1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年六月十五日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
六月十四日
辞任 補欠選任
朝日健太郎君 臼井 正一君
友納 理緒君 山崎 正昭君
六月十五日
辞任 補欠選任
臼井 正一君 こやり隆史君
山崎 正昭君 藤井 一博君
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出席者は左のとおり。
委員長 杉 久武君
理 事
加田 裕之君
福岡 資麿君
牧山ひろえ君
谷合 正明君
川合 孝典君
委 員
臼井 正一君
こやり隆史君
古庄 玄知君
山東 昭子君
田中 昌史君
藤井 一博君
森 まさこ君
山崎 正昭君
和田 政宗君
石川 大我君
福島みずほ君
佐々木さやか君
清水 貴之君
鈴木 宗男君
仁比 聡平君
国務大臣
法務大臣 齋藤 健君
副大臣
内閣府副大臣 和田 義明君
文部科学副大臣 簗 和生君
大臣政務官
文部科学大臣政
務官 伊藤 孝江君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局刑事局長 吉崎 佳弥君
事務局側
常任委員会専門
員 久保田正志君
政府参考人
人事院事務総局
人材局審議官 原田 三嘉君
内閣府大臣官房
審議官 畠山 貴晃君
警察庁長官官房
長 楠 芳伸君
警察庁長官官房
審議官 佐野 裕子君
警察庁長官官房
審議官 友井 昌宏君
警察庁長官官房
審議官 親家 和仁君
こども家庭庁長
官官房審議官 野村 知司君
こども家庭庁長
官官房審議官 浅野 敦行君
総務省自治行政
局公務員部長 大沢 博君
法務省大臣官房
政策立案総括審
議官 上原 龍君
法務省刑事局長 松下 裕子君
法務省矯正局長 花村 博文君
法務省保護局長 宮田 祐良君
法務省訟務局長 春名 茂君
外務省大臣官房
審議官 石瀬 素行君
外務省大臣官房
政策立案参事官 岡野結城子君
文部科学省大臣
官房審議官 里見 朋香君
文部科学省大臣
官房審議官 安彦 広斉君
文部科学省総合
教育政策局社会
教育振興総括官 森友 浩史君
厚生労働省大臣
官房審議官 本多 則惠君
防衛省防衛政策
局次長 安藤 敦史君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案(
内閣提出、衆議院送付)
○性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物
に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記
録の消去等に関する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/0
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001・杉久武
○委員長(杉久武君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、朝日健太郎君及び友納理緒君が委員を辞任され、その補欠として臼井正一君及び山崎正昭君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/1
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002・杉久武
○委員長(杉久武君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案外一案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省刑事局長松下裕子君外二十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/2
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003・杉久武
○委員長(杉久武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/3
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004・杉久武
○委員長(杉久武君) 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案及び性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案、両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/4
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005・和田政宗
○和田政宗君 皆様、おはようございます。自由民主党の和田政宗です。
法案に関連して早速質問をしてまいります。
初めに、障害のある子供や障害のある方に対する性暴力について質問をいたします。
まず、諸外国の法制度との比較についてお聞きをいたします。諸外国において、障害があることを知り得る立場を利用した性犯罪について重罰化などを定めているところはあるのかどうか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/5
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006・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 諸外国の規定を網羅的に把握しているものではございませんけれども、把握している範囲でお答えをいたしますと、被害者が障害を有することを知り得る立場を利用した性犯罪を処罰する規定ということで、例えばイギリスやドイツの例を承知しているところでございます。
まず、イギリスでは、同意なく膣、肛門への身体の一部又は物の挿入を伴う性的行為をした場合、最高で終身刑に処することが定められておりますところ、このような規定とは別に、被害者が精神障害者であることに加え、行為者がそのケアに携わっていたことや被害者が精神障害を有していることを知っていたことを要件として、先ほど申し上げたような挿入を伴う性的行為について十四年以下の拘禁刑に処することを定める規定が設けられています。
また、ドイツでは、被害者の認識可能な意思に反して性交や身体への挿入を伴う行為をした場合、二年以上の自由刑に処するということが定められておりますところ、このような規定とは別に、被害者の精神的、身体的な疾患又は障害を理由に行為者が被害者の相談、治療又は世話を委ねられている場合に、その関係を濫用して行う性的行為ということについて、三月以上五年以下の自由刑に処するということを定める規定が設けられていると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/6
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007・和田政宗
○和田政宗君 それでは、諸外国の法制度において、被害者に障害がある場合の公訴時効の停止や延期、撤廃などを定めている国はあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/7
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008・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
諸外国の規定をやはり網羅的に把握しているものではございませんけれども、把握している範囲でお答えをいたしますと、性犯罪の被害者が障害を有する場合の公訴時効に関する規定として、例えば韓国の例を承知しておりますが、韓国においては、性犯罪の被害者が身体的又は精神的な障害を有する場合、公訴時効は適用しない旨定められているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/8
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009・和田政宗
○和田政宗君 そうしますと、その今質問した二点についてですけれども、今回の刑法改正ではどのようになっているか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/9
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010・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
被害者が障害を有すること、失礼しました、被害者が障害を有することを知り得る立場を利用した性犯罪を処罰する規定の創設につきましては、本法律案に関して申しますと、例えば、心身の障害があることにより、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にあることに乗じて性的な行為をすることや、経済的又は社会生活上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させることによりこの状態にさせて性的行為をすることを処罰対象としておりまして、これらに該当すれば、不同意わいせつ罪又は不同意性交等罪として処罰され得ることとなります。
他方、同意しない意思の形成等が困難な状態とはまた別として、障害のある方にとって相手方との間の地位、関係性だけで例外なく自由な意思決定ができないと言えるようなものを明確かつ限定的に規定して処罰対象とすることは困難であると考えられますので、このため、本法律案におきましては、ただいま申し上げた処罰規定と別に処罰する規定を設けるということはしておりません。
また、障害を有する方に対する性犯罪に係る公訴時効についての規定の創設につきましては、障害の種類や程度には様々なものがございますけれども、そうした特別の取扱いをする根拠についてどのように考えるのか、また、そのような根拠が一般的、類型的に妥当すると言える方の範囲についてどのように考えるのか、また、それを過不足なく明確に定めることができるのかなどの点について十分な検討を要するものと考えております。
いずれにいたしましても、本法律案につきましては、衆議院において附則の一部修正が行われ、政府において施行後五年を経過した場合に検討を行うこととされているところでございまして、その趣旨を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/10
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011・和田政宗
○和田政宗君 今答弁に十分な検討を要するというようなことがありましたけれども、これは、実態をしっかり把握をしていただいて、必要な措置をとる必要があれば、それはしなくてはならないというふうに思いますし、そういったことをするということの下、進めていただければというふうに思っております。
そして、今回の刑法改正案では、心神喪失、抗拒不能に代わる例示列挙事由として心身に障害があることが挙げられています。想定される障害の種類や程度についてお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/11
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012・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 改正後の刑法第百七十六条第一項第二号の心身の障害とは、身体障害、知的障害、発達障害及び精神障害をいうものであり、一時的なものも含み、いずれもその程度を問わないとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/12
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013・和田政宗
○和田政宗君 そして、心神喪失、抗拒不能に代わる列挙事由として、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮していることが挙げられています。想定される経済的、社会的関係についても御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/13
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014・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
改正後の刑法第百七十六条第一項第八号の原因行為、原因事由のうち経済的関係と申しますのは、金銭や物のやり取りなど財産に関わる人的関係を意味しておりまして、例えば債権者と債務者といった契約によって生じる関係、あるいは雇用主と従業員、取引先の職員同士といった関係を広く含むものでございます。
また、社会的関係とは、家庭、会社、学校といった社会生活における人的関係を意味しておりまして、例えば祖父母と孫、おじ、おばとおい、めい、兄弟姉妹といった家族関係、あるいは上司と部下、先輩と後輩、教師と学生、コーチと教え子、あるいは介護施設職員と入通所者といった関係を広く含むものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/14
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015・和田政宗
○和田政宗君 更に聞いてまいりますが、障害のある方は、抵抗の意思の示し方において、顔の向きですとかまばたきの回数など、障害のない方とは示し方が違う場合があります。この場合、不同意の意思を示していても、相手が同意したと誤信をすれば罪に問えない可能性も出てまいります。改正に当たり、こうした障害の特性は考慮されるのか、答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/15
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016・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
障害の有無にかかわらず、同意しない意思を表明する方法としては、声に出して明示的に嫌だと伝える以外にも、例えば顔をしかめる、身をよじる、手で押し返すといった挙動など、様々なものが考えられるところでございます。
改正後の刑法第百七十六条第一項、第百七十七条第一項におきましては、同意しない意思を表明する方法がただいま申し上げたように様々であるということを前提として要件該当性を判断することとなります。
したがいまして、障害を有する方が御指摘のような方法で同意しない意思を表明したのに性的行為をされたという場合、同意しない意思を全うすることが困難な状態だったかどうかということが問題となり、例えば、障害があることによって身動きが取れなかったり、それ以上の対処ができないなど全うすることが困難な状態に陥り、性的行為をされた場合には、客観的には不同意わいせつ、不同意性交等罪の要件を満たし得ると考えております。
その上で、これらの罪が成立するためには行為者に故意が認められることが必要ですが、被害者がそのような状態に陥ったことを基礎付ける事実を認識していれば足りると考えられます。そして、このような事実の認識の有無につきましては、被疑者、被告人が知らなかったと弁解しただけで認識がなかったと認められるものではなく、関係証拠から認められる事実関係を総合して認定されるものでございます。
このように、御指摘のような事案においても適切な処罰が可能であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/16
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017・和田政宗
○和田政宗君 今の点ですけれども、そうしますと、相手が同意したというふうに誤信をしたと主張した場合でも、そういう障害の特性等をしっかりと見て、客観的にそれが証拠として形成されるということであれば、これは罰せられるということでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/17
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018・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 個別の事案ごとの事実関係にはよりますけれども、基本的には御指摘のとおりかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/18
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019・和田政宗
○和田政宗君 次に、諸外国では、障害のある方を支援する地位、関係性にある者による性犯罪を創設をしております。また、刑法では、十八歳未満の者に対して、その者を監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつ行為又は性交等をした場合について、監護者わいせつ及び監護者性交等を定めております。
障害のある方は、十八歳を超えても、監護者と同様に生活を共にし、身の回りの世話をする者が存在をいたします。障害のある方への生命の維持、生活維持に係る地位、関係性にある対人援助職についても同様の対処が必要と考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/19
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020・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 本法律案におきましては、障害がある方に対する性犯罪について、例えば、心身の障害があることにより、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にあることに乗じて性的行為をすることや、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させることによりこの状態にさせて性的行為をすることを処罰対象としておりまして、これらに該当すれば、不同意わいせつ罪又は不同意性交等罪として処罰されることとなります。
他方、御指摘のように、監護者わいせつ罪、監護者性交等罪におきましては、被監護者は監護者との関係では例外なく自由な意思決定ができないということを前提として、現に監護する者と定めているわけであります。これに対しまして、御指摘のような場合に関し、障害のある方にとって相手方との間の地位、関係性だけで例外なく自由な意思決定ができないと言えるようなものを明確かつ限定的に規定して処罰対象とすることはなかなか困難であると考えられます。そのため、本法律案におきましては、ただいま申し上げた処罰規定とは別に処罰する規定を設けることとはしていないわけであります。
いずれにいたしましても、本法律案につきましては、衆議院において附則の一部修正が行われ、政府において施行後五年を経過した場合に検討を行うこととされているところであり、その趣旨を踏まえて適切に対処していきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/20
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021・和田政宗
○和田政宗君 大臣、ありがとうございます。
この法案で私は進むべきところは大きいというふうに思っておりますが、やはりその実態をこの法施行後把握をしていただくということが重要であるというふうに考えています。障害のある当事者の方々についても私は広く意見を聞いていただければというふうに思いますし、やはりこういった障害のある方を性犯罪で守っていくということは、もう皆さんどの方も同じ意思であるというふうに思いますし、これは立法府、行政の役割としても絶対に守っていかなくてはならないということであるというふうに思いますので、何とぞよろしくお願いをいたします。
次に、性的姿態撮影等処罰法案の関連でお聞きをしていきたいというふうに思います。
この法律における性的姿態等撮影罪が成立するためには、撮影行為により生じた画像から撮影対象者が誰であるのか特定できることが必要なのか、御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/21
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022・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
性的姿態等撮影罪は、意思に反して自己の性的な姿態を他の機会に他人に見られないという性的自由、性的自己決定権を保護法益としておりまして、同罪の撮影行為が行われると、性的な姿態の影像が記録され、言わば固定化されることによってほかの機会に性的な姿態を他人に見られる危険が生じ、ひいては不特定又は多数の者に見られるという重大な事態を生じる危険がある以上、その画像から撮影対象者を特定できるかどうかにかかわらず、保護法益が侵害されると考えられます。
そのため、性的姿態等撮影罪の成立要件として、撮影行為により生じた画像そのものから撮影対象者を特定できること、例えば顔などの容姿が映っていることなどは要しないということとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/22
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023・和田政宗
○和田政宗君 ごめんなさい、これ通告していないんですが、今の答弁に絡んでですけれども、これは、いわゆるそういうような画像が拡散された、まあ男性も女性もそうだというふうに思うんですけれども、そういった方々からの申出、申告等によらないと捜査ができないのか、それとも、そうでなくてもその事象をいわゆる把握したときにできるのか。済みません、通告していないんですが、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/23
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024・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
必ずしもその申告、被害者から申告されることを要するものではございませんで、例えば、何かの事件で押収した証拠の中にそういった画像があって、そこがきっかけで捜査が始まるということも当然あると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/24
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025・和田政宗
○和田政宗君 今聞きましたのは、例えばSNS上における誹謗中傷などについては、これ、今様々な法律又は法令によって相手方を追跡できるようになっていますけれども、やはりそのされた方の負担が極めて大きい。これは、こういうような影像が拡散されるということは、もうそのされた人物においては物すごく心身の負担というものがありますので、そこでその申告のみによるということであれば、これはなかなか申出もできない方というのはいらっしゃるわけであって、その答弁のとおり是非しっかりやっていただければというふうに思っております。
そして、この法案では、第二条において、性的姿態等の撮影について正当な理由がないのにという要件が設けられておりますけれども、この正当な理由とはどのような場合でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/25
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026・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
まず、性的姿態撮影等処罰法案の第二条第一項第一号の性的な姿態をひそかに撮影する行為についてお尋ねと思いますけれども、その正当な理由がある場合としては、例えば、医師が、救急搬送された意識不明の患者さんの上半身裸の姿を医療準則にのっとって撮影する場合などが考えられると思います。
また、次に、その同項第四号の十六歳未満の者に対する撮影行為につきまして、正当な理由がある場合といたしましては、例えば、親が子供の成長の記録として自宅の庭で上半身裸で水遊びをしている子供の姿を撮影する場合ですとか、あるいは、地域の行事として開催される子供相撲の大会において上半身裸で行われる相撲の取組を撮影する場合などが考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/26
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027・和田政宗
○和田政宗君 これは個別の事案によると思いますけれども、そうすると、何かしらの者がこれは正当な理由があるということで主張をしたことによって、その正当な理由の解釈は広がらないということでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/27
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028・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
正当な理由の有無につきましては、御指摘のとおり、正当な理由があると思っていたということだけで、撮影者の認識だけで認定されるものではございませんで、例えば、撮影行為者と対象者の関係ですとか、撮影行為に至る経緯、目的、あるいは性的姿態等の具体的な内容ですとか撮影方法など、様々なことを総合して判断することとなると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/28
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029・和田政宗
○和田政宗君 次に、この法案の第二条におけるわいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態を撮影する行為についてですけれども、性的姿態等撮影罪が成立するためには、現にわいせつな行為又は性交等がされている最中の姿態が撮影されていなければいけないのか、答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/29
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030・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 御指摘の性的姿態等の要件のうち、わいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態において、されている間におけるという表現にしておりますのは、現にわいせつな行為又は性交等をしている最中の姿態に限らず、そのような行為が始まり、一連の行為が終わるまでの間の姿態を含む趣旨でございます。
したがいまして、例えば、わいせつな行為や性交等の途中にこれを一旦停止して撮影対象者の姿態を撮影する行為などにつきましても、性的姿態等撮影罪は成立し得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/30
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031・和田政宗
○和田政宗君 この法案の第八条において、没収することができる複写した物には、性的姿態等撮影罪等の犯罪行為により生じた物を更に複写した物も含まれるということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/31
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032・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) まず、現行刑法の下では、性的姿態等撮影罪又は性的姿態等影像記録罪の犯罪行為によって生じた物の原本は没収できますが、その複写物は没収の対象とならないと考えられます。
しかし、そのような複写物につきましても、原本と同様にその危険性を除去するとともに、犯罪行為による利得を保持させないこととする必要があること、また、原本と同じ性的な姿態の影像が記録されている以上、性的姿態等撮影罪などの犯罪行為がなければ生じなかったものであり、複写行為が介在しているとしても犯罪行為との関連性は十分に認められることから、性的姿態撮影等処罰法案の第八条第一項におきまして、性的姿態等撮影罪などの犯罪行為により生じた物の複写物を没収の対象とすることとしているものでございます。
そして、このような趣旨は、複写物を更に複写した物、すなわち二次複写物についても同様に妥当するものでございますので、条文の文言も、第二条第一項又は第六条第一項の罪の犯罪行為により生じた物を複写した物として、二次複写物も没収の対象となるものとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/32
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033・和田政宗
○和田政宗君 それでは次に、法案に関連しまして、特に盗撮についてお聞きをしていきたいというふうに思います。
会社や職場での盗撮ですけれども、過去、東京都などにおいては条例で罰することができずに、その後、改正はされましたけれども、これまでは主に条例により罰則が規定されておりました。今回の法制定により、会社や職場での盗撮は法律によりどのように罰せられるか、答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/33
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034・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
御指摘のとおり、これまで、いわゆる盗撮行為につきましては、主に都道府県のいわゆる迷惑防止条例における盗撮規制により対処されてきたものと承知しております。
その盗撮規制について網羅的に把握しているものではございませんけれども、公共の場所における盗撮行為に限って処罰対象とするものや、私的な領域における盗撮行為も処罰対象とするものなど、各条例によって場所の要件が様々であると承知をしております。その結果、公共の場所における盗撮行為に限って処罰対象とする迷惑防止条例を定めている都道府県におきましては、公共の場所に当たらない例えば職場内の更衣室やトイレなどにおける盗撮行為について迷惑防止条例では処罰することができなかったと思われます。
これに対して、本法律案第二条の性的姿態等撮影罪につきましては、撮影場所にかかわらず、意思に反して性的な姿態が撮影されれば保護法益が侵害されますので、撮影行為が行われた場所の限定はしておりません。そのため、性的姿態等撮影罪が創設された場合には、公共の場所に当たらない職場内における盗撮行為に対しても的確に対処し得るようになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/34
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035・和田政宗
○和田政宗君 今回の法改正により、場所いかんを問わず、盗撮が広く禁錮以上の刑の対象となり得ることになったわけでありますけれども、盗撮により禁錮以上の刑に罰せられた場合、国家資格保有者はその資格において免許の取消しなどが行われる場合がありますが、今回の法改正で、学校における教員についてはどのようになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/35
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036・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
教員免許につきましては、教育職員免許法におきまして、教員の免許状の失効事由の一つとして禁錮以上の刑に処せられたということを規定しておりまして、性的姿態撮影等処罰法に規定する性的姿態等撮影罪などにより禁錮以上の刑に処せられた場合、教員免許状は失効するものと承知しております。
他方、現行の教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律では、第二条第三項におきまして、児童生徒等に性交等をすること、あるいは児童買春等処罰法第五条から第八条までの罪に当たる行為をすること、児童生徒等に対し、性的羞恥心を害する言動であって、児童生徒等の心身に有害な影響を与えるものをすることなどを児童生徒性暴力等とした上で、児童生徒性暴力等を行ったことにより禁錮以上の刑に処せられ教員免許状が失効した場合、その者は教育職員等による児童生徒性暴力防止法第二条第六項に規定する特定免許状失効者等に該当することになり、免許状の再授与に当たっては一定の制約が課されることとなるものと承知しております。
性的姿態撮影等処罰法に規定する性的姿態等撮影罪などに当たる行為につきましては、現行法の下におきましても、児童生徒の性的羞恥心を害する言動として児童生徒性暴力等に該当するものも含まれると考えておりますけれども、そうした行為が児童生徒性暴力等に該当することをより明確にするといった観点から、本法案、つまり性的姿態撮影等処罰法案の附則におきまして、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律の一部を改正し、児童生徒性暴力等を規定する第二条第三項第三号に、児童生徒等に対する性的姿態撮影罪などに当たる行為をすることを加えることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/36
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037・和田政宗
○和田政宗君 今回の法案で、この盗撮が広く禁錮以上の刑に処せられる、法律による罰則ができたというのは、私、極めて大きいことだというふうに思っておりまして、ここ数年、女性の人権を守る立場で活動してくる中で、様々な盗撮事案について私も相談を受けました。
この東京都の事例、まさに会社、会社というか職場において盗撮がなされた事案、これは国家資格保有者同士の状況だったんですけれども、その国家資格保有者は、その職場は辞職することになったわけでありますけれども、その国家資格を持ってほかの職場で働く。そうすると、あるときにばったり会ってしまったり、様々な学会、研究会等において顔を合わせることもある。しかしながら、その人物は刑事事件においては結局処罰することはできない。事実認定はされているわけでありますけれども、そういうような条例において罰するという規定がないので、そういうようなことがあったわけでありますけれども。
そのように、女性の立場を守る、これはもう男性であってもそうでありますけれども、そういった方を守るということでは、この法律をやはりしっかりと成立をさせて施行することが守ることにつながっていくというふうに思いますので、しっかりと成立をさせていきたいというふうに思っております。
そして、最後の質問ですが、盗撮により罰せられた場合、国家公務員そして地方公務員は、その身分はどうなるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/37
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038・原田三嘉
○政府参考人(原田三嘉君) お答えいたします。
国家公務員が禁錮以上の刑に処せられた場合には、国家公務員法第三十八条第一号及び第七十六条に該当し、国家公務員としての身分を失うこととなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/38
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039・大沢博
○政府参考人(大沢博君) お答えいたします。
一般職の地方公務員が禁錮以上の刑に処せられた場合には、地方公務員法第十六条一号及び第二十八条第四項に該当し、地方公務員としての身分を失うこととなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/39
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040・和田政宗
○和田政宗君 今の御答弁は従来の法令の中での規定ということでありますけれども、繰り返しになりますが、今回の法の改正、制定によって、まさにこのように禁錮以上の刑に広く盗撮が処せられる、処罰される可能性があるということについては、これはやはりそういったことが起きないということで、人権を守るという上でこれは極めて重要であるというふうに思いますので、その確認、また質問をさせていただきました。
私の質問、以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/40
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041・古庄玄知
○古庄玄知君 自民党の古庄玄知です。
改正刑法についてお尋ねしたいと思います。
改正刑法の百七十六条、百七十七条におきまして、一号から八号までの事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じてというふうに、乗じてという言葉が使われているんですけれども、この乗じてというのは、単に知っていることではなくて、更に一歩進んで、その状態を利用するとか、あるいは付け入る、付け込むという、そういう意味であろうかというふうに判断しているんですけれども、その場合に、単に知っていることと乗じていることの区別、これはどのように判断するんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/41
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042・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
改正後の刑法第百七十六条第一項、第百七十七条第一項の乗じてとは、現行の刑法第百七十八条の乗じとの要件が一般に心神喪失、抗拒不能の状態を利用することをいうものと解されているのと同様に、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にあることを利用することを意味するものでございます。
その上で、客観的に乗じてに該当するかどうかは、この状態にあることの故意とは別の問題でございまして、個別の事案ごとに具体的な事実関係に基づいて判断されることとなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/42
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043・古庄玄知
○古庄玄知君 そうすると、ちょっと具体例で申しますと、例えば八号ですね、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していることに乗じてというふうにつながるんですけれども、例えば、取引先の社長と飲みに行ったときに、その取引先の社長から性的行為を求められたと、取引先の社長から付き合わないと取引やめるぞとかは言われていない、こういう場合に、その相手の女性の方が、これを断れば取引を停止されるのではないかと思い、不安に思ってこれに応じたと。
仮にこういう案件があったときに、その取引先の社長はどういう事実を認識していればこの不同意わいせつ罪や不同意性交等罪が成立するのでしょうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/43
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044・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 少々長くなりますが、御容赦いただきたいと思います。
改正後の刑法第百七十六条第一項第八号の経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益の憂慮とは、自らやその親族等に不利益が及ぶことを不安に思うことを意味し、経済的関係とは金銭や物のやり取りなど財産に関わる人的関係を、社会的関係とは社会生活における人的関係をそれぞれ広く含むものでございます。
そして、同号に該当して同項の罪が成立するためには、客観的な事実として、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること、そのことによって、被害者を同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又は被害者がそういう状態にあることに乗じて性的行為が行われたことが必要でございます。また、主観的には、行為者がこれらを基礎付ける事実をいずれも認識していることが必要でございます。
その上で、犯罪の成否は、個別の事案ごとに具体的な事実関係に基づいて判断されるものではございますけれども、例えば、事業を営む者で、主要な取引先の社長との性的行為に応じなければ取引を停止されてしまうのではないかという不安により、性的行為をしない、したくないという意思を表すことが困難な状態にある者に対し、その社長がその状態にあることに乗じて性的行為を行ったという客観的要件に該当する事実がある場合において、行為者である社長がそのような事実、つまり、経済的、社会的関係上の地位に基づく影響力として、被害者と自分が事業を営む者とその取引先の社長という関係にあり、また自分が社長として被害者との取引の開始、停止や取引量などを決定する権限を有していること、また、影響力によって受ける不利益の憂慮として、自分がそのような権限ゆえに被害者との取引を停止することを被害者が不安に思っていること、また、同意しない意思を表明することが困難な状態にあることに乗じてという要件に関して、被害者がそのような不安により性的行為に応じないという意思表示をし難い状態にあることを自分が利用したことを未必的にでも認識していれば、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪が成立し得ると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/44
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045・古庄玄知
○古庄玄知君 分かりました。
ちょっと先ほどの和田委員の質問とかぶるかも分かりませんけれども、その八号の経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力というのは、具体的にはどういうものが想定できるのでしょうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/45
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046・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
改正後の刑法第百七十六条第一項第八号の行為、事由の要件のうち、経済的関係や社会的関係については今、先ほど御説明したとおりでございますけれども、その経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力としては、例えば、雇用主と従業主の関係において雇用主が従業員の人事に関する決定権を有していることですとか、部活動のコーチと生徒の関係においてコーチが大会に出場する選手を選抜する権限を有していることといったものがこれに当たり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/46
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047・古庄玄知
○古庄玄知君 済みません、通告のちょっと順番を変えさせていただいて、次の五番の方について質問させていただきたいのですが。
先ほどの改正後の刑法百七十六条一項第八号については、憂慮しているといった被害者の内心、それから乗じてという被疑者の内心、こういうものによって犯罪の成否が分かれるという、そういうことになろうかと思うんですが、この点について、捜査当局あるいは検察側とすればどのように立証するのか、被疑者や被害者の供述以外に有力な立証手段はあるのでしょうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/47
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048・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
御指摘の憂慮というのは、被害者が不安に思っていることを意味することでございまして、同意しない意思の形成等が困難な状態に乗じてとは、行為者が客観的に被害者の状態を利用したことを要件としているものでございます。
不同意わいせつ罪、不同意性交等罪におきましては、現行法の規定と比べてより明確で判断のばらつきが生じない規定とするため、性犯罪の本質的な要素である自由な意思決定が困難な状態で性的行為が行われるという点を、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態という中核的な要件として定めた上で、お尋ねの経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させることを含めて、その状態の原因となり得る行為や事由を具体的に列挙することとしているものでございます。
同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態という要件は、被害者の内心そのものではなく、性的行為がなされるときの状態を要件とするものでございまして、被害者がそのような状態にあるかどうかということは、列挙事由や列挙行為と相まって、客観的、外形的に判断することが可能と考えております。
このように、不同意わいせつ罪及び不同意性交等罪は、中核的な要件である同意しない意思の形成等が困難な状態であることを客観的、外形的に判断することになる上、御指摘の憂慮や乗じての要件についても関係証拠を踏まえて判断されるものでございまして、被害者や被疑者の内心のみによって犯罪の成否が分かれるわけではございません。
その上で、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪の要件をどのように立証するかということについてですけれども、これは一概にお答えすることは難しいんですが、あくまでも一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、これまでと同様に、警察と連携しつつ、個々の事案に応じて、被害者の状態、それに至る経緯や原因などを立証するために、関係者の取調べのほか、例えば被害前後の被害者と関係者とのメッセージのやり取りなどの客観証拠の収集などに努め、厳正に対処していくものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/48
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049・古庄玄知
○古庄玄知君 済みません、通告には入っていないんですけれども、そうなると、やっぱり被疑者の自供に頼る部分が非常に大きくなるんじゃないかなという気がするんですが、いや、通告には入っていません、この点について検察側とすればどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/49
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050・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 今御説明した中でも、被疑者が供述するかどうかということにかかわらずということは申し上げたつもりでございましたけれども、より具体的に申しますと、個別事案ごとに異なるものではございますけれども、あくまでも一般論としてですが、性犯罪の事案におきましては、被害者や参考人の供述、あるいは各種裏付け捜査、それらの供述のみではなくて、その供述についての裏付け捜査、それから防犯カメラ映像などがあればそういったものですとか、メールやSNSなどのやり取りがあればそういった客観的な証拠、あるいは鑑定を行うことがあれば各種鑑定結果、それから被疑者の供述といった証拠に基づいて、犯行に至る経緯、それから犯行前後の被害者、被疑者の状況といった諸般の事情を適切に主張、立証していくことで、立証していくということになりますので、被害者がこう言ったから、あるいは被疑者が自白したからと、そういうことではないというふうに御理解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/50
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051・古庄玄知
○古庄玄知君 この改正後の刑法百七十六条一項八号の要件、何がこれに当たるのかが不明確であり、罪刑法定主義に反するのではないかというふうな見解もありますが、この点について法務大臣はいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/51
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052・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 刑罰法規につきましては、通常の判断能力を有する一般人の理解を基準として、どのような行為をしたら処罰の対象になるかという基準が読み取れるものであること、これが求められているわけであります。
本法律案におきましては、不同意わいせつ罪について、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態であること、これを中核的な要件として規定した上で、その状態の原因となり得る行為や事由を具体的に列挙することとしています。
改正後の刑法第百七十六条第一項第八号は、中核的な要件として規定された状態の原因となり得るものとして規定をされているものでありまして、同号の文言の意味するところも明確であります。そのため、明確性に欠けるところはなく、御指摘は当たらないものと考えています。
いずれにいたしましても、法務省といたしましては、本法律案が成立した場合には、改正の趣旨や内容、構成要件の意義等について、関係府省庁、機関や団体とも連携し、適切に周知をしていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/52
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053・古庄玄知
○古庄玄知君 ありがとうございます。
やっぱり構成要件が、罪刑法定主義に反しないという大臣の御意見なんですけれども、やっぱり構成要件がちょっと分かりにくいなというふうに私なんかは考えますので、やっぱりそういう場合に誰が一番困るかというと、捜査機関じゃないかと思うんですね。これ逮捕していいのか逮捕して悪いのか、もし逮捕しても、起訴してこれ有罪になるんだろうか、無罪を取られるんだろうか、やっぱりその辺が一番気になるところだろうと思いますので、是非その辺を法務省として御配慮いただければというふうに思います。
続きまして、これ、先ほど和田委員からも意見、質問がありましたけれども、障害者が被害者である場合の性犯罪、これについて今回の改正案ではどのような配慮をされているのでしょうか。法務省の方に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/53
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054・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
障害を有する方が性犯罪の被害者となる場合につきましては、改正後の刑法第百七十六条第一項、第百七十七条第一項におきまして、例えば心身の障害があること、これ二号ですけれども、あるいは八号で、経済的又は社会関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していることによって、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態で性的行為が行われれば、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪が成立し得ることを明確に記載しております。
これらの規定によりまして、例えば被害者が心身の障害を有していること、あるいは障害を有する方を監護する立場にある者が地位、関係性を利用して不利益を憂慮させることによって同意しない意思の形成等が困難な状態で行われた性的行為を的確に処罰することができると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/54
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055・古庄玄知
○古庄玄知君 今回の改正法では、いわゆる性交同意年齢を十六歳未満に引き上げておりますけれども、引き上げた理由について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/55
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056・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
強制わいせつ罪、強制性交等罪、現行のものでございますけれども、これはその性的自由や性的自己決定権を保護法益としておりまして、性的行為に関する自由な意思決定の前提となる能力がない場合には、暴行などの意思決定に直接影響を及ぼすような状況がなかったとしても保護法益が侵害されると考えられるところ、その能力がないと言える年齢として十三歳未満、すなわちおおむね小学生の年齢層の者、小学生以下ですね、の年齢層の者は行為の性的意味を認識する能力が一律に欠けるということから、現行法では十三歳未満がいわゆる性交同意年齢とされていると考えられます。
もっとも、性的行為に関して有効に自由な意思決定をするための能力の内実といたしましては、行為の性的意味を認識する能力だけではなく、行為の相手方との関係において、行為が自己に及ぼす影響について自律的に考えて理解したり、その結果に基づいて相手方に対処する能力が必要であると考えられます。
そして、十三歳以上十六歳未満の者は、おおむね中学生の年齢層でございますけれども、その前者の能力、つまり性的な行為の意味ですね、意味を認識する能力が一律に欠けているというわけではないことから、一律に相手方や状況を問わず性的行為に関する自由な意思決定の前提となる能力に欠けているとまでは言えない一方で、後者の能力は十分に備わっておらず、対等な関係の下でなければ、性的行為について有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠けると考えられます。
そこで、本法律案においては、いわゆる性交同意年齢を十六歳未満に引き上げることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/56
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057・古庄玄知
○古庄玄知君 改正後の刑法百七十六条第三項、それから百七十七条第三項におきましては、客体が十三歳以上十六歳未満の者である場合について、処罰対象となる主体を、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者としておりますけれども、その理由についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/57
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058・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
先ほど申し上げましたとおり、十三歳以上十六歳未満の者は、対等な関係の下でなければ、性的行為について有効な意思決定をする前提となる能力に欠けると考えられます。
そして、一般に、相手方との年齢差が大きくなるほど、両者の社会経験などの差異によって対等な関係でなくなると考えられますところ、いわゆる性交同意年齢の規定は性的行為をしたこと自体で性犯罪が成立するものとする規定でございますので、その年齢差の要件については、刑罰の謙抑性の観点から、双方の年齢が要件を満たすだけで例外なく対等な関係はおよそあり得ず、有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠けると言えるものであるということが必要と考えられます。
そこで、本法律案におきましては、心理学的、精神医学的知見も踏まえまして、五歳以上年長であるということを要件としたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/58
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059・古庄玄知
○古庄玄知君 法務大臣にお尋ねします。
性被害に遭った被害者につきましては、肉体的もそうですが、精神的なケアが極めて重要であるというふうに考えられますけれども、この点につきまして、国としてはどのように考えておるか、また何か具体的な施策を検討しているか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/59
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060・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 政府におきましては、第四次犯罪被害者等基本計画、この中に、支援等のための体制整備への取組、これを重点課題に係る具体的施策の一つとして掲げて、犯罪被害者等に寄り添った支援に取り組むこととしています。
また、本年三月に開催されました関係府省会議におきまして、性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針が取りまとめられて、関係府省が連携をして、例えばワンストップ支援センターの更なる周知等の、性犯罪の被害者に対する支援の強化に関するものを含む各施策を推進していくこととしております。
法務省といたしましては、こうした施策を着実に実施することが犯罪被害者等の一日も早い被害回復に資するものと考えており、引き続き、犯罪被害者等基本計画や更なる強化の方針等に沿って、関係府省庁とも連携しながら、性犯罪の被害者を含む犯罪被害者等を保護、支援する取組の更なる推進、充実に努めてまいりたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/60
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061・古庄玄知
○古庄玄知君 先ほど、性交同意年齢、十三歳から十六歳に引き上げたのが今回の改正法ですけれども、この年齢の引上げについて、子供の自己決定権に国家が過度に介入することになるのではないかという批判もございますが、これについて法務大臣の御見解をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/61
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062・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 改正後の刑法第百七十六条第三項、百七十七条第三項におきましては、先ほど刑事局長が御答弁申し上げましたように、刑罰の謙抑性の観点から、十三歳以上十六歳未満の者に対する性的行為について、五歳以上年長の者が行った場合を処罰対象としているところであります。
その要件を満たせば対等な関係はおよそあり得ず、有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠け、一律に性的自由、性的自己決定権が侵害されると考えられるわけであります。そのため、御指摘の批判というものは当たらないと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/62
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063・古庄玄知
○古庄玄知君 今度は改正刑法百八十二条についてお尋ねします。
百八十二条は、わいせつの目的で十六歳未満の者に対して次の各号に掲げるいずれかの行為をした者は一年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処するということで、一号に、威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること、二号で、拒まれたにもかかわらず反復して面会を要求すること、三号で、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を強要することということで、こういう面会強要について犯罪と、犯罪化しているのですけれども、この趣旨及び概要について法務当局にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/63
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064・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
改正後の刑法第百八十二条の十六歳未満の者に対する面会要求等の罪の趣旨及び概要についてというお尋ねでございますけれども、まず、その趣旨でございます。
趣旨は、十六歳未満の若年者が性被害に遭うのを未然に防止する、そしてその性的自由、性的自己決定権の保護を徹底する、そのためには、性犯罪に至る前の段階でも、性犯罪に遭う危険性のない保護状態を侵害する危険を生じさせたり、これを現に侵害する行為を処罰することが必要であるということから、対面した状態、離隔、離れた状態ですね、状態での性犯罪を未然に防止するという観点から、このような処罰規定を設けるものでございます。
そして、そこで、本法律案におきましては、まず、今御紹介いただきました改正後の刑法第百八十二条第一項におきまして、わいせつの目的で十六歳未満の者に対し、先ほど御紹介いただいた、威迫、偽計又は誘惑してですとか、拒まれたにもかかわらず反復して面会を要求するとか、あるいは金銭その他の利益を供与し云々で面会を要求するといった不当な手段を用いて面会を要求したという者に対する処罰を、それから二項におきましては、このような面会の要求をし、よって実際に面会をした者を、これを二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金ということで、一項よりも重い法定刑としておりますけれども、同条第三項におきましては、離隔した状態での性犯罪を未然に防止するという観点からの規定でございますけれども、同条第三項におきまして、十六歳未満の者に対し性的な姿態を撮ってその映像を送信することを要求した者をそれぞれ処罰することとしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/64
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065・古庄玄知
○古庄玄知君 この百八十二条一項は、十六歳未満の者に対してわいせつ目的で面会を要求する行為を処罰対象としておりますが、威迫、偽計、誘惑や利益の供与など一定の手段を用いることを要件としておりますが、これらを要件とした趣旨はどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/65
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066・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
改正後の刑法第百八十二条第一項の罪において、単なる面会の要求ではなく偽計や威迫などの不当な手段を用いたことを要件としておりますのは、外形的、客観的には日常的なコミュニケーションと区別が付かない行為をわいせつの目的という行為者の主観だけをもって処罰するということといたしますと、どういった行為が犯罪として処罰され得るのか不明確となってしまうといった問題があると考えられます。
そして、威迫や偽計などの所定の手段を用いて面会の要求がなされたという場合には、その十六歳未満の者に対して面会に関する意思決定に影響を与えて、その判断がゆがめられ、面会に至る危険性が高まるということから、偽計や威迫などの不当の手段を用いたことを要件としたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/66
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067・古庄玄知
○古庄玄知君 今度、百八十二条の三項ですけれども、そこに、一号、二号といういずれかの行為を要求した者は一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処するということで、一が、性交、肛門性交又は口腔性交をする姿態を撮ってその映像を送信すること、二号が、前号に掲げるもののほか、膣又は肛門に身体の一部又は物を挿入し又は挿入する姿態、性的な部分を触り又は触られる姿態、性的な部分を露出した姿態その他の姿態を撮ってその映像を送信することというふうに規定されているんですけれども、単なる映像送信行為とはせずに、一定の姿態を撮らせることを要件としておりますが、この理由はどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/67
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068・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
改正後の刑法第百八十二条が、十六歳未満の者が性犯罪の被害に遭わないという、遭っていないという性的保護状態というのを保護法益として、性的自由、性的自己決定権の保護を図るために処罰を特に早期化するものでございますので、同条三項におきまして要求行為の対象とする性的行為は、もしその行為が実現した場合に重大な性的自由、性的自己決定権の侵害が生じるものとすることが相当であると考えられます。
そこで、同項におきましては、同項というのは三項ですね、三項におきましては、要求の対象となる行為、すなわち要求が実現した場合に行われる行為につきまして、現在の実務において離隔した状態で行われた行為に強制わいせつ罪の成立が認められているわいせつな行為に限定し、その行為をするように要求した場合を処罰対象とすることとしたものでございます。具体的には、先ほど御紹介いただきましたように、性交、肛門性交又は口腔性交をする姿態を撮ってその映像を送信する行為をするよう要求した場合などを処罰対象としているものでございます。
ここで、姿態、そういう姿勢や体勢ですね、を撮ってを要件としておりますのは、裁判例におきまして、離隔した状態で行われた行為に強制わいせつ罪の成立が認められた事案においては、犯罪事実としてそうした姿態を撮らせということが摘示されておりまして、また、行為者の要求行為に基づいて十六歳未満の者が性的な姿態を撮る行為は、離隔した状態におけるわいせつ行為を構成するために必要な要素であると考えられることによるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/68
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069・古庄玄知
○古庄玄知君 ちょっと時間前ですけれども、ありがとうございました。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/69
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070・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。
前回に引き続きまして、障害者への性暴力について取り上げさせていただきたいと思います。
前回の最後の質疑で、第百七十六条と百七十七条の二の障害及び八の経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力については、どちらも同時に適用される、され得ると御確認いただきました。
障害者虐待防止法は、医療職、教育職が対象外であるため、精神科医や特別支援学校教員等による性的虐待を問うことができないわけです。また、知的障害等のため、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮することが困難である障害者が存在します。加えて、経済的又は社会的関係上の地位にある対人援助職の指示には従うのが当然と考えていることもございます。
結局、障害者につきましては、刑法改正案第百七十六条並びに百七十七条の八について適用を受けることが困難なケースがあり得るわけですが、それによって障害者に実質的なマイナスは生じるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/70
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071・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 犯罪の成否は、個別の事案ごとに具体的な事実関係に基づいて判断されるべき事柄でありますけれども、例えば、不利益を憂慮することができないほど障害の影響が大きく、あるいは施設職員の言うことには従うものだと思い込んでしまうほど障害の影響が大きく、心身の障害によって性的行為に同意しない意思を形成すること自体が困難な状態にある場合、その状態にあることに乗じて性的行為を行ったときは、行為者に故意が認められれば、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪がこれ成立し得ると考えています。
そのため、障害者に実質的な不利益が生じるとの御指摘は必ずしも当たらないものと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/71
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072・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 御確認ありがとうございます。
現行刑法第百七十九条では、十八歳未満の者に対して、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつ行為又は性交等をした場合について、監護者わいせつ及び監護者性交等を定めています。
障害者に関しましては、十八歳を超えても、生活を共にし、身の回りの世話をする監護者が存在します。知的障害がある方の発達は、軽度と呼ばれる人々でも小学校五、六年生程度の学力にとどまりますと言われております。成人後の障害者に対し、生命維持、生活維持に関わる対人援助職についても監護者わいせつ罪の対象とする考慮が必要なのではないでしょうか。御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/72
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073・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 本法律案におきましては、障害がある方に対する性犯罪につきまして、例えば、心身の障害があることにより、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にあることに乗じて性的行為をすることや、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させることによりこの状態にさせて性的行為をすること、これらを処罰対象としておりまして、これらに該当すれば、不同意わいせつ罪又は不同意性交等罪として処罰されることとなります。
一方で、同意しない意思の形成等が困難な状態、こういう状態とは別途、御指摘のような場合に関して、障害のある方にとって相手方との間の地位、関係性だけで例外なく自由な意思決定ができない、こういうふうに言えるようなものを明確かつ限定的に規定して処罰対象とすることは困難であると考えられます。そのため、本法律案におきましては、ただいま申し上げた処罰規定とは別に処罰する規定を設けることとはしておりません。
いずれにいたしましても、本法律案については衆議院において附則の一部修正が行われておりまして、政府において施行後五年を経過した場合に検討を行うこととされているところでありまして、その趣旨を踏まえ適切に対処してまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/73
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074・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 監護者であることの影響力に乗じる可能性ということでは、未成年と障害者に本質的な相違はないと思います。
障害者は、抵抗の意思の示し方が、顔の向きやまばたきの回数など、健常者とは異なる場合がございます。この場合、被害者が不同意の意思を示しても、被害者が同意したと誤信すれば罪に問えない可能性があります。改正に当たりまして、こうした障害特性は考慮されるのでしょうか。大臣の御説明を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/74
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075・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、障害の有無にかかわらず、同意しない意思を表明する方法といたしましては、声に出して嫌だと伝える以外に、例えば顔をしかめる、身をよじる、手で押し返すといった挙動など、様々なものが考えられます。
改正後の刑法第百七十六条第一項、第百七十七条第一項においては、同意しない意思を表明する方法がただいま申し上げたように様々であることを前提といたしまして、要件該当性を判断することになります。
したがって、障害を有する方が御指摘のような方法で同意しない意思を表明をしたのに性的行為をされた場合、同意しない意思を全うすることが困難な状態かどうかが問題となり、例えば、障害があることによって身動きが取れなかったり、それ以上の対処ができないなど全うすることが困難な状態に陥り、性的行為をされた場合には、客観的には不同意わいせつ、不同意性交等罪の要件を満たし得ると考えています。
その上で、これらの罪が成立するためには行為者に故意が認められることが必要でありますが、行為者において被害者がそのような状態に陥ったことを基礎付ける事実を認識していれば足りると考えられます。そして、このような事実の認識の有無につきましては、被疑者、被告人が知らなかったと弁解しただけで認識がなかったと認められるものではございませんで、関係証拠から認められる事実関係を総合して認定されることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/75
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076・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 御確認ありがとうございます。
改正案では、十八歳未満の若年者を公訴時効の延長の対象としております。その理由につきまして、二〇二三年五月十七日の衆議院法務委員会では、性的な行為や事後の対応などを含めた社会生活上の知識や経験が十分に備わっているとは言い難く、性犯罪の被害に遭ったとしても、それが性犯罪の被害であると認識したり、また適切に事後の処理をすることが困難であるという説明がありました。
だとしますと、性犯罪の被害につきましての認識や認知についての困難さは、成人後の知的障害者でも未成年者と変わらないのではないかなと思うんですが、以上の理由から、心身に障害のある被害者については公訴時効の廃止が必要ではないかと思いますが、大臣の見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/76
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077・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、本法律案におきましては、十八歳未満の者が被害者になる場合につきまして、知識、経験が不十分であることなどから、いわゆる大人の場合と比較して、一般的、類型的に被害申告がより困難であると考えられることを踏まえまして、犯罪が終わったときから被害者が十八歳に達する日までに相当する期間を加えて、更に公訴時効期間を延長することとしております。
一方、障害を有する方につきましては、公訴時効期間を更に延長する規定を設けることにつきまして、障害の種類や程度には様々なものがございますので、そうした特別の取扱いをする根拠についてどのように考えるのかですとか、そのような根拠が一般的、類型的に妥当すると言えるものの範囲についてどのように考えるのか、また、それを過不足なく明確に定めることができるのかなどの点につきまして十分な検討を要するものと考えています。これは、公訴時効期間の廃止の規定を設けることについてはこういう問題があるということでございます。
いずれにいたしましても、本法律案につきましては、衆議院における御審議の結果、附則が修正され、政府において、施行後五年を経過した場合に施策の在り方について検討を加えること、性的被害の申告の困難さ等についての必要な調査を行うことが定められるなどしておりまして、法務省としては、こうした御審議の結果を踏まえ、本法律が成立した場合には、関係府省庁とも連携し、適切に対応してまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/77
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078・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 諸外国では、被害者に障害がある場合、公訴時効の廃止や延長を定めているんですね。やはり日本でも同様の考慮が必要ではないかなと思うんです。是非、もう例がございますので、どのように整理しているのかということも踏まえて諸外国の事例を研究して、早期に公訴時効の廃止などを検討していただきたいと思います。今回の改正が障害特性並びに障害のある人への性犯罪の実態を踏まえたものになるよう運用することが何よりも重要だと考えております。
さて、今回の改正において刑事訴訟法三百二十一条の三が新設され、司法面接的手法による記録媒体、すなわち一定の措置により聴取された録音・録画記録媒体に一定の手続を経て証拠能力を認めようとする内容が含まれております。公判外供述の証拠使用を認める新たな伝聞例外規定の創設です。
次に、ガイドラインの必要性についてお伺いしたいと思います。
今回の規定ぶりでは、公判外供述の証拠能力を例外的に認める聴取対象につき、成人の被害者ないし性犯罪以外の犯罪の被害者も対象とされ、また、被害者ではない参考人も対象になり得るとされています。
そこでお聞きしたいんですが、聴取対象を広く取った理由を御説明ください。そして、公判準備又は公判期日において供述するときは精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者とは、具体的にどのような者を想定されているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/78
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079・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
改正後の刑事訴訟法第三百二十一条の三は、聴取を受けた者が更に公判期日において供述する場合に生じる心理的、精神的負担の軽減を図るため、いわゆる司法面接的手法による聴取の結果を記録した録音・録画記録媒体を公判に顕出するための新たな伝聞例外を設けるものでございます。
そして、このような負担軽減の必要性があり、かつ司法面接的手法を用いることにより信用性が担保されるのは、性犯罪の被害者に限られるものではないと考えられます。
そのため、対象者の範囲については、性犯罪の被害者のほか、更に公判期日において供述するときは精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者も対象としております。
ただいま申し上げた者、すなわち更に公判期日において供述するときは精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者に該当するかどうかは、個別の事案ごとに具体的な事実関係を踏まえて判断されるべき事柄ではございますけれども、例えば性的目的に基づく監禁行為や、いわゆる痴漢行為の被害者、あるいは暴行、傷害等の身体的虐待を受けた児童、凄惨な殺人事件を目撃した子供などがこれに該当し得ると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/79
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080・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 聴取対象者は、子供の被害者や目撃者など、司法面接の趣旨に照らし特に必要性の高い者に限定するべきだと考えております。
日弁連は、伝聞証拠に例外的に証拠能力を認める対象が無限定に拡大しないように、その要件について法律や規則で制定すること、又は運用上、規定のガイドラインなどで定めることなどを求めております。また、聴取方法の在り方についても統一的な基準を定める必要性は大きいと考えております。
このような統一的な基準の必要性について、大臣はどのような見解でいらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/80
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081・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 改正後の刑事訴訟法第三百二十一条の三において対象者を性犯罪の被害者だけに限定していない理由については、今刑事局長が申し上げたとおり、性犯罪の被害者でなくとも負担軽減の必要性があり、かつ司法面接的手法を用いることにより信用性が担保される者を対象とすべきであると考えられるからであります。
現在の運用では、供述者の負担軽減及び供述の信用性確保の観点から、児童が被害者又は参考人となる事件のほか、知的障害、精神障害、発達障害等、精神に障害を有する被害者に係る性犯罪事件で、代表者聴取を行うことが相当と認められる事件を対象として代表者聴取の取組が行われ、この代表者聴取の手段としていわゆる司法面接的手法を用いた聴取が活用されているものと承知しておりまして、改正後の刑事訴訟法第三百二十一条の三の対象者はこうした方々が中心になるものと思われます。
いずれにいたしましても、改正後の刑事訴訟法第三百二十一条の三の運用に当たりましては、御指摘のようなガイドラインを設けて聴取対象者を一律に限定するのではなくて、法改正の趣旨を踏まえつつ、個々の対象者の状況等に応じて柔軟に対応できるようにすることが適切な運用につながるのではないかと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/81
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082・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 公判外供述の証拠資料という極めて慎重に扱うべき事項について理のある主張と考えておりますが、運用にばらつきが出ないよう、ガイドラインは是非定めるべき、何らかのガイドラインは定めるべきではないかなと思います。
日弁連からは、刑事司法手続の各段階において、子供の心理的負担の軽減及び供述の信用性を情況的に保障する観点から、子供の能力等に関する専門家の助言を通して適切な供述環境を維持するように努める、尋問に対応する法曹三者は子供の認知等について理解を深める必要があるという意見があります。また、子供が被害者あるいは目撃者である事案においては、子供からの聴取に当たり、捜査、訴追の機関や福祉機関などの関係機関の連携をより一層緊密なものとすること、それに加えまして、被害者支援を実施する医療機関や民間団体などの専門的な知見を活用することもまた必要ではないかなと考えております。
これらの提言について、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/82
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083・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 児童からの聴取に関しましては、児童の負担を軽減し、かつ信用性の高い供述を聴取することが重要でありまして、そのためには、関係機関において、児童の認知発達能力、心理に関する知見や児童の供述特性に応じた聴取技術の習得、向上を図るとともに、児童が安心して話せる環境を整えることが肝要であると認識をしています。
検察当局におきましては、現在、児童の負担軽減及び供述の信用性確保の観点から、各地方検察庁におきまして、児童が被害者又は参考人である事件についての相談窓口をつくり、警察及び児童相談所等の関係機関と緊密な情報交換を行うこと、情報提供を受け次第、速やかに警察や児童相談所の担当者と協議を行い、三機関のうちの代表者が児童から聴取する代表者聴取の実施も含め対応方針を検討することなどを内容とする最高検の通知を踏まえまして、関係機関と緊密に連携し、適切に代表者聴取の取組を実施しているものと承知をしています。
また、検察当局におきましては、各種研修における大学教授等による児童の聴取方法に関する講義、演習の受講、多機関連携による司法面接の手法を含めた民間団体主催の研修への参加、各庁における勉強会などを通じて、いわゆる司法面接的手法に基づく専門的な聴取技術の習得に努めているものと承知をしています。
検察当局においては、引き続き、関係機関の連携をより一層緊密なものとし、また専門的な知見も活用しつつ、こうした取組を進めていくものと承知をいたしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/83
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084・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 不幸な事件から子供の心を守ることは非常に重要だと思うんですね。是非、本腰を入れたお取組をお願い申し上げます。
今回の改正は性犯罪が起こってしまった後の話ですが、本来的なことを申し上げますと、そもそも極力性犯罪が起こらない、また起こさないことが重要ということは言うまでもありません。そのことに鑑みまして、性犯罪者に対する多角的な調査研究や、諸外国の再犯防止制度の調査研究ですとか、関係機関と連携した施策の実施など、効果的な再犯防止対策を講ずるよう努めることが重要と考えますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/84
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085・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 刑事施設や保護観察所におきましては、性犯罪に対して、認知行動療法の手法を取り入れた性犯罪者処遇プログラムを実施しております。
同プログラムにつきましては、これまでも、効果検証の結果や諸外国における取組、外部有識者からの提言等を踏まえまして不断の見直しを行ってきております。収容中から出所後まで一貫性のある指導が可能となるよう内容を改訂し、令和四年度から実施をしているほか、必要に応じて関係機関と連携するなどして、その実効性がより高まるよう取り組んでいるところでございます。
これまでの取組により、刑事施設や保護観察所における性犯罪者の再犯防止対策は一定の成果を上げているものと考えますが、プログラムの更なる充実に取り組むことなどを通じて、引き続き、性犯罪者に対する再犯防止対策を進めてまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/85
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086・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 その決意にて、是非よろしくお願いします。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/86
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087・福島みずほ
○福島みずほ君 立憲・社民の福島みずほです。
刑法改正の議論に入る前に、百年ぶりに、どうしてもこれは日本の国会で聞かなければならない、まさに関東大震災における虐殺の問題について、百年目というと、もう今年しかありませんので、この問題について聞きたいと思います。
中国人の虐殺と朝鮮の人に対する虐殺とあります。もちろん、日本人や主義者と言われる人たちの虐殺もあるわけですが、まず中国人の虐殺について、お手元に資料をお配りしております。
内乱又は暴動による不法行為と国家の責任、山本権兵衛第二次内閣、外務省条約局第三課という文書があります。これは、外務省、保管しているということでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/87
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088・石瀬素行
○政府参考人(石瀬素行君) お答えいたします。
御指摘の文書については、外務省外交史料館が保有をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/88
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089・福島みずほ
○福島みずほ君 これは、山本権兵衛第二次内閣、一九二三年十一月、諸外国の十一事例を調査の上、日本の国家責任は免れないとした外務省の調査結果です。これがあるということを認めてくださいました。
次にお配りしているのが東京日日新聞です。これは、まさに金三十万円なり、中国政府が日本政府に対して謀殺の賠償として請求をしているという新聞記事です。これは、だから、実際こういう交渉なりがあったということです。
そして、お手元にお配りをしておりますが、閣議決定の文書があります。一九二四年五月二十七日、賠償金二十万円を支払うと、中国に対して二十万円を支払うという閣議決定があり、大臣の花押が押されておりますけれど、この文書の保管がある、文書があるということでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/89
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090・石瀬素行
○政府参考人(石瀬素行君) お答えいたします。
大正十三年五月二十七日に松井慶四郎外務大臣より在中国芳沢謙吉公使宛てに送られた電報第三百四十七号については、外務省外交史料館が保有をしております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/90
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091・福島みずほ
○福島みずほ君 閣議決定の文書もそれに入っているということでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/91
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092・石瀬素行
○政府参考人(石瀬素行君) 私どもが確認しておりますのは、先ほど申し上げましたとおり、電報第三百四十七号でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/92
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093・福島みずほ
○福島みずほ君 中身を説明してください。
時間がないですから。
確認ですが、つまり、閣議決定の書面が外務省の公文書にちゃんと保管されている、あるということでよろしいですね。再度お聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/93
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094・石瀬素行
○政府参考人(石瀬素行君) 繰り返しで誠に恐縮ではございますけれども、私ども実物も確認しておりますけれども、これは電報ということでございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/94
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095・福島みずほ
○福島みずほ君 電報の中に、これがまさに閣議決定が入っているということです。ですから、これ二十万円、当時、中国政府に対して日本が賠償を払うと。これは実に細かく、中国は外国ですから、誰が殺されたのか全部、個人名が全部出てきていると。ですから、誰が本当に殺されたのかが全部分かり、それを基に日本政府が二十万円払うというのを中国政府に約束をしたもの、閣議決定をして、日本としては責任免れない、二十万払うぞというものです。
これは、二十万円払われたんでしょうか、どうなりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/95
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096・岡野結城子
○政府参考人(岡野結城子君) お答えいたします。
御指摘の資料によれば、一九二四年に政府は二十万円を支出する旨決定したと承知をしております。
他方、御指摘の支払があったか否かについては、その事実関係を把握することができる記録は確認されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/96
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097・福島みずほ
○福島みずほ君 これは支払われていないんですね、支払われておりません。
それで、二〇一四年九月八日、関東大震災下、虐殺された中国受難者遺族訪日慰霊式代表団十八名が中国から日本に来ました。これはなぜかといいますと、中国の犠牲者は全部名前が、全部分かっていますから、遺族の皆さんたちがたくさんいらっしゃるわけです。その遺族の人たちが十八名が来て、日本政府に対して、事実を認め、二十万払うということをかつて約束しているわけですから、国が責任を持って払うと約束しているわけですから、国家として責任があることを認め、虐殺された犠牲者と遺族に対し、謝罪し賠償することを要請をいたしました。
私はその場におりましたが、要望書を政府に対して、そのときに外務省出席してこの要望書を受け取っておりますが、これは二〇一四年のことですから、この要望書を受け取ったということはありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/97
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098・岡野結城子
○政府参考人(岡野結城子君) お答えいたします。
要望書が提出され、それを受け取っていることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/98
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099・福島みずほ
○福島みずほ君 これは、遺族の人たちから要望書が、二〇一四年、まさに提出をされているわけです。もう名前も分かっているし、遺族も分かっていると。
遺族から受け取っているこの要望書の受け止めをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/99
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100・岡野結城子
○政府参考人(岡野結城子君) お答えいたします。
御指摘のとおり、中国人被害者の遺族から、政府としての事実認定及び謝罪や賠償等を求める要望書が提出されております。
他方、関東大震災における中国人をめぐる事案につきまして日本政府が関与したかについて、調査した限りでは、政府内にその事実関係を把握することができる記録が見当たらない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/100
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101・福島みずほ
○福島みずほ君 ただ、戦前ですよね。日本政府は、まさに閣議決定で二十万円払うという約束をしているわけです。それは、やっぱり国家賠償、その研究もされて、外務省第三課の報告書もありますが、これ賠償責任は免れないとして、二十万円払うという約束をしたわけです。ということは、やっぱり当時の日本政府は、払わなくちゃいけない、二十万円払わなくちゃいけないということを閣議決定までやっているわけですから、それは極めて大きいというふうに思います。この要望書の遺族の思いと重みをしっかり受け止めていただきたいと思います。
次に、朝鮮人の虐殺についてお聞きをいたします。
配付資料を配っておりますが、電信文があります。これは震災直後の電信文です。内務省警保局長より各地方長官宛て電信です。
これに関して、この電信文の存在、これはあるということでよろしいですね。保管を防衛省がしているということを確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/101
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102・安藤敦史
○政府参考人(安藤敦史君) お答え申し上げます。
委員御指摘の文書は、防衛研究所戦史研究センター史料室にて保管をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/102
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103・福島みずほ
○福島みずほ君 電信文をちゃんと政府は公文書館で保管をしているわけです。
これ、内務省警保局とありますが、これは警察にお聞きしますが、どういう組織でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/103
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104・楠芳伸
○政府参考人(楠芳伸君) お答えいたします。
我が国の警察は、明治七年、当時の内務省に警保寮が設置されて以来、第二次世界大戦終了まで、中央では内務省警保局、地方では知事によって管理運営されていたものと承知しております。戦後の内務省解体に伴いまして新しい警察制度となり、また、現在の警察庁は内務省の事務をそのまま受け継いでいるものではないと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/104
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105・福島みずほ
○福島みずほ君 これ、ですから警察なわけですね。
この電信文を是非皆さん読んでください。東京付近の震災を利用し、朝鮮人、各地に放火し、ちょっとはしょりますが、現に東京市内に爆弾を所持し、石油を注いで放火する者あり、既に東京の一部、戒厳令を施したるがゆえに、各地において内密に視察を加え、鮮人、ちょっと差別用語で済みませんが、鮮人の行動に対しては厳重なる取締りかくされたし。
つまり、日本の警察が、まさに内務省のど真ん中が各地方に対して電報を打つわけです。電信文、保管があると言ってくださいましたが。まさに、朝鮮の人たちが各地に放火して、東京都内では爆弾持って、石油を注いで放火する者があると、大変な状況だと、だから戒厳令を施しましたと。戒厳令をしいた理由は、朝鮮人の放火、爆弾という、爆弾所持し、放火をしているということで戒厳令を施したと。そして、各地においては厳重に、ちゃんと視察、動静を見て、厳重なる取締りをすべしということを、警察のど真ん中が電信文を各地に出すわけです。
これ読んだ人は、戒厳令しかれたのは、朝鮮の人たちが放火をしたり、あるいは爆弾を所持したり、石油を注いで放火する者ありまで書かれているわけですから、これで本当に虐殺の物すごいきっかけになったと思います。
人が人を殺す、あるいはヘイトスピーチ、ヘイトクライムは本当に許されないわけですが、民衆がそこにわっと追いやられた根拠にこの電信文がある、つまり国家発なんじゃないかということを私は問題にしたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/105
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106・楠芳伸
○政府参考人(楠芳伸君) お答えいたします。
警察庁におきまして調査した限りでは、御指摘のような事実関係を確認することのできる記録が見当たらない状況でございまして、お尋ねの事実関係についてお答えすることは困難であるということについて御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/106
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107・福島みずほ
○福島みずほ君 電信文がちゃんとあるじゃないですか。電信文は保管されているんですよ。これ、防衛省が、だから公文書館、公文書の中でちゃんと保管している。この電信文はあるんですよ。ですから、これが根拠でそうなったんじゃないか。
そして、なぜ今日質問したいか。百年前の十二月十六日、大正十二年、まさに一九二三年ですが、国会でこのことを質問している永井柳太郎議員がいます。十五日は田淵議員が質問をしているんですね。ちょうど百年前の本会議です。
議事録を付けておりますので見てください。これ、電信文を手に持って永井柳太郎さんは質問しているんです。私はその大震災直後におきまして、そのときの内務省が各地に地方官に宛てて発したるところの電報をこの持っておりますと、済みません、電報のここに持っておりますと。電信文掲げて、永井柳太郎さんが百年前にこの日本の国会で質問をしていると。その電報は内務省より直接各地の地方官に発送したるものではなく、一たび行使をもって船橋の無線電信所に発送して、それから全国に行ったのであると。そして、この電信文を永井柳太郎さんは読み上げています。東京付近の震災を利用し、その放火、投弾という、この中身の電信文を持っているわけです。
私は、これ、やっぱり百年前の日本の国会議員、やっぱりちゃんと質問しているんですよ。永井さんだけではなくて、ほかの議員も質問しているんです。関東大震災の虐殺があったその年にちゃんと国会で質問を、電信文を持って、これを持って、これはどうなんだということを質問しています。
この是非議事録を見ていただきたいんですが、この議事録は承知していますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/107
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108・楠芳伸
○政府参考人(楠芳伸君) お答えいたします。
御指摘の一九二三年、大正十二年十二月当時の帝国議会における御議論につきましては、帝国議会会議録に記録がされているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/108
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109・福島みずほ
○福島みずほ君 永井柳太郎議員はこう言っているんです。震災直後発生したる不祥事は流言飛語であるがごとく言うておられます、ちょっとはしょりますが、もし流言飛語に出たものでありまするならば、その流言飛語を取り締まるべきところの政府自ら出したところの流言飛語に対して政府は責任を感じないのかと言っているわけです。
まさにこの電信文を掲げて、流言飛語は政府が出しているじゃないか、政府はこれに責任を感じないのかということを百年前に聞いているんですよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/109
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110・楠芳伸
○政府参考人(楠芳伸君) お答えいたします。
警察庁におきましては、調査した限り、御指摘のような事実関係を確認することのできる記録が見当たらない状況でございまして、お答えすることは困難であることについて御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/110
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111・福島みずほ
○福島みずほ君 違いますよ。電信文があり、それはちゃんと公文書館に保管されている。
そして、議事録で、百年前に日本の国会議員が電信文を掲げて、私と同じ文書のこれ読み上げですよ、読み上げて、違うでしょうと、まさに国の責任でしょうと。流言飛語を人々が出したというふうに言っているけれど、不祥事は流言飛語であるがごとく言うておられますと、でも違うと。流言飛語に出たものであるならば、その流言飛語を取り締まるべきところの政府自ら出したところの流言飛語ですよ。朝鮮人が放火している、朝鮮人が爆弾を持っているという、そこですよ。これからこれを取り締まれ、戒厳令しいたんだから各地でこれは注意しろというのを出しているわけで、政府自ら出したところの流言飛語に対して責任を感じないのかと言っているわけで、これはそのとおりですよ。政府はこの電信文について否定などしていませんよ。調査しますということを当時、総理大臣言っているんですね。前日にも国会議員、聞いていますよ。まさにそうなんですよ。
だから、このことを本当に、私が言いたいのは、人が人を殺したり、流言飛語、良くない、ヘイトクライムは駄目だ、しかし、政府自らこれを作ったんじゃないかという問題なんですよ。これ、ひどいことじゃないですか。政府の責任、電信文を出した責任、法務大臣、閣僚の一人としてどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/111
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112・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 一般論でありますけど、外国人に対する不当な差別、偏見、これはあってはならないというふうに考えています。
今の件に関して申し上げますと、過去の質問主意書で明らかにされていますが、調査した限りでは、政府内においてその事実関係を把握することのできる記憶が、記録が見当たらない、そういう見解だったと承知しておりまして、その件について法務大臣としてちょっとお答えをするのは困難だなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/112
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113・福島みずほ
○福島みずほ君 違いますよ。今日のこの委員会の答弁ではっきりしたとおり、文書を全部保管している。防衛省であり、あるいは外務省であり、文書保管を認めているじゃないですか。中国人に対して、中国政府に対して二十万円払うという閣議決定までやっているんですよ。日本政府は責任取らなくちゃいけない。二十万円払うよということ、それを、二十万円、当時の金額は大きいですよね、それを約束している、閣議決定までやっているという文書の保管をちゃんとしているんですよ。電信文の保管もちゃんとあるんですよ。
もっと言えば、公刊されている百年前の議事録もあるんですよ、あるんですよ。電信文あること否定できないじゃないですか。この電信文、誰も否定できないですよ。だって、保管しているんですから。この電信文を基に、まさにこの言葉で百年前に聞いているんですよ。議事録残っているじゃないですか。これ、捏造でも何でもないですよ。電信文を片手に私は質問しますと、百年前に国会議員言っているんですよ。私、これはすごいと思って、だから百年たった私たちは、これにちゃんと向き合って質問せねばならない、たださなければならないというふうに思っています。
大臣、ヘイトクライム、ヘイトスピーチ、実はもう一回震災などあったときにヘイトクライムが起きるんじゃないか。主義者だって殺された、日本人だって殺された、中国人殺された、朝鮮の人だって殺された。またこういうことが本当に起きるんじゃないかということを本当に心配している人がいます。
ちょっと言いますが、入管法改悪法案のときに、仮放免された人たち、犯罪者がこれだけいるとか、物すごく犯罪者予備軍のような言われ方がされたことに私は本当に実はショックを受けました。まさに百年前の、朝鮮の人が暴徒と化し放火をしている、まさに石油を持って注入している、爆弾を所持している、これで戒厳令をだからしいたんだと言ったことと、どこが違うんですか。外国人を犯罪者扱いにしてあおったということと、入管法で、犯罪者予備軍だ、帰れ帰れとやったことと、どこが違うんですか。地続きじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/113
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114・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、私どもは、社会経済がボーダーレス化していって、こうした新しい時代の流れの中で外国人とともに生きていく共生社会、これを実現をしなくちゃいけないと思っています。その上で重要なことは、日本人と外国人が互いを尊重し合うことだと考えています。
我が国にいる多くの外国人の方々はルールを守ってしっかりと取り組んでおられると思いますが、ルールを守っていない方々が増え続けるということになりまして、それを放置し続けるということになりますと、ひいては私は外国人全体のいわれのない不信感を抱かせることになるのではないかと思います。
したがって、共生社会の実現に障害となる可能性があると考えていますので、我々は常に申し上げていますように、今回の入管法改正案は、様々ないろいろ政策が入っているわけでありますが、外国人の人権尊重と国民の安全、安心とのバランスが取れた共生社会の実現、維持の基盤を整備するものでありまして、ルールにのっとった適正な外国人の受入れ実現、こういうものに資するものだと考えています。
そして、これだけはちょっと申し上げさせていただきたいと思うんですけれども、私どもの説明はこういう段取りになっているわけです。
多くの外国人はルールを守って適正に在留されていると認識をしていますと。そして、入管庁では、令和五年二月の公表資料でも、現行入管法の課題におきまして、約三千百万人以上の外国人入国者に対して退去強制手続の対象となる者は年平均で約一万七千人で、その大多数が退去強制に応じることなどして帰国もしていただいておりますということを明確に書いた上で、あとは立法事実を明らかにするために必要な最小限のことを客観的事実としてお示ししているという、こういう流れで御説明をしているということは理解していただきたいと思いますし、これがまさか流言飛語に当たるというふうには我々は全く思っていませんので、御理解いただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/114
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115・福島みずほ
○福島みずほ君 日本で難民申請をしている人たちの中にほとんど難民はいないというのは、それは私は違うと思っているんです。もちろん百年前と今とは違います。しかし、外国人を犯罪者予備軍と扱う、取締りの対象として考える出入国管理及び難民認定法、出入国の管理に関する法律ですから、やっぱり人権の観点がとても弱い。
それから、今日ここで私はこのことを質問させていただくのは、やっぱり百年前のこのことに関して私たちは知るべきだし、当時の政府自身はここまで、こういう問題があった、電信文がまさに本当に差別、さくりくの非常に大きな動機になったということを政治の責任として私たちはきっちり考えるべきだと思います。
それで、中国の人たちについては、外国だったということもあって、誰が亡くなったか名前が全部ばあっと出てくるんです。だから、遺族も分かるし、本国にも連絡が行った。しかし、朝鮮の人たちは、当時植民地支配の下にありますから、名前やいろんなこと、実態もまだまだ分からないんですという問題もあると思います。
大臣、ふむふむと聞いてくださっていますが、この点についての感想でも一言お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/115
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116・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) ちょっと法務大臣としてコメントすることができるのかどうかよく分からないんでありますけど、百年前の出来事から我々が教訓として学んでいかなくちゃならないことというのはたくさんあるんだろうなと、一般論として思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/116
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117・福島みずほ
○福島みずほ君 百年前、電信文がまさに朝鮮人、中国人虐殺の根拠になる、政府自身が、警察が電信文を全国に送ることによって、まさに朝鮮の人たちがこういうことをやっている、だから戒厳令しいたというのが、まさにさくりくを本当に生む動機になったというふうに思います。
そして、にもかかわらず、当時、例えば中国政府に対して二十万円払う、責任取るべきだと当時の政府は考える、百年前に電信文掲げて国会で質問をした国会議員が何人もいる、何人というか、一人いて、ほかの方も質問している。そのことについて政府は調査しますと答えているわけですね。
私は、やっぱり百年たったけれども、このことは今も解決していない、あるいは、ちゃんとすべき問題として、政府の責任として、私たちは政治の責任として考えるべきだということを強く申し上げます。百年目にこういう質問をさせて、時間をいただいたことは本当に感謝をいたしますが、これ、日本政府の政治の本当に責任だと思います。大量さくりくは、本当に一人一人の命が侵害されたわけですから、物すごく重いというふうに思っております。中国の遺族の皆さんたちにお会いしていますが、本当につらい思いをされていますよ。是非、政治の問題として解決すべきだということを申し上げます。
次に、名古屋刑務所事件について一言お聞きをいたします。
名古屋刑務所で去年三月一日、死亡事故が起きました。その件について、刑事裁判、刑事事件にもなり、そして今、国家賠償請求訴訟、提起されております。そして、二月九日、証拠保全、裁判所で決定をします。この人が保護房あるいは静ひつ室に入る前、九時間半のビデオがあると言って、看守の名前などを削除しますから出しますというふうに言っていましたが、突然これは消去というか、ほかの人のもので、本人のは消去されていましたというのが明らかになったと、三か月たって。こんなの、もうあり得ないというふうに思いますが。
そこで、お聞きします。法務大臣、矯正局長、訟務局長は、いつ映像がないということを知ったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/117
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118・花村博文
○政府参考人(花村博文君) お答えします。
まず、事案の概要について御説明いたします。
令和四年三月一日、名古屋刑務所において受刑者の方が亡くなられるという事案が発生したため、法律上、保存の義務はないものの、同月四日、名古屋刑務所の職員が機材のハードディスク内に保存されていた該当の映像をブルーレイディスクに複写し保存する作業を行いましたが、その際、当該受刑者の方を収容していた静穏室とは別の静穏室の映像を複写、保存しました。
その後、お尋ねの証拠保全の決定がなされたところ、令和五年二月九日の証拠保全手続の期日において、別の静穏室の映像が複写、保存されていることに気が付かないまま、当該受刑者の方が映ったものであるとして説明をしたものです。
当該事案につきましては、令和五年五月十日、名古屋矯正管区を通じ、名古屋刑務所から矯正局に一報があったことを受けて承知をし、同月二十九日、法務大臣に報告をしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/118
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119・福島みずほ
○福島みずほ君 五月二十五日に第一回期日が入っていて、そのとき国の代理人は今手続をやっておりますと言っているんですよ。その時点で知っていたら、何でそのとき言わないんですか。それがすごく変なんですよ、このこと、その説明。誰も見ていないんですか。裁判になっていて、刑事裁判にもなっていて、誰も見ていない、誰もこれ別人のものだったと気が付かない。おかしいですよ。誰も見ていないんですか。
大臣、矯正局長、総務課長、国の指定代理人、映像を見てなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/119
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120・花村博文
○政府参考人(花村博文君) 議員お尋ねの映像記録につきましては、私自身も総務課長も閲覧をしてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/120
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121・福島みずほ
○福島みずほ君 裁判になっているんですよ。その前には刑事事件になっているんですよ。普通はこれ、一番有力な証拠、九時間半、どういう映像が映っているか見るでしょう。無罪の立証をするためにも見るでしょう。誰も見ていない。そして、三か月たって、そして、えっ、これ別人のものでした、元の人のは消去されています。物すごくずさんなのか、物すごくこれ、何か別の意図で隠したか、もうどっちかとしか思えないですよ。あり得ないですよ。証拠保全って、だって二月九日やりますと言っているじゃないですか、裁判所で。訟務検事も誰も見てないって、あり得ないですよ。この件については今後も追及をしていきます。
刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案についてお聞きをいたします。
個人事で済みませんが、「裁判の女性学」という本を一九九七年に出しました。「性の法律学」、角田由紀子、尊敬する弁護士の本は一九九一年。判決を見ていて、強姦罪のこれからの考え方、これは「裁判の女性学」、有斐閣の私の本ですが、強姦罪の保護法益を個人の人格的自由の一種としての性的自由と考えるに、強姦罪の保護法益が性的自由であるとすれば、女性の意思に反した性行為がまさに強姦である、暴行、脅迫の程度の議論をする必要はない、加害者の加えた暴行、脅迫の程度を被害者の抵抗という物差しで測ることはしない、女性の合意は厳密に認定する、男性本位の推測や評価の入る余地をなくす、強姦罪のこれからの考え方と書いております。
ですから、実は感無量で、随分昔、随分前からいろんな人たちが言ってきたことが、まさにノー・ミーンズ・ノー、合意がなければ、それは不同意性交罪なんだと。つまり、死に物狂いで命懸けで抵抗しない限り強姦罪が成立しないということはあり得ない。つまり、判例は合意がないということを明確に認めながら、暴行、脅迫が足りないとして無罪にしている例がやっぱりあるんですね。
それから、これは三十七年前、一九八五年ですが、例えば一九八五年の判決。夫が妻に対して性的交渉を強要したから、これは離婚を認めた事件で、妻が夫の強姦行為を理由として離婚を認めた事件なんですが、夫が妻に対して性的交渉を強要したからといって何ら違法になるわけではないし、また妻の側にこれを拒否する権利があるわけでもないといって、これ、実は離婚を棄却しているんですね。これは、だから、三十七年前なんですが、今回やっぱりはっきり、夫婦間の問題にしろ、きちっと立法されたということはやはり大きな前進だと思います。
ただ、この委員会で友納委員や、今日も古庄委員からもあったように、構成要件、罪刑法定主義、構成要件の明確性ということから随分質問がありました。それは実は大事なことだと思います。刑法は国家権力が人を処罰するというものですから、とても大事です。というか、それがちゃんと、類推適用とかしちゃいけないと。
刑法百七十六条などに、構成要件の中に類するとあります。これは類推適用じゃないか。お聞きします。刑法の中に類するという構成要件、ほかにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/121
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122・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
類するという言葉を使っているかどうかということですけれども、刑法の構成要件上、その他のという文言で行為等を例示列挙する規定は複数ございますので、類するという文言を用いた規定の例はございませんけれども、ないからといって処罰範囲を不当に拡大するものではないと考えております。
改正後の刑法第百七十六条第一項のその他これらに類する行為又は事由と申しますのは、各号に列挙された行為、事由ごとに見たときに、それぞれに、各号ごとに類する行為、事由を意味するものでありまして、これらに該当する範囲を不当に拡大しようとするものではございません。
その上で、改正後の刑法第百七十六条第一項は、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態であることを中核的な要件として規定した上で、その状態の原因となり得る行為や事由を例示列挙することとしておりまして、各号の行為、事由又はこれらに類する行為、事由に該当しただけで犯罪が成立するという要件とはしておりませんので、処罰範囲が不当に拡大することにはならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/122
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123・福島みずほ
○福島みずほ君 今刑事局長が答弁してくださったとおり、類するという条文は刑法の中にないんですよ。それは、やっぱり類推適用の禁止というのがまさに刑法のイの一番であって、類推するというのが今後どのように使われていくのか、やはりこれはきっちり注視をすべきだと思います。
性交等同意年齢の引上げには賛成です。ただ、ちょっとこれ、わいせつ罪も対象です。キスするのもわいせつ罪です。十五歳と二十歳がキスをすれば、双方の同意があったとしても、双方はラブラブで付き合っていると思って同意がある、十五歳と二十歳がキスをすると、これはこの百七十六条の不同意性交罪になり犯罪が成立、十年以下の拘禁刑となるということでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/123
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124・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 結論としては御指摘のとおりでございます。
本法律案において、十三歳未満とされている年齢を十六歳未満に引き上げることとしておりますのは、おおむね中学生である十三歳以上十六歳未満の者について、性的行為に関する能力のうち、相手方との関係において性的行為が自己に及ぼす影響を理解し対処する能力が十分ではないということで、対等な関係の下でなければ、性的行為について有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠け、一律に性的自由、性的自己決定権という保護法益が侵害されると考えられることからでございまして、これを前提として五歳以上という年齢差があることを要件としておりますのは、性的行為をするかどうかの意思決定に関する若年者の能力が、年齢とともに社会的経験を重ね、知識を得ていくにつれて向上していくものであるということを前提といたしまして、年齢の要件を満たせば年長の相手方との間に対等な関係がおよそないと、性的行為について有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠けて、一律に性的自由、性的自己決定権が侵害されると考えられるからでございます。
そして、不同意わいせつ罪につきましても、不同意性交等罪と同じく、性的自由、性的自己決定権を保護法益とするものでございまして、わいせつ行為である以上は、その内容にかかわらず、有効に自由な意思決定をする前提となる能力や年齢要件については同様に考えるべきことというふうに理解をしております。
したがいまして、御指摘のような場合におきましても、そのような保護法益の侵害がある以上は不同意わいせつ罪が成立し得ることとなりますが、実際にどのような刑が科されるかにつきましては、個別の事案に応じて裁判所において適切に判断されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/124
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125・福島みずほ
○福島みずほ君 刑法は、ですから、全部にやっぱりその要件が満たせば当たるわけじゃないですか。
私も、中学生というと何か保護しなくちゃと思うんですが、十六歳未満って高校一年のときもあるんですよね、高校一年生。例えば高校一年生、十五歳、十六歳未満の子と家庭教師が部屋でキスしちゃった。お母さんが見ていて、これ非親告罪ですから、あるいは公園で誰かキスしていた。そうしたら、それ訴えると、何と十年以下の拘禁刑になるんですよね。だから、性交渉というと、ううん、ハードルは高いけれど、キスをするとかいう、キスだってもちろん重要なことですが、これで強制わいせつで、答弁のとおり、十年以下の拘禁刑なんですよ。ですから、十把一からげにそれは刑法が適用されますから、いや、これちょっといいのかなというね。
アンネ・フランクの、アンネの日記のアンネ・フランク十三歳、ペーターとは三歳弱の差なんですよ。でも、もしあれが五歳差だったら、もしかしてキスをしたかもしれない。そうしたら、それって十年以下の拘禁刑になるのというので、私自身は年齢の引上げには賛成なんですが、強制わいせつにも入っちゃうので、十五歳と二十歳でキスして、これ十年以下の拘禁刑というのは、いや、これは本当に年齢差で、これは地位利用でやったらバツで、それだけでもう処罰すればいいと思うんですが、今後この法律が運用されていく中で、いろんなこと、本当に必要なものは処罰する、そうでない、いろんな性的自由やいろんなことをちゃんとやっていくという両方のことがとても必要ではないかと思っています。
今日は文科省の政務官から続けて来ていただいて、つまり今度の刑法は物すごく変わるわけですよね。同意というのが重要だと。そうすると、やっぱりちょっと文科省に頑張っていただきたい。性教育だけじゃなくて、もう同意って何、同意ってすごく重要、性的自由についても同意って何ということを本当に子供たちに、そして尊重するように教えないと、これ、刑法が単に作動していくだけでは駄目で、やっぱり変わらなくちゃ、みんなの意識が変わらなくちゃと思っているんですが、文科省としての決意を是非お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/125
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126・伊藤孝江
○大臣政務官(伊藤孝江君) お答えいたします。
文部科学省では、子供たちを性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための生命の安全教育の教材及び指導の手引を作成し、全国の学校での取組を推進しております。
その中で、性的同意につきましても、この教材の中で、児童生徒の発達段階に応じて、自分の気持ちも相手の気持ちも大切にし、相手が嫌だと言ったら相手の気持ちを受け入れること、望まない性的な行為は全て性暴力であることなどを示しており、これらを通じ、性的同意の大切さを理解できる内容としております。
また、この教材は、各学校の地域の状況などに応じて、内容の加除や改変を行った上での使用も可能としております。各学校の判断により、個別の具体的な例により性的同意について扱うことも考えております。
子供たちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないよう引き続き生命の安全教育を推進をし、性的同意の理解促進については関係府省の取組とも連携をして進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/126
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127・福島みずほ
○福島みずほ君 この刑法が抜本的に変わる中で、やっぱり同意ということをきっちり教えていかないと、教えるって変ですが、みんなが理解しないと大変なことになる、大変というか、問題が起きると思いますし、とても人権教育についても大事だと思うので、文科省、本当に頑張ってください。期待をしております。
男性、LGBTQ、障害者に対する性暴力で、今日は障害者の人たちに対する性暴力の件は和田議員、そして牧山議員、そしてこの間も随分質問が出たと思います。男性、LGBTQに対する性暴力は、なかなか本当にその実態調査、全体の中の一部分はあるけれど、なかなかきちっとされなかった。いろんな全体としての調査もこれからきちっとしていく必要がありますが、男性、LGBTQ、それから様々な障害を持っている人の障害者を対象とした更なる調査など、まさに必要だと考えます。
この点について、内閣府、法務省、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/127
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128・和田義明
○副大臣(和田義明君) お答え申し上げます。
性犯罪、性暴力は、個人の尊厳を著しく踏みにじる決して許されない行為であります。
内閣府におきましては、性暴力に関する調査として、統計法に基づく一般統計調査である男女間における暴力に関する調査、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターにおける支援状況に関する調査等を実施しており、これらの調査の中で、被害者の年齢、性別等の属性別の被害状況などの把握に努めてきたところでございます。
引き続き、性犯罪、性暴力被害の防止や多様な被害者の特性に配慮した適切な支援を提供するための施策の検討に資するよう、必要な調査の実施に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/128
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129・福島みずほ
○福島みずほ君 内閣府、是非頑張ってください。
とりわけ、私は、やっぱり調査が必要ではないか、男性も、いろんなのも少し特化した、LGBTQも含め、障害だと本当に複雑、複合差別がありますから、NGOの人たちの、複合差別の障害で女性の人たちの実態の調査は冊子になっているんですが、まだまだ少ないというふうに思うんですね。
ジャニーズ事務所の件がありましたが、私たちはやっぱり男性の被害についてすごく黙殺してきたんじゃないか。LGBTQの人たち、障害者の人たちについても、それぞれの特性に応じ、特性って変ですが、特色に応じたいろんな性暴力が起きかねないことについて、まだまだ知らない、実態にまだ触れていないんじゃないかというふうにも思っています。
是非、内閣府におかれましては、そういう調査も含め、また支援も含め、頑張ってくださるよう心からよろしくお願い申し上げます。
前回の法改正の附帯決議で、司法警察職員、検察官及び裁判官は研修を行うこととするという附帯決議が付きましたが、まだまだ研修等が不十分であるという声も聞きます。
とりわけ、男性や性的マイノリティーに対して偏見に基づく不当な取扱いをしないことを関係機関等に対する研修等を通じて徹底させることが更に必要ではないかと思いますが、内閣府、法務省、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/129
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130・和田義明
○副大臣(和田義明君) お答え申し上げます。
性犯罪、性暴力は、誰に対するものであれ、被害者の人としての尊厳を傷つけ、心身に深刻な影響を与えるものであり、被害者に寄り添った支援を提供することが重要と認識をしております。
内閣府におきましては、ワンストップ支援センターの相談員等に対する研修の中で、多様な被害者への相談対応に当たっての基本的姿勢や配慮を要する点などについて取り上げているところでございます。
引き続き、男性や性的マイノリティーの方々を含め、多様な被害者がためらうことなく被害を訴え、相談し、適切に支援を受け取ることができるよう、必要な研修を実施してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/130
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131・福島みずほ
○福島みずほ君 伝聞証拠の例外について、先ほど牧山委員から質問がありました。答弁があったんですが、条文は何の限定もしておりません。先ほど刑事局長は、伝聞証拠の例外について、いや、痴漢に遭った場合の子供や、こういう障害のある子供やというふうにおっしゃいましたが、条文は何の限定も付いておりません。
伝聞証拠の例外として、やはりこれは、今回の刑法改正、乗じて一気に伝聞証拠の拡大をしたんじゃないか。だって、条文は限定していないわけですから、いかようにでもこれ拡大してしまうんじゃないか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/131
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132・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) いわゆる伝聞証拠には原則として証拠能力が認められず、その理由につきましては、一般に、伝聞証拠が供述内容の真実性を吟味、確保するための要素を欠くことにあるとされておりますけれども、現行の刑事訴訟法におきましても、証拠としての必要性と信用性の情況的保障の強弱の兼ね合いによりまして、伝聞例外として証拠能力を認める要件が定められているところでございます。
改正後の刑事訴訟法第三百二十一条の三におきましては、証拠としての必要性に関する要件として、性犯罪の被害者等の供述であることを定めるとともに、信用性の情況的保障に関する要件として、司法面接的手法の中核的な要素である所定の措置が特にとられたこと、また聴取に至るまでの情況その他の事情を考慮し相当と認められること、また聴取の全過程を録音、録画すること、また訴訟関係人に証人尋問の機会を与えることを定めておりまして、これらの要件の兼ね合いにより、証拠能力を認める要件として十分なものとなっていると考えておりまして、伝聞例外の範囲を不当に拡大することとなるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/132
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133・福島みずほ
○福島みずほ君 いや、条文は全くそうなっていなくて、供述者の年齢、心身の状態その他の特性に応じ、供述者の不安又は緊張を緩和することその他の供述者が十分な供述をするために必要な措置となっているので、いかようにでもこれ拡大しちゃうんですよ。だって、この条文に当たれば適用されるわけで、刑法の改正に伴って、乗じて伝聞証拠の例外をこのように拡大することは極めて問題だということを申し上げ、私の質問を終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/133
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134・杉久武
○委員長(杉久武君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、臼井正一君が委員を辞任され、その補欠としてこやり隆史君が選任されました。
午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午後零時四分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/134
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135・杉久武
○委員長(杉久武君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、山崎正昭君が委員を辞任され、その補欠として藤井一博君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/135
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136・杉久武
○委員長(杉久武君) 休憩前に引き続き、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案外一案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/136
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137・佐々木さやか
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。
今回の刑法改正、主に不同意性交等罪についてまずお聞きしたいというふうに思います。
今回の刑法改正では、これまで強制性交等罪というものだったわけですけれども、それを不同意性交等罪に変えるという改正でございます。
私は、先日も申し上げたんですけれども、この罪名、いわゆる条見出しですね、これにやはり不同意という、不同意性交という名前にすべきだというふうにかねてから申し上げておりました。これは、罪の本質を端的に表すという観点からも適切でありますし、やはりこの条見出しというのは、広く社会に対して、国民に対して、こういう罪だということで広く認識をしていただくものでありますから、やはり分かりやすいというものが重要であるというふうに思います。そういった観点から、かねてから申し上げてきたこの不同意性交等罪という形に条見出しが整理をされたということは評価をしております。
この刑法の従来の強制性交等罪といった性犯罪の保護法益というのは、今日、福島委員からもお話がありましたけれども、個人の性的自由に対する罪であるわけであります。ですから、この性的自由というのは、性的行為を行うかどうか、誰を相手として、パートナーとして行うかどうかということに関して自分で決めるということが、それが自由として保障されるわけであって、それを侵害する罪であると。これは、法制審での議論の中でもこの犯罪の本質ということが今回改めて整理をされて明らかになったということは、非常に良かったことだというふうに思っております。
というのも、ほかの委員からも御指摘があったように、これまでの裁判例の中には、被害者がその性的行為について同意していなかったと、不同意であったということを明らかに認定しているにもかかわらず、いわゆる暴行・脅迫要件の不存在ということで無罪としてきた件が少なくなかったからであります。それは、やはりこの犯罪の本質というところに照らすと、私は適切ではなかったんではないかなと思います。ですから、今回の法改正というのは、本来処罰されるべき、的確に処罰されるべき範囲をしっかりと的確に処罰をするための改正であるというふうに思います。
ですので、この条見出しを不同意性交等罪に変えたということは、従来の強制という言葉よりも、より罪の本質を適切に表しているのではないかと思っておりますが、それについてどのようにお考えか。
それから、先ほども申し上げたように、従来の裁判例の中には、被害者が不同意であったにもかかわらず、暴行・脅迫要件がないということで無罪にした例がございました。やっぱりこの暴行、脅迫によってという構成要件でありましたので、そこが存在するかどうか、そこがいわゆるメインの構成要件のような形で判断がされてきていたんじゃないかなと。
この暴行、脅迫の程度がどうだったかということが判断の中心になっていたのではないかというふうに思っているんですけれども、この改正によって、この暴行、脅迫という文言はもちろん残っておりますけれども、これは例示的な困難事由の一つであって、そういった例示された困難事由によって、被害者本人の同意しない意思の形成、表明、全うが困難であったか否かということが今回中核的な構成要件とされたわけであります。
ですので、この中核的な構成要件である被害者本人の同意しない意思の形成、表明、全うが困難であったかどうか、そこが注目されるという点で、私は、この被害者が同意していたのかどうかという点が今後裁判においてより判断の中心になるのではないかと、このように考えております。
こういった点について法務省はどのように考えているか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/137
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138・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
御指摘のとおりでございますけれども、現行の強制わいせつ罪、強制性交等罪の暴行又は脅迫を用いてとの要件ですとか、準強制わいせつ罪、準強制性交等罪の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じといった要件につきましては、判例上の解釈として、抗拒を著しく困難にさせる程度であることを要するとされていることなどから、これらの罪の成立範囲が限定的に解されてしまう余地があるとの指摘があり、安定的な運用を確保する観点からは、処罰すべき行為を適切に捕捉しつつ、構成要件該当性の判断にばらつきが生じない規定とする必要があるという問題意識がございました。
そこで、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難という文言を用いて統一的な要件として規定し、その状態の原因となり得る行為や事由を具体的に列挙することとしているものでございます。
その趣旨というか心ですけれども、この法律案は、自由な意思決定が困難な状態で性的行為を行うことが性犯罪の本質的な要素であるという考えの下で、先ほど申し上げましたように、その構成要件を改めまして、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態であることを中核的な要件として定め、その状態の原因となり得る行為や事由を具体的に列挙するということとしておりまして、このように同意しない意思という文言を用いた要件とすることに鑑みまして、それを罪名についても不同意性交等罪とすることとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/138
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139・佐々木さやか
○佐々木さやか君 次に、障害のある被害者の方に関して質問をしたいと思います。
この点についても、前回、また今日の質疑でもほかの委員の皆さんからも御指摘があったところでございまして、多少重なるかもしれませんが、私からもお聞きしたいと思います。
障害のある方が性暴力被害に遭うということについて、正直なところ、前回のこの刑法の性犯罪の改正の時点では、まだ社会の認識としてもそこまで障害を、障害のある被害当事者の皆様に対する認識というのがまだまだなかったのではないかなと、法務委員会の議論の中でもこういった論点というのは余り出てくることがありませんでした。
そこから今回の改正までの間に、被害当事者の皆さん、そして支援団体等関係者の皆様の御努力によって、障害のある被害者の皆さんに対する性犯罪、性暴力の、性犯罪の成立に関する議論というのが活発に国会でもなされるようになったということは、本当に大きな前進であるというふうに思います。改めて、皆様の御努力に敬意を表したいというふうに思います。
障害のある方に対する性犯罪ということについての成否の構成要件の確認の議論等、今日もございましたけれども、私の方でまずお聞きをしたいのが、百七十六条の二項でございますけれども、この二項というのは、行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じてわいせつな行為をした者も前項と同様とするということでありまして、このわいせつなものではないとの誤信というところですね。
障害というのもやはり人それぞれの状況がありますし、障害の程度というのも様々であると思いますので、一律にということはやっぱり難しいと思うんですが、障害があることによって誤信をしやすいという方もいらっしゃるかもしれませんし、他方で、障害が中度若しくは重度ということでこの誤信までもすることができない、そもそもその行為自体のわいせつ性ということが分からない、わいせつという概念自体を認識できないという状態にある場合もあるというふうに思います。
そういった場合には、この二項の誤信、わいせつなものでないとの誤信という要件についての適用はどのようになるのかという点。それから、仮にそういった誤信ということまでは当たると言えないということでこの二項に該当しない場合には、ほかに百七十六条の一項一号というものがあるわけですけれども、失礼しました、一項の二号があるわけですけれども、この二号に当たるということで犯罪が成立し得るのかということ。これについて確認をまずさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/139
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140・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
改正後の刑法第百七十六条第二項、第百七十七条第二項の行為がわいせつなものではないとの誤信というのは、現に行われようとしている行為がわいせつ、すなわち性的性質、性的意味を有するものであるのに、そうではないという錯誤があることを意味するものでございまして、典型的には、例えば真実はわいせつな行為であるのに医療行為であると誤信している場合などがこれに当たりますけれども、お尋ねのように、真実はわいせつな行為であるのに、知的障害等の影響により性的な性質、性的意味のない行為であると誤信している場合も含むものでございまして、そのことに乗じて性的行為を行った場合には、改正後の刑法第百七十六条第二項、第百七十七条第二項に該当し得ると考えております。
また、知的障害等のある被害者が、どのような行為がわいせつか自体を理解ができないほど障害の影響が大きく、心身の障害があることにより性的行為に同意しない意思を形成等することが困難な状態である場合には、そのような状態に乗じて性的行為を行ったときには、御指摘のとおり、改正後の刑法第百七十六条第一項、第百七十七条第一項に該当し得ると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/140
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141・佐々木さやか
○佐々木さやか君 次に、八号ですね、この百七十六条一項の八号についても確認をさせていただきたいと思います。
この八号というのは、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していることという要件なわけでありますけれども、障害のある被害者に関して言うと、例えば施設の職員、常日頃介助等をしてもらっている職員の方との関係で、この経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力というのが問題になり得るというふうに思います。
この不利益の憂慮という部分が問題になるわけですけれども、先ほど、ほかの委員の方からの答弁の中で、刑事局長がこの憂慮というのは不安に思うということだというふうにおっしゃいました。この不安に思うということであれば、例えば小学生の子供だったとしても、例えば親と離れることに不安を思うとか、そういったことはあると思いますので、比較的この、何というか、認定のハードルは低いのかなというふうにも個人的には思ったんですが。
ですから、その方のやはり障害の程度に応じてこの不利益の憂慮に当たるかどうかを結論としては判断することにはなるんですが、ただ、その不安に思うということが認定できて、憂慮ということが認定できる場合もあると思いますし、ただ、やはり重度の知的な障害等によって不安に思うかどうかというところまで観念することが難しいとか、そういった場合もあるというふうに思います。その場合のこの一項八号の適用というのはどのようになるんでしょうか。
そして、仮にこの八号の適用がないような場合、場面があったとして、そのようなときに、先ほど申し上げた介助者等施設職員のような方との関係で、被害者の方がその相手から言われたことは従うものだというような形で思っている場合に、ほかの号、例えば一項二号というようなことで犯罪が成立する場合があり得るのかということについて確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/141
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142・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
犯罪の成否は、個別の事案ごとに具体的な事実関係に基づいて判断されるべき事柄ではございますけれども、例えば今御指摘いただいた事案のように、不利益を憂慮することができないほど障害の影響が大きい方、あるいは、不利益を憂慮するのではなく、施設職員の言うことには従うものだと思い込んでしまうほど障害の影響が大きいという方など、その心身の障害によって性的行為に同意しない意思を形成すること自体が困難な状態にある場合に、その状態にあることに乗じて性的行為を行ったときには二号の方に該当するのかなというふうに考えられまして、行為者に故意が認められるのであれば、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪が成立し得ると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/142
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143・佐々木さやか
○佐々木さやか君 今回の改正法案というのは、先ほどから申し上げているこの百七十六条一項二号の中に心身の障害という文言が入ったということ、これ自体、先ほど申し上げているような、障害のある方が性犯罪、性暴力被害に遭うというこの事実について直視をしたものとして、私は前進であるというふうに思っております。
ただ、この立法過程において、障害当事者の方から直接御意見を聞く場が不足していたとか、障害のある被害者に関する十分な調査というものが必ずしもなされていなかったんではないかという御指摘もあるわけであります。今回の改正は前進であるというふうには思っておりますけれども、この改正案が成立したとして、その施行後、障害のある当事者の方々への犯罪について適切に、的確に処罰が実現されているかどうかということ、これは今後もしっかりと見ていく必要があるというふうに思っております。
また、障害のある当事者の支援団体の皆様などからは、障害のある被害者の方に特有の事情に配慮した公訴時効の延長、また廃止ということ、この必要性も指摘をされているところであります。今日も何度も答弁がありましたとおり、なかなかそれを類型的に一律に規定をするというのは難しいという法制審での議論を経てそういった結論に至ったということではありますけれども、ただ、正直、本当に十分な調査がなされてきたのかと、この日本の社会においてというと、私は疑問がやはりあると思います。
ですから、やっぱりまずはこの障害のある被害者の方への性暴力、性犯罪の実態ということについてしっかりと調査をして、また研究をしていただいて、今後の見直し等にも向けて法務省としても取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/143
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144・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
障害のある方に対する性犯罪の処罰について、またその公訴時効の期間の在り方についてということで御指摘ありまして、これまでも御答弁申し上げていたとおりの考え方によって、今回の法律案におきましては、処罰という点に関しては、先ほど来御説明した構成要件において適切に対処できるのかなというふうに思っておりますし、公訴時効の点がなかなか難しいということについては申し上げたとおりでございます。
また、ここに至るまでに十分な調査がなされていなかったのではないかという御批判は、これはこれとして受け止めたいと思いますけれども、ここに至るまでには、性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループですとか性犯罪に関する刑事法検討会などにおきまして、被害に遭った御本人ではないんですけれども、性被害、性犯罪被害に遭った障害者の御家族ですとか、その支援者の方々とかからもお話を伺ったという経緯はございましたが、それでもやはり、まだいろいろ調べるべきこと、調査すべきことがあるという御指摘だと受け止めております。
いずれにいたしましても、本法律案につきましては、衆議院における御審議の結果、附則が修正されまして、政府において施行後五年を経過した場合に施策の在り方について検討を加えること、より実証的な検討となるよう、性的被害の申告の困難さその他性的な被害の実態について必要な調査を行うことが定められるなどしておりまして、法務省といたしましては、こうした御審議の結果を踏まえて、本法律案が成立した場合には、関係府省庁とも連携し、適切に対応してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/144
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145・佐々木さやか
○佐々木さやか君 先ほど確認していただいたとおり、構成要件の上でも、障害のある被害当事者の方が不利益を受けるような状況にはないということは私も理解をしておりますので、これが適切に運用されれば的確な処罰がされるものというふうに認識はしておりますけれども、そのためにも、障害のある方々に関する私たちの認識というものももっと正確にすべきですし、もっと理解を深めるべきだなということも私自身思うところがございます。
ですので、この法の運用が的確にされるためには、やっぱり国民一般に対する啓発というものも必要かもしれませんし、そういったところは是非関係省庁とも連携をしていただきながら、法務省も取り組んでいただければと思います。
次に、障害のある方に関する問題は以上でございますけれども、今回の改正で設けられましたこの八つの困難事由の例示等について、幾つか確認、質問をさせていただこうと思います。
前回の法務委員会では、参考人の皆さんをお呼びをして、御意見等非常に有益な御指摘をいただいたというふうに思っております。その中で、小西聖子参考人からは、被害者の心理というところについて専門的な知見を教えていただいたわけでございます。
小西参考人からは、被害者というのは、そのときに徹底的に抵抗するという方は臨床でもほとんど見たことがないと、海外文献でも少数派であるし、全く何もできない人というのも、どの研究でも一、二割いるというような御指摘でありました。
また、心理学的、精神医学的観点から被害者の心理を説明いただいたわけですけれども、例えば、やはり恐怖感、声を出したら殺されるのではないか。ですから、助けてとか嫌だとかということを大声で言うということはむしろ難しいのではないかと私は思いましたけれども。また、抵抗、誰か来てくれるとは限らないですし、抵抗しても逃げられない。また、諦めという心理もあるそうであります。しばらく抵抗していても、どこかで諦める人が多いと。体力差が大きいときには、人はそれほど長いこと抵抗はできないという御指摘もございました。
また、それに加えて、被害当事者の皆様から以前から御指摘いただいていますいわゆるフリーズという、人は、命の危機、身体の重大な危機に直面したときにはこのフリーズ現象というのが起こるんだということ。こういった実際の被害の実態というものが明らかになってきているわけであります。
こういった被害の実態というのは、今回の法改正でどのように構成要件に考慮をされているんでしょうか。こういった被害の実態ということを踏まえて的確に処罰されるということでよろしいか、確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/145
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146・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
改正後の刑法第百七十六条第一項、百七十七条第一項においては、暴行又は脅迫が被害者の抵抗を著しく困難にさせる程度のものであったかどうかによって犯罪の成否を画するのではなく、被害者の意思決定過程と客観的な状態に着目して犯罪の成否を画することとしております。
すなわち、同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態のうち、まず、同意しない意思を形成することが困難な状態とは、性的行為をするかどうかの判断、選択をする契機や能力が不足し、性的行為に同意しないという発想をすること自体が困難な状態を、また、同意しない意思を表明することが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を形成すること自体はできたものの、それを外部に表すことが困難な状態を、そして、同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、性的行為をしない、したくないという意思を形成したものの、あるいはその意思を表明したものの、その意思のとおりになるのが困難な状態をそれぞれ意味するものでございます。
御指摘のように、恐怖心から抵抗できなかったり途中で抵抗を諦めたような場合でございましても、抵抗が著しく困難でなかったとして犯罪が成立しないことになるものではなく、改正後の刑法第百七十六条一項各号に列挙した行為、事由、又はそれらに類する行為、事由に該当した上で、それらにより同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態であれば、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪が成立し得ることとなります。
御指摘のような、そのフリーズのようなことにつきましては、六号で、予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させることなどの要件にも反映しているところでございまして、こうした条項によりまして、現行法の下でも本来なら処罰されるべき同意していない性的行為がより的確に処罰されるようになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/146
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147・佐々木さやか
○佐々木さやか君 従来の強制性交等罪の裁判における認定というのは、やっぱり被害者が抵抗してなかったということは、被害者が同意していたのではないかという方向に流れやすい、認定が流れやすい状況にあったと思いますし、そもそものこの暴行・脅迫要件ということの認定もやはり否定される方向にあったわけであります。
それが、実は、徹底的に抵抗する人というのはもうほとんどいないと、多くの方々がむしろ抵抗できないんだということ、もうこれは残念ながら従来の裁判の中では認識されていなかったんではないかなと、私はそのように思っています。ですから、本当に、何といいますか、今回の改正を通じての被害者心理の、何というか、被害者心理を踏まえた議論というのは非常に重要なものであったと思いますし、この点に対する正しい理解というものをしっかり法曹関係者、そして国民の皆さんに御理解をいただく必要があるというふうに思います。
それから、参考人の島岡参考人からは、このような御意見といいますか指摘がございました。
今回の法改正は、一旦不同意を表明しても相手の圧力に屈して恐怖の念から諦めてしまった場合でも、全うすることが困難な状態での性行為ということで性犯罪になり得ると。被害者救済の観点からは評価する旨の御意見、御指摘があったんですけれども、このような理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/147
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148・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
改正後の刑法第百七十六条一項、第百七十七条一項の同意しない意思を全うすることが困難な状態につきましては、先ほど御説明したとおりでございまして、お尋ねのように、同意しない意思を形成し表明したものの、その後、相手の圧力に屈して恐怖心から諦め性的行為をされてしまったという場合についても、同意しない意思を全うすることが困難な状態かどうかということが問題となり、例えば性的行為をしたくないと言えばやめてくれると予想してその意思を表明したものの、予想と異なってやめてくれず、かえって高圧的な態度で強く要求してきたため、このような状況に直面して恐怖したことによってこの状態、すなわち、同意しない意思の全うが困難な状態に陥り、性的行為をされてしまったというような場合には、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪の処罰対象となり得ると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/148
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149・佐々木さやか
○佐々木さやか君 ありがとうございます。
抵抗を諦めても同意じゃないんだということ、これはもう本当に被害者の心理学の観点からも明確に専門家が指摘しているわけでありまして、それにのっとった構成要件、刑法の改正になるというふうに理解をいたしました。
次に、ちょっと細かい点かもしれませんけれども、幾つか確認をしたいと思います。
今回の法改正による新しい構成要件というのは、不同意であったかどうかということが、この例示されている八つの困難事由によって客観的状況から判断されるということだと理解をしておりますけれども、例示としてこの八つがあると。このどれか一つだけに当たるという場合もあるかもしれませんけれども、幾つかの事情に当たるという場合もあると思います。ですので、幾つかが考慮されて不同意かどうかが認定される場合もあるということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/149
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150・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 御指摘のとおりでございまして、改正後の刑法第百七十六条一項各号の行為、事由の具体的な適用関係につきましては、個別の事案ごとに証拠関係に照らして判断されるべき事柄ではございますが、同号に掲げる行為、事由は、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態になり得るものを例示列挙するものでございまして、いずれか一つの原因事由、行為によることを要件とするものではございませんので、事案によっては御指摘のように複数の行為、事由に該当し、それらによって同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態であると認められる場合も当然あり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/150
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151・佐々木さやか
○佐々木さやか君 ありがとうございます。
具体的な事例についての判断は裁判官の法的な判断になるわけですけれども、恐らくこの一から八、幾つか該当し得るなと。その該当する中で総合的に考慮をされて、その方が不同意の意思が形成、表明、全う、同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難だったかどうかということが判断されるのかなというふうに理解をいたします。
それから、百七十六条一項一号には、暴行、脅迫を用いること又はそれらを受けたことという要件がありますけれども、この暴行・脅迫要件については、従来と異なり、程度は問わないというふうに答弁を既にしていただいているというふうに思います。
確認ですけれども、程度を問わないということは、従来の強制わいせつ罪の要件とされている程度の暴行、脅迫も、不同意性交等罪の暴行、脅迫に含まれるということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/151
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152・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
御指摘のとおり、程度は問わないということでございまして、改正後の刑法第百七十六条第一項第一号の暴行は、人の体、身体に向けられた不法な有形力の行使をいうもので、脅迫は他人を畏怖させるような害悪の告知をいうものでございますけれども、いずれもその程度を問いません。
したがって、現行法の強制わいせつ罪における暴行又は脅迫に該当するものを含め、ただいま申し上げた定義に該当する行為であれば、改正後の刑法第百七十六条第一項第一号の暴行又は脅迫に該当することになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/152
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153・佐々木さやか
○佐々木さやか君 ありがとうございます。
東京高裁の平成二十六年九月十九日という裁判例がございます。これは、一審と二審で、暴行・脅迫要件の認定、存在、存否について判断が分かれた事案なんですね。一審は暴行・脅迫要件の存在を認めたんですけれども、二審はこれを認めませんでした。そのために無罪となったわけであります。
この高裁がどのように言っているかというと、強姦罪が、当時は強姦罪だったわけですけれども、成立するためには、その手段である暴行はあくまでも性交についての抵抗を著しく困難にする程度のものでなければならず、その意思に反するものでは足りないというふうに言っておりまして、非常に暴行、脅迫、手段としてのこの暴行、脅迫を非常に私の評価では狭く解釈をして、認めなかった例であるなというふうに思っております。
ちょっと具体的な内容について詳細にこの場で御紹介することは省略をいたしますけれども、今回のこの法改正の議論を通じて理解を深めた上で、この裁判例の、何というか、認定された事実を見ると、これはやっぱり処罰されるべきではないかなと、これはやっぱり被害者の不同意の意思を形成する、形成、表明、全うの中に困難があったんじゃないかなというふうに私は強く思う事案なんですね。
当時、この被害者の年齢が十五歳ということでしたので、改正法によっては性交同意年齢が上がりますので、その段階でアウトなわけではありますけれども、やっぱり、何といいますか、暴行・脅迫要件というものの残念ながら弊害の典型だったんじゃないかなというふうに私は思っている裁判例であります。
こういった事案についての判断が分かれたという一つの例でありますけれども、今回の改正によってこういった裁判所の判断というのはどう変わっていくのかということについて教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/153
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154・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 本法律案は、現行刑法の強制性交等罪や準強制性交等罪などにつきまして、性犯罪の本質的な要素である自由な意思決定が困難な状態で性的行為が行われるという点を、同意しない意思を形成、表明若しくは全うすることが困難な状態という中核的な要件として定め、その状態の原因となり得る行為や事由を具体的に列挙することとしているものでございます。
そのような行為、事由の一つである暴行又は脅迫については、先ほども申し上げましたとおり、程度を問わないこととしておりまして、抗拒を著しく困難にさせる程度のものであることは必要ではなく、暴行又は脅迫があったのにその程度が著しくないために要件に該当しないということにはなりません。
そして、改正後の刑法第百七十六条第一項、第百七十七条第一項は、同意していないこと、すなわち被害者の内心そのものを要件とするものではなく、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態という客観的、外形的な状態によって犯罪の成否を画する要件としております。
したがいまして、改正後におきましては、この状態かどうかが問題となるのであり、御指摘のように、暴行又は脅迫の有無や程度によって処罰するか否かが分かれるという事態、有無、有無は必要ですけれども、済みません、程度によって処罰するか否かが分かれるという事態は生じないと考えられまして、現行法の下でも本来なら処罰されるべき同意していない性的行為がより的確に処罰されるようになると考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/154
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155・佐々木さやか
○佐々木さやか君 ありがとうございます。
今紹介したこの東京高判の事例なんですけれども、被害者は十五歳、当時十五歳の小柄な女子、中学三年生だったと、被告人は当時二十五歳の成人男性だったと。これは高判、事実認定している中から紹介しているんですけれども、今回の法改正を踏まえると、性交同意年齢のことを、五歳差要件のことを考えても、これで対等な関係で性的同意が得られているというのはとても私は思えないと思いますし、こういった、ちなみに場所も夜間の小学校の校内ということで、もちろんこの二人の関係性について詳細は、私そこまでは確認していませんけれども、一般的に考えて、なかなか真摯な同意が得られていたというふうには感じられない。
この性的な行為というのは、一般的に言って、よほどの信頼関係がある当事者間でないと行われないというふうに思いますし、やっぱりそこを出発点として、社会の認識も、裁判所の判断、運用も行っていただきたいなと。今までは、何となく、仮に嫌だったとしても暴行、脅迫がなければいいんだというような、簡単に言うとそういう傾向にあったのではないかと、実際に不同意だったのに罪に問えなかった例があるわけですから。そうではなくて、そもそもこの性的な行為というのは、よほどの信頼関係のある当事者の間でしか真摯な同意というのはないんだということを私は出発点にすべきではないかなと。これは、刑法の適用云々というよりは、広く社会における性的同意に関する認識ということになるかなと思うんですけれども。
ですので、この今回の刑法の改正というのも、今後、日本の社会における性的同意という問題、これに対してしっかりと国民一般も含めて理解を深めていくということが非常に重要だというふうに思っております。
そこで、内閣府さんにお越しをいただいておりますけれども、この性的同意ということに関して、その定義ももしかしたら多少様々かもしれませんけれども、これに関してやはり正しい理解をするための社会一般における教育、また啓発ということ、これは極めて重要であるというふうに思っておりますが、今後、従来の取組もあると思いますけれども、それも含めて今後どう取り組んでいくのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/155
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156・畠山貴晃
○政府参考人(畠山貴晃君) お答えいたします。
内閣府においては、これまで、女性に対する暴力をなくす運動や若年層の性暴力被害予防月間といった機会を通じまして、相手の同意のない性的な行為は性暴力であることの啓発に努めてきました。また、本年三月に取りまとめた性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針において、相手の同意のない性的な行為は性暴力であること等の認識を社会全体で共有し、性犯罪、性暴力の根絶のための取組や被害者支援を強化していくこととしたところです。
この上で、この相手の同意について分かりやすく周知啓発していくことは、性暴力の被害の予防だけではなく、加害の防止の観点からも重要と認識しております。
内閣府としては、例えば、性犯罪、性暴力について説明するホームページにおいて、いつどこで誰とどのような性的関係を持つかはあなたが決めることができますというメッセージを発信するなどしているところです。
引き続き、社会全体への啓発の在り方について検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/156
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157・佐々木さやか
○佐々木さやか君 是非、効果的な啓発の方法について検討、研究をしていただきたいと思います。
内閣府さんは、これまでも、相手の同意のない性的な行為というのは性暴力であるという啓発を行ってきていただきました。
ただ、じゃ、今回の改正を契機に、きちんとした性的同意が取られていなければ当然ですけれども性犯罪なわけですから、それがより明確になりますから、一般の国民の皆様も関心があると思います。じゃ、性的同意ってどうやって取ればいいのというところに関心を持たれると思いますので、じゃ、具体的にどういうコミュニケーションを取っていったらいいのかということ、これについて正しい理解をできるような是非啓発を、研究、取り組んでいただきたいと思います。
そういったことというのは、まだまだ日本において十分な学術的な研究等はないかもしれませんけれども、ほかの省庁ではなかなかできないことですので、やっぱり内閣府さんがこれまでの知見を活用して、この際、是非しっかりとしたものをつくっていただきたいというふうにお願いをしておきます。
文科省さんにもお越しをいただいております。
ほかの委員の先生方からも御指摘ありましたけれども、やっぱり学校でいわゆる包括的性教育、包括的な人権教育を含めた性教育をやってほしいというお声が非常に大きいです。先生方は非常にお忙しいですし、今大変だということを私も十分理解をしておりますけれども、この刑法の改正も踏まえて、契機として、性交同意年齢の引上げ等もございますので、是非、この性的同意に関する正しい理解をするための子供たちへの教育という問題、取り組んで、積極的にお願いしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/157
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158・里見朋香
○政府参考人(里見朋香君) お答えいたします。
文部科学省では、子供たちを性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための生命の安全教育の教材及び指導の手引を作成し、全国の学校での取組を推進をしております。
児童生徒の発達段階に応じまして、幼児期から高校卒業前、大学、一般までの教材を作成しているところでございますが、例えば中学校の教材では、心の距離感としまして、自分の気持ちも相手の気持ちも大切にし、相手が嫌だと言ったら相手の気持ちを受け入れること、また、相手が恋人や家族、顔見知りだったとしても、望まない性的な行為は全て性暴力であること等を示しておりまして、これらを通じまして性的同意の大切さを理解できる内容となっているところでございます。
この教材につきましては、各学校の地域の状況などに応じまして、内容の加除や改変を行った上での使用も可能となっておりますので、各学校の判断によりまして、個別の具体例により性的同意について扱うということも考えられるところでございます。
文部科学省といたしましては、引き続き生命の安全教育を推進いたしまして、性的同意の理解の促進につきましては、関係府省の取組とも連携をしっかりしながら取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/158
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159・佐々木さやか
○佐々木さやか君 ありがとうございます。
子供たちを守るためにはやはり非常に重要でありますし、相手を尊重するとか、やっぱり広い意味での人権教育ですので、やっぱり重要だろうなと思います。ただ、学校の先生が御自身でするのが大変ということもあると思いますので、ほかの分野でもあることですけれども、外部専門講師の方と連携をしていただくとか、先生方の過度な負担にはならないようにいろいろと工夫をお願いしたいと思います。
また、質問はしませんけれども、学校での教育ということを今日はお聞きしましたけれども、先ほど申し上げたように、国民全体に対してやっぱりこの性的同意に関する正しい理解というのは深めていただく必要があると思いますので、社会教育の分野とかそういったところでも、生涯教育等の中でも取り組んで是非いただきたいと思います。
あとは、私自身の意見としては、学校の教育でも頑張ってほしいんですけれど、やっぱり地域での教育ということも大事かなと。民間の中で性的同意について様々研究をされて、発表して活動されていらっしゃる有識者の皆さんも多くいらっしゃいますので、そういうところと連携をしながら、希望すれば適切な教育が地域の中で、社会の中で受けられるようにということも重要ではないかというふうに思っています。
次に、最高裁にお聞きをしようと思います。
今日の質問の中でも私も何度か申し上げておりますけれども、従来、例えば刑法の基本書の中でとか、それから司法試験の中で、また司法研修所の研修の中で性犯罪被害者の方々の被害時の心理について勉強する機会があったかといったら、正直なかったと思いますので、やっぱり正しい事実認定を行っていただくためには、この被害者の心理ということを十分理解をしていただく必要があるというふうに思います。
この改正法が成立をいたしましたら、当然、改正内容について裁判所におかれても御理解をいただくというふうに思いますけれども、この被害者の心理というところ、また性的同意というのはどういうものなのかということ、先ほど申し上げたような、被害者が途中で抵抗を諦めたとしてもそれは同意ということではないということですとか、そういったことに関する正しい理解を深めるための裁判官への研修の機会、これは非常に専門性を高めていただくために重要だと思いますので、是非徹底をしてお願いしたいと思います。
お聞きしている話では、これまでも、前回の改正を契機に裁判官への研修の機会があると。もちろん強制はなかなか難しいと思いますけれども、基本的には任意ですから、忙しければ参加をされてない裁判官もいらっしゃるというふうに思います。
できる限り全ての刑事裁判に関わる裁判官が参加ができるように様々運営も工夫をしていただきたいと思いますし、これについて専門性を高めていただく必要性というのも是非最高裁としても積極的に、何といいますか、後押しをお願いしたいというふうに思いますが、今後の取組等について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/159
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160・吉崎佳弥
○最高裁判所長官代理者(吉崎佳弥君) お答え申し上げます。
被害者の心理等に関する裁判官への研修の在り方についてお尋ねでございます。
まず、従前の取組といたしましては、これまでも司法研修所におきまして、刑事事件を担当する裁判官を対象として、性犯罪の被害者の心理にお詳しい精神科医あるいは臨床心理士の方や、性犯罪被害者御本人を講師としてお招きして、被害時における被害者の心理状態や被害後の精神状態などについて理解を深める研修を行うなどしてきてございます。
また、今の司法研修所は全国レベルでございますけれども、各高裁、高等裁判所単位におきましても、広く管内の裁判官や職員などを対象として、被害者の心理等について理解を深めることなどを目的とした研究会を毎年開催してございます。その中で、性犯罪被害者の心理と支援に関する専門家の講演や性犯罪被害者御本人を講師とする講演を行っております。
なお、これらの研修や研究会の結果につきましては、御指摘のとおり、全員があまねく参加できるわけではございませんけれども、それの代替措置としまして、刑事事件を担当する全ての裁判官に対して結果の概要などを周知する形で広めているところでございます。
今後の取組でございますけれども、最高裁判所といたしましては、委員御指摘のとおり、性犯罪に直面した被害者の心理等をよく理解し、適切に審理、判断を行うことが重要であると考えてございまして、法案が成立した場合には、改正法の趣旨、内容の周知を行うとともに、法の趣旨等を踏まえつつ、性犯罪被害者の心理等に関する研修を充実してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/160
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161・佐々木さやか
○佐々木さやか君 くれぐれもよろしくお願いいたします。
同様の趣旨のことは、捜査に当たっていただく警察官、それから訴訟を指揮、捜査の指揮を執る検察官においても同様でございます。構成要件の規定の仕方が変わりますので、当然、捜査の在り方、供述調書の取り方とか、その被害者に対して話を聞くときのポイントとかも変わってくると思いますので、是非、この被害者心理に関する理解を深める研修、それから、そういった調書を取る際のポイントとか、様々この専門性を深めていただくための研修ということを警察庁、また法務省におかれてもお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/161
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162・親家和仁
○政府参考人(親家和仁君) お答えいたします。
警察庁におきましては、改正法が成立した場合は、速やかに各都道府県警察の性犯罪捜査の指導担当者を集めまして、改正法の内容や趣旨等に関する研修を実施する予定でございます。各都道府県警察に対しても、この研修を受け、警察本部や警察署の捜査員等に対し改正法に係る研修を丁寧に行うよう指導することとしております。
また、警察におきましては、毎年、性犯罪の捜査等に関し様々なレベルの研修を実施しているところでございますが、こうした場におきましても、今回改正される部分の構成要件の解釈あるいはその適用について正しい理解が深まるよう徹底してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/162
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163・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
御審議いただいている性犯罪に関する二つの法案が成立した場合には、法務省といたしましては、まずは検察当局に対して改正の趣旨や内容について速やかに周知してまいりたいと考えております。
その上で、法務・検察におきましては、これまでも検察官に対して、経験年数等に応じた各種研修の一環として性犯罪被害者の心理に精通した専門家の講義を実施してきたところでございまして、本法律案が成立した場合には、改正の趣旨、内容について、これが十分に共有され適切に運用されるよう研修の充実に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/163
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164・佐々木さやか
○佐々木さやか君 前回の刑法改正を機にそうした取組もこれまでも進めてきていただいて、大変有り難いことだなと思いますけれども、この改正を機により充実した内容になることを期待したいというふうに思います。
では、次に、性的姿態撮影等処罰法について幾つかお聞きをしたいというふうに思います。
まず、この制定、今回新しい法律を作るわけですけれども、その制定の趣旨について教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/164
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165・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
近時、スマートフォンなどを用いた下着などの盗撮事案や、強制性交等罪などの性犯罪の犯行時に被害者の姿態を撮影する事案等が多数発生しており、その被害は深刻なものとなっているという現状認識がございます。性的な姿態を撮影する行為や、こうした撮影行為によって生成された画像をほかに提供する行為などは、撮影対象者に重大な権利利益の侵害を生じさせかねないものであり、こうした行為等に厳正に対処し、生成された記録などの的確な剥奪を可能とすることが喫緊の課題となっております。
そこで、性的姿態撮影等処罰法案におきましては、性的な姿態を撮影する行為や、これにより生成された記録を提供する行為などに対する罰則を新設する、性的な姿態を撮影する行為等の犯罪行為により生じた物を複写した物などの没収を可能とする、検察官が保管している押収物に性的な姿態等の影像が記録されている場合に、行政手続として電磁的記録を消去したり押収物を廃棄することができる仕組みを設けるなどの法整備を行うこととしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/165
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166・佐々木さやか
○佐々木さやか君 この性的姿態撮影等処罰法の要件についてちょっと確認をしたいと思うんですが、この法律というのは、第二条で、正当な理由がないのにひそかに次に掲げる姿態等、ちょっと長くなるので、済みません、条文を読むのは省略をいたしますが、第二条でこの要件というものを規定をしております。その中で、第二条一項一号のイでは、人の性的な部位若しくは下着等についての撮影というものを定義をしていて、そしてロで、前項の、前のこのイに掲げるもののほかということで、わいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態というものの撮影を禁止しているわけであります。
このロのわいせつな行為ということの意味について確認をしたいと思います。わいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態の意味ですね。
といいますのも、今回の法律というのは、十三歳未満の子供について一律に撮影を処罰するという条文もございますが、刑法の性交同意年齢と同じように十三歳以上については五歳差要件を設けるなどしておりますし、子供たちをこうした性的な姿態の撮影から守るという観点でいうと、このロのわいせつな行為の解釈というのは大事なのではないかなと思っています。
具体的には、子供たちの間で大変深刻ないじめで、性的な行為をしているところを、性的な行為を強要して、そしてそれを撮影をする、また、それをネットで頒布をして非常に甚大な人権侵害を行うという事例も残念ながらあります。中には、いじめの対象者、いじめられているお子さんですね、に自分自身で性的な部位を触らせるということを強要する、そういった行為を撮影をするということもあり得るわけでありまして、こういったことも、何といいますか、許されざる行為として適切に対応していかなければならないのではないかと思うんですが、その関係で、この二条ロの構成要件について、どういう意味を持っているのかということを確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/166
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167・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
犯罪の成否は、個別の事案ごとに具体的な事実関係に基づいて判断されるべき事柄ではございますけれども、一般論として申し上げればですが、御指摘のように、被害者が自らの性器を触ることを強制され、その様子を撮影するというような行為が行われた場合は、撮影の対象として、性的姿態撮影等処罰法第二条第一項第一号イが定める性的な部位ですとか人が身に着けている下着が映るのが通常であると思われ、また、撮影の態様としても、同条第二号が定める暴行又は脅迫を用いるなどといったような不同意わいせつ罪と同様の所定の原因行為、事由により、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じての要件を満たす形で撮影行為が行われるのが通常であると思われます。そのため、御指摘のような撮影行為については性的姿態等撮影罪が成立し得ると考えられます。
また、仮に性的な部位や人が身に着けている下着が映り込まなかったとしても、同項第一号ロが定めるわいせつな行為とは、改正後の刑法第百七十六条のわいせつな行為と同じ意味であり、被害者に自ら性器を触ることを強制する行為はこれに該当し得ると考えておりますので、その場合には、御指摘のような撮影行為についてはわいせつな行為がされている間における人の姿態に該当し、性的姿態等撮影罪が成立し得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/167
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168・佐々木さやか
○佐々木さやか君 ありがとうございます。
新しい法律ですので、実際に現場で運用がされるときに、これはどうなんだろうというような分かりにくい部分があるかもしれませんので、これから恐らく様々な解説書なんかも出せるとは思いますけれども、今の御答弁の説明も一つの参考にしていただけるのではないかなと思っております。
あと、もう一つ確認をさせていただきたいのがこの法律の第五条という条文なんですけれども、この五条の第一項一号というのは、不特定又は多数の者に対して次の各号いずれかの掲げる行為をした者は罰するということで、一号は、正当な理由がないのに、送信されることの情を知らない者の対象性的姿態等の影像の影像送信をする行為としています。
ちょっとこれを聞いただけだと、なかなか日本語的に難しくて、どういう場合を想定しているのかということが若干分かりにくいので、この条文というのはどういう場面を想定して作られたものなのかということについて教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/168
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169・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
御指摘の性的姿態撮影等処罰法第五条第一項第一号において規定しておりますのは、不特定又は多数の者に対して一定の影像送信をする行為をした者を五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金又はその併科に処することとしておりますけれども、これは、いわゆるライブストリーミングと言われるような行為を想定しているものでございます。
その趣旨について申し上げると、性的な姿態の影像が意思に反して電気通信回線を通じて不特定又は多数の者に送信された場合、性的な姿態の影像がいわゆる記録されて提供されるという過程を経ていなくても、性的な姿態が不特定又は多数の人に見られるという重大な事態を生じさせる危険が現実化し、性的影像記録を不特定又は多数の者に提供する罪、この前の方にあるんですけれども、それや公然と陳列する罪などと同様に性的自由、性的自己決定権に対する侵害を生じさせると考えられますことから、これらの罪と同様に処罰することとするものでございます。
第五条第一項第一号の性的姿態等影像送信罪として具体的に想定しておりますのは、例えば、行為者が配信料収入を得る目的で、正当な理由がないのに、被害者に気付かれないように被害者が自宅で着替えるために全裸になる様子、姿態を多数の者にライブストリーミングで配信するといった場合が考えられるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/169
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170・佐々木さやか
○佐々木さやか君 御説明ありがとうございました。
今回の刑法改正、またこの性的姿態撮影等処罰法を含めた一連の改正というのは、被害者の皆さんの声を踏まえて、日本の性犯罪、性暴力に関する規定を大きく前進させるものとして、私は評価をしたいというふうに思います。ただ、宿題といいますか、幾つか今後の課題というものも残っておりますので、法務省始め関係者の皆様には、引き続き、法案成立後の施行の状況また様々な調査、検討等もしっかり行っていただくことを重ねてお願いをいたしまして、用意した質問が終わりましたので、以上で終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/170
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171・清水貴之
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之です。よろしくお願いいたします。
前回の委員会で質問させていただいた内容、精神科医ですとか心理カウンセラー、そしてその患者さんやクライアント、そういった関係について引き続き質問させていただけたらと思います。特に、陽性転移という状態になってしまっていた場合のことについて伺いたいと思います。
陽性転移によって患者が精神科医若しくは心理カウンセラーに対して恋愛感情のような気持ちを抱いてしまった場合、それにある意味付け込むような形で精神科医や心理カウンセラーが患者と性的関係を持つ、こういったことが可能になります。しかし、関係を持った後に、患者が冷静になりまして、はっと気付いて、陽性転移から目覚めたと。あれ、何をしてしまったんだ、私はという状態になったと。関係を持ったこと自体が不本意だと。うわあ、何てことをしてしまったんだということに、繰り返しになりますが、なったときに、そういって気付いて苦しむことがこれ往々にしてあるということなんです。これ、専門家の方からお話を伺わせていただきました。
こういったケースなんですけれども、性的関係を持った時点だけ見てみますと、これは恋愛関係にあるわけですね。ですから、外形上は同意を形成しているということにある意味なってしまうわけです。その証拠みたいなものとして、もしメールとかLINEとかやり取りをしていたら、そこで愛を語らうような、同意をしているような内容というのが送られていたら、それがある意味証拠になって、不同意ということではないと、同意を形成したということになるんですが、それ自体が後日、後になって不本意だということで、何というんですかね、取り消したいといいますか、当時の関係性や心理状況を考慮した場合、それも同意しないつもりだったんですと、そういった意思を形成、表明、全うすることが困難であったとみなすことができるのかどうかと、これをまずお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/171
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172・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 非常に難しい御質問でございまして、具体的には、多分、恐らくそれぞれの事実関係によるというお答えが一番正しいんだろうと思いますけれども、改正後の刑法第百七十六条第一項、百七十七条第一項の同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態という要件は、性的行為がなされるときの客観的な状態に着目した要件でございまして、被害者自身がそのような状態にあることを認識している必要はないというのが前提でございます。
例えば、性的行為がなされるときに客観的な状態として、心身の障害により性的行為をしないという発想をすること自体が困難な状態にあって、その状態に乗じて性的行為がなされたという場合には、被害者自身が今自分がそういう状態にあるということを特に認識していなくても、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪が認識し得るところでございます、成立し得るところでございます。
客観的に恋愛関係にあるかのような状態になっているというところについても、故意のお話をされているんだと思いますけれども、それも、例えば専門家の医師などで、今この人は陽性転移の状態になっているんだとか、あるいは、自分が用いた薬によってそういう影響に、そういうふうに思い込んでしまっているだとか、そういうことが認識できる状態だったのかどうかとか、そういったことによっても変わってくるのかなと思いますけれども、それに対しまして、性的行為がなされるときに客観的にそういう状態になかったということであれば、後になって気持ちが変わって不同意だったなというふうに思うようになったとしても、それは当然これらの罪は成立しないということになると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/172
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173・清水貴之
○清水貴之君 最初におっしゃったように、本当に非常に難しいなとも思うんですよね。
例えばですけれども、こういったことも考えられて、後になって例えば患者さんの方が、残念ながら恋愛がうまくいかなくなって振られてしまったような状態になった場合に、ある意味恨みを持って、あのとき私は同意していなかったのなんということも言うこともこれもできるわけですよね。だから、本当にこれ状況状況で難しいんですが、ただ、こういった可能性もあるんですよと、こういったことが実際に現場では起きていますよということを是非認識をいただけたらなというふうに思って、こういった質問を入れさせていただいています。
こういったことがありますので、これも前回大臣にもお聞きをしたんですが、そもそものところで、こういった関係になる可能性のある職業に対しては、最初から、同意のあるなしにかかわらず、もうこの罰が科されるというような状況にするべきではないかという話もあります。
先日の法務委員会では、ドイツやイギリスはそのような刑法がもう作られているわけですね。同意の有無にかかわらず、関係を持つこと自体が罪になるような法改正の可能性について質問させていただいたんですが、大臣からの、一定の地位にある者が行為をしただけで規律を作ることは困難であるという答弁をいただきました。
確かにこれも非常に難しくて、当時おっしゃったと思うんですが、確かに大学の先生と生徒さんとか、今回は精神科医の話ですが、一般の例えば内科のお医者さんと患者さんがそういった恋愛関係になっても、これはもう一般的に全くおかしくない話ですから、こういったことまで全部含めるというのはこれは不可能だろうというふうにもちろん思うんですが、ただ、やっぱりこういった精神科の先生とか心理カウンセラーの業界とかで、もちろん独自のその業界で倫理綱領などを設けていて、患者と性的関係を持つことは戒めてはいるんですが、ただ罰則規定とかはないという今状況なんです。
なので、そもそも業界、そうですね、ですから、公認心理師とか精神科を標榜するこういったお医者さんとかは、そもそも、イギリスやドイツのように関係を持つことが最初からもう駄目なんですよと、罪にこれはなってしまうんですよというところまで踏み込んだ方がいいんではないかと。いろいろさっきの話でもありましたとおり、非常に状況が複雑なので難しいですね、判断するのがというように私も思いますので、最初からそういう法に、ルールにしておいた方がいいのではないかと、こういった意見も聞いておりまして、これについてはどのように改めてお答えなられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/173
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174・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 本法律案におきましては、例えば、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させることによって、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせて性的行為をすることを不同意わいせつ罪、不同意性交等罪として処罰することとしております。
他方、御指摘のように、一定の例えば国家資格の職業などに限定をして不同意性交等罪などとして処罰する規定を創設するということにつきましては、御案内のとおりですが、同意しない意思の形成等が困難な状態と別に、そういった地位、関係性にある者が性的行為をしたというだけでこれらの罪と同じ法定刑での処罰対象とするような明確かつ限定的な要件を設けるということは非常に困難であるという上に、業務上、脆弱な立場にある人と接して、高い倫理性が求められる職業というのは精神科医などには限られないわけですけれども、どのような根拠に基づいて、どのような範囲の職業に限定するのかといった問題があると考えられます。
そのため、本法律案においては今のような規定にしているところでございますけれども、いずれにしても、本法律案につきましては、衆議院において附則の一部修正が行われて、政府において施行後五年を経過した場合に検討を行うこととされておりますので、その趣旨を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/174
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175・清水貴之
○清水貴之君 基本的には、もう八つの要件がしっかり列挙してあって、非常に進んだ法案になっているとは思っているんです。ただ、今申したとおり、皆さんも質問いろいろされているとおり、まだまだここがとか、ここをもう少し埋めていったらもっといい法案になるんじゃないかというところは思っておりまして、今おっしゃったとおり、五年後というのがありますので、こういった精神科医と患者さんの問題などについても是非引き続き見ていっていただけたらなというふうに思っています。
次の質問ですが、グルーミング行為、いわゆるグルーミング行為についてお伺いをします。
グルーミング、子供などを狙って、SNSなどで相談に乗って信頼関係を築いたり、公園などで声を掛けて親しくなる、スキンシップを装うなどの手口で始まるケース、こういったケースが多いということなんです。
これを踏まえて、今回は、改正案百八十二条で、わいせつ目的で若年者を懐柔する行為に係る罪というのが新設をされました。これ自体は非常に、またこれも一歩進んだ、今までなかった部分が入ったわけですから、非常に前向きだというふうに思うんですが、このグルーミングというのは、非常に、これもある意味、ネット空間で行われる行為の、SNSなんかでしたらネット空間になりますので、非常にまた分かりにくいとか複雑なところが、曖昧なところが出てくるのでないかと思っています。
幾つかケースをお聞きしたいんですが、まずは、加害者側からしますと、いろいろやり取りをした、声掛けをしたという中で、これ、今回はわいせつ目的というのが一つの要件ですので、いや、わいせつ目的ではなかったんですよと、決してそんなつもりはありませんでしたと、こういったある意味言い訳をするケースが出てくると思うんですが、こういったことに対してはどう判断をする。わいせつ目的かどうかというのは、明らかに書いてあったら分かりますけれども、そうじゃない場合、その辺は、やり取りする側も、今ネット業界で隠語があったりとか、もういろいろうまいこと頭使ってやったりもしていますので、どう判断するのかというのは、どのように対応していくのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/175
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176・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 改正後の刑法第百八十二条第一項のわいせつの目的は、これは面会の要求が性的な行為をする目的で行われることを要件とするものでございますが、このようなわいせつの目的という要件は、現行の刑法第二百二十五条のわいせつ目的略取誘拐罪においても要件とされているところでございます。
その上で、わいせつの目的の有無につきましては、個別の事案ごとに、例えば被告人と被害者とのメッセージやメールのやり取りの内容ですとか、被告人と、被告人というか犯人ですね、と被害者の具体的な行動の内容なども踏まえて判断することとなると考えられます。
現行法の下でも、刑法第二百二十五条のわいせつ目的略取誘拐罪が未遂にとどまった場合には、いまだわいせつな行為がされていませんので、わいせつの目的の有無が同様に問題となり得るわけでございますけれども、その場合においても、被疑者、被告人の供述だけではなくて、ただいま申し上げたようなものも含めまして、関係証拠から認められる事実を踏まえてその有無が判断されているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/176
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177・清水貴之
○清水貴之君 また別のケースとしては、十六歳未満というのがこれも要件ですけれども、これも知らなかったと、十六歳未満とはということも言う可能性がありますね。これは、知っていたのにうそをつく場合もあるでしょうし、本当に知らなかったと、相手側が十八歳ですよ、二十歳ですよと言っていた場合も、これも往々にしてよくあることですので、そういった場合はどのようにしてこの処罰要件を当てはめていくことになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/177
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178・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 改正後の刑法第百八十二条におきましては、行為者と被害者の年齢に関するまず客観的な要件として、被害者が十六歳未満であること、被害者が十三歳以上十六歳未満である場合には行為者がそれより五歳以上年長であることを要件としております。そして、同条の罪は故意犯ですので、主観的な要件として、行為者においてこれらの事実を認識していることが必要でございます。
お尋ねのような場合に、まず客観的な事実として、被害者が十六歳未満、あるいは被害者が十三歳以上十六歳未満である場合については行為者が五歳以上年長であることというこの要件が認められるのであれば、被害者が年齢を偽っていたか否かにかかわらず、年齢に関する客観的な要件は満たされるということになります。
その上で、主観的な要件として、仮に行為者において被害者が十六歳未満であるとは知らなかったと供述をしていたといたしましても、関係証拠に照らして、被害者が十六歳未満であることを、未必的にでもいいわけですが、認識していたと認められるのであれば、処罰対象となり得ると考えられます。
その一方で、関係証拠に照らして、行為者において被害者が十六歳未満であることを未必的にすら認識していたとは認められないという証拠関係であるならば、処罰の対象とはならないということになると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/178
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179・清水貴之
○清水貴之君 この改正案で百八十二条が入ったことによって一つ大丈夫かなと思うのが、メールやSNSのやり取りというのは今本当に増えていますので、ふだん普通に使っているメールやSNSの交流まで萎縮させることにつながらないかなと。これも、例えば部活動でもいいですし、学校でもいいですし、習い事でもいいですし、先生なり指導者なりが子供たちとやり取りするというのは、これは別にわいせつ目的とかいかがわしい目的でなかったら、また、お子さんとか若年者の親とかもこれもちろん認識をしていたら、何ら問題がないこれは行為かなというふうに思うんですね。
こういったことを、わいせつ目的ではないとしても、何かやり取りがどんどんどんどん小さくなってしまうというのは余りよろしくないかなと思うんですが、この辺りについてはどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/179
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180・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 御指摘のとおりなんですけれども、改正後の刑法第百八十二条第一項の罪は、わいせつの目的で十六歳未満の者に対して偽計や威迫などの不当な手段を用いて面会を要求する行為などを処罰対象とするものでございます。
この罪において、単なる面会の要求ではなく、そのような不当な手段を用いた、偽計や威迫とかですね、そういう不当な手段を用いたことを要件としておりますのは、外形的、客観的には日常的なコミュニケーションと区別が付かない行為をわいせつの目的という行為者の主観のみによって処罰するといたしますと、どのような行為が犯罪として処罰され得るのか不明確となってしまうといった問題があると考えられるためでございます。
このように、外形的、客観的には問題のない行為を処罰対象から除外するため不当な手段を用いた面会要求に限定をしておりまして、また、先ほど申し上げたとおり、わいせつの目的につきましても、関係証拠を踏まえて適切に判断されることからしますと、問題のない日常的な交流を萎縮させるということにはならないのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/180
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181・清水貴之
○清水貴之君 ありがとうございます。
続いて、日本版DBSについて伺います。これは、先日の本会議の登壇でも質問に入れさせていただきました。
イギリスでは、前歴開示及び前歴者就業制限機構を意味するDBSという組織があります。子供に対する犯罪を過去行った人物に対する管理とか証明書の発行とか、こういったことをやっているわけですね。
これについて質問をしたところ、答弁としましては、日本版DBSの導入に向けて、職業選択の自由やプライバシー権との関係を含む法的論理の整理、証明のための具体的な手続やシステムの在り方などについて検討しているが、まだ現時点で導入は決まっていないと、まだ決まっていない。でも、できるだけ速やかに導入できるように取り組むということで、ちょっとこの辺りがどうなんだと。導入は決まっていないけどやろうとしているというような、何か曖昧なふうに聞こえましたので、この辺りどう進めていこうとしているのかということをお聞きしたいのと、ちょっと時間の関係もありまして、次の質問も一緒にお聞かせいただけたらと思うんですが、答弁として、ただ、やっぱり範囲ですね、職業の範囲とかいうのも、職業選択の自由とかプライバシー権、憲法の権利ともこれかぶってくるところですので、なかなかその辺りをどう整理していくのかというのが難しいと、そのことも踏まえて仕組みを考えるというような答弁もありましたので、これも一緒に質問させていただけたらと思います。今後どのように進めていくおつもりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/181
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182・浅野敦行
○政府参考人(浅野敦行君) お答えいたします。
教育、保育施設等や子供が活動する場等において働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組みについては、子供の安全、安心を確保する観点から重要な施策であると考えております。
このような仕組みの導入に向けて、現在、こども家庭庁の専門チームにおきましてその導入に向けた検討を進めているところであります。法学の有識者や保護者代表などの意見も聞きながら、現在検討を進めているところでございます。
先生御指摘いただいたように、子供関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みは、子供を性犯罪から守ることを目的としつつ、一方で、犯罪歴を持つ者の憲法上の権利、具体的には職業選択の自由やプライバシー権と関わるため、対象となる職業の範囲については、過度な制約にならないように必要な範囲を考えていく必要があると考えております。さらに、対象となる職業の範囲につきましては、個別の業法がある職業と個別の業法のない職業など様々な業態があることから、そのようなことを踏まえた仕組みについても考えていく必要があると思います。
いずれにつきましても、まず、現時点での導入時期や対象となる職業の範囲につきましては現時点で定まっているものではございませんが、こういった観点を含めて、速やかに必要な検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/182
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183・清水貴之
○清水貴之君 確かに、もう何でもかんでもではもちろんありませんで、やっぱり制限していくというか、かなり絞っていくことは必要だと思いますが、やっぱり子供の性犯罪をなくしていく、繰り返させないために必要な制度かなというふうに思っておりますので、是非前向きな検討をお願いしたいというふうに思います。
続いて、小児性愛障害、小児性愛についてお伺いをします。
おとといの参考人質疑で、斉藤参考人お越しいただいて、この話を聞かせていただいたんですけれども、まずは法務総合研究所の調査、これ二〇一五年ですが、子供の性犯罪前科二回以上の者、子供への性犯罪前科二回以上の者の再犯率が、これ数字すごいんですね、八四・六%、非常に高い数字になっています。まずは、この数字、これだけ高い数字になってしまっていることについての見解をお聞かせいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/183
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184・上原龍
○政府参考人(上原龍君) お答えいたします。
再犯率の指標というものは様々あるところでございますが、この点、今御指摘もありました法務総合研究所が特別調査を実施いたしまして、平成二十七年版の犯罪白書等に示しているものでございます。この調査では、性犯罪を含む事件で懲役刑の有罪判決を受け、平成二十年七月から平成二十一年六月までの間に裁判が確定した者を対象に、その対象者を性犯罪の類型ごとに分類した分析等を行っているものでございます。
御質問は子供への性犯罪の再犯率ということでございますが、ここでは、例えば十三歳未満の者に対し強制わいせつを行った者について、その裁判の確定から五年間に性犯罪により罰金刑以上の刑で再び有罪の裁判を受けて確定した者の割合は九・六%となっております。
その上で、今委員から御指摘がありました数字でございます。こちらについては、同じ調査の中で引用されているものでございますが、この点は、正確には、一定期間内に小児わいせつ型の犯罪で懲役刑の有罪判決を受けた者であって、二回以上の性犯罪の前科があった者、この十三名のうちの同型性犯罪前科である小児わいせつ型の前科を一回以上有する者が八四・六%、十一人であったという数字でございます。そういった数字であったということを御説明差し上げたところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/184
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185・清水貴之
○清水貴之君 それに関連するので、次、四の二を飛ばして四の三に行かせていただきたいんですが、今のサンプル数が十三人という話があったんですけれども、やっぱり子供の性犯罪に関して、データ収集とか統計とか、こういったものが日本ではなかなか乏しいという話があります。
参考人質疑でもあったんですが、やっぱりなかなかこの小児性愛者というのは表に、犯行が発覚するまで、犯行が起きるまで表になかなか出にくい、まあ心の中の問題もあるし、ある意味性的嗜好なわけですから、なかなか出にくい、分かりにくいというのがあるんですけれども、でも、そんな中でもやっぱり実態把握に努めていくというのが対策を考えていく上でも大事ではないかというふうに思っておりますけれども、これについてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/185
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186・上原龍
○政府参考人(上原龍君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、性犯罪については様々な観点から実態調査を行っていく必要があると、そのように考えております。
先ほど申し上げましたように、法務総合研究所では、これまでも子供に対するものも含めた性犯罪に関する調査を行ってきたところでございます。今後も引き続き、様々な観点から調査研究を実施してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/186
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187・清水貴之
○清水貴之君 続いて、大臣、お願いいたします。
ジャニーズ事務所による性加害の問題、これももうこの委員会でも話が出ております。実際、ジャニーズ事務所としては再発防止特別チームというのを発足して、前検事総長が座長でということで、これから検証していくことになっています。
それはそれで、会社としてしっかり取り組むのは必要なことだと思いますが、やはりこれだけ大きな社会問題にもなっている案件ですので、政府としてもこれに対してしっかりと向き合っていくべきだというふうに思っていますけれども、大臣、その考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/187
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188・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) お尋ねのジャニーズ事務所という事案についてはお答えを差し控えざるを得ないんですが、あくまで一般論として申し上げれば、性犯罪は、被害者の尊厳を著しく侵害し、その心身に長年にわたり重大な苦痛を与え続ける悪質、重大な犯罪であり、厳正に対処することが必要であると考えています。
政府は、性犯罪への対応として、本年三月に開催された性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議において、性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針を取りまとめたところであります。この方針における法務省に関係する施策としては、まさに現在御審議いただいている刑事法の改正に係る対応や、性犯罪者に対する再犯防止施策の更なる充実などの施策が盛り込まれているところでございます。
また、先日、これは十三日ですが、性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議、こどもの性的搾取等に係る対策に関する関係府省連絡会議の合同会議が開催されまして、関係府省において子供、若者の性被害防止のための対策の強化等について議論がなされ、その中で本改正法案の内容も共有をしたところでございます。
法務省としては、こうした政府方針も踏まえ、関係府省と連携しながら、引き続き性犯罪・性暴力対策を進めてまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/188
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189・清水貴之
○清水貴之君 是非よろしくお願いをいたします。
続いて、配偶者間における不同意性交罪等についてなんですが、警察庁さん来ていただいているので、その対策の面をまずお聞かせいただけたらというふうに思っています。
非常にこれもある意味複雑といいますか、夫婦間の話ですので、なかなかこれも表に出にくい、分かりにくい。元々の日本、古い考え方といいますか、夫婦間の性交に同意は要らないといった、こういった考え方を持っている場合も非常に多いので、この問題に対して非常にやはりほかの人にも相談をしにくかったり、配偶者からの性的暴力とか性的強要ですね、DVの被害に遭っているという、気付きにくい場合も非常に多いのではないかと思います。
そういったことをしっかりと受け止めていく、解消していくために、相談をしてもらうのを受けやすい、そういった環境整備というのも大切ではないかと思っていますが、警察庁さん、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/189
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190・佐野裕子
○政府参考人(佐野裕子君) お答えいたします。
警察におけるDVの被害者の方々への対応ということでございますけれども、被害者の方々に対しては、まず安全な場所へ速やかに避難していただくということを最優先に検討して、危害が与えられる危険性、切迫性に応じて身辺の警戒といったとり得る措置を確実に行うといったことによって、被害者の方々の保護の徹底を図っているところでございます。
なお、被害者の方々に接する際には、被害者の方の負担を軽減し、かつ二次的な被害を決して与えないように、被害者の方が要望する性別の警察職員による対応、被害者と加害者とが遭遇しないような相談の実施など、被害者が相談しやすい環境の整備に努めているところでございます。
また、警察以外の関係機関による対応がふさわしいと考えられる場合においては、被害者の方に対し配偶者暴力相談支援センター等の関係機関の業務などについて説明を差し上げて、これらの機関に円滑に引き継ぐこととしているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/190
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191・清水貴之
○清水貴之君 ありがとうございます。
続いて、六のいわゆる撮影罪、性的姿態等撮影罪についてお伺いをします。
まず、大臣、お答えいただけるということで、よろしくお願いいたします。
アスリートに対する、ある意味盗撮というんですかね、性的な目的の画像が拡散されるなどという被害が深刻化をしているという話です。これは、日本オリンピック委員会も、競技中のアスリートが性的な目的で撮影され、アダルト動画サイトなどで流される被害が起きているという、こういった訴えもあります。
これもこれまで質問ありましたけれども、飛行機の中でキャビンアテンダントの方などの撮影もそうですよね。でも、これも本当に難しいなと思うんですが、その状態はしっかり、アスリートの方だったらユニホーム姿であると、キャビンアテンダントの方だったら制服姿であるということですから、ぱっと見た形としては、外形的にはわいせつな状態では決してないんですけれども、受ける側からしたら非常に不快な思いを抱いて、本来のやはり目的とは違う目的で使われるということに対してはやっぱり何らか対応していく必要があるのではないかと。
ただ一方で、やっぱり撮影する側は、加害者側というのも、これも非常に分かりにくいですよね。普通に、一般にお客さんが撮影しているのとその目的で撮影しているのというのは、これも見分けがなかなか付きにくいですから、こういったものをどう見分けて、どうやってこれ対応していくかというのも非常に重要な問題ではないかと思っているんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/191
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192・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 本法律案におきまして、御指摘のような姿態を撮影することを性的姿態等撮影罪の対象としていませんのは、もう御指摘もありましたけど、通常他人に見られている着衣の上から撮影する行為は性的姿態等撮影罪の保護法益を侵害するとは言えないこと、あるいは、具体的に何をどの程度まで強調して撮影すれば構成要件に該当するかについて法文上明確に規定することがこれなかなか困難であることなどの理由からでございますが、もっとも、御指摘のような姿態を撮影することが社会問題となっていることは承知をしております。
この点に関しましては、衆議院における御審議の結果、附則が修正され、政府において施行後五年を経過した場合に検討を行うことなどが定められるとともに、附帯決議におきまして、性的姿態等以外の人の姿態や衣服で覆われた部位を性的な意図を持って撮影する行為等を規制することについて検討を行うことが求められるなどとしているところであります。
法務省としては、これらの趣旨を踏まえ、本法律案が成立した場合には、関係府省庁とも連携をして適切に対応してまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/192
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193・清水貴之
○清水貴之君 最後に、これ六の、一個飛ばして三になるんですけれども、これ、この前の本会議の方でも質問をさせていただいたんですが、画像を加工する場合、こういったのも、いわゆるアイコラとか言われて、顔だけ芸能人の顔にしてとか、こういったものもよく問題になっています。これ、加工してというのは、非常に今もう技術も進んでいますので、誰がどうやってやったとか、誰がばらまいたとかというのも非常に分かりにくい状態ですね。こういった場合の対処方法というのを最後にお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/193
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194・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えします。
画像の加工に関するお尋ねの具体的な状況、必ずしも明らかではないんですけれども、性的姿態撮影等処罰法におきましては、性的姿態等を撮影する行為や画像を提供する行為などを処罰することとしておりますが、加工する行為自体は処罰対象とはしておりません。
もっとも、性的姿態等撮影罪に当たる行為により画像が生成された後、それが加工された場合でありましても、同一性が失われていない限り、加工された画像を提供する行為やそれを公然と陳列する行為というのは、性的影像記録提供罪や性的影像記録公然陳列罪として処罰対象となり得ると考えております。
そして、誰が加工したのかの判別が困難な場合におきましても、その画像が性的姿態等撮影罪に当たる行為によって生成されたものかどうかということや加工の前後における同一性については、捜査機関により収集された証拠により判断されることになると考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/194
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195・清水貴之
○清水貴之君 以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/195
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196・鈴木宗男
○鈴木宗男君 齋藤大臣、連日御苦労さまです。あと一時間二十分でこの委員会も採決になりますから、しばらくお付き合いをいただきたいと思います。
基本的な質問は、我が党の清水議員が代表質問にも立っていますし、この委員会でも質問していますから、私は確認の意味で何点かお尋ねをさせていただきます。
監護者という言葉がこれ大臣あるんですけど、私はなじみのない言葉だという認識がありますね。前回の改正案のときでも、この監護者の範囲が狭過ぎるのではないかという指摘もありましたね。
今回のこの改正法では監護者についてはどうなっているのか、これは基本的なことですけれども、お知らせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/196
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197・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、監護者とはというお話ありましたが、監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪における十八歳未満の者を現に監護する者というのは、十八歳未満の者を現に監督し保護している者をいいます。そして、現に監督する者に該当し得る者といたしましては、同居して子の寝食の世話をし、法律上の監護権に基づいて指導監督している親、これが典型であるというふうに考えています。
その上で、この法律においてというお話がございました。この監護者性交等罪などの処罰範囲については様々な御意見が正直ございます。
そこで、本法律案では、監護者性交等罪などの処罰範囲は拡大してはおりませんが、改正後の刑法においては、例えば、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していることにより、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態で性的行為が行われれば、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪により処罰し得ると。
また、十三歳未満の者に対して性的行為をした場合、十三歳以上十六歳未満の者に対してその者より五歳以上年長の者が性的行為をした場合には、それだけで不同意わいせつ罪、不同意性交等罪により処罰し得ると。
このように、改正後の刑法の下では、若年者に対する地位、関係性を利用した性的行為を適切に処罰対象とすることができるように工夫をさせていただいているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/197
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198・鈴木宗男
○鈴木宗男君 公訴時効年齢が、これ五年延長のこの引上げなんですが、これなぜ五年かというのをちょっと分かりやすく説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/198
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199・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 失礼します。公訴時効の五年でよろしいですか。年齢差でよろしいですか、先生。年齢差。(発言する者あり)はい。失礼いたしました。
延長する理由でございますけれども、一般に性犯罪については、その性質上、恥の感情や自責感、自分を責める感情などによって被害申告が困難であることなどから、ほかの犯罪と比較して類型的に被害が潜在化しやすいということを踏まえまして、公訴時効期間を延長することとしているものでございます。
そして、延長する期間につきましては、一般的、類型的に、被害に遭ってからどれだけの期間がたてば被害を外部に表出できるようになり、被害申告の困難性といった性犯罪特有の事情が解消されると言えるかを可能な限り実証的な根拠に基づいて定めるという観点から、内閣府の調査において、無理やりに性交等されたことがあり、被害を誰かに相談した方のうち、被害に遭ってから相談するまでに掛かった期間が五年以内であった方が大半であったということを踏まえて、五年を延長することとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/199
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200・鈴木宗男
○鈴木宗男君 この件、自民党さんの部会なんかでもよく議論されて、鈴木貴子代議士がえらい厳しく、強くこれ要望していたという話もあったものですから、確認の意味で今お尋ねをしたところであります。
先ほど清水委員からもお話ありましたけれども、性犯罪者の再犯率について、これどこまで把握しているのか、あるいはどういう調査なり調べ方をしているのか、あるいはその再犯防止についての取組について、これ法務省としてはどういう観点から考えて取り組んでおられるのか、これと併せてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/200
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201・上原龍
○政府参考人(上原龍君) お答えいたします。
先ほどもちょっと申し上げたところでございますが、再犯率の指標というのは様々な観点からございまして、様々な形で指標を出しているところでございます。
例えばでございますが、令和三年に強制わいせつ又は強制性交等により検挙された二十歳以上の者のうち同一罪名の前科を有する者の割合、こういったものも出しておりますが、これの場合ですと、強制わいせつが七・五%、強制性交等が三・九%でございました。
また、先ほど申し上げましたが、法務総合研究所が特別調査を実施しておりまして、これは平成二十七年度の犯罪白書等で公表しておりますが、ここでは、性犯罪を含む事件で懲役刑の有罪判決を受け、平成二十年七月から平成二十一年六月までの間に裁判が確定した者を対象に、これを性犯罪の類型ごとに分類した分析等を行っているところでございます。
また、ほかにも、例えばでございますけれども、法務省では、再犯率の一つの指標として、ある年の刑事施設の出所者のうち、出所後二年以内に新たな罪を犯して刑事施設に再入所した者の割合を二年以内再入率として公表しているところでございます。
こういった形で、様々な形で調査をしておりまして、委員も御指摘ございますが、やはりこの性犯罪については様々な実態調査を行っていく必要があろうかと考えております。そういったことで、再犯を防止するという観点から、今後も様々な観点から調査研究を実施してまいりたいと、そのように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/201
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202・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、今、上原審議官から法務省の取組言われました。ただ、私、法務省だけではこれ限界があると思うんですね。おとついの委員会でも大臣から、文科省含めて様々な機関、関係機関とも連携してという話がありましたが、私、やっぱりこれは教育でしっかりとこの性犯罪防止、あるいは再犯を防ぐのが大事だと思うんですよ。
それで、改めて、今日は文科省と内閣府からも来てくれておりますから、この性犯罪の再犯防止だとかについて、どう今文科省としては考えているか、あるいは内閣府として取り組むのか。特に、文科省、これ義務教育で、いわゆる子供ができるのはどうしてかというのは教えても、性交についての教育はないんですね。ここはもっとしっかり私は義務教育でやるべきだと思っているんですよ。そこの点も含めて、どういう今考えでいるのか、お知らせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/202
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203・簗和生
○副大臣(簗和生君) お答えします。
まず、今後、本改正法案の内容の周知については、法務省と連携をして適切に対応はしてまいりたいと考えております。
その上で、文科省における関連の取組ということでございますけれども、学校教育におきましては、学習指導要領に基づきまして、児童生徒の発達段階に応じて、体育科、保健体育科を始め、学校教育全体を通じ、学校教育活動全体を通じて性に関する指導を行うこととしております。
また、文部科学省では、子供たちを性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための生命の安全教育の教材及び指導の手引を作成し、全国の学校での取組を推進しているところでございます。
こうした取組を含めまして、関係省庁と連携し、児童生徒が性に関して適切な行動が取れるようにするとともに、性暴力の被害者にならないよう、引き続き学習指導要領等に基づく着実な指導に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/203
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204・鈴木宗男
○鈴木宗男君 副大臣、適切な指導はいいけれども、ちょっとそれだと間に合わないんじゃないんでしょうか。具体的に、義務教育でこう訴えるんだ、教科書にはこういう書き込みするんだとかという方向付けを示さないと、言葉の遊びで終わっちゃうんじゃないんですか。どう思います、それ。今の大臣の話だと、具体的にどういうアクションプログラムになっていくのか見えてきませんよ。
こうやっていくんだという具体的な教育の中で、言葉の羅列じゃなくて、きちっと義務教育でこうしていくんですという指摘があっていいんじゃないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/204
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205・簗和生
○副大臣(簗和生君) 答弁ちょっと重複になるかもしれません。
子供たちを性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための生命の安全教育というものに関してより詳細に御説明を申し上げますと、その関連の教材及び指導の手引というものを作成して全国の学校での取組を推進しておりまして、この教材においては、児童生徒の発達段階に応じて、自分の気持ちも相手の気持ちも大切にし、相手が嫌だと言ったら相手の気持ちを受け入れること、望まない性的な行為は全て性暴力であること等を示しておりまして、これらを通じて性的同意の大切さを理解できる内容となっております。
また、本教材については、各学校の地域の状況などに応じて、内容の加除や改変を行った上での使用も可能となっておりまして、各学校の判断により、個別の具体例により性的同意について扱うことも考えられます。
子供たちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないよう引き続き生命の安全教育を推進し、性的同意の理解促進については関係府省の取組とも連携してしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/205
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206・鈴木宗男
○鈴木宗男君 副大臣、一生懸命答弁されているからこれ以上は聞きませんけれども、やっぱり具体的にしっかりやってください。
私は、これ、教育というのは国の基本でありますから、一番の基本でありますから、そういった意味でも、やっぱり子供を守って育てていく、一番のまた大事な部分であると思いますから、是非とも、せっかく副大臣というポストで経験積むわけでありますから、これはもう時間の掛かる話でもあるわけですから、しっかり、副大臣辞めた後も頭に入れて取り組んでいただきたいなと、こう思います。
和田副大臣、これ、所管は、内閣府が今まとめ役みたいなことをしているかと思っているんですけれども、内閣府としてはどういうふうに取り組んでいくのか、お知らせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/206
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207・和田義明
○副大臣(和田義明君) お答え申し上げます。
こども家庭庁といたしましては、子供の性被害対策として、昨年取りまとめました子供の性被害防止プラン二〇二二に掲げられております青少年インターネット環境整備法等に基づく児童及びその保護者等に対するインターネットの適切な利用に関する広報と啓発、それから、毎年七月に行われます青少年の非行・被害防止全国強化月間等における広報啓発などに取り組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/207
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208・鈴木宗男
○鈴木宗男君 和田副大臣も将来ある政治家だと私は思っていますので、しっかりやってください。
今、子供たちがもうスマホを持っている時代ですね、もう小学生のときから。我々の時代と全く感覚違うぐらい、様々な情報もあれば、また様々な誘惑もあると思うんですよ。そういった意味では、やっぱりもう早め早めに私は手を打っていかなければいけないと、こう思うんですね。今の和田大臣の答弁に尽きるかとは思うけれども、更に一つ大事なのは、やっぱり自分の子供がというような思いでこれは文科省も内閣府も取り組んでもらわないと前へ進まないと、こう思います。事務的な話よりも精神的なやっぱり心のありようというかを持った対応、政策をしていただきたいと、こう思いますので、よろしくお願いをいたします。
もう二人の副大臣は質問ありませんから、お引き取りいただいて結構であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/208
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209・杉久武
○委員長(杉久武君) じゃ、簗副大臣、和田副大臣は御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/209
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210・鈴木宗男
○鈴木宗男君 時間がもうありませんから、齋藤大臣、私はこの委員会で質問に立つたびに言うのは袴田さんのことであります。
六月二十日にまた三者協議行われます。検察が、法務省が特別抗告を断念してからもう三か月であります、三月の二十日でしたから。そして、四月から三者協議が始まってきていますので、もう三か月たつんですね。ここは、大臣、前回も私は一日も早い再審をお願いしました。袴田さん、八十七歳です。一生懸命支えているお姉さんが九十一歳であります。これ、人生限られているんですね。
これ、ただ一点なんです。検察がどういう方向でいくかということを決めれば、再審日程決まるんですよ。私は、六月二十日をタイムリミットとして是非とも判断をいただきたいと、こう思いますが、大臣の考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/210
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211・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 私も、今日、鈴木先生から御質問を受けるということで、これは事務方のを読むんじゃなくて、私の考えも彼らと相談しながらまとめてまいりましたけど、やはり、お尋ねの事件における検察当局の対応、二十日までにこれこれこうせよというようなことを、例えば私が検察の検討状況にかかわらず申し上げるということは、やはりこれは避けるべきだろうというふうに思います。
そして、その上で、私は、ここでの議論というのは毎回検察等で注目をしているわけでありますし、私は検察が不当に引き延ばすというようなことをしているとは思いませんし、それから、無用に引き延ばしを図るとの意図を持っていないということは、私は刑事局を通じて報告も受けています。ただ、だからといって、いつまでにどうせよみたいなことを、膨大な検討事項があるにもかかわらず、私がその指示なり命令をすることについてはやはり避けるべきなんだろうというふうに思っているということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/211
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212・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、指示だとか命令とは私は別だと思いますよ。法務大臣として、大臣、袴田さんが半世紀以上にわたって拘束されてきたんですよ。私も袴田さんに何回か会っても、まさに今拘禁症ですよ。そこに至ったということは検察にも責任あるんですよ。
これ、委員の先生方、よく聞いてくださいよ。
九年前に静岡地裁で再審決定が出て、九年たって改めて東京高裁で再審決定になったわけですよ、特別抗告もなかったわけですから。というのは、もう流れは決まっているんですよ。流れは決まっているのに、何でそんなに三か月も時間を置くんですか。
大臣、命令すれだとか指示をすれというんじゃないんです。半世紀以上も拘束しておいて、人生全て失ってきた人を、大臣として、おまえたち早く判断しなさい、これは当たり前のことじゃないですか。齋藤大臣の、人間としても、そのぐらいの思いを持っていいんじゃないんでしょうか。判決を変えれとかという話じゃないんです、日程の手続の話なんですから。ここは、大臣、認証官なんです。検察は、法務大臣の指揮下にあれば法務省の一行政組織ですよ。大臣の今の答弁聞いておっても、特別扱いですよ、検察に、口を挟むのを嫌がった。私は、判決に口を挟めだとか言っているんじゃない。
ここをどうか、大臣、二十日までに結論を出す、日程決める、この指示を私は当然の大臣の責務としてやっていただきたいと、再度お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/212
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213・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 大変恐縮なんですが、私も袴田さんの状況につきましては思うところは物すごくたくさんあります。ですが、やはり私の答弁も再度ということになってしまわざるを得ないわけでありますが、この二十日までにとかいうことにつきましては、私の口からは申し上げられないということであります。
ただ、いずれにしても、検察も行政機関であります。そして、国会における検察の活動についての議論の状況については当然に関心を持っていて、見ています。そして、早期に再判、公判を開始すべきとの委員の問題意識についても私は十分承知をしていると思います。
これで御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/213
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214・鈴木宗男
○鈴木宗男君 時間ですからこれで終わりますけれども、委員長始め与野党の理事の皆さん方、さらに委員の皆さんにお願いします。
是非とも、この委員会の決議として、袴田さんの再審に向けての日程は速やかに決めるべきだという決議を私は是非ともお願いしたいと、こう思いますので、委員長、お取り計らいをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/214
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215・杉久武
○委員長(杉久武君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/215
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216・鈴木宗男
○鈴木宗男君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/216
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217・川合孝典
○川合孝典君 国民民主党の川合孝典です。
刑法、刑事訴訟法、今回の法案、今日しか審議時間がないということでありますので、幅広にちょっと駆け足で本日は質問させていただきたいと思います。
まず、冒頭、大臣に再犯防止の取組について御質問させていただきたいと思います。
これまでの審議の中でも、大臣御理解のとおり、性犯罪加害者は累犯が多いということでありまして、さきの参考人質疑でも、アメリカのいわゆる学者の方が、性犯罪加害者が一生の間にどの程度の加害事案を引き起こすのかということについて、三百八十件、合計にして五百数十回の性加害行為を行っているという、平均です、これは、という案件、事例を御説明いただきました。
参考人質疑にお越しいただいた斉藤先生のいわゆる治療プログラムに参加している性犯罪の加害者の方にこの話をしたところ、いや、その三倍はやっていますという言い方をしていらっしゃって、それにうなずいている方がいらっしゃるということでありまして、したがって、この加害者を厳しく罰するということ、被害者を救済するという手続をより強く進めていくということと同時に、この再犯を防ぐための防止の取組というものが同時に議論されていないといけないということを強く感じたわけであります。
一方、法制審の中で、今回の法改正の議論が行われる中で再犯防止のことについて何らか議論がなされたのかという確認をさせていただきましたところ、法制審の委員をやっていらっしゃった先生の方からそういった議論はやっていないということもお話をいただきました。
したがって、改めて、今回の法律改正を受けて、性犯罪の再犯防止の取組を強化する上で性犯罪加害者の更生プログラムをきちんと整備する必要があると考えますが、この点についての大臣の見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/217
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218・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 結論を申し上げますと、おっしゃるとおりですということなんですが、性犯罪・性暴力施策全般については、本年三月に決定されました性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針において、令和七年度までの三年間を更なる集中強化期間と位置付けて、御指摘の性犯罪者に対する再犯防止プログラムの充実を始め、関係府省が連携して各施策を推進していくこととしています。
刑事施設や保護観察所におきましては、認知行動療法の手法を取り入れた性犯罪者処遇プログラムを実施しているところ、効果検証の結果や外部有識者からの提言等を踏まえまして不断の見直しを図ってきておりまして、収容中から出所後まで一貫性のある指導が可能となるようプログラムを改訂し、令和四年度から実施をしているところであります。引き続き、プログラムの実効性がより高まるよう充実を図ることとしています。
また、刑事司法手続を離れた者に対しましても、地域社会において継続的に支援を行っていくことが重要であります。その観点からは、地域住民に対して様々な行政サービスを提供する地方公共団体が果たす役割が重要だと認識をしております。そこで、法務省といたしましては、令和四年度に、地方公共団体が活用可能な性犯罪者に対する再犯防止プログラムを開発し、各都道府県に提供をさせていただいたところであります。
これまでの取組により、刑事施設や保護観察所における性犯罪者の再犯防止対策は一定の成果を上げているものとは考えますが、関係府省とも連携しながら、これらの施策の充実に取り組み、引き続き性犯罪者に対する再犯防止対策をしっかり進めていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/218
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219・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
ここからは、大臣、通告していないんですけれども、意見交換ということで聞いていただきたいんですが、これまでの審議の中でも性犯罪者処遇プログラムのことについて何度か言及をされております。認知行動療法ということで、いわゆる心理治療を行うことで性犯罪者の治療を行っていくという、こういう考え方なわけでありますが、この認知行動療法については、うつの治療等では高い効果が出ているということで、海外でもその効果は立証されているものなんでありますけれども、実はこれは矯正を目的としたプログラムではないということでありまして、実はこれ、精神疾患に対する認知行動のプログラムということであって、この性加害者、性犯罪加害者がいわゆる精神疾患をお持ちになっているということを前提としてこうしたプログラムを組み立てているのであればこういうプログラムになっていることは分かるんですけれども、犯罪被害者の矯正、更生ということを目的とした場合に、必ずしも認知行動療法というものが適切かどうかということについて改めて検証を行う必要があるということなんですが、大臣、このこと御存じでしたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/219
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220・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) このプログラムが、おっしゃるような出発点を持っているということについては承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/220
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221・川合孝典
○川合孝典君 実は私、長年、お隣に座っていらっしゃる谷合先生や尾辻議長と一緒に自殺対策の議連の活動をやらせていただいておりまして、当初、自殺対策、いわゆる自殺を念慮する方というのはいわゆる精神疾患の方であるということを前提として、国立精神・神経医療センターの中に自殺対策の推進室を実は設けるというのを今から十数年前にやったわけであります。
その後、実は警察庁や厚生労働省、文部科学省等々、様々な省庁が連携することで、いわゆるデス・レビューを集積して、その結果に基づいて検証を行ったところ、必ずしも精神疾患ではないということが分かり、いわゆる人によって自殺を念慮することのそもそも理由が多様であるということを改めて確認をした上で、そうした様々な理由に対して対応できるような形を取ろうということで、精神疾患から離れたんです。そうして様々なプログラムを作ることによって、コロナが始まるまでの十一年間にわたって自殺者数は減少を続けたといった経緯が実はございました。
したがって、今回、それとぴたりと符合するようなことではこれはないわけでありますけれども、精神疾患であるということを前提とした認知行動療法の効果というものと、それ以外のいわゆる矯正プログラムとしての再犯防止策というものはある意味切り分けて考えないといけないんではないのかというのが、私自身がこの間様々な情報を集めさせていただいた中で感じたことでありますので、そのことを問題提起をさせていただきたいと思います。これから、今後、是非この点についても御議論をしていただきたいということ、このことを申し上げさせていただきます。
〔委員長退席、理事福岡資麿君着席〕
続きまして、二点目の質問に移りたいと思います。
これも大臣にお伺いしたいと思いますが、集団性暴力、集団性のいわゆる性暴力を抑止する取組についてということでありまして、性犯罪加害者が、いわゆる複数の性犯罪加害者による加害行為の場合、その悪質性が増幅し、被害者の心身への悪影響がより甚大なものになるということは、これはもう想像に難くないわけでありますが、そうしたことから、いわゆる加重類型を設けることで犯罪抑止効果を高めることの必要性について指摘をしていらっしゃる方が実はいらっしゃいます。
こうした指摘に対して、大臣の御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/221
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222・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) これは経緯のあるお話でありますが、二名以上の者が現場において共同して強姦罪を犯した場合に四年以上の有期懲役に処することとしていた集団強姦罪について、平成二十九年の刑法改正によりまして、当時の強姦罪の法定刑の下限を懲役三年から懲役五年に引き上げることとされ、その法定刑の下限が集団強姦罪の法定刑の下限である懲役四年を上回ることになったということがありましたので、この集団であることの悪質性は改正後の強制性交等罪の法定刑の枠内で適切に評価すれば足りるという判断で廃止をされたという経緯があります。
そして、不同意性交等罪の法定刑は、強制性交等罪と同じく、拘禁刑の下限は五年、上限は二十年としておりますが、不同意性交等罪の下でも集団であることの悪質性に応じた重い処罰が可能になります。
御指摘のような加重類型を設けることにつきましては、本法律案の立案に先立つ検討会においても議論がなされましたが、複数人による犯行の悪質性は量刑上十分考慮することができ、実務上もそのように対応していると、それから、二名以上の者が現場において共同した事案の量刑が法定刑の上限に例えばもう既に張り付いているというような事情は見受けられないといった御指摘があったものと承知をしています。
そのため、御指摘のような加重処罰を設けることについては、実際の処罰の実情を踏まえたときに、加重処罰規定を設けるべき状況にあるかといった点が検討課題になるんだろうというふうに思われます。
〔理事福岡資麿君退席、委員長着席〕
もっとも、複数の加害者によって行われた性犯罪に対して厳正な処罰が必要であることは御指摘のとおりであり、検察当局においては、悪質な事情を適切に主張、立証することで厳正な科料の実現に努めており、引き続き適切に対処していくものと承知をしております。
いずれにしても、衆議院において附則の一部修正が行われておりまして、政府において施行後五年を経過した場合に検討を行うこととされているところであり、その趣旨を踏まえて適切に対処していきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/222
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223・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
厳罰化を行うことがその犯罪抑止効果にどの程度効果を生じるのかといったようなことについては様々な御意見もありますし、この後、ひょっとしたら共産党の仁比委員がその辺りのところにも触れられるかもしれませんので、私の方はこの問題についてはここまでとさせていただいて、次の質問に移りたいと思います。
次に、いわゆる犯罪被害者の精神的又は経済的なサポートの在り方について御質問させていただきたいと思います。
法務大臣にお伺いしますが、まず経済的なサポートについてでありますが、性犯罪裁判の審理期間の多くは半年以上を要するということに加えて、犯罪被害者の多くは、学校や仕事を辞めたり変えたり休んだりということで、経済的負担が極めて大きくなっているということが指摘をされております。
こうした状況を踏まえて、犯罪被害者の負担を軽減することについての何らか配慮を行える体制を整えるべきかと思いますが、この点についての大臣の御認識をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/223
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224・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 性犯罪の被害者を含む犯罪被害者等の方々は、被害直後から心身両面で過酷な状況に置かれ、それぞれの状況に応じた様々な支援を必要としておられまして、一人一人に寄り添った支援を行い、その負担軽減に努めることが重要であると認識しています。
政府におきましては、第四次犯罪被害者等基本計画に、支援等のための体制整備への取組や刑事手続への関与拡充への取組を重点課題に係る具体的施策の一つとして掲げ、犯罪被害者等に寄り添った支援に取り組むこととしております。例えば、検察当局においては、公判段階においても犯罪被害者等と十分なコミュニケーションを取り、公判期日の指定に当たってはその負担に配慮した対応をしているほか、公判経過等について必要な説明を行っているものと承知しています。
また、本年三月に開催されました性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議におきましては、性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針が取りまとめられまして、関係府省が連携して、例えばワンストップ支援センターの更なる周知等の、性犯罪の被害者に対する支援の強化に関するものを含む各施策を推進していくこととしております。
法務省としては、こうした施策を着実に実施することが犯罪被害者等の負担軽減に資するものと考えており、引き続き、犯罪被害者等基本計画や更なる強化の方針等に沿って、関係府省庁とも連携しながら、性犯罪の被害者を含む犯罪被害者等を保護、支援する取組の更なる推進、充実に努めてまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/224
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225・川合孝典
○川合孝典君 その犯罪の被害者の方々の支援ということについて、質問の通告のときに、様々な支援の取組はやっていますということで、資料も、検察庁が出している資料、「犯罪被害者の方々へ」という冊子を実は頂戴して拝見しました。被害者保護の支援のための制度についてという冊子であります。
これ、拝見させていただきまして、見ましたところ、御覧いただければ分かるんですが、性犯罪のセの字も書いていないです。どちらかというと財産犯ですよね。また、いわゆる出資法違反ですとか、お金に関わるような話についての被害を救済するためにどうしたらいいのかとか、それぞれの公判等の段階、プロセスにおける要は支援の枠組みがどうなのかということがばらばらには一応記載はされておりますけれども、全くワンストップでもありませんし、性犯罪の被害に遭われた方がこの冊子を見て、どこかに連絡しようかと思っても連絡する気にはとてもならないというか、どこに連絡していいか分からないような内容であります。
私、御提案させていただきたいのは、今回、そうした高い問題意識を持って今回の法律改正に臨まれたわけでありますので、性犯罪被害者の方が相談をできるきちっとした窓口、枠組みというものをもう一度再整備することについて速やかに御検討を始めていただきたいと思うのですが、大臣、済みません、これも通告にはないんですけど、ぱらぱらっと御覧いただければ分かると思うんですが、そのことの必要性について、御感想あれば承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/225
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226・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 昨日の川合委員とうちの事務方とのやり取り、本件についてですね、ついて私は報告を受けておりませんので何ともお答えのしようがないんですが、これを今拝見する限りにおいては、一か所だけ書いてあるようではありますけど、QアンドAで、どのようなことができるかについては、ちょっと、今日突然いただいたお話ではありますけれども、ちょっと考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/226
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227・川合孝典
○川合孝典君 急に通告もなく質問して、失礼しました。
私も、こういうことをやっていますと言われて割と立派な冊子を頂戴したものですから、はあ、そうですかと言って受け取って、後でよくよく見てみたら何も書いていなかったという、実はそういうこともあったものですから、この機会に言わないと、またいつ問題の指摘をさせていただけるか分からなかったものですから、失礼を顧みずに御質問させていただいたということです。是非御検討をよろしくお願いしたいと思います。
それからもう一点、先ほどの御答弁の中でもあったんですが、体制整備を各省庁との連携を取ってということでお話しいただいたわけでありますが、省庁連携した取組を行うというのは極めてハードルの高い取組ということでありまして、したがって、かなり覚悟を決めて省庁連携した被害者救済の取組というのはやらなければいけないと思うんですが、そうした議論を進めていただく中で、是非、いわゆる性暴力のいわゆる独立アドバイザー制度のようなものを欧米の先進国では取り入れている、ISVAというんですか、そういう枠組みも実はございますので、いわゆるワンストップでと先ほど大臣がおっしゃいましたが、本当の意味でワンストップで被害者救済の取組を進めていけるような組織というものについて是非御議論、検討を進めていただきたいと思います。いきなり言っても答弁のしようがないとおっしゃるかもしれませんので、この点についても指摘だけをさせていただきたいと思います。
続いて、次の質問に移りたいと思います。
性犯罪被害者のおよそ六人に一人はPTSDを発症していらっしゃるということであります。同時に、審理中に繰り返し性被害を、審問のたびに性被害の状況を思い出させられてしまうということがPTSDを悪化させるということの危険性も指摘されています。
今回、録録、録音、録画ということも導入していただけるということだと思うんですが、私が先ほど日本版ISVAを導入したらどうかと言ったのも、警察や被害者支援センターや医療機関などが連携をしたいわゆる救済の組織の支援体制ですね、被害者支援体制を整えるやはり必要があるのではないのかなということを思っておりまして、これは通告しておりますので、大臣に御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/227
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228・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 性犯罪の被害者の方々にとりましては、被害状況等を繰り返し供述すること自体が大きな心理的、精神的負担になるものであると思います。
現状ですけれども、これまでも法務省では、性犯罪の被害者を含む犯罪被害者等の心理等を適切に踏まえた捜査・公判活動が行われるよう、検察官等に対する研修において、性犯罪に直面した被害者の心理に精通した精神科医や臨床心理士による講義を実施するなどしております。
また、検察当局では、捜査、公判の各段階で被害者から聴取する際に、できる限り聴取回数が少なくなるよう配慮し、あるいは、必要に応じて警察や被害者支援団体に被害者への付添い等を依頼するなど、被害者の負担軽減にも配慮しながら手続を進めるよう努めているというふうに承知をいたしております。
法務省といたしましては、先ほども申し上げましたが、犯罪被害者等基本計画や更なる強化の方針等に沿いまして、関係府省庁とも連携しながら、性犯罪の被害者を含む犯罪被害者等を保護、支援する取組の更なる推進、充実に努めているところであります。
検察当局においても、引き続き、性犯罪の被害者の心理に配慮しつつ、関係機関との適切な連携を推進するとともに、被害状況を繰り返し供述することで生じる心理的、精神的負担の軽減を図るため、いわゆる司法面接的手法による聴取の結果を記録した録音・録画記録媒体を公判に顕出するための新たな特則である改正後の刑事訴訟法第三百二十一条の三を適切に運用するなどし、被害者の心理的、精神的負担の更なる軽減に努めていくものと承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/228
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229・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
今の御答弁で十全にカバーはしていただいているんですけれども、実際に使い勝手がいいものなのかどうなのかということがやはり問われていると思いますので、被害者、利用者の目線に立った、そういう制度設計というのを是非お願いしたいと思います。
次の質問に移りたいと思います。
暴行・脅迫要件について法務大臣に確認をさせていただきます。
暴行、脅迫の要件について、これまで最高裁判例に従って、相手方の抗拒を著しく困難ならしめる程度のものという最狭義の解釈に基づいて判断がなされてきたということでありますが、今回のこの刑法、刑訴法の改正によって、従来の解釈に及ぼす影響がどのようなものなのかということについての御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/229
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230・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 改正後の刑法第百七十六条第一項第一号の暴行とは身体に向けられた不法な有形力の行使をいいますし、脅迫とは他人を畏怖させるような害悪の告知をいうものでありまして、いずれもその程度は問いません。すなわち、現行の強制わいせつ罪、強制性交等罪の暴行又は脅迫についての判例上の解釈と異なりまして、同号の暴行又は脅迫の要件としては、抗拒を著しく困難にさせる程度であることは不要であります。
その上で、暴行又は脅迫によって、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態で性的行為が行われた場合には、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪が成立し得ることとなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/230
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231・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
つまりは、明確に同意しない意思を表明しているにもかかわらず、なおも性行為をやめない場合は不同意性交等罪の要件に該当するという理解でいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/231
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232・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) お尋ねのように、その被害者が明確に同意しない意思を表明しているにもかかわらず、なおも性的行為をやめない場合については、同意しない意思を全うすることが困難な状態かどうかが問題となり、例えば、性的行為をしたくないという意思を表明したものの、体を押さえ付けるなどの暴行を受けたこと、性的行為をしたくないと言えばやめてくれると予想してその意思を表明したものの、予想と異なってやめてくれなかったため、このような事態に直面して恐怖、驚愕したこと、性的行為をしたくないという意思を表明したものの、雇用主の立場にある者から性的行為に応じなければ仕事を辞めてもらうなどと言われ、経済的、社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮したこと、こういったことによってこの状態、すなわち同意しない意思の全うが困難な状態に陥り、性交等をされた場合には、御指摘のように不同意性交等罪の処罰対象となり得ると考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/232
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233・川合孝典
○川合孝典君 これ、質問の二の七で通告させていただいていますが、ということは、同意しない意思を形成し、表明若しくは全うすることが困難な状態の、この困難な状態は、その程度を問わないという理解でよろしいわけですね。じゃ、刑事局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/233
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234・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 改正後の刑法第百七十六条第一項、第百七十七条第一項における同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態の困難という意味については、どの程度困難かというその限定する文言は加えておりませんので、文字どおり、それをすることが難しいことを意味するものであり、その程度を問いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/234
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235・川合孝典
○川合孝典君 程度は問わないと言いながらも、実は程度を問うているような答弁になっているような気が、判断がそれぞれで変わるということという意味では、ある意味程度を問うているわけですよね。だから、もう一度お願いします、じゃ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/235
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236・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 失礼いたしました。
そのように聞こえたのであれば、そういうことではございませんで、困難というのはそれをするのが難しいことを意味するものですので、著しく困難であることは必要ないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/236
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237・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
今日は最高裁からもお越しいただいておりますので、一つ御質問させていただきたいと思いますが、この問題は非常に判断が、個別の、個々の事例で判断が極めて難しいことでもあります。そのことは十分承知した上で、これまでも性暴力事件の裁判におけるこの困難な状態の解釈にばらつきが実は指摘をされているわけでありますが、こうした指摘に対して何らかの対策を講じておられるのかどうかということについて最高裁にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/237
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238・吉崎佳弥
○最高裁判所長官代理者(吉崎佳弥君) お答え申し上げます。
委員御指摘の点は、最高裁判例等で形成されてきました現行法下の、相手方の抗拒を著しく困難ならしめる程度の暴行、脅迫に関する解釈のばらつきの御指摘かと存じます。
その点につきまして、対応という点を問われたわけでございますが、これまでも、司法研修所において実施する研修の中で、性犯罪に関する刑法の運用をめぐる諸問題につきまして、刑事事件を担当する裁判官同士で意見交換を実施するなどしてございます。また、その結果を取りまとめた資料につきましても、刑事事件を担当する全ての裁判官に周知してございます。
加えまして、これまでも、委員御指摘のとおり、最高裁といたしましても、性犯罪に直面した被害者の心理等を理解して適切な審理を行うことが重要だと考えておりまして、司法研修所において、先ほど述べた点のほか、性犯罪の被害者の心理に詳しい精神科医、臨床心理士の方や性犯罪被害者御本人を講師としてお招きして、被害時における被害者の心理状態、被害後の精神状態等について理解を深める研修なども行っております。
同種のものを各高裁単位においても行っているという状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/238
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239・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
しっかりと御対応いただいているということだと思うんですけれども、であるならば、なぜばらつきが今も指摘されているのかということが今度は問われなければいけなくなるんですが、質問の仕方を変えますが、このばらつきが生じているという指摘自体については、ではどう受け止められますでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/239
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240・吉崎佳弥
○最高裁判所長官代理者(吉崎佳弥君) お答え申し上げます。
裁判における個々の判断についてのばらつきの御指摘について、事務当局からお答え申し上げるのは困難でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/240
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241・川合孝典
○川合孝典君 まあそうだと思うんですけれども、実際に個別事例ごとに当然事情が違うから判断が異なっても当然であるということは理屈としては理解できるんですけれども、一方で、そのことによって、いわゆる異議を申し立てられていらっしゃる方々等も出てきていることを考えたときに、この周知というか教育も含めて、要は判事や司法関係者の方々に対する研修の在り方等々についても、より質を高める努力というものは、せっかく今回この法改正を行ったわけでありますので、新たにそういった体制も含めて整えるべきなのではないのかなと率直に私は感じたわけであります。
したがって、ここで大臣の方に、もう時間がなくなってまいりましたのでこれを最後にしたいと思いますが、今の質問に関連して、司法関係者の方や捜査関係者へのこの困難な状態の解釈を周知をするということについて、具体的なそのいわゆる取組を何らか方針を立てて進めていかなければいけないと思うんですけど、この点についての御認識をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/241
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242・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 性犯罪について適正な処罰を実現をするためには、本法律案による改正をするだけではなくて、司法関係者や捜査関係者に対し、御指摘のような点を含めまして、その趣旨、内容を十分に周知、広報し、各関係機関において十分な研修等が行われることが重要であると考えています。
具体的な方法等について現段階で確たることをお答えすることは困難なんですが、法務省としては、本法案が成立した場合には、御指摘のような関係機関に対し、改正の趣旨や内容について適切に周知、広報するとともに、各関係機関において十分な研修等がなされるよう必要な協力をしていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/242
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243・川合孝典
○川合孝典君 大臣、今国会、ありがとうございました。
これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/243
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244・仁比聡平
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
まず、被害者等の聴取を録音、録画した記録媒体を伝聞例外とするという改正案に関わる議論の前提として、こども家庭庁に今日お越しいただいております。
お配りをしております資料の三枚目をまず御覧いただければと思うんですが、法務省から提出していただいております、これまで、つまり平成二十七年から令和三年に行われた聞き取り対象者、十八歳未満の年齢分布という表なんですけれども、これまでに実に九千二百五十五件の児童相談所、警察、検察による代表者聴取が行われているわけですね。対象になった子供さんたちの年齢をまず御覧いただきたいと思うんですが、一番幼い子は二歳です。二十七件の聴取が行われ、三歳で二百七十二人。加えて、四歳、五歳、六歳合わせて千八百三人。七歳から十二歳までのいわゆる小学校の辺りの子供たちが四千九百五十二人。中学生にほぼ当たる十三、十四、十五歳で千七百二人。十六歳で三百人、十七歳で百九十九人という、こういう代表者聴取が取り組まれておりまして。
まず、こども家庭庁にお尋ねしたいと思いますが、これは児童相談所にとってみますと、性虐待を始めとした深刻な被害に遭っている、そうした通告がありケースワークが始まるという中で、家庭、特に性虐待の加害が疑われる親からの分離、けれども、いつまでも分離できるのかということだってありますから、その家庭への再統合という将来も見据えながら、その子供さん、被虐待児からのインタビューをどうするかという極めてデリケートな問題なんだと思うんです。そういう場面で行われるということなんだと思うんです。
一方で、そうした性虐待を刑事事件として立件をするという取組が、もう改めて事件の数々申し上げるまでもなく取り組まれてくる中で、警察が身柄付きで児相に連れてくるというようなことも含めて、司法関係者との協働というのがこの近年の大きな課題になる中で、こういう代表者聴取というのが取り組まれていると思うんですね。
一方で、児童相談所にとってみると、深刻な葛藤の中で、親権、親の権利を制約したりするという家庭裁判所への審判の申立てなども行っていかなければならないことが間々あるわけですから、そうした下で行われる代表者聴取というのはとても大切なことだと思うんですけれども、その意義について、あるいはこれまでの取組について御紹介いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/244
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245・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
児童相談所における調査につきましては、先生御指摘にありましたように、やっぱり子供の気持ちというようなものにも配慮しながら情報の収集を行っていくことが重要であるというように考えております。
特に、やっぱり子供にとって、その心理的な苦痛であるとかあるいは恐怖、不安、そういったものはどういったものであるのかと理解しながら配慮していくということ、さらに、話を聞くことが子供にとっては出来事の再体験となる二次的被害にならないか、そういったことを回避する、あるいは緩和すること、こういったことに配慮しながら、子供に与える負担というのをできる限り少なくしていくということが重要であるというふうに考えております。
こうした考えの下、性的虐待を始めとして、虐待事案において刑事事件として立件が想定されるケースにつきましては、可能な限り子供に同じ内容を繰り返し聴取しないよう司法面接を実施しているところでございます。
こうした留意点等につきましては、平成二十七年に当時の雇用均等・児童家庭局の担当課長名で地方自治体と児童相談所の方に通知を発出しているところでございまして、こうした面接の持つ趣旨でありますとか、子供への精神的負担を極力与えないような形で面接に取り組んでいただきたいということを周知徹底しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/245
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246・仁比聡平
○仁比聡平君 そのような取組がこれまで行われてきたわけですけれども、その前の資料、代表者聴取における代表者、聞き取り者は誰かという資料を見ますと、年を追うごとに検察官による聴取というのが割合的にも、もちろん絶対数的にも増えておりまして、令和三年でいいますと、トータルでこれ二千四百十七件の総数になるんですけれども、七九・二五%が検察官、それから一四・四二%が警察官によるものということになるわけですね。
この検察官、警察官による代表者聴取が、先ほどこども家庭庁から御答弁いただいたような、そうした趣旨に沿わなければならないと。本会議での代表質問に担当大臣から、専門性やあるいは面接の一定の経験というようなものが聴取者というその主体に必要だというお話がありました。
そこでということなんですが、一枚目の、検察における聴取技術の習得に向けた取組が行われてきているわけですよね。ここにありますように、プロトコルと言われますけれども、そうした面接の手法は世界的に蓄積をされてきていて、我が国においては、その資料にあるNICHD、それからChildFirstのこの二社による、二社の民間団体による取組、研修というのがスタンダードになっているというか、ということなのかなというふうに思うんですが、これは法務省、そのとおりかということと、それから、この資料には、大学教授等による講義や演習に令和三年度でいいますと二百六人の検察官が受講しているということが紹介されていますが、この前、令和二年に検討会に配付された資料によれば、民間団体主催の研修に平成三十年で二十九名の検察官が参加しているということが過去の紹介としてはあったんですけれども、この民間団体の研修というのに検察官が参加するという取組もこれからは行われるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/246
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247・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
御指摘のプロトコルに関してですけれども、まず、日本で普及している代表的な司法面接的手法のプロトコルといたしましては、NICHDプロトコル、ChildFirstプロトコルが主といいますか、代表的なものであると承知をしております。
検察官のその研修でございますけれども、これは平成三十年に二十九名ですとか、今御紹介いただいたような数値、これはこの頃に始まったものではなくて、もっと前からずっと研修を行ってきているものでして、その民間団体の研修に派遣されていたこともありますし、大学教授に講義いただくというのはずっとやっていることでございまして、ちょっと今数字を、正確な数字、経年のものを持っておりませんけれども、今後もそれはいろんな形で研修をするということは続けていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/247
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248・仁比聡平
○仁比聡平君 そうしたプロトコル、つまり面接の手法をきちんと学んだ、身に付けた聞き取り主体によるものでなければ、この代表者聴取そのものが言わば成り立たないということかなと思うんですけれども。
四ページ目の資料に、このNICHDプロトコルに準拠した代表者聴取の手順、手法についての法務省資料をお配りいたしています。私の方で紹介しますけれども、導入の仕方、グラウンドルールの説明、リラックスした話しやすい関係性を築くラポールの形成、出来事を思い出す練習、それから自由報告、基本はオープン質問で行い、五W一Hの質問はできるだけ最後の手段とする、かつブレークの取り方、休憩の取り方、そして必要に応じたクローズド質問、誘導質問なども用い、情報を得るという場合には、再びオープン質問に戻って自由報告を求めるといった補充質問の在り方、そしてクロージングの仕方。
こうした手順、手法というのが言わば蓄積されてきていることだと思うんですけれども、今度の法案で伝聞例外とする要件について、今日も随分議論がありましたけれども、曖昧ではないか、分からないではないかという議論があるんですが、基本は、これまでこうして取り組まれてきた代表者聴取、これを念頭に置いていると、想定しているという理解でいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/248
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249・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 結論としては御指摘のとおりなんですけれども、司法面接的手法には御指摘のものを含めまして様々なプロトコルがございますけれども、いずれにおきましても、その中核的な要素は、供述者の不安又は緊張を緩和することその他の供述者が十分な供述をするために必要な措置、それから、誘導をできる限り避けることその他の供述者の供述の内容に不当な影響を与えないようにするために必要な措置がとられるということでございます。
そこで、改正後の刑事訴訟法三百二十一条の三におきましても、の一項ですね、におきましても、これらの措置が一般的な通常の配慮を超えて個々の供述者のそれぞれの特性に応じた特段の配慮の下にとられたものであるということを明確にするためにこうした措置が特にとられたというふうに規定しているものでございまして、現在運用されている代表者聴取の取組における聴取では御指摘のプロトコルなどが用いられ、先ほど申し上げた措置が一般的な通常の配慮を超えて供述者の特性に応じた特段の配慮の下にとられているものと承知しておりますので、その場合には、改正後の刑事訴訟法第三百二十一条の三第一項の措置要件は満たすと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/249
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250・仁比聡平
○仁比聡平君 もちろん、私も、今御紹介している二つのプロトコルに限定されるということを申し上げるつもりはないわけですけれども、この取り組まれてきた趣旨から外れると、これは大きな問題が起こると思うんですね。
その手法のグラウンドルールの説明のところをちょっと御覧いただきたいと思いますが、面接の約束事として、面接者は知識を持っていないという項がありますよね。子供たちはとても敏感で、暗示や誘導ということにとても脆弱だということもあり、目の前にいる大人、聞き取り者がどんな認識で自分に向かっているかということは、これは気付くものですよ。
そのときに、当該事件の捜査を担当する、例えば、その子の性虐待について刑事事件に問われている親がいる、その事件を捜査している警察官やあるいは検察官がつまり証拠を全部握っているし、ほかの関係者の取調べもやっているという捜査官が子供に対して面接に及ぶということになれば、それは予断を持っているに決まっているし、何かを聞き出そうとする、言わせようとするというそうしたおそれ、あるいは公正らしさを害する、そうした状況というのが生まれますよね。
私は、この手法を取るときに、事件の捜査を担当する検察官が主体となってはならないと思うんですが、局長、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/250
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251・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) グラウンドルールの説明というところに記載しておりますとおり、子供から話を聞くときには、私は何も知らないと、あなたから話をしてもらいたいということを徹底するということがルールとして決まっておりまして、一定の結論なり答えに誘導するようなことは厳に慎むということがもう基本的なルールですので、そういう考え方で聴取を行うものだと理解をしております。
また、できるだけ早いタイミングで、その記憶が汚染されないようなタイミングで、誘導などを行わずに、できるだけ少ない回数で話を聞くというのもこれらのプロトコルの考え方でございますので、御指摘のように、全ての証拠を全部分かっていて、事実関係も全部分かっていて聴取するというような状況かどうかという、実際の事件によっていろいろありますけれども、必ずしも、捜査官であれば何もかも分かっていて、子供に何かをこう暗に誘導するというようなことでもないのかなというふうに思っておりますし、聴取の主体に関しては、改正後の刑事訴訟法第三百二十一条の三は特に限定をしておりませんので、このプロトコル、これらのプロトコルのような一定の措置がとられたものという手法で聴取をすることができるものであれば、聴取主体の限定はしていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/251
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252・仁比聡平
○仁比聡平君 条文上そういう限定をしていないから、私はあえてこういう質問をしているんですよ。
大臣、ちょっとお尋ねしたいと思うんですけれども、伝聞法則というのは、供述の認知から表現に至るまでのプロセスを法廷における直接供述をただしながら行われるからこそ効果を発揮するわけですよね。それが憲法の保障なわけですよ。
実際、こうした脆弱な子供たちの供述というのが重要な証拠になるときに、これを伝聞例外にするという要請そのものを、私、全面的にゼロだと言うつもりは全然ないんですけれども、けれども、例えば、事件の後、被疑者、被告人が特定されたとしても、例えば精神鑑定などを要して数年公判までに時間が掛かるというようなことだってあり得ますよね。
小さい子が何年も前に録音、録画されたものが主尋問に代わるものとして法廷に顕出されると。これに対して大臣は反対尋問をさせると言っていますけど、何年も前の、あのときどんな人からどんなふうな話を聞かれたかも分からなくなっている子供に、供述当事者に、反対尋問は事実上なかなか効果を上げることは難しいと私は思うんですよ。だからこそ、今日申し上げているような、これまで性虐待の被害児に対して取り組まれてきたような代表者質問、その蓄積されてきた手法に限定すべきだと、運用は。
条文上は、今局長がおっしゃったように、主体も、あるいは対象犯罪も、あるいは被害者の年齢も限定はされていないんですよ。だからといって、あらゆる犯罪であらゆる関係者の供述、子供だけじゃなく、供述を録音、録画してそれを主尋問に代えたらいいといったら、もう刑事裁判壊れちゃうじゃないですか。それは憲法違反なんですから、そんな運用は絶対しちゃならないと。そんな運用をしたら、それは反対尋問権侵害であり、デュープロセスに反する許せないことだと、許されないことだということを私は明確にすべきだと思いますが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/252
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253・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 改正後の刑事訴訟法第三百二十一条の三第一項におきましては、録音・録画記録媒体に記録された供述の信用性が吟味できるよう、証拠能力を与える要件として、証人として尋問する機会を与えなければならないと、こうしているわけであります。
被告人側の尋問が法廷供述について直接行われないことにより、反対尋問としての機能が限定的となるのではないかという御指摘でありますが、次のようなことをちょっと申し上げたいと思います。
すなわち、まず供述者が被告人側の尋問時に事件の記憶を維持している場合には、法廷で主尋問が行われた場合と変わりなく尋問を行い得ること。そして、被告人側の尋問や検察官側の尋問を通じて事件の記憶を喚起した上で尋問を行うことが可能となる場合もあること。そのようにしても事件の記憶が喚起されず証言できないのであれば、仮に法廷で主尋問を実施したとしても同じ結果となるということ。さらには、事件の記憶が喚起されない一方で、供述者が聴取時には記憶していた事件の内容を供述した旨述べる場合もありますけれども、そのような場合、現行法の下でも、反対尋問の前提となる供述は主尋問での証言ではなく捜査段階で作成された供述調書ということになることから、改正後の刑事訴訟法第三百七十一条の三に特有の問題ではないこと。
こういったことから、尋問する機会を与えることを要件として、証拠能力を与えることに問題はないというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/253
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254・仁比聡平
○仁比聡平君 丁寧にではありますけれども、これまでの立法の提案を繰り返されました。大臣としては今日そうおっしゃるしかないのかもしれませんが、私、先ほど指摘したような場面になったら、これはもう現実の裁判の舞台では重大な争点に発展してしまうと思います。そんな運用は絶対にしてはならないと。
そもそも、イギリス、アメリカの司法面接というのは、子供たちが暗示や迎合によって体験していない事柄を供述して、それによって冤罪事件が起こってしまったという反省に始まった取組なんですよね。これを逆に使ってしまうということは絶対行ってはならないということを厳しく申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
斉藤参考人、おとといの参考人質疑でとても重要なことをおっしゃってくださいました。私が特に印象に残ったのは、性暴力や性犯罪は学習された行動である、なぜ性犯罪を繰り返すようになったのかというと、この社会の中で学習してきたものだからだと、だからこそ、学習し直すことでやめることができる、そこに専門の治療が最もエビデンスがあるし、刑罰プラス治療をしていくことが重要であるという、こうした認識を述べられたんですが。
矯正局にお尋ねしたいと思いますけれども、お配りをしている五枚目の資料は、性犯罪者処遇プログラム受講者の再犯等に関する分析結果、令和二年のものですけれども、これらも踏まえて、この斉藤参考人の指摘についてどのように受け止められますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/254
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255・花村博文
○政府参考人(花村博文君) お答えします。
刑事施設におきましては、強制性交と強制わいせつなど性犯罪を行った者の中で性犯罪の要因となる考え方に偏りがある者、あるいは自己の感情や行動を管理する力に不足がある者などに対して、再犯につながる問題性の大きさを判定し、その度合いに応じて刑事施設の職員や処遇カウンセラーが認知行動療法に基づく性犯罪再犯防止指導を行っております。
認知行動療法は、問題行動の背景にある自らの認知のゆがみに気付かせ、これを変化させること等によって問題行動を改善させようとする方法であり、具体的な内容としては、受刑者にグループワークの中で性犯罪につながる要因を検討させるとともに、その要因に対処するための知識やスキルを身に付けさせ、それらを出所後の生活で実践するための再発防止計画を作成させております。
刑事施設における性犯罪再犯防止指導につきましては、その効果検証を行った結果、一定の再犯抑止効果があることが統計的に認められているところであり、引き続き処遇プログラムの充実を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/255
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256・仁比聡平
○仁比聡平君 この令和二年三月の分析結果の表にあるように、効果は上がっているということなんだけれども、強制わいせつや迷惑行為防止条例違反事犯者についてはそれが見られないとか、再犯リスクや問題性が特に大きい群について指導の充実を検討しなきゃいけないという課題はやっぱり大きいんですよね。
そうした中で、二〇一四年十一月の性犯罪の罰則に関する検討会で、大阪の藤岡淳子教授が極めて示唆に富む指摘をしておられます。資料を二枚お配りしておりますけれども、処遇プログラムの先進国と言われるカナダでの取組が効果を上げているということなんですね。
その際の議事録をそのままちょっと紹介しますが、CoSAは、刑務所を出た性犯罪者、コアメンバーと呼ばれる人を、一般の市民たちが友達になることと監視することと両方の役割を担って毎日支える。そして、その市民たちを専門家たちが週に一度会議を開くなどして支えるというものです。これはカナダのクエーカー教徒たちから始まって、今、イギリスやアメリカに広がっています。再犯率を七〇%から八〇%低下させたということで、非常に注目を集めている方法ですと。このグラフ、御覧のとおり、ピーク時の半分近くまで下がっているわけですよ。
もう一枚は、厳罰化の代表として藤岡先生が紹介された韓国における認知件数なんですが、これずっと上がっていますよね。
藤岡先生、こうおっしゃっています。二〇〇七年に電子監視を取り入れていますが、それにもかかわらず認知件数は上がり続けて、ようやく一昨年、二〇一二年のことですけれども、プログラムを韓国でも始めているところですと。下に否定的効果として差別やヘイトクライム、監視対象者が増加し監視が行き届かなくなり、再犯が増加する可能性があると。住所登録だったり電子監視というような取組というのはこういう逆効果を生んでいるじゃないかという指摘があるんですが、こうした点について、保護局になるでしょうか、どんな御認識でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/256
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257・宮田祐良
○政府参考人(宮田祐良君) CoSAの点についてお答え申し上げるのがいいかなと思うんですけれども、CoSAの取組というのは私ども大変注目をしております。
やっぱり市民とともに再犯あるいは健全な生活を営んでいくということは非常に重要でありますし、やはり刑事手続も含めて、あるいは刑事手続終わった後も、やはり必要な支援を地域で継続的に受けられる仕組みというのが大変重要であるというふうに認識をしております。
この点について、日本の我が国の取組としましては、現行でも保護司とかあるいは協力雇用主とか、やはり本人の身になって隣人として支えてくださる人たちが現にいて、CoSAと同じ取組ではないですけれども、やはりそういった人たちの協力が非常に重要だと思っておりますし、引き続き注目して関心を持って、払っていきたいというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/257
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258・仁比聡平
○仁比聡平君 時間が迫っていますので、大臣にお答えいただければと思うんですが、そうした点について、もう一つの斉藤参考人の指摘は、結局、受刑者に対する取組と社会内処遇での連携というのがこれはうまくいっていないじゃないかと、連続した処遇というのが必要じゃないかということなんですけれども、そうした指摘に対してどうお答えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/258
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259・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まさに性犯罪者の再犯防止のためには、地域において必要な支援につながっていくということ、これが極めて重要であると考えています。
矯正施設や保護観察所では、地域における支援を確保するための取組を行っているところであります。具体的には、矯正施設において把握した処遇情報等を基に、矯正施設収容中から釈放後の支援を確保できるよう、保護観察所において、例えば、同じ問題を抱える人たちが集まり相互理解や支援を行う活動をしている民間支援団体、専門的なプログラムを実施する医療機関、心の問題について相談できる精神保健福祉センターといった地域において支援を行っている関係機関、団体と調整を実施し、当該関係機関等とつながりをつくっているほか、保護観察中においても必要に応じてこれら関係機関等と連携した処遇を実施しているところであります。
じゃ、これが完璧に連携できているかとおっしゃられれば、私は完璧にはなっていないと思いますので、引き続き、性犯罪者の立ち直りのために切れ目なく地域での支援が受けられるよう、連携強化を図ってまいりたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/259
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260・仁比聡平
○仁比聡平君 そのための体制強化や、あるいは民間の、あるいは専門家の力を生かしていくための予算措置だとか、もう日本でやらなきゃいけないこと、カナダのCoSAのような取組を、近づけていくためにやらなきゃいけないこと山ほどあるということを指摘をし、時間が本当にいよいよ迫って、警察庁、厚労省の皆さんに御答弁いただくわけにちょっといかないかもしれないんですけれども、後のこの資料に、SNSに起因する事犯として、警察庁の資料、罪種別の被害児童の数の推移が極めて高い水準で推移していると。
この中には、次の資料ですけれども、優しかった、相談に乗ってくれた、あるいは寂しかったとか暇潰しとか、そうした心理でSNSを通じた被害に遭い、そして自尊心を奪われ、精神的にも身体的にも大きなダメージが残る、そうした子供たちや若年女性がいると。これ、もう御答弁いただかなくてもはっきりしていると思うんですけど、そうした実態をしっかり捉えた、五年後という附則に基づく徹底した調査が必要だと思うんですよ。
前回も問いましたけれども、小西参考人、島岡参考人は、そういう実証的な調査というのが日本では非常に欠けている、あるいは、まさにそれが一番日本で足りないことだというふうにもおっしゃいました。
前回、大臣は、手法や範囲について深く検討していきたい、受け止めてほしいというお話あったんですが、そうした法務省からの要請があったときに、内閣府男女共同参画局のこれまでの知見生かして、私、是非受け止めて取り組んでいただきたいと思うんですが、内閣府、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/260
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261・畠山貴晃
○政府参考人(畠山貴晃君) お答え申し上げます。
内閣府においては、統計法に基づく一般統計調査として、三年に一度、男女間における暴力に関する調査を実施し、無理やりに性交等をされた経験の有無、被害時の年齢、被害後の相談の有無や相談の時期等について尋ねるなど、性犯罪、性暴力の被害の防止や被害者支援等のための施策の検討に資する調査の実施に努めてきたところです。
引き続き、関係省庁とも連携しまして、性犯罪、性暴力の状況が的確に把握できるデータの在り方を検討するとともに、効果的な施策の立案等に資する調査を実施してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/261
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262・杉久武
○委員長(杉久武君) おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/262
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263・仁比聡平
○仁比聡平君 はい。
性暴力、性犯罪というのは、個人の尊厳を脅かす、あるいは否定してしまう人権侵害ですから、その原点を絶対に揺るがずに、法務省にも、そして関係省庁にも全力を尽くしていただきたいと思います。
皆さん、お疲れさまでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/263
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264・杉久武
○委員長(杉久武君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
これより両案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/264
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265・仁比聡平
○仁比聡平君 日本共産党を代表して、刑法、刑事訴訟法一部改正案及び性的な姿態撮影行為等の処罰等法律案について賛成の討論を行います。
以下、主要な点について意見を述べます。
第一に、本改正案が、明治刑法以来、命懸けで抵抗をしなければ、あるいはしなかったとみなされれば、性被害者が逆に泣き寝入りを強いられ、二次被害のおそれから沈黙を強いられてきた大きな原因であった、暴行、脅迫、抗拒不能要件を根本的に改め、同意の有無を中核とした構成要件に変えることは大きな前進です。声を上げ続けてきた被害当事者の皆さんに心から敬意を申し上げます。
罪名そのものを不同意性交等罪とし、暴行、脅迫、心身の障害、アルコールや薬物、睡眠その他意識の不明瞭、不意打ち、恐怖、驚愕、虐待、地位に基づく影響力による不利益の憂慮という列挙事由により、同意しない意思の形成、表明、全うを困難な状態にさせ又はその状態に乗じて行った性的行為を処罰対象とすることにより、処罰されるべき性暴力が適正に処罰され、抑止されることを期待します。
また、地位、関係性を利用する類型の創設、さらに、性的行為には相手の積極的同意を必要とし、個人の尊厳を保護法益と捉え直す更なる検討を求めます。
第二に、性的同意年齢の十三歳から十六歳への引上げを明記し、中学生まで原則保護することは重要ですが、小西参考人が完璧な解決とは言えないと述べたとおり、五歳の年齢差要件に合理性があるかは疑問です。とりわけ、十八歳以上の者による十六歳未満の者に対する性加害、性搾取の実態を把握し、更なる改正を真剣に検討すべきです。
第三に、公訴時効を現行より五年ずつ延長するとともに、被害者が十八歳に達するまでの期間を時効期間に加算する改正は前進ですが、本改正によってもなお、被害をようやく認識し、相談した時点で公訴時効が成立している事態が起こり得ます。とりわけ、幼少期、思春期の性被害による脳の萎縮やPTSDなど、脳科学的、精神医学的知見に基づき、ドイツやフランス、アメリカなどの取組に学んで、国として、大規模、国民的な被害実態の調査を行い、三十歳に達するまで時効を停止するなど、更なる改正を強く求めます。
第四に、盗撮の被害はインターネットやスマートフォンの高性能化により深刻化し、被害者が知らないまま画像が拡散、販売されるなど、デジタル性暴力と合わさることで取り返しの付かない侵害を受けます。法案が定める一定の要件の下での性的姿態等の撮影、影像の提供、送信、記録などの行為の犯罪化、画像などの押収、消去、没収規定の新設は重要です。
第五に、被害者等の聴取結果を記録した録音・録画媒体を伝聞法則の例外として扱う点について、本改正案が、対象犯罪も対象者の年齢も限定せず、供述弱者に限らない条文になっていることは問題です。イギリス、アメリカの司法面接が、子供たちが暗示や迎合によって体験していない事柄を供述し、それによる冤罪事件の反省から始まったことを重く受け止めるべきです。
法改正後の運用は、専ら中立的な児童心理等の専門家によって行う体制を整え、捜査機関から独立した聞き取りとすべきです。これまで、性虐待被害児に対して、児童相談所、警察、検察、三者で取り組まれてきた代表者聴取、すなわち、専門的な訓練を受けた面接者が、誘導、暗示に陥りやすい子供の特性に配慮し、その供述結果を司法手続で利用することを想定して実施する事実確認のための面接で蓄積されてきた手法に限定し、当該事件の捜査に携わり、予断を持つ検察官による聴取は排除すべきです。
そうした限定のない運用は、憲法が保障する被告人の反対尋問権を侵害し、デュープロセスに反するものとして許されないことを指摘し、討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/265
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266・杉久武
○委員長(杉久武君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
まず、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/266
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267・杉久武
○委員長(杉久武君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、牧山君から発言を求められておりますので、これを許します。牧山ひろえ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/267
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268・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 私は、ただいま可決されました刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 第一条の規定による改正後の刑法第百七十六条第三項及び第百七十七条第三項の規定において、十三歳以上十六歳未満の者に対する五歳以上年長の者の性的行為を処罰することとしているのは、両者の間におよそ「対等な関係」があり得ないと考えられることによるものであって、両者の年齢差が五歳差未満であれば「対等な関係」であるとするものではないのであるから、第一条の規定による改正後の刑法第百七十六条第一項及び第二項並びに第百七十七条第一項及び第二項の規定の適用に当たっては、とりわけ、これらの規定に定める行為をする者が十八歳以上であり、かつ、その相手方が十六歳未満である場合には、むしろ、十六歳未満の者にとっては年齢差がその意思決定に及ぼす影響が大きいことに鑑みると、両者の間でなされた性的行為は、「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること」等により「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて」の要件や「行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ」の要件に該当し得ることに留意すること。また、附則第二十一条の規定による周知に当たっては、この点についても、併せて周知すること。
二 不同意わいせつ罪及び不同意性交等罪における同意の位置付け及び意義、年齢差要件及び地位・関係性要件等並びに面会要求等罪の改正法の趣旨及び構成要件について、若年層をはじめとする国民に対する普及啓発を推し進め、十分に周知徹底を図るよう努めること。とりわけ、子どもに対する性被害の深刻性及び性に関する教育等の重要性に鑑み、初等教育から高等教育に至る全ての学校段階において、子どもの心身の発達段階に応じ、十分な教育等を行うこと。また、普及啓発のために必要な予算を確保するとともに、司法警察職員等の関係者に対しても、法改正の趣旨を周知徹底し、十分な研修等を行うこと。
三 性犯罪が被害者の性別を問わないものとなっていることを踏まえ、被害の相談、捜査、公判のあらゆる過程において、男性や性的マイノリティの被害者について適切に対応できるよう、関係機関等に対する研修等を通じて徹底させるよう努めること。
四 第一条の規定による改正後の刑法第百七十六条及び第百七十七条において、婚姻関係の有無にかかわらず性犯罪が成立することが明確化されたことに鑑み、司法警察職員、検察官、裁判官及び地方自治体の職員等の関係者に対して、法改正の趣旨を周知徹底し、必要な対応等を行うこと。
五 性犯罪が重大かつ深刻な被害を生じさせる上、その被害の性質上、性犯罪被害者が支援を受けるまでに様々な心理的・社会的障壁があることを踏まえ、捜査から公判等における各段階において被害者の心身の状態に十分配慮するよう努めるとともに、被害者支援のための関係省庁の連携体制の構築、被害直後から継続的な性犯罪被害者への支援やワンストップ支援センターを通じた支援の充実等の多面的な支援を行うよう努めること。その際、心身に障害がある性犯罪被害者について、その特性を踏まえて適切な対応をすること。
六 いわゆる司法面接的手法による聴取結果等を記録した録音・録画記録媒体に関する証拠能力の特則が刑事訴訟法の根幹である伝聞法則の例外であることに鑑み、聴取の実施に当たっては、国際的な実証的研究に基づき開発された司法面接の手順に留意しつつ実施し、当該聴取の実施の妥当性を録音・録画等により事後的に検証することができる手法の措置を講じるなど、適切な運用に努めるよう留意すること。
七 いわゆる司法面接的手法による聴取の前の段階において、聴取対象者の記憶の汚染を防止するよう努めるとともに、聴取後の聴取対象者への接触については、汚染のない初期供述を可能な限り少ない回数の面接によって確保するという司法面接的手法による聴取の趣旨に反することがないよう、関係者において十分配慮すること。
八 子どもが被害者である性犯罪等においては、子どもの負担を軽減し、かつ信用性の高い供述を聴取することが重要であることに鑑み、子どもからの聴取を適切に行うことができるよう、子どもの認知発達能力・心理・法律の知識に関する知見や技術の向上を図るとともに、子どもが安心して話せる環境を整えるため、海外の取組等を参考にし、民間団体や医療団体等の知見も生かしながら、聴取の場所や方法について更なる検討を進めること。あわせて、障害者が被害者である性犯罪等においては、障害者からの聴取を適切に行うことができるよう、障害者の特性に十分配慮すること。
九 子どもが証人として公判廷に出廷する際、証人の認知発達能力を踏まえず不相当な尋問や困惑させる尋問を行うことは、証人に重篤な心的負担を与えるのみならず、真実発見も遠のくことを踏まえ、適切な子どもの証人尋問の実施に向けて、訴訟関係者がそうした子どもの特性に配意する必要性の周知に努めること。あわせて、障害者が証人として公判廷に出廷する際には、障害者の特性を踏まえ、適切な証人尋問となるよう配慮すべきことを周知すること。
十 附則第二十条第一項の検討を行うに当たっては、子どもが被害者である性犯罪等における被害の実情、被害開示後の被害聴取方法、被害聴取結果の証拠能力及び公判廷での尋問の在り方等、この法律による改正後の規定の施行の状況等を勘案して、子どもが被害者である性犯罪等についての施策の在り方について検討を加えること。
十一 性犯罪の捜査、司法手続に当たって、被害者の心理及び心的外傷、被害者と相手方の関係性をより一層適切に踏まえてなされる必要性に鑑み、これらに関連する心理学的・精神医学的知見等について調査研究を推進するとともに、調査研究を踏まえた研修を行うこと。
十二 性犯罪者の再犯等に関する多角的な調査研究や関係機関と連携した施策の実施など、効果的な再犯防止対策を講じるよう努めること。
十三 性犯罪及び性暴力に関する実情及び海外の制度等について引き続き調査を行うとともに、附則第二十条第一項の検討を行うに当たっては、不同意性交等罪における同意の位置付け、生徒と教員及び障害者と保護・監督者等との間の地位に基づく影響力に関する要件、いわゆる性交同意年齢の年齢差要件、公訴時効期間等の在り方についても検討を行うこと。また、障害者が被害者である性犯罪に関し、被害者の意思形成を考慮した要件、障害者と対人援助職の者等との間の地位に基づく影響力に関する要件、公訴時効期間等の在り方についても検討を行うこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/268
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269・杉久武
○委員長(杉久武君) ただいま牧山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/269
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270・杉久武
○委員長(杉久武君) 全会一致と認めます。よって、牧山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、齋藤法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。齋藤法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/270
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271・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) ただいま可決されました刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/271
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272・杉久武
○委員長(杉久武君) 次に、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/272
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273・杉久武
○委員長(杉久武君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、牧山君から発言を求められておりますので、これを許します。牧山ひろえ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/273
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274・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 私は、ただいま可決されました性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律附則第二十条第一項の検討を行うに当たっては、アスリートや客室乗務員等に対する盗撮が社会問題となっている実情を踏まえ、正当な理由がないのに、性的姿態等以外の人の姿態又は部位(衣服により覆われているものを含む。)を性的な意図をもって撮影する行為等を規制することについて検討を行うこと。
二 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律附則第二十条第一項の検討を行うに当たっては、本法及び今般の改正後の刑法の運用状況を踏まえ、十三歳以上十六歳未満の者を対象としてその性的姿態等を撮影する行為等の年齢差要件について検討を行うこと。
三 第四章に規定する電磁的記録の消去等が速やかに実施されるよう、検察官に対し必要な研修を行い、法曹関係者に周知すること。
四 本法第二条第一項第四号において十三歳以上十六歳未満の者に対する五歳以上年長の者の性的姿態等の撮影行為を処罰することとしているのは、両者の間におよそ「対等な関係」があり得ないと考えられることによるものであって、両者の年齢差が五歳差未満であれば「対等な関係」であるとするものではないのであるから、同項第二号及び第三号の規定の適用に当たっては、とりわけ、これらの規定に定める撮影行為をする者が十八歳以上であり、かつ、その相手方が十六歳未満である場合には、むしろ、十六歳未満の者にとっては年齢差がその意思決定に及ぼす影響が大きいことに鑑みると、十八歳以上の者が十六歳未満の者の対象性的姿態等を撮影する行為は、同項第二号で定める改正後の刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由の「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること」等により「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて」の要件や、本法第二条第一項第三号の「行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ」の要件に該当し得ることに留意すること。
五 子どもに対する撮影行為の被害がとりわけ深刻であることに鑑み、子ども、学校関係者及び保護者に対して本法の趣旨について効果的な啓発を行うこと。また、啓発のために必要な予算を確保するとともに、司法警察職員等の関係者に対しても、本法の趣旨を周知徹底し、十分な研修等を行うこと。
六 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律附則第二十条第一項の検討を行うに当たっては、本法により新設された性的姿態等撮影罪等について、その発生状況、政府における対応の状況、被害の実態等を継続的に把握し、被害者救済の観点から検証を行うとともに、性的姿態等の撮影の同意後にこれを撤回したにもかかわらず撮影した影像を記録した物を所持し続ける場合及び国外で日本国民以外の者が行った場合の罰則の新設について検討を行うこと。
七 性的姿態等撮影罪等の被害者が実効性のある支援を受けられるよう、警察、ワンストップ支援センター、日本司法支援センター、民間の支援団体その他の関係機関・団体相互間の連携の強化を図るなどして、相談体制や支援環境の整備に努めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/274
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275・杉久武
○委員長(杉久武君) ただいま牧山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/275
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276・杉久武
○委員長(杉久武君) 全会一致と認めます。よって、牧山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、齋藤法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。齋藤法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/276
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277・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) ただいま可決されました性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/277
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278・杉久武
○委員長(杉久武君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/278
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279・杉久武
○委員長(杉久武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115206X02220230615/279
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