1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十三年三月二十九日(月曜日)
午後二時六分開会
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委員氏名
委員長 一松 政二君
理事 林屋亀次郎君
理事 鎌田 逸郎君
齋 武雄君
椎井 康雄君
中平常太郎君
松下松治郎君
大野木秀次郎君
黒川 武雄君
中川 幸平君
深川榮左エ門君
油井賢太郎君
九鬼紋十郎君
小林米三郎君
佐伯卯四郎君
島津 忠彦君
高瀬荘太郎君
波田野林一君
結城 安次君
廣瀬與兵衞君
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本日の会議に付した事件
○臨時物資需給調整法等の一部を改正
する法律案(内閣送付)
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001・一松政二
○委員長(一松政二君) これから委員会を開会いたします。本日の議題は臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案、これを議題に供しまして、先ず政府からその趣旨の説明を聽取することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/1
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002・栗栖赳夫
○國務大臣(栗栖赳夫君) 臨時物資需給調整法等の一部を改正する法律案を提案いたしまする理由を御説明申上げたいと思います。
第一に、臨時物資需給調整法の改正を要する点について御説明申上げます。
臨時物資需給調整法は一昨年九月三十日より施行せられ、この法律に基いて産業の回復及び振興を図り、日本経済を安定させるに必要な物資に関する統制を実施して参つたのであります。この法律は日本の経済危機突破のための非常立法であり、飽くまで暫定的のものでありますので、この点を明確にするために、附則において本年四月一日又は経済安定本部廃止の何れか早いときに失効する旨を規定してあるのであります。
然るに最近における日本経済の実情はますます深刻となつて來ており、経済の危機を克服して経済安定を図るためには、少くとも今後一年間は強力な物資の統制を継続する必要があると考えられますので、附則を改正して、明年四月一日までこの法律の効力を延期したいと考える次第であります。
次に、第一國会において地方自治法の一部が改正されましたのに関連して、臨時物資需給調整法の一部を改正する必要が生じたのであります。地方自治法第百四十八條の改正によつて、今後國の事務を地方公共團体の長に委任するときには法律又は政令によらなければならないことになつたのであります。臨時物資需給調整法に基く主務大臣の権限の一部、例えば指定配給物資の割当の権限のごときは、都道府縣知事又は市町村長に委任することが、配給統制の実施を円滑に行うため必要であるのでありますが、臨時物資需給調整法には從來権限委任規定がありませんので、新たに法律に基く権限の一部を地方公共團体の長に委任できる旨の規定を置くこととしたいのであります。
第二に、各種の配給公團法の改正を要する点について御説明申します。石油配給公團法、配炭公團法、肥料配給公團令、酒類配給公團法、食糧品配給公團法、飼料配給公團法、油糧配給公團法の各配給公團法は、重要な基礎的物資、國民生活用物資等であつて徹底的な統制を実施する必要のあるものについて、その一手買取販賣機関の設立の根拠法規として制定されたものでありまして、これらの公團は普通の割当配給の手続によつては適切な配給の確保が困難な重要物資について一手買取販賣を実施して参つたのであります。これらの配給公團法は臨時物資需給調整法と同樣、緊急事態における措置として各種給公團法の附則において、本年四月一日に失効する旨規定してあるのであります。各種の配給公團による配給統制は、少くとも今後一年間は継続する必要のある事態にありますので、臨時物資需給調整法と同樣、明年四月一日まで、これらの配給公團法の効力を延期したいと考えるのであります。
以上が本改正法律案を提案いたしました理由であります。何卒御審議の上速かに御協賛あらんことをお願いいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/2
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003・中川幸平
○中川幸平君 これは予備審査のように聞いておりますが、明後日までに決議せんと大変不都合になると思うが、衆議院の方は進行しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/3
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004・一松政二
○委員長(一松政二君) 衆議院の方は明日中に多分決まるでしよう。こつちの方は明後日になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/4
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005・中川幸平
○中川幸平君 そうして明日の本会議にかかることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/5
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006・一松政二
○委員長(一松政二君) そういうことになると思います。緊急上程になると思いますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/6
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007・油井賢太郎
○油井賢太郎君 この法案は前からこの三月三十一日までに当然改正しなくてはならないということははつきりしておるんですが、まだ日にちをもつと早く、この改正案を出されなかつたというのはどういうわけなんですか。政府委員の方に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/7
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008・永野重雄
○政府委員(永野重雄君) 只今のお話の点御尤もなんですが、実はこの法案に関しまして深い関係を持つ方面といろいろ折衝、研究を続けておつたのでありますが、その最後的の研究の結果というものが実は極く最近になつてやつと到達したものですから、そんな関係で甚だ日数の短い間際になつて提案しなければならなかつたことを御了承頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/8
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009・中川幸平
○中川幸平君 この三條のことをお附加えになつたということは大変結構なことでありますが、どういう程度のものを知事なり市町村長に委任できることになるのですか、少し具体的に御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/9
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010・石原武夫
○説明員(石原武夫君) 現在でもいろいろ主として消費物資に関するものにつきましては、公共團体に事務を委任いたしまして実施しておるのでありますが、今お尋ねの、近い將來委任いたしますことを予定しておりますものにつきましては、木炭とか、薪、煉炭、豆炭等、かような燃料関係、それからその次に日用品関係といたしまして石鹸でありますとか、マツチ、地下足袋、ゴム靴、革靴、洋傘、学用ノート、タイヤ、チユーブ、蝋燭、或いはサツカリン、ズルチン、かようなものを今後この法規によりまして統制いたします場合に、地方公共團体の長に委任いたしたいとかように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/10
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011・油井賢太郎
○油井賢太郎君 もう大臣は見えられないのですか。後でお見えになるのですか。若しお見えになるなら、ちよつと大臣に質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/11
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012・一松政二
○委員長(一松政二君) ちよつと速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/12
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013・一松政二
○委員長(一松政二君) 速記を開始して下さい。私は大臣の返事が得られるまで、一つ特にこの五條の酒類配給公團法の一部を改正するという、この酒類配給公團について一應伺つてみたいと思うのであります。今酒類は普通の國民は配給がどうなつておるのか、殆んど全部自由販賣によつて用を足しておるのであるから、これを特に公團法によつて配給を受けるというようなことについては大した関心を持つていないであろうと思うのです。更に聞くところによると、國民酒場を殖やしたり、いろいろやられるようでありますが、各地において荷受け團体の意向、その外いろいろ実際配給に当つておる者、或いは生産者の意向を確かめて見ると、公團は結局ただ運賃のプールをしたり、或いは價格差のプールをしたりする計算をするためにはあるだけであつて、もう公團自身では配給する物資の顏も見ないというようなふうになつておるように聞いておるのであります。多くの者は業者と製造家と一緒になつてやれば、計画は殆んど大藏省でやつておるのだから、別段公團の必要はないということを殆んど異議同音に言つておる。
私の考としてはこの酒類の配給公團は止めてしまつて、そうして以上外の手を大藏省に増す必要があれば増して、今の價格差の調整、或いは運賃のプールなどということは、もう五百円、八百円する酒について、運賃がいくら付くとか、或いは價格がいくら付くということは問題にならんと思う。だからそういう無用の手数を止めて、大藏省の今の計画に基いて業者に配給をさせれば、別に今の公團がなくても何の不自由も不便も感じないと思うのであるが、これを大藏省が頻りに公團法をこの前の國会で主張しておつたので、私はそれに反対した一人なのだが、尚且つそういうことを主張するのであるか。私の考えを以てすれば、そういう配給公團に從事する人を養う代りに、むしろ今日一部の人の闇の釀造、闇酒が殆んど常識のように或る地方においてはなつておるし、特に第三國人又は特殊の人が祕密釀造をやつておつて、取締る人も本当にこれを取締り得ていないという方面に力を入れるのが、私は本当であろうと思うのであります。その方が税金も上り、又國民道徳の頽廃の一助になつておるものをも救済することになると考えるのであるが、これに対する政府の一應の御見解を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/13
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014・原純夫
○説明員(原純夫君) お答えいたします。酒の公團は実質上トンネルになつておつて、業者と消費者というもので動くのではないかというお話でございます。一部例えば製造家から直接に小賣に渡るというようなものもございますが、酒全体といたしましては、決して公團がトンネル機関になつておるということはございません。各地から縣を異にして移出し移入するというような場合になりますと、現在の輸送状況、資金の状況というようなことを考えますというと、どうしても公團でなければやつて行けないということで、公團の形態を採りたいというふうに、先般來お願いしお認め願つたわけでありますが、その事情は現在も当然生きておるわけでありまして、公團みずから物を相当大量に動かしておるということに相成つております。從いまして公團は丁度この三月一日に発足したばかりでありますが、尚当分の間業務を続けて参るということが必要であろうということを、依然として考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/14
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015・一松政二
○委員長(一松政二君) 今の説明で私は甚だ納得が行かないということは、表向きはそうなつておるけれども、実際問題としては公團は殆んど計算機関にしかなつていない、そうして計画は大藏省で立てておるし、酒ほど、外の物資と違つて大藏省がはつきり持つておる物資はないと言つても過言ではなかろうと思うのであります。でありますから、それは公團が必要だという建前から公團の必要性を強調されるのであつて、なくてやつて行けるという立場になればなくてもやつて行けるにきまつておる。業者も製造家も異口同音にそういうことを言つておる。独り大藏省のみが、そういうことを強調する理由が私には呑み込めない。これを製造家と業者に税務署から命令を出して、そうして荷動かしをさせて、ただ公團が途中で計算上のことを取扱つておるに過ぎない。これは廃止したところで殆んど不自由はないということを多くの者が言つておる。若し大藏省がそういうことを特に言うならば、公聽会を開いてでも、或いは業者を呼んで意見を鬪わしても私はいいと思うのです。でありますから、私共としてはこういう審議期間の一日か二日の余裕を以て、こういう法律案を出されたということに対して非常に遺憾に考えるわけなんです。三月一日から発足したものを明後日その効力をなくしてしまつて混乱に陷れることも問題であろうと思うのでございますけれども、少くとも最短期間にこういうものは整理してしまつて、そうして無用の國費を使わぬように考えて貰わなければならんと私は考えておる次第なんであります。だからなくてやれるように考えるか、或いは拵えたものであるから、それを如何にも必要があるように持つて行つて、無用の手続と無用の國費を使わせるかという、どちらに、ものの考え方を置くかということで私は決すると思う。今日のように國費多端であつて、そうしてインフレーシヨンが昂進しており、財政の辻褄を合せることが困難である時に、そんな公團のようなものに力を入れるよりも、今の闇酒の、闇の釀造でありますが、その方面に徹底的に力を入れることこそ、今日の我が國の財政難を救う所以でもあり、國民道徳を昂揚せしめる所以でもあろうと思う。私は再びこれを強調せざるを得ぬのであります。これをいくら今の原さんに言つて見ても水掛論に終るから、前の議会で言つておると同どことをここで繰返してもなんですが、これは所詮両遂に分れる。でありますから私は再び原さんの必要性を強調して貰おうとも思わぬです。私は多くの業者から到るところでこのことを聞くのです。聞いて見ると私の結論に皆賛成しておる。でありまするから、これは一日も早く止めて、そうして業者と製造家と大藏省との善処方を私は要望する次第なのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/15
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016・原純夫
○説明員(原純夫君) 別段只今の委員長のお言葉に対して議論を申上げようということは、お言葉の通り差控えて参りたいと思います。ただ只今のお話のありました点につきまして、事実の点と言いますか、我々と違つておるという点を、我々の聞いておるところを申上げて置きたい。
第一は酒の公團は帳簿面だけの処理に留まつて現物を動かしているということは殆んどないというお言葉でありますが、これはそうは相成つておりません。大体少くとも現物の六割程度のものは公團が現物を扱つている、後の四割割も、製造家から直接小賣に参りますが、形式においては、公團が扱うということで、これはおつしやる通り帳簿的な存在であることは事実でありますが、少くとも大半の酒は公團が扱つておる、而もその部分の酒が動くか動かないかということが、酒類の配給の適正のために非常に致命的な問題であるという点を先ず申上げておきたい。
それから第二の業界の声という点でありますが、これにつきましては私共御承知の通り注意をいたして廣くこれを聞くという態度で参つたつもりであります、勿論中に公團不要論を唱える者もございます。併しながら業界挙つてこれに反対ということは我々の把握しておる限りにおいてはありません。大体において業界は公團をやつて貰いたいという声が強かつたし、現在も強い。これは先般來の長い間、衆議院財政金融委員会において小委員会まで設けて審議をせられました経過におきましても、いろいろな機会に國会にもそういうなにが出ているというような事情にあるわけであります。その二点、意見じやございませんが我々の見ております事実というものをここに申上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/16
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017・一松政二
○委員長(一松政二君) あなたがそういうふうにおつしやれば私が一言又なかるべからずになる。論爭いたしたくないから言つたんだけれども、前の議会で私が審議した小委員会の経過については、あなたが承知しておるよりも私の方が余つ程よく承知しておる。私はそういうことを言いたくないからもう論爭を止めようと思つたのです。それと、それから今の公團が必要であるという場合には、運賃のプール、それから價格のプールなどという、そういうややつこしいものを今日尚おやりになろうとするから仕事はいくらでもある、今日國民の声として官吏の数を減らせ、機構を改革しろということは、皆國民の声なんです。ところが統制事項やいろいろなことでああいう仕事もある、こういう仕事もあるというので、そうして仕事をむやみに複雑にしてやるから結局は官吏の数も國民が要望する以上に沢山要つて、機構はますます複雑になつて行くというわけですから、今日の際としてはできるだけこの機構を簡單にして、そうして國帑をすることの少なからんことをこそ國民は要望しておるのです。
そうして今、闇の釀造について何ら触れておりませんけれども、今日程濁酒にしても、或いはウヰスキーにしてもいろいろな釀造物が横行しておる時代は未だ曾てないと思います。これ程世間がやかましい時に、こういうものを見逃しておること自身が、國民造徳を非常に暗くする。そうして場合によつたらば第三國人が、そういうものが而も警察と場合によつては了解したのではあるまいけれども、大目にみて貰うか、いろいろな方法によつて今日尚継続されておる、この数量たるや、政府が税金をとつて正式に認めておる数量に数倍する筈なんですが、これには何ら手をつけない、僅かな数量をわざわざ尨大な公團という機関によつてやるというのが納得ができないのだ、殆んど國民は今日酒は自由販賣であると思つておる。それから今度酒を公平に流すと言いましても、田舍の方には酒は余つておるし、場合によると都会には足らないという、今日でも、すでに公團がやつていながら、そういう現状を來たしておるわけです。
でありまするから、これはできるだけ機構を簡單にし、そうしてもう八百円とか千円とかいう、そういう酒の値段に持つて行つて、五円か三円の運賃がどうなるか、酒がどういうふうになるか、酒の品質に應じてこれは当然まちまちであつて、一つも差支えない筈なんです。一日も早くそういうふうに考え直されんことを希望して私のこの意見を打切つておく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/17
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018・油井賢太郎
○油井賢太郎君 委員長、速記を止めて暫く懇談をさせて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/18
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019・一松政二
○委員長(一松政二君) 速記を止めて。
午後二時四十六分速記中止
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午後三時九分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/19
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020・一松政二
○委員長(一松政二君) それでは速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/20
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021・油井賢太郎
○油井賢太郎君 大臣にちよつとお伺いいたしたいのですが、今度のこの改正法によつて又一年間延長するということは大体了承したわけですが、各種公團が一般民間から大変受けが悪いというような評判がある。例えば官廰機構になつたがためにサービスが悪くなつた、或いは定時退廰を行う等によつて便宜が悪くなつた。こういつたことが、成るべくならば公團組織をこの際解けるものならば解いて貰いたいという希望が多いようでありますが、將來更にこれが拡大強化されて、あらゆる事業にこの公團法が用いられるか、こういつた懸念も一般民間で言つております。大臣として將來の点、並びに先程お伺いした点、この二点をお伺いしないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/21
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022・栗栖赳夫
○國務大臣(栗栖赳夫君) どうも公團というのは、臨時的な変則な経済の窮迫した現在において特に作られたものでございまして、ここで、これをどんどん殖やして行くというような考えは毛頭持つておりませんでございます。これは昨年も前長官から縷々述べられた通り私も同じような方針で進んで行きたいと思つております。
尚この公團が官廰式に流れて、そうしてサービスが不親切であるとか、或いは万事お役所式になつて、そうして本当の性質が沒却されるような事務的の取扱があるというようなことでございますが、私もそんなことがあつては、済まぬわけでございますけれども、実は若干あるかと思います。これは慣れないこともございますし、十分戒飭しましてそういう点のないように努めたいと思つております。或いは或る時期に公團の代表者などと会合をするとか、事務的の刷新を図るというような具体的な方法等も進めて見たいと、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/22
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023・一松政二
○委員長(一松政二君) もう一つこれに関連してお伺いしたいのは、一年間の延長というのは、場合によつては四ケ月或いは半年で間に合うものがあつたならば、その程度で以て改正されたらどうかという点でございます。それからもう一つは、公團の職員ですか、今回の官公労組関係の賃金ベース変更で、二千九百二十円ベースということになるそうですが、公團職員もそれに連れて同樣の基準変化を來すのでありますか。とかく公團になつた時に、民間入を採用したり、今までの経歴を重んじたり、三割の加俸というものを認めておつたというのですが、今回公團の職員の人々の話によると認められそうもないというので、非常に内心不滿を持つておるというようなことを聞いております。これにつきまして大臣の御回答を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/23
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024・栗栖赳夫
○國務大臣(栗栖赳夫君) ものによつては、公團によつては四ケ月、三ケ月延長すればそれでいいじやないかというお話がございました。併しこの危機を突破し、経済を復興するにつきましては大体の目標を一年に置きまして、そうしてこういう種のものがどういうふうにこの突破ができ、復興がなつて行くかということを全体的に睨み合せたいと思いますので、一年ということに目標を置いて改めることになつておるような次第でございます。
それから給與の問題でありますが、これは昨年もいろいろ問題が起つたのでありますが、新給與の水準というものに直して行くべきだと思うのであります。その場合に三割を加算するというような点を如何にするか、こういう問題でありますがこれは実はまだそういうような問題にも接しておらぬのでありまして、どういうようにこれを扱つて行くかということは十分相談の上、善処いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/24
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025・一松政二
○委員長(一松政二君) 私からちよつと一つ伺います。今一年間の延長のことについてお話がありましたが、この公團法につきましては衆議院においても、参議院においても、第一國会において非常な反対があり、且つ止むを得なければかくかくに修正したいという事見を、御承知の通りの事情によつてそのまま通して今日に至つておるのであります。ここで期限の延長だけで済まさるべき問題では私はないと思う。事実この商業委員会においては公團を一々実地に廻つて、そうしてその利害得失の、如何なる所が悪いかということをお互いに檢討をしようという申合せにもなつておるような次第であります。そうして一應議会で通つたから、それをそのまま更に一年間延長してしまうということは、我々の委員会としては、これを前の國会の経緯に鑑みましても余りに妥当でないと思う。今できたばかりの機構を直ぐ中止してしまうということは無用の混乱を……よいにつけ悪いにつけ、ともかくも一應できてしまつたものであるから、これを明後日限りに止めてしまつていいとは誰も考えておる者はないと思うのです。ですから過渡的にこれを一應或る時期まで延長を認めて、その間に十分檢討して、そうしてその意見を織り込んで、行くべき所に持つて行きたいというふうに考えておる人が沢山あるように思うのです。それで、そういうことについて、安本長官としてどういうお考えを持ちますか。伺つて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/25
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026・栗栖赳夫
○國務大臣(栗栖赳夫君) 今回は政変その他で非常な、間に一月ばかりの空白ができたのであります。そうして特に四月一日を目前に控えておりますので、非常に急ぐ点について、この改正をお願いするようになつた次第でございます。今の公團を行き方その他につきましては、この根本的な問題その他の御意見というものは、これを期限の延長をいたしまして、それから皆樣の意見、又政府の考え方、その筋の考え方、その他等も十分考え合せて、見たいと思つておるような次第でございます。今回はとにかく急ぐものでございますから、止むを得ないものだけについてかようにお願いする趣意でございますから、御了承をお願いしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/26
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027・一松政二
○委員長(一松政二君) 尚私は補足して置きたいと思うことは、先程油井委員から御意見のあつた通り、官吏と同等の待遇になつて、いろいろ給與の問題或いは労働問題、いろいろな問題が、官吏であるがために非常に伸縮性に乏しいというので、今日のような險悪な状態を呈しておるのに、この前の國会においては、官吏たるべからずというのが両院の多くの主張であつたのです。そういうことは、この官吏というものが予算制度に禍いされて、そうして臨機の処置が取れないという点に一部の根拠もあつたのでありまするが、今回この調整法の一部の改正の中についても、物資の配給について公共團体の長にこれを委任するということは、もうすでにその一角を破つたことになる。官吏でない者が物資の配給の任に当るという、大きなこれは変化であると私は考えるのであります。從つて公團という公團は、すべて官吏であるということの建前を、もうすでにここで、この改正によつてすでに一歩を印しておると思うのであります。でありますから、私は殊に今回の官廳の爭議その他に鑑みまして、このまま一年延長するということは甚だ面白くない。この際は便宜どの程度にするかは、いずれ皆さんの御意見を審議に俟たなければなりませんけれども、一應過渡的に延長しておいて、そうしてその間に適当の方法を講ずることが最も策を得たものじやなかろうかという考えなんであります。直ぐこれを明後日から廃めてしまつて、混乱のままに委せるという、そういうことを考える人は今日まだあるまいと私は思うのであります。その点は一年延長しておいて、その間にやるがいいのか、或いは過渡的に延長しておいて、その間にやるがいいのか、つまり見解の相違だと思うのでありまして、そう政府の考え方と大した違いのある問題じや私はないと思う。それと根本問題は、そういうのが他にも例がある。船舶運営会を、これを早く民間に移せという議論が非常にあつて、六ケ月延長で、三月の末にやつて來て、今度四ケ月延長になると聞いておる。
でありまするから、これをあれ程の議論のあつた問題でありまするから、私は過渡的の延長によつてその間に方々の衆智を集め、意見を聞いて善処したら如何であろうかという考えを持つておりますから、それだけのことを私は申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/27
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028・栗栖赳夫
○國務大臣(栗栖赳夫君) 今の一部を地方公共團体の長に委任するということでございますが、これはこういうような物資、この調整需給というようなことは極めて迅速に、適切に、実際的にする必要がありますから、むしろ自治の精神にも副うような意味で委任したいと思うのであります。併しこれは單に個人に委任するというものじやないのでありまして、やはり地方公共團体の長に委任するのであります。その間に公正その他ということも保たれる。又独占禁止法その他の趣旨にもそう触れることがないと考え、むしろ地方自治の促進というような意味からこれを考え、実際的の面に資するという意味にいたしたような次第であります。この点は一松委員長も御同感であろうと思うのであります。
それから一年を延ばすか、少し小刻みに延ばしておくかという関係でありますが、これはこの公團その他というものも新たに生れた制度でありまして、他團にも十分な例も余り多くはないと思うのでありまして、余り短かくて不安定にして、いろいろな実際上の不便、便利というものを実際に行なつた上で直して行かなければならんのでありますが、一應は一年ということの目標として頂いたならばいいのじやないかと、こう思つております。一年を延ばして頂いたから、どんな不便があり、どんな不都合があつても絶対直さんという趣旨では全くないと思うのであります。その点は御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/28
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029・一松政二
○委員長(一松政二君) もう一つ私は伺わして頂きます。私もこの地方長官に委任されるということは非常にいいことだと思うのであります。殊に出先機関の問題やら……私はむしろ大幅に地方長官に委任して結構だろうと思うのであります。
それから私が、今の公團の役人の問題でありますけれども別に個人として、これを役人……官吏でありますが、官吏にしないから勝手なことができるというのじやないのであります。この前第一國会になつたときでも、つまり公務員に準ずるとか、いろいろな考え方もあつたのでありまして、市中のいわゆる商賣人の個人に勝手に委せるというような考え方で言つておるのじやありませんから、その点は誤解のないようにお願いしたいと思うのであります。それと更に今の一年を仮りに延長してありましても、議会は議会の権能として、これを中間に何時でも変更しようと思えば、これは議会の権限でやれることであると思うのでありますけれども、ともかくも今のこの一部の改正案が出ております。のでありますから、それは議会においてあれ程揉んだ問題でありますから、適当と信ずる期間を設けて、そうして別に不安を與えるということは私はないと思うのであります。ということはいずれにしても臨時的の、過渡的の措置であるということは、從業員みずから知つておるし、從業員みずからも公團でない方を希望しておるのであります。公團でなくなつたから明日から事務に離れるとは公團に從事している人も思つてもいないのでありまして、公團を解かれれば公團よりももつと自分たちの希望するようなことがやれると思つて、別に私は從業員が不安を感ずると思わんで、むしろ双手を挙げて賛成すると思うのでありますから、その点を申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/29
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030・高瀬荘太郎
○高瀬荘太郎君 只今安定本部総務長官の御説明では、一年延長するというような、とにかく差迫つておりまして、先ず一應延長するという外はないというようなお考でお出しになつたということでありますが、その点は全く御尤もで止むを得ないと思います。ただ延長の期限につきまして、委員長は小刻みがよかろう、こういうような御意見であるし、安定本部総務長官は先ず一年として置いて、その間に十分檢討もし、改正すべき点があれば改正もし、又必要があれば廃めるというような考であります。その延長の期限の問題は、客観的な事情の見通し如何の問題だと思います。私共の見通しではどうもそれくらいは延長して置いても結局止むを得ないのではないかというような見通しを私は持つております。
ただ併し委員長の言われましたように、公團の運用の問題なり、機構の問題、職員の問題等につきましては、随分いろいろ議論があるということも私もよく聞いております。ですから、期限は一年なら一年にするといたしましても、ただそのまま放つて置くというようなことになさらないで、一つ十分眞面目に眞劍にその点はお考えになつて頂く必要があるのではないか。殊に今度の財政問題と関連いたしまして、行政整理の問題が官廳方面では考えられるわけでありますが、公團方面につきましても、そういう点を十分お考えになる必要があるのではないか。一部から聞きますと、どうも公團は人間が非常に多い、多過ぎるというようなこともよく聞いております。ですから、その点もお考えになつてやはり行政整理は同じように減らすべきは十分お減らしになるということも必要ではないか。
又能率を挙げることが必要でありますから、その点から言つて、この前法案が出ました時分に問題になりましたような、政府職員たる資格においてやるというような点も檢討される必要があるのではないか。役人になりますために、どうも政府職員になるということで適任者が得られなかつたということも確かにあるのだろうと思います。それが運用の上で能率に影響するという点もあるのじやないかということも考えますので、まあ一應政府職員ということには決まつておりますけれども、そういう運営上の必要、能率を挙げる必要等から言つて、これは改める必要があるというならば、十分お考えになつて、進んでお改めになるということもお考え願いたい。そういう点を私は希望いたしております。
ですから、一つ一年延期されたということでただ放り放しになさらないで、今申上げましたような点については、十分檢討なさつて、改めるべき点があるならば、できるだけ早くお改めになるということを申上げて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/30
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031・栗栖赳夫
○國務大臣(栗栖赳夫君) 高瀬委員の御質問の点、私全く同感であります。機構運用等に改善すべき点は眞面目に考え、又輿論及び国会の御意見もよく相談をいたしまして、やつて行きたいと思つております。單に一年を延ばして貰つたから、その間は何にもやらんというようなことは、先程も申上げますように考えておらん次第であります。
それから整理の点でありますが、若し整理をする必要があれば、少しでも……國家或いは國民の負担になるような点がありますので、十分その点も考えて行きたいと思つております。
それから能率を挙げるため、いろいろ改善その他をするということも全く同樣であります。尚、先程お話がありましたが、この官吏にするという、公務員にするという点でありますが、これは我々としても、いろいろ考もございますけれどもその筋との関係も微妙なものがありますし、尚且つ独占禁止とか、その他の精神から言いまして、公務員ということに、することを先方からも非常に望んでおりますので、政府としては、かようにいたした次第であります。今後の問題としても、その点なども十分考え合せて、善処いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/31
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032・一松政二
○委員長(一松政二君) 外に長官に御質問はありませんか。それでは、本日は、この程度で散会いたしまして、明日又衆議院の模樣があるから、大体午後一時半から、この問題について、委員会を開きたいと思いますから、御了承を願います。では、本日はこれを以て散会いたします。
午後三時三十二分散会
出席者は左の通り。
委員長 一松 政二君
委員
中平常太郎君
松下松治郎君
大野木秀次郎君
黒川 武雄君
中川 幸平君
油井賢太郎君
小林米三郎君
高瀬荘太郎君
波田野林一君
國務大臣
経済安定本部長
官 栗栖 赳夫君
政府委員
(第一副長官)
経済安定本部副
長官 永野 重雄君
説明員
経済安定本部生
産局次長 石原 武夫君
大藏省事務官
(主税局國税第
二課長) 原 純夫君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214449X00119480329/32
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