1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年三月三日(金曜日)
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本日の会議に付した事件
○証券取引法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○所得税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○通行税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○富裕税法案(内閣送付)
○法人税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○酒税法の一部を改正する法律案(内
閣送付)
○有価証券移転税法を廃止する法律案
(内閣送付)
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午後一時四十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/0
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001・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) これより大蔵委員会を開会いたします。
本日は先ず証券取引法の一部を改正する法律案を議題といたしまして御質疑をお願いいたします。
それでは私から小さい問題ですが、ちよつと一、二お尋ねいたします。この五十二條で事業年度を今まで二期に分れておつたのを、今度十日から翌年九月までという一期に直されるのですが、これは何か当事者の希望でもあつたのですか。どういう主張からこういう工合になつているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/1
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002・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) この証券業者の事業年度は、現行法では四月から九月、十月から翌年の三月、こういう二期に決められているのでありまするが、御承知の通り、証券業の業績というものは一年のうち時期的に非常に差違がありまして、今までの終戦後の状況から見ますと、四月から九月まで、言い換えれば九月決算においては大体株価がどちらかといえば低落している時期であります。同時に又反対に三月は株価が大体上つている時期であります。こういうふうに時期的に非常に盛衰があります関係上、その業績におきましても、決算におきまして或る期には非常に利益があり、或る期には非常に損失が出るというような状況で、利益が出たときに、税金の関係もありますが、一面会社で相当な配当をしたり、或いは重役賞與を出し過ぎるというようなことになります関係上、この業績を一年平準するという趣旨の下に、一年決算にした方が証券業者の経営を堅実にし、内容を充実させ、内容をよくするという意味で適当である、こういうふうに考えてこれを一年決算ということにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/2
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003・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) それからもう一つ伺いますが、この附則の十でありますが、いずれこの法律が施行されれば現在の委員並びに委員長も、国会の委員長じやなく、今度の委員長になられる方は国会の両院の承認を得られるわけですが、この十には「その一人は三年、一人は四年、一人は五年」と任期がなつておりますが、これが委員長と委員を通じてこういうふうになつていると思うのです。委員長と委員とで三人ですから、多分通じていると思いますが、そういうふうに解釈していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/3
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004・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/4
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005・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) もう一つ小さい問題ですが、四十一條の二で「商号のうちに証券という文字を用いなければならない」ということになつているのですが、現在のものはそのままでよろしい、用いなくてもよろしい、商号を変更するときにそれを入れろというのですが、証券という字を用いない証券業者というものは現在沢山あるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/5
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006・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) 現在大阪商事、黒川商事外全部で七社ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/6
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007・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) そういうのは解散したらよさそうなものに思うのですが、そういう特に変えんでもいいというような寛大な措置をとられるのは何か理由があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/7
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008・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) 現在残つております七社は大体昔から古い店でありまして、証券業を営んでいるということが一般に認識されておりますし、これが証券という言葉を使つてないために一般投資家に不利益を及ぼすということは先ずないだろう、こういうふうに考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/8
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009・米倉龍也
○米倉龍也君 簡単なことですが、三十四條の適用を今直ぐやれば四割ぐらいの脱落者があるという御説明でありましたが、五十万円というものがこの場合最低なんですが、今現に沢山ある証券業者の純資本額というもは大体はどのくらいなんですか。大きいのはどのくらいでという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/9
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010・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) お答え申します。この数字は丁度去年の九月が決算期に当つておりますから、その数字を取つておりますが、これで一番多いところ、先ず五十万円以下は三百八十三社これが三九・五%ということになつております。それから五十万円から百万円までの間これが二百四十二社二四・九%、百万円から二百万円までが百四十六社一五%、二百万円から三百万円までの分が七十四社比率が七・六%、三百万円以上百二十七社比率が一三%というふうになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/10
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011・米倉龍也
○米倉龍也君 そういたしますと百万円以下は非常に多いのですが、この二十倍というような、五十万円ならば二十倍して一千万円の借入限度という負債の総額になりますが、その程度で、二十倍程度でこういうような取引が非常に沢山出て盛んに流通するときに、負債をその程度のもので、二十倍くらいの程度で行くわけですか。十分なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/11
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012・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) この負債倍率の二〇倍というのは、現行法では最高限度でありまして、この範囲内で委員会規則で決める建前でおりますが、委員会規則は二十倍ということになつて法律の限度一杯になつておるわけでございます。ただ問題は証券業を営む際に当りまして、証券会社が手持の株が或る程度多くなりますと、その値下り等があります場合に、この倍率が直ぐ引つ掛かるという場合があり得るのでありまして、業者が資本金に比べて余り沢山株を手持するということは投資者保護の上からいつてもこういうような値下りの危險等から見て、余り好ましくないという考えを持つておるのでありますが、これは主として委託売買をやる、いわゆるブローカーとして手数料によつて営業をして行くということがむしろ望ましいのでありまするが、委託売買を主としております場合においては、負債倍率のこの二十倍というものは、これだけあれば十分だと考えておりますが、相当手持があるような場合には、時価の変動によりまして非常に窮屈になるというふうに考えられるのでありますが、我々といたしましてもこれはやはり投資者保護のためにこの負債倍率は飾くまで二十倍が最高でよろしいのじやないか、できれば将来委員会規則でこの倍率をむしろ引下げるという方向に進みたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/12
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013・木村禧八郎
○木村禧八郎君 只今の倍率の問題ですが、これは証券取引法三十四條に規定しておるのですが、現在この規定に違反しておる証券会社はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/13
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014・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) この負債倍率二十倍を超えておる業者はないかどうか、これは実は委員会で通諜によりまして、毎月証券業者にその営業の残高表を出さして、この倍率の関係の届けを出させることにいたしておるのであります。そうして又各業者自体におきましても、その倍率を超過するような場合には委員会に届出をしなければならんと、こういう建前になつておるのであります。そうして委員会ではその届出があつた、倍率を超過しておるという届出があつたものに対しましては、こちらからやはり検査に行きまして、そうして事実を確かめて審問をいたしまして、その将来の計画が立たなければ営業の停止なり或いは取消なりすると、こういうことになつておるのであります。現在この倍率を超過したということで営業の停止若くは取消をした例が相当ありますが、今のところそういう届けがまだ出ておりませんし、一応出しておりますのはこの範囲内に納まつておる、ただこちらで検査をいたしまして、積極的に検査をいたしまして、それを発見したという場合にはやはり審問をいたしまして、そうして向うの整理計画を出させまして、その計画が妥当と認めれば一時営業停止を猶予いたしますが、それが見込がないものであれば停止若くは取消をする、こういう方法をとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/14
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015・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これはまあ投資者保護のためにそういう規定があると思うのですが、今までそういう届出についてしよつちゆう検査されておる、現在のところはないということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/15
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016・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) 現在届出が来た部分について、或いは各月来る分については、一応報告としてはこれに引つ掛かるというものはないということを申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/16
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017・木村禧八郎
○木村禧八郎君 若しかあつた場合にはそれは非常な問題になると思うのですが、そういう軽卒な御答弁でよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/17
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018・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) これは一応法の建前は各会社から届出をするということになるのでありまするが、そうでない場合こちらも検査をして見ないと分らないのでありまして、單に検査してそれでそのまま引つ掛かつたものとして、停止若しくは取消の処分もこれも又できないので、やはり業者を呼んで審問をいたしてやるということで、一応各業者から出た報告だけの面では掛かつておるという報告はないのでありまして、こちらの方で検査をしたものについては、これははつきり分るわけでございますが、検査をしてみないと全然ないとかあるとかということは言えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/18
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019・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私はこう御質問申上げるのは、証券業法、証券取引法ですか、作りましたのは、精神は証券取引をスペキユレーシヨンじやなく、インヴエストメント、投資にさせて、健全に日本の産業金融を育成して行くという精神にあると思うのです。そういう意味で証券取引法を折角作られた、この法律に違友しないように運用されたいと思うのです。従つてまだ御質問申上げますが、これまでいろいろな点において法律違反が沢山あると思うのです。重大な違反があると思うのです。そこで今後今のような状態であれば依然としてやはり証券取引がスペキユレーシヨンである、投機ということになつて、健全な投資というものは育成されないと思うのです。そういう意味で今私が倍率の問題を御質問申上げたのですが、これはやはり嚴重にされる必要があると思う。先程の御答弁でもつと引下げてもいいというようなお話があるくらいですから、この点は一つ嚴重にこういう最近株についていろいろなことが問題になつておる際、思い切つてここで株界を整理して、すつきりした形にして、そうしてもう証券取引はスペキユレーシヨンじやない、本当のインヴエストメントであるという感じを一般に與えるようにして頂きたいと思うのです。
それからもう一つ、これはどうしても大蔵大臣に責任ある御答弁を頂かなきやならないのですが、今政府委員の方で御答弁できるのでしたら一応お伺いして置きたいのです。それはやはり証券取引法の違反の問題です。折角証券取引法を制定しながらこんな重大な違反があるのにどうして放置されて置くか、それは御承知の未上場株の場外取引です。これは類似取引だと思うのです。これをなぜ放置されて置くか、どういう根拠に基いてこういう取引をお許しになつておるのか、この点先ずお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/19
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020・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) 未上場証券の取引、市場外取引とでも申しますか、この問題につきましては取引所類似施設という御意見のようですが、これは我々は実は必ずしも取引所類似施設というふうに考えていないのであります。ただやはり投資者保護という建前から、これは自由にやられたような場合には、投資家と申しますか、お客さんに迷惑をかける場合をむしろ心配しておるのでありまして、できるだけその受渡し等については証券業協会、証券業協会は会員以外の者に対していろいろ規則を作つたりなんかして監督する権限を持つておりますが、証券業協会でできるだけ不測の問題が起らないように監督させておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/20
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021・木村禧八郎
○木村禧八郎君 類似取引でないというと、それじやあれは今後お認めになつて行くわけですか、これは清算取引ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/21
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022・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) 清算取引をやつておる、こういうお話でございます。差金売買、これは証券業者がやつております際には取引所の証券取引法に抵触するわけでありまして、これは十分取締るつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/22
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023・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと現在やつておるのは明らかにそうなんです。そうしますとこれは取締るというお話ですと、お認めにならないとこういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/23
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024・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) 証券業者が差金売買をやるということは認めないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/24
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025・木村禧八郎
○木村禧八郎君 すると今現在やつております取引所が終つてからその後でいろいろ取引をやつています。いわゆる場外取引というのですかをやつておりますが、それをやはりお認めになつておるのですか。類似取引をお認めになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/25
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026・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) 類似取引、類似施設とは考えておらないのでありまするが、この未上場或いは非上場のものにつきましては仕切売買はできることになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/26
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027・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ところが先程のお話ですと、投資者保護ということを言われておりますが、実際株が暴落したのはどこから暴落して行つたか、最近株が持直して来ておるのはどこから持直して来ておるのか。多くは実際の取引所における取引ではなくして、この場外取引によつて左右されておるので、これは非常にスペキユレーシヨン的なものです。投資じやないのです。インヴエストメントでない。だから我々は飽くまでも健全な投資市場を育成させなければいけないと考えて、そういう観点から苦心しておるのであつて、今のようにあれを許して置けばいつまで経つても取引所というものは投機市場で、これは抜けないと思うのです。現在そうなんです。私がここで申すまでもなくよく御認識だと思うのです。従つてただこれを容認して置くというだけではいけないのであつて、何か対策をお考えになる必要があると思うのです。このままでよいとお考えになるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/27
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028・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) この問題は木村さんのおつしやる通り、これは非常に問題があるのでありまして、これが余り多くなつて来るということになりますと、今のスペキユレーシヨンの色彩が非常に強いのでありまして、これはどうしても実は我々といたしましても証券業協会を中心にしてこれをやるにいたしましても、証拠金をうんと取る、殆んど百パーセントに近い、場合によつては証拠金を取るというようなやり方で投機的色彩をできるだけ拂拭するというような方向に鞭撻しておるのであります。尤もこれはもう少し方式の問題といたしましては、現在普通のレギュラー取引の中に正式の信用供與という制度はありますが、今認められておりません関係上、これが認めて実施する機会には、こういう未上場の株の取引というようなことは、これは一つ巖格に制限し、又これを止めさせよう、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/28
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029・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これはもう実情については私がお話するまでもなく、実によく私以上に御存知なんでありますから、申上げませんが、実際は差金売買であり、それで例えば三菱化成の例なんかいいましても、まだ拂込が来ないのにそういうものが差金として売買されておる、二、三ヶ月先のものが……。これは決して私は投資であると思えないのです。投機的であつて事実そういうことによつて株が上つたり下つたりして、新株がそういうことになれば、親株も自然そうなりますから、これはどうしても今後株価対策といつても、こういう面に株価対策をやつたのでは、本当の株価対策にならない。これは株が健全なインヴエストメントのマーケツトを設立する意味においてお考えになる必要があると思うのです。これについてもどういう対策をお持ちか。新聞にも出ておるようですが、今後これに対してこのまま放置しては置けないと思うのです。そうしたらますますいわゆる投資家というものは、株を買わなくなると思うのです。やはり投機市場だ、現在あすこで動かされておるのでは、いわゆる玄人だけ集まつてやつたのでは危くて手が出せない。こういうことになると思うのです。これに対してどういう対策をお持ちか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/29
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030・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) この場外取引で一番問題になるのです。いわゆる権利株の売買の問題でありまして、これについては実は我々もいろいろ研究いたしておるのであります。その考え方といたしましては、新株の割当の決定がありまして、いわゆる上場されておりまする株の親株が、権利落ちになる。これからこれを正式に認めて、そうしてそれを場内の取引所にこれを上場させる。それ以外はこれを禁止するというような考え方で今案を作り、実は関係方面にも申出ておるようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/30
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031・木村禧八郎
○木村禧八郎君 もう一つやはり我々から見まして証券取引法違反と考えられるのです。特に第六十五條違反ではないかと考えられております。それはこの証券取引法を制定された趣旨が証券業と金融業と分離されておる。これはこの前にも問題になつた点なんです。ところが最近の市場は丸でそれと逆の方向に行つておると思うのです。これで健全な投資市場を育成できるかどうか。特に銀行に株を買わせるという問題、そういう点は六十五條の精神に違反しないでしようか。私は違反すると思うのですが、この点についてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/31
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032・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) この六十五條の規定から申しまして銀行、信託等が株を持つのに、これは投資の目的で持つ場合は許されておるわけなのでありますが、ただその間に金融機関と証券業者を分離する。言い換えますれば引受だとか、そういうような分離した趣旨に反する意図の下にやるという場合には、これは相当問題があろうと思うのであります。今のところ銀行等が株を持つのは、この規定の事項の趣旨による株式の取得、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/32
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033・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、大蔵大臣にも一体今後のそういう事業金融に関する政策をどう考えるか。大蔵大臣にも御質問申上げたいのですが、ここでは事務的に答えられる点について御質問して見たいのですが、結果からいつてそうなつてしまうのです。そうしますと今度銀行がそういう株を沢山買いますと、何のために証券取引法を作つて、この証券市場を育成して行くということの意味がなくなつて来ると思うのです。これを制定した意味や、やはり銀行が段々株を持つて行くと、殊に今後問題になるかどうき知れませんが、証券会社の増資などを銀行が持つということになると、尚問題になると思いますが、そうすると今の取引所がますます投機市場と見られて、それで金融機関がそこに株を持つて行くということになると、いわゆる長期資金は証券業、短期資金はコンマーシヤル・バンクを通じてやる。それが原則である。それがますますこんがらかつてしまう。一体政府は何のために証券取引法を制定して投資市場を育成しようとしているか。アメリカみたいには直ぐはならないかも知れませんが、その精神が逆の方へ行つているのです。成るべくこの法律の精神に近付くように努力しておればいいが、最近の傾向は逆になつて来ていると思うのです。いよいよますますコンマーシヤル・バンクは短期資金を扱うようにし、長期資金は証券市場を通じてやつて行くということと逆になつて来ているのです。この点は決して私は証券市場、投機的でない。投資的な証券業を育成する精神にも副わないし、今後の日本の金融制度としても好ましくない。そう考えるのですが、最近逆になつているとお考えになりませんか。そうすると六十五條の精神に反するということになる……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/33
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034・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) 或いは私の聞き違いかとも思いますが、長期資金が自己資金で、短期資金は銀行、こういう面で、この問題につきまして、現在銀行が株式を持つということがこれに反するというふうに聞いたのでありますが、これは事業会社が資金を調達するのについて、増資によつて株式を発行して、それの拂込によつて資金を調達する。これは自己資金を調達するというので、株を金融機関が持つといたしましても、必ずしもその精神に反するものでないと、こういうふうに考えておるので、或いは私の聞き違いかも知れません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/34
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035・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その点もあるのですが、更に銀行に債券発行を許すようになるのですが、これなどはどうお考えですか。銀行に債券を発行させる。これはコンマーシヤル・バンクが長期資金の調達をするということになると思うのです。これなども六十五條の精神に私は副わないと思います。ですからどつちの方向に向けようとしているのかはつきりしない、そう考えられるのです。或いは又預金部資金を銀行に預け替して、それを長期に貸させるというようなことも、これもどうも私は納得行かないのですが、一体どういう精神でこの六十五條を今後運用されて行くのか。これをいわゆるコンマーシヤル・バンクと、それから証券業者のやる証券金融というものとを段々近付けて行くのか。これをはつきり分野を截然として行く方向に持つて行くのか。どちらの方向をお採りになるのか。最近非常に曖昧になつておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/35
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036・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) 現在の金融の問題について、いわゆる長期資金を融資する銀行というものが、余りはつきりした姿でないということのために、長期資金の供給について不十分だということから、いろいろな問題が出て来ると考えるのでありまするが、これはまあ非常に事務的になるのでございますが、この六十五條の関係におきましては、銀行、信託等の金融機関が事業会社の発行する株式、或るいは社債等を直接引受ける、そうしてこれを売り捌くというようなことを禁止して置くのでありまして、これは証券会社がやるべきだ。元受は、受諾はいいが、引受けは証券会社、そういう分野を明らかにしたのでありまして、この面には直接的には触れないのじやないかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/36
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037・木村禧八郎
○木村禧八郎君 銀行が株を買うということは、「第二條第八項各号に掲げる行為をなすことを営業としてはならない。」これには触れないのですか。証券業者の業務の規定です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/37
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038・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) 銀行がこの二條にあります有価証券の場合とか、或いは売買の媒介、取次ぎ、或いは有価証券の引受とか、売出しとか、これらの問題を営業としてやるときには、これは許されないのでありますから、ただこの六十五條の但書の後段と申しますか、これは尤も自分のお客の注文で、はつきり書面による注文でやる場合は許されておりますが、そうでない場合においてはできない。ただ銀行、信託会社が投資の目的でやる場合は投資の目的で株を買う。そうして場合によつてはそれを売却することは、この但書で除外されておりまするからして、やり得る建前になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/38
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039・木村禧八郎
○木村禧八郎君 只今の点の少し前に、金融機関が「他の法律の定めるところにより」、「他の法律の定めるところにより」というのはどういうのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/39
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040・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) 例えば独禁法等で、金融機関が他の会社の株式を五〇%以上持つてはいけないという規定等がありますからそれには触れてはいかん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/40
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041・木村禧八郎
○木村禧八郎君 他の法律の定めるところによりというのに、独禁法に触れないようにという意味なんですか、触れなければいいという意味ですか。どうもそれですとはつきりしないですが、この投資の目的を以て有価証券の売買をなす場合には、何か他の法律があつてそれに基いてやるという意味ではないですか。……直接調べて見ませんが、先程御答弁のように簡単に考えられないように聞いておるのですが……著しく今直ぐお分りにならなければ次回でも結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/41
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042・三井武夫
○政府委員(三井武夫君) 六十五條で意図しておりますところは先程湯地局長から申上げたように義務としての有価証券業務はいわゆる有価証券業務を銀行には営なませないという点の趣旨でございまして、銀行が投資の目的を以て自己の計算で証券を売買するということは当然これは六十五條は禁止しておるところではないわけであります。現在銀行が自己の投資の目的のために株式を買入れておるということでありますれば、これは六十五條には全然触れない問題だ、抵触しない行為であるというふうに私共解釈しております。ただお尋ねの点が多少最近におきましていろいろの増資なんかが行われます場合多少無理をいたしましていろいろの方法で以て銀行の援助を受けておるというようなことがこの六十五條の精神に違反するようなことがありはしないかという点になりますと、これはなかなか複雑な事情がございまして一概には断定し難い場合がある。本来銀行が投資の目的のために証券を買入れるということでありますれば六十五條の精神に反することはないというふうに私は解釈しておる。また昨日も申上げましたように現在の銀行の株式の保有状況からいたしましてこれは勿論個々の銀行の状況にもよりますし、また銀行の個々の営業の方針によるわけでございますけれども、銀行の判断によりまして多少とももう少し株式を保有する余地がありはしないか。勿論その場合に株式の銘柄を選び、また確実な対象物を選ぶという必要はあるわけでございますけれども、その判断によりましてもう少し株式を保有する余地はありはしないかという趣旨からいたしまして、昨年末以来銀行に株式買入れの協力方を要請しておるという状況であるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/42
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043・木村禧八郎
○木村禧八郎君 大体まあ分りましたが、他の法律の定めるところによりというのははつきりいたしませんからそれをはつきりして下さい。それから只今御答弁で銀行の証券保有が少くなつて来ておるから或るべく銀行の流動資産を増すという意味において主として有価証券を保有するように協力方を求める、こういうお話でありましたが、それは具体的にはどういう形において協力を求めることに努力されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/43
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044・三井武夫
○政府委員(三井武夫君) 昨年十二月に大蔵大臣が金融界の代表的な方々と会談したのでありまして、最近の証券界の窮迫した情勢を詳しく説明されまして、そうしてそれらの金融界の方々に対してそれぞれの銀行の或いは保險会社の状況に応じて多少でも株式の保有の余裕があるならば是非この際株式の買入れに協力して貰いたいということを要請されております。この要請に基きまして、多少銀行方面よりもその後におきましては株式の買入れに努力して呉れておるわけでございます。大体大蔵大臣といたしましてはさような形で金融界方面の要請を求めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/44
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045・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その金融界のそういう保險会社なども含めての金融界の協力によつて最近株が多少安定し、持直したとそういうふうに考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/45
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046・三井武夫
○政府委員(三井武夫君) 御承知のように二月になりましてから多少株価が持直した面があるのでありまするが、この持直したということにつきましてはいろいろ原因は考えられると思うのであります。併しその原因の一つにこうした金融界方面の協力ということを考えるということは私は適当じやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/46
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047・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、この証券取引法ですな、この第百二十五條を見て頂きたいのであります。百二十五條にこういうふうにこれは御承知と思うのでありますが、書いてあるのでありますが、「何人も、他人をして証券取引所に上場する有価証券の売買取引が繁盛に行われていると誤解させる等当該有価証券の売買取引の状況に関し他人に誤解を生ぜしめる目的を以て、左に掲げる行為をしてはならない。」こういうふうに規定してあります。次に更に「何人も、有価証券市場における有価証券の売買取引を誘引する目的を以て、左に掲げる行為をしてはならない。」その次に「単独で又は他人と共同して、当該有価証券の売買取引が繁盛であると誤解させ、又はその相場を変動させるべき一通の売買取引又はその委託若しくは受託をすること」それはいけない、こういうふうに規定してあります。更に又「当該有価証券の相場が自己又は他人の市場操作によつて変動するべき旨を流布すること」これもいけない。更に「当該有価証券の売買取引をなすにつき、重要な事項について虚偽であり、又は誤解を生ぜしむべき表示を故意になすこと」もいけない。更に「何人も、単独で又は他人と共同して、証券取引委員会が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めて証券取引委員会規則で定めるところに違反して、有価証券の相場を釘付け、固定し、又は安定する目的を以て、有価証券市場における一連の売買取引又はその委託若しくは受託をしてはならない。」こういう規定があると思うのであります。先程のお話によりますと、大蔵大臣は十二月に金融界代表と会つておる。金融界の代表に対して、そうして余裕があつたら株を買つて貰いたいということを要望しております。これによつて株が持直した一つの原因と見ていいであろうかという御意見もあつたのであります。世間一般に大蔵大臣の言動によつて株は変動され、或いは固定させ、或いは安定化させる、とこういう誤解を生ぜしめておると思うのであります。これは政府みずからがそういうことをやつているのであつて、百二十五條に違反しないかどうか、非常に不用意な言動をされたことになりはしないか。百二十五條の精神は一体どこにあるか、この点を大蔵大臣にもお伺いいたしたいのですが、事務当局で、事務的にこの問題をどういうふうに解釈されていますか。この点を伺つて置きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/47
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048・三井武夫
○政府委員(三井武夫君) 只今の木村委員の御質問の趣旨は、実は十分に私共といたしましては了解し難いのでありますけれども、百二十五條の趣旨といたしますところは個々の有価証券の相場操縦の禁止の規定でございまして、百二十五條に只今お読みになりましたように詳しくその点につきましての取締規定を設けてあるのでございますが、先程私が申上げました大蔵大臣のこの日本経済全体のためを考えて、この証券界の現状の打開を金融機関に要請したという行為は第二十五條のいずれの條項にも抵触していないと確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/48
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049・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは見解の相違になりますから大蔵大臣から御答弁して頂きたいと思うのであります。
それから改正案の中で少し細かいことになるのですが、有価証券の募集又は売出しに際して証券取引委員会規則で届出を免除することができる範囲、これを五百万円から一千万円に引上げますと逆に公益或いは投資者保護と矛盾するようなことにならないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/49
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050・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) 実はこの問題はこの委員会でもたびたび出たわけでありますが、この五百万円から千万円に引上げますと、今までこの証券取引法が実施されて、昨年中で件数にいたしますと、五百万円以上千万円以下の分が、件数で約三〇%それから金額で四%で、金額的にまあ非常に少いということが一つと、それから尤もこれは免除し得る限度でありまして、委員会規則で決めるわけでありますが、これは一般に公募する、証券業者等を使つて不特定多数人を相手として募集をする分については引上げるということは考えておらない、その意味におきまして投資者保険に欠けるということは余りないだろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/50
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051・木村禧八郎
○木村禧八郎君 大蔵大臣に対する質疑を保留しまして、私のはこれで一応終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/51
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052・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) 木村君大蔵大臣は要求しますが、どのくらい時間を取りますか、あなたの質問は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/52
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053・木村禧八郎
○木村禧八郎君 もう大体事務的なあれはお伺いしましたからあとは大蔵大臣に責任を以て答えられる点についてですから、そう時間は取らないと思うのです。要点について、要点を挙げてお伺いしますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/53
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054・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) それでは短い時間ということで要求して見ましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/54
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055・木村禧八郎
○木村禧八郎君 とにかく余り短いといつてもいい加減に答弁されては困りますが、そう委員長が余り制限されるようなことを言われなくても我々の方で適当に……自分一人が沢山外の方も御質問があるのにやりませんから、とにかく大蔵大臣を要求して項きたいのです。大丈夫です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/55
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056・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) ちよつと速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/56
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057・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) 速記を始めて。他に御質問はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/57
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058・油井賢太郎
○油井賢太郎君 この五十五條に書いてありますところの適当な数量の売買取引、不健全な方法による売買、こういつたような一連の点でありますが、これは証券取引委員会で以て具体的にどういうふうにしてこれをいわゆるお認めになることができるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/58
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059・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) 具体的にと申しましても個々の実際の場合に当らなければいかんと思いますが、一応考え方といたしましてはここの五十五條の中で、例えば適当な数量の売買取引、この場合抽象的になつて恐縮でございますが、例えば自分の自己資本に比べまして余り沢山の有価証券を所有するような取引、こういうものを考えております。又不健全な方法による売買というのは、常に売渡しする意思もなくて空売、或いは責任取引、或いは保証金を徴収しないで権利株等の売買をするというようなことも不健全な方法というように考えております。不健全な方法による借入れというのは小切手の交換、いわゆるマラソン金融、或いは個人から非常に高い高利で借入れておるというのは不健全な方法による借入れ、こういうふうに考えております。又ここの不良と認められる資金というのは、お客さんの方で債務を履行しなかつた関係上、そのお客さんの買つた株の転売をした場合、そこに差損ができて相当長期間未回収になつておるようなもの或いは不渡小切手、立替分の焦げついておるもの等はいわゆる不良と認められる資産、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/59
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060・油井賢太郎
○油井賢太郎君 今のような場合に、証券取引委員会は何か特権を與えられてそういう調査なり或いは資料の提供なりを求めることができますか。どの條項によつてそういう権限が與えられておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/60
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061・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) これが、この五十五條の二の規定を置いたのは今までは証券業者がこういうような不当な取引等をやつて非常に不健全になつたような場合に、その行為を止めさせる、或いは不良資産を償却させるという命令をする権限を持つていなかつたのでありまして、そういうことの結果結局倍率に引つ掛かるとか、或いは著しく資産内容が悪くなつてお客に迷惑をかけるという事態に至つて、それを検査の結果分つた場合に営業を取消すとか、或いは営業を停止するとか、その手段しかなかつたのでありまして、事前にそういうよくない行為或いは不良資産の償却ということを直させて事前に措置するという権限がなかつたのであります。そういう必要がありますので、この規定を置いたわけであります。そうしてこういういろいろな例を一応設けたのはこの五十五條でできるならば今までの法律でありますれば、委員会において必要と認めるときにはこういうことができる、こういう書き方でありまするが、それは余りに権限を與えるという意味で、例示的にこういうような場合にやれるというので、その五十五條の規定はその根拠を與えられた條文であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/61
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062・油井賢太郎
○油井賢太郎君 そうすると、例えば過当な数量の売買というような場合ですね、果してどれが過当かどうかということは、委員会で一定の尺度を具体的にお決めになつておられると思うが、例えば昨年あたり各会社に政府が増資を慫慂してどんどん増資した、而もそれの引受に当つては、実際一般民間だけではとても持切れるものではなかつたということが事実であります。そういう場合一応取引委員がそれを引受けるということも、これはしよつちゆう行われたことなんですが、そういうことがこれによつて制限されれば、今後増資とか、何とかということも円滑に行われないという点も出て来ないかと懸念されますが、そういう尺度を委員会として一体どういうふうにしてお決めになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/62
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063・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) これはまだ具体的に、而も一般的な尺度を決めるということはなかなかむずかしいと思いますが、個々の会社の実情等によつて決めなければいけない、こういう考えでおります。それで尤もこれは非常に抽象的でありますが、ここにあります通り、そういうことをすることが公益又は投資者保護のため必要であり、且つ適当であるというような場合にしかそういうことはできないという建前になつておるので、まあ抽象的ではありますが、こうい方針でやらなければいけないというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/63
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064・油井賢太郎
○油井賢太郎君 先程申上げたように、すでに、いわゆる身分不相応に引受けたような証券会社に対しまして、今更それを清算しろとか、或いはこの規定によつて命令をあなたの方でお出しになるということになつた場合に、相当証券会社に恐慌を與えることになりはしないかと思いますが、そういう懸念はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/64
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065・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) まあ相当引受株を抱いておるような証券会社に対しましては、引受株を抱いておるものについては、この規定はそういうような場合には、今後そういうことをしちやいかんということでありまして、それから不良資産の分については、それを償却することを命ずることができる、今の不当な売買、或いは借入というような場合、この前段の方はむしろ今後そういう行為をしてはいかんということで過去に遡るわけであります。ただ不良資産を抱いておる場合には、それを会社の資産内容を堅実にする意味において、その一部を償却することを命ずることができるという規定になつておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/65
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066・油井賢太郎
○油井賢太郎君 実際問題で今証券取引所の取引委員に、不良資産の整理というようなものを本当にやらせたら、恐らく大半潰れはしないか、こういうふうに考えるのですが、何故ならば発行されたところの株式を引受けた当時と今日においては、大分相場の上においても狂いが来ております。そういうのを本当に委員会がメスを入れたら大半潰れてしまうということなつて、日本の経済界、財界に及ぼす影響は、これは大変なものが出ると思うのでありますが、委員会として、今のところはそこまでお考えになつておられないのですか、或いはそうであるからこういうふうな何かしら対策を講じなくてはならないというふうに真剣にお考えになつていますか。これは委員会だけでなしに政府が実際はやるべきでしようか、政府の身代りで、あなたの方で、先ず政府を鞭撻して、そういう措置をとらなくてはならないと思います。ただ漠然と只今のところでは有価証券も小康を得てちよつとひつ返し気味であるから、まあこんなところでいいというふうにお考えになられるか。或いはもう一段株界に旋風が吹いて下落でも来るというような場合でも想定しますと、どういうふうな措置をとられるお考えでありますか。こういう点について根本的に疑念の点をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/66
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067・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) この問題は先程も申しました通り、現在の証券取引法では会社の内容が不健全になる途中において、実際的には或る程度指導しておりますが、その経営を改善させまする、いわゆる事前において経営を改善せしめる措置が法的になかつたものですから、結局法的には検査をして、その倍率等に引つ掛かれば営業の停止、若しくは取消と、こういう方法しかなかつたのでありますが、事前にその会社が資産状況等から見て、まあ適当な取引をしているものは将来そういう行為を止めさせるという措置をすることによつて、将来株価の変動等があります場合においても証券業者の内容を堅実にさせる、そういう指導を法的にもできるというふうにしようというのがこの規定でありまして、ただ今抱いております株券が値下りになつている。これは不良資産というわけには行かんと思います。或いはお客さんに貸付ける、まあお客に貸付けるということは許されないのですが、そういうような不良債券等がありますれば、これは不良資産と言えますが、一応所有している株式については、これは値下りという問題で不良資産というわけではありませんからして、これを償却させるというようなこの規定を適用する、過去のものについて適用するということはあり得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/67
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068・油井賢太郎
○油井賢太郎君 私の質問しているのは、形式的なことでなしに、実際に現在の証券界の状況を深く掘り下げて行つて、これに対していわゆる不良資産の償却等をされるとか何とかいうようなお話もありますが、まあ悪いところだけはこうやつていろいろ規定を作つて制限を加えるのですけれども、これに対して或いは救済するとか、或いは何らかの対策を講じてやるというようなことまでは委員会としてお考えになつているかどうか。実際そういう点までお考えにならなければ、今の証券業界の健全な発達というか、回復ということはできないと思います。これはむしろあなたの方ばかりでなく、政務次官がおいでになつておりますが、政府側の答弁も併せて聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/68
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069・湯地謹爾郎
○政府委員(湯地謹爾郎君) 政務次官からお答えになるかと思いますが、我我委員会の立場といたしましては、この証券取引法の円満なる実施を一応するということが主たる任務でありまして、個々の証券業者を特別に救済するということは余り考えてないのでありまして、我々よりもつと高い立場に立つた大蔵省として、日本経済全体の点を考えてやられることだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/69
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070・油井賢太郎
○油井賢太郎君 政府側の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/70
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071・水田三喜男
○政府委員(水田三喜男君) 証券業者の保護につきましては、一面只今申されましたように厳格な監査是正をやつて、その経営の健全化を図ると共に、一面保護のことも考えてはおります。そうして現在証券業者が困つておる立場をどういうふうに金融面で政府が見てやろうかというような問題は、只今その一つの方式について政府としては関係筋と折衝中でありまして、近く必ずそういう政府の証券対策がはつきりと決まることと思いますので、それまでお待ち願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/71
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072・油井賢太郎
○油井賢太郎君 これは待てとおつしやるのですが、期限がはつきり分らんのですか。何日間くらいで確定しそうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/72
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073・水田三喜男
○政府委員(水田三喜男君) 大臣は過日予算委員会において後四、五日中にそういう問題がはつきりするだろうと答弁しまして、それから今日で一週間以上実は経つておりますが、今度こそ四、五日中に大体その見通しはつくのだろうと思つております。それまでいろいろな姑息な一時的な金融の措置というものは逐次指導してやつておりますが、やはり根本的な対策になると相当大きい手も打たなければならんと考えますので、これは四、五日中に何とか目鼻をつけたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/73
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074・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今政務次官が御答弁になつた案ですね。これは非常にその案が重要だと思うのです。速記を止めてでもいいですが、どういう案かお聞かせ願いたい。折衝中の案です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/74
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075・水田三喜男
○政府委員(水田三喜男君) 折衝中の案ですが、もう少し御勘弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/75
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076・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) それでは大蔵大臣は要求しておりますが、他に政府委員に対する御質問はございませんか。御質問はないようでありますから、大蔵大臣の出席を待ちまする間、一時この御質疑を中止して頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/76
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077・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) 所得税法の一部を改正する法律案、通行税法の一部を改正する法律案、富裕税法案、法人税法の一部を改正する法律案、酒税法の一部を改正する法律案、有価証券移転税法を廃止する法律案、これを議題といたしまして、政府より提案理由の説明を求めることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/77
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078・水田三喜男
○政府委員(水田三喜男君) 只今議題となりました所得税の一部を改正する法律案外五法律案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。
政府は、昭和二十五年を期して、国税地方税を通ずる税制の根本的改正を断行することといたしたのであります。即ち、先に公表を見たシヤウプ税制使節団の勧告は、御承知の通り、税制全般に亘る画期的改正を提案いたしておるのでありまして、政府といたしましては、概ねシヤウプ勧告の基本原則に即応し、更に我が国現下の財政経済諸事情に適合するようこれに適切と認められる調整を加えて、現行税制の全般に亘り改正を行わんとするものであります。而して先に第六国会を通過して本年一月から実施を見た所得税の暫定的軽減、取引高税及び織物消費税の廃止、物品税の改正等は今回の根本的税制改正の一環をなすものでありますが、今回ここに所得税法、法人税法等の改正案、富裕税法案等関係法律案を提案する運びと相成つた次第であります。今回の税制改正の基本方針につきまして、申し上げます。
第一に、昭和二十五年度予算におきましては、総合予算の均衡を確保し経済安定を図る方針を堅持いたしますと共に、他面価格調整費その他の経費について相当大幅な節減を行いまして、歳出規模の縮減による財源を以て、国民租税負担の軽減合理化を図ることといたしたのであります。これにより昭和二十四年度に比して国税の軽減額は相当額に達するのであります。
第二に、地方自治を強化助長するため、地方財政を極力充実せしめることとし、これがため地方税收入を相当増加し、特に市町村の財源の充実を期することとしたのであります。従いまして地方税負担は勢い或る程度増加することとなるのであります。尚新たに地方財政平衡交付金制度を創設して、比較的に財政力の乏しい地方団体に対し健全な活動を可能ならしめるに必要な財源を賦與することといたしました。
第三に負担の公平化を図る点に重点をおいたのであります。(1)先ず所得税制度につきましては、徹底した合理化を図り、各種納税者間の負担の公平化と各納税者の個人的事情に適応した課税を実現して、所得税を租税收入の根幹たらしめることといたしました。(2)所得税の補完税として富裕税を創設することといたしました。又、現行相続税制度を根本的に改正して相続及び贈與による財産の取得者に対し、所得者ごとに分割して、その一生を通ずる財産の累積額を標準として課税することといたしたのであります。(3)次に、事業投資の促進、生産の増加等との関連を考慮いたしまして、法人から生ずる所得に対する課税につき調整を加え個人及び法人を通じその負担の均衡を図つたのであります。(4)更に今回個人及び
法人を通じて資産の再評価を実施し、企業をして適正妥当な減価償却を可能ならしめて企業経理の合理化を図ると共に、資産譲渡の場合における課税を適正化することといたしたのであります。(5)間接税その他につきましては、その大衆課税的性質に鑑み、極力整理する方針の下に先に取引高税及び織物消費税を廃止し、物品税を軽減したのでありますが、今回更に有価証券移転税及び三等乗客に対する通行税の課税を廃止し、酒税について若干税率の調整を行うに止めたのであります。
第四に中央及び地方を通じて、恒久的且つ安定した税制の確立に目標を指向したのであります。今回の税制改正は、税制全般に亘る改正でありますが、一旦改正された税制は今後相当な期間持続せしめる前提の下に立案されたのであります。而して国、都道府県及び市町村相互間の税源の配分につきましては、極力同一の税種の比率により分配することを避け、税種目によつて配分することとし、併せし重要でない税目は極力これを整理することといたしたいのであります。即ち、国におきましては、所得税、法人税、相続税、酒税、煙草益金その他の消費税を主要財源とし、都道両県におきましては附加価値税、入場税及び遊興飲食税を根幹とし、市町村におきましては市町村民税及び固定資産税を根幹としてそれぞれ形成せしめることといたしました。特に市町村につきましては、右に述べた通り有力な直接税によつて賄われることになりましたことは、住民の地方行政に対する関心を昂揚することとなり、地方自治の発展に寄與するところ極めて大なるものがあると存ずる次第であります。
第五に税制の合理化に対応して、税務行政の適切な執行を図ることに特に重点を置いたいのであります。即ち、如何に税制が合理化されましてもその運用がこれに伴わなければ国民租税負担の実際の公平化を期し難いことは多く強調するまでもないところであります。従いまして税務行政の改善を図ると共に、納税者の協力の向上に努め、負担の公平化と課税の適正化を図ることが極めて緊要なのであります。これがため今回新たに青色申告書の制度を設ける等租税執行に関する制度につきまして相当の改善を図つたのであります。尚相続税、資産再評価、地方税等につきましては、近くこれが関係法律案を提案することといたしておるのであります。
次に各税に関する改正の大要について申上げます。
先ず、所得税について申上げます。先程も申上げましたごとく、本税を租税收入の根幹として形成すると共に、所得税負担の軽減適正化と所得税制度の合理化を図ることといたしたのであります。
所得税負担の軽減適正化につきましては、今回基礎控除、扶養控除、勤労控除、税率等の改正を行うこととし、負担の減軽適正化を図つたのであります。
先ず、基礎控除につきましては、現行法では年額一万五千円でありシヤウプ勧告においては二万四千円でありますが、これを二万五千円に引上げることといたしました。次に、扶養控除につきましては、現行法では千八百円の税額控除でありますが、これを税額控除から所得控除に改めることを適当と認めまして、扶養親族一人につき一万二千円を所得金題から控除することといたしたのであります。尚これに関連いたしまして、扶養親族の範囲を拡張し、納税義務者と生計を一にする配偶者その法の親族で原則として所得金額が一万二千円以下である者を扶養親族として認めることといたしたのであります。これにより農業、中小商工業において家業を助けている成年の親族や就学中の者等につきましても扶養控除が認められることと相成るのであります。次に、勤労控除につきましては、現行法では收入金額十五万円までの金額の百分の二十五、最高三万七千五百円の控除が認められており、シヤウプ勧告では收入金額の百分の十、最高二万円の控除が提案されているのでありますが、勤労所得者と事業所得者との間の負担の均衡等を考慮いたしますときは現行の百分の二十五の控除割合はやや多きに過ぎると考えられますので、今回收入金額二十万円までの金額についてその百分の十五、最高三万円の控除を認めることを適当と考えたのであります。尚、退職所得につきましても、給與所得の場合に準じ、新たに收入金額の百分の十五の控除を行うことといたしました。次に税率につきましては、概ねシヤウプ勧告の線に沿い、五万円以下百分の二十、五万円を超える金額百分の二十五、八万円を超える金額百分の三十、十万円を超える金額百分の三十五、十二万円を超える金額百分の四十、十五万円を超える金額百分の四十五、二十万円を超える金額百分の五十とし、最高税率は、シヤウプ勧告においては三十万円を超える金額に対し百分の五十五でありますのを五十万円を超える金額に対し百分の五十五といたしたのであります。尚、後で御説明いたしますように、所得税率を百分の五十五に止めたことと関連して、高額所得者に対する所得税の補完税として、新たに富裕税を創設することとし、高額資産所得者に重課することにより、負担の適正化を資えることとしたのであります。
以上により、所得税の負担は、各種納税義務者を通じまして、相当軽減適正化されるのでありまして、例えば、給與所得者について申しますれば、扶養親族三人で月收一万円を有する者の現行負担は、月千百九十五円であるが、改正後は六百八十三円となり、差引五百十二円の軽減となり、軽減割合は四割二分八厘になるのであります。又扶養親族四人で月收一万五千円を有する者の現行負担は月二千六百九十一円であるのが改正後は千四百五十八円となり差引千二百三十三円の軽減となり、軽減割合は四割五分八厘となるのであります。農業所得者についてしますれば、所得年額十万円程度が通常の場合であると考えられるのでありますがその現行負担は、扶養親族四人の場合には一万六千五十円であるが改正後は五千四百円となり、差引一万六百五十円の軽減となり軽減割合は六割六分三厘となるのであります。又、営業所得者の場合には、所得年額二十万円程度が通常であると考えられるのでありますが、その者の現行負担は扶養親族四人の場合には、五万七千五十円であるのが改正後は三万三千三百円となり、差引二万三千七百五十円の軽減となり、軽減割合は四割一分七厘となるのであります。これにより、所得税の負担、特に扶養親族の多い世帯の負担は、相当程度軽減合理化されることとなるのであります。
次に所得税制度の合理化を図るべき方途としては、先ず第一に特別控除を認めることとしたのであります。即ち、不具者である者については、基礎控除又は扶養控除を認めます外に一万二千円の控除を認めることといたしました。また震災、風水害、火災その他これらに類する災害又は盗難に因り受けた損失額が納税義務者の所得金額の十分の一を超えるときは、この超過額を所得金額から控除することといたしました。更に納税義務者又はその扶養親族の医学費につきましては、支出した医療費が所得金額の十分の一を超えるときは、その超過額は、十万円を限度として、これを所得金額から控除することといたしました。
第二は所得合算制の縮少であります。即ち原則として同居親族の所得合算制は、これを廃止し、各所得者ごとに課税することといたしました。ただ、例外として、納税義務者と生計を一にする配偶者又は未成年の子等が資産所得を有する場合には、当該資産所得の金額を、又納税義務者の扶養親族として控除の申告をした場合にはその扶養親族の所得の金額を合算して課税することにとどめたのであります。これにより、例えば独身者の場合等の負担は相当軽減されるものと考えられるのであります。尚、納税義務者と生計を一にする配偶者その他の親族が当該納税義務者の経営する事業から所得を受ける場合には、当該所得をその納税義務者の所得として課税することといたしました。
第三は損益通算及び損失の繰越又は繰戻に関してであります。損益通算につきましては現行法では経常的所得と臨時的所得との間に境を設けて、両者間の通算を認めないこととしておりますが、今回の改正により所得の計算上一時所得以外の所得について損失があるときは、これを他の所得の金額から差引いて計算することといたしました。又、青色申告書を提出した場合には、或る年において生じた純損失の繰越控除を三年間認めることとし、又前一年に限つて繰戻控除を認めることといたしたのであります。第四に漁獲から生ずる所得、著作権の使用料による所得、退職所得、山林所得又は譲渡所得等年々所得金額の変動することが予想される変動所得につきましては、或る年にこれが集中することが多いため累進税率の関係等で著しく高い負担となるものと考えられますので、数年間にこれを均分して課税することとし、負担の調整を図ることとしたのであります。即ち、変動所得の金額が所得金額の百分の二十五以上である場合におきましては、納税義務者は、平均課税を受けることを選択することができることとしたのであります。この場合、平均課税の期間は、原則として五年間でありますが、変動所得が漁獲から生ずる所得、著作権の使用料による所得等以外であつて、且つその金額が二十万円以下であるときは、その年限りの簡易な調整を行い得ることといたしております。第五は譲渡所得及び山林所得の課税方法の改正であります。譲渡所得及び山林所得につきましては、現在はその十分の五に対し課税することになつておりますが、今回はその全額に対し課税することといたしました。他面、譲渡所得及び山林所得に対する課税を合理化するため、変動所得の平均課税を選択することができることといたしますと共に既往におけるインフレーシヨンによる値上り所得を排除調整するため、資産再評価による再評価額を譲渡所得又は山林所得計算上の取得価額の基準といたすこととしたのであります。かように再評価額を取得価額といたします結果、譲渡所得は再評価額を超える部分だけについて生ずることとなり、再評価額の範囲はすべて六%の再評価税の課税を受けるにとどまることとなるのでありまして、負担は著しく緩和されるのであります。次に相続又は贈與等に因り資産の譲渡があつた場合におきましては、少額な場合を除き、原則としてその時において譲渡所得又は山林所得が実現したものと考えまして譲渡所得又は山林所得を計算して課税することといたしました。尚、今回生活に通常必要な家具、什器、衣服その他一定の動産についての譲渡所得は、所得税を課さないことといたしました。
第六は配当所得に対する課税方法の改正であります。個人及び法人の課税の調整につきまして相当根本的な改正が行われることとなつたのでありますが、その一環として、法人税の課税は、個人における所得税の源泉徴收に当るものであるという観点からいたしまして、配当所得に対する源泉徴收の制度はこれを廃止いたしますと共に現在配当所得の百分の十五に相当する金額を所得税額から控除することといたしておりますのを配当所得の百分の二十五を控除することとし、その控除割合を引上げることとしたのであります。尚、清算分配金につきましては、清算所得に対する法人税の廃止に伴い株主等個人の所得として所得税が課税されることになるのでありますが、清算分配金が株式又は出資の取得価額を超える場合の超過金額のうち、法人の積立金に対応する部分の金額につきましては、配当所得として課税し、右以外の金額につきましては、当該株式又は出資の譲渡による収入金額として取扱うことといたしております。第七に申告及び納付の時期につきましては、一般の所得税の申告時期及び納期は、これを六月、十月及び翌年一月の三期に改めることとしたのであります。又農業所得につきましては、農家の実情に即するよう七月、十一月及び翌年二月の三期とすることとし、尚、単作地域につきましては、十一月及び翌年二月の二期といたしました。その他、所得税の控除、税率等の改正に伴い、簡易税額表及び源泉徴収額表を全面的に改正いたしますと共に、簡易税額表を適用する場合を課税所得金額三十万円程度まで拡張することといたしました。又予定申告書又は確定申告書の提出を要しない者の範囲につきましても、相当拡張することといたしました。次に所得税の執行に関する制度の改正といたしましては、先ず、今回青色申告の制度を認めることとし、正確な帳薄の記載を奨励し、これに対し相当の優遇を與えることといたしたのであります。即ち一定の帳薄を記載している納税者に対しましては、青色申告書の提出を認めることとし、この場合には、帳薄書類を調査した上でなければ、更正決定をなすことができないことといたしますと共に、損失の繰越繰戻を認めることといたしたのであります。今後この青色申告の制度の実施に伴つて課税関係の不合理は漸次解決を見るべきものと期待しているのであります。第二に予定申告に際しましては原則として前年の所得金額を基準とする制度を設けることとし、政府の承認を受けた場合には、前年の所得金額に満たない金額で申告することができるものといたしました。その他源泉徴収制度につきましても、実情に即するよう若干の改正を行つたのであります。次に法人税について申上げます。今回の改正により、法人の課税制度には相当重要な改正が行われることとなつたのであります。従来の我が国の法人税制度は、法人を個人から独立した課税主体として個人と別個に課税することといたしているのでありますが、今回法人が事業遂行のための個人たる株主の集団である点を重視し、法人税と所得税とが実質的に二重課税となることを排除すること及び法人の租税負担を軽減して事業投資、資本蓄積の促進を図ることを改正の基本原則としたのであります。これに伴い、先に御説明いたしましたように、配当所得に対する課税方法にも必要な変更が加えられたのでありますが、法人の課税制度にも次に申上げますごとく相当重要な改正が加えられることとなつた次第であります。その一は、超過所得に対する法人税及び清算所得に対する法人税の廃止であります。即ち、昭和二十五年四月一日以後終了する事業年度から超過所得に対する法人税を廃止することといたしました。又同日以後における解散又は合併に因る分から清算所得に対する法人税を廃止し、先に述べました通り、清算分配金はこれを株主等の個人に対して課税することといたしましたのであります。その二は、普通所得に対する法人税の税率百分の三十五は、据置くことといたしたのでありますが、農業協同組合等の特別の法人に対する税率は、一般法人と同様、百分の三十五といたしたのであります。その三は、積立金に対する課税でありまして、本年四月一日以降終了する事業年度における積立金額の増加額に対しあらたに年百分の二の税率により法人税を課することといたしました。この積立金に対する課税は、先に述べました個人、法人の課税の調整に関する措置の一環をなすものでありまして、法人が所得を社内に留保した場合におきましては、その株主はその留保金に対して所得税の納付を延期する結果となることを考慮いたしまして、延期をした所得税額に対する利息分を徴収する意味から、創設されたものであります。ただ同族会社につきましては、積立金額のうち年五十万円をこえる金額に対しましては、その税率を百分の七といたしますとともに、現行の同族会社に対する税額加算の制度は、これを廃止することといたしました。尚、同族会社の範囲を拡張し、株主一人中心主義を株主数人主義に改めたのであります。
その四は、法人が他の法人から受ける配当等につきましては、法人課税制度の改正の原則に従い、その配当等からその元本を取得するために要した負債利子を控除した金額を益金に算入しないことといたしたのであります。
その五は、公益法人に対する課税であります。即ち民法第三十四條の規定により設立した法人等の收益事業から生じた所得に対しましては、あらたに課税することといたしたのであります。尤も当該法人が所得のうちから本来の公益事業に支出した一定額につきましては、これを損金に算入することといたしているのであります。
その他法人の課税標準の計算に関しまして、青色申告書を提出している法人につきましては、五年の損失繰越を認めますと共に、前一年に限り損失の繰戻を認めることといたしました。又棚卸資産の評価方法及び固定資産の減価償却の方法につきましては、各種の方法のうちいずれか一つを選択することができることとし、一の方法から他の方法に変更するには、政府の許可を受けなければならないこととしたのであります。尚額面超過金、減資益等の益金不算入が貸倒準備金の損金算入その他法人所得の計算に関する規定を実情に適応するよう改正することといたしました。
法人税の執行に関する制度の改正といたしまして、青色申告書の制度を設けること。申告納税について前年実績制の要素を取入れたこと等は、所得税の改正について御説明した通りであります。尚法人税の申告書に法人の代表者又は経理担当責任者が自署押印しなければならない規定を設けることといたしたのであります。
次に、富裕税についてその大要を申上げます。先にも申上げました通り、所得税におきましては、その最高税率を五十万円を超える金額に対し百分の五十五としたのでありますが、これに対応して高額所得者に対する税負担の適正合理化を図りますために、新たに所得税の補完税として、富裕税を創設することといたしたのであります。
富裕税の内容につき主要な点を申上げますと、本税は、課税時期即ち毎年十二月三十一日において、本法施行地に住所を有し、又は一年以上居所を有する個人と本法施行地に住所又は一年以上居所を有しない個人で課税時期においてこの法律の施行地に財産を有しているものに対して、その財産の価額が五百万円を超える場合に課税するのであります。課税標準の計算に当りましては、前者については、その者の有する財産の価額から課税時期において現に存する公租公課を含む債務の金額を控除した金額を、後者については、その者の有する本法施行地にある財産の価額から、その財産に係る債務の金額を控除した金額を課税価格といたしております。尚富裕税の課税に当りましては、(1)国又は地方公共団体において公用又は公共の用に供する土地、家屋及び物件、(2)墓所、霊廟及び祭典並びにこれらに準ずるもの、(3)国宝、史蹟名勝天然記念物、重要美術品として認定されたものの価額の合計額のうち百万円までの金額(4)専ら学術の研究の用に供する書籍、標本及び機械器具、(5)生活に通常必要な家具、什器、衣類その他の動産には、課税しないことといたしております。次に、免税点及び税率でありますが、富裕税は先に申し上げた通り、課税価格が五百万円以下である者については、課税しないことといたしております。
又その税率は、最低五百万円を超える金額に対し千分の五から最高五千万円を超える金額に対し千分の三十に至る超過累進税率によることといたしました。これにより本税の課税を受けるものは五百万円を超える高額資産家に限られるわけでありまして、その課税人員も比較的少数であります。本税は通常の場合におきましては、所得税と合せて年々の所得から納め得る程度のものと考えられるのでありますが、高額資産所得者につきましては、例えば收益率一割の場合には、所得税の負担と合せて最高百分の八十五の税率となり、高額資産所得者は相当高率の課税を受ける結果と相成るのであります。
尚同居親族の課税価格はこれを合算することといたしておりますが、その割合には所得税の資産所得の合算の場合と同様の範囲といたしております。
次に財産の評価でありますが、原則として、課税時期における時価によることとし、地上権及び永小作権の価額は、その残存期間に応じ課税時期の現況による土地の価額に一定の割合を乘じた金額といたしました。又有価証券で取引所に上場されているものについては、その年の十二月中の毎日の最終価額の平均額により、年金その他の定期金に関する権利の価額については、その受くべき金額に一定倍数を乘じた金額により、保險契約に関する権利の価額は、課税時期までに拂込まれた保險料の合計額を基準として一定の割合を乘じた額とすることといたしました。
本税は、課税時期の翌年の二月一日かろ同月末日までに申告納税する建前を取ることといたしましたので、最初本税を申告納税するのは昭和二十五年十二月三十一日現在の財産価格につき昭和二十六年二月未日までにすることになるのであります。尚本税の更正決定、異議処理の方法並びに罰則につきましては、所得税の例に準じて規定を設けることといたしました。
次に、有価証券移転税につきましては、従来から有価証券の流通を阻害するという非難が多かつたのでありますが、所得税の譲渡所得を補完する目的もあつて、今日まで存置して来たのであります。併しながら今回取引高税の廃止、不動産取得税の廃止等をも考慮いたしまして、有価証券の流通を円滑にする等のため、これを全廃することにした次第であります。
次に通行税につきましては、奢侈的性質の少い三等の乘客に対する課税を全廃することといたしました。他面、一等及び二等の乘客に対しましては、その消費の性質に鑑み、普通運賃に対しても急行、寢台、料金に対すると同様、百分の二十の税率を以て課税することといたしました。
次に酒税について申上げます。酒につきましては、最近における酒類の消費状況に鑑みまして、できるだけ多くの歳入を得ることを期しているのでありますが、酒類の価額はすでに相当高位にあり、又密造対策の見地からいたしましても、その大幅な引上げは困難と考えられるのであります。ただ現在の財政事情及び酒類の需給状態等から見まして、或る程度の価格の引上げは止むを得ないものと認められますので、今回、地方税たる酒消費税を酒税に統合し、各種酒類間の権衡を考慮いたしまして、若干税率の調整を図ることといたしたのであります。
即ち自由販売酒のうち、清配につきましては、一升当り特級千百四十円を千百七十円程度に、一級九百十円を九百六十円程度に、二級六百四十円を六百五十円程度に、合成清酒につきましては一升当り一級六百四十五円を六百七十円程度に、燒酎につきましては一升当り四百二十五円を四百五十円程度に、又麦酒につきましては大壜一本当り百二十五円を百三十円程度にすることとし、配給酒につきましても若干の引上げをすることとしたのであります。他面この際若干の価格の引き下げを行うを適当と認められるものもありますので、合成清酒第二級一升当り五百二十五円を五百円程度に、三級ウイスキー一壜当り四百二十二円を三百八十円程度にそれぞれ引き下げ、価格の適正化を図ることとしたのであります。
次に所得税、法人税等に共通する問題でありますが、租税執行に関する制度の改正について主要な点を申上げます。
青色申告書の制度及び予定申告等の実績制を採用することにつきましては、先に所得税及び法人税に関連して申上げた通りであります。今回異議処理の方法を改正いたしますと共に、新たに国税庁及び国税局に専門の協議団を設置し、その適切迅速な処理を図ることといたしました。即ち改正された要点を申上げますと、税務署の調査によりなした更正決定に対する異議につきましては、再調査の請求ができることとし、再調査の決定に不服のある者は国税局長に審査の請求ができることといたしたのであります。尚、国税局又は国税庁の調査によりなした更正決定に対する異議につきましては、調査をなした国税局又は国税庁に審査の請求ができることとしたのであります。所得税、法人税等についての審査請求につきましては、国税庁又は国税局に所属する協議団を全国各地に置き、その協議を経て、これが決定することとしたのであります。而して審査の協定に不服があるとき又は審査請求があつた日から三箇月以内に決定がないときは裁判所に出訴することができることとしたのであります。
次に、従来の加算税及び追徴税を今回実情に即するように改正することといたしたのであります。即ち、現行の加算税を利子税額に改め、本税、百円につき現行十銭であるのを四銭に引下げることといたしました。次に、現行の追徴税を性質に応じ過少申告加算税額及び無申告加算税額に改め、過少申告加算税額は期限内の過少申告に対し不足税額の百分の五に相当する金額を徴收することとし、無申告加算税額は期限内に申告しなかつた場合において期限後の期間に応じ、その納付すべき税額に対し百分の十乃至百分の二十五の割合で徴收することといたしました。更に虚偽の申告をなした場合の過少申告加算税額に代え不足額の百分の五十の重加算税額を徴收し、事実を隠ぺいし又は仮装して申告しなかつた場合には、無申告加算税額の外に納付すべき税額の百分の五十の重加算税額を徴收することといたしたのであります。尚、源泉徴收義務者につきましても、右に準じ、利子税額、源泉徴收加算税額及び重加算税額を徴收することといたしました。
次に、罰則に関する規定を整備することといたしました。即ち、その一は所得税、法人税等の通脱犯に対する罰金刑を現在は脱税額の五倍以下であるのを、五百万円以下とし、脱税額が五百万円を超えるときはその免れた税額を同額以下といたしました。その二は、正当な理由がなくて確定申告書等を提出しなかつた場合に対する罰則の規定を新たに設けることといたしました。その他秩序罰につきましても所要の整備を加えることといたしました。
以上各法律案につきその大要を申し上げたのでありますが、昭和二十五年度の租税及び印紙收入の総額は、四千四百四十六億円に上り、総歳入中租税の占める地位は六七%強となつているのであります。昭和二十四年度の租税及び印紙收入の総額約五千百五十九億円に比較いたしますと、約七百十三億円の減少となるのであります。尤も、第六国会において可決された所得税の軽減、取引高税及び織物消費税の廃止等は、今回の税制改正と一体として考えるべき性質のものでありますから、これを含めた減少額は、約九百十三億円に達するのであります。尚地方税におきましては、市町村税において約四百億円の増加となるわけでありますが、他面寄附金が相当減少することが予想されます結果、全体としての地方負担の増加はさしたるものではないと考えられるのであります。
その各税につきまして、本年度の收入額を申上げますれば、所得税は二千四百八十六億八千三百万円で全体の五五・九%、法人税は三百八十六億二百万円で全体の八・七%、酒税は千三十億三百万円で全体の二三・二%物品税は百七十二億五千八百万円で全体の三・九%に達するのであります。尚、富裕税の本年度の收入額は二十億二千五百万円であり資産再評価による再評価税の本年度の收入額は、百五十九億三千八百万円であります。今昭和二十五年度の租税及び印紙收入に専売益金を加えて直接税と間接税との比率を見ますれば、直接税は五四・五%、間接税は四四%その他一、五%に当るのであります。
今回税制の全般に亘り根本的な改正を行い、租税負担の軽減合理化を図ることといたしたのでありますが、租税負担の公平化を期するためには、税制の合理化と相まつて、税務行政の適切な執行を図り、徴税能率の増進、申告成績の向上等により負担の公平化と課税の充実を図ることが極めて緊要なのであります。政府は、租税執行に関する制度について改善を行い、負担の公平化に全力を傾注する考えでありますが、これが成否は、全国民の深き理解と協力とにまつところ多大なものがありますので、この際国民各位の御協力を切に希望するものであります。
何とぞ御審議の上、速やかに賛成せられんことを切望して止まない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/78
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079・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) ちよつと速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/79
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080・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) それでは速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/80
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081・森下政一
○森下政一君 只今所得税法その他の税制改革を伴う税法全体に対する御説明を伺つたのですが、私はこれを審議するに当つて、皆さんに御相談して頂いて、願わくば御同意を得て、こういうふうな審議にして貰いたいと思います。本委員会に只今付託されているもので、この税法以外のもので、すでに衆議院の方の議決を経ておりますもので、未だ本委員会は決定していないいろいろ細かいものがありますから、これを先に、或いは明日からでもどんどん上げてしまう。そうして七日の税法改正に関する公聽会の終えた後にこの税法改正の審議に入る。税法改正の審議に入りますときには、公報に出して貰うときに。例えば今日は所得税法の改正だ、それだけを取上げるというふうにして頂いて、一人の人が例えば西川さんなら西川さんが所得税のことを尋ねているかと思えば、一方では通行税とか、法人税とか、いろいろなタイプのものをあちこちとやられることは、お互いに混乱しますから、所得税なら所得税だけについて審議を完了する。それから法人税に入るという工合に、順序を立つてやることが、非常に頭に入り易いのではないかと思います。又審議も促進されると思いますから、そういうふうに一応委員長の方でお取計らい願いたいと思います。それから只今の御説明の中にありましたが、地方税の改正というのは今度は簡單な改正ではない。これは大蔵委員会には付議されないと思うのです。恐らく地方行政委員会に付託されると思うのです。これは一つ皆さんの御同意を得れば合同審査会を本委員会から地方行政委員会に申出て貰いたいのです。地方税の改正についても大体いろいろな関連した話をして置きたい問題が多かろうと思いますから、本委員会は黙つておるわけに行かないと思います。これは合同審査を提議して頂きたい、お願いして置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/81
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082・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) 只今森下委員の言われたことも御尤もと思います。私もそういうふうに進めたいと思つております。それから地方税については、先般、地方行政委員会の地方税を付託された場合にはこちらから申込むようにしたいということは予め申しております。ただこの際この開議決になりました不動産取得税廃止とか、それから入場税を軽減とか、これだけは急ぐから合同審議でなしにいたしたいということから、それだけは実はよろしいと思つておる次第であります。大体只今お話のような順序で進めたいと思います。それではこの程度で散会することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/82
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083・黒田英雄
○理事(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。本日はこれで散会いたします。
午後三時四十七分散会
出席者は左の通り。
理事
黒田 英雄君
伊藤 保平君
九鬼紋十郎君
委員
森下 政一君
玉屋 喜章君
西川甚五郎君
平沼彌太郎君
油井賢太郎君
來馬 琢道君
高橋龍太郎君
木村禧八郎君
米倉 龍也君
政府委員
大蔵政務次官 水田三喜男君
大蔵事務官
(証券取引委員
会事務局長) 湯地謹爾郎君
大蔵事務官
(証券取引委員
会事務局次長) 三井 武夫君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714629X01719500303/83
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