1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年三月三十日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
三月二十八日
辞任 補欠選任
小沼 巧君 吉田 忠智君
三月二十九日
辞任 補欠選任
吉田 忠智君 三上 えり君
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出席者は左のとおり。
委員長 山下 雄平君
理 事
堂故 茂君
船橋 利実君
宮崎 雅夫君
徳永 エリ君
舟山 康江君
委 員
加藤 明良君
滝波 宏文君
藤木 眞也君
山田 俊男君
山本 啓介君
若林 洋平君
石垣のりこ君
田名部匡代君
三上 えり君
下野 六太君
安江 伸夫君
串田 誠一君
紙 智子君
須藤 元気君
寺田 静君
国務大臣
農林水産大臣 野村 哲郎君
副大臣
農林水産副大臣 勝俣 孝明君
大臣政務官
農林水産大臣政
務官 藤木 眞也君
事務局側
常任委員会専門
員 笹口 裕二君
政府参考人
農林水産省畜産
局長 渡邉 洋一君
水産庁長官 神谷 崇君
水産庁次長 安東 隆君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/0
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001・山下雄平
○委員長(山下雄平君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、小沼巧君が委員を辞任され、その補欠として三上えり君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/1
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002・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、農林水産省畜産局長渡邉洋一君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/2
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003・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/3
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004・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/4
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005・船橋利実
○船橋利実君 おはようございます。自由民主党の船橋利実でございます。
今回は質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、早速質疑に入らせていただきます。
昨年策定されました食料安全保障強化政策大綱でも指摘をされているとおり、気候変動等による食料生産の不安定化、コロナ禍における国際物流の混乱による供給の不安定化、ウクライナ情勢の緊迫化等を受けて、食料安全保障の強化が国家の喫緊かつ最重要の課題となっております。
したがって、水産加工業に関わる施策を検討する際にも食料安全保障の観点を踏まえていくことが重要でありますけれども、食料安全保障において水産加工業者が果たされている役割をどのように考えているのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/5
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006・勝俣孝明
○副大臣(勝俣孝明君) ありがとうございます。
水産加工業は、漁業とともに水産業の車の両輪の役割を担い、地域経済を支える重要な基幹産業でございます。水産加工業は、我が国の食用水産物の国内仕向け量の約七割を水産加工品の原材料として使用しております。また、保存性が低く、時期による量的変動の大きい水産物を常時消費可能な形状にして安定的に供給しております。
このように、水産加工業は我が国の食料安全保障において重要な役割を担っているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/6
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007・船橋利実
○船橋利実君 ありがとうございます。
水産加工業者は食料安全保障において重要な役割を果たしているというふうに今ほども御答弁ございましたけれども、一方で、業界が置かれている状況というのは、原材料確保の困難、売上高、利益率の低下、生産経費の上昇等の課題を抱えて厳しい経営状況下にあります。特に原材料確保の困難については、主要魚種の不漁に加え、昨今の不安定な世界情勢等を受けて輸入原材料の調達が不安定化し、原材料の約三割を輸入に依存をする水産加工業者にとっては深刻な影響を受けておられます。
また、人材不足も課題でありまして、コロナ禍で外国人技能実習生が入国できなかった影響も大きいと言えます。
こうした課題を抱えている水産加工業者に対してどのような支援策があるのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/7
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008・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
原材料確保の困難などの課題を抱える水産加工業者に対しましては、この水産加工資金により日本政策金融公庫から長期低利の資金調達を可能とするほか、加工原材料の転換や調達先の多様化などの取組の支援、漁業者団体などが水産物の買取り、保管、販売をする際の支援、生産、加工、流通、販売の関係者が連携したマーケットニーズに応えるバリューチェーン構築の取組の支援、水産物の加工、流通機能などを強化するための共同利用施設などの整備の支援などの支援策を講じているところでございます。
また、新型コロナウイルス感染症に伴う外国人技能実習生の入国制限による人手不足を解消するため、水産加工業者が国内人材を雇用する場合の掛かり増し経費、掛かり増し賃金の支援も行っております。
さらに、人手不足に関しましては、特定技能外国人につきまして、昨年八月に水産加工業を含む飲食料品製造業の受入れ上限を五万三千二百人増枠し八万七千二百人としたほか、先端技術を活用した省人化、省力化のための機械の導入の支援を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/8
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009・船橋利実
○船橋利実君 次に、水産加工資金は長期低利の融資により水産加工業者の施設整備等を支援するものでありますが、本資金が水産加工業者にどの程度利用されている実態にあるのか、また、これまで水産加工業者にどのような活用がなされてきたのか、本資金の融資実績及び融資の効果についてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/9
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010・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
本法案の水産加工資金の実績は、前回の法改正の平成三十年度以降令和三年度までで、総件数では百六十六件、平均では一年間に約四十二件となっております。また、令和四年三月末現在で、貸し付けている事業者の総数は二百八十五、貸付件数は四百七十七件となっております。
本資金は、水産加工品の製造、加工施設の改良などに活用されることで新たな技術の導入や新製品の製造、開発などが促進されており、水産加工業者の経営の安定化と体質強化に寄与してきたところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/10
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011・船橋利実
○船橋利実君 ありがとうございます。
次にお尋ねいたしますが、令和四年度水産加工業経営実態調査によりますと、水産加工業の事業所数、これは六千八百五十六事業所というふうになっておりますけれども、事業所数に対して融資実績がこれは少ないというふうに見えますけれども、また、特に平成から令和にかけて融資の実績そのものが減少傾向にあるのではないかというふうにも見れるわけでありますけれども、こうした理由についてはどのように分析をされているのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/11
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012・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
水産加工資金は、民業補完の原則の下、民間金融機関のみでは対応しにくい長期の設備融資を対象としていますが、その融資実績はほかの食品産業に係る公庫資金と比べても遜色のないものとなっております。
令和元年度に融資額が減少している要因といたしましては、東日本大震災後の復興に伴う設備投資などの需要がある程度落ち着いたこと、東京オリンピック・パラリンピック需要などによる建設資材の不足や建設費高騰に伴う設備投資の延期が見られたことにより資金需要が落ち込んだことなどが考えられます。また、令和二年度や三年度の減少につきましては、さらに、新型コロナウイルス感染症により資金繰りが悪化し、新規での大型の設備投資や既存の施設の改良などを行う余力がなかったことが考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/12
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013・船橋利実
○船橋利実君 今ほど資金の需要の分析ということについてお答えをいただいた次第でありますが、今後これは増えていく可能性もあるというような、可能性があるという認識に立たせていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/13
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014・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
先ほど令和三年度までの減少理由を申し上げましたけど、令和四年度につきましてはまだ年度途中、まあ、もうほぼ最後ですけれども、年度途中ですが、現在までの状況を公庫から聞き取ったところ、令和三年度と比較して融資額は回復傾向にあるというふうに伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/14
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015・船橋利実
○船橋利実君 ありがとうございます。回復傾向にあるということでありますから、今後この資金がやはり有効に使われるものであるということが理解させていただくことができました。
次に、加工資金法は、昭和五十二年に五年間の限時法律として成立をした後、これまで五年ごとに合計八回延長が行われております。今回が九回目への延長というふうになるわけでありますけれども、水産加工業者を支援してきた加工資金の役割、依然として厳しい水産加工業者を取り巻く状況というものを踏まえれば、今回も延長はまさに必須ではないかというふうに考えますが、本法を限時法としている理由、それをお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/15
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016・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
水産加工資金法は、昭和五十二年の制定以降、五年間の限時法という枠組みの下で、有効期限を迎えるごとに制度の必要性を確認し、また、水産加工業をめぐる情勢の変化を踏まえて、必要に応じ見直しを行った上で期限の延長をしてきたところでございます。
この法律が政策金融の言わば深掘り措置であることに鑑みれば、五年間の限時法として、期限の到来時において、情勢の変化を踏まえて、改めて制度の必要性を確認することが適切であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/16
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017・船橋利実
○船橋利実君 ありがとうございます。
道内の水産加工業者の方々の経営規模を見ると、非常に零細の事業者の方から一定程度の規模の方まで、かなり幅が広いのが実情かというふうに思ってございます。ただ、この零細から中小あるいは大規模も含めて、全ての水産加工業に関わる事業者の方々がこれからも経営を継続をしていただく、そのために必要な投資なども十分にしていただくということが水産業全体の発展にも必要なことでもありますし、また、そのことがひいては国民の食料の安全保障にもつながっていく重要な観点であるということを申し述べさせていただきたいと思います。
また、そうした中で、水産加工業の振興を図っていくという上では、水産加工品を含む水産物の消費拡大というものが極めて重要ではないかというふうに考えております。
実は、私の友人、元々は魚の卸をされていた方が、コロナ禍でホテルとかあるいは飲食店とかに対しての卸がうまく商売としてできなくなったということから加工業に転換をされた方がおられました。この方は、この農水の事業ではなくて、たまたまものづくり補助金などを使って新しい加工機械などを導入されたということなんですけれども、ホッケとか塩サバの一夜干しを作りました。これが非常に好評を博しておりまして、こうした最先端の技術をこの融資制度なども使って広げていただくということは大事なわけでありますけれども。
そこで、我々の感覚でいうと魚は焼くという感覚があるんですけど、一夜干しですから。ところが、二十歳の女の子が買いに来たと。で、二十歳の女の子ですから、家に魚を焼くトースターなどはありますかと、オーブンなどありますかと聞いたら、ないという話で、じゃ、どうやってこの一夜干しの魚を調理して食べるんですかと聞きましたら、お米と一緒にジャーで炊く、こういうお話でありました。それで、実際に売っている側の方もそれを試してみると、確かにうまいと、こういうお話でありました。
したがって、これ、まさにその魚の食を広げていく上では、多様な食べ方、こうしたものも周知をしていく必要性というものが必要でありましょうし、今生活様式がどんどん変わっている中にあって、この水産加工品そのものの開発の手法というものも様々な工夫が必要ではないかというふうに思ってございますけれども、農林水産、水産庁として今後の水産物の消費拡大に向けた取組を最後に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/17
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018・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
水産物の消費拡大には、少子高齢化や共働き世帯の増加などを背景とした消費者の簡便化志向の高まりなど、生活様式の変化に対応し、消費者ニーズを的確に捉えた水産物を提供することが必要と考えております。
このため、農林水産省では、消費者の内食需要などに対応した簡便性に優れた商品提供方法などの開発、実証の取組を支援するとともに、さかなの日を制定し、水産物の魅力や調理方法を発信するなどの取組を官民協働で実施するなど、水産物の消費拡大に向けた取組を行っているところでございます。
また、国外に対しましても、海外の展示会などにおきまして、出展者による現地の生活様式も踏まえた調理法に関するデモンストレーションやセミナーの実施などを通じて、海外における消費拡大に向けた取組を支援しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/18
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019・船橋利実
○船橋利実君 ありがとうございました。以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/19
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020・徳永エリ
○徳永エリ君 皆さん、おはようございます。立憲民主・社民の徳永エリでございます。
水産加工資金法について質問させていただく前に、先日決定いたしました畜産・酪農緊急対策パッケージについて少し御質問をさせていただきたいと思います。
まず、皆さんのお手元にお配りした資料を御覧いただきたいと思うんですけれども、これ、先日、自民党の農林部会で農林水産省から提出された資料の中から抜粋をいたしました、酪農の規模別収支分析の資料であります。
この北海道と都府県の比較なんですけど、どうしてこういうふうな規模別の分け方をしているのか、まあ御説明はいただいたんですけど、納得がいかないというところがありますし、それから、北海道の大規模酪農家、百頭以上のところですけれども、ここに書かれているのは、自給飼料生産等、効率的に生産を行っている経営体では、乳代で生産コストが賄えている状況となっているわけですね。
ここが一番実は厳しいと私たちはずっと言っておりまして、今、生乳の減産、それから、自給飼料を作ろうと思っても、種代が令和三年から五年までの二年間で一二%上がっています。さらに、肥料代が一年間で六〇%、国の支援等を除いても三五%も上がっているわけです。そして、燃油代はここ三年間で四〇%程度上昇しているという状況です。
そして、少なくとも、ここに注釈で、畜産クラスター、これによって高額の投資を行っていて、借金の償還をしなきゃいけないということぐらいは書いていただかないと、これを見た都府県の自民党の先生方が、何だ、北海道、ちゃんと乳代で賄えているんじゃないか、こういう間違った認識にもなりかねないと思うんですが、ここに書かれていることが、局長、これ農林水産省の基本的な北海道の大規模酪農家の現状についての認識なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/20
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021・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) お答えをいたします。
酪農経営の生産コストや収益性でございますが、経営管理能力ですとか、その有する自給飼料基盤の規模、あるいは輸入飼料への依存度、その他の条件によって異なっているということでございます。厳しい経営環境の下で離農される経営体も少なからずおられますけれども、自給飼料を活用するなど効率的な生産を行うことで乳代で生産が、生産コストが賄われている経営体もあると承知をしてございます。
なお、この資料でございますが、令和三年の畜産物生産費統計を基に直近の物価を踏まえて推計をしたものでございまして、平均的な姿を説明したものでございます。
委員御指摘のように、大きく投資を行いまして、自給飼料基盤が十分でない中で借入金によって大きく経営規模を拡大されたような経営体におかれましては、償還圧力などによりまして平均的な経営体に比べて厳しい経営状況にあるという、あっ、ある可能性ももちろんあると考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/21
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022・徳永エリ
○徳永エリ君 じゃ、せめて注釈ぐらい付けていただきたいというふうに思います。
それで、農水大臣を中心に大変に御尽力をいただきまして、畜産・酪農緊急対策パッケージ、決定していただきました。いろいろとこの中で質問したいこと本当はあるんですが、時間がないので、酪農緊急対策の国産粗飼料利用拡大緊急酪農対策、ここについてお伺いしたいと思うんですけど、やっぱりこの都府県と北海道、なぜ一万円と七千二百円と分けるのかということなんですけれども、北海道の酪農家の方々がみんな自給粗飼料を使っているわけではないんですね。大規模酪農経営家の中には輸入粗飼料だけ使っているという方もいるわけですよ。それが、北海道であるがゆえに七千二百円しか付かないということですから、この都府県と北海道で分けるという分け方がどうしても納得いかないんですけれども、この点に関してはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/22
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023・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 北海道と都府県とで何で差が付いているのかということでありますが、この単価を決めるに当たりまして、どれだけの生産費が掛かっているかということを調べさせていただきました。そうしますと、ちょっと数字を申し上げて恐縮ですが、北海道はTMRがやっぱり中心になっておりまして、これが生産費統計で六万八千三百八十一円、それに比べますと都府県は四万三千四百七十九円、そしてその購入粗飼料が北海道は三万一千八百六円で都府県は十九万百十五円という大きな格差が付いているものですから、先ほど徳永委員おっしゃいましたように、地域、都府県と北海道とのこの粗飼料対策についての格差が生じてきているので、購入粗飼料に対する支援という考え方で整理をしておりますのでこういった都府県と北海道の差が付いたと、こういうことでございますので、是非御理解をいただきたいというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/23
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024・徳永エリ
○徳永エリ君 なかなか理解ができないんです、昨日もその話をさんざんさせていただいたんですけれども。
先ほど申し上げましたように、北海道でも購入粗飼料を使っている酪農家の方がおられるわけですから、やっぱり公平ではないというふうに思うわけですね。ですから、直接払いのような形で全国一律で一万支援、こういうことぐらいしていただかないと、なかなか、この苦しい状況を乗り越えて、そして離農を食い止めるというところにはならないと思いますので、決まってしまったことではありますけれども、現場の皆さんは大変に不満に思っておりますので、そのことだけお伝えしておきたいというふうに思います。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案に関連して御質問させていただきたいと思います。
先日、二十四日、日本や中国、ロシアなど九か国・地域がサンマの資源管理について話し合うNPFC、北太平洋漁業委員会の年次総会が終了いたしました。二〇二三年と二四年のサンマの年間総漁獲枠を二二年比二五%減の二十五万トンにすることで合意をしたということでありますけれども、日本では歴史的なサンマの不漁が続いておりまして、今回の年次会合で我が国は大幅な漁獲枠の削減を提案していたということであります。
具体的には、中国や台湾などの漁獲量の多い公海で十万一千トン、日本とロシアのEEZは六万九千トンの計十七万トンにするように求めたということですが、二十五万トンで合意に至るまでどのような議論があったのか、また他の合意内容について、そして水産庁としては今回の合意内容をどのように受け止めておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/24
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025・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
サンマというものは公海と日本やロシアのEEZの両方にまたがって生息しております。一方で、今回交渉が行われましたNPFCは公海のみを対象とするわけでございますので、そこで条約水域とサンマが分布する水域との間にまず掛け違いというのが、まず一点目の複雑さというのが生じます。
さらに、近年の漁獲は九万トンでございますが、これはほとんど公海での漁獲でございますので、意味のある削減をする、保存管理を決定するためには、この公海での九万トンをいかに削減するかというところが大事なところであったわけでございます。
一方で、中国、台湾、韓国などのいわゆる遠洋漁業国は、表面的にはサンマ資源が悪いので何とかしないといけないとは申しますけれども、実漁獲、この九万トンより削減するということには非常に頑強に抵抗を示すというような状況でございます。それで、切り込みを反対するために、むしろ条約水域の対象外である日本の水域を削減しろとか、そういったことを申したり、また、今回の、今までの措置が今年でちょうど期限切れになりますので、これが切れてしまうと制限措置がない状態になってくるというようなことがあります。
ですから、我々といたしましては、日本水域にサンマが回遊したときにどうするかというものと、制限が無制限措置にならないようにするにはどうしたらいいかと、さらに公海を切り込むにはどうしたらいいかという三つの目標を掲げましてやりましたので、結果的には公海の措置が十九万トンから十五万トンということで、九万トンの削減には至っておりませんけれども、全体の天井を低くするという意味で効果があったと思っておりますし、日本水域に今度回遊してきたときに捕れる仕組みは残しているというような形での、そういう意味でのパッケージでの一定の成果はあったと認識しておりますが、委員御指摘のように、実際は公海の漁獲枠を切り込まないと意味のある削減措置にはなりませんので、引き続き公海の措置の強化を求めて関係国に働きかけていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/25
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026・徳永エリ
○徳永エリ君 今お話がありましたように、今回の日本の提案でも、漁獲枠が実際の漁獲量を上回っているという状況なわけですね。
北海道の道東の漁師さんたちからは、資源増加への実効性は期待できない、現実に即した規制になっていないなどという声が上がっているということですが、これ、資源回復ということが問題なのか、中国や台湾が捕り過ぎていることが問題なのか、その辺が非常に難しいわけでありますけれども、日本のサンマ漁船は、棒受け漁の漁船は大体二百トンクラスかもう少し小さいぐらいの漁船だと思うんですけれども、台湾や中国の漁船というのは千トンクラス、大型船ということであります。
さらには、運搬船に移す洋上転載の問題などもありまして、我が国としてこれからこういうことをどう対応していかなきゃいけないのかということなんですけれども、日本は歴史的なサンマの不漁が続いています。サンマはもう沿岸では捕れなくて、今公海で九五%を捕っているということでありますから、公海が主要漁場となっているわけですから、中国や台湾が大量に捕っているということを黙って見ていないで、日本も何とか捕ると、船を大きくするのか船の数を増やすのか、どうするのかはいろいろ問題はあると思いますけれども、日本も公海でもっと捕るという方向で対応できないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/26
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027・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) 委員御指摘のように、現在サンマの漁獲は公海が主体となっておりますので、これまで日本は沿岸に来遊するのを待って捕っておったわけなんですが、最近のような漁場の位置や時期の変化に対応して我が国サンマ漁業の経営が継続、発展できるよう、漁業経営、操業の在り方などについて、公海という点も含めて検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/27
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028・徳永エリ
○徳永エリ君 水産業、漁獲量ということで考えれば捕りに行く、でも、資源管理ということを考えれば、やはり中国や台湾などにもっとこの枠を小さくしてもらう努力をしなきゃいけない。まあなかなか大変なことだと思いますけれども、やっぱり今世界的に資源管理の流れでございますので、我が国としてもしっかりと持続可能な水産業のためにこの問題も対応していただきたいというふうに思います。
そして、温暖化による海洋熱波の影響について伺います。
先日、アラスカ・ベーリング海のズワイガニが初めて禁漁になったということですが、二〇一九年から二〇二一年にかけての調査で、百億匹のズワイガニがいなくなったことが分かったということであります。二〇一八年から二〇一九年に起きた海洋熱波が影響しているということで、禁漁による損失額は一千三百五十億円にも達するということで、アメリカ史上最悪の規模になるかもしれないということなんですが、このズワイガニの禁漁は我が国にどんな影響があるのか、そのことについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/28
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029・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) アメリカのアラスカ州では、その前に、ズワイガニというのは、我々、ズワイガニと言っておりますけれども、我々の言うズワイガニ、これはオピリオ種というのがございますが、それともう一つ、オオズワイガニ、バルダイ種という二種ございますが、アメリカのアラスカ州政府は、今回、そのオピリオ種について史上初めての禁漁措置をとりました。その背景には、委員御指摘のように、四年間で百十七億匹いたズワイガニが十九億匹まで削減してしまったというのがあります。加えて、アメリカ政府は、済みません、アメリカのアラスカ州政府でございますが、ブリストル湾のタラバガニについても二年連続で禁漁措置をとることを決定しております。アメリカの海洋大気庁におきまして、ズワイガニ資源の減少はこの海域で発生した海洋熱波が影響しているとの見解が示されております。
一方で、アメリカからのズワイの輸入量は全輸入の五%程度でございます。我が国は約一万七千八百トンほどズワイを輸入しておりますが、このうちアメリカからの輸入は二〇二二年で八百五十九トンでございますので、今のところ輸入業者からアメリカでの禁漁の影響が出ているとの影響はございませんが、引き続き情報収集に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/29
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030・徳永エリ
○徳永エリ君 この問題が大きな影響が我が国にあるということはないということでございますけれども、ただ、私の地元北海道や東北沖で海洋熱波が頻発しているということが明らかになっているわけであります。日本の水産資源が今どうなっているのか、今後どうなっていくのか、このアラスカのケースというのは人ごとではないというふうに思うんですね。
水産機構などで、あっ、水研機構などで調査はしているのかどうか、また影響を受ける漁業者や水産加工業者に情報を提供できているのかどうか、その点を確認させていただきたいと思います。
北海道も赤潮が発生しましたので、またいつ赤潮が発生するんじゃないかということを大変皆さん心配しているんですね。ですから、この調査と情報提供、大変重要だと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/30
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031・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
我が国でも、水産研究・教育機構が海洋熱波の状況把握と発生要因の研究のほか、海洋熱波を始めとする海水温の変動によるマダラなどの底魚を含めた水産資源への影響についても研究を進めております。海洋熱波を含めた海水温の変動が水産資源や漁業に影響を与え、漁業に与える影響が大きいことから、水産研究・教育機構では、各都道府県の水産試験場などと協力して海水温などの情報を漁業者に提供しておるところでございます。
なお、委員御指摘の北海道での赤潮の発生でございますが、これも海洋熱波が関係しておるだろうというふうに言われておるところでございますが、幸いにして今年はまだ発生していないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/31
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032・徳永エリ
○徳永エリ君 ただ、現場に聞いてみますと、その水研機構の調査、相変わらず昔ながらの定点調査をしていると。今レジームシフトという話もありますけれども、どんな魚がどの辺のところに今生息しているのか、深さはどの辺にいるのかとか、もっと詳細な調査が必要なのではないかという声が聞かれます。ともするとNHKのドキュメンタリー見ている方がよっぽど情報が分かるというような話もございましたので、しっかりと調査をし、そして情報提供に努めていただきたいというふうに思います。
水産加工事業者としては、安定的な加工原材料の確保が最も重要なんだというふうに思います。しかし、水産庁の調査によりますと、水産加工事業者の皆さんが直面している課題としては、この原材料の確保が困難と、こう答えた方が六八・二%もおられたということであります。
水産加工資金法の貸付対象となっている水産加工指定水産動植物、食用水産加工品の原材料として相当数が利用されているものということでございますが、多獲性魚種という言い方をしておりますけれども、この多獲性魚種も見てみますと、この中で今それなりに安定的に捕れているものというと、ブリとマグロぐらいしかないんではないでしょうか。最近はサバの不漁が続いていて、これも記録的な不漁だということで、一部水産加工メーカーがサバの缶詰を販売停止にしたことなどがニュースになっておりました。
また、私の地元北海道ではサケが捕れなくなって、今やブリの漁獲量が日本一というふうになっております。それから、函館のイカは約十年間で漁獲量が二十分の一になっています。皆さんも御案内のように、昆布もこれ海水温の上昇で捕れなくなってしまっていて、四年連続で過去最低を更新しているんですね。有明海のノリも捕れていないということで、そのうち東北、北海道がノリの産地になるんじゃないかというような話もあるようでございますけれども、このような大きな変化の中で安定的な加工原材料の確保が難しくなっている。この状況に水産庁としては今後どう対応していくおつもりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/32
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033・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
近年、海洋環境の変化を要因としましたイカ、サンマ、サケや地域における主要な魚種の不漁が継続していることに加え、世界の水産物需要の増大や燃油高騰などによる輸入原材料調達コストの増加もございまして、加工原材料の確保が困難となっている状況にございます。こうした状況を踏まえ、水産庁におきましては、加工原材料の転換や調達先の多様化などの取組の支援、漁業団体などが水産物の買取り、保管、販売する際の支援などを行っているところでございます。
今後とも、水産加工業者の原材料不足に対しきめ細やかに対応してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/33
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034・徳永エリ
○徳永エリ君 水産加工事業者の方々にお話を聞いてみましたら、今中国、韓国からこの原材料を輸入しても、もう高くてとても合わないということなんですね。じゃ、ロシアからとなると、今この情勢の中で、果たしてロシアから輸入していいんだろうかと。例えば、スルメイカなどはロシアでは扱っていないということで、ロシアから入れたら、鮮度が非常に悪いような状況があった場合に、これ返品もできないというリスクがあるということであります。
それで、加工業者の方も陸上養殖に取り組んでいるところもあるんですね。ただ、これ、御案内のように、お金が物すごい掛かるんですね。十億、二十億、三十億と投資しなければいけないということで、よほど資金がないとなかなかできないと。さらに、この陸上養殖になると、北海道なんかは全然その優位性がなくなるわけですよ。輸送コストも考えると首都圏に近いところでやった方がいいわけで、こういう様々な問題を抱えているわけでありますから、今大きな転換点を迎えていると思いますので、しっかり水産庁としても、この原材料の確保の点から、水産加工業者の方々が安心できるような提案をしっかり今後ともしていただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。
また、一九六〇年代に設定された輸入割当て制度と関税割当て制度によって、イカ、アジ、サバ、昆布等の水産物は輸入が厳しく規制されています。このIQ制度の目的は、自由貿易を適用すると国内産業が打撃を受ける可能性が生じるため、一定数量、金額までと制限を加えた輸入の許可を与えるという、水産でいうならば、我が国の漁業を保護するための制度であったわけでありますけれども、本来、国内供給量が減少した場合には輸入量を増やして原材料を安定的に確保しなければならないということであります。
国内水産物の漁獲量が激減している中で、輸入規制もあり十分な加工原材料を確保できず水産加工品の消費の減少を招き、それによって地域の水産加工業の倒産や廃業が進んでいるということを漁業者の皆さんにも理解をしていただく、で、五十年前に制定されたこの制度を見直して規制を緩める必要もあるかと思いますけれども、IQの現状と今後の対応についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/34
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035・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
水産物の輸入割当て制度は、外国為替及び外国貿易法に基づき、現在十八品目を対象としてございます。同制度では、品目ごとに我が国に輸入できる数量又は金額の上限を定め、この限度内において輸入するものに割り当てております。輸入割当ての数量につきましては国内生産量を含む需給動向などを踏まえて決定しており、特に漁獲量が減少しているイカについては追加で輸入割当てを出すなど柔軟に対応しております。
今後とも、国内漁業者や加工業者の方々の御意見を伺いながら、制度を所管している経済産業省と連携して輸入割当て制度を適切に運用してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/35
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036・徳永エリ
○徳永エリ君 柔軟に対応していただいているという御答弁ございました。しっかりとコミュニケーションを図っていただいて、廃業などにつながらないように、この加工原材料の確保に向けて、これまでの規制の在り方、これもしっかり見直していくという方向もお考えいただければというふうに思います。
それから、水産加工業の規模割合を見てみますと、従業員十人未満の小規模工場が五〇・五%と半数以上を占めています。中には三人、四人という本当の家族経営というところもあるわけであります。かつては前浜で捕れた魚を加工して販売していた事業者が、魚が捕れなくなって、また後継者もいないという中で廃業に追い込まれていくという状況が見られます。
北海道でも水産加工事業所の数が減っています。過去二十年で水産加工事業所の数は一千三百七十三から七百五十四へと減少しています。加工原材料の高騰や輸送コストなど、資金力の乏しい小規模事業所の共同化を推進して経営基盤を強化していかなければ、水産加工事業者はますますその数が減っていくのではないかということを大変心配しております。
MアンドA、これを進めたくても補助金の返還をしなければいけないんではないかという懸念とか、あるいは、水産加工業者ってやはり多額の投資をしておりますから、その辺の問題をどうするかとか、いろいろと難しい問題があるようであります。
こういった問題を乗り越えて生産基盤の強化を図っていく必要があるのではないかということを考えますけれども、その点に関してはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/36
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037・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
水産加工業につきましては、議員御指摘のとおり、中小零細規模の経営体が大宗を占めており、食料品製造業の中でもほかの製造業と比べて経営基盤が脆弱と考えております。
こうした状況を踏まえ、本法案による水産加工資金で、食用水産加工品の製造、加工に係る業務の共同化や合併に係る施設整備などに対する長期低利の融資を行うほか、水産庁の補助事業におきまして、水産物の加工、流通機能などを強化するための共同利用施設の整備支援、地域の意欲ある経営者を中核的加工業者として育成し、経営体力強化を図る取組の支援などを行っております。さらには、中小企業に対する各種施策の活用も併せて、水産加工業者の業務の共同化などを促進しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/37
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038・徳永エリ
○徳永エリ君 MアンドAなどの支援は中小企業庁が所管の補助金などもありますので、水産庁としても、他省庁の情報もしっかり集めていただいて提供していただくように努めていただきたいと思います。
最後に、このいろいろと水産業を取り巻く厳しい状況について大臣から一言いただきたかったのですが、もう時間がなくなったから駄目ですね。よろしいですか。じゃ、大臣、一言だけお願い申し上げますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/38
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039・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 答弁してよろしいですか。
先ほど長官が答弁いたしましたように、水産加工業者の皆さん方というのは、漁業とともに車の両輪だというふうに思っております。しかしながら、原料不足なり、あるいは経営体力の不足なり人手不足なり、いろんな課題を抱えているということも我々も認識をいたしております。
そこで、やはりこの輸入原材料の調達が非常に不安定化しているというのは、先ほどのお話にありましたとおり、やっぱりサバだとかイカだとか、あるいはサーモンもそういうふうになってまいりました。ですから、だんだんだんだん、そういったものをどう調達していくのか、あるいは魚種を変えて加工をしていくのか、いろんな今度は機械の問題だとか人手の問題だとか技術だとか、いろんなまた問題も出てくると思うんですけれども、とにかくそういった水産加工業者の方々に大きな影響を与えておりますので、これから、省人化なり省力化のための機械なり、共同利用施設等の整備なり、いろんな形でやっていかざるを得ないと、こんなふうな認識をしておりまして、農水、水産庁の方もそういった予算を今確保しつつあるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/39
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040・徳永エリ
○徳永エリ君 ありがとうございました、御配慮いただきまして。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/40
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041・下野六太
○下野六太君 公明党の下野六太でございます。
質問の機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。
それでは、早速質問の方に移らせていただきたいと思います。
最初に、未利用、低利用魚等を原材料とする水産加工品の開発について伺いたいと思います。
水産加工業は、食用魚介類の七割を利用する仕向け先としての役割を果たすとともに、その多くが沿岸地域に立地し、地域の水産物を活用した特色ある加工品を製造することで、漁業とともに漁村地域の活性化に寄与してまいりました。
しかし、水産加工業は、従業員十人未満の零細な事業所が半数を占め、半数近くが赤字という厳しい経営状況にあるかと思います。また、水産加工業が抱えている大きな課題には、原材料の確保が困難となっていることがあります。先ほどから質問等にも挙げられているとおりだと思います。
他方、従来から、魚種や大きさによってはその地域で全く利用されない、あるいはほとんど利用されない魚等があり、それらを原材料とした加工品の開発が水産加工業に求められていると思います。水産加工資金は、そのような未利用、低利用魚等を原材料とした加工品の製造等において必要な施設改良等を行う場合にも使える資金と承知しております。
そこでまず、未利用、低利用魚種等を原材料とする加工品開発に対する水産加工資金の貸付実績と優良事例をお答えいただきたいと思います。また、長期かつ低利の資金の貸付けが加工品開発に及ぼす効果について、政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/41
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042・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
水産加工資金におけます低未利用水産動植物を原材料とする食用水産加工品の製造、加工に係る施設整備などに対する融資実績は、前回の法改正の平成三十年度以降令和三年度までで、融資総額一億七千四百万円、総件数では四件となっております。
優良事例といたしましては、宮城県において、新工場を建設して加工、製造を増強するとともに、衛生管理の高度化を図り、三陸産のホヤを原材料とする乾き物などの利益率の高い製品を製造し、経営安定が図られた事例がございます。
未利用、低利用を原材料とする加工品開発につきましては、収益化まで一定の期間を要することが想定されますが、このような場合に、中小零細企業が多く、民間金融機関から融資を受けることが困難な水産加工業者であっても、水産加工資金で長期低利の融資を行うことにより、その取組を支援することが可能と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/42
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043・下野六太
○下野六太君 ありがとうございます。
次に、からしめんたいの加工事業者への支援について伺いたいと思います。
からしめんたいは、私の地元福岡県を代表する水産加工品でありまして、全国的に知られております。なお、からしめんたいとは、スケソウダラの卵巣にトウガラシを原料とする調味液等で味付けしたものと公正規約で定められております。
スケソウダラの漁場は北洋のベーリング海であり、全国辛子めんたいこ食品公正取引協議会によると、その卵は、ロシア産が五〇から六〇%、アメリカ産が三〇から四〇%、日本産が五から一〇%とのことです。ロシア産水産物はロシア制裁の輸入禁止品目に含まれておりませんが、先行き不透明感から買占めが起きており、昨年春時点において、県内のメーカーが商社から示されたスケソウダラの卵の値段は、最も安いものでも二年前の三倍以上となる一キロ当たり六百円台だったとのことです。
このように、からしめんたいメーカーは原材料価格高騰の影響を強く受けておりますが、公正規約上、原材料魚種等、魚種を変更するような対策ができません。
そこで、からしめんたいのように、原材料魚の調達先が限られており、魚種変更ができない状況にある水産加工品について、原材料魚の価格高騰や確保の困難さによる影響をどうするのか、あわせて、そのような実情を踏まえ、何らかの支援が考えられないものか、政府の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/43
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044・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
国際情勢などの影響による輸入原材料の価格高騰などを踏まえ、同一の魚種につきまして輸入原材料から国産原材料への切替えを行う場合には、必要となる商品の製造、販売などに係る機械設備の導入、広告宣伝費などを支援してまいります。
また、バリューチェーン改善促進事業により、生産、加工、流通、販売の関係者の連携による高付加価値化の取組を支援しているほか、水産加工資金におきまして、新製品の研究開発などに係る施設整備などに対しまして長期低利の融資を行うなど、原材料の調達先が限られている状況下における水産加工品の高付加価値化及び新商品開発を支援しているところでございます。
いずれにいたしましても、国際情勢の影響による原材料の調達状況につきましては引き続き注視してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/44
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045・下野六太
○下野六太君 ありがとうございます。
次に、練り製品の輸出に関して伺いたいと思います。
カニかま、ちくわ、魚肉ソーセージ等の練り製品は、水産加工品の中の食用加工品において三割強を占める最大の製品となっております。練り製品は日本で発明された魚のすり身の技術により製造されており、海外ではSURIMIで通じるほど、すり身ですね、ローマ字で、で通じるほど有名だそうです。練り製品は、健康志向の高まりを背景に、高たんぱく、低脂肪な食品として海外でも人気が高く、二〇二二年の輸出額は百二十三億円、過去最高となりました。
練り製品の一つであるカニかまの市場は欧州が最大であり、生産はリトアニアが世界一と言われております。消費はフランス、スペインが多い状況にあるそうです。また、中国や米国についても、JFOODOが行った調査によれば、日本からのカニかま、すり身製品の輸出が今後中国で年間一七%、米国で八・四%増加すると見込まれています。
政府は、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略において、食用水産物ではブリ、タイ、ホタテガイについて輸出目標を設定し、輸出拡大の取組を支援しております。私は、練り製品についても同様に、輸出拡大の取組を支援することが重要ではないかと考えています。
そこでまず、国内生産された練り製品の輸出状況、海外の事業者による練り製品の生産状況、海外の製品と国産の製品との差別化状況について確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/45
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046・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、我が国ではすり身の技術を活用した練り製品の開発に長年の間取り組んできており、令和三年の数字で申し上げますと、カニかま、ちくわ等の多様な商品が約四十九万トン製造されておりまして、これは水産加工品の中の食用加工品の三四%を占めております。
また、海外においても練り製品に対する需要は大きく、これは民間のデータになりますけれども、年間に百九十万トンが世界中で消費されているというような数字もございます。こうした中で、世界中で年間約六十八万トンの練り製品の輸出が行われている一方で、我が国の練り製品は、令和四年の数字ですが、約一・三万トンが海外へ輸出されております。
また、海外製品との差別化につきましては、例えばカニかまでは、本物のカニに似せたほどける食感を追求しており、欧州産の安価なカニかまと差別化し、レストラン向けの高級ラインの販路拡大にも取り組んできております。
こうした差別化も図りながら、更なる輸出の拡大を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/46
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047・下野六太
○下野六太君 ありがとうございます。
さらに、やはり官民一体となって、現地のマーケットイン等も調べていきながら、もう輸出戦略拡大を、我が国の技術、そして我が国の製品はやはり世界一すばらしいものだということをしっかりと訴えて、販路を広げて、輸出が更に拡大できるように取組を進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
次に、練り製品の輸出に取り組む事業者の優良事例について確認するとともに、輸出拡大に取り組む事業者を支援する取組についてお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/47
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048・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
かまぼこなどの練り製品の輸出に取り組む事業者が、販路拡大に向け、商品サイズや包装デザインなど海外市場のニーズに合わせた商品開発、日本人では困難な販路開拓や商談に対応するために外国人社員の配置を図ることにより、二年間で輸出額を五倍に増やし、農林水産大臣賞を受賞した事例も出てきております。
こうした事例を広げていくために、海外でのPR活動の展開支援や、生産者、加工業者、輸出関係業者が連携して国際マーケットに通用するモデル的な商流、物流を構築する取組などを支援してきております。
引き続き、これらの取組を実施することにより、水産練り製品を含む水産物の輸出拡大に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/48
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049・下野六太
○下野六太君 ありがとうございます。是非、モデル的な好事例を横展開できるように、更に強力に進めていただければと思います。
練り製品にはスケソウダラやイトヨリダイ等の冷凍すり身が使われていますけれども、約七割を輸入に頼っています。世界的なインフレ、為替レートの円安傾向などにより、冷凍スケソウダラのすり身の輸入価格は高騰して過去最高値となりました。練り製品等を製造する水産加工メーカーは、原材料費の比率が約七割と高く、原材料費高騰の影響を強く受けております。
今後の練り製品の原材料における輸入品の価格、供給量の見通しについて、政府の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/49
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050・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
練り製品の主な原料であるスケソウダラの冷凍すり身は、毎年十万トン程度、主にアメリカから輸入されており、世界的な水産物需要の高まりや為替の円安傾向により輸入価格が上昇しております。
貿易統計から算出したアメリカからの輸入平均価格は、二〇一八年、一キロ当たり三百三十八円であったところ、二〇二二年には一キロ当たり五百五円と四九%上昇しております。
アメリカにおきましてはスケソウダラの漁獲枠が設定されており、その漁獲枠の増減も価格に影響を与えると考えております。アメリカのスケソウダラの漁獲枠につきましては、二〇二二年には百十一万一千トンでありましたが、二〇二三年には百三十万トンに増枠されておりますので、価格の安定化に寄与する可能性があると見込んでおります。
いずれにしても、今後とも、スケソウダラ冷凍すり身の輸入価格、輸入数量及びアメリカなどにおけるスケソウダラの漁獲管理の動向について注視してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/50
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051・下野六太
○下野六太君 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。
次に、新たな魚種のすり身を活用した練り製品の研究開発の現状を確認するとともに、開発の優良事例があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/51
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052・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
バリューチェーン改善促進事業におきまして、長崎県で漁獲された小型アジや雑魚などの低未利用魚を利用してコラーゲンを添加したかまぼこを開発し、健康機能を付加することでマーケットインの視点に基づいた製品開発への取組を支援した事例もございます。
このほか、新たな魚種のすり身を活用した練り製品の開発について、例えば、福井県の高浜において、シイラ、サゴシ、エソなど安値で取引される魚を活用したすり身ボールの開発ですとか、長崎県五島において、ニザダイなどの未利用魚を活用した商品、すり身だんごのスープカレーの開発などが行われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/52
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053・下野六太
○下野六太君 新たな魚種のすり身を活用した優良事例を今後更にしっかり広げていくことができるように、広報活動にも力入れていただきたいと思います。
以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/53
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054・串田誠一
○串田誠一君 日本維新の会の串田誠一でございます。
この法律が限時法ということでございまして、昭和五十二年からもう八回ということで、もう四十年以上ずっと続けて延期になっているということでございます。当初は、希望としては、五年間でこういうような融資じゃない自活した活動を希望していたんだろうと思うんですけれども、それが八回ということで、今回九回目ということでございます。できれば十回目はないような、水産業が発達するような支援というのをしていかなければならないんではないかと思います。
そういう意味で、何か、今までと違った何か支援というものを模索していく必要があるのかなと思います。今聞いていまして、下野委員のいろいろな指摘というのはまさにそういったようなところを提案されているんじゃないかなと思うので、そこもちょっと触れたいと思うんですが、まず、昭和五十二年にこの法律が制定された環境を教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/54
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055・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
水産加工資金法は、二百海里水域の設定を背景に水産加工品の原材料の供給事情が著しく変化したことを受け、水産加工業者がこうした変化に対応するための魚種転換などに伴う設備投資を支援し、水産加工品の安定的な供給を確保することを目的に、昭和五十二年に臨時措置として創設いただいたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/55
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056・串田誠一
○串田誠一君 今、二百海里という話がありました。そして、今、令和五年という形で、かなり環境も違っていると思うんですけれども、その令和五年の環境が、昭和五十二年との著しい違いというか、何かありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/56
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057・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
昭和五十二年と比べてということでありますけれども、最近の貿易事情の著しい変化といたしましては、人件費や製造コストが低く安価な水産加工品の輸入量が増加傾向にあるということ、それから、水産物の国際的な需要増大に伴い原材料の調達困難のおそれがあることから、国内における水産加工品の競争環境が厳しさを増しているというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/57
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058・串田誠一
○串田誠一君 今の答弁をまとめると、二百海里で漁獲量が減ってしまった、そのために原材料というのを輸入に頼る体質が増えてきた、そのときに輸入のいろいろ原材料が高騰化していくということで経営が圧迫していくというような流れを感じるんですけれども、今の指摘で正しいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/58
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059・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
輸入量につきましては、昭和五十二年に制定いただいたときは百一万トンだったんですけれども、直近の数字では二百四十六万トンというふうに、輸入量は増えております。その一方で、我が国の漁獲量は、五十二年は約一千万トンございましたけれども、直近では約四百万トンということで、その数字から見ましても、国内の水産加工業者の方々の原材料の輸入に頼る割合というのが大きく変わっているということは言えようかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/59
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060・串田誠一
○串田誠一君 冒頭で十回目は何とか避けたいというような話をさせていただいたんですけれども、そういう意味では、日本の漁獲量が減って、そのために輸入が増えて、そしてその輸入の材料費が上がった、この体質がこの五年後に変わるのか。変わらなければ十回目が発生すると思うんですけれども、その見通し、どうですか。
漁獲量は今のように前とは違って少なくなってしまっているし、輸入は増えてしまう。まあ当然ですよね、相関関係として。国内で捕れなくなれば輸入に頼るしかない。それが五年後は変わるのか。それとも、それは変わらない中で日本の水産加工というのを何か発展させるには別の何か支援しなきゃいけないと思うんですけれども、将来予測、五年後の今の漁獲量と輸入割合、これを変えようとしているのか、それは今のままなのかは、ちょっと御指摘いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/60
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061・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
我々、水産基本計画というものを作りまして、この十年間で減少した国内の生産量を次の十年間で元に回復していこうと、そのために資源管理や各種施策を強力に推進していこうということで展開しております。
具体的には、国内の生産量を四百四十四万トンまで回復させることを目的といたしておりまして、それに加えて、養殖の生産の方も大きく増やして、特に輸出などに向けていけるように体質を改善していこうという方向で取り組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/61
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062・串田誠一
○串田誠一君 今の目標設定というのは私も反対というわけではなくて、漁獲量増えるというのはいいとは思うんですけれども、漁獲量が増えなければ結果的にまた同じような体質のままになってしまうのではないかなという中で、じゃ、日本が何ができるのかといったときに、先ほど下野委員の指摘が非常に、アイデアとしてあったのは、カニかまとかというような、非常に似たような製品を出されていく、これ日本の技術としては世界が評価しているわけですので、そういう意味で、世界がまねできないような水産加工というものを進めるということが、これは、その漁獲量とかそういったようなものが変わらない中でも、日本の再生という意味では非常に私は大事なことなんではないかなと思うんですが、その点についての指摘は農水省としては持っていらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/62
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063・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) 委員の御指摘されましたように、加工の技術なんかもいろいろ発展させていかなければいけないと考えております。
我々といたしましては、これまで、例えば原料魚となる魚の前処理のためにサイズごとに選別する選別機やフィレマシンなどを、原料の魚ごとにそれぞれ機器を導入していたというようなところがございますが、技術の進歩に伴い、例えば複数の種類の原料魚の選別やフィレの加工の処理ができる機器を普及しておりますし、また、ホタテガイなどでは前処理の複数工程が一度に行える機器が開発され、最近ではホタテガイをまず殻から一度に貝柱と殻に分ける機器の使用が始まっております。
こういった、先ほど申しましたように、新商品の開発に加えまして、加工の技術の進展ということも通じて、水産加工業者が必要とする施設、機器の導入を支援し、併せて水産業の発展の方に尽くしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/63
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064・串田誠一
○串田誠一君 機械化とかAIを使ったりというのは、私も時代としてそういう時代が訪れているのかなと思うんですけれども、発想の転換というのも必要なのかなと思うんですが。零細企業が非常に多い中で、機械的なものの競争をすると、やはりそれは差別化がなかなかできない。どこの国も同じ機械を使って、同じ製品ができてしまうというようなことになってしまうのではないかな、先ほどの練り製品が日本は非常に評価されているというのは、そこは違うところの何か技術があるのかなと思うんですけれども。
そういう意味で、例えば、ネットで非常に人気がある商品というのは、職人が手間暇掛けて作ったものがすごく人気があったりするわけですよ、逆にね。何か機械でできて安いからいいという、そういうのではなくて、何か職人が手間暇掛けたものが逆に消費者にとって評価され、そしてそれは海外でも、すごいなと、日本の製品はというようなことにもなっていくんじゃないかなと思うので、そこの何か発想の転換、機械化だけを進めていくのではなくて、職人の手間とか職人の技術というものを応援してあげるというようなことを農水省考えていただきたいと思うんですけれども、その点の検討はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/64
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065・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) 例えば、練り製品の話がございましたが、我々といたしましても、消費者の健康志向の高まりや調理の利便性など、変化する消費者のニーズに対応すべく様々な商品が開発されておると承知しておりますし、それに対しまして、水産庁におきましては、バリューチェーンの改善促進事業による生産、加工、流通、販売の関係者が連携した売れる物づくりに向けた取組の支援や、産地水産加工業イノベーションプラン支援事業などによる関係機関や異業種との連携による生産性向上の一環としての新商品開発などの取組の支援など、練り製品を含む水産物の高付加価値化などにつながる取組を支援しているところでございます。
このようなことも含めまして、また、先ほど事例にありました本物のズワイガニに似たような形状、食味、味、色合いを再現した高級カニかまやコロナ禍で定着した家飲みに訴求するような魚肉ソーセージ等の新商品開発も行われておりますし、そういったものに対して我々としても支援を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/65
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066・串田誠一
○串田誠一君 練り製品とか、そういう製品化に関する機械化とかというのの支援もそうだと思うんですけど、いわゆる伝統的なものの作る、非常に手間暇掛かるわけですよね。ですから、同じ製品の値段であれば当然競争できない、ですけど、職人が手間暇を掛けることによって非常に消費者としての評価が高いというような部分をやはり何か支援していってあげたいと私は思うんですけれども、そういうような、例えば、零細企業の中で、非常に生産性は低いんだけれども伝統的な作るものに対するその農水省の支援というのはいかがなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/66
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067・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 答えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/67
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068・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) 水産庁におきましても、バリューチェーンの改善促進事業によりまして、生産、加工、流通、販売の関係者が連携した売れる物づくりに向けた取組の支援とか、イノベーションプランの支援事業による関係機関や異業種との連携による生産性向上の一環としての新商品開発などの取組の支援など、特に零細企業なども含めて高付加価値化につながる取組の支援をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/68
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069・串田誠一
○串田誠一君 野村大臣には技術的研究の支援のちょっと質問をする予定にしてあるんですけど、まあその答えで結構なんですが、何となく職人のその手間暇掛けたことに対して野村大臣は非常に好意的な感じを私、受けているんですけれども、そういう部分も含めて農水省として何か、大量に作っていくとかそういうことじゃなくて、日本独自の世界から評価されるような技術的支援、こういったようなものに対して農水省としてどんなようなことを行われていくのか、あるいは野村大臣としてもお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/69
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070・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 串田委員に大変満足のいくお答えはできないと思うんですけれども、先ほど来、今いろいろ手間暇掛けた逸品をというお話だったんですが、魚も、まあ肉、私どもはやっぱり畜産地帯なものですから、肉で考えたときに何かそういうものができるのかなというのをイメージしておりました。だから、納得していてこう首を振っていたんじゃなかったんですが。
ただ、やっぱり生ものを扱って、それを加工して、そして手間暇掛けてってなると、どうなっていくのかなという、そこのところは、まあ魚と肉は全然違うわけですけれども、肉で置き換えて考えたときに、じゃ何か肉でもそんなことができるかということでイメージしてみたんですけど、ちょっと無理だなと。結論はそう思ったものですから、魚でもやっぱり何かそういうものが今後、いろんな研究が今されております、大学の先生やあるいは企業でも。昔は、魚って海にいたものが陸で養殖ができるようになったわけですから、だから、そういう意味では、いろんな知恵を出していただきながら、新しい、委員おっしゃるような方向も検討していかなきゃならないだろうということだけは分かりました。はい、それだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/70
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071・串田誠一
○串田誠一君 なかなか野村大臣を説得するのは難しいなと思うんですけれども。
ただ、魚とかも、あげる餌とかによってその肉質とかも随分変わるようですし、そういうようなものの技術開発みたいなので何か世界と対峙していただいて、そして水産加工が発展していってほしいなと思います。
以上です。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/71
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072・舟山康江
○舟山康江君 国民民主党・新緑風会の舟山康江です。
まず、この法律案の骨子の内容についてお聞きしたいんですけれども、この骨子では、水産加工品の原材料の供給事情及び貿易事情の著しい変化の背景として、国際的な水産資源の管理強化等の外的要因を挙げています。
具体的にどのような要因があるのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/72
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073・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げます。
今委員から御質問がありましたが、これらにつきましては、外的要因としては、一つは水産資源の減少、これはもう先ほど来お話が出ておりました。それから二つ目は世界における水産物の需要の増大、これも先ほど来お話が出ておりました。それからもう一つは国際的な水産資源の保存管理措置の強化のこの三点が挙げられるというふうに思っておりまして、具体的には、我が国周辺水域における漁業生産量が近年も減少傾向にあること、それから二つ目が、魚介類の消費量の増加傾向は衰えず、特にアジアにおける消費量は依然として拡大をしているということが挙げられます。それから三つ目が、特定の海域や魚種について操業や漁獲量を制限する国際的な水産資源の保存管理措置が強化されつつあるということを指しておりまして、これにより国内への加工原材料の供給の減少等の事情が生じているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/73
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074・舟山康江
○舟山康江君 ありがとうございました。
まさに、様々なその環境変化ですね、環境そのものもありますけれども、いろんな今挙げていただいたようなことの中で、やっぱり漁業、日本の漁業自体が厳しいということ、原材料の調達というんでしょうかね、漁業自体が厳しいということですので、やはりその水産加工業の発展のためには、まず漁業自体の、日本の漁業自体の底上げが何よりも必要だと思いますけれども、それに対してどのような具体的な方策を考えているのか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/74
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075・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げます。
今、舟山委員がおっしゃいましたようなことを、そういった状況を踏まえまして、令和四年三月に新たな水産基本計画を閣議決定しまして、水産資源の適切な管理等を通じた水産業の成長産業を図っていくということを目標にした計画を作ったわけですが、具体的には、資源管理ロードマップを踏まえたTAC管理等の推進が一つ、それから二つ目が資源管理に取り組む漁業者への支援、これが二つ目であります。それから三つ目が新規就業者の技術研修の充実による就業定着の促進、それから四つ目がブリ、ホタテ等戦略的養殖品目の増産や輸出の拡大など、各般の施設を総合的に基本計画に基づいて実施していくということに尽きるのではないかと、こんなふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/75
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076・舟山康江
○舟山康江君 ありがとうございます。
まさにこの法律ができた背景は、先ほど来お話がありましたけれども、昭和五十年代のいわゆる二百海里水域の設定。日本の漁船が締め出された、こういった環境変化の中で、水産加工業に関してはこの内容が決められましたけれども、漁業そのものに対しても様々な支援措置が講じられました。離職に対する、何というのかな、支援ですね。
そういったことが講じられたということを考えると、今、二百海里問題とは違う背景でいろんな水産をめぐる厳しい現状がある中で、ある意味では、今でも続くこのいわゆる日本漁船の締め出しに対してはいまだに漁業そのものに対しても支援がある中で、その他の環境変化に対してやっぱりしっかりと支援をしていかないと漁業そのものが厳しくなってしまう。
先ほど来あるように、水揚げが減っている、これを伸ばしていこうということの中で資源管理はプラスの面に働く部分がありますけれども、逆に、これ中長期でいえばやっぱりそれが必要なんですけれども、今、目の前でいえば、資源管理、TACの設定なんということをやっていくとやっぱり漁獲が減っていく、そうすると収入が減る、そこを何とかしていかなきゃいけないということ、そこをしっかりやっていただきたいというふうに思っております。
その中で、今、現場から聞きますと、例えば、やっぱり経営が厳しいんで、古くなった漁船、更新したいんだけれども、漁船の更新もままならないと、こんな声も聞いています。そんな中で、漁船のリース事業、こういったことも行われていますけれども、こういった漁船の更新支援、またリース事業に対してのこれからの取組、課題等についても教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/76
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077・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
水産庁では、漁船の更新、改修などを進めることにより水産業の競争力強化を図るために、水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業、いわゆる漁船リース事業におきまして、リース方式による漁船の導入を支援しております。
この漁船リース事業におきましては、資材高騰による建造費上昇を踏まえまして、昨年十二月から、助成金の上限額を一隻当たりこれまでの二・五億円から三億円に引き上げる運用改善や、事業計画に定める漁船取得価格の変更手続の円滑化を行っており、漁業者の皆様に更に活用していただきたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/77
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078・舟山康江
○舟山康江君 まさにこれ、漁船、船がなければ漁に行けない。特に沿岸から少し遠くに今漁業が変わっている中で、是非、こういった漁船更新の支援、また今おっしゃっていただいたリースに対しても少しずつ見直しをしていただいていますけれども、是非前向きに、この辺りについての取組も強化をいただきたいと思っています。
そして、船でもう一点ですけれども、船舶の総トン数制限が撤廃をされました。これに対して、これはある意味で一遍にたくさん取れるというメリットと、もう一つは、やっぱりこの資源管理に関して、また漁場での使用に関して、小さな漁船がたくさんというよりは、もうどおんと大きな船が行ってしまうと、その小さな船、いろんなその船の漁場の使用に関しての紛争にもつながりかねないと思うんですけれども、この総トン数撤廃、制限撤廃の影響についてどのように考えているのか、そしてまた、その影響緩和に向けてどのような対策を考えているのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/78
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079・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
水産政策の改革におきましては、水産資源の適切な管理を通じて水産業の成長産業化を図ることを目的としておりまして、改正漁業法におきまして、資源管理は数量管理を基本とすること、さらに、数量管理については漁獲割当て、つまりIQを基本とすることとされております。
また、同じく同法におきまして、漁獲量の相当部分に漁獲割当て、つまりIQが導入された漁業についてはトン数制限の規模の制限、あっ、済みません、読み間違えました。トン数規制などの規模の制限を定めないこととされております。
なお、漁獲割当てにつきましては順次大臣許可漁業への導入を図っているところでございまして、現時点において規模の制限が撤廃された漁業はございません。
水産庁といたしましては、船舶の規模に係る規制が仮に撤廃された場合でありましても、操業期間や区域、体長制限などの措置を講じていくなど、適切な資源管理の実施や紛争防止のため、関係漁業者と丁寧に調整を進めながら話を進めていくこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/79
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080・舟山康江
○舟山康江君 是非、今後とも、その地域の個別の漁業者、ただでさえ今、漁業者、農業と同じように漁業者も減っていると、こういった状況の中で、その小規模な漁業者をしっかり守っていくと、希望を持てるようなそういった対策を取っていただきたいと改めてお願いしたいと思います。
今まで申し上げたように、やっぱり、この漁業の非常に環境変化による縮小というものがやはり加工業にも大変大きな影響を及ぼしていると、こんなことがありました。そしてまた、輸入依存から、先ほどもありましたけれども、国産の利用拡大というのもやっぱりきちんと目指していかなければならない、自給率の向上も含めてですけれども。そうなると、利用できる魚種の拡大というのも一方でしっかり検討していかなければいけないと思っています。
この制度を利用できる魚種というのは、これ、農水省と財務省との協議の中で決まっていくんですけれども、そういう中で今回、まず一つ、環境変化が著しい非常にこの、もう自分の、自らの努力ではどうしようもない外的要因、まさに漁業の変化、そういったことがある中で今回あえて単純延長した、何かこう拡充するとかそういった環境変化に応じた見直しをするんではなくて単純延長に終わった理由について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/80
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081・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
現行法におきまして貸付けの対象となる施設等が幅広く規定されておりまして、今回の見直しに当たりましても水産加工業者に対する聞き取り調査を行いましたけれども、水産加工業者に対する設備資金として需要が見込まれるものは現行法の規定でカバーされているというふうに認識をしてございます。このため、今回の法律改正案におきましては期限延長のみとさせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/81
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082・舟山康江
○舟山康江君 これは、対象魚種だけではなくて、いろんな要件とかそういったものも現場からは特に見直しの必要がないと、そういった声だったという理解でよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/82
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083・安東隆
○政府参考人(安東隆君) 対象魚種ですとか期間等につきましては政令以下の規定で定めますので、法律の条文には反映をされていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/83
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084・舟山康江
○舟山康江君 じゃ、法律は変わらなくても運用でしっかりと、今、先ほど大臣からも冒頭に、いろんな環境の変化があると、元々のその、やっぱり水産加工って原料が必要ですから、その原料供給の面でいろんな変化がありましたということでしたけれども、そういった変化を含めても、法律の条文そのものが変わらなくても、きちっと政令等でその変化を受け止めていろんなニーズに応えられると、そういったことだということでよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/84
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085・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
本法案の水産加工資金におきましては、五年間の期間内に最大限の効果を上げるため、臨機応変に貸付条件等を見直せるよう具体的な内容は政令以下で定める仕組みとなっておりまして、今後も状況に応じまして随時見直しを検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/85
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086・舟山康江
○舟山康江君 その対象魚種ですけれども、まあ見直し、基本的には改正のタイミングごとに決められていますけれども、衆議院での審議の中では、随時検討というようなお答えがありました。その意味は、五年間を待たずとも途中の環境変化の中で魚種の拡大とかそういった見直しもあり得ると、そういった理解でよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/86
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087・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
これまでの経緯を申し上げますと、この改定のたびにということでやってきましたけれども、いろいろ状況が変化する中で、そういうことではなくて、状況に応じて柔軟に検討をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/87
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088・舟山康江
○舟山康江君 分かりました。随時見直しをするということも是非、ということで理解をさせていただきました。
なぜこんなことを聞くかというと、やっぱり水産加工業者が直面している一番の課題、原材料の確保が困難と言われているんですね。そういう中で、今、海流の変化とか、まあそれこそ今まで捕れたこともないものが捕れたりとか、捕れていたものがぱったりなくなるとか、そういったものがある中で、やっぱりこの魚種転換、使える魚種転換もしていかなきゃいけないということで、果たして今あるこの指定水産動植物の範囲でいいのか。そこはやっぱり拡大の方向で、単に一定程度の、これ明示的な規定ないんですね、一定程度の量があるものというふうになっていますけれども、やっぱりこの転換に対してきちんと対応するためには、まずは指定水産動植物の指定も柔軟に見直していくということが必要だというふうに思ったんで、このことを質問させていただきました。
是非柔軟に対応できるように随時見直していただきたい、これはお願いしておきたいと思います。
そして、もう一つ、事業再構築補助金を使って様々な取組をしているところもたくさん見受けられますけれども、これとの関連、例えば、補助残できちっとこれが、事業再構築補助金を使ったものの補助残融資としてこれを使えるのかどうなのか、そこを最後確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/88
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089・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
本資金は、事業再構築補助金の補助残に利用いただくことは可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/89
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090・舟山康江
○舟山康江君 ありがとうございました。
是非、こういったほかの事業も上手に利用しながら、今の苦境を乗り越えるための様々なアイデアも水産庁からも提起していただきたいと思いますし、また、その魚種転換、そういったものに対して柔軟に対応できるように改めてお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/90
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091・紙智子
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
最初に、前回に続いて、乳製品のカレントアクセスについてお聞きをいたします。
前回の質問のときに、カレントアクセスの量で約十四万トンを削減するように求めました。渡邉局長は、譲許表の変更には全加盟国の同意が必要だと、で、難しいという話を言われたんですけれども、私は譲許表の変更を求めたわけではないんですね。
それで、そのことを前提として質問するんですけれども、確認ですけれども、譲許表には国家貿易は全量を輸入する義務があるというふうに書かれていないと思うんですけれども、これ間違いないですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/91
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092・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) お答えをいたします。
WTO協定には、生乳換算の十三万七千トンの乳製品を全量する義務は規定されてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/92
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093・紙智子
○紙智子君 規定されていないということを確認をしました。
譲許表には書かれていないということなんだけども、しかし、全量輸入義務があるということでいうと、政府の、日本政府の考え方ということになりますよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/93
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094・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) WTO協定に全量輸入義務が規定されていない以上、政府といたしましては、全量を輸入する義務自体があるものではないと考えてございます。我が国が負っているのは、あくまで生乳十三万七千トン分について輸入の機会を提供する義務であり、国が一元的に輸入を行う国家貿易の下でこの義務を履行してございます。
脱脂粉乳など、特定の品目に当初割り振った輸入枠について、国内需要が小さいといったような理由によりまして入札を続けても枠が消化されない場合において、ほかに需要の大きい別の品目があるにもかかわらず、その品目に改めて割り振り直して入札を行わなければ、生乳十三万七千トン分について輸入の機会を提供したことにはなりません。
このため、そういった特定の需要の小さい品目について入札を、その枠を設けて入札を続けても枠が消化されない場合には、その当初の枠を他の品目に振り替えて入札を行って生乳十三万七千トン分の輸入機会を提供することになるわけでございますが、このように義務を誠実に履行してきた運用の結果といたしまして、WTO協定の締結以来、今日に至るまで、全量が落札をされ、契約されてきたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/94
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095・紙智子
○紙智子君 だから、機会の提供、あくまでもそこのところでやるということなので、必ずしももう全枠を守らなきゃいけないということではないという今の答弁だったんじゃないかと思うんですよね。
それで、事前のレクチャーで、国家貿易だから全量輸入義務があるというふうに解釈している国あるんですかと聞いてみたら、カナダのバターと韓国の米ぐらいという説明を受けたんです。国家貿易だから輸入義務があるというのは、日本政府が今までずっと言い続けてきたんですけれども、それ日本の国の考え方と。アジアの国を見ても、韓国のトウガラシとかタマネギとかフィリピンの米というのは枠どおりに輸入していないし、それからインドネシアの国家貿易である米の輸入量というのはゼロなんですよね。輸入データを出していない国もあると。譲許表を変えなくても、政府の考え方を変えれば輸入量は減らせるということなんじゃないかというふうに理解をするわけです。
前回の質問のときに野村大臣は、国家貿易には調整弁の機能があるという話をされていたと思うんです。
三月の十八日、実は北海道で酪農危機突破のJAの集会が、大規模な集会が開かれて、私も参加しました。この後に、市町村会からも要望が相次いでいました。今も、危機を突破するために政府の役割というのは本当に大きいと、続いていると思うんですね、大きい役割があるというふうに思います。約十四万トンのカレントアクセスの全量輸入の義務というのは協定にないわけですから、この譲許表の枠を変えろとは言いません、でも、輸入量を減らしてほしいということなんですけれども、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/95
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096・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げます。
これはもう何回も同じことを言ってきて恐縮なんでございますけれども、やはり先ほど局長が答弁しましたように、十三万七千の乳製品について輸入の機会を提供する義務があるということで、これを輸入しなければならないということにはなっておりません。したがいまして、この業務を履行したにもかかわらず全量の輸入が行われないような例外的なケースも当然あるということだと思っております。
そこで、現況をちょっと申し上げますと、十三万七千トンのうち、まだ残りがございます。これを全て、先ほど、国家貿易じゃなくて、紙委員のおっしゃりたいのは、民間に任せればいいじゃないかと、ほかの国みたいに。そういうことになりますと、民間の皆さん方が一番その内外格差の大きいバターに集中してくると、こんなふうに思います。
ですから、やっぱり国家貿易で必要なものを入札を掛けていくというのが国としての基本的な姿勢でありまして、あと残ったものについて、それこそ今、バターについて生乳換算で四千トンぐらい、明日に入札をすると、こんなことになっておりまして、これらは最初ありました脱脂粉乳だとかこういうのは今回はもう入札に入れなくて、バターでやろうということで今役所の方では検討をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/96
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097・紙智子
○紙智子君 脱脂粉乳が国内で余っているということで、そこは今度は入札しないんだという話がされたわけですよ。私は、それでもってほかのものでまたそこを埋めるんじゃなくて、約十四万トンの枠全体の中でやっぱり減らしていくということをすべきじゃないのかと、それができるんじゃないのかということなんです。
でないと、実質的には、これ調整弁としての役割を酪農家に担わすということになるんじゃないかと思うんですよ。酪農家が、今約十四万トンぐらいの量をもう抑制しなきゃならないといって、その牛を淘汰しなきゃいけないという話になっているわけですから、酪農家を調整弁に使っちゃ駄目なんですよね。やっぱり離農する酪農家は調整もできないし、生乳生産から撤退しているわけですから、ですから、本当にこの調整を生産者がするんじゃなくて、政府が国家貿易を使って調整すべきだというふうに思うんです。
約十四万トンの譲許表の枠の変更を求めてはいません。いないけれども、そこは実質的に輸入を減らしてほしいということなんですけど、ちょっともう一回どうですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/97
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098・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) 国内需給が緩和しているので、需給調整の需給調整弁として十三万七千トンの実際の輸入を減らせないかというお尋ねであるというふうに理解をいたしました。
これ、国が一元的に輸入を行う国家貿易でございます。十三万七千トンの輸入機会を提供する義務がございますので、需要のない乳製品に、需要のない特定の乳製品にその枠を割り振って、それで入札を続けるということでは十三万七千トン分の輸入機会を提供したことにございませんので、十三万七千トン分のその全量について、これは乳製品全体、指定乳製品全体の枠でございますので、そういった枠について輸入の機会を提供する義務を履行する必要があるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/98
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099・紙智子
○紙智子君 もう全体減らせばいいんじゃないかと。やっぱり日本に対していろいろ不平を言ってくるところというのは日本に輸出したい国だと思うんですよ。それは限られていると思うんですよ。その国との間の交渉をやればいい話じゃないかと思うんですよね。
やっぱり酪農、畜産の灯を消さないということが一番大事であって、そのために万全の対策を強く求めたいということを改めて申し上げたいと思います。
次に、水産加工資金の法案についてなんですけれども、この法案自体は私は必要なものだというふうに思っていますので賛成なんですが、ずっと議論ありましたように、海洋環境の変化によって地域経済に物すごく大きな影響出てきています。
イカの町で銘打って観光にも役立てている北海道の函館ですね、ここはスルメイカの漁獲量が十年前と比べると約十分の一になっている。ブリは六倍以上になっている。しかし、小ブリ、ブリは小ブリなので、脂の乗りが悪くて買いたたかれるという話も聞いています。それから、東北沿岸で、岩手でシイラが今十倍になっているとか、それから福島のトラフグが十五倍になっているとか、それから宮城のタチウオが五百倍増えているとか、こういうことも言われているわけです。捕れる魚が変わってくれば、これ、水産加工業者もそれに対応していくと。これがしばらく続くのであれば、そこに対応していかざるを得ないということだと思うんですけれども。
それから、新商品の新たな販売先というのもまた必要になってくるということでありまして、この魚種転換への支援策、それから販路開発のための支援策ということについて、政府のどういう対応なのかということをちょっと簡潔に説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/99
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100・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
魚種転換に関しましては、水産加工資金におきまして、原材料の転換に伴う施設整備などに対し、長期低利の融資を行っているところでございます。さらに、予算措置といたしまして、加工原材料の転換や調達先の多様化の取組の支援、漁業者団体などが水産物を買取り、保管、販売する際の支援、水産物の加工、流通機能などを強化するための共同利用施設等の整備の支援などの支援策を講じております。
また、販路開拓の取組につきましては、原材料切替えなどに伴う新商品に関する広告宣伝費などの支援、漁獲量が豊富な魚種に原材料を転換する際に、市場調査、商談などの旅費、プロモーション資材など作成費の支援、さらに、消費者の内食需要などに対応した簡便性に優れた商品や提供方法などの開発、実証に伴う広告宣伝費や市場調査費などに対する支援などを行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/100
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101・紙智子
○紙智子君 やっぱり水産加工業者にとってはこの販路の確保というのは欠かせないというふうに思うんですね。
福島原発事故の、発電所の事故によって、東北沿岸の水産加工業、大きな影響を受けました。水産庁の水産加工業における東日本大震災からの復興状況アンケートというのをいただいていますけれども、販路の不足、喪失ということの答えが、やっている業者が、岩手県では一七%、宮城県では一九%、福島県では二四%ということで、原発事故によって輸出ができなかった水産加工業者もいると思うんですけど、どれぐらいいたのか、どの程度の被害が出たのかということについて把握されているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/101
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102・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
原発事故に伴います我が国水産物の輸出規制による影響を受けている水産加工業者の数を正確に把握することは困難ではありますが、現在、原発事故に伴う輸入停止措置の対象となっている十二都県における水産加工事業所の数は、例えば青森県で百二十か所、岩手県で百二十一か所、宮城県で三百二か所等々、累計いたしますと千百五十七か所であると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/102
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103・紙智子
○紙智子君 把握していただいたんですね。私も調べてみたんですよね。それで、東電の賠償額の支払状況を見れば分かるんじゃないかと思って調べてみたんですけど、よく分かんなかったですよ。やっぱり、ちゃんと実態把握というのが正確にされている状況じゃないと思うんですね。
原発事故の直後にこの輸入規制を行っていた国が五十四か所、地域あったわけですけど、現在ずっと今それが輸入するようになってきていて、現在は中国と韓国とマカオ、台湾の一地域になってきていると思うんです。
そういうふうに回復をされてきているということなんだけども、政府は、春から夏頃にかけて汚染水、まあ政府はALPS処理水って言うんですけれども、これを海洋放出するって言っているんですけど、水産加工業者にどの程度の影響があったのか、現在どこまで回復したのかっていうこともなかなか把握されてない中で、またこれ海洋放出をするのだろうかと思うんですけど、これ大臣、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/103
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104・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 原発事故に伴います我が国の水産物への輸入規制につきましては、政府一体となった科学的根拠に基づく働きかけの結果、先ほどお話がありましたが、これまで五十四のうち四十三の国・地域が規制を撤廃しております。私どもも事あるごとにこのことを今まだ規制している国に対しましては要望を重ねているところでありますし、また、G7農業大臣会議も四月二十二日からありますので、これらについてもその場でもお願いをしようということなどを考えているところでございます。
それから、ALPS処理水の処分につきましては、安全性に万全を期した上で実施する旨、各国に対して説明している、してきているところでありまして、輸入規制が導入されないよう、引き続きこれは関係省庁と連携して、科学的根拠に基づき、透明性を持って丁寧に説明してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/104
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105・紙智子
○紙智子君 ちょっと時間になってしまいましたけど、元のもくあみっていう言葉がありますけど、せっかく努力して何とか元に戻してきたのがその前の状態に戻ってしまうということをいうわけですけど、そうならないためにも、やっぱり漁業者の皆さんは今も反対していますから、是非、この放流するということをやめてほしいってことを最後に申し上げまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/105
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106・須藤元気
○須藤元気君 オッス。無所属の須藤元気です。
この二十年間、我が国における魚介類の一人一年当たりの消費量は減少を続けています。二〇〇一年度の四十・二キロをピークに、二〇二〇年度には二十三・四キロに減りました。一方、肉類の一人一年当たりの消費量は増加傾向にあり、二〇一一年度には魚介類の消費量を上回りました。
確かに、家庭において手間と時間の掛かる魚介類の調理を敬遠しがちになることは理解できます。しかし、魚屋をやっている身として、おいしいお魚料理を食卓に彩り続けてほしいですし、魚の調理にも親しんでもらいたいと思っております。
二〇二〇年十二月、本委員会での質疑の中で、水産庁も推進していたおいしく調理しやすく食べやすいファストフィッシュという水産加工品の開発促進や、学校給食への魚食メニューの推進などを頑張っていただきたいと水産庁にお願いしたところであります。
本日は、さらに、国内の水産加工業者と日本の漁業者、水産事業者を応援する気持ちで質問したいと思います。
この二十年間の水産加工食品の動向を見ますと、供給量が減少傾向で推移する中で、食料安全保障の観点からも、国内生産品の割合をもっと上げ、そしてその原材料には国産水産物がより多く利用されること、推進していくべきではないでしょうか。
そこでまず、水産加工食品の国内生産量の動向を踏まえ、日本の水産加工業者の抱える課題と対応策についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/106
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107・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
水産加工業者が抱える主要な課題といたしましては、原材料不足、経営体力不足、人手不足が挙げられるところでございます。
こうした状況を踏まえ、水産庁におきましては、水産加工資金により日本政策金融公庫から長期低利の資金調達を可能とするほか、加工原材料の転換や調達先の多様化などの取組の支援、漁業者団体などが水産物を買取り、保管、販売する際の支援、地域の意欲ある経営者を中核的加工業者として育成し、経営体力強化を図る取組の支援、先端技術を活用した省人化、省力化のための機械の導入の支援、水産物の加工、流通機能等を強化するための共同利用施設などの整備の支援などの支援策を講ずることにより水産加工品の国内生産を支援してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/107
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108・須藤元気
○須藤元気君 そんな課題がある中で、我が国の水産加工業では国産の原材料を使う割合が増加傾向にあり、直近の平成二十七年で約七割を占めています。しかし、水産加工業者からは、国産原料を含む原材料の確保が困難になっているとの指摘があります。
国内生産における水産加工品の原料の国産割合について直近の数値をお伺いするとともに、原料の国産割合を高めるためどのような方策を講じていく方針か、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/108
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109・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
国内生産における水産加工品の原材料の国産割合について、直近の数値ですけれども、先生が今御説明されたような平成二十七年の約七割というのが、これは産業連関表を使っているものですから、産業連関表の直近のデータが平成二十七年というものになってございます。
国産の加工原材料の利用促進につきましては、水産加工資金により原材料転換に伴う施設整備などを支援しているほか、食品原材料調達安定化対策事業により、水産加工業者が行う原材料切替えなどに伴う新商品の開発、製造、販売に必要となる機械設備の導入、広告宣伝費などを支援しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/109
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110・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
水産加工業は、その地域で水揚げされる水産物を主たる原料とすることが多く、地域ブランドを形成している場合もたくさんあります。他方で、地域によっては、魚種交代や漁獲量減少など、水産資源の変動により大きな影響が生じています。
そうした中、未利用、低利用の魚種を活用している地域もあります。水産加工資金制度では、未利用、低利用の資源を活用した水産加工品の製造施設についても融資してまいりました。資金制度の対象となる地域ごとのそのような魚種は、法改正に合わせて告示で見直しが行われてきましたが、今回の改正に合わせて見直す方針がありましたら、未利用、低利用の魚種についてどのような改正を検討しているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/110
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111・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
水産加工資金法は、水産資源の有効な利用の促進を図る観点から、全国の産出額及び県別生産量を勘案して、未利用又は利用の程度が低い水産動植物を選定し、本制度の対象としております。
現在、未利用又は利用の程度が低い水産動植物として十一魚種を指定してございますけれども、今回の改正におきましてイサキ及びボラの二魚種を追加する方向で検討しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/111
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112・須藤元気
○須藤元気君 日本の周辺海域に生息する魚類は約三千七百種類以上います。しかし、豊洲市場に入荷する魚は何百程度で、日本全国には市場に出回らない魚がたくさんあります。
昨年、沖縄県の石垣島で友人が漁師をやっているので、一緒に海に潜って魚を突きに行ってきました。そこで、私、魚を突いたんですが、見たこともない魚なんですよね。友人いわく、あっ、それ、物すごくおいしい魚だからというふうに教えてもらったので、私は、もう船の上ですぐちょっとその魚をさばいて、ちょっと刺身で食べたんですが、本当においしかったんですよ。もううまみと甘みがありまして、しょうゆなしで本当においしいなと。これ、東京でも是非食べたいなと思っていたんですが、ただ、その魚は流通していない魚で、地元でしか食べれないよと教えてもらいました。
このように、未利用、低利用の魚種もいろいろ発掘して生かしていけるような気がします。是非そういったことも踏まえて検討していただければと思います。
さて、加工種類別の加工場の数を見ると、冷凍食品を主とする加工場は、平成中期より、僅かでありますが増加傾向に転じています。これらは、消費者のライフスタイルの変化に伴い、食の簡便化のニーズに合った冷凍食品への需要の高まりに対応していることや、冷凍冷蔵施設の機能の高度化がそれらを後押ししているものと考えられます。
しかし、水産加工業が利用する冷凍冷蔵施設は老朽化が進行しており、その更新が課題と言われていますが、冷凍冷蔵施設の更新、転換を進めることを支援するべきではないでしょうか。農水省の御見解を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/112
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113・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
水産加工業者による冷凍冷蔵施設の整備につきましては、水産加工資金により日本政策金融公庫から長期低利の資金調達を可能としているほか、水産物の加工、流通機能などを強化するために必要となる冷凍冷蔵施設などを含む共同利用設備、あっ、共同利用施設整備の支援、それから、水産加工業者等が国産水産物の流通を促進する取組を行うために必要となる冷凍冷蔵庫等の機器整備の支援を行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/113
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114・須藤元気
○須藤元気君 水産加工資金制度の貸付対象施設等を見ますと、建物や敷地、冷蔵庫、加工機械、従業員の食堂などのハード面のみならず、試験研究費や特許権の取得などのソフト面も対象となっております。
新商品の開発には、マーケティングや試作品の試食会、広報宣伝など様々な取組が必要であり、コストが掛かります。中小事業者にとっては、アイデアがあっても、事業化するのにハードルが高いかもしれません。そこを政府が後押しすべきと考えますが、水産加工資金制度ではどのような支援が可能なのか、また、ほかの予算措置を活用すれば更にどのような支援が可能なのか、具体的に教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/114
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115・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
水産加工資金では、新製品、新技術の研究開発又は利用に係る施設整備といったハード面だけでなくて、それに伴う特許権の取得ですとか技術導入費などの特別の費用の支出といったソフト面に対しても長期低利の融資が可能となってございます。
このほか、新商品の開発につきましては、消費者の内食需要などに対応した簡便性に優れた商品や提供方法等の開発などを行う場合は、市場調査、商談などの旅費、コンサルティング経費などの支援が可能であり、可能であるということと、もう一点、開発に合わせて加工原材料を漁獲量、加工原材料の魚種を転換する場合には、プロモーション資材等の作成費の支援を行うことも可能となってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/115
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116・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。是非、ハード面とソフト面、バランスよく、そしていろいろな形で措置していただけるようにお願いいたします。
さて、新型コロナが拡大した当時、外食やインバウンド需要の減少などの影響を受けて、マグロやホタテ、タイなどの高級魚介類を中心に水産物の需要が失われました。政府は緊急的に、在庫の滞留や価格の低下が生じている水産物について、学校給食に活用されることを促すため、食材購入費や運送費に支援を行いました。地元の学校に漁業者が出向くなどの食育教室も併せて開催することで、子供たちに地元産や国産への親しみも持ってもらい、家庭消費の拡大につながることも期待されました。この取組は、地元特産の魚介類とその食文化を子供たちに伝える非常に良い機会だと思います。
そこでお伺いしますが、コロナの緊急対策で講じた学校給食、子供食堂での活用実績、事業の効果について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/116
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117・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、インバウンドや輸出の減少などにより、ブリやマダイなどの水産物の在庫の滞留や価格の低下などが生じたところでございます。
このため、令和二年度の一次補正予算以降、これらの影響を受けた水産物などの販売促進や販路多様化などを支援する緊急対策を実施いたしました。この事業の中で、水産物を学校給食や子供食堂へ提供する際の食材調達費や輸送費などの支援をほぼ全都道府県で実施していただいており、その合計は百七十一億円となる見込みとなってございます。
この事業によりまして、子供たちが地元や国産の水産物に触れる機会が増え、魚嫌いだった子供が魚を食べられるようになったとの声も聞いております。また、提供と併せて産地や生産者の紹介も行われるなど、水産物や生産者への理解が深まるといった効果もあったと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/117
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118・須藤元気
○須藤元気君 この魚食の普及、地域振興と食育の観点から、緊急的な対策としてでなく、引き続き支援していくべきと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/118
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119・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症対策は、委員御指摘のように、緊急事態宣言による行動制限などにより、外食需要が著しく減退したことから、行き場を失った農林水産物の販路開拓を促進するための緊急的に措置されたものでございます。
魚食の普及や食育の取組を広げていくためには、若年層における魚食の習慣化を促すほか、少子高齢化や共働き世帯の増加などを背景とした消費者の簡便化志向の高まりやSDGsへの関心の高まりなど、消費者ニーズを的確に捉えた水産物の提供をすることが必要と考えております。
このため、学校給食や子供食堂など、共食の場に地場産物などを使用するための地域の農林漁業者とのマッチング、農林漁業者などによる食文化継承等の食育活動、国産水産物の学校給食への利用を促進する学校給食関係者向けの講習会の開催や栄養教諭などが行う魚食に関する指導、消費者の内食需要などに対応した簡便性に優れた商品や提供方法などの開発、実証、生態系や資源の持続性に配慮した方法で漁獲、生産された水産物であることを示す水産エコラベルの普及促進などの取組に対して支援を行うこととしております。
今後とも、こうした取組を支援することで魚食の普及を図ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/119
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120・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
引き続き支援していただければと思います。そして、国内の水産加工業者と日本の漁業者、水産事業者をしっかりとサポートしてください。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/120
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121・寺田静
○寺田静君 無所属の寺田と申します。よろしくお願いいたします。
水産業に関しては、今日私は初めて質問をさせていただくということで、少しだけ、冒頭、私の問題意識をお話をさせていただきたいと思います。
私は、大学時代からスキューバダイビングを始めまして、先日来さんざん北国への支援をお願いしてまいりましたけれども、北国生まれだからか南の島への憧れというものがあって、二十代の頃は毎年マレーシアの海に通っていました。どんどん、毎年通う中で、どんどんサンゴがなくなってしまうという状況を見てきて、結局は、それは自分たちのような観光客が乗る船や漁船がサンゴをがりがりと傷つけて荒らすからというようなことを見てきて、人間の活動が海を壊しているんだなというようなことを見てしまって、だんだん通うのがつらくなりました。
そこで、当時、観光に海の資源を利用しながら保全もきちんとできていると、少なくとも私がそう当時感じていたハワイ大学に進んで、マリンサイエンスを専攻することにしたという過去があります。その大学の授業では、週に二回海に出て、七十センチほどの枠を海底に置いて、中のウニの数をカウントしたりとか、あるいは船に乗って海水を回収してプランクトンの量を調べるというようなことをしておりました。
私が経験をしましたのはそのほんの一端であったと思いますけれども、ただ、研究者の方々のこうした日々の地道な努力があってこの水産資源の推定などがなされているということに敬意を申し上げたいというふうに思います。
また、今、子供が春休みの時期に当たりますけれども、小学生の子供が「こどもSDGs」という本を読んで日々クイズを出してくるので困っているんですけれども。海の生物の数はここ四十年で減っていると、で、四分の三になっている、三分の二になっている、半分になっているという選択肢が出てきて、また、世界の水産資源でまだ十分に利用できるものはどれだけあるかと、これも選択肢が四六%、二六%、六%と出てきて、この三択はいつも一番厳しい数字が正解だということにうちのまだ息子は気付いていないようでありますけれども、やっぱりこの四十年で世界の海の生物の数は半減をして、水産資源で十分に利用できるものはもう六%しかないということで、子供の本ではありますけれども、恐らくデータは正確なものであるというふうに思います。
こうした厳しい数字を見てきて、私も改めて様々調べる中で、東京海洋大学の勝川俊雄氏の「魚が食べられなくなる日」という本を読みました。そこの冒頭に、回転ずしに行っても、近未来の予測ですけれども、回転ずしに行っても魚が回ってこなくて、空揚げとか豚肉のお皿ばかりが並んでいるというプロローグで始まります。漁獲量が激減をして、漁業者や加工業者が困窮をして、言わば手遅れのような状態になってから慌てて制限をしているというような状態を引き起こしてきたのではないかということをこの勝川氏は指摘をされております。
事前のレクでは、この漁獲制限に関しては、二、三年前に、今までとは考え方、言わば理念のようなものを変えて、このぐらい魚が要るようですという考え方から、これよりはもう減らさないという維持管理の仕方にしたのだというふうに教えていただき、少しほっとしたところです。
私の地元の秋田県の男鹿市の道の駅では、余り広くは流通しない魚ですね、魚が、サイズが規格外であったりとか足が速かったり可食部分が少ないなどの理由で未利用魚とされているもの、捕ろうとした魚ではないけれども一緒に捕れてしまった混獲魚と言われるものを含めて広く取扱いをしていて、毎朝九時にはホームページに入荷をされた、その道の駅のホームページに入荷された魚種と写真がアップされていて、安価に購入をすることができて、しかも、なじみの薄い魚でありますので、さばき方が分からないこともあるので、併設されたキッチンでさばいてもらうこともできるということで、私も何度となく訪れていますけれども、地元の方々のみならず、県内の近隣の買物客からも人気だというふうに承知をしています。
この水産資源の有効な利用という観点ではこの未利用魚の活用は大切だと思いますけれども、今回の改正案で未利用魚を原料とする水産加工品の製造促進をするということですけれども、これまでの貸付状況と今後の見通し、そして、今後の利用の障害となるようなもの、考えられるものについて教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/121
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122・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
漁獲されたにもかかわらず、出荷に必要なサイズや十分な量がそろわない、あるいは加工が困難であるなどの理由から、安価で取引されたり、市場に流通せず商流に乗らない低未利用魚の有効活用は、委員御指摘のとおり、水産資源の有効利用や漁業者などの所得向上を図る上で重要な取組であると考えております。
水産加工資金におけます低未利用水産動植物を原材料とする食用水産加工品の製造、加工に係る施設整備等に対する融資実績は、前回の法改正の平成三十年度以降令和三年度までで、融資総額一億七千四百万、総件数では四件となっております。
この融資だけではなくて、支援策としましては、バリューチェーン改善促進事業による生産、加工、流通、販売の関係者が連携した高付加価値等を通じたバリューチェーン構築の取組の支援、あるいは、水産加工・流通構造改善促進事業による水産加工業者などが行う国産水産物の流通を促進する取組の支援を通じまして、低未利用魚の有効活用の取組に対する支援を行っているところでございます。
委員御指摘のように課題はいろいろあるわけですけれども、引き続き、こうした水産加工業者を含む地域の漁業関係者の取組を支援することで、低未利用魚の有効活用につなげてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/122
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123・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
衆議院の方の緑川議員の質疑の中で、ただ、この対象、その利用の対象となる魚種が三十一種類であるということも明らかにされていると思います。ただ、もっともっと魚の種類は当然あるわけで、地域によってもばらつきがあるわけなので、もっとこの対象となる魚種を広げていただきたいなということをお願いを、私からもお願いを申し上げたいというふうに思います。
また、地元の話で恐縮ですけれども、秋田県八峰町の若手漁師らが二一年八月に立ち上げたフィッシュドアという会社では、この未利用魚が四キロ入った漁師の分け前セットというものを産直、インターネット通販の食べチョクなどで販売をして、送料別の二千円という価格の値段、価格設定で、販売開始からおよそ一年で二千セットを売り上げたということでした。漁で捕れた魚をその都度詰め合わせるので当然魚種は指定をできず、また提供できないという場合も出てくるということでした。ただ、それまでは水揚げの全体の二割ほどを破棄に回していたものを、ですけれども、それを利用できるようになったと。そして、現在はさばく前の魚しか扱えないけれども、今後は切り身でも販売できるように、その加工場の建設を見据えて資金集めに奔走しているということでした。
秋田県の会議でも、こうした加工場などに使える補助金の情報が欲しいという話がよく出ておりますので、情報提供をしっかりと行っていただきたいですし、柔軟な運用をしていっていただきたいなというふうに思っております。
また、別の方のお話によると、一回漁に出ると、水揚げ量の三割から四割が捨てられる未利用魚であったという話もありました。そうしたものを商品化をすれば、供給の安定した魚を安価で仕入れることができるというメリットもあるものというふうに思います。
また、この八峰町ですけれども、漁業、なかなか魚が捕れなくなっているというところもあって、苦渋の策として未利用魚の利用のほかにサーモンの試験的な養殖も進められております。ただ、これも先月の寒波で三割が死んでしまいました。サーモンの養殖としては後発なんだと思いますけれども、ただ、まだ需要は多いんだと思います。どうか、ノウハウの提供ですとか、農業の中山間地支援ではありませんけれども、こうした小さな取組にも十分な支援をお願いしたいなというふうに思っております。
また、SDGsの観点からいくと、養殖は、もちろんいい点はありながらも、適切な管理をしなければ海の環境を汚染する原因にもなってしまうということだと思いますので、こういうところにも国として適切な支援を是非お願いしたいというふうに思っております。
次の質問がちょっと徳永先生の御質問とかぶってしまったので、一問飛ばさせていただきたいというふうに思います。
次に、水産基本計画のことについてお伺いをしたいと思います。
五年ごとに改正をされているこの水産基本計画ですけれども、この漁業生産量の目標というものを達成できているんでしょうか。端的にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/123
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124・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
平成十九年の三月に策定いたしました水産基本計画、これは平成二十九年度を目標としておりますが、このときは、五百六十八万トンを漁獲量として達成するという目標に対しまして、実績といたしましては三百八十三万トンでございましたので、目標値には届いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/124
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125・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
その漁獲量の減少が原因だと思うんですけれども、その減少している理由を何だというふうに分析を、先ほど来少し御答弁もございましたけれども、その原因の分析というものをどのようにされていらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/125
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126・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
生産量の目標を達成できなかった要因としては様々なものが考えられますが、主に水産資源の減少が原因であると考えております。
一方で、この水産資源の減少は、地球温暖化などを背景とした海洋環境の変化などの要因もございますが、適切な資源管理を行い、水産資源を維持できていれば、生産量の減少防止を緩和できたものも多かったと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/126
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127・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
現行の漁獲規制、二、三年前に変わって厳しくやっているということではありますけれども、この現行の漁獲規制の内容というのは、持続可能な資源量を確保するのに十分であるというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/127
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128・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) 水産資源を持続的な水準に維持、回復し、適切に管理することは、水産業の成長産業化を実現するために不可欠であると考えております。
このため、委員が御指摘されましたように、平成三十年に漁業法を改正し、持続的に生産可能な最大の漁獲量の達成を目指す数量管理を基本とした資源管理を推進しております。具体的には、資源量、資源調査などに基づいて資源評価を行い、漁獲量が最大持続生産量を達成することを目標として数量管理を行うこととしております。例えば、既存のTAC魚種の中でも、例えば、スケトウダラ日本海北部系群、ズワイガニ日本海系群など、科学的な資源評価に基づく数量管理の実施による成果が現れているものもございます。
今後とも、新たな資源管理の推進に向けたロードマップを踏まえ、新たな資源管理の導入を着実に実施してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/128
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129・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
事前のレクで教えていただいたところでは、主要七魚種のその漁獲していいという総枠に対して、実際の漁獲量は五割から七割だったというようなことも教えていただいております。また、サンマなどは三割ぐらいしか捕れていないということもあって、その漁業者の方に言わせると、大勢に影響ないと、結局はそこまでは捕れないんだから影響はないというようなお話も聞きます。
そうした中で、本当にこの子供たちが将来きちんと、将来といってもこの子供が大人になる三十年後とかに本当に今と同じぐらいのおすし屋さんにお魚の種類も数も並んでいるのかということはすごく不安になる思いでおります。
一つ通告をしていないんですけれども教えていただきたいんですが、今のその漁獲量の正確な把握というのがなされているのかと。そのTACのところでは、八割をTACで管理をして、二割は都道府県の管理で、現行水準ぐらいまでで、より多く捕ったりはしないでねというような管理の仕方だということを教えていただいたんですけれども、この実際の漁獲量の管理、数量というものをしっかり把握をされているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/129
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130・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) 現時点で、最大限把握できる体制は整えつつあると思っております。
これは、新しい漁業法の改正によりまして、都道府県の知事許可漁業も漁獲量を正確に報告するということが求められておりますし、さらに、我々、スマート水産業を導入いたしまして、全国の四百の市場から漁獲量の状況を電子的に報告する手続も今取り進めておりますので、法の改正以前に比べましてかなり正確に把握する体制は整っておると認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/130
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131・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
時間が来たので終わりにしたいんですけれども、子供もこのSDGsの本を読んで、この海の問題は結局、その海で二酸化炭素が三割ぐらい吸収されて温暖化の抑制にも資するということもあって、このままじゃもう地球は暑くなっちゃうし、もっと昔に生まれたかったみたいなことを言うこともあって、どうかこれからも子供たちがきちんとしたいい環境の下で、また魚を食べられるような管理の下で生活していくことができるように管理をお願いしたいということを申し上げて、終わりにしたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/131
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132・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/132
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133・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、徳永君から発言を求められておりますので、これを許します。徳永エリ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/133
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134・徳永エリ
○徳永エリ君 私は、ただいま可決されました水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会及び日本共産党の各派並びに各派に属しない議員須藤元気さん及び寺田静さんの共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
水産加工品の原材料の供給事情及び水産加工品の貿易事情の著しい変化に対処するため、水産加工業施設改良資金融資が行われてきた。昨今の水産資源の減少など、水産加工業をめぐる厳しい状況に鑑み、引き続き、水産加工業の施設の改良等に必要な長期かつ低利の資金の貸付けを行う必要がある。
よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
一 近年、我が国近海では海水温の上昇等の海洋環境の変化によって、不漁や魚種の変化が生じている。こうした環境の変化に対応して、漁業自体の底上げを図ると同時に、持続性のある産業となるよう水産加工業の在り方や支援の方向性について検討すること。
二 我が国の水産加工業は、中小・零細企業が大部分を占めることから、共同化の推進を含め、経営基盤の強化に努めること。
三 水産加工業における環境対策を推進するため、環境負荷低減に資するとともに魚種転換にも柔軟に対応できる機器の導入等や加工残さの有効利用等の取組を支援すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/134
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135・山下雄平
○委員長(山下雄平君) ただいま徳永君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/135
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136・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 全会一致と認めます。よって、徳永君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、野村農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。野村農林水産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/136
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137・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) ただいまは法案を可決いただきまして、ありがとうございました。
附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/137
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138・山下雄平
○委員長(山下雄平君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/138
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139・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00520230330/139
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