1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年十二月十一日(月曜日)
午後一時一分開議
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○議事日程 第十号
令和五年十二月十一日
午後一時開議
第一 国務大臣の報告に関する件(令和四年度
決算の概要について)
第二 国立研究開発法人情報通信研究機構法の
一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議
院送付)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/0
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001・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
日程第一 国務大臣の報告に関する件(令和四年度決算の概要について)
財務大臣から発言を求められております。発言を許します。鈴木俊一財務大臣。
〔国務大臣鈴木俊一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/1
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002・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 令和四年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書、政府関係機関決算書、国の債権の現在額並びに物品の増減及び現在額を会計検査院の検査報告とともに国会に報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。
まず、一般会計の決算につきましては、歳入は百五十三兆七千二百九十四億円余、歳出は百三十二兆三千八百五十五億円余であり、差引き二十一兆三千四百三十九億円余の剰余を生じました。
この剰余金は、財政法第四十一条の規定により、既に令和五年度の一般会計の歳入に繰り入れております。
なお、財政法第六条の純剰余金は二兆六千二百九十四億円余となります。
次に、令和四年度における十三の特別会計の決算でありますが、これらの決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算のとおりであります。
次に、国税収納金整理資金の受入れ及び支払につきましては、同資金への収納済額は九十六兆四千九百五十九億円余であり、支払命令済額及び歳入組入額は九十五兆六百十八億円余でありまして、差引き一兆四千三百四十一億円余が年度末の資金残額となります。
次に、政府関係機関の決算でありますが、その内容につきましては、それぞれの決算書のとおりであります。
次に、国の債権の現在額につきましては、年度末における国の債権の総額は二百四十四兆七千四百五十八億円余であります。
次に、物品の増減及び現在額につきましては、年度中における純減少額は七百九十一億円余であり、この結果、年度末における物品の総額は十四兆八千四百億円余となります。
最後に、令和四年度の予算の執行につきましては、予算の効率的な使用や経理の適正な処理に努めてきたところでありますが、会計検査院から三百四十四件の不当事項等について指摘を受けましたことは誠に遺憾であります。
今後とも、予算の執行に当たっては一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。
以上、令和四年度の一般会計歳入歳出決算等について御説明申し上げました。
何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/2
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003・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。豊田俊郎君。
〔豊田俊郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/3
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004・豊田俊郎
○豊田俊郎君 自由民主党の豊田俊郎です。
会派を代表して、ただいま議題となりました令和四年度決算について質問をいたします。
まず、参議院での決算審議の意義についてお伺いをいたします。
決算の府として役割を確立させた青木幹雄先生は、常々、参議員となられた先生方に、憲法により、予算審議では衆議院に優越規定が設けられている、しかし、決算から次年度の予算が組まれるわけですから、参議院では予算をいかに有効に使ったのかをしっかりと検証する決算審議を強化しなければならないと思いますと語られました。
本日は、まず、岸田総理に、この言葉の趣旨を踏まえた上で、これからの決算審議にどのように臨んでいくおつもりなのか、お伺いをいたします。
令和四年度決算の歳入について伺います。
歳入予算を見ますと、税収は、およそ六十八兆三千六百億円と見込んでおりましたが、およそ七十一兆一千四百億円と、二兆八千億円ほどの増収となっております。一方、公債金も、歳入予算額約六十二兆四千八百億円に対して収納済歳入額約五十兆四千八百億円と、十二兆円ほどの減額となっております。
この決算を見ますと、経済の回復に伴う租税収入が見込まれる以上の伸びを示し、さらに公債金負担も抑制されていることから、コロナ禍や物価高に直面したものの、岸田政権下での財政政策は間違っていなかったものと評価できると考えております。
この点について、財務大臣の御見解をお聞かせください。
今回の決算を基に、安全保障政策、外交について伺います。
我が国にとってASEANは、半世紀にわたる緊密なビジネスパートナーであります。また、加盟国の多くが、領土、領海をめぐる中国との覇権主義的な行動による脅威に対峙しております。
このことから、持続的な経済成長の実現のみならず、現下のアジアで顕著になっている力を背景にした一方的な現状変更の試みに対し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くためにも、我が国とASEAN各国との現実的な連携の強化はますます重要なものとなっております。
日本は、これまでもASEANとの関係強化に努めてまいりました。
昨年度の決算を見ると、ASEAN等での親日派・知日派育成のための交流拡充拠出金として二十五億円、日・ASEAN間の重要なイニシアチブの実施強化を通じたASEAN統合実現への後押しとして百十一億円を拠出しております。このほかにも、これまで経済協力の枠組みの中でASEAN加盟国への海上警備活動支援等を行ってまいりました。
今年は、日本とASEANの友好協力五十周年となります。そして、この記念すべき年を締めくくる行事として、今週末十六日から十八日まで、東京において日・ASEAN特別首脳会議が開催をされます。
そこで、この機に、総理は、ASEAN各国との関係で、力による一方的な現状変更の試みに対して、どのように連携を強化し、対応していく道筋を示すお考えでしょうか。お伺いをいたします。
次に、公共工事の入札の適正化に関して伺います。
昨今の燃料費や資材価格の上昇、賃金の引上げ等により、我が国の防災・減災、国土強靱化や地方創生を支えている社会資本整備事業に要する費用が増加傾向にあります。
そのような中、建設業に従事する技術者や技能者、労働者が不足しており、建設事業者からは、工事を受けたくても受けられない、あるいは工事が遅れぎみとなり工期を延ばさざるを得ないといった話をよく耳にいたします。地方自治体が発注する公共工事では、発注金額が低いことから入札に応じる事業者がないという実態も私の住む八千代市においても発生しておる状況にございます。
これらは、我が国の発展と安全、安心の土台をつくり、守る建設業界の持続可能性と日本の社会資本整備にとって大きな問題です。
まずは、物価高騰、賃上げに対応した公共事業予算の確保が大切です。
同時に、総理は、デフレからの完全脱却のためには、供給力の強化、すなわち稼ぐ力を強くすると訴えておられますが、そうであれば、公共事業が安ければ安いほどいい、そのためには労務者の賃金や下請にしわ寄せが行ってもよいと考える、いわゆる低入札価格やダンピングを許してはなりません。
資材価格や人件費の増加をしっかりと考慮し、求められる品質を確保したものを造るために適正な価格で発注することで、建設業に携わる事業者の方々の供給力を強め、同時に、下請業者の利益や建設労働者の方々の賃金の引上げにつなげていくことが大切です。
そこで、建設分野における物価高騰に負けない賃上げを実現し、さらには建設業界の人手不足への対処を進めていくためには、まずは公共工事における入札契約制度の一層の適正化等から対応を始めるべきと考えますが、総理にお伺いをいたします。
最後になりますけれども、所有者不明土地問題に関して伺います。
地球温暖化により激甚化、頻発化する自然災害、さらに発生が懸念される大規模地震から我が国の国土を守り、国民の命と生活を守り抜くために、現在、政府は、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の下、その対策を急いでおります。
国土強靱化事業が進捗した成果は着実に出ております。全国の都道府県知事、市区町村長からは、防災・減災、国土強靱化事業が完成していたことで、従前なら災害が発生したレベルの豪雨でも何とか持ちこたえることができたとの声を伺っております。
しかし、防災・減災、国土強靱化事業や高速交通ネットワーク整備事業でも、必要となる事業用地の買収に手間取れば、事業着手も事業効果を得ることも遅れてまいります。
その際、特に困難と言われているのは、所有者が不明となっている土地の取得です。土地の所有者の探索等に多大な時間、費用を要し、円滑な土地利用の支障となっております。また、所有者による適正な管理がされず、放置されたままの、放置されたままとなり、土砂崩壊などの災害危険性も高まっております。
平成二十九年に、この本会議場で決算代表質問において安倍総理から大変前向きな答弁をいただいて以降、政府における取組が加速し、令和三年に民法と不動産登記法が改正され、さらに、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律が制定されたことで、相続登記、住所等の変更登記の申請義務化、相続土地国庫帰属制度や所有者不明土地・建物の管理に特化した財産管理制度が創設されました。
ただ、大切なのは、この法律により、所有者不明土地問題の解決に向けて、どれだけ事態が改善し、我が国の貴重な財産である土地が有効に活用され、次世代にしっかりと受け継いでいくことが、今に生きる私たちの使命であると考えます。
この件について、政府の取組の状況をお尋ねした上で、総理にお考えをお伺いして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/4
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005・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 豊田俊郎議員の御質問にお答えいたします。
参議院における決算審議の意義についてお尋ねがありました。
これまでの参議院における決算審議の改革を踏まえ、政府としては、決算の早期提出や審議内容の予算への反映などに取り組んでまいりました。
また、先月十一月十日ですが、会計検査院の令和四年度決算検査報告事項や国会での審議内容を令和六年度予算等に的確に反映するよう、閣僚に指示をしたところであります。今後の審議においても、決算の内容を丁寧に説明をし、御審議等の内容を予算や政策に反映するよう努めてまいります。
力による一方的な現状変更の試みに対するASEANとの連携についてお尋ねがありました。
インド太平洋地域が成長の中心であり続けるためには、地域、国際社会の平和と安定が維持されることが不可欠です。そのためには、世界のどこであっても力による一方的な現状変更の試みは許してはならず、また、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くことが重要です。
ASEANは、日本の掲げる自由で開かれたインド太平洋、FOIPと、開放性、透明性、国際法の尊重を始めとする本質的な原則を共有するインド太平洋に関するASEANアウトルック、AOIPを掲げています。今週末に開催する特別首脳会議では、このようなASEANとの間で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序並びにインド太平洋、さらには世界の平和と、平和で安定した未来を共につくっていくパートナーであるという点について改めて確認をし、これら実現のための具体的な取組の中身とともに、世界に向けて広く発信をしたいと考えています。
公共事業における入札契約制度の適正化についてお尋ねがありました。
これまで、公共事業予算の安定的な確保を図りつつ、十一年連続で労務単価を引き上げ、実勢を踏まえた適正価格による工事発注やダンピング対策、資材高騰に対応した契約変更など、公共工事における入札契約制度の適正化を進めてまいりました。
その上で、賃上げ原資の確保に向けた構造的な対策として、公共工事、民間工事を問わず、国が適正な労務費の目安を示し、下請業者を含め、その活用を強く促していく法制的な措置について具体化を進めてまいります。
こうした取組を通じ、建設業が将来にわたって防災・減災、国土強靱化や経済成長を支える社会資本整備の役割を担っていただけるよう、環境を整備してまいります。
そして、所有者不明土地問題の解消に向けた政府の取組状況についてお尋ねがありました。
相続登記がされないこと等によって生ずる所有者不明土地は、公共事業の用地買収等の際に所有者の探索に多大な時間と費用を要するなど、国民経済にも著しい損失を生じさせる重要な課題です。
御指摘の令和三年の法改正により創設された相続土地国庫帰属制度や新たな財産管理制度は、本年四月から段階的に施行されており、所有者不明土地の発生予防と利用の円滑化に向けて着実に成果を上げてきています。また、来年四月からは、所有者不明土地対策の中核を成す相続登記の申請義務化が始まります。
政府としては、地方公共団体や関連分野の専門家等と連携、連携協力をし、新制度に関するきめ細やかな広報啓発等に取り組んでいるほか、地籍調査や法務局による地図作成を含め、総合的な所有者不明土地対策を進めているところであり、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣鈴木俊一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/5
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006・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 豊田議員の御質問にお答え申し上げます。
岸田政権下での財政政策についてお尋ねがありました。
令和四年度一般会計決算においては、税収が過去最高の七十一・一兆円となり、公債金収入についても、令和三年度の五十七・七兆円から五十・五兆円へと抑制しております。
この背景には、新型コロナの感染拡大や物価高騰といった未曽有の事態に対し切れ目のない対策を行ってきたこともあると認識しており、実際、足下の経済状況を見ますと、百兆円に迫る旺盛な投資意欲が見られるとともに、GDPがコロナ前の水準を超えるなど、明るい兆しが見え始めてきております。
他方、構造的賃上げや財政健全化など、政府が取り組むべき政策課題はいまだ山積しており、今後とも気を緩めることなく、骨太方針二〇二三等に盛り込まれた取組をしっかりと前に進めてまいりたいと考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/6
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007・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 徳永エリ君。
〔徳永エリ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/7
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008・徳永エリ
○徳永エリ君 立憲民主・社民の徳永エリです。
ただいま議題となりました令和四年度決算について、会派を代表して質問させていただきますが、その前に、安倍派、清和政策研究会を始めとする自民党五派閥の政治資金パーティーの収支をめぐる疑惑、裏金パーティー事件について問わなければなりません。
安倍派のキックバックの総額が、直近五年間で数億円に上ることが関係者の話で明らかになったということです。次々と安倍派の議員の名前が報じられていますが、一人で五千万円を超えるキックバックを受け取ったとされる議員の名前も挙がっています。総理、キックバックについて、収支報告書に記載せずに裏金として蓄える還流の構造は、自民党の派閥の中だけではなく、地方も含めて常態化しており、そのことは総理も御存じだったんじゃないですか。派閥の点検だけではなく、地方も含めて、自民党の中を総点検する必要があると考えますが、総理に伺います。
総理は松野官房長官の更迭を検討しているということですが、先日の予算委員会の集中審議で、我が党議員の求めに対して、更迭を否定したにもかかわらず、一転、更迭を検討しているのは、やましいことがあったからなのではないですか。なぜ官房長官を更迭するのですか。総理、御説明ください。
また、西村経産大臣、萩生田政調会長、高木国対委員長、世耕参議院幹事長など、安倍派の主要な閣僚や党役員にも疑惑が浮上しており、総理は、内閣改造や党の役員人事を交代することを検討しているということですが、疑惑は安倍派だけではありません。もう内閣総辞職は避けられないところまで来ているのではないでしょうか。場合によっては総理の辞任も避けられないのではないですか。総理のお考えを伺います。
裏金パーティー事件は、政治資金規正法第二十五条の虚偽記入罪などに当たり、また、所得税法違反の疑いもある、つまり脱税です。さらに、派閥からキックバックを受け取った議員はもちろん、そのキックバックに共謀、教唆などで関与した派閥の会長や事務総長ら、同法二十六条の共同正犯、共犯の罪を負うことになります。さらには、パーティー券を購入した個人や団体との関係では、刑法第二百四十六条の詐欺罪やその共同正犯、共犯を犯していることになります。
これまでの国会質疑の中で、総務省、法務省は、一般論として、これらの犯罪の成立を認める法令解釈を示しています。裏金パーティー事件は、捜査の結果によっては刑罰犯罪に当たる大事件だという御認識はあるのでしょうか。総理、官房長官、経産大臣にそれぞれ伺います。
法務大臣に伺います。
検察当局は、ただいま指摘させていただいた刑罰違反について、いかなるときも、誰が対象であっても、法と証拠に基づき、厳正な捜査をしていただかなければなりません。検察は、事実の解明を求める国民の声にしっかり向き合って、期待と信頼に応えていただきたいと思います。小泉法務大臣の明確な答弁を求めます。
インボイス導入、防衛増税で国民に負担を強いて、自分たちは裏金作り。国民の政治家への不信感は、これまでにないほど高まっています。権力の集中、おごり、緩み、慢心から起きたこの裏金パーティー事件について、逃げずに国会や国民に説明責任を果たしていただきたいと思います。疑惑が事実かどうか、また、裏金を何に使ったのかも明らかにしていただきたい。また、重ねて、この問題の責任を自民党総裁としてどのようにしてお取りになるのか、総理にお伺いいたします。
それでは、令和四年度の決算について質問させていただきます。
令和四年度決算ベースの一般会計プライマリーバランスは二十三・六兆円の赤字です。前年度と比べて改善は見られますが、行政サービスを提供するための政策的経費を借金に依存する現状は変わらず、政府は二〇二五年度PB黒字化を目標としていますが、厳しい状況が続いていることは否めません。総理、PB赤字を解消して黒字化を達成することができるのでしょうか。できるとおっしゃるのであれば、具体的にどのようにして達成するのか、お答えください。
令和四年度決算検査報告では、令和二年、三年、両年度のコロナ関係予備費五十事項、七府省等の五十六事業が検査の対象となり、予備費使用額は十二兆六千五億円となっています。憲法上、予備費は予見し難い予算の不足に充てるための費用と規定されており、緊急時のための予算措置であるべきです。新型コロナウイルス感染症の流行という想定外の事態に見舞われ、予算の適切な見積りが困難な状況に直面した直後ならともかく、その後も巨額の予備費を計上し続けていることは問題ではありませんか。また、令和二年度のコロナ関係予備費が四兆七千九百六十四億円も翌年度に繰越しになったことも憲法の趣旨から逸脱しているのではありませんか。総理の御所見をお伺いいたします。
また、会計検査院の検査の結果、実際に予備費を使った時期が使用決定日より一か月以上も先だった支出が四府省二十八事業あることも判明しています。使用決定日から支出負担行為までの期間の短さが緊急性の目安であり、剰余金として国庫に戻さなくて済むよう未消化の予備費を使い切るために駆け込みで支出を決めたと見られても仕方がないような現在の予備費の状況は大変に問題だと思います。今後、予備費の計上に当たっては、抑制的に額を切り詰めること、また、予備費は国会のチェックが十分に行き届かないことから、執行状況はより透明性を高めて公表するべきです。
会計検査院は、事業ごとに予備費使用相当額の執行状況を公表することや、予備費使用相当額を他の用途に流用した場合その状況を、予備費使用相当額を翌年度に全額繰越しした場合は経緯を、それぞれ丁寧に示すことなど、大幅な改善を求める複数の指摘をしています。これらの指摘を真摯に受け止め、実行していくお考えがあるのか、総理にお伺いいたします。
持続化給付金を二〇二〇年末までに受給した個人事業者は二百六十三万人です。そのうち受け取った給付金を収入として計上していないと思われる二〇二〇年分所得税申告者の割合は四・八%。未申告者が数十万人に上ると推定されます。岸田政権では、国民に納税をお願いする立場にある財務副大臣の滞納が発覚し、税務行政への信頼が揺らぐ事態も起きました。会計検査院は、納税者に適正な申告を促すことに加え、給付金の収入計上の有無を確認する効果的な方策を検討する必要性なども指摘いたしております。課税の公平性の観点からもこの問題に取り組まなければならないと思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。
日本政策金融公庫などが実施した新型コロナ関連資金繰り支援、無利子無担保のいわゆるゼロゼロ融資の貸付実績は、二〇二三年三月末までに百三十一万件、二十一兆円となっています。コロナ禍では、ゼロゼロ融資によって企業の倒産件数は歴史的低水準に抑えられておりましたが、融資が終了した今年の九月以降、倒産が増えています。コロナ関連融資の返済資金が用意できず、事業を畳まざるを得ない企業は、今年に入り二百件から三百件の間で推移しています。
日本政策金融公庫による貸付けで貸付けを申し込んだ企業の状況や貸付け後の財務状況、債権回収が見込めず、焦げ付きとして処理する場合の根拠などを十分に把握せずに実施したなどの課題を会計検査院は指摘していますが、こうした貸付けは、必死で資金繰りをして事業継続を模索する事業者の皆さんには命綱のような施策です。会計検査院の指摘を踏まえつつも、いまだコロナの影響が一定残っている中で、事業の継続と再生に向けて必死で努力する皆さんを今後どのように支援し、施策の適正化と両立していくのか、総理にお伺いいたします。
原油価格高騰に伴う燃料油の卸価格の上昇を受け、小売価格の急騰を抑えて、消費者の負担を軽減することを目的に実施されている燃料油価格激変緩和対策事業について、同一の燃料油に二重で補助金を交付するミスがあり、また、ガソリンを販売するサービスステーションなどに電話を掛けるなどして価格を聞き取ることで、価格抑制の実効性を確保するために六十二億円の経費を掛けて行われたモニタリング調査の結果は非公開で、さらに、資源エネルギー庁は、小売価格の上昇が適切に抑制されたかモニタリングの報告を分析しておらず、価格抑制に寄与したかどうかも不明確です。
さらに、モニタリングの実施体制は、基金設置法人の全国石油協会から事業全体を企画立案する株式会社博報堂に委託されていますが、支援期間の延長で、二〇二三年三月の末時点で、委託費の上限は、当初の二十四億円から百二十六億円に増加しています。そして、百二十六億円のうち、博報堂の人件費等に相当する額を除いた百八億円は、審査やモニタリングを実施する別の会社に対する再委託費となっています。博報堂の人件費は、何のために何人分の人件費が必要だったのかが不透明で、いわゆる中抜きが疑われています。
また、再委託費も、当初は上限額が十九億円、それが六十二億円に引き上げられ、更に引き上げられて、今は百八億円となっています。しかも、再委託費の業務内容は、博報堂の子会社等による補助事業をアピールするためのポスターやチラシ作成などの広告費、一日に数件しか問合せのないコールセンターの開設、運営となっています。
本当に必要な業務なのか、取引内容の適正性をどのように確認しているのか、経済産業大臣にお伺いいたします。
農林水産省は、生産の増大、輸入及び備蓄を適切に組み合わせて食料が安定的に供給されるよう、食料・農業・農村基本法等に基づいて各種施策等を講じています。二〇一七年度から二〇二二年度までの食料の安定供給に向けた取組に係る事業の執行額は、計五百五十四事業、十六兆四千六百五十四億円。生産の増大、輸入、備蓄の取組別に見ると、大部分が生産の増大に関わるもので、執行額全体の七八・一%、十二兆八千六百九億円です。五年ごとに基本計画を見直していますが、二〇二〇年策定の基本計画では、二〇三〇年度の食料自給率目標を四五%としています。
しかし、これまで、食料自給率はほぼ三八%で推移し、一%も上がったことがありません。食料自給率の目標やその前提となる基本計画等に示された指標を会計検査院が検証したところ、食料自給率と家畜の飼料自給率は政策評価の指標に設定されていないことが分かりました。また、目標年度において未達成のもの、目標と対比可能な実績が把握されていないものなどが見受けられ、農林水産省は、指標の進捗状況は検証していますが、基本計画の目標年度における達成状況はこれまで検証していませんでした。
会計検査院は、食料の安定供給に向けた取組について、効率的、効果的な施策の実施に資するよう、基本計画等に示された指標に係る目標の達成状況等の検証を農林水産省が適時適切に行う重要性を指摘しています。検証を行い、その結果を次の計画に反映させなければ、目標は達成することはできません。会計検査院の指摘について、宮下農林水産大臣の御見解を伺います。
来年は、農業の憲法と言われる食料・農業・農村基本法が二十五年ぶりに改正となります。物価高による生産コストの増大による経営不振や高齢化で離農が相次ぐ中、また、世界情勢の変化や地球温暖化の影響もあり、持続可能な農業、食料安全保障を守ることは重要かつ喫緊の課題であります。その御認識は総理にはおありなんでしょうか。
また、来年の法改正は、我が国農業の大きな転換点となります。方向性を間違えると取り返しの付かないことになりかねません。総理には是非、農協法改正案の審議のときと同様に、農林水産委員会に御出席いただいて、我が国農業の未来について直接議論させていただきたいと思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。
決算を重視する参議院では、充実した決算報告の審査を行うべく、十分な時間が確保されるよう、また決算審査で指摘された課題を各省庁が真摯に受け止めて改善を図り、次年度の予算編成にしっかり反映できるよう、これまで様々な改革に取り組んでまいりました。
しかし、残念ながら、令和四年度決算では、税金の不適切な支出や無駄遣いが指摘された国の事業は三百四十四件、金額にして前年度比二七%増の五百八十億二千万です。
来年度予算の編成に向けて、会計検査院の指摘をどのように反映していくのか、国家の財政が厳しく、物価高で苦しい経営や家計をやりくりしながら収めていただいている国民の血税の無駄遣いをどうなくしていくのか、総理の決意を最後にお伺いして、質問を終わります。
御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/8
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009・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 徳永エリ議員にお答えいたします。
自民党の各政策集団の関係政治団体の政治資金パーティーに係る政治資金収支報告書の記載等に関してお尋ねがありました。
自民党の各政策集団の関係政治団体の政治資金パーティーについては、様々な指摘がなされ、その結果として国民の政治に対する信頼が揺らぎ、自民党全体に対しても厳しい目が向けられていることを承知しており、党としても強い危機感を持って、しっかりと対応してまいります。
現在、関係する政治団体における事実確認等が行われており、また政治団体の政治資金パーティーに関して告発がなされているものと承知をしております。自民党の地方組織についても適切な対応を指示しているところですが、いずれにせよ、今後事態が明らかになっていく状況を踏まえつつ、問題の原因や課題等を把握しながら、国民の信頼回復の観点から必要な対応を行ってまいります。
人事についても、政治の信頼回復と国政の遅滞回避のため、しかるべきタイミングに適切な対応を取るということに尽きると考えております。
いずれにせよ、党として必要な対応を行うことはもちろんのこと、政府としても一層の緊張感を持って、引き続き与えられた課題に全力で取り組んでまいります。
なお、一般論として申し上げれば、個別の行為が刑罰法令に触れるか否かについては、個別の事案ごとに具体的な事実関係に基づいて判断されるべき事柄であると承知をしております。
プライマリーバランス黒字化目標についてお尋ねがありました。
私の経済財政運営の基本は、従来から申し上げてきたとおり、経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして財政健全化に向けて取り組んでいくというものです。
今回取りまとめた経済対策においても、最優先にしていることは、デフレからの脱却を行い、経済を成長軌道に乗せるということです。経済が成長してこそ、税収も増え、そして財政健全化にもつながっていくと考えております。
また、今回の補正予算においては、合わせて五兆円となる特定目的予備費を半減し財源として活用するとともに、国債発行による公債金収入を令和四年度第二次補正予算よりも着実に抑制するなど、平時の歳出構造に向けた一つの道筋を示すことができたと考えております。
年末までの予算編成過程で更なる歳出構造の平時化を検討してまいります。こうした取組を通じて、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化というこれまでの財政健全化目標に取り組んでまいります。
予備費についてお尋ねがありました。
予備費は予見し難い予算の不足に充てるために設けられている制度であり、これまで、新型コロナや物価高騰などの予測困難な事態に対し、国民生活を守るため適切と考えられる規模の予備費を国会の議決を受けた上で予算計上し、機械的に使用、失礼、機動的に使用してきたことは適切な対応であると考えております。
予備費に限らず、年度内にその支出を終わらない見込みであるものは、一定の要件の下、翌年度に繰り越すことが認められており、近年の予算においては結果として繰越額が大きくなっていること、これは事実ですが、それをもって憲法の趣旨に反するとの指摘は当たらないと考えております。
その上で、予備費の使用に当たっては、これまでも憲法、財政法の規定に従い、必要性や緊急性等を検討の上で使用決定してきているところですが、会計検査院からの指摘をしっかりと受け止めた上で、引き続き適切な運用を行い、十分な説明責任を果たしていくことが重要であると考えております。
持続化給付金の申告、そして納税についてお尋ねがありました。
持続化給付金を含め、法令上課税の対象となる政府の給付金等については、受給した事業者の方々に適正に申告、納税していただくことが必要だと考えております。
このため、持続化給付金について、関係省庁のホームページにおいて課税関係に関する周知広報を行い、受給者による適正な申告、納税を促すとともに、国税庁が中小企業庁に持続化給付金の受給状況を照会し、申告の適正性を確認するなどの取組を行ってきたところです。今後とも、こうした取組を通じて適正、公平な課税を実現してまいります。
事業継続に向けた支援と施策の適正化の両立についてお尋ねがありました。
会計検査院からは、日本公庫等によるいわゆるゼロゼロ融資について、一定程度リスクがある融資が見受けられることを踏まえ、債務者の状況把握等を引き続き適切に実施することなどに留意しつつ、資金繰り支援等を適切に実施していく必要があるとの所見が示されたと承知をしております。
政府としては、こうした指摘も踏まえつつ、同時に、引き続き事業者に丁寧に寄り添い、据置期間延長等の申出に柔軟に対応するよう金融機関等に対する要請を実施するとともに、返済負担軽減のために措置したコロナ借換え保証や三月末まで申込期限を延長した日本公庫等による低利融資の活用の促進など、引き続き資金繰り支援などにきめ細かく柔軟に取り組んでまいります。
食料安全保障の認識と食料・農業・農村基本法改正の国会審議についてお尋ねがありました。
農業者の減少、高齢化、農地面積の減少など、国内の食料供給基盤の弱体化が危惧されるとともに、ウクライナ情勢によるサプライチェーンの混乱や気候変動による世界的な不作の頻発など、世界的に食料供給は不安定なものとなっています。このような中で、食料安全保障の強化は待ったなしの課題であると認識をしています。
政府としては、こうした認識の下、食料・農業・農村基本法について来年の通常国会への改正案の提出に向けて検討を進めているところですが、法案提出後の国会審議の在り方については国会でお決めいただくものと承知をしております。
会計検査院の指摘の反映等についてお尋ねがありました。
会計検査院の決算検査報告において多くの指摘を受けたこと、これは誠に遺憾なことです。検査報告を真摯に受け止め、行政に対する国民の信頼を取り戻すため、先月、十一月十日ですが、閣僚に対し、事務事業の在り方の見直しや適正な会計処理の徹底など検査報告事項の確実な改善に努めること、検査報告事項等を令和六年度予算等に的確に反映すること、これらを指示したところです。
我が国の財政が厳しさを増している中で、予算の効率的かつ適正な執行を行うことは重要であり、政府として、決算検査報告の指摘事項等を踏まえ、予算執行や次年度以降の予算に的確に反映してまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣松野博一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/9
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010・松野博一
○国務大臣(松野博一君) 徳永エリ議員にお答えいたします。
政治資金パーティーをめぐる問題についてお尋ねがありました。
このことについては、各政治団体において事実確認がなされているものと承知しており、また、報道によれば、各政治団体の政治資金の取扱いについては刑事告発がなされ、それに関連して捜査が行われているものと承知しております。
いずれにせよ、一般論として申し上げれば、特定の行為が犯罪に当たるか否かについては、個別具体の事実に即して、法と証拠に基づいて判断されるべきものと認識しております。(拍手)
〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/10
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011・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 徳永エリ議員からの御質問にお答えいたします。
政治資金パーティーをめぐる問題についてお尋ねがありました。
私の所属する清和政策研究会の政治資金の取扱いについて多くの方に疑念を持たれ、また、報道によれば、刑事告発がなされ、それに関連して捜査が行われているものと承知をしております。清和政策研究会の一人として責任を感じており、政治不信につながっていることについておわび申し上げます。
現在、清和政策研究会において慎重に事実関係の精査が行われているものと承知をしております。また、私自身の政治資金については、帳簿の保存期間である三年を超えるものも含め、確認、精査をさせているところであります。
いずれにせよ、もし捜査当局から求めがあれば全面的に協力をしてまいります。適正に対応を行った上で、どこかのタイミングで説明責任を果たしたいと考えております。
また、燃料油価格激変緩和対策事業の具体的な執行業務の内容についてお尋ねがありました。
このような大規模な事業の執行については、経済産業省の会計上のルールにおいて、事業全体の企画及び立案並びに根幹に関わる執行管理業務を事務局から再委託、外注できないこととしています。
その上で、モニタリング調査やコールセンター業務など、具体的な業務の執行体制について再委託する場合の体制も含め公募を行い、事務局の公募を行い、外部の第三者委員会において提案内容を総合的に審査し、決定をしております。特に、再委託費率が五〇%を超える場合は、履行体制図と理由書を提出させ、経済産業省においてその妥当性を確認することとしております。
こうした手続を経て本事業の事務局を担うこととなった博報堂は、審査やモニタリング業務、広報やコールセンターといった多種多様な業務の進捗管理やシステム構築などの全体を統括する役割を担っており、さらに、専門性が求められる個別具体業務については、専門業者に再委託することで事業全体の品質確保と効率化を図っているところであります。
御指摘のポスター等の広告やコールセンターについては、国民の皆様にきめ細かく情報提供を行う上で不可欠でありますが、例えば、コールセンターの体制については、補助事業の定着により問合せ件数も減ってきているため、制度開始当初の三十二名から四名に、八分の一に縮小するなど、適宜見直しを図りながら業務の適正化を図っているところであります。
最終的には事業終了後に精算払いをする予定としております。その際、確定検査を通じて支出実績等をしっかり確認、精査することとしており、不用額が生じれば減額することとしております。
経済産業省としても、事務局を務める博報堂から日々報告を受けながら、事業全体が実効的かつ効率的に行われるよう指導してきているところですが、先般の会計検査院からの指摘も踏まえ、十月にはモニタリング調査の方法を見直したところであり、今後、更なる改善に向けて検討を進めております。
引き続き、事業運営の効率化、適正化を図りながら、燃料油価格の負担軽減に取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣小泉龍司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/11
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012・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 徳永エリ議員にお答えを申し上げます。
検察当局の捜査の姿勢についてお尋ねがございました。
捜査機関の活動内容に関わる事柄については、法務大臣としてお答えをすることは差し控えますが、一般論として申し上げれば、検察当局においては、厳正公平、不偏不党を旨として、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処するものと承知しております。(拍手)
〔国務大臣宮下一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/12
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013・宮下一郎
○国務大臣(宮下一郎君) 徳永エリ議員の御質問にお答えをいたします。
食料自給率等の指標に係る目標の達成状況等の検証についてのお尋ねがございました。
会計検査院が十一月に公表した報告書において、食料自給率等において進捗状況は検証していても目標年度における目標の達成状況を検証していないと指摘されていることについては承知をしております。
食料自給率目標を含む食料・農業・農村基本計画については、基本法第十五条七項により、おおむね五年ごとに見直しを行うこととされ、目標年度の十年後を待たずに五年ごとに検証、見直しを行うこととしています。その際、五年時点で、生産努力目標など、十年後の目標の達成見込み等を検証することで、食料・農業・農村政策審議会の意見も聞きながら、さらに、新たな目標について設定を行ってきております。
一方、本年六月に取りまとめた食料・農業・農村政策の新たな展開方向において、様々な指標を活用、分析し、我が国の食料安全保障の状況を定期的に評価する仕組みを検討する旨が定められております。
今後、基本計画における目標設定の在り方については、会計検査院の検査結果も踏まえつつ、施策が一層効果的、効率的に実施できる仕組みとなるよう、検討を行ってまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/13
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014・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 横山信一君。
〔横山信一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/14
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015・横山信一
○横山信一君 公明党の横山信一です。
まず、自民党派閥の政治資金パーティーに関し、総理に伺います。
この週末の報道を通して、国民の多くがその行方を注視していると思います。総理には、リーダーシップを発揮し、再発防止と国民の信頼回復に全力で取り組んでもらわなければなりません。
そのためには、政治資金の透明性を図る政治資金規正法の見直しはもちろんのこと、公明党が提案している調査研究広報滞在費の使途の限定や公開、未使用分の返納、当選無効議員の歳費返納など、あらゆる政治改革を断行する必要があると考えますが、総理の決意を伺います。
続いて、令和四年度決算について、総理並びに関係大臣に質問してまいります。
初めに、予備費についてです。
会計検査院は、参議院決算委員会からの要請を受け、本年九月に予備費の使用状況に関する会計検査の結果を本院議長に報告しました。それによると、予備費使用相当額の執行状況や流用、繰越し等の実態が明らかとなりました。
予備費は、新型コロナ感染症の脅威から国民の命を守り、経済社会活動の機能維持を図るために機動的に使用されました。その結果、コロナ禍を乗り越えることができましたが、多額の予備費が国会の事前決議の例外の下で執行されることとなりました。
今般の会計検査院の指摘を踏まえ、今後の非常時における予備費の在り方について、有識者を交えてガイドライン等を検討してはどうかと考えますが、総理の見解を伺います。
コロナ禍で苦しむ中小企業を救済するため、公明党も積極的に推進してきた持続化給付金の令和二年度の支出実績は、四百二十四万件、五・五兆円に上りました。
令和二年十二月末までに給付金を受給した個人事業者を会計検査院が検査したところ、申告データを確認できた八千九百三人のうち、給付金を収入計上していないと思われる者が四百二十八人いました。同じ給付金を受給しながら納税状況に差が出る事態は、公平な課税の観点から問題です。会計検査院は現行の申告審理や照会手続の中で効果的な方策の検討を求めていますが、受給者の多くは経営難に陥った事業者です。
今後も大規模災害などの発生があれば多額の給付事業が考えられるため、税務行政のDX化を進める中で課税の効率化や高度化に取り組む必要があります。
まずは、同様の給付事業が実施される場合には課税対象とすべき者には適正に申告するよう、国税当局において適切に対応する必要があると考えますが、財務大臣の見解を伺います。
食料の安定供給に向けて平成二十九年度から令和四年度まで十六兆円以上の事業費を執行しましたが、食料自給率は三八%と低い状況が続いています。
会計検査院では、総供給熱量に占める割合が大きい米などの十一品目について食料自給率への寄与度を試算した結果、小麦と大豆以外の品目は生産を増やしても寄与度が低いことが分かりました。
農林水産省では小麦と大豆の生産拡大を図っていますが、基本計画における令和十二年度の自給率目標は小麦が一九%、大豆が一〇%であり、計画どおりに目標を達成しても海外依存度が高いままです。
農林水産省は基本計画等で示された指標の進捗状況を検証していますが、会計検査院は基本計画の目標の達成状況等の検証を求めています。
国産小麦と大豆の消費が伸びれば食料自給率は向上します。そこで、基本計画において小麦と大豆の生産目標の達成状況等の検証を随時適切に行い、より一層の生産と消費の拡大を推進すべきと考えますが、農林水産大臣の見解をお伺いいたします。
〔議長退席、副議長着席〕
会計検査院より、NEXCO三社と本州四国連絡高速道路の四社に対し、各会社が管理する橋脚の耐震補強の実施状況に関する意見表示がありました。
高速道路は、地域防災計画において緊急輸送道路に位置付けられており、平成八年より前の示方書を適用して設計し、既に供用している橋梁は耐震補強することになっています。四社が管理する橋梁一万七千六百五のうち、落橋・倒壊防止対策は一〇〇%完了していますが、機能性回復のための対策は七七%にとどまっており、四千五の橋梁が未完了です。これらは地震時のミッシングリンクとなったり、緊急輸送道路として機能しないおそれがあるので、会計検査院は効率的な整備手法の検討を求めています。
会計検査院の意見表示を踏まえ、今後の橋脚補強の効率的な整備をどのように進めるのか、国交大臣に伺います。
十一月十六日の日中首脳会談では、本年が日中平和友好条約四十五周年の節目であることを踏まえ、総理は、日中両国が世界の平和と安定に貢献するための責任を果たすことなどを述べた上で、尖閣諸島周辺などの東シナ海情勢についての深刻な懸念の表明や日本産食品の輸入規制の即時撤廃などを求めました。
その後、二十二、二十三日には公明党の山口代表らが訪中し、中央弁公庁主任の蔡奇氏に習主席宛ての総理の親書を手渡しました。帰国後、山口代表は総理に、蔡奇氏から日中与党交流協議会の再開の提案があったことや、王毅外相からALPS処理水の海洋放出に関し、中国側から安全性を確認したいとの発言があったことなどを報告しました。
二十五日には、日中韓外相会議を前に、上川外務大臣が王毅外相と会談しました。そこでは、ALPS処理水の問題について、中国側から独自モニタリングの要請があり、専門家レベルで科学に立脚した議論を行っていくことが確認されています。
そこで、総理は、日中首脳会談とその後の山口代表らの訪中、日中外相会談の成果を踏まえ、日中間の課題解決にどう取り組むのか、伺います。
伝統的工芸品の生産額と従業者数は年々減少しています。伝統的工芸品に対する内需が縮小する中で、海外需要を取り込むことが重要です。
そのためには、四つの課題があると考えます。
一つ目は、売り込み先です。クールジャパン機構は日本文化と食材をセットにしたイベントを米国やマレーシアで開催しましたが、十分な成果を出していません。伝統的工芸品は、歴史と文化を大切にするヨーロッパに売り込むべきです。また、事業者が対面で海外のバイヤーと商談できる支援も必要です。
二つ目には、伝統的工芸品に関する政府の補助金は産地組合が対象ですが、海外需要を考える組合が少ない現状では、海外展開に意欲的な事業者にまで支援が届きません。
三つ目には、和食文化は料理と食材だけで成り立つものではなく、皿やわんなどと一体のものですが、農林水産物と伝統的工芸品との一体的な輸出戦略がありません。
四つ目には、伝統的工芸品の職人は個人事業者が多く、現地事情に精通した在外公館等からの支援が得られない中では現地のニーズをつかむことは困難です。
こうしたミスマッチを解消し、意欲ある事業者を国際展示会に送り出していくことが海外需要の取り込みに必要と考えますが、総理の見解を伺います。
最後に、公明党は、物価高を乗り越えられる賃金水準を実現するために、中小企業の持続的賃上げや成長力強化につながる設備投資の後押しに全力で取り組むことをお誓いし、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/15
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016・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 横山信一議員の御質問にお答えいたします。
まず、政治改革についてお尋ねがありました。
自民党の各政策集団の関係政治団体の政治資金パーティーについて様々な指摘がなされ、その結果として、国民の政治に対する信頼が揺らぎ、自民党全体に対しても厳しい目が向けられていることを承知しており、党としても強い危機感を持って、しっかりと対応してまいります。
そして、その他のお尋ねの点については、議員活動の在り方に関する問題であることから各党各派において御議論いただく必要がありますが、自民党としても、こうした議論に貢献すべく、努力をしてまいります。
そして、予備費の在り方についてお尋ねがありました。
コロナ関係予備費の使用について、新型コロナウイルスという不測の事態から国民生活や事業、生活を守り抜くため、臨機応変に、かつ時機を逸することなく対応を講じてきたものであり、当時の社会経済情勢に照らしても必要かつ適切な対応であったと考えております。
予備費の使用に当たっては、これまでも憲法、財政法の規定に従い、必要性や緊急性等を検討の上で使用決定してきているところですが、会計検査院からの指摘をしっかりと受け止めた上で、引き続き適切な運用を行い、十分な説明責任を果たしていくことが重要であると考えており、どのように説明責任を果たしていくのか、これは不断に検討を進めてまいりたいと思います。
そして、日中関係についてお尋ねがありました。
日中両国間には、様々な可能性とともに数多くの課題や懸案があります。その中で、中国側に対し、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含め対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力をし、建設的かつ安定的な日中関係の構築を双方の努力で進めていくというのが岸田政権の一貫した方針です。この方針に基づき、先月、日中首脳会談を行い、我が国の基本的な立場を習近平主席にしっかりと直接伝え、日中関係の大きな方向性を確認できました。このことは大変有意義であったと考えております。
こうした中、先般、山口那津男公明党代表が訪中され、中国側要人との間で有意義な意見交換が行われたことは、両国の交流や意思疎通強化に資するものであったと考えております。
今般の日中首脳会談、また、それに続いて行われた山口代表一行の訪中、そして日中外相会談の成果も踏まえ、引き続き、首脳同士を含むあらゆるレベルでの意思疎通を重ね、建設的かつ安定的な日中関係の構築を双方の努力で進めていく考えです。
なお、ALPS処理水については、建設的な態度をもって協議と対話を通じて問題を解決する方法を見出していくことで一致をしており、今後、専門家レベルで科学に立脚した議論が行われることとなります。引き続き、我が国の取組等につき透明性を持って説明し、日本産食品の輸入規制の即時撤廃を強く求めてまいります。
伝統的工芸品の販路開拓についてお尋ねがありました。
伝統的工芸品は、地域の産業、雇用を支える重要な産業であり、その発展には欧州を始めとする海外需要の取り込みが不可欠です。御指摘についてはいずれも重要な観点であり、来年度から、クールジャパン機構がこれまでつくってきたネットワークを活用し、欧州の展示、商談拠点での販路開拓等を支援するとともに、補助事業の支援メニューにおいて、伝統的工芸品と日本の食文化を組み合わせ、魅力を発信するための海外展示会への出展支援が可能であることを明記をいたします。
また、海外展示会への出展支援を行う補助事業では、組合のみならず、事業者への直接支援も既に実施していますが、より広く活用いただけるようにPRを行っていくとともに、補助事業を活用する事業者等に対する在外公館やジェトロのサポートについてもしっかりと強化をしてまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣鈴木俊一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/16
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017・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 横山議員の御質問にお答えいたします。
政府の給付金等に関する適正な申告の確保についてお尋ねがありました。
政府の給付金等のうち課税となるものについては、受け取った国民、事業者の方々に適正に申告、納税していただくことが必要であり、仮に今後、議員御指摘のような給付がなされた場合には、これまでと同様、その課税関係について国税庁ホームページ等において情報提供を行うほか、国民、事業者の方々からの御相談に丁寧に対応するなど適切に取り組んでまいります。
また、関係省庁とも連携して、課税上有効な資料の収集に努めながら、引き続き適正、公平な課税の実現に向けて取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣宮下一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/17
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018・宮下一郎
○国務大臣(宮下一郎君) 横山信一議員の御質問にお答えをいたします。
食料自給率向上に向けた小麦、大豆の生産、消費拡大についてのお尋ねがございました。
食料・農業・農村基本法においては、食料、農業及び農村をめぐる情勢の変化を勘案し、施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに食料・農業・農村基本計画を見直すものとされています。
現在の食料・農業・農村基本計画では、小麦、大豆の消費、生産の動向と課題を検証した上で、令和十二年度の生産努力目標として、小麦百八万トン、大豆三十四万トンを掲げておりますが、小麦は平成二十五年産の八十一万トンから十年で約四割増加し、直近の令和五年産では目標を上回る百十万トン、大豆は平成二十五年産の二十万トンから約二割増加し、令和四年産で二十四万トンと順調に増加しています。
国産小麦、大豆の更なる生産、消費の拡大に向けて、生産面では、作付けの団地化や生産性向上のための営農技術の導入、新たな品種の開発、導入、流通面では、安定供給の確立に向けたストックセンターの整備など民間による調整保管機能の拡充、消費面では、生産と実需の連携強化による国産小麦、大豆を使った新商品の開発など、総合的な支援を進めてまいります。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/18
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019・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 横山信一議員から、高速道路の耐震補強についてお尋ねがありました。
高速道路の耐震補強は、大規模地震発生時に緊急輸送道路として円滑で迅速な復旧活動を支える観点から極めて重要であると考えております。
令和四年度末時点において、高速道路会社四社が管理する一万七千六百五橋全てで落橋、倒壊を防ぐ耐震対策は完了しております。段差発生の防止など、橋としての機能を速やかに回復させるための耐震対策は、七七%に当たる一万三千六百橋で完了しております。残る四千五橋については、会計検査院からの御指摘を踏まえ、高速道路会社四社において、上下線の橋脚が分離している橋梁では、どちらか一方の橋脚補強を優先するなどの手法も検討した上で、改めて今後の実施計画を策定することとしております。
さきの通常国会で改正した道路整備特別措置法に基づく料金徴収期間の延長による財源も活用し、高速道路の更新事業と併せ、引き続き耐震補強対策を推進してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/19
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020・長浜博行
○副議長(長浜博行君) 串田誠一君。
〔串田誠一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/20
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021・串田誠一
○串田誠一君 日本維新の会の串田誠一です。
私は、会派を代表して、令和四年度決算について総理に質問いたします。
冒頭に一言、意見を申し上げます。
社会に波紋を広げている政治と金の問題は、疑惑が政権の中枢に達しています。キックバックによる裏金作りが事実であれば、脱税に当たり得る犯罪行為であり、訂正で済まされるミスではありません。一方で、疑惑の張本人を含む政府は追及に対して、答弁を差し控えるの繰り返しで、事の深刻さを理解されていないのではないでしょうか。自らの身を細かくただすことすらできない政治家に大きな改革など望むべくもありません。
企業・団体献金の完全廃止、パーティー券ルールの厳格化、文通費の情報公開、日本維新の会は、大きな改革への一歩としてこれらの身を切る改革を求め続けます。
令和四年度予算には、コロナ・物価高予備費が計九兆八千六百億円計上されています。一方で、ウクライナ予備費も一兆円計上されていますが、こちらの使用額はゼロ円となっています。
令和五年三月二十八日に、輸入小麦の政府売渡価格の激変緩和措置がコロナ・物価高予備費から使用決定されました。しかし、小麦輸出量でロシアが世界一位、ウクライナが五位であることを考慮すると、ウクライナ予備費でも使用できたのではないでしょうか。なぜウクライナ予備費ではなくコロナ・物価高予備費を使用したか、総理に説明を求めます。
これらの特定目的予備費について、目的が重複しないよう明確に整理し、より一層使途を限定すべきではなかったでしょうか。総理の考えを伺います。
令和四年一月から開始された燃料油価格激変緩和補助金は、予算総額で六兆円を超えています。ガソリン価格の引下げ効果は認めるものの、世界的に化石燃料への補助から脱却する流れが加速する中で、自民、公明、国民の三党は、トリガー条項凍結解除をめぐり協議を開始しています。
基準となる価格の前後でガソリン価格が乱高下し得るトリガー条項の凍結解除は、出口戦略の策定を困難にすると推察しますが、総理の見解を伺います。
ガソリン価格を引き下げつつ出口戦略を示すためには、トリガー条項発動時には引き下げられる暫定税率自体をそもそも廃止し、ガソリン価格の乱高下を防ぐべきと思料しますが、総理の考えを伺います。
東京都は、都内在住の高校生を対象として、私立校を含めた全ての高校授業料を実質無償化する方針を固めました。大阪府は、これに先立って、所得制限のない高校授業料完全無償化を全国で初めて段階的に実施しています。
日本が少子化の一途をたどるのは、教育費負担への不安感が国民の足かせとなってきたからこそと考えます。総理は、教育費負担と少子高齢化がどのような関連するとお考えか、認識を伺います。
また、教育の無償化を大阪や東京にとどめてしまっては、地方から都市への人口流出は加速することになります。この理由の一つには財源不足があると思料します。であればこそ、国が一律に予算を計上し、教育の無償化を全国で実現すべきです。しかしながら、令和四年度も五年度も教育無償化の予算はありません。
総理には大阪府と東京都で実現する教育の無償化を全国で実現する考えはあるか、お伺いします。
令和四年度の予算編成に当たっては、経済の好循環を実現するため、物価高を超える賃上げへの取組が強調されています。総理は、衆参の予算委員会で、過去幾度も実質賃金を上げることは重要である旨の答弁を行っています。しかし、これまで再三再四同様の答弁がなされてきたにもかかわらず、また過去の大規模な経済対策にもかかわらず、なぜ実質賃金は下がり続けているのでしょうか。
来年度に実質賃金の上昇が実現できるのであるならば、令和四年度にはなぜ達成できなかったのか、その理由が明確であるならば、なぜ今まで実現できなかったのか、総理にお伺いいたします。
二十年前、平成十四年の実質賃金を一〇〇とし、民間と国家公務員、国会議員の別で令和四年の実質賃金と比較をしました。民間は八九%、国家公務員は九〇%、国会議員は九六%であり、国会議員の下落率が最も小さくなっています。国会議員に実質賃金が下落している実感がないからこそ、施策が十分になされないなどと国民から思われるのも無理からぬことです。総理御自身は実質賃金が下がっている実感があるか、お伺いします。
現在、世界の投資市場でESG投資は大きなウエートを占めています。二〇二〇年のESG投資額は三十五・三兆ドル、日本円にして五千兆円で、世界の投資額の三六%を占めています。
このESG投資の基準に動物福祉、アニマルウエルフェアが強く関連しています。本年通常国会でも、野村農水大臣がアニマルウエルフェアに着目する投資機関は拡大傾向にあると答弁しています。世界から投資を集めることができれば、日本の経済が活性化され、また円の需要も高まります。世界が注目するこの分野で出遅れると、日本への投資が遠ざかり、逆に円の需要が低下します。
世界動物保護協会の世界評価において、日本の畜産動物のアニマルウエルフェアは世界最下位のGです。本年通常国会の農林水産委員会参考人質疑で全国農業協同組合連合会常務理事は、畜産に関する三つの重要課題のうちの一つを、アニマルウエルフェアにしっかり取り組むことと答弁されました。これは、生産者の代弁者とも言える全国農業協同組合連合会がアニマルウエルフェアを看過できない重要課題として認識している危機感の表れとも言えます。アニマルウエルフェアを進めることは、動物に優しいだけではなく、国を豊かにし、人の心を温かくすると考えます。
ところが、令和四年度のこの分野に対する国の施策はどうでしょうか。農水大臣の所信には、アニマルウエルフェアのアの字もありません。人さえよければ動物はどうでもいいのでしょうか。動物は物ではありません。
総理は、日本が世界で最も動物に冷たい国であるという評価を受けたことに、どのような認識なのでしょうか。アニマルウエルフェアとESG投資の観点から伺います。
日本維新の会は、可処分所得を増やす現実的な施策を提示しています。アニマルウエルフェアなど、世界の潮流をつかみ、我が国を人にも動物にも優しい、誇れる国にしてまいります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/21
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022・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 串田誠一議員の御質問にお答えいたします。
輸入小麦に関する激変緩和措置及び特定目的予備費についてお尋ねがありました。
輸入小麦に関する激変緩和措置は、小麦の国際価格が、ウクライナ情勢のみならず、米国、カナダにおける不作等により高騰したことを受け、物価対策として講じたものであり、結果、この新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費を活用したところです。
そして他方で、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費は、ウクライナ情勢等に伴い発生し得る経済危機に対応するため予算計上されたものであり、その趣旨、目的が異なります。
今後とも、それぞれの特定目的予備費について、その趣旨、目的に沿った形で適時適切に運用してまいります。
揮発油税等のトリガー条項の凍結解除と当分の間税率についてお尋ねがありました。
トリガー条項の凍結解除について、御指摘いただいたトリガー条項の発動終了時に大幅な価格変動が生じるといった課題については、昨年春に与党と国民民主党で検討が行われた際にも指摘されたと承知をしています。
その上で、緊急対策としての四月までの補助金、激変緩和措置は継続いたしますが、エネルギー情勢へのその後の出口戦略として様々な手法があり得るところ、御指摘のトリガー条項の凍結解除についても、今申し上げたような課題も含めて与党と国民民主党で検討を進めるものと考えておりますが、政府としては、そうした協議を踏まえつつ、適切に対応してまいります。
また、揮発油税等の当分の間税率は、地球温暖化対策の観点や厳しい財政事情を踏まえて設定されているものであり、こうした税制上の扱いを変更することは考えておりません。
そして、教育費の負担軽減についてお尋ねがありました。
理想の子供数を持たない理由として、長年、子育てや教育にお金が掛かり過ぎるという答えが一位となっており、この状況を打破していく必要があると認識をしています。
このため、これまで、幼児期から高等教育段階まで切れ目のない負担軽減策に取り組んできたところであり、特に喫緊の課題とされる高等教育費について、多子世帯の負担軽減のための更なる支援拡充策を年末までに具体化いたします。
また、御質問の地方自治体独自の取組の全国化については、教育費の負担軽減は、基盤となる国の制度と各地域における様々な実情を踏まえた地方自治体による支援が相まって行われることが重要であると考えており、今後とも、地方自治体と連携して教育費負担の軽減に取り組んでまいります。
そして、実質賃金についてお尋ねありました。
輸入物価上昇を起点とする外生的な物価上昇によって、実質賃金は昨年四月以降、前年比でマイナスが続いており、三十年ぶりとなる三・五八%の春闘賃上げなど高い賃上げを達成しても、なお賃金上昇が物価上昇に追い付いていません。
そして、私自身が実質賃金が下がっているという実感があるかという御質問をいただきましたが、私も、日々の生活の実感、地方の視察、あるいは地方での車座対話などを通じて、物価上昇を上回る賃上げの実現が必要であると強く感じています。
民間エコノミストの見方は、実質賃金がプラスに転じるのは二〇二四年度ないし二〇二五年度という見方が多く、来年度は賃上げが物価高に追い付くことができるかどうかの正念場であると考えています。
物価高を乗り越える途上にある来年の賃上げを下支えするため、賃上げと相乗効果という観点から、所得税、住民税の定額減税を来年六月から実施することとしたところです。企業の賃上げを促しつつ、官も減税という形でこれを下支えするものであり、賃金と定額減税を含めた可処分所得が確実に物価を超えて伸びていくようにすることで、消費拡大、ひいては経済の好循環につなげてまいります。
アニマルウエルフェアとESG投資についてお尋ねがありました。
御指摘の世界評価を踏まえると、我が国の畜産業界においても、家畜を快適な環境で飼育し、ストレスを軽減するアニマルウエルフェアを着実に進めていく必要があると考えます。この点は、ESG投資においてアニマルウエルフェアが重視される中で、国産畜産物を原材料として利活用する食品関連企業を始めとして、我が国企業へESG投資を呼び込む観点からも極めて重要であると考えます。
本年七月には国際標準に沿った飼養管理指針を策定したところであり、指針の実施状況をモニタリングし、その結果も踏まえつつ、アニマルウエルフェアに配慮した飼養管理の普及に取り組んでまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/22
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023・長浜博行
○副議長(長浜博行君) 上田清司君。
〔上田清司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/23
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024・上田清司
○上田清司君 国民民主党・新緑風会の上田清司です。
令和四年度決算について、会派を代表して、岸田総理並びに鈴木財務大臣に質問をいたします。
決算の質疑の前に、岸田総理に伺います。
岸田総理も御存じのように、二〇〇一年に閣議決定されました大臣規範では、政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模な開催は自粛すると明記されました。特定パーティー、一千万以上の資金パーティーのことです。
さて、読売新聞の調べによれば、岸田内閣の二〇二二年のこの大臣規範破りは、岸田総理を始め閣僚十四人、パーティー回数二十八回。モラルに欠けますね。岸田総理は突出して何と一年で七回、一億四千八百七十一万円。林外務大臣の六回を除けば、その他の閣僚は一回です。
大臣規範を破るのであれば、一回でも七回でも、毒食わば皿までというような心境だったのか、お答えください。広島県であれだけの河井事件があったのに、閣議決定の大臣規範破りについて何にも感じなかったのでしょうか。お答えください。
岸田総理、残念ながら、派閥の裏金問題が問題になっている中、人ごとのようなコメントを出されています。先頃まで派閥の長であり、かつ自民党総裁であることを踏まえ、国民に対してきちんと説明をいただきたいと思います。お答えください。
本題の令和四年度決算について述べます。
まず、予備費です。
予備費は予見し難い事態に対応するための費用であります。コロナ以前は、補正後の予備費は約三千億円から五千億円でした。二〇二〇年には十兆一千五百億、二〇二一年には五兆五千億、二〇二二年には十一兆七千六百億、コロナが平常時になっている二〇二三年は三兆円と高止まりしております。
予備費こそは個別の項目審査のない包括予算であり、国会の審査のないことから、程度を超えた金額はまさしく財政民主主義に反するものであります。必要であれば補正予算を編成すべきです。予備費の必要以上の活用は国会軽視以外ほかなりません。岸田総理と鈴木財務大臣の所見を伺います。
次に、補正予算についてです。
そもそも補正予算は二〇二〇年のコロナ発生以前はほぼ三兆円台で推移していたものが、二〇二〇年には七兆円を超え、二〇二一年には三十五兆九千億、二〇二二年には三十一兆六千億、そして二〇二三年度は十三兆千九百億円となっております。当初予算の補完のための補正予算なのに、ともすれば補正予算そのものが主になっている項目も多くあります。
決算から見ても、補正予算の在り方にメスを入れるべきだと考えます。「新版 予算制度」の著者であります河野一之元大蔵事務次官は、補正予算はみだりに提出してはならない、財源があるからとて、直ちに補正予算を組むことは許されない、これは財政法第二十九条がその条件を規定しているのであって、みだりに流れ財政の放漫となるのを戒めるのであると述べておられます。この御指摘について鈴木財務大臣はどのように思われますか。
本予算、補正予算の度を越した大盤振る舞いは、この数年の不用額、繰越額の異常さに端的に表れています。
不用額は通年、一兆五千億前後だったのが、二〇二〇年には三兆八千億円、二〇二一年には六兆三千億円、二〇二二年には十一兆三千億円となり、予算の見積りが大まか過ぎるのが見えます。当然、翌年に繰り越す繰越額も半端ではなくなっています。この数年来、繰越額は五兆円前後でしたが、二〇二〇年には何と三十兆七千億、二〇二一年には二十二兆四千億、二〇二二年には十七兆九千億円となっています。いつまでもコロナのせいにしてはいけないと思います。
不用額と繰越額が肥大化していることに対し、ここ二回ほど総理の見解に真っ向から反対の立場で答弁された鈴木財務大臣の御所見を伺います。
問題は国債の金利払いです。令和四年度末の普通国債の残高について、その加重平均の金利が〇・七六%と聞きました。一兆円の普通国債残高に対して七十六億円の金利が付くということになります。
いかなる事態にも対応できるようということで、本予算も補正予算もできるだけ積み上げに積み上げ、とりわけ補正予算などは十兆円も余分に積み上げています。あくまで仮定計算ですが、十兆円の金利払いは七百六十億円相当額です。介護職員の処遇改善が月額六千円、総額で三百六十四億円、これを二倍に引き上げても必要額七百二十八億円。保育士の待遇改善に必要額六百二十億円、これも十兆円の金利分以下になります。
基金も、二十九事業が事業費ゼロで、管理費のみで一兆四千億円も残高があり、総額で十六兆六千億円を超える残高があります。このうち十兆円ぐらいは今すぐ使わないことが明らかですから、国庫に返せば、十兆円分の金利、すなわち七百六十億円が国民のものになります。実際、令和四年決算でも利払い費は七兆円を超えているんです。
財政規律を無視したがごとくぼったくりの各省庁の要求を見過ごしている岸田総理のリーダーシップはどこにあるんですか。改めて総理の御答弁を求めます。
最後に、この三十年間の日本の停滞と貧困を改めて確認します。
世界におけるGDPのシェア、日本のシェアは、ピーク時の一九九四年には一八%、二〇二二年には四%になりました。一人当たりのGDPも、一九八九年には世界第三位だったものが、二〇二二年には三十一位になっています。国際競争力は、一九八八年から一九九一年まで四年連続世界第一位でしたが、二〇二二年には三十四位になっています。
まさに、今日においても実質賃金が十月時点で十九か月連続で下がっており、反転の兆しが見えません。年収二百万以下で働く人たちが、雇用者六千三十二万人の二九・八%に当たる一千八百万人もいるんです。二〇二一年の相対的貧困率は一五・四%、先進国の中で最悪になっています。
子供の相対的貧困率は一一・五%。一人親世帯に限ると四四・五%です。一人親世帯の子供の半数近くは貧困に陥っていると思わざるを得ません。未来のある子供たちが漂流しているんです。岸田総理、この現状をどう打開するんでしょうか。
政治が全く機能していないと言ってもいいのではないのかと、じくじたる思いです。この三十年間のうち自民党中心の政権が二十七年続いてきた責任を問うつもりはありません。欧米に追い付き追い越した途端、国家目標を失い、状況に流されている政治をたださなければなりません。不景気だ不景気だといって高度成長時代の感覚で放漫な財政支出、賢くない支出の繰り返しにストップを掛けなければなりません。誤解を恐れずに言えば、ばらまき政治とくれくれ民主主義にさようならをしなければなりません。野党の提案を真摯に受け止め、健全な与党・政府に脱皮していただくことを祈念して、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/24
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025・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 上田清司議員にお答えいたします。
政治資金パーティーといわゆる大臣等規範の関係についてお尋ねがありました。
大臣等規範は、公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する観点から、国務大臣等が自ら律すべき規範として定められたものですが、大臣等規範に言う国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの具体的な基準は特に定められておりません。各国務大臣等が大臣等規範の趣旨を踏まえて適切に判断すべきものであると、従来からの政府見解はこのようなものです。
その上で、私の資金管理団体が行っている政治資金パーティーについては、内閣総理大臣就任前から続けてきた勉強会というものであり、大臣等規範に反するようなものではないと考えております。
予備費についてお尋ねがありました。
予備費は予見し難い予算の不足に充てるために設けられている制度であり、これまで、新型コロナや物価高騰などの予測困難な事態に対し、国民生活を守るため適切と考えられる規模の予備費を国会の議決を受けた上で予算計上し、機動的に使用してきたことは適切な対応であったと考えております。
また、実際に予備費を使用するに当たっては、憲法、財政法の規定に従い、事後に国会の承諾を得る必要があるものであることから、財政民主主義に反するとの御指摘は当たらないと考えております。
なお、デフレ完全脱却に向けて、予備費のみならず、あらゆる方策を尽くすことは当然であり、先月成立した補正予算においても様々な施策を盛り込んだところであり、一刻も早く国民の皆様にお届けしてまいります。
そして、予算と財政規律についてお尋ねがありました。
私の経済財政運営の基本は、経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして財政健全化に取り組んでいくというものです。こうした考えの下、新型コロナウイルスや物価高騰から国民生活や事業活動を守り抜くため、必要となる施策を積み上げ十分な予算措置を行ってきたことは、必要かつ適切な対応であったと考えております。
今般の補正予算においては、国債発行による公債金収入を令和四年度第二次補正よりも着実に抑制するなど、平時の歳出構造に向けた一つの道筋を示すことができたと考えております。年末までの予算編成過程で、更なる歳出構造の平時化を検討してまいります。
そして、子供の貧困の打開についてお尋ねがありました。
子供の貧困については、一人親家庭等の子供の大学等への進学率が低い、一人親の就労収入は上昇しているものの、手当が減ることが心配で働き控えを考える方がいるなど、様々な課題があると認識をしています。
このため、経済的に困窮している家庭の子供たちに、その育ちを保障し、可能性が十分に発揮される環境を整備する観点から、子供の学習支援や生活支援、児童扶養手当などの支援の拡充について年末までに具体化いたします。子供の貧困を解消し、貧困の連鎖を断ち切るため、引き続きしっかりと取組を進めてまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣鈴木俊一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/25
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026・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 上田議員の御質問にお答えいたします。
まず、予備費についてお尋ねがありました。
予算編成時に予見し得なかった事態が年度途中に生じた場合への対応として、御指摘の予備費の使用によるか、あるいは補正予算の編成によるかは、その時点における社会経済情勢を踏まえた上で最適な方法を選択し、実施していくべきものと考えております。
その上で、予備費は国会による予算の事前議決の例外として内閣の責任において支出するものですが、予備費は予見し難い予算の不足に充てるため、予算の一部として国会で御審議いただいていることに加えまして、予備費の支出については、憲法、財政法の規定に従って事後に国会の承諾を得る必要があることから、財政民主主義に反するとの御指摘は当たらないと考えております。
次に、補正予算の在り方についてお尋ねがありました。
補正予算は、財政法第二十九条において、義務的経費の不足を補うほか、予算編成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行う場合などに作成することができるとされています。
この点、補正予算はみだりに提出してはならないという旨の御指摘は、予算作成時に分かっていた事由に基づき補正予算を作成してはならないという本条文の趣旨を解説したものと承知をしております。政府としても、補正予算の編成を判断するに当たっては、引き続き本条文に基づき対応してまいりたいと考えております。
最後に、近年の決算における不用額や繰越額についてお尋ねがありました。
近年は、新型コロナの感染拡大や物価高騰などの予期せぬ事態に対し万全な対応を期するべく、必要かつ十分な予算を措置してきたところであり、結果として不用額や繰越額が大きくなっているのは事実ですが、未曽有の事態に対して国民の命と暮らしを守り抜く観点から、当時の判断は適切なものであったと考えております。
その上で、個別事業の予算計上に当たっては、内容をよく精査の上、適切な経費の見積りに努めるべきものと考えており、引き続き、近年の決算の状況も踏まえながら、的確な予算編成に努めてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/26
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027・長浜博行
○副議長(長浜博行君) 倉林明子君。
〔倉林明子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/27
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028・倉林明子
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
私は、会派を代表し、二〇二二年度決算について質問します。
冒頭、政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑について質問します。
昨年十一月のしんぶん赤旗日曜版の報道に端を発し、岸田政権中枢を直撃する底なしの疑惑となっています。
松野官房長官、そして西村経産大臣、キックバックを受けながら収支報告書に記載していないという報道は事実ですか。政府の立場とか、精査中、捜査中などと繰り返し、説明を拒否する姿に国民は怒っています。自明のことですから、答弁すべきです。
安倍派の閣僚、党幹部の更迭検討へとの報道も出てまいりました。しかし、安倍派にとどまりません。岸田政権そのものが問われています。何よりも重要なことは真相の徹底究明です。キックバックと不記載による裏金作りが、各派閥と所属議員において、一体いつから、誰の指図で、どのように行われ、何に使われてきたのかなど、総理・総裁の責任で全容を明らかにすべきです。
真相究明のため国会が役割を果たすべきときです。司法当局の捜査と国会による究明は車の両輪です。疑惑を指摘されている自民党主要派閥の歴代事務総長の証人喚問が必要です。総理、国会による真相究明に協力することを明言していただきたい。
今回の疑惑の噴出は、政治資金規正制度に大穴があることを浮き彫りにしました。派閥への企業・団体献金は禁止されていますが、派閥パーティー券の大半は企業、団体が購入しており、形を変えた企業・団体献金となっています。一九九四年に成立した政治改革関連法は、企業・団体献金については廃止の方向に踏み切るとしながら、政党支部への献金、政治資金パーティーという二つの抜け道をつくり、温存してきたことが今日の事態を招きました。
総理、パーティー券購入を含む企業、団体からの政治献金を全面的に禁止することに踏み切るべきではありませんか。我が党はそのための法案を参院に提出いたしました。答弁を求め、以下、決算の質問に移ります。
今回決算の対象となる二〇二二年度は、新型コロナ感染症が猛威を振るい、第八波には最悪の感染者数、死者数を記録しました。医療崩壊により入院できない人があふれ、必要な医療が受けられず、自宅や施設で亡くなる放置死が相次ぎました。多くの犠牲は、自公政権の下、社会保障費の削減を長年続け、医師数の抑制、病床削減、病院の統廃合、保健所の半減、ケア労働の軽視を行ってきた結果ではありませんか。
財政審建議が診療報酬のマイナス改定を求めたことは、医療関係者に衝撃を与えています。コロナ禍で奮闘した医療機関は、物価高騰に加え離職者が増加し、病棟閉鎖や入院制限など、医療提供体制の縮小という事態が今起こっています。医労連によれば、賃上げどころか約四割の単組で年末一時金のカットとなっています。
救える命を守れない、医療崩壊を繰り返さないために、医療提供体制の確立、人員増と賃上げにつながるよう、診療報酬の大幅引上げを求めるものです。
医療、介護、年金など暮らしを支える制度は改悪が繰り返され、とりわけ年金生活者は厳しい生活を強いられています。それなのに、政府は介護保険の利用料二割負担の対象を拡大し、老人保健施設等の多床室にも負担を求めようとしています。さらに、改革工程表素案では、医療、介護の三割負担の対象拡大、介護のケアプラン有料化、要介護一、二の方の生活援助を介護保険から外すことなどを打ち出しました。
〔副議長退席、議長着席〕
少ない預金を切り崩し、食費、水光熱費を節約し、ぎりぎりで生活する高齢者にこれ以上の負担増を求めることは、命を削れということにほかなりません。
介護、高齢者医療など負担増はやめるべきです。直ちに物価高騰に見合う年金引上げを行うことを求めます。
マイナ保険証はトラブルが続き、医療機関に負担を強い、国民は情報漏えいなどに不信を募らせています。情報システム学会は、制度の再設計を求めています。制度設計を根本から見直すべきです。今決断すべきは、現行保険証の廃止方針の撤回です。答弁を求めます。
ケア労働者の慢性的な人手不足は、事業休止や利用者に必要な支援が届けられない災害級の事態になっています。
きょうされんの調査では、ヘルパーの時間、入浴回数を減らす、夜間の寝返り支援を断念、職員が疲労こんぱいするまで働いても、当たり前の暮らしを営むための支援ができないと報告されています。
歴代自民党政権がケア労働の評価を低くおとしめ、他産業と大きく懸け離れた低賃金を放置してきた責任は重大です。
政府の示した処遇改善は、介護、障害の従事者に月六千円の賃上げにすぎません。これがケア労働者にふさわしい賃上げですか。落胆、絶望しかないとの声にどう応えるのですか。最低でも他産業との賃金格差七万円を解消する大幅賃上げを可能とするため、国が責任を持つべきです。次期改定での報酬引上げ、公費負担の大幅増額を求めます。
コロナ禍では女性不況と言われ、世界的に働く女性への影響が大きく、女性が置かれている状況を可視化しました。そもそも、非正規雇用は、女性が担う家計補助的な働き方と位置付けられたために、賃金を始め様々な格差が容認され、雇用の調整弁とされてきました。非正規雇用は賃金が低くて当たり前、不安定な細切れ雇用が当たり前という位置付けを見直すべきです。国際基準に基づき、原則直接無期雇用、同一価値労働同一賃金、均等待遇の実現が急務です。
さらに、コロナ禍では女性の自殺率も増加しました。失業だけでなく、女性に対するDVや性暴力、性搾取などが顕在化しました。
そうした実態も踏まえ、困難を抱える女性を支援する女性支援法が二〇二二年五月に成立、二〇二四年四月から施行されます。施行に向けて予算と支援内容を抜本的に拡充すべきです。
公務の非正規職員が置かれている状況も深刻です。
十一月二十八日の予算委員会で田村智子議員が、この三十年間で国の非正規公務員を大幅に増やし、その約七割が女性であること、男女賃金格差は民間よりも大きな差があることを指摘しました。自治体の会計年度任用職員も同じです。これは女性への間接差別にほかなりません。総理はこうした間接差別を容認するのですか。
非正規職員は、国であればハローワークでの就労相談、障害者など特性に応じた就労支援、自治体であれば図書館司書や保育士、消費生活相談員など専門性の高い仕事を担っています。ほかにも、婦人相談員や生活保護のケースワーカーなどケアに関わる仕事も非正規職員が支えており、住民の暮らしを支える職員がワーキングプアの状態に置かれています。公務の職場でこそ、賃上げ、待遇改善、男女賃金格差の解消に向けて本気で取り組むべきです。直ちに決断を求めます。
公務職場で間接差別が行われていることを認め、格差是正に取り組むなど、政府が率先してジェンダー平等を実現することを強く求めます。
命、暮らしを危機にさらしながら、今年度の軍事費は、補正予算と合わせて七兆六千三百四十九億円。今、医療、介護、福祉に関わる多くの人々から、ミサイルではなくケアをの声が上がっています。戦争の準備ではなく、命、健康、暮らしを守る社会保障拡充への転換を求め、質問といたします。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/28
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029・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 倉林明子議員にお答えいたします。
自民党の各政策集団の関係政治団体の政治資金パーティーに係る政治資金収支報告書の記載に関してお尋ねがありました。
自民党の各政策集団の関係政治団体の政治資金パーティーについて様々な指摘がなされ、その結果として、国民の政治に対する信頼が揺らぎ、自民党全体に対しても厳しい目が向けられていることを承知しており、党としても強い危機感を持って、しっかり対応をしてまいります。
証人喚問については、国会でお決めいただくことではありますが、現在、関係する政治団体における事実確認等が行われており、また、政治団体の政治資金パーティーに関して告発がなされているものと承知をしています。
今後、事態が明らかになっていく状況を踏まえつつ、問題の原因や課題等を把握しながら、国民の信頼回復の観点から、適切な対応、行ってまいります。
そして、企業・団体献金についてお尋ねがありました。
企業・団体献金については、長年の議論を経て、現在は政党や政治資金団体に対するもののみが認められており、政党等がその受取を行うこと自体が不適切なものとは考えておりません。
政治資金パーティーに係る収入は、寄附とは性質が異なるものと考えておりますが、いずれにせよ、民主主義のコストをどのように負担していくかという観点から、各党各会派において十分御議論いただくべきものであると考えております。
そして、新型コロナ感染症への対応と診療報酬改定についてお尋ねがありました。
新型コロナ感染症の発生以降、国民の命と暮らしを最優先に、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを取りつつ、科学的知見やエビデンスを重視し、政府を挙げて医療提供体制の整備や重症化リスクの高い方への支援等の対策を講じてきました。その結果、我が国の新型コロナの人口当たりの感染者数、死亡者数は他のG7諸国と比べて低い水準に抑えられており、社会保障費の削減等により多くの犠牲が生じたとの御指摘は当たりません。
また、医療提供体制の整備のため、人材確保への対応は重要であり、令和六年度の診療報酬改定については、活用可能な法人における賃上げ税制の活用等も踏まえつつ、必要な処遇改善の水準の検討と併せ、現場の方々の処遇改善に構造的につながる仕組みを構築すべく取り組んでまいります。
そして、介護、高齢者医療の見直しや年金の引上げについてお尋ねがありました。
高齢化と人口減少という大きな社会の変化を迎えている中、介護保険制度や高齢者医療制度が全ての世代にとって安心なものとなるよう、サービスの質を確保しつつ、制度の持続可能性を維持することは重要な課題です。
そのため、これらの制度の在り方については、全世代型社会保障の理念に基づき、負担能力に応じて公平に支え合う仕組みを構築する中で、必要な保障が欠けることのないように進めていく必要があるものと考えており、丁寧な検討、進めてまいります。
また、年金制度については、前年の物価等の変動に応じた年金額の改定を基本としつつ、マクロ経済スライドにより、長期的な給付と負担のバランスを確保し、将来にわたって持続可能な仕組みとしており、この仕組みの下で年金を着実に支給してまいります。
マイナ保険証についてお尋ねがありました。
マイナ保険証は、患者本人の健康、医療に関するデータに基づいたより良い医療の提供が可能となる、成り済ましを防止できるなどの多くのメリットがあり、我が国の医療DXを進める上で基盤となる仕組みです。
マイナ保険証への移行に際しては、デジタルとアナログの併用期間をしっかり設けて、健康保険証の廃止後も最大一年間は現行の保険証が使用可能であるほか、マイナ保険証を保有しない方には、申請によらず資格確認書、これを発行いたします。
現行の健康保険証の廃止は、国民の不安払拭のための措置が完了することが大前提であり、国民の不安払拭のための各般の措置の進捗状況を踏まえ、適切に判断をしてまいります。
そして、介護従事者等の賃上げについてお尋ねがありました。
昨今の賃上げの動向や人手不足の状況を踏まえれば、介護、障害福祉分野における賃上げへの対応は喫緊かつ重要な課題と認識をしています。このため、今般の経済対策において、介護、障害福祉分野の人材確保に向けて必要な財政措置を早急に講ずることとし、補正予算においてそのための必要な施策を盛り込んだところです。
その上で、令和六年度の介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定においては、活用可能な法人における賃上げ税制の活用等も踏まえつつ、必要な処遇改善の水準の検討と併せ、現場の方々の処遇改善に構造的につながる仕組みを構築すべく取り組んでまいります。
なお、介護保険制度は、制度創設以前の全額公費による措置制度を改め、給付と負担の関係が明確な社会保険方式を採用し、保険料、公費でそれぞれ五割を負担する仕組みとして創設されたところであり、公費負担割合を引き上げることには慎重であるべきだと考えています。
そして、非正規雇用労働者の雇用の安定や処遇改善についてお尋ねがありました。
合理的な理由がない有期労働契約の締結を禁止することについては、公労使の三者で丁寧に議論を行った結果、現在の無期転換ルールが定められており、引き続きこうしたルールが適切に運用されるよう取り組んでまいります。
その上で、非正規雇用労働者の更なる処遇改善に向けて、最低賃金の引上げや賃上げしやすい環境整備に取り組んでまいります。また、今般の経済対策でも、同一労働同一賃金の更なる遵守徹底、在職中の非正規雇用労働者に対するリスキリング支援の創設、正社員化に取り組む事業主の支援の拡充などを盛り込んだところであり、これらの施策を着実に実行してまいります。
そして、困難な問題を抱える女性への支援についてお尋ねがありました。
貧困や性暴力被害など、女性の抱える問題が多様化、複雑化している中、それぞれの状況に応じた適切な支援が受けられるよう、困難な問題を抱える女性に対する支援を強化していくこと、これは重要であると認識をしています。
このため、新たに施行される困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の下では、民間団体との協働という視点も取り入れた新たな支援の枠組みを構築し、官民の関係団体が連携、協働して、訪問や巡回による相談、居場所の提供など、一人一人のニーズに応じた包括的な支援を提供できるよう取り組んでまいります。
今後とも、困難な問題を抱える女性に対する支援の強化と必要な予算の確保に努めてまいります。
そして、公務の非常勤職員の処遇改善についてお尋ねがありました。
国と自治体の非常勤職員については、業務の状況などに応じて各府省等において適切に任用されており、その給与については、給与法等に基づき、常勤職員や民間との均衡を考慮しつつ、それぞれの勤務の形態や職務の内容等を踏まえて適切に決定されていると承知をしており、女性への間接差別であるとの指摘は当たらないと考えております。
その上で、御指摘の非常勤職員の処遇改善は重要な課題であり、これまでも国、自治体において改善に取り組んできたところですが、今後も、適切な採用プロセスを経た上で常勤職員として採用することも含め、処遇改善に取り組んでまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣松野博一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/29
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030・松野博一
○国務大臣(松野博一君) 倉林明子議員にお答えいたします。
政治資金パーティーをめぐる報道についてお尋ねがありました。
政府の立場としてはお答えを差し控えるべきであるかと認識しておりますが、私の所属する清和政策研究会においては、これから事実関係を精査するとコメントしていると承知しており、今後、事実確認の上、適切に対応するものと認識しております。
政治団体において事実確認がなされている最中であり、また、報道によれば、各政治団体の政治資金の取扱いについては刑事告発がなされ、それに関連して捜査が行われているものと承知しており、そうしたことを踏まえて、私の政治団体についても精査して適切に対応してまいります。(拍手)
〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/30
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031・西村康稔
○国務大臣(西村康稔君) 倉林明子議員からの御質問にお答えをいたします。
政治資金パーティーをめぐる問題についてお尋ねがありました。
私自身の政治資金については、帳簿の保存期間である三年を超えるものも含め、確認、精査をさせているところであります。
いずれにせよ、適正に対応を行った上で、どこかのタイミングで説明責任を果たしたいと考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/31
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032・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 舩後靖彦君。
〔舩後靖彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/32
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033・舩後靖彦
○舩後靖彦君 れいわ新選組、舩後靖彦でございます。
本会議登壇の機会をいただき、誠にありがとうございます。タイミングとしても、二〇二三年を締めくくる形の質疑になります。全国の障害者やマイノリティーの皆さんの励みになるよう、全力で質問いたします。
まず、令和四年度の予備費とその使用額について質問いたします。
一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費の予算額は九兆八千六百億円、使用額は七兆八百十四億円。一般会計ウクライナ情勢経済緊急対応予備費は、予算額一兆円、使用額はなし。一般会計予備費は、予算額九千億円、使用額五千二百五十七億円。特別会計予備費の全体の予算額は八千四十八億円、使用額は六百八十八億円。予備費の予算額のうち使用されなかった額の合計は約四・九兆円です。
総理、これだけ巨額の予備費の使い残しがなぜ発生したのですか。適切な説明を求めます。
次に、繰越額と不用額についてお聞きいたします。
令和四年度決算における翌年度繰越額は十七・九兆円、不用額は何と過去最大の十一・三兆円です。あり得ません。実質賃金は十八か月連続でマイナスです。単純合算で、繰越額、不用額の合計は二十九・二兆円。この金額をそのまま使えるわけではありませんが、政府は予算編成において、これだけの見込み違いをしたという金額であることは言えると思います。国民一人一人に十万円を二回給付しても二十五兆円程度ですから、初めから一律給付に充てていればよかったのではないですか。
このままでは年を越せない、今すぐ助けてくれという国民の皆様からの悲痛な叫びがたくさん届いています。
今からでも再度、給付金のみの十二・五兆円程度の一般会計二次補正予算をすぐに編成し、所得、障害の有無を問わず現金を一律給付する計画の実行に着手してください。富裕層には後から税で回収すれば済むことです。
岸田総理、国民への一律十万円給付の実施を決定するとお約束ください。予算措置だけで可能です。法改正は不要です。総理の力強い答弁を求めます。
今国会の余りの異常さについて、会派を代表し、皆様に申し上げます。
本年はどのような年であったか。一言で言えば、人々に売国棄民法案の乱発と戦えない野党への失望を与えた年でした。
政府が本来行うべき物価高やコロナによる爪痕からの国民生活の回復、そして、この失われた三十年によって失った富を取り戻すべき施策への取組をおろそかにして、余りに多くの悪法が可決していった年でした。
政府がやったことは、老朽原発の運転を可能にし、日本の武器輸出促進への道を開き、増税によって巨額の軍拡財源を賄い、現行の保険証を廃止する。これらのことを可能にする法案を次々と提出し、与党の数の力で成立させたことです。
将来に大きな禍根を残すまれに見る悪政を推進したのが、今、支持率が急低下している岸田政権です。
れいわ新選組は、売国棄民法案として、これらの七つの法案が特に問題だと位置付け、国会内で徹底抗戦を野党各党に本会議場などで呼びかけました。
私たちは、今はまだ規模は小さくとも、国会におけるほかの与野党にも緊張感をぴりりと与える存在であることを宣言いたします。
最後に、世界各地で勃発している戦争、紛争の一刻も早い終結に日本が先頭に立つことを求め、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/33
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034・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 舩後靖彦議員の御質問にお答えいたします。
予備費の不用額についてお尋ねがありました。
予備費は予見し難い予算の不足に充てるために設けられている制度であり、これまで、新型コロナや物価高騰などの予測困難な事態に対し万全の備えを講ずるため、国民生活を守るため適切と考えられる規模を計上してきました。
その上で、実際の予備費の使用に当たっては、必要性や緊要性を検討した上で決定してきており、結果として各年度の決算において一定の不用額が生じたものと認識しておりますが、引き続き、予備費の適正な計上と執行管理、双方に努めてまいります。
そして、一律給付の実施についてお尋ねがありました。
令和四年度予算については、新型コロナウイルスや物価高騰から国民生活や事業活動を守り抜くため、必要かつ十分と考えられる事業を計上したものであり、また、地方自治体や事業主、事業者等からの申請を受けて支出するものが多いといった事情もあったことから、結果として不用や繰越しが生じたところですが、予測困難な事態への対応を図る必要があった以上、予算編成時点での判断は適切であったと考えております。
その上で、御指摘の一律の給付金は、新型コロナのような国難というべき事態には必要ですが、そうでない状況のときにはお困りの方に限定して行うべきものであり、現在は新型コロナのときとは状況が異なると認識をしております。
物価高に最も切実に苦しんでおられる低所得者の方々に寄り添った対応を図ることが重要です。そのため、住民税非課税世帯に対し、既に措置した三万円に七万円を追加し、一世帯当たり十万円を目安とする支援を年内にも開始することとしております。
地方公共団体と緊密に連携をしながら、政府一丸となって取組を進めてまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/34
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035・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/35
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036・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第二 国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。総務委員長新妻秀規君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔新妻秀規君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/36
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037・新妻秀規
○新妻秀規君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、デジタル社会の形成に向けて、我が国のデジタル化の基盤となる情報通信ネットワークのサイバーセキュリティーを確保するため、国立研究開発法人情報通信研究機構がサイバーセキュリティー対策を十分に講じていない電気通信設備の管理者等に対して助言等を行うための規定を整備するとともに、サイバー攻撃手法の変化に応じた特定アクセス行為等の機動的な実施を可能とするための規定を整備し、あわせて、同機構の業務範囲の見直しの一環として、特定通信・放送開発事業実施円滑化法の廃止等を行おうとするものであります。
委員会におきましては、今後のサイバーセキュリティー対策の在り方、機構の体制強化に向けた取組、基金の適切な管理と透明化を図る必要性等について質疑が行われました。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して伊藤岳委員より反対する旨の意見が述べられました。
討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/37
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038・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/38
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039・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121215254X01020231211/39
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