1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十三年七月五日(月曜日)
午前十一時十一分開会
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本日の会議に付した事件
○逓信職員訓練法案(内閣提出、衆議
院送付)
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001・深水六郎
○委員長(深水六郎君) それでは只今から通信委員会を開きます。逓信職員訓練法案を議題にいたします。
この法案は衆議院で第二條の第二項が削除されて修正して参つたのであります。その修正案について政府側に一應この衆議院の修正についてのお考えを伺つて、その修正の理由その他について一應の御説明を最初に聞いて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/1
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002・大野勝三
○政府委員(大野勝三君) 昨日衆議院におきまして逓信職員訓練法案の最終の委員会があり、引続き本人議に提案されまして只今委員長のお話がございましたように、第二條の第二項を削除するという修正の上可決に相成つた次第でございます。昨日の最終の衆議院の委員会におきまして、委員長より第二條の第二項を削除するに至るまでの経緯の説明がありまして、その大要を御報告申上げますと、大体次のようでございます。この逓信職員訓練法案につきましては、当委員会におきましても種々御意見が出ましたとほぼ同じような御意見が衆議院の通信委員会の方でも出ておりまして、結局職員の專門職業訓練の必要性は十分認められるのでありますけれども、少くともこの訓練を実行するについては、現在の訓練の機構その他を十分に活用するような用意はなくてはなるまいといつたような御意見、それを中心にして只今申し述べましたような修正案が提出されるに至つたのでございますが、この修正案が提出される前におきましては、衆議院の通信委員会の委員長及び理事の方々で十分に議を纒められ、そうして事前に関係方面とも折衝をなさつた模様でございまして、その結果、関係筋の了解も成立して、その上で修正案を委員会として正式に取上げられ、そうしてそれが可決になつたというような経緯になつております。その理由は、衆議院の通信委員会の御説明では、この第二條第二項のごとき條項は、これは主として運用上の問題であるから、特に法律の規定として残して置く必要はあるまいというのが理由の要点でございました。以上簡單でございますが修正になりました経過とその理由の要点を申上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/2
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003・深水六郎
○委員長(深水六郎君) 御質疑のある方はお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/3
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004・千葉信
○千葉信君 私の質問いたしますことは、從來の委員会の席上においてもいろいろと質問も重ねられ、又政府の方からも御答弁のあつた事項と重複するのでございますけれども、記録なしにやりました関係からいいまして、私共明確に再びこの問題を速記録の上に残して置きたい、こういう考えから御質問する次第でございます。
その第一点は、第二條の第一項でございますが、「逓信大臣は、專門的な学科目を除き」という言葉になつておりますが、この專門的な学科目という学科の範囲というものをどういうふうにお考えになつておられるか、実際に直接に必要というふうにお考えになつておられるか、それとも相当範囲の廣いものにこの字句をお考えになつておられるか、その点についての御答弁を承りたいと思います。
それから第二点は、若し教授する学科目が非常に狹小な範囲になるということになりますと、勢い專門的な例えば電信なら電気通信の技術だけを訓練するということになりますと、学科目の一日における配列が非常に無理を生ぜざるを得ない。こういう点からも関連いたしまして教授の具体的の方法をどういうふうにお考えになつておられるか。
それから又もう一つは、仮にこの範囲というものを非常に狹小な狹ばめられた範囲に考えられて、技術的な訓練だけを取上げるということが仮にあるといたしますと、どうしてもこういうものの訓練の過程というのは一定の年月を経なければ、幾ら無理に教練を施してもなかなか從事員としての適格を確保することができないように考えられるのでございますが、この点についてもどういうふうにお考えになつておられるか、政府の御所信を承りたいと存ずる次第でございます。
それからその次は、從來ありましたところの逓信講習所が附則によりまして廢止ということになつておりますが、從來の逓川講習所の施設というものは相当充実した形において設けられておるようでございます。この逓信講習所を新らしく切換えられた訓練法案によつて訓練所という形に持つて行く場合に、どの程度に現有施設を活用する用意を持つておられるかどうか。
それから又若し訓練の範囲というものが從來よりも狹ばめられるいうことが起りますと、現在逓信講習所に勤務しておるところの從業員に対して、特に教官に対して相当大巾な行政整理ということも考えられるわけでございますが、政府としてはそれらの從業員に対してどういう方法を以て対処して行くお考えであるか、そのままこの新らしい訓練法案に基くところの教授に充てて行くように方針を採つておられるかどうか、その点についての政府の明確な御答弁を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/4
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005・大野勝三
○政府委員(大野勝三君) 第一にお尋ねになりました訓練の範囲の問題でございますが、この法案の第二條の規定されました「逓信職員の担当する業務の遂行に直接関係があるものに限られるという趣旨は、必ずしも技術的な部面だけを指すものとは我々は考えていないのであります。と申しますのは、通信事業には非常に御承知のように各種の部面がございましておのおの全部門に應じてその必要といたします專門的な知識及び技能の種類も範囲もいろいろございます。それぞれの事業部門の必要に應じてその部門に配属さるべき、その部門の仕事を担当すべき職員としては、この程度の職業知識は当然に持つていなければなるまいと予定されるものは具体的にそれぞれ今申しました趣旨によつて決定されるわけでございますので、それらの点につきましては只今準備的に我々としても檢討をいたしておるところであります。すべての事業部門にその内容が固まつておるわけではございませんが、この委員会におきましても曾て御説明申上げたことがあるかとも存じますが、経過的のものにつきましては、すでに御配付いたしました資料の通りで一應やつておりますけれども、更にこの訓練法成立後における新規の訓練科目、或いは訓練期間等につきましては、只今申しました通り檢討中であるというわけでございまして、その一例を申上げますれば、これは実は或る程度結論に到達したものでございますが、簡易生命保險及び郵便年金等の仕事に從事いたします、これは言わば幹部級の職員でございますけれども、その幹部級の職員の訓練科目の一例を挙げて申上げて見ますれば、憲法、民法、商法、会計学、統計学、経営経済学、保險学、或いは外國の保險経営に関する研究といつたように非常に相当專門的ではありますが、高度の科目を採入れられることになる運びになつておるのでございます。それはまあ簡易生命保險の業務の特殊性から來る一つの必要に應じてそういうふうに決められる見込でございますけれども、その外、郵便、電信、電話等におきましても、必ずしも郵便ならば單に郵便物を処理し、配達を完了するまでの、そういうことだけでは、これは專門的の知識、技能はそれで足れりというわけには参りませんので、必ずその仕事を担当いたしますためには、郵便事業の概要というものを私共としては考えて置かなければなりませんし、更に郵便事業のその内容を理解するために必要な科目は、その必要に應じて採入れられる必要があろうかと考えております。電気通信についても同じようなことが言えるわけでございますが、その辺はまだ最後的結論に到達いたしておりませんので只今折角檢討中ではありますが、そういうふうに各事業種別に應じて彈力を以て、而も実際の必要に事欠かないように運用がなされなければならないと考えておる次第でございます。そういう次第でございますから、訓練の期間などもこれは各事業種別の訓練に應じまして、長短いろいろの別がありますし、又事業種別の中におきましてもそれぞれの職員の担当する業務の、何と申しますか段階に應じても、又いろいろ違つて來るわけでございます。そういうところで訓練の範囲を御了解願いたいと存じます。それから次にお尋ねになりましたこの法律案が成立をいたしますというと、逓信講習所官制が附則によりまして廢止になりますが、その場合に現在ございます逓信講習所の施設その他、これは私共といたしましてはこの訓練法案が成立をいたしましても訓練に必要なる施設というものは、第三條によりまして、逓信大臣がこれを設ける職責を持つておるわけでございますので、その訓練に必要なる施設を新たに設けるということは無駄なことは重々承知いたしておりますので、在來ございました逓信講習所の施設その他を十分に活用をして行きたいと考えておる次第でございます。又職員につきましては、行政整理の必要が起るのではないかというお尋ねでございましたが、職員につきましては、これは一先ず政令を以ちまして全部講習所官制が廢止になりましたものを逓信本省の職員に組替をいたす措置を今進めておりますので、お尋ねになりましたような、そういう問題は起らないものと考えております。尚これらの職員の、教職員の人達は在來長年に亘つて專門的に教育訓練のことに從事された、言わばエキスパートでありますから、新訓練による要員としても原則としてこの人達をその方に振向けるようにいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/5
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006・千葉信
○千葉信君 只今政府の御方針を承りまして大体了解いたしましたけれども、私共この第二條を私共の通念に從つて読みますと、どうしてもこの表現では非常に教育の範囲というものが局限せられて、從つて從來逓信省において逓信講習所で行つておりました教授状態からいたしますと、非常に從業員が教育水準の低い状態において執務に就かざるを得ない。こういうふうな私共感銘を受けるのでございますが、私共現在のいわゆる六・三制というものは、根本の理念におきましてはこれは立派なものでございましよう。けれども、少くとも現在進行中の六・三制は、日本における教育の混乱を惹き起さざるを得ない。どうしてもこの六・三制の実施というものは、財政的の点からいたしましても、必ずしも当初考えられたような理論的な立場を十分に護つて行くことができない。從つてこの六・三制の混乱の時期というものは、一般國民の学問の水準というものがどうしても低下を避け得られないということが、これは誰でも認めておるところなんでございますが、こういう混乱した状態の中で、この訓練法が実施されるということは、私は非常に問題になるのではないかと、こういう点を考えられますので、只今の政府から承りました御方針というものを御準備中と聞きましたけれども、その準備の点について私共のこういう現在の六・三制の実施の成果というものが、なかなか期待し難いというところに着眼せられまして、十分に教育の範囲というものについて、深甚なる考慮を私は希望せざるを得ない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/6
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007・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 先般の委員会で一應お尋ねした点でありましたが、逓信大臣がお見えにならなかつたように思います。それで多少重複するかも知れませんが、一つだけお尋ねして置きます。私は第六條の関係でありますが、逓信大臣は通信事業を復興するについても、通信事業の運営をもつと合理的にし、且つ民衆の要望に副うように持つて行くのにも、要するに問題は人にあるということを再々お述べになつておられます。私もその点につきましては全く同感であるのでありますが、從業員の素質を向上せしめるということが、その人の運営につきまして考えるべき第一の要点ではないかと思うのであります。その意味におきましてこの訓練法案は相当重要な方針を定めるものであると思うのでありますが、第六條を見ますとこれは從來あまりこういつた例はないので、今度から組織的に第六條のようなことを訓練の一つとしておやりになろうということにつきましては、運用がそのよろしきを得れば、これは非常に有効に活用されまして、從業員の素質を向上する上に非常に役立つ制度ではないかと私は考えております。そこでお伺いしたいのでありますが、この第六條の運用につきまして、私は一般からも適切な有能の士を事業に吸收して來ることは固より必要でありますが、現在は教育程度も高くない人でも素質のよい人で非常に事業に対して熱意を持つておる人、そういう人に対しましては成るべく廣くこの第六條を適用して、從業員の中からその事業に対する熱意を持つておる者に、進んでこういう教育機関等に入つて研修をするという機会を成るべく與えた方がいいのではなかろうかと思うのであります。又現在の状況から見ましても、そういうふうに持つて行くことが極めて適切だろうと思うのであります。で、予算等につきましては、まだ実施計画もはつきりと決まつていないようにこの間伺つたのでありますが、この第六條のいい方面に対する活用につきまして、大臣がどういうふうな考えでおられますか。これは私は是非廣く活用されまして、單に幹部級のみならず、一般從業員にこういう制度が適切に活用されることにしていいと思うのでありますが、その点大臣から明確に御返事を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/7
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008・冨吉榮二
○國務大臣(冨吉榮二君) 只今の新谷さんの御質問といい、又先程の千葉さんの御質問といい、逓信事業に対する非常な御理解と、そうして從業員に対する御同情溢るる点からの御質問等承りまして、私は謹しんで敬意を表します。固より私共この訓練法を制定しまするゆえんのものは、世間で一部に誤解のありまする、いわゆる單なるこの機関として作れば、それで足りるという意味合においてするのではございません。仕事は、ただ單に技術、知識というだけで問題が解決されるのではなくて、いわゆる人格の陶治及び思想の堅実化、そうした問題の基礎の上に立つての知識教養、技術というものがあることは申すまでもないのでございまして、その点に関しまする熱意におきましては、私共決して欠くるところはないとみずから信じておるのでございます。ただ、この法制を出しまするゆえんは、たびたび政府委員の方からも御説明申上げたと思いまするが、從來の教育の程度において欠くるどころがあるためと、今一つは從業員に一つの大きな希望と抱負を與えたいという建前から、講習所というものの設置はされたものと考えまするし、その点に関しまして、非常な貢献をなし來つたことは、私これを認める次第でございます。併しながら御案内のごとく、新憲法が実施せられまして、いわゆる官僚のセクシヨナリズム、或いは畸型的な人物の養成ということが揚棄されて、そうして普遍的に教育基本法に基くものによつて、一つの一般的な教養を高めて、その上に就業せしめるというのが教育の理念であろうかと思うのであります。この意味におきまして六・三制の実施、或いは新制高等学校、或いはその他実業專門学校、大学というようなそれぞれの課程におきまして必要なる一般教育は施されるわけでございまして、更に通信事業上必要とする教科目を訓練するというのが大体の主眼でございます。併しながらこれは、今千葉氏もお述べになりましたように、現在の過渡的形態の下においては、必ずしも六・三制の実施により教養が高まつて來るとは思えないので、この点においては、この運営の面において、大いに我々が苦心努力をしなければならんところかと思うのでありまして、この点に関しましては、私共できるだけの努力をいたしまして、この御心配になつたような点を排除して参りたいとこう思うのでございます。
第二点のいわゆるこの逓信省がこういうものを持つておるために、いわゆる就業しながら向学して、学問を修得して、社会的な立派な人物になれるという一つの希望に対する失望と言いますかそういう点でありまするが、それは、いわゆる從來通信事業なるものが、著しく劣悪なる労働條件の下に置かれたということは、私は大胆に認めなければならん点であろうかと思うのでございます。從いまして私共はこの通信事業の重大性と、つまり文化國家の神経系統を扱うこの通信事業の重大性が、社会一般にも認識されまするし、國家の施政といたしましても、この事業に対する十分なる配意が行われるということを前堤とし、又現実の問題といたしましても、私は必ずしも逓信從業員が十分な、或いは他の省より待遇が優れているとは決して考えておりません。多少不足の点がございまするとまだ考えておる一人で、この問題の解決には、努力しておるつもりでありますが、給與の面におきましても、著しく劣悪な條件ではないと今日考えておる次第でありまして、その要員の獲得等に関して、この講習所なるものがなくなつたということによつて、著しく障害を來さないものと考えるのであります。併しながら何を申しましても、御案内のごとく、四十万の從業員によつて、この人の協力を予算の関係から見ましても物件数が三三%、人件費が六七%を占める点から見ましても、この人の質に依存する点が通信事業は非常に多いのでございまするが故に、この人物の養成につきましては、これは大なる関心を持たなければならないと思いますので、今新谷さんがお尋ねの、そのいわゆる委託制度というものは、実は我々も非常に骨を折りまして、その関係方面に折衝いたしまして、この項を入れたような次第でありまして、このことは、國家財政の許す限りにおいて、私は一般的に、普遍的に、一部のただ英才を目的とするということでなしに、できるだけ多くの人に向学の機会を與えるように努力をいたしたいと念頭する一人でございます。又私共の命数もいつまでか分りませんけれども、恐らくこの精神は、遞信省の事務当局においても引継かれて、いや増すこの通信事業の從業員の人的素質の向上といいますか、そういう方面に向つては、努力をしない限り、我が國の遅れたる通信事業を世界各國の通信事業に伍して、本当に完璧を期し得るということは不可能と思います。こうした至上命令の建前からも、この機構の運営如何というものは、非常に重大な関係があると思いまするので、事務当局においても、永久にこの問題を有用に活用するものと私は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/8
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009・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 只今の大臣の御答弁、非常に御懇切な御答弁がありました。私の申上げた意味も、十分御理解下さつておるものと存じます。この第六條の運用に関しましては、只今大臣の御答弁になりました趣旨に從つて、この二十三年度から、成るべく特殊の幹部だけではなしに一般從業員にも、できるだけこの第六條の適用を廣め、そうして現場から幹部、中堅に至ります全部を通じまして、遞信職員の素質を少しでも向上せしめるように、第六條によつてこれを活用することにお骨折を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/9
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010・深水六郎
○委員長(深水六郎君) 外に御質疑の方はありませんか、細かいことですが、ちよつと政府委員の方にお伺いしますけれども、今までの遞信從業員に対する教育の一人当りの費用というものは大体どの見当になつておつたかということと、それから従つて本法案が施行されれば経費はどのくらい節約になるかというような点、或いは今まで無線電信講習所の費用というのは通信事業特別会計が負担しておつたのか、或いは若しも負担しておつたならばどのくらいであつたか、そういうような点、それから遞信大臣の管理する國の業務ということがありますけれども、これは電波監督の業務もあると思いますが、それもこの法案によれば入るのかどうかというような点について御意見をお伺いし、この法律施行について特に経費を要するのかどうかというようなことを、甚だ小さい問題ですけれども、一應お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/10
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011・大野勝三
○政府委員(大野勝三君) 二十二年度の実績を見ますと、遞信講習所の養成人員一人当りの経費は、年額にいたしまして三万円余と相成つております。新訓練法実施によりましてこの経費が殖えるかというお尋ねでございますが、その点は実は訓練計画を只今檢討中でございまして、その訓練計画の内容如何に関係するところでございますので、只今のところ、ちよつと分りかねますので、お答えをお許し願いたいと思います。それから無線電信講習所の経費は、二十二年度までは通信会計において支出をいたしておつたのでございますけれども、二十三年度予算におきましては、通信会計の非常な赤字の克服ということがやかましくなり、我々も檢討し、又外部よりのいろいろな意見もございまして、結局これらは一般行政費として支弁さるべきものとなりましたので、その移管以前の現在におきましても、この経費はすべて一般会計の支弁となつております。尚お話に出ました電波監督の経費も、同樣の理由によりまして、二十三年度よりは一般会計よりその所要経費を通信会計へ繰入れて支弁して行くという方式になつております。尚、新訓練法の実施に伴い特別に経費を必要とするかどうかというお尋ねでございますが、これは特別にそういう予算措置を必要といたしません。と申しますのは、職員養成経費というものを或る程度本年度予算にも見込んでおりますので、その予算の範囲内において運営をいたしたい、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/11
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012・深水六郎
○委員長(深水六郎君) 他に御質疑はございませんか。他に御質疑がなければ、千葉委員から本法案の修正案が出ておりますから、千葉君から御説明を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/12
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013・千葉信
○千葉信君 本法案における第二條の修正案を、私は次のように提出しておきました。それは、「第二條この法律の規定に基き遞信大臣の行う訓練は、遞信職員の担当する業務の遂行に必要なものに限られる。」途中に「直接関係がある」とありましたのを、「必要なもの」と訂正いたしましたことと、以下の條項を全部削除した修正の提案であります。いろいろと質疑應答におきまして政府委員の御答弁を承つておりますと、大体において、むしろその後の條文は実際問題として不必要な形に向わざるを得ないということと、却つて、あることの方が、いろいろの今後の訓練教程を施す上に不利な状態が考えられますので、その意味から、むしろこの際法律案としては、第二條をこの修正案のようにはつきりしたものにした方が、今後の運営上に明確な、基本的なものが生ずるのではないか、こういう立場から以上の修正案を提出する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/13
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014・深水六郎
○委員長(深水六郎君) これに対する当局の御意見は如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/14
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015・大野勝三
○政府委員(大野勝三君) 遞信当局の意見はどうかとのお尋ねでありますが、遞信当局といたしましては原案に基いて御審議を頂きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/15
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016・深水六郎
○委員長(深水六郎君) ちよつと速記を止めて。
午前十一時四十六分速記中止
午後零時二十二分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/16
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017・深水六郎
○委員長(深水六郎君) 速記を始めて下さい。
只今千葉君から修正意見が出ておりましたが、撤回するということでございますから御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/17
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018・千葉信
○千葉信君 只今委員長から報告がありましたように、私が提案いたしました修正案はこの際撤回いたします。併しながらこの修正案の撤回は、どこまでも時間の関係上その他の点から、この修正案の通過ということが、相当困難な見通しがあるという事実に基いて、私は撤回いたす次第てございます。併しながら只今私が撤回の理由として申述べましたような事情に基いて、皆さん方も私の撤回をお認めになつておられるようでございますので、私としてはこの際明確に、こういう各委員の意向を今後の訓練の実施の際に政府当局としては十分に活かしてやつて頂きたいと思います。以上私は政府当局にはつきり要望いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/18
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019・深水六郎
○委員長(深水六郎君) 他に御質疑はございませんか。それでは御質疑もないようでございますから、これかや討論に入りたいと思いますが御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/19
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020・深水六郎
○委員長(深水六郎君) それではこれから討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/20
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021・鈴木清一
○鈴木清一君 私はやはり今千葉さんのお話のような意見を持つておりますが、それにつきまして、私も七、八年間特定郵便局長をした関係もありますので申上げるのでありますが、從事員を採用する場合に、逓信從業員の、私達のような小さい特定局においては、小学校の高等料を卒業した人の中で、一番素質のいいのが來るのでありまするが、それは比較的素質がよく、頭がよくても家庭が比較的貧困な家庭の人が多いということが多いのであります。その人達は頭がいいけれども、向学心に燃えていても、なかなかそれが行われないというような点から、非常にこの希望を満たすために苦心しておるわけでありますが、この訓練法案が、戰時中の教養がますます低まつたことを更に後退することのないように、運用を妙を以て、お願いしたいと思うわけであります。勿論この訓練の内容について、普通教育も附隨して來るものが多いと思いますが、それらについてくどいようでありますが、適当な而も含みのある自主的な運用をして頂きたいということを希望申上げまして、この法案に賛成する者であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/21
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022・藤田芳雄
○藤田芳雄君 私も衆議院修正案に賛成する者であります。
第一條の目的のところで、「逓信大臣の管理する國の業務の能率を増進し、」ということが第一に謳われておるのであります。能率を増進するということは、結局人そのものを立派にしなければならんということになりますので、ただ單に技術的な面にのみこだわつていたのでは、本当の能率は上らないと思うのであります。結局は人としての立派なものを作り上げるということがなければその技術も十分に発揮できないことになると思うのであります。その意味からいたしまして、第二條の一項の後段、「逓信大臣は、專門的な学科目を除き、一般の学校で通例実施されている学科目について訓練の教程を施すことはできない。」とあることは、見ようによつては大変な制限を加えたように考えられるのでありまするが、そうした所へこだわらずに、むしろ業務の遂行に直接関係があるというものの解釈を十分認識されまして、そこへむしろ重点を置いて、この法案を運営するというときによく御考慮願うということを強く要望いたしまして賛成する者であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/22
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023・大島定吉
○大島定吉君 私も衆議院送付の修正案に賛成の意を表します。但し希望といたしまして、先程千葉委員が撤回されました修正案の運用に当りまして、よく考慮して或るべく千葉委員の意思に副うように運営の実を挙げられるように希望いたしまして賛成の意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/23
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024・油井賢太郎
○油井賢太郎君 私もこの提案には賛成でありますが、一つ申上げたいことは、とかく逓信從業員が現業官廳にあつて最も忙しい、又最も疲労の伴う事業であるということは皆さんお認めの通りであります。こういうふうな訓練組織を所で以て、技術のみでなく人格の陶治並びに日本再建というような大きな意気込みに燃えるくらいの人物をどんどん出すというふうなところまで訓練を施すという点に最も重きを置かなくてはならないと思うのであります。こういう点を十分御考慮下さいまして、この法案を活かして行くように大臣にお願いして賛成する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/24
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025・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 私は衆議院で修正されました原案に賛成する者でありますが、先程來大臣からも懇談の席上で言明せられましたように、要するに逓信事業の運営の根幹は人の問題にあるのであります。結局從業員の素質を向上せしめ、これにあらゆる方法で教育と申しますか、向学の機会を與えるということが、これは從業員全般の希望でもありますし、事業にとりましてもこれは非常に重要なことであると思いますが、その意味を十分に運用に当りまして活用して行かれまして、この法案の運用上我々の希望と相反しないように是非御注意をお願いいたしまして賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/25
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026・水橋藤作
○水橋藤作君 先程から皆さんの言われておることと同感でありまするが、特に大臣及び政府委員がこの法案そのものを十分に善処すると言われたそのお言葉を信じまして、そうして今までの逓信講習所以上に、從業員が喜んでこの法案ができたことによつて從業員が惠まれるという方向に持つて行つて頂けることと、それを期待いたしまして、この法案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/26
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027・深水六郎
○委員長(深水六郎君) 別に御意見ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/27
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028・千葉信
○千葉信君 私はこの法案の通過ということに反対いたします。私は眞正直に申上げてこの修正案を撤回するの余儀なきに至つたことは我々の自主的な意思によるものでなくて、現在の日本が置かれておるところの悲しむべき客観的情勢のせいであるということの認識の点におきまして、私は肯定しがたいという気持を以て、この法案の通過に反対いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/28
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029・深水六郎
○委員長(深水六郎君) 別に御意見ございませんか、別に御意見もないようでありまするから討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/29
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030・深水六郎
○委員長(深水六郎君) それではこれから採決に入ります。逓信職員訓練法案を議題といたします。
尚本案は衆議院修正送付のものが原案となります。これを原案通り可決することに賛成の方の御起立を願います。
〔起立者多数〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/30
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031・深水六郎
○委員長(深水六郎君) 多数と認めます。よつて本案は可決と決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四條によつて予め多数意見者の承認を経なければならんことになつております。これは委員長において本法案の内容、委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとし御承認を願うことについて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/31
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032・深水六郎
○委員長(深水六郎君) それでは本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に報告する報告書に多数意見者の御署名を附することになつておりますから、御賛成の方は順次御署名を願います。
〔多数意見者署名〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/32
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033・深水六郎
○委員長(深水六郎君) 署名洩れはございませんか。ないと認めます。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十四分散会
出席者は左の通り。
委員長 深水 六郎君
理事 水橋 藤作君
委員
鈴木 清一君
千葉 信君
大島 定吉君
鈴木 順一君
油井賢太郎君
井上なつゑ君
尾崎 行輝君
新谷寅三郎君
鈴木 直人君
堀越 儀郎君
藤田 芳雄君
國務大臣
逓 信 大 臣 冨吉 榮二君
政府委員
逓信政務次官 下條 恭兵君
逓信事務官
(総務局長) 大野 勝三君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100214810X01819480705/33
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