1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年五月十六日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月二十六日
辞任 補欠選任
加藤 明良君 堀井 巌君
宮崎 雅夫君 世耕 弘成君
吉井 章君 石井 準一君
下野 六太君 谷合 正明君
安江 伸夫君 山口那津男君
串田 誠一君 室井 邦彦君
四月二十七日
辞任 補欠選任
石井 準一君 若林 洋平君
世耕 弘成君 宮崎 雅夫君
堀井 巌君 加藤 明良君
山本 啓介君 松川 るい君
谷合 正明君 下野 六太君
山口那津男君 安江 伸夫君
室井 邦彦君 串田 誠一君
四月二十八日
辞任 補欠選任
松川 るい君 山本 啓介君
五月九日
辞任 補欠選任
下野 六太君 山口那津男君
五月十日
辞任 補欠選任
山本 啓介君 武見 敬三君
山口那津男君 下野 六太君
五月十一日
辞任 補欠選任
武見 敬三君 山本 啓介君
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出席者は左のとおり。
委員長 山下 雄平君
理 事
堂故 茂君
船橋 利実君
宮崎 雅夫君
徳永 エリ君
舟山 康江君
委 員
加藤 明良君
滝波 宏文君
藤木 眞也君
山田 俊男君
山本 啓介君
若林 洋平君
石垣のりこ君
大椿ゆうこ君
田名部匡代君
下野 六太君
安江 伸夫君
串田 誠一君
紙 智子君
須藤 元気君
寺田 静君
国務大臣
農林水産大臣 野村 哲郎君
副大臣
農林水産副大臣 勝俣 孝明君
大臣政務官
農林水産大臣政
務官 藤木 眞也君
事務局側
常任委員会専門
員 笹口 裕二君
政府参考人
内閣官房内閣参
事官 吉住 秀夫君
警察庁長官官房
審議官 友井 昌宏君
消費者庁審議官 依田 学君
文部科学省大臣
官房文部科学戦
略官 鈴木 敏之君
厚生労働省大臣
官房生活衛生・
食品安全審議官 佐々木昌弘君
農林水産省大臣
官房総括審議官 杉中 淳君
農林水産省大臣
官房技術総括審
議官兼農林水産
技術会議事務局
長 川合 豊彦君
農林水産省消費
・安全局長 森 健君
農林水産省輸出
・国際局長 水野 政義君
農林水産省農産
局長 平形 雄策君
農林水産省畜産
局長 渡邉 洋一君
農林水産省経営
局長 村井 正親君
農林水産省農村
振興局長 青山 豊久君
林野庁長官 織田 央君
水産庁長官 神谷 崇君
資源エネルギー
庁省エネルギー
・新エネルギー
部長 井上 博雄君
国土交通省水管
理・国土保全局
下水道部長 松原 誠君
環境省大臣官房
審議官 松本 啓朗君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
(食料安全保障に関する件)
(営農型太陽光発電事業に関する件)
(食品安全行政に関する件)
(米政策に関する件)
(農業分野から排出されるプラスチック対策に
関する件)
(アニマルウェルフェアに関する件)
(伝統行事における馬の取扱いと動物愛護に関
する件)
(担い手の育成・確保に関する件)
(花粉発生源対策に関する件)
○漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/0
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001・山下雄平
○委員長(山下雄平君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、吉井章君が委員を辞任され、その補欠として若林洋平君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/1
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002・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/2
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003・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に宮崎雅夫君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/3
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004・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣参事官吉住秀夫君外十七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/4
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005・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/5
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006・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/6
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007・滝波宏文
○滝波宏文君 自民党、福井県選出の滝波宏文です。現在、党の水産部会長を務めており、まずは水産関係の質問から入りたいと思います。
今回、漁港なども活用した海業の振興を目指す漁港漁場整備法等の改正案が提出されており、これは言わば浜の地方創生として高く評価したいと思います。
一方で、気になっている点があります。各地で同様の事案が起きているかと思いますが、私の地元福井県でも、一部のマナーが悪い釣り人が漁港の立入禁止区域に入ってしまうとか、プレジャーボートが無断で漁港内に乗り入れてくるなどの問題が起きています。
税金で造っているのだから納税者は自由に使えるはずとおっしゃる方もいるようですが、漁港は漁業振興の目的で税金を投入して整備しており、それ以外は本来は目的外使用であります。あくまで漁業を阻害しない限りにおいてそれ以外の行為が許されるものであり、漁業との両立が大原則です。
そこで、今回の海業振興の法改正がこのような両立に向けた秩序ある海業の振興に資するものとなるべきでしょう。例えば、漁港において、安心かつ使いやすい形での釣りやプレジャーボート等の使用ができるような整備がなされ、これに対して地元の漁港、漁業者等がそこから使用料を得られるというようなウイン・ウインの関係が築かれればと願いますが、本件について大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/7
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008・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 滝波委員は、自民党の水産部会長で、非常にこの水産関係に明るい方でございますが、今ちょっと気になった話がありまして、まあ両立という話がありました。
私の鹿児島では、非常にこのカイ業の推進というか、カイ業が非常に進んでおりまして、(発言する者あり)海業ですね、それで、レストランとかなんとかが相当、非常にはやっておりまして、それでもって漁協の経営とかあるいは漁民の方々のいろんな憩いの場になっていたりとか、そういったようなことがやっておりますので、まあ滝波委員のところがどうなっているのか私も余り承知しておりませんが、まあ両立しているのではないかと、私は自分の地元を考えたときにはそう思っておりましたが、いろんな、しかし、漁協というのは、もう元々は漁船の係留だとか水揚げの荷さばきだとか、水産物の荷さばきといった事業活動を営むための根拠地であることから、これはもう漁業上は利用が大事だということはもう誰もが分かっておるわけでありますが。
農林水産省といたしましては、R四年に閣議決定をしました漁港漁場整備長期計画によりましてそういったような海業の利用に関するガイドラインが示されたところでございまして、そういった意味では、地方公共団体なり漁業利用者の周知を図りながら、今おっしゃいました両立する、ウイン・ウインの関係になっていかないと、どちらかが、余り邪魔をしていくということには好ましくないんだろうなと思いますけれども、ただ、やっぱりそれは地域地域によって違うのかなとも思ったりしておりますけれども。
ただ、今、最近、この海業に対する関心が高くなってきていて、そして皆さん方大変力も入れておられるようでございますが、そのことが魚の消費拡大なり、あるいは魚に対する理解なり、こういうことにも役立っているんだろうと、こんなふうに思っておりますので、おっしゃいましたようにウイン・ウインの関係となるように、秩序ある、この海業の利用に関するガイドラインに沿ってやっていただきたいと、こんなふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/8
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009・滝波宏文
○滝波宏文君 浜の活性化にしっかり資するように運用していっていただければと思います。
次に、気候変動による海洋環境の変化が影響していると思われる急潮、急な潮ですが、の問題について質問させていただきます。
地元福井県では、昨年夏、越前町の複数の定置網で急潮による大規模な網破損が発生したのを始め、越前海岸から若狭の浜に至る広範囲で同時多発的に漁具被害が発生しました。
今後、急潮研究の推進、破損漁具に対する支援、急潮被害の防止となる強度な網の開発などが求められますが、政府がどのように支援をしていくのか、水産庁長官にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/9
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010・神谷崇
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
急潮につきましては、発生を予測して準備し、またその予測の精度を上げることと、急潮に強い漁具の導入の二つの面から対応しているところでございます。
発生の予測につきましては、潮流などの海洋観測データの蓄積が必要となりますので、水産研究・教育機構、都道府県及び民間企業が収集したデータを共有、解析し、予測情報の提供やその精度向上が可能な体制を整えております。これらに対しましては国も支援しているところでございます。
また、急潮に強い漁具の導入につきましては、水産業成長産業化沿岸地域創出事業、いわゆる新リース事業による支援のほか、制度資金の利用が可能となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/10
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011・滝波宏文
○滝波宏文君 よろしくお願いいたします。
連休中にも報道ありましたが、不測の事態における食料安全保障の対応については、現在、農水省が策定した緊急事態食料安全保障指針により、例えば買占めの是正などの対応について整理がされていますが、あくまで農水省が定めた指針にすぎません。政府全体として、食料危機への対応を講ずるための意思決定や命令を行う法的根拠を明確化する必要があり、また、危機時に向けて国民や事業者等への制約を伴う手法も想定せねばなりません。その際には、制約に対する財政的な措置も検討する必要があるでしょう。
ウクライナ侵略など、近年の食料安全保障に関するリスクの高まりを踏まえ、今こそ現行の農水省指針に掲げられている各措置について改めて見直しを行い、政府全体での食料危機対応に向けた法整備をすべきと考えますが、農水省の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/11
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012・勝俣孝明
○副大臣(勝俣孝明君) ありがとうございます。
滝波先生御認識のとおり、不測の事態に備える体制についてしっかりと検討していく必要があると考えております。
四月二十八日の検証部会におきましても、不測の事態の対応について議論が行われました。現在の指針は制約を伴う措置についての法的根拠たり得ないという指摘がなされた上で、不測の事態に関係省庁が連携して対応できるよう、政府全体の意思決定を行う体制の在り方やその体制を整備する法的根拠の有無、体制を整備する基準についての検討が必要、また、食料安全保障のリスクに応じた措置について現行の法的措置で十分かどうかの検証や、必要な義務的措置、それに関連する財政的な措置等の必要性などが議論されたところであります。
これらの議論を踏まえ、農水省としましては、六月を目途に、食料・農業・農村政策の新たな展開方向を取りまとめていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/12
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013・滝波宏文
○滝波宏文君 ありがとうございます。
その関連で、農水省にはよく申し上げていますが、政策立案において、供給側、サプライサイドについてばかり考えているのでないかという懸念があります。食料安全保障と並んで語られることの多いのがエネルギー安全保障ですけれども、エネルギーの世界では、需要側にも省エネや節電要請、計画停電など、制約を求めるような政策が多々あります。同様に、食料についても、昨今の国際情勢を考えれば、需要側の方向付け、コントロールに向けた政策群も準備せねばならない時期に来ているのではないかと思います。すなわち、食料確保の危機が視野に入ろうかというときに、好きなものを何でも世界各国から食べてくださいというように、需要については所与のままの政策でいいのでしょうか。例えば、食料安全保障を考えるのであれば、自給率に優秀な米を一層活用する方向に向かわねばならないのに、米の消費量が落ちているからとにかくそれに合わせて供給を減らしましょうというのだけでは食料安全保障の推進とは言い難いと思います。
食料危機のリスクを目の前にして、今こそ需要側を国消国産に向けていくことが非常に重要であると考えますが、大臣の見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/13
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014・勝俣孝明
○副大臣(勝俣孝明君) ありがとうございます。
本当に委員御指摘のとおり、世界的に食料生産が不安定化する中、我が国の食料安全保障を確保するためには、安定的な輸入と適切な備蓄を図りつつ国内生産を増大するとともに、国産品が着実に消費されることが重要であると考えております。そのためには、消費者が食料生産についてより理解を深めることや、農業生産側と食品関連事業者の双方の努力により国産の農林水産物が利用されるようにしていく必要があると考えております。
そのため、農林水産省としましては、例えば米の消費拡大におきましては、学校米飯給食の推進、定着、米と健康に着目した情報発信などの取組に加え、パック御飯や米粉など消費者が利用しやすい形態での供給を増大するため、米粉専用品種などの生産を促進するとともに、これらの消費拡大に向けて取組を行ってきたところであります。
引き続き、加工原料に適した農産物生産など需要に応じた生産の促進や、環境負荷低減の取組の見える化等を通じた消費者の理解、行動変容を通じて、国産の消費拡大に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/14
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015・滝波宏文
○滝波宏文君 連休前に、某民放局員が米の生産についてテレビで、食べないものを作ってもしようがない、我々の需要を変えろったって無理とコメントして、ネット等で大きく批判されるということがありました。食料安保が重視される中、農水省がこの局員と同じような考えに陥らないように、需要側への政策立案、しっかりやっていただきたいと思います。
この今触れてきたように、食料安全保障の観点からいえば、やはり自給率一〇〇%の米が優秀です。我が国の長い歴史の中でずっと作り続けられてきたものであり、日本の気候、風土に一番合った作物です。今こそ米が注目され、水田がもっと活用されねばならないはずです。ところが、なかなかそういうふうになっていない感があります。食料安保を言うなら米関連予算も増やしてしかるべきではないかと思いますけれども、必ずしも増えている感じがしません。
地元福井県は、コシヒカリを福井県の農業試験場で生んだ土地柄だけに、政府は米、水田を軽く見ているのではないかという声もよく聞きます。
ついては、食料安全保障を踏まえ、米、水田の重要性と、それを受けた政策の方向性について、農水省の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/15
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016・勝俣孝明
○副大臣(勝俣孝明君) 主食である米の国内生産を持続するという観点から、米の消費拡大、特に重要な課題と認識しております。このため、先ほども申し上げましたけれども、学校米飯給食、またパック御飯、また輸出の促進、米粉、あらゆる面で米の消費拡大に取り組んでいきたいと考えております。
特に、米粉につきましては、米粉用米の生産振興に加え、消費者に受け入れられる商品となるよう、米粉の特徴を生かした新商品の開発、米粉のパン、麺など、生産機械設備の導入などへの支援も行っていきます。また、米の輸出につきましては、日本産米の新たな市場を開拓するとともに、アメリカ等におけるパック御飯など需要の開拓を図るため、改正輸出促進法に基づく米の認定団体を中心としたオールジャパンでのプロモーションの強化、輸出向けパック御飯の製造ライン等の整備などにより、更なる輸出促進に取り組んでまいりたいと考えております。
今後とも、米の消費拡大への取組などを通じて、需要に応じた生産を推進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/16
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017・滝波宏文
○滝波宏文君 畑地化も含め水田が減っていますけれど、いざというときに増産しようとしても、水田として農地が守られていなければなし得ません。水田、米はしっかり食料安保の中で重視していただきたいと思います。
さて、私は福井県山林協会の会長も務めておりますところ、次、林業に関連し、建築物の木造化推進などについて質問します。
現在、全国各地で民間の木造ビルも建ち始めていますが、私はかねてよりエコでクリーンな企業を自称するなら自社ビルは木造化すべしと提唱しております。そして、自民党の議連、都市部における中高層建築物等の木造化、木質化の推進により国産材の需要を拡大し、気候変動対策や地方創生等へ貢献することを目指す「森林(もり)を活かす都市(まち)の木造化推進議員連盟」において私、事務局次長も務めておりますが、一昨年にこの同議連が中心となって法改正し、木造利用促進の対象を、公共建築物のみならず、民間を含め建築物一般に拡大、冒頭申し上げた、民間の木造ビル建設の後押しとなっております。また、一般の低層住宅分野においても、数年前のウッドショックをきっかけとして、住宅メーカー等が不透明感の増す輸入木材から国産材に目を向け始めています。
こうした国産材の活用に向けた動きは、森林資源が利用期を迎えている我が国の林業の持続的な成長、発展に向けて重要なポイントとなるとともに、循環利用を促すことでGXやSDGsといった潮流にもかなうものであり、この動きを更に加速せねばなりません。
一方で、この需要側の川下の事業者等からは国産材を安定的に供給してもらうことが必要といった声が、そして供給側の方は、川上、川中ですけれども、安定した需要拡大がなければ安定供給にはつながらないという声がそれぞれあります。
ついては、建築物全般の木造化、木質化を通じて、国産材の需要を一時的なものでなく着実に拡大していくことと、こうした需要に対して国産材を安定的、持続的に供給していくことを車の両輪として取り組むべきと考えますけれども、大臣の決意をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/17
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018・藤木眞也
○大臣政務官(藤木眞也君) お答えをいたします。
国産材の需要拡大に向けては、委員にもお力添えをいただいたまちの木造化推進法等により、建築分野における木材利用が拡大しております。また、いわゆるウッドショック等により国産材の需要が高まりを見せたところです。これを一時的なものではなく着実に拡大させていくことが重要であると考えております。一方、我が国の人工林資源が本格的な利用期を迎えている中、こうした需要に的確に応え、林業、木材産業を成長、発展させるためには、国産材を安定的、持続的に供給する体制を整えることが重要だと考えております。
委員が御主導いただいております「森林(もり)を活かす都市(まち)の木造化推進議連」、こういったところからの御意見等々も賜っておりますけども、このような考え方の下、農林水産省としましては、川下において、これまで木材が余り使われてこなかった中高層や非住宅の建築物などにおける木材利用の促進や、付加価値の高い木材製品の輸出促進などによる需要の拡大などに取組を進めるとともに、川上、川中において、担い手の育成、確保や路網整備、木材加工流通施設の整備などによる国産材の供給体制の構築に取り組むなど、需要面と供給面の両方の取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/18
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019・滝波宏文
○滝波宏文君 よろしくお願いします。
次に、農業・農村所得倍増計画について伺います。
政府は、二〇一三年、第二次安倍政権において、十年間で農業、農村所得、農業、農村の所得倍増計画を目指すことを決定し、様々な取組もなされてきております。
その進捗状況ですが、お手元の資料一にありますように、実は農業所得に関しては、三・五兆円の目標は四年間、二〇一七年の時点で既に目標を上回る三・八兆円を達成しており、これは立派なことだと評価したいと思います。その後、コロナ禍もあり下回っておりますが、おおむね目標を満たしていると言ってもよいでしょう。一方、農村所得に関しては、資料三にありますように、これは資料一にも書いてありますが、二〇一九年時点で二・二兆円、着実に伸びてはいますが、二〇二五年、四・五兆円の目標までには道のりはまだ遠いと思います。この農村所得については、この倍増計画に示された七分野において、例えばコロナ後のインバウンド拡大を農村地域に呼び込むなど、しっかり農村所得が向上するように取り組んでいただきたいと思います。
また、そもそも農業所得で数値的な達成がされていたときでもその実感が伴っていないというのが現場農業者の本音ではないかと思います。地域間格差もあるのかもしれませんが、この点はどう対応していくのでしょうか。
それも含め、今後、二〇二五年までの残りの期間、農業・農村所得倍増計画の完遂に向けてどう取り組んでいくつもりか、農水省の見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/19
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020・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) この農業、農村所得の倍増目標、久しぶりに御質問を受けました。前、野党の皆さんからこのことについての質問が何回もあったことは覚えておりますが、久々に与党の方から御質問をいただきましたので、ちょっとびっくりしておりますが。
もうこれは、今、滝波委員がおっしゃいましたように、十年計画で倍増させるという所得倍増計画を何か考えないといけないんじゃないかということで、平成二十五年の十二月に活力創造プランの中で考えられた仕組みでありました。
このうち、今おっしゃいましたように、農業所得につきましては、平成二十五年の二兆九千億から令和三年では三兆三千億まで伸びてきたということで、これにつきましては、令和七年で三兆五千億ですから、これは目標達成は可能だろうというふうに思っておるところでありますが、ただ、農村地域の関連所得につきましては、二十五年度の一・二兆円から令和二年度では二・二兆円、一兆円まで増加はしておりますが、その後ずっと足踏み状態でございまして、令和七年に向けて取組を更に加速していく必要があるというふうには思ってございます。
ただ、具体的には、やはりこの農業と食料産業の連携による六次産業化、あるいはまた農村に滞在して地域の食を味わってもらう農泊など、この農村漁村発イノベーションの推進等を通じて、農村地域の関連所得の増大に向けて施策を推進してまいりたいというふうに思っておりますし、さらには、スマート農林水産業の推進によりまして、生産性向上に向けた施策や世界の食市場の獲得を視野に入れた輸出の促進など、農業、農村における所得向上に向けた施策を通じて、農業現場において所得向上が実感できるような取組を推進してまいりたいというふうに考えておりますが、大変厳しい、あるいはまた難しい課題であることはもう十分承知しておりますが、この農村地域の関連所得の向上ということにも目を向けていかなきゃいかぬと、このことは十分認識はいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/20
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021・滝波宏文
○滝波宏文君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/21
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022・徳永エリ
○徳永エリ君 おはようございます。立憲民主・社民の徳永エリでございます。
今日は、厚生労働省から佐々木審議官、消費者庁から依田審議官にお越しいただきました。ありがとうございます。
それでは早速質問に入らせていただきますが、まず厚生労働省にお伺いいたします。
我が国の食料自給率三八%、まあ六割以上の食品を海外からの輸入に依存しているわけでございますが、そういう中で、海外から輸入している食品が安全なのか、大変に心配をしているところでございます。
この食品の安全を確認する検査、これはどのように行われているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/22
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023・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
我が国への食品の輸入業者には、輸入の都度届出を行うことが義務付けられております。これに基づいて検疫所において審査及び検査を行っております。
具体的には、輸入食品の検査につきましては、我が国における食品の規格基準、この我が国の基準に適合するか否か、これを確認いたします。で、そうした食品が輸入されないよう、幾つかチェック項目あります。食品添加物、残留農薬、遺伝子組換え食品等を検査するためにサンプリングを取って行う、これモニタリング検査と呼んでおります。その上で、モニタリング検査等の結果、食品衛生法に違反する可能性が高いと判断された食品を対象として、今度は輸入者の経費負担によって、輸入された全量を留め置いて検査をする命令検査、こうした形で違反リスクに応じた検査を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/23
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024・徳永エリ
○徳永エリ君 どのように検査をするのかというのは分かりましたが、輸入食品の近年の年度別の届出件数、検査の割合、また食品衛生法の違反件数についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/24
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025・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
近年ですので、令和元年、二年、三年についてお答えいたします。
まず、令和元年度でございますが、届出件数は約二百五十四万件、検査割合は八・五%、違反件数が七百六十三件。令和二年度は、届出件数が約二百三十五万件、検査割合が八・五%、違反件数が六百九十一件。令和三年度は、届出件数が約二百四十六万件、検査割合が八・三%、違反件数が八百九件となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/25
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026・徳永エリ
○徳永エリ君 お配りした資料の三ページ目を御覧いただきたいと思うんですけれども、今お話がありました例えば令和三年でありますが、届出件数がここに書かれておりますが、問題はこの検査割合なんですよね。僅か三・八%、あっ、八・三%、全体の八・三%ということで、九一・七%が検査されていないということになるんだと思います。そして、ほとんどの輸入食品が無検査で流通、販売、消費されているということになるわけでありますけれども、なぜ検査割合が一〇%にも満たないと、検査割合が年々、届出件数は増えていくわけですから検査割合も高くならなきゃいけないと思うんですけど、高くなるどころかどんどん低くなっていっていると。
どうしてこういうことが起きているのか、御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/26
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027・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
基本的にはサンプリングの考え方で我が国は検査を行っております。端的に申し上げますと、その違反の割合が高くなってくるとそれだけサンプリング率を上げて、それで全体的にその違反件数が少なくなってくると今度はサンプリング率は下げていく、こうした計算式に当てはめた結果、今のサンプリング、検査率、サンプリング率という形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/27
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028・徳永エリ
○徳永エリ君 でも、無検査で流通、販売、消費されているもの、それが食品衛生法に違反しているかどうかって分からないじゃないですか。違反しているものも恐らく流通されているんですよ。ですから、ちょっと今の説明よく分からないんですが。
とはいえ、一九八七年には一八・一%の検査率、これでも低いですけれども、ここから更に低下を続けているということは事実であって、またモニタリング検査で食品衛生法違反が確定した段階で既に流通、販売、全量消費されてしまっていて、主に、これ四ページ目、四枚目の資料を御覧いただきたいんですけれども、イチゴとかワケギとか、公表日はこれ違反が確定した日になるんですけれども、このときには、措置状況を御覧いただくと、全量消費済み。中には、残留農薬違反、基準値の十倍を超えている違反というものも過去にはありまして、検査せずに流通している食品の中に食品衛生法に違反しているものがあるということは、これ明らかだというふうに思います。
この点に関していかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/28
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029・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
先ほど申したとおり、二百数十万件、毎年、流通、輸入している中で、まず最初のチェックの段階では、当然ながら、まず輸入段階での相談等も行いますし、その上で先ほど御紹介したモニタリング検査、その上で命令検査等しております。さらに、結果的には、今資料でお示しいただいたように、毎年数件、残念ながらこのような結果になってございます。
基本的には、当然ながら、既に流通している違反食品については、これは同じく食品衛生法の中で回収という手段を講じることを命ずること等ができます。こうした形によってまずは我が国においての輸入食品の安全を担保しようという、こういう取組を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/29
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030・徳永エリ
○徳永エリ君 回収ということですけど、これもう全量消費済みということでありますし、その違反が分かった段階で回収できたことって過去にあるんですか、これ全部、全量消費済みになっていますけど。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/30
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031・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) 具体的に何件あるかということは別として、少なくとも回収できた事例というのもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/31
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032・徳永エリ
○徳永エリ君 大変に心配な状況です。
次に、全国の海港、空港の検疫所、本所が十三か所、支所が十四か所、出張所が八十三か所あるわけですけれども、そこで監視業務に当たっている食品衛生監視員の人数、これ総数で何人になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/32
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033・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
全国の検疫所で輸入食品監視業務を行う、これは食品衛生監視員ですけれども、令和五年度、今年度は四百二十二名となっております。
先ほど委員からも、昔、以前の話もありましたが、例えば平成二十六年度と比べますと、これは三百九十九名でございましたので、傾向としては増員、増加傾向ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/33
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034・徳永エリ
○徳永エリ君 とはいえ、十年で僅か二十三名しか増えていないんです。届出数が増えているのに、この食品衛生監視員の数、二十三名しか増えていないので、とてもじゃないですけれども、もう検査にこの人数では手が回らないという現実があるんだと思います。
検疫所で輸入食品の監視、検査業務に従事しているのが、先ほど令和四年度で全国に四百二十二人いるという食品衛生監視員ですけれども、保健所がある自治体で食品衛生監視員を置くことが義務付けられているわけでありますけれども、全国で十九府県の保健所には専任の食品衛生監視員が配置されていないという、そういった実態もあります。
繰り返しになりますが、届出件数は毎年増えているのに食品衛生監視員を増員しなければ、ますます無検査で流通する食品が増えることになるというふうに思いますが、増員するつもりはないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/34
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035・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
食の安全につきましては、国民の高い関心事項でございます。このため、必要な様々な形での政府としての措置を講じていきます。措置を講じていく中で、必要な人員の確保、御指摘いただいた輸入食品監視業務を担う食品衛生監視員の数も確保していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/35
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036・徳永エリ
○徳永エリ君 藤木政務官も首をかしげておられましたが、もう本当に輸入食品の安全、安心、本当に心配になります。
このような状況の中で、お配りした資料の一ページ、二ページ目にありますように、明後日から参議院厚生労働委員会で審議される生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案では、一九四七年に制定されてから一貫して厚生労働省が所管してきた食品衛生に関する規格基準の策定などが消費者庁に移管されるという、国民の食の安全、安心を担保する上で大変に重要な食品衛生基準行政も、ほとんどの国民が知らないうちに法改正によって大きく変わろうとしているということを委員の皆さんと共有をしておきたいと思います。
そこで、なぜ食品衛生法の所管を、食品衛生管理行政の所管を、基準策定の所管を厚生労働省から消費者庁へ移管するのか、その理由についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/36
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037・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
食品衛生行政につきましては、昨年、先ほど申したとおり、近年、食へのニーズの多様化によって、これまで流通していなかった新たな食品の開発が行われるなど、食品に関わる関係者が多様になりつつあります。かつ国民の関心も高いところでございます。こうした中で、食品安全行政の総合調整を担っている消費者庁が食品衛生基準行政を担うことで、政府内の関係府省がより緊密に連携し、食品衛生に関する規格基準の策定に当たることができると考えております。
委員お配りいただいた資料のとおり、現在このような政府内での役割分担で行っているところでございますが、ここでもう一つあるのが、関係府省等による食品に関するリスクコミュニケーションの推進、これも取りまとめを行っているのが現在消費者庁でございます。
こうした形で食品衛生基準行政を担うことで科学的知見に裏打ちをされる、これまず一番大事なことです。この科学的知見に裏打ちされた食品安全に関する行政を行う、そしてさらには、啓発もセットで、先ほど委員からも国民に余り知られていないんじゃないかということがございましたので、この啓発の強化に資するものと考えております。
こうしたことから、食品衛生基準行政を厚生労働省から消費者庁に移管するという政府の案を提出したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/37
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038・徳永エリ
○徳永エリ君 私は大変に問題があると思っています。
どうしてかといいますと、これまで食品安全の規格基準を策定する機関と検疫、保健所などの食品安全監視行政との連携は、厚生労働省の中で、同一省内で確保されてきたものですよね。しかし、食品衛生に関する基準の策定の所管が消費者庁に移管されることによって、規格基準を策定する作業は消費者庁に、そして食品安全監視行政は厚生労働省に残されることになるわけであります。
輸入食品のモニタリング検査などで安全を脅かす農薬等の化学物質などが検出されて、そのことが基準策定に反映されてきたわけで、基準策定と監視、この業務における相互の情報共有、連携、これは必須であって、この法改正で所管が分かれることによって、これまでのような連携がきちんと本当にできるのか。それから、省庁の壁ができるわけで、縦割りの中で食の安全が脅かされることになりはしないかと大変心配であります。
また、BSEの発生の教訓で、平成十五年に制定された食品安全基本法に基づきリスク管理とリスク評価を切り離すことが求められ、リスク管理を行っている厚生労働省と内閣府でリスク評価を行う食品安全委員会が創設されたわけですが、今回の法改正で、内閣府に食品衛生のリスク管理を行う消費者庁とリスク評価を行う食品安全委員会が内閣総理大臣の下に置かれることになるわけです。このことで、リスク管理とリスク評価が混同、混乱して、第二のBSEのような事態を招きかねない潜在的な危険を残すことになるのではないかという、食の安全を専門とするジャーナリストの方々や法律家の方々からもそういった懸念の声が上がっているんです。そのことをしっかり受け止めていただきたいと思います。
農水省にもお伺いしたいんですけれども、農林水産省は農薬の使用基準の策定、飼料の規格、それから基準の策定を行っていますけれども、今回の法改正で何か農林水産省のこの業務に影響があるんでしょうか。また、農林水産省としてこの法改正に懸念していること、何かあったらお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/38
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039・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げますが、農林水産省ではこれまで、農薬なり飼料などの生産資材の規制のほか、生産、加工、流通段階における食品の安全性向上の取組の支援や消費者等への情報発信などは、これは実施をしてまいりました。
そこで、今回提出されている法律案は、食品衛生についての科学的な安全を確保し、消費者利益の更なる増進を図るために、厚生労働省所管の食品衛生基準行政に関わる事務を消費者庁に移管するものであると、こういうふうに認識をいたしておりまして、我が省としては、食品安全行政における農水省の役割、任務は一切変わらない、今までと同じでありますと、変更はございませんということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/39
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040・徳永エリ
○徳永エリ君 まあ形上はそうかもしれませんけれども、消費者庁はこれまで食品表示制度の運用に取り組んできましたけれども、例えば遺伝子組換え表示、この四月から消費者が遺伝子組換えではない食品を選ぶ上で頼りとなる遺伝子組換えでないという表示がほとんどできなくなるだろうという状況でありますし、それから遺伝子組換え表示義務も世界で最も甘い、こういう状況だということも皆さん御案内だと思います。ゲノム編集や放射線を使って作られた種苗には表示義務もないという状況です。
今回の法改正の背景ということなんですけれども、この背景の一つ、科学的知見に裏打ちされた食品安全に関する啓発の推進、販売現場におけるニーズや消費者行動等を規格・基準策定の議論にタイムリーに反映させること、そして国際食品基準における国際的な議論に消費者庁が一体的に参画することが可能になるということなんですが、この中のこの②の販売現場におけるニーズや消費者行動等を規格・基準策定の議論にタイムリーに反映させることという部分なんですけれども、特に販売現場におけるニーズというのはまさに大手食品メーカーや大手流通メーカーの意向であって、それを規格、基準に反映させることになるのではないかということを大変に心配しておりますけれども、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/40
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041・佐々木昌弘
○政府参考人(佐々木昌弘君) お答えいたします。
このまさに委員提出資料の一枚目のところの記載に関してでございます。
この点につきましては、この前段、前の行の後方、後ろの方に、消費者利益の更なる増進を図る、この文脈の中で販売現場にということでございますので、当然ながらこの点については、実際買われる方、消費者の方を意識してのこの文章を書いたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/41
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042・徳永エリ
○徳永エリ君 もう一つ心配な理由なんですけれども、資料の五枚目、六枚目を御覧いただきたいんですけれども、消費者庁の、民間企業から消費者庁への職員の受入れの実態、これに驚きました。
平成二十五年から令和四年まで、二十四人から三十三人までずらっと受入れ数が書かれておりますけれども、そして、じゃ、その民間企業のどこから受入れをしているのかということでありますが、六枚目の資料でありますけれども、そうそうたる企業の名前がずらっと並んでおりまして、中にはアサヒグループ食品、ハウス食品、味の素、日清食品ホールディングス、日本ハムなどという大企業が入っているわけでありますね。
その出身民間企業は全て大手メーカーということで、新たに設置される食品衛生基準審査会への大手食品メーカーの代表者の参画ということもありまして、さらにはこの受入れ実態ということで、そういう中で食品衛生行政、大企業本位のものになるのではないかということを大変心配しております、大企業、規制される側ですから。一方、消費者庁は規制する側のはずなわけで、その規制される側の企業の方々が規制する消費者庁に受け入れられるという意味が分かりません。これ、疑義を持たれても当たり前じゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/42
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043・依田学
○政府参考人(依田学君) お答え申し上げます。
消費者庁におきましては、民間企業の業務経験を行政の運営に効果的に生かすために民間企業から職員を受け入れておりますのは事実でございます。ただし、これらの職員につきましては、官民人事交流法等に基づくルールに基づいて、公務の公正な執行に疑念を招かれることのないように配置しているところでございます。
その上で、食品安全行政の関係について御指摘ございましたのでお答え申し上げれば、食品安全行政につきましては、食品安全基本法の規定に基づきまして、国際的な共通のリスク分析、この考え方に基づいて、国際動向、国民の意見に十分配慮しつつ、科学的知見に基づき確保することとされております。
この枠組みに基づきまして、現在は、食品衛生に関する規格基準の策定、こちらはリスク管理を行う厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の食品衛生分科会等で、科学的知見に基づいて調査審議が行われ、食品安全の確保が図られていると認識してございます。
今般の消費者庁への業務移管に当たりましては、この科学的知見に裏付けされた規格基準の策定が行うことがこれ制度的に担保されますように、現在、先ほど委員から御指摘いただきましたけれども、現在国会に提出させていただいております関連法案におきましては、消費者庁に食品衛生基準審議会を新たに設置しまして、この審議会で食品衛生基準行政に関する調査審議を行うこととしております。
このように、消費者庁への業務移管後も、食品安全基本法に基づくリスク分析の考え方によって科学的知見に基づいた食品衛生に関する規格基準の策定等を行うという基本的な枠組みは変更されることがないように法律の段階で措置させていただくとともに、この関連法案が成立した暁には、業務移管に向けまして、食品衛生基準行政が科学的知見に基づいて遂行できるように、消費者庁に設置される食品衛生基準審議会の事務局機能を担う職員の配置も含めて、必要な体制等の確保、整備に努めてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/43
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044・徳永エリ
○徳永エリ君 時間がないので、今の御答弁についてもいろいろ御質問したいところはあるんですけれども、とどめておきますが、最後に大臣に申し上げておきます、時間がないので。
やっぱり輸入食品、この安全、安心が大変に揺らいでいるといいますか、担保されていないということが、今日のこの短い時間の議論の中でも御理解いただけたと思います。
こういう理由からも、やっぱり国産、この国産をやはりもっともっと高めていかなければいけないと思いますし、それから、食料安全保障の観点からも、しっかりとこういう問題をやっぱり解決していかないと、疑念を持たれるような状況では良くないと思いますし、それから、やっぱり食料自給率、これも、国産を高めていって、やっぱり食料自給率ももっとしっかり上げていかなければいけないということを、こういった輸入食品の、我が国が抱えている、まあ何というんですか、疑念というか実態というか、そういうところからも是非とも御理解をいただいて、しっかり頑張っていただきたいということを申し上げたいと思います。
時間がありましたら本当は大臣の御感想を聞きたかったんですけれども、ないので、是非よろしくお願いしたい、あっ、言っていただけます。もう時間ですので、押しちゃっていますので。
よろしくお願いいたします。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/44
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045・大椿ゆうこ
○大椿ゆうこ君 立憲・社民会派の大椿ゆうこです。本日は、一般質問の機会をいただき、ありがとうございます。四月七日に繰上げ当選し、農林水産委員会の所属となりました。今日が初めての質問になります。分からないことばかりでございますけれども、しっかりと取り組んでいきたいと思いますので、どうぞ皆様、御指導のほどよろしくお願いいたします。
自己紹介にもなりますけれども、私は、九〇年代半ばに、就職氷河期時代、その頃に社会に出て、長年、非正規労働者として働いてきた一人です。有期雇用を理由に雇い止め、解雇になり、労働組合に加入して解雇撤回闘争を闘ってきた経験などから、この間、首を切られた非正規労働者の当事者として、働く人の約四割もに拡大した非正規労働、これを歯止めを掛けなければいけないという思いで活動をしてまいりました。
しかし、このふるさとを離れ都会に出て非正規労働者として働くようになったその背景には、実家が農家だったということも関係しています。その地域に暮らしていても大学にも通えない、仕事もない、農業だけでは食べていけない。それから、娘に、まあこれはジェンダーの問題もあると思いますけれども、そもそも娘に農業を継がせようとは思わない。こういった状況の中で、当然のように、高校を卒業したらふるさとを離れていくというふうに私もなりました。その先に待ち受けていたのは、就職氷河期、そして非正規雇用の拡大でした。
今回、農水委員会に配属されたことをきっかけに、農家に生まれたがゆえに見ないようにしてきたこと、避けてきたこと、そういったことにしっかりと向き合っていきたいなというふうに改めて思っています。その一つが、人口減少と農家の後継者不足、それに伴う地域の限界集落化です。まさに私のふるさとがその見本のような場所になってしまっています。
私の実家は岡山県の中西部にある高梁市というところで、本当に自分の自宅から雲海が見渡せるような、そういう山の上に家があります。トマトとかピオーネとか、そういうものが県内で、県内一生産量が高い、大変農業に恵まれた地域なんです。私の家も、子供の頃は家族経営で、たばこ、桃、そしてリンゴの栽培、出荷をしていました。同時に、肥料とか農薬の販売などの商売もやっておりました。父は林業に携わっておりましたので、自分の、自宅を新築するときには自分の家の山の山の木を伐採し、それをはりとか柱とかに自ら製材して家を建てたというようなことで、本当にこの農林水産委員会には実は自分のルーツをたどれば縁があったのかなというふうにも思っています。
そういう、牛や鶏を飼って、野菜や果物を自分たちで育てて、自分たちの食べるものは自分たちで作っていく、ほぼ自給自足の生活をする、そういう兼業農家の家庭に育ち、ほぼ地域全域がそういう環境の中で私は育ってきました。
ゴールデンウイークに地元である高梁に帰りまして高梁市長の元を表敬訪問したところ、急激な人口減少と深刻な農家の後継者不足についてお話をお伺いいたしました。
高度経済成長期、一九五〇年のときをピークにして、高梁市の人口というのは急激に減っていっています。現在、岡山県内二十七市町村中ワーストツーの人口減少率、県内の十五市がありますけれども、その中でワーストワンの人口減少率なんです。二〇一五年から二〇二〇年の五年間の人口減少率が約九・四%減にも及んでいます。つまり、たった五年で一割近い人口が減っていると。これがこのままのスピードで進んでいったらどうなるかということは、皆さんも想像が付くと思います。特に私が生まれ育った松原町という小さな町があるんですけど、この十年間で千人いた人口が約半分、五百人まで減っていると。私が通っていた小学校は今たった六人しか子供がおらず、再編の話が進んでいるという状況です。
まさに限界集落というのはこういう場所のことをいうんだろうなというところに私の実家があるわけで、実家に帰るたんびに自責の念に駆られるというか、なぜ私はこの地域で暮らすという選択ができなかったのか、農業を、後継者として農業をするという選択がなかったのか、そういうことをいつも考えさせられます。しかしながら、こういう状況というのは、やはり私のふるさとだけでなく、いろんな地域で起こっていることと思います。
この農業を取り巻く厳しい現状を打開するために、昨年の九月、岸田首相によって食料・農業・農村基本法の見直しが打ち出されたのではないかなというふうに思っております。今日は、この食料・農業・農地基本法の見直しについて、その協議の進捗状況等について御質問をさせていただきたいというふうに思います。
農家に生まれたとはいえ、農業政策に関しては素人ですので、今回初めて食料・農業・農村基本法という法律があることと、それが現在見直しをされているということを知りました。私と同じような認識の方々というのはたくさんいらっしゃると思うんですけれども、農家だけでなく、食料の問題というものは、全ての人たちが口にするわけですから全ての人たちの問題だというふうに受け止めるわけですが、現状ではこの見直し、法律や見直しについても、多くの人に知られ議論が深まっている、広がっているという状況ではないというふうに思います。
そこで、改めてこの法律の見直しが打ち出された背景事情とその目的についてお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/45
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046・杉中淳
○政府参考人(杉中淳君) お答えいたします。
食料・農業・農村基本法でございますけれども、制定以降約二十年以上が経過しまして、委員御指摘のように、国内の人口の減少による市場の縮小、あと生産者の減少、高齢化など、国内の農業構造の変化に加えまして、世界的にも、食料情勢の変化や気候変動に伴って食料安全保障上のリスクが増えているなど、基本法制定時には想定されなかった事態というのが発生してきております。
このため、全ての農政の根幹である基本法を総合的に検証し、見直しに向けた検討をすべきということで、昨年九月九日に開催されました第一回食料安定供給・農林水産業基盤強化本部において、総理から大臣に対して、基本法について、制定後約二十年で初めての法改正を見据え、関係閣僚連携の下、総合的な検証を行い、見直しを進めていくよう指示がありました。
これらを踏まえまして、昨年九月二十九日に農林水産大臣から食料・農業・農村政策審議会に諮問を行い、同審議会の下に基本法検証部会を設置したところでございます。検証部会におきましては、現場の農業者や消費者、食品産業、経済界、地方自治体の方々などにも審議会委員として参加をいただいているところでございます。検証委員会は、昨年十月以降、これまで十四回開催されておりまして、情勢の変化や二十年を見据えた課題、これらを踏まえた今後の施策の方向について議論を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/46
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047・大椿ゆうこ
○大椿ゆうこ君 この二十年の間に農業を取り巻く状況、大きく変化があったということだと思いますけれども、現在、基本法検証部会というところで検証がなされていると思うんですけれども、このメンバーの構成員について教えていただければと思います。ここに農民、農家の方々、当事者の方が含まれているのかという辺りの部分、お話しいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/47
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048・杉中淳
○政府参考人(杉中淳君) お答えいたします。
基本法検証部会におきましては、農業の従事者、あと消費者の代表、食品産業の関係者、経済界、地方自治体の方々など、幅広い皆様に委員として御参加をいただいております。
それに加えまして、基本法検証部会の前半におきましては、農村集落において農地保全等の地域活動の維持に取り組む方々や水稲の大規模法人経営を行っている経営者の方など、食料の生産、流通、販売の現場の課題に精通した方を含めて、様々な方から鋭意ヒアリングを行ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/48
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049・大椿ゆうこ
○大椿ゆうこ君 食料・農業・農村基本法というのは、農政の憲法とも言われているということを知りました。
これについては本当に、専門家だけでなく、当事者、農業に携わる当事者だけでなく、全ての人々が広く関心を持たれるような状況になればいいなというふうに思っているんですけれども、まだそういう現状には至っていないというふうに思います。拙速に法案を出す結果にならないよう、これまでの基本法の反省を行い、農と食の基本理念の徹底的な再検討を行うべきだと考えます。
今後のこの見直しの議論の進め方について、具体的に方向性を教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/49
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050・杉中淳
○政府参考人(杉中淳君) 現在、基本法検証部会につきましては最終局面に立っておりまして、近々中間取りまとめを行う方向で作業を進めているところでございます。
今後につきましては、基本法の検証、見直しに向けて、そういった審議会の中間取りまとめを基に、現場の農業者、食品事業者、消費者など国民各層から幅広く御意見を伺い、国民的なコンセンサスを得ていくということを重要視しております。
現在行っている基本法検証部会につきましても、会場やオンラインでの一般傍聴も可能なオープンな場で議論を行っておりまして、さらに、先ほど申し上げたように、農業者始め幅広い方に参加をいただきまして、現場の方々からもヒアリングを行っているということで、非常にオープンな場で議論を進めるということに心掛けてきたつもりでございます。
こうした基本法検証部会の議論、さらに、それを踏まえまして、食や農業についての様々な立場の方々が様々な場で議論を行いまして関心や理解を深めていただくということが重要と考えておりまして、地方機関なども活用いたしまして、関係者の情報提供を幅広く展開しながら検証、見直し活動を進めていって、基本法の見直しの方向性というのをまとめていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/50
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051・大椿ゆうこ
○大椿ゆうこ君 オープンな形で議論を進めていきたいということですので、その方向で、そして全ての人々がこのことに関心を持っていただけるような議論、見直しが進められていけばと思います。
続きまして、後継者不足について御質問させていただきたいと思います。
既に何度となくこの場で質問されていると思いますが、先ほど私のふるさとの状況を話しましたように、大変後継者不足、深刻な状況です。
安倍政権下が安倍政権以降に進めてきた農業改革、TPPに加わって規制緩和や構造改革を進め、自由競争でやれと、農業の大規模化、企業化というものを推進してきたように私は受け止めています。その結果、地域農業を担う多様な働き手、具体的には、兼業農家や、収益を得ることは第一の目的ではないんですけれども、自分たちの食べるものは自分たちで賄う、こういう自給的な農家の人々が農業をしにくい、継続しにくい環境をつくってしまった、追い込んできてしまったのじゃないかなというふうに思います。
そこで、野村大臣にお尋ねします。
大臣は、地域農業を担う担い手としてどういう人を想定されており、また、兼業農家や自給的農家の方々をその担い手として認識をされているかどうか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/51
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052・藤木眞也
○大臣政務官(藤木眞也君) お答えをいたします。
先生御指摘のように、いろいろな経営体がございまして、いろいろな方々が農業の現場では活躍をされていると思います。そういう中にありまして、我が国ではそれぞれの地域において、平場であったり中山間地域であったりと、地帯ごとに品目、また部門ごとに様々な農業の経営が展開をされております。それに応じて、やはり経営の方もいろいろな対応も様々となっているということはもう御案内のとおりだと思います。
そうした中で、食料・農業・農村基本法では、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、そうした農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立するため、農業所得で生計を立てている担い手については、大規模か、また小規模かに問わず、また家族や法人とかにも問わず、幅広く育成をしていくことが極めて大事なことだと考えております。また、それ以外の方についても、令和二年度に閣議決定した食料・農業・農村基本計画における地域社会の維持に重要な役割を果たしていると認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/52
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053・大椿ゆうこ
○大椿ゆうこ君 具体的に、中山間地域については直接支払制度というものがございますけれども、やはり先ほど挙げましたような農業、兼業農家、そして自給的農家に対する支援が、直接支払制度というものがないということに対して、こういうものを制度として設けてほしいという声も上がってきています。
今日はもう時間も限られておりますのでその具体については、ちょっと質問はまた別の機会に譲りたいというふうに思いますけれども、まさに私の家族というのは、兼業農家であり、家族経営の農家であり、そして自給的農家でもあります。私の父がいつも言っているのは、自分の家と、そして両隣二、三軒ぐらいが食べれるだけの食物をそれぞれに作っていたら、どういう事態になったって生きていけるんだと。
こういう農業に携わってきている人たちを、今の国の制度というか、そういうもの、国の制度は取りこぼしてしまっているんじゃないか、見捨ててしまっているんじゃないかなというふうに思います。この自分たちが生きる生存と、それから共存のスキルを持った農業従事者、これを国としても支えていっていただきたいと思います。
残りの時間、本当に限られてきましたけれども、もう一つ、この五月十一日の記事、皆さんの手元にございますでしょうか、朝日新聞に掲載された記事でございます。「食料増産命令 法整備を検討」という記事が載りました。これを一読したときに、農業の分野までちょっと戦争の準備の足音が聞こえてきたのかなという懸念を抱いたんですね。今回の国会の中では、憲法改正、それから防衛費の増額や国内の軍需産業を支援するというような法案も出てきている中で、このような法案を検討されているということに対し、私と同様、驚いた方もいらっしゃるんじゃないかなというふうに思います。
これは、具体的にはどういう有事を想定されているのかということをまずお話しいただければと思います。教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/53
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054・杉中淳
○政府参考人(杉中淳君) お答えいたします。
まず、現行の食料・農業・農村基本法第十九条におきましても、凶作、輸入の途絶などの不測時におきましては、国民が最低限度必要とする食料の供給を確保するために必要があるときには、食料の増産、流通の制限等の施策を講ずるという旨の規定がされているところでございまして、この規定に基づいて基本法検証部会で議論を行ったところでございます。
検証部会におきまして指摘ありましたのは、近年におきまして、異常気象や気候変動による食料生産の不安定化、それに伴う価格の変動幅の増大、こうした状況が人為的に生み出されるような地政学的リスク、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大によるロックダウンによる物流の途絶、BSE、豚熱、鳥インフルエンザなど家畜疾病の発生による供給途絶など、これまでと比べても不測時が発生する原因が多様化するとともに、不測の事態が発生する蓋然が高まっていると、そういった指摘があったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/54
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055・大椿ゆうこ
○大椿ゆうこ君 これを一読しますと、具体的には、花農家に米や芋を作るように命令したりというような具体例がここに書かれています。このことが、農林水産委員会が御検討になっていらっしゃることとここに書かれていることにもしかしたらそごがあるかもしれませんけれども、やはり、農家が何を作るか、どういうものを栽培するかというような私権制限になるようなものはあってはならない。そもそも、気候変動はそうですけれども、戦争というような事態が招くようなことはやはり私たちが政治に携わる者として避けなければならないというふうにも考えています。
具体的に本当にこんなことが実現できるのかというような声もやっぱり農家の皆さんからは上がっておりますので、是非この法律の整備についても同様に、多くの人たちが知る形で情報発信、そしてオープンな議論の場をつくっていただくようお願いしたいと思っています。
最後に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/55
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056・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 大椿さん、時間。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/56
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057・大椿ゆうこ
○大椿ゆうこ君 大臣に御意見をお聞きしたいと思いましたけれども、時間も過ぎましたのでここで終わりますけれども、そのような思いを伝えて、私の初めての質問、終わらせていただきます。
どうもありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/57
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058・下野六太
○下野六太君 公明党の下野六太でございます。
本日は質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。また、本日は環境省、そして資源エネルギー庁、そして国交省からもお越しいただいております。ありがとうございます。
質問に入る前に、毎年五月十日から五月十六日、本日までを愛鳥週間となっておりまして、一九四七年からもう七十六年ぐらいですかね、もう続いているというような週間で、今日がその最終日となっております。
農林水産委員会と愛鳥と何か関係があるのかというような疑問もあるかと思いますけれども、営農型の太陽光発電事業所に関してまず質問をさせていただきたいと思います。
青森県三沢市のラムサール条約登録湿地の仏沼の隣接地における青森三沢市の庭構地区の営農型太陽光発電所は、認可が下りた後で仏沼とその周辺における希少種の生息状況に多大な影響を与えるという可能性が高いことが判明をしております。この事業計画予定地は、国内希少野生動植物種オオセッカ、聞いたことない方が多いかと思いますけど、野鳥です、への影響が懸念をされます。
オオセッカは、一部では幻の鳥というふうに言われておりまして、私も三十五年ぐらいバードウオッチングしていますけど、一度も見たことがありません。分布が東アジアに限定をされて、国内の繁殖地は青森、秋田、栃木、茨城、千葉の五県で局地的に繁殖する希少な種で、環境省のレッドリストでは絶滅危惧ⅠB類、近い将来野生での絶滅の危険性が高いというような部類に属しています。絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律で、国内希少野生動植物種に指定をされています。仏沼とその周辺は、国内で繁殖するオオセッカの約半数が営巣する重要な繁殖地で、仏沼周辺では二〇〇三年以降毎年繁殖雄の個体数調査が続けられています。二〇一七年から二〇二一年までの平均ではおよそ四百羽が記録されており、近年減少傾向にあることが分かっております。
オオセッカの繁殖期の行動圏は実は非常に狭く、〇・五ヘクタール程度。皆様だったらどのぐらいのエリアかというのは想像付くかと思いますけれども。これがちょうど、この事業の工区内に分散しているとはいえ、生息密度の高い場所では、改変が一部であったとしても影響が大きくなると予想されていることから、特に繁殖密度の高いこの工区では場所の変更が必要ではないかと言われております。
また、種の保存法第三十四条には、「土地の所有者又は占有者は、その土地の利用に当たっては、国内希少野生動植物種の保存に留意しなければならない。」と明記されていることからも、事業計画地の変更は妥当と考えております。
資源エネルギー庁としては、事業変更は、FIT認定を受けた場所とは異なる場所で事業を実施するいわゆるFIT認定飛ばしが大きな問題となっていたことから、計画と同一の場所に設置することをFIT認定基準としており、認定後の変更は基準を満たさなくなることから厳格に運用しているということは理解できます。
しかし、自然保護団体三団体は、計画地を変更することで再生可能エネルギー導入と生物多様性保全を両立する先行事例となり得ると考え、計画地の変更を強く希望しております。自然保護三団体と事業実施主体である企業とで計画地の変更についての協議を継続した結果、変更について企業の方も合意に至っておりますが、事業者と資源エネルギー庁との協議では、計画変更は認められないというふうに言っているというふうに伺っております。これらのFIT認定については、認定後の移設は認めておらず、移設は土地収用と災害の場合のみ認めると明記をされているということです。
移設を認めるかどうかはエネ庁の判断で運用できるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。資源エネルギー庁の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/58
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059・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
議員御指摘の三沢市における太陽光発電設備の設置に関しまして、移設の希望があることは承知しておりますし、御指摘の鳥の方は大変重要な課題であるということは我々も十分承知しております。
一般論として申し上げれば、再エネ特措法の事業計画の認定基準、ここでは認定期間が終了するまでの間、同一の場所に設置する計画であることを求めておりますが、これは、議員もおっしゃいましたとおり、仮に移設を伴う計画変更を認めた場合には、高い調達価格をそのまま活用して新規案件を実施できることになってしまうと、そういうトラブルが多数生じたということを踏まえまして、国民負担の観点から、移設に伴う計画変更は原則としてその同じ価格では認めていないということでございます。
他方で、仮に事業計画を認定した場所でない場所ということになるのであれば、それ自体を否定しているわけではございませんで、その場所で運転開始ができなくなった場合は、原則、そもそものFIT価格認定を廃止した上で、新たな土地で新しい認定、新しい価格を申請していただくことになるというのが制度の運用でございます。
経済産業省といたしましては、こういう形で、場所を絶対変えてはならないということではなくて、まだ運転も開始していないということは、FITの価格自体は現行のその今そこで造る設備の価格を参考にしながら第三者委員会で決めておりますので、その現行の新しい価格を踏まえて新しい計画を出していただくということによりまして、国民の皆様の理解を得ながら、地域との共生と適切な国民負担を前提に再エネ事業が行われるよう対応してまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/59
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060・下野六太
○下野六太君 御丁寧にありがとうございます。
悪質なFIT認定飛ばしの事例、認定された場所に〇・六六キロワットのパネルを一枚設置して、十一キロ離れたところまで自前の電線を引いて四万キロワットの太陽光発電所を建設する計画に対しまして、過去、容認し難いという非常に厳しい環境大臣意見も出ているというふうにも伺っています。
このような理由から移設を認めないとなっているのではないかと考えていますけれども、この、この今回の場合は、気候変動と生物多様性維持の同時解決のためには、一律の判断とせず、事案ごとに検討すべきではないかというふうに考えております。
特に、今回は国際条約に登録をされた湿地に隣接をする場所であり、自然保護団体、事業者、連携しながら移設を求めている事例であり、今後の再生可能エネルギー促進と生物多様性保全の両立事例として先進事例にもなり得るのではないかと思っておりまして、先ほどの回答、答弁でいくと、損失を被るのが事業者になるのではないかというような形で、私はそこに負担を掛けていくところが問題になるんではないかというふうにも思っておりますので、そういったことも含めて、環境省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/60
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061・松本啓朗
○政府参考人(松本啓朗君) お答えいたします。
御指摘の太陽光発電所事業の計画地につきましては、オオセッカ等の希少鳥類の繁殖地といたしましてラムサール条約湿地に登録されている仏沼に隣接されたものであります。
今回の事案につきましては、御指摘のとおり、事業者、そして自然保護団体が密に話合いを進めつつ、環境配慮の方策について検討してきたものと認識してございます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けまして、再エネ、再生可能エネルギーの導入促進に当たりましては、このように関係者が話し合って、地域の状況や事業内容に応じて適正に環境の配慮措置を講じて合意形成を図ることが重要と考えておりまして、委員御指摘のとおりと存じております。
生物多様性の保全と再生可能エネルギー導入の促進の両立に向けまして、事業による自然環境への影響が低減されるよう、環境省としても引き続き、地域における検討を支援しつつ、地域の関係者とともにきめ細かな調整に取り組んでまいりたいと、このように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/61
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062・下野六太
○下野六太君 ありがとうございます。
今皆様にも、資源エネルギー庁と環境省との双方の立場、まずそれぞれの異なる意見というか、立場からの答弁をお聞きいただいたと思いますけれども、今回の事案を整理してみましたら、三沢市始め青森県、そして日本全国での自然保護、環境保護に関するゾーニング、エリアですね、エリアがきちんと認定されていなかった、ゾーニングが不十分であったことが問題を複雑化してしまっているということになっているのではないかと私は思っています。絶滅危惧種や希少種を守るためのゾーニングが環境省主導の下に徹底されていたならば、事業者も自然保護団体も困ることはなかったのではないかというふうに考えております。
その点について、環境省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/62
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063・松本啓朗
○政府参考人(松本啓朗君) お答えいたします。
御指摘のとおり、自然環境に関する情報が関係自治体、そして事業者に適切に共有されることは、自然環境の保全、そして地域共生型の再生可能エネルギーの導入促進に向けて何よりも重要と認識しております。
絶滅危惧種、種自体の生息、生育に係る情報につきましては、その種の保護の観点から、提供方法については慎重に検討する必要があると思っていますが、他方で、指定された保護区のエリア情報につきましては、関係自治体と十分に情報共有を行うことにより、適切な保全が図られるようしっかり対応してまいりたいと。
その一例といたしまして、再生可能エネルギーを始めとする事業計画の検討にも活用できるよう、ウェブ上のGISにおいて鳥獣保護区などの全国データを閲覧できる環境アセスメントデータベース、これを平成二十年代の後半から整備して、自治体や事業者等に対して情報提供しております。
引き続き、こうした自然環境に係る情報の充実、そして分かりやすい情報提供につきまして、引き続き検討してまいりたいと考えております。引き続きよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/63
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064・下野六太
○下野六太君 ありがとうございます。
しっかり、環境省主導で自然保護をしっかり守っていただきたいと思います。国内における希少種の保護、しっかりお願いしたいと思います。
続きまして、先日、宮崎市で開催をされましたG7農業大臣会議について質問させていただきたいと思います。
宮崎市でG7農業大臣会議が行われた際に、四月二十一日には英国のハリソン農業大臣、四月二十四日にはドイツのエズデミル農業大臣が相次いで宮崎県の綾町の松井農園を訪問されたとの報告を当の松井さんから受けました。
訪問された二か国の農業大臣の反応を、松井さんというのは宮崎県綾町でもう長年にわたって有機農業を推進をしてこられた功労者であるという前提の上で、その反応をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/64
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065・水野政義
○政府参考人(水野政義君) お答えいたします。
G7宮崎農業大臣会合の前後において、イギリスとドイツの閣僚が綾町の松井農園を訪問し、有機農業の視察をされたと聞いております。この視察は各閣僚が在京大使館を通じて独自に企画したものであり、当省として詳細は把握しておりませんが、報道によれば、両大臣とも有機農業の現場の取組に感銘を受けたと話しており、いずれも視察先の有機農業の取組を高く評価したものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/65
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066・下野六太
○下野六太君 今の答弁にありましたように、農水省が主導してアテンドして連れていったというわけではなくて、大使館が主導で調べて、日本の有機農業の先進地、そして先進者、生産者誰なのかということを調べて、その上で訪問されたというところで高い感銘、大きな感銘を受けたということは、私たちにとっても非常にうれしい出来事ではないかというふうに思っております。
先ほど御紹介させていただきました、綾町で長年有機農業の普及、啓発に貢献してこられましたその松井さんが中心となって、この六月に有機農業を教える学校が開校の運びとなりました。既存の支援頼みではなくて、有機農業を教える学校は必要である、地域にとって必要だという決意で開校にまでこぎ着けられたことには敬意を表するに値すると私は思っておりますけれども、農水省は、地域の有機農業を推進するために有機農業学校までつくられたことに対してどのように捉えておられますでしょうか。野村大臣から一言いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/66
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067・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げます。
有機農業の拡大に向けては、いろんな取組がありますけれども、この環境整備を進めることが重要なポイントと認識をいたしておりますが、委員から御紹介のありました綾町では、本年の六月に綾オーガニックスクールを開校され、二年間の現場実践や販路相談等に取り組まれていると伺っております。
こうした取組は有機農業の拡大を図る上で非常に有効な手段であると考えておりまして、実は、マスコミで取り上げられましたので綾町のオーガニックスクールが非常に有名になりましたけど、実は私の地元でもやっておりまして、南さつまというところの市がオーガニックビレッジの取組の一環として、令和四年度に、市と高校が連携協定を結びまして、高校の実習圃場などを使って地元農家や高校生を通じて有機農業の技術を実は教えておりまして、綾町だけじゃなくても、こういったような活躍ぶりをほかの地域でもやっていただければ有り難いなと思っておりますが。
農水省としては、このような有機農業の研修機関などに対して、オーガニックビレッジに対する支援などを通じてしっかりと後押しをしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/67
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068・下野六太
○下野六太君 ありがとうございます。宮崎、鹿児島だけでなく、全国にこれを契機に広がっていくことが私も望みでありますので、しっかり、農水省としても、オーガニックビレッジの予算だけでなくて、しっかり予算組みをして支援をいただければと思っております。
続きまして、下水汚泥から国産肥料の生成について質問させていただきたいと思います。
肥料をほぼ輸入に依存している日本は、国産の肥料生成が急務であるというふうに思います。そこで、下水処理の過程で排出される汚泥から肥料を作る取組を後押しするべきではないかと考えております。
原材料のリンを回収する神戸市の取組は軌道に乗りつつあり、二〇二二年度のリンの生産量は八十トンであり、新たな回収設備を整備し再生リンの増産を目指す方向だと聞いておりますけれども、この事業に対して、これ国交省ですね、国交省の支援はどのようになっているかを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/68
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069・松原誠
○政府参考人(松原誠君) お答えいたします。
下水汚泥資源を肥料として活用することは、持続可能な食料システムの確立や資源循環型社会の構築の観点から大変有意義であると考えております。
御指摘の神戸市では、再生リンの増産のため既存のリン回収施設の施設改良を行うこととしておりまして、令和四年度の補正予算の社会資本整備総合交付金により支援を行ったところでございます。また、あわせまして、同様に令和四年度の補正予算で、リン回収効率の向上を目指した技術実証のため、新たな実証施設を神戸市に整備することといたしました。
国土交通省といたしましても、引き続き、農林水産省と連携をし、下水汚泥資源の肥料利用拡大に向け必要な取組を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/69
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070・下野六太
○下野六太君 もう時間が余りなくなってきましたので一つ飛ばして、最後に、この下水汚泥は年間二百三十万トン発生をしていると聞いています。実際に、この今の神戸市のリン回収、そして佐賀では下水汚泥から堆肥化するというような、肥料として利用されているのは実は一割程度にとどまっていると承知しています。食料安全保障の観点からも、国内資源の活用を強力に進めるべきではないかと考えております。
下水汚泥の肥料利用拡大への今後の対応もしっかり行っていただきたいということを、もう回答は要りませんので、お願いをして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/70
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071・串田誠一
○串田誠一君 日本維新の会の串田誠一でございます。
本日は、三重県の多度大社の上げ馬神事というのが今月の五月四日、五日に行われているんですが、そこで使われた馬が引退馬でございまして、残念なことに骨折をして殺処分されたということでございます。昨年の競馬法で附帯決議で引退馬が入れられたわけでございますけれども、この行事は十数年前から動物虐待ではないかと国民から声が出ているところでございまして、教育委員会でも何度か勧告が行われているところでございます。
そこで、まず最初に、引退馬は動物愛護法四十四条第四項の愛護動物に該当するのかどうか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/71
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072・松本啓朗
○政府参考人(松本啓朗君) お答えいたします。
動物愛護管理法に規定される愛護動物ですが、一般的には牛、馬、豚、犬、猫等のほか、人が占有しております哺乳類、鳥類等の動物を指すと考えております。したがいまして、委員御指摘の競馬を引退した馬でございますけれども、乗馬などに供されているか否かにかかわらず動物愛護管理法の愛護動物に該当するものと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/72
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073・串田誠一
○串田誠一君 そこで、一見伝統行事であるということで動物虐待というのも余り考えられないで行われているということがあるのかなと思うんですけれども、時代が令和でございます。
この動物虐待の、一般論として、動物虐待に該当する、四十四条一項、二項、三項に該当するような場合というのは伝統行事ということで省かれることになるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/73
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074・松本啓朗
○政府参考人(松本啓朗君) お答えいたします。
動物虐待というのは、一般的に愛護動物にみだりに強度の苦痛を与えて殺傷したり衰弱させたりすることを指します。動物虐待に該当するか否かは、その行為の目的、手段、態様など、またさらに動物の苦痛の程度、さらには社会通念に照らして判断されるものと考えられております。
委員の御指摘のその神事において動物が用いられる場合につきましては、個別の事案ごとの判断が求められるものと認識しておりますけれども、長きにわたって地域に根付いている行事など社会的に認容されているものである場合にはその正当な目的があるものかなと考えてございます。
ただし、正当な目的があったといたしましても、当該行為の手段、態様等が社会通念上容認される範囲を超えているような場合、これにつきましては動物の殺傷、虐待罪が成立する可能性もあるものと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/74
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075・串田誠一
○串田誠一君 今日は警察庁にも来ていただいていますが、動物愛護法四十四条の一項、二項、三項に該当する場合に、これ告訴、告発が行われた場合、構成要件上該当すると考えられるような場合、伝統行事であるということで捜査というものが逃れるというようなことがあるのかどうか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/75
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076・友井昌宏
○政府参考人(友井昌宏君) お答えをいたします。
警察庁といたしましては動物愛護法の解釈についてお答えする立場にはございませんが、一般論としては、動物虐待を含め犯罪があると思料するときは、関係法令を所管する省庁の解釈を踏まえつつ捜査を行うこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/76
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077・串田誠一
○串田誠一君 その場合、その行事を主催している人が捜査対象なのか、あるいは動物を操作している人が捜査対象なのか、警察庁の御意見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/77
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078・友井昌宏
○政府参考人(友井昌宏君) お答えいたします。
一般論として申し上げれば、特定の事案におきましてどのような者が被疑者になるかについては、収集された証拠に基づき、事実関係に即して個別に判断することとなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/78
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079・串田誠一
○串田誠一君 レクの段階でも動物を操作している人も捜査対象になるというお答えをいただいているんですが、間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/79
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080・友井昌宏
○政府参考人(友井昌宏君) 繰り返しになりますが、どのような者が被疑者になるかにつきましては、収集された証拠に基づき、事実関係に即して個別に判断することとなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/80
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081・串田誠一
○串田誠一君 当然、その動物を扱っている人も捜査対象にはならないと総合的な判断はできないだろうというふうに思うんですけれども。
ところで、伝統行事とか神事という話ではございましたけれども、この多度大社のホームページのところに、大祭御神事規式簿という、一七九四年のものに対してほぼ変わらない姿で受け継がれていると書かれているんですが、これに関して文部省にお聞きをしております。
この大祭御神事規式簿の中で上げ馬というのはどのような作法で行われていたのか、記載されているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/81
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082・鈴木敏之
○政府参考人(鈴木敏之君) お答えいたします。
委員御指摘の三重県多度大社の上げ馬につきましては三重県が県の無形民俗文化財として指定しているものでありますが、お尋ねの大祭御神事規式簿には、当該上げ馬に関連し、三匹の馬が三匹とも順々に坂を乗り上げとの記載があることから、江戸時代中期頃には上げ馬のような行事が行われていた根拠とされているものと伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/82
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083・串田誠一
○串田誠一君 江戸時代、そういう、坂を上がっているという記載、私も読ませていただきましたけれども、飛び越えるとか角度とか、そういったようなことは一切書かれていないわけでございますので、ほぼ変わらない姿で受け継がれているという、その変わらない姿というものがこの規式簿からうかがえるわけではございません。
そこでお聞きをしたいんですが、今回、引退馬を利用されているんですけれども、サラブレッドが日本に導入されたのはいつでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/83
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084・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) お答えをいたします。
我が国におけるサラブレッドの輸入でございますけれども、文献によりますと、明治四十年にサラブレッド二十一頭が初めて国内に輸入されたというものがございます。また、競馬につきましては、大正十二年に初めて法律に基づき実施されたものと承知をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/84
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085・串田誠一
○串田誠一君 明治四十年に何頭をどこに導入されたのか、ちょっとレクの段階でもお聞きしているので、そこもちょっと細かく教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/85
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086・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) 明治四十年でございますけれども、岩手県の小岩井農場でございます。種牡馬と繁殖の牝馬二十頭が輸入をされたということを承知をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/86
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087・串田誠一
○串田誠一君 伝統行事ということでございまして、七百年前からやっているような話ですけれども、そもそもが百五十年ぐらい前のサラブレッドで、明治四十年に二十何頭かが小岩井牧場に導入されたということでございます。
それまでの日本の在来馬、どのような馬がありましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/87
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088・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) お答えをいたします。
我が国の在来馬でございますが、公益社団法人日本馬事協会が日本在来馬として血統登録を行っている品種、八種ございます。具体的に申しますと、北海道和種馬、長野県の木曽馬、愛媛県の野間馬、長崎県の対州馬、宮崎県の御崎馬、鹿児島県のトカラ馬、沖縄県の宮古馬と与那国馬があるというふうに理解してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/88
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089・串田誠一
○串田誠一君 北海道和種はどさんこという名前でも有名なんだろうなと思うんですが、体高が百二十五センチから百三十五センチ、木曽馬も大体そのぐらいの大きさでございます。鹿児島のトカラ馬は百から百二十、大変小さい馬でございますけれども、これ、体高がサラブレッドの場合には百六十から百七十があると言われていて、体重が四百五十から五百ぐらいというのがサラブレッドでございます。もう究極に速く走ることだけを求められてつくられていったという、ガラスの足と言われているサラブレッドでございますが、日本の在来馬は百二十、まあ高くても百二十五から百三十五、そして、非常に典型的な特徴というのは、四百キロぐらいの大体重さがあるんですね。だから、足も太い、そして体高が低いにもかかわらず体重が非常に重たい。これはもう重たいものを持っていく農耕馬としては優秀なんだと思うんですけれども、速く走ったりとか飛んだりというようなことをするようにはなっていないんですね。ですから、これ、七百年前なのか、まあ二百年、一七九四年の御神事にも何か走るということ書かれていましたけれども、その頃はサラブレッドいませんから、在来馬で行われていた御神事でありますので、坂を上がるにしても大体想定が付くわけです。
ところが、今の上げ馬というのはもう坂を疾走していくわけですね。そして、もう直角に近い壁を人間共々飛び越えるという行事をしておりまして、今月も、行われた四日のときには、十二回行われて成功がゼロ。成功ゼロということは失敗するわけですから。失敗するということは、後ろにのけぞって転がり落ちてくる、あるいはずり落ちてくる。サラブレッドがそういうことをさせられているから、骨折するのは当たり前なんですね。もうこれは例年そういうようなことが行われているので、教育委員会から動物虐待だというふうに言われているわけです。
これはもう、歴史的な伝統行事といいながら、サラブレッドが導入されて、こういうようなこと、迫力があるだろうということで書き換えられた。先ほども、御神事に書かれているのはただ坂を上がると書いてあるだけなのに、それがいかにも、ほぼ今、変わらない姿で受け継がれていると。全然違うわけですよ。御神事がヨーロッパから輸入されたサラブレッドで行われるわけがないわけですね。
そういうようなことで、当然、馬も骨折もしますし、そうしたら殺処分されていく。それを多くの子供たちが見ているわけです。そして、今回のときも、私も動画で見ると、足が九十度骨折をしてもう着けない状況で、声も上げているところで、体もけいれんしている中で十人ぐらいの男の人が引っ張っているのを動画で撮られていたりする、そしてかわいそうだという声も上げられているんですね。そして、見えないところで、どういうような形か、まあ殺処分されたということは間違いないようなんですけれども。
教育委員会にお聞きをしたいんですが、教育委員会がこれについてかねてから勧告をしているというのはどういう趣旨でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/89
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090・鈴木敏之
○政府参考人(鈴木敏之君) お答えいたします。
三重県教育委員会が平成二十三年に多度大社宛てに発出した勧告におきましては、県による無形民俗文化財指定の価値が失われることのないよう三つの柱が示されたと承知しております。
第一に、馬の取扱いについて、動物の愛護及び管理に関する法律を遵守し、動物虐待や動物愛護の精神に反する行為を根絶すること、第二に、未成年の飲酒、喫煙等を防止する取組を継続し、疑いを持たれないよう青少年の健全育成に努めること、第三に、騎手、馬、関係者や観客等に対して事故が起きないよう神事の安全な運営に努めること、こういった内容が盛り込まれていると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/90
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091・串田誠一
○串田誠一君 私も伝統的な神事というのは尊重したいし長く受け継いでいただきたいというふうには思っているんですけれども、今回のように、全く昔の古来ゆかしき作法とは違うことを行っているわけですね。
これ、時期的にいつ頃かというのはちょっと正確には分かりませんが、昭和の初期ぐらいから人がたくさん集まる観光行事というような形で始められたのかもしれませんが、とにかく古来の行事とは全く違う形で始められて、昭和の時代は、御存じのように、まあ非常に良き時代ではありましたが、人権意識とかそういうコンプライアンスとか動物虐待に関する意識というのは極めて低い段階の中で導入され、そして今、令和の時代に、昭和で行われていたことが次々とできなくなったというのはもう山ほどある中で、やはりこれは動物に関しても、昭和のときには行われていたけれども、今はやはり動物虐待に関して、これは教育上も良くないということでもあるし、当然その動物に対する虐待というのはこれは許してはいけないということをしていかなければいけないと思うんですが。
この子供への影響というのは文部省としてはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/91
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092・鈴木敏之
○政府参考人(鈴木敏之君) お答えいたします。
先ほど申し上げました三重県教育委員会による勧告においても動物虐待や動物愛護の精神に反する行為の根絶ということが掲げられており、三重県においてもこの勧告内容が遵守されるよう対応されているものと承知しております。
また、子供たちが、一般的には、この伝統的な行事に親しむこと自体は有意義なことというふうに考えております。
こうしたことから、本件を含めて個々の行事の実施に当たっては、それぞれの行事の特性等も踏まえ、実施者や関係団体が十分な配慮の下、実施態様、方法を検討し、適切な対応を取るべきものと考えております。
当該行事につきましては、県の教育委員会等が行事当日も現況確認あるいは巡視を行うなどの取組をしているものと承知しておりまして、引き続き県において適切に対応いただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/92
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093・串田誠一
○串田誠一君 勧告の中にしっかりと、騎手や馬、関係者や観客等に対して事故が起きないよう安全な運営に努めることというのを勧告でもう十年ぐらい前からもうずっと言っているのにかかわらず、これ動画を見ていただければ分かりますけれども、今年は特にひどかったと思いますよね。
これ、白黒の動画も残っているんですよね、昭和のときの。その頃は、傾斜があって、まさに坂が上がった上でゴールという感じなんですけど、今年の上げ馬に関しては、もう坂上がった後、絶壁のような垂直の壁を飛び越えなきゃいけないわけですから、これ十二回やって成功することがなかったというのは当然のことだろうと思うし、そうやってずり落ちたり、ひっくり返ってきたりするようなことで、人間も吹っ飛ばされたりとか、もう自分で立ち上がれないような、騎手、これ若い人たちにやらせているようなんですけれども。
これ、命が、何かあったときにこれは見直そうねということではなくて、ちゃんとこういうようなことは、事故が起きるのはこれ誰が見ても分かるようなことですから、こういったようなことをやっぱり国がしっかりと指導していただきたいと思いますし、今回、文科省がずっと勧告されているということではございますけれども、文科省だけではなくて警察庁も、これ完全に動物愛護法に違反する行為じゃないですか、これ。みだりにその身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせることと。これ、けがしないで済むと思っているんですか、警察庁の方は。こういったようなことはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
ちなみに、この殺処分されたメルズーガという馬は、二〇一五年の四月の二日に誕生いたしまして、そして初レースが二〇一八年の二月でございますので、まあ二歳のときでございました。その後、そのときには十六頭中十六位ということでございましたけど、一生懸命走ったんでしょう、二位とか三位というような成績になってきて、二〇一九年には何と初優勝ということで、引退したのは今年の二月、二〇二三年の二月でございました。そのときには十頭中八位ということでございまして、優勝回数は八回、出場レースは百十一回でございました。八歳でレースを引退する、それまでの間は人間のために一生懸命、命を削って走ったんですよね。いよいよ引退したら、今度は坂を上がらされて、垂直の壁を飛び越えろと言われて、できなくて骨折をして殺処分されたんですね。かわいそうじゃないですか。こんなことをいつまでやらせているんですか。
そういう意味で、ちょっと、引退馬、附帯決議にも書かれている。農水大臣、最後に農水大臣の感想をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/93
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094・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 私も初めて聞きまして、串田委員からそういうような事故があったんだということが質問として出てくるということで、初めて見ました。
他方、私の地元でも、馬が活用されているという地域の歴史、文化というのはあるわけですね、いろんな形がありますが。そういうことに対して、農水省として個別の伝統行事の内容についてなかなかコメントすることは難しいなと思っております。
見方によっては、私のところではマンボダンスを踊らせるんですけれど、それもやっぱり見る人によってはかわいそうなことをやらせているんじゃないかというふうに、まあ見る人から見ればそうなんだろうと思うし、子供たちから見れば大変楽しい、面白いというそういう見方もあるんだろうと思うんですが、そのぐらい個別の伝統行事の内容についてコメントすることは難しいなというのを、聞きながらつくづく考えたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/94
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095・串田誠一
○串田誠一君 法治国家ですから、法律に反しているかどうかだけを判断してもいいのかなとは思うんですけれども。
ただ、この多度大社というのは歴史もあって、厳かな、本当に歴史のある大社でございますので、これから話合いが行われるということでございますので、この歴史ある大社が全国から愛されるようなそういう神社になるよう英断をしていただきたいことをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/95
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096・舟山康江
○舟山康江君 国民民主党の舟山康江でございます。
四月十八日、前回の一般質疑の私の質問に対しまして、大臣からは、稲作について、経営面積が一経営体当たり二十ヘクタールなど、効率的な生産を行って所得の向上が図られている経営もだんだん多くなってきていますので、こういったところがやっぱり向かうべき方向なんだろうというふうに思います。ですから、少ない労働力で需要に応じた生産に対応した構造を実現していくことが今稲作にとって一番大事なことだろうと思います、このような御答弁がありました。
しかし一方で、十ヘクタールを超えますとコスト低減効果はこれほとんどないんですね。余り変わらないという状況ですし、この階層であっても利益は極めて薄い、これが現状だと思っています。手元の生産規模別生産費を見ていましても、今、ちょうど今日お配りした資料のこの図表の方ですね、図表というか、表になっている方の下の方、令和四年産米相対取引価格ということで、参考という形で四角に書かせていただいていますけれども、全銘柄平均で一万二千八百三十八円。これ、消費税抜いて、玄米ベースで税抜きで計算していますけれども、ふさこがね一万円ちょっと、青森まっしぐら一万一千円。このような水準から見ると、仮に大規模になっても逆にとんとんか赤字ぐらい、そんなような状況ですので、何かこう、大きくなったところでそこに集約すれば大丈夫なんだというのはちょっと違うんじゃないかと思うんですね。
こういった今現状の米をめぐる問題について、農水省の見解をお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/96
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097・村井正親
○政府参考人(村井正親君) お答えいたします。
食料・農業・農村基本法では、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立するため、必要な施策を講ずるものとされております。農業所得で生計を立てる担い手については、大規模か小規模かを問わず、幅広く支援をしております。こういった中で、先般の大臣の答弁にもありましたが、稲作においても一経営体当たり二十ヘクタールを超えるような経営も増加をしてきていると、そういうような状況にあるというふうに認識をしております。
一方で、稲作につきましては、国内市場の縮小などの課題に直面をし、その結果として所得が増えない、また基幹的農業従事者が平均で七十一歳となるまでに高齢化が進んで、今後その数が大幅に減少していくことが見込まれるなど、厳しい状況にあるというふうに認識をしておるところでございます。
こういった中で、今後引退される農家の農地が大量に出てくることが見込まれます。そのような状況の下で、稲作を将来にわたって継続できるようにするためには、小規模な方々だけではこの離農農地を引き受けていただくということは実態としてはなかなか難しい面もあるというふうに考えております。
農地の集積、集約化、基盤整備の導入などによってそういった農地を引き受けて、少ない労働力で生産する構造を実現していくことが重要であると考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/97
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098・舟山康江
○舟山康江君 もちろん一定程度面積が大きくなっていくとコスト低減が図られる、効率化が図られるということはそのとおりだと思いますけれども、ただ一方で、やはり小さい農家、こういった方々の役割もいろんなところで今農水省も認めているわけですね。そういう中で、少ない労働力で云々といいますと、小さい農家は不要なのか、こういった懸念も浮かんできます。
まさに今、基本法見直し作業も大詰めの中、基本法検証部会の中でも、中小規模農家が持続可能な経営を続けられることも必要との委員の指摘もありますし、私も同感だと思います。そうでなければ農地を維持することすら今難しい、こういった現状にしっかりと目を向けていただきたいと思います。
そういう意味で、まずお聞きしたい。そういう中で、まず、その小さい農家、中小規模農家が持続的な経営を続けられるその重要性についてどのような認識なのかということと、もう一つ、そういった方々を支援する、支えるべきやはり支援策も必要ではないかと思いますけれども、その点、二点についてお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/98
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099・村井正親
○政府参考人(村井正親君) お答えいたします。
繰り返しになりますが、食料・農業・農村基本法では、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立する、そのために、農業所得で生計を立てる担い手については、規模の大小や家族、法人の別にかかわらず、幅広く育成、確保してきたということで、我々、各施策講じてきております。
そういった意味で、必ずしもその規模ということではなく、まさしく農業所得で生計を立てておられるかどうか、そういったことを基本に、やはり農業所得で、農業で頑張っていこうということで努力をされている担い手の方、これは規模の大小にかかわらず、幅広く育成、確保していくことが重要であるというふうに考えておるところでございます。
一方で、そうした担い手以外の方々につきましても、農地の保全あるいは集落機能の維持など、農村地域社会を支える上で重要な役割を果たしておられるというふうに認識をしております。その役割に応じた様々なメニューで支援をしておるところでございます。
ただ、農業所得で生計を立てる担い手とそうでない方とは、やはり実態、実際どういった支援が必要かというところにおいて、やはり営まれている農業の違いによってやはり支援、必要とされる支援も異なってくる、支援の内容はそれぞれの役割に応じて決められていくものというふうに考えております。
そういったことも踏まえながら、政策全般の中で引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/99
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100・舟山康江
○舟山康江君 そうでしょうか。私はその考え、ちょっと違うと思うんですね。どういった方々であれ、生産を行う、農地を守る、このことに対してしっかり支援をする、これが役割ではないでしょうか。
そして、もう一点、効率的かつ安定的な農業経営を中心としてそこに農地を集約する、このことで一体どうなったでしょうか。生産が減少したり農地が減少したり、今のこの問題があるからこそ今基本法の見直しということに着手しているとすれば、まさにこの効安経営を育成するという方向性がどうだったのか。検証部会で委員からも発言があるように、中小規模の方々もしっかりと経営継続できるような支援をするべきではないかというこういった声に対して今どういう考えがあるのか。今のお答えは今までの流れと全く変わらないと思うんですね。ここを見直すことが今必要だということの中で、私は今の御答弁には全く納得できないと思うんですね。
以前、EUのCAPを紹介させていただきました。EUでは、作目を問わず、農地に対して一定の面積払い、基礎的所得支持を導入しています。所得支持なんですよ。その政策理念は、気候変動対策や環境対策として農地を維持することが重要であるから、そして農地を維持するためには営農継続できる所得の確保が必要だと、こういった理念の中で、このような基礎的所得支持、まさに農地に対する支持を、支払をしております。
やはり、食料・農業・農村政策の基本は、生産基盤である農地と担い手をどう残していくのか、そういった意味では、その基盤である農地、それを多様な担い手でどう維持するのか、こういった観点から、私は、このような農地支払、基礎的支払、こういったことも併せて根本的に考えていく必要があると思いますけれども、農水省のお考えをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/100
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101・杉中淳
○政府参考人(杉中淳君) ただいま委員から御紹介がありましたEUの制度でございますけれども、本年からの新しい共通農業政策に基づきまして、直接支払を、御指摘のあった基礎的所得支払、支持と、あと気候変動や環境対策に対する取組を行う農業者に上乗せして支払うエコスキーム等に区分をしました。ただ、基礎的所得支持につきましては、これまでと同様、面積に基づく支払であるというふうに承知をしております。
我が国におきましても、これまでも担い手の経営安定に向けて麦、大豆等の生産者に畑作物の直接支払交付金を交付しているほか、地域の農業生産活動を継続できるように中山間直接支払などの直接支払を行っているところでございます。それに加えまして、農業収入が減少した場合につきましては、セーフネット対策としてナラシ対策や収入保険といった収入補填の制度も設けております。
今後も、こうした制度を着実に実施するとともに、国内農業の生産基盤をしっかり支えるという観点で臨みたいと思いますし、基本法につきましても、そういった国内の生産基盤維持という観点から議論を進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/101
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102・舟山康江
○舟山康江君 今、基本法の見直しの最中だということで、今週金曜日、十九日にも中間取りまとめの案が出てくるということであります。私、やっぱりせっかくこういったいろんな問題が山積をして、今様々な農業に関する問題が議論されている中で、果たして、これからまたいろんな関係者の声も聞くと、先ほどの大椿さんの質問の御答弁にもありましたけども、改めて、今幾つか政策も紹介いただきましたけども、こういった政策の効果の検証、いろんな、棚卸しをしながら、果たしてこれからどういう政策を組み合わせていけばいいのか、このような具体的な議論もしていただきたいと思っているんですね。
今議論の中では、例えば価格転嫁、これも大事だと思います。ただ、物によって価格転嫁できるものとできにくいものがあると思うんですね。やはり労働集約型のものに関しては、しっかりとその労働の対価として、例えば野菜とか果樹ですよね、こういったものに関してはどうやったら価格転嫁できるのか、そういった形でしっかり適正価格を実現するということが重要だと思いますし、一方で、土地利用型、これは国際価格も形成されている中でなかなか、価格転嫁をすればまた海外との競争等もある中で難しいと思うんです。
土地利用型で価格転嫁が難しいものに関しては、まさに今私も紹介しました、今御説明いただきました様々な直接支払、面払い、環境支払、そういったことを改めてもう一回検証する中で、しっかりとこの面積支払のようなものも改めて加えていただきたい。そういったことで、私、そこの価格転嫁すべきものとそうでないものとを分けて議論するべきだと思いますけども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/102
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103・藤木眞也
○大臣政務官(藤木眞也君) お答えをいたします。
農産物等の持続的な生産のためには、生産コストの上昇分を適切に価格に反映していくことがこれ極めて大事なことだと私も考えております。一方で、農産物などの取引価格は、需給、品質、取引形態、他の商品との競合の状況などにより様々な要因の影響を受けることから、品目によって価格転嫁の困難度というのには差があるというふうにも考えております。例えば、豊凶変動が大きく供給量に応じて取引価格が大きく変わる品目や、安価な輸入品と競合しており、値上げをすれば需要が輸入品に奪われるような品目では、生産コストの価格転嫁は容易ではないというふうにも認識をしております。
このため、品目ごとの生産から流通までの実態等を踏まえて、コストを反映した価格が形成されるには何が必要かということをしっかりと検討し、適切な価格転嫁のための環境整備を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/103
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104・舟山康江
○舟山康江君 今少しありましたけども、やっぱり価格転嫁できやすいものとしにくいものがあると思うんですね。そういう中で、やっぱりそこを分けて、どうやったらそれぞれが再生産可能な政策ができるのか、そこを是非改めて御議論いただきたい、これお願いしたいと思います。
そして、先ほど滝波委員からも、需要に応じた生産への転換にこだわり過ぎずに、やっぱりこの水田の農業の重要性ですね、水田を軸としたいろんなこの生産の在り方、これを改めてもう一回御議論いただきたいということをまたお願いしたいと思います。
米、主食用がなかなか減少しているということではありますけども、飼料用、米粉用、それから輸出、バイオ燃料、いろんな工業用原料、いろいろあると思うんですね。やっぱり水田をきちんと残すことによって不測の事態に備えていく、こういうことを改めて取り組んでいただきたいと思いますし、これこそが中長期的に安定的な生産、そして気候、環境対策にもつながるというふうに思うんですけれども、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/104
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105・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) 主食用米の需要が減少する中で、麦、大豆、高収益作物とともに主食用以外の米への転換というのも重要なことだと考えております。直近で見ますと、飼料用米七十六万トン、米粉用米四・五万トン、米の輸出量二・九万トンまで拡大しておりますし、バイオプラスチックの原料に米というのも始まってきているところでございます。
これら国内の主食用米の市場に影響を与えない、これ結構大事な点でございまして、それをしながら、将来的な市場拡大の可能性が期待されるものに関しましては、新市場開拓米として水田活用の直接支払交付金等で支援を行うこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/105
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106・舟山康江
○舟山康江君 せっかくこの優れた生産装置である水田をまさにフルに活用する、やっぱり水田活用、米の生産を軸とした私は食料の安定供給をもう一度考える、そんな時期に来ているんではないかと思いますので、改めてこのことをお願いしたいと思います。
米でいえば、もう一つ、MA、ミニマムアクセス米についてお聞きしたいと思います。
この今七十六・七万トンが毎年、輸入機会を提供すると言いながら、実質的にほとんど全量輸入されていると。この基本は、一九八六年から八八年における米の国内消費仕向け量の七・二%に当たるということで決められているわけでありますけれども、このMA米に関して、これは入札によって決定した輸入業者を通じて買入れをしているんですけれども、MA米の輸入先をどのように決めているのか、どのような使い道のためにどの種類をどこから輸入するということをどうやって決めているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/106
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107・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
ミニマムアクセス米の輸入につきましては、国内の実需者のニーズ、それから輸出国の生産状況、それから輸出余力等を勘案して入札を実施しておりまして、その結果として国別の輸入数量が決まってくるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/107
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108・舟山康江
○舟山康江君 先ほど提示した表を御覧いただきたいと思います。これ、MA米の契約価格、令和四年、昨年の九月分と今年の三月分をちょっと並べてみました。一番上、アメリカ・カリフォルニア産のウルチ精米中粒種、これが、玄米換算をする、〇・九掛けたんですけれども、これで一万三千七百十六円。これ、国産米の平均価格よりも高い価格で買い付けをされておりますし、その後ばあっと見ていると、タイ米なんかは安いんですけれども、アメリカ産に関しては軒並み一万三千円超えということなんですね。これ、どこに需要先があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/108
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109・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) ミニマムアクセス米につきましては、国内の主食用米に需給を影響、国内の主食用米の需給に影響を及ぼさないように、主食用米に販売され得るSBS方式以外の輸入米につきましては加工用へ販売することとしております。
御質問ございましたけれども、具体的には、国産の加工用米の品質に近い米国産の中粒種は主に米菓やみそ向け、タイ産の長粒種につきましては主にみそや焼酎向けに国内の実需者から一定の需要があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/109
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110・舟山康江
○舟山康江君 そうすると、国内の主食用米と同じ価格で買いながら、そこではない、安い加工用米に売っているということ、これ果たして本当に必要があるのか、需要があるのか。需要があるとすれば、何でこんな高い価格なのか、非常に不思議なんですよね。
そういう中で、当然これは売買差損が出ていると思いますけれども、このMA米運用に伴う財政負担が一体今幾らぐらいなのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/110
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111・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
舟山先生、今日提出していただいた資料のところにそのままあるので、そのまま読み上げてもよろしいでしょうか。
この舟山先生提出していただいた資料の二つ目のところでございます。右側の方の、MA米の損益全体というふうになっておりまして、平成七年からありますけれども、直近のところで申しますと、売買差損二つございまして、売買損益のところと管理経費というところございます。合わせまして、二十九年度は百六十三億、三十年度、三百十一億、令和元年、三百六十八億、令和二年度、三百六十七億、令和三年度は四百七十七億円というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/111
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112・舟山康江
○舟山康江君 恐らくこれ、令和四年度になると更に米、価格上がっていますから、もっと財政負担大きくなっていると思うんですね。いつまでこんなことを続けるのかなという気がするんですよ、だってもう実際に国内産の価格と同じなんだから。
そういう中で、これやっぱり、これ何度か紙さんからも質問されていますけれども、これ見直す必要やっぱり改めてあるんじゃないかと思いますけども、最後、大臣のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/112
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113・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) お答え申し上げますが、何回もこのお話は紙委員やあるいはまた舟山委員の方からいろいろ指摘をいただきまして御答弁をさせてきております。そのときとそんなに変わっておりませんけれども、この米のミニマムアクセス米というのは全体のパッケージの一つでありまして、全ての加盟国の合意の下に設定されております。
したがいまして、このミニマムアクセス米の輸入数量の見直しは極めて困難であると、こういうふうに思っておりますので、どうかそのことも御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/113
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114・舟山康江
○舟山康江君 いや、もう本当に、国産米より高い価格でわざわざ要らない米を買うって本当に考えられないですね。その辺り、やっぱり改めて、ちょっと思考停止ではなくて少し考えていただきたい。
そしてもう一つ、自給率目標をどう掲げるかというのも、ちょっと若干後退しているように見えるんですけども、ここは、やっぱり今これだけ海外の食料供給不安が高まっている中で、改めてこの必要性も訴え、お願いし、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/114
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115・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午後零時六分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/115
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116・山下雄平
○委員長(山下雄平君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/116
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117・紙智子
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
まず最初に、自伐型林業への支援についてお聞きします。
これ、二年前の三月二十五日に行われた農水委員会で、私、北海道自伐型林業推進協議会の取組を紹介しながら、森林・山村多面的機能の発揮対策交付金とこの予算の拡充を求めたときに、当時、野上農水大臣だったんですけれども、活動の実態や活動組織の要望など、現場のニーズを踏まえて、活動組織が実施する森林の保全管理などの地域活動の支援に取り組んでまいりたいということで答弁をされました。
ところが、今年度の予算は、前年度の十三億四千九百万円から十億九百万円と、大きな減額になっているんです。これ、なぜ森林・山村多面的機能のこの交付金が、予算が大幅に減額となったのか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/117
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118・織田央
○政府参考人(織田央君) お答えいたします。
森林・山村多面的機能発揮対策交付金につきましては、地域住民や森林所有者等により構成される団体が実施する森林の保全管理等の活動に対して支援をするものでございます。同交付金の令和五年度予算額は十億円と、前年度から三億の減となっております。これは、間伐、再造林等の森林整備、路網整備、木材加工施設整備等の推進、あるいは国産材の需要拡大など様々な課題がある中で、予算の全体の調整の中で減額となったというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/118
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119・紙智子
○紙智子君 ちょっと今の説明だとなかなか分からないんですけど、要は、要求はしていたんですよね。もっと、前年度並みに要求していたんだけど削られちゃったということですよね。
それで、実はちょっと見てみたら、この交付金、初年度が二〇一三年、平成二十五年なんですけど、このときが三十億だったわけですよ。それからずっと減っていて、二〇一六年度、二十五億になって、二〇一七年度は十七億になって、令和四年度は十四億で、で、今年五年度は十一億、約十一億ですから、物すごく減ってきちゃったわけですよね。それで、北海道ではこの交付金を申請した団体の要望額の結局七五%にとどまってしまったということなので、面積に応じて支払われているわけなんですけど、予算額の縮小によって活動の縮小も余儀なくされてしまっているんですね。
具体的に言うと、どういうふうに支障を来しているかというと、作業道を延長しようと思ったんだけどすることができないとか、それから間伐作業の面積自体が減ってしまうとか、あるいはユンボなどの作業用のレンタル機械が必要日数借りられないということで作業が減ってしまうというようなことで、これ現場に対する影響は非常に深刻、大変なことになってきているんです。
なので、是非農水大臣ね、これ、こういう状況で補正で組めといってもなかなかそう簡単ではないとは思うんですけれども、何とかちょっと対応考えられないでしょうか。そのことをまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/119
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120・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 対応を私どもの方で考えるというのはなかなか難しいことでございまして、ただ現場の方で、対応についてこう考えるんだけれどもということでやっていただければいいと思うんですが、今長官の方から答えましたように、確かに毎年減らされて、ついに十億までに下がってきたということでありますが、現場において適切な事業執行が図られるように、これは都道府県等に対して任意での上乗せ支援により一層取り組んでいただくように依頼してございます。
だから、都道府県の方から、今おっしゃいましたように、活動が縮小してしまうよと、あるいは間伐の面積が狭くなってきたとか、いろんな問題が出てきたならば、県と話をしていただきたいと思うんです。そうしますと、県の方で林野庁の方に、こういう金が足らないんでもう少し上乗せした形での支援はできないかと。それはちゃんと長官の方では胸算用としてあるわけでありますので、そういう形でやっていただきたいと、こんなふうに思っております。また、森林整備に必要な機材の購入についても、ほかの事業で支援が可能でございますので、いろいろ知恵を出してほしいと、こういうふうに思います。
ただ足らない足らないと言っていただくと我々もどうしようもないので、むしろ、どういうようなところに足らないのかということを言っていただければ、これは定額補助でありますから、こうして七五%になっておりますけれども、ほかの事業、林野庁いっぱい持っておりますので、そこから融通するということで御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/120
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121・紙智子
○紙智子君 やっぱり根本は、根本はやっぱり来年度の予算をちゃんと元どおりのとおりもらうように要求してほしいと思います。
ただ、その間、足りない分どうするかということで今お話あったんですけど、要は市町村が決めている特定間伐促進計画をやるということで、そこに今補助事業の対象になっていきますから、そこはうまく活用してということだと思うので、そこは、こちらからも言いますけども、農水省の方からもきちっと現場の方に訴えていただきたいということを一言申し上げておきたいと思います。
やっぱり、自伐林業を林業のその政策に位置付けて、やっぱり林野庁として支援体制を確立するということを、是非改めてそのことを要求しておきたいと思うんです。
それからもう一つあるんですけど、交付金の支援を受けるための手続の改善ということを言われていまして、現状は活動団体が申請するときに紙に書いて出すんですね、だから郵送するということになるんですけど。これ、一回一回、地域協議会とやり取りする中で、修正箇所が出たらそのたびに郵送しなきゃいけないというので、これもうちょっと、今せっかくオンラインとかメールの時代なんだからそういうやり方でもできるんじゃないのかと、そういうやり方にしてもらえないかという要望出ているんですけど、これいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/121
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122・織田央
○政府参考人(織田央君) お答えいたします。
この交付金に係る申請書類等につきましては、林野庁とその交付金の執行を担う各都道府県の地域協議会、この間では既にオンラインによる申請ができるようになってございます。加えて、地域協議会と個々の活動組織との書類もオンライン化できるように、既に電子ファイルの様式も各都道府県の地域協議会に示しているところでございます。
ただ一方で、一部の協議会におきましては紙での書類提出をいまだに求めているところもあるというふうに承知しておりますので、そうした協議会に対しまして、活動組織の要望に応じてこの電子ファイルでの提出も受け付けるように指導をしっかりしてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/122
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123・紙智子
○紙智子君 指導していくということなので、是非よろしくお願いしたいと思います。
次に、ちょっと花粉症について質問したいんですね。
杉花粉症になっている方が今国民の四割に達すると言われているんですよね。私、杉ではないんですけど、アレルギー性鼻炎で、もう朝起きたらくしゃみから始まるというぐらいなんです。
それで、この四月十四日に花粉症に関する関係閣僚会議が行われて、閣僚会議をつくった目的、それから総理からどういう指示があったのかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/123
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124・吉住秀夫
○政府参考人(吉住秀夫君) お答えいたします。
花粉症につきましては、これまでも関係省庁におきまして様々な取組といったものを進めてきておりますが、引き続き多くの方々が花粉症に悩まされているなど、我が国の社会問題と言っても過言でない状況にございます。このため、適切な実態把握を行うとともに、発生源対策や飛散対策、予防、治療法の充実など、政府一丸となって取り組むため、花粉症に関する関係閣僚会議を開催したところでございます。
先月の第一回関係閣僚会議におきましては、総理から、発生源対策、飛散対策、暴露・発症対策を三本柱として、本年六月の骨太の方針の策定までに対策の全体像を取りまとめるよう指示をいただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/124
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125・紙智子
○紙智子君 今お聞きしたんですけれども、それで林野庁にもうちょっと、今紹介あったんですけど、花粉発生源対策の概要、今三つぐらい言われたと思うんですけれども、簡潔にちょっと教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/125
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126・織田央
○政府参考人(織田央君) お答えいたします。
農林水産省では、花粉の発生源となる杉の人工林について、切って、使って、植えて、育てるといった森林資源の循環利用を推進をし、花粉の少ない多様で健全な森林への転換を図っているところでございます。
この発生源対策でございますけど、具体的には、花粉を飛散させる杉人工林等の伐採とその伐採を推進するために必要な木材利用の促進、また、花粉の少ない苗木への植え替えの促進とこれに必要な花粉の少ない苗木の生産拡大、さらには、杉の雄花を枯らす花粉飛散防止剤を用いた花粉飛散抑制技術の開発といった取組を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/126
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127・紙智子
○紙智子君 戦後、この植林した杉の花粉が飛散することになってきた時期というのは、一九七五年、まあ昭和六十年ですか、前後からで、花粉症が言われ出してもう半世紀になるわけですよね。
それで、植え替えるということについて聞くんですけれども、この植え替える対象として、花粉の少ない苗木などへの植え替えが進められています。で、花粉の少ない植木、苗木ですね、苗木等への植え替えの状況と、それから植える際の業者と森林所有者への支援策について説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/127
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128・織田央
○政府参考人(織田央君) お答えいたします。
花粉の少ない苗木の生産につきましては、令和三年度には十年前と比べて約十倍、杉の苗木の年間生産量の約五割に達しておりまして、杉の造林地の現状は、杉の造林地の約半分程度が毎年、毎年といいますか、直近ではこれらの苗木を活用して植え替えられているものと見込んでいるところでございます。
また、植え替えに関連する支援策でございますけれども、森林所有者等が行う再造林に対しまして、国、都道府県合わせて約七割の補助を行いますとともに、花粉の少ない苗木の普及を図るために、森林所有者に花粉の少ない苗木等による植え替えの働きかけを行う素材生産事業者等の活動経費等への支援も実施しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/128
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129・紙智子
○紙智子君 今、概略でざくっと七割とかっていう話あったんだけど、お聞きしたら、植え替えの働きかけを行った業者、素材生産者に十万円、ヘクタール当たりとか、植え替えを行った森林所有者には最大四十五万円までというふうになっているというふうに聞いています。
それで、現在の杉人工林は全国で四百四十万ヘクタールなんですけれども、更に蓄積量も増えていくんだと思うんです。それで、現在の労働力を前提にした場合に、これ花粉症対策の品種への植え替えが終わるのに一体何年掛かるのかなということと、それからもう一つ、その苗木の供給体制というのは大丈夫なんだろうかということについてお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/129
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130・織田央
○政府参考人(織田央君) お答えいたします。
まず、全ての杉の人工林の伐採をするのに必要な期間等については目標は定めているわけではございませんけれども、一つの試算として、例えば令和二年の全森林の伐採面積、これ八万七千ヘクタールあります。この中で、杉の素材生産量、丸太の占める割合を用いると、令和二年の杉人工林の伐採面積は約五万ヘクタールと推計できますものですから、単純に今の四百四十万ヘクタールをこの五万ヘクタールで割ってみると、まあ九十年、約九十年ぐらい要するという、そういう試算はできるところでございます。
いずれにいたしましても、関係閣僚会議における総理指示の下で花粉症対策の全体像を関係省庁と連携して取りまとめているところでございまして、この中で花粉発生源対策について実効性のある具体的な対策を検討してまいりたいというふうに思っております。
また、苗木の関係でございます。引き続き、先ほど杉苗木の年間生産量の五割に達したと申し上げましたけれども、引き続きこの花粉の少ない苗木の生産拡大を進めていく必要があるということでございます。このため、農林水産省におきましては、品種の開発、それから種穂を安定的に供給するための採種園、採穂園の造成、改良、あるいはその造林コストの低減に資するコンテナ苗生産に必要な施設整備、さらには、コンテナ苗の生産、利用に関する技術研修等への支援を行っていく考えでございます。
今後とも、必要な苗木が十分に供給できるように苗木生産体制の整備を図っていきたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/130
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131・紙智子
○紙智子君 九十年ぐらいという話だったんだけど、二〇一八年の衆議院の農水委員会のやり取りの中で、現在の伐採ペースで杉、ヒノキ人工林の大半がその品種になるには三百五十年掛かるという回答が出ていたので、もうこのままだったら、もう何世代もこれ、世代を超えて花粉症に苦しむことになるのかなというふうに思ったんですよね。それで、やっぱりそういうことをめぐって、せっかく立ち上げたからにはしっかり対応していただきたいわけなんです。
それで、林野庁の花粉発生源対策ということでは、切って利用すると、それから植え替えると、それから花粉を出さないという三つの話がさっきもあったんですけど、この植え替えるについて今聞いてきたんですけど、この花粉を出さない対策というのは即効性のある対策として期待をされているわけです。森林総合研究所、それから東京農業大学、ここで、杉の雄花を枯死させて花粉の飛散を防止する、食品添加物を薬剤として活用する方法なども開発しているというふうに聞いているんですよね。ただ、まだ実用化にはなっていないと。なぜかというと、散布方法を含めて、環境や人への安全性の確認が課題になっているということですよね。この点も議論をしっかり行っていただきたいというふうに思うんです。
それで、切って利用するという点では、皆伐ということになると、これまた植林が進まなければ造林未済地が増えていきます。それで、土砂が流出して災害の危険性が高まるという問題もあるし、温暖化防止策にも反することになりますから、そういう意味では、計画的にやっぱり伐採していくということで国産材の価値を高めるということも必要なんだと思うんです。
そこで、戦後大量の杉が植えられたんだけれども、これ、経済成長が進むにつれて段階的に自由化を進めて、一九六四年には完全自由化に踏み切りました。一九七一年の変動為替相場への移行による円高政策など、輸入材に依存した政策が進められて、林業が衰退しました。木はどこから来るかといったら、山からじゃなくて海から来るってみたいに当時言われていたと思うんですよね。
それで、花粉症対策の品種に植え替えるためにも、輸入材をやっぱり国産材に置き換えてもっと活用する支援、体制、政策も必要じゃないかと思いますけど、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/131
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132・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 紙委員からお話がありました。確かに、輸入が一時期増えまして、国産材が足らないということじゃなくて、むしろ輸入材が価格が安くて入ってきたという時期もありましたが、最近におきましては輸出も大変伸びておりまして、付加価値の高い木材製品の輸出が促進されてきていると。二一年には五百七十億の輸出が二二年には六百三十八億まで今伸びてきておりますので、国産材の需要拡大に向けてまた総合的な取組をしっかりと進めてまいりたいと、特に中国、アメリカがこの輸入材が相当入っておりますので。
ただ、今までは、私の鹿児島、全国的に見て南九州、特に宮崎、鹿児島を中心に輸出が盛んなんですけれども、丸太が中心なんです。それで、これでは付加価値を生まないということで、今回、大手の木材企業が進出してくれまして、もう製品を作って輸出しようということになっておりまして、今大々的にそれをやるところでございまして、これからもまだ輸出は伸びていくというふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/132
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133・紙智子
○紙智子君 国産にもっと力入れるということだと思うんです。
それで、内閣官房にも来ていただいていますのでお聞きしたいと思いますが、閣僚会議立ち上げたわけです。閣僚会議でも、やっぱりこの国産材への切替え対策というのを具体化することが大事だと思うんですけれども、これは検討していただけるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/133
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134・吉住秀夫
○政府参考人(吉住秀夫君) お答えいたします。
先日の第一回関係閣僚会議におきましては、総理から、発生源対策の一つとして、外国材から国内材への転換による需要拡大といったものにつきましても指示をいただいているところでございます。そうした中、具体的な対策につきましては、総理の指示を踏まえ、現在、関係省庁において検討しているところと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/134
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135・紙智子
○紙智子君 是非、立ち上げたからにはやっぱり目に見える形で、見通しが立つような形でやっていただきたいというふうに思います。
過去にも、これ、花粉症の発生源対策プロジェクトチームってつくられていたことがあったわけですけれども、今回、やっぱり総理の指示で閣僚会議立ち上げた以上は、花粉症の対策の効果が見えてくるのはいつ頃になるのかということも示してほしいと思うんですよね。(発言する者あり)六月、見えてくるんですか。
それで、その症状がちゃんと緩和されていくというふうにならなきゃいけないので、そして、輸入依存からやっぱり脱却をして、国産材を活用して、で、これもう私ずっといろんな農業分野も言っているんですけれども、自然にも優しい、海にも優しいし人にも優しいし、健康な山づくりを是非進めていただきたいということを強く求めまして、質問といたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/135
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136・須藤元気
○須藤元気君 こんにちは。須藤元気です。
先日、アニマルウエルフェアの現場を視察するため、山梨県にあるぶぅふぅうぅ農園に行ってまいりました。一九七〇年代に放牧養豚を始め、日本の放牧豚の先駆け的存在です。予防的な抗生物質を使わず、国産メインのエコフィードで育てるこちらの農園では、平飼い卵の生産のほか、豚を完全放牧で育てています。
通常の放牧豚は出荷前の三か月間のみですが、こちらの完全放牧では生後十日から出荷までの全期間を放牧します。一般飼育の母豚は、交配の後は個別に管理するため妊娠ストールに入れ、方向転換もできないような狭いところで妊娠期間を過ごし、ぶぅふぅうぅ農園では妊娠期間中も放牧しております。お産の五日前は分娩のための豚舎に収容しますが、トイレも兼ねて、一日二回、放牧場に出して運動させています。生まれてきた子豚を踏み潰してしまわないように分娩柵が設けてありましたが、子豚は生後十日以降、柵の隙間から自由に外に出られるようになっており、農場内を自由に闊歩していました。とてもかわいかったです。一般飼育の子豚は高床式のケージなどで哺育されますが、ここの農園では運動場付きの豚舎で哺育しております。親子一緒に過ごし、人工乳を与えず、一般飼育より長い四十五日の哺育、哺乳期間を設けています。
このように、南アルプスの大自然の恩恵を受けることのできる放牧場で育った豚は、ストレスが少なく、本来持っている生命力を引き出すことができます。それゆえ、生後から出荷まで基本的に抗生物質は使っていないそうです。
視察して感じたことは、動物を拘束し、本来の行動欲求を極度に制限し、経済効率一辺倒の畜産業から動物に配慮した畜産業へシフトするターニングポイントをつくり出さなければいけないということです。
そのためには、食卓に上る豚、牛、鳥が一般飼育でどのように扱われているのか、消費者に知ってもらう必要があります。一般人が農場をイメージすると、恐らく放し飼いののどかな映像が目に浮かぶと思います。ぶぅふぅうぅ農園がまさしくそれでした。しかし、農場の多くの現実は、身動きの取れないケージの中で育てられています。この実態は、テレビやメディアでは一般の人が目にすることのない、プロセスが見えない、もはやタブーのようなものになっております。
ぶぅふぅうぅ農園の代表である中嶋さんに将来の夢を聞いたところ、放牧豚や平飼いの養鶏を知り、学べる施設をつくりたいなとおっしゃっておりました。農場レストランや学校みたいな施設をつくり、実際に飼われているケージや妊娠ストールなどを展示して、そのプロセスを子供たちだけでなく大人にも学んでもらうことが必要だと私も思います。
畜産の飼育方法を消費者に知ってもらう取組に対する支援を農水省で行っていくべきと思いますが、御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/136
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137・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) お答えをいたします。
農林水産省におきましては、畜産GAP拡大推進加速化の補助事業によりまして、公益社団法人であります畜産技術協会が行っております消費者に対するアニマルウエルフェアの普及啓発のため、セミナーへの支援などを行っているところでございます。消費者の方々に家畜におけるアニマルウエルフェアを正しく理解をしていただけるように普及啓発に取り組んでいきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/137
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138・須藤元気
○須藤元気君 やはり、プロセスが見えれば消費者のアクションも変わっていくと思います。
EU加盟国では、直接支払によって補助金を支給することと、畜産物のブランド化を進め、市場経済の中でアニマルウエルフェア食品を提供することの両面から動物福祉の振興が図られています。日本でもアニマルウエルフェアを普及し、生産者を応援するためにも、また、そのように配慮された畜産物を選択したいという消費者のためにも、畜産物にマークを付けるなどとして目に見える形で示すことが重要だと思います。
山梨県は、二〇二一年にやまなしアニマルウェルフェア認証制度を創設しました。自治体として全国初となる取組です。この認証制度では、取組段階である農場を認証するエフォート、一定基準を満たした農場を認証するアチーブメントの二種類があります。アチーブメントを取得すると、畜産物へのロゴマークが使用可能となります。このぶぅふぅうぅ農園もアチーブメントを取得しています。国際的な基準に見合う認証なので、ここから消費者、生産者が意識するきっかけになればと中嶋さんは期待されておりました。
そこで、国としても、最低限の管理指針の策定にとどまらず、是非、国際的な基準に見合うレベルでのアニマルウエルフェアの認証制度を創設すべきと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/138
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139・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) お答えをいたします。
アニマルウエルフェアに配慮して生産された畜産物を消費者が選択できるようにするということは、アニマルウエルフェアに関する消費者の理解を醸成をして、生産現場での取組を推進する上で一助となるものと考えてございます。
このような中、持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉JASにおきましては、その要件の一つとしてアニマルウエルフェアに配慮することとされておりまして、認証された鶏卵や鶏肉は令和二年度から特色JASマークのロゴや文言を利用できることとなってございます。
また、一般社団法人でありますアニマルウェルフェア畜産協会が、民間の取組でございますけれども、平成二十八年からアニマルウェルフェア畜産認証マークの使用を開始しているというふうに承知をしてございます。
また、一般財団法人でございます日本GAP協会が認証を行っておりますJGAP家畜・畜産物では、要件の一つとしてアニマルウエルフェアに配慮することとされておりまして、認証された畜産物には平成二十九年からJGAP認証マークが貼付できることになっていると承知をしてございます。
このような認証の仕組みに加えまして、アニマルウエルフェアに配慮した畜産物であることを表示その他の方法により訴求をするということは自由でございます。必ずしも国が認証制度を設ける必要はないものと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/139
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140・須藤元気
○須藤元気君 アニマルウエルフェアにより重点を置いた認証制度というのを国として何か僕は創設していただきたいなと、検討していただければと思います。
さて、ぶぅふぅうぅ農園では、感染症対策として免疫力を付けることを重視しております。運動をたくさんさせて免疫力を高め、そして病気を予防する。それに対して大規模養豚場は、薬によって感染症対策をしております。これは、同じ感染症対策でも根本的な考え方が違います。私たち人間も、薬を飲んで病気にならないようにするよりかは、体を鍛錬して健康体にしていくことが大切だと皆さんも理解しているはずです。
健康体といえば、私の議員会館の事務所が九階なんですが、隣の部屋が下野六太議員です。下野議員とはよくフロアでお会いするんですが、大体二、三回に一回ははあはあと息を切らしているんです。なぜかというと、下野議員は九階まで階段を使って上っているんです。今となってはその姿に見慣れましたが、運動して健康を意識する姿に感銘を受けております。
話は戻りますが、動物も人間も同じように運動して免疫力を高め、そして感染症対策をすることが大切なのではないかと強く思いますが、農水省の考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/140
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141・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) お答えをいたします。
豚の免疫力を高めるためには、委員御指摘のとおり、やはり健康的に飼育をすることが重要だというふうに考えてございます。このため、養豚場における感染症対策としては、飼養衛生管理基準を遵守をしつつ、しっかりとした防疫対策を講じた上で、適度な運動を始めとする健康管理を行うよう生産現場への技術指導を行っていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/141
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142・須藤元気
○須藤元気君 ちなみに、私は大人になってから健康診断というものをやったことがありませんでした。周りから、いや健康診断やった方がいいよ、やった方がいいよと言われたので、議員になってから二年目ですかね、健康診断あるじゃないですか、あれに初めて僕、健康診断をやりました。結果は、三十一項目中オールAでした。やはり、筋肉はうそをつきません。是非、動物たちにも自らの免疫力を高めるアプローチを取っていただきたいです。
さて、畜産動物のアニマルウエルフェアは、ESG投資のアジェンダの一つともなっており、機関投資家を意識して世界の企業は情報開示を求めています。そのような中で、鶏のケージフリーとともに重要なトピックは、母豚の妊娠ストールフリーへの移行です。国内でも養豚最大手である日本ハム株式会社を含めた大手四社が妊娠ストール廃止を決定し、サイトなどでも公表しております。大手の動物福祉が向上していく中、中小養豚場が残されていくおそれがあります。しかし、中小養豚場であっても、妊娠ストールフリーに移行ができないわけではなく、生協などの小売店と直接協力しながら導入する養豚場も出てきました。
このような取組に対し、国としても支援していくべきと考えますが、いかがでしょうか。畜産クラスター事業や強い農業づくり総合支援交付金、その他にも利用可能なものがありましたら教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/142
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143・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) お答えをいたします。
畜舎整備に対する主な支援策といたしまして、畜産クラスター事業を措置しております。同事業では、収益性の向上などの効果が見込まれる場合には、妊娠ストールがない分娩の豚舎整備についても支援可能でございます。強い農業づくり総合支援交付金でも支援が可能でございますし、また、制度資金の活用によって整備をすることもできるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/143
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144・須藤元気
○須藤元気君 世界の企業が活動を行うに当たって、動物福祉を意識せざるを得ない状況となっております。こうした時流に反して、これから妊娠ストールの豚舎を建てたりすると、その生産者はその大きな投資が近い将来負債に変わってしまうリスクを抱える可能性もゼロではありません。
NPO法人アニマルライツセンターが各都道府県に情報公開をお願いして、妊娠ストールを有する施設の整備に補助金が利用された件数を調べました。二〇二〇年夏に調査を実施したそうです。その結果、妊娠ストールを有する施設の整備に利用された畜産クラスター事業は、二〇一五年以降で九十一件、強い農業づくり総合支援交付金は、二〇〇五年以降で十三件あったそうです。
妊娠ストールそのものが補助対象にないかもしれませんが、家畜を拘束するストールを有する施設に対する補助金の交付状況についてお伺いします。直近の五年以内での件数はどうでしょうか。補助額も併せて教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/144
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145・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) お答えをいたします。
畜舎の整備に対する主な支援策でございます畜産クラスター事業でございますが、これ妊娠ストールの有無については報告事項としていないので、ストールの有無を申し上げることはちょっと難しいところでございます。
一方、平成二十九年度補正予算から令和三年度補正予算の五年間ですと、養豚関係の施設整備の割当ての件数や額は、それぞれ百三十五件、約三百五十億円ということになってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/145
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146・須藤元気
○須藤元気君 現場にお聞きしますと、畜産技術は日々進歩しております。妊娠ストールを利用せずに群れで母豚を管理する方が、子豚、母豚の健康に寄与できることも分かっているとのことです。社会のニーズとしても、アニマルウエルフェアの高いものが今後は有利になっていくはずですし、農家に社会的耐用年数が短いものに投資してほしくはありません。
そして、何よりも、理屈ではなく、言ってしまえば、やっぱりこの身動きも取れないようなところで生まれて死んでいくということを考えると、ちょっと何か違うんじゃないかなというふうに思います、人間の都合で。もうぶっちゃけ、それによって何か生産性が下がって、じゃ、肉の値段が上がった、倍になったって僕はいいと思うんです。それだけ、この命をいただくということは、何というんですかね、価値があるものですし、感謝していくということが大事で、感じていかなければいけないと思います。
ですから、今後は、妊娠ストールを有する施設の整備に補助金は交付しないというのは現時点では難しいかもしれませんが、ストールフリーの施設整備にはポイントを加算して優先採択するなどの措置を講じてもらえないものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/146
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147・渡邉洋一
○政府参考人(渡邉洋一君) お答えをいたします。
国際獣疫事務局の豚のアニマルウエルフェアに関するコードでは、妊娠した雌豚をなるべく群で飼うものとするとされておりますが、一方で、必要な場合には、自然に、自然な姿勢で起立するなどの行動が取れる適正な大きさのストールの使用も認められているところでございます。農林水産省といたしましては、国際水準でございますOIEコードと同水準になるように取り組む考えでございます。
ストールフリーのみを優先採択するということではありませんが、アニマルウエルフェアの要素を含むGAPなどの認証を取得している場合などにはポイントを加算するという仕組みを畜産クラスター事業などで取り入れているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/147
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148・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
将来を見据えて妊娠ストールフリー豚舎や採卵鶏のケージフリー鶏舎に切替えを始める生産者も出てきているとのところです。このような取組を国が支援していくことは、国内の畜産業の次なる発展を支えることだと思います。
施設整備だけではなく、放牧や平飼いには労力や手間が多く掛かります。ノウハウの横展開も必要となり、国として動物福祉の取組を支援することが求められます。決してこの一般飼育を全否定するわけではありません。しかし、日本の畜産業の未来を考えますと、国際的な動向も考慮して自主的に取り組もうとする経営者を後押しして、動物福祉に軸足を置いた畜産業にシフトしていくことが重要だと思います。そのことについて、野村大臣、お考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/148
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149・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 私のところの養豚で特記すべきは、黒豚というのが鹿児島の銘柄豚になっているんですが、この黒豚というのはもう一時期ほとんど全滅したんです。それは何かというと、もう生産性が物すごい低い。大体、一腹で七頭ぐらいしか出てこないんですよ。ですから、これではもう採算が取れないということで白に変えていったんですが、ただ、その中でも、今委員おっしゃったように、もうかたくなに黒豚を放牧でずっと育てた方がおられまして、それがずうっと黒豚の血を引いていたものですから、今の鹿児島の黒豚の源流ができ上がったということで、大変、お話を聞きながら、やっぱりそういうような育て方というのも必要なんだろうと。
でも、これを全部に当てはめられるかというとなかなか難しいところがありまして、したがって、ただ黙って指をくわえて見ているわけじゃないんですが、家畜を快適な環境で飼育していくというのは、これは家畜のストレスを減らす取組でありまして、科学的知見を踏まえたアニマルフェアの向上を引き続きしっかりと進めてまいりますが、今現在、OIEの方針に基づいて、そして農水省でも指針を検討中でございます。
したがって、今よりもウイルスフリーの、ウイルスフリーじゃない、アニマルウエルフェアの、そういったような方向で指針を作ろうとしておりますので、全てがそういう形になるとは思いませんが、ただ、今までよりも一歩、二歩前進していくことは確かだというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/149
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150・須藤元気
○須藤元気君 大臣、ありがとうございます。何か黒豚のいいお話を聞かせていただきました。
やはり、そういった黒豚をかたくなにそういう守るような、放し飼いで頑張るという農家さんを守っていくことこそが、やっぱり次のこの日本の未来の、明るい未来をつくっていくことだと思います。
まあ全国展開はちょっと難しいかもというふうにおっしゃりましたが、是非、野村大臣の腕力で、腕力じゃないか、ちょっと気合で是非進めていただければと思います。
私の質問は以上になります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/150
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151・寺田静
○寺田静君 無所属の寺田と申します。本日もよろしくお願いいたします。
私の地元の秋田魁新報では、今、大潟村の涌井氏の人生について語られております。琵琶湖に次ぐ日本第二の広さであった八郎湖の埋立ての後、そこにできた大潟村に入植されてきた方たちの御苦労ですね、農地が足りないからと国策として埋め立てたのに、入植してきた途端に減反に協力するように言われたという理不尽であるとか、それに反対をして自主販売をしようとして闇米だなどと後ろ指を指されたこと、大潟村から出る車に対して米を積んでいるのではないかと警察が検問を行ったこと、そうした県、国、各種団体など様々なところからの圧力との闘いであるとか、農家同士の分断、またその圧力によって流通業者が、宅配業者が自主流通米については取扱いをやめると言ってきたことなど、その後、国からの謝罪を経てペナルティーを科さないことが示されたこと、また慣れない営業などで御苦労されたことなど、様々、その数十年のことが詳述をされております。それを見ながら、この農政の転換というものには、食料や農地や農村を守っている生産者の皆様の大きな痛みがあるということを改めて私自身も痛感をしているところです。
午前中の質疑の中で、ミニマムアクセス米について、国産より品質の低いものを高い値段で買っているとの指摘がありまして、今ちょっと席を立たれていらっしゃいますけれども、お隣の山田委員も、そうだと、どうなっているんだというふうに声を上げておられました。山田委員は農政に精通をした方でおられますけれども、農業に詳しい方はもちろん、山田委員に比べたら単なる一消費者でしかないと感じられる私も、同じように素朴にそうだなと思いますし、どうしても変え難いんだという大臣の御答弁もありましたけれども、多くの消費者にとっても、素朴に何でなんだろうと、この素朴な国民の疑問に是非丁寧にお答えになっていただきたい、答えていただきたいなというふうに思います。このことを冒頭要望させていただきたいと思います。
五月も早いもので中旬になりまして、私の地元の秋田では田植の作業が本格的に行われております。本日は、衆参の農水と、あと環境の両委員会でも何度か取り上げていられますけれども、本日、稲作に多く用いられているプラスチックでコーティングをされている被覆肥料に関して質問をさせていただきたいと思います。
この場にいらっしゃる多くの方にとって釈迦に説法で失礼ですけれども、こちらの肥料は、一度まけば少しずつしみ出すので追肥をする必要がないために、通称一発などと呼ばれています。代かきの直前や田植と同時に用いられて、高齢化に悩む稲作の農家の作業の負担を軽減することに、非常に軽減をしております。
ただ、その一方で、海洋などのプラスチック汚染が問題視をされる中、日本国内の河川、港湾、湖など水域百二十か所で実施をされた民間団体の調査によりますと、採取をされたマイクロプラスチックのうち、この被覆肥料のプラスチックの殻が一五%、これ重量ベースですけれども、一五%を占めていたということでした。
このプラスチックの肥料の殻の流出に関しては、以前所属をしておりました環境委員会でも質問させていただいておりましたけれども、その頃はまだこれから対策を始めるという段階でしたので、その後、所管である農水省でどれほど対策が進められているのかということを質問させていただきたいと思います。
このプラスチックを使用した被覆肥料については、その流出の実態調査が令和二年度から三年間にわたって行われておりますけれども、結果が既に得られているもの、令和二年度、三年度に行われたものについて、この結果を簡潔に教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/151
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152・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
プラスチック被覆肥料は、御指摘のとおり、省力化、施肥量の低減に資するということなんですが、使用後の被膜殻が圃場から海洋に流出するという、こういう点も指摘されております。農林水産省では、被膜殻の効果的な流出防止対策を検討するため、令和二年度から流出実態調査に取り組んでおります。
結果でございますが、令和二年度は被膜殻の流出時期を調査いたしまして、収穫までの期間の全流出数の約九割が代かき後の落水の際に圃場外に流出しているということが明らかになりました。
また、令和三年度は、代かき時の水位と被膜殻の流出量の関係を調査いたしました。低水位で代かきを行うことで、通常の水位の代かきと比べ、条件によっては被膜殻の流出量を十分の一程度まで低減できることが明らかになったところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/152
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153・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
今お示しいただきました結果についてですけれども、各種団体の方も、二〇三〇年にはこのプラスチックを使用した被覆飼料に頼らない農業にということを理想として掲げて、令和四年一月二十一日にはこのプラスチック被膜殻の海洋流出防止に向けた取組方針を公表されています。
この後、進捗、取組などについて、農水省としてはどのように把握をされていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/153
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154・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) 御紹介いただきました、昨年一月、全農等の肥料関係者が二〇三〇年までにプラスチックの被覆肥料に頼らない農業にするという目標の取組方針でありますけれども、一つは、肥料袋へのプラスチック使用という表示をすることを始めておりまして、現在、新たに印刷する全ての肥料袋にこのプラスチック使用ということであればそれが印字をされているということ、また農業団体においても、チラシや広報紙によって農業者への対策の周知というのは四十一の都道府県で行われていると、また被膜殻の流出抑制のためのネットの設置方法の実演会を十八の府県で開催と、また浅水代かきの実演動画を全国に今配信をしているというふうに伺っております。
農林水産省も、このような方々の取組のほかに、昨年度は全国十三か所で、プラスチックの被覆肥料の代替肥料、ウレアホルムですとか硫黄コート等のそういう肥料ですとか、被膜殻の流出防止技術などの技術実証についても支援をしているところでございまして、今年度も十六か所で支援、実証を進めていただくように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/154
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155・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
調査結果、先ほどの質問、最初の方の質問の調査結果に関してですけれども、使用量に対して流出をしていたのは一割未満だということもあったかと思います。その流出をしているものの九割以上が代かきに伴って流出をしていて、四日後までに九割以上が出ているということでした。
二年目の調査では、代かき時の工夫で流出を防止すると、低水位、浅水で防げるんだと。それでも、もしそれができないんであれば、排水口にネットなどを取り付けてせき止めて集めればいいということで、確かに農水省のホームページにもその動画が掲載をされていたということで、私も拝見をさせていただきました。
ただ、そもそもどういうふうにこの検証をしていくのかというところもあるんだと思います。この今お話しいただいたような対策ですけれども、どれほど有効性があるというふうに、効果を上げているというふうに、どういうふうに検証をするのかなというところを教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/155
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156・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) 寺田委員御指摘のとおり、被膜殻の流出抑制対策というようなものをいろいろ編み出してそれを周知するということもやっておるんですが、被膜殻の流出のもう本当根本的な削減のためには、一つは、浅水の代かきですとか排水口へのネットの設置といった圃場からの流出量を抑制する方法もあるんですが、元々このプラスチックの被膜以外の緩効性の肥料ですとか、ドローンを使ってもう省力的に追肥体系にもう変更してこういった一発を使わないようにするですとか、そういったプラスチックの被覆肥料そのものをほかの肥料ですとかあるいは栽培体系に転換していくというようなものが根本的な方法としてもあるんじゃないかなというふうに思っております。
このうち、流出量を抑制する方法なんですが、先ほど御紹介していただいたとおり、例えば、浅水のこの代かきで流出量を十分の一に低減できるという調査結果もありますが、これらは圃場の条件によってかなり差が出てきて、皆さんに同じように結果が出るかというと、なかなかそこは難しいんじゃないかなというふうに思います。
このために、一律に定量的な効果をお示しすることは難しいかと思いますが、ただ、事例として、ここでやってみたらこうだった、こういったことはこうだったということは今後も集めていきたいなというふうに思っております。
一方、プラスチックの被覆肥料からの転換の動向については、例えば、プラスチックの被覆肥料、国内への流通量についてなんですが、まず、国内の製造事業者の方にもヒアリング、あるいは、輸入するものの中でもやはりこれを使ったものがありますので、輸入事業者の方々への聞き取り等を通じて、実際、国内へのその供給量、これを把握することを考えておりまして、今後、それを見ながらこの被覆肥料からほかのものへの代替といいますか、それも効果としては把握していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/156
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157・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
私自身も、このプラスチックの肥料に頼らない、使用しない、このプラスチックを使っている肥料に頼らない農業に転換していっていただきたいなというふうに思っていて、次に話そうと思っていたことを既にお話をいただいているんですけれども。
先ほどの調査の結果の中で、結局、流出防止策を講じているけれども、そもそも流出しているのは一割で、恐らく九割はその圃場にとどまっているのか、あるいは風で飛んでいってしまったりしているのか、いずれ土壌に残っているんではないかなというふうに思うんです。
海外では、葉物野菜に関しては、土壌にプラスチック片が混入することで生育が阻害をされるという結果も出ているということでした。根の損傷ですとか酸化ストレス、通気性の阻害などによってチンゲンサイの生育が阻害されるという結果が出ております。
このプラスチック、そもそもこのプラスチックが肥料に使われているということをまだ、農家の方々の多くが恐らくまだ御存じない方も多い中で、この流出防止はもちろんですけれども、そもそも、この流出させないことができたとしても、自分のところの田んぼにこのプラスチックの殻が大量に残っているということをよしとする農家の方はどれほどいらっしゃるのかなということも私自身も疑問に思うんです。
さらに、このプラスチックが土壌に残っていることによって生育が阻害をされるという例も出ていて、これ、稲に関してはいかがなんでしょうか。稲に関して、プラスチック被膜殻が圃場に残留をすることで、そうしたリスク、生育に関するリスクはないのか、これを検証されているというところはあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/157
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158・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) 土壌へのプラスチックの混入による作物の生育への影響についての御質問だと思います。
これ、様々な研究結果が発表されておりまして、中にはこの影響があるという論文と、ないという論文もございまして、あるという論文も、このプラスチックの濃度というものが、実際にもう何十年もたまっていたとしても、土壌の中に入っている濃度よりも極めて高い濃度を実際に人工的につくって、実際の生産現場とかなり異なる条件で試験された中で影響があるというふうに結果が出ている部分もあるんじゃないかなというふうに思っております。
国内の生産現場でプラスチックのこの被覆肥料が使われ始めてからは四十年ほど実はたっております。この間に肥料を、このプラスチックの被覆肥料を使用している産地と、あと、元々地域ごとにほとんど実はこれ使っていない産地もございます。こういったものを比較したときに、特に、今御質問があった水稲を含めて、作物の生育に影響があった、収益性が阻害されただとか、そういったお話は、少なくとも私の知る限りは承知をしておりません。
ただ一方で、全農等の肥料関係団体は、もう圃場からのこの流出防止をもう最終の目標とするのではなくて、二〇三〇年までにプラスチックの被覆肥料にもう頼らない農業にするというふうに目標を持たれておりますので、我々としてもこの取組方針に、これを進めるように現場の取組を後押しする、そういうふうにしていきたいなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/158
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159・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。是非そういう方向で向かっていっていただきたいなと思います。
最後に、二〇二二年、去年の三月ですけれども、国連の環境総会ではこのプラスチック汚染を終わらせるという決議をされて、プラスチック汚染対策ということでは、大きなプラスチックごみだけではなくて、このマイクロプラスチック対策を含むということが明確になったということでした。
環境省の方に事前にお伺いをしますと、環境省としては、この汚染対策については、海洋への流出だけではなくて、川や湖、そして土壌を含むということと認知をしているということでした。このことは農水省としても同様の認識であるということでよろしいでしょうか。プラスチック対策として対象となるのは、川、海、土壌を含むということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/159
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160・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) 二〇二二年の国連環境総会において、プラスチック汚染を終わらせるという決議がされました。これは、海洋環境だけではなく、海洋環境以外のその他の環境におけるプラスチックの汚染も含めての対象というふうに考えておりまして、御指摘のとおり、その他の環境の中には農地も含まれているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/160
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161・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
実は、何となく事前に予想をしていたのは、農地は自然ではないから除外するというふうに言われるんではないかなと思っていたんですけれども、きちんと土壌、農地も含むんだということをお答えをいただきまして、すごくうれしいなというふうに思います。是非対策を進めていただきたいというふうに思っております。
済みません、一問ちょっと飛ばしてしまいまして、被覆肥料、今お話ししてまいりました被覆肥料以外の分野からの、この農業分野ですけれども、この被覆肥料以外の農業分野からのプラスチック流出に関しての対策状況を教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/161
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162・勝俣孝明
○副大臣(勝俣孝明君) 先ほど局長からもありましたけれども、私、実は二〇一九年のUNEA4に当時環境政務官として出席をさせていただきました。委員とこういったプラスチック汚染に関する思いは非常に重なるところがございます。
その上で、農業分野におけるプラスチックについては、農業用ハウスの被覆資材、露地栽培で用いるマルチシートなど様々な用途で使用されております。こうしたプラスチックは、利用後には産業廃棄物となるため、排出事業者の責任で適正に処理する必要がございます。
このため、農林水産省としましては、令和元年に使用済プラスチックの適正処理等に関する技術指導通知を発出いたしまして、排出抑制や流出防止も含めて、優良事例の提供や、地方自治体や農業者団体も関与する形で地域で適正に回収、処理する体制の整備を促し、プラスチックの適正な処理等を進めているところであります。また、現在、みどりの食料システム戦略に基づき、プラスチックの排出量そのものを減らすため、マルチ栽培などでの生分解性資材の利用拡大への実証支援を行っているところでもございます。
さらに、資材メーカーや生産者団体においても平成三十年から独自にプラスチック資源循環アクション宣言を策定いたしまして、プラスチックの排出抑制や回収、適正処理、生分解性資材の利用拡大を積極的に進めているところであります。
今後とも、官民一体となって、プラスチックの排出抑制や回収、適正処理の推進に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/162
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163・寺田静
○寺田静君 ありがとうございました。
一つ、生分解性というところですけれども、私も環境委員会のときに様々お話を聞いておりますと、生分解性とは言いつつも、自然環境中で分解をされるには、湿度はどれぐらいで温度はどれぐらいでとか、物すごく限られた環境下でしか分解が進んでいかなかったり、あるいは海に入ってしまうとほとんどやっぱり分解をされないとか、様々、なかなか生分解性といっても技術がいろいろ追い付いていないというところも聞かせていただいておりまして、また何年かで変わったかもしれませんけれども、そういうところも御留意をいただいて、なるべくプラスチックではない代替素材というところで御尽力をいただきたいなというふうに思っておりますし、また、代替の肥料というところでは、まだまだ価格優位性がないというところも多くの方からお話をいただいております。なので、やっぱりこの安い、安くて楽な一発に頼らざるを得ないんだというところもあるようでした。
何とか、この価格の面からもどんどん革新がなされて、また農家の方が使いやすいものになるように御支援をお願いをしたいなということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/163
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164・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/164
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165・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 次に、漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。野村農林水産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/165
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166・野村哲郎
○国務大臣(野村哲郎君) 漁港漁場整備法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
我が国の水産業は、国民への水産業の安定供給を担い、漁村において雇用を生み出すなど地域の産業として重要な役割を果たしていますが、近年、国内の水産物消費の大幅な減少、主要魚種の不漁等の厳しい状況に直面しており、水産物の消費喚起や輸出促進を図るとともに、都市と漁村の交流を促進し、水産業に関する国民の理解醸成や漁村の活性化を図ることが急務となっております。
このため、漁業の根拠地である漁港について、その有する価値や魅力を生かし、水産業の消費増進や交流増進に寄与する海業の取組を、漁業利用との調和を図りつつ推進する制度を創設するとともに、養殖の推進、水産物の輸出促進等に資する衛生管理の高度化、販売機能の強化等の課題に対応できるよう、漁港施設の追加等の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、漁港漁場整備法の一部改正についてであります。
まず、漁港施設等活用事業制度の創設についてであります。
漁港漁場整備法の目的に漁港の活用を促進することを追加し、法律名を漁港及び漁場の整備等に関する法律に改めることとしております。
また、漁港管理者は、漁業者からの意見聴取など、関係者との調整を経て、漁港の漁業上の利用の確保に配慮しつつ、漁港施設や漁港の区域内の水域等を有効活用することにより水産物の消費増進や交流増進に寄与する漁港施設等活用事業の推進に関する計画を策定できることとしております。
さらに、漁港管理者の認定を受けて漁港施設等活用事業を実施する者に対し、事業が安定的に実施できるよう、行政財産である漁港施設用地等の貸付け、水面等の長期占用、漁港水面施設運営権の設定を可能とすることとしております。
次に、漁港施設の追加等についてであります。
漁港の機能を構成する漁協施設について、養殖の推進、水産物の付加価値向上などの課題に対応していくため、陸上養殖施設、配送用作業施設、仲卸施設、直売所等を追加することとしております。
このほか、漁港内の漂流物の除去など漁港の維持管理に寄与する活動を行う団体を指定する制度の創設や、漁港の区域内にない施設を漁協施設とみなすための手続の簡素化等の措置を講ずることとしております。
第二に、水産業協同組合法の一部改正についてであります。
漁業協同組合等が、漁港管理者の認定を受けて漁協施設等活用事業を実施する場合には、組合員の労働力を活用する漁場利用事業に係る員外利用制限を適用しないこととしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いいたします。
よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/166
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167・山下雄平
○委員長(山下雄平君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115007X00920230516/167
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