1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
令和五年四月二十五日(火曜日)
午前十時開会
─────────────
委員の異動
四月二十一日
辞任 補欠選任
越智 俊之君 衛藤 晟一君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 古賀友一郎君
理 事
上月 良祐君
森屋 宏君
山田 太郎君
小沼 巧君
塩田 博昭君
委 員
有村 治子君
磯崎 仁彦君
衛藤 晟一君
自見はなこ君
広瀬めぐみ君
三宅 伸吾君
山谷えり子君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
水野 素子君
三浦 信祐君
柴田 巧君
高木かおり君
上田 清司君
井上 哲士君
大島九州男君
国務大臣
国務大臣 後藤 茂之君
副大臣
内閣府副大臣 藤丸 敏君
厚生労働副大臣 羽生田 俊君
厚生労働副大臣 伊佐 進一君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 鈴木 英敬君
厚生労働大臣政
務官 畦元 将吾君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官兼厚生労働
省大臣官房審議
官 朝川 知昭君
内閣官房新しい
資本主義実現本
部事務局フリー
ランス取引適正
化法制準備室長 岩成 博夫君
内閣官房新しい
資本主義実現本
部事務局フリー
ランス取引適正
化法制準備室長
代理 三浦 章豪君
内閣官房新しい
資本主義実現本
部事務局フリー
ランス取引適正
化法制準備室次
長兼公正取引委
員会事務総局経
済取引局取引部
長 品川 武君
内閣官房新しい
資本主義実現本
部事務局フリー
ランス取引適正
化法制準備室次
長兼厚生労働省
大臣官房審議官 宮本 悦子君
内閣官房新しい
資本主義実現本
部事務局フリー
ランス取引適正
化法制準備室次
長兼中小企業庁
事業環境部長 小林 浩史君
文部科学省大臣
官房審議官 西條 正明君
文化庁審議官 中原 裕彦君
厚生労働省大臣
官房審議官 青山 桂子君
厚生労働省大臣
官房審議官 梶原 輝昭君
厚生労働省大臣
官房審議官 本多 則惠君
厚生労働省大臣
官房審議官 原口 剛君
厚生労働省労働
基準局安全衛生
部長 美濃 芳郎君
参考人
日本弁護士連合
会労働法制委員
会事務局長 菅 俊治君
ユニオン出版ネ
ットワーク副執
行委員長 杉村 和美君
株式会社リアル
代表取締役 伊達 一詔君
─────────────
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/0
-
001・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、越智俊之君が委員を辞任され、その補欠として衛藤晟一君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/1
-
002・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官兼厚生労働省大臣官房審議官朝川知昭君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/2
-
003・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/3
-
004・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に日本弁護士連合会労働法制委員会事務局長菅俊治さん、ユニオン出版ネットワーク副執行委員長杉村和美さん及び株式会社リアル代表取締役伊達一詔さんを参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/4
-
005・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/5
-
006・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。後藤国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/6
-
007・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) ただいま議題となりました特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、我が国における働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備するため、特定受託事業者に業務委託をする事業者について、特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示を義務付ける等の措置を講ずることにより、特定受託事業者に係る取引の適正化及び特定受託業務従事者の就業環境の整備を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、特定受託事業者を、業務委託の相手方である事業者のうち、個人であって従業員を使用しないもの又は法人であって一の代表者以外に他の役員がなく、かつ、従業員を使用しないものと定義することとしております。
第二に、特定受託事業者に係る取引の適正化について定めるものであります。
業務委託事業者は、特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、原則として、直ちに、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項を、書面又は電磁的方法により特定受託事業者に対し明示しなければならないこととしております。また、特定業務委託事業者が特定受託事業者に対し業務委託をした場合における報酬の支払期日は、当該特定業務委託事業者が特定受託事業者の給付を受領した日から起算して六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならないこととするとともに、特定業務委託事業者は、当該支払期日までに報酬を支払わなければならないこととしております。そのほか、一定期間以上継続して行われる業務委託について、特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないのに、特定受託事業者の給付の受領を拒んではならないこと、報酬の額を減じてはならないこと等、特定業務委託事業者の遵守事項を定めることとしております。
第三に、特定受託業務従事者の就業環境の整備について定めるものであります。
特定業務委託事業者は、広告等により特定受託事業者の募集に関する情報を提供するときは、虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならず、また、正確かつ最新の内容に保たなければならないこと、特定受託事業者が育児、介護等と両立しつつ継続的業務委託に係る業務に従事することができるよう、必要な配慮をしなければならないこと、特定受託業務従事者に対するハラスメント行為により、その就業環境を害することのないよう、相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備等を講じなければならないこと、継続的業務委託について、契約の解除をしようとする場合等には、原則として、少なくとも三十日前までに予告しなければならないことを定めることとしております。
第四に、公正取引委員会、中小企業庁長官又は厚生労働大臣は、この法律の施行に必要な限度において、特定業務委託事業者等に対し、業務委託に関し報告をさせ、又はその職員に、これらの者の事務所等に立ち入り、帳簿書類等を検査させることができることとするとともに、この法律の違反行為があった場合等には、指導、助言、勧告、命令、公表等をすることができることとしております。
第五に、国は、特定受託事業者に係る取引の適正化及び特定受託業務従事者の就業環境の整備に資するよう、特定受託事業者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備等を講ずることとしております。
なお、この法律案の施行期日は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、この法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/7
-
008・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/8
-
009・山田太郎
○山田太郎君 自由民主党の山田太郎でございます。
今回の法律、実は自民党の党内でもいろいろけんけんがくがく議論がありまして、フリーランスの定義とかいろいろあって一回保留になって今回提出されたというものであります。
その中で、私も党内で随分議論をしてきましたので趣旨等は分かっておりますし、大変、UGC、ユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツの時代ですね、まあ一人で活躍する方も増えてきています。逆に言うと、高齢者でいわゆる退職後フリーランスという方々もいらっしゃいます。
一方で、もう一つ今日最大のテーマになるのは、子育てとか介護において、どうしても通常の働き方ができないという方がフリーランスになるというケースもありまして、どちらかというと、今日はその運用面において、きちっと、そういうどうしても弱い立場に置かれている個人事業主、まあ一人で働いているフリーランス、これをどう守っていくのか、こういったところの課題について質疑させていただければというふうに思っております。
まず、この特定受託事業者ということですが、実はこの適用範囲が非常に狭くて、この概要書の説明にもありましたけれども、要は一人で働いているということなんですね。従業員がいてもいけないし、一緒にやっていてもいけないと。たった一人でやっている場合のフリーランスをサポートしようということですが、実は、その確認というのは、意外とというか非常に難しいのではないかという課題があると思っていまして、これ、業務委託の発注者が、本来この法律の適用となる特定受託事業者であるかどうか、どう確認するのかという辺り、それをどう想定しているのか、あるいは立証というか証明をどう担保しているのか、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/9
-
010・岩成博夫
○政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。
発注事業者が取引先であるフリーランスが、失礼しました、発注事業者の取引先であるフリーランスが従業員を使用しているか否かということについて、発注事業者による確認というのがあるわけですけれども、これについては、フリーランスに対して業務委託を行う時点で確認を行っていただくことを想定しております。
具体的には、電子メール等での確認など、取引慣行上過度な負担とならず、立証等を容易になし得る方法で入手した情報で従業員の有無を判断すれば足りるとする運用を想定しております。
このような従業員の有無の確認方法については、本法案が成立した場合には、施行までの間にガイドライン等の形で対外的にお示しすることとしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/10
-
011・山田太郎
○山田太郎君 一々、取引スタートするときに、それ、あなた一人でやっていますかということをどうやって聞くのかというのは運用上難しいと思うんですが、一方、該当しないにもかかわらずそうだよと言ってしまうケースとか、該当するにもかかわらず該当しないというふうに答えた場合どうなっちゃうのか、この法律でもってその適用はどうなるのか。
一方で、その回答が虚偽であることが判明した場合に業務委託契約等が解除されるのかどうか、その辺りもお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/11
-
012・岩成博夫
○政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。
本法案は、特定受託事業者に該当するか否かを従業員の有無という客観的な基準をもって判断することとしております。そのため、従業員を使用している受注事業者については、発注事業者への回答内容にかかわらず特定受託事業者に該当することはなく、本法案は適用されないということになります。また、従業員を使用していない受注事業者については、発注事業者への回答内容にかかわらず特定受託事業者に該当し、本法案が適用されるということになります。
その上で、発注事業者の行為自体としては本法案の規定に違反するものであったとしても、受注事業者が発注事業者に対して従業員の有無について虚偽を述べたことが明らかであると認められる場合については、公正取引委員会等は勧告や命令の措置は行わないことを想定しております。
なお、特定受託事業者が従業員の有無等について虚偽を述べた場合の業務委託契約の解除に関してでありますけれども、本法案は特段の規定を置いておりませんで、解除等の可否は民法の規定や当事者間で合意された契約内容によることになるというふうに考えております。
このような本法案の適用関係については、発注事業者及び受注事業者の双方にしっかりと周知する必要があるものと認識をしておりまして、本法案が成立した場合には、施行までの間にガイドライン等の形で対外的にお示しすることとしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/12
-
013・山田太郎
○山田太郎君 つまり、明示ではなくて実を取りましょうということなんですが、じゃ、一方で、途中から従業員がいなくなってこのいわゆる法律に適用するということになった、一人になったから、実はこれ、当初の契約した段階では二人でやっていた、あるいは誰かを雇っていたんだけれども、その人がいなくなったということで一人でやっていたという場合には途中からも適用になるのか、この辺りいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/13
-
014・岩成博夫
○政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。
本法案では、発注事業者が業務委託をする時点のみならず、問題となる行為のあった時点、この二つの時点で受注者たるフリーランスが従業員を使用していない場合にのみ従業員を使用しないものというふうにされると考えております。
業務委託をする時点で受注者たるフリーランスが従業員を使用している場合には、業務委託の途中で従業員を使用しなくなったとしても特定受託事業者には該当せず、本法案は適用されないということになります。また、業務委託をする時点で受注者たるフリーランスが従業員を使用していない場合であっても、業務委託の途中で従業員を使用する場合には特定受託事業者には該当しないということになり、やはり本法案は適用されないということになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/14
-
015・山田太郎
○山田太郎君 結構これ、明示とか、時点の問題とか、実を取るとか、結構複雑なんですよね。本当にこれ適用、ガイドラインでどれだけやっていけるのか、ちょっとここしっかり運用を詰めておく必要があるんじゃないかなというふうに思います。
次に、この法律の背景、もう一つは、やはり育児とか介護によってどうしても正規の社員として働きにくい人が一人事業主、フリーランスになるケースということもあるということで、今回、継続的業務委託に関しては特定委託事業者が育児、介護と両立して業務を行えるよう配慮しなければいけないと、こういうことになったんですね。
じゃ、ところで、その配慮の具体的内容というのは何なのか。
それからもう一つが、育児、介護と両立して業務を行わなければいけないような業務というのは具体的にどんなことを想定されているのか。
もう一つ、三点目なんですが、どれぐらいの期間以上のものを継続的業務委託というふうにしているのか。
そして四点目は、それに対して配慮の申出をしたんだけれども、発注者に応じられなかった場合、応じてもらえなかった場合、不利益な取扱いを受けた場合、どのような相談が可能なのか、あるいは、具体的に相談した場合にこの法律がどのような救済を想定しているのか。
それぞれお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/15
-
016・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
本法案では、特定受託事業者が育児、介護等と業務を両立できるよう、特定業務委託事業者に対し、特定受託事業者からの申出に応じた必要な配慮をしなければならないこととしております。
特定業務委託事業者の配慮の内容としては、例えば、妊婦の母性保護や健康管理のため、妊婦健診の受診のための時間を確保したり就業時間を短縮したりすること、また、育児、介護を行う時間の確保のため、育児、介護と両立可能な就業日、時間とすることといったことが考えられます。
特定業務委託事業者に対して育児、介護等と両立して業務を行えるよう申出を行わなければならないような特定受託事業者業務としては、例えば講師やインストラクターなど、決まった時間や場所で働く特定受託事業者が考えられ、これらの者について、就業日や時間を変更したり、オンラインで働ける、働いたりできるようにするといった配慮が想定されます。
継続的業務委託として育児、介護等への配慮義務の対象となる取引の期間につきましては、内閣官房のアンケート調査において、契約期間が一年以上の場合には仕事の掛け持ち数が減ることにより特定の発注事業者への依存度合いが高まる傾向が見られること、また、一定期間以上の取引関係があることで当事者間で働き方を調整できる関係性が生まれると考えられることから、これらを参考として設定することとしております。
育児、介護等の配慮の申出に伴う特定業務委託事業者の対応について、例えば特定受託事業者の申出に対し理由なく取り合わないなど、特定業務委託事業者が配慮義務を適切に履行していない場合には、特定受託事業者は厚生労働省にその旨を申し出て適当な措置をとるべきことを求めることができます。また、こうした申出を契機として、都道府県労働局におきまして、当事者双方の話をよく聞いた上で、必要に応じ、特定業務委託事業者が配慮義務を適切に履行するよう助言、指導を行うこととしております。
育児、介護等への配慮の申出により特定受託事業者が一方的に契約内容を不利益に変更するなどのトラブルに発展した場合には、フリーランス・トラブル一一〇番に相談し、法律上取り得る対応等についてアドバイスを求めることも可能でございます。
厚生労働省といたしましては、こうした相談が可能であることをしっかりと周知し、特定委託事業者への育児、介護等への配慮が適切に行われる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/16
-
017・山田太郎
○山田太郎君 ちょっと今の答弁ですごい気になったんですけれども、これ、妊婦さんとか、まあ妊婦さんの場合は割と分かるというか、介護の場合というのは、うちはこれ介護あるので今回こういう契約にしますと事前に言っていた言っていなかったということもあると思うんですが、後から、契約上の、結ぶときは何もなくて、介護が実はあるのだということで、どうしても休みたいとか、この業務が今日はできませんとか、いわゆる契約上そのことは書いてなかった、あるいは契約時にその介護であるとか妊婦の状況であるとかということが明示されてなかったとしても適用されるのかどうか。それによって、例えば少し業務を減らした場合に、あるいは減額の措置とかというのは具体的にどうなっていくのかなというふうに思うんですけど、これどういうふうになるんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/17
-
018・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
介護の場合につきましても、契約の後であっても、事情につきまして申出をすることによって本法案は適用されることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/18
-
019・山田太郎
○山田太郎君 いや、そうすると、ごめんなさい、嫌らしい言い方すると、いや、実は介護がということで、後からそれを盾に、まあ逆に言うと、悪用ではないですけれども、弱い人を今日守るという立場でこれ質疑はしているんですが、逆に取られる可能性とかもあると思うんですけれども、その辺の担保、逆に、そういうことをちゃんとしておかないと、企業は怖くて一人フリーランスを雇うのやめておこうと、何でもかんでも介護と言われれば通っちゃうのかということにもなりかねないと思うんですけど、その辺りはどう担保していくんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/19
-
020・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
具体的な配慮の中身、内容につきましては、この法案が成立した場合におきまして、厚生労働大臣が定める指針におきまして具体的な内容につきまして定めた上でしっかりと周知をしてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/20
-
021・山田太郎
○山田太郎君 ちょっと何となく、そういう意味で生煮えなところがあるんじゃないかなと思いますが。
一方、次、ちょっとハラスメントについてもお聞きしていきたいと思います。
同じ問題抱えていると思うんですけれども、今回も、ハラスメントに対しても体制整備ということで、どんな内容がハラスメントに当たるのか。いわゆる労働者のハラスメントというのはいろいろ整備されていて分かりやすいんですが、業務を委託している、請け負っているという中でのハラスメントというのは具体的にどういったものなのかなと。どんな措置をとるのか、どのようにして例えばそのことを知ることができるのかとか、逆に、そういうハラスメントを受けた場合、発注者である相手企業の一体誰に言えばいいのかと。発注しているフロントの窓口というか担当者にハラスメントされちゃったときに具体的に誰に対して相談をすればいいのか、その辺、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/21
-
022・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
まず、ハラスメントに当たる内容につきましては、例えばセクシュアルハラスメントにつきましては、性的な言動により特定受託事業者の就業環境を害する行為や、性的な言動に対する特定受託事業者の対応により、その者に係る業務委託の条件について報酬の減額等の不利益を与える行為を想定しておりますけれども、具体的には、妊娠、出産等に関するハラスメントやパワーハラスメントも含めまして、既存の法令における、既存の法令を参考に、厚生労働大臣の定める指針においてお示しすることとしております。
また、ハラスメント対策のため特定業務委託事業者が講ずべき措置の内容につきましては、ハラスメント行為を行ってはならない旨の方針を明確化し、従業員に対してその方針を周知啓発すること、ハラスメント行為を受けた者からの相談に適切に対応するために必要な体制の整備をすること、ハラスメント行為が発生した場合の事後の迅速かつ適切な対応を想定しており、具体的には厚生労働大臣の定める指針でお示しすることとしております。
また、特定受託事業者が特定業務委託事業者側のハラスメント対策の内容や相談窓口をどのようにすることができるかということにつきましては、例えば特定受託事業者への発注時に周知することなどが考えられますが、関係者の意見を聞き、特定業務委託事業者及び特定受託事業者の実情に即した周知方法を厚生労働大臣の定める指針等でお示しすることを検討してまいりたいと考えております。
これに加えまして、フリーランス・トラブル一一〇番におきましても、業務に伴うハラスメント行為について、特定受託事業者からの相談に応じ、弁護士が取り得る対応等のアドバイスをしており、こうした相談窓口の周知や利用勧奨を通じまして、国としてもハラスメントのない就業環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/22
-
023・山田太郎
○山田太郎君 何となく、相談は、相談窓口から弁護士を紹介すると、だから自分で勝手に訴訟してくれというふうにも聞こえかねないんですけれども、もうちょっと踏み込んで対応がこの法律でできないのかなというふうにも思っています。
次ですね、労働性の問題に関しても少し質疑していきたいんですが、これ、実態としては労働契約に近い形であって業務委託契約を締結されている場合ですね、いわゆる偽装請負とか偽装フリーランスなんという形になった場合に、この働き手の方は本法でどう救済されるのか、これもどうやって相談していけばいいのか、具体的な救済方法等について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/23
-
024・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
労働基準関係法令の適用につきましては、業務委託や請負等の契約の名称にかかわらず実態を勘案して総合的に判断しており、実質的に労働者と認められる方々につきましては労働基準関係法令が適用され、本法は適用されないこととされております。
フリーランスと発注事業者等との取引上のトラブルにつきましては、フリーランスが弁護士にワンストップで相談できる窓口としまして令和二年十一月からフリーランス・トラブル一一〇番を設置しており、御指摘のように、労働者性、労働者に該当するかどうかの相談につきましては、弁護士が相談者の方から丁寧に話を聞いた上で、労働基準監督署等の関係機関を紹介する等、適切に対応しているところでございます。
また、労働基準監督署におきましても、フリーランスの方から労働基準関係法令違反がある旨の申告がなされた場合には、相談者の方から丁寧に話を聞くなどして事実確認を行い、労働者に該当するかどうかを判断していると承知してございます。
引き続き、労働基準監督署におけます判断が的確に行われるようにするとともに、調査の結果、労働者に該当し、労働基準関係法令違反が認められる場合には、厳正な監督指導が行われるよう、厚生労働省において適切に対応してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/24
-
025・山田太郎
○山田太郎君 労働性が強い場合にはなんですけど、でも、今の話で解決するかというと、個人事業主として働きたいということでフリーランスとしてやっているんであって、今の話だと、ちゃんと雇ってくださいということになっちゃうと思うんですね。
そうではなくて、要は、ちゃんと個人事業主、つまり請負なのだと、勝手にその現場で指揮命令を受けて、契約上にない電話を取らされるとか、別の業務をやらされないようにするためにはどうすればいいのか、これは労働基準局に言ったところで、この本法がしっかりと個人事業主とやれる、一人でもちゃんと個人事業主としてやれるということが守られていることには決してならないと思うんですけど、その辺りはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/25
-
026・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/26
-
027・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/27
-
028・三浦章豪
○政府参考人(三浦章豪君) お答え申し上げます。
御指摘のようなケースにつきましては、いわゆる禁止規定の中にあります、例えば元々契約に定められていないような追加の業務を無償でやらせるというような行為は禁止規定の中に入ってくる行為に該当し得る場合があるということでございますので、本法案に基づいて、そのようなことがあった場合にはしっかりと対応していくということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/28
-
029・山田太郎
○山田太郎君 しっかりとして対応していくというのが、誰に対して、個人事業主としてこのことは、こんなことやったら請負になっちゃうよと、法律上違反しているんじゃないかということを誰に相談していけばいいのか、ちょっとその辺りをお伺いしているんですけど、もう一度御答弁いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/29
-
030・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
御指摘のようなケースにつきましては、まずはフリーランス一一〇番におきまして御相談いただきまして、弁護士の方が相談者の方からしっかりと話を聞いた上で適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/30
-
031・山田太郎
○山田太郎君 結局、これも弁護士に相談してくださいということなんですよね。
次に、ちょっともうこればっかりやっていてもしようがないので、ちゃんとここはガイドライン等含めてもうちょっと踏み込んでフリーランスを守る形にしてもらいたいと思いますが。
次は、ちょっと契約関係とか権利関係の話行きたいと思うんですが、まず、この不当なやり直しを禁止ということなんですけど、どのようなものが不当なやり直しになるのかということと、もう一つ最大のポイントでありますところが、この検収基準というのが請負になると大事になると思いますが、その基準等についてどの程度書面に明示しているのか、あるいは検収を上げない場合、結局一番問題なのは、検収を上げないということが一番きつくて、検収さえ上がれば六十日以内にお金払いましょうとは書いてあるんだけれども、結局、これじゃ気に入らないという形になると結局検収が上がらないということにもなりかねないんですが、その辺りどういうふうに明示していけばいいのか、教えていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/31
-
032・岩成博夫
○政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。
不当なやり直しについての御質問でありますけれども、本法案の第五条の第二項第二号においてやり直しについては規定しておりまして、特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず、発注事業者が給付を受領した後にやり直しをさせることにより、特定受託事業者の利益を不当に害することをこの不当なやり直しということで規定しております。
そのため、特定受託事業者が業務委託時に定めた内容、仕様どおりに成果物の作成、提供を行ったにもかかわらず、特定受託事業者に追加で発生することとなった費用を支払うことなくやり直しをさせた場合には、不当なやり直しとして勧告等の対象となり得るというものでございます。
また、第三条に規定する取引条件の明示義務でございますけれども、こちらにおける給付の内容には、その品目、品種、数量、規格、仕様等を明確に記載する必要がございます。その明示に当たっては、作成、提供すべき成果物の内容あるいは仕様を特定受託事業者が正確に把握できることが、できる程度に具体的に明示する必要があるというふうに考えております。
したがって、検収の際などについても、検収に関連しても、まず、この三条での取引条件の明示の段階で具体的にどういった成果物が求められているのかということをしっかりと示していただくということが重要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/32
-
033・山田太郎
○山田太郎君 検収が、私も商売していたときになかなか検収が上がらないということがありまして、やっぱり、これは発注する側だってやっぱり品質を担保したいので、悪気がなくても厳しく検収が上がらないケースがあったりすると思うんですが、そうするとずっとただ働きになっちゃったりするんですね。これが一番、もうハラスメント以上に厳しいというふうに思っていますので、ちょっとこの辺はしっかり、ガイドラインを含めて、対応を今後していただきたいと思います。
次ですけれども、今回、いわゆる下請法の見直しではなくて今回のフリーランス新法と言われるものになったんですが、私は、これ下請法の見直しというのもあってもいいんじゃないかなというふうに思っています。これはなぜかというと、今回は一人でやっている人しか守られないんですよね。一人雇っているとか、何人かでやっている、まさに、それだってフリーランスの形態でもありますし、極小の企業は発注側が資本金一千万円以下であれば下請法は適用にならないということで、まさに守られる法律がなくて空白になってしまうかと思います。
そういう意味で、これ併せて、資本金にもよらないで下請法が適用できるように見直せないかどうかと。ただ、小さい会社と小さい会社同士が、いわゆるかなり厳しい状況にしても、動かなくなるといけませんので、例えば従業員とか売上げによった適切な要件を導入するなんということも考えられると思うんですけど、この辺りいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/33
-
034・品川武
○政府参考人(品川武君) お答え申し上げます。
下請代金法でございますけれども、これは独占禁止法の優越的地位の濫用の補完法としまして、優越的地位が類型的に認められやすい取引につきまして、独占禁止法に比較して簡易かつ迅速に対処をするということを可能とするため、資本金区分等により適用対象を明確化しているものでございます。
委員御指摘の従業員数でありますとか売上高につきましては、資本金の額と比較しまして事業年度等に応じて比較的短い期間で数値が変動するという性質がございます。また、事業者の外部から数値を確認することが容易ではないというところもございます。
下請代金法におきましては、資本金区分の代わりに従業員数や売上高を基準とした場合に比較的短い期間で変動する数値を採用することになりまして、発注者だけではなくて中小規模の受注者から見ても取引先が適用対象となるか否かの予測可能性が低下するなど、規制の安定性を損なうことになりかねないというふうに考えてございます。
このため、公正取引委員会といたしましては、下請代金法については安定した基準である資本金区分等により適用対象を明確化することが引き続き適当であると考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/34
-
035・山田太郎
○山田太郎君 その答弁、おかしいと思うんですよね。
というのは、例えば消費税法は、納税義務の免除については売上げ一千万円以下というのが基準なんですよ。それから、会社法も、大企業については資本金五億円以上又は負債額二百億円以上を基準と。これ、いずれも事業年度等において頻繁に変動するかと思います。
一方で、今回の本法も、いわゆる業務委託の相手方である事業者であって、従業員を使用しないものという、まさに従業員数をポイントとしているわけでありますから、こちらの法律は、なかなか、向こう側の相手がどんな状況で雇っているのか雇っていないのか、本当に一人かどうかというのは外形的に分からないのに、下請法に関しては、ほかの法律では売上げ等の基準を取っているものがあるのに、何で下請法だけはそこにこだわられるのか、もう一度答弁いただけますか。整合性が取れないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/35
-
036・品川武
○政府参考人(品川武君) ただいま委員から御指摘のありました税法でありますとか会社法の関係でございますけれども、こちらにつきましては、自社の売上高や負債の額を基準として、それに伴う一定の義務が生じているものでございます。こういったものにつきましては、当該事業者自身の売上高でありますとか負債の額というのは、その事業者にとりまして容易に把握することができるというふうに考えてございます。
一方で、下請代金法の場合は、親事業者が書面交付義務を負うかどうかという問題がございまして、これを判断するに当たりましては、親事業者自身だけではなく、取引先である下請事業者の売上高や負債の額についても把握しなければ規制の対象になるかどうかが確定しないといった事情がございます。
また、中小企業の中には、売上げや負債の額みたいなものにつきまして公表に消極的な事業者も存在すると考えられますところ、こうした数字につきまして、非公表の売上高や負債の額の開示を強制をさせるということになれば、下請事業者の利益に反するのではないかというふうな問題もあると考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/36
-
037・山田太郎
○山田太郎君 実はこれ私もずうっと党内含めてこだわってきたところでありまして、やはり今回のフリーランス新法は一人事業主にとっては非常に重要ですので、その趣旨もありますし、是非これは通したい法律だというふうに思いますが、一方で、先ほど冒頭にも述べましたように、一人以上でやっているとか一人だけ雇っているとかいう人たちには全く適用のものがなくて、下請法をどういわゆる発注者から見た場合に解釈するかということになっちゃうんですね。
これ、ちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、そういった意味で、次ですね、フリーランスというのも多様な形態があります。フリーランスが徐々に大きくなっていく可能性もあります。そういう場合に、たった一人だけ雇っていたらもうこれに適用にならない、だけど、発注側が一千万円だと下請法がいわゆる適用にならないといったようなケースもカバーしていく必要があるんだというふうに思っています。
是非、後藤大臣、このちょっと空白になってしまった、しかも、ここの人たちを最も守らなければいけない、将来の可能性もUCGの時代にある中で、大臣としてこの辺りどうお考えか、御答弁いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/37
-
038・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 本法案が成立すれば、これまで下請代金法による保護の対象外であったフリーランスに関する取引の適正化が図られることに加えまして、ハラスメント防止などの個人の就業環境整備が図られることによりまして、フリーランスの方々が不当な利益を受けることなく安定的に働くことができる環境の整備が大幅に促進されるものと考えております。
今回の法律は、そういう意味でいえば、組織、個人であっても、人を雇っていない、そういうフリーランスというものから出発点にして、取引規制で構築している法律だというふうに考えています。
他方で、議員御指摘のように、本法案が成立したとしても、依然として本法案、下請代金法のいずれの対象ともならない取引が存在することは事実であります。例えば、本法案第五条の禁止行為、これは継続的取引のみを対象としているほか、フリーランス同士の取引は書面交付の取引以外は対象外としていると、そういう実態上の問題等を踏まえた対応もしているところであります。
このため、まずは本法案をしっかり運用するとともに、本法案附則の検討規定に基づいて、法施行後もフリーランスをめぐる取引状況の分析や様々な業種における課題の把握などに努めるほか、幅広く関係者の意見を確認していくことによりまして、施行後三年をめどに検討を行ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/38
-
039・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間ですので、まとめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/39
-
040・山田太郎
○山田太郎君 是非、このまだ保護されない部分というのを、これをスタートにというふうに大臣おっしゃられたので、検討をスタートしていただきたいと思います。
それから、多くの相談が弁護士さん宛てにという、まだまだ、ガイドラインでサポートするのか、この法律がきちっと捉え切れていないところもあるというふうに思っていますので、今後引き続きお願いしたいと思います。
以上です。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/40
-
041・小沼巧
○小沼巧君 立憲民主党の小沼巧です。
冒頭、質疑に入る前に、皆さんに感謝一言申し上げたいと思っております。
今日の参議院の内閣委員会の質疑では、当事者でありますとか実際現場で救済に取り組む人々を参考人という形でお呼びすることになりました。そういう意味で、通常の参考人質疑とは異なりまして、大臣や役所の方々、そして実際に、そういった方々と実際に現場で取り組む方々が一堂に会して意見交換、議論をするというような意味でありますので、今後の法運用、政策実行に魂が入ったものになるのではないかなと、そういう意味では画期的な委員会になったのではないかなと思います。
熟議の府として、法制度のはざまで苦しむ不条理を一つでも多く解決する一助となる委員会運営に合意いただいた与党の先生たち、野党の先生たちに改めて感謝を申し上げたいと思います。
今日は、私、日本弁護士連合会労働法制委員会事務局長の菅俊治参考人に来ていただいております。先ほどの山田委員等の質問の中でも、例えば育児、介護等々の話やハラスメント、あるいは労働者性の話などの中でフリーランス一一〇番とかそういう話が出たところでありますが、そういった現場で対応に当たっている方の意見を聞いていただいて、それを踏まえて、運用上はどうなっているのかということを議論していきたい、そんな今日は時間の使い方にしてまいりたいと思います。
早速、菅参考人にお伺いしたいと思うんですが、まずは、その育児、介護等に対する配慮ということについてであります。
契約打切り等の不安が当事者の間にあるという話を伺っておるところでございますが、当事者に寄り添って、被害者の救済、権利保護のため、現場の相談を日々受けている参考人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/41
-
042・菅俊治
○参考人(菅俊治君) 当事者が安心して育児、介護、妊娠、出産等を申出ができるように、是非とも不利益取扱いの禁止ということも何らかの形で明示をしていただきたいというふうに思います。
これらのライフイベントというのはまさに人権の中核の一つでありまして、そのようなことが理由になって契約が打ち切られるとか報酬が切り下げられるということがあってはならないと、そういったことは、公正かつ持続可能な経済だとかビジネスと人権という観点からも許されないというふうに思われます。
本法では、必要な配慮という形で、むしろそれを前提とした上で、スケジュールの調整であるとか、あるいは重量物を運ばせないだとか、様々な形での配慮を必要とするという立て付けになっておりますと、なっていると考えられますので、是非とも安心した申出が可能な形での周知を図っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/42
-
043・小沼巧
○小沼巧君 ありがとうございます。
大臣に伺っていきたいと思います。
今、参考人の話で、安心した申出という話がありました。先ほど政府参考人から答弁あったところなんですが、政治家からの答弁はなかったので改めて聞きたいと思います。
特定受託事業者の妊娠、出産、育児、介護等との両立への配慮、これにつきまして、特定受託事業者が特定業務委託事業者に対して配慮を申し出た場合に契約解除等の不利益な取扱いを受けることがないようにすることは大事だと思います。
法施行に当たって、その旨、不利益取扱いをしてはならない旨を明確化すべきであると思いますが、大臣の御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/43
-
044・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 本法案では、発注事業者は、フリーランスが育児、介護等と業務を両立できるよう、フリーランスからの申出に応じて必要な配慮を行うことが求められます。具体的には、フリーランスの申出を受けて就業時間を短縮するなど、フリーランスの希望を踏まえた契約内容の変更等を行うことが考えられます。
一方、申出があったことだけを理由としてフリーランスにとって望ましくない行為が行われることも想定されることから、そういった取扱いがなされることがないよう、厚生労働大臣の定める指針等において望ましくない取扱い等の明確化を図っていくことにしたいと考えています。
今後、関係者の意見を聞きつつ、取引の実態も踏まえながら指針の内容等を検討するとともに、丁寧な周知を図ることで、個々のフリーランスの希望や業務の内容等に応じて当事者間で柔軟な配慮が講じられるように取り組んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/44
-
045・小沼巧
○小沼巧君 前段の、望ましくない取扱いがなされることがないようにちゃんと指針なんかについてしっかりやっていくということは、そのとおり、賛成したいところであります。
後段の、周知の話が出てきましたので、ここにも大臣について、大臣にまた確認していきたいと思うんですが、この特定受託事業者が申し出た場合に特定業務委託事業者は必要な配慮をしなければならない又は努めなければならないということをされているところでございます。この旨の周知徹底、これを是非とも運用面でもお願いしたいと思いますが、大臣の御見解をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/45
-
046・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 個人として働くフリーランスにとって、育児、介護等と業務の両立は非常に重要な課題だと考えております。育児、介護等の配慮義務を実効的なものとするためには、議員御指摘のとおりに、発注事業者にこの規定の趣旨、内容を御理解いただき、適切な対応が行われるようにすることが重要であります。
このため、育児、介護等の配慮として発注事業者に求められる対応の具体例等について厚生労働大臣の定める指針等においてお示しするとともに、説明会の開催、パンフレットの配布、関係省庁のウェブサイトへの掲載、関係団体を通じた周知など、様々な方法で周知徹底を図ってまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/46
-
047・小沼巧
○小沼巧君 次の論点に移ります。
菅参考人に伺ってまいりたい論点は、ハラスメント対策についてであります。
先ほどの質疑の中でもありましたけれども、やはりこの法案を鑑みると、業務の委託側と受託側との非対称性ですね、非対称性に起因するハラスメントが幾つかあると、そんな中で泣き寝入りせざるを得ないような実態もあるのであるという話を伺っております。この点、現場で実際に相談に応じていらっしゃる菅参考人から、この点についての御意見をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/47
-
048・菅俊治
○参考人(菅俊治君) 申し上げます。
まず、こうしたセクシュアルハラスメント、パワーハラスメント等といった行為は、それぞれの業界なりあるいはその事業体の中での力の構造、権力構造をやっぱり背景にして行われることが多く、外からの簡単な助言や指導等ではなかなかなくすことができない困難な問題がございます。そういったことも関係して、行政からも助言、指導しただけでは問題の解決に至らないことも含めた上での対応が必要になってくると思います。
その点で、ガイドラインの作成ですとか、良い事例、悪い事例などの運用を紹介する等により、まず、企業、業界ごとの支援体制の構築というものを是非やっていただきたいと思います。また、受注者サイドの協同組合や労働組合などと連携をして、相談や解決事例を集積して実際の解決に当たるということも必要になりますので、そういったことの支援も是非お願いをしたいというふうに思います。
また、出版、放送、出演や美術、音楽等、一定の業界ではハラスメントが特に起こりやすい構造というものがございます。こうした業界の中では、例えば、標準契約書を定めて、その中でハラスメントを禁止するという条項を設けるであるとか、損害賠償請求があり得る、解除も可能であるとか、あるいは受注者サイドの方で、ハラッサー、加害役職員に対する配置換えを要求できる権利を標準契約書の中に盛り込んでおくとか、そういった形での対応も十分に考えられるところでありますので、そうした総合的な施策を是非御検討いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/48
-
049・小沼巧
○小沼巧君 ありがとうございました。
大臣に伺っていきたいと思います。
今参考人の方から様々な現場の実態、そして支援策の必要性等について話がありました。この特定受託業務事業者に対するハラスメント行為、これに係る必要な体制整備等の措置につきまして、単に相談を聞いておしまいではなくて、具体的な解決につながることは重要であるということは共有いただけるのではないかと思います。
その意味で、特定業務委託事業者において必要な措置が適切かつ十分に講じられるよう、具体的な措置の内容について、参考人の今の言葉を借りれば、例えばガイドラインなり、例えば指針なりにおきまして、関係者の意見を丁寧に聞きながら明確にしていくことが大事だと思いますが、大臣の御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/49
-
050・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 法第十五条の厚生労働大臣が定める指針においては、ハラスメント対策のために発注事業者が講じるべき措置として、ハラスメント行為を行ってはならない旨の具体的方針を明確化し、従業員に対してその方針を周知啓発すること、また、今御指摘もありましたけれども、ハラスメント行為を受けた者からの相談に適切に対応するための必要な体制の整備を行っておくこと、また、ハラスメント行為が発生した場合の事後の迅速かつ適切な対応などを定めていくということを想定いたしております。
発注事業者が講ずべきハラスメント対策の具体例もお示しするなど、実効的なハラスメント対策が講じられるよう、関係団体、労使団体等が参画いただく検討の場も設けながらしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。そして、その指針について丁寧な周知を図り、発注事業者が適切に対策を講じて、フリーランスがハラスメント被害を受けることのなく安心して働くことのできる環境の整備、しっかりと整備に進めていくように努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/50
-
051・小沼巧
○小沼巧君 望ましい答弁だと私も思います。やはり参考人の方の意見を聞いていただくということをもってこの議論を深めていくということは大事だなと、改めて痛感しているところでございます。
次の話題に移りますが、いわゆる労務費などというようなちゃんとした報酬額について、まず大臣にちょっと伺ってみたいと思うのであります。
この特定受託事業者の保護、こういう観点からすると、契約で定める委託費であったりあるいは報酬額、これについてはいろんなコスト高の状況なんかも勘案して運用されるべきであると私は思います。この認識、共有していただけるものなのかどうなのか、大臣の御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/51
-
052・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 本法案では、発注事業者が、委託費や報酬額について、通常支払われる対価に比して著しく低い報酬の額を不当に定めることは買いたたきに該当し、違反となります。
このため、例えば現下の物価高が生じている場合において、発注事業者がフリーランスとの間でコスト増について十分に協議せず一方的に従来の額に据え置いたり、著しく低い対価を認めるような値上げ幅にとどめるような場合には買いたたきとして問題となります。
このように、物価高に伴うコスト増、フリーランスと十分に協議を行うことなく一方的に低い報酬額を定める場合など、しっかりとガイドラインなどで明らかにして、関係者に周知することによりまして発注事業者とフリーランスとの間で適切な委託費、報酬額が定められるように、しっかりと対応していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/52
-
053・小沼巧
○小沼巧君 基本的な認識はまず共有できたのかなと思います。
法律を私、お互い役所で働いていましたから法律作ることは慣れていると思うんですが、問題はここからだと思うんです。その仏作って魂入れずになってしまうことがないようという意味では、現場の実態がどうなのかなということで、是非ここは認識を共有するために参考人の意見を伺ってみたいと思うんです。
今の話で適切な報酬額が大事だよねとか、そういうのはありました。不当に低過ぎるものは買いたたきだというのがありました。じゃ、何をもって買いたたきなり何なりと言えるのかということで、結構現場では争いがあるのではないかなということが起こっているのではないかと伺っております。
菅参考人にお伺いしてみたいと思うのですが、その委託費とか報酬額の水準が、運用の実務において、例えばその買いたたきとなり得るものの定義であったり、あるいは今回の法令の具体的な当てはめに際してトラブルになりそうだ、懸念、どんな懸念、こんな懸念がありそうだ、こういったところの内容について、菅参考人の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/53
-
054・菅俊治
○参考人(菅俊治君) まず、先ほどのお話のあった物価高等は当然トラブルのよくあることでありまして、その点はやはり見直しの必要があるのは当然だと思います。
その上で、いわゆる買いたたきに関しましては、通常支払われる対価というものをやはりどのように考えるのかということが常に悩ましい問題となります。相場というものが現に存在するような業界に関してはそれを当然参照することができますし、継続的な取引を行っているようなケースでは従来の対価を一応参照することができるわけですけれども、それができにくい業界、あるいは、そもそもフリーランスの場合は個人で働いておりますので、そうした相場に関する情報がなかなか共有できていないような状況もございます。そうしたときに、きちんと情報を交換をしたり相談をできるといった体制が必要となります。
その点では、適切な相場形成に関しましては、まず発注者サイドの業界団体と、受注者サイドの協同組合でありますとか労働組合の形態を取っているところもありますが、そういったところの協議や交渉、その結果をきちんと明らかにする、あるいは交渉の場をつくっていくということを、これは政府としても是非推進、促進をしていただきたいというふうに思います。
また、これ、ある連合のワークという研究会の中である脚本家の方からお聞きしたんですけれども、脚本家というのは大変孤独であるということで、何か困ったなというときに相談する相手がなかなかないということなんですね。その方の場合は、自分を育ててくれた脚本家の学校の先生に相談に行くと助けてくれる場合があると、そこには情報が集まっていることがあるというようなお話をお聞きしました。
そういう意味では、横のつながりがないと、交渉しようにも交渉ができない、自分が買いたたかれているのかどうかすら分からないということになりますので、今申し上げたような情報の共有あるいは協議の場というものを促進していただきたいというのが一点であります。
もう一つは、例えば建設や土木業に関しましては、公共工事の設計労務単価というものを国土交通省が発表しておりまして、これが大変相場の形成に役立っていて、一人親方の方々の相場もこれに準じて決められているという実情がございます。
例えば、地方自治体で公契約条例等を定めていれば、その公契約現場の事業では、末端の下請企業と契約をしている一人親方あるいは労働者の方々の労務単価までこういった設計労務単価を参考に報酬下限額というものが決まっていて、報酬が維持されるという仕組みになっております。それが行く行くはその地場の民民の契約でも相場として反映されると、こういうことになっています。
そういうことを考えますと、政府としても、例えば、国が発注するような公共系、公共の事業あるいは契約において、様々な業務委託の単価を国としてきちんと定めていって、そこで受注者にそうした単価を遵守をさせていくということも相場形成において重要な役割を果たすというふうに考えますので、是非御検討いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/54
-
055・小沼巧
○小沼巧君 ありがとうございます。
大臣でも、これは政府参考人、急な話なんで、そしてこれは今の発言を受けた上でありますので、詳細な答弁までは特段求めるつもりはないんですが、大臣、今の話でポイント二つあったかと思います。実態、法律の運用の現場で困り得ることの解決策としては、例えば協議の場だったり情報共有が大事だよねというような話もありました。また、その公契約などの話、例を引きながら、単価をちゃんと下限額も含めて定めることは大事なのではないのかと、こういう話もありました。こういった現場の御意見に対して大臣はどのようにお考えになられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/55
-
056・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) できる限りしっかりと受託側と委託側が協議をする、そうした場をできる限り持ちながらしっかりと価格の協議等ができるように、そのことを推奨していくことについて、あるいは、できる限りガイドライン等も含めてそういうことを中心に進めることについては皆さんの御意見と同じように考えております。
また一方で、その最低報酬の問題については、これはそれぞれの委託の業務が特徴のあるものがあったり、いろんなものもあります。ですから、一般的に最低報酬の額を決めていくということは、これは契約自由やあるいは市場の類型化していないものについて難しい面もあろうかと思います。
ただ一方で、御指摘のあった設計労務単価のように、ある程度定型的なものの公的発注については今でも単価を発表させていただいておりまして、いろいろな扱いがありますので、一般的に法律として最低報酬というふうにおっしゃられればなかなか難しいという感じもありますけれども、しかし、公的受注等において単価等を発表している場合にそれが目安になるということは、安定的な取引、また契約の安定性を担保するための一つの良い目安になるものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/56
-
057・小沼巧
○小沼巧君 ありがとうございます。
非常に前向きな答弁だったのかなと思います。あのインフル特措法のときは余りちゃんと答弁してもらわなかったかなと思いながら、でも、今日の御発言というのは、やっぱり現場の参考人からの意見をちゃんと聞いて、それが響いたということの意味があったのかなと私自身も改めて思いました。
今大臣からの話、思いを、じゃ、制度なり運用の具体でやっていくというためには、運用実態ということをちゃんと確認していかなければなりません。これは政府参考人でも構わないんですけれども、この運用実態を正確に把握するために必要な対策は今までの話を考えるとどのように考えているのか。必要十分かつ公正な水準だったり、あるいは業界ごとの実態調査、こんなことを考えるに当たっては、特定受託事業者も調査対象にこれ含めることが必要だと思いますし、また、ガイドラインなんかを取りまとめる際にも、特定受託事業者もちゃんと保護をするんだと、そういう対象に加えるんだということを明確にしていくということがまずは大事なのではないかと考えますが、政府の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/57
-
058・岩成博夫
○政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。
フリーランスについては、多種多様な業態において取引が行われているというふうに考えられることから、本法案が成立した場合には、まずはフリーランスに係る取引の状況等の実態調査を通じて業種別の課題等の把握に努めることとしたいと考えております。
また、本法案の成立以降、本法案についての解釈を明確にするためのガイドライン等を定める際には、フリーランスに係る取引の実態調査の結果を含め様々な業種の取引実態を踏まえつつ、フリーランスあるいは発注事業者の双方の関係者の意見をよく確認して、しっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/58
-
059・小沼巧
○小沼巧君 次の論点に移ります。
いわゆる事業者の定義とか労働者性の確認という点についてであります。
さきの山田委員等の質問の中でもこの点が議論されたところでありましたが、フリーランス一一〇番とかそういった話が出てきましたけれども、果たしてこれだけで本当に大丈夫なのかということはさきの質疑を聞いていた全員が思ったのではないかなと思います。
菅参考人にまずお伺いしてみたいと思うんですが、このいわゆる労働者か個人事業主かの判断が難しい曖昧な雇用、こういう法律相談が実際にフリーランス一一〇番などに多数寄せられていると伺っております。政府は政府で二〇二一年にガイドラインを策定したということなんですが、実際の当事者の悩みや現場の不条理が解消されるには至っていないのではないかと私は推察しております。
そういう意味で、一九八五年に労基研報告で示された労働者性、これの考え方を変更しないままで大丈夫なのか、限界があるんじゃないか、このように思われるところなんですが、御意見をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/59
-
060・菅俊治
○参考人(菅俊治君) まず、相談の実態から御紹介したいと思うんですけれども、例えばそのフリーランス・トラブル一一〇番に寄せられた情報、相談などでは、契約書において業務を特定しない形で、もう業務全般という形での業務委託がなされているようなケースがあって、具体的な作業が逐一発注者から指示されるようなそういった使用従属性が極めて高いと思われる事案もございます。
また、働き方が全く変わらないんだけれども、ある日突然労働契約から業務委託に切り替えられるという相談も多数寄せられてありまして、事務、営業のようなホワイトカラー、あるいはマッサージ、スポーツインストラクターというような契約でもそのようなことが横行しています。
さらに、運送業などでは極めて高い拘束性をもって働かされているんですけれども、契約時点で労働者ということを自分は主張しないということを誓約書を出させられて働いていると、こういうようなケースも横行しております。
こうしたケースは、本来、もう名ばかりフリーランスと呼ぶべきでありまして、きちんと労働法の適用を行うべきであるわけですが、実際にはなかなかそういう指導が行き届いていないという現状をまず指摘したいと思います。
もう一つは、こういった昔からある状況に加えまして、二〇一五年頃から新しい形の労働者の使い方というものが広がっていて、また大変危惧される状況に至っていると思います。といいますのは、インターネットの普及とそれからスマートフォンの普及によって、契約上あらかじめ所定時間を定めておかなくても、必要に応じて労働力を確保するということがもう今日では技術的に可能となっております。
それで、運送業であるとか、清掃や家事、軽作業などの分野では労働力の代替が比較的容易でありますので、あらかじめ所定時間を決めない、仕事をするか否かは一定自由度を就労する側に委ねるという形で、今委員の御指摘にあった一九八五年の基準研報告の労働者性の判断枠組みをある意味意図的に脱法する形で独立契約者として稼働させるというやり方が広がっています。これは、従来の労働者がどんどん独立契約者という形に置き換わっていくということが現象として起きているわけですね。
こうしたやり方は、じゃ、労働法の適用と矛盾するのかというと、決してそうではなくて、むしろ合致するものであります。柔軟な働き方ということと労働法とは決して矛盾するものではありません。しかしながら、こうした方々は、自分たちが独自の顧客層を持つわけではなく、他人が決めた報酬で他人が割り当てた仕事でスマートフォンやアプリを通じて業務の進捗を事細かに管理をさせられて、基本的に他律的な、他人に支配された形での働き方に従事をしているわけです。
契約上の地位も、当然、労働法の適用がないとされているために不安定でありまして、いつでも解除が可能、契約の条件は度々不利益に変更されていて、おおむね報酬も不安定で、低下傾向にあるか、経費を除けば最低賃金を下回るという状況も横行しています。そのため、収入を確保したければ労働時間を延ばすしかないということで、労働時間規制を免れての長時間労働、一週間に七日働くとか、一日に十時間や十二時間働かないと生計を維持できないというふうな状況も生まれているわけです。これは、日雇労働ですとか登録型派遣のようなかなり短期、不安定な労働をより極端化したような働き方でありまして、労働法の保護がないというのは、私はこれ矛盾だというふうに思います。
労災の適用にならないであるとか、雇用保険の対象外に、ならない、将来国民年金しか得られないという可能性をこのまま放置しておきますと、これは必ず将来に禍根を残すことになると。どこかで誰かがこのツケを払うということになりかねません。是非、この点については見直しを図っていただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/60
-
061・小沼巧
○小沼巧君 ありがとうございました。
今日は厚労省から政務官も来ていただいております。今の話を聞いて、どうお感じになったのかということを聞きたいと思っています。特に、法律を作って我々立法府の人間って大抵終わり、満足してしまいがちですけれども、それだけではなかなか解決はし得ないんだと。現場の実態が大変なんだと言われるのは、例えば先ほどのいわゆる名ばかりフリーランスの問題であったりとか、その基準の、最近の働き方の多様化に伴って危惧される事態であるということでありました。
やはりこの労働者性の考え方についてちょっと検討することが必要なのではないか、このように思うところでありますけれども、政務官の御意見はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/61
-
062・畦元将吾
○大臣政務官(畦元将吾君) お答えいたします。
労働基準法の労働者に該当するかどうかは、事業に使用されている者であるか否か、その対償として賃金が支払われている、否かについて、形式的な契約の形にかかわらず、実態を勘案して総合的に判断しております。この労働者の判断基準については、先ほどあった曖昧なような対策の一つとして、令和三年三月策定したフリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインにより明確にし、周知を図っているところでございます。
また、今後、ガイドラインの運用状況や裁判所などの動向、労働者の働き方の変化等の現場の状況を、変化する現場の状況を注視しながら、現行の判断基準の枠組みが適切なものとなっているか否かについて不断に確認していきたいと考えております。
本日の菅参考人の現場の意見として、参考にさせてもらいたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/62
-
063・小沼巧
○小沼巧君 畦元政務官にお願いなんですが、今の話、不断に確認していっていただきたいということは大事なことだと思いますし、参考にしていただくということも当然のことだと思います。しかし、ちょっと答弁書を読み上げるだけではなかなか微妙なのではないかなというような事態に至っているんじゃないかと思うんですね。
今の実態の話を聞かせていただいて、やっぱりあることは、実際に法令の当てはめ等の運用を担う現場の方が、参考人が、やっぱりこういう課題があるんだと、実際の見極め判断が容易な、見極めの判断も含めてなかなか問題があるんだと、こういうようなことも含めてやっていたということでありました。
法律作って、それはいいんですけど、その法令のはざま、隙間で苦しむ不条理を救うというのが政治の役割だと思うんです。そういう意味で、その法律を作っている立法府、議論をする立法府が果たすべき役割の本義だと思うわけですよ。
だから、不断に確認していくということの答弁書だけではなくて、ちゃんと、そういった今の御意見なんかも切り捨てないで、事例の集約とか実態の把握、これを通じて、見直しするんであれば、そのときに向けて、実際に今の意見を次の見直しの際に反映していただきたい、こう思うんですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/63
-
064・畦元将吾
○大臣政務官(畦元将吾君) 本日の参考人の意見の、菅先生の御意見も参考にしながら、いろんな状況があると思いますので、それを考えていきたいと思っております。特にフリーランスへの発注の控えなんかにつながってもいけませんので、そういう就業機会の減少を招く可能性などがあってはいけないということも考えながら検討していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/64
-
065・小沼巧
○小沼巧君 急な質問にもかかわらずそこまで言っていただけたのであれば、ありがとうございます。ゼロ回答ではないということは確認はできましたので、まあ満足、百点満点だなとは思いませんけれども、一つの前進ではないかなと思いました。
次の論点に移っていきたいと思います。
菅参考人にお伺いしてみたいんですが、ちょっと法案全般の構造について御意見をいただきたいと思うんですけれども、どうやら法案全般を通じまして契約時の明示義務に係る懸念の声があるという話を伺っております。それはどういうことなのか、御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/65
-
066・菅俊治
○参考人(菅俊治君) 本法は、全体としましては、フリーランス、特に個人で働くフリーランスの方のための一歩前進というふうに評価しているわけですけれども、契約時の明示義務に関する規定を欠いているという点で実効性の確保という意味での非常に不十分な点が残っているというふうに考えております。
これは、相談、例えば私たちが相談や実際に引き受ける事件で問題になる例としましては、発注者が業務内容を一方的に指示できる内容になっている契約というのが大変多いのです。報酬計算がないとか勝手に下げられるという相談もありますけれども、報酬はきちんと払うんですが、仕事の中身に限界がないという契約が大変多いんですね。いろいろな作業がどんどんどんどん増えてくると。
例えば、授業一こま幾らという形で契約をしていたのに、質問に応じてくださいとか入会案内をしてくださいとか、掃除や雑務をしてください、電話掛けをしてください、こういったことを命じられることがあるんですね。あるいは、本番が何回か分からないような出演契約、そういった契約もあります。一年契約を結んでいて、いつどこで出演をしなければならないのか分からない、稽古も来いと言われれば行かなければいけない、宣伝に来てくださいと言われれば行かなきゃいけないことが契約上義務付けられていると、こういうものもございます。で、これをもし断るとなると、あるいは辞めたいというふうになった場合には、今度は違約金を請求されると、あるいはほかの仕事に就きたいとなっても競業避止義務を課せられていると、こういった契約が横行しております。
これは、なぜこういうことが起きるのかというと、契約の時点で給付の内容がきちんと明示されていないからこういうことが起きるんですね。本法は、残念ながら、そこの部分に十分対応できるものとはなっていないと思います。
十二条の的確募集義務、的確表示義務というのは、いわゆるモデルで足りますので、契約の条項にそれがそのままなるわけではありません。また、発注時に速やかに給付の内容を明示することになっていますが、これ、発注した後にその内容を不利益に変更することは止められます。しかし、発注行為そのものがフリーハンドであるという状況は変わらないんですね。この大事な問題について、まだこの法律は十分手当てができていないと思います。
典型的な業務委託契約というのは、A、B、Cとステージを踏んで業務が進んでいったりだとか、あるいは継続的な契約関係を結んだ上で、随時、今度はこれをつくってください、今度はこれ、あれをしてくださいという形で発注があるんですね。その発注のときだけ明示をされても、それはほとんど業務命令と同じような形になりますので、十分な保護にはならない。契約の中にそれを明示することが必要であります。
これは諸外国ではそういったことを対応しておりますので、是非そういった対応をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/66
-
067・小沼巧
○小沼巧君 ありがとうございます。
大臣に聞いてみたいと思います。
今の話がまさに法律の具体の相談の現場の実態であるということであります。さて、それを踏まえると、やはりこの今参考人から問題提起ありました、業務委託をした場合だけではなくて、契約締結時にも給付内容とか報酬額等、これらを書面等で明示すべきということの意見も極めて理が通っているなと思うんです。これについて、大臣、どのように考えて、どう対応しようとしているのか、御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/67
-
068・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 本法第三条では、発注事業者がフリーランスに業務委託をした場合に、給付の内容、報酬の額などの取引条件の明示を義務付けています。ここで言う業務委託をした場合とは、発注事業者とフリーランスとの間で業務委託についての合意、すなわちこれが法律上の契約の成立であります、そのことが前提になっております。
そのため、本法案の第三条の取引条件の明示を義務付けることによりまして、業務委託契約の内容を明確にさせて、後々のトラブルを未然に防止することができることや、取引上のトラブルがたとえ生じたとしても、業務委託契約の内容についての証拠として活用できること、そういうことからフリーランスに係る取引適正化等を十分に図ることができることと考えておりまして、契約締結時の条件明示まで義務付けていないのは、そうした業務委託をした場合の考え方に基づくものであります。
それから、契約締結時にもまた条件明示を求めたらどうかということにつきましては、契約、実際に契約がなされたときと、今申し上げたとおりの考え方の業務委託をした場合という考え方ですから、この両者は非常に密接した時間帯になるはずです。ですから、そういう意味で、契約直後の書面等の交付と併せて、極めて近接した二つの時点での書面等、まあ等、等であります、電磁的も含めて、条件明示を義務付けることは、実務上の混乱や、また逆に、フリーランスに対して、そういうことで負担を求めることになればフリーランスへの、負担というのは、発注者側の負担を求めることになればフリーランスへの発注控えにもつながるおそれもあるのではないかと、こうした点を踏まえて、契約締結時点の書面等での条件明示は盛り込まないということにしております。
まずは、募集情報の的確表示、そうしたことも含めて、取引条件の明示の重視、定着を図ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/68
-
069・小沼巧
○小沼巧君 なかなか不十分な答弁だと思いましたが、今の議論なんかを踏まえて、それぞれ参考人の懸念も議事録に刻まれました。それらを踏まえて、政府は今後、この法改正の執行において十分に検討をしていただきたい、そのことを申し上げまして、質疑を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/69
-
070・塩村あやか
○塩村あやか君 立憲民主・社民の塩村でございます。今日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
まず、済みません、参考人の方にですね、済みません、ちょっと聞いておりませんでしたので準備をしてないものですから、もしあれであれば残っていただいても結構ですし、御退出いただいても結構なので、決めていただけたらと思います。済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/70
-
071・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 菅参考人におかれましては、御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/71
-
072・塩村あやか
○塩村あやか君 じゃ、質問に入らせていただきたいと思います。
私は、本会議でもお伝えはしたと思うんですけれども、私自身がずっとフリーランスで働いてきたということになります。就職氷河期で、そのときに自分が就きたい職業の業種が全て採用しないというときでございましたので、そのままフリーランスをしてまいりました。フリーランスはやっぱり、本会議でもお伝えしたんですけれども、プラスの面ばかりが結構前に出されて喧伝されているなというふうに最近思うんですけれども、やっぱり長い人生を考えたときにはリスクとかデメリットが物すごく大きいというふうに私は年を経て感じているところでございます。
四十代から五十代、ここだけでも四割ですよね。で、就職氷河期の世代でありまして、世帯年収は三百万円台で、社会保障は脆弱で、雇用保険もありませんと。国民年金しかなくて、退職金もないと。最近ようやく労災に入れる職種が特別に認められたという状況になっています。
やっぱりこうした問題って、やっぱり将来的に物すごい大きな問題をどんどんと雪だるま式に大きくしていくんじゃないかなというふうに思っておりますので、早めに解決するということを考えると、決して早くはないんですけれども、今回の法律が、法律案が出てきたというのは歓迎はしたいというふうに思っています。
あわせて、この就職氷河期問題と物すごく密接になっておりますので、この法律を良くしていかないと就職氷河期問題というものは解決できないというふうに思います。
まだまだ内容が不十分で、これ、あってもなくても変わらないよねというような仲間たちもいるんですけれども、やっぱり法律ができたのは、私は仕事柄、すごく大きな一歩で、確かに内容はまだまだ改善しなきゃいけないところがあるんだけれども、改正を重ねていくことによって内容が良くなるというふうに、これをいかに早くやっていくか、内容を高めていくかということが重要だと思っておりますので、しっかりと質問をしていきたいというふうに思っています。
私自身は芸能とかメディアにずっとおりましたので、この辺りしっかり聞いていきたいと思っているんですけれども、これはちょっと次回にさせていただきたいと思っています。
それ以前の話で、仲間内から、ちょっと本法律案の話をしたときにこれってどういうことなのみたいなところがあったところを中心に、ちょっと、そんなに大きくない質問も多いと思うんですけれども、確認のために一つ一つやらせていただきたいというふうに思っています。
確認なんですけれど、フリーランス同士の場合はこの法律案の対象になるのかお伺いしたいと思っています。
特定業務委託事業者は、個人であって、従業員を使用するもの、又は、法人であって、二名以上の役員があり、又は従業員を使用するものというふうになっているんですけれども、では、従業員を持たないフリーランスは第三条六項にある特定業務委託事業者、ここに該当しないということでいいか、確認をまずさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/72
-
073・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 本法案では、原則として、従業員を使用し組織として事業を行う発注事業者が、従業員を使用せず個人として事業を行うフリーランスに対して業務委託をする取引に適用することとしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/73
-
074・塩村あやか
○塩村あやか君 第三条なんですけれども、特定受託事業者の給付の内容そのほかの事項の明示等が規定をされているんですけれども、主語は特定業務委託事業者ではなくて、業務委託事業者が特定受託事業者に対して給付の内容、報酬の額、支払期日そのほかを書面又は電磁的方法により明示するということになっております。
これはつまり、お互いに一人で仕事を発注して完結をするような事業者やフリーランス同士でも発注内容の明示を義務付けるものというふうに解釈をしてもいいでしょうか。また、特定委託事業者、これは明示求められていないのか確認を、そんなことはないと思うんですけれども、そういう質問があったので、させていただきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/74
-
075・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 個人である発注事業者と個人であるフリーランスとの取引関係については、必ずしも交渉力等の格差が生じやすいとは言えないと考えておりまして、従業員を使用しない発注事業者に対しては支払期日における報酬の支払義務や受領義務の禁止等の規制を課さないこととしております。
他方、今御指摘のあった第三条の取引条件の明示義務については、当事者間の認識の相違を減らしトラブルを未然に防止するという観点においても、発注事業者の利益にも資することから、従業員を使用しない発注事業者と個人であるフリーランスとの取引についても対象とするということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/75
-
076・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
つまり、個人同士であったとしても対象になるということで、相手が違ったとしてももちろん対象になるということになってくるということで、個人でお仕事をする人を守ろうというのが大前提となっている法律という解釈でいいということですね。はい、ありがとうございます。
続けて、第三条になってくるんですけれども、給付の内容、報酬の額、支払期日、その他の事項の明示等なんですけれども、それらを明示すればいいということになっておりまして、契約となっていないんですね。
この明示と契約というところは、もう御説明様々いただくんですけれども、やっぱりもう少しはっきりしておいた方がいいと思うし、不安に思う方もやっぱりいらっしゃいますから、ここを改めて聞いておきたいと思っています。明示と契約の違いは何か教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/76
-
077・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 契約は、民法上、書面であるか口頭であるかは別として、当事者の合意によって成立するものであります。
本法案の業務委託に係る契約も当事者の合意によって成立しています。本法案第三条は、業務委託をした場合の取引条件の明示義務を定めるものでありますけれども、ここで言う業務委託をした場合とは、発注事業者とフリーランスとの間で業務委託についての合意、すなわち業務委託契約が成立していることが前提だというふうに考えます。
よって、第三条の明示義務は、発注事業者とフリーランスとの間の業務委託契約で定められた取引条件について、書面の交付又は電磁的方法により発注事業者が明らかにすることを求めるものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/77
-
078・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
何回聞いてみても、確かにそうなんだよなとか思いつつ、先ほどの御答弁でもそことの時間の差はそんなにないであろうというお話もあったんですけど、経験上そんなことはないということだけは先に申し上げておきたいというふうに思っております。
下請法の、この法律のときによく出てくるのが、下請法の説明も結構レクの中で受けております、よく出てくる言葉だったんですけれども、書面の交付とか電磁的方法のように、下請法では、提供と規定していないんですね、この法律だと。その理由は一体何なのかなというふうに思っています。
この法律では明示ということなんですけれども、明示を辞書で調べると、はっきり示すことだということなんですね。普通に解釈とか文理解釈をすると、明示さえすればこれ書面を回収したりメールを見せるだけでいいんじゃないかというような解釈にもなるのではないかという声があるんですけれども、それはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/78
-
079・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 明示とは、一般的に相手方に対して明確に示すことをいうわけで、その内容は本人に認識される合理的かつ適切な方法による必要があります。
明示という用語は、労働基準法等の様々な法律で用いられておりまして、その意味は相手方に対して書面交付等の方法によってある事項を明確に示すことを意味するものとして労働基準法等で様々使われております。
その上で、本法案では、発注事業者とフリーランス双方の利便性向上の観点から、取引条件を記載した書面を交付する方法、それから取引条件をメール等の電磁的方法により提供する方法のいずれかを選択できるようにしているため、法律上、これらの二つの方法を含む明示という用語でこれを表示しているところでございます。
このような本法案の明示の考え方については、施行までの間に関係者にしっかりと周知をしてまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/79
-
080・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
じゃ、ちょっと改めてお伺いしたいんですけれども、特定受託事業者に書面は交付、メールは送付をしなくては三条に反するということになるという解釈でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/80
-
081・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 取引条件の明示を義務付けるということで、今委員のおっしゃったとおりで結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/81
-
082・塩村あやか
○塩村あやか君 であるならば、やはりちょっとそこは、明示というふうに書いてあるだけではちょっと弱いんじゃないかなというふうに思ったりします。下請法ではきちんと書いているわけですよね、提供と交付という形で。やっぱりそこはきちんとやるべきだったのではないかと。
条文上読み取ることができない上に、下請法ではきちんと書いてあるというふうになれば、ちょっとおかしいんじゃないかというふうに思っているので、やっぱり下請法などと平仄を合わせるべきじゃないかなというふうに思うんですけれども、そうしなかった理由をお聞きしたいということと、本会議なんですけれども、本会議で、取引条件を記載した書面を交付する方法、取引条件をメール等の電磁的方法により提供する方法のいずれかを選択できるようにしているため、法律上、これらの二つの方法を含む明示という言葉を用いていると、今御答弁いただいたとおりのことを本会議でもおっしゃっていただいているわけなんですけれども、この明示というのは書面の交付と電磁的方法の提供と定義されているのかということをちょっと確認、改めて聞きたい。これ、定義ということで今回こういう定義、解釈なのかということをお聞きしたいというふうに思います。改めて、ちょっと重要だと思うので、どこでそれが定義されているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/82
-
083・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 明示等は第三条で定義を、定義というか規定をしておりまして、特定受託事業者に対して、一人の者でも含む業務委託事業者が委託をした場合に明示、当該事項を書面又は電磁的方法により特定受託事業者に対し明示しなければならないというふうに三条に規定されています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/83
-
084・塩村あやか
○塩村あやか君 となると、やっぱりそこ堂々巡りになっていって、交付と提供としなかった理由は何なのだというふうにどんどんと堂々巡りになっていくわけですね。
改めてもう一度、先ほど大臣の御答弁に大事なところがあったというふうに思っています。ほかの法律でもこの言葉が使われているということでした。どの法律で使われているのか教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/84
-
085・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) もう一回質問をお願いできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/85
-
086・塩村あやか
○塩村あやか君 この明示ということなんですけれども、そこに対しては、その交付とか提供という言葉を含まずにほかの法律で使われているという御説明を先ほどいただいたんですけれども、その法律は一体何なのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/86
-
087・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 例えば、労働基準法の十五条、労働条件の明示の規定で、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない、あるいは、労働基準法施行規則第五条で、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする、職業安定法においても、明示しなければならない、そういう規定が明示という形で法律に規定されているそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/87
-
088・塩村あやか
○塩村あやか君 ここでやっぱりちょっと疑問が湧くわけです。
基本的には、私たち、まあ私たちというか、フリーランスというのは事業者だと言われているのに、こういうふうに守られなければいけないところの条文で、下請法がきちんと定義をして、交付とか提供ですよね、というところは出すのに、こういうときには、そもそも労働契約を結んでいるような労働法、労働者性がある人たちのものを持ち出してきて説明されるわけですよね。ここってすごくおかしいと思うんですよ。これって、ちょっとみんなでよく考えてほしいなって思います。
これはちょっと問題提起として、また後ほどちょっと出てくるかもしれませんので……(発言する者あり)いや、おかしいんですよ。こういうときにきちんと守らなきゃいけないんであれば、どっちを用いるのか。私、契約結んでないわけですから、書面として。そもそも労働者というのは労働契約を結んだりとかあるわけですよね。その上でこの言葉が、明示と出てくるんであれば分かるんです。しかし、今回の法律、そこを明示で、入口から明示としていいということになっているので、ここってやっぱりおかしいと非常に思いますから、ここはちょっと知っておいていただきたいというふうに思っています。
ということも踏まえてなんですけれども、そもそもなぜ契約書を条件とせずに、まあ、した方がいいと思う人とそうじゃない人もいるとは分かるんですけれども、明示という、まあ発注書と言い換えてもいいでしょうというふうな話だったんですけれども、それでよしとしたのかというふうに思っています。
これは本会議でも質問させていただいたんですけれども、衆議院でもこの質問は出てまいりました。で、本会議などでは、明示としていることでトラブルを未然に防ぐことができることや、下請法でも製造委託をした場合のみ交付を義務付けているとのことだったんですね。
しかしながら、衆議院の政府参考人の御答弁では、フリーランス契約をするときは募集のときから契約に至るまで何度も交渉するというふうにお答えになっているわけなんですね。これ、こういうこと、こういう御認識なので、まあ契約がなかったとしても明示でいいだろうというふうに思ってしまうんだろうなというふうに思っているんですけれども、これが明示とした御答弁いただいているので、これが政策決定の裏付けといいますか、理由でいいか、これ改めてお伺いしたいというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/88
-
089・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 本法第三条の取引条件の明示は、発注事業者とフリーランスとの間で業務委託契約が成立していることが前提です。その合意が十分に相談をされた上で成り立っているか、それとも十分な相談というほどのことがない中で合意が成り立っているかは別として、発注事業者とフリーランスの間で業務委託が成立していることが前提で行われています。
そのため、取引条件の明示を義務付けることによって業務委託契約の内容を、今御紹介いただいたとおりで、トラブルを未然に防止するためとか、あるいは証拠として活用できるとか、そういう理由からフリーランスに係る取引適正化等を十分に図ることができるものと考えて契約締結に関する義務までは課していないということでありまして、今先生から御指摘いただいたように、こうした法制の在り方は、下請代金法においても、下請事業者に製造委託等をした場合に契約締結に関する義務を課すのではなくて、給付の内容を記載した書面の交付を義務付けていると、それと同じ取扱いをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/89
-
090・塩村あやか
○塩村あやか君 政府参考人の御答弁は、フリーランスが契約をするときは募集のときから契約に至るまで何度も交渉するというふうに御答弁をされているんですね。
で、私は何度も交渉したことなんてないですね。というか、その交渉という交渉なんというものは一度もしたことがありません。じゃ三並びでとか、じゃ七並びで、せいぜいこんな感じですね。経費も基本的には交渉なんてできなくて、先方が提示をしていただけたのであれば喜んでいただくんですけれども、自分からなんてやっぱり言い出せないわけです。経費の交渉とかそういうふうにネゴができるというのは、よほど一部の業界か、才能が高いとか、もう代替が利かない、この人に頼まなきゃいけないとか、そういう一部の人たちだけだと思うんですよね。で、私に才能がないと言われたらもうそれまでではあるんだけれども、比較的長くフリーランスで仕事をしてきていて、今も皆さんに知っていただいている番組の立ち上げなどなどさせていただいて、それなりにその業界ではお仕事をさせていただいたというふうに思っています。それでもこういう状況なわけです。
本来、本法律案で守られるべきは一部のすごく恵まれたフリーランスではなくて、交渉も余りなかなかできないとか守られないというフリーランスであるべきなので、ちょっとその政府参考人の方が例に出された、それを基に明示でよしとしたというふうになってくると、ちょっとやっぱり疑問が残る。だから、みんな、その明示の部分に皆さんこだわって質疑が続いているというところの一因にもやっぱりなってきていると思うので。
ただ、契約を義務付けろとも私は思っていないんですね。それは義務付けた方がいい職種もあると思います。しかし、義務付けるということ自体が合わない職種もたくさんある。例えば、たくさん、ライターさんなんかは都度都度、一本二並びとか、そういう形でネットのものをどんどんどんどん書いていくような人たちにとっては、都度媒体が違ったりとかクライアントが違うという中で、それを都度その契約、そして次のときの内容を明示をするみたいなことになると、それは大変なので全て契約をしろとは私は思わないんだけれども。
何かちょっと、これまでの議論を聞いていたときに、自分と重ね合わせると、私はそれなりに、何というんだろう、恵まれた方ではないけど、それなりに仕事をしていた方の私にとってもちょっと違うんじゃないかというようなことがありますので、改めていろいろと調査をしていただいて、本当に守られなきゃいけない人たちがたくさんいるというふうに思います。就職氷河期と重なるというところがやっぱりこの問題の大きな議論の中心だと思うんですよね。だから、やっぱりちょっとその辺りしっかりと、もう一度ちゃんと次の改正に向けて実態を把握してもらって、いろいろと取り組んでいただきたいなというふうに思っています。
次に移ります。
発注書、明示ですよね、仕事を委託をする方の意思表示となる書類で、やっぱりこれは、書類といいますか、これは非常に重要だと思っています。私は発注書というものはもらったことがないと。先ほど、まあいろんな話すれば分かると思うんですけれども、基本的には口約束とかメールで様々に仕事をしていたということになります。
本法律案には発注書と同等の明示が法に記されてはいるんですけれども、発注書の対となる注文請け書に相当する規定がないんですよね。この双方がそろえば、お願いする、請けましたという、それはメールだったとしたらメールを送るとか、分かりました、了解みたいな、それがあれば基本に契約と同等の効果があるというふうに思うんですけれども、それもないというふうに思うんですね。
契約を義務化せずに、注文請け書に相当する規定を設けなかった理由は一体何なのかというふうに思います。これを設けなかったことによりまして、発注側がやっぱり不利に立たされる局面もあるんじゃないかというふうに思いますが、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/90
-
091・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今やり取りをしていて思うんですけれども、契約自体は、これは両者の合意によって成り立つと思います。この合意というのは、書面によるものなのか、あるいは、きっちりとした契約書を交わしているのか、それとも口頭で、こういう仕事で、こういう価格で、いつまでに頼むなと言われて、分かりましたというだけの合意もあると思います。
今回、フリーランスの仕事、いろんな形のいろんなフリーランスの働き方がある中で、今、契約を条件としないで取引条件の明示を義務付けたのは、そうした口頭等でやられているような合意も含めて、やっぱり一番必要なのは、どういう合意であったのかということをきっちりと、いわゆる取引条件の明示をその文書、何らかの形の書面ないし電磁的な媒体に残しておくということが、当事者間の契約というか、その合意ですね、まさに、契約の安定性に重要なのではないかというふうに考えて、そういう意味で、下請代金法等でも、どうしても、こういうことでよろしくなという形で合意が進むようなときに、実質的にどうやって担保するのが最もいいのか。契約という行為を非常に強く、もちろん契約は合意ですから、ただ、その合意というのが、いろんな合意の取り方があるということを前提でこうした法制になっているということだと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/91
-
092・塩村あやか
○塩村あやか君 御説明ありがとうございます。
結局、合意というところをどこで確認するのかという部分ですよね。明示していただいただけでは合意の確認になるのかというところはやっぱり疑問があります。メールを受け取っただけになりますから、やっぱり請け書と同じように、メールの返信、そういったものをきちんとやることによって、双方がきちんとある程度の、何というんですか、責任を果たすというところもやっぱり必要なんじゃないかなというふうに思っています。
次なんですけれども、資料の一を御覧ください。新しい資本主義実現会議で内閣官房が配付をした資料です。フリーランスの方に対してのアンケート結果なんですけれども、明記をされていなかった取引条件、業務内容の上位に、業務である権利の取扱いを四人に一人が挙げているような状況なんですね。仕事の成果である権利の扱い、こちら条文に盛り込まれておりませんけれども、こうした議論とか、そしてこれ、盛り込まなかった理由があれば教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/92
-
093・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) フリーランスが発注事業者との業務委託契約に基づき作成した成果物に知的財産権が発生する場合があり得るというふうに考えています。発注事業者が成果物の知的財産権について、自ら譲渡、許諾させることを求める場合には、発注事業者は、本法第三条の規定によって、給付の内容として知的財産権の譲渡、許諾の範囲を明確に記載する必要があります。
そういう意味では、先生のお尋ねに対しては、給付の内容というところに含まれているということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/93
-
094・塩村あやか
○塩村あやか君 そこに自分の権利がちゃんと入っているのかというところは、フリーランスの方にしっかりと言っていくということをしないと、入っていなかったとしても、それを認めたということになりかねませんから、そこはしっかりやっていただかないといけないと思っておりますし、そもそもないことの方がほとんどです。これはこの業界では当たり前なんですけれども、ない、何でなんだ、これはもう本当にみんなが思っていることなので、これから先の課題としてもちょっとお伝えをしていきたいというふうに思っています。
資料の二を御覧ください。依頼者から納得できない行為を受けた経験があるフリーランスは約四割です。その内容は、減ったと、受注が減ったと、発注がなくなったとかで、著しく低い報酬を不当に定められたとか、もう一点が自分のアイデアや企画案が無断で使用されたということがあるんですね。こうした事案がこの法律によりどのように改善が見込まれるのかというところは、ちょっとまだまだ未知数なところがあるというふうに思っています。
グラフの中の八番を見ていただきたいんですね。自分のアイデアが無断で使用されたというふうにあるんですけれども、無断じゃなければいいのかというところもこのフリーランスの業界では非常に大きな問題で、断られた、だから、どうですかと尋ねられたときに、ノーと言えないんですよね、これ。物すごい問題で、権利をもうあげちゃわなきゃいけないとか、そういうことになってしまいます。
ちょっと後藤大臣、考えていただきたいんですけれども、ここ、本当に力関係がもう圧倒的に違うわけなんです。例えば私の例でいくと、ある大手の放送局で企画書を出しましたと、一回ゴールデンでそれが特番になりましたと。で、その後、定期的にある人気番組の中で数年に一回ぐらいその企画がまだ使われたりとかしていることが数年前までありました。そのとき一本電話が掛かってくるだけです、いいよねというふうに。これが現実なんですよ。みんなに知っていただいている番組とかゴールデンの時間帯に放送されたとしても、一回だけそのギャランティーをもらったら、その後は何回放送されても同じですし、同じ企画で違う番組に使ったとしても一円も入ってこないわけです。それは力関係の中で、あっ、もちろんですと私言うんですけど、それ、言うしかないんですよね。これが現実だというふうに思うんです。
なので、こうした問題を後藤大臣がどのようにお考えになっているか。是非ちょっと、フリーランス、これ大きな問題なので、ちょっと後藤大臣の意見をお伺いしたいというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/94
-
095・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) まさに先生が今御指摘したようなことなので、ともかく取引規制法という形でフリーランスのやっぱり立場をしっかり守る法案を急いで作るべきだという形でこの法案はまとまっていると思います。
例えば、あんまりアンケート調査よりも肌身の話をした方がいいのかもしれませんが、令和三年の内閣官房や関係省庁全体で共同調査した中でも、約四割が記載が不十分な発注書しかもらっていないとか、まず、そもそも発注書自体がないとか、約四割が依頼者の都合によって発注取消しや発注量の減少だとか、報酬が著しく低いだとか、報酬が支払われないとか、依頼者から納得できないいろいろな行為を受けるとか、そういう事態があると思います。
やはり、今回、組織としてやっぱり強い立場にある方々と、それから、個人の資格であれ、会社であれ、一人会社で、一人でしっかり活動をしているんだけれども、その間にやっぱり取引関係という意味において、大きな強者、弱者の関係がある実態が取引実態だと思います。
それを、契約自由のそういうルール、市場経済のルールの中でも、今回、例えば明示義務を明らかにするだとか報酬支払義務だとか、あるいは不公正取引の五条に書かれたような買いたたきあるいは禁止行為、こうしたようなことも含めて、少しでもそういう弱い立場にあるフリーランスをしっかりと適切な取引に担保できるようにしていきたいと、そういうふうに今考えて、実態ということも、いろいろ本当に厳しい実態があるだろうということを考えての立法であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/95
-
096・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間ですので、まとめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/96
-
097・塩村あやか
○塩村あやか君 ちょっとまた次回いろいろとお伝えしたいと思いますけど、三分の二ぐらい積み残しました、済みません。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/97
-
098・三浦信祐
○三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
働き方が多様化する中、個人で事業を行っている事業主、一人社長、いわゆるフリーランスの方々が安定的に仕事ができて、収入があり、ルールにのっとった取引が行われて、持続性の確保がこれから必要であります。従前の法律では権利保護が及ばない場合があるなど、これまで生じていた課題への対策を講じるための本法律改正と理解いたしております。
一方で、フリーランスの方が事業を行うに当たり、改正される本法律案と、そして独占禁止法、下請法、労働関係法令との整理が必要です。
そこで、法律の解釈、想定し得る運用について、一つ一つ確認させていただきます。
まず、後藤大臣に伺います。
今回規定される特定受託事業者、いわゆるフリーランスの定義について伺いたいと思います。基本はBツーBとの関係でよいという理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/98
-
099・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 従業員を使用せず、一人の個人としての業務委託を受けるフリーランスについては、従業員を使用して組織として事業を行う発注事業者との間で交渉力やその前提となる情報収集力の格差が生じやすいというふうに考えられます。いろいろ、内閣官房が実施したアンケート調査でも、様々な、報酬の不払、支払遅延、また発注書の在り方の問題等、実態が確認されており、不当な不利益を受けやすい立場にあるということが考えられています。
このため、本法案の保護対象となるフリーランスについては、個人で業務を行うフリーランスであること、事業者から業務委託を受けていることの二点を要件にいたしております。具体的には、業務委託の相手方である事業者で従業員を使用しない者を特定受託事業者と定義し、この法律において保護対象となるフリーランスの範囲を明確とした上で、事業者間取引の適正化等を図ることとしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/99
-
100・三浦信祐
○三浦信祐君 まず収入を得るという意味で事業者間、これをしっかりとやるということが整理をされているという確認をさせていただきました。
毛色はちょっと違いますが、特定受託事業者が経歴書、履歴書、職業証明が求められた際に記載、提出する書類には、職業についてどのように記載をされていくのでしょうか。また、行政手続等の書類上でも、選択肢に記載される存在に変わるのでしょうか。特定受託事業者の社会的認知を図る上で重要でありますが、本法改正と関連して、今後の方向性について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/100
-
101・三浦章豪
○政府参考人(三浦章豪君) お答え申し上げます。
本法案では、その保護対象となるフリーランスの範囲というものを明確化するために、業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用していないものを特定受託事業者として定義をしております。
この特定受託事業者という用語、これは全てのフリーランスを定義付けるものということではございません。フリーランスの定義というのは施策などによって異なり得るものでございまして、本法案の制定によって、委員御指摘の経歴書、履歴書、職業証明若しくは行政書類上の記載というものをとにかく特定受託事業者という用語を使ってくださいというようなことを我々の側から求めるというようなことは想定をしていないわけでございます。
その上で、一方、この法律をしっかりと効果的に施行していくということのためには、保護対象となる特定事業者、特定受託事業者ですね、の範囲などについてしっかりと周知を図っていくと、これもまた大事なことであろうというふうに考えております。本法案が成立した場合には、施行までの間に関係省庁間でも連携しながら積極的に周知活動、取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/101
-
102・三浦信祐
○三浦信祐君 やっぱり、フリーランスの方、プライド持って仕事をされていると思うので、その自分の技術をきちっと仕事の中で明示をしていく、こういうことを理解をさせていく、そういう社会をきちっとつくるということが大事だと思いますので、整理をしていただきました。
特定受託事業者に係る取引の適正化等との法案名になっております。確認となりますが、本法案の整理として、労働者保護の視点ではなくて事業主保護の観点でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/102
-
103・岩成博夫
○政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。
本法案では、業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないものを特定受託事業者と定義しまして、この法案において保護対象となるフリーランスの範囲を明確化しているところでございます。その上で、事業者間取引の適正化を図るとともに、フリーランスの就業環境の整備を図るものでございます。
フリーランスの就業環境整備につきましては、特定受託事業者が事業者であると同時に一人の個人として業務を行うという側面から生じる問題に対応するものでありまして、事業者の取引上の問題に対応する観点からの取組であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/103
-
104・三浦信祐
○三浦信祐君 この辺って極めて整理をしておかなきゃいけない案件だと思います。
その上で、労働関係法令にて、雇用契約が成立している者の場合、労働基準法によって労働時間や賃金などに関するルール適用が課されております。これは皆さんの周知の事実だと思います。
そこで、伺いたいと思います。フリーランスと労働者の境界はどのような整理となるのでしょうか。また、その判断基準はどのようになっているのでしょうか。特定受託事業者と特定業務受託事業者との間に理解そごが生じることや、偽装請負、いわゆる偽装請負とならないように明確化が必要だと思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/104
-
105・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
本法案におきまして、特定受託事業者は、業務委託の相手方である事業者であって、個人であって、従業員を使用しない者、又は、法人であって、一人の代表者以外に他の役員がなく、かつ、従業員を使用しない者のいずれかに該当するものと定義してございます。
また、業務委託に該当するかどうかにつきましては、物品や情報成果物の仕様、役務の内容を指定して一定の業務を依頼しているか否かについて、実態に即して判断することとしており、本法案が成立した場合には、特定受託事業者に当たる具体例などお示しし、周知を図ってまいりたいと考えてございます。
他方で、労働基準法におきましては、労働者について、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われている者と定義してございます。
そして、労働者に該当するかどうかにつきましては、事業に使用される者であるか否か、その対償として賃金が支払われるか否かについて、形式的な契約の形にかかわらず、実態を勘案して総合的に判断しており、令和三年三月に策定したフリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインにおいて、こうした判断基準をお示しし、周知を図ってきたところでございます。
このため、形式的な契約上は本法案の特定受託事業者であっても、実質的に労働基準法上の労働者と判断される場合には、労働基準関係法令が適用され、本法案は適用されないところでございます。
引き続き、労働基準監督署において的確な判断が行われるよう、厚生労働省において適切に対応してまいります。
また、契約当事者間で法律の適用についての認識にそごが生じることや、実態は労働者であるのに労働基準関係法令の適用が受けられないといったことがないよう、特定受託事業者と労働者の定義、判断基準等につきまして、関係省庁と連携し、分かりやすく周知し、適切な法の適用が徹底されるよう取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/105
-
106・三浦信祐
○三浦信祐君 これ、分かりやすくということがとても大事だと思います。自分がどういう位置付けになっているかということをどちらも理解をしていくということが大事だと思いますので、ここはきちっとやっていただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。
特定受託事業者、いわゆるフリーランスの方同士が業務委託を行うことも生じ得ると思います。例えば、デザイン、コンテンツ作成をされる方と動画や写真を事業としている方との間では、特定受託事業者にもなり、また業務委託事業者にもなり得ます。
特定受託事業者同士が業務委託を行う際の関係性は、業務委託事業者と特定受託事業者との契約と同等の整理となるのでしょうか。また、整理をされていると思いますけれども、なぜそのような整理となったかはっきりさせていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/106
-
107・岩成博夫
○政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。
個人であって、従業員を使用しない事業者同士の取引で、業務委託が行われた場合、本法案における両者の関係性としては、先生おっしゃったとおり、業務委託事業者と特定受託事業者ということになります。
本法案でございますけれども、従業員を使用せず一人の個人として業務委託を受けるフリーランスと従業員を使用して組織として事業を行う発注事業者との間において、交渉力などに格差が生じることを踏まえて取引の適正化等を図るものでございます。
一方で、従業員を使用しない発注事業者と個人であるフリーランスとの取引関係につきましては、必ずしも交渉力等の格差が生じやすいとは言えないというふうに考えております。また、事業者間における契約自由の原則の観点から、事業者間取引に対する行政の介入は最小限にとどめるべきであるということにも留意する必要がございます。
このため、本法案では、従業員を使用しない発注事業者に対しては、支払期日における報酬の支払義務や受領拒否の禁止等の規制を課さないことというふうにしておりますけれども、取引条件の明示義務に関しては、当事者間の認識の相違を減らし、トラブルを未然に防止するという点において発注事業者の利益にも資することから、従業員を使用しない発注事業者と個人であるフリーランスとの取引についても対象としているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/107
-
108・三浦信祐
○三浦信祐君 これ、これもよく周知をしておいていただきたいというふうに思います。
例えば、カメラマンが自分の写真を多くの方々に買ってもらいたい、なのでコンテンツを作ってくださいねとお願いをしたときに、そのコンテンツを作られる方が、逆に僕がこういう内容を作っているからこそ写真を提供してもらいたいと、同時に取引関係が成り立つというケースもあったりしますので、この境目ということであったりとかその対価の問題というのがこれまでははっきりされていなかったと思いますけど、この本法律ができ上がってからはそういうところもはっきりしなければいけないという流れになると思いますので、これは相談されたときに答えられるように是非準備をしておいていただきたいと思います。
次に、特定受託事業者に係る取引の適正化について伺いたいと思います。
第三条に、特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示等について規定されております。先ほど来議論があるところです。
書面又は電磁的方法により明示と規定し、下請法のように、書面の交付や電磁的方法による提供とはされておりません。書面等を特定受託事業者に渡さずに見せるだけ、又は回収してしまっても明示されたと解釈されるのでしょうか。オンラインを活用するケースも増えていく中、例えばズームとかソフトウェアがありますけれども、そのズーム上で書面等を見せる場合はどのような解釈となっていくのでしょうか。私は特定受託事業者の手元に残しておいた方がいいのではないかなというふうに考えておりますけれども、改めて質問ですが、御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/108
-
109・品川武
○政府参考人(品川武君) お答えを申し上げます。
本法案第三条でございますけれども、発注事業者がフリーランスに業務委託をした場合に、給付の内容、報酬の額などの取引条件の明示を義務付けてございます。
また、本法案では、発注事業者とフリーランスの双方の利便性向上という観点から、取引条件を記載した書面を交付をするという方法と、取引条件をメール等の電磁的方法により提供する方法のいずれかを選択できるようにしているため、法律上はこれら二つの方法を含む明示という文言を用いているところは先ほど来議論が出ているとおりでございます。
したがいまして、委員御指摘の、書面等を特定受託事業者に渡さずにオンラインの画面を通じて見せるだけというような場合でありますとか、あるいは書面で交付をした後にその書面を回収してしまうというような場合につきましては、書面の交付や電磁的方法による提供とは認められないというふうに考えてございます。このため、こういった行為は第三条の明示義務を履行したことにはならず、指導等の対象になり得るというふうに考えてございます。
本法案が成立した場合には、施行日までの間に、このような法三条の明示の考え方につきましてガイドライン等の形で対外的にもお示しをし、しっかりと周知を行ってまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/109
-
110・三浦信祐
○三浦信祐君 明確にしていただきました。具体化をお願いします。
続いて、特定受託業務事業者の就業環境の整備、こういう規定がありますので、これについて伺いたいと思います。
第十二条にて、募集情報の的確な表示が規定されております。広告等により募集情報を提供するときは、虚偽表示をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければならないとなっております。
本規定を管轄する機関はどこになるのでしょうか。また、確認手法とその頻度、運用と間違いが発見あるいは通報があった場合、どのような指導監督を行うことになるのでしょうか。
フリーランスの方が、被害などが生じてからの対応とのセーフティーネットの役割であるというのが今回の法律の位置付けではあると思いますけれども、予防的措置、被害が生じない構えを取るようにしていただきたいと思います。このことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/110
-
111・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
本法案第十二条におきましては、特定業務委託事業者が広告等により特定受託事業者の募集に関する情報を提供するときは、虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならず、また正確かつ最新の内容に保たなければならないこととしてございます。
これは、虚偽の募集情報等により生ずる特定業務委託事業者と特定委託、失礼しました、特定受託事業者との間のトラブルを防止するとともに、虚偽の募集情報等による特定受託事業者の就業機会の損失を防ぐ等の趣旨で設けるものであり、特定受託事業者の就業環境の整備に関する事項として厚生労働省が所管することとしてございます。
本規定の執行に当たりましては、本法案におけます他の規定と同様、特定受託事業者からの申出に基づき端緒を得ることを想定してございます。申出を受けた場合、都道府県労働局におきまして、広告やインターネット等に掲載されている情報の確認のほか、必要に応じて特定業務委託事業者等にヒアリング等を行い、違反が認められる場合は助言、指導等により是正を図ることとしてございます。
募集情報の的確な表示につきましては、厚生労働大臣の定める指針におきまして不適切な事例や特定業務委託事業者が取り組むべき事項をお示しすることとしており、指針等を丁寧に周知していくとともに、本規定を適切に執行していくため、厚生労働省におきまして必要な人員及び体制の確保に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/111
-
112・三浦信祐
○三浦信祐君 これも、特定受託業務事業者の位置付けの方の理解も必要ですし、また業務をお願いする側の方も理解をしていないと、どれが正しくてどれが間違っているか、これが分からないと思いますので、よく整理して、指針を分かりやすく作っていただきたいと思います。
育児、介護等と両立して業務委託に係る業務を行えるよう、申出に応じて必要な配慮をしなければならないと第十三条に規定されております。これ自体は大きな前進であり、実効性をしっかりと確保していただきたいと思います。先ほどから山田委員も介護、育児の配慮ということで質問がありました。その上で、介護、育児等の範囲、これはどこまで想定されているのでしょうか、育児・介護休業法での整理と同列になるのでしょうか。検討状況を伺いたいと思います。
また、必要な配慮の解釈はどのように整理され、情報提供を共有されていくのでしょうか。特定業務委託事業者が把握ができるのはもとより、特定受託業務事業者が規定を知っていること、具体例が必要だと思います。第十五条に規定する必要な指針を公表することに基づけば、指針の具体性、精緻な内容とすることが必要と考えられます。これらの課題についてどう取り組んでいくのか、答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/112
-
113・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
本法案では、特定業務委託事業者は、特定受託事業者が育児、介護等と両立して業務に従事できるよう、特定受託事業者からの申出に応じて必要な配慮をしなければならないこととしてございます。
配慮の内容としましては、例えば、育児、介護等を行う時間を確保するため、育児、介護等と両立可能な就業日、時間を調整するといったことが考えられます。現行の労働関係法令では、育児・介護休業法におきまして、労働者の育児・介護休業や労働時間の短縮措置等の制度が設けられており、特定業務委託事業者は、別途、自らが雇用する労働者との関係では、自らが雇用する労働者との関係では雇用主の立場としてこうした措置を講ずることとされてございます。このため、特定業務委託事業者にとっての分かりやすさの観点等からも、育児、介護等への配慮の対象となる家族の範囲につきましては、育児・介護休業法の範囲とそろえていくことを想定してございます。
他方、例えば、育児・介護休業法では、それぞれの制度について、労働者の権利や雇用主の義務としてその対象となる子の年齢を規定しています。その一方で、本法案では、申出の内容に応じて特定業務委託事業者が必要な配慮を行う仕組みとしていることから、対象となる子の年齢など個々の特定受託事業者の希望や業務の内容等に応じた違いがあり得ると考えてございます。
必要な配慮の内容を始めとしまして、本法案の第十三条で求められます具体的な内容につきましては、関係者の意見を聞きつつ、取引の実態を踏まえながら、厚生労働大臣の定める指針等においてお示しすることとしており、指針等の内容について丁寧な周知を図ることで当事者間で適切な配慮が講じられるよう取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/113
-
114・三浦信祐
○三浦信祐君 議論のプロセスも御明確に答弁いただきました。その範囲ということもよく理解をしてもらうということと、働き方が多様化しているということも踏まえた上で整理を是非やっていただきたいと思います。
特定受託事業者が特定業務委託事業者からのハラスメント問題等について相談するのは企業が適切に行わなければならないと第十四条に規定されています。これは、先ほど来、山田委員も小沼委員も議論されておりました。内部通報的制度を想定していると考えますが、一般に、契約先に生じている問題を相談することというのはかなりハードルが高いのではないでしょうか。労働法制で保護されていないフリーランスの方が就業環境を害することがないように、第十四条の実効性をどのように担保するのでしょうか。
例えば、特定受託事業者が特定業務委託事業者に対してやってしまうというケースもないとは言えないと思います。また、同列に特定受託事業者間の中でもそういう課題が生じたというケースも想定されないとは言えないと思いますので、やはりこの実効性、どう担保するかということについて検討と整理をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/114
-
115・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
本法案におきましては、特定業務委託事業者は、ハラスメント対策として、特定受託事業者からの相談に適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないこととしてございます。また、特定受託事業者が特定業務委託事業者に対しハラスメントに関する相談を行った場合に、これを理由として特定業務委託事業者が特定受託事業者に契約の解除などの不利益な取扱いをすることを禁止するとともに、特定業務委託事業者がこれに違反した場合には適切に指導等を行うこととしており、特定受託事業者が相談をちゅうちょすることのないような環境の整備に努めてまいりたいと考えてございます。
ハラスメント対策につきましては、御指摘のような小規模事業者を含めまして、各事業者の実情に応じて取り組んでいただくことが重要であると考えており、相談窓口の配置につきましては、特定業務委託事業者が労働法の規定により雇用主の立場として既に整備している労働者向けのハラスメント相談窓口において特定受託事業者からの相談も受け付けたり、ハラスメント相談窓口の設置が難しい場合には、相談担当者を決めた上で外部の専門機関などに相談対応を委託することも想定してございます。
こうした考え方や対応の具体例につきましては、厚生労働大臣の定める指針においてお示しし、丁寧な周知を図ることにより、特定業務委託事業者が適切に対策を講じ、特定受託事業者がハラスメント被害を受けることなく安心して働くことのできる環境の整備に努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/115
-
116・三浦信祐
○三浦信祐君 前提として、特定業務委託事業者になられる方が労働法の規定でこういう相談体制があるという前提になっていますけれども、よくよくそこは確認をしていただきたいと思います。ない前提ということは当然法令上はあり得ないと思いますけど、実質、じゃ、誰なのかということがフリーランスの方が分からないと相談しようもないというケースもありますので、よく整理をしていただく、また監督もしていただきたいと思います。
フリーランス・トラブル一一〇番は、これまで多数の相談を受け、対応に当たってきたと承知をしております。本法施行により、フリーランス・トラブル一一〇番はどのような位置付け、変更がなされるのでしょうか。本法の解釈によってこれを取り込むこと、そして法律に対応させる位置付けを明確化してはどうかなというふうに私は考えますけど、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/116
-
117・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
フリーランス・トラブル一一〇番は、フリーランスの方が発注者等との取引上のトラブルについて弁護士にワンストップで相談できる窓口として令和二年十一月に設置したものであり、これまでに一万件を超える相談に丁寧に対応してきたところでございます。
本法案第二十一条におきましては、国は、特定受託事業者の取引適正化や就業環境整備に資するよう、相談対応等の必要な体制の整備等の措置を講ずることとされてございます。
本法案が成立した場合、フリーランス・トラブル一一〇番がフリーランスの取引におけるトラブルや本法案に対する違反する行為について、国が行う相談対応の中心的な役割を果たすことになると考えてございます。
フリーランス一一〇番におきましては、引き続き取引上のトラブルについて丁寧な相談対応を行うとともに、違反行為を受けた特定受託事業者が行政機関の対応を希望する場合に、フリーランス・トラブル一一〇番での相談から公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の窓口への申告に円滑につなぐという役割を担うための体制整備を図るほか、所管官庁である公正取引委員会等においては、フリーランス・トラブル一一〇番で相談対応を行う弁護士からのヒアリング等を通じて問題行為が多いと考えられる業種等を拾い出した上で特定業種等に対して調査を行うといった、フリーランス・トラブル一一〇番から問題事例を吸い上げる仕組みを充実させるといったことを考えてございます。
本法案の施行によりまして取引の適正化等が進むよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/117
-
118・三浦信祐
○三浦信祐君 二十一条の具体例として、先んじていたものをきちっと取り込むということを整理をしていただきましたので、予算が切れるとか体制が整わないということはあってはいけないと思います。なので、我々もしっかりと支えていきたいと思います。
フリーランスの方の健康保持も重要であります。フリーランスの方々のメンタルヘルス対策を含む健康管理についてはどのように対処するのでしょうか。また、国としてフリーランスの方々の健康管理について支援するべきではないでしょうか。厚労省に取組の答弁を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/118
-
119・美濃芳郎
○政府参考人(美濃芳郎君) お答え申し上げます。
フリーランスの方々が働き過ぎにより心身の健康を害することのないよう配慮することは重要でございます。
現在、厚生労働省では、有識者の参集を求め、個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を開催し、その中におきまして、メンタルヘルス対策を含むフリーランスの方々の健康管理等についても御議論いただいているところでございます。この有識者検討会における検討結果も踏まえ、適切な対応を行ってまいりたいと考えております。
また、厚生労働省といたしましては、フリーランスの方々を含む労災保険の特別加入者の方々のメンタルヘルス対策を支援するため、次に申し上げるような取組を進めているところでございます。
具体的には、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳によるメンタルヘルスに関する情報提供や研修教材などの周知啓発、電話、メール、SNSによる相談への対応、労災保険の特別加入団体が特別加入者に対して実施するメンタルヘルス対策を含む産業保健活動に対する助成、就業時間や自身のストレス状況をチェック、記録できるアプリ等の提供などを行っているところであります。こうした国の支援につきまして更に推進してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/119
-
120・三浦信祐
○三浦信祐君 労働をしていく方々を守るというところはとても大事なことですので、フリーランスの方の心のケアも含めた対応をより強靱化していただきたいと思います。
奨学金について質問させていただきたいと思います。
奨学金返還が若い世代、新婚世代に重くのしかかっている現状の変革が必要であります。大学進学率が高い現代で、結婚により夫婦共に奨学金を借りて、その返済を行っている場合は少なくありません。出産による休暇、退職、あるいは専業主婦、また主夫、夫の方等、働けない、若しくは働かず、別のステップへの準備に当たる場合の返還サポート体制は極めて重要です。フリーランスの方も仕事の変動、対価の変動が大きいことも想定されます。
公明党として、ライフイベント、収入変動に連動して返還金額の緩和ができる制度へと求め続けてまいりました。どのように御対応いただけましたでしょうか、文科省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/120
-
121・西條正明
○政府参考人(西條正明君) お答えいたします。
貸与型奨学金の返還につきましては、御党の御提案の内容も踏まえまして、先日、小倉大臣の下で取りまとめられました今後の子ども・子育て政策のたたき台において、奨学金の返済が負担となって、結婚、出産、子育てをためらうことがないように、減額返還制度を利用可能な年収上限を三百二十五万円から四百万円に引き上げる、これとともに、出産や多子世帯への配慮など、子育て時期の経済的負担に配慮した対応を行うことが盛り込まれたところでございます。
あわせて、御指摘のライフイベントや収入変動等に応じて返還者の判断で柔軟に返還ができるように、月々の返還額について、これまでの返還割合に加え、最大で元の四分の一まで減額できるように見直すこととしております。
文部科学省といたしましては、引き続き教育に係る経済的負担の軽減に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/121
-
122・三浦信祐
○三浦信祐君 是非多くの方に情報共有をしていただきたいというふうに思います。
日本学生支援機構の奨学金貸与について、親の年収上限の要件撤廃を強く求めたいと思います。
フリーランスの方、年収が変動が大きいという場合も当然ありますし、極めて年収が高いという方もおられると思います。例えば、都市部で親御さんの年収が一千万円を超えている場合でも、物価、地価代なども相応な負担があります。二人のお子さんがいて、二人が私立の学校に通うための入学金、授業料が多大で、奨学金を借りたいとしても、親御さんの年収が多子世帯の上乗せ分を僅かに超えてしまって、結果として奨学金貸与条件に合致せず申し込めなかった、とても生活が厳しくなってしまったという声も寄せられました。決して珍しいことでは実はありません。また、医学部に進学したいとお子さんが願ったとしても、年収要件を僅かに超えてしまったために奨学金が受けられず、大変苦労した、断念したという声も寄せられております。すなわち、都市部の親御さんでは奨学金が借りられず困っているとの声が決して少なくありません。
年収要件を撤廃することで選択肢が広がります。今、これからの政府としてのたたき台は、親の年収ということを軸には考えないと、そういう方向に是非進んでいくという指針を出していただきたいと思いますし、これも連動していると思いますから取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/122
-
123・西條正明
○政府参考人(西條正明君) お答えいたします。
日本学生支援機構の貸与型奨学金は、教育の機会均等の観点から、意欲と能力のある学生が経済的な理由により修学を断念することがないよう、奨学金がなければ進学等が困難な低所得世帯の学生を中心に、この学生への支援を中心に制度の充実に取り組んできたところでございます。
御指摘の奨学金の所得制限を撤廃することにつきましては、経済的理由により修学が困難な優れた学生、これを対象としている日本学生支援機構の奨学金の位置付けに関わることであるため慎重な検討が必要とは考えておりますが、文部科学省としては、経済的理由で学生等が学びを諦めることがないよう対応することが重要と考えており、引き続きしっかり取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/123
-
124・三浦信祐
○三浦信祐君 しっかり取り組んでいただく、よくモニターさせていただきたいと思います。
これまで推進、拡充してきました自治体等による奨学金返還支援制度、そして企業による奨学金返還支援について、フリーランスの方がこの恩恵を受ける機会が少ない制度となっております。職業選択の自由とはいえ、返還支援制度を受けることができる機会提供を図っていただきたいと思います。フリーランスの方へ企業からの奨学金返還支援を行った場合、雇用契約がない場合においても従業員と同等に対象として現行制度が適用できるようにしてはいかがでしょうか。是非御検討いただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/124
-
125・西條正明
○政府参考人(西條正明君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、企業による奨学金の代理返還制度は、代理返還を行う企業と返還支援を受ける者との間に雇用関係があることを前提として、令和三年度から開始されております。
文部科学省といたしましては、本制度の更なる普及に向けて取り組んでいくべきと考えておりまして、今御指摘ありました雇用関係がない者から代理返還を受けた場合の取扱いも含めて、制度の改正のための検討を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/125
-
126・三浦信祐
○三浦信祐君 是非、こういう方が増えてくると思いますので、検討するということを更に進めていただきたいと思います。
フリーランスの方にとって、ライフイベントが発生した際の生活保障が安心につながると考えます。日本にとって、フリーランスの方の力が経済を支え、社会を良くするまた原動力でもあると私は考えております。
コロナ禍でより顕在化した生活保障の不充足、予見不可能性、予見可能性の低さなどを解消する必要があると私は考えております。フリーランスの方々の社会保障制度、これについて政府として今後どのように検討するか、その方向性について伊佐副大臣に求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/126
-
127・伊佐進一
○副大臣(伊佐進一君) この働き方の多様化が進んでいきます中で、どのような働き方をしてもセーフティーネットが確保されると、そしてまた、誰もが希望どおりに働くことができるような社会保障制度の構築をしていくことが重要だというふうに認識をしております。
フリーランスの方の子育て期における仕事と育児の両立を支えていくという観点からは、先般、小倉大臣の下で取りまとめられました子ども・子育て政策の強化に関する試案におきまして、被用者保険の取扱いを踏まえながら、育児期間に係る国民年金保険料免除措置の創設に向け検討を進めるということが盛り込まれております。厚労省としても、このこども未来戦略会議における議論をしっかりと踏まえながら対応していきたいというふうに思っております。
また、勤労者皆保険の実現に向けて、昨年の十二月の全世代型社会保障構築会議報告書におきまして、現行の労働基準法上の労働者に該当する方々については、その適用が確実なものとなるように必要な対応を早急に講ずるべきということと、また、労働者性が認められないフリーランスまたギグワーカーの方々に関しては、働く方々の実態や諸外国の例なども参考としつつ、引き続き検討を深めるべきというふうに指摘をされております。
これも踏まえまして、被用者保険の適用を図ることについて、社会保障審議会年金部会等において検討を深め、必要な整理を行ってまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/127
-
128・三浦信祐
○三浦信祐君 働くその契約形態が違うことによって保障の分断が起きるということは、今後、少子高齢化で労働生産人口が減っていく中で、選択肢が狭まってはいけないと思います。思い切って安心して仕事ができる環境をつくるために、より前に進めていただける議論をお願いしたいと思います。
最後に、今回のコロナ禍においてフリーランスの方の政府支援の脆弱性が明確となりました。持続化給付金等について、従前の法的整理、解釈や運用では給付金等が給付対象とならない状態でありました。公明党が主張して給付金の対象とすることができ、現場に届いて、多くの方から助かったという声もいただきました。
であるならば、平素から、今般のようなケースでも支給対象となるように事前に規定しておくことが必要と考えます。もちろん、予算の兼ね合い、ケース・バイ・ケースだと思いますけれども、事前の準備、これがとても大事だと思いますので、予見可能性を確保するために考えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/128
-
129・小林浩史
○政府参考人(小林浩史君) お答え申し上げます。
委員御指摘のように、新型コロナの影響を受ける事業者の方々への臨時異例の支援施策といたしまして実施した持続化給付金というのがございますが、制度開始当初は確定申告上の事業収入というのをもって前年の売上げを把握して給付金を算定しておりました。
他方で、いわゆるフリーランスの方を含め、業務委託契約等に基づく収入を確定申告上、給与収入又は雑所得として計上されている方もおられましたことですから、事業継続の下支えのため、こうした場合も給付対象とすることに変更したとの経緯がございます。
そして、新型コロナの影響を受ける事業者の方々への給付金としては、その後、一時支援金、月次支援金、事業復活支援金と続きますが、これについても同様の扱いとしてございます。
こうした事業者向けの給付金は、使途に制限のない現金を給付するという臨時異例の支援策であったとの性格に鑑みまして、給付金を再度支給することには相当慎重に検討する必要があると存じておりますが、今後、仮に同様の措置を実施する場合には、具体的にどのような制度設計とするかにもよるものの、以上申し上げたような前例も踏まえて適切な支援を講じてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/129
-
130・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間ですので、まとめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/130
-
131・三浦信祐
○三浦信祐君 はい。
変化が激しい時代でもありますので、指針の変化も当然出てくると思いますので、細かく現場に寄り添った内容にしていただきたいことをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/131
-
132・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時三十二分休憩
─────・─────
午後一時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/132
-
133・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/133
-
134・高木かおり
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
先日の本会議の質疑でも申し上げましたが、今、日本型雇用慣行システムが本当に社会構造や激しい環境変化の中でまさに時代にそぐわなくなってきた、そういった背景があるということを申し上げました。今後の日本の新しい働き方を見据えた中で、この四百六十二万人というフリーランスという方々、多種多様な業種や職種で働いておられると、こういった働き方が発生してきたわけです。これ、まさに時代の要請だというふうに思っております。これ、自由度が高い反面、まだまだ就業環境が整っていないということで、やはりここ、安心してやりがいを持って働けるということが国民の労働生産性を上げていく、こういったことで大変重要な視点だと思っております。
本日は、まず、法案の細かい点を質問する前に、多様な働き方、そして能力開発と、それから保障といった、こういったところについて御質問をさせていただきたいと思います。
先ほど申し上げたこの四百六十二万人の方々がフリーランスとして多種多様な業種、職種で働いておられますが、このフリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン、これが発行されていますが、この中で、フリーランスは、多様な働き方の拡大によって、高齢者雇用の拡大、それから健康寿命の延伸、社会保障の支え手、働き手、こういった増加などに貢献することが期待されるとございます。
この点については、先日、岡山で行われたG7労働雇用相会合で、人への投資が主なテーマとなって、リスキリングに関するこういった人への投資がテーマとなって、日本としてこれ紹介をすると、そうすると、現場では本当に重要な施策だという声も上がったというふうにお聞きしています。この生産年齢人口が減少する中で労働力を高めるためにも、この御高齢者の方々の雇用促進、こういったことも議論されたというふうに私も新聞報道で知りました。
まさに、こういう中高年の方々のために、年功序列や終身雇用といういわゆる日本型雇用の在り方、これを大きく見直していく必要があると思います。そして、この特定分野の専門性を高めていっていただいて、今までの経験やスキルを生かすことができる働き方へと転換、大きく転換をしていくことが大変重要だと思っております。
ただ、一方で、若年者においては、安定した雇用保障の中で経験をやはり一定積み上げていただいて、基礎的なこの能力を身に付けるということも私は大変重要だと思っています。やはりこの保障を、安定的に保障されるということでどんどんチャレンジができると、そこでしっかり様々なスキルを、基礎的な、社会的なスキルも身に付けていっていただく、まさにこういうことをやることが今、この今の日本、転換期に突入した今の日本には必要なんじゃないかというふうに思っています。
まさに企業の人材ポートフォリオの多様化を高めるということなんではないかというふうに思うんですけれども、これからの日本の働き方、こういったいいところを取るという意味で、ハイブリッドなシステム、こういったことを構築していく、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/134
-
135・羽生田俊
○副大臣(羽生田俊君) 日本では、長期的な人材育成等の観点から、特に大企業を中心に、長期雇用あるいは年功序列型の賃金等、そういった慣行が見られてきたわけでございます。
こうした日本の日本的な雇用慣行は、いわゆる長期雇用を前提に、長期的な視点に立った人材育成や組織の一体感の醸成等という優れた面もあるというふうに考えているところでございますけれども、他方で、年齢が上がるにつれて転職あるいは再就職自体のハードルが高くなりやすくなっていると、そういった傾向もあると思われております。
厚生労働省といたしましては、こうした日本的な雇用慣行の優れた面も大切にしながら、時代の変化を踏まえた見直しを労使で納得のいく対話を通じながら進めていくことが重要であるという認識でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/135
-
136・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
是非とも、ここは恐らく共通認識というふうに理解をしておりまして、いいところを取るということで、是非ここもしっかり後押しをお願いしておきたいと思うんです。
そういう中で、先ほど申し上げた中高年の方々に対する支援という形で、今、政府もリスキリングがうたわれておりますけれども、今日、資料一枚目御覧いただきながら御質問お聞きいただいたらよろしいかと思うんですが、我が国ではこのオフJTタイプの人材投資、これが大変少ないということで、これは企業外部にある職業教育インフラが大変脆弱であるということだと考えています。
国際比較の観点から、この我が国の能力の開発の状況も併せて、御見解も伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/136
-
137・原口剛
○政府参考人(原口剛君) お答え申し上げます。
日本企業のオフJTの研修費用の対GDP比でございますけれども、アメリカなどに比べまして低くとどまり、かつ、近年更に低下傾向にございます。この主な要因でございますが、我が国におきましては、オフJTよりもOJTが重視されてきたことが挙げられます。また、平成三十年度の厚生労働省の能力開発基本調査によれば、正社員、正社員以外共に、OJTを重視する又はそれに近いと回答する企業の割合が七割を超えたことでございます。
また、これに関連いたしまして、オフJTで利用される教育訓練につきまして、令和三年度の同じ能力開発基本調査におきましては、自社の訓練プログラムが正社員で七六・六%、正社員以外で八五・一%となっており、大学等は正社員で一・四%、正社員以外で〇・一%にとどまっているところでございます。
しかし、デジタル化の進展など企業、労働者を取り巻く環境の急速な変化が生じている中におきまして、これらに対応するためには、これまで企業の中に蓄積された経験を学ぶOJTに加えまして、労働者一人一人が社内外問わず学び、学び直しに自律的、主体的に取り組むことが求められると認識してございます。このため、厚生労働省といたしましては、昨年六月に取りまとめさせていただきました職場における学び・学び直し促進ガイドラインの周知など、働く人の自律的、主体的な学び、学び直しの促進に向けた機運醸成に取り組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/137
-
138・高木かおり
○高木かおり君 今御説明いただきましたけれども、やはり企業の中では研修等も充実はしているけれども、やはり、この表を見ていただいたら分かるように、日本はそもそも低いんですけれども、年々下がっていっているんですよね。こういう職場を離れたところでの学習、今、デジタル化も進んでいるというふうに触れていただきましたけれども、例えばe―ラーニングであるとか、たくさんお金を掛けずともできるような仕組みも取り入れながら、是非こういう研修であるとか能力を向上していくための施策もしっかりと率先してやっていただきたいなというふうに思います。
次の二枚目の資料も見ていただきたいと思います。
企業の人材育成の方針として、政府は、個人主体にシフトをしていくと言っています。なので、まさに個人の責任でこれからキャリアをアップしていかなければいけないということなわけですけれども、我が国の勤労者の自己啓発意欲の低さ、これが大変懸念されます。表で赤枠で日本のところを赤く四角囲みさせていただいていますけれども、一番下の、特に何も行っていない、この自己啓発を特に何も行っていないという方の数値がもう突出して日本は高いということなんです。
労働力不足も叫ばれる中で、企業の支援が期待できない中高年の方々の学びの少なさ、これについて現状どうお考えか、これからどういう対策を行っていかれるか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/138
-
139・原口剛
○政府参考人(原口剛君) お答え申し上げます。
お尋ねの我が国の勤労者の自己啓発の状況を見ますと、厚生労働省の令和三年度の能力開発基本調査によりますと、自己啓発を実施した労働者の割合は三六・〇%となってございます。また、今先生御紹介のいただきました民間シンクタンクであるパーソル総合研究所の調査によりますと、労働者が自分の成長を目的としている勤務先以外での学習や自己啓発について、特に何も行っていないという方の割合は、対象国全体の平均が一八%であるところに対しまして、日本は五二・六%になっており、高い状況にございます。
こうした現状の背景といたしましては、我が国の企業内の内部労働市場では、人事部主導の配置転換などの雇用管理が多く見られまして、職務内容に求められるスキルが見えにくい、スキルを身に付けた場合の処遇の反映などが不明確ということ、また、その結果、労働者が主体的に自身のキャリアを考える習慣が広く見られない、見られる状況になっていないということがあります。我が国では、一部の職種を除きまして職種別の労働市場が形成されておらず、外部市場の機能が弱いことなどが挙げられるのではないかと考えてございます。
先ほど述べましたとおり、労働者一人一人の方々が社内外問わず学び、学び直しに自律的、主体的に取り組むことが重要であると認識してございます。先ほども申し上げましたガイドラインの周知などを通じた機運醸成に努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/139
-
140・高木かおり
○高木かおり君 やはり政府として、個人に、こういった人材育成、能力開発、こういったことも個人にシフトしていくということを、方針を言っているわけでして、こういったことが皆さん、国民の皆さんが分からないままこういうふうにどんどん進んでいくと、やはり人生設計を、気付いたときには手遅れになってしまうというようなことがないように、しっかりとこういったことも周知をしながらサポートをしていっていただきたいというふうに思います。
続いて、三枚目の資料です。
こちらの方は、我が国の雇用対策費がこれまた先進諸国の中では低いというような数値を表す表になっています。一番上の日本の部分の数字と以下の諸外国の数字とを比較をしていただければ分かるかと思いますけれども、やはり、この雇用が不安定な労働者のための、これはフリーランスの方に限らず非正規の方々含めてということになると思いますが、本当にこのセーフティーネットが大変脆弱である、こういったところにセーフティーネットが必要なんではないかと。また、これ、失業保険ですとか生活保護の隙間をつなぐような施策、こういったことも必要だと考えますけれども、この点についても伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/140
-
141・本多則惠
○政府参考人(本多則惠君) お答えいたします。
働き方が多様化する中で、フリーランスなどの働き方を選択される方も安心して働くことができるような環境整備を進めることが重要であると認識しております。
このため、厚生労働省では、雇用保険の給付を受けられない方についても、無料の職業訓練と月十万円を支給する求職者支援制度などによる安定した雇用につなげるための支援を行っております。
また、フリーランスとして就業する方などが仕事を失うなど収入が減少して生活に困窮した場合には、生活困窮者自立支援制度において住宅確保金の支給などの支援を実施しております。
引き続き、こうした制度を御利用いただけるよう積極的な周知、広報に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/141
-
142・高木かおり
○高木かおり君 御答弁いただきました。
以前にも御質問させていただいて、この求職者支援制度、これについてもいろいろと議論させていただいたこともございますけれども、まだまだやはり足りてない部分がたくさんあるんではないかというふうに思っております。こちらがセーフティーネットだと言うならば、しっかりとこの穴も塞いでいけるような、そういった制度を更にブラッシュアップしていっていただきたいというふうに思っております。
ここで、幾つか御質問をさせていただいた中で、やはりこれからの日本の多様な働き方、先ほど能力開発の話もさせていただきました。それから、まだまだセーフティーネットが脆弱だという話もさせていただきました。これについて改めて御見解いただきたいと思います、副大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/142
-
143・羽生田俊
○副大臣(羽生田俊君) 先ほどの質疑にもありましたように、これまでの雇用慣行の影響もありまして、我が国の能力開発の現状について課題があると認識をしております。
構造的な賃金の引上げが求められている中、個人の意識の変化や構造変化が加速していること、そして労働供給制約から来る人手不足の問題が顕在化していることを踏まえますと、労働者が自律的に安心して挑戦できる労働市場を整備しつつ、個人への直接支援を強化することにより自律的、主体的な学び、学び直しを後押ししていく必要があると考えております。
このためには、厚生労働省といたしましては、まずは、働く人が主体的に厚生労働大臣指定の教育訓練を受講し、修了した場合にはその費用の一部を支給するという教育訓練給付について、デジタル分野を始めとする成長分野に資する講座を拡充するようにしております。
また、今年度から新たに開始した、学び直しを希望する労働者に無料でキャリアコンサルティングを提供するキャリア形成・学び直し支援センター事業の推進などによりまして、希望する者が誰でもライフステージのあらゆる場面で学び直し等を通じて能力向上やキャリアアップを図ることができるようしっかりと取り組んでまいります。
また、先ほど政府参考人からも答弁がありましたように、フリーランスなどの働き方を選択される方も安心して働くことができるように、やはりまずは、雇用保険の給付を受けられない方がほとんどでございますから、求職者支援制度等によりまして安定雇用につなげるための支援をしていかなければならない。そしてまた、フリーランスとして就業する方等が収入が減少し、生活に困窮するような場面があった場合には、住居確保給付金の支給という、等の支援を実施しております。
引き続き、こういった制度の積極的な周知あるいは広報に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/143
-
144・高木かおり
○高木かおり君 今、御答弁いただきました。様々な視点に対してお答えいただいたと思います。やはり、そこをいろいろな角度から支援をしていただいていて、更にもう一歩踏み込んで手厚い支援というのが今本当に必要な時期なんだというふうに思っておりますので、是非ともお願いをしておきたいというふうに思います。
そして、このフリーランスの働き方についてですけれども、これやっぱり契約の不明確性ですとか不透明性からくるトラブル、それから不利益、こういった点と、今日の午前中の審議の中にもありましたけど、やはりこの交渉力の圧倒的格差からくる不利益、それから保険や保障といったことも整備されていない不安定さ、こういった、言い出すとたくさんの課題がまだまだあるんだなというふうに思いました。
参考人の方々とのやり取りを今日午前中も私も聞かせていただきまして、まだまだこれからの新たな改正も必要なんだというふうに、今この審議をしている中ではありますけれども、そういうふうに感じたところでございます。
そういう中で、これをどういうふうに整備をしていくのかが課題だという中で、このフリーランスの自由な働き方の保護と、それから自由度ということ、このバランスというのが大変今論点になっているのかなというふうに思いますが、後藤大臣、この点についての改めての御見解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/144
-
145・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 本法案は、いわゆるフリーランスの方々に業務委託を行う発注事業者に対して取引条件の明示等の義務を課すこと等によりまして、フリーランスに係る取引の適正化等を図るものです。それは、フリーランスの働き方が今社会において非常に厳しい状況にあるという認識も踏まえて、しっかりと取引適正化を図る必要もあります。
他方で、事業者間取引における契約自由の原則の観点から、事業者間取引、いろんな形の取引がありますから、そういうものに対して行政の介入が最小限であるべきであるという原理もありますし、また、働く時間や場所を自由にできるなどの理由でフリーランスという働き方を積極的に選択する方もいると承知しておりまして、法規制の導入に当たっては、こうしたフリーランスとしての働き方の自由を害しないように配慮する必要もあると。そういう意味では、フリーランスの働き方に対する法律、取引の適正化の問題と働き方の自由の問題と、そうしたことを併せてバランスよく検討していく必要があることは委員御指摘のとおりだというふうに思っています。
また、令和二年に内閣官房が実施したフリーランス実態調査では、自分の仕事のスタイルで働きたいという理由や働く場所や時間を自由にしたいということで、フリーランスとしての働き方を選択している方の比率も相当高くなっております。このため、本法案においては、フリーランスに係る取引適正化案と発注事業者とフリーランスによる自由な自由活動のバランスを取りながら必要な規制を盛り込んでいるところであります。
それから、今御指摘のありました保険や社会保障等についてでありますけれども、働き方の多様化が進む中で、どのような働き方をしてもセーフティーネットが確保され、誰もが希望どおりに働くことができるような、そういう社会保障制度を構築していくことが重要であるというふうに考えています。
昨年十二月の全世代型社会保障構築会議の報告書も踏まえて、関係省庁とも連携しながら、そうした社会保障制度並びにいろいろな保険制度も含めた体制の構築を進めていく必要があると考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/145
-
146・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
この企業又はこの副業、兼業によるフリーランスとして働く者が増えることで、個人の経済活動の活発化だけではなくて、企業のイノベーション、ひいては経済成長も期待されると思います。
本法律案は、このフリーランスの取引適正化、就業環境整備を図ることで働きやすい環境整備に資するものであると認識していますけれども、それ以上に、このフリーランス活動をより促進するような施策まで含むものではないというふうに省庁からも御説明がありました。
こちらは、政府として、フリーランス活動を促進する必要性、更に促進する必要性というのはどのように考えているのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/146
-
147・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今委員御指摘がありましたように、今回の法律自身は、フリーランスの活動を促進する施策を盛り込んでいる法案ではありません。厳しい状況にあるフリーランスの方たちに取引の適正化、あるいは就業環境を整備していくと、そういう種類の法律の内容です。
しかし、先ほどもちょっと御紹介しましたけれども、自分の仕事のスタイルで働きたい、働く時間や場所を自由にしたいと、自分のいろいろな都合に合わせて働きたいという、そういう積極的な動機からこのフリーランスを選択する個人も多数いるものというふうに承知をいたしております。
ですから、そういう意味で、非常に多角化している社会の中でいろんな選択肢があるんだろうというふうに思いますし、労働の仕方も、非常に、あるいはその働き方もいろいろな形の姿になると思いますが、一方で、事業者間取引において、業務委託を受けるフリーランスの方々が不当な不利益を受けるといった取引上のトラブルが生じている事態があるということから、フリーランスの方々が安定的に働くことができるという形で今回の法律は作っております。
こういった法整備を行うことによって不当な不利益を受けることなく安定的に働くことができる環境を整備することができれば、それは、ひいては個人が多様な働き方の中からそれぞれニーズに応じた働き方を柔軟に選択できるという環境の整備にもつながっていくものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/147
-
148・高木かおり
○高木かおり君 やはり、このフリーランスというのが、この言葉の対象が、もう本当に、先ほどから繰り返し申し上げているように、多岐にわたるという、多業種、多岐にわたるということで、やはりもう少しもしかしたら丁寧に区別をしていって、よりここの分野にはこういった規制が必要だとか、こういった検討をしていくことも必要なのかなというふうに思いました。
今日、私が先ほど取り上げた、御高齢者の方々の、これからの中高年の方々のキャリアに対する、転職をした結果、フリーランスという形を取るという場合ですとか、今日午前中、塩村委員がおっしゃっていたような、そういった芸能界でのいろいろなフリーランスとしての不当な扱いがあるであるとか、いろんな余りにもちょっと多岐にわたるなというふうに感じている中で、そういったところも御検討いただくということも必要なのではないかというふうに感じているところでございます。
それでは、続きまして、次の質問に入らせていただきたいと思いますが、ちょっと時間の都合で一問飛ばさせていただきまして、通告の八番を質問したいと思います。
ちょっと細かい点になっていきますけれども、既に法的規制措置が講じられているとも言えるこの下請法の適用対象となる取引についても本法律案の第二条を適用させることとした理由は何なのか、それから、下請法と本法律案の双方の適用対象となる取引の場合、解釈上どちらの法律が適用されるのか、この点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/148
-
149・岩成博夫
○政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。
下請代金法でございますけれども、下請取引の公正化と下請事業者の利益の保護を目的とするものでございます。一方、本法案でありますけれども、従業員を使用せず一人の個人として業務委託を受けるフリーランスの特性に着目して、フリーランスに係る取引の適正化や就業環境の整備を目的とするものでございます。
このように、下請代金法と本法案の趣旨、目的は必ずしも一致するものではないということから、本法案では適用関係の整理規定を置かずに、下請代金法の適用対象となる取引についても本法案が適用され得るものとしております。
なお、発注事業者の一つの行為について本法案と下請代金法の二つの法律を適用し得る場合でありますけれども、個々の事案に応じて、公正取引委員会等においてどちらの法律を適用するかというのは個別に判断するということを想定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/149
-
150・高木かおり
○高木かおり君 それでは、適用関係の考え方は今後ガイドライン等で示されるとしても、このフリーランスや発注側の事業者にとって、個々の取引ごとにどの法律に基づく手続を要するのか判断する必要が生じて、負担が増えるおそれはないんでしょうか。円滑にどう進めていくのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/150
-
151・岩成博夫
○政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。
事業者にとっての負担についての御質問でありますけれども、先生おっしゃったとおり、ガイドラインなどの形で、しっかり考え方、行政としての考え方を示す必要があると思っております。
先ほど申しましたその二つの法律の適用関係につきましては、発注事業者とフリーランスの双方が適切に判断できるようにガイドライン等の形で対外的にもお示ししながら周知も行っていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/151
-
152・高木かおり
○高木かおり君 今後ガイドライン等でお示しをしていっていただくということですけれども、やはり分かりやすく具体的に示していっていただきたいというふうに思います。
下請法では、発注に際して書面の交付が原則で、下請事業者の承諾があった場合には電磁的方法も可能とされているということです。本法律案では、書面又は電磁的方法のどちらも並列な扱いとされるなど、この柔軟な取扱いが可能ということでございますが、この下請法と本法律案の双方が適用対象の取引の場合、これはどうなるんでしょうか。あくまで書面の交付が原則となるのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/152
-
153・岩成博夫
○政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。
まず、下請代金法の方ですけれども、下請代金法第三条では、親事業者が下請事業者に対して製造委託等をした場合には、取引条件を記載した書面を交付しなければならないとしておりまして、下請事業者の承諾を得た場合に限り、電子メール等の電磁的方法により提供することができるというふうにしております。
一方、本法案の第三条でありますけれども、発注事業者とフリーランス双方の利便性向上の観点から、発注事業者は取引条件を記載した書面を交付する方法、それから取引条件をメール等の電磁的方法により提供する方法のいずれかを選択できるということにしております。
本法案と下請代金法の二つの法律を適用し得る場合でありますけれども、まず、本法案第三条と下請代金法第三条で定める事項を記載した書面を交付するというやり方、あるいは、受注事業者の承諾を得て、本法案と下請代金法で定める事項について電子メール等の電磁的方法により提供するという方法のいずれかにする必要があると考えております。
先ほども申しましたけれども、こういった二つの法律の適用関係につきましては、ガイドライン等の形で対外的にも説明、クリアに説明できるようにしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/153
-
154・高木かおり
○高木かおり君 いずれの面も今後のガイドライン等で示していくというようなお答えで、まあ確認のような質問を続けておりますけれども、やはりそこもしっかりと周知ができるようにやっていただきたいというふうに思います。
そして、次の質問に移りますけれども、この特定受託事業者の遵守事項に係る規定、これ第五条になりますけれども、この規定の対象は継続的な業務委託に限られるということです。下請法の親事業者の禁止事項は委託の期間に関わらないということですから、このような相違を設けた理由というのは何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/154
-
155・小林浩史
○政府参考人(小林浩史君) お答え申し上げます。
親事業者を規制する下請代金法は、下請取引という取引構造上、交渉力等の格差が生じることを踏まえまして、独禁法における優越的地位の濫用を類型的に判断し迅速に規制する趣旨から、資本金の大小とそれから取引類型、これを基準として規制対象を定めてございます。
下請代金法では資本金一千万以下の事業者とフリーランスとの間の取引が規制対象とはなっておりませんけれども、実態として、そうした小規模な事業者とフリーランスの取引においても問題が生じておりますので、本法案では、下請代金法の規制対象となっていない小規模な発注事業者であっても、従業員を使用し、フリーランスに委託を行う場合には、特定業務委託事業者としての規制が及ぶこととなっております。
他方で、事業者間取引における契約自由の原則の観点から、事業者取引に対する規制に基づく行政の介入は最小限にとどめるべきであることにも留意が必要でございまして、小規模な発注事業者を中心として重過ぎる負担が生じることのないよう、また、これにより特定受託事業者への発注控えが生じることがないよう、規制は必要最小限にするべきだと考えてございます。
この点、一般的には、契約期間が長くなるほど発注事業者と受注事業者との間で経済的な依存関係が生じ、それを利用されることによって不利益を受けやすい傾向にあり、内閣官房が関係省庁と共同で実施したアンケート調査でも同様の実態が見られるところでございます。
このため、フリーランス保護の必要性と過度な負担による発注控えを回避する観点も踏まえ、本法案では、下請代金法とは異なり、一定の期間にわたって継続する業務委託のみを対象として報酬減額の禁止などの義務を課すこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/155
-
156・高木かおり
○高木かおり君 本会議の質疑でもこの点を触れたところでございますけれども、やはりこの過度な負担による発注控え、こういったことが起きないようにということで御説明をいただきました。この点は今回の法案の中で重要な論点の一つだと思っておりますので、この点はしっかりやっていただきたいというふうに思います。
続いて、この発注事業者に経済的に依存して従属的な立場に置かれるおそれがあると考えられるこの継続的な業務委託、これ、広く含まれるようガイドライン等で解釈基準を示すべきでないかと思うんですけれど、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/156
-
157・小林浩史
○政府参考人(小林浩史君) お答え申し上げます。
先ほどの御質問への御回答と関連する部分ございますけれども、本法案では、個々の業務委託の契約期間が政令で定める期間よりも短い場合でも、それらが実態として同一の契約であり、その更新を繰り返した結果政令で定める期間を超えるときには継続的な業務委託に含まれることとしてございます。
そのため、経済的に依存し、従属的な立場に置かれるおそれがあると考えられる継続的な業務委託について、広く本法案の対象になると考えてございます。
その上で、具体的にどのような業務委託が継続的な業務委託に当たるか否かなど、本法案の適用関係については発注事業者及び受注事業者の双方にしっかりと周知する必要があるものと認識しておりますので、本法案が成立した場合には、施行までの間にガイドライン等の形で対外的にお示しすることを考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/157
-
158・高木かおり
○高木かおり君 分かりました。
ちょっと時間なくなってきましたので、次の質問に移ります。募集情報の的確な表示、第十二条についてです。
特定業務委託事業者に限定して募集情報の的確な表示義務が課されておりますけれども、一方で、発注時の契約内容の明示義務、これ第三条、は広く業務委託事業者が対象であるということです。このような相違を設けた理由は何かという点と、それから、業務委託事業者による募集についても的確な表示が必要であることには変わらないのではないかと。
そして、ちょっと重ねて御質問したいんですけれども、職業安定法の場合は求人企業だけでなく職業紹介事業者等も対象となっておりますけれども、本法律案では、業務委託の契約当事者ではない業務委託のあっせん、それから仲介、宣伝広告するようなこのいわゆる仲介事業者についての、この規制対象、これを対象としなかった理由についても併せて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/158
-
159・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
事業者間取引につきましては、取引自由の原則の下、行政の介入は最小限にとどめるべきであるものの、一人の個人として業務委託を受けるフリーランスにつきましては、組織として事業を行う発注事業者との間で交渉力やその前提となる情報収集力の格差が生じやすいと考えられることから、本法案では、組織である特定業務委託事業者が行う業務委託につきまして、募集情報の的確表示を含め、一定の規律を設けることとしたものでございます。
一方で、業務委託をした場合の取引条件の明示義務につきましては、当事者間の認識の相違を減らし、トラブルを未然に防止するという点において発注事業者の利益にも資することから、本規定に限り、個人である業務委託事業者が行う業務委託についても特に規制の対象と、規律の対象とした、することとしたものでございます。
また、仲介事業者についてでございますが、単に発注事業者とフリーランスとの間の業務委託契約をあっせんしている場合には契約形態上は契約を、失礼いたしました、契約形態上は業務委託契約に該当しないが、契約形態だけでなく、委託内容の関与の状況、金銭債権の内容、性格、債務不履行時の責任主体等を総合的に判断した結果、実質的にその仲介事業者が業務委託を行っていると評価できる場合には、本法案におけます規制対象である特定業務委託事業者に該当することとなります。
他方、取引実態に照らしても、あっせんを行っているにすぎない場合には本法案の規制対象である特定業務委託事業者には該当しませんが、仲介事業者を利用して業務委託を行う発注事業者とフリーランスとの間の取引は本法案の規制の対象となり、当該取引に問題がある場合には、発注事業者とともに、仲介事業者に対する調査の実施も含め適切に対応していくこととしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/159
-
160・高木かおり
○高木かおり君 そういった適切に、必要があれば仲介事業者が対象になるということも御答弁いただきました。ありがとうございます。
この仲介事業者というのは、やはり良い仲介をするということで大変重要な役割を担っている一方で、やはりまだまだ、この辺りの実態調査というのもまだまだ少ないんではないかというふうに思っております。こういったところも引き続きしっかりと検討をしながら実態調査も進めていっていただきたいというふうに思います。
最後の質問になります。
募集情報である業務の内容のその他の就業に関する事項として政令で定める事項として、どのようなものが想定されているのか、発注時に明示しなければならない内容との違いはあるのか、この点について最後、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/160
-
161・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
本法案では、第十二条におきまして、虚偽の募集情報等により生じるトラブルを防止するため、特定業務委託事業者における募集情報の的確な表示について規定してございます。虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない事項としては、現時点におきましては、法律案に明記されております業務の内容のほか、政令で定める事項としては、委託者の情報に関する事項、報酬に関する事項、給付の場所や期間、時期に関する事項などを想定してございます。
他方、第三条におきまして、業務委託をした場合に書面等により明示しなければならない事項としては、現時点におきましては、法律案に明記されている給付の内容、報酬の額、支払期日のほか、受託、委託者の名称、業務委託をした日、給付の提供場所、給付の期日を想定してございます。
広告等によります募集情報は、フリーランスが当該募集に応じるかどうかを判断するための情報であることから、的確表示義務の対象とする事項は、基本的には業務委託時の条件明示の事項に相当する事項としていく予定でございますが、募集条項に関する規律という性格上、業務委託をした日などの実際に業務委託を行うことに伴う事項については含まれないなど、書面等による明示事項とは対象が異なる部分もあると考えてございます。
また、募集情報と実際の取引条件の違いにつきましては、例えば予定よりも高額な報酬額を表示するなど、意図的に実際の取引条件と異なる情報を表示した場合には虚偽の表示に、モデル報酬額の例であるにもかかわらず、その旨を示さず、報酬額が確約されているかのように表示した場合には誤解を生じさせる表示に、それぞれ該当する可能性があると考えられます。
いずれにいたしましても、個別の事案につきまして、社会通念上虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示に該当するかどうかを客観的に判断することとなると考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/161
-
162・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間ですので、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/162
-
163・高木かおり
○高木かおり君 はい。
時間が参りました。積み残した質問ができなくて、大変申し訳ございませんでした。これにて終了させていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/163
-
164・上田清司
○上田清司君 国民民主党・新緑風会の上田清司でございます。
特定受託事業者に係る取引の適正化に関する法律案、二つの視点で見ていく必要があるのかなと思っております。基本的には発注者が弱く、そして、失礼しました、発注者が強く、受注者が弱いという基本構造があるということ。もう一つ、社会の変化を先取りした多様な働き方の可能性があるという積極的な視点からも見ていく必要があるのではないかと私は思っております。
二〇二一年の十月に連合が調査したものに、フリーランスが経験したトラブルの内容、上位十項目というのがございまして、報酬の支払の遅延、あるいは一方的な仕事の内容の変更、こういったところが約三〇%程度です、二九・五、二九・五。不当に低い報酬額の決定、続いて一方的な継続案件の打切り、報酬の不払、過少払い、こういったところが二五%ぐらいですが、納期や技術的などの需要の注文、あるいは作業開始の一方的な仕事の取消しとか、様々な形で十項目のトラブルの上位を発表されたりしているところです。
こういうことをまさに解消するためにこの法律案が出されたものだと私は思っておりますし、またこれを必ず成立させなければならないという、そういう立場で私もここに立っているところでもございます。
そこで、この法案が成立しても、どうしてもこういうトラブルが起こり得ると。こういうトラブルを当事者が中小企業庁あるいは公正取引委員会、あるいは後藤大臣そのものに手紙、メール等で出すと、担当の課長さんたちがどういう返事を書くかというと、大体決まっているんです、相場が。こういう沿革でこの法律があります、このことで救われることになってます、いずれにしましても、問題があれば適切に対応してまいりますと。問題があるから手紙を出したりメールを出しているんですが、問題があれば適切に対応しますと。
つまり、課題がそれぞれ法律が成立するだけではうまくいかないんで、文字どおりその実効性があるような仕組みをしていかなきゃならないというのが私の考えでございます。
そこで、第三条がこの法律案の一番の肝だと思っております。四月二十一日の浜口議員の本会議での質問の中で、特定受託事業者に対して業務委託をした場合、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項を書面又は電磁的方法で明示しなければならないというのが、こういうことがこの法律ですが、その他の事項について浜口議員がお尋ねをされました。
そこで大臣は、このように答弁されているところでございます。その他の事項として、受託者、委託者の名称、業務委託をした日、給付の提供場所、給付の期日等、業務横断的な事項を定めることを予定している、また、引き続き、発注者の負担と取引適正化の両面でバランスを取りながら、関係者の意見をよく確認して具体的な事項を定めると、こんなふうに御答弁されたわけでありますが、答弁の中の発注者の負担と取引適正化の両面でのバランス、発注者の負担というイメージがどんなものなのかなというのがちょっと分かりづらかったのでこれもお尋ねしたいと思うんですが、これは大臣じゃなくても結構でございます、事務方でいろいろ準備をされている可能性がありますので。
それから、具体的な事項を定めるということですが、これは公正取引委員会の規則としてみなしていいのかどうか、このことを政府参考人に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/164
-
165・品川武
○政府参考人(品川武君) 先ほどお尋ねのありました発注者の負担に関するものでございますけれども、発注者の負担としましては、詳細な事項について書面を交付しなければならないということになりますと、それを全て決めた上でその書面を作り、その書面を交付をしなければならないということになりますので、発注者がそのための作業あるいはそのシステムを組むというようなことになりますとそのための負担が生じるということになって、それがひいてはフリーランスに対する発注控えにつながるのではないかということを懸念しているということでございます。
もう一つ、その定める方法でございますけれども、これは公正取引委員会規則という形で、具体的な記載すべき事項として法律で定められている以外のその他の事項とされているものについては定めていくということを予定しているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/165
-
166・上田清司
○上田清司君 ありがとうございます。
提出資料を見ていただけますか。フリーランス、納得できない行為を行った依頼者とその後の取引状況というものでございます。あるいは、要するに、トラブって泣き寝入りをせざるを得ないような環境があるというのは何となく分かっていただいているものだと思っておりますが、それを具体的にグラフで内閣官房の方で取りまとめていただいたものでございますけれども、こうした状況からして、必ずしも、実際問題として泣き寝入りすることを余儀なくされるという環境、これはこの法律を成立させても起こり得るんではないかというふうに思われるんですが、大臣、こうした点についてはどのように思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/166
-
167・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 納得のできない行為、いろいろ出ておりますけれども、やはり取引の優位性のある大きな組織と、個人で、企業であれ個人であれ一人で働いているフリーランス、大きな格差があるということについては我々十分踏まえて対応しなければならない、そのように思っています。
今回の法案もそういう観点から作られたものでありますし、しっかりとそうしたことを念頭に置いたところで、先ほどから御指示、御提示のある明示の内容とか、そういうことについても考えていく必要があるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/167
-
168・上田清司
○上田清司君 これは、内閣官房、公取、厚生労働省、それと中小企業庁の共同調査で、二一年の七月二十日から八月二十日まで一か月掛けて調査したということですので、当然、これは各関係機関が共有された認識だというふうに思ってもよろしいんでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/168
-
169・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) おっしゃるとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/169
-
170・上田清司
○上田清司君 こうした受け入れ難い内容を、まあトラブルを受け入れた理由の中にも、幾つか数字も挙げているところでもございますけれども、これも内閣官房日本経済再生総合事務局作成されたものですけれども、受け入れ難いものを受け入れるという、こういう状況の中で、こういうものが出てきたときに、六条、七条、八条などで担保できるのかというのが一つの懸念であります。
先ほど私が冒頭に申し上げた、問題があれば適切に対応をしますと、適切に対応していないからいろんな課題が出ているんで、内容を詰めなければならない、実効性のある仕組みをつくらなければならないというのが、私は法律の一番大事なことだと思っておりますが、まさに六条、七条、八条でこうした受け入れ難い問題を担保できるのかと、では担保するにはどうすればいいのかということについてお話を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/170
-
171・品川武
○政府参考人(品川武君) ただいま委員御指摘の、そのトラブルを受け入れた理由ということでございますけれども、これにつきましては、こちらのアンケートでも結果が出ておりますように、一つは、そのトラブルが起こったときに、発注が今後打ち切られる、あるいはこれから仕事が減らされるというようなことを懸念して、フリーランスの方が、問題行為が行われたときにそれを当局に申し出ることができないと、情報提供することができないというようなことを委員の方も御懸念をされているということだと理解をしておりますけれども、今、例えばその下請代金法でも同じような懸念が構造的には存在をするわけですけれども、下請代金法におきましては、いたずらに申告を待つということではなく、当局の方で親事業者あるいは下請事業者に対する書面調査というものを行いまして、その申告を待たずに違反行為の端緒を探すということをやってございます。
今回のフリーランスの新しい法律につきましても、どういった形を取るかは別途考えないといけませんけれども、事業者団体からの情報収集、あるいはフリーランスの団体を通じた情報収集ということも考えておりますし、あるいはそのフリーランスの取引が多数行われているであろうような業種については、そういった業種について書面調査のようなものを行って端緒情報を収集していくということも考えておりますので、こういった方法によって積極的に端緒を収集するという形を取ることによって法律の実効性を確保していくことができるのではないかというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/171
-
172・上田清司
○上田清司君 ありがとうございます。
ややちょっと盛りだくさんなんで、いろんなことをやりますよというところがありますので、本当に担保できるのかなと。
午前の部で三浦議員からもフリーランス・トラブル一一〇番をしっかり位置付けたらどうだという御提案もありましたし、ただ、それについてもややばくっとしたようなお話でありましたので、大臣、これ一番大事なのは、そうした魂は、形は作ったけど魂を入れるために、やっぱり課題が出てくるときに、窓口が中小企業庁でございます、公取でございますというときに、本当に窓口になり切れるのかと。
まあ中小企業庁、窓口になるかもしれませんが、やっぱり末端のところにあるわけじゃありませんので、例えば各都道府県にあります商工会連合会だとか、そういったところに業務を委託して、きちっと事を進めていくとか、そういうことができないのかという、そういう窓口、末端にある部分の窓口というのをどのようにしてつくるかという、このことについて、これは政府参考人でもいいんですが、いろんなことができますということですけれども、私が知っている限りでは、中小企業庁の窓口が全国津々浦々にあるというふうに思えませんし、公取の窓口が全国津々浦々にあるというふうに思えませんので、こうした課題を担保できる窓口について相当な研究がなされているかどうか、その点をもう一回伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/172
-
173・品川武
○政府参考人(品川武君) お答え申し上げます。
先ほども御答弁を申し上げましたように、情報の収集の仕方は様々なやり方を考えてございます。
先ほど委員からも御指摘のあった一一〇番でございますけれども、これは第二弁護士会に委託をして全国から電話を受け付けるということでございますので、そういう意味では場所に関わらないということでもございますし、そこで受け付けた内容に応じて、公正取引委員会、中小企業庁あるいは厚生労働省といったところに適切につなぐということができるというふうに考えてございます。
今先生の方から、例えば商工会みたいなところが使えないかというお話もあったところでございます。例えば公正取引委員会や中小企業庁の取組でも、こういった商工会に、例えばパンフレットを置く、あるいは情報をつないでいただく、あるいは経営指導員の方に説明をして話をつないでいただくというようなことも取り組んでおりますので、こういったやり方も参考にしながら進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/173
-
174・上田清司
○上田清司君 もう一つ研究をしていただければ有り難いなということを申し添えておきます。
フリーランスの健康問題についてお伺いしたいと思います。
御案内のとおり、個人事業者でありますので、産業医もいなければ、企業などの健診も、定期健診もありません。結果として、議論にも、今までにもありましたが、長時間労働などが余儀なくされるだろうと。
こうした長時間労働を余儀なくされるために、そういうリスクがある以上、こうした個人事業者に対する安全衛生の面から、何らかの形で検討会議というか、検討されたようなものがあるのか、あるとすれば、どんな方向付けでいわゆるフリーランスの健康を守るような仕掛けができているのかを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/174
-
175・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 一定の業種、作業に従事する方を対象に、雇用されて働く労働者以外の方が労災保険に任意で加入する特別加入制度というものがありますけれども、こうしたものについては、フリーランスとして働く方の保護の観点から、関係団体の要望も踏まえつつ、近年、アニメーション制作従事者、自転車配達員、ITフリーランスなどが加入対象として追加されてきています。
他方で、フリーランスの事業や職種は多様であることから、本法案の特定受託事業者の定義も踏まえつつ、フリーランスが幅広く特別加入することができる大きな加入枠を設けることについて、現在、厚生労働省において検討を行っているところであると承知をいたしております。
こうした点も含めて、安全、労働者の、失礼しました、フリーランスの労災保険の特別加入制度等、十分検討を進めていきたいというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/175
-
176・上田清司
○上田清司君 今大臣がいみじくも言われましたが、労災保険特別加入制度について、新しい枠組みの検討というようなことを本会議場でも述べておられました。この新しい枠組みの検討とは何なのかということをお伺いしたいと思います。どの程度までの検討ができているのか、また新しい枠組みというのは一体どういう意味なのか。
それと関連して、社会保障審議会年金部会で社会保険の適用の在り方についての議論を進めていますと、こういう御答弁もございました。議論の論点とかというものはどんなふうになってきているのか、あるいは検討課題の入口なのかもしれませんが、まさにこれが一番言わばフリーランスのセーフティーネットの肝だというふうに思いますので、こうした部分での方向性だけでも見えていけば、また改めて各党会派あるいはまた議員の皆さんからもいい知恵が出るかもしれませんし、何よりも、フリーランスやあるいはそういったことに強い関心を持っている連合などからもいいものが出てくる可能性もありますので、方向付けみたいなものがあれば是非お示しをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/176
-
177・梶原輝昭
○政府参考人(梶原輝昭君) 労災保険特別加入制度の検討の状況、大きな枠組みとは何かというお尋ねでございます。お答えをいたします。
先ほど後藤大臣の方からもお答えをさせていただきましたけれども、労災保険の特別加入という制度につきましては、働き方が柔軟になってきているということを踏まえまして、これまで、具体的にフリーランスに該当するものとしては、アニメーション制作従事者、自転車配達員、ITフリーランスなど、こういった働き方をされている方について、個別具体に列挙する形で特別加入制度を拡充をしてきたところでございます。
今回、本法案ができ上がっておりますので、今後はフリーランスというものが一定の定義が与えられますので、個別具体に一つ一つ列挙していく方式はなかなか時間等掛かりますので、できるだけ多くの方をフリーランスという枠組みで対象とすることができるように大きな枠組みで考えていきたいと、そのような考え方でおります。
検討の進め方につきましては、本法案が成立をいたしましたら、その定義を踏まえ、施行のタイミング等も参考にしつつ、早急に検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/177
-
178・朝川知昭
○政府参考人(朝川知昭君) 後段の社会保障制度についてでございます。
昨年十二月に、全世代社会保障構築会議というところが報告書をまとめてございます。その中で、フリーランス、ギグワーカーにつきまして、その被用者性の捉え方などの検討も含めて必要な整理を行うとともに、より幅広い社会保険の在り方を検討する観点から議論を着実に進めるべきとされまして、具体的には、フリーランスとして安心して働ける環境の整備するためのガイドラインに照らして、現行の労働基準法上の労働者に該当する方については被用者性も認められ、被用者保険、厚生年金などですが、が適用される旨を明確化した上で、その適用が確実なものになるよう必要な対応を早急に講ずるべき、その上で、それ以外の労働者性が認められないフリーランス、ギグワーカーに関しては、新しい類型の検討も含めて、被用者保険の適用を図ることについて、フリーランス、ギグワーカーとして働く方々の実態や諸外国の事例なども参考としつつ、引き続き検討を深めるべきと報告書で整理されております。
今後は、この同報告書に基づきまして、私ども厚生労働省の方で、年金については年金部会という専門に検討するところもございますので、そういったところを中心に検討を深めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/178
-
179・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) もう一つ、せっかく政府検討していることがあるので申し上げたいと思うんですけれど、私、全世代型社会保障改革担当大臣もやっておりますので。
全世代型社会保障構築会議の報告書については今言ったとおりで、厚生労働省において、そうした新しい労働者性の観点からの保険制度の適用についての検討があります。
それからもう一つ、仕事と育児の両立の支援に向けては、この間、子ども・子育ての試案というのがまとめられていますけれども、被用者保険の取扱いを踏まえつつ、育児期間に係る国民年金保険料免除措置の創設を検討することを盛り込みました。今、こども未来戦略会議でこれを引き取って議論をしておりますけれども、こうした検討状況もしっかりフォローしながら、しっかりまとめていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/179
-
180・上田清司
○上田清司君 大臣、ありがとうございました。
まさに育児がゆえにフリーランスを選ぶという方々もおられますので、そうした議論というか、実際の動きというのは大変有り難いお話ではないかと思います。
また、先ほどから、今まで個別であったものをこの新しい法案を契機に大枠でつかもうという、そういう方向で御検討されているということも非常に朗報ではないかなんというふうに思っております。労災保険の特別加入制度についても、そういう新しい枠組みが、個別ではなくて大枠で考えようという大変いいお話だと思っております。
また、年金等の問題に関しましても、労働性という、この枠組みで分けなければならないという課題もありますが、この労働性の枠組みを超えたところで何らかの形で今後検討するということですので、もうこれも一歩前進かなということで、正しく評価させていただければと思っております。
そこで、今度、フリーランスの積極的な側面から見ていきたい部分を少し議論させていただきたいと思います。
フリーランスという働き方の継続意思というのが、データを見ると結構大きいものがございます。これも、御案内のとおり、内閣官房等々で調べていただいたものでもあるわけですが、フリーランスとして働き続けたいというのが七八・三%と。うち、今後続ける、今後は受ける仕事を増やす予定四六・二%、それから現状の仕事の部分を維持する予定と、そういうのが四六・九、合わせて九〇%超える人がむしろフリーランスを拡大しようという、あるいは現状若しくは拡大しようという意欲を持っておられるというデータもあるということが分かっているところでありますが、非常に、ある意味では今までフリーランスというのはマイナーな話からスタートするような課題も多かったわけですが、積極的に取り上げているというお話もあると。
それからもう一つ、働き方の選択、これは先ほどから大臣がずっと言っておられました。前向きにフリーランスをあえて選ぶという働き方の選択に関して、自分のスタイルなんだとか、あるいは働く時間や場所を自由にしたいとか、そういう前向きな話が非常にあるということ。
もう一つ、年齢構成というのを見ましたら、私などはもっと年齢構成が若いのかと思ったら、意外に一番多いのが、多いというか、四十歳以降からの方が数が多くて、四十歳以上が二二%、五十歳以上が二〇%、六十歳以上が三〇%と。むしろ、三十歳以上は一七で、二十九歳までが一一%ということで、結構シニア、ミドルの層がこのフリーランスの年齢構成になっていると。
こうした点を見ていくと、フリーランスの皆さんたちに必要なものは、どうかすると、フリーランスの人たちに専門性をもっと高めていったらいいんじゃないかとか、そのために高校、高専であるとか大学の専門でしっかり様々な個別分野を学んだ方がいいんじゃないかという、こういう考え方もあるんですが、このデータを見る限りではミドルとシニアということですので、むしろ学び直し、この期間をしっかりやることでこのフリーランスの可能性というのを高めていくことができるんじゃないかと。
これは質問通告には入れていないと思いますが、こういうのはもう、大臣は有能でございますので、御自身で御判断ができて、なおかつ御自身の考えの中で議論ができると思いますので、あえて通告しておりませんでしたが、最後に討論をさせていただいているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/180
-
181・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今、学び直しというお話ありまして、この学び直しというのは非常に重要な問題だというふうに思っています。
フリーランスを含む多様な働き方を行われる方々に対して自律的なキャリア形成が行えるようにするためには、キャリアコンサルティング、これが非常に重要でありまして、その提供の支援ということについては厚生労働省がしっかり取り組んでいます。
また、文部科学省では、例えば社会人向けの教育プログラムを作るための支援を行ったり、あるいはポータルサイト、マナパスというのを作ったりして、検索しやすい形で情報の提供等をしております。
各省それぞれ、学び直し、それぞれの所管で工夫をしながらやっておりますけれども、我々としても、フリーランスに対する学び直しの機会、トータルの政府の政策としてもしっかりと取りまとめながら進んでいきたいというふうに思います。
また、フリーランスに限らず、恐らく若い方の時代になってくると、フリーランスという意識よりも、例えばリスキリングをして、そして次々に新しい職務給の付いたそうした正規に挑戦をしていって、労働の流動性と、そういうような形の労働市場改革の方へ進む方もあると思います。そういう意味では、本当に働いている人たちの立場によく目を配りながら、そうした労働市場改革全体、あるいは自由な労働選択ということをトータルで考えていく必要があるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/181
-
182・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間ですので、まとめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/182
-
183・上田清司
○上田清司君 ありがとうございます。
エジソンも高校や大学に行っていたらあんな発明はできなかったと思いますし、GAFAの創業者たちもある意味ではフリーランスだったからあれだけのことができた、このように私は理解しておりますので、大いにフリーランスがしっかりとした事業展開になれるような仕組みづくり、また困っている人たちをしっかり助ける仕組みづくりに御尽力いただきますことをお願い申し上げまして、終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/183
-
184・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
本法案は、情報量や交渉力で立場の弱いフリーランスに係る取引の適正化を図るものですが、フリーランスの働き方の実態を見るならば、更に広く労働者性を認めて、労働法制を適用して保護することが必要だと考えます。
本日は、参考人として、ユニオン出版ネットワーク副執行委員長の杉村和美さんに御出席をいただいております。
まずお聞きしますが、この業界ではどのようなフリーランスの働き方が広がっているのか、御紹介いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/184
-
185・杉村和美
○参考人(杉村和美君) 私たちの業界では、出版社やプロダクションに出社して社員と同じように働いている人がたくさんいます。契約は業務委託契約です。このような働き方をする人を私たちの業界では常駐フリーと呼んでいます。
具体的には、出版社に自分のデスクがあり、パソコンも会社のものを使っています。勤務時間は、契約書には明記されていないことが多いですが、社員と同じ時間に出社しています。残業することもあり、週四十時間以上就業する人も多いです。必然的にその会社への専属性、経済的依存度は高くなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/185
-
186・井上哲士
○井上哲士君 ありがとうございます。
今御紹介いただいたこの常駐フリーと言われるような皆さんは正社員と変わらない働き方をされているわけですね。
参考人、更に伺いますが、こうした方々が、この委託契約であるということで、正社員と比較してどのような不利益があるのか、御紹介いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/186
-
187・杉村和美
○参考人(杉村和美君) どのような不利益があるかとの御質問ですけれども、まず、労働法が適用されないために有給休暇がなく、残業代も支払われませんし、産前産後休業もありません。また、労働保険や職場の健康保険、厚生年金保険にも入れません。私どもが取りました常駐フリーアンケート調査によれば、これらの保険に加入したいというニーズは非常に高いです。
あと、解約規制がないために簡単に仕事を切られてしまいます。これを恐れて声を上げられないという不利益も被っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/187
-
188・井上哲士
○井上哲士君 ありがとうございます。
私の本会議の質問に対して後藤大臣は、フリーランスと呼ばれる方であっても、実態を勘案して総合的に判断した結果、労働者性があると判断されれば、労働基準関係法令に基づき労働者として必要な保護が図られると答弁をされました。
しかし、実態どうなのか。杉村参考人が関わったこのフリーランスの労働者性に関わる相談事例ではどのような事例があったのか、御紹介いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/188
-
189・杉村和美
○参考人(杉村和美君) 先ほど紹介しました常駐フリーのケースであっても、労基署等で労働者として認められるには三つの壁が立ちはだかっています。
一つ目は、入口です。業務委託契約書を見せると、労働者ではないとして門前払いされるケースは依然として多いです。ここは労働者かどうかを判断するところではない、判断するのは裁判所だと言われた人も複数います。
二つ目は、聞き取りの段階です。労働の実態を丁寧に調査するのではなく、形式的なところで判断されてしまうという壁です。例えば、源泉徴収をされているか、確定申告をしているか、労働保険に加入しているか、副業が禁止されているかなどが重視され、総合的に見て労働者ではないと判断されてしまうことがあります。
三つ目は、判断の物差しである労働者性の判断基準が古く、出版業界の労働実態に合っていないためにはじかれてしまうという壁です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/189
-
190・井上哲士
○井上哲士君 労働者性の認定には労働基準監督署で三つの壁があるというお話でありました。
今のを踏まえまして厚生労働省にお聞きしますが、この労働者性の認定に関わって労働政策研究・研修機構、JILPTの報告書があります。二〇二一年にまとめられた労働者性に係る監督復命書等の内容分析というものです。労働者性の判断を求めて監督署に寄せられた百二十二件について対応状況を分析しております。
これによりますと、この判断状況について、労働者性あり、労働者性なし、労働者性の判断に至らずの三つに分類されておりますが、この労働者性の判断に至らずが労働基準監督署の定期監督の場合では三八・八%、労働者からの申告に基づく場合では実に六四・三%になっているんですね。
先ほど、後藤大臣の答弁、本会議のときで、実態としては労働者性があると判断されれば保護させると答弁したわけでありますが、今紹介しましたように、労働者から申告があっても約三分の二はこれ労働者性があるかどうかの判断ができない、そこに至らないというのが示されているわけですね。これでは保護につながらないわけなんですね。
こういうこの判断ができないということになっている背景には、私は監督官の体制の問題もあると思いますが、それ以外にはどういう要因があると厚労省はお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/190
-
191・青山桂子
○政府参考人(青山桂子君) お答え申し上げます。
御指摘の報告書は、労働政策研究・研修機構が厚生労働省から提供された監督復命書及び申告処理台帳を基に労働基準監督署において取り扱った労働者性に係る事案の分析を行ったものでございます。
労働者性の判断につきましては、それぞれ個別事案における個別の実態を踏まえたものでございまして、判断に至らなかった理由は一概には申し上げられませんが、報告書におきましては、その労働者性の判断に至らずとされた事情として、例えば申告処理台帳の事案につきましては、本来、民事上の問題である賃金未払事案が大部分であり、その後、裁判所に労働者性の判断を求めて提訴する可能性も十分にある中で、乏しい情報下、情報の下で安易に労働者性の判断に踏み切れない事情が考えられるということや、一部の事業におきまして、請負労働者、雇用労働者、双方の働き方との混然一体的な働き方が広がっているようであるなどと記載されております。
いずれにいたしましても、厚生労働省としましては、そのような状況下であったとしても、労働基準法等の施行をつかさどる労働基準監督署において必要な調査を尽くした上で労働基準法上の労働者性の判断を行うべきであると考えておりまして、労働者性の判断が適切になされるよう徹底してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/191
-
192・井上哲士
○井上哲士君 今、必要な調査を尽くした上でと、こうおっしゃったわけですが、その前のところでは、裁判所で判断されるべき問題で、乏しい情報で判断するのはどうかということもありました。情報が乏しければ更に調査を求めればいいんですよ。それがやっぱりできていない。そして、この判断が、やはり三分の二はこの申告に基づく場合はされていないというのは、やっぱり大きな問題だと思うんですね。
僕は、やっぱりここの根底には、現在の働き方に合わせて判断する基準が明確でないためにこの現場の労働基準監督官などが対応できていないというのが大きな問題だと私は思います。
先ほど、参考人は、労働者性の判断基準が古くて出版業界の労働実態に合っていないと述べられましたけれども、もう少し具体的に御紹介いただけるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/192
-
193・杉村和美
○参考人(杉村和美君) 御説明いたします。
現在使われている判断基準は一九八五年に作られたものですが、この三十年間の情報通信技術の発展により出版業界の社員の働き方は様変わりしています。
例えば、判断基準では場所的、時間的拘束があるかが問題になりますが、場所については社員にも在宅ワークが広がっています。時間についてもフレックスタイム制や裁量労働制が導入されている職場もあり、かなりフレキシブルな運用がされています。指揮命令の態様も多様化しており、在宅労働であってもスラックやチームズなどのチャットツールを使って指示や報告が出されています。
そもそも編集や執筆、撮影、デザインなどの仕事では、業務の性質上、遂行方法や手順は本人の裁量に委ねられているという実態があります。社員がこのような働き方をしているのに、フリーランスは自宅で仕事をしているからとか、労働時間や仕事の仕方に裁量性が高いからという理由で労働者ではないとされてしまう実態があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/193
-
194・井上哲士
○井上哲士君 社員の方の働き方が大きく変わってきているのに、フリーランスの方は一九八五年の基準のままになっていると。この基準が現場の実態に合っていないということを示す大変具体的なお話でありました。
先ほど紹介したJILPTの報告書では、その冒頭で、近年の情報技術の急速な発展や人工知能やビッグデータ等の発展の中で、必ずしも使用者が指揮命令をしなくてもアルゴリズムに基づいて役務提供の態様をコントロールすることが容易となっているということなどを指摘をしております。そしてそこから、雇用契約が一般的だった分野に請負契約や委託契約が拡大し、これまでの指揮命令を中心とした労働者性判断基準では必ずしも労働者と判断し難いが、その就労の実態はこれまでの雇用契約に基づくものとほとんど変わらないような新たな就業形態の者をどう扱うべきかが、世界共通に大きな政策課題として持ち上がってきていると、このJILPTの報告自身が述べているわけですね。先ほどの参考人の指摘とも基本的に一致をするわけです。
本会議でこの基準の見直しを求めたのに対して、厚生労働大臣は、フリーランスガイドラインで周知をしていると述べつつ、現行の労働者性の判断基準の枠組みが適切なものになっているか否かについて不断に確認してまいりますと答弁をされました。
しかし、今の参考人のお話ありますように、これもう既に適切なものになっていないんですね。この、こういう現場の声、そして今紹介したJILPTの報告書の指摘も踏まえて、やはり基準の見直しを検討すべきだと思います。
その際、例えば、出版フリーランスと美容師やエスティシャンとの働き方は違うわけですね。指揮命令の在り方も業界によって違うと。ですから、それぞれの業界の仕事の性質や労働実態に合った労働基準を、あっ、判断基準を作成をして労働基準監督官が判断しやすいようにするべきだと考えますけれども、この基準の見直しについて、厚生労働省、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/194
-
195・青山桂子
○政府参考人(青山桂子君) お答え申し上げます。
労働基準法は、使用者に対し立場が弱い労働者が劣悪な環境で働くことがないように、労働基準法上、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者というように労働者を定義しまして、それに従いまして、事業に使用される者であるか否か、その対償として賃金が支払われるか否かについて、形式的な契約の形にかかわらず実態を勘案して総合的に判断しているものでございます。
このように、労働者保護に即した判断基準でございまして、委員もおっしゃられましたとおり、フリーランスとして安心して働ける環境を整備するガイドラインにより、できるだけ分かりやすく明確化をしているところでございまして、周知を図っております。
監督署、労働基準監督署の話、先ほど来御指摘いただいていますけれども、ここでも労働者性の有無の判断を的確に行うべきことは論をまちませんが、それにつきましても、都道府県労働局を通じて徹底するよう指示していますが、引き続き取組を徹底してまいりたいと思います。
その上で、今後、ガイドラインの運用状況や裁判例などの動向、今後の働き方の変化などの状況を注視しながら、現行の判断基準の枠組みが適切なものとなっているか否かについて不断に確認してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/195
-
196・井上哲士
○井上哲士君 先ほど言いましたように、労働基準監督署で、申告に基づいたものについて三分の二がこの判断に至らずという状況になっているわけですね。
参考人からも、八五年の判断基準以降、正社員の働き方はうんと変わっているのにフリーランスの方については古い基準のままになっているというのが、私は既に適正なものになっていないと思うんですよ。
例えば、芸能関係者についてとか建設業の手間請従業者については、一九九六年に労働基準法研究会の専門部会が判断基準作っていますよね。こういうことがやっているわけですから、更にこういう形で働き方を類型化をして、その類型ごとの判断基準の作成ということは急いでやるべきだと思いますけれども、重ねていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/196
-
197・青山桂子
○政府参考人(青山桂子君) お答え申し上げます。
おっしゃられたとおり、昭和六十年の労働基準法研究会の報告の後に一定の業種について考え方を示したこともございます。
それに加えて、様々な裁判も出ていますので、我々については常日頃から裁判例等もウオッチしておりますけれども、今の基準を大きく見直すような裁判例等は承知していないところでございます。
他方で、おっしゃるとおり、業種、業態によって実態は様々でございますので、労働者性の御相談、申告がありましたら、まず労使双方からよく実態、状況をお聞きするように監督署にも指示しておりますので、引き続き、細かな実態を把握しながら適切に判断してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/197
-
198・井上哲士
○井上哲士君 繰り返し言いますけど、やっぱり現場の監督官の方が判断できてない状況があるわけです。やっぱりそれを適切にやるように、例えば難しい事例は全部本部に、本庁に集めるとか、いろんなやり方あると思うんですね。急がれることですから、是非やってほしいと思いますが。
加えてもう一本、内閣府にお聞きしますが、この本法案は、委託事業者という組織と受託事業者という個人の関係性に着目して取引関係を適正化しようというものであります。しかし、個人が組織と対等な契約関係を結ぶことはこの法案の仕組みをもってしてもやっぱり限界があると言わざるを得ません。
そこで重要になるのが、同じ状況に置かれている個々のフリーランスが団結をして、優越的な立場にある業務委託事業者と団体交渉を通じて契約内容を適正化することだと思います。
確認いたしますが、特定受託事業者は事業者とはいっても個人であって、労働組合法上の労働者性を排除するものではないと、こういう理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/198
-
199・青山桂子
○政府参考人(青山桂子君) お答えいたします。
今言いました団体交渉などを促進する労働組合法でございますが、労働組合法の労働者には、労働組合を組織し、集団的な交渉による保護が図られるべきものが幅広く含まれると解されておりまして、契約の形式のみにとらわれるものでなく、当事者の認識や契約の実際の運用を重視して判断することとされております。
この法案の成立によりましてもこの労働組合法上の労働者性に係る考え方に変更はございませんで、労働組合法の労働者に該当するか否かは特定受託事業者でありましても個別の実態、事案に応じて判断していくこととなりまして、労働組合法上の労働者であると認められた場合には労働組合法上の保護が及ぶものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/199
-
200・井上哲士
○井上哲士君 特定受託事業者になっても労働組合法上の労働者性が排除されるものではないということでありました。
続いて、継続的業務委託における解約規制の問題についてお聞きします。
参考人、お聞きしますけれども、法案に第十六条の解除の予告というのがありますが、この継続的業務委託に関する契約解除の予告と解除の事由を開示を規定しているわけでありますが、この条文についてどのように評価をされているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/200
-
201・杉村和美
○参考人(杉村和美君) 第十六条についての御質問ですけれども、契約解除の予告と解除理由の開示だけでは不十分です。なぜなら、常駐フリーはもとより、一般のフリーランスであっても、継続的に業務を受けているケースは取引先への経済的依存度が高く、解除されるとたちまち生活が成り立たなくなってしまうからです。
継続的業務委託の打切りは、雇用労働者にとっての解雇と同じです。一か月前に通告があったからといって、すぐに次の仕事が見付かるわけではありません。それに、フリーランスには失業手当もなく、次の仕事が見付かるまでは貯金を切り崩して生活せざるを得ないのが実情です。
実際に、契約解除、不更新の相談は、報酬不払、支払遅延に次いで多いです。契約解除の理由が開示されたとしても、それが納得できない理由であった場合、どのような救済方法があるのでしょうか。解約や不更新には正当な理由が必要であることが定められていて初めて撤回を求める交渉等ができますし、安易で不合理な解約や不更新を防ぐものともなります。
また、日本相撲協会事件や個人経営の新聞販売店の契約更新拒絶事件など、継続的契約の解消の制限についての裁判例が積み上げられてきています。
ついては、継続的契約の解除や不更新には合理的な事由ないしやむを得ない事由等の正当な事由が必要であるということを盛り込んでいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/201
-
202・井上哲士
○井上哲士君 内閣府、お聞きしますが、今ありましたように、第十六条第二項は、単に契約解除の事由の開示を求めるだけにすぎません。これでは、どんな理由があっても開示さえすれば契約解除も自由にできるということになるわけで、これではフリーランスは保護されないというのが今の参考人の御意見でありました。
参考人が述べたように、正当な事由を開示するということにするべきではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/202
-
203・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
フリーランスと発注事業者間の取引は事業者間取引でございまして、その契約関係の解消は取引自由の原則の中で契約当事者間に委ねられているものであることから、一般に取引法制において、解除事由によって解除を直接制限することは法制上の課題や発注控えのおそれなどの課題が多いと認識してございます。
一方で、一定期間取引を継続することに伴いまして発注事業者への依存度が高まるが、こうした中で契約を突然解除などされた場合、フリーランスは次の契約先を探す必要が生じるなどの時間的、経済的損失を被ることから、中途解除等の事前予告の規制を設けることとしたところでございます。まずは本法案の適切な運用、定着を図ってまいりたいと考えてございます。
なお、一方的な契約解除によりトラブルが生じた場合には、フリーランス・トラブル一一〇番に相談し、法律上取り得る対応等についてアドバイスを求められることについても周知などを図ってまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/203
-
204・井上哲士
○井上哲士君 やっぱり非常に弱い立場にあるわけでありますから、一般の取引自由とまた違うことで対応すべきだと思うんですね。
さらに、ハラスメント対策についてお聞きしますが、第十四条では特定業務委託事業者に対してハラスメント対策を求めておりますが、参考人、お聞きしますが、このフリーランスに特有のハラスメントとしてどのような実態があるのか、御紹介いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/204
-
205・杉村和美
○参考人(杉村和美君) フリーランス特有のハラスメントとして、経済的嫌がらせというのがあります。経済的嫌がらせというのは、報酬を支払わなかったり値切ったりする行為や、これらの経済的不利益を与えると示唆することです。
二〇一九年に私たちを含むフリーランス三団体が実施したフリーランス、芸能関係者へのハラスメント実態調査結果のハラスメント内容では、経済的嫌がらせが第三位となりました。出版、新聞、印刷、広告関連に限ると第一位となっています。
具体例を三つ挙げます。一つ目、支払遅延について尋ねたら、お金のことについてあれこれ言うなら仕事を与えないと言われた。二つ目、新規案件をこちらが受ける意向を見せないと過去の報酬を支払わないような圧力を掛けられている。三つ目、仕事をした後で金額を値切られる、ほかにも仕事を振る相手はたくさんいますと含みを持って脅されるなどがあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/205
-
206・井上哲士
○井上哲士君 非常に深刻な実態だと思うんですが、今参考人が述べられた経済的ハラスメントは、この第十四条第三号の取引の優越的な関係を背景とした言動に当たると思いますが、内閣府、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/206
-
207・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
本法案の第十四条第三号におきましては、発注事業者からフリーランスに対して行われるパワーハラスメントを規定し、発注事業者に対して対策を講ずることを義務付けてございます。パワーハラスメントに該当する発注事業者の行為につきましては、一、取引上の優越的な関係を背景とした業務についての言動であって、二、業務遂行上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、三、フリーランスの就業環境が害されるものといった要件を満たすものとすることを想定してございます。
要件の詳細は、本法案の成立後、厚生労働大臣の定める指針において明確化する方針でございますが、これらの要件を満たせば、報酬等の取引条件の引下げに関する言動につきましてもパワーハラスメントに該当すると考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/207
-
208・井上哲士
○井上哲士君 該当し得るということでありますが、こうした経済的ハラスメントについて認める判決も出されたと聞いていますが、参考人、御紹介いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/208
-
209・杉村和美
○参考人(杉村和美君) 御紹介します。
二〇二二年五月二十五日に判決の出たフリーライターAさんのセクハラ、パワハラ、報酬不払事件、アムール事件といいますが、この裁判は、原告Aさんが書いた記事を被告会社のホームページにアップしておきながら、報酬支払の段になって、記事の質が低いとか、このくらいの仕事で報酬を要求するななどと叱責し、挙げ句の果てに報酬支払を拒否したという事案です。
これについて東京地裁は、自己の指示の下に業務を履行させていたにもかかわらず、正当な理由なく報酬を支払わないことは経済的に不利益を課すパワハラ行為に当たるというふうに認定しました。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/209
-
210・井上哲士
○井上哲士君 重要な判決だと思います。
こうした判決も踏まえて、今後の指針作成の折には、この経済的嫌がらせをパワハラの類型に加えて、どういうものか周知するべきだと思いますが、内閣府、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/210
-
211・宮本悦子
○政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。
本法案におきましては、発注事業者の言動であってフリーランスの就業環境を害するものをハラスメントと、ハラスメント行為として類型化し、発注事業者に対してハラスメント対策を講ずることを義務付けてございます。
ハラスメント対策につきましては、厚生労働大臣の定める指針などにおきまして、ハラスメントの定義や発注事業者が講ずべきハラスメント対策の具体例をお示しすることとしております。
本法案が成立した場合には、関係者の御意見を伺い、フリーランス取引の実態を踏まえて指針などを策定していくこととしておりますけれども、その中で、御指摘のございましたような、報酬等の取引条件の引下げに関する言動であってもパワーハラスメントに該当し得る場合が存在するという点を明確化することにつきまして検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/211
-
212・井上哲士
○井上哲士君 是非明記していただきたいと思います。
最後、後藤大臣にお聞きしますが、このフリーランスや芸能関係者のアンケート調査では、このハラスメント被害を相談しなかった理由として、どこに、誰に相談するのか分からなかったというのが三七・八%に上るんですね。
派遣労働の場合は、モデル就業条件明示書において、派遣元が派遣労働者に出すこの就業条件明示書に苦情処理申出先として、対応する派遣元の担当者や連絡先を明記するようにしてあります、記入するようにしてあるんですね。
こういうものも参考にして、この第三条の発注時の取引の明示の内容にこの契約上のトラブルやハラスメント被害に遭った場合の委託事業者の対応者や相談窓口を加えるべきではないか、また、そういうのがない場合はフリーランス・トラブル一一〇番やハラスメントに関する公的な相談窓口を明示させるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/212
-
213・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 本法十四条に基づきまして、発注事業者はハラスメント被害等に遭った場合の発注事業者の対応者や相談窓口等を整備することが義務付けられております。
そのような相談窓口等の情報については、例えばフリーランスへの発注時に周知することなどが考えられるわけでありますけれども、関係者の意見を聞き、発注事業者及びフリーランスの実情に即した周知方法を厚生労働大臣の定める指針等でお示しすることを検討してまいりたいというふうに思います。また、フリーランス・トラブル一一〇番を始めとした公的な相談窓口については、関係省庁のウェブサイトやSNSへの掲載、関係者への説明会における紹介など、様々な方法で広く国民に知っていただけるようにしっかりと周知行動を行ってまいりたいと思います。
引き続き、様々な業種の取引実態を踏まえつつ、発注事業者の負担と取引適正化の両面でバランスを取りながら、関係者の意見をよく確認させていただいて、具体的な事項を定めることとしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/213
-
214・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 時間ですので、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/214
-
215・井上哲士
○井上哲士君 終わりますが、労働者性の拡充とともにこの改正内容がきちっと執行されるような体制なども含めて強く求めまして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/215
-
216・大島九州男
○大島九州男君 大島九州男でございます。
今日は、皆様も御記憶かと思いますが、兵庫県尼崎市で乗客百六人と運転士が死亡し、五百六十二人が負傷したJR福知山線脱線事故の起きた日で、あれから十八年がたちました。今なお、終わらぬ苦しみを抱える御遺族や被害者の皆様に寄り添うとともに、命の尊さを改めて考えさせられる日で、事故の起きた午前九時十八分に私も一緒に黙祷をささげさせていただきました。
先日の内閣委員会で総理に質疑をさせていただいた際に、ワクチン問題に触れて、総理の命も国民の一人一人の命も同じ命でありますと申し上げましたが、誰もがその命を輝かせ、自分らしく生きるということは、生きがいを持って働き、世のため人のためになる喜びを感じる、そのことは非常に大切なことだというふうに思います。
フリーランスという働き方を選んだとき、その誰もが輝けるように、政治が一人一人を下支えしなければならないと思います。今回の特定受託事業者に係る適正化等に関する法律案で、そういうフリーランスの人たちの働き方が本当に輝く、そういったものになるのか、この法律案の目的は何かを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/216
-
217・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 現に、自分の仕事のスタイルで働きたい、働く時間や場所を自由にしたいといった理由からフリーランスとして働くことを積極的に選択する個人が多数いるということもございます。しかし一方で、事業者間取引において、業務委託を受けるフリーランスの方々が不当な不利益を受けるといった取引上のトラブルが生じている実態があることから、フリーランスの方々が安定的に働くことができる環境を整備することが非常に重要になっております。
このため、今回の法律案では、取引の適正化を図るために、特定受託事業者に業務委託をする事業者に対し給付の内容の明示等を義務付けるとともに、就業環境の整備を図るということで、ハラスメント行為に係る相談体制の整備等を義務付けること等を盛り込んでおります。
本法律案によりまして、フリーランスの方々が不当な不利益を受けることなく安定的に働くことができる、ひいては個人が多様な働き方の中からそれぞれ働き方を柔軟に選択できる環境が整備されていくように、しっかりと取り組んでいかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/217
-
218・大島九州男
○大島九州男君 今のお話をお聞きすると、フリーランスの方々を守るという、そういう法律の目的だというふうに受け取りましたが、今日は参考人、おいでいただいておりますが、一般国民として、そのフリーランスに関わる仕事をしていたりとか、そういう関わる人の声を聞く立場の伊達参考人、今の話を聞かれて、御感想は、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/218
-
219・伊達一詔
○参考人(伊達一詔君) よろしくお願いします。伊達一詔といいます。
私は、法人もやっているんですけれども、個人として動画配信者もやっております。皆さん御存じのユーチューブで配信もやっているんですけれども、実際に、僕は発注者側でもあり、そして発注される、委託を受ける側でもあるんですね。
今回、このフリーランスを守るという、僕は守るような法案なのかなと思ったんですが、これ、本当に守る気あるのかなとちょっと思ったんです。要は、何をやりたいのか、何をこれで言っているのかが分からない。なぜなら、平国民なので頭がいいわけでもないんですよね。でも、世の中のフリーランスの人って僕みたいな人がたくさんいると思うんです。よくは分からないけれども、とにかく今日を食いぶちをつなげていかないといけない、そういう人たちがフリーランスとして何とか働いている、日銭を稼ぐような状況だと思うんです。
今回、このフリーランスを守るというのであれば、やっぱり僕の印象としては、フリーランスの究極って、「ドクターX」だと思うんです。見たことありますかね。ないですか。「ドクターX」、要は、あれは究極のフリーランスなんですよ。よく言われた、ドラマの中で言われた言葉が、いたしません。いたしません、業務を頼まれても、いたしません。私は手術をする人としてここにいるんですと、だから手術以外のことはいたしません。あれが究極のフリーランスと思うんです。
で、ちょっと話戻すと、この法案の概要を聞いたときに、じゃ、それが、まあちょっと話は飛ぶかもしれないんですが、水戸黄門の印籠のように、このフリーランス法案が、控えおろうというふうな感じで発注者に対してどれだけの効力があるのかとか、効力がないと守れないと思うんですね。だから、実際に印籠としての役割があるのかというところが、聞いていて疑問に思いました。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/219
-
220・大島九州男
○大島九州男君 大臣も藤丸さんも、初めて参考人の話を私も聞くので、あっ、なるほどなと、いたしませんって、そういえば言っていたなと。
で、今言われた水戸黄門の印籠、この法案の中でその水戸黄門の印籠になる部分というのはどこかありますか。大臣か藤丸さんか、どっちか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/220
-
221・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今回の法律は、丁寧に取引規制で不当なことが行われないようにということなので、受託、委託事業者にばっと見せると、何か、ははあというような、そういう性格の法律ではないというふうには思っておりますけれども、今回の規定、そうはいいましても、いろいろ掛けた義務につきましては、命令、そして罰則の担保まで含めて、取引規制法としては踏み込んだ形で、下請代金法等とのバランス等も図りながら作っておりますし、ハラスメント等については環境等整備ということで整えておるので、そういう意味で今回の法律の枠組みの中で必要な規制を盛り込んでいると。
ちょっと印籠はどれかと言われても、ちょっとお答えしにくいという感じです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/221
-
222・大島九州男
○大島九州男君 大臣、ありがとうございます。
今日午前中からの質疑でもありますけど、まだまだ生煮えという意見がありましたが、このタイミングでこういうフリーランスを守る法律が出てくるというのは、これ、私個人ですよ、私個人が例えば与党の政治家だったら、インボイスをやる前にフリーランスの皆さんに、私たちはちゃんとフリーランスのことを考えて皆さんの働き方をしっかりと守りますよというのがあって、そして、何か政府も私たちのこと考えてくれているなといって、インボイスがぼんと出たと。まあ、インボイスが出てきて、フリーランスが、いや、何か私たちの生活ってすごく、これどうなるの、不安じゃない、大変じゃないと、ええって言っているときに何かこういうの出てくると、ああ、私たちのこと考えてくれているのか選挙のこと考えてくれているのか、何なのかなとかね。
まあ、一般国民として、印籠はなかなかないよという話も今ありましたが、参考人はどのように今の答弁、我々のやり取り聞いて、御感想とか意見があればどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/222
-
223・伊達一詔
○参考人(伊達一詔君) 率直に平国民として言わせていただくと、正直に言うと、これをフリーランスを守るとかフリーランスの環境を整備するとか言う前に、フリーランスを助ける、守るのであれば、そして、フリーランスを、日本の社会、経済をフリーランスの人たちも含めて支えていきたいというふうに思うのであれば、僕はやっぱりインボイスとか廃止にする方がいいと思うし、一千万円以下の、例えば今までだったら免税事業者が課税対象になるとか、そういうふうになるのであれば、逆にですよ、三千万円とか元に戻す、五千万円に元に戻すとか、そういうことをやって、フリーランスという業種の人たちを下から支えつつ、その先に何かあればいいかなというふうに思うんですけど、このフリーランス法を聞いて、見て、じゃ、日本のフリーランスの方が右手を挙げて、よし、ありがとうございます、与党の皆さん、ありがとうございますって言う人どれぐらいいるのかなと思って。
午前中のちょっと質疑をテレビで見ていたんですけれども、何となく僕の印象としては、このフリーランス法の対象となっているのが、軽貨物とか、もう一つは何とかイーツとかいうデリバリーサービスとか、そういう人たちのことをイメージしながらこの法案を作ったんじゃないかなというふうに思うんですね。
実際に、皆さんに知っていただきたいのは、フリーランスというのは、基本的にですよ、僕たちレベルのフリーランスはスポットなんです。だから、この法案のように継続してフリーランスが事業をできるようにという前に、フリーランスは基本的にスポットなんです。単発の仕事を受けて、成果物を納品して対価をもらう。その次あるかどうかというのは、それこそまだ分からない話なんですよね。
じゃ、私たちレベルのフリーランス、一体幾らぐらいで請け負っているのか、国会議員の皆さんは分からないと思いますよ。でもね、僕に言わせてもらえれば、記事、ブログとかありますね、記事を書くのに一文字当たり幾らだと思います。分かります、一文字当たり。大体〇・五円から一円ぐらいなんです、一文字当たり。なので、二千文字書いて二千円ぐらいですよ。でも、二千文字書くのってまあまあ大変なわけですよね。それを毎日やっても月に六万ぐらいにしかならないわけですよ。
あとは、午前中にもあったんですけど、ジムのインストラクターとか。インストラクターは当然こま数なんですね。一本、例えばヨガを教えて一クラス当たり報酬をもらえる、これが多分フリーランスなんです。この単価も皆さん知らないと思うんですけど、およそなんですけど、一こま当たり二千五百円から五千円ぐらいですよ。
あとは、僕、動画配信者をしているんですけれども、サムネイルというの分かりますか、ユーチューブやっている方だったら分かると思うんです。あのサムネイルも、実際に委託をした場合、大体五百円から高くて三千円ぐらい、平均すると千円ぐらいなんです。そういう人たちが僕にとってはフリーランスなんですよ。
だから、その人たちを、じゃ、守れるのかといったら、午前中の質疑を聞いたときに、あっ、この話は、さっき言ったように、軽貨物とか運送業とか、そういう人たちに対してこういう法案を作っただけであって、実際にそういうフリーランスの人たち、収入が安いんですよね。何も好き勝手、好きでフリーランスをやっているわけではないと思うんです。ほとんどのフリーランスの方というのは、食いぶち、もう今日生きる、来月生きるためにフリーランス。なぜなら就職先がないんですよ。就職先もない。非正規労働で頑張って、ダブルワーク、トリプルワークしたい、でも、自分の時間を削ってまでやってもそんなにお金にはならない。だったらフリーランス、一発当ててやろうと思って、みんなフリーランスを始めるんですけれども。
フリーランスって、「ドクターX」って話したと思うんですけど、圧倒的なスキルとか知識量があればフリーランスというのは物すごく収入もらえるんです。今でいったらプログラミングとかコードが書けるとか、そういう特殊技能を持っている人はフリーランスとしてはやっていけるでしょう。でも、この日本のフリーランス、あと、個人事業主、零細事業者とか一人親方と言われる人たちの、何だろう、フリーランスとして入った入口は、どうしようもなかったからフリーランスになった、それで日銭を稼いで暮らしていっているような状況なんですね。
なので、この法案を概要見て、通して見ても、いまいちぴんと、僕自身がぴんとこないのはそういうところなのかなと思って。で、やっぱり、ここで、最初に、さっきの話に戻っていくと、ぴんとこないんだったら、僕も含めてそういうフリーランスの方ですね、だったら、そこで守るとか、使用者と、何というんです、発注者とフリーランスとのパワーバランスをできるだけなくしていこうみたいな感じ。だから、契約をしてしっかり労働条件、委託内容をしっかり明示しなければいけないとか、そういう話は出てきているんですけれども、それってパワーバランスでいったら変わらないわけですよ。結局、だったら、おまえのところ要らないよ、ほかのところ行けばいいじゃん、フリーランスなんていっぱいいるしというふうになるわけですよね。
だったら、それで守るとか労働環境をどういうふうに改善していくとか向上していくとかいうよりも、まずは、その一千万円以下のフリーランスとか個人事業主とか、そういう人たちに対してのインボイスの廃止とかをやってあげる方が物すごく僕はいいと思うんです。
もう一つ言いたいのは、一千万円以下ですよ。一般の国民は、一千万円以下と聞くと、一千万円ももらっているから税金払うの当然じゃねえか、消費税払えよと言うんですけど、実際に勘違いされているんですよね。一千万といっても、これは売上げなわけですよ。だから、不動産でいうと、十億円の不動産を買って十億円で売りましたと、そうしたら年商十億円じゃないですか。だから、おまえの企業もうかっているだろうと言うけれども、利益ゼロじゃないですか。
なので、今回のそこの一千万円以下というのも、利益に掛かっている話ではなくて、人件費も含めて掛かっている話になるんですよね。なので、使えるお金というのは非常に少ない利益の状態で更にこのインボイスが導入されていったら、これは、フリーランス法といってフリーランスの立場を守りながらより良い環境をつくっていくという趣旨ならば、インボイス制度の廃止も含めて検討していただけると、本当に与党やったね、ありがとう、大きな拍手というふうになると思うんです。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/223
-
224・大島九州男
○大島九州男君 一般国民の声として、藤丸さんね、私、この法律を見て、いや、フリーランスを守ると言うんだったら、この中にそういう読み取れるところがあるのかと、お役人さんに聞いたわけですよ。私の受取は、特定事業者への責めに帰すべき事由なく報酬を減額することというのあるじゃないですか、これは、じゃ、あんたインボイスないからちょっと消費税分まけてよというようなことはやっちゃ駄目よと私は読み取るんですけど、そういう読み取りでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/224
-
225・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) インボイスのことで申し上げれば、フリーランスが免税事業者であることを理由として、発注事業者が取引価格を一方的に引き下げることや、あるいは取引価格から消費税相当額を差し引いて支払うようなこと、こういうことは、減額、五条の二の、二項の減額に当たります。
また、フリーランスが免税事業者からインボイス発行事業者になったとき、まあ課税選択ですね、その場合に、一方的に従来の単価を据え置いて発注し、価格転嫁を拒否されることがないようにすべきという、そういう御意見もあるわけですが、こういう場合も、これは買いたたき、五条の四項に当たるということになります。ですから、そういう意味で、インボイス制度について御意見があることについて、今回の法律は価格交渉という観点で関係が出てくるところがございます。
フリーランス、発注事業者が免税事業者であるフリーランスとの取引条件について、何ら協議することなく一方的に著しく低い取引価格を設定するような場合には、今申し上げた買いたたきや減額にもなっていくということでありますので、本法案が成立した場合には、この法律の趣旨も広く周知するとともに、インボイス制度に関連して的確な価格付け、そうした取引行為が行われるように問題となる行為をチェックするように注視していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/225
-
226・大島九州男
○大島九州男君 いや、大臣、さっき印籠ないと言っていましたけど、それちょっと印籠になりませんか。要は、フリーランスの人が、自分はインボイス登録していないと排除されるというふうに不安なんですよ。
午前中から今までの質疑、今回、今日は初めてですから、またもう一回ぐらいあるでしょうから、そのときにそういうもうちょっとインボイスの話が出てくれば周知されるけど、もう今日、最後の最後、私がちょっと聞いたら今そういった答えが出てきたわけですけど。
一般国民のフリーランスは、そのインボイスのことがすごく頭にあるんですよ。だから、もし私が本当に与党だったら、そこをもっとアピールしますけどね。いやいやいやいやいや、でも、それが本当にそうなるのかどうなのかと。いや、そうやって大臣はおっしゃったけど、これ一年六か月掛けて周知しますよというと、これ施行まで一年六か月ぐらい最長掛けるというのは、いや、私は、もうあしたからでもやりなさいと、もしいいんだったら。それで、それをちゃんと守っていないのは知らないあなたが悪いんでしょうと。いや、これは本当にフリーランスを守るという法律ならですよ。
何が言いたいかと。ここには法人の両罰規定ありと書いてあるわけですよね。じゃ、ここでちゃんとそういう印籠を無視すると両罰規定があるんだぞと。
私は法務省にいつも言っていますけどね、今日いみじくも言いました福知山事故、脱線事故の、そこには業務上過失致死に両罰規定ないんですよ。命に関わるのは両罰規定ないのに、ここには両罰規定があると。
じゃ、ちょっと皆さん、両罰規定ってどういうところにあるのかなというふうにちょっと考えている人もいると思うので、是非ちょっとそこを教えてください。この法律の中でどこに両罰規定掛かるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/226
-
227・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 本法の二十五条におきまして両罰規定が規定をされています。
この規定によりまして、発注事業者の使用する従業員が公正取引委員会等の検査を拒んだり、あるいは妨げたりした場合には、その従業員に五十万円以下の罰金を科すことに加えて、その従業員を使用する発注事業者に対しても同じ罰金を科すことができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/227
-
228・大島九州男
○大島九州男君 だから、これもちょっと印籠っぽくないですか。だから、会社の人に、そんなことやっていると両罰規定があるんだぞと、業務上過失致死という死、死を、それよりも重い、いや、そういった罰なんだと、私から言わせればそういうことですよね。命が関わる部分には両罰規定がなくて、そういう公正取引の部分のやつとか、それとか何かインサイダー取引とか、そういうところには両罰規定があって罰せられるが、じゃ、それぐらい重い罰なんだぞと。
だから、今回、フリーランスの皆さんにそういう不利益な契約を強いたら、勝手に、インボイスがあるから消費税引けと、それとか、適格領収書、請求書か、それを持っていないからあんたはもう排除するなんていうようなことを言うと、それぐらい厳しい罰があるんだぞということをもっともっと言うべきだと思いますよ。
それが、参考人、印籠になりますかね、どうですかね。感想を二、三分でどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/228
-
229・伊達一詔
○参考人(伊達一詔君) 印籠がキーワードになっているんですけれども、でもやっぱり、使用される側、いわゆるフリーランスの方が発注者に対して、私たちはこのフリーランス法で守られているんだと言えれば、言える環境ができればすごく変わってくると思うんです。
まずは、その言える環境で、言える環境のためには、このフリーランス法案というものがもっとしっかりしたもの、本当にフリーランスのために、フリーランスを守るために、そして日本の経済のためにこういうものを作っているんだ、それを使って私たちはあなたと事業をしていくんだ、あなたというのは発注者ですけどね、していくんだ、これがフリーランス法案だという印籠になればいいかなというふうに思います。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/229
-
230・大島九州男
○大島九州男君 今の意見、せっかく藤丸さんおいでいただいたんで、ちょっと、感想でいいですから、あと言いたいことがあったらどうぞ、ちょっと言っていただいて結構ですので、よろしくどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/230
-
231・藤丸敏
○副大臣(藤丸敏君) 大体は大臣から答弁していただいたんですが、この本法第二十五条ですね。
これ、要は、発注事業者とそこに関わる従業員の方、両方連座制で罰をするということで両罰規定というふうなことになっておりまして、例えば発注業者の使用する従業員の人が公正取引委員会等の検査を拒んだり、調査をですね、妨げたりした場合は、従業員の方には五十万円以下の罰金ということに加えて、その従業員を使用する発注事業者に対しても同じ罰金を科すというふうな両罰規定にはなっておりますので、御了解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/231
-
232・大島九州男
○大島九州男君 藤丸さんは同じ福岡ですからね、副大臣で御答弁をいただきましたが、我々政治家は、こういう国民の声をしっかり聞いて、そしてそれをいかに制度に生かすかというのが私たちの仕事ですから、だからあえて私は副大臣に御答弁をいただいたわけですが。
この両罰規定というその部分、五十万が高いか安いかということについては、もっともっと私は、法人の部分については、当然、その事業規模に合わせて罰金は決めるべきなんです。だから、形、こういうことがありますよということだけではちょっと響かないと。やはり、この法律を見たときに、しっかりこう、あっ、そうなんだという、私たち守られているんだというのを感じるような中身でないとやはりそれは響かないと。
だから、そのためには、一般国民の参考人の声とか、今日、三名の参考人の方がいらっしゃいました。いや、本当、私も一年半、内閣委員長させていただきましたけど、こういう委員会の持ち方はしたことがない、初めて。いや、まず両筆頭と、また委員長のおかげだと思うんですよ。私は、こういう委員会をもっともっとやるべきですよ。で、先ほど筆頭に、いや、今日はありがとうございますという話をしたら、いや、参議院のやっぱり独自性をしっかり出すことが必要だとおっしゃった。いや、私はもうすばらしいと思う。
だから、参議院として我々が本当にその国民の声を代弁して、やはり六年というきっちりしたその任期の中でしっかりとした法案を作っていく、それが参議院の仕事ですから。衆議院はどうしても選挙がね、まあ解散も近いかなと私個人的には思っているところありますけれど、やっぱり役割が違うんですよ。だから、そういう意味で今日のこの委員会の持ち方というのは私は本当にすばらしいと思うし、また、それをやっていただいている委員長や両筆頭、皆さんに感謝もしたい。
だったら、そこで審議される法案というのは、本当にそのフリーランスを守るという、その趣旨、目的にかなうものでなければならない。だからこそ、インボイスで非常に不安になっていらっしゃるそういった方々には、大丈夫ですよと、適格請求書を出さなくても、消費税分引けというようなことを言ったら、この印籠が、この印籠がというふうにね。で、そういうことを言う人が、いやいや、もうフリーランスはいっぱいいるんだから、あんたみたいなうるさい人はもう駄目よと言われたときに、また、この印籠がというふうにしてあげないと、うるさい人は排除するというような、こういうことになっちゃいけないわけですよ。
だから、そこまでしっかり担保しているんだというぐらいのことは、ちょっと大臣、御意見いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/232
-
233・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) インボイスの制度についても、これは一つの例であります。いろいろ、適切でない圧力を掛けて不適切な取引が行われないようにするということで、この法律自身はしっかり運用していきたいというふうに思います。
インボイスのことについて言えば、先ほども申し上げたような事例については、買いたたきや減額に該当することもあるということをもう一度申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/233
-
234・大島九州男
○大島九州男君 もうまさにこの法律によって、フリーランスの皆さんが、インボイス制度に対する不安というものがなくなるんだというぐらいのインパクトある法律として、そしてまた、一年六か月を超えない範囲内で政令で定める日なんて言っていますけど、本当に守るという気があるんだったら公布の日から施行するぐらいの勢いで、生煮えだと言われているところについてはしっかりと煮込んでいただいて、フリーランスの皆さんの不安を解消する、特にインボイスに関わる部分については明快に印籠になるような制度にしていただくことを要望して、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/234
-
235・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後三時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01120230425/235
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。