1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年二月十八日(木曜日)
午後一時五十五分開会
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委員の異動
二月十日委員苫米地義三君辞任につ
き、その補欠として笹森順造君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 内村 清次君
理事
石村 幸作君
堀 末治君
館 哲二君
委員
伊能 芳雄君
高橋進太郎君
長谷山行毅君
小林 武治君
島村 軍次君
秋山 長造君
若木 勝藏君
松澤 兼人君
笹森 順造君
国務大臣
国 務 大 臣 塚田十一郎君
政府委員
自治庁次長 鈴木 俊一君
自治庁財政部長 後藤 博君
自治庁税務部長 奥野 誠亮君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
常任委員会専門
員 福永與一郎君
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本日の会議に付した事件
○地方行政の改革に関する調査の件
(昭和二十九年度地方財政計画に関
する件)
(地方税制の改革に関する件)
○本委員会の運営に関する件
○連合委員会開会の件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/0
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001・内村清次
○委員長(内村清次君) それでは只今から地方行政委員会を開会いたします。
議題は、昭和二十九年度地方財政計画に関する件でございますが、この議題に入る前に、塚田長官のしばしばの言明に対しまして、秋山委員から発言を求めておられます。どうぞ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/1
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002・秋山長造
○秋山長造君 今日議題になつております財政計画なり、地方税法の改正という問題を扱う場合の大きな前提になる問題だと思うのですが、昨年の暮あたりから思いついたように、吉田総理は知事の官選論というものをあちこちぶつて廻つている。それと相呼応するかのごとく、塚田自治庁長官も又にわかに知事官選論を唱えて廻つておる。特にこの間全国の知事会でも、正式に塚田長官として知事官選論を大いにぶたれたということが各新聞に大きく報道されている。この行き方に対しては、我々は地方自治を今後ますます育成強化して行くという任務を負つた自治庁長官として、誠に重大なこれは発言だと思います。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)而もその御見解の御発表は、何かこうまあ個人的な一つの見解を端的に述べたに過ぎないというような形で述べてはおりますけれども、併しその背後に含められた意味というものは、誠にこれは重大なものを含んでいる。特に最近警察制度の問題であるとか、或いは教員の政治活動禁止の問題であるとか、まあその他すべての政治の方向、行政の方向が中央集権に向つて滔々と動いているときに、地方自治のいわば最も核心ともいうべき府県知事の公選廃止、任命制というようなことを自治庁長官がしばしば御発表になるということは、私むしろ塚田自治庁長官個人の政治信念というものも疑わざるを得ないし、又同時に自治庁長官という公の立場においても、長官の御声明に対して甚だ遺憾に思わざるを得ない。この際、この問題について長官の真意と御見解とを十二分に聞かして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/2
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003・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは誠に重大な問題であると私も実は考えておるのでありますけれども、いろいろな機会にいろいろに述べましたのは、むしろ積極的に私から述べたというよりも、こういう考え方に対してはどうかというお尋ねに対して、いろいろな理由から私もそのほうがいいのではないかというように申上げたのが、国会における大体の機会の発言の行き方でございます。この間知事会議で申上げたのは、それとは若干違つているのでありまして、これはあの日に特にその問題について長官の考え方はどうかということでありましたので、誤解の起きないように、政府としてはまだ何もきまつておりませんのです、考え方としては併し考え直す余地があるのじやないかと思うので、地方制度調査会に諮問をした上で一つ考えてみたいと、こういうことでありました。併し何か考え直す余地があるのではないかという私が考え方を持つている理由はこうなんでありますということで、あすこで御説明申上げたので、私はむしろあれは知事自身の非常に関心を持つておられる立場のかたがたでありますのと、それからして知事会議という、私自身としてはむしろ内輪の話の機会なのであるからして、率直に包み隠さず申上げるほうが、あのときに政治的にただ地方制度調査会の答申を待つてあれするのですというようなお答えをするよりも、私としてはまじめな行き方ではないか、そういう気持で率直に申上げたわけです。
そこで、どういう考え方からそれではそういう考え方を私が持つようになつたのかということをこの機会に若干皆さんがたにも申上げておいたほうがいいのではないか、こういうふうに考えますので、知事会議で申上げたことをここで重ねて繰返さして頂きたいと思うのでありますが、実は私も地方自治というものが民主定義の基礎になる非常に大事なものであるということもよく承知いたしておるのであります。併し、その地方自治というものを日本という国においてどういう形で実現して行くかという方法については、必ずしも今の機構でなければいけない、今の機構が最もいい地方自治の方法なんだというように一気に結論を下すほどのことはないのじやないか。そこで今の地方自治のあり方というものが、成るほど自治という観点からすれば或いはもつと細かく自治という形にするほうがいいかも知れませんが、その場合に他の面、例えば非常にしばしば選挙があつて金がかかるとか、又そういう場合に公選で出て来た人の物の考え方というものにはどうしても地方財政が膨脹するような要因というものが含まれ勝ちであるとか、それからして中央地方を通じて、この狭い国にあれだけたくさんの市町村団体と府県団体と、そして国と、而も国が又出先機関を持つて、こうして縦横に錯綜しているようなこんな複雑な行政機構というものを持たなければ一体日本の国の政治というものは行い得ないのだろうかどうだろうか。そういうふうに考えてみると、国の側にも整理すべきものが相当あると思うし、又自治機構自体の側にも相当程度これは考え直して、もう少し簡素なすつきりした形での自治というもののやり方があるのではないか、そういう意味に物を考えているわけであります。そういう気持からして物を考えますときに、この間から行政機構改革というものをやり、又今度の二十九年度の財政というものを自分で財政計画を立てる衝に当つていろいろ検討してみて、どうも今の機構ではちよつとむずかしいという感じが非常に強くいたしておるわけであります。今の機構で行政機構を簡素化するということもむずかしいし、又今の機構のままで地方自治が本当にうまく行けるというだけの財政措置をするということも自分にも自信が持てなくなつて来ている。そこで漠然とした感じであるけれども、もう一つ本質的な感じとしては、地方の自治団体というものは一段階あればいいのではないかという考えを持つている。その上に広域的な自治行政のうちの或る部分だけを扱うものが勿論いるだろうと思うけれども、ここのところはもう完全な自治団体でなくてもいいのであつて、日本の今までの考え方からすれば、そこで相当程度の国の事務をやつて頂く、又現在府県は大体そうなつていると思いますが、そういうことになると、そこのところまで公選の首長を置かなければならんという今の考え方は必ずしも適当じやないのじやないだろうか。そこのところに何か市町村というような完全な自治団体とは別の形の何か機構を考えてもいいのではないかという感じを持つているわけです。そうすると、そこのところの首長が憲法の要請であるから必ず公選でなければならんということ
はないのではないだろうか、大体官選でもいいのじやないだろうかということを、そういうことを申上げたのであります。併し私もそう考えながらも、そうすることによつて本当に自治が損われるというようなことであるならば、これはやはり相当考え直さなければならん面が又出て来るかも知れない。併し今の段階においての考え方としては大体そういう感じでございます。そういう感じから来ると、今の知事の公選というものは官選というよりも、むしろ今の形の公選でなくてもいいのじやないかという感じでありますというような、まあお話を申上げているわけなのでありまして、併し最初に申上げましたように、問題はこれは非常に重大でありますから、私がまあそういう感じですぐに法案を法制化するというようなことにとても行くべき性質のものでありませんから、これは相当長い期間に広くたくさんの人たちの御意見を聞いて最終結論を出すべきであろうと、こう考えております。そこで、この間知事会でいろいろ私が意見を申上げて、あとでいろいろ御質問がありました。大いに傾聴しなければならん論点が多々あつたようであります。併し中には考え方としては市町村団体だけが自治団体でいいのだ、府県の自治団体性というものは行く行くはこれは否定されてもいいのであるという御意見のかたもおられたようでありまして、ただ私か今の立場で或いは軽々にそういう発言をするということが非常に不謹慎であるというような御意見が、最後的にまあまとまつた御意見であつたというように帰つてから伺つたのでありますが、この点は私も相当長い期間まあしやべらないほうがいいかなあという感じでおつたのでありますが、総理もああいう工合に言つておられますし、まあこの機会に、しばしは問題になるのでありますからして、むしろ正直に私としては、殊に自治庁担当の私としてはこういう感じでおりますということを申上げて、本当にこの重大な問題が世間に重大であるというように受取られて論議が出て来るほうがいいのではないか、そうしてその間にいろいろの論議を尽して自然の結論を待つということのほうがいいのじやないかと考えますので、そういうような機会があれば包み隠さず申上げる、こういうふうに考えているわけであります。なお又お尋ねがありますれば補足してお答え申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/3
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004・秋山長造
○秋山長造君 只今のお話を承わりますと、塚田長官として本年度の地方財政計画をお組みになる場合に非常に苦労をされている、その苦労をされる過程から受取つた感じとして、今の制度を何とか改めたいというような気持になられたということでありますけれども、併しまあこの問題は例えば国の一兆円予算なんかにしても、今までは余り何も言わずにおいて、今度何かの時局の要請で一兆円というような枠を持ち出すというと、今度は明けても暮れても一兆々々というようなことで、にわかに緊縮財政だ、或いは一兆円だということでやつているわけなんです。言わばこれは政府のそのときの政策に類すべき問題だと思います。たまたまその政府の一兆円予算という、時の政策に都合が悪いからといつて直ちにこの知事の公選制を廃止するとか何とかいうようなところに結論を持つて行くのは、私はやはり日本の国家を長い目で見た民主政治の将来と言いますか、地方自治を本当に皆が真剣に育てて行くそのことが日本の民主主義というものを保障して行く大きな要素になるという考えから見た場合に、余りにもその場当り主義じやないか、御都合主義じやないかという気がするのであります。すでにまあ今の長官のお話では、何か長官は個人的な感じを正直に表明した程度だというようにおつしやるのですけれども、我々側から見たものとしては、決してそういうただ長官の個人的な感じというようなものでないのじやないか、むしろやはり現在の保安隊の問題、或いは警察の問題、学校教員に対する文部省の統制強化の問題、その他万般に亘つて中央集権と言いますか、曾つての昔の官治行政時代に大幅に逆戻りしつつある、この大きな背景を持つた一つの流れじやないかというように考えざるを得ない。現に私確かに承知している話ですが、自治庁あたりでも、まあ長官が御存じかどうか知りませんけれども、すでに曾つての高文組ですね、いわゆる高文をとつた連中、高文組の名簿というものが極秘のうちにちやんとできておりまして、で、寄るとさわるとその名簿を中心にして、やがて来たるべき内務省復活ですか、或いは官僚王国の復活、そういう状態を夢見て、誰はどこの知事だ、誰はどこの部長だというようなことが、まあ冗談にでも話に上つておるというようなことになつておるのです。
これは笑い事じやなしに、事実役所はそういう空気が非常に強いんです。そういうことに簡単に自治長官がまあ動かされるということもありますまいけれども、たまたま動かされた形になつて来ると思う。で、この地方自治を頭から否定するような知事公選廃止というようなことをかりそめにも口にされるということは、我々としては誠に疑問を持たざるを得ないので、まあ地方財政が膨脹する一つの理由が知事の公選にあるということを長官はしばしばおつしやつておるようでありますが、その点は我々も多少わからないこともない。併し、だから公選を廃止しなければいかんということになると、これは余り飛躍じやないか。そんなことを言つておつたら、この今の選挙なんか金がかかるのだから、選挙なんかやめてしまえば国会の汚職もなくなるじやないかという議論と同じことなんでして、結局これは議会政治なんかやめてしまつて、吉田ワンマンの命令一下すべてが右向け右で動くような組織にすれば、それが一番いいかも知れないけれども、併しそうなればそうなつたで、又議会政治なんかよりももつと大きな弊害が出て来るというようなことがあるから、やはり現在の組織を認めた上で、それをできるだけうまく運用して行くということになるわけですから、だから知事の問題なんかにしても、知事が公選のために経費が嵩むと言いましたところで、現に地方財政の実情を見ておると、地方で独自にやり得る範囲というものは誠に限られておる。これは言わんでも御存じの通りで、自主財源なんというものは殆んどないんです。だからそういう状態で放つておくことがそもそも間違いなのであつて、やはり府県を地方自治の中心ということへ持つて行くならば、やはり財政的にも政府のほうでももう少し地方のほうが自主自立でやつて行けるだけの態勢を整えてやるだけの誠意を示してもらいたい。そういうことを何もしないで、そして陳情政治ばかりやらざるを得ないようなことをしておいて、そして陳情政治はいけないというようなことを中央で言うのは、これはもうてんで問題が本末転倒だと思う。それでそういう点について憲法違反であるかどうかというような問題についても大いに我々としては言うべきことを持つておりますがね。それらの点について自治庁長官はどのようにお考えになつておるか、重ねてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/4
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005・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 初めにちよつと委員長にお願い申上げておきますが、法務委員会から催促が参つておりますので、ちよつと法務委員会の問題が時の問題になつておるようで、どうしてもちよつと顔を出しておかなければならんので、ここで今お答えだけ申上げて、適当な機会に一つお暇を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/5
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006・内村清次
○委員長(内村清次君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/6
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007・内村清次
○委員長(内村清次君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/7
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008・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) それでは只今のお尋ねに対してお答え申上げますが、この財政の問題は確かに私はこの物の考え方の一つにいたしておる。併しこれだけではないのであります。ただ財政の問題は、それではそういうことにならないように、財政が赤字になつたりしないように処置をしたらいいんじやないかという御意見、まさに御尤もなのでありまして、私もそういう考え方で長く問題を実は見ておつたのであります。これは実際に予算を組む衝に当つてみますと、地方財政の今の窮乏状態というものは、一つは確かに国が仕事を依頼しておるのに必要なだけの費用が十分出ていないということが原因しておる面がかなりあると思います。この面は今度の二十九年度の財政計画でかなり努力をして是正はいたしたつもりなんでありますが、勿論十分であるとは私ども申上げられないと思います。ところが、自治団体自体は、今も秋山委員が御指摘になりましたように、非常に独自でやり得る範囲の仕事というものは狭いのでありまして、従つて独自で、自分の判断で思うように使える金の範囲というものも府県財政の総枠の中からは一割二、三分から一割五分というように非常に限られた数字になつております。そういうような実情でありまするときには、国の側、殊にこれは私が政府の一員でありながらおかしな表現でありますけれども、現実の事態がそうであるということでお聞き願いたいと思うのでありますが、私が自治団体の立場で大蔵省と予算を折衝をいたしますときに、勿論大蔵省の自由になるものはしぶしぶ最後には出しまするし、まあ出さざるを得ないのでありますが、なかなかこれは大蔵省が金を出せば地方が無駄使いをするというその誤解を解いて、そして一応最小限度の仕事がやつて行けるところまで金を出させるということには非常な困難があるのであります。ここが国の側から考えられる一つの原因であります。それで私はそういうことは、当の衝に当つておる者の責任と努力だけで解決できるだろうかというと、どうもやはりこの機構自体に若干問題があるのじやないだろうか、ということは国からこういう工合に相当金を出すという形自体に問題があると思う。それじや独自の財源を与えたらということになるのでありますが、さて独自の財源を与えるということになると、御承知のようにどんな財源を考えてみましても非常に偏在が出る。ここに一つの大きな隘路がある。どうしても今の地方団体の成るべく貧弱団体も或る程度の政治行政をやるせるという考え方からすると、調整をしなければならん。その調整の金を中央でまとめて出すという考え方なんですが、ここが平衡交付金制度のいい面と悪い面と両方あるわけです。それから国が補助金その他で出しておるものも、やはり一つ一つ検討してみると、国がまとめて一度とつた税金から出すという形でないと行政がうまく行かないと思われるようなものが大体そういう形になつておるように思われる。そうすると、その面でも解決をしないとうまく行かないらしいということになると、今のこの機構自体に非常な問題があるのじやないか。一方今度公選知事の立場からいたしますと、自分で自由に使える金の枠というものは非常に限られておるにかかわらず、恐らく知事の立場からすれば、やはりいろいろな立場の点があつて、自分の自由に使える金というものは成るべく余計欲しい。住民の希望があればあれもしてやりたい、これもしてやりたいという気持がある。これは人情だろうと思うんです。そこのところに財政の大きくなる要因があり、国の側からは赤字をどうしても十分見てやるだけのなかなか措置というものが考えにくい要因があり、そこのところに根強く地方財政窮乏というようなものが恐らく今後も続いて行くんではないだろうかと想像される理由があるわけなんでありまして、この点は私のそういう感じなんでありまして、自分の感じが当つておるがどうか、その辺はまだいろいろ皆さんがたの御意見を聞いて考え直してみなければならん点もあるんじやないか。財政から来る面は大体そんな感じで今問題を見ております。それからして他の一面、例えば警察法の改正であるとか、そういうものと一連の関連があるんではないかということでありますが、形の上では時期を同じくして出て参つておりますので、疑いを受ける点は尤もだと思うのでありますが、少くとも私の物の考え方においては、そういう関連は全然ないのでありまして、やはりこの問題はこの問題として、実は最初に御説明申上げたように見ておるのであります。本当に今こんなことで日本の自治というものをやつて行かなければならんということになれば、これは国民の負担も大変だろう、自治は金がかかるということになつてしまうということがむしろ私の率直な気持であります。ですからこれはどこまでもこの問題だけを考えて、この狭い国土に、この貧しい国土に何かもう少しやはり適合した自治の形というものがあるのではないかという考え方であります。それからしてまあこの問題は、この間知事会議のときもあとになつてそういう御意見が大分出ておつたというのでありますが、事務当局と申しますものは、やはり昔の内務省系統の諸君で大体あるわけでありますが、そういう諸君が私の考え方に非常に大きく影響しておるのじやないかという疑問がおありのようだつたそうでありますけれども、そういうことはこれは絶対にありませんので、むしろこの考え方は私のほうが時期的にも進んでおりますし、考えの方ほうも一歩先へ行つているような形であつて、これは従つてその事務当局の諸君が将来そういう形態になつたときに、自分らの立場というようなものを考えての考え方ではございませんので、その点は御了承願いたいと思います。或いは高文名簿というようなものを集めたということは事実であるのかどうか承知いたしませんがあるにいたしましても、恐らく何か別の目的でこれはやつたのであろうと考えられますので、なお又それらの事柄が注意すべき事柄、理由から出ておるものなら十分注意をして参りたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/8
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009・秋山長造
○秋山長造君 只今の大蔵省がなかなか理解してくれんということなんですが、実情はそういうことかも知れませんけれども、併し大蔵省がなかなか地方財政の手当を考えてくれないから、むしろ逆に今度は政府の責任を放つておいて今度は地方のほうへ責任を持つて行つて、地方の制度をいじくろうという行き方は甚だ便宜主義だと思う。やはり今の地方団体が赤字で苦んでいる原因はいろいろあります。ありますけれども、一番根本の原因は憲法でああいうように地方自治を特に謳い、そして自治法でああいう一応形式的には整つた地方自治制度というものを作りながら、それに対して今日まで政府がその裏付けをするだけの誠意ある手当をやつて来ていないというところに一番根本の原因があるものだと思う。だからやはりこれをどうするかという問題を本当に真剣に考えるならば、何よりもかによりも、今の制度を本当に名実共に生かして行くためには政府はどうすべきかということを、困難な問題であつてもやはり政府自身がもう少し真剣に、これはただ自治庁長官だけに委すのではなくて、政府全体として真剣に考えてもらわなければならない。同時に自治庁長官は担当の大臣として特に政府の政治方針といいますか、そういうものをその方向ヘリードしてもらわなければいかない気持がするので、それを放つておいていきなり制度そのものに罪に着せるということは、まだまだ余りにも私は軽率過ぎると言いますか、早過ぎるという気がするのであります。で、一方で知事官選というようなことを頻りにいろいろなときに放送されて、而も今ここへ地方税法などでも画期的な税法改正ということで出ておる。要綱案の第一には、地方団体の自治の強化に資するためと、成るほど尤もらしいことを謳つても、これはもうごまかしかなんか、余りにも白々しいという感じを私どもは持たざるを得ない。で、この問題はとにかく影響も大きいし、又非常に地方自治制度の根幹である大問題でありますから、いろいろな問題で大きな影響を持つものでございますので、自治庁長官として今後この問題に関する限りは、もう少し慎重なと言えば失礼かも知れませんが、慎重な、用意周到な一つ御発言をして頂きたい。同時にそれだけに限らず、私どもも自治庁長官に期待するところは、行きなり制度に罪を着せるのではなくて、やはり自治庁長官は、或いは自治庁は、地方自治のこの育成強化という大きな線だけはどんなことがあつても踏み外さないように努力して頂きたいということを特にお願いをしたいと思います。
なお、この問題についてもう少しお尋ねしたいことがあるわけですけれども、法務委員会のほうへ急がれておりますので、又お帰りになつてから続行したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/9
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010・内村清次
○委員長(内村清次君) 今の問題には御返事はありませんね……。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/10
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011・内村清次
○委員長(内村清次君) それでは議題に入りまして、昭和二十九年度地方財政計画に関する件を議題に供します。
政府のほうの御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/11
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012・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) それでは、私から昭和二十九年度地方財政計画につきまして、その概略を御説明申上げます。
昭和二十九年度地方財政計画の策定に当りましては、我が国経済の現況に鑑み、地方財政についても国庫予算の編成方針に即応して、極力その財政規模の合理的縮減を期待すると共に、従来往々にして見られました国庫予算編成のしわ寄せが地方財政に及ばないように十分考慮を払いつつ、昨年十月行われました地方制度調査会の答申の趣旨を可及的に実現することを期し、以下述べます事項を前提といたしまして策定を行なつたのであります。
即ち、先ず地方財政計画策定の基本方針として、調査会の答申も指摘いたしておりますように、現在の地方財政計画に明らかに算入漏れ又は算入不足となつており、ために不当に地方財政を圧迫していると認められる額について可及的に修正を行い、地方財政規模を是正したのち給与改訂の平年度化等に伴う経費等明年度当然に増加を予想せられる財政需要額についてその必要最小限度の額を加算し、更に行政整理、警察制度の改革に伴う財政需要の増減額を加減したのち、地方財政についても国庫予算に準じて所要の節約を期待することとしてその財政規模を測定いたしました。
又歳入面におきましては、地方財政需要の増嵩に即応してその独立財源を拡充し、道府県、市町村相互間の財源の偏在を是正すると共に住民負担の合理化を図るため、附加価値税の廃止、事業税の合理化、道府県民税、不動産取得税及び煙草消費税の創設、固定資産税の軽減並びに大規模償却資産に対する固定資産税の特例、入場税の国税移管、譲与税の創設等を含む地方税制の全面的改革を準備し、地方財政平衡交付金制度を改正して地方交付税制度とし、その総額を国税所得税、法人税及び酒税の一定割合とすることによつて、地方財政運営の安定及び合理化を期することといたしたのであります。
以上のような前提の下に、地方財政規模を策定いたしました結果、昭和二十九年度の地方財政規模は、九千六百三十五億四千八百余万円となり、昭和二十八年度のそれに比して約五百四億余円の増加を見ることとなつたのであります。
次に歳出及び歳入につきまして、その内容を簡単に御説明申上げます。
先づ歳出面でありますが、昭和二十八年度の財政規模即ちいわゆる既定の財政規模九千百四十九億円に対しまして加減いたしましたものは、大要次の通りであります。第一に既定規模の是正額百四十九億円でありますが、右は従来地方財政計画に明らかに算入漏れ又は算入不足となつていると認められるものでありまして、その内訳は、単独事業費の是正額として四十五億円、経常的物件費の是正額として五十三億円、議員委員の期末手当等給与関係経費等の是正額として五十一億円であります。単独事業費の是正分四十五億円は、例えば六、三制の建築費とか港湾の浚渫事業のように、いわゆる公共事業費の施行についてその事業の成果を期するため若干の経費の継ぎ足しを要するもののうち、従来既定財政計画に算入漏れとなつていた額であり、又経常物件費の是正分五十三億円は、現在の地方財政計画に織り込まれております物件費の額の不足分であります。即ち、現在の地方財政計画は、昭和二十五年度の決算額を基礎として策定せられているのでありますが、右地方財政計画中に織り込まれている物件費は、基準年度である昭和二十五年度からの増加率が国庫財政のそれに比して著しく過少であり、地方財政窮乏の一因をなしていると考えられますので、これが修正を行なつたものであります。更に給与関係経費等の是正分五十一億円は、特別職の地方公務員、議員、委員の期末手当、税務職員に対する税務手当及び教育長、指導主事の給与費等について、従来算入不定、又は算入漏れとなつていた額を修正したものであります。
第二は、本年一月から実施せられました給与改訂の平年度化に伴う給与費の増加額寺、昭和二十九年度において増減する財政需要額でありますが、その額は、三百五十五億円の増加となつております。即ち給与改訂に伴う給与費及び給与関係経費の増加額四百十四億円、百二十一万人に上る人口の自然増加等に伴いまして当然増加する諸経費の増加額五十一億円、公債費の増加額百三十一億円、法令の改廃、国庫補助負担金の整理等国の行政施策に伴う経費が差引四億円の増、災害復旧事業費の再査定による災害復旧事業費の減、失業対策費の増加、明年度における中学校の生徒増に対応する建築費の増加額等を含めて臨時事業費差引二百四十五億円の減が主なものでありまして、差引合計三百五十五億円が昭和二十九年度において見込むべき必要最小限度の経費の増加額となるわけであります。このうち給与関係経費の増加額の算定につきましては、地方公務員についても国家公務員に準じて行政整理を期待することとし、道府県及び五大市の一般職員について五・五%、市の一般職員五%、町村の一般職員は平均一・七%の整理を見込むと共に、教職員については明年度増加による児童生徒数に対応する要増加人員を含み約三万人程度増員の抑制を図ることといたしております。
第三は警察制度の改正に伴う財政需要の増加額百五億であります。政府は地方制度調査会の答申の趣旨に則り、今般警察制度の改革を決意し、本年七月一日より、現在の市町村自治体警察を全廃し、現在の国家地方警察の大部分と共に新たに都道府県警察を創設することとし、関係法案を準備いたしておるのでありますが、これに伴い地方財政において本年度百五億円の新らしい財政需要額が必要となつて来るのであります。新警察制度の下においては、国は、道府県警察相互間の連絡調整、警察官の教育及び鑑識、通信等の施設の維持管理を行い、その費用については全額国庫負担とし、且つ又警視正以上の警察官は国家公務員とすると共に、国家的事件に関しては警察庁長官が都道府県警察を指揮監督するものとし、都道府県警察の特殊な警察活動や装備につきましては、二分の一の国庫補助を行うこととしているのでありますが、これらの制度改正に伴い、現在の国家地方警察から都道府県に移ります財政需要額が約九十億円、市町村から都道府県に移ります財政需要額が二百十一億円となるのであります。
又警察職員につきましては、約三万人を今後四ヶ年間に整理するものとし、本年度は約一万人を予定すると共に、現在の自治体警察職員の給与で新設せられる都道府県警察のそれよりも高い給与を受けることとなる者については、その切替えに当り、本俸の差額について当分の間手当を支給することとし、その移行の円滑を図ろうとしているのでありますが、これらの措置により、行政整理に伴つて十二億円の節減と、退職金、恩給、給与調整費につき二十七億円の経費の増加が見込まれるのでありまして、結局警察制度の改正によりまして、都道府県に於て、三百十六億円の増、市町村において二百十一億円の減、差引地方財政需要額としては百五億円の増加、うち国庫補助金二十一億円となるのであります
第四は、経費の節減であります。国も地方団体も財政規模の合理的縮減を図るべきことは我が国現在の経済情勢下におきましては、論ずるまでもありません。併し他面又窮乏に瀕した地方財政に現在寄せられているしわをそのままにして縮減を求めることが困難であることも否むことができません。明年度地方財政計画の策定に当りましては、これらの諸点を慎重考量の上、先ず地方財政窮乏の素因になつている原因を剔抉し、既定規模の是正を行なつた後国庫予算の編成方針に準じ、経常物件費中義務的な経費を除きました節約対象額に対し、府県五大市においては一〇%、市町村にあつては五%、単独事業費については一〇%合計百二十億円の縮減を期待することといたしたのであります。
第五は、警察制度、地方税制度等諸制度の改正等に伴う富裕団体の超過財源の増減額であります。地方交付税が交付されない地方団体にかかるいわゆる超過財源は、地方財政計画の構造上歳出に計上すべきものでありますが、昭和二十九年度においては税の自然増収に伴う増加や、税制改正による減、警察制度の改正等による財政需要の減等差引きいたしました結果、前年度に比較いたしまして、更に十五億円の増加をみることとなるのであります。
次に歳入につきまして、その大略を御説明申上げます。第一に税収入でありますが、税収入につきましては、前年度に比較して、三百七十二億円、譲与税を加えまして六百二十四億円の増加となつております。すでに述べました通り給与改訂の平年度化、警察制度の改正等に伴う財政需要の増嵩に即応して地方財源を拡充すると共に、道府県、市町村相互間の財源調整を行い、他面住民負担の合理化を図るため、今回地方税制度について所要の改正を行うこととし、先ず従来地方税でありました入場税を国税に移管して、その九割相当額を揮発油税の三分の一の額と共に地方譲与税とし、これを入場税については人口に、揮発油税については道路の面積を基準として地方団体に配分することとし、道府県民税、不動産取得税及び煙草消費税を新設し、附加価値税を廃止して、事業税を合理化して存置することとし、市町村民税及び固定資産税を軽減すると共に府県において大規模償却資産に対する固定資産税を課する等の措置を講ずることとしたのでありますが、この結果地方税収入におきましては、昭和二十九年度の収入見込額は三千四百七十四億円となり、前年度に比して自然増収四百十一億円、制度改正に伴う減三十九億円、差引三百七十二億円の増収が見込まれることとなり、別に地方譲与税二百五十二億円が見込まれることとなつたのであります。
第二に国庫支出金でありますが、一般公共事業費、災害復旧事業費の削減、少額諸補助金の整理等に伴う減と、義務教育費国庫負担金、警察費国庫補助金の増等により差引三十八億円を減ずることになつたのであります。
第三に地方債でありますが、公共事業費等の削減による臨時事業費の削減と現下資金供給事情の窮迫等とにより、一般会計において政府資金七百十五億円、公募資金百三十五億円、交付公債百七億円合計九百五十七億円を見込んだのでありますが、本年度に比較いたしまして約百三十九億円の減少となつております。なお、地方債計画につきましては、右のほかに公営企業会計分として政府資金百七十五億円、公募資金六十五億円を予定し、電気、水道事業等諸企業の資金需要に応ずることといたしております。
第四に雑収入でありますが、雑収入につきましては、昭和二十七年度の決算を基礎として算定替を行い、使用料、手数料等につきまして、それぞれ増加要因を推定、増収を期待すると共に、自転車競技法等に基く各種国庫納付金の廃止等により地方財政中一般会計に添加せられる増加願を二二億円と推定し合計一千七十八億円と積算いたしたのであります。以上により、歳入は合計八千四百三十七億円となるのでありますので、不足分一千二百十六億円を地方財政平衡交付金に代るべき調整財源である地方交付税に求めることといたしたのであります。以上が昭和二十九年度地方財政計画の大要であります。最近の地方財政の状況はますますその困窮度を強め、財源の不足に悩む団体が著増いたしておりますことは、誠に遺憾とするところでありますが、一方又地方財政の運営につきましても、国も地方団体も共々になお検討を加えるべき点が数多あることも否定できないのであります。政府は今後この計画の実行を通じ、誠心誠意地方財政の改善合理化に努めて参りたいと存じております。何とぞ各位の十分の御理解と御協力を賜わりますよう、お願い申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/12
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013・後藤博
○政府委員(後藤博君) 只今の御説明に多少補足いたしたいと思います。お手許に地方財政計画というのがありますが、それによりまして御説明申上げます。先ず歳出でありますが、既定財政規模九千百四十九億、これは二十八年度当初は八千五百八十億六千百万円でありました。それが第一次、第二次の補正予算によりまして九千百四十九億に増加して参つたのであります。先ほどの御説明にありましたように、この九千百四十九億に地方制度調査会の答申にありましたように、既定財政規模に是正を要する点が三百億あるということでありましたので、そのうちでいろいろ内容を検討いたしました結果、最小限度のものだけを是正をいたすということになりまして、百四十八億九千五百万円の財政規模の是正を行なつたわけであります。そのうち単独事業の四十五億出しました根拠は、二十七年度の決算を細かく洗いまして、そのうち継ぎ足し単独事業、これは例えば小学校で申しますと、生徒一人当り〇・七坪の二万三千円という単価ではできませんので、そのために政府が継ぎ足しているようなもの、そういうふうな継ぎ足し単独事業を拾いますと、百五十五億でございます。その百五十五億を公共事業の伸びて伸ばして言いますと二百四十億になります。二十八年度の既定の財政規模にこのうち百四十九億入つておりますので、その差額九十一億の半額をここに地方財政計画として四十五億出したわけであります。第二の経常物件費五十三億は、これは国の一般行政費中の経常物件費と地方団体の経常物件費とを二十五年以後比較して見ますると、国のほうが地方団体より非常に伸びております。国の伸び率のほうが非常に大きくなつておりまして、大体差額が二〇%くらい違つておるのでありますが、その違つておりますものの約半額を拾いましてここに五十三億を是正したわけであります。それからその次の第三の給与関係の不足分でありますが、給与関係につきましてはいろいろ争いのあるところであります。争いのない点で従来確実に不足しておりますものだけを拾いまして、ここに是正をいたしたのであります。第一に議員、委員の報酬手当、これは議員、委員が人員の数において、人口の増加等によりまして是正を要する点がございます。その人員を増加いたしますと同時に、期末手当が入つておりませんでしたので、この期末手当分を実績単位価を使いまして算入いたしたのであります。その分が二十九億、特別職の給与と申しますものは、これは知事、副知事、市町村長、出納長というようなかたがたの期末手当が入つておりませんでしたので、これを六億だけ是正をいたしたのであります。それからその次の特殊勤務地手当とありますが、これは主として特殊勤務地手当関係が九億でありまして、あとはこれは例えば税務職員でありますとか、それから伝染病の職員でありますとか、社会福祉事業関係の職員等につきましての特別な手当を地方団体が出しております。そういう特別手当が従来は財政計画上載つておりませんでしたので、これを全部計算をいたしまして入れております。それから教育委員会の経費、それから事務局の経費等につきまして、従来の既定規模には二十五億入つておりますが、その二十五億では不足いたしておりますので、これも実際の教育長、教育主事等の単価についても是正をいたしたのであります。これは大体五億でございます。
それから二十九年度の新規財政需要額ですが、総額は三百五十五億であります。そのうち一番大きいのは給与関係経費の増加額が百四十四億であります。内訳は給与改訂、ベースアップに伴うところの給与関係経費の増加額が四百三億であります。これは先ほど御説明になりましたように一般職員及び教員、一般職員については一定の整理率を見込んでおります。それから教員につきましては三万人の増員抑制を図つております。それから(ロ)の教育職員給与法改正の平年度化に伴う給与費の増、これは三本建によるところの増で、昨年は三億でありましたが、今年は十億が増であります。
それから次は人口等の自然増加に伴う経常費のほうの増は五十一億、これは人口が来年になりますと、人口問題研究所の調査によりますと百二十三万人増加いたします。これに伴うところの経常費の増額を見込んだわけであります。
次に公債費の増百三十億、これは既定規模の中に二百五十億入つております。来年度におきまして、昭和二十三年、四年、五年頃の災害の起債の元利償還が始つて参ります。据置期間が過ぎまして元利償還が非常に多くなつて参ります。従つて来年度から暫らく公債費が非常に増加して参ります。既定規模に二百五十億ありますので、来年は三百八十億の公債費があるわけであります。
次の、国の行政施策に伴う経費の増減額三億六千万円、これは(イ)の法令の改廃等に伴う経費の増減と、それから補助負担金の増減のものとの差引であります。法令の改廃等に伴う経費の増減額十億はお手許の資料にあると思いますが、海区漁業調整委員、農業委員会委員の選挙だとか、漁業信用基金協会の出資金増だとか、公明選挙の費用だとか、そのほか土地改良、民生委員会の関係の経費だとか、いろいろのものの増減を差引きいたしまして十億というふうに見込んであるわけであります。それから次の(ロ)の補助負担金の増減に伴う経費の増減、これは七億減るわけであります。昭和二十八年の災害対策費が八十四億、これは主として二十八年の消費的経費が全部落ちて参りまして、災害対策費が八十四億財政需要が減るわけであります。それからその他の増減七十七億、これは増でありますが、これは補助負担金の増減と、それから補助率が変更されたためにその分だけ地方の財政需要が増加して参ります。その分を七十七億ここに出しておるわけであります。大きなもので補助率の変更のありましたのは、農業委員会の技術員の二分の一の補助が三分の一になりますとか、未開懇地助成の全額補助が二分の一になりますとか、農業改良普及員の三分の二の補助が二分の一になりますとか、保健所が三分の一が四分の一になる、こういうものが大きなものであります。
その次の臨時事業費の増減でありますが、これは二百四十五億でございます。そのうち公共事業費関係で、一般の公共事業費で二億三千万円減ります。国の予算をみますと、国の公共事業費は百四十一億減少になつております。約一一%減少でありますが、このうち地方団体に関係いたすものだけを拾いますと三十億減ることになります。その三十億の地方負担額は二十八億でありますので、差引いたしましてここに二億という数字が出て参ります。その次の災害関係は百五十九億の減になります。これは災害の査定が千七百七十五億から千三百三十四億に査定替になりますし、同時にこれを三割乃至四割の施行、こういうことになりました関係で減つて参るわけであります。それから次の失業対策事業費十七億の増加、国の予算で見ますと、国庫補助が十億だけ増加いたします。それによりまして地方負担額が殖えて参りますその分の十七億であります。それから(ハ)の特別道路整備事業費四十一億の減は、いわゆる防衛道路と称するものでありますが、二十八年度で終りますので、全部減になつております。それから単独事業費五十九億の減は、災害関係で六十九億減りまして、その他で十億殖えますので、差引五十九億になります。六十九億の内訳は二十八年度災害の単独事業を六十九億見込んでおります。それから二十九年度の現年度災を二十九億、それから過年度災復旧関係を二十一億、公共事業関係による振替が、公共事業の削減により単独に振替つて来るものが三十四億、合せまして百五十三億ということになります。ところが既定財政規模の中に二百二十二億入つておりますので、二百二十二億から今申しました百五十三億引きました六十九億というのが減になるわけであります。それからその他の十億は中学校の生徒が来年度も増加いたしますので、本年は先般の国会におきまして二十億だけの財政需要の増を見たのでありますが、それでは見足りない点もございますし、三十年度中にも相当殖えるものがございますので、二十九年度の不足分と三十年度の増加分とを合せまして三十億の単独事業の増を見ておるのであります。本来はこれは国庫補助が半額あるべきものであるのでありまするが、補助事業でなくて単独事業として我々のほうで計上いたしております。文部省のほうの予算の関係でこういうふうになつております。既定の中に二十億入つておりますので、ここでは十億だけを増加いたしたわけであります。
それから警察制度改正によるところの増減が百五億、これは制度改正によるところの増が八十九億であります。それから行政整理による減が十二億、これは先ほど説明がありましたように、三万人の警察職員を四年間で整理し、初年度一万人の整理をする、それによるところの財政需要額の減が十二億であります。それから退職手当及び恩給費の増二十七億、これは退職金の増が七億五千万円、一時恩給の増が六億一千万円、それから給与の調整をいたさなければなりませんので、その分が十三億九千万円、合せて二十七億ということになります。先ほど御説明がありました中に警察関係が、市町村自治体警察から府県警察になりますために府県の財政需要が三百十六億殖えて参ります。市町村のほうは二百十一億減つて参ります。差引き百五億というのが財政需要の増加となつて現われるわけであります。
それから次が節約でありますが、節約の百二十億のうち経常経費の減五十億、これは府県、五大市、それから東京の二十三区の旅費、物件費一〇%、市町村の旅費、物件費五%の減であります。それから臨時事業費の減七十億は、現在既定規模の中に単独事業費が七百七十億ございます。この七百七億の一〇%、これは丁度公共事業費が一一%落ちておりまするので、それに見合つた節約をしておるわけであります。
それから富裕団体における超過財源の増加十五億は、これは現行制度で参りますると、九十八億の超過財源の増加になつて参ります。併し警察制度及び税制改正等によりまして逆に八十三億の超過財源が減つて参ります。その差引をいたしますと十五億になります。で、今度は団体別に申上げますと、県のほうでは三十六億の超過財源が減つて参ります。市町村が五十一億超過財源が殖えて参ります。差引き十五億ということになるわけであります。で合せまして、九千六百五十三億四千八百万円の財政規模になるわけであります。そのうち都道府県が五千六百二十七億三千七百万円、市町村が四千二十六億一千百万円ということに相成るわけであります。
次は歳入でありますが、歳入は先ず地方税でありますが、地方税は、税制改正及び自然増を合せまして、二十八年度に比較いたしまして約三百七十二億の増加になります。三千四百七十四億六百万円の地方税収入を見込んでおる次第であります。そのうち約三百億は煙草消費税の新設であります。
それから次の地方譲与税の二百五十二億、これはガソリン譲与税が七十九億、入場譲与税が百七十二億であります。それから平衡交付金は交付税に変りますので、平衡交付金は減となつております。それから国庫支出金は、先ほど申しました公共事業その他の縮減によるもの、又新らしく警察費の国庫補助制度ができまするので、それに見合う増等、差引きいたしまして、三十七億減ということになります。警察費の補助金のうち二十一億と申しますのは、一般行政運営及び一般的な施設につきまして二分の一の国庫負担がございますので、その額二十一億をここに計上いたした次第であります。
それから次は地方債でありますが、地方債は二十八年は千九十六億でありましたが、百三十九億減りまして、九百五十七億になつておるわけであります。二十八年度の全部の起債総額は千三百三十一億であります。そのうち一般会計が千九十六億であつたのであります。今年度は起債総額は千百九十七億であります。この九百五十七億の一般会計分の起債のうち八百五十億が普通公債でありまして、このうち政府資金が七百二十億であります。それから公募公債が百三十億であります。ほかに先ほども御説明のありましたように、公営、企業債が二百四十億ございます。この公営企業債の二百四十億の内訳は、政府資金が百七十億、公募公債が七十億ということに相成つております。資金構成で多少変つておりますのは、昨年は政府資金八百九十億のうちで預金部資金が大部分でありまして、簡保資金が百九十億しかございませんでしたが、本年は八百九十億のうち四百六十億が簡保資金でありまして、残りの四百三十億が預金部資金というふうに簡保資金の比重が非常に高くなつております。それから次の雑収入でありますが、雑収入は昨年よりも百八十二億の増を見込んでおります。そのうち使用料手数料につきまして三十三億の増加を見込んでおりますが、このうち使用料は発電水利使用料が少し殖えて参ります。それから高等学校の使用料が引上がつておりますので、二十八年度の決算を基礎にいたしまして増加を見込んだわけであります。大体まあ二十八年度の収入見込額と同じ程度なものをここに挙げております。従つて二十七年から八年には増加しておりますが、八年から九年には増加してない、こういう考え方で増収を見込んだわけであります。手数料についても同様であります。それから雑入でありますが、二十四年から二十六年までの決算から拾い出しまして、雑入の平均の伸びを出しまして、その伸びの半額程度のものが一般会計の中へ繰入れられるだろうという想定の下にその増収分を百二十六億見込んでおります。それからもう一つは政府の宝くじ及び競輪等の国庫納付金の制度が廃止されまするので、それに伴うところの伸び、収入の増二十二億三千万円を中に含んでおります。以上合せまして八千四百三十七億になるわけでございます。財政需要額九千六百五十三億との差額千二百十六億を交付税ということに決定いたした次第でございます。以上でございます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/13
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014・内村清次
○委員長(内村清次君) それでは次に地方税の説明を奥野政府委員から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/14
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015・奥野誠亮
○政府委員(奥野誠亮君) お手許にお配りしております地方税法改正案要綱につきまして御説明さして頂きます。改正に当りましてとりました方針の第一は、地方団体の自立態勢の強化に資するため独立財源の充実を図ることであります。地方財源をできるだけ自賄いの態勢に持つて行きたい。そうすることによつて財政運営の責任の所在を明確にして行きたい。かように考えているわけであります。たとえて申上げますと、煙草消費税を設ける。そうすることによつて専売公社から国に納付されます専売益金がそれだけ減つて参るわけであります。併し半面、国のほうでその専売益金を財源にして、国のほうから各省の手を通じて府県や市町村に交付される国庫補助負担金、その他の中央政府に依存する財源の形のものが減つて来る。言い換えれば、各省から使途について細かに指図される財源が独立財源に変つて行く。こういお形式をとつているわけであります。或いは揮発油譲与税を設けまして、路線まで指図して道路補助負担金が交付され、それを道路の面積等に按分いたしましてその使い方を府県に任して行くというような意図を持つておるわけであります。自然増収をも含めまして、大体六百二十億円余り殖えて参ります。三千百億円の税に対しまして二割程度の増加になつて参るわけであります。第二は、地方団体相互間の税源配分の合理化を期することであります。こういう意味で、例えば山村に発電施設がありますために、非常に大きな収入が得られる。全体として非常に窮乏している際でありますので、或る程度このような収入の一部は我慢してもらつて、これを官僚の支配によつてではなしに、法律的に府県の団体の収入に帰属さしてしまう、こういうふうなやり方をしたいのであります。更に、小さい規模の団体でありますと、成るたけ安定した税金を持つて参りませんと、或る場合には急激に収入が殖えるけれども、翌年度にはがた減りしてしまう、法人税割はそういうような性格を多分に持つておりますので、こういう税をより大きな規模の団体である府県のほうへ相当部分を移して行く。府県に府県民税を設けます機会に、市町民税の法人割の相当部分をこういう意味で府県に移しまして、その代りに安定した収入の得られます煙草消費税を市町村の税金に持つて行く、こういう考え方をとつているわけであります。或いは又事業税の分割基準を改めますことによつて、とかく法人事業税収入が本店所在地の府県に不当に集中していると思つております。これを関係都道府県にもう少し分散さしたいというふうに考えているのであります。
方針の第三は、地方税の税種相互間の負担の均衡化を図ることであります。個人事業税の負担が特に重いように感ぜられますので、思い切つて二分の二程度の税率に引下げております。更に又土地や家屋の値上りにつれまして、固定資産税の負担がかなり重くなつて参つているのでありますけれども、土地や家屋の値上りと所得の増加とは必ずしも並行しておりませんので、このような機会に固定資産税の税率を下げたい、かたがた償却資産一般に対する負担の緩和を図りたいと考えているのであります。更に又揮発油税の増徴等ともからみまして、自動車税の税率の調整を行おうといたしております。
次に改正方針の第四として、道府県に住民がひろく負担を分任する税種を設けることにいたしまして、府県民税を創設しようとしているわけであります。現在府県の住民のうちの三%乃至四%しか府県税を負担していない。これでは全住民を構成分子として府県が自治活動を営んでいるという上から考えます場合には、不適正でありますので、成るたけ広い範囲の人たちに府県の経費を分担しながら府県のあり方に強い関心を持つてもらい、積極的にその行政の推進に参加してもらおう、こういう考え方をとつているわけであります。第五に、税務行政の簡素合理化を図るとともに、国、道府県及び市町村三者間の協力体制を確立しようとしております。シヤウプ勧告は責任の帰属を明確にするということを強く主張いたしました。で、これを受けてもろもろの改正が行われました結果は、余りにも独立性を主張する結果、全くばらばらに行政を行うというふうな姿になつている面も多いのでありまして、こういう点を是正いたしまして、責任の帰属を明確にしながらも、協力体制をそこに確立して行きたいということが今度の改正の狙いなのであります。そういう意味におきましては、第一には事業税の課税標準につきまして、所得税や法人税において決定されたその所得を原則としてそのまま使つて行こうとしております。若しそれが過少であると認められます場合には、その更正を府県知事から国の税務機関に請求して行くという方式をとつております。更に第二には、例えば国が法人税を決定したり更正したりします。そういう場合には本店所在地の府県知事に国のほうから通知をいたします。この通知を受けて本店所在地の府県知事は関係府県知事に通知をいたします。これらの知事はその府県内の事務所所在地の市町村長に対しまして、やはり国の通知にかかりまする更正又は決定した法人税額を連絡するのであります。これらを基礎にして事業税や市町村民税の法人税割を更正決定して行けるように持つて行きたい、こういうような連絡の緊密化を図つております。第三には、不動産取得税を設ける機会に、市町村相互間の固定資産の評価の均衡化を協力体制の下に確保するような仕組をとつているわけであります。更に小さい税でありますが、自転車税と荷車税とを別個の税にしておりますと、徴税令書を二つ出さなければならない。台帳も二つにして整理しておかなければならない。こういうものにつきましては、自転車、荷車税を一つに統合してしまうことによつて簡素化できると思つております。このような改正方針に基きまして次のような要領で改正案を作つているわけであります。第一は、道府県民税でありまして、市町村民税の一部を移譲して設けることにいたしております。一部を移譲して設けます結果、今の市町村民税を府県民税と市町村民税との二つに分つた形になつておるわけであります。面接税が非常に重い、所得課税の分離は非常に重いというような考え方の非常に強い際でありますので、所得課税を殖やさない。現在の税金を二つに分けて、そうして府県の税制の欠陥を補い、かたがたこの欠陥を市町村に対しましては煙草消費税の形で補填して行くという考え方をとつているわけであります。納税義務者は、おおむね市町村民税の納税義務者と同一とする、個人に対しては均等割及び所得割を、法人に対しては均等割及び法人税割を課するものといたしております。税率のうち、均等割ば個人については百円、法人については六百円をそれぞれ標準税率といたしております。そうして道府県ごとの所得制の課税総額は、道府県ごとの所得税額の総額の百分の五を標準といたしまして、これは条例で税率をきめるわけであります。条例で税率をきめまして、その税率を所得税額の総額に乗じて、その団体が課しまする府県民税の所得割の総額を先ず算定するわけであります。この道府県民税の所得割の総額を道府県から市町村に対しまして、市町村ごとの所得税額の総額に按分して配賦するわけであります。配賦を受けた市町村は当該市町村の市町民税の所得割の額に按分して課することになります。府県から市町村へ配賦いたします場合には、所得税額に按分する結果、市町村間の均衡はとれて行くだろうと思つているのであります。市町村内におきましては、市町村民税の所得割を本税にいたしまして、府県の所得割はその附加税になつて参ります。又こうすることによつて市町村内の納税義務者相互間の均衡が生まれて行くだろうというふうに考えているのであります。こうやつて課税をいたしました結果、納税義務者ごとに課税総所得金額の百分の二・五を超えます場合には、そのものにつきましては、百分の二・五にとどめるという賦課制限額を定めております。従つて又現在の市町村民税の賦課制限額が課税総所得金額の百分の十でありまするのを百分の七・五に引き下げておるわけであります。法人税割は百分の五を標準税率、百分の六を制限税率といたしております。賦課徴収の事務は、個人分にありましては、市町村が当該市町村の市町村民税の賦課徴収の事務に併せて行うものといたします。従つて徴税令書は同じものを使いますし、市町村民税におきまして特別徴収の方式を採用しています場合には、府県民税も特別徴収の方式を採用することになるわけであります。納税義務者が納めましたものは住民税として納めたという考え方をとつているのでありまして、府県民税だ、市町村民税だという選択は認めない。納められたものは府県民税は市町村民税の課税額に按分して納められたものとして考えて行きたい。従つて又その割合で府県と市町村とで分け合つて行くという方式を採用しております。府県から市町村に金額を配賦いたしますのは九月三十日までにやつてもらう。市町村から会社に特別徴集してもらいます場合には、五月三十一日までに特別徴収税額を通知しなければならない。それを受けて会社では六月から三月までの間の十ヵ月間に給料を支払います際に住民税の額を差引いて、それを市町村に送金する、こういう手はずにしたいのであります。従つてこの改正案が成立いたします場合には、四月中に府県が条例を制定して、市町村への配賦の手続きを了さなければならないという形になつておるわけであります。極めて限られた期間の間にこれらの仕事をしなければならないことになるわけであります。第二に市町村民税であります。道府県民税の創設に伴い、市町村民税の税率のうち個人分の均等割の標準税率を人口五十万以上の市にあつては六百円、人口五万以上五十万未満の市にあつては四百円、人口五万未満の市及び町村にあつては二百円に、制限税率をそれぞれ八百円、五百五十円及び三百円に、それぞれ百円ずつ引き下げます。個人分の所得割の制限額を課税総所得金額の百分の七・五、現行は百分の十であります。これに引き下げております。(ハ)は、法人税割の標準税率を百分の七・五、現行は百分の十二・五であります。これに制限税率を百分の九、現行は百分の十五であります。これにそれぞれ引き下げます。第三が事業税であります。附加価値税は廃止しまして、現行の事業税及び特別所得税はこれを統合して事業税として存置しようとしているのであります。二つに分けますよりは一つにしたほうが税務行政上はかなり簡素になるわけであります。税率のうち、個人事業税にありましては、基礎控除を七万円、(昭和二十九年度分に限り、六万円)、現行は五万円であります。これに引き上げます。所得税の基礎控除の額と大体合せようとしているのであります。標準税率を物品販売業、この中には湯屋業、クリーニング業及びめん類食提供業を含んでおります。これらについては百分の八、現行はおおむね百分の十二であります。括弧の中に記載いたしましたものだけがすでに先に八%に下つているわけであります。先に下つているからこの際は我慢をして頂くという考え方をとつているわけであります。原始産業、医業及び法務自由業等については百分の六、現行は百分の六・四乃至百分の八であります。これに引き下げます。医業につきましては百分の六・四に先に下つているわけであります。だからこの際は百分の六程度で我慢をして頂くという考え方でります。但し、あん摩、はり、きゆう等の業務については現行通り軽減税率の百分の四を適用いたします。法人事業税の標準税率のうち、所得を課税標準とするものにありましては、所得五十万円までの部分については、個人事業税との均衡といいますか、大分性格の違つたものでありますけれども、そういうことを考慮いたしまして、百分の十の税率、五十万円を超える部分につきましては百分の十二、現在は一律に百分の十二であります。こういうような二段階の税率にしたいと考えます。但し、特別法人についての税率は、現行通り百分の八といたします。
電気供給業等の収入金額を課税標準とするものにつきましては、右との関係から百分の一・五、現行は百分の一・六であります。これに引き下げようといたしております。
次に、収入金額を課税標準とする事業のうちから、料金統制が行われていない、行われておるとしましても厳格には実施されていないような種類の運送事業をはずしたい。はずしますものは、小運送事業でありますとか、運送取扱事業でありますとか、海上運送事業でありますとか、航空運送事業などであります。半面新たに生命保険業をこれに加えようと考えております。生命保険業を新たに外形課税の中に加えようといたしますのは、二十社のうち十八社までは相互保険の形態をとつております。従つて利益が出て参りますと、株式会社組織ではございませんから、これを契約者に配当金として渡してしまうのであります。言い換えれば、保険料を割戻したのと同じことでございます。自然純益を計算します場合には、割戻金は損金として経理して参りますので、課税上の純益が出て参らないのであります。併し相当の規模で事業をやつていることでありますので、或る程度の事業税の負担をしてもらいたい。そういうためには契約者に配当金として渡します金額を損金として見ない、益金に入れてしまう、こういうのも一つの行き方なんでありますけれども、それでは多年に亘つて生命保険業が利益を配当金としてやつて行くやり方に干渉を加えることにもなつて参りますので、保険料金という収入金額を課税標準に用いて事業税を課することにいたしたいと考えたのであります。
税率の区分につきましても、先ほど申上げましたような合理化を回りますほか、非課税の範囲を法人税及び所得税の非課税の範囲とおおむね同一にしようと考えております。但し、鉱産税の関係から鉱物の掘採事業には課税いたしませんし、主として自家労力を用いて行なつているという意味で、個人の行う農業や林業などについては現行通り事業税を課さないことにしたいと思つております。
次に、課税標準であります所得につきましては、原則として法人税及び所得税において決定したものによるものといたしまして、半面政府において法人税を更正又は決定しましたときは、その旨を道府県知事に通知するほか、法人税額又は所得税額が過少と認められるものにつきましては、道府県知事から政府に対し更正又は決定を求めることができるものとしようとしております。
次に、二以上の道府県に事務所又は事業所を有するものに対する事業税の課税標準の分割基準のうち、電気供給業、ガス供給業及び倉庫業にありましては、固定資産の価額に改めようとしています。現在は固定費産の価額に半分、従業者数に半分ずつ按分しております。地方鉄軌道業にあつては軌道の延長、現行は固定資産の価額に半分、従業者数に半分按分しております。金融業にありましては、事務所数及び従業者数に半分ずつ按分しようと考えております。現在は従業者数だけで按分しております。
第四が不動産取得税であります。土地又は家屋の取得に対し、当該土地又は家屋所在の道府県において課するものとし、標準税率を百分の三といたします。この不動産取得税を設けようとする趣旨は、一つには土地や家屋を取得するという比較的担税力のある機会に相当の税負担をしてもらつて、その代り恒常的に負担して参ります固定資産税の負担を毎年〇・二%ずつ引下げて参りたいと考えているのであります。第二には償却資産に対する固定資産税の負担を特に引下げて行きたい。そのため一般的に固定資産税の税率を引下げるよりほかないであろうと考えられるのでありますが、このような不動産取得税を設ける機会に固定資産税の税率を一般的に引下げて、そうすることによつて償却費産に対する固定資産税の負担を緩和したいと考えているのであります。第三には不動産取得税の創設を通じて市町村相互間の土地や家屋の評価の均衡化を図つて行きたいと考えております。第四には不動産取得税の創設が、宅地の売買の騰貴或いは又不急建物の建設の抑制に役立つならば幸いであるというような考え方も併せてもつているわけであります。
課税標準は、不動産の価格といたしまして、この価格は回定資産課税台帳に登録されている不動産につきましては、これに登録されている価額に基いて道府県知事が決定いたします。すでに価格がきまつているものはそれをそのまま使つて行くということでございます。新築家屋などの固定資産課税台帳に登録されていない不動産につきましては、固定資産税について示されている評価の基準に基いて道府県知事が決定するものといたしますが、逆府県知事が決定いたしましたときは、これを市町村長に通知し、通知を受けた市町村長はこの価額に基いて固定資産課税台帳に登録すべき固定資産の価額を決定するわけであります。新らしいものにつきましては府県知事が決定しますが、これをそのまま原則として将来市町村が固定資産税を課しまする場合に課税標準として採用して行くわけであります。新築住宅の取得につきましては、住宅払底の際でありますので、住宅建設を阻止するような役割を不動産取得税が持つてはならないというような考え方から、価額から百万円を控除した額を以て課税標準といたします。又住宅建設のために取得いたしました土地につきましては、六十万円までの部分については課さないものといたします。アパートを建てるというような場合につきましては、勿論住宅の取得について控除いたします金額の百万円に収容世帯数を乗じた額を控除するわけであります。土地につきましては、床面積に二倍を乗じた面積に相当する土地の価格が六十万円を超えておりまする場合にはその価格をとりまして、床面積の二倍に相当する面積の土地までは課さないという方式をとろうとしているのであります。耐火建築促進法の施策を阻害しないような措置を講ずるという意味で、防火地帯の家屋の建設に対しまして、国や府県が補助金を交付する場合がございます。そういう補助金は課税標準から控除したいという考え方をとつております。
第五は固定資産税であります。標準税率を百分の一・四、昭和二十九年度分に限り百分の一・五にいたします。現行は百分の一・六であります。これを引下げまして、二十九年度からは制限税率がなくなるのでありますが、現行の百分の三という制限税率はやはり将来に亘つて存置したいと考えております。
次に、市町村は一の納税義務者の所有に係る償却資産に対する固定資産税の課税標準の額が、当該市町村の固定資産税の課税標準の総額の二分の一を超える場合、即ち巨大な発電施設がある、或いは巨大な工場がある、その工場や発電施設の価額だけで全固定資産税の価額の二分の一以上を占めているという場合におきまして、固定資産税の税率を百分の二を超えて定めようとしますときには、あらかじめその旨を自治庁長官に届出でなければならないものとしたいのであります。そうして自治庁長官は災害その他避けることのできない事由による緊急やむを得ない特別の財政需要があるときには、増税による増収をこれに充てなければならないと認める場合のほか、当該市町村について適用される固定資産税の税率を、当該届出にかかる税率から百分の二までの間において制限することができるものとしようとしております。たまたまたつた一つの大きな工場があるために、増税をいたしまして不急の仕事に当てる、割合に納税者の全体の非難が少いからそういう安易なやり方をするという場合があつてはなりませんので、そういう場合だけ地方財政審議会の議を経て税率制限を行うことができるような規定を設けておこうとするものであります。次に、左の固定資産に対して課する固定資産税については、その課税標準についてそれぞれ特例を設け、負担の軽減を図ろうとしております。(イ)が発電、変電又は送電施設の用に供する家屋及び償却資産で、電気の供給、物資の製造、旅客若しくは貨物の輸送又は鉱物の掘採を業とする者並びに農山漁村電気導入促進法に基く農林漁業団体がそれぞれその用に供するものにつきましては、取得した年から最初の五年度分は価格の三分の一の額を課税標準とし、その後の五年度分は価格の三分の二の額を課税標準とする、言い換えれば税率を三分の一或いは三分の二にするのと大同小異であります。これは税務行政の便宜上こういう扱いをしたいということであります。但し昭和二十九年度分に限りまして、電気の供給を業とする者の所有する本文に掲げる固定資産で、昭和二十四年一月二日以降の建設にかかるものについては、価格の六分の一の額としようとしております。これらは取得いたしました当初におきまして、固定資産が厖大なものでありますし、これを課税標準にして固定資産税を徴収して行きますと、固定資産税が莫大な額に上つて参るわけであります。電気の料金は抑制して行かなければならないときでありますし、又こういう性質のものは建設したときに莫大な固定資産税を負担をして、だんだんそれが下つて行く、耐用年数も極めて長いわけであります。そこで最初の年を軽減しておきますと、そのうちに償却資産の計算で固定資産の価格そのものが低くなつて来るわけであります。大体十年も経ちますと、六割くらいの価格になつて参ります。そうすることによつてこれらの固定資産に対する固定費産税の負担をならしたいのであります。又ならすことによつて発電施設を設けたばかりのときに、料金をうんと引上げなければならないということの起らないようにしたい、こういう考え方をいたしているわけであります。但書を特に設けましたのは、差当つて電気料金引上の申請が出て参つているのに対しまして、できる限りこれを抑制して行きたい。そういうためには市町村としては迷惑なことであるわけでありますけれども、能う限りの協力をして行きたい。こういう趣旨でこのような規定を設けたわけであります。最初の五年度分が価格の三分の一の額を課税標準にして行くのを、昭和二十九年度分だけは六分の一の課税標準にして行きたい。市町村としてはかなりの犠牲でありますけれども、こういう特殊な年でありますので、あえてこのような措置をとりたいと考えるわけであります。(ロ)の地方鉄道又は軌道の昭和二十八年一月二日以後の新設営業路線にかかる線路設備、電路設備等の構築物につきましても、同じような趣旨でこのような措置をとろうとしているのであります。これから鉄道軌道ができるといいますのは、大都市の交通緩和を狙つて行われます地下鉄道の建設が中心であろうと思つているのであります。そうでなければ森林資源を開発する意味においてむしろ不採算線について建設事業が行われるか、どちらかが中心であろうと思うのであります。大都市の交通緩和を狙つて行われます地下鉄道は何分地下を掘鑿して行くものですから、建設費が莫大な額に上つております。それを通常の負担でやつて行こうといたしまと、なかなか採算がとれない、運営が成り立たないというふうな事態にもあるようであります。そのような特殊なものでありますので、電気の場合と似たりよつたりな考え方をいたしまして、最初の期間は実質的には税率を引下げて行きたい。そのうちにだんだんと償却が進みまして価格が少くなつて来る。少い価格を基礎にして普通の税率が適用される。こうすることによつて年度間に固定資産税の負担が均等化されて行くというふうに思つているのであります。次の(ハ)と(ニ)は同じ趣旨に出るものでありまりして、企業合理化促進のための試験研究用機械設備及び施設近代化のための機械設備で、企業合理化促進法において特別償却の認められている償却資産に対しましては、最初の三年度分において価格の二分の一の額を課税標準にいたして参ります。固定資産税が機械の更新を妨げているというふうな非難もあるのでありますが、こういう制度を採用することによりまして、そのような趣を緩和して参りたいと考えるのであります。(ニ)のほうは、所得税又は法人税を免除される重要物産の製造、掘採又は採取の事業を行う者が、その事業の用に供するため新たに取得した機械設備で、企業合理化促進法において施設近代化のための機械設備として特別償却の認められるものに類するものにつきましても、同じ方式を採用しようとしているのであります。これらの重要物産免税事業におきましては、企業合理化促進法においてとられておりまするような個別の機械について特別償却を認められるという方式が採用されていないわけであります。法人税や所得税そのものが免除されていますために、あえて特別償却の方式が必要でないという考え方がとられているようであります。併し機械設備としては同じ性質のものでありますので、総理府令で指定して同じ扱いをして行きたいと思つております。(ホ)は、外航船舶又は国際路線に就航する航空機につきましては、価格の三分の一の額を課税標準として参ります。外国と競争いたしておりまするようなものにつきましては、できる限り荷を軽くしておきたいという考え方に出ているものでございます。このような制度を設けます半面、昨年国会修正でできました利子補給を受けている外航船舶について、利子補給を受けている期間だけ〇・四%の税率を使うという規定は廃止したいと考えております。利子補給を受けておりましようと、受けておりませんでも、又利子補給を受けております期間でありましようと、それを超えましても、外航船舶であれば一律に負担を三分の一に軽減したいという考え方をとりたいのであります。(へ)は、航空運送事業を行う者が所有し、且つ運航する航空機につきましては、最初の三年度分は価格の三分の一の額、その後の三年度分は価格の三分の二の額といたしまして、基礎の確立していない航空運送事業につきましては、基礎が確立するまでの間固定資産税の負担を緩和したいと考えるのであります。次に、償却資産の免税点を三万円から五万円に引上げたいと思つております。零細なものにつきましてまで、あさつて参ることは穏当ではないという考え方を持つておるわけであります。このような改正を加えましても、償却資産の納税義務者数は三割以上減るというふうに思つております。左により、大規模の償却資産に対する市町村の課税権を制限いたします。人口五千人未満の町村にあつては一億円、(昭和三十年度に限り二億円)、人口の増加に伴い逓次にこの額を増加して、人口三万人以上の市町村にあつては四億円(昭和三十年度に限り六・五億円)、これは当該大規模の償却資産の価格の十分の二の額が四億円又は六・五億円を超えるときは当該価額の十分の二の額といたしました、これを超える大規模の償却資産に対しましては、市町村はその超える部分については固定資産税を課することができないものといたします。この結果、基準財政収入額が基準財政需要額の一・二倍を下廻ることとなる市町村については、当該市町村についてその課税限度額を引上げるわけでございます。要するに基準財政収入額が基準財政需要額の一・二倍になるまでは保証して行こうということであります。大規模の固定資産の価額を当該固定資産所在地以外の市町村に配分する制度は、これとの関係からやめてしまいます。これらの措置は昭和三十年度から実施するものといたしております。更に、左により大規模の償却資産に対しては道府県に課税権を与えようとするものでありまして、前項により大規模の償却資産について市町村が固定資産税を課することができない部分について、道府県が固定資産税を課するものといたします。道府県が固定資産税を課する大規模の償却資産については、原則として道府県知事が前年度末までにこれを指定し、且つ評価して、その額を納税義務者及び関係市町村の長に通知するわけであります。
第六は、煙草消費税であります。日本専売公社が小売人の営業所等に売渡した煙草に対し、その小売価格を課税標準として、小売人の営業所等所在の道府県及び市町村においてそれぞれ日本専売公社に対して課するものといたします。税率は道府県分が百十五分の五、市町村分が百十五分の十であります。日本専売公社から毎月の売渡した煙草についての煙草消費税を翌月二十五日まてに府県及び市町村にそれぞれ申告納付するという制度にいたしております。
第七か自動車税であります。税率を次のように改めております。乗用車のうちの普通乗用車につきましては、営業用が現在一万四千円でありまするのを一万八千円に引上げる、但し軸距百二十インチを超えるものにつきましては三万円、軸距が百二十インチを超えるものと言いますのは高級乗用車であります。これは輪距と書いてありますが、法律は軸距という言葉を使つております。前輪の軸と後輪の軸との間の長さであります。輪距と申しますと、前輪なら前輪の両輪の間であります。自家用は営業用の二倍にいたしたいと思います。小型自動車につきましてもそのように引上げます。トラックにつきましては、きめておりまする標準税率は、最大積載量が四トンを超え五トン以下のものであるということをはつきり法律に謳いたいのであります。このトラックがトラックの中では一番多い種類のものであります。多くの府県で課税しておりまする一万四千円の税率適用のトラックは積載量が二トンを超え四トン以下のもののようでありまするので、むしろこの部分については若干多くの府県においては軽減になるのじやないかというふうに思つております。半面デイーゼル車につきましては、揮発油以外の燃料や動力を使つて運行しておりますものにつきましては、大体七割程度余計持つてもらおうという考え方から二万三千円の税率にしたいのであります。一般の自動車は揮発油税の負担を十万円から十五万円くらいしておるのではないかと思つております。更に揮発油税が二割程度引上げられますので、従来の揮発油税の負担が更に多くなるわけであります。これらの関係から揮発油税を負担していない自動車、主として軽油を使つておるデイーゼル車でありますが、そのような自動車につきましては、他の自動車の税率の一・七倍の税率を採用したいと考えます。
バスにつきましては、主として観光貸切用のもので揮発油によつて運行しますものは現在二万五千円でありますが、これを三万円に改めようとしております。この観光貸切用のバスは乗車定員が四十一人以上五十人以下のものについて適用される税率ということを法律上明らかにしたいのであります。多くの府県で二万五千円の税率を適用しておりますバスは、乗車定員二十一人以上三十人以下のバスであります。従いまして二万五千円から税率が三万円に上つたようでありますが、実質的にはむしろ若干引下げられておるくらいだと考えております。半面デイーゼル車につきましては五万円に引上げます。その他のいわゆる乗合バスにつきましては、現行の一万四千円の税率を据え置くわけでありますが、これも乗車定員が三十一人以上四十人以下のものという規定を入れますので、多くの府県で適用しておる乗合バスの一万四千円の税率は二十一人以上三十人以下のものでありますから、むしろ若干引下がる。半面デイーゼル車は二万三千円に殖えて参るということになります。三輪車、二輪車、軽自動車につきましても、そこに記載してありまするように税率を引上げたいと思つております。更に自動車税を滞納しておる者に対しては車体検査証の更新を拒否するということにいたしまして、運輸省の協力を得て自動車税の徴収を確保する方式を採用したいと考えておるのであります。別個に法律を改正したいと思つております。道路運送車輌法の改正を考えておるのであります。狩猟者税につきましては、税率を元のように一本化したいという考え方であります。
第九の自転車荷車税につきましては、現行の自転車税及び荷車税を統合して自転車荷車税とするほか、原動機付自転車について標準税率を法定し、その額を五百円程度といたします。大低の市町村ではすでに原動機付自転車につきましては特別な税率を条例で定めまして、大体五百円としておるようであります。
第十は電気ガス税であります。地方鉄軌道業者が直接輸送の用に供する電気並びに銅鉱、鉛鉱、亜鉛鉱、硫化鉱、アンモニア及びチタン地金等の掘採又は製造に使用する電気に対しては、次に電気料金が改訂されるときから、電気ガス税を課さないものとしたいのであります。こうすることによつて順次電気ガス税を消費税に純化して行きたい。消費税に純化しながら、将来に亘つて電気ガス税を存続しながら相当の収入をこれに求めて行きたいという考え方を持つておるのであります。
その他規定の整備をいたしますほか、入場譲与税及び揮発油譲与税に関する法律を別途制定したいと考えております。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/15
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016・内村清次
○委員長(内村清次君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/16
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017・内村清次
○委員長(内村清次君) それでは速記を続けて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/17
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018・若木勝藏
○若木勝藏君 これは、この間の国鉄の騒動の問題で参考人を呼んだんですが、これについては先般の委員会であれが終つたあとに、私は今日は参考人の話を聞いたのであるが、そのうちに委員会でこれを検討してもらいたいということを委員長に申上げておいたわけです。ところがあの速記録ができ上つたのを総評の関係の人たちがすつかり検討したらしい。そこで委員長宛に総評の組織部長の森谷雅春という人から手紙が来ておる。これは私らの手許にも来ておるのでありますが、それの要点はですな、こういうふうになつている。「二月四日貴参議院地方行政委員会において国鉄首脳部に対する労働組合員の陳情中に惹起した警察官の組合員に対して行なつた暴行事件を調査せられましたが、この際参考人として喚問されました石田(丸の内署長)証言には事実に反する点が相当述べられておりますので、少しく関係あります私よりその真実にあらざる点を要約して御指摘いたしますので、よろしく再審議下さるようお願いいたします」。こういうふうなのが、委員長の許に来ておるのと同様のものが我々の手に来ておるのであります。
そこで、これは速記録によつていろいろ調べたのでありますが、場合によつてはその際の真相を明らかにするために、この森谷という人が出まして、石田丸の内署長と共にこれを明らかにしたいと、こういうようなことであつたわけです。という手紙が来ておりまして、これはこの間の場合には、証人喚問ということよりも参考人というような形で私はあつたろうと思う。そこで、その証言が違つておつたかどうかといういろいろなこの偽証であるとか何とかいうことでなしに、恐らくこの問題は考えられるだろうと思うのです。そこで、ただ非常に内容が事実と違つておるために、ここで十分我々の立場も明らかにしたいというところの希望が出ておるのです。これは私といたしましては、やはりあの問題を委員会として検討をして何らかの結論を出すとすれば、その過程においてやはりこういうようなことをもう一遍やる必要があるんじやないか、こういうようなことを考えておりますが、それについてお諮りを願いたい、こう考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/18
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019・内村清次
○委員長(内村清次君) 只今の若木君の言われました書類は、確かに委員長の手許まで来ておつたわけです。これも委員会の席上で問題化された場合においては、委員長といたしましても委員のかたがたにお諮りを申上げたいと、そういう気持でおつたわけでございますけれども、実は、たまたま先ほどのこの警察法案の本会議提案に際しまして、地方行政委員であられる加瀬君からたまたまこの問題が出て、私はびつくりしたわけです。而も鈍器で打たれた被害者の襦袢も持つて来ての訴え方でありましたので、人命をかような程度に警察官のほうで取扱つておるというようなことになつて来ますると、大きな問題でもありましようからして、それが直接関係のあるこの事件の証拠品として残つておる問題でもありますから、これは今一応委員のかたがたにも相談を早い機会にすべき問題ではなかろうかと、こういうふうに私としては思つたわけでございます。そこで丁度、当時の委員のかたがたで出席されておつたかたは御承知と思いますが、あの丸の内署長の参考意見の中に、このデモの状況について、いろいろ不穏な状況であると、いわゆる約束した事件と違つた不穏な状況があるというようなその報告書は、いつでも委員会のほうに提出してよろしいというようなことまでもはつきりとあの席上で約束しておつたようでございまして、委員長といたしましても、これは将来の問題もありますからして、そういうような不穏な言動がなされて、そして約束を守らないところの状況であるとしたならば考えなければならん、こう思つて報告書を直ちにこちらのほうに送つてもらいたいと、約束もしておりましたが、現在までその報告書は来ておらないようであります。こういう点も一応やつぱり、ただあそこで自分の証言を有効にして、相手方に対しての印象を悪くするというようなことに使われても、折角の委員会の公正な審議もこれは困つたものだと思つております。この点について、一つ委員のかたがたの御意見をお聞きして、又関係者を呼ぶというようなことをなすべきかどうか、この点を一つお諮り申上げたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/19
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020・秋山長造
○秋山長造君 実はこの書類は私の所にも来ておつた。読んで見ますと、この速記録に比べて見て、成るほど一々はつきりしているのです。で、あのときの石田署長の発言というようなものは、当時あの席におられたかたは皆さん一様に同じような御印象を受られたと思いますが、非常にまくし立てるような発言であつたのです。実は余り真剣なまじめな態度じやないという感じをまだ持つておる。具してこの今の書類によつて見ますという、非常にその発言の内容が不用意でもあるし、又この神聖な委員会に参考人として出た人の発言としては、極めてどうも本当とうそとがごつちや混ぜになつたような発言が多いのであります。我々としては、これはあの事件がどうだとかこうだとかいう裁判所的な結論を出すということは、もとより又御異論もあると思うのです。併し少なくとも折角ああやつてやつた委員会においてそういう間違つた、明らかに事実に反した、或いは故意に事実を曲げた発言をやられている。そうしてそれをそのまま聞きつ放して放つておくということは、余りにも権威のない行き方じやないか。そこでやはりそういう反対の証拠が出てい来てる以上は、時に現在は警察法の問題等で警察制度全般について私ども根本的に再検討しなければならないときでもあるわけでありますからして、是非この委員会でもう一度関係者、この前ほど多くなくてもよろしいから、もう一度関係者を呼んで頂いて、私どもはその点について、少なくとも両者がそれぞれまじめな、正しい、客観的な少なくとも陳述を聞いた上で、改めてこの委員会としての結論をまとめる、或いは委員会としての見解をまとめるなりして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/20
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021・堀末治
○堀末治君 今承わつていると、あなたがたのほうにはお手紙が行つている。我々の所には何も手紙も頂いておりません。さようなことで、今どういう手紙が行つているか私どもはちよつと内容がわからない。成るべくならばその手紙の写しでも全員に一つ謄写して配つて頂きたい。又私ども速記録を実は拝見しておりません、実際言うと。従つて若しもそういうようなことになるならば、その手紙も一つ先ず出してもらいたい。それから速記録も見なければなりません。秋山さんのおつしやつた石田署長の言動に参考人としてどうかというような御意見もごさいましたけれども、それはどうもああいう、甚だ失礼な言葉かも知れないけれども、身分の低い人がああいう所に引出されてやるというと、いろいろと興奮もするし、あの人自身もどうも私はもの言いが下手でということを言つているのですから、特にいわゆる国会といいますか、或いは委員会を侮辱したというような感じも私は受けない。むしろ頗る率直に、しやべり下手がよくあのくらいしやべつたというような感じを我々受けているのです。そういう感情ずくでやるということは私は賛成しません。併し幸いにそういう手紙が来ているならば、どうして我々に……一体全員にくれるのが本当だと思う。そういうところにも私は率直に言つたら一種の不快を感じます。委員会がみな聞いて、成るべく私どもは黒白を裁くということをせず、みな成るべくその審議をまるく収めようというので、我々も発言もせずに終つたのであります。若木さんから御発言があつたことは私もよく知つているから、いずれ理事会でも委員長からお話があると思いますが、私は不快に思つているのです。先日来委員長もいろいろな御家庭の都合で郷里に帰つておられたような次第でありますが、今日お見えになつて、明日でも理事会を開こうかと、こういうようなことですが、何かといろいろな問題があろうと思いますから、理事会が開かれて、その理事会でいろいろと御相談もあろうと実はかように思つていたのであります。従つてそういう手紙は私どもに……恐らく皆さんに行つていない、私にも参つておらない。速記録もそういうことがあるならばなお我々もよく調べてみて、手紙と照合して、成るほどこれならばもう一遍呼んで真相を究める必要があるということがあつたときに、私どもの最後的な意見も発表して差支えない、私はかように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/21
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022・島村軍次
○島村軍次君 私はこの間の参考人として呼ばれた際のは、全部が全部聞いたわけじやありませんが、その席上に出た感じから言いますと、まあ事件後間もないことであつて、いろいろ表現の仕方はあつたと思うのでありますが、或いは書面で出ていることがどういうことか知りませんが、とにかくももう一度お呼びになるというような問題については、一応一つ理事会をお開きになつて、そうして理事会でどういう方法をとるかということを御相談の上で、全員に諮つて頂くというふうにして頂くことを希望いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/22
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023・若木勝藏
○若木勝藏君 いまの私堀さんの言うことは尤もだと思うのです。それで私委員長のほうから写しを作つて、そうして皆さんに廻して、十分研究してもらつて、理事会でこれを御相談願つたほうがいいのじやないか、私そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/23
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024・内村清次
○委員長(内村清次君) それでは書面を委員のかたがたにも配付するということにいたしまして、その取扱については理事会で検討すると、かようにしてよろしゆうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/24
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025・内村清次
○委員長(内村清次君) ではさようにいたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/25
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026・内村清次
○委員長(内村清次君) それからもう一つお諮りすることがございますが、法務委員会に付託されておりますところの交通事件即決裁判手続法案、これが出て、実は本日の法務委員会で提案の理由説明がなされたとこう聞いております。で、これはこの前議員立法でございましたか、衆議院関係の道路交通取締法案、あの一環といたしましての関連性が非常に強い法律案でございます。そこでできるならば、法務委員会と合同で提案理由も聞きたい、かように昨日私は考えまして、法務委員会に専門員をして申込ませましたが、実は今日の午前にその説明がなされたと聞いておりますが、これはどこまでもやはり連合審査を申込む必要があると考えておりますが、この点合同審査の点は如何でございましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/26
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027・堀末治
○堀末治君 それはどういう法案が出ているか、我々も聞いておりませんので、若し何ならこつちのほうでも一遍一つよく聞きまして、然る後一つ向うへ合同審査を申込むことにしたら如何でしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/27
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028・内村清次
○委員長(内村清次君) こちらで聞くことにしますか。……それではこちらのほうでも提案の理由の説明を聞きました上で、法務委員会に更に合同審査をするかどうかということをお諮りするという取扱にしたいと思いますが、よろしゆうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/28
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029・内村清次
○委員長(内村清次君) そのようにします。それでは今日はこれで散会してよろしゆうございますか。
〔「結構です」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/29
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030・内村清次
○委員長(内村清次君) それでは本日はこれにて散会をいたします。
午後四時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X00319540218/30
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