1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年五月二十六日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十六号
令和五年五月二十六日
午前十時開議
第一 放送法及び電波法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
第二 遊漁船業の適正化に関する法律の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第三 日本語教育の適正かつ確実な実施を図る
ための日本語教育機関の認定等に関する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、防衛省が調達する装備品等の開発及び生産
のための基盤の強化に関する法律案(趣旨説
明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/0
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001・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/1
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002・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。浜田靖一防衛大臣。
〔国務大臣浜田靖一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/2
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003・浜田靖一
○国務大臣(浜田靖一君) 防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
この法案は、我が国を含む国際社会の安全保障環境の複雑化及び装備品等の高度化に伴い、装備品等の適確な調達を行うためには、防衛省による既存の調達を通じた措置や関係省庁による防衛産業の基盤強化のための各種の支援措置に加えて、装備品製造等事業者の装備品等の開発及び生産のための基盤を強化することが一層重要となっていることに鑑み、装備品製造等事業者による装備品等の安定的な製造等の確保及びそれに資する装備移転を安全保障上の観点から適切なものとするための取組を促進するための措置、装備品等に関する契約における秘密の保全措置並びに装備品等の製造等を行う施設等の取得及び管理の委託に関する制度を定めるものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
第一に、装備品製造等事業者が指定装備品等の安定的な製造等の確保のために行う取組に関する計画を防衛大臣が認定し、当該計画に係る取組が着実に実施されるよう、政府が必要な財政上の措置を講ずる制度を創設するとともに、装備品製造等事業者が行う装備移転仕様等調整に関する計画を防衛大臣が認定し、当該計画に係る装備移転仕様等調整を行うために必要な助成金の指定装備移転支援法人が基金から交付するための制度を創設するものであります。
第二に、装備品等契約における秘密と、装備品等秘密に指定し、契約事業者に提供することができることとし、契約事業者の従業者が装備品等秘密を漏えいした場合等の刑罰を創設するものであります。
第三に、装備品製造等事業者に対する第一の措置では指定装備品等の適確な調整を図ることが、調達を図ることができないと認めるときには、当該指定装備品等の製造等を行うことができる施設又は設備を取得することができることとするとともに、当該指定装備品製造施設等の管理を当該指定装備品等の製造等を行っていた又は行っている装備品製造等事業者に委託するものとする制度を創設するものであります。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/3
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004・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。熊谷裕人君。
〔熊谷裕人君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/4
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005・熊谷裕人
○熊谷裕人君 立憲・社民の熊谷裕人です。
会派を代表して、ただいま議題となりました防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案について質問いたします。
今、我が国の防衛産業は大変厳しい状況にあります。産業内企業の防衛需要依存度は現状僅か数%程度であり、多くの企業において防衛事業が主要な事業となってはいない中、近年は、第二次安倍政権以降のFMSなどによるいわゆる爆買いで米国製の防衛装備品の購入が大幅に増加していることや、装備品の発注減などにより、国内産業の経営環境は悪化し、撤退や撤退を検討する企業が増加する傾向にあります。最近でも、陸上自衛隊の軽装甲機動車の開発を中止した企業や、航空機のパイロットの緊急脱出装置を製造してきた企業が撤退を決めたとの報道がありました。
こうした中、本法案は、防衛装備品の開発及び生産の基盤強化を図り、厳しい経営状況に置かれた自衛隊の装備品を供給する企業に対し、各種の資金援助を行うといった施策により防衛産業の活性化が期待されるものである一方で、安全保障に関する情報の保全のために、防衛省と契約を結んだ企業に対し法的義務を課すというもので、防衛企業にとっては、言わばあめとむちの側面があります。
我が会派は、憲法九条とその法的母体である憲法前文の平和主義に基づく専守防衛のための防衛産業の基盤強化にはその必要性を認めるものですが、本法案が真に国内の防衛産業を後押しし、中小を始めとする関係企業が保有する卓越した技術を維持強化することになるものなのか、政府の考え、意図をただしてまいりますので、明確な答弁をお願いをいたします。
まず、防衛産業の基盤強化が防衛産業に従事する事業者に与える影響について、大臣の認識を伺います。
政府は、防衛生産と技術基盤を防衛力そのものと位置付けており、本法案は、その強化のために国内防衛産業の支援を行うのだと思います。ただし、企業を支援する防衛省・自衛隊は、昭和二十九年の発足以来、これまで専ら自らの防衛力整備に努めてきており、防衛産業の支援はなじみが薄い分野ではないかと思料します。防衛省として産業支援政策の知見やノウハウは十分に備わっているとお考えでしょうか。よもやコンサルティング企業頼みではないと思いますが、浜田防衛大臣の認識をお聞かせください。
また、本法案の目的規定には、防衛産業の基盤強化が与える経済面の効果については記述がありませんが、なぜなのでしょうか。防衛産業の基盤強化が日本経済全体に与える影響について、政府の見解を求めます。
そして、防衛産業の開発と産業基盤が強化された場合、特に卓越した技術力を持った中小企業を始めとする事業者にどのような効果をもたらすと考えているのでしょうか。政府の見解を求めます。
どのような政策であれ、対話を重視し、現場の意見を聞くことは重要です。この点、防衛省は、省と直接契約をするプライム企業、つまり大企業に関しては意見交換をしているものと承知しています。しかし、関連する中小企業の声には耳を傾けているのでしょうか。防衛産業は裾野が広く、一つの装備品を造るのに数千社の中小企業が関わるケースもあります。
防衛省は、中小企業の意見をどのように把握しているのでしょうか。また、中小企業にとっても、本法案はどういった点で望ましいものになるのか。これらの点についてお答えください。
そして、防衛産業は、官民関係の長期固定化を始めとする参入障壁から、新規の参入が難しい産業とも言われています。防衛省は、新興企業が新規参入するに当たり、その障壁をどのように取り除くつもりでしょうか。また、この法案においては、新規参入企業も現に防衛産業に従事している企業と差がない支援を受けられるのでしょうか。支援を受ける基準等に差は生じないのでしょうか。防衛大臣の見解を求めます。
次に、企業に対する財政措置について伺います。
この法案では、防衛大臣が指定する自衛隊の任務遂行に不可欠な装備品を造る企業には財政支援が行われます。防衛大臣が装備品を指定しないと支援の枠組みが完成せず、企業も自分が製造等するものが支援の対象か否かの見極めの困難が予想されています。指定はいつまでに行うのでしょうか。また、装備品の指定が五月雨式に小出しになるおそれはないのでしょうか。
さらに、自衛隊の任務遂行に不可欠であるという文言も、その判断基準が判然としません。任務に不可欠だという説明の下に、不必要な設備や技術が残り、そこに税金が使われては意味がないと考えますが、そのようなことはよもやないと理解してよいのでしょうか。防衛大臣の見解を求めます。
防衛分野であっても、無駄な支出は避けるべきです。
私は、これまでの参議院予算委員会において、防衛省の入札や契約の在り方に関して、土木工事の入札でありましたが、当初の入札金額から契約変更が繰り返され、本来の入札予定価格を大幅に上回る結果になってしまうことには問題があるのではないかと指摘をしてきました。
予期せぬ事情等によるもので、適切に実施されているとの答弁ではありましたが、防衛装備品の調達に当たっても、国民の皆様から血税を原資と、国民の皆様からの血税を原資とするわけですから、甘い見通しではなく、適切な計画や契約の公正さと一定の透明性を担保する新たなルールが必要です。
その観点から、本法案において、財政支援のために必要とされる装備品安定製造等確保計画の認定は厳格に行う必要があると思います。
この企業が財政支援を受けるために必要な装備品安定製造等確保計画の認定を行う防衛装備庁は、本法案の成立により、企業に対し、経費を援助するか否かを決定する組織となりますが、今後行う財政支援について、不正が生じないような取組、仕組みは検討されているのでしょうか。防衛大臣の覚悟をお聞かせください。
さらに、防衛産業への財政支援はいつまで続けるつもりでしょうか。防衛産業だけ特別扱いはできないと考えますが、財政支援の期限、出口のビジョンをお示しください。
次に、いわゆる製造施設等の国による保有について伺います。
本法案には、各種の措置を講じてもなおほかに手段がない場合に、装備品の製造施設、土地、設備を国が取得する規定が存在します。施設等の国有化については、仮に国が保有する場合でも、常態化させない方策として、例えば、国有化する年限を区切り、その年数を延長する場合は国会に諮るなどして、政府の説明責任を明確にするべきという意見があります。こうした指摘に対する防衛大臣の見解を求めます。
また、例えば、施設の国による保有はアメリカや韓国に同様の例がある旨の報道もありますが、国有化について諸外国の例は分析されたのでしょうか。分析をしたのであれば、参考にした事例をお示しいただきたいと思います。もし諸外国の例は分析していないというのであれば、その理由をお示しください。
次に、装備品等契約における秘密保全措置について伺います。
本法案により、防衛省が提供するいわゆる省秘を漏らした者には刑事罰が科せられるようになります。これまでは、防衛省と企業において、契約上の違約金に基づく情報保全をしていました。このやり方で何か問題があったのでしょうか。防衛大臣の見解を求めます。その上で、企業に対して刑事罰を科す制度を新設することになった理由と目的についてもお答えください。
また、この法案が成立した場合、防衛省と直接契約をするプライム企業のみでなく、下請企業に至るまで情報漏えいに対して刑事罰に問われる可能性も出てきます。
本法案が施行した後に、例えば下請の中小企業が故意ではなく過失により情報を漏えいしてしまった場合、当該企業はどのような責任を問われるのでしょうか。企業にとっては重要な点です。刑事のみではなく、民事の責任も踏まえて丁寧な説明をお願いをいたします。
次に、本法案が企業の事業撤退に拍車を掛けるのではないかという懸念について伺います。
防衛産業において企業が撤退する主な理由は、利益が上がらないという経済的理由であると理解していますが、今述べた罰則規定によって省秘でも刑事罰を受けかねず、心理面での負担が増すという理由で撤退をする企業が出るかもしれません。防衛省にとっては、そのような企業は撤退やむなしというスタンスなのでしょうか。防衛大臣の見解を伺います。
また、防衛装備庁は、防衛産業サイバーセキュリティ基準というより厳しい基準を策定し、令和五年度の、本年度の契約から適用していると承知をしています。この新たな基準に適合するためには、制度を理解するところから実際の運用に至るまで、特に中小企業には負担になりませんか。基準遵守に伴う心理的負担から企業が撤退を検討するかもしれません。また、新規参入を目指す企業もちゅうちょするかもしれません。
本法案では、企業のサイバーセキュリティー強化に対しての財政支援はありますが、金銭面の支援のみではなく、心理的負担を取り除くような企業に寄り添った専門家による伴走型支援については果たして十分なのでしょうか。
基準に適合した企業に対して、目に見える形で何らかのインセンティブを与えることも一案ではないかと考えますが、防衛大臣の見解を求めます。
冒頭に申し上げましたように、本法案に盛り込まれている全ての基盤強化措置や装備移転円滑化措置は、憲法前文の平和主義の理念に適合するものでなければなりません。政府の認識する憲法の平和主義について明らかにし、これらの措置を憲法の平和主義にのっとって運用することについての認識を防衛大臣に求めます。
最後に、我が国の防衛装備品の中には、非常に特殊な熟練の技に支えられているものも多いと聞きます。しかし、予算減少のために受注量が大きく減り、それらのいわゆる職人芸の伝承はされていかない懸念があるといいます。
コンピューター制御などで生産性を上げることも大切ですが、長年の職人芸や独特の勘が必要な部分を大切にすることも不可欠で、これらの技は、一度途絶えると容易に元の水準に戻ることはありません。日本の防衛産業を支えるあまたの優れた中小の企業を保護し、かけがえのない職人芸を保護、伝承していくことも大切にすべき視点の一つだと思います。
岸田総理はこれまで、防衛財源の確保に関して、防衛費の規模については、極めて現実的なシミュレーションを行い、必要となる防衛力の内容を積み上げ、導き出したと答弁されていますが、その当否はさておき、防衛産業の強化についても同様だと思います。真に極めて現実的なシミュレーションに基づいて優れた防衛装備品が調達できなければ、総理の言う戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で国民の命は守り抜けません。
防衛産業は防衛力そのものというのであれば、本法案をしっかりと国会で、この参議院で論議し尽くし、国民の理解を得なければならないと改めて申し上げ、会派を代表しての私の質問とさせていただきたいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣浜田靖一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/5
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006・浜田靖一
○国務大臣(浜田靖一君) 熊谷裕人議員にお答えいたします。
初めに、防衛産業支援政策の知見やノウハウについてお尋ねがありました。
今般、本法律案に規定している措置や企業の適正な利益を算定する仕組みの導入などの施策は、これまで防衛産業に対して調達契約に係る様々な施策を講じてきた防衛省として、これまでにない取組であります。
本法律案に基づく措置の実施に当たっては、防衛省が自ら行うサプライチェーン調査の結果やこれまでの調達の実績等の独自の情報を活用し、必要な知見を蓄積の上で産業の競争力の前提となる公平性、公正性に配慮しつつ、自衛隊の任務遂行に不可欠な装備品等の適確な調達を行うための措置を講じることとしております。
次に、基盤強化が与える経済面の効果についてお尋ねがありました。
本法律は、我が国の防衛という防衛省の任務を全うするために不可欠な装備品を供給する防衛産業が言わば防衛力そのものであるという考え方の下、防衛力の抜本的強化を実現するに当たり、防衛政策上の必要性から防衛生産基盤の強化を行う法律であります。防衛産業は、プライム企業のみならず、多数の中小企業の下請企業から成るサプライチェーンを構成しており、本法律案に限らず、企業の適正な利益を算定する仕組みの導入などによる基盤強化は、関連産業も含めて波及効果や雇用創出の効果、さらには民間部門への技術的な波及効果があると予想されます。
次に、本法律案の中小企業への効果についてお尋ねがありました。
本法律案においては、原材料等の供給網の強靱化、製造工程の効率化、サイバーセキュリティー強化といった取組の実施に必要な費用を防衛省から装備品製造等事業者に対して支出することとしております。こうした措置により中小企業を含めた事業者が必要なサイバーセキュリティーの体制等の構築することができるようになり、また、優れた技術力や製品を有する中小企業がより積極的に防衛産業に新規参入する、新規参入を検討することも期待されると考えております。
次に、防衛省と中小企業との関係についてお尋ねがありました。
防衛省は、平素よりプライム企業から下請企業に至るまで防衛産業界と緊密に意見交換しており、本法律案はその際に出た声や提起された課題も踏まえて作成されたものであります。本法律案を制定することにより、防衛省と直接契約関係にない企業であっても、装備品の製造等に必要な製造工程の効率化やサイバーセキュリティーの強化、事業承継といった認定制度に基づく設備投資等を実施することが可能になると考えております。
次に、防衛産業の参入障壁についてお尋ねがありました。
本法律案では、既存の事業者のみならず、新たに装備品等の製造等を行おうとする防衛産業関連事業者に対しても、サイバーセキュリティー強化や事業承継等を行う際に、防衛省が必要な措置を講ずることができることにしており、新たな参入企業との連携も含め、必要な装備品等の安定的な製造等の確保に努めてまいります。
次に、本法律案の対象となる装備品の指定についてお尋ねがありました。
対象となる装備品は、装備品等のうち、自衛隊の任務遂行に不可欠であり、かつその製造等が停止すると調達に支障が生ずるおそれがあるものとして防衛省において指定するものであります。
この指定については法施行後可能な限り速やかに行い、計画の認定から特定取組の実施までが円滑に行われるよう努めてまいります。また、この指定については、本法律案に基づき定める基本方針を始めとする基準にのっとり、適正、公平に行うこととなりますことになります。
さらに、その実施に当たっては、自衛隊の能力に関する弱点を推認されるおそれがない範囲で、相手方や金額などに係る情報を原則公表いたします。
次に、財政上の措置の不正防止と出口戦略についてお尋ねがありました。
装備品安定製造等確保計画の認定は、装備品等の安定的な製造等の確保に必要な場合に限って行うものであります。したがって、他の契約と同様、会計法令等に従って、不正が発生しないよう適切に措置してまいります。
また、本法律案に基づき定める基本方針を踏まえ、基盤強化の措置を行うことで、防衛省の抱える様々なリスクを解消し、力強く持続可能な防衛産業を速やかに構築してまいります。
次に、国有化の常態化への懸念と諸外国の例についてお尋ねがありました。
製造施設等の国による保有に係る年限は本法律案で規定しておりませんが、取得した施設等について、国は早期譲渡に努めることとしております。また、本法律案では、指定法人の基金に係る業務の報告書の防衛大臣の国会報告も義務付けるなど、施行状況や課題について定期的に国会報告や公表をすることとなっております。
さらに、例えば、米国では、軍用品の製造、維持等のため、軍が保有し民間企業に運営を委託する施設の活用が行われていると承知をしております。これら諸外国の事例についても参考にしつつ制度の在り方について検討し、本法律案のとおりとしたものであります。
次に、装備品等秘密の罰則についてお尋ねがありました。
近年、安全保障環境が厳しさを増す中、サイバー攻撃の脅威などのリスクや諸外国との装備品等の共同開発の進展に伴い、これまで以上に装備品等の情報管理の徹底が必要となっています。
したがって、今般、装備品等に関する情報を取り扱う契約事業者の従業者に対しても守秘義務を法定化した上で、故意に情報漏えいをした場合の罰則を設け、保全の強化を図ることとしたものであります。
次に、装備品等秘密を漏えいした場合の企業責任についてお尋ねがありました。
まず、本法律案において過失犯は刑事罰の対象としておりません。その上で、従来からの契約に違反した場合の事業者に対する違約金と、今般の故意の情報漏えいをした場合の従業者に対する刑事罰により、これまで以上の保全の強化が図れると考えております。
次に、企業撤退の懸念等についてお尋ねがありました。
従来から、契約事業者に対しては、各種の保全措置に加え、従業者への保全教育などを通じて、装備品等の情報については厳格な取扱いが必要なことが十分認識されており、引き続き事業者の方々へ丁寧な説明を行ってまいります。また、企業において防衛産業サイバーセキュリティ基準に対応するため、防衛装備庁において、昨年四月に相談窓口を設置し、企業からの御相談を受けるなど、各種助言等を行ってきたところであります。
引き続き、新規参入を含む企業において、その態様に応じたサイバーセキュリティー対策を円滑に行うことができるよう、適切に対応してまいります。
最後に、平和主義の理念に適合した基盤強化措置等の運用についてお尋ねがありました。
憲法の基本原則の一つである平和主義については、憲法前文においてその場に立つことを宣明にしたものであり、憲法第九条がその理念を具体化した規定であると解しております。
この法律案は、我が国の防衛に必要となる装備品等についてその適確な調達を行うため、装備品等の開発及びその生産のための基盤を強化するために必要な措置や制度を定めるものであり、これは憲法の平和主義に沿ったものであると考えております。
以上です。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/6
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007・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 金子道仁君。
〔金子道仁君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/7
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008・金子道仁
○金子道仁君 日本維新の会、金子道仁です。
私は、会派を代表して、防衛装備品開発生産基盤強化法案について御質問いたします。
冒頭、G7広島サミットに関連して質問します。
G7広島サミットでは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持、強化について、G7諸国の中で改めて共有ができたと思います。他方、オブザーバー参加したグローバルサウス諸国の中には、G7の場でウクライナ問題を議論することに疑問を呈したり、侵略行為による占領が続く中での即時停戦を訴えたりという、G7とは異なる意見もありました。
我が国は、今後、グローバルサウス諸国とどのような価値観を共有し、国際秩序の回復に向けたイニシアチブを取っていくのか、外務大臣の見解を伺います。
戦後七十八年が経過し、日本の安全保障を陰ながら支え続けてきた防衛産業は、現在非常に厳しい状況にあります。防衛装備品製造の国営企業を持たない我が国の防衛産業を担う民間企業は、海外市場をほぼ持たず、国内では欧米の巨大企業との技術、価格競争に直面しています。
国の安全保障を支えているという自負と気概を支えに収益性の低い装備品生産を継続してきましたが、その覚悟ももはや限界に来ており、防衛産業を担う民間企業の数は如実に減少し、我が国の自衛を支える基礎体力が急速に衰えていくことが危惧されています。我が国の防衛産業の現状と課題について、防衛大臣の見解を伺います。
次に、この法案の目的と従来の支援策への評価について伺います。
この法案の目的は、国際競争力の強化を含めた我が国の防衛生産・技術基盤の強化であると理解しますが、この目標は二〇一三年の国家安全保障戦略でも言及され、続く二〇一四年の防衛生産・技術基盤戦略にてその方針が示されています。この方針に基づいた過去十年間の防衛生産・技術基盤強化支援策について、防衛大臣はどのように評価しておられますか。
具体的には、過去三年間だけでも、飛行機の脱出用座席の製造企業、また操縦ディスプレーの製造企業が撤退するなど、我が国の防衛産業の現状は改善されていないと思いますが、こうした反省は今回の法案に反映されているのでしょうか。
防衛産業を取り巻く厳しい環境の一つに、レピュテーションリスクがあります。日本の社会の中に防衛産業に関わることへの抵抗感があり、防衛産業に関与していることを公表することがためらわれる、そのような雰囲気がいまだに残っています。他方で、先進的な防衛装備や先端技術は、軍民の境界が希薄であり、技術のデュアルユースが主流となっており、防衛生産の安定的発展のためには、高い技術を持つ民間企業と防衛産業との連携、また中小企業の新規参入の促進が重要です。
防衛産業に参画することへの垣根を取り除くため、防衛産業が我が国の安全保障に果たす意義の大きさについて広く国民に周知する努力を重ね、国民の理解促進を図るべきではないでしょうか。防衛大臣、お答えください。
防衛産業は、安全、安心な社会を支え続ける大切な産業の一つであるという認識が社会に広がることを願います。
防衛産業の基盤強化による防衛力の抜本的強化と並行して、我々立法府が検討すべきことは、シビリアンコントロールの実質的な強化です。抜本的に強化される防衛力を、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出のために適切に管理していくことが重要です。戦後七十八年が経過し、戦前戦中世代の方々がお亡くなりになる中で、戦争体験をしっかりと継承し、また戦後の諸先輩方が積み重ねた平和への努力をしっかり学んだ上で、難しい安全保障環境の中にあって平和をつくり出し、戦争を回避するという重責を我々世代は担わなければなりません。
我が国のシビリアンコントロール制度は、まず、憲法第六十六条にて、内閣総理大臣、国務大臣は文民でなければならないと規定し、また、自衛隊法第七十六条では、防衛のための自衛隊出動は国会の承認が必要と規定されています。しかし、シビリアンコントロールは、制度の存否だけで判断されるものではなく、民主的な手続によって選出された国会議員による統制がしっかり機能しているかどうかという運用実態により判断されるべきと考えます。
安全保障環境の悪化に対応して変化する防衛政策に対して、適切なシビリアンコントロールの在り方を議論し、適切な運用、特に国会によるチェック機能を強化すべきと考えますが、官房長官の見解をお伺いします。
本法案には、防衛装備品の移転円滑化措置として規定が設けられています。防衛装備品の移転の推進については、国家安全保障戦略の中で、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出や国際法に違反する侵略、武力行使、また武力による威嚇を受けている国への支援等の目的で、防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しについて検討すると記載されています。
防衛産業が我が国だけでなく国際社会の平和と安全に寄与しているという誇りと安心を持って生産活動に集中できるよう、生産される装備品の使用や海外移転については、これが真に平和と安全に寄与するために用いられるため、国としての責任ある管理が求められます。同戦略にも、防衛装備品移転の関連手続の透明性の確保等について十分に検討するとあります。国際協調主義に基づきアジア太平洋諸国を中心とする世界の平和と安定に積極的に貢献するため、運営指針の見直しは必要である一方、装備品の海外移転を拡大することと並行して、より透明で責任ある管理体制の強化が求められると考えます。
我が国は、米国より装備品を購入する際のFMS、有償援助手続では、売却額が一定金額以上の場合などは、装備品の詳細や移転の意義、理由を記載した証明書を大統領が議会に提出し、議会の議決を経て売却手続が進行します。我が国も同様に、防衛装備品の海外移転の判断手続に国会のチェック機能を加えるべきではないでしょうか。
従来の国家安全保障会議による審議、経産大臣による許可手続に加えて、新しい分野の装備品移転や一定金額以上の移転については国会の承認を行う、言わば日本版FMS制度の導入について、官房長官の見解をお伺いします。
二〇一四年の防衛生産・技術基盤戦略の中には、我が国に比較優位のある分野を育成し、欠落する分野を必要に応じて補完する、言わば選択と集中方針が示され、めり張りを付けた支援が示されています。他方で、今回の法案には、こうした選択と集中という方針は示されていません。第十八条で設置予定の装備移転円滑化基金については、補助金の支給対象とする装備品分野について、我が国に比較優位のある分野に限定し、補助金を集中投入すべきと考えますが、防衛大臣の見解をお聞かせください。
防衛装備品移転円滑化基金について、安全保障上の理由により国が装備品の仕様や性能変更を要望し、その費用を国が助成するという制度目的は理解します。他方で、全ての基金創設に際しては、支援を行う産業界の目指すべき将来像を描き、目標設定とスケジュールを明確にすべきです。我が国の厳しい財政状況の中で捻出する貴重な資金を投入するのであれば、限られた資金を短期間に集中投入して一気に産業の競争力を強化し、目標達成により基金を解散する、そのような立て付けとして補助金に依存しない産業育成を目指すべきと考えますが、防衛大臣の見解をお伺いします。
本法案は、装備品安定製造等確保計画の認定により、サプライチェーンの強靱化、製造工程の効率化、サイバーセキュリティーの強化等の施策に対して直接経費を払うという支援策が予定されています。この支援の前提となるのがサプライチェーンの調査と正確な把握ですが、現在、サプライチェーンの調査は努力義務とされ、約三割と言われるサプライチェーン調査の実態を踏まえると、実効性に疑問があります。装備品の安定製造等確保計画の認定要件として、サプライチェーンの調査の義務化を盛り込むべきではないでしょうか。防衛大臣の見解を伺います。
受動的に平和を享受できた時代から、平和維持のための積極的な行動が求められる時代に変化する中、平和をつくる者は幸いですという言葉を胸に、平和をつくるために忌憚なく議論していく決意を改めて表明し、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣浜田靖一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/8
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009・浜田靖一
○国務大臣(浜田靖一君) 金子道仁議員にお答えいたします。
初めに、我が国の防衛産業の現状と課題についてお尋ねがありました。
我が国の防衛産業については、昨年末作成した戦略三文書において、言わば防衛力そのものと位置付けています。他方で、防衛事業は、多大な経営資源の投入を必要とする一方で、その収益性が企業にとって調達制度上の水準より低い点や、販路が自衛隊に限られ事業としての魅力が乏しい点、供給途絶リスクなどの様々なリスクが課題として挙げられます。
次に、過去十年間の防衛生産・技術基盤強化の支援策についてお尋ねがありました。
防衛省はこれまで、防衛産業に対して、調達契約に係る様々な施策を講じ、必要な対価の支払や企業のインセンティブ向上に努めてきました。しかしながら、性能等への高度な要求への対応に伴う負担があることなどから、複数の企業が防衛事業から撤退するなど、防衛産業は引き続き非常に厳しい状況にあります。
今般、本法律に規定している措置は、企業の適正な利益を算定する仕組みと併せ、このような現状を改善するために不可欠であるとの考えから導入されたものであります。
次に、防衛産業のレピュテーションリスクについてお尋ねがありました。
防衛生産・技術基盤の強化の必要性については、戦略三文書や本法律案において繰り返し強調しているところです。加えて、私の記者会見や防衛問題セミナー等においても、我が国の防衛産業の重要性や優位性等について御説明するなど、広く国民の皆様に対して理解の促進を図っております。今後も、様々な機会を活用して積極的にアピールしてまいります。
次に、装備移転円滑化基金についてお尋ねがありました。
本法律案において設置予定の装備移転円滑化基金は、安全保障上の観点から適切な防衛装備の移転を行うに当たって、相手国との防衛協力の内容に応じ、移転する予定の装備品の仕様や性能の調整、変更に必要な資金を企業に対して助成するものであります。
今年度については、現在、我が国が諸外国から引き合いを受けている艦艇、航空機、レーダー等、装備移転の具体的案件を積み上げ、予算計上をしております。
次に、防衛産業が目指すべき将来像についてお尋ねがありました。
防衛産業が、補助に頼らず、自律的な発展をしていく必要があるというのは御指摘のとおりであります。一方で、防衛産業は、さきに述べたとおりの課題があり、一般民間企業と比較しても極めて特殊な状況に置かれてきたことも事実であります。そのため、防衛産業の魅力化に向け、今回の法律案を始め様々な取組が必要となります。
また、本法律案に基づき策定する予定の基本方針においても、今後の防衛産業の在り方を踏まえた基盤の強化の方向性をしっかりとお示ししていきたいと考えています。
最後に、サプライチェーン調査についてお尋ねがありました。
サプライチェーン調査については、本法律により、調査の根拠や政府の守秘義務が法律に明記されることで、企業が安心して回答できる環境が整い、協力を推進する、促進すると考えています。さらに、調査に回答した企業が本法律案に基づく様々な取組の対象となり得ることも回答の動機付けとなります。
以上、このような点について周知し、調査の実効性が確保できるよう努めてまいりたいと思います。
以上です。(拍手)
〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/9
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010・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 金子道仁議員にお答えします。
国際秩序の回復に向けたグローバルサウス諸国との取組についてお尋ねがありました。
ロシアによるウクライナ侵略が国際秩序の根幹を揺るがす中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化が一層重要になっています。そのためには、グローバルサウスとも呼ばれる国々を始めとする国際パートナーを含む国際社会の幅広い支持と関与が不可欠です。
このような考えに基づき、G7広島サミットでも、二十一日にグローバルサウスを中心とする招待国首脳やウクライナのゼレンスキー大統領の参加を得て開催したセッションにおいて、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くことなどについて見解の一致を見ました。
引き続き、このような取組をしっかりと行っていくとともに、こうした広島サミットの成果を今次サミットの招待国も多く参加する九月のG20ニューデリー・サミットや十二月の日・ASEAN特別首脳会議にもつなげていくことで、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化に取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣松野博一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/10
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011・松野博一
○国務大臣(松野博一君) 金子道仁議員にお答えいたします。
シビリアンコントロールについてお尋ねがありました。
我が国では、国会、内閣、防衛省の各レベルで厳格なシビリアンコントロールの制度を採用しております。国民を代表する国会による法律、予算等を通じたコントロールが重要であることは言うまでもなく、厳しく複雑な安全保障環境に直面する中においても、引き続きこうした制度を厳格に運用していくことが重要であると考えています。
防衛装備移転の制度の見直しについてお尋ねがありました。
国家安全保障戦略に記載しているとおり、防衛装備品の海外への移転は、特にインド太平洋地域における平和と安定のために、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出や、国際法に違反する侵略を受けている国への支援などのための重要な政策的な手段となります。
防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しの具体的な内容については何ら決まっていませんが、こうした観点から今後議論を進めてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/11
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012・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 榛葉賀津也君。
〔榛葉賀津也君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/12
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013・榛葉賀津也
○榛葉賀津也君 私は、国民民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました防衛基盤強化法に対し、防衛大臣に質問します。
米中を軸とした現在の厳しい安全保障環境をかつての米ソ冷戦になぞらえて新たな冷戦と表現することがありますが、日本にとってそれは当たらないと思います。我が国を取り巻く現状は、冷戦などという生易しいものではないからです。
米ソの冷戦時代に北朝鮮のミサイルが日本の上空を飛来したことなど一度たりともなく、北朝鮮は弾道ミサイルも核兵器も持っていませんでした。冷戦時代、中国による尖閣諸島への領海侵犯は一度もなく、我が国のEEZ内に弾道ミサイルを撃ち込むなどということも皆無でした。冷たい戦争ではなく、本当の戦争の危機が我々の目前に迫りつつあることを自覚しなければなりません。中国、ロシア、北朝鮮といった日本の隣国に位置する権威主義国家が、むき出しの力で一方的に世界の秩序を変えようとしているのです。
米ソ冷戦当時、ソ連の経済は米国の半分以下でしたが、今や中国経済は米国に肩を並べつつあり、米中逆転さえ視野に入っています。巨大な経済力をバックに急速に軍事力を増強させ、米国をしのぐ軍隊を持つという明確な国家目標を掲げています。
米国は、オバマ大統領時代に、アメリカはもはや世界の警察官ではないと宣言し、その役割を降りました。トランプ大統領は、米国が維持してきた、アジアとヨーロッパ、東西二つの敵と戦って同時に勝つという二正面作戦を放棄し、一正面作戦に切り替えました。バイデン大統領は、もはや一つの正面でもアメリカ単独では対処できないと明言しています。憲法九条の下で、米国に依存して日本の安全を確保するという時代は完全に終わっているのです。
自分の国は自分で守るという国民民主党の政策の柱は、独立国家の最低限の意思表示です。にもかかわらず、その当たり前がいまだにできていないのが日本であり、その原因の一つが、国防に対する危機感と緊張感が希薄で、現実から目を背けている我々立法府自身にあることを自覚しなくてはなりません。
国家国民の平和を守る最後のとりでが防衛省・自衛隊です。浜田防衛大臣は、自衛隊の任務遂行に必要な防衛装備品の製造などを担う防衛産業はまさに防衛力そのものだと発言されました。大臣、そのとおりです。しかし、その自衛隊の基盤となる防衛産業が深刻なレピュテーションリスクにさらされています。防衛産業は、一部で死の商人などと評され、産業界において正当な評価を受けていませんでした。防衛産業に対する社会的評価は自衛隊に対する評価そのものです。
防衛産業の位置付けを明確化して、国における防衛産業の重要性と、防衛産業なくして日本の国防なしという認識を周知する必要があると考えますが、大臣の見解をお伺いします。
また、各企業内においても、防衛部門は売上規模や利益率の低さから社内での発言力が弱く、新たな事業展開が困難な上に、対中国ビジネスなどにおいて阻害要因となっているなど、内部的なレピュテーションリスクへの対応も極めて重要です。それゆえに、本法案にある基盤強化に関する基本方針が極めて重要であり、この基本方針が明確かつ具体的で防衛産業側に寄り添ったものでなくてはならないと思いますが、どのような基本方針を考えるのか、大臣の説明を求めます。
本法案は、防衛省にとって初めての産業支援法であり、各方面が固唾をのんで見守っています。防衛産業は裾野が広く、防衛省と直接契約するサプライヤーの下には、F2戦闘機で千百社、一〇戦車で千三百社、護衛艦で八千三百社の下請企業があり、その多くが町工場を含む中小零細企業です。
基本方針は、大手のプライム企業だけではなく、これら中小零細企業にも十分配慮したものにすべきと考えますが、大臣の認識をお伺いします。
本来、防衛産業では、平均、通常八%ほどの利益を見込んで契約をしていますが、契約後の原材料や電気代などの高騰で、実際の利益率は二%程度しかない例が多発しています。これでは経営が成り立つわけがありません。持続可能な産業基盤を維持するためにも、法律とは別に、企業との契約価格の算定基準を物づくりの側に立って改めるべきと考えますが、大臣の見解を求めます。
次に、サプライチェーンについてお伺いします。
自分の国は自分で守るという原点に回帰すれば、輸入依存度の高い部品を国産に切り替えたり、外国による輸出禁止や海峡封鎖といった輸入途絶事態を想定し、サプライチェーンを強化しておくことこそが重要です。本法案では、サプライチェーンリスクを防衛省が直接把握するために、任意ではなく法律をもって厳格に調査できるようになりました。しかし、企業に求め得るのは回答の努力義務だけであり、これでリスクが本当に回避できるのかとの疑問の声もあります。
調査の結果、セキュリティーが不十分であったり海外のリスクがある事業者と判明した際には、調達先に変更命令を出せるようにするなど、実効性のある制度にすべきと考えますが、大臣の見解を求めます。
次に、基盤強化の措置についてお伺いします。
本法案では、製造工程の効率化やサイバーセキュリティーの強化など、防衛装備品等の製造に資する企業の取組について、サプライヤーも含め、国が経費を直接的に支払うことが可能になります。極めて有用な措置であるという評価の一方で、この救済措置が企業の固定化や新規参入を阻害しないのかとの懸念の声もありますが、大臣の認識をお伺いします。
防衛省は当初、経費を直接支払うやり方以外に、サイバー防衛の強化など具体策を講じた企業に対し減税制度を盛り込もうとしましたが、財務省との折衝で断念したとの報道がありました。極めて残念であります。集めた税金を使う側ではなく、働いて税金を納める側に立ったインセンティブが大事だと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。
本法案の目指すものは、言うまでもなく、国を守るための基盤の強化です。その基盤で最も大切なもの、それは人です。各幕を支える装備の要である防衛装備庁の職員は、防衛生産・技術基盤の強化、装備品の研究開発、プロジェクト管理を通じた装備品の効率的な取得や装備品の調達実務など、防衛装備行政を全般担い、昼夜を問わず職務に励んでいます。しかし、新たに策定された防衛力整備計画の具現化や本法案に基づく施策の着実な実施、さらには政府全体の経済安全保障の取組に協力、連携していくためには、防衛装備庁の約一千九百人の体制では人員が余りにも足りません。定員、実員を大幅に増やす体制強化が必要だと思いますが、大臣の認識をお伺いします。
最後に、現在、国防の最先端で汗をかく若い自衛官である士の充足率は、八割を切ってしまいました。極めて深刻な状況です。産業界と内局が努力をして立派な装備を確保し、基盤を強化しても、それを運用する自衛官がおろそかにされては本末転倒です。自衛官の給与、再就職先の確保、部隊での生活環境の改善こそ急務です。自らの命を賭してでも国家国民を守ると服務の宣誓をした自衛官の身分と尊厳を憲法と法律で明確にし、守ることこそが我々国会の職責であることを強く訴え、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣浜田靖一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/13
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014・浜田靖一
○国務大臣(浜田靖一君) 榛葉賀津也議員にお答えいたします。
初めに、防衛産業の重要性の周知や基本方針についてお尋ねがありました。
我が国の防衛産業は、言わば国の防衛力そのものです。この産業基盤の強化の必要性については、戦略三文書や本法律案において繰り返し強調しているところです。加えて、私の記者会見等でも説明するなど、広く国民の皆様に対して理解の促進を図っておりますが、今後も様々な機会を通じて積極的にアピールしてまいります。
また、基本方針には、御指摘のとおり、防衛産業に寄り添いながら、基盤強化の基本的な方向性をしっかりと記載していくことを考えております。
次に、基本方針は中小零細企業にも十分配慮すべきとのお尋ねがありました。
御指摘のとおり、防衛装備品等の多くは、防衛省と直接契約を行うプライム企業のみならず、その下に広がる中小企業を中心とした多くの関連企業に支えられています。
本法律案の目的でもある防衛装備品の安定的な製造を確保するためにはサプライチェーン全体を強化していくことが必要であり、このような認識に基づき、中小零細企業を含むサプライチェーン全体を対象として基本方針を策定する考えであります。
次に、利益率の算定方式についてお尋ねがありました。
防衛省が予定価格を算出する際に付与する利益率は、契約履行中のコスト上昇や各種スケジュールの遅延、仕様未達による手戻り等が発生し、必ずしも手元に残らないという声もあると認識をしております。そのため、今般、コスト上昇等の要因を取り除くべく、予算要求や契約、調達の在り方等を是正する事務次官通達を昨年末に発出し、取組を徹底しているところであります。加えて、原価計算方式の利益率の算定方式を改め、QCD評価を導入して五%から一〇%の間で利益率を算定するとともに、コスト変動調整率を一%から五%付与することで、企業の努力に応じた適正な利益率の算定を通じ、防衛事業の魅力化を図ることとしております。
次に、サプライチェーンリスクの実効性確保についてお尋ねがありました。
本法律案により、サプライチェーン調査の根拠や政府の守秘義務が法律に明記されることで、企業が安心して回答できる環境が整い、協力の推進が期待されます。加えて、本法律は、認定制度の下でサプライチェーンリスク対処に要する経費を防衛省が支払うことができるようにするものであり、企業がサプライチェーン対策に実施する動機付けとなります。これにより、サプライチェーンリスク対処の実効性を確保していきたいと考えています。
次に、防衛産業における企業の固定化、新規参入阻害についてお尋ねがありました。
本法律案による基盤強化の措置は、リスクを解消しつつ、装備品等の安定的な製造等の確保に寄与するために必要不可欠な限度で実施され、また、新規参入事業者がサイバーセキュリティー強化や事業承継等をする場合、際にも適用があり、新規参入も促進するものであります。
このため、基盤強化と関係なく企業を固定化することや、新規参入を阻害することはないと考えております。
次に、サイバーセキュリティー体制強化に対する減税措置についてお尋ねがありました。
我が国の防衛産業に対する不正アクセスやサイバー攻撃の脅威に対応するため、サイバーセキュリティー体制の構築が急務です。
防衛省は、企業の対策に対して、法案に基づく措置のほか、対策経費の装備品等の調達契約の中で支払うものや、防衛装備庁による官民共用のクラウドの整備などの措置を用意しています。
防衛省としては、こうした手段を組み合わせて対応することで企業の態様に応じてサイバーセキュリティー対策を進める所存ですが、御指摘の減税措置を始め追加的な措置については、今後の措置の実施状況を踏まえ、その必要性を含め不断に検討してまいります。
最後に、施策の実施に係る体制強化についてお尋ねがありました。
防衛装備庁は、防衛力の抜本的強化のために必要な予算の執行や、法案に基づく防衛生産・技術基盤の強化、研究開発、プロジェクト管理、経済安全保障の取組などにしっかりと取り組んでまいります。そのために必要な人員については、昨年度、今年度と連続で二桁台の人員増をお認めいただいたところですが、引き続き、必要に応じ人員を確保してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/14
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015・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 山添拓君。
〔山添拓君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/15
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016・山添拓
○山添拓君 日本共産党を代表し、防衛装備品基盤強化法案、すなわち軍需産業支援法案について質問します。
岸田政権は、安保三文書に基づき憲法違反の敵基地攻撃能力保有を解禁し、長射程ミサイルの開発や量産など、五年で四十三兆円もの大軍拡を進めようとしています。本法案は、軍需産業を防衛力そのものと位置付け、生産・技術基盤を強化する、大軍拡実施法の一つにほかなりません。
三文書の改定に向けて政府が設置した有識者会議の報告書は、軍需産業について、政府だけが買手である構造から脱却し、海外に市場を広げ、国内企業が成長産業としての防衛部門に積極的に投資する環境をつくることが必要と唱え、防衛力整備計画は、武器輸出について、販路拡大を通じた防衛産業の成長性の確保にも効果的であるなどとしています。
政府は、軍需産業を成長産業にしたいのですか。国内軍需産業の販路開拓のために武器輸出を拡大していくつもりですか。
二〇一六年一月七日の参院本会議で、当時の安倍総理は、武器輸出を国家戦略として推進するといったことは全く考えておりませんと答弁しました。ところが、国家安全保障戦略は、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出などといい、官民一体の武器輸出を文字どおり国家戦略としています。安倍氏の答弁を百八十度転換するものではありませんか。そもそも海外で兵器を売り歩くことが、どうして我が国にとって望ましい安全保障環境の創出に結び付くのですか。
二〇一四年に閣議決定された防衛装備移転三原則とその運用指針は、輸出の対象を救難や輸送など五分野に限定し、殺傷能力のある兵器については、米国など安全保障で協力する国との共同開発や生産に限っています。
一方、与党間では、殺傷能力のある兵器を含めて輸出範囲を拡大する協議が行われています。本法案で支援する武器輸出も、三原則の運用が変われば、それに応じて内容が変わるのではありませんか。与党協議中を理由に答弁を拒み、採決後に大幅に拡大しようとするのは、国会審議を愚弄するものであり、許されません。
以上、防衛大臣の答弁を求めます。
自民党の昨年四月の提言は、ウクライナを例に挙げ、国際法違反の侵略を受けている国に幅広い分野の装備を渡せるよう政府に検討を求めました。しかし、日経新聞の二月の世論調査では、ウクライナに武器を提供する必要はないとの回答が七六%に上っています。
来日したゼレンスキー大統領が期待を述べたのは、戦後復興における日本の技術でした。岸田総理自身、三月にウクライナを訪問した際、日本ならではの支援を続けると表明しています。憲法九条を持つ日本は、国際紛争の助長を回避する立場で、あくまでも非軍事の人道、復興支援に徹するべきです。答弁を求めます。
政府は、長年、武器輸出を禁止してきました。外務省のホームページには、現在も、武器の輸出については、平和国家としての我が国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため慎重に対応してきたと掲げています。これが政府の従来の認識だったのではありませんか。
軍需産業を守るためといい、平和国家の立場も国是というべき武器輸出禁止もないがしろにするのは本末転倒ではありませんか。
以上、外務大臣の答弁を求めます。
本法案は、自衛隊の任務遂行に不可欠な兵器を製造する企業が製造ラインの強化や事業譲渡を行う場合、政府がその費用を直接負担することとしています。任務遂行に不可欠かどうかは、いかなる基準で判断するのですか。自衛隊のあらゆる装備が任務遂行に不可欠となりかねないのではありませんか。また、補助金や助成金ではなく全額政府が負担するのはなぜですか。
兵器や部品の製造企業への貸付けについて、政策金融公庫が配慮することとしています。どのような融資条件を想定しているのですか。通常の中小企業融資を受けられないような場合であっても配慮するという意味ですか。なぜ軍需産業だけは特別扱いで融資の配慮を求めるのですか。
様々な支援の手を打っても手段がない場合、国が製造ライン等を買い取る国有化の仕組みまで盛り込まれています。戦前、戦中の工廠、国営軍需工場の復活につながるとの批判をどう受け止めますか。
国有化した製造ライン等は別の企業に譲渡するといいます。しかし、そもそも事業譲渡による買手が付かなかった場合に次のステップとして認められるのが国有化であり、簡単に譲渡先が見付かるとは思えません。いつまで国有を続けるのか期限はありますか。管理運営を行う企業が仮に現れたとしても、長期にわたり国有民営の状態が続きかねません。赤字の兵器製造ラインを国がいつまでも保有し続けるのですか。お答えください。
背任、天下り、談合、水増し請求、さらには不祥事による指名停止中の受注など、防衛省と軍需産業による不正は枚挙にいとまがありません。
旧防衛施設庁が、職員とそのOBらの主導で天下りの受入れ具合を考慮して有利な発注を行う官製談合事件を起こし廃止されたのは二〇〇七年のことです。官民の癒着が厳しく批判されたのを受け、公共調達の適正化に関する財務大臣通達が出され、防衛調達も、真にやむを得ないものを除き一般競争入札など競争性のある方式によることとされました。この経過を大臣はお忘れですか。
防衛省はその後一転して随意契約を拡大、二〇一五年には、日本経団連が防衛産業政策の実行に向けた提言で随意契約の活用を求め、防衛省もその期待に応じてきました。
本法案は、競争入札どころか、特定の兵器製造企業を政府が直接支援し、場合によっては施設を国有化した上で特定の企業に管理運営を委ねようとするものであり、官民の癒着が構造的に懸念されます。汚職や腐敗を繰り返す危険は従来以上に高まるのではありませんか。
本法案は、防衛省と契約する企業やその下請企業の従業員に秘密保全義務を課し、漏えいした場合は一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金を科す規定を設けます。現在でも、契約上の秘密保持義務を負わせ、違反に対して違約金が予定されています。防衛省は何件の違反事例を確認していますか。それはどのようなケースでしたか。契約上の義務では足りず、刑事罰の対象となる法律上の義務とするのはなぜですか。
本法案は、防衛大臣が指定する秘密を取り扱う従業員の氏名、役職その他の防衛大臣が定める事項について、防衛大臣に報告する義務を定めています。防衛大臣が定める事項とは何ですか。病歴や信用状態、思想や交友関係などを経営者にチェックさせ、報告を求めるなら、プライバシーの侵害ではありませんか。報告事項の回答に応じない従業員について、解雇や配置転換、賃下げなど、労働者に不利益が及ぶことはないと断言できますか。
以上、防衛大臣の答弁を求めます。
安保三文書と本法案は、企業にも従業員にも軍需産業への一層の適応を求め、それに応じる場合には至れり尽くせりの支援メニューを用意し、空前の大軍拡で莫大な利益を保証しようとするものです。
一方、今年度予算では、中小企業予算や農業予算が連続して削減されました。社会保障費も削られ、国立病院や年金の積立金まで軍事費に充てられようとしています。国防は最大の福祉などと言う与党議員がおりましたが、暮らしの予算を削り軍事費に充てるのは言語道断です。
政治が行うべきは、戦争を起こさせないために平和外交を尽くすことです。軍事に軍事で対抗し、経済と産業までゆがめるなど断じて許されないことを指摘し、質問といたします。(拍手)
〔国務大臣浜田靖一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/16
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017・浜田靖一
○国務大臣(浜田靖一君) 山添拓議員にお答えいたします。
初めに、防衛装備移転の推進についてお尋ねがありました。
まず、御指摘の二〇一六年一月七日の参議院本会議における安倍元総理の答弁は、防衛装備移転の推進そのものを否定したものではないと考えております。
また、防衛力整備計画にあるとおり、防衛装備移転は、あくまで防衛産業の成長性の確保にも効果的ということであり、防衛産業を成長産業にし、販路を開拓するために推進するものではありません。
その上で、国家安全保障戦略に記載のとおり、防衛装備移転は、特にインド太平洋地域における平和と安定のために、力による一方的な現状変更を抑止して、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出等のための重要な政策的な手段となると考えております。
次に、防衛装備移転三原則等の見直しについてお尋ねがありました。
防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しに係る具体的な内容については何ら決まっておらず、予断を持ってお答えすることは困難であります。
その上で、我が国の政策については、国民の皆様の御理解を得ることは重要であると考えており、国会における質疑などを通じて適切に説明してまいります。
次に、政府による財政上の措置についてお尋ねがありました。
任務遂行に不可欠かどうかは、それが欠けることで自衛隊が任務を遂行するのに支障が生じるかどうかで判断することを想定しています。防衛省が直接負担する費用は防衛装備品の安定的な製造に必要な経費を支払うものであり、政府が負担することが適切です。
次に、日本政策金融公庫による貸付けの配慮についてお尋ねがありました。
防衛産業は、我が国の言わば防衛力のそのものであり、その事業が安定的に行われることが必要であることから、今般、防衛省は、金融面からの支援策を講じることとしております。
日本政策金融公庫における配慮は、この政策の趣旨を踏まえ、特に中小・小規模事業者に寄り添った丁寧な対応を取られるよう規定したものであり、防衛産業の特有の長期資金の需要に応える融資制度の創設についても公庫や関係当局と議論しているところです。
次に、国による製造施設等の保有についてお尋ねがありました。
国が取得するのは製造施設、土地、整備に限られており、当該施設で装備品を製造する事業主体はあくまで民間企業です。従業員の確保や管理も民間企業が自身で行う必要があり、民間企業そのものを国有化するわけではなく、御指摘は当たりません。
また、製造施設等の国による保有に係る年限は本法律で規定しておりませんが、取得して、製造施設等について、国は早期譲渡に努めることとしており、民間の事業者が自ら製造施設等を保有して製造等が行われるよう、様々な取組を通じ、防衛事業の魅力化を図ってまいります。
次に、公共調達適正化に係る入札についてお尋ねがありました。
公共調達については、競争性及び透明性を確保することが必要であり、国民から不適切な調達を行っているのではないかとの疑念をいただかれることがあってはならないため、平成十八年に財務大臣より各省庁に対して、公共調達の適正化に関する通知が発出されています。その中で、原則として一般競争入札による調達を行うものとするとされた上で、競争性及び透明性を担保するなどして、契約相手方が一者に限られた場合には随意契約も認められており、防衛省においてもこの通知にのっとった調達を実施しています。
次に、法案が汚職や腐敗を引き起こすとのお尋ねがありました。
防衛省は、御指摘の公共調達適正化に関する通知を含む法令にのっとった適正な調達実施をしており、今後もそのように実施していくことは当然です。
今般、本法律案は、我が国防衛を全うするために力強く持続可能な防衛産業の構築が不可欠であるとの考えから策定されたものです。規定されている施策は、競争力の前提となる公平性、公正性に配慮しつつ実施する所存であり、同時に、予算審議等を通じた国会の関与や実施状況の開示も確保されています。そのため、汚職や腐敗の危険が高まるとの御指摘は当たりません。
次に、装備品等秘密の罰則についてお尋ねがありました。
近年、安全保障環境が厳しさを増す中、サイバー攻撃の脅威などのリスクや諸外国との装備品等の共同開発の進展に伴い、これまで以上に装備品等の情報管理の徹底が必要となっています。
したがって、今般、装備品等に関する情報を取り扱う契約事業者の従業者に対しても守秘義務を法定化した上で、故意に情報を漏えいした場合の罰則を設け、保全の強化を図ることとしたものです。
なお、情報漏えいに対する違約金については、これまで対象となった事業者はございません。
最後に、従業者情報の確認についてお尋ねがありました。
現在、契約事業者からは、防衛省との契約に基づいて秘密を取り扱う従業者の氏名、生年月日、所属する部署、役職といった情報を提出いただいているところであります。今回の法案においては、この枠組みを踏まえつつ、装備品等秘密を取り扱う業務に就く前に必ず従業者本人から同意をいただくこととしており、個人の権利を尊重して対応してまいります。(拍手)
〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/17
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018・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 山添拓議員にお答えをいたします。
日本のウクライナ支援についてお尋ねがありました。
日本は、ロシアによる侵略開始直後から、ウクライナ及び周辺国等に対して、人道、財政、食料、復旧復興の分野で総額七十六億ドルの支援を表明し、着実に実施してきております。G7広島サミットの機会に行われたゼレンスキー大統領との首脳会談においても、岸田総理大臣から、表明済みの支援を着実に実施していく旨述べ、ゼレンスキー大統領からも深甚なる謝意が示されたところであります。
長期的な復旧復興支援については、今後もウクライナ側のニーズを踏まえ、日本の持つ経験や知見を活用していくことが重要です。地雷対策、瓦れき除去、電力等の生活再建、農業、民主主義、ガバナンス強化等の分野で、機材供与を含む日本らしいきめの細かい支援をできるだけ迅速に行っていく考えです。
次に、防衛装備移転についてお尋ねがありました。
武器輸出三原則等では、平和国家としての我が国の立場から、国際紛争等を助長することを回避するため、慎重に対処することを基本としていました。その結果、実質的には全ての地域に対して輸出を認めないこととなったため、政府は個別の必要性に応じて例外化措置を重ねてきました。
こうした中で、新たな安全保障環境に適合するよう、それまでの例外化の経緯を踏まえ、包括的に整理をし、二〇一四年に防衛装備移転三原則を定めました。その中でも、平和国家としての基本理念は引き続き堅持していくこととしています。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/18
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019・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/19
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020・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第一 放送法及び電波法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。総務委員長河野義博君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔河野義博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/20
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021・河野義博
○河野義博君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、近年の放送を取り巻く環境の変化を踏まえ、基幹放送事業者が事業運営の効率化を図りつつ放送の社会的役割を果たしていくことを将来にわたって確保するため、複数の地上基幹放送事業者による中継局の共同利用、複数の放送対象地域における放送番組の同一化等の柔軟な事業運営を可能とする措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、ローカル局の経営状況と役割、放送番組同一化における地域性の確保、中継局の共同利用の在り方、放送法第四条と憲法第二十一条との整合性などについて質疑が行われました。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して伊藤岳委員より反対する旨の意見が述べられました。
討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/21
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022・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/22
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023・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/23
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024・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第二 遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長山下雄平君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔山下雄平君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/24
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025・山下雄平
○山下雄平君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
本法律案は、遊漁船業者の登録制度の厳格化等により、遊漁船業の安全性の向上を図るほか、地域の水産業との調和に寄与する協議会制度を創設しようとするものであります。
委員会におきましては、厳格化した登録制度の運用、安全運航確保の取組、協議会の運営等について質疑が行われました。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/25
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026・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/26
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027・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/27
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028・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第三 日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長高橋克法君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔高橋克法君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/28
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029・高橋克法
○高橋克法君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、日本語教育の適正かつ確実な実施を図り、我が国に居住する外国人が日常生活及び社会生活を国民とともに円滑に営むことができる環境の整備に寄与するため、日本語教育機関のうち一定の要件を満たすものを認定する制度を創設するとともに、当該認定を受けた日本語教育機関において日本語教育を行う者の資格について定めようとするものであります。
委員会におきましては、現行の法務省告示校制度の課題、日本語教師の処遇改善の必要性、外国にルーツを持つ子供に対する日本語教育の充実策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の吉良委員、れいわ新選組の舩後委員より、それぞれ反対の意見が述べられました。
討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/29
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030・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/30
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031・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02620230526/31
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