1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年六月五日(月曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十九号
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令和五年六月五日
午前十時 本会議
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第一 デジタル社会の形成を図るための規制改
革を推進するためのデジタル社会形成基本法
等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一
一、情報監視審査会の調査及び審査の報告
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/0
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001・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
日程第一 デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
本案について提出者の趣旨説明を求めます。河野太郎国務大臣。
〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/1
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002・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
国民がデジタルを活用したより良いサービスを享受できる社会を実現するためには、経済社会の仕組みをデジタル時代に合ったものにつくり直していく必要があります。
このため、デジタル臨時行政調査会を立ち上げ、二〇二四年六月までにアナログ規制を一掃することとしております。
この法律案は、デジタル臨時行政調査会におけるこれまでの検討等を踏まえ、デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するために必要な法律上の措置を講ずるものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、情報通信技術の効果的な活用のための規制の見直しを、デジタル社会の形成に関する施策の策定に係る基本方針として位置付けることとしております。あわせて、行政機関等における情報通信技術の効果的な活用や、いわゆるテクノロジーマップなどの規制の見直しに資する情報の公表及び活用について定めることとしております。
第二に、フロッピーディスク等の記録媒体を提出することとされている申請等の行政手続について、オンラインにより行うことができるようにすることとしております。
第三に、特定の場所における書面の掲示を求めているいわゆる書面掲示規制について、その内容をインターネットを利用して公衆の閲覧に供しなければならないこととする等の措置を講じ、いつでもどこでも必要な情報を確認できるようにすることで、利便性や安心、安全の向上を図ることとしております。
なお、この法律は、一部を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
以上、この法律案の趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/2
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003・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。岸真紀子君。
〔岸真紀子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/3
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004・岸真紀子
○岸真紀子君 立憲民主・社民の岸真紀子です。
会派を代表し、ただいま議題となりましたデジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案について質問します。
冒頭、一言申し上げます。
六月二日の参議院本会議で成立したマイナンバー法等改正案は、参議院の審議が四月二十八日の本会議から始まり、私もこの場で代表質問を行いました。その時点では、三月末にマイナンバーカードでのコンビニ交付の誤発行といったトラブルはあったものの、河野大臣の記者会見では問題ないとしており、今となっては問題が矮小化されていたことに気付くことができなかったという自責の念があります。
ところが、五月に入ってからは次から次へとこの間のトラブルが明るみとなり、問題だらけとなりました。マイナ保険証に至っては他人がひも付けられている事象が数多く発覚し、個人情報漏えいと命に関わる重大な問題であるにもかかわらず、岸田政権は法案の取下げや修正もせず、二〇二四年秋の健康保険証廃止を含む法改正を推し進めました。国民の不安が払拭されない中での一方的な押し付けに断固抗議します。総点検を終えるまでマイナ保険証の運用を中止することと健康保険証の廃止時期の見送りを強く求め、質問に入ります。
スマホやタブレットの普及が進み、インターネット情報は身近な存在となっています。例えば、言葉の意味を調べたいとき、昔は辞書を開いて調べていましたが、今はネット検索で迅速かつ簡単に情報を入手することが可能です。これは、デジタル化の恩恵と感じながらも、果たしてネット上で得た情報が正確なのか不安に感じることも多く、そして、信頼できる情報か否かは分かりにくくなっています。特に、社会経験が少ない子供は影響を受けやすいことが指摘されており、児童が動画投稿サイトを見て、バナナを三百本食べると死ぬといった情報を信じているという記事が先日も掲載されていました。
この背景には、正確性よりも個人の興味や関心に合わせた情報で注目を集め広告収入を得るアテンションエコノミーや、自分が欲しい情報ばかりが集まり、逆に欲しくない情報は遮断されてしまうフィルターバブル、そして、SNSや動画サイトといった場で、同じ趣味、考えの人とフィルターが掛けられた空間で同様の意見が反響し合い、結果として偏った考えが増幅していくエコーチェンバー現象といったインターネット情報に特徴的な問題があります。
各企業の努力としてエコーチェンバーによるフェイクニュースの拡散や断絶の防止対策が行われつつあるものの、政府としての対策は必要です。国民の皆さんが安心して利用できるデジタル社会の形成に向け、政府がどのようにインターネット情報の信頼性の向上を図っていくのか、情報通信を担当する松本総務大臣、デジタル社会の形成を担当する河野大臣に伺います。
最近、毎日のように報道で取り上げられている生成AIについて伺います。
昨年十一月に対話型AIが公開されて以降、生成AIの急速な普及が進んでいます。生成AIは、インターネット上の文章や画像、音声などの分析結果を基に人間が作ったようなコンテンツを創出することから、利活用が期待される反面、個人情報の不適切な収集や誤情報の拡散、著作権の保護、監視や差別につながるとの懸念といった課題も指摘されています。AIを使いながらも健全に社会を発展させていくには、一定のルール作りが必要です。広島サミットでは、生成AIに関し、担当閣僚による広島AIプロセスを設け、国際的なルール作りを進めることで合意しています。
政府は、生成AIに伴う様々な課題にどのような認識をお持ちなのか、今後どのような規制等の整備を行う予定があるのか、高市科学技術政策担当大臣に伺います。
また、G7では広島AIプロセスがスタートし、経済協力開発機構においても国際的な政策指針、AI原則を見直す検討に入ったとの報道がありますが、日本政府としてどのように意見を反映していくのか、具体戦略も併せて松本大臣にお答え願います。
二〇二〇年の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、我が国の経済社会活動が書面、押印、対面を前提にしており、テレワーク環境も整っていなかったことなどが浮き彫りになり、政府はデジタル化の遅れを取り戻すために各種施策を進めています。
デジタル化により人手不足の解消や新しい産業の創出が期待される一方、雇用が失われることはないのでしょうか。また、幾ら研修機会があったとしても、全員が全員デジタル人材となることは難しく、労働移動が公正なルールに基づいて行われるのか懸念があります。デジタル化の推進に伴っての公正な労働移動に関する政府のお考えを河野大臣に伺います。
本法律案は、デジタル規制改革を国の基本方針に位置付け、テクノロジーマップの公表などを措置すること、行政機関等における情報の公表にデジタル技術を活用すること、さらには、フロッピーディスクなどを用いる申請等の手続をオンラインにより行うことができるようにすることなど、関係法律の所要の規定の整備を行うものとなっています。
政府は、このような改革により、生産性向上や人手不足の解消などの効果が期待されるとしています。しかし、本年一月、国土交通省近畿地方整備局の河川監視カメラが不正アクセスを受け、カメラの運用が停止される事案が発生しました。カメラが勝手に操作されれば、豪雨時の情報提供に支障が生じるおそれがあったかもしれませんし、逆にフェイクニュースを流されてパニックに陥ることも想定されました。
デジタル庁は本事案にどのような対応を行ったのか、また、国の行政機関においてマルウエアが仕組まれた場合を想定した対処方法はあるのか、未然に防止するためにはどのように取り組むのか、河野大臣並びにサイバーセキュリティーを担う谷担当大臣に伺います。
地方自治体においても同様の懸念はあります。地方自治体のデジタル化に伴うサイバーセキュリティー対策はどうするのか、松本大臣に伺います。
定期検査や点検規制のデジタル化に当たっては、あくまでも安全性を確保する手法としてのデジタル技術であるということを忘れてはなりません。例えば、そのシステムが正しく稼働しているのか否かを確認するのは人であり、最終的な判断をするにしても人的技術力の向上は欠かせません。
デジタル技術を過信せず、人的な技術力の向上の必要性という認識を河野大臣はお持ちなのか、見解を伺います。
デジタル技術を活用した点検は、災害時での活用に役立つツールと考えます。近年、突発的な集中豪雨による自然災害が全国各地で発生していますが、そういった場合に、林道の被害状況や急斜面などにより人が立ち入れない箇所を、上空からのドローンを活用することによって、二次災害というリスクを下げることができ、かつ短時間で撮影することもでき、災害状況を見る、撮ることができるツールとなります。災害状況をいち早く把握することは復旧の迅速化にもつながることから、災害時は、林道などにおいて、ドローンを目視できる状態になくても、周りに人がいないなど安全が確認できれば使用できるようにしてほしいといった市町村長の生の声もあります。これは航空法の管轄で、本法律案の外の要望事項ではあるものの、デジタル技術の効果的な活用に向けての地方自治体からの要望として、まずは自由闊達な意見を集約し、更なるデジタル活用の進展を図ることも必要ではないでしょうか。河野大臣の見解を伺います。
本法律案では、事業所等における書面掲示が義務付けられているものに関し、利用者保護や利便性、デジタルデバイドに配慮して、従来の書面掲示義務も維持しつつ、同様のものをインターネットにより公衆の閲覧に供するとしています。例えば、郵便法の一部改正により、日本郵便株式会社は郵便約款その他総務省令で定める事項をインターネットにより閲覧に供する義務が追加されますが、既に公式サイトに掲載されているので新たな負担は生じないと思われます。
しかし、本法律案によって、インターネット掲載が義務付けられる事業者の中には業務や費用といった新たな負担が生じる場合がありますが、これは事業者の負担となるのでしょうか。国の支援策はあるのか、新たに義務付けられる事業者はいつまでに整備しなければならないのか、事業者に対する周知広報の方法も含め、具体的に河野大臣にお答え願います。
本法律案では、古物営業法や水先法、質屋営業法など個別法の改正によって、標識や料金等の掲示についてデジタル対応が義務付けられることとなります。事業の規模が著しく小さい場合、その他の省令等で定める場合にはデジタル対応を義務付けしないこととしていますが、事業の規模が著しく小さい場合とはどのような事業者が想定され、その他省令等で定める場合というのはどのような場合を想定しているのでしょうか。適用除外となる中小零細事業者の範囲はいつまでに決定し、どのように周知徹底を図るのか、河野大臣に伺います。あわせて、事業者にデジタル化の強制とならないよう配慮が必要と考えますが、見解を伺います。
本法律案は、国や地方自治体が私人に通知等を行うに当たり、所在不明である場合等に、一定期間、当該機関の掲示場等に書面を掲示することにより、その者に送達したものとみなす制度である公示送達のデジタル化を促すものとなっています。このことにより、これまでは掲示場に出向かなければ確認できなかったものが、インターネットを活用し、いつでもどこでも閲覧が可能になります。
一方で、市役所庁舎の前に設置されている掲示板とは違って、行政機関における公式サイト上では情報量が非常に多く、どこの行政機関も見付けやすいサイトとはなっていません。各省庁が利用者にとって利便性の高いサイトとするための支援が必要と考えますが、デジタル庁の関与方法を河野大臣に伺います。
本法律案により、インターネットを利用できる人にとっては、知りたい情報を入手したり、オンライン手続ができるようになることは利便性や業務の効率化につながるメリットがあります。しかし、デジタル技術を過信し過ぎてしまうと、例えば国のシステムでインシデントが起きてしまったときに対応の遅れが生じてしまう可能性も否定できません。インシデントが起こらないようにすることはもちろんではありますが、起きたときの責任の所在はどこになるのか、マイナンバーカードの一連のトラブルのようにたらい回しにならないのか、デジタル庁が責任を持って対応するという理解でよいか、河野大臣に最後にお伺いし、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/4
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005・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) まず、インターネット情報の信頼性向上についてお尋ねがありました。
政府としては、御指摘のインターネット上の情報の信頼性向上を図るため、総務省を始めとする関係省庁において取組が行われているものと承知しております。デジタル庁としても、安全、安心で便利なデジタル社会を実現するため、今年度改定予定のデジタル社会の実現に向けた重点計画においてこれらの取組をしっかりと位置付けつつ、効果的な広報活動や情報発信に取り組むことを検討しております。
次に、デジタル化に伴う雇用への影響についてのお尋ねがありました。
デジタル化の進展により企業の生産性や産業競争力の向上などがもたらされるものであり、御指摘の雇用に関する懸念については、リスキリングを強化するとともに、デジタル化による新産業の創出により雇用の拡大を目指してまいります。拡大した労働市場において産業構造の変化を踏まえた労働移動が円滑に行われるため、希望する労働者がスキルアップできるための研修等の機会や就職支援が十分に設けられることが重要と考えております。
次に、国土交通省の監視カメラに係る事案に対するデジタル庁の対応及びマルウエアへの対応方法についてのお尋ねがありました。
情報セキュリティーインシデントについては、デジタル庁を含め、情報システムを整備、運用する各行政機関において責任を持って対応することとなっています。その際、政府統一基準を作成するNISCを中心に、デジタル庁を含めた情報システムを運用する行政機関が連携して対応することとしています。
御指摘の河川監視カメラについては、国土交通省が整備、運用しており、国土交通省において、NISCと連携して適切に対応されたものと承知しております。
次に、人的な技術力の向上の必要性についてのお尋ねがありました。
定期点検等に関するアナログ規制の見直しは、デジタル技術が活用可能になるよう現行法令を技術中立的にしていくものですが、人が点検等を行う場合と同等の安全性が確保できるよう、必要に応じて技術検証を実施することとしています。
新たな技術を導入する上では、それらを実際に使う方々のスキルの確保も重要と考えており、技術検証を行う際に現場の方々にとっての有用性についても十分に考慮していくとともに、関係省庁と連携し、デジタル人材のスキル向上にも努めてまいります。
次に、地方自治体の意見の集約についてのお尋ねがありました。
地方自治体におけるデジタル技術の活用の推進に当たっては、自治体の意見をしっかりとお聞きすることが重要であると考えております。デジタル庁では、国と地方の双方向のコミュニケーションの場としてデジタル改革共創プラットフォームを設け、日常的に自治体職員との意見交換や先行事例の共有を行っており、こうした場などを通じて丁寧に自治体の意見をお聞きしているところです。
引き続き、自治体からの意見も踏まえ、自治体向けのマニュアルの改定やテクノロジーマップの整備を進めるなど、関係省庁とも連携し、必要な取組を行ってまいります。
次に、書面掲示規制の見直しについてのお尋ねがありました。
今回の改正によるインターネット掲載は事業者において取り組んでいただくこととなりますが、デジタル化への対応に係る各種支援措置についても情報提供が適切に行われるよう、関係省庁と連携して対応してまいります。対応困難な一部の零細事業者に対する適用除外の基準については、事業者の負担にも配慮しつつ、従業員数など事業規模等の観点から、各規制の趣旨や対象業界の実情を踏まえて各規制所管省庁の省令において明確化することとしています。
この見直しについては、本法案の公布後一年以内に施行することとしており、円滑な施行に向けて、必要に応じて各規制所管省庁において運用に関するガイドラインを整備するなど、事業者に対して十分な周知が行われるよう、所管省庁と連携して対応してまいります。
次に、公示送達のデジタル化についてのお尋ねがありました。
インターネットにより公示送達を行う際のウェブサイトの在り方については、送達を受けるべき方が必要な情報に適切にアクセスできるよう、規制所管省庁と連携して対応してまいります。
各省庁のウェブサイトの利便性の向上については、デジタル庁ウェブサイトの構築、機能改善を通じて得られた知見を各省庁と共有し、必要な支援を行ってまいります。
最後に、インシデントが起きたときの責任の所在についてのお尋ねがありました。
マイナンバーカード関連サービスの誤登録等の事案に関しては、国民の皆様に不安を与えていることは申し訳なく思います。
総理指示の下、デジタル庁が中心となり、関係府省等が一丸となって国民の皆様の不安解消への万全の対策を迅速かつ徹底して講じてまいります。
また、情報セキュリティーインシデントについては、デジタル庁を含め、情報システムを運用する各行政機関において責任を持って対応することとなっています。その際、政府統一基準を作成するNISCを中心に、デジタル庁を含めた情報システムを運用する行政機関が連携して対応することとしています。(拍手)
〔国務大臣松本剛明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/5
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006・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 岸議員からの御質問に御答弁申し上げます。
まず、インターネット情報の信頼性向上について御答弁申し上げます。
インターネットを含め、情報空間におきましては表現の自由が守られなければなりませんが、偽情報は違法、有害であり得まして、情報の信頼性向上は重要であり、プラットフォーム事業者による自主的な取組が大切であると認識しております。
総務省としては、有識者会議において、プラットフォーム事業者による偽情報の削除等の取組をモニタリングし、結果を公表することにより透明性の確保を図っております。また、情報の受け手側の対策として、偽情報に関する啓発教育教材の開発等のICTリテラシー向上にも、関係企業、省庁と連携して取り組んでおります。
次に、G7広島AIプロセスに日本政府としての意見を反映する方策について御質問いただきました。
生成AIをめぐる諸課題については、我が国が議長国を務めたG7広島サミットにおいて、広島AIプロセスとして、担当閣僚の下で速やかに議論を進め、本年中にG7首脳に結果を報告することとなりました。
早速、五月三十日に、議長国の立場から、実務者レベルによる第一回G7作業部会を開催いたしました。OECDなどの協力も得つつ、また政府のAI戦略会議での議論も踏まえ、G7の議論を我が国が主導してまいります。
最後に、地方自治体のサイバーセキュリティー対策について御質問いただきました。
総務省では、セキュリティー対策の動向を踏まえ、地方自治体のセキュリティーポリシーガイドラインの改定を行っております。また、人材育成のため、自治体職員を対象に、実践的サイバー防御演習、CYDERを実施するとともに、都道府県が市町村支援のために確保するデジタル人材に要する経費について、本年度から特別交付税措置を講じたところでございます。
地方自治体のサイバーセキュリティー能力の強化と併せて自治体のシステム標準化を進めているところであり、自治体DXに向け、地方自治体と更に連携を深めてまいります。(拍手)
〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/6
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007・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 岸真紀子議員から、生成AIに伴う課題、今後の規制についてお尋ねがありました。
昨今の生成AIの技術革新については、様々な利点をもたらす一方で、例えば、セキュリティーの問題、知的財産権の侵害、機密情報の流出や偽情報の大量流布など、新たな課題が生じるとの見方もございます。
生成AIに関する規制については、諸外国において推進又は規制のいずれか一辺倒というわけではなく、各国の事情に応じて適切なバランスを模索していると承知しております。
こうした中、生成AIに関する課題は多岐にわたることから、政府としては、技術のみならず、法制度、倫理などの幅広い有識者により構成されるAI戦略会議を開催するなどして検討を進めております。
生成AIに関する規制等の整備につきましては、まさしく検討中のため、現時点ではお答えできる段階にはありませんが、政府としては、G7においても主導的な役割を発揮しつつ、様々な懸念や課題への対応を検討してまいります。(拍手)
〔国務大臣谷公一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/7
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008・谷公一
○国務大臣(谷公一君) 岸真紀子議員より、国の行政機関のサイバーセキュリティー対策について御質問いただきました。
政府においては、サイバーセキュリティ基本法に基づき、各政府機関がセキュリティー水準を一定以上に保つための政府統一基準を策定しており、これに基づき、各政府機関は、それぞれの業務、取り扱う情報及び保有する情報システムの特性等を踏まえた上でセキュリティー対策を講じているところです。
政府統一基準では、議員御指摘のネットワークなどのIoT機器の利用時の対策として、初期設定されているパスワード等の変更や、マルウエア感染による被害を未然に防止するため、想定される感染経路に不正プログラム対策ソフトウエアを導入するなどの対策を定めています。
また、政府機関等が参加するインシデント対処訓練においてマルウエア感染時のシナリオを取り上げるとともに、マルウエアによる影響の分析、解析や、必要に応じて被害のあった政府機関に対する支援ができるよう必要な体制を整備しているところです。
今後とも、各政府機関が継続的にサイバーセキュリティーに係る認識を高め、適切な対策が講じられるよう、注意喚起や情報提供を行うとともに、サイバー脅威の状況に応じて政府統一基準の見直しを行うなど、必要なセキュリティー対策の強化を図ってまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/8
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009・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 柳ヶ瀬裕文君。
〔柳ヶ瀬裕文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/9
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010・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文です。
私は、会派を代表して、デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
まず、アナログ規制の見直しについて伺います。
今回の法案は、デジタル技術の進展を踏まえ、その効果的な活用のために、約一万条項に及ぶアナログ規制を見直すこととしています。非効率で時代遅れとなったアナログ規制の撤廃には大いに賛同するものですが、規制の見直しにおいては、デジタル技術の活用に関するものにとどまらず、社会のデジタル化に伴い変革する各規制の在り方についてもしっかりと検討していく必要があります。デジタル規制改革が規制改革全般への大きな足掛かりとなることを期待しますが、そのためには、各府省庁が自ら規制に対する厳しい目を持つ必要があります。アナログ規制等の見直しを進めていく上で、デジタル庁と各府省庁の果たすべき役割について、河野デジタル大臣に見解を伺います。
次に、規制の見直しによる経済効果について伺います。
デジタル化は、効率化の観点から通常肯定的な評価を受けますが、その効果がどれほどであるかという定量的な把握も重要です。幾ら効果があっても、規制の見直しに当たってコストの方が高ければ意味がありません。
また、たとえコスト以上に効果が大きくても、そのことが定量的に分からなければ見直しは進んでいかないでしょう。規制を見直しデジタル化することの効果を定量的に把握し、見える化をすることは、国民がデジタル化の恩恵を理解することにつながり、デジタル化の進展に大きく寄与するものと思います。
今回の約一万件のアナログ規制の見直しが完了したらどれだけの経済効果を見込めるのか、また、費用対効果について見える化すること、今回の見直しが人手不足の解消等にどの程度寄与するのかなど効果検証を行うべきと考えますが、河野デジタル大臣の見解を伺います。
次に、書面掲示規制の見直しについて伺います。
今回の改正では、事業者は現行の事業所等での書面の掲示を維持した上で、掲示内容のインターネットによる閲覧を可能にすることも求められています。これでは、規制改革をうたいながら規制が追加されるという事態になるのではないでしょうか。デジタルデバイドへの配慮の観点から、利用者目線での措置とのことは一定程度は理解できるものですが、それが事業者に対し新たな負担を負わせるものであってはなりません。
書面の掲示を引き続き事業者に強いるのであれば、本改正の中で公示送達では認められている、事務所に設置したパソコン画面での表示による代替措置を認めるといった負担の軽減策が必要であると考えますが、河野デジタル大臣に見解を伺います。
また、対応困難な一部の零細事業者等については適用除外を措置するということですが、その対象については早急に明確化することが必要です。加えて、そもそもデジタルデバイドの存在ゆえにこのように余計な負担が生じていることを鑑みても、根本的にはデジタルデバイドそのものの解消への取組が必要ではないでしょうか。
適用除外対象の明確化、デジタルデバイドの解消について、河野デジタル大臣の見解を伺います。
次に、アナログ規制全般の見直し体制について伺います。
現在示されている工程表で全てのアナログ規制の排除ができたわけではありません。現在はアナログ規制と思われていないものが将来的にアナログ規制とみなされる可能性があることは、フロッピーディスクの例を見ても明らかです。
このように、アナログ規制の見直しというのはデジタル技術の進展を踏まえた不断の見直しが求められると思いますが、どのように取り組むのか、河野デジタル大臣に見解を伺います。
地方自治体のデジタル化について伺います。
地方自治体によるデジタル改革への取組には大きな温度差があります。地方の自主性を重んじることが重要であることに議論の余地はありませんが、地方自治体において散見される書面、押印、対面規制や上乗せ、横出し規制は、住民、利用者に不要かつ過度の負担を強いており、経済社会全体の生産性を大きく毀損しています。地方自治体のアナログ規制の見直しについて、デジタル臨調はマニュアルの作成、公表等によりその自主的な取組の支援を行っていますが、その取組に対するインセンティブの付与など、取組の促進をどのように行っていくのか、河野デジタル大臣の見解を伺います。
次に、規制の管理について伺います。
本法案では、デジタル法制局のプロセスを定め、新規法令等にアナログ規制が残っていないかチェックし、デジタル原則適合性を確認するとしています。大変重要な試みだと思います。一方で、このような取組は、デジタルやアナログといった考えに限定されるべきではなく、広く規制改革全般に取り入れられるべきではないでしょうか。
新たな法律及び政省令が、規制改革の流れに逆行し、新たな規制を課すものになってしまっていないか、あるいは既存の規制を助長してしまうものになっていないかをチェックする第三者機関等の設置をすべきであると考えます。第三者機関等を設置し、規制の数及びコストを管理する必要があると考えますが、松本総務大臣の見解を伺います。
先日、広島でG7サミットが行われました。二〇〇〇年に日本で開催された九州・沖縄サミットのときには、G7の中で一人当たりGDPは一位でありました。そこから二十年、再びサミットが開催された我が国は、とうとうイタリアに抜かれ、G7の中では最下位に転落してしまいました。世界中の各国が経済成長を阻む規制改革に取り組み、成果を上げてきた。我が国はどうでしょうか。
安倍政権、菅政権でまかれた規制改革の種は、肥料も水も与えられることなく、その果実を実らせることなく枯れ果てようとしています。
岩盤規制にドリルで穴を空けるとして導入された国家戦略特区の活用は頓挫しています。兵庫県養父市で大きな成果を上げ、成功事例と言われた法人農地取得事業は、既得権の厚い壁に阻まれて全国展開には至らず、構造改革特区への移行という異例の形を取ることになりました。
岡田地方創生担当大臣に伺います。
国家戦略特区はこれからも岩盤規制を打ち破るドリルの役割を果たしていくのか。また、その役割を果たさせようとお考えなのかどうか。また、これから打ち破るべき岩盤規制としてどのようなものを想定しているのか、伺います。
電波規制についても我が国は深刻な状況にあります。電波オークションが導入されていない国はOECD諸国の中で我が国だけになりました。総務省では5Gの電波オークション導入について検討中と承知をしていますが、放送が使用する帯域を除くなど、極めて小さな範囲であり、動きは遅過ぎると思いますが、この電波オークション導入に懸ける決意を松本総務大臣に伺います。
技術の進展に比して改革のスピード感が決定的に欠けている。なぜ我が国だけが経済成長できないのか、世界から取り残されているのか。これ、答えは明らかです。
日本維新の会は、規制の総量削減のために、二対一ルールの法案を提出してまいりました。規制を管理し、見直していく。この重要性を私たちは理解しています。本法案は、デジタルに関する規制を見直すものであり、賛同するものでありますけれども、成長を阻む規制は縦横無尽に張り巡らされています。
私たち日本維新の会は、日本復活のための規制改革を牽引していく、このことをお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/10
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011・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) まず、デジタル庁と各府省の役割についてのお尋ねがありました。
アナログ規制の見直しにおいては、デジタル庁が、見直し対象となる規制の類型化や類型ごとの見直し方針の策定など全体の司令塔としての機能を果たし、各府省庁が、個々の制度の趣旨にも照らしつつ具体的な見直しを実施するという形で、それぞれの役割を担っています。
この役割分担の下、デジタル庁は関係省庁と連携して本法案を立案したほか、各府省庁と連携して個々の規制の見直しに必要な技術検証を実施したり、規制の見直しに活用可能な技術をテクノロジーマップとして整備したりするなど、各府省庁の取組に対する必要な支援を行ってまいります。
次に、アナログ規制の見直しによる経済効果についてのお尋ねがありました。
例えば、目視規制や常駐規制などを見直し、センサーやオンラインシステムの活用を可能とすることで、遠隔の安全な場所での業務が可能となり、移動時間が削減し、一人が行える作業の範囲も増えます。これにより、業務が効率化、働き方の選択肢が拡大し、人手不足の解消、生産性の向上が期待できます。さらに、技術の活用による経済成長、スタートアップといった企業の後押しにつながります。
これらを踏まえ、法令約一万条項の見直しによる経済効果についても分析を開始しており、夏頃には第一弾をお示ししたいと思います。
次に、事業者の負担についてのお尋ねがありました。
営業所等での掲示は、一般的に掲示内容について頻繁に更新が生じるものではなく、既に行われている書面による掲示を継続すれば足りることから、御指摘のパソコン画面での表示による代替措置については規定していないところです。
なお、今回の書面掲示規制の見直しにおいては、対応困難な一部の零細事業者については適用を除外することとしております。
次に、適用除外対象の明確化とデジタルデバイドの解消についてのお尋ねがありました。
対応困難な一部の零細事業者に対する適用除外の基準については、各規制の趣旨や対象業界の実情を踏まえて、各規制所管省庁の省令において明確化することとしています。
また、デジタルデバイドそのものの解消も重要であり、利用者中心を原則としたシステムやサービスのアクセシビリティーの向上や、デジタル機器やサービスに不慣れな方々へのサポートを行うデジタル推進委員の取組などを進めてまいります。
次に、アナログ規制の不断の見直しについてのお尋ねがありました。
本法案では、デジタル技術の進展を踏まえた自律的、継続的な規制の見直しを推進すべき旨を定めるとともに、これを具体的に推進するため、新規法令のデジタル原則への適合性を確認するいわゆるデジタル法制局のプロセスや、規制所管省庁が技術動向を踏まえて自主的に規制の見直しを進められるようにするテクノロジーマップの公表、活用に関連する規定を設けています。これらを踏まえ、アナログ規制の不断の見直しに取り組んでまいります。
最後に、地方自治体のアナログ規制の見直しについてのお尋ねがありました。
デジタル社会の恩恵を実感いただくには、暮らしに密接に関連する地方自治体においてもデジタル技術を活用していくことが必要です。
そのため、自治体におけるアナログ規制の見直しが進むよう、国における見直しをベースにしたマニュアルの公表のほか、活用可能な技術を容易に把握できるテクノロジーマップの整備に加え、さらに、実際に見直しを行うモデル自治体の取組の後押しやそれを通じた課題の整理、共有、また、デジ田交付金による財政面での支援などを国として行っているところです。
引き続き、自治体におけるデジタル技術の活用を推進するため、必要な取組を行ってまいります。(拍手)
〔国務大臣松本剛明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/11
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012・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 柳ヶ瀬議員から御質問をいただきました。
まず、規制の管理について御答弁申し上げます。
各府省は、政策評価法に基づき、法律、政令による規制の新設、改廃に際し、その必要性、費用及び効果の観点から事前事後の評価を実施し、必要以上に国民の権利の制限や義務の賦課が行われていないかなどの確認を行うこととされております。その上で、総務省が、有識者から成る政策評価審議会の審議も踏まえ、第三者的立場から各府省の評価の内容を点検いたしております。
政府全体として、規制の新設、改廃が適切に行われるよう、引き続き政策評価に取り組んでまいります。
次に、電波オークションについて御答弁申し上げます。
我が国では、既に申請者の示す金額を勘案して審査する総合評価方式を導入しております。また、ミリ波などの高い周波数帯を5G向けに割り当てることを目指して、入札額による割当ての決定を基本とするオークションの導入に向けた検討を進めております。来月をめどに方向性を取りまとめ、速やかに必要な制度整備に取り組みます。
なお、周波数の分配、用途は国際的に共有、調整されており、各国でも用途を決めずにオークション等が実施されることは想定されないと認識しております。(拍手)
〔国務大臣岡田直樹君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/12
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013・岡田直樹
○国務大臣(岡田直樹君) 柳ヶ瀬裕文議員にお答えいたします。
国家戦略特区についてお尋ねがありました。
国家戦略特区は、制度創設以降、規制改革の突破口として、これまで長年にわたって実現できなかった規制改革を実現し、地方創生や経済成長に寄与してきています。今後も、国家戦略特区は、いわゆる岩盤規制も含めた規制改革の突破口として取組を推進してまいります。
スーパーシティ及びデジタル田園健康特区の取組を着実に進めるとともに、社会課題解決の視点も包摂した幅広い視野で女性、子育て、障害者、スタートアップ、デジタル等の分野などにも取り組んでまいります。
六月一日に開催された国家戦略特区諮問会議において、スタートアップビザの全国展開、救急救命処置の範囲の拡大、小規模認可保育所の対象年齢拡大の特例の全国展開など、二十六項目の新たな規制改革事項を決定しています。これらの事項を着実かつ早急に実現していくとともに、更なる規制改革の実現に向けて精力的に検討を進めてまいります。
なお、法人農地取得事業については、ボトムアップで地方自治体の発意に基づき事業を実施できるようにするため、構造改革特区に移行してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/13
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014・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 田村まみ君。
〔田村まみ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/14
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015・田村まみ
○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみです。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりましたデジタル規制改革推進一括法案について質問をいたします。
本法律案は、デジタル技術の効果的な活用がアナログ規制によって妨げられないよう、デジタル臨時行政調査会において検討が進められたものと承知しています。アナログ規制の一括見直しには、国民の利便性の向上のみならず、経済成長、人手不足解消といった効果も期待されています。一方で、高齢者を始めとするデジタル技術に不慣れな方や、デジタル化の対応を求められる事業者にとって過度な負担とならないよう留意しながら進めていく必要があると考えます。
そこで、河野大臣にお伺いします。
今般のアナログ規制等の一括見直しは、我が国の社会にどのような効果、影響をもたらすと考えているのでしょうか。期待される経済効果や懸念事項も含め、具体的に答弁願います。
また、本法律案には検討条項などは規定されていませんが、今後の検証をどのように進めますか。答弁を求めます。
今年の一月三十一日、日本フランチャイズチェーン協会がデジタル技術を活用した酒類・たばこ年齢確認ガイドラインを公表しました。法律上、二十歳未満の飲酒、喫煙は禁止されており、酒、たばこの販売時には年齢確認を行う必要から、無人レジなどでの販売が難しい状況にありました。このガイドラインにより、デジタル技術を活用した年齢確認の方法とその保証レベルについての一定の基準などが示されました。
酒、たばこの年齢確認は、七項目のアナログ規制には該当せず、今回の法改正の対象ではありませんが、デジタル臨調や関係省庁との協議等を通じて、実質的に利便性向上や業務効率化を妨げている規制を乗り越えた事例と言えます。このガイドラインを踏まえ、年齢確認の手法にデジタル技術が活用されれば、利便性向上や業務効率化に加え、有人レジでの年齢確認においても確実性を高めることができ、ひいては青少年の健全育成やカスタマーハラスメント防止につながるなど、幅広い効果が期待されています。
この事例のように、我が国に存在する規制の中には、七項目のアナログ規制以外にも、法の下、デジタル技術の活用が困難とされ、アナログ的手法により対応せざるを得ない、実質的にアナログ規制と解されるものがあるのではないでしょうか。こうしたものについても、七項目のアナログ規制の見直しと同様に、デジタル臨調が調査し、洗い出し、点検を行うことについて、河野大臣の御所見を伺います。
このように実質的にアナログ規制と解されるものについて、たとえ民間ガイドライン等により解決が見込まれる場合でも、複数の省庁にまたがって確認が必要な策定作業や、国民、行政を含む現場への周知を民間団体等が独力で進めるのは困難です。引き続きデジタル庁による伴走型支援等の対策を講じる必要があると考えますが、デジタル庁所管の河野大臣の方針をお示しください。
デジタル社会を実現し、国民生活の利便性、効率性を向上させていくためにはマイナンバー制度は有用な社会インフラとなることが期待されますが、国民が安全、安心に利用できることが前提です。政府は必要なツールとしてマイナンバーカードの普及、利活用に取り組んでいますが、マイナンバーと健康保険証や銀行口座とのひも付け誤り、別人へのマイナポイント付与などの人為的ミス、急速にカード保有者が増えた負荷によるシステムエラーなど、デジタル化を進める中でこうしたトラブルが起きる可能性は完全には排除できません。
だからこそ、今回の事案による国民の不安を正面から受け止め、その解消に向けて真摯な説明と迅速な対応が必要だと考えますが、河野大臣、加藤厚生労働大臣の答弁を求めます。
こうした人為的なミスやシステムエラーはなぜ起きたのでしょうか。マイナポイント事業の駆け込みによる利用者の急増、紙の保険証の性急な廃止決定による入力作業の集中など、その時々の政府の決定が現場で作業する人員やシステムに過大な負荷を掛けたのではありませんか。政策決定プロセスを含む、より踏み込んだ原因究明と根本的な再発防止が必要と考えますが、河野大臣の見解を伺います。
二〇二四年秋とされる健康保険証の廃止時期については、法改正事項ではありません。目標は重要ですが、国民が安心して利用できる制度とするために、日程ありきではなく、延期の検討も現実的ではないでしょうか。加藤厚生労働大臣の決断と、国民の受診、保健事業の円滑化、正常化を求めます。
マイナンバーカードの保有に対し、マイナンバーカードと同等の機能を搭載するスマホ用電子証明搭載サービスが本年五月十一日に始まりました。デジタル社会構想会議の議論では、電子証明のスマホ搭載を評価しつつ、有識者の委員から、カードとスマホ両方を携帯するのではなくてスマホ一つで済ませられるようにするべきだといった指摘もなされています。
今後、マイナンバーカードなしにスマホだけで様々なサービスの利用や申込みができるようになることに加え、電子証明書を搭載可能なスマホの機種、OSの拡充も目指す中で、マイナンバーカードの必要性や活用方法をどのように考えているのでしょうか。河野大臣の所見を伺います。
あわせて、カードとスマホのどちらを主流にするのか、あるいはどうすみ分けるのか、政府が目指す方向性について河野大臣に伺います。
デジタル社会構想会議では、マイナンバーカード券面の氏名や住所など記載が持ち歩く上でリスクと考える方もいることから、券面記載内容を見直すことでマイナンバーカード活用の道が開けるとの指摘がありました。他方で、今般のデータ入力ミス等によって健康保険のオンライン資格確認ができない場合には券面記載事項を基に確認することも対応策として示されています。
マイナンバーカードの利活用の観点から、券面記載内容の見直しについて河野大臣の見解をお示しください。
昨年、電力需給逼迫警報が東日本で発令されました。家庭や事業者に緊急の節電要請がなされ、社会に戸惑いと混乱を生じたことは記憶に新しいところです。今後、デジタル社会の進展に伴い、電力はこれまで以上に欠かすことのできないインフラとなり、その裏返しで、電力逼迫、停電時の混乱もより大きなものと予想されます。民間の調査によると、事業継続計画、BCPを策定している企業の割合は一七・七%にとどまり、電力逼迫や停電について盛り込んでいるところは更に少ないのが現状です。
デジタル社会の実現を目指す政府として、電力の安定供給への努力はもとより、需要側のレジリエンス向上についても、例えばひな形を作るなどして企業のBCP策定を後押ししていく必要があるのではないでしょうか。河野大臣、西村経済産業大臣の見解を伺います。
年齢確認をめぐる事例やマイナンバーの活用においても、デジタル庁だけでは完結せず、各省庁が自治体や事業者の実情も踏まえつつ、それぞれの所管する法令を運用しているのが実情です。今後、デジタル技術が進展していくことに伴い、各省庁が個別に実情に即した点検、見直しを行うことが重要です。
河野大臣、デジタル庁は、デジタル社会の形成を図る司令塔としての機能を果たし、見直しを推進していただきたいと考えますが、各省庁と主導権はどちらが持つかなどの関係性はどのように整理されているのでしょうか。
最後に、今年三月にバーレーンで開催された第百四十六回IPU会議へ参議院代表として派遣していただきました。その際視察したローカルスーパーマーケットの幹部からは、物流、金融、キャッシュレス決済システムについては日本に学ぶことはないと明言をされてしまいました。デジタル化において日本が取り残されていることを再確認した場面でした。
デジタル社会実現が急務だからこそ、デジタル化のメリット強調以上にデメリットの克服について説明し、不安の解消に力を注ぐことを強く求め、誰一人取り残されることのないデジタル社会の実現に向けた河野大臣の決意を最後にお伺いし、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/15
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016・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) まず、アナログ規制の一括見直しの効果や影響についてのお尋ねがありました。
例えば、目視規制や常駐規制などを見直し、センサーやオンラインシステムの活用を可能とすることで、遠隔の安全な場所での業務が可能となり、移動時間が削減し、一人が行える作業の範囲も増えます。これにより、業務が効率化、働き方の選択肢が拡大し、人手不足の解消、生産性の向上が期待できます。さらに、技術の活用による経済成長、スタートアップといった企業の後押しにつながります。
デジタルデバイドや事業者の負担に関する懸念などにも配慮しつつ、社会全体のデジタル化に向け、アナログ規制の見直しを進めてまいります。
次に、アナログ規制の一括見直しの今後の検証についてのお尋ねがありました。
アナログ規制の一括見直しについては、昨年十二月に公表した工程表に基づく約一万条項のアナログ規制の見直しについてフォローアップを実施するとともに、見直しによる経済効果についても分析を行うこととしています。また、本法案では、デジタル技術の進展等を踏まえた自律的、継続的な規制の見直しを推進していくことを定めており、この取組の中で必要な検証、見直しを行ってまいります。
次に、七項目以外のアナログ規制の見直しについてのお尋ねがありました。
デジタル臨時行政調査会においては、七項目のアナログ規制の見直し以外にも、例えばデジタル技術を活用した本人確認の取組や、年間手続件数一万件以上の行政手続のデジタル完結に向けた取組など、アナログ規制の見直しに向けた様々な取組を推進してきました。
今後も、経済界からの要望なども踏まえつつ、我が国が更なるデジタル化を果たすために必要と考えられる取組を鋭意推進してまいります。
次に、民間の取組に対する支援のお尋ねがありました。
御指摘のコンビニの無人レジにおける酒、たばこの販売については、日本フランチャイズチェーン協会が作成した年齢確認ガイドラインの案に対し、デジタル臨時行政調査会作業部会において有識者による議論が行われ、年齢確認の確実性や利用者の利便性の観点から内容の妥当性が評価されたことによって実現したものです。
今後も、このような民間分野における個別の課題の解決に向け、ガイドラインの整備に関与するなど、デジタル庁としても必要な支援を行ってまいります。
次に、マイナンバーカード関連事案の再発防止策等についてお尋ねがありました。
マイナンバーカードの利用に関する一連の事案について、国民の皆様に不安を与え、申し訳なく思います。皆様の不安を解消するためにも、デジタル庁を中心に関係府省等が一丸となり、対応を講じてまいります。
具体的には、既存のデータやシステムの総点検を行うとともに、新規データの誤登録防止策を徹底し、人為的ミスのリスクを低減させるため、人が介在する機会を減少させるようデジタル化を推進してまいります。
次に、マイナンバーカードの活用方法等についてお尋ねがありました。
マイナンバーカードの電子証明書と同等の機能を有する電子証明書をスマートフォンに搭載するサービスを開始しており、本人確認を伴う官民の各種オンライン手続をスマートフォン一つで利用可能としてまいります。一方で、スマートフォンでの利用開始時にはカードでの本人確認が必要なこと、カードの有効期限はスマートフォンより相当長いこと、スマートフォンをお持ちでない国民がいることなどの理由から、引き続きカードの交付は必要と考えます。
次に、マイナンバーカードの券面記載事項の見直しについてのお尋ねがありました。
マイナンバーカードは、マイナンバーを提示することも含め広く本人確認書類として活用されるものであるため、券面の記載事項は本人を特定するための情報として用いられております。券面に何を記載すべきかについて様々な議論があることは承知しており、次世代のカードを設計するに当たって、その券面記載事項については多様な関係者の御意見も丁寧に伺い、しっかり検討を進めてまいります。
次に、企業のBCP策定の促進についてのお尋ねがありました。
自然災害など不測の事態に備え、企業などがその重要業務を継続するための事業継続計画、BCPを策定することは極めて重要です。各企業における事業継続計画の策定を促すため、内閣府において事業継続ガイドラインを随時改定してきていると承知しております。
デジタル庁としても、引き続き、内閣府を始めとした関係省庁と連携し、企業の事業継続に寄与する防災分野等における取組を推進してまいります。
最後に、アナログ規制の見直しにおける各省庁との関係性、デジタル社会の実現に向けた決意についてのお尋ねがありました。
アナログ規制の見直しにおいては、デジタル臨時行政調査会が規制全体を俯瞰しつつ見直しに係る方針を策定し、各府省が所管する制度についてその趣旨や運用状況にも照らしつつ具体的な見直しを実施するといった形で役割を分担しており、両者が緊密に連携し、協議、調整を重ねることが不可欠であります。
引き続き、関係省庁と連携しながら、デジタル社会の形成を実現すべく、アナログ規制の見直しを始めとしたデジタル改革を完遂してまいります。(拍手)
〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/16
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017・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 田村まみ議員の御質問にお答えいたします。
マイナンバーカードと健康保険証のひも付け誤りについてお尋ねがありました。
医療保険のオンライン資格確認については、保険者が登録した加入者データに誤りがあったことにより、別の方の資格情報がひも付き、結果的に薬剤情報などが閲覧される事案が生じ、薬剤情報などが閲覧されることになった方など関係する方には御迷惑を、また国民の皆様には御心配をお掛けしていることについて申し訳なく思っております。
オンライン資格確認については、人の作業が介在する仕組みである以上、登録データに何らかの誤りが生じ得ることを前提として、登録データの正確性確保のための取組や表示された情報に疑義がある場合の対応を確立するといった取組を通じて信頼の確保に努めてまいります。
保険証廃止についてお尋ねがありました。
マイナンバーカードによる受診により、御自身の健康、医療に関するデータに基づいたより良い医療を受けられるようになるなど、カードと健康保険証の一体化には多くのメリットがあります。
これを踏まえ、来年秋に健康保険証を廃止しますが、廃止後にオンライン資格確認を受けられない状況にある方は資格確認書により受診していただくことで、保険料を納めている方が必要な保険診療を受けられるようにしてまいります。
マイナンバーカードで受診するメリットを実感していただき、医療現場で安心、安全に利用いただけるよう、医療機関などでの環境整備を進めるとともに、システムに対する信頼の確保に向けて取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/17
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018・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 田村まみ議員の御質問にお答えいたします。
電力逼迫や停電に対するBCP、事業継続計画についてお尋ねがありました。
電力の安定供給は、国民生活、経済活動の基盤であり、今後のデジタル社会の進展に伴い、安定的な電力供給は一層重要となります。
経済産業省としては、需要家の皆様に安心して電力を使っていただけるよう、まずは供給力の確保に努め、電力の安定供給に万全を期してまいります。また、仮に需給が逼迫するような場合においても、IoT技術を用いて電力消費等を遠隔制御するディマンドリスポンスをできるだけ多くの事業者に取り入れていただき、需要を抑えられるよう取り組んでおります。
さらに、中小企業に対しては、BCP認定制度において事業者が自ら電力逼迫への事前対策を行うことを推進するため、BCP計画策定の手引において停電時等の対策を例示しているほか、自家発電設備等の設備投資に対して金融措置などの優遇措置を行っております。
こうした取組を通じ、電力需給逼迫への対応も含め、事業者のBCP策定を促してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/18
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019・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 伊藤岳君。
〔伊藤岳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/19
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020・伊藤岳
○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。
私は、日本共産党を代表して、デジタル規制改革推進一括法案について質問いたします。
冒頭、マイナンバー法等改正案の採決の強行に強く抗議するものです。
自治体のコンビニ交付サービスにおける戸籍証明書や住民票、印鑑登録証明書の誤交付、七千三百十二件ものマイナ保険証への別人情報のひも付け、公金受取口座への他人のマイナンバーの誤登録、さらにはマイナポイント事業での別人付与など、マイナンバーカードをめぐる誤交付、誤登録は更に広がり続けています。マイナンバーカードのメリットどころか、国民の不信と不安が高まっています。
河野大臣、トラブルの全体像や原因が明らかになるまで運用は停止すべきではないですか。答弁を求めます。
マイナンバーカードでは資格確認ができないということが明らかとなり、政府はようやく総点検の実施を表明しました。構造的な欠陥を抱えたシステムであることは明白です。政府が行うとする総点検の中で、全ての個人情報が正しくマイナンバーにひも付けられているかが突き止められるのですか。デジタル大臣、厚労大臣の明確な答弁を求めます。
昨年十二月以降、マイナ保険証の別人ひも付けで、新たに確認した件数、うち他人が閲覧した件数は何件ですか。厚労大臣にお聞きします。
六月二日までの報告で、総務省は、新たなマイナポイント事業での別人付与について、更に何自治体、何件を把握したのですか。総務大臣、お答えください。
デジタル社会が進展する中、国民の暮らしはデジタル技術の活用と無縁には成り立ちません。だからこそ、デジタル技術を活用するその主役は国民であり、個人情報の保護や生存権、財産権などがしっかりと保障されなければなりません。そうではありませんか、デジタル大臣。また、地方自治体の施策は、住民の意思に基づき自治体が自ら決めるという、住民自治と団体自治にのっとったデジタル技術の活用が前提となるのではありませんか、総務大臣。それぞれお答えください。
政府がマイナンバー法等改正案に続いて国会に提出したデジタル規制改革推進一括法案は、各府省の立法、行政機関の仕組みを、デジタル臨時行政調査会が定めたデジタル原則に従ったものへと変え、アナログ規制を撤廃してデジタル技術に置き換えていくものです。しかし、この間のマイナンバーカードをめぐるトラブルを通じて、岸田政権が推進するデジタル化の問題点が明らかになりました。
政府は、マイナ保険証の別人ひも付けの原因は保険者による入力ミスだと繰り返します。しかし、被保険者情報をマイナンバーにひも付けるためには人間が介在せざるを得ないことは明らかで、入力ミスが当然想定されます。政府は、マイナ保険証の利用に当たり、健康保険のオンライン資格確認システムの整備を進め、全国約三千四百の健康保険者が保有する全ての被保険者情報をマイナンバーとひも付け、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険中央会が管理するサーバーへ登録する作業を本格稼働に向けて急がせました。この時点で、被保険者情報のマイナンバーへのひも付けに誤登録が起きているのではないのですか。それはあり得ないと断言できますか。厚労大臣の答弁を求めます。
オンライン資格確認への登録を行う際、保険者が保有する被保険者情報の個人のマイナンバーを特定するために、J―LISが管理する住基ネットで検索する必要があります。被保険者が提出した情報にマイナンバーの記載がない場合や記載された番号が正しくない場合は、氏名、住所、生年月日、性別で検索を掛ける必要があります。しかし、氏名でいえば、同姓同名や、漢字表記と読みが一致しない、外字があるなど複雑多様です。住所の検索も、丁目や大字、小字、建物名の表記など完全に一致しなければ結果が表示されません。結局、複数の氏名が表記されることになったのではありませんか。政府は今後、氏名は漢字と仮名で検索し、五情報全てで特定するとしますが、複数氏名が表記されることなく完全な一致で確保されると言い切れるのですか。厚労大臣の答弁を求めます。
マイナンバーの十二桁の数字を入力し、一つの数字でも間違いがあった場合エラーが表示されるチェックデジットについて、既に個人に割り振られた番号の中には一定数の割合でエラーチェックができない場合があるとの専門家の指摘があります。この指摘を否定できますか。総務大臣の答弁を求めます。
岸田政権のマイナ保険証への一体化とは、制度自体に構造的な欠陥があり、それが被保険者の保険医療を受ける権利を妨げ、国民の命に関わる問題であっても、未知の課題にはトライ・アンド・エラーで果敢に取り組むといういわゆるアジャイル方式で推進するとするものなのですか。厚労大臣の答弁を求めます。
二〇二二年十月十三日、河野大臣は現行保険証を二〇二四年秋に廃止することを表明しました。廃止表明を報じた新聞各紙は、大臣は、保険証があるからみんなマイナンバーカードを持たないと頻繁に口にしたとしています。河野大臣、この発言は事実ですか。デジタル化のためには、まずは現行の紙の保険証の存在そのものをなぎ払ってしまえということですか。答弁を求めます。
政府の医療DX推進本部は、医療分野のデジタル化を進める工程表を決定し、岸田総理は、医療界や産業界と一丸となって取り組むと述べています。マイナ保険証への一体化は、保健医療情報の利活用に道を開き、企業のもうけの種とするためではないのですか。厚労大臣の答弁を求めます。
本法案は、デジタル庁が設けるデジタル法制局が、各府省の法令についてデジタル原則への適合性をチェックするとしています。デジタル法制局によるチェックがなぜ必要なのですか。具体的には何をチェックするのですか。デジタル大臣、お答えください。
地方自治体の条例や規則等の策定、個別施策に影響を与えるのではありませんか。地方分権の観点からも、規制の見直しを地方自治体に強要、強制することなどあり得ないのではありませんか。総務大臣の見解を伺います。
アナログ規制の見直しは政省令の改正や運用で進んでいます。児童福祉法施行令では、児童福祉施設と家庭的保育施設への実地検査義務はリモートで可能となりました。児童の安全は絶対に確保されると断言できるのですか。こども政策担当大臣の答弁を求めます。
インターネットを利用した公示送達では、スコアリングやプロファイリング、目的外利用などの危険性に対する対策、送達内容の閲覧に対するセキュリティー対策はどのように進んでいますか。法務大臣に答弁を求めます。
デジタル技術の発展を国の行政組織と地方自治体の施策に生かしていくことが求められています。そのためには、安全対策や個人情報とプライバシーの保護などについての十分な対策が行われ、地方自治体の自主的な判断が保障されることが必要です。集中的に期限を区切った中で強引なデジタル化を進めるべきではありません。マイナンバーカードをめぐるトラブルを教訓とすべきであることを指摘し、十分な審議を求めて、質問といたします。(拍手)
〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/20
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021・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) まず、マイナンバーカードの関係の事案対応についてお尋ねがありました。
コンビニ交付サービスでの誤交付については、システムの不具合によるものであり、開発事業者に対し、システム運用を停止した徹底的な再点検を要請しました。その他の事案は、システムの不具合が原因ではなく、現時点において運用を中止する必要はないと考えます。
国民の皆様の不安解消のため、新たなミスを抑制し、既存のミスを点検することは不可欠であり、既存データの総点検を行うとともに、新規データの誤登録防止策を徹底いたします。
次に、デジタル社会における個人情報や人権保障の認識についてのお尋ねがありました。
デジタル社会において、国民の幸福な生活を実現し、生存権、財産権など憲法で保障された基本的人権を最大限尊重することは当然であり、それらの旨は個人情報の保護と併せてデジタル社会形成基本法において定められております。デジタル庁としても、デジタル社会形成基本法に従い、社会全体のデジタル化に向けた取組を進めてまいります。
次に、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する私の発言についてのお尋ねがありました。
マイナンバーカードの活用により、服薬情報や健診結果など患者本人の健康、医療データに基づいたより良い医療を受けていただくことが可能になるほか、医療機関側にとっても事務コスト削減など多くのメリットがあります。こうした現行の健康保険証にはないメリットを国民の皆様に広く享受いただくため、マイナンバーカードの利用を基本するという考え方をこれまで御説明してきており、御指摘は当たりません。
最後に、いわゆるデジタル法制局の取組についてのお尋ねがありました。
デジタル庁において、デジタル原則を統一的に解釈し、ベストプラクティスを集約、共有する必要があることから、デジタル法制局の取組として、各府省における点検と併せてデジタル庁においても新規法令等のデジタル原則への適合性を確認する必要があると考えております。
具体的には、七項目の代表的なアナログ規制に該当するアナログ行為を求める場合があると解される規定、フロッピーディスク等の記録媒体を指定する規定、その他デジタル原則に適合した運用を阻害するおそれがあると判断される規定について確認を行うことを考えております。(拍手)
〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/21
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022・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 伊藤岳議員の御質問にお答えをいたします。
マイナンバーカードと健康保険証のひも付けの総点検についてお尋ねがありました。
オンライン資格確認については、加入者本人、事業主、保険者など、データ登録の様々な段階で生じ得る誤りに対処できることが重要であります。
このため、新規に登録されるデータの正確性を担保するための対策に加え、既に登録済みのデータ全体のチェックを行うため、七月末までに全保険者において本来の方法と異なる事務処理の点検を行うほか、五情報でJ―LIS照会を行い、誤りの疑いがあるものについて本人に送付することなどによる確認を行うこととしております。システムに対する国民の皆様の信頼を確保し、オンライン資格確認のメリットを実感していただけるよう、こうした取組を徹底してまいります。
誤登録の件数についてお尋ねがありました。
オンライン資格確認において、別の方の資格情報がひも付いて登録された事案として、昨年十一月末までに確認された件数を本年二月に公表したところであります。その後、別の方の薬剤情報等が閲覧された事案は新たに一件、保険者から公表されました。
現在、全保険者に対して登録済みデータ全体の点検作業を求めており、昨年十二月からこの点検作業前までの事案について、保険者による事実確認や情報閲覧の有無について、社会保険診療報酬支払基金などによるアクセスログ等の確認を行った上で、六月中を目途にしつつ、できるだけ早期に公表できるように集計を進めることとしています。
誤登録問題が起きた時期についてお尋ねがありました。
オンライン資格確認については、本格運用開始前の令和二年十二月時点で、保険者から登録した個人番号に誤りがある事案が約三・五万件あり、データの正確性に課題があったことなどを踏まえ、これを公表した上で、本格運用の開始時期を遅らせ、既登録データのチェックや誤入力のシステム的なチェックの導入により、登録データの正確性の確保に努めてきたところであります。
令和三年十月の本格運用開始後も、システム的なチェックや保険者による自主的なチェックにより正確なデータが登録されてない事案が確認されたことから、これを公表するとともに、今般、新規に登録されるデータの正確性を担保するための対策に加え、既に登録済みのデータ全体のチェックを行うこととするなど、更なる対策を講じたところであります。
五情報によるJ―LIS照会についてお尋ねがありました。
オンライン資格確認等システムに保険者が誤ったデータを登録する余地がないよう、今月から、資格取得届への被保険者の個人番号等の記載義務を法令上明確化し、資格取得届に個人番号の記載がなく、やむを得ず保険者がJ―LIS照会をする場合にも、必ず五情報で照会を行うことで、照会の結果、複数の候補が表示される余地がないようにするとともに、五情報が一致しない場合は、データ登録をせずに本人に確認することとしております。こうした取組を通じて、保険者による登録データの正確性の確保を図ってまいります。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けた姿勢についてお尋ねがありました。
マイナンバーカードによる受診は、御自身の健康、医療に関するデータに基づいてより良い医療を受けられるようになるなど、多くのメリットがあります。そのためには、データが正確に登録され、医療現場で安心、安全に御利用いただけるものでなければなりません。
オンライン資格確認については、人の作業が介在する仕組みである以上、何らかの誤りが生じ得ることを前提として、登録データの正確性確保のための取組や、表示された情報に疑義がある場合の対応を確立するといった取組を通じて信頼の確保に努めてまいります。
医療DXにおけるマイナンバーカードと健康保険証の一体化の目的についてお尋ねがありました。
マイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認は、医療DXの基盤であり、今後、オンライン資格確認等システムを拡充し、全国医療情報プラットフォームを構築することとしております。
医療DXは、切れ目なくより質の高い医療の効率的な提供などを通じて、国民の更なる健康増進、健康促進を図るものであり、企業をもうけさせる目的という御指摘は当たりません。
今後とも、国民の皆様の御理解をいただいた上で、医療DXの実現に向けて、関係者一丸となって取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣松本剛明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/22
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023・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 伊藤議員から四点御質問いただきました。
まず、マイナポイント事業が別人に付与される事案を把握している件数について御答弁申し上げます。
これまで公表している九十七自治体百二十一件の事案以外の事案を把握するため、全自治体に対して、六月二日を報告期限として調査を実施しておりまして、現在、その結果について取りまとめているところでございます。
全自治体に対する調査でもあり、確認、取りまとめに一定の時間をいただきたいと思いますが、速やかに取りまとめを行い、公表に向けた作業を進めてまいります。
次に、地方自治体におけるデジタル技術の活用について申し上げます。
地方行政のデジタル化は、迅速かつ正確で効率的な行政サービスを提供し、住民の多様なニーズにきめ細やかに応えることに資するものです。また、業務の効率化が図られ、職員が、対面が望ましい業務や、地域の実情を踏まえて創意工夫をより発揮すべき企画立案業務などに注力できる環境を整えるものです。
このように、デジタル技術の活用は、住民の利便性の向上や行政運営の効率化とともに、人々に寄り添い未来を開く地域の行政につながるものであり、地方の自主性、自立性を高め、地方自治の本旨を尊重しながら進められるものと認識しております。
次に、マイナンバーのチェックデジットについて申し上げます。
マイナンバーの十二桁のうち一桁の数字は、入力の誤りを防止するための検査用数字であるチェックデジットとしております。これは、マイナンバーとして存在しない番号を入力する誤りを機械的に検出するための仕組みの一つです。全ての誤りを検出できるものではありませんが、作業上生じやすい誤りを防止する仕組みとして有効と考えております。
マイナンバーの誤入力の防止については、例えば住民基本台帳事務においてはシステム上のエラーチェックの措置なども講じております。それぞれの事務に応じて正確性を確保する仕組みを構築していくことが重要と考えます。
最後に、デジタル原則への適合性の点検の対象について申し上げます。
いわゆるデジタル法制局の取組によるデジタル原則への適合性の点検については、国の法令等を対象としており、自治体の条例や規則等については取組の対象とされていないものと認識しております。
デジタル原則は、地域のDX推進の参考になるものかと思われ、各自治体におけるアナログ規制の見直しについては、デジタル庁から必要な助言、情報提供が行われ、引き続き適切に対応されていくものと考えております。(拍手)
〔国務大臣小倉將信君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/23
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024・小倉將信
○国務大臣(小倉將信君) 児童福祉施設等への実地検査についてお尋ねがございました。
保育所等の児童福祉施設等に対する検査につきましては、保育所等の保育内容や保育環境を適切に確保する観点から大変重要と考えております。
このため、保育等の質を確保するとともに検査の実効性を更に高める観点から、先般の政令改正において、実地検査を原則とした上で、効果的かつ効率的な検査が行えるよう、一定の要件を満たした場合においては実地によらない方法での検査を可能とするとともに、不適切事案等が発生した自治体では全ての保育所等に実地検査を行うことや、検査の実施率の定期的な把握、公表を行うことなど、検査の実施率向上のための取組を行うことといたしました。
あわせて、保育所等に対する検査の体制強化を自治体に対して依頼するとともに、令和五年度の地方交付税措置を拡充したほか、自治体、保育所双方の事務負担の軽減に資するよう、自治体における好事例の把握、横展開を行っているところであり、国としては、引き続き、自治体による保育所等への検査の実施を後押しをし、検査の実効性をしっかりと確保してまいります。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/24
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025・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 伊藤岳議員にお答え申し上げます。
インターネットを利用した公示送達におけるセキュリティー対策等についてお尋ねがありました。
お尋ねは、昨年五月に成立をした民事訴訟法等の一部を改正する法律において導入された裁判所におけるインターネットを利用した公示送達についてのものと理解しましたが、当該公示送達についてのシステム開発は最高裁判所において行われることになっています。そのため、法務大臣としてお尋ねについて詳細をお答えすることは困難ですが、最高裁判所においては、公示日から四年以内の法律の施行に向けてセキュリティー対策等を含めて検討がされているところであり、現時点においてはまだその内容は定まっていないものと承知をいたしております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/25
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026・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/26
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027・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) この際、情報監視審査会会長から、情報監視審査会の調査及び審査の報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/27
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028・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。情報監視審査会会長有村治子君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔有村治子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/28
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029・有村治子
○有村治子君 情報監視審査会は、去る六月二日、審査会規程第二十二条第一項に基づき、年次報告書を作成し、会長から議長に提出をいたしました。
この報告書は、令和四年五月一日から本年四月三十日までの本審査会の調査を報告対象としており、以下、調査の経過及び結果について御報告を申し上げます。
まず、政府の年次報告の概要、適性評価のみを実施した十三の行政機関における適性評価の実施の状況、本審査会の年次報告書における指摘事項に係る政府の対応、内閣府独立公文書管理監等がとった措置の概要について、それぞれ説明を聴取し、質疑を行いました。
また、海上自衛隊における特定秘密等漏えい事案が特定秘密保護法施行以来初の漏えい事案であることを重く受け止め、防衛省から特定秘密の管理について説明を聴取し、質疑を行った結果、防衛大臣に対し、本審査会として初めて、特定秘密の保護に関する制度の運用について改善すべき旨の勧告をすること及びその結果とられた措置について報告を求めることを決定いたしました。
本勧告では、退職自衛隊員に対する情勢ブリーフィングの実施状況等の調査、厳格な規範の策定等について措置すべきものと勧告をしております。
さらに、特定秘密を指定している十二の行政機関から、当該行政機関における特定秘密の指定や適性評価の実施の状況について、それぞれ説明を聴取し、質疑を行いました。
加えて、内閣衛星情報センターへの委員派遣を行い、特定秘密の提示を受けながら、説明聴取等を行いました。
その後、防衛省から、防衛大臣に対する勧告の結果とられた措置について、また、新たに発覚した特定秘密の不適切な取扱い事案について、併せて説明を聴取し、質疑を行いました。
最後に、高市国務大臣及び内閣府独立公文書管理監に対し、それぞれ締めくくり的な質疑を行っております。
本審査会における調査を通じ、様々な指摘がなされています。これらの指摘を踏まえ、本報告書では、漏えい事案の再発防止のための統一的な研修等の検討、漏えいを通報の対象とする通報制度の改善の検討、検証・監察の体制及び手法の継続的な改善、漏えい等の不適切事案発覚後の検証・監察の実施の四項目を主な指摘事項として、政府に適切な対応を求めています。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/29
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030・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115254X02920230605/30
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