私は、三十一日に、町長としても、この十二年間の議員としての議員生活を振り返りながら三十一日を迎えたわけでありますが、どうしても喜ぶことはできませんでした。それはなぜかというと、いまだこの被災地、六町村、帰還困難区域を抱えた町、村があります。そこには、福島県民、被災者の住民、その気持ちを考えると、喜んではいられない、その強い思いがありました。
福島県にあっては、原発事故という複合災害の中でいまだそういった方々が多くいられることを、まず今日おいでの先生方にはもう一度確認をしていただければ幸いだと思っております。
そんな中で、私は、必ずこの被災地、東北、福島、そして我々被災地であります双葉郡、そして今町長を務めております浪江町、必ず復興をさせていく、そんな強い思いで日々おります。
そして、復興というのは、先生方の前で大変恐縮でありますが、今様々な時代の変革の中で、二〇四〇年の人口減少というような顕在化する社会も次の世代には待っております。今日、皆さんが御議論、我々の話を伺う中でも、防衛というのも大事なことでしょう。そんな中で、我々被災している市町村は、あらゆる社会変化に対応すべく、超越した復興を今考えております。まずは、いまだに避難する方々の心情を深く受け止めていただいて、この被災地に、時間は大分掛かります、長くその掛かる復興の中で、引き続きの御支援をお願いをするものであります。
加えて、当町でありますが、中心市街地の再生、移住、定住の促進、なりわいの再生、産業や雇用創出など、いまだ課題が直面しております。そのために、中長期的にわたり必要な財源の確保は必要不可欠であります。どうかよろしくお願いをしたいと思います。
昨年末に政府として決定した税制改正大綱には、廃炉、特定復興再生拠点区域の整備、特定復興再生拠点区域外の帰還、居住に向けた具体的な取組や福島国際研究教育機構の構築などの息の長い取組をしっかりと支援できるよう、東日本大震災からの復旧復興に要する財源については、引き続き責任を持って確実に確保するとする文言が明記されていることは非常に力強いものであります。
国におかれては、この大綱に記載された文言を踏まえ、復興再生に向けた財源確保にしっかりと取り組んでいただき、対応をお願いをしたいと思っております。
次に、復興特別所得税の期間延長の受け止め方についてお話をさせてください。
復興を進める上で必要となる財源の確保は大前提であります。被災地として必要な復興の取組を着実に進めることができるよう、国においても、税制大綱も踏まえ、中長期的な復興財源を確実に確保していただくようお願いをするものであります。
今般の税制措置では、課税期間の延長により復興財源の総額が確保されると認識しており、さらに、政府においては、渡辺復興大臣を始め、これまでの様々な場面で、必要な復興事業の実施に支障がないよう財源の確保にしっかりと取り組むと発言がなされております。
一方で、昨年末、大綱が決定される前の防衛費増額に関する議論が報道でされた際には、情報が断片的であったこともあり、心配の声が上がったことも事実であります。引き続き、町民が不安感を抱くことのないよう、正確で分かりやすい情報を積極的に発信をしていただくようお願いをするものであります。
防衛費の評価についてでありますが、防衛費の確保については、国として引き続き議論していくものと受け止めております。
最後になりますけれども、この公述人に指名されて、すぐ考えたことがあります。もちろん、この防衛費についてというような考え方で私の話を聞きたいという旨であると思ったわけでありますけれども、冒頭申し上げたとおり、我々は十二年間、こうして類のない復興事業を進めていく上で、国民の、全ての国民の方々に復興税としてお世話になりました。そして、防衛という全ての国民の不安や将来の日本のあるべき姿を今先生方で御議論いただいているわけでありますが、非常に重い内容であるなと、それが私の最初の考えでありました。全ての方、国民にお世話になって、国民の方々がこの防衛について様々な御意見がお持ちであろうかと思いますけれども、これらについてお話しするのは非常に私も重いと、そんな考えがしたところであります。
結びになりますけれども、繰り返しますが、本県の復興、そして被災地の復興はいまだ緒に就いておりません。この団体の中でも、市町村の中でも、早い段階で解除した町村はまずトップランナーとして復興が進んでおりますけれども、特に双葉郡の北、これからであります。二期復興・創生期でありますが、八年以降の復興財源についてはいまだ、これからの御議論になろうかと思いますけれども、被災地の今の状況をしっかり鑑みいただいて、国会で御議論をひとつよろしくお願いを申し上げて、私からの意見とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/93
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094・酒井庸行
○団長(酒井庸行君) ありがとうございました。
次に、及川公述人にお願いをいたします。及川公述人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/94
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095・及川恭平
○公述人(及川恭平君) こんにちは。本日は、岩手県陸前高田市から参りました及川恭平と申します。
私は、現在、陸前高田の方でワイナリーをおととしから始めまして、農業だったり加工だったり、地域の復興のために尽力をしているところでございます。
本日は、こういった席を設けていただきまして、皆さんに感謝を申し上げるとともに、まずは自己紹介を申し上げさせていただければと思います。
私は、陸前高田市で生まれ育ちまして、高校の卒業まで陸前高田におりました。震災があったときには十七歳で、ちょうど受験期に差しかかるときに震災が起こりまして、学校にもろくに行けず、町の壊滅状態を眺めるとともに、復興にこの十年間携わってきました。当時は、復興と言いつつも、仕事も何もなく、建築関係だったり、土木関係だったり、この十年間はとにかく町のハード面の復興で終わってしまうねということを当時から聞いておりましたので、自分が関われることは何だろうなということを考えたときに、じゃ、十年後に戻ってソフト面の復興を担っていこうということを決めて、おととし、二〇二一年に地元に帰って、事業を自分で起こして雇用をつくっていこうということを考えてやっております。
現場におりまして、一次産業に携わっている者として、非常にこの現場の熱量感、地域の、現場を担っていく人たちの、御老人の方々だったり、そういった地域の雇用をこれからどうしていくんだろうというのはやはり非常に重く受け止めております。今、地域で従事している農業の方々は八割以上が七十代、八十代で、これから十年後、町の農業、水産、林業を担っていく人はどうなっていくんだろうなということを非常に重く受け止めて、自分ができることを取り組んでいこうというふうに思っております。
そうした中で、震災に関しては、この十年間、震災からの十二年間で、この二年間、やっと市役所であったりとか、博物館であったりとか、町のハード面の概成がやっと終わったところで、それに関しては復興というより復旧に近い形だと思っております。復旧が終わり、これからがやっと復興に入れる、そういうふうに思います。
陸前高田においては、震災の中でも津波によって亡くなった方々が一番多い町でございます。市街地が壊滅的に壊れたことによって、町のシステムも大きくがらっと変わりました。市外からの関係人口者、そういったものが大きく増えて、国内、国外から大きな支援を受けるとともに、これからも中長期的にそういった方々からの支援がないと復興というものがうまく進んでいかないというふうに思っております。
そうした中で、まず町とは何かというものについて考えていきたいんですけれども、町、それはハード面においてそれを整えたことで町と呼べるのか、そういったことはちょっと少し違うのかなと思っておりまして、町は、確かに建物、町の整備、そういったものも必要なんですけれども、人がいてこその、なりわいがあってこその町かなというふうに思います。
今、日本のGDPの割合、六割は地方から生まれております。東北、二年前に岸田首相が陸前高田に訪れましたけれども、そのときに岸田首相が発した言葉は、東北の復興なくして日本の再生はないというふうにおっしゃっておりました。
陸前高田、これから復興に向けてますますいろんな支援が必要になってきます。まさに、国の防衛を考えるに当たって、防衛も確かにすごく非常に大事なことだとは思うんですけれども、いろんな支援があって、ただただ税収で復興税を集めた、そういうものではないと思います。いろんな人の思いがあって、気持ちがあって、そういったものが、数値化はできませんけれども、復興税を国防の財源として使うのは、使っていくのは少々また違うのかなというふうには感じております。
国防、確かに国の対外政策としては必要なんですけれども、必要だとは思いますが、農業だったり、地方の創生だったり、そういったものも一つ国防なのではないかなというふうに思っております。食料だったり、農業だったり、十年後どうした政策が必要なのかということ、改めて先生方には考えていただいて、雇用、復興財源の確保を、引き続き長く支援をお願いしたいというふうに思います。
また、福島だったり、宮城、岩手、こういったものを連携して、より良い更なる復興に向けた、再生に向けた取組を引き続きお願いしたく、私の方から以上の陳述とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/95
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096・酒井庸行
○団長(酒井庸行君) ありがとうございました。
それでは次に、伊東公述人にお願いをいたします。伊東公述人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/96
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097・伊東達也
○公述人(伊東達也君) 伊東達也です。
公述会を被災地の福島で開催していただきまして、誠にありがとうございます。
東日本大震災発生後十年経過した頃から、政府や国会での発言には、被災地の復興が進み、復興が完了したかのような言い方がされるようになりました。これに対して、福島、宮城、岩手の被災者からは風化を感じるとの批判の声が七割も超え続けてきました。こうした中、とうとうここまで来てしまったのかと思うような復興特別所得税の軍拡財源への転用問題が出てきました。これは何よりも、被災地、被災者の願いと真っ向から反するもので、受け入れ難いものとなっています。
私は、五十年前の一九七〇年初頭にいわき市議会議員になってから三・一一まで、福島県の自然と社会を根底から脅かすものには二つあると、一つは、他県と同じものであり、戦争だと、もう一つは、他県と違うのが原子力発電所の事故だと考えまして、原発過酷事故の未然防止活動に携わってきた一人です。
二〇一一年三月十一日、その過酷事故がとうとう発生してしまい、十二日には、同じ活動に携わってきました楢葉町の早川住職夫妻が、十三人の障害者を、持つ人々を連れて私の自宅に避難してきました。その日から今日まで、私たちの暮らし方は一変してしまいました。
事故発生のこの年、福島県の人口は一気に四万五千四百七十人も減りました。それまで年間一万三千人台前後で減少しておりましたので、原発事故がいかに激しい人口減少をもたらしたかを物語っております。第一原発が立地している海岸線の浜通りの中央部は、今もって投げ捨てられたかのように異次元の空白地帯が広がっています。
強制避難指示区域を持つ十二市町村の中で一番、人口の多かったのが二万一千人の浪江町です。この浪江町には、私は深い関係があります。妻が浪江出身です。長らく薬局を営んできた家です。兄弟もみんな薬局経営でした。それが全員、家族全部が散り散りばらばらになって今日を迎えています。その浪江町は貴重な資料を残してくれました。町民は四十五都道府県に避難しています。避難していないのは和歌山県と鳥取県だけです。国外にも十一名も避難しています。
こうした避難を強制された人々は、十二市町村で十四万七千四百二十八人です。十二年後の今、この地域に住んでいる人は、事故後に新たに住み出した人を含めてですが、六万五千人に満たずです。したがって、少なくとも、少なく見積もっても、現時点で約五万人がふるさとに戻っていません。二〇一一年の三・一一事故時から見れば、約八万二千人余、つまり五六%の人がふるさとに戻っていません。小学校と中学校に通学する人数に限って言えば、事故前の十分の一になっています。この小中学生の人数を見ただけでも復興に程遠いことを物語っております。
今なお帰還困難区域では立入禁止が続いており、住むことは許されていません。その面積は約三万一千ヘクタールで、東京二十三区の約半分の面積に当たります。ここでは、地元自治体始め住民が求める全面除染の見通しは全く立っておりません。
福島全体の主な産業も三・一一前に戻っておりません。農業産出額は、二年前の数字でありますが、八二%、林産業産出額は九二%、沿岸漁業水揚げ量に至っては二一%台にとどまっています。復興はいまだ遠しなのです。そこにトリチウム汚染水の海洋投棄を強行しているのであります。
また、事故収束の課題になっております廃炉作業は、十二年たっても大きな危険と背中合わせになっています。最近も一号機の原子炉本体の原子炉圧力容器を支える土台が全周にわたって損傷していることが判明し、万一にも圧力容器が落下して建屋の外に放射性物質が飛散する危険性が指摘されております。また、二号機と三号機の原子炉格納容器の上蓋の裏面にはセシウムが大量に付着していることも明らかになり、これを建屋の外に漏らさない対策が求め続けられております。
加えて、廃炉全体の進捗も至る所で計画どおりに進まなくなっています。溶けて固まった燃料デブリの取り出しは困難を極め、たとえ取り出しに成功してもどこに保管するのか一つ取っても、全く見通しは立っていません。政府と東電が言い続けている三十年から四十年での廃炉完了は、ほぼ実現不可能との見方が広がっています。
以上のようなことから、強制避難地域外の、広範囲の福島県民が多方面にわたる精神的被害を受け続けているのであります。
具体的には、避難指示区域外、つまり自主避難と呼ばれる地域、この地域に住み続けている百八十万の福島の住民はふるさと損傷による被害、そこから他県に避難を今もって続けている人々はふるさと疎外による被害とも専門学者は指摘しております。これらの被害を軽減する、あるいはなくすためには、今後とも長期にわたる取組が必要になっています。この面でも福島の復興は終了した、もう終わったのではありません。
私は、今回俎上に上がっている法案、我が国の防衛力の抜本的強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案は、増税案か減税案かと問われれば、紛れもない増税案と答えます。この増税案の中の一つで本日特に問題になるのは、復興特別所得でしょう。復興特別所得税は、言うまでもなく東日本大震災の復興地、被災のための税ですが、それを本来の趣旨に全く反する軍事費に転用するものですから、大方の人からも反対の声が出されています。
世論調査でもよく表れています。昨年の年末に六割を超す人々が納得できないと反対し、今年に入ってからは七割を超す県民、国民が反対しています。
ところが、国会での議事録を見ますと、転用するものではないとか、課税期間が十三年間延長され復興財源は確保されるものだから決して復興予算額が変わるものではないなどの答弁が繰り返されています。十三年間延長されることは、三・一一後に生まれた人々も負担を強いられることになります。今の世代がみんなの力で負担して復興しようとつくられたのが復興特別税ですが、現在の若い人々まで拘束することになります。私はやってはならないことだと思います。
繰り返しますが、転用するものではないとか、十三年間延長され復興財源が減るわけではないという説明は、少なくとも三県の被災地と被災者を傷つける言い方です。私は、既に述べたように、被害に苦しむ福島県に住んでいる一人として強い怒りを感じております。当然、こうした言い方で国会を通してしまうことのないように心から願っています。
原発事故を含めた東日本大震災からの復興はいまだ遠しです。この理解こそ共有していただきたいと熱望します。
最後に、資料の三番目に載せました。原発事故をめぐっては様々な文学関係の人々が様々に発信しておりますが、大熊町で、農民歌人として福島県でも大変慕われ尊敬されてきた佐藤祐禎さんの、事故前の詠んだ短歌と事故後の短歌を紹介してあります。
事故前の最後の、「いつ爆ぜむ青白き光を深く秘め原子炉六基の白亜列なる」、どうもこの歌人は原発事故を予言していたようです。そして、事故が起こってここに詠んでいるようなものがいっぱいあって、最後です。「北を指す雲よ大熊に至りなば待つ人多しと声こぼしゆけ」、本当に悲しい歌です。「被災者と東電との綱引きは完敗ならむ悔しけれども」、何と残酷なことでしょうか。こうして死の床に就いております。
どうか皆さんに御理解願いたいのであります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/97
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098・酒井庸行
○団長(酒井庸行君) ありがとうございました。
以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。
これより公述人に対する質疑を行います。
時間が限られておりますので、御答弁は簡潔に行っていただくようお願いを申し上げます。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/98
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099・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 自由民主党の浅尾慶一郎です。
公述人の皆様方には、大変率直に思いを語っていただきまして、誠にありがとうございました。また、様々、この復興に対して、いまだなすべきことが多いことも改めて認識をさせていただきました。
そこで、この法案そのものは、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な措置をとるということでありまして、防衛費を、ロシアによりますウクライナの侵略のみならず、いろんな形で国際情勢が大きく変わるという中で、抑止力を高めるということで防衛費を増やしていくというものでありまして、その財源のうちの四分の三、増える分の四分の三を様々な手当てをして、様々な手当てというのは、現在使われております社会保障関係費を除いた部分の中で様々な手当てをする中で財源を確保していくという法案でありまして、残りの四分の一についてはまだ決まっていないというのが実態でございます。
そういう中で、今様々な御議論がありましたけれども、各公述人の皆様方におかれて、復興のための財源というのは既に使われた費用でありますけれども、これが更に率直に言って増額をしていかなければいけない、これはこの法案とは直接は関係ない話になりますけれども、特に吉田公述人は町長という立場でありますけれども、率直に言って、国からの財政措置あるいは県を通しての財政措置でまだまだ必要なところがあるのかどうか、そのレベル感も含めて、まずは吉田公述人に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/99
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100・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) 先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども、十二年という時間が経過しました。双葉郡であれば南から復興が進んできておりますけれども、八か町村の復興の状況は差異が生じてまいりました。特に、大熊、双葉、富岡、そして我々浪江でありますけれども、時間軸が後ろの復興がその町村にあってはこれからなんですね。
ただ、その財源がしっかりと、当時、私が県議のときに、党本部でこんな話をさせていただきました。事業、政策等はしっかり残っていくと、あなたたちをしっかり担保していくでしょうと。ただ、解除が遅くなったときに、政策や事業の金庫を開けたらお金がなかったということは絶対あってはならないというような話をさせていただいたことも記憶にございます。
そういった意味からすると、差異が生じておりますから、そういった中長期的に、これから復興というような町村もありますので、これらについてはしっかりと財源含めて政策、事業の継続が必要かと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/100
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101・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 及川公述人に伺いたいと思います。
先ほどのお話で、ちょうど震災のときは高校三年生だったというふうに承りましたけれども、その後大学に行かれて、そして、地域をもう一回第一次産業から再生をしていくという形で、今ワイナリーをやっておられるというふうに承っておりますけれども、その第一次産業に従事されている方、陸前高田におかれてはというか、もというふうに申し上げた方がいいのかもしれませんが、七十代、八十代の方が多いというふうにおっしゃっておられました。
どのようにしていったら若い人たちがもう一度その第一次産業、あるいはそれを加工する形の六次産業化ということも含めてでありますでしょうか、まさに及川公述人が取り組んでおられるようなところに従事する若い人を、例えば陸前高田も含めて、被災地に呼び込むにはどういったものが具体的に必要なのか、御自身の思いを話していただきたいと思いますし、それに併せて、仮に国の方で支援するとしたら具体的に何かこういうようなものがあるとか、この当委員会は財政金融委員会でありますから、被災地の産出のワインについては酒税を特別に安くするといったような特区みたいなものも含めて、何か御意見があればおっしゃっていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/101
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102・及川恭平
○公述人(及川恭平君) まず、若い人たちの呼び込みに関してなんですけれども、私もそうなんですが、やる気のある人たちはたくさんいる、ただ、そこにシステムがもう構築されていて、なかなか入っていけない。というのも、農地の確保がなかなか難しくて、農地自体が個人が所有しているものが大き過ぎまして、なかなか行政で管理できていない。そんな中で、やりたいと思っても、なかなか入っていけるものではないというのが現実にあります。
陸前高田でも、震災以降、果樹の産地ではありますけれども、五十六ヘクタールが失われました。五十六ヘクタールというのは、ディズニーランド一つ丸々すっぽり入るくらいの大きさでございます。そういった果樹の産地がじわじわと現場では減っているのを目の当たりにしております。陸前高田だけではなく、全国でもそういった現状が起こっていると推察されます。
現状、数値では把握できていないものが現実の中にはあると思っておりまして、そういった現実を、それを数値で把握するのはなかなか難しいんですけれども、より若い人が入ってこられる開けた空間をつくっていくことが復興なり全国の農業、水産業、林業なりに必要なことだと私は強く思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/102
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103・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 ありがとうございます。
今の点で一点だけ伺わせていただきたいんですが、農地を新たな担い手として今まで耕しておられた方から譲り受けたり借りたりするということに、なかなかその所有者の方から、あるいはどういう意味で、そのおっしゃっていたその農地のところのお話を少し御説明いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/103
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104・及川恭平
○公述人(及川恭平君) 農地に関してなんですけれども、個人の所有の土地というのが基本にありますので、まず、簡単に流通しているものではないというのがあります。
まず、農地を借りるためには信頼というものを確保する必要がありまして、そこには担保されるものが必要なんですけれども、それが一つに、地元出身者であったりとか長くその地元にいたりだとかということが一つの壁をクリアする条件になってきます。なので、外から来た人たちがいきなり農地を借りたいといってもなかなかそれは難しいことで、地元出身者の私でも、一つ菓子折りを持って挨拶に行き、足しげく通い、そういったことが必要になってきますので、なかなか流通している農地というものも少ないですし、その耕作放棄地となっているところが実際に本当に耕作放棄地なのか、まだ続けている土地なのかということも行政でも把握できないですし、近所の人でも把握できないというのはありますので、なかなか地元の人及び外からの人は本当に農業やりたくてもやれないというのが、陸前高田だけではなく日本全国で起こっていることだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/104
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105・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 ありがとうございます。
是非、様々な困難もあろうかと思いますけれども、是非、その震災の際に思われた思いを胸に、更にやりやすい環境をつくるように我々も努力していきたいと思いますけれども、更にその事業を進めていただければと思います。
それでは、伊東公述人に伺わせていただきたいと思います。
先ほどこの委員会の中でも様々この財源についての議論もありましたけれども、率直に申し上げて、ここはひとつ、その防衛費については考え方が二通りある、あろうかというふうに思っておりまして、率直に言って、与党のみならず複数の野党系の会派も含めて、抑止力という観点においては防衛費というものが必要であるということについては、恐らく今の、この委員会のみならず、国会の中においても七割くらいの会派の議席の人がそういう考え方に賛成をしているということでありまして、それは何もその戦争をするために、つまり防衛費を増やすと軍拡になって戦争になるんだという考え方ではなくて、むしろ、例えばウクライナの例を見ても、まだNATOに加盟していないからロシアが侵攻するというような、抑止力が欠けているところに、あるいは空白があるところに有事が起きるというのが残念ながら世界の実情であるというふうに、少なくとも私はそういうふうに考えておりまして、恐らく多くのこの委員会の委員はそういうことに対して賛成をしているわけであります。
加えて、では、その抑止力を高めるために防衛費を増やす、その財源をどうやって賄っていくかということで、先ほど申し上げました四分の三をいろいろな、例えば、埋蔵金という言葉は使いませんけれども、そうした予備的に使われるようなお金を活用するという形でこの法案が用意されておりまして、細部の、足りない部分をどうするかというのはこの法案の中には書かれていないというのが実態でありますけれども、そういう中におきまして、そもそも伊東公述人におかれては、これいろんな考え方があって構わないと思うんですが、防衛費を増やすということ自体が戦争につながると、そういう考え方なのかどうか、それを伺っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/105
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106・伊東達也
○公述人(伊東達也君) 結論から言えば、私はやっぱり、防衛費を増やすということは日本をむしろ危なくするというふうに私は確信しております。国会ではそういう考えは少なくなっている、少数派だというのもよく分かります。でも、何としても、私はやっぱり、日本でなぜああいう憲法生まれたんだろうかと、余りにもひどい戦争の惨禍ですよね、原爆を落とされ。
実は、私が一番上の兄と十六違っておりまして、私は物心付いたとき、既に兄は中国戦線からソビエトの抑留兵になっていたんですね。初めて会ったのが小学二年のとき。びっくり仰天しました。兄はもう骸骨のようでした。そして、家で暴れました。物すごい反感を私は持ちました。しかし、後々いろいろの本を読んだり人の話を聞いたりなんだりして、ああ、これが戦争がもたらしたものだというふうにして、二十歳過ぎにはこの兄とも和解できましたが、かくも身近にも、戦争って嫌だというふうなのがうんと私は思いが強いです。
やっぱり抑止力は、力には力だと思うんですね。これでは本当の平和はやっぱり私は達成されないと思います。ウクライナの問題でも意見は分かれますが、私はもう単純明快に、あのウクライナの置かれている状況と、日本がここに、アジアの東の外れにあるのと、やっぱり違うと思うんです。あそこにはあそこなりに、戦争に至るまでの様々な問題があったはずです。むしろ、政治はそういうことを解明して、日本はそういうことを起こらないようにそこをどうするのかという観点から考えれば、また違う回答が出てくるんでないかと。
だから、私は、その防衛費、軍事費というものに頼るのはうまくないというものがそもそもあった上に、このとんでもない空前絶後の被害を何とかしてみんなの、国民の力で税金を出してもらって復興しようというところに、それに便乗して増やすというのは何としてもやっぱり私の理解を超えるんですね。これはまずいと。うまくないと。本来、新しい法律を作るんじゃないんですか。でも、そういうことやらないでやるということも私問題で、是非、三権分立ですので、行政がそういうことをやるときにやっぱり意見を言う。そういうのが私の心からの願いなんですが、本当に意見の分かれることは重々承知で、私はそんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/106
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107・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 時間になりましたのでこれで質問は終えたいと思いますけど、各公述人の皆様方からの御要請をよく受け止めて、しっかりと復興に役立つような形で取り組んでまいりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/107
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108・横沢高徳
○横沢高徳君 立憲民主党の横沢高徳でございます。
公述人の皆様、本日はお忙しいところ御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。私も被災地岩手県の出身者として、是非ともこの地方公聴会の実現を、実現させたいという思いで、与党の皆様とともに実現できたこと、本当に皆様に感謝を申し上げたいというふうに思います。
まず、伊東公述人にお伺いします。
先ほど、やはり復興特別所得税のお話を先ほど来お聞きしておりました。やはり別枠で税制度をつくるべきではないかという意見もありましたが、率直にやはり被災地の皆さんの声として心情を、枠組み自体はそう負担が増えるわけではないという政府の答弁はある中で、やはり心情的に、被災地の皆様の心情を察するとやはりどうなんだという思いをやはりお持ちになっている方もまだ多いと思います。その辺の話をもう一度、もう少し深く聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/108
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109・伊東達也
○公述人(伊東達也君) 自分の考えだけ述べて申し訳ないあるいは感じなんですが、私自身は、全国から来る、この被災地に支援、あるいは体験しておかなければならない、見たいという人も随分御案内しましたが、私もそういうところの説明しながら、バスの中で見たりなんだりして、その復興の地域が、大きなホテルが建ったり、大きな建物建ったり、小学校、中学校も変わっていったりする。率直に私は、これ国民がみんな被災者を助けようといって税金から出ているんだよなというのはね、それはひしひし感じます、私は。ああいうことを福島県だけでやれと言われても、私も県会議員やりましたけれども、とてもじゃないけどもやれませんよ。有り難いです。
と思うと、そういうのに引っかけてやるのは何としても私はやっぱり引っかかるんですね。そういう気持ちです。答えにならないかもしれませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/109
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110・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。率直な御意見ありがとうございます。
続いて、及川公述人にお伺いをいたします。
復興の理念は、今を生きる世代で負担を分かち合うという理念の下にこれまで復興事業を進めてきたところがあると承知しております。その中で、復興特別所得税は、本来、二十五年間、生きる人たちで負担をするというふうに決めてやっていたんです。今回、その仕組みをちょっと変更して、また延長するとなると、震災当時に生まれた子供たちはちょうど六年生ぐらいになるんでしょうか、及川公述人は高校生だったと、震災を知らない人たちが負担をしていくことになってくるところは当然出てくると思います。
このような仕組みをやはり国民の皆様に分かりやすく国は説明し、理解していくことが必要だと思いますが、そこに対しての及川公述人のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/110
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111・及川恭平
○公述人(及川恭平君) 確かに、若い世代がこれからを担っていくはずが、重い税だったりとかそういったもので足かせになってしまって将来的にどんどん先細りになっていくというのは私もひしひしと感じておりますし、何とかしていかなければいけないというふうには思います。
復興においても、やはり財源が減っていくに伴って、この十年間地域を支えてきていただいたNPOだったりとかほか団体、そういったものがやはり離れていってしまうという現状もございますので、これから地域を、じゃ、誰が担っていくんだというのは、やはり若い人たち、こういった若い人たちがもっともっと伸び伸びと活躍できるような場づくりというのは必ず必要で、やはり経済に余裕がないと、若い人たちも次の世代をつくっていくことができなかったりとか、そのまま親を支えること、地域を支えることで手いっぱいになってしまうと思いますので、私自身もそうですが、やはり国からの支援だったり、そういったものは中長期的に必要になってくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/111
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112・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
同じく及川公述人にお伺いしますが、先ほど一次産業の話をされておりました。防衛費の今法律を、法案を審議しているんですが、やはり国を守るという視点からは、国民の命の源の食を守っていくということも非常に重要な課題だというふうに、国の責任として大事だと感じております。
やはりこれまで、被災地のみならず全国なんですが、やはり、耕作放棄地がやはりどんどん増えていくこの日本の現状、そして、若い担い手がなかなか、及川公述人のように情熱を持っている方もいっぱいいらっしゃると思うんですが、担い手が不足している現状、やはり特に被災地で今、やはりどんどんどんどんその食に携わる人たちが減っていくという今のもう少し現状を教えていただきたいのと、じゃ、どうすれば、やはり先ほどもありましたけど、どうすれば解決していくのかという及川公述人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/112
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113・及川恭平
○公述人(及川恭平君) まず、農業においてなんですけれども、やはりクローズドな環境でなかなか入っていけるものではないということと、あと、ほかの国を見比べてみると、日本においては、なかなか補助金で生活していけるものが、自分の生活、お金で、資金で、自己資金でやっていくというのが基本になりますので、なかなかそこで利益追求をして自分の事業としてやっていくしかないんですけれども、そういったところで国のシステムとして農業を一つ組み込むことが必要ではないかなというのは非常に思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/113
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114・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
続いて、吉田公述人にお伺いします。
先日も、視察の際はありがとうございます。私も、震災前はオートバイのレースをやっていまして、冬の間よく浪江町に行って、冬の間そのオートバイの練習をさせていただいたりして、非常に活気豊かな浪江のことが今でも目に映るんですが、先ほど吉田公述人からは、非常に重いという言葉をいただきました。まさにそのとおりだなというふうに感じております。
そんな中で、財源の確保はしっかり明記されているという、国の方で明記はされているんですが、やはり町民の心配はまだあると。やはり、心情に寄り添ったやはり今後の国の対応は求められていると思うんですが、その辺のお考えをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/114
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115・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) 国の対応というのは、私も、昨年の暮れにこれが出たときには、中身どうなんだろうというようなことで、今までの私なりの頭に入っていることで自分なりに整理をさせていただいて、あれっ、二期目の執行ってどのぐらいあるのかなと。これは予算ですよね。あらあらもう執行されているのが事実じゃないかなと思っていました。そんな中で、この防衛費に回すということは、これはけしからぬということで私もお叱りをいただいたわけですが、冷静に考えて国の議論をしっかりと自分で受け止めなきゃいけないなと思っておりました。そんな中で、それぞれの被災者の中でも受け止め方は多様であります。これらについてはしっかり国の方で説明がする必要があると思いますが、その誤解の、疑念のないような形で情報発信をしていただくことをまず第一に考えていただくべきでしょう。
そして、先ほど申し上げましたが、復興予算の中で防衛費にある意味、一・二%ですか、一・二%ですよね、そのお金を、防衛費というようなことで相対して復興予算というような考え方は、重いというのはそういう意味なんです。我々は、この十二年間の中で、国民の税金の中で復興を進めてきております。多くの国民が防衛の抑止力を必要とするのであれば、この被災地がどういう発信をすればいいのかな、その複雑さがあったわけで、それが重いという表現に変わりました。軽々に、我々は長期にわたって復興予算が必要です、その話は先ほどさせていただきました。その財源とするものを国会の方で今日のように御議論いただいて国民に理解をいただくということが、まず先ほどした情報発信についても必要ではないかなと思っております。
答えになるかならないかは別でありますが、しっかりとした、国民のひとしく理解をいただくような、疑念のないような国としての説明が必要であるという思いからです。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/115
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116・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
続いて、吉田公述人にお伺いしますが、先ほど、じゃない、先日視察に行ったときも、やはり地元に戻りたい、そしてやはり伝統文化を守りたいと思う方もたくさんいらっしゃる中で、山は、浪江町は、春は山菜、秋はキノコとか、なかなか前の生活には戻り切れない。でも、コミュニティーは守っていかなきゃいけないという部分の一番のやはり苦しい課題というようなところをちょっと教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/116
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117・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) 苦しいのはいっぱいあるんですが、今、伝統文化とコミュニティーというお話だから、それに関連して簡単にお話しさせていただきます。
我々は移住政策もしっかり進めていきます。帰還者が少ないということは、十二年も過ぎると避難先で新たな生活が始まっています。帰還をして、東電賠償については帰還先で一定程度投資がなされています。新たな資産を求めたわけでありますね。そして十二年過ぎたから、私が町長として、帰ってきてくださいと言うようなことは、これは軽々かもしれません。非常に重いことです。
したがって、経済的にも厳しい状況の中で、帰還者も少ないというのが、幾つかの、私の今お話ししたことも理由の一つになるでしょう。その中で移住政策して進めていく上で、歴史や伝統や文化は大事です。私も一千年以上続いている相馬野馬追というのを参加しておりますけれども、あの伝統文化が今でも継承されている。それだけは移住された人と協働をしながら新たに次の世代につないでいく。歴史や伝統や文化を事あるごとに変えてはなりません。そういうものがあるからこそ、ある意味震災前の町民と震災後の移住者が協働ができると思っておりますから、移住や伝統文化を守るということは違う視点でも大事かと思って、常々お話をさせていただいております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/117
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118・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
最後に、じゃ、及川参考人にお伺いします。
陸前高田にも移住されてくる方、そして若手、情熱を持ってこれから復興、地域活性に取り組んでいる方がいっぱいいると思いますが、やはり先ほど言ったネックになる部分もあるんですが、実際その移住されてくる方たちの、もっとこうなったらいいな、こうしよう、こうなったらいいなという希望とか思いがあればお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/118
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119・及川恭平
○公述人(及川恭平君) 震災を機に、陸前高田にも移住してきていただける方々はとても増えたんですけれども、やはり地元のやり方というか、そういったものを探っていくのに非常にまず苦労しておりまして、やはり伝統というものに関して非常にセンシティブに移住者の方々も受け止めてはいるんですけれども、やはり伝統を守っていくに当たっては、私も一つ、進化というものも必要だと思いまして、伝統というのは、やはりそのときの最適解だと思うんですね。ただ、伝統を守っていくには進化というのも必ず必要になってくると思うので、そういったものを助長していけるような環境づくりというのは非常に必要だと思います。
それは、やはり民間から発信していくことも大事だと思うんですけれども、それに応援していただけるような、行政だったりとか、そういう道筋を立てていけるしっかりした根本が必要なんじゃないかなというふうには思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/119
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120・横沢高徳
○横沢高徳君 公述人の皆様、ありがとうございました。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/120
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121・上田勇
○上田勇君 公明党の上田勇でございます。
今日は、公述人の皆様には、大変お忙しいところ、この地方公聴会の方に御足労いただきまして、大変貴重なお話を伺いましたこと、改めて厚く御礼を申し上げます。
初めに、吉田参考人にお伺いをいたしますが、震災直後に、私もこの浪江町、私の友人で浪江出身の人がいたものですから一緒に来させていただいて、そのときはまだ町役場が二本松市内の庁舎、仮庁舎でやっているというときでありましたけれども、そこから見ると、先ほど町長もお話があったとおり、復興はかなり進んできているということであるというふうに思いますが、この間の町民の皆様始め関係者の方々、そして吉田町長始め職員の皆様方の大変な御努力の結果であるというふうに思っております。
今日は、いわゆる防衛の財源確保法ということで、先ほどから復興財源との兼ね合いというようなことが幾つか御意見で出てきております。復興財源については様々な懸念もあるんですが、これまで委員会の中でも、鈴木財務大臣の方からは、確実にそれは影響しないように確保していくということを繰り返し答弁をいただいておりますし、ただ、先日、実は参考人質疑で有識者の方からお話を伺ったときに、今回のこの財源に影響はしないという大前提ではあるものの、こういうふうにおっしゃったんですね。この横の期間を延ばすことによって一%減額になった部分を確保していくということだと思いますと。だけど、そこをしっかり説明しないと、やはり復興財源の総額を確実に確保しよう、確保したかどうかというのが国民に伝わらないんじゃないかという参考人からの御意見をいただきまして、これは非常に重く受け止めなければならないというふうに思いました。
政府に対しても、その点はまたしっかりときちんとメッセージが伝わるように、そしてまた、私たち国会としても、この点はしっかり取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
そして、今日、町長には、全くちょっと話が変わって申し訳ないんですけれども、先日、町長のインタビュー記事を読ませていただいたときに、やっぱりこの浪江のこれからの経済をもう一度立て直して雇用をつくり出していくという中で、この福島国際研究教育機構に非常に力入れていきたいというふうなお話がございました。
このF―REIというんですかね、について非常に力を入れていただいているわけでありますけれども、ここから期待をされていること、それから、こういった点重点を置きたい、またあわせて、国に何かこういう支援があればというようなこと、御要望なんかがあれば、またよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/121
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122・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) ありがとうございます。被災地に来ていただいたり、F―REIの心配をしていただきまして、ありがとうございます。
F―REIでありますけれども、我々の浪江町に立地が決定したということで、これは当町だけのものではありません。本県福島県、もちろん東北、そして目的が、世界に冠たる研究者を集っていただいて、新たな今後起き得る課題について研究をしていくというようなことで、五つの項目が、研究項目挙がっているわけでありますから、私がここでF―REIに対して細かく物言うものではないと思っておりますが、かつて経験のない複合災害で我々はいまだにこういう状況でありますから、今後起こり得る様々な社会現象や、そして、我が国の研究が、大変恐縮ですが、世界に誇れるような状況が数少なくなってくるような状況が続くのであれば、このF―REIが一定程度機能をして日本の経済を守っていく、そういうものだと思っています。
したがって、復興の御旗の、浪江町だけのものだとは考えておりません。長い時間復興は掛かりますし、これらについて我々福島県民、被災地の住民の方々からは多くの期待もありますので、どうか国会の方では、先生方にはこのF―REIについても御支援をいただければと思っております。それぐらいしかお話しできません、私は。失礼します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/122
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123・上田勇
○上田勇君 今、非常に大きな、また先進的なプロジェクトでありますので、これは国も、それから地方もしっかり力を合わせて進めていきたいというふうに思っておりますので、またよろしくお願いしたいというふうに思います。
次に、及川公述人にお伺いをいたします。
新規にUターンで農業に参入をされたというお話を伺いまして、及川さんのような若い方が農業に参入をして地域を活性化をしていくということは、本当にそうした御努力に対して、本当にすばらしいことだというふうに思います。
先ほどお話の中に、といっても、農業に新規参入をするときに、最初はやっぱり一番ネックになってくるのはこの農地の問題、伺いました。そしてさらには、機械とかいろんな初期投資もかなり大きくなるというふうな面もあると思うんですが、この辺はある程度、何というか、補助金とかがあるんだというふうには思いますが、この農地について、これは農地の流動化を進めていこうということは、これは国として進めているんですが、実際にはなかなか円滑に進んでいないというのはもう全国各地で我々も伺っているところでございます。
農地保有合理化法人とか、また地域の農業団体などがいろいろと関わって取り組んではいるんですけれども、実際にそういったところともいろいろと交渉はされたんだというふうに思いますけれども、やっぱり率直に言ってどういう御評価かなというふうに思いまして、実際のそのユーザーの立場からするとどういうふうに評価されているのか、御意見を伺えればというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/123
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124・及川恭平
○公述人(及川恭平君) まず、現場の目線から語らせていただきますと、やはり農地に関しては、もう草刈りが大変なので本当にただでもいいから使っていただけるのは有り難いというふうな形で引き継いでいる畑が非常に多いです。
農地を管理しているだけでもどんどんどんどんお金を毎年掛かっていくのであれば若い人に使ってほしいという持ち主も非常に多くて、ただ、そういった情報が出回らないので、引き継ぎたい人と引き継がせたい人のマッチングがなかなかうまくいっていない。これに関しては、非常にクローズドな環境なので、地域にいながらではないと情報がなかなか回ってこないというのが現状です。
ただ、やはり持続可能性ということを考えていくのであれば、日本の歴史を鑑みるとなかなか難しいとは思うんですが、フランスのワイナリーにおいては、やはり土地というのは国が管理しておりまして、国に交渉すれば何とか農地を確保できるということがあります。ただ、日本においては、現状流通している土地というのは全体の耕作放棄地の一割程度と言われておりますので、なかなか、これを皆さんに登録してくれというのはなかなか難しいんですけれども、まだまだ皆さんが現役で元気なうちに何とか若い人たちがしていかなければいけないんではないかなというふうなことを現場にいて強く思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/124
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125・上田勇
○上田勇君 ありがとうございました。
最後に、伊東公述人にお伺いをしたいというふうに思います。
いろいろと御意見を伺ったところなんですけれども、そうした御意見の前提として、今、我が国には自衛隊があります。今のこの自衛隊の機能とか規模、まあ位置付けも含めてなんでしょうけれども、そういったものはどういうふうに評価されているのか。これは適正、今の状況は適正な規模なのか、それとも、まあ、どういうふうに評価されているのか、あるいは、これから、いろいろとその安全保障環境も変わっている中で、そういった事柄に対してはどういうふうに対応していくのか、御意見を伺えればというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/125
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126・伊東達也
○公述人(伊東達也君) 伊東です。
難しい問題ばかり投げかかってきますが、私自身は、災害復旧や何かでは国民からは非常に信頼を勝ち取ってきたし、有り難いというふうには思われていると思うんです。
しかし、戦争をするという点では、厳しいもう情勢になれば、私は、恐らく国民の中で完全に分かれるだろうと思うんですね。やっぱり我が子を守りたいというのとどういうふうに国民が葛藤するか、これは非常に私は難しい問題が出てくると思います。だから、そこでは、私は、遠い社会の中では、自衛隊の性質だってかなり変わっていくんでないかというふうに思います。変わることを私は願っております。
そこに今どれだけの金を使うかということについてはやっぱりいっぱい意見はありますけれども、私が今日言わんとしていることは、そういうふうな防衛費、軍事費というものに、事もあろうにこういうふうなところの金をあるいは法律を使うというのは発想の中から私は生まれないんですよ。何でこんなふうになるのと。そこは私はかなり峻別して考えておりますが、そういうことでよろしいんでしょうか。
私は、どうにもうまくないよね、こういうことで復興財源を転用するというのはという考えです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/126
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127・上田勇
○上田勇君 ありがとうございました。
その復興財源の在り方というのはいろんな見方があるんだというふうに思いますが、要は、復興財源自体は、今までの復興特別所得税もいわゆる復興債の償還財源という意味で機能してきたわけでありますので、直入をしている、直接ということではありませんし、今のお話ではそこがなければこれに御賛成なのかというふうにも取れたのですが、これはちょっともう時間になりましたので終わらせていただきますけれども、三人の公述人の皆様方には大変にありがとうございました。
今日はありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/127
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128・梅村聡
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。
今日は、三名の公述人の皆様、貴重なお話を本当にありがとうございました。
順番に御意見をお伺いしたいと思いますが、まず吉田公述人からお願いをしたいと思います。
先ほど上田委員からの質問の続きになるんですけども、先ほど吉田公述人は、今回、被災地の方に今回のこの復興財源についてどう扱っていくかという政府の説明と情報発信が非常に大事だということをおっしゃっていただきました。
先ほどからいわゆる復興財源の転用という表現もされていますし、先ほど上田委員がおっしゃったのは、いや、確かに復興特別所得税は下げるんだけども、その足らずの分は復興債で充てることによって、で、この復興債の償還財源は少し長く延びた課税期間の復興特別所得税を充てるから、ですから、事業という面から見れば、これは、復興事業は必ず財源は担保されるんだと、こういう説明を今政府はしておるんですけども、いわゆる今私が申し上げたこのスキームそのものが被災地の方にきちんと伝わって、それでもやっぱりこのやり方は駄目なのだという世論ができてきているのか、あるいは、今申し上げたスキームが余り理解がされていなくて、何となく転用されているんだという言葉が先走って、被災地の方が少し残念な思いを持たれているのか。これ、実際、どちらが被災地の方は感じておられるのか、ちょっとその辺り、もし御意見があれば教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/128
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129・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) 今の復興予算の執行状況など、詳しくは県民は分かっていないですね、もちろんね。我々政治に関わる者はそういったものを調べれば分かりますけれども、特に国会議員の先生方はもう御存じかと思います。国会議員の先生方がそういったものを明確に伝えられることも一つの手段かもしれません。
その上に立って、説明不足というのは、今はですよ、恐らくや、昨年十二月の話をさせていただきました。あの当時は、防衛費に転用するというような見出しで出たわけで、県民は、全ての県民が分かっているわけじゃありませんから、そこで疑念を感じるわけですよね。そういったことでも説明が必要ですということだと思います。
もう一ついいですか。
ある意味、被災地の住民、県民は、もうこれで終わりなのかという、もう終わり感を自ら何か悟っているか、感じているか、私は最近そんなこと考えます、感じます。まだまだ終わっていないですよということで、我々はこれからこうしますよという話するわけですね。ただ、もう国はいいんだろう、もう財源絞っていくんだろうというぐらいにもう想像するわけですよ。ですから、非常にこの防衛費の予算の議論が疑念を持ちやすいんです。
あとは、いまだふるさとに帰れない人がいるんです。早い段階で政策や事業は享受した県民もいます。まだ享受できない県民もいるということを頭に置いてください。そういった方にすると、なぜ復興予算が我々享受できないのに防衛費に回るんですかという疑念は持って当然かと思います。
ただ、我々は、総合的にですよ、ある意味、復興予算は一定程度担保されているというようなことを考えればある意味理解はできるわけですけれども、そういった県民がいるということは、ある意味、この税制の今回の御議論のほかに、今の本県の被災地の復興状況の県民の思いが様々だということだけは、影響が私はあると思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/129
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130・梅村聡
○梅村聡君 ありがとうございます。
つまり、机の上で必ず財源が確保されましたよという話と、やっぱりその復興所得特別税が引き下げられたと言うと、何かちょっと一段落したから下げられたんじゃないかという印象というかメッセージがやっぱり良くないんだというふうに思いますので、ここはやはり非常にきちっと、政府も、我々国会も、ちゃんとこのことを説明をしていかなければいけないんじゃないかなと、そういうふうに思っております。ありがとうございます。
それから、もう一問、先ほどいよいよこの三十一日の解除の話があったんですけれども、これ、原発事故直後のときからもうずっと続いていることだと思うんですが、もちろん、先ほど公述人は産業と雇用というお話がありました。一方で、私は医療現場出身なんですけれども、例えばそういった国家資格を持った医療や介護や福祉と、こういったものはどちらかというと社会インフラ的なものだと思いますけれども、こういったものはこれから復興に当たってどのようにもう一度力を取り戻していくものなのか、これは国がどういう手だてがしないといけないのか、この辺の辺りを少し教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/130
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131・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) 医療、福祉でありますけれども、民間的な視点からいくと商売にならないでしょう。ただ、政策となれば、これはある意味担っていただく、これは県含めて行政が担う、国が担うというような視点になろうかと思います。
一定程度政策的な医療を進めていった上で、復興がどんどん進んでいけば、ある意味民間の活力も生まれてきます。ある意味コミュニティーも成熟していきます。そうなると、医療インフラが自立できるような状況を我々は復興の手段かと思っています。まだまだそういったものには到達していない状況が今だと思ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/131
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132・梅村聡
○梅村聡君 やはりそういうことの目配りも国もしっかりやっていかなければなというふうに感じております。ありがとうございます。
それでは、及川参考人にお伺いをしたいと思います。
先ほどから、この第一次産業のいわゆる新規就農者になられるのかと思います、そのときに、先ほど土地の問題ですとかあるいは担い手の方の問題ということがありましたけれども、この新規就農というのは、就農してすぐに収入があるわけではありませんから、ある程度の時間が必要になってくると。初期投資に関しては、例えば補助金であったりとかいろんな制度があるかと思うんですけれども、実際、これ、ワイナリーをされて、実際にこの収入としてお金が入ってくるまでのその辺りは、及川公述人もそうだと思いますし、ほかの若い方もそこをどのようにつないでいくのかというのを、これ現実をちょっと教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/132
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133・及川恭平
○公述人(及川恭平君) そうですね、まず、その資金繰り的な話でいいますと、農業をするに当たって、やはりなかなか、農業をしたいと思う人たちが皆、みんな資金を持っているかというと、そうではない。そんな中で、一つ利用できる国の制度が、新規就農の制度がありまして、それに関して、やはり全国で就農している人たちはその制度を使っている方々が多いんですけれども、かなり縛りが年々きつくなってきておりまして、収入、年収が幾ら以下でないといけないとか、あと、農業収入だけで収入を見ないといけないとか、副業はしちゃ駄目だとか、そういったもので結構縛りがきつくて、どんどんどんどん農業やりたい人も増えてきてはいるのに、そういったサポートが薄くなってきているというのが現状です。
農業に関してもなんですけれども、陸前高田、産業をどうつくっていくかということにおいて、陸前高田は十年間で、何十年と先の、建設、土木、そういったものの仕事を十年の中でぎゅっと凝縮してやってきて、これから先の産業をどうしていくかというときに、やはり農業、水産業、林業、田舎のあるあるの産業だとは思うんですけれども、そういった中で農業をこれからどうしていくんだというところで、サポート、行政のサポートがないとなかなか厳しいなというのが現状で、特に、私は果樹をやっておりますので、果樹に関しては、新規就農で計画を立てるとなると五年で立てなければいけない。五年で計画を立てるとなると、果樹は成長するのに最低でも四年掛かりますので、うまくいってその計画が到達できればいいねという話になってくるので、果樹だと普通十年ぐらいの計画が欲しいなというところなんですが、今のその新規就農の制度自体がもう野菜だったりそういったものが前提になってきますので、果樹を引き継いでいくに当たっては、なかなか新規就農では難しい、その産地自体で果樹がないと、ほかにはなかなか難しい。
ですので、新しい政策だったりとか、品種を取り組みたいというふうなことになったときに、まずその新規就農では絶対に難しいというのが一つあります。行政でも取り組もうとなったときに、どこかほかの県内の事業者だったりが取り組んでいないと行政もなかなか一例として持ち込めないというのがありますので、行政から発信というのはなかなか難しくて、それも、民間で誰かが取り組んでいるのを一例で、この地域ではしっかりうまくいきますねというところから行政でも持ち込むというのがありますので、誰か民間でやっていないと新しい取組がなかなかできないというのが現状にはあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/133
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134・梅村聡
○梅村聡君 いろいろ御苦労がよく分かりました。
それで、今の例えば補助を受けたりいろんな条件があるというのは、これ、及川公述人御本人が多分されているんだと思うんですけれども、じゃ、これが仮に農業が法人という形でもしもう少しできるようになれば、今おっしゃったような悩みというのは少しは解決されそうなのか、そういう法人とか形態は余り関係ない話なのか、ちょっとその辺りも教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/134
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135・及川恭平
○公述人(及川恭平君) 実際に、農業においては、現場では、個人の就農者に関してはやはり高齢化に伴って全体的な数は減っているんですけれども、企業としての農業を担っていく人たちの数は割と増えてきてはいるので、企業として最初から取り組むという方法も一つありだと思います。
ただ、やはり最初から農地を莫大的に確保できるというのもなかなか難しいですし、その土地にいる人たちが大体企業として人を雇って大きくするというのが現場感としてはありますので、外の人たちがその地域を担っていくというので企業をやっていくというのは、なかなかそういうもの考え難いのかなというふうなのは現場にいて思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/135
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136・梅村聡
○梅村聡君 また、そういう課題も含めて、国政ではしっかり取り組みたいなと思っております。ありがとうございます。
それでは、ちょっと時間が少ないんですが、最後、伊東公述人にお伺いをしたいと思います。
事前にいただいた資料で、伊東公述人は、元々は大気汚染問題とか環境問題に取り組んでおられたときに、東大医学部助手の方のお話をお聞きになってこの原発問題に取り組まれたというふうな記載を見させていただいておるんですけれども、これは具体的に、今現実に起こった、津波によって電源喪失が起こって今こういう大変なことになったということが、当時から同じような話がここでお聞きになって取り組まれたのか、それとも、また別のストーリーというか、そういうおそれも含めてこういう問題に取り組まれたのか。ちょっとどういうことが当時想定されていたのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/136
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137・伊東達也
○公述人(伊東達也君) 一九七三年だと思うんですが、楢葉町と富岡町というところに第二原発の設置をするということが発表になりまして、そこに町民が、もう既に第一原発があって事故や何かいろいろあったので、勉強会が始まるんですね。たまたま私は、早川さんという高校の教員、それから富岡町にもおられました理科の先生で、ついこの前まで私と一緒に高校の教員をやっていたんですが、学習会をやるんだということで、何かあなたは教員辞めて政治家になったなんて、私びっくりして、政治家になった自覚余りなかったんですが、来いと。それで行ったんですよ。全くの偶然なんです。
ただ、そのときに私は、教員時代にこういう体験をしちゃったんです。県立小名浜高校というのが、小名浜地区であっという間に粉じん公害が出て、授業ができなくなってきたんですよ。そのとき、高校の先生方が、子供が困っているのに教える側の我々が黙っていていいのかというのが自然発生的に出てきた。それで、有志の先生方と一緒、私もその中の一人になるんですが、いわき市高等学校教職員公害研究会というのが正式名称かな、で、やったんですよ。
それで、まあともかくも、公害の発生防止のためにいろいろいろいろやった体験があったので、私が最初に、楢葉町か富岡町でその原発の学習会を、町民がいっぱい出て質問出ているところに私も手を挙げて、その先生が、大事故を起こせば大変な環境問題になるんだとしきりに言うもんですから、今のことを話したんです、私は。ということを高校時代に私は、公害の、あの粉じん公害のすさまじさというのは身をもって体験している、それと比べたらどうなんですかって聞いたら、たった一言なんです、比べようがありませんと言ったんです。これが私の引き金だったんです。ええっと思ったんです。だから、そういう観点だったんですね。ええっ、あんなにひどい公害が比べられないぐらいもっとひどいというのは何なんだということでした。
答えになったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/137
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138・梅村聡
○梅村聡君 いえいえ、ありがとうございます。
お時間が来ましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。
お三方、どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/138
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139・大塚耕平
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平と申します。
今日は、公述人のお三方、本当にありがとうございます。
私自身は、三・一一のときに厚生労働副大臣でございましたので、まさしく災害救助法の担当で、皆さんには大変お世話になりました。改めて御礼申し上げますとともに、福島の皆さんのその後の復旧復興に向けての御活動に本当に敬意を表したいと思います。
浪江町は、当時、町長、馬場さんだったと思います。また、今知事の内堀さんは当時副知事で、本当にここに参りますとその当時のことを思い出しますが、まだまだ復旧復興、それから原発の対処には時間が掛かると思いますので、御協力を改めてお願いを申し上げたいと思います。
その上で、お三方に同じ質問をさせていただきたいんですが、今回、この税制の仕組みが、先ほど吉田町長のお話ですと、県民の皆さんも必ずしも十分にお分かりになっていないかもしれないということだったんですが、基幹三税、もう釈迦に説法ですが、法人税と消費税と所得税と、この三つが基幹三税というものでございますが、今回、賛否は別にして、防衛費に新たな財源を確保しなきゃいけないということで、その三つのうちのどこに負荷を掛けるかということで財務省が考えたのは、所得税にプラス一%、全国民にということですね、負荷を掛けるということを考えた法案なんです。
ところが、国民の皆さんには復興特別税が元々加算されているので、国民の皆さんの負担を増やさないために、復興特別税を一%分引き下げて、先ほど来話が出ていますが、足りなくなった財源分は課税期間を長くして確保するし、その間の財源については復興債で何とかするという、非常にもっともなようで複雑な仕組みを財務省の皆さんがお考えになったわけですね。
そこで、まず吉田町長と及川さんにお伺いしたいのは、お三方の考え方は大体今までのお話で何となく理解させていただいていますので、いや、そういうことなら、所得税じゃなくて法人税や消費税に負荷を掛けるというやり方もあったし、どっちみち復興債を出すなら最初から国債で調達すればいいじゃないかという考え方もあったと思うんです。だから、吉田町長や及川さんがもし立案をする立場で、しかもこの福島の実態を御存じである立場からしたら、どういう仕組みをお考えになりますかというのが質問であります。
一方、伊東さんのお考えも理解しておりますので、同じ質問すると、そもそも防衛費を増やすのは反対だとおっしゃられると思いますので、そうなると、これ回答がなくなりますから、しからば、今回は、防衛費は全国民の皆さんに負荷を掛ける、そのときに、全国民の皆さんには復興に関してプラスアルファが掛かっているので、そこを工夫しますという、さっき申し上げた仕組みなんですが、もし防衛費でなくて、ほかの分野に関して、例えば、今子育てでも国民の皆さんに財源のお願いをしつつあるわけですが、どういう分野の新たな負荷であれば、この復興特別税を今回のような仕組みで工夫するということを許容されますか。その分野についてお伺いをしたいと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/139
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140・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) 当時、震災間もなくですが、先生には大変お世話になりました。ありがとうございました。
今日ここに来たのは、ある意味、復興税を防衛予算に回すということで来たわけであって、大変恐縮ですが、もし私が逆の立場であればというようなことでお答えする立場では、大変恐縮ですが、私はございません。
その上に立ってお話ししますが、先ほどから申し上げているとおり、被災者、まあ県民でありますけれども、これは岩手、宮城も同じでありますけれども、いまだにまだ復興が享受できていない人が、財源とするものを求めようとする方が大勢いらっしゃいます。そういった方からすると、我々のためにつくった復興予算、財源が防衛に回るということは不安を感じると。ただし、先ほどから申し上げているように、ある意味、一%下げて、まあある意味、防衛費に回して償還を延ばすわけですから、総枠は変わらないわけですよね。ですから、私も、今日の議論には余計な話かもしれません。
先ほど一言で触れさせていただきました。ある意味、令和八年以降の復興がまだまだ緒に就いていない状況であれば、一定程度復興予算が必要になってまいります。そのときの御議論もひとつよろしくお願いをしたいということと、しっかりと、今の復興する地域、我々は、私は憂いがないわけではありません。ただ、憂いばかりで机上のことだけやっていれば、町長として仕事は進みません。
そういうことを考えると、しっかりとした復興を進めて、ある意味、国民の皆様には恩返しをする。必要じゃないお金を欲しいということは復興じゃないはずです。我々は、いまだ必要な財源も政策も事業もございます。それに係る財源を長期的に政府が責任を持つということは、岸田総理の答弁にも私は伺っております。確認もさせていただきました。
そういったことから考えて、私の発言とさせていただきます。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/140
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141・及川恭平
○公述人(及川恭平君) 先ほど御提案いただいた三つの中でいえば、私個人の考えではありますが、法人税なのかなというふうに思います。
ワイナリーを私やっておりますので、飲食とも非常に深い関わりがあります。飲食に関しましては、一つ国のセーフティーネットだとも思っておりまして、やはり学歴だとかそういったものがなくても、どんな人でもできるというのが飲食業だと思っております。そして、コロナでも飲食業というのはどんどん潰れました。これからの日本においても、観光というのは非常に重要なものになってきます。
バブルの時期におきましては、今と税制制度が少し違って、飲食の経費というのは非常に自由に使えたものだとお伺いしております。今に関して、現代に関していえば、やはり飲食に関する経費だったりという、経営に関する経費の見直しを少し行ってみることで、企業だったり個人が使うお金の使い道がちょっと変わってくるのかなというふうには思いますので、そうなってくると日本の経済の回り方が少し変わってくるのかなというふうに思います。
個人的な考えですが、一つそういった方法はありなのかなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/141
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142・伊東達也
○公述人(伊東達也君) どの税なら許容できるのかというのが、私の立場からすればどれも駄目なんですが、その政治の正道からいくならば、何としても防衛費増やすんだと、軍事費増やすんだというならば、きちんとそれ、その法律でやるのは筋だと思いますよ。私はそれを、やっぱり今、多くの皆さんは、そうやっちゃえば国民は納得してくれないと、反対の方が圧倒的に多数になっちゃうというふうなことなんじゃないかと私は考えるんですよね。だから、何をやったらいいだなんてお勧めなんかはできる事態ではありません。
しかし、本当だったらそういうことです。すなわち、この復興税の一%を引き下げる、で、その分は新たな付加税を新設するんでしょう。だから、少なくなるから、復興税としては少なくなるから復興債で賄うということでしょう。そうなんですね。復興債は、これはまた借金ですから、どこまでも国民が苦しまざるを得ないんですよ、その借金が後世の人たちも払わなければならない問題ですから。
だから、そういうふうなことをやっちゃ駄目でしょう。もしやるならば、正々堂々ときちんと、こういうふうな税で増税なんです、これはと言って賛否を問うのが私は正道だとは思いますよ、やり方だと。
でも、そんなことを私から、もう先生方の方が、国会議員の皆さんの方がはるかに権限は持っているし、考えられてしかるべきだと。私の方からはもう、どれだったらいいんでないかということはほとんど言及できないことだけ御理解いただければと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/142
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143・大塚耕平
○大塚耕平君 伊東さん、ありがとうございます。今の御回答は承りました。
私がお伺いしたかったのは、防衛費は駄目だというのは理解しましたので、ただ、今後も我が国にとっていろんな新たな課題が出てきて、今でしたら子育て予算が必要だという議論も我々やっているわけですね。だから、どういう分野の、負荷が掛かるということであれば、今回のような復興特別税に少し手を付けるということが許容され得るのかという、その防衛費以外でこういうことを議論のテーブルにのせて考えてもいいと思えるような分野はございますでしょうかということを、伊東さんの個人的意見で結構ですので、もしあれば教えていただきたいなということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/143
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144・伊東達也
○公述人(伊東達也君) まあ、ほぼ私はないです、個人的には。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/144
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145・大塚耕平
○大塚耕平君 それでは、あと三分ありますので、最後に及川さんにお伺いしたいんですけれども、私は、さっき申し上げたように、三・一一のときにまさしく担当させていただいていたので、その後、1Fの問題にも向き合いました。で、私はその後も、今もですが、各地でこの問題で呼ばれたときに申し上げているのは、原発についていろんなお考えがあるのは分かるけれども、今この瞬間も1Fの中で大変大勢の若い方々が処理のために働いてくださっているということを忘れないでくださいということを申し上げています。
したがって、これは防衛問題も似たところがあって、防衛問題についていろいろ意見はおありだとしても、一たび何かあったとき、あるいは災害でもそうですが、自衛隊の皆さんが対応している。福島も福島駐屯地ありますよね。だから、今のこの原子力発電所や、それから防衛問題、いずれも先々担うのは及川さんを含めた若い世代の皆さんで、このマスコミや中高年を中心にしたこの議論が若い皆さんたちにどういうメッセージになっているかというのをちょっと感想を聞かせていただきたいんですが。つまり、原発処理に向き合ったり、あるいは防衛問題に向き合うような、そういうインセンティブをそぐものになっていないか、それとも深く問題を理解することに寄与しているのか、そのもう率直な若い世代としての御意見を聞かせていただきたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/145
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146・及川恭平
○公述人(及川恭平君) 率直な意見でいえば、多くの若い人たちは、防衛費に関しての関心はかなり薄いと思います。それぞれがなぜ防衛費を上げなければいけないのかというものについてはなかなか理解が進んでいないのかなというふうにも思いますし、復興税がどれくらいあって、そもそもそれを防衛費に回すということ自体も知らない人が割と多いのかなというふうにも思っています。
どうしたらいいかというのは、そうですね、個人がそれぞれもっと政治に関心を持つというふうなことしか言えないんですけれども、もっともっと身近な、そうですね、もっと身近なものになってくれば、例えば電気に関しても、やはり個人でいえば、なかなか、原子力発電を減らすにおいても、電気をもっと、電気料金を上げなきゃいけなくなってくるというところで、それに関してなぜなのかというところをもっと発信していけばもっと考えも深まってくるのかなというふうには思いますし、そうですね、ただただ受け取るしかない、若者が受け取るしかないような状況にはあると思いますので、そうですね、お金の数値というところで非常に若者でも身近なところで感じて、それについて何か意見をもっと言える場だったり考えるところが、環境が、整備が進めていければなというふうには、何か変わってくるんじゃないかなというふうには思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/146
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147・大塚耕平
○大塚耕平君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/147
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148・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
今日は、三人の公述人の皆さん、大変貴重なお話をありがとうございます。
まず、伊東公述人にお聞きいたします。
配付資料の中で、この避難指示区域の居住状況や小中学校の通学者数という大変貴重な資料を配付をしていただいております。公述の中で少し触れられたんですけど、せっかくの資料ですので、もう少しこの中身の特徴を御説明いただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/148
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149・伊東達也
○公述人(伊東達也君) これは独自に確認して調べているんですが、二三年度は今もう確定していると思いますから、また調べたいと思います。二二年度までですが、大きく変わっていないと思います。浪江では四十人ぐらい増えたんですかね、しかし大勢としては変わっていないと思うんですが、私がこれを見ようと思ったのは、学校が次々になくなってきちゃったわけですね。そして、戻るときには合併せざるを得ないわけですね、戻る人が少ないですから。だから、非常に学校が少なくなる。こういうものも一体未来を考えたときにこれでいいのか、しかし、現実に戻ってきていないから、本当に学校そのものまでなくなってしまうのもやむを得ないということで、自分でもうんと悩むところなんです。
子供いないところで未来を語るというのはなかなか難しい事態になっちゃっているなというのの象徴として私はここに焦点を当てているということなんですが、ちょっと質問の趣旨はそういうことでなかったでしょうか。違いますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/149
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150・井上哲士
○井上哲士君 小中学校の通学者数が一割以下になっているというお話ですけど、もう一枚のこの避難十二市町村の居住状況の資料についてももう少し御説明いただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/150
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151・伊東達也
○公述人(伊東達也君) 資料一の方は、私の伊東メモというのがありまして、一番私が、被害の実態というのか今実情がどうなっているかというのは、戻った人が何人いるんだろうかというのは、どこに聞いても分からないんです。いろいろの、復興庁に電話しても、そういうものは調べていないと言うんですね。是非国会でも問題にしていただきたいんです。
私、チェルノブイリに行ったときに、みんな、こんな、前ですよ、もう今から二十年も三十年も前に行ったとき、ソビエトという国は遅れているよねと。すなわち、この数字が全くばらばらばらばらなんですね。だから、日本で同じこと起こっちゃったって私は思う。こんな大切なことがどこからも出てこないんです。
それで、私はこの県が発表したやつでもう推定するしかないんだということで、新規転入者を含むんですよ、今の居住者には。だから、戻った人は何人というのは、伊東メモというふうに、機械的に今いる人を戻った人だと見るとこういうふうになるんだよねということで、だから、これ以上戻って、もっと増えるはずなんですよ。
だから、現実は、この強制避難区域では五六%の人が戻っていないと。多数が戻っていないんです。だから、復興はこれからなんですよ。金使うというのも、確かにそういう点ではこれからなんです。本当に厳選しながらこの実態を解決していくというところに英知を使う必要があるというふうに物語っているというふうに考えました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/151
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152・井上哲士
○井上哲士君 ありがとうございます。
復興はこれからだと。一方で、風化が起きているということもお話がありました。
吉田参考人と及川参考人にお聞きしたいと思うんですけど、岸田総理は、去年の施政方針演説では、福島の復興を含め東日本大震災からの復興は政府の、政権の大きな課題ですと、こう言ったんですけど、去年の臨時国会の所信表明では、震災という未曽有の国難から立ち上がったと述べて、まるで終わったみたいだという声も上がったんですが、今年の所信表明、施政方針演説ではこの震災という言葉自身がなくなったんですね。福島の復興という言葉は残りましたけれども、関東大震災から百年ということがあって、震災という言葉はなくなったんです。
こういうやっぱり政府の対応が風化を加速させているんじゃないかと。それに今回のこの復興所得税のいわゆる転用という問題が一層加速をさせているんじゃないかという思いを持っているんですけれども、行政の立場で、また若い皆さんの中にいる方の立場としてその辺をどのようにお感じになっているか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/152
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153・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) 総理の発言で風化しているとは、私は一概には、大変恐縮ですが、思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/153
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154・井上哲士
○井上哲士君 所得税の、復興所得税の転用が風化に拍車を掛けているんじゃないかという点ではどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/154
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155・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) 先ほどから申し上げましたが、今回のこの公聴会でありますけれども、防衛費と復興財源のその関係で意見を述べさせていただいております。したがって、そういったもので風化しているというような一概な考え方には私はなりません。しっかりと今日おいでの先生方に御議論いただいてこれらは進めていっていただくものであり、この風化というものについては一概に、この所得税についての影響というものでは私は一概に言えるものではないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/155
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156・及川恭平
○公述人(及川恭平君) 風化に関してまず述べさせていただきますと、やはり、風化させてはいけないという思いもありつつ、震災支援で買われる、物が買われる、支援していただくというところから脱却もしなければいけないという話もやはりあります。いつまでも震災支援というイメージがあってはならない、それも払拭しなければいけない、ただ、震災というものも風化させてはいけない、このジレンマはありつつも、所得ということに関して言えば、それ自体がそもそも風化に関して結び付いているかどうかというのはまた疑問ではあるんですけれども、現場にいて思うのは、そのジレンマに悩まされているという現実、事実もあるということはお伝えしておきたいなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/156
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157・井上哲士
○井上哲士君 この復興所得税の軍事費への転用問題で、世論調査などを見ていますと、むしろ年末よりも年明け以降、最近の調査の方が反対が上がっているというものもあるんですね。
この間、繰り返し国会でも議論になっていますけれども、総理も鈴木財務大臣も、様々な意見があるのは承知していると、丁寧な説明に努めまして、御理解、御協力をいただけるように努力しなければいけないということをずっと繰り返されているんです。ある意味、半年ずっと同じことを言われているんですね。
これ、行政の場に、吉田公述人にお聞きしますけれども、行政の場におられまして、そういうことに対する政府の説明というものがきちっと行われているのか、具体的にと、その辺はどのようにお感じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/157
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158・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) 十二月にこれらマスコミ報道された後に、我々は被災地でありますし、私も議員時代から様々政府、国会の先生方には御指導いただいている立場上、二日後に、私のところに、中身はこういう中身で今議論をしていますと、結果的にはまだまだ出ていないものもあろうかと思いますけれども、こういうことでこういうマスコミ報道がされましたということは私には説明がございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/158
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159・井上哲士
○井上哲士君 行政にいる立場として、つまり住民全体に政府がそういう説明をする努力がきちっと行われているかどうかをどうお感じになっているかということでお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/159
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160・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) 私もこういう立場ですから、受け止め方は一概に、自分の受け止め方と町民の受け止めがひとしく同じかということはお話ししませんが、それぞれ受け止め方は違うかと思います。マスコミ報道を見てない方もおられますね。えっ、それ、そういうこと、どういうことだという方もおられました。
少なからず政治に関わる、行政に関わる方々は興味をお持ちでありますから、これらについては早い段階で今の政府方針については受け止めたと思っています。そのほかの町民全ての方々の考え方については私もなかなか承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/160
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161・井上哲士
○井上哲士君 最後、伊東参考人にお聞きいたしますけれども、今回のいわゆる軍拡というのはウクライナの事態を受けて進められているわけでありますけれども、やはりウクライナの事態を私たち見たときに、いかなる理由があっても戦争ということになれば本当に大きな、大変な被害が出るということでありまして、やはり政治の仕事というのは戦争にしないためにあらゆる努力を払うこと、そして、軍事対軍事ということは逆にこの戦争への危険を拡大をすると私たちは思っているんです。
特に、やっぱりウクライナを見ていますと、この原発が標的になっていたりすることがありました。この福島に住んでおられて、そしてまた、福島にとどまらず、原発列島というような日本において、この原発と戦争という問題をどのように受け止めていらっしゃるか、お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/161
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162・伊東達也
○公述人(伊東達也君) ウクライナのあのザポリージャ原発を始めとして、戦争で狙われるということが全世界に私は明らかになったと思うんですね。もし日本が敵基地攻撃を発動すれば、必ずそれは反撃になるんだと思います。一気にある国を全滅させるなんということは私には考えられません。
その場合に、やっぱり私は、原発は脅威の一つになっちゃうよなと。それは廃炉になっても狙われればやっぱり大変な惨事なんだと思うんですね。本当に困ったことです。これ核兵器要らなくなっちゃうぞと。何とかそこは回避したい、させたい。そんなことはもう本当にゆめゆめあってはならないんだという立場からやはり日本は発信する、その点でもということで、福島県に私住んでいる一人として、よもやそんなこと起こらないよなというふうにもうみんなで思っちゃっていますが、実は原発事故がよもやなんです。
どれだけ一体、世論調査すれば、分からなかったと思いますが、ほとんどの県民は、原発は事故を、大事故を起こさない、福島県民も信じてきたと思います。だから、今の話も、やっぱりゆめゆめ夢物語だということじゃなくて、現実にどう対処しますということをみんなで英知を結集しなければならない、それをウクライナは何か教えているような気して仕方がありません。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/162
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163・井上哲士
○井上哲士君 ありがとうございました。これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/163
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164・神谷宗幣
○神谷宗幣君 三人の公述人の皆さん、今日はどうもありがとうございます。
参政党の神谷宗幣です。
私、今日一番お聞きしたかったなと思っていたのは、吉田町長がさっきおっしゃいました、来るお金が減るとかいうわけではないんだけれども、やっぱり県民が少しでもネガティブに思われているところはどういうところかというところで、もうこれでそろそろ支援が止まるんじゃないかといったふうな気持ちになっているというところが一番腑に落ちまして、それが聞けて本当に今日は良かったなというふうに思っております。
そこのところが聞きたかったんですけど、まあそれはもう出ていますので、それ以外のところでちょっと聞いていきたいんですが、これも吉田町長にお聞きしたいんですが、復興予算のこれまでの使い方で、これは非常に良かったというものと、ここは要らなかったんじゃないかというふうなところがあれば、ちょっとそれぞれお聞きしたいと。特に後半、答えにくいかもしれませんけど、じゃ、前半だけでも教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/164
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165・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) ありがとうございます。
まあ全てですね。様々な復興財源でありますけれども、財源の金額だけではないですね。ある意味、求められた、被災者、まあ被災県、岩手、宮城、福島、この三県で、ある意味、一定程度共通して求めるものもあるはずです、被災者の中から。そういったものがタイムリーにできたかどうかということがまず必要でありますし、その財源について、事業については、私はそれほど悪い評価をするものではないと思っています。
あと、これは要らなかったんじゃないかなというのは、ううん、言えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/165
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166・神谷宗幣
○神谷宗幣君 ありがとうございます。
いや、僕なんかは、結構、震災前と後とずっと沿岸部を行かせてもらって、防潮堤、分かるんだけれども、あんなにたくさん造る必要はあったのかなというふうに、すごく景観崩れていくのを残念に思っていたりもするんですけれども、まあそれはちょっと本題それますので。
今でも戻りたい方がいらっしゃると、でも、なかなかやっぱり浪江町へ戻れていないということなんですけれども、どういう支援を国がすると、戻りたいと思っていらっしゃる方はより早く戻ってこられるとお考えか、その点をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/166
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167・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) いい質問していただいて、ありがとうございました。
帰る帰らない、私は町長になってから、いつ帰るのとそれほど聞いたことはありません。この十二年間の苦労の中で、ようやく一定程度安定した安住の地で、避難先であってもですよ、家族で住める自分の家が持って、ようやく落ち着いたところなんですね。まず、被災地が、様々な御意見ありますが、被災地の物言いは非常に多いです、あそこは、どこは、まあこれは鶏や卵の話になるかもしれませんけど、いまだに落ち着かない話があります。そういった中からすると、この十二年間でようやく落ち着いたわけですから、ある意味、いつ帰るのと言うのは、これだけの事故で、ある意味ナンセンスなことだと私は思っていますから、それほど聞くことはしません。
ただ、先ほど申し上げましたけれども、自分、失うもの失って、賠償というものをいただいて、その賠償である意味違う、代替する資産を求めたわけですね。で、ある意味、被災地に、浪江に帰るのであれば、当然、その求めた資産を売却して、お金に換えて、ふるさとに投資をする、これが帰還というような仕組みでしょう。そうなると、経済的にも非常に厳しいですよ。
ですから、ようやく安定した生活ができた、その上にまた新たな経済的な心配をしながら戻る、それがどうなのかということもありますから、ある意味帰還するに当たっては、一定程度、帰還する人にはインセンティブがあれば、そこも、全てではないですよ、全てではなくて、家は求めた、高齢者だけが帰りたい、当然望郷の念が強いわけですから。じゃ、幾らかお金残ったから、じゃ、幾らかお金を借りて、家を建てて、浪江に帰りましょうというんであれば、政策的な利子の補給をするなり、全てではなくとも、帰る人が、対しての誘因になるような政策がもしかしたらあってもいいのかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/167
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168・神谷宗幣
○神谷宗幣君 ありがとうございます。非常に参考になりました。
もう一点、ちょっとこれもお答えにくいかもしれませんけれども、答えにくいかもしれませんけれども、やっぱり帰るときに、健康被害はどうなんだというふうなことを気にされている方もいらっしゃるんじゃないかと思うんですけれども、実際お住まいされていて、残られている方々の健康状況等は皆さん問題ないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/168
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169・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) 非常に健康というのは一番大事な、大切なことですから、ただ、私も、震災後からですよ、その健康、放射線の恐らく影響というものを先生はおっしゃっているんでしょう、その影響については非常に神経質におりました。
ただ、事故後にですよ、私はやっぱり放射能、ああいう事故を正しく学ぶ、正しく怖がる、あとは、避難をしたわけですから、正しく逃げる。特に浪江は高いところに逃げたから、あえて言いますけれども、正しい知識を自分がある意味求めて、今のふるさとがどうなっているかということで自分なりの評価、あとは優秀な研究者が大勢おられますから、そういった方がどういうお考えであるかということをしっかり学ぶことでしょう。
私は六年前に帰りました。今の家は、もちろん帰れませんから、新たに浪江に家を求めて帰りました。当然家族も帰りました。四人の子供もその後全員戻ってきました。今、孫と暮らしています。ある方は、あんなふるさとに帰って、おまえ暮らせないんじゃないかという指摘もありました。そういった心配がする、高線量のある意味解除になっていない部分についても、環境が悪ければ自らの影響も心配でしょう。今現在、我々は役場近くに家族で暮らしておりますけれども、私の家族は健康被害はないと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/169
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170・神谷宗幣
○神谷宗幣君 町長、ありがとうございました。
では、続きまして、及川さんに少し聞きたいんですけれども、いろいろとその農業とかもされていて、いろいろ大変だという話を聞いていて、実は私もちょこっとだけ農業を石川県でしておりまして、同じような課題なんだなというふうに思ったんですけれども、被災地ならではの大変さというものがもしお感じになっているところがあれば、例えば風評被害があるだとか、何かこう日本中で農業は大変なんですね。でも、あえて、陸前高田ではこの辺がほかと違って特に大変だというふうに思っておられるところがあれば教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/170
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171・及川恭平
○公述人(及川恭平君) そうですね、被災地だからというのもあるんですけれども、非常に農業において山菜の取扱いとかは非常にセンシティブですね。山菜、昔はやはり市場、産直などにはよく皆さんが取って卸されていたんですけれども、山菜は、もう出すことができないというよりかは、厳密な審査を受ければ出すことはできるんですけれども、そうした中で産直もどんどん出す人が少なくなってきていて、地域の物産というのも、どんなものがあるかというのも、新たな移住者の方々もよく分からなくなってきている。
総じて言えば、そういったコミュニティーの崩壊ではないですけれども、そういったものが起きつつあるのかなというのは、一つ一つの要素がつながって、そういったものを感じはしますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/171
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172・神谷宗幣
○神谷宗幣君 ありがとうございます。
それともう一点なんですけれども、何かこれから金銭的な支援とかがあれば若い人たちは陸前高田に帰ってきて農業とかやってくれるでしょうかという質問で、先ほど農地の問題とかはよく分かったんですけれども、何か復興支援のこういうような支援が金銭的にあれば、もう少し及川さんの周りの方々も帰ってきて農業をやってくれるんじゃないかなとか一次産業協力してくれるんじゃないかなというふうな、何かそういったお金の使い方みたいなものって考えたことあれば教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/172
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173・及川恭平
○公述人(及川恭平君) そうですね、まず個人的に、やっぱりワイナリーをやっているというのは外から外貨を稼いでくるということが地域にとって必要なんじゃないかなというふうなことを思っていて、地域内だけで農産物、海産物を回していくのは今後より難しくなってくると思うんです。地域内で農業をやっていて、それを外に販売していくという支援というものが非常に必要になってくるのかなというふうには思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/173
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174・神谷宗幣
○神谷宗幣君 ありがとうございました。
では続いて、伊東公述人にもお聞かせください。
原子力発電所の問題を資料でも読ませていただきました。私も福井県の高浜町出身ですので、原発の町で生まれ育ったので、非常に福島の原発事故は、場所が、地震の場所が違えば我が故郷に起こっていた事件かもしれないというふうな思いでして、私は、個人的には今の大型原発というのは非常に問題があるぞということで、どんどんこれから増やすということは考えにくいのではないかというふうに思っています。でも一方で、造っているものを完全に廃炉にするまでは、さっき伊東さんおっしゃったように、リスクは変わらないということになっております。
そうなったときに、政府は今、クリーンエネルギーだということで太陽光ですとか風力をやっているんですけれども、これはこれで、多分、福島や岩手にたくさん造ったら、今度は自然が逆に壊されていってしまって、安定した電源にはならないんですよね。となってくると、やはり、もっとすばらしいエネルギー方法が見付かればいいんですけど、それまではやっぱり、今最新の技術をやっぱり尽くして化石燃料を使うしかないんじゃないかというふうに我々の党は考えているんですね。
それこそ、この被災地、福島や岩手といったところに本当にCO2が極力出ない火力発電所を造るなどして、そこで産業をもう一回興して、そこに新たな雇用をつくって人を呼び戻すと。先ほど子供が減っていくのが問題だというふうにおっしゃったので、やっぱり若い世代が働く場所がないと駄目ですよね。それを、それはもう今全国の地方で困っている問題なので、それをあえて被災があった地域でとなると、もう国策として、やっぱり国策事業をこの福島なら福島でやっていくしかないんじゃないかというふうに考えているんですけれども、火力発電とかでしたら大丈夫でしょうか。伊東公述人の御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/174
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175・伊東達也
○公述人(伊東達也君) 三・一一後に広野町に東京電力の広野火力発電所が増設になりました。これは最新鋭だと言われましたが、ほとんど反対運動というのは起こりませんでした。それは容認したからでないんです、私から見たら。そんな余力はもうないと、放射能問題できりきり舞いだというのが私は中心だったと思います。だから、その一言をもって、福島県民は原発駄目ならば石炭はいいんじゃないですかというふうには、そこから導き出す人もいるんですが、それは違うなと見ています。
やっぱり日本中にとって、私は石炭を使うというのが率直に言ってもう駄目だと思います。国民ももうこのまま地球が暖かくなっていくというのはほぼ常識化していますからね、未来はないんだと思うんです。やっぱりそうなってくると、私自身が考えるのは、原発を再稼働しようが増やそうが、特に増やす場合は二十年間は掛かるでしょう、新しい原発造ったって。世の中変わっていますよ、もう、恐らく。だから、今の問題には適用できません。
やっぱり私は、世界の趨勢は自然再生可能エネルギーですよ。なぜそのことが日本では大切かというと、どんな学者が調べても、日本の場合は、その自然可能エネルギーというのは満点付けるほどのその資源はあると、こういうことでほぼ一致するんですね。水の量にしても風力にしても、何でもその資源は他国と遜色ないどころかもっと恵まれていると。これをやっぱり思い切ってやるのかどうかだと思います。
私は、また、三・一一後、思い切ってやっていないと思います、ここに。だから、その点での政策転換というのが一番の中心かなと思いますね。石油、石炭で、やっぱり、福島県民も全国と同じようなやっぱり知識を持っている人というのは同じだと私は見ています。原発が駄目ならばそっちに変えようというふうにはなっていないんじゃないかと、まあ世論調査してみないと分かりませんが、そう実感しています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/175
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176・神谷宗幣
○神谷宗幣君 時間参りましたので、終わります。
お三方、ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/176
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177・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 茨城県選出の堂込と申します。
本日は、大変貴重なお時間いただきまして、また、直前での、本当に直近で決まったこの日程だと思いますので、皆様には調整をいただきましたこと、本当に感謝申し上げます。
私の方から、まず吉田公聴人の方に御質問させていただければというふうに思います。
私も小売業で勤めていましたので、町のまちづくり、にぎわいづくりというのは本当に今まさに苦労されているところかなというふうに思いますが、福島の第一原発事故の影響を大きく受けてということもありまして、八割の方が帰還困難区域、地域を占めているという地域だと思います。八月の末に避難指示解除を受けた特定の復興再生拠点ということで、そこの地域以外の方は、まだ白地と呼ばれる地域がまだまだあるという話を先ほど受けました。様々この問題解決は、今の社会的な問題もありますので、本当に複合的な問題が今散見される地域を、行政をかじ取りをするというのは本当に苦労されていることだと思います。
そんな中、十二年前の複合災害と言える大きな災害がございました。こうした点で、国としての支援の在り方、まさにその当事者、当時まさにその複合災害を経験された吉田町長からの御視点で、支援の在り方、国としての支援の在り方について何か御教示いただければと思いますが、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/177
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178・吉田栄光
○公述人(吉田栄光君) 支援というのは、恐らく様々な事業、政策の中で、私も議員時代思ったことは、かつてこの日本の国の中でこういった補助金含めたメニューはあったんだろうかというぐらいスペシャル的なものを政府は我々被災者に提示をしたものと受け止める者も多くございます。
また、被災している住民からすると、先ほど八割というようなお話、先生もおっしゃいましたけれども、我々の八割というのは町の面積なんですけど、西方の山間部なんですね、山が非常に多い。平場は大体解除になってきているんですけれども。いまだに帰れない人たちの、政策の中で、以前の災害救助法の中での立て付けだと思うんです、当時。そして、家を解体する、解体すると、その解体費用は事業者負担になるんですね。そして、解体をすれば、当然その三百万というお金がある意味いただけるスキームになっています。これは恐らく以前からあった法律の立て付けで、冠だけ変わったものでしょう。そうすると、解除になって、家屋を解体を申し込む、環境省にするわけですけど、する、解体された、そうしたら、新たな享受できる仕組みがあって、いただけるものがあるわけですね。
今私が非常に困っているのは、十二年間、自分の家や資産、まあ家にも戻ることができない、立ち入ることもできない、農地もある意味管理もできない、閉ざされているわけですよ。そして、そういったスキームが享受できないというストレスもあるはずなんです。
こういう国会議員の先生方の前では初めて、余りお金の話はしたくありませんから言いませんでしたが、幾つかある中でその一つだけが、私は、いまだ帰れない住民の方々に、町長、我々だけ、いつ帰れるんですか、いつ解体していただけるんですかということを聞かれると、答えるのに非常に困ります。というのは、早く帰った方々はそういった政策がもう享受できているのに、我々はなぜできないんですか、いつ帰させてくれるんですかという話をします、しています。
今回、今国会で新たな法律、改正福島特措法が皆さんの御議論いただいた形で進んでおりますけれども、今後帰る意向の方々は新たにそういった既存の考え方にも享受されると思いますけれども、それに外れた方は同様なことも起き得ますので、どうか、財政金融委員会の中でこういう復興の話は大変恐縮でありますけれども、税の関係からすると被災地域はいまだこういう細かい話があるんだということは頭に残していただければと思います。
長くなりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/178
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179・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 ありがとうございます。
先ほど来お話あったように、その享受できない人がいるというのは、恐らくそういったところにもスポットがなかなか当てられない方がいると、取り残された方がいるということをお伝えしたかったんだなというふうに確認させていただきました。ありがとうございます。
続きまして、及川公述人の方にお伺いしたいと思います。
陸前高田の御出身で、高校生のときに災害を、被災されたということで、地域のインフラが整っていくところは、ハード面で整っていくところはもう自分の目で確かめてきたけれども、そこに足りないそのソフト面で何とか自分でも支えたいということでワイナリーを創業されたというふうな話を伺いました。
そうした面も含めてなんですが、先ほども話出てきていますけど、被災地での人口減少、そしてまた人口流出というのが顕著に現れてきているというところもありますが、その人を呼び込むという施策、また支援策というのは今日も御提案いただいたものがあったんだと思います。
現時点で復興の支援に足りない、不足している支援、手だてだったり、また視点みたいなところがあれば是非教えていただきたいんですけど、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/179
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180・及川恭平
○公述人(及川恭平君) そうですね、視点。私が携わっている一次産業からいえば、まず、一次産業に関しては、従事者がどんどん少なくなってきている、そんな中で、省力化だったりもっと効率化を進めなければいけない。ただ、効率化、省力化を求めるに当たってはやはり設備投資が必要になってくるわけなんですけれども、農業とその加工するものとかなり、まあ会社を二つに分けた方がいいぐらいの補助金の隔てがありますので、その行政の縦割りを一つもっと融通が利くようなものになっていけば、もっと産業も幅広く復興に向かっていくのではないかなということは非常に思います。
もう一つは、私、今子育て世代ではあるんですけれども、なかなか、田舎の農業をやっている人に嫁いでいこうという女性ってなかなか今いない気がしていて、というのも、やはり農業自体のイメージというのも公にはなかなか、楽しい人は楽しいと思うんですけれども、なかなか大変だというイメージもありますので、農家として田舎に嫁いでいくというのはなかなか難しいと思うんですよね。
なので、自分の妻に関してはテレワークでできる仕事なので、田舎とテレワークの相性度はすごくいいんじゃないかなというのを思いますので、そういった田舎にいてもできる仕事というのがもっと普及してくれば、田舎でも伸び伸びと暮らせていけるのではないかなということはすごく思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/180
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181・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 ありがとうございます。
スマート農業というのもうたわれておりますけれども、そういった面も含めて、また参入しやすいというんですかね、そういった農業というのと、あと、この財政金融委員会の中でもよく官民連携、官民連携という話も出てきます。先ほど行政の縦割りという話少しありましたけれども、そのまさに本当に真の官民連携というところを改めてちゃんと考えていかなきゃいけないなということを問題提起いただいたと思っています。ありがとうございます。
最後に、済みません、伊東公聴人の方に御質問させていただければと思います。
一九七〇年代から原発事故を未然に防ぐという運動に携わっていらっしゃったということで、東日本大震災から十二年既に経過しておりますけれども、原子力災害による被災を抱えた福島の復興というところには、ほかの地域にはない支えが本当に必要だと、課題があるというふうに思っています。復興再生特別措置法、これだけではないと思いますけれども、国の施策への御意見があればというところと、精神的被害が本当に大きいという住民の皆様のお声があると思います。メンタルヘルス面での何か支え、不足しているものがあれば教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/181
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182・伊東達也
○公述人(伊東達也君) 伊東です。
自分の身近なことでしか言えないんですが、あの三・一一当時、私は浜通り医療生協というところの理事長をしておりました。赤ちゃんを抱えている看護師さんなんかが避難したい、こういう声上がってきたときに、私は、それはしようがないとは個人的には思っているんですが、言えないんですよね。言えば、ああ、理事長が言ったんだと。そしたらまた、小学生を持っている看護師さんが私もね、中学生の子供を持っている人も私もねとなるんでないのかと考えると、もう言えないわけです。その言えないことが今度自分の苦しみになるんですね。俺は責任者なのに、ひきょうだよな。まあ簡単に言えば、中間管理職の皆さんよろしくということなんだと思います。
ああいうことを体験して、その後何が苦しんだかというと、損害賠償が出てきたわけです。大変なやっぱり損害でした。それを顧問の弁護士も加わってやってもらったり、他の団体とも一緒になってやってもらったりするんですが、要は、そういうふうにするためには職員が掛かり切りになるんですね。そしたら何が起こってきたかというと、その今まで別な仕事をしていた人を損害賠償のために一人掛かり切りになったら、やっぱり経理担当者から、困ると、もらう金よりも掛かる金の方が、どっこいどっこいじゃないかと。
私は、そこはやっぱり我々の被害はちゃんと訴えて情理を尽くすべきだと言っても、金を扱っている人から見れば、そんな甘っちょろいことで経営がうまくいきませんよと言われると、これまたぐうの音が出ない。すなわち、いっぱい、あの当時、福島県内の医療関係者は困りに困ったと思います。ばあっと逃げたところは、もうそれで散り散りばらばらになった苦しみもあったと思います、経営者も。そういうこともあります。
それからもう一つは、私は議員時代に相談受けたのが、たまたま国家公務員の子供さんが統合失調症で、全く知らない病気だったんですが、ともかくもその人の必死の思いに応えようということで、大きくなってから働きたいんだということで、無認可の小規模作業所をつくりました。それがだんだんだんだん大きくなって、法人化になったんです。そして三・一一迎えちゃったんです。ここでも同じことが起こったんです。損害賠償が物すごいんですよ。これは我々の手で負えないんですね、障害を持っている人を、どういうふうに損害を。そうすると、やっぱりプロを頼まなければならない。ここでも似たり寄ったりの問題出てきてしまいました。そんなところに職員を割くわけにいかないんだって言われると、そうなんだと。そんなことも福祉の問題なんかでもいっぱいあると思うんです。
何が言いたかったかというと、本当に目に見えない、説明がなかなか多くの皆さんに分かってもらえないようなことがいっぱい生まれてきている事故だったんですと。だから、復興というのも、いろいろ、政治家の皆さんに、国会議員の皆さんに多様な目で見ていただいて、復興のための予算作りや何かにも考えていただきたいなと思うんです。
あと、健康の被害の問題も出ましたけれども、がんになった人が二百七十九人ですか、疑いと手術した人ね。問題はその原因だけでないんです。原因論争やっていますが、私がうんと大切なのは、そういうふうなことが小さな子供を持っているお母さん方を苦しめるんですよ。物すごい精神的な圧迫になっているんですよね。そういうのが被害なんだと。単純に、これがあの放射能のせいだなんというのを立証してくれとか何かということでみんな血眼になっているんではないんです。
そういう目に見えないところもいっぱい精神的な問題を抱えてもがいているぞ、そういうところも見ていただいて、質問にちゃんと答え切れないんですが、幅広いところから関心を持っていただいて、手を差し伸べていただきたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/182
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183・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 貴重なお時間、本当にありがとうございました。私の持ち合わせの時間がなくなってしまいましたので、本当に今日、貴重なお時間いただいて、ありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/183
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184・酒井庸行
○団長(酒井庸行君) 以上をもちまして公述人に対する質疑は終了をいたしました。
公述人の皆様に一言御礼を申し上げたいと存じます。
長時間にわたりまして大変貴重な御意見をお述べいただいて、本当にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。感謝を申し上げます。ありがとうございました。
そしてまた、この地方公聴会において様々な皆様に御尽力をいただきました。関係者の皆様に改めて私からも御礼を申し上げます。本日はありがとうございました。(拍手)
これにて参議院財政金融委員会福島地方公聴会を閉会をいたします。
〔午後三時十三分閉会〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114370X01520230613/184
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