1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月二十七日(金曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 神田 博君
理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君
理事 長谷川四郎君 理事 中崎 敏君
理事 永井勝次郎君
秋田 大助君 阿左美廣治君
宇田 耕一君 菅野和太郎君
椎名悦三郎君 篠田 弘作君
島村 一郎君 首藤 新八君
鈴木周次郎君 田中 角榮君
中村庸一郎君 野田 武夫君
南 好雄君 山本 勝市君
加藤 清二君 佐々木良作君
佐竹 新市君 多賀谷真稔君
田中 武夫君 帆足 計君
松尾トシ子君 松平 忠久君
出席国務大臣
通商産業大臣 石橋 湛山君
国 務 大 臣 高碕達之助君
出席政府委員
総理府事務官
(公正取引委員
会事務局経済部
長) 坂根 哲夫君
総理府事務官
(経済企画庁計
画部長) 大來佐武郎君
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(繊維局長) 小室 恒夫君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 川上 爲治君
委員外の出席者
専 門 員 越田 清七君
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本日の会議に付した案件
電源開発促進法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一四四号)
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001・神田博
○神田委員長 これより会議を開きます。
電源開発促進法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑を継続いたします。質疑の通告がありますから順次これを許します。永井勝次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/1
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002・永井勝次郎
○永井委員 今回出されております下流増の問題、これは要約すれば只見川の、東北電力一つの問題であります。さしあたっては一つの問題であります。これらの問題をゆっくり話し合っても、逃げていくものでもありませんし、何でもない。そう緊急性のあるというものでもない。そういう当面一つだけの問題、しかもそう急ぐような事態ではない。こういう問題に対してあわてふためいたようにこのような法案を出さなければならないという理由がどこにあるのか、この真意を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/2
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003・石橋湛山
○石橋国務大臣 この法案を出しましたわけは、お話のように只見川だけとは思っておらないのであります。只見川も一つの大きな問題でありますが、しかしながらこれは他にも非常にいろいろ影響がありますから、全般的な考え方で法案を作ったわけであります。あえてあわてふためいたわけではないので、かような法案は日本の電力事業として必要だ、もっと広いいろいろな電気につきましては、もっともっと考えなければならないことがたくさんありますが、とりあえずこれだけは当面必要なものである、かように考えて作ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/3
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004・永井勝次郎
○永井委員 政府は大分前に電気に関する件としての電気事業、これらについて審議会を設けて、その答申を受けておるはずであります。電気事業の基本的な法案というものがもうすでに成案化されておる。これを出せばこんな下流増とかなんとかいう部分的な問題をちょびちょびとわけのわからぬ形で出さなくても、基本的な態勢が整うと思うのです。そういう問題をほったらかしておいて、こういう部分的な問題を急いで出すということがわれわれにはわからないのであります。たとえば電気料金の問題もそのうちに入るでありましょうし、この基本法をそっちのけにしておいて、これには手を触れない、電気に関する臨時措置に関する法律というような暫定法律のまま四年も五年もほったらかしておる。そして下流増のような問題を取り上げるところが私は政府はあわてふためいて出しておると思う。なぜこういう基本法に手を触れないのか、これがおくれておる理由を明確にしていただきたい。下流増を優先しなければならないという理由を明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/4
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005・石橋湛山
○石橋国務大臣 お説のように電気につきましては基本法を決して閑却しているわけではございません。ぜひ一つ早い機会にこれをまとめ上げて御審議をわずらわしたいと考えておるのでありますが、何しろ複雑多岐な問題でありますので、研究はしておりますが、まだこれならばという成案を得るに至っておりません。研究は極力押し進めておるわけであります。しかしながらその間に実際問題として、今下流増の問題もその一つでありますが、そういう実際にいろいろの問題が起りますから、はなはだ断片的なようでありますが、必要なものだけについてまず御審議をわずらわしたい、かように考えて下流増の問題を取り上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/5
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006・永井勝次郎
○永井委員 昭和二十九年の十月に、電気料金を改訂するに当りましては、当時の愛知通産大臣は、近く電気料金に対する基本的な態度をはっきりさせる、こういう公約があったわけであります。また昨年の三月末に、石橋通産大臣よりも、それぞれ期限つきで今後の料金について根本的な検討を行う、しかもこれは閣議決定で、当時の料金というものが暫定的にきめられた、こういうふうにわれわれは承わっておるわけであります。しかも本委員会においては当時電気料金については決議をもちまして、あの昨年のようなああいう違法行為をしてはいけない、そうしてすみやかに根本的な対策を立てるように、こういう決議をいたしましたことは大臣御承知の通りであります。当時大臣は、この決議に対して一年後にはあらゆる措置を講じて、明確に委員会に報告する、こういう話があったのでありますが、一年過ぎてもナシのつぶてであり、しかも違法行為を再び繰り返してはいけない、こういう決議をしてあるにかかわらず、前年に引き続いて同じことをまたやって、適法によらない料金をきめておりますことは、これは委員会を侮辱するものであり、無視するものであって、都合のいいようなことだけやって、このように火のついたような、しかも公約のもとに進んでおる問題をそっちのけにしておいて、そうしてこの下流増のような問題を一生懸命つついているということは、これは水は流れるから、一度流れた水、同じ水には触れられないから、早く何とかしなければというようなお考えかもしれませんけれども、そういう問題を先にやって、公約しておる問題をあと回しにしておるというのはどういうわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/6
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007・石橋湛山
○石橋国務大臣 先ほども申しますように、公約いたしておるものをしいてあと回しにしているというようなわけではございません。料金の問題を根本的に解決するのには、やはり電気事業全体の経営についての根本問題の解決が必要なのであります。この点については鋭意研究をし、実は至急何とかしたい、かように考えておるのでありますが、まだ間に合いません。そこで今この問題の解決のために研究を進めております。その間に、これは下流増の問題などもやはり電気料金等にも関係する問題でありますから、さしずめとにかくこの点だけは解決しておきたい。何とか処置したいという問題だけを取り上げて、断片的でありますが御審議をわずらわしたい、かようなわけであります。
それから愛知通産大臣のとき、また私になりましてからも、電気料金の問題は至急に何とかするということを申し上げたのは事実であります。しかし今申すように、これを解決するのにはいろいろな複雑な問題を解決しなければならぬために、実は残念ながら延びております。今年はとりあえず今までの料金を継続する、こういう意味でありますから、特別な処置を講じなくても違法でもなく、また御趣意にも必ずしもさして違うものでない、かように考えて処理をしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/7
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008・永井勝次郎
○永井委員 下流増の問題が電力事業あるいは電力料金その他に対する一部であることは認めます。緊急性の高いところから一つ一つ取り上げて問題を解決していくというならば、今日電源開発を阻害しておるところの主要な問題は、補償の問題あるいは水利権の調整の問題あるいは土地収用の問題、特に公共補償の問題、こういうような問題が電力料金のコストの問題にも、あるいは今後の当面の事業の推進の上にも、もう火のついたようなものです、これをまず手がけていかなければならないはずだ。そういう問題は幾たびかこの委員会で論議になり、またすみやかにこれをやらなければならないということを答弁しておきながら、こういう問題の方はそっちのけにしておいて、下流増の問題はまだ出なかったわけですが、そういう問題から手がけてきた。こういう下流増の問題は、これは全く通産大臣の所管の中の行政的な問題であって、この電気事業の健全な推進なりあるいはコストの引き下げというようなものからいえば、ウエートはぐんと低い、そういう関係をどういうふうに考えておるのか。一体下流増の問題を取り上げたということは、これも一つの問題ですからそれでけっこうなのですが、それならば電気事業一般に関するプログラムはどういうふうに組んでおられるのか、この機会にはっきりと承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/8
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009・石橋湛山
○石橋国務大臣 補償の問題などが非常に重要であることはお説の通りであります。実は補償の問題については何らかの解決をいたしたいと考えまして、立法措置もいたすつもりで研究をし、ある程度の法案などを作ってみたのでありますが、これはたとえば政府部内で申しますれば建設省その他にも関連するというようなわけで、やはりなかなか複雑な点がありまして、急に解決できませんでした。そこでしばらく見送って、次の機会にこれらの問題をまとめて、一つ法案として御審議をわずらわしたい、かようなわけで、今度は非常にわずかな、下流増の問題というようなごく一部分の問題になりましたけれども、それでもこれはやはり必要な措置でありますから、一つこれだけでも解決していきたい、かような考えでやったわけであります。補償問題等は決して閑却しておるわけではなく、やっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/9
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010・永井勝次郎
○永井委員 そういうお話であるならば、この機会に明らかにしていただきたいと考えますことは——すでに電気事業法という電力事業における憲法ともいうべき基本法というものの構想がある、提案はされないが、一応成案を得て、そういうものを持っておる、それから補償の問題であるとかあるいは水利権の問題とか、他省との間に調整しなければならぬ問題もいろいろ手がけてきているが、いろいろむずかしい問題があっておくれておる、こういうことでありますならば、大臣は電気事業に対して一つの構想を持っており、やりやすいところからだんだんやっていくのだ、こういうことのようでございますが、それならばこの機会に私は大臣から電気事業に対する全体的な構想の輪郭を承わって、その中の一部としての下流増の問題、こういうふうな理解の上に立って私はこれを理解していきたいと思う。そういうことでありませんと、一つ一つばらばらな形で問題を出して、これを既成事実としてまとめ上げていって、そうしてわれわれはそれを委員会において、全体の構想を持たないで部分的にそれがいいか悪いかだけを判断する、どういう形のものができてくるのか、そういう目標、目安を持たないで、ただ出してきたから法案を一つ一つきめていくのだ、こういうばかげた審議はわれわれはできないのでありますから、この機会に、電気事業に対する全般的な構想、どういう考えを持ってどういうプログラムでやる、やりやすいところからやるならそれでもけっこうです、この問題はこの程度まで進んでおるというのならそれでもけっこうでありますが、そういう全体的な構想と、その中において肉づけをどういうふうにしているか、骨組みを今どういうふうにやっているところか、こういう設計を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/10
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011・石橋湛山
○石橋国務大臣 先ほど補償問題のことを申し上げましたが、補償問題については土地収用法の一部改正をやりまして、これも部分的でありますが、補償問題のある程度の解決をするということで今回改正法案を出して御審議をわずらわしておるわけであります。
それから今の電気事業について、実はさっきから申し上げますように、根本的にはいろいろ考えなければならぬ問題がたくさんあって、これを一挙に解決するのはなかなかむずかしゅうございますので、今専門家の意見も聞き、何とか電気事業法全体としてこれをまとめて、お話のような電気事業の今後のあり方についてのはっきりした姿、全貌が現われるようなものを作りたいと考えておりますが、これは専門的知識を要することでありますから、その点についていろいろ専門家の意見もただいま徴しておるわけであります。ただ下流増の問題のごときは、どういきましてもその中で必要なことであります。あるいは補償問題も必要なことであります。これはもう明らかなことでありますから、補償問題についてはいろいろ交渉しました結果、とにかく土地収用法の一部改正という形である程度解決をし、それから今の下流増の問題をこの法案によって解決する、こういうことでありまして、今ここで電気事業全体の経営の全貌をお話しするというところまでいっておらないのであります。どうか御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/11
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012・永井勝次郎
○永井委員 そういう構想を持たない、目安を打たないで、部分的に問題を処理していくということは非常に危険なことであり、むだなことであると私は考えるのであります。たとえば下流増の問題にいたしましても、これは電発会社をどういうふうにしていくか、どういう性格のものにしていくのか、どういう規模にしていくのか、こういう一つの構想を持ちませんと、この問題のほんとうの姿というものはつかめないと思うのです。もし大臣の構想の中に——そういう構想を通産大臣はお持ちかどうかわかりませんが、たとえば電発会社をもとの日発のようなものにしていく、こういう考えがあるなら、この下流増の問題はその角度からわれわれは検討しなければならぬ、あるいは電力の国営、こういうような考えをもって進んでいくとしますならば、この下流増の問題なんかばかげた話です。電気事業の国営ということにするならば、こんな上の方と下の方をどうするなんという問題を、今ぎょうぎょうしくこんなところで取り上げるほどはかげたことはない。こんなものは一ペんに解決してしまう問題です。また再々編成という問題がありますが、再々編成をどんな形で持っていくかというような事柄について、その持っていきようにおいては、下流増というものの計算も正確にできない、法概念においても不明確だ、こういう問題をここで事新しく論議する必要もない、こういうことになりますから、一体電発会社をどういうふうな性格にしていく考えで、そうしてこの問題を出してこられたのか。あるいは再々編成を、その中における電発というものをどういうふうにしていこう、こういうような構想を持ってやっているのか。少くも私は事務当局のこの法案はこうだという技術的な内容なんか聞く必要はない。大臣は、少くも個々の法案を出し、個々の処理をしていく場合においては、全体の中の一部としてもちろんこれは出されておることでありますから、そういう基本的な態度というものがなくて出されるということは、無責任であるとわれわれは思うのであります。また大臣は今日一つの構想を持っておるけれども、まだ発表の時期ではないと言われるなら、それでもけっこうですけれども、少くとも私は当面電力事業を今後どうしていくかということを、そんなにのんびりと春日遅々として居眠りしながら考えるような、そんな問題ではないと思う。保守党の人は、政党の問題のときは爛頭の急務だと言われた。これも頭に火のついたほど爛頭の急務である事業であります。でありますから、今日の段階においてはそういう構想を持たないで、まあぼちぼちやるのだというような段階ではないと思うので、一つこの際腹を割って電発会社をどんな性格に持っていくつもりなんだ、そして下流増の問題もこういうふうにして電発会社を強化していって、その事業分量を配分していくのだ、こういうようなお考えがあるなら、下流増の次は何が出てくるという見当がつくわけでありますから、そういうことを一つこの際、この審議に当りましては、最も基本的な問題であろうと思いますから、明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/12
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013・石橋湛山
○石橋国務大臣 お説のように、発電事業が全部国営なら国営に一本になるならば、あるいは下流増の問題ということもなくなるかもしれません。しかしながら、今お話のように、電発を今後どういうふうな性格のものにしていくか、あるいは再編成、再々編成という問題をどういうふうに解決していくか、それ自身が実は電気事業の根本に触れる問題でありますから、それを現在検討しておるのであります。今のところでは電発の性格をこうするのだ、あるいは再編成等の問題をこうするのだという結論に透しておらないのであります。そこでとにかく、とりあえず現状においては下流増問題の解決が必要であるし、あるいは不完全ながら土地収用法による補償問題についての解決を主張する。こういうわけで、いわば対症療法で、病気全体の根本には触れないかも上れませんが、とにかく対症療法としてこの法案を必要とする、こう感じて提出したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/13
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014・永井勝次郎
○永井委員 大臣は科学的な基礎に立って検討して、それから問題を順次解決していこうというお話で、その取っ組んでいる態度そのものについては賛成でありますが、時間的にそんなゆうちょうを許さないと思う。たとえば九電力会社、これは九分割して、この経営の内容における地域差がどんどんついてくる、それから本年の五月一日からは水火調整がなくなる、こういうふうに地域差がどんどんついていく状態に放置しておいてそうして今後料金その他経営上の面については、いろいろ問題が大きく発展してくるわけであります。ゆうちょうなことを許さないのです。もし電気料金において非常な地域差が出てくるということになれば、これは日本の産業構造の上にも影響を及ぼしますし、産業のいろいろな立地条件から、産業の地域的な配置が変ってこなければいけない基本的な問題だと思います。そういう問題がここにひそんでいるので、急速にこれらの問題を解決しなければならないのでありますから、一体この電気料金の水火調整、それから地域差、こういう問題と、それから地域によって電発会社の卸売料金がいろいろ違っていると思うのでありますが、これらの問題について、一体卸売料金の地域差というものは、どんな計算でどんな基準でやっておられるのか、そうして九電力会社の地域差をどういうふうに取り扱っていくのか、五月一日以降における水火調整を廃止した事柄について、今後これらの問題をどう取り扱っていくのか、これらの料金の問題を中心にいたしまして、断片的な話でなく、問題を一つ提起いたしましたら、問題を理解する上における基礎となる態度について、現在とっている政府の態度、政策をこの際明確にしていただきたい。きょうは午前中でできるだけ上げたいと思うので、私どもいろいろ質疑したいこともありますから、同じことを時間をかけてやっておりますことは不経済だと思いますから、一括して電気料金の問題はどうするのか、こういうことを一つ卸売料金から出発してはっきりしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/14
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015・石橋湛山
○石橋国務大臣 それらの問題は先ほど申しましたように、非常に複雑な問題を含んでおりますので、目下鋭意検討しておりますが、ぜひとも今年中ぐらいにはこの料金の問題、あるいは地域差の問題等を全部解決したいと考えております。しかし現在はとにかく九分割されたという現状に即して考えているわけであります。これを将来どういうふうに変えていくかということは、結局料金の問題にも関係するのでありますが、その点はなかなか急にはきめられませんが、しかしながらそうかといって長くほうってはおけない問題でありますから、ここ数カ月の間にぜひとも各方面の御意見を伺って最後の結論に達したいと思って現在鋭意努力している次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/15
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016・永井勝次郎
○永井委員 あまりに抽象的な御答弁ですが、現実において起っている問題、五月一日からは水火調整が廃止される、その後における措置はとにかくできていなければならぬはずですが、具体的にきまってないというようなこと、地域差の問題、卸売料金の計算の基礎、そういうもの、それはほったらかしておけばほったらかしておくほど地域差はますます大きくなるのですから、地域差を縮めていく方針で考えておるのか。そのまま水火調整をとって地域差が大きくなってもそのままの状態で現実の上に立ってほったらかす、こういう考えなのか、そのくらいの答弁は大臣できると思うのですが、それらの料金に対する政府の態度というものを伺いたい。何円何十銭というそろばん玉をはじいたことを聞こうというのではありません。料金はどういうふうにするのか、もしそれを御答弁願うとするならば、県営の電源については、減債基金ですか、いろいろそういうものを認めたり、償却率が非常に高い、一般のものとは違った計算をとっておるようでありますが、そういう料金の査定におけるそういう違いというものはどういうところから出てきておるのかということを含めまして答弁していただきたいと思うし、大臣からは政策的な話を伺いたい。もし料金その他についてこまかく説明する必要があって、その方が理解が早いというならば、その点については事務当局から伺ってもよろしい。料金に対する基本的な政策、こういうものを大臣から伺って、その具体的な内容については川上局長から伺ってもけっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/16
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017・石橋湛山
○石橋国務大臣 お話の通り、こまかいことは局長から答弁させますが、私は確かに料金の問題等については至急にこれを解決して、日本の電気事業の根本策を確立しなければならぬと考えておりますから、これは事務当局をも鞭撻してその問題の研究をするようにしておることは先ほどから申した通りであります。しかしながらただいまのとこでは、水火力調整金の廃止とかいうことがそう大きく電気料金に影響すると思いません。また地域差がますます広がって、跡始末が困るというようなこともないと考えておりますから、ここ一カ月の間猶予ができないという問題ではないと存じておるわけであります。(永井委員「政策です」と呼ぶ)だから、それはこの地域差というものも、考えようによっては必要な場合もあります。これは地域差がある方がいいか、ない方がいいか、全国一律の電気料金がいいのか、それとも相当地域差がある方がいいかということを、これは産業の根本策とも関連するわけでありますから、そういう点十分考慮したい。
それから県営等の発電問題もなかなか大へんなことでありますが、県当局者とかあるいは議員の諸君などから、ぜひ県営をやらせろという要求もなかなか強い。しかし果して県営発電所というようなものを今後どういうふうにしてやっていくかということも十分考究しなければ、なかなかやらせるとかやらせないとかいう結論に到達しません。それらも今考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/17
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018・永井勝次郎
○永井委員 大臣は退席しなければならぬそうでありますから、その前に一つ伺っておきたいのですが、通産大臣は今生産性の向上であるとか、あるいは企業の合理化と言う。大臣は合理化運動の本山であり、その総元締でありますが、繊維の面においてはこういうふうにする、あるいは機械工業においてはそういうふうにする、石炭においてはこういうふうにする。合理化運動の推進をしていく上においては石炭の値段を下げよう、こうするには石炭の価格の面だけではこれは下げられないので、企業の合理化という面にどうしても掘り下げていかなければならない。こういうことを通産大臣はほかの仕事についてみなやっておるのです。ところが電気料金を下げるという面については、税金を少しまけてやるとか、あるいは金利をどうしてやるとか、こんな流通過程の面においてだけちょびちょびとごまかしの手を打っている。電気料金のコストを引き下げるためには、どうしたって合理化をやらなければ料金が下ってこない。合理化をやるというためには、九分割が間違っているというなら再々編成まで根をおろして、そこから料金の問題の合理化をしていかなければ、問題の解決にはならぬと思うのです。ところがほかの事業については合理化だ、合理化だと言っておる。それでほったらかしの出たとこ勝負の経済の本山のような自民党の自由経済のところでも、ほんとうに国際的な市場において競争するということになれば企業の合理化から出発しなければならぬということはわかり切った問題だと思います。そういうことを、合理化運動の本山である通産省、その総元締である石橋通産大臣は、ほかのことではずっとやっていて、電気料金の問題だけは、九分割された現実の上に立って電気料金を考える、こういうばかなことをやっていたのではコストの引き下げにはなりません。ほんとうに合理化をやるならば再再編成まで、企業の合理化のところまで入ってこなければ、そこまで根をおろさなければ問題は解決できないと考えますが、大臣はどういうふうに考えるか。ただ金利を下げる、税金を安くする、みな国民の負担にぶっかけて、そうしてその面だけの解決を言いわけのようにやるのか、ほんとうに企業の合理化のところまで根をおろしてやろうという考えがあるのか、その態度だけでいいから聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/18
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019・石橋湛山
○石橋国務大臣 むろん合理化すべきものは合理化しなければならぬ。ですから、電力の問題についても、電気事業法の根本対策をきめる場合にはその問題も十分検討いたしまして必要な合理化はむろん合理化をする。しかしながらどういうことが合理化になるかということは、再々編成が合理化になるか、それともどうなのかという結論にまだ達していない。こういうことです。その結論に律することも、簡単にやりまして、それからまたあとで変更するということはよくありませんから、十分検討をして——基幹産業であるだけに十分検討いたしたいと思って今検討をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/19
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020・永井勝次郎
○永井委員 ちょっと料金の問題について局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/20
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021・川上爲治
○川上政府委員 先ほど大臣からお答えしましたように、料金の問題につきましては現在いろいろ検討いたしておりますが、まだ成案は得ておりません。ただこの問題につきましては、先ほども御指摘になりましたように、最近におきます各企業の較差というのがだんだんひどくなって参っておりますので、その点も十分検討の上で措置すべきではないかというふうに考えておるわけですが、この上期あるいは下期の初めにおける状況等を見まして、少くとも来年におきましては料金についての根本的な調整をしなければならないのではないかというふうに現在事務的には考えておるわけでございます。先ほどお話のありました水火力調整金、これがこの四月で期限が切れるわけでございますが、これがその後の料金にどういう影響があるかという問題もありますけれども、この点につきましてはそう大きな影響はありませんので、別に現在の料金をそれによってどうしようということにはいたしておりません。
それから地域差の問題につきましても、将来どうするかという問題ですが、私どもの考え方としましては、地域差というものは全然これをゼロにするということは非常にむずかしい問題と思うのですけれども、なるべく少くするように持っていきたい。最近の事情は地域差がだんだん少くなるような傾向になっておりますので、今後におきましては地域差というものはなるべく少く持っていきたいというような考えを持っておるわけであります。
それからこの料金の問題と今の九分割との関連でございますけれども、この問題につきましても、一応現在のところは、現在編成されておるような各企業でやっておることになっておりますので、その間にいろいろ較差なりそういうものが生じましても、われわれとしましては何とかして融通その他の措置等で調整していけぬものかということをいろいろ検討いたしておるわけでございます。
それから電発の卸売料金の問題につきましては、現在のところ各河川におけるその地点の原価主義でやっておるわけでございまして、その原価主義ではじいて、その料金で電力会社の方に卸売をしておるというような状況になっておりますが、この問題につきましても、全国的にそれを調整するかしないかという問題につきましては、もう少し電源開発が進みましてから私どもの方としましては措置をとりたいというような考えを持っておるわけでございます。そういうふうに、料金につきましてはいろいろ根本的なむずかしい問題がありますので、現在の料金をいかに調整するかという問題につきましては、もう少し時日をかけまして検討いたしまして調整をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/21
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022・永井勝次郎
○永井委員 大臣からは政策の話が少しも聞かれないで、まだ検討中だ、事務当局から料金の地域差をこうするのだ、九分割の問題についてはこうするのだというふうな話を聞きました。今の内閣は事務当局の組織の上に乗っかっておるロボットみたいなものである、こう言っても差しつかえないようなものです。まあそういう組織の上に立って現内閣が動いておるとするならば、事務当局はもう少しはっきりして大臣を引き回すことを考えていかなければならぬと思います。事務当局はもう少し勉強して正確にやらなければいかぬ。今言ったように土台ががたがたに狂っているのに、戸障子だけをちゃんとまっすぐにしようとしてもなかなかむずかしいのです。こういうばかなことをやっていたのでは、いつまでたっても直るものではない。土台を直さなくて、たてつけが直るものではない。ですからあの手この手でもってなるべくと言っても、そんなこものは訂正できる限界というものがあるのですから、もう少しはっきりと腹を据えてほしい。基幹産業としての電気事業というものがいかにあるべきかというくらいは、もう少し国際情勢を見れはばかでもわかることだと思います。(「ばか以下だ」と呼ぶ者あり)コンマ以下だから困る。それから現在の国内における九分割については、どこに問題があるかということくらい賢明な事務当局はすっかりわかっておると思うから、よく大臣に教えてあやまちのないようにしていただきたい、こう思います。
そこで高碕大臣にお伺いいたしたいのですが、高碕大臣はその道の権威でありますから、おわかりで……。(「しろうとだぞ」と呼ぶ者あり)しろうとの方がかえってすなおに問題をつかむことができますから、変にゆがめらられた専門家よりよいと思います。私は電発会社はやはり公共的な性格を持ったものにだんだん強化していかなければならぬと思う。今から何十年か前、永井柳太郎大臣時代にあれだけのことをやったのに、それが終戦後逆転してこんなちぐはぐなものになってしまって、いいものをかえって悪くしてしまった。あやまちは一日も早く直すのが賢明なのでありますから、そういう方向に持っていかなければならないと思うのでありますが、電発会社の今後の行き方としてはどういう方向をたどっていくか、方向つけていくかということが重要だと思いますが、下流増の問題もそういう意味における一つの性格づけの具体的現われとしてわれわれは理解しておるのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/22
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023・高碕達之助
○高碕国務大臣 忌憚なく言わせていただきますれば、永井柳太郎氏が日本電力を統制して一本にするという考え方で進まれたことは、私は達見だと思っております。せっかくああいうようにできておったものが今日こういうように九つに分割されたということは、むしろ悪政であった、今日私はそう考えております。従いましてこれをどういうふうにやって電力料金を安くするかという問題になれば、おそらくはそういう問題にまで触れなければならないと存じますが、今日この電発会社を中心としてやらすかどうかということは、これは非常に研究を要する点だと存じます。私の考えを露骨に言わせていただきますれば、電発会社は電源を開発するということに重点を置いていくべきであって、そういうような方面はまた別の方法で考えるべきものであると存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/23
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024・永井勝次郎
○永井委員 今大臣から率直にお話をいただいて私は大へんけっこうだと思います。委員会なんかの質疑応答も単にかけ引きだけで、あるいはほんとうのことを言わないのが上手な答弁だということでなしに、われわれはほんとうに問題を真正面から取り組んで真実を究明しているのです。その真実究明の過程においてどちらに議論の合理性があるかということを率直に進めていかなければ、これは時間つぶしだけで意味がないと思うのであります。その意味において、今大臣の言われましたことは、現在の日本の電気事業に対して的確に一つのメスを入れたもので、今後の行き方についていろいろ具体的な示唆をなされたものと考え、まことに喜びにたえないわけであります。
そこで高碕大臣に伺いたいのですが、この電発会社は政府出資の分については永久に配当しないつもりなのかどうか。もし配当するとすればいつどのような形でどういうふうにこれを扱うのか。それから最近決定しました佐久間、糠平の卸売料金の点は、特別積立金を建設費の六%見込まれておる。この借入金の金利と政府出資の配当率をどのように見て算出しておられるのか。それから佐久間、糠平の卸売料金は、無利子の政府投資と割安の金利の政府融資の資金を多く使用しておりながら、電力会社の料金よりもコスト高である、こういうようなことは何に原因しておるのか、これらについて一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/24
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025・高碕達之助
○高碕国務大臣 詳細な数字は政府委員からお答えいたすと思いますが、根本の方針といたしましては、電源開発会社はできるだけ電気料金を安くするということが主体でありまして、初めの計画におきましては、少くとも一千億円を政府投資をもってやる、こういうような考えで進んでおったようでありますが、政府の投資がだんだん減ってきて、従って借入金がふえる、借入金がふえれば金利の負担が多くなる。私どもは最初政府の出資を当分配当しないものとして、借入金を平均して四分ぐらいで上るということを理想に置いてやっておったのでありますが、だんだんやってみると借入金が多くなり、それがまた民間資金に変るというようなことのために、逐次金利の負担が高くなるということは、言葉をかえれば、電力料金が高くなるということでありますから、私は当分は政府の配当というものは当然できないのだ、こう考えてやっておるわけであります。
なお糠平の問題等につきましては、私は最近の状況を詳しく知りませんので、政府委員から御答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/25
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026・川上爲治
○川上政府委員 北海道の糠平の料金につきまして、今詳細な資料は持ってきておりませんが、六の問題につきましては、私どもの方といたしましては原則として金利と配当準備金を入れまして一応六%ということにしてあるわけですけれども、糠平につきましてはその原価が、北海道電力に売り渡す場合におきまして、若干高いというような問題もありまして、この六%というのを三%程度、すなわち半分くらいとしまして、なるべく安く販売するということに措置をとったわけでございます。
それから佐久間の料金につきまして、非常に高くなっておるじゃないかというようなお話でございますが、佐久間につきましては、この前もちょっと申し上げましたように、最初の予定と違いまして、たとえば鉄道のつけかえでありますとか、あるいはその補償費というものが相当かさみました結果、最初の予定よりも若干料金は高くなっておるかと思うのでありますけれども、そういうことで一応私どもの方といたしましては料金をきめておるわけなんですが、今後におきましても、なるべく電発から卸売する料金につきましては、安くなるように努力いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/26
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027・神田博
○神田委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/27
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028・神田博
○神田委員長 速記を始めて。次は佐々木良作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/28
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029・佐々木良作
○佐々木(良)委員 時間があるようでありますので、参考的に一、二伺いたいと思います。
御承知のように、今度の電源開発法の修正の法案の一番問題になったのは、下流増の問題でありますが、下流増の問題というのも、一番焦点となっておるのは、東北電力会社が非常に経営不振であるということと、そして電源開発会社の電源をなるべく安く開発しなければならぬという問題が焦点になっておることは御承知の通りであります。いつかの質問にも申し上げました通り、私は事実上、現在の東北電力管内においては、あの民生度、並びに産業の実情等から見て、これの値上げというものはほとんど不可能に近い、そうするならば、今後いかなる救済対策があり得るか、そのための方法として、たとえば東京電力から東北電力に対する融通電力の料金を下げること、あるいは電源開発会社から東北電力に送る卸売電力の料金を特別な政策料金をとること等々が考えられますが、基本的な再々編成的な方法の前に行われる可能性のあるものとして、今の一、二のもの以外にどういうものが考えられておりまするか。あるいは今言いました一、二の問題を含めまして、具体的に大体どういう研究がされておりまするか。結論でなくてけっこうですから、今の政府部内で考えておられる方向をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/29
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030・川上爲治
○川上政府委員 今佐々木先生からお話がありましたように、東北の経営の問題につきましては、これは相当苦しくなるおそれが多分にあることは、私も事実として認めておるわけでございまして、これに対しまして、将来電力料金を上げないで何とか調整していきたいというような気持を持っておるわけなんです。ことしにおきましても、東京の方から約年間一億数千万キロワットアワーを融通することになっておりまして、私の方としましては、それが高い料金でありますと、結局東北におきましては非常に苦しいというようなことになりますので、東京電力にも十分話をいたしまして、なるべく安く販売するようにというようなお話をいたしまして、東京電力の方におきましても、これに協力をいたしまして、東北、東京両方相談をいたしまして、私どもの方が中に入りまして、この融通料金につきましても、比較的安い料金で東北に対しまして渡すことにいたしたわけでございます。
それからこういう措置につきましては、今後におきましても、どうしてもとっていかなければならないと思うのですが、今先生からお話がありましたように、これ以外にどういうような措置があるかという問題でありますが、先ほどいろいろ問題になりました電発から卸売をする料金につきましても、下流増の問題は下流増の問題として別にしまして、電発の方から卸売をする場合におきましては、やはり私は東北がどうしても特別な地域として、また料金につきましても上げるということはなかなかむずかしいということでございますれば、電発から渡す料金につきましても、なるべく安くして調整をしなければならぬだろうというふうに考えておるわけでございます。そういう両方の方法を用いて、東北の苦境を何とかして救済し、また一面におきましては、東北自体としての開発を進めなければならないと思うのでありますけれども、それ以外に、じゃどういう根本的な手があるかという問題になりますと、なかなかむずかしい問題でありまして、ちょっと根本的にどうするという問題は、今のところどうしてもまだ確信を得ていないという状況であります。ただ東北自体としましては、もう少し企業の合理化ということをやってもらえないだろうか、その辺につきましても、特別監査なりそういうことをやりまして、どの点に企業の合理化がもっとできるかという点につきましても進めていきたいというふうに考えております。いずれにしても、なかなかこの問題につきましてはむずかしい問題でございまして、さしあたりの措置としましては、融通料金の問題とか、あるいは電発から渡す料金の問題とか、そういうことで解決を何とかしてはかっていきたいというふうに考えておりますが、あるいはそういうことではとても解決できないという問題が生じてくるかもしれませんので、これは別に根本的な調整の方法を研究したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/30
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031・佐々木良作
○佐々木(良)委員 大臣が見えましたので、これで質問を終っておきたいと思いますが、今の東北電力の問題というのが電気事業の今の矛盾をそのまま出しているわけであります。従いまして東北の管内に住む人々並びに産業に犠牲が及ばないように、同時にまた今企業努力という話がありましたけれども、あの東北電力内の企業努力というものをかりに進めてみたとしましても、それは今の問題の解決の九牛の一毛にもならないくらいのものしかないと思います。むしろ東北電力管内に住む人々並びに東北電力の従業員等にそういうしわが寄らないような解決こそ、根本的な解決だろうと思います。特に私はおそらく今度の法律の審議に当って問題になった点は、一番中心的にはその辺にあって、おそらく、先ほどの相談でも附帯決議等で根本的な電力政策を打ち立てられるようにということが出ると思いますが、今のお話によりましても、今の法律で許されている可能な範囲内の調整ということはきわめて困難。東京から東北に送る融通電力にしましても、東京電力もちゃんとした私企業の株式会社であってみれば、その採算を無視するということは不可能になってくる。ただ一つまだある程度可能なのは、電源開発会社の場合には、ある程度相当強い政策料金も可能であり得るというだけの問題。しかしながらこれもまた解釈のしようによっては原価主義の建前をとらなければならぬとか何とか、これも事業者であるという建前よりすれば、きわめて困難になってくる。従いまして、先ほど同僚の永井さんの質問にもありましたけれども、こそくな解決はもうそろそろ限度にきていることを十分一つ承知されまして、この辺でもって根本的な解決への前進をされんことをお願いしまして、質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/31
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032・神田博
○神田委員長 次は永井勝次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/32
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033・永井勝次郎
○永井委員 ことしの四月一日からの一般家庭用電力料金についても、前年の三割頭打ちの延長ということで、現在やっているようでありますが、この一年間に大臣はいろいろな措置をしてコストを下げるようにするという約束でありましたが、どのような具体的な措置が講ぜられたか、これが一点、もう一つは、この料金をどういうふうにするお考えであるか、この二つの点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/33
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034・石橋湛山
○石橋国務大臣 お尋ねの電力料金の問題は鋭意一つ解決したいと思うのでありますが、しかし今佐々木君の質問の終りにもありましたように、電気の問題は非常に根本的な解決をしなければならぬところへぶつかっておりますので、そういうところからほぐしていかないと実は電力料金の問題も実は解決できないという段階だと思います。従って今回ははなはだこそくなやり方でありますが、一応前年度の状況を継続させて、先ほど申しましたようにおそくも今年中くらいには何とか皆さんのお知恵も拝借して根本問題の解決をしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/34
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035・永井勝次郎
○永井委員 その考え方はわかるのですが、とにかく一年間昼寝をしていたという怠慢に対しては強く大臣の責任を追及しなければならぬと思います。
そこで現在の電力料金をきめます場合には、昭和二十九年の下期においては九社合計して約十五億赤字が出る、三十年の上期では十五億の黒字になるからこれでとんとんになるんだ、こういう原価計算の基礎がわれわれに示されたわけであります。ところがその実績がどうであったかといえば、昭和二十九年の下期は十五億の赤字予想が七十億の黒字、それから三十年上期の十五億黒字になるというのが百三十億の大黒字になっておるわけであります。そういたしますと、これは料金算定に当って根本的な誤謬があったのではないかと思うのですが、この黒字になったのは異常の条件であって、政府のきめた料金が最低というより原価なんだ、こういう基礎に立って今後の料金とかコスト引き下げあるいはいろいろな措置、施策を進められるお考えなのか、料金の根本に間違いがあった、原価を高く算定し過ぎたからこういうふうな黒字がどんどんふえてきて、最近の会社の景気はすばらしくいいんだ、だから原価の算定をもう一度し直す、そこから出発して料金問題を考えていく、こういうお考えなのか、その点を明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/35
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036・石橋湛山
○石橋国務大臣 先ほど申し上げましたように、それらの点も十分取り入れまして電気事業そのものの根本対策を立てたいというのが私どもの考え方であります。料金はこの前通産省で計算しましたのはもちろんかたく計算したのでありますが、誤まりではない、ただ思いのほかに電気会社の利益がふえた、成績がよかったということは、例の水が豊富であったとか、あるいは石炭の値が安かったというようなことから、むしろ偶然にさような好成績を現わしたものですから、これは計算の誤まりではない。誤まりではなかったけれどもその後の事情が好成績をもたらした。今後の問題は、この好成績によって現在各会社が残しました利益を建設その他に利用することによって、これをも取り入れて今後の料金というものをむろん考えていくつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/36
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037・永井勝次郎
○永井委員 二十のとびらを追及していくように、自然現象ですかどうですかということをここでやるだけの時間はありませんが、黒字になったのは大臣の話によるとすべて自然現象が原因であって、当局の算定基礎は間違いがなかった、そこに私は根本的な誤まりがあると思うのです。原価主義なら原価主義でもっときちっとした算定のやり方があると思う。
それから渇水準備金でありますが、昨年の九月末現在で百六十億蓄積されておる。石炭にいたしましても四百万トン以上の蓄積が出ておる。ことしの期末の決算をいたしますと、少くも二百億近くの渇水準備金が蓄積されるのではないかと思うのであります。こういうように長期にわたってどんどん蓄積がふえていくということになれば、これもやはり自然現象で雨が多かったからというだけの原因に持っていくことは無理ではないか、渇水準備金の算定の基礎が甘い結果ではないか、こういうふうに思われるわけです。そこで渇水準備金がこれだけたまったのは、これは何も会社の企業努力でたまったものではなくて自然現象だとすれば、そして準備金の計算の基礎では五十億と見ていたのが二百億たまったとすれば、百五十億というものは余分のもうけだ、これは一に取るべからざるものを取ったのであるから、この百五十億円は需用者に還元する、こういう措置を講ずるならばこれは合理的な解決だと思うのであります。渇水準備金に対して大臣はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/37
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038・石橋湛山
○石橋国務大臣 渇水準備金については国際的に認められておる、ある理論的の計数と申しますか、算式から算出しておった。前の通産省の料金計算というのはさっき申しますように、そういう点でかなりかたく見ておりましたから、そこにも余裕が出てきた原因がございましょう。しかし主としては今の水の関係、あるいはお説の通り会社自体もいろいろ努力しまして、ロスを減らしたというようなことから利益が出てきたことは、たしか計数ですでに提出してあるはずだと思います。そういうわけでありますから、今後の料金の計算あるいは会社の経営等の方針につきましては、むろん現状を考えなければなりませんから、それをもこの際考慮に入れて、現在いろいろ準備金がたまっておりますが、実際においては今のロスの軽減、その他にも現われておるように、設備の改善、そういうものにその資金を使っております。そういうことで料金も下げ得ることになります。これからの料金の計算についてはむろんそういう点を考慮に入れて行われる。ただ積立金をいきなりくずして料金を下げてしまうということは、現状においては不適当であろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/38
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039・永井勝次郎
○永井委員 雨の少い地帯の統計を、世界中でも多雨の地帯の日本の算定基準にするということが土台そういうところに間違いがあると思いますが、そういうことはとにかくとして、現実に二百億近くの渇水準備金が蓄積されておる。赤字になるというのが大きく黒字になってきておる。そういう基礎から、原価主義でありますから、原価主義なら原価主義の算定というものがあろうと思います。これらについても一つ料金改訂に当りましては、電力事業そのものの基本をいろいろお考えになる場合には考慮されて、基本的に改訂を願いたいと思うのであります。電気事業でもそうでありますが、原価主義というもので基礎がちゃんとできておる。それに当って算定するときには、一々内容にわたって計数をもってどうこうするということでなくて、われわれの政府である、われわれの事務局である。これは自民党の事務局ではないのでありまして、国民の事務局でありますから、その立場において公正にやはり原価主義なら原価主義で計算を出さなければならぬ。その計算に当り、前の局長はどうかといえば、企業局長として、これは原価主義だといってこの委員会で説明をし、信憑性の高いものであるということを責任をもって言いました。その人がやめたら電気会社の重役に入っていっておる。それからこの前ここで問題になりました肥料の硫安を、外国には一俵六百円内外で出血輸出して、国内では九百円内外で売っている。非常にひどいことじゃないか。外国の赤字を国内に転嫁しておるのではないか、硫安のコストは一体幾らか、こういうことが問題になった。そのときに多年にわたって肥料の部長をやった柿手君は、これがもうぎりぎりなんだということでここで説明したが、その説明の衝に当った人がやめたら、硫安会社の協会の専務に入っていく、こういうことでありましたら、その動きを見て、実際ここにおいて国民の事務当局というものに対する信頼性というものはわれわれは持ち得ないと思うのです。でありますから、われわれはこれらの問題に当りましても、これは野党与党ではなくて、もっと議会政治というものが国民から信頼される。そうして国民の信頼、の上に立って、それぞれの立場、それぞれの意見が異なれば、それぞれの立場は何であるかということで、まじめにここで論議をしなければならぬ。事務当局はそれを受けて、国民の事務当局であるという立場においてまじめな計算をするのでなければならぬ。一方の利益を代表するがごとき立場においてこれを国民をごまかす手段にし、カムフラージュすることによって一時を糊塗して、それぞれの営利会社に利益を与える、こういうような結果が現実にありましては、私はこれはゆゆしい問題だと思うのであります。でありますから今後におきましては、たとえば電力事業の今後の合理化の問題についても、これは九分割された会社の利益の立場でいろいろ問題を考えて、いかにして一時を糊塗し国民をごまかして、その営利会社の利益を守るかというような立場で少くもものを考えないで、あやまちを犯した結果としてそうなったというならば許されなければならぬけれども、もともとごまかしながら四の五の言って、そうしてごまかそうとするようなことだけはしないように、ことに電力料金というような地域的な、独占的な、しかも政府が料金をきめるというような、こういう問題の原価計算に当りましては、国民がもっと信頼できる、納得できるようなことをやってもらいたい。赤字がはなはだしく黒字になる、蓄積がどんどんふえていく、こういうようなことは何といっても国民が納得できません。でありますから今大臣のおっしゃいましたように、電気事業というのは今一つの転機に来ているのだ、根本的な解決を必要とする段階に来ているのだということでありますから、これらの検討に当りましては、これらの基本的な態度を一つ堅持して、国民が納得できるような方向へまじめに処理していただきたい、こういうことを述べまして私の質問を終ります。最後にそれに対する大臣の決意を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/39
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040・石橋湛山
○石橋国務大臣 永井君のお説は十分尊重いたして参ります。ただ今の役人が、たとえば電気なら電気に関係しておる役人が電気会社に特別の便宜を与えるとかなんとかいうことは、私は現在の日本には絶対にないと思います。それでこの前の公益事業局の中島君が行きましたのも、あれは御承知のように特別の電気会社でありまして、何も今までの電気会社に利益を与えるために行ったというのでなくて、新しい日本の事業を始めるために非常に困難な位置に入ったわけで、彼が一番適任であると思って推薦したのであります。そういうことで御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/40
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041・神田博
○神田委員長 加藤清二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/41
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042・加藤清二
○加藤(清)委員 委員長は私が立つといつでも時間をせきますので、委員長に協力する意味において私は簡単に質問をいたしますから、隠さぬように簡単にお答えを、願いたいと思います。
第一点は水利権の問題でございますが、水利権とそれから生ずるところの電力の利用の権利でございまするが、これをどのようにお考えになっていらっしゃいますか、こういうことをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/42
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043・石橋湛山
○石橋国務大臣 ちょっとお尋ねの趣旨がよくわかないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/43
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044・加藤清二
○加藤(清)委員 簡単にやれというから簡単に聞くわけですが、それではもう少し……。と申しますのは、それぞれの河川はだれかが水利権を持っているわけでございます。ところがこの水利権の所有者と、ここに電気を開発する、電源を開発する会社とは同じ場合と別個の場合がございます。その際に起きたところの電気の利用を、水利権に重きを置くのか、ないしは別な理由に重きを置いてその利用をきめるのか。だから私の聞きたいところは水利権をどのように考えておるか、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/44
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045・石橋湛山
○石橋国務大臣 もし技術的に問題があればこれは事務当局から答えさせます。単なる水利権というような権利を握って、そして水の利用を妨げるようなことがあってはならぬ。ですから真にその水を利用して発電なり何なりできて、それをやる仕事の方に重きを置きたい、かように考えております。水利権によって電気の利用を妨げるというようなことはしたくない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/45
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046・加藤清二
○加藤(清)委員 それではお尋ねいたしますが、今までは今あなたのおっしゃったこととは違った傾向で実施されておるわけです。水利権があればこそ、そこの河川から生じた電気は遠くまでも持っていって、水利権を持っている配電会社の傘下に配電をする、こういうことになっておるわけです。ところが大臣の答えは違うわけです。水利権のいかんを問わず、水利権を持っておるからというので、その所有者のみには利用させないんだ、こういうことなんです。それはほんとうにいつから実行されますか。もっと具体的に言いましょうか。たとえば愛知県を流れている木曽川は、水利権は関西電力が持っております。木曽川で起きた電気は全部関西にいくのであります。ところで私はあえて関西と中電のことを論じたくはございませんが、中電が電気が足りなくて工場が休みが非常に多くて困りました。東京では大きなチョコレートやキャラメルのネオンが動いておるにもかかわらず、工場に一番大事な電気がこない時代がたくさんありました。その折にいろいろ問題がありましたけれども、木曽川で起きたところの電気は、これはよそへよそへと流れて行ったのです。あなたのおっしゃったこととは違った傾向にいっておる。それをあなたが、いや水利権には関係なくやる、こうおっしゃるならば、いつの日にそれを実行に移されますか、こういうことが聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/46
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047・石橋湛山
○石橋国務大臣 詳細なことは存じませんが、これは九電力分割のときにいろいろ問題があって、そういうある程度不合理な点もあるいはあるかと思います。しかしながら現在におきましては、そういうものはなるべく融通をして、たとえば中部なら中部の電力も、できるだけ豊富に供給できるように話し合いをさせるようにしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/47
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048・加藤清二
○加藤(清)委員 これでこの問題は終りますが、片や木曽川の電力は、水利権が関西にあるからという理由によって、全部関西に行っておるのでございます。ところが今度できます佐久間の電気は、これは水利権は中電にもともとからあったのでございます。にもかかわりませず、それには関係なく東京と五・五・六・四の比率で分けるのじゃと、こういうお話なんです。これはちょっと受け取りがたいということなんです。おかしいということなんです。しかも東京電力と中部電力とを比較した場合に、いずれが経営がしやすいかはこれはしろうとでも知っているところなんです。しかも東京地方には生産以外の消耗のところに多く使われておる。こういうことをよく考えてもらいたい、これだけなんです。
それから第二点にいきます。これは前に質問をいたしました続きでございまするが、電源会社の予算が非常にふえている。当初の予定よりもふえている。この理由をお尋ねしたいということを同僚議員が再三お尋ねしたわけでございます。それについてデータを出してもらいたいということでございましたが、なるほど出されましたけれども、そのデータは佐竹君やあるいは多賀谷君の要求したデータにほど遠いものが出ている。そこで最後に私はこの点についてお尋ねしたいのですが、御承知の通り、当初予算が八十九億であった秋葉が三年たつやたたずで、百八十六億と、九十七億もふえて、これは一二〇%以上の増であります。同じ地区にできておりまする佐久間は二百二十八億の当初予算が、これもいつの間にやら三百六十億とふくれ上って、百三十二億の増で、大体五〇%から五二、三%の増、こういうことになっておる。これが一般電源開発の通例であるということならば、あるいはまたその間に非常に物価が上昇したためにこういうふうになったということであれば、これはもう納得できまするが、配電会社が自己で作っておりまする、ダム、これの建設費をながめて見ますと、同じ時期にやっている仕事でもって五〇%も伸びたとか、あるいは一〇〇%も伸びたとかいうのは一つもございません。大体二〇%が最高くらいのところでございます。そこで私はお尋ねしたいのでございますが、今回ここに上程されております下流増の問題でございますが、これも上流に電源開発のためのダムを作る、その費用が非常によけいかかるのだ、だからそのおかげで恩恵をこうむった下流のダムの所有者は何がしかの金を払いなさい、こういうことが本旨のようでございます。従ってこの下流増の問題と、上流に作られるところのダムの建設費の増加というものとは大きな関係があり、これは九会社のみならず国民がひとしく注目しておるところなんです。そこで承わりたいのは、一体この電源開発の場合の予算というものは、幾らでも変更ができるものでございますか。あるいはある程度制約があるものでございますか。一体変更できるとすればどういう款項目は変更ができて、どういう款項目は変更ができない、こういうふうになっておるのでございますか、その点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/48
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049・川上爲治
○川上政府委員 第一点の佐久間の水利権と、それから中部、東京に対する配分の問題につきましては、最初は中部が水利権を持っておりましたが、佐久間につきましては相当国家資金を出しまして、どうしても電発が開発しなければならぬということになりましたので、水利権を電発が譲り受けまして、そして電発が開発をいたしたわけでございます。そしてこの電力につきましては、中部だけではなくて、これは全国的にやはり考えなければならぬと思うのですが、さしあたり東京と中部の方に、先ほどお話がありました年間大体半々程度、これは渇水期におきましては中部の方が六割、東京が四割ということにいたしたわけでございます。
それから電発の予算の問題につきましては、佐久間の予算につきましては、この前もお話がありましたように、最初の計画そのものがきわめて粗雑な計画でありましたので、それで一応出発したのですが、その後たとえば飯田線のつけかえの問題とか、あるいは補償の問題とか、いろいろな問題が起きましたので非常に高くなったわけでございます。私どもの方としましては、今後こういう点につきましては十分気をつけまして、なるべく予算が上らないように努力したいというふうに考えております。なおその予算を変更するにつきましては、通商産業省及び大蔵省におきまして承認すればよろしいということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/49
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050・加藤清二
○加藤(清)委員 大蔵通産両省の承認を得さえすればいかなる款項目も変更ができる、こういうことになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/50
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051・川上爲治
○川上政府委員 その点はおっしゃる通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/51
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052・加藤清二
○加藤(清)委員 それではその問題について大臣にぜひお答え願いたいのですが、変更できる場合の理由でございまするが、つまり請負単価の増額の変更ができる理由でございまするが、それは物価にスライドしておるのでございまするが、それとも何か特殊な場合を想定してそういう規則ができておるのでございまするか、それは大蔵通産のどういう行政措置で行われるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/52
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053・石橋湛山
○石橋国務大臣 請負単価の増額の場合が起るとすれば、物価等をさんしゃくしてされたことと思います。しかし佐久間の場合には請負単価の問題はなかったと存じます。そうでなくほかの理由で、最初に中部かなんかがやったごくラフな数字によってまずスタートとしたということから、その後工事の方法の変更とか、あるいは補償の問題とかいうことでああいうことに増額されたのがおもな理由であるように私は記憶いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/53
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054・加藤清二
○加藤(清)委員 いただきました資料によりますと、今の大臣のお答えとは少し違うようでございまして、私らのこの書類の読み方の間違いとすれば別でございまするが、少し大臣のお答えは違うようでございます。そこでぜひ承わりたいことは、物価にスライドした特殊契約が行われておって、そうして実際処理がどう行われていたかということが同僚議員としては聞きたかったわけです。だからその折に私が契約書等の写しを見せていただけたらということを申し上げたわけでございまするが、それができなければその総計の推移、これなどもわかるようになっておればいいと思いますが、それもわからず、ただ一回の契約だけが出ておるわけでございます。そこで物価にスライドしたところの特殊契約と、その実際処理がどのように行われたかということがわかるような資料を至急に出していただきたい。あるいはこの法案が通過した後でもけっこうでございますけれども、ぜひお願いしたい、こういうわけでございます。
その次に、これでおしまいでございまするが、近き将来において電源開発会社に人事異動があるかないか、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/54
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055・石橋湛山
○石橋国務大臣 今あるないということをここですぐにお答えすることはいかがかと思いますが、しかしすでに御承知のように今総裁もかわる時期になっておりますから、あるかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/55
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056・加藤清二
○加藤(清)委員 消息通の伝えるところによりますると、その人事異動の理由がこのスライドに大きな関係があるようでございまするし、その原因は、あなたの党の某有力者があっせんした、それを小坂さんが拒否したのだ、従ってそれが最初のきっかけになったのだ、こう聞いておるわけでございまするが、果してそれは事実でございまするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/56
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057・石橋湛山
○石橋国務大臣 何かそういううわさを立てる者があるそうでありますが、私はそういうことはないと信じますし、またかりにそういうことがあったとしても、そんなことで私は人事異動はしません。それははっきりお答えします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/57
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058・加藤清二
○加藤(清)委員 それではその人事異動が行われまする理由でございまするが、これはやはり会計と同じように、詳細は別として、天下衆目の認むるところでございまするから、はっきりと国民が納得できるような方途に出ておかれないと、高碕さんがやめたときには吉田さんににらまれたからじゃというようなうわさが出るわけなのです。この点を実ははっきりする必要があると存じます。そこでこの点をはっきりするために、人事異動におけるところの大臣の所信というものをこの際はっきり承わりたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/58
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059・石橋湛山
○石橋国務大臣 先ほども申しますように、総裁の任期が七月の半ばで切れます。従ってそこで次の総裁をどうするかということを決定しなければなりませんが、今だれとかなんとかいうことはまだ全然考えておりません。ただ私としては、電源開発の事業は非常に重要なことでありますし、なおこの電源開発の性格を今後どうするかという問題もありますが、そのいかんにかかわらず、とにかくなお電源開発の仕事は今後続きまして相当に開発してもらわなければなりませんので、そこで会社自身の経営とか内部の統制とか、いろいろな点を考えまして、電源開発のために最も適当であり、最も正しい行き方ができると思う人物に総裁は託したい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/59
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060・加藤清二
○加藤(清)委員 それでは、残余の質問は、あなたに協力する意味において、一般施政方針演説のときに承わりたいと思いまするので、特殊契約のスライドが実際にどのように処理されたかの資料をぜひ早急に御提出願うよう要望いたしまして、終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/60
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061・神田博
○神田委員長 委員長は了承いたしました。
次は中崎敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/61
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062・中崎敏
○中崎委員 基幹産業である電気事業、しかも国民の生活に広範な、密接な関係のある電気事業に対しまして、政府として強力なる方針と施策を講じられる必要があると思うのであります。それなのにかかわらず、そうしたような重要な問題がきわめて遅々として、停滞をして、進んでいないという現実に対しましては、国民とともに非常に遺憾に思うのであります。この問題は一面そうした大きなことであるだけに、いろいろ困難性が伴うと思うのでありますが、また他面考えてみますと、一つの大きなる電力資本、これは九つの電気事業会社によって占められておる、その大きなる資本の力と、同時に政党とのいろいろな関連性において、諸般の制約、制肘を受けて、十分に腹が据えかねて、決意を持って強力に推進できないというところにも、一つの大きな原因があるのではないかというふうに考えておるのであります。それらの因縁情実等について、この際あまり深く突っ込んでかれこれ言う考えはないのでありますが、いずれにしても、この際政府としてはこうした点に十分な思いをいたして、国家的な見地から一つ思い切って、そうしたメスをふるって、そうしていろいろな問題の解決に断固邁進してもらいたいということを、ことに通産大臣に対して要望しておきたいと思います。
そこで、具体的に取り上げればいろいろ問題がありますが、その中で公益事業会の改正が行わるべくして行われていない。この問題は必ずしも大きな資本の力による制肘があるとは申しません、いろいろな原因、理由があると思うのでありますが、そのうちで一体どういう点に隘路があって進められないのか。おもな点二、三について、その考え方と現状とを御説明願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/62
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063・石橋湛山
○石橋国務大臣 電気事業という重要な事業につきまして、先ほどからお答えするように電気事業法というものの根本法が容易にできないということは、これは中崎君のみならず私自身も非常に遺憾に感じておりますが、これは重要な問題であるだけに実はひまがかかるのでありまして——重要問題であるからひまがかかってもよろしい、いつまでもほっといてよろしいというわけじゃございませんで、放擲しているわけじゃなく、ずいぶん事務当局を督励して結論に達するように努力しておるのでありますが、実際問題としてむずかしい問題がございまして、これぞという結論に達し得ない実情であります。しかしこれはここ数カ月の間に必ず到達したいと考えております。それに対して、何か電気事業者の方から圧迫か制肘でもあるように言われるのでありますが、そういうことはございません。少くとも私どもにおいては、さような人たちの制肘を受けてかようなことを考えておるのではありません。これは全く日本の電気事業をいかにすべきかという、純粋な考えでもってやっていきたいと存じております。ただ仕事をやるのには人の協力を要します。けんかするだけが能じゃございませんで、電気事業を現にやっておる連中と好んでけんかするつもりはございませんが、先生たちの利益のために、われわれがいろいろやるべきことをやらないということは、絶対に今までもございませんし、今後もいたさないつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/63
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064・中崎敏
○中崎委員 そういうふうに言われると一言言わなければならぬのであります。言いかえますと、この大きなる電力資本と保守政党との間にいろいろな深い関連性を持っておるということは、これは明々白々のところであります。たとえば今回提案されておるところの電源開発促進法の一部改正法律案にいたしましても、こうしたなまぬるい、きわめて不徹底な法律案が提案されておる。そういうふうなことは、やっぱり背後において一つの力が効いておるということは周知の事実なんです。これは一つの例にすぎないのでありますが、たとえば電力料の問題にしても、二年も三年もこうしたような一方的な高い利益を現に占めておる。先ほど永井君も言ったように、半期々々実に予想外の膨大な利益を得ておる。そういうような問題をいつまでも遷延してほっといて、来年になったらようやくこれを考えるというふうな、こういうのは怠慢というよりか、やっぱり大きな電力資本の圧力が背後にあるということが言える。国民の生活、国の経済に重大な関係がある電力料、しかも政府の方でもその値下げということをはっきりこの国会で約束しているにかかわらず、これを一年先に見送るということ——かりにこれが電力会社の事情が幾分か悪いということになれば、政府が率先して値上げにいくということは明らかであるのに、一方において電力会社がやたらにもうけておるのに、それは目をつぶって一年もほっとくということは、そこに大きな資本の力が背後にあるということを考えなければならない。一、二の例を出してみてもそうだ。だからそうしたことを言わないで、こうした問題はもう少し国民の納得のいくような方法において処理してもらいたいというのが私の考え方であります。そういう点において、石橋通産大臣が何と言われても、やっぱり大きな電力資本の力が動いておるということだけは、これは否定できない事実だと国民は思っておるということをこの際申し上げて、あまりこの問題を深く突っ込むということは、この際時間の関係もあるのでこの程度にしておきたいと思うのであります。
そこで電気卒業というものは非常に公益的な性格を持つ反面において、また独占的な性格を持っておるのであります。そこでその大きなる資本の力と独占的、一方的、排他的な力によって、電力会社がややもすれば権利の乱用を著しく程度を越えてやることが非常に多い。そこで公益事業令の改正などの際において、この権利の乱用を防ぐようなことを一体政府の方で考えておられるのかどうか、そうして現在こうした権利の乱用について一体いかなる法規の上においてどういう程度に取締りができるのか、政府としてはどの程度の監督ができるのかということを具体的に説明願うと同時に、今後こうした権利の乱用についてこれをいかに戒めていくか、取り締っていくかということについての政府の考え方をお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/64
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065・石橋湛山
○石橋国務大臣 一方的に何かわれわれが、料金の問題等について電力会社の圧迫があるようなお話をいたされましたが、そういうことは少くとも私としては何も感じておりません。そういうことで電気事業法案がおくれておるわけではなくて、実際に先ほどからいろいろお話があるように、今の再編成とか再々編成とか、あるいは水利権問題一つとりましても、なかなか各地方、その他との関係もありまして複雑でありますので、これを適当に解決することがなかなか容易でないために実はおくれておるというだけのことで、電力資本なるものの圧迫というものは私は今感じておりませんし、ないと思います。
まあそれはとにかくといたしまして、今後電気事業法を作るに当りましては、むろん電気事業者のわがまま、欠点を許すべきものではありませんから、これは十分に取り締る方法を講じなければならぬし、また電気事業者だけでははありますまい、川の水を利用するについてはそのほかにもいろいろの利害関係が輻湊しておりますから、これらのものをも適当に公益のために協力させるような方策を講じなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/65
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066・中崎敏
○中崎委員 電力会社の設備等に対する固定資産税に関する問題でありますが、これが標準税率が昭和二十九年度においては固定資産評価額の百分の一・五であったものを、三十年度においてはこれをさらに百分の一・四に引き下げておる。一体これはどういう根拠によるものかを御説明願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/66
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067・川上爲治
○川上政府委員 これは地方税法の改正によりまして引き下げをしたわけでありますが、特に電気につきましては電源開発を容易にするために、税金につきましてもある程度安くしておるという状況に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/67
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068・中崎敏
○中崎委員 そうしますとこの標準税率なるものが地方財政の上においてどういう関連性を持っておるか、言いかえますと各市町村におきましてはその市町村の財政計画を立てて、それを運営していくために、固定資産税率は百分の二程度のものまでは当然とっておる。ところが電気の場合においては百分の一・四とか一・五とかいうように、むしろ住民よりも安くしておるということになっておって、現実においてはそういうことを根拠にして、実際に電気会社はそれをすら市町村に納めない。こういうような現実が出てきておるということは、この前もこの委員会において問題にしたのでありますが、これが依然として解決されていない。そこでまずお聞きしたいのは、電気料を引き下げる等の関係があるからと言われたのだけれども、昭和三十年度において引き下げなければならぬその根拠は、一体どこにあったのかを一つお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/68
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069・川上爲治
○川上政府委員 先ほども申し上げましたように、地方税法の改正によりましてそういうように引き下げておるわけでございまして、私どもの方としましてはたとい引き下げておりましても、その税金については電力会社としては絶対に支払うべきものだというふうに考えておりますので、先般お話がありましたとき、そういう滞納の問題がございましたから、さっそく会社に対しましては既定の税金については必ず支払うようにということを現在強く言っておるわけでございまして、これは会社の方としましてもそういうことをいたしますということを言っておりますから、そのうち解決されるものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/69
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070・中崎敏
○中崎委員 今川上局長からお話でありまして、この前の委員会においても中国電力の社長が自分でその不当を認めて支払いをするという約束をしたというのでありますが、私島根県でありますけれども、島根県の総元締めをしておるところの中電の島根県の事務所の方へ今もって何らの指図もしていない、そこで昭和二十七年以来各市町村において予算はちゃんと組んでおるにもかかわらず、毎年々々中電が一方的に標準税率はこうだというので差額を払わない、自分でそれだけ払わないで一方的にやっているということで、市町村の財政が非常に困っておる、それにもかかわらず依然として何らの通達がないからということで今なおまだ解決してないというわけなんでありますが、一体これについて政府は今後どういうような監督をするのか、どうして国会において約束したことを実現させようとするのか、それは依然としてほおかぶりをして知らぬ瀕をしておるにもかかわらず、何らの監督をもできないのか、こういうことを一つお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/70
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071・川上爲治
○川上政府委員 私の方としましては、この前も申し上げましたように、その税金は税金として必ず払いなさい、将来税金を負けるという問題については別途一つ話をしろということを再三会社の方にも言っておるわけなんですが、私は大体ほとんど解決しつつあるのじゃないかと思っておるわけなんです。しかし今のお話によりますと、まだそれが解決されていないというようなお話でありますので、私どもの方としましては今申し上げましたようなことで必ず解決するように善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/71
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072・中崎敏
○中崎委員 負けてもらうということは一体どういうことなんです。たとえば市町村が他の住民に対してもちゃんと一つの自分の財政を考えて、そして百分の二までは税金をとるというので、その基準によって当然電気会社にも同じようにかけておる。そこだけ特に開くかけておるのじゃない。その中で一方的に自分の方で勝手に安くきめて、そして四年も五年もそれだけしか払ってない、こういう一方的なことで、島根県のほとんど何百方町村に正いものがみな迷惑しておる。今の市町村の財政を破壊するような独占的な立場に立って二万的なめちゃくちゃなことをやっておる、それにもかかわらずなお負けてもらうについては個々に話をせよというのは、一体どういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/72
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073・川上爲治
○川上政府委員 これは標準税率よりも非常に高い税金を課そうというような話があったということを聞いておりますので、そういう場合におきましては電気事業者の方で、これは料金等にはね返る問題でありますから、なるべく安くしてもらいたいという交渉をしておるというふうに聞きました。しかしそのために既定の税金を納めないということはいけないから、既定の税金は必ずこの際早急に払いなさい、そして今申し上げました標準税率よりも相当高いものを払っておるという問題については、これは一つ今後安くしてもらいたいという交渉は別途やりなさいということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/73
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074・中崎敏
○中崎委員 標準税率が百分の一・四ということにしても、百分の二までは市町村の権限として、それで財政を立てるために地方税法において認められておる範囲内において市町村の住民と同じようにその市町村がかける場合においては、地方行政庁のだれにしても国務大臣にしてもこれは承認しておるわけです。その承認の範囲内において電力会社が払うのが当然であるのにかかわらず、今言うたように払わない、それを負けてもらいたいというのはどういうわけかわからない。それをもう一度伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/74
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075・川上爲治
○川上政府委員 この問題につきましては、私の方でもいろいろ調べておるのですが、やはり法律によりまして認められておるところまで、これは取られることはやむを得ないかもしれませんけれども、それがあまり高い場合におきましては、電力業者だけではなしに、一般の住民につきましても、ある程度下げてもらった方がよくはないかということだ思うのですが、そういうことで電力会社の方も、そのものの一人として安くしてくれという交渉をしておるのじゃないかというふうに私は考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/75
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076・中崎敏
○中崎委員 この点については政府の方でさらに善処するというのでありますから、すみやかな機会においてやってもらわぬと(「君はいいことを言っているのだけれども場所が違う、長過ぎる」と呼ぶ者あり)不規則な発言はやめてくれ、委員長は注意して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/76
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077・神田博
○神田委員長 静粛に願います。質問を進めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/77
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078・中崎敏
○中崎委員 大体においてこの委員会において局長がはっきりと答弁しておることを、一体実行しているかということを聞いておる、それだからして、当然この委員会における問題として、しかも公益事業たるところの電気事業に対して政府はどういう監督をしておるかということを聞いておるのです。
次にお尋ねしたいのでありますが、全国において相当広い範囲において電気税に対してリベートを電力会社がとっておる、こういう事実があるようでありますが、一体政府の方においてはこの事実を——この前の委員会においても問題になったのだが、どういうふうに了解しており、どういうふうな調査をしており、その後におけるところの経過はどういうようになっているかということをお尋ねしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/78
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079・川上爲治
○川上政府委員 電気税につきましての徴収事務を実は電力会社の方に委託しておるように聞いておるのですが、その手数料として一部もらっておるというふうに私聞いておるのですが、この点につきましては十分自治庁の方とも、あるいは大蔵省の方とも相談いたしまして、検討しまして、もし是正すべきものであれば是正したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/79
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080・中崎敏
○中崎委員 この問題はきわめて重要であるので、実はこの前この委員会においてその問題を提議して、そうしてすみやかに監督者の立場から、政府の方で善処してくれるものだと思っておったのでありますが、この問題はそのままになっておるようであります。そこで自治庁ともあるいは大蔵省とも関係があると思いますので、この際至急関係者にこの委員会に出てもらって質問を継続したいと思うので、委員長においてお計らいを願いたいと思うのであります。従いまして来るまで一応質問は続けておりますが、その点についてはっきりさしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/80
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081・神田博
○神田委員長 今手配しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/81
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082・中崎敏
○中崎委員 私の質問は大臣に対してしておるのであります。これに対しまして今答弁の都合上局長がしておられるかもしれませんが、局長が答弁されたからということで、大臣に対する質問を私は一切放棄しておるのじゃないので、その点は逆に諸君は、私が寛大な質問をしておるのだというふうに御解釈願えばいいのじゃないかと思います。そこでこうした問題は勤労所得税につきまして、会社がその従業員に対する給料を払う場合においてこれを差し引いて政府の方に支払われております。かつて銀行においては預金利子税というものがありまして、その預金利子を——銀行が税金を払う場合においてその計算をして、それを差し引いて政府に払っておる。あるいは料理屋が遊興飲食税を払う場合において、自分の方でお客さんからその税金を取って、そうしてそれを計算してやはり政府の方へ納めておる。この電気税についてもそれと同じような性格ではないかと思うのであります。従いまして、たとえば各会社が従業員に対して給料を払う場合に、政府のこの法律によるところの勤労所得税の控除をやる際に、その手数料として、あるいは証書を書けばその証書の書き料として、リベートをくれなんという要求をしていないはずです。それにもかかわらず、電気についてのみそうしたようなことが行われるのは一体どういうことなのか。これは一つ通産大臣から、その見解をお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/82
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083・石橋湛山
○石橋国務大臣 事情はよく存じませんが、お話のように、地方との話し合いでおそらく各電力会社がやっておることと思います。ですからそれは地方の問題としまして、なお通産省としてはお話のように遊興飲食税のように、通産省が会社からとってそれで税を払うというわけにはいきません。これはどうしても地方の会社から直接地方に払ってもらわなければならぬ。ですからこれは通産省としてはできるだけその会社に対して法律通り順守するようにという戒告を発するということが、これは通産省としては限度だと思います。なおリベートといいますか、手数料の問題についてはなお調査いたしまして不当と思えばそういうことのないように戒告をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/83
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084・中崎敏
○中崎委員 この問題につきましては、私は通産大臣そのものの怠慢じゃないかと思う。言いかえますと、この前においても、そうしたような不当な、われわれから言えば不法だとも言うべき問題でありますが、そういうふうな問題が提案されて、すみやかに政府の方で調査の上で善処されたいということを要求してある。これが今日までうやむやの間にほうっておかれるということは怠慢である。われわれがこの国会においていかに真剣に議論しても、それがその場で流されてしまうというようなことになっては、私は非常に遺憾だと思う。そういう意味合いにおいてこの問題はすみやかに取り上げられるべき問題だと思う。しかも通産大臣の考え方は、税金に関する問題だから通産省は関係がないというふうにお考えになるかもしれません。ところがこれは税金に関しようと何しようと、先ほど言うように電気事業は公益事業である。しかも独占的な性格を持っておるのだ。どうもあれは不都合なことをやるからおれはほかの方から電気を供給させるのだ、ほかの方で電気を分けてもらうというわけにいかない。そういうような強力な排他的な立場をもって、勝手ほうだいなことをやるから問題になる。いわゆる権利の乱用というものをいかにして政府は監督するのかということを大臣に聞いておるのです。すなわち言うことを聞かなければ、お前たちには電気はやらないとかあるいはこういうふうにやっつけてやるとか、あらゆる力を用いて事ごとにそういうことをやっておる。もう少し電力の実情について調査してもらいたい。ほんとうに国民の怨嗟の的になっておる。実にひどい。こういうような状態であるから、われわれはそのまま見ておられないから、そういうふうな権利の乱用というものをいかにして政府はほんとうに取り締るか、それにはこういう実情、実態をいかに把握しておるか、それが一番問題なのです。電力会社に頭が上らぬということはそこにもある。そういう国民怨嗟の的になっているようなことをいつまでたってもほったらかしておいて、法律的措置も講じられない、そうして行政措置も講じられないのだったら国民はどうすればいい。一々裁判をやれなんということはできることじゃない。であるから、この問題は一体どうするかということを政府の方でもう少し真剣に考えたらどうかということを聞いておる。もう少し通産大臣の誠意あるところの回答を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/84
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085・石橋湛山
○石橋国務大臣 その問題はごもっともでありますから、地方庁とも打ち合せまして適当に処置するようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/85
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086・中崎敏
○中崎委員 それでは、いろいろ問題はあるのですが、大体この程度にして、一つ政府の善処を要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/86
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087・神田博
○神田委員長 これにて質疑は終局いたしました。引き続き本案を討論に付します。討論の通告がありますからこれを許します。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/87
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088・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私はただいま議題になっております電源開発促進法の一部を改正する法律案に対して、日本社会党を代表して賛成の意を表する次第であります。
今や電力問題は豊富なる電力の供給の問題よりも、低廉なる電力の供給へとその重点が移行しつつございます。電力需用は年々増大をし、それに伴う電源開発が進んでおりますけれども、開発をすればするほど原価が上昇するという皮肉な事態に立ち至っておるのであります。電源開発が進展して新規発電所が稼働するにつれて、電力は豊富にはなりますけれども、新設発電所の資本費が増大し、必然的に電力原価が漸次高騰することになり、その防止対策が現下の電気事業界の最大の問題となっておるのであります。発電端一キロワット当りの単価は、既設分は私の調査によりますと八十四銭に対し、新規分は二円九十一銭であり、新規分の単価は既設分の約三・五倍に達しておるのである。その構成を見ますと、人件費、修繕費などの直接費は、若干新設分が安いのでありますけれども、金利、原価償却などの資本費は著しく高騰し、約五倍強にふくれ上り、特に金利は一円六十七銭で、単価の五七%を占め、既設分のそれが二〇%である点から見ますと、新設分の単価はまさに金利のかたまり、こういうような状態であるのであります。しかるにそのコストに占める金利の状態が漸次高騰の傾向に至っていることは非常に遺憾であります。政府の資料を見ましても、政府の財政資金の投融資分はその割合が減少し、金利は高騰の一路をたどり、料金の高騰は必至の状態にある。低廉なる電力の供給という大目的に全く相反した方向にあることはわれわれは非常に残念に感ずるのであります。本法においてそれを若干補うために社債の発行を認め、政府保証にすることは一応時宜に適した処置であると考えるのでありますが、しかしこれも政府の糊塗的な処置といわざるを得ないのであります。
次に私は問題になりました下流増の問題について申し上げておきたいと思うのであります。この下流増につきましては、政府としても確たる法律概念の披瀝がありませんでした。ある論者はこれは不当利得である、こう言いました。しかしその不当利得の構成要件であります損失につきましては、これはかなり問題があります。私たちは資本主義がだんだん発達して参りまして、ある工作物の設置その他によりて他の人が著しく利益を得るという場合が将来相当惹起されると思う。そこで相手方の損失の有無にかかわらず、その利益の返還を命ずるということをしなければならぬ時代がくるのではないかということを考えておる。そこで立法論としては一応わかる気もいたしますけれども、今日この本法をもって相手方の損失の有無にかかわらず不当利得の観念を認めた、こう規定するには、いささかわれわれとしても自信がなく、また早過ぎはしないかという感じを持っておるわけであります。さらに受益者負担であるということを政府はおっしゃいましたけれども、私はこの受益者負担という問題についても非常な疑問を持っております。政府の言われるところでは、結局受益者負担というのは公用負担の一部であり、公用負担は電気事業等の公益事業にも認められておるから、受益者負担のみ国または公共団体に限定する必要はない、また根拠がない、こういうことをおっしゃっておるわけでありますけれども、公用負担の観念というのは、実体法上はっきりと確立を見ていないのであります。さらにまた学問上も必ずしも承認された定説ではないのでございます。そこで私は、国または公共団体においてその事業の遂行のためにどうしても法的措置が必要である場合において公用負担というのが行われておるのでありますから、民間の公益事業についてもその必要なる場合にはこれが許されてしかるべきだと考えます。土地収用あるいは使用制限の原則というのはそういう点から出ておると思いますけれども、この法案をもって道路法とかあるいは都市計画法に盛られておるような受益者負担と律するわけにはいかない。道路法、都市計画法は経済の生体が国または公共団体であって、住民は平等にそれを利用すべき権利を持っておる。ところがたまたま一部の人人がそれによって著しい利潤を得る、こういう場合を調整するためにこの受益者負担というのが設けられておるのであって、私たちはこの企業に国家的な権力の背景を持つところの受益者負担を認めるというわけにはいかないと思うのであります。しかしながらこの下流増の問題を取り上げてみますと、確かに下流増は私すべき問題ではなくて、何らか益金の調整が必要である、かように考えます。そこで本法案は電気事業者間の問題である。これは本法が自家発電には適用しない、こういう点から見ても明らかであります。そこで下流増の法的な観念は、単なる私人間の利益の調整でなくて公共事業間の利益の調整である、こういう点において私たちはこれを認めていきたいと思うのであります。このことば国家的な要請であり、法の目的であるところの社会正義の目標に進むという趣旨から考えても適合しており、また公平の原則にも適合しておるものと思うからでございます。
次にこの法案の最大の欠点となっております、当事者間の協議のみにまかせて、そうして協議が整わなかった場合には、法的措置としてはいかんともしがたい、こういう問題でございます。裁判所に訴えましても、協議をせよという裁判しかできなくて、幾ら出せという判決は不可能であろう、こういうことでありますが、この点につきましては、最初通産省の案は協議が整わなかったときは通産大臣が裁定するということになっておったそうであります。さらに自民党の政調会では通産大臣が裁定するときは、新設の裁定審議会の議を経て行うと書いてあったそうであります。しかしながら自由民主党の総務会において両方ともなくなり、当事者間で協議するということになったとわれわれは聞いております。そこで普通協議がととのわなかった場合は、国家権力が裁定をする、その定裁が協議にかわるというのが常識でありますけれども、私たちは国家権力が介入しても、必ずしも常に妥当な線を引くとは限らないというようにも考えられますし、また政府の答弁におきましても、行政当局の運用にまかせてもらいたいというお話でありますから、私たちは一応政府当局の言を信頼して、協議の妙を発揮されんことを望むわけであります。しかし私たちはかなりの危惧を持っておる。それはこの法案がなくとも電気事業者明で話し合いさえすれば、法案は不要であるし、ダム建設以来かなりの日月がかかっておるのであって、今までできなかったものが、法案を作ったからといって行政当局の行政運用によって果してできるか、どうかかなり不安を打っておるのであります。しかしながら、相当の自信のようでありますから、一応おまかせしておく次第であります。しかしながら私たちは、本法案は協議がととのわなければ法的強制がないから支払わなくてもいいという意味ではございません。これは少くとも公益事業でありますし、相当な資本力を持っております電力事業者間の問題でありますから、良識があるだろうということを前提にしておるのでありまして、もし電力会社間において良識がなく、行政当局において行政運用が円満にいかなかったときは、私たちは政府の責任を追及するとともに、公益事業である電力会社に対して認識を新たにしなければならぬと考えおる次第であります。
最後に私は、電力行政全般についての要望を申し上げておきたいと思うのであります。本委員会でいろいろ審議になりました際に、電源開発株式会社の性格が問題になりました。電源開発株式会社は、開発をして、開発が終ったら譲渡すべきではないか、それが法の趣旨ではないかという議論があり、あるいは電力融通会社としての性格を持たすべきではないかという議論もありました。しかしながらこれについては、政府としてはまだ未決定だというお話でありますが、私はもう決定をされてしかるべき時期がきておるのだと考えるわけであります。送電線の設置をめぐりまして、電源開発会社が送電線を設置いたしますと、九電力会社は白い目で見ておる。こういうことでははなはだ遺憾でありまし、私たちはすみやかにこの電源開発株式会社の性格をはっきり決定されんことを望むのであります。大体同一水系は同一会社であればこういうことは起らないのでありますから、その点も十分考慮していただきたいと思います。最近は料金の地域差が拡大をいたしまして、産業配置の問題、産業構造に影響を与えること大なるものがあるわけであります。また九電力会社の経営の差がだんだんひどくなって参りました。今日送電線のロスが非常に減少しており、大容量貯水池発電所の新設とか、新設火力発電所の常時運転、さらに常時運転の性格を持つ原子力発電所の新設ということを考えますときに、私たちは電力は一元化ならざるを得ないだろう、またすべきであるというように考えるのであります。電力の国有という問題、あるいは国営という問題は、社会主義的なイデオロギーに立った問題ではなくて、むしろ電力事業の性格にあると思うのであります。でありますから、資本主義にのっとっておりました過去の日本においても、やはり電力は国家管理ということが行われ、そうして長い間それが行われてきたゆえんがあるのでありまして、私たちは何もイデオロギー的に言っておるのではなくて、電力事業における性格上、そうせざるを得ないのじゃなかろうかと考えておるわけでございます。この点につきましてもすみやかに電力行政の確立をお願いしておきます。
さらに下流増の利益の吸収をめぐりまして、東北電力との関連におきまして、議員間に反対の意見のあったことは事実でございます。しかし私たちは、これは何も電力会社をもうけさそうというような意図は議員さんには全然なかった、かように考えます。それはすなわち東北地帯の後進性をいかにして打開するか、産業配置をどうするか、こういう点に議員の下流増利益の吸収に対する反対の声があったと思うのであります。そこで私たちは、この後進的な地域における、ことに電源地帯は大体後進地域でありますが、この後進地域における産業配置の問題、産業振興の問題については十分留意をされ、そうして英国においても行われているような産業立地法、こういうものの設定をお願いいたしたい、かように思う次第であります。また問題になりました東北におきましても、砂鉄あるいはチタンの採掘あるいは製鋼の電気炉の新設、新しい化学会社の企業化、こういう点についても留意されんことをお願いをいたしまして、私の賛成の討論にかえる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/88
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089・神田博
○神田委員長 これにて討論は終局いたしました。
電源開発促進法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/89
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090・神田博
○神田委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
ただいま鹿野彦吉君より、自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる本案に対する附帯決議案が提出されました。
まず提案者より趣旨の説明を求めます。鹿野彦吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/90
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091・鹿野彦吉
○鹿野委員 私は自由民主党及び日本社会党を代表いたしまして、電源開発促進法の一部を改正する法律案に対して附帯決議案を提案いたしたいと思います。
本法案の中にあります、特に下流増の問題につきましては、上流の施設によって下流で利益を受ける場合に、その設置により利益を受けた程度において下流のものがその工事費の一部を負担しなければならないというような、一見まことに簡単な問題に対して非常にいろいろな論議がなされたわけでございます。たとえば不当利得、あるいは受益者負担というような点からの法理論も活発に論議されましたけれども、その結末も何となくすっきりした解決が得られないままになっておりますし、また電源開発株式会社は国家資本によって未開発電力の大規模なる開発をいたしたことであるから、国民全体の税金によってまかなったものであり、これは国民全体に返還されなければならないというような論議もあったわけでございます。しかしながら電源地帯の地元民のいろいろな犠牲とか、あるいはまたその他の特殊性などを考えるとき、なかなか簡単にそうした問題も割り切れるものではございませんし、また大局的に見まして、日本の現実の立場から、すなわち狭い国土に資源が不足であるのに対して、一億になんなんとする人間が生活をしていかななければならい日本の経済自立速成の大悲願を達成いたしますためには、人口分散の原則という大きな鉄則によって縛らなければならない。たとえば東北地区における只見川の電力を地元の東北地区に豊富低廉に供給されるということは、東北地区に対して恩恵的に特別扱いをするということより以上に、日本の人口分散の大原則という問題から、当然取り上げられなければならない方策であると私は考えます。こうしたいろいろな点から考えますとき、一日も早く政府は電気行政の幕本方針を再検討いたしまして、電源の開発、送配電、電気料金などについて合理的な解決策を実施されるべきであると思います。なおこの下流増問題について、本委員会の審議を通じまして、下流増を受ける者が、その負担する金額のいかんによっては管理権を持つことはもちろんのこと、持ち分権をも認めるということも協議の対象になっていることが明らかになされたわけでございますが、何としても、こうしたむずかしい法律を実施するに当りましては、政府は適正なる行政指導をされることを要望いたしまして、私は次の附帯決議案を提案いたす次第でございます。
電源開発促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
政府は、本法の運用に当り、特に次の点に留意して万遺憾なきを期すべきである。
一、公益事業たる電気事業の現状にかんがみ、すみやかに電気行政の基本方針を再検討し、電源の開発、送配電、電力料金等につき、合理的施策を確立するとともに、これに必要な立法その他の措置を早急に講ずること。
二、右方針を策定するに当り、電源開発株式会社の国策会社的性格を明確化し、かつ同会社と一般電気事業者との関係及び一般電気事業者間の関係並びに電気料金の地域差等の諸問題につき、公共的立場により明確な解決をはかること。
三、本法第六条の二の規定の設定が一般、電気事業者の料金値上げの口実とならないよう、かつ同法第二十条の規定の改正が電源開発株式会社の開発資金の財政投融資による低金利資金供給方針を後退させないよう特段の考慮を払うこと。
四、河川の総合的有効利用をはかるため、上流ダム等の工事者は、あらかじめ下流水力発電所所有者とその工事計画及び貯水、放流等につき、十分な事前協議を行い、円満かつ合理的な運営をはかるよう特に配慮すること。
五、電源地帯については、当該地域の産業振興に資するため、電気を特に豊富低廉に供給するよう、格別の努力を払うこと。
以上の通りでございます。皆さんの御賛同をお願いいたす次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/91
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092・神田博
○神田委員長 お諮りいたします。本案に鹿野君御提案の通り附帯決議を付するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/92
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093・神田博
○神田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案には鹿野君御提案の通り附帯決議を付することに決しました。
この際石橋通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許します。石橋通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/93
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094・石橋湛山
○石橋国務大臣 ただいま御決議をいただきました法案につきましては、いろいろ御指示があり、かつ附帯決議が付されました。その点は十分政府としまして考慮いたしまして、今後に善処するつもりでありますから、このことを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/94
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095・神田博
○神田委員長 お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04119560427/95
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096・神田博
○神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
本日はこの程度にとどめます。これにて散会いたします。
午後一時三十五分散会
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