1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年五月十二日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十一号
令和五年五月十二日
午前十時開議
第一 平和的目的のための月その他の天体を含
む宇宙空間の探査及び利用における協力のた
めの日本国政府とアメリカ合衆国政府との間
の枠組協定の締結について承認を求めるの件
(衆議院送付)
第二 航空業務に関する日本国と欧州連合構成
国との間の協定の特定の規定に関する日本国
と欧州連合との間の協定の締結について承認
を求めるの件(衆議院送付)
第三 協力及び電子的証拠の開示の強化に関す
るサイバー犯罪に関する条約の第二追加議定
書の締結について承認を求めるの件(衆議院
送付)
第四 全世代対応型の持続可能な社会保障制度
を構築するための健康保険法等の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、出入国管理及び難民認定法及び日本国との
平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等
の出入国管理に関する特例法の一部を改正す
る法律案(閣法第四八号)(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/0
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001・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(閣法第四八号)について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/1
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002・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。齋藤健法務大臣。
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/2
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003・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
近年、退去強制令書の発付を受けたにもかかわらず、様々な理由で送還を忌避する者が後を絶たず、迅速な送還の実施に支障が生じているのみならず、退去強制を受ける者の収容が長期化する要因ともなっています。また、昨年来続くロシア連邦による侵略を受け、ウクライナから避難してきた方々のような、人道上の危機に直面し真に庇護を必要とする方々を確実に保護する制度を設ける必要も一層高まっています。
こうした状況に対応するため、保護すべき者を確実に保護しつつ、退去強制手続を一層適切かつ実効的なものとすることは、適正な出入国在留管理を確保する上で喫緊の課題であり、これらの課題を一体的に解決する法整備を行うことが必要不可欠です。
この法律案は、以上に述べた情勢に鑑み、所要の法整備を図るため、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正するものであります。
この法律案の要点を申し上げます。
第一は、難民に準じて保護すべき方々を補完的保護対象者として認定する手続を設け、これを適切に保護するための規定を整備するものです。
第二は、在留特別許可制度について、退去強制令書が発付されるまでの間に申請を行うことを可能とするとともに、在留特別許可を行うか否かの判断に際して考慮すべき事情を明示するものです。
第三は、退去強制を受ける者のうち、退去強制令書の円滑な執行に協力しない国が送還先である者及び送還を積極的に妨害する行為を行ったことがある者に対し、一定の要件の下で自ら本邦から退去することを義務付ける命令制度を創設し、命令に違反した場合の罰則を整備するものです。
第四は、難民認定手続中は法律上一律に送還が停止されるといういわゆる送還停止効に例外を設け、同手続中であっても一定の場合には送還を可能とするものです。
第五は、退去強制令書の発付を受けた者の自発的な出国を促すため、素行等を考慮して相当と認められる者について、その申請により、速やかに自費出国をした場合には上陸拒否期間を短縮することができることとする制度を設けるものです。
第六は、退去強制手続における収容に代わる選択肢として監理措置の制度を創設し、当該外国人の逃亡のおそれの程度、収容により受ける不利益の程度等を考慮して相当な場合には、監理人による監理に付し、収容せずに手続を進めることとするとともに、収容する場合であっても、三か月ごとに、監理措置に付すか否かを必要的に見直すことにより、収容の長期化の防止を図るものです。あわせて、仮放免制度について、健康上、人道上その他これらに準じる理由により収容を一時的に解除する制度と改めた上、健康上の理由による仮放免請求に係る判断をするに当たっては、医師の意見を聴くなどして、その者の健康状態に十分配慮することなどを法律上明記するものです。
第七は、入国者収容所等における被収容者の処遇について、保健衛生及び医療、外部交通等に関する事項を明確化するため、具体的な規定を整備するものです。
このほか、十六歳未満の外国人が所持する在留カード及び特別永住者証明書の有効期間を見直すことなど、所要の規定の整備を行うこととしております。
政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院において一部修正が行われております。
第一に、難民の認定等の申請をした外国人に対し質問をするに当たっては、その心身の状況等に応じて適切な配慮をすることとするものです。
第二に、難民の認定等を適正に行うために、国際情勢に関する情報の収集等に努めるとともに、難民調査官には、必要な知識及び技能を習得、向上させるために必要な研修を行うこととするものです。
第三に、附則において、監理措置及び仮放免の制度の運用に当たっては、判断の適正及び手続の透明性の確保に努めることとするものです。
以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/3
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004・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。牧山ひろえ君。
〔牧山ひろえ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/4
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005・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえです。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案について質問いたします。
なお、去る五月九日、私たち立憲民主・社民は、共産党、れいわ、沖縄の風とともに、四会派による野党共同提案で、閣法への対案として議員立法難民等保護法案及び入管法改正案を提出いたしました。
本日の本会議代表質問でも閣法と並べての審議を要求しましたが、与党に拒否され、実現しなかったことは極めて遺憾です。熟議の府たる参議院でより議論を深め、それぞれの法案の違いや優劣を国民の皆さんに分かりやすく伝えるチャンスを否定した与党の判断は強く批判されるべきと考えます。
さて、令和三年二月に提出された入管法案は、三回目以降は難民認定申請中でも本国への強制送還を可能とする送還停止効の例外を設け、また罰則付きの退去命令制度を設けるなど、到底認めることができない内容を多く含んでいました。そして、翌三月にウィシュマ・サンダマリさんが名古屋入管で亡くなられたことで、同法案に対して国内外からの批判が高まり、結局、同法案は廃案に追い込まれました。
ウィシュマさんのように、入管収容施設内で人がお亡くなりになるような悲劇は決して繰り返してはなりません。そのためには、ウィシュマさんが亡くなった原因を究明し、入管収容施設内における処遇はもちろん、日本の入管難民制度全体の問題点を解明し、徹底的に見直すことが不可欠です。しかしながら、政府は、今回、その反省も教訓もなく、二年前に廃案となった法案とほぼ骨格が変わらない法案を国会に再提出してきました。
政府が今回改めて法案を提出したということは、ウィシュマさんの事件に関し、真相を究明し、それに基づき抜本的な改善を行ったことが当然前提となるはずですが、法務大臣、そういう認識でよろしいでしょうか。そうでなければ、なぜ廃案になった法案と根本の問題が変わらない法案を出してきたのでしょうか。
また、事件後に政府が行った総括で、そして今回の法案で、今後ウィシュマさんのような悲劇を二度と起こさないと法務大臣は果たして言えるのでしょうか。
我が国の難民認定についての問題の根幹にあるのは、外国人の出入国の管理を行う組織である出入国在留管理庁が同時に難民認定も行ってしまっていることです。法務省設置法には、入管庁の任務は出入国及び外国人の在留の公正な管理を図ることであり、その任務を達成するために難民の認定に関する事務をつかさどると規定されています。つまり、入管庁は難民認定も外国人管理という観点から行っているわけであって、これでは難民として保護すべき人を正しく保護できるとは到底思えず、事実、難民認定率は先進国最低レベルで、極めて恥ずかしい水準にとどまり、国連人権理事会等からも、本来保護すべき方々が適切に保護されていないとの強い批判を受け続けています。
我が党提出の対案では、難民認定の中立性、公平性、透明性、専門性を確保するため、入管庁から独立した第三者機関が難民認定を行うこととしておりますが、この方針に対する法務大臣の見解をお伺いいたします。
衆議院での審議では、入管行政と難民行政が密接に関連しているからだという答弁が政府よりありました。仮に相互の関連により利便性のメリットがあるにしても、独立した難民行政がないことによって、保護よりも管理の視点が優先されてしまっていることによるデメリットの方がはるかに大きいのではないでしょうか。これは人の命や人生を左右するほど深刻で重大な問題です。このデメリットへの対応について、法務大臣の御見解をお示しください。
これに関連して、難民認定の最終決定を行う法務大臣として、難民等を間違って難民と認定しないことと、難民等でない人を間違って難民と認定すること、どちらを優先しますか。端的にお答えください。
十人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれという箴言が私たちの取る立場です。難民認定は刑事事件ではないですが、本国に帰すことによって、迫害や拷問に遭ったり殺されたりする危険にさらすことになるのです。衆議院の参考人質疑で登壇した一橋大学院の橋本直子准教授も、同じ趣旨から、このまま法案を通すのは無辜の人に間接的に死刑執行ボタンを押すことに等しいと警告しています。
現在の全件収容主義は、収容の長期化の主要な一因となっています。本法律案では、収容の代わりとなる監理措置の創設が提案されています。
まず、この監理措置の導入は、これまでの入管庁の全件原則収容主義を撤廃し、原則収容しないという方針を確立するものなのか、明確にお答えください。また、実際にどれぐらい監理措置に付されることになるのか、想定とその根拠について法務大臣に伺います。
届出義務や報告義務等の重い義務や罰則がある監理人のなり手が果たして十分確保されるのでしょうか。確保の見通しと手段、そして、なり手が不十分な場合の対応について、法務大臣の見解を求めます。
被収容者については三か月ごとに監理措置の要否を検討することとされていますが、どのような場合に今まで収容されていた外国人を監理措置に付することが適当と認められるのでしょうか。法務大臣は、個々の事情という答弁に逃げるのではなく、措置の公平を保つためにも具体的な基準をお示しください。
我が党が提出した法案のように、収容の長期化に対しては、監理措置ではなく、全件収容主義を撤廃し、収容の開始又は継続時における司法審査を導入して、さらに、収容期間に上限を設けるべきであると考えますが、法務大臣の見解を伺います。
衆議院での修正協議に際して、修正項目の一つに、在留特別許可を判断する際に子供の利益を考慮すべきことを条文上明記するという内容がありました。我が党が最終的に修正協議に合意できなかったことにより、この項目も含め合意項目は全て白紙とされていたのですが、ということは、在留特別許可の考慮事情に児童の利益を考慮すべきことを条文上明記することに政府・与党は反対ということでしょうか。法務大臣の御見解をお示しください。
反対しようがない内容で、かつ一旦修正に応じたにもかかわらず削除したということは、党利党略で子供の利益を人質に取ったと同じことだと思います。
衆議院法務委員会で齋藤大臣は、日本で生まれ育ったものの在留資格のない二百一人の十八歳未満の子供に対し、できることを真剣に検討していきたいと繰り返し御答弁されました。何の罪もないこの二百一人の子供たちに対する在留特別許可等の措置を前向きに御検討いただけると考えてよろしいですね。
法務省や入管は、在留資格を持たない外国人の一部を送還忌避者と呼び、罰すべきもの、一刻も早く日本から追い出すべき者として扱います。ですが、送還忌避者には、日本で生まれた子供、あるいは日本で育った子供、日本の学校に在籍していたり、日本で教育を受けた子供、日本に家族がいる人等もおります。これらのほとんどが保護すべき人たちなのではないでしょうか。法務大臣の認識をお伺いします。
では、罪を犯したとされる者ならば、政府が想定するような排除の対象でいいのでしょうか。送還忌避者が犯したと入管庁が公表する罪責の多くが入管法違反です。送還忌避者は退去強制事由に該当しているのですから、言わば当然です。
法務大臣は、入管法違反のみをもって保護すべき対象から除外する理由となるとお考えでしょうか。
そもそも、国連犯罪防止刑事司法会議で採択された京都宣言では、加害者の社会復帰を促進するためにコミュニティーにおける更生環境を推進すると述べられています。
この方向性からすると、前科者は送還してしまえばよいという政策は政府の方針に反すると思われますが、法務大臣の御認識はいかがでしょうか。
入管施設への収容をめぐっては、死亡事件や自殺未遂等、数多くの不祥事が相次いでおり、入管の責任を認める判決も相次いでいます。
また、先ほど述べましたとおり、難民、収容、送還問題に関しては、これまでも再三、国連人権理事会を始めとする国際機関から勧告や批判を受けてきました。直近では、二〇二三年四月に、国連人権理事会の特別報告者らが、この度の入管法改正案に対する共同書簡で、国際人権基準を満たしていないとして、日本政府に国際人権法の下での義務に沿うために徹底した内容の見直しを求めています。
衆議院の質疑でこの書簡について見解を問われた齋藤法相は、特別報告者個人の資格で述べられたものであり、国際連合又はその機関である人権理事会としての見解ではない、法的拘束力を有するものではない、一方的に見解を公表されたことについては抗議する、書簡の内容の誤認等に基づく指摘等を明確にし、改正法案の内容の適正性について十分理解していただけるよう説明を尽くすなどと反論しています。
法的拘束力がなければ国連等からの勧告は無視してもいい、つまり国際的な法の支配を無視してもいいのだと大臣はお考えなのでしょうか。
個人の資格等というと私的な発言だと誤解を招きそうですが、特別報告者は、日本も参加する人権理事会によって任命され、国連から特定の任務を与えられている国際レベルの人権専門家なのです。それを誤認ということは、大臣はそのような方が間違っているという御認識ということでしょうか。
特別報告者による共同書簡は前回改正法案提出時にも日本政府に送られており、その際にも上川法相が一方的と反論しております。一方的なのではなく、正論に対して日本政府が聞く耳を持たないので今回の提出に至ったと考えるのが自然ではと考えますが、法務大臣の見解を伺います。
このような国外からの根拠に基づいた批判を無視する法務省及び入管の傲岸たる対応は、国連人権理事会の理事国を長く務めた日本の地位をおとしめるものです。
そもそも、我が国は人権外交を推進することや国際社会における法の支配を徹底することを表明しており、外務省のホームページでも、社会的弱者の保護といった視点を掲げつつ、国連の主要人権フォーラムや二国間対話を通じて、国際的な人権規範の発展、促進を始め世界の人権状況の改善に貢献していきますと標榜しています。
国連機関から何度勧告されても、誤認だ、一方的だと言い募り、一顧だにしない現在の状況は、我が国が国際的に表明している約束や訴えに自ら泥を塗るもので、人権の尊重という国際的なトレンドにも逆行しており、人権外交重視の視点からもマイナスではないでしょうか。外務大臣の見解をただします。
現在の、我が国を含む人権を重視する自由主義国家群が権威主義的な国家群と対峙する国際情勢にあっては、人権外交の後退は、日本の外交や国際的な影響力にも深刻な打撃を与える懸念があります。
間もなくG7広島サミットが開かれ、先進七か国の首脳が地球規模の課題について話し合います。一億人を超える難民の増加は喫緊の課題の一つです。我が国は、議長国として民主主義や人権を重んじる価値観の共有をしっかりリードする必要があります。
今回のG7を機に、長らく批判にさらされ続けてきた入管、難民政策を抜本的に改善して、そして人権擁護に関する対日イメージを一変させるべきと考えますが、法務、外務両大臣に御見解をお伺いします。
在留資格のない外国人は我が国で最も弱い立場にあります。そして、弱い立場の人間を守れない社会は、結局何も守れません。誰もが弱い立場になる可能性がある以上、この問題は自らと関わり合いのない他人事ではありません。そして、政府案は根幹に欠陥があり、国際人権基準に従って一から制度設計をし直すしかありません。それを既に行っているのが我々の対案です。与党その他には、党利党略を捨て、虚心坦懐に両法案の優劣をしっかりと並べ比べ、御判断いただくことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/5
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006・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 牧山ひろえ議員にお答え申し上げます。
まず、名古屋入管における被収容者死亡事案などについてお尋ねがありました。
御指摘の事案については、外部有識者の方々の御指摘等に基づき幅広く問題点を検討し、その結果取りまとめられた改善策を中心として、医療体制の強化等の組織・業務改革に取り組んできました。また、本法案は、旧法案に対する様々な御指摘を真摯に受け止め、監理措置等の収容に関する制度や健康上の理由による仮放免判断の在り方について大きく修正を行ったものです。こうした組織・業務改革、本法案の適正な運用により、何としても再発を防止する覚悟で取り組んでまいります。
次に、野党対策や第三者機関の設置に、対案、野党対案や第三者機関の設置についてお尋ねがありました。
議員立法として提出された法案については、法務大臣として所感を述べることは差し控えます。
その上で、我が国の難民認定制度では、制度と運用の両面から手続の適正性を確保し、保護すべき者を確実に保護しており、第三者機関を設けないことが申請者の保護よりも出入国在留管理を優先しているとの御指摘は当たりません。
次に、難民等の認定手続の在り方についてお尋ねがありました。
我が国では、申請者ごとにその申請内容を審査した上で、難民条約の定義に基づき、難民と認定すべき者は適切に認定しているところです。引き続き、判断を誤ることなく、難民等と認定すべき者を確実に難民等と認定すべく、不断の努力をしてまいります。
次に、全件収容主義についてお尋ねがありました。
現行法下においても、収容の必要性が認められない者については運用上収容することなく手続を進めており、全件収容主義と呼ばれる状態にはありません。その上で、本法案では、収容しないで退去強制手続を進める監理措置制度を創設し、個々の事案ごとに監理措置に付すか収容するか選択することとするなど、条文上も全件収容主義を抜本的に改めることとしています。
次に、監理措置に関する見通しや運用についてお尋ねがありました。
監理措置決定の件数及び監理人確保の見通しについては、退去強制手続の対象となる者の推移にもよるので、一概にお答えすることは困難です。もっとも、できるだけ多くの方々に監理人になっていただくことは、監理措置制度を適正に運用する上で重要と考えています。
そのため、本法案では、旧法案での定期的な届出義務を削除するなど、監理人の負担を軽減したところであり、引き続き、その担い手となる方々に御理解をいただけるよう、丁寧に説明を尽くしてまいります。
次に、三か月ごとの収容の要否の見直しについてお尋ねがありました。
監理措置に付すか否かについては、逃亡等のおそれの程度、当該外国人が受ける不利益の程度等を総合的に考慮して判断することとなります。
次に、収容に関する司法審査や上限についてお尋ねがありました。
本法案においては、収容により本人が受ける不利益の程度等を考慮し、監理措置に付すか収容するか選択することとしており、現行法の原則収容を抜本的に改めるものとなっています。加えて、収容した場合でも、三か月ごとに収容の要否を必要的に見直し、収容判断の適正をチェックする仕組みを導入しています。また、判断に不服がある場合には、行政訴訟を提起して争うことができます。
こうした事前事後の仕組みにより、手続の適正は十分に図られており、事前の司法審査や収容期間の上限を設ける必要はないと考えています。
次に、在留特別許可の考慮事情についてお尋ねがありました。
与野党間で行われた修正協議については、法務大臣としてお答えを差し控えます。
本法案においては、在留特別許可の考慮事情として、家族関係や人道上の配慮の必要性を明記しており、この中で御指摘の子供の利益についても適切に考慮されるものと考えています。
次に、子供に対する在留特別許可等の措置についてお尋ねがありました。
御指摘の子供に関する在留特別許可等の在り方につきましては、重要な問題であると認識しており、現在、もろもろ対応を検討しています。
次に、送還拒否者についてお尋ねがありました。
送還忌避者は、退去強制令書が発付されたにもかかわらず退去を拒んでいる者全般を指しますが、退去強制令書が発付された者は、退去強制手続において在留特別許可の判断を経るとともに、難民該当性を主張する場合には、難民認定手続も経た上で難民に該当せず在留を特別に許可する事情も認められなかった者であり、保護すべき者は適切に保護しているところです。
次に、保護すべき対象及び法令違反者等の送還についてお尋ねがありました。
外国人の入国や在留を認める上で、一定のルールを設けて遵守を求め、これを遵守しない者を退去させることができることは、国際慣習法上確立した原則です。
そして、現行法上、反社会性の高い犯罪を犯した者等は原則として我が国から退去させることとされており、その中には在留外国人が当然遵守すべき入管法違反も含まれています。
ただし、法令違反者又は前科を有する者であっても、個々の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案し、在留を特別に許可される場合もあり得るところです。
次に、特別報告者らの共同書簡に対する対応等についてお尋ねがありました。
特別報告者の見解は国連やその機関である人権理事会の見解ではなく、法的拘束力はないものの、我が国はこれまで、特別報告者を含む特別手続による報告が客観的で正確な情報に基づき正しい理解の下になされるように協力してきました。
今回の書簡は、特別報告者らから本法案の内容を正しく理解せずに一方的に見解が公表されたため、政府として抗議を行ったものです。
次に、共同書簡に対する政府の態度についてお尋ねがありました。
本法案は、国際機関からの指摘を含む旧法案に対する様々な指摘を真摯に受け止め、修正すべき点は修正するとの方針で検討を重ねたものです。そして、特別手続の事務局に対し、一昨年、政府として法案内容を丁寧に説明する用意がある旨申し入れたにもかかわらず、今回、前回と同様に当方から意見を聞くことなく見解が公表されたため、抗議せざるを得なかったものです。
我が国としては、本書簡の回答に際し、本法案の内容やその適正性について十分御理解いただけるよう、丁寧に説明していくつもりです。
過去にも日本政府は、恣意的拘禁作業部会から、カルロス・ゴーン被告人の逮捕、勾留が恣意的拘禁に当たる旨の意見書が公表される場合など、一方的で限られた情報に基づいて不正確な意見が出された場合には、適切に異議の申立てをしてきているところです。
最後に、G7を機に入管、難民政策を抜本的に改善することについてお尋ねがありました。
本法案は、外国人の人権を尊重しつつ、適正な出入国在留管理を実現できるバランスの取れた制度として、日本人と外国人が安全、安心に暮らせる共生社会の実現のための基盤を整備して、我が国の入管、難民政策を改善するものです。(拍手)
〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/6
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007・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 牧山ひろえ議員にお答えをいたします。
国連人権理事会の特別報告者等による見解と人権外交の視点についてお尋ねがありました。
我が国といたしましては、国際人権諸条約の締約国として、条約が定める義務を誠実に履行してきていると考えております。
また、特別報告者は個人の資格で任命された独立の専門家であり、その見解は国連やその機関である人権理事会の見解ではなく、我が国に対して法的拘束力を有するものではないと認識しております。
いずれにいたしましても、国際社会において日本の考え方が正しく理解されますよう、引き続き力を尽くすとともに、日本らしい人権外交を進めていきたいと考えております。
次に、入管、難民政策と人権外交についてお尋ねがありました。
今回の入管法改正案は、出入国在留管理制度全体を適正に機能させ、真に庇護を必要とする方々を適切に保護するとともに、送還忌避、長期収容問題という喫緊の問題を一体的に解決する法整備を行うものと理解しております。
我が国は、これまで、国際機関や難民受入れ国、ドナー国等との連携を通じて難民問題を含む世界の人権擁護の取組に貢献してきており、今後とも、日本らしい人権外交を進めていきたいと考えます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/7
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008・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 梅村みずほ君。
〔梅村みずほ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/8
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009・梅村みずほ
○梅村みずほ君 日本維新の会の梅村みずほです。
会派を代表し、ただいま議題となりました出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案について質問いたします。
日本維新の会は、マニフェストに外国籍住民との共生を掲げる政党として、差別、偏見を根絶し、日本人と外国人が共に安全、安心に暮らせる共生社会の実現を目指しております。
一方で、日本国の治安を維持し国家国民の安全を確保する観点に立てば、ならぬことはならぬものとして、外国から入国された方々には法治国家日本の法令に従っていただかねばならないのは当然のこと。
我が党は、二年前に最初の改正案が提案された際、その更なる改善と早期の成立を求め、与党に対して積極的に法案の修正協議を働きかけてまいりました。早期の法改正が実現しなかったことは誠に遺憾であり、法改正が先送りされていたこの二年間で新たな事件や被害が発生したことは痛恨の極みであります。日本の入管施設内でこれまでに失われた命や、今なお国内逃走中の送還忌避者の存在を思えば、いかにすればその生命が救われたのか、いかにすれば送還すべき者を適切に送還できるのか、あわせて、やむを得ぬ事情から命を懸けて祖国を逃れてきた受け入れるべき人々をどのように迎え入れていくのかを真正面から考え、適切な法改正をすることこそが我々立法府の責務であります。
今般、衆議院において、我が党と自民党、公明党、国民民主党との修正協議が成立し、政府提出の改正案がより磨きが掛けられて参議院に送られてきたことは大きな進展と言えます。
日本維新の会が積極的に加わった今回の修正点の一つは、難民調査官が、難民認定申請した外国人に対し、その心身の状況、国籍又は市民権の属する国において置かれていた環境などの状況に応じ、適切な配慮をすることを義務付けるというものです。
この修正により、人権を尊重した上で、保護すべき人を確実に保護するという法改正の実効性が更に高まったと考えますが、法務大臣はいかがお考えでしょうか。御見解をお示しください。
参議院法務委員会では、先日、ウィシュマ・サンダマリさんの収容時の映像をトータル十時間にわたって視聴いたしました。彼女が死に向かっていく様子を映像で追いながら、まだ生きることができる命であったと落涙を禁じ得ませんでした。適切な医療にアクセスできていれば、また収容がこれほど長期にわたらなければ、悲劇は起こることはなかったと考えます。
ウィシュマさんが亡くなったのは二年前の三月です。今回の法律が三年前にあればウィシュマさんの命は救えたと考えますが、法務大臣はどうお考えになりますでしょうか。
また、本法案には常勤医師の確保が盛り込まれていますが、なかなか常勤のドクターが見付からないケースや、欠員が出る場合も考えられます。オンライン診療を加速化させることも重要です。
入管被収容者は、そもそもそのほとんどは保険診療対象外であり、いわゆる病名縛り問題も無関係であることから、近隣医療機関と提携し、輪番制の嘱託医として常時医療対応可能な仕組みをつくってはいかがでしょうか。法務大臣の御見解をお尋ねいたします。
次に、入管被収容者に対する支援の在り方についてお尋ねします。
医師の診療情報提供書や面会記録等を含めた資料とともにウィシュマさんの映像を総合的に見ていきますと、善かれと思った支援者の一言が、皮肉にもウィシュマさんに病気になれば仮釈放してもらえるという淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況へつながったおそれも否定できません。自分が何とかしなければという正義感や善意からとはいえ、中には、一度も面識のない被収容外国人に次から次へとアクセスする支援者もいらっしゃいます。
難民認定要件を満たしているのに不当に長期収容されているのではないか、弱い人を救いたいという支援者の必死の手助けや助言は、場合によっては、かえって、被収容者にとって見なければよかった夢、すがってはいけないわらになる可能性もあると考えますが、法務大臣はどのようにお考えでしょうか。
また、監理措置制度については、監理人に対し罰則付きの報告義務を課せられており、人のために手間と時間を掛けてリスクを担える人材を果たして必要数確保できるかどうかが懸念されています。外国人への支援として、結果的に逃走や不法滞在の手助けをしてしまっているグループも存在し、適切な人材が監理人としての責任を果たさなくてはなりません。
法務大臣は、これまでの不適切事例も踏まえ、どのような人物が監理人にふさわしいとお考えでしょうか。また、指定される監理人の規模は何人ほどを想定していますか。その監理人の規模で、どれほどの収容人数を減らすことができるのでしょうか。
入官庁長官が監理人に情報提供、助言を行うとはされていますが、それだけで十分とは思えません。今後、監理人を増やしていくためにも、監理人の負担の軽減などの支援策が必要ではありませんか。以上、併せてお答えください。
送還停止効の例外についてお伺いいたします。
現行法では、何度でも無制限に難民申請を繰り返すことによる送還停止によって、重大な罪を犯して収監された者であってもテロリストであっても無制限に日本に滞在することができる仕組みとなっており、難民認定申請中に仮放免となり逃亡する事案が数多く発生、国内の治安維持に影を落としてきたことから、今回の法改正では、三年以上の実刑を日本で受けた者については、初めて難民申請する者であっても送還停止効の例外とすることとなります。
三年以上の実刑とは、すなわち我が国において重大な罪を犯した者との認識から、郷に入って郷に従えぬ外国籍の方は速やかにお引き取りいただきたいというのは当然の国民感情でもあります。それゆえ、重大犯罪者やテロリストであっても与えられている送還前の面接の機会について、不要であるという意見もある一方で、送還前には可能な限り本人から事情を聞くべきだとする意見もあります。
法務大臣に、重大犯罪者やテロリストに対しても面接の機会を確保している意味及び必要性についてお伺いいたします。
また、本改正案では、三回目以降の申請であっても、難民等と認定すべき相当の理由がある資料を提出すれば送還を停止する旨の規定が設けられました。相当の理由がある資料とは具体的にどのようなものなのか、想定されている事例を示して御説明ください。また、既に母国を離れている外国人が新たな証拠となる資料を入手するのは困難を伴うと考えますが、その点についての配慮はあるのですか。お答えください。
最後に、子供たちについて伺います。
親が在留条件を満たさない中で、日本に暮らし、日本語を話し、日本の友達と学び、日本のコミュニティーで育まれた子供たちと、我々はどのように向き合うべきなのか。
親の送還時、乳幼児は親とともに帰国するのは妥当とはいえ、日本在留の意思を自ら明確に持つことができる年齢の子供たちを日本で育むのか、親と一緒に出国させるべきか、個別の事案によって様々なケースが想定されますが、これは非常に難しい問題です。
日本も一九九四年に批准した子どもの権利条約第九条には、子供には親と子が引き離されない権利についてうたっていますが、さりとて、子供がいればかわいそうだからと例外として親も在留を許可するわけにはいかず、本法案では、摘発された者等でも自発的に帰国する場合は、上陸拒否期間を現行法の五年から一年に短縮することとしております。
両親は送還対象となり、子供は日本にとどまりたいという意思が明確な場合は、国としてどのようにその意思を尊重するべきでしょうか。法務大臣の御見解をお尋ねいたします。
入管行政や難民認定は、外国人の生命と人権に関わる問題であり、我が国が国際社会で果たすべき責任を示す課題でもあります。
一方で、二年前に廃案となり、今も賛否についてのシュプレヒコールが鳴りやまないこの入管法改正案の難しさとは、国の治安維持や人権が、本来いずれかに優劣を付けるべきものではなく、それぞれに尊いものでありながらも、この法案がそれらの尊さをバランスさせる上でどこに重心を置くのかという問題でもあり、かつナショナリズムかグローバリズムかという決して二者択一にはできない、国の在り方に関わる問題でもあるからではないでしょうか。
我が国は、地政学的、歴史的、文化的にも独自の背景を持ちます。
外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の下に、有識者でも様々な議論がなされておりますが、法務大臣は、今、一体何が我が国における共生社会実現に向けての政策決定の要諦であるとお考えか。この問いを締めくくりとし、私の質問を終了いたします。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/9
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010・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 梅村みずほ議員にお答え申し上げます。
まず、本法案及び修正案の受け止めについてお尋ねがありました。
本法案では、補完的保護対象者認定制度の創設、在留特別許可制度の一層の適正化などにより、保護すべき者が確実に保護できる内容となっていました。加えて、衆議院における修正により、難民等認定申請をした外国人に対する配慮などが追加されたことで、真に庇護すべき方々の一層確実な保護が可能となったものと考えています。
次に、本法案によりウィシュマさんの命は救えたのかについてお尋ねがありました。
仮定の御質問にお答えすることは困難でありますが、本法案では、収容しないで退去強制手続を進める監理措置を創設し、収容した場合であっても、三か月ごとに収容の要否を見直すこととしています。加えて、健康上の理由による仮放免許可申請については、医師の意見を聞くなどして、健康状態に十分配慮して判断することとなる上、現行法における常勤医師の兼業要件の緩和により医療体制の強化が一層促進されます。
こうした本法案により、何としても同様の事案の再発を防止する覚悟で取り組んでまいります。
次に、入管収容施設における適切な医療的対応の在り方についてお尋ねがありました。
本法案では、入管収容施設において常勤医師を継続的かつ安定的に確保するため、常勤医師の兼業の要件を緩和しており、まずはこうした規定を活用し、入管収容施設の医療体制の強化に努めてまいります。その上で、御指摘の近隣医療機関との提携、輪番制嘱託医の導入等の在り方については、引き続き不断に検討を続けてまいります。
次に、支援者による支援や監理人の在り方、規模等についてお尋ねがありました。
現在、被収容者の支援を行っている方々も監理人の候補となり得るところ、監理人は、その責務を理解し、本人の指導監督等を適切に行うことができる方である必要があり、その選任については適切に行っていくべきと考えています。
また、退去強制手続の対象となる者の推移にもよるので、監理人の規模等をお示しすることは困難ですが、できるだけ多くの方に監理人になっていただくことが重要と認識しています。そのため、本法案では、旧法案での定期的な届出義務を削除するなど、監理人の負担を軽減したところであり、引き続き、その担い手となる方々に御理解いただけるよう、丁寧に説明を尽くしてまいります。
次に、面接の機会の確保についてお尋ねがありました。
退去強制令書により、外国人を我が国から退去させるためには、その前提として、退去強制手続において面接を行い、退去強制事由に該当しているかの確認とともに、送還先国に係る意向聴取や在留特別許可の判断の基礎となる事情の聴取などを行い、退去強制令書を発付する必要があります。このような手続の過程で外国人に対し必ず面接を行い、本人から事情を聞く機会を確保しています。
次に、相当の理由がある資料についてお尋ねがありました。
いかなる資料が相当の理由がある資料に該当するかは個別の事案ごとに判断すべきもので、一概に申し上げることは困難ですが、例えば本国情勢の変化等の前回処分後に生じた事情変更を示す資料などがこれに該当すると考えられます。相当の理由がある資料の形態や形式に制限はなく、申請者の陳述や難民等認定申請書も相当の理由がある資料に該当し得ることとしています。
次に、未成年の外国人に対する在留特別許可についてお尋ねがありました。
入管庁では、御指摘のような事情も含め、個別の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案して、適切に在留特別許可の許否判断を行っています。その上で申し上げると、例えば親のほかに適切な養育者が存在する場合に、その子に在留を特別に認めることがあります。
最後に、共生社会実現に向けての政策決定についてお尋ねがありました。
日本人と外国人が安全、安心に暮らせる共生社会を実現していくためには、外国人の人権に配慮しながら、ルールにのっとって外国人を受け入れるとともに、ルールに違反する者に対しては厳正に対応していくことが重要と考えています。
本法案は、様々な方策を組み合わせ、パッケージで現行法下の課題を一体的に解決し、外国人の人権を尊重しつつ適正な出入国在留管理を実現するバランスの取れた制度にしようとするものであり、共生社会の実現、維持のための基盤整備となるものであります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/10
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011・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 川合孝典君。
〔川合孝典君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/11
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012・川合孝典
○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。
会派を代表し、ただいま議題となりました法律案につきまして、法務大臣に質問をいたします。
まず、現在の不法在留者や送還忌避者問題に鑑み、今後の出入国在留管理行政の在り方について、法務大臣の見解を求めます。
二〇一〇年代以降、日本の外国人労働者政策は急速に変容を遂げています。日本の外国人労働者政策の原則は、従来、専門的、技術的人材については積極的に受け入れるが、単純不熟練労働者は受け入れないという原則の下に運用されてまいりました。
しかし、二〇〇九年の入管法改正によって在留資格の見直しと技能実習生の労働者性が確立されて以降、介護、建設、宿泊、製造など、数次にわたり受入れ対象職種は拡大を続け、現在に至っております。こうした受入れ対象職種の大半は単純不熟練分野に近接するものであり、単純不熟練労働者は受け入れないとする従来の政府方針は既に空洞化しております。そして、その結果、現在の日本は、イギリス、アメリカ、ドイツに次ぐ世界第四位の外国人受入れ国となっています。我々は、この現状を直視した上で外国人との共生の在り方を考える必要に迫られております。
今回の入管法改正案は出国管理に主眼を置いた内容となっていますが、一部の難民申請者を除き、そもそも不法在留者や送還忌避者の問題は外国人労働者の受入れ政策に起因するものが多く含まれております。したがって、本来、入国管理の在り方と併せて議論がなされるべきものと考えますが、この点について、法務大臣の見解を求めます。
法務大臣は、年初の大臣所信の冒頭で外国人との共生社会の実現を掲げられましたが、この公約を実現する上で、今後の出入国管理行政上解決すべき課題は一体何だと考えておられるでしょうか。見解を求めます。
では、具体的な法案の内容について質問をします。
今回の法改正は、保護すべき者を確実に保護するための制度整備、送還忌避問題の解決、名古屋入管における長期収容者死亡事案の発生を受けて、入管収容施設をめぐる諸問題の解決を図ることなどを主な目的としています。
今次法改正で、保護すべき者を確実に保護するため、補完的保護対象者認定制度の創設や在留特別許可の申請手続を整備するなど、これまで指摘されてきた入管行政をめぐる課題の解消に向けた制度整備を行おうとしている点は率直に評価します。
一方、送還忌避によって生じた入管施設への長期収容問題を解決する目的から、送還停止効に例外規定を設けることによって、難民申請者が適切な難民認定手続の機会を得られないまま入管法違反者として出国命令の対象者となり得る懸念が生じるなど、問題点も指摘されております。
現在の出入国在留管理行政に係る根本的な問題は、第三者のチェックが全く働かないまま出入国在留管理庁内で全てが完結しているところにあると考えています。
不法在留者の摘発から入管施設への収容、審査、そして国外退去決定まで、警察、検察、司法の役割が全て入管職員の手で行われています。強制収容を執行するのに、裁判所令状も必要はありません。しかも、その審査プロセスはブラックボックスで、その判断は国の出先機関である地方入管局長の権限に委ねられています。
入管行政を適正化するためには、この審査プロセスを透明化することこそが何よりも重要と考えますが、法務大臣の認識、見解を伺います。
欧米諸国では、難民認定申請者の面接時に弁護士等の同伴が認められている上、面接の様子は全て録音、録画され、審査を行う上での証拠として取り扱われています。一方、日本では、一部の年少者などに限って同伴者の立会いを認める運用が試行されている以外、一次審査における弁護士の同伴は認められておらず、面接の録音、録画も一切認められておりません。
言葉の壁があり、法律知識も不足がちな難民申請者が適切な申立てを行う上で、面接時に弁護士や同伴者の立会いを認めるべきと考えますが、法務大臣の見解を求めます。
また、難民申請者の権利を保護し、審査の適正性を担保する上で、面接の録音、録画を行うことは極めて有効と考えますが、なぜ日本では認められていないのか、併せて法務大臣の見解を求めます。
補完的保護対象者の認定制度について質問します。
今回、補完的保護の概念を導入し、難民条約上の難民の定義に該当しないものの、保護を必要とする者を保護対象に含めることとなります。これにより、難民申請手続を進める上で、法務大臣の広範な裁量権に一定の透明性が担保されることから、このことを前向きに評価をします。
一方、補完的保護の要件については、その審査基準が曖昧なままであり、そこに難民調査官の恣意的な判断が入り込む懸念が生じています。真に保護を必要とする者を適切に保護する上で、補完的保護対象者に関する明確な条文規定が必要と考えますが、法務大臣の見解を求めます。
送還停止効の例外規定の導入について質問します。
今回、送還停止効に例外規定を設けることで、同一理由による三回目以降の申請者、三年以上の実刑前科者、テロリスト等をその適用対象とする規定が盛り込まれているほか、三回目以降の難民申請者についても、難民認定すべき相当な理由のある資料が提出できない者は送還停止効の例外規定の適用対象となります。私は、この相当な理由のある資料という極めて曖昧な文言を恣意的に解釈することで、本来保護すべき者を確実に保護できなくなる可能性が生じることを懸念します。
相当な理由のある資料には客観的な判断基準が存在するのでしょうか。法務大臣の見解を求めます。
送還停止効の例外規定の導入によって最も懸念することは、改正法第六十一条の二の九第四項の規定により、既に一度目の難民申請を行い、現在面接を待っている者が一度も審査を受ける機会を得られないまま難民不認定になるおそれがあることであります。
難民申請途中の者が法改正によって不利益を被るような事態が生じないよう配慮する必要があると思いますが、法務大臣の見解を求めます。
難民申請における誤用、濫用問題について質問いたします。
近年、就労を目的とした難民申請の誤用、濫用が増加している旨の指摘がなされています。難民申請の誤用、濫用は決して容認できるものではありませんが、そのことをもって送還停止効の例外規定の適用を考える前に、なぜ就労を目的とした難民申請者が出るのかを考える必要があります。
私は、こうした問題の背景には、外国人労働者の受入れ問題と正面から向き合うことのないまま、研修、実習目的で単純不熟練分野への外国人労働者の受入れを拡大してきたことにその原因があると考えています。就労を目的とした難民申請の誤用、濫用事案が発生している理由をどのように捉えておられるのか、法務大臣の見解を求めます。
難民認定制度の運用の見直しについて質問します。
今回、難民認定制度の運用の見直しの中で、難民該当性に関する規範的要素の明確化、難民の出身国情報の充実、難民調査官の調査能力の向上を挙げておられますが、いずれも具体性に欠けており、その運用いかんでは絵に描いた餅になりかねません。
そこで質問ですが、例えばトルコ国籍を持つクルド人やミャンマーのロヒンギャ、部族紛争から逃れてきたアフリカ系の難民認定審査を行う上でどのように出身国情報の充実を図るのか、法務大臣の見解を求めます。
最後に、難民申請手続の迅速化に向けた体制整備の必要性について伺います。
出入国在留管理庁の令和五年度末の定員は六千三百十四人、そのうち出入国や在留審査を行う入国審査官は四千八十五名となっています。それなりの人員体制に見えますが、その多くは空港や港で出入国管理業務に当たっており、難民認定に携わっている職員はごく一部です。
現在、難民申請から結果が出るまでに平均で四年半、長い場合十年近く要すると言われていますが、時間が掛かり過ぎているのは明らかであります。現在、専任で難民認定に携わっている職員は全国で何人おられるのでしょうか。法務大臣に質問します。
今後、在留外国人の更なる増加が見込まれる中、適正、円滑な入管行政を実現する上で人員体制の強化を図るべきと考えますが、法務大臣の見解を求め、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/12
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013・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 川合孝典議員にお答え申し上げます。
まず、外国人の受入れや共生社会の実現への課題等に関するお尋ねがありました。
日本人と外国人が安全、安心に暮らせる共生社会を実現していくためには、外国人の人権に配慮しながら、ルールにのっとって外国人を受け入れるとともに、ルールに違反する者に対しては厳正に対応していくこと、これが重要です。
本法案は、様々な方策を組み合わせ、パッケージで現行法下の課題である送還忌避、長期収容問題等を一体的に解決し、外国人の人権を尊重しつつ、適正な出入国在留管理を実現するバランスの取れた制度にしようとするものであり、外国人を受け入れ、共生社会を実現、維持するための基盤整備となるものであります。
次に、審査プロセスの透明化についてお尋ねがありました。
本法案は、在留特別許可、監理措置及び仮放免について、判断基準や考慮事情を法律上明記し、明確化し、不許可とする場合などにはその理由の告知を行うこととするなど、判断の透明性を高めるための様々な仕組みを整備しています。
このように、本法案は、入管当局の判断の透明性を高めることにより、その適正性を確保するための方策も盛り込んでいます。
次に、難民認定手続における面接時の弁護士等の立会いについてお尋ねがありました。
難民認定申請の性質上、迫害から逃れてきた申請者の置かれた立場に十分に配慮した事情聴取を行うことが重要であり、入管庁では、一次審査における事情聴取に際し、親を伴わない年少者等、特に配慮が必要な申請者についての弁護士等の立会いを認める取組を既に実施しています。引き続き、更なる取組の在り方について検討してまいる所存です。
次に、難民認定手続における面接時の録画、録音についてお尋ねがありました。
面接においては、申請者に対して内容に誤りのないことを確認した上で供述調書に署名させるなど、その正確性を確保し、通訳人の性別や申請者の健康状態に留意するなど、申請者に配慮しながらインタビューを行っている上、不認定処分に対する審査請求では、外部有識者である難民審査参与員が三人一組で審理を行い、法務大臣はその意見を必ず聞いた上で判断していることなどを踏まえると、手続の適正性は十分に確保されており、面接の録画等を行う必要はないと考えています。
次に、補完的保護対象者の認定手続についてお尋ねがありました。
補完的保護対象者とは、難民以外の者であって、迫害を受けるおそれのある理由が難民条約上の五つの理由であること以外の全ての要件を満たすものと定義されており、その要件は明確であります。その上、入管庁が本年三月に公表した難民該当性判断の手引において、迫害を受けるおそれを判断する際に考慮すべきポイントなども整理されており、補完的保護対象者の該当性判断もこの手引を活用しつつ適正に行われることとなります。
次に、相当の理由がある資料の判断基準についてお尋ねがありました。
いかなる資料が相当の理由がある資料に該当するかは個別の事案ごとに判断しなければならないため、一律な判断基準を設けることは困難でありますが、例えば本国情勢の変化等の前回処分後に生じた事情変更を示す資料などがこれに該当すると考えられます。
次に、送還停止効の例外についてお尋ねがありました。
送還停止効は、難民認定申請中の者の法的地位の安定を図るために設けられたもので、その必要がない場合には送還停止効の例外とすることは許容され得ると考えています。その上で、三年以上の実刑に処せられた者も外国人テロリスト等も法的地位の安定を図る必要はなく、速やかに送還されなければなりません。
もっとも、これらの者であっても難民等認定申請を行うことは可能であり、申請がされた場合には、個別に審査を行い、難民等の定義に当てはまるときには難民等と認定することとなります。
次に、就労を目的とした難民認定申請の誤用、濫用事案の発生理由についてお尋ねがありました。
これも様々な要因によるものと考えられまして、一概にお答えすることは困難ですが、例えば、平成二十二年四月に難民認定申請から六か月経過後に一律に就労を認める運用を開始したところ、難民認定申請者数が七年間で約十六倍を超えたことなどを踏まえると、申請者に一律に就労を認める運用をしたことも要因の一つであると認識しています。
次に、難民認定審査を行う上での出身国情報の充実についてお尋ねがありました。
入管庁においては、情報の収集及び分析を専門に行う職員を入管庁内に配置し、現在も、外務省、UNHCR等の関係機関と適切に連携しながら、外国政府機関の報告や出身国に関する報道等に関する最新の情報を積極的に収集しています。
加えて、諸外国当局とも出身国情報に関する情報交換等を積極的に行うなどしており、引き続き出身国情報の一層の充実を図ってまいります。
次に、専任で難民認定に携わる職員の数についてお尋ねがありました。
難民調査官に指定されている者の中で難民認定業務に専従する者を切り分けることは困難ですが、地方出入国在留管理局において、令和五年一月一日現在、難民調査官に指定されている者は四百二十一名であります。
最後に、人員体制の強化についてお尋ねがありました。
適正な入管行政の実現のため、人員体制の整備は重要と認識しており、引き続き必要な人員体制の整備に努めてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/13
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014・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 仁比聡平君。
〔仁比聡平君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/14
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015・仁比聡平
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平です。
私は、会派を代表して、内閣提出の出入国管理及び難民認定法等改定案について、法務大臣に質問いたします。
二年前、名古屋入管収容所で起こったウィシュマ・サンダマリさんの死亡事件は、国連機関や専門家から国際人権法違反、憲法違反と厳しく批判されてきた我が国の入管収容、難民認定行政の底深い人権侵害構造をあらわにしています。まだ若く健康だったウィシュマさんが、なぜあのような亡くなり方をしなければならなかったのか。その答えはなお出ていません。
最期の十三日間、入管単独室の監視ビデオは、急激に衰弱していくウィシュマさんの姿を記録しています。亡くなる二日前の朝、ウィシュマさんは完全に脱力し、呼びかけにもほとんど反応しませんでした。看守職員のバイタルチェックでも血圧、脈拍は測れませんでした。医療職ではない入管職員が、目の前で衰弱する被収容者を確認し、バイタルも取れないなら、大臣、直ちに救急車を呼ぶのが当然ではありませんか。
ところが、ウィシュマさんは、亡くなる前日も、当日も、バイタルも取れないまま漫然と放置されました。最後、あおむけで右側に首をかしげたまま全く動かず、呼びかけにも、体をたたかれても全く反応がなく、指先は冷たく、脈も取れなくなって初めて、看守職員が愕然とした様子で、ええっと小さく声を漏らす姿がビデオに記録されています。これが入管のいう容体観察です。
大臣、名古屋入管は、ウィシュマさんが求めていた点滴もせず、社会一般の医療水準に照らして適切な医療上の措置をとらなくても回復するとでも考えていたのですか。被収容者を対等な一人の人間として向き合っているなら、こうした処遇はあり得ません。大臣は、入管収容の人権侵害構造をどう認識しているのですか。
拘禁が、抑うつなど精神的症状だけでなく、消化器系、循環器系など身体的症状をももたらすことは拘禁反応と呼ばれ、刑事施設においては遅くとも昭和四十年代から対応が行われてきました。まして入管収容は無期限で、強制送還への恐怖など先の見えない不安が受刑者より大きいことは、精神科医にとっては当然の認識です。ところが、入管当局においてこれまで何の研究も行われてこなかったのはなぜですか。
更に重大なのは、同様の死亡事件はウィシュマさん以前にも繰り返し引き起こされながら、政府が個別事件に関わるので答弁を差し控えるなどと実態解明と徹底検証に背を向け続けてきたことです。その解明なしに本法案の審議はあり得ないのではありませんか。
入管施設内における死亡事件は、二〇〇七年以降だけで十八件に上ります。ところが、入管当局はそのうち五件でしか調査報告書を作らず、また、それを公表したといいながら、ホームページに公表されているのはウィシュマさんの事件と二〇一九年大村入国管理センターで起こったナイジェリア人餓死事件の二件だけです。ほかの十三件は、特に検証の必要がないなどとして報告書の作成さえしていません。
大臣、これら死亡事件全てについて、亡くなった被収容者がどんな事情で収容されたのか、死に至るまでの経緯、収容期間、死因、そしてどのような医療上の措置がなされたかなどの観点をもって、第三者機関による検証を行い、国会に報告すべきです。ウィシュマさんの二百九十五時間分存在するとされる監視ビデオ全ての国会提出を強く求めます。明確な答弁を求めます。
法案は、ウィシュマさんを悼み、人道に反する入管行政に憤る大きな声に包まれて二年前廃案となった政府法案と骨格を同じくしています。これに対し、我が党を含む四会派五党は、入管当局による全件収容主義をやめ、収容期間に上限を定め、収容の必要性、合理性の判断は司法審査によることとすると同時に、難民認定行政は出入国管理行政から切り離し、独立した難民保護委員会を創設することを柱とした野党対案を提出し、その実現を強く求めます。
大臣、まるで入管が在留外国人の生殺与奪を握っているかのように、当局の裁量で無期限の収容が行われ、被収容者は自ら帰国意思を示すまで自由を奪われ続けることは構造的な人権侵害にほかなりません。だからこそ、職員の不当な判断や差別的言動が再生産されてきたのではありませんか。今日、行政当局の裁量、判断だけで無期限に被収容者の身体の自由を拘束する制度がほかにありますか。
政府案は、三か月ごとに収容の必要性を見直すとか、監理人制度の新設や仮放免の在り方見直しで対応するとしていますが、それらはこれまでどおり入国審査官の裁量に委ねられています。それでは全く変わらないのではありませんか。
自由権規約委員会や拷問禁止条約委員会を始め国連機関からの厳しい批判を正面から受け止めるべきです。外国人の受入れは国家が自由に決められる、法務大臣には広範な裁量がある、外国人の基本的人権は在留制度の枠内で与えられているなどとする入管思想は、憲法と国際人権条約に反する時代錯誤にほかならないと考えますが、いかがですか。
一九五一年に採択された国連難民条約と一九六七年難民議定書は、国際社会の法的合意として各国に難民を保護する義務を定めました。ようやく一九八一年になって条約を、そして翌年議定書に加入した我が国も難民を保護する義務こそを負っています。
難民条約三十三条は、締約国は、難民を、いかなる方法によっても、人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見のためにその生命又は自由が脅威にさらされるおそれのある領域の国境へ追放し又は送還してはならないとするノン・ルフールマン原則を定め、それはそのまま難民申請者に当てはまることは国際法の鉄則です。難民である可能性がある難民申請者は送還されてはならないのです。
今日、入管当局は、自らの判断で退去強制令書を発付したら、入国警備官に帰国意思を示した者以外全てを一くくりに送還忌避者呼ばわりし、令和三年末で累計三千二百二十四人に上るとしきりに言います。ところが、その年の間に新たに送還忌避者と判断した人数、送還や難民認定、在留特別許可や死亡などで送還忌避者でなくなった人数を聞くと、そうした統計は取っていないと言うんです。驚くべき答弁ではありませんか。
そこには多くの難民申請者が含まれています。帰国すれば迫害される恐怖を抱く難民認定申請者が帰れないと答えるのは当然です。難民認定申請の送還停止効を濫用、悪用しているケースがあるとも入管は言いますが、何件あるのかと聞いても数字は示せず、疑わしいと言うだけではありませんか。一体、難民認定申請を濫用、悪用だと判断する基準は、大臣、何なんですか。
帰れないと言う人全てを一くくりにして、三回目以降の難民申請に送還停止効を認めず、強制送還に応じるか、帰国できなければ送還忌避罪で訴追されるか、非正規滞在者に理不尽な二者択一を迫る政府案に立法事実は認められません。
複数回の難民認定申請で難民性が認められた方は数多くいます。難民不認定処分を困難な裁判で争い、裁判で覆った事件も、二〇〇三年以降、少なくとも三十二件、三十五人に上っています。一方で、裁判できないように不認定の通知翌日に強制送還され、現に出身国内で転々と避難生活を送っている人がいます。強制送還されて、出身国の刑事裁判にかけられ、そのさなか殺害されてしまった人もいます。これが難民認定行政ですか。難民条約と国際人権法に照らして……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/15
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016・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 仁比君、時間が超過いたしております。簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/16
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017・仁比聡平
○仁比聡平君(続) 断じて許されないのではありませんか。
我が国に保護を求め、働き、共に暮らすことを願うそれぞれの当事者には、様々な帰国できない事情があることに思いを至らせるべきです。
差別と排斥ではなく、保護と共生こそ。急速に広がる国民の皆さん、当事者、支援者、専門家の皆さんの声を真剣に聞き、徹底審議することを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/17
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018・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 仁比聡平議員にお答え申し上げます。
まず、ウィシュマ・サンダマリさんに対する医療的対応等についてお尋ねがありました。
入管庁が外部有識者の意見を踏まえつつ取りまとめた調査報告書では、御指摘のように、ウィシュマさんの体調不良の訴えやバイタルチェックの結果等に関する対応について問題点として指摘しており、これを踏まえた改善策として、人権と尊厳を尊重しつつ職務を行うための使命と心得の策定、被収容者の生命と健康を守ることを最優先に考え行動することを心構えとする救急対応マニュアルの策定などを行い、職員の意識の改革等を図ってきたところです。
次に、入管庁における拘禁反応の研究についてお尋ねがありました。
被収容者に対しては、その状態に応じて医師の診療や臨床心理士のカウンセリングを受けさせるなどの対応を行っていることに加え、職員に対しても、精神科医師等による研修を実施するなどして適切な対応が行われるよう努めていることから、入管庁においては、拘禁反応に関する研究等を行った実績はないものと承知しています。
次に、入管収容施設の死亡事案についてお尋ねがありました。
入管収容施設の死亡事案については重く受け止めなければならず、死亡事案等が生じないよう適切に処遇を行うことは国の責務であると認識しています。
過去の死亡事案については、発生の都度、事実確認等を行い、その結果につき、個人に関する情報であることにも配慮しながら必要に応じて公表するなど、適切に対応しており、更なる調査、報告は必要ないと考えています。
次に、ビデオ映像の国会提出についてお尋ねがありました。
御指摘のビデオ映像については、これまで国会からの御要請や裁判所の訴訟指揮に適切に従うなどして対応してきましたが、更に広くその全てを国会に提出することについては、保安上の支障の問題やウィシュマさんの名誉、尊厳の問題があることに加え、係属中の訴訟に与える影響も考慮すると、慎重にならざるを得ないと考えます。
次に、入管当局の判断による収容についてお尋ねがありました。
現行法下では、被収容者ごとに個別の事情に応じて仮放免を柔軟に活用し収容を解いているため、被収容者は自ら帰国の意思を示すまで自由を奪われ続けるとの御指摘は当たりません。また、御指摘の行政当局の裁量、判断による収容の制度について、網羅的、一般的には把握していないことから、その有無につきお答えすることは困難です。
次に、監理措置や仮放免についてお尋ねがありました。
本法案は、監理措置及び仮放免について、判断基準や考慮事情を法律上明確化し、不許可とする場合などにはその理由の告知を行うこととするなど、判断の透明性を高めるための様々な仕組みを整備しています。これにより、合理的な理由のない不許可などを抑止し、判断の公平、適正さを確保できるので、現行法下と収容の在り方が全く変わらないとの御指摘は当たりません。
次に、入管行政と憲法などについてお尋ねがありました。
我が国では、憲法や我が国の締結する人権諸条約に従い、出入国在留管理行政を行っています。
その上で、最高裁判所昭和五十三年十月四日大法廷判決は、憲法二十二条一項は、省略がありますが、国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく、特別の条約がない限り、外国人を自国内に受け入れるかどうか、また、これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを、当該国家が自由に決定することができるものとされていることと、その考えを同じくするものと解されると判示しており、現在においても先例性を有しているものと認識しています。
次に、ノン・ルフールマン原則についてお尋ねがありました。
送還先はノン・ルフールマン原則を担保する入管法第五十三条第三項に従って決定されるため、同原則に反する送還が行われることはありません。
次に、送還忌避者や難民認定申請の濫用事案等についてお尋ねがありました。
一般論として、難民認定手続中である者も、自らの意思に基づき退去を拒んでいる場合は送還忌避者に含まれます。その上で、我が国では、例えば、殺人や強姦致傷等の重大犯罪での服役後に複数回にわたり難民認定申請をする者、観光、留学、技能実習などの在留資格で入国した後に本来の目的から外れた段階で難民認定申請をする者など、難民認定制度の誤用、濫用が疑われる事案もあるものと承知しています。
最後に、我が国の難民行政についてお尋ねがありました。
御質問の前提事実が抽象的であることからお答えすることは困難ですが、我が国では、個別の申請者ごとに難民条約の定義に従い難民と認定すべき者は適切に難民と認定しており、難民条約や国際人権水準に照らし許されないとの御指摘は当たりません。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/18
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019・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/19
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020・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第一 平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の枠組協定の締結について承認を求めるの件
日程第二 航空業務に関する日本国と欧州連合構成国との間の協定の特定の規定に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件
日程第三 協力及び電子的証拠の開示の強化に関するサイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書の締結について承認を求めるの件
(いずれも衆議院送付)
以上三件を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長阿達雅志君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔阿達雅志君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/20
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021・阿達雅志
○阿達雅志君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、日米宇宙協力に関する枠組協定は、我が国とアメリカ合衆国との間において、平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における協力に関する基本事項を包括的に定めるものであります。
次に、二国間航空協定に関する日・EU協定は、我が国とEU構成国との間の既存の二国間航空協定の特定の規定を日・EU間の航空関係の現状を踏まえた内容とすることで、航空関係の安定的な発展に向けた基盤を整備するものであります。
最後に、サイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書は、サイバー犯罪に関する協力及びあらゆる犯罪に関する電子的形態の証拠の収集を更に強化することを目的として、締約国の権限のある当局の間の協力、他の締約国の領域内に所在する団体等との直接の協力等に関する追加の手段について定めるものであります。
委員会におきましては、三件を一括して議題とし、日米宇宙協力に関する枠組協定の締結の経緯、アルテミス計画の内容と日米宇宙協力の在り方、宇宙空間における日米の衛星等による情報の収集、共有、日・EU協定締結の意義、サイバー犯罪条約の適用範囲、第二追加議定書の下での迅速かつ円滑な捜査協力を行う必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の山添委員より、日米宇宙協力に関する枠組協定に反対、二国間航空協定に関する日・EU協定及びサイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書に賛成する旨の意見が述べられました。
次いで、順次採決の結果、日米宇宙協力に関する枠組協定は多数をもって、二国間航空協定に関する日・EU協定及びサイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書はいずれも全会一致をもって、それぞれ承認すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/21
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022・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
まず、平和的目的のための月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の枠組協定の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。
本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/22
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023・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本件は承認することに決しました。(拍手)
次に、航空業務に関する日本国と欧州連合構成国との間の協定の特定の規定に関する日本国と欧州連合との間の協定の締結について承認を求めるの件及び協力及び電子的証拠の開示の強化に関するサイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書の締結について承認を求めるの件を一括して採決いたします。
両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/23
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024・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 総員起立と認めます。
よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/24
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025・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第四 全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長山田宏君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔山田宏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/25
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026・山田宏
○山田宏君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するため、出産育児一時金に係る後期高齢者医療制度からの支援金の導入、後期高齢者負担率の見直し、前期財政調整制度における報酬調整の導入、医療費適正化計画の実効性の確保のための見直し、かかりつけ医機能が発揮される制度整備、市町村による介護情報の収集、提供等に係る事業の創設等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、出産に関する費用負担の在り方、医療費適正化に向けた今後の取組方針、かかりつけ医機能の具体的内容、介護情報基盤の整備による効果等について、岸田内閣総理大臣にも出席を求め質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民を代表して打越さく良委員より反対、国民民主党・新緑風会を代表して田村まみ委員より賛成、日本維新の会を代表して東徹委員より反対、日本共産党を代表して倉林明子委員より反対、れいわ新選組を代表して天畠大輔委員より反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/26
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027・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。打越さく良君。
〔打越さく良君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/27
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028・打越さく良
○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。
私は、会派を代表し、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。
討論に先立ち、五月五日に石川県能登地方で発生した震度六強の地震によって亡くなられた方に心より哀悼の意を表します。けがされた方の一刻も早い御回復をお祈り申し上げます。また、その後の大雨もあり、避難生活を余儀なくされている方々にお見舞いを申し上げます。政府に対しては、激甚災害指定を含むあらゆる復旧復興策に早急に取り組まれることを望みます。
昨日未明には、千葉県南部を震源とする地震が発生しました。けがをされた方の御回復をお祈り申し上げます。
これら地震の余震も心配されます。この一週間で震度一以上の地震は九十八回、震度四以上の地震は八回観測されていることから、政府におかれては万全の対策を取られることを求めます。
さて、法案に反対する理由の第一は、立法府を軽んずる束ね法案であることであります。
束ね法案は、立法府を軽んじ、国会の審議を制約し、与野党の対立点を覆い隠し、審議時間をも省略しようとするものであり、政府・与党にとっては誠に都合の良い法形式でありましょう。しかし、それゆえ、これは法形式の堕落であり、禁じ手であると断じざるを得ません。政府・与党の猛省を促すものであります。
今国会における原発の運転期間の延長を盛り込んだGX脱炭素電源法案も国民に争点を隠す悪質なものであり、このような政府の姿勢こそがまずただされるべきなのであります。
本法案の名称からして問題です。
揺り籠から墓場までを対象とする社会保障制度において全世代対応型をうたうとは、頭痛が痛い、登山に登るというような根本的な語義矛盾なのであり、このような名称の法案を提出した厚生労働省、内閣法制局の見識を疑います。
さて、私は、令和三年六月四日の本会議において、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案に対する反対討論を行ったところであります。本法案の名称は、これに「持続可能な」が追加された長過ぎるものであり、もはや言葉遊びとしか言いようがありません。
ただし、その内実はどちらも後期高齢者に一方的に負担増を押し付ける点で一致しており、それで法案名が酷似しているのであれば、一貫していると言えるかもしれません。
加藤厚生労働大臣は、委員会質疑において、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障の構造を見直し、年齢に関わりなく全ての国民がその能力に応じて社会保障制度を公平に支え合う、こういった仕組みにしていく、それが基本コンセプトであると答弁しています。したがって、本法案は、幅広い国民が負担を分かち合う仕組みという名の下に、高齢者中心の給付を見直し、高齢者に新たな負担を押し付けるための社会保障制度改革法案なのです。しかも、物価高騰の中、後期高齢者の家計を支援する仕組みは何ら考えられておらず、負担増ばかりが優先されているのであります。
委員会質疑でも指摘してきたところでありますが、負担能力別は、経済成長期であればその効果が期待できるとしても、現在のような人口減少下における縮小再生産の局面ではサービス低下を食い止める要因にはなりません。負担能力別とは単なる負担の付け替えであり、改革の手法とは到底言えるものではありません。
非常に疑わしいのは、全世代対応型よりも持続可能な社会保障制度の構築に重きがあるのではないかということです。今後の更なる少子化、高齢化に向けて、制度の存続そのものが自己目的化しているのではないでしょうか。こうした懸念に本改正は応えていないのです。たとえ制度が財政的に均衡して存続し得たとしても、加入者である国民に対するサービスを満たせないのであれば、その使命を果たせないのであります。
反対の理由の第二は、これまで三年ごとに行われてきた介護保険制度改革が全くの脇役に追いやられている点であります。
厚労省は、昨年末までに介護保険の給付と負担の見直しについて結論を出すことにしていましたが、自民党が後期高齢者医療制度の負担増と介護保険の負担増が重なることを嫌ったため、社会保障審議会介護保険部会の議論の取りまとめができなかったと伝えられています。介護保険部会においても、先送りは許されない、具体的な取りまとめに至らず非常に残念だ等の厳しい意見が出されていたのです。
このように、選挙対策に矮小化された本法案においては、国民のための介護保険制度改革など全く顧みられていないのであります。
反対の理由の第三は、理念なき出産育児一時金の増額であります。
出産育児一時金は二〇〇九年から据え置かれたままであり、増額は遅きに失したものであります。出産費用の増額の根拠について、厚労省は、その上昇要因を一概に定量的にお答えすることは難しいと答弁しています。これまでの積算根拠も将来見通しについてもはっきりしていない中では、岸田総理の言う見える化などは到底困難です。今後も無責任で場当たり的な施策が続いていくことは明々白々です。
地域間格差や公私間格差を解消せず、増額の積算根拠も将来の見通しについても曖昧なまま全国一律で五十万円とすることは、選挙前のばらまきのそしりは免れ得ないでありましょう。地域間のばらつきに対してきめ細かな対応を行わなければ高止まりに向かうであろうことは、医療保険部会等でも懸念されているところであります。しかも、この間、とりわけコロナ禍における合計特殊出生率の低下により大した支出増にもならないというのが政府の本音ではないでしょうか。
その財源として、後期高齢者医療制度に負担が求められています。後期高齢者医療制度が創設された際、出産育児一時金の費用負担は対象外とされました。にもかかわらず、今回後期高齢者医療制度に拠出を求めることは、子育て世帯に金銭的にも社会的にも罰を与える子育て罰に続く、老人罰と言わざるを得ません。
反対の理由の第四は、国民や患者が全く理解できないかかりつけ医機能の概念です。
政府は、かかりつけ医機能とは、医療機関の機能として、身近な地域における日常的な診療、疾病の予防のための措置その他の医療の提供を行う機能と説明していますが、かかりつけ医とかかりつけ医機能はどう違うのかについて納得のいく答弁はついになされませんでした。かかりつけ医機能の定義の法定化とは、患者本位の医療制度改革とは全く相入れないものでありましょう。
そもそも、旧厚生省は一九八五年に家庭医に関する懇談会を設置し、一九八七年に報告書を取りまとめましたが、日本医師会の反発で挫折した経緯があります。かかりつけ医とは、旧厚生省の家庭医構想を嫌う日本医師会の側から提案された概念です。すなわち、かかりつけ医機能の定義の法定化とは、医療提供側と政府の調整のみが優先され、患者不在のまま進んだ生煮えの議論なのであります。
衆参の審議を通じて、患者にとってのメリットはついに示されませんでした。患者不在のかかりつけ医機能の定義の法定化は見切り発車に過ぎるのです。医療は誰のものか、健康保険制度は誰のためにあるのか、政府は原点に立ち返って考えなければなりません。
看板倒れの全世代対応型を掲げ、その内実は利用者不在の制度の財政的存続と高齢者への手当てなき負担増をもくろむ本法案に対し、賢明なる議員各位には反対されることを強くお願い申し上げ、私の反対討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/28
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029・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 東徹君。
〔東徹君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/29
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030・東徹
○東徹君 日本維新の会の東徹です。
私は、会派を代表して、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。
反対の理由は、この法案では少子高齢化の進む我が国において社会保障制度を持続可能にするには全く不十分だからです。そもそも、少子化がここまで進んでしまったのは、政治の怠慢によるものです。その反省が、政府にも、これまでの与党の国会議員にもありません。
今回の出産費用の一時金を四十二万円から五十万円に増額することには賛成でありますが、これによって必要となる費用は六百三十億円と見込まれております。これほどの額であれば、保険料を引き上げ、高齢者を始め国民に負担を負わせるのではなくて、予算を見直し、財源を生み出していくことが容易にできるはずです。維新以外の国会議員は旧文書通信交通滞在費すら使途を公開せず、政治家の身を切る改革をせずに国民にばかり負担を付け回す今の政治の在り方にこそ大きな問題があります。
また、出産育児一時金の増額について、増額自体には賛成でありますが、医療機関による便乗値上げ対策が十分ではありません。
加藤大臣は、医療機関に通知を出して、医療機関から妊婦の方々に費用の高さや値上げの理由を説明してもらい、妊婦の方々の判断、選択によって適正な形にしていく旨を答弁されていますが、そもそも選択できるほど周産期の医療機関は多くないのが現状です。厚労省は、自ら便乗値上げの調査を行い、必要な対策を取るべきです。
出産費用が保険の対象になれば一律の金額になりますが、それは三年後とされています。三年後と言わずに、一年でも早く導入できるよう努力すべきです。
次に、かかりつけ医については、その定義が法案に示されていない上、かかりつけ医の登録制や質を担保するための認定制の導入も先送りとなりました。委員会の質疑でも確認しましたが、この内容では患者にとってはこれまで何ら変わることがないと思います。かかりつけ医機能の報告も、医療機関が報告すべき項目は外来医療の提供や入退院時の支援、在宅医療の提供など当たり前のものばかりで、参考人も指摘するとおり、今後一層の制度改正の必要があります。医師会が反対すれば国民にとって必要な改革を簡単に先送りするようでは、国民のための社会保障制度は実現できません。政治がリーダーシップを取って、厚労省とともに将来世代のためにやっていくべき改革を実現すべきです。
続いて、医療法人や介護サービス事業所の経営情報について、都道府県知事への報告制度がつくられますが、そこで働く人の職種別給与の報告は任意とされております。これでは、ここまでやってきた処遇改善策の効果が把握できず、中途半端なものと、とどまっております。医療や介護は、国民の税金と保険料などを基に運営されている公的な制度であります。そうである以上、情報は原則開示されるべきであり、今回の法案は改革として不十分です。
さらに、認定医療法人制度の期間延長は、医師会の要望に沿うだけのもので、厚労省自身、持分あり医療法人から持分なし医療法人への移行を積極的に進める気概がありません。持分あり医療法人は昨年度末で三万七千四百九十法人ありますが、実際に持分なしに移行されたのは、この制度ができた平成二十六年度以降の八年間で平均して年間百五十法人程度であり、このままのペースで進めば二百四十年掛かります。いつまでに移行が終われるか、全く見込みも立てられません。この制度には相続税や贈与税の優遇措置が含まれていますが、漫然と制度を延長するのであれば、税の基本である公平な税制をゆがめるのが続くだけであり、すぐにでもやめるべきです。
医療と介護の連携と言われてもう三十年以上たちますが、何も変わっていません。医療や介護のどこに課題があって、解決するためにどうしたらいいのか、厚労省が大臣を中心にもっと真剣に考えて具体的な対策を講じていくことを求めます。
最後に、官僚の天下りについて申し上げます。
国土交通省OBによる民間企業への人事介入問題について、当初、国土交通大臣は現役職員の関与を否定していましたが、介入を受けた企業の検証委員会における検証結果によれば、現役の国交省職員と当該企業に再就職していた国交省のOBとの間で、その時点では一般に公開されていない人事情報がやり取りされていたことが確認されるなど、大臣の発言と食い違う事実が出てきており、大臣に対して役所から正しい情報が上げられていなかった可能性もあります。天下り問題をOBだけに押し付け、組織の関与を意図的に否定しようとしていたならば言語道断であり、厳しい対応が必要です。
数年前にも、文科省で天下り問題が生じ、当時の事務次官が処分されました。現在の天下り規制を法律、天下りを規制する法律は抜け穴が多く、いまだに天下りによる役所と業界の癒着は続いています。これを改善することなしに我が国の改革を行うことはできません。
厚労省においてもOBが日本医師会の事務局長に天下りしており、それが医師会の反対する改革ができない原因の一つになっています。
岸田総理は、この天下りによる官と業の癒着に対する新たな法案を提出いただき、我が国の改革を進めていただきたいと思います。
これがないまま、防衛省や、防衛省の増額や少子化対策の財源として増税や社会保険料の引上げが行われ、国民の負担ばかりが増やされるのであれば、国民生活は更に厳しくなり、経済に与える影響も大きく、国民は決して納得できないことを申し上げ、討論といたします。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/30
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031・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 倉林明子君。
〔倉林明子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/31
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032・倉林明子
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
私は、日本共産党を代表して、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
五月八日から、新型コロナ感染症の感染症法上の位置付けが五類に引き下げられました。しかし、季節性インフルエンザの数倍という感染力があり、医療逼迫から国民の命が脅かされる危険があることは何ら変わるものではありません。
この三年間、医療崩壊、介護福祉施設でのクラスターの多発、救急搬送の困難など、深刻な事態が繰り返されました。入院、治療ができず、福祉施設や自宅に留め置かれ、亡くなる事例も相次ぎました。
これらについて何の検証も反省もなく、医療機関への財政支援、検査、治療への公的支援を削減し、痛恨の事態を繰り返すことは断じて許されません。国の責任で国民の命と健康を守る施策の強化拡充を図ることを強く求めるものです。
本法案の最大の問題は、七十五歳以上の高齢者の保険料を大幅に引き上げることです。
負担増となるのは、年収百五十三万円以上の高齢者です。月十二万七千円の年金暮らしに余裕などありません。激変緩和措置の対象とならない年収二百二十万円では、年間十一万二千円もの保険料となります。能力を超えていることは明らかです。
単身で年収二百万円以上の人たちは、昨年十月から、医療費の窓口負担が二割になりました。その対象者について、日本高齢期運動連絡会が二一年十二月に行った家計調査では、一か月の赤字が単身者でも十万円を超えています。月々の支出は、税金、社会保険料が四万円、介護費が四万五千円、保健医療費二万二千円と、二割化の前にもかかわらず、既に医療、介護に係る費用が家計を大きく圧迫しています。
高齢者の多くは定期的に受診が必要な病気を抱えて、貯蓄や生活費を削って何とか受診しています。各種調査でも、年金が減り、物価、光熱費が急騰する中、受診を控え、食費を削り、貯金の目減りにおびえる高齢者の姿が報告されています。ただでさえ過重な保険料をこれ以上引き上げることは、命を脅かすものであり、到底容認できません。
重大なのは、高齢者への負担増はこれにとどまらないことです。
介護保険の利用料二割負担の対象拡大、老健施設、介護医療院の多床室の室料負担について、今年の夏までに結論を出すとしています。二割負担の対象は、後期高齢者医療制度と横並びにすることも検討されています。多くの高齢者が医療費も介護保険も二割負担を強いられることも否定できません。
老健施設、介護医療院は自宅復帰を目指す施設です。自宅を維持しながら二重の負担をすることは、低年金の高齢者には不可能です。
新日本婦人の会が実施した介護保険利用者、家族への調査では、食事代や部屋代、おむつ代など多額の保険外費用も加わり、本人の年金収入を超える介護費用に苦しむ実態が明らかになりました。月五万円を超える介護費用を負担している方が三割を占め、施設入所に限れば十万円以上の負担が七割を占めています。施設入所費など、年金で賄えず、貯金を切り崩すか、子供たちが負担するのか、子供が介護離職するのかなど、追い詰められた声が寄せられています。
高齢者の負担能力を超えれば、家族が肩代わりするしかありません。現役世代のためといいながら、その負担を増やし、生活までも脅かす事態を更に広げるものであり、断じて認められません。
出産一時金のため、後期高齢者医療から他の医療保険へ拠出することは、初めての制度変更です。制度の根幹に関わる問題であり、今後、保険料引上げをもたらしかねません。後期高齢者医療制度は、五割と法定化された公費負担が、三割負担導入に伴い、四七%まで減少しています。現役世代の負担軽減は国庫負担比率を引き上げることで実施すべきです。
法案に反対する第二の理由は、現役世代にも過酷な負担増をもたらすことです。
本会議質疑でも、加藤厚労大臣は、国民健康保険について、保険料水準の統一に向けた取組を加速化すると明言しました。これは間違いなく国保料の引上げをもたらすものです。政府は、保険料水準統一の前提として、自治体に公費の繰入れを早期にやめさせるため、圧力を掛けてきました。法定外繰入れは、二〇一六年二千五百億円から六百七十億円まで減少、自治体は独自の負担軽減策の取りやめに追い込まれ、国保料は高騰を続けています。
全国に先駆けて来年度の保険料完全統一を掲げる大阪府では、保険料が大幅に引き上げられ、全国の他都市と比べても際立って高額となっております。保険料統一を強行すれば、全国で同様の事態になりかねません。国保に加入する非正規労働者、フリーランスなど多くの若い世代が更に過酷な国保料負担を強いられることになります。
本法案は、現役世代の負担軽減に真っ向から反するものと言わざるを得ません。国の圧力で自治体を住民負担増、給付削減へと駆り立てる仕組みは撤廃すべきです。現役世代の負担軽減を本気で考えるのならば、国庫負担を抜本的に強め、保険料の引下げに今すぐ着手すべきです。
国保のみにある均等割は、収入のない子供からも保険料を徴収するもので、子供が増えるほど負担は重くなります。少子化対策の一つとして、子供に係る人頭税となっている均等割は全て廃止することを求めるものです。
第三に、今回の法改正により、国庫負担を更に削減することも重大です。
法案は、前期高齢者の医療給付における保険者間の負担の不均衡を是正する財政調整について、協会けんぽの負担を軽減するため、報酬水準に応じた調整を導入するものです。これに伴い、現在協会けんぽに行われている国庫補助が廃止されます。国庫負担は千二百九十億円も減らしながら、健康保険組合、共済組合などに加入する労働者に負担増を課すことは重大な問題です。
以上、本法案は、全世代型社会保障の名の下に、全世代の国民に負担増を押し付けるものにほかなりません。世代間の助け合い、相互扶助を制度として強要し、国の責任を後退させる法案の撤回を求めるものです。
政府は、あたかも高齢者の存在自体が現役世代の負担かのように世代間に対立を持ち込み、社会保障制度を後退させてきました。命と暮らしを守る命綱は限界まで切り縮められ、生存権が脅かされています。
参考人質疑では、全日本民主医療機関連合会の山本淑子氏は、若い世代に申し訳ない、長生きし過ぎたと高齢者に言わせる社会であっていいのか、高齢者が身を縮めるように暮らしている姿を見て、現役世代が明るい未来を描くのは無理だろうと問いかけました。
社会保障を共助とし、その財源を国民の負担増で賄うやり方が新たな貧困を拡大しています。能力に見合った負担というのであれば、富裕層、大企業にこそ応分の負担を求めることで財源は確保すべきだと指摘し、討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/32
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033・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/33
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034・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/34
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035・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午後零時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02120230512/35
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