1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年六月十五日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
六月一日
辞任 補欠選任
若林 洋平君 上月 良祐君
吉良よし子君 井上 哲士君
六月五日
辞任 補欠選任
広瀬めぐみ君 野上浩太郎君
高木かおり君 室井 邦彦君
井上 哲士君 小池 晃君
六月六日
辞任 補欠選任
野上浩太郎君 広瀬めぐみ君
三宅 伸吾君 武見 敬三君
水野 素子君 森本 真治君
室井 邦彦君 高木かおり君
六月七日
辞任 補欠選任
上月 良祐君 小林 一大君
武見 敬三君 三宅 伸吾君
広瀬めぐみ君 大野 泰正君
山田 太郎君 梶原 大介君
森本 真治君 水野 素子君
六月八日
辞任 補欠選任
大野 泰正君 広瀬めぐみ君
梶原 大介君 山田 太郎君
小林 一大君 上月 良祐君
六月十二日
辞任 補欠選任
広瀬めぐみ君 岡田 直樹君
柴田 巧君 室井 邦彦君
大島九州男君 天畠 大輔君
六月十三日
辞任 補欠選任
岡田 直樹君 広瀬めぐみ君
塩田 博昭君 窪田 哲也君
室井 邦彦君 柴田 巧君
天畠 大輔君 大島九州男君
六月十四日
辞任 補欠選任
上月 良祐君 生稲 晃子君
水野 素子君 打越さく良君
小池 晃君 田村 智子君
六月十五日
辞任 補欠選任
大島九州男君 木村 英子君
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出席者は左のとおり。
委員長 古賀友一郎君
理 事
森屋 宏君
山田 太郎君
小沼 巧君
窪田 哲也君
委 員
有村 治子君
生稲 晃子君
磯崎 仁彦君
衛藤 晟一君
自見はなこ君
広瀬めぐみ君
三宅 伸吾君
山谷えり子君
打越さく良君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
三浦 信祐君
柴田 巧君
高木かおり君
上田 清司君
田村 智子君
木村 英子君
衆議院議員
発議者 新藤 義孝君
発議者 高階恵美子君
発議者 牧島かれん君
発議者 山下 貴司君
発議者 國重 徹君
発議者 鰐淵 洋子君
修正案提出者 新藤 義孝君
修正案提出者 阿部 司君
修正案提出者 國重 徹君
修正案提出者 斎藤アレックス君
国務大臣
国務大臣 小倉 將信君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
国立国会図書館側
専門調査員 塩田 智明君
政府参考人
内閣官房内閣参
事官 廣瀬 健司君
内閣府大臣官房
長 原 宏彰君
内閣府政策統括
官 笹川 武君
総務省統計局統
計調査部長 岩佐 哲也君
法務省大臣官房
審議官 柴田 紀子君
外務省大臣官房
審議官 石月 英雄君
外務省大臣官房
参事官 宮本 新吾君
文部科学省大臣
官房学習基盤審
議官 寺門 成真君
文部科学省大臣
官房審議官 里見 朋香君
スポーツ庁審議
官 星野 芳隆君
厚生労働省大臣
官房総括審議官 間 隆一郎君
厚生労働省大臣
官房審議官 宮本 悦子君
参考人
女性スペースを
守る会事務局弁
護士 滝本 太郎君
日本労働組合総
連合会総合政策
推進局長 井上久美枝君
作家 森 奈津子君
一般社団法人性
的指向および性
自認等により困
難を抱えている
当事者等に対す
る法整備のため
の全国連合会理
事・事務局長 神谷 悠一君
一般社団法人f
air代表理事 松岡 宗嗣君
前入間市議会議
員 細田 智也君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○性的指向及びジェンダーアイデンティティの多
様性に関する国民の理解の増進に関する法律案
(衆議院提出)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/0
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001・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、若林洋平君、吉良よし子君、塩田博昭君及び水野素子君が委員を辞任され、その補欠として窪田哲也君、田村智子君、打越さく良君及び生稲晃子君が選任されました。
また、本日、大島九州男君が委員を辞任され、その補欠として木村英子君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/1
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002・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/2
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003・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に山田太郎君及び窪田哲也君を指名いたします。
なお、あと一名の理事につきましては、後日これを指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/3
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004・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣参事官廣瀬健司君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/4
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005・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/5
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006・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に女性スペースを守る会事務局弁護士滝本太郎さん、日本労働組合総連合会総合政策推進局長井上久美枝さん、作家森奈津子さん、一般社団法人性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会理事・事務局長神谷悠一さん、一般社団法人fair代表理事松岡宗嗣さん及び前入間市議会議員細田智也さんを参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/6
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007・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/7
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008・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案を議題といたします。
まず、発議者衆議院議員新藤義孝君から趣旨説明を聴取いたします。新藤義孝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/8
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009・新藤義孝
○衆議院議員(新藤義孝君) ただいま議題となりました本法律案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
性的指向及び性同一性の多様性につきまして、国民の理解が進んでいるとは必ずしも言えない現状に鑑みますと、全ての国民が、性的指向及び性同一性の多様な在り方を互いに自然に受け入れられるような共生社会、すなわち、性的マイノリティーはもちろんのこと、マジョリティーの人も含めた全ての人がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できるような社会の実現を目指して、性的指向及び性同一性の多様性に関する理解の増進を目的とした諸施策を講ずることが必要であると考え、この法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、目的でございますが、性的指向及び性同一性の多様性を受け入れる精神を涵養し、もって性的指向及び性同一性の多様性に寛容な社会の実現に資することを目的としております。
第二に、性的指向及び性同一性の定義でございます。この法律において、性的指向とは、恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向をいい、性同一性とは、自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識をいうこととしております。
第三に、基本理念としまして、国民の理解の増進に関する施策は、全ての国民が、その性的指向又は性同一性にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向及び性同一性を理由とする不当な差別はあってはならないものであるとの認識の下に、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを旨として行われなければならないと定めております。
第四に、性的指向及び性同一性の多様性に関する理解の増進に関し、国及び地方公共団体の役割、事業主等の努力について定めることとしております。
第五に、政府は、毎年一回、施策の実施状況を公表するとともに、基本計画を策定し、おおむね三年ごとに見直しを行うこととしております。
第六に、基本的な施策として、学術研究等を推進するものとし、また、知識の着実な普及、相談体制の整備、民間団体等の活動の促進等について定めております。
第七に、内閣府等の関係行政機関の職員をもって構成する性的指向・性同一性理解増進連絡会議を設け、連絡調整を行うこととしております。
最後に、この法律は、公布の日から施行することとしております。なお、この法律につきましては、施行後三年を目途として検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられることとしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でありますが、この法律案につきましては、衆議院において修正が行われたところでございます。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/9
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010・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員阿部司君から説明を聴取いたします。阿部司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/10
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011・阿部司
○衆議院議員(阿部司君) ただいま議題となりました本法律案の衆議院における修正部分につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
第一に、この法律の目的に、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない現状について明記することといたしました。
第二に、定義語である性同一性の文言を、ジェンダーアイデンティティに修正することといたしました。なお、これに伴い、題名を含め、法案中の性同一性は、いずれもジェンダーアイデンティティに修正されています。
第三に、学校の設置者が行う教育又は啓発等について、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ行うものといたしました。
第四に、国及び地方公共団体が講ずべき施策の例示から、民間団体等の自発的な活動の促進を削ることといたしました。
第五に、本則の末尾に、この法律に定める措置の実施等に当たっては、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。この場合において、政府は、その運用に必要な指針を策定するものとするとの規定を追加することといたしました。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/11
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012・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/12
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013・有村治子
○有村治子君 皆様、おはようございます。自由民主党の有村治子です。
十五分という極めて限られた時間で五問質問を伺いたいので、御準備をいただきました答弁者皆様に感謝を申し上げ、御協力を仰ぎます。よろしくお願いいたします。
歴代の安倍、菅、岸田内閣総理大臣・自民党総裁が明言されてきたように、LGBT等、性的マイノリティーの方々に対する不当な差別や偏見はあってはならないと考えます。と同時に、このLGBT理解増進法案によって国民の不安が増すような事態は避ける努力を続けなければなりません。
私たち女性の多くは、公衆浴場の女湯や女性トイレ、更衣室が安全で安心できる場であることを極めて重要な価値だと考えており、女性や子供たちの安全、安心を確保するために、下半身男性の外形をした人が女性スペースに侵入することを防ぐ社会規範、法規制は、当然これからも堅持してほしい社会秩序だと考えます。安心できる女性トイレが今後も存続し続けることは死活的に重要です。
現在、東京都渋谷区の公衆トイレ等において、従来男女別にそれぞれあったお手洗いが男性小便器及び共用トイレと改修されてしまった箇所が複数あり、区民や都民の不安、動揺が広がっています。これがLGBT理解促進の目指すところなのでしょうか。誰にとっても気兼ねなく入れるトイレをというのであれば、従来の女性トイレ、男性トイレに加えて、誰でも気兼ねなく入れるトイレをという第三案の設置があるべき姿だと考えます。
この法案は、従来の女性トイレを解消し、ジェンダーレス、共用トイレに代替していくことを目指しているわけではないと明確に断言できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/13
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014・新藤義孝
○衆議院議員(新藤義孝君) とても大事なポイントだと思います。そして、前提といたしまして、この法案は理念法であります。何か個別具体的なものを取り決めたり、定義をしたりということではございません。
そして、お尋ねの、この女性用の施設等の利用の在り方を変えるようなものではない、そういったことは想定をしておりません。
そして、社会生活の上では、そもそもこの法案におきましても、憲法十四条の下で差別は禁止されている一方で、合理的な区別として、戸籍上の性別ないしは身体的な特徴によって判断されるこの男女の性別に基づき御指摘のような施設が区分される、この秩序が設けられているわけであります。本法案は、こうした合理的な男女という性別に基づく施設の利用の在り方を変えようというものではございませんし、マジョリティーの女性の権利や女性スペースの侵害は許されないことは当然だと、このように考えております。
したがって、こうした区別があった上で、男性用トイレ、女性用トイレに加えて多目的トイレやジェンダーレストイレなどの整備というものは考えられると思いますが、それは女性用トイレをなくして何かに切り替えるということではないと、このように私は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/14
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015・有村治子
○有村治子君 大事な御答弁を心して拝聴いたします。
次に、教育について文部科学省に伺います。
現在、小中学校の性教育においては、男女の性行為、すなわち具体的な性交の方法については取り扱わない旨、学習指導要領で規定をしています。
今後、本法案によってLGBTに対する社会の理解が進んだとしても、学校教育においては性的マイノリティーの方々の性行為や性的描写について具体的に学校で教育する趣旨ではないという理解でよろしいでしょうか。文科省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/15
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016・星野芳隆
○政府参考人(星野芳隆君) お答え申し上げます。
衆議院における審議の過程で、本法案は理念法であり、個々の人々の行動を制限したり、新しい権利を加えたりするものではないとの見解が示されており、本法案は、児童生徒に具体的な性交の方法を教えることを目的としたものではないと理解しております。
なお、現行の中学校の保健体育の学習指導要領におきましては、思春期に妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるという観点から、受精、妊娠までを取り扱い、妊娠の経過、すなわち性行為は取り扱わないものとされており、この点を踏まえた対応が必要であると認識しております。
また、小中学校及び高等学校における性に関する指導に当たっては、発達の段階を踏まえること、学校全体で共通理解を図ることなどに配慮することとなっており、これを踏まえた指導が行われるべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/16
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017・有村治子
○有村治子君 明確な御答弁を拝聴いたしました。
続けて、海外先進国の立法状況について伺いたいと思います。
朝日新聞、毎日新聞、日経、東京新聞が、日本だけがLGBTに関する立法が遅れていると報道される一方、読売新聞や産経新聞は、LGBT法案がないのは日本だけだというのは誤りである、各国ともLGBTに特化した差別禁止法を設けていないのが一般的だと報じており、報道のトーンは対立をしています。一体どちらが正しいのでしょうか。
G7、先進七か国において、LGBTに特化した法律を持っている国はどのくらいありますか。外務省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/17
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018・石月英雄
○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。
G7各国の取組につきましては、各国を取り巻く事情が異なることから一概に比較することは困難でございますが、その上で申し上げれば、いわゆる性的指向、性自認を事由とした差別に特化した法律は、外務省としては把握してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/18
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019・有村治子
○有村治子君 外務省が認識する限り、G7においてLGBTに特化した法律はないということでよろしいですね、確認します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/19
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020・石月英雄
○政府参考人(石月英雄君) はい、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/20
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021・有村治子
○有村治子君 外務省の御答弁を伺う限り、東京新聞が度々書いておられるような、日本だけがLGBTに関する立法が遅れている、恥ずかしいとの印象を必ずしも持ち得ません。本件については、読売、産経新聞の冷静な報道に耳を傾けたいと存じます。
続いて、外務省にお伺いします。
駐日米国大使でいらっしゃるエマニュエル大使は、日米関係の強化に向けて精力的な貢献があります。政治家の経験も大いにプラスになっていると認識します。その一方で、事このLGBT問題については、大使の執拗なまでに挑発的な言動が日々物議を醸しています。
LGBT法案推進に向けての大使のなりふり構わぬ言動については、自民党の部会においても厳しく指摘されており、国会においても与野党の議員が既に大使の言動に疑義を呈し、全国紙の社説も米国大使の言動は内政干渉だと断じています。反発を覚える日本国内の声は既に米国のFOXニュースでも取り上げられており、LGBTに関する大使の言動はアメリカ国内でも批判的に報道をされています。
そこで、まず外務省に伺います。LGBTに関し、アメリカはどのような立法状況になっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/21
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022・宮本新吾
○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。
米国内でのLGBT関連の立法状況についてでございますけれども、まず、国、連邦レベルでは、様々な考え方がございまして、性的指向、性自認に特化して差別禁止を定める法律はございません。
一方で、各州レベルで見てみますと、LGBTに関する法律の制定を積極的に進めているところから、LGBTに関して批判的な法律を制定しているところまで、州によって立場には幅広い違いがあると、このように認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/22
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023・有村治子
○有村治子君 すなわち、エマニュエル大使は日本にLGBT法案を強く迫ってくる行動を重ねられる一方で、出身国の米国では、民主党、共和党においてもLGBTに関して様々な立場、法に対する立場があり、国レベルでのLGBT法案は成立していないということを外務省が証言いただきました。本国で実現できていないことを声高に日本に迫る外圧、世論誘導、影響工作であるとすれば、これを警戒する声が出てくるのも無理からぬことだと考えます。
LGBT法案に向き合う日本の現状については、大使は日本は進化の過程にあると公言し、日本を見下し評定するような不遜な態度は、日米関係を大事にしたいと思う国民層を逆なでし、毀損します。LGBT法案、岸田総理のリーダーシップに感謝、あるいは、公明党のリーダーシップで来週には成立見込みと先週のうちに発せられたツイッターは、国民の代表である与野党各会派の合意によって確定をする国会運営をも愚弄するものであります。
日本は独立主権国家です。他国の支配や干渉を受けず、国の統治の在り方を決める主権は、日本国及び国民にあります。LGBT法案について先鋭化するばかりの大使の言動について、日本には、日本政府にはしっかりと独立国家としての矜持を持って毅然と向き合ってもらいたいと考える少なからずの国民の声に、日本政府を代表する外務省は一体どのように向き合われるのでしょうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/23
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024・宮本新吾
○政府参考人(宮本新吾君) 質問にお答えいたします。
私どもといたしましても、当然、駐日米国大使による様々な発言、発信については承知しております。
一般に、駐日米国大使を含む米国側とは、日米同盟のマネジメントの観点から、必要に応じて様々なやり取りを日々行っているところでございまして、私どもといたしましては、国民の信頼の下でしっかりとした外交を進めていきたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/24
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025・有村治子
○有村治子君 外務省の御努力に敬意を払う一方で、アメリカの米国大使には敬意を持ち、その自由な発言を担保する一方で、私たちの国民感情にどう外務省が向き合っていただいているのか、その声にはどう向き合われるかということを伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/25
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026・宮本新吾
○政府参考人(宮本新吾君) 米国との、米国側とのやり取りの一つ一つの内容についてこの場で明らかにすることは差し控えさせていただきますけれども、ただ、私どもといたしましては、国民の信頼の下、しっかりとした外交を進めていきたいと、このように考えておりまして、そのような立場に基づいて常日頃から必要に応じて必要なやり取りを米側との間でしっかりとやっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/26
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027・有村治子
○有村治子君 文字どおり、文字どおり、御意図を尊重し、また、本当にしっかりとやっていただいていることに敬意を持ち、当然ながら、この言動については、恐らくは米国大使館でも、日本の外務省においても、アメリカの国務省においても、皆さんこの意図をやっておられるということに賛同しているかどうかは私はあずかり知らぬところですが、綿密なコミュニケーションをこれからも日米の固いきずなの信頼関係のために御努力をいただきたいというふうに思います。
共に生きる共生社会の原点は、皆の安心と尊厳、また、相互の信頼と敬意、無理のない関係性が大事だと考えます。
外務省のやり取りをしてびっくりしたことですが、アメリカへの内政干渉にならないようにそれぞれ本当に気を付けて日本の外務省がやっておられること、私はその姿勢にも頭が下がる思いです。ですから、そのバランスの中で外国との関係もあり、そして、私たち人々の関係もあり、それぞれに敬意を持って、そして相手を尊重しながらも自らの主張も大事にする、そういう共生社会の発展につながるような活動をこれからも私自身も続けていきたいと、明確に、その温かい思いを持ちたいという意思を明確にして、私、自由民主党、有村治子の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/27
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028・山谷えり子
○山谷えり子君 おはようございます。自由民主党、山谷えり子でございます。
性的少数者理解増進法が、徹夜の調整の末、修正されました。
日本は思いやりにあふれた穏やかな国柄で、欧米のように同性愛が長く厳しく弾圧された歴史、文化を持ちません。この問題で先行した欧米諸国では、今、社会の混乱、分断が広がり、女性の安全や権利が脅かされたり、子供の教育に問題が噴出、悲鳴の声や訴訟が起きています。
そのため、例えばアメリカでは、混乱にストップを掛ける反LGBT法が十九州で成立しています。三十一州では、トランス女子、体は男で心は女だから女子スポーツに出場するということで、どんどん優勝していったりしている、しかしこれは駄目だということが三十一州で決まっている。ついに、昨年の六月には国際水泳連盟、そして今年の三月には世界陸連が、トランス女子の女子スポーツでの出場を禁止することにしました。
つまり、この二年間で大きく状況は変わってきています。ブレーキを掛けたり見直しが進んでいる、そのような中での今国会での私たちの審議であります。
まず、この法案、マスコミの多くはLGBT法案と報道していますが、G7広島サミットでのコミュニケでは、今や性的少数者はLGBTQIA+となっています。(資料提示)レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、これは性的指向ですね。それから、T以下は、性自認、性同一性、つまりジェンダーアイデンティティであります。トランスジェンダーのT、心と体の性が一致しない。Q、クイア、クエスチョニング、よく分からない。インターセックス、アセクシュアル、そして、その他もろもろもろもろ。これ、国民の皆様、理解できるでしょうか。
本当に性的少数者に心を寄せるということは大事でありますけれども、概念が違う、そして願っている方向も違う、そうしたことを理解するということで非常な難しさがあるというふうに思っております。むしろ、法律ではなくて良識と思いやりの世界の問題というのが本質的なところかと思います。
また、法案は、地方公共団体の役割、事業者の努力義務、学校の協力など、いろいろと求めております。各方面に影響を及ぼすと受け止めるべきだと思います。
ジェンダーアイデンティティというのは認識、主観の問題、この制度運用が欧米では混乱のもととなっています。日本では、成り済ましとか自称して犯罪を行うなどということはもう論外、自分はこうだというある程度の連続、一貫性を概念とするということが衆議院の審議でございました。しかし、この証明となると非常に難しい問題を含んでいます。
そんな中で、有村先生も御指摘されましたが、渋谷区のジェンダーレストイレ、あるいは歌舞伎町タワーのジェンダーレストイレ、批判も多くて、私も歌舞伎町のタワーの方には行きましたが、非常に批判が多くて、警備員が立っていて物々しくて、もう改修をするということでございました。
こうした特に懸念の、不安の多い部分、政府に早急に指針を作るように促すべきではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/28
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029・新藤義孝
○衆議院議員(新藤義孝君) この法案は理念法でありますが、その根本は、全ての国民が今先生がお話しされた性の多様性についての理解を深めて穏やかに共生できる社会をつくると、これは憲法の要求でございます。それに基づいて、そのことを理解を進めようと、深めようということでございます。その中で、今の、ですから、この法案で、新たに権利を認めたり、それから何かの施設の利用の仕方を変えたりとか、そういったことは一切考えていない、理念法でございます。
その中で、特にマジョリティーの女性の権利が侵されるのではないかとか、安全が侵害されるのではないかと、こういうような御心配が出ておりますが、これは絶対に許してはならないことだということでございます。一方で、LGBTの皆さんの生きづらさがあると、これもやはり、それもあってはならないことだと思っております。
ですから、そういう理解を深めていくためのことを、政府に、まずは総括的に基本計画を作ったらどうだと、かつ、その計画を進めるためには具体的な運用のいわゆるガイドラインのような指針のようなものが当然出てくるだろうと。それは、今回の修正において十二条に付けさせていただきました。今後こうした必要なものについてはしっかりとした検討が政府でなされるものではないかと、このように期待をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/29
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030・山谷えり子
○山谷えり子君 合理的区別は差別ではない。合理的区別についての考えを政府は早急に示してほしいということでありますので、それでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/30
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031・新藤義孝
○衆議院議員(新藤義孝君) 合理的区別は差別でない、これは四月二十八日の衆議院の内閣委員会において、こちらにいらっしゃいます國重委員から御質問されて、政府の方から答弁があります。これは、憲法に基づいて、戸籍であるとか、そうした性別において合理的な区分をすること、これは当然の秩序の維持だということが、既に現在において整理されております。ですから、そういったことも含めて理解を深めていかなくてはならないと、このように考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/31
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032・山谷えり子
○山谷えり子君 文科省に伺います。
教育に与える影響、様々な団体が学校現場に入って、発達段階を無視した教育を行ったり、性的マイノリティーの児童生徒の権利を過大に要求したりすることによって、学校現場が混乱することはないかという声がございますが、どのように取り組まれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/32
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033・寺門成真
○政府参考人(寺門成真君) お答え申し上げます。
文部科学省といたしましては、法案成立の暁には、法の趣旨や関係規定等に基づき適切に施行してまいりたいと考えてございます。
その際には、第六条第二項を踏まえ、学校教育の実施に当たっては、家庭、地域等の協力を得ながら実施すること、第十条第一項を踏まえ、学校においても心身の発達段階に応じた対応をしていくこと、また、昨年十二月に改訂いたしました生徒指導提要等でも記載してございますけれども、第十二条も踏まえ、性的マイノリティーの児童生徒への配慮に当たっては、他の児童生徒への配慮もしながら支援を進めることが重要であること等に留意しつつ、引き続き適切に実施していく必要があると認識をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/33
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034・山谷えり子
○山谷えり子君 既に全国でいろいろなLGBT教育というものが始まっているわけですが、私のところにたくさん、これは問題じゃないかと保護者や先生から寄せられておりますので、現状をしっかり文科省は把握をして、正しい方向で進めていただきたいというふうに思います。
さて、二〇二一年に党内でLGBTの議論になったとき、私が、アメリカで、学校のトイレの使い方でPTAの問題になったり、女子の競技に男性の体で心が女性だからと参加してメダルを取ったり、そういう不条理なことがある、社会運動化、政治運動化されるといろんな副作用があるのではないか、慎重な議論が必要とメディアに答えたところ、物すごいバッシングに遭いました。今は、しかし二年たって現実のものとなってきています。その当時から、安心、安全な女性スペースをと訴えられてきた女性たちやLGBT当事者の声を集め、問題提起をしてこられた女性スペースを守る会や、当事者団体など四団体の調整役されました弁護士の滝本太郎先生、参考人としてお越しいただいています。
まず、四団体についての御説明、そしてこの問題についてどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/34
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035・滝本太郎
○参考人(滝本太郎君) 女性スペースを守る会は、賛同者三千十人ほどで、うち七百三十人ほどはレズビアンなどの性的少数者です。性別不合の会は、トランスジェンダー、特に身体違和のきついトランスセクシュアルの方の集まりです。白百合の会は、様々な性的少数者の集まり。そして、平等社会実現の会は、四十年間、現実に強姦被害者の救済をしてきた方々で、その女性たちの悲惨な事件とトラウマの重さ、その状態をよく知っている方々です。
認識については、一つ目としては、女性トイレなどの女性スペース、これは多くの悲惨な性被害の被害があり、先人の女性たちが血と涙を流して闘い勝ち取ってきたスペースであること。トイレの中では、女性は決してマジョリティーではなく、男性の体の人が来れば、体格も筋肉も身長も多く、マイノリティーであること。ところが、トランス女性は女性だのスローガンの下に、その利用公認をさせようという運動の一環として法律が求められてきたという認識です。
二つ目の認識は、先行した国ではジェンダーアイデンティティで法的性別を変更できるという制度があります。これは国民に本当に知られていません。これを日本では止めなければいけない。性別セックスと、時代と地域で異なるジェンダーとを混同してはならないという認識です。
三つ目は、そのほか、更衣室、女湯、DVシェルター、病院、刑務所、女性専用マンションの問題、様々あります。また、女性スポーツでの公平性、その他、各所のいわゆる女性枠の問題など多岐にわたるもので、具体的な議論を国民的にした上でということで認識を強く訴えてきました。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/35
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036・山谷えり子
○山谷えり子君 ありがとうございます。
修正案で、差別ではなく不当な差別としたことについて、四団体の皆様はいかがですか。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/36
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037・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 指名を受けてから発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/37
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038・滝本太郎
○参考人(滝本太郎君) 法律は、理念法であっても影響は大きいのではと心配していました。疑問を述べるだけで差別扇動だなどと当職も懲戒請求される有様。ツイートを見れば、それを、疑義を呈した女性らに対して罵倒が続いている有様でした。
そのような差別というのを不当な差別と表現をすることによって、活動家の一方的な差別者だ、差別主義者だという糾弾闘争、差別糾弾闘争をできにくくしたものですから、言論の自由が守られることとなり、有り難いと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/38
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039・山谷えり子
○山谷えり子君 また、先ほど文科省の答弁もございましたけれども、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつとしたことに、部分についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/39
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040・滝本太郎
○参考人(滝本太郎君) これがあって本当に助かりました。これがなければ、子供が親の知らないままに性自認に食い違いがあると導かれ、やがて思春期ブロッカー、ホルモン治療、そして乳房切除や性別適合手術に進んでしまう危険性があるものでした。
先行国では、この教育が始まって以来、男だったのではないかという思春期の女子が格段に増えたという報告もあります。思春期は正常なる異常状態です。ですから、家庭などの理解を得つつ、それこそ慎重にしていかなければいけない、後で後悔しても始まらないことですから。子供らの健康を守るために、入れてくれて助かったと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/40
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041・山谷えり子
○山谷えり子君 修正によりまして、民間団体の活動促進を削除したこと、また指針の策定で、十二条に全ての国民が安心して生活できるようにを加えたことについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/41
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042・滝本太郎
○参考人(滝本太郎君) 民間団体の努力には敬服いたします。しかし、善意で行動する中にいろいろなことがあります。職務を間違えば失うはずの資格も元々持っていないのに、親を排除して子供に会い、ジェンダーアイデンティティのことを教育していく団体もあり得ます。責任を負える立場でもない者が実質委託を受けてしまう可能性もある。これを削除したことは適切だったと考えます。
指針については、この二年間、先行した国々の混乱はいよいよ明白になり、イギリスでは昨年四月、正常化にかじを切ったことなども考えて、女性や子供の安心、安全も重要であるという趣旨を入れたわけですから、とても貴重な条項で、有り難いです。
また、全ての国民が安心して生活できるようにと一文を追加させたことで、警察が女子トイレなどでの事件について萎縮する危険性が大きく下がったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/42
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043・山谷えり子
○山谷えり子君 法案が成立した場合、今後の課題について、あるいは要望についてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/43
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044・滝本太郎
○参考人(滝本太郎君) 国にあっては、トイレなど女性スペースの維持と安心、安全の確保、また女子スポーツの公平性の確保について、法律を検討してほしいと念願します。メディアは、国民の知る権利、これに尽くしてほしい、言論の自由を守ってほしいと思います。そして、私たち市民としては、先行した自治体の条例を含む様々な問題に取り組んでいくことになろうと思います。
女性用トイレを造らず、この問題を避けるために全てオールジェンダーという共同便所にするのはやめさせたいです。また、例えば東京江戸川区では、附属委員は男女均衡にといいつつ、トランス女性を女性とカウントできるという条例になっている、その逆もあるわけですが、本当にそれでよいのかということも議論すべきと存じます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/44
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045・山谷えり子
○山谷えり子君 イギリスのスナク首相は、教育内容、更衣室、トイレの使われ方について、非常に残念な状況、子供たちの安全と幸福は最も重要、デリケートな領域で慎重に扱うべきと憂えています。また、昨年七月には、イギリスの政府、新しく造られるトイレは男女別を義務付けることとなりました。
この四月、カンザス州では、女性スペースを守るための権利法が成立いたしました。滝本さん、ありがとうございます。
法案成立後、様々な法改正、通知の見直し、さらには女性スペースを守るための新しい法律を作る必要も出てくるかもしれません。
実際、自民党、私たちは、全ての女性の安心、安全と女性スポーツの公平を守る議員連盟を立ち上げつつありまして、発起人だけでも五十数名に今なっているところでございます。現状をしっかり把握する、暴走や女性と子供の安全面で心配があれば、その声をしっかりと受け止めていく、社会に分断そして混乱が起きないように、日本の美しい国柄が壊れないように努め続ける責務が私たち自民党にはあると思います。そして、全ての国会議員にあるというふうに思っております。難しい宿題に取り組み続けたいと思います。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/45
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046・打越さく良
○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。
私たちの会派は、LGBTの方々の困難を解消するには、本来、差別解消を目指す法制度が必要であると考えております。ですから、LGBT差別解消法案や同性婚も可能とする婚姻平等法案を既に国会に提出しています。理解増進にとどまってはいけないと、しかし、せめて一歩でも前進するためにと、二年前、議連にて示された理解増進法案を受け入れました。
ところが、超党派の議連でまとめた法案を衆議院で提出したのは立憲民主党らにとどまった上、衆議院で可決し、本委員会で今審議しているこの法案は、四党が急遽合意したもので、LGBT理解増進どころか抑制法案であって、本当に残念でなりません。
さて、昨年のG7エルマウ・コミュニケは、差別や暴力からのLGBT保護をうたい、本年のG7広島首脳コミュニケは、LGBTQIAの人々の人権と基本的自由に対するあらゆる差別について強く非難すると踏み込んだものではなかったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/46
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047・笹川武
○政府参考人(笹川武君) お答え申し上げます。
サミットコミュニケ等を踏まえてどう対応していくかということと承知しております。
政府といたしましては、G7広島サミットのコミュニケを踏まえ、それから昨年のエルマウ首脳コミュニケ、記載がございます。多様性が尊重され、全ての方々がお互いの人権、尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享有できる社会の実現に向けて、引き続き、多様な国民の方々の声を受け止め、それから、もちろん法律の趣旨、それから国会における審議も十分に踏まえて取り組んでまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/47
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048・打越さく良
○打越さく良君 今の答弁にあるように、岸田政権ははっきりと国際的に、LGBTに対する差別を防止するということを国際的な公約にしているわけですけれども、今ここで、岸田総理も自民党総裁であるにもかかわらず、このように理解抑制法案にとどまるというものについて審議を私たちはさせられているということで、本当に二枚舌甚だしいと考えられます。
そして、日本政府は国連から、性的指向、性自認差別禁止の法整備を勧告されているのではないでしょうか。これも内閣府にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/48
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049・廣瀬健司
○政府参考人(廣瀬健司君) お答えいたします。
現在審議が、審議のなされている理解増進法案については、与党案のほか複数の法案が提出され、十三日の衆議院本会議において与党案の修正案が可決されたものと承知しています。
議員立法として審議がなされているものであり、政府としてその内容についてコメントは差し控えます。
なお、各国の取り巻く事情が異なることからも一概に比較することは困難ですが、その上で申し上げれば、G7各国において、いわゆる性的指向、性自認を事由とした差別に特化した法律はございません。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/49
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050・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) もう一回質問してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/50
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051・打越さく良
○打越さく良君 国連から日本政府は性的指向、性自認差別禁止の法整備を勧告されていますよねということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/51
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052・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 挙手を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/52
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053・廣瀬健司
○政府参考人(廣瀬健司君) お答えいたします。
自由権規約委員会が我が国の政府報告審査を踏まえて公表した総括所見には、御指摘のような点も含め、同委員会の見解及び勧告が含まれたものと承知しておりますが、この所見は法的拘束力を有するものではないと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/53
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054・打越さく良
○打越さく良君 端的な御答弁をお願いします。
国会図書館に伺います。
先ほど外務省が有村委員の御質問に対して、LGBT差別に特化した法律、それについては承知していないという答弁だったわけですけれども、特化した法律ということではなくて、各国は、LGBT差別も含む包括的な差別禁止で何とか対処しようと努力をしていらっしゃるわけですね。
国会図書館に伺いますけれども、日本以外のG7各国には、性的指向、性自認差別禁止に係る法制度はあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/54
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055・塩田智明
○国立国会図書館専門調査員(塩田智明君) お答えいたします。
G7のうち、アメリカを除く諸外国では、包括的かどうかは別として、国によって適用分野は異なりますが、性的指向又は性自認は、人種、宗教など一般的な差別禁止に関する法律の中で差別禁止事由とされております。
アメリカにおいては、二〇二〇年に、労働者の解雇をめぐりまして、性的指向や性自認を理由とする不利益取扱いが、一九六四年公民権法第七編で禁止される性を理由とする差別に当たるとする連邦最高裁判所の判決が出ています。
連邦レベルでは、差別禁止事由として性的指向又は性自認を明記している法律は存在しません。州レベルでは、差別禁止を明文で規定する法律がある州もございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/55
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056・打越さく良
○打越さく良君 今の御説明にあったように、わざわざ特化した法律とか制度があるわけではないけれども、もう既に包括的な差別禁止への取組の中で対処していると。ですから、日本においてもまず包括的な差別禁止に取り組まなければいけないんだけれども、それすらない状況ですから、一つ一つLGBT差別について禁止する取組が必要であるということは言えると思われます。
そして、二〇二一年五月の超党派のLGBT議連の合意案は、五輪を控えての妥協の産物ではありましたが、差別は許されないという文言を加えてあったものです。しかし、自民党内の反対によって残念ながら国会提出にはならず、今年になって、二月の総理の同性婚を認めれば社会が変わってしまうといった発言や総理秘書官の差別発言などを挽回したいということだったんでしょうか、法案成立の動きが加速しました。
しかし、自民党内のブラックボックスで異論が出たと報じられておりますけれども、突如、五月半ばに修正案が与党から提出されました。衆議院で修正された本法案は、超党派の議連の案の三条にあった差別は許されない、もうこの言葉は消えて、不当な差別はあってはならないとなりました。
連合は、差別禁止に取り組んでこられました。さらに、全ての労働者が性的指向、性自認に関する差別を受けることがない環境整備を求めて取り組んでこられました。取組の内容について、連合総合政策推進局長の井上参考人に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/56
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057・井上久美枝
○参考人(井上久美枝君) お答えいたします。
参考資料一ページ以降を御覧いただきたいと思いますけれども、二〇一六年、連合は、性的指向、性自認に関する差別禁止に向けた連合の当面の対応についてを中央執行委員会で確認をし、同年には日本で初めてLGBTに関する職場の意識調査を八月に実施をし、プレスリリースをいたしました。資料八ページの調査結果によれば、LGBT当事者が身近にいて、かつLGBT関連のハラスメントを受けたり見聞きしたりした人は約六割に上っており、また、LGBTに関する差別に対する姿勢は、なくすべきが八割を超えておりました。
また、二〇一八年には、この調査の結果を踏まえ、資料二十四ページにありますが、性的指向、性自認、SOGIに関する差別禁止に向けた取組ガイドラインを策定をし、各職場において性的指向、性自認に関する差別を禁止する措置が講じられるよう、労働協約の締結により法整備に先んじた取組を促進をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/57
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058・打越さく良
○打越さく良君 そうした差別をなくしていこうという連合の取組には、本当に敬意を表したいと思います。
ところが、本法案には、超党派議連の三条にあった差別は許されないが消えてしまって、不当な差別はあってはならないとなりました。差別はそもそも不当ですし、許されないからあってはならないと。何かこう、その許されないというのがあってはならないというのは、どうも差別解消に向ける意思が弱まっているように感じられます。
そして、議連の案にあった性自認との文言が消え、本法案にはジェンダーアイデンティティとなっています。この文言修正も何か不可思議なんですね。既に各地の自治体や就業規則などでも性自認という言葉が用いられているのに、かえって混乱を生じさせるのではないかと懸念せざるを得ません。
これらの文言の修正について連合のお考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/58
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059・井上久美枝
○参考人(井上久美枝君) お答えいたします。
まず、不当な差別はあってはならないについてですが、不当か不当でないかの判断は誰がするのか、全ての差別は不当ではないのか、多くの矛盾をはらんだ文言であり、禁止されるべき差別がより深刻化をし、差別解消はおろか理解増進にすら逆行する可能性を懸念をしております。
また、ジェンダーアイデンティティについても、今議員から御指摘もありましたが、既に性自認を用いて条例を制定している地方自治体や、性的指向、性自認に関する差別を禁止する取組を講じている職場などでは、今後も性自認を使い続けてよいのか、変えねばならないのかなど、様々な混乱を来す可能性も想定ができます。概念的に同一のものであるならば、既に社会に一定程度浸透している性自認を用いるのが適当ではないでしょうか。
この法案は議員立法ですので、私たち連合も全会一致での成立を求めてまいりましたが、国会への法案提出に際しては複数の箇所が修正され、現在審議されている法案は、要の部分が二〇二一年に与野党で合意した超党派法案から大きく異なる内容になっております。結果的に衆議院で全会一致での成立もならなかった点も含め、大変残念に思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/59
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060・打越さく良
○打越さく良君 御指摘のとおりです。
本当に、全会一致ということでもなくて、生煮えの状態でこちらに送られて、そして今、今日を迎えているということは、私としても誠に遺憾です。
超党派議連の法案にあった調査研究というものが、本法案の九条では学術研究に修正されています。これについても大変問題だと考えております。
LGBTの人口比率、あるいは国勢調査でも同性カップルの把握もしていないと思うんですけれども、それについて政府の方に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/60
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061・岩佐哲也
○政府参考人(岩佐哲也君) お答えいたします。
LGBTの人口比率統計につきましては、総務省統計局では作成をいたしておりません。
また、我が国にお住まいの全ての世帯に対する国勢調査におきましては、全国一律の客観的な基準で把握する必要があるということでございまして、婚姻関係等につきましては民法などの法制度に基づいてございます。同性カップルについては、現在調査しておらないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/61
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062・打越さく良
○打越さく良君 そうなんですね。把握もしていないということなんです。
ですから、超党派議連の法案にあった調査研究から本法案の九条の学術研究に修正されたことは、非常に重大な後退であると言わざるを得ません。
本来、LGBTの人口比率あるいは事実上の同性婚カップルなど、そうしたことについて調査すらなされていない、であれば、学術研究もおぼつかないわけです。学術研究や政策の検討に当たっては基礎データが当然必要であって、基礎データの収集は国が責任を持って行うべきはずです。学術研究のためにも、政策を立案するためにも、その基礎データとなる各種調査は国が行わなくてはならないはずです。そして、収集した公的なデータを学術研究、市民に提供すべきはずです。
男女共同参画社会基本法十八条には調査研究条項があり、DVや女性就業率について調査を行って結果を公表し、それが政策に生かされてきたということであります。
そもそも超党派議連の法案では、同じく調査研究条項に基づいて国が責任を果たすことが期待されていました。にもかかわらず、学術研究に限定することになるとは、これはもう国の責任を放棄させることになると思われます。井上参考人に御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/62
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063・井上久美枝
○参考人(井上久美枝君) お答えいたします。
議員御指摘のとおり、男女共同参画社会基本法第十八条の調査研究条項が本来ベースになっているものであり、超党派法案に盛り込まれていましたけれども、調査研究は、その結果を国民に広く周知をし啓発する機能も持つものであり、そのような客観的な統計は、政策を立案するに当たって根拠になるものだと思っております。
現在、内閣府男女共同参画局におかれましても様々な調査研究が行われ、例えばDVであるとか困難を抱える女性に対する調査もたくさん行われております。そのことが結果として政策につながり、予算の確保にもつながっているというふうに思っております。
その意味では、調査研究が学術研究に変われば、国が調査研究を実施する責任がなくなるだけでなく、研究が行われる分野も狭くなり、政策にもつながりにくくなる点を懸念をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/63
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064・打越さく良
○打越さく良君 御指摘のとおりだと思います。
そして、本法案において、民間団体等の自発的な活動の促進という言葉はないんですね。削除されてしまいました。この点についても、井上参考人に御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/64
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065・井上久美枝
○参考人(井上久美枝君) お答えいたします。
法案にも、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場が明示をされているにもかかわらず、あえて民間団体等の自発的な活動の促進だけを削除するのは必然性に乏しいのではないかと考えております。
当事者、関係団体を始め、既に多くの有益な取組が講じられている民間の自発的活動に関する記述が削除をされたのは、公権力による民間の自由な活動への制限を想起をさせ、活動の萎縮を招きかねない事態を懸念をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/65
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066・打越さく良
○打越さく良君 この点も、本当に理解促進とは逆行する、後ろ向きな修正であると言わざるを得ないと思います。
そして、学校教育の条項に関してですけれども、超党派案では、学校設置者の努力、独立した条項でありましたが、六条の事業主等の努力条項に統合されてしまいました。二〇一五年の文科省の通知では、LGBTの児童生徒の希死念慮は極めて高い、学校が安全とは言えないということが明らかにされて、学校での取組が求められてきました。この点も、残念ながら、後退と言わざるを得ないかと思います。
連合として、学校設置者の努力義務についてどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/66
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067・井上久美枝
○参考人(井上久美枝君) お答えいたします。
資料の四ページにも記載をしておりますが、連合は、二〇一六年に決定をした対応方針の中で、性的指向、性自認に関する学校でのいじめやハラスメントに対して、広く相談、支援に応じられる体制の整備や、全ての教職員を対象とした研修の実施を求めるとともに、外部の専門機関や自治体の窓口との連携を強め、児童生徒からの相談に応じる環境を整備することとしてまいりました。
議員御指摘のように、LGBTの児童生徒の希死念慮が極めて高いなどの状況を踏まえれば、こうした相談体制が適切に整備されていることが非常に重要だと考えます。学校設置者の努力が事業者等の努力の条項に統合された結果、こうした学校における相談体制の整備に向けた取組が弱まると想定されることを懸念をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/67
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068・打越さく良
○打越さく良君 この点も、そもそも、超党派で理解を増進しようと、ことでこの法案について取り組んできた趣旨は何だったのかと、全く後退していっているのではないかと懸念せざるを得ないところでございます。
そして、改めて、教育現場での理解増進を重視する独立条項がなくなるということについて、連合はどのようにお考えかということを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/68
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069・井上久美枝
○参考人(井上久美枝君) お答えいたします。
二〇一七年に日本学術会議が提言を発表しているのですが、この提言の中に、国連の基準に照らせば、性的マイノリティーに関する人権啓発などの理念的な取組だけでは不十分である、家族としての承認を含めた生活基盤の確保、性的指向や性自認への適切な対応を含め教育訓練の提供、雇用、労働における性的マイノリティーへの権利保障など、具体的措置が講じられなければならないとの記載があります。
教育訓練の提供に関する具体的措置が講じられるのが教育現場であるわけですが、教育における理解増進を重視する条項がなくなることで、こうした具体的な措置を講ずることに対して教育現場が後ろ向きの姿勢を取らざるを得なくなり、LGBTに関する理解増進が結果的に教育現場で忌避されるのではないかという懸念をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/69
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070・打越さく良
○打越さく良君 そうなんですね。
本当にこのLGBTの方たちの権利擁護について少しでも、一歩でも進めてほしいと頑張ってこられた方たちにとっても、ここでは本当に裏切られたような、そういった修正と言わざるを得ないんですね。
そして、この超党派の案にはなかったものとして、本法案に、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつというようなことが追加された、八条に追加されたと。これについて、井上参考人、どのようにお考えでしょうか。
この維新・国民案の当初の文言ですね、この文言が、どうしても、この今世紀初頭に吹き荒れた性教育バッシングの発想をほうふつとさせざるを得ないようなものでした。日本では、寝た子を起こすなとばかりに、包括的性教育が抑制されてきました。ユネスコがそこで推進している包括的性教育は、LGBT教育も含むものです。保護者の理解や子供たちの発達程度を強調する文言というのは、包括的性教育を更に抑制してしまうんじゃないかと。それはLGBTの理解の増進には全く後ろ向き、逆行するものと考えられます。
この本法案の、この保護者の理解、与党案の保護者の理解というものを、本法案は家庭に置き換えて、さらに地域住民という言葉を加えたと。これによって、親や地域住民のごく一部の批判が来る、批判が来た途端に、学校でのLGBT理解増進やっぱりやめておこうかと、一つでも批判の声があったらやめておこうかというような、萎縮しかねないと。
これってもう本当に、包括的性教育を推進しようとしてきた方々がもう吹き荒れる性教育バッシングを前に萎縮してしまったと、それをほうふつとさせる、その二の舞にならないかということが心配なんですけれども、その点について井上参考人の御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/70
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071・井上久美枝
○参考人(井上久美枝君) お答えいたします。
保護者の理解が家庭に置き換えられ、さらに地域住民その他の関係者の協力を得つつという文言が新たに追加された点につきましては、これまで培われてきた教育の内容に変更が加えられ、教育現場で混乱を来す可能性もあり、必ずしも条文で明示をする必要はないのではないかと考えます。また、どこまでが地域住民その他の関係者に含まれるのか、その範囲が明確ではありません。
一方で、民間団体等の自発的な活動の促進を削除するというのは、やや整合性を欠くのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/71
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072・打越さく良
○打越さく良君 非常にこの点も、少しでも、ささやかでも一歩前進させようと、LGBTの理解増進について一歩でも前進させようという努力に対して、非常に後ろ向きな、冷や水を浴びせるような、そんな変更が加えられたということは誠に遺憾であって、これの法案を通すわけにはいかないことを改めて確信いたしました。
そして、この本法案十二条、全ての国民が安心して生活できるよう留意するというこの留意条項について、井上参考人はどのように捉えられているでしょうか。この言葉自体が、あたかもLGBTの方々が何やら国民のある方たちにとって安心、安全を脅かす存在であるかのような、そんなメッセージになりかねないと思うのですが、いかがでしょうか。
そして、この本法案の同条では、この場合において、政府は、その運用に必要な指針を策定すると、こういうのまであるんですね。これは、LGBT理解増進、差別解消のため、自治体や雇用の現場で様々な努力がなされてきたわけですけれども、そういうこと、そういうことをしてはいけないのかと。それをあたかも縛るような指針が策定されて、非常に萎縮させることになるんじゃないかと。つまり、LGBTの人たちへの理解を抑制して排除しかねない、希望よりも絶望を与えるんじゃないかと、そのように懸念されるんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/72
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073・井上久美枝
○参考人(井上久美枝君) お答えいたします。
衆議院での修正協議を経て新設されました第十二条は、多数派の国民が安心できる範囲内でなければ性的マイノリティー当事者に対する施策が一切許容されないかのような条文であり、こうした条文を持つ法律が理解の増進を実現し得るのか、疑義を呈さざるを得ません。現に存在する差別が容認されるばかりか、むしろ助長する危険性をはらむものだと考えております。
また、運用に必要な指針の策定に当たりましては、基本理念における全ての国民が等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるということに十分留意をするとともに、当事者を含めた関係者が参画した場で検討される必要があると思っております。かつ、この指針の実効性を確保するため、法律の施行後、施行状況に関する実態調査を行うとともに、関係者が参画する公開の場で見直しを含めた検討を行うことも必要だと考えます。
性的指向、ジェンダーアイデンティティを問わず、誰もが基本的人権を享受できる社会を実現するために、実態把握を行うとともに、関係者参画の下で必要な検討を行っていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/73
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074・打越さく良
○打越さく良君 調査研究ということが学術研究に変化されてしまったと、変更されてしまったということも、その今御指摘いただいた実態把握ということについて、むしろそれが難しくされてしまうと。その実態把握に一歩踏み込むというよりは、その手掛かりもなく、ないというか、ないままで法案に修正されてしまったということは、これまた本当に遺憾なことだと考えます。
そして、この法案が、残念ながらジェンダー平等、SDGsの観点での取組に対しても逆行しかねないと批判、懸念も上がっております。それについても連合としてはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/74
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075・井上久美枝
○参考人(井上久美枝君) お答えいたします。
私たち連合は、連合行動指針の中で、人権を尊重し、人種、性別、身体的特徴、年齢、思想信条、門地等による差別を行わず、またそれを許さないと明記をしており、人権が尊重される社会をつくることを連合の本来的な社会的責務であると定めております。
この間、海外にサプライチェーンを有する企業を中心に、海外労使紛争への対応は大きな課題となってまいりました。ビジネスと人権に対する認識の高まりに伴い、海外の取引先や調達先に関係する労働者や労働組合からの問題提起の増加も予想がされ、連合としても重要な課題であると認識をしております。
今回、この法案が成立した場合、世界の潮流に日本が逆行する動きをしているのではないかと海外から見られ、ESG投資の観点で忌避されるなどのリスクにもつながる可能性があります。そうなれば、企業にとってのビジネスチャンスだけでなく、労働者の雇用機会の逸失も招くのではないかと働く者の立場からは懸念をするところです。
本来、全ての企業が人権に配慮した取組を講ずるべきであり、企業内での人権に関する方針は、日本の法律の枠内にとどまらず、先進的な取組がある国に合わせたグローバルな基準で設定をし、人権上のリスクを洗い出してそれを予防する人権デューデリジェンスを実施することが求められております。
立法府たる国会の立場からも、企業によるビジネスの機会を阻害することなく、企業の成長を促すような立法措置や法律の運用を徹底していただくことを、働く者の立場からもお願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/75
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076・打越さく良
○打越さく良君 非常に重要な御指摘だったと思います。
私たち国会議員としては、そういったビジネスについて促進するようなことではなくて、むしろ阻害するような要因を新たに生み出すような法案は決して作るべきではないと考えますし、差別や分断の中で苦しんでいる方たちに真っ先に手を差し伸べると。せめて理解を増進して、その一歩を歩もうとするのがこの法案の当初の目的だったはずです。ところが、様々なむしろ曲解で、ありもしないことなど、そういったことを基に、むしろ差別、分断を強化するような、そうした文言を追加した上で、なぜ私たちはこの法案について拙速に審議、成立を急ぐのか、全く合理的ではないと思います。
LGBT法連合会からも、当事者が求めてきた法案とは全く真逆の法案であると、当事者に更なる生きづらさを強いるものである、強いる内容であるということは強く非難されていますし、女性たちからも、こうした分断の法案は阻止されるべきだ、廃案されるべきだと強い声が上がっています。ビジネス、経済界の方たちからも、日本の経済発展を阻害するものだという意見が強く上がっているところで、なぜ私たちがこの法案を進めていくのか。それについては立ち止まるべきだと。
委員各位の御理解をいただけるものと考え、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/76
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077・三浦信祐
○三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案、いわゆる理解増進法案について質問させていただきます。
LGBTと言われる性的少数者に対する不当な差別や偏見はあってはならないことは言うまでもなく、多様性を認め合う社会、包摂性に富んだ社会をつくるというのが政府の一貫した方針だと私どもも理解をしております。
本法案は、社会における理解増進を進め、性的指向、ジェンダーアイデンティティの多様性が尊重され、全ての人が互いの人権や尊厳を大切にする共生社会を目指すことが目的だと理解をしております。
十三日の衆議院本会議で自民、公明、日本維新の会、国民民主の四党による修正理解増進法案が賛成多数で可決したところでありますが、その後も、一部の報道やSNSの投稿、メールやファクスによる問合せにはまだまだ多くの誤解があると思います。女性トイレなど女性のスペースが脅かされるとか、温泉や銭湯など公衆浴場が混乱するとか、この法律によって逆に性的少数者への差別が助長されるなどの誤解であります。
ですので、法案について一つ一つ確認をさせていただきたいと思います。
そこで、まず初めに、理念法である理解増進法案の意義と目的について伺いたいと思います。
修正案の一条において、その目的に、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない現状に鑑みという文言を明記したことの理由を含めて、改めて理解増進法案の意義について提案者である國重議員に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/77
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078・國重徹
○衆議院議員(國重徹君) もとより、性的マイノリティーの方々が生きづらさを抱えてしまうことはあってはなりませんし、同時に、それ以外の方々もこれまでどおり平穏に暮らしていけるような共生社会の実現を図っていく必要があると認識をしております。そのためには、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解の増進を図る必要があると考えて、この法案を提出した次第であります。
その上で、今回、修正によって法案の目的規定に現状認識を明記し、本法案が理解の増進に関する法律案であることをより明確にしたことにこの修正の意義があると考えております。
既に、憲法によりまして差別はあってはならないとされ、様々な必要な取組がなされてきたところではありますが、政府にしっかりと研究をさせ基本計画を策定させる中で、こうした既存の取組を全体的に整理をして、政府の政策としてしっかりとした位置付けを与え、既存の取組をより良い形で充実させることで、社会全体として共生社会に近づけると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/78
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079・三浦信祐
○三浦信祐君 整理して御発言をいただけました。
次に、性同一性という表現をジェンダーアイデンティティに改めた理由について伺いたいと思います。
性同一性という表現をジェンダーアイデンティティとして、英語の言語を表記することで問題はないということ、加えて、法律的な意味の変更がないと理解をしておりますが、これらについては国民的理解増進の視点で丁寧な説明が必要だと思います。提案者に丁寧に説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/79
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080・國重徹
○衆議院議員(國重徹君) 三浦委員御指摘の性同一性という表現をジェンダーアイデンティティに改めたこの文言修正につきましては、内容は維持しつつ、法制的な意味は変わらない範囲で、表現の面で工夫を施したものであります。
衆議院に提出された各案では、性自認、性同一性となっておりまして、それぞれの提出者の思いがあったわけでありますが、元々はいずれも英語で言うジェンダーアイデンティティの訳語でありまして、法制的な意味は同じでした。そこで、協議を経る中で、これを争点化させ混乱を生じさせてしまうよりは、ジェンダーアイデンティティを採用するのが適当との考えに至ったところであります。
ジェンダーアイデンティティという用語を用いることに関しましては、そのような外来語を法文で用いるに当たって、それが我が国の社会で定着しているかどうかという観点に照らしまして、問題がないと判断をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/80
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081・三浦信祐
○三浦信祐君 今、確認もさせていただきました。
続いて、学校教育現場での取組について伺います。
本法案の六条二項、十条三項に、学校の設置者が行う教育又は啓発が規定されております。そもそも、教育や啓発を行うことが期待される教職員の皆さんの性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解増進が重要であると考えます。
学校教育現場での現状の取組について、文部科学省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/81
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082・寺門成真
○政府参考人(寺門成真君) お答えいたします。
先生御指摘のとおり、性的マイノリティーとされる児童生徒に適切に対応するためには、教職員一人一人が研修等を通じて正しい知識を身に付けることが重要であると認識してございます。
このため、文部科学省におきましては、教職員の理解増進に資するよう、児童生徒に対するきめ細やかな対応や学校生活の各場面における支援の例を記載した通知やパンフレットの発出、いじめの防止等のための基本的な方針における、性的マイノリティーのみならず全ての児童生徒に対するいじめを防止するための取組の追記、教職員支援機構における教職員向けの研修動画の配信、昨年改訂した生徒指導提要への性的マイノリティーに関する記載の追加などの取組を行ってございます。
加えて、現職教員のみならず、教員を目指す学生が理解を深められるよう、教職課程を有する大学を対象とした説明会における最新の情報の提供等にも、現状、鋭意取り組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/82
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083・三浦信祐
○三浦信祐君 平成二十七年の四月の三十日に、性同一性障害や性的指向、性自認に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応等の実施についてを、文科省から現場に通知がなされておると思います。その上で、一年経過した時点において質問等が各地から寄せられたということにも対応するQアンド形式でまとめて、平成二十八年に教職員向けに資料として発出をされているということも承知をしております。
既に教育現場ではこの手引に基づいて対応できる取組をしてきた、そして今御答弁あったようなこと、これはもう重ね続けていただかなければいけませんのでこの確認をさせていただきましたが、これからもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
その上で、六条二項、十条三項には、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつとの文言が追加されております。衆議院での質疑において、教育基本法十三条を引用したとの説明がありましたが、ここで確認ですが、教育基本法十三条の趣旨について、文部科学省に御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/83
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084・里見朋香
○政府参考人(里見朋香君) お答えいたします。
教育基本法第十三条でございますが、平成十五年の中央教育審議会答申を受けまして、平成十八年の教育基本法の全面改定におきまして新たに規定が盛り込まれたものでございます。
子供の健全育成や教育の目的を実現するためには、学校、家庭、地域社会の三者が大きな役割を担うことから、それぞれ子供の教育に責任を持つとともに、相互に緊密に連携協力して、教育の目的の実現に取り組むことが重要でございます。
こういった趣旨から、教育基本法第十三条におきましては、学校、家庭、地域住民その他の関係者がそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携協力に努めることについて規定したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/84
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085・三浦信祐
○三浦信祐君 今御説明をいただきました教育基本法十三条の趣旨に鑑みれば、本法案での家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつとは、保護者等の協力を得ないと理解増進の取組ができないという狭い意味ではないと理解をしていいのでしょうか。性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解を深めるための取組に学校現場で了解を得ないとできないという意味ではないというふうに解釈をしております。
この家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつとの文言を追加した趣旨を含め確認をさせていただきたいと思いますが、発議者である國重議員、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/85
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086・國重徹
○衆議院議員(國重徹君) 教育基本法十三条に、学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、相互の連携及び協力に努めるという定めがあります。その趣旨は、先ほどありましたとおり、教育の目的を実現するためには、学校、家庭、地域社会がそれぞれの果たすべき役割も大きく、これらの三者が相互に緊密に連携協力して取り組むことが重要であるということであります。
本法案の修正により追加された部分につきましても、教育基本法の文言と同様の趣旨でありまして、同様の定めをすることが法律としての安定性を高めることから、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつという文言を用いることとしたものでありまして、御心配のように、保護者の協力を得なければ取組を進められないという意味ではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/86
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087・三浦信祐
○三浦信祐君 法律の安定性高めるとても重要な議論をしていただいたということに敬意を表したいと思います。
次に、十条一項の、国、地方公共団体の施策から民間団体等の自発的な活動の促進を削除した理由について御説明を願いたいと思います。その上で、この例示を削除したことによっても民間団体の活動を止めるものではないという理解なのか、確認をさせていただきたいと思います。國重議員に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/87
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088・國重徹
○衆議院議員(國重徹君) 御指摘のとおり、修正前の十条一項は、国及び地方公共団体は、知識の着実な普及、各般の問題に対応するための相談体制の整備、民間の団体等の自発的な活動の促進その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとすると規定しておりました。
ここで言う民間団体等の自発的な活動の促進は、あくまで国、地方公共団体における必要な施策の例示の一つでありまして、この文言が削られたことによって、民間団体等の活動が制限されたり、また、この法律の対象から除外されるというものではありません。
他方で、民間の団体と一口に言っても様々な団体があり、一部には懸念もあったことから、あえて例示として明記するまでのことはないのではないかということで、これを削ったものであります。
もっとも、必要な民間団体等の自発的な活動の促進を引き続き行っていくことは当然のことでありまして、基本計画や指針によりこうした活動の促進の適切な在り方も示されていくものと期待をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/88
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089・三浦信祐
○三浦信祐君 自公案は元々例示だったと。そして、これが削除されたからといっても民間団体の活動の取組を行わないこととすることではないと、そういうわけではないということも今明確にしていただきました。取組を引き続き進めていくことが期待されていることにも変わりがないということもおっしゃっていただいて、整理が付きました。
続いて、十二条として新設された措置の実施等に当たっての留意として、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意するとの文言が明記をされております。この留意事項が入ったことで自公原案から法制上の意味や法的効果が変わるということはあるのでしょうか。提案者に答弁を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/89
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090・國重徹
○衆議院議員(國重徹君) 本法案は、三条の基本理念に、全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重される、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現と規定をしております。
この規定のとおり、本法案は、共生社会、すなわち、性的マイノリティーの方々はもちろんのこと、それ以外の方たちも含めた全ての人が、お互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できるような社会の実現を目指していくものでありまして、このような立法動機を達成するため、性的指向、ジェンダーアイデンティティの多様性に関して、社会における理解の増進を図っていく理念法であります。
そして、十二条は留意事項でありまして、そこで定められている内容は、元々一条の目的や三条の基本理念においてうたわれている共生社会の理念と同じものでありましたが、これを強調する趣旨で留意事項として入れることとしたものであります。
したがいまして、留意事項が入ったことによって自公原案から法制上の意味や法的効果が変わるものではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/90
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091・三浦信祐
○三浦信祐君 はっきり説明をしていただきましたが、その次に行きたいと思います。
同じく、この十二条の中に、その運用に必要な指針を策定するとしたことで、かえって性的少数者への差別増進につながる指針が策定されるのではないかとの懸念や、また、自治体のこれまでの取組に制限が掛かるのではないかというやはり懸念の声が上がっております。
指針を策定すると記述した意義、そしてこれら懸念についての見解を発議者に質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/91
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092・國重徹
○衆議院議員(國重徹君) 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関して、現在、指針がないために関係者の方々が対応に迷うこともあるとの声も一部あると聞いております。
本法案では元々基本計画を策定することとなっておりましたが、その際に、基本計画に基づいて具体的な施策を講じていくに当たっては、事業者などが対応に困らないように指針も必要になるだろうと考えておりました。そのような考えの下、修正に際して、指針を策定する旨も明記するとの提案を自公側から行いまして、盛り込むこととした次第であります。
また、地方公共団体の取組に関して言えば、本法案が成立していない現在も、既に多くの地方公共団体が当事者や団体等の要望を受けまして条例や計画を策定するなどの働きを、動きを見せていると承知をしております。しかし、中には、国としての方針もなく、よりどころがないままで対応に悩んでいるところもあるというふうに聞いておりますし、また、条例や計画の内容は各地方公共団体によってまちまちになってしまっているという現状があるとも耳にしております。
こうした中で、国が性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関してしっかりと研究を行って、基本計画とともに指針を示すことができれば、国との連携を図りつつ施策を推進することが求められる地方公共団体としても、基本計画や指針を参考にしてより適切な対応を検討することができるようになると思われます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/92
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093・三浦信祐
○三浦信祐君 現場の判断にとってかがみになるものができるということをはっきり言っていただいて、これを基準にしていくということは、私は大事だというふうに思います。
これまで五点、国民の理解が必ずしも十分でない現状に鑑みを明記をしたこと、また、ジェンダーアイデンティティというふうに修文をしたこと、また、教育又は啓発に、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつということを追記したこと、また、民間団体等の自発的な活動の促進を削除したことについての意義、そして、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意を明記したこと、そして、運用に必要な指針を策定することを明示したということ、これら包含的に五点について確認をさせていただきましたけれども、四党の修正によっても自公案の骨格は変わらず、さらに、法律的な意味の変化はなく、法的効果は基本的に同じだということでよいか、最後確認をさせていただきたいと思います。
その上で、自公が維新・国民案を丸のみしたとの一部の指摘について、与党としての見解はいかがでしょうか。提案者の新藤議員に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/93
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094・新藤義孝
○衆議院議員(新藤義孝君) まず、この法的効果は、修正案においても基本的に変わりはございません。
それから、この一部の丸のみかというような御意見がございますが、これは私ども、最終的に、幅広く多くの皆さんからの御賛同を得るために自公と維新、国民が協議を行いました。
そして、五点のこの修正を行ったわけでありますが、まず第一点目の現状の認識の追加につきましては、これは私どもが法案の趣旨説明で申し上げる言葉そのものでございます。ですから、同じ思いがございましたので、これを合意をいたしました。
それから、ジェンダーアイデンティティは、先ほど、今御答弁ありましたように、混乱を避けるために、同じ意味であるから、その概念を、定義を位置付けるものではございませんので、これは文言を広く安定性のあるものにしたということです。
それから、教育のこの理解につきましては、ここは元々の案では保護者の理解ということでございましたが、これは、教育基本法の十三条の引用をすることによって法的安定性を高めようということで、私どもから修正をさせていただきました。
それから、最終的なこの追記のところも、留意事項につきましても、ここは、この全ての国民の皆様にという、これは一条と三条に既に位置付けられているものでありますが、これをあえて留意するということにして、かつ、基本計画を定めるためには、定めた上、先のやはり具体的な指針が必要だと、これも私たちが提案をいたしました。
したがって、両方からそれぞれ持ち寄って、そして、より法案の安定性を高め、この理解の増進を深めるための修正を行ったと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/94
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095・三浦信祐
○三浦信祐君 四党修正によって、議論を重ねていただいて幅広い合意となったこと、そして法案としての安定性が高まるということに取組をしていただいた、それがこの案だということを整理をさせていただきました。
ここからは、そうしますと、法律が成立するということで、具体的に、じゃ、何が変わるのかということについて質問させていただきたいと思います。
まず、国は、国民の理解の増進に関する施策の推進のための措置として、施策の実施状況の公表、基本計画の策定等を行うほか、性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進連絡会議を設置することと、この法案できちっと位置付けられています。
特に、政府の中に連絡会議、これを設けることの意義はとても大きいというふうに私は思います。本会議設置の意義について、恐らくこれきちっと説明していただかないと分からないと思いますので、明快な説明を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/95
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096・國重徹
○衆議院議員(國重徹君) 現在も政府におきまして必要な取組が進められているところでありますが、各府省庁でそれぞれ別々に取り組まれているものであります。そこで、幅広い関係省庁が集い、理解増進に関して連絡調整を行うための場として連絡会議を設けることとしたところであります。
本法案により、内閣府が主管省庁となります。この主管省庁と連絡会議とが相まって、政府として理解増進のための施策を推進していく体制が整うものと期待をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/96
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097・三浦信祐
○三浦信祐君 次に、本法律が成立をすれば、政府は、基本計画を策定し、措置の実施に当たり、その運用に必要な指針を策定していくことになります。これはとても大事なことだと思います。
政府の指針作りに際しては、一般に、関係者や現場を知る専門家の声を聞き、当事者の方が直面する様々な困難に寄り添いながら、丁寧に指針を策定してきたと認識をしております。今回の指針作りも同様に行われると考えてよいのでしょうか。小倉共生社会担当大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/97
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098・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 基本計画や指針の策定に当たりましては、三浦委員御指摘のとおり、関係者、現場を知る専門家の御意見を伺うことは大変重要であると考えております。
具体的な進め方につきましては、法律の趣旨や、三浦委員の御指摘の点も含めました国会における審議も踏まえて適切に検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/98
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099・三浦信祐
○三浦信祐君 いろいろな御意見がある、そして今までなかったものを作るということですから、やはり、現場を知る専門家、単なる専門家じゃ駄目だと、現場を知る専門家、これの声を聞くということが非常に重要でありますので、これに基づけば現場感が反映される指針となると考えますので、是非御対応をいただきたいと思います。
さて、本法案に関し、より具体的事項について飛躍して理解され、批評されているケースがあります。あくまで、本法案は、公衆浴場、公衆トイレなどの利用やスポーツなどの出場のルールを定めるものではありません。
その上で、公衆トイレ等の利用の在り方については、例えば、トランスジェンダーの女性の、自分の意思ではどうにもならない性自認に従った取扱いをしてほしいという真摯な願いは守られるべき利益だと考えます。一方で、先ほど来ありますけれども、公衆トイレ、更衣室等では、ここを利用する他の女性の安心感や羞恥心もまた十分に保護されるべき権利利益であると思います。
これら生じている要望に関しては、性的指向、ジェンダーアイデンティティの多様性についての正確な理解を踏まえた上で、当事者の状況、施設、サービスの種類、内容、団体や事業者の事業の性格といった様々な要素を十分に考量しながら、丁寧に議論を重ね、解決策を模索していくべきだと考えます。小倉大臣に見解とこれからの対応について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/99
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100・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 御指摘のように、トランスジェンダーの方の公衆浴場や公衆トイレの利用等について様々な御意見があると承知をしております。
具体的に私もLGBT当事者の方々とお会いして御意見を伺ってまいりました。御意見をお伺いしますと、三浦委員御紹介いただいたような御意見もございますれば、家族に理解されず誰にも相談できない、心が許せる人間関係がつくれず孤独といった事例ですとか、性的マイノリティーの方は自殺におけるハイリスク層である、こういった切実な声もございました。
あわせて、例えば女性の権利利益の保護も重要な視点だと考えてございます。
公衆浴場や宿泊施設の共同浴場については、要領において、おおむね七歳以上の男女を混浴させないことなどを定めております。ここで言う男女は、トランスジェンダーの方も含め身体的な特徴の性をもって判断するものであり、公衆浴場等の営業者は、体は男性、心は女性の者が女湯に入らないようにする必要があるものと承知をしております。
こうした性的マイノリティーの方もマジョリティーの方も含めた様々な方の声や状況を丁寧に伺いながら、先ほど申し上げた具体的な進め方については、国会における審議の状況、法律の趣旨等も踏まえて、関係省庁と連携しつつ、適切に検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/100
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101・三浦信祐
○三浦信祐君 この法律については、基本計画そして指針をきちっと政府に作って、それをやっていくことを後押しするような位置付けになっています。とても非常に重要なことでありますので、しっかりと受け止めていただきたいと思います。
先日のG7、先進七か国首脳会議での首脳声明でうたわれた、普遍的人権、ジェンダー平等及び人間の尊厳を促進するとのコミュニケに対して、本法律案は共生社会実現への第一歩としてそれに資する内容になったのでしょうか。
法律ができ上がっていない段階だから答えがなかなか苦しいというのは分かりますけれども、その受け止めも含めて答えていただきたいと思いますし、また、基本理念にある、全ての人がお互いの人権や尊厳を尊重し合う共生社会の実現を目指していくことを踏まえ、法案成立後の諸施策の推進に対する決意を含めて、小倉大臣の見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/101
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102・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) お尋ねの法案の評価につきましては、議員立法であり、今まさに御審議いただいている最中でありますことから、その内容につきましては政府の立場から何か申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。御容赦いただきたいと思います。
その上で、政府としては、G7広島サミットのコミュニケも踏まえ、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向け、引き続き、様々な国民の声を受け止め、しっかりと取り組んでいきたいと、こう決意しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/102
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103・三浦信祐
○三浦信祐君 この法律をしっかりと成立をさせた上で政府がその対応ができるようにするということ、そしてより良い国をつくっていくために多くの包摂性がある社会を構築するということは、国会議員の全員の役割だと思いますし、そのことを受け止めた政府の仕事でもあると思います。しっかり取り組んでいただきたいということ、そして、この法律をきちっと整えて、さらにその現場感がある内容により変えていくということ、これも取り組んでいく必要があるんではないかということも質疑を通して理解をさせていただきました。
私の方から確認を一つ一つさせていただきましたけれども、これをしっかりと前に進めるということが大事だということを改めて決意も表明させていただいて、質問とさせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/103
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104・高木かおり
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
本日は、まず、ちょっと通告の順番を、一番最後に通告していた小倉大臣への質問を、都合により一番最初にちょっと御質問をさせていただきたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
国会の会期が、会期末が迫っている中で、やはり国民の皆様が、物価高であるとか、また電気料金が大幅に上がってしまう、こういった予測もされている中、家計の負担増は歯止めが掛からない、そういった今状況にあるかと思います。そういった中で、国民負担率四七%にも達している、防衛費財源確保のための増税といったことも叫ばれている。本当に国民負担のオンパレードというような状況が今続いている中で、ようやく委員長手当の廃止については与野党で合意がなされまして、なされましたけれども、なかなかこういったことは進まない現状に変わりはないというふうに認識をしております。
そういう中で、旧文通費の改革に向けた取組、これ結局たなざらしになっているような状況になっておりますけれども、ここで小倉大臣に伺いたいと思います。
やはり自民党に所属する一人の政治家として国民のこういった苦しみに向き合う、旧文通費改革というのは、今、国会中に結論を出すということが求められていると考えますが、大臣のお考え、どのように考えておられるか。国会での御議論をいただくといったこと、そういった言い回しではなく、自らの言葉でお答えをいただけないでしょうか。お願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/104
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105・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 高木委員御指摘の旧文通費、調査研究広報滞在費、これの使途公開等につきましては、議員活動の在り方に関わる重要な課題と考えてございます。まさに、私一人の問題というよりも国会議員全員に関わることでございますので、まずは各党各会派において御議論をいただいており、国会でお決めいただくことと、こう承知しておりますので、政府の立場からこの委員会の場で答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。
なお、国民負担の点につきましては、総理が、税制措置は政府においてあらゆる行財政改革の努力を尽くすことが大前提であると内閣の方針を答弁されておりますように、政府としては国民の負担増ありきの議論を行っているわけではないということは御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/105
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106・高木かおり
○高木かおり君 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。
今日、先ほどの三浦委員の五点の指摘の中でほぼ、私もこの法案の修正案の五つの点についてこれから伺っていきたいと思うんですけれども。
我が党は、これまで、ダイバーシティ推進局を中心に、LGBTQ当事者の皆さんの声を積極的にお聞きをし、その課題解決に向けて活発な議論を党内でも行ってまいりました。また、二年前に超党派で合意された法案を踏まえまして、男女別トイレ、それから男女別スポーツにおける性多様性の在り方など、直近における国民の皆様の不安や懸念点、こういったことに対応する必要性についても議論を重ねてまいりました。
そうした中で、新たに性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案が今回審議されることとなりましたが、この多様性の理解増進と直近の課題に対応する対応、これ両面でしっかりとやはり推し進めていく必要があるというふうに考えております。
そういった中で、修正案を国民民主党とともに提出をさせていただいたわけでありますが、その後、自民党、公明党との修正協議の中で、我が党が掲げた案の趣旨を大きく酌み取っていただいた形で修正に応じていただいたことによってまとまったと認識をしております。
今回、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に対する国民の方々の理解を増進することを目的とした法律案が提出されていますけれども、これ、より幅広く、性別だけではなくて、国籍や年齢、障害の有無など多様な属性や個人の価値観などを受容するような、まさにこのダイバーシティーの観点から本問題を捉え、最終的にはあらゆる方々が生きづらさを感じず幸せに暮らしていける社会の構築に向けて取組を進めていくべきだと考えています。
そういった中で、本日は、お忙しい中、作家として御活躍をなさっている森奈津子さんに当委員会にお越しをいただきました。ありがとうございます。
まずは、森参考人にこの修正案等についての全般的な御所見を伺っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/106
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107・森奈津子
○参考人(森奈津子君) 森奈津子と申します。職業は作家です。一九九〇年代より、バイセクシュアルであることをカミングアウトした上でこれまで様々なジャンルの作品を発表してきました。
私は、マイノリティーであり、もちろん差別反対の立場にあります。しかし、法律で差別を禁止するとなると、何をもって差別とするのか、その基準は誰がどう決めるのかという問題が生じます。同じ言葉でも、傷つく人がいる一方で、そうでない人もいます。差別だと感じる人もいれば、そうでない人もいます。よって、差別を禁止して取り締まるとなると、たやすく言論統制につながることが御理解いただけるかと思います。表現の自由を愛するクリエーターとしても、それは許し難い状況です。
その点、理念法であるLGBT理解増進法に差別禁止や罰則に関する条文が入ることなく、マイノリティーとマジョリティーの共生をより強く求める内容の修正がなされ、十三日に衆議院本会議で可決されたことを私は喜ばしく感じております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/107
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108・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
小倉大臣、御退席いただいて結構です。本当にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/108
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109・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 小倉大臣におかれては、御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/109
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110・高木かおり
○高木かおり君 LGBTQ当事者として、今、森参考人には御意見を伺わせていただけることに改めて感謝を申し上げたいと思います。当事者として、また今回の修正がマイノリティーとマジョリティーの共生をより強く求める内容となっているということを御評価いただいたと認識しております。
それでは、それぞれの修正部分につきまして法案提出者とともに森参考人にもお伺いをしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、修正案提出者に伺っていきたいと思います。
法律の目的についてです。性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない現状について明記した理由、これ重なりますけれども、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/110
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111・新藤義孝
○衆議院議員(新藤義孝君) 今御指摘の文言につきましては、私どもも、そのような目的を持ってこの法案の検討を行ってまいりました。そして、この修正をする以前に、私が用意しておりました法案の趣旨説明の中にはこの全く同じ文言を入れております。ですから、現状認識は共有できるということが確認できましたので、これは、現状の認識、追記することによって法案の中身が変わるわけではありません。ですから、ここは、自公、そして維新、国民の皆さんとのこの見解が共有できたので、これを修正で上げさせていただいたと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/111
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112・高木かおり
○高木かおり君 修正協議の中で合意ができて、先ほどの御答弁の中にもあったかと思います、よりこの法案の趣旨を明らかにするためにもここに文言が入ったということかと思います。
この点について、森参考人、どのようにお考えになるか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/112
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113・森奈津子
○参考人(森奈津子君) 私は、実際、LGBTに対する国民の理解は十分ではないと考えています。だからこそLGBT理解増進法が必要になるということで、この条文自体には全く違和感は感じてはいません。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/113
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114・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
国民の方々の理解はまだまだ十分ではないという現実に対して、明確にその旨を記載するということで理解増進に努める必要性があるということかと思います。
続きまして、性同一性の文言をジェンダーアイデンティティという文言にした、この理由について法案提出者にお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/114
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115・阿部司
○衆議院議員(阿部司君) 高木委員にお答え申し上げます。
御指摘の文言修正は、内容は維持をしつつ、法制的な意味は変わらない範囲で、表現の面で工夫を施したものであります。
衆議院に提出された各案では、性自認、性同一性と、それぞれの提出者の思いがあります、ありましたが、元々はいずれも英語で言うジェンダーアイデンティティの訳語でございまして、法制的な意味は同じでございました。そこで、協議を経まして、これを争点化させて混乱してしまうよりは、ジェンダーアイデンティティを採用するのが適当との考えに至ったところであります。
ジェンダーアイデンティティという用語を用いることに関しましては、そのような外来語を用いるには、それが我が国の社会で定着しているかどうかという観点に照らしまして、問題ないと判断をした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/115
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116・高木かおり
○高木かおり君 やはり、今回、この性自認と性同一性という部分で分断を生んでしまうということが大変懸念された中で、やはりここもしっかりとジェンダーアイデンティティという今まで法律用語として採用されていなかったこういった文言を使うことによって、より深く理解を進めていくということで、大変ここは評価される部分でないかというふうに考えておりますが、この点について、森参考人、どのようにお考えになられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/116
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117・森奈津子
○参考人(森奈津子君) ジェンダーアイデンティティは性同一性と訳すのが望ましいと、個人的には考えています。性自認という言葉には、あくまでも自称であるというニュアンスが含まれることがあり、性別不合、性同一性障害の方々に対する偏見につながるおそれがあるからです。その点、LGBT理解増進法第二条二項において、ジェンダーアイデンティティが、自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識をいうと定義されており、私は評価したいと考えます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/117
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118・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
我々としても、このジェンダーアイデンティティという文言の問題でこの認識にそごが出るようなことは避けるべきだと考えています。より幅広く理解の共有に向けて、このジェンダーアイデンティティという言葉が広まることによってより理解が進むように、しっかりと取り組んでいくことが必要だと考えております。
続きまして、学校の設置者が行う教育又は啓発等について、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ行うものとした理由についてですが、これは、我々維新が当初考えていた案としては、保護者の理解と協力を得て行うという文言だったところを、四党による修正協議の中で、この家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得るという文言へと変更されたかと思います。
この家庭という中に保護者という文言の意味合いが含まれるのかどうかということについてもお伺いしていきたいと思います。この点についてと、今回この文言を入れた理由と、併せてお答えをいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/118
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119・新藤義孝
○衆議院議員(新藤義孝君) まず、ここの文言をこのような、保護者ではなくて家庭の協力、家庭及び地域の協力にいたしましたのは、これは、教育基本法十三条に教育を行う際の文言がございました。これも先ほどから何度も我々繰り返しておりますが、法的安定性を保つために、やはりきちんと使われているものを引用しようということで、趣旨は、学校教育においては家庭、地域そして学校、この三者が連携しながら子供たちのために望ましいことを行っていく、この趣旨を、安定的な、他の法律でもう定着している文言を引用したということでございます。
それから、その中に保護者が含まれるか否か、これは、家庭というのはその構成員によって変わってまいります。保護者がいる家庭もいればそうでないものもございますね。しかし、少なくとも、やはり保護者の理解ということになりますと、では、保護者の理解が得られない場合はその教育は止まるのか、しかも、その保護者は一体全体、全保護者なのか、クラス単位の保護者の理解なのか、学年単位の保護者なのか、学校単位なのか、いや、地域なのか、都道府県単位、もうどうにでも、様々な混乱の要因が見込まれるということもございまして、私どもは、この教育基本法の条文をきちんと引用することが一番安定的だと、こういうことで四党が合意をしたと。
私どもから提案させていただきましたが、そのように御理解をいただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/119
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120・高木かおり
○高木かおり君 今の御説明で大変よく分かりました。ありがとうございます。
やはり、今回のこの法案を提出することによってこういったいろいろな混乱が起きては本末転倒だということかと思います。ただ、こういった文言を修正していくことによって、例えば、一番子供たちが教育現場の中で、親などの身近な人に打ち明けることができない子がいて、つらくて生きづらさを感じている、こういった声も一方でお聞きをするわけです。
こういった点について、やはりこの家庭や地域住民その他の関係者の協力を得つつというところと含めて、この点について森参考人のお考えをまずは伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/120
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121・森奈津子
○参考人(森奈津子君) 家庭に、通う生徒児童には保護者の方がいらっしゃいますし、学校は地域社会の一部です。学校でのLGBT教育は、家庭や地域住民その他の関係者の協力を得てこそLGBTに対する理解を深めるという目標が達せられるものだと私は考えます。家庭や地域を巻き込んでの理解増進を求めるのは決して悪いことではありません。仮に、差別があり偏見があるから家庭や地域の理解を得るのは難しいということであるなら、まずはその差別、偏見を解消することを理想として、何ら悪いことではないはずです。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/121
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122・高木かおり
○高木かおり君 やはりなかなか親の理解がないと前に進まない、それはそのとおりであると思いますし、教育現場から変えていくのか、家庭や地域から、どちらが先かということではなく、一緒に同時にやっぱりこの理解を深めていかなければいけないということであると思います。一歩前進ということであれば、やはりこれをしっかりと努力を我々みんなが国民一丸となって前に進めていくと、そういったことが大変重要なところだというふうに思います。
森参考人から、家庭や地域を巻き込んだ理解増進を求めるのは決して悪いことではないし、むしろ差別、偏見を解消することを理想として、何ら悪いことではないんだという、こういった趣旨の御意見を伺いました。そのとおりだと思いますし、これ、繰り返しになりますけれども、今回の修正案として家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得るという文言が追加されたというのは、先ほどの法的安定性を持たせる意味合いとともに、家庭や地域住民の方々の理解増進を深めていって、最終的には性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性を含めて全ての差別が根絶される社会が実現されるべく取組を進めていく、国民の皆様全体に対する理解を促進すると、ここを強く、再度強調させていただきたいと思います。
続きまして、国及び地方公共団体が講ずる施策の例示からこの民間の団体等の自発的な活動の促進を削った理由について、これも伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/122
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123・阿部司
○衆議院議員(阿部司君) 高木委員にお答え申し上げます。
ここで言う民間団体等の自発的な活動の促進というのは、あくまで国、地方公共団体における必要な施策の例示の一つでございまして、この文言が削られたことによって、民間団体等の活動が制限されたり、また、この法律の対象から除外されるというものではございません。
他方、民間の団体と一口に言いましても様々な団体がありまして、一部には懸念もあったことから、あえて例示として明記するまでのことはないだろうという判断でこれを削ったものであります。
もっとも、必要な民間団体等の自発的な活動の促進を引き続き行っていくことは当然でありまして、基本計画や指針によってこうした活動の促進の適切な在り方も示されていくと期待をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/123
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124・高木かおり
○高木かおり君 御答弁ありがとうございました。
やはりこの民間団体の自発的な活動というこの文言だけではなかなか具体的にどういったことかというのが分からないということで、これから指針で示していくと。これも、先ほど議論の中で、早急にこういった指針も示していくべきだというようなこともありましたけれども。
ここで、また森参考人に伺っていきたいと思いますけれども、この民間の、民間団体の自発的な活動の促進を削った、この点、どういった、懸念点であるとか、メリット、デメリット、いろいろあるかもしれませんが、その点について御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/124
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125・森奈津子
○参考人(森奈津子君) 自発的な活動とは具体的にどんな活動であるかを定めてもいないのに促進するとなると、当然のことながら、リスクが生じます。実際、LGBT教育の中には、非常に先鋭的で日本社会が受け入れ難いものも存在します。例えば、私の性自認は女性と主張する身体男性は女子トイレや女湯を使って当然とする教育が挙げられるでしょう。そのようなLGBT教育を自発的な活動として促進してもよいものでしょうか。それには疑問を感じますので、私は、削除は当然であると考えます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/125
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126・高木かおり
○高木かおり君 まだ、先ほど申し上げたように、どういった民間の団体、自発的な活動といったところが示されていない、基準等がない中で、そういった懸念点があるというような御意見だったかと思います。
おっしゃるとおり、この民間の活動、様々なものがあるかと思います。それが、あえてわざわざ例示をしなくても、国、地方公共団体が責任を持って必要な施策を実施すべく取り組んでいくということが一番大切なことであろうというふうに考えております。大変理解ができました。ありがとうございます。
続きまして、私は、この最大のポイントだと、ここ、思っているんですけれども、次に、この法律に定める措置の実施等、この点について伺いたいと思います。
性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意するものと、心にとどめることということでありますけれども、この理由についても伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/126
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127・新藤義孝
○衆議院議員(新藤義孝君) これは留意事項であります。ですから、その前に、そもそものこの立法動機である法律の基本理念があるわけであります。この基本理念は、三条において、全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重される、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現と規定するとおり、共生社会、すなわち、この性的マイノリティーの方々はもちろんのこと、マジョリティーの方も含めた全ての人が、お互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きした人生、生き生きとした人生が享受できるような、そんな社会の実現を目指そうと、こういうことで、これを理念にうたっているわけであります。
で、あえて、この様々なこれからこの工夫をしていくわけでございますが、今先ほどから御質問いただいた、例えば、家庭における、家庭とこの学校との連携は既に教育基本法に定められており、それから、先ほど御紹介がありましたけれども、文科省からパンフレットも作られて、教職員に対して、そうした性的指向に関わることについてもきちんと子供たち、また家庭とも連絡を取りましょうというようなこともございます。民間の活動の団体も、いや、民間団体の活動についてもこれは既に活発に行われておりますし、そうしたものはこれからも行われていくものだと。
ですから、あらゆるものが、少なくとも性の多様性に関しては、どうすればより理解が深められるか、理解を進められるかということによって、全てがその理念に基づいて、この法律が理念法として定められていると。新しいものを何か決めたり、権利を制限したりするものではないということをこれ再三にわたって私どもは言っておりますが、そこが一番の心配になっておりますので、こうやって御質疑いただくことがとても重要だと思っているわけなんです。
そして、最終的に留意事項として、改めて、この全ての国民が安心して生活できるようにということで、また概念を留意しなさいと、かつそうしたものの実現のためには具体的などのような活動をしていくかのガイドライン、法律用語で言うと指針、こういったものが定めるべきだということを我々は促しているという意味において、これ私どもから提案をしましたけれども、元々ここの留意事項があるなしにかかわらず、こういったことはこの討議の、質疑の中で明らかにしていこうというふうに考えていたことでございますので、より明確にさせていただいたと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/127
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128・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
その全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意すると、ここは本当に大変重要な点だと思っておりまして、その運用に必要な指針を策定する、この理由というのもお聞きをしようと思ったんですが、既にお答えをいただいたかと思います。この指針、本当に今日も議論の中でたくさん出てきたと思いますが、この指針を本当にスピーディーにしっかりと作っていくということが大変重要なんだというふうに思っております。
この点に関しても、森参考人にお考えを伺っていきたいと思います。こういったこの全ての国民が安心して生活することができることとなるように留意をしていくという、こういった、まあ理念というのが大変重要だと思っております。今のこの現実社会の中での現状等も踏まえまして、御意見をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/128
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129・森奈津子
○参考人(森奈津子君) 残念ですが、LGBTに対する差別、偏見はいまだに存在します。LGBTに対し恐怖心を抱く人もいます。そのような方々に対し、LGBTに関する正しい知識を身に付けていただくよう試み、全ての国民の安心を理想として何がいけないのでしょうか。それこそが理解増進の精神ではないのでしょうか。私はこの修正を妥当であると考えます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/129
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130・高木かおり
○高木かおり君 森参考人、ありがとうございます。
おっしゃるとおりで、この全ての国民の安心に向けて、この性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解を、これを深めていくということが最も重要なわけでありますが、これがなかなか進まないという厳しい現実があると。けれども、これ、どこかに偏ることなく全ての国民の方々が安心して生活ができる、こういった社会を我々もしっかり目指していかなければいけない。これまでの修正案提出者、また森参考人からのお話を伺っていく中で、今回の修正によって、より、例えば女性の立場や当事者の方々の立場、全ての国民の方々、こういった方々に寄り添った内容となった点、こういったことが明らかになったのではないでしょうか。
当事者の方々においても、様々な観点での捉え方というのがある点を踏まえて、国民の皆さん全てが安心して生活できることとなるように、この法案の増進に向けた取組、我が党としても今後しっかりと進めていきたいというふうに思います。
続きまして、第九条の本条に規定するこの学術研究というところにスポットを当てたいと思います。
この学術研究等の推進についてなんですが、これ、九条において、国は、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する学術研究その他の性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の策定に必要な研究を推進するものとすると称されています。
法律案提出者に伺いますが、この条文にある学術研究と、これ一体どういった内容を念頭に置いているのか、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/130
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131・新藤義孝
○衆議院議員(新藤義孝君) これは、今挙げていただきましたように、性の多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の策定に必要な研究ということでございまして、この例示であります。
その必要な研究の例示として、当初より私どもは、医学的、心理学的な知見の深化などの学術研究というものを念頭に置いておりました。ですから、この趣旨が明らかになるように、学術研究という形でそこは明確にさせていただいたということでございまして、この研究等によりまして、国の施策がしっかりと、この施策づくりにこれが大きな効果を与えられるように期待をしたいと、このように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/131
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132・高木かおり
○高木かおり君 この学術研究と、中身というのは本当に重要だと思っております。より医学的、科学的知見高めていくということが理解の増進にもつながっていくと思いますし、多くの国民の皆さんの、こういった性的指向及びジェンダーアイデンティティに対する国民の皆さんの理解、これをやっぱりいかに促進させていくかということが重要であり、これが直結してくるというふうに思っております。
もちろん、これ、文科省でも既に科研費ですとかそういったものを使ってしっかり関連する研究者の方々の支援も行っていただいているというふうにはお聞きはしておりますけれども、やはりこの本法律成立を機会として、より具体的に、専門的に特化した形で、こういった性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する学術研究、こういったものが進んでいくよう、是非政府には積極的な取組をお願いしておきたいと思います。
最後の質問になるかと思いますが、本条に規定する心身の発達に応じた教育及び学習の振興ということの中身、この心身の発達に応じたという点、大変私はこれ重要だと思っておりまして、この点の具体的な内容及び現在政府が行っている児童等に対する教育、啓発、相談体制、こういったことに関してもお答えをいただきたいと思います。あっ、いいですか、済みません。文科省さんにお伺いをしたいと思います。済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/132
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133・里見朋香
○政府参考人(里見朋香君) お答えいたします。
性的マイノリティーの方々を始めまして、個々人が持つ多様な背景にかかわらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することができる共生社会を目指した取組を進めることは極めて重要であると考えております。
このため、文部科学省では、学校教育や社会教育における人権教育を通しまして、多様性に対する理解、自他の人権の尊重等の態度を育む取組を進めるとともに、性的マイノリティーの児童生徒等へのきめ細かな対応に資するよう、教職員向けの啓発資料や研修動画の作成、周知、改訂版生徒指導提要への性的マイノリティーに関する記載の追加などの取組に努めてきたところでございます。
委員御指摘のように、児童生徒の発達段階に応じまして教育委員会や学校等において適切な対応が取られるよう、引き続き取組を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/133
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134・高木かおり
○高木かおり君 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/134
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135・田村智子
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
超党派の議員連盟が二〇二一年にまとめたLGBT理解増進法案、与党がこれを変え、維新、国民との修正で更に中身が変わり、連日、これでは差別増進だ、廃案にしてほしいという当事者の集会が国会の前で行われています。
今必要なのは、LGBTQ+の方々がどんな問題に直面しているのかという原点に立ち返った議論だと思います。
何年にもわたって全ての政党と対話をしてこられたLGBT法連合会の神谷悠一さんに参考人として出席いただきました。ありがとうございます。
まず、神谷さんに、皆さんが直面している問題、なぜ差別禁止を求めているのか、総論的にお話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/135
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136・神谷悠一
○参考人(神谷悠一君) お答え申し上げます。
まず、大前提として、多くの方がいまだに誤解されておりますが、性的指向や性自認は自分の意思で変えることはできません、選択することもできません。繰り返しになりますが、同性を好きになるか異性を好きになるかを自分自身で選択したり変えたりすることはできず、自分自身を出生時の性別と同じだと自認するか違和感を感じるかどうかについても自分自身で選択したり変えることはできない。これは、精神神経学会含め、科学的に確立した知見だと承知をしております。
性的指向や性自認に関する差別による様々な困難については、子供、教育、就労、福祉、民間サービス、公共サービスなど、当会では九つの分野、総計三百五十四項目にわたる困難リストを取りまとめております。こちらはウェブサイトで公開しておりまして、自民党の皆様から共産党の皆様まで、参考として御活用いただいているというふうなこととともに、参議院内閣委員会調査室の参考資料にも掲載されているというふうに承知をしてございます。
資料一ページ目を御覧ください。
まず、厚生労働省の委託事業の調査によりますと、性的マイノリティーのうちカミングアウトをしている方というのは一割前後になってございます。七割から八割もの方が、職場で自分が性的マイノリティーだと気付かれないようひっそりと暮らしていると。
しかし、カミングアウトをしていない、できない場合の生活も決して平易なことではありません。例えば、週末何をしていたかと聞かれた場合に、カミングアウトをしていない間柄ですと、自分が性的マイノリティーの当事者であると知られて差別や偏見を受けることがないよう、ごまかして話さざるを得ません。
資料二ページを御覧ください。
例えばゲイ男性の場合は、本当は同性パートナーと過ごしていたにもかかわらず、異性のパートナーと過ごしていたかのように周囲に話す必要があります。差別や偏見を恐れるためです。パートナーと行った場所、例えば服屋などは男女で分かれていますので、これは同性であれば同じ服屋ですが、異性だと別の服屋に行った、別の売場に行ったというふうに話さざるを得ませんし、店員に対する反応に至るまで自分たちが異性カップルであると周囲に思われるよう話を言い換え、周囲の人に語らなくてはなりません。
資料に記載ありませんが、私自身も経験があるところでは、同居している同性パートナーの存在を周囲に言えない場合、住んでいる家の間取り、カップル向けの間取りではなく、単身向けの間取りに置き換えて話す場合などもございます。
また、資料三ページ、トランスジェンダー男性の場合、差別を恐れるなどして、職場では法律上の性別で過ごし、プライベートでのみ性自認に基づいて過ごしている場合についてでありますけれども、その場合は、自分の性別、そして場合によっては一緒に行った方の性別を変えてプライベートの話をする必要があり、週末、やはり楽しんだ洋服屋、お店の店員の対応に至るまで話を換えて周囲に語る必要が生じます。
このようなことは、カミングアウトをしていない場合、たとえ家族や親友であったとしても、二十四時間三百六十五日必要な対応となります。厚生労働省のリーフレットでは、カミングアウトしない場合の困難にも言及されていると承知をしてございます。
一方、カミングアウトをすると別の困難が出てまいります。例えば職場でございます。取引先の人に結婚しないのか、彼女はいないのかとしつこく聞かれたので、正直に、自分はバイセクシュアルであり男性パートナーがいますと告げたところ、職場に苦情が来た。トランスジェンダーであることを周囲にカミングアウトした後、やっぱり声が高いから元女だねと心ないことを言われ、今度は、座ると、座っている姿勢をやゆして、やっぱり座り方は男っぽいねなど、一つ一つの言動に、その都度、男や女を引き合いに出され、傷つけられるということがございます。
そのほかにも、おかまに営業は向いていないから異動させられた。ゲイであることが知られた途端、退職するよう言われた。トランスジェンダーであることをカミングアウトしたところ、連続十社、採用を断られたが、トランスジェンダーであることをカミングアウトすることをやめたらすぐに採用されたといった差別的な事例も、差別的取扱いの事例も報告されています。
また、より深刻な事例として次のような事例がございます。レズビアンは女が好きなんだろうと言われ、同僚の社員から男性向けのポルノ雑誌を無理やり見せられた。レズビアンであることをカミングアウトしたところ、俺が治してやる、男を知れば変われるなどといってレイプをされたなどといった事例もございます。
更に深刻な事例として、四十代のトランス女性がタクシーの運転手として働いていたところ、三人組の男性乗客に公園に連れ込まれ、レイプをされ、売上金を全部取られた。しかしながら、直近の性犯罪刑法改正前のことではありますけれども、戸籍上男性であるため、警察では盗難事件としてのみ行われ、強姦事件としては扱われなくなり、うつになり、パニックが起きるようになり、仕事を辞めざるを得なかったという事例もございます。
さらに、昨年事件として報道された事案では、トランスジェンダー女性が、同じ会社の執行役員の男性上司から腰に手を回された上、わいせつな言葉を掛けられたり、別の機会には、キャバ嬢にしか見えない、ハプニングバー通いしてそうな顔だなどと性的な暴言を浴びせられた。しかし、その後発覚し、謝罪をされた際に、男だから平気だと思った、これからはおまえを一人の女性として見るなどと言い放たれ、その後も、手を握られた上で性的な質問をする、原告の陰部に顔を押し当てられるなどといった深刻なセクハラが続き、顔を押し当てる際の様子を撮影した写真もあるというふうに報じられてございます。
トランスジェンダーの生きづらさ、困難さの一つに、おまえは男なのか女なのかと都度都度言われ、時に都合よく言われ続けるということもございます。
雑誌新潮に掲載されたトランスジェンダー女性の手記には、誰かが私を彼と呼び、誰かは彼女と私を紹介する、その一々に引き裂かれそうとあります。ちまたでは、男が女の格好をした変なやつなどと単純に捉える方がいらっしゃいますが、同じ手記では、メークやファッションの華やかさにときめいて楽しんでいるし、好きという気持ちもしっかりある、全く主体性がないわけじゃない、けれど、義務感も拭えない、自分のために美しくありたいというより、女性として整合性が取れているかどうかいつも不安だからとされています。自分がその格好をしたいというより、性自認に基づく格好に見えるように必死で歩き方や振る舞い方を研究し、実践をしています。ちょっと服を着てみたい、そういう格好をしてみたいというものではございません。このような生きづらさは、困難、統計的にも明らかになってございます。
例えば、資料四ページ、埼玉県の調査では、中学生の頃に不快な冗談、からかいを受けることの経験が、性的マイノリティーで五三・八%、性的マイノリティー以外で二四・八%、暴力、言葉の暴力やいじめを含む、を受けることは、性的マイノリティーで三七・五%、性的マイノリティー以外で一六・八%と、大体二倍以上ということになってございます。成人十九歳以降で見ましても、約二倍、性的マイノリティーはこれらの被害を多く受けています。
また、レイプやセクハラなどの性被害経験について、宝塚大学の日高教授が調査したところによりますと、女性を自認するトランスジェンダーは五七%、男性を自認するトランスジェンダーは五一・九%、レズビアンは五二・二%、トランスジェンダーが性暴力の標的にされているということが、これは報じられてもおります。
このような日常的な差別、困難が積み重なり、資料五ページ、先ほどの埼玉県の調査では、最近一か月で絶望的だと感じたことにつきまして、性的マイノリティーは五九・八%、性的マイノリティー以外は三二・四%。このうち、高い頻度でそういった絶望的に感じたことがあるについては、性的マイノリティーが一五・八%、性的マイノリティー以外が四・一%と四倍近く差が顕著になってございます。
さらに、次の資料でございますけれども、科研費グループ、科学研究費グループの調査では、LGBは多数派の六倍、Tは十倍、自死未遂経験の比率が高いことが明らかになってございます。
このような事態を一定程度解決するそのスタートラインを切るために、私どもは性的指向及び性自認等による差別の解消並びに差別を受けた者の支援のための法律に対する私たちの考え方、困難を抱えるLGBTの子供たち、子供などへの一日も早い差別解消をと題した、通称、差別禁止、LGBT差別禁止法市民案を八年前に発表しているところでございます。実効性ある法整備は、これを発表した八年前から一刻を争う状況で待たれているというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/136
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137・田村智子
○田村智子君 恐らく、これでもまだ言い切れないほどの実態があるんだというふうに思います。
法案に関連してもお聞きします。
法案第六条、十条で、学校での教育、啓発について、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつとあります。
子供たちへのLGBTQ+に関わる教育、啓発に家庭や地域住民が異議を唱えたらできないのかということを私思えてしまうんですね。この条文を根拠に、教育、研修、集会などへの介入などあってはならないと思います。
そこで、LGBTQ+の子供が家庭や保護者との関係で抱えている困難、学校に期待される役割などお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/137
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138・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 指名を受けてから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/138
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139・神谷悠一
○参考人(神谷悠一君) お答え申し上げます。
資料七ページ、科学研究費グループの調査では、近所や同僚に当事者がいる場合、嫌だと回答した人は三割を切っていますが、自分のきょうだいだと五割、子供だと六割との結果が出ています。当事者にとって、親の性的マイノリティーへの差別や偏見こそが一番の悩みであるということは表されているのではないかと思います。
こうした状況から、困難の事例としては、例えば、親にカミングアウトしたところ、ゲイの息子なんて要らない、おまえなんか死んだ方がましだ、嫌らしい、気持ち悪いと言われた。あるいは、自分の性自認や性的指向について家族から理解を得られなかったため家から追い出されホームレスとなった。カミングアウトをしたところ、家族の中で自分の存在を無視をされたり死んだものとして扱われたりしたといったことが挙げられます。
一方で、例えば、性同一性障害学会の理事長である中塚氏によれば、ジェンダークリニックを受診した千百六十七名が自分の性別違和感を自覚し始める時期は、小学校入学以前が五八・六%、小学校高学年までで約八割に上ります。性的指向については思春期以降だというふうな指摘がされています。
しかし、カミングアウトをしたり相談、カミングアウトをしたり相談することはそうした子供たちにとって難しく、先ほどの大人を対象としたカミングアウトの調査、厚生労働省の委託事業の調査にも表れていますし、三重県が高校生を対象にした調査では、性的マイノリティーについて他人に相談した人というのは僅か当事者で七・七%にとどまっております。
そのため、自分が当事者であると自覚していたとしても、高校生まで誰も相談できず、また、この課題は見た目にはなかなか同じ当事者が分からないということもあり、県でたった一人の当事者と思い悩み、まさに孤独、孤立状態だったという事例も聞くところであります。NPO法人ReBitの調査によれば、孤独感をしばしばあるいは常に感じた十二歳から十九歳の当事者は二九・四%となっており、内閣府実施の全国調査の八・六倍も高い値となっております。
性的マイノリティー以外にも様々なマイノリティーがおりますが、性的指向、性自認はなかなか見た目からは当事者であっても分からないということがあります。見た目で分からないように、差別や偏見を受けないように子供たちも努力をしている。だからこそ、仲間や同じ悩みを持つ当事者を見付けることは容易ではありません。けれど、子供たちは否定的な環境下では、繰り返し申し上げますが、なかなか親には相談できません。むしろ、親から嫌われたり、まかり間違って家から追い出されることのないよう息を潜めて生活していることが少なからずございます。
子供の生活の基本は学校と家の往復です。家庭で自分自身が性的マイノリティーであることが受容されない場合、受容してくれる学校の先生が一人でも見付かるかどうかが重要であり、そのような人を見付けるためには、授業内容や取組からその人が性的マイノリティーに理解があるか一人一人が見極めなくてはなりません。
このような性的マイノリティーが置かれた厳しい状況を踏まえますと、法案第六条の、教育を行う上で家庭に協力してもらって進めるというのは、性的マイノリティーが置かれている厳しい実態を踏まえないものではないかというふうに考えます。
教育をすると性的なことを覚えて危ないのではないかという声も聞かれますが、ユネスコ等によれば、早期に性について教育することは、むしろ初婚年齢が遅くなる、性交渉の頻度が減る、リスクが高い行動が減る、自分らしくあっていいという自己肯定感が向上するとされております。
他の問題と異なり、親に頼れず、親こそが最も理解を得るのが難しいというのが統計的にも特徴として表れているにもかかわらず、家庭に協力してもらって教育を進めるというのは大変ナンセンスな発想ではないかというふうに考えるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/139
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140・田村智子
○田村智子君 子供のちょっともう孤独と命に関わるような問題を本当に起こしちゃいけないのでね、介入しないでくださいよね、本当に、独自の実践に。
法案第十二条は超党派議連案にも与党案にもなかった全く新しい概念です。LGBT理解増進の施策は、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意するもの、この場合において、政府は、その運用に必要な指針を策定するものとするとあります。法案第三条は、全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとりというふうにあるのに、わざわざ第十二条を置けば、全ての国民の安心のために、LGBTQ+の側にわきまえる、配慮する、このことを求めることになってしまう。
LGBT法連合会の皆さんは、十三日の声明で、求めてきた法案とは真逆の内容として、特にこの十二条、厳しく批判をされております。この点について説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/140
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141・神谷悠一
○参考人(神谷悠一君) お答え申し上げます。
十二条は、議論の経過を拝見しておりますと、性的マイノリティーを差別する人、性的マイノリティーに困難を与える側の、諸外国を見ても統計的には根拠が出てきていないこのような言説を基に制定され、留意しなければならないというもので、国民の間に要らぬ分断を生むことになるのではないかというふうに考えてございます。この条項が出てきた経緯、また、それらは、一部議員のブログなどの発信を見ておりますと非常に懸念されてなりません。
既に何人かの法学者が報道などで指摘しておりますように、十二条は法の効果を百八十度回転させ、いじめや差別などの原因となる無理解の解消ではなく、いじめや差別の原因となる無理解を擁護し、差別構造を温存するために活用されることがあり得る懸念される規定だと考えております。
民間の性的マイノリティーへの支援団体について、あそこでは居場所づくりといって変な人が来て不安、変な教育をして不安、変な人たちを増やす政策は不安、十二条の全ての国民が安心して生活することができるに違反しているといって自治体や教育現場に対して要請書を乱発するような、一部海外で見られる、あるいは過去に日本でも見られたようなことが実施されるとすれば、それは法の基本理念である性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念に反するものとなり、まさに百八十度真逆の効果をもたらすと考えております。
例えば、毎年代々木公園で行っている東京レインボープライドには今年二十万人が来場し、一万人がパレードを歩きました。数十社の大手企業がブースを出し、各国大使館、NGOもブースを並べました。各主要政党の皆様からも、国会議員の先生方、御参加いただいております。こういった催しに安心できないということになると、差し止められるのか。そういうことが誤解であるというならば、基本計画、指針に書いていただきたい。そうでないと、混乱をもたらし、分断をもたらすのではないかと考えます。
逆に、安心できない、不安だといって施策を停滞させてきたこれまでの事例を真摯に研究し、十二条が基本理念に反する使われ方をする条項とならないようにすることが肝要であり、法は基本理念に即して運用されるべきだということを繰り返し申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/141
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142・田村智子
○田村智子君 今の答弁も受けて、小倉大臣にもお聞きしたいんですね。
昨日、LGBTQ+への差別・憎悪に抗議するフェミニストからの緊急声明が発せられまして、資料としても配付しております。賛同者は、今朝八時四十分現在で三百三十三人だということです。この中で、女性の安全がトランスジェンダーの権利擁護によって脅かされるかのような言説は、トランスジェンダーの生命や健康にとって極めて危険なものになりかねませんとして、既に殺害予告が発せられていたりとか、性別違和を抱える子供たちに居場所を提供する活動に困難が生じているという事例も書かれている。
痴漢を含む性暴力は断じて許されない、トイレや公衆浴場は誰にとっても安全であるべきで、女性の安全が十分に守られていない現状があれば直ちに改善すべき、そんなことは大前提なんです。当たり前なんです。女性専用車両など女性の人権のために進めてきたことを後退させることもあり得ないんです。そのことを大前提にして、今の社会システムではこぼれ落ちてしまうマイノリティーがいることに光を当てようということなんですよ。
トランスジェンダーの性被害が被害として認知されない、相談や支援の受皿もない。男性用、女性用で分かれているトイレの前で自分はどうしたらと日常的に苦悩する人がいる。学校の宿泊行事で入浴、部屋割りが苦痛で心がずたずたになる子供がいる。ここに気付く、考える、みんなの人権を守るためにどうするのか、連帯して取り組んで社会を更に前向きに変えようということだというふうに思うわけです。
大臣、この十二条にある指針なんですけれども、やっぱり性的指向、性自認の観点から、人権が擁護されてこなかった人たちの人権を考える取組を進めるんだと。第三条の基本理念、これが十二条にある政府の指針が策定されるときの一番の土台であると、こう考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/142
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143・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 現在審議中の法案の評価につきましては、議員立法でもございますし、まさに現在御審議中なので、政府としてはコメントは控えさせていただきたいと思います。
ただ、政府の立場を説明をさせていただきます。
政府としては、多様性が尊重され、性的マイノリティーの方もマジョリティーの方も含めた全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向けて、これまでも、様々な国民の声を受け止め、しっかりと取り組んできたところであります。
具体的には、職場や学校等を始めとして、社会での理解増進に向けた啓発活動の充実、適切な相談対応や人権救済等、それぞれの分野を所管をする各府省庁において取り組んでまいりました。
引き続き、こうした立場に立って関係府省庁が連携協力することにより、政府全体として更に取組を前に進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/143
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144・田村智子
○田村智子君 この指針は、LGBTQ+の皆さんが抱えている問題、直面している差別、これを何よりも直視した指針でなければならないということを重ねて要求しておきます。
もう一問、小倉大臣に聞いておきたいんですけれども、本当に女性スペースの問題では、私は、客観的な事実に基づかない、自民党の皆さんたちも必死に打ち消すような言説が流れているわけですよ。
ですから、内閣府は今、エビデンス・ベースト・ポリシー・メーキング、EBPM、ここに力を入れていて、性的指向、性自認の多様性を認める、理解を増進する、不当な差別を許されない、こうした取組でもこのEBPMの徹底、根拠のない不安による国民の分断は排していく、こういう取組が重要だと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/144
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145・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) EBPMの推進は、政策の有効性を高め、国民の行政への信頼の確保に資するものでありまして、本法案における理解の増進に関する施策の推進等におきましても大事にしなければならない視点だと考えております。
本法案が成立、施行された際には、法律の趣旨や御指摘の視点等も踏まえながら、先ほど申し上げた性的マイノリティーの方もマジョリティーの方も含めた全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会、これを目指してしっかりと取組を進めていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/145
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146・田村智子
○田村智子君 是非お願いしたいと思います。
残る時間、神谷参考人にもう一度お聞きしていきたいと思います。
法案第十条、知識の着実な普及等では、民間団体等の自発的な活動の促進という文言が修正によってわざわざ削除されました。何か極めてレアなといいますか、何か極端なケースのことを持ち出して、こういう団体もあるから削除したんだと言うんですけど、そんなこと言われちゃったら、障害者の問題とかあらゆる問題で、それはいろんな団体ありますよ、だから法案から削除するというのはどうしても理解は私はできない。元々、私たち国会議員だって、当事者団体の皆さん、当事者の皆さんから様々な事実を、差別の実態、皆さんの思い、そういうことをお聞きしなければ、私たちも、ほとんどがマジョリティーの側にいますからね、いろんな施策に取り組めないわけですよ。
こういう当事者団体、支援団体、今民間団体がこのLGBTQ+に関わってどんな役割を果たしておられるのか、御紹介いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/146
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147・神谷悠一
○参考人(神谷悠一君) お答え申し上げます。
通称LGBT法連合会と当会申しますが、百二が加盟しておりますけれども、この加盟団体では、電話相談やSNS相談などを行っている団体もございます。家族に相談できない、友人に相談できない、そのような場合に電話やSNS相談は重要な役割を担っているというふうに承知をしております。また、居場所づくりなどを行ったり、行政の窓口に同行支援などを行う場合もございます。
資料八ページを御覧ください。
NPOの調査では、性的マイノリティー当事者が、障害に関する行政・福祉サービスの四六%、生活困窮に関する行政・福祉サービスの五二・四%が、必要なときも利用できない、サービスにアクセスできないというふうに回答してございます。背景には、その窓口等の対応の不安や困難があるというふうにされてございます。
このような状況には、まだまだ支援が必要な状況でございます。これは孤独・孤立問題にも非常に親和的な問題であるというふうに考えておりまして、行政の支援が乏しい現状、あるいは行政からは当事者が見えにくい中で、当事者の支援団体がつなぎの役割を果たしているというふうに考えてございます。
こうした支援者が重要であることは企業内、職場でも同じでございまして、企業内で当事者や支援グループ、アライなどと言われますが、アライグループがあるときに、そのメンバーの多くは企業側にカミングアウトができないということも、先ほど調査をお示ししましたが、多く、参加するところでございます。その際、当事者グループのリーダーや支援グループのリーダーが、カミングアウトが難しい社員と人事など会社側のつなぎ役として意向の聴取やニーズの把握などを行っている例が多数ございます。
第十条の民間団体等の自発的な活動の促進という例示を削除したのは、こうした支援者の重要な役割を十分に認識しているとは言えず、あえて削除したことが行政にとってマイナスイメージとなることが懸念されるところでございます。削除された民間団体等の自発的な活動の促進は極めて重要であり、孤立した当事者の支援こそが今求められているというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/147
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148・田村智子
○田村智子君 私も、この困難リストを見ても、例えば介護を受ける、医療を受けるというときに、性転換している方が、それを言っていない方も含めてですけれども、本当に様々な困難抱えている。そういうことに国も自治体もノウハウがないじゃないですか。民間団体に本当に力を得て、協力を得ていかなかったら、一体どうやって理解増進や差別なくしていくということができるのかというふうに本当に指摘せざるを得ないと思うんです。
じゃ、最後に、前向きなこともちょっとお聞きをしたいんですね。
LGBTQ+への差別をなくすということは、私は、社会を豊かに発展させるし、日本の経済、ここも豊かに発展させていく、そういう道でもあるというふうに思います。
超党派議連の役員会では、先ほどアメリカからの介入ということがいろいろ言われていましたけど、でも、アメリカ大使館通じて大統領特使の方とのやった懇談というのは非常に私は有意義でしたよ、他国の方の取組をいろいろ聞くことができて。そのときに、アメリカで同性婚の法制化への動きが前へ進む上では企業や経済界が果たした役割がとても大きかったんだという指摘があったんです。労働者が安全に安心して働いてこそ、パフォーマンスが上がる、企業の生産性も向上するんだと。これ、日本がこれから進む方向にとってもとても重要な指摘だったというふうに思います。
ここを神谷参考人に、最後、三十九分まで時間がありますので、思いのたけをお話しいただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/148
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149・神谷悠一
○参考人(神谷悠一君) お答え申し上げます。
この問題は、人権問題であることは言うまでもございませんが、経済発展、企業にとっても重要な問題であり、例えば、先日は、経団連の会長の御発言、経済同友会代表幹事の御発言、新経済連盟の声明などにそれは表れているというふうに考えてございます。国際労働機関、ILOは、この課題に取り組まないことが人材や技術の流出、教育のコストの無駄を企業に招くというふうに指摘をしてございます。
一体なぜこうしたところに関係あるのかということでございますけれども、先ほども資料の二ページ目、三ページ目でお示ししましたとおり、カミングアウトできなければ、週末何していたと言われるだけでも、一生懸命言い換えて、どっちが男でどっちが女でと、どこに行って、どこに行ってというふうに言い換えて話さなくてはならず、このように言い換えに気を取られていたら、神経を使っていたら、仕事に集中できません。力を発揮することもできない。これは当たり前ではないかというふうに思います。
国内でも、JILPT、労働政策研究・研修機構の調査では、LGBTの自殺、うつ対策や、これの一因となる職場のいじめ、ハラスメント対策を積極的に実施することで一千九百八十八億円から五千五百二十一億円の経済的損失を回避できるというふうに推計をしてございます。国内ではこのような調査研究は緒に就いたばかりでございますけれども、グーグルが心理的安全性が高いことが組織に良い効果をもたらすとの研究結果を発表しているところもこうした指摘に重なるところであるというふうに考えてございます。
日本が議長国を務めたG7の環境大臣コミュニケでは、環境分野における性的マイノリティーへのエンパワーメントのための措置が気候変動や環境汚染への取組に寄与するのだというふうに明記をされておりますし、昨年の首脳コミュニケでは、外交安保の項目にも性的指向、性自認に関する記載がなされていたというふうに承知をしてございます。
このように、政策横断的に影響があるということ、これは日本政府も認めているところであるというふうに考えておりますし、以上のことから分かりますとおり、性的マイノリティーの不利益や困難を解消することは社会的損失、経済損失を回避することとなり、安定的な社会保障費の確保にもつながるものというふうに考えます。よって、性的マイノリティーの不利益や困難を解消することが十二条の全ての国民の安心につながるということも指摘をしたい、このことを踏まえての基本計画や指針の策定も重ねて指摘をしたいという、いただきたいということも要望申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/149
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150・田村智子
○田村智子君 やっと当事者の皆さんの本当にリアルな実態が国会の中でも示されて、ここから私は審議が始まるものだと思います。
私は衆議院での会議録も読みましたけれども、その衆議院の会議録の中で、今、神谷参考人からお話のあったようなLGBTQ+の皆さんが直面している問題、議論されていたでしょうか。その問題がきちんと示されて、みんなで考えようという議論だったでしょうか。女性トイレの問題ばっかりでしたよ。女性スペースの問題ばっかりでしたよ。もちろんその安全確保が大切だというのは、別の文脈の話なんですよ。
性暴力被害が許されない、安全確保しなくちゃいけない。何で、このLGBTの皆さんの権利についての法案で、LGBTの皆さんが抱えているその困難の問題が議論されていないのか。とても法案を採決できるような現状にはないと思います。こんな状態で、本来、法案の審議さえできない、こういうことだったというふうに思います。
改めて、丁寧な審議、本当の人権擁護何なのか、この審議を求めて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/150
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151・木村英子
○木村英子君 れいわ新選組の木村英子です。
本日は、LGBT理解増進法案について、松岡参考人に、当事者の立場からの意見をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
まず、資料一を御覧ください。これは、二〇一五年にLGBT法連合がLGBT差別禁止法に対する考え方を発表したものです。
このように、当事者団体からも差別禁止法が求められていましたけれども、二〇二一年に超党派で議論が重ねられ、性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案が作られ、その後も何度か見直しが重ねられてきました。しかし、本日参議院で審議される法案は、与党と維新、国民民主が協議をして作られたものですが、当事者の方たちが求めていたものとは程遠いものとなっています。
例えば、私事で恐縮ですけれども、障害者運動の歴史においては、昔は施設収容が当たり前でしたが、一九七〇年代に施設を拒否して地域で生きるための運動が始まり、介護保障が少しずつ確立され、地域で自立生活を実現する障害者が増えていきました。そして、二〇一四年に日本が国連の障害者権利条約を批准し、二〇一六年には障害者差別解消法が施行されたことは、多くの障害者にとって命懸けで闘ってきた結晶でもあります。そして、現在、各自治体では、差別解消に向けての条例や宣言の制定など様々な取組がなされています。
特に障害者差別解消法が作られてきた経過において重要視されてきたものは、国連の権利条約から引き継がれた、私たちのことを私たち抜きに決めないでというスローガンです。資料二の外務省の出しているパンフレットでも、条約を作る上で、当事者参画が重視されてきたことが明記されています。
また、障害者と健常者が幼いときから分けられている現状においては、共に学び合うインクルーシブ教育や、誰一人排除されず共に生きられる社会であるソーシャルインクルージョンが叫ばれているところです。
ですから、障害者差別解消法などを作るに当たり、当事者が協議会などに参画するのは当たり前となっていますが、LGBT理解増進法には当事者参画は明記されておらず、当事者主体の法案にはなっていません。
通常、内閣が提出する法案では、協議会などを通じて多様な当事者の意見を丁寧にヒアリングされて法案が作られてきました。しかし、議員立法の場合、そうしたプロセスが公開されて法案が作成されるわけではないために、今回のLGBT理解増進法案には、当事者が参加されての丁寧な意見交換や多様な当事者の意見が反映されていないように感じます。
その点、松岡参考人はどのように感じていられるのか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/151
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152・松岡宗嗣
○参考人(松岡宗嗣君) お答えします。
法案審議は、今まさに困難に直面している当事者の声を拾い上げず、そうした現実と真摯に向き合っているとは到底言えないものだったと認識をしています。
先日の衆議院内閣委員会でも、ほとんどがトイレやお風呂などについての議論でした。もちろん、女性も性的マイノリティーも安心して過ごすことができる環境を整備することは必要不可欠ですが、今、性的マイノリティーがいじめやハラスメント、孤立、孤独や自死など苦しい状況に置かれていることに向き合い、困難を解消するつもりがあるのか、とても疑問に思う内容でした。
当事者がどういった困難に直面しているのか、そのエビデンスやデータなどを基に議論がされなければなりませんし、その上で、個別具体的に当事者がどんな差別や偏見による被害を受けているか、一人一人の声に向き合う必要があるというふうに思います。しかし、この両方とも、法案をめぐる議論ではなされていないというふうに私は捉えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/152
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153・木村英子
○木村英子君 ありがとうございます。
今お話を聞いても分かるとおり、まだまだLGBTの方の状況が知られていないということが差別を助長している原因だと感じました。特に、LGBTの方は子供の頃から他人と違うことでいじめられたり疎外されたりして、大人になってからも心や体の傷に苦しんでおられる方が多いと聞いています。そういう意味では、学校生活の体験がその後の人生に大きな影響を与えると思います。
法案の中の学校での理解増進については、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつという文言が入りましたが、松岡参考人は、この文言が入ったことによって子供たちにどのような影響が及ぼすのか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/153
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154・松岡宗嗣
○参考人(松岡宗嗣君) 岡山大学の中塚幹也教授等の調査によると、性同一性障害と診断を受けている回答者のうち、自分の性別に違和感を覚え始めた時期は、中学校卒業までが九〇%、トランスジェンダー男性は小学校入学前が七〇%に達しています。このように、トランスジェンダーの多くが物心付く前から性別の違和感を自覚しています。
また、大阪公立大学の康純准教授も、性的指向については思春期以降に多数派と異なることを自覚するケースが多く、トランスジェンダーの場合は幼くして違和感を持つことは決して珍しくありませんというふうに指摘をされています。
宝塚大学看護学部の日高教授による調査では、十代の性的マイノリティーの約半数がいじめ被害を経験しており、NPO法人ReBitが性的マイノリティーの子供、若者、約二千六百名に行った調査によると、過去一年に自殺念慮を抱いた人が約半数、実際に自殺未遂を行った人は一四%に上っています。例えば前述の調査に寄せられた声を見てみると、十五歳の当事者の声です、自認する性で生きられないことが死にたくなるくらいつらいことだと分かってほしいという声があります。ほかにも、おかま、ホモなどの侮蔑的表現の言葉に自分が振り分けられる恐怖と日々闘い、疲弊して高校生の頃に精神疾患を発症し、高校を中退せざるを得なくなったという声もあります。さらに、性的マイノリティーの子供、若者の九一・六%が保護者にセクシュアリティーに関して安心して話せないというふうに回答しています。
このように、性的マイノリティーの子供の多くが小学校や中学校など幼い頃から自分の性の在り方に違和感や葛藤を持ち、学校でのいじめの被害又は自殺念慮も高く、親からも否定され、保護者にこそ相談できない、そうした現実があるのです。だからこそ、学校で理解を広げることが必要不可欠だというふうに思います。
しかしながら、今回の法案では、この家庭や地域住民その他の関係者から反対されると、理解を広げる取組が抑制されてしまう可能性がある、こういった文言が追加されています。もちろん、家庭や地域住民のサポートがあることにこしたことはありません。しかし、わざわざ今回の修正で追記されるということは、学校での理解を抑制するための口実として使われる懸念があります。
実際、ある与党議員のユーチューブ動画を見ましたが、国が指針を示すことで地方や民間団体が過激な方向に走らないよう歯止めを掛ける、そのための道具としてLGBT法案が必要といった発言をしています。その際、やり玉に上げている自治体の小学校五、六年生向けの冊子に書かれている内容は、男の子らしさ、女の子らしさを勝手に決め付けないとか、ピンクが女の子の色という決まりはありません、服装だって、好きな服、着たい服は人それぞれですと、そういった内容が書かれています。これに対して当該の議員は、小学校五年生には理解できず、混乱する、過激な団体が公的な場を使ってやっている、行き過ぎだ、初恋が始まる前にこうした教育を受ける必要はないというふうに言っています。明らかに、この法案が必要な理解や啓発を阻害するために使えるものなのだというふうに明言しています。
家庭や地域住民といった文言が追加された背景には、アメリカを念頭に、保護者と学校の対立や混乱が起きているということが挙げられているというふうに伺っています。
例えば、毎日新聞が米国の教育界で保守系の草の根運動の象徴と言われているマムズ・フォー・リバティーについて報じていますが、組織の一部が過激化し、中には教育委員へ付きまとったり、自宅前で小児性愛者だと根拠のない中傷をしたり、コロナをうつしてやると目の前でせきをするなどして、様々な地域で教育委員会や学校関係者への嫌がらせが相次いでいるとも報じられている点を確認しておきたいと思います。これは、果たして政策を進めない理由となる混乱なのでしょうか。
また、今回の法案では、努力義務ではありますが、学校で教育や啓発を行うことが求められています。さらに、基本理念には、性的指向やジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならないと明記がされています。この点を前提にすると、万が一、家庭や地域住民その他の関係者から学校での理解増進に反対が起きた際、その反対の内容を厳密に検証せず、いたずらに学校での取組を萎縮させる口実になることは、当然あり得ないということを確認しておきたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/154
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155・木村英子
○木村英子君 ありがとうございます。
子供の頃に受けた心の傷は、トラウマになったり、大人になって社会に出たときの大きな弊害になります。私も、幼いときに施設で受けた虐待はトラウマとなって、今でも苦しめられています。ですから、私にとって、地域で生きていく上で障害者差別解消法は不可欠であり、大多数の健常者の人たちに障害者のことを理解してもらうためにも、合理的配慮の提供がなされないと差別の解消は進まないことを私自身実感しているところです。
LGBT理解増進法案では合理的配慮の提供は明記されていませんが、LGBTの方たちにとってはどのような合理的配慮の提供が必要なのでしょうか。そしてまた、法案の中に合理的配慮について定める必要があると思われるか、松岡参考人のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/155
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156・松岡宗嗣
○参考人(松岡宗嗣君) 現状の社会は、いわゆるシスジェンダーのヘテロセクシュアル、つまり性的多数派を前提につくられていて、性的マイノリティーにとって制度や慣行、観念など、様々な領域で社会的障壁が立ちはだかっています。
例えば、不動産で同性カップルであることを理由に断られてしまったり、学校で同性愛がほかの人に感染すると言われて別室授業にされてしまったり、親からおかしい、病気だと言われてしまう、場合によっては家から追い出されてしまったという人もいます。トランスジェンダーの当事者が選挙の投票所に行った際、本人かどうかを疑われ、地域の人にトランスジェンダーだとばれてしまうような声で性別を確認され、つらくて投票に行けないという人もいます。学校の制服が苦しくて学校に行きたくない、死にたいと思うほどの人もいます。
こうした困難への対応として、私は、まず大前提として、やはり差別的取扱いの禁止が必要だと考えます。例えば、性的指向や性自認を理由とする解雇や左遷、サービス提供の拒否など、明らかに不合理な取扱いをしているものについては、明確に差別的取扱いだとして禁止しなければ、当事者は被害から救済されません。
しかし、その上で、合理的な区別というものは当然あり得ます。差別の定義が曖昧だとか、当事者が差別だと感じたなら何でも差別になるのかといった言説がありますが、そうではありません。
合理的な理由のある区別は、差別には当たりません。例えば、男女別に分けられた施設のトランスジェンダーの利用に関しては、顔の見える特定の人が使うトイレなのか、それとも不特定多数が使うトイレなのか、それとも更衣室なのか、又は公衆浴場なのか、その施設の環境によっても基準は異なり、場合によっては本人が希望する施設を利用できないことも当然あり得ます。これはトランスジェンダーの当事者が一番よく分かっていて、むしろ当事者は、社会からの差別や偏見を恐れ、自分が周囲からどう見られているか、トラブルが起きないよう慎重に判断し、なかなか利用できずにいるという人がほとんどです。
また、カリフォルニア大学ロサンゼルス校による大規模調査では、性自認による差別を禁止した地域と差別を禁止していない地域を比較し、トランスジェンダーとトイレ利用をめぐって性犯罪増加につながっていないことが指摘をされています。
今回の法案でトランスジェンダーをめぐる臆測に基づいた排除言説が特に広げられてしまい、SNSだけでなく、例えばチラシが配られてしまったり、駅前でそうした言説が広げられてしまっています。当事者の中には、SNSでアカウントを消さざるを得ず、外出するのも怖くなってしまったという人もいます。
社会的障壁をなくす上で、差別を禁止することと同時に、アプローチの一つとして合理的配慮という観点もとても重要だと考えます。希望する施設やサービスが利用できないときに、例えば時間をずらすといった個別対応をするなど、合理的な配慮、個別の環境調整を行うことは必要です。
本来であれば、圧倒的少数である性的マイノリティーが社会的障壁により様々な困難に直面している上で、しかし、男女別に分かれた施設などで必ずしも本人の希望やニーズに沿った利用ができない場合もある、そのとき本人の状況だったり環境に応じて合理的配慮を提供する、こうした考えにのっとった施策が進められていくべきだと考えます。
しかし、今回の法案の十二条は、むしろ全く真逆の内容になってしまっています。つまり、何か性的マイノリティーは多数派を脅かすような存在という前提で、性的マイノリティーへの合理的配慮を提供するのではなく、実質的に多数派の安心に留意してくださいと、さらに、そのための指針まで策定しようとしている点は本末転倒だと言わざるを得ないと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/156
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157・木村英子
○木村英子君 ありがとうございました。
それぞれの当事者に合わせた合理的配慮があれば、地域や学校でも生きやすくなるというふうに思います。そうした意味でも、障害者差別解消法にある具体的な合理的配慮の提供がLGBTの法律を作る上でも最も重要であると認識いたしました。
今回の法案で最も問題があると私が思われたのは、十二条についてです。その点、内閣府、法務省、厚労省に質問したいと思います。
先ほど松岡参考人の答弁であったように、今回のLGBT理解増進法の修正案では、措置の実施等に当たっての留意という条文が追加されています。これまでに、差別や偏見に苦しむ少数者への差別解消をも目指す法律の中で、このような多数者側への配慮を留意する旨の記載がある法令は存在しているのでしょうか。内閣府からお答えお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/157
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158・原宏彰
○政府参考人(原宏彰君) 内閣府からお答えいたします。
お尋ねのLGBT理解増進法案第十二条は、「性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。」と規定をしています。このため、同条には多数者側への配慮との文言はないものと承知をしています。
その上で、内閣府が所管する御指摘の差別や偏見に苦しむ少数者への差別解消を目指す法律の中で、同様の記載がある法律はございません。
なお、内閣府が所管する障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の第一条には、「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。」との文言がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/158
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159・柴田紀子
○政府参考人(柴田紀子君) お答えいたします。
御指摘の法案第十二条は、「この法律に定める措置の実施等に当たっては、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。」と規定されており、当該条文には多数者側への配慮との文言はないものと承知しております。
その上で、法務省が所管する差別解消を目的とする法律として、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律及び部落差別の解消の推進に関する法律がございますが、いずれも御指摘の法案第十二条と同様の規定は置かれておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/159
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160・間隆一郎
○政府参考人(間隆一郎君) お答えいたします。
御指摘のLGBT理解増進法案第十二条には多数者側への配慮との文言はないものと承知しておりますが、その上で、厚労省、厚生労働省が所管する法律の中に、同条のように、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意するとの規定を有する法律はございません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/160
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161・木村英子
○木村英子君 今、内閣府などにお答えしていただきましたけれども、LGBT理解増進法案の十二条のような、全ての国民が安心して生活することができるよう留意するという条文は、ほかの差別解消に関する法律にはないということ、それが明らかになりましたが、理解を増進し、少数者の生きづらさをなくしていこうという法案なのに、なぜ、多数者側への配慮を強調することはいかにも不適切であると考えます。
松岡参考人は、省庁の方たちの今のお答えを聞いて、この法案の十二条が今後LGBTの当事者の方たちにどのような影響を与えてしまうかをお答えいただきたいと思います。また、法案全体についての評価もお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/161
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162・松岡宗嗣
○参考人(松岡宗嗣君) やはり、今回の法案は、理解を増進するための法律ではなく、理解を抑制、阻害するための法律になってしまったと言わざるを得ないと思っています。
例えば、アメリカを中心に、黒人に対する暴力や人種差別に抗議するブラック・ライブス・マター、黒人の命も大切だという動きが起きた際、オール・ライブス・マター、全ての命も大切だという反対のスローガンが打ち出されました。特定のマイノリティーの命が脅かされ、差別や偏見による被害を受けていることに対して声が上がっているのに、それを全ての人というふうに表現することは、むしろ、差別の現状、その問題の所在を覆い隠し、課題を解決することができず、結果的に差別を温存することにつながってしまいます。今回の法案の十二条というのは、まさにこれを如実に表してしまっていると考えています。
障害者差別解消法には、多数派の安心に留意するといった趣旨の規定はもちろんありません。雇用における性別に基づく差別を禁止している男女雇用機会均等法でも同じです。例えば、男性が、女性が職場に入ってきたら安心できないからなどといって、多数派の安心に留意するとはならないはずです。性的マイノリティーについてはこのような規定が入ってしまうというのは、当事者が日々直面している深刻な差別の実態をまさに理解していない、他人事だと思い真剣に考えていないことの証左だというふうに思います。
これまで性的指向や性自認に関する差別に対応する法律が何もない中で、自治体や企業、学校の現場の自助努力で様々な理解を促進する取組が進んできました。今回、多数派の安心に留意する、そのための指針まで作られるとなってしまうと、この法案に関する措置、つまり、自治体の条例、施策、例えば相談事業だったり居場所事業、啓発事業だったり、又は学校や企業で理解を広げる取組、その全てに対して、誰かが不安だとさえ言えば規制することができてしまう、そうした懸念があります。
もちろん、全ての国民の安心の全てというのは、性的マイノリティーを含むことは大前提です。同時に、この法案は、基本理念で性的指向やジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならないと明記しているとおり、この前提の下、理解増進の取組が行われていくことになります。多数派の誰かが不安だと言っても、それが不当な差別につながったり、不当な差別を温存するような施策は、この法律に基づくものとしては当然認められないでしょう。
本来は差別的取扱いを禁止する法律というものが必要ですが、それでも何もないよりはあった方がいいのではないかと思い、この間の理解増進法をめぐる議論を私は見てきました。むしろ、最後の最後に、法案の趣旨とは真逆の、むしろ理解を制限、阻害するような法律が通ってしまいそうな現状に強い憤りを覚えています。
私自身、ゲイの当事者として、この間、性的マイノリティーに関する情報発信をしてきました。実際、私も、友人を自死で亡くしている経験があります。この間のやっぱり法案の審議をめぐっては、やはり臆測だったりデマに基づいた言説が広げられてしまって、本当に苦しい思いをしている当事者がたくさんいます。ただでさえ、いじめや差別、ハラスメントで苦しい思いをしているのに、さらにそれを追い打ちを掛けるような言説がこの政治の場から出てしまっていることに本当に憤りを覚えていますし、今まさに命が失われてしまう可能性があるということに本当に心から向き合ってほしいと、そのように思っています。この間、誰が性的マイノリティーの直面している困難に向き合っているのか、そうでないかというものが明らかになったというふうに私は言えるんじゃないかと考えています。
理解を広げるための法律のはずが、多数派の安心や家庭、地域住民の協力といった点を口実に理解を広げることを阻止されてしまうということになると、やはり、今後、性的マイノリティーの人々を苦しめ、追い詰め、命を見捨てていくことになる可能性があります。そうした判断を下そうとしているということを是非国会議員の皆様に分かっていただきたいというふうに思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/162
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163・木村英子
○木村英子君 ありがとうございます。
差別は、障害者に限らず、大多数を前提にした社会から排除されてしまう全ての人たちの共通の脅威です。
今回の法案は、LGBTの方たちへの差別を認めたくないという意思さえ感じます。実際に差別を受けてきた障害当事者として怒りを禁じ得ません。この法案が通ってしまったら差別が助長されるおそれがあることは、松岡参考人のお話を聞いてからも明らかです。差別や偏見にさらされ、生きづらさに苦しんでいるLGBTの当事者の方たちが安心して生きられる社会を実現するために、障害者差別解消法と同じように、当事者主体で法律が作られなければならないと私は考えます。
本法案は、私は、廃案とし、審議をやり直すことを求め、私の質疑を終わります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/163
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164・上田清司
○上田清司君 国民民主党・新緑風会の上田清司でございます。
憲法十三条には、全ての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。同じく十四条に、全ての国民は、法の下に平等であって、人権、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的、社会的関係において、差別をされないとうたっております。こういう背景に今回の法案が私は作られているものだと信じております。
また、私は、個人的な政治信条で、個人の責任でないことで生じる不利益、不条理を除去するのが政治の仕事だと思っております。そういう意味合いにおいて、LGBTに係る全ての人々が個人として尊重され、尊厳のある幸福追求ができることを願っておるところでございます。
そこで、本日は、当事者でもあります細田智也さんに参考人として御出席をいただいております。大変お忙しい中、御理解賜りまして、ありがとうございます。
若干の御紹介いたします。細田さんは、一九九一年生まれで、約二十歳の頃に名前を変更されました。男性名に変更され、また、手術を受け、戸籍上の性別も変更されました。臨床検査技師として活躍され、二〇一七年には入間市議会議員になられて、世界で初めて女性から男性へのトランスジェンダー議員となっておられます。LGBT自治体議員連盟を設立され、その中核メンバーとしても活躍されておられます。青年会議所や消防団にも入団され、二〇二〇年六月には、英国の非営利団体ワン・ヤング・ワールドによる、地域社会の若者に好影響を与える年間最優秀政治家十五人のうちの一人に選ばれておられます。そうした背景を持って今日は御出席をいただきました。
早速ですが、この法案の成立について、まあ意義と言えばオーバーでございますが、どのように受け止めておられるか、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/164
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165・細田智也
○参考人(細田智也君) 私が本法案の成立意義、オーバーになってしまいますが、そういった法整備が進むということを、一これは当事者としてあれですが、今回、このLGBTの法整備に対する、我が国としては最初のこういった法案の整備になるのかなと思います。
そういったところで、この今回の中身、条文を見ると、やはり一〇〇%、百点満点ではありませんが、LGBTの抱える全ての問題を解決するには程遠いものでもあると思います。ですが、LGBTの抱える困り事の解消であったり、多様な人と人との共生を何歩も進めるものであります。生じていない、今問題が生じていることもありますが、今いろんなこういった法案の中のその文言に対して、いろいろな問題が生じるということが懸念されているところでもありますが、少しずつ、一歩前進する後押しをするものであると一当事者としては考えているところでもあります。
この法案は、未来に展望を持てない状況にある当事者、ある一部になるかもしれませんが、当事者にとっては、未来への希望が持てる時代の先駆けにつながるものと、私自身、一当事者としては考えているところでもあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/165
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166・上田清司
○上田清司君 ありがとうございます。
ジェンダーアイデンティティの多様性の理解がまさに不足しているからこの理解増進法が作られているわけでありますが、人生の中で、経験された中で、最も不都合なというんですか、不条理な理解不足などについて、経験の中で、こんなことだけは困るねとかというような定理みたいなのがあれば御教示いただければ、経験の中でのお話で結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/166
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167・細田智也
○参考人(細田智也君) 私自身がそのジェンダーアイデンティティの多様性への理解が不足をしていると感じられる事柄について、私自身の経験の中でいいますと、やはり世界的に見ても、性的マイノリティーは、男女で愛し合う性的マジョリティー、多数派に比べて社会的立場も弱く、カミングアウトをした場合、仕事を辞めさせられるなどの差別を受けたりとか、からかいやいじめの対象となっているということも実際にあります。
私自身は女性から男性のトランスジェンダーでありますが、やはり小さい頃から、おとこ女ですとか、大きくなって、戸籍、今、私自身は二十三歳のときに、子宮と卵巣を、そして乳房の切除を二十三歳のときに行い、戸籍の変更まで行っております。しかしながら、やはりこの社会的のところ、多様性の理解が不足していることによって、カミングアウト、私自身は元女性だということを言うと、やはり外性器が付いていなければ男ではないとか、そういった心ない言葉を浴びさせられることも正直ありました。
また、この様々な、家庭での無理解であったりとか、私自身は学校でのいじめはありませんが、就職時の差別的な扱い、人生のどのステージにも、トランスジェンダー、性自認と性的マイノリティーのところではやはりいろいろな困難があるということが実際にあります。
私自身は、トランスジェンダーであるということを臨床検査技師として働いている際に上司に伝えたときに、誰にも余り伝えてほしくないと直属の上司だけに伝えていたにもかかわらず、やはりその直属の上司から、勝手に、あの人はトランスジェンダーであるという、何か配慮をしなければならないというような、善かれと思って言ってくれているということは分かりますが、やはり勝手にアウティングをされてしまうということも実際に、理解不足によって起こったということも実際にありました。
そういったように、少しずつ社会が、理解が不足していることによってこういったことが起こっているということも実際に経験をしたことでもあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/167
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168・上田清司
○上田清司君 ありがとうございます。
あわせて、まさにジェンダーアイデンティティの多様性、これを配慮される必要な場面というんでしょうか、そういうことについても、今までの人生経験の中で、まさに配慮をしなければならない空間だとか場面とか、そういうものが、印象深いものがありましたら御教示ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/168
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169・細田智也
○参考人(細田智也君) ジェンダーアイデンティティの多様性の配慮が必要とされる場面につきましては幾つかありますが、やはり一番は家庭での無理解。私自身は家庭が恵まれておりましたが、やはり家庭での無理解によって、自分自身が一番安心を求める家庭で、やはり心ない言葉が浴びさせられることもあります。また、あとは学校、教育現場でのいじめであったりとか就職時の差別的な扱い、やはり先ほどの多様性の理解が不足しているところに重なる部分ではありますが、そういったところで配慮が必要とされる場面も多く私自身はありました。
また、トイレとか、トランスジェンダーに至っては、トイレや更衣室の利用、あとは健康診断の受診、これもやはり男女別で行われるところではありますが、やはり私自身は女性から男性ということで、女性のところでくくられる枠に対して、やはり自分自身が見た目はもうホルモン注射をして男性で、女性枠で健康診断を受ける際には、やはり何で男性がこんなところに、女性枠なのにというようなところで、やはり少しでもそういった健康診断での受診の配慮であったりとか、あとは性別や通称名とか服装とかの規定がやはり、トランスジェンダーに至っては、やはりその見た目と着ているものの服装が違っていたりすると、後ろ指というか、差別的な発言を多く浴びされることもありました。
そういったところで、少しでも配慮が必要とされる場面は、段階的にも、やはり家庭であったりとか学校、教育現場、本当にいろんなステージ、ステージによって配慮されることは異なってくるというか、ばらばらになってきてしまいますが、配慮される必要性はあるのかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/169
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170・上田清司
○上田清司君 貴重な意見、ありがとうございます。
まさにこの法案は理解増進法でありますが、細田さんから見て、国民の理解を増進させるための方策として何があるのか。もちろん、今二つのお話の中にもそのヒントがありましたけども、改めて、国民に理解を増進させていただくには当事者としてこんなことが必要だよというお話をいただければ有り難いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/170
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171・細田智也
○参考人(細田智也君) 国民の理解をするための方策につきましては、もう本当に一つ、今回こうやって法案が出ておりますが、一番簡単に言うのは、やはり差別の禁止の法律を作るということが本当は望むべきところかなとは思います。
しかしながら、今、差別禁止ということではなく、やはり自治体であったりとか、地方自治体にそういったところ、差別を、差別というか、理解を促進をしてもらって、そういった理解だけ、思いやりだけでは差別はなくならないと思いますので、そういったところを、国から下の自治体に対して理解を促進を、と差別を少しでもなくしていただけるような働きかけというところの方策が一番早く、そして望んでいること、一当事者としては望んでいるところでもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/171
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172・上田清司
○上田清司君 ありがとうございます。
どうしても、この機会にこれだけはお伝えしたいという内容があれば、どうぞ伝えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/172
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173・細田智也
○参考人(細田智也君) 私自身が最後に伝えたいということは、やはり、よくトランスジェンダー、今ヘイト的な活動であったりとか、そういったものがSNSであったりとかネット上でよく見受けられることでもあります。日本では、周囲の目を気にし、社会的立場を維持するために、自分を曲げてでも性的に受け入れられない相手と結婚する性的マイノリティーの方もいらっしゃいます。しかし、これは自分と周囲を偽り続けることにあるため、やはり苦痛を強いられている生活を送っている人はこの日本の中にはたくさんいらっしゃいます。その結果、自分も家族も不幸にしてしまったり、自ら死を選ぶ人もやはり少なくはありません。
今回、この法案でありますが、時代に合わせた改正であったりとか施策の進展に伴う改正を望む希望を持ちつつも、まずは誰一人というか、少しでも多くの国民が住みやすい社会になればいいなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/173
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174・上田清司
○上田清司君 大変ありがとうございます。貴重な意見を賜りました。
これからは、発議者と政府にお伺いしたいと思っております。
まず、語句による対立を招かないようにジェンダーアイデンティティという用語を採用したと伺っておりますが、修正案提出者の斎藤アレックス議員に、この理由の中身についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/174
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175・斎藤アレックス
○衆議院議員(斎藤アレックス君) 今、上田委員から御指摘のあったように、対立を招いているというところが最大の理由でございました。
改めてになりますけれども、文言の修正によって内容が変わるものではございませんので、性自認、性同一性、それぞれの提出者の思いがある中で対立の要因になってしまっていたと。そういった対立を排してこの法案を前に進めるための、元々、いずれも英語ではジェンダーアイデンティティの言葉の訳語でございましたので、こういった混乱を避けてジェンダーアイデンティティを採用するのが適当だと考えて、この文言とさせていただきました。
この英語、英文の文字を用語に用いることに関しては様々な議論があるかもしれませんけれども、ジェンダーもアイデンティティも国内で定着をしている言葉だという判断の下で、問題ないという判断で、こちらジェンダーアイデンティティとさせていただいております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/175
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176・上田清司
○上田清司君 ありがとうございます。
小倉大臣、この用語についての評価というんでしょうか、についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/176
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177・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 議員立法の内容そのものについては政府としてコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、その上でお答えをいたしますと、用語の意味はそれぞれ用いられている文書等に応じて定まってくるものと考えられますが、一般的には、性自認、性同一性という言葉はいずれも英語のジェンダーアイデンティティの訳語として用いられているものと、こう理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/177
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178・上田清司
○上田清司君 ありがとうございます。
全ての国民が安心して生活できる法律十二条に対して、大変議論が非常に出てまいりました。運用に必要な指針の策定が定められていますが、そもそもその趣旨はどういうことなのか、斎藤アレックス議員に修正案提案者としてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/178
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179・斎藤アレックス
○衆議院議員(斎藤アレックス君) こちら、あくまで、これも繰り返しあったと思うんですけれども、今、地方公共団体で行われている取組を阻害したりとか抑制したりするものでは一切ございません。
あくまでこの趣旨としては、地方公共団体の取組に関して、本法案が成立していない現在も、既に多くの団体で、地方公共団体で、様々な要望を受けて取組をされて、条例や計画を策定するなど行われています。しかし、中には、国としての方針もないと、よりどころがないままで対応に悩む声もあるというふうに承知をしております。また、条例や計画の内容は各地方公共団体によってまちまちとなってしまっているという現状を問題視する、そういった声も届いております。また、同様に、事業者や学校設置者などにおいても対応に悩むケースがあると聞いているところでもございます。
こうした中で、国が性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関してしっかりと研究を行って基本計画とともに指針を示すことができれば、国との連携を図りつつ施策を推進することが求められている地方公共団体や事業主、学校の設置者としても、基本計画や指針を参考にしてより適切な対応が検討されることができるようになるということを目指して、そういった趣旨でこういった文言を採用させていただいております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/179
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180・上田清司
○上田清司君 指針の策定の意味は分かりました。
先ほどから、この十二条については、むしろ理解増進ではなくてブロックするものではないかというような意見がありましたが、この点についてはどのように、まあ反論といった言葉が、ちょっときつい言葉になりますが、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/180
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181・斎藤アレックス
○衆議院議員(斎藤アレックス君) こちらも、繰り返しになってしまいますけれども、今お答えしたように、これあくまで地方公共団体やその他の団体等で推進、もう既に進められているものや、これから進んでいくそれぞれ独自の取組を阻害するもの、抑制するものでは全くないということで、一部の与党の議員の方が独自に発信されていることとこの法案が目指していることは全く違うことでございます。
あくまで理解の増進、多様性を受け入れる社会をつくっていくための一つのスタート地点、発射台としてこれを進めていこうということで、当然、今参考人からもいただきましたように、これは全ての方にとって一〇〇%、百点の問題、ものではないということは重々承知をしておりますので、ここを土台として、あくまで目的は性的マイノリティーの方々の社会での共生、理解の促進を進めていく発射台として、スタート地点としてこれをやっていこうということでございますので、その点、是非委員の皆様には御理解をいただきたいというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/181
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182・上田清司
○上田清司君 今、斎藤議員が言われましたように、あえて、この法律の規定については、法律の施行後三年を目途に状況等を勘案していくというような案文まで入っているところです。
私も、なかなかこういう課題については、とりわけベストは作りにくく、ベターすらもなかなか厳しい、よりベターというんでしょうか、のようなところでとどまらざるを得ないものではないかというふうに認識しております。しかし、やっぱり少しずつ前に進めていくということが非常に重要だというふうに考えておりますので、今回、積極的に受け止めていきたい、このように考えているところでございます。
そこで、小倉大臣には、政府にこの要求が出ております、運用に必要な指針を策定するものとする。これも、じゃ、どのくらいの期間で作るんだとか、そういうおおむね、当然この案が出てくれば、事務方の方で、大臣、このくらいの感じですよとか、そういう議論はなされるんではなかろうかと思うんですが、どのくらいの期間が必要なのか、この策定するまでに、そういうめどみたいなことについては内部で検討されておられるのか、あるいは全くそういうことは今の段階で言えませんよというような話なのか。
しかし、この言えませんよという話もなかなかつらいなと。一般的に言えば、こういう法案が出てきて運用の指針を策定するという話だったら、やっぱりできるだけ速やかにやるというのが普通ではないかと思いますので、どのくらいの期間を考えておられるか、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/182
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183・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 法案が成立し、施行された暁には、御議論いただいておりますように関係府省の連絡会議、これを立ち上げた上で基本計画や指針、こういったものの議論をすることになるんじゃないかというふうに思っております。それについては、この法律案は公布日施行でございますので、まずは、法律が成立をした暁には、内閣府において速やかに体制を構築をさせていただきたいと思っております。
その上で、法律の趣旨や国会における御審議も踏まえて適切に対応していきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/183
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184・上田清司
○上田清司君 当然そういうことがなされるわけでありますが、これ三年を目途にまた見なくちゃいけない部分がありますから、策定に三年掛かりましたでは話にならないわけですから、そういう意味で、一体どのくらいを考えておられるのかというのを伺っているんですよ。その、もにゃもにゃもにゃじゃ駄目なんだと私は思っております。
やっぱり速やかにこうした問題を片付けていくために、できるだけ関係者のところに運用の規定みたいなものを、これはまさに強制でも何でもありませんから、一つのモデルを出しておかれればそれを適当に使える人たちだけ使えばいいわけでありますから、でも、それも何にもないというのはなかなかつらい話でありますから、その点についてわざわざ議論がなされるわけですから、そういう会議もあるわけですから、ある程度やっぱり言っていただかないと困るんじゃないかなと思います。
全く、今のは時期が不明朗でございますので、どうぞ言ってください、遠慮なく。後ろの方で何か言いたそうですから、ちょっとサジェスチョンしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/184
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185・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 国会の御審議を聞いておりましても、当事者の意見もしっかり聞かなければいけないというふうに思います。まさに斎藤議員がおっしゃってくださったように、この指針の策定に当たっても、地方公共団体始めとする様々な関係者がございます。やはり、性急に事を進めて、皆様方の納得感が得られないものであってはいけないというふうに思いますので、そこは様々な関係者の声を丁寧に聞きながら検討していきたいというのが私の思いであります。
ただ、先ほど申し上げたように、計画の策定にしても指針の策定にしても、それを検討する場が必要でありますので、その場については、速やかに、法案を成立させていただいた暁には構築をさせていただきたいということを申し上げたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/185
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186・上田清司
○上田清司君 あらかじめ通告していた内容についての答弁が比較的早めに終了しましたので、元々一時半に終了する予定がいろんな事情で四十分も想定しておりましたので、私は速やかに質問をこれで終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/186
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187・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 暫時休憩いたします。
午後一時三十分休憩
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午後一時五十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/187
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188・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案を議題といたします。
他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/188
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189・打越さく良
○打越さく良君 私は、会派を代表して、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案に断固反対の立場から討論を行います。
反対の理由の第一は、本法案が、超党派のLGBTに関する課題を考える議員連盟がまとめた法案から大きく後退したものであるからです。
マイノリティーの人権を守るために多数派への配慮を要するとされるのであれば、本法案はもはや、LGBT理解増進ではなく、LGBTへの差別を増進するための法案でしかないのです。
本法案の、全ての国民が安心して生活することができるよう留意する、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつとの文言は、差別、偏見を助長するものでしかなく、自治体などが理解増進のための施策を進めることの阻害要因となるものです。
反対の理由の第二は、本法案がもはや議員立法の体を成していないことであります。
衆議院では、超党派議連がまとめた内容を踏襲した立憲・共産・社民案と、自民・公明案、維新・国民案の三案が存在し、この三案が審議されることとなり、法案提出時より超党派議連の意義が全く失われているのであります。しかも、六月九日、自民、公明両党は、維新・国民案を丸のみする形での修正に合意し、この四党合意案が提出されたその日に委員会で採決が行われ、不十分な議論のまま可決され、参議院に送付されました。超党派議連のまとめた法案を修正するのであれば、再度超党派議連に差し戻して議論を行うべきです。
したがって、本法案は、いわゆる荷崩れ法案と言われても仕方がないものであり、良識の府である本院においてそもそも審議を行うべきものではないのであります。
反対の理由の第三は、人権を軽んずることは国益を損なうことにほかならないからであります。
経団連の十倉会長は、理解増進ではなくて、差別を禁じ、同性婚を認める流れにある、あるいは多様性こそ社会の活性化の源だなどと指摘しており、LGBTの人権擁護は、その企業がビジネスパートナーとして信頼し得るかの目安、その国の成熟度を推し測る国際的にも重要な指標の一つであるからです。
最後に、本法案の審議で傷ついた人、本日までの審議で生きる希望を失いかけている人たちがおられます。しかし、それはあなたのせいではありません。私たち立憲民主党は、最後まであなたたちの側に立つことをお誓い申し上げます。
委員各位には、政治は、分断をあおり、苦しんでいる人を絶望に追いやるのではなく、希望と連帯のためにある、その原点に立ち返って本法案に反対していただきたい、そのことをお願いし、反対討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/189
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190・高木かおり
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
会派を代表して、本法律案に賛成の立場から討論します。
本法案は、第一に、法律の定義語につき、政治的な意味合いを持ち、対立軸になってしまっていた性同一性、性自認の文言を、国際的にも幅広く受け入れられている共通語のジェンダーアイデンティティにすることで、多くの方々から理解、賛同を得られるものとなっております。
第二に、性多様性への普及啓発、教育や民間団体との連携は重要ではあるものの、ほかの先進国ではそのタイミングや内容について摩擦が起きる事例も報告されています。
本日御出席いただきました森参考人からも、LGBT教育の中には、非常に先鋭的で社会が受け入れ難いものも存在する、そのようなLGBT教育を自発的な活動として促進してよいものか疑問に感じる旨の御発言や、学校でのLGBT教育は、家庭や地域住民その他の関係者の協力を得てこそLGBTに対する理解を深めるという目標が達せられるものではないかとの御指摘をいただきました。
教育や地方公共団体の施策の部分で修正を加えた我が党の提案部分は、最新の事例を踏まえて多くの懸念を払拭できるものとなっています。
そして、第三の点が重要です。
この法案が議論されるようになった二年前と比べて、特に男女別トイレや男女別スポーツにおける性多様性の在り方について不安の声が多く上がっています。二年前に合意した超党派案の意義は大きいものの、残念ながら、そうした懸念に必ずしも応えられる内容となってはおりませんでした。その点、我が党の新しい提案である、この法律の措置の実施等に当たっては全ての国民が安心して生活できるよう留意する条文を新設して追加することにより、トイレやスポーツといった場面で身体的区別を超えることを容認する内容ではないことが一定程度明確化されたと考えます。
森参考人からも、残念ですが、LGBTに対する差別、偏見はいまだに存在します、LGBTに対し恐怖心を抱く人もいます、そのような方々に対し、LGBTに関する正しい知識を身に付けていただくよう試み、全ての国民の安心を理想とする、それこそが理解増進の精神なのだと思う旨の御発言がありました。
加えて、政府による運用に必要な指針の策定が加筆されたことにより、より懸念や不安の声に応えられる内容となりました。
我々の提出した修正により、本法律案は、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることを目指す内容となっており、少数派が多数派を配慮しなければいけない法案であるという指摘は全く当たらず、全ての国民の皆様に安心していただける内容となっていることを申し上げ、私からの討論とさせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/190
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191・田村智子
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、自民、公明、維新、国民民主によるLGBT理解増進法案に反対の討論を行います。
LGBTQ+の当事者が、これでは差別増進法だ、廃案にと声を上げる下での法案採決にも、強く抗議をいたします。
最大の問題は、第十二条が維新・国民民主案をベースに持ち込まれたことです。性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意する、このように法律の目的を百八十度転換し、マイノリティーに対してマジョリティーの安心を脅かすことのないようにわきまえろと求める、これがマイノリティーの人権擁護の法律なのでしょうか。
法案審議で、LGBTの方が直面する問題ではなく、トイレなど女性スペースの問題ばかりが取り上げられたことに、十二条の意味するところは明らかです。
昨日、上野千鶴子氏など二十二人が呼びかけ人となり、LGBTQ+への差別・憎悪に抗議するフェミニストからの緊急声明が発表され、今朝八時四十分時点で賛同者は三百三十三人となっています。女性の安全がトランスジェンダーの権利擁護によって脅かされるかのような言説は、トランスジェンダーの生命や健康にとって極めて危険なものになりかねません。この厳しい批判は、この法案審議にも向けられたものと受け止めるべきです。
声明にあるとおり、トイレや公衆浴場は誰にとっても安全であるべきです。女性の安全が脅かされている現状は、性暴力の防止、被害者支援の法整備と取組の不十分さが問題であって、LGBTの権利に関わる法案の焦点として語るなど、全くのお門違いです。
トランスジェンダーも、深刻な性被害を受けている。しかし、被害を認められず、支援や相談の対象にもならないという特有の問題に直面している。自分の性的指向、性自認による差別、排除への不安を二十四時間三百六十五日抱え続け、生活の安全が保障されていない。今日の審議で、参考人から示されました。
生きづらさ、孤独、差別、これらは命に関わる問題です。LGBTQ+の人権擁護、差別解消の緊急性が明らかなのに、法案審議でそのことに焦点が当たらないのは異常というほかありません。
学校での教育、啓発は家庭、地域住民の協力を得つつ行うとする条文も、多数派が許容する範囲で認めるということになりかねません。性的違和感を抱く子供が、学校を通じて理解ある大人とつながる機会が奪われて、孤立を深めるようなことを起こしてはなりません。この条文を根拠として、一部政治家が学校の実践をやり玉に上げるようなことは、決してあってはなりません。
差別は許されないが、不当な差別はあってはならないと書き換えられ、国に対して義務付けた調査研究が学術研究に置き換えられる。民間団体などの自発的な活動の促進も条文から削除されるなど、超党派の法案はずたずたに後退させられました。自民党、公明党、維新の会、国民民主党は一体誰のための法案を作ったのかが厳しく問われます。
最後に、国会の全ての政党に何度も足を運び対話を続けてこられた当事者の皆さんに心からの敬意を表します。その根底にある思いは、私が私として生きたい、ただそれだけだと思います。その切なる願いに応えた理解増進、差別解消の取組は、全ての人が個人として尊重される社会を実現するでしょう。
家父長制に根差したようなステレオタイプの男性、女性、家族の在り方を押し付けようとしても、これを乗り越えようというムーブメントは決して止めることはできません。個人の尊重、ジェンダー平等、多様性の尊重へ、私たちは決して絶望することなく、共に歩み、必ず時代を動かす。この決意を述べて、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/191
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192・木村英子
○木村英子君 れいわ新選組の木村英子です。
会派を代表して、LGBT理解増進法案に反対の立場から討論いたします。
長年にわたり差別や偏見に苦しみ、生きづらい状況の中でLGBT当事者の皆さんが求めてきたものは、差別禁止する法律です。れいわ新選組は、障害者が共に生きられる社会の実現のために差別解消に向けて取り組んできたことから、一貫してLGBT差別解消法の成立を訴えてきました。
そうした立場から反対する理由は、第一に、六条の二項と十条の三項に、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつという文言が入れられたことです。
親や地域に理解してもらえないことで苦しんでいるLGBT当事者である子供たちがたくさんいます。しかし、六条二項と十条三項では、家庭や地域住民など、周りの理解や協力が前提とされているような文言になっています。家族や地域住民など幅広い人の中には、まだまだ誤解をしたり、偏見を持っている人がいる状況において、そうした人たちの声によって学校での理解増進教育を抑制されてしまう懸念があります。
第二の問題点は、十二条に、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意するという条文が入れられたことです。
差別をされている当事者の権利を守るはずの法律が、性的マイノリティーは多数派を脅かすような存在という前提で、性的マイノリティーへの合理的配慮を提供するのではなく、実質的に多数派の安心に留意してくださいとなっており、本末転倒と言わざるを得ません。
当事者からは、この法案に対して、理解増進ではなく差別増進につながるとして、反対の声が上がっています。障害者の場合、私たちのことを私たち抜きに決めないでを合い言葉に、当事者参画の下で条約の批准や国内法の整備がされてきました。私は、この法案を廃案にし、LGBT当事者の方々が真に望んでいるLGBT差別解消法を成立させるべきだと考えます。
以上の理由で、本法案に反対です。
以上で討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/192
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193・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/193
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194・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/194
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195・古賀友一郎
○委員長(古賀友一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121114889X01920230615/195
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