1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年三月二十三日(木曜日)
午前十時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 河野 義博君
理 事
佐藤 啓君
中西 祐介君
三浦 靖君
小沢 雅仁君
山本 博司君
委 員
井上 義行君
江島 潔君
高野光二郎君
柘植 芳文君
長谷川英晴君
舞立 昇治君
牧野たかお君
松下 新平君
山本 順三君
岸 真紀子君
古賀 之士君
野田 国義君
西田 実仁君
片山 大介君
柳ヶ瀬裕文君
竹詰 仁君
伊藤 岳君
浜田 聡君
国務大臣
総務大臣 松本 剛明君
副大臣
内閣府副大臣 和田 義明君
大臣政務官
厚生労働大臣政
務官 本田 顕子君
事務局側
常任委員会専門
員 佐藤 研資君
政府参考人
内閣府子ども・
子育て本部審議
官 北波 孝君
総務省大臣官房
総括審議官 山野 謙君
総務省自治行政
局長 吉川 浩民君
総務省自治行政
局公務員部長 大沢 博君
総務省自治財政
局長 原 邦彰君
総務省自治税務
局長 池田 達雄君
総務省情報流通
行政局長 小笠原陽一君
国税庁課税部長 堀内 斉君
厚生労働省大臣
官房審議官 松本 圭君
厚生労働省大臣
官房審議官 野村 知司君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/0
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001・河野義博
○委員長(河野義博君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
地方税法等の一部を改正する法律案外一案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府子ども・子育て本部審議官北波孝君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/1
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002・河野義博
○委員長(河野義博君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/2
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003・河野義博
○委員長(河野義博君) 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/3
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004・岸真紀子
○岸真紀子君 立憲民主・社民会派の岸真紀子です。
昨日、参議院予算委員会で、放送法の政治的公平をめぐる問題の質疑をさせていただきました。記録と記憶との間でどうしてもなかなか進んでいかないということでした。だからこそ、今日も参考人を呼んで直接お聞きしたかったんですが、残念ながら本日も呼ばれないということです。
総務省には、当事者である職員への聞き取り、そして可能な限りの御報告をいただいたことに感謝を申し上げます。ありがとうございます。
残念ながら、答弁は少し曖昧なものがあって分かりにくい状況でした。最初に松本大臣にお願いしたいのですが、もっと明瞭に答弁していただくことを今後はお願いしたいんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/4
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005・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 御質問にしかるべく的確にお答えすることが私どもの役目と認識をしているところでございます。丁寧な答弁を心掛けておりますけれども、できる限り丁寧に具体的に御答弁できるようにこれからも努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/5
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006・岸真紀子
○岸真紀子君 大臣にも丁寧にお答えいただいているとは思います。ただ、なかなかはっきりと言っていただけないので分かりにくいというところです。
この件は予算委員会での質疑に託すことといたしますが、問題の本質は、礒崎元総理補佐官が執拗に行政をゆがめようとしたことにあります。前回の本委員会でもお話ししたところですが、行政文書として残した総務省は正しく、大臣には行政文書を適切に扱っていただきたい、これもお願いできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/6
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007・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 行政文書につきましては、御案内のとおり、行政文書の定義と正確性についてはそれぞれ考え方がございますが、行政文書を作成するに当たっては基本的に正確性を期することが望まれるというふうに承知をいたしているところでございます。ただ、本件文書、今議論に、国会で議論に付されている文書につきましては、正確性についての精査、確認を行ったところでありますが、正確性が確認できなかったものがあることは大変遺憾に思っているところでございます。
行政文書は、御承知のとおり、現在及び将来の国民への説明責任を全うし、民主主義の根幹を支える重要なものと認識しておりまして、今後、行政文書の作成、管理に当たっては、公文書管理法等の法令の規定にのっとり適切に行われるように徹底してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/7
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008・岸真紀子
○岸真紀子君 この件は、先ほども言いましたが、予算委員会の方に託しますので、委員長、放送法に関連する政府参考人の方は御退室いただいて構いません。お取り計らい願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/8
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009・河野義博
○委員長(河野義博君) 退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/9
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010・岸真紀子
○岸真紀子君 前回に続いて、地方税、地方交付税法の質疑を行います。
少し通告の順番を入れ替えまして、最初にふるさと納税についてお伺いをします。
ふるさと納税の寄附額が多い自治体にとってはメリットは高いという実態はあるものの、自治体間での過剰な税の奪い合いになっています。高額納税者ほど得をする制度となっているなど多くのデメリットがあることは、私もこの間、二〇二一年、そして二〇二二年の地方税法改正時の委員会質疑で取り上げてきたところです。本日も、地方税法改正法案に関し、ふるさと納税について質疑をいたしますので、お願いいたします。
最初に、二〇二一年度におけるふるさと納税の受入額は八千三百二億円となっており、二〇二二年度の住民税控除額は約五千六百七十二億円、対前年度比でいうと約一・三倍になっています。控除適用者数は約七百四十一万人という状況です。過去最高を更新しているところです。これは一見いいようにも見えますが、地方財政の安定確保やそもそもの税の仕組みからいうと、私は問題だらけだと考えています。
ふるさと納税に関する地方財政計画上の取扱いは、従来から、住民税控除額は地方税の収入見込額から減額される一方、ふるさと納税受入額は歳入に計上されていなかったため、交付団体の住民税控除額分だけ交付税総額等が増加する要因となっていました。
しかし、二〇一四年度は三百八十八・五億円だったのが、二〇一五年度には千六百五十二・九億円、二〇一六年度には二千八百四十四・一億円に増え、二〇一六年度以降はふるさと納税額が急増したために、二〇一七年度地方財政計画からは、ふるさと納税に係る寄附金の収入見込額の半分程度を三年掛けて段階的に地方財政計画に計上することとし、それ以降も、前年度の寄附金収入の一定額が雑収入として地方財政計画に計上をされています。
まず確認したいのは、地方財政計画に計上されている二〇二三年度のふるさと納税に係る寄附金収入見込額と同年度のふるさと納税に係る住民税控除額の見込額は幾らなのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/10
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011・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
ふるさと納税のマクロの地方財政計画の財政措置の在り方でございます。
令和五年度の地方財政計画におきましては、ふるさと納税に係る寄附金収入については、直近の実績を踏まえまして一兆円程度を見込みまして、その一定額を雑収入に計上してございます。また、お尋ねのありましたふるさと納税に係る寄附金税額控除でございますが、これは、ほかの税制上の特例措置と同様に、個人住民税の収入見込額を計上する際、直近の実績等を踏まえて六千三百億円程度を減収額として反映させております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/11
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012・岸真紀子
○岸真紀子君 ふるさと納税額は寄附先の自治体の寄附金収入になる一方で、当該寄附に対する控除によって国の所得税と住所地自治体の個人住民税は減少しています。以前に住所地自治体の減収分についての問題提起を行って回答をいただいているところではございますが、住民税の減収分については、総務省が、交付団体であれば七五%補填していると答弁をいただいたところです。
それでは、その七五%補填分は総額幾らになるか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/12
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013・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
ふるさと納税の今度はミクロの、個別の団体の算定の御指摘でございます。
地方税法の特例措置の規定に基づくふるさと納税制度により生じる各地方団体の個人住民税の減収は、今御指摘ありました普通交付税の基準財政収入額の算定において反映しておりますので、結果的に七五%補填されるということになっております。具体的には、ふるさと納税制度に伴う寄附金の税額控除による個人住民税の減収は、地方税に規定するほかの寄附金控除と合わせて個人住民税の収入見込額から控除されることとしておりますので、お尋ねのふるさと納税に係る分だけを取り出してお示しすることは困難でございます。
ただ、あえて申し上げますと、四年度の算定に用いた基礎数値のベースとなります税務局の調査の令和三年度の市町村税課税状況調べによりますと、ほかの寄附金控除と合わせた寄附金税額控除の総額は、道府県民税、市町村民税合わせて四千四百四十九億円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/13
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014・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。
結果的にそれが、先ほどいただいた答弁で、約、税額控除で六千三百億円ぐらいというところに四千四百四十九億円という補填がされるということだとは思います。交付税総額が増えているわけではないので、七五%分が全体の交付税総額から差し引かれているということになります。ふるさと納税のような非常に厄介な制度がなければその分配分されるべきものが配分されていないことは地方財政にとってマイナスであると言わざるを得ないという問題意識を持っています。
また、各自治体に配分される地方交付税は、基準財政需要額から基準財政収入額というものを差し引いて算定されますが、ふるさと納税は、寄附金、寄附先自治体の寄附金収入は基準財政収入額には算定されません。しかし、住所地自治体の控除による減収は基準財政収入額に算入されて、結果として、ふるさと納税を集めた自治体は、交付額は減少せずに、集めたふるさと納税の全額が歳入の増加につながるという構図となっています。
本来であれば、地方税が増えたら交付額が減少するという基本的ルールからいえば、ふるさと納税を集めることに大きなインセンティブを与えていることになり、過度なふるさと納税への優遇ではないかという問題があります。今朝の新聞では、特別交付税で、ふるさと納税、いっぱい収入あったところはマイナスになっているというのはありながらも、普通交付税で考えるとそういう構図になっています。
また、住所地自治体で住民税控除による減収がある場合には、交付団体は、七五%の補填があっても、二五%はないという実態です。本来入ってくる税収入が他の自治体へ、言い方が悪いですが、奪われた形となっています。もっと言えば、東京都などの不交付団体は補填が全くない状態なので、控除額がそのまま減収となってしまいます。
こういったいびつな構造は行政サービスの低下になっているのですが、不交付団体におけるふるさと納税の減収額というのは把握しているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/14
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015・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答えを申し上げます。
減収額といいますと、受入額と控除額を差し引いたものということになりましょうが、我々が把握している寄附金の受入額については会計年度単位の受入額、一方で、個人住民税の控除額については暦年単位の額を基にしたものとなっておりまして、単純な差引きが困難ですので、不交付団体の減収額そのものについては把握をしておりません。
そのため、委員の御質問について、不交付団体の個人住民税の控除額、減収になったものだけについてお答えを申し上げますと、我々が把握しております現況調査によれば、令和四年度普通交付税不交付団体、一都六十六市町村におきます平成四年度個人住民税からの寄附金税額控除額のこの合計額は、都と一体的に、あっ、申し訳ございません、令和四年度普通交付税不交付団体、一都六十六市町村でございますが、令和四年度の個人住民税からの寄附金税額控除額の合計額は、都と一体的に算定されております特別区分を含めますと千六百四十六億円、特別区分を除きますと九百四十二億円、このようになってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/15
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016・岸真紀子
○岸真紀子君 特別区分を含めると一千六百四十六億円、特別区分含めないと九百四十二億円と、かなりな大きな減額となってしまっているというところです。
ふるさと納税への過度な優遇による地方財政に影響をもたらしているとして、ふるさと納税による寄附金収入を基準財政収入額の算入対象とするように求める意見もあります。この後も過度なふるさと納税の取り合いの問題点を述べますが、本当にそういった改善が必要なのではないかという問題意識で質問をしております。
地方税である住民税についての問題提起をしましたが、地方交付税の原資である国税、所得税ですね、もふるさと納税によって控除されるのですが、財務省に伺います。ふるさと納税によっての所得控除の総額は幾らになるでしょうか。直近三年間分をお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/16
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017・堀内斉
○政府参考人(堀内斉君) お答え申し上げます。
ただいま御質問いただきましたふるさと納税を含む寄附金控除の合計額について直近三年分を申し上げますと、令和元年分は四千四百八十億円、令和二年分は五千三百九十七億円、令和三年分は六千六百三十二億円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/17
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018・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。
今御答弁いただきましたが、ふるさと納税だけではなく寄附金全体での数字しか分からないということになりますので、本来所得税として入る分がふるさと納税によって、例えば二〇二一年度実績でいえば八千三百二億円なので、そのうち所得税控除を約二割と考えたとすれば、推察するに約千六百億円が控除となっているのではないかと、これが実質の減収ということにならないのではないかなというふうに考えます。いかがでしょうか。済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/18
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019・堀内斉
○政府参考人(堀内斉君) お答え申し上げます。
所得税に係る寄附金控除の適用を受ける場合、確定申告書に寄附先やその金額を記載することとされておりますが、国税庁においては寄附先や寄附の種類ごとの金額を集計していないため、ふるさと納税による所得控除の総額についての数字は持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/19
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020・岸真紀子
○岸真紀子君 そうですよね。そのように答えられると思ったんですが、推察するとおおよそ千六百億円が控除となっているんではないかなというふうに思います。そうなってくると、所得税及び法人税の三三・一%が交付税の原資となっていることからいえば、原資が、金額は定かではございませんが、原資が毀損していると言えるのではないかと考えるところです。
地方税と交付税、地方交付税、どちらも担当している大臣として、この原資が、金額はちょっと定かではないですが、原資が毀損していることについての見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/20
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021・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) ふるさと納税の地方財政への影響については、先ほども御答弁を申し上げたかと思いますが、地方財政計画では、まず、歳入の地方税収入において、ふるさと納税に係る寄附金税額控除について他の税制上の特例措置と同様にその減収額を反映をさせる、そして、ふるさと納税に係る寄附金収入については、ほとんどの地方自治体において募集の取組が行われていることなどを踏まえて、雑収入としてこの寄附金の一定額を計上する。このような歳入の計上を行った上で地方財政計画を策定し、地方が安定的な財政運営を行うためには必要な一般財源総額を確保することが大切であると、そのように考え、地方交付税総額を適切に確保させていただいているというふうに考えております。
地方自治体の財政運営に支障が生じないように、適正に適切に対応をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/21
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022・岸真紀子
○岸真紀子君 今の制度でいうとそれ以上に答えようがないんだとは思いますが、やっぱり原資分が毀損しているんではないかという問題意識はあります。
地方財政の観点から見ると、どうしてこうなったのという問題はワンストップ特例制度です。
確定申告が不要な給与所得者には、寄附先自治体が五団体以内の場合に限って、当該自治体に申請すると確定申告を行わずに控除を受けられるワンストップ特例制度が設けられました。
某インターネットの仲介サイトにはこのように書いてあります。ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税をした後に確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる便利な仕組みです、寄附金税額控除に係る申告特例申請書に必要事項を記入して寄附した自治体に送るだけなのでとっても簡単、寄附金上限額内で寄附したうち二千円を差し引いた金額が住民税から全額控除してもらえます。
利用者にとってはとても便利ですが、一方で、自治体にとっては、なぜ国税の控除相当分も自治体がマイナスとして負担しなければならないのでしょうか。最低限、これは地方財政の観点から見ると、どうしてこうなったのという問題はどうしても否めないというところです。これ本当見直した方がいいですね。
この利用者にとってですが、最低限、この国税の控除相当分は地方の特例交付金とかそういった手段で国がその財源を補填すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/22
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023・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答えをいたします。
ワンストップ特例制度は、ふるさと納税をした方の利便性向上に資するため、確定申告を不要とすることにより、ふるさと納税に係る寄附についての情報が税務署を経由せずに地方団体間で完結する仕組みでございます。このような仕組みを取っていることからも、この特例を利用した場合の控除は所得税からは行わず、個人住民税において行われることとなっております。
また、この仕組みの背景でございますけれども、地方六団体の方から、地方創生の推進のために、ふるさと納税の手続を簡素化について検討するよう要望されたことを踏まえて導入されたという経緯がございます。
このような制度導入の経緯でありますとか、また、そもそも論に戻りますと、ふるさと納税制度は地方税である個人住民税の一部を地方団体間で移転させること、これが検討の出発点であったこと、こういったことを考えますと、このワンストップ特例制度による減収額を国費で補填するというのはなじみにくいのではないかと考えております。
なお、ワンストップ特例制度は、委員の方からも御紹介ございましたが、高額所得者など確定申告を必要とする方や五団体を超える地方団体にふるさと納税をした方は適用の対象外となりますので、制度上、個人住民税における追加的な控除は限定的なものにとどまっているのではないかと考えておりますので、御理解を賜りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/23
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024・岸真紀子
○岸真紀子君 御理解賜れないんですね。
東京都の特別区長会からは、個人住民税から控除されている所得税分については、本来全額を所得税から控除するべきものであり、地方特例交付金等で国がその財源を補填すべきと提言がされていると思うんです。
これ本当におかしな制度なので、確かに利用者にとってみれば手続が楽です、一か所で済むから。ですが、なぜ自治体がその分まで補填をしなきゃいけない、あっ、減額分を見なきゃいけないのかというところがやっぱり疑問だと思うので、改善はした方がいいと考えています。再度検討していただきたいということを要請しておきます。
垂直的不公平の問題は、速やかに改善が必要です。ふるさと納税が高所得者ほど有利な制度になっていることは、以前にも本委員会で指摘したところですが、ますますひどくなっているんです。
ふるさと納税は、二千円を除く全額が控除される、上限額は、個人の所得が大きくなるほど控除額が大きくなります。これは、所得税の率は五%から四五%と累進構造となっていまして、所得税の適用税率が高い納税者ほど特例控除が大きくなるからです。
さらに、控除だけではなく、自治体からの返礼品は上限三割ですが、カニとか肉とか商品として受け取ることができるので、過去には日経新聞にも、寄附なのにもうかるというタイトルで記事が書かれてしまったということまで起きています。
実際にふるさと納税の利用者の割合を見ると、所得が高い人が多額のふるさと納税を行い、寄附金控除を利用しているというデータもあります。
例えば、ある自治体の返礼品は市内企業が販売する防災シェルター地下型で、全国で二番目に高額の設定額のようですが、個人から一億円の寄附の申込みがあったという記事がありました。ほかにも一億円のふるさと納税の設定というのは大変多くなってきています。
この防災シェルターのように、一億円例えばこのふるさと納税したら控除額は幾らになるのか、一般論でお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/24
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025・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答え申し上げます。
委員御承知のとおり、ふるさと納税につきましては個人住民税の所得割額の二割が限度という、この一定の上限がございますが、その一定の上限の中の寄附については、原則として、寄附額から二千円を除いた額が全額、所得税及び個人住民税から控除される仕組みとなっております。
お尋ねのように、一億円のふるさと納税が行われた場合に、仮にこの一定の上限に達していない場合であれば、最大で九千九百九十九万八千円が所得税と個人住民税から控除されることとなります。
ただし、一億円のふるさと納税を行って二千円を差し引いた後の全額が控除されるという方、これは給与所得者の場合でいいますと、おおよそ年収二十数億円以上の方に限られます。また、そうした方は元々個人住民税の額も相当程度多額なものになっていることも御留意いただきたいと思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/25
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026・岸真紀子
○岸真紀子君 とはいえ、やっぱりおかしくないですかという問題なんです。一億円ふるさと納税したら、最大で二千円を引いた残り全てが最大で控除額を受けられ、かつ返礼品も三割が返ってくるという実態です。やっぱりちょっとおかしいんじゃないかなというふうに思います。
別な問題点を質問します。
ふるさと納税の利用者の多くは、出身地と無関係の自治体に返礼品目当てで寄附を行い、実質的な節税目的として活用していると言わざるを得ないと私は考えます。
こうした問題を解決するためにも、特例控除を段階的に縮小したり、控除率の上限設定を所得に応じて変えるなどすべきではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/26
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027・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) 委員御承知のとおり、ふるさと納税におきましては、特例的な控除額は個人住民税所得割の額の、先ほど申し上げましたように二割が上限となっており、一定の制限が設けられております。
また、高所得者優遇との御指摘は、過去に一部の地方団体が相当過度な返礼品を提供していたことも御批判の要因の一つであったと考えておりますが、指定制度導入以降は、返礼割合を三割以下、かつ地場産品とすることなどの基準の下で運用されているところでございます。
今後とも、指定制度の下、ふるさと納税制度の適正な運用に私ども努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/27
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028・岸真紀子
○岸真紀子君 ふるさと納税の、今おっしゃられたとおり、返礼品が過度で三割を超えるというのは今大体落ち着いてきたと、私もそれは承知しております。しかし、その返礼品の中身が、今、地場産品とおっしゃいましたが、果たしてそうなのかという問題があります。
二〇二二年六月に、ふるさと納税の返礼品の代わりに現金を受け取れる、現金バックと言われていましたが、IT事業者のサービスが問題になりました。これはさすがに総務省も問題として異を唱えていましたが、そういった事例も出てきていると。また、ふるさと納税でポイントがたまっていくという運用をしている仲介サイトもあります。
三月八日、ヤフーニュースには、ふるさと納税で美容整形のチケットが返礼品となっているということが掲載されていました、ニュースとして。美容整形のチケットは大人気のようですが、もう歯止めが掛けられていません。
また、ウクライナ支援やトルコ地震の募金として募集をし、ふるさと納税の使途として設定した自治体も多く見受けられました。商品名は言いませんが、人気の高い発泡スチロール製ビーズを使ったクッションも返礼品にしたら人気となった自治体もあります。
余りにも自由過ぎて、名前の、ふるさと納税ではなく、官製通販の方が正しい認識になるんじゃないかとさえ言われています。
返礼品が自由過ぎて問題なんじゃないかと総務省に確認したところ、回答は、ふるさと納税は一般財源であり、その使途について特段の基準は設けておらず、各自治体において適切に判断いただくものと返ってきました。
しかし、このままでいいのでしょうか。何でもありの返礼品の現状を見直すべきではないかと考えますが、見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/28
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029・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) ふるさと納税について過度の返礼品競争が行われたことなどを背景に、令和元年度に対象となる地方団体を国が指定する制度を導入し、返礼割合を三割以下、かつ地場産品とすることなどの基準を定めたところであることは御案内のとおりでございます。
地場産品基準については、区域内で生産されたもののほか、区域内において製造、加工等の主要な部分を行うことで相応の付加価値が生じているものなどを返礼品として提供可能としているところでございまして、こうした地場産品を提供することは、新たな地域資源の発掘を促し、地域のPR効果が期待されるほか、雇用の創出や経済の活性化につながる効果もあると考えております。
先ほど御質問をいただいたことは私もずっと伺っておりましたが、今後とも、指定制度の下で、各地方団体と納税者の皆様の御理解をいただきながら、ふるさと納税制度が本来の趣旨に沿って適正に運用されるように取り組みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/29
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030・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) 済みません、大臣の答弁に補足させていただきまして、先ほど委員の御質問の中で、私どもの担当の方が地方団体のそれは判断だというふうに申し上げましたのは、委員の御紹介の中で、ウクライナ支援とかトルコ地震支援に使われているというお話がございました。これにつきましては、これ、返礼品ではなくて、入ってきたふるさと納税の使い道の話でございまして、使い道は、歳出予算に計上して、地方団体がそれぞれの議会の御議決を経て歳出、支出されるものでございますので、これは地方団体の判断だと、そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/30
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031・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。私がちょっと認識が間違っておりました。失礼いたしました。
今大臣もおっしゃったとおり、なるべく、まだまだこれ、いい使われ方もしているところもあるんですが、問題が多いというところだけは認識を共通していただければと思います。
また、年末の東京モノレールを利用したときに、私びっくりしたんですが、ある自治体のふるさと納税のポスターなどでトレインジャックが行われていました。もう全部なんです。ホームも柱も電車の外も、中の中づり広告も全部なんです。全部一つの自治体で、お肉が強調されていたんですね。これがふるさと納税の受入額が例年上位に来ている自治体だったんです。多額の収入があればそれだけ多くの広告料を支払うことができ、更に収入として入ってくる仕組みになっているのではないかという問題です。
財政に乏しい小規模自治体で収入を増やしたいと思ってこれを使いたいと思っていても、なかなか広告にそれだけお金を掛けられないという、メリットになっていかないというところがあります。ふるさと納税によって赤字額が大きい町村もたくさんいる実態にあるし、朝日新聞の二〇二三年一月十日の記事にありましたが、返礼品人気で偏る恩恵という実態がますます広がっていくのではないかという問題を持っています。
また、集めるのには相当なこの営業努力というのが必要で、小規模自治体ほど広告料、先ほど言った広告料、手数料、人員が不利な状況を踏まえていることと併せると、大臣はこれ、現状認識、どのようにお考えなのか、確認したいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/31
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032・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) ふるさと納税の指定制度の下では、寄附金の募集に係るルールとして、返礼品の調達費用や送料、決済や広報に係る費用を含む募集費用の総額を一年間に受領する寄附金額の五割以下とすることが定められていること、これもう岸委員はよく御案内のとおりかというふうに思います。地域を応援をしたいという納税者の思いに応えるために、寄附金のうち少なくとも半分以上が寄附金の地域のために活用されるべきという考え方に基づくものでございます。
この基準に関して、地方団体の中には結果的に返礼品の調達費用などを含む募集費用の割合が五割を超過した団体もあることから、総務省としても、昨年十月の指定を前に、全地方団体に対して基準を遵守するよう注意喚起の通知を発出したところでございます。
また、今御指摘の広報の在り方につきましては、地方税法に基づく寄附金の募集の適正な実施に係る基準において返礼品を強調した寄附金を誘引するための宣伝を行わないことを規定するなど、制度の趣旨に沿った寄附金の募集を行うことを求めているところでございます。
今度とも、指定に向けた審査の際や各種説明会などの機会を捉えて地方団体に対して基準の遵守を求め、制度本来の趣旨に沿って適正に運用されるよう取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/32
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033・岸真紀子
○岸真紀子君 本当にいろんな問題があって、難しいんですね、この問題というのは。
ある自治体では、ふるさと納税が自治体財政にゆがみを起こす要因なのでこれまで積極的に推進してこなかったけれども、それではどんどん財政が、税収が減っていく、取られていくという状況から、新たに専門職員を年収一千万円という待遇で任期付職員を募集するとしました。営業として採用するということです。何度も言いますが、税ではなく、これ販売になっているという問題があるのではないかと考えています。
また、総務省と今争っているという言い方がいいのか分かんないですけど、泉佐野市のふるさと納税のサイトにも載っていましたが、先ほど言った事務費とかそういったものというのを半額以下にするのは不可能だと。例えば離島である沖縄とか北海道とかですね、まあ私も北海道出身ですが、送料がどうしても掛かってしまうんだと。だから、そのある一定の割合を、私も最初もっと制限すべきじゃないかと思ったんですが、そういった難しさも出てきてしまっているなというふうに感じたところです。
本日取り上げたふるさと納税の問題はほんの一部です。こんなに矛盾した制度をつくっておきながら、その責めを自治体に負わせようというのは間違っています。
本法案では、二年前の基準不適合等にまで遡って取消し事由とすることを可能とするとなっています。こんなに欠陥のある制度なのに、後出しで取消し可能にするというのはおかしくないかという問題意識を持っています。総務省のさじ加減にならないかと。
これを、改正案の期間設定の二年の妥当性というのはだから何なのかというのをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/33
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034・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答えいたします。
今般、現行制度におきまして、指定期間の終了間際に不適合が発覚した場合などには実務上指定の取消しが困難になっていることを踏まえまして、より公平な制度とし、その適正な運用を図る観点から、最大二年前の基準不適合まで遡って取消し事由とする改正をこの改正案に盛り込んだところでございます。
最大二年前までということでございますけれども、以前御答弁申し上げましたが、これまでの指定取消しの事案で、事案の発覚から指定取消しというところに至るまでの調査の期間等が数か月掛かっていることを踏まえてこのような期間としたことでございます。
また、後出しじゃんけんというような御指摘もございましたが、改正後の規定におきましては、施行日である令和五年四月一日以降の基準不適合について適用される旨の経過措置規定を置いておりまして、施行日前の基準不適合は対象としておりませんので、遡及して適用すると、このようなことはないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/34
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035・岸真紀子
○岸真紀子君 まず、遡及して適用するということじゃないというのは分かりました。
ただ、いつでもこの基準を変えてしまうということをこれまでやってきているので、そこだけちょっとやっぱり気になるというところがありますので、そこはしっかりと自治体側に寄り添っていただきたいというところです。あと、丁寧な説明をお願いいたします。
次に、地方交付税法のところの今日は総論の部分についてお伺いをします。
二〇二三年度地方財政計画では、二〇二三年度の一般財源の総額について、交付団体ベースで前年度比千五百億円増の六十二・二兆円が確保されています。二〇二二年度に引き続き、臨時財政対策債の発行を抑えるなど財政的に言えば改善する見通しとなっていますが、その主な要因は地方税収入や交付税原資となる国税収入が好調であると見込まれたためと考えます。
しかし、世界的なエネルギー、食料価格の高騰や欧米各国の金融引締め等による世界的な景気後退への懸念など、日本経済を取り巻く環境には先行き不透明な状況もあります。賃上げや物価高に押されて増収になるとは思いますが、地方経済で見るとなかなか好調という実感が薄い状況です。
地方税や地方交付税の法定率分が大幅に増加すると見込まれている要因について、昨年も同時期の委員会で質疑をしておりますが、本当に大丈夫なのかと、税収見積りが楽観的なものになっていないのか、政府の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/35
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036・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答えいたします。
令和五年度の地方財政計画では、地方税及び地方譲与税の税収は四十五・五兆円と前年度の地財計画から一・六兆円の増となり、過去の地財計画上の税収や決算額と比較いたしましても過去最高となるものと見込んでいるところでございます。
この増収の主な要因でありますけれども、給与所得の増加等により個人住民税が〇・三兆円の増、企業業績の改善等により特別法人事業譲与税を含む地方法人二税が〇・三兆円の増、消費、輸入の増加等により地方消費税が〇・七兆円、家屋の新増築の増加等により固定資産税が〇・二兆円、それぞれ前年度地財計画を上回ると見込んだところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/36
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037・岸真紀子
○岸真紀子君 次に、三月九日の参議院本会議において、立憲民主党の野田国義議員も代表質問で松本大臣に法定率の引上げを求めています。逆に言えば、補正予算でも国税が当初の見積りよりも増収となっておりまして、二〇二三年度も増収を見込んでいます。
それでは、なぜ、これだけ国税収入が好調だというのに、二〇二三年度においても法定率引上げが実現しなかったのでしょうか。これだけ税収が好調な今こそ最大のチャンスだったと思うのですが、まずは理由を教えてください。
それと併せて、地方自治体の財政担当者や首長からは、政府の防衛費増額への動きを受けてとても懸念の声があるということを大臣は御存じでしょうか。自治体は、過去に国の財政難の影響を受けて、小泉・竹中構造改革で相当痛い目に遭った記憶が忘れられないので、防衛費増額のあおりを地方財政で受けるのではないかと懸念もしています。人口減少の中でも国土を守り、全国あまねく人々の暮らしを支えるのは地方自治体です。間違ってもこの交付税を減らすことは許されません。
ほかの議員からも要請がありましたこの法定率の引上げをどこまで本気で大臣お考えなのか、この二つ、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/37
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038・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) まず、交付税率の引上げについて御答弁申し上げたいと思います。
御案内のとおりの部分があろうかというふうに思いますが、令和五年度の地方交付税の概算要求に当たりまして、引き続き巨額の財源不足が生じることが見込まれたため、交付税率の引上げについて事項要求を行ったところであるということはこれまでも御答弁を申し上げてきたところでございます。
その上で、予算編成過程において財源不足の補填方法等について議論を行いましたが、国、地方共に厳しい財政状況にある中で交付税率の見直しによる対応をするという結論には至らなかったところであると申し上げざるを得ないところでございます。
交付税率の引上げについては、現在のところ、国、地方とも厳しい財政状況にありますために容易ではありませんけれども、今後とも、交付税率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保できるよう粘り強く主張して、政府部内で十分に議論してまいりたいと思っております。
なお、今の政府側の支出に関連して地方の財政に与える影響ということでございますが、お許しをいただけましたら、局長から補足して答弁をさせていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/38
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039・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
防衛費の影響のお尋ねでございました。
私どもいろいろ接している首長の方々で、防衛費の財源として歳出削減分というのがありますので、その影響を交付税が受けるのではないかという心配をされているというお話は私も承知しております。
具体的な議論始まっておりませんが、私どもとしては、今大臣から御答弁申し上げましたとおり、地方に必要な一般財源総額、交付税額はしっかりと確保していきたいと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/39
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040・岸真紀子
○岸真紀子君 大臣、ありがとうございます。それは一つの事例で出したんですが、御丁寧に御答弁いただきましてありがとうございます。
本当に、やっぱりその防衛費増額で少し心配をしているという声を幾つかの自治体から聞いておりますので、引き続き地財確保に取り組んでいただきますようお願いいたします。
骨太の方針二〇二一では、令和四年度から三年間の地方の歳出水準について、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、二〇二一年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとされました。一般財源総額実質同水準ルールとも呼ばれていますが、二〇一一年度以降、地方財政運営上の重要な方針として延長を繰り返しながら維持されています。このルールの適用によって一般財源総額は安定的に確保され、自治体にとっても、この骨太に書き込まれることによって前年度同様の財源の見込みができるのは安堵してきたのがこれまででした。
その一方で、この同ルールの下では、一般財源が充当される事業費の規模も実質的に同水準となるので、毎年度増加する社会保障関係費の増加分を新たな財源の確保や給与関係諸費、経費、公債費の減少等で吸収されているという見方もあります。
一般財源総額実質同水準ルールの下であっても、社会保障関係費の増加や重要課題への対応、これに必要な財源が今後とも確実に確保されるのか、また、二〇二三年度の交付団体ベースの一般財源総額が一千五百億円増加したことを踏まえ、同ルールの下でどのような場合に前年度を上回る一般財源総額の増額が認められるのか、実質的に、同水準の意味を含めてどのような政府の見解なのかをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/40
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041・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
いわゆる一般財源実質同額ルールのお尋ねでございます。
この一般財源実質同額ルール、考えてみますと、平成十六年、三位一体の改革がございまして、一般財源が年度当初、蓋開けてみたら三兆円近く減ると、こういうことがありまして、各地方団体、予算が組めないという大変な過去の経験がございまして、こうしたこともありまして今のルールに落ち着いているというふうに理解しております。
ルールの趣旨でございますけれども、これは地方の歳出水準について、国の歳出の取組と基調を合わせて歳出改革行いつつも、社会保障関係費、公債費の動向等、増減要素を総合的に勘案して、あくまでも地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保していくという趣旨でございます。
具体的に、令和五年度におきましても、例えば国でやっていないような光熱水費を七百億円増額いたしましたし、また、デジタル経費も五百億円増やして、一般財源、〇・二兆円を上回って六十二・二兆確保しております。
引き続き、そういうことで過去も社会保障費など必要な子育ての経費等も増やしておりますので、どういう場合はどうという形で一律に決まっているわけではございませんが、その年その年しっかりと歳出を見込んで必要な一般財源総額を確保すると、こういうスタンスで今後とも臨んでいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/41
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042・岸真紀子
○岸真紀子君 財政局長から今御説明いただいたとおり、過去には本当にこれがないとどうも不安定だったという経過がありますが、今は逆にこれが上限になって、かさになってしまっているんじゃないかという心配があったんで質問させていただきましたが、しっかりと確保していくという答弁でしたので、引き続きそのように取り組んでいただくことをお願いいたします。
スタートが出遅れてしまいましたが、二〇二三年度から地方公務員の定年延長が二年に一歳ずつ段階的に引き上げられることになります。二〇二三年度の給与関係経費は二年度分を平準化したものとして計上し、退職手当を一・一兆円としていますが、これはどのように算出したものなのでしょうか。また、二〇二四年度以降も定年の引上げに伴う退職手当をどのように推移していくと見込んでいるのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/42
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043・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
定年引上げの影響でございます。
この定年の段階的引上げによりまして、二年に一度、定年退職者が生じないということになります。したがいまして、退職手当の支給額が年度間で大幅に増減するということになりますため、都道府県や指定都市においては、基金を活用するなどして退職手当に係る負担を平準化することが検討されております。また、市町村の多くは都道府県の退職手当組合に加入しておりまして、こうした団体においては、この組合の仕組みを通じて負担の平準化を図るということになっております。
こうしたことがありましたので、令和五年度の地方財政計画においては令和五年度と六年度の退職者の見込みについて調査を行いまして、両年度の退職手当額を推計した上でこれらの合計の二分の一の額、平準化いたしまして、一兆一千三百二十九億円計上することといたしております。
令和の、お尋ねの令和六年度以降の扱いでございますけれども、令和五年度と同様、平準化して計上することを基本としつつ、各年度の退職者の実態や見込みなども踏まえながら検討してまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/43
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044・岸真紀子
○岸真紀子君 調査をしっかりと自治体に取っていただいて、それを平準化したということで、この先もそれをやっていただけるという答弁でしたので、引き続ききちんと確保していただくことをお願いいたします。
定年延長するに当たって、当然ながら、自治体職員の年齢構成とか人材育成、また、コロナ禍でも明るみとなった自治体で公共サービスを担うこの職員の定数の少なさと業務過多というのは、こういったことを考えると、当然ながら、職員の採用抑制はあり得ないということで職員数の増加に伴う財政措置も必要ですので、その観点も、別な機会にしますが、是非覚えておいていただきたいというか、予算措置に当たってはそういったことも念頭に置いていただきますようお願いいたします。
次に、二〇二二年十二月に成立した二〇二二年度第二次補正予算では、交付税原資となる国税の増額補正が行われたことなどに伴って交付税が一兆九千二百十一億円増加しました。この増加額については、二〇二二年度分として四千九百七十億円を追加交付した上で、残りの一兆四千二百四十二億円を二〇二三年度に繰り越すこととしています。
その際にも私はこういった措置がいいのかどうか確認したところですが、改めて今回、二〇二二年度からの繰越金一・四兆円などを活用して、前年度比七千八百五十九億円減の臨時財政対策債の抑制、八千億円の交付税特別会計借入金償還の前倒し、四千九百二十二億円の国税減額補正精算の前倒しといった地方財政の健全化が講じられていますが、こういった措置をする、実施をする理由というのと、また、今後、国税の増額補正等があった場合にも、補正予算時に交付税増加分の一部を翌年度に繰り越すことを基本として、翌年度の地方財政対策において当該繰越金の全部又は一部を地方財政の健全化のために活用するという考え方が基本になると考えてよいのかどうかというのを伺います。
また、補正予算によって増加した交付税は、交付税法第六条の三第一項に基づき当該年度に交付すべき、当該年度の臨時財政対策債の縮減等に充てるべきとの意見があることに対してどのように考えているか、総務省の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/44
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045・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
繰越金の扱い、それから臨財債に充てるべきではないかというお話でございました。
今回、交付税特別会計の借入金の償還、それから国税の減額補正の精算を行いましたけれども、これは将来、こうしたものは将来の交付税総額が減る要素になります。したがいまして、それを前倒しして健全化に資する扱いをするということは、将来の安定的な交付税総額の確保の観点から大変重要だというふうに思っております。
一方、地方団体からは、今御指摘のありました臨財債、これをとにかく縮減すべきであると、こういうお声もいただきましたので、今回はそういうことを全体的にバランスを図るということを基本として、あくまでも一般財源総額、交付税総額を確保した上で、特会の償還や臨財債の縮減やそれから国税の減額補正精算の前倒しということを取り組んだところであります。地方団体からは一定の評価をいただいております。
お尋ねの、繰越金をいつもこのように使うのかというお話でございました。
年度途中で交付税が増加する場合の扱いにつきましては、その時々の財政需要、当該年度に必要な財政需要、それから翌年度の税収等を見通した交付税総額の見込み、どういう感じになるのか、それからその時々の健全化の取組、こういったものをバランスを図りながら、その都度法律改正をお願いして処理をしてきているところでありますので、一律に今回と同じようにやるということよりは、今申し上げたようなことを勘案しながら、法律改正をお願いして国会に御審議いただいて処理をしていきたいと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/45
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046・岸真紀子
○岸真紀子君 皆さん、財政のプロなので、その辺りは毎年状況を見て考えていくということだと思いますが、引き続きなるべく健全化に取り組んでいただくようにお願いします。
それで、先ほどお話のあった臨財債についてですが、二〇二三年度は臨時財政対策債が前年度より七千五百八十九億円の減、九千九百四十六億円に抑制されているということは評価をいたします。ですが、なぜゼロにしなかったのかという疑問があります。
地方六団体からは、臨時財政対策債に頼らず安定的に交付税総額の確保を図ることという要望を受けているのに、なぜなのかというところを一点目、お伺いします。
もう一つまとめて。
二〇二二年度末の見込みでは、臨時財政対策債の累積残高が五十二兆円、交付税特別会計借入金の残高が二十九・六兆円、国税減額補正精算の未精算分、未精算額が三・四兆円です。臨財債の累積残高五十二兆円と最も多いことからいえば、臨財債をゼロにすることを優先すべきだったのではないでしょうか。交付税特別会計借入金償還の前倒しや国税減額補正精算の前倒しを優先させた理由を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/46
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047・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
先ほども御答弁いたしましたけれども、交付税特会の償還、それから国税の減額補正の精算というのは将来の交付税総額を減らす要素でございますので、これにしっかり取り組むということは、私ども、将来の交付税の安定的な総額確保の観点から重要と思っております。
そうした中にありまして、これ、新型コロナの影響が最初ありましたときに、かなり、税収が交付税の法定分も含めてかなり落ち込むということを見込んでおりまして、こういった特会の償還や国税の減額補正、こういったもの、ある意味年度途中で交付税が減らないように、その交付税総額を確保して、将来返してあげるよという法律改正をしています。
したがって、ところが蓋を開けてみますと、意外にコロナの影響を、いろいろと景気対策もありまして、税収がそれなりに落ち込まなかったということがありました。こういうことがありましたものですから、そのとき先送りしていた特別会計の償還をちゃんと返そうと、あるいは、そのときに減らさないで将来、そのときには確保して将来返しますよと言っていた国税の減額補正、こういった、コロナの影響によって先送りした健全化の分を取り戻したいということがありまして、このようなことを行いました。
臨財債の縮減をまず取り組むべきだというお声があるのは十分承知しておりましたが、今のような事情で、それぞれバランスを図りながら取り組んだということでございます。
それから、臨財債の縮減と特別会計の借入れのバランスでございますけれども、今、金利が御案内の状況でございます。交付税特会三十兆円弱をこれ毎年毎年入札をして借り入れているものですから、これ金利非常に心配でございますので、やっぱり特会の借入れの問題にもしっかり取り組みたいということでバランスを取ったと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/47
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048・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。
財源不足は二年連続で減少して、財源不足が解消した一九九〇年代初頭以来の縮小幅となりました。しかし、この財源不足の縮小は、前年度を上回る地方税であったり、地方税法等の定率分の、法定率分の増加と第二次補正予算の繰越分があったからで、単年度で見るといいんですけど、まだまだちょっと不安定要素も残っているので油断ができないというところですので、引き続き、何度も恐縮ですが、健全化に努めていただきたいというところです。
次に、折半ルールについて伺います。
折半ルールは、二〇〇一年度から法制化されて、その後も延長が繰り返されて現在に至っています。二〇二三年地方財政対策では、折半ルールの適用期間が今年度で終了することを受け、従前と同内容の折半ルールを二〇二五年度まで三年間延長するとしています。
地方の財源不足の補填方法として更に三年間折半ルールを存続させることにした理由をお伺いしたいです。
また、二〇二〇年と二〇二二年度は折半対象財源不足が生じなかったことからいえば、折半ルールに代わる補填方法についての検討をすべきだったのではないかという問題意識があります。どのような検討が行われて延長となったのか、お答えください。
国と地方の配分比率は五対五を望んでいるのに、全く変わらずこの六対四という実態にあります。入りと出に矛盾があるので、この負担のところだけなぜ国と地方が折半なのか、この理由も、説明も含めてお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/48
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049・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
いわゆる折半ルールのお尋ねでございます。
今年は、御指摘のとおり、この三年間の財源不足の補填ルールが切れる年でございましたので、概算要求、これ、この本院でも繰り返し御指摘ありました、まずは、やはり財源に穴が空けば、交付税の法定率、そういうことでしっかり対応すべきであろうということで、財政当局と議論を行いましたが、今回、引き続き折半、いわゆる折半ルールを継続するということに至ったわけであります。
なぜ折半なのかという御指摘でございますけれども、これは、昔から財源不足の補填ルールとして、昭和五十年代から国と地方が半分ずつ補填するということを基本としてまいりました。
この理由でございますけれども、国と地方それぞれ厳しい財政状況の中にあって、地方財政の運営主体である地方と、それから法令で多くの行政分野で地方に支出を義務付けている国の両者が、やはりお互い責任を持って補填するのが筋であろうということ、また、今税源配分のお話ありましたが、国、地方を合わせた租税総額のうち、地方税とか譲与税、それから交付税の法定分を勘案しますと、その税源の配分がおおむね一対一になっているということがございまして、この折半ルールということでこれまでやってきているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/49
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050・岸真紀子
○岸真紀子君 では最後に、公立病院のことについて大臣にお伺いします。
御承知のとおり、公立病院、かなりコロナでも大変な思いをしてきて、財源もかなり厳しい状況にあります。引き続きこの公立病院に対して財政的支援が必要と考えますが、大臣の見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/50
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051・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 公立病院につきましては、資材価格等の高騰による建設事業費の上昇を踏まえ、公立病院の新設、建て替え等に対する地方交付税措置の対象となる建築単価の上限を一平方メートル当たり四十万円から四十七万円へ引き上げて、令和四年度の病院事業債から適用することとさせていただきました。
また、地方創生臨時交付金の物価高騰対応の検討に当たって内閣府に地方の声を届けるなど、関係省庁と連携して物価対策に取り組んでまいりまして、この交付金を活用して公立病院を含む医療機関に対して支援を行っている地方自治体もあると承知をいたしております。
今後の物価高騰対策につきましては、昨日三月二十二日の物価・賃金・生活総合対策本部において物価高騰に対する追加策が決定をされ、エネルギー、食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対する支援として、地方創生臨時交付金、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金と申しておりますが、これを増額をすることとされているところであります。
物価高騰の影響は公立病院に限らず全ての医療機関に共通の課題で、診療報酬の改定なども含めて関係省庁において議論をされるものとも考えており、今後の対応を注視してまいりたいと思います。その上で、地域の意見や実情を伺いながら、公立病院の経営状況の実態なども踏まえつつ、関係省庁と連携して、政府全体として適切に対応いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/51
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052・岸真紀子
○岸真紀子君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/52
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053・伊藤岳
○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。
初めに、マイナンバーカード利活用特別分の交付税算定の仕組みについて伺います。
カード普及ありきの政府の姿勢が、地方自治体の現場で、マイナンバーカードを取得しない住民に不利益を強いるようなゆがんだ形で現れていると思います。
岡山県の備前市は、世帯全員のマイナンバーカードの取得を条件に無償化する計画を明らかにし、給食の無償化ですね、住民の批判や反対にもかかわらず、進めようとしています。ほかにも、マイナンバーカードを利用して全国のコンビニエンスストアで住民票などの証明書を取得できるサービスの手数料を四月一日から一件二百五十円から百円に引き下げる、一件百円は全国で最も低い水準、これは群馬県前橋市の例です。高齢者のタクシー利用で二十五回まで運賃の一部を助成する制度で、マイナンバーカードを取得している方には一回上限六百円に、紙の利用券より補助率を高めた、静岡の長泉町などなどの事例が相次いでおります。
マイナンバーカードの取得は任意であるにもかかわらず、カードの取得によって行政上の利益を受ける人が特定されるという、これは大変重大な問題だと思うんです。大臣はそれぞれの地方自治体の問題だと言われてきましたけれども、期限を定めてカード普及をあおるという国の推進政策がこうしたゆがんだ事態につながっているという認識はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/53
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054・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) マイナンバーカードにつきましては、これまでも申し上げてきているところでございますが、地方のDXの基盤となるツールでありまして、住民の方々の利便性向上、地域の活性化に資するものであるとともに、自治体職員の事務負担を軽減し、職員が地域の実情を踏まえた企画立案など、創意工夫をより発揮すべき業務に注力できる環境の整備にもつながるものと考えているところでございます。
このため、総務省としては、カードの利便性の向上を図りつつ、その促進に、普及促進に取り組んでいるところですが、自治体に対してカードを取得していない方に対する特定のサービスを停止するよう要請したことはございません。自治体独自の施策につきましては、当該自治体において、住民の御意見や議会での議論なども踏まえ、丁寧に検討の上御判断いただくとともに、しっかりと説明責任を果たしていただきたいと考えているところでございます。
総務省としては、引き続き、マイナンバーカードの普及促進のため、自治体に対して国の施策の最新情報や全国の先進的な取組事例をきめ細かく提供するとともに、それぞれの自治体における現状や課題をよく伺った上で丁寧に助言するなど、自治体の取組を後押ししてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/54
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055・伊藤岳
○伊藤岳君 ずっと大臣、地方の自主的な判断だと言われているんですけれども、主体的な判断だと言われてくるんですが、その地方行政が国の国策推進によってゆがんだ影響を受けているという、このことに対する認識がないのは、私、深刻だと言わざるを得ないと思うんです。
そして、更に重大なことは、地方の固有財源である地方交付税の算定基準にカード普及率を盛り込もうとしているということです。
今日、資料をお配りいたしました。御覧をいただきたいと思います。総務省の資料です。地域デジタル社会推進費、マイナンバーカード利活用特別分の交付税算定の仕組みを示したポンチ絵であります。
ここを見ますと、マイナンバーカードの交付率が上位三分の一以上の市町村に割増しをする、さらに、交付率が高ければ高い市町村ほどその割増し率も高くなるという仕組みになっています。
大臣、このマイナンバーカード利活用特別分の五百億円では、マイナンバーカードの交付率が全国上位三分の一以上の市町村に傾斜配分するとしています。この三分の一の根拠が何か具体的に示していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/55
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056・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 今御指摘の今回増額する地域デジタル社会推進費五百億円につきましては、全ての市町村において基準財政需要額を増額するよう算定することを予定をしております。その上で、マイナンバーカードの交付率の高い市町村については、カードを利活用した住民サービス向上のための取組に係る財政需要が多く生じると想定され、また、これまでも普通交付税の算定に際して地方公共団体を上位から三分の一ずつ区切る手法を用いていることを踏まえまして、カードの交付率の高い上位三分の一以上の市町村については、当該市町村のカードの交付率に応じた割増し率により算定を行うことを予定しているところでございます。
また、割増し率の算出に用いるカードの交付率については、財政需要を的確に算定する、反映する観点から、普通交付税の算定スケジュールにおいて使用可能な最新の数値を用いる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/56
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057・伊藤岳
○伊藤岳君 大臣、質問に答えられていないと思います。
私が聞いたのは、端的に三分の一にした根拠は何かということなんです。本会議の大臣の答弁を聞きますと、前例措置があると答えておりましたけれども、前例があるからというだけで、合理的な三分の一以上というこの根拠になるものはいまだ示されていないと思います。総務省が省令で決めるということだと理解をしています。
傾斜配分の度合い、傾斜の上がり具合は何を基準に決めているんですか。示してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/57
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058・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
三分の一のお話でございました。交付税はあくまでも自治体の財政需要に応じて配分するということになっておりますので、これまでの、割増しがある場合に、例えば高齢者保健福祉費ですとか徴収率とか、そういうところで上位三分の一で切るというやり方をやっておりますので、これまでの同様の三分の一という数字で割増しを行うというものでございます。
それから、傾斜配分のお話でございますが、これは今大臣から申し上げましたとおり、このマイナンバーカードの交付率は最新の数値を使用したいと思っておりますので、この動向をにらみながら、基本的には比例的に、普通は、この今お示しの資料にありますけれども、比例的に傾斜を付けるというのが基本だろうと思っておりますが、具体的には算定の段階で数値を見ながらしっかりと対応してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/58
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059・伊藤岳
○伊藤岳君 局長の答弁聞いても、とにかく前例があったとかこれが基本だとか、つまり根拠を具体的に示されないんですよ。結局、総務省令で決めるということなんだと思うんですね。
大臣、この地方自治体が上位三分の一以上に入る、しかも一%でも二%でも交付率を上げて、こういう追い立てることになるという認識はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/59
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060・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) これまでも申し上げてきているところでございますが、マイナンバーカードの交付率の普通交付税算定への反映につきましては、地域デジタル社会推進費のうち、今回、マイナンバーカード利活用特別分として増額する五百億円においてカードの交付率も活用して行う予定としているところでございまして、これは、カードの普及に伴って、カードを利活用した住民サービスの向上のための取組に係る財政需要を的確に算定に反映する観点からカードの交付率を用いるものでございまして、政策誘導や自治体間の競争をあおるといった趣旨のものではないということで御理解をいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/60
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061・伊藤岳
○伊藤岳君 先ほど紹介したように、既にゆがんだ形で地方に現れているじゃありませんか。
この地域社会、デジタル社会推進費、マイナンバーカード利活用特別分のこの交付税算定率の仕組みですね、これ、一年限りですか、それとも二〇二四年度以降も継続するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/61
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062・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
今年度は今申し上げたようなやり方でやるということでございます。来年度、来年度といいましょうか、六年度以降の扱いにつきましては、まさにマイナンバーカードの交付率の状況、それから各自治体の財政需要の状況、こうしたものを勘案して検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/62
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063・伊藤岳
○伊藤岳君 現在のところ、来年度も継続する方向ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/63
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064・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) 六年度以降の扱いにつきましては、繰り返しになりますが、マイナンバーカードの交付状況、それから自治体の財政需要、こうしたことを勘案して検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/64
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065・伊藤岳
○伊藤岳君 もしこの一年限りの交付税算定ということになれば、それこそカード普及推進の目的のためだったということになると思います。
大臣、来年度以降もこの交付税算定の仕組みを継続するならば、地方自治体を際限のないマイナンバーカード普及競争に巻き込んでいくということになるんじゃないか、その認識はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/65
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066・原邦彰
○政府参考人(原邦彰君) お答えいたします。
繰り返しになりますが、六年度以降の扱いについては、カードの交付状況、それから財政需要を勘案して検討したいと思います。あくまでも地方交付税ですから、自治体の財政需要をどうやって反映するのがふさわしいかという観点で検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/66
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067・伊藤岳
○伊藤岳君 マイナンバーカードの取得というのは任意であるはずです。その任意であるはずのマイナンバーカードの交付率を地方の固有の財源である地方交付税の算定までリンクさせる、これ、地方交付税の財政調整機能にも矛盾していると思います。地域社会、デジタル社会推進費、マイナンバーカード利活用特別分の交付税算定の仕組みに、私、強く反対をしたいと思います。
次に、保育士不足の問題について聞いていきたいと思います。
今年に入ってからも保育園が閉園というニュースが相次いでいます。長野県信濃町では、四つの保育園を運営しているが、来年度必要となる保育士が二人足りなくなる見通しだ、四つの保育園のうち比較的規模の小さい一園を休園する方針で検討しているということが起きています。これは信濃毎日の報道です。北海道帯広市では、保育士を確保できずに乳幼児の受入れを定員より抑えているためで、保育所に預けられない待機児童も発生している、公立保育所全八施設で入所者数の定員割れが常態化している、正職員を募集しても集まらない、会計年度任用職員を募集しても賃金が民間より低い傾向にあるために応募は低調だという報道が、これは北海道新聞の報道であります。現場で保育士を確保できずに、このままでは地域から保育の場が失われてしまうという事態が広がっていると思います。
一方で、保育園のニーズは高まっています。私の地元埼玉県ふじみ野市では、この四月から保育所入所不承諾通知、入所保留通知が届いたお子さんが百三十二人いらっしゃいます。入所を申し込んで、要件に該当しているのに不承諾、保育園に入れないという事態です。
私、この間、地元埼玉県内の保育の現場を歩いてまいりました。その中で感じてきたことは、現場で必要な保育士さんを確保するための政府の施策が余りにも不十分だということであります。
松本大臣にお聞きします、まず。
地方自治体から保育士の配置基準の見直しを求める意見書が相次いで採択され、提出されていることは御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/67
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068・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 保育士の配置基準の見直しについては、幾つかの地方自治体から意見書いただいております。
保育士の配置基準の在り方については、まずは制度所管の府省におきまして検討されるべきものと考えますが、総務省としても、制度所管府省と連携しながら、地方自治体の財政運営に支障が生じないように適切に対応いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/68
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069・伊藤岳
○伊藤岳君 承知されていると。
全国市議会議長会によると、昨年、保育士配置基準の見直しを求める意見書が可決されたのは、私の地元埼玉県だけでも新座市、吉川市、春日部市、秩父市、富士見市、全国では三十一の市議会に上ります。これらの意見書の中では保育士の過重労働が指摘をされて、早期離職者、保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない者などの課題が挙げられています。例えば、保育士が過重な労働環境に置かれており、精神的、肉体的な負担が大きくなっているため、早期離職者や、保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない者も多く、保育士の確保と定着が喫緊の課題となっています、これ広島市議会の意見書です、と訴えられています。
埼玉県内の保育園長さんや保育士さんとの懇談の中で皆さんが口をそろえて言われていたのは、勤務時間内に保育士の仕事が終わったことがない、事務仕事も子供の午睡中、昼寝中に添い寝しながら手書きでやる状況だ、有休の取得を申し出る雰囲気じゃない、給料が上がらない、学生時代のバイトのときの方が自由に使えるお金が残ったといった現場の過酷な勤務実態が次々出されていました。
和田厚労副大臣、今日おいでいただきました。現場で保育士を確保、ごめんなさい、本田厚労政務官、おいでいただきました。失礼しました。
現場で保育士を確保できない問題の根本には保育士不足による過重労働があり、それが更に保育士不足を加速させているという問題があるのではないでしょうか。保育士の配置基準を保育現場の実態に合わせて抜本的に見直すべきではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/69
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070・本田顕子
○大臣政務官(本田顕子君) 伊藤岳委員にお答え申し上げます。
まず、配置基準につきましては、さきの三月十日に、委員から厚生労働大臣に対しても御質問いただきました。その際に加藤大臣からお答え申し上げましたところを、繰り返しになりますけれども、これまでの厚労省の取組としてお答えいたします。
まず、保育士の配置基準の改善につきましては、厚生労働省としても重大な課題であると考えており、平成二十七年度には、三歳児に対する保育士の配置を二十対一から十五対一に改善した保育所に対して公定価格上の加算を設けたところでございます。
一方で、消費税分以外で財源を確保することとされている、いわゆる三兆円強の質の向上に含まれる一歳児や四・五歳児に対する保育士の配置改善については未実施となっており、引き続き、安定的な財源の確保と併せて検討が必要と考えております。
令和五年度予算案におきましては、チーム保育推進加算において定員百二十以上の保育所に保育士二名までの加算を可能とするとともに、保育体制強化事業において、登園時や園外活動時等の多くの人の目が必要な時間帯における支援員の配置の充実を図ることとしております。
いずれにしても、いずれにいたしましても、こども政策担当大臣の下、子ども・子育て政策として充実する内容を三月末を目途に具体化し、六月の骨太方針までに、将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示するものと承知しております。
そして、今ほど人材の件で過重労働の件がございましたけれども、厚生労働省としても、保育所等のICT化の推進など、保育士の業務負担の軽減を通じた就業継続のための環境づくりといった人材確保に総合的に取り組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/70
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071・伊藤岳
○伊藤岳君 本田政務官、先ほど、昼寝中に事務仕事をするような状況がある、これは前近代的な状況だと思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/71
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072・本田顕子
○大臣政務官(本田顕子君) 済みません、申し訳ありません、もう一回お願いしていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/72
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073・伊藤岳
○伊藤岳君 先ほど、保育現場の実態として、勤務時間に終わらない、子供の午睡中に、昼寝に寄り添いながら事務仕事をするという実態を紹介しましたが、これ前近代的な改善されるべき事態だと思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/73
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074・本田顕子
○大臣政務官(本田顕子君) 失礼いたしました。
はい。保育人材確保には課題があるということは、厚労省でも認識をしております。
そこで、先ほど私申し上げたように、ICT化の推進など、そうした人材確保も含めて就業継続のための環境づくりに取り組んでいきたいというふうに考えております。
あと、先ほど、申し訳ございません、予算の部分で、消費税分以外で財源を確保することで、私、三兆円と申し上げましたけれども、〇・三兆円強でございます。訂正させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/74
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075・伊藤岳
○伊藤岳君 今、政務官も課題があるというふうにお認めになりましたけれども、先ほど、この政府の今後の施策の幾つか紹介ありました。例えば、二十五対一の大規模施設に加配という話が、政府やる予定でおりますけれども、この保育士の配置基準を現行より手厚い二十五人以上に一人などとしている施設に加算、これ、対象保育施設というのは何%ぐらいなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/75
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076・北波孝
○政府参考人(北波孝君) お答え申し上げます。
機械的に計算いたしますと、約四%程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/76
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077・伊藤岳
○伊藤岳君 四%ですね、僅かですよね。
私の地元埼玉県もそうですけれども、六十人から九十人定員の保育園というのは圧倒的なんですね。政府のこの施策では圧倒的な保育園は加算の対象外となるということを指摘しておきたいと思います。
和田内閣府副大臣、あっ、ごめんなさい、本田政務官にもう一問お聞きします。
ある保育園長は次のように語っています。例えば、一歳児の国の配置基準は六対一だと、一歳児を七人受け入れると保育士を二人配置することになると、しかし国は公定価格で一・一六人分しか見てくれない、マイナス〇・八四人分は保育園の持ち出しとなる、逆に加配をしないと決めたら保育士に過重な負担を強いることになる、経営に当たる者として率直に言って悩ましい、昨年のケア労働者への九千円の賃上げ策も人件費の園の持ち出し分のやりくりで相殺せざるを得なかった、結局、保育士一人当たりの賃上げにはほとんどつながらなかったと話しておられました。
現場に見合った保育士の配置基準とそれに対応する人件費増額を見た公定価格を設定すること、人件費、事務費、施設整備費の科目別に必要額を増額することが必要ではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/77
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078・和田義明
○副大臣(和田義明君) お答え申し上げます。
保育所等の現場において公定価格上の配置基準を超える職員が実際に配置されていることは承知をしており、課題と認識しております。
保育の質の向上のためには、保育士等の配置の改善を図っていくことは重要な課題と考えておりこれまでも、保育士等の配置の改善については、本田政務官からも答弁がありましたとおり、一定の努力を重ねてきたところでございます。また、保育士の有効求人倍率は全職種平均よりも高い水準で推移しており、保育を担う人材の確保に向けてこれまで累次の処遇改善に取り組んでまいりました。
総理からは、保育の量、質、両面からの強化を柱の一つとして、子供政策として充実する内容の具体化するように指示がなされております。
その取りまとめに当たりましては、社会全体の意識を変え、子ども・子育てを応援するものとなるよう、個別の施策ではなく、ライフステージを通じた施策のパッケージを示す必要があると考えております。現時点では個別の施策の是非を述べる段階にはないと考えておりますが、様々な意見に耳を傾けながら、今月末を目途として、小倉大臣の下で、子ども・子育て政策として充実する内容を具体化してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/78
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079・伊藤岳
○伊藤岳君 済みませんでした。内閣府に対する質問でございました。
次は、これ多分厚労に対する質問になるんだと思いますが、別の園長さん、こう言っていました。待機児をつくらないとの二〇一七年以降の国の求めに応えてこの間保育士を増やしてきた、今、入所児が減ってきている中で、職員を辞めさせるわけにはいかない、とうとう一千万円の園の赤字になっている、この赤字解消のためにやむなく保育士の賞与支給額を減らすことで調整をしているとの状況だということでした。
保育所においては入所児の年度ごとの変動もあります。保育の現場には一定の余裕のある保育士の配置が重要だと私思うんですが、どういうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/79
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080・北波孝
○政府参考人(北波孝君) 公定価格の仕組みについての御質問と受け止めておりますので、まずはそれにつきましてお答えさせていただきたいと思います。
子ども・子育て支援法におきましては、教育・保育給付の認定を受けた子供が保育所等から教育、保育の提供を受けた場合に、その子供、当該子供につきまして公定価格に基づいて施設型給付費を支給する仕組みということにしておるところでございます。例えば、御指摘でありますような年度途中入所者がいた場合については、その途中入所者を含めて各月初日に実際に利用する子供の数に応じた給付費が支給されて、これによって利用者数に応じた保育士の配置に必要な経費というものを支給されるものということになっているというふうに承知をしているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/80
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081・伊藤岳
○伊藤岳君 内閣府の方に答えていただきましたので、厚労の方は結構です。
ただ、私、訴えたいのは、四、五歳児の配置基準の三十対一は何と七十四年間ずっと変わっていません。これこそ直ちに抜本的なメスを入れるべきだということを強く要望したいと思います。
こうした現場に保育士が確保できない中でどういう事態が起きているか。民間の人材派遣保育士が保育現場で増加傾向にあります。さいたま市の公立保育園では、平成二十七年度、二〇一五年度、人材派遣保育士は二人でしたが、令和三年度、二〇二一年度は十二人と四倍に増えています。
埼玉県内のある私立保育園でお聞きした話ですが、人材会社を通じて雇った保育士パートさんが三か月で辞めた、一年分の人件費の三割、七十万円余を派遣会社に手数料として既に支払っているが、三か月たったと返金されていない、こういう話を聞きました。
これ、厚労省、どういうことなんでしょうか。説明していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/81
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082・松本圭
○政府参考人(松本圭君) お答えいたします。
御指摘のような話があるということは承知してございます。
前提といたしまして、お尋ねの件は、職業紹介、有料職業紹介事業者の件だと存じますので、その御説明を申し上げます。
紹介の手数料、また一定の要件があったときに手数料の全部又は一部をお返しするといった制度にするかどうかというのは、これは業者がそれぞれ設定できる制度でございます。そういうことでございますので、職業紹介事業者がその紹介手数料や、早期に離職、紹介した人が早期離職したときの返戻金制度などをしっかりと明示して、その職業紹介を依頼しようとする保育園等の事業者におかれては、そういったサービスについて正しく御理解いただいた上で御契約いただくことも重要ではないかと考えてございます。
そういうことで、そもそも適切な業者を選択できるよう、政府といたしましては、まず、平成三十年一月から、手数料などの情報開示を義務付けてございます。また、令和三年度から、職業紹介を利用する側である医療、介護、保育分野の業界団体も参画した協議会において、適正な有料職業紹介事業者を認定する制度の運用を開始してございます。
また、今年の二月に、都道府県労働局で医療、介護、保育求人者向けの特別相談窓口を新たに設置いたしまして、寄せられた情報等に基づき必要な対応を行うこととしてございます。法令などに違反する事例等を把握した場合には、都道府県労働局が適切に紹介事業者を指導監督してまいりたいと考えております。
最後に、ハローワーク、これは職業紹介手数料無料でございますが、保育を含む人材不足分野の人材確保支援を行うコーナーの拡充も図ってございます。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/82
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083・伊藤岳
○伊藤岳君 埼玉県内の幾つかの私立保育園でお聞きしたんですが、この人材会社を通じて雇ったパートさんが三か月で辞める、これはもう結構有名な話だそうです。人材会社は、派遣される保育士に、三か月たってから辞めてこいと、三か月は辞めるなと、こういうふうに公言しているという話がありました。
そういう実情、御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/83
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084・松本圭
○政府参考人(松本圭君) お答えいたします。
先ほど申し上げたその都道府県労働局の窓口、これは窓口をつくる前から事業所管の部局としてそういった声が届いているのは承知してございます。
御指摘のような話でございますと、職業紹介事業者が自らの紹介で就職した者に対して転職を勧奨する行為、これは職業安定法に基づく指針において、就職から二年の間禁止してございます。
ということでございますので、そういった事案を把握した場合には都道府県労働局で適切に指導監督を行ってまいりたいということでございますが、何分、その働く方にも職業選択することができるので、どういった事由でお辞めになったのかというところも含めて調査をするということになると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/84
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085・伊藤岳
○伊藤岳君 私、この話をお聞きして、深刻だと思うんですよ。三か月は辞めてくるな、三か月たったら辞めろ、これ、現場でどういう事態が起きているか。現場は保育士が足りないから人材会社に保育士を頼む、しかし、三か月たったらいなくなる、人手が足りなくなる、そして、一定のお金を払っていますから保育士の賞与などを減額するという事態に響いてくる。
これは、厚労省、やっぱりこれしっかり調査するべき新しい事態じゃないですか。対応が必要じゃないですか。もう一度お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/85
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086・松本圭
○政府参考人(松本圭君) お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、自ら紹介した者に対して二年間そういった勧奨をすることは禁止しております。そういったルールの下で、それぞれの事案について、それぞれ事情を調査した上で適切に指導監督を行ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/86
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087・伊藤岳
○伊藤岳君 一定の調査する予定がありますか、どうですか。そこだけ答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/87
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088・松本圭
○政府参考人(松本圭君) 事案ごとに調査するということかと存じます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/88
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089・伊藤岳
○伊藤岳君 是非、調査、対応を求めたいと思います。
保育関係の質問はここまでですので、厚労関係、内閣府関係の方、委員長、御退席いただくようにお取り計らいください。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/89
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090・河野義博
○委員長(河野義博君) 御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/90
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091・伊藤岳
○伊藤岳君 次に、会計年度任用職員についてお聞きをしたいと思います。
会計年度任用職員の低賃金の実態はどうなっているか、日本自治体労働組合総連合、自治労連が、会計年度任用職員一万三千七百六十二人からアンケートを取り、その集計結果を公表しました。それによりますと、会計年度任用職員の二〇・六%が何と保育士だそうです。会計年度任用職員の中で、年収二百万以下、いわゆるワーキングプアと答えた人は何と五九%に達していることが分かりました。
松本大臣にお聞きします。年収二百万以下、こういうワーキングプアで安定した暮らしが築いていけるとお考えですか。また、住民の願いに応え、安心できる保育を提供できるとお思いですか。この点、基本的な認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/91
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092・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 今御指摘の保育士を含めた会計年度任用職員の給与水準につきましては、地方公務員法に定める職務給の原則、均衡の原則等の給与決定原則にのっとりまして、類似する職務に従事する常勤職員の給料表を基礎としつつ、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、職務経験等を考慮するとともに、地域の民間企業における同一又は類似の労働者の給与水準の状況等にも十分留意をする必要があると考えておりまして、これまでも自治体に対し丁寧に助言をしてきたところでございます。
また、これまで会計年度任用職員に期末手当を支給することとするなど処遇の改善が図られるよう取り組んできたところでありまして、今国会に勤勉手当の支給を可能とする法律案を提出したところでございます。
総務省としては、会計年度任用職員の処遇の改善が図られるように引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/92
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093・伊藤岳
○伊藤岳君 勤勉手当の支給と言いますが、正規と非正規、会計年度任用職員との格差が放置されてきたことが、私、大問題だと思うんです。
大臣、ちょっとこの自治労連のアンケートに寄せられた声を聞いていただきたいと思います。紹介します。
ある会計年度任用職員の保育士の方。子供は大好きだし仕事を続けたい、しかし、先々自分の子供の学費や生活費を考えると辞めるしかないかな。別な保育士、会計年度任用職員の保育士。正規採用も望めないなら転職するしか道がないと思う。また、別の会計年度の任用職員保育士。来年も同じ仕事で継続雇用されるのかと不安を常に感じているなどなどの声が寄せられています。
報道記事の中にもこんな記事がありました。会計年度任用職員のある婦人相談員の方の声です。これ、朝日新聞、三月九日付けに載っていました。DVでつらい思いをしている人たちを助けたいと思ってこの仕事に就いた、しかし、月に十四万円の収入では手元に残らない、もう限界だ、転職を考えているというインタビュー記事でした。
大臣、専門性を有し行政の重要な分野で役割を担う人材が、会計年度任用職員という不安定な雇用で流出、外に出てしまう、自治体の現場から出ていってしまう、住民のサービスの低下につながる、こういう指摘、声をどう受け止めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/93
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094・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 御指摘の新聞記事も私の記憶に若干ありますので、読んだような気がするので、正確な記憶ではありませんが、今の御質問に御答弁を申し上げたいと思います。
個々の職にどのような職員を任用するかについては、各自治体において、対象となる職務の、職務の内容や責任などに応じて、任期の定めのない常勤職員や臨時・非常勤職員などの中から適切な制度を選択していただくべきものと考えております。その上で、各自治体において必要な行政サービスを提供できる体制を確保していただくことが重要であると考えております。
総務省としては、自治体が住民のニーズに的確に応えつつ行政サービスを安定的に提供できるよう、令和五年度の地方財政計画において、常勤の職員数を約二千六百人増員するなど必要な経費を計上した上で、前年度を上回る一般財源総額を確保したところでございます。
今後とも、各自治体におかれまして適切な任用が確保されるように必要な対応をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/94
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095・伊藤岳
○伊藤岳君 保育士、婦人相談員を始めとした専門性を有して継続的な経験も有している方が自治体の現場から流出してしまう、これ、自治体現場の未来にとって大変な損失だと思います。日本の未来にとって大変損失だと思います。
会計年度任用職員の再度の任用に当たっては、前の任期における勤務実績を考慮して選考を行うことは可能である、総務省、十二月二十三日に発出した通知にこう書いてあります。
この総務省の通知の適用を徹底して、任用三年目の公募による雇い止め、いわゆる三年目の壁で行政サービスの低下を招くような事態は避けるべきではないでしょうか。大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/95
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096・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 会計年度任用職員は一会計年度を超えない範囲で任用されるものであることは委員もよく御案内のとおりかと思いますが、地方公務員法の規定に従って任用する必要があることから、地方公務員法に定める平等取扱いの原則や成績主義を踏まえ、できる限り広く募集を行うことが望ましいと考えるところでございます。
その上で、各地方公共団体に対しましては、公募を行う場合であっても、客観的な能力の実証を経て再度任用されることがあり得ること、選考において前の任期における勤務実績を考慮することも可能であることなどの考え方を示しております。公募によらない再度の任用回数については、国で一律に制限を設けているわけではなく、各自治体で地域の実情などに応じて適切に判断すべき旨、昨年末にも重ねて助言をいたしているところでございます。
今後とも丁寧な情報提供に行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/96
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097・伊藤岳
○伊藤岳君 是非この総務省の通知を徹底して、三年目の壁で行政サービスの低下を招くようなことのないように是非検討を進めていただきたいと思います。強く求めたいと思います。
最後に、放送法の政治的公平に対する政治的圧力を記した総務行政文書について質問をしたいと思います。
大臣、十七日の予算委員会委嘱の審査のこの当委員会の質疑で、公表された行政文書について、公文書管理法、行政文書の管理に関するガイドラインに違反して行政文書ファイル管理簿に記載されていなかったその経緯について報告を求めておりました。
大臣は、確認をして国会に報告できることは報告すると答弁されましたが、大臣、その経緯について確認をされましたか。報告をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/97
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098・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 総務省が三月七日に行政文書として公表した文書は行政文書ファイル管理簿への記載が行われていなかったということは既に御答弁の中でも申し上げてまいりました。
これらの文書の中には作成者や作成経緯が不明なものもございますが、この時期の担当課の文書管理者に確認をいたしましたところ、行政文書ファイル管理簿に記載されていなかったとすれば記載の必要性の認識が十分でなかったかもしれないとのことでございました。このようなことから、特段の意図があったとは承知しておりませんが、本件行政文書が管理簿に記載されていなかったことは遺憾に思っております。
行政文書の作成、管理に当たりましては、法令の規定にのっとり適切に行われるよう徹底してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/98
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099・伊藤岳
○伊藤岳君 今の御答弁聞いて思うんですが、行政文書のガイドライン、私、読まさせていただきましたけれども、これ改定前のガイドラインを見ても、行政文書を作成したら行政文書ファイル管理簿に仮記載するという言葉で丁寧にガイドラインで示しているんですよ。
本当にこんなことが単純ミスで起こるとお思いですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/99
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100・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 繰り返しになりますが、この時期の担当課の文書管理者に確認したところは、先ほど申し上げたとおりで、行政文書ファイル管理簿に記載されていなかったとすれば記載の必要性の認識は十分でなかったかもしれないとのことでございまして、本件行政文書が管理簿に記載されていなかったことは遺憾に思っていると申し上げざるを得ないとも考えてはおりますが、以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/100
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101・伊藤岳
○伊藤岳君 じゃ、お聞きしますけれども、この行政文書ファイル管理簿への不記載は公文書管理法違反という認識ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/101
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102・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 公文書管理法第七条において行政文書ファイル管理簿に記載することが求められているというふうに承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/102
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103・伊藤岳
○伊藤岳君 まあ法令違反だということはお認めになりました。
行政文書の管理に関するガイドラインでは、行政文書ファイル管理簿の意義と機能について、法第一条に定める健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として主権者国民が主体的に利用し得るために必要不可欠なツールであると定めています。
これを怠っていたということは、この法に違反していたということは、主権者国民から見れば隠していたということにほかなりません。桜を見る会の招待者名簿の行政文書ファイル管理簿への不記載が問題に過去になりましたが、やはり安倍政権下で官邸サイドからの放送法の政治的公平への政治的圧力を示した行政文書が不記載になった、安倍又は官邸案件は不記載として扱うということに誰かがしてきたのではないか、そういう疑念が生じて当然だと思います。
事は法律の違反であり、桜を見る会の不記載では当時の安倍総理が国会答弁で陳謝しました。もう一度、直ちにこの不記載の経緯、改めて調べて当委員会に報告していただきたい。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/103
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104・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 御報告申し上げたように、この時期の担当課の文書管理者に聞き取りを行わせていただきまして、ただいま御報告申し上げたとおりでございます。
御指摘のとおり、法令に定めがあるところでもあり、管理簿に記載されていなかったことは遺憾であると申し上げざるを得ないというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/104
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105・河野義博
○委員長(河野義博君) おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/105
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106・伊藤岳
○伊藤岳君 はい。
文書管理者は、年度末の時点で保有している行政文書ファイル等の現況が法令及び訓令などに従い正確に管理簿に記載されたかどうか確認し、その内容を確定するとされています。
こうしたガイドラインに基づく扱いからも不記載のままというのは到底あり得ないということを指摘して、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/106
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107・河野義博
○委員長(河野義博君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114601X00620230323/107
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