1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年四月六日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月四日
辞任 補欠選任
金子 道仁君 柴田 巧君
四月五日
辞任 補欠選任
滝波 宏文君 有村 治子君
長谷川英晴君 舞立 昇治君
四月六日
辞任 補欠選任
舞立 昇治君 越智 俊之君
杉尾 秀哉君 古賀 千景君
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出席者は左のとおり。
委員長 古賀友一郎君
理 事
上月 良祐君
森屋 宏君
山田 太郎君
小沼 巧君
塩田 博昭君
委 員
有村 治子君
磯崎 仁彦君
越智 俊之君
自見はなこ君
広瀬めぐみ君
舞立 昇治君
三宅 伸吾君
山谷えり子君
古賀 千景君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
水野 素子君
三浦 信祐君
柴田 巧君
高木かおり君
上田 清司君
井上 哲士君
大島九州男君
国務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(こども
政策 少子化対
策 若者活躍 男
女共同参画)) 小倉 將信君
副大臣
内閣府副大臣 和田 義明君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 自見はなこ君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
政府参考人
内閣府男女共同
参画局長 岡田 恵子君
警察庁生活安全
局長 山本 仁君
厚生労働省大臣
官房審議官 本多 則惠君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に
関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出
)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/0
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001・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、金子道仁君、滝波宏文君及び長谷川英晴君が委員を辞任され、その補欠として柴田巧君、有村治子君及び舞立昇治君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/1
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002・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府男女共同参画局長岡田恵子君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/2
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003・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/3
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004・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/4
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005・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 自民党の広瀬めぐみでございます。本日は質問の機会を賜りまして、ありがとうございます。
配偶者暴力防止法についてお聞きしたいと思います。
まず、二〇〇一年にDV防止法が成立してから既に二十年余が経過しております。法が家庭に入らずという当時の原則を打破して、私的領域での暴力について国家の介入を容認した画期的な法律であったというふうに考えております。
その後、四度の改正を経て、加害者及び加害対応、被害者及び被害対応、どんどんこれを拡充して保護範囲が広がってきた。そして、DV被害があった場合には、相談窓口の充実から始まり、警察との連携、被害者を保護するための施設の準備、自立支援の方法まで、一つ一つその内容を充実させてこられたというふうに考えております。積極的に法律を改正していただいて被害者保護のために働いてくださった内閣府の皆様に、まずは感謝を申し上げたいと思います。
今回の改正で更に充実した内容となっております。
まず、資料一を示します。御覧ください。
DV防止法改正で変わる保護命令ということで、一番上の丸のところは、これは定義になっております。DV防止法保護命令というと、接近禁止命令、それから退去命令でございますが、丸ポツ、丸の二、二番目のところ、被害者への接近禁止命令が現行六か月のものが一年になるということと、精神的な暴力が保護対象になるというところが大きな改正でございます。
また、下から二番目の退去等命令、これも条件付ではありますが、二か月が六か月になるということと、最後の丸、これは接近禁止命令違反の厳罰化でございます。一年以下、百万円という罪状でございましたけれども、これが二年以下、二百万円というふうに厳罰化をされたというふうに認識しております。
本当に充実した内容になってはいるんですが、まだまだ問題点があるというふうに考えております。
資料二と資料三を示します。
まず、資料二なんですが、DV相談件数の推移ということで、二〇一九年、コロナが蔓延してから本当に一挙にこれ増加をしているという状況でございます。それに対して、資料三を御覧ください。これは保護命令発令件数の推移なんですが、これ、申立て件数の方も減っておりまして、発令の件数もどんどん減っていると、こういう状況でございます。
言わば、DVが増えているのに、保護命令の申立て、それから発令の件数がどんどん減っているという状況について、まず、これ理由を含めてどのように政府が考えていらっしゃるか、小倉大臣にお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/5
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006・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 広瀬委員御指摘のとおり、最近の配偶者からの暴力に関する相談件数等は増加傾向にあります。そういった中で、相談内容の約六割を占める精神的暴力により心身に重大な被害が生じた例も報告をされております。他方で、被害者の申立てに基づき裁判所が加害者に接近等を禁止する命令を出す保護命令の認容件数は、御指摘のとおり一貫して減少しております。
こうした状況も踏まえ、現行制度では、身体に対する暴力などを受けた被害者のみを対象とする保護命令の強化や生活再建支援等の必要性が指摘をされているところであります。こうした指摘を受けまして、本法案において保護命令制度の拡充を行わさせていただきます。
具体的には、接近禁止命令等について、自由、名誉、財産への脅迫を受けた被害者による申立てを可能とし、精神への重大な危害のおそれがある場合にも拡大を行います。また、命令期間の伸長、電話等禁止命令等における禁止行為の拡大、子への電話等禁止命令の創設、退去等命令の期間の特例の創設、保護命令違反に関する罰則の加重を行います。
これらによりまして、従来は保護命令制度の対象となっていなかった精神的な被害を受けた方を始め、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護が大きく前進すると、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/6
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007・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 小倉大臣、どうもありがとうございました。
精神的な暴力が、その保護命令の対象として、その相談をする方の相談の内容のほぼ六割を占めるというような調査もございまして、精神的暴力というものが広くあるというところが、結局、その肉体的な暴力に対してしか保護命令認められなかったというところで相関関係において乖離が生じているということなのかなというふうに理解をいたしました。
小倉大臣に対する質問はこれだけでございますので、お取り計らいいただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/7
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008・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/8
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009・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 済みません、ありがとうございました。ありがとうございます。済みません。
今、精神的な暴力ということで、言葉や態度によって被害者の心身に重大な危害を与えることというふうに定義されているというふうに思うんですけれども、ここで資料四を示します。
この資料四、殴られなくてもDV、家事をしないと不機嫌、付き合い制限、子供に危害というふうに書いてあります。これはその精神的な暴力の具体例ということだと思います。
このほかに、私自身は、正座をさせて何時間も説教されるとか何週間も無視を続けられるとか、そういった態様が精神的暴力の例であるというふうに考えておりますが、先ほど小倉大臣からもお話ありましたとおり、今回の改正で、自由、名誉、それから財産に対する脅迫が精神的な暴力であるというふうに規定をされたわけですけれども、その具体的な言動として一体どんな言動がこの自由、名誉、財産に対する脅迫に当たるのか、また、どんなその結果というか、その結果が生じた場合にこれを重大な危害というふうに考えるのか、そして、それをその保護命令の申立ての手続の中でどのように証明をしていけばいいのかということを参考人にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/9
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010・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
配偶者暴力は、加害者が自己への従属を強いるなどのために用いるという特殊性に鑑みまして、害悪を告知することにより畏怖させる行為として脅迫を対象としたものでございます。
具体的な言動が脅迫に該当するか否かというのは、個別の事案における証拠に基づき裁判所が判断すべき事柄ではございますけれども、例えば言うことを聞くと言うまでは外に出さないなどと告げるような場合、これは自由に対する脅迫の例でございます。また、例えば名誉に対する脅迫としては、性的な画像をネットで拡散するなどと告げるような場合、また、財産に対する脅迫の例としては、例えば被害者が大事にしているものを壊すなどと告げるような場合などが対象となり得ると考えられます。
これらのほか、個別具体的な状況によりまして、生命、身体、自由、名誉又は財産に対して害を加える旨の告知と認められるものは脅迫に該当し得ると考えてございます。
重大な危害でございますけれども、とは、通院加療を要する程度と解されております。個別具体的な状況に照らし裁判所において判断すべき事柄でございますけれども、御指摘のように、接近禁止命令につきましては、身体に対する暴力等により、うつ病やPTSD等のような精神医学の見地から配偶者暴力の被害者に見られる症状で通院加療を要するものが既に認められる場合で、配偶者からの更なる身体に対する暴力等を受けるおそれがある場合には、その生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいと考えられます。
また、うつ病等につきましては、迅速な裁判の観点から診断書が必要になると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/10
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011・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 どうもありがとうございました。
精神的な暴力にはもう本当に様々な形態があるということと、基本的にはその重大な危害というのは通院と加療を要するような、そういうような状況であって、申立てにおける、その手続における証明資料としては病院やクリニックなどの診断書ということになるのかなというふうに理解をいたしました。
精神的暴力については、一つ忘れてもらいたくないなというふうに思うんですが、DVということで、親子の、DVを目の前で見せられるその子供、これを面前暴力と言いますけれども、この面前暴力によって子供の脳に萎縮するようなそういう効果があるという、そういう調査があります。そういった意味で、子供に対しては、精神的な暴力であると同時に虐待の一態様であるというふうにも考えられています。こういう面前暴力にもしっかりと対応をしていただきたいと思います。
次に、一問ちょっと飛ばさせていただきまして、資料の四を示させていただきたいと思います。資料の四を、済みません、資料の五を示します。
これ、「「対等な関係」デートDVから考える」、「思春期から 授業で「予防教育」」というふうにございます。デートDVというのは付き合っている者同士の間で起こるDVのことでございますが、この記事を読むと、現在、文部科学省と内閣府は、中学生以上の生徒に対して、生命の安全教育としてDVを予防するための教育を行っているそうです。カップルの間でなぜ暴力が起きるのかを学んで、予防をすることはとても良いことだと思います。
その趣旨や思いを政務官にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/11
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012・自見はなこ
○大臣政務官(自見はなこ君) 御質問ありがとうございます。
御指摘のとおり、配偶者からの暴力の防止に資するよう、学校、家庭、地域におきまして、人権尊重の意識を高める教育、啓発や男女平等の理念に基づく教育等を促進することが必要だと考えてございます。特に、配偶者からの暴力の防止には、若年層に対しまして、配偶者やあるいは御指摘のように交際相手からの暴力の問題について考える機会を積極的に提供することが有用と考えてございます。
内閣府におきましては、現在、若年層に対して教育、啓発の機会を多く持つ指導的地位にある者などを対象として、いわゆるデートDVや配偶者暴力についてのオンライン研修等を実施しております。また、デートDVに対応したストーカー被害者支援マニュアル等を現在改訂しておりまして、本年三月に教育委員会を含めた地方公共団体等に配布をしたところでもございます。
一方、さらに、生徒に対してはでございますけれども、文部科学省が推進しております命の安全教育におきましては、中学生及び高校生向けの教材において性暴力の例としてデートDVを取り上げております。
引き続き、関係機関との連携や民間団体の協力によりまして、若年層を対象とした啓発活動を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/12
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013・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 どうもありがとうございました。
人権擁護団体など全国的にこういう教育を展開しているということと同時に、若い人たちにとっては、やっぱりその自分の人間関係をしっかりと考えるということは自分自身についてもしっかりと考えを持つということであって、とても良いことだと思います。これからもどうかよろしくお願いいたします。
次に、資料六を示します。
これ、「非正規公務員 女性しわよせ」、「DVの相談員 低待遇に疲弊「限界」」というふうにございます。
私自身の経験則だと、DV相談員というのは大概女性でございまして、自分もDV被害者であったとか、そういう経緯を持って同じ境遇の人を助けたい、そう思って非正規として働いている方が多かったかと思います。
仕事内容は、DVの相談を受けて被害者のお話を聞くことから始まり、本当に、一緒に保護命令の申立てをしたり、時には相手方の加害者と話合いをしたり、警察に付き添ったりと、非常に繊細かつ重責を担うものでございます。ところが、非正規のアルバイトと同様の収入しか得ることができずに、仕事を続けることができなくなってしまう。
この記事を読みますと、DV被害者だった女性が相談員になって一生懸命働きたいんだけれども低収入で続けることができない、同じような仕事をする正規の職員が自分の倍以上の収入を得ていることを知ってばかばかしくなって離職を決めたというお話でございます。
DV相談員という正式な名称を付けるかは分かりませんが、その職務の重要性に鑑みて、もっと待遇を改善してもらうことはできませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/13
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014・自見はなこ
○大臣政務官(自見はなこ君) お答えいたします。
配偶者暴力相談支援センターは、婦人相談所その他の適切な施設におきましてその機能を果たすようにすることとされておりまして、また、職員の給与や福利厚生については各地方自治体において判断されるものであり、一概にお答えすることは困難でございます。
その一方で、相談員の皆様は被害者の保護を図る上で非常に重要な役割を果たしていただいておりまして、誇りを持って働いていただける環境を確保することは大変重要であるとも考えてございます。
このような観点から、相談員の皆様を含めました各職員の待遇に関しまして、従事する職務の内容や責任の程度、在勤する地域等に十分に留意しつつ、大変申し訳ございませんが、地域の実情等を踏まえて適切に定められることが必要と考えております。
ただ、御懸念もしっかりと受け止めてまいりたいと思いまして、必要な対応を検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/14
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015・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 どうもありがとうございました。是非、国として御検討いただきたいと思います。
最後の質問でございます。
DV防止法六条一項に、DV、医師がこれを発見しても法律上の通報義務はなくて、被害者の同意があれば警察や相談センターに通報することができる努力義務になっていると、そういう条項がございます。
私自身は、これDVの支配と被支配の状況というものを考えると、被害者本人の同意を、これを条件とするということは非常に酷ではないかというふうに思っております。
例えば、家に戻ったときに、まだ保護命令が出ていない場合に、DVがばれたということを被害者本人のせいにされて更に暴力を受けるとか、当然、当初からこれ抑止効果があると思うのです。
こういう、DV、その医師の通報義務についてはどのように考えられているか、参考人にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/15
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016・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間が来ておりますので、簡潔にお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/16
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017・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
DV法におきましては、配偶者暴力防止法におきましては、医師は、配偶者からの暴力によって負傷などした者を発見した場合については、被害者の意思を尊重した上で、配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報することができることとしております。
これは、議員立法によります法制定時におきまして、医師に本来の業務以外に通報義務を課すことの是非、多くの場合、成人である被害者の意思の尊重等を考慮したものであり、医師等が被害者の意思を無視し通報することとなると、通報を嫌う被害者は、配偶者からの暴力で負傷をした場合などに医師等にかからないことになるおそれがあると考えられたためと承知しております。
その上で、配偶者暴力相談支援センター等の利用についての情報提供の努力義務があり、被害者の意思を尊重した被害者の保護を図ってございます。
先生御懸念の被害者の生命又は心身に対する重大な危害が差し迫っていることが明らかな場合には、医師がちゅうちょすることなく通報できますよう、必要な周知啓発等を進めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/17
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018・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 じゃ、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/18
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019・塩村あやか
○塩村あやか君 立憲民主・社民の塩村でございます。今日はよろしくお願いいたします。
質問に入らせていただきます。
私は元地方議員ですので、そして広域自治体の地方議員でございましたから、こうした相談というものをこれまで何件か受けてまいりました。そのときに、残念ながら、私に来た相談というものは全て救うことができませんでした。もう本当にこれは痛恨でした。そうした経験も踏まえて、そうした話も織り交ぜながら今日は質疑をさせていただきまして、次回改正も含めてより良い法律にしていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
まず、DVの定義を簡潔に教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/19
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020・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
DVの定義についてのお尋ねでございますけれども、配偶者暴力防止における配偶者からの暴力の定義についてお答えいたしますと、同法第一条第一項で、配偶者からの暴力を、配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動と定義しております。また、その身体に対する暴力につきましては、身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいうと規定されているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/20
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021・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。まあ同法における定義というのはそういうことになろうかというふうに思います。
一方で、DVの定義というものは、一般的に、身体的な暴力、そして精神的な暴力、三番目が性的な暴力、そして社会的な暴力は五番目、そして六番目は子供に対する暴力ということになっておりますので、少し範囲が狭まるということがこの法律の一つの特徴だというふうに思っています。
今私がお伝えしました六つのDVの定義のうち、本法では、一の身体的暴力、二の精神的暴力、そして三つ目の性的暴力はダイレクトに法律の対象とはなってきているんですが、六番目の子供に対して、これも一部、部分的に保護命令、接近禁止で対象になっているんですが、ここは後ほど触れたいと思っていますが、これ、子供への直接なDVという形にはなっていないと。つまり、これ、配偶者というところに対する身体的、精神的、性的暴力が対象となるというのが主な法律の、この法律のお話だというふうに思っています。
基本的に配偶者間ということになってきます。つまり、親子間のDVなどは直接的な対象になっていないということは繰り返しお伝えしておきたいというふうに思うんですが、法制定時からかなり時間が経過しておりまして、社会の状況、そして家族の在り方も形態も変化をしてきています。お父さんが一番偉くて、全て父の言うことに従うという時代でももうないというふうに思います。
前回の法改正で、DV加害の対象を事実婚まで広げることができました。家庭内の暴力、DVは親子間の暴力や児童虐待もあるはずなんですね。しかし、本法の対象にダイレクトにはなっていないということで、親子間、子供に起こり得るような暴力も定義に含めるべきだというふうに考えますが、政府の見解をお伺いいたします。ダイレクトに含めていくべきだという意味合いで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/21
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022・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
配偶者暴力防止法は、配偶者からの暴力の特殊性を踏まえまして保護命令制度という特別の制度を設けていますこと、また、児童虐待については児童福祉法や児童虐待防止法が設けられていることから、保護命令の申立てをすることができる被害者に子供を位置付けるということは困難でございます。その上で、委員が御懸念のように、配偶者からの暴力と児童虐待が同時に発生することはあり得ると、あると十分認識してございます。
今般の法案におきましては、新たに子への電話等禁止命令を設けるなど、子に関する対策も強化を図ってございます。また、協議会の法定化を規定しておりまして、このような場を活用し、配偶者からの暴力と児童虐待の同時発生の問題についてもしっかり対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/22
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023・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
やっぱり、あくまでもやっぱり配偶者というところがメインになってきていて、そこじゃない部分については少し違う形で対応していきたいということだというふうに思います。
もう一点お聞きしたいんですけれども、今はそういう状況だというふうに認識をいたしました。一方で、今後について、こうしたことも含めて検討されるということはあり得るのかと、そこをお伺いしたいというふうに思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/23
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024・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
今申し上げましたとおり、今回の法案で新たに子への電話等禁止命令を設けますなど、子に対する、関する対策を強化を図ってございます。また、繰り返しになりますけれども、協議会の法定化を規定しておりますので、このような場を活用し、配偶者からの暴力と児童虐待の同時発生の問題についてしっかりまず対応してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/24
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025・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございました。
ちょっと明言はいただけなかったということで、非常に残念だなというふうに思っています。
一方で、こども家庭庁ということになってくると思うんですよね。そうしたものについて、ここにダイレクトに入っていないという問題認識、大臣はどのようにお持ちか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/25
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026・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 今回の配偶者暴力防止法におきまして、制度の沿革を考えますと、やはり配偶者間、あるいは事実婚も含まれますが、対象を拡大をする中で、そういった者たちの関係性の特殊性を考えると、親子関係までこの法の対象にすることはやや難しいのかなと。
一方で、この親子間の児童虐待に関しましては、児童福祉法ですとか児童虐待防止法、こういった法律がございますので、しっかりこういった法を適用し、執行することによって親子間の暴力、児童虐待の防止を図ることは重要だというふうに思っておりますし、こども家庭庁の下で、まあ今日はどちらかというと男女共同参画担当大臣として答弁をさせていただいておりますが、ただ、こども家庭庁の下で児童福祉法を所管し、かつ児童虐待の防止を努めることになりますので、しっかりそこは、この児童福祉法の下での対応とこの配偶者暴力防止法での対応、そこにそごが生じることのないよう連携をして、同時に発生する可能性が高いこの児童虐待と配偶者暴力、これを同時にしっかりと予防し、かつ防ぐことができるように努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/26
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027・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
別の法律で対応するということは、それだけ一つ手間が、同じことが起こっていて、増えるわけなんですよね。迅速性の問題も様々出てこようかというふうに思っています。
次の質問に移りたいというふうに思います。
今回の改正案は、保護命令の中の接近禁止命令に精神的DVと、そして性的DVが追加されたということが一番のポイントです。精神的DVは深刻であることから、今回の改正は多くの方に歓迎をされているところなんですが、幾つかのやっぱり疑問点もあるんですね。
まず、刑法で有罪になるような脅迫事案を含まなくては保護命令の発令ができないのではというような声が上がっています。これ、支援団体の方から上がっているんですね。接近禁止命令の発令に刑法で有罪並みの厳しさを必要とするのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/27
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028・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
接近禁止命令等の対象となります脅迫は、生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知してする脅迫でございます。これは、刑法第二百二十二条第一項脅迫罪と同じ文言としております。
その上で、刑事手続と保護命令手続という手続等の違いにより差異は生じることがあると考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/28
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029・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
ちょっといまいちよく分かりづらいなというふうに思っているんですが、まあちょっといろいろと、少し脅迫罪の有罪とか様々な判例調べてみたんですけれども、保護団体の方が心配されているような厳しさは課されていないのではないかなというふうに思います。
例えばなんですが、その反対派の方に対して、ある運動の、出火お見舞い申し上げます、火の元に御用心とかですね、古い話なんですが、村社会で村八分にするぞといったこと、こうしたことは脅迫罪で成立するというふうに判断されているので、心配するほどの高い基準は課されていないんじゃないかなと、要求されていないんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、こうした認識でよろしいか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/29
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030・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) 繰り返しになりますけれども、刑事手続と保護命令手続という手続等の違いにより差異が生じることがあると考えております。
例えばと申し上げますと、保護命令が出た場合でありましても、必ずしも有罪判決が出るものではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/30
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031・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
今の御答弁が一番分かりやすかったんじゃないかなというふうに思います。ありがとうございます。
そして、裁判官の解釈によって対象となる精神的暴力が限定されてしまうという懸念もあると指摘がされています。
例えば、大声の罵倒とか、長時間の説教とか、睡眠の剥奪など、これは典型的な精神的暴力が被害者を畏怖させる言動に当たることは明らかなんですけれども、それが条文の被害者の自由、名誉、財産に対して害を与える旨を告知する、告知してする脅迫に当たるのかということになってこようかというふうに思います。罵倒や説教のような告知をしない場合はどうなのかというような疑問も出ています。
加害の告知さえしなければ保護命令は出さないという結論はあり得るのか、告知とは一体何なのか、改めて教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/31
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032・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたけれども、配偶者暴力というのは、加害者が自己への従属を強いるため、強いるなどのために用いるという特殊性に鑑みまして、害悪を告知することにより畏怖させる行為として脅迫を対象としたものでございます。
具体的な言動が脅迫に該当するか否かというのは、個別の事案におけます証拠に基づき裁判所が判断すべき事柄ではございますけれども、告知される害悪の内容は、一般に、人を畏怖させるに足りる程度のものであるということが必要でございます。その際、害悪告知が人を畏怖させるに足りる程度のものであるかどうかは、害悪告知に至る経緯、加害者と被害者との関係、被害者の心理的状況などの個別的事情をも考慮に入れることになると認識しております。
なお、告知の方法は、言葉による方法、態度、動作による方法、暗示的な方法や他人を介して間接的に通告する方法も含まれます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/32
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033・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
典型的な精神暴力がこの法律の対象にならないということがあってはいけないというふうに思っております。
被害者の自由、名誉、財産に対して害を加える旨を告知してする脅迫というのは、やはりその被害者保護のために広く捉えるべきだという意見があるということをお伝えしておきたいというふうに思います。
この流れでお伺いしたいんですが、精神的DV、性的DVの具体的な事例を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/33
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034・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
事例にもよりますけれども、例えば性的な画像を広く流布させるといったものは名誉に対する脅迫ということでございます。また、精神的ということでございますと、例えば土下座を強制するなどというようなこと、従わなければ仕事を辞めさせると告げることなどということでございますが、いずれにしましても事案によるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/34
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035・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
ちょっと、じゃ、加えてお伺いしたいんですが、例えばなんですが、毎日のように能なしというようなことを、おまえは何しても稼げない、偉そうなことを言うなというような、こうしたことを繰り返し言うと。トラブルがあれば、おまえはあほなんだからというふうに夫から言われると。次なんですが、外と連絡を取れなくさせると。出れば出たで、今どこにいるんだと四六時中監視されると。約束した時間に少しでも遅れると、家に戻らないと、浮気していたんじゃないかとか、誰と会ってどういう話をしたんだというふうに疑われると。で、子供のことで学校に行ったり、子供を公園に連れていきたいというのも一切駄目であるとか、あとは、もう拳銃だって何だって買えるんだぞというようなことを言って脅かすと。一度怖いと言うと、何を言われてもやっぱり怖いというふうに自分で思ってしまうような状況に陥ってしまうとか、自分の実家に夫が火を付けて車で突っ込むとかめちゃくちゃにしてやるぞとか、生活費として光熱費ぴったりのお金はくれるんだけれども、食費やそのほかのお金はくれないと。光熱費の領収書とぴったりのお金、食費は自分で出してくれと。そうしたものは独身時代の貯金で賄うというようなことがあるそうなんですね。これ、精神的なものの事例だというふうに思います。
そして、性的なものの事例でお伺いしたいのは、嫌なときも性行為を強要されてつらい、避妊をしてくれない、ピルをないしょでもらって飲むようにしていたと。それでも妊娠をしたときに、産みたいと言ったときに、おなかをたたいておろせと言われて、そのときにもう駄目だと思ったんだけれども、そして、子供をおろしてすぐにまた性行為を要求されたと、夫にと。次は、疲れていたときに無理やり性交渉を迫られたときに、嫌というのが伝わってしまって、その後かなり殴る蹴るという暴行を受ける。そして、性的、性交渉の頻度がとても高いので、時を構わず言ってくるような夫であったと。自分は嫌でも従わないと暴力を振るわれるとか。事例四としては、避妊具を付けることをすごく嫌がる、そしてアブノーマルなことをする、そういうことを強要されると。で、これはちょっと言葉が、このまま書いてあることなので伝えると、肛門の方に入れれば妊娠しないだろうということを強要され続けていると。性的な行為というのは自分の思いどおりだと、男の言うことは妻は聞くものだという概念がこびりついている、自分が嫌な避妊用具は使わないということになっていると。
こうしたものは、当然DVに当たるというふうに思うんですけれども、こうしたときに保護命令を出せるということで、認識でいいか、お伺いをしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/35
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036・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
委員から多くの事例があるということをお示しいただきました。
接近禁止命令等の対象となる脅迫に該当するか否かということは、個別具体的な状況に照らして裁判所におきまして判断されるものでございますので、これ以上個別の、それぞれが、一つ一つどうかと、個別の事案の該当性について申し上げることは控えさせていただきたいと存じますけれども、性的自由、貞操というものも対象になり得るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/36
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037・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
あくまでも最終的には裁判所が決めるというのはよく分かるんですけれども、どの程度で自分は救われるのかとか、その辺が分からないと、この法律使えないと思うんですよね。だからこそ、私が都議会議員のときに受けた案件というのは全部都がはねてしまったというようなことになってくるというふうに思います。
今お伝えした事例は全て男女共同参画局のホームページに書いてある事例でございますから、これはやっぱりしっかりとDVに当たるんだというふうに明言していただかないと困ると思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/37
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038・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
冒頭、DVの定義として御説明申し上げました。それと、今議員の御指摘のありますその接近禁止命令等の対象となるものかということにつきましては、先ほどの繰り返しになりますけれども、接近禁止命令等の対象となる脅迫に該当するか否かということについては、個別具体的な状況に照らして裁判所において判断されるものでございますので、個別の事案の該当性について申し上げることは控えさせていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/38
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039・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
とはいえ、その保護命令の対象になり得るのかどうかということを、じゃ、改めて言葉を変えてお伺いしたいと思います。今のままだと多分救われると思う人いないと思うんですよね。しっかりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/39
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040・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) 先ほど、事例に、事案にもよるがと、よりますけれどもということで、先生の精神的なDVとか性的DVの例としてどういうようなものがあるかというお話いただきましたけれども、例えば、私ども、事案にも、先ほどから申し上げましているように事案にもよるわけでございますけれども、例えば、部屋に閉じ込めて外出しようとするとどなると、身体、行動の自由ですとかに対する脅迫、あるいは、土下座を強制するなどの謝罪に関する意思の自由に対する脅迫、あるいは、先ほど申し上げましたが、従わなければ仕事を辞めさせると告げるなどの職業選択の自由に対する脅迫、名誉、まあ性的な画像を広く流布させる、悪評をネットに流して攻撃すると告げるような名誉に対する脅迫、大事なものを壊す、壊してやるとか、ペットを殺してやると告げることですとか、キャッシュカードや通帳を取り上げると告げること、また、被害者の財産を勝手に使うと告げるといったような財産に対する脅迫といったものはこういったものに含まれると考えております。
また、告知の方法、先ほど申し上げましたけれども、言葉による方法ですとか態度、動作による方法、暗示的な方法、他人を介して間接的に通告する方法なども含まれるというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/40
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041・塩村あやか
○塩村あやか君 ちょっと私が聞いたこととはずれた答弁が続いているなというふうに思うので、これ本当に大丈夫かってすごく不安になってくるんですね。
ホームページに載せている内容がですよ、これDVであると、それが程度の問題とか、いろいろあろうかというふうに思います。しかしながら、これが該当し得るというふうに言えないというのは大きな問題があるんじゃないでしょうか。簡潔に御答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/41
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042・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) 先ほど、DVの例として私ども、いわゆる広いDVということで、定義としてホームページなどでお示ししております。また、そういったものは配偶者暴力支援センターなどの相談の対象として相談、広く対象とさせていただいてございます。
今申し上げておりますのは、その保護命令、接近禁止命令等の対象になるものかどうかということについては、個々の個別の具体的な状況に照らして裁判所において判断されるということを申し上げさせていただいてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/42
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043・塩村あやか
○塩村あやか君 ちょっと答弁ずれていますよね。
私が聞いているのは、おたくの局がですよ、ホームページに例示しているDVの例が、程度問題とか回数とか様々なものがあろうかと思うけれども、それが例えば重なったときとかというときに保護命令の対象になり得るかと聞いているんですね。それは最終的に裁判所の判断だというふうには思いますが、それがなり得るというふうにすぐに言えないというようなところに大きな問題があるのではないかというふうに思うわけなんですよ。
これ以上の答弁は求めませんけれども、しっかりとしていただきたいというふうに思います。本当に救えない人が多いから私は申し上げているんです。
続いて、小倉大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
退去命令等につきましては、接近禁止命令等とは異なりまして、精神的DV及び性的DVを対象としておりません。なぜ対象が一律になっていないのか、また一律にするとどのような弊害があるのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/43
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044・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) お答えします。
従来の配偶者暴力防止法におきましては、いわゆる精神的暴力については、その範囲や裁判所における認定の問題があるとして保護命令の対象とされていませんでした。今般、接近禁止命令等について、生命、身体、自由、名誉又は財産に対する脅迫を受けた被害者を広く対象とし、かつ命令期間の伸長、罰則の厳罰化など、相当強化をすることといたしております。
一方で、退去等命令につきましては、命令を受けた者の居住の自由や財産権の制限が大きいものであることから、その被害者の範囲の拡大については、今般の改正による接近禁止命令等の運用状況も踏まえた検討が必要であるため、今般の改正には盛り込んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/44
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045・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
ちょっと後から今の御答弁も含めて聞きたいことがあるんですが、先にちょっと聞きたいと思います。
DVの過去五年の相談件数と保護命令を端的に教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/45
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046・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
配偶者暴力相談支援センター等における相談件数でございますけれども、平成二十九年度は約十万六千件、平成三十年度は約十一万四千件、令和元年度、約十一万九千件、令和二年度、約十八万二千件、令和三年度、約十七万七千件となっております。なお、令和二年度及び三年度は、配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数に加えまして、内閣府が実施します相談事業であるDV相談プラスに寄せられた相談を合算したものでございます。
保護命令の認容件数でございますけれども、これ暦年でありますが、平成二十九年は一千八百二十六件、平成三十年は千七百件、令和元年は千五百九十一件、令和二年、千四百六十五件、令和三年、千三百三十五件となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/46
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047・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
資料の二を御覧ください。
少し統計の取り方が違うので少し数字は異なっていると思うんですが、おおむねこのような形になっています。相談件数は増加しているんですけれども、保護命令の数は、ピンクの方ですね、保護命令の方は、すごく少なくて、一貫して減少しているんです、元々少ないのに。
支援団体、有識者で構成されたワーキング・グループから現実の必要性に応えられていないとの指摘がされています。なぜ保護命令が減少しているのか、専門調査会のワーキング・グループ、現実の必要性に対応していないというこの指摘についての受け止めをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/47
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048・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
最近の配偶者からの暴力に関する相談件数等は、先ほど申し上げましたように増加傾向にあります中で、相談内容の約六割を占める精神的暴力により心身に重大な被害が生じた例も報告されております。
一方で、こちらも先ほど申し上げましたとおり、保護命令の認容件数は減少してございます。この要因といたしましては、現行制度では身体に対する暴力などを受けた被害者のみが対象となっているということですとか、被害実態に照らして接近禁止命令の期間が短いなどの課題があったと考えてございます。
このような考えの下、本改正案を提出させていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/48
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049・塩村あやか
○塩村あやか君 次の資料三を御覧ください。
過去五年の無審尋の保護命令を見ますと、最も多い二〇二〇年、二一年でもたったの十八件なんですね。保護命令まで十二日余りを費やしておりまして、その間に被害者が更に増えると、そうしたおそれがあるというふうに思います。
台湾などは、通常保護、一時保護、緊急保護の三種類がありまして、通常保護以外の一時保護と緊急保護は無審尋なんですよ。発令は四時間以内ということです。
保護命令については、条文上、生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいというときに発令されることになっているんですが、この重大なという要件のハードルが高いため、保護命令の却下につながるおそれがあるとの意見が出ています。
ここで、なので、はっきりしておいた方がいいと思うんですけれども、これ、重大というのはどのような事案を念頭に置いているのか、具体的に教えていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/49
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050・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
どのような場合が重大かということでございますけれども、身体に対する暴力などによりまして、うつ病やPTSDのほか、適応障害、不安障害、身体化障害のような心身、精神医学の見地から配偶者暴力の被害者に見られる症状で通院加療を要するものが既に認められる場合で、配偶者からの更なる身体に対する暴力等を受けるおそれが大きい場合に、その生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいと考えております。
迅速な裁判を図る観点から、運用におきまして診断書を活用することを考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/50
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051・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。ですので、診断書が必要になるような状況であるということだというふうに思います。
じゃ、病院に行けない人とか家で引きこもっているような人はどうなるのかというような疑問点がありますから、やはりこの辺りはもう少し具体的に示していただく必要があろうかというふうに思っています。
ですので、QアンドAとかそういったところでもホームページでしっかりと示していただきたいんですね。被害者がネットで検索をしたときに、診断書っていうのは分かりやすい一例ではあるんですけれども、そこに至るまで、自分が同等レベルとかそこに入りそうだというようなときに自分が対象であるんだというふうに参考になる、そうした情報をホームページなどに掲載しておいていただいた方がいいんじゃないかというふうに今お話を聞いて思ったんですけれども、対応していただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/51
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052・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) 今回の法律改正していただきました暁には、今回の情報提供、国民に対してしっかり情報提供させていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/52
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053・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
この重大なというところに、やっぱり被害に遭われた方とか支援団体の方が懸念を示しているんですよね。なので、やっぱりこの重大だという言葉は絶対に必要だったのかということを小倉大臣にお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/53
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054・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) この法の中にあります保護命令は、一定期間、配偶者に対して、付きまとい等の禁止や、被害者とともに生活の本拠としている住居からの退去命令を命じ、違反した場合に罰則が科される、そういった仕組みになっております。
こうした保護命令の効果に鑑みまして、議員立法でありました改正法、今回審議いただくその前の法からこの重大なという文言があるところでもありますし、加えまして、今回御審議をお願いをいたしましております法改正におきましては、接近禁止命令等の期間を伸長するとともに、保護命令違反の厳罰化なども行うことといたしております。
こういったことに鑑みますと、やはり今回の法改正におきまして重大なとの文言の削除は困難ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/54
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055・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。やっぱりこれ、重大なというところは必要であるという認識ということでした。
ですので、もうホームページなどでしっかりと事例とか事案を示していただきたいなというふうに思っています。これ、使えないんじゃないかと思ったら駄目なんですよね。特に誰にも相談できない人が多いわけですから、ホームページで情報提供するということは非常に重要だというふうに思いますから、ここは切にお願いを申し上げたいというふうに思います。
続きまして、資料の四を御覧ください。
都道府県別で見ると、大都市圏で保護命令の制度が活用されていないんです。都道府県別に発令要件と人口十万人当たりの割合をこれ調査したものなんですけれども、それ、右端を見ていただきたいんですね、五年計と三年計というところに赤で囲ませていただきました。
発令件数が少ないのは、三年だと順に愛知、東京、神奈川、山梨、埼玉で、五年だと愛知と東京なんですね。やはり発令件数が少ないんです。まあDVが少ないとかっていうことは余り考えにくいですから、ここはちょっとやっぱり見ておく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。
これは、保護命令発令までおおむね十二日も掛かるため使い勝手が悪く、大都市では民間団体や弁護士の支援を受けやすいので、そちらで迅速対応されているという指摘がされているんですね。
また、こうした保護命令の活用の地域差、地域全然違うんですけれども、見ていて面白いと思うんですけれども、濃淡を、これ、地域差はDV対策の地域とか都道府県の濃淡を反映しているというふうにお茶の水大学の戒能民江名誉教授は分析をしています。
この支援の濃淡は解消されないといけないというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/55
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056・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 配偶者暴力防止法におきましては、配偶者暴力相談支援センターにおいて、保護命令制度の利用に関する情報の提供、助言等の援助を行うことといたしております。
また、配偶者暴力による被害者が必要な法的相談等の支援につながるよう、内閣府において、法務省、法テラス、日本弁護士連合会と協議を行い、配偶者暴力相談支援センターと法テラス、弁護士会との連携の一層の強化を図ることとし、三月三十一日、先月の三十一日に各都道府県に所要の事務連絡を発出をしたところであります。
やはり地域によって相談しづらい、しにくいというものが被害者にとってあってはならないことだというふうに思っておりますので、これらの取組や今後の基本方針の活用も踏まえまして、地域により被害者への法的な支援の差が生じないように尽力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/56
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057・塩村あやか
○塩村あやか君 是非しっかり対策をお願いいたします。やっぱりITを活用するとか、いろいろやり方はあると思うので、ここはしっかりと行っていただきたいというふうに思います。住んでいる地域の違いで、相談できるとか、保護命令が出る出ないまで行き着く行き着かないという問題が出てきてはいけないと思うので、是非お願いをしたいというふうに思っています。
次です。
そもそも、この保護命令なんですが、資料一のように、大きく接近禁止命令と退去等命令の二種類しかなくて、選択肢が少ないため活用しにくくなっているんじゃないかというふうにも思います。接近禁止命令や刑事事件で有罪判決を受けた加害者に対する長期の保護命令、加害者プログラムの受講命令など、新たな種類の命令創設について検討すべきじゃないかというふうにも思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/57
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058・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) まず、保護命令制度は、命令を受けた者への権利制限を行うものであります。例えば、この法案に、改正の法案に至るまでも、例えばその緊急保護命令についても具体的な在り方について様々な御意見をいただきました。こうした認識を持ってはおりますが、例えば緊急保護命令につきましては、命令を行う主体をどうするのか、その際の適正手続の確保をどうすべきか、また、命令違反を行った場合に罰則を科すことができるかなど、憲法が求める適正手続の要請との関係も踏まえて極めて慎重である必要があり、今回の改正での法制化に至ることはありませんでした。
今般、検討規定を設けておりますので、それ以外の新たな命令としてどのようなものがあり得るかについての検討までを、検討を排除するまでのものではありませんが、検討に当たりましては、立法事実やこれまでの法制的な整合性など、丁寧な整理をした上で、いずれにしても検討する必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/58
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059・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。是非検討をしていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。
私が扱った事案の中に、加害者が二重生活をしているというケースがありました。加害者が別に居宅を構えていまして、被害の女性は別のマンションに暮らしていました。男性がDVで恐怖を与えて、女性を風俗で働かせて、この女性を金銭的にも、そして精神的にも支配をしていたケースです。
前回の法改正で、二十八条の二を準用し、いわゆる同居カップルは対象となりました。しかし、生活の本拠を共にする交際相手という条件が付いておりまして、二重生活をするこうした加害者は本法の対象となるのか明らかではありません。このケースに退去命令、対応はできるのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/59
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060・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) まず、配偶者暴力防止法の対象であります法第二十八条の二に規定をいたします生活の本拠を共にする場合とは、被害者と加害者が生活のよりどころとしている主たる住居を共にする場合を意味するものと考えており、個別具体的な生活実態に照らして裁判所において判断されることになります。
その上で、生活の本拠の所在については、住民票上の住所によって形式的、画一的に定まるものではなく、実質的に生活をしている場所と認められる場所をいい、共同生活の実態により外形的、客観的に判断されるべきものと考えておりますが、補充的に意思的要素も考慮されることがあるとも考えております。
したがいまして、居住期間の単純な長短のみで生活の本拠を共にするかが決まるものではなく、生計が同一であるかどうかという点につきましても、生活の本拠を共にするかどうかの判断に当たっての主たる要素とは考えられないものと考えております。
なお、こうした具体的な判断に当たりましては、住民票の記載、賃貸借契約の名義、公共料金の支払名義等の資料から認定することができる場合はもとより、そのような資料が存在しない場合であっても、写真、電子メール、関係者の陳述等から生活の実態を認定し、生活の本拠を共にすると判断することになるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/60
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061・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。まあざっくりとした方向性とか判断基準を教えていただいたというふうに思います。
一方で、こうしたケースが本当に対象になるのかというところはしっかりと示しておかねば、これ自治体が対応できないですね。東京都がまさにできなかったわけです。この辺り、しっかり考えておかなきゃいけないというふうに思っているんですね。
で、幾つか判例調べてみたんですけれども、まず、生活の本拠とはその者の生活に最も深い一般的生活、全生活の中心を指すというのが一つ。もう一つが、住居、職業、生計を一にする配偶者そのほか親族の存否、資産の所在等の客観的事実に、居住者の言動により外部から客観的に認識することができる居住者思想を統合して判断するのが相当であるという判例。そしてもう一つが、住所の有無は客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより判断すべきとの判例が、こうした判例が長きにより出ているわけなんですね。
これらに照らし合わせて考えれば、私が扱ったこの被害女性は、間違いなく生活の実態の全てが彼女はそこにはあるんですけれども、加害男性は半分ですよね。例えば、住民登録とかそこにない場合、生活の本拠とは言えない。男性の方は半分以下である可能性もあるわけで、これでは被害女性は救済できないというふうに思うんですけれども、こうした二重生活の者は対象となるのかというのは、特に東京なんかはあり得るケースだと思うので、方向性を示すべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/61
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062・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
個別具体的に、それぞれの個別具体によるわけでございますけれども、先ほどの繰り返しになりますけれども、その住民票の住所によって形式的、画一的に定まると、生活の本拠の所在がそれで定まるものではなく、共同生活の実態により外形的、客観的に判断されるものであると、こういうことでございます。
先生、委員から、先ほどのお話でも、ホームページなどできちっと情報提供するというお話もいただいておりますけれども、そういうような中で私どもも情報提供などについても考えていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/62
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063・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
この生活の本拠を共にするというところはやっぱり結構大きな問題が残るんじゃないかなというふうに思っています。こうした女性たち、結構いるはずなんですよね。それがDVでは救えないというふうになってくると、この法律一体何なんだろうというふうに思うし、当時、都議会議員の私はそう思いました。救えないんだなっていうふうに、救えるものがないんだっていうふうに思いましたから、この辺り、自治体等の意見も聞いて、どういうケースがあり得るのか、それがどのレベルであればこの法律の対象になってくるのかという部分はもうちょっと深掘りをしていただきたいというふうに思います。
次です。
今回の法改正、精神的暴力、性的暴力を接近禁止命令に加えましたが、退去命令の要件とはしませんでした。これは、非身体的暴力よりも身体的暴力が重大であり、精神的DVや性的DVは身体的暴力よりも問題が少ないという考え方になるのではないかというふうにおっしゃる方も多いんですね。政府の考えをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/63
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064・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 政府、内閣府といたしましては、非身体的暴力も身体に対する暴力と同様に重大な人権侵害と考えております。
したがいまして、従来の配偶者暴力防止法におきましては、いわゆる精神的暴力については、その範囲や裁判所における認定の問題があるとして保護命令の対象とされておりませんでしたが、今般、接近禁止命令等について、生命、身体、自由、名誉又は財産に対する脅迫を受けた被害者を広く対象とし、かつ命令期間の伸長、罰則の厳罰化など、相当強化をすることとしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/64
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065・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
同等の深刻性があるという認識を示されたというふうに思うので、そこは良かったというふうに思うんですが、では、なぜここに差が出てしまったのかというところはやっぱり疑問が残るということは多いと思うんです。
一方で、私は、よくよく逆から考えていってみると、こうなるのは、ある種、その守るべき対象を守るためにこうなってもいるんだなというふうに思える面があったので、議論を尽くしながら、少なくとも身体的DVの方が非身体的DVよりも重いんだというふうなことにならないような周知はしっかりとしておいていただきたいなというふうに思っています。
次なんですが、接近禁止命令が半年から一年に延長になりました。その理由を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/65
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066・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 被害者への接近禁止命令の有効期間は、命令の申立ての理由となった状況が鎮まるまでの期間として設けられております。
今般の見直しに当たり、内閣府において調査を行いましたところ、半年を経てもなお加害者からの危害や脅迫等を受けるおそれが相当程度に上ることが明らかになりましたことから、今般、接近禁止命令の期間を六月から一年に伸長するものであります。
なお、再度の申立ても可能でありまして、一年を超える接近禁止命令等が必要である場合には、再度の申立てに基づき判断をされることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/66
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067・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。理由は分かりました。
一方で、申立てということでございました。なぜ申立てなんでしょうか。申請による延長はできないのか、なぜ延長では駄目なのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/67
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068・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 元々、退去等命令以外の保護命令の再度の申立てにつきましては、特段の規定はなく、通常の申立てと同様であります。
今般、接近禁止命令の期間を一年に伸長しておりますが、一年を超える接近禁止命令等が必要である場合には、再度の申立てに基づき判断されることになります。こうした法体制は従前の法律と同様と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/68
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069・塩村あやか
○塩村あやか君 資料の五を御覧ください。
これ、多くの国は、再度の申請とか申立てではなくて、延長を認めているんですね。ニュージーランドは取消しまで永久に有効、台湾は二年以内であれば延長回数に制限はないということでした。次回改正で、再度の申請とかではなくて、延長ができるように検討すべきだというふうに思っておりますので、要望しておきたいというふうに思います。
関連してなんですけれども、接近禁止命令を再度これ申立てをした場合、許可の判断は接近禁止期間にDVがあった場合ということが判断基準になるのかということをお伺いしたいというふうに思います。接近禁止命令の効果で、これ、一年間ですね、半年から一年に延びましたよね、この一年の間近づかないわけですから、DVは起こり得ないわけです。それが危険性を否定することになるので、申立てをしても認められないのではないかという疑問の声が出ております。明確にお答えをいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/69
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070・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) 退去等命令以外の保護命令の再度の申立てにつきましては、特段の規定はなく、通常の申立てと同様に判断されてございます。この点、接近禁止命令等につきまして、再度の申立ての際の重大な危害を受けるおそれが大きいことについての考慮要素が必ずしも明確になっていないのが現状でございます。
このため、接近禁止命令等が発令された後に、当該命令の申立ての理由となった事実と同一の事実を理由とする再度の申立てにおける重大な危害を受けるおそれが大きいとの要件の判断に当たっては、被害が、失礼しました、被害者が受けた暴力の重大性、被害の状況、保護命令期間における加害者の態度、申立て時の被害者の心身の状況その他の事情を考慮して判断する旨を基本方針において整理することを考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/70
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071・塩村あやか
○塩村あやか君 済みません、ちょっと分かりやすくお伺いしたいんですけれども、その一年の間に接触がなかった場合は認められないということはないという認識でよろしいですか。分かりやすく答える必要があると思います。難しく答えていると届かないんですね、被害者に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/71
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072・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) 同一の事例、同一の、最初の申立ての理由となった事実と同一の事実を理由とする再度の申立てにおいてでございますけれども、その場合の重大な危害を受けるおそれが大きいとの要件の判断に当たって、先ほど申し上げたとおり、被害者が受けた暴力の重大性、被害の状況、また保護命令期間における加害者の態度、申立て時の被害者の心身の状況その他の事情を考慮して判断するということを基本方針において整理するということを考えさせていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/72
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073・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
ちょっとよく分からないですね。じゃ、その場合どうなのかというところが分からないので、よくよく整理をして、申請できるのかどうか、まあするのは自由なんだと思うんですけれども、どういう判断基準であれば認められる可能性が高いのかというところは整理をして示していただきたいというふうに思います。
保護命令のうち退去命令の期間は原則二か月なんですが、住居の所有者又は賃借人が被害者の場合は申立てにより六か月ということを可能にしています。その理由を教えてください。先ほどあったと思うんですが、改めてお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/73
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074・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 退去等命令につきましては、被害者保護の要請と相手配偶者の権利制約の度合いを利益衡量した上で命令の期間が設けられていることを踏まえまして、同居していた住居が被害者が単独で所有又は賃借するものである場合は命令を受ける者の居住の自由や財産権の制約の程度が小さいと、こうしたことを勘案したものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/74
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075・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
となってくると、やっぱり思うのが、人命より財産権が優先されているのはよろしくないというふうに思います。この辺りもしっかり整理をしていただいて、皆さんが納得できるような形にどんどん変えていっていただきたいというふうに思います。
私の経験上なんですが、支配と恐怖で逃げ出す気力を失っている人を除いて、被害者はDVの支配下にありまして、自分で保護申立てなんてできないんですね。逆に言えば、相手に捨てられたくないと思っている人もいるんです。つまり、共依存してしまっているような状況です。本人は、こうしたことになりますと、相談すら拒否するケースが多いのではないでしょうか。周囲が心配をして行政や議員に相談をするということが少なくないというふうに思われますし、私に来たケースも見かねた周りから来た相談でした。今回で四回目の法改正となります。このような潜在的な被害者をどうするか、そろそろ本気で対応を考えなくてはいけないというふうに思います。
という視点から、まず、大人ではなくて、児童虐待が発覚した場合はどのような対応を行っているのか、時間がかなりなくなってきましたので、端的にお答えください。ストレートにお聞きします。
一時保護等で対応していると思うんですが、これでいいか、端的に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/75
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076・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
配偶者暴力相談支援センター、児童相談所と連携してございますので、児童相談所において対応がなされると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/76
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077・塩村あやか
○塩村あやか君 今、一時保護等が行われるんですね、子供だと。で、なぜ対象が子供ではない場合、第三者からの通報では緊急保護とか一時保護ができないんでしょうか。配偶者暴力防止センターなどが、一時保護はもちろん、接近禁止命令や退去命令などの保護命令につなげることができるように、海外のように、本人の申立てに限定をせず、第三者に申立ての積極的関与をさせるべきだというふうに思うんですね。心理的負担を抱える申請者が、被害者が申請しやすいようIT等も活用するべきだというふうに思っています。
資料五、続けて御覧ください。
日本は申立て者は被害者に限られているんです。海外は保護命令を第三者が申立てできる制度が整っています。イギリス、アメリカ、韓国などは、警察や検察官が保護命令の申立てができるという形になっています。台湾は、緊急保護、一時保護、通常保護があって、緊急保護と一時保護は無審尋です。四時間以内に保護命令が出せるんですね。日本は十二日間掛かっているんですよ。
日本も、諸外国のように、通常保護だけではなくて、第三者が申立て可能としたり、緊急保護や一時保護の制度創設、考えていくべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/77
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078・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 保護命令は、その申立てをした被害者とその配偶者との夫婦関係などに重大な影響を及ぼすものであって、保護命令の申立人を被害者以外が行えるようにするということについては、他の裁判手続との整合性など、相当慎重である必要があると考えております。
他方で、塩村委員御指摘のとおり、被害者の負担軽減の観点からも保護命令手続のIT化は重要だと考えております。この点、法務省が提出しております民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案におきまして、保護命令手続のIT化に係る規定が整備されることとなっております。同法案の状況も踏まえ、被害者が保護命令手続のIT化により負担が軽減されるよう、必要な対応を検討していきたいと考えております。
また、配偶者暴力防止法におきましては、配偶者暴力相談支援センターにおいて保護命令制度の利用に関する情報の提供、助言等の援助などを行うこととしております。
こうした取組によって、保護命令の申立てを行う被害者がちゅうちょすることのないよう、しっかり支援に努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/78
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079・塩村あやか
○塩村あやか君 ちょっと時間が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/79
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080・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) じゃ、岡田局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/80
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081・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) 先ほど、お子さんの、児童相談所で一時保護と申し上げましたけれども、配偶者暴力相談支援センターの一時保護でもお子様の保護をさせていただいているということでございます。
失礼しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/81
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082・塩村あやか
○塩村あやか君 お答えいただいたんですが、私がした質問は、子供は一時保護という部分で、女性、今回DV防止法なので、女性を一時保護するためにという話をしているので、ちょっとまたそこも食い違いが出ているような気もするんですね。
ちょっと余りにも時間がなくなってきたので次に行きたいんですが、子供と連れ子の問題について議論をしていきたいというふうに思っています。これ、余り考えたくないケースなんですが、想定をしていかなくてはいけない問題だと思いますので、あえて触れさせていただきたいというふうに思います。
昨今、連れ子が虐待に遭っている事件が後を絶ちません。一つは暴力を受けているケース、そして性暴力を受けているケース、この二つのケースがあります。どれもこれ、家庭内で起こっているDVです。今回、DVは配偶者やそれに準じた特定関係者が要件とされておりまして、子や連れ子はダイレクトな対象にはなっていないんですね。
私が経験した事案に、十八歳の子が、分かりやすく言えばお母さんに年下の彼氏とか内縁の夫ができて、家に転がり込んできて財布も財産も支配してしまっているケースがありました。私が知ったときには、その子は既にちょっと家を出ているという話だったんですけれども、そんな単純な事情でもなかったらしく、執拗にその子を、その娘さんを家に連れ戻そうとしておりまして、あの手この手でございました。母親は顔に青あざをつくって、歯も折れてマスク姿なんですね。そうした虐待の家であったとしても、母親は支配下にあって、内縁の夫にすがっているような状態です。私は、娘さんをそうした家に戻すことは非常に問題が大きいと考えますし、娘が母親をDVから救いたいと思ったとしても、母親は内縁のDVの夫に支配されて執着をしているわけですから、どうにもならないんです。
先ほど、年の差も申し上げました。お母さんより年下の夫で、お母さんが若いときにできた子供です。その子供さんとその内縁の夫の年もそんなに離れていない、真ん中ぐらいという非常に微妙な年齢関係もあるというような事案で難しかったんですけれども、その子は、暴力とか性的被害から、そこから逃れられたというふうに考えるとまだいいんですけれども、そうではない場合、虐待状態から逃れることができず、母子であらゆるDVを家庭内で受けることになります。
配偶者や内縁の夫から母子が性暴力を含むDVを受けている場合の法的の整理と対処法をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/82
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083・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 内縁の夫から母子が性暴力を受けている場合の法的な整理をということであります。
配偶者暴力防止法におきましては、法律婚のほか、御承知のとおり、事実婚の関係にある相手や生活の本拠を共にする交際関係にある相手からの暴力を受けた場合も被害者となり得ます。このため、御指摘のケースにおきましては、母親がDVを受けており、配偶者暴力相談支援センターによる支援等の対象になります。また、被害者本人については接近禁止命令や電話等禁止命令、被害者と同居する未成年の子につきましては子への接近禁止命令、子への電話等禁止命令、また、成年の子などについては、親族等への接近禁止命令の要件を満たす場合には各種命令が発令されることになります。
また、御指摘のとおり、相当数にわたって配偶者への暴力と未成年の子への虐待が同時に起きている現状があると認識しておりますので、今般の改正案におきましては、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する協議会の法定化も予定をしております。こうした法定協議会の活用や、要保護児童対策地域協議会、要対協への配偶者暴力相談支援センター等の参画など、配偶者暴力対策と児童虐待対策についての多機関連携、これを一層強化することで対応していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/83
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084・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
横串を通していただくという点では良かったなというふうに思うんですけれども、ちょっとこの後の附帯決議をお願いしたときにもやっぱり痛感するんですけれども、完全にやっぱり縦割りなんですよね。今回は、子が性暴力を含むDVに遭っていたとしても、この法律の直接的な対象とはならないので、成年の子という文言で入れ込むしかなく、ダイレクトに外れてしまうわけなんですよ。この事案は本法から除外されてしまったという形になります。親族等への接近禁止という形の適用に、御答弁あったとおり、なってしまうんですよ、これ。直接適用にやっぱりならないんですね。
イギリスでは家庭内暴力法、ドイツは暴力保護法、韓国は家庭内暴力防止法で、年齢等では区切っていないわけです。成り立ちが配偶者というところから始まったのでもうどうしようもないという面はあると思うんですけれども、最初に申し上げましたとおり、様々な形態の家族とか価値観がどんどんと出てきていますから、やっぱり次期法改正では実効性ある法にするために諸外国の例も研究をしていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/84
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085・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 国会で御審議いただいて、その附帯決議をということだと思います。
法案が通った暁には、また附帯決議の状況も見ながら、国際的な事例を参考にし、あらゆる家族形態の中でシームレスに支援の手が行き届くように努力をしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/85
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086・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
本当にいろいろ区切っていてはどうしようもないところがあるので、しっかりと包括的にできるように、根本的な見直しになると思うんですけれども、一気には難しいかもしれませんが、そうしたことも視野に入れながらしっかりと対応していただきたいというふうに思っています。
次なんですが、親同士のDVが子供の発達や心理に与える影響、先ほど広瀬委員からもありましたけれども、やっぱりこうしたことはよろしくないというふうに思うんです。これはやっぱり社会的に周知することが必要だというふうに思います。また、将来的、加害者にも被害者にもなり得る子供たちに対して早期にDV防止の教育をすべきだというふうに思います。
DVに関する予防教育について、基本方針や都道府県の計画等へ記載すべきだというふうに思うんですが、見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/86
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087・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 御指摘のとおり、配偶者からの暴力の防止に資するよう、学校、家庭、地域において、人権尊重の意識を高める教育、啓発や男女平等の理念に基づく教育等を促進することが必要だと考えております。なかんずく、配偶者からの暴力の防止には、若年層に対し、配偶者や交際相手からの暴力の問題について考える機会を積極的に提供することが有用と考えております。
内閣府におきましては、若年層に対して教育、啓発の機会を多く持つ指導的立場にある者などを対象に、いわゆるデートDVや配偶者暴力についてのオンライン研修等を実施しております。また、デートDVにも対応したストーカー被害者支援マニュアルを改訂いたしまして、本年の三月に教育委員会を含めた地方公共団体等に配布したところであります。加えて、文科省が推進をしている命の安全教育においては、中学生及び高校生向けの教材において性暴力の例としてデートDVも取り上げております。
引き続き、基本方針を今後も活用することも含め、関係機関との連携や民間団体との協力などによって、若年層を対象とした、委員が御指摘のような予防も含めた啓発活動を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/87
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088・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
次です。十条三項に規定された子への接近禁止、電話禁止命令についてお伺いをいたします。
条文には、配偶者が幼年の子を連れ戻すと足り得る言動を行っていると、そのほか事情があることから被害者がその同居している子に対して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認めたときに接近禁止と命令、電話命令等の、接近禁止と電話等の命令となるということなんですけれども、幼年の子とは何歳までか、そしてまた、配偶者が幼年の子を連れ戻すと足り得る言動とは具体的に何か、なぜこのような規定を設ける必要があったのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/88
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089・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間が参りましたので、簡潔に御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/89
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090・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
十条第三項における幼年の子とは、議員立法による改正時におきまして、保育所に入所している児童、幼稚園児又は小学生に相当する程度の年齢の者が想定されていると整理されております。
また、配偶者が幼年の子を連れ戻すに疑うに足りる言動ということにつきましては、具体的な事案によりますけれども、例えば、被害者がその子を連れて一時避難している場合において、配偶者が子の通学先、通園先等を探索していること、当該通学先、通園先等に赴いて子の引渡しを要求する言動を行っていること等が典型的にこれに該当すると考えられると議員立法による改正時に整理されてございます。
また、このような規定を設ける必要がなぜあったのかということでございますけれども、子への接近禁止命令や子への電話等禁止命令は、被害者が配偶者と面会せざるを得なくなることを防ぎ、被害者への接近禁止命令の実効性を確保するために設けるものでございます。
このため、被害者への接近禁止命令の要件に加え、被害者が配偶者との面会を余儀なくされることを防止するために必要があると認める場合を要件とし、配偶者が幼年の子を連れ戻すと疑うに足りる言動を行っていることというのはその例示として規定されているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/90
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091・塩村あやか
○塩村あやか君 しっかりと、女性が被害を被ることがないようにしっかりと対応していただくことをお願い申し上げまして、質疑を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/91
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092・塩田博昭
○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
今日はDV法についての審議でございますので、その中でも基本的な課題について一つ一つ今日は確認をさせていただきながら質問をさせていただきたいと、このように思っております。
では、まず最初に、DV被害の相談体制の強化についてお伺いをさせていただきたいと、このように思います。
DV被害の相談件数は年々増加する一方でございますけれども、内閣府の調査によると、女性の約四割、男性の約六割が誰にも相談していない、こういう実態がありまして、そして、相談しても家族や友人がほとんどであると、こういうことでございます。これは、やはり配偶者暴力相談支援センターや警察、児童相談所などの専門機関への相談までに十分に至っていないと、こういうことを表しているのではないか、このように思います。
そこで、メールやSNS、電話などを活用した相談体制の拡充や幅広い広報もやはりもっとする必要があると思いますし、第三者の気付きを見過ごさない取組ということも大事であると、このように思っております。小倉大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/92
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093・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 塩田委員の問題意識、非常に重要だと思っております。
DVの相談体制の拡充につきましては、内閣府では令和二年四月からDV相談プラスを実施しております。このDV相談プラスでは、被害者の多様なニーズに対応できるよう、二十四時間対応の電話相談に加えて、SNSやメール等での相談への対応、さらには、全国の民間支援団体のネットワークとも連携をしまして、必要な場合には関係機関への同行支援や保護まで対応することとしております。
また、被害者本人からの相談のほか、第三者からの通報も受けている全国の配偶者暴力相談支援センターについて、令和二年十月から、全国どこからでも共通の短縮ダイヤル、シャープ八〇〇八に掛ければ最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながるDV相談ナビダイヤルを導入し、はれればの語呂合わせでカードの作成、配布等により広報の徹底も図っておるところであります。
今後とも、DV相談プラス及びDV相談ナビダイヤルの運用によりましてDV相談体制を充実させると同時に、相談や支援を必要としている方々にしっかりと行き届くように、その周知に努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/93
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094・塩田博昭
○塩田博昭君 大臣、ありがとうございます。
やはり、このシャープ八〇〇八とか、こういう一つ一つについてまだまだやっぱり広報がこれから更に必要なんだろうなというふうに思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
そして、児童相談所との連携強化についてお伺いしたいと思います。
配偶者への暴力と子供への虐待がやはり同時進行しているケースが増えていると思います。このために、現行法にも配偶者暴力相談支援センターと児童相談所との連携強化が明記されていますけれども、各自治体における連携はやはりまちまちでございまして、十分に進んでいない自治体もございます。児童福祉法では児相が必要と判断すれば保護者の同意なしで子供を一時保護できますけれども、DV防止法では同意がないと子供の保護はできません。
そこで、DV担当の職員と児相が様々な子供の事例を想定して更に連携強化への取組や子供への心理的援助を進めるべきでありますが、その取組について小倉大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/94
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095・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 御指摘のとおり、そしてこれまでも議論にありましたように、いわゆる面前DVを含め相当数にわたって配偶者への暴力と未成年の子への虐待が同時に起きている状況があると認識しております。
医学的又は心理学的な援助を必要とする子供に対しては、児童相談所において、精神科医や児童心理司等が連携を図りながら個々の子供の状況に応じてカウンセリング等を実施すること、また、子供が安心して安定した生活ができるよう継続的な支援を行うことが必要と考えております。
今回の改正法案におきましても、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する協議会の法定化、これを予定しております。こうした法定協議会の活用や、要対協への配偶者暴力相談支援センター等への参画など、配偶者暴力対策と児童虐待対策についての連携を一層強化をするため、基本方針の改正を含め、しっかりと対応していきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/95
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096・塩田博昭
○塩田博昭君 ありがとうございます。
今のは、やはり子供に対して、一時保護であるとか、やはり心理的な支援をしっかりやっていく、こういうことが必要であるということなんですけれども、子供を保護することができても、もう一つの、まあ関連してですね、児相によって子供を一時保護できたケースでも、同じように、配偶者などからDVを受けている大人がその一方でいると。
こういう中で、被害者に気付きを促すこと、要するに、本人自身が自分が悪いからなんだといってなかなか気付いていない、こういうケースがあったり、その本人に対する気付きを促したり、きちっと聞き取りをしてあげる、こういう丁寧なやはり対応が必要であると、このように思います。
こうした児相との連携について見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/96
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097・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、個々の事案の対応については、配偶者からの暴力と児童虐待は密接に関連するものであることを踏まえた丁寧な相談対応を始め、関係者の連携を一層強化することが重要であると考えております。
内閣府におきましては、これまでも、配偶者暴力相談支援センターにおける要保護児童対策地域協議会、要対協への参加の促進、DV対応に当たる相談員等と児童相談所の職員の双方を対象とする研修の実施等の取組を進めてきたところでございます。
さらに、今般の改正がなされれば、その内容を踏まえまして、配偶者暴力相談支援センターと児童相談所等がそれぞれの立場で考え得る対応を積極的に共有し対処すべきである旨を基本方針等で明確に示したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/97
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098・塩田博昭
○塩田博昭君 ありがとうございます。
そして、新たな保護対象となった精神的DVについてお伺いをしたいと、このように思います。
相談内容の約六割を占める精神的DVによって心身に重大な被害が生じた例がやはり数多く報告をされております。身体的なDVに加えて精神的DVに踏み込んだことはとてもやはり重要なことでございますけれども、精神的な症状は仕事や様々な人間関係なども複合的に絡まっている、こういうケースがあると思います。
そこで、精神的DVに対して医師の診断書などによって迅速な対応がやはり必要であると、このように考えておりますけれども、どう早期発見をしていくのかについて工夫が必要であると、このように思います。これについて、岡田局長、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/98
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099・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、被害者は、繰り返される暴力の中でPTSD等の障害を抱えることもあり、また、加害者からの追及の恐怖、経済的な問題、将来への不安等により精神的に不安定な状態にある場合もございます。
接近禁止命令につきましては、身体に対する暴力等によりまして、うつ病やPTSD等のような精神医学の見地から配偶者暴力の被害者に見られる症状で通院加療を要するものが既に認められる場合で、配偶者からの更なる身体に対する暴力等を受けるおそれがある場合には、その生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいと考えられることから、診断書の活用について明確にしていきたいと思います。
また、配偶者暴力相談支援センターにおいても、被害者の心身の健康を回復させるため、医学的又は心理学的な指導を行うこととなっております。繰り返し家庭内で暴力を受けてきた被害者が心理的な安定を取り戻すためには回復のための一定の期間を経る必要があり、基本方針において、被害者が地域での生活を送りながら回復を図るためのカウンセリング等を受けられるよう必要な対応を取ることとしております。
さらに、精神的な被害を受けた被害者が早期に必要な相談や支援につながるよう、今般の改正がなされれば、その内容も踏まえ、更に必要な対応がないか、基本方針の見直しにおいて検討したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/99
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100・塩田博昭
○塩田博昭君 どうかよろしくお願いいたします。
そして、医療機関からの通報の強化についてお伺いをしたいと、このように思います。
やはりDVの早期発見には、医療機関がDV被害を見付けた段階での通報というのが非常に有効であると、このように考えます。しかし、今回の改正案でせっかく精神的DVが保護対象になっても、暴力の発見者による通報は身体に対する暴力に限るとの規定が変更されていないために、精神的DVを医師が発見しても通報の努力義務が課されていない、こういうことになってしまっています。
そこで、例えば法案の国が定める基本方針の中に精神的DVを発見した医師が自治体の関連機関等への通報の努力義務を書き加えるべきではないかと、このように思いますけれども、小倉大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/100
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101・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 配偶者暴力防止法におきましては、医師に本来の業務以外に通報義務を課すことの是非や、多くの場合成人である被害者の意思の尊重等を考慮する必要があること、医師等が被害者の意思を無視し通報することとなると、通報を嫌う被害者が配偶者からの暴力で負傷した場合などに医師等にかからないことになるおそれがあることから、議員立法による法制定時において通報することができるとの規定になったと承知をしております。また、配偶者暴力相談支援センター等の利用についての情報提供の努力義務があり、被害者の意思を尊重した被害者の保護を図っております。
その上でですが、塩田委員の御提案も踏まえ、被害者の生命又は心身に対する重大な危害が差し迫っていることが明らかな場合には医師がちゅうちょすることなく通報ができるよう、基本方針の活用を含めて何ができるのか、必要な対応を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/101
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102・塩田博昭
○塩田博昭君 大臣、ありがとうございます。
ともかく、医師からの通報は様々な今大臣がおっしゃったような難しさもありますけれども、その一方で、やはり本人が本当に命に及ぶような被害を受けていても、なかなかやっぱりその本人が通報することに対してちゅうちょしてしまうようなことがあってはいけないだろうと、このようにも思いますので、やはりそこは医師との連携ということがやっぱりしっかり前に進むことが必要であると、このように思っていますので、どうかよろしくお願いいたします。
そして、保護命令の発令件数の減少についてお伺いをしたいと思います。
三年間続いたコロナ禍の中で、特にやはり全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談件数、急増しております。また、高止まりもしている一方で、保護命令の発令件数は平成三十年の千七百二十六件から令和四年の千八十二件へと減少を続けているということでございまして、やはりなぜ保護命令の発令件数が減り続けているのかについて、私の前にも議論が行われましたけれども、改めてその要因が何か、どう分析しているのかについてお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/102
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103・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
最近の配偶者からの暴力に関する相談件数等が増加傾向にあります中、相談内容の約六割を占める精神的な暴力による心身に重大な被害が生じた例も報告されております。一方で、委員御指摘のとおり、保護命令の認容件数は一貫して減少しております。
この要因としては、現行制度では身体に対する暴力などを受けた被害者のみが対象となっていることや、被害実態に照らして接近禁止命令の期間が短いなどの課題があったと考えてございます。このような考えの下、本改正案を提出させていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/103
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104・塩田博昭
○塩田博昭君 次に、保護命令の発令までの期間短縮についてお伺いをしたいと思います。
DV被害者が裁判所に保護命令を申し立てても、発令までにやはり平均十二・七日間掛かっております。今回の改正案に精神的DVが盛り込まれたことは重要な改正である一方で、身体的DVと比べてやはり精神的DVの立証の難しさなども加わって、保護命令発令までに更に期間が延びるのではないかという懸念もあります。
この保護命令の発令までに、裁判所が、結局本人が申立てに行き、そしてさらに双方から意見を聞き取る、こういう段取りが必要ですので、一定の時間が必要なのは十分分かっておりますけれども、二週間近くはやはり長いのではないか、このように思うんですね。
事案の緊急度に応じてもっと期間を短縮して保護命令を発令できないのか、これについて小倉大臣の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/104
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105・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 保護命令の発令までの期間、それ自体については司法権である裁判所に関わる事項でありますので、お答えは御容赦願いたいと思いますが、その上で、証拠書類の収集の負担が保護命令の申立ての支障になることを避ける必要があるとも考えておりまして、また、申立ての段階から必要な情報を裁判所に提出することで迅速な裁判に資するものとも考えております。
このため、法の見直し時におけるワーキング・グループからの提言も踏まえつつ、配偶者暴力相談支援センターによる申立ての支援強化を図りたいと考えております。また、配偶者暴力による被害者が必要な相談、法律相談等の支援につながりますよう、内閣府において法務省、法テラス、日本弁護士連合会と協議を行い、配偶者暴力相談支援センターと法テラス、弁護士会との連携の一層の強化を図ることとし、先般、各都道府県に所要の事務連絡を発出したところであります。
こうした取組や一時保護の活用を含めまして、まず何よりも被害者に危害が生じないよう尽力をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/105
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106・塩田博昭
○塩田博昭君 大臣、ありがとうございます。
ともかく、裁判の方の期間というのは我々でどうこうすることはできないわけですけれども、そこまでに至る前の申立てを支援をしていく、それが期間を短縮する一つの材料になる、こういうことにもなると思いますので、是非そういうところについてお願いをしたいなというふうに思っています。
そして、一方で、制度が使いづらいのではないかという指摘もございまして、今回の法改正を機に自治体による保護体制を強化すべきだと、このように思っています。
例えば、自治体の施設や民間シェルターなどに一時保護した後、実情に応じて、保護命令の発令前であっても公営住宅の入居など弾力的な支援が可能なのか。今回の改正案の都道府県が定める基本的な計画の中に被害者の実態に沿った具体的な支援を明記できるようにすべきと考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/106
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107・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 今回の法案では、都道府県基本計画の記載事項として、被害者の自立支援のための施策、当該都道府県、関係地方公共団体及び民間の団体の連携、協力に関する事項を追加をすることといたしております。
また、昨年度におきましても、保護命令の発令にかかわらず、配偶者暴力相談支援センター等への相談の事実を踏まえ必要な支援が図られるようにすることも含め、委員御指摘の公営住宅の入居、雇用保険制度上の特定理由離職者としての扱い、医療や年金に係る社会保険などについて、被害者の生活再建支援の強化のために必要な対応を整理し、先月、各地方公共団体に周知を、通知をさせていただきました。都道府県の基本計画につきましては、国が定める基本方針に即してこれを定めることとなっております。
今般の改正がなされれば、塩田委員の御指摘もしっかりと受け止め、被害者の実態に沿った具体的な支援につながりますよう、現行の基本方針に記載すべき事項をまず洗い出し、見直しを図ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/107
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108・塩田博昭
○塩田博昭君 この保護命令前というのは結構難しいことがいろいろ起こるケースがございまして、今大臣、保護命令前でも対応可能なものを述べていただきまして、大変にありがとうございます。
そして、今と同じような、関連して、DV被害によって自治体の保護施設や民間シェルターなどで一時保護中の母子等に対する公的支援についてお伺いをしたいと思います。
保護命令の発令前やその後に関係なく、政府や自治体が行う、例えば低所得世帯に対するいろんな支援、またその一人親家庭への支援金などについて、自治体がDV被害者であることを把握をしている場合で、公的支援がちゃんと行き届くようにしてもらいたいというふうに私のところにも様々な声を実はいただいております。これまで保護命令が出ていないということを根拠に一部の自治体では公的支援が届かないという事例が発生をいたしまして、そこを支援している団体からも私何度もお叱りをいただいたところでございます。
今回、様々な事情によって保護命令を出していない場合でも実情に合わせて公的支援が行き届くように、例えば事務連絡を出すなど、そういう工夫をしていただきたいと思いますけれども、小倉大臣の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/108
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109・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 委員御指摘のとおり、コロナ禍におきまして、保護命令が出ていない、これを根拠にして一部の自治体で公的支援が届かない事例があったと私どもも承知をしております。
内閣府においても、公的支援の制度所管省庁と連携をして、配偶者からの暴力の被害者が適切に扱われるよう通知を行ってきたところでもありますが、塩田委員の御指摘も踏まえまして、法案をお認めいただいた暁には、基本方針の活用等も含めて、さらに、この保護命令が出ていないことを理由に公的支援が受けられないといった被害者が出てこないよう、必要な対応を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/109
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110・塩田博昭
○塩田博昭君 大臣、ありがとうございます。
本当に基本方針にしっかり書いていただければ、そこの次の段階で都道府県の方でもそれに対してしっかり対応できると、このように思っていますので、是非よろしくお願いをしたいと思います。
そして次に、民間シェルターとの連携の強化についてお伺いをしたいと思います。
DV被害者が配偶者等の暴力から逃れて自立の道を歩む上で、地域における民間シェルターは重要な役割を担っていると、このように思っております。公的シェルターに加えて、民間シェルターが被害者のニーズに沿った柔軟な支援を行っていっているところは結構ございます。そして、DV被害者支援には不可欠な存在であると、私もそう思っております。
しかし、一方で、DV被害者支援の中に正当に位置付けられていなかったり、活動の独自性を正当に評価されていないと、こういった声も一部から聞かれております。民間シェルターをDV被害者支援の重要な存在と位置付けて、公的機関との更なる連携強化への取組が必要と考えますけれども、この見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/110
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111・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、配偶者からの暴力から被害者を保護するためには、民間シェルターなどとの連携が欠かせません。このため、本法案では、基本方針や都道府県計画におきまして、民間団体も含めた多機関連携を必要的記載事項とすることにより、また法定化する協議会におきましても、民間団体を含めた情報交換等が図れるようにしております。
今般の改正がなされれば、基本方針の改定や法定協議会の活用を含め、公的機関と民間シェルター等の民間団体が一層連携していけるよう、取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/111
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112・塩田博昭
○塩田博昭君 どうぞよろしくお願いいたします。
そして、民間シェルターに対する財政支援の拡充についてお伺いをしたいと、このように思います。
多くの民間シェルターは、やはり財政面や人的基盤共に大変厳しい状況の中で運営をされている、こういう状況でございます。そこで、民間シェルターに対する財政支援の拡充がやはり急務であると、このように思いますけれども、例えば、地域女性活躍推進交付金であるとか、性犯罪・性暴力被害者支援のための交付金などを活用して、既に自治体においては支援している事例もございます。こういう予算がありますけれども、やはり予算規模が小さいために支援も薄いという実態も一方でございます。
そこで、事業予算を更に増額するなど、より工夫して民間シェルターなどへの支援を拡充できないかと、このように考えております。DV被害者の支援強化のためには、民間支援団体への財政的支援の枠組みということがやはりどうしても必要ではないか、このように考えますけれども、小倉大臣の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/112
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113・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) DV被害者等の保護や相談、自立支援等を行う民間シェルター、これにつきましては、昨年の九月に、私もリモートで見学をさせてもらって、支援に携わっていらっしゃる方々と意見交換を行いました。民間シェルターの方々が被害者に寄り添ったきめ細やかな支援をしていることについて、実感を持って私も知ることができました。その一方で、塩田委員御指摘のとおり、民間シェルターは、財政面、人的基盤の不足といった課題を抱えているものと認識をしております。
委員御指摘の地域女性活躍推進交付金を活用して、DV被害者に限らず総合的な相談窓口業務に対する支援を行っている例もありますが、DV被害者等を支援をする民間シェルター等の活動を対象としたものとしては、こちらも塩田委員御指摘の性暴力・配偶者暴力被害者等支援交付金の配偶者暴力被害者等支援調査研究事業に係る交付金を内閣府から都道府県等に交付をさせていただいております。
こうした交付金を今後とも活用いたしまして、民間シェルター等と連携をして、DV被害者の支援に取り組む都道府県等の取組を後押しをし、地域におけるDV被害者の支援体制の充実に努めてまいりたいというふうに思っておりますし、やや予算が足りないのではないかという御指摘もいただきました。内閣府といたしましては、今後とも、民間シェルター等と連携をして、DV被害者支援に取り組む都道府県等の支援に必要な予算の確保に努めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/113
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114・塩田博昭
○塩田博昭君 次に、DV被害者へのやはり精神的支援の充実について改めてお伺いをしたいと思います。
DV被害者が、やはりうつ病であるとか心的外傷後ストレス障害、PTSDを発症するケースが起こっております。また、うつ病やPTSD以外にも、自殺傾向や不安障害、アルコールや薬物乱用などが認められるケースも一部にございます。こうしたDV被害者への精神的支援の体制をどう充実をしていくのかということは本当に大事なことでございますけれども、国の定める基本方針の中にこのような被害者の自立支援策がやはり明記されるのかについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/114
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115・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、精神的暴力は重大な人権侵害と考えておりまして、御指摘のように、被害者は繰り返される暴力の中でPTSD等の心身に重大な被害を受けることもあり、また、加害者からの追及の恐怖、経済的な問題、将来への不安等により精神的に不安定な状態にある場合もございます。
配偶者暴力防止法におきましては、被害者を支援するため、配偶者暴力相談支援センターにおいて、被害者の心身の健康を回復させるため、医学的又は心理学的な指導を行うこととなってございます。また、繰り返し家庭内で暴力を受けてきた被害者が心理的な安定を取り戻すためには回復のための一定の期間を経る必要があり、基本方針において、被害者が地域での生活を送りながら回復を図るためのカウンセリング等を受けられるよう必要な対応を取ることとしております。
さらに、昨年末に就業、住宅、子育てなど、支援現場の意見を反映させた八項目三十二件にわたる抜本強化策を取りまとめ、見直し等に関する各制度所管府省からの通知等に加えまして、三月三十一日に内閣府男女共同参画局から全体の概要を整理し、各地方公共団体の配偶者暴力対策所管部局に向けて一括して通知いたしました。その上で、更に必要な対応がないか、基本方針の見直しにおいて検討したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/115
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116・塩田博昭
○塩田博昭君 ありがとうございます。
もう一方で、DVの再発防止についてお伺いをしたいと思います。
悲惨なDV被害の再発を繰り返さないためにも、やはりDV加害者に対する十分な更生プログラムの実施が重要であると、このように考えます。DV加害者が更生プログラムを受けないことによって新たなDV被害者を生まないためにも、具体的なプログラムの検討などについて、今後の体制の強化についてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/116
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117・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
配偶者暴力の被害者の中には、子の養育上の事情や経済的な事情により加害者と同居することを選択せざるを得ない方もおられますので、加害者への対応は被害者支援の一環として重要なことであると考えております。
加害者プログラムにつきましては、内閣府において令和二年度から四年度にかけまして試行実施を行ってきておりまして、それによって得られた知見に基づいて実施に当たっての留意事項を整理して、都道府県等にお示しすることとしております。
その上で、内閣府からお示しする留意事項も活用した各都道府県等での今後の実施状況を踏まえ、加害者プログラムの受講の在り方や全国での実施体制の在り方などについて検討を行い、全国的な実施に向けて取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/117
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118・塩田博昭
○塩田博昭君 もう一問ございましたが、ちょっともう時間もございませんので、さらに、何というんでしょうか、ストーカーに絡むような、DV型のストーカーということも一部起こっております。そういうことを考えると、今後、更にDVに対してあらゆる方面についてきちっとした対応が必要であるということをお願いをしまして、質問とさせていただきます。
以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/118
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119・高木かおり
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりでございます。
DVは弱い者への暴力ということで絶対に許すことはできません。今回のDV防止法におきまして、保護命令の申立てをできる被害者は加害者の配偶者のみとされていて、子供や親族は該当しません。この点、議論が先ほどもございました。
少しこの質問と順番もいろいろ変更させていただくやもしれませんが、御理解をいただきながら質問を進めさせていただきたいと思いますが、これ、今まではこの接近禁止命令のみでしたが、今回は被害者と同居する未成年の子供への電話等禁止命令を創設することとなっております。この点は大変評価される点だと考えておりますが、やはりこれ、子供についても、この同じ家庭内で起こるDV、児童虐待、こういったことからしますと、子供についても被害者としてやはりこれは位置付けていくべきではないかと思います。この点について、まずは御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/119
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120・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
配偶者暴力防止法は、配偶者からの暴力の特殊性を踏まえまして保護命令制度という特別の制度を設けていますこと、また、児童虐待については児童福祉法や児童虐待防止法が設けられていることなどから、保護命令の申立てをすることができる被害者に子供を位置付けることは困難でございます。その上で、委員御懸念のように、配偶者からの暴力と児童虐待が同時に発生することはあると、ことは十分認識してございます。
委員御指摘のように、今般の法案におきましては、新たに子への電話等禁止命令を設けるなど、子に関する対策も強化を図ってございます。また、協議会の法定化を規定しておりまして、このような場を活用し、配偶者からの暴力と児童虐待の同時発生の問題についてもしっかり対応していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/120
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121・高木かおり
○高木かおり君 御答弁は、おっしゃっておられるような、今現在この状況はそういった御答弁になるんだと思うんですけれども、やはりこの同居している場合、親同士のまさに目の前で起こるDVが子供の発達それから心理状況に大変悪影響を与えていると、これは虐待と言っても過言ではないと思います。
虐待事案まで行かなくても、日本小児科学会では、子供虐待は、たとえそれが死に至らなくても、その子供の心と脳に大きな傷痕を残して、青年期や成人期になってからも後遺症となって残ってしまい、精神障害や人格障害、行動面の問題等を引き起こしかねないというふうに言われています。この虐待まで行かなかった場合でも、いわゆるこれマルトリートメント症候群ということで、よく今も取り上げられておりますが、子供の脳にこの悪影響があるとされている症状、こういったことも引き起こすことが大変問題視されていると思います。
長期間にわたってこの二次的な被害を引き起こすことにつながっていくということに対して大変懸念をしておりますが、この点について大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/121
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122・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 児童虐待防止法におきましては、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力は児童虐待として位置付けられております。
高木委員に専門家の見解を御紹介をいただきましたように、このようないわゆる面前DVにより、罪悪感や無力感、逃避や、自己評価が低くなる、暴力で問題を解決しようとするなど、子供の心や体に様々な影響を与えるものと認識しております。
被害児童への偏見につながらないよう留意する必要があるとは思いますが、このような面前DVが極めて深刻な問題であることを含め、配偶者からの暴力は重大な人権侵害であり許されないことについて、しっかりと周知徹底をせねばならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/122
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123・高木かおり
○高木かおり君 続いて、引き続き大臣に伺いたいと思いますけれども、本当にこの子供たちへの影響というのは多大なる、そして予測も付かない二次的な被害になっていく、しかも長期的にこれから青年期、それから大人になってからも続いていくという可能性も秘めているわけです。
そういった中で、この児童虐待とDVとの連携について伺います。
児童虐待とDVは、先ほどもあったように同一家庭内で起こっているケースが大半だと思います。このDV被害者等の保護を行うに当たって、相互に連携を図りながら協力するように努めるべき機関に児童相談所が含まれていることは明確化されているわけなんですけれども、これが本当に綿密に連携できているのか、必要と考えられる情報の共有等はしっかりできているのかという懸念が私にはございます。
児童相談所、また支援センターのどちらが先に関与することになったとしても、やはりこの専門分野にしっかりと理解を深めて、更に連携を更に強化する、こういったことが大変重要だと思いますけれども、今後どのように対策を講じていくのか、この点について再度伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/123
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124・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) これまで議論させていただきましたように、児童虐待と配偶者暴力、複合的に発生をするおそれの高いものについては、しっかり多機関が連携をしてこれに対応する必要は私どもも強く感じております。
したがいまして、今回の改正法案におきまして、先ほども申し上げたように、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する協議会につきまして、これを法定化する規定も盛り込まさせていただきました。さらに、今回の法案におきまして、国の定める基本方針や都道府県の定める基本計画の必要的記載事項として、多機関の連携、協力を追加することとしており、平時から連携協力体制を構築することといたしております。
かような法定協議会の活用ですとか、先ほど来申し上げているような要対協への配暴センター等の参画など、配偶者暴力対策と児童虐待対策についての連携を、これを意識をして一層強化をすることで、しっかり対応させていただきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/124
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125・高木かおり
○高木かおり君 国の基本方針であるとか、また、その都道府県の基本計画の中にしっかりと入れていくということは大変重要だと感じておりますし、その点は先ほどからのほかの委員からの様々な議論の中でもあったかと思いますが、是非ともこちらに関してはやっていただきたいというふうに思います。
続きまして、保護命令について伺っていきたいと思います。
この保護命令に関してもいろいろな角度から既に御質問が出ておりましたけれども、やはりDV相談件数が増え続けているのに対して保護命令の発令が減り続けている、この論点もありました。申立てから発令まで平均十二日ほど掛かると言われて、まさにこういったことが、使い勝手の悪さが原因ではないかということも指摘がされておりました。
これは先ほど御答弁の中にありました、保護命令は精神的DVは入っていないからそういった乖離性もあるんではないかというようなお話もあったかと思いますが、やはりこの緊急的な手続として、この保護命令が発令されるまでの間に暫定的な効力を有する命令の発令についても、やっぱりここ検討する必要があるんではないかというふうに思います。
こういった点について政府参考人から御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/125
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126・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
保護命令制度は、命令を受けた者への権利制限を伴うものでございます。御提案いただいた緊急保護命令につきまして、具体的な在り方について様々な御意見があると認識しておりますけれども、命令を行う主体をどうするか、その際の適正手続の確保をどうすべきか、また、命令違反を行った場合に罰則を科すことができるかなど、憲法が求める適正手続の要請との関係も含め、極めて慎重である必要がございます。
その上で、保護命令が発令されるまでの間に被害者に危害が生じることはあってはならないと考えております。このため、事案に応じ、被害者の一時保護の活用を含め、被害者の安全が確保されるよう取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/126
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127・高木かおり
○高木かおり君 繰り返しの御答弁になっていたかと思いますけれども、やはりここはしっかりやっていっていただかないといけませんし、やっぱりこの新たな保護命令の検討等の必要性であるとか、被害の実情に応じた保護命令制度の見直し、こういったことも引き続き、様々な事例があるかとは思いますけれども、是非ともお願いをしておきたいというふうに思います。
やはり、この全国の配偶者暴力相談支援センターなどから寄せられたDV相談は、本当に、令和二年度、前年度比、比べても本当一・五倍、十八万件を超える、本当に急増しているという中で、今もって高止まりをしているような状況の中で、こういったことはしっかりとやっていっていただきたいというふうにお願いを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。
先ほども話が、同じ論点で質問がありましたけれども、この生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいと、そのときに発令されるのが保護命令ということでございます。保護命令の接近禁止命令ということなんですけれども、やはりこの重大なという要件のハードル、これがやはりなかなか、どういった具体的なものであるかということがなかなか分かりづらいという点もあって保護命令の却下につながるおそれがあると、こういった御意見もあります。
これ、まずどのような経緯で重大なとしたのか、改めてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/127
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128・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
保護命令ですけれども、一定期間、配偶者に対し付きまとい等の禁止や、被害者と共に生活の本拠としている住居からの退去を命じ、違反した場合に罰則が科される仕組みとなっております。
御指摘の重大なの要件でございますが、このような保護命令の効果に鑑みまして、議員立法による制定時から要件として定められているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/128
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129・高木かおり
○高木かおり君 今御質問させていただいたのは、この重大なという文言を入れた、そのような経緯ですね、どういったまあ例えば立法事実があり、そしてどんな経緯で重大なとしたのか、これが、先ほどもありましたように議員立法ということなんですけれども、具体的なイメージがちょっと湧きづらいなというふうに私も率直に思います。
今回の法改正において、これ保護命令を厳罰化したということで、やはり大変この権利制限ということから重大なというふうにしなきゃいけないということも先ほどの議論の中にもあったんですけれども、やはりこの、例えば、じゃ、病院に行けない人はどうするのかとか、引きこもりはどうしたらいいのかというような議論もありましたが、この重大なとした点について、もう一度この見解を問いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/129
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130・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
繰り返しになって恐縮でございますけれども、その保護命令制度というものが、一定期間、配偶者に対して付きまとい等の禁止、今被害者と共に生活の本拠としている住居からの退去を命じて、違反した場合には罰則を科されるという仕組みになってございますことから、この保護命令の効果に鑑み、議員立法による制定時から要件として定められているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/130
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131・高木かおり
○高木かおり君 現行の保護命令制度には、接近禁止命令と退去等命令の二種類があります。これでは十分ではないんではないかというふうに考える点から質問をしたいんですけれども、これ、例えば暴力の禁止命令であるとか有罪判決の加害者に対して保護命令といった被害者に寄り添った多様な保護制度、こういったことも検討する必要があるのではないかというふうに思います。
この保護命令の期間についても、やはりこの再度の申立ては大変厳しい状況の中で、やはり更に大変なことで、そういった延長できるようなことをするですとか、こういったことも関係法令である例えばストーカー規制法、こういったものと連携をしながらいろいろと柔軟に取り扱っていくこと、こういったことも必要ではないかと、いろんなことを考えるわけなんですけれども、この被害者に寄り添った多様な保護制度、こういったことも今後検討すべきではないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/131
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132・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) 今回、接近禁止命令の期間につきましては、命令の申立ての理由となった状況が鎮まるまでの期間として設けられておりまして、昨今の配偶者からの暴力の状況を踏まえ、今般の法案では六か月を一年に延長することとしたところでございます。また、再度の申立てが可能であり、一年を超える接近禁止命令等が必要である場合には、再度の申立てに基づき判断されることになります。また、今般、子への接近禁止命令と相まって、被害者本人への接近禁止命令の実効性を確保する観点から、新たに子への電話等禁止命令も設けることとしております。
御指摘の多様な保護命令制度につきましては、既存の制度で救済が不十分な点が具体的にどのようなものがあり、それに対応するための制度として具体的にどのような形があり得るかなどの整理が必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/132
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133・高木かおり
○高木かおり君 今御答弁で、既存のもの等いろいろと工夫して使っていくというようなお話だったのかもしれませんけれども、先ほど私の方から御提示させていただきました他法令との比較の観点から申し上げまして、例えばこの保護命令、今回のこの保護命令を出して、その後違反、保護命令違反の厳罰化についてなんですけども、これはストーカー規制法に合わせて改正するということでありました。
厳罰化されたストーカー規制法をこれ見ていきますと、それまで増加傾向にあったストーカー規制法に基づく行政措置は、平成二十八年の改正によって、令和四年度までの六年間で大体平均三千六百件ほど、前後、ほぼ横ばいになっております。しかしながら、この内訳を見てみますと、それまで大多数を占めていた警告が改正後は減少を続けておりまして、代わりに禁止命令等の件数が入れ替わるようにして増加しております。この禁止命令等違反もそれに比例して増加をしていると、こういった状況が、このストーカー規制法を見てみますとこういった状況があるというふうに思います。
これ、禁止命令違反の件数だけを見ますと、厳罰化後の方がむしろ増加しております。一方で、これを詳しく、私も、ストーカー規制法の今の状況ということで見ておりますと、この禁止命令等の件数を分母として、禁止命令等を分母として、加害者が禁止命令後、命令にこれ残念ながら違反をしてしまったと、禁止命令等違反の件数を分子とする、こうして割合を出してみますと、厳罰化後の方が三分の一程度に減少していると、こういったいろんな見方ができるなというふうに思います。
これらを警察庁の方では、ストーカー規制法の厳罰化後、どういうふうにこれを分析されているのかについてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/133
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134・山本仁
○政府参考人(山本仁君) お答えいたします。
平成二十八年のストーカー規制法改正においては、禁止命令等違反の罰則の強化のほか、禁止命令等の発出に係る警告前置の制度の廃止とともに、緊急時の禁止命令等の新設が行われたところでございます。これらに伴い、平成二十九年以降、禁止命令等の件数が増加をしておりまして、そのことが禁止命令等違反の検挙件数の増加の一因となっているものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/134
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135・高木かおり
○高木かおり君 そうなんですよね。禁止命令が増えて、それと比例して禁止命令違反も増えているということなんですけれども。
今回この保護命令違反の厳罰化ということを法制化するということなので、類似の他法令との比較という観点からこの質問をさせていただいているんですけれども、先ほど申し上げたように、大臣にお聞きをしたいんですけれども、この類似の関係法令の厳罰化ということで、このストーカー、ストーカー事案ですね、これは、件数としては、実際、警告と禁止命令と合わせると、数は結局足すと同じに、大体ほぼ横ばいなんですね。なので、ストーカーは減ってはいないというような状況なんですが、その禁止命令違反、禁止命令をして、その違反をした方は減っているということなんですね。
なので、この厳罰化をすることによって、残念ながらストーカーは減ってはいないけれども、次の段階の禁止命令をした後、それを受けて、やっぱりこんなことをやってはいけないんだなという抑止が働いて、そして禁止命令等違反は三分の一程度に割合としては減っていると、私はそう認識をしておるんですけれども。
こういったことを踏まえて今回の厳罰化、保護命令違反の厳罰化ということに踏み切ったというようなお考えなのかどうか、こういったことをストーカー規制法を参考にしながら、こういったことを踏まえて妥当と考えるのかどうか、この点について、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/135
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136・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) まず、配偶者暴力につきましては、生命や身体に限らず、精神的、心理的にも被害者に甚大な悪影響をもたらすものであって、個人の尊厳を害する行為であり、配偶者からの暴力の現状を見ますと、配偶者暴力相談支援センターへの相談件数や警察本部長等の援助申出受理件数が近年増加をしている。また、配偶者からの暴力の被害女性の七・五%が復讐を恐れて配偶者と別れないなど、暴力の再発や復讐のおそれがあるなどの理由で事件化に消極的となる状況も見受けられるという状況にございます。とりわけ保護命令は、被害者の生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きい場合に発令されるものであり、また、保護命令違反も毎年七十件から八十件程度発生をしております。
このように、配偶者からの暴力の状況を踏まえ、法益侵害の大きさを反映するよう罰則を引き上げ、加えて、委員が御指摘されたように、加害者に配偶者暴力を行わないようにする旨の心理的抑制を機能させるなどの必要があることから、厳罰化を行うことといたしました。
その際、刑量ということでありますが、どの程度罰則を引き上げるかを検討するに際しては、ストーカー規制法における禁止命令等に違反してストーカー行為をした者に対する罰則も踏まえまして、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金を、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金とさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/136
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137・高木かおり
○高木かおり君 今、大臣から御答弁いただきましたけれども、まずそのストーカー規制法ありきということではなく、もちろんその保護命令の厳罰化ということをするということから派生をして、その関係法令ということで参考にされたということかと思います。そういった意味で、この厳罰化に関しては、同程度に引き上げたということで、一定の効果があるということで理解をいたしました。
続きまして、この接近禁止命令等の対象に、先ほどもほかの委員からも議論があった点でございますけれども、精神的DV及び性的DVを含むこととなりますけれど、この退去等命令については、接近禁止命令とは異なって、精神的DV及び性的DVを対象とはしていないと。これは、退去等命令は財産権の問題もあるからというお話がありました。でも、やはりこれ、どうして同じにしなかったのかなというのは私も疑問に思っている点でございます。
やはり精神的な部分というのは、今回せっかく法令に入ったわけでして、なかなかここが分かりづらいというところは今後の検討課題になっているんだと思うんですけれども、それでもやはりここを、今回はなかなかこの発令要件が同じになっていないという点、これは指摘をさせていただいて、今後に是非ともつなげていただきたいというふうに思います。
議論の中で、その身体的よりもこの精神的なDVというのがかなり増加をしてきているという背景もございます。そういった中で、この精神的DV及び性的DV、こういったことをどのように支援をしていくのか、保護していくのかという視点は大変重要になってくるかと思いますので、この点について、ちょっとこれはもう質問を飛ばさせていただきますが、要望にとどめさせていただきたいと思います。
そして、このDVのやはり第一発見者となり得る方々、やはり診断書を書く医師であるとか看護師等に対する研修についてなんですけれども、また司法関係者の方々の研修、これがしっかり行われているのかについてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/137
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138・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
司法関係者への研修につきましては、司法府に属することでございますので、三権分立の観点からお答えは控えさせていただきたいと存じます。
医師や看護師等の医療関係者による通報や情報提供等を通じた被害者の支援は重要と考えてございます。このため、都道府県におきまして、通報や情報提供に関する法の規定とその趣旨、支援センター、婦人相談員、相談機関の機能等について、御指摘の医療関係者向けの研修のほか、広報や医療関係者を対象とした対応マニュアルの作成、配布等、様々な機会を利用して医療関係者への周知を行うことを推進しております。
その上で、今般の法案により協議会の法定化を規定することとしており、医療関係者の法定協議会への参加の促進も含め一層の連携を図ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/138
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139・高木かおり
○高木かおり君 やはり、この第一発見者というのは大変重要な位置付けだと思います。ここでしっかりこのDVというものに対する理解がなければ、なかなか適切なプロセスで支援が行われないというふうに思いますので、是非ともこの点も進めていっていただきたいというふうに思います。
その医師ですとかほかの医療関係者について、先ほども申し上げましたが、診断書の作成に携わられるわけです。この本法案では、接近禁止命令の発令要件については精神的、性的DVは追加はしているんですけれども、DV発見者の通報、この通報に関する義務についてはあくまで身体に対する暴力のみということになっています。
改めて、この精神的DV等が対象に入っていない理由、これについて見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/139
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140・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
被害者以外の第三者による通報は、それにより夫婦間に公的機関の関与が行われる端緒ともなり、夫婦関係に影響を及ぼすことにもなりますため、外形的に範囲が明確である身体に対する暴力に限り通報の努力義務が課されております。
身体に対する暴力以外の配偶者からの暴力について、その範囲が必ずしも外形から明確とは言えないことから、既に保護命令の対象となっている生命、身体に対する脅迫についても通報の努力義務の対象にはなってございません。
このように、現時点で法的な努力義務を課すのは困難と考えられますけれども、精神的暴力など心身に有害な影響を及ぼす言動を受けている者を発見した場合に適切に通報等がなされるよう啓発を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/140
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141・高木かおり
○高木かおり君 是非啓発は進めていっていただきたいと思います。
通報することによってやはり支援できる場合もあるし、また、おっしゃっておられるように、通報すると逆効果になってしまうという懸念があることも分かります。やはり、精神科における、この精神的な暴力被害に対して、例えば診断技術をできるだけ向上していく努力をするであるとか、まあこれは医師や医療機関にお願いをする部分でもあるのかもしれませんが、そういった観点も入れて、やはりこの精神的DVというのは本当に、暴力もそうなんですが、長期的なケアが必要となってきます。そしてまた、必要だと思いますし、この点については、先ほども申し上げました、繰り返しになってしまうんですけれども、やはりこの心身の精神的なDVというのがすごく今増えていて、コロナの中でもそうですけれども、こういった背景の中でやはり避けては通れない部分であるというふうに思います。命を救っていくという視点からも、是非ともこの点はお願いをしておきたいというふうに思います。
続きまして、DVを発見する場として被害相談窓口が考えられます。でも、しかし、この窓口の職員の多くの方々、非正規雇用だという話ありました。
繰り返しの質問になってしまいますが、低賃金で有期契約、キャリア形成がなかなか難しい、こういった中で、経験を積んだ相談員の確保が今難しいとも言われています。こういった本当にセンシティブなDVであるとか虐待、こういったことに関わっていただける方々がなかなか確保できないと。このような状況では、この相談窓口にたどり着いたDV被害者の方々へ手厚い支援ができないんではないか、取りこぼしがあるんではないか、こういった点が懸念されるんですけれども、大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/141
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142・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 相談員を務めてくださっている皆様は被害者の保護を図る上で大変重要な役割を果たしていただいており、誇りを持って働いていただける環境を確保することは大変重要であると考えております。
職員の皆様の労働環境につきましては、各地方自治体において判断をされるものではありますが、相談員の皆様を含めた各職員の待遇について、従事する職務の内容や責任の程度、在勤する地域等に十分に留意しつつ、地域の実情等を踏まえて適切に定められることが必要であると考えておりまして、委員の御懸念も踏まえまして必要な対応を今後講じていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/142
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143・高木かおり
○高木かおり君 是非ともお願いをしておきたいと思います。なかなかこの人材確保というのは大変厳しいと、これはDV相談だけではなくて、児童相談所、こういったところでも専門家の人材確保の厳しさというのが今言われておりますので、お願いをしておきたいと思います。
続きまして、配偶者暴力防止法、これは、国と地方公共団体が加害者更生のための指導方法に関する調査研究の推進に努めることが規定をされているわけですが、この海外の事例などの調査研究も行われていると承知しております。また、国内でも、広島県で実施されたDV加害者プログラムに関する報告書の中では、プログラムに参加する加害者のリスクアセスメントや警察、児童相談所との連携、プログラムの内容について方向性が示されて既におります。この加害者プログラムが導入されている欧米なんかでは身体的暴力の再犯率の低下が示されていると、こういった報告もあると伺っています。
そういう中で、このDVが起こった後の被害に対してスピーディーに対応することは当然なんですけれども、やはりこの再犯予防策、すなわち加害者プログラム、こういったことを受講する法制度がやはり必要だと考えます。そういった中で、この国の基本方針、また都道府県の基本計画、こういったところにしっかりと定めていくということが必要だと考えますが、この点についても御見解を大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/143
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144・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 委員の御指摘のとおり、加害者の再犯を防止をするための更生プログラム、非常に重要だと思っております。
この法案をお認めいただいた暁においては、具体的な記載について検討することになりますものの、御指摘のような被害の予防策についての多機関連携や加害者プログラムについても必要な記載について検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/144
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145・高木かおり
○高木かおり君 是非ともお願いをしたいと思います。
欧米ではプログラムを強制的に受講させる法的な仕組みがあるというふうにもお聞きしていますし、なかなか日本はまだ遅れている部分があるんではないかと考えています。
やはりこれ、DV加害者に接する方々にもこういったプログラムに参加していっていただく、こういった促しもお願いをしていただきたいと思いますし、この加害者支援と被害者支援というのは、これ両輪でやはりやっていかなくてはいけないというふうに思いますので、よろしくお願いをしておきたいと思います。
最後の質問になるかと思います。
これも大臣に最後伺いたいと思いますが、妻から夫へのDVについての相談窓口、これはなかなか活用しづらいんではないかと、このお話も論点として今日ありました。やはりこの日本の根強い性別役割分担ですとかアンコンシャスバイアスですとか、こういったことは男女共同参画の視点からもよく言われていることですけれど、なかなかやはりこの加害者の数値は、男性は横ばいなんですが、加害者の女性の方が増えているという統計もあります。
このDVは、男性から女性への暴力という意識が浸透をしていることがあるため、男性は自分が受けている行為がDVというのを認識しづらいという点もありますし、弱音を吐くことが恥ずかしいと感じている、こういったことも言われています。そういった中で、この相談窓口、いろいろとお話を聞いていると男性も受け入れてはいるということなんですが、行きづらい、相談しづらいというような状況があるんではないかと思います。
女性も男性も相談しやすい、例えばホームページ上ですとかリーフレット、こういったこともいろいろと工夫をしていくことが必要なんではないかと思いますが、これについて大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/145
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146・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) まず、性別にかかわらず配偶者からの暴力は、犯罪となる行為も含む重大な人権侵害だと考えております。
各地方自治体におきましては、それぞれの地域の実情に応じて、配暴センターにおいて専用の窓口を設けることや他の窓口の紹介など、センター支援に限らず何らかの形で男性相談に対応するとともに、男性相談についての周知も行っているものと承知をしております。また、内閣府が実施をするDV相談プラス、これSNSを通じた相談も含まれておりますが、こちらについても性別にかかわらず行っているところであります。
委員の御指摘も踏まえて、内閣府といたしましては、地域の実情に応じて、性別にかかわらず被害者がより一層相談しやすい環境の整備を推進をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/146
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147・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/147
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148・高木かおり
○高木かおり君 時間になりましたので、これで質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/148
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149・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時二十七分休憩
─────・─────
午後一時二十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/149
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150・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、杉尾秀哉君及び舞立昇治君が委員を辞任され、その補欠として古賀千景君及び越智俊之君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/150
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151・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 休憩前に引き続き、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/151
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152・上田清司
○上田清司君 国民民主党・新緑風会の上田清司です。大臣、御苦労さまです。
早速ですが、もう既に幾つか質疑に出てきておりますが、いわゆるDVの相談件数は増加しているんですが、保護発令件数が、保護命令発令件数が減少しております。
この関係の中での保護命令制度の拡充という今回の改正に関してどのようにこの狙いを考えておられるのか。一般的に減ってくればそれでいいわけですが、保護相談件数が増えているのに保護命令件数自体は減っていると。この矛盾というんでしょうか、こういうものをどのように考えておられて、今回の拡充の狙いというのは何なのかということをまず明確にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/152
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153・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) まず、議員立法として、これまで累次の改正をしていただきました。保護命令制度の申立てをすることができるまず被害者につきまして、平成十六年には元配偶者に対象を拡大、平成十九年には生命等に対する脅迫を受けた被害者に対象を拡大、続きまして平成二十五年には生活の本拠を共にする交際関係にある相手からの暴力の被害者に対象を拡大などの保護命令制度自体の拡充がなされてきました。これにより、それぞれの被害者が保護命令制度の対象になったことは、被害者保護の観点から大きな効果があったものと考えております。
他方で、委員御指摘のように、最近の配偶者からの暴力に関する相談件数等は増加傾向にある中で、相談内容の約六割を占める精神的暴力により心身に重大な被害が生じた例も報告されております。他方で、これも委員御指摘のとおり、申立てに基づき被害者が、被害者の申立てに基づき裁判所が加害者に接近等を禁止する命令を出す保護命令の認容件数は一貫して減少しております。
こうした中、法律制定以来、保護命令制度の対象となる被害者については身体に対する暴力を受けた被害者を基本としておりましたが、いわゆる精神的暴力の被害者が対象となっていないことなどの限界があったと考えており、今回の法改正に至ったと、こう分析しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/153
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154・上田清司
○上田清司君 ありがとうございます。
まさにそのとおりでございまして、相談すること自体を、また被害者が加害者から何らかの形で圧力を受ける、あるいは暴力を受けるというような、そういう沈んだ関係にある、児童虐待と同じようなケースだと思っておりますが、そうした隠れる部分があるということが前提になってきますので、これは広範囲な一種のネットワークが非常に重要ではないかなというふうに私は考えております。
内閣府、国にはそういう意味での手足がないので、都道府県、市町村などにお願いをするという立場ではないかというふうに理解しておりますが、そのような考え方でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/154
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155・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) まさに今回の法改正お認めいただいた暁には、政府の方で基本方針を策定をいたします。これに基づきまして、都道府県の方で基本計画をお作りをいただくことになります。
それぞれの都道府県等が運営しております配偶者暴力支援センターにおきまして、それぞれの被害者あるいは被害者になるおそれのある方の相談を受け付けていただいて、配偶者暴力の防止を図っていただかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/155
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156・上田清司
○上田清司君 今回も都道府県の基本計画の拡充をお願いするような形になっておりますが、これまでの都道府県の果たしてきた役割ということに関しての内閣府としての、国としての評価はどのようになさっておられるのか、この点についても伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/156
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157・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 都道府県の評価をということでございました。
都道府県は、配偶者暴力相談支援センターを中心に、広範多岐にわたる配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策を総合的にかつ地域の実情を踏まえ実施していく観点から、中心的な役割を担っていただいたと考えております。
上田委員におかれましても、埼玉県知事として最前線に立って対策に取り組まれてこられたことを、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/157
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158・上田清司
○上田清司君 今、一例を挙げておられますが、県、市などで配偶者暴力支援センター、警察、検挙や予防が中心でありますが、県の一時保護施設、福祉事務所、児童相談所、児童委員、民生委員、人権擁護機関、法テラス、弁護士会、地域の、地裁でございますが、地裁、家裁、民間シェルター、民間団体、NPO、住宅相談から就職相談まで含めて、このとおり多岐にわたってネットワークを組んで、協議会などをつくってその都度情報の共有ができるようにしているわけでございますが、意外に、相談業務は強いんですが、被害者の最後の逃げ場として受け止めることに関しては意外に行政が弱くて、受け止め切れずに、民間のシェルター、NPO関係が多いわけですが、この部分が非常に大きな役割を果たしていることを、私も実感として、経験上、知事時代に思っていたことがございます。
そういう意味で、この民間シェルターの民間団体などについて、令和元年の五月に内閣府が調査をされていただいております。DV等の被害者のための民間シェルター等に関するアンケート調査という調査でございますが、アンケートの分析をざっくり私なりにまとめさせていただければ、財政面からすると、運営資金、施設整備費が足りないと。それから人的基盤、この部分でいくと、人材不足、スタッフの高齢化。これも実は資金が解決する課題の一つだと思っております。もちろん、資金だけではありません、人を養成するというのはお金だけで解決するわけではありませんが、若干、その資金もその解決のかなりの部分を持っておりますが。
この点について、小倉大臣も何らかの形で、質問通告もしていますので、このアンケートの結果について若干の所見があれば述べていただければと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/158
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159・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) まず、配偶者暴力の防止におきましては、委員の御指摘のとおり、多機関の連携というのが非常に重要だと思っております。したがいまして、本法案では、都道府県基本計画の記載事項として、当該都道府県、関係地方公共団体及び民間の団体の連携、協力に関する事項を追加をさせていただきました。そういう意味では、この多機関連携を必要的記載事項にすることで、配偶者からの暴力の防止及び被害者保護に関わる機関の連携協力体制を平時から構築することにつながりまして、被害者の自立支援等が円滑に行われることになるのではないかと期待をしております。
もちろん、この多機関連携の中の重要な役割を担っていただいておりますのが民間シェルターですとかステップハウスだと、このように考えております。DV被害者等の保護や相談、自立支援等を行う民間シェルターにつきましては、昨年の九月にリモートで私も見学をし、支援に携わっていらっしゃる方々と意見交換を行いました。民間シェルターの方々が被害者に寄り添ったきめ細やかな支援を情熱を持ってされていることについて、私も非常に感銘を受けた次第であります。
上田委員御指摘のアンケート調査でございますが、民間シェルター等に対して、職員数などの体制や抱えている問題などの状況を把握すべく、平成三十一年の二月に実施したものであります。
この調査結果でありますが、都道府県等に提供するとともに、平成三十一年二月から令和元年五月までの間、当時の男女共同参画担当大臣の下で開催されたDV等の被害者のための民間シェルター等に対する支援の在り方に関する検討会、ここにおきまして、民間シェルター等が抱える課題を整理し、支援の在り方について検討する際の資料として活用したところであります。
内閣府では、この検討会において、このアンケート調査でも明らかでありますように、民間シェルター等の財政面、人的基盤の不足や行政との連携不足等が課題とされたことを踏まえまして、令和二年度から、民間シェルター等と連携して先進的な取組を進める都道府県等に交付金を交付することにより地域におけるDV被害者支援の強化に取り組んできたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/159
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160・上田清司
○上田清司君 今大臣が言われましたように、新たに令和二年度から性暴力・配偶者暴力被害者等支援交付金がつくられたこと、四億七千六百万、これはこれで評価をさせていただきます。これは、既にやっていただいています様々な交付金以外の形の中で、都道府県、政令市、一千万を上限枠にして組み立てられたものでございますが。
それとまた別にというか、今まで行ってきたものがいわゆる配偶者暴力被害者等支援調査研究事業というものでありますが、これが令和二年度、二・三億円、令和三年度、補正も入れて三・四億円、令和四年が三・六億円、同じでございますが、これを地方公共団体数あるいは民間団体数、これで割り算をすると、埼玉県の額は大体知っているんですが、八百万とか九百万とか、こういう金額なんですが、ざっくりこれを、例えば昭和、ごめんなさい、令和四年度の三億六千万を地方公共団体三十に交付されているわけですが、ざっくり仮定計算すれば一件当たりどのぐらいだというと八百万だと。あるいは、民間団体数六十六に対して一件当たりどのぐらいだといえば、一団体当たり幾らだというと二百万とか、こういう話になるんですが。
先ほどアンケートの分析でざっくりまとめればということで、財政、運営資金、施設整備費が非常に不足していますねと、あるいは人材を確保するための資金が確保できませんねと、こういう話でございまして、埼玉県なんかの事例、令和三年度でございますが、いわゆる国から四千二百万のうちの二分の一いただいていまして、県が二分の一で、四百二十万、これも少なくて申し訳ないなと思っておりますが、七十万を六団体に配付していると。
また、民間団体運営費補助金ということで三百六十万を、六十万を六団体に配付して、これを県が二分の一で実施団体が二分の一出すという形で、これ民間のシェルターの家賃や人件費を運営するという、そういう形であります。県が県単費で人材育成の支援を三百五十万やっているところでございますが、これも非常に少ないと。
やはり元々この法律の趣旨からして、地方公共団体、四十七都道府県、あるいは市町村にそのネットワークを生かして言わば頑張っていただきたいという趣旨ですので、こういう金額はもっと出すべきじゃないかと。例えば一人当たり人件費もやっぱり四百万ぐらい、もうほとんどの方々が二百万とか二百五十万ぐらいで働いているんですね、現実には。でも、それでも志が高くて頑張っていただいているわけですが、こういう方々に四百万のお金を出すような仕組みというものをこれ本格的に国で考えていただかないと、最後の逃げ場なんですね、こういうシェルターというのは。
先ほど繰り返しましたけど、役所の世界は相談業務は得意なんです。しかし、民間の方々と同じように被害者に寄り添って丁寧に二十四時間、極端なこと言うと二十四時間対応するというのは苦手なんですね。そういうことも考えれば、この民間のシェルターなどにきちっとお金を出す仕組みをつくらないといけないのではないかと私は強く思っておりまして、この点について大臣はどのように思われるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/160
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161・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 行政は行政で、相談業務だけではなくて、婦人相談所の一時保護業務等々含めて、しっかりこの被害者を避難できるような場所の提供に努めなければなりませんが、他方で、委員御指摘のとおり、御主張のとおり、民間シェルターの果たす役割というのは非常に大きいものがあると思います。
この令和二年から開始をいたしました交付金の金額につきましては、令和二年度が約二・二億円、次の年が三・二億円、令和四年度が三・六億円ということで、毎年、交付実績に関しましては、交付先の都道府県等、さらに、その先の連携支援対象となる民間団体数、交付決定額のいずれも年々増加をいたしております。そういう意味では、本交付金が民間シェルター等の活動継続及び都道府県等の連携強化に一定の役割を果たしているものと考えております。
更に民間シェルター等に対する財政支援を拡大すべきではないかとのお尋ねにつきましては、民間シェルターは、いち早くDV被害者支援における問題を提起し、解決に向けて活動してきた先駆性、行政と比較してフレキシブルな支援ができる柔軟性、地域の実情に応じ、地域の社会資源を活用しながらその特性を生かした活動を行う地域性、専門的な知見に基づくニーズに対応した支援活動を行う専門性、こういった強みを有しておりまして、先ほども申し上げたように、地域におけるDV被害者支援に重要な役割を担っております。
他方で、繰り返しになりますが、委員も御指摘のとおり、財政面や人的基盤の不足、行政との連携不足といった課題を抱えているものと認識をしております。先ほども、私も民間シェルターの代表者とオンラインで意見交換をしたということを申し上げました。やはり財政的により支援を充実させてほしいというようなお声もいただきましたし、今やられている方は非常に高い志と熱意を持ってやられておりますが、なかなか次を担う後継者がいないという、そういう切実なお話も伺いました。
そういったこともございますし、内閣府といたしましては、私もそうでありますが、今後とも、民間シェルター等と連携をして、DV被害者支援に取り組む都道府県等の支援に必要な予算の確保に頑張って努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/161
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162・上田清司
○上田清司君 連携してというのは、ほとんど何もやらないということの言葉みたいな話なんですね。連携は当たり前なんです。だから、連携してというのは目的にはなりません。手段にもなりません。言葉の、言わば語彙の中身でありまして、当然連携は当たり前なんです。都道府県と連携する、市町村と連携する、民間団体と連携する、それは当たり前なんです。これを担保するのは一体何なのかというのが国の役割であります。計画で終わっても駄目なんですね。
具体的にやっぱり、本当に四十七都道府県、一千万の枠で済むんですか。これだけ被害者が出て、これだけ法改正をしなきゃならない。今日の午前中の質疑の中でも、いろんなケースを各議員があらゆる角度から御指摘いただきました。そこで、とりわけ民間のシェルターなどは、もちろん市町村がお金を出せばいいじゃないかとか、あるいは都道府県がお金を出せばいいじゃないかという議論もあるかもしれませんが、そもそもこれは、国がこの性暴力、配偶者暴力被害者等の支援をしっかりやろうということで議員立法からスタートして、今回の法改正もお願いしている立場なんですから、やっぱりこれは資金面から丁寧に手当てをしなければならないと思うんですが。
大臣、アベノマスクで四百六十億ですよ。なぜ四十七都道府県で三・四億なんですか。一件が一千万上限なんですか。余りにも差があり過ぎるんじゃないですか。
大事なことは、どれだけ命が救われるんですか、このシェルターの中に入ること、あるいはこのシェルターを通じてネットワークの中にきちっと押さえ込んでいくこと。それを考えれば、一千万なんていう枠で四十七都道府県がとどまるわけはないじゃないですか。とんでもない金額だと思いますよ、これは。気持ち出していますという世界だと思いますよ。民間団体の数だって半端なものじゃありませんよ。国が押さえているだけでも四年度は六十六団体ですから。それ以外にもたくさんありますよ。それは一旦捨象したとしても、六十六団体に二百万出して、一人分の給与の半分ですよ。
きちっとした人を一人だけは国が何が何でも押さえておきますと。事務局長みたいな人は年間四百万を保障してきちっと押さえておきます。そして、それ以外にも必要なものは最小限度出させてもらいます。でも、存続させるための要の人は国がきちっと押さえますと。そういう姿勢がないとこれはもたないと私は思っておりますが、大臣、そういう決意をお持ちになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/162
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163・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 私の日本語で誤解があったかもしれませんが、先ほどの答弁のこの連携をしてというのは都道府県に係ることでありまして、私どもとしては、都道府県として連携してやるというよりも、民間シェルターと連携をしている都道府県に対する支援に関する予算の必要な確保に努めてまいりますということを答弁をさせていただきました。
そういう意味では、私も上田委員と問題意識共有をさせていただいていると思っておりまして、だからこそ令和二年度から新たな交付金を始めさせていただきましたし、毎年予算を積み増す中で、民間シェルターの皆様方の財政的基盤が少しでも安定するように努めてきたところであります。
さらに、先ほども申し上げたように、まだまだ民間シェルターの皆様方の、運営をされている皆様方の窮状はあるわけでございますので、担当大臣として、先ほど申し上げたように、財政当局にこういった現状を伝えると同時に、しっかり必要な予算額の確保に努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/163
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164・上田清司
○上田清司君 新たに、先進的な取組に対して令和二年度から新たな予算を組んでいただいたこと、これはこれで評価しますが、逆に、先行しているところにはこの予算が付かないんです。合わせ技ができないんです、先行してやっているところには。どっちかというと、新しくやったところが今度は先進的な取組になっているんです。古くからやっているときの方が実は先進的な取組だったんです。
そういう色分けをどのように考えられますか。むしろ、これ合体させて、きっちり出した方がいいんじゃないでしょうか。私はそのように提案しますが、御検討いただけますか。政府委員でも結構ですよ、これ専門的な話でもありますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/164
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165・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
令和二年度から開始しました性暴力、犯罪者暴力被害者等支援交付金でございますけれども、ほかの国庫補助制度を適用可能な場合はもうほかの制度も使うということで、私どもも、内閣府としても、その先進的なものに対して支援をさせていただくということでございました。
ほかのいろいろな支援ございます。連携しながら、結果としてそれぞれの民間シェルターの方の活動を支援させていただくということで進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/165
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166・上田清司
○上田清司君 確認しますが、重ねてもいいという話ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/166
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167・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) 先ほどの御説明が不十分だったかもしれませんけれども、ほかの制度を優先していただくということでございます。(発言する者あり)ほかの制度を使っていただける場合はそれを使っていただくということでございます。(発言する者あり)はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/167
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168・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 質問してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/168
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169・上田清司
○上田清司君 大変、委員長、失礼しました。
どうも何か日本語が難しくてですね、要は重ねることができないというお話です、大臣。だから、先進的な取組をやっていた過去の人たちには新しいこの話が入らないと、こういうこのお金の使い方になっていますので、この辺も併せて御検討いただくことをお願い申し上げまして、質疑を終わります。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/169
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170・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
本法案は、保護命令の申立てができる被害者の範囲、発令要件を精神的暴力や性的暴力、経済的暴力にも拡大をすることを始め、接近禁止命令等の禁止行為と期間の拡大、保護命令違反の厳罰化などを行うもの。特に、非身体的暴力への拡大などは、被害者支援の立場から、現場から強い要望があって、我が党としても求めてまいりました。同時に、退去命令については対象暴力を拡大はしないこと、緊急保護命令の導入は見送ったこと、被害者の相談体制の強化など、残された課題が多々あります。
まず、保護命令の対象暴力の拡大について聞きます。
法案は、退去命令だけは現行のまま、身体的暴力に限るものとなっています。内閣府の女性暴力専門調査会の今後のDV対策の在り方では、保護命令制度について、非身体的暴力は身体的暴力と同様に扱うべきであるとして、退去命令にも対象暴力の拡大を行うこととされておりました。この専門調査会の下に置かれたDV防止法見直し検討ワーキング・グループでも、保護命令の種類によって対象暴力の扱いに差異を設けることは想定されておりませんでした。ところが、法案は差異ができたわけですね。ワーキング・グループ構成員の方からお話伺いましたけれども、条文を見て非常に驚いたと言われておられました。
なぜ、報告書と異なって、退去命令だけを非身体的暴力の対象外としたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/170
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171・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 今回提出させていただきました法案は、配偶者暴力防止法見直し検討ワーキング・グループ、御指摘のワーキング・グループの報告書を受けて、それに法制的な検討を加えて、政府として法案を提出をさせていただきました。
御指摘の点につきましては、従来の配偶者暴力防止法においては、いわゆる精神的暴力については、その範囲や裁判所における認定の問題があるとして、保護命令の対象とされてきませんでした。今般、接近禁止命令等について、生命、身体、自由、名誉又は財産に対する脅迫を受けた被害者を広く対象とし、かつ命令期間の伸長、罰則の厳罰化など、相当強化をすることといたしております。他方で、退去等命令につきましては、命令を受けた者の居住の自由や財産権の制限が大きいものでありますことから、その被害者の範囲の拡大については今般の改正には盛り込まないこととしたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/171
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172・井上哲士
○井上哲士君 退去命令といいましても、暴力から逃れるための引っ越しの荷造りを安全に行うためなどに利用されているものなんですね。逃げなければ暴力によって精神に重大に危害を受けるおそれが大きいというときに、この引っ越し準備のために加害者を一時退去させることもできないのかということになるわけです。今、加害者を退去させている点で権利制限の質が異なるというお話がありましたけれども、それは退去命令だけ非身体的暴力に拡大しないほどの理由には私はなっていないと思うんですよ。
運用状況を見て検討ということも午前中ありましたけれども、速やかにこの精神的暴力にも拡大をしていくべきだと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/172
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173・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 午前中も答弁したと思いますが、今般、検討規定を盛り込んでおり、退去等命令の被害者の範囲の拡大については、今般の改正による接近禁止命令等の運用状況等も踏まえ、必要に応じ検討することも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/173
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174・井上哲士
○井上哲士君 是非速やかな検討を求めたいと思います。
保護命令の発令要件について、改正案は、精神的暴力を念頭に、現行の身体から心身に重大な危害を受けるおそれが大きいときとしております。それがどのような状況なのかは、午前中も質問があり、答弁がありましたので、この質問は割愛をいたしますが、その場合のこの保護命令の申立てについてです。
診断書がDVとの明確な因果関係まで証明までするものでなくとも、申立てにおいて暴力を受けた被害状況を示し、そして診断書があれば、重大な被害を受けるおそれが大きいとして保護命令の対象になっていくと、こう理解しても、大臣、よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/174
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175・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 御指摘の、御質問の件については、まずは個別具体的な状況に照らし裁判所において判断すべき事柄ではありますが、接近禁止命令については、身体に対する暴力等によりうつ病やPTSD等のような精神医学の見地から配偶者暴力の被害者に見られる症状で通院加療を要するものが既に認められる場合で、配偶者からの更なる身体に対する暴力等を受けるおそれがある場合には、その生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいと考えられます。
また、うつ病等については、迅速な裁判の観点から診断書が必要になるとも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/175
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176・井上哲士
○井上哲士君 これ、非常にそういう点では診断書が大事になっていくわけですが、DVや性暴力被害への専門的知見を持ってトラウマ治療ができる精神科医の少なさというのも指摘をされております。地域によっては精神科医さえいない場合があります。
被害者は、加害者から行動を制限されているなど、なかなか相談窓口にたどり着けない。たどり着いても、必ずしも医療機関を受診して診断書を取れているわけではありません。医療機関にやっぱり被害者がつながるような支援をしていく必要があると考えますけれども、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/176
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177・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
配偶者からの暴力の被害者の中には、精神的なショックが大きいなどの理由によって、医療機関において自身の症状やその原因等を医師に説明することが困難な方もいらっしゃると認識しております。
内閣府で実施しておりますDV相談プラスでございますが、被害者の多様なニーズに対応できるように、電話、SNS、メール等での相談への対応に加えまして、全国の民間支援団体のネットワークとも連携し、必要な場合には医療機関も含めた関係機関への同行支援や保護まで対応することとしております。
また、内閣府が都道府県に交付する交付金におきましても、関係機関への同行支援に係る交通費等を交付対象としており、民間シェルター等の被害者支援団体による医療機関等への同行支援を後押ししてございます。
内閣府では、こうした取組によりまして、診断書を持っておられない被害者の方につきまして医療機関につながるように支援してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/177
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178・井上哲士
○井上哲士君 医療機関につながっても、必ずしもDV被害を自覚できていなかったり行動を起こせない被害者も少なくないというのも朝から指摘がありました。そういう点で、やはり医師からの通報や情報提供は大変重要だと思うんですね。
ところが、医師が、配偶者からの暴力によって負傷し又は疾病にかかったと認められる者を発見したときの通報できる規定、それから配偶者暴力相談支援センターなどの利用についての情報提供の努力義務について、いずれも非身体的暴力は拡大されませんでした。
やはり、このDV被害に無自覚だったり行動を起こせない場合が少なくない精神的暴力等もこれにやはり含めていくべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/178
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179・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) お答えいたします。
被害者以外の第三者による通報は、それにより夫婦間に公的機関の関与が行われる端緒ともなり、夫婦関係に影響を及ぼすことにもなるため、外形的に範囲が明確である身体に対する暴力に限り通報の努力義務が課されております。
身体に対する暴力以外の配偶者からの暴力につきましては、その範囲が必ずしも外形から明確とは言えないことから、既に保護命令の対象となっております生命、身体に対する脅迫についても通報の努力義務の対象にはなっておりません。委員御指摘のとおりでございます。
このように、現時点では法的な努力義務を課すのは困難とは考えられますものの、精神的暴力など心身に有害な影響を及ぼす言動を受けている者を発見した場合に適切に通報等がなされるよう、啓発にしっかり努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/179
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180・井上哲士
○井上哲士君 是非、本当、被害者の立場に立って、いろんな支援につながるような啓発など、是非強めていただきたいと思います。
それから、生活の本拠を共にしない交際相手からの暴力、いわゆるデートDVについてお聞きします。
家の鍵を渡している交際相手から性暴力や身体的暴力を受けた被害者が、生活の本拠を共にしていないからと、DV法で対応されなかったという事例もお聞きしました。こういう、DV防止法の範囲にこういうデートDVも広げていく必要があるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/180
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181・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 現行法におきましては、生活の本拠を共にする交際をする関係にある相手からの暴力については、配偶者暴力防止法の規定が準用されることになっております。この生活の本拠を共にする場合とは、被害者と加害者が生活のよりどころとしている主たる住居を共にする場合を意味するものと考えております。
生活の本拠の所在につきましては、午前中も議論ありましたように、住民票上の住所によって形式的、画一的に定まるものではなく、実質的に生活をしている場所と認められる場所をいい、共同生活の実態により外形的、客観的に判断されるべきものと考えておりますが、補充的に意思的要素も考慮されることがあると考えております。
また、御指摘のいわゆるデートDVにつきましては、重大な人権侵害であり我々も許さない行為と認識しております。このため、暴行、傷害、監禁、強要等の犯罪に該当し得る場合のほか、ストーカー事案として相談支援の対象となり得ることを明らかにして周知啓発等を図るとともに、御指摘の一時保護も含め予防や緊急避難などについて必要な施策の整理を行い、デートDVにも対応したストーカー被害者支援マニュアルの改訂も行い、本年三月に自治体等に配布をしております。
したがいまして、デートDVの防止に関しましては、デートDVの防止としてこれからも引き続き様々な施策を推進をしていきたいというのが私どもの立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/181
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182・井上哲士
○井上哲士君 被害者救済を第一に、様々な法制度を使って是非柔軟な対応を強く求めたいと思います。
その上で、相談支援体制についてお聞きします。
法改正によって被害者の生活再建支援のための庁内連携、民間団体との連携など、ネットワークづくりが更に求められております。保護命令の対象暴力拡大に関わった新たなサポートも必要になると思うんですね。これらに対応する公的相談窓口の体制、特に市区町村で相談対応に当たる婦人相談員の体制強化をどうするかが問われております。
婦人相談員は、高度な専門性が求められる職種であり、加害者等からの危険にさらされるリスク、相談員が被害者が感じたような怒りや無力感やしんどさを感じてしんどくなって寝られなくなるなどのいわゆる二次受傷のリスクもある大変な業務であります。
資料一を御覧いただきたいんですが、にもかかわらず、都道府県委嘱の婦人相談員の八三・二%、市区委嘱の八二・五%が非常勤の雇用となっております。今日も配られていますが、三月九日付けの朝日新聞で、DVの相談員、低待遇に疲弊、限界という記事が出ておりました。ある自治体の婦人相談員は、月十四万余りの給料から税金や家賃、光熱費などを引くと手元にほとんど残らない、夜はファミレスやホテルで清掃の仕事をし、週末もバイトを入れたと、こういうふうに述べられているんですね。
こういう実態にある相談員の方ですけれども、果たしている役割は大きいと思うんですね。その点、大臣の御認識、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/182
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183・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 婦人相談員は、婦人相談所、福祉事務所等において配偶者からの暴力の被害者に関する各般の相談に応じるとともに、その態様に応じた適切な援助を行うことが求められております。また、被害者は不安を抱えながら相談に訪れることが多いため、被害者にとっての安全を第一に考え、秘密が守られる環境の中でその訴えが十分に受け入れられることが重要です。したがいまして、婦人相談員は、被害者の立場に立って共に課題、問題解決を図ろうとする援助者であることについて、被害者の理解を得ること、信頼関係に基づいて援助を行うことが必要になります。
このように、婦人相談員は、配偶者からの暴力の被害者の自立の促進、保護命令制度の利用、保護施設の利用等についての情報提供、助言、関係機関との連絡調整等、法第三条第三項各号に規定されている業務について中心的な役割を担っているものと認識しておりますし、井上委員御紹介いただいたように、大変な業務の中にあって、非常に高い志と熱意を持って日々業務に当たられていることに敬意を表し申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/183
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184・井上哲士
○井上哲士君 今述べられた重要な役割にふさわしい処遇が必要だと思うんですね。
常勤職員としての雇用の安定を確保することとともに、この婦人相談員の専門性、継続性の保障が重要だし、現場からも求められております。
資料二の右側の円グラフを御覧いただきたいんですが、ところが、県、市とも在職年数五年未満が約六割なんですね。三年未満が四割となっております。
現場の相談員さんからお話を聞きました。DV相談にとっていかに相談の場数を踏んで習熟しているかが重要と。命や安全に関わることなので、リスクを見立てて臨機応変に対応することが求められると。これは長年の経験の積み重ね、どれ一つとして同じ相談はない、苦しい思いを吐露できた相談員につながってほしいと述べられております。
二〇一三年のこの本法案の改正時に、我が党赤嶺議員の質問に対して当時の森まさこ大臣は、経験のある相談員が被害者の最初の保護から自立支援まで切れ目のない相談を行っていくことが大変重要だとして、雇い止めの実態があることにも言及しながら、継続的な配置を地方公共団体にお願いをして体制の充実を図ってまいりたいと、こう答弁をされました。
婦人相談員の皆さんは、無期雇用の常勤職員として、かつ原則異動のない専門職としての位置付けを求めておられます。これ、自治体にお願いするだけじゃなくて、国の責任で改善すべきだと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/184
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185・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 先ほども申し上げたように、相談員の皆様は被害者の保護を図る上で大変重要な役割を果たしていただいており、誇りを持って働いていただける環境を確保することは大変重要であると考えております。しっかり経験を有する相談員が切れ目のない相談支援を行うことの重要性は、森元大臣が答弁し、申し上げたとおりだと私も考えております。
婦人相談員につきましては、厚生労働省において、毎年度、雇用形態に関する調査を実施しており、令和四年四月一日時点では、委員の資料にも触れておられますように、全国で千五百七十九名配置されている相談員のうち、千三百六名、およそ八二・七%が非常勤職員になっていると承知をしております。
平成二十八年には、売春防止法の改正により、婦人相談員を非常勤とする旨の規定が削除され、常勤による配置が可能とされているところであります。
なお、非常勤として採用することで、定期異動がなく、幅広く民間から適任者を採用できるという利点もあり、厚労省においては、非常勤を配置する場合であっても適切な処遇が確保されるよう取り組んでいると承知をしております。
厚労省においては、必要な調査を行って実態把握に努めるとともに、婦人相談員の適切な処遇の確保に努めることといたしておりまして、所管は厚労省でありますが、内閣府としても連携をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/185
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186・井上哲士
○井上哲士君 しっかり専門性を生かしながら安定した実態になるように、是非政府を挙げて対応していただきたいと思うんですが、じゃ、厚労省にお聞きしますけど、配置状況の問題もあります。
資料三を見ていただきますと、婦人相談員の数は増えてきているものの、配置されているのは市区だけでも五〇・八%にとどまっております。非常に地域格差も大きいんですね。市区の婦人相談員の一人当たりの女性人口を都道府県ごとに見ますと、三十五万人の奈良県が最多で、二十万人が四県、十万人台が三府県あって、最少は栃木県の二万五千人なんですね。これは、女性人口に子供も含めますので参考数値ではありますけれども、これ、人口比の配置基準もないためにこれほどの地域格差が出ております。
児童福祉司のように配置基準を設けるなど、どこに住んでいても専門職の相談員がいる状況をつくる、少なくとも全市区に配置する、そのための国としての財政措置もするということが必要と考えますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/186
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187・本多則惠
○政府参考人(本多則惠君) お答え申し上げます。
婦人相談員は、婦人保護事業の重要な担い手でございまして、可能な限り多くの市区に配置されることが望ましいと考えております。
一方、この婦人相談員の人材の確保や定着等には課題がございまして、婦人相談員を配置している市区は、委員から御紹介のありました資料のとおり、令和四年四月一日時点で五〇・八%にとどまっております。
そのため、厚生労働省におきましては、人材の確保と定着が図られるよう、令和五年度の予算におきまして、技能や経験に応じた更なる処遇改善の実施、セミナーや研修会の開催などの採用活動、こういったものに必要な費用の補助を盛り込んだところでございます。この処遇改善の例を御紹介申し上げますと、例えば統括婦人相談員の立場にある方には月額四万円、主任婦人相談員の方には月額五千円の加算を新たに設けているところでございます。
厚生労働省といたしましては、これまでも全国会議等の場におきまして、未設置の市区に対して早急な配置をお願いしてきているところでございます。こうした補助事業の活用を含めて、引き続き自治体と連携をして婦人相談員の配置促進に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/187
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188・井上哲士
○井上哲士君 補助事業の活用を更に拡大、そして、申し上げましたように、児童福祉司のような配置基準を設けることも含めて更に強めていただきたいと思うんですが。
さらに、これも朝から議論になっていますDV被害者支援に不可欠な役割を果たしている民間シェルターの活動の支援であります。内閣府の性暴力、配偶者暴力被害者支援交付金、何度か今日も答弁ありましたけど、これ、あくまでも新規の新しい試みなど先進的な取組に助成されるために、通常の家賃やスタッフ人件費には充てられないという使いにくさが指摘をされています。加えて、前年度までは補助率十分の十だったのが今年度から四分の三になったという下で、この事業をもうやらないと、継続しないと決めた自治体も出てきているというんですね。
やっぱりこの補助率の引下げというのは見直すべきじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/188
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189・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 委員お尋ねの性暴力・配偶者暴力被害者等支援交付金の配偶者暴力被害者等支援調査研究事業に係る交付金の補助率につきましては、令和二年度から四年度はパイロット事業として国が十分の十としておりましたが、御指摘のとおり、都道府県等と民間シェルター等との連携が定着をしてきたことなどの状況や他の交付金等の負担割合等を踏まえ、令和五年度の実施に当たり、国が四分の三、地方公共団体が四分の一とされたところであります。
この国負担分も含めれば、前年度よりも事業規模は拡大をいたしますので、内閣府といたしましては、地方公共団体による負担分も含めて必要な事業規模を確保しつつ、これまで以上に官民一体となってより質の高い被害者支援が実施されるよう努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/189
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190・井上哲士
○井上哲士君 定着をしてきたというお話があったんですけど、ただ、先ほど申し上げたように、十分の十が四分の三になったので、この事業を継続しないことを決めた自治体もあるんですね。
そういうことからいえば、まだまだそこまで行っていないんじゃないかと。そういう点では、やはり十分の十の継続は私は必要だと思いますけれども、改めていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/190
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191・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 私どもといたしましては、先般、予算委員会あるいは衆参の本会議で通過をさせていただきました本年度の予算をしっかりと執行して、まさにこの制度が変わったことによって事業をやめる、やらないというような、そういう自治体が出てこないように、しっかり内閣府としても努力をしたいというふうに思っておりますし、これまで以上にこの事業の内容が充実するように努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/191
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192・井上哲士
○井上哲士君 是非やめないように促していただきたいんですけど、これも先ほどありました二〇一九年の内閣府の民間シェルターの調査では、八割以上が財政的な問題、施設整備の問題、スタッフ不足を抱えていることが分かりました。維持費の不足、人件費不足が非常に多く答えもあるわけですけど、いずれも財政上の問題でありますし、行政からの支援の不十分な点について、安定的な運営を行うための支援が不足しているという指摘も多かったわけです。
先進的な取組への補助事業は行われているものの、去年五月の内閣府の実態調査でも、依然として財政的基盤の脆弱性は多くのシェルターが抱える深刻な課題であると内閣府自身が認めているわけですね。依然としてやはり深刻な実態を改善するものにはなっていないと思います。
今回の法改正を踏まえて、民間団体の意見もしっかり聞いて、この運営費の補助など、抜本的な解決策を打ち出すべきだと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/192
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193・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 先ほど来議論にありますように、私も民間シェルターの運営者の皆様方と意見交換をさせていただきました。非常に、大変な財政状況の中でも高い情熱、高い志と情熱を持ってやってくださっているという、そういうことを意見としてお伺いをさせていただきました。他方で、現状を見ますと、DVの相談件数も増えてございますので、被害者保護の必要性というのはより増しているというのは強く感じております。
そういった中で、先ほど申し上げたように、まずは今年度お認めいただきました予算をしっかり担当省庁としてしっかり執行していくということを心掛けてまいりたいというふうに思っておりますし、こういった様々な方の思い、御意見というのを踏まえまして、内閣府といたしましても、都道府県等、民間シェルターと連携をする都道府県等の支援に必要な予算の確保に頑張って努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/193
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194・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間が参りましたので、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/194
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195・井上哲士
○井上哲士君 今回、声を上げ続けている被害者の皆さんや関係者の皆さんの要望が一定、法改正で実りましたけれども、今るる取り上げたように、様々な課題が残されております。運用を通じた法律の見直しと財政支援も含めた支援体制の一層の強化を強く求めまして、終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/195
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196・大島九州男
○大島九州男君 大島九州男でございます。
ちょっと質問に入る前に、今日午前中の答弁の中で、畏怖という言葉を参考人が何度かお使いになったんですね。私は余りこういう細かいことに気の付かない人間なんですけど、畏怖という意味は何なのかというのをちょっと調べたら、畏れおののくことと、神仏や自然など、人間の力ではどうにもならない圧倒的な力を持っているものに対して使われると。ただ恐怖を感じているのではなくて、畏れの中にも尊敬や崇拝の気持ちが含まれていることが特徴ですというんですね。いやいやいやいやいや、DVのこの審議の中でその畏怖という言葉が適切なのかなと。
この畏怖の畏は、畏れるということもあるんだけど、敬う、かしこまるという、そういう意味もあると。一般的には、畏怖の念を抱くと。畏怖は感情を示すことから、畏怖の念を抱くとか畏怖の念を覚えると。心の中に畏れや敬いの気持ちを持っているという意味も含まれていると。畏怖は、自然への恵みの感謝よりも、ただ地震や洪水、落雷などの自然災害に対し恐怖心を感じたときに使われる傾向があるというような、こういう言葉だそうなんです。
そうすると、これはもう、明治時代で、家長が例えば妻とかその子供に恐怖心を与えるようなことを言うけれども、やはり家長として尊敬されているとか、そういう時代ならまだこういう言葉の使い方もあるのかなと思うんですが、この令和の時代、特にDVでもう恐怖心しかない、そういう人たちの審議の中でこういう言葉が政府から出てくるというのはどうなのかと。これは私の思いもあるんですが。
是非、議事録を精査していただいて、この畏怖という言葉が本当に適切かどうかというのは、是非この委員会、委員長、ちょっとお取り計らいいただいて、理事会で協議するのか、それがふさわしいのか、いやいや、参考人とか政府とちょっと話しして、いや、その言葉が、ちょっと違う言葉がいいのかなとかいうような何か対応できることがあればやっていただきたいと思うんですが、委員長、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/196
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197・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) ただいまの大島君の御指摘の件につきましては、後刻理事会において速記録を調査の上、どのような処置が適当なのか協議したいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/197
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198・大島九州男
○大島九州男君 委員長、ありがとうございます。
大臣には質問しません、答弁求めませんけど、今言うような言葉、やはり法案、こういう審議しているのを国民が広く関心持って聞いていただくには、やっぱり分かりやすい言葉、そしてそれに適切な言葉を選んでいただくように要望だけしておきます。今後は余り出てくることを望まないので、もう出てこない方がいいなと個人的には思っています。
それでは、法案の中身について質問させていただきますが、ちょうど資料、新聞資料を出しております。「「男だから」相談できず支援手薄」と、妻からのDVで深い孤立というこの新聞記事を出させていただいているんですが、今回のこの法律の改正、まず根本的なことを一番目に聞くんですけど、配偶者暴力防止法というのは、従来、議員立法で改正されてきたと。で、私どもの、理解すると、議員立法は議員立法で変えていくというのが一般的だなというふうに思うんですけれども、今般は閣法で改正をするというような趣旨でございますが、これはどういったことで閣法で変えようとしているのかというのをまず最初に教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/198
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199・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 閣法で提出された経緯をということでございますが、配偶者暴力防止法は、御指摘のとおり、平成十三年の制定以来、平成十六年、十九年、二十五年と主要な改正は議員立法で行われてきました。改めて御尽力をいただきました皆様に敬意を表したいと思いますが、その上で、今般の改正につきましては、令和元年の児童福祉法等の一部改正による検討規定、ここにおきまして政府が検討主体とされたことを受け、政府内で検討を進めてきたものでありますことから、閣法で法案を提出することに至ったというのが経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/199
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200・大島九州男
○大島九州男君 政府がちゃんと検討すればこうやって議員立法でも閣法となって出てくると。先般から私がいろんなところで質問していますけど、やる気になれば、ちゃんと議論を重ねる会議があって、そうやってこうやって出てくるということが分かるわけですが、今回の精神的な部分についてという部分については、これ結構男性の被害者の方たちには光が当たったのかなというふうなちょっと視点から質問したいと思うんですけど、先ほど言いました資料の中に、警察庁によると、被害者が男性のケースが二三・六%にも上って、この五年で二倍近く増えたと。殴る蹴るといった身体的暴力以上に目立つのが精神的暴力だというふうにあるわけですね。
こういった人たちの相談を受ける団体の理事長さんがこういうことを言っているんですよ。例えば、あんたってATMだよねとか、男らしくないというふうに言われたり、最近だと家事分担などの考え方が変わって、父親なのに何で家事しないのとか、稼ぎが少ないくせに家事全くしないよねというふうに、今まで言われなかったようなことも含まれてきたと。やっぱりこれ、時代とともに変化をしているんですね。また、連日、性交渉を求められて夜寝るときは裸で寝るように強いられる、それで睡眠不足になって仕事に支障を来すという旦那さんもいましたと。こういった現場の声なんですね。
これ通告していないんで、さっき自見政務官に立ち話で、お父さん、自見大臣には我々も大変お世話になった、非常に優しい先生なので、例えば、家庭で自見先生が、大臣がきつい言葉を言うようなことはないでしょうけど、お母さんから何かそういうこと言われたことないですかとちょっと聞いたんですけど、女性の立場からして、男性に対してどういうことがそのDVに精神的に当たるのかなというのをちょっと考え付くことがあったら教えてくださいよといってさっき聞いたんですけど、正式な質疑じゃないんですけど、通告じゃないんですけど、自見政務官、ちょっと感想を一言入れていただけると有り難いんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/200
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201・自見はなこ
○大臣政務官(自見はなこ君) 女性の立場からということだと思いますけれども、男性の被害者に対する支援ということでございまして、今回もそこは非常に重要なポイントだと思っておりますが、個人的なことを申し上げれば、全く父も母も円満でございましたので、個人的にそういった経験がございませんもので、済みません、通告がないもので、政務官としての答弁は差し控えさせていただきます。申し訳ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/201
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202・大島九州男
○大島九州男君 いや、まさにそれが聞きたかったんですね。やっぱりあの先生たち夫婦は円満だっただろうなと、そういうすばらしい答弁いただきまして、ありがとうございました。
いや、それで、今、先ほどの記事なんですけど、男性だから相談できず。実は僕らでもやっぱり相談しづらいですもんね。だから、これ、まあ個人的に、私は個人的に言えば、相談員が男性だったら相談しやすいなと。やっぱり女性になかなかちょっと相談しづらいというのがあるんで、この男性用の相談員という言い方はちょっとおかしいんですけど、やっぱりネットとかいうのも一つの手だとは思うんですが、そういうことよりも、やっぱり直接聞いてもらうというのはすごく僕は効果があると思うんですけど、この男性相談員の配置とかいう、そういった部分はどのようになっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/202
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203・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
具体的にどこで男性が、の相談員がいらっしゃるかというところまでは今現在、今、現時点では持ち合わせておりませんけれども、各地方公共団体では、それぞれの地域の実情に応じて、配偶者暴力相談支援センターなどで何らかの形で男性相談に対応するとともに、男性相談について周知を行っているということを承知しております。
また、内閣府が実施しますDV相談プラスにおきましても、性別にかかわらずDV被害の相談を受け付けており、相談件数の約一割が男性からの相談でございます。
さらに、内閣府では、DV被害者支援を行います民間シェルター等に対する交付金を通じて、民間シェルター等が行う男性相談や男性被害者の受入れ体制も整備、の整備も支援しております。
性別にかかわらず、配偶者からの暴力は犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であると考えております。引き続き、男性被害者等に対する必要な配慮が図られますように、相談及び支援体制の充実を図ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/203
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204・大島九州男
○大島九州男君 そうですね。相談員の、午前中にも質疑の中にありましたけれど、やはり相談員の方がしっかりと経験があって、そしてその経験の下にいろんなものを話できるような人とか専門家、まあいろんな人を配置するんでしょうけど、二枚目の新聞資料ですけれども、やはりこういう非正規公務員でしわ寄せが来ていると。で、言うなれば、相談受ける相談員が非常にこう待遇が悪い中で雇われているというようなことで、結果として、正しいというか、きめの細かい相談ができないような状況になるというのはまあ本末転倒だと。
だから、このDV相談員の低待遇ということの改善でどういうふうに取り組まれているのかというのをちょっと教えていただければと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/204
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205・岡田恵子
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
配偶者暴力相談支援センターは、婦人相談所その他の適切な施設においてその機能を果たすようにすることとされており、また、職員の給与や福利厚生については各地方自治体において判断されるものでございますことから、一概にお答えすることは困難でございますけれども、その一方で、相談員の皆様は被害者の保護を図る上で大変重要な役割を果たしていただいておりまして、誇りを持って働いていただける環境を確保することは大変重要であると考えております。
このような観点から、相談員の皆様を含めた各職員の待遇について、従事する職務の内容や責任の程度、在勤する地域等に十分留意しつつ、地域の実情等を踏まえて適切に定められることが必要と考えており、委員の御懸念も踏まえ、必要な対応を検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/205
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206・大島九州男
○大島九州男君 待遇面については、しっかりと国が補助するなり、地方行政に指導するなりして上げていただきたいというようなことを要望しておきます。
重複する質問は避けていきますが、子供への電話等の禁止命令について、被害者への電話等の禁止命令の禁止行為と異なる理由というのはどういったところでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/206
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207・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 今般新設します子への電話等禁止命令の趣旨は、被害者への接近禁止命令の効果が減殺され、被害者が配偶者と面会せざるを得なくなることを防ぎ、子への接近禁止命令と併せて被害者への接近禁止命令の実効性を確保するため設けるものであります。
このような観点から、行為の内容それ自体が一般に恐怖を感じさせる行為として、著しく粗野、乱暴な行動、言動、汚物の送付等、名誉や性的羞恥心を害する事項の告知等を、同居している未成年の子に対するものであるという事情を踏まえ、子への危害等を想起させる行為である行動監視等、無言電話や緊急時以外の連続した電話等、位置情報の無承諾取得を対象としたところであります。
また、緊急時以外の深夜、早朝の電話等につきましては、その内容を問わないものではありますものの、被害者が子と同居していることを踏まえ、被害者が容易に認識し、恐怖を感じる電話やファクス送信を対象としたところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/207
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208・大島九州男
○大島九州男君 その理論というのは理解できますね。ただ、子供への電話禁止命令について、子への面会要求や深夜、早朝の電子メール、SNS等の送信を行うことが可能というふうに聞いておりますけど、そこは被害者保護としてはちょっと不十分じゃないかと。どういう対応をされているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/208
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209・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 御指摘のように、子への面会要求や深夜、早朝の電子メール、SNS等の送信については禁止行為の対象としてはおりませんが、著しく粗野、乱暴な言動に該当する電子メール、SNSの送付は禁止行為の対象となること、また、緊急時以外の連続した電子メール、SNSの送付が対象であること、ほかにも、子への接近禁止命令の申立ても可能でありますことなどにより、被害者保護が適切に図られる仕組みが担保されていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/209
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210・大島九州男
○大島九州男君 分かりました。
それで、先ほど答弁にありましたSNSやGPS等についてちょっとお尋ねしますが、被害者の承諾を得ないでGPSを用いて位置情報を取得するというのを追加したということを聞いていますが、その目的は何で、また具体的にはどのような行為のことを指しているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/210
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211・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 被害者の承諾を得ないでGPSを用いて位置情報を取得をすることは、GPS機器等を用いた位置情報の取得行為につきまして、被害者に大きな不安をもたらし、更なるDV被害や犯罪に発展をすることがある、おそれがありますことから追加するものであり、こちらが趣旨となります。
具体的な対応についてでありますが、まず第一に、スマートフォンに無断でアプリを入れ位置情報を取得するなどの承諾を得ない位置情報の取得、こちらが第十条第二項第九号に当たりますが、続きまして二番目が、被害者の持ち物に無断でGPS機器を取り付けるなどの承諾を得ないGPS機器等の取付け等になります。こちらは法の第十条第二項第十号となります。この二点につきまして対象とすることを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/211
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212・大島九州男
○大島九州男君 そうですね。本当に、僕ら余り機種のいろんな機能が分からないので、分かっている人はぱぱっといろんなことをやられるので、我々もスマホをぽこんとそこのところに置いているとどこで何されているか分からないという、そういう不安がありますんで、こういったことが禁止されているというようなことは理解をいたしました。
それから、今度は、民事訴訟手続のIT化の規定の整備について、民事訴訟手続のIT化を踏まえた規定の整備の必要性及びちょっと内容について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/212
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213・自見はなこ
○大臣政務官(自見はなこ君) お答えいたします。
保護命令手続は、配偶者暴力防止法に特段の定めがある場合を除きまして、その性質に反しない限り、民事訴訟法の規定を準用することとされております。これを受けまして、今般の改正法におきましては、民事訴訟手続のIT化を踏まえまして、保護命令手続のIT化の環境が整うまでの間、旧民事訴訟法に基づく手続に倣った手続となるよう規定を整備することとしております。
その上で、先行してでありますけれども、保護命令手続における映像と音声の送受信における通話の方法による口頭弁論等の規定等につきましては、新民事訴訟法の施行日に合わせてデジタル化を実施することとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/213
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214・大島九州男
○大島九州男君 そうですね。それはもう合わせて一緒に実施をしていただくことが私もいいと思います。
今回のこの改正につきまして、特に私は先ほど男性の視点を言いましたけれども、二〇二二年のデータでは、男性が被害者であるケースが二万二千七百十四件と、五年前の一万五千九百六十四件から大幅に増加したと。特に男性の場合は、女性からDVを受けているということを周りに相談しにくいという、先ほど私も指摘をさせていただきましたけど、そういうことがあるんですね。DVは男性から女性に対して行われているというふうに、昔の人というか、固定概念を持っている人もいるでしょうから、そういうのをやっぱりどんどんどんどんなくしていかなきゃいけない。
男性でもDV被害を相談しやすいような、その体制づくりというのを先ほどもお訴えさせていただきましたけれども、大臣から、今私の言った視点、それに取り組む気概とその決意をどうぞお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/214
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215・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 先ほど来答弁申し上げているように、配偶者暴力というのは、性別を問わず重大な人権侵害でありまして、あってはならない、そのような行為だというふうに思っております。
しかしながら、委員御指摘のとおり、なかなか男性がそういう状況に陥っても相談しづらいという状況があるのも事実でありますので、これまでも、例えばDV相談プラスのようなSNSや電話を通じた相談ができるような窓口も開設をしてまいりました。更にこういった窓口を充実をさせると同時に、まさに配偶者暴力というのは性別問わず起こり得るものだということを多くの方に御理解をし、まず発生よりも予防をしていかなければいけないと思いますが、そういったことがなされるように内閣府としても周知を徹底してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/215
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216・大島九州男
○大島九州男君 ありがとうございます。
やはり、人の意識というか、家族間の中での意識、夫婦間の意識というのは、やはりなかなかお互い理解しているようでしていないというようなことで、いろんなそごがあって、それがDVに発展していくというようなことだと思うんですね。だから、そういう意味では、非常に言葉のキャッチボールや心の交流というものがスムースにできている家庭では起こりにくいけれども、やはりどこかで分断されていく、こういった中でこういう不幸な事案が増えていると。
そういう意味では、やはり心の問題が非常に大きい。その心が余裕がない、そういう厳しい生活環境の中で、共働きであったりとか、そのストレス、子育てのストレス、いろんなものが相まってこういったことが起こっていく。そういうことのないような世の中をやっぱりつくっていくためには、政治がしっかりとリーダーシップを取って、一人一人の家族、その人たちが幸せに暮らせるような環境を整備していく、それが我々政治家の大きな役割だというふうに思っております。
もうこれは与野党を問わず、政治家として我々が、一人一人の国民の幸せを願う、そういう法律をしっかり作っていく、制度をつくっていくということが大切だと。今回のこの法案の改正が少しでもそういう不幸な家庭、そういう事案を生まないきっかけになることを切に願いながら、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/216
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217・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/217
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218・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、塩村君から発言を求められておりますので、これを許します。塩村あやか君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/218
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219・塩村あやか
○塩村あやか君 私は、ただいま可決されました配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会、日本共産党及びれいわ新選組の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 接近禁止命令の発令要件に精神的暴力による危害等を含める改正は、加害者が自己への従属を強いるために生命・身体・自由等に対する脅迫を用いることに着目したものであることを踏まえ、発令要件の対象となる精神的暴力等が限定されることのないよう、その趣旨を周知徹底し、運用に万全を期すこと。
二 接近禁止命令の発令要件に精神的暴力による危害等を含めることとした一方、退去等命令の発令要件には含めないことにより、精神的暴力等が身体的暴力に比べて重大な被害をもたらさないものであるという誤解を与えることのないよう、その正確な趣旨の周知を徹底すること。併せて、退去等命令の発令要件について、精神的暴力等へ対象を拡大することを含めた見直しを検討すること。
三 被害者本人による保護命令の申立てが困難な場合についての必要な支援を検討すること。
四 保護命令の申立てから発令までの平均審理期間は約十二日となっており、その期間の長さから被害者が保護命令の申立てをちゅうちょすることのないよう、被害者の保護を最優先にした必要な対応を講ずること。
五 被害者が配偶者からの暴力(DV)を受けた場合に、加害者から逃げることを前提としていることが、DVの被害を更に深刻化・長期化させている場合があることに鑑み、被害者とその子が引き続き同じ住居に居住できるよう必要な対応を検討すること。
六 保護命令について同性カップルも対象となった例がある旨を周知徹底すること。併せて、通報の努力義務を含め、同性カップル間の暴力への対応にも遺漏なきを期すこと。
七 被害者の権利擁護及び被害者の子に対する支援について更なる取組の強化に努めること。
八 被害者からの行政機関への苦情に関する適切な対応について周知徹底を図ること。
九 保護命令の申立てに関する手続のIT化に向け、被害者の負担軽減を含め必要な対応を推進すること。
十 被害者の相談対応や安全確保のための支援、生活再建や心身の回復に向けた支援等を担う婦人相談員の適正な配置や専門職としての位置付け等、公的相談窓口の体制を強化すること。併せて、被害者支援において重要な役割を果たしている民間支援団体への財政支援の一層の充実を含めた更なる支援の実施について検討すること。
十一 DVの被害が被害者本人のみならず、その成年の子にも及ぶ事案等に対しては、親族等への接近禁止命令により保護が可能なことについて、一層の周知徹底に努めること。
十二 DVと児童虐待が同一家庭内で同時に発生している実態及びDVが子供の成長や心理に与える影響について情報を収集し、その知見を踏まえた研修を関係機関の職員に対して行うこと。
十三 国が定める基本方針及び都道府県が定める都道府県基本計画の改正に当たっては、加害者プログラムや子供に対するDV防止のための教育について記載するよう努めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/219
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220・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) ただいま塩村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/220
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221・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 全会一致と認めます。よって、塩村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、小倉内閣府特命担当大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小倉内閣府特命担当大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/221
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222・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力をしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/222
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223・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/223
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224・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X00620230406/224
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