1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年十二月五日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
十二月一日
辞任 補欠選任
三浦 信祐君 山本 香苗君
十二月五日
辞任 補欠選任
自見はなこ君 広瀬めぐみ君
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出席者は左のとおり。
委員長 比嘉奈津美君
理 事
羽生田 俊君
星 北斗君
山田 宏君
打越さく良君
秋野 公造君
委 員
生稲 晃子君
石田 昌宏君
神谷 政幸君
友納 理緒君
広瀬めぐみ君
藤井 一博君
三浦 靖君
石橋 通宏君
大椿ゆうこ君
高木 真理君
杉 久武君
山本 香苗君
猪瀬 直樹君
梅村 聡君
田村 まみ君
芳賀 道也君
倉林 明子君
天畠 大輔君
国務大臣
厚生労働大臣 武見 敬三君
副大臣
厚生労働副大臣 浜地 雅一君
事務局側
常任委員会専門
員 佐伯 道子君
政府参考人
内閣官房孤独・
孤立対策担当室
次長 江浪 武志君
消費者庁審議官 真渕 博君
法務省大臣官房
政策立案総括審
議官 上原 龍君
法務省刑事局長 松下 裕子君
文部科学省大臣
官房審議官 安彦 広斉君
厚生労働省医薬
局長 城 克文君
厚生労働省労働
基準局長 鈴木英二郎君
厚生労働省社会
・援護局長 朝川 知昭君
厚生労働省社会
・援護局障害保
健福祉部長 辺見 聡君
厚生労働省保険
局長 伊原 和人君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/0
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001・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、三浦信祐君が委員を辞任され、その補欠として山本香苗君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/1
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002・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医薬局長城克文君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/2
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003・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/3
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004・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次発言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/4
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005・神谷政幸
○神谷政幸君 自由民主党の神谷政幸でございます。
本日は質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。
私は、国会議員になる前は、薬局で薬剤師として地域住民の健康増進に寄与することを目的に仕事をしていました。そうなりますと、保険調剤や一般用医薬品販売はもちろんのこと、地域の薬事衛生の向上というものも重要な業務であります。その中でも、私は学校薬剤師として、地域の生徒児童の学校環境衛生の向上や薬物乱用防止教育に十年近く携わってまいりました。その経験も踏まえて、まずは薬物乱用に対する一次予防の効果について伺います。
薬物乱用防止教育では、「ダメ。ゼッタイ。」の合い言葉の下、自分の体を大切にしよう、たとえ違法薬物を勧められても「ダメ。ゼッタイ。」ときっぱりと断ろう、自分の人生の主人公は自分なんだという趣旨の下、これまで取り組んでまいりました。
小学生には、例えばうがい薬であるイソジンを、あるものをそれに入れると色が消えて透明の液体になるという実験を取り入れて、お薬教育に関心を持ってもらうことを入口にして取り組んだり、また、高校生には、違法薬物の恐ろしさを化学の観点から説明をし、それらとともに具体的な事例を取り上げて話すことで、生徒が驚きと関心を持って聞いてくれていたことが印象に残っています。
一方、例えば毎年三年生を対象に話をしていても、対象となる生徒児童は学年が上がり、翌年は違う生徒児童が対象になります。また、特に注意すべき違法薬物も時代によって変わっていきます。そのことから、一次予防である薬物乱用防止教育は終わりがない活動であるとも感じています。
そのような経験を踏まえて政府にお聞きしますが、薬物乱用防止に対する一次予防の効果をどのように評価をしているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/5
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006・城克文
○政府参考人(城克文君) お答え申し上げます。
我が国は、諸外国と比較しまして極めて低い薬物の生涯経験率を維持することができております。これは、まさに一次予防として、学校薬剤師の方々を含め薬物乱用防止指導員等の関係者の方々が、小学校、中学校、高等学校等で薬物乱用防止教育を実施をしてきた成果であると考えております。
薬物を持ったり使ったりしてはいけないという意識が若いうちから浸透しているからだと考えておりまして、今後とも、一次予防の取組を通じまして、薬物の生涯経験率が低いという我が国の特徴を維持してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/6
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007・神谷政幸
○神谷政幸君 ありがとうございます。
今の答弁にもあったとおり、日本は違法薬物の生涯経験率、これが一・四%と諸外国と比べて極めて低いということは、脈々と取り組まれてきた薬物乱用防止教育の成果であり、我が国の大きな特徴の一つです。薬を、違法な薬物を持ったり使ったりしてはいけないということがしっかりと浸透している、そのことを前提とした上で、引き続き質問させていただきます。
続いて、これまで大麻の使用罪を設定しなかった理由を伺います。
薬物乱用防止教育に取り組んでいると度々耳に飛び込んできたのは、様々な違法薬物の中でも大麻の安全性を主張する声であります。例えば、大麻は体に害がないらしいのになぜ解禁されないのかという意見です。
大麻の健康へ対する影響に関しては、ニュージーランドのデューク大学で千三十七人の被験者をゼロ歳から三十八歳まで追跡した調査が、一定の回答を出していると考えています。それは、十代から吸引を始めて頻繁に使用をしていた人は知能指数が約八ポイント低下をして、後に吸引をやめても知的低下が回復することがなかったという結果であります。まさに、薬物乱用防止教育の対象となる生徒児童のような成長過程の脳ほどダメージが大きく、回復不能であることが分かっています。
このように、エビデンスに基づく情報に触れることで理解が得られるにもかかわらず、前述のような、大麻は使っても体に影響がないという意見が出てきます。その背景には、やはり使用罪が規定されてこなかったことが、情報に接する上で先入観を与えている影響があるのではないかと感じています。特に、スマートフォンが普及をしてインターネット接続が誰でも容易になった現代社会では、自分が解釈する方向の情報に触れやすい環境があるからとも言えます。
それらを踏まえて、大麻取締法にこれまで使用罪を設定しなかった理由について、厚生労働省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/7
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008・城克文
○政府参考人(城克文君) お答え申し上げます。
他の規制薬物におきましては、所持罪等とともに施用罪が設けられておりますのに対しまして、現行の大麻取締法では、法律の制定当初から所持罪等は設けられている一方で、使用罪は設けられていないところでございます。
この理由は必ずしも明らかではないところでございますが、制定当時は国内で大麻草が乱用されていた実態がなく、農産物として利用されていた大麻草の栽培を免許制とすることで不正な取引を防ぐことができると考えられていたとされております。
また、大麻草の栽培農家が大麻草を刈る作業を行う際に大気中に大麻の成分が飛散し、それを吸引して麻酔いという症状を呈する場合を考慮したことも一因とされているところでございます。
その後、大麻の乱用が拡大した現代におきましても、栽培者に麻酔いが起こる可能性、そして受動喫煙の問題等がございまして、使用罪の設定に消極的だったことが挙げられております。
しかしながら、今回の制度改正に向けた検討に際しまして、受動喫煙も尿検査で判別可能であるということ、そして、国内の大麻草の栽培農家に対して作業後の尿検査を実施したところ大麻成分の代謝物は検出されず、いわゆる麻酔いは生じていないということが確認をされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/8
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009・神谷政幸
○神谷政幸君 ありがとうございます。
元々法令が作られたときに農業を最初に対象としたということで、なかったんだろうということが分かりました。
一方で、日本国民を取り巻く社会的な環境や様々な技術も変わってきております。先ほど答弁の中にもありましたとおり、大気中のものを吸って麻酔いになった、そのことを技術的にしっかりと判別することができるようになってきたというような状況もあります。また、環境として乱用が当初はなかったというお話がありましたが、状況は随分と変わってきていると思います。当然ながら、法令もそれに対応して変わっていく必要があるのだと思います。それも含めまして、今回の法律の改正案として施用罪の創設という点で理解をいたしました。
続いて、二次予防に重きを置くハームリダクションの実践の必要性について伺います。
これまで使用罪がなかった理由は、先ほどの答弁の中から理解をいたしました。一方で、反対の視点から見た場合に、これまでも、使用罪がない中で、一番最初の質問でもお答えいただきましたとおり、我が国の違法薬物の生涯経験率は低かった、一・四%と抑制できてきたではないかという見方もできるのではないかというふうに思います。
ハームリダクションとは、被害の低減と訳されます。例えば、薬物使用者に向けた被害低減サービスというものもあります。いわゆる針を使い回しをすることによって様々な感染症が血液を介して、使い回しの針を介して感染拡大をするという場合に、使い回しによる感染症の拡大防止のために針とシリンジを薬物使用者に提供するということをして、個人が健康被害や危険をもたらす行動、習慣を直ちにやめることができない場合に、その行動に伴う害や危険をできる限り少なくすることをハームリダクションの内容として指しています。
海外での動向も踏まえて考えた場合に、日本においても、人権的な観点から、薬物の所持、使用の禁止規定を緩和をして、二次予防以降に重きを置いたハームリダクションのような施策を実施する必要性があるのか、また実施できるのか、政府の見解を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/9
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010・城克文
○政府参考人(城克文君) お答え申し上げます。
薬物を使用した者への治療や再乱用防止支援などの二次予防、三次予防は非常に重要だと考えておりますが、その一方で、一次予防が薬物使用への抑止力になっているということもあると考えております。
我が国では一次予防が功を奏しているのに対しまして、米国や欧州では既に薬物の生涯経験率が高く、違法な大麻の利用に歯止めが掛からず、その取締りが行政や司法機関の大きな負担となっております。このため、違法に流通している粗悪な品質の大麻による健康被害を防ぐことや反社会的組織の資金源を防ぐことに政策がシフトしているというふうに分析をしております。
一方で、薬物の生涯経験率が低い我が国では、仮に薬物犯罪に対する使用等の刑罰を軽減、廃止すると、薬物を使っても罰せられず、使用等が合法である、問題ないとの誤解が広がり、一次予防の抑止効果が期待できなくなる可能性がございます。また、審議会の議論におきましても、大麻につきましては、刑事司法の手続がないと依存症の治療等につながりにくいということも依存症医療の専門家から指摘をされております。このため、刑事司法の手続を一つの契機として治療や支援につなげることも重要であると考えております。
さらに、刑罰の代替措置としてのハームリダクションの導入やその実施は、薬物犯罪のみならず、他の犯罪に対する刑罰の在り方全体にも大きな影響を及ぼしかねないものでございますので、慎重な検討が必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/10
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011・神谷政幸
○神谷政幸君 ありがとうございます。導入は大きな影響を与えかねないというお話がありました。
冒頭答弁でもお話しいただきましたように、我が国においては一次予防が現在功を奏しているという現状があります。実際にそれがうまくいっていない国では、非常にその使用率も上がっているような状況もあるということでございますので、使用が問題ないと取られるということは、取られることがないようにしていくことは極めて重要であると思います。
一方で、言うまでもなく、社会的孤立に対するケアも必要不可欠だと考えます。引き続き、一次予防を万全に期することを前提に取り組みながら、そこは関係各所としっかりと連携を取って、孤独、孤立への支援、また、答弁にもありましたとおり、二次予防、三次予防の視点もしっかりと取り入れた対応をお願いをいたします。
続いて、大麻グミの健康被害拡大防止について伺います。
ここまで、我が国においては違法薬物の生涯経験率が低く、これからもそれを維持をして国民の健康を守るという答弁をいただいて話を進めてまいりました。しかしながら、ここ最近、いわゆる大麻グミによる健康被害の報告が相次いでいます。
今回の法改正案では、大麻成分THCは麻薬及び向精神薬取締法に位置付けられますが、同じく大麻成分であるCBDの方は従来どおり規制の対象ではありません。CBD製品に関しては、オイルやクッキー、グミ、また電子たばこ用リキッドなどがあり、大麻成分という言葉へのハードルが低く感じられるようなケースもあるかというふうに思います。
過日報道されたいわゆる大麻グミは、HHCHを所有しているとパッケージに記載されていました。これは、化学の知識がなければ、CBD含有の大麻グミが大丈夫であるならば、HHCHと書かれていても同様に大丈夫だと思い、手を伸ばしてしまうということも容易に想像が付きます。
HHCHは既に指定薬物になりましたが、今後も類似の化合物が合成されてイタチごっこが続くのではないかということを懸念をしております。そのようなイタチごっこに対して、指定までの間に健康被害が拡大しないようにするために厚生労働省はどう対応するのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/11
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012・城克文
○政府参考人(城克文君) お答え申し上げます。
厚生労働省におきましては、平成二十六年の危険ドラッグによる健康被害拡大の際には、薬機法の改正によりまして、指定薬物に係る所持、使用の禁止規定を新設をしたほか、迅速な指定薬物への指定、包括指定の導入、徹底した販売店舗等への立入検査、検査命令、販売等停止命令などを実施をいたしまして、平成二十七年七月までに、全国の危険ドラッグ販売店舗を廃業に追い込んだところでございます。
今般健康被害を引き起こした大麻成分と類似する危険ドラッグ等に対しましても、これらの法律上の規定を有効に活用いたしまして、根絶に向けて対策を強化してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/12
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013・神谷政幸
○神谷政幸君 ありがとうございます。
平成二十六年、まさにその規定を導入し、全国の店舗、廃業に至ったというお話がありました。私の地元でも、実際に店舗があった際に近隣住民が大変不安を覚えていたところが廃業となり、安堵の声が聞こえたことを覚えております。今回の大麻グミに関連したものに関しましても、保健衛生上大きな被害、危害が発生する前にできるだけ早く指定薬物として包括的指示をしていただくと同時に、地域住民が不安を抱かないような取締りをお願いをいたします。
続けて、今後の大麻規制について伺います。
先般報道されたいわゆる大麻グミはHHCHを含有するものでありました。私はこれを見ると、かつて、吸引して車を運転し、人々をはねて命を奪った痛ましい事件を起こした危険ドラッグを思い出します。
これは、構造式から見ると、今回、麻薬及び向精神薬取締法に位置付けられる見込みの大麻成分THCと極めて類似をしています。一部分を二重結合にしたり側鎖を付けるやり方は危険ドラッグと同様であり、今回の健康被害の報道に多くの国民が不安感を持っているのではないでしょうか。
かつての危険ドラッグは、包括的指定により使用を禁止したことでかなりの抑制効果があったということは、先ほど答弁の中にもございました。一方で、危険ドラッグの規制後に大麻事犯が増加していることも事実であります。HHCH等を規制しても、肝腎の大麻に対する規制が緩いと、結果として大麻の使用が増えて、いわゆる大麻グミのように健康被害が起こる事案が、同様の化学構造を有する大麻でも起きるのではないかと危惧をしております。
今後の大麻の規制について、これは是非厚生労働大臣より御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/13
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014・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 大麻にその使用を罰する施用罪がないことで、大麻の使用へのハードルが下がり、不正な使用の契機にもつながっているとの調査結果がございます。
このため、指定薬物を含めて他の規制薬物にはいずれも施用罪が設けられている中で、大麻にのみ施用罪を適用しなかった場合には、危険ドラッグの乱用者が施用罪のない大麻の使用に移行し、健康被害をもたらすおそれがある点が深刻に懸念されております。
このため、指定薬物について二〇一四年に所持、使用の禁止規定を導入し、取締りの実効性を上げたことをも踏まえつつ、今般の改正法案で、大麻について麻薬に位置付け、その施用罪を適用することにより規制の抜け穴を塞ぎ、その使用防止を徹底をし、大麻事犯の増加傾向に歯止めを掛けていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/14
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015・神谷政幸
○神谷政幸君 ありがとうございます。
先ほど大臣の御答弁の中にもありましたとおり、規制ドラッグと同様であるTHC成分の類似の化合物をしっかりと規制していくことは不可欠でありますが、その逃げ場として大麻事犯が増加していくことはやはり本末転倒になると思います。特に現代では、SNSや匿名性の高いメッセージアプリなどを活用したやり取りなどによって、扱う側の手法も非常に多様化をしています。そのことも踏まえた上で、今回の法改正が成立した暁には、両輪で規制をしっかりと進めていただくことを強くお願いを申し上げます。
続けて、エピディオレックスへの期待と、今後の大麻成分由来医薬品について伺います。
ただいま大臣からも御答弁をいただき、大麻等の施用罪適用に向けた目的や今後の展望などは十分に理解ができました。
改めて今回の法改正の趣旨を整理をいたしますと、一つ目は大麻成分由来医薬品を使用可能とすること、二つ目は大麻等の施用罪の適用などに係る規定の整備、三つ目が大麻草の栽培に関する規制の見直しと理解をしています。特に、一つ目の大麻成分由来医薬品に関しては、現在、エピディオレックスが治験中と承知をしています。
今回の法改正が成立した場合、この医薬品が承認されることでどのようなことが期待をされるのか、また、今回、大麻成分由来医薬品が使用可能となった暁には、ほかにも同様の医薬品が国民の生命、健康を守るために使われることにつながっていく可能性があるのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/15
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016・城克文
○政府参考人(城克文君) 今回の改正によりまして、従来では使用が禁止されておりました大麻由来の医薬品が我が国でも使用できるようになります。これによりまして、アンメットメディカルニーズに対応することが期待をされているところでございます。
また、海外では、エピディオレックス以外にも、大麻草由来のサティベックスといいますものや合成成分由来の麻薬としてのマリノールといったTHC含有量が高い医薬品が承認をされております。そして、HIVの治療、多発性硬化症、がんの疼痛緩和等の治療薬の一つとして使用されていると承知をいたしております。
今回の改正によりまして、これらの医薬品につきましても、国内での医療ニーズがあれば日本でも開発、導入することが可能となるというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/16
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017・神谷政幸
○神谷政幸君 ありがとうございます。
私自身、医療の現場を通じて、新薬の登場により患者さんが穏やかな御様子を取り戻すことができた事例というものを数多くこれまでも見てきております。必要とされる人に必要とされる医薬品がしっかりと届けられる日本であることを切に願っております。
それと同時に、先ほど他の大麻成分由来医薬品についてお話がありましたが、THC含有量が高いというお話もありました。医薬品は、成分によって厳格に管理をしなければ、薬事衛生上大きな問題を起こす可能性もあります。将来的にはその点もしっかりと視野に入れた取扱いをお願いをいたします。
関連して、医療用大麻の定義と大麻解禁というイメージの払拭について伺います。
今回の大麻成分由来医薬品であるエピディオレックスの使用が可能になることに対しては、各種報道や様々なメディアでの取扱いを見ていても、その期待が高まっているというふうに感じております。一方で、それと同時に、医療用大麻解禁という文言をメディア等で目にする機会が増えているように感じています。
私自身は、例えば類似の錠剤状のものを手にした場合であっても、それが医療用医薬品なのか一般用医薬品なのか、特保なのか機能性表示食品なのか、そういった言葉の意味をしっかりと理解をしてその製品を扱っていくことは、利用者のヘルスリテラシーを高める観点からも、また国民が法制度をしっかりと守る観点からも重要であるというふうに考えております。
その上で確認ですが、医療用大麻と定義付けられたものがあるのでしょうか。また、その言葉が与える大麻解禁というイメージは、これまでの、使用罪がないから大麻は安全なのだという先入観に近い誤った印象を与えかねないのではないかと危惧をしております。大麻解禁というイメージを払拭するための厚生労働省の方針についても教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/17
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018・城克文
○政府参考人(城克文君) お答え申し上げます。
医療用大麻の定義はございません。ございませんが、海外では、大麻由来医薬品のほかに、医療用として販売をされております大麻たばこについても、いわゆる医療用大麻と呼んで利用している事例があると承知をいたしております。
今回の改正法案によります大麻草の医療用途の利用方法は、あくまでも大麻草の成分を抽出して製造する医薬品でございます。そして、医薬品医療機器等法に基づく承認を得たものとしての利用を想定をいたしております。海外とは異なりまして、医療用としての承認を得ていない大麻たばこの吸煙を想定はしておりません。このため、海外で一般に呼ばれている医療用大麻とは異なるものと考えられます。
今後、国民の皆様が大麻由来医薬品を安心して施用できるよう、正確な情報が伝わるように、適切に正確な情報の周知を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/18
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019・神谷政幸
○神谷政幸君 御答弁ありがとうございます。
今、医療用大麻という言葉の定義はないというお話がありました。そして、それは海外で大麻たばことして使われているものが呼ばれているというケースがあるというふうなお話がありました。やはり正しい言葉がしっかりと普及をして、それが理解をされて、それがどういうものなのかということを周知していくことは非常に重要であるというふうに思っております。
また、それと同時に、医薬品という観点で見ると、大麻草由来製品がこれから上市されてきた場合に、微量に残留するTHCの残留限度値、これが幾つであるかということも私は極めて重要ではないかというふうに考えています。明確な基準があることは極めて重要であります。法案が成立した後に、それに関しては具体的に検討されていくというふうに思いますが、そのこともしっかりと周知をされて認識をされていることも、正しい理解を促進していく上で大切な要素ではないかというふうに考えます。
また、先ほども申し上げましたとおり、インターネット社会になり、自ら欲する情報のみに触れやすい環境でもあります。そのことをしっかりと念頭に置いた啓発活動をお願いをしたいと思います。
続けて、学校薬剤師への期待と今後の支援拡充について伺います。
今の御答弁で、大麻解禁というイメージ払拭に向けた方針は理解ができました。それに向けて、冒頭、学校薬剤師が薬物乱用防止教育に関わってきたと申し上げたとおり、今後も大きな役割を果たせるのではないかというふうに考えています。薬の良い面も悪い面も、作用メカニズムも形状も、最も理解している職種は薬剤師です。だからこそできる違法薬物から国民を守る活動に、今後の更なる支援の充実を図るべきではないでしょうか。
地域に根付いた存在である学校薬剤師活動に対する期待と更なる今後の支援拡充について、政府より答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/19
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020・城克文
○政府参考人(城克文君) 現在、小学校、中学校、高等学校では薬物乱用防止教育が行われておりますが、こうした教育に当たりましては、学校薬剤師の方々も、薬物乱用防止指導員の一員として重要な役割を果たしていただいていると認識をいたしております。
厚生労働省におきましては、学校薬剤師を含めた薬物乱用防止指導員に対しまして、最新の薬物情報に基づいた知識について研修を実施するなどの取組を行っております。そして、非常に多くの学校薬剤師の先生方に利用していただいているところでございます。
薬物乱用防止指導員としての学校薬剤師による薬物乱用防止教育は大変重要な取組と考えておりまして、今後も、現場のニーズを踏まえまして、最新の薬物情報に基づいた教育コンテンツの研修を実施し、その活動を支援し、充実してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/20
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021・神谷政幸
○神谷政幸君 ありがとうございます。
今回、THCが麻薬及び向精神薬取締法に位置付けられます。
薬剤師はふだんから、いわゆるマルコウと言われる医薬品の扱いに関しても大変精通をしております。それもあり、薬局や病院などで日常的に、違法薬物についても相談に乗る場面もあります。その上で、学校薬剤師は、環境衛生検査で度々教育の現場に足を運び、養護教諭と密にコミュニケーションを取り、また、薬物乱用防止教育を通じて生徒児童との関わりについても経験を重ねています。
当然ながら、時代が変わっていけば、受ける側の生徒や学校の環境なども変わってきます。そして、今御答弁にもありましたとおり、違法薬物に関する情報も変わってまいりますので、最新の情報をしっかりアップデートをして対応していくということは、これは極めて必要不可欠であるというふうに思っております。その知識や経験が更にブラッシュアップされて活用されるように、より一層の御支援をお願いをいたします。
ここまでお聞きをして、今回質問はいたしませんでしたが、大麻草の栽培に関することは参考人質疑で十分に理解をし、また、今回の法改正により、これまで日本では使えなかった医薬品が施用可能となり、患者さんと御家族にとって大きな福音となっていくこと、また、THC成分による保健衛生上の危害の発生防止につながることが、これまでのやり取りの中で十分に理解ができました。
途中の質問でも申し上げたように、正しい知識に国民がしっかりと触れて、何が自分自身の体にとって安全であるのか、そして有効であるのか、何が危険で、場合によってはそれによって一生取り返しが付かないことになってしまうのか、それをしっかりと理解をしてもらうことが重要と考えます。
現在、諸外国によっては、大麻由来成分の取扱いに関連する法律が改正されたことによって大変深刻な状況に陥っていると感じるケースもございます。今回の法案成立によってそのようなことがないように、最後に、法改正へ向けた意気込みを武見大臣にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/21
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022・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) この薬物乱用防止五か年戦略に基づきまして関係省庁が緊密に連携して予防啓発などを行ってきた結果、日本においては、大麻も含めた薬物の生涯経験率は極めて低い状況を維持してきております。この状況は世界にも誇れるものだと、世界に誇れる財産であると、こう考えておりまして、それが日本の安全、安心にもつながっていると思います。
この状況を維持していくために、今回の改正案の趣旨を踏まえて、薬物依存者の状況にも配慮しつつ、引き続き適切な一次予防の施策を推進してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/22
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023・神谷政幸
○神谷政幸君 大臣からの力強いお言葉、ありがとうございます。
今回の法改正については、以前より私は情報収集を行ってまいりました。大麻に関する研究をされている大学や行政並びに大麻草の栽培農家を訪問し、現状等を伺いました。また、大学以外の研究者とも意見交換をさせていただきました。
今回の法改正は、大麻由来成分を利用した医薬品を使用する患者さんへの朗報となります。また、今後、さらに、新しい薬が導入可能となる道筋を付けることにつながっていくというふうに思っております。また、これまで施用罪がなかったことで、大麻が安全で、使用しても問題ないのだという誤ったメッセージ、これを打ち消す働きもあるというふうに思っております。
質問の初めに、私は、自分の体を大切にしようというメッセージを薬物乱用防止教育で生徒児童に伝えてきたと申し上げました。特に、若い人たちが安易に大麻を使うことは、若者の将来の健康を考える上でも絶対に避けなければなりません。日本の違法薬物の生涯経験率が諸外国に比べて極めて低い、これは、まさに武見大臣がおっしゃったように、大切な我が国の財産である、世界に誇れることなんだ、そのことを改めて私から強く強調し、私からの質問を終了したいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/23
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024・石橋通宏
○石橋通宏君 立憲民主・社民の石橋通宏です。
今日、法案審議に入ります前に、武見大臣に、昨日ちょっと追加で通告させていただきましたけれども、今、大変残念ながら、政府、政治に対する国民の不信、極めて大きくなっております。この件について、閣法を審議するに当たって、改めて大臣の政治姿勢についてここで確認をさせていただければと思いますが、武見大臣、自民党麻生派に所属をされているということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/24
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025・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) そのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/25
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026・石橋通宏
○石橋通宏君 今問題になっておりますが、派閥の政治資金パーティー問題、麻生派では、パーティーを開催する際にパーティー券販売のノルマが課せられていたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/26
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027・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 私は、自分の意思で御協力はさせていただいてきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/27
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028・石橋通宏
○石橋通宏君 ノルマはなかったということでよろしいですか。これ、今後いろんな議論出てきますので、ここで大臣、答弁記録に残りますから、きちんと正確な御答弁いただかないと、いろんなことに波及します。
ノルマはなかったという理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/28
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029・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 様々な恐らくサジェスチョンはいろいろあるんだろうとは思いますが、少なくとも私に関して見れば、自らの意思で御協力をさせていただいたということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/29
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030・石橋通宏
○石橋通宏君 派閥の対応ですので、誰にはあったけど誰にはなかったということは余り考えられないのではないか。ということは、大臣、麻生派はパーティー券ノルマはなかったという理解でよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/30
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031・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 私は、そういうことを否定しているわけではなくて、私自身の立場からの見解を述べさせていただいたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/31
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032・石橋通宏
○石橋通宏君 大臣、例えば、二〇二二年、先日公表されました政治資金報告書、二〇二二、昨年の四月に志公会に対して約五百万寄附されておりますが、これはパーティー券に対する支払というか寄附ということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/32
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033・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 私は、個々のこうした団体についての見解というものを改めてこの政府の立場から申し上げるような立場には実はまだ現状ではありませんけれども、基本的には、やはり岸田総理が自由民主党の総裁としても御指示になりましたように、具体的な訂正内容について各政治団体が適切に速やかに説明を行うよう幹事長に指示したと承知をしておりまして、総理の指示を受けて各政治団体において説明がなされるものと認識しております。
その上で、私自身についてあえて申し上げるとすれば、私自身は、こうした政治資金に関わる収入及び支出は、法にのっとり適切にその収支報告書の記載を行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/33
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034・石橋通宏
○石橋通宏君 二〇二二年四月の、大臣の政治資金団体から志公会への支出のことを伺っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/34
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035・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 私の政治団体からこの政策集団である麻生グループの政治団体の方に、私の政治団体からの御支援はさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/35
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036・石橋通宏
○石橋通宏君 これは、政治資金パーティーのパーティー券販売、それに関わる寄附ではなかったということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/36
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037・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) これは、私自身の意思に基づいて、このような形での協力をさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/37
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038・石橋通宏
○石橋通宏君 では、政治資金パーティーの販売ではなかったという理解でよろしいですね。これ、確実に答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/38
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039・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) これは、支援団体から、私の政治団体から政策集団である麻生グループの政治団体に対する支援であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/39
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040・石橋通宏
○石橋通宏君 ちゃんと答弁されないのですが、政治資金パーティーのパーティー券販売、その販売をしたこと、それに基づく寄附ではなかった、政治資金パーティーとは一切関わりがないと。
これ、自見さんの話も出たんですが、パーティー券ノルマが課された、でも、そのパーティー券ノルマが果たせなかった、それを寄附として扱ったという事例も実は出てきております。これは、政治資金パーティーの収入で志公会側がどう処理されているかにも関わるのですが、これ極めて、大臣、政治資金パーティーに関わる支出で寄附であったにもかかわらず、それをそうではないということで、それでまた、やり取りが分からなくなって国民の疑惑、疑念につながっていくということも考えられます。
なので、あえて確認をしているのですが、政治資金パーティーのパーティー券販売ではなかったと、あくまでそれは寄附であると、志公会側もそういうふうに処理をされているという理解でよろしいですね。重ねて聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/40
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041・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) そのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/41
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042・石橋通宏
○石橋通宏君 これ、答弁、記録に残りますので、今後、さらにちょっとそれ、確認、深掘りしていきたいと思いますが。
ということは、大臣、あのパーティー券、これ、志公会はパーティーされています。時期的にもそうだと思いますが、パーティー券販売ではなかった。つまり、今問題になっておりますが、これ、パーティー券の販売について、一旦派閥に寄附をされる、支払をされる、そのキックバックを受けていたのではないか、それが適正に帳簿、政治資金報告に記載されていなかったのではないかということが、今、それが裏金作りではないかという問題になっているんですね。
大臣、じゃ、パーティー券販売ではなかったということ、つまり、パーティー券販売に関する支出は志公会にはされていなかったということ。であれば、逆説的にいけば、そのパーティー券販売に関わるキックバックは、志公会から受けたことは一切これまでにはないという理解でよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/42
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043・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 先ほども申し上げたとおりであります。私が、自分の政治資金については、これは法にのっとりまして適切にその収支報告書に記載をさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/43
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044・石橋通宏
○石橋通宏君 一応確認ですが、同年の六月、十二月に志公会側からそれぞれ百万円ずつの支払を受けておられますが、これはパーティー券に関わる、一定以上のパーティー券を販売したことに対する、まあ何というんでしょうね、キックバックではない、寄附では、何と表現するかはおいておいて、それに関わるものではなかったという理解でよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/44
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045・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) そのようには、全く別のものと理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/45
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046・石橋通宏
○石橋通宏君 これも記録としては残しておきたいと思います。
最後に、大臣、先ほど大臣は適正に処理をされているということを言われておりましたが、今、そのまさに適正に処理をされていなかった具体的な事案が数々指摘をされております。大臣自身、この問題について、内閣の一員としてどのようにお考えになりますか。これがもし、裏金作りと今国民が疑念を持っている、まさに本当にそういうことがあったとしたら極めて深刻な問題だと思いますが、大臣、内閣の一員としての今の問題認識、これをどう対応するのかも含めて御答弁いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/46
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047・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) これも先ほど申し上げたとおり、岸田総理が総裁として、具体的な訂正内容について各政治団体が適切に速やかに説明を行うよう幹事長に指示したと承知をしております。この総裁の指示を受けて、各政治団体において国民に対する説明がなされるものと私は理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/47
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048・石橋通宏
○石橋通宏君 その手の答弁が極めて他人事だということで、既に批判を受けています。もう少し、大臣も含めて、内閣が国民に対する疑念、疑惑に真摯に、自ら調査をし、そして自らきちんと説明責任を果たされるという姿勢で臨まれた方がいいと思います。そのことは重ねて申し上げたいと思いますが。
今日、大臣、いろいろ御答弁いただきましたので、今後、さらにこの問題、いろんな調査結果等々出てくると思います。大臣の御答弁が真摯に答弁いただいたものというふうに理解をしたいと思いますので、そのことは今日はここでとどめておきたいと思います。
その上で、法案の審議に入らせていただきたいと思いますが、今日、私自身は、今回大麻使用罪を創設されること、そしてそれが処罰化につながること、そのことに対する問題、懸念がないのかという点に絞って質問させていただければと思います。
まず、大臣、今回この使用罪、先ほどちょっと、若干やり取りがあったのですが、この政策目的、具体的に何をこれによって実現するのか。そのことをちょっと分かりやすく、法律には、麻薬取締法では、麻薬の乱用、保健衛生法上の危害を防止とか公共の福祉の増進とか書いてある。それはそれとして理解します。ただ、より具体的に、この使用罪を導入すること、処罰化することによって何を達成されようとしているのかということを分かりやすく端的にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/48
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049・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) まず第一に、諸外国と比べて我が国の薬物の生涯経験率、これ大幅に低くなっております。こうした我が国の特徴を踏まえて、引き続き薬物の乱用防止に取り組んでいく必要がございます。
これについては、大麻グミとか様々なこうした薬物が、実際に極めて危険の高い形で一般の方に利用されるような状況が現に我が国の中にも出てきている、こうしたことをできる限り一次予防で抑えておき、そして我が国の現状を維持することというのが、私はもう確実に大きなテーマだと、こう考えております。
そこで、従来からその麻薬や覚醒剤などの薬物取締り法規において個人の単純所持と使用を取締りの対象としており、薬物に手を出させないようにするためのいわゆる一次予防に積極的に取り組んできたことがこうした成果につながってきていると、こういうふうに考えます。
今回の改正案における大麻の施用罪の適用についても、こうした点を踏まえて、大麻の乱用を防止する目的で実施するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/49
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050・石橋通宏
○石橋通宏君 ごめんなさい、分からないのですが、処罰化がその乱用を防止することに資するのだ、つながるのだという科学的な、実証的な根拠は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/50
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051・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 大麻の所持による検挙者への調査結果では、約七割が大麻取締法に使用罪が設けられていないことを認識しておりまして、そのうち二割は、使用罪がないことで使用へのハードルが下がっていることが明らかとなっております。
使用罪がないことが使用してもよいという誤った認識を助長し、使用のハードルを下げていることから、今般の改正法案で使用の罪に当たる施用罪を設けることは、若年層を中心とした大麻事犯の更なる拡大の歯止めになると、このように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/51
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052・石橋通宏
○石橋通宏君 大臣が今引用された調査結果、これ、過半数、むしろ多数の使用者は、使用罪があろうがなかろうが使っていたという回答していませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/52
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053・城克文
○政府参考人(城克文君) 御指摘のとおり、禁止されているか否かにかかわらず大麻を使用したという回答の者も過半数ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/53
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054・石橋通宏
○石橋通宏君 大臣、そういう実態御存じなんでしょう。今のところばっかり殊更強調されるけれども、もうこれ、使用罪あろうがなかろうが大麻を使用していた、そう回答している人の方が圧倒的多数なんですよ、大臣、分かっておられるんですか。
じゃ、そういったことの事実があるにもかかわらず、使用罪の創設が、むしろそれで乱用防止になるんだという科学的な根拠になっていないんじゃないですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/54
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055・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 令和元年の、これは警察庁における調査が実施されております。これによりますと、大麻取締法において使用罪が規定されていないことの認識というのが、令和元年で七四・八%、令和二年で八二・二%あったんです。この大麻の使用罪が規定されていないことと大麻を使用したこととの関係を知っていたと回答した人は、令和元年で一五・三%、令和二年で一九・七%という、こうした数字もございます。
したがって、こうした観点から、こうした我が国の一次予防としてのこの施用罪への適用を考えたと、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/55
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056・石橋通宏
○石橋通宏君 大臣、これ極めて大きな点です。使用罪を設ける。我が国において使用罪を設けること、結局、それによって処罰化をされる。起訴されれば前科が付く。それが果たして本当に、大臣がおっしゃっていることが今の日本の社会において実現できるかどうか、そこに対するきちんとした議論なり実証的な証明なりなくして、これやって大丈夫ですか。
今日、法務省来ていただいております。ありがとうございます。法務省に確認します。
これ、処罰化、これ施行された後、若者が何らかの理由によって大麻を使用してしまった。そうなると、これ逮捕されて起訴されて、起訴されれば前科者になる、前科が付く、そういうことでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/56
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057・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
あくまでも一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、個別の事案ごとに、法と証拠に基づいて、犯罪の内容ですとか犯罪後の状況などといった様々な事情を総合考慮し、起訴するか不起訴とするかを判断しているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/57
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058・石橋通宏
○石橋通宏君 起訴されて前科が付く可能性が出てくるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/58
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059・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 起訴される場合もあれば不起訴となる場合もあるという趣旨で申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/59
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060・石橋通宏
○石橋通宏君 起訴される、起訴されれば、日本はほぼ起訴されれば前科が付いてしまいますので、若者をそういう状況に追いやるということにも事実上なります。
前科が付いた者に対して、今の日本の社会において、社会復帰、これどうなっていますか。再犯率、麻薬等の再犯率の問題も極めて高止まりしているのではないかという指摘もございます。大麻を使ったこと、逆にそれを処罰化することによって相談しにくくなる、社会復帰がしにくくなる、そういう状況に若者たちをむしろ追いやるという事実について、これ、大臣、どういう問題認識お持ちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/60
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061・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 大麻の施用を禁止することは、若年層を中心とした大麻事犯の更なる拡大への歯止めにつながると考えております。
審議会の議論では、薬物を使用した者を刑罰により罰することは、薬物を使用した者が孤立を深め、社会復帰が困難となり、スティグマ、偏見ですね、これを助長するおそれがあるとの意見もありましたが、刑事司法の手続がないと依存症の治療等につながりにくいという指摘もございました。
今年八月に策定した第六次薬物乱用防止五か年戦略では、関係省庁とも連携をし、大麻を含む薬物乱用者に対する回復支援の対応を推進することとしておりまして、今後も、薬物依存症の治療等を含めた再乱用防止や社会復帰支援等を充実させてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/61
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062・石橋通宏
○石橋通宏君 大臣、違うんじゃないですか。
刑事司法がなかったらいろんな治療とか保護につながらないというのは、むしろそれは、今の日本のそういう体制が悪いからじゃないんですか。それを処罰化することによって解決しようなんていうその方向性自体が間違っているのではないかという有識者、専門家の懸念、それこそ、大臣、向き合って対応すべきではなかったのですか。そうしなかったら、本当にこれによって処罰化されてしまったその子供たちが、むしろ社会復帰ができない、住む場所も見付からない、就職もできない、就職したんだけれども、それが分かって解雇される、そういう実例が今、大臣、あるんじゃないんですか。そのことにどう対応するんですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/62
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063・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) まずは、我が国が、こうした薬物利用に関しては、他の諸外国、特に主要先進国などが典型的でありますけれども、そういったところでのこういった薬物利用という状況を考えてみたときに、かなり我が国の場合には低く抑え込むことに実は成功してきております。しかし、ポテンシャルには、今後こうした薬物等に関わる好ましくない社会現象が広がる可能性は着実に増えてくることも予見されております。
こうした意見をも踏まえた上で、まずは一次予防として、こうした施用罪を適用することによってこのような社会現象の深刻化を抑えていこうと、こういう考え方でございます。その上で、実際に社会復帰というものもしっかりと丁寧に支援をし、そして、こうした薬物依存症になられた方々が健康に社会復帰ができるように、しっかりとこの支援の体制も整えるというのがその基本的な考え方だろうと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/63
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064・石橋通宏
○石橋通宏君 大臣、全然答えていただいていない。すり替えられている。順番が違うんじゃないですかっていう話もさせていただいているのに、大臣、やっぱりまずは処罰化だと。処罰化をしてからって言われるけど、逆に、処罰化をすることが日本の社会ではとりわけ、さっき大臣、偏見もある、様々な残念ながら制度、体制の不備もあるとおっしゃったじゃないですか。
まずはそれをきちんと改善して改革して、そしてその上で、まだ改善が見られなければという議論されるなら分かるけれども、まずは処罰化をして罰して前科を付けてって、やり方が違うんじゃないですか、大臣。そのことを聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/64
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065・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 法の運用に関わる分野というものについて、委員御了解のとおり、実際にこの医師に関わる守秘義務というのもございます。そしてまた、公務員としての義務もございます。そして、これらのはざまの中で、ケース・バイ・ケースでそれぞれこうした薬物依存症の方に対応する。そして、もし実際にその背景に犯罪等あれば、間違いなくそれについてはしっかりと告発をしていただくということになるだろうと思います。
したがって、それらはいずれもケース・バイ・ケースで対応すべきものだということを改めて申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)
先ほども申し上げました社会復帰等に関わる具体的な課題についても申し上げておきたいと思いますが、薬物乱用者への適切な治療と社会復帰支援として、薬物依存症者等への医療提供体制の強化、刑事司法の関係機関等での社会復帰につなげる指導、支援の推進、本人、家族等への地域での支援体制の充実、薬物依存症に関する正しい理解の促進、薬物乱用の実態や再乱用防止に向けた効果的なプログラムに関する研究の推進などを行っております。
厚生労働省麻薬取締部では、薬物事犯者に対し、断薬プログラムの提供や地域の社会資源の橋渡し等の支援を……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/65
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066・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) この際、申し上げます。
答弁者は、質疑者の質問の趣旨を踏まえて答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/66
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067・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) はい。
以上のような形で、極めて具体的に、このような薬物乱用者に対する適切な治療と社会復帰支援のための様々な対策をきちんと用意をした上で、この法律の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/67
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068・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/68
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069・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 改正案についての提言をさせていただいたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/69
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070・石橋通宏
○石橋通宏君 大臣、ちゃんと質問に対して的確に答弁してくださいよ。さっきの答弁は、全然聞いていない質問に対する答弁を、答弁書読まれているけど、違うでしょう、大臣。それで、全然、この使用罪を導入することによって影響を受ける、そういう多くの方々に対する答弁になっているんですか、大臣。極めて問題だと思う。そういった姿勢でやられても、本当にこれで、かえって、社会復帰、治療、相談、そういったことを阻害する要因になってしまいます、大臣。順番が違うんだと思います。首ひねっておられるけど、そういうことなんです。そういう指摘に対して真摯にお答えいただけていないのが問題だと極めて思います。
いろいろ聞きたかったんだけど、大臣いろいろべらべらしゃべられてしまったので時間なくなりました。
一点だけ、文科省来ていただいているので、確認だけしておきます。
先ほどのやり取りでも、学校教育において麻薬等に関する教育をされているということで何か言われましたが、聞いてみたら、小学校、中学校、高校で確かに指導要領には入っている。確かに教科書にも書いてある。しかし、例えば小学校でいうと、六年間でたった二時間、六年間で二時間やりゃいいと。本当にやったかどうかの確認はできていないという文科省の答弁、昨日のレクの説明でしたが、これで本当に小学校、中学校、高校から、薬物の危険性とかそういったことに対して教育が行われていると誇れるんですか。むしろ、今、大麻の使用が若年層で増えているということに問題認識を持たれてやるのであれば、まさにそういった教育、そして子供たちの周知啓発、そこにもっと本気で取り組んで対応する、そのことが先じゃないですか。
文科省、どういう問題認識お持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/70
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071・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 時間が過ぎておりますので、お答えは簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/71
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072・安彦広斉
○政府参考人(安彦広斉君) はい。ありがとうございます。
お答え申し上げます。
御指摘のとおり、学習指導要領に従いまして、小中高等学校全てにおいて教育は必ず履修することになっておりますので、実施されているものと考えております。
また、警察職員や学校薬剤師を活用した薬物乱用防止教室の方、これは八割ほどで開催しておりまして、高校生を対象とした調査の結果によりますと、薬物乱用を繰り返すと薬物依存や精神病状態になることを知っている生徒の割合は九八%、薬物乱用の誘いを断る自信がある生徒の割合は九三%でありまして、一定の成果を上げているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/72
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073・石橋通宏
○石橋通宏君 時間来ましたので終わりますけれども、今のような答弁でも、本当に実際に子供たちにどれだけ実効性ある教育がされているのかということが実は全然分かりません。ここはもっと深掘りして議論すべきだと思いますので、そのことだけ指摘して、質問終わりにさせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/73
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074・高木真理
○高木真理君 立憲・社民の高木真理です。
通告に従って、早速質疑させていただきます。
まず、前提を申し上げると、今回、てんかんの患者さんに効く大麻由来の成分を使用できるようにするために医療用大麻使用を認めていくことについては賛成です。よって、この点に関する質問はありませんが、まず、これまでは大麻になかった使用罪を設ける件から質問をさせていただきたいと思います。
冒頭、先ほど神谷議員の答弁の中にちょっとお答えがあった部分でもあるんですが、受動喫煙によって尿検査で誤認逮捕される可能性はないか、伺いたいと思います。というのは、この法案、臨時国会にかかるとなった際に、私の元に真っ先に届いた意見が、大麻は、受動喫煙でも尿に成分が出てしまい、誤認逮捕になるからこれまで使用罪に入っていなかったのに、こんな改正をしては駄目だという意見が届いているからであります。誤認逮捕の可能性について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/74
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075・城克文
○政府参考人(城克文君) お答え申し上げます。
大麻の施用罪の適用に当たりましては、他の客観的な証拠を踏まえつつ、尿中の大麻成分THCの代謝物を検査することで施用の有無を判断することといたしております。
大麻の意図せぬ受動喫煙につきましては、審議会の取りまとめにおきましても、大麻の喫煙者に比べて、一般に受動喫煙では、尿中に現れるTHC代謝物の濃度は低く、測定時の濃度により喫煙者と受動喫煙の区別は可能であるとされております。尿の鑑定により得られたTHC代謝物の濃度から、意図的に行われた不正な施用を立証することは可能と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/75
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076・高木真理
○高木真理君 誤認逮捕にはならないという確認はまずさせていただきました。
さて、その上で、使用罪を設置して厳罰化していくことの問題点について考えていきたいと思います。
私は、今回の法案審査の準備をしながら、自分自身がこれまでいかに大麻というものを知らなかったかということについて反省をしているところです。
事前に薬物依存治療の専門の先生からお話を伺う中で、日大アメフト部の大麻所持事案で逮捕者が出た件について、マスコミ報道も多く、大問題になっていましたけれども、先生からは、大麻の毒性や依存性からいって、そこまでの社会的制裁を受けて未来ある学生が将来まで潰されてしまうような扱いでよいのだろうかという問題提起をいただいたところです。
ところが、当時、その事件の一報を聞いたときの私はというと、大麻に対する勉強がまだ進んでおりませんでしたので、大麻、ひどいなと、それを隠蔽して学内で処理しようとするなんて更にひどいというふうに単純に憤ったものでした。恐らく日本中、ほとんどの国民がそういう受け止めであったのではというふうに思います。
大麻も、長期に使用すれば健康を損なったり依存症になったりするので、安易に使用することのないよう、今回使用罪を創設するということも分からなくもないのですが、本当にそれだけの処罰をされなければならない罪なのか、むしろ、処罰することでその人のその後の人生を駄目にしてしまうのではないか、注意深く考える必要があると思います。
さて、今回、諸外国で違法となっていない国もある大麻使用罪を設けるに当たり、日本の薬物の生涯経験率が低いことがその根拠になっていますが、この立法事実たる数字が正確かについて、先般お話伺った丸山参考人から指摘がありました。現実より少ない数字が出がちと思われる対面アンケートを日本では採用していますが、諸外国では下水道検査から把握しているとのことでした。
下水道検査の方が客観的に正確な数字を把握できるのではと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/76
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077・城克文
○政府参考人(城克文君) お答え申し上げます。
厚生労働科学研究によります我が国の薬物経験率の調査につきましては、これは個人が特定されないこと、そしてアンケートの参加を自由意思で決められることというのを記載した、無記名自記式のアンケートでございます。聞き取り調査で行っているという丸山参考人の御主張は事実誤認であるというふうに考えております。我が国の薬物生涯経験率は匿名の調査でございまして、十分に実態を反映した調査結果であると考えてございます。
その上で、諸外国におきまして、下水や河川における薬物の濃度を測定し、国内の薬物使用量を推計するという方法で調査が行われているということも承知をいたしておりますが、厚生労働科学研究によりますと、我が国の下水中の濃度は、これは、医薬品として正規に使用されている抗菌薬であったとしても、一リットル当たり数ナノグラムと非常に低濃度でございます。このため、正規医薬品よりもはるかに使用が少ない違法薬物に対しては、現時点では下水等の濃度測定を、国内の薬物使用量の有効な調査手法とは言えないと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/77
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078・高木真理
○高木真理君 濃度が低いのでということだったんですけれども、一度これやってみるというのも一つかなというふうに思います。同じ調査方法の中で、やっぱり本当に検出できないぐらい少なかったというようなことが分かるのであれば納得できるんですが、ということを申し上げた上で、次に行きたいと思います。
大麻使用による健康への影響について、酒、たばこ、薬物犯罪となる各種薬物との比較で伺いたいと思います。
健康にとって危険なものが広がらないよう規制の対象にするという考え方は、規制の介入に刑罰が適当なのかは別に置くとして、一定理解しますけれども、規制するのであれば、より危険なものにより強い規制、それが刑罰であれば重い刑が科されるというのがあるべき形だと思いますが、健康への影響をそれぞれどう評価しているか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/78
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079・城克文
○政府参考人(城克文君) 先日の参考人質疑にもございましたが、二〇一〇年の医学雑誌ランセットにおきましては、大麻の有害性が酒、たばこより低いという論文がございましたが、この論文は、この評価基準が適切かどうか、専門家の間でも疑義が生じている研究であると承知をいたしております。
この論文では、微量で強い幻覚作用を示すLSDやMDMA、エクスタシー等の合成麻薬の方が大麻よりも有害性が低く評価をされているものでございます。異なる作用を持った薬物同士の比較には課題があるものと考えております。実際に、この論文の著者自身も、この低スコアの薬物が無害であることを意味しないことに留意すべきという注意喚起をしているものでございます。
大麻には、酒やたばこにはない幻覚作用などの有害作用がございます。その短期的な悪影響としましては、意識障害、認知障害、知覚障害、情緒又は行動障害など、そして、車の運転における障害、交通事故によるけがのリスクの高まりなどの報告や研究結果がございます。また、定期的に大麻を使用することによる悪影響といたしましては、大麻に対する依存のほか、青少年期や成人後の若い時期に連用する場合には、学校中退、認識機能障害、その他の薬物の違法使用、抑うつ症状などのリスクが高まるといった報告や研究結果もあるところでございます。
このように、大麻の有害性は高いものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/79
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080・高木真理
○高木真理君 今、大麻の有害性、高いか低いかで高いというお答えだったんですけど、これ、いろいろグラデーションがあるんだと思うんですね。やっぱり治療に当たっている先生とかのお話を聞いていても、確かに長期間繰り返し使っていくことの弊害は出てくるのは、それは確かだと。しかし、一回とか二回でどうかとか、それは人によっても違うんでしょうけれども、かなり毒性、依存性というものがそう強くはないというようなお話を伺っています。
しかし、今回、単純使用罪は、大麻も、覚醒剤その他の麻薬、あへんと同じ七年以下の懲役になります。健康への影響と法定刑の関係についてどう考えますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/80
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081・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 先ほどから局長、答弁させていただいておりますとおり、他の薬物に比べて有害性が低いという論文の信憑性、これランセットの論文になりますけれども、疑いがあるというふうに承知しております。
大麻は、幻覚作用を有して、短期間ないし長期間の使用で様々な悪影響があると認識しております。国際的に麻薬として規制すべき物質は、麻薬に関する国際的な条約である麻薬単一条約に掲載されているものを基準としております。大麻、モルヒネ、コカイン、LSDといった薬物は、いずれも同じ規制のカテゴリーの中に掲載されておりまして、今回の改正法案では、我が国でもこれらを同一の法定刑の下で麻薬として規制することとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/81
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082・高木真理
○高木真理君 やはり、本当に体への影響がどのくらい出るかということとの関係で考えていく方が私は適切なのではないかというふうに思うところでもあります。
そうした中で、次に、大麻事案、大麻所持事案に見る初犯の場合からの、逮捕から起訴、起訴から判決までの勾留期間を伺いたいと思います。
大麻初犯の場合、まだ依存症にもなっていないケースがほとんどではないかというふうに思われるんですが、そうした中で、どのくらいの期間、社会から離脱させられ、前科が付くということもあったりしますけれども、制裁を受けるのかということが知りたいのです。あわせて、第一審における科刑状況についてもお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/82
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083・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
お尋ねのその勾留期間及び科刑状況でございますけれども、その初犯の大麻所持事案ということに限定したものではなく、いずれも再犯者も含んだものとして、かつ、個別の罪ごとではなく、大麻取締法違反全体の統計として把握したものしかございませんで、初犯の大麻所持事案に限定して把握されたものがないということで、お答えをすることは困難でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/83
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084・高木真理
○高木真理君 これ、初犯の統計ないということなんですけれども、再犯も入る上にいろんなのが入るというと、商売で密輸入する人とか製造してもうけようとした人とか、そういうので捕まった人が全部ひっくるめての統計しかないというので今の答えだったと思うんですが、そうなると、本当に、今後これが犯罪として規定をされて進んでいく中で、適切な科刑になっているかどうかということを判断するのも難しいんだと思うんです。
なので、これ別途統計を取っていただくことが必要じゃないかと思うんですけれども、お考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/84
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085・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 法務省といたしましても、薬物犯罪の動向を注視して、その実態を把握するように努めることは重要なものであると認識しておりますけれども、統計の取り方については、またほかの犯罪とのバランス等も考えながら検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/85
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086・高木真理
○高木真理君 まさに、ほかの犯罪とのバランスを考える中で、大麻が全部ひっくるめてでいいのかという、ほかの薬物と全く同じでいいのかというところに関係してくるので、是非これ、初犯でどうなのかというところについて統計を取っていただきたいというふうに思います。
次に移ります。
先ほども申し上げましたように、今回の日大アメフト部の事件に報道や私自身が示したような反応、また、その反応のもととなるような大麻や薬物事件に関する認識自体を私は改めなければならないのではと今回強く感じたところです。それには、薬物乱用防止の啓発の在り方も考え直す必要があるのではないでしょうか。
お配りをしました参考資料の一を御覧ください。
薬物乱用防止キャンペーンを全国で展開する公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターさんに御協力をいただきまして、これ、啓発資材として販売されている下敷きの図柄についてちょっと御提供いただきまして、皆さんに配付をさせていただきました。「ダメ。ゼッタイ。」というポーズ付きでやるんですけれども、先ほど神谷議員は薬剤師として薬物乱用防止教室やっていたというお話でしたが、私も、所属するライオンズクラブで講師認定を取って講師をやってまいりました。
この下敷きにはそのエッセンスが凝縮をされています。大麻の注意喚起も載っていますね。そして、表面の左側真ん中辺りに「薬物乱用は一回でも「ダメ。ゼッタイ。」」と書いてあって、「乱用される薬物は脳や神経に強く作用するため、「自分だけは大丈夫」と思っても、一度使ってしまうとやめることができなくなる薬物依存という状態を引き起こします。」と書いてあります。もう一回やったら、もう絶対依存に行っちゃって、もうこの先終わりみたいなところがあるといえばあるんですよね。私もこれを信じて教室をやってきたというものがありました。
裏を見ていただくと、それぞれの薬物でどういう体への影響があるかも書かれています。薬物ごとに整理がされていて、正確なんですけれども、みんなまとめて表記されていることで、薬物イコール体がぼろぼろになって怖いという恐怖を感じさせる内容になっています。
資料二の方は、歴代の薬物乱用防止キャンペーンのポスターです。ずっとこの「ダメ。ゼッタイ。」で来ていますね。ポスターになった人が薬物事犯で逮捕されることもあったからか、今はイラストが中心ですが、二〇一九年のポスターでも、矢印がこれ、道の表示板みたいになっていますけれども、注射器になっていて、行き先、これ小さくてぼんやりしていて見えにくいと思いますけど、全て破滅、破滅、破滅と書いてあります。最近のポスターも結構怖いです。
入口規制の一次予防だからというのも分かる部分もあるんですが、これだと、うっかり足を踏み入れてしまった人を追い詰め、孤立を深めさせ、相談につながりにくい素地をつくっているのではないかという指摘があります。私自身、こうした講演で追い詰めてしまった人たちがいたのではと、今回、気持ちが苦しくなるところがありました。
このキャンペーンの在り方について、大臣の御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/86
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087・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 我が国の薬物の乱用防止対策は青少年の発達段階に応じて啓発を行っており、その結果、我が国の薬物の生涯経験率が他国と比較して極めて低く抑えられているというふうに認識をしております。このため、現在の「ダメ。ゼッタイ。」を含めた一次予防は、分かりやすいメッセージとして広く定着をし、一定の効果を上げていると評価をしております。
他方で、一次予防の啓発に当たり、どのような標語であれ、薬物依存症者への偏見の助長や治療の阻害を生まないように実施していく必要も当然認識をしております。このため、薬物乱用防止の普及啓発に当たっては、全国各地に設置した相談窓口を紹介するなど、薬物に悩む方々への配慮も行っておりまして、引き続き、適切な治療と社会復帰支援による再乱用防止といった二次予防にも配慮した対策を行ってまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/87
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088・高木真理
○高木真理君 発達段階に応じてということで、私も小学校でやるときなんかは、やっぱり、薬物が何だか分かっていないけれども、友達とか先輩とか、ちょっと見知らぬ大人という場合なんかも設定されていますけど、分からないでそこにつながってしまう、そういうことがあったら断ろうねということを中心に教えます。
それが、薬物に触れさせないということでやるんだという意味では分かるんですけれども、だまされて、あるいはうっかりつながってしまうかどうかというののほかに、やっぱりつらいことを解消しようとして何かふっとそっちに行ってしまうというようなこともあると思うんですね。そうしたつらさのところに忍び込んできてしまうような薬物ということとの接点に関しては、この「ダメ。ゼッタイ。」のポスター、このちょっと標語も私は考え直す時期に来ているんじゃないかというふうに思いますけれども。
つらいこと、しんどいことがあったらまず話してみようとかという言葉が一言このポスターなどに添えられているだけでも、一次予防の中でも違うと思うんです。コピー自体も、一度やったら二度と戻れない別世界に落ちるみたいでないものの方が良いのではないでしょうか。そして、薬物に頼りたくなる気持ちには、まず相談を促す内容、そして不安やつらさのもとに寄り添えるネットワークの構築が重要だと考えますが、その先につながれるようなキャンペーン内容に変更のお考えはないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/88
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089・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 我が国では、国民の薬物乱用問題に関する認識を高めるために、この「ダメ。ゼッタイ。」という普及運動を行っているわけでありますけれども、この運動では、薬物の危険性を伝えるだけではなくて、薬物についての相談窓口を紹介するなど、薬物に悩む人々への配慮も同時に行っております。
また、厚生労働省が教育機関からの依頼により派遣している薬物乱用防止教室でも、薬物乱用についての相談先の周知を行ったり、つらいときには周囲の信頼できる大人や専門家に相談することが大切であると伝えるなど、薬物に悩む青少年などに寄り添った内容ともなっております。
今後とも、引き続き、薬物に悩む方々にもしっかりと寄り添った内容の周知啓発運動をしっかりと実施してまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/89
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090・高木真理
○高木真理君 寄り添った内容というふうにおっしゃったので、その入口のところでも、ポスターをまず見た人などにも、薬物に行っちゃおうかなと、それ、駄目、絶対と言われるだけじゃなくて、そこに、いや、つらいことあるんだったら相談とかいろいろあるよということも是非添えていただくような、せめてそこをお願いできたらというふうに思います。
この問題、最後に、オーバードーズのことも出てきているので、そちらも質問したいというふうに考えていたんですが、そうしたところ、オーバードーズのことと大麻は大して変わらないんじゃないかというふうに思い出しました。違法かどうかという扱いになっているだけで、市販薬も、繰り返し同じように飲んでいけば依存性が出てきて、その人の体に影響があります。
不思議とオーバードーズの方が、何か痛々しくてつらいんだなという寄り添う気持ちが出るんですけれども、大麻だと、違法なものに手を出して、悪い人なんじゃないかみたいに感じる風土というものがあるのではないかというふうに思いますが、こんな偏見を生んではいけないというふうに思います。
まず、丸山参考人がおっしゃっていた、こうした薬のみならず、アルコール、ギャンブル、ゲームなど、いろんなしんどいものを抱えている方たちに対して生きることを支える厚労省であってほしいという言葉があったことを忘れられません。
そうした意味で、厚労省のみならずなんですが、省庁の枠を超えて、生きることを支えるためにネットワークの強化が必要だと考えますが、いかがでしょうか。広くなってしまうので、孤独、孤立の観点から内閣官房政府参考人に、依存症の観点から厚労省政府参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/90
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091・江浪武志
○政府参考人(江浪武志君) お答え申し上げます。
オーバードーズ対策といたしまして、孤独・孤立対策の推進の必要性が指摘をされてございます。
内閣官房におきましては、孤独、孤立で悩む方に支援制度や相談先の情報を届けるために、孤独・孤立対策ウェブサイト「あなたはひとりじゃない」において、チャットボットにより、悩みに応じた支援制度、相談窓口などを案内しているところでございます。このチャットボットの利用結果のページから各自治体の支援制度の手続のページにつなげて申請できるような仕組みを設けるなど、孤独、孤立に悩む方にスムーズに支援を届けるため、各種施策との連携も進めているところでございます。
ネットワークの強化という観点では、現在、各地域の実情に応じた官民連携による孤独・孤立対策を推進するために、地方自治体における官民連携のモデル構築を進めているところでございます。
引き続き、孤独、孤立に悩む方々に必要な支援を届けるとともに、そのような方々が声を上げやすい環境づくりに取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/91
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092・辺見聡
○政府参考人(辺見聡君) 依存症の観点からお答え申し上げます。
依存症者の支援に当たりまして、その方のつらさを共感できるという意味で、回復者や経験者などが参加している民間団体は、依存症の回復支援において重要な役割を果たしていると考えているところでございます。
このため、厚生労働省におきましては、こうした民間団体に対し、全国規模で依存症問題に取り組む民間団体に対して補助を行うとともに、各地域の民間団体を支援する都道府県等に対しても補助を行っているところでございます。
引き続き、こうした取組を通じて、生きづらさを抱える依存症者やその家族などを適切な治療や支援に結び付けることができるよう、民間団体支援を含めた支援体制を整備してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/92
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093・高木真理
○高木真理君 申し訳ありません、時間が来てしまいまして、浜地副大臣もお越しいただいて、生産者の側の問題で、大麻草についての正しい知識の普及のための啓発、大事だと思ったので伺いたいというふうに思っていたんですが、時間が来てしまったということで、申し訳ございません。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/93
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094・大椿ゆうこ
○大椿ゆうこ君 立憲・社民会派、社民党の大椿ゆうこです。
本日は、閣法の質疑に入る前に、十一月三十日、名古屋高裁で判決が出された、通称いのちのとりで裁判について大臣にお尋ねします。
厚労省は、二〇〇八年から一一年に物価が四・七八%下落したとする独自の指標を根拠に、指数を根拠に、二〇一三年に平均六・五%、最大一〇%の生活扶助基準の引下げを決め、三回に分けて実行をされました。この基準額の引下げは生活保護に違反するとして、生活保護法に違反するとして、全国二十九都道府県、千名を超える原告が違憲訴訟を提起しました。
名古屋高裁は、原告側の請求を退けた一審判決を取り消し、原告の請求どおり、国に一人一万円の賠償命令を出しました。長谷川裁判官は判決の中で、厚生労働大臣には少なくとも重大な過失があるとの国の賠償責任についても触れています。
武見大臣、この裁判も十年の歳月が流れ、その間、原告だった千人の方々も今八百八十人になり、多くの方がお亡くなりになりました。国は、原告の状況も鑑み、この判決を受け入れ、早期解決を図るべきだと考えますが、武見大臣のお考えと、全国各地で行われているこの裁判への今後の対応について簡潔にお答えください。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/94
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095・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 平成二十五年から三年間掛けて実施した生活保護基準の改定に関して、十一月三十日に名古屋高裁で判決があったが、当時の生活保護基準の改定について適法であったと認められなかったものと承知しています。現在、判決内容の詳細を精査するとともに、関係省庁や被告自治体と協議をしておりまして、今後、適切に対応してまいりたいと考えております。
なお、厚生労働省といたしましては、今後とも自治体との連携を図りつつ、生活保護行政の適正な実施に努めてまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/95
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096・大椿ゆうこ
○大椿ゆうこ君 判決を受けて、武見大臣は、十二月一日、記者会見をなさいました。基準額の引下げは手順も含めて適切なものだったと発言し、特定地域の名前を挙げ、生活保護制度というものが極めて好ましくない形で悪用されているケースが多々ありとの発言がなされました。生活保護の悪用に関しては非常に少ないにもかかわらず、厚生労働大臣が殊更にこのことを言うことによって生活保護バッシングにつながる可能性があるんじゃないかなということを私は大変危惧しております。この点につきましては、別の機会に改めて追及させていただきます。
そして、次の質問に移らさせていただきます。大麻取締法等の一部改正法案に関する質問に移ります。
今回の法案のポイントは、大麻草から製造された医薬品の解禁と使用罪の創設です。過日、参考人の丸山教授も指摘されていましたが、この法案は、医療のニーズへの対応と薬物乱用への対応という、趣旨と目的が非常に異なる政策を抱き合わせにした法案です。その結果、医療大麻の解禁には賛成できるが、使用罪の創設には慎重であるべきだという二つの立場が対立し、判断を難しくさせてしまっているように思えてなりません。使用罪の創設に慎重であるべきだという意見が、医療大麻の解禁には反対していると受け取られる懸念があります。
なぜこの二つの法改正を抱き合わせにする必要があったのか、それぞれ審議しようとはならなかったのはなぜか、その理由をお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/96
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097・城克文
○政府参考人(城克文君) お答え申し上げます。
大麻につきましては、従来は医療用途が想定をされておりませんでした。大麻に関する規制は、このため、繊維等の採取を目的とした農業者を主な対象としたものでございまして、医療用途のある麻薬について、医療従事者を主な対象とした麻薬及び向精神薬取締法とは別の法律で規制をされてきたところでございます。
しかしながら、今回、大麻由来の医薬品についても治療に用いることが可能となるように、他の麻薬と同様に、医師等による施用等を可能とする必要がございます。そして、このために、現行の大麻取締法ではなく麻薬及び向精神薬取締法に大麻を位置付けることで、同法に基づく流通規制の下でその製造や施用を可能とすることとしたものでございます。
また、この見直しによりまして、麻薬としての施用の枠組みに大麻由来の医薬品など大麻が含まれることとなる中で、若年層を中心に大麻事犯が増加傾向にあり、早急に大麻の施用に対する対策を取るべきとの背景もございましたことから、大麻についても、他の麻薬と同様に施用罪を適用することが適切と判断をしたものでございます。
このように、医薬品としての施用と麻薬としての施用罪の適用は表裏一体の関係にあることから、一つの改正法案として提出をいたしたものでございます。
なお、国際的な麻薬の条約、麻薬単一条約におきましても、大麻は麻薬に含まれているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/97
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098・大椿ゆうこ
○大椿ゆうこ君 表裏一体というところに対しては同意しかねるところがありますけれども、使用罪の創設に当たり刑事司法の介入が行われるわけですから、ならば、なぜこの法案を法務委員会との合同審査にしなかったのか、その理由をお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/98
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099・城克文
○政府参考人(城克文君) 私の方でお答えする中身か分かりませんが、過去の大麻取締法の改正におきましては、麻薬及び向精神薬取締法と一括改正した際に、やはり厚生労働省所管の委員会のみで審議をされているという、これ過去の事実関係でございますが、こういったものがございます。
一般に、法律に罰則を伴う禁止規定を設ける場合に、全て法務の関係と合同ということは取られていないと私は承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/99
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100・大椿ゆうこ
○大椿ゆうこ君 新人議員ゆえ分からない点があったかと思って、今の質問が適切ではなかったかもしれませんが、そのような御意見が私のところに寄せられたということでこの質問をさせていただきました。
私自身は、地域で暮らす障害者の自立生活支援に携わってきた関係から、自分の目の前で難治性てんかんの方が倒れるという様子を目の当たりにしたこともあります。また、地元であります大阪市では、二〇一八年に、てんかん発作を起こした男性が運転する重機が十一歳の聴覚障害の女の子をはねて死亡させるという大変痛ましい事故が起きました。現在も御遺族は、障害があるゆえに逸失利益が低く見積もられた中、心を痛めながら裁判闘争をされておられます。
このような事故が起きないためにも、難治性てんかんに効果があると言われる大麻由来の医薬品を治療に用いることができるようにすることは賛成の立場ですが、使用罪の創設には慎重であるべきであり、議論を尽くすためにもこの二つの法改正は抱き合わせにするべきではなかったのではないか、また、国会審議の進め方の中で、法務委員会と合同審査というような形でこのことをやっぱり徹底的に審議、議論する必要があったのではないかということを指摘して、次の質問に移ります。
十一月三十日の委員会では、大麻農家の大森さんに御意見をお聞きしました。今回の法案に対し、大麻農家が蚊帳の外に置かれているとの声も私のところに寄せられました。
農家という視点で考えたとき、種の問題が出てきます。今回の法改正では、大麻を麻薬と位置付けることに伴い、これまでの部位に対する規制から、有害成分の規制へと変わります。大森さんが栽培されている「とちぎしろ」はTHCはほぼゼロであると発言されていましたが、「とちぎしろ」以外の種を使っている農家さんもいます。「とちぎしろ」以外の大麻の中にはTHCの成分が高いものもあります。
成分規制に伴って、種の一元化が行われるのではないかという懸念がありますけれども、政府の御見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/100
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101・城克文
○政府参考人(城克文君) 今回の改正法案におきましては、大麻草の製品の原材料として大麻草を栽培する第一種大麻草採取栽培者につきましては、有害成分THCが基準値以下の大麻草から採取した種子等を用いて栽培しなければならないことといたしております。
その際、大麻草の品種につきましては、政府が指定するものではなく、基準値を満たす大麻草から大麻栽培者が自身の目的に合ったものを選択するという形になります。また、現行の大麻栽培者につきましては、低THC、低い、THCの低い品種への切替えが必要となりますが、その際、一定の経過措置期間を設けることといたしております。
さらに、海外からの種子の輸入を許可するほか、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所では、農林水産省の支援も得ながら、国内における大麻草の品種や栽培状況を把握し、情報及び資源の基盤整備を行う調査を開始をいたしたところでございます。
こうした取組を通じまして、現行の大麻草栽培者が種子の切替えに困ることがないよう支援を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/101
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102・大椿ゆうこ
○大椿ゆうこ君 大麻も、ほかの植物同様、その地域のその土地に適した種類があると思います。種の一元化や管理は、大麻の持つポテンシャルを限定してしまうこととともに、地域性とかブランド化による付加価値や多様性の低下にもつながる問題ではないかなというふうに思います。また、何を作るかというのはやはり農家さんが決めていくことであり、国から命令をされたりするものではないというふうに思います。
今の御発言の中で、経過措置をとりながら低THCの大麻に移行していくことを目指すということですが、どうか、引き続き、全国の大麻農家さんの声をしっかりと聞きながら、協議しながら進めていっていただければというふうに思います。
次の質問です。
今回の法改正では、部位規制から成分規制になることが大きな変更点です。THCを有害成分として位置付け、THCの残留限度値を設けるとなっています。しかし、世界では、CBD製剤のみならず、THCを含む様々な医薬品が存在し、医療現場で使われています。
個人的なことになりますけれども、私の連れ合いは、スペイン国籍のカタルーニャ人です。二〇〇一年にカタルーニャ州では医療大麻が合法化されています。緑内障の持病を持つ連れ合いは、眼圧を下げるために医師から大麻の使用を勧められた経験があります。
緑内障に効く医療用大麻はTHCの含有量が高いものだとの指摘がありますが、今後、THC成分の高い大麻に効果があることが分かった場合、どうするのでしょうか。日本の緑内障患者は全国で推定四百万人いると言われており、今回、難治性てんかんなどの治療薬が解禁されれば、緑内障やほかの病気にもというふうに波及されていくことが当然ながら想像されます。
今後の医療大麻の規制緩和の在り方について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/102
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103・城克文
○政府参考人(城克文君) 今回の改正法案におきましては、大麻草から製造された医薬品の施用等を禁止する規定を削除するとともに、麻薬及び向精神薬取締法における麻薬と位置付けることによりまして、従来では使用が禁止されていた大麻から製造された医薬品が我が国でも使用できるようになるものでございます。
現在、我が国では、エピディオレックスという難治性てんかんの治療薬の治験が進められておりまして、早ければ六年、令和六年後半にも医薬品としての承認の申請が行われるものと考えております。
また、海外では、エピディオレックス以外にも、大麻草由来のサティベックスや合成成分由来のマリノールといったTHC含有量が高い医薬品が承認をされておりまして、HIVの治療でありますとか多発性硬化症、がんの疼痛緩和等の治療薬の一つとして使用されておると承知をしております。
今回の改正によりまして、これらの医薬品につきましても、国内での医療ニーズがあれば日本でも開発、導入することが可能となると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/103
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104・大椿ゆうこ
○大椿ゆうこ君 回答ありがとうございました。
それでは、アメリカのバイデン大統領は、二〇二二年十月、大麻の単純所持で有罪判決を受けた六千五百人以上に恩赦を与えると発表し、我々の誤った大麻政策のせいで余りに多くの人たちの生活が暗転してきた、今こそ過ちを正すときだと表明しました。このような世界の動きに反して、日本はこれから使用罪の創設を進めようとしています。
大臣、率直に、バイデン大統領のこの決断をどのように捉えていらっしゃいますか。また、大臣は世界の動きと逆行する使用罪の創設がなぜ必要だと考えるのか、見解を簡潔にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/104
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105・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 米国では、国民の約四〇%が生涯で大麻を経験しております。生涯経験率が一・四%という極めて低い我が国とは、大麻の蔓延状況が大きく異なっております。
米国での大麻の合法化の動きは、大麻の蔓延状況の下での流通の管理の必要性や、逮捕、起訴され有罪判決が行われる割合が人種によって異なるといった人種マイノリティーに関わる社会情勢なども影響しておりまして、大麻の安全性を背景としたものではないと承知しております。
このため、米国の状況を踏まえれば、薬物の生涯経験率が低い我が国と単純に比較することはできないと思います。大麻に対する規制の在り方も、それぞれの国の状況に応じて構築していくべきものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/105
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106・大椿ゆうこ
○大椿ゆうこ君 先ほどどなたかの質問の中で、一次予防で日本は効果を上げているという御発言がありました。その結果、生涯の使用率が非常に低いところに抑えられていると。ならば、なぜここで使用罪を設けなければいけないのか。その一次予防で随分抑えられているのだったらば、そこでそのような、まあ「ダメ。ゼッタイ。」が私はいいとは思わないですけれども、そのような対策で十分だったのではないかという懸念を持っているということをお伝えしたいと思います。
最後の質問にさせていただきます。
十一月十日、衆議院の厚生労働委員会で参考人質疑が行われ、参考人の神奈川県立精神医療センターの副院長小林桜児先生は、司法というおせっかいが患者さんの回復に役立つと思いますと発言をされました。労働運動や市民運動を通じて、不当逮捕、不当判決の現場を数々見てきた私としては、刑事司法をそんなに全面的に信頼してよいのかという懸念を正直持っています。
先日、薬物依存症回復施設大阪ダルクのディレクターの倉田めばさんと一般社団法人回復支援代表理事加藤武士さんに直接お目にかかって、この法案をどう受け止めるのかということでお話をお伺いしてまいりました。
倉田さんは、長年にわたり、この間、本当に多くの方々の御相談に乗ってこられているわけですが、彼女が言うには、相談内容のほとんどは、大麻によって依存症になった、体を壊したなどの健康相談ではないとのことです。大麻を所持したことによって逮捕された、そのことが周囲に知られる結果となり、退学、解雇、社会的な地位を失った、家族や周囲の信頼関係を失い、人間関係がうまくいかなくなった、就職に就けない、お金がない、それらによって精神障害を抱えることになった、社会生活がうまく送れなくなったという相談がもうほぼ一〇〇%だと言われていました。
これ、医療現場にいる方から見ればまた違う反応があるかもしれませんけれども、支援に携わっている彼女の実体験は、ほぼ一〇〇%、こういう相談が寄せられるということです。むしろ、刑事司法の介入がより人を生きづらくさせている、生きづらさを招いているというのが、彼女や、そして加藤さんの見解でした。
今回の法案で使用罪創設に懸念を抱く理由は、その後の人権保護や支援対策が具体的に全く見えてこないところに私は懸念を抱いています。厚労省としては、大麻を使用した者に刑罰を科した先にどのような支援、回復につなげていくのか、どのようにお考えになっているか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/106
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107・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 時間が過ぎておりますので、お答えは簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/107
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108・城克文
○政府参考人(城克文君) はい。
御指摘のとおり、薬物使用で検挙されたりしたことによりましてその後の社会復帰が困難となるような事態は避けなければならないというふうに私どもも考えております。
このため、厚生労働省としましては、今年八月に策定した第六次薬物乱用防止五か年戦略の下で、関係省庁連携いたしまして、政府一丸となって、大麻を含む薬物乱用者に対する回復支援の対応を推進し、薬物依存症の治療等を含めた再乱用防止や社会復帰支援策を充実させる必要があると考えております。
厚労省としましては、再乱用防止対策として、麻薬取締部において薬物事犯者に対して、断薬プログラムの提供でありますとか地域の社会資源への橋渡し等の支援を行っておりますが、令和六年度予算を増額要求し、本事業を拡大していく予定でございます。再乱用防止や社会復帰支援をしっかりと充実させてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/108
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109・大椿ゆうこ
○大椿ゆうこ君 人権保護の視点を忘れず、支援策を具体的に考えていただくことを求めて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/109
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110・秋野公造
○秋野公造君 公明党の秋野公造です。お役に立てるように質疑をしたいと思います。
既に参考人の陳述でも立法趣旨はもう明らかであると考えております。参考人質疑におきましても、本日も、医療用等の目的についてはお支えをいただけるものかと思っておるところであります。
二〇一九年の三月、私は、大麻取締法の制約の下で大麻由来医薬品の治験は可能かと質疑をし、五月には、大麻由来医薬品ではなく大麻由来薬物の治験は可能かと質疑をさせていただき、当時の森審議官、いずれも可能と答弁をしました。
大麻由来医薬品、大麻由来薬物を、治験という今度は薬機法の規律にて、この枠を用いれば患者の元にそれを届けることができるということを明確にして、この答弁を根拠に製造販売業者が治験を開始することができた、これが立法趣旨であるということを考えております。それは、太組参考人からもお話があったところであります。
その上で、これまで、先ほど、治験という薬機法の規律で対応をすると決めていただいたように、今回大麻取締法を改正して、今度はどの法律の下で規律をするのがふさわしいのかということを政府内で検討をしていただきまして、麻向法で規律をするのがふさわしいのではないかと。
だって、そうだと思います。合成THCは麻向法で規律をされているということ、幻覚作用もあります。国際的にも大麻は麻薬の中に位置付けられていて、どうして麻薬の中で大麻だけを特別扱いにするのかといったような議論も全くない中で、どうしてその麻向法の中で大麻を特別扱いするのかといったような議論は全く深まっていません。丸山参考人もそこは一理あると。ほかの法律の規律を例示することなく麻向法での規律を一理あると御発言をしていたことは、今日御参加の委員の皆様も覚えていらっしゃるかと思います。
その上で、使用罪の新設とか使用罪の創設とか、そういったメッセージは間違っているんじゃないかと思っておりまして、麻向法に当てはめるので、麻向法の規律に入るので、麻向法の中で大麻だけを麻薬から特別扱いできるエビデンス等をお示しいただけるならば、麻向法の中で特別扱いするという議論はあってもいいのかもしれませんけれども、そういったことも一切なく、この使用罪の新設とか創設という言葉に踊らされて、だからなぜ新設するのかと。大麻の話ではなく薬物対策の全体の話で議論をすり替えて質疑を行うものも何だかいかがなものかなと思っておりまして、誰のために質疑をしようとされているのか、よく分からないで聞いているところであります。
その上で、私は、今回の法改正の厚生労働省の動きは速かったと考えています。ちょっと別の角度で、自分は十年前から、長くから活動していたけど、厚生労働省は聞かなかった、遅かったと、こういった批判も逆にあるところであります。
確認をしておきたいと思いますが、元々大麻由来医薬品の治験は可能であったのかということをまず確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/110
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111・城克文
○政府参考人(城克文君) お答え申し上げます。
大麻から製造された医薬品を施用することは現行の大麻取締法により禁止をされていること、そして、麻薬単一条約におきまして、大麻について、特に危険な薬物であって医療用途がない物質と、スケジュール4とされていたことを踏まえますと、かつては大麻から製造された医薬品の治験は想定されていなかったものと考えられます。
一方、その後、大麻草から製造された医薬品でありますエピディオレックスが諸外国で承認、利用され、国際的にも大麻の医療上の有用性が認められたことを踏まえまして、平成三十一年三月十九日に行われました沖縄及び北方問題に関する特別委員会において、委員からの御質問に厚生労働省としてお答え申し上げたとおり、大麻取締法において大麻研究者の免許を受けた医師の下で、適切な計画に基づき治験を行うことは可能と明確にしたところでございます。これを踏まえて現在も治験が進められているというふうに承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/111
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112・秋野公造
○秋野公造君 大臣に確認をしておきたいと思います。
治験が可能と答弁をして、実際に治験が始まったことが立法の趣旨と考えていいか、確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/112
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113・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 御指摘のように、平成三十一年の秋野議員の沖縄及び北方問題に関する特別委員会における質疑の中で、当時の政府参考人は、大麻研究者である医師の下で、厚生労働大臣の許可を受けて輸入したエピディオレックスを治験対象の薬物として国内の患者さんに用いるということは可能との旨、答弁をしたと承知をしております。
この答弁によって大麻から製造された医薬品の治験が可能であることが明確になり、国内で治験が開始されたことは、今回の改正法案の提出に至る上で極めて重要な契機であったというふうに考えています。
今回の改正法案では、大麻由来の医薬品を適正に利用できるようにするため、大麻及びその有害成分に対する規制について、大麻取締法から麻薬及び向精神薬取締法における規制へと移すこととしており、これにより適正な流通規制を実施することについても、この改正法案の立法趣旨の一つの柱であると認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/113
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114・秋野公造
○秋野公造君 大臣、ありがとうございます。
この二〇一九年の三月及び五月の質疑、私は、大麻由来医薬品、大麻由来薬物と表現をいたしまして、成分については触れませんでした。
確認をしておきたいと思いますが、薬機法の下で、薬機法の規律の下で、CBD、THC、成分とは関係なく治験を行うことは可能か、これについて確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/114
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115・城克文
○政府参考人(城克文君) 大麻から製造された医薬品としましては、海外では、委員御指摘のエピディオレックスのほか、多発性硬化症やがんの補助鎮痛薬等としてサティベックスが承認されていると承知をいたしております。
これらの医薬品に限らず、現行の大麻取締法において大麻研究者の免許を受けた医師の下、厚生労働大臣の許可を受けて輸入した大麻草から製造された医薬品を、研究の一環として、治験の対象とされる薬物として国内の患者に用いることは可能と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/115
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116・秋野公造
○秋野公造君 ありがとうございます。
九月にオーストラリアから、私の友人であります、まだ子供ですけど、カイアちゃん、来日をしてくれました。彼女はCBD製品を服用して日常の生活の質を担保しているということでありまして、この持込みが許されなければ日本への旅行を諦めなくてはならないということで、先日参考人質疑で陳述された太組理事長、臨床カンナビノイド学会が御協力をして、このカイアちゃんが持ち込もうとするCBD製品が現在の法律の規律の下で可能なのかということ、これにつきまして、厚生労働省も麻取の皆さんも、法に基づいて極めて厳格に、そして慎重に、時間を掛けてちゃんと検討をしてくださいまして、その上で、法律上何の問題もないといったようなことが分かった次第であります。
カイアちゃんとそして御両親、入国をすることができて、日本の旅行も楽しんで、日本が大好きになって、こういったことも国際の友好を深めていく大事な取組だろうと思いますけれども、このときにお話をしたこと、すなわち聞いたことをそのまま皆さんと共有いたしますと、服用していたCBD製品は、保険ではカバーをしていないけれども医師が配付をしているという扱いでありまして、これがオーストラリアでどういう扱いなのかということ、もちろんお一人から聞いた話でありますから、それの正確性も含めまして、それが日本の薬事制度の中でどのように突合されるのかといったようなことも明確になりませんでした。
しかしながら、こうやって、先ほど大椿委員からも御主人様のお話を通してお話がありましたけれども、海外での成功事例といったことは共有しなくてはならず、一方で、どのように海外で使われているのかといったような正確な情報を取るというのは、これ非常に難しい状況であります。
こういった調査は今後しっかりと行っていくべきではないか、そのように考えますが、御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/116
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117・城克文
○政府参考人(城克文君) THCやCBDを含むカンナビノイド成分につきましては、大麻規制検討小委員会の取りまとめにおきましても、その作用や安全性において未知の部分もあることから、これらの成分の適正な使用、長期の安全性や作用量等や乱用防止に資する更なる調査研究を深めていくべきとされております。
今後とも、私ども、国内外の治験の収集等に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/117
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118・秋野公造
○秋野公造君 改めてですけど、今日の一つのテーマであります大麻取締法の規律をなくすならば、どの法律の下で規律をしなくてはいけないのかということ、その判断に至った検討の過程というのを厚労省にちょっとお伺いをしたいと思います。
改めて、大麻や大麻製品の規制を麻向法に移した理由、これについてお伺いをしたいと思いますし、そもそも、これまでも麻向法に逆に位置付けてもよかったんじゃないかという裏返したお話も聞いてみたいと思いますし、そもそも国際的にも麻薬に位置付けられているのではないか、ちょっとこういう問題意識で厚労省の御見解、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/118
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119・城克文
○政府参考人(城克文君) お答え申し上げます。
大麻につきましては、従来は医療用途が想定されておらず、大麻に関する規制は、繊維等の採取を目的とした農業者を主な対象としたものでございました。したがいまして、医療用途のある麻薬について、医療従事者を主な対象とした麻薬及び向精神薬取締法とは別の法律で規制をされてきたところでございます。
しかしながら、今回、大麻から製造された医薬品につきまして、他の麻薬と同様に施用等を可能とすることから、大麻についてのみ麻薬と区別して規制する必要性が失われておると考えております。したがいまして、同じように、麻薬及び向精神薬取締法に基づく流通規制の下でその製造や施用を可能とすることとしたものでございます。
なお、御指摘のように、国際的な麻薬の条約に、麻薬単一条約におきましても、大麻は麻薬に含まれているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/119
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120・秋野公造
○秋野公造君 大麻の使用罪の創設とか新設とかいう間違ったメッセージが広まっているように私は考えておりますけれども、これから、大麻由来成分を麻向法にて規律をするので、ほかの麻薬と同様に施用罪の対象になると、このように理解をしていいか、確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/120
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121・城克文
○政府参考人(城克文君) 今回の改正法案におきましては、大麻草から製造された医薬品の施用等を禁止する規定を削除するとともに、大麻とその有害成分を麻薬及び向精神薬取締法における麻薬と位置付けることによりまして、流通規制の下でその施用や製造等を可能とするものでございます。
このため、委員御指摘のとおり、大麻由来成分についても、その不適切な施用については、他の麻薬と同様に、麻薬取締法、麻薬及び向精神薬取締法の施用罪が適用されるというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/121
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122・秋野公造
○秋野公造君 今日は、浜地副大臣、ありがとうございます。本当に様々お力添えを賜ったことをちょっとこれから皆様にも紹介をしていきたいと思いますけど、今日、資料をお配りをさせていただいております。十二月一日、城医薬局長から発出されたものであります。
この大麻由来成分がないと生きていくことができない方々にとっては、もう必死の思いで何とか適法に使おうとしているわけでありますけれども、その意味は、治験は可能となりました、だけど、治験をするかどうかは製造販売業者が考えることでありまして、私も、質疑をして治験が可能と御答弁をいただいて、治験がばあっと広がるかということを期待しておりましたけれども、実際に対象となったのは僅か三疾患でありまして、多くの、真に生活の質を担保するために必要な方々にとってはその治験の対象外になっていると。その方々がどうするかという課題はずうっとこれから続くわけであります。
そういった方々が、食品として、オイル等にしてそれを服用して生活の質を維持しているわけでありますけれども、大変残念なことに、THCVが薬機法に基づく指定薬物になってしまいました。これはもう致し方がないことでありまして、大麻由来成分を含有する食品等に、そういう扱っている方は、患者の命が関わっているということを心して対応していただきたいということを本当に願います。もうけるためとか、もういいかげんなことをすると、本当に患者さんが困ってしまうということにつながり得るということであります。
その食品にTHCVを含むカンナビノイドを生活の質を担保するために使っている方がいらっしゃったわけでありますが、指定薬物になってしまいましたので、これは大変なことになったということで、浜地副大臣に御相談をさせていただいた次第であります。
まず、ちょっと確認だけしますけれども、THCVは、八月に薬機法に基づく指定薬物に指定されて、九月に施行をされました。この指定された経緯、御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/122
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123・城克文
○政府参考人(城克文君) 委員御指摘のテトラヒドロカンナビバリン、THCVでございますが、本年八月に化学構造が類似する一連の化合物をまとめて指定薬物として包括指定をした際に、その化合物群に含まれる化合物の一つでございます。
THCV含め一連の化合物群に含まれる化合物につきましては、国内外での流通実態がある状況、それから毒性データ等に基づきまして、薬事・食品衛生審議会薬事分科会指定薬物部会におきまして御審議をいただきまして、指定薬物として指定することが適当であると判断されたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/123
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124・秋野公造
○秋野公造君 いろんな規制がかぶさってきて、生活の質を担保するためにこういった通知を出していただいたわけでありますけれども、改めて、生活の質の維持を目的としてTHCVを使用している方が指定薬物指定後も引き続き使用することができるよう、その方々を浜地副大臣の下に御案内をさせていただきまして、要望書を出させていただきました。
その後の厚生労働省の検討状況につきまして、浜地副大臣にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/124
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125・浜地雅一
○副大臣(浜地雅一君) 秋野委員御指摘のとおり、私の方に、このTHCVを含むものを使用されている患者の皆様方から御要望をお受けさせていただきました。
先ほど局長からも御答弁がありましたとおり、THCV一般のものは、やはり健康に害するおそれがあるということで指定薬物の指定を行っておりますので、一般的にこれは規制に掛かっているというのがまず大原則でございます。その上で、例外的に正規用途としてこれらを認めるかどうかというものが通知若しくは省令によって定められるわけでございます。そこで、厚生労働省としましても、従来からこのようなTHCVを含むものを使っていただいております患者の皆様方につきまして、これを正規用途として認めるかどうかの検討を行わさせていただいたところでございます。
そこで、この十二月一日の、委員が今出されました資料にありますとおり、十二月一日の通知によりまして、難治性てんかんの患者の皆様方で、QOLですね、いわゆる生活の質の維持を目的として使用する場合には認める場合の手続を十二月一日に発出をさせていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/125
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126・秋野公造
○秋野公造君 こうやって患者さんたちは、例えば三ページ目を皆さん御覧いただきたいと思いますけれども、例えば三ページ目の(一)の留意点ですけど、THCVを含有するCBD製品を対象とするものであり、THCH等の指定薬物と混和された製品は認めないと。こうやって、本当に必要な人たちというのは丁寧に丁寧に法を遵守して、そして、その法の中で手続を踏んで、合法目的で使用して命をつないでいる方がたくさんいらっしゃる状況なのに、安易に使う人に対する議論というのは、やっぱりちょっと慎重に行っていただきたいというのは心からお願いをしたいと思います。
その上で、今回、一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会が間に入って、生活の質の維持を目的としてTHCVを使用している方のこの確認申請、早速行われたと聞いておりますけれども、結果について浜地副大臣にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/126
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127・浜地雅一
○副大臣(浜地雅一君) 先ほど委員から御指摘がありましたとおり、この当該患者の皆様方の使用の確認申請につきましては、THCVの使用を認める旨の結果、こちらを先般通知をさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/127
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128・秋野公造
○秋野公造君 ちょっと確認なんですけど、このときに、THCV含有する商品は複数ありました。申請した人に対して商品名で正当な用途を認めるということになりますか、この点もお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/128
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129・浜地雅一
○副大臣(浜地雅一君) 基本的には、こちらを認めるかどうかは、この申請、当該患者の皆様方が、その方が申請された用途として認めるかどうかということになりますので、製品一般ということではなく、当該患者の方々が生活の質の維持のために必要かどうかという観点で個別に認めるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/129
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130・秋野公造
○秋野公造君 ありがとうございました。
引き続き申請が行われることになろうかと思いますけれども、何とぞよろしくお願いをしたいと思います。
次に、CBDにつきましては、期限によらず、食品等に用いることが可能になると理解をしておりますけど、ちょっと私の懸念をお伝えさせていただくと、濃縮したCBD、濃縮して濃縮して濃縮して濃いCBDを食しても大丈夫なのかということ、そして、その時点では、濃縮する前は測定することができなかったTHCが濃縮されたことによって測定されるぐらいの濃度になってきたときに、その他幻覚作用等を含めて様々な問題を起こすような濃度になる懸念についてどのように考えているか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/130
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131・城克文
○政府参考人(城克文君) CBDにつきましては、WHO、世界保健機関の報告書におきましても、乱用や依存可能性を示唆する作用はないとされておりまして、麻薬単一条約でも規制対象ではないところでございます。
御指摘のTHCの残留の限度値でございますが、保健衛生上の観点から、THCが精神作用を発現する量よりも一層の安全性を見込んで適切に設定をされるべきという大麻規制検討小委員会の取りまとめもございますので、これを踏まえまして今後設定をする予定でございます。
具体的には、海外の規制も参考にしまして、仮に大量に摂取したり濃縮したりしても保健衛生上の危害が発生しない十分に安全な基準として、THCの残留限度値はゼロに近い数字とする予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/131
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132・秋野公造
○秋野公造君 ちょっと確認ですけど、何者かが食品にTHCを混入させたとき、その混入させた者に対する罰則についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/132
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133・城克文
○政府参考人(城克文君) 罰則の適用につきましては、個々の事案に係る証拠を踏まえて判断されることになりますために、一概に申し上げることは困難ではございますが、御質問にありますように、食品に麻薬を混入させた、含有させた場合につきましては、例えば、麻薬を所持していたとして麻薬の所持罪が、麻薬を含有する製品を製造したとして麻薬の製造罪、また、その当該製品を他人に譲り渡した場合には、麻薬を譲り渡したとして麻薬の譲渡罪がそれぞれ適用される可能性があるものと承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/133
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134・秋野公造
○秋野公造君 ありがとうございました。
先日の参考人質疑で太組参考人が出していた資料の一番最後のページには、当局に承認された大麻由来医薬品、まだそんなものはないんだろうと思っておりますけれども、そんなチラシが堂々と配られて、残念ながら、そこで国会議員の方々も登壇をしているような、そういう間違ったメッセージというのはこれからも生じ得る可能性があると私は思います。
いわゆる合法大麻と称する危険ドラッグ製品と、先ほど城局長からお話ありました、安全で合法なCBD製品を消費者の方々がどうきちんと見分けていくか、どう示していくかといったような仕組みは非常に重要だろうと思います。
こういった制度の運用につきまして、厚生労働省のお伺い、具体的なことがもしもお話しできるならば、御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/134
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135・城克文
○政府参考人(城克文君) お答えいたします。
HHCHなどの大麻成分類似の合成成分を含んだいわゆる合成大麻製品等が販売されて、健康被害が発生する状況が近年見られております。特にHHCHなどの合成カンナビノイドはいわゆる危険ドラッグに相当する成分でございまして、こういったものに対しましては、販売等停止命令でありますとか迅速な薬物指定、指定薬物としての指定を行いまして、所持、使用、販売を禁止をいたしております。
合法大麻などと標榜するこれらの製品の危険性につきましても、国民に注意喚起、啓発をしっかりとしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/135
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136・秋野公造
○秋野公造君 先ほど来より、「ダメ。ゼッタイ。」のポスターが、そこに対する批判のお話もありましたけれども、例えばその指定薬物に対しても、「ダメ。ゼッタイ。」は駄目というお考えなのかといったようなこともよくわきまえる必要が私はあるのではないかと思っています。
危険ドラッグの指定薬物を指定しては、また次の禁止されていないものを使うんだといったようなことがテレビの中でも堂々としゃべられるようなそういう状況の中で、この指定薬物、平成二十六年に所持罪と使用罪を追加して、検査命令や販売等停止命令を実施した。平成二十七年には、危険ドラッグ販売店舗を撲滅することができた、こういった背景もあります。
使用罪、所持罪、元々麻薬の規制にあったものを指定薬物にも適用したということでありまして、麻薬を所持、使用まで規制しているこの法益や立法事実、そして、大麻も麻薬にするということは、麻薬としての法益や立法事実、これ大麻も含まれるのではないかと考えておりますけれども、そこについての厚労省の御見解、お伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/136
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137・城克文
○政府参考人(城克文君) お答え申し上げます。
麻薬及び向精神薬取締法第一条に規定をされていますとおり、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡し等について必要な取締りを行うとともに、麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もって公共の福祉の増進を図ることを目的としておりまして、麻薬の所持や施用について規制を行っていることは、薬物事犯の抑止、乱用に歯止めを掛けるための一次予防に主眼を置いたものと承知をいたしております。
また、麻薬に対して密輸や不正流通の取締りを行うことによりまして、麻薬に関連する社会的な問題や犯罪の発生を防止することが社会全体の利益につながることを期待をいたしております。このことは、個人の使用であっても反社会的な勢力に経済的な利益を供与しないようにする観点からも、薬物事犯の抑止を目指すところでございます。
今回の法改正におきましては、大麻を医療で使用できるようにするために麻薬規制に移した上で、麻薬として適正な流通管理、所持、使用等の規制を明確にするものでございますが、大麻は、医学的にも酒やたばことは異なる精神作用を及ぼす危険な薬物と認識をされておりますし、国際条約でも麻薬に区分をされている。国内だけでなく欧州等の諸外国の研究でも、ゲートウエーとなるといったことを支持する論文も複数存在していることなど、麻薬規制の対象とすべきものでございます。
このような点に鑑みまして、大麻等を麻薬及び向精神薬取締法の規制下に置くことによりまして、大麻等を同法の、この法律の法益に含めるようにしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/137
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138・秋野公造
○秋野公造君 最後にしたいと思いますけど、それこそ国会議員会館の中にも、合法、当局に承認された、こういったようなチラシが平然と配られて、知らずに国会議員が登壇をするような、そういったような状況でありまして、合法と称して販売されたHHCHのような大麻類似の危険ドラッグの使用、これ合法という言葉の下に薬物に対する抵抗感を下げて、ゲートウエーとして違法な大麻などの薬物の使用に移行するというようなことはもう絶対避けなくてはならないことでありまして、危険ドラッグにせよ大麻にせよ、その先の依存症や健康を害する状態になる前の一次予防、私は重要と考えます。
厚労省のお考え、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/138
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139・城克文
○政府参考人(城克文君) 我が国におきましては、薬物に手を出させないための一次予防を長年にわたりまして推進をしてきた結果、我が国の薬物の生涯経験率は他国と比較して極めて低く抑えられていることからも、一定の成果を上げていると考えております。
このため、薬物乱用防止の普及啓発に当たりましては、まずは一度でも薬物に手を出させないことが必要であることから、引き続き一次予防の取組を基本としつつ、その上で、薬物に手を出してしまった方に対しては、薬物依存症者に対する適切な治療や効果的な社会復帰支援等の再乱用防止施策、二次予防を推進することが重要であると考えております。
そして、薬物乱用防止の広報啓発につきましても、薬物依存症の方が偏見を持たれたり治療を阻害したりしないよう、関係部局とも連携をしながら、適切かつ効果的な内容となるよう、今後も検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/139
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140・秋野公造
○秋野公造君 法改正後に、真に必要な方が治療できたり生活の質を維持できたり、そうやって喜びの声が上がることを期待します。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/140
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141・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時十四分休憩
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午後一時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/141
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142・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/142
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143・梅村聡
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。
本日は、大麻取締法等の改正案についての質疑で質問をさせていただきたいと思います。
今日は、法案の中身に入る前に、来年の四月から始まります医師の働き方改革、ちょっとこれに関する新聞報道が少し出ましたので、今日はまず、前半少しそれに時間を使わせていただきたいと思います。
今日取り上げるのは、先月、十一月十九日の朝日新聞で、これ、具体名の大学名は出しませんが、某大学病院で、今年の五月以降、五月以降ですね、勤務医が時間外に病院に残り、学生に教えたり研究論文を書いたりしても原則労働時間と認めずに、無給で自主的に勉強した自己研さんとして取り扱っているという、こういうニュースが報道されました。
背景はいろいろあるかと思いますが、この記事のポイントをちょっと御紹介をしますと、この大学では、まず、元々、大臣も御存じだと思いますけれども、大学病院というのは、診療と研究と教育というのはこれ三本柱だと。だから、診療があって、片手間に教育とか研究をしているのではなくて、この三本柱というのは同じように大事だという、そういう基本的な認識が大臣にもおありかと思いますけれども。ただ一方で、この時間外労働を考えるときには、本来業務なのか自己研さん、そのドクターなり職員が自分で、自分の趣味とは言いませんけど、業務と関係なく研さんしているんじゃないかと、これが働き方改革の中の大きな論点になるんですけれども。
この大学は、診療、教育、研究について昨年の十一月から区分表というのを作りまして、この区分表に基づいて、本来業務なのか自己研さんなのかということを仕分をしていっていたと。昨年の十一月からは、教育と研究についても時間外に働いたらこれは時間外労働と認めてきたと。だから、いいことだったと思うんですね。その結果、今年の三月まで、職員への時間外手当が月三千万円程度増えたと。三千万円増えたので、これは良くないということで、今年の四月から、この自己研さんか本来業務かの区分表の表から教育と研究は項目を全て除外すると。で、上司の許可なく、教育と研究については、これ時間外申請はできないようにして、そして、職員向けに時間外に教育とか研究を行うということを命じないことと、こういうことを実は示したという報道になっています。
その結果、今年の五月以降、この月当たりの教育と研究の時間外労働は昨年十一月と比較して九三%減ったと。だから、お金の面では減ったのかもしれませんけれども、これ、この大学病院の本来業務から教育と研究は時間外は外すんだと、こういうことが実際に行われているという報道なんですけれども。
まず、大臣、この報道を見られてどういう御見解をお持ちになるか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/143
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144・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 私も個別の事案については申し上げられませんけれども、医師について的確な労働時間管理を行うというのは極めて重要でありまして、その通達の中で、医師の研さんが労働時間に該当するかどうかの考え方を示すとともに、医療機関においてこれを明確化するための手続等を示し、その周知に努めているところであります。
しかし、御指摘のように、こういうエデュケーショナルホスピタルで、臨床のほかに教育と研究というのを加えて、その業務に携わっている方々、こういった方々の中でどこまでをこうした労働時間の中に組み込むか、その基準の設定というものについてはかなり難しい局面があるだろうと思います。
その中で、その医師の健康確保のために着実に医師の働き方改革を進めていく必要もあり、そのためにも、適切な労働時間の管理がなされるように、私どもとしては引き続き必要な支援を行っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/144
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145・梅村聡
○梅村聡君 個別の事案なので具体的な御答弁は難しいかと思うんですけれども、もう少しちょっと論点を絞って、今度は局長にお伺いをしたいと思いますが、この問題の論点は、ふだんの昼間の労働時間内でしたら、診療も教育も研究も、これは労働として扱われると。ところが、時間外というところに関しては、診療は時間外労働として認めるんだけど、教育と研究に関しては原則認めないと。だから、時間の差によって、こっちでは同じ働き方でも労働時間として認められ、時間外だったら研究と教育は、これは労働時間としては認めないよと。
だから、同じ内容の業務でも時間によって扱い方が変わるということがこの問題の本質だと思うんですけれども、こういうことというのは一般的にあり得るのか。もしあり得るんだったら、具体的にどういうことがこれに当たるのか、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/145
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146・鈴木英二郎
○政府参考人(鈴木英二郎君) 一般論でお答えいたしますと、まず、労働基準法におけます労働時間は、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいます。これにつきましては、所定の勤務時間の勤務時間内か外を問わず、使用者の明示又は黙示の指示によって労働者が業務に従事する時間、これを労働時間といっておりますので、こういう解釈で運用しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/146
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147・梅村聡
○梅村聡君 そこにこの問題の深刻さがありまして、今回は、上司に当たる人に対して、時間外に教育と研究をやりなさいという指示は出すなということを言っているんですね。今まさに、上司、つまり指示者が明示又は黙示をするかしないかが分かれ目だと言っているんですけど、時間外には明示、黙示をするなということを言われているんですよ。ここが最大の論点というか、今回の扱い方として最大の問題点としてあるんだと思いますけれども、実はこういう案件が、とある大学病院で起こりました。
これに対して、国立大学病院長会議の会長の方は、二〇二三年十二月一日に記者会見でこう答えられているんですね。自己研さんと労働の判断基準を示した厚生労働省の通達の解釈の範囲で運用されているとの認識を示したと。だから、全国のこの国立大学病院長会議の会長さんは、いやいや、自分たちは別におかしいことをやっているわけじゃないと、この厚生労働省が今出している自己研さんの労働の判断基準に照らし合わせてこういう運用を行っているんだと、こういうふうに答えられているので、ボールは今、厚生労働省にボールは戻ってきているんですけれども。
この判断基準というのが一体どの文書なのかなということで、私は、恐らくこの令和元年七月一日に出された、医師の研さんに係る労働時間に関する考え方についてと、これ、都道府県労働局長宛てに出ている通知ですけれども、恐らくこれを指しているんだと思いますけれども、この通知をちょっと私は端から端まで読んでみたんですけれども、今回の、時間外には教育と研究は含まないと、時間外に教育と研究をしないように、つまり指示を出さないようにと、それをやったら労働時間規制から外れるんだと、労働時間外にできるんだ、時間外労働としては扱わなくていいんだというのは、ちょっとこれを読んでもどこにも書いてないんですけれども。
これ、大臣、一体どこの部分が、この全国国立大学病院長会議の会長さんは、どこを指してこの運用をやってもいいと判断されていると思うのか、ちょっと該当箇所があれば教えていただきたいんですが、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/147
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148・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 御当人に聞いてみないとそこは正直よく分からないところがありますけれども、まず、この御指摘の通達は、この所定労働時間内における研さんは当然にこれ労働時間だということはもう明確にした上で、所定労働時間外に行う研さんであっても、上司の明示、黙示の指示により行われるものである場合には労働時間に該当すると、この考え方を示したものであります。
この中で、実際にその医療勤務環境改善支援センターによる助言であるとか、あるいは労働基準監督署による監督指導であるとか、あるいは医療機関の意識改革や労務管理等に関する具体的なマネジメント改革を進めるため、医療機関の管理者層を対象とした研修を医政局の委託事業で実施するなど、こうしたことを通じて、この上司の明示、黙示についての具体的な整理をしてほしいという趣旨なんだろうと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/148
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149・梅村聡
○梅村聡君 まず、今日御認識いただきたいことは、この通知だけでは、恐らく今回この問題となった大学病院のような運用が、これでいけるんだということがまず全国に、これこのままだったら広がっていくという、こういう危険性がまずあるんじゃないかなというふうに一つ思います。
それから、この通知の一番書き出しは、医療機関等に勤務する医師が、診療等その他その本来業務の傍ら、医師の自らの知識の習得や技能の向上を図るために行う学習、研究等についてはという、こういう書き出しになっているんです。
つまり、どういうことかというと、この通知は、あくまでも医師の本来業務は診療であって、それに付随する研究と教育についてもという書き出しになっているんですけれども、大学病院に関しては、医療が先頭にあって、その付随するのが研究と教育というわけではありませんので、私はこれはもう答弁は求めませんけれども、是非、教育機関、大学病院等での働き方改革に関する指針を、これ、一般の病院以外と分けてこれ新たに指針を作らないと、恐らく同じようなことが全国にこれから広がってくるんじゃないかと思っております。
ですから、答弁は結構なんですけれども、是非、そういう教育機関、大学病院にきちんと照らし合わせて、こういった働き方改革の労働と、そして自己研さんとの判断基準、これを新たに作っていただきたいということを今日はお願いをしておきたいと思います。これ、非常に大きな問題になると思いますので、よろしくお願いをいたします。
それでは、法案の中身についての質問についてお伺いをしたいと思います。
今回は、大麻草を原料として抽出、精製されたこのCBDを主成分とする抗てんかん薬エピディオレックス、これが医療現場でこれから薬事承認をされた後にどうやって使われていけるようになるかと、これが一つの大きな法改正のきっかけの一つだったと思います。
これはどういう場合に使われるかといいますと、恐らく、恐らくというか、難治性てんかん、既に今ある薬がなかなか効かない、そういった方々を対象として今回のお薬が使われるということが想定されると思います。
一方で、このCBD成分がどうやっててんかんを抑制しているのか。簡単に言えば、脳から異常な信号が出るわけですけれども、それをどうやって抑えているかというこの生理活性や薬理活性が、これいまだに不明だというふうにも言われています。動物実験では、人間と同じ受容体を通じてそういったてんかんの症状を抑えているんじゃないかという、こういう報告もあるわけなんですけれども、やはり今回、この法改正のみならず、その作用機序、これをやはり明らかにしていく努力がこれからも必要なんではないかと。
それが明らかになれば、ひょっとすると、CBDによらない治療薬の開発にもつながっていくんじゃないかと思いますが、こういった方面での御努力をこれからどうやって行っていくのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/149
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150・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) エピディオレックスの作用機序、現在、欧米でも詳細は不明とされておりますけれども、御指摘のとおり、本剤は神経伝達において重要な役割を果たすカルシウムの動きに作用することなどが知られており、こうしたことがてんかんの治療薬として有効と考えられていると承知をしております。
医薬品の作用機序や疾病の原因が明らかになることは、新たな治療薬の開発に寄与するものと考えております。今後、我が国でも、本剤が承認申請された際には、作用機序の観点も含めて審査を行い、有効性や安全性について確認をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/150
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151・梅村聡
○梅村聡君 まだ分からないことも多いかと思いますが、是非作用機序をはっきりさせるということが努力としては非常に大事なことではないかなというふうに思います。
なぜその努力をする必要があるのかというと、今回、私もネットで、今回のCBD成分、それからてんかん、こういったワードを検索ワードに入れてネットをたたいてみますと、いろんな記事が実はもう既に出てきています。
本来でしたら、今回薬事承認をされるであろうと、将来されるであろう薬のことが医学的に書かれてあれば、それはそれで一つ大事なことなんですけれども、実はそうじゃなくて、てんかん患者さんに、既存の治療薬ですね、難治性じゃなくても、既存の治療薬で治療されている方も、市販のCBD製品、例えば、オイルであるとかチョコレートであるとかお菓子であるとかですね、こういったものを摂取することによっててんかんが抑えられる可能性があるんじゃないかと、そういう記事がもう既にかなり出回ってきています。
さっき、作用機序をはっきりさせていくことが大事だという話をしましたが、これ、CBDも全く無害というものではないわけなんですね。例えば、今薬を飲んでおられると。で、CBDを例えば多量に摂取した場合に、その今飲んでいる薬の代謝、これにもし影響が出てくれば、やっぱり既存の薬に対して悪影響が出てくる可能性、当然あるわけです。それから、CBD製品そのものも、過剰に摂取をすれば、眠気が出たり、あるいはいろんな副反応も出てくるわけですから、今のままでCBD成分の医薬品が出ますということだけがどんどん世の中に情報行くと、じゃ、CBD製品使えば、てんかんの方も自分の生活が楽に、QOLが良くなるんじゃないかと、そういう誤解も出てくると思うんですけれども。
こういった、てんかん患者さんが市販のCBD製品を併用すること、これに対して何か対策を考えているのかどうか、これをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/151
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152・城克文
○政府参考人(城克文君) お答え申し上げます。
国内での医薬品副作用報告制度におきましては、これまでのところ、CBD製品とてんかん薬が併用されて相互作用が認められたとの報告はされていないところではございますが、これは引き続き情報の収集に努めまして、情報の集積状況に応じまして、てんかん薬における注意喚起等の安全対策措置を検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/152
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153・梅村聡
○梅村聡君 患者さんがホームページ見ると、必ず薬機法を全て理解されているわけでもないと思いますので、この辺りはしっかり対策を私は考えていただければなというふうに思います。
それからもう一点は、このCBD成分はTHCと異なって、有害な精神作用を有さないとはされていますけれども、令和四年九月二十九日の大麻規制のあり方に関する大麻規制検討小委員会議論のとりまとめと、ここの小委員会の中の報告書には、「CBDについては、酸及び熱を加えることにより、一部がTHCに変換するという知見もある。」と、こういう記載が実はあるんですね。
これ、熱というのは、二百五十度から四百度にこれを熱してある一定の条件にすればTHCが精製する、転換していく、CBDから転換していくという報告ですとか、それから、pH一・二の人工胃液ですね、消化酵素は入っていないんですけれども、人工胃液で三十七度でインキュベートすると、一定時間が経過するとCBDの一部がTHCに変換すると、こういう報告も実は書かれているんですけれども、この報告はもちろん、試験管の中だから条件は違うといえばそれまでかもしれませんけれども、これCBDを大量に摂取しても人体内で自然発生的にTHCに変換するという結論は、これはもうないんだという結論でよいのかどうかと。それから、もしこういう実験結果が事実であれば、CBD製品を例えば火であぶったり、あるいはpHを変えることによって、実際にTHCを作ることもできる可能性もありますけれども、こういったものはどのように規制をしていくのか。この二つについてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/153
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154・城克文
○政府参考人(城克文君) お答え申し上げます。
まず、御指摘のとおり、三十七度に保たれた人工胃液中でCBDがTHCに変換することが報告をされているということは承知をいたしております。一方で、人や動物に対しまして、THCを含まないCBDオイル等の食品を経口的、口から摂取をさせたところ、生体内では胃液や肝臓の代謝によりましてTHCには変換されないとの報告が複数あるというのも承知をいたしております。
これらの報告を勘案いたしますと、人の生体内においてCBDがTHCに変換されることはないと考えております。ただ、御指摘のように、CBDにつきましては、強酸及び熱を加えて化学反応を起こすことで一部がTHCに変化するとの知見はございますが、通常の製品の使用においてはこのような変化は生じないというふうに考えております。
一方で、このようにCBDを含む製品から麻薬であるTHCを製造する行為は麻薬の無許可製造の禁止行為に該当するものでございますので、こうした点も含めて周知をするとともに、こうした悪質な利用方法についてはきちんと取締りを徹底してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/154
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155・梅村聡
○梅村聡君 ちょっとここで確認をしておかないといけないのは、もし、例えば、尿中からTHCが検出されたときに、いやいや、生理状態で、pHが一・二で攪拌したらTHCに変わるというようなこの知見が出ていたら、それによるものじゃないかとか、それから、実際にこういう情報が出回ると、じゃ、CBD製品からTHCを変換して作ることができるんじゃないかという、こういう情報をわざわざ与えることにもなるかと思いますので、この辺りどう規制していくかということは非常に重要な観点だと思いますので、是非御検討いただければなというふうに思います。
次は、先ほど秋野委員からは、CBD製品を濃縮した場合という話がありましたけれども、濃縮してももちろんTHCが集まるという場合もあると思いますし、それから、現実には、濃縮しなくても、大量のCBD製品を買い集めてきて、その中から残留基準値以下のTHCというものを出してくるということがもしできてくれば、これはこれでまた大変な問題だと思っております。
まず確認をしたいんですけれども、CBD製品を大量に買い集めてきて、そこから残留基準値以下のTHCを実際に抽出をすることができるというのは、これ技術的にまず可能なのかどうか、これが一つ目です。もう一つは、じゃ、そういう行為は、今回のこの麻向法、ここの禁止事項に抵触するのかどうか、これを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/155
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156・城克文
○政府参考人(城克文君) CBDの製品からそこに微量に含まれるTHCを抽出をすることは、技術的には可能であると認識をいたしております。しかしながら、THCの残留限度値につきましては、保健衛生上の危害が発生しない量として、限りなくゼロに近しい値とすることを想定をいたしておりますので、THCによる幻覚作用を得る目的で抽出をするためには極めて大量のCBD製品が必要になると考えられるため、これは現実的ではないだろうとは考えております。
御指摘のように、そういったことをした場合ということでありますが、麻薬及び向精神薬取締法における麻薬の製造につきましては、化学的合成によって麻薬以外のものから麻薬を作り出すことのほか、麻薬を精製すること及び麻薬に化学的変化を加えて他の麻薬にすることも含まれております。THCを微量含有するCBD製品から不純物を取り除き、濃縮すること等によりましてTHCを抽出する行為は麻薬を精製することに該当いたしますので、麻薬の製造行為に該当するというものでございます。麻薬の製造行為は、麻薬及び向精神薬取締法第二十条によりまして、麻薬製造業者等でなければ麻薬を製造してはならないと規定されておりますので、こういった形で禁止をするということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/156
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157・梅村聡
○梅村聡君 ですから、先ほどの濃縮も、大量に買い占めてやるという行為も、技術的にはいろいろハードルはあるんでしょうけれども、こういうものがやっぱり考えられるということを、これを対策としてこれから考えていかなければいけないんじゃないかなというふうに思います。
それで、じゃ、今、THCの残留限度値という話をさせていただきましたけれども、これは衆議院の審議の中では、厚労省は、CBD製品は事業者の責任において必要な検査を受けて、だから、作って販売する方々だと思いますけど、自分たちの責任で必要な検査を受けて、THCが残留限度値以下であることを確認、担保することとしていますと、こういう答弁をされていますから、CBD製品を売るときにはそこの事業者に責任が掛かるということが衆議院で分かり、明らかになりましたけれども、これ、一方で、厚生労働省も、じゃ、流通した後に買上げをして、多分、抜き打ち検査じゃないですけれども、調べることによって大丈夫なのかどうかと、こういうチェックもこれからされるというふうに思いますけれども。
じゃ、事業者がTHCは基準値以下ですよということを自分たちは確認をするけれども、実際に買上げをして調べたらTHCが検出をされたと。こういうふうにずれた場合に、これ事業者は具体的にどのような対策を取るべきなのかと。それから、基準値を超えたCBD製品を販売、流通させたことについて、事業者がどのような罪に問われる可能性があるのか。これが一つ目の質問です。
もう一点は、じゃ、その残留基準値を超えたCBD製品を消費者が買って、何かニュース見ていたら、あっ、抜き打ち検査で引っかかったものがあるとなった場合には、これは購入してしまった消費者は、麻向法上の麻薬成分を所持しているという理由で処罰される可能性があるのかどうか。この二点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/157
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158・城克文
○政府参考人(城克文君) お答え申し上げます。
まず、CBDにつきましては、麻薬として規制されるものではない等の理由から、CBD製品に残留するTHCが残留限度値以下であることは、販売事業者の責任において必要な検査を受けて販売、確認、担保するということを基本としていると、これ御指摘のとおりでございます。
その上で、行政による買上げ調査によりまして、仮に限度値を超える製品が見付かった場合には、事業者に対して製品の回収等の指示を行うこととしております。限度値を超えるTHCは、麻薬及び向精神薬取締法で指定する麻薬に該当いたしますので、麻薬譲渡罪等が適用される可能性はございます。ただ、犯罪の成否につきましては、収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄でございますので、一概にお答えすることは困難ではありますが、一般論として申し上げれば、麻薬の譲渡罪等は故意犯でございますので、故意にTHCを譲渡等したと認められない場合には、麻薬の譲渡罪等は成立しないものと考えております。
また、購入した消費者についてでございますが、これは先ほど申し上げましたように、こうした製品が見付かった場合には、法律違反状態を解消するために事業者に対して製品の回収等を行わせるということといたしておりますが、消費者につきましては、事業者への返却又は保健所等に相談をするようにと指導を行うことといたしております。
麻薬の取扱い資格を持たない者が麻薬を所持するということになりますと、麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬所持罪が適用される可能性はございますが、これも同様に個別に判断されるべきでございますので、事柄でございますので、一概にお答えすることは困難ではありますが、一般論として申し上げれば、麻薬の所持罪は故意犯でございますので、故意にTHCを所持したと認められない場合には、麻薬の所持罪は成立しないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/158
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159・梅村聡
○梅村聡君 ですから、いずれも故意ということが一つのポイントになるかと思いますが、そうしますと、確認の質問になりますけれども、意図せず流通しているCBD製品を消費者が食べて、使って、それは基準値以下だと思って食べたんだけど、実際に抜き打ち検査したら、厚労省がですね、基準値を超えていたと。それを食べてしまって尿中からTHCの成分が検出されたとしても、これは故意でなければ罪に問われることはないという、そういう整理でいいのかどうか、ちょっとこれもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/159
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160・城克文
○政府参考人(城克文君) 残留限度値を超えるTHCは、麻薬及び向精神薬取締法で規制する麻薬に該当いたしますので、その摂取は麻薬施用罪が適用される可能性はございますが、申し上げておりますように、犯罪の成否は個別に判断するべきものでございますので、一概にお答えすることは困難ではございますが、一般論として申し上げれば、麻薬の施用罪も故意犯でございますので、故意にTHCを施用したと認められない場合には麻薬の施用罪は成立しないと考えております。
また、CBD製品の摂取により、ごく微量のTHCを摂取する可能性はございますが、この限度値の在り方につきましては、審議会の取りまとめにおきましても、海外における規制も参考にして、保健衛生上の観点から、一層の安全性を見込んだ上で、大麻の施用罪の尿検査による立証に影響や混乱を生じさせないことを勘案して適切に設定すべきであるとされておりまして、法案が成立した場合には、こうした点を踏まえて適切に限度値を設定してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/160
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161・梅村聡
○梅村聡君 大体考え方というのが整理できたので、私としてはよかったなというふうに思います。
それでは、最後にちょっと私からの要望というか、これ大臣にも考えていただければと思うんですけれども、今日の質疑の中でも麻薬という言葉が飛び交っているわけなんですね。これは麻薬の取締りにも今回当てはまりますから、当然名前は飛び交うんですけれども、一方で、医療現場でも、例えば麻薬性鎮痛剤とか医療用麻薬とか、そういう言葉が飛び交っているんですね。
実は、私も調査室の方に教えてもらったんで、にわか仕立ての勉強なんですけど、実は麻薬の麻は何でこの麻という字を使っているのかといえば、昔は、やまいだれにこう、これ指し示したらあかんのですかね、理事会で言うてないので。片仮名のホみたいな字を書いて、これ、しびれるとか感覚を麻痺するとかいう意味の薬だから麻薬と呼んでいたと。
ところが、それが常用漢字から戦後外れたので、当て字としてこの大麻と同じ麻という字を当てはめて麻薬という、こういう文字になっているので、別に大麻の麻を流用したとかそういう話では実はないんですね。本来違う字だったのが、当て字で麻を入れていったわけなんです。
ところが、それがずっと続いてきたものなので、大麻という言葉を聞いたり麻薬取締法の話が出てきている中で、医療の世界で麻薬と聞いたら、何か危ないものを使っているんじゃないかと、そういうふうに感じられる患者さんも結構おられるんですね。
例えば、この令和五年度のがん対策に関する世論調査を、この結果を見てみますと、医療用麻薬について、正しく使用すればがんの痛みに効果的だと思うと答えた方は六七・二%である一方、最後の手段だと思うと回答される方が二九%、一旦使用し始めたらやめられなくなると思うが一六%、麻薬という言葉が含まれていて怖いと思うと答える方が一〇・四%ということで、これ、麻薬の適正使用あります、いわゆる鎮痛であるとか緩和医療の中で。これも、我が国の消費量は一人当たり二十九ミリグラム。適正な使用量が百八十九ミリグラムからすると七分の一ぐらいしか使われていないと。
私は、やっぱりここの、きちっと使われていない、使われていないことの一つの理由が、医療用麻薬、麻薬性鎮痛剤という言葉が国民がなかなか正しく理解ができなくて、使うことに二の足を踏む一つの原因なんじゃないかなと思います。
そこで、今回せっかくこの大麻取締法も改正されるわけですので、医療用、医療現場で使う麻薬に関しては、この麻薬という言葉から、例えばオピオイドでもいいと思うんですけど、そういう名称に変えていくということも私は考えられた方がいいんじゃないかなと思いますが、大臣、ちょっとこれは急な提案になりますけれども、いかがお考えか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/161
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162・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 今委員から、麻薬という言葉の語源について大変貴重な御意見を伺いました。
この名称、麻薬取締法の制定当時から用いられていて、今日においては定着をした用語でもあります。その呼称の変更というのは現場の混乱を来すおそれがあるので、そう簡単にはできないなというふうには思います。
ただ一方、委員御指摘のとおり、国連国際麻薬統制委員会が公表している医療用麻薬の各国の消費者のデータによりますと、我が国の消費量はG7の中で最も少ないと。医療用麻薬の有用性、安全性の正しい理解と適正使用の推進は、したがって重要だろうというふうに、委員と同様、考えております。
厚生労働省では、従来から、医療従事者や患者を対象に、医療用麻薬の有用性、安全性の正しい理解と適正使用を推進するための講習会を開催しておりますので、引き続き、こうした取組を通じて正しい知識の普及に取り組んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/162
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163・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 時間が来ておりますので、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/163
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164・梅村聡
○梅村聡君 はい。
定着をしているということでしたけれども、昔、痴呆症と言われていて、今、認知症と言っています。昔、精神分裂病が、今は統合失調症。糖尿病という名前も変えたらどうかという意見もありますから、やっぱり、患者さんから見て分かりやすいネーミングということをやっぱりする必要があるんじゃないかなということを私は最後に申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/164
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165・芳賀道也
○芳賀道也君 国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。
本法案で、難治性てんかん治療の新薬エピディオレックスの承認につながることを率直に評価したいと思います。
ただ、山形県など地方都市、過疎地ではてんかんの症例数が少ないため、てんかんの専門の医師でも、この新薬エピディオレックスの処方を認められない可能性があるのではないかという専門のお医者さんの心配の声を伺いました。かつて、やはり同じように、新しい薬で症例数のハードルが設けられて、山形県内では専門医でも処方できず、お隣、宮城県仙台市まで行かなければならないという薬の例が実際にあります。
この新薬エピディオレックスが効くとされるレノックス・ガストー症候群やドラベ症候群は子供のてんかん症状です。子供さんの診療や処方のために毎回親御さんが付き添う必要があり、そのために親御さんが仕事を休んだり、あるいは仕事を辞めなければならないというケースまであることを考えると、是非、比較的近くで、少なくとも各県でこの薬が手に入るようにしてほしいのです。
例えば、四十七ある三次医療圏での医師数を比べて少ない方の三分の一に当たる医師少数県については、規制を緩和して、必ず近場、県内で処方できるようにしていただけないものでしょうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/165
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166・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 今回の改正法案、大麻草から製造された医薬品は医療用麻薬として規制を受け、他の医療用麻薬と同様、麻薬施用者の免許を受けた医師が従事する医療機関による処方、それから、院外薬局を含め、麻薬小売業者の免許を受けた薬局による調剤が全国どこでもこれで可能となります。
令和三年末時点で、麻薬施用者の免許を受けた医師の数というのは全国で約二十六万人おります。そして、麻薬の小売業者の免許を受けた薬局は全国で約五万二千か所ございます。多くの医療機関や薬局で取り扱えるようになるというふうに考えております。
今後、麻薬及び向精神薬取締法における規制の下で、必要とする患者に大麻由来の医薬品が行き渡るように、医療機関や薬局への円滑な流通に配慮してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/166
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167・芳賀道也
○芳賀道也君 すると、この薬では、専門医、症例数のハードルなどはないという予定だということでよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/167
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168・城克文
○政府参考人(城克文君) 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/168
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169・芳賀道也
○芳賀道也君 ありがとうございます。
やはり、特に子供で大変な難しい病を抱えていらっしゃる方は近くでというのが重要ですので、引き続きよろしくお願いをいたします。
次に、今回の法案では、麻薬中毒者の中に大麻中毒者を含めるという改正がありますが、この麻薬中毒者の届出制度について伺います。
資料を用意しました。資料一ページ左下から三ページを御覧ください。麻薬中毒者届出制度の概要とその問題点が説明されています。
平成二十九年度から三十年度の厚生労働科学研究補助金による障害者政策総合研究事業として、精神科救急及び急性期医療の質向上に関する政策研究という研究がありました。その分担研究、精神科救急及び急性期医療における薬物乱用及び依存症治療の標準化と専門医療連携に関する研究をまとめたものがこの配付資料としてお配りした紙です。
配付資料二ページ右側から三ページ左側にも書いてありますが、この分担研究では、この麻薬中毒者届出制度について、麻薬中毒の行政的な定義と実際に提出される中毒者の症状との間で医学的に見て明らかに差がある、依存症治療アクセスを阻害する結果を招く、五年間あるいはそれ以上、麻薬取締員や麻薬中断相談員の観察、指導を受け、麻薬中毒者名簿に長期にわたって名前が載るなど過剰な人権侵害の危険性がある、そして、薬物乱用の実態と乖離しているという問題点が指摘されています。
さらに、配付資料四ページにもあるように、医療関係者にはほとんどこの制度知られていないため届出件数が少なく、特にこの制度に基づく措置入院者の数もゼロが続いていて、制度を存続させる必要がなくなっているのが実情です。
大麻等の薬物対策のあり方検討会とりまとめでも、麻薬中毒者制度は実務上も機能していないことから廃止することが適当であると答申されていることもあり、厚生労働省は麻薬中毒者届出制度の廃止を検討すべきだと考えますが、厚労大臣の御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/169
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170・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 麻薬取締法におきましては、いわゆる麻薬中毒者制度として、医師が麻薬中毒者と診断したときの都道府県知事への届出や都道府県知事による措置入院等について規定をしております。
一九六三年に設けられたこの規定、当時、麻薬中毒により、当時の精神衛生法の措置入院の要件でございます自傷他害のおそれに該当しない場合が多いことから設けられたと承知をしております。しかしながら、実態として、現行の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づき、麻薬中毒者に対しても必要な措置が行われているところでございます。
また、審議会の取りまとめにおきまして、同制度を廃止する方向で、都道府県が別途実施する麻薬中毒者の相談員制度との関係性も含めて整理、検討する旨の方向性が示されたところでございまして、この麻薬中毒者制度の廃止については更なる検討を要するため、今回の改正法案には盛り込まなかったところでございます。
しかし、今後とも、麻薬中毒者制度の廃止に向けて必要な検討は行っていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/170
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171・芳賀道也
○芳賀道也君 もう随分古い制度、機能していない、勧告も出されているということですので、人権面でも懸念があって、かえって社会復帰を阻害する面もある。これは速やかに廃止すべく検討していただきたいと思います。お願いをいたします。
次に、山形県鶴岡市というところに、薬物など依存症の方の自助グループ、鶴岡ダルクがあり、先日、そこにいらっしゃる方のお話を実際に伺いました。
薬物などの依存症の方を就労施設や作業所につなげるのが極めて難しい例があるんだと聞きました。当事者それぞれに事情があります。一人一人がうまくやっていける職場につなげる、就労施設につなげるのがとっても難しいということで、鶴岡ダルクの方々で自ら就労施設や授産施設をつくって、そこで働くことはできないかと、今模索されているということでした。
ほかの福祉分野と違って難しいのは、精神障害などで障害者手帳をお持ちの方もいれば、障害者手帳を持っていない人もいるということ、また、山形県の鶴岡のダルクだけれども、新潟などほかの県から来ている人ばかりで、ダルクがある地元の鶴岡市の社会福祉協議会に相談すれば解決するというものでもありません。
このような、薬物など依存症の方が社会復帰するに当たって、福祉やソーシャルワークなどサポートが圧倒的に足りないのではないかと考えますが、武見厚労大臣の見解を伺います。あわせて、依存症の方の就労施設、授産施設を始めるに当たって、厚生労働省の補助はどのようなものがあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/171
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172・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 薬物依存症の方の就労などを含む社会復帰への支援に当たりましては、地域の関係者が連携して対応する体制を構築することが重要だと認識をしております。
厚生労働省といたしましては、精神保健福祉センターや保健所等に精神保健福祉士、社会福祉士等を配置をし、地域における依存症患者のカウンセリングや支援機関へのつなぎを行っている地方自治体への支援、それから、ハローワーク職員などが依存症の特性を踏まえた支援が行えるよう、研修を実施する地方自治体などへの支援を行っております。
また、薬物依存症の回復施設が障害者総合支援法に基づく就労継続支援事業等を行う場合は、障害福祉サービス報酬の支給対象ともなり得るとともに、薬物依存症の方が働くための就労施設を建てる場合などには設備費補助金による補助の対象にもなっております。
薬物依存症の方の社会復帰の支援に当たりましては、引き続き、関係機関の連携体制の構築を図りまして、様々な支援策を関係者に周知することを含めて、依存症の方々に必要な支援が行われるよう取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/172
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173・芳賀道也
○芳賀道也君 ありがとうございます。
罰則を厳しくするだけでは解決しないのは明らかですので、社会復帰を進めるためのサポートをより強めていっていただくことをお願いをいたします。
次に、今回の法改正によって難治性てんかんの新薬エピディオレックスの承認につながることは患者さんや御家族について朗報だと思いますが、てんかんに効く成分カンナビジオールの検査方法や血中濃度の基準などもまだ決まっていないと聞きました。
てんかんは薬を飲み続けなければいけない病気で、一般的に言えば、薬を飲むのを忘れると、有効成分の血中濃度が基準を下回ってしまっててんかんの発作が起きやすくなり、余計に飲み過ぎると、血中濃度が基準を上回って今度は副作用が出やすくなります。これをチェックするためには、検査法を確立させ、血中濃度の基準も決める必要があります。早く決めるべきだと考えますが、厚労省の御見解を伺います。
また、法改正を通じて今後産業用の大麻栽培を広く認めていく中で、栽培大麻に含まれるテトラヒドロカンナビノールの基準値や測定方法も早く決めるべきだと考えますが、厚労省の城医薬局長の御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/173
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174・城克文
○政府参考人(城克文君) お答えいたします。
抗てんかん薬におきましては、治療効果や副作用のリスクを考慮いたしまして、投与後の血中濃度を一定の範囲内にコントロールをするといったことのために、投薬期間中に血液検査を行うことが望ましいと考えられる医薬品がございます。こうしたものは、添付文書やガイドラインにおきまして、適切な血中濃度の目安が示されているものと承知をいたしております。
エピディオレックスにつきましては、今後我が国で承認申請がされた際には、審査において適切な血中濃度の範囲や血中濃度の測定の要否について評価をし、必要な情報提供を行ってまいりたいと考えております。
また、産業用途で栽培が認められる低THC大麻草の栽培基準でございますが、審議会の取りまとめにおきましても、〇・二%といった海外の事例等を踏まえつつ設定することを検討すべきとされておりますことから、このような海外の基準値を念頭に策定をすることといたしております。その検査方法につきましても、海外の検査方法を参考にしつつ、今後策定をすることといたしております。
これらの栽培基準や検査方法については、策定後速やかに周知をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/174
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175・芳賀道也
○芳賀道也君 今ありましたように、本当に必要な薬ですから、承認されることは喜ばしいと考えていますけれども、薬は承認されたけど、検査方法が決まっていないんだよということでは混乱につながりますので、様々な検査方法についても速やかに決めて、そして、この難治症の方が待望している薬がより有効に使われることをお願いして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/175
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176・田村まみ
○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみです。よろしくお願いします。
本法の改正で、カンナビジオール、以下CBDを含む食品等について、テトラヒドロカンナビノール、以下THCの残留限度値を設けることというふうに今後していくというようなのは委員会の質疑でもるる答弁されておりましたし、今日の質疑の中でも、この残留値の話、そしてその後の対応についても各委員から質疑がありました。
濃度の規定が現実的であることと同時に、重要なのは、輸入事業者や、私は、製造事業者がこの濃度規定をしっかりと守るように、その後の所管官庁として運用面で実効性を確保していくということが重要だというふうに考えますが、現状、こういった事業者に対しての指導監督についてどのように構築をしていくのか、改めて厚生労働省の考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/176
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177・城克文
○政府参考人(城克文君) お答え申し上げます。
CBD製品中のTHCの残留限度値につきましては、大麻規制検討小委員会のとりまとめにおきまして、保健衛生上の観点から、THCが精神作用等を発現する量よりも一層の安全性を見込んで適切に設定されるべきとされております。このため、THCの残留限度値はゼロに近い数値となる予定でございます。
その上で、CBD製品の濃度規定の運用に当たりましては、事業者の責任において必要な検査を受け、THCの含有量が残留限度値以下であることを確認、担保することを基本といたしまして、あわせて、行政機関による買上げ調査等を行いまして、限度値を超える製品は、事業者に回収等の指示を行うことといたしております。
また、CBD製品の輸入に当たりましては、引き続き、関東信越厚生局麻薬取締部におきまして、CBDに含有されるTHCが残留限度値以下であることを確認した上で、麻薬に該当しないものとして輸入を認めるということといたしております。
こうした取組を通じまして、CBD製品の安全性の確保を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/177
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178・田村まみ
○田村まみ君 そこの詳細については先ほど特に梅村委員の方からも質問がありましたので、今日、消費者庁に来ていただいております。今流通しているものというのは、食品や製品として流通しているというふうに、私自身、CBD製品についてはそういうふうに理解をしております。この広告や表示の在り方について御質問させていただきたいと思います。
CBD製品を取り扱う事業者のウェブサイトを拝見すると、私見、もう本当に私見ですけれども、いわゆる薬機法には抵触しないように気を付けて、いろんな文言選んで書いているんだろうなというふうに見つつも、一方で、このCBD製品、オイルを扱いながらも、同じ事業者が、加熱用たばこを一緒に販売しているような事業者だというようなところを見たときに、先ほどの加熱だったり強酸のところの部分での物質の変化の話を認識している私としてみれば、相当、消費者に向けての今のCBD製品に対する広告宣伝、宣伝していなくても普通に設けているサイトについても、相当私、一般消費者に対して、何でしょう、正しい知識が得られるような状況になっていない、選択肢が得られるような情報提供になっていないんじゃないかというふうに考えています。
先ほど、犯罪になるかならないかのところで結構細かく質問があったんですけれども、それ以前に、その摂取をすることによっての健康被害の方が先に起き得る可能性は私は防ぐべきだと考えています。
消費者庁として、広告規制やガイドラインによって事業者に対する指導監督をしておられますけれども、事実確認として、現在流通しているいわゆるCBD製品、認められている、残留値がないという、そのものは、事業者の広告や表示に関する指導監督は、他の消費者被害の対応と同様に消費者庁が担うものだということで間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/178
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179・真渕博
○政府参考人(真渕博君) お答え申し上げます。
消費者庁におきましては、CBD製品に限らず、健康食品などにつきまして、消費者に対して効能、効果に関して誤解を生じさせるような広告表示がございました場合には、薬機法の規制対象とはならない場合には、消費者庁が所管する景品表示法ですとか健康増進法に違反するおそれがある場合に、消費者庁において厳正に対処してきております。
引き続き、こういった健康食品などの不当表示の情報に接した場合には、関係行政機関とも連携をいたしまして、厳正に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/179
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180・田村まみ
○田村まみ君 ここの厳正に取り組んでいくというところが、今回の法案の質疑でも、恐らく一般の人たちが質疑を聞いたらグレーとしか判断ができないんじゃないかというふうに私自身受け止めています。何が本当に正しいのかということを、一回だけこの法案の審議だけ聞いて理解できる一般の消費者の人たち、国民の皆さんがいるのかというのは私自身大変不安に思っておりますし、このことによっての健康被害、事象というのが、既に消費者庁のサイトを見ても、被害が起きているところもそうですし、あとはその手前、自主回収ということも事例として幾つも挙がってきているというのが、ここ数年の事案として、もうホームページ見れば分かるようになっています。
こういう中で、改めて厚生労働省にお伺いしたいと思いますけれども、この先もCBD製品による消費者の健康被害、他のアレルギーとかと同じような形で発生してくるのだというふうに思います。体に入れればどのような作用が起きるかというのは分からないものですから。薬機法に抵触する手前の製品であっても、今回のこの議論、質疑を受けた上でこの基準値について決定をして、この基準値があるから、それ以外のものは薬機法に抵触しないから所管外だということではなくて、消費者庁と具体的に連携を図って私はこの健康被害を防いでいくという対策を打たなければいけないというふうに思っているんですけれども、先ほどの答弁だけだとちょっとそこは見えなかったので、是非もう少しそこを具体的にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/180
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181・城克文
○政府参考人(城克文君) お答えいたします。
CBD製品につきまして、医薬品的な効能、効果を標榜し、消費者に病気の予防や治療に効果があると誤認させるものにつきましては、未承認の医薬品に当たるおそれがあるものとして、医薬品医療機器等法に基づきまして、その広告、販売が禁止をされております。厚生労働省において、監視指導や基準の策定等を担当いたしております。
また、医薬品医療機器等法には抵触しない場合でありましても、不当表示に当たる表示等がなされたCBD製品に対しましては、景品表示法及び健康増進法に基づきまして、消費者庁におきましてその監視指導を担当していると承知をいたしております。
以上のとおり、CBD製品の広告表示につきましては、その内容に応じて必要な対応が講じられることとはなりますが、これは相互に関係をするというものでございますので、厚生労働省としましては、消費者庁と連携をしまして、科学的な観点も含めて必要な監視指導、取締りを徹底してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/181
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182・田村まみ
○田村まみ君 ありがとうございます。
こうやって名前が出ることによって知られることによっていろんな事案が出てくるというのは常だというふうに思っております。消費者庁は、多分恐らくここから、このCBD製品に対しての広告等のいろんな事案について、是非これまで以上にその調査とかいわゆる申出についての対応を機敏にしていただきたいと思いますし、そのたびごとに、消費者庁だけで判断せず、厚労省に報告をしていくことが、買取りとかいうことで待ちではなくて、煙があるところに火があるのかというふうに見に行くというのが、私はこの健康被害をまず防ぐというところに一番注力していただきたいという思いで今日質問させていただいたので、お願いしておきたいと思います。
消費者庁に対しての質問ここまでですので、退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/182
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183・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 消費者庁審議官、退室されて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/183
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184・田村まみ
○田村まみ君 本改正で想定されているエピディオレックスが法改正後に上市をされたとして、アメリカのFDAで承認されてから日本で使えるようになってまで五年以上のラグが発生するということは、既に皆さんも御承知だと思います。
ラグ、ロスの問題を考えるときには様々な要因が考えられますけれども、例えば今回の難治性てんかんのように、難治性の疾病や、より患者数が少ない希少疾病、難病といったオーファン領域については、そもそもメーカーとしても、経済合理性の観点から国内に導入することに二の足を踏むところがあるというのも事実だというふうに考えています。
このラグ、ロスの解消に向けても、先輩の足立元参議院議員が相当質問をいつもされていましたけれども、現在の中医協では、今年、迅速導入加算での評価とか新薬創出加算の企業要件を撤廃していくような議論もされているので、是非私は進めていただきたいというふうに考えています。
一方で、我が国の医療保険制度では薬事承認と保険収載が基本的にセットだというふうに多くの国民は考えていますし、そのように受け止めています。医療上の必要性の高いこの未承認薬や適応外薬について、保険収載を前提とした医療にラグ、ロスが一因とあるというふうに私は思うんですけれども、厚労省の認識、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/184
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185・伊原和人
○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
ドラッグラグ、ドラッグロスの解消、非常に大事なテーマだと考えてございまして、イノベーションを適切に評価する観点から革新的な新薬について様々な措置を講じておりますし、また、来年度の薬価改定におきましては、こうした取組を進めるという観点から、中医協の薬価専門部会において、例えば希少疾病用医薬品を対象とする加算につきまして、症例数等による治験の実施の困難さ等を踏まえ、現在規定されている範囲内で加算率を柔軟に判断するといった見直しの方向性をお示しして、議論を進めているところでございます。しっかりとイノベーションの推進、こういう点で取り組んでいきたいと考えてございます。
先生御指摘の医薬品の保険収載について、薬事承認されたものは、当然その保険収載希望があれば中医協において了承を得て行うこととしておりますけれども、他方で、薬事承認されていない医薬品につきましては、基本的には有効性、安全性という観点から、やっぱり承認をしたものを保険収載するというのが基本でございますけれども、一方、保険外併用の、保険外併用療法の仕組みにおきまして、医薬品の治験に係る診療とか、あるいは先進医療といったものは評価療養として実施可能としておりまして、患者のアクセスを確保しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/185
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186・田村まみ
○田村まみ君 様々な手段でアクセス方法が確保されているということは、メニューとしてあるということは私も承知をしています。ただ、保険収載の前提というのは財政への影響が必ずあるというのがここ最近の薬価制度の話の中で私は感じているところでありますし、そのせいで、結果、患者アクセスを阻害しているんじゃないかということを心配しています。
仮にこういった医薬品や治療法について高額な償還価格が付いていくと、患者さんにとってのアクセスがハードルになっていくということなので、保険収載は承認とセットというのは、患者自身の皆さんもですし、そういう要望になっていくというのは当然だというふうに思いますが、今、結果的に今の枠組みだったら、医療保険の財政を圧迫していくということは想定されていくというふうに思っています。それが、私は、結果的に、財政影響を懸念して上市をちゅうちょしたりとかというところも含めて、このいわゆるラグ、ロスというところまでも影響しているんじゃないかというようなことをすごく心配しているんですね。
今日、武見大臣に、見解というとなかなか重たいかなと思ったんで、感想をお願いしますというふうに通告はしているんですけれども、新規モダリティーの医薬品が次々と登場していく中で限りある医療保険の財政を踏まえると、薬事承認された全ての医薬品を保険収載し続けるというのは現実的ではないですし、例えば後発品の産業構造の今議論の中では、少量多品目の生産というのがいわゆる業績を悪化させている問題だというようなことというような事実もあるということから、もう今の薬価制度自体が限界が来ているんだというふうに思っていますし、先ほども言いましたけど、日本の市場とこの薬価制度で価格がどうなるか分からないという不安視で、承認申請自体、もう上市自体を目指さないということも起きていると指摘をされています。
大臣として、医療保険財政の持続性の観点から、このイノベーション評価でもある新規保険適用と適用除外のバランスについてどのように考えているんでしょうか。もう薬価制度の改革の議論の延長では限界があるというふうに私は思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/186
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187・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 医学、医療の進歩のスピードがすさまじくて、それに伴ってコストもどんどん上がってきて、その一方で、やはり保険財政の財源にも限りがある。そういう中で、この皆保険制度の中で、医学、医療の進歩を吸収して、でき得る限りドラッグロスやドラッグラグというものをいかに縮小していくか、これはもうまさに委員御指摘のとおり、もう最も喫緊の大きな課題であると、こういうふうに認識をしております。
そこで、国民皆保険制度の持続性とイノベーションの推進を両立しつつ革新的医薬品が日本に迅速に導入されるよう、このドラッグロスの解消の観点を含め、このイノベーション評価の在り方について、引き続きこれしっかり検討していこうと考えております。
また、薬事承認されていない医薬品について、保険外併用療養の仕組みを活用して患者のアクセスを確保するという方法も今日ございます。この保険外併用療法の仕組みというものを一体どこまで実際運用面で今後活用し得るかというのは、大きなテーマとして残っているというふうに思います。
今後とも、あらゆる手だてを講じるとともに必要な検討を不断に行っていくことで、国民が必要な医薬品を使用できるよう精力的に取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/187
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188・田村まみ
○田村まみ君 途中でありました皆保険制度と財政のバランス、ここが全ての議論のいつも前提だというのは私自身も分かっているんですけれども、その皆保険制度が前提というところが、今言った保険収載を、もちろん患者側、私自身もそうですけど、やはり医療を受けるのであれば保険の中でというふうに望むのは当然なわけなので、もうそれが、今相当数の疲労が起きているからこういうあらゆる問題が起きているというところでいくと、もう少し、イノベーションだけではなくて、そして保険外併用だけではなく、もっと広い議論について、私は、中長期的ではなくて、財政のことを考えるのであれば早急に何らかの議論を、後発医薬品だけではなくて、全体の議論としてやるべきだということを申し添えておきたいというふうに思います。
それが、今回のエピディオレックスは実際に大麻の成分のところが一番ポイントになって法改正の話でしたけれども、それ以外の、そもそも今も治療薬がないということで苦しんでいらっしゃる患者の方のその薬へのアクセス、治療へのアクセスになるというふうに思っていますので、それを一番にまず前提と考えていただいた上で、最後、その財政面というところで議論していただきたいなというふうにお願いしておきたいというふうに思います。
時間がちょっとなくなったんですけれども、済みません、今回エピディオレックスが法改正されると、国内で流通できるようになると、医薬品ですので、いわゆる麻薬の医薬品というふうになりまして、それと同様の取扱いになりますので、麻薬小売業の小売業者譲渡制度の対象になるというふうに承知をしております。
この麻薬の譲渡、都道府県をまたぐ麻薬の移動を今禁止をするという規定があるんですけれども、その理由と根拠は何でしょうか。済みません、飛ばしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/188
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189・城克文
○政府参考人(城克文君) お答えいたします。
麻薬につきましては、がん性疼痛等に非常に有用でありますが、他方で、乱用によりまして、乱用者本人のみならず、社会に対しても悪影響を及ぼすおそれが大きいということから、麻薬及び向精神薬取締法におきまして、供給の段階から使用の段階への一方通行の流通を原則とするなど、流通等を厳格に管理をしているものでございます。
加えて、麻薬小売業者の免許は都道府県知事が付与しております。これら事業者による麻薬の流通の監視指導につきましては当該都道府県の下で一元的に行う必要があることから、都道府県をまたぐ流通を禁止をしているところでございます。
ただし、患者が麻薬処方箋に基づき麻薬の交付を受ける場合は、都道府県の制限はなく自由に麻薬小売業者を選択をできますので、そういった意味で、患者の利便性に不都合はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/189
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190・田村まみ
○田村まみ君 最後、付け加えて、ただ、都道府県で管理する意味というのがその乱用を防ぐこととイコールかというと、私は、ちゃんとその麻薬の製品がどこかで紛失していないかということさえ分かっていれば問題がないわけで、実際にこの在庫の管理というところ、流通の管理ということが厳格にされることと都道府県内という線引きは、私は必ずしもイコールじゃないということを改めてここで申し上げたいというふうに思っています。
本当に、今おっしゃったように、患者に不都合はないとはいいながらも、結局はやはり薬局側が、患者さん来られたときに薬剤師の人が何でないんだと言われたら準備をしなきゃいけないということなので、在庫を持ったりとかいうようなことでアクセスをしっかりと保てるようにやるというふうに思うんですけれども。
最近、この流通の課題について制度の見直しが図られたというふうに聞いていますけれども、これで解決したというふうな認識でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/190
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191・城克文
○政府参考人(城克文君) お答えいたします。
麻薬小売業者間の麻薬の譲渡は、同一都道府県内にある複数の麻薬小売業者があらかじめ共同して都道府県知事の許可を得た上で、麻薬処方箋を受け取った際に在庫不足により調剤ができない場合、麻薬卸売業者から譲渡されて九十日を経過している場合に可能とされております。
これまでも、麻薬小売業者が医療用麻薬を適切かつ円滑に患者に届けられるよう、麻薬の適正な流通管理にも配慮しつつ、地域医療の実情にも鑑みまして、許可期間の延長でありますとか譲渡要件の緩和等の制度改正を行ってきたところでございます。
今後とも、引き続き円滑な制度運用に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/191
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192・田村まみ
○田村まみ君 是非、今のところ、この改善があった後に大きく困っているという声がないということは伺っているんですけれども、現実問題、実際に廃棄をする部分があって、事業のやっぱり継続に影響があるというようなことだったり、本当のアクセスを確保しようと思ったときに、県境というのは本当に県境で、本当に、隣の市に行けば県が違うけれども早く手に入るということはゼロではないわけなので、やはりこの在庫の管理というところ、流通の管理というところが私は重要だと思っています。
時間がないので質問をしませんけれども、今回、緊急の補正予算の中でも、在庫管理システムをつくっていく前提の調査をされるというのが予算化されました。私は、是非こういう予算化されたこの在庫管理、流通管理というのは、患者のアクセスに大きく寄与するものだというふうに思っていますので、是非調査の先にシステムを構築するということをお願いしまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/192
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193・倉林明子
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
まず、法案に入る前に、私からも、生活保護の裁判について質問したいと思います。
先日の十一月三十日に名古屋高裁で、二〇一三年からの生活保護引下げ、これ厚労大臣の裁量を逸脱して違法であること、そして、原告の精神的苦痛に対し国家賠償としての慰謝料請求を初めて認めるという判決が下されました。
国はこの判決を重く受け止めて、上告せず判決確定させるべきだと。もう一点、直ちに生活保護基準の引上げ、これ踏み込むべきだと思います。大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/193
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194・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 十一月三十日の名古屋高裁で判決がありまして、当時の生活保護基準の改定について適法であると認められなかったということは承知しております。現在、判決の内容の詳細を精査するとともに、関係省庁や被告自治体と協議をしておりまして、今後、適切に対応してまいりたいと考えております。
なお、厚生労働省としては、今後とも、自治体との連携を図りつつ、生活保護行政の適正な実施に努めてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/194
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195・倉林明子
○倉林明子君 生存権裁判で見ますと十三例目の勝訴ということで、二〇一三年の引下げが違法な統計不正であったという司法判断の流れというのはもう止まらないというふうに判断すべきだと思います。現状、異常な物価高が続いておりまして、生活保護利用者の生存権脅かすという実態があるわけですよ。この実態を直ちに解決すべきだというふうに思います。政治決断、強く求めておきたいと思います。(発言する者あり)質問していないから。
続きはまたやらせていただきます。
で、法案です。
大麻施用罪の創設など、これ重罰化と併せて薬剤としての大麻由来医薬品の使用を可能とすると。これ、趣旨も目的も異なるものだというふうに受け止めているんですけれども、一本の法案として出されたということなんだけれども、何でこれ一本での提案になったのか、改めて御説明を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/195
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196・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 今回の改正法案におきましては、まず、大麻由来の医薬品についても治療に用いることが可能となるよう、他の麻薬と同様に医師などによる施用等を可能とする必要があり、現行の大麻取締法ではなく、麻薬及び向精神薬取締法に大麻を位置付けることで、同法に基づく流通規制の下で、その製造や施用を可能とすることとしたものであります。
また、この見直しによりまして、麻薬としての施用の枠組みに大麻由来の医薬品など大麻が含まれることとなる中、若年層を中心に大麻事犯が増加傾向にあり、早急に大麻の施用に対する対策を取るべきとの背景もございます。大麻についても、他の麻薬と同様に、施用罪を適用することが適切と判断をいたしました。
このように、これら二つの見直しにつきましては互いに関連することから、一つの改正法案として提出をさせていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/196
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197・倉林明子
○倉林明子君 関連するんだけれども、これはやっぱり新たに刑事罰を設けるということになるわけで、立法事実があるのかという専門家からの指摘もあった、これは本委員会でも指摘があったところですが、罰を科すということはきちんと緻密にやっぱり議論すべきだというふうに思うわけですね。こういった、要は医薬品として使えるようになるという希望がある一方で、刑事罰によって、刑事罰の強化によって、要はそういうスティグマ等につながるというような指摘もあるわけですよ。こういったくくった出し方というのはやめてほしいと改めて言うておきます。
次です。
日本では、かつては、覚醒剤やめますか、人間やめますかという標語ありました。今も、「ダメ。ゼッタイ。」と、あのポスターの一覧の紹介もありました。こういう広報、教育によって抑止効果、一次予防ということで成功しているんだということなんだけれども、一方で、差別や偏見が助長されて、早期発見、早期治療、社会復帰のハードルとなっていると、こういう事実としての意見も挙がっているけれども、認識はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/197
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198・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) この「ダメ。ゼッタイ。」を含めた一次予防は、やはり分かりやすいメッセージとして社会に幅広く定着をして一定の効果を上げていると私どもは評価をしております。他方で、一次予防の啓発に当たり、どのような標語であれ、薬物依存症者への偏見の助長や治療の阻害を生まないように実施していく必要がございます。
このために、薬物乱用防止の普及啓発に当たっては、全国各地に設置した相談窓口を紹介するなど、薬物に悩む方々への配慮も行っておりまして、引き続き、適切な治療と社会復帰支援による再乱用防止といった二次予防の方にも配慮をしながら、実際にこの法の改正を進めてきた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/198
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199・倉林明子
○倉林明子君 一次予防効果がありと、そこを否定しているわけではないんだけれども、差別や偏見を助長するというところも生んでいるよというところについては、悩む人への配慮するかどうかというのは別の話で、やっぱりハードルになっているということをしっかり見るべきだと思うんですね。
今日、資料用意しておきましたけれども、三枚目のところ、一次予防のところで成果上げているというものの、覚醒剤取締法違反のところのいわゆる再犯の状況でいうと、一番右側ですけど、同一罪名でこれ八割以上なんですよね。母数そのものは減っているんだけれども、再犯率は高位のままで推移しているというのが実態ですよね。
規制や摘発を強化した薬物、つまり覚醒剤、危険ドラッグ、こういうものは減少するんです、確かに。しかし、合法薬物、これ大量服用やオーバードーズというのが極めて拡大しているんですね。
これ、一枚目の資料のところに入れたのは、二〇一四年と二〇二〇年の比較です。一番左の水色が覚醒剤、そしてブルーと緑色、これが睡眠薬、抗不安薬、市販薬ですから合法の薬物なんです。これが、危険ドラッグはオレンジのところで、危険ドラッグはほとんどなくなったんだけれども、逆に合法薬物の使用、乱用薬物として使われているという実態あるんですね。
これ、二枚目のところは、十代に注目した主たる薬物の推移で見てみると、何と市販薬がこれだけこの間増えているという実態があるんですね。
学校にも家庭にも居場所がないという若者たちがコロナ禍によって非常に増えているという実態も指摘されております。専門家に聞きますと、相談に乗っている方に聞きますと、薬を使うということが唯一の死なない道だったのではないかという声が上がっているんですね。これは重く受け止めるべきだと思うんです。孤立する若者を更に窮地に追い込むというようなこと、あってはならないと思うんですね。
大麻使用等の厳罰化ということが今回盛り込まれるわけですけれども、薬物を使用した者、これは犯罪者だという烙印が押されることになるわけですね。今でも、少量の所持でも名前をさらされる、学校や職場からも排除されている、実際起こっています。必要な支援からこうした若者も含めて遠ざける、社会的孤立を強いる、これ、再使用にもつながっているんじゃないかと思うんです。
健康障害、健康被害、問題使用をどう減少させるかということが目的だと思うんだけれども、これに反することにならないかということを考えているんですけれども、大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/199
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200・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) やはり再犯防止であるとか、それから、薬物依存症の方々に対して、こうした犯罪を犯してしまったことを切り離して依存症の患者として考えるならば、社会復帰の支援や治療などの支援を提供していくことが必要なことはもう言うまでもありません。
ただ、この点、審議会の議論では、依存症治療の専門家からも、刑事司法の手続がなければ患者が実際に薬物をやめるきっかけがないため、依存症の治療等につながりにくいという指摘もございます。今年八月に策定した第六次薬物乱用防止五か年戦略でも、刑事司法の手続を一つの契機として、治療や断薬プログラムなどの支援を行うことが必要であるというふうにされております。
したがって、こうした委員の御指摘をきちっと踏まえた上で、こうした改革を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/200
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201・倉林明子
○倉林明子君 岡崎参考人もおっしゃっていましたよ。やっぱり犯罪ということがどれだけのスティグマになって、支援につながるそのハードルになっているかということは、彼の、本当に重大な決意して参考人としてここで述べていただいたんだけれども、犯罪として規定することがハードルにやっぱりなっているという現実を見るべきではないかと思います。
そこで、厳罰化と規制強化ということで、一九九〇年代、各国でこれ進められました。そこで、厳罰化以前と比べますと、オーストラリア、これ、ヘロインの過剰摂取による死亡者数が、厳罰化前というのは六人だったというんですよ。ところが、厳罰化によって千人を超えるまで増加したと。死刑という重い刑罰を科していたのはマレーシアですけれども、ここではHIVの新規感染者数が七千人まで急増したという専門家の報告もあります。
薬物使用、これ、厳罰化のデメリットという面も明らかにあると思うんですけれども、どう評価されていますか。端的にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/201
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202・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) やはり外国と我が国の場合にいろいろな事情の違いがあることは御理解いただきたいと思います。
我が国では、これまでも薬物使用に対して厳しく対処してきておりまして、諸外国と比べて薬物の生涯経験率を低く抑えることに成功しています。厳罰化や規制強化が原因となった過剰摂取による死亡者の増加といった御指摘のような問題は、これまで我が国では実際には起きておりません。したがって、引き続き必要な規制はしっかりと講じていくことがやはり大切だというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/202
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203・倉林明子
○倉林明子君 薬物をやめさせるのではなくて、使うことによってリスク、健康面の被害を少しでも減らすことを目的とするということで、ハームリダクションというものが各国で取り組まれております。
各国で非刑罰化、そしてハームリダクションに転換するということで、先ほど紹介したオーストラリアのところでいうと、死亡者数やHIV患者が減少しただけじゃないんですよね。ハームリダクションに一豪ドル、いわゆる一オーストラリア・ドルを投入すると、医療費は四豪ドル、公的資金で七豪ドルの節約ができたということがありました。マレーシアでも、八年間で一万二千人を超えるHIVの新規感染者数の予防に成功したと、二千万ドルの国家予算の削減にもつながると、こういう報告出ているんですよね。
私、今ではこのハームリダクションを導入するという国が百か国にも上っているわけです。確かに我が国では、我が国と外国の違いはあるというんだけれども、刑罰による政策からの転換ということを検討すべきじゃないかと思います。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/203
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204・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 残念ながら、その点はちょっと違う考え方を私どもは持っておりまして、我が国では薬物の生涯経験率、非常に諸外国に比べて低いんです。
したがって、仮に薬物犯罪における薬物の使用等の刑罰を軽減、廃止した場合に、薬物を使っても罰せられず、その使用等が合法であり問題ないとの誤解が広がり、薬物の乱用が進み、現在の入口での使用禁止という一次予防の抑止効果が期待できなくなるという可能性がありますから、諸外国とは異なり、いわゆるハームリダクションといった政策を講じることには慎重でなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/204
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205・倉林明子
○倉林明子君 日本でも民間のところでこの取組始まっていまして、ハームリダクション東京、二〇二一年六月からスタートした取組があります。昨年三月末までに、チャットによる相談人数五百四十五人、チャット数は、回数、四千二百三十回だというんですね。ここには、九割以上が薬物使用のある当事者の相談が書かれている、寄せられているというわけです。薬物を使用していたら犯罪で捕まるかもしれないといったら、相談がしにくくなるの当たり前だと思うんですね。ここでは、薬物を使用していても安心して正直に話せる場所になっているというんですよ。ここが大事だと思うんですね。
大麻使用罪の創設というのは、必要なケアにつなげる取組、入口、ここを狭めることになるんじゃないか。大臣、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/205
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206・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) ハームリダクション東京といったような団体では、大麻に限らず、所持罪と施用罪がある違法薬物の使用者に支援を行っていると承知しております。大麻に施用罪が適用されることになっても、支援の取組に支障を生ずるものとは考えておりません。
引き続き、薬物に悩む方々に対しては、一次予防のみならず、二次予防、三次予防に配慮した情報提供を行っていくことが必要と考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/206
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207・倉林明子
○倉林明子君 薬物を使用する当事者が、自分は尊重されている、生きていてもいいんだというふうに思える支援に早期につながるということが、本当に薬物使用による健康被害、社会的な弊害を減らしていくことにつながると思うんですね。
犯罪化ということは、自分の罪悪感、家族も含めた罪悪感を今でも増長しているんですね。ここにも大麻も加えていくということになるんですよ。
私、世界の実践からも、こうした非刑罰化、ハームリダクションの取組ということの成果というのは明らかじゃないかと思います。
この一回使った使用による健康障害なくても犯罪化されるということにつながっていけば、人生そのものもやっぱり大きく損なわれることになると思うんですね。世界の実践にも学んで、こうしたハームリダクションが更に進むように考えていくべきだと重ねて申し上げたいと思いますけれども、大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/207
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208・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 委員御指摘のように、薬物使用者の治療、それから社会復帰支援ということは、この薬物を使ったという事実のみならず、薬物を使用した者が置かれた環境や悩みにも寄り添って実施することが重要だということは私も認識をしております。
しかし、繰り返しになりますけれども、関係審議会では、刑事司法の手続がないと依存症の治療等につながりにくいという専門家からの指摘もあるんです。したがって、刑事司法の手続を契機に治療や支援につなぐことも重要だと考えます。
今年八月に策定した第六次薬物乱用防止五か年戦略でも、薬物使用者は社会的困難等を抱えている場合があると理解した上で、適切な治療と効果的な社会復帰支援が重要だというふうに考えておりまして、そうした考えに基づいて、各関係省庁と連携をしてこの取組を進めていきたいと、そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/208
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209・倉林明子
○倉林明子君 先ほど紹介しましたハームリダクション東京、共同代表の上岡陽江さんという方がNHKの番組で紹介されていましたけれども、薬物使用の当事者でもありました。そして、支援の入口は薬物をやめることだということから支援始めていたけれども、ハームリダクション学ぶことで何が分かったかといったら、薬物を使用しても正直に言える、正直に言っても責められない、この関係がないと支援につながらないということに気付いたというふうにおっしゃっているんですよ。
私、薬物が生活に支障を来しているというのではなくて、刑事司法の介入がその人の生活を奪っている実態があるという、参考人指摘がされておりましたけれども、そういう実態、一方であるというのは本当、そのとおりだと思うんです。
改めて、世界の流れに逆行するようなこうした厳罰化というのをやるべきではないと申し上げまして、終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/209
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210・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、自見はなこ君が委員を辞任され、その補欠として広瀬めぐみ君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/210
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211・天畠大輔
○天畠大輔君 代読します。
れいわ新選組の天畠大輔です。
まず、大麻取締法等改正案の立法事実について質問します。
資料一を御覧ください。
おととし五月十四日の第六回大麻等の薬物対策のあり方検討会の配付資料です。タイトルは大麻合法化の影響となっており、米国において大麻を合法化したコロラド、ワシントン、オレゴンの三州を例に挙げた上で、交通事故、救急搬送、違法栽培、違法販売が増加している旨指摘されています。
ところが、実は米国で大麻を合法化した全ての州を調べた調査においては、交通事故は増えていないという事実が明らかになっているのです。この事実について、厚労省はどのように受け止めていますか。厚労大臣の見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/211
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212・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 大麻が合法化されたアメリカの全州で交通事故は増えていないとする報告は確認できてはおりませんが、大麻の合法化と交通事故の関係については様々な研究が存在していると認識をしています。
そのうち、嗜好用の大麻を解禁した十五州などのうち、コロラド州、それからワシントン州、オレゴン州の三州では、大麻の使用により交通事故や救急搬送、違法栽培、違法販売が増加しているという調査結果が出てきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/212
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213・天畠大輔
○天畠大輔君 代読します。
厚労省は、自分にとって都合の良い州だけつまみ食いしたデータでミスリードしています。使用罪創設ありきで議論の方向をゆがめ、さらに開き直っている態度は看過できません。
次に、資料二を御覧ください。
本法案で新たに創設される大麻使用罪は七年以下の懲役、単純所持罪も五年以下の懲役から七年以下の懲役へと一気に厳罰化が進められています。刑法上、七年以下の懲役が科せられる行為は次のような行為です。首謀者以外の騒乱罪、非現住建造物等放火、特別公務員暴行陵虐、収賄、自殺関与及び同意殺人、不同意堕胎、逮捕及び監禁、人身売買などです。
このような犯罪行為と比べ、今般の大麻使用罪創設や厳罰化は余りにバランスを欠いていませんか。厚労大臣の見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/213
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214・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 今回の改正法案では、大麻と大麻草由来のTHCという有害成分について麻薬として規制をし、法定刑の上限を七年とする現行の麻薬施用罪を適用するものでございます。これは、麻薬や大麻草由来のTHCは国際的にも麻薬の一つとされていることや、化学合成されたTHCが既に麻薬として規制されていることを踏まえています。
今回の改正法案で、大麻の単純所持罪の法定刑の上限を五年から七年に引き上げることとしています。これは、近年は乱用目的で栽培される大麻に含有されるTHCの濃度が高まっていることを踏まえたものであり、化学合成されたTHCを含む麻薬の所持罪や施用罪の法定上の上限をそろえることには整合性があると考えます。
なお、麻薬の施用罪や所持罪と御指摘の他の罪は各法律の保護法益が異なるため、法定刑の上限のみを比較して刑の均衡を論ずることは適当ではないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/214
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215・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/215
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216・天畠大輔
○天畠大輔君 薬物使用は、直接傷つく被害者はいません。大臣、それでもバランスを欠いていないとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/216
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217・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 先ほども申し上げたとおりの考え方で、私どもとしてはバランスが取れていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/217
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218・天畠大輔
○天畠大輔君 代読します。
次に、資料三を御覧ください。
厚労省は、令和二年犯罪白書を引用した上で、覚醒剤受刑者に対して初めに乱用した薬物は何だったかという質問に対して複数回答を求めたところ、三十歳未満の回答の一位が大麻だったことをもってゲートウエードラッグと結論付けました。
しかし、この結論は明らかに間違っています。大麻が辛うじて一位なのは三十歳未満の範疇だけです。また、この三十歳未満の母数は五十四であり、全体母数六百四十の八・四%にすぎません。全体で見れば、シンナー、覚醒剤が圧倒的に多いのです。そもそも、どの薬物同士が並行して初乱用されているのか、何種類なのかについても全く言及がないため、ゲートウエードラッグ究明の資料になっていません。
ここでもまた、厚労省の初めに結論ありきという姿勢が表れていると考えますが、厚労大臣の見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/218
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219・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 令和二年の犯罪白書で示されました法務総合研究所の調査では、覚醒剤を使用した者のうち、初めて使用した薬物が大麻である者の割合が、特に大麻の乱用拡大が著しく進む若年層に近い層になるにつれて増加をしております。また、二〇一六年の国立精神・神経医療研究センターの調査では、危険ドラッグから他の薬物に切り替えた依存症患者の三割以上が、最初に使用した薬物を大麻と答えております。さらに、大麻をゲートウエードラッグと示唆する海外の調査もございます。
したがって、大麻がゲートウエードラッグであることを支持する調査が一定数存在をしておりますので、大麻がゲートウエードラッグの一つであるというふうに私どもは認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/219
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220・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/220
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221・天畠大輔
○天畠大輔君 覚醒剤の検挙者数は、増えるどころか減っています。大臣、大麻がゲートウエードラッグというのは間違っていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/221
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222・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 令和二年の犯罪白書で示された法務総合研究所の調査の内容、これ調査対象者は、覚醒剤受刑者六百九十九名でありますけれども、この中で、全世代、この六百九十九名では、確かにシンナーなどのものが、有機溶剤四六・六%ございます。しかし、三十歳未満の受刑者、五十四名でありますけれども、最初に乱用した薬物については大麻四二・六%と、こういうふうに回答しております。したがって、全世代でも、乱用した薬物について大麻が一定程度を占めているというふうに考えます。
母数は少ないものの若者は大麻が最多でございますので、若者にとってのゲートウエードラッグになっているものということは明白であって、これ、最初に結論ありきという考え方ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/222
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223・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/223
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224・天畠大輔
○天畠大輔君 納得できません。代読お願いします。
次に、資料四を御覧ください。
世界的医学雑誌ランセットは、二〇一〇年十一月号において、薬物の有害性スコアを最大百で比較した場合、最も有害性が高いのがアルコールでスコア七十二なのに対し、大麻はスコア二十でした。ところが、現行法体系でアルコールはもちろん合法であり、二十四時間入手できます。さらに、コマーシャルを含め、酒類は巨大マーケットを形成し、酒税徴収の源泉となっています。アルコールこそが最大のゲートウエーと言う専門家もいます。
このような知見に対して、厚労省は、大臣はどのように受け止めていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/224
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225・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 御指摘の分析結果がランセット誌に掲載されていることは承知しております。
アルコールこそが最大のゲートウエーという指摘については、そのような認識はしていないが、不適切な飲酒はアルコール健康障害などにつながるため、厚生労働省では、アルコール健康障害対策基本法に基づく基本計画により、関係省庁と連携して、アルコール健康障害の発生予防など様々な取組を実際に実施をしております。また、酒類の業界においても、当該基本計画に基づき、不適切な飲酒の誘引防止の観点から、アルコール飲料の広告表示等における自主的な取組が進められております。
このような取組の推進、引き続き努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/225
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226・天畠大輔
○天畠大輔君 代読します。
例えば、アルコールや大麻に寛大な国というイメージがある米国では、実際には、公共の場における飲酒や大麻、たばこの喫煙は日本以上に厳しく規制されています。また、アルコール飲料のCMがテレビで頻繁に放映されるなどということもありません。合法化、非犯罪化するというのは、野放しにするということでは全くないのです。
そもそも、この法案の検討には多様な意見が反映されていません。二〇二一年の大麻等の薬物対策のあり方検討会で使用罪に反対した人たちを、二〇二二年に設置された大麻規制検討小委員会では委員から排除しました。
通告なしになりますが、大臣に伺います。大臣は、この法案が多様な意見を取り入れてまとめられたものとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/226
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227・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 極めて多様な意見を取り入れ、かつまた麻薬と同類に扱うという、そういう罰則規定というものを設けつつも、実際にこの運用に当たっては、こうした薬物依存症の患者などに対するしっかりとした配慮をまた同時に行い、そして、健康を回復するために対する支援の体制をしっかりと充実させていくというバランスの取れた考え方で、我々はこの法の改正を進めようとしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/227
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228・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/228
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229・天畠大輔
○天畠大輔君 当事者参画とは言えませんね。代読お願いします。
反対をした人たちは、薬物使用者の元当事者や依存症治療に携わる当事者です。その人たちが委員として主体的に発言する機会を奪い大麻使用の厳罰化を進めた事実を、私は、障害当事者の一人として重く受け止めます。この法案が多様な意見を排除して作られたものであることに強く抗議し、次の質問に移ります。
武見大臣は、十一月十日の衆議院厚生労働委員会において四点答弁しています。
一、刑法等に基づいて医師等には守秘義務があること、二、公務員として告発義務が課せられるような場合でも、職務上正当な理由があれば、告発するか否かの裁量を否定するものではないこと、三、この取扱いは、本改正法案が成立、施行されたものでも変わるものではないこと、四、治療したいという思いで来られた患者については、捜査当局の方に通知する必要性があるかといえば、むしろ医師の守秘義務の方を重視するケースになることです。
以上の四点は、薬物使用により支援を必要とする人がSOSを出しやすい社会にするためにとても重要な情報です。厚労大臣として、大臣告示、省令などで周知徹底すべきと考えますが、大臣の見解をお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/229
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230・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 私が衆議院の厚生労働委員会で指摘した点整理していただいて、感謝を申し上げます。
実際に薬物依存症の患者に関わるこの医師の守秘義務というものについては、これをしっかりと尊重する必要性があると、そしてまた、公務員であったとしても、医師の守秘義務というものについて、これを尊重をし、そして、それによって、薬物依存症の患者について、実際にその法の運用がケース・バイ・ケースで適切に運用されることの必要性を私は指摘をいたしました。その考え方に基づいて、実際に今回の改正法についての御賛同を得るべくお願いを申し上げているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/230
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231・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/231
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232・天畠大輔
○天畠大輔君 先ほど質問した周知についてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/232
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233・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 失礼しました。
この周知の方法をも含めて、今後検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/233
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234・天畠大輔
○天畠大輔君 代読します。
周知について是非検討をお願いします。
SOSを出しやすい社会をつくる上で、大麻使用によるスティグマの問題も見過ごせません。一たび大麻など薬物関係で検挙されるや否や、被検挙者は想像を絶するバッシングにさらされます。いわゆるデジタルタトゥーなども起き、発生から長い歳月が経過しているにもかかわらず、アパートや駐車場の賃貸すら拒否されるという事例も報告されています。薬物取締りをめぐってこのような事態が起きていることについて、厚労省はどのように受け止めていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/234
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235・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 検挙の際に実名公表が行われ、そして実名が報道されると、検挙された薬物依存者は、いわゆるデジタルタトゥーとして長期間にわたり偏見に苦しむことになるとの指摘があることは十分に承知をしております。一方で、国民の知る権利の保障に努める報道機関の役割や報道機関の記事の信頼性の確保のためにも、実名公表を行う必要があるという指摘もございます。
こういった各方面からの意見も踏まえつつ、議員からいただいた御懸念は捜査機関とも共有をして、そして、薬物事件の広報においてはどのような対応が可能かをも含めて、慎重かつ適切に検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/235
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236・天畠大輔
○天畠大輔君 代読します。
私は、まずはキャンペーンの方法から改めるべきだと考えます。
資料五を御覧ください。(資料提示)
厚労省と警察庁の共同所管でスタートした現在の公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターが一九八七年以来継続しているキャンペーン、「ダメ。ゼッタイ。」です。薬物依存に陥ってしまった人々の尊厳を傷つけ、差別を助長するものです。欧米では、まさしく絶対に採用されない標語です。
また、資料六を御覧ください。
こちらは、各自治体が薬物乱用防止キャンペーンの一環で一般公募されたポスターです。「戻りたくても戻れない」、「薬物乱用 後悔しても遅い。」、「一度だけで人生が狂う」などの言葉とともに、より直接的に薬物依存症当事者を非人間的に扱うイラストが並べられています。
高木真理委員の午前中の質問に対して大臣は、どのような標語であっても、偏見の助長や治療の阻害があってはならないと答弁されましたが、この「ダメ。ゼッタイ。」はまさしく偏見を助長し、治療を阻害していると考えます。
大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/236
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237・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 「ダメ。ゼッタイ。」という言葉自体が一つの大きな一次抑止効果を持っていると私には思えます。
その上で、議員御指摘のような事態が生じないように、薬物犯罪を犯した者に対して、報道などにより過度なバッシングとならないよう慎重に対応することは重要だろうというふうに考えます。
その上で、薬物犯罪を犯した者が逮捕されたか否かにかかわらず、その者に対し、断薬や社会資源への橋渡しなど必要な支援を行うことが重要です。このため、具体的には、保護観察の付かない執行猶予判決を受けた者も支援が受けられるよう、麻薬取締部における断薬プログラムの提供や社会資源への橋渡し等の支援を拡充することとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/237
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238・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/238
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239・天畠大輔
○天畠大輔君 いやいや、大臣、入口から変えないと駄目ですよ。そう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/239
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240・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) これは、一つの方向からだけの議論ではなくて、一次予防としてのこうした罪を含めた抑止力というもの、抑止効果というものと、それから、薬物依存症の人たちを救済するための支援策というものと組み合わせながら、社会の中で解決していくべき問題だと私には思えます。
しかし、その中で、やはり今まで他の国と比べて我が国ではこういった麻薬等に関わる依存症患者の数は極端に少なくて済んできているという実態を踏まえて、この状態を維持していくためには、引き続き、一次予防としての抑止的な法的な枠組みがやはり我が国には必要だという考え方をまず基本にして組み立てていることは御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/240
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241・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/241
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242・天畠大輔
○天畠大輔君 刑事罰の上に立った回復支援は意味がないと思います。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/242
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243・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) 私は、両者のこうした刑事罰という形での一次予防の抑止と同様に、こうした薬物依存症の方々に対する支援、救済策というのが組み合わさって、最も効果的にこの薬物依存症の問題を解決できるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/243
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244・天畠大輔
○天畠大輔君 引き続き、追及します。
質疑を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/244
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245・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
本案の修正について天畠君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。天畠大輔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/245
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246・天畠大輔
○天畠大輔君 代読いたします。
私は、ただいま議題となっております大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案に対し、れいわ新選組を代表して、修正の動議を提出いたします。
その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。
これより、その趣旨について御説明申し上げます。
本法律案では、大麻から製造された医薬品の施用等を禁止する規定を削除することにより、大麻草から製造された医薬品の施用等を可能とすることとしております。医療上の有用性が認められ、難治性てんかん等への効果が期待される医薬品もあることから、これについては支持いたします。
一方、本法律案では、これまで刑罰のなかった大麻等の不正な施用について、新たに施用罪を創設し、単純施用には、最長で懲役七年という重い刑罰を科すこととしております。ある行為を犯罪行為とするとき、特に厳罰化する場合には慎重でなければならず、丁寧な議論を行わなければなりません。
本法律案の提出に当たり、厚生労働省は、令和三年の大麻等の薬物対策のあり方検討会、令和四年の大麻規制検討小委員会と二つの会議体で議論を行いましたが、この議論の中で、施用罪について、大麻等の薬物対策のあり方検討会では三名の構成員が反対の意見を表明し、その旨が報告書にも記載されています。しかし、続く大麻規制検討小委員会の構成員には、大麻等の薬物対策のあり方検討会で反対の意見を表明した構成員が一人も選ばれませんでした。そのような状況で議論が行われた大麻規制検討小委員会の報告書に反対意見は見られず、全員が施用罪の創設に賛成の立場を取りました。賛成、反対双方の意見を踏まえた丁寧な議論は行われず、施用罪の創設ありきで議論を行ったとの疑いが持たれます。
また、日本では、「ダメ。ゼッタイ。」の標語とともに、大麻の有害性が強く印象付けられています。しかし、実際には、大麻の有害性について、アルコールやたばこよりも低いことを示す論文も発表されています。さらに、大麻は、より効果の強い薬物の使用に移行していくおそれが高いゲートウエードラッグであると指摘されています。そうであるならば、大麻事犯の検挙人員の増加に伴って他の薬物事犯の検挙人員も増加が見られるはずですが、実際には、覚醒剤事犯の検挙人員はここ十年で約半減しており、令和四年の薬物事犯全体の検挙人員も前年から減少しています。
仮にも厳罰化を推進するのであれば、それに足る立法事実が必要です。しかし、十分な事実のないまま、恣意的な進め方により厳罰化を行おうとすることは認められません。
このような観点から、本修正案を提出いたしました。
修正の要旨は、第一に、麻薬及び向精神薬取締法の麻薬の施用罪及びその前提となる禁止規定の対象から大麻等を除くこととすること。第二に、大麻等の不正な所持、譲渡し、譲受け、輸入等に係る罰則について、現行の大麻取締法の法定刑を維持すること、その他の罰則規定の整備を行うことであります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/246
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247・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) これより原案及び修正案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/247
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248・倉林明子
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
会派を代表して、大麻取締法等改正案に反対、れいわ新選組提出の修正案に賛成の立場で討論を行います。
本法案は、大麻由来医薬品の施用を可能とするための規定の整備と大麻施用罪の新設と重罰化という、趣旨、目的が異なる改正を抱き合わせた法案となっています。医療用ニーズへの対応は、薬の認可を待っている患者の皆さんの強い要望があり、必要な法整備を進めることには賛成するものです。
しかし、本法案のもう一つの柱は、大麻施用罪を新設し、単純所持などの懲役上限も五年から七年に引き上げるなど重罰化するものです。これは、当事者、家族へのスティグマ、偏見、差別を広め、社会的孤立を一層強め、必要なケアから遠ざけることになりかねません。
大麻規制については、国際的には、少量所持、使用は非犯罪化、非刑罰化することが一つの流れになっています。それは、問題使用により苦しむ人を減らすことができるのは、刑事罰ではなく教育、福祉、社会保障であることが、科学的根拠、実践をもって明らかになっているからです。
大麻使用等の重罰化については、多くの法律関係者、支援・当事者団体等から懸念、批判の声が上がっています。刑法学研究者の声明は、法制審議会への諮問もなく、法務省内での本格的な検討がないことを批判し、法務委員会での慎重審議をすべきと指摘しております。こうした意見を真摯に受け止めるべきです。
参考人質疑でも、薬物が生活に支障を来しているのではなく、刑事司法の介入がその人の生活を奪っているとの指摘がありました。
この法案により取締りが強化され、社会的排除に拍車が掛かることはあってはなりません。
国連人権高等弁務官事務所の声明にあるように、処罰を支援に置き換え、人権を尊重、保護する政策を推進する、このことを強く求め、討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/248
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249・天畠大輔
○天畠大輔君 れいわ新選組の天畠大輔です。
大麻取締法等改正法案に断固反対、修正案に賛成の立場から討論します。代読お願いします。
大麻取締法等改正法案、反対理由の第一は、そもそも使用罪創設や厳罰化の立法事実が存在しないからです。
政府は、若年層を中心に大麻事犯が近年増加傾向にあり、なおかつ、大麻が他の薬物への入口、すなわちゲートウエードラッグになっている旨主張しますが、覚醒剤の検挙件数が年々減少していることからもその根拠は全くありません。
反対理由の第二は、こうした処罰強化が世界の薬物対策とは真逆なものだからです。
世界の潮流は、非犯罪化、非刑罰化です。薬物問題への対応として、刑罰による対応では効果が出ないということが科学的に明らかになっています。その際、キーワードとなるのがハームリダクションという考え方です。
合法、違法にかかわらず、その薬物の使用を中止することが本人にとって不可能である場合、たとえ使用量の減少に結び付かないとしても、薬物使用によって生じる健康的、社会的悪影響を減らすための政策を指します。日本の薬物対策に決定的に欠如している思想です。
反対理由の第三は、本法案が、大麻成分の医薬品への利活用という評価すべき改正と、使用罪創設、厳罰化という大改悪との抱き合わせ法案になっているという点です。
この二つのテーマは全くの別物であり、一つの法案に束ねるのは間違いです。毒薬と特効薬とを調合して、これが今一番効く薬だと喧伝するようなものです。
反対理由の第四は、このような態度に象徴される独断専行とも言えるやり方です。
厚労省は、あり方検において使用罪創設に反対した三人の委員を完全に排除して小委員会を編成して、本法案を完成させました。初めから使用罪創設ありき、厳罰化ありきで法案を作り上げたのです。
次に、修正案に対する賛成理由を述べます。
修正案においては、閣法における二つの大改悪、使用罪創設と厳罰化を撤回する修正を行いました。
他方、大麻成分の医薬品への利活用については維持いたしました。大麻由来医薬品を切望する患者さんたちの願いを人質にして、薬物使用者というレッテルを貼られ、社会的孤立に追い込まれる人々をこれ以上増やしてはなりません。修正案がその歯止めの第一歩となることを確信いたします。
最後に、薬物をめぐる様々な困難を抱え、苦しんでいる方々に心から申し上げます。
人間をやめる必要など全くありません。何人も、人間をやめろなどと言う権利はありません。この法案の成否にかかわらず、支援の手を差し伸べる人間は必ずいます。れいわ新選組もまたその一員であり続けることを強く訴え、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/249
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250・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
まず、天畠君提出の修正案の採決を行います。
本修正案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/250
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251・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 少数と認めます。よって、天畠君提出の修正案は否決されました。
それでは、次に原案全部の採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/251
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252・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、打越君から発言を求められておりますので、これを許します。打越さく良君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/252
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253・打越さく良
○打越さく良君 私は、ただいま可決されました大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会及び国民民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一、各国において難治性てんかん治療薬として承認されている大麻から製造された医薬品について、我が国において薬事承認を受けた場合に備えて、その製造や施用が適切に行われるよう、免許制度等の流通管理の具体的仕組みを適切に運用すること。
二、小児のてんかん患者に関して、発作時の介助、急な発作に備えた生活環境整備等についての患者本人や家族への支援を検討すること。
三、第一種大麻草採取栽培者が大麻草の栽培に用いる種子等のテトラヒドロカンナビノールの含有量の基準や濫用による保健衛生上の危害が発生しない量として定めるテトラヒドロカンナビノールの製品中の残留限度値については、米国や欧州の基準等を参考に合理的なものとすること。
四、テトラヒドロカンナビノールの残留限度値を担保するため、その検査法や検査体制については、明確かつ実効性があり、事業者による対応が可能なものとすること。
五、カンナビジオールを使用した製品について、安眠等の機能を過度に強調した広告で消費者が惑わされることのないよう、監視指導を行うこと。
六、大麻草を活用した産業の育成を図る場合には、関係省庁が連携して進めるようにすること。
七、大麻の不正な施用に対する罰則の適用について、不正施用の背景には社会的孤立等の事情が多く見られ、犯罪者として差別されることで不正施用について周囲の者に一層相談しづらくなる旨の指摘があること、必ずしも知識不足ではなく人間関係のプレッシャーから拒否できずに薬物使用に至ることもあること等の指摘があることを踏まえ、教育プログラム、治療プログラム、就労支援プログラム等への自発的な参加等を促し、大麻不正施用者が安心して相談できる体制整備等について検討すること。また、大麻不正施用罪の検挙・立証に必要な証拠の研究等の適正な取締りを実施するための方法を検討すること。
八、大麻乱用者その他の薬物事犯者の薬物再乱用の防止のため、保護観察期間中における治療・支援につながるための働きかけの強化、保護観察期間満了後や満期釈放後の自発的な地域における治療・支援につながることができる取組の実施、保護観察の付かない執行猶予者や起訴猶予者に対する治療・支援等について、薬物事犯者に対する長期的な支援を目指して関係機関が連携しながら総合的な取組がなされるよう検討すること。
九、大麻の乱用については、科学的根拠に基づいた大麻の有害性に関する正確な情報を取りまとめ、周知を図るとともに、若年者の視点を生かしながら、教育の現場等における分かりやすい乱用防止のための広報啓発活動等に取り組むこと。
十、我が国の薬物乱用対策は、違法薬物に手を出さない一次予防に重きが置かれた結果、薬物依存症者に対する差別を助長しているのではないかとの指摘があることを踏まえ、今後の対策に当たっては、一次予防のみならず、違法薬物を使用してしまった者の早期発見及び早期介入並びに早期治療を行う二次予防、薬物依存症者に対する再発防止や社会復帰等を支援する三次予防についても配慮して実施すること。また、啓発が薬物依存症者への偏見を助長し、本人やその家族の孤立を招いているとの指摘があることを踏まえ、これらの者に配慮した啓発方法の検討を行うこと。
十一、本改正に当たっては、大麻を不正に施用した若者等を治療や回復、更生につなげるとの考え方も踏まえた法運用を行うこと。この際、社会復帰の妨げとなることへの懸念も踏まえて関係機関は適切に対応すること。
十二、医療機関・相談支援機関・大学等教育機関には、違法薬物の使用等に関する相談について、守秘義務等があることを前提に、本人やその家族等が、直ちに捜査機関に通報されるといった不安を抱くことなく安心して相談できるよう、引き続き利用しやすい相談支援体制が整備拡充されるよう周知すること。また、薬物依存症の治療や違法薬物の使用等に関して相談できる機関を分かりやすい形で幅広く周知すること。
十三、麻薬中毒者届出制度については、平成二十九年度及び平成三十年度厚生労働科学研究費補助金(障害者政策総合研究事業(精神障害分野))「精神科救急および急性期医療の質向上に関する政策研究」における分担研究「精神科救急及び急性期医療における薬物乱用および依存症診療の標準化と専門医療連携に関する研究」の研究成果に示されている「麻薬中毒」の定義の曖昧さ、治療アクセスの阻害、過剰な人権侵害が生じる危険及び薬物乱用の実態との乖離といった問題点があることに加え、医療関係者にほとんど知られておらず、届出件数も少ないことに鑑み、同制度の廃止を検討すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/253
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254・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) ただいま打越君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/254
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255・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 多数と認めます。よって、打越君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、武見厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。武見厚生労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/255
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256・武見敬三
○国務大臣(武見敬三君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/256
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257・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/257
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258・比嘉奈津美
○委員長(比嘉奈津美君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214260X00520231205/258
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