1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二十一日(火曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 佐藤觀次郎君
理事 赤城 宗徳君 理事 伊東 岩男君
理事 並木 芳雄君 理事 坂田 道太君
理事 竹尾 弌君 理事 辻原 弘市君
高村 坂彦君 野依 秀市君
藤本 捨助君 米田 吉盛君
島上善五郎君 野原 覺君
小牧 次生君 平田 ヒデ君
小林 信一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 松村 謙三君
出席政府委員
文部政務次官 寺本 広作君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 緒方 信一君
委員外の出席者
専 門 員 石井 勗君
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六月二十日
写真師法制定に関する請願(田口長治郎君紹
介)(第二四〇一号)
同(八木一男君紹介)(第二四六六号)
地方教育委員会廃止等に関する請願(床次徳二
君外一名紹介)(第二四九二号)の審査を本委
員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
博物館法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八八号)(参議院送付)
日本学校給食会法案(内閣提出第九九号)
危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する
法律案(内閣提出第一〇一号)
公立小学校不正常授業解消促進臨時措置法案(
内閣提出第一〇八号)
昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じ
た旧財団法人私学恩給財団の年金の特別措置に
関する法律案
(内閣提出第一〇九号)
学校教育に関する件
社会教育に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/0
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001・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
博物館法の一部を改正する法律案、日本学校給食会法案、危険校舎改築促進臨時措置法の一部を改正する法律案、公立小学校不正常授業解消促進臨時措置法案、昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた旧財団法人私学恩給財団の年金の特別措置に関する法律案、学校教育に関する件及び社会教育に関する件を一括して議題とし、前会に引き続き質疑を行います。辻原弘市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/1
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002・辻原弘市
○辻原委員 教育委員会制度の問題について大臣にお伺いをいたしますが、ただいまも陳情がありましたし、またすでに問題となっております地方財政再建促進特別措置法案、地方自治法一部改正両法案が提出されておりますが、この問題に関しましては、われわれとしては従来から非常に懸念をいたしておった点が、きわめて明瞭に法案の中に盛り込まれて出ておりますので、特に大臣としてはこの両法案を閣議等において取り扱われる場合に、文教所管大臣として相当な御努力をなさったことは、私どもも承知をいたしておりますが、しかしただこの両法案の中に盛り込まれている委員会制度の問題としては、単に教育委員会の五十六条以降五十八条に至る予算の編成の問題にとどまらず、その他予算の執行に関する問題、あるいは委員会部局、事務局その他の問題、ないしは教育委員が固有の権利として持っておる権限の問題等に対して、相当以上の制約を加える点がきわめて明瞭であります。それにつきまして、若干総括的にお伺いをいたしてみたいのであります。
まず第一に、御承知のようにこの教育委員会制度が発足をいたしました当時には、これは私たちも大いに歓迎をいたしましたし、また当時国内的に見ましても、この制度をもっていわゆる教育知事、そういう名称すら冠したのでありますが、そのゆえんのものは、結局教育行政に対しては従来の単なる行政事務を執行するという域にとどまらず、少くとも教育行政についての政策を策定するという、そうした権限をもあわせ兼ねているのがいわゆる教育委員会制度であり、かつまた教育委員に課せられた任務である、こういうふうに当時一般国民も理解して参ったのであります。そうした制度のまま今日に至っているのでありますが、これが少くとも教育委員会制度をわれわれが強化し、持続していきたいという大きな根本的理由でありますが、この根本的な政策が、いわゆる地方財政の赤字云々というこの問題のために、その最も大きな被害を受けて、根本的な性格が実質的に改められていこうとする傾向に対して、われわれとしては非常に心配をしているものでありまして、従って一体大臣としては現在の教育委員会法が示す、いわゆる住民の民意によって生まれた教育委員が持つ権能、こういうものに対して制約をする地方財政再建整備法ないしは自治法の改正についてどういう御所論をお持ちになっているか、この点について承わっておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/2
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003・松村謙三
○松村国務大臣 その点につきまして明確に申し上げますと、教育委員会の根本に関することだけは、財政整理の犠牲にすることは、私はできないと思いまして、その点は抜いたわけでございます。しかしながら地方財政の今日の窮迫をこのままで置いたら、やがてこれは地方財政というものは破綻に瀕することはもう明らかでございますから、これには協力せぬという法はなかろうと考えます。そういう意味から申して、まず大本を犯さざる限りにおきましてはこれに協力するのは当りまえであろう、あの法案の全体の構成のよしあしはこれはまた別でございますが、文部行政の関連におきましてはできるだけ協力するのは当りまえであろうと思う。そういうつもりであれだけのことを同意をいたしたわけでございます。その点につきましてごらん下さいますならば、たとえば予算の執行についてあらかじめその県なり町村なりの長と協議をする、こういうことくらいは当然やっていかなくちゃ、ほんとうに円満なる教育の実績を上げることはできないんじゃないか。教育だけはちっとも地方の財政の窮迫とは別だというような立場では、教育のほんとうの運営ができないのではなかろうか。だからそれくらいのことは言うてもいいんじゃないか。それから教員の定数の問題にいたしましてもそうなんです。府県の教育委員会から地方の長と相談をしてきめるというようなことにしましても、これは何も教育委員会の権限を侵すとか侵さぬとかいうような問題ではなかろうというふうに考えまするし、また教育委員会に事務をとっております者の整理のことも、整理を要する者はやはりほかの行政並みに考えてやってもいいことではなかろうかというふうに考えて、これに同意をいたしたわけでございまして、私どもはこれが教育委員会の本体及びその適切な運営に悪影響があるものとは考えておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/3
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004・辻原弘市
○辻原委員 累積いたしました地方の赤字解消の問題について、あるいは地方財政の窮乏について何とかしなければならぬという考えは、これはだれしも異論のないところでありますが、ただしかしそれを今所管大臣としての文部大臣がおっしゃるからには、少くともこの地方財政の赤字解消のために協力する意味において、この種の法案も根本的性格を変えるとは認めないからやむを得ないという御見解をとられているようでありまするけれども、その言葉の中には——そういたしますると、この地方財政の赤字を来たした理由に、いわゆる教育費のウエートが相当あるんじゃないかといったようなお考えがひそんでいるように私は拝聴するのでありますが、大臣としては地方財政赤字窮乏の原因が教育費にあるという一般説をおとりなさっていられるのかどうか。
なお重ねて、私はしばしば地方団体側特に地方において地方財政を担当する方面の声を徴しますると、どうも教育費が地方財政の赤字を来たした最大の原因であるかのような印象を持って語っておるようでありまして、これは少くとも実情を知る者としましてははなはだ合点のいかぬ点だと思います。この数字が大きいから、あるいは人員の数が多いからということで、それが赤字を生むなどということは、私は非常に非科学的な考え方だと思うんです。もし大臣にそうしたお考えがあるとするならば、これはきわめて重大な問題でありまするから、この点大臣から一つ明確に承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/4
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005・松村謙三
○松村国務大臣 私は教育費が地方の今日の財政の窮乏を来たした大きな原因とは考えておりません。地方財政全体から見たならば、これはこれまで長い間アメリカのやってきました型ばかりの、金がかかってきわめて能率の上らない行政をやってきたということに、大きな原因があると私は考えております。従って教育費だけがその疲弊を来たした原因とは考えておりませんが、そういう意味において節減できるものがあれば、これは節減をすることは当然なことでありまして、最小の費用で最大の効果を上げるように努めなくちゃならぬことは当然でございますけれども、私どもは教育費のために直接地方の疲弊を来たしたとは私は考えません。今日までの行政機構の悪かったことが大きな原因をなしているというふうに考えるものでございます。
そこでそういうことに立ち至った今日として考えるべきことは、私は率直に申していることは、今日の教育制度そのものが今日の日本の国力とそぐわないものであることは、これはきわめて肯定せざるを得ないと思うのです。しかしながらそのそぐわない中に、八年間やってきて今日の実績を上げておる、その努力はまたきわめて大きなものでありまして、今後もそのお互いの苦労、努力でこれを完成していくよりほかにしかたがないんだ、従って地方財政においてもある程度苦しいことは苦しいだろうが、それは一つしんぼうもしてもらわなくちゃならない、そのかわりに教育委員会などにおきましても、できるだけ節約できるものは節約もやっていく、そうして国もまた国の力の及ぶ限りにおいては地方の負担を軽め、そうして効果を上げるように努めていくというようなわけで、あらゆる面から苦労をしてこの制度を持っていくよりほかに道がないと考えるのでございまして、そういう人たちの協力を得るためにも、ある程度この根幹に関せざることは協力をしてやっていってよいのである、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/5
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006・辻原弘市
○辻原委員 教育費が、地方財政赤字の直接的原因でないということは大臣もお認めになりました。しかしその影響も若干あるんじゃなかろうかというような印象で今お話しなさったのでありますが、すでに文部省あるいは全国教育委員会の協議会等で発表いたしております統計上の数字を見ましても、最近の教育費の地方財政の中で占める割合、あるいは国と地方の負担率、こういうものを見ました場合には、地方財政の中では漸減をしておるという傾向が明瞭に現われております。また国と地方の負担率にいたしましても、漸次国の負担率が増加して地方の負担率が減じておる。少くともこの教育に関してはそういう傾向が言えると思うのでありまして、地方財政の赤字が最も頼著な問題となりましたのは、少くとも私は昭和二十五年以降であると思います。なかんずくそれがきわめて顕著になったのは二十八年、こういうことから考えてみますと、直接にも間接にも、いわゆる不当の赤字を生んだ原因が決して教育費ではないということは、私ははっきり申し上げることができると思います。そういたしまするならば、赤字云々の理由でもって本来の教育委員会の権能、行政というものが侵されてくる、それが棄損されてくるというようなことは、これは全く私は不合理な話に受け取れていたし方がないのであります。ただ今大臣がいわれた、現在の教育費が日本の国力に相応しないものであるというこの見解は、私は肯定はいたしませんけれども、しかしこれは一つのお考えであるかもわかりません。そこで大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、こういうような教育費が漸減の傾向にある中において、なおかつ今日の教育費が日本の国力に相応しないものだという限りにおいては、これは地方財政の中においての比率、あるいは国家予算の中においての比率等々、いろいろな取り方があると思いますが、一体どの程度のものが大臣としては国力に相応した教育費であるとお考えになっていられるか、また現在の教育費の中においてどういう部分が国力に相応しないものであるのか、この点についての大臣の御所論を明瞭に承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/6
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007・松村謙三
○松村国務大臣 お答えを申します。私が国力不相応と申しましたことは、これはただ大観して申しただけでございまして、どの項目が国力不相応というようなことでなくて、大数の上において、どう見てもこれは非常に大きいことで、六・三・三の制度は、戦争前の国力の盛んなときでさえも、これは国の力で持ちこたえられないというので、教育審議会で議決をいたしておりながら実施できなかったものを、戦い敗れたあとにおいて実施いたしたのでありますから、非常な苦労を要することは当然でございまして、その当然の事態をお互いに四苦八苦して切り抜けていくという決意でいきませんなら、これはなかなかほんとうの完成を見ることはできないことだと思うのでございます。それには単に教育委員会だけが特別の権力によってこれをやろうと思いましてもできません。やはりその町村なら町村、その県なら県で、お互いに助け合って協調をもって進み得る形を作ることが必要であろうと思いまして、これだけくらいのことは、まずそのためにもなにしていいんじゃないかと考えるのでございます。そしてその上いろいろ助成いたしたような関係からいたしまして、教育費なら教育費に対する府県のことをきめます際には、関係省へは相談をしなくちゃならぬことにもなっておりますから、文部省はまるつきりあけっぱなしておるわけではございませんで、それがひどい削減を見るとかなんとかいうことについては、相当のこともでき得ると考えておるわけでございまして、さよう御了承をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/7
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008・辻原弘市
○辻原委員 この点については議論の分れるところでありますので、深くはお尋ねをいたしませんが、ただ今大臣が例にあげられました六・三制実施に関する新制中学の建設等は、制度出発当初においては、確かにこれは大難事業であって、非常な苦労が伴ってきたことは申すまでもないことでありますが、しかしながら、制度を実施いたしまして今日に至ってようやく完成の域に近づいているわけです。従って今後六。三制度というものが、いわゆる国力不相応ものであるという見解をお取りになるならば、これは私は大臣にそのお考えをいま少しくお尋ねしてみなければなりません。ただ、従来はこの点については敗戦国日本としては非常な大事業であったというお考えでおっしゃったことであるならば、私は了承いたします。そういうふうに私としては了解をいたしたいのでありまして、不相応であるからということであるならば、今後それは直ちに制度改変の問題、あるいは大臣みずからが教育費圧縮についてお考えになるというような考え方にこれは踏み出していくものでありますから、その点既往の六・三制実施に対する努力はそうであったというふうに私は了解いたしたいと思うのでありますが、その点で間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/8
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009・松村謙三
○松村国務大臣 過去八年間の業績につきましては、もちろん非常ないばらの道を踏んで参り、そしてその結果は世界で類例のない結果を得ておるということは申していいことと思います。それが今日になって、たとえば学校の校舎などが、足りませんけれども、苦労して大体ある程度できて参りまして、その償却などがずっとできて参りますと、地方の負担もだんだん軽くもなりましょうしすると思いますが、しかしながら今日の時代においては、学校の設備等はまずある程度しのげたと申しましても、内容ができていません。これからそういう金はやはり内容の充実に使わなくちゃならぬことは、これは申すまでもありません。地方の中学校あたりの理化学の実験の設備だけを整えるにしても、これはなかなか大へんなことでございまして、そういう意味から申しますならば、お話通り過去はもちろん、今はその点にめどは大体ついたとは申しながら、将来もまだやはり相当の長きにわたってお互いに苦労して、形も内容もともに充実して教育の実体を上げますのには、やはりここしばらくは苦労していかなくちゃならぬ、こういうように考えておりますので、御懸念の、それだから教育制度を変えようとかなんとかいうようなことは毛頭考えているのではございませんことを御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/9
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010・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 大臣が二十分だけ所用のために座を立たれるそうですから、御了承を願います。二十分たったら必ず参るそうですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/10
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011・辻原弘市
○辻原委員 事務当局にお伺いいたしますが、今の大臣の総括的なお話によりますと、非常に努力をせられて、最初再建促進特別措置法案の中で問題になっておった原案送付権の問題がはずされたので、大体委員会の根本的な性格というものは完全に保持できたというふうなお話のように承わったのですが、あなた方としても、それだけでもって従来の委員会権能というものが、予算の編成権、予算の執行権、あるいは部局の構成、あるいは定員、あるいは委員等の処遇、こういう問題について何ら支障を来たさないというふうに事務的に御了解なさっているのかどうか、この点一つ承わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/11
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012・緒方信一
○緒方政府委員 総括的には大臣のお答えがございました通りでありますが、ただいまおあげになりました事項につきましては、もちろん現行の制度を改めることになっていることは事実でございます。しかしながら委員会の基本的なと申しますか、根本的な性格を変える、あるいはまた権能を変えるという点には触れてない。地方財政再建の方の法律の関係によってみますと、財政再建のために教育委員会側として協力すべき点は協力しなければならぬ。そういう建前に立って考えました場合に、基本的な問題については、先ほどお話の原案送付権等の問題について、十分文部省の主張を通したわけでございますが、そのほかの点について、財政再建のために必要な限度において、若干現行の制度を変える、こういうことにはなっております。しかしそれは教育委員会の基本的な問題には触れない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/12
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013・辻原弘市
○辻原委員 話が抽象的でありますので、少し具体的に聞いて参りたいと思います。
まずこれは、将来当委員会においても、他の委員会との関連でいろいろ論議が進められると思いますので、多くを申し上げる必要もないかと思いますが、今あなたが言われた点は、主として予算執行に関する件だけ、予算執行に対してあらかじめ地方公共団体の長と協議しなければならぬという、その点についてくらいはやむを得ないということなんです。しかし、この再建促進特別措置法案の全体を流れる構想を見ますと、まず再建整備計画が策定される。その再建整備計画は、少くとも七カ年の長期にわたって作られるものであって、一旦それが策定されたならば、少くとも七カ年というものは、その方針に従ってこれは継続されるのです。その再建整備計画の策定について、委員会がどういう機会に、どういう形において委員会の独自な見解を、長にあるいは議会に持ち込んで、その独自性を存続できるような余地があるのか、この点をお教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/13
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014・緒方信一
○緒方政府委員 財政再建計画を立てますのは長でありまして、それを議会が議決をし、そして自治庁長官の承認を得る、かような形になっております。自治庁長官が承認を与えます場合に、これは先ほど大臣からもお話がありましたけれども、各省、各庁の負担金、補助金等の事業に計画が関係する部分については、各省、各庁の長と協議しなければならぬ、こういう規定になっております。具体的に申し上げますと、いろいろ教育費の問題について、財政再建計画の中に織り込まれました場合に、国庫負担金あるいは国庫補助金等がございます。その分については、十分文部省と自治庁と協議をして、その上で財政再建計画を承認する、かようなことに相なると思います。それから、団体自体で再建計画を立てます場合、これはその団体の総合的な意思でもって財政再建を要するということを決定するわけでありますので、これはおそらく長が作ります場合、各関係の機関の意思を総合してきめられるものと考えておる次第であります。これは教育委員会の意向を無視して、教育委員会の実行を困難とするような再建計画を立てられる実情ではないと思います。再建計画を立てます場合にも、長としては十分相談をしていかなければならない実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/14
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015・辻原弘市
○辻原委員 私のお尋ねいたしましたのは、自治庁が決定をする場合に、各省との相談の問題についてではございません。公共団体の長が計画を策定する場合に、どのような形で教育委員会に協議をし、教育委員会の持っておる五十六条ないし五十八条の予算送付権、この権能を十分どういう形で保障していくかという問題であります。今あなたのお話によりますれば、これは地方においてもそうやるんだから、地方においても全然委員会の意向を無視してやるということはあるまい、そういうような傾向じゃないでしょうというお話なんですが、そういうような傾向でないならば、少くとも自治庁が主張しているごとく、あるいは地方団体の一部において主張しているごとく、教育費が赤字財政の根本的原因である、あるいは教育費を圧縮することによって、初めて地方財政が健全化されるのだというようなものの考え方、言いまわし方は出てこないだろうと思うし、かつまた昨今の教育費の顕著な、いわゆる予算の下降状況といいますか、そういうものは現われてこない。現われている現情というものは、地方財政のしわ寄せが相当教育費にかかっているということを数字的にも私は明瞭に示しているものだと思う。その点については、あなた方御自身が出された文部省の統計資料によっても明らかである。先ほど私が申し上げたように、その傾向は何かといえば、でき得べくんば教育費についてはある程度考えるけれども、これは一番締めやすい、切りやすいという観念が働いているものにほかならぬのであります。だからあなたが言うように、まことに上品に、率直にいえば、教育費についてはどうだのこうだのという相談を持ちかけて、きわめて円満裏にそういうことが運ばれるだろうというようなことは、私は実際そういう姿を望むのでありますが、それは望むだけであって、事実問題としてはとうていそうはいかぬ。そうであるならば、何もあなた方自身も予算送付権の問題についてがんばらなくてもいいわけである。実際地方において、そういうふうにやっている、教育委員会固有の権能を尊重されるならば、別にそう騒ぎ立てる必要もなければ、法律的の措置をする必要もない。しかし法律的の措置で保障を与えなければならないから、そういう問題について頑強にあなた方ががんばられるゆえんもある。また地方教育委員会としても、都道府県の教育委員会がそれについて強く主張される点が出てくるんじゃないかと思う。一体この点はどうでしょう。そういう法律的保障がなくてもそれが完全に行われるんだということなら、法律なんというものは別にそう大して考えなくてもいいことになる。そういうふうにあなた方は非常に楽観視してお考えになっているという印象を受けるのですが、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/15
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016・緒方信一
○緒方政府委員 もちろん御指摘のように地方団体が財政再建計画を立てますと、その計画の考え方のもとにおいて毎年の予算が組まれると思います。しかしながら毎年の予算を組みます場合に、教育委員会の意向を十分反映させますために、いわゆる原案送付権の問題を主張した。毎年の予算で具体的に教育費をきめます場合、その点について教育委員会の意向が強力に反映されるということが一番必要なことであろうと私考えるわけであります。財政再建は、団体自体が赤字で悩んでいる団体全体で協力をして赤字の再建をしていこうというのでありますから、そういう決意をし、そういう決定をされた計画というものは、教育委員会としても協力をしていかなければならぬ面があると思います。しかし今申しましたように毎年の予算が具体的に教育費をきめていくわけでありますから、この点についてはどうしても原案送付権の制度を残しておく必要がある、かように考えてその点を主張したわけであります。計画を立てます場合に、これは法律的な規定はございません。しかし先ほど申しましたように団体全体が財政再建のために努力するという決意をする段階にありますので、十分各機関も協力してやらなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/16
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017・辻原弘市
○辻原委員 問題は再建促進特別措置法ができた暁においての教育委員会の送付権というものは、非常に認識が違ってくるということを私は申しておる。というのは、かりにこの法律が成立した暁においても、従来のように教育委員会の送付権というものがその権能を発揮し得ると考える考え方は非常に甘いと私は思う。なぜかならば先ほど申しましたように、すでに一応二十九年度までの赤字がたな上げされて、それによって策定計画がつくられた。ならばこれは長期にわたるものであって、少くとも七カ年というものはその方針を貫くものである、貫かなければその策定計画というものは意味をなさない。そうするとその後における予算送付権というものは、形はあるが実質は伴わないものである。だからむしろ原案送付権を強硬に主張されるならば、その根本的な考え方を主張されるならば、なぜ策定に当って委員会と長との協議の形における委員会の発言権というものを法律上あなた方は主張されなかったのか、なぜこれが保証されなかったかということを私は申し上げておる。そうでなければこれは意味がない。もし毎年くる予算編成期に当って送付いたしましても、すでに策定決定を見たこの再建促進法によるならば、送付権というものはてんで意味をなしません。一体どういう形によってそれが保証されておるかということを御質問申し上げておるのです。そういうのをいくら持っておってもこれは骨董品をあやすようなものである。そうでなくして現実にほんとうに委員会の発言権というものを留保するためには、策定に当ってのその委員会の発言権というものは、法律的に保証がなければこれは何ら意味がないものです。あなたが言われるいわゆる赤字の解消のために協力するということと、法的に委員会の権限を保証して協議せしめるということとは何ら矛盾はいたしません。法律の保証がないならば、これは場合によってはその力関係等によって、長の執行権限というものが大きなウエートになって、委員会の権限が大幅に制約される場合もあり得ます。しかし少くとも委員会は行政機関であるけれども、一般の行政機関とは事違う。少くとも教育行政については独立の権限を持っている行政機関であります。とするならば同様策定計画については送付権と同じ関連に立つならば、両方がそれについての独立した一つの見解をもって話し合うということがあってしかるべきである。それがないから教育行政の所管でない地方公共団体の長の権限によってその後における教育行政というもの、あるいは教育予算というものが大幅に制約を受けてくるということは雄弁に物語っておる。なぜそういう主張をなさらなかったかということを私は申し上げておる。法律的な保証が何らない。送付権云々を言われるならばなぜこのときにその点を強硬に主張せられなかったか、それをお尋ねしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/17
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018・緒方信一
○緒方政府委員 繰り返して申し上げることになりますが、財政再建計画の策定でありますが、その策定されました方針のもとにおいて毎年の予算が編成されることは御承知の通りであります。ただし再建計画はこの法文にありますように、いわば抽象的にどれくらいの具体性を持つかということは、これは今後の問題でありますけれども、この法文にありますところの幅があるわけであります。その幅の中において毎年の予算がきまる、こういうことになるかと私どもは考えております。従いましてやはり毎年の予算を組みますときに、地方教育委員会の意向が強力に反映されるということが一番大切だろうと考えております。
それからもう一つの点は、これは先ほども繰り返して申し上げましたけれども、財政再建計画を立てられて、それを自治庁長官が承認する場合には、文部省としても十分そこに関与する道が開かれております。国庫負担金でありますから具体的に申し上げますと、教員の給与費等はその中に含まれておりますので、その点につきましての文部省との協議という点が一つの発言の機会になると存じます。しかもさらに各団体につきましては原案送付をする、かようなことになりますので、教育関係としましては二重にその意向が表明される機会が与えられると思います。従いましてこの二点によってやっていける、かように考えておる次第であります。団体におきまして計画を立てます際も、これはやはり最終的には議会がきめるわけであります。その団体の総合的な意向がそこに実際上反映せられると私どもは考えております。教育委員会の意向もおそらく実際上反映せられるであろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/18
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019・辻原弘市
○辻原委員 この点はお認めなさったようであります。もちろん再建計画は法律上は抽象的なものにすぎないと思いますけれども、しかしどの程度の幅になるかは、これは作ってみなければわかりません。しかし少くとも長期にわたって計画を立てていく限りにおいては、これは単なる大筋をきめるだけのものでは意味をなさぬことは当然であります。相当具体性を持ったものでないと、実際の計画にならないことは明らかである。そうするとあなたが言われるその再建計画と毎年度の予算編成との幅というものは、まあここでやるのは抽象論議でありますけれども、私はそう大きな期待は持てない。ともかくあなたはその送付権の幅の中において、小さいながら何とかやっていけるだろうとこう言われる。しかしそのこと自体がすでに委員会が持っておる本来の送付権というものを制約しているということをあなたがそこで承認をなさっている。本来長と教育委員会との関係、議会と教育委員会との関係においては、少くともこれは二本建で、何ら拘束を受けない。二本建のものである。議会に対しては教育委員会は責任を持っている。教育委員会の送付予算に対しては少くとも責任を持たなければならぬ。そういう関係から一方この再建計画によって大きなワクがはまってきて、ワクの中でしか踊れないということになったことは事実です。そのことはあなた方はお認めになるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/19
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020・寺本廣作
○寺本政府委員 なかなか御納得いただけぬようでございますが、この点につきまして法律案をきめます場合に私ども関与した立場から意見を申し上げたいと思います。ただいま緒方局長から御説明申し上げておる通りでございますが、私どもは再建計画を作ります際にそれが七年間の予算であるようにきっちりしたものにはならぬだろうと思います。また事実それを作ることは不可能だろうと思います。相当幅があるものだろうと考えております。しかしその計画をつくります際に、後年度教育委員会の原案送付権の発動を見て摩擦を起すような計画は、知事としては作れぬ問題だろうと思います。教育委員会が後年度非常に摩擦を起すような計画を自治庁に持ってき、それを文部省に協議する、こういう余地が残されておりますから、事務部局では必ず後年度摩擦を起さぬような財政計画しか作れぬだろうと思います。そういう点で財政計画で作るワクが窮屈なものだとお考えになりますが、そういう御議論でございますが、実際上はやはり再建計画で作ります教育費の問題は、教育委員会の意向をくんだものにならなければ、後年度運用ができませんし、中央に持ってきた場合も中央政府の承認は得がたいものである、そういう点でこの法律はうまく運用されるだろうと考えて私どもはこの法案に賛成をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/20
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021・辻原弘市
○辻原委員 私は全く反対の見解を持ちます。あなたが今おっしゃられたように、七カ年の長期にわたるもので、もちろん数字的なものは出ないと思います。しかし今地方の教育費の中で問題になっておるのは、主として私は人件費の面ではないかと思います。建築費その他は国の補助もあり、これはいわば義務的なものであります。それよりも都道府県教育委員会の所管している人件費が一番問題ではないかと思う。そういう点について私は何も数字的なものを出さなくても一応の基準を計画の中で策定してくれば、優に七カ年はぴっちり行くわけです。そういうことは今からはっきり見通しておるわけです。定員とか給与の基準は大体大蔵省や自治庁がにらんでいた問題ではありませんか。そういう甘い考え方では、私はとんでもないことになると思う。それを国に持ってきて、自治庁長官が確かにそれについて必要と認める部分については修正するということになっている。修正する場合には各省に協議をするでしょう。しかしそれは各省に一応協議をして文部省の意向を聞くということになるが、文部省の意向それ自体が私は問題だと思う。教育委員会と文部省は何ら関係はないのです。文部省の意向を聞くから教育委員会の権限は大丈夫だ、そういうことはあなた方が何を言われんとするか、ちょっとぴんと来ないのですが、今度の自治庁のやり方、あるいはあなた方が文部省の意見も聞いてくれるから大丈夫だということは、中央集権の一つの考え方があなた方をしてそう言わせておると私はひがんでとっても差しつかえないと思う。そういうことだから、ますますこのやり口については安心がならないわけです。地方の教育委員会の教育委員が立てる教育政策を具現する教育費の中のどこに特殊性が生まれてくるか、ますます疑念が深くなる。どうでしょうか。政務次官は、財政計画は抽象的なものでそういうことは絶対に大丈夫だと言われるが、財政計画は数字的には抽象的なものかもわからぬ。しかしこの底を流れる一つの基本というものは、そう簡単に毎年度あっちへ返ったりこっちへ返ったりするようなものではないと思う。定員はほぼ何人とする、増加については何%認めるとかりにやられたらどうするのですか。七カ年動きませんよ。それをしもそういうことは絶対あり得ないとおっしゃいますか。一ぺんその見解を承わりたい。そういうことをその協議のときにはっきり入れるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/21
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022・寺本廣作
○寺本政府委員 御議論の中で文部省と県の教育委員会は何も関係がないという前提で話を進めておられるように思います。文部省はなるほど県の教育委員会に対して指揮監督することはできません。しかし報告を求めることはできます。また文部省の念願として県教育委員会の立場を十分擁護してあげたいと思っておりますし、それを擁護することは禁止されておらぬと思いますので、私はこの間において県教育委員会の立場を文部省としては十分擁護できる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/22
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023・辻原弘市
○辻原委員 私が関係がないと言ったのは、そういうふうにおっしゃられると、若干訂正をしなければなりません。私はその程度の関係しか持っていないということを申し上げたのです。文部省と教育委員会との関係は、法律上大臣が指揮監督するという抽象的な規定、あるいは文部省が教育所管の省として教育全般について、その立場に立ってやるという、そういう意味合いくらいしか持っておらぬ。法律的に具体的に教育委員会についての上部のいわゆる監督機関ではないということを申しておる。少くとも教育委員会が独立権限を持っておるという建前において、これは委員会の考え方が主であって、文部省はそれを推進し得る、ただ国策上の立場に立っておる指揮監督という程度である。また法律上許された年報その他報告、こういうものについて取り扱うだけにすぎないのであります。そのことは委員会と文部省との関係がどうだこうだというような議論の問題ではないと私は思う。そういう意味合いにおいて、そこから一歩進んで、あなたの言われるように、再建計画が文部省に協議されるときに、文部省がそのあれで発言をするから大丈夫だというようなことは、少くとも文部省がその上部の機関であるならば、私はその説はごもっともだと申し上げたいのです。そうじゃなくて、やはり独立機関の教育委員会に対して言うお言葉としては、これはちょっと違うのじゃないかと思う。そういう意味で申し上げました。その点については、あるいは私の申し上げたことが十分おわかりなさらなかったかもわかりません。ともかくこれは大丈夫であるから御安心をしてくれという政務次官の保証でありますが、その保証よりもむしろ法律的保証をほしかったということをこのときに申し上げておきます。同時に、今のは再建計画を策定する場合の問題ですが、それを一歩進めて、今言われました自治庁長官の承認を求める際の取扱いの問題についてのお話が今次官の方からあったわけであります。次の問題は結局予算の執行にからまる問題でありますが、それと同時にこの法律の中に予算についての調製の問題をうたっておりますが、この調製の問題と教育委員会法の五十六条以降六十三条に至る各条項の予算編成、予算執行についての委員会の権限、この条項は委員会の予算の編成、執行に対する独自の権能というものをきわめて強力に与えておる、委員会の性格の最も基本的な条項である、こう考えておりますが、これが予算の調製権とその次にある予算の執行について、いわゆる執行権限を剥奪されるかのような印象の、いわゆる長との執行についての事前協議、この問題との関係についてお考えを承わりたいのであります。委員会法に基けば委員会の送付にかかわる原案を削減する等の場合においては少くともその理由を明記しなければならぬ等、委員会について相当力強い規定がなされておりますが、これらのものは、長との事前協議ということによってほとんど意味をなさなくなるのじゃないかという印象が私には強いのでありますが、この点も絶対大丈夫だとお答えになるかどうか、承わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/23
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024・緒方信一
○緒方政府委員 長が予算を調製する場合に、財政再建計画に基いて調製しなければならぬ、この規定の関係でございますが、これは教育委員会としましては、予算の原案の送付権はございますので、何ら変更されておりません。予算の見積書を教育委員会が従来通り出しまして原案を送付する、この手続は変りはないわけであります。ただ長としましては、財政再建計画を立てる期間中は、その策定しました計画に基いて調製しなければならぬということは当然だろうと考えます。この間は教育委員会の原案送付権との関係はそこなうことはないだろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/24
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025・辻原弘市
○辻原委員 先ほどの局長のお話の再建計画を策定したときには、そういう法的保証がなくても、毎年次送付権があるのだから大丈夫だ、だからその幅において委員会の独自性というものは十分保持していけるという説明があったのですが、これは毎年次いわゆる策定計画が七カ年にわたってかぶさってくる。そうすると当該年次の予算を編成するに当って、少くともその調製権限が長にあるということは、送付権を持っておる委員会の予算であろうとも、それが再建の指定団体とするならば、当然それについてはすべて長が調整をはかるということ、その場合の長の考え方いかんによって、もし善意に立てばそれは何も問題がないことですが、こういうことは善意に立って物事を考えるよりも、逆にとって考えた方がわかりがいいから、私はそういう立場に立って申し上げるのですが、そうしたならば調整をしよう。その調整ということを裏を返していえば削減をしようという考えに立ってこれをやるとするならば、それは可能なんですか、それは一体どうですか。その保証はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/25
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026・緒方信一
○緒方政府委員 ちょっと私の説明は足りなかったのですが、今の御指摘の点は第三条の第五でありますか。これは「財政再建団体の長は、財政再建計画に基いて予算を調製しなければならぬ、」この点だろうと思います。この調製は予算を作るということです。調製の製という字は製造の製であります。そこで申しましたように、財政再建計画に基いて予算を長が作りますその際に、教育委員会の原案送付権あるいは二重建予算、この制度は全然変更がありませんので、長が調製をする場合に、教育委員会は、教育費の予算の原案を作ってこれを長に送付します。そうしますと長はそこで統合調製という意味だったと思いますが、これは統合調製のために教育委員会が予算の原案を送付することは、現行の法律に書いてある。その意味の統合調製は長がやる。これは現行法においてそう書いてある。しかしそこで統合調製がつかないで教育委員会の意見と折れ合わなかった場合には、教育委員会の意見を明記して議会に送付する、この点はかわらないわけでありまして、ただいま御懸念の点はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/26
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027・辻原弘市
○辻原委員 あなたの解釈なさっているのは、調製というのはいわゆる調達の意味に解釈なさっているのですか。そういう意味で単に作るというふうに解釈なさっているのですか。私はそういうふうには解釈していないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/27
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028・緒方信一
○緒方政府委員 単に作ると申しましても、整えるのではなく、製造の製ということを先ほど申し上げましたが、ですから先ほどおっしゃいましたようなそれで成立してしまう、その意向でまとめてしまう、こういうことではないので、調製の製というのは製造の製だということは前段として申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/28
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029・辻原弘市
○辻原委員 その点はっきりしておきたいのですが、字句がそうであろうがなかろうが、単に作るというふうにすなおに解釈されておるのか。単に作るというふうに解釈されておるとすれば、予算の編成権は特別一項をあげて書く必要はないと思う。これは単に作るというのですか。いわゆる調整という意味は含まれておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/29
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030・緒方信一
○緒方政府委員 財政再建整備計画に基いて調製するのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/30
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031・辻原弘市
○辻原委員 そうするとそのすなおな解釈でいきますと、ただその計画をつくった基本方針に従って、いわゆる予算を編成するという意味なんだ。こういう単純な意味合いで一項をあげたというふうに解釈して差しつかえありませんね。その点については将来疑義が生じませんね。長が特別うたわれているのだから、毎年次の予算について、最終的に長が権限を持っておるのだというようなことにはなりませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/31
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032・緒方信一
○緒方政府委員 その点は教育委員会との関係におきまして、今おあげになりました第五十六条における関係は、全然関係ありませんと私は解しております。財政再建計画に基いて、予算の調整をしますが、その際に原案送付権あるいは二重建予算と称せられるこの制度は生きております。従ってこの教育委員会の制度は生きております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/32
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033・野原覺
○野原委員 ちょっと関連して……。ただいま辻原委員と緒方局長との質問やり取りを承わっておりますと、ただいま辻原委員が質問いたしました財政再建計画に基いて、財政再建団体の長が予算を調製するという権、この点は教育委員会の予算原案の送付権を何ら拘束しない、こういうようなあなたの解釈でございますが、これは教育委員会の予算の送付権というものは、第三条の五を解釈して参りますと、全く有名無実になると私は思う。あなた方が自治庁との間に予算の送付権についてはいろいろ折衝して獲得された、こういう答弁もこの前の委員会であったわけでございますが、第三条の五をすなおに一つ読んでいただきたい。いやしくも初等中等教育局長ともあろう者がこの法文解釈ができないはずはないと思う。これはすなおに読んでみますとこういうことしかありません。「財政再建団体の長は、財政再建計画に基いて予算を調製しなければなりない。」というのでありますから、予算を調製する上に当って、これを拘束するものは財政再建計画なのである。だから財政再建計画というものを再建団体の長が立てて、議会の議決を経て自治庁長官の承認を得ているでしょう。それが拘束するのです。だから教育委員会が予算の原案を議会に送ってみたところが第三条の五によってこれは縛られてしまうわけである。だから私は五十六条の予算送付権が認められても有名無実であるということを言っている、この点どのように解釈せられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/33
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034・寺本廣作
○寺本政府委員 緒方局長の御説明でなかなか御納得がいかないようでございますが、私どもはこの法律案作成の過程におきまして三条の五は、これによりて自治体の長が教育委員会の原案送付の権限を奪う、それを削除する、制限するという意味には全然解釈いたしておりません。この点自治庁側にも疑義がございません。この第三条の五は、財政再建整備計画が赤字補填のための公債発行その他政府の援助を受けるための単なる青写真に終ってはならぬ。後年度まで財政再建団体の長をこの程度は拘束するという規定である。これでこの長に教育委員会の権限を奪うことを根拠づけた法律であるとは解釈いたしておりませんので御了解をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/34
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035・野原覺
○野原委員 今次官はそういう解釈をされますけれども、すなおに言って私は再建団体の長は再建計画に基いて調製をしてくると思うのです。そうすると幾ら教育委員会が予算を送付しても自治庁としては監督権を発動いたしまするから、再建計画というものを重視して参ります。そうなると再建計画に基いた調製ということが重要になって参りまするから、教育委員会の予算送付権というものは有名無実なのです。これは三条の五によって送付してみたところでどうもならぬ。五十六条は全然文部当局の皆さんが自治庁と交渉して何か獲得されたような顔をなさるかもしれませんけれども、これは完全に自治庁から一本明らかにごまかされている。三条五によって予算送付権は実質的に生きる面がどこにありますか。再建計画に基いて調製するということが重大なのです。再建計画に基いた調製ということになれば、教育委員会の予算送付権は何にもなりません。その点政務次官はそういう私のような解釈をとらぬという御意見でございますか、重ねて私にもう少し納得のいく御説明をしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/35
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036・寺本廣作
○寺本政府委員 先ほど辻原さんから盛んにお話がありました。その点にまたもどってきたように思います。計画自体が非常に窮屈なものである場合に、原案送付権があってもその原案送付権が生きてこないじゃないかという御趣旨であろうと思いますが、先ほどから申し上げました通り、教育委員会の原案送付権は生きている、そのためにこの再建整備計画を作ります際、後年度において教育委員会と議会、自治体の長との間にいろいろ問題が起るような再建整備計画はなかなかできにくい。まして計画を作ります際に、それは自治体の長だけでできるものでなく、自治庁長官の承認が要る。その承認にはやはり文部大臣との協議が残っておるというようなことで、文部大臣と教育委員会が連絡をとれば、なかなか教育委員会の意見を無視した再建整備計画もできがたいということで、再建整備計画自体がそうゆとりがないものにはならぬだろう、運用上は円滑に動いていくだろう、こういうことで私どもは考えておりますので、その再建整備計画に基いて長が案を作る。その長が案を作る際には、原案送付権が生きておりますから、その間に教育委員会と自治体の間に適当に交渉が行われて、この案が円滑に推進されていくだろうと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/36
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037・野原覺
○野原委員 非常に関連がありますから……。文部大臣と自治庁長官がこのような予算を編成するときた協議をするとあなたは申されますけれども、一体どこに法的に協議をする根拠があるのですか。それは道義的には同じ内閣の自治庁と文部省でございますから、相談がなければ、閣議で文句を言おうというお考えかもしれませんけれども、法的にいって、事、都道府県の教育財政に関する点について、私はこの再建整備をするについて文部省の意見を自治庁長官が聞かなければならぬということはないと思う。その法的根拠をお示し願いたい。今政務次官が言われた点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/37
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038・寺本廣作
○寺本政府委員 年々の予算編成について、自治庁長官が文部大臣に協議を要するということを申し上げたわけではございません。財政再建整備計画の承認について申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/38
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039・野原覺
○野原委員 その点について、どういうような法的根拠がございますか。財政再建整備計画の承認について今云々と言われた、その個所についての法的な根拠。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/39
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040・緒方信一
○緒方政府委員 第三条の第二項であります。「自治庁長官は、前項の規定により財政再建計画を承認しようとする場合において、当該財政再建計画のうちに、各省各庁の長が所掌する事業で国が負担金、補助金その他これに類するものを支出するものに係る部分が含まれているときは、あらかじめ、当該負担金等に係る事業を所掌する各省各庁の長に協議しなければならない。」発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/40
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041・竹尾弌
○竹尾委員 この種の法律を今まで私ども大いに審議して通して参りましたが、いつもこんな問題が起ってくる。疑義を差しはさまれるような点については、これは当局はそういうことはないであろうというようなことで、いつもごまかしてきたのです。ところがその後法律が出てみると、どうもわれわれの心配したようなことがしばしば協議もされ、またわれわれの意思に反したような決定がなされてきておるのです。だから今の条文の解釈は、常識的に考えて、二人の委員諸君の言われたように解釈するのが私は至当だと思うのです。今、政務次官そういうことを言われますが、自治庁長官と文部大臣というのは、いかなる場合でも仲のいいような場合はなかったのです。これは始終けんかしてきておる。そんな政務次官の考えられるような甘い結果に達したことは、私の経験によれば、今までそういう例はございません。でありますから、これは結局において予算原案送付権などは完全に排除されてしまう。それは局長、幾ら首をかしげたってそうなんです。そこでこういうことはできませんか。この際教育委員会の予算送付権は原則として認めるとか、これを排除しないとか、こういう一項をこの中に加えれば、それは何とか生きてくるのです。このままだと、われわれの心配しているような事態が必ず起るから、見ててごらんなさい。そこを心配しておる。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/41
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042・寺本廣作
○寺本政府委員 竹尾さんから非常に御親切な御注意がありまして、私ども自治庁との交渉で苦い経験をなめておりまして、非常に思い当ることがございます。しかしこの第三条第五項の「予算の調製」ということに限りましては、自治庁との交渉の経過にかんがみましても、またこの条文の字づらから申しましても、これで教育委員会の原案送付権を制限したというようには、向うでも解釈する余地はあるまいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/42
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043・竹尾弌
○竹尾委員 それは交渉の経過において、ただいまあなたが政務次官で、向うは川島正次郎さんが自治庁長官だということで、お話のやりとりはそれでいいかもしれません。しかし速記録には残っておるかもしれませんが、そういうことは一時のこの場限りのことであって、これが大臣がかわり、政務次官がかわれば、そういう解釈はしないかもしれません、しないのが当然だと思います。そういう点を実は心配しておるので、もっとはっきりうたい出す方法がないか、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/43
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044・緒方信一
○緒方政府委員 私は政務次官のお答えを補足しまして、法律的な条文の関係をちょっと申し上げてみたいと思います。先ほどからお話のありますように、第三条第五項は「財政再建団体の長は、財政再建計画に基いて予算を調製しなければならない。」この「基いて予算を調製しなければならない。」というところに、意味があるのでございます。しかしながら権限の問題から申しますと、予算の調製ということは長がやることである。現行地方自治法におきましても、二百三十四条において「普通地方公共団体の長は、毎会計年度歳入歳出予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない。」予算の調製権はもちろんその長にある。教育委員会の方は予算を調製するわけではありません。教育委員会は予算を調製される場合に、原案を送付する。従いまして今度財政再建計画に基いて地方団体の長が予算を作ります場合も同じことでありまして、これに対しまして教育委員会の方から、教育委員会の予算原案を送るわけであります。そうしてそれを五十七条におきてまして、その送りました原案に対しまして「教育委員会の送付に係る歳出見積を減額しようとするときては、あらかじめ教育委員会の意見を求めなければならない。」あるいは五十八条におきまして、長が今の「歳出見積を減額した場合においては、教育委員会の送付に係る歳出見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記するとともに、地方公共団体の議会が教育委員会の送付に係る歳出額を修正する場合における必要な財源についても明記しなければならない。」これはこの通り生きて参ります。従いまして二重建予算という関係は、教育委員会が長に対しての関係ではなく、議会に対する関係でありまして、長が予算原案を調製し、それに対して、今申し上げたような手続によりまして意見の調整ができない場合には、その二つの意見が議会に持ち込まれ、議会において最終的に決定する。この仕組みは一向変りはないわけでございます。ただ第三条第二項の規定は、個々に予算を調製するはもちろん長であるけれども、その場合に財政再建団体でありますので、再建計画に基いてやるということであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/44
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045・野原覺
○野原委員 関連して。緒方さん、その場合に再建計画というものが予算を縛る絶対的な力を持っているのではないか。これを言っているのですよ。再建計画というものがこの予算々縛る絶対的な力を持つということになれば、教育委員会が予算を送付してもそれはむだではないか、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/45
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046・緒方信一
○緒方政府委員 これは財政再建計画におきまして、おそらくその全体の財政規模というものは、その団体についてはいろいろ計画が立つと思います。しかしこれは予算じゃありませんので、毎年の予算に対しましては、そのワク内において教育費は具体的に幾らということはその予算においてきまるわけでありますから、その際に私が申しました原案送付、二重建予算の制度はこれは生きてくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/46
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047・野原覺
○野原委員 形式的には教育委員会が予算送付はできる。五十六条は何らこれは法文の上でも拘束を受けておりません。形式的にはできるけれども、それは形式的に議会に送付しただけであって、幾ら議会に送ってみたところが、すでに自治庁長官が再建計画を承認して、都道府県の財政というものが規定されていくんでございますから、再建計画に基いて首長が調製したのだ、こういうことになりますと、議会が取り上げようがなくなるのです。再建整備促進法による財政再建計画というものがこの予算を圧倒的に、絶対的に拘束してくる力を持っておるのです。だから委員会の送付権はこれはやりますよ。やったって何ら議会は取り上げようがないのです。これを取り上げて議論をしてみたところが、自治庁長官が最終的な権能を持っておるのですから、七カ年の間は何も意味ないじゃないかということを言っている。あなたは意味があると言いますけれども、議会が取り上げてこれを一体審議することができますか。できたって教育委員会の送付権というのは議題にも上らぬですよ。そういう点が私は自治庁から文部省はごまかされておると思う、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/47
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048・緒方信一
○緒方政府委員 どうも同じ御答弁を繰り返すことになりまして恐縮でありますが、その財政再建計画という、その幅のある財政計画の中において、毎年の予算をきめていく。でありますから、毎年の予算の調製の場合にこれは教育委員会の側の意見を反映するということになっておりますから、そういう解釈をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/48
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049・並木芳雄
○並木委員 関連して。卑近な例をとってお聞きしておこうと思う。つぶれかかった会社が、例のこれは再建何とかという法律がありますがあれと同じです。これはつぶれかかってどうにもこうにもしようがないから、ここで再建計画を立てて救って下さいという、そういう自治体になってしまった場合を考えなければならない。今の場合はおやじとおふくろとが相談して、どうにかうちの財政を切り盛りする。これは教育に幾ら回そう。むすこは大学までやろうじゃないかという計画ができてる場合のことを考えているけれども、おやじとおふくろではどうにもならなくなって、外部の借財がかさんできたから、一つ何とか借金をたな上げしてまけてくれませんかという、債権者に対する一つの計画を立てたという一家の財政にたとえられる。そのときてにだれがオールマイティを持っておるかというと債権者だ。一々おやじさんといえどもおふくろさんといえども、債権者の鼻息をうかがわなければうちの中の財政の切り盛りができません。それを言っているのですよ。その場合に子供の切なる願いというものは——教育委員会を子供にたとえちゃ悪いですけれども、奥さんからだんなさんにあれするか。そういう例をとってもいいと思う。要するにそういう切なる願いが出ても、外部の者がそれはむだ使いだ。子供を大学までやるんだったら、そんな金があったら、その金をこちらに回しなさい、返しなさい、こういう場面が出てくることを私は憂えておる。それとぴたりと合っている話じゃないか。そこまでお考えになっておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/49
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050・寺本廣作
○寺本政府委員 例を引いての御質問でございますが、先ほどから申し上げます通り、財政再建整備計画の計画作成の過程では、後年度における予算編成権がやはり生きてくるということが一つ。それから自治庁が監督いたします場合に、府県の教育委員会との連絡をとることによって、文部大臣に発言の機会がある、それで再建整備計画自体が教育委員会の立場を無視したものはできにくい、その再建整備計画も七年間の予算そのものを組むのでなくて、ゆとりがある計画になるということ、こういう点から教育委員会の後年度における原案送付権が全然死んでしまうというふうには考えない。やはり生きてくると私たちは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/50
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051・並木芳雄
○並木委員 文部大臣に協議するといいますが、文部大臣が承知しなかった場合はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/51
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052・緒方信一
○緒方政府委員 これは現在の法律の法文にある規定でございますが、協議がととのわなかった場合にはやむを得ない。それは事実上協議をするというのはその調整をはかろうということであります。これは今までの条文にもあることであります。法律的には差しつかえないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/52
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053・並木芳雄
○並木委員 大臣に申し上げますが、今再建の法律に関連して教育委員会の権限の問題について各位が心配されて質問をされておる。で、私も聞いたのですが、これはやはりよほどしっかりしないと大へんな内容の法律です。たとえば今私が聞いたのは、大臣に自治庁長官が協議するというけれども、文部大臣がそれを承知しなかった場合にはどうなるかといえば、それはやむを得ない、泣き寝入りだ、こういうことになってしまう。それからもう一つ、政府委員のさっきの答弁の中に、教育委員会の意見を聞かなければならないという項目があると言いましたが、その場合に教育委員会がその言うことを聞かなかったらどうなりますか。教育委員会の意見を聞いて作らなければならぬということがあったでしょう。そのとき教育委員会の方でノーと言った場合はどうなりますか。それはやはり教育委員会の力は抹殺されてしまうのではありませんか。その二つの場合いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/53
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054・寺本廣作
○寺本政府委員 大臣にお留守中の今までの皆さんの御質疑と私たちとのやりとりの経過をまだ申し上げておりませんので、私からお答えいたします。財政再建整備計画を自治庁長官が承認するに当って文部大臣と協議する。協議がととのわぬ場合にはどうするか、こういう点がお尋ねの中心だろうと思います。単に意見を聞くということでございませんで、閣僚の間で協議がととのわなければ自治庁長官は承認ができない制度でございますので、その点は御心配は御無用だろうと考えております。協議がととのわぬ場合には、自治庁長官は財政再建整備計画の承認ができなくなる、かように解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/54
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055・辻原弘市
○辻原委員 大臣にお伺いいたしますが、今までいろいろと具体的にお伺いをいたして参りましたが、釈然といたしませんし、この法案について、委員会の権限を大幅に制約するという面が大きく浮び上ってきたように私たちとしては考えられます。と申すのは先ほど最初に大臣に申し上げましたように、再建計画を立案する際に、委員会との間には何らの法的保証なくしてそれが行われる。委員会の法的保証がなくして再建計画が立案され、しかも毎年次の予算の策定に当っては、その再建計画に基いて、それぞれの団体の長がその調製に当る。さらにそれの執行の部面に至れば、再建計画に関係する分についての執行の権限は、従来委員会が独自に執行していた部分も、これはあらかじめ必ず長と相談の上、この執行に当らなければならぬ。さらに最後にはその執行の適否がどうである、こうであるについては、自治庁長官が監督権をもって、不当なる予算であると自治庁長官の判定した場合には、その執行の停止もしくは修正を行わしめることができるというようなことは、委員会の持っている送付権その他の権限を最初から終りまで全部制約してしまうというような一連の考え方に立って法案ができていることは間違いのない事実であります。この点についてもなおもし監督権はりっぱでございますというふうに大臣がお考えになって、再建のためにこの法案の成立に協力しなければならないという御所存を本心から大臣としてはお持ちなさっているかどうか、われわれこの文教の側に立つ者としてははなはだ合点がいかぬのでありますが、大臣としてはそういうお考えで終始されるつもりかどうか。この問題に関してこの点を最後に承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/55
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056・松村謙三
○松村国務大臣 私は、これくらいのことは地方の財政の危機を救うためにはやむを得ないことと考えておるわけでございます。それはなぜかと申しますと、それだけ権限が少くなったということなんでありますけれども、財政整理の計画を立てますときには、今政務次官が申した通りに、やはりある程度大体のことは文部大臣にも協議をする。そして協議が整わないならば、その案はそのままになってしまうわけであります。そうしてそこでできたものによって、その長が年々の予算をそれによって調製をしようという。調製しようといいましてもその計画ににらみ合せてみるのでありますが、教育委員会の権限は何も侵されておりませんから、今でもやはりその地方の知事などは自分の計画をにらんで、この教育委員会などの計画を承知できる、できぬ、こうなるわけですからそう大した相違はありません。そうしてかえって両者の間によく話し合いができて通りますならば、円滑な文教の運営もでき得るということで、そう考えまして、この程度のことは譲ってもいいのじゃないか。決して教育の大本を侵すものではない、このように心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/56
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057・辻原弘市
○辻原委員 大したものでないかどうかについては、われわれとしてはなお検討をいたさなければなりませんが、時間も経過いたしますので、一応大臣の御見解を承わって後日の問題にこの点は譲りたいと思います。
次に、他の問題でありますが、この機会に承わっておきたいのは、先般参議院の予算委員会でありましたか、鳩山総理が、委員会制度万般について検討する用意があるかのような発言をなさっておりましたが、これについてそうした御相談が文部大臣との間に行われたのかどうか、これが第一点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/57
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058・松村謙三
○松村国務大臣 その相談はまだ総理大臣から承わっておりません。どういう場合に総理がお話しになったのですか。文部省だけの委員会についてのお話であるか、日本の行政機関のすべての委員会制度についてであるかは、その話を聞いておりませんからわかりませんが、文部省につきましては今それを一々検討して、この委員会をどうしようという具体的な案は持っておりません。ただいかにも法制によるところのものはやむを得ませんが、その法制によらざるものが非常に煩瑣であり、能率の上らないおそれもないではありませんから、法制によらざるものを合わすとか、まだどこか改廃して簡素化する必要はあるいはあるのじゃないかと自分だけで考えております。それは総理大臣の言われたのと関連性があるわけではございませんから、さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/58
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059・辻原弘市
○辻原委員 私の質問があるいは悪かったかもしれませんが、各種の委員会ではないのです。教育委員会の制度について総理がそういう発言をなさっておるが、一体それは大臣としてはどうか、こうお尋ねしたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/59
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060・松村謙三
○松村国務大臣 それならば私もその席におりましたことでもありまするし、それはこういう意味でございます。教育委員会制度全体についてはいろいろの議論もあるから白紙において再検討をする、こういう意味でござまして、それはかつてこちらでも並木さんの御質問に対してさように申し上げておった程度でございまして、そういうことであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/60
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061・辻原弘市
○辻原委員 同時に、これは過日の新聞でありますが、文部省の検討した結果の意見として発表せられておった教育委員会制度の改正に関する案であります。これは特に地方教育委員会の問題に触れておりましたが、この地方教育委員会の問題についてそうした最終的結論を出されたのかどうか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/61
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062・松村謙三
○松村国務大臣 私その新聞を見ておりませんが、私に関する限り何らの成案を持っておりません。国会でも終って時間を得ましたらばまずそれから研究をいたそうと思っておりますので、ただいまは何らの案を持っておりませんことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/62
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063・辻原弘市
○辻原委員 そうすると新聞に発表せられておった問題、この詳しい内容は、時間がかかりますので私申し上げませんが、地方教育委員会の制度を相当大幅に改正するという内容でありましたが、それについては何ら文部省の関知しないところで結論は出ておらない、これは今後検討していく、こういうことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/63
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064・松村謙三
○松村国務大臣 私存じませんけれども、何かそういうことを委員会等に諮問してその答申などが出ておるというようなととがあるかもしれません。しかし私の存じておりますところにおいては、そういうことは承わっておりませず、私自身もそういう研究を今するひまもないので、白紙でこれから取りかかろう、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/64
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065・緒方信一
○緒方政府委員 ただいま大臣が答弁されました中の、前の委員会かどこかに諮問した意見があるだろうというお話、これは私ちょっと時日を失念いたしましたけれども、ずっと以前でございますが、中教審に諮問して中教審の答申があったことは事実であります。しかしこれはただいまお話しになりました新聞の問題とは全然無関係であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/65
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066・辻原弘市
○辻原委員 今の問題も結論が出ていないということでありますので、これは後日に譲ります。
次に大臣にお伺いいたしたいのは、本日閣議を持たれたようでありますが、去る十五日の閣僚懇談会におきまして、先般も当委員会で質疑が行われましたが、目下非常に問題となっておる特に地方公務員の夏季手当の増額についてでありますけれども、この点についての最終的な結論が本日の閣議において出たのかどうか、これをお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/66
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067・松村謙三
○松村国務大臣 一応の話し合いはできておりますが、ただ地方公務員にそれがどうして行き渡るかという点につきましては、いま少し検討を要するものがございますので、きょう完全に話がそこまで行っておりませんことを申し上げざるを得ないのでありますが、この間の閣僚懇懇会もあの線についていろいろ何がありましたけれども、それを再確認をいたしたという程度であることをどうぞ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/67
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068・辻原弘市
○辻原委員 閣僚懇談会の結論を再確認されたということらしいのであります。というのは支給金額のめどは〇・〇五、支給する方法としては超過勤務手当の繰り上げ、それから地方公務員については十億の短期融資、こういう話であったと思うのですが、そういうことなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/68
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069・松村謙三
○松村国務大臣 大体そういうことだと心得えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/69
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070・辻原弘市
○辻原委員 大体そういうことだという話でありますが、ここでいろいろ御努力をなさっていらっしゃられると思うのでありますが、問題は〇・〇五ということになれば、これは金額的に見たって一人当り八百円か八百五十円そこそこのものでありまして、この程度のものは少くとも私はきまった以上、これは国家公務員、地方公務員全体に行き渡るようにするくらいのことは当然政府の責任でもあり、特に地方公務員の大多数を擁しておる文相とされては、何かもう少し具体的なめどを今日に至っておつけいただかぬ限りは、われわれとしてもちょっと不満の意を申し上げなければならぬと思うのであります。十五日から今日まで全然話が進展してないということは一体どういうことなのでしょうか。十億の短期融資が一応決定を見たということになれば、それを地方にどう流して、また地方公務員についてはどういう名目でもってこれを支給するかのめどくらいは今日もう立ってもいいのではないかと思いますが、そういう点については何ら考慮されていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/70
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071・松村謙三
○松村国務大臣 お話の点につきましては、今日までおくれたことは実際私といたしましても非常に遺憾に思うのでございます。お話の通りでありますが、なかなか役所の間の話し合いがつきませんで、こういうことになったのでございます。わずかのことでありますが、できるだけそれが徹底することができますようにこれからも努力をいたし、そして時期も早くいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/71
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072・辻原弘市
○辻原委員 一番問題は、やはり短期融資をいたしましてもこれは従来ならばいざ知らず、御承知のように先ほど御論議された再建整備法なども出て、いわゆる地方財政の問題が問題にされておる時期なので、融資をしたからといって都道府県が必ずしも出すとはわれわれ考えられない。少くとも昨年年末の際に、今考えられておると同じような方法でもってした場合の事後の処理を見ても、やはり十県ばかりは全然国の措置に反して手をつけていない。それが本年になれば、おそらくただ金を貸してやるというような程度だけでは、それは支給しないというのが地方の側の動きじゃないかと思うのですが、そうしたことになれば、これは国家公務員、地方公務員に非常に不平等な取扱いができるわけです。何らかここで地方が出し得る措置を私は特に文部大臣にも御努力願いまして、真剣に考えていただきたいと思うのです。それを解決する道は、結局財源措置する以外にはないということなのです。しかしその点は非常に大きな問題にもなりまするが、何らか方法がありそうだと私は思う。十億の金を融資して、何か政府で責任を持ってその程度のものは保証するという形のものは生まれるのじゃないかと私は思うのです。それができれば方法等については簡単に解決がつく、こう私は考えておりますが、そこの踏み切りがまだおできにならぬと私は拝察いたしておりますけれども、それを解決しなかったならば、これもまた有名無実になることは間違いなしです。一つその点について大臣の御決意ありやいなやをお伺いして、私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/72
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073・松村謙三
○松村国務大臣 年々こういうことをなくしていく方法を考えるのが根本的の問題だと思うておりますが、今の間には合いません。それで今日の場合に、速急に何とかできるだけのことをいたしたいと思うて努力をいたしておるような次第でございます。これ以上はどうか一つお許しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/73
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074・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 野原覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/74
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075・野原覺
○野原委員 まず最初に、質問の蒸し返しになるかもわかりませんが、事は重大でございますから、私は教育委員会の制度と財政再建整備法について二、三お尋ねをこの機会にいたしたいと思うのであります。
まず第一に、教育委員会の制度の問題は、ただいま大臣から御答弁がございまして白紙に立って再検討をする、こういうようなことでございますが、これはただいま初中局長が申されましたようにすでに中教審が答申をいたしておるのであります。従って大臣としては中教審の答申について再検討をされるということであるのか、それとも白紙に立って委員会制度をもう一度あらためて何らかの機関に諮問をして再検討していきたい、こういうことであるのが承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/75
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076・松村謙三
○松村国務大臣 それはそういう委員会の答申もありますが、その後の情勢の変化もございまするし、また各党の間にもそれぞれこれに対する一定の考え方もきまっておるところが多いようでありまするし、それらをすべて総合して検討をいたしまして、今日の実情と合せて最善の案を得たいと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/76
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077・野原覺
○野原委員 そういたしますと大臣といたしましては、これは何らかの機関に諮問をされる——重ねて中教審にとは申しませんが、何らかの機関に諮問をするというようなお考えですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/77
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078・松村謙三
○松村国務大臣 それはまだ正確には申し上げかねますが、やはり私どもといたしましては一定の役所において研究をいたしまして、そうしてその成案を前の委員会に諮問をいたして、そして練り上げるのが順当ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/78
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079・野原覺
○野原委員 そこでまた重ねてお尋ねしたいのですが、再検討をなさるということは再検討の必要性をお認めになるからであろうと思うのであります。どういう点について今日の教育委員会制度は再検討をしなければならないか、大臣としては一定の結論は今お持ちでなくとも、それから方針というものは今お立てになっていらっしゃらなくても、文部大臣としてどういう点に教育委員会制度は問題がある、こういう大ざっぱなところでもけっこうでございますから、再検討の必要、どういう点が必要なのかということを一つお聞かせいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/79
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080・松村謙三
○松村国務大臣 それを概括して申しますと、あの制度ができまして今日までには、どの政党においてもこれを改めるべきであるという前提のもとに研究が行われておる。申さば一つの世論であると申してもいいと考えます。また実際の問題といたしましても人事がきわめて小範囲に行われるものでありますから、人事の沈滞とかその他いろいろの面において改善を要する面もあるように考えます。従いましてこれは一つ再検討をすべき機会に到達いたしておると思いまして、白紙の上に立って検討をいたしてみたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/80
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081・野原覺
○野原委員 今日の教育委員会制度の最も特色といたすところは、すでに大臣も御承知のように教育行政というものが一般行政から独立をしておる。それから中央の行政にこれが所属しないで、教育委員会法の第一条にある点、教育委員会の独立性といいますか、自主性と申しますか、そういうところにあろうかと思うのでございますが、そういう教育委員会の目的として第一条に規定せられておるような根本についてまで再検討をなさろうというお考えですか。それとも公選制を任命制にするとか、あるいは地方教育委員会が人事その他について小範囲であるから、行政規模も小さいし、財政能力もきわめて貧弱であるから、これらの問題も何とか考えなければならぬというような、そういう程度の再検討の必要をお認めになるのか、抜本的にこれを再検討しなければならぬという本質にまでさかのぼった再検討であるのかどうか、その点一つお聞かせいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/81
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082・松村謙三
○松村国務大臣 教育の大本につきてましては憲法なり教育基本法なりにきまっておることは申すまでもない。それを地方教育委員会にまたうたわなければならぬかなどということは、これはまた別問題でありますけれども、流れはずっとそういうふうにいっておるわけでございますから、教育委員会の制度を再検討するということになりますれば、そういう根本のものとも関連をいたしておることはもちろんであります。表現の仕方はどういうふうな仕方をするかはわかりませんけれども、今憲法、教育基本法の中にある流れは、これはもうあの教育委員会法の第一条などはそういうことを繰り返しておるようなことでありますので、それを繰り返す必要があるかないかは別問題として、考え方は別に何も変ったことはないと思います。そういうことでありまして、せっかく検討をしますならば、地方に与えられた制度をどういうふうに運営するのが最善であるかということを見ていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/82
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083・野原覺
○野原委員 御承知のように去年の十月が教育委員の改選期であったのであります。その改選期にあった教育委員の選挙が二カ年延長になりまして、来年の十月に改選ということでございますが、大臣としては教育委員会制度について再検討を加えられた結果いつごろ大体の結論を出さなければならぬという、そういうめどでもございましたらお示し願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/83
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084・松村謙三
○松村国務大臣 それはきっぱり申し上げることができると思います。検討の結果何ら変改を要しないということになりますならば、それできっぱりと来年の選挙に臨むわけであります。さようでなくて変改を要するというならばどうしてもこの冬の議会にこれを提案をして冬の議会で御決定を願わなくちゃならないと心得ましてそれを目途といたして研究を進めたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/84
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085・野原覺
○野原委員 そこで私は辻原委員が先ほど質問いたしました再建促進と教育委員会の関連について重ねてお尋ねをいたしたいのでございますが、先ほどの辻原委員の質疑に対して大臣は財政再建促進法は、教育委員会制度の根本を何ら侵害するというがごときものではない。教育委員会の根本には影響がない、こういう御答弁があったように思うのであります。私どもは遺憾ながら大臣の御答弁とは全く反対の見解を持っております。今日の教育委員会制度の根本を大きくゆるがすところのものが、今回の財政再建促進法である、こういう考え方を持っておるのでございますが、教育委員会制度の根本に影響がないと大臣の言われるその根本とは具体的に一体何をさしていらっしゃるのか。教育委員会制度の根本とはどういうことでございますかお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/85
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086・松村謙三
○松村国務大臣 私の申しますのは、地方教育委員会の従来の権限、予算の編成に関する権限などのような重大なことは侵されていない。それからこの教育委員会が必ずしも独立の立場を失っていない。小さいことについては、——小さいといってはいかぬかもしれませんが、予算の執行に対して協議をせよなどというようなことには多少譲っておる点もありますけれども、地方と協調する意味においてその程度のことはあってよろしいのではないか、このように考えておりましたから先刻辻原さんにあのようなお答えを申したわけであります。もしも今度教育委員会の制度を再検討いたしますならば、そのときにはまたそのときの新しい構想のもとにいかにして教育の立場を守るかということについては慎重に研究をしなくてはならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/86
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087・野原覺
○野原委員 先ほども私ちょっと申し上げましたように、教育委員会制度の根本というものは、教育の一般行政からの独立、この点が非常に大きいかと思うのであります。そう考えて参りますと、今回の財政再建促進法によれば、予算外の作成に当って果して教育委員会の意思が認められておるのかどうか、これは大臣及び事務当局から御答弁を願いたいのでございますが、教育委員会は予算の作成についてどれだけの保証が今回の財政再建促進法で与えられておるとあなた方はお考えなのか、尋ねてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/87
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088・松村謙三
○松村国務大臣 局長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/88
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089・緒方信一
○緒方政府委員 財政再建団体が予算を編成いたします場合に、教育委員会法の第五十六条以下の教育委員会の権限は何らそこなわれていない、かように考えておりますので、この点は先ほど来御説明申した通りであります。予算の調製は長がいたしますけれども、その調製をいたします場合に、教育委員会が教育費の予算の原案を送付し、それを首長のもとで調整をいたしまして、そうして意見が合わない場合に議会の議決に持ち込む。この点毎年の予算につきましてその通りになっております。従いましてその点は十分確保されていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/89
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090・野原覺
○野原委員 再建整備法の第二条が問題になってくるのでありますが、第二条によれば教育予算については教育委員会が責任があるわけでございますけれども、首長がその教育委員会の意思というものを無視されてこの予算の大綱が作られた場合に、一体教育委員会としてはどういう保証でこの首長に当ることができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/90
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091・緒方信一
○緒方政府委員 ただいま申しましたように教育委員会としましては教育費に関します予算の原案を作ります。そうして首長に送付をするわけであります。そこでもし意見がととのわない場合には、これは議会の議決に付するわけでございまして、両方の意見を議会に持ち込んでその団体の総合的な意思として、団体が最後的にこれを決定する、かようになっておるのが、いわゆる教育委員会の原案送付権あるいは二重建予算といわれる制度です。この制度が残っているということを先ほどから申したわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/91
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092・野原覺
○野原委員 具体的にいかなければ質問がピントをはずれるように思いますから、一ぺんこの三条を読み上げてみましょう。第三条の後段をごらんいただきたいのでありますが、「自治庁長官は、その財政再建計画による財政の再建が合理的に達成できるように、当該財政再建計画に必要な条件を付け、又は変更を加えた上、当該財政再建計画を承認することができる。」こういうように書いてあります。そこで問題は、この首長が財政計画を立てるでしょう。これを議会にかけるでしょう。議会が承認したものを自治庁長官に持っていって承認を求めなければならぬということになると思うのです。そのときに首長か議会に再建計画についての原案をかける場合に、教育委員会の意見を無視してかけた場合、これは教育委員会としては、教育委員会の意見を付して議会に送ることができるというのがあなたの解釈だろうと思うのです。そうですか、まずその点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/92
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093・緒方信一
○緒方政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、毎年の予算を編成します場合のお話を申し上げたわけでありまして、その関係は現行法と少しも変っていないわけでございます。その点を先ほどから御説明いたしているわけであります。ただ財政再建計画につきまして、自治庁長官の承認を受ける、あるいは自治庁長官はそれに対しまして今お示しのようないろいろな条件をつけることもありますけれども、そういう場合には関係各省庁の長と協議をしなければならぬわけであります。従いましてその点におきまして教育関係の意見が十分反映されないというようなことはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/93
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094・野原覺
○野原委員 その場合に条件や変更を加えて、そして自治庁長官が承認するという場合に、文教予算については文部大臣と協議をするということにはなろうと思いますけれども、文部大臣の権限というものと教育委員会の権能というものは、これは異なる。それで幾ら文部大臣と自治庁長官が協議をしてみたところが、教育委員会の独立性がそれによって保たれたとは私どもは考えることができてないのです。首長がその財政再建計画を立てた、そうして自治庁にそれを持っていったら自治庁で条件をつけ、あるいは変改をされて承認をされる、そういうことになれば、自治庁長官と首長だけによって教育財政というものが規定されるのじゃないか、こういう疑問があるのでございますがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/94
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095・緒方信一
○緒方政府委員 この点につきましても、先ほど来御答弁申し上げております通りに、事実上まず再建計画を立てます場合にも、教育委員会の意見を無視してこれが立てられるということは、これはなかなかあり得ないことであろうと考えております。それと同時に文部省と地方教育委員会との連絡におきまして、十分な意見の調整をはかりまして、その意見に基きまして、その承認の場合の協議に応ずることになりますと、これは事実上やはり教育委員会の意見もそこに生かすことができる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/95
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096・野原覺
○野原委員 その点が根本的に違うのです。あなた方は教育委員会の意思を無視して再建計画は立てられないであろう、こう思いますけれども、あなたの御答弁にあるように、であろうでありまして、これは将来今日の都道府県知事の教育委員会に対する考え方というものは、全体的とは申し上げませんけれども、そういうような知事が相当多いわけです。そういうように教育委員会の意思が無視された場合に、教育委員会の無視が絶対に無視されないという保証が、どうも薄弱なんです。これは辻原委員もるる指摘しておりましたように薄弱です。ですからこの点について、竹尾委員が先ほど申しました教育委員会の意思をもっと考えてやるような、教育委員会制度というものが現在あるのでありますから、これが変改されないよう教育行政、教育財政についての責任機関である教育委員会の意思を再建整備法の中でもっと認めてやるような修正を、責任のある文部当局としては考えるべきではないか、この点についてどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/96
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097・緒方信一
○緒方政府委員 これは交渉の経緯を申し上げることはいかがかと存じますけれども、いわゆる教育委員会の原案送付あるいは二重建予算の制度をはずすことになりますと、これは今お話のように教育委員会の権限を非常に大きく侵すことになりますので、この点につきまして私どもは反対をいたしまして、その点はここにありますように原案から消えております。そこで教育委員会の権限というのは毎年度の予算を組みます場合に十分発言の機会を与える、その権限があるというところに私は予算編成の上におきます権限としては特色があると考えております。そういう制度が特にこういうふうに作られておるわけであります。その点に関しましてはこの法律は全然触れておりません。各団体の首長と教育委員会との権限関係につきましては、現行法と少しも変っておらぬわけであります。そこで財政再建計画は相当幅があるだろうということを先ほどから申しておりますが、その幅がある計画の中におきまして毎年の予算が具体的にきめられ、その機会に教育委員会から十分発言をさせる、これは大事であろうと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/97
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098・野原覺
○野原委員 議会にかけるであろうその再建計画の原案というものは、これは首長がきめるのですね。首長が原案をかけますから、そのときに首長が議会にかけるところの原案について教育委員会の意見を聞いてくれたらよろしい。教育委員会と協議してくれたらよろしいのでありますけれども、協議しないでかける。これは協議しないでかけることができる法文になっておりますよ。その場合に教育委員会側としては何とか自分たちが首長と協議ができるような余地をこの法文のどこかに認めてもらいたいということは、これは教育委員会側でなしに、私ども教育委員会制度について支持しておるところの者はみなそういう意見なんです。その点について保証がないでしょう。首長が議会にかける原案について教育委員会の意見を無視してかけても、委員会としては拱手傍観、どうも手の打ちようがない。その点どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/98
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099・緒方信一
○緒方政府委員 財政再建計画というのは、これは将来どうするかわかりませんが、財政の規模をそこできめるということになろうかと思います。しかしこれは具体的な予算ではないのです。従いまして毎年の予算におきしまて具体的には教育費がきまるということになりますので、私は毎年度の予算におきまして教育委員会の発言権があることによりまして、この教育委員会の権限は十分に確保されると思います。そうして財政再建計画は一応立てます。しかしこれは赤字をその団体としまして各機関協力して解消していく、健全化していくという努力をするわけでありますので、これは何と申しましても、その団体の総合と申しますか、調整と申しますか、そういう立場にある長が立てる、これはやむを得ぬのじゃないかと考えます。しかもそれを最終的にきめますのは団体の議会でありまして、議会が最終的な意思を決定する、さようなことになっておりますので、その点は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/99
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100・竹尾弌
○竹尾委員 局長は今、これはいずれ幅のある財政再建計画になるであろう、こういうことをしばしば言われましたが、幅などありっこないのです。幅があるくらいならこういう法案なんか出しっこないのですから、それはきわめて窮屈な、身動きのならぬ計画に相違ございません。それからもう一つは、教育委員会と相談をしなくてはならぬ、こう言いますけれども、これは野原委員が言われた通り、県の場合も、市町村の場合も、やはり県知事や市町村長が力を実際持っているので、最後に委員会などはどうでもいいかげんにされてしまうのです。だからこれは協議をするとかなんとかいっても、実際には協議などできっこない。それでは教育委員会の望むような結果など得られっこありません。でありますから、そこは今交渉の過程において大いにがんばって落した、こうおつしゃられたので、あなたの方でもそういう点は非常に困るという気持は持っておったに相違ないと思います。でありますから、何とかこれについては修正していただきたい、こういう強い希望を私は持っているので、その点については局長にお尋ねしても仕方がないですから、大臣から御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/100
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101・松村謙三
○松村国務大臣 御意見は承わりますが、それは責任大臣として今修正に御同意申すわけにも参りません。そうしてこの文教委員会にかかっておる問題ではございませんので、どうか適当にこの問題の審議の際に党として御考慮願いたいものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/101
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102・竹尾弌
○竹尾委員 先刻大臣がお留守のとき、この点については触れておいたのですが、今まで私どもがこの種の法案を審議した過去の経験に照らしてみますと、自治庁の長官と文部大臣というのは絶対に相いれない。非常に仲が悪い。同じ閣内にあってけんかばかりして参りましたので、鳩山内閣におきましてはそういうことはあるいはないかもしれませんが、私の心配するところはその点でありまして、特に大臣は主管の大臣でない、こうおっしゃられておりますけれども、しかし事は文教関係に一番影響を及ぼすことでございます。幸い大臣は民主党内の有力者でありますから、これは強い希望でありますが、ぜひ大臣は閣議その他においてその点を強く御説明願いたいと思うのです。それは川島長官はいろいろ存じておるか知りませんけれども、私も川島代議士と同じ県の選出でよくそういう点は存じておりますが、これは松村文相にぜひ強くやっていただかないと教育の危機が到来いたしますから、党内の最有力者として大いに御奮闘あらんことを強く希望いたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/102
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103・並木芳雄
○並木委員 野原委員、竹尾委員の質問を聞いておりますと、確かにごもっともの点がある。私はこれをこのままで放置しておくことはやはりいけないと思いますので、一つの提案をしてみたいと思う。それで大臣の御意見を伺いたいと思うのです。それは今度の再建法によれば、赤字になってしまって、要するに家計が因るから、債権者に債権取り立てを待っていて下さい、そのかわりこういうふうにうちの中の経費は切り詰めてやりますからという案を立てていくのと同じであります。従って幾ら家庭の中で予算の提出権があるといって、おとっつあんこれだけくれとせがんだところで、そのおとっつあん自体が外部に対して縛られるのですから、それは違ってくることは当然なんです。ですから文字の上では予算提出権の自由があるとうたっておられても、実質において拘束されることは火を見るよりも明らかであります。ですからこれは大臣も率直に認めた方がいい。そこで大きな見地からこれを救っていくにはどうしたらいいか。そうした赤字が生じた地方財政を救うには、教育の重要性というところに重点を置いて、別途に救い水、呼び水を出してやる必要があると思う。それが教育平衡交付金というようなものの制度ではないかと私は思うのです。日本では地方財政平衡交付金で取り上げられましたけれども、あのもとのアメリカでは平衡交付金は教育についてであります。教育だけは全国不公平があってはならない、こういう見地から財政の貧困な都道府県に対して、また市町村に対して国家がめんどうを見る、ここに源を発しておりますので、地方財政は苦しさの余り地方教育委員会というものは制限されていくこともやむを得ない。大臣もそれはきっと認めると思う。ですからそれは今竹尾委員の御発言のように押し返していけ、訂正していけという御注文もわかりますけれども、これはやはりそれ自体で押し合うことはむずかしいと思います。ですから別途に国家が教育平衡交付金あるいは教育独立税、教育のために一つの税源を見出して、教育税というものを創設してもいいと思う。そうして富裕の県と貧弱な県との間に教育費について差がついたら、その差だけを埋めてやることによって、今のような各委員の疑問を解消していく、そういうことを考えられる必要がどうしてもあると思います。大臣におかれてはぜひこれを検討していただきたいのでございますが、御所見を承わっておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/103
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104・松村謙三
○松村国務大臣 今度の地方財政の再建を、この法律案が通りましていよいよ実行するこというになりますと、いろいろの現象が起りますことは大体想像せられます。容易ならぬ事態であろうと考えます。そこでそのままにしてほっておきますならば、ある府県においてはきわめて窮屈にやっていかざるを得ない状態、もしも今度の整理をやりませんでもそういう事態がまた早く来るかもしれぬ、これをやりましてもやはり来る場合が出てくると思います。その際に教育が、同じ日本にありながら、特殊の府県に限って非常な格差ができてくるというようなことがあってはなりません。義務教育の趣旨からいってもそれはなりませんから、そういう場合にはお話のような一種の平衡交付金のような制度でも考えまして、そうしてその間のバランスをとり、一地方だけが非常に落伍した教育の実態を現わすなどということを避けなくてはならぬと考えますが、これはもちろんそういう場合には考慮せらるべき問題と考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/104
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105・野原覺
○野原委員 私の質疑に対して緒方局長が再建計画の原案については教育委員会の意思が無視されることがあり得ることをあなたはやはり認めておられると思うのです。再建計画の原案を首長が教育委員会の意見を無視して議会に出すことはあり得るでしょう、これは認めておられる。ただあなたが言われることは、現実にそれが予算化せられた場合に、予算の送付権があるからこれは救済できるじゃないか、こういうことでありますけれども、予算の場合は再建計画で縛られるのです。予算というものはその再建計画によって拘束をされる。従ってやはり問題があります。再建計画の原案について委員会の意思が無視されるということは教育委員会法の五十六条ないし五十八条の精神を根本から抹殺しておるものと考えるのです。だからこの点が並木委員なり竹尾委員からも指摘せられて、そうしてこの法案については再度検討をしていただかなければ、これは与野党を通じて当文教委員会としては了解ができない段階が来ると思うのです。この点について私の時間がございませんから大臣の御善処を要望いたしたいと思うのであります。
そこでただもう一言だけ、この機会にお尋ねをしておきますが、過日私がこの教員の給与の三本建について質問をいたしました際に、同一学歴それから同一勤務年数の教員が高等学校と中学校——義務制の学校で給与に差等があるということはおもしろくない、こういう御答弁が大臣からもあったのであります。明らかに速記録に載っておるのであります。そこでこの問題については早急に文部当局としては検討を加えていただいて、何らかの具体的なものをお示し願いたいと私は思うのでございますが、この点についてはどのような検討がなされておりますか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/105
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106・松村謙三
○松村国務大臣 まだ御報告申すまでには参っておりませんが、次の予算編成の際にその点を十分研究もし、考慮もいたし、努力もいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/106
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107・野原覺
○野原委員 これは御承知のように、法律に基いて給与は支給されますので、法の改正をいたさなければならぬのであります。給与に関する法の改正、その点について早急に大臣としては御検討を加えられる御意思があるかどうか、来年の予算編成といえばあと一年ございまして、私は問題があるということがわかった以上は即刻手をつけることが当然の措置ではないかと思うのでございますが、その辺についての御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/107
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108・松村謙三
○松村国務大臣 その点につきましては、予算の編成もその趣旨で、できますればこれに付帯した法律案として次の議会にはぜひ出したい、そうして御趣旨に沿いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/108
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109・佐藤觀次郎
○佐藤委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102205077X01819550621/109
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