1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年三月十六日(木曜日)
午後三時九分開会
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委員の異動
三月十日
辞任 補欠選任
安江 伸夫君 西田 実仁君
三月十五日
委員ガーシー君は議員を除名された。
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出席者は左のとおり。
委員長 河野 義博君
理 事
佐藤 啓君
中西 祐介君
小沢 雅仁君
山本 博司君
委 員
井上 義行君
江島 潔君
高野光二郎君
柘植 芳文君
長谷川英晴君
舞立 昇治君
牧野たかお君
松下 新平君
山本 順三君
岸 真紀子君
古賀 之士君
野田 国義君
西田 実仁君
片山 大介君
柳ヶ瀬裕文君
竹詰 仁君
伊藤 岳君
浜田 聡君
国務大臣
総務大臣 松本 剛明君
副大臣
総務副大臣 尾身 朝子君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 自見はなこ君
事務局側
常任委員会専門
員 佐藤 研資君
政府参考人
総務省自治行政
局長 吉川 浩民君
総務省自治行政
局公務員部長 大沢 博君
総務省自治財政
局長 原 邦彰君
総務省自治税務
局長 池田 達雄君
総務省情報流通
行政局長 小笠原陽一君
厚生労働省大臣
官房審議官 鳥井 陽一君
厚生労働省大臣
官房審議官 野村 知司君
運輸安全委員会
事務局審議官 岡野まさ子君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○行政制度、地方行財政、選挙、消防、情報通信
及び郵政事業等に関する調査
(令和五年度地方財政計画に関する件)
○地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/0
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001・河野義博
○委員長(河野義博君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、安江伸夫君が委員を辞任され、その補欠として西田実仁君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/1
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002・河野義博
○委員長(河野義博君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
地方税法等の一部を改正する法律案外一案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省自治行政局長吉川浩民君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/2
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003・河野義博
○委員長(河野義博君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/3
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004・河野義博
○委員長(河野義博君) 行政制度、地方行財政、選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査のうち、令和五年度地方財政計画に関する件を議題といたします。
政府から説明を聴取いたします。松本総務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/4
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005・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 令和五年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。
本計画の策定に際しては、通常収支分については、地域のデジタル化や脱炭素化の推進等に対応するために必要な経費を充実して計上するとともに、地方団体が住民のニーズに的確に応えつつ行政サービスを安定的に提供できるよう、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上等を行う一方、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うこととしております。
あわせて、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方の一般財源総額について、交付団体ベースで、令和四年度の地方財政計画を上回る額を確保するとともに、地方交付税総額を増額して確保しつつ、臨時財政対策債を大幅に抑制することとしております。
また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分等を措置する震災復興特別交付税を確保することとしております。
以上の方針の下に、令和五年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、令和四年度に比べ一兆四千四百三十二億円増の九十二兆三百五十億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が二千六百四十七億円などとなっております。
以上が、令和五年度地方財政計画の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/5
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006・河野義博
○委員長(河野義博君) 次に、補足説明を聴取いたします。尾身総務副大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/6
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007・尾身朝子
○副大臣(尾身朝子君) 令和五年度地方財政計画につきましては、ただいま総務大臣から御説明いたしましたとおりでございますが、なお、若干の点につきまして、補足して御説明申し上げます。
まず、通常収支分についてであります。
主な歳入のうち、地方税、地方譲与税の収入見込額につきましては、総額四十五兆四千七百五十二億円で、前年度に対し一兆六千四百六十九億円の増加となっております。
地方交付税につきましては、総額十八兆三千六百十一億円で、前年度に対し三千七十三億円の増加となっております。
国庫支出金につきましては、総額十五兆八十五億円で、前年度に対し一千二百五十九億円の増加となっております。
地方債につきましては、総額六兆八千百六十三億円で、前年度に対し七千九百十四億円の減少となっております。このうち、臨時財政対策債につきましては、九千九百四十六億円で、前年度に対し七千八百五十九億円の減少となっております。
次に、主な歳出のうち、給与関係経費につきましては、人事委員会勧告を反映させるとともに、退職手当につきまして、地方公務員の定年引上げを踏まえ、令和五年度と令和六年度の所要額を平準化して見込んだこと等により、総額十九兆九千五十三億円で、前年度に対し五百九十一億円の減少となっております。
一般行政経費につきましては、社会保障関係費の増加や地方団体の施設の光熱費高騰に伴う経費の増加等により、総額四十二兆八百四十一億円で、前年度に対し六千四百八億円の増加となっております。このうち、地域デジタル社会推進費につきましては、二千五百億円で、前年度に対し、マイナンバーカード利活用特別分として、五百億円の増加となっております。
公債費につきましては、総額十一兆二千六百十四億円で、前年度に対し千六百四十五億円の減少となっております。
投資的経費につきましては、総額十一兆九千七百三十一億円で、前年度に対し五十四億円の減少となっております。このうち、直轄事業負担金及び補助事業につきましては、五兆六千五百九十四億円で、前年度に対し五十四億円の減少となっており、地方単独事業につきましては、脱炭素化推進事業費一千億円を含め、六兆三千百三十七億円で、前年度と同額となっております。
次に、東日本大震災分について御説明いたします。
復旧復興事業に係る地方負担分等を措置する震災復興特別交付税につきましては、総額九百三十五億円で、前年度に対し百三十四億円の減少となっております。
以上をもちまして、令和五年度地方財政計画の補足説明を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/7
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008・河野義博
○委員長(河野義博君) 以上で説明の聴取は終わりました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/8
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009・河野義博
○委員長(河野義博君) 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。松本総務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/9
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010・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
まず、地方税法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現下の経済情勢等を踏まえ、地方税に関し、所要の施策を講ずるため、本法律案を提出した次第です。
以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、車体課税の改正です。自動車税及び軽自動車税の環境性能割について、現行の税率区分を令和五年末まで据え置くこととした一方、今後三年間の措置として、税率区分を段階的に引き上げる措置を講ずることとしております。
第二に、納税環境の整備に関する改正です。固定資産税及び不動産取得税に係る質問検査権の対象の明確化等を行うこととしております。
第三に、航空機燃料譲与税の改正です。譲与割合の特例措置の見直しを行うこととしております。
その他、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でございます。
次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等に鑑み、地方交付税の総額の特例等の措置を講ずるため、本法律案を提出した次第です。
以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、地方交付税の総額の特例です。令和五年度分の通常収支に係る地方交付税の総額は、地方交付税の法定率分に、法定加算額及び地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用等による加算額を加え、交付税特別会計借入金償還額及び同特別会計における借入金利子支払額等を控除した額十八兆三千六百十一億円とすることとしております。
また、交付税特別会計借入金について、令和五年度の償還額を増額し、令和三十五年度までに償還することとしております。
第二に、地方交付税の基準財政需要額の算定方法の改正です。地域社会のデジタル化の推進に要する経費の財源を充実するため、地域デジタル社会推進費の期間を令和七年度まで延長するとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、令和五年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正するほか、臨時財政対策債への振替額に相当する額を控除した額を基準財政需要額とすることとしております。
第三に、東日本大震災の復旧復興のための財源となる震災復興特別交付税の確保です。令和五年度分の震災復興特別交付税については、新たに六百五十四億円を確保することとし、総額九百三十五億円としております。
その他、令和五年度から令和七年度までの間に限り、臨時財政対策債を発行することができることとしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でございます。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/10
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011・河野義博
○委員長(河野義博君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
なお、地方税法等の一部を改正する法律案に対する補足説明につきましては、理事会で協議いたしました結果、説明の聴取は行わず、本日の会議録の末尾に掲載することといたしました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/11
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012・舞立昇治
○舞立昇治君 自由民主党の舞立昇治でございます。よろしくお願いいたします。
早速質問に入ります。
まず、地方財政計画関係についてでございますが、令和五年度の計画は、地方税の増収に加え、地方交付税も増額確保し、交付税交付団体ベースで昨年度よりも千五百億円も多く一般財源総額を確保するとともに臨時財政対策債を大幅に抑制するなど、すばらしい計画に仕上げていただいたことを高く評価いたします。御尽力いただいた松本大臣や原自治財政局長を始め、事務方の皆様方に感謝申し上げます。
一方で、いまだ財源不足が約二兆円あるほか、大半の地方団体では基金を取り崩しての予算編成が続く状況に変わりないなど、地方財政は引き続き厳しい状況です。今後とも安定した財政運営に必要な一般財源総額、特に交付団体ベースでございますが、その確保は必要不可欠です。
そうした中、昨年末、防衛力強化のための財源確保案が政府から示されましたが、その中の約一兆円強の歳出削減の項目は大問題でございます。地方の首長や議員からは、交付税が削減されるのではないかとの懸念の声を多く聞きました。この問題は本年の骨太の議論に持ち越された状態でございますが、財源確保のメニューとして税外収入、決算剰余金、歳出削減、増税の四つが示されておりますが、私としては特にこの歳出削減の項目は反対というか、むちゃだと考えております。
御承知のとおり、これまでの累次の歳出削減の取組、特に約二十年前の平成十三年から厳しい歳出削減が続いた平成二十四年の当初予算までを比較いたしますと、当初対比で予算は約七・七兆円増えていて、いいじゃないかと一見見えるかもしれませんが、主な増要素は、御案内のとおり、社会保障費を持つ厚生労働省で約八・六兆、国債の償還費、利払い費を持つ財務省で約五・六兆と、これだけでもう約十四兆を超えます。つまり、その他の省庁は軒並み削減され、実に約七兆、国交省で三・七兆、文科省で一・二兆、農水省で一兆等々もの予算が削減され、デフレの闇に落ちました。
今や日本の社会保障以外の歳出の対GDP比は先進国最低水準まで落ち、様々な行政分野で予算増が切望されている状況を再認識すべきと思います。歳出削減の不断の取組は重要でございますが、デフレ防止、重要政策実施の観点から、歳出削減で捻出できる余地はもはや大きくないことを認識し、経済成長や未来への投資のためにも、少子化対策や地方創生、国土強靱化など重要な政策の選択肢を狭めることなく、むしろ防衛力の強化とともに国の歳出全体の底上げを図っていかなければならないと思っております。
そのためにも、まずは、税収増や税外収入、決算剰余金、国債で対応し、その上で、需要が供給を安定して上回り、賃上げや価格転嫁も継続してできる良好な経済になれば、景気を悪くしない範囲できちんと増税も行うというスタンスで私は臨むべきと思います。
話が脱線してしまいましたけれども、令和六年度以降、防衛力強化のために国の歳出改革の取組と強引に歩調を合わせられ、地方交付税や一般財源総額も削減されるのではないかとの懸念に対し、本年六月の骨太の方針二〇二三の作成に向け、総務省としてどう対応していかれるのか。令和六年度までとなっている地方一般財源総額実質同水準ルール、特に交付団体ベースが重要でございますが、これを今後も堅持、拡充していく決意を含め、大臣の御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/12
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013・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 舞立委員の御質問、御要請にお答えをしてまいりたいと思います。
地方の一般財源総額については、骨太の方針において、令和四年度から六年度までの三年間、令和三年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することとされていること、御指摘のとおりでございます。
令和五年度の地方財政計画においては、社会保障関係費の増加等が見込まれる中、地方自治体が住民のニーズを的確に応えつつ様々な行政課題に対応し行政サービスを安定的に提供できるよう、自治体施設の光熱費高騰への対応として一般行政経費を七百億円増額するほか、地域デジタル社会推進費を五百億円増額するなど、必要な経費を充実して計上した上で、一般財源総額について交付団体ベースで令和四年度を上回る六十二・二兆円を確保いたしました。
令和六年度に向けても、地方自治体が様々な行政課題に対応しつつ行政サービスを安定的に提供できるよう、骨太の方針に沿って必要な一般財源総額を確保してまいります。
また、令和七年度以降の地方の一般財源総額の在り方について議論がなされる際には、地方自治体が予見可能性を持ちながら、必要な行政サービスを提供しつつ安定的な財政運営を行っていけるよう、必要な一般財源を、一般財源総額を確保すべく最大限の努力をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/13
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014・舞立昇治
○舞立昇治君 大臣、ありがとうございました。
六年度はまだ大丈夫だとしても、七年度以降は要注意でございますので、実質同水準ルールをむしろ実質増加ルールに改善するぐらいの気概で臨んでいただければと思っております。
次に移りますが、この令和五年度地財計画において交付税不交付団体の水準超経費が約二・九兆円計上されておりますが、ここ数十年、大体一兆から二兆円前後だった記憶がありまして、三兆近くまで膨れ上がったのは久しぶりではないかと思います。
大半を東京が占めるこの水準超経費は、自治体間、地域間の財政力、経済力、施策実行力の格差の大きさを如実に表すものと思います。この水準超経費が大きくなるということは、東京と地方、そして各地域間の税収格差もまた大きくなると見込まれるため、総務省として再度もう一段の格差是正を図る必要があると考えますが、池田税務局長、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/14
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015・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答え申し上げます。
委員御承知のとおり、この地方法人課税は地方の行政サービスを支える基幹税としての重要な役割を担っておりますが、一方で、他の税目に比べ地域間の税源の偏在があることから、その偏在の是正に向けた取組というのを進めてまいりました。直近の例でございますが、平成三十一年度税制改正において、法人事業税の一部を譲与する特別法人事業税・譲与税制度を創設いたしました。
この見直しを行った背景でございますけれども、二つございまして、一つは、当時、地方税収が全体として増加する中で地域間の財政力格差が拡大していたこと、もう一つは、大都市部への企業の本店等の集中やインターネット取引の拡大といった経済社会構造の変化等を背景といたしまして、大都市部に企業の事業活動の実態以上に税収が集中する状況にあった、この二点が背景としてございました。
このため、地域における事業活動により生じる付加価値の総計である県内総生産の分布、この県内総生産の分布と地方法人課税の税収の分布、これをおおむね合致させるため、法人事業税の三割程度を国税である特別法人事業税とし、これを人口基準に基づいて譲与することとしたものでございます。
このような見直しによりまして、譲与税を含めた地方法人課税の税収額に係る人口一人当たりの最大と最小の都道府県の差は、平成三十年度に四・一倍でありましたものが、令和三年度、足下では三・五倍程度に縮小しております。
委員からは、もう一段の偏在是正について御提案をいただきました。これにつきましては、以上申し上げた特別法人事業税・譲与税制度導入の経緯等も踏まえまして、経済社会構造の変化、これを把握いたしますとともに、地方税の偏在の度合い、地域間の財政力格差の状況等についてしっかりと注視していく必要があると考えております。
いずれにいたしましても、今後とも地方税の充実確保を図るとともに、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築、これに向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/15
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016・舞立昇治
○舞立昇治君 予想以上に丁寧な御答弁、ありがとうございました。
次に、少子化対策関係に移りますが、昨年、コロナ禍が追い打ちを掛け、出生数八十万人割れショックが起きて、少子化の深刻さが一段と増しました。国をしょって立つ十五歳未満の年少人口が五十年連続減り続け、もはや静かな有事とか言っている場合ではなく、先送りできない課題です。
そうした中で、本年一月に入り、小池東京都知事の先行した少子化対策、子供一人当たり月五千円給付や第二子の保育料無償化等のニュースを見たときに、やってくれたな東京都と思いました。ついに超金持ちぶりを公然と見える形にしてきたなと。年少人口の減少と同様に、約五十年連続出生率最下位を独走してきた東京において、遅きに失した感はありますが、ようやく一歩踏み出した点は評価したいと思います。
こうした中で、内閣府の子育て政策担当として、少子化対策、子育て政策に関する県や市町村の取組状況についてどこまで詳細に把握しているのかお聞きしたいと思っております。
以前、総理が言及したOECD基準の家族関係支出約十兆と政府の少子化対策関係予算約六兆円の差に関係してくると思いますけれども、子供医療費や小中の給食費の無償化の程度、実施団体の割合、就学支援や給付付き奨学金などの独自施策について、自治体間、地域間で相当ばらつきがあると思いますが、こうした子供の健やかな成長や教育に関する支援は、私は自治体の財政力の多寡で大きな差があってはならないと考えますし、これらを子供政策予算に位置付けて、国としてできる限り全国平等に支援が受けられるよう必要な調整と予算の増額を行うべきと考えますが、これについても御見解をお伺いしますとともに、三月中に取りまとめ予定の少子化対策の強化に関するたたき台作成の議論の中でこうした観点も適切に議論されているのか、その検討状況も併せて、自見政務官、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/16
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017・自見はなこ
○大臣政務官(自見はなこ君) お答えいたします。
地方自治体における少子化対策の実施状況につきましては、各施策を所管しております関係府省庁におきまして調査やまた事例収集を実施しているところと承知しております。現在、準備室でございますが、子供担当といった子供政策の担当といたしましても、自治体から直接取組をお伺いするほか、こうした情報を活用することにより地方自治体の取組状況を把握しているところでもあります。
また、来月にはいよいよこども家庭庁が発足をいたします。一昨年、令和三年の十二月二十一日の閣議決定されたこども家庭庁の基本指針の中でも、地方自治体との連携強化という中でも基本指針を打ち出しておりますけれども、我々といたしましても様々な機会を捉えて地方自治体の取組状況を把握してまいりたいと考えてございます。
また、自治体の取組状況の格差の是正と三月末に取りまとめるたたき台の議論についてのお尋ねがありましたが、少子化対策、子供政策の具体的な実施を中心的に担っているのは地方自治体でございまして、国が地方自治体の取組状況を把握し、取組を促す、促進するための必要な支援等を行うとともに、現場のニーズを踏まえた地方自治体の先進的な取組を横展開し、必要に応じて制度化していくことは重要であると考えております。
少子化対策、子供政策に関し、地方自治体との連携を強化するため、こども家庭庁においては国と地方との定期的な協議の場を設けることとしておりますが、これに先立ちまして、先日、既に準備会合を開催をしております。準備会合では、地方団体から、基礎自治体の中で地域間格差が出てくることはよくない、出てくることのないように今後留意してほしいといった強い意見もいただいたところでもございます。
現在、子ども・子育て政策の強化におきまして、小倉大臣の下、関係府省庁会議におきまして議論を進めてございます。様々な意見にしっかりと耳を傾けながら、今月末を目途として、子ども・子育て政策として充実する内容を具体化してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/17
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018・舞立昇治
○舞立昇治君 ありがとうございます。
まだ何とも言えない状況だとは思いますけれども、小倉大臣や自見政務官がいらっしゃれば、すばらしい少子化対策、子供政策ができると思っておりますので、是非人口減少社会に歯止めが掛けられるような政策予算を打ち出していただければと思っております。
次に、先ほど触れた水準超経費とも関係しますが、東京は高い財政力による少子化対策を積極的に進めようとしていますが、財政力、経済力の弱い地方の多くはそう簡単にはいきません。
コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻で世界は一変し、日本も、出生数八十万人割れショックや、東京と地方の格差が一段と増しつつある経済社会情勢の変化を踏まえて、先ほど池田局長もおっしゃられましたけれども、前回の偏在是正では県内総生産の分布に合わせるような形と言いましたけれども、合わせただけでは何も変わらないと私は思っておりまして、東京が地方からお金を吸い込む構造の下に今の県内総生産の各県の仕上がりができているわけでございますので、ちょっとそこはもう少し、もう一歩踏み込んでいただきたいなと思っております。
先ほど言われたこの特別法人事業税及び特別法人事業譲与税の創設並びにその成果を活用した地財における地域社会再生事業費の創設を参考に、私は、今この時期にもう一段、少子化対策バージョンの仕組みをつくる必要があると考えておりまして、是非とも今後とも総務省におかれましては検討を続けていただきたいと思います。
質問に戻りますが、国として子供政策予算の抜本的拡充が必要なことはもちろんでございますが、やはり自見政務官もおっしゃいましたように、子供政策としては地方が先行して様々な独自政策を行っている状況のため、国の少子化対策予算の拡充に合わせ、いや、それよりも先行して地方財政について抜本的な拡充を図っていただきたいと考えますが、原自治財政局長、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/18
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019・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
これまでも、住民に身近な地方団体は、地方創生の観点も含めまして子供政策の充実に意欲的に取り組んでまいりました。例えば、地方への人の流れの拡大推進においても子育て世代への移住支援なども行っております。総務省は、地方行財政を所管する立場として、そうした地方団体を支援してまいりました。
現在、小倉大臣の下で、総務省も構成員となっておりますこども政策の強化に関する関係府省会議において議論が進められておりますが、その強化に当たっては、国と地方が協力してこの問題に取り組むということが大変重要だと思っております。総務省としても、子供対策の強化は我が国にとって重要かつ緊急を要する取組であると認識しておりまして、地方の意見や実情を十分に踏まえて、関係府省とも連携しながらしっかり取り組んでまいりたいと思います。
その際、先ほど御指摘がありました、財政力の弱い地方団体も含めて、子供政策に地方が取り組むために必要な地方財源の確保に努めてまいりたいと思っております。一般財源、水準超経費のお話がありましたが、我々は交付団体ベースで幾らということを常に意識しておりますし、また、交付税の持つ財源調整機能、こういったこともしっかり発揮しながら、この問題しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/19
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020・舞立昇治
○舞立昇治君 原局長、力強い答弁ありがとうございました。
続いて、森林環境譲与税関係に移りますけれども、この譲与税につきましては、令和十五年度からの全額譲与の予定を令和六年度に九年も前倒しして実施し、かつ、地方公共団体金融機構の準備金を活用して令和六年度の全額譲与までの毎年度の譲与予定額も増額していただいていることに改めて感謝したいと思います。
この譲与税につきましては、創設当初から指摘されているのが、譲与基準の一つである人口三割の割合の高さでございます。総務省はこの譲与基準について、以前から、法律上の使途、一、間伐や路網整備等による森林整備の諸施策、二、林業人材の育成、確保、三、木材利用の促進、普及啓発等と相関が高い指標を活用していると答弁されていますが、私有林の面積、林業従事者、人口の三つの指標でそれぞれどれくらい相関関係が高いと分析しているのか、定性的かつ定量的な説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/20
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021・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答えいたします。
森林環境譲与税の譲与基準につきましては、法律上の使途でございます森林整備、人材の育成、木材利用の促進等と相関関係が高い、相関が高い指標といたしまして、私有林人工林面積を五割、林業就業者数を二割、人口を三割として用いているところでございます。
この五割、二割、三割の考え方でございますが、制度創設時の検討におきまして、森林・林業関係の市町村単独事業における一般財源負担額の内訳が、人材の育成を含みまして、森林整備で約七割、木材利用の促進等は約三割、こういうふうになっておりました。また、森林・林業関連の市町村単独事業における一般財源負担額のうち、私有林に係る森林整備、それと人材育成、これの経費の割合がおおむね五対二となっていたことなどを踏まえたものでございます。
ちなみにでございますが、令和三年度決算に基づく地方団体における森林環境譲与税の使途別の活用割合を見ますと、森林整備が五五・七%、人材の育成が二一・二%、木材利用の促進等が二三・一%、このようになっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/21
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022・舞立昇治
○舞立昇治君 この木材利用の二三・一ですね、国産材と外材、一緒にしてはいないかとか、ちょっといろいろと疑義があるんですけれども、次に移りますけれども。
やはり国産の木材利用しっかりと促進しないといけない。そのためには何が必要かという視点で質問したいと思いますけれども、令和五年度地方税制改正等に関する地財審の意見や令和五年度税制改正大綱におけます森林環境譲与税の記述を見ますと、令和六年度から始まる本格実施に向け、いよいよ譲与基準の見直しに向けた機運が高まってきたと考えます。
見直しの視点として、やはり川上側の森林整備がいまだ不十分で、なかなか効率化や国産材の活用が進んでいない。そして、皆伐、再造林も進んでいない。例えば、鳥取県の木材の素材生産量は三十万立米で今伸び悩んでおりますが、県内の原木需要量は八十万立米もあり、多くを県外、海外から輸入しているもったいない状況です。
素材生産量が増えない主な要因として、森林整備に係るコストが高くてなかなか利益が出ず、森林所有者が二の足を踏んでしまう。こうした状況があることを踏まえまして、国産木材の利用促進の前提となる森林整備の諸施策を担う川上側の市町村に対しより多く配分されるよう見直して、見直すことが必要で、海外ではなく国産木材の利用が進みやすい環境をつくるべきと考えますが、局長、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/22
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023・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) 委員御承知のとおり、森林環境税及び森林環境譲与税は、納税者の御理解を得つつ、森林整備等に必要な財源を確保する観点から、国民の皆様にひとしく負担を分かち合っていただくものとして創設された制度でございます。
令和六年度からは、いよいよ森林環境税の課税が開始されます。制度の安定的な発展のためには、全国の地方団体において譲与税を、議員御指摘の川上における森林整備、これはもう当然でございますけれども、川下における木材利用等に一層有効に活用していただきまして、森林のない都市部の住民を含めて全ての納税者の理解を深めていくことが重要であると考えております。
令和五年度税制改正大綱においては、各地域における取組の進展状況や地方公共団体の意見を考慮しつつ、森林整備を始めとする必要な施策の推進につながる方策を検討する、こうされてございます。今後、この方針に沿いましてどのような方策が必要か、丁寧に検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/23
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024・舞立昇治
○舞立昇治君 ありがとうございます。
まあ今の段階では、大都市の関係者もぴりぴりしていると思いますのでそこまで言えないと思いますけれども、年末の税調に向けまして、我々本当にこの森林の多い地域の議員も頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
次に、ライフワークの東京一極集中の是正関係に移りたいと思いますが、二年前はあったものの、昨年に続き今年も、大臣所信で東京一極集中の是正に関する記述がなかったのは残念に思います。
コロナ禍が落ち着く中で、ただでさえ全国的な人手不足、深刻な少子化、人口減少社会であるにもかかわらず、再び東京圏への転入超過が増えてきたことに危機感を覚えます。具体的には、コロナ前の令和元年、約十五万人まで転入超過が膨れて、コロナで令和二年は九・八万人まで、そして翌令和三年には八万人に減ったものの、昨年、令和四年にはまた九・四万人に増えてきたことでございます。
また、最近では、デジタル人材の育成にかこつけて、東京二十三区の大学、今現行の大学定員増抑制規定を緩和しようとする動きがあるなど、新型コロナで学んだ経験、すなわち集積のメリットよりも過密のリスクの方が大きくなった状況を踏まえて、集中から分散、東京一極集中型から地方分散型の社会へパラダイムシフトする必要性、緊急性が高まったにもかかわらず、その流れと逆行することがそこかしこで起こり、地方創生に不可欠な東京一極集中の是正が遅々として進まない、むしろ悪い方向に進みつつあることを残念に思います。
一極集中した東京の関係者は今の体制のままが一番心地よいので、構造的に集中している大企業や大学、政府機関に加え、都や二十三区からも主体的に組織や運営の効率化、分散を図る機運はなかなか生まれませんし、誘導策を取っても遅々として進まないのが今の現状です。
しかしながら、時は歴史の分岐点で、国と地方の衰退に歯止めを掛けるために残された時間は余りないと私は思っております。昭和、平成と二度の大きな市町村合併により、小規模で財政力の弱い市町村は、血と汗を流し、生き残りを懸け必死に頑張って、今、深刻な人口減少社会の中で地方創生に取り組んでおります。
令和の時代は、二十三区を含む私は大都市改革を行って、その効率化で生み出す果実を国全体のために活用すべきと思います。そうしなければ、大都市への人材、食料、エネルギーの供給基地である地方がそう遠くない時期にその機能を果たせなくなって、東京を始めとする大都市もやがて倒れてしまうということを国民全体、再認識すべきと思います。今こそ総務省が言われる国をつくり直す時期であり、成長戦略に資する構造改革、国全体が持続的に発展できるような国づくり、地域づくりに踏み出すときと思います。
今日は資料も配付させていただいておりますけれども、これまで二十三区を含む大都市制度には様々な変遷がございました。昨年は究極の二重三重行政の解消策として二十三区の国直轄化を提言いたしましたが、今日は、過去の歴史に学び、温故知新の観点から、昭和二十二年から三十一年まで実在した制度であるものの、実績なく不発に終わった特別市の制度を参考に質問したいと思います。
まず、現在の二十三区、都、国の三層構造と比べて、国、都、二十三区との間で権限と財源を再整理した上で、二十三区を一つの大都市、東京特別自治市ともいいますけれども、この国と特別自治市の二層制にした場合、どちらが効率的な行政体制で、かつ感染症や大規模自然災害等の有事への対応、さらには世界に冠たる先進的な成長戦略の実施など、どちらが現在及び将来の区民のため、そして東京を始め国全体のためになると考えられるのかお伺いするとともに、それはすぐにはなかなか難しいということであれば、現行の三層構造は維持するとして、二十三区を一つの大都市として効率化を図った場合だけでも、例えば二十三区合わせた区議会議員、九百名もいらっしゃいます。二十三区、約九百七十万都市ですけれども、九百二十万の例えば神奈川県、神奈川県議会は定数百五名でございます、九百七十万いる、九百名もいる二十三区を一つの市とすれば、区議会議員、市議会議員は百名程度で済みます。いろんな効果が生まれます。
そういったことも踏まえて、そういった非常に多くのメリットがあると思いますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。総務省の知能と言われる吉川自治行政局長、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/24
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025・吉川浩民
○政府参考人(吉川浩民君) お答えいたします。
都区制度につきましては、昭和二十七年の地方自治法改正によりまして区長公選が廃止され、都が基礎的な地方公共団体、特別区は都の内部的団体に位置付けられたわけでございますが、その後、都の行政が複雑膨大になることで効率性や住民による監視の面で課題が生じてきたことを踏まえ、特別区への事務移譲、区長直接公選制の復活などの累次の法改正が行われてまいりました。
これらの改革を経て、平成十年の法改正後は、特別区が基礎的な地方公共団体として、都が一体的に処理することが必要な事務を除き、一般的に市町村が処理する事務を処理するようになってきているという経緯がございます。
また、いわゆる特別自治市につきましては、第三十次の地方制度調査会において議論が行われました。その答申におきましては、二重行政の完全な解消や、大規模な都市が日本全体の経済発展を支えるための政策選択の自由度が高まるという意義を認めた上で、警察事務の分割による広域犯罪対応への懸念や、全ての都道府県税、市町村税を一元的に賦課徴収することに伴う周辺自治体への影響、さらに、住民代表機能のある区の必要性が指摘されたところでございます。
こうしたこれまでの都区制度の経緯や特別自治市をめぐる議論を踏まえますと、二十三区の区域に特別自治市を導入することや、三層制を維持した上で一つの大都市にすることについては、慎重に検討していく必要のある課題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/25
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026・舞立昇治
○舞立昇治君 まあ、そういう答弁だと思いますですけれども、やはり先ほど言った、九百二名も区議会議員います、百名にすれば、残る八百名、もっと人手不足の分野や地方で活躍していただく、そしてまた、国会議員も増やせることができる、そして、東京と、国とその市で二層制でですね、一気通貫でいろんな先進的なことがやりやすくなる。もう私は、これからの人口減少社会を生き抜いていく上で国全体が持続的発展をするためにも、このような制度改革は真正面から検討すべきと考えておりますので、今日、松本大臣もいらっしゃいますので、是非私の思いも受け止めていただければと思います。
最後に、三月ということで、地方団体は最大の関心事項は特別交付税でございます。是非とも、大臣、そして原財政局長、格別の配分をお願い申し上げまして、私からの、格別のというか、地元に対してですね、お願い申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/26
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027・岸真紀子
○岸真紀子君 立憲民主・社民会派の岸真紀子です。
最初に、立憲民主党の小西洋之議員の参議院予算委員会での質疑によって公表されることとなりました放送法第四条第一項に関する政治介入問題について伺います。
この問題は、礒崎陽輔元総理補佐官が議員個人の行動とはならない立場であることを重く考えなければなりません。公開された七十八枚に及ぶ総務省の公文書を読むと、礒崎元総理補佐官が執拗に総務省職員へ迫っていたことが記されており、総務省職員にとっては総理の意向と捉えなければならず、相当なプレッシャーを受けていた背景をも読み取れる内容となっています。政治的公平に関する放送法の解釈について、礒崎補佐官関連という文書を見ると、一連の動きが要約されています。
今日は、その礒崎元補佐官も含め、当事者である参考人を要求しましたが、自民党始め与党の皆さんの御理解が得られず、呼ぶことができません。大変残念であります。
この中身について少し、経過を知らない方もいるかもしれませんので読み上げさせていただきます。
まず、これ、平成二十六年十一月二十六日水曜日、礒崎総理補佐官付きから放送政策課に電話で連絡。内容は以下のとおり。放送法に規定する政治的公平について局長からレクしてほしい。コメンテーター全員が同じ主張の番組。そして、その後に個人、番組の名前が書かれています。これは偏っているのではないかという問題意識を補佐官はお持ちで、政治的公平の解釈や運用、違反事例を説明してほしい。二十八日金曜日、礒崎補佐官レク。礒崎補佐官から、政治的公平のこれまで積み上げてきた解釈をおかしいというものではないが、番組を全体で見るときの基準が不明確ではないか、一つの番組でも明らかにおかしい場合があるのではないかという点について検討するよう指示。
十二月十八日、二十五日、礒崎補佐官レク。更に前向きに検討するよう指示。括弧、補佐官は年明けに総理に説明した上で国会で質問したいとのこと、括弧閉じ。
平成二十七年一月九日、ここからは礒崎補佐官レクが続いています。十六日金曜日、二十二日木曜日、二十九日木曜日。
そして、二月十三日金曜日、高市大臣レク、状況説明。二月の十七日火曜日、二十四日火曜日、礒崎補佐官レクが続きます。
三月二日、山田総理秘書官レク、状況説明。三月五日、礒崎補佐官から安倍総理に説明。括弧、今井、山田総理秘書官同席、括弧閉じ。三月九日月曜日、平川参事官から安藤局長に連絡。高市大臣と安倍総理の電話会談結果。十三日金曜日、山田総理秘書官から安藤局長に連絡。括弧、高市大臣と安倍総理の電話会談結果、括弧閉じ。
四月一日水曜日から四月七日火曜日までは、答弁案の調整ということで、米印、山口補佐官付きと放送政策課の補佐の間でのやり取り。
五月十二日火曜日、参議院の総務委員会。自民党の藤川議員からの政治的公平に関する質問に対し、礒崎補佐官と調整したものに基づいて高市大臣が答弁とあります。
この中身が今大変問題になっていまして、それを今日は問いただしたかったというところです。
この闇深い問題として、総理補佐官、背景にある総理の意向に沿う内容とするよう自民党議員に、あろうことかこの参議院の総務委員会で、やらせ質問といいますか仕込み質問というのか、言葉には難しいですが、そういったことが答弁をするためにシナリオが残されており、これは政治介入以外の何物でもありません。これがもしも二〇一五年当時であれば、それこそ当時の政権は倒れていたかもしれません。だからこそ、厳重取扱注意としていたと推察します。
政治的な問題は本日は取り上げません。大事なことは、この文書が、公務員としての本質である国民全体の利益のために奉仕すべきという心得が総務省の中にあったと私は心から敬意を表するとともに、改めて、公務員の誇り、本質を守らなければならないという立場で質問をしています。
こういった政策等の決定までの過程、流れを後からでも検証できるように担保すること、きちんと公文書を作成し保存することは重要であると考えます。大臣の見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/27
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028・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 公文書の保存の重要性について御質問をいただいたと理解をいたしております。
公文書管理法第四条において、行政機関は、意思決定過程や事務事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう文書を作成しなければならないとされているところでございます。作成した文書については、公文書管理法第六条により、保存期間の満了する日までの間、適切に保存しなければならないとされております。
御指摘のとおり、公文書を幅広く保存していくことが重要であると考えており、公文書等の管理を行うことを通じて適切かつ効率的な行政の運営を行うとともに、国等の諸活動を国民に説明する責務を果たすべく適切に取り組んでまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/28
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029・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。大臣、本当にこの公文書を残すということが大事なので、ある意味この総務省の職員はきちんとこれまで文書を残してきたということが今回明るみになりました。
この現段階では、高市元総務大臣が関係したかどうかの部分が捏造だとおっしゃられています。ただ、大臣は相当そのお仕事というのを、相当忙しくて、次から次へと任務がありますので、恐らくお忘れになっているのではないかと。捏造とひどい言葉で総務省を侮辱すべきではないと考えますが、恐らく八年も前のことなので記憶が曖昧なだけだと思います。決して事実をねじ曲げることのないようにしていただきたいというのと、あわせて、先ほども言いましたが、今後も政策等の決定がなされていく過程はきちんと文書化をして保存していただくことを強くお願いいたします。
次に、二〇一五年五月十二日の参議院総務委員会での質問に対する高市大臣の答弁によって、その後、二〇一六年二月十二日に総務省は、政治的公平の解釈について、先ほど、括弧、政府統一見解、括弧閉じを発出しています。この政府統一見解について、私は撤回すべきと考えます。
少し過去の総務委員会の質疑を振り返りますが、二〇一六年の三月三十一日、参議院総務委員会において吉川沙織議員は、二〇一五年五月十二日の参議院総務委員会での総務大臣の答弁や二〇一六年二月十二日に示された政府統一見解は、一つの番組のみでも政治的公平性に反する可能性があることを示しているとも読めますが、今回示された見解は、過去の答弁、現在発行されている逐条解説の内容に比べ、踏み込んでいるようにも見えますが、大臣の見解はという質疑に対し、大臣からは、放送法第四条第一項の政治的公平に関する解釈は、従来のもの、現在販売されている平成二十四年版逐条解説と変わりないと答弁をされています。
さらに、政府統一見解では、政治的公平性について、従来の番組全体を見て判断するとの解釈に加えて、一つの番組のみでも判断する場合があるとしています、でも、今大臣はそれはないとおっしゃいました。少し中略をします。一つの番組のみで、判断で業務停止命令がなされることはないということでよいかという吉川沙織議員の問いに対して、高市大臣は、一〇〇%ございませんと答えています。
確認しますが、この答弁は現在も変わっていませんよね。事実だけ短く答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/29
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030・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 今委員が御指摘されました平成二十八年三月三十一日の参議院総務委員会における吉川沙織議員からの御質問、高市大臣からの答弁、これにつきましては、私も高市大臣の答弁と同じ認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/30
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031・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。
そこまではっきりしているのであれば、今、松本大臣がすべきことは政府統一見解を撤回することではないですか。放送行政に疑念を持たせるべきではないんです。この当時に、例えばキャスターが降板になったり、いろんなことがありました。放送業界が萎縮してしまったと言わざるを得ません。疑わしき大本となっている政府統一見解を撤回すべきです。
松本大臣、総務省としての見解は変えていないのであれば、統一見解は意味を成していないということになりますし、一度出したけれども必要なかったとして撤回すべきではないですか。その点、いかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/31
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032・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 政府統一見解は、政治的に公平であることについて番組全体で見て判断するという従来の解釈を補充的に説明し、より明確にしたものと承知をしております。番組全体を見て判断するとしても、番組全体は一つ一つの番組の集合体であり、一つ一つの番組を見て全体を判断することは当然のことであると考えております。
この放送番組全体を見て判断するという考えの下、一つの番組でも極端な場合においては一般論として政治的に公平であることを確保しているとは認められないことがあることは、昭和三十九年四月二十八日の参議院逓信委員会において政府参考人が答弁しているところであることも御案内のとおりかというふうに思います。
従来の解釈を変更するものとは考えておらず、放送行政を変えたとも認識しておらず、放送の関係者にもその点について御説明の機会をいただく折に御説明をさせていただいたというふうに聞いており、御理解をいただけているのではないかと認識をしております。
これからも慎重に適切に法にのっとって放送行政を進めてまいりたいと思っております。政府統一見解は撤回するものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/32
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033・岸真紀子
○岸真紀子君 全くもって不十分な答弁ですよね。変えていないというのであれば、こんな余計な補充的説明は要らないです。なおかつ、疑わしいこれのやり取りがあって、やらせ質問もあってということがあるのであれば、これ大臣が決断して撤回すればいいんですよ。一度出したからといって、これはやっぱりちょっと今の時代に合っていませんということで撤回はできると思うので、そこはしっかりと撤回すべきだということを強く要請して、今日は法案の質疑なので質疑の方に入らせていただきます。
まず、地方交付税と地方税法の質疑は二回に分けて行われます。たっぷり時間をいただきましたので、深掘りまでして今日は質問させていただきます。
保健所等の恒常的な人員体制強化について、最初にお伺いいたします。
二〇二〇年三月以降、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、私も再三にわたって保健所と地方衛生研究所の人員不足の問題を総務委員会で取り上げてきました。二〇二一、二〇二二年度も保健所保健師の増員に必要な地方財政措置を行い、二〇二三年度についても、感染症危機に備えた感染症法等の改正等を踏まえ、保健所において感染症対応業務に従事する保健師を四百五十人、保健所及び地方衛生研究所の職員をそれぞれ約百五十人を増員できるよう、普通交付税措置として、道府県の標準団体の措置人数について、感染症対応業務に従事する保健師を六人、保健所、地方衛生研究所の職員を各二人増員することとしています。前進したことは評価をいたしますが、気になる点があるのでお聞きします。
一般財団法人地方財務協会が発行している「地方交付税制度解説(単位費用篇)」というのがあるんですが、これを遡ってみますと、衛生費における保健所等の全体の職員配置数は、二〇一六年の四百七十五人が最少数となり、その後僅かに増加してきています。
しかし、内訳を見ますと、二〇一三年度は、課長職十三人、職員Aという給与の高いグループ、係長とか、補佐級というふうになっていますが、これが二百八十二人、職員Bという給与の低いグループ、係長とか一般職員の百九十六人、合計四百九十一人となっています。課長職以外の職員AとBの割合は六割対四割でした。
しかし、二〇一四年度になると、課長職は十三人、給与の高いグループの職員Aは百六十九人、給与の低いグループ、職員Bは三百二人の合計四百九十一人。全体の人数と課長職の人数は変わってはいないんですが、職員AとBの割合が三・五割と六割に逆転をし、人数は変わらないけれども、実質的に給与費を削減しようというニュアンスにも見受けられるという問題です。
二〇二二年度に至っては、課長職二十一人、職員A百三十九人、職員B三百五十七人の合計五百十七人と、人数は増えているんですが、給与の高いグループが約三割、給与の低いグループが約七割という、構造としてバランスの悪さが目立っています。
この二〇一四年度と二〇一九年度に職員Aと職員Bの配分を大きく変えた理由を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/33
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034・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
普通交付税の単位費用の積算に当たっては、今御指摘のありました課長補佐相当の職務に就く職員を職員A、給料が少し高い、それから係長以下相当の職務に就く職員を職員Bとして給与費を積算しております。
この職員A、Bの構成割合につきましては、それぞれ地方公務員の実態調査、給与実態調査ということが、そういう実態調査などの指標がございまして、そこの指標を見ながらその配置を変えているということにしております。
具体的には、今、例えば二〇一四の前の年の二〇一三年の実態調査では課長補佐相当職の比率が二三%と低かったものでございますので、したがって、今御指摘のあったような実態、それが職員Aの比率が当時はかなり高かったのでございますので、実態に合わせてその職員Aから職員Bへ移替えをしたということでございまして、給料を下げるとか、そういう目的で行ったものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/34
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035・岸真紀子
○岸真紀子君 なかなか卵が先か鶏が先かみたいなものもあったり、決して、総務省としては実態調査に基づいた配分にしているんだと言いながらも、残念ながら、今現在でいうと三対七というふうに、非常にこれだと若い職員しかいなくなってしまうという構造になっています。
そこで、更にお聞きをしますが、新型コロナウイルス感染症を踏まえ、総務省としても対策を取ってきて、保健所の職員は徐々に増加してきた経過もありますが、現状は、今言ったとおり、若手職員や経験年数が浅い職員が多くなってしまっています。
しかし、新たな感染症もあるということを踏まえると、二〇二三年度の増員分については経験のある職員を配置するためにも職員Aの配分を増やすべきと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/35
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036・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) 今御指摘をいただきました職員A、Bの問題でございますが、直近の平成三十年度の地方公務員の実態調査、これを見ましても、今申し上げた課長補佐相当職ですね、職員Aの方、これの比率が二二・八%と低かったということもございまして、今御指摘のあった増員分については、職員Aが低いものですから、職員Bの若手の職員で増員をして配置したというふうにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/36
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037・岸真紀子
○岸真紀子君 幾らやってもこれが繰り返されるとは思うんですが、どうしても最近は採用を多くしているので、若手、実績になるとやっぱり若手が多くなるから実数で調べるとそういう配分になるんだということなんですが、なかなかこれが誤ったメッセージに逆になってしまって、さっきも言いましたが、卵が先か鶏が先かということになって、人事異動で若手しか置かなくなっているというような現状も保健所では見受けられるので、少し現場でも、自治体がちゃんと考えなくてはいけない問題ではありますが、可能な限り、やっぱり保健所のバランスという、年齢構成のバランスとか経験年数のバランスというのはきちんと取っていただきたいなという意味合いで質問をさせていただきました。
あと、細かい話なんですが、二〇二三年度地方団体の歳入歳出総額の見込額に、第十二表、職員数の増減状況というものがありまして、ここに小さく注意書きが書いてあります。保健所等職員の増員に関する記載がありますが、地方衛生研究所の記述であったり、保健師以外の職員も増員するのに、漢字で等というふうに丸めて書かれてしまっています。これだと、せっかくこの各委員会とかでも保健所の構造を増やせ増やせと言って、議論経過も踏まえて、例えば地方衛生研究所の職員も保健所の保健師以外の職員も増員したのに自治体が分かりづらいのではないかなという危惧があります。
総務省としての意図というか、今回盛り込んだ内容が正確に自治体へ分かるようにしていただきたいですし、次年度以降にもしこういうふうな措置をするのであれば明確な記載が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/37
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038・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
令和五年度の地方財政計画においては、次の感染症危機に備えた感染症法等の改正等を踏まえて、委員からも臨時国会でも御指摘いただきましたが、保健所あるいは地方衛生研究所の恒常的な人員体制の強化を図るために、保健所において感染症対応業務に従事する保健師を四百五十名増員、また、保健所や地方衛生研究所の事務職員についてもそれぞれ百五十名増員をしております。
地方財政計画の記載は御指摘のとおりでありますが、私ども、こうした保健師や職員の増員については、今年の一月に各地方団体に対して事務連絡を、増員したということを発しておりますし、また、全国の都道府県財政課長、市町村担当課長を集めた会議を開催して今の内容も周知しております。地方団体においては、保健所や地方衛生研究所の体制強化に取り組んでいただきたいということを要請したところであります。
また、厚生労働省においても、全国の都道府県の厚生労働関係部局等に対し、このような増員の周知が行われていると承知しております。
今後とも、厚生労働省とも連携しつつ、しっかりと必要な周知に努めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/38
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039・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。
じゃ、事務連絡とか担当課長会議、財政担当課長会議では丁寧に説明をしていただいているということで、まあ少し安心しました。引き続き、分かりやすくしていただきますようお願いいたします。
前回の委員会質疑で、野田国義議員が公立病院の薬剤師が足りていない問題を取り上げていましたが、保健所や地方衛生研究所にも薬剤師というのがいまして、ここが不足している問題があります。少ない職員の中での負担が重くのしかかっています。
ドラッグストアとか調剤薬局の方が初任給は高くて、どうしてもこの公衆衛生分野には来てくれないという問題が顕著に表れています。また、保健所等で働く公務員獣医師も同様に、例えば、小動物病院の人気は高いんですが、残念ながら牛とか豚とか鶏といった食品衛生など公衆衛生行政を担う専門職のなり手は不足しています。
また、実態としては、経験年数の浅いスタッフが多くて、経験豊富な一部職員に負担が重くのしかかっている実態があります。地方では、採用を募集しても応募がなくてなかなか厳しいという声も多くお聞きします、専門職について。
地方自治体ではとても悩んでいる問題になりますが、保健所の専門職の確保対策について厚生労働省としてどのようにお考えなのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/39
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040・鳥井陽一
○政府参考人(鳥井陽一君) お答え申し上げます。
地域の住民の健康保持や増進のために公衆衛生に関する知識、技能は不可欠でございまして、専門職が果たす役割は重要と考えております。
保健所においては、地域保健対策を推進する広域的、専門的かつ技術的拠点として、医師、保健師のほか、御指摘の薬剤師、獣医師など多様な専門職人材が専門性を生かしながら幅広い業務に従事しております。獣医師については狂犬病等の人畜感染、感染症や食品衛生、薬剤師については医薬品、薬事衛生等についてそれぞれ知見を有しておりまして、活躍していただいております。
このため、保健師、獣医師、薬剤師等の専門職の、保健所の専門職の人材確保は重要であり、各保健所設置自治体において地域の実情に応じて確保していただいているものと考えておりますが、厚生労働省といたしましても、地方自治体の声も聞きながら、必要に応じて、好事例の周知などにより自治体の取組を支援してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/40
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041・岸真紀子
○岸真紀子君 事例集をなるべく多くして、好事例を推していくということも大事です。
ちなみに、保健所の保健所長さんも医師なんですが、この方が、なかなか医師を確保できないことということもあって、二つの保健所を掛け持ちしているという事例も少なくないという問題があります。これだと公衆衛生がやっぱり弱くなってしまうので、しっかりとこの専門職を確保できるということをもっともっと積極的に国としても考えていただきたいということを要請しておきます。
連合にも加盟する労働組合、自治労が、二〇二二年十一月二十五日から本年の一月十九日まで、保健所とか保健センター、地方衛生研究所で働く職員に対してアンケート調査を行いました。その結果、そこで働く職員の二三%が過労死ラインの月八十時間以上の時間外労働を経験しているという結果が出ています。コロナ前と比べて、八三%が業務量は増加した、七七%が業務量に対して適切な人員配置となっていないと答えています。国からも保健所に対しての通知は出していただいていますし、過労死ラインを超える過重労働がいまだにあることから、適正な労務管理というのが引き続き必要になっています。
前回の委員会で、竹詰仁議員から地方公務員の長時間労働について質疑をされていますが、保健所の過重労働対策についてどのようにお考えなのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/41
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042・鳥井陽一
○政府参考人(鳥井陽一君) お答え申し上げます。
今回の新型コロナの感染症対応に御従事いただく中で、やはり保健師等の保健所職員の労働が大きくなったという問題があり、これらの職員が安心して働くことができますよう、必要な環境整備というのが必要であると考えております。
厚生労働省といたしましては、新型コロナ感染症への対応を踏まえて、健康危機管理対応力を、等を強化するために、まずは、先ほど来申し上げておりますように、感染症対応業務に従事する保健師を増員する地方財政措置を講じていただくとともに、健康観察や生活支援などの業務については、外部委託とか都道府県での業務の一元化、それから保健所外部から有事における保健師等の応援職員の仕組みであるIHEATを構築するなど、業務の合理化、効率化を推進しております。
また、次の感染症危機に備えては、平時のうちから計画的な人員確保を含めた体制整備を進めるために、昨年十二月に成立した改正感染症法等に基づきまして、保健所設置自治体に対して、保健所の整備を含めた予防計画の策定や、これに対応したそれぞれの保健所単位での健康危機対処計画の策定を求めることといたしております。
こうした取組を着実に進めるとともに、引き続き、感染症有事にも対応可能な保健所の体制構築を支援してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/42
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043・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。引き続き対策を取っていただくようにお願いします。
次に、コロナ対応ではカスタマーハラスメントが大きな影響を与えることが先ほど紹介したアンケート調査で見えてきました。保健所でコロナ対応をしていた職員の五一%がカスハラを受けたという結果があります。
例えば、無理な要求があって断ると、感染して亡くなったらおまえのせいだと言われたり、早くワクチン接種券を送ってこないと殺すぞと脅されたり、コロナで何かあったら保健所のせいだと言われたといったような具体的記述もあって、心身共に過重労働が続いていることが分かります。
コロナ患者で入院できずに自宅で亡くなった方もいるので、本当に職員として元々相当精神的にきつい中で、更にカスタマーハラスメントで言葉を受けて追い打ちを掛けられているというような実態にあります。
公務におけるカスタマーハラスメント対策というのが保健所以外でも必要と考えますが、総務省の見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/43
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044・大沢博
○政府参考人(大沢博君) お答えいたします。
カスタマーハラスメント対策についてでございますが、労働施策総合推進法によりまして地方公共団体はパワーハラスメント防止のための必要な措置を講ずる義務を負っているわけですが、いわゆるカスタマーハラスメント対策については義務ではなく、事業主が行うことが望ましい取組という位置付けでございます。
しかしながら、総務省といたしましては、地方公共団体に対しまして、公務職場に特有の要請に応える観点から、カスタマーハラスメントに関する苦情相談があった場合に、組織として対応し、その内容に応じて迅速かつ適切に職員の救済を図るといったことが、これは国家公務員に関して人事院規則等に定めておりますので、これと同様の対応を行っていただきたいという要請をしてまいりました。
カスタマーハラスメント対策について措置を講じている地方団体は年々着実に増加をしておりますが、昨年六月一日現在の段階で、措置を講じられていない団体が約四割ほどございます。これを踏まえまして、昨年十二月に、カスタマーハラスメント対策等についても適切に取り組むよう改めて要請をいたしました。
今後とも、地方公共団体における取組状況をフォローアップしながら、対策の実効性が確保されるよう助言してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/44
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045・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。総務省としても努力をいただいているということで、でも、残り四割はまだということなので、引き続き御協力をお願いいたします。
次に、公衆衛生の現場では、過重労働やカスハラなどでメンタルヘルス不調を訴える職員が増加しています。残念ながら離職も起きてしまっている現状にあって、地方公務員のメンタルヘルス対策ということの強化というのは欠かせない問題となっています。
改めて、この総務省としての対策、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/45
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046・大沢博
○政府参考人(大沢博君) お答えいたします。
近年、地方公共団体のメンタルヘルス不調による休務者が増加傾向にございます。
総務省では、関係団体と連携をいたしまして、令和三年度より、総合的なメンタルヘルス対策に関する研究会を開催をいたしまして、対策の在り方を検討をしております。
令和三年度におきましては、この研究会の報告を踏まえて、各自治体がメンタルヘルス対策の計画を策定することによって全庁的な体制で総合的に取り組むことが必要だという点について、地方団体に助言を行っております。
さらに、今年度の研究会におきましては、メンタルヘルス不調の予防から職場復帰、さらには再発防止までの取組を取りまとめた計画を各自治体が自主的に策定できますよう、こちらの方で標準的な計画のモデルを策定することにしています。このモデルについては、今月末を目途に各自治体に情報提供をすることを予定しておりまして、こういったことなどを含めて、自治体のメンタルヘルス対策が一層推進されるように取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/46
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047・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。
今月末に何らかの指針が出るということなので、それが出たらまた更に深掘りしてお話を聞いていきたいと思います。
ただ、この地方公務員というのがやっぱりいかに地域の住民にとって大事なのかというのは、新型コロナウイルス感染症対応で多くの方が御理解いただけたと思います。ここがいなくなってしまったら大変だということもありますので、引き続き積極的な対策をお願いいたします。
保健所や地方衛生研究所からは、慢性的な人員不足もあって、教育、研修、人材育成ですね、これができていないという実態があります。
これまでは、海外で発生した新型ウイルス対応というのがある意味日本では主流でしたが、海外発症だけとは限らないということもあります。地球温暖化も考えると日本で発症する可能性も否定できないと言われています。公衆衛生の抜本的強化が必要で、そのための研修というのは欠かせません。
しかし、座学であればオンライン研修が可能なんですが、実技というのはオンラインには限界があります。なぜ、じゃ、研修に行けないかというと、人員不足で研修に行くことができないという問題があります。
新たな感染症に向けた対策としても、公衆衛生行政の教育、研修、人材育成というのは必要ですが、予算の確保も含め、厚生労働省としてどのようにお考えなのか、お聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/47
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048・鳥井陽一
○政府参考人(鳥井陽一君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、保健所や地方衛生研究所の職員の人材育成は重要と考えておりまして、厚生労働省といたしましては、地方自治体の人材育成に向けた取組支援の充実に取り組んでおります。
具体的には、健康危機の発生に即応できる人材育成を計画的に進めるために、昨年十二月に成立した改正感染症法等に基づきまして、保健所設置自治体に対して、保健所や地方衛生研究所を含めた職員の人材の養成や資質の向上のための取組を含めた予防計画の策定を求めるとともに、これに対応して、各保健所や地方衛生研究所においても研修や実践型訓練等を含めた計画の策定を求めることといたしておりまして、こうした計画の策定、実施に必要な人員を先ほどの令和五年度の地方財政措置に盛り込んでおります。
また、予算でございますが、令和五年度予算におきましては、IHEAT要員に対する研修や保健所に従事する保健師の研修等への補助や、地方衛生研究所で実施する検査能力の向上等に資する実践的な訓練に対する財政支援を盛り込んだところでございます。その上で、都道府県における組織横断的なマネジメント、あるいは計画的な人員配置の推進といったことも求めてまいりたいと考えております。
引き続き、これらの人材確保、人材育成については支援をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/48
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049・岸真紀子
○岸真紀子君 厚生労働省が総務省に地財措置というのを要請していくと思うので、今回少し人員は増えていくということになるんですが、引き続き積極的に要求をしていっていただくことをお願いいたします。
次に、二〇二三年度以降も引き続き児童虐待防止対策体制の強化を進めるために、新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランというものが策定され、これに基づき児童相談所の児童福祉司と児童心理司の増員目標が設定され、本法案では、二〇二三年度は、児童福祉司約五百三十人、児童心理司約二百四十人の増員に必要な地方財政措置がされています。
増員されることは評価しますが、一方で懸念もあるのでお伺いをします。
最初に、児童相談所の業務は虐待だけではありません。厚生労働省にお伺いしますが、児童相談所における相談の種類別対応件数は最新データで何件で、何%なのか含めて教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/49
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050・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
御指摘のように、確かに児童相談所に参ります相談の中には、虐待にとどまらず、その他いろいろな案件がございます。
令和三年度中の児童相談所における相談対応件数でございますけれども、全体では五十七万一千九百六十一件というふうになってございます。
これをお尋ねの相談種類別に見てまいりますと、児童虐待の相談を含みます養護相談と分類されますものが二十八万三千一件、これは先ほどの五十七万件というものの中に対する割合で申し上げると四九・五%。次いで、障害相談、障害の関係の相談、これが二十万三千六百十九件、これを同じくパーセンテージで申し上げますと三五・六%。育成相談が四万一千五百三十四件、これは全体の七・三%。非行の相談が一万六百九十件、一・九%。保健相談が千四百四十一件、これは全体の〇・三%。残りはその他ということで、その他の相談が三万一千六百七十六件、全体の五・五%。これらを合計しまして五十七万強という件数になってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/50
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051・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。
今、二〇二一年度中の相談対応では五十七万一千九百六十一件、うち児童虐待相談を含む養護相談が約五割、療養、療育手帳や発達障害などの障害相談が三五・六%、その他、育成相談や非行の相談などがあったり、虐待以外の相談が約五割という状況にあるということでした。
児童相談所の職員に聞くと、例えば障害相談があると、ほぼ午前中は全てその業務に追われて、合間に虐待や非行相談対応といったことを行っているというような状況であります。ニュースで上げられるのはどうしても児童相談所といえば虐待対応のイメージが強く持たれていますが、実は相談件数でいうと虐待は半数以下というような実態で、他の業務の方がとても多いという状況です。この実態をきちんと把握していなければ、幾ら人数を増やしても現場が大変な状況は変わらないということになります。
地財措置に当たって虐待以外の部分も加味されたのかどうか、総務省にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/51
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052・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
児童相談所の児童福祉司等については、政令で定める配置基準に基づいて各地方団体が必要な配置を行えるよう、先ほど御指摘にありました五年度も計画的な増員を図っているところであります。
この配置基準でございますけれども、児童虐待相談対応以外に、今御指摘のありました虐待以外の相談も含めまして業務量を勘案して、児童相談所の平均的な相談件数に対応できるよう配置基準が定められております。加えて、児童虐待相談対応件数が多い児童相談所については更にその件数に応じた加配を行うと、加配も仕組まれております。こういったことも含めて増員を図ってきているところであります。
いずれにしても、今後とも児童相談所については必要な体制が確保されるよう、関係省庁と連携しながらしっかり適切に対応してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/52
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053・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。現場ときちんと対話をしていただいて、引き続き確保をお願いいたします。
今回、児童福祉司を二〇二四年度までに千六十人、児童心理司を二〇二六年度までに九百五十人増やすということになりましたが、本来は児童福祉司と児童心理司は一対一、一人ずつですね、子供とか保護者と対応するには一対一で、一人ずつ入って対応するというのが望ましいし、現場も望んでいるものです。せめて、児童福祉司が三人に対して児童心理司が二人という三対二が望ましいんですが、計画だと二対一という現状と変わらないことになるのではないかと考えます。
厚労省に伺いますが、本プランは必要に応じて見直しとありますが、これは改善していくのでしょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/53
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054・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
児童心理司でございますけれども、児童相談所におきまして、心理に関する専門的な知識あるいは技術を使いながら、子供の精神面の状態のアセスメント、心理的ケアといった、こういった児童相談所の機能を果たしていく上で重要な役割を担っていただいているものと考えております。
この児童心理司につきましては、児童福祉法施行令において、御指摘のように、確かに児童福祉司二人に対して一人を配置するということが標準とされております。
そうしたことも踏まえまして、昨年末に新たに策定をいたしました新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランにおきまして、令和八年度末までに九百五十人程度の増員、全国で三千三百人の体制を目指すということを目標としたところでございます。厚生労働省といたしましては、まずはこの現在掲げました目標値について、各自治体で児童心理司が確保できるように研修等の支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
その上で、ただいま御指摘ございました、この児童福祉司と児童心理司の割合を、例えば一対一でございますとか、あるいは三対二に引き上げていくと、つまり児童心理司の配置数を更に増やしていくという点でございますけれども、これ、現状の配置基準でありましてもなかなかこの必要な数の児童心理司の確保に苦労をしていると、苦慮をされているという自治体もあることなどを考慮いたしますと、まあ、にわかにといいましょうか、直ちにといいましょうか、そうした見直しを行うことにはまだ課題があるとは認識はしております。
そうした中ではございますけれども、昨年行われました児童福祉法改正の中で、民間との協働によって子供や保護者に対して心理カウンセリングなどの心理的なケアも行う親子再統合支援事業といったものを制度の中に位置付けをさせていただいたところでございます。
そうしたことも通じまして児童相談所による支援の強化を図っていくことを考えておりまして、このような取組、新しい事業の活用なども通じまして、親子への心理的な支援を行う体制というのを強化をしてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/54
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055・岸真紀子
○岸真紀子君 まずはというところで今回はこういうふうになっているんですが、引き続きやっぱり、忙しいからこそやっぱり募集しても来ないという問題があると思うので、人を増やしていくというのは重要だと考えます。
今は毎年増員しているので一定程度仕方がないのかもしれませんが、経験年数が一年未満とか三年未満が半数近いというのが今の現場実態です。特に児童福祉司は経験が必要で、スーパーバイザーと言われる方々がもっとたくさん必要であると考えますが、スーパーバイザーを大胆に増やす考えはないのでしょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/55
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056・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
御指摘のように、確かに令和四年の四月一日現在における児童福祉司の勤続年数の割合、これを見てみますと、経験年数が三年未満の方の割合が半数を超えてございます。そういう意味では、指導や教育、こういった経験の浅い児童福祉司の方に対する指導や教育を担うスーパーバイザーの役割というのはこれ引き続き重要であると、体制の強化を図っていく上でも重要であると考えてございます。
そのため、平成三十年に決定をいたしました児童虐待防止対策体制総合強化プラン、こちらの方では、スーパーバイザーを三百人程度増員する目標を立てて、全国で九百人を超える体制づくりというのを目指してまいりましたが、実際、今年度までには三百四十人の増員ということで、若干目標を上回るようなスピードで増員が図られてきたところでございます。
さらに、来年度以降につきましても、この児童相談所の児童福祉司、あるいは先ほど申し上げた心理司、こちらの体制強化を図ることと並行する形で、この十二月に策定した新たな体制総合強化プランの中では、スーパーバイザーを二百五十名程度増員をする目標を立ててございます。令和四年度で九百六十人程度であったものを令和六年度には千二百十人程度に引き上げていこうというような目標でございます。
厚生労働省といたしましては、各自治体が行いますスーパーバイザー任用のための研修に関する経費の補助を行いますほか、昨年の児童福祉法改正によって創設をされます子供家庭福祉分野の認定資格、これは平成、失礼いたしました、令和六年四月からスタートを予定しておりますけれども、こちらの新たな認定資格というものを取得した場合には、スーパーバイザーの任用要件となる実務経験年数を、現行ですとおおむね五年ですが、この認定資格を取った方に関してはおおむね三年とするということなど、各自治体でスーパーバイザーを確保する、養成していくための取組というものを支援していこうとしているところでございます。
このように、いろいろな取組を通じまして、今後ともスーパーバイザーの増員、確保にしっかりと努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/56
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057・岸真紀子
○岸真紀子君 引き続きお願いします。
増員計画があっても人が来てくれるかという問題もあります。現状、児童福祉司や一時保護所職員の特殊勤務手当は未実施の自治体があると聞きました。これはなぜ手当てされていないのか、理由を把握しているか、伺います。またあわせて、一時保護所については措置費として国庫負担しているので、子供の福祉のためにも実施させるべきと考えますが、見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/57
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058・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
精神的、肉体的な負担が大きい業務の性質でございますとか、あるいは専門性を有する人材確保、こうしたものが求められております一時保護所の職員につきましては、令和二年度より措置費の拡充、これ御指摘の月額二万円の特殊勤務手当でございますけれども、この措置費の拡充による処遇改善を可能としているところでございます。
この処遇改善を未実施である自治体の数でございますけれども、令和四年四月時点で、児童相談所を設置いたします七十六自治体のうちの十三自治体で未実施、逆に言えば残りの自治体では実施をされているというところでございます。
これらの自治体で処遇改善にまだ着手ができていない理由につきましては、現時点で網羅的にお聞きをしたり把握をしているわけではございませんが、例えば、児童福祉分野のほかの施設ですね、一時保護所以外の施設における職員の処遇とのバランスを考える必要があるなど、個々の自治体ごとに職員の処遇に関する調整事項があるのではないかというふうに考えております。
今後、個別に状況をお伺いしながら、国として更に何かできることがないかというのも考えつつ、様々な場を活用しながら、まずは今回のこの処遇改善の加算、これの実施、着手を促してまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/58
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059・岸真紀子
○岸真紀子君 残り十三自治体なので、ここもしっかりと、措置費で出しているから、きちっと出してもらうように引き続き努力をお願いいたします。
一時保護所を始めとし、その他、その先の児童養護施設が不足している問題について伺います。
家庭保護などを進めているので、国の統計資料を見ると、児童養護施設等には大幅な空所があるようにも思われますが、実際には、地方には空きがあるけれども、都市では足りていない。割愛という制度でほかの地域と協議することができるとされていますが、数だけ見ると空いているように見えても、大都市を中心にマッチングしていない、足りていないというのが実態です。
やはり施設は必要であり、家庭養護を進めるという考えはいいんですが、現場ではなかなか難しいという実態があったり、ほかの地域だと転校などを伴って、子供の福祉として考えると、当然ながら居住地で保護することが重要になってきます。
こういった現場実態の把握はできているのか、また対応をどのようにするのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/59
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060・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、一時保護所につきまして、特に都市部を中心に一部の一時保護所について定員超過が慢性的に続いているというような現状があると承知をしております。その上で、その解消を図っていくというのが大きな方向性として必要であるというふうに考えてございます。
厚生労働省といたしましても、これまで一時保護所の整備のために国庫補助の引上げというのを累次行ってまいりましたけれども、令和三年度の第一次補正予算におきましては、この定員超過解消に向けて、自治体の方で計画を策定いただき、厚生労働省の承認した場合には、整備費の補助率を二分の一から十分の九までかさ上げをすることといたしまして、これを令和五年度まで措置としては続けることに現状しております。
また、御指摘のありましたその一時保護の次としての施設などでございますけれども、この一時保護からの措置先となります社会的養護関係施設につきましては、例えば児童養護施設につきましては、令和三年の末時点での定足、充足率は約八割というふうになっておりまして、全国ベースで見ますと必ずしも不足している状況にはないというふうな状況でございます。
一方で、やはりこれも主に都市部でございますけれども、児童養護施設の中には例えば年度末に一時的に定員超過する施設があるなど、タイミングによっては一時保護中の児童の措置先がなかなか見付からない、調整できない、結果として一時保護が長引くというふうな事態にもつながっている場合もあるというふうに認識をしてございます。
こうした点も踏まえまして、児童養護施設等の施設でございますとかあるいは里親さんといった社会的養護を必要とする子供たちの措置委託先につきまして、令和七年度からの整備あるいは確保の目標といったものを設定するための都道府県社会的養育推進計画の策定に向けて、現在、調査研究を実施しているところでございます。そういった成果も踏まえながら、地域において、この社会的養護を必要とする子供たちの措置委託先の必要な整備であるとか確保、こういったものが図られるような取組を進めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/60
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061・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。
次の質問は、ちょっと時間も限られてきたので、要請だけしておきます。
虐待の通報に関して、児童相談所だけではなくて、本来は市町村の役割も大きいです。しかし、多くの市町村でもマンパワーに限界が来ていて、そこまでやり切れていないという実態も見受けられます。
今回は児童相談所の増員だけとなっていますが、虐待を未然に防いだり対応するには市町村の体制強化は欠かせません。これは、これまでもずっと市町村の職員もっと増やすべきだということを言ってきたので、今日はちょっと時間がないので答弁なくても大丈夫ですが、でも、市町村の職員も、御承知のとおり、微増はしているんですが、業務量と見合っていない人員となっています。総務省として引き続きこの市町村の職員の数を図っていくということを改めてお願いだけ今日はしておきます。
次の質問に入ります。
市区町村のこども家庭センターは、母子保健と家庭児童相談を一体的にしていくというものになっていますが、配置されている職員の多くは会計年度任用職員が多い実態にあります。正規職員の配置を求めていくことが子供の福祉に必要で、例えば兵庫県の明石市は、児童福祉司は国基準だと十人なんですけど二倍の二十人、児童心理司だと五人なんですが八人というふうに二倍になっているし、弁護士とか保健師とか児童指導員とかも本当に多く配分しているような実態です。
もっともっと子供の福祉に必要な配置を求めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/61
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062・野村知司
○政府参考人(野村知司君) 今し方御指摘ございましたこども家庭センター、これは、昨年行われました児童福祉法の改正により平成六年四月からの施行ということで、児童福祉とこういった母子保健とが連携した相談の拠点ということで設置を進めていこうとしているものでございます。
厚生労働省といたしましては、この新たに創設されるこども家庭センターについて、各自治体がそれぞれの実情に合わせて整備を進めることができるよう、そのセンターに必要な人員配置などの設置、運営に係る検討を進め、財政面を含め必要な人材確保に係る支援を併せて検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/62
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063・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。引き続き増員を図っていくことをお願い申し上げます。
次に、東日本大震災の分についてお伺いします。
二〇一一年三月十一日から十二年が経過しました。東日本大震災分については、震災復興特別交付税が九百三十五億円確保されています。
私は、本年一月中旬に福島県浜通りの原発災害による被災を受けた自治体を訪問して、様々な課題をお伺いしてきました。残念ながら、帰還ができる地域でも住民の帰還率は数%という実態にあります。この問題は昨年の三月十五日の総務委員会でも問題提起させていただきましたが、昨年と状況は変わっていません。
松本大臣は福島県を訪問して現状を見てきているので状況は知っていただいていると思いますが、被災自治体からは、二〇一一年度から二〇二〇年度までの復興期間十年間が終了し、現在は第二期復興・創生期間で、二〇二五年度までは見えているんですが、二六年度以降はどうなるのかという不安の声がありました。
長期視点でここはしっかり確保していただきたいんですが、大臣の見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/63
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064・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 委員おっしゃったとおり、東日本大震災から十二年を迎えたところでありますし、私は、発災当時、政府の一員でもありましたので、これまでも復旧復興には私としてできる限り懸命に取り組んできたつもりでございます。今回の福島出張も、その意味で最初の出張地として是非福島の実情を拝見をしたいと思って伺わせていただきました。今は岸田内閣の一員として、閣僚全員が復興大臣であるとの強い思いの下で東日本大震災からの復旧復興に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
おっしゃったように、福島を拝見をさせていただいて、東日本大震災からの復興は着実に進展している一方で、原子力災害の被災地につきましては今後も中長期的な対応が必要であるということは実感をいたしているところでございまして、令和三年三月に閣議決定された東日本大震災からの復興の基本方針においては、原子力災害被災地域について、第二期復興・創生期間以降も引き続き国が前面に立って復興再生に取り組むこととされ、当面十年間、本格的な取組を行うこととされております。
そして、この基本方針の中では、第二期復興・創生期間の五年目に当たる令和七年度に復興事業全体の在り方について見直しを行うこととされており、コロナ禍でも、震災復興特別交付税の在り方につきましても、関係省庁と連携しつつ、しっかりと検討し、被災自治体が必要な復旧復興事業を確実に実施できるよう万全を期してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/64
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065・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。
引き続き、今から確保できるという明言はできないかもしれませんが、大臣の今おっしゃっていただいたように、やっぱり最後までやっていくんだということを引き続き訴えていただくようにお願いいたします。
ちょっと質問を飛ばしまして、物価高騰の対応ということで七百億円を単年度分で計上していただいております。
ちょっと飛ばしますが、この七百億円の算定には、公共施設の、例えば体育館とか公民館とか保育所とか、指定管理者制度とか民間委託も考えられます。そういった委託先も含めたところがこの電気、物価高騰に対応できる対象となっているのでしょうか。当然、直営、委託に縛りはないと思いますが、そのことが分かるようにしていただきたいのですが、総務省の答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/65
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066・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
今御指摘にありました光熱費高騰への対応として、五年度の地方財政計画、七百億円の一般行政経費の増額でございます。これは、学校ですとか福祉施設ですとか図書館ですとか文化施設、自治体の、まあ国と違って住民に接する施設が多いものですから、そこで光熱費が高騰しているといういろんな御要請もいただきまして、それを踏まえたものでございます。
この普通交付税においては、自治体の施設、大変多岐にわたりますので、算入としては、包括算定経費ということで一括して計上することとしております。
今委員御指摘がありましたが、自治体の施設の管理形態、大変様々な形があると思っております。他方、交付税は使途の制限のない一般財源でございますので、この交付される交付税をどのように活用するかはそれぞれの自治体に判断に委ねられておりますので、各自治体において適切に御判断いただきたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/66
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067・岸真紀子
○岸真紀子君 これがなかなか、指定管理者制度の問題で、委託料上げないという問題とかもあるので、次の質問とも絡めていますが、岸田政権は所得の向上につながる賃上げを掲げています。それであれば、公の施設の指定管理者制度の下で働く労働者の賃上げもどう考えるかというところを是非大臣にお聞きしたいです。
指定管理者制度は二〇〇三年から施行となって、今年で二十年を迎えます。しかし、指定管理者制度には多くの問題が残されていて、さっきの物価高で付いても実は配分されないかもしれないという問題があったり、そもそも利益を上げてもその分管理料を下げられてしまうというような問題があって、いや、労働者が幾ら頑張っても賃金アップへつなげることが難しいという制度になっています。
こういった点は改善すべきと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/67
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068・吉川浩民
○政府参考人(吉川浩民君) お答えいたします。
指定管理者への委託料につきましては、地方公共団体と指定管理者の間の協議により定め、別途両者の間で協定等を締結することが適当である旨をこれまでも地方公共団体に助言してきたところでございます。
昨年十月には、人件費も含め、今般の原材料価格、エネルギーコスト等の上昇により指定管理者が負担する経費の増加については、指定管理者と適切に協議を行うよう、地方公共団体に助言通知を出させていただきました。
今後とも、各地方公共団体において、人件費等の最新の実勢価格等を踏まえて指定管理者と協議を行うなど、適切に対応されるものと認識しておりますが、引き続きその趣旨が徹底されるように助言をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/68
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069・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。
多分、もっともっと助言をしていかないと、この指定管理者制度のさっきの賃上げであったり、さっきの物価高騰対策が適切に配分されないという課題があるので、対応お願いいたします。
また、物価高騰については、追加でもしも必要なところは是非財政支援を更にしていただくことをお願い申し上げ、本日の質問は終えたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/69
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070・山本博司
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
本日は、地方税法及び地方交付税法の改正案に関する質疑ということでございますので、地方財政及び地方税制の課題に関しまして質問をさせていただきたいと思います。
令和五年度の地方財政計画におきましては、臨時財政対策債の発行を前年度比マイナス〇・八兆円と抑制し、平成十三年度の制度導入以来最少となったほか、交付税特別会計借入金の償還及び国税減額補正精算の前倒しも行われ、地方財政の健全化が進んでいると高く評価をしたいと思います。
しかしながら、令和五年度末時点での地方財政は百八十三兆円程度の見込みと、いまだ巨額の借入金残高を抱えております。また、臨時財政対策債の残高は四十九・一兆円、交付税特別会計借入金の残高は二十八・三兆円となっております。こうした債務の縮減、これは着実に進めるべきでございまして、そのために臨時財政対策債の発行抑制も行われたものと思いますけれども、地方財政の健全化に向けて取り組まれていると思います。
この臨時財政対策債は令和四年度までの間の特例措置とされていたところで、今回の改正では令和七年度まで延長することになっております。
そこで、この臨時財政対策債の発行を抑制することへの認識をまずお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/70
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071・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
地方財政の健全化のためには、本来的には、臨時財政対策債になるべく頼らない財務体質を確立することが重要であると考えております。
令和五年度の地方財政計画においては、前年度を上回る一般財源総額と交付税総額を確保しつつ、臨時財政対策債について、発行額を〇・八兆円抑制し、制度創設以来の最低限となる一兆円とし、残高も二・九兆円縮減することとしております。
今後とも、経済を立て直して地方税などの歳入の増加に努めるとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことによって、財源不足を縮小し、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/71
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072・山本博司
○山本博司君 ありがとうございます。
債務の縮減はもとよりでございますけれども、地方の一般財源総額の確保、これも極めて重要でございます。
ロシアによるウクライナ侵略などの背景としましたエネルギー価格の高騰が続いておりまして、追加の経済対策、これが求められている状況にございます。令和四年十二月の消費者物価上昇率が四・〇%となるなど物価上昇が顕著である中で、令和五年度の地方財政対策におきまして、学校や福祉施設などのこの地方公共団体の施設の光熱費の高騰を踏まえて、単独の一般行政経費を七百億円増額するなどの対応がなされている次第でございます。
こうした対応によりまして住民サービスに大きな支障が出ないようにすべきと、こう考えるわけでございますけれども、まず、この長引く物価高騰が地方公共団体の行政サービスにどのような影響があると、こう分析をしてこの七百億円という数字を出したのか、この数字の根拠について詳しい説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/72
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073・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
地方自治体は、国と違いまして、学校、福祉施設、図書館、文化施設など保有する施設が多岐にわたっております。また、住民が利用するものが多いので、光熱費の高騰がこうした自治体施設の運営や住民サービスへの影響が懸念されるわけであります。
そこで、自治体からも切実な声がお寄せになりまして、令和五年度の地方財政計画においては、自治体施設の光熱費高騰への対応として一般行政経費を七百億円増額して、普通交付税で適切に措置することとしております。
根拠でございます、七百億円の。
まず、自治体の光熱費の令和三年度決算額をベースに、令和四年度の消費者物価指数の伸びや、それから令和五年の四月に電力・ガス料金の引上げ、会社が発表している分もございますので、こうしたものを見込みつつ、一方で、国による価格激変緩和対策、これは自治体もメリットを受ける分もございますので、こうしたのを考慮して積算したものであります。
私どもとしては、予算編成時点においてできる限りの対応を行ったものであり、地方団体の安定的な財政の確保のために必要な額を措置できたものと考えており、六団体からも一定の評価をいただいておりますが、先行きについてはなかなか不透明な面がありますので、この点よく注視する必要があるものとは存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/73
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074・山本博司
○山本博司君 ありがとうございます。
こうした、今、先行きはまだ不透明な状況があるということでございますけれども、やはり長引くこういう物価高騰の中におきましても地方公共団体が必要な行政サービスを確実に提供できるように、実際の状況に応じて実質的な財源確保、これに努める必要があると考える次第でございます。
現在、岸田総理から指示がございまして、与党としてこの物価高に対しての追加の経済対策を検討し、昨日、公明党といたしましても総理に提言を出した次第でございます。また、地方公共団体のこの行政サービスが滞ることがないように、この点についても対策を講じることが大切になると思います。
今後の状況によりましては、状況の変化に応じて更なる地方交付税の増額ということも検討すべきと考えますけれども、大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/74
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075・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 光熱費が高騰する中で、過日も、三月九日付けで、全国知事会くらしの安心確立調達本部の名で、予断を許さない物価高騰への追加対策に向けた提言をいただいたところでありまして、自治体の切実な声に応えるために、令和五年度の地方財政計画において、一般行政経費を七百億円増額して計上するとともに、普通交付税において適切に措置を講じることとしたところでありまして、また、地方創生臨時交付金の物価高騰対応への検討に当たって内閣府に地方の声を届けるなど、関係省庁と連携して物価対策に取り組んできたところでございます。
今後の物価高対策につきましては、二月二十四日の物価・賃金・生活総合対策本部において、総理から、エネルギー、食料品価格等の動向や国民生活、事業者への影響を注視しつつ、与党とも連携し、引き続き機動的に対応し、各閣僚においては最大限の緊張感を持って万全の対策を進めるよう指示があったところであり、関係省庁と連携して、政府全体として適切に対応してまいりたいと存じます。
与党から御提言をいただいたということも、私どももお聞きをしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/75
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076・山本博司
○山本博司君 しっかりとこの点に関しましてお願いを申し上げたいと思います。
次に、地方税に関して伺いたいと思います。
先ほど申し上げましたように、長引く物価高騰はあらゆる経済活動に影響を与えております。特に中小企業の置かれた状況は大変厳しいものがあると思います。
そうした中で、令和五年度の与党税制大綱によりまして、中小企業支援では、法人税の軽減税率の特例の適用期限を二年延長するとともに、生産性向上や賃上げを目的とした、取得した機械や装置の償却資産に係る固定資産税に関しまして二年間半減する特例措置を創設することになっております。こうした支援策が創設されたことは意義のあることでございまして、着実に中小企業に届くように周知をお願いをしたいと思います。
この生産性向上、賃上げを目的ということでございますけれども、この中小企業への固定資産の軽減策について、その内容を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/76
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077・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答えいたします。
物価上昇等の現下の経済情勢を踏まえまして、今般の地方税法等の改正案において、中小事業者等が取得いたしました生産性の向上や賃上げの促進に資する償却資産に係る固定資産税の特例措置を二年間の時限措置として創設することといたしております。
具体的には、中小事業者等が、中小企業等経営強化法に規定する計画に基づきまして、生産性に向上する機械、装置等を取得した場合に固定資産税を最初の三年間二分の一とする措置を令和七年三月三十一日まで講ずることとしております。
さらにでありますが、計画の内容に一・五%以上の賃上げを行う目標が含まれ、その計画に基づき賃上げの促進に資するような機械、装置等を取得した場合には、特例措置を深掘りいたしまして、固定資産税を最大で最初の五年間三分の一とする措置を講ずることといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/77
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078・山本博司
○山本博司君 こうした厳しい状況の中で中小企業の方々が設備投資をするということは相当勇気の要ることだと思いますので、二年間の特例措置ということでございますけれども、是非、中小企業に寄り添った税制になるようにしっかりと対応していただきたいと思います。
次に、車体課税に関してお伺いをしたいと思います。
我が国は、温暖化対策として、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする脱炭素化の目標を掲げております。自動車の分野では、二〇三五年に、電気自動車や燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、またハイブリッド自動車という電動車の一〇〇%乗用車新車販売という政府目標を掲げて、ガソリン車の新車販売終了を目指しております。
電動車の一層の普及促進を図る観点から、今回の自動車税の改正では、燃費基準達成を三年間で段階的に引き上げることで電動車の普及を促しております。化石燃料に依存した社会経済構造の転換は喫緊の課題でございます。
政府の基本方針に沿って地方税でももう措置したと思いますが、改めて今回の車体課税の見直しの内容について御報告いただくとともに、この税制が目指すところは何か、どのような効果を期待するのかについて御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/78
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079・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答え申し上げます。
令和五年度税制改正におきましては、自動車産業における更なる電動化などの取組を税制面からも後押しする観点などから、車体課税の見直しを行うこととされました。
まず、環境性能割の税率区分の見直しについてでございますけれども、現下の半導体不足などの状況を踏まえまして、異例の措置として現行の税率区分を令和五年十二月まで据え置くとともに、先ほど委員からお話がございましたとおり、二〇三五年までに乗用車新車販売で電動車一〇〇%とするこの政府目標と整合させる観点などから、税率区分の基準を三年間で段階的に引き上げることといたしております。また、種別割のグリーン化特例、これにつきましても、環境性能割の見直しと併せまして、より環境性能に優れた自動車の普及を後押ししていく観点から、その適用期限を三年間、三年延長することといたしております。
御質問がございましたこの政府目標に対する効果でございますが、メーカーの御努力なり様々な施策が講じられる中、税制のみを切り出しての定量的な分析というのはなかなか難しいところでございますけれども、今般の見直しにおいて、先ほど申し上げましたとおりに、政府目標との整合性を図る観点から、環境性能割に係る優遇税率の適用対象となる車両の燃費達成、燃費基準達成度を引き上げることといたしております。これによりまして、より環境性能の優れた自動車を取得することへのインセンティブ効果が発揮され、見直しの目的でございます自動車の電動化を後押しすることにつながるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/79
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080・山本博司
○山本博司君 ありがとうございます。
この電動車化に関連をいたしまして、固定資産税に関して伺いたいと思います。
今回の改正では、路線バス事業者への固定資産税の減免が盛り込まれました。カーボンニュートラルへの対応として電気自動車、EVバスを導入するために充電設備などを取得した場合、固定資産税の三分の二を五年度にわたって減免するという内容でございます。
路線バスは、燃料費の高騰や新型コロナ禍で移動需要が落ち込んだのを背景に、経営環境の悪化が加速をしております。バス業界の方々からは、厳しい状況の中で地域のバス路線を存続していくには固定費用の負担を軽減することが必要不可欠との強い要望をお聞きをしておりました。
この固定資産税の減免措置は、地方自治体が策定する地域公共交通で位置付けられたバス路線を維持することなどが条件となりますけれども、経営が大変厳しい中で減免が認められたことは大きな一歩になると、こうした喜びの声も伺っております。
また、EVバスの導入はカーボンニュートラル推進の切り札でございますけれども、大変厳しい状況にあるバス事業において積極的にEVバスを導入していくためには国の財政支援が不可欠でございます。この固定資産税の減免措置と拡充されました補助金でEVバス導入の弾みとなることを期待をしております。
バス業界では二〇三〇年までに一万台のEVバス導入を目指されているということでございますので、地域公共交通の担い手であるこのバス業界の支援に全力で取り組むべきと考えます。
そこで、今回の路線バス事業者への固定資産税の特例措置の概要を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/80
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081・尾身朝子
○副大臣(尾身朝子君) お答えいたします。
地域公共交通の重要な担い手であるバス事業者が路線を継続して運行し、引き続き地域の足を支えていただくことは、委員御指摘のとおり、地域の活力維持のために大変重要でございます。また、バス事業者は地域の脱炭素化に向けてカーボンニュートラルへの対応が求められております。
こうしたことを踏まえまして、地域のバス事業者を支援することを目的に、EVバスを導入するために充電設備等の償却資産を取得した場合における固定資産税の特例措置を創設することといたしました。
具体的には、EVバスが導入される営業所の路線を引き続き運行することが道路運送高度化実施計画において担保された場合等に、充電設備等及びその用に供する土地に係る固定資産税及び都市計画税につきまして、課税標準を最初の五年間、その価格の三分の一とする措置を令和十年三月三十一日まで講ずるものでございます。
こうした措置を通じて、地域公共交通を支えるバス事業者を支援してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/81
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082・山本博司
○山本博司君 今日は国土交通省にもお越しいただいております。
これまで申し上げてきましたように、この地域公共交通の活性化は高齢化、過疎化する地方におきましては大変大事なことでございます。特に路線バスは地域の身近な足として活用されており、なくてはならないものでございます。
今国会では、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の改正案を準備されていると伺っております。この法律案の概要について国土交通省に伺いたいと思います。あわせて、地域公共交通におけるバスの位置付け、地域交通の再構築に向けてどのような支援を拡充していくつもりなのか、確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/82
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083・岡野まさ子
○政府参考人(岡野まさ子君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、バスは通勤、通学、通院といった日常生活を支える不可欠なサービスでございます。私どもとしましても、非常に重要なものであると認識してございます。
先生御指摘のございました今般の地域公共交通活性化再生法の改正案におきましては、自治体と交通事業者が運行回数などのサービス水準について協定を締結するエリア一括協定運行事業を創設するとともに、道路運送高度化事業を拡充し、EVバスやキャッシュレス決済の導入に係るメニューを創設いたしました。これらの事業につきましては、地域公共交通確保維持改善事業により費用の一部を支援するというふうにしてございます。
加えまして、令和五年度予算案では、社会資本整備総合交付金に新たな基幹事業として地域公共交通再構築事業を追加し、バス事業者に対して実効性のある支援策を講じることとしてございます。
また、特にEVバスにつきましては、先ほど総務省さんの方から御答弁ございましたが、EVバスの充電設備等の償却資産を取得した場合における固定資産税の特例措置を創設いたしました。あわせまして、関係省庁とも連携しまして、令和四年度補正予算及び令和五年度予算案によりまして、EVバスや充電施設の導入費用の支援も行うこととしてございます。
こうした支援策を通じまして、引き続きバス事業の維持、活性化に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/83
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084・山本博司
○山本博司君 大変大事な点でございますので、地域公共交通の柱となるバス路線の支援、お願いをしたいと思います。
こうした様々な固定資産税の減免措置は、政策措置として、政策的措置としてこの政策目標を達成する上では大きな効果を発揮すると思います。一方で、この固定資産税は税収約九・二兆円ということで、市町村税収の約四割を占める市町村の基幹税目でもございます。
固定資産税は、安定的で税収の変動が少なく、どの地方公共団体にも財源が広く存在し、その偏在が少ないという性格を持っているために、市町村にとりましては安定的に確保したい税目であります。よって、この政策的措置と安定的な確保のバランス、これが重要になると思います。
政府・与党としても責任を持って対応していきたいと思いますけれども、この固定資産税の確保に向けた認識について大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/84
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085・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 委員御指摘のとおり、固定資産税は市町村の行政サービスを支える基幹税でありまして、特例措置の創設は、政策目的など十分に勘案し、真に必要なものに限るべきと考えます。
他方で、現下の物価上昇等の経済情勢や地域の公共交通の維持確保への対応は大きな政策課題であり、地域経済の活性化等の観点から市町村にとっても重要であるため、今回新たに固定資産税の特例措置を創設することとしたところでございます。
総務省といたしましては、地方団体の安定的な税財源の確保が使命と考えており、今後も、固定資産税が市町村の基幹税であることを踏まえ、特例措置は真に必要なものに限るなど、その安定的な確保に取り組んでまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/85
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086・山本博司
○山本博司君 ありがとうございます。適切な対応をお願いしたいと思います。
こうした脱炭素化を進めて、GX、グリーントランスフォーメーションの実現に向けて政府を挙げた取組が求められると思います。
令和五年度の地方財政計画の中で脱炭素化推進事業債を創設したと伺っております。その意義について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/86
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087・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
本年二月に閣議決定されたGX実現に向けた基本方針において、地方公共団体は再生エネルギーや電動車の導入等の地域脱炭素の基盤となる重点対策を率先して実施することとされるなど、その役割が拡大したところであります。
そのため、地方公共団体が公共施設等の脱炭素化の取組を計画的に実施できるよう、新たに脱炭素化推進事業費を一千億円計上し、脱炭素化推進事業債を創設したところであります。
地方公共団体において、今回新たに講じた措置を活用して脱炭素化の取組を率先的に行い、地域全体の脱炭素化を牽引していただくことを期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/87
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088・山本博司
○山本博司君 ありがとうございます。
この事業債は事業期間が令和七年度までとなっておりまして、今ありましたように、令和五年度は一千億円が計上されております。
また、この事業債は、公共施設などにおきまして、太陽光やバイオマス発電を活用した再生可能エネルギーや、LED照明の導入など省エネルギーとともに、公用車による電動車の導入も対象事業となっております。
この電動車化につきましては、既にほとんどの地方自治体で何らかの形で計画に盛り込んでいるとのことでございますけれども、更なる促進に向けて、総務省としても是非積極的な取組を進めていただきたいと思います。
そこで、この公用車の電動車化に向けてどのように取り組むつもりなのか、認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/88
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089・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
地球温暖化対策推進法と地球温暖化対策計画によりまして、地方公共団体は、国が政府実行計画に基づく実施している取組に準じて率先的な取組を実施することが求められておりますが、その政府実行計画では、代替可能な電動車がない場合等を除いて、二〇二二年度以降の公用車の新規導入、更新は全て電動車とし、使用される公用車を二〇三〇年度までに全て電動車とすることとされております。
また、今申し上げたGX実現に向けた基本方針におきましても、地方公共団体は、公用車における電動車の導入を含む地域脱炭素の基盤となる重点対策を率先して実施することとされたところでありまして、こうしたことも踏まえまして、今御指摘にありましたとおり、脱炭素化推進事業債においても公用車における電動車の導入を対象としたところであります。
この新しい事業債については、今年の一月に各地方団体に対して事務連絡を発出するとともに、全国の都道府県財政課長、市町村担当課長を対象とした会議を開催して周知してまいりました。このほか、関係省庁、環境省で、例えばでございますが、主催する脱炭素関連の会議や支援策を周知するためのガイドブック等においても周知を行っております。
今後とも、公用車における電動車の導入を含む地方公共団体の脱炭素化の先行事例を取りまとめまして周知することなどを検討しながら、関係省庁と連携しながらしっかりと周知に取り組んでまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/89
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090・山本博司
○山本博司君 脱炭素化、そして電動車化、これは国の挙げての推進すべきテーマでございますので、今後ともよろしくお願いをしたいと思います。
以上で質問終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/90
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091・河野義博
○委員長(河野義博君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後五時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00420230316/91
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