1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年五月十七日(水曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十三号
令和五年五月十七日
午前十時開議
第一 医療分野の研究開発に資するための匿名
加工医療情報に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
第二 著作権法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、元議員溝手顕正君逝去につき哀悼の件
一、日本語教育の適正かつ確実な実施を図るた
めの日本語教育機関の認定等に関する法律案
(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/0
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001・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
さきに院議をもって永年在職議員として表彰されました元議員溝手顕正君は、去る四月十五日逝去されました。誠に痛惜の極みであり、哀悼の念に堪えません。
つきましては、この際、院議をもって同君に対し弔詞をささげることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/1
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002・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。
弔詞を朗読いたします。
〔総員起立〕
参議院は わが国 民主政治発展のため力を尽くされ 特に院議をもって永年の功労を表彰せられ さきに予算委員長 議院運営委員長等の要職に就かれ また国務大臣としての重任にあたられました 元議員従三位旭日大綬章溝手顕正君の長逝に対し つつしんで哀悼の意を表し うやうやしく弔詞をささげます
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/2
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003・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) この際、日程に追加して、
日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/3
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004・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。永岡桂子文部科学大臣。
〔国務大臣永岡桂子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/4
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005・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) この度、政府から提出いたしました日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
近年、我が国に居住する外国人は増加傾向にあり、日本語教育を受けることを希望する外国人に対し、その希望や能力等に応じた日本語教育を受ける機会が最大限に確保されるよう、関係省庁の関連施策との有機的な連携を図りつつ、日本語教育の水準の維持向上を図ることが重要です。一方、現在、日本語教育機関における日本語教育の質を示す共通の指標が存在せず、日本語教育を受けることを希望する外国人が必要かつ正確な情報を十分に得られていない状況にあります。また、我が国において日本語教育に関する専門的な知識及び技能を必要とする業務に従事する者の質的かつ量的確保が十分でない状況です。
この法律案は、このような観点から、日本語教育の適正かつ確実な実施を図り、我が国に居住する外国人が日常生活及び社会生活を国民とともに円滑に営むことができる環境の整備に寄与するため、日本語教育機関のうち一定の要件を満たすものを認定する制度を創設するとともに、認定日本語教育機関において日本語教育を行う者の資格について定めるものであります。
次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一に、日本語教育機関の設置者は、日本語教育課程を適正かつ確実に実施することができる日本語教育機関である旨の文部科学大臣の認定を受けることができることとし、文部科学大臣が、認定を受けた日本語教育機関の情報を多言語で公表することとしております。また、認定日本語教育機関における教育の質を担保するため、文部科学大臣は、必要な場合に報告徴収、勧告等を行うことができることとしております。さらに、認定基準を定めるに当たり、文部科学大臣は、審議会等の意見を聞くとともに、法務大臣に協議することとしております。また、文部科学大臣及び法務大臣その他の関係行政機関の長による協力についても規定しております。
第二に、日本語教員試験に合格し、かつ、実践研修を修了した者は、文部科学大臣の登録を受けることができることとし、認定日本語教育機関において日本語教育課程を担当する者は、当該登録を受けた者でなければならないこととしております。
第三に、文部科学大臣は、日本語教員試験の実施に関する事務を指定試験機関に、実践研修の実施に関する事務を登録実践研修機関にそれぞれ行わせることができることとするとともに、登録日本語教員養成機関が行う養成課程を修了した者に対しては、日本語教員試験の一部を免除することとし、これらの機関の指定、登録、監督等について所要の規定の整備を行うこととしております。
このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/5
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006・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。古賀千景君。
〔古賀千景君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/6
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007・古賀千景
○古賀千景君 立憲民主・社民の古賀千景です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました法律案について質問いたします。
本法律案は、超党派による議員立法である日本語教育推進法を受けて検討が進められてきたものであり、これまで法務省の告示基準による審査を受けるにとどまっていた日本語教育機関は、本法律案により、我が国において教育をつかさどる文部科学省が法的な根拠をもって審査し、認定できるようになります。
日本語教育機関の審査制度を振り返りますと、昭和六十三年に、当時の文部省の有識者会議によって日本語教育施設の運営に関する基準が策定されたことから、国の関与が本格化しました。しかし、この基準はガイドラインという位置付けにとどまり、日本語教育機関の審査は民間団体に委ねられ、審査に関わる費用や不透明な会計などが問題となりました。こうした状況を受け、平成二十二年の民主党政権下の事業仕分により、日本語教育機関の審査は、法的な位置付けが曖昧な民間団体ではなく国が行うことが適切とされ、現在の法務省を主体とする審査体制に移行することとなりましたが、以降も多くの課題が指摘されてきたことは御承知のとおりです。
今日までの我が国における日本語教育機関の審査制度の歩みを振り返り、どういったところに問題があったと認識し、また、本法律案にはどのような意義があると考えているか、文部科学大臣の見解を伺います。
これまで、日本語教育機関をめぐる多くの不祥事がありました。制限を超えて不法に留学生を就労させている日本語教育機関があることは、文部科学大臣も衆議院の審議で答弁されているところですが、最近では、福岡市の日本語学校において、転校をめぐるトラブルにより、外国人留学生が金属製の鎖と南京錠で数時間にわたって拘束される事例が報じられました。このような人権を踏みにじる行為は断じて容認することはできません。
このような事案がなぜ発生したのか、その根本原因を分析し、新たな日本語教育機関の認定制度においては、このような事案を二度と起こさぬよう、未然に防ぐ手だてを整えなければなりません。
衆議院の審議において、文部科学大臣は、日本語教育機関において留学生に対する人権侵害行為は決してあってはならない、問題のある機関には法務省とも緊密に連携して厳正に対処すると答弁されました。また、法務大臣は、実地調査などを通じ、人権侵害行為など告示基準に違反する行為が行われていないかなどを随時確認するとともに、留学生からの協力を得て実態の把握に努めると答弁されました。
いずれも事案が発生した後の対応に関して述べられております。日本語が不自由で、また、在留資格を維持する上で日本語教育機関に対し物申せぬ弱い立場にある外国人留学生を守っていくためには、そもそもこのような事案が起こらぬような仕組みを構築することが重要です。
未然防止に向けた取組について、文部科学大臣及び法務大臣の考えを伺います。
もちろん、事案の発生後の早期把握や対処も重要です。本法律案は、日本語教育機関に対し、自己点検や文部科学大臣に対する定期報告を義務付けており、これらを端緒として、必要に応じて報告徴収や立入検査を行うことができることも規定しています。
衆議院の審査において、制度開始当初は現行の法務省告示校約八百三十機関、大学の別科約六十機関などが認定を受けると想定されていることが明らかとなっていますが、全国各地に所在するこれだけの数の日本語教育機関から定期的に送られてくる報告や公表される自己点検などを精査し、問題のある日本語学校を把握して対応するためには、相当な人員体制が必要です。
本法施行後にこれらの事務を行う文部科学省には、地方の出先機関はありません。どのような体制で認定後の監督に当たっていくおつもりなのか、文部科学大臣のお考えを伺いますとともに、これに対してどのように協力していくつもりなのか、法務大臣の考えも併せて伺います。
外国留学生を守る観点から、日本語教育機関の審査を厳格に行う必要があることは言うまでもありませんが、日本語教育機関で行われる教育そのものの質の向上を考えた場合、様々な進路を目指す多様な外国人留学生のニーズに合わせ、各日本語教育機関や日本語教師の創意工夫による多様な日本語教育が引き続き実施されるようにしていくことも、同時に留意する必要があります。
本法律案において、日本語教育機関のどういった事項をどの程度規制するかを決める認定基準は、文部科学省令によって定められることとされています。その策定や改廃時には、文部科学大臣は法務大臣と協議するとともに、審議会等の意見を聞くこととされていますが、外国人留学生を守り、適正な日本語教育が実施されるよう厳しく見ていかなければならない事項と、日本語教育機関における多様な日本語教育を保障していくために柔軟でなければならない事項をどのように両立させていくおつもりか、文部科学大臣のお考えを伺います。
日本語教育機関の審査を行う体制がクリーンであることも大切です。
本法律案では、認定を行うに際して、文部科学大臣は審議会等の意見を聞くこととされています。多種多様な日本語教育機関を十分かつ公平に審査できるよう、審査に関わる有識者には、深い学識と専門的知見に加え、審査対象との利害関係がないことなどが求められます。また、審査過程の透明性の確保も必要であると考えますが、文部科学大臣のお考えを伺います。
次に、本法案の施行に向けた今後の見通しについて質問します。
日本語教師の資格の創設と日本語教育機関の認定制度を求める日本語教育推進法が成立してから四年が経過し、ようやく本法律案が提出されることとなりました。これまで、令和二年、令和三年に文化庁の有識者会議から報告書が提出され、その都度日本語教師の国家資格化が報じられましたが、詳細は語られず、多くの現職の日本語教師や日本語教師を志す方々や、そして、日本語教育機関や日本語教師養成機関の関係者はやきもきしながら結論を待ち続けたことと思います。
検討段階では資格の性質が変わることもありました。コロナ禍における外国人留学生の減少とともに、先行きの見通しが立たず、関係者の方々は大きな不安を感じてこられたことと思います。
本法律案は、提出に至ったものの、政省令に委任されている項目が多く、認定日本語教育機関の認定基準や登録日本語教員の試験、実践研修の内容など、肝腎な部分に不明確なところが多々あります。
関係者の不安を解消し、見通しを持って日本語教育に当たることができるよう、本法施行までにどのようなスケジュールで制度の詳細を決めていくのかを明確に示すことが求められると思いますが、文部科学大臣の考えを伺います。
大きな制度変更を前にして、関係者の最大の関心事項は、いかなる経過措置が用意されるかにあると思います。経過措置には、現職の日本語教師に関するものと日本語教育機関に関するものがそれぞれ想定されます。
現職の日本語教師への経過措置については、本法律案には明確な規定がなく、全て文部科学省令に委ねられることとなります。
令和五年一月の文化庁の有識者会議の報告では、一定の質が担保された日本語教育機関に一定期間以上勤務している者や、民間試験を合格した者、大学の養成課程を経た者などについて、試験等を免除することが提言されていますが、詳細は今後の検討とされています。
試験が免除される一方、講習の受講が義務付けられ、講習修了認定試験を受けるパターンなども示されており、提言の内容は複雑です。日本語教育機関に一定期間以上勤務している者という要件も、具体的な期間は示されていません。コロナ禍における日本語学習者の減少により勤務できなかった方もいらっしゃるでしょうし、育児、介護、病気などの理由、現職教師として働けなかった時期がある方もいらっしゃると思います。自分は新たな制度の下でもそのまま働けるのか、試験を受けなければならないのか、大きな不安があられると思います。
本法律案の審査に当たり、多くの現職日本語教師の方々の不安を少しでも解消していく必要があると思います。現時点での経過措置の検討状況や今後の検討スケジュールに関して、文部科学大臣の見解を伺います。
本法律、済みません、本法律案が施行された場合、留学生を受け入れることができる日本語教育機関は、認定日本語教育機関であることを要件とする方針が示されています。
認定日本語教育機関において日本語教育課程を担当するには、制度開始から五年間は、登録日本語教員でなくても、文部科学省令で定める資格又は実務経験を有する者が担うことが許容される旨の規定があります。この文部科学省令で定める資格又は実務経験について、有識者会議の報告書では、現行の法務省告示校における教員要件を満たす者などが検討すべき対象とされましたが、具体的な要件はこれからです。
また、本法施行は来年四月一日とされていますが、法務省告示校などこれまでの留学生を受け入れてきた日本語教育機関がいつまで現行制度に基づいて留学生を受け入れ続けることができるのかについては明らかになっていません。
本法律案の認定制度は、これまで法務省告示校のような審査を経ずに外国人留学生の受入れを行うことができた大学の留学生別科も対象とすることが衆議院の審議などにおいて示されましたが、こちらへの影響も甚大です。日本語教育機関の関係者のみならず、外国人留学生にとっても、入学しても本当に在留資格を得られるのか、また、在学中にも在留資格を失わないかが見通せず、大きな不安要素となります。
日本語教育機関の関係者の不安を解消するよう、また、コロナ禍を経て、現在回復の兆しが見え始めている外国人留学生の来日を妨げぬよう、日本語教育機関に関する経過措置を明らかにしていく必要があると思いますが、現時点での検討状況や今後の検討スケジュールに関して、法務大臣の見解を伺います。
最後に、日本語教師の処遇改善について質問します。
本法律案により、日本語教師を対象とした国家資格が創設されることとなります。日本語教育推進法において、日本語教師の資格整備の目的は、その能力及び資質の向上だけではなく、処遇の改善が図られることが挙げられています。この点、衆議院の審議において、文部科学大臣は、国家資格化により専門性と社会的認知度が高まり、処遇改善につながるとの説明をなされていますが、果たしてそれだけで十分に機能するのでしょうか。
教育の質を左右するのは、これを担う教員です。政府は外国人留学生の数を令和十五年までに四十万人にまで増やすことを目標としていますが、その達成には、日本語教師が適切な処遇の下、外国人留学生の指導に当たれる環境を国が支えていくことが不可欠です。
文化庁の調査によれば、法務省告示校で働く常勤の日本語教師の約七割が年収四百万円以下です。告示校では、六割以上の日本語教師が非常勤であり、その方々の多くは更に低い収入となっています。
国家資格となることで、日本語教師がその資質を証明できるようになり、また、社会的にも日本語教師の職業が認知されるきっかけにはなると思いますが、それだけで処遇の改善につながるのか。待遇を改善していくには、日本語教師の収入を外国人留学生の学費のみに頼る現在の仕組みを抜本的に変えていく必要があるのではないでしょうか。
日本語教師の処遇、待遇をどのように改善されていくおつもりなのか、具体的に、文部科学大臣、お示しください。
本法律案により、認定日本語教育機関は厳しく審査され、そこでの教育を担う登録日本語教員についても国が定める資格が必須となります。厳しい条件に見合った処遇を国として後押しする財政支援が必要であり、そのための具体的な検討を始める材料は整っているのではないかと思います。
登録日本語教員の処遇改善に向けた認定日本語教育機関に対する財政支援の必要性について、文部科学大臣の考えを伺いまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣永岡桂子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/7
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008・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 古賀議員にお答えいたします。
まず、これまでの日本語教育機関の審査制度の問題点及び本法律案の意義についてお尋ねがありました。
現行制度では、留学生受入れ機関を法務省が審査する法務省告示制度が運用されてきましたが、そうした中、受入れを予定している留学生の日本語レベルに教育課程内容が適合していない、教員の数や必要な経験が不足しているなど、教育上不適切な事例が見られました。
このため、本法案では、日本語教育の推進に関する法律で示された検討事項を踏まえ、質の担保された日本語教育機関を認定する制度、認定機関で日本語を指導することのできる登録日本語教員の資格制度を実現することとしています。これにより、日本語教育の質の維持向上が推進されるとともに、日本語教師の社会的認知を高め、処遇改善などが図られていくものと考えています。
次に、日本語教育機関における不祥事に対する未然防止策についてお尋ねがありました。
本法案にかかわらず、日本語教育機関における留学生に対する人権侵害行為は、決してあってはなりません。
このため、適切な在留管理、研修、関係者への周知などを通じて人権侵害行為の未然防止を図るとともに、認定後の毎年の定期報告において不適切な事案を把握した場合、指導改善を求めてまいります。また、在留管理等を所掌する法務省など関係省庁と連携しながら、厳正に対処してまいります。
次に、認定日本語教育機関の監督に当たっての文部科学省の体制についてお尋ねがありました。
本法律案では、日本語教育に関する事務を文化庁から文部科学省本省に移管し、体制強化を行うとともに、在留管理等の観点を含めた認定機関の監督等に対し、失礼しました、監督等に当たり、法務省など関係省庁と緊密に連携し、適切な指導監督を行ってまいります。
次に、認定日本語教育機関の認定基準の在り方についてお尋ねがありました。
この認定基準については、一定の質が担保されるよう適切な教育内容を求めるとともに、外国人留学生や関係機関等の多様な教育ニーズを踏まえたものとすることが重要と考えております。これらを踏まえ、今後、審議会等において有識者により検討する予定です。また、認定基準の策定に当たっては、在留管理等の観点で法務大臣へ協議し、適切に対応してまいります。
次に、日本語教育機関の認定に当たっての透明性確保についてお尋ねがありました。
認定の透明性の確保を図るため、認定基準は文部科学省令で定め、公表することとしております。
また、日本語教育機関の認定に当たっては審議会等の意見を聞くこととしており、留学生、生活者、就労者などの対象に応じて教育課程が適切なものとなっているか、設置者が必要な経済的基礎を有しているかどうかなどを御審議いただき、適切な審査がなされるよう努めてまいります。
次に、本法律案の施行に向けた認定基準等の制定に向けたスケジュールについてお尋ねがありました。
日本語教育機関の認定基準や試験及び実践研修等の詳細については、省令等で規定することとしております。これらについては、令和四年度の文化庁有識者会議の報告内容も踏まえ、法案成立後、審議会等での検討やパブリックコメント等を経て制定することとしております。円滑な制度の導入に向けて、こうした検討を速やかに進めてまいります。
次に、現職日本語教師に対する経過措置についてお尋ねがありました。
本法案では、新制度への円滑な移行を図る観点から五年の経過措置を設けており、現職教員のうち一定の要件を満たす者は円滑に登録日本語教員へ移行できるようにしています。
また、文化庁の有識者会議報告書では、コロナ禍による離職や、介護や育児などの理由により一定期間活動していない方への配慮について指摘されています。こうした御意見等も踏まえつつ、経過措置の具体的な内容について、法案成立後、速やかに審議会等で検討する予定です。
次に、日本語教員の処遇改善等、財政支援の必要性と具体策についてお尋ねがありました。
今後、入国される外国人の増加が見込まれる中、日本語教師の処遇改善のためにも、その必要性や専門性の社会的認知が求められていることから、本法案により登録日本語教員の新たな国家資格を設けることとしております。
また、国のサイトにおける研修履歴の蓄積、掲載など、キャリア証明に資する仕組みを検討するほか、登録日本語教員を対象とした留学、就労、生活などの研修等を充実させ、その専門性向上を支援する予定です。
こうした取組や新制度の活用により、登録日本語教員の処遇改善につなげてまいります。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/8
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009・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 古賀千景議員にお答え申し上げます。
まず、留学生に対する人権侵害行為等の未然防止に向けた取組についてお尋ねがありました。
入管庁では、実地調査などを通じ、適切な在籍管理が行われているか、また、人権侵害行為が行われていないかなどを確認するとともに、留学生から任意の協力を得ながら、留学生に対する違法、不当行為の有無等、日本語教育機関の実態の把握を行っています。
これらの調査により、留学生の受入れを行わせることが適当ではない日本語教育機関に対してはこれを認めないなどの厳正な対応を取っているところであり、今後とも、関係省庁とも連携しながら、留学生の立場に十分に配慮した適正な対応に努めてまいります。
次に、認定後の監督体制についてお尋ねがありました。
入管庁は、現行制度において、留学の在留資格を有する外国人を受け入れることのできる日本語教育機関を法務省の告示で定め、その適正な運営を期するための指導監督を行っています。
本法案成立後は、留学生の在留管理の観点から、日本語教育機関の認定基準に関する文部科学省との協議を行うとともに、入管庁において、留学生を受け入れる認定日本語教育機関への実地調査等を引き続き行うなどし、文部科学省と相互に連携協力しながら、認定日本語教育機関における日本語教育の適正かつ確実な実施に努めてまいります。
最後に、日本語教育機関に対する経過措置についてお尋ねがありました。
本法案の施行後は、文部科学大臣から認定を受けた日本語教育機関であることを留学の在留資格を付与するための要件とすることを検討しています。
そのため、現行制度上の日本語教育機関が引き続き留学生の受入れを行うためには、本法案による認定日本語教育機関としての認定を受ける必要があることから、文部科学省での施行準備と歩調を合わせながら、一定の期間を定め、所要の経過措置を設けることとしています。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/9
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010・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 中条きよし君。
〔中条きよし君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/10
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011・中条きよし
○中条きよし君 日本維新の会の中条きよしでございます。
私は、会派を代表して、内閣提出の日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案について御質問をさせていただきます。
本法案は、外国人等に対する日本語教育について、その教育機関を国として認定する制度を創設し、併せてこの認定を受けた教育機関で教える日本語教員の国家資格を定めるものです。
文部科学大臣にお聞きをいたします。
外国人との共生を進める上で日本語が重要であることは言うまでもありません。ただし、日本語教育とは、単に文字や文法、発音を教えるだけにはとどまらないはずです。日本語を生み出した日本人に共通する、言わば心といったものを伝えることも重要だと考えます。
日本語教育の目的の一つには我が国に対する諸外国の理解と関心を深めることにもあり、日本の歴史、文化、風土を踏まえた教育プログラムでなければ十分な日本語教育にはならないのではないでしょうか。
外国人に対する日本語教育において、日本人の心を培った日本の歴史、文化、風土、それを伝える重要性をどのように認識されていますか。答弁を求めます。
これまで我が国では、日本語教育の質の担保、日本語教員の養成や資格の付与は全て民間機関の努力によって行われてきました。今回の法案は、初めて国による認定機関や国家資格を設けるものですが、これによって、かえって外国人にとって必要な日本語教育機関の数や個々の状況に応じた柔軟なカリキュラム編成などが規制を受けるのではないかという懸念もあります。
文科大臣は、国家資格化によって、これまで日本語教育を担ってきた民間団体にどのような影響が生じると認識されていますか。また、現在活躍している日本語教員が国家資格がないことを理由に不利益を被ることがないようにする配慮が必要だと思いますが、いかがですか。
現在、民間の資格で働いている日本語教員が国家資格の取得がハードルとなって結果的に退職することになれば、ただでさえ足りていない教員が更に減ってしまうことが懸念されています。民間資格から国家資格への移行をどのように進めるつもりなのか、具体的にお示しをください。併せて答弁を求めます。
特に、全国各地で、少人数のボランティアグループが地域に住む外国人に自主的に日本語を教える取組が行われております。
私は、言わば寺子屋のような日本の学習サークルで日本語を教えている方からお話を聞きました。その方は、同じようなサークルの多くが無償あるいは低廉な費用で日本語を教えておる、教える人もほとんど無報酬です、それでもやりがいのある仕事だし、何より一つ一つの言葉を話せたときのうれしそうな笑顔が励みになりますと話してくれました。
法人格もない小さなグループでも、その地域にとって、日本語学習を通じて日本人と外国人の交流の懸け橋となっており、人間的な触れ合いの中でごみ出しなどの生活ルールなども学べることから、地域トラブルが少なくなるなど大きな成果を上げています。
こうしたボランティアによる小規模な日本語学習活動が全国にどれくらい存在しているのか、どんな役割を果たしているのかについて、文部科学省はどのように把握をされていますか。文科大臣の認識をお聞きします。
ボランティアの多くが活動を継続していく上で資金上の困難を抱えており、支援を求めています。テキスト代、プリント代に会場費など、たくさんのお金が掛かりますが、授業料を取るようなことになれば、活動そのものが成り立ちません。
日本語教育の質を担保する観点とボランティアが果たしている役割の大きさから見て、無償あるいは安価な日本語テキストを、希望するボランティアに配布することを考えてみてはいかがかと思いますが、文科大臣の答弁を求めます。
さて、本法案の主な対象となるような一定の規模がある法人が運営する日本語学校においては、一部であるとはいえ、看過できない不適切な事案も生じています。例えば、二〇一九年三月に東京池袋のある私立大学において、日本語研究生として受け入れていた留学生約七百人が所在不明となっている事態が発覚し、不法残留問題として入管庁が調査に乗り出すということがありました。これは、日本語習得を口実にしながら、その実態は不法入国、不法就労だったのではないでしょうか。
法務大臣にお聞きをいたします。
この池袋の大学の事案では、どのような再発防止策が取られていますか。反省点も含めてお聞かせをください。また、同様の事案はほかにもあるのではありませんか。日本語学習を名目にして入国し、その後、不法残留、不法就労する者の実態について見解をお示しください。
本法案では、日本語教育機関からの定期報告に基づいて、不適切な状況が発見された場合には勧告や是正命令を行い、従わなければ良質な教育機関としての国の認定が取り消されることになります。こうした段階的な是正措置によって不適切な機関が淘汰されていくことが期待されますが、これまでの事案の悪質さから見れば、まだ手ぬるさも感じます。国による認定制度は、真面目に日本語を学ぼうとする人にとっては有益ですが、日本語学習を入国や就労の手段にしか考えていない者にとっては関心が薄いのではないでしょうか。
悪質な事案の場合は、認定取消しだけでなく、より積極的な排除規定があってもいいのではありませんか。文科大臣の答弁を求めます。
今回の法案では、海外に所在する日本語学校については対象にされておりません。しかし、法務省も日本への渡航前に初歩的な日本語の習得を推奨しています。海外の学校についても日本語教育の質の確保に関する対策が必要だと思いますが、文科大臣の所見をお答えください。
最後に、関連して、法務大臣に外国人技能実習制度について伺います。
技能実習は、当初の目的を離れ、外国人実習生を実際には労働力として扱うことが横行し、労働力の需給調整手段として使われてきてしまった状況は多方面から指摘を受けてきたところです。今般、制度の廃止を含めた抜本的見直しが進められていると聞いていますが、外国人の共生社会の創出と文化や技術を通じた日本の国際貢献に資する制度にしなければなりません。
具体的にどのように改善するのか、法務大臣の見解をお示しください。
我が党は、党のマニフェストである維新八策の中で外国籍住民との共生を掲げている党として、今後も共生社会の実現のためには力を尽くしていくことを表明して、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣永岡桂子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/11
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012・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 中条議員にお答えいたします。
まず、日本の歴史や文化などの教育についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、日本語教育を実施するに当たっては、日本の文化や風土なども含めた社会的に対処するための教育とともに、生活上の指導面でも支援が必要です。この点について文化審議会国語分科会でも御指摘されていることから、こうした観点を踏まえた日本語教育が実施されるよう、支援に努めてまいります。
次に、国家資格化による民間団体への影響についてお尋ねがありました。
日本語教育機関が適正かつ確実な教育実施機関として国内外に情報発信されることにより、外国人の安心した学びが期待されます。また、登録日本語教員の資格を設けることにより、その必要性や専門性の社会的認知が高まるとともに、処遇の改善にも資するものと考えています。
なお、本法案では、法施行後の五年間の経過措置により、現職教員の勤務環境や既存機関の円滑な新制度への移行について配慮がなされています。
また、認定の要件とは合わない日本語教室なども想定されますが、これらは地域の日本語教育を支えるために重要であり、認定日本語教育機関や登録日本語教員との連携により、社会全体の日本語教育の質、量の向上が期待されます。
次に、国家資格への移行についてお尋ねがありました。
現在活躍している日本語教員が円滑に新制度に移行できるよう、法務省告示校などの一定の質が担保された機関において一定の実務経験を有する者は、法施行後五年間は引き続き認定日本語教育機関で勤務することとしております。
また、登録日本語教員となるための経過措置についても省令等で設ける予定です。具体的な経過措置については、今後、審議会等の意見を聞いて省令等で決定することとしております。
次に、ボランティアの果たす役割や支援についてお尋ねがありました。
現在、生活者向けの日本語教育を主に担っているのは地域の日本語教室などであり、多くのボランティアの方々に活躍いただいています。令和三年の調査によると、日本語教育機関約二千五百四十機関のうち、大学等や法務省告示機関を除いた数が約千三百五十機関であり、これらの多くが地方公共団体や任意団体等に設置されたボランティアが活躍する日本語教室などと思われます。
このため、日本語教育の質の向上のため、地域日本語教育の総合的な体制づくりとして、教材作成や研修を実施する地方公共団体を支援することや、オンラインで日本語を学ぶための教材を公開することなどを行っています。こうした取組により、引き続き、ボランティアで活躍される人、方々への支援に努めてまいります。
次に、課題のある機関への対応についてお尋ねがありました。
本法案では、教育の質を確保するため、一定の要件を満たす場合のみ日本語教育機関を認定することとしています。その上で、認定された機関で不適切な事案があった場合、事実関係を確認した上で、勧告、命令、認定取消しの段階的是正措置により厳正に対処することとしています。
また、単に認定が取り消されるのみでなく、偽りその他不正の手段により認定を受けた場合など、本法案の趣旨を著しく損なう場合には、違反した設置者の代表者等に一年以下の拘禁刑や百万円以下の罰金などの刑罰を科すことで適正な実施を図ることとしています。
次に、海外での日本語教育についてお尋ねがありました。
海外における日本語教育は、日本語教育の推進に関する法律に基づき、外務省を中心として関係省庁が連携した取組が推進されています。具体的には、国際交流基金を通じ、日本語専門家等の海外派遣、海外の日本語教師への研修、オンライン教材を含む日本語学習教材の開発、提供などが行われています。また、日本語専門家等の海外派遣などの取組において、登録日本語教員が活躍することで質の向上に寄与する場面も多く存在するものと期待しています。
文部科学省としては、外務省など関係省庁と更に緊密に連携して、海外の日本語教育の振興に取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/12
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013・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 中条きよし議員にお答え申し上げます。
まず、留学生について、不適切事案の再発防止策及び不法残留等の実態についてお尋ねがありました。
御指摘の事案等を踏まえ、令和元年六月に留学生の在籍管理の徹底に関する新たな対応方針を文部科学省とともに策定をし、これに基づき、留学生の在籍管理が不十分であり、指導による改善が見られない大学等について新たな在留資格「留学」の付与を停止するなどの厳正な措置をとっています。
また、在留資格「留学」からの不法残留者数は、令和五年一月一日時点で約二千五百人であるところ、入管庁では、入国・在留審査において、勉学の意思、能力、経費支弁能力等について慎重な審査を行うことを通じ不法残留、不法就労の防止に努めており、留学生の受入れの適正化に向けて、引き続き関係省庁と連携して取り組んでまいります。
最後に、外国人技能実習制度の見直しについてお尋ねがありました。
技能実習制度については、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議から提出をされた中間報告書において、制度目的と運用実態の乖離が指摘されるとともに、現行の技能実習制度は廃止して、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討することなど、外国人との共生社会の実現に向けた検討の方向性が示されています。
今後も有識者会議において最終報告書の取りまとめに向けた議論がなされていくことになりますが、いずれにせよ、私としては、有識者会議での議論を踏まえつつ、関係省庁とも連携しながら、政府全体でしっかりと検討を行ってまいりたいと考えています。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/13
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014・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 伊藤孝恵君。
〔伊藤孝恵君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/14
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015・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました法律案について質問いたします。
質問に先立ち、本法律案の起点となった議員立法、日本語教育推進法を生み出した超党派日本語教育推進議員連盟の先達の御努力に心からの敬意をささげます。
議連案を拝見した際、どうしてこの法案条文には児童生徒は書いてあるのに幼児はないのでしょうか、就学前の柔らかな脳と心を持つ子供たちにこそ日本語教育が必要です、恐る恐る述べたその言葉を、確かにねえと受け止め、第三条及び第十二条に幼児を追記してくださった中川正春議連会長代行らの顔が今浮かびます。
言葉は何かを変えることができる。言葉は思いを伝え、仲間をつくり、孤独、孤立から救ってくれる。言葉の力はこの国で生きていく力そのものだから。
共生社会の実現に資する日本語教育の推進を願い、以下質問いたします。
本法律案は、一定の要件を満たした日本語教育機関を国が認定することで、日本語学習者が適切な日本語教育機関の選択ができるようにするとともに、その質保証を行うことを目的としています。これまで質に関する共通の指標が存在せず、日本語教育の水準を確認することが困難だった状況の改善が期待されます。
ただし、当該認定制度が我が国に居住する外国人の日常生活及び社会生活の円滑な営みに有益なものとなるか否かの鍵は、現在国内にある多種多様な日本語教育機関のうち、どのような機関にどういった要素を求め、何を物差しとして評価し認定の是非を決めるか、その基準です。
文化庁の有識者会議では、認定日本語教育機関の類型として、主に留学生が通う日本語学校は留学類型、企業と連携して日本語教育を提供する機関は就労類型、生活者を対象とした地域の日本語教育の一端を担う機関は生活類型として認定を行うことが示されておりますが、その認定基準は文部科学省令で定めることとなっており、詳細は明らかにされておりません。今後、どのような類型及び基準を設けるのか、文科大臣のお考えを伺います。
類型について付言すれば、本法律案には、学校等における児童生徒に対する日本語指導に関する言及が一切ありません。近年、日本語指導が必要な幼児、児童生徒は増加の一途をたどっており、学校等における日本語指導体制の急速な整備拡充が求められていることに加え、議員立法、日本語教育推進法では、幼児、児童、生徒に対する日本語教育についても充実を図るため、必要な施策を講ずるとされています。
また、令和三年に日本語教育機関の類型等を検討した文化庁の有識者会議では、日本語指導が必要な子供の就学のための日本語教育についても類型を設けることが必要ではないかといった意見が出され、最終報告書に、就学等のその他類型についても今後検討を行う必要性が明記されました。
就学前教育を含む学校等における日本語指導の体制強化について文科大臣はどのように考えているのか、また、認定日本語教育機関の類型の一つとして就学を今後検討する予定はあるのか、伺います。
本法律案は、認定日本語教育機関において、日本語教育を行うために必要となる新たな国家資格として登録日本語教員を設けることとしています。専門的な知識及び技能を有する人材の育成と確保は、日本語教育の根幹と言える要点です。
そこで、一九九〇年代より指摘されてきた日本語教員の雇用条件や労働環境の悪さ、ボランティア五割、非正規四割と言われる他分野では考えられない職務構成、若者の日本語教育離れ、高齢化、非熟練労働とみなされる地位、女性に偏るジェンダーバランスの悪さ等の改善に向け、どういった具体の取組を行うのか、文科大臣に伺います。
また、一定の要件を満たす現職の日本語教員には、筆記試験や教育実習の免除を含めた経過措置を設けると伺いましたが、重要な差配であると評価する一方、容易に新資格への移行ができるのであれば教育水準の向上という制度の趣旨が揺らぎます。質の向上と担い手の確保をどのように両立させていくか、文科大臣、御所見をお聞かせください。
政府は、登録日本語教員のうち、特に児童生徒向けの日本語教育研修を受講した者を小中高等学校等において活用したいとする方針を示しています。登録日本語教員を日本語指導補助者等の外部人材として学校現場に迎え入れることは、日本語指導の質を高めるとともに、多忙を極める学校教員にとっても歓迎される内容です。しかし、現状、学校教育法施行規則に日本語指導補助者についての規定はなく、必要に応じて配置、資質、待遇、業務内容などの要件は雇用する設置者の判断とされています。
横浜市のように、日本語指導が必要な児童生徒が五人以上いる小中学校には原則としてクラス担任もいる国際教室を設置する方針と併せ、放課後学習支援、母語支援ボランティア等、手厚く伴走している地域はまれで、日本語指導が必要な子供の四割が居住するのは支援が極めて手薄な散在地域です。
就学義務はないからと、その取組を怠ってきた外国ルーツの子供たちの学びや育ちの問題は既に臨界点を超えています。自治体任せの国の姿勢が地域間の大きな対応格差も生んでいます。
しかして、地方公共団体は、議員立法、日本語教育推進法により、日本語教育の推進に関し、地域の状況に応じた施策を策定し、実施する責務を有するとされているにもかかわらず、同法施行から四年がたとうとしている今も、地域の日本語教育が全く実施されていない空白地域となっている市区町村が全国でおよそ五割存在しています。
今後、地域間格差の解消に向け、数値目標を定めるとともに、期限を区切って目標の達成に向けた財政支援を行うことが有効であると考えますが、文科大臣のお考えを伺います。
あわせて、教員養成課程や教員研修に日本語教育学を多層的に組み込むことを御提案いたします。
通達一本で、ただ登録日本語教員の登用を促すだけでは不足です。指導対象となる子供の日本語能力や学習環境等のスクリーニングの適切な方法をより具体的に助言し、求められる指導内容や人員体制を例示し、どのような場合に登録日本語教員の専門性が発揮されるかを示した上で、配置に係る追加的な財政支援を行わなければ絵に描いた餅になるのではないでしょうか。文科大臣、お答えください。
さて、外国をルーツとする方々は、この絵に描いた餅が役に立たないことを意味する言葉だと理解しづらいかもしれません。日本語はとにかく語彙が豊富で、漢字に音読み訓読みがあり、指示語も助詞も丁寧語も方言も極めて難解なのです。翻訳アプリのみならず、今後は生成系AI、特に翻訳AIを利用する場面が想定されますが、これらが日本語教育に与える影響について文科大臣の御見解を伺います。
最後に、特別支援学級に在籍する外国ルーツの子供たちについて伺います。
公立小中学校で日本語を教える体制が整っていないために、本来は障害のある子供たちが学ぶ場であると学校教育法で定められている特別支援学級に、障害ではなく、日本語が不得意だという理由で外国ルーツの子供たちが在籍しています。それに対し、文科省は、法令違反のおそれがあるといいながら、ガイドラインを改定するのみで、対策は自治体や学校任せです。
言わずもがな、特別支援学級で行う教育と日本語教育の指導内容は全く別物であり、両者にとって適切な教育が受けられず、子供たちの不利益になりかねない異常事態です。
今、日本語指導が必要な小中学生のおよそ五・一%、二十人に一人が特別支援学級で学んでいます。日本人を含む全小中学生の一・四倍です。検査を母語で受けられない地域では何と八人に一人、十人に一人に上るといいます。文科大臣に今後の対応を伺います。
言葉の問題を軽視して、場当たり的に労働力としての外国人を受け入れれば、やがて社会の分断を生むことは諸外国の歴史が証明しています。だからこそ、先進国の多くは、国が主体となって公用語の教育プログラムを進めています。我が国の移民政策は取らないという建前のいかんにかかわらず、外国人市民が定住者であることは間違いありません。多文化共生政策や総合的、包括的な政策がどうしても必要です。
私の住む愛知県犬山市には日本初の外国人市議会議長がおります。日本初の赤十字救急法指導員も、自治会役員だっています。外国人市民は、支援される側だけでなく、支援する側、地域づくりの担い手となっていることも多くの方に伝えねばなりません。
本法律案が、この国で共に暮らし、学び、働くその人たちに、かけがえのない言葉の力を贈る法案となることを切に願い、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣永岡桂子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/15
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016・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 伊藤議員にお答え申し上げます。
まず、認定基準についてお尋ねがありました。
令和四年度の文化庁有識者会議において、留学生を対象とした留学、就労を目的に我が国に在留する外国人を対象とした就労、地域で生活者として在留する外国人を対象とした生活の三つの分野別に日本語教育機関の教育課程を評価する方向性を提言いただいております。
また、認定基準では、教員及び職員の体制、施設及び設備、日本語教育課程の編成及び実施の方法、また学習上及び生活上の支援のための体制などについて規定することとしており、有識者会議の報告も踏まえ、本法律、法案の成立後、審議会等において検討する予定です。
次に、就学前教育を含む学校等における日本語指導の体制強化の必要性についてお尋ねがありました。
日本語指導が必要な外国人児童生徒等は平成二十四年より約十年間で一・八倍に増加しており、学校における日本語指導の体制強化の必要性が高まっていると認識しております。このため、文部科学省では、幼児教育施設における外国人幼児等の受入れに関する教員研修プログラムの開発、日本語指導補助者等の外部人材の配置など、外国人児童生徒等に対する日本語指導に取り組む自治体に対する支援などを行ってきたところであり、引き続ききめ細かな支援に努めてまいります。
次に、認定制度について、認定制度における就学への対応についてお尋ねがありました。
先ほどお答えしたとおり、文化庁有識者会議において、留学、就労、生活の三つの分野別に日本語教育課程を評価する方向性を提言いただいており、本法案成立後、審議会等において検討してまいります。
他方で、本法案成立後には、登録日本語教員に対して児童生徒に向け研修を実施するとともに、小中学校における特別の教育課程などにおいて補助者として積極的に活用することなどを通じ、就学の場面を含めた日本語教育の質の向上に努めてまいります。
次に、日本語教員の雇用条件の悪さなどの課題の改善についてお尋ねがありました。
本法案による登録日本語教員の国家資格化を契機として、日本語教師の社会的地位が高められ、その専門性が適切に評価され、さらに処遇改善へつながることで、日本語教師を目指す方が増えていくことが期待されます。これにより、御指摘の課題の改善も図られていくものと考えており、まずは新制度の実施及びその周知に全力を尽くしてまいります。
次に、日本語教師の質向上と担い手確保の両立についてお尋ねがありました。
登録日本語教員の資格を設けることで、教員の質を確保するとともに、専門性の社会的認知が高まり、処遇改善や担い手の確保にもつながるものと考えております。その上で、登録後も初任者や中堅者等を対象とした経験に応じた研修を実施してまいります。これらを通じて、登録日本語教員の質、量の確保に努めてまいります。
次に、地域格差の解消に向けた数値目標と財政支援についてお尋ねがありました。
外国人数の増加が見込まれることから、地域における日本語教育の具体的な数値目標や達成期限を定めることは難しいところですが、いずれにしましても、日本語教室が設置されていない、いわゆる空白地域の解消を目標に、地方公共団体が行う取組への支援を行うことは重要であります。そのため、引き続き、関係省庁としっかりと連携して、地域の実情やニーズに応じて必要な支援を取り組んでまいります。
次に、日本語指導が必要な児童生徒に対する登録日本語教員の活用及びそのための財政支援についてお尋ねがありました。
文部科学省では、令和五年度より、児童生徒の日本語能力を客観的に評価するためのツールを作成することなどを目的とした調査研究事業を開始したところです。また、本法案成立後には、登録日本語教員を学校における日本語指導の補助者として活用する具体的な仕組み等を検討していく予定でございます。
次に、生成AIが日本語教育に与える影響についてお尋ねがありました。
日本語教育の実施形態は様々であり、生成AIがもたらす影響について一概にお答えすることは難しいところですが、学習者の日本語の習得レベルを含めた個々の状況を踏まえて適切に活用する視点も重要と考えています。
先月から、政府のAI戦略チームの会合が開催され、生成AIを利活用する場合の留意点等について情報交換を始めたところです。政府全体の検討状況等も踏まえ、適切に対応してまいります。
次に、特別支援学級に在籍する外国ツールの子供たちについての今後の対応についてお尋ねがありました。大変失礼いたしました。もう一度読み直します。
次に、特別支援学級に在籍する外国ルーツの子供たちについての今後の対応についてお尋ねがありました。
文部科学省では、外国人の子供に障害がないにもかかわらず、日本語指導が必要であることをもって特別支援学級や通級による指導の対象とすることは不適切であることなどを示してまいりました。
これまでも、日本語指導が必要な児童生徒については、通常学級、特別支援学級のどちらに在籍するかにかかわらず、児童生徒の日本語能力等に応じた指導を実施するほか、日本語指導補助員や母語支援員等の外部人材の配置など、外国人児童生徒へのきめ細かな支援が行われております。
文部科学省では、これらに取り組む自治体を補助事業で支援しているところであり、引き続き、日本語指導が必要な外国人児童生徒等に対する支援に積極的に取り組んでまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/16
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017・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 吉良よし子君。
〔吉良よし子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/17
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018・吉良よし子
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
私は、会派を代表して、日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案について質問します。
留学生として来日したウィシュマ・サンダマリさんは、学費が払えず退学、在留資格を奪われ、入管法違反で収容され死に追いやられました。このような悲劇を二度と起こさない、そのために、今の非人道的な日本の入管行政の抜本的な見直しこそが必要です。
それなのに、先週金曜日に参議院で審議入りした政府提出の入管法改定案は、今の入管行政はそのままに、刑罰をもって退去を強制するなど、外国人の人権侵害を一層深刻化させるものです。国際人権条約にも憲法にも反する入管法改悪案は廃案にすべきです。
政府が留学生三十万人計画を打ち出して以降、日本への留学生の数は増え続け、二〇一九年にはついに三十万人を突破。二〇三三年までに留学生四十万人を目指すとしていますが、その目的は何でしょうか。文科大臣、お答えください。
現在の留学生の実態は極めて深刻です。留学生の多くは、渡航費やあっせん手数料など百万円以上の借金返済を抱えて来日し、学費や生活費、母国への仕送りのためにアルバイトに追われていて、学ぶための留学とは程遠い実態に置かれています。結果として、週二十八時間の上限を超えて働いてしまった留学生は、不法就労とされて在留資格を失い、場合によっては収容、退去を強制されることもあります。
法務大臣、こうした事態が起きているのは、留学生を使い勝手の良い安価な労働力として受け入れてきた政府の姿勢に問題があるからではありませんか。
入管庁は、留学生に在留資格を与えるときに、親の年収や銀行預金残高が記された証明書の提出などを求めているとのことですが、渡航費用、仲介業者へのあっせん料や学費など、既に多額の借金を抱えて来日する留学生の実情は正しく把握されているのでしょうか。留学費用を借金に頼り、母国からの仕送りが見込めない外国人であっても、留学生三十万人計画達成ありきで在留資格を出し続けてきたのではありませんか。
留学という名目で外国人を安価に働かせる構造そのものを改めることもなく、今度は留学生四十万人などと言い、受け入れる留学生を増やし続ければ、更なる悲劇を生み出しかねません。外国人受入れ政策そのものを大きく転換し、学問研究を目的とする外国人は留学生として、就労目的の外国人は、留学生としてではなく、初めから労働者として受け入れるべきではありませんか。
そもそも、日本語学校の最大の問題は、その大半が、受け入れた留学生を安価な労働力として利用することと一体に運営されているということです。
アルバイトで疲れ果て、授業中に居眠りをする留学生が何人もいるが、どうすることもできずつらいという日本語教師の方のお話を聞きました。
この間、日本語学校は増え続け、現在の法務省告示基準に合致した告示校は八百三十二機関に上ります。そのうち六割以上が株式会社などの営利目的の学校です。中には、留学生からの学費収入を確保するために週二十八時間の上限を超えて働く留学生を黙認する学校や、場合によっては、日本語学校が搾取の一端を担っているケースもあります。学校の理事長自身が人材派遣会社を経営し、留学生からパスポートを没収し、週二十八時間以上働かせた上に不当に高い家賃を徴収するなど、日本語学校そのものが外国人ビジネス、留学生搾取を行う悪質な事例もあります。
法務大臣、このような悪質な日本語学校の実態を認識していますか。
法務省の告示基準を満たしたはずの日本語学校で、なぜこうした事態を止めることができないのですか。この十年の間に告示基準違反で法務省が告示の抹消処分をしたのは僅か二件のみと聞いています。これで適切な是正ができているとお考えですか。
今回の法案では、法務省に代わり、文科省が基準を作り、日本語教育機関を認定するとされています。有識者会議の報告で教育環境が十分に整っていない機関が見られると指摘されたことを受けての対応といいますが、事実上、認定する官庁を差し替えるにとどまるのではありませんか。法務省告示機関から文科大臣認定に移る際に、留学生を搾取するような悪質な日本語学校は認定しない、除外できると言えますか。文科大臣、お答えください。
文科大臣認定をするための基準は、法案成立後に省令で検討するとされています。その認定基準が、現在の法務省告示基準より厳しい基準になる保証はどこにもありません。結局、現行の法務省告示校をそのまま日本語教育機関として文科大臣が法律に基づいて認定し、悪質な日本語学校にも適正な認定機関であるというお墨付きを与えることになりませんか。
不法就労の責任を留学生にばかり押し付けるのではなく、留学生を搾取する悪質な日本語学校をしっかり規制する仕組みをつくり、留学生が日本で安心して学べる権利を守る制度こそ目指すべきです。
留学生だけでなく、外国人労働者やその家族が、生活の場で日本語を学ぶことは欠かせません。その役割を果たしているのは日本語教室です。
しかし、文化庁の調査でも、現在、自治体などが設置する日本語教室がない空白地域が八百七十七市町村、全自治体の四六%に上っています。自主的な取組に任されているため、開設の状況は地域によって大きく異なっています。さらに、日本語教師の四割超は東京都に集中しており、地方での指導者不足は深刻です。
文科大臣、このような地域格差、空白自治体の解消をどのように進めていくおつもりですか。日本語教室の実施は、設置者任せではなく、財政支援など国の責任で行うべきではありませんか。
日本語教師の処遇改善も待ったなしです。
日本語教育を担う日本語教師は約四万人いますが、その半数はボランティアで、無報酬の働きに頼っているのが日本語教育の実態です。このような実態は早急に改めるべきではありませんか。
法務省告示校に勤める日本語教師でも、およそ三分の二が非常勤で、常勤は僅かです。文化庁調査によると、法務省告示校の常勤であっても年収四百万円未満が七割を占め、非常勤の年収は百五十万円未満がほとんどです。収入が余りに低いため、日本語教師として生活を維持するためには、複数の日本語学校を掛け持ちするしかありません。日本語教師の年代構成を見ても、二十代は僅か五%程度にとどまり、若い人が将来を見通して働き続けられる職業とはなっていない実態もあります。
文科大臣、本法案で国家資格化される登録日本語教員になれば処遇も改善されるのですか。
一こまの授業を行うための準備にその二、三倍の時間と労力が掛かる、平日の授業準備のために週末は潰れてしまうというお話も伺いました。学校では、留学生の生活や進路の相談に乗り、日本の文化や生活習慣も教えるなど、留学生の日本での生活を支える重要な役割を果たしているのが日本語教師です。
その専門性にふさわしく、地位向上を図ること、処遇改善することを文科大臣に強く求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣永岡桂子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/18
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019・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 吉良議員にお答えいたします。
まず、留学生四十万人を目指すことの目的についてお尋ねがありました。
外国人留学生の受入れには、教育研究の活性化や国際競争力の向上、相互理解と友好親善に基づく人的ネットワーク構築等の意義がございます。
このため、本年四月の教育未来創造会議第二次提言において、全学生数に占める留学生の割合をドイツ、フランスと同等の水準になること等を目指し、外国人留学生の受入れ数四十万人という新たな指標を設定し、外国人留学生の受入れを促進することとしております。
次に、悪質な日本語学校への対応についてお尋ねがありました。
本法案では、認定日本語教育機関に対し、登録日本語教員の配置、日本語教育の実施状況について毎年度の定期報告、教育課程、教員組織等の学習環境に関する情報公表などの法務省告示制度にはない義務が課されており、それにより、認定日本語教育機関を監督し、その質を確保していく仕組みが新たに設けられています。
また、認定基準について、法案成立後、審議会等において検討することとしており、一定の基準を満たした質の高い日本語教育機関が認定を受けられることとしています。さらに、定期報告等を通じ、指導や勧告、命令、認定取消しの段階的な是正措置をとることができる仕組みも新たに設けられます。
次に、地域格差、空白地域の解消に、国による財政支援についてお尋ねがありました。
地域における日本語教育は、日本語教室が設置されていないいわゆる空白地域があり、地域における人材の不足や日本語教室運営のノウハウの不足等が課題と認識しています。このため、地域日本語教育コーディネーターの配置、日本語学習支援者などへの研修や確保、空白地域の市町村への日本語教室開設支援などを行う都道府県、政令指定都市への支援を通じて空白地域の解消に取り組んでいるところです。引き続き、地域の実情やニーズに応じて必要な支援を行ってまいります。
次に、日本語教育を多くのボランティアが担っている実態についてお尋ねがありました。
特に、地域における日本語教育など、生活者などを対象に多くのボランティアの方が担っており、今後もボランティアの方の果たす役割は大きいと考えています。他方、今般の法案により設けられる専門的な知識や技能を有する登録日本語教員が地域の日本語教育など多様な場で活躍いただくことも期待されます。
多様なニーズを踏まえながら、ボランティアの方と登録日本語教員の双方が活躍していただくことが重要であり、研修等の支援施策の充実に努めてまいります。
次に、日本語教員の処遇改善と地位向上についてお尋ねがありました。
今後、在留外国人数の増加が見込まれる中、日本語教師の処遇改善のためにも、その必要性や専門性の社会的認知が求められていることから、本法案により登録日本語教員の新たな国家資格を設けることとしております。また、国のサイトにおける研修履歴の蓄積、掲載など、キャリア証明に資する仕組みを検討するほか、登録日本語教員を対象とした研修等を充実させ、その専門性向上を支援する予定です。
こうした取組や新制度の活用により、登録日本語教員の処遇改善につなげてまいります。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/19
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020・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 吉良よし子議員にお答え申し上げます。
まず、留学生を安価な労働力として受け入れてきたかどうかについてお尋ねがありました。
そもそも、留学生は、日本国内の教育機関において教育を受ける活動を行う者であって、就労活動を行う者として受け入れているものではありません。
留学生に対しては、本来の活動である学業を阻害しない範囲で、アルバイトを通じて留学中の学費及び生活費用を補うことにより学業の遂行に資するという観点から、条件を付して一定の範囲内で就労活動を認めているものであり、条件に違反している留学生に対しては、本人を強く指導するとともに、悪質と認められる場合は在留期間の更新を認めないなど、不法就労防止の観点から厳正に対処しております。
次に、来日する留学生の実情についてお尋ねがありました。
御指摘のように、一部の留学生が入国のために多額の借金を抱えて来日している実態が確認されています。その背景には、一部の仲介事業者について、留学生から不当に高額な仲介手数料等を得ていることが疑われるものがあり、対策を講じていく必要があると認識しています。
そこで、入管庁では、関係省庁とも連携し、仲介業者に関する情報収集に努め、悪質な仲介業者について把握した上で、当該仲介事業者を利用した留学生に係る入国申請について厳格な審査を行うほか、相手国政府に情報提供することなどを通じ、悪質な仲介業者を排除し、留学生の適切な受入れに努めているところです。
次に、経済力のない外国人を留学生として受け入れてきたのではないかとのお尋ねがありました。
入管庁においては、経済力がなく、日本国内での就労を目的とする留学生を受け入れることのないよう、その入国・在留審査において、勉学の意思、能力や経費支弁能力について慎重に審査を行うことを通じ、真に勉学に励む目的であることを確認しています。
また、留学生を受け入れている教育機関に対しては、入学選考及び在籍管理の徹底等を求めるとともに、実地調査や厳格な指導を行うなどしており、御指摘は当たらないものと考えています。
次に、外国人労働者の受入れについてお尋ねがありました。
外国人労働者の受入れに関しては、現状、政府においては、専門的、技術的分野の外国人については、我が国の経済社会の活性化に資するという観点から積極的に受け入れていく、それ以外の分野については、日本人の雇用、産業構造への影響、治安など、幅広い観点から国民的コンセンサスを踏まえつつ政府全体で検討していく、こういう考え方に基づき外国人労働者を受け入れています。
一方、留学生については、学費等を補うことにより学業の遂行に資するという観点から、学業を阻害しない範囲で、一定の範囲内で就労活動を認めているものです。
今後の外国人労働者の受入れの在り方については、国内の諸情勢や諸外国の状況について把握し、広く国民の意見を聞くことと併せ、政府全体で幅広い検討を行ってまいりたいと考えています。
次に、週二十八時間の上限を超えて働く留学生を黙認する学校等の実態についてお尋ねがありました。
日本語教育機関の中には、留学生の在籍管理が不徹底であって、留学生への生活指導が行き届かず、さらには、留学生の不法就労に加担して学校経営者が刑事処分を受ける事案も過去に生じているところです。
外国人の出入国在留管理を所管する法務大臣として、本法案の趣旨を踏まえ、適正な在籍管理を指導するとともに、悪質な教育機関には厳正に対処してまいります。
最後に、悪質な日本語教育機関の是正についてお尋ねがありました。
入管庁では、情報収集や実地調査などを通じ、日本語教育機関における適切な在籍管理の実施や、人権侵害行為などの日本語教育機関の設立、運営に関する告示基準に違反する行為の有無などを随時確認するとともに、留学生に対する違法、不当な行為の有無の実態把握に努めています。
その上で、問題が生じている日本語教育機関に対しては、厳格な指導によりその是正を求めるとともに、およそ日本語教育機関としての存続が適当でない場合は留学生の受入れを認めない措置をとっており、法務省としては、引き続き、関係省庁とも連携し、適切に対応してまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/20
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021・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/21
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022・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第一 医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長古賀友一郎君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔古賀友一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/22
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023・古賀友一郎
○古賀友一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、健康、医療に関する先端的研究開発及び新産業創出の促進を図るため、医療情報に含まれる記述等の削除等により、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように加工した仮名加工医療情報の取扱いに関する規定を整備するとともに、匿名加工医療情報を匿名医療保険等関連情報等と連結して利用することができる状態で提供するための仕組みの創設等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、匿名加工医療情報の利用に関する現状と課題、仮名加工医療情報を扱う意義と必要な取組、不適切な情報取得事案への対応等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の井上委員より反対、れいわ新選組の大島委員より反対の旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/23
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024・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/24
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025・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/25
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026・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第二 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長高橋克法君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔高橋克法君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/26
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027・高橋克法
○高橋克法君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、立法又は行政の内部資料として必要と認められる場合等に著作物の公衆送信等を可能とする措置、著作物の利用の可否に係る著作権者の意思が確認できない場合の裁定制度を創設する等の措置及び著作権侵害に対する損害賠償額の算定の合理化を図る措置について定めようとするものであります。
委員会におきましては、新たな裁定制度の円滑な利用に向けた工夫、本法律案による海賊版被害の救済の実効性、AIの進展を踏まえた今後の著作権制度の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/27
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028・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/28
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029・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02320230517/29
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