1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
令和五年十一月二十九日(水曜日)
午後五時十一分開議
━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第七号
─────────────
令和五年十一月二十九日
午後五時十分 本会議
─────────────
第一 令和五年度一般会計補正予算(第1号)
第二 令和五年度特別会計補正予算(特第1号
)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
一、北朝鮮による衛星打ち上げを目的とする弾
道ミサイル技術を使用した発射に抗議する決
議案(石井準一君外十名発議)(委員会審査
省略要求)
一、日程第一及び第二
一、地方交付税法及び特別会計に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
一、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法
の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
一、物価高騰対策給付金に係る差押禁止等に関
する法律案(衆議院提出)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/0
-
001・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
石井準一君外十名発議に係る北朝鮮による衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射に抗議する決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/1
-
002・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。
よって、本決議案を議題といたします。
まず、発議者の趣旨説明を求めます。石井準一君。
─────────────
〔議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔石井準一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/2
-
003・石井準一
○石井準一君 ただいま議題となりました自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会、日本共産党及びNHKから国民を守る党の各派共同提案に係る決議案につきまして、発議者を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読いたします。
北朝鮮による衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射に抗議する決議案
十一月二十一日、北朝鮮は、衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を強行し、分離したものの一部が沖縄本島と宮古島との間の上空を通過し、太平洋上に落下したとみられる。また、北朝鮮が発射した何らかの物体が地球を周回していることを確認した。
北朝鮮は、昨年以来弾道ミサイルを八十発以上も発射しており、かつてない高い頻度で続く一連の挑発行動は、国際社会に対する深刻な挑戦である。このような中で、昨年十月及び本年八月に引き続き、我が国の上空を通過する形で発射を強行したことは、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものである。このような北朝鮮の行為は、関連国連安保理決議及び日朝平壌宣言への違反であり、断じて容認できない。
本院は北朝鮮に対し重ねて厳重に抗議し、最も強い表現で非難する。さらに、挑発行動を中止し、核・弾道ミサイル開発計画を直ちに放棄するよう強く求める。
国際社会は、国連安保理決議等を踏まえ、結束した外交努力を展開し、平和的な解決を模索すべきである。政府においては、国連加盟国に対し、これまでの国連安保理決議に基づく制裁措置の完全な履行を実現するよう働きかけを一層強化しつつ、米国、韓国等関係各国と緊密に連携し、北朝鮮に対する一層厳格で実効的な措置を取るよう求めるべきである。
北朝鮮の核・ミサイル問題のみならず、時間的制約のある人道問題である拉致問題も我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる最も重大な問題であり、国際社会が結束して北朝鮮による核、ミサイル、そして、最重要課題である拉致問題の包括的かつ早急な解決を図るべく、政府の総力を挙げた努力を傾注し、もって国民の負託に応えるべきである。
右決議する。
以上であります。
何とぞ皆様方の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/3
-
004・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/4
-
005・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本決議案は可決されました。(拍手)
ただいまの決議に対し、内閣総理大臣から発言を求められました。岸田文雄内閣総理大臣。
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/5
-
006・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) ただいまの御決議への所信を申し述べます。
十一月二十一日、本年八月に引き続き、北朝鮮が日本列島の上空を通過する形で、国連安保理決議違反である弾道ミサイル技術を使用した発射を強行したことは極めて遺憾であり、我が国として断じて容認できません。
北朝鮮の高い頻度で続く一連の挑発行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすもので、我が国を含む国際社会全体に対する深刻な挑戦です。今般の発射は、地域の緊張を一方的に更に高める深刻な挑発行為であり、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、航空機や船舶はもとより、付近の住民の安全確保の観点からも極めて問題のある行為です。我が国は、北朝鮮に対して厳重に抗議し、最も強い表現で非難しました。
我が国としては、北朝鮮に対し、改めて、関連する国連安保理決議を即時かつ完全に履行するとともに、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向け具体的な行動を取るよう強く求めます。
今後とも、米国、韓国を含む関係国とも緊密に連携しながら、国連安保理決議の完全な履行等を全ての国連加盟国に強く働きかけてまいります。
政府としては、引き続き、我が国の平和と安全の確保、国民の安心、安全の確保に万全を期すべく、情報収集、分析の徹底、国民への適時的確な情報提供を行うとともに、防衛力の抜本的強化のための各種施策を着実に実施し、抑止力、対処力を強化してまいります。
最重要課題である拉致問題は、時間的制約のある人道問題です。御家族も御高齢となる中、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力で果断に取り組みます。
ただいまの御決議の趣旨を体し、核、ミサイル、そして、最重要課題である拉致問題の包括的かつ早急な解決に向けて、全力を尽くしてまいります。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/6
-
007・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第一 令和五年度一般会計補正予算(第1号)
日程第二 令和五年度特別会計補正予算(特第1号)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。予算委員長末松信介君。
─────────────
〔審査報告書は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔末松信介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/7
-
008・末松信介
○末松信介君 ただいま議題となりました令和五年度補正予算二案の審査の経過と結果を御報告申し上げます。
補正予算二案は、去る十一月二十日に国会に提出され、同日、財務大臣から趣旨説明を聴取し、衆議院から送付の後、二十七日から本日まで、岸田内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、質疑を行いました。
質疑は、現下の社会経済情勢を踏まえた政策対応の在り方、定額減税及び給付金による地方自治体の事務負担への対応、少子化対策に係る財源の在り方、賃上げに資する診療報酬改定等の重要性、今後の農業政策の方向性、防衛力整備計画に係る費用の見通し、予備費や基金等の予算計上の在り方、トリガー条項凍結解除の必要性、交際費課税制度見直しの必要性、中小企業の価格転嫁に向けた取組、ライドシェア導入の見通しと課題、大阪・関西万博に要する経費の見通し、イスラエル・パレスチナ情勢に係る政府の外交方針、政治資金収支報告書不記載への対応など、多岐にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局した後、れいわ新選組の提案による修正案を議題とし、趣旨説明を聴取いたしました。
修正案は予算総額の増額でありますので、国会法第五十七条の三の規定に基づき内閣の意見を求めたところ、政府としては反対であるとの発言がありました。
次いで、原案と修正案を併せて討論を行い、まず修正案を採決いたしましたところ、賛成少数で否決されました。
次に、政府提出の令和五年度補正予算二案を一括して採決いたしましたところ、賛成多数をもっていずれも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/8
-
009・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 両案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。水野素子君。
〔水野素子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/9
-
010・水野素子
○水野素子君 立憲民主・社民の水野素子です。
会派を代表して、ただいま議題となりました政府提出の令和五年度補正予算案について、反対の立場から討論を行います。
本題に入る前に、国民の間で日に日に高まっている岸田政権の政治姿勢に対する疑問、疑念、疑惑の声を代弁させていただきます。
岸田政権の支持率が記録的に下落しています。総合経済対策や今回の補正予算案も全く評価されていません。総理、一体なぜだとお考えですか。
岸田総理は言っていることとやっていることが違うと、国民の信用を失っています。本当は防衛増税をやりたいのに、一時的な減税を提案。子育て支援策は異次元どころか低次元、防衛費よりも後回しで財源もない。こどもまんなかとうたうこども家庭庁は教育を担当しない、真ん中が抜けている。新設した感染症統括庁も、五類となったコロナは対象外で、今統括する感染症はない。ポーズだけで、国民を欺く政治です。
聞く耳と言いながら聞いていない。あるいは、ただ聞くだけで、国民のためになる政治をやらない。最たる例が、政務三役の連続辞任の不適材不適所です。もはや、任命責任のある岸田総理御自身が、本当に総理として適材適所なのか、自ら問うべきではないでしょうか。
その上で、主に三点に絞り、令和五年度補正予算案に反対の理由を申し述べます。
第一に、緊要性が全く欠如していることです。
補正予算は本来、財政法第二十九条が規定する、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出です。しかし、物価高対策などの一部を除き緊要性が乏しく、次年度予算でよいものが多く含まれています。例えば、今回の補正予算では、基金の見直しが行われようとする中で、計三十一基金の新設や積み増しのために約四兆三千億円が計上されていますが、今年度中に執行しないものも含まれており、緊要性が乏しいと断ぜざるを得ません。
第二に、国債への依存です。
約十三兆一千億円にも上る巨額な補正予算案、このうち約八兆九千億円をも国債に丸投げし、将来世代に負担を先送りするのは問題です。今だけ、自分だけ、仲間だけの利己的な姿勢の莫大な無駄遣いはやめるべきです。
第三に、今回の補正予算の内容が大幅に国民のニーズから懸け離れていることです。
特に問題だと思われる三点を指摘します。
まずは、防衛費に係る問題です。
政府は、国際危機の高まりを強調し、国会で十分な議論もなく、政府・与党内の検討と閣議で、五年で約四十三兆円もの防衛費倍増を決定しました。国民の暮らしを守る予算とのバランスが悪過ぎます。
本補正予算では、防衛力強化資金を含め一兆八千億円余りの関連予算が計上されましたが、精査が必要です。トマホークのような古い武器の大量輸入は本当に必要でしょうか。武器ではなく、人工衛星などの先端技術をもっと磨き、情報力で専守防衛力をもっと高めるよう考えるべきではないでしょうか。また、防衛財源確保法に基づき、決算剰余金から一兆三百九十億円が防衛力強化資金に積み立てられますが、その分国債を増発することは、財源ロンダリングにほかなりません。
なお、中東及びロシア、ウクライナの痛ましい紛争に国民は胸を痛めています。戦争では、どの国でも市民が被害者です。平和憲法を持つ日本は、徹底した人道主義に立ち、即時停戦に尽力すべきです。また、安保理改革のみならず、国際司法裁判所、ICJの受諾宣言を促進し、法の支配による国際秩序の強化を進めるべきです。
二点目は、人、教育への投資が全く欠如している問題です。
コロナ禍で非正規雇用の多い母子家庭を始め貧困層が拡大し、不登校も急増し、子供食堂が社会現象となりました。立憲民主党が以前から提案している小中学校の給食無償化は、年間約四千億円で実現可能です。つまり、今年度末まで約一千億円で無償化できます。補正予算で取り組むべきではないですか。
教育の現場は、コロナ禍によって不登校も急増し、人材が不足しています。しかし、人件費そのものは増やされず、教師人材確保強化推進事業のための五億円程度しか計上されていません。盛山大臣が教員のなり手不足に名案がないと発言し撤回しましたが、政府の教育への関心の低さがこの補正予算にも表れています。
三点目は、公共サービスを守るための予算が全く不足している問題です。
消費が冷え込むのは、安心できる社会ではないためです。公共サービスは、たとえ収益性が低くても、国民のために維持すべきものです。政府のコストカット推進で公共サービスは崩壊寸前です。そもそも、少子高齢化と言われて久しい日本で、ほとんどの国民が育児環境、教育費、介護に悩んでいる状態は、政治の失敗です。
バスやタクシーなどの地域交通網もコロナ禍で危機に瀕しています。今論争になっているライドシェアは、運転手の離職や低賃金化、企業収益の悪化に拍車を掛け、かえって地域公共交通網を破壊するおそれがあります。極めて慎重な検討が必要です。
どうしてこんなに政府の方針が国民の期待からずれるのか、改めて考えてみました。
まず、政府が経済を、しかも一握りの大企業や富裕層が豊かになる経済を優先し、国民生活を軽視しているからです。
岸田総理は、今臨時国会の所信表明で声高に経済、経済、経済と叫びましたが、今最も大切にしなければならないのは、人、人、人です。
失われた三十年、産業は競争力を失い、先進国唯一賃金が上がらない日本。氷河期世代など賃金が低く不安定な非正規雇用の割合が増え、派遣労働者は言わば中抜きもあり、働いても暮らしは楽になりません。分厚い中間層は消滅し、自殺者も増えています。
トリクルダウンは幻想で、結局は大企業、株主、天下りなど、利権のある一部企業が得をする。庶民に恩恵はなく、格差社会が広がりました。コロナ禍や物価高で国民が苦しみ、中小企業の資金繰りが悪化、負債が増加しても、大企業の株価は上がり続ける。株の売買や内部留保への課税強化など、格差を是正する公平な税制度に改善すべきです。
こんなにも国民の声が響かないのは、岸田総理が世襲で、お金持ちで、男性で、暮らしの実態を知らないからでしょうか。私は通勤しながら二人の子供を育ててきたシングルマザーです。今朝も子供の忘れ物を小学校に届けてから国会に駆け付けました。
この補正予算は、政府のデフレ脱却政策を受けて作成されましたが、デフレは物価の継続的下落です。私たち国民は、今、急激な物価高、インフレに苦しんでいるんです。この物価高の大きな原因は、いまだに続いている異次元の金融緩和による金利差、それによる大幅な円安です。食料やエネルギーなど生活必需品の海外依存度が高いため、物価高が家計を直撃しています。全てが高くて手が出ない。これほどの物価高に及んでも、まだ経済、輸出企業を優先して円安を放置、国民生活を犠牲にする政府の姿勢が問題です。
企業も、円安を誘導して安いから買ってもらうのでは買いたたかれるだけです。高くても世界から選ばれる技術やサービスを長期的な視点で育てる骨太な産業政策に転換すべきです。
岸田総理はコストカット型経済が問題と言いましたが、それを進めたのは今の政権与党ではありませんか。バブル経済後の失われた三十年、国際競争力が低下してもコストカットで経済大国を競い続け、格差が広がり、国民は疲弊しました。その結果、総理が目指すゴールが、明日は今日より良くなると国民が信じることができる社会の実現という大変寂しい日本になりました。
資源の乏しい日本においては、人こそが最大の財産です。人を守り育てることこそが、経済、産業の復活にもつながります。経済至上主義ではなく、一人一人の国民の幸福度を軸とした国家へと転換し、安心で働きやすい社会へと国家予算の優先度を変えるべきです。
以上、令和五年度補正予算に反対する理由を申し述べました。不要不急の無駄が多く、多額の国債に依存するこの補正予算が採択されるようでは、日本と子供たちの未来が危ないと言わざるを得ません。
私たち立憲民主党は、国民の暮らしに真正面に向き合い、人と未来へ投資し、安心できる社会のために政治改革を進めることをお誓いして、私の反対討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/10
-
011・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 足立敏之君。
〔足立敏之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/11
-
012・足立敏之
○足立敏之君 自由民主党の足立敏之です。
私は、自民、公明を代表し、ただいま議題となりました令和五年度補正予算二案に対し、賛成の立場から討論を行います。
まず、本補正予算案に賛成する主な理由を申し述べます。
第一に、デフレとコロナ禍により傷つき、供給、需要の両面で体力が落ちている我が国経済がデフレからの完全脱却に向けて力強く進んでいくために十分な財政規模を確保している点です。
GDPや今年の春闘での賃上げ率を見れば経済が回復基調にあることは間違いありませんが、実質賃金はマイナスが続いています。現下の物価上昇は、需要の盛り上がりによるものではなく、エネルギー価格の高止まりなど国外の要因によるものであります。そのような状態で需要を支えることにちゅうちょをすれば、消費は物価高に負け、再びデフレに逆戻りとなりかねません。我が国経済が力強い前向きの好循環を生むためには、思い切った規模感を持つ対策が絶対に必要です。
第二に、物価上昇により厳しい生活を強いられている生活者への支援がしっかりと講じられている点です。
住民税非課税世帯には、今年の夏の一世帯三万円の支援に加えて、七万円の給付を追加、計十万円の支援を行います。来年六月からは、一人当たり所得税三万円、個人住民税一万円、合計四万円の定額減税をスタートさせます。この定額減税と賃上げの相乗効果により可処分所得を増加させ、物価高への対応や家計消費の強化を図ります。
私も、参議院自民党の不安に寄り添う政治のあり方勉強会の世耕幹事長による松野官房長官への申入れに同行をいたしましたが、定額減税と住民税非課税世帯への給付による支援とのはざまとなる世帯人数が多い子育て低所得世帯や、定額減税の恩恵を十分に受けられないと見込まれる所得水準の方々への支援についても年末までに対応が決められることとなっております。期待したいと思います。
なお、物価高に苦しむ生活者や事業者を支援する重点支援地方交付金も、地方自治体からの要望を受けて、追加予算に盛り込んでいます。
第三に、賃上げ環境の改善に努めている点であります。
特に、就業者の七割が働く中小企業等につきましては、赤字法人でも賃上げを先行的に実施できるよう、税額控除の繰越制度を創設をいたします。また、賃上げ原資を確保できるよう、原材料費やエネルギーコストの上昇分の全額転嫁など、政府を挙げて価格転嫁対策の強化拡充に取り組みます。
同時に、実質賃金引上げが継続できるよう、人手不足に悩む中小・小規模事業者における省人化、省力化投資や、生産工程を抜本的に改革するような大規模成長投資への支援、さらには建設産業分野においても公共投資の拡大に取り組むなど、しっかりと財源的裏付けを確保しています。
第四に、経済の回復基調を地方へと波及させるための施策や、GXやDXといった成長のエンジンとなる分野への国内投資を促進させる措置にも力を入れている点であります。
地域の雇用や経済活動に大きな効果をもたらしている大規模な先端半導体等の生産拠点の整備に向けた支援、さらにはデジタル時代の次世代物流の先行的実証実験の実施や、宇宙や海洋の開発、利用の推進のための基金の確保等を行っています。
また、コロナ禍前を超える数となった外国人旅行者による消費拡大、国際的にニーズが高い日本の農林水産物・食品の輸出の促進に向けた施策により、双方とも年間五兆円の実現をにらんだ予算も計上しています。
建設産業分野のグリーン化やスマート化、あるいは我が国の魅力である地方の文化資源や自然資源等を最大限に生かす取組を進めるための経費も盛り込まれています。
最後に、国民の命と生活を守る防災・減災、国土強靱化や災害復旧、さらには生産性の向上など、国内投資の拡大につながる社会資本整備のための公共事業予算をしっかりと確保し、事前防災対策やインフラの充実強化、老朽化対策の推進とともに、フローとストック両面において経済効果の発現を図っている点について申し上げたいと思います。
これまで、政府は、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の下、災害の発生を未然に防ぐ事前防災を進めてまいりましたが、過去の同規模の降雨による被害と比較してもその効果が顕著であるとの声を全国各地の首長さんたちから伺っています。
また、昨今の資材価格の高騰と賃上げの実現を十分に配慮した上で思い切った公共事業予算を確保している点につきましても大いに評価されるべきであり、さらには、この加速化対策後も、改正した国土強靱化基本法に基づき実施中期計画を取りまとめることとしておりまして、引き続き切れ目なく国土強靱化への取組を継続していく強い覚悟が示されているものと受け止めております。心から感謝を申し上げたいと思います。
以上、主な賛成理由を申し上げました。
七月から九月期のGDPは、前年同期以来のマイナスとなりました。国内景気判断も十か月ぶりに下方修正され、緩やかに回復という表現に一部に足踏みとの言葉が加わり、内需に力強さが欠けていることを踏まえた表現となっています。
物価高で、低所得世帯も年末年始への不安を高めています。ここに来て、デフレからの完全脱却に向けた道筋に不透明感が増しております。このような時期だからこそ、何としてもデフレ完全脱却の達成まで国民の皆様が抱える不安や苦しさに寄り添い、物価高を乗り越えなければなりません。そのためにも、総合経済対策に盛り込まれた施策の裏付けとなる補正予算案の一刻も早い成立は極めて重要であるというふうに考えます。
インフラの再生なくして日本の再生なし。公共投資拡大を含めた補正予算の確保が我が国経済の再生のため不可欠です。議員各位に本予算案への賛同をお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/12
-
013・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 山添拓君。
〔山添拓君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/13
-
014・山添拓
○山添拓君 日本共産党を代表し、二〇二三年度補正予算案に反対の討論を行います。
パレスチナ・ガザ地区での戦闘中断が二日間延長されました。ところが、ガザに入ったイスラエル・ネタニヤフ首相は、勝利するまで戦いを続ける、誰も我々を止められないなどと述べ、戦闘の再開を宣言しています。これ以上の殺りくを許してはなりません。戦闘中断から即時停戦へ、日本政府としても強く働きかけるべきです。
総理は、国際人道法違反の法的評価は難しいと繰り返します。しかし、いかなる理由があっても病院への攻撃は許されません。関係国との意思疎通を理由に即時停戦を求めることも拒みました。アメリカの顔色をうかがう余り法の支配を投げ捨てるなど、断じて容認できません。
本補正予算案に反対する最大の理由は、物価高騰にあえぐ暮らしの実情に全く向き合っていないからにほかなりません。
経済対策の目玉とされる減税、給付を評価しないと答える人が七割近くに上ります。一回限り、半年先の減税は、その後に大軍拡への増税が待ち構え、加えて税収増の還元という当初の説明が事実に反することまで明らかとなり、政権の人気取りだと多くの国民に見透かされています。税財政を弄ぶのはやめるべきです。
十月の消費者物価指数は二・九%上昇し、食料品では七%以上のプラスが十一か月続いています。減税するなら、消費税減税を今こそ決断すべきです。買物のたびに減税効果を実感でき、消費に結び付き、GDP押し上げ効果も見込まれます。今や世論調査で六割近い国民が求めています。総理は、この声を聞き、消費税五%への緊急減税、インボイス中止を決断すべきです。
物価高騰を上回る賃上げを実現すると言いながら、その方法に挙げられるのは効果が限定的な賃上げ減税と政労使会議でのお願いにすぎず、従来の延長です。実質賃金が十八か月連続でマイナスとなりました。賃金はむしろ下がってきたという現実を直視すべきです。
イギリスでは、来年四月、最低賃金を九・八%引き上げ、時給十一・四四ポンド、二千百三十二円に引き上げます。一方、直近二年半の日本の最低賃金の伸び率は、名目、実質ともOECD平均値の三分の一にとどまります。政治の責任で賃金を底上げするには、日本でも最低賃金の大幅な引上げが必要です。
日本共産党は、異常に膨れ上がった大企業の内部留保に時限的に課税し、中小企業を支援し、最低賃金時給千五百円を目指した引上げを提案してきました。自民党の中からも、内部留保課税で賃上げ支援をという案が出ています。総理は、二重課税に当たるという指摘があると及び腰ですが、法的根拠もない言い訳はやめ、本腰を入れた議論を進めるよう求めます。
本補正予算案による介護や障害福祉の処遇改善は僅か月六千円、一桁足りません。
政府は、社会保障費の歳出改革と称して、診療報酬や介護報酬の削減を検討しているといいます。全体の一四%、九百万人に上る医療・介護従事者の賃下げは、経済全体に波及し、医療と介護を崩壊させかねません。やるべきことが全く逆です。
審議を通じて、公務職場の非正規労働者の処遇改善に後ろ向きな政府の姿勢があらわになりました。田村智子議員が全省庁から資料を取り寄せたところ、いわゆる正規職員は男性二十万人、女性五万九千人、非正規は男性約三万人に対して女性は約六万人と、非正規で女性が多数を占め、しかも女性は男性より低賃金でした。河野大臣は、法に基づき適切に運用されていると開き直りましたが、これは典型的な間接差別です。問題意識を持たない姿勢自体が大問題です。
非正規職員が、ハローワークで就労相談や求人開拓など専門性の高い仕事を担っています。保育士や消費生活相談員、図書館司書など、自治体で働く多くの専門職が非正規です。公務の職場から大幅な賃上げを進め、間接差別をなくすべきです。
三十年来のコストカット型経済を変革するというなら、非正規化による人件費の削減、これを支えてきた政治の責任を率直に認め、待遇格差をなくし、恒常的な仕事は正規を当たり前にする、低賃金の構造を政治の責任で改めるべきです。
十三兆円を超える本補正予算案のうち、物価高から国民生活を守るという項目は二・七兆円、二割程度にすぎず、物価対策と無縁で民意に反する税金の無駄遣いが多数盛り込まれています。
その顕著な例が大阪・関西万博の関連経費です。世論調査で、会場建設費二倍化に納得できないが七割近くに上る中、日本館建設費など更に八百三十億円を超える国庫負担があることが改めて明らかになりました。湯水のように税金をつぎ込み、国民の身を削る万博は中止を決断すべきです。
保険証を廃止し、マイナ保険証を推進するため、利用率が上がった医療機関の支援に八百八十七億円も計上しています。総理は本会議で、メリットを丁寧にお伝えしていくと述べましたが、十月の利用率は四・五%と六か月連続で低下しました。デメリットや不安の方が大きいからこそ使われていません。これ以上税金を費やすべきではありません。
半導体企業など特定企業への巨額の補助金を可能とする多額の基金が積み上げられています。四千七百六十億円の補助が決定している台湾の半導体企業TSMCに追加の補助を行おうとしています。三千三百億円の支援決定を受けている先端半導体企業ラピダスは、更に二兆円の支援を国に要求しています。稼ぐ力といい、歯止めなき国費投入で特定企業を支援するのは、相変わらずの大企業優遇政治です。
過去最大、八千百三十億円に上る軍事費まで潜り込ませているのは異常と言うほかありません。スタンドオフミサイルを始め、憲法違反の敵基地攻撃能力保有に前のめりの岸田政権が、これら兵器の前倒し配備を狙うなど言語道断です。
オスプレイ配備を予定する佐賀空港、米空母艦載機の着陸訓練を行おうとする馬毛島、さらには沖縄の民意も地方自治も踏みにじって進める辺野古新基地など、基地増強の加速は許されません。
その上、防衛力強化資金一兆円の積み増しまで計上されています。
国際社会の現実は、武力では決して平和は築けないことを示しています。絶対に戦争にさせない平和外交で、対話と協力の地域を築くことこそ政治の役割です。戦争準備の大軍拡に断固反対します。
自民党主要五派閥の政治資金パーティーをめぐる疑惑は、収支報告書の訂正で済まされる問題ではありません。
不記載が発覚したのはパーティー券を購入する側が収支報告義務を負う政治団体の場合に限られ、企業が購入する分で同様の問題がないのかは明らかにされていません。氷山の一角である可能性が大いにあり得ます。
収入を実際より少なく記載し、パーティー券を売った議員が自由に使えるようにする、裏金ではないかという指摘が自民党関係者からも相次いでいます。総理は、自民党全体で裏金がないとは断言していません。徹底的に調査すべきです。
昨年、総理は、一回の収入が一千万円を超える大規模な政治資金パーティーを六回も開催し、その利益は計一億三千百万円、利益率八九%という荒稼ぎぶりです。総理自身も説明できなかったように、ここには対価性などありません。
そもそも、企業、団体がパーティー券を購入するのはなぜか。政治的な見返りを期待するからです。政治資金パーティーを含め、政治をゆがめる企業・団体献金は全面的に禁止すべきです。
政治と金の闇にまみれ、国民の声に耳を貸さない政治は変えるしかありません。日本共産党は、アメリカ言いなり、財界、大企業中心の自民党政治を大本から変えるために全力を挙げる決意を述べて、討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/14
-
015・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 金子道仁君。
〔金子道仁君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/15
-
016・金子道仁
○金子道仁君 日本維新の会、金子道仁です。
私は、ただいま議題となりました令和五年度一般会計補正予算(第1号)、令和五年度特別会計補正予算(特第1号)の両案について、会派を代表して、賛成の立場から討論いたします。
まず初めに、今般の補正予算案について、財政法上の緊要性の判断、多額の基金の積み増し、多額の予備費の流用、国民負担率の上昇懸念等、懸念すべき点が複数あることをあらかじめ指摘させていただきます。
コロナ禍以降の補正予算における急激な歳出の増加は、需要を牽引しGDPギャップを埋め合わせるという理由で合理化できますが、現在のようにGDPギャップが解消した景気回復期には、応急的な災害復旧等を除けば、原則的には厳に抑制的に措置すべきだと考えます。補正予算には緊要性の要件がありますが、この緊要性が要件として機能していないと見受けられる事業が多くあります。緊要性の拡大解釈が横行している補正予算計上プロセスに強く懸念するとともに、例えば半年先の予算措置では間に合わない緊要性の証明など、補正予算全体において緊要性をより詳細で明確な要件設定をすることを政府に要望いたします。
基金の積み増しについても懸念をお伝えいたします。今次補正予算の歳出総額約十三・二兆円のうち約四・三兆円、約三三%が基金への投入に充てられています。昨年度末の基金残高も十六・六兆円に上り、想定された資金需要がなく資金が活用されず死蔵される、そのような基金の弊害を疑わせる不透明な状況が続いていることを憂慮します。
本補正予算で多額の予備費を減額したことについても同様です。今次補正予算の歳出総額は約十三・二兆円。当初予算に計上された経費の減額分を含めなければ、その規模は十六・七兆円に上ります。今般減額した予備費計二・五兆円は、そのうちの約一五%に上ります。当初予算で多額の予備費を計上し、年度途中でコロナ・物価高予備費とウクライナ予備費を半減して補正予算の財源とすることは、予備費総額の算定に大きな疑義があると言わざるを得ず、政府には強く指摘しておきます。
他方で、今はデフレの後退懸念を解消すべきときであるという点は理解します。そのためには知恵を出し合うことが必要です。財政の平時への回帰という政府の方針からは考えられない規模の財政支出ですが、今をデフレ脱却の転換点とするために、資金の逐次投入ではなく、カンフル剤としての大規模な財政支出をするという説明は一定程度理解できます。しかし、こうした財政支出がインフレ加速剤とはならずに真のカンフル剤となるために、補助金のばらまきではなく、真の供給力強化措置として執行されることを強く要望いたします。
また、総理は二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化という財政健全化目標を繰り返し述べられており、この発言を重く受け止めます。二〇二五年からのプライマリーバランス黒字化に向けて、供給力強化の傾向が確かなものになるためには、抜本的な構造改革が不可欠です。
今次補正予算がデフレ脱却からのカンフル剤であり、日本経済が補助金に依存するドーピング経済とならないように、体質改善、すなわち抜本的な構造改革、行財政改革が急務です。今般の経済対策では、三位一体の労働市場改革、医療DXの推進、外国人材の活用など、従前の経済対策より構造改革に重きを置いた記載が見られたことを評価します。
我が党は、社会保障・医療制度改革など、改革提言を政府に提示し、政府とは改革内容を競い合いつつ、抜本的な構造改革のために切磋琢磨していく所存です。その成果としての歳出削減を実現し、国民負担率の更なる上昇を防ぎ、将来世代への投資、子ども・子育て世代の負担軽減を図ってまいります。
基金に関しては、先般の質疑で総理から、基金終了期限の設定が重要であるとの河野行革担当大臣の発言を受けて、基金の点検、見直しを進めるとの答弁をいただきました。二十二日のデジタル行財政改革会議では、基金の期間設定、長期、短期の目標設定と検証など具体的な基金の見直しを、横断的な方針、これを年内にまとめるように指示が出されたと承知しております。これらの取組を評価し、今後の基金の見直しを厳しく見守っていきます。
最後に、万博についてお話しします。
資材や労務費高騰等による物価上昇の影響で、万博の会場建設費が五百億円増加しました。現下の厳しい経済状況の中で国民の負担が増加することについてはじくじたる思いです。しかし、万博開催にはコストを上回る大きなメリットがあると考えており、中止や延期すべきではないと考えます。
以下、その理由を述べさせていただきます。
第一の理由は、定量的な要素、特に経済波及効果です。
政府答弁にもあるように、二〇一六年の経産省試算では約二兆円の経済効果が見込まれています。この試算には今般の物価上昇は反映されていませんが、物価高騰による会場建設費の上昇と並行して経済効果も上昇していると考えられます。会場建設費というコストの上振れだけは議論して、経済波及効果というリターンの上振れを議論しないというのは、バランスが取れていないのではないでしょうか。
今次国会の衆議院経産委員会では、経産省は我が党の議員の質疑に対し、今後、支出費増加に伴って万博の経済効果は増加するという見通しを示されました。ある民間機関では、四千億円から五千億円の上振れが見込まれるとの試算も公表されています。経産省の試算は七年前のものであるため、政府からは最新の試算を出していただきたいと思います。
第二の理由は、定性的な要素です。
その一つとして、私はこの時代に万博が発信するテーマの重要性に触れたいと思います。
今から九十年前、一九三三年のシカゴ万博は、出展者、参加者に共通のテーマが設けられた最初の万博で、「進歩の世紀」というテーマが掲げられました。国際協調の時代と言われた一九二〇年代末、一九二九年アメリカでは大恐慌が始まり、一九三〇年世界に広がり、一九三〇年代は分断と対立の時代と言われています。日本でも一九三一年満州事変があり、一九三三年国連の脱退がありました。このような分断と対立の暗い影の中で、万博は未来への希望を発信しました。暗い時代だからこそ、こうしたメッセージを発信する意義があったと考えます。
二〇二五年の大阪・関西万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」です。このテーマは、人間一人一人が自らの望む考えを、生き方を考え、それぞれ可能性を最大に発揮できるようにするとともに、こうした生き方を支える持続的な社会を国際社会が共創していくことを目指しています。言い換えれば、格差や対立の拡大、AIやバイオテクノロジーなどの科学技術の発展といった新たな社会課題、変化に直面する中で、参加者一人一人に幸福な生き方とは何かを正面から問う初めての万博です。
私は、一九八五年、筑波万博に行った思い出があります。当時十五歳、二日間会場を朝から友達と走り回り、可能な限り多くパビリオンを見て回った思い出があります。
今は高度経済成長期とは異なる時代で、いわゆる箱物とされる大型イベントが以前より重要性がなくなったとの指摘もあります。
しかし、ただし、高度経済成長期のような楽観的な世相でない今だからこそ、未来への希望のメッセージが重要なのではないでしょうか。ポストコロナの最初の万博として、また、ウクライナ侵攻後の最初の万博として、平和の土台となる幸福な生き方とは何かを考え、ウエルビーイングを追求し、命を生み出し育む家庭や社会の大切さを再考する機会として、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマの万博を次世代に提供することが重要です。
今回の万博がそのテーマをしっかり体験、共有できることとなることを望み、オールジャパンでの取組を支持し、私の討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/16
-
017・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 伊藤孝恵君。
〔伊藤孝恵君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/17
-
018・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。
私は、会派を代表し、令和五年度補正予算案に賛成の立場から討論を行います。
野党の役割は、厳しい行政監視によって政府の問題点を指摘し、翻意や修正を迫るとともに、与党より優れた政策を提示し、実現し続けることで、次はこの人たちにやらせてみるかと、政権の選択肢たり得たる存在になることです。
今回、国民民主党が賛成するのは、ひとえにトリガー条項凍結解除によるガソリン価格を引き下げるためであり、交渉のテーブルに着くことを私たちは選びます。それが物価高に苦しむ家計を支えるとともに、企業のエネルギーコストを抑え、そうして生まれた利益こそが持続的賃上げの原資になるからです。
会計検査院は、今月七日に公表した令和四年度決算結果報告の中で、二〇二二年一月から導入された石油元売会社等への補助金一兆二千七百七十三億円のうち、およそ百一億円が消費者には届かず、ガソリンスタンドの利益に回った可能性を指摘しました。
事実、石油元売三社の連結決算は、いずれも純利益を上方修正しています。原油価格の上昇と円安による備蓄原油の在庫評価益が膨らんだことに加え、政府補助金による需要の下支え及び燃料油販売の利益率が改善したことが影響しているとのことです。
会計検査院は、さらに、資源エネルギー庁がおよそ六十二億円を掛けて実施した価格モニタリング調査、いわく、週一回、全国二万か所のガソリンスタンドに、政府の補助金でガソリン代って下がりましたと聞き回る事業の必要性に疑義を呈しています。
当初から懸念されていた石油元売会社への補助金は本当にその全てがガソリン価格の引下げに使われるのかに対しての結論は、もう既に出ています。
さりとて、この期に及んで、やはり補助金の方が使い勝手がいい、トリガーを解除すると年一・五兆円の減収が出るという声も聞こえてきますが、補助金は年一・九兆円を要します。
国民から税金を取って石油元売会社に配り、再び国民に戻そうとする過程で結局届かなかったり、税金の無駄遣いが現に発生しているのだから、もう取るのをやめてはいかがでしょうか。
トリガー条項凍結解除による減税の方が合理的な上、百六十円を三か月連続上回ったときという対策をする基準、やめる基準及びその手続が明確で、いつまで続けるのかが見通せない補助金より、出口戦略として筋がいいと思います。
最後は政治決断です。総理の決断を強く求めるとともに、本予算案に足らざる点についても、以下、具体的に指摘させていただきます。
第一に、消費と投資を下支えし、持続的賃上げを確実にするための生活減税が足りない点です。
デフレからインフレに経済が移行する中で必要となるのは、トリガー条項凍結解除のみならず、いわゆる暫定税率、二重課税の廃止と併せたガソリン減税、基礎控除、給与所得控除等の額を引き上げることで家計負担を軽減する所得税減税、賃金上昇率が物価上昇率を二%上回るまで、当分の間、税率を一〇%から五%に引き下げるインボイス廃止を含む消費税減税、少額減価償却資産特例の上限額を引き上げ、投資額以上の償却を認める法人税における投資減税、税額控除額の引上げや価格転嫁等への取引条件を改善し、赤字法人も対象となるよう減税項目を法人事業税、固定資産税、消費税にまで拡大した賃上げ減税です。
GDPの六割近くを占める個人消費と伸び悩む企業の設備投資に直接アプローチできる対策が必要です。
第二に、予備費や基金に対する国会の行政監視機能不全です。
コロナ禍以降、多額の予備費計上が常態化しています。予備費は、予見し難い予算の不足に充てるために認められた予算の事前議決原則の例外的制度であり、今回のようになし崩し的に使途をコロナから賃上げに変更し、拡大する政府の手法は、財政民主主義を有名無実化するものであります。
基金への予算措置と残高もまたコロナ禍を契機に膨張し続けています。
年一兆円前後で推移していた予算額は二〇二〇年度に十一・五兆円に増え、二兆円台だった基金残高も二二年度末には十六・六兆円と増加の一途をたどっています。
成果の数値目標を持たない基金はおよそ二〇%、活動実態がなく、支出が人件費や管理費のみであるいわゆる休眠基金も全体の一五%を占めています。
この異常とも言える事態に対し、河野行政改革担当大臣は各府省の全基金を見直す方針を明らかにしましたが、結局、今般、十分な見直しも行われないまま四・三兆円を計上し、新たな基金の造成や積み増しを行っています。財政法第二十九条における緊要性を鑑みれば、なおさらこれらの基金に対する取扱いは不適切と言わざるを得ません。
最後に、総理の少子化対策に対する基本認識に一言申し上げます。
予算委員会の審議の中で、総理が、子育て世帯の受益部分を拡大する、スウェーデン規模にまで引き上げると繰り返されているのを聞いて、今更ながら、なぜ総理が子育て世帯が心底望んでいる年少扶養控除の復活について検討もしてくださらないのかがよく分かりました。家族関係社会支出には控除はカウントされないからですよね。
総理は、さきの通常国会で、OECD定義による家族関係社会支出を、二〇二〇年度のGDP比二%から倍にする、先進国最下位レベルから、スウェーデンの三・四%をベンチマークとして、先進国最高位レベルまで引き上げると言明されました。
十六歳から十八歳の扶養控除を削り、社会保険料を引き上げて支援金制度をつくり、それらを児童手当として現金給付すれば、家族関係社会支出の机上の数字は跳ね上がります。日本の順位も確実に上がります。
しかし、総理、今見るべきは、机上の数字でも順位でもなく、可処分所得です。とにもかくにも、子育て世帯の、これから子育てをする次世代の可処分所得をどう増やすかを考えていただきたいのです。
政府は、現在、高校生がいる世帯に児童手当を年一律十二万円給付する代わりに、所得税で三十八万円、住民税で三十三万円としている扶養控除の水準を一律で引き下げ、縮小する案を検討しているといいます。
少子化対策に必要なのは、給料を上げ、税負担を下げ、社会保険料負担を下げ、給付、控除、無償化などの法的支援を拡充することです。
扶養控除の縮小は撤回の上、年少扶養控除を復活してください。各種子育て支援制度の所得制限を撤廃し、教育の完全無償化を目指してください。そうしてようやく我が国は少子化対策のスタートラインに立つことができます。
以上、本補正予算案の課題について申し述べました。
昭和五十二年、野党民社党は、異例の予算案賛成に回りました。同党は、長期化、深刻化する経済不況対策として一兆円減税を提起し続け、やがてそれは一政党の訴えの枠を超え、野党共通の要求となりました。その要求に対し、政府が一定の譲歩を示したのだから、予算案に賛成するのは当初より提起し続けてきた党としての責任の表明なのだと述べられています。
参議院で賛成討論に立った三治重信議員が残した議事録にはこうあります。およそ議会制民主政治を確立しようとする立場に立つならば、時には多少の不満を残しつつも、可能な限り国民の要求を現実的に満たすための不断の努力を積み重ねていかなければならない、国の経済政策の目標は雇用の安定、すなわち完全雇用の維持と物価の安定にある。
国民民主党は、衆参たった二十一人の政党です。我々が予算案に賛成したとて、大勢に影響はないと思われるかもしれません。それでも、トリガー条項凍結解除にこだわり、食らい付き、我々の行動を批判するその人の暮らしにも必ず利とならん政策を実現したいと思っています。
総理の御決断を重ねて強く要望するとともに、財務省などは決してもろ手を挙げて賛成しないこのトリガー条項凍結解除。苦渋の決断を最後に支えるのは、与野党を超えた議員たちが地元で拾い集めてきた声であり、その発露としての賛意です。
三十年ぶりの持続的賃上げを何としても実現する。そのために今最も効果的だと思われるトリガー条項凍結解除に対する理解を議場に切に呼びかけて、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/18
-
019・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/19
-
020・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより両案を一括して採決いたします。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/20
-
021・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、両案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/21
-
022・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) この際、日程に追加して、
地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/22
-
023・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。総務委員長新妻秀規君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔新妻秀規君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/23
-
024・新妻秀規
○新妻秀規君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、地方財政の状況等に鑑み、令和五年度に限り臨時経済対策費及び臨時財政対策債償還基金費を設けるとともに、交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金を増額する等の改正を行おうとするものであります。
委員会におきましては、地方交付税の増加に伴う特例措置の妥当性、臨時経済対策費を含む地方交付税の算定方法の在り方、地方交付税の法定率引上げの必要性等について質疑が行われました。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して伊藤岳委員より反対する旨の意見が述べられました。
討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/24
-
025・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/25
-
026・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/26
-
027・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) この際、日程に追加して、
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/27
-
028・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長高橋克法君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔高橋克法君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/28
-
029・高橋克法
○高橋克法君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、宇宙空間を利用した事業の実施を目的として民間事業者等が行う先端的な研究開発を推進するために、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構について、当該研究開発に対する助成を行う業務を追加するとともに、当該業務等に要する費用に充てるための基金を設けようとするものであります。
委員会におきましては、基金による具体的な支援内容、基金の成果を評価する方法、宇宙航空研究開発機構の業務体制等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民の水野委員、日本共産党の吉良委員、れいわ新選組の舩後委員より、それぞれ反対の意見が述べられました。
討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
以上、御報告を申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/29
-
030・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/30
-
031・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/31
-
032・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) この際、日程に追加して、
物価高騰対策給付金に係る差押禁止等に関する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/32
-
033・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員長長谷川岳君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔長谷川岳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/33
-
034・長谷川岳
○長谷川岳君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本法律案は、物価高騰対策給付金について、その支給を受けることとなった者が自ら使用することができるようにするため、差押えを禁止する等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員長谷公一君より趣旨説明を聴取した後、討論に入りましたところ、立憲民主・社民の岸理事、日本共産党の伊藤委員より賛成の旨の意見がそれぞれ述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/34
-
035・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/35
-
036・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午後六時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X00720231129/36
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。