1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年十一月十六日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
十一月十四日
辞任 補欠選任
神谷 政幸君 野上浩太郎君
下野 六太君 矢倉 克夫君
十一月十五日
辞任 補欠選任
野上浩太郎君 永井 学君
十一月十六日
辞任 補欠選任
武見 敬三君 足立 敏之君
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出席者は左のとおり。
委員長 宮本 周司君
理 事
櫻井 充君
豊田 俊郎君
古川 俊治君
熊谷 裕人君
若松 謙維君
委 員
足立 敏之君
大家 敏志君
加田 裕之君
佐藤 啓君
白坂 亜紀君
永井 学君
西田 昌司君
松山 政司君
宮沢 洋一君
勝部 賢志君
柴 愼一君
竹内 真二君
矢倉 克夫君
浅田 均君
柳ヶ瀬裕文君
大塚 耕平君
小池 晃君
神谷 宗幣君
堂込麻紀子君
国務大臣
財務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(金融)
) 鈴木 俊一君
副大臣
内閣府副大臣 井林 辰憲君
財務副大臣 矢倉 克夫君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 神田 潤一君
事務局側
常任委員会専門
員 小松 康志君
政府参考人
公正取引委員会
事務総局審査局
長 田辺 治君
金融庁総合政策
局長 油布 志行君
金融庁総合政策
局政策立案総括
審議官 堀本 善雄君
金融庁企画市場
局長 井藤 英樹君
財務省主税局長 青木 孝徳君
国税庁次長 星屋 和彦君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○金融商品取引法等の一部を改正する法律案(第
二百十一回国会内閣提出、衆議院送付)(継続
案件)
○情報通信技術の進展等の環境変化に対応するた
めの社債、株式等の振替に関する法律等の一部
を改正する法律案(第二百十一回国会内閣提出
、衆議院送付)(継続案件)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/0
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001・宮本周司
○委員長(宮本周司君) ただいまから財政金融委員会を開会をいたします。
まず、委員の異動について御報告をいたします。
昨日までに、下野六太君及び神谷政幸君が委員を辞任され、その補欠として矢倉克夫君及び永井学君が選任をされました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/1
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002・宮本周司
○委員長(宮本周司君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
金融商品取引法等の一部を改正する法律案及び情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための社債、株式等の振替に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、金融庁企画市場局長井藤英樹君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/2
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003・宮本周司
○委員長(宮本周司君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/3
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004・宮本周司
○委員長(宮本周司君) 金融商品取引法等の一部を改正する法律案及び情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための社債、株式等の振替に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/4
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005・柴愼一
○柴愼一君 おはようございます。立憲民主・社民の柴です、柴愼一です。よろしくお願いいたします。
法案の質疑に入る前に、まずはインボイスについてお伺いしたいと思います。
十月のあのインボイス制度導入から一か月半がたちました。政府は、導入中止、延期を求める私たちの声、また関係者の声に一切耳を貸さず、円滑な導入に向けて取り組むと答弁を繰り返してきました。そのような円滑な導入となっているのか、現在の政府の認識についてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/5
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006・星屋和彦
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
インボイス制度につきましては、制度の円滑な開始と定着に向けまして、関係省庁に担当の相談窓口を設けて相談をお受けしているところでございます。
国税当局におきましては、説明会や登録要否相談会等の個別相談において相談をお受けしているほか、インボイス制度の一般的な御質問にお答えするインボイスコールセンターを設置しておりまして、登録申請の方法やインボイスの記載事項の確認などの実務的な質問を含めまして、様々な問合せをお受けしているところでございます。
制度施行後、このような実務的な御質問が多く寄せられておりまして、今後も引き続きこうした御質問が寄せられるものと考えておりますため、これらの論点につきまして、事業者御自身において簡便に疑問点を解決できるよう、今後、国税庁として、制度実施後に多く寄せられた御質問とその回答を取りまとめ、公表したところでございます。
今後も、引き続き関係省庁と連携しまして施行状況をフォローアップし、課題が把握された場合は事業者の立場に立って一つ一つ適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/6
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007・柴愼一
○柴愼一君 いろいろおっしゃっていただいたんですが、円滑な導入ができているという認識でいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/7
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008・青木孝徳
○政府参考人(青木孝徳君) 十月にインボイス制度導入をされまして、私どもとしては大きな混乱は把握されていないものと承知しておりますが、一方では、事務負担の発生でございますとか取引先との関係などでお悩みの方がいらっしゃるということは報道等で承知しております。
政府としては、制度の施行に当たり、施行状況をしっかりフォローアップして、こうした対応を把握、共有し、必要な対応策を講じるために、関係閣僚会議を設置して、しっかりフォローアップ、またそれに基づく対応策の確認、取りまとめ、実行といったことをしっかりやってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/8
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009・柴愼一
○柴愼一君 大きな混乱は把握されていないということですけど、アンテナが低過ぎるんじゃないかというふうに思います。
各種相談窓口で対応、今日の新聞にも広告を出ていました。電話してくださいとかですね、書いてあったというふうに、取組はいただいているということですが、各種相談窓口での対応状況、どのぐらいの電話掛かってきているのかということがもしあれば、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/9
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010・星屋和彦
○政府参考人(星屋和彦君) インボイスコールセンターにおけるインボイスに関する相談件数でございますが、九月で約七万五千件、十月で約七万三千件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/10
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011・柴愼一
○柴愼一君 そんな状況だということだと思います。
今、答弁でも関係閣僚会議のことが触れられました。一昨日のこの委員会で、堂込委員がインボイス制度円滑実施推進に関する関係閣僚会議での議論の状況について質問をしています。もう一度、その会議での議論の状況についてお聞かせいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/11
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012・青木孝徳
○政府参考人(青木孝徳君) 先週の六日、閣僚会議ございました。今般の総合経済対策などに基づいたインボイス制度の円滑な実施と定着に向けた支援策も併せて公表させていただいております。
具体的に申しますと、事業者向けの相談体制の拡充でございますとか、免税事業者が不当な取扱いを受けないための取組の強化、又はそのインボイス対応に伴う小規模事業者向けのIT導入補助金などデジタル化の推進策、又は各業界の特性を踏まえた事業基盤の強化策など、幅広い事業者の不安等に対応するための施策が盛り込まれてございます。
今後も引き続き、事業者の方々が抱える悩みや問題を解消することに重きを置き、政府一丸となって施行状況をフォローアップし、把握された課題に対し事業者の立場に立って一つ一つ丁寧に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/12
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013・柴愼一
○柴愼一君 会議の開催方式はどのようなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/13
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014・青木孝徳
○政府参考人(青木孝徳君) 今回の六日の閣僚会議につきましては、持ち回りで会議を開催させていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/14
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015・柴愼一
○柴愼一君 先ほどの答弁だと、あたかも会議を開いて、協議をして方向を確認したというふうに聞こえるんですよね。前回の堂込委員の質問にもそのようにお答えをいただいていると。
持ち回りの会議全て悪いというふうには言いませんが、導入後一か月の状況を共有し、必要な対策を協議すべき、極めて、極めて重要な会議であったはずだと思います。持ち回り開催とした理由をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/15
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016・青木孝徳
○政府参考人(青木孝徳君) 持ち回り開催ということでございますが、中身につきましては各省庁でしっかり状況を把握して、この対策で取りまとめられました対応策をしっかりやっていこうということで取りまとめたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/16
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017・柴愼一
○柴愼一君 岸田内閣の本件に関する問題意識が余りにも低いということじゃないかというふうに思います。先ほどのアンテナの低さも含めて、何でしょう、やってしまえばもう終わったことというふうに思っているのかと。インボイス導入で大変な苦労している人たちをどのように思っているのか、今、会議でこんなこと決めましたという上っ面の言葉ではなく、全力で向き合わなきゃいけないというふうに思います。
今後の関係閣僚会議の開催の在り方について、ちょっと鈴木大臣の認識をお聞かせいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/17
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018・青木孝徳
○政府参考人(青木孝徳君) まず、一言御説明をさせていただきます。
この閣僚会議は、実施までの間は関係省庁の連絡会議みたいな形でいろいろ関係省庁挙げて取り組んできたところでございますが、実際のスタートの少し前に当たって、総理の方から、しっかり閣僚級でフォローアップをして対応策をまとめるようにという御指示の下で開催しておりますので、政府としてしっかり対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/18
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019・宮本周司
○委員長(宮本周司君) 大臣、何か御発言ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/19
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020・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今、事務局的な立場からの御説明をしたところでございます。
従来ありました関係省庁での連絡会議、それを格上げをしたというような形での関係閣僚会議の設置でございますので、閣僚としてのこの立場から、しっかりと、そうしたいろいろなお悩みでありますとか、いろいろな困難にある方のお声をしっかり受け止めながら、それに対応する、対応をしっかりやってまいりたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/20
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021・柴愼一
○柴愼一君 事務方も含めて御努力いただいているというのは分かります。ただ、もう一方でいくと、岸田内閣でそういう円滑推進に向けた関係閣僚会議を設置して対応しているんですということだったとしたら、余りにも対応が不足しているんじゃないかというふうに思います。
もう少し聞いていきたいと思います。
インボイス制度を考えるフリーランスの会が実施したオンラインによる緊急意識調査、これは、実施後すぐです、十月の二十日から三十一日の僅か十一日間の募集期間で、免税事業者、課税事業者、会社員、これきっと経理担当の方だと思いますけど、また経営者の方などから集まった声は三千件に及んだということ、そして、そのアンケート、意識調査の中にも、自由記入として、制度開始で不安に感じていることなどのコメント欄、自由記入のコメント欄には二千件の声が寄せられています。それを一つ一つ見ると、本当に大変な、苦しい、苦しむ事情が、状況が本当に浮き彫りになってきています。
フリーランスの会として、その声に基づき六つの問題点として整理した要請書を十一月十三日に財務省、国税庁、公正取引委員会、中小企業庁の担当者に手交をしています、お渡しをしています。
鈴木大臣、要請書は御覧いただいていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/21
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022・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 要請書につきましては、緊急意識調査も含めて事務方から報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/22
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023・柴愼一
○柴愼一君 お忙しいのに見ていただいてありがとうございます。受け止めをお聞かせいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/23
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024・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) その要請書、また緊急意識調査にもありますように、インボイス制度につきましては、中小・小規模事業者の皆様方を始めとして、依然として様々な不安、それからお悩みをお持ちの方がいらっしゃるということが改めて認識をさせていただきました。
そして、その報告書、緊急意識調査でございますが、中でも、取引先などから不当な扱いを受けている、過度な事務負担が生じているといった負担が、指摘がなされていることを承知をいたしました。
これに対応しなければいけないわけでありますが、このうち取引先等から不当な扱いを受けているとのお悩みにつきましては、公正取引委員会等において優越的地位の濫用の未然防止のための調査やインボイス導入に係る取引実態把握のための調査を行うとともに、フリーランスに係る取引適正化の観点も含め、取引環境整備に向けた周知、広報、これを徹底してまいりたいと考えております。
また、過度な事務負担が生じているとのこのお悩みにつきましては、免税事業者への影響や事務負担を軽減する観点から税制上の措置を設けているほか、先日決定をいたしました令和五年度補正予算案では、経理業務のデジタル化を支援する観点から、IT導入補助金につきまして、今後インボイス対応を行う小規模事業者向けの補助率を従来の四分の三から五分の四に引き上げていくことといたしております。
今後とも、こうした様々なお声というものをしっかりと把握をしながら、インボイス制度の施行状況等をフォローアップして、事業者の立場に立って一つ一つの課題に対応していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/24
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025・柴愼一
○柴愼一君 丁寧に対応いただきたいというふうに思います。答弁いただきました。
これ、関係閣僚会議の資料に、これが十一月六日の公表されている資料なんですが、その中にはインボイス制度に関連した事業者の不安解消に取り組むということが一番目に挙げられています。事業者の不安とか、不安というレベルではないですね、もう実際に、取引停止とか取引価格の引下げということが実際に起こっていて、それによる廃業などの実害が出ているということを申し上げたいというふうに思います。認識を変えていただきたいというふうに思います。
まずは、要請書に対する誠意ある対応をしていただきたいということ。そして、その要請書では六つの問題点挙げているということですが、その六つの問題点を是正できない限りインボイス制度の運用停止、中止、廃止を求めているんです。現状ではとてもその問題点を解決できる、是正できるとはちょっと私も思えないということもあると。是非制度を廃止すべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/25
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026・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) インボイス制度につきましては、インボイス制度を導入するということが決まってから、これまでも準備期間長く取ってやってまいりましたし、この間に税制上のいろいろな対応あるいは補助金におけます対応等させていただいてきたところでございます。
これまでも、十月一日に急に導入ということではなしに、前広に様々な広報、周知等も努めてきたわけでありますが、しかしながら、この開始の段階、開始に至った段階におきましても、いまだに不安の声、それからお悩み、そういうのがあるということ、それはしっかり受け止めていかなければいけないと思っております。
インボイス制度そのものは複数税率の下において適切なこの課税を行うために必要なものでありますし、海外でもこれは導入をされているものであります。これからもいろいろな声に真摯に向き合って対応をしていきたい、そして安定的なこの定着というものを目指していきたいと考えているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/26
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027・柴愼一
○柴愼一君 フリーランスなどに対する不当な要求については優越的な地位の濫用に当たるとして公取でちゃんと対応するんだということでいただいていますが、緊急意識調査では、機能しないセーフティーネットとして一方的な取引停止や値下げが要請されているという声が寄せられています。免税事業者が守られていない実態が明らかになっているんです。
公正取引委員会として、インボイス制度導入に関わる免税事業者などからの相談、そして具体的な指導などの措置についてどのような状況となっているのか御回答ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/27
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028・田辺治
○政府参考人(田辺治君) お答えいたします。
公正取引委員会では、これまでインボイス制度の実施に関連しまして、買手の立場にある事業者が経過措置により一定の範囲で仕入れ税額控除が認められているにもかかわらず、取引先の免税事業者に対しまして、インボイス制度の実施後も課税事業者に転換せずに免税事業者を選択するという場合には取引価格から消費税相当額を引き下げると文書により伝えるなど一方的に通告する、そういう事例につきましては、本年十月末時点におきまして四十件の注意を行っているところでございます。
今後とも、公正取引委員会といたしましては、インボイス制度の実施に関連して免税事業者の方が不当な不利益を受けることのないよう、引き続き独占禁止法や下請法違反行為の未然防止を図っていくとともに、違反行為に対しましては厳正に対処してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/28
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029・柴愼一
○柴愼一君 今、四十件と来た。四十四件とちょっと聞いたことがあるんですが、実際に注意したのが四十件かということですけど、相談というか、がどれだけあって、その中で四十件を注意したということで、分母というか、どのぐらいの相談が来たということは分かりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/29
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030・田辺治
○政府参考人(田辺治君) お答えいたします。
相談といいますか、実際に申告という形になるんですけれども、申告の件数、事件調査の端緒に関する情報でございますので詳細にお答えすることはできないのですけれども、インボイス制度に限らず、独占禁止法、公正取引委員会に寄せられた独占禁止法に関する申告ということでいいますと、二千九百九十一件ということで三千件近くございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/30
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031・柴愼一
○柴愼一君 ですから、まだ一か月ぐらいの状況で三千件近い相談が寄せられているということだと思います。
公正取引委員会は、一方的な価格引下げは優越的地位の濫用に当たるという見解を示しているんですけど、一方的な判断ってやっぱり難しいですよね、ですよねと。協議をすれば問題がないとか、個別の判断に状況を調査してせざるを得ないと。免税事業者が求める迅速な対応になっていないということだと思います。
どの事業者と取引するかは自由なんですよね。委託、業務委託を選定する場合、課税事業者となった業者とそのまま免税事業者でいる事業者がいたときに、どこと契約するかは取引自由だとすると、それを妨げられないということが、実際には声が上げられていると。委託元も商売ですから、経営が厳しいので仕入れ税額控除できない分の値引きに応じなければもうちょっと取引できないんだというのは、それはしようがない事例なんじゃないかということでいくと、免税事業者は本当に守られていないということ。
加えて、先ほど経過措置についてもありましたが、六年間の経過措置がかえって事務、経理事務の負担が複雑化するので、それを理由に免税事業者を排除するということもあるということでいくと、なかなか公取が独禁法違反で問うというのは難しいということだと思います。
もはや免税事業者の排除が合法化しているというふうな指摘もありますが、政府としてこれどのように対応されていくのか、見解をお示しいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/31
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032・青木孝徳
○政府参考人(青木孝徳君) 取引排除や一方的な価格引下げに関する御質問でございますが、政府としては、先ほど、もちろんしっかり公正取引委員会の調査、それから中小企業庁も併せて下請の関係の調査をしっかりやるということになっています。そういった調査と併せまして、またその取引相手から不当な取扱いに対する懸念がいろいろあると思いますけれども、これについては、独禁法の取扱いをQアンドAという形で公正取引委員会の方で出しておられますし、また、まさにその不当な取扱いを受けないためのこの環境の醸成ということで、しっかり周知、広報、フリーランスの方の取引関係に係る周知、広報をしっかりやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/32
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033・柴愼一
○柴愼一君 公正取引委員会が悪いわけじゃないと、公正取引委員会は真面目に取り組んでもらっているんだというふうに思います。公取もある意味被害者じゃないかというふうに思います。
現行体制ではこの状況に対応できないんじゃないかということ、公正取引委員会がどんなに頑張ってもその対応が今言ったとおり限界があるんだということでいくと、それは公取の問題ではなくて、問題の本質は、悪質な事例は公正取引委員会にも相談、申告すれば救済されるとして制度導入を強行した政府にあるんじゃないかということです。
インボイス制度の導入で誰も幸せになっていない、なっていないんですよ。みんなが苦労しているんです。免税事業者だけじゃなくて、取引先や事務担当者だけじゃなくて、結果として、そのコストは国民が負うことになります。零細事業者の廃業や農家の離農も進んでいます。苦しんでいる弱い立場にいる人たちにしっかり向き合うということが、制度導入を無理やり推し進めた岸田内閣の責任だというふうに思います。改めて制度の廃止を強く求めたいというふうに思います。答弁は結構です。
求めておきながら、きっとそのまま続けますときっと言うと思うので、括弧四で、確定申告の期限の延長を求めたいというふうに思っています。税理士のような税金のプロも、今、大変な苦労をして相談に当たっているということです。税金のプロが心配しているのが来年の個人事業主の確定申告です。日本の確定申告の時期、期間は諸外国と比べても短期間であって、インボイスの導入後、消費税の申告を初めて行う事業者が多数存在することから、現場に大変な混乱が生じるということに懸念が表明されています。
申告期限の延長を検討するべきだと思いますが、認識をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/33
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034・星屋和彦
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
消費税を含む国税の申告期限等につきましては、法令上、自然災害などやむを得ない理由により申告等の行為が期限までにできないと認められる場合に限り延長することができるとされておりまして、インボイス制度の導入により事業主、事業者において消費税申告に関する事務の増加が見込まれるとしても、そのことをもって直ちに申告期限の延長を認めることは現行法令上は困難と考えられるところでございます。
一方、インボイス制度の開始によりまして消費税の課税事業者に転換された方につきましては、税負担や事務負担を軽減するいわゆる二割特例が制度上措置されていることに加えまして、国税当局におきましても事業者からの個別相談に対応するとともに、各税務署におきまして新たに課税事業者に転換された方を対象とした消費税に関する説明会を開催する、あるいは確定申告会場の相談体制を拡充する、さらには個別のダイレクトメール送付などによりまして二割特例を周知、広報するなど、事業者の方が来年の確定申告におきまして期限内に円滑に申告手続を行うことができるよう、各種の取組を進めているところでございます。
国税庁といたしましては、こうした取組によりまして、引き続き事業者の立場に立って丁寧に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/34
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035・柴愼一
○柴愼一君 それでも、様々な対応はいただいているけれども、税金のプロたちは心配しているということですので、政府として実態をつぶさに把握して必要な対応を迅速に取ることは強く求めたいというふうに思います。
ちょっと頑張り過ぎちゃいました。法案の質問に入りたいというふうに思います。金融商品取引法の一部を改正する法律案についてお聞かせください。
岸田総理が表明した所得倍増がいつの間にか資産所得倍増に変わり、そして今度は、骨太の方針二〇二三では資産運用立国にするとの方針が示されました。この本法案はその流れで出てきたんだというふうに思っています。
資産運用立国とはどういう議論の中で出てきたワードなのでしょうか。目指す姿、そのイメージについてお聞かせいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/35
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036・油布志行
○政府参考人(油布志行君) お答えいたします。
家計金融資産の半分以上を現預金が占めているということはよく知られておるわけでございますが、こうした資金が投資に向かいまして、投資先企業の企業価値向上の恩恵が家計に還元されるということで、それが更に、この更なる投資や消費につながる姿、これを成長と分配の好循環というふうに考えてございます。
こうした姿を実現することで、我が国経済の成長と国民の資産所得の増加につなげていくということが重要と考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/36
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037・柴愼一
○柴愼一君 何かしっくり、しっくりこないんですよね。○○立国というと、子供の頃は、資源がない日本なので良い製品を作って輸出する、そういう貿易立国になるんだとか、いろんないいもの作って働く価値を見出して工業立国になるとか、最近では多くの外国の方々に日本を訪れてもらって経済を活性化させる観光立国とかというイメージがあって、何となく頑張っていこうという元気が出るイメージなんですけど、資産運用立国ってぴんとこないなと、国民をそれで幸せにできるのかというふうに考えたりします。
骨太の方針の、これ十月四日の会議ですかね、資産運用立国に関する基礎資料で資産運用業関係のところに書いてあるものが、骨太の方針に基づいて、二千兆円の家計金融資産を開放し、開放し、持続的成長に貢献する資産運用立国を実現すると書いてあるんですけど、その意味って何なんでしょうかと。一人一人の大切な家計資産を、経済に貢献すると書いてあるんですけど、政府の立場じゃない、こちらから、国民の立場からすると貢献させられるということなんでしょうかと。政府の上から目線のもので、資産所得、まあ資産所得倍増というのはぎりぎり我慢できるかなと思っていたんですが、家計資産を国の経済に貢献させる、させるという、そういう感覚がいかがなものかというふうに思います。ゲームの参加者が多くなればその分もうけが増えるということで、市場関係者や投資のプロたちは喜ぶんだろうというふうに思います。
資産運用には、商品の大小によって、あっ、商品によって大小の差はあるものの、必ずリスクがあります。これまでは、銀行預金、間接金融で経済を回してきたんです。金融のプロが目利きで経済回してきたんですよねと。今回は、資産運用で直接金融の世界に誘導し、国民にリスクを負わせるということになるんじゃありませんか。ちょっと見解をお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/37
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038・油布志行
○政府参考人(油布志行君) お答えを申し上げます。
現時点までのこれまでの状況を見ますと、例えば現預金に確保されている一千兆以上の家計金融資産につきましては、その投資、あっ、預金の利息、利子という意味では非常に微々たるものであっただろうと思います。ですから、それを、先ほど申し上げましたような、この成長と分配の好循環の方に向かうということで、経済の成長とともに国民の資産所得の増加につなげていくということが大事だと思っております。
ただ、先生がおっしゃいましたように、もちろんこれは投資を強制するといった趣旨のものでは全くございません。実際にこういうその成長と分配の好循環を実現するためには、それぞれの主体に対してしっかりと働きかけを行っていくことも大事だと思っておりまして、例えば家計について申し上げますと、NISAの抜本的拡充、恒久化が行われましたけれども、あわせまして、金融経済教育の充実であるとか、そういうその安定的な資産形成を支援するための取組を推進していくことが重要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/38
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039・柴愼一
○柴愼一君 日本の相対的貧困率が、アメリカ、韓国を抜いて世界一に、世界一じゃないです、先進国で今一番に、最悪の状況になっていると。格差が広がっている現在において、国を挙げての投資促進というのは更に格差を拡大させることになるんじゃないかというふうに思います。
衆議院の財政金融委員会、通常国会での議論です。我が党の米山議員の質問で、機構、教育機構ですかね、教育推進機構による金融教育を進めると格差が広がっていくんじゃないかと考えますが大臣の所見をという問いに、鈴木大臣は、投資と格差の問題で申し上げますと、格差につきましては、一般に、投資を行う場合には、投資額が大きいほどリターンも大きくなると考えられることから、投資を通じた資産形成は必ずしもその格差が縮小する方向には働かないもの、そのように認識をいたしますという答弁を、率直な答弁をいただいているんです。
大臣、今もそのような認識でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/39
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040・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 衆議院のときの答弁を変えるということにはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/40
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041・柴愼一
○柴愼一君 そういうことだというふうに思うんです。資産所得倍増も、投資ができる原資がなければ、貯蓄ゼロの人は何倍掛けてもゼロはゼロだということです。物価高で苦しむ国民生活、物価高対策、総合経済対策を打たなければいけない現状を見ると、資産運用立国という言葉は何かむなしい感じがします。
格差の関係で見ると、ちょっと気になった記事があって、こんな状況になっているのかというのをネットで見たんです。
麻布台ヒルズが十一月二十四日に開業するんです。そこは旧麻布郵便局の跡地なので、私も元々働いていた場所でもあって、注目してたんです。現在日本一高いビルで、三百三十メートルです。高層階、五十四階から六十四階、一番高い六十四階ですけど、は、超が付く高級マンションです。すぐ近くに東京タワーがあって、三百三十三メートルなので、上の階は、東京タワーの展望台、上の展望台よりも高いところに部屋があるということです。最上階の六十四階はワンフロアに三戸だけのペントハウスらしいですねと。一番大きな区画はワンルームマンション七十五戸分の広さで、価格は二百億円で既に売約済みだということで、その三戸の、最上階の三戸のうち二戸が売約済みで、それぞれ日本人が購入していると。大体買う方は中も見ないで、内覧もせずに買うらしいということですけど、一方で、子供の貧困、日々の暮らし、食事にも苦労している方々がいます。
所得の再分配は政府でしかできません。事業で成功して資産家となる方々を悪く言っているわけではありません。国民全体が幸せになれば、結果として事業の成長も図られていく。そして、そのために、応能負担原則でそれらの方々に税金を負担いただくということも必要じゃないでしょうか。
資産運用立国を目指すのであれば、その果実、運用益を国民全体の幸せの実現の原資とするための金融所得課税の強化と併せて実施するべきだと考えますが、大臣の所見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/41
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042・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 格差の是正ということの御指摘につきまして税制の再分配機能の強化という観点から申し上げますと、これまでも累次の改正を行ってきているところでありまして、例えば所得税や相続税につきましては、平成二十五年度改正におきまして最高税率の引上げや基礎控除の引下げなどの見直しを行ってきたところであります。
しかし、所得税について現下の負担構造を見てみますと、いわゆる一億円の壁との指摘があるように、所得が一億円を超える層の負担率が低下していることに加えまして、かなりの程度の高所得者層では負担率の低下が著しくなっていると、そういう現状がございます。引き続き是正が必要であると認識をいたしているところであります。
これらを踏まえまして、与党税制調査会において幅広い観点から御議論をいただいた上で、令和五年度税制改正におきまして、おおむね平均的な水準として約三十億円を超えるような極めて高い水準の所得を対象として追加的に負担を求める措置を導入したところであり、政府としては、令和七年からこれが施行されるわけでございますが、その措置の効果をよく見極めてまいりたいと考えております。
その上で、金融所得課税の強化につきましては、金融所得に係る税負担の増加が経済や株価に及ぼし得る影響なども勘案しながら総合的に検討する必要があるものと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/42
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043・柴愼一
○柴愼一君 引き続き求めていきたいというふうに思います。
金融リテラシー向上、国民が自らの判断で資産形成に取り組むためのそういう金融リテラシーの向上や販売側の顧客本位の業務運営の確保は重要だというふうには思っています。しかし、金融リテラシーの向上は、投資促進のために行うものではないというふうに思います。
投資促進に向けて国が関与を高める、まあ機構をつくって教育するとかですね、国が関与を高めるのであれば、一方での被害者救済の体制、裁判外紛争解決の手続である、いわゆるADRを国が責任を持って強化すべきだというふうに考えます。
昨日、議連にちょっと参加したんですが、金融債務者保護推進議員連盟というのに参加しました。金融商品に関わる被害の実態、そしてADRの対応などについてヒアリングして、多くの気付きがありました。
関係省庁、金融庁を中心に関係省庁も誠実に取り組んでいただいているというふうに認識しますが、金融商品の契約に関わる金融機関とのトラブルは今も発生し、解決に至っていないものも多くあります。紛争解決機関の中立に疑義があったり、結果として顧客が泣き寝入りする、そしてスルガ銀行の悪質な融資の問題もまだまだ解決に至っていないものもあります。そんな状況です。資産運用立国を目指し、資産運用を行う国民が多くなれば、それに伴ってトラブルの増加も想定されます。
本法案では、入口としての顧客本位の業務運営の確保はありますが、出口としての被害者救済の視点が不足しているんじゃないでしょうか。悪質な業者は入口規制だけで取り締まり切れません。
岸田内閣が掲げる政策によって困窮する国民を生まない、そして、被害を被った場合にはしっかりとした被害者救済の体制を整備することがこの政策を実施する政府の責任だと考えますが、大臣の所見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/43
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044・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) これからこの家計資産を投資をしていただくということ、これはあくまで自由な立場でしていただくか、していただかないかということでありますが、その前提として金融リテラシーの向上が必要であり、金融経済、この推進機構をですね、この法律に基づいてつくりたいと思っているところでございます。そして、国民が資産を形成を進める中で、金融経済教育を受けた方であっても金融トラブルに巻き込まれてしまう場合というものも御指摘のとおり考えられます。
こうした観点から、金融経済教育推進機構において、金融トラブルに関する内容を含む金融経済教育を提供するだけではなくて、金融トラブルに関する個別の相談窓口を設置している関係団体とも緊密に連携することも予定をしているところであります。
これらの取組を通じまして、国民の安定的な資産形成を支援するとともに、金融サービスの利用者の保護にも十分な対応をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/44
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045・柴愼一
○柴愼一君 是非、被害者保護の体制についても強化いただきたいというふうに思います。
国策として、国民の持っている現預金を投資に向かわせるということ、そしてそのための今回の法改正、体制整備としての金融経済教育推進機構を創設してそういう教育をしていくんだと、国として投資を誘導するということ自体が中立と言えるのかということを逆に心配をしています。
もう時間が来ましたが、顧客本位の業務運営、金融リテラシーの向上は重要な取組だということは認識はできると、共通の認識だというふうに思います。だからこそ、国民の現預金で経済活性化を図るとの上から目線ではなくて、国民生活の向上の視点から行われるべきであることを改めて申し上げて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/45
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046・若松謙維
○若松謙維君 公明党の若松謙維です。
早速質問に入らせていただきます。
今国会でこの金融商品取引法等一部改正案、これを成立させなければいけない理由を御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/46
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047・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 本法案は、来年四月一日が施行日とされている四半期報告書の廃止と、官民一体となって金融経済教育をより一層広範かつ効率的に実施するための金融経済教育推進機構の設立を盛り込んでおります。
このうち、四半期報告書の廃止につきましては、経済界からも四月一日の期日での施行に強い期待感が、期待がある中、対象となる上場企業のほか、監査法人、東京証券取引所を含めた幅広い関係者と連携して円滑に施行する必要があります。
また、金融経済教育推進機構につきましては、来年一月に始まる新しいNISAを契機に新たに資産形成に取り組む方の増加が見込まれるところ、特にそうした投資初心者の方に対し適切なタイミングで金融経済教育を受ける機会を提供をして、金融に関する幅広い知識の習得や判断力を養っていただくことが重要であるため、金融経済教育推進機構を来年のできる限り早い時期に設立、本格稼働させることが必要であると考えております。
このほか、本法案には金融サービスの顧客の利便性向上に向けた措置などを盛り込んでおりまして、できる限り速やかな国会での成立をお願いをいたしたいと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/47
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048・若松謙維
○若松謙維君 特に四半期の、四半期報告書の廃止につきましては、この施行日が来年四月一日ということで、もう四か月半です。ということで、決算書等の作成者、企業ですね、また監査人等の現場が混乱しないようにすることが肝要と考えます。先ほど大臣に答弁していただきましたように、上場企業、監査法人、東証を含めた幅広い関係者と連携して進めていただきますよう、お願いいたします。
続いて、四半期報告書の廃止について質問を続けさせていただきます。
令和六年、今言った四月一日施行予定の四半期報告書の廃止でありますが、この有価証券報告書におきましては、サステナビリティー情報の開示等が拡充される中で、企業の実務負担を考慮して企業開示の効率化を図るために行われるものと思われますけれども、具体的な制度設計に当たりましては、国内外の投資家から開示の後退と受け取られないようにしつつ、企業負担にも配慮しなければいけないと考えますが、金融庁のお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/48
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049・井藤英樹
○政府参考人(井藤英樹君) お答え申し上げます。
四半期報告書の廃止に当たりましては、企業負担にも配慮した企業開示の効率化を図りつつ、我が国の企業開示の後退と受け止められないよう具体的な制度設計を行う必要があるものというふうに考えてございます。
現在、東京証券取引所の検討会におきまして、昨年十二月に取りまとめました金融審議会の報告書の内容も踏まえまして、一本化後の四半期決算短信におきまして、投資家や企業の意見を踏まえながら検討が行われているところでございます。具体的な内容といたしましては、例えば、セグメント情報、キャッシュフローの情報など、これまで四半期報告書で提供されていた情報のうち投資家の要望が強いものが引き続き提供されていくよう検討が行われているところでございます。あわせて、東証におきましては、企業経営に重要な影響を及ぼす事項について速やかに開示を行うための適時開示についても、これまで以上に積極的な開示が行われるよう、その充実に向けた検討が行われているところでございます。
東京証券取引所におきましては、法案成立後できるだけ早く検討結果を取りまとめ公表をする予定でございますが、企業側の負担や開示の速報性の観点も踏まえつつ、国内外から我が国企業開示の後退と受け止められないバランスの取れた内容となるよう、金融庁といたしましても、東証とよく連携してまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/49
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050・若松謙維
○若松謙維君 是非金融庁、しっかり東証、また関係者と連携をしていただきたいと思います。
次に、金融商品取引法上の有価証券報告書と会社法上の事業報告等ですか、二つあるわけでありますが、この一体化を進めるということが課題になっております。また、有価証券報告書が総会前に提出されるということが推進されれば、開示の効率性向上のみならず、ひいては株主総会における議決権行使の実効性向上の観点から有意義だと考えますが、金融庁のお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/50
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051・井藤英樹
○政府参考人(井藤英樹君) お答え申し上げます。
もうこの点は先生本当に御指摘のとおりでございまして、金融商品取引法の有価証券報告書と会社法の事業報告等を一体化することですとか、有価証券報告書の株主総会前の提出が拡大することは、開示の効率性ですとか議決権行使の実効性の向上などの観点から望ましく、極めて有意義であるというふうに考えてございます。特に、中長期的な企業価値を判断する上で、昨今サステナビリティー情報の重要性が世界的にも高まってございます。グローバルな経営を行う上場企業がサステナビリティー情報を株主総会前に有価証券報告書において投資家に提供することは、本当に重要な取組であるというふうに考えてございます。
これまで両書類の一体化につきましては現行制度上でも可能ではあるところでございますけれども、一体化を行おうとする企業を支援する観点から、例えば、金融庁では法務省、経済産業省などと連携して、記載内容の共通化を図るための対応を取りまとめ、二〇一八年十二月に記載例を公表を行ってございますほか、日本公認会計士協会では、一体化した書類に含まれる財務諸表への監査報告書に関する作成上の留意点などをまとめ、二〇二一年八月に公表を行っておるところでございます。
金融庁といたしましては、引き続き、経済界や投資家など幅広い関係者からの意見もよく聞きながら、法務省などの関係省庁と連携して、企業に対して必要な対応を促すとともに、我々としても必要な対応を更に行ってまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/51
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052・若松謙維
○若松謙維君 是非、現行制度でも可能だということだけでは、はっきり言って進んでいない面も否定できないと思いますので、これはまあ何ですか、市場でありますから余り当局の方が介入というんですか、その限度もあるでしょうけど、しかし、一体化が遅れている事実もありますので、是非関係者と連携取りながら適切な方向にリードしていただきたいと思います。
次に、金融リテラシー向上のために国が金融経済教育を推進する上で会計教育との関係をどのように考えているのか、また、いわゆる会計教育と金融教育、これを組み合わせることが金融リテラシー向上のために有意義と考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/52
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053・神田潤一
○大臣政務官(神田潤一君) 若松委員の御質問にお答え申し上げます。
会計教育におきましては、例えば自分自身の生活や人生に関しまして、家計管理や生活設計の考え方のほか、経済や金融の仕組みなどの社会生活を送る上で有用な知識についても取り扱われていらっしゃるというふうに認識しており、金融経済教育の内容と共通する点も多いものと承知をしております。
金融経済教育と会計教育は、共に国民一人一人がお金の動きを理解し生活していく上で適切な判断ができるよう手助けすることを目標としているものであり、両教育を推進する公認会計士協会とこの法案で御審議をいただいております金融経済教育推進機構が互いに連携していくことが、若松委員御指摘のとおり、金融リテラシーの向上を含めてそれぞれの教育の効果の向上につながるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/53
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054・若松謙維
○若松謙維君 私、公認会計士と同時に税理士でもありまして、税理士の先生もいらっしゃいますけれども、税理士会として租税教室ですね、これを担当させていただいております。法人会とかいろんなところも関わっておりますけど、やはり租税は国民の義務でもありますので、そういったところから、皆さんにやっぱり本音を聞くと、実は私、今年ですか、地元郡山の中学三年生に質問をしましたら、いろんな説明をしながら税金払うの好きですかと三回聞いたら、みんな、誰も手を挙げませんでした。これが実態なんでしょうけど、でも必要なことは分かっているということなんですけど。
やはり金融資産も、いわゆる小規模掛金共済、共済掛金ですか、これはたしか利回りゼロ。で、恐らく民間の保険、多少の、この積立型の、貯蓄型は大体利回りあると思いますね。この極端な差というんですか、というのは、やはりいわゆるかなりのこのファンドというか、お金を持っているところ、共済がですね、実際、投資と全く関わっていない。ある意味でここが日本の投資力の弱さ、供給力の弱さだと思っておりまして、そこをその投資家というんじゃなくて、やはり国民全体としてそういったお金が回るということが大事でありますので、そういった観点からのこの金融教育、だけれども、それにはやっぱり会計が理解していただかないとある意味で変な方に行ってしまいますので、是非、この会計教育と金融教育、この検討、組合せをしっかり進めていただきたい。
そういう意味での最後の質問になるんですけど、昨年の公認会計士法改正によりまして、日本公認会計士協会は、会計に関する教育その他知識の普及及び啓発のための活動に関する規定を会則に定めることとなりまして、そして、会計教育を推進する法的責務を負うこととなりました。
金融教育を推進する上で、日本公認会計士協会との連携についてどのように考えているのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/54
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055・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
まさしく委員御指摘のとおりでございまして、金融経済教育と会計教育についてしっかり連携をしていかなきゃいかぬということでございます。金融経済教育と会計教育には共通点が多いということでございまして、互いの教育事業の効果を高める、こういう観点からの連携ということが重要であるというふうに考えています。
具体的に、例えばでございますけれども、金融経済教育推進機構が推進します教育の内容とかあるいは方法、こうしたものをより良くしていくために、会計教育の推進に知見、経験を有する公認会計士協会からアドバイスをいただくと、そういったようなことが考えられます。そのほかにも、互いの教育事業の認知度、これを国民の方々に対して高めるということの観点から、広報面で連携をするといったことも一つ有益なものだというふうに考えられると思います。
いずれにしましても、今申し上げた点にとらわれることなく教育効果を最大限高めると、こういう観点から広く連携を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/55
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056・若松謙維
○若松謙維君 これ、日本公認会計士協会が作っている会計リテラシー・マップってありまして、実にいろんなことが書いてあるんですけど、いわゆるこの会計リテラシーを、まあこれかなり、ある意味で、この幼児期、さらに小学校、中学校、高校、大学、青年・壮年、高齢者と段階に分けてやはりそのニーズが変わっていくんですが、ある意味で一番最初の、何ですかね、この会計というと、お小遣い帳というんですか、やっぱりそういったところをしっかりする、で、家庭においては家計簿、付けているところと付けないところとやはりいろいろ差が出てくると思うんですよね。そういったところも含めて、幅広い会計リテラシー、これを進めていただきたい、これを要望して、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/56
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057・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文でございます。
法案の質疑をさせていただきます。
今日は、金商法の改正案について、特に衆議院での議論も踏まえて聞いていきたいというふうに思います。
まず、顧客本位の業務運営の確保についてでございます。
金融事業者による顧客本位の業務運営をめぐっては、顧客利益より販売促進を優先し、リスクやコストに見合うリターンが得られにくい金融商品を十分に説明することなく販売している事例などが指摘されています。また、本年六月には、仕組み債を不適切に販売していたとして、地域銀行等に業務改善命令が発出された事例もありました。
そこで、金融庁にまずお伺いしたいんですけれども、これ、金融商品販売における顧客本位とは言えない状況にあるというふうに御認識をされているというふうに思うんですけれども、これは何が原因であるというふうにお考えなのか、まず、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/57
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058・油布志行
○政府参考人(油布志行君) お答えいたします。
金融庁では、二〇一七年の三月に、いわゆるソフトローでございますけれども、顧客本位の業務運営に関する原則を公表いたしまして、金融機関に対しまして、顧客の最善の利益を追求し、顧客本位の良質なサービスの提供を行うよう主体的な取組を促してきております。こうした取組により一定の進展も見られておると思っておりますが、ただ他方で、例えば、今先生がおっしゃいましたように、金融商品の導入、販売に当たりまして、リスク、リターン、コストなどの分析、あるいは想定顧客層の特定が十分にできていないといったような一部の金融事業者の販売管理態勢には依然として課題が認められる状況にあると思っております。
お尋ねのこうした課題の背景としてはということでございますが、金融事業者にとって収益面での貢献が非常に大きい、そういうリスク性金融商品の販売ばかりを促すような、そういう営業職員の業績評価体系の設定でありますとか、あるいは、そもそもの問題といたしまして、顧客本位を目指す、そういう健全な企業文化、企業風土を含めまして、顧客を重視するという、そういう経営が十分に確立されていないことなどの原因があるのではないかと考えております。
私どもといたしましては、金融事業者において経営陣のしっかりとした関与の下で顧客の最善の利益に資する商品組成、販売、管理などが行われますように、引き続きモニタリングをしっかりと行ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/58
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059・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。
まあ結構難しい問題だなというふうに思っているわけですけど、これ、金融庁は二〇一七年三月に、この先ほど申し上げられた顧客本位の業務運営に関する原則、これを策定しています。この原則は、法的拘束力はないけれども、金融事業者に対して受入れをすべきということを呼びかけをされてきたというふうに存知をしています。
そこを、本法律案ではこの原則の一部を法定化すると、で、顧客等の最善の利益を勘案しつつ、誠実かつ公正に業務を遂行すべきである旨の義務を課すことというふうになっているわけですけれども、これ、先ほど何点かおっしゃっていたんですけど、これ立法事実として、この原則があって、受入れをしてくださいねと呼びかけてきたけれども、なかなか受け入れてもらえてこなかったという認識をされていると思うんですけれども、その立法事実を何か定量的にお示しすることはできるんでしょうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/59
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060・井藤英樹
○政府参考人(井藤英樹君) 先生おっしゃるとおり、先ほどの答弁でもありましたけれども、金融庁では、二〇一七年に顧客本位の業務運営に関する原則を策定いたしまして、幅広い金融事業者に、何が顧客のためになるか真剣に考え、より良い金融サービスの提供を競い合うように促してきたところでございます。
原則の策定後、金融事業者の取組には一定の進展が見られますが、一方で、先ほどの答弁にありましたように、リスクが分かりにくくコストが合理的でない可能性のある商品を十分な説明なく推奨販売している例がある、あるいは顧客利益よりも販売促進を優先した金融商品の組成が行われている可能性があるといった課題が指摘されてございます。
具体例といたしましては、例えば、その金融商品取引に関するトラブルの苦情等を受け付けている金融証券、あっ、証券・金融商品あっせん相談センター、FINMACと言われていますけれども、ここにおきましては、例えば、二〇二二年度、勧誘に関して六百件を超える苦情が寄せられているといった状況でございます。
こうしたことを踏まえまして、金融事業者等による主体的な創意工夫に基づく顧客本位の業務運営に向けた取組の一層の定着、底上げが必要だというふうに考えてございまして、原則に基づく任意の取組ではなく、顧客等の最善の利益を勘案することを法令上の義務として提案させていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/60
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061・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 今、定量的におっしゃったのは、六百件苦情が来ているんだと。定量的に表せられるのはそれぐらいということですよね。
これ、その原則があって今回法定化するということですけど、その効果がどれくらいなのかなというのはこれ疑義が生じるところであります。だからといって、しない、しなくていいと言っているわけではないんですけど。じゃ、義務化することによってどれぐらいの効果があるのかということに疑義があるんですが、それは、この顧客等の最善の利益を勘案せよといっても、じゃ、その最善の利益とは何ぞやみたいな話で、かなりこれ、ばくっとした規定になっているわけですね。
だから、多分、その取締り、監督官庁の考え方、考える最善の利益と金融事業者の考える最善の利益が異なる可能性というのがあるんじゃないか、で、そのグレーゾーンが広ければ広いだけこの苦情の件数というのは少なくなっていかないんではないかというふうに考えるわけであります。
これ、衆議院では、金融庁として、関係省庁とも連携しながら、これベストプラクティスの共有を図るんだという答弁をされているわけですね。じゃ、このベストプラクティスの共有というのはどうやってやるのか、具体的にどういう方法でこれ共有していこうとされているのか、この点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/61
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062・井藤英樹
○政府参考人(井藤英樹君) 顧客等の最善の利益を勘案しつつ、顧客等に対して誠実かつ公正に業務を遂行する義務につきましては、金融事業者に対して、金融サービスの提供に当たり、顧客の属性、目的やサービスの特性を踏まえまして、自らが提供できる金融サービスの中からその顧客に最も適したサービスを提供できるよう業務を遂行することを求めるものでございます。
顧客の最善の利益を勘案した業務運営を行っていくためには、その提供する業務の内容や、顧客とのコミュニケーションに基づき把握した顧客の属性、意向などに応じまして、金融事業者それぞれにおいて顧客のためになる具体的な対応を判断することとなるというふうに考えてございます。
金融庁といたしましては、先生も言及されていただいたところでございますが、例えば、把握した実態の還元などを通じてベストプラクティスの共有、普及を図ることなどにより、顧客等の最善の利益の考え方について金融事業者等の間での認識の共有を図れるよう、私どもとしても最善を尽くしていきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/62
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063・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。
ですから、これ、ベストプラクティスを共有するんだということをおっしゃっているわけですけど、それが、じゃ、本当にベストプラクティスなのかどうなのかというのはどうやって判断するんだろうというのはちょっとよく分からないわけですよね。
だから、つまり、最善の利益を勘案せよというのは理念的には分かるんですけど、それじゃ、具体的にこれ、監督、業務改善命令等、これを基づいて出していくということがあるわけですよね、これは、あるわけですね、そうですよね。じゃ、そのときにどういう基準で、これは最善じゃないですよねということを金融庁としてはおっしゃっていくのかどうなのかというのがちょっとよく分からないんですけど、そのときの物差しというのはどこにあるんでしょうか。これ、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/63
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064・油布志行
○政府参考人(油布志行君) お答えいたします。
顧客が自らの最善の利益をどのように考えるかといったことにつきましては、その顧客の資産の状況でありますとか、取引経験、知識、取引目的、ニーズ、様々によって違いもございまして、おっしゃいますように、何か一律の目線を定めるということには困難もあろうかと考えております。
ただ、そうした中で、金融庁といたしましては、先ほど申し上げましたこの顧客本位の業務運営原則の策定の後、例えば、その金融事業者によるそういう顧客の最善の利益に向けた実践状況がどうなっているのか、それを把握、改善するためのモニタリングを行ってきております。その結果として、個々の金融機関に対して取組改善を促すようなことも続けてきてございます。それからさらに、その分析結果、これらの分析結果をまとめたレポートを年一回の頻度で公表等をしてきてございます。この中には、金融事業者に共通する課題でありますとか、ベストプラクティスを還元、共有するという、そういう目的が含まれているわけでございまして、そうした顧客の最善の利益を追求した取組を促すための一つの手段として実施してきているわけでございます。
私どもといたしましては、この法案の成立後におきまして、この顧客の最善の利益を追求する取組の更なる底上げが是非図られますように、より一層効果的なモニタリングの在り方について検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/64
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065・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。
もうしつこいのでこの辺でやめますけど、最善の利益って難しいですよね。例えば、この国の最善の利益ということで、僕たちは国民負担率を減らせということを言っているわけですけど、多分財務省としては国民負担率を上げろということを言っているというふうに、最善の利益一つ取っても全く見解が違うということだと思います。で、これ商売で金融事業者やっていますから、それ自分にとって利益の高いものを売ろうとするものはもう当然の商行為ですよね。だけれども、それが相手方にとって最善の利益なのかどうなのか、自分の商品ラインナップの中で、それが相手にとって最善の利益なのかどうなのかというのをどうやって判断するのかというのはかなり難しい問題だなというふうに思います。
ですので、まあベストプラクティスということをおっしゃっているんですけど、これ、何かバッド事例というか、そういったものをもうしっかりと挙げていく、こういったことは駄目なんだよということをより広く告知をしていく、周知をしていく、こういったことの方が多分実効性があるのではないかなというふうに思いますので、是非この点は御検討いただきたいというふうにお願い申し上げたいというふうに思います。
それから、金融経済教育についてお伺いをしてまいりたいと思います。
本法律案では、金融リテラシー向上のための取組として、官民一体となって金融経済教育を実施するための組織として、金融経済教育推進機構を創設することとしています。これは認可法人だということです。二〇二四年春に設立し、同年夏に本格稼働させるということでありまして、これ設立予定時期が迫っているわけでありますけれども、この機構については、衆議院の議論の中でも、これ正直よく分からないということです。例えば、この同機構に対する国の予算措置について、鈴木大臣は六月七日の衆議院の財金の中で、国としても資金面での一定のコミットメントを示すことが望ましいとしつつ、その時点で詳細については未定とされていました。
そこで、この機構に対する国の予算措置について確認をしていきますけれども、本法律案では、この金融経済教育推進機構の資本金は、政府及び政府以外の者が出資する額の合計額とすることとしています。
そこで、この資本金の総額、政府の出資割合について、今どのようなお考えなのか、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/65
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066・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
金融経済教育推進機構の設立費は約十億円が必要だというふうに見込んでおりまして、先般、概算が閣議決定されました補正予算案にも盛り込んでおりますが、今後国会に提出して御審議をいただくものと承知しております。
一方で、資金の総額のうちの政府以外の者からの資金の、資本金の出資については、発起人の下で行われます出資募集等の設立手続の過程で決まるということでございますので、現時点での詳細はお答えを差し控えさせていただきます。
ただ、同機構の設立を国として十分に支援する等の観点から、政府以外の者による出資金の総額が政府の出資金を超えないことになるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/66
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067・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 これ、資本金は十億円である、出資割合についても五〇%以上になるんではないかというのが今の答弁だったと思いますけれども、これ、初めての答弁ですよね、これまでおっしゃってこなかったわけです。
でね、これ、僕、七番の質問になるんですけど、やっぱり、これ衆議院ではこういった予算がどれくらいになるのか、どれくらいの規模でやるのか、運営資金がどれくらい必要なのかということを全く示さずにこの法律案が提出されているということで、衆議院での議論も深まらなかったなというふうに思うわけでありますけれども、これ、予算措置の規模をこの法律案の提出時に当然示すべきだというふうに思うわけですが、この原則についてどのようにお考えなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/67
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068・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
本法案は、認可法人であります金融経済教育推進機構の根拠法として、同機構の組織の根幹を定めるものと、こういうことでございます。これは、早期に国会にお示しして御議論いただくべく、さきの通常国会の本法案を提出したところでございます。
この機構なんでございますが、民間主体の組織として設立されますので、その運営費の大半を民間からの拠出金で賄うこと、これを念頭に置いております。
したがいまして、まず、組織の根幹を規定する本法案を民間団体に提示をいたしまして、それをしっかりと説明を行った上で、同機構の運営の御賛同を民間団体から募ると、で、その状況を踏まえながら必要な国の予算措置についても検討すると、そういうことが望ましいというふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/68
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069・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 いや、政府はだって五〇%以上出資するんでしょう、今、ということですよね。だから、それだけの出資をするわけじゃないですか。民間主体じゃないですよね、これ、出資金額の割合を見ても。であるならば、それをあらかじめ、この法律案を出すときにお示しをされた方がよかったのではないかなというふうに思ったということであります。
そうすると、特に、だから、これを示さない理由というのはちょっとよく分からないわけですね。で、十億円ということですけれども、これも何か今初めて算定ができたとかということではないというふうに思いますし、衆議院に出すときに、これは当然出していただくべきものだったのではないかということは指摘をさせていただきたいというふうに思います。
それから、この年間の予算規模なんですけど、今の出資金は十億円という話が出ました。年間の予算規模なんですけれども、これ、市場制度ワーキング・グループの説明資料に、年間の予算規模は約二十億円だというのがこの説明資料に載っているわけでありますけれども、うち九割以上は民間からの拠出金という記述がございますが、これ、予算規模は二十億円ということを想定されているのか、また、二十億円の算定根拠というのはどういったものなのかについてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/69
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070・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
現在御審議いただいています法案の成立、施行を前提としまして、速やかに金融経済教育推進機構の設立を本格稼働するという観点から、金融庁においては、現在、関係団体との議論を重ねております。可能な範囲での準備を進めているということでございます。
この機構の設立準備に当たり、例えばオフィスやシステムの組織インフラの整備、あるいは政府、日銀、金融業界が進めてきた金融経済教育を参考にしながら出張授業あるいはイベント開催、その他の広報事業といった事業を拡大していくと、そういうために必要な予算に関する検討を進めているということでございます。
この予算規模については、あくまでも機構の経営陣の下で最終的には決定される事項でございますけれども、現時点で想定される機構の毎年の支出金のイメージとしては、人件費五億円、それから管理費三億円、事業費約十二億円というふうに考えておりまして、その合計が二十億円ということでございます。
このような点を念頭に置きつつ、現在、関係する民間団体との交渉、意見交換を重ねておりますけれども、その結果として、この法案の趣旨に賛同する多くの民間の団体からこの同機構の運営費に関する拠出金について前向きに御検討いただく旨の意思表示を示していただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/70
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071・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 今の二十億円のうち九割以上は民間からの拠出金ということですけれども、政府としては、この一割に当たる約二億円程度を毎年これ拠出していくというお考えでいいのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/71
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072・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
政府による拠出については毎年度の予算編成プロセスでこれは決定されることでございますが、金融庁としては、令和六年度の当初予算においては約一・八億円、これを要求しているところでございます。
それ以降の今後につきましては、機構の事業の実績、あるいは先ほど来申し上げています民間団体による拠出分も勘案をいたしまして、必要性を精査して検討していくと、そういうことにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/72
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073・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。
今初めてこの数値が示されたわけですけど、これ様々な、日銀であったり、この金融教育をしてきた組織を統合してこの組織にするんだというふうに存知をしているわけですけど、これ、日銀の場合には大体四億円から五億円の運営経費でやっているということですよね。で、ほかの団体も合わせてやるということで二十億円ということなんですけど、私は二十億円、過剰じゃないかというふうに思いますし、この二十億円が妥当なのかどうかというのはちょっと今すぐ判断できないですよね、本来。
ただ、それをあらかじめ、やっぱりこれぐらいの規模でこういうふうにやりたいんだということをお示しする必要があったんではないかというふうに思います。だから、衆議院ではこの件をもって反対をしているといったところもございます。
さらに、この金融経済教育に関しては、同機構において目標やKPIを定めることが重要だというふうに考えています。鈴木大臣は六月七日の衆議院の財金の答弁で、金融経済教育に関する目標等を設定する必要性は認めつつも、その時点でまだ目標等はできていない旨を答弁されています。
市場制度ワーキング・グループにおける金融庁説明資料には、この取組の一つとして、調査・統計を踏まえた戦略的な教育の展開ということで、教育活動の目標やKPIを設定することということが明記をされているわけであります。
この機構がやる教育活動の目標、KPIについての検討、これについては今どのような状況なのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/73
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074・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりでございまして、機構が達成すべき目標、それに向けた過程を明確にする、これは非常に重要で、かつ必要なことだというふうに考えています。したがいまして、機構において目標やKPIが適切に設定される、これが重要だというふうに考えております。
現在、金融庁が金融経済教育の取組状況や効果の把握に努める際には、それぞれの関係団体が行っています金融経済教育の活動実績、それから金融経済教育を受けた者の割合、従来から我々が御説明しています数字が小さいわけですけれども、及び金融知識水準に関する調査の結果、これを活用しております。
機構においても、こうした点も踏まえまして、適切な目標やKPIの設定について深度ある検討をしていただきたいと、このように考えておりますし、金融庁としても、機構ができましたら必要な対話を行いまして、適切な目標やKPIを設定するよう促してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/74
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075・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 これもちょっと前後逆なのかなというふうに思います。目標やKPIがあって、この金融経済教育機構はこういった目的があるんだ、まあ大目的は分かりますよ、その金融教育をするんだということは分かるんですけど、じゃ、この機構ができることによってどれだけの目標が達成されるのか、で、それに見合った金額というのはどれくらいなのかということからこれは判断されるべきものだというふうに思うわけですけれども、今は目標やKPIも決まってはおらず、この金額は二十億円ということが示されたということで、これ事業としてなかなかこれ、これだけで賛同できるものではないということは申し上げておきたいというふうに思います。
という上で、この金融経済教育を進めるのであれば、これ学校教育においては一定程度今やられつつあるというふうには思うんですが、この既存の社会人の皆さんに対してはなかなかこれは手が回っていないということもあると思います。これ従来のやり方ではこの金融経済教育が届かなかった、こういった社会人の皆さんに対するアプローチ、これも必要だというふうに考えるわけですけれども、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/75
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076・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
金融経済教育機構において、委員御指摘のとおり、やはり社会人等のアプローチ、これをしっかりとやっていくことが重要であるというふうに我々も理解をしております。その点に関して、既存の様々な主体による活動の重複を解消して、それぞれが蓄積してきたノウハウを集結させて、例えば企業の雇用者向けへのセミナーあるいは講師派遣事業を全国において活動を拡大させるというようなことが重要だというふうに考えておりますし、このために特定の金融事業者、金融商品に偏らないアドバイザーを、アドバイスを行うアドバイザーを認定、支援していくと、その形で顧客が相談ができる環境を整備していくと、こういうふうなことをしっかりやっていかなきゃいかぬというふうに考えています。
今回の機構において公的な組織という性格を持ちますとともに、関係団体、これは金融機関だけではございませんで、いろんな関係団体と密接に連携をしましてネットワークを広げる形で、一方で民間のノウハウを大胆に取り入れまして、従来のやり方ではない金融経済教育の推進をしていきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/76
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077・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。もうこの機構の在り方についてはしっかりとこれからも注視をしていきたいと思います。
時間がないので、最後に、これ四半期開示の開示制度の見直しについてなんですけれども、これ、四半期決算短信の任意化ということについても衆議院では議論があったというふうに存知をしているわけですけれども、これについてはどこまで、企業負担の問題と投資家の利益、オープンであることの利益のバランスを取るのかという上で、この企業開示の後退につながりかねないという意味ではこの四半期決算短信の任意化については慎重であるべきだと、慎重に検討されるべきだというふうに思うわけですが、この点について大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/77
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078・宮本周司
○委員長(宮本周司君) 時間来ておりますので、簡潔に答弁おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/78
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079・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) はい。
東証の四半期決算短信の在り方につきましては、四半期におけます開示は中長期の経営戦略の進捗状況の確認としても意義があるものと、そういう指摘があることや、現状では取引所規則により合併や災害など投資判断に影響を与え得る出来事が発生した場合に行うこととされている適時開示について必ずしも積極的な開示がなされていないことなどに鑑みまして、当面は一律に義務付けることとしております。
四半期決算短信の将来的な任意化につきましては、現時点では方向性が決まっているわけではなく、こうした適時開示を始めとした企業開示の充実の状況等を見つつ、幅広い観点から継続的に検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/79
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080・大塚耕平
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
まず、大臣にお伺いをいたしますが、今も四半期開示の話が、最後に柳ヶ瀬さんから質問が出ていましたが、この四半期開示制度の見直しに関して、四半期報告書ではなく四半期決算短信の方に一本化した理由をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/80
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081・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今般の四半期開示の見直しでありますが、企業開示の効率化の観点から金融商品取引法上の四半期報告書を廃止をして、大塚先生御指摘になられましたとおり、取引所規則に基づく四半期決算短信に一本化するものとなっております。
この四半期開示の一本化におきましては、企業の情報開示の負担軽減の観点から開示の効率化を求める声があること、四半期決算短信は四半期報告書と比較をして開示のタイミングが早く、積極的な開示が行われておりまして、投資家にとって情報の有用性、適時性の観点から望ましいこと、こういうことを踏まえて、投資家の利便を損なうことなく企業開示の効率化を図る観点から、四半期報告書ではなく四半期決算短信に一本化することとしたものでございます。
今回の見直しによりまして、国内外から我が国の企業開示の後退と受け止められてはならないと思います。金融庁としては、東証とも連携をして、企業の開示情報の充実に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/81
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082・大塚耕平
○大塚耕平君 この金商法上に基づく四半期報告書の開示の義務付けは、この委員会でたしか二〇〇六年か七年に議論してスタートしたんですね。いろんな背景があってそうなったんですが、まだ不良債権処理の余韻の残っている時期で、情報開示をより明確にさせるということとか、若干何か企業不祥事があったような気もしますけれども。
この委員会で開示を義務付けたものを今回簡素化して決算短信に一本化するということは、義務付けたことによるメリット、デメリット、いろいろあったと思うんですが、これは局長で結構ですが、その当時の経緯も踏まえて、メリットは今大臣からお伺いしましたので、どういうデメリットがあるので今回この決算短信の方に一本化すると考えたらいいのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/82
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083・井藤英樹
○政府参考人(井藤英樹君) 大塚先生御指摘ございましたけれども、四半期決算開示、経緯ということでございますが、業績変動の大きい新興企業について、企業業績等に係る情報をより適時に開示するための制度として、まず、一九九九年に東証マザーズ市場におきまして、四半期決算短信の方でございますが、導入されて、二〇〇三年にその対象が全上場企業に拡大されてございます。その後、法制面で、まさに御指摘のとおりでございますけれども、二〇〇六年の金融商品取引法の制定により、四半期開示が法定化されてございます。このことは、投資家に対して情報の信頼性を担保しながら、より充実した情報を適切に提供するという意義や効果があったというふうに考えてございます。
しかしながら、今回見直しさせていただく大きな背景といたしましては、近年、投資家の求めなどに応じた開示内容の拡充等によりまして、企業開示面での企業の負担が本当に増加しているというふうに言われてございます。したがいまして、四半期開示の在り方については、負担軽減の観点から合理化を図るというような目線で見直すべきといった意見がたくさんあったというところでございます。こうした状況を踏まえまして、四半期報告書を廃止して四半期決算短信に一本化することといたしました。
何でこっちの方にしたかというのは先ほど大臣から答弁させていただいたとおりでございますが、他方で、この見直しの中では、投資家に必要な情報を適切に提供する観点から、従来の四半期決算短信の開示事項に加えて、セグメント情報やキャッシュフローの情報など、これまで四半期決算、四半期報告書で提供されていた情報のうち投資家の要望が強いものは決算短信に盛り込む方向で東証の方において検討が行われているというところでございまして、このように、今般の四半期開示の見直しは、投資家に対する情報提供と企業負担とのバランスを図ることでより合理的な情報開示を実現するというような意図であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/83
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084・大塚耕平
○大塚耕平君 大臣、蛇足でございますが、井藤局長は亀井大臣のときの秘書官で、私、副大臣で苦楽を共にした仲でございますので、よろしくお願いします。
どっちかに一本化した方がいいというのは分かるんですが、法律に基づく報告書の方が虚偽記載なんかに対する罰則規定があるのでいいような気がするんですが、取引所規則に基づく決算短信だとそういう意味での抑止力というのがちょっと弱まるような気もするんですが、そこは局長、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/84
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085・井藤英樹
○政府参考人(井藤英樹君) 先生御指摘の点は、金融審議会の方でも議論のポイントでございました。
ただ、これまでの施行の状況を踏まえると、課徴金が課されたような事案では、これは一回、四半期で虚偽をすると、当然半期ですとかその次の期に掛かっていくというようなことになっておりますので、おおむね虚偽記載が半年以上の期間にまたがってございまして、半期報告書等の虚偽記載を根拠に罰則や課徴金による対応を行うことができるというふうに考えてございます。
さらに、取引所におきましても、開示内容の虚偽の有無などを精査いたしまして、不適正開示には適切な対応を行うこととしていることでございます。
さらに、取引所ルールに基づく四半期決算短信についても、意図的で悪質な虚偽記載は金融商品取引法上の別の規定の罰則対象となり得るというふうに考えてございます。
これらを踏まえれば、四半期報告書を廃止し、四半期決算短信に一本化したとしても、引き続き、罰則ですとか課徴金による対応を適切に行うことで不正を抑止できるのではないかというふうに考えてございます。
金融庁といたしましては、こうした枠組みを通じて、正確性や信頼性のある情報が引き続き提供されるよう、取引所を始め関係者とよく連携して取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/85
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086・大塚耕平
○大塚耕平君 意見だけ申し上げておきますけれども、その虚偽記載に関しては、金融庁の資料では、虚偽記載に対しては、取引所のエンフォースメントをより適切に実施すると書いてあります。
それで、今局長の説明のように、一部の罰則規定は掛ける形にするということですが、思い起こせば一九九〇年代から、私は二〇〇一年からこの委員会にいますけれども、二〇〇〇年代は取引所も随分いろいろ問題起こしているんですよ。取引所は最近あんまりここでは議論になりませんが、これは、今回こうやって情報開示についてこのような見直しをするということは、取引所に対する監視、監督もしっかりやっていただかなきゃいけないということを申し上げておきたいと思います。
次の質問ですけれども、中長期的な企業価値に関連する人的資本を含むサステナビリティー情報等を今後開示を強化していくと書いてあるんですが、この人的資本を含むサステナビリティー情報というのは何でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/86
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087・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) サステナビリティー情報でありますが、企業における中長期的な持続可能性に関する情報を指すということでございまして、具体的には、人的資本や気候変動に関する情報がこの中に含まれると考えます。
このようなサステナビリティー情報は、投資家にとって中長期的な企業価値を評価する上で重要なものであり、その開示の充実を通じまして、企業と投資家の対話が促進をされて企業行動に前向きな影響が加わることで、中長期的な企業価値の向上につながるものと考えます。
こうした考えの下、本年三月の決算期から、上場会社等に対し、有価証券報告書において人的資本等のサステナビリティー情報の開示を義務付けをいたしております。
金融庁としては、サステナビリティー情報について企業開示の充実を促進することによりまして、中長期的な企業価値の向上につなげていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/87
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088・大塚耕平
○大塚耕平君 これも意見だけ申し上げておきますけれども、多分、SDGs絡みのどういうアクションを起こしているかとか、あるいはカーボンニュートラルに取り組んでいるかとか、いろんなそういう情報も付加的に開示するということですが、俗に、やったふりだけで実はあんまりやっていないという、SDGsウオッシュとかカーボンニュートラルウオッシュとか、グリーンウオッシュとも言われていますけれども、そういうこともありますので、そういう開示情報、企業価値に関する開示情報も取引所規則に基づいてという感じが今後強まっていくような気がするので、やっぱり取引所に対する監視、監督はしっかりやっていただきたいなということを申し上げておきたいと思います。
それと、先ほど来、この金融経済教育推進機構というものについて御議論があったので、ちょっと質問通告にはありませんが、元々日銀におりまして、古い時代から知っている立場から若干意見を申し上げておきますと、これ、今回、現在の日銀の金融広報中央委員会なども改組してこうなるというんですが、私が入行した頃は貯蓄推進委員会といっていたんですよ、確か。貯蓄広報委員会ないしは貯蓄推進委員会といって、それがある時期から金融広報中央委員会になって、で、この度この機構になるんですが。だから、昔は、一九八〇年代は、貯蓄しろ貯蓄しろって、みんなちゃんとお金ためなさいといって、こういうことで財形なんかもあったわけですね。
これが、やっぱりある時期から貯蓄から投資へなどということもあって、この金融広報中央委員会になって、この度、金融経済教育推進機構って。金融経済教育推進機構というと何か分かりにくいんですが、今の文脈からいうと、それに加えて、先ほど大臣がどなたかの御質問に、NISAもこれから使いやすくするのでそういう投資のことも踏まえてこの度こういう改組をするんだと言っておられたということは、正確に言えば、金融経済教育推進機構というより投資推進機構と言った方が分かりやすいんですね。昔は貯蓄推進機構でしたけど。で、今後、投資を推進する。
これによってマクロで何が起きるかということを申し上げておきたいんですけども、理屈としては分かります。今、地域金融機関とかは、預貸率が低過ぎて、貸す先もないという面もあれば貸す能力に欠けるという面もあって、お金持ち過ぎて運用先に困っていると。
だから、これがもし今回の機構がうまく回り始めて投資に個人の皆さんや普通の国民の皆さんが頑張ってやるということになると、これは地域金融機関は預金量が、マクロで見るとですよ、だんだん小さくなっていくと。でも、地方の中小企業とかは、何だかんだ言いながら地域金融機関からお金を借りたりして何とか回っていたのが、多分そういう構造が、この機構がうまくいけば変わっていくというふうに思います。十年ぐらいのスパンで見ると。
そうすると、この金融経済教育推進機構という、言わば国民側に対して、正確に言うと投資推進機構がそういう流れをもしつくったとすると、それとセットで中小企業支援機構みたいなものが車の両輪として回っていかないと、地方の中小企業の多分キャッシュフローとか資金繰りの構造に微妙な影響を与えていくような気がして、この今回の法案見ています。
あわせて、一つだけ懸念を申し上げておくと、この金融庁の資料によると、この金融経済教育推進機構が業務として、個人に対する個別相談、それから資産形成等に関わる相談、助言、顧客の立場に立ったアドバイザーということが書いてあるんですが、これ、運営委員八人と、何人ぐらいの組織にするかまだ私は存じ上げませんけれども、陣容によってはこれなかなか難しいですよね、個人に対する個別相談。だからこそ、顧客の立場に立ったアドバイザーというものを多分認定していくということになると思うんですね。
これも意見及び懸念として申し上げておきますので、別に答弁は要りませんので。結局そうなると、銀行や証券会社の窓口の人たちにそういうアドバイザー資格を与えたり、あっ、それは、局長、首振っておられるんでそれは違うんですね。それからあと、銀行や証券会社が、これは金融経済教育推進機構、多分略称ができると思うんですが、何とかも、何というか、推奨している金融商品ですみたいな、そういうことにならないようにということだけ懸念として申し上げておきますので、局長、もし何かコメントがあればコメントいただいて終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/88
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089・井藤英樹
○政府参考人(井藤英樹君) 先生の御懸念もしっかりと受け止めながら、今後は金融経済教育推進機構がより良い業務を行えるようにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/89
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090・大塚耕平
○大塚耕平君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/90
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091・小池晃
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
法案に入る前に、中古車販売大手ビッグモーターが、修理や車検の際に車体に傷を付けると、不必要な部品交換を行って保険金を不正受給していたということが明らかになりまして、おととい大臣が記者会見でビッグモーターの保険代理店登録を取り消すと表明されました。
これまでの経過と今後の対応について簡潔に御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/91
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092・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) ビッグモーター社につきましては、今月十日金曜日まで立入検査を実施をしてまいりました。その結果、会社法上求められる経営管理態勢が構築されていない、適正な保険募集を確保するための体制整備も行われていないということが確認されたほか、今後、保険会社との代理店委託契約が全て解消となる予定でありまして、保険会社から再建に向けた支援も期待できない、そういうものと判断をいたしました。
こうした状況に鑑みまして、金融庁として、保険業法に基づき、十一月三十日をもってビッグモーター社の損害保険代理店の登録を取り消す方針を固めたものであります。
今後、ビッグモーター社に対しては、行政手続法に基づき、来週二十一日火曜日に意見陳述のための聴聞を行い、その結果を踏まえ、速やかに処分に向けた行政上の手続を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/92
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093・小池晃
○小池晃君 当然の措置ではないかと思うんですが、これ、構造問題があると思うんですね。やっぱり、保険金請求を行う自動車販売店あるいは修理業者がその保険会社に多大な利益を与える保険代理店を兼ねていたらば、これは保険会社は厳しく査定できないのではないかと。
特に、今回、大手中古車販売チェーンが損害保険代理店を兼業することによって、自動車修理を紹介することと引換えに保険契約を取って収入を得ると、まさに癒着の構造というのが明らかになってきていると思います。
私は、自動車販売あるいは修理業の、これ、もちろん利便性はありますけれども、こういう問題点が明らかになったわけですから、こういう大手チェーンにはやはり保険代理店の兼業を認めないと、そういう制度改正が必要ではないかと、検討すべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/93
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094・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) ビジネスモデルにも関わる問題だと思います。
金融庁といたしましては、現在、損保ジャパン、そしてSOMPOホールディングスに対しまして立入検査を実施をしております。その中で、小池先生御指摘の点も含めまして、ビッグモーター社と損害保険会社との間で不正行為の温床となるような構造的な問題がなかったかどうかといった観点からも深みのある実態調査を進めているところであります。
その実態把握の結果、自動車関連業者が損害保険代理店を兼業することが今回問題となっている保険金不正請求事案の温床になっていると認められた場合には、制度あるいは監督の在り方を含めて、関係者とも議論をしながら、適切な検討をしていかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/94
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095・小池晃
○小池晃君 非常に大事な答弁をいただいたと思っております。
これ、ディーラー、代理店については手数料ポイントなども高いポイントが付与されているということも指摘をされています。諸外国では、やはり、こういうディーラーと保険代理店の兼業は認めないという国も、まあ全体じゃないんですけど、そういう国もあるというふうにも聞いておりますので、やはり今回のような事態再発防止のために法改正も含めて対処すべきだということを申し上げておきたいと思います。
その上で、法案についてお聞きをします。
この法案は、金融経済教育を資産所得倍増プランの一環として推進すると。これ、貯蓄から投資へという政策に沿ったものであります。その前提として、日本人は預貯金ばかりしていて投資リスクを避けているという認識があるわけですね。その根拠となってきたのが資金循環統計に基づく家計の国際比較です。
配付資料の一枚目ですが、これ、先月四日に新しい資本主義実現会議の資産運用分科会に政府が提出した資料であります。
これを見ますと、日本とアメリカを比べると、確かに現預金が日本はアメリカの四倍以上です。一方で、株と投資信託、これ合わせたリスク資産は、アメリカは日本の三倍近くになる。総理はこれ繰り返しこのデータを紹介してきたんですが、しかし、このデータだけで日本の家計は預金ばかりなんだというふうに結論付けられるんだろうかと。
といいますのは、やはり日本とアメリカの間には大きな資産格差があるわけですね。日本も今格差拡大していますが、アメリカほどではありません。富裕層は一般的な家計よりもこれはリスク資産の保有割合が高いわけです。国全体の合計を比較すると、やっぱり超富裕層の多いアメリカの方がリスク資産の割合というのは当然高くなってくるんじゃないだろうか。
ですから、大臣、やっぱり資産規模が同じレベル同士で比べるということもこれは必要なんではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/95
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096・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) お示しいただきました資料でございますが、日米における家計の資産構成の全体像をお示しする観点から日米の家計全体の資産別保有割合を算出したものであります。家計の資産規模別に資産別保有割合を分析することでより詳細な議論が可能となると考えております。
その一方で、日米それぞれの全世帯を所得順に五等分した所得階層別に家計が保有する株式等の割合を分析した民間団体の分析結果によりますと、日本の家計における階層別の株式などの保有割合は八%から一二%の幅であるのに対しまして、米国では一六%から四一%となっておりまして、日本の家計における株式等の保有割合は米国における所得の比較的低い階層の保有割合を下回っていることが示されております。
金融庁といたしましては、国民の安定的な資産形成の実現に向けて、小池先生の御指摘の点も含め様々な観点から分析を行う必要があると思っておりまして、その取組を進めていくことが重要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/96
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097・小池晃
○小池晃君 今何か私の次の質問に関わる答弁まで含めてされたような気がしますが、二枚目の資料は、これ私の方で日本とアメリカのデータで比較したものです。株と投資信託というリスク資産、資産階級別にどれぐらい占めているか。
これ、日本は五分位、アメリカは四分位に分かれているんですが、このデータで見ると、これは日本の四分位までとアメリカの三分位までというのはリスク資産の保有割合には余り大きな違いはない。違いが出るのは富裕層が含まれてくる最後の分位で、日本の第五分位はリスク資産がこれ一七・五%、これに対してアメリカの第四分位は三八・八%ということで、アメリカは日本の二倍以上なんですね。別に、これもう議論はいたしません。指摘だけにとどめますが、私がこのお示ししたデータ見る限りでは、日米の一般的な家計同士の比較では、リスク資産の保有割合がアメリカは日本の三倍というのは過大ではないかなと思います。
大臣もそういった分析も必要であるという認識をお示しになりましたので、是非やっぱりそういったことまで踏み込んだ解明というか、きちんとした統計作りなどもやっていただきたいと。金融庁の方にお聞きすると、こういうデータはないということだったので、是非そういったデータも作っていただきたいということをこれは要望しておきたいというふうに思います。
それから、今回の法案ですね、貯蓄から投資へという政策を金融経済教育の中に持ち込むということには私は大きな問題があるというふうに思います。公教育に投資勧誘というビジネスが持ち込まれる、そういう懸念は、消費者教育に当たってこられた有識者、弁護士などからも、投資のメリットの強調ばかりになるのではないかという指摘もございます。この点で、金融庁も金融経済教育推進機構は中立性が重要だというふうにおっしゃってきました。しかし、そうであるならば、なぜ日銀から離して金融庁の所管にしたんだろうかと。
元々、消費者庁、文科省、そして日銀の金融広報中央委員会が中心となってやってきたわけですね。それを改組して、民間法人といいながら、先ほども議論ありましたけど、国が半分出資する、それで金融庁が所管する。もちろん、金融庁とか金融業界が一切手を引けと言っているんじゃありません。複雑な金融商品を理解するためには、やっぱり専門家の知見は必要であります。しかし、あくまで補佐的な立場にとどまるべきではないだろうかと。
私は、推進機構は金融庁所管とするのではなく、現行のように日銀の下に置くという体制、変更する必要はないんじゃないか、金融庁、金融業界主導ではなく、消費者庁と文科省が主導する、そういう体制にすべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/97
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098・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 現在様々な主体によって行われております金融経済教育につきましては、政府や民間の金融関係団体等によります金融経済教育に関する取組が十分に調整されず、非効率である、あるいは、実施主体が民間の金融関係団体や金融機関では受け手に敬遠をされるとの指摘がありました。このため、金融経済教育推進機構の下で、官民一体となって国全体として中立的な立場から金融経済教育を推進することが最も有効であると考えております。
今後、機構においては、学生、社会人、高齢者等の幅広い層に対して、単に金融商品の知識を伝えるのではなくて、家計管理や生活設計のほか、消費生活の基礎や社会保障、税制度、金融トラブルに関する内容も含めて幅広い分野の金融経済教育に取り組んでいく予定であります。
こうした取組を効果的に推進するためには、金融経済教育に関する一定の蓄積があり、これまで金融経済教育の実際の担い手でありました民間の金融関係団体や金融広報中央委員会とのネットワークを有する金融庁が引き続き中心的な役割を担いつつ、これまで同様に文部科学省、消費者庁を含む幅広い関係者とも適切に連携しながら取り組んでいくことで、バランスの取れた金融経済教育を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/98
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099・小池晃
○小池晃君 今言われたようなことをきちんと担保する上では、運営委員会が設置されるわけですね、この運営委員会で重要事項を意思決定すると。大臣は衆議院で、機構の中立性確保のため、運営委員会の人選については金融経済等に専門的な知見を有する第三者である外部有識者を中心とすると答弁されておりますが、この外部有識者の人選というのはどうなっていくのか。これは、消費者教育の専門家、あるいはその消費者問題に取り組んできた弁護士、そういった方もやっぱり入れるべきではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/99
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100・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 金融経済教育推進機構には、外部有識者の参画を得つつ、運営の透明性、効率性を確保することによりましてガバナンスを強化するという観点から、運営委員会を設置することとしております。
金融経済教育は、これまで金融広報中央委員会が事務局を務め、消費者教育の専門家を含む幅広い金融経済教育の関係者で構成される金融経済教育推進会議において、身に付けるべき知識などが金融リテラシー・マップとして整理されてまいりましたが、今般の法律に基づき設立されます機構では、その内容を踏まえつつ、家計管理や生活設計のほか、消費生活の基礎や社会保障、税制度、金融トラブルに関する内容も含めて広範な観点から教育活動に取り組んでいく予定であります。
したがいまして、機構の運営委員につきましては、金融経済教育活動又は年金制度に関する豊富な知識を有していることのみならず、小池先生御指摘のとおり、消費者分野の視点から議論に参画できる方にも御就任いただくことが望ましいと考えます。
なお、運営委員は内閣総理大臣の認可を受けて機構の理事長が任命することとなりますので、金融庁としては、こうした認可手続の中で適切に対応してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/100
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101・小池晃
○小池晃君 金融広報中央委員会には現在、金融経済教育推進会議が置かれております。これ、機構が新設されるとこの推進会議はどうなるのか。今会議に参加している消費者庁、文科省、また消費者教育の関係者は引き続き参加できるんでしょうか。この点について、最後にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/101
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102・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 金融経済教育、これを効率的、効果的に推進するためには、消費者教育の専門家を含む有識者や関係団体が集まり、金融経済教育の取組状況を関係者間で共有する場として金融経済教育推進会議の役割は今後とも重要でありまして、引き続き存続するものと考えております。
その上で、今般の法案に基づきまして、金融経済教育推進機構が設立された後は、この推進会議の事務局を担ってきた金融広報中央委員会の機能は機構が承継することとなりますので、今後は機構が推進会議の事務局を担うことが想定されます。
金融庁としても、引き続き、消費者庁や文部科学省、消費者教育の専門家なども参加する金融経済教育推進会議の場において、金融経済教育の取組状況、今後の在り方などについて議論が交わされることが望ましいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/102
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103・小池晃
○小池晃君 業界の利益最優先ではなく、国民の立場に立った金融経済教育の確立が必要だというふうに思いますので、引き続きそういったことを求めてまいりたいと思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/103
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104・神谷宗幣
○神谷宗幣君 参政党の神谷宗幣です。
今回の法案が通れば金融経済教育推進機構が成立し、金融経済教育が始まります。金融経済教育推進機構は何を主眼に金融経済教育を行おうとする機構なのでしょうか。国民の資産運用の在り方についてどのような弊害や問題意識を踏まえ、教育を通じて日本経済にどのような方向付けを与えようと考えているのか、まず前提をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/104
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105・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
金融経済教育推進機構における教育活動の主眼は、金融リテラシーの向上を通じまして、国民一人一人が経済的に自立をいたしましてより良い暮らしを送っていくこと、これを可能にすることが主眼でございます。
具体的には、金融経済教育を通じまして、家計管理や生活設計を習慣化する、あるいはリスク、リターンを始めとする様々な金融商品の特質や、あるいは詐欺的な投資勧誘の悪質なトラブルの防止を理解する、それから自らのニーズやライフプランに合った適切な商品、金融商品やサービスを選択できると、そういうふうなリテラシーの向上を図っているということでございます。
来年一月からは新しいNISAが始まる予定でございまして、その際に、新たに資産形成を取り組む方の増加が見込まれるところでございますが、特にそうした投資初心者の方に対して適切なタイミングで金融経済教育を受ける機会を提供すると、その結果として金融に関する幅広い知識の習得や判断を培っていただくことが必要不可欠だということで、一層重要なものになるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/105
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106・神谷宗幣
○神谷宗幣君 ありがとうございます。
確かに、今の日本の教育には金融や経済の教育は欠けているのではないかと感じています。
戦前まではそれぞれの地域に講、何とか講というものがありまして、みんなでお金を出し合って少し利子を付けて貸すなど、仲間の応援をするという助け合いの仕組みがあったと思います。お金も、ただ貸す、お金を貸す側も、ただ貸すだけではなく、貸した相手に仕事を融通するなどして、その貸した相手が返済不能にならないようなサポートもしていました。こうした取組を通じて、自分の支出は誰かの収入であり、自分の収入は誰かの支出であるという当たり前のことから社会全体のお金の流れを知り、単に自分たちさえ良ければよいというような守銭奴的なことを避け、他人や社会全体を豊かにするという思想が持てる経済教育があったわけです。
しかし、このような助け合いの仕組みや制度はGHQの占領支配時代に大分壊されまして、信用金庫とか相互銀行といった銀行の制度に変えられてしまって、金融や投資の仕組みも大きく変わり、この元々大事にしていた考え方とか知識が一般の国民から失われてしまったというふうに感じています。
そして、最近の傾向を見ると、金融リテラシーの向上ばかりが先走って、いかに節約をして効率的にお金をためて将来に備えるかといったことが国民の関心になっているように感じます。金融リテラシーを学んだ国民が自分の将来に向けて節約などしてばかりでは国全体が豊かになれないのは当然であり、そこからこの三十年の日本の経済の停滞の原因の一つにもなっているのではないかと感じるほどです。
また、今後、確定拠出年金やNISAなどの制度を活用し、多くの資産、多くの運用益や節税のメリットを得る方が出てくる一方で、しっかりと活用できない方も出てくることが想定できます。少子高齢化に伴い社会保障の継続性にも不安がある中で、こういった活用できない、制度を活用できない人たちを単なる自己責任論で切り捨てるような新自由主義的な考え方になってしまったら、それこそ、それこそですね、日本の社会全体の問題になります。
我が国が大切にしてきた、他者を思いやり、社会全体のことを考える、そのような金融経済教育が行われる必要があると思いますが、今回、今後の計画にそのような視点が入っているのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/106
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107・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) 金融経済教育が目指します国民一人一人の金融リテラシーの向上については、結果として、健全で質の高い金融商品の提供の促進を通じて家計金融資産の有効活用や経済活動への資金の供給につながり得るというふうに考えておりまして、そういう意味で、公正で持続的な社会の実現に役立つというふうに考えております。
金融経済教育を通じまして、金融という側面からなんですけれども、社会、経済の循環の基本的な仕組み、これを理解を深めていただくということが、国民一人一人が社会全体のことを考える一助になるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/107
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108・神谷宗幣
○神谷宗幣君 なかなか最初の説明ではそういった点が感じられなかったので、是非そういった視点を入れていただきたいんですね。
江戸時代には二宮尊徳という、経済人であり教育者でもある人物がいました。彼の教育活動なんか見ると、お金とは何か、どう使うと個人が幸せになり、社会全体が良くなるかということを皆さんに教育して、たくさんの村や藩の再建に尽力したという実績があります。この功績を明治天皇なども評価されて、全国の小学校にその銅像が建てられたということは有名ですね。
これから政府が金融経済教育を進めることは良いことだと私は思っています。ただ、西洋かぶれしたものではなくて、投機とかマネーゲームではなくて、日本人が大切にしてきた、日本人の精神に沿った金融経済教育を期待しておりますので、よろしくお願いします。
続いて、二〇二三年の三月時点の国内大手不動産ディベロッパーの外国人株式、株主比率ですね、を見ると、三井不動産が四八・二七%、三菱地所が四三・六四%となっていて、こういった実質を見ると、外国資本に日本の土地の多くが買い占められていると、間接的にですけれども、そういったふうにも言えます。また、ソニー、東芝、任天堂といった有名な大手企業も外国人の資本比率、株主資本比率が非常に高く、まあ悪く言うと外国人の投資家のために日本人が働いていると、まあ悪く言うとですけど、そういった状況とも言えます。
こういった状況になったのは、我々日本人が日本企業の株式に対し、リスクが高いとかもうからないといって持分を減らしてしまって、その分を外国人が買ったと、持分を増やしたということに起因します。これも言い方は悪いですが、日本国民の金融リテラシーの低さから生まれた事態だと言っても過言ではないかというふうに残念ながら思うんですね。
今後、日本人に教育をして個人投資を進めたとしても、今のような状況が加速されたということでは意味がなくなります。日本の国土や企業、人を守る、すなわち経済安全保障の観点から金融リテラシーの向上に向けたアプローチというものが非常に大切だと思います。
国家間の戦争の目的というのは、相手の国を滅ぼすことではなくて、相手の国を自分たちの思いどおりにコントロールをすることです。経済の闘いに敗れるということは、戦争に負けるということに等しいと思います。
このような国防、経済安全保障の観点も入れた金融経済教育を行っていくべきだと考えますが、現状の計画の中でこうした視点は含まれているか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/108
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109・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) 金融経済教育推進機構における内容、提供する教育の内容については、最低限身に付けるべき金融リテラシーの内容を年齢層別に具体化、体系化した金融リテラシー・マップというのがございまして、これを踏まえつつ行っていくことになります。
この金融リテラシー・マップにおいては、現状、国防や経済安全保障の観点に関しての直接な言及はございませんけれども、先ほど来申し上げておりますように、国民一人一人の金融リテラシーが向上して、結果として、家計金融資産の有効活用、あるいは、これらの資金が日本経済の活動の資金供給につながると、そういう形で公正で持続的な社会の実現に役立ち得るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/109
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110・神谷宗幣
○神谷宗幣君 ありがとうございます。
お金をどう使うか、どう運用するかってすごく大事だと思うんですよね。ただ単にお金が増えた減っただけで一喜一憂するんではなくて、そのお金がどういったことに使われて、国全体がどう強くなったか、豊かになったかということが大事で、国民の資産は確かに増えた、でも、日本国民が外国の株式をたくさん持って、見かけ上資本は増えて、あっ、資産は増えているんだけれども、でも、肝腎の日本企業、それから日本の土地、それが外国人のコントロール下にあるということになってしまっては本末転倒になると思います。
私よく言うんですけれども、戦争のプロセスというのは情報戦、経済戦、武力戦ですね。政府はさきの国会で防衛予算の増額を決めましたが、その予算のほとんどは武力戦に備えるものでした、ミサイルとかね。情報戦とか経済戦というものに充てられる予算はほとんどなかったというふうに思います。
今回の金融経済教育は本当に良い取組だと思っているので、是非、こういったときに、まあ経済戦という言葉がいいかどうか分かりませんが、でも、やはり国を守る、国の富を守るという視点も是非入れていただいて、その中で、その大きなフレームワークの中で国民の資産が増えましたというふうにしていただかないと、資産は増えたけれども、結局日本人の日本に対する影響力は減りましたということでは意味がなくなってしまうので、是非、この点、今後、そのマップですね、金融リテラシー・マップそのものにも、少しでもいいので加えていただきたいというふうに強く要望したいと思います。
次の質問に行きます。
確定拠出年金は六十歳までで、中途引き出しは原則不可。新NISAでは、無期限の税制優遇など、リスクを軽減し、しかるべきリターンを確保する長期の資産形成を促すものになっていて、老後の資金を確保する上で良い制度だと理解をしています。
しかし、この制度を導入しなくても、こういったNISAの制度なんかを導入しなくても、実は我々の上の世代の方々は公的年金だけで安心してやっていけたという事実もあります。
運営管理機関連絡協議会の確定拠出年金統計資料によると、二〇一五年から二〇二二年の間で、企業型は五百八万人から七百八十二万人、個人型は二十一万人から百九十五万人と急増をしています。
二〇〇〇年と二〇〇一年に開始された確定拠出年金の加入者が近年になって急増した要因の一つとして、将来の年金の不安があるというのは間違いがないことだと思います。また、この急増のきっかけともなったのが、二〇一九年の金融審議会市場ワーキング・グループ報告書、高齢社会における資産形成・管理による二千万円問題というやつですね。
レポートでは、公的年金だけでは標準的な生活を送ろうとすると毎月五・五万円が不足し、老後三十年間生きるには約二千万円の資金が必要だというふうに、不足するというふうに試算されたわけですね。ただし、これは単純に五・五万円掛ける三百六十か月という計算なので、日銀が示している安定的な物価上昇、つまり年二%の物価上昇というものを考慮せず作られている数字です。年金の百年安心プランによってマクロ経済のスライド方式が導入され、かつてのように年金が物価上昇率と同程度に上昇していくわけではなくなったので、年金収入は増えずに支出だけが増えるわけですから、物価の上昇の目的が達成された際には老後資金の不足というものは上記の計算による二千万円どころではなくなるということになります。
民主主義において大切なことは、国民が現状と今後の展望を正確に理解していることだと私は考えています。金融経済教育を行う前提として、国民一人一人が現行の国の制度や在り方を真剣に考えて、自ら問える、考える状況というものをつくらないといけないというふうに考えますが、こうした現状の共有ですね、大臣として、国民にしっかりと訴えた上で教育を始めていただけないかというふうに思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/110
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111・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 国民一人一人がより自立的で安心かつ豊かな生活を実現するためには、御指摘のように、経済を取り巻く環境や個々人の将来的な収支の見通しなどに関する幅広い理解を含めて金融リテラシーを向上させていくことが重要であると考えます。
そのような観点から、金融経済教育推進機構においては、家計管理や生活設計、適切な金融商品の利用、選択だけではなくて、それらの検討をする前提となる金融経済情勢や社会保障、税制などの公的制度も含めて広範な分野の教育にも取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/111
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112・神谷宗幣
○神谷宗幣君 良い答弁いただけたと思います。ありがとうございます。
資産運用立国、資産所得倍増元年、貯蓄から投資へなどときれいな言葉が並んでいるんですけれども、その裏側には、もう国の年金制度では国民の老後の生活を保障できないというメッセージもあると思いますし、先ほど大塚議員のですね、聞いていても、昔は貯蓄をしていれば、銀行に預けておけば増えたわけです、銀行がうまく利用して。でも、もうそれができないので、そういう仕組み壊されちゃったので、もう国民が自分で老後の資金なども考えて確保しておかないと回らないんだというふうに分かりやすく言わないと、多くの国民、気付けないと思うんですね。オブラートに包んで政策を訴えておいて、後になって、いや、我々ちゃんと注意喚起していましたよということでは国民不幸になってしまいますので、言いにくいことだと思いますが、しっかりと教えていく、伝えていくということが国のリーダーの責務だというふうに思います。金融経済教育をして、資産運用を国が勧めるということの本当の意図をもう少し国民に分かりやすく伝えていただきたいと要望して、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/112
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113・宮本周司
○委員長(宮本周司君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、武見敬三君が委員を辞任され、その補欠として足立敏之君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/113
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114・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 茨城県選挙区の堂込麻紀子です。よろしくお願いいたします。
まず、金商法等の改正案について伺いたいと思います。
資産形成という言葉の意味、定義なんですけれども、金融庁のNISA特設ウェブサイトの投資の基本というページでは、将来に向けてお金を準備するには資産形成を行っていくことになりますが、資産形成には貯蓄と投資の二つの方法がありますとの記述があります。
一方、本改正案では、資産形成を、金銭、有価証券その他の金融資産の運用により資産を形成することと定義されておりますが、この定義について、資産形成に貯蓄が含まれるのかはっきりしないといったような御指摘もあります。
衆議院における金融庁の答弁によると、預金による運用、つまり貯蓄も資産形成に含むとされておりますが、この定義は金融資産の運用との文言から、資産形成といえば投資といったイメージを国民に植え付けるものになっているのではないかなというふうに認識しております。
資産形成という言葉の意味について、改めて認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/114
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115・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
本法案におけます資産形成ですけれども、これについては、御指摘のような投資に限らず、預金による運用も含むものというふうに考えております。
国民が安定的な資産形成を実現するためには、当然のことながら、預金も含めた運用、そのために自らのニーズやライフプランに合った適切な金融商品、サービスを選択するということが重要だというふうに考えております。
金融庁も、これまで関係団体と連携して金融経済教育を実施してきましたが、今後、本法案により設置する経済教育推進機構を中心に、先ほど申し上げました資産形成の意義やその手段に関する理解についても深まるよう推進していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/115
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116・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 ありがとうございます。
その資産形成を推し進める施策の在り方について次は問わせていただくんですが、ライフイベント、またその投資期間、そしてリスクの許容度、これは個人が金融商品を選択する上で前提となる条件としてそれぞれ異なると思われます。そのために、貯蓄が資産形成のために最も合理的な選択となるケースもあり得るなというふうに思います。
政府は長年貯蓄から投資への転換を推し進める施策に取り組んでおられましたが、真の目的というのは国民一人一人が資産形成を通じて豊かな暮らしを営むということであって、国民の資産を貯蓄から投資へ振り向かせること自体が目的化してはいけないなというふうに思っています。投資のリスクに対する国民の理解が不十分なまま、政府がむやみに投資を推奨するということは、国民一人一人の豊かな暮らしを実現するための資産形成から遠ざかってしまうというおそれもあります。
このような観点を踏まえて、国民が資産を形成していく上で政府はどのような役割を果たすべきかというところを、御認識、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/116
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117・堀本善雄
○政府参考人(堀本善雄君) 御指摘のとおり、国民一人一人が生涯にわたって豊かな暮らしを営むためには、老後や人生の様々なステージで必要となります資金を確保するために少額ずつでもこつこつと資産形成に取り組んでいく、これが非常に重要だというふうに我々も考えております。
政府としては、こういった安定的な資産形成を実現するためということで、先般来、NISAの抜本的拡充、恒久化に加えまして、個人の金融リテラシーの向上、あるいは金融事業者による顧客本位の業務運営の定着や底上げ、こういったことを、様々な施策を講じているところでございます。
特に御指摘の金融リテラシーの観点からですけれども、投資には無論リスクは伴います。一般的に長期、積立て、分散によるリスクを軽減させることが一方でございますので、そうしたことを踏まえれば、資産形成を行っていく上で投資は有効な選択肢の一つだというふうには考えております。
もちろん、それぞれの方の考え方やリスク許容度によって投資をしないということもあり得ますが、いずれにしろ、そうした判断を適切に行っていただくためにも、資金を含めた将来のライフプランを描いたり金融リテラシーを高めていただくと、これは重要なこと、必要不可欠なことだというふうに考えております。
したがいまして、政府としては、機構におきまして、金融商品の利用、選択に向けた知識、学習、これだけではなくて、詐欺的な投資勧誘の金融トラブルに遭わない教育、あるいは特定の金融事業者や金融商品に偏らないアドバイスを行うアドバイザーの認定、そういったようなこともしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/117
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118・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 ありがとうございます。
今回、金融経済教育推進機構の創設があるわけですけれども、そこについて質問させていただきます。
本改正案では、官民一体となって金融経済教育を実施するための中立的な組織ということで金融経済教育推進機構を創設するというふうにしております。これまで金融経済教育に当たっては、日本銀行情報サービス局に事務局を置いた金融広報中央委員会、これまでも取り上げられておりますけれども、が台頭して大きな役割を果たしてきたというふうに思っています。
金融広報中央委員会は一九五二年に貯蓄増強中央委員会として発足したと、先ほども大塚委員の方からもお話ありましたが、そういった経緯を経て、二〇〇一年四月から金融広報中央委員会というふうに名称変更して今に至っております。幅広い団体、また学識経験者の参加を経て中立公正な立場から活動をこれまでもしてきており、各都道府県の金融広報委員会とともにネットワークも構成されているという状況です。
過去来、金融審議会の答申などでも金融分野における消費者教育の推進といったことが様々提言されてきたというわけですけれども、二十年以上政府が旗振りを行ってきた貯蓄から投資への転換というところは、様々な市場強化対応策が講じられてきたにもかかわらず実現には至っていないという現状だという認識なのかなと思います。
今回、資産所得倍増プランの一環として改正案を提起するに当たって、従来の金融審議会答申で重視してきた金融広報中央委員会ではなく、あえて認可法人である金融経済教育推進機構を創設しなければならない理由というところを、是非、金融担当大臣の認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/118
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119・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) まず、金融庁といたしましては、金融広報中央委員会の長年にわたります取組を通じて培われた知識、経験、ノウハウ、ネットワークを高く評価しているところであります。
しかしながら、金融経済教育を受けたとの認識がある者は少数にとどまっており、金融経済教育が広く国民に行き届いていない、政府や関係団体等による金融経済教育に関する取組が十分に調整されておらず、連携を強化するべきであるとの御指摘もあるところでございます。また、現在は民間の金融関係団体や金融機関が金融経済教育の担い手となっておりますが、この点については、教育の主体が、実施主体が民間の金融関係団体や金融機関では何か販売目的ではないかと疑われ、受け手には敬遠されるといった指摘もあります。
このため、幅広く金融経済教育を推進していくためには、金融広報中央委員会や他の民間団体が培ってきた知識やネットワークなどを生かしながらも、民間を組織主体としつつ、認可を通じた一定の国の関与がある認可法人という形で金融経済教育推進機構を設立することで、官民一体となって、国全体として中立的な立場から金融経済教育を推進する形とすることが最も有効であると考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/119
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120・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 ありがとうございます。
機構を設立したからといって、今まで同じような役割をしてきた中央委員会がありましたので、そこはまだまだ疑問を持たざるを得ないなというふうには思っております。
続いて、四半期開示と短期主義との関係に関する対応方針についてなんですけれども、四半期開示については、かねてから投資家、また企業の短期的利益志向を助長するといった指摘がございます。
二〇二二年六月に公表されております金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループの報告書においては、これまでの実証研究からは四半期開示と短期主義との関係は必ずしも明確ではないとしつつ、コスト削減、また開示の効率化の観点から、四半期開示を四半期決算短信に一本化するという方針が示されております。
この改正案では、金商法上の四半期報告書を廃止するというふうにしておりますが、本改正案による一本化後も四半期決算短信による四半期開示は続くということもありますので、四半期開示と短期主義との関係については引き続き検討する必要があるかなというふうに思います。
政府の今後の対応方針について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/120
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121・井藤英樹
○政府参考人(井藤英樹君) お答え申し上げます。
四半期開示と短期主義の関係につきましては、経営が短期主義につながるという意見は確かにございます。一方で、中長期の経営戦略の進捗状況を確認する上で四半期開示が有用であるというような意見もございまして、必ずしも、議論をしておりましても関係者間で一致した見解が得られるというわけではございません。したがいまして、今回の法案の目的は短期主義の是正ということではございません。
しかしながら、いずれにしても、金融庁といたしましては、コーポレートガバナンス改革の実質化を推進し、短期的な視点にとらわれない企業の持続的な成長と中長期的な価値の向上を図ることが重要であるというふうに考えてございます。こうした観点から、サステナビリティー情報等に関する開示を充実させるとともに、可能な範囲で企業開示を効率化する観点から、金融商品取引法上の四半期報告書を廃止して、取引所の四半期決算短信に一本化することとしてございます。
今後の更なる四半期開示の在り方については、本法律案による見直し後の企業開示の充実の状況等を見る必要があるというふうに考えてございますが、幅広い観点から継続的に検討してまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/121
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122・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 御答弁ありがとうございました。
次に、社債、株式振替法等の改正案についての質問をさせてください。最後の質問です。
今回、デジタル原則に基づく法令見直しの一環として、特別法人出資証券をデジタル化の対象に加えるというふうにしております。出資証券のデジタル化は、証券会社や、また清算機関の事務負担が軽減されるというところと、物理的な紛失リスクもなくなるなどメリットがあると思われます。
では、一方、なぜこれまで日銀出資証券を含む特別法人出資証券はデジタル化されてこなかったのかと。過去、社債券、また株券等が電子化される中で、特別法人の出資証券がその対象となってこなかった背景、理由について認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/122
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123・井藤英樹
○政府参考人(井藤英樹君) これまでデジタル化の対象となっていなかった背景ということでございますが、これは、確かに日銀の出資証券については取引所に上場されてございまして、デジタル化された方が便利であろうということではあったかと思いますけれども、一般の株式とか社債に比べましてはニーズが少なくなった。
ただし、やっぱり昨今のデジタル化の推進を踏まえれば、さすがにこうしたものであってもやはり電子化をするということが必要だろうというふうな意見が大勢となってきたものでございますから、今般、こうした特別法人の出資証券をデジタル化の対象としたいというふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/123
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124・堂込麻紀子
○堂込麻紀子君 ありがとうございます。
私の質問は終わりにします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/124
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125・宮本周司
○委員長(宮本周司君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
これより両案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/125
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126・柴愼一
○柴愼一君 立憲民主・社民の柴です、柴愼一です。
私は、会派を代表して、金融商品取引法等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。
本法案は、岸田政権の資産所得倍増プランに基づき政府全体として貯蓄から投資への移行を進めることを目的の一つとしていますが、岸田政権が当初掲げていたのは所得倍増であり、これがいつの間にか資産所得倍増に変貌してしまったこと、そして今度は資産運用立国を実現するとしていることは、現在の物価高に苦しむ国民生活から考えて、政策の優先順位を間違っていると改めて指摘をしておかなければなりません。
金融リテラシー教育の重要性や国民の資産形成に対する支援自体を否定するものではありませんが、政治が第一に取り組むべきは、そもそも資産形成をしたくてもできない低所得、中間層の引上げです。
とりわけ、現行の金融所得税制の不公平性を放置したまま国策として投資を推奨することは格差拡大を助長することにつながり、資産運用立国で国民全体が幸せになることはありません。岸田政権は原点に返り金融所得課税強化による所得再分配を行い、そのことによって、国民生活全体の向上、もって経済の好循環を図るべきであり、そのことは本法案と一体で議論すべきでした。
金融経済教育推進機構の創設による金融経済教育の推進も、投資促進が先行し、投資被害救済を強化する視点が全くないことが質疑を通じて明らかになりました。機構の創設を通じて投資の負の側面である投資リスクについての教育がどこまで十分なものとなるかは不明であり、また、実際に投資被害に遭ってしまった際の国としての被害者救済措置についても支援体制が不十分なままです。
以上、国策として進められる岸田政権の資産所得倍増及び資産運用立国、そして本法案では国民全体の幸せは実現できないことが明白であることを主張し、私の金融商品取引法等の一部を改正する法律案に対する反対の討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/126
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127・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文です。
私は、会派を代表して、金融商品取引法等の一部を改正する法律案に反対の立場から、また、情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための社債、株式等の振替に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論いたします。
今回提出された法案のうち、金商法等改正案については、顧客本位の業務運営の確保、国民の資産形成に関する金融リテラシーの向上等を図っていることや、デジタル化の進展に対応した顧客の利便向上及び保護に係る施策など、正しい金融知識に基づく国民の資産形成等に資することになると期待され、我が会派としても方向性には賛同いたすものであります。
一方で、金融リテラシーの向上に関して、国全体で金融経済教育の機会提供に向けた取組を推進するために、認可法人の金融経済教育推進機構を創設することとしています。同機構については、国の予算措置に関する詳細が不明なまま法案が提出され、いまだに達成目標の詳細も決まっておらず、検討が不十分であります。
また、同機構が主な業務としている金融経済教育の教材、コンテンツ作成、学校や企業等への講座の展開、個人に対する個別相談などは、既に官民関わらず実施されており、新たに機構を設立する必要性が感じられません。同機構が単なる官僚の天下り先となるだけで、国民の税金が正しく使われるかどうかは不明であり、賛同することはできません。
社債等振替法等改正案については、デジタル化への対応、スタートアップ企業の上場日程の期間短縮など、必要な法改正であると認識しております。
国民生活に厳しい影響をもたらす物価高騰が続く中、国民の皆様の生活に真に役立つことに税金が使われるべきであるということを申し上げ、金商法等改正案については反対、社債等振替法等改正案については賛成の討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/127
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128・小池晃
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
会派を代表して、金融商品取引法等改正案に対する反対討論を行います。
反対理由の第一は、金融経済教育の名で公教育に投資勧誘ビジネスが持ち込まれる懸念があるからです。
金融リテラシーの向上は、金融商品が複雑化し、投資詐欺被害が急増する中、ますます重要になっています。一方、本案は、金融経済教育を貯蓄から投資方針の中に位置付け、金融庁所管の金融経済教育推進機構を新設します。しかし、これでは、消費者教育関係者から、投資のメリットばかり強調されることになる、日銀の下にある金融広報中央委員会は現状のままでよいという声が上がるのは当然です。
反対理由の第二は、デジタル化による利便性の向上のためとして、金融商品売買の際、金商業者に課している契約時に係る書面交付義務を撤廃することが顧客の追加負担を招く危険があるためです。
書面交付を求めることはできますが、その際に負担が生じるのであれば、顧客本位は骨抜きとなります。また、審判手続のデジタル化についても、電子的な手段が苦手な顧客が不利にならないような配慮義務が欠けている点も問題です。
本法案には企業開示制度の見直しなど必要な措置も含まれていますが、これまで述べてきたような問題点から反対するものであります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/128
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129・宮本周司
○委員長(宮本周司君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
まず、金融商品取引法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/129
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130・宮本周司
○委員長(宮本周司君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、熊谷君から発言を求められておりますので、これを許します。熊谷裕人委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/130
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131・熊谷裕人
○熊谷裕人君 私は、ただいま可決されました金融商品取引法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会及び日本共産党の各派並びに各派に属しない議員神谷宗幣委員及び堂込麻紀子委員の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
それでは、案文を朗読いたします。
金融商品取引法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
一 金融経済教育の意義・目的には、金融リテラシーの向上を通じて、国民一人一人が、経済的に自立し、より良い暮らしを実現していくことを可能とすることがあることに鑑み、以下の事項に留意した金融経済教育を推進すること。
1 金融商品取引を装った無登録営業、詐欺的な投資勧誘、脱法的なマルチ商法による被害が多数生じている現状を踏まえ、被害防止に必要な情報を適時適切に提供する仕組みを整えるとともに、批判的かつ多角的な判断力のかん養を支援すること。
2 投資の必要性又は有益性のみを強調するのではなく、リスクに対する正しい理解の浸透にも努め、個人のライフプランを踏まえた資産形成における自由な意思決定による貯蓄と投資の組合せを尊重すること。
二 金融経済教育推進機構の運営に当たっては、官僚の天下り先や新たな資格認定を通じた利権の温床とならないよう人事情報や財務内容を積極的に開示するほか、以下の事項に留意すること。
1 金融経済教育推進機構の目的は、「適切な金融サービスの利用等に資する金融又は経済に関する知識を習得し、これを活用する能力の育成を図るための教授及び指導を推進すること」であって、本法による改正後の金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律第八十二条第一項に基づく基本方針の内容に完全に含まれるものではないこと。
2 「適切な金融サービスの利用等に資する金融又は経済に関する知識」には、資産形成だけではなく、金融広報中央委員会が従来扱ってきた家計管理・生活設計や消費者被害防止等も含まれること。また、「これを活用する能力の育成を図るための教授及び指導」は、金融経済教育推進会議作成の金融リテラシー・マップを基本としたものを通じて行われるものであること。
3 政府及び金融経済教育推進機構は、これまで金融広報中央委員会が実施してきた学校教育に向けた金融教育プログラムをはじめとした、金融教育教材作成、教員向けセミナー、作文・小論文コンクール等の活動に加えて、経年的に行ってきた「家計の金融行動に関する世論調査」や「金融リテラシー調査」等の基礎的な調査・報告等の意義・成果を踏まえながら、活動内容を充実させるとともに、金融経済教育が広く国民に提供されるよう取り組むこと。
三 金融経済教育推進機構に対する監督の実効性を確保するとともに、地方公共団体や民間事業者の取組に対する支援を全国において着実に実施するために必要な体制を整備すること。
四 金融サービスの提供に当たり、「顧客等の最善の利益」を図るための取組が徹底されること。
五 金融商品取引法上の四半期報告書を廃止し、金融商品取引所の規則に基づく四半期決算短信へ一本化するに当たっては、投資家に必要な情報が提供されるための環境整備及び制度の円滑な移行に資する環境整備を金融商品取引所等と連携して行うこと。
六 本法の検討条項に関して、改正後の各法律の施行の状況等を勘案するに当たっては、金融サービスの顧客等の利便が向上し、かつ当該顧客等が保護されているかを十分に検証し、必要があると認めるときは、各法律に基づく制度の改善につなげるための検討を行うこと。
七 本法に基づく制度の運用に当たっては、情報通信技術の進展等の我が国の金融及び資本市場をめぐる環境変化を踏まえ、金融サービスの顧客等の利便の向上及び保護を図る観点から、必要な体制を整備すること。
その際、地域の金融事業者のモニタリングを主に担当する財務局も含め、優秀な人材の確保と職員の専門性の向上を図るとともに、必要な定員の確保及び機構の整備に努めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ各委員の賛同をお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/131
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132・宮本周司
○委員長(宮本周司君) ただいま熊谷委員から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/132
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133・宮本周司
○委員長(宮本周司君) 全会一致と認めます。よって、熊谷委員提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
ただいまの決議に対し、鈴木内閣府特命担当大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。鈴木内閣府特命担当大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/133
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134・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/134
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135・宮本周司
○委員長(宮本周司君) 次に、情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための社債、株式等の振替に関する法律等の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/135
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136・宮本周司
○委員長(宮本周司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/136
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137・宮本周司
○委員長(宮本周司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121214370X00420231116/137
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