1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年五月三十一日(水曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十七号
令和五年五月三十一日
午前十時開議
第一 国立健康危機管理研究機構法案(内閣提
出、衆議院送付)
第二 国立健康危機管理研究機構法の施行に伴
う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
第三 孤独・孤立対策推進法案(内閣提出、衆
議院送付)
第四 道路整備特別措置法及び独立行政法人日
本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第五 脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制
の確立を図るための電気事業法等の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、国土審議会委員の選挙
一、国家公務員等の任命に関する件
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/0
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001・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
この際、欠員中の国土審議会委員一名の選挙を行います。
つきましては、本選挙は、その手続を省略し、議長において指名することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/1
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002・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。
よって、議長は、国土審議会委員に森本真治君を指名いたします。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/2
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003・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
内閣から、情報公開・個人情報保護審査会委員に野田崇君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
これより採決をいたします。
内閣申出のとおり同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/3
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004・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 総員起立と認めます。
よって、全会一致をもって同意することに決しました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/4
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005・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第一 国立健康危機管理研究機構法案
日程第二 国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長山田宏君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔山田宏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/5
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006・山田宏
○山田宏君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、国立健康危機管理研究機構法案は、感染症その他の疾患に関し、調査研究、医療の提供、人材の養成等を行うとともに、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症の発生及び蔓延時において疫学調査から臨床研究までを総合的に実施し科学的知見を提供できる体制の強化を図るため、国立感染症研究所と国立研究開発法人国立国際医療研究センターを統合し、国立健康危機管理研究機構を設立しようとするものであります。
次に、国立健康危機管理研究機構法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案は、国立健康危機管理研究機構法の施行に伴い、関係法律について、所要の規定の整備を行おうとするものであります。
委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合する必要性、国立健康危機管理研究機構による科学的知見の提供の在り方、地方衛生研究所等の体制強化に向けた取組等について質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民を代表して川田龍平理事より両法律案に反対、日本共産党を代表して倉林明子委員より両法律案に反対、れいわ新選組を代表して天畠大輔委員より両法律案に反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
討論を終局し、順次採決の結果、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、両法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/6
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007・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより両案を一括して採決いたします。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/7
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008・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、両案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/8
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009・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第三 孤独・孤立対策推進法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長古賀友一郎君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔古賀友一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/9
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010・古賀友一郎
○古賀友一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、近時における社会の変化を踏まえ、孤独、孤立の状態にある方への支援等、孤独・孤立対策の推進を図るため、その基本理念、国等の責務、施策の基本事項、孤独・孤立対策推進本部の設置等について定めようとするものであります。
委員会におきましては、孤独・孤立対策地域協議会の在り方、NPO、社会福祉協議会及び民生委員、児童委員等への支援、地方公共団体との連携、子供や高齢者の孤独、孤立への対応策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
また、審査に先立ち、孤独・孤立対策に取り組むNPOの視察を行いました。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、れいわ新選組の大島委員より反対の旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/10
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011・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/11
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012・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/12
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013・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第四 道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長蓮舫君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔蓮舫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/13
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014・蓮舫
○蓮舫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
本法律案は、高速道路その他の料金を徴収する道路の適正な管理及び機能の強化を図るため、高速道路の料金の徴収期間の満了の日の延長、道路の通行等に係る料金徴収の対象の明確化、高速道路において通行者等の利便の確保に資する施設と一体的に整備する自動車駐車場に係る貸付制度の創設等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、料金徴収期限を五十年延長することの妥当性、追加する事業の優先順位や事業評価に対する考え方、今後の高速道路整備と料金制度の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して田村智子委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/14
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015・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/15
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016・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/16
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017・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第五 脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長吉川沙織君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔吉川沙織君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/17
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018・吉川沙織
○吉川沙織君 ただいま議題となりました脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、我が国における脱炭素社会の実現に向けて、非化石エネルギー源の利用の促進を図りつつ電気の安定供給を確保するため、電気の安定供給の確保等の観点から発電用原子炉の運転期間を定めるとともに、その設置者に対し、長期間運転する発電用原子炉施設に関する技術的な評価の実施及び管理計画の作成を義務付けるほか、使用済燃料再処理機構の業務への廃炉の推進に関する業務の追加、再生可能エネルギー発電事業計画の認定の取消しに伴う交付金の返還命令の創設その他の規律の強化等の措置を講ずるなど、五法律について改正を行おうとするものであります。
なお、衆議院におきまして、原子力基本法に関し、国民の原子力発電に対する信頼を確保し、理解を得るために必要な取組を推進する国の責務について、国民の例示に電力の大消費地である都市の住民を加え、また、国民の理解と協力を得るために必要な取組を推進する責務とするとともに、附則の規定により改正の施行後五年以内に政府が行う検討の対象に、原子力規制委員会による発電用原子炉の設置の許可等に係る審査の効率化及び審査体制の充実を含めた発電用原子炉施設の安全の確保のための規制の在り方等を追加する修正が行われております。
委員会におきましては、茨城県の日本原子力発電東海発電所及び東海第二発電所の視察を行ったほか、環境委員会及び内閣委員会とそれぞれ連合審査会を行うとともに、参考人から意見を聴取し、さらに、岸田内閣総理大臣の出席を求め、質疑を行いました。
委員会及び各連合審査会における主な質疑の内容は、本法律案を束ね法案として提出したことの是非、原子力行政における規制と利用の分離を徹底する必要性、省令への包括委任規定の是非を含む原子力発電所の運転期間の規律の在り方、高経年化した原子力発電所の安全性確保の方策、原子力規制委員会における審査業務の効率化及び体制強化の必要性、原子力基本法を改正する理由、再エネ導入拡大と事業規律強化に向けた取組、系統整備の意義と費用負担の考え方等でありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民を代表して村田享子委員より反対、国民民主党・新緑風会を代表して礒崎哲史委員より賛成、日本共産党を代表して岩渕友委員より反対の旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して十二項目から成る附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/18
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019・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。村田享子君。
〔村田享子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/19
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020・村田享子
○村田享子君 立憲民主・社民の村田享子です。
ただいま議題となりました脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論を行います。
今月十九日に大手電力七社からの規制料金の値上げ申請が経済産業省より認可され、六月の使用分から値上げが実施されます。物価高が続く中、国民にとって更なる負担となります。
また、私は、鉄鋼、造船、非鉄金属、建設等、いわゆる物づくり産業の労働組合出身でありますが、電力を多く消費する産業であるため、現下の電気料金の高騰は産業界にも大きな打撃を与えています。多くの仲間が現場で働いていますが、電気料金は原材料費と比べて製品への価格転嫁が難しく、賃上げにも影響を与えています。様々な方策を通じてこの電力状況を何とか改善していきたいと、私も強く思っています。
一方、本法案は原子力発電の六十年を超える運転を可能とする措置を講ずるものですが、現在の稼働年数を考えたとき、この法案が想定する事態を迎えるのは十年以上も先のことです。そうであるならば、今、法案を改正するのではなく、政府はもっと時間を掛けて議論し、国民に理解を求めるべきと考えます。
本法案は、福島第一原子力発電所事故以降の我が国の原子力政策を大きく転換するものですが、昨年七月のGX実行会議における岸田総理の指示をきっかけとして、僅か数か月で策定されたものです。事故によって厳しい経験をされた方々を含め、国民にとって余りに唐突な政策転換であります。岸田総理は、GX実行会議を始め百回以上政府内で議論を行ったと述べておられますが、政府内の議論の回数が重要なのではありません。国民に対してどれだけ真摯に、かつ丁寧な説明を行ったかが問われているのではないでしょうか。
原子力規制委員会においては、原子力発電所の六十年を超える運転を可能とすることについて、全会一致ではなく、反対する委員がいる中で決定され、委員から議論の進め方への疑問が呈されるという異例の事態となっており、扱うテーマの大きさに対して、熟議がなされて法案が提出されたとは言い難い状況となっています。
本法案の国会への提出においても、政府の対応は拙速であると言わざるを得ません。本法案は、法案の件名にも含まれる電気事業法だけでなく、原子炉等規制法、再処理法、再エネ特措法、そして原子力基本法という、論点も分野も所管省庁も異なる五本の法案を束ねて改正を行う、いわゆる束ね法案です。個々の法案について十分な審議の時間を確保できず、国会審議の形骸化を招来するとともに、国会議員の表決権を侵害しかねません。どの法律がどのように改正されるのかなど、国民に分かりづらく、適切な情報公開や国民への説明責任を果たすという観点からも問題があります。
また、運転期間延長の経済産業大臣による認可について、電気事業法改正案第二十七条二十九の二第八項で、「第二項から前項までに定めるもののほか、認可に関する申請の手続に関し必要な事項は、経済産業省令で定める。」としています。運転期間の認可という重要な規定は、国会における審議を経て法律の条文に明確に定められるべきものであり、このような省令への包括委任規定は、立法府の審議権を空洞化させるものであり、認めることはできません。
原子力発電所の運転期間の延長については、六十年を超えて延長することへの可否とともに、なぜ運転期間に関する規制を原子力規制委員会が所管する炉規法から経済産業省が所管する電気事業法に移すのか、経済産業委員会において議論となりました。
令和二年七月に、原子力規制委員会は、発電用原子炉施設の利用をどれくらいの期間認めることとするかは、原子力の利用の在り方に関する政策判断にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないとの見解を明らかにし、政府は、今回の法改正について、運転期間については利用政策であるから電気事業法に移行するとしています。
しかし、五月二十三日に本院で実施された経済産業委員会、環境委員会連合審査会において、西村GX実行推進担当大臣は、原子力規制委員会の審査に通らないと原子力発電所を運転できないという規制に加えて、運転期間の上限というダブルの規制を掛けていると答弁されており、これは、運転期間は安全規制ではなく利用政策であるとの説明と矛盾し、規制と利用の分離の徹底という点からも懸念があります。
また、原子力規制委員会の姿勢も、信頼に値するのかどうか、多くの疑義が指摘をされました。令和二年七月に見解を発表以降、二年以上も法的な整理を自ら行うことなく事態を放置し、昨年からのGX実行会議の議論の過程の中で経済産業省、資源エネルギー庁の主導において法改正が行われる結果となり、原子力の安全を担う組織としての主体性、矜持を全く感じません。加えて、運転開始から六十年を超えた原子炉の安全規制について、原子力規制委員会からは、追加点検の方向性だけ示された段階であり、具体的内容が決定されたわけではありません。
福島の事故を経験した我が国において、規制と利用の分離を徹底し、安全性を確保することは大前提です。今回の法案は、運転期間延長に関する規定について十分な議論があったとは言い難く、仮に成立となったとしても、原子力規制委員会はその役割をしっかりと果たせるのか、疑問は拭えません。
政府は、原子力発電の位置付けについて明確な方向性を長い間示してきませんでした。再生可能エネルギーの普及は主要国に後れを取っています。十年以上にわたる原子力政策の曖昧さは、立地地域の住民の方々を不安にし、また、原子力発電施設の製造や保守を行う物づくりの現場では、安全を確保するため、より高度な技術が求められますが、原子力産業での人材確保が難しく、技術の継承を妨げる結果となりました。今後、より多くの需要が見込まれる廃炉事業については、発電所の建設と比べて人材が集まりにくいという現状があり、人材育成は急務です。この間、進められてきた電力システム改革についても、その検証が求められています。
国民の暮らしを支え、産業の競争力を維持するには安全で安定した安価な電力が必要ですが、政府のエネルギー政策には多くの課題があることを指摘し、私の反対討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/20
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021・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 石井章君。
〔石井章君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/21
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022・石井章
○石井章君 日本維新の会、石井章です。
私は、会派を代表し、脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法案、いわゆるGX脱炭素電源法案について、賛成の立場から討論いたします。
私たち日本維新の会は、政府が本年二月にGX実現に向けた基本方針を閣議決定したことを受けて、三月九日に西村GX実行推進担当大臣に提言を手交いたしました。その中では、我が国を取り巻くエネルギー安定確保の状況が劇的に変化し、エネルギー自給率の向上に向けた取組がますます重要となってきている中、同時に、二〇三五年GX、G7合意や二〇五〇年のカーボンニュートラルを達成するためには原発を最大限利用していくこと、同時に、再生可能エネルギーの導入を一層スピード感を持って進めていくことが喫緊の課題であり、そのためには、国の責任ある対応や民間投資を呼び込む改革が不可欠であると申し上げてまいりました。
政府が提出した法案は、地域と共生した再エネの最大限の導入拡大を支援し、同時に、安全確保を大前提とした原子力の活用、廃炉の推進を実現するための法案となっており、我々の提言と基本的な考え方は基軸を一にするものであり、方向としてはおおむね賛同できるものでありました。
一方、我々が足らざると懸念した部分について、衆議院において修正案を提出し、修正可決されて、本院に送付することができました。共に知恵を絞ってくださった国民民主党、そして有志の会、そして修正協議に対応してくださった政府・与党各位の皆様方に敬意と感謝を申し上げます。
修正事項は、具体的には、国の責務の明確化に関して、国が理解を得るべき国民の例示に電力の大消費地である都市の住民を加えたこと、また、政府が五年以内に行う検討の対象に、原子力規制委員会による審査の効率化及び審査体制の充実を含めた安全確保のための規制の在り方等を追加したということであります。
これまで、我が国の原子力利用は、原発立地地域の電力安定供給に対する理解として、その協力の下で進められてまいりました。しかし、高レベルの放射性廃棄物の最終処分や、ALPS処理水の取扱いを始めとした原子力に係る課題について、原発立地地域のみならず、電力の大消費地である東京、大阪などの都市の住民を含めた国民全体の理解と協力を得ることが重要であります。原発立地地域以外の地域における人ごと感をなくしていくことに一石を投じる修正案を実現することができたと考えております。
原子力規制委員会は、今後、原発炉設置者が三十年を超えて運営しようとする際に作成する長期施設管理計画の認可を行うこととなりますが、規制委員会の業務が増大する中にあっても、原発設置許可等の審査に遅れが生ずることは、電力の安定供給の観点からも避けなければなりません。原子力規制委員会の審査の効率化や審査体制の充実について、政府としてもしっかり俎上に上げて検討すべきことを条文に明記できたことは大変大きい意義だと考えております。
本院における審議において、EUが導入する予定の炭素国境調整措置については、日本企業への影響を把握し、日本の製品等に不適切な形で負担が賦課されないようEUとの対話をしっかり行っていくこと、発送電、所有権の分離や発販分離に関して、公正で安定的な電力取引を実現するための仕組みの構築等について検討を進め、適切な対応を行っていくこと、規制委員会において規制基準の更なる具体化や表現の改善を行うことなど、我が党の質問に対して総理から前向きな答弁も多々ありました。
特に、規制委員会の審査の効率化については、昨今の原燃における審査においてもコミュニケーション不足に起因するものがいまだ多々散見され、六月からの電力会社による電気料金の値上げ、政府が現在実施している激変緩和のための支援措置が九月に終了することなどを考えれば、新安全基準をクリアしている原発の一刻も早い再稼働の実現のために早急に改善を図っていく必要があり、是非、政府にはスピード感を持って対応を行っていただきたいと、強くお願い申し上げます。
原発の安全対策と住民の避難計画はセットで考えることが、国民を守るという政治の責務です。高レベル放射性廃棄物の最終処分場確定を着実に進めるためには、期限を明示した工程表、それがうまく進まない場合のプランBの準備など、作成することが肝要であり、国が責任を持って処分場建設に取り組むためのルールを早急に策定すべきであると考えていることも併せて申し上げておきます。
私たち日本維新の会は、与党への反対のための反対を目的とせず、実体経済を踏まえた現実路線の政策提言を引き続き与党に対して行っていくことを申し上げ、賛成討論とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/22
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023・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 岩渕友君。
〔岩渕友君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/23
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024・岩渕友
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、原子力基本法、電気事業法、原子炉等規制法、再処理法、再エネ特措法を改定する原発推進五法案に断固反対の討論を行います。
東京電力福島第一原発事故から十二年余りがたった今も、事故も被害も終わっていません。
その多くが避難地域である浪江町津島地区の方は、春夏秋冬の移り変わりを体全体で感じることのできる津島の豊かな自然、年中行事を通じた地域の住民との交流、先祖代々受け継がれる歴史と文化の重み。津島の生活は厳しい面もありましたが、私にとって生きているという実感を日々感じることのできる場所と、ふるさとへの思いを語っています。原発事故はこの大切な場所を今も奪い続けていることを忘れてはなりません。
本法案は、もう二度と自分たちと同じ思いをする人をつくりたくないという被害者の思いも、原発事故の教訓も踏みにじり、原発回帰の政策に大転換するもので、断じて許されません。
反対理由の第一は、エネルギーの安定供給と脱炭素を口実に、原発を最大限活用し、その利用を将来にわたり固定化、永続化するものだからです。
原子力基本法の改定は、基本法に細目にわたって条文を追加する異例のものであり、その内容も極めて重大です。国の責務を新設し、原発を電源の選択肢として活用し続けるとしています。
電力会社には、原発の安定的な利用を図る観点から、本法案で電気事業法に定める六十年を超える原発の運転期間のルールに従わなければならないことまで義務付けています。
さらに、国が取るべき基本的施策を新設し、原子力産業の安定的な事業環境の整備や原発技術の維持と開発の促進などを行うとしていますが、これは大手電力会社と日本原子力産業協会など原発利益共同体の要求を丸のみしたものです。本法案の目的が、エネルギーの安定供給でも脱炭素でもなく、原子力産業を保護する政策だということを示しているものにほかなりません。
しかも、法改定に向けて内閣府と資源エネルギー庁との面談が重ねられ、内閣府の担当者が経済産業省に籍を置く出向者であることも明らかになりました。原発を推進する側の経産省が主導して法改定が行われたのではないかという疑念は、昨日の高市大臣の答弁によって、いよいよ深まったと言わざるを得ません。
反対理由の第二は、原発事故の反省と教訓から生まれた原発の運転期間を四十年とする原則を投げ捨て、推進と規制の分離を踏みにじるものだからです。
国会事故調の報告書は、原発事故の根源的な原因を、規制する立場とされる立場の逆転関係が起き、規制当局が電気事業者のとりことなっていた、いわゆる規制のとりこの構造があったことだとしています。ところが、本法案は、運転期間の定めを、原子力規制委員会が所管する原子炉等規制法から経産省が所管する電気事業法に移すとしています。
原発事故があったことを背景に、国民的な議論を経て原発の運転期間が安全規制として導入され、四十年と定められました。総理が運転期間の制限は安全性の観点から設けられたと答弁しているにもかかわらず、山中規制委員長は、運転期間は安全規制ではないという誤った答弁を繰り返していることは、議論の前提を崩すものです。
さらに、原発の停止期間を運転期間から除くことができるとして、六十年、七十年を超えても運転可能となる仕組みとします。停止期間を運転期間から除くことは、大手電力会社や原子炉メーカーなどが会員となっている原子力エネルギー協議会、ATENAなどが求めてきました。規制委員会はこの要求を時計の針は止めないとはねつけてきましたが、本法案はこの要求を丸ごと受け入れたものであり、新たな規制のとりこ、安全神話の復活ともいうべきものです。
経産大臣が停止期間を運転期間から除く判断基準は、経産省に白紙委任されます。審査はブラックボックスであり、到底認められません。
しかも、法改定に当たっては、エネ庁と規制庁の面談が行われていました。昨年七月から規制庁のトップ五人が初めて経産省出身者で占められ、推進と規制の分離どころか、一体となってしまっていることも明らかになりました。
ほとんどの原発の原子炉圧力容器などの設計寿命は四十年であり、原発が停止している間も経年劣化は進み、安全上のリスクは増大します。政府は、規制委員会が運転開始三十年から十年ごとに設備の劣化に関する技術的評価を行うから大丈夫だと言いますが、これまでも行われている審査を法定化するだけです。それどころか、点検項目を減らすことができるなど、むしろ後退させるものであり、これでは到底老朽原発の事故の危険性を減らすことにはなりません。
反対理由の第三は、あらゆる選択肢を確保することが重要だとして原発を推進することが、省エネと再生可能エネルギーの大量導入を妨げるものになるからです。
ほぼ一〇〇%輸入に頼っている化石燃料の価格高騰が、電気料金の大幅な値上げを招いています。エネルギーの安定供給と自給率向上に大きな力を発揮するのが再エネです。本法案では、地域と共生する再エネの最大限の導入拡大支援を掲げながら、稼働していない、完成もしていない原発で送電線の利用枠を押さえる原発空押さえのルールを温存していることが、出力抑制という形で再エネが発電した電気を活用できないという事態を招いています。これほどの愚策はありません。送電網の利用ルールを原発最優先から再エネ最優先に抜本的に変えるべきです。
国連IPCCの最新の報告書では、CO2の排出を削減する効果について、再エネと原発を比較すると、太陽光と風力の効果が圧倒的に大きく、コストが安いのに対し、原発はコストが高い上に効果が小さいことが示されています。さらに、報告書は、今のペースで温室効果ガスを排出し続ければ二〇三〇年に排出限度に達すると警告しており、もはや一刻の猶予もありません。
先日、院内で行われた集会で発言した大学生は、GX基本方針について、原発や化石燃料の使用を長引かせ、再エネの導入を妨げる中途半端な見せかけの気候変動対策だと感じる、気候変動の被害に既に苦しんでいる人の声、将来世代の声に耳を傾けてほしいと訴えました。
こうした声を聞くべきであり、原発と石炭火力に固執し、そのツケを将来世代に回すことはやめるべきです。被害者の声を聞くべきだと求められた福島での地方公聴会も開かず、国民的な議論もないままに本法案を強行することは断じて許されません。
国民の願い、世界の流れは、原発からの撤退であり、石炭火力発電の全廃と徹底した省エネ、再エネの大量導入です。原発ゼロを決断し、再エネ最優先への転換を強く求め、反対討論とします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/24
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025・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 礒崎哲史君。
〔礒崎哲史君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/25
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026・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史です。
会派を代表し、ただいま議題となりましたいわゆるGX脱炭素電源法案に賛成の立場から討論を行います。
以下、賛成する理由を述べます。
まず前提として、新型コロナの収束に伴い、世界的にエネルギー需要が回復していること、OPECプラスの減産が続いていること、ロシアのウクライナ侵攻により、世界各国が脱ロシア依存やエネルギー確保を進めていること、円安が続いていることなどにより、我が国のエネルギー価格が高止まりし、国民の負担は引き続き高いままとなっていることを再認識する必要があります。
一方、日本政府として掲げた二〇五〇年カーボンニュートラルは国際公約であり、気候変動問題への対応は人類共通の課題となっている中、脱炭素化に向けた取組は待ったなしであることは周知の事実です。
それを受けて、本年二月にまとめられたGX実現に向けた基本方針では、オイルショック以来のエネルギー危機とも言える状況の中、安定的かつ安価なエネルギー供給が最優先課題であること、そして、脱炭素効果の高い電源を最大限活用することを確認しています。加えて、GXの実現を通して、新たな市場、需要を創出しながら産業競争力を強化し、経済成長にもつなげていくことを確認しています。
国民民主党としては、こうした方向性には賛同するとともに、それに資する対応として、再エネ導入拡大に向けた新制度による系統整備促進や現行の再エネ設備の更新、増設の促進、原子力の利用と規制の責任を明確にした上での規制ルールの厳格化、加えて、原発廃炉に向けた制度の具体化と国の責任の強化は、それぞれ適切な法整備であるものと考えます。
以上が本法案に賛成する理由でありますが、その具体的な手法や工程については、まだまだ深掘りをした議論が不足していると考えます。
今回の法案は、多くの重要法案を束ねて提出したことから、多くの重要な論点について深掘りをした徹底審議を行うことができずに、ひいては国民の皆様に丁寧に説明する機会を逸したことに大きな問題があったと考えます。こうした政府の強引な進め方に改めて遺憾の意を表するとともに、せめて再エネに関わる法改正と原発に関わる法改正部分を分けて審議すべきであったことは、改めて申し上げたいと思います。
そうした観点から、以下、深掘りした審議をすべきだったと思われる論点の一部を挙げることで、残りの討論に代えたいと思います。
まずは、再生可能エネルギーの系統強化における課題です。
大都市を中心に電力需給の逼迫が引き続き起こり得ることを考えれば、再生可能エネルギーの増強が見込まれる地域からの系統強化は必要なことと考えますが、いわゆる地産地消による分散電源やEVを使ったビークル・ツー・ホーム等、蓄電源の利用も想定すると、この度のマスタープランで示した規模の系統設備は必要ないのではないかとの考え方もあります。この点は、今回の法改正をもって将来的な工程まで決め切るのではなく、断続的な検討を加えていく必要があります。
次に、再エネ導入拡大に向けた課題についてです。
現状では、太陽光パネルや風力発電の技術などを海外事業者から調達することになります。とりわけ、太陽光パネルの輸入に占める約八割は中国製であり、経済安全保障上の観点からも問題があります。本来は、再生可能エネルギーをできるだけ国産化すべきです。我が国が資源、技術共に強みを持つペロブスカイト太陽電池等の研究開発の加速化や、地熱の活用、ジオエンジニアリングの研究開発支援も重要です。再生可能エネルギー普及のために国富を流出してきた状況から脱するためにも、この点について議論を深める必要があります。
次に、原発の運転期間の上限規定に関わる科学的、技術的根拠についてです。
今回の規定は、従来の四十年、六十年の数字を踏襲するという事実上の政治判断によるものでしたが、後世に引き継ぐには余りに曖昧な判断基準です。延長判断を利用側に置くのであれば、本来は、科学的、技術的な根拠を政府として示すべきであり、根拠が見出せないのであれば、上限をなくすということも逆にあり得るからです。
翻って、高経年化の安全規制については省令レベルから法律に格上げされ、これまで四十年に一回だけだった規制委員会の許可が三十年目に早まる上に、以降、最長でも十年ごとに認可が必要になったことで規制が厳格化されたことはなかなか世間に伝わっておらず、政府は説明する機会がしっかりと設けられなかったこと、大いに反省すべきです。
次に、原発のリプレースの問題です。
国民民主党は、既存原発の次世代軽水炉や小型モジュール炉、SMRなどへの建て替えを政策として示しています。いわゆる次世代革新炉は安全性が高まることから、脱炭素化と中長期の安定的なエネルギー供給体制を構築する上で急がれる課題と考えますが、今般、政府として推進にかじを切ったにもかかわらず、今回の法案審議では余り議論が深まりませんでした。
さらには、バックエンド、いわゆる廃炉及び最終処分に向けた技術者の人材育成についてです。
今回、NuROを通じた廃炉に向けた制度を整備することとなりましたが、今後、中長期にわたって既存原発の運営、保守管理、廃炉、最終処分を行っていくのは現場で働く技術者の方々です。とりわけ、超長期的に取組がされていくバックエンドについては、必要な人材の確保、技術の維持強化、そして安心して働く環境整備が不可欠であり、その責任は、事業者はもとより、政府も負うべきです。
また、バックエンド事業が着実に進むように、規制や作業管理の在り方について、諸外国の事例等も踏まえて、リスクレベルに応じた解体作業が可能となるよう検討を進めていく必要があります。
電力システム改革、中でも電力の完全自由化の総括の必要性について申し上げます。
電力システム改革は、電力の安定供給の確保、電気料金の上昇の抑制、そして需要家の選択肢の拡大と事業者へのビジネスチャンスの創出を目的に実施してきましたが、現在においても当初の目的のいずれもが実現されていません。
帝国データバンクによれば、完全自由化以降、二〇二一年四月までに登録のあった新電力会社七百六社のうち、二〇二三年三月二十四日時点では、百九十五社が倒産や廃業、又は電力事業の契約停止や撤退に追い込まれました。参考人質疑においても、自由化とFITの導入を並行して行ったことでゆがんだ市場の状態をつくり出したとの見解がありました。電力システム改革が与えた影響と課題を検証し、実効性のある取組を早急に進めることが必要と考えます。
最後に、需要サイドでの省エネの促進についてです。
今回の法案では直接の対象となっておらず、前回のGX推進法で、推進していくとだけ言及されている程度ですが、省エネ施策のいかんによっては今後の電源構成にも大きく影響することから、大変重要な課題です。にもかかわらず、この点はほとんど議論されなかったことにも今回の束ね法案の問題の一端があります。
また、この点は、温室効果ガス排出に占める電力の割合は四割にすぎないということも改めて認識すべきであり、需要サイドのあらゆる分野でいかに改革を実施できるかが鍵となると考えています。
以上、GX実現に向けてはまだまだ多くの課題についての議論が必要であることを指摘し、国民民主党は、正直で、偏らない、現実的な政治を実践していくことを改めて申し上げ、討論といたします。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/26
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027・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/27
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028・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/28
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029・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午前十時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02720230531/29
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