1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月三日(金曜日)
午後一時五十八分開会
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委員の異動
六月三十日委員重盛壽治君辞任につ
き、その補欠として吉田法晴君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 栗山 良夫君
理事
井上 清一君
田村 文吉君
田畑 金光君
委員
伊能 芳雄君
阿具根 登君
吉田 法晴君
寺本 広作君
堀 眞琴君
市川 房枝君
国務大臣
外 務 大 臣 岡崎 勝男君
労 働 大 臣 小坂善太郎君
政府委員
調達庁労務部長 中村 文彦君
労働政務次官 安井 謙君
労働省労政局長 中西 實君
労働省労働基準
局長 亀井 光君
事務局側
常任委員会専門
員 磯部 巖君
常任委員会専門
員 高戸義太郎君
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本日の会議に付した事件
○労働情勢一般に関する調査の件
(米軍施設内における労働三法の適
用状況に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/0
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001・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。
去る六月二十九日の本委員会におきましては、政府と駐留軍労組との間の労働問題につきまして、更に米軍の施設工場内における労働問題の件につきまして調査をいたしました。特に政府並びに関係者でありまする日経連及び日鋼、富士自動車、小松製作所、三菱重工等の労使の代表においでを願いまして、米軍との間に契約せられておりまする人事条項についての所見を質したのであます。ところが現在の人事条項によりましては、一方的な解雇が頻発いたしまして労使間に紛議を生じておる。会社としては自主的な人事権を失い、又労働者は理由不明な解雇により甚しき不利をこうむる等、委員会において事情を詳細に述べられたのであります。労使共にその改善について強く要望せられたのであります。人事条項は御案内の通りに米政府と日本の諸会社或いは政府との契約の内容であることは勿論でございますが、その影響は行政協定並びに日本の労働関係法の施行に障害を与えるものでありまするし、又その変更は一、二の民間会社の力の及ぶところではないので、政府は日米合同委員会を通じてみずからその是正に努力すべきであると存ずるのであります。更に仄聞するところによりますると、米軍は本年七月一日よりこの人事条項を更に強化せんとしておる由でございますが、少くとも現状以上に拡張することは問題を一層激発悪化せしめる虞れがございます。明朗たるべき労働運動の発達を阻害し、不必要な反米感情を醸成するものと考えられるのであります。日本側の労使間の問題は日本側において自主的に処理し、労使間が協力体制をとることが最も好ましく、労働平和を確立するゆえんであるわけであります。これは労使共に強く主張しておるところであり、私どもも又そのように信ずるものであります。この件につきましては当日の委員会において外務省の関協力局次長並びに労働省の中西労政局長等の御出席を得まして、強く委員会で要望いたしましたところ、何分の努力をするという確約を得たのであります。
併しながら当時委員会におきましては、親しく外務、労働両大臣の当委員会への御出席を得まして、改めて両大臣に直接強い要望をしたい、こういうことに決定をいたしておるのでございます。その間の事情を御了承願つて両大臣から本件に対する御所信を承わりたいと思うのであります。各議員諸君からはそれぞれ御要望がおありと思いまするが、念のために二十九日の委員会に出ましたところの経過或いはその空気の概要を申上げておきます。
現行の人事条項におきましても、各労使の方のお話を承わつておりますというと、労働問題の日本側における自主権の確立という意味において原則的には反対でございます。ただこの人事条項を呑まない場合には私契約そのものも不可能な状態に陥るというので、止むを得ず呑んでおるというのが実情のようであります。特に要望のありましたことは、現在の人事条項におきましても、米軍側から注目せられるところの人物が、好ましからざる事由というので、極めて抽象的でございます。これでは到底労使間で了解をして事を処することに相成りませんので、好ましからざる事由というものを是非ともこの人事条項の中に明示すべきである。どうしても人事条項というものを削除できないとするならば、明示すべきである。こういう主張でございました。又一方的な通告では非常に困りますので、これは事前に協議を行う余地を残すための協議約款に是非ともせられたい、こういう意味もございました。又国と米国軍との間に契約されておりまする労務基本契約は、御案内の通りに昨年の七月以来失効になつておりまして、毎月両者合意の上一カ月ずつ契約が延長せられておるということを調達庁のほうから伺つたのでございます。従いまして現行の人事条項においてすらこれほどの問題をはらんでおるのでございまするが、その上に七月一日からは非常に大きな強化が加えられる。特にその強化の中には、御承知かと存じまするが、第八条のA項におきましては、特定の工場におきましてスパイ行為、怠業、破壊活動が行われ或いは行われる虞れがありまする場合には、完全なる秘密報告書を業者は契約担当官に提示しなければならん、こういうような条項がございまして、極めて工場の中を不明朗にする虞れがあるというので、どうしても七月一日の更改期に当りましては、この人事条項というものの強化は何とかして防ぎたい、こういう強い要望もございました。
そこで以上のような委員会の模様でございましたから、これらを十分お考え頂きまして、伺いたいことは人事条項そのもの、現行の人事条項そのものを米軍と外務省或いは労働省との御折衝によりまして削除することができないのかどうか、若しできないといたしまするならば、現行の人事条項の中にありまする不明朗な点を明朗化いたしまして協議約款制にし、且つその通告を受ける内容の具体化を図る、こういうようなことができないかどうかということが第二点であります。第三点は、新らしく強化されようとする人事条項については、これは何としても米軍の了解を得まして、その改正強化を防がなければならん国内的な事情がございますが、これについて両大臣はどういう御所信をお持ちになつておるか、努力をせられる御熱意があるのかどうか、この点を重ねてお伺いを申上げる次第でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/1
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002・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 只今のお話でありますが、外務省としてはこういうことに対する専門的な判断をすべき権能はないのでありますが、労働省の意見等も十分参酌して考えました結果、でき得ればこれは人事条項は削除するのが望ましいと考えておるのであります。但し日取りの関係もありまするために、時日が切迫してこの削除ということが非常に困難であるとすれば、少くとも一定の基準を定めて苦情処理に関する条項の挿入をいたすこと及び事前の解雇に関する協議をなすように契約文の改正方を申込むのが至当であると考えております。すでにこの点は先方にも申込まれてありまするが、若し先方との話合いが十分に行かない場合には、更にこれを合同委員会に持ち出しまして、十分なる折衝を行おうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/2
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003・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 只今外務大臣からお答え申上げた通りでありまするが、労働省といたしましては、この条項につきまして労使双方の要望もありまするし、合同委員会を通じまして、米軍側にも当方の意向を申入れた次第でございまするが、一方において駐留軍労務者に対する協議契約改訂の問題が生じ、この契約に含まれまする保安条項とも関連しますので、この問題は基本契約と同様に処理するのが妥当であろうと考えておるのであります。ただ七月一日から、只今委員長御指摘のごとく多くの労務契約が改訂まれつつあるのでありまするが、これに従いまして従来 労務条項も改訂され、文面から見ますると従来よりやや厳格になつているような嫌いがあるのであります。この点につきましては外務省を通じて当方の意向を六月三十日に在日米軍調達本部に申入れた次第であります。私どもといたしまして労務条項については、少くとも排除すべき者の基準を明確にし、又手続きにおいても事前に協議すべきものとする、更に解雇された者は訴願等によつて救済され得る条項を設けまして、労務条項をそういうように改訂するということについて強い希望を申入れてあるのであります。併し折衝しまするのは外務省でございますので、只今外務大臣の御報告でさよう御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/3
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004・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 応御答弁がございましたが、各委員で順次御発言がありましたならば続行をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/4
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005・堀眞琴
○堀眞琴君 只今外務大臣並びに労働大臣から御回答があつたのでありまするが、問題は、要するに人事条項というのは私契約であるということであります。つまり人事条項の性格から言つて、決して行政協定等によつて縛られるものではなくて、下請業者とそれから向う側との契約によつてできておるものである。こうなれば当然その工場で働く労働者は日本の労働法規が適用されることが当然であるという工合に考えられるのでありますが、今のお話では、苦情処理機関等を設けるとか或いは又その基準を明示されるとかいうことでありますが、削除ができないというのは、七月一日にすでにその人事条項が改訂されつつあるからできないんだ、こういう工合に承わつたのでありまするが、日本の政府としては、労使双方ともこの削除を要望しているのでありまするから、こういうような不当な条項は当然期限が、例えば七月一日を過ぎたと申しましても、政府の側においては取上げまして、日本の労働者、日本の使用者の側を保護するという建前においてもつと強行な態度をとつて臨まれるのが当然ではないかと思いますが、この点についてお二人の御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/5
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006・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 只今御指摘のごとく労務契約というものは私法上の契約でありまして、請負契約である。従いまして契約中の労務条項というものは国内労働法に優先するものではないのであります。併しながら問題になつておりまする労務条項の内容を検討してみますると、日本人労働者について好ましからざる条項があるのであります。この点を解決するということは、こういつた法律問題を離れて努カすべきものであると考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/6
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007・堀眞琴
○堀眞琴君 只今のお話では、政治的に解決するというお話のようでありますが、勿論政治的な解決も必要であると思うのであります。併し政治的な解決の裏付けになるのはやはり法律的な根拠だと思うのであります。そういう点から申しまして、私は日本の政府としては、この場合は日本の国法を飽くまでも尊重すべきが米軍としての当然とるべき態度だと、こういう考えでお臨みになつて頂きたいと思うのであります。そういう点についてもう一度労働大臣なり外務大臣のお答えをお願いいたすのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/7
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008・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 勿論それは国法尊重の建前から言いますと、法律違反ということは言い得ないと思うのであります。併し法律によつて規定されるところの労働条件の内容をなす非常に大きな部分でありますから、その点につきましては飽くまで主張すべきものは主張して行く、こういうことを申しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/8
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009・堀眞琴
○堀眞琴君 只今法律違反ではないというお話なのですが、労働者を保護するという建前で労働法規が制定されておるわけなのでありまして、その労働法規が労働者のために適用されないということは、これは労働法規の違反じやないかと思いますが、その点は如何お考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/9
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010・亀井光
○政府委員(亀井光君) 只今大臣から御答弁がございましたように、私契約でございますから、労働三法の適用を排除し或いはこれに優先することはあり得ないことでございます。現在七月に改訂になろうとしております条項を見ますと、その内容それ自体におきましては法律違反の条項は、抽象的な表現でありますので含まれていないのであります。ただこれが具体的に現われて参ります場合には不当労働行為の問題に現われて来る場合がありましようし、或いは労働基準法の第二十条違反の問題が具体的な問題として現われて来る虞れはある。併し条項そのものは抽象的な表現でなされておりまするので、それ自体については法律に違反という問題はないという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/10
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011・吉田法晴
○吉田法晴君 今の点ですが、七月一日から実施されようとする改訂案については、抽象的には法律違反はないというお話ですが、御存じのように八条のA項一号のスパイ行為、怠業若しくは破壊活動の現に行われている或いは虞れある場合において、こういうことでありますが、その怠業の虞れある場合に情報一切を秘密報告書にして出さなければならん、或いは第九条に指紋等を取らなければならんと、こういう条項がありますが、法律的に言いますならば八条A項一号のスパイ行為、これはまあ刑事特別法に関係がある。或いは破壊活動云々という場合には、破壊活動防止法に関連するならば云々ということがございましようが、怠業の虞れあるものについても秘密情報を報告しなければならん、提供しなきやならんと、こういうのは法律違反にならんと考えておられるのですか。
それからこれは国民登録法との関係でございますが、指紋を取ることは一般の国民についても国内法的に犯罪者以外に指紋を取ること等はこれは禁ぜられておるというふうな、これは登録法の場合に問題になつて取りやめた制度であります。それを第九条の中に活かそうとしておるのが、日本の現在の国内法からするならば、こういう契約ができたとしても、これは日本の法律に照らすならば私は違反だと考えるのですが、労働大臣なり或いは亀井局長は合法と考えておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/11
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012・亀井光
○政府委員(亀井光君) 今御質問の趣旨のA項の第一号でございますが、これは秘密報告を認めて契約官に提出するということになつております。提出すること自体につきまして国内法律違反であるかどうかという問題につきましては、私ら違反でないというふうに考えております。又指紋を取ること自体、これは法律の上で強制しますることは一般の原則におきまして適当でございませんが、それは今日、本人が拒否し得れば何らそこに法律的な問題は起つて来ないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/12
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013・吉田法晴
○吉田法晴君 本人が拒否し得る云々でありますが、問題は今の日本の法律或いは労働法上から考えて見ても、こういう契約の条文が法律に触れることがある。問題は本人が自発的に拒否するならば云々ということですが、そうでなくつて、関係にしておるのは条項自体……、そうすると先ほど、あとの指紋の場合にはやや認みられたかのようでありますけれども、国民登録法制定の際の精神から言いますならば、指紋を取らせることが或いは契約に基いてされた場合に、恐らく任意というものは入る余地は困難になると思うのでありますが、そういうものをやらせる条項が法律の精神に違反するかどうかという点から言いますならば、これは違反すると思うのです。或いは少くとも基準局長といえども好ましくないということは恐らく答弁になるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/13
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014・亀井光
○政府委員(亀井光君) 御趣旨につきまして、この問題につきましては、一部契約をいたしました条項におきまして、事業場の要求に基きまして削除しました例もございまして、我々としましてはこういう問題も引括めて好ましくないという点からいたしまして削除を希望はいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/14
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015・田畑金光
○田畑金光君 外務大臣にお尋ねしたいのですが、先ほど来論議されておる問題は、要するに私契約が国内法に優先しておる形が労働関係の中に現れておる結果に帰すると思うのであります。アメリカの国内法が日本の国内法に優先して、そうしてこういう環境においてこれが強行されておる。こういうところに問題があると思うわけであります。従いまして遡つて参りますならばこの問題は行政協定の問題になつて来るのじやないかと、こう思うわけであります。御承知のように行政協定によりますると、軍人、軍属、家族も日本の裁判の管轄権がない、司法権はこれらの者に及ばないわけであります。問題は裁判管轄権の有無という問題よりも裁判管轄権がないということで、ともすればこれらの工場等におきましては日本の国内法というものが無視されてもいいのだ、或いは無視するというよりも軽く取扱われておる。こういう結果がこのような問題に紛糾して来ておると思うのであります。そこで私のお尋ねしたいことは、成るほど行政協定においては裁判管轄権がないことは事実だが、併し駐留軍の軍人、軍属、家族であつても、日本に居住する限りは日本の法令は当然に尊重すべきである、こういうように考えておるわけでありますが、而もこれは行政協定の第十六条においても明確に謳われておるわけであります。
この点について外務大臣はこの十六条の日米行政協定の通りに、アメリカ側に対しましても日本の法律を尊重するような態度を以て臨んでおられるか、この点について承わつておきたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/15
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016・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/16
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017・田畑金光
○田畑金光君 そうしますと十二条によりますと、賃金とか諸手当、こういうような労働条件、或いは雇用、解雇というような人事条項、安全、衛生に関する労働者保護に対する条件というものは労働三法によつて当然に保護され、又処理されなければならんと考えておるわけでありますが、併し現実こういう軍管理工場において或いは駐留軍労務者の労働関係において起きておる紛争は、労働三法から非常に離れておる或いは労働三法が適用されていない、その結果このような問題が起きておるわけでありまするが、この十二条についてはどういうふうに御解釈になつておるか承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/17
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018・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 私は労働三法等が適用されるべきわけであり、又通用されていると考えております。尤も私は先ほど申したように、外務省としてそういうことを判断する権能はないのであります。これは主として労働省の判断に基いて我々は行動するのでありますが、労働三法は適用されていると、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/18
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019・田畑金光
○田畑金光君 労働大臣にお尋ねいたしまするが、今私が申上げまするように、実際私契約がこれらの工場等におきまして労働三法に優先しておる。例えば今までこれらの工場等における解雇の事例等を見ましたならば、好ましからざる者として工場施設からの排除を軍から要求されました場合に、工場側はその理由のあるなしにかかわらず、結局軍命令であるからこれに服従しなくちやならん、これを拒否すると特需関係の契約そのものに影響する、こういうことで結局止むを得ない事業場の都合により、就業規則の理由を楯にして解雇をしておるわけであります。而もこの解雇については先ほど来お話なさつておりますように、労務者側も勿論、使用者側も納得できないと、こういうことになつているわけであります。こういたしますならば、行政協定の十二条の精神というのは、こういう解雇或いは雇用という身分関係こそ労働者の最も基本的な権利だと思います。或いは又これらの工場内における組合運動を見ましても、労働時間外の休憩時間においても集会をすることもできない、これは今日の労働法によりますならば、休憩時間等を利用して集会を持つことは労働運動の基本的な自由の一つであります。ところがこういうこともなすことができない、明らかにこういうことになつて参りますならば、私契約というものは労働三法を上廻つておる。こういうことが看取されるわけでありますが、その点につきまして労働大臣といたしましてはどう解釈されるか。それともなお労働三法がこれらの工場において行われておると解釈されるのか、この点について承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/19
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020・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は労働三法は行政協定第十二条によつて適用さるべきものと考えております。若しこの適用されないというような実情がございましたならば、それについていつでも訴願、アッピールしてもらいまして、これについては合同委員会において解決したいと思います。なお第三条におきましては、基地内の場合には管理権が先方にありますから、それについて米軍側と調整を要する点もあるわけであります。仰せのごとく労働三法に違反する問題がありますれば、これについては労働省としてはそういうことのないように取締つて行く考えであります。その措置を厳格にやつて行きたい、そういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/20
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021・田畑金光
○田畑金光君 今の御答弁はこれから労働三法に違反するような場合があるときには、日本政府としてもそのようなことのないように努力して行こうとする意味であるのか、従来はまあまあという形で放任されて来たのか、或いはこれからはそういうようなことのないようにしようとおつしやるのであるか、そのどちらかであるか、一つ承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/21
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022・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 従来も適用されていたと存じますし、今後は勿論厳格に処して行きたい、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/22
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023・田畑金光
○田畑金光君 労働大臣にお尋ねいたしまするが、いわゆる駐留軍労務者に対する労務基本契約というものは昨年の六月末に効力が失われております。そうして昨年の七月一日以降は暫定的に一カ月ごとにこの契約を延ばして来ておるわけであります。而もこの労務基本契約そのものが、いわゆるアメリカの契約官と日本の政府代表をする調達庁との間に締結された労務基本契約が一年間も延び延びになつて来ておる。これが今日の軍管理工場等における役務契約における人事条項に強く影響しておるわけであります。即ち今日のこれらの軍関係の工場等におけるその労働関係法の適用されていないという事実は、昨年の七月一日から労務基本契約を無契約のまま放任しておいたところに労働省の大きな失態があると思つております。この点について一体労働大臣はこれでもなお且つ労働省は一生県命にやつて来たのだと、こうおつしやるのかどうか、その点について承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/23
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024・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 契約自体は生きているものでございまして、無契約ではないのでございまして、そのまま次の契約ができるまで有効であるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/24
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025・田畑金光
○田畑金光君 私はちよつと言葉が足りなかつたわけでありまするが、一カ月ごとに契約を更新する、成るほどその限りにおきましては契約は生きております。問題はです、こういう重大な人事条項等については少くとも協議約款或いは労務約款、これを獲得しなければ、事実上これらの施設工場等におきまして、労働三法が適用されたとはどうも言えないと思う。これは事実問題として、先ほど申上げました軍管理工場における役務契約における人事条項等においては政府の取極ができなければならん。基本契約ができないために大きな支障を来たしておる。ここに問題があろうと思います。一体政府はなぜ更新しなければならん契約を、政府の責任において今日まで一カ月ごとに更新して、こう混乱した労働条件を作つておるのか、ここに私はこの問題の中心があるわけでありまして、この点について労働大臣の答弁を承わつておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/25
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026・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 只今の問題は、労働大臣のほうからお答え願うと同時に調達庁のほうからも補足してお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/26
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027・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 正確を期するために調達庁のほうから答えてもらつたほうが適当かと思います。先方の態度もいろいろ変つたりするような関係で延びくになつておりますというふうに私は聞いておりますが、正確を期するために調達庁から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/27
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028・中村文彦
○政府委員(中村文彦君) 只今田畑委員の御質問でございますが、私といたしましても、勿論昨年の六月一日で切れます事態を想像いたしまして、あらかじめ当方からもいろいろな条件も持ち出し、交渉の促進方を図つて参つたのでございますが、先般も申上げました通り、軍といたしましても再々立場が変つたような事態にありまして、どうも正確な記録はございませんが、四遍ほど変つて参つております。従つてその間徒らに日時を要するというのが、今日契約が遅延しておりました次第であります。併しながらその間の無契約、その他の状態を経由いたしまして、その都度それにつきましては事前に十分な連絡を取りながら、遺憾のないように円満な了解を遂げながら交渉を進めておるというのが現在の実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/28
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029・田畑金光
○田畑金光君 今お聞きの通りに、労働大臣といたしましては、労働大臣よろしいですか、当然にあんたのやらなければならんこれは仕事だと思うのです。もう少し骨折つて、誠意を持つてやらなきやならん問題だと思うのです。それが一年間も放任されて来ておる。これは勿論契約担当官としての調達庁においても勿論でありましようけれども、先ず労働行政の所管省である労働大臣において、こういう更新さるべき契約がずるく延びて来ておるところに大きな問題があると思います。この点は労働大臣としては十分に反省して、単なるこういう委員会や会議において答弁されることは、我々としては非常に不本意であります。同時に私は外務大臣にお尋ねしたいのでありまするが、外務大臣が、この問題は労働省の所管の問題である、成るほど労働契約、労働行政に関連する問題でありまするから、労働省の所管であるでしよう。併し問題は私は、根本的にアメリカ軍当局が日本の法律を尊重するというこの精神が非常に薄いというところに私は問題があると思います。殊にこういう問題について、諸般の細目を取極めなければならん日米合同委員会等におきまして、日本側の主張というものが自主的に強く独立国家としての体面を維持するがごとく貫かれていないところに私は問題があると思います。こういうふうになつて参りますならば、当然にこれは外交折衝の当面の責任者である外務大臣等が、その外交交渉において自主的に独立国家の外交権を強く発動していないところに私はこういう問題が出て来ようかと思います。そこで労働省の所管としてこういうような問題を放任することなくして、今日の労働行政の重大な問題であるということを考えたときに、外務大臣も日米合同委員会等におきまして、日本の法律が然るべく尊重し、履行されるように努力をするのが至当であると考えまするが、この点につきまして外務大臣の所信を承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/29
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030・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) それは我々としては当然そういう趣旨でやるわけであります。ただ私の言つているのは、一体日本の法律が守られているのかどうかという実際の判断は、労働省なり特別調達庁なりでやるべきものであつて、外務省は直接判断を下すべき立場にないのだということを申上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/30
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031・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) ちよつと関連して私から両大臣にお尋ねしておきますが、過日参考人を呼びまして陳述を願いましたときに、大体一致してお認め願つたことは、米軍との関係においてこういう若干の好ましくない現象が起きておる根本的な理由は、米国と日本国との間に締結されておりまする行政協定の中に不分明な点があるためにこういう現象が起きておるのである。即ち行政協定の第三条におきまして、米軍の権利、権能の万能を定めておるわけでありますが、それと第十二条でありますか、或いは第十六条でありますか、そういうものの調整がうまくついていない、ここに根本の問題がある。こういう工合に指摘をせられたのでありますが、そういうことを両大臣は大体お認めになつておるかどうか。労働省のほうの局長は大体そういうような意味のことを発言になつておつたかと思いますが、そういうことをお認めになるかどうか、これを伺いたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/31
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032・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 私はこの第三条は、施設区域内においての設定、使用、運営、防衛、管理、こういう点について権能を有するのであつて、その中で大部分の人は、今問題になつているのはこういう施設で働いておる人ではないのでありまするが、併しこの施設で働いておる人についてもこういうことがあつても、その間において労働三法等が適用されることはちやんとできるという考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/32
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033・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 私はこの軍管理工場において使用される労務者は、米軍とは雇用関係について何ら関係はないのでありますから、その労務関係は、労働関係は、一般の企業労働関係者と異るところはないと思います。従つて労働条項に基いて軍管理工場の経営者が労働者を解雇する場合におきまして労組法第七条違反があれば不当労働行為が経営者側に成立します。労働基準法違反があれば解雇が無効になる場合があり、又処罰される場合がある。こう考えております。なおこの第三条の管理権の行使は必要且つ適切な範囲で許されるのでありまして、行き過ぎがあれば当然適当な措置がとられるものであると、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/33
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034・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) そこで大変お急ぎのようですから、細かい理由を附しております部分は省略をいたしまするが、本委員会は、こういうような施設工場内における労働問題に対しましては更に掘り下げて調査をすることに決定をいたしておるわけであります。たまたま人事条項の問題が出ましたので両大臣の出席を求めておるのに過ぎないのであります。そこで今までの当委員会の研究の結果では、行政協定の第三条、十二条或いは十六条との間において、その運用において不分明な点が若干あるので、どうしてもその点の調整をしなければならんというような空気があるわけでありますが、只今の両大臣のお話ではそういうことはないと、今日の行政協定のままで十二分に全きを期することができると、こういう御確信でおられるのかどうか、これは将来の当委員会の調査の方向を又定めることにもなりまするので、重ねてお伺いを申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/34
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035・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 私はさよう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/35
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036・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 同様に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/36
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037・吉田法晴
○吉田法晴君 いとも簡単に考えておられますが、先ほどの両大臣の答弁からしましても、私は事態の認識が足らんと思いますが、議論は次にするとしまして、一、二点聞いておきたいと思います。
それは先ほどの労働大臣の答弁の中に見えたと思いますが、人事条項削除が望ましい、或いは改訂が申入れてある、併し困難だとするならば基準を設けること、それから事前協議をすること、それから訴願と言われたり苦情処理と言われたりいたしておりまするが、これは大体問題が起つてからの訴願なり或いは苦情処理の方法を考えておると、こういうことで、大体答弁は一致しております。そこでお尋ねしたいのでありますが、時間等の関係もあるからという岡崎大臣の言葉もありましたが、事実上困難だから基準を設けること、事前協議をやること、苦情処理なり訴願なりの方法を設けることで差当り行こうという気持なのか、それとも労働法は生きておるから、行政協定の運用についての協議は必要かも知れませんけれども、行政協定自身では明らかだというお話でありますが、このまま行こうということなのか、その辺を明らかにして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/37
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038・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほど申上げましたように、私どもはこの人事条項の問題は、日本人労務者に取つて好ましからざる条項であると考えておるのであります。この点の解決をしたいというふうに申上げておるわけであります。これは主として外交折衝の問題だろうと思いまして、私は外務大臣に強くこの点お願いしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/38
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039・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 労働大臣より、衆議院の労働委員会があるので、是非質問を早く終らせられたいという要請があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/39
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040・吉田法晴
○吉田法晴君 あとそう長く取ろうと思つておりませんが、五分かその程度お割きを頂きたいと思うのであります。途中で帰られると、何か食事をしかけてやめるみたいな感じがするのであります。
今までこの問題についてどれだけ努力をされて来たのか、労働法が生きておるということでしやあしやあとしておられるのですが、今まで労働省なり或いは外務省でこの人事条項なり或いは管理権と労働法という問題について改善のために努力して来たのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/40
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041・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) この問題は私はやはり大臣から伺うのが本当だと思うのであります。特に努力せられたのか、同時に今後どのような努力をせられようとしておられるのか、これは私吉田君の質問に関連して、第二点にお伺いしたいと思うのであります。この点が今日の当委員会の最も中心になると思いますので、これは労働大臣から直接御答弁を願うのが正しいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/41
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042・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 昨年の夏以来、合同委員会の中のレーバー・コミツテイでこの問題を協議しているわけであります。ただ基本契約のほうが先に出て来ておるので、この労務契約の問題はこういうふうになつております。この点については私も先ほどの答弁で申上げておるように是非好ましからざる条項は何とか解決したいと思つております。私として今後も努力したいと思います。ただ問題は外交折衝の面が非常にあるもので、その点についてよく外務当局とも打合せて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/42
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043・田畑金光
○田畑金光君 関連しまして、今の問題で労働大臣にお尋ねいたしまするが、好ましからざる条項を今後改めて行くにはどうしても外交問題として外交交渉等でやらなければならん点があると、こういうふうな今の御発言でございます。そうしますと、先ほど現在の行政協定を前提とした場合に、いろいろ日本の労働三法がこういう工場等において適用されることについては支障があるかないかというふうな質問に対しまして、現在の行政協定によつて一向差支えない、こういうような趣旨の答弁があつたと記憶しておりまするが、外交折衝に委ねなければならん、そこに私は当然に行政協定の今日の不完全というか、不備というか、問題の起きて来る根源があるわけであります。労働大臣は、今日の行政協定はどうしても労働三法の適用上から見てもいろいろ問題が出て来る箇所があるのだということをお認めになるならば、明確に一つ答弁して頂きたい。今のお話では外交折衝に委ねなければならない面がある、これは明らかに裏からそれを認めたことだと思うわけです。その根本的な問題を解決せざる限りにおいては、如何に労働省が頑張つても、単にこの委員会における答弁に終つてしまうと私は感ずるわけであります。この点についてもう一度労働大臣の所信を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/43
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044・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 法律問題のみにつきましては労働者において責任を持つて処理いたします。違法であればこれを改めさせるということにいたします。
私が外交折衝と申しましたのは、御承知のごとく日米合同委員会にかけざるを得ない問題が出て来た場合に、これは労働省のみがよくし得るところではないのでございまして、主として合同委員会は外務省の方々によつて御協力を願つている面が多い。勿論合同委員会の中の労働委員会で主張すべきは主張するのでございますが、この際において労働委員会そのものが非常に外交折衝的な要素が多いということを申上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/44
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045・吉田法晴
○吉田法晴君 それでは先ほどの大臣の答弁の確認をいたしたいと思うのでございますが、労働大臣から御答弁を願いたいのですが、外交折衝という意味は、日米合同委員会の労働専門委員会でという意味のように聞くのでありますが、日米合同委員会の労働委員会で人事条項削除のために最善を尽す。それから労務基本契約の呈示されましたこの原案についても好ましくない点があるからその改訂のために努力をするという言明と申しますか、約束をされたのでありますか、その点を重ねてお二人に御確言を得ておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/45
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046・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 御趣旨のような点で努力したいと思つております。併し外務省から御答弁を願つたほうが正確だと思います。折衝は相手のある交渉でございますから、外務省からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/46
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047・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 合同委員会には労働委員会という下部機構がありまして、これが労働問題を主として担当しておる。これには実は労働の専門家と思われる人が入つておるわけであります。それで話合いがつかない場合に合同委員会に持ち出すので、合同委員会のメンバーというのは向う側が一人、こちら側が一人でやつておる。そこでこれは多くの場合に、そう労働問題の専門的な話をするものじやなくて、いろいろの情勢から、いわゆる外交折衝と言えば折衝になるわけです。併し第一次的には労働委員会で今おつしやつたような点を努力すべきものである。私は合同委員会の日本側代表には十分労働三法が守られるように注意をすること、そして法律的には非の打ちどころが仮にないとしても、実際上の運営についてはとかく注文をするほうと注文を受けるほうとでは、注文を受けるほうが弱い立場にある、だからして技術上の問題としても十分注意をするようにいたしておりますが、今お話のような点は労働委員会で十分に討議して、その上でどうしても話がつかないような場合には合同委員会に持つて行く、そのときは、私は合同委員会のメンバーに対してよく注意をして、日本側の意向を十分向うに徹底するようにやるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/47
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048・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 大体外務大臣のおつしやつたことは、私、話の筋道としては了承いたします。ただ問題は、只今業者に呈示せられておる人事条項、この人事条項は合同委員会の中の労働委員会、ここの議に上つておるのかどうか、そこで決定されたから、同意になつたから業者に今要請せられておるのか、或いは同意にならんものを米軍が要請されておるのか、その点をやはり明らかにされておく必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/48
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049・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 労働委員会の日本側のメンバーは労政局長と基準局長と、特庁の労務部長であつてこれらの方々は私よりも十分よく答弁できると思いますが、この問題はすでに上つておると私は了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/49
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050・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) そういたしますと、上つておつて、経過がどうなつているかはまだ伺つていないわけでありますが、現実に七月一日から更改を要請されておる、この人事条項の強化というものは、米軍の提出されておる原案のままでは実際に契約行為には入らない、そういう工合に確認してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/50
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051・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 私にはその判断はよくつかないのでありまして、専門のほうからの判断を受けてやるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/51
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052・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 只今外務大臣の言いましたように、その労働委員会のメンバーであります基準局長がおりますから、申上げたほうが一層明確になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/52
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053・亀井光
○政府委員(亀井光君) 先ほど外務大臣からお話がございましたように、この問題につきましては、六月三十日に杜絶しておりまする合同委員会の労務委員会を再開する前にJ・P・Aに申入れをしたということを聞いております。従いましてJ・P・Aでその問題が片付きますれば、それで処理ができまするし、更にこの問題がこじれて参りますれば、昨年の夏から杜絶えておりまする労働委員会を開きまして、この問題を討議するように、我々として努力するという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/53
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054・吉田法晴
○吉田法晴君 局長なり、評しい話はあとで……、労働大臣が急いでおられるから、基本的な点だけを確認して、あとお立ちを願いたいと思つて実はやつておるのであります。労働大臣は外務大臣に、外務大臣は労働省に責任を転嫁して逃げられるという恰好になつているようであります。そこで先ほど申上げたように、岡崎さんからは先ほど説明は聞きましたが、労働委員会に出てさましたら労働委員会においても努力いたしましようと、こういう軽い発言でした。問題は、人事条項の削除が望ましいと言われたのですが、或いは労務基本契約の好ましくない条項について削除に、労務専門委員会でありましようと合同委員会でありましようと努力いたしますと、こういう確言を願えるかどうか、この点を念を押しておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/54
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055・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 適当な改正方についてはすでに申入れたと私は了解しております。そこで削除のほうはなかなかこれはむずかしい場合もありましようし、こういうものは正式に申入れてそれで済むのなら非常に簡単ですが、実効を挙げるためには前以ていろいろ話もしなきやならない、非公式な会談も必要な場合が多いでありましよう。取りあえず私は、例えば事前に協議をするとか或いは苦情の処理の機関を設けるとかいうことを申入れておいて、削除のほうは非公式に話を進めているのだと了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/55
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056・吉田法晴
○吉田法晴君 そこで要望ということになると思うのですが、労働省は、これは本当は日本のルールの中で……或いは施設でないものもありますが、そこで労働法が生きておらないで、或いは私契約が優先するという事例があるということに問題があつた。問題はこれは労働大臣の所管だと思うのです。それを合法であるとか或いは労働法は生きておると、それは具体的に生きておるかどうかということが問題なんです。生きておらんところに問題が起きて来たわけであります。そこで過去においてはこれは労働省怠慢であつたと思うのですが、生きておるかどうか、或いは契約が有効であるか無効であるかということはあとで論議をいたしますが、生きていなかつた、或いはその私契約上の効力と、それから労働法規の有効、無効の関係であります。その点については労働省は当然に全責任を持つて最善の努力をなさなきやならんと思う。時間がありませんから今日はまあ一応要望だけにとどめておきますが、はつきり一つその点は努力をされるように要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/56
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057・田畑金光
○田畑金光君 先ほどお聞きの通り、当労働委員会としましても、問題になつておりまする管理工場等を現地に視察しまして、そうして更に事実を明確に調査し認識したいと、こう考えております。従つて本日のこの問題につきまして更に質問したい点も多々ありますけれども、労働大臣お急ぎのようでありますから質問を留保する形にしておきたいと思います。ただくれそれも申しまするが、ここで問題になりました以上、我々は労働省がどの程度努力して、そうして人事条項の改訂のために実質的な前進を図つたかどうかということは、逐一見ておりまするので、少くともこの七月以降更に追加された悪条項等については、速かにこれが阻止のための手を打つて頂きたいと、こう要望します。
もう一つ関連してこの際……、ちよつと話が飛びますけれども、労働省といたしまして、失業対策上の問題でありますが、これにつきまして今度の予算を見まするならば、九十七億計上されておるわけであります。就労人員につきましても十六万八千名を雇傭する、まあ或る程度殖えております。併し労働賃金は相変らず二百五十円であるということ、更にこれが生活援護法に基く要援護者よりも今日の失業労働者の実質賃金が低いということ、更に又現在国家公務員或いは地方公務員等の夏季手当の問題がいろいろ論議されてそれぞれ国家予算、地方予算の中から財政の許す限り支給されることになつておりまするが、こういう日雇労務者、これは法律によつて特別職の国家公務員であります。この特別職の国家公務員、これについては何ら労働省としても具体的な手を打つていないように見ております。今日の提案を見ますると、日雇労働者健康保険法案が出ておりまするが、これについては勿論審議のときいろいろ意見は述べたいと思つておりますが、この際一つ日雇労務者、特別職の国家公務員夏季手当の支給並びに賃金の増額につきまして、一体労働省は現在どういうようにこの問題を処理して行こうとされているのか、これを取上げて解決されるという準備をしておられるかどうか、一言承わつておきたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/57
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058・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 只今の日雇労務者の賃金を改訂する問題でございますが、これは御承知のように、P・W、プリヴエーリング・ウエージというのがあるのですが、P・Wというのを調査をしておりまして、これが五月中に調査をいたしましたので、この集計が恐らく七月中頃だと存じます。集計ができたところで一般賃金を出しまして、それの約一割弱というより一割程度低いところできめるというふうに従来いたしておりますので、そのP・Wの調査の集計の完了を待つて善処したいと考えております。
なお、夏季手当の問題につきましては、昨年はそういうものはございませんでしたが、本年は二日分、総額にして六千七百万円ばかり、それだけ支給いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/58
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059・田畑金光
○田畑金光君 外務大臣に一言だけお尋ねしておきたいと思います。外務大臣にお尋ねいたしまするが、現行の日米行政協定でありまするか、これは先ほどの労働三法適用上は一向差支えない、こういうような趣旨の御答弁があつたと思います。但しこれだけ問題が起きている以上は、少くともその根拠法規とみなさるべき日米行政協定にも相当検討しなければならん問題があると思います。これが日米行政協定の問題は、新聞によりますると、四月十四日でありましたか、政村は行政協定改訂の意思表示をアメリカ政村に出された、こういうようなふうに聞いておりますが、その場合裁判管轄権の問題のみならず、こういうような日本の法律が少くとも適用されない、或いは国民の権利義務が強く左右されるような問題につきましては、全般的にこの際外交折衝において改正すべきであると考えておるわけであります。この点について外務大臣の御所信を承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/59
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060・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 私の聞くところでは、行政協定の規定が悪いから労働三法が適用されないというのじやなくして、労働三法はちやんと適用されることになつて、行政協定ではそうなつておるけれども、実際の問題で法律違反にならない程度で雇用者等に不便、不利があるという問題だと承知しております。従つて先ほども基準局長からお話のように法律違反にはならないのだというようなふうに了解しておるのでありまして、従つてこれは実際上の運営にあるのであつて、行政協定の改訂の問題ではないと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/60
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061・田畑金光
○田畑金光君 外務大臣は現在の運営で、解釈によつて処理できると、こういうような御答弁でありますけれども、日米行政協定の第十二条第五項を検討しますると、この中に「別に相互に合意される場合を除くほか、」と明確にこう謳われておるわけであります。従つて現在の私契約というもの等を強いてどこに根源があるんだ、こういうことを検討して見ますならば、「相互に合意される場合を除く、」こうなつておりまするので、その辺に私は問題があるのではなかろうかと考えておるわけであります。問題はこれに限らず、根本的には当然に行政協定というものがこのように労働三法の適用におきましても、現在問題となつておりまする基地接収、こういうような問題等におきましても、国民の重大な基本的な権利義務を左右するわけであります。ところがこれが条約の形式、国会における承認を経ずして、単に日米安保条約の細目協定であるというような形で、そうして議会の討議を経ずにこれが実施されているところに根本問題があると思います。そういうような関連、経過からいたしまして、外務大臣の答弁もこの行政協定の改訂によつて問題が解決し得ると、こういう立場に立つておると思います。私はそこに本質的な問題が、見方の相違があると思います。従つて私が要望したいことは、行政協定の改訂というものは単に管轄権の問題等のみならず、こういう労働三法等につきましても、或いは問題になつておりまする基地接収の問題等につきましても、あらゆる角度からこれは検討しなきやならん。外務大臣はこういうことについてもう少し掘り下げて行政協定を検討して、真にこれが国民の権利と義務を不当に拘束し或いは加重しないようにするだけの腹はないかどうか、重ねて承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/61
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062・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 私はあなたと同様くらいに十分行政協定の内容については研究をいたしており、又自分でこれは協定したのでありますから、或る程度知識はあるつもりでおります。で、常にあらゆる方面について協定の内容については検討いたしております。併しながら今のところは先ほどお答えした通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/62
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063・吉田法晴
○吉田法晴君 人事条項についてもこれは原文がある。それから今度の改訂についても原文があつて、翻訳、尤もこれはまだ向うから提示された段階ですが、放つておいたら恐らくこの通りになるだろうと想像される。それから労務基本契約についてもこれは向うから提示されたのを今までのところではそれに調印するかどうか、合意かどうか、こういう点だけが残つておると思います。まあ努力するというお話もありますから、それを疑うわけには参りませんが、少くとも今までは向うから提示されたのにこちらで合意をするかどうかという選択だけが与えられておるようなものを感じとして持つております。或いは合同委員会においても、労務委員会においても改訂の申入れはしておいた、こういうお話でありますけれども、従来のこの種の契約或いは向うとの交渉については、私どもは遺憾の意を感ずるのでありますが、外務大臣はどういう工合に考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/63
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064・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) これは何遍も繰返して申すように、内容については外務省の所管事項ではないのであります。従つて所管官庁の意見をよく入れてその上で交渉することにいたしております。所管官庁の意向は十分反映するように努力しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/64
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065・吉田法晴
○吉田法晴君 法制局と御折衝願うように私はこの前のときお願いしておきましたのですが、してないそうであります。そこで外務大臣がおられる席上でもう少し明らかにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/65
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066・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) ちよつとお断りいたしますが、今日はこの問題の法律的な調査とか、或いは更に掘下げて運用の問題等は続行することになつておるわけなんです。今日は七月一日の更改に迫まられておるものですから、関協力局次長が労働省の労政局長と共に話合いをし善処をしよう、何とか努力をしようという確約をせられておる。それについて労働大臣に委員会からも正式に要請をしておこうというのが今日の目的であるわけであります。従つて先ほど外務大臣が、運営の衝に当る行政府の意見がきまれば、それの実現に外務省として努力をする、こういうことを言われておるわけであります。労働省のほうとしては、好ましくないという意思表示が先ほど直接大臣からあつたわけでありますから、恐らく外務大臣はそれに従つて外交折衝において努力をせられるだろうと私は想像するわけであります。その点だけははつきり外務大臣からお答えを願つておいて、それで今日は外務大臣が予算委員会のほうへ御出席のようでございますから、適当に御退席を願つたほうがよろしくないかと思います。そこが一番問題のところでありますから、岡崎外務大臣に、労働省の意見ははつきりしておりますので、それに副つて外務大臣としてその実現方に是非とも一つ努力を願わなければならんわけであります。その点の御所信を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/66
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067・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) これは先ほどから繰返して申しておるように、先ず第一に一次的に取扱うのは特別調達庁であります。又合同委員会の中では労務関係の委員会であります。そしてそれに話がつかない場合には合同委員会のほうへ持越すわけであります。その場合には合同委員会の委員に対して私が十分に注意をして、日本側の意向を反映するように努力をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/67
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068・吉田法晴
○吉田法晴君 先ほどの協議会の運営について一応申入れて努力をするという話ですから、大臣についてはこれで済ませます。私はただ有効、無効論は、一応主張いたします際の理論的根拠といいますか、強さになると思いますので、明らかにしておきたいと思つたのです。別に、差支えがあれば大臣……ただあとでかまいませんが、多少質問をいたしたいと思います。
先ほど有効、無効論について、労働法は生きておる、私契約は一応有効だという前提に立つて、ただ好ましくないということで実は過しましたのですが、これをそのまま過しますと、労働省の意見に私どもも賛成をして、好ましくないから改訂を申入れる、こういうことになりそうなので、その点はもうちよつと御質疑を続けることをお許し願いたいと思うのですが、設例をいたしますが、施設の場合に、仮に基準法の施行問題については基準監督局、これは局が直接行かれるか本省が行かれるか、或いは監督署が行くかは別問題にして、若し仮に労働省のお役人さんが施設の中に入つて労働基準法の施行状況を監督できない、こういうことになつたとすればこれはどう考えられるか、これはもう明らかだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/68
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069・亀井光
○政府委員(亀井光君) 現在におきましては監督官が、臨検証を持ちまして自由に監督ができるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/69
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070・吉田法晴
○吉田法晴君 それでは更に日本の経営者が管理しております工場の中で労務問題が出ました場合に、これは或いは監督署の場合もありましよう。或いは労働組合法の場合には労政課と申しますか、労政関係の役所だと思いますが、それが若しタッチできないとすれば、これも労働法が実際には適用せられていないと、こういうことになると思うのですが、いわゆる軍命解雇と申しますか、この人事条項に基いて解雇が行われる場合も、本質的には同じだと思うのです。その点はどういう工合に考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/70
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071・亀井光
○政府委員(亀井光君) 労政事務所も、又紛争の処理につきましての労働委員会の活動も、一般の企業におきまする労働者と同じように処理されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/71
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072・吉田法晴
○吉田法晴君 そうすると好ましくない人物、或いは新らしい契約案に基きまずと、怠業の虞れがある場合の秘密報告書、或いは指紋を取る云々とあります。これは極端な例でありますが、この契約に関連いたしまして問題が起つたならば、或いは苦情の申出がありましようとありますまいと、これについて労働省がタッチすることについては、労働法が生きておるというならば何の支障もないと申しますか、或いは排除がなされるはずはないというふうに考えますが、その点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/72
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073・亀井光
○政府委員(亀井光君) このいわゆる労務条項は米軍と特需工場の経営者との間の私的契約でございます。従いましてこの契約は労働三法に優先することはあり得ないわけでございます。従つてこの契約が労働者を拘束することはないわけであります。若し法律違反が仮にこの契約条項の中に入つていたとすれば、労働三法の適用によりまして、その経営者はその契約に基く行為をした場合におきましては、当然法律違反としての処罰を受け、その処置を受けなければなりません。若し仮にそういう契約をしながら日本の労働法に従つて、その契約違反をした場合、それは米軍とその契約者との間に契約の不履行という問題が生ずるだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/73
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074・吉田法晴
○吉田法晴君 その通りだと思うのですが、そうすると今までの事例で、下丸子工場の例のごときは裁判問題にまでなつておるわけでありますが、好ましくない人間と申しますか、事由が明示されないで首切りが行われておるのでありますが、判決の中の占領中の場合は別問題で、講和発効後の云々ということになりますと、行政協定ということになると思います。実情は、占領中と講和後の状態が私は同じように取扱われておるのではないか、或いは同じ考え方でやられておるのではないかと思うのですが、仮に管理上の理由或いは保安上という言葉を使われますが、それについて明示され、理由があつて解雇されるならばよろしいのでありますが、その他の理由で、言い換えますならば保安上といいますか、或いは管理規定に基くものではない、あるかないかは具体的に争われると思いますけれども、事実上管理規定或いは保安上の要請に基いてなされる場合でない場合には、これは当然不当労働行為、こういう問題が起つて参ると思うのでありますが、今まで数多くありました首切り問題について或いは労働者側から不当解雇というので争われた場合に、それではその労働法規を守るために或いは不当解雇を取消させるためにどれだけの努力を労働省はされて来たかということを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/74
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075・亀井光
○政府委員(亀井光君) 直接私の所管ではございませんが、聞いておりますところを申上げますと、従来の解雇その他の事例は就業規則違反という規則で一応なされておるわけであります。そこで就業規則違反というものが果してその通りであるかどうかということについて、これは労使の間に意見の対立があります。従つてそれが事実の認定の問題としまして労働委員会なり或いは裁判所に提訴されるという結果になるのでございまして、我々といたしましては、その事実の認定につきましては、そういう第三者の判定におきまして決定されて行くということを我々としては望んでおるわけでございまして、具体的に明らかに法律違反ということが明確である場合におきましては、我々としまして行政措置をとつて行くのでございまして、そういう不明確なものにつきましては、結局労働委員会なり裁判所の裁定、判決というものが今日根拠になつて参りますと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/75
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076・吉田法晴
○吉田法晴君 労政局長は退席されましたが、今基準法ばかりの関係ではなく、労働組合法なり労政関係について課長から答弁がありましたので、私はそういう具体的な事例について、それでは労働省としてどれだけ労働法が充たされるために努力したかということの実例を聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/76
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077・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) ちよつとお諮りいたしますが、先ほど申上げたような経過がありますので、今の施設内の労働問題については、明らかにこの間の参考人の労使の陳述、或いはこの委員会としての完全な集約はしておりませんけれども、大体の空気と、外務省との見解は相当隔りがあるわけであります。行政協定そのものの運用について……。従つてこの間の委員会におきまして、これはまだ皆様方にお諮り申上げておりませんが、私から伊関協力局長に要請するときに、本委員会はそういう法律問題については学識経験者のやはり参考陳述も得て、そうしてはつきりした信念を以で結論を出したい、そういうことを改めて申上げておるわけなのですが、一日たつぷり時間をかけまして、その問題を専門的に研究いたしたいと私は考えておるわけです。従つてできまするならば、御質問は結構ですけれども、そのときにまとまるような恰好で議事進行を図つて頂きますと、非常に都合がよろしいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/77
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078・吉田法晴
○吉田法晴君 そういう工合に、別に十分時間を取つて、法律関係をも含めて明らかにして行くということであれば、私どももむしろ法制局等にも来て頂いてやはりやつて行きたいと思つております。他日で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/78
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079・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) そこで本件はこれで今日打切つてよろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/79
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080・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) ではさようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/80
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081・田畑金光
○田畑金光君 先ほど私労働大臣がこちらにおりましたので、まあ一言だけ問題を投げたわけでありまするが、当面の失業対策事業の問題或いは一般失業対策、労働行政一般の問題につきまして、できれば早い機会にこの問題を中心として労働委員会を開催して頂きたいと思います。殊に労働大臣或いは職業安定局長等の出席の上に、この問題は今後いろいろ労務者の要求等も参つて来ようと思いますので、すでに陳情、請願等は出ておりますが、時期的にも我々といたしましては当然にこれが対策を立てて、労働省にその施策の推進を要請する段階にも来ておると考えますので、一つこの問題は本委員会として適当な機会に取上げて頂きたいと、かように問題を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/81
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082・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 今田畑君からお聞き及びのような、動議ではないでしようけれども、御意見が出ましたが、さようにしてよろしうございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/82
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083・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) それでは委員長において御趣旨に副うように委員会で取上げることにいたしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/83
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084・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) それから過ぐる六月二十三日に委員長に御一任を願つておりました事項で、経過を御報告申上げていない件がございますので、この際御報告を申上げ、且つそれをどう取扱うかということを皆様方で御決定を願いたいと思います。
株式会社日本製鋼所赤羽製作所争議中の米兵発砲事件につき米軍人及び軍属を当委員会へ出頭方依頼についてであります。この件につきましては、六月二十三日の委員会の決定に基きまして、労働委員長の名前を以て外務大臣を経て米軍当局に折衝をいたしました。当委員長から外務大臣へ提出をいたしました文書は次のようでございます。
右について当委員会は先般来関係者を招致して調査中のところ、事件の真相を訳し、米軍施設内における労働関係の実情を明確にする必要があるという見解に到達した。
よつて左記二名の米人を参考人として出頭を求め、当時の実情を聴取する必要ありと本日の委員会において議決されたので、右の趣旨を米軍当局に御伝達の上国政調査のため格
別にその協力を得らるるよう特段の御配慮をお願いする。
記
一、出頭を求める米人
米軍軍曹 メン・デロウ
米軍軍属 セベノ・ドミニツク
二、要務
一九五三年六月十八日午前七時四十八分頃争議中の日本人労働者のピケット・ラインにおいて発生した事件についての状況調査のため。
こういうことでございます。これにつきまして外務省国際協力局長から、昭和二十八年七月一日協二第五二号を以て参議院労働委員長宛返事が参りました。その返事を文章のまま読み上げます。「日鋼ストライキに関連する米兵発砲事件の参考人として米軍人及び軍属喚問方要請の件、六月二十三日付貴信を以て御依頼のありました標記の件に関しましては、早速貴信の御趣旨に副うべく駐留軍当局と折衝いたしましたところ、今般日米合同委員会米側首席代表より米軍は軍務遂行中の軍人軍属を証人として国会委員会に喚問することは不適当と思考する旨、但し日本当局が希望する情報を確立されたチヤネルを通じて提供するにやぶさかでない」旨正式回答がありましたからお知らせいたします。
こういうことでございます。従いまして要約いたしますと、軍務遂行中の軍人軍属を国会へ証人として出すことはできない。併し日本当局が希望する情報については、確立された機関を通じて申出られれば提供するのはやぶさかでない。こういう意味でございます。ただここで原文と訳文との関係で証人という字が使われておりますので、これは将来問題になる虞れがありますから、委員長は特にその後も手配をいたして、誤解のないようにいたしておりますから、御了承を願いたいと思います。私どもが米軍軍人、軍属に国会へおいでを願いたいと申しましたことは、法律に定めるところの証人、いわゆる宣誓を求める証人ではないの、でありまして、参考人として国会へおいで願つて実情をお話を願いたい、こういうことでございました。ところが外務省の国際協力局長から参りました手紙には証人とはつきりなつておるわけであります。そこで若し証人という意味で米軍側へ通達をされたということでありますと、我々の真意と反するわけでありますし、又国際信義上も如何かと思われますので、十分に調査をいたしました。そういたしますと、原文にはウイツトネスという言葉が使われております。これが果して日本でいう証人であるのかどうか、こういろいろ確めたのでありますが、アメリカの国会には参考人という制度はないそうでございます。従つてこの国会の労働委員長から外務省へ申出ましたことにつきましては、外務省は文書を用いないで口頭を決て参議院の趣旨を十二分に汲んで御交渉頂いたのであります。その結果こういう文字を以て回答になつたということでありまして、決して参議院の委員会の本当の考え方が誤解をして向うへ伝わつていることはない、こういう外務省からの返事がございましたので、報告に附加えておきます。以上でございます。
そこでお諮りを申上げたいのは、向うが希望するならば情報を提供してもよい、こういうことになつておりまするが、提供を改めて要請するかしないかということを御決定願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/84
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085・阿具根登
○阿具根登君 今の問題、向うは来られないということになつておりますから、こちらといたしましてはこの前の決定通り、一応向うのことを聞きたいのですが、今の場合としては、被害者のほうは十分聞いておりますので、やはり公式な文書を以て明確な答弁を聞くべきだ、かように私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/85
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086・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) よろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/86
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087・田畑金光
○田畑金光君 今の阿具根君の御意見に賛成です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/87
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088・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) ではさよう取計いをいたします。
それからちよつと御相談申上げたいことがございます。ちよつと速記をとめて下さい。
午後三時三十九分速記中止
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午後四時十五分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/88
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089・栗山良夫
○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて下さい。
本日の委員会はこれにて散会いたします。
午後四時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101615289X00719530703/89
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