1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年五月十五日(月曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十二号
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令和五年五月十五日
午前十時 本会議
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第一 道路整備特別措置法及び独立行政法人日
本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改
正する法律案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/0
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001・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
日程第一 道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
本案について提出者の趣旨説明を求めます。斉藤鉄夫国土交通大臣。
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/1
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002・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
高速道路について、近年、道路構造物の点検を強化したことにより重大な損傷の発見が相次いでいることから、道路構造物の抜本的な性能回復を図る更新事業を推進する必要があるとともに、国土強靱化等の社会的要請を踏まえ、四車線化等の必要な事業についても推進する必要があります。また、あわせて、高速道路料金の未払があった場合の事後徴収の強化や、サービスエリア及びパーキングエリアの機能の高度化を図っていく必要があります。
このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、高速道路の更新事業等に必要な財源を確保するため、料金徴収期間を延長することとしております。あわせて、債務の返済を確実に行うため、債務返済期間を設定することとしております。
第二に、高速道路料金について、車両の運転者又は使用者に請求できることを明確化するとともに、高速道路株式会社等が、軽自動車及び二輪車の車両の使用者の情報を取得することができることとしております。
第三に、サービスエリア及びパーキングエリアにおける利用者の利便の確保に資する施設と一体となった駐車場の整備に対して、新たな財政支援を行うこととしております。
そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/2
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003・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。鬼木誠君。
〔鬼木誠君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/3
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004・鬼木誠
○鬼木誠君 立憲民主・社民の鬼木誠です。
ただいま議題となりました法律案につきまして、会派を代表して質問をいたします。
まず、国交省OBによる空港施設株式会社への人事介入問題についてです。
四月二十八日、同社が外部有識者で構成をした役員指名等ガバナンスに関する独立検証委員会による報告書が公表され、国交省職員が、国交省OBで当時副社長に対し、国交省幹部との面談調整や人事に関わる内部調整について、複数回にわたってメールで連絡していたことが明らかになりました。
大臣はこの間、この案件について、省として調査を行った結果として、現役職員は関与していないと繰り返し答弁なさってきましたが、その答弁が虚偽だったことになります。
衆参国交委員会での、この案件の調査は第三者が厳格に行うべきとの声に応えず、内部調査にとどめた結果がこれです。大臣の調査指示が曖昧で緩いものだったのか、大臣の指示が省内で軽んじられたのか、どちらなのでしょうか。
五月十日、そして十二日の衆議院国土交通委員会において、我が党の城井議員を始め複数の議員がこの件について問いただしたところ、空港施設だけでなく他の外部の者にも人事情報が送信されていることが答弁されたものの、その詳細は明らかにされず、全省における詳細な調査や再就職等監視委員会への申出については行わないという信じ難い答弁がなされています。これはまさに、省として全容を究明するつもりはない、省を挙げて隠蔽を図るという意思表明にほかならないのではないですか。
大臣官房総務課から送付された人事情報は、どのような意図を持ってどこに送付されたのか、直ちに明らかにすべきと考えますが、いかがですか。
その中には百七十三件の非政府系アドレスが含まれており、この間、慣習的に情報提供がなされてきた旨が答弁されていますが、問題は、退職者などの人事情報を国交省OB個人にもメールをしていることです。このような情報が、今回以外にも他の民間会社の人事介入に使われていた例はないのですか。違法性はないのか、そして、なぜ公表前の人事情報を民間団体や個人、OBに送付する必要があるのか、その合理的な理由をお答えください。また、少なくとも送付した全てのアドレスの属性は明らかにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
加えて、送付された人事情報には退職予定者も含まれており、再就職あっせんとの関連を疑わざるを得ません。否定されるのであれば、その根拠をお示しください。
さらに、官製パソコンを使い、国交省のアドレスから発信し、省内各部署、出先機関が宛先となっている文書を、何と国交省は、公文書ではないと強弁しています。大臣は、この公文書ではないという国交省の説明を妥当だと本気でお考えですか。政治家の矜持に懸けて御答弁ください。
また、公文書ではないので国会に示さないというのなら、これまで国交省において公文書以外の文書は何一つ国会に示したことはないと言い切れるのか、お答えをいただきたいと思います。
これら以外にも明らかにすべき課題は数多くあります。OBも含めた組織的な再就職あっせん等の疑念がある中、国交省として再調査を否定されるのはなぜですか。改めて第三者による厳格かつ徹底的な調査を全省的に行い、全貌を明らかにしていただきたいと考えますが、国土交通大臣の見解を求めます。
それでは、法案についてお尋ねをいたします。
高速道路は、国民生活や社会経済活動を支える基幹的インフラであり、共有の財産です。したがって、その整備、適切かつ計画的な補修、更新等を行うことで、高速道路の機能を将来にわたり維持、継続し、良好な状態で次世代に継承していかなければなりません。そして、それを進めるに当たっては、利用者である国民の声を聞くことが肝要です。
この点、高速道路政策に対する政府の基本認識を問うとともに、国民の声にしっかりと耳を傾ける必要性について、国土交通大臣の見解を伺います。
戦後、我が国の高速道路は、建設等に要した費用を料金収入により賄う償還制度の下で整備が行われてきました。そして、建設等に要した債務の完済後に料金徴収を終了し、無料開放するとされてきました。
しかし、実際には、道路公団時代から現在に至るまで、幾度も料金徴収期間が延長されてきました。二〇一四年には、高速道路の更新財源を確保するため、料金徴収期限を十五年延長する法改正が行われ、そして今回、更新、進化の財源を確保するためとして、料金徴収期限を更に五十年延長し、無料開放の期限を二一一五年とする法案が提出をされています。二一一五年といえば九十二年後です。ほとんどの国民にとって、今回の法案は永久有料化の宣言にほかなりません。
抜本的な解決策を示すことなく、ただただ料金期限を九十二年後まで延長するという今回の法案は、国民に対して極めて不誠実です。二一一五年までに高速道路を無料開放するとの説明を国民は誰も信じないと考えますが、国土交通大臣の見解を求めます。
本法律案では、料金徴収期限までの間、債務返済期間を五十年以内で設定しつつ、逐次、必要な事業を追加する仕組みとされています。つまり、債務返済期間の末日が二一一五年九月三十日に達するまでの間は、法改正を経ずに料金徴収を継続することが可能となります。
つまり、本法律案は、法改正を通じた国会の高速道路事業への関与を逃れる作りとなっています。なぜ、二〇一四年の法改正時のように、追加する事業の費用を確保するために必要な期間について、国会での審議を経て、料金徴収を延長する形としなかったのか、国土交通大臣の説明を求めます。
高速道路の更新事業について伺います。
二〇一四年の法改正時の国会審議において、政府は、今回の対応以降、次々と更新需要が生じることにはならないと答弁していました。しかし、それから十年とたたず、計一・五兆円の新たな更新需要が明らかとなりました。そして、現在の料金徴収期限が四十年以上先であるにもかかわらず、これを更に五十年延長する法案が提出されました。次々と更新需要が生じることにはならないとの政府答弁はその場しのぎの言い逃れだったとしか思えません。あるいは、政府自らが次々と更新需要をつくり出しているようにしか見えません。
前回の法改正から十年とたたず、再度料金徴収期限の延長を求めることの責任は誰にあるとお考えですか。国土交通大臣に伺います。
また、二〇一四年の法改正時に政府は、法改正の理由を、高速道路の更新に必要な財源を確保するためであり、料金徴収期間を延長して確保した財源は、新規建設事業に充てることなく、更新事業のみに充てると答弁していました。
しかし、実際には、NEXCO三社などの全国路線網や阪神高速道路において、十五年延長した追加的な料金負担分を活用して、更新事業以外の新規建設等の追加事業が実施をされています。
これは、新規建設事業に充てることなく、更新事業のみに充てるとの政府答弁や、道路建設の歯止めの観点から料金徴収期限を法定し、民営化から四十五年以内に新規建設などによる債務を完済するとした道路公団民営化の趣旨に反するものです。このような事業を行うことについて、国民に対し十分な説明もなされていないと考えますが、国土交通大臣の説明を求めます。
あわせて、NEXCO三社の追加事業について、事業費の大きい事業をその金額とともに具体的にお示しください。
次に、機構が作成する償還計画の根拠となる将来調達金利の見通しと将来交通量の推計についてお尋ねします。
まず、将来調達金利の見通しについて、機構は、二〇二二年度で一・一八%、二三年度で一・六一%、二四年度二・二四%、二五年度三・一二%、二六年度以降四%と設定をしています。民営化以降、償還計画の更新のたびに、およそ五年で四%に駆け上がる見通しを繰り返しています。機構はその理由を、過去の金利水準を参考に金利上昇リスクを勘案をしたと言いますが、そのような金利の急上昇は、民営化以降、生じていません。
内閣府が今年一月に経済財政諮問会議に提出をした中長期の経済財政に関する試算によれば、名目長期金利は成長実現ケースでも二〇二六年で一・一%、推計最終年度の二〇三二年度でも三・六%にすぎません。
なぜこの成長実現ケースですら想定し得ない速度で機構の調達金利が上昇するのか、全く分かりません。機構を所管する国土交通大臣にその理由をお伺いします。
また、調達金利が四%に達するという事態が現実となった場合、国民生活に大きな影響が生じると思いますが、経済財政政策担当大臣の見解を伺います。
機構は何十兆円もの債務を抱えており、将来金利の見通しが高速道路の債務返済へと直結し、国民の料金負担に多大な影響を与えます。にもかかわらず、機構の将来調達金利の見通しは、その根拠に乏しく、非常に雑に設定されているとしか見えません。
将来金利の上昇速度は、実勢を踏まえた水準、明確な根拠に基づく水準に見直すべきだと思いますが、国土交通大臣の見解を伺います。
また、機構による将来交通量の推計は、国土交通省が算出をした総交通需要予測に基づき各高速道路の利用割合を加味して作成をされており、将来調達金利と同様、債務返済の見通しの根拠となる重要な指標です。
しかし、その実績値は十分に公表されておらず、なぜ公表していないのかの理由も不明です。実績値が分からなければ、国や機構の将来交通量の見通しが正しかったのか検証することもできず、償還計画の妥当性の評価もできません。全国路線網、地域路線網、一の路線の、それぞれの走行台キロベースの交通量の実績値は国民に対する説明として毎年公表すべきと思いますが、国土交通大臣の見解を伺います。
橋梁、トンネル等の道路の構造物については、二〇一四年度から、五年に一回の頻度で定期点検が義務化をされました。同時に、高速道路整備の費用負担の仕組みや料金制度、追加する事業の妥当性、債務返済の状況などについても定期点検が必要です。そして、それは、国土交通省、機構、高速道路会社や有識者だけが行うのではなく、行政監視の機能を担う国会においても行われるべきだと考えます。
本法律案が成立した場合、料金徴収や債務返済の期間の在り方について直接国会が関与する機会が少なくなります。したがって、改正を行うのであれば、国会において高速道路事業や制度の定期点検を行うため、政府は国会に対し高速道路事業の実情に関する情報を定期的に報告すべきではないでしょうか。国土交通大臣の見解を求めます。
今後、我が国では、道路の老朽化の進行に加え、人口の減少なども見込まれており、高速道路を含む道路ネットワーク全体の維持管理、更新等に関し、社会経済情勢の変化を踏まえた持続可能な整備の在り方について議論を深め、国の考え方を明確に示すことが必要です。
しかし、償還主義など、費用負担の基本的な考え方は、今回の法律案では何も変わっていません。この仕組みが二十二世紀まで持続できるとは思えません。構造物に基礎から造り替える更新が必要なように、その制度や仕組みについても抜本的な見直しが必要ではないでしょうか。
将来世代に議論を先送りすることなく、今、私たちが、これからの時代に合った真に国民のためになる新たなスキームをつくり出すことが求められていると考えます。未来を見据え、高速道路制度の抜本的な見直しを行う必要性について、国土交通大臣の御認識をお伺いをいたします。
高速道路の開通から約六十年。取り巻く環境は大きく変化してきました。より遠くへ、より早くの実現により獲得をした利便は成長と豊かさをもたらしましたが、その果実は全ての人には行き渡らず、格差を生み、社会のひずみを明らかにしました。
一方で、与え続けた環境への負荷は閾値を超えつつあり、脱炭素という重たい課題が提起をされています。カーボンニュートラルの課題とは、私たちが何をしてきたのかという問いであり、高速道路もその文脈の中で在り方が問われています。
過去との向き合いから目を背け、安易に課題を先に送るだけの本法案は、まさに岸田政権の本質を表しており、未来への責任を放棄するものであることを重ねて指摘をし、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/4
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005・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 鬼木誠議員にお答えいたします。
現役職員の関与に関するこれまでの私の答弁の正確性についてお尋ねがありました。
まず、現役職員の異動情報が、内示後ではあるものの、公表前に外部の者に共有されていたことは遺憾であり、国民の目から見ても疑惑を招きかねず、国土交通大臣として大変重く受け止めております。直ちに事務方に対して厳しく注意するとともに、二度とこのようなことを起こさないよう、異動情報の管理について是正を指示いたしました。
これまで私からは、現役職員による空港施設株式会社への再就職のあっせん等について確認できなかったと答弁しているところです。
今回の事案について、新聞報道がなされた段階、空港施設株式会社の外部検証委員会報告書が公表された段階、それぞれにおいて、私が主導して速やかに事実関係の確認等を行ってまいりましたが、現役職員が再就職等規制に違反した行為を行ったと疑わせる事実は確認できておらず、これまでの私の答弁が虚偽であったとは考えておりません。
次に、全省調査や再就職等監視委員会への申出についてお尋ねがありました。
四月二十八日に公表された報告書を踏まえ、国土交通省において事実関係の確認を行った結果、現役職員から山口氏に対し異動情報の送付があった事実が確認されました。このうち、いわゆる線引きには、退職予定者を含む内示対象者の異動情報が記されておりましたが、これは、再就職をあっせんし得るような地位にない若手職員が、内示を受けた者から開示された情報を基に異動前後における業務の円滑化等を目的として作成したものであり、省内職員を中心に慣習的に広く共有されてきたものでありました。また、作成者は、あっせんを目的としたものではなく、上司から指示を受けたものでもないと明言しております。
以上のことから、今回の異動情報の送付は、あっせん規制違反の要件である営利企業等の地位に就かせることを目的とした情報提供ではないため、再就職等規制違反には当たらないと認識しております。なお、この点については弁護士等にも速やかに確認することとしております。
国家公務員法において、任命権者は、現役職員や職員OBに再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料するときは、その旨を再就職等規制監視委員会に報告するものとされています。山口氏への異動情報の送付は、疑いがあると思料するときには当たらないことから、同委員会に報告すべき状況にはないと考えております。
今後、再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料するべき事実が明らかになった場合には、適切に対処してまいりたいと思います。
次に、人事情報の送付の意図及び送付先についてお尋ねがありました。
いわゆる線引きは、内示後の異動情報であり、異動前後における業務の円滑化等を目的として作成、送付されているものと聞いております。
令和五年四月時点のメールの送付先を確認したところ、総数は千五十八件であり、このうち百七十三件が非政府系アドレスでした。非政府系アドレスについては、念のため、まずは政府のパソコンから直ちに削除させた上で確認を行っているところですが、現在、そのうち百四十件は現役職員のアドレスであると確認されており、残り約三十件の特定を急いでいるところでございます。
次に、異動情報が民間会社の人事介入に使われていたのではないかという点についてのお尋ねがありました。
異動情報が民間企業の人事介入に使われていた例は、今回も含めて承知しておりません。
次に、異動情報の提供の違法性についてお尋ねがありました。
再就職等規制については、先ほど申し上げたとおり、いわゆる線引きの送付が営利企業等の地位に就かせることを目的として行われたものではないため、違法性はないと考えております。
守秘義務につきましては、国家公務員法では、職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならないと規定されております。内示情報は機密扱いではなく、また、内示を受けた本人が伝えている時点で秘密性は失われており、プライバシーの侵害にも当たらないため、秘密には該当せず、違法性はないと考えております。なお、この点については弁護士等にも速やかに確認することとしております。
次に、公表前の人事情報を民間団体等に送付する必要性についてお尋ねがありました。
先ほど申し上げたとおり、いわゆる線引きは、異動前後における業務の円滑化等を目的として作成されたもので、外部への提供を目的としたものではないと承知しております。
一方で、現役職員の異動情報が、内示後ではあるものの、公表前に外部の者に共有されていたことは遺憾であり、国民の目から見ても疑惑を招きかねず、国土交通大臣として大変重く受け止めております。直ちに事務方に対して厳しく注意するとともに、二度とこのようなことを起こさないよう、異動情報の管理について是正を指示いたしました。
次に、異動情報を送付したアドレスの属性の公表についてお尋ねがありました。
先ほど申し上げましたとおり、現在受信者の特定作業を進めているところであり、現役職員やOBの区分など、その属性について速やかに明らかにしたいと考えております。
再就職あっせんとの関連についてお尋ねがありました。
先ほど申し上げましたとおり、いわゆる線引きの送付が営利企業等の地位に就かせることを目的として行われたものではないため、再就職のあっせんには当たらないと考えております。
国土交通省職員がメールで送った文書の位置付けについてお尋ねがありました。
公文書等の管理に関する法律第二条第四項によれば、行政文書とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいうとされております。
いわゆる線引きは、人事を職務としていない若手職員が事務系総合職職員の内示後の異動情報を収集して作成した文書であるため、行政文書には該当しないものと考えております。
国土交通省が過去に国会にお示しした文書についてお尋ねがありました。
過去に行政文書以外の文書を国会にお示ししたことが一度もないかとの点につきましては、直ちに確認できませんが、一般論として申し上げれば、行政文書でない文書は政府として職務上作成、保有しているものではなく、国会に責任を持ってお示しすることは困難であると承知しております。このため、政府としては、国会からの資料要求については、その対象が行政文書であることを前提として対応しているものと承知しております。
第三者による全省的な調査についてお尋ねがありました。
第三者による全省的な調査については、申し上げてきたとおり、再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料するべき事実が確認されていないことから、そのような調査を行う状況ではないと考えております。
これまでも、今回の事案について、新聞報道がなされた段階、空港施設株式会社の外部検証委員会報告書が公表された段階、それぞれにおいて、私が主導して速やかに事実関係の確認等を行ってきております。
今後においても、こういった事案が発生した場合にはしっかりと調査してまいります。その上で、再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料するべき事実が明らかとなった場合には、再就職等監視委員会へ報告するなど適切に対処してまいります。
次に、高速道路政策の基本認識と国民意見の聴取の必要性についてお尋ねがありました。
高速道路については、我が国の経済活動や国民生活を支える重要なインフラであり、その機能を将来にわたって維持するとともに、社会的要請を踏まえて進化する必要があります。
また、高速道路に関する政策を実行する際、利用者などの国民意見の聴取は重要です。高速道路会社では、料金改定時のパブリックコメント、窓口への問合せなどで意見を把握し、必要な改善を行っており、引き続き国民意見を聴取してまいりたいと思っております。
次に、高速道路の無料開放についてお尋ねがありました。
今般の改正法案は、今後更新が必要となる蓋然性の高い箇所を含めた更新需要を賄うため、料金徴収期限を二一一五年とし、従来と同様に債務完済後に無料公開する仕組みです。国民の皆様には、法改正案の目的や料金徴収期限の設定の考え方などについて、引き続き丁寧に説明してまいりたいと思っております。
次に、国会審議を経て料金徴収を延長することとしない理由についてお尋ねがありました。
平成二十六年の法改正においては、その当時明らかとなった更新需要に対応するため、国会審議を経て、料金徴収期限を二〇六五年としました。その後、新たに更新が必要な箇所が判明したことを踏まえ、今後更新が必要となる蓋然性が高い箇所を含む財源を確保できるよう、今般の改正法案で料金徴収期限を二一一五年とすることなどを御審議いただいているところでございます。
次に、料金徴収期限の延長に対する責任についてお尋ねがございました。
高速道路の整備や管理などについては、関係法令に基づき、国、高速道路機構、高速道路会社がそれぞれの役割に応じ、その責任を果たしています。
今般、平成二十六年から開始した詳細な点検により新たに更新が必要な箇所が判明したことを受け、料金徴収期限を延長するものでございます。この新たに判明した更新需要を見通すことは、平成二十六年当時の老朽化などに関する知見では困難であった、このように認識しております。
次に、追加事業と過去の答弁などとの整合性及び追加事業の内容についてお尋ねがありました。
平成二十六年の法改正時には、その時点の償還計画に含まれる新設、改築に係る債務は二〇五〇年までに返済するという民営化の方針を堅持することとしました。その後、地方自治体の提案を踏まえ、有識者委員会で御議論いただきつつ、料金徴収期限までの追加的な料金収入などを活用してネットワークの強化などを推進したものです。この委員会での議論や追加事業を含む事業許可の内容については公表されており、引き続き、国民の皆様に御理解をいただけるよう、丁寧に説明してまいります。
また、NEXCOにおいて、料金徴収期限の延長により生じる収入の一部を、追加事業のうち事業費の大きいものとして、約七千六百億円を東京外環道の新設事業に、約一千億円を秋田道の一部区間の四車線化事業などに充当しているところでございます。
次に、高速道路機構における将来の調達金利の設定理由についてお尋ねがありました。
高速道路機構は、債務の早期の確実な返済を行うことなどにより、高速道路に係る国民負担の軽減を図ることを目的としています。その中で、将来の調達金利は、過去には調達金利が一年で一%以上上昇した実績もあることから、債務を確実に返済するために安全側に設定しているものと承知しております。
次に、将来金利の上昇速度の見直しと交通量の実績値の公開についてお尋ねがありました。
将来の調達金利については、先ほど申し上げたとおり、安全側に設定されており、妥当なものと考えています。
また、御指摘の走行台キロの実績については、中央道など料金所が設定されていない出入口がある路線では走行距離を把握できないことから、正確な算出は困難です。一方、例えば交通量については、毎月、高速道路会社などのホームページにおいて通行台数の実績値を公表しており、引き続き透明性の確保に努めてまいります。
次に、高速道路に関する情報の国会報告についてお尋ねがありました。
国土交通省では、有識者委員会で高速道路の制度などについて議論し、資料や議事録をホームページで公表しています。また、高速道路機構や高速道路会社では、毎年度の決算や事業追加に伴う許認可などの事業に関する情報をホームページなどで広く公開しています。今般の改正法案においては国会報告の規定は設けていませんが、引き続き国民の皆様に広く情報を公開してまいります。
最後に、制度の抜本的な見直しについてお尋ねがありました。
今般の改正法案については、人口減少などに伴う交通量減少や今後更新が必要となる蓋然性の高い更新需要など、現時点の見通しを踏まえた制度です。一方、現時点において具体的に見通すことができない革新的な技術開発などが見込まれる場合には、必要な制度の見直しを行う必要があると認識しております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣後藤茂之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/5
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006・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 鬼木議員から、高速道路機構の調達金利が国民生活へ与える影響についてお尋ねがありました。
特定の企業等の調達金利の変動が国民生活にどのように影響を与えるかをお示しするのは困難であると考えます。また、一般論として市場金利が上昇した場合についてお答えしますと、その時々の経済状況の違いなどを考慮する必要がありますが、利払いの増加等を通じて投資を抑制するほか、利子収入の増加が所得、収益の増加に寄与するなど、様々な経路を通じて実体経済に影響を及ぼすことが考えられます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/6
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007・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 青島健太君。
〔青島健太君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/7
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008・青島健太
○青島健太君 日本維新の会、青島健太です。
私は、会派を代表して、道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案について、斉藤国土交通大臣に質問いたします。
我が国の高速道路事業が民営化されて以降、債務の返済が進み、必要な道路が精査され、サービスエリアやパーキングエリアの充実により、高速道路の利便性が格段に高まっています。この民営化に奔走された猪瀬直樹氏を始めとする当時の関係各位に心から敬意を表します。
その上で、この民営化のメリットを生かして、今後の高速道路の発展、整備、メンテナンスに柔軟に対応していくことが喫緊の課題と考えます。
そこで伺います。
高速道路公団が分割・民営化された意義、分割された各社が今後果たすべき役割について具体的にお答えください。
高速道路等の幹線道路ネットワークの整備は、インターチェンジ周辺での工場立地を促すなど地域経済の活性化に大きく寄与するとともに、地方部における広域的な医療サービスの享受や災害等で幹線道路が途絶した場合のリダンダンシーを可能とするなど、国民生活の質や安全の向上に大きく貢献しています。
しかし、建設後五十年以上経過する社会資本の老朽化が着実に進み、維持管理コストの増大が予想される中で、適時適切なメンテナンスを確保することにより将来必要となる更新費の抑制につながることが明白であることから、インフラメンテナンス対策の重要性がこれまでになく増しています。
我が国の高速道路の現況は、国際比較において、車線数が少なく都市間連絡速度も依然として低いといった課題があります。老朽インフラが加速度的に増加する中、高速道路のネットワーク機能を最大限に発揮させるため、そうした課題とどう取り組んでいくのか、お聞きいたします。
高度経済成長期、集中的に整備した社会資本の老朽化は、次世代の社会経済の安定と安全に対する脅威となりかねません。将来必要となる更新費が急増し、財政を急激に圧迫し、真に必要な投資さえできなくなるというおそれがあります。
高速道路の更新、進化のため、料金徴収期間を延長するだけではなく、将来的には高速道路料金の値上げにつながるような見直しを懸念いたしますが、今後の高速道路料金制度の在り方についてお聞きいたします。
全国物流ネットワークの核となっている大都市圏環状道路等については、日本高速道路保有・債務返済機構が、現下の低金利状況を生かし、財政投融資を活用して、大都市圏環状道路等の整備加速による生産性の向上、橋梁の耐震強化対策による安全、安心の確保を行っていると聞きました。機構による財政投融資を活用した事業スキームが中長期的には国民負担につながるといった問題はなかったのか、お聞きをいたします。
次に、メンテナンスサイクルを回す仕組みについてお聞きいたします。
今後、限られた財源の中で、急速に増加する老朽インフラに対応するに当たり、予防保全を前提としたメンテナンスの計画的な実施を進めるために、新技術の導入等による長寿命化やコスト縮減に取り組むことが極めて重要だと考えます。橋梁やトンネルの立地する環境や維持管理の状況等によって異なる老朽化の状況に対し、損傷が軽微な段階で補修を行っていく点検、診断業務の効率化、高度化が不可欠と考えます。予防保全に基づくインフラメンテナンスにどう取り組んでいくのか、お聞きいたします。
過積載車両の問題は高速道路の劣化の主な原因となっています。過積載の撲滅に向けた取組の強化には、トラック事業者のみならず、荷主にも責任とコスト等を適切に分担させる必要があります。インフラ側での重量計測だけではなく、車両側での積載型荷重計測システムの活用を図るべきと考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、お聞きいたします。
将来のメンテナンス費用を予測し、予防保全型の管理、新技術の導入等により、適正な予算等の確保が重要と考えます。幹線道路の維持、修繕、更新については、諸外国における事例も参考に、有料道路においては償還終了後も料金を徴収し続けることなど、将来の負担の在り方等について検討を始めるべきです。
また、必要な予算の確保に当たっては、老朽化の現状やメンテナンス活動等の見える化の充実とともに、道路インフラの実情について広く国民や利用者と共有を図ることが重要と考えますが、御所見をお聞きいたします。
有料道路の料金水準については、諸外国と比べて割高となっており、物流コスト高を招いて国際競争力を低下させる要因となっているとの指摘もあります。
首都高等において環境ロードプライシングとして試行されてきた弾力的な料金設定による政策的な交通誘導を本格的に検討することが求められている中、環境改善を図りつつ高速道路ユーザーの満足度を向上させていく必要があると考えます。どう取り組んでいくのか、お聞きをいたします。
更なる人と物の流れを安定的な確保を図るために、これまでの整備重視から利用重視への転換を図り、良好な運転環境の実現が重要と考えます。
ETC二・〇搭載車を対象に、高速道路外の休憩施設等へ一時退出しても高速を降りずに利用した料金のままとする実験を全国二十三か所で実施していると聞いておりますが、休憩施設の空白区間の解消に向けどのように取り組んでいるのか、お聞きをいたします。
交通サービスのスマート化について、ロンドンでは、駐車空きスペースを運転手に知らせるスマート駐車システムの導入を進めていると聞きました。サービスエリアやパーキングエリアの駐車場予約システムの導入に向けた今後の取組についてお聞きをいたします。
急速に進展するAIと高速通信をコア技術とする完全自動運転の実現性が高まり、交通事故の低減、移動弱者問題の解決、運送業界における人手不足の解消等、自動運転の活用に対する期待が高まっております。物流分野の働き方改革が二〇二四年問題となっている中で、高速道路におけるトラックの隊列自動走行について、実証実験から次の段階に加速させていく必要がありますが、今後の取組についてお聞きをいたします。
高度経済成長期に、東京、大阪、名古屋の大都市が形成され、三大都市圏を結ぶ高速道路は、集積の経済を生み出す社会基盤として機能してきました。東京都を中心とする東京圏は、日本経済の牽引役として重要な役割を担っておりますが、他方で、住宅不足、混雑の不経済など、集積することでデメリットも発生し、そうした大都市の問題点を、問題を解決していく政策誘導が必要です。
我が党は、災害へのレジリエンスを高める対策として、また東京一極集中の解消を図るために、副首都機能の整備、推進を提言しています。
極めて近い将来、燃料、運転、使い方等、車が大きく変わり、それに伴い道路の在り方も変化することは間違いありません。そうした中で、持続可能な都市を中心とした広域的な共創社会の実現に向けて交通ネットワークの整備が不可欠です。これからのモビリティーの役割、そして地域活性化に交通ネットワークをどう生かしていくのか、そのビジョンを伺います。
最後に申し上げます。
国土交通省所管の道路や乗り物は、人々の信頼と夢を形にすることです。今回発覚したOBによる民間企業への人事介入問題は、国民の信頼と期待を大きく裏切る行為です。国交省の役割は天下りの抜け道をつくることではありません。そんなトンネルを誰も許さない。その警鐘を大きく鳴らして質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/8
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009・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 青島健太議員の御質問にお答えします。
まず、道路公団が分割・民営化された意義、各社の果たすべき役割についてお尋ねがありました。
道路関係四公団の分割・民営化は、債務の早期の確実な返済を行うとともに、会社間の競争性を高め、コスト意識の向上や地域の実情に即したサービス提供の充実を図ることなどを目的に行われたものでございます。民営化した成果は着実に上がっていると認識しております。
また、各社は、民間会社としての創意工夫を発揮しながら、社会的要請や地域の実情を踏まえ、高速道路の機能の維持や必要な進化、サービス向上などに取り組む役割があり、引き続きその役割を果たしていく必要があると考えております。
次に、高速道路ネットワーク機能を発揮させるための取組についてお尋ねがありました。
我が国の高速道路には、諸外国と比較して、車線数が少なく、都市間連絡速度が低いといった課題があり、ネットワークの機能が十分発揮されていない状況も見られます。このため、ミッシングリンクの解消とともに、暫定二車線区間の四車線化や渋滞解消のための付加車線設置など、機能強化を図っています。
引き続き、今般の改正法案による制度の下、必要な更新事業を順次実施するとともに、高速道路ネットワークの機能強化を推進してまいります。
次に、今後の高速道路料金制度の在り方についてお尋ねがありました。
高速道路の料金については、建設、管理に要する総費用を料金の徴収期間内に料金収入で償う償還主義に基づいています。
今般の改正法案は、更新、進化に必要な財源の確保のため、現下の社会情勢から料金水準の引上げは直ちに利用者の理解を得ることは困難であることも踏まえ、料金徴収期間を延長することとしたものです。
国土交通省としては、幅広く議論を行い、財源を安定的に確保しながら、高速道路を利用しやすい料金となるよう検討してまいります。
次に、財政投融資を活用した事業スキームによる中長期的な国民負担への影響についてお尋ねがありました。
御指摘の事業スキームは、高速道路機構の債務をより低金利の財政投融資に置き換え、将来の金利負担を軽減することにより生じた財源の範囲内で暫定二車線区間の四車線化等の必要な事業を実施するものです。このため、事業の実施に伴い、新たに債務を増やすものではなく、国民負担の増加につながるものではありません。
次に、限られた財源の中での予防保全に基づくインフラメンテナンスの取組についてお尋ねがありました。
予防保全型のメンテナンスへの本格的な転換を図るため、新技術の活用などにより点検や修繕を効率化していくことは重要であると認識しております。このため、国土交通省では、平成三十年度に点検要領を改定し、ドローンなど新技術を活用した点検を可能にするとともに、新技術を集めた性能カタログを作成し、広くその普及に努力しております。
また、修繕につきましても、新技術の活用事例を取りまとめ、自治体に周知しており、こうした取組を通じて、今後とも道路メンテナンスの効率化やコスト縮減が図られるよう努めてまいります。
次に、高速道路の劣化を防ぐための過積載車両対策についてお尋ねがありました。
特に重量が大きな特殊車両について、過積載車両が横行し道路の老朽化が加速することを防ぐため、国土交通省では、道路上に設置した自動重量計測装置を用いた取締りを行っております。また、荷主団体に対して法令遵守を徹底するよう依頼するなど、重量違反抑止に向けた取組を強化しております。
さらに、車載型重量計の導入に向けた研究にも取り組んでいるところであり、これらの取組を通じて、引き続き過積載車両対策に取り組んでまいります。
次に、必要な予算の確保に当たり、道路インフラの実情を広く共有することの重要性についてお尋ねがありました。
国土交通省では、平成二十七年度より毎年、全国の橋梁などの点検結果や修繕の実施状況などを集計し、道路メンテナンス年報として公表してきました。また、昨年五月には、全国道路施設点検データベースを公開し、個々の道路施設の健全性などについて誰でもインターネット上で確認できるよう、見える化を図りました。
必要な老朽化対策を持続的に進めていくためには国民や道路利用者の御理解が重要であり、引き続き老朽化の現状や対策状況などを分かりやすく示してまいります。
次に、弾力的な料金設定の導入などによる高速道路の利用者の満足度を向上させる取組についてお尋ねがありました。
高速道路の料金については、沿道環境の改善などの政策課題の解決のため、交通容量に余裕のある路線や時間帯の利用を促進する環境ロードプライシングや深夜割引などの料金割引を導入しています。有識者からは、将来的には、交通需要の偏りによる混雑の緩和を図るため、一定時間ごとに変動する機動的な料金の導入を目指すべきとの意見をいただいています。
国土交通省としては、有識者や利用者の御意見も伺いながら、きめ細やかな料金施策を実施し、政策課題の解決にも貢献しつつ、高速道路が利用しやすくなるよう取り組んでまいります。
次に、高速道路の休憩施設の空白解消に向けた取組についてお尋ねがありました。
休憩施設の間隔が長い区間における休憩機会の提供のため、インターチェンジ近傍の道の駅への一時退出を可能とする社会実験を平成二十九年より実施しています。この実験においては、休憩機会の増加などが評価された一方、休憩以外の目的での一時退出が確認されており、引き続き運用の改善を図ってまいります。また、休憩施設の空白区間の解消に向け、本線脇の空いている土地を活用したミニパーキングの整備などについて、高速道路会社と連携して検討を進めてまいります。
次に、駐車場予約システムの導入に向けた取組についてお尋ねがありました。
高速道路会社においては、確実な休憩機会の確保のため、駐車場の満空情報の表示を拡充するとともに、平成三十一年より駐車場予約システムの社会実験を実施しております。この社会実験においては、特に駐車升が限定される特大車などにとって便利との意見をいただいている一方、予約が入らない時間には駐車升を有効に使用できないという課題も明らかになっています。
引き続き、社会実験の実施状況や関係者の御意見も踏まえ、高速道路会社と連携し、駐車場予約の活用も含め、休憩に関する利便性向上に努めてまいります。
次に、トラックの隊列自動走行についてお尋ねがありました。
隊列自動走行は、令和三年に後続のトラックを無人にした実証実験を行いましたが、隊列内に他の車両が割り込んだ場合、後続のトラックが停止するという課題が残されています。この課題を解決するため、令和七年度頃の高速道路における単独走行での無人の自動運転トラックの実現を目指し、来年度には新東名高速道路において自動運転レーンを設定し、実証実験を行う予定です。
自動運転トラックの実現に向け、引き続き関係機関と連携して取り組んでまいります。
最後に、道路を含めた交通ネットワークのビジョンについてお尋ねがありました。
道路などの交通ネットワークは、モビリティーとともに人、物の移動を支え、我が国の社会経済に重要な役割を果たすインフラです。現在、検討を進める新たな国土形成計画では、活力ある国土づくりに向け、質の高い交通などによるシームレスな拠点連結型国土の構築を掲げています。また、広域道路ネットワークの在り方については、国土幹線道路部会において議論を開始しました。
こうした議論も踏まえ、これからのモビリティーの役割や道路を含めた交通ネットワークの在り方についてしっかりと検討を進めてまいります。
以上でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/9
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010・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 浜口誠君。
〔浜口誠君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/10
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011・浜口誠
○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。
会派を代表して、道路整備特別措置法等の一部を改正する法律案について、以下、斉藤国土交通大臣に質問します。
高速道路に対する基本認識を伺います。
高速道路の所有者は誰だとお考えですか。また、高速道路は生産財か消費財か、どちらだとお考えでしょうか。その理由も併せてお答えください。
私は、高速道路の所有者は全国の国民であり、高速道路は、人流、物流を支え、経済を動かすために必要な生産財だと考えています。高速道路は、全国の国民が、住む場所に関係なく、公平かつ安価に利用できるようにしていくべきです。高速道路のあるべき姿に対する所見を伺います。
日本の高速道路整備に資金を拠出した世界銀行のエコノミスト、マックス・アドラー氏は、高速道路をなぜ造るかといえば、急ぐ人や物が高速で急いで行けるためであり、そのことによって社会的な満足が発生する、この高速道路の機能を否定する無料開放は世界銀行として認められないと指摘、このアドラー忠告に対する見解を伺います。
日本の高速道路は、二〇〇五年に道路公団が民営化され、二十年近く経過しますが、民営化の検証はどのように行われたのか。また、民営化の成果と課題もお答えください。
日本の高速道路は、高速道路建設に要した債務を償還後に無料開放する償還主義と、昭和四十七年から導入された料金プール制度が大きな特徴です。なぜこうした仕組みを導入したのか、また償還主義と料金プール制の課題についてお答えください。
今回の法改正で、高速道路の更新、進化のため、料金徴収期間を最長二一一五年まで延長するとしています。政府は、今回を含め、これまで何度料金徴収期間を延長してきたのか、その理由も含め、お答えください。
高速道路は、今後も、老朽化対策、ミッシングリンクや暫定二車線解消など、将来にわたり投資が必要となります。誰が見ても、現実的に考えれば、高速道路の無料開放は絵に描いた餅です。償還主義と無料開放を見直し、永久有料にして、即刻、高速道路料金を下げるべきです。所見を伺います。
現在の高速道路の料金制度である距離制料金は、一キロメートルごとにまるで関所があるかのごとく、乗用車の場合は約二十五円ずつチャリンチャリンと料金が加算される制度です。距離制料金では、高速道路を走れば走るほど料金が高くなり、目的地を遠ざける料金であり、地方ほど移動のコストが高くなり、地域間格差が生じる料金です。こうした距離制料金の課題について見解を伺います。
高速道路は、一般道と比較すると、安全で環境に優しい道路です。高速道路と一般道との利用状況を示す指標として分担率があります。日本は、欧米と比較して四割程度分担率が低く、高速道路が十分に使われていません。日本の高速道路の分担率の現状、欧米との比較、分担率が低い理由、分担率を引き上げるための対策を伺います。また、高速道路の利用を増やし欧米並みの分担率となった場合の死傷者や負傷者の減少、消費燃料や渋滞損失への効果をお答えください。
NEXCO三社には、休日割引、深夜割引など最大二十の割引制度があり、年間の料金収入の約四割に相当する約九千億円の料金を割り引いています。驚きの割引額です。なぜ多くの割引制度、多額の割引が必要なのか、お答えください。複雑な割引対応ではなく、最初から料金全体を引き下げるべきと考えますが、見解を伺います。
平成三十一年の政府答弁では、平成三十年度時点で、高速道路の建設に要した有利子負債の残高は約二十七兆円。高速道路機構が資金調達する際の想定金利は四%で設定しており、償還までに支払う利息の総額は約二十兆円です。低金利が続いている中で、当時の平均金利である一%程度に見直すだけで、支払う利息の総額は約八兆円となり、約十二兆円も削減できるとの試算でした。こうした試算の最新結果をお示しください。また、想定金利を四%から実勢金利に見直し、返済利息を減らして、料金を大幅に引き下げるべきです。見解を伺います。
高速道路料金ワンコイン五百円走り放題、定額制料金の導入について伺います。
定額制料金であれば、高速道路に入るときに精算するため、出口を開放することができます。また、大掛かりなインターチェンジは不要となり、少ない投資で短い区間に簡易な出口を増やすこともできるメリットも大きいです。
NEXCO三社の年間での利用台数は約二十九億台、料金収入は約二兆四千億円、一台当たりの平均料金は約八百円。うち百五十円はターミナルチャージと言われる入場料が含まれており、実質、距離に応じた料金は約六百五十円です。償還主義を廃止し、想定金利四%の見直し等により、税金を使うことなく、乗用車でワンコイン五百円、軽自動車三百円、二輪車二百円、大型車でも八百円走り放題の定額制料金が実施できます。
ユーザーにとっては、中長距離の料金は大幅に安くなります。例えば、東京―山形間の高速代は、往復一万二千二百八十円が千円となります。地方創生の切り札は、移動のコストを下げることです。地方にとっては、観光や地方経済の活性化など地方創生の起爆剤となります。産業界にとっても、物流費の大幅削減により、日本全体の競争力強化につながります。国は、税金を使わず、経済対策、家計支援を実行できます。NEXCO三社は利用増が期待できます。まさに、ユーザー、地方、産業界、国、NEXCOの全てがウィン・ウィンとなる料金が、ワンコイン五百円の定額制料金です。三方よしを超える五方よしの料金です。コロナ後の経済対策として、一年間限定で、ワンコイン五百円の定額制料金の効果と課題を検証する社会実験を行うことを提案します。
斉藤大臣、地方創生の観点から岡田大臣の決断を求めます。
また、両大臣は、定額制料金が日本全体の経済の活性化や地方創生のための有効策にはならないとお考えですか。ならないとお考えであれば、その理由をお示しください。
斉藤大臣、浜田大臣にお伺いします。
高速道路のサービスエリア、パーキングエリアは、災害時の支援拠点としても重要です。また、車の電動化に対応した急速充電器や水素ステーション等の拠点として重要な役割が期待されます。今後、高速道路における充電器などのインフラ整備計画を伺います。
また、国防の観点から、高速道路を滑走路等として使用することは想定しているのか、災害時や国防面で高速道路をどう活用するのか、所見を伺います。
自衛隊車両が訓練対応などで移動するときは一般道を使うことが多く、長時間移動となり、負担が大きいと指摘されています。自衛隊車両の高速道路料金は平時においても無料にすべきと考えますが、いかがでしょうか。
ドイツでは、国が責任を持って二〇三〇年までに道路に約二十兆円、地域公共交通を含む鉄道にも約十七兆円、国が投資する計画です。道路も鉄道も、国民の暮らしや国力の確保に極めて重要であり、総合的な交通ネットワークの維持、強化を国主導で考えているあかしです。日本もドイツに学ぶべきです。日本も、鉄道、トラック、バス、高速道路など各交通モードの強みを最大限活用した総合的な交通ネットワークを国が責任を持ってつくり、国民の暮らしを守り、国力を強化すべきと考えます。斉藤大臣に見解を伺います。
最後になりますが、国民民主党は、ワンコイン五百円定額制料金など、国民の皆さんがわくわくどきどきする政策をこれからも新しい答えとして、対決よりも解決の政治を貫いてまいります。政府も、こうした提案を真正面から受け止めてしっかりと対応していただくことを強く求めて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/11
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012・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 浜口誠議員の御質問にお答えします。
まず、高速道路に対する基本認識についてお尋ねがありました。
高速道路は、極めて公共性が高い国民共有の財産であると認識しております。生産財か消費財かについては、企業が利用する場合は生産財となり、家庭が旅行する場合は消費財となるなど、利用者の用途により位置付けが変わると認識しております。
次に、高速道路のあるべき姿についてお尋ねがありました。
高速道路については、我が国の経済活動や国民生活を支える重要なインフラであり、その機能を将来にわたって維持するとともに、社会的要請を踏まえて進化していく必要があると、このように考えております。
次に、高速道路の無料開放は認められないとの意見に対する見解についてお尋ねがありました。
平成二十六年の法改正の附帯決議では、債務完済後の渋滞対策のため料金徴収を継続すべきとの御意見と、有効活用の観点から無料化すべきとの御意見があったことも踏まえ、今般の改正法案は、従来と同様、債務完済後に無料公開する仕組みといたしました。
一方、維持管理や修繕は永続的に必要なため、渋滞対策や有効活用の観点も含め、有識者などの御意見を伺いつつ、将来の有料道路制度について議論してまいりたいと思います。
次に、民営化の検証方法についてお尋ねがありました。
民営化から十年後の平成二十七年に有識者会議を設置し、高速道路機構と高速道路会社のそれまでの成果や課題などを取りまとめたところでございます。
次に、民営化の成果と課題についてお尋ねがありました。
先ほど申し上げた有識者会議の検証結果によれば、民営化の成果としては、有利子負債の着実な減少や休憩施設の売上増加などが挙げられます。一方、課題としては、高速道路機構と高速道路会社は、安全、安心など民営化時に明示されていない役割も含め、これまで以上に社会的役割を果たすことが必要との御意見を有識者からいただいているところでございます。
次に、償還主義と料金プール制についてお尋ねがありました。
道路は、国民共有の財産で、極めて公共性が高く、無料公開が原則であることを踏まえ、有料道路制度は、一定期間内の料金収入で建設に要した債務などを完済する償還主義を採用しています。また、全国路線網などにおいては、整備時期の違いなどにより路線ごとに料金差を生じさせないため、負担の公平性の観点からプール制を活用しています。
償還主義については、無料公開後の維持管理などのための財源確保が課題であると認識しています。プール制については、過去、不採算路線の建設につながるとの批判もあり、客観的な評価などにより必要性を確認しつつ、ネットワークの整備を進めていくこととしております。
次に、過去の料金徴収期間の延長についてお尋ねがありました。
全国路線網においては、昭和四十七年にプール制を導入した際の償還期間は三十年でした。その後、新規建設路線の増加などに伴い、償還期間を四十年、四十五年と延長し、民営化時には、債務の確実な返済や道路建設への歯止めの観点から、料金徴収期限を二〇五〇年と法定化しました。また、平成二十六年の法改正において、更新需要を賄うため、料金徴収期限を十五年延長しています。全国路線網を例として、このような償還期間の延長、料金徴収期限の法定化及び延長を数えますと、四回改定したことになります。
次に、永久有料化による料金引下げについてお尋ねがありました。
仮に永久有料化した場合は、今後の更新事業などの規模にもよりますが、高速道路会社が高速道路機構に支払う年間の貸付料を減額できる可能性があり、それに応じた料金引下げも考えられます。一方、料金引下げは、激しい渋滞の発生や他の交通機関への悪影響などのデメリットがあると考えています。また、料金を取り続けることについては賛否両面の意見があることから、引き続き検討が必要であると考えております。
次に、対距離制料金の課題についてお尋ねがありました。
対距離制の課題としては、定額制と比較して料金徴収事務の負担が増加することや、出口料金所の設置のため、道路の構造が大きくなることなどが挙げられます。
なお、有識者から、受益者負担や原因者負担の考えに立ち、公平性の観点から対距離制を基本とすべきとの御意見をいただいております。
次に、高速道路の分担率についてお尋ねがありました。
高速道路の分担率について、欧米の約三割に対し、日本は約二割と低い状況です。これは、ミッシングリンクが存在することや暫定二車線であること、地形的制約の中での建設コストに起因する高速道路料金などが原因であると考えております。これに対し、ミッシングリンクの解消、暫定二車線区間の四車線化、利用しやすい高速道路料金などの取組を進め、高速道路の利用促進を図ってまいりたいと思っております。
次に、高速道路の分担率の引上げ効果についてお尋ねがありました。
過去の試算によれば、高速道路の分担率を三割に引き上げた場合、死傷事故率の減少により、年間死者数は約一〇%、年間負傷者数は約二五%減少すると見込まれます。また、燃費の向上により、自動車の年間消費燃料は約五%減少し、一般道路の渋滞緩和により、年間の渋滞損失時間は約一〇%減少すると見込まれます。
次に、割引制度についてお尋ねがありました。
高速道路の料金については、観光振興や沿道環境の改善など、それぞれの政策課題の解決のため、きめ細やかな割引を導入しています。具体的には、休日割引や深夜割引などを導入しており、これらの割引の総額は、令和元年度において約九千億円となっています。
次に、割引に代えた料金全体の引下げについてお尋ねがありました。
仮に割引を廃止し一律に料金を引き下げた場合、政策課題が十分に解決されないことに加え、激しい渋滞の発生や他の交通機関への悪影響などのデメリットがあると考えています。
次に、過去に実施した試算についてお尋ねがありました。
議員御指摘の試算については、平成三十年度において、将来の調達金利が一・一六%で続くと仮定して実施したものであり、それ以降試算を行っておりません。
次に、将来の調達金利の引下げによる料金引下げについてお尋ねがありました。
将来の調達金利については、償還期間内の確実に債務を返済する必要があることから、将来の金利上昇にも備え、中長期的な観点から、現時点の水準から四%まで徐々に引き上げ、その後一定となるよう設定しており、この設定が妥当であると考えております。
次に、定額料金制の社会実験についてお尋ねがありました。
御提案の定額制料金の導入は、激しい渋滞の発生や他の交通機関への悪影響、安定的な債務返済が難しくなる可能性があるなどデメリットがあると考えています。このため、御提案の社会実験を直ちに実施することは困難であると認識しております。
次に、定額制料金の効果についてお尋ねがありました。
御提案の定額制料金を導入した場合、地域間交流を通じた地域経済の活性化などの効果が期待されると考えています。
なお、定額制料金については、先ほど申し上げたデメリットもあると考えております。
次に、高速道路における充電器などのインフラ整備計画についてお尋ねがありました。
充電器につきましては、NEXCOの休憩施設で現在五百十一口が整備されており、令和七年度までに約千百口まで拡充することとしています。また、水素ステーションについては、東名高速道路の足柄サービスエリアで、年内の開業を目指し、整備を進めております。
国土交通省としては、関係機関や高速道路会社などと連携し、技術の進展や社会的要請などを踏まえ、高速道路の機能を高めるためのインフラ整備を促進してまいります。
最後に、総合的な交通ネットワークの構築についてお尋ねがありました。
交通ネットワークは安全、安心で利便性の高い国民生活や社会経済の健全な発展を支える社会基盤であると考えており、高速交通ネットワークの整備や地域公共交通のリデザインなどの取組を進めているところです。
また、交通ネットワークがその機能を十分に発揮するためには、各交通モードがそれぞれの特性に応じて役割を分担した上で、有機的かつ効率的に連携することにより、シームレスな総合交通体系としていく必要があると考えております。こうした考え方を本年夏に策定予定の新たな国土形成計画に位置付けた上で、国として必要な取組をしっかりと進めてまいります。
以上です。(拍手)
〔国務大臣岡田直樹君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/12
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013・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) 浜口誠議員にお答えいたします。
高速道路の定額制料金の社会実験及び効果についてお尋ねがありました。
社会実験の実施を含め、高速道路の料金を五百円の定額制とすることの是非及び評価については、所管外であり答弁は差し控えたいと思いますが、その上で申し上げれば、移動コストが低減されれば、利用者の負担軽減によって人々の生活や物流、観光などを下支えし、人の流れの活発化や地域間交流等を通じて地域経済の活性化につながるものと考えております。
地方創生の観点からも、地域間交流等を活性化させるため、昨年十二月に策定したデジタル田園都市国家構想総合戦略において、人の流れをつくることなどを重要な柱と位置付け、関係人口の創出、拡大など様々な施策を展開することとしており、地方創生の実現に全力で努めてまいります。(拍手)
〔国務大臣浜田靖一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/13
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014・浜田靖一
○国務大臣(浜田靖一君) 浜口誠議員にお答えいたします。
初めに、自衛隊による高速道路の利用についてお尋ねがありました。
防衛省・自衛隊として高速道路を滑走路として使用することは想定しておりませんが、有事や災害対応時の部隊の展開に当たっては、高速道路も活用し、人員や物資の輸送を行うことになります。
最後に、自衛隊車両の高速無料化についてお尋ねがありました。
防衛省・自衛隊の車両は、緊急自動車のほか、防衛出動や災害派遣等で使用する場合は有料道路の通行料金は無料とされております。それ以外については関係法令に基づき有料道路の通行料金を徴収されますが、訓練時に有料道路を利用できないといった状況を解消するため、令和五年度予算では必要な予算を確保したところであります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/14
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015・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 田村智子君。
〔田村智子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/15
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016・田村智子
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、道路整備特別措置法等の一部改正案について、国土交通大臣に質問いたします。
まず冒頭、国交省OBによる民間企業役員人事介入問題についてたださなければなりません。空港施設株式会社は、四月二十八日、独立検証委員会による検証結果を公表しました。その中で、国交省大臣官房総務課及び航空局総務課が国交省の人事資料をOBにメールで提供していたことが示され、国交省も事実だと認めました。しかし、斉藤大臣は、就職あっせん目的ではないから国家公務員法違反ではないと強弁しています。
二〇一一年に発覚した国交省審議官による天下りあっせんも、当時の国交省は問題なしと断じ、後に再就職等監視委員会から違反と指摘されたことをお忘れでしょうか。OBへの人事資料の提供は、国家公務員法第百六条の二に違反する疑いが濃厚であり、国交省内の調査に任せるわけにはいきません。大臣、再就職等監視委員会による調査など、政府として徹底究明すべきではありませんか。答弁を求めます。
法案について質問いたします。
本法案は、高速道路の更新、進化事業を進めるためとして、料金徴収期間を最長二一一五年九月三十日まで延長するというものです。約百年先、日本の交通機関がどうなっているか、現在の高速道路が存在しているのか、大臣はどのように検討して本法案を提出されたのでしょうか。
法案提出に当たり高速道路会社が公表したのは、更新が必要となる事業規模が一・五兆円ということだけです。衆議院の審議では、これに加えて、更新が必要となる蓋然性が高い箇所の事業費が約六・八兆円と示されましたが、対象となる道路、更新計画の概要など何も示されていません。総額八・三兆円規模の更新事業について、まず政府として中長期計画を示すべきではありませんか。
国交省は、百年先を見越した長期的な更新計画の作成は困難だと答弁しています。ならば、百年先まで見越した法改正がなぜできるのでしょうか。また、今後の百年間に新設される道路も更新事業が必要であり、二一一五年までに料金徴収が終了するという根拠はどこにあるのでしょうか。取りあえず、ひ孫の代まで高速道路の財源確保だけ決めるというやり方は、余りにも無責任ではありませんか。大臣の答弁を求めます。
高速道路の更新事業の緊急性は、笹子トンネル事故によって示されました。この事故の検証は、法案審議の前提となります。
二〇一二年十二月二日、一枚一トン超のコンクリート板二百七十枚が落下し、九名の命を奪った大惨事から十年。昨年十二月二日の追悼式典で、ある御遺族は、娘や息子の命が奪われた原因を知りたいと国とNEXCO中日本に土下座をして情報の提供を求めました。
NEXCO中日本は、二〇〇九年度に行うはずだったコンクリート板撤去工事を中止していた、事故の三か月前に予定していたボルトの打音検査も取りやめていた、それがなぜ、誰の判断によるものなのか、国交省の調査・検討委員会の報告書でも解明されていません。御遺族は、どうして誰も良心と勇気を持って情報を提供していただけないのでしょうかと訴えています。
大臣、事故原因の究明を求める遺族の声に応えるべきではありませんか。なぜ二度にわたって計画が変更されたのか、NEXCO中日本に調査と説明をさせるとこの場で表明いただきたい。答弁を求めます。
国の道路行政も厳しい検証が必要です。高度成長期に建設されたトンネル、橋梁等の更新の必要性は、既に二〇〇〇年代初めに政府の様々な審議会で指摘されていました。しかし、同時期、小泉内閣の構造改革により、コスト削減を前提とした官から民の政策が進められ、二〇〇五年の道路公団民営化もこの流れの下で行われました。設立された日本高速道路保有・債務返済機構の二〇〇五年度計画には、高速道路の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理について、コスト縮減努力が図られるよう工夫するとし、道路会社のコスト削減に対する助成金制度までつくられました。
NEXCO中日本の二〇〇六年からの五か年計画は、民営化までに行った三割コスト削減水準を維持し更なる削減を目指すとし、二〇〇七年有価証券報告書には、コスト縮減を継続し、助成金の獲得を目指しますとの方針が示されています。
笹子トンネル事故の背景には、民営化政策に貫かれたコスト削減方針があったのではありませんか。また、老朽化対策の必要性が指摘されながら、事故が起きるまで、具体の調査も行わず、方針も示さず、道路会社任せにしていた政府の責任が問われるのではありませんか。大臣の認識を伺います。
笹子トンネル事故を受けて、政府は高速道路について緊急点検を行い、老朽化した道路の更新費用を確保するためとして、二〇一四年、料金徴収期限を十五年延長、二〇六五年までとする法改定を行いました。
ところが、国交省は、二〇一六年に、新規建設にも道路料金収入は使えるとの立場を取りました。衆議院での我が党議員の質問によって、大阪湾岸道路西進部、淀川左岸線延伸部の建設、総額四千百億円について、道路料金が財源に充てられたことが明らかとなりました。これは、二〇一四年法案審議の説明と矛盾するのではありませんか。本法案は道路の進化を掲げています。道路料金が新規建設の財源とされ、更新事業が先延ばしされないか、そうならない担保が法案のどこにあるのか、大臣の答弁を求めます。
政府も高速道路会社も、自動車道路の新規建設をひたすらに続けています。我が国の道路建設の青写真は、バブル経済真っただ中の一九八七年、四全総によって示されました。全体構想約一万四千キロに及ぶ高規格幹線道路構想は、昨年三月現在で千八百キロ近く残っていますが、これら全てを建設するのでしょうか。また、暫定二車線区間の残る一千四百キロを全て四車線化するのですか。これ以外にも地域高規格道路の建設は各地で進んでおり、下関北九州道路のように、一度凍結された計画が復活した事業もあります。これら個々の道路計画について、必要性の精査こそ求められているのではありませんか。
新設道路には、巨大な橋梁や大深度トンネルなど、建設にも更新にも巨額の費用を要するものが多数あります。東京外環道の事業費は二〇二〇年に当初見積りの約二倍となることが明らかとなり、調布市での大規模な陥没事故で更に事業費が膨れ上がることは必至です。予算、資材、作業に必要な人員は、新規建設と更新事業とで両立できるのでしょうか。今後の道路事業の全体像をどのように検証しているのか、お答えください。
更に検討すべきは、貨物などの鉄道輸送へのモーダルシフトです。大型トラック等の重量輸送は道路の劣化を早め、環境負荷も大きい、運転手不足も深刻です。ローカル鉄道も活用した新たな貨物路線のネットワーク構築こそ求められます。二〇三〇年までの野心的なCO2削減のため、トラックから鉄道輸送へ移行する具体の戦略を直ちに持つべきではありませんか。
新規建設を優先させる道路行政の行き詰まりはもはや明らかです。現在のスキームで料金徴収の延長を百年先までなどという政策は、この行き詰まりのごまかしにほかなりません。
改めて、笹子トンネル事故を痛切な教訓とし、老朽化道路の更新事業を最優先とする政策の具体化、五年ごとの法改定による国会での検証を行うべきです。また、新規建設の抑制など道路事業の総量規制、本格的なモーダルシフトへ鉄道政策と連関した道路政策への構造的かつ抜本的な転換を求め、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/16
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017・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 田村智子議員にお答えいたします。
まず、平成二十三年の再就職等規制違反に係る事案についてお尋ねがありました。
御指摘の事案は、平成二十三年二月から三月にかけてなされた当時の国土交通審議官による言動が国家公務員法で禁止された再就職のあっせんに該当するのではないかとの点について、当時、再就職等監視委員会が立ち上がっていなかったことを踏まえ、国土交通省において調査を実施いたしました。
その後、平成二十五年三月二十六日に、再就職等監視委員会より国家公務員法第百六条の二第一項の規定に違反する行為に該当すると認定を受けたものと承知しております。
次に、再就職等監視委員会の調査などについてお尋ねがありました。
四月二十八日に公表された報告書を踏まえ、国土交通省において事実関係の確認を行った結果、現役職員から山口氏に対し異動情報の送付があった事実が確認されました。このうち、いわゆる線引きには退職予定者を含む内示対象者の異動情報が記されておりましたが、これは、再就職をあっせんし得るような地位にない若手職員が、内示を受けた者から開示された情報を基に異動前後における業務の円滑化等を目的として作成したものであり、省内職員を中心に慣習的に広く共有されてきたものでありました。また、作成者は、あっせんを目的としたものではなく、上司から指示を受けたものでもないと明言しております。
以上のことから、今回の異動情報の送付は、あっせん規制違反の要件である営利企業等の地位に就かせることを目的とした情報提供ではないため、再就職等規制違反には当たらないと認識しております。なお、この点については弁護士等にも速やかに確認することとしております。
国家公務員法において、任命権者は、現役職員や職員OBに再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料するときは、その旨を再就職等監視委員会に報告するものとされています。山口氏への異動情報の送付は、疑いがあると思料するときには当たらないことから、同委員会に報告すべき状況にはないと考えております。
今後、再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料するべき事実が明らかになった場合には、適切に対処してまいります。
次に、今般の改正法案に関する検討の経緯についてお尋ねがありました。
社会経済情勢などについては、約百年にわたる長期的な見通しを正確に予想することは困難です。このため、今般の改正法案については、現行の交通機関が続くことを前提に、人口減少などに伴う交通量減少など、現時点における見通しを踏まえた制度としたところでございます。
次に、更新事業の中長期計画についてお尋ねがありました。
有料道路制度においては、高速道路会社が更新などの計画を策定し、これを国土交通大臣が事業許可する仕組みとなっています。今般の改正法案は、明らかとなった更新需要に応じ、逐次、料金徴収期間を延長する制度としており、高速道路会社が具体の計画を策定するため、政府として、現時点で中長期的な計画を策定する予定はありません。
次に、百年先まで見越した法改正ができる理由についてお尋ねがありました。
今般の改正法案では、今後更新が必要となる蓋然性が高い箇所も含めた更新需要を賄うため、料金徴収を二一一五年まで継続する必要があるとの試算結果などを踏まえ、料金徴収期限を設定しております。
次に、二一一五年の料金徴収が終了する根拠についてお尋ねがありました。
今般の改正法案では、今後更新が必要となる蓋然性の高い箇所を含めた更新需要を賄うことができるよう、料金徴収期限を二一一五年としています。なお、例えば、現在の橋梁設計基準では性能発揮を期待する期間を百年としているなど、今後新設される道路は長期の健全性が確保されます。
次に、今般の改正法案の妥当性についてお尋ねがありました。
今般の改正法案では、今後更新が必要となる蓋然性の高い箇所も含めた更新需要を賄うため、料金徴収期限を二一一五年としました。また、例えば、橋梁を現在の基準で取り替える方法により更新した場合、先ほど申し上げたとおり、長期の健全性が確保されます。更新により将来世代も受益することや、構造物の健全性が確保される期間と料金徴収期間とのバランスを踏まえ、今般の改正法案は妥当と認識しております。
次に、笹子トンネル天井板崩落事故の原因究明に対するNEXCO中日本への働きかけについてお尋ねがありました。
事故後、国土交通省に設置した有識者による調査・検討委員会において、天井板の落下原因とともに計画変更の理由なども報告がなされております。NEXCO中日本では、この報告書などを踏まえ、再発防止の徹底や安全、安心に向けた取組を進めるとともに、御遺族に対して計画変更の経緯を含めて事故の原因を説明するなど、真摯に対応してきたと承知しております。
国土交通省としましては、引き続き、御遺族や被害に遭われた方々に対し真摯に対応するようNEXCO中日本を指導してまいります。
次に、笹子トンネル天井板崩落事故の背景についてお尋ねがありました。
御指摘の民営化に伴うコスト縮減については、安全性を確保する前提の下で単価や組織などについて見直したものです。したがって、コスト縮減の方針がこの事故の原因であるとは認識していません。
次に、笹子トンネル天井板崩落事故に対する政府の責任についてお尋ねがありました。
この事故の発生前から高度成長期に整備された道路構造物の老朽化が今後集中的に進むと指摘されており、各道路管理者で必要な維持管理や修繕を進めてきました。この事故については、天井板をつり下げる部材の施工、経年劣化、点検体制の不十分さが原因とされており、高速道路会社の責任により適切な頻度での点検の実施など、再発防止に取り組んできたところです。
国土交通省としましては、引き続き、安全、安心な社会の構築に向けて、高速道路会社と連携して取り組んでまいります。
次に、新規建設への料金の充当と過去の説明との整合性についてお尋ねがありました。
平成二十六年の法改正時には、その時点の償還計画に含まれる新設、改築に係る債務は二〇五〇年までに返済するという民営化の方針を堅持することとしました。その後、地方自治体の提案を踏まえ、有識者委員会で御議論いただきつつ、料金徴収期限までの追加的な料金収入などを活用して、ネットワーク強化などの事業を追加しています。
次に、更新事業の法律上の担保についてお尋ねがありました。
更新事業は、適切に実施されなければ高速道路の安全が確保されません。このため、業務実施計画の認可の要件として、更新事業により貸付期間の満了の日においても道路構造が通常有すべき安全性を有すると見込まれることを法律に規定しています。これにより、法令上、必要な更新事業が優先して実施されることが担保されています。
次に、高規格幹線道路の建設についてお尋ねがありました。
高規格幹線道路網は、昭和六十二年の第四次全国総合開発計画において、長期的に約一万四千キロメートルのネットワークを形成することが構想されたものです。この計画をもってその全ての整備を決定するものではなく、個々の事業は、地域のニーズや交通課題などを踏まえ、客観的な事業評価を行った上で実施しています。
国土交通省として、経済社会情勢の変化や国民のニーズの変化などに対応できるよう、必要な道路整備を推進してまいります。
次に、暫定二車線区間の四車線化の事業化についてお尋ねがありました。
災害に強い道路ネットワークの構築に向けた暫定二車線区間の四車線化により、速達性や定時性、安全性などの機能を確保することは重要であると考えています。個別の区間の事業化については、財源の確保状況や箇所ごとの緊急性も踏まえ、有識者の御意見を伺った上で、高速道路会社と連携して適切に判断を行っていくものと考えています。
次に、個々の道路計画の必要性の精査についてお尋ねがありました。
各地域の個々の道路計画については、現状の交通課題や地域の将来ビジョンを踏まえた広域道路ネットワーク計画に基づき進めています。個々の事業実施に当たっては、地域のニーズや交通課題などを踏まえ、客観的な事業評価を行った上で実施してまいります。
次に、新規事業と更新事業の両立についてお尋ねがありました。
高速道路会社においては、現在、新規事業や更新事業に取り組んでおり、事業の展開に応じ、必要な資金、資材などを確保することにより事業を進めているところです。
また、今後の事業の全体像のうち着手済みの事業については、高速道路会社が事業の計画を反映した収支予算の明細を含んだ事業許可を申請し、国土交通大臣が協定との適合性などを確認した上で許可をしております。今後、新たに着手する事業についても、これらと同様の流れになります。
最後に、トラックから貨物鉄道輸送へのモーダルシフトについてお尋ねがありました。
貨物輸送については、自動車、船舶、鉄道、航空など、それぞれのモードのインフラや特性を生かした適切な役割分担の下で安定的な輸送が確保されることが重要と考えております。
その中で、貨物鉄道は、環境に優しく、効率的な大量輸送機関としてますます大きな役割を担っていくことが期待されます。こうした問題意識に立って、昨年、国土交通省に設置した有識者会議において、貨物鉄道輸送の拡大に向けて、十四の課題とその解決方策を提言いただいたところです。
国土交通省としては、基幹的な鉄道ネットワークを適切に維持しつつ、この提言に基づき、関係省庁やJR貨物等の関係者と連携して必要な取組を着実に進めてまいります。
以上です。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/17
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018・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02220230515/18
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