1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年四月二十八日(金曜日)
午前十時五十分開議
出席委員
委員長 堀川 恭平君
理事 青柳 一郎君 理事 大石 武一君
理事 松永 佛骨君 理事 金塚 孝君
理事 金子與重郎君
高橋 等君 田中 元君
中川 俊思君 幡谷仙次郎君
丸山 直友君 渡部 義通君
出席政府委員
厚生事務官
(大臣官房会計
課長) 太宰 博邦君
厚生事務官
(児童局長) 高田 正巳君
委員外の出席者
厚生事務官 竹下 精紀君
専 門 員 川井 章知君
専 門 員 引地亮太郎君
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四月二十八日
委員中川俊思君辞任につき、その補欠として清
水逸平君が議長の指名で委員に選任された。
四月二十八日
公衆浴場法の一部を改正する法律案(青柳一郎
君外三名提出、衆法第二五号)
クリーニング業法案(大石武一君外七名提出、
衆法第二九号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一四三号)
予防接種法等による国庫負担の特例等に関する
法律案(内閣提出、第一四四号)派遣委員の調
査報告に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/0
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001・堀川恭平
○堀川委員長 それではこれより会議を開きます。
まず去る四月十八日当委員会より申請いたしました熱海市における火災による罹災状況の調査のため委員派遣について、同日議長の承認を得ましたので、災害地対策特別委員会及び建設委員会の派遣委員とともに翌十九日罹災状況を調査して参つたのでありますが、その報告に関しまして金塚委員より発言を求められております。これを許します。金塚孝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/1
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002・金塚孝
○金塚委員 これより若干の時間を拝借いたしまして熱海大火による罹災状況調査に関する報告をいたしたいと存じます。
四月十九日私は堀川委員長と同道して本委員会より派遣されましたので、主として本委員会に関係ある問題を中心に、以下その概要を御報告申し上げます。
まず被害状況についてでありますが、すでに御承知の通り、今回の熱海の大火は、四月十三日午后五時三十分の発火より同十二時の鎮火に至るまで、その火災は折柄の強風にあおられ、予想外の延焼を続けまして、これより熱海銀座、浜町、糸川町の繁華街と市庁舎、公会堂、警察署、消防署等の公共建造物は焼尽いたし、県当局の調査によりますと、消失家屋千百七十一戸、罹災世帯千四百六十五世帯、罹災人員五十七百四十五人、軽傷者九百六十三人、重傷者十六人、死者行方不況は無し、損害額は推定で約五十四億円となつております。
次に応急救助の実施状況でありますが、静岡県では、かねて災害救助法に基いて静岡県災害救助対策協議会を組織し、その実施機関といたしまして、知事を隊長とする災害救助隊を編成し、不時の災害に備えて参りましたが、このたびの災禍発生と同時に災害救助法を発動して、鋭意罹災者の救護に努めており、また熱海市では災害救助対策本部を設置して、県と緊密な協力のもとに、市当局、市議会、総動員で応急救助に当つておりました。その実施状況について簡単に御報告いたしますと、第一に救援物資については、県では災害救助法に基いて、なべ、かまの類から、手ぬぐい、作業衣、マッチ、せつけんの日用品に至るまで必要な物資を購入し、これを罹災者に配給しており、厚生省よりのララ物資とともに、その配給は末端まで行き届いているごとくでありました。その他、隣接市町村からも多数の救援物資が見舞品の名で送られており、今回の災害によつて、人の情のありがたさをいまさらのごとく感じたことはないと、全市民が感謝していることは、その間の事情を説明してくれるものと思います。
第二に、収容施設についてでありますが、罹災者の大半は親戚、知人等の縁故を求めて避難し、学校、寺院等九箇所の避難所に収容された者は、災害当日より十九日まで毎日三、四百名の間を往来しており、なお無料託児所二箇所を急設して、約二百名の幼児のせわをみている現状でありました。
第三に、医療方面を見ますと、災害と同時に日赤、国立病院、保健所、県立、市立の各病院関係から二十八班、延七百六十二名の医師、看護婦が出勤して、二十箇所に救護所を開設して活動いたしておりました。そのため当初多数を数えた負傷者は、順次回復して、十九日現在では三名の入院患者あるのみでありました。
第四に防疫の問題でありますが、災害につきものの伝染病を防止するため、いち早く罹災者収容所、並びに焼失地帯にD・D・T、石灰、ベンゾール等を撒布いたします一方、十六日からは全市民に対しまして腸パラの予防接種を励行いたしておりましたので、現在のところ伝染病の発生は見られない状況にあります。
第五に、見舞金の供與についてでありますが、これに関しては、熱海市ではとりあえず罹災者一世帯につき五千円づつ、別に家族一人五百円の割で、約一千万円の見舞金を送つております。なお当市の焼失地帯は比較的民度が高く、要保護世帯はありませんでしたが、今回の災害による各種の困窮を予想して、民生委員が相談所を開設しております。しかし現在までのところでは、災害救助法により救助いたしておりますので、生活保護法を発動する段階に至つておりませんが、今後生活保護法による救護者が出る可能性がないとは申せません。
さて次に災害救助法に関する問題を取上げて、現地調査の報告を若干行いたいと存じます。災害救助法の第三十七条によりますと、各都道府県においては五百万円以上の救助基金を積み立てることになつておるのでありますが、全県は毎年百万円づつ積み立てて現在二百万円の基金を持つております。
次に全県の災害救助法施行細則によりますと、火災の場合には、十五戸以上の罹災に対して災害救助法を発動しておりますが、その給與の基準を調べますと、収容施設費は、一人一日十日限度で三円、たき出しは、一人一日三日限度で二十六円五十銭、食品給與は、一人一日六日限度で二十六円五十銭、被服、寝具は、一戸について、夏期四月から八月が六千八百十円、冬期九月から三月が一万一千百六十円、生活必需品は一戸につき千二百七十円、医療関係は一人二週間を限度で、二千円、学用品の給與、学童一人について、二百七十五円となつておりますが、その基準はあまりにも低きに失して実情にそぐはないので、現地では基準額を引上げることを希望しております。これと同時に、現物給與よりはむしろ現金の支給を望んでおる声を多く聞きました。なお被服、寝具の給與の場においては、夏期と冬期とでは著しく差異がありますので、これも実情に照し四季にわけることが合理的であるという声もありました。
次に同県の救助費の支出を見てみますと、十九日までに約一千二百万円となつておりましたが、この額は輸送費、人夫費並びに医療費を含んではおりませんので、これらの金額を合算いたしますと、一千五百万円程度になるのではないかと思われます。なお御承知の通り、災害救助法によりますと、各都道府県がこれに支出した費用が、当該都道府県の前年度における地租、家庭税及び営業税の合計額の百分の五を超過する場合には、その超過額に対しまして百分の五十以下の部分につきましては、半額の国庫補助が行われることになつております。今回の熱海市の災害の場合におきましては、県の前年度における地租、家屋税、常業税の合計額の百分の五は約五百万円でありますので、相当額の国庫補助が行われることになるのでありますが、この際補助の基準を引上げてほしいという要望を聞いて参りました。
結論といたしまして、熱海の今回の災害は、ちようど熱海国際観光温泉文化都市建設法案が国会に提出せられ、健康にして文化的な泉都の建設に邁進しようとしていたやさきに起つたものでありまして、かかる大火にあつて、市街地の三分の一以上を焼失いたしましたことは、同市にとつては大打撃であつたことと、衷心より御同情の念にたえませんが、これを機会に街路を拡張して、区画を整理し、緑地帯を設け、上水道、下水道を完備して、真に健康的な文化都市に生れかわることができれば、災いを転じて福となすのたとえで、われわれ厚生委員会の立場からいたしましては、ぜひそうありたいものと思う次第であります。この意味から、国際温泉都市は即衛生都市たるべきことを熱海市当局者に強調して、今後の復興計画に十分織り込むよう希望して参りました。
なお、罹災家屋は相当数に上つたのでありましたが、幸いに救援物資も急速に行き渡り、医療も遺憾なく行われ、衛生状況もよろしく、応急救助の状況は概して良好であると御報告申し上げてよろしいかと存じます。しかし時日の経過につれて、住居、職業、生活の面で問題が発生する懸念もないとは申せませんので、この点県、市当局の善処方を要望しておきました。
以上簡単ではございますが御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/2
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003・堀川恭平
○堀川委員長 以上で御報告は終りましたが、何か御発言はありませんか――御発言がないようであります次に移ります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/3
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004・堀川恭平
○堀川委員長 それでは次に児童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、通告順によつて質疑を許すことにいたします。青柳一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/4
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005・青柳一郎
○青柳委員 児童福祉法の今回の改正は、いろいろこまかい点もありまするが、一番気になります点につきまして御質問をいたしたいと思います。それは本法と平衡交付金との関係であります。
まず第一に承りたいのは、今回の法律改正によりまして、児童福祉制度関係の経費の中に、いかなるものが平衡交付金によつて地方自治体に流されるか、いかなるものが国庫の補助として残されるかという点であります。これらの点につきましては、昨日も局長さんから御説明がありましたが、ひとつまとめて、区分して御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/5
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006・高田正巳
○高田政府委員 お配りを申し上げました資料の中で、それがわかるような資料がありますので、ちよつとごらんをいただきたいと思います。中央と地方における児童福祉行政の予算というのであります。この表をごらんいただきますと、全体の経費関係が一覧できるようになつているわけであります。一審右の欄がずつと中央の経費のみで行う仕事でございます。それからまん中の欄が中央と地方と経費を分担して行う行政、一番左の欄が地方の経費のみで行う行政、かようなことになつております。それで問題になります点は、まん中の欄が結局問題になるということでございます。それでまん中の欄を二つにわけまして、従来通りの補助率による地方補助負担金分、すなわちこれが補助金として残るわけでございます。それからその次のCとあります欄が、これが従来補助金でありましたものが平衡交付金に入れられたものがここに余部書いてあるわけでございます。それでその補助金として残ります費目はいかなるものかと申しますと、その下の欄に響いてありますように児童福祉事業三億七千万円、これは総額でございまして、その下の欄の二億二千五百万円というのが国庫補助額でございます。それから公共事業費の総額、六億七千七百万円で、国庫補助額は三億三千八百万円、これら計五億六千四百万円が従来辺りの補助金といたしまして国庫の予算に計上されたものであります。それから平衡交付金に参ります。次のC欄をごらんをいただきますと、そこに三つ費目がございます。一つは地方公共団体の職員費補助金といたしまして、従来の補助金に当るものが六千五百万円、これは府県の児童課の職員でありますとか、あるいは相談所の職員でありますとか、あるいは児童福祉司の費用でありまするとか、さような府県の、あるいは地方公共団体の職員の費用でございます。それからその次の費目は児童委員指導費となつておりまして、補助金として二千百万円、これは児童委員さんのいろいろな費用の弁償でありますか、あるいは児童委員会の費用でありますとか、そういうような費用でございます。それから三番目が一番大きいのでございます。これが児導福祉施設保護費十四億五千八百万円、これが結局各種の児童福祉施設に入りました子供たちのまかない費だとか、あるいはその施設の人件費だとか、かようないわゆる生活費に当る費用でございます。以上三費目計十五億四千四百万円というものが従来の補助金であつたのを平衡交付金の千五十億の中に入れた、かようなことに相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/6
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007・青柳一郎
○青柳委員 今の御説明でわかつたのでありまするが、地方公共団体の職員費、児童委員の指導費並びに各種児童福祉施設保護費、この三つが平衡交付金によつて流されるものであるということ承知したのでありますが、従前からかかる性質の経費が府県あるいは市町村に流されました際に、はたしてそれが支出されるべき面において支出されておるかという点について、非常に危懼を持つておつたのであります。現実にはそれだけの金が必要な目的の経費に使われておらないというのが実情であつたと思うのであります。今回児童福祉施設制度に必要な経費が、かかる平衡交付金によつて流されるということになりますると、やはりわれわれは同じような危懼を持つものであります。その点につきまして、そういう弊害のないように、当局においてはいかなる措置を考えておられるか、それにつきまして承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/7
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008・高田正巳
○高田政府委員 ただいまの御質問はまことにごもつともな御質問でございまして、私どももその点をいろいろと心配をいたしておるところであります。それで今回その点に対してどういう措置を考えておるかという御質問でございますが、その一つといたしまして、今回の改正をお願い申しあげたのであります。この五十条、五十一条を改正をしていただくことによりまして、都道府県なり市町村なりは、最低基準を維持するために要する費用を支弁する義務を負うわけでございます。それでこの改正条文が成り立ち得ますならば、これによつて現在の最低基準をもう少し詳細にいたしまして、そのことによつてただちに費用が的確につかみ得るような詳細なものにいたしたい。この条文によつて都道府県の支出事務というものを確保いたしたい。さらにその次の五十三条の二をつけ加えていただくことによりまして、実際にその支出事務を果しておるかどうかということの、実地についての監督を、厚生大臣なり都道府県知事なりにやれるようにいたしたい。かような措置によりまして、一応法律的にはその確保を期し得ると考えておるわけであります。
以上申し上げましたのが第一点でありまして、第二点といたしまして、平衡交付金の算定の基礎となりますのは、平衡交付金法案によりますと、単位当りの費用と測定単位というものをかけ合せて、その行政費目に対する基準財政需要額を測定する、こういうことに相なつておるわけでございます。児童福祉の場合にには、しからばその測定単位はいかなるものであるかと申しますと、児童福祉施設の入所者の数ということに相なつております。さように相なつておりますれば、これは客観的な数字でございますので、別に心配はないわけでございます。問題はそのかけられる方の数字の単位費用が問題でございます。この単位費用というのは、今度の法案によりますれば、将来は法律できめられるけれども、本年度のところは、とりあえず財政委員会規則というものできめられるように仄聞いたしておるのでありますが、その際にいかにきめられるかということが、結局平衡交付金を地方に流します場合の算定の基礎として、非常に重要になつて参りますので、今後財政委員会と緊密な連絡を保持いたしまして、児童福祉の仕事について、十分にやれるだげの単位費用をその規則の中に盛り込んでいただくということに、努力を重ねたいと思つております。
以上申し上げました二つの点が御質問にお答えする点でございますけれども、しかし全般的に申しまして、平衡交付金にこの仕事が移るということに相なりますと、この平衡交付金は地方の金でございますから、従来のように補助金の制度によつて地方の仕事を統制するということは非常にむずかしくなりますので、結局地方の当局者、あるいは地方議会の人々、あるいは一般の地方住民の方々の、この仕事に対する御熱意というものが、非常に大きく費用の点にも影響してくるものと思いますので、非常に迂遠な方法ではありますけれども、児童福祉思想の普及徹底ということに、今後一段と努力をいたしたい。この点も私ども大いにやらなければならないことだと考えておる次第であります。以上お答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/8
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009・青柳一郎
○青柳委員 なおお尋ねいたしたいのは、この措置は一年限りの措置のように法制上なつておると思いますが、いかなるお考えで一年限りのものとされたのであるか、その点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/9
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010・高田正巳
○高田政府委員 これは地方財政法の改正案の方で、とりあえず昭和二十五年度に限りということになつておりますので、この法律も、予防接種法等による国庫負担の特例等に関する法律案というのも向うと符節を合せまして、一年限りということにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/10
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011・青柳一郎
○青柳委員 ただいま承りますと、この児童福祉に必要な経費が他の経費に使われないように各種の法制的な措置ができておることについて御説明をいただきまして一応安心するものではございますが、法制的措置のみをもつて全面的な安心はできない。ことに地方財政委員会との関係において、なおわれわれは危惧を持たざるを得ないのであります。この事業の必要性にかんがみまして、当局におきましても十分御熱意をもつて弊害のないように、間違つた方向に経費が使われないように御努力されるものと思いますが、われわれの心配のある点をよく御監督願いまして、その方向に十分な御努力を願いたいと存じます。
次に引続いて他の問題について承りたい点があります。それは本年度に新制中学校を卒業した生徒、これらはなお児童福祉法の対象になる生徒でありますが、これらの生徒の就職状況について、非常に心配な点を伺つたのでありますが、私がここに持つております資料は、東京都の調べによるものでありまして、全国的なものではございませんが、これによりますと、東京都の本年度の新制中学校の卒業生、これが約八万二千人ある、そのうち仕事につきたいという希望者は約四万四千人である、これに対して職業安定所に集まつた一般の求人数は約五千人であつて、わずかに希望者中の一割程度しか就職できないという調査があるのでございます。この問題は児童福祉の面から見ましても非常に重要な問題であります。もちろん求職を開拓するという方向の問題でございますから、このことは労働省のお取扱いとは存じますが、なお他の、職業以外の面において、児童福祉の観点から、これらの子供を放つておくという際には、福祉が十分に行き届かないことに相なります。従いまして、御当局におきまして、何らかこの対策についてお考えがありますならば承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/11
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012・高田正巳
○高田政府委員 新制中学の卒業生の就職の問題は、非常に重要な問題でありまして、実は内閣に設置されております青少年対策協議会、これは青少年の不良化防止ということを主眼に設置されておるものでありますが、ここにおきましても、私はこの問題についていろいろ論議をいたしたことがあるのであります。ただいま御指摘のように、児童の福祉という観点から見ましても、あるいはもう少し狭く、不良化の防止という観点から見ましても、この問題は非常に重要な問題だと存ずるのであります。ただいま御指摘になりました東京都の実例でございますが、この問題につきましては、お話の通りに、まず就職をさせるということが、この問題の解決の一番の眼目でなければならぬ。それがまた制度の解決の仕方でなければならないということでございまするので、労働省関係におかれまして、実は非常な努力をしていただいておるようなわけでございます。最近の的確な資料は持ち合せておりませんけれども、東京都におきましては、その後職業安定所等の異常なる努力によつて、大体希望者の六十パーセントあまりくらいは、就職の見通しがついたというふうなことを、労働省の係官は最近において申しておりました。もしこの状態がもう少し進みまするならば、この問題は解消するわけでございますけれども、しかしながらその程度でまだとまつておるということでありまするならば、私どもといたしましても、就職できなかつた児童たちの問題について、文部省その他の関係方面とも十分な連絡をとりまして、何らかの措置をいたしたいと、ただいま研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/12
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013・青柳一郎
○青柳委員 この問題はひとり東京都の問題ばかりでなく、ことに他の大都市などについても、相当大きい問題であろうと存ずるのであります。何とぞ御当局におかれましても、急速なる対策を打立てられたいと思います。ことにこれは本年だけの問題でなく、引続いて来るべき卒業生につきましても重大問題であります。何とぞ御当局の御善処をお願いいたしておきます。以上をもつて私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/13
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014・堀川恭平
○堀川委員長 他に御質疑はありませんか……。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/14
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015・堀川恭平
○堀川委員長 それでは予防接種法等による国庫負担の特例等に関する法律案を議題として、質疑を通告順に許すことにいたします。丸山委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/15
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016・丸山直友
○丸山委員 一昨日の委員会に欠席いたしまして、提案理由をよく承つておりませんで、はなはだ不勉強で、質疑もあまりその当を得ておらぬかもしれませんが、ただ私が心配しておりますことは、この改正によつて、鼠族昆虫の駆除に関する費用が、平衡交付金から出されることになつておるのであります。その平衡交付金というものは、大体こういうような――府県へ交付せられる場合においては、全部ひもつきで、一定の形で出されるようなものでございましようか。あるいはそうでなく、平衡交付金として渡されて、その利用につきましては、各府県が自由にこれを動かすことになるのでありますか、この実態を少し承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/16
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017・竹下精紀
○竹下説明員 お答えいたします。鼠族昆虫の駆除に関する費用につきましては、平衡交付金として交付されますのは、ひもつきとしては交付されません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/17
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018・丸山直友
○丸山委員 ひもつきで交付せられない場合においては、とかく府県においては、平衡交付金の使い道というようなことからいいますると、厚生行政は割合に軽く見られる危険が非常に多いのであります。これは私としては、非常に危険なことであると考えるのでありまして、あるいは橋梁でありますとか、道路であるとかいうものに対しては、非常な重点が置かれるという危険があると思いますが、その点は何らの支障ないとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/18
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019・竹下精紀
○竹下説明員 お答えいたします。御指摘の点はまことにごもつともでございまして、私どもの方でも、その点は非常に心配いたしておるのでありますが、この予防接種法特例の中の第一条第一項につきましては、政令におきまして、鼠族昆虫の駆除につきましての人員、薬品、器具その他につきまして、基準を設けてやつて行きたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/19
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020・丸山直友
○丸山委員 政令で基準を定める。ゆえに当然市町村はその基準に従う義務がある。従つてその費用は当然平衡交付金としても支出しなければならぬ。こういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/20
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021・竹下精紀
○竹下説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/21
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022・丸山直友
○丸山委員 了承いたしました。そういうことであれば、ある程度の心配はそこで免がれることができるのじやないかと考えます。その他の改正は当然の改正と考えますので、質疑はそれだけにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/22
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023・渡部義通
○渡部委員 予防接種に関する今度の法律案が、主として地方財政平衡交付金法の施行に伴つて改正を要することになつておりますが、今日地方財政平衡交付金法が通過していないときに、事前にこの問題が出されておるわけでありますが、これはどういう意味から先に出されておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/23
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024・高田正巳
○高田政府委員 平衡交付金法案がもしこの国会でかりに成立いたしまして、施行されることに相なりますると、同時に厚生省関係の補助規定というものを停止いたしませんと、そこに法律的な矛盾が出るわけでございます。それで同じ国会に御審議をお願い申し上げておる。かような関係になつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/24
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025・渡部義通
○渡部委員 丸山委員から質問された事柄に対する御答弁の趣旨が、実はほんとうにはつきりつかめなかつたのですが、もう一度、どういうふうにしてこういう法案の施行によつて生ずる経費が確保されるのかという点、つまり予算的な措置がはつきり確保される形でなされ得るかどうかという考え方を、ひとつ聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/25
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026・高田正巳
○高田政府委員 先ほどの丸山委員の御質問に対してのお答えは、要約いたしますると、平衡交付金というものは、ひもがつかないということがまず第一点であります。しかしながら、地方がその仕事を確実にやるかどうかという点については、今回の予防接種法等による国庫負担の特例等に関する法律案の第二条によつて、伝染病予防法の改正をしていただきまして、伝染病予防法の中の十六条の二として、「都道府県又ハ市町村ハ政令ノ定ムルトコロニ依リ鼠族、昆虫等ノ駆除ヲ行ヒ之ニ必要ナル人員ヲ置キ及器具、薬品其ノ他ノ物件ヲ設備スベシ、伝染病流行シ若ハ流行ノ虞アルトキハ都道府県知事ハ政令ノ定ムルトコロニ依リ、地域ヲ定メ市町村ヲシテ鼠族、昆虫等ノ駆除及之ニ関スル施設ヲナサシムルコトヲ得」、こういう規定を挿入していただきたい、こういうお願いを申し上げておるわけであります。鼠族、昆虫の仕事は、御承知のように、従来は全然法律的な基礎なくして、補助金を流すことによつて、地方に実際に行つてもらつておつた仕事です。それが補助金として、金で統制がとれなくなつたということでありますので、今度は伝染病予防法を改正いたしまして、地方が政令の定むるところによつてこれを行う人員を置き、器具薬品その他の物品を設備すべしという法律的な基礎を今度は法律の方に定めていただいて、その仕事の法律上の義務を地方団体に課する。こういうことによつて、この経費を確保いたすというような私どものつもりなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/26
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027・渡部義通
○渡部委員 つまり法律によつてきめても、地方の交付金の分割の場合に、一定の人員なり、一定の施設というようなものが確保せれる形で実現できる見込みがあるかどうか、そういうような保障を與えることを考えられておるのかどうか、それがはつきりしないと、丸山委員からも疑義があつたように、将来厚生関係の仕事なんかが非常にないがしろにされてしまうおそれが十分にある。そういう傾向が、今の政府のあり方から見て十分考えられることであるという点が、懸念されるわけです。必ずこれはやるのだという見通をはつきりとつけておられるか、ただこれだけのことによつて具体的な実行がなされる場合に、経費等の確保ができると考えられておるのかどうか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/27
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028・高田正巳
○高田政府委員 その点は、先ほどの青柳委員の御質問と同じような御趣旨の御質問でございまして、あのときに私児童福祉の面だけについてお答えをいたしたのでありまするが、御指摘の通り、若干の心配はなきにしもあらずなのであります。しかしながら、今の予防接種の、鼠族、昆虫の方で取上げて申しまするならば、政令によりましてそれらの人員の基準を定め、器具、薬品その他の物件の設備の基準を定めまして、法律的な義務を課することによりましてその確保を期するということと、さらに今後厚生省といたしましては、財政委員会と十分なる連絡をとりまして、単位需要について、われわれの要望するところを十分に盛込んでいただくという努力を重ねることに相なると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/28
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029・渡部義通
○渡部委員 その人員ないし設備の基準というようなものが、現に考えられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/29
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030・竹下精紀
○竹下説明員 考えておりまして、ただいま大蔵省と政令内容について折衝中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/30
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031・渡部義通
○渡部委員 どういうふうな内容になつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/31
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032・竹下精紀
○竹下説明員 政令の名称は、伝染病予防法第十六条の二の規定による、鼠族、昆虫等の駆除に関する政令案、そういうふうになりまして、大体人口一万三千人以上の市町村は、人口一万三千人ごとに一班の衛生班を置き、六箇月以内にこれを設けるということであります。またこの衛生班は六人を基準として組織しまして、班長には別表をもつて定めるところの雇員をもつて充てる。その次は都道府県知事は、伝染病発生時の鼠族、昆虫につきまして、その場所及び区域、そういうところを指定する。あるいは伝染病流行後一年以内でありまして、季節的に伝染病流行のおそれがある場所については厚生大臣が指定する。こういうふうに、伝染病患者が発生しました所については、厚生大臣が区域を指定しまして、都道府県知事に鼠族、昆虫の駆除をやらせる、こういう内容を含んでおります。その他器具、薬品その他の物品につきましては、これは省令の方に譲つております。大体以上が政令の内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/32
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033・渡部義通
○渡部委員 二十五年度のこれに要する交付金の金額との間に差額がないかどうかという点はどうなつておりますか。どういうような予算になつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/33
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034・竹下精紀
○竹下説明員 これは二十五年度の予算に基きまして政令ができておりますので、差額等はないはずであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/34
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035・渡部義通
○渡部委員 私の質問は一応これで打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/35
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036・堀川恭平
○堀川委員長 ほかに御質問はありませんか。
速記を中止してください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/36
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037・堀川恭平
○堀川委員長 それでは速記を始めて……。
お諮りいたします。児童福祉法の一部を改正する法律案及び予防接種法第による国庫負担の特例等に関する法律案につきましては、他に御質疑はないようでありますから、この際一括して質疑を打切りたいと存じまするが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/37
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038・堀川恭平
○堀川委員長 御異議がなければ、両案の質疑は打切ることに決しました。
この際青柳委員より、両案に対する修正案が委員長に提出されておりますので、その趣意の説明を願いたいと存じます。青柳委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/38
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039・青柳一郎
○青柳委員 この両法律案とも、附則に、「この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。」こうあるのでありますが、もう四月一日は過ぎてしまいましたので、その施行期日は公布の日から施行するということにいたしたく、なおこれらの適用につきましては、四月一日から適用するというふうに修正いたしたいのであります。案文を朗読いたします。
児童福祉法の一部を改正する法律案に対する修正案
児童福祉法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
附則を次のように改める。
「この法律は、公布の日から施行し、昭和二十五年四月一日から適用する。」
次は
予防接種法等による国庫負担の特例等に関する法律案に対する修正案。
予防接種法等による国庫負担の特例等に関する法律案の一部を次のように修正する。
附則を次のように改める。
「この法律は、公布の日から施行し、昭和二十五年四月一日から適用する」以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/39
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040・堀川恭平
○堀川委員長 ただいまの両修正案に対する御質疑はありませんか。――なければ、次に両案を一括して討論に入ることにいたします。渡部委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/40
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041・渡部義通
○渡部委員 共産党としましては、この二つの法案の内容にも異議があり、不満もありますが、しかしこまかいことは時間の関係上省きまして、少くとも原則的に二つの点から反対であります。一つは先ほど申しましたように、これらの予算的措置の前提となる法案が通過しない前に、ただそれが通過するのであろうというような見通しの上から、しばしばそれと関連のある法案が事前に通されてしまうというようなことがありましたが、このようなやり方は大体根本的に間違いであるということ、第二には平衡交付金そのものに対して、われわれは非常に反対の部分が多いのであつて、結局は平衡交付金法に対してもわれわれは反対しなければならぬ見解を持つておるわけであります。この二つの理由から、提案されている二法案について反対であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/41
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042・堀川恭平
○堀川委員長 以上で討論は終結いたしました。これより児童福祉法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
まず青柳委員より提出された修正案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/42
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043・堀川恭平
○堀川委員長 起立多数。よつて本修正案は可決されました。
次に修正部分を除く残りの部分について、原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/43
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044・堀川恭平
○堀川委員長 起立多数。よつて本部分は原案の通り可決することに決定いたしました。本案は修正議決いたされました。
次に予防接種法等による国庫負担の特例等に関する法律案の採決をいたします。
まず青柳委員より提出された修正案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/44
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045・堀川恭平
○堀川委員長 起立多数。よつて本修正は可決されました。
次に修正部分を除く残りの部分について、原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/45
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046・堀川恭平
○堀川委員長 起立多数。よつて本部分は原案の通り可決することに決しました。本案は修正議決いたされました。
なおただいま修正議決いたしました両法案に閥する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますので、さよう御了承願います。
本日はこれにて散会することにいたします。次会は明日午後一時から開会いたします。
午前十一時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704237X03319500428/46
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