1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年四月七日(金曜日)
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本日の会議に付した事件
○小型自動車競走法案(衆議院提出)
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午前十一時七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/0
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001・高橋啓
○委員長(高橋啓君) これより小型自動車競走法案について、通商産業、地方行政連合委員会を開会します。昨日に引続いてこれより質疑に入ります。御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/1
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002・島村軍次
○島村軍次君 我が国では初めての試みでありますので、実際の運用については相当注意を要するものではないかと思うのであります。設備或いは競技のルールの決定等に対しましても慎重にやらなきやならんし、又この公正を期するというようなことは極めて重要なことだと思うのでありますが、そういう問題に対しての用意があるどうかという問題について、議員の発案でありますが、一つ通商産業省の御意見を承つて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/2
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003・玉置敬三
○政府委員(玉置敬三君) お話の点、私共もこの法律が通りました暁の準備を現在しておるわけでありまして、競技場その他につきましては、規格を設けまして、その規格に基いてできましたものは検査その他を行いまして、その結果に基いて実施を進めて行く、こういうことで全部競走場の規格というものを決定すべく準備いたしております。そうしてその規格に基きましてできましたものは登録するというようなことで進めることになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/3
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004・島村軍次
○島村軍次君 そこでその場合に自転車の場合でも、地方行政の立場からいえば、財源確保になるのでありますが、最近の自転車競走等の点から見まするというと、非常に問題が各所に起きておるようであります。従つて昨日私は欠席をいたしましたが、この秩序保持といいますか、治安の問題等に波及して、いわゆる不正行為が行われるというようなことも相当考えられなければならんと思うのでありますが、そういう場合に対する罰則等の必要があるのじやないかと思うのでございます。それに対する意見を承わりたいことと、こういう問題についてはむしろ賄賂、競走の激甚なためによく行われる談合等の場合で問題が相当起きると思うのでありますが、むしろこの罰則規定を作るということが適当ではないかと思うのでありますが、発案者の方の御意見を一つ承つて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/4
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005・栗山長次郎
○衆議院議員(栗山長次郎君) 只今の御質疑に対しまして、二十四条以下、罰則のところを御覧賜わりたいと存じますが、罰則につきましては、可成り立案者といたしましては厳罰を以て臨んだつもりでございます。極く重いのは五ヶ年間懲役というところまで行つておるのがありますが、後段に御指摘になられました選手間における談合、これを防止いたします方法といたしましては、賞金を相当高く上げること、そうしてその賞金は車に乗る者だけでなく、車を作つた者に主に重点を置くというような点で、余程その弊害は除かれるものと考えておりますが、もつと基本的なことは、その競走に臨む者が、昨日岡本委員長から御親切な御注意がございましたように、スポーツ精神に徹して、どこまでも公正なる競走をなすという、そうした精神的な雰囲気の中に、これを指導育成して行くという、基本的な準備行為が必要であろうと考えて、これは通産省の省令によつて、一々細かいところまで取締るという窮屈なものにいたしますよりも、これに携わります民間人が自覚を持つて委員会なり何なりを組織して、そうしたことの防止、更には向上を図るという構成で行きましたならば、相共に懸念されます点は可成りの程度まで除かれて、期待に副うような発展をなすであろうと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/5
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006・島村軍次
○島村軍次君 次に只今通産省から御答弁のありました競技のルールの決定とか、或いは設備の問題とか、いろいろ制約を受けてその競技の公正を期さねばならんと思うのでありますが、地方財政にも関係のある事項でもあり、且つ地元の市町村としても重要な関係点であると思うのでございまするので、第一点には、開催地を都道府県とし、それに衆議院では五大都市を加えられたようでありまするが、売上金額に対する或る程度の……その開催地の市町村に対して、府県の行う場合には、売上金額の何ぼかを都道府県の収入だけでなくして地元の市町村に交付するというようなことが、競技の場を作る場合におけるいろいろな点から考えても、設備の点、或いは又協力を得るというようなこと、又は競走をして十分に目的達成を期せしめるという点から、市町村に対して一部を交付するということが適当ではないかと思うんですが、その点が第一点と、それから次にこれは初めての試みでありますから競技の設備、或いはそのルールを決定するために委員会のようなものを中央に設けて、そしていろいろの学識経験者を以て、スタートを切る場合における……委員会によつて決定するということが適当ではないかと思うのでありますが、それに対する御所見を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/6
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007・栗山長次郎
○衆議院議員(栗山長次郎君) 第一に御指摘の開催自治体に対して行政費の控除を売上高からパーセンテージで出したらどうかという点は、誠に味うべき御意見として拝聴いたしたのでありますが、他面若干考慮すべき事項があるように思うのであります。
実情を申上げますと、こういう法案が国会に提出せられたということが世間に知れまして、通産省並びに私共四十二名の提出者にいろいろな問合せが参つておりますが、一言にして申せば、その県の競走場は自分の村、自分の町に引張りたいという運動めいた話が大分あるのでございます。それらの人の実情を聴いてみまするというと、地元の繁栄策になるということであつて、特に開催地として選ばれた所に格別の考慮をいたしませんでも、そこで開催せられるということ自体が、地元の繁栄策になるというふうに実際の動きはなつているようであります。それから又法案に盛つてございますように、都道府県が施行者に、及び五大都市が施行者になるのでありますが、それはその議会の決議によつて、やるかやらんか、どこへやるかということを決めるというふうに、地方の自治を十分尊重した建前で作つてございますが、その場合に開催地に特点が多くなれば多くなる程、開催地の争奪戦が熾烈に行われはせんかという懸念もございますし、又そうなりますというと、或る自治体にこれを廻さんで他の自治体に廻そうというような意図も動いて来るということも懸念されますので、地元の繁栄策になるという、今考えている人達のそうした点だけで十分ではあるまいか。あとは成るたけそうした引張り合いの行われないような方面について、より多くの考慮をする方がよくはなかろうかというような気持がいたしている次第でございます。
第二の点につきましては、法案に条文としてございますように、その都道府県で行われます際に、競走会が一ヶ所、一ヶ所と申しますか、一個当該都道府県に、これは民間同好の士によつて、業者経験者を網羅して作ることになる構想でありますが、とにかく一個の競走会が、当該都道府県若しくは都市にできますが、それが集つて対等の表決権をもつて集つて、中央の連合会を組織する企画でございます。それが集まりまして、中央に組織ができますというと、仰せのごとき活動をなす学識経験者を入れた委員会が当然構成せられて、その公正なる指導下に行われるという考え方でございます。事前にそれをやらなければ遅れはせんかという懸念がございますが、事前に最も急いでなさねばならんと考えられますことは、法案が皆様によつて成立を見ました場合に、第一に必要なものは競走場の規格でございます。それとまあ車の規格でございます。競走場の規格ができておりまして、競走場の設営に着手してから少くとも二、三ケ月はかかるものと存じますので、法案の通過と共に競走会ができて、その競走会が対等の表決権をもつて集つて、中央で連合会ができ、その連合会の下に委員会ができて、その委員会で御指摘のような点を十分に審議いたして、実施に移しましたならば、大過なきを期し得るのではないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/7
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008・島村軍次
○島村軍次君 前段の問題については、第十六条と十七条に、百分の二十五に相当する金額を自己の収入とし、そしてその百分の三に相当する金額を国庫に納付する、こういうことになつておるようでありますが、私が先程申上げた国庫納付金というものの生れた論拠は一体どこにあるか。それから只今御説明のような点はですね、これはちよつと筋が違うのじやないかと思うのでありまして、地元に希望があるかと交付金をやらんでもいいということは、ちよつと我々の立場からいえば受取れないので、むしろ地元の町村において各種の設備をし、或いは又お世話になるということに対しては、これは間違いないことであります。今日の地方人の立場からいつても、地方の、開催の地元の町村に対して、或る一定の交付金を交付するということは、これは私は当然じやないかと思うのでありますが、この点に対してもう一度御所見を承つて見たい。それから委員会の構成は、よく内容は存じませんけれども、ここに小型自動車競走会、又は全国小型自動車競走会連合会というものを作つておられるようでありますが、余り委員会の制度ができて、主要機関になるということは却つて問題であると思うでありますが、スタートにおいて、やはり自動車製造関係とか、実際の業務を扱う人、競走の直接の関係者というような人、或いは機械の能力、機械に対するエキスパートを入れるとか、或いは又取締の立場から通産省或いは又、地方人の立場から等の関係のものを以て委員会を構成するということになりますれば、なることが望しいのじやないか、なんとなれば初めての試みであるし、且全国的に規格が別々になるとか、或いは又、設備等において、非常に差ができるというようなことは、望ましくないことじやないかと思うことであります。暫定的にも、こういう委員会の構成が別途のお話しになつた直接の関係者の連合会というようなもの以外に、第三者的の意見を取入れるということが、必要じやないかと思うのでありますが、重ねてその点の御所見をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/8
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009・栗山長次郎
○衆議院議員(栗山長次郎君) 最初に御指摘の点につきまして、国庫に、百分の三を納入する根拠でございますが、これは国が自動車の振興に或る程度の施設をなすというのが一つの裏付けでございます。今一つは、国庫の収入を、端的に申さば増したいという、これはここで申上げていいかどうか存じませんけれども、この法案の手続中に、占領下における手続中に大変強く述べられましたことでありまして、まあ委員会として御首肯頂けると思います点は、国庫が、国が自動車の振興に関する施設をなすということが、論理的な根拠であると存じます。それからその開催地に当る自治体に対する交付金の考慮の問題でありますが、私、御趣旨にお逆らい申すわけではないわけでございまするが、その競走場の設置、設営は、施行者になります自治体が、みずから設営いたします場合と、それから半官半民で設営いたします場合と、全然民営で設営をいたします場合と三つ考え得るのでございますが、自家施設の場合は、賃借料を払う手数を省き得るのでありますが、その他の場合においては、相当額の手数料を払う、その手数料の払い方としてはパーセンテージで行く方法もありますし、定額で行く方法もあります。パーセンテージで行く場合には、地元に対する考慮は相当程度含まれるということが考え得るのでございます。
第二点の、事前に暫定的に委員会式のものを設けて研究することの必要につきましては同感でございます。法案の御審議を頂いてどうなるか、全く誰にも予想のつかないことでありますので、先き走つたことは避けて皆さんおられるようでありますが、現実の問題としては、通産省の専門家、建設省の専門家、それから又、こういう方面の経驗者等が自発的に、寄り寄り寄つて研究会というものをお作りになつて、そこで先程問題になりまして競技場の規格、カーブをどうしたらいいか、カーブの斜面をどうしたらいいかということを、かなり科学的に御研究でありますが、それは非公式のものでありますから、御説明の通り、もう少し公的性格を帯びた、全般に通ずる機構を設けた方がよいと、私も考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/9
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010・西郷吉之助
○西郷吉之助君 只今島村君の質疑に対して、いろいろ提案者から御説明がありましたが、私も国庫納付金の問題ですが、今御説明を承わりましたが、御承知の通り、都道府県は、この法案によりまして、第九条に、売上金額以外に入場料も徴収できることになつております。御承知の通り、地方税法の改正によりまして、都道府県と市町村は独立財源でやつておるので、都道府県の方は、売上金額も貰える、入場料も入る。今の国庫納付金の問題は、国家財政、地方財政の反面から考えまして、国が納付金を貰うことがなくても、積極的に地方財政に貢献することが当然であると私は考えるのである。そういう御提案者の説明から行くと、そういうことがあるから国庫にも入れるのだということでありますが、私はそれと全然逆の考えで、国が地方財政に積極的にこういうふうに助成すべきものであつて、それが故に国庫納付金を規定したというようなことはむしろ逆で、国庫納付金くらいの規定よりも、むしろ都道府県はその費用を市町村の財源に補給してやるということが当然ではないかと思うのでありますが、その点如何でしよう。都道府県の方はこの外に入場料も入ると思うのですが、国庫納付金を納めるくらいなら、むしろ関係市町村に、地方財政に貢献してやるという方が、この法案をこういうふうにお出しになつたのは、地方財政に貢献するということを非常に重点を置いてお考になつたのではないかと思うので、その点を重ねてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/10
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011・栗山長次郎
○衆議院議員(栗山長次郎君) お答えいたしますが、地方財政に寄与するという点可なりな比重を以て取上げておりますこと御承知の通りでございます。他の一面におきましては、比較的劣性であり、貧弱である日本の自動車工業、これを輸出の基盤として育成しようという考え方、これも相並んで相当重い考慮をいたしておる次第でございます。殊に関係通産省におきましては、その育成なり、振興なり、又改善なりを図ろうといたしましても、限られた予算で財源がないということで、手がけたいことも手がけずにおるというのが実情でございますので、国庫に納付して、それがやがて予算化されて、自動車の振興に向くようにという要望は相当強いものがありますことをお含み願いたく存ずるのでございます。開催地の自治体に対する考慮の点につきましては、若し按排をするとすれば、これはやはり都道府県なり、五大都市なりの収入となるべきものの中からの考慮であろうかと存じますが、間接に潤います、前に申上げましたような事項を考慮すれば、このままでも御趣旨には運営上実際面において副い得るのではないかと一応考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/11
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012・柏木庫治
○柏木庫治君 お尋ねいたしますが、私は今日の自転車競争の姿を見まして、確かに地方財政に潤いを持つことはこれは地方からいえば結構のようでありますが、これから先仕事が段々なくなつて参りますと、あれによつてまじめに仕事を求めるとか、或いはまじめな仕事を作ろうとかいうような考え方が非常に少くなつて、立派な青年達が、昼の日中全く家業を投打つて自転車競走に現をぬかして、そして仕事を休んだ上に、いわゆる賭博という考えであの券を買うておると思うのでありますが、ああしたことによつて国民が堕落し、まじめな仕事に遠ざかり、賭博心を養成して行くことの恐るべきものがあると私は見ておるのであります。でありますのに競馬それから自転車又自動車と、自動車の進歩発達とか輸出とかいういろいろな美名はありましようけれども、又こうしたことが、曾てドツグ・レースが問題になつたことがあるのですが、それは満たされたアメリカ人なんかが遊び半分に愉快にやるのは結構ですが、今日の日本人は実際問題として、賭博というような考え方からこの中に行く者が多いと思いますので、今でさえ私は余りに多過ぎる。確かに国民の活動力、国民精神を堕落させる部面が多いと考えておるのでありますが、その上に又この自動車を以て来て流行させる。だつたら日本を挙げて賭博場になるのではないかとまで、考えれば考えられると思うのであります。そこで立案者はこれによつて自動車を進歩させるとか、収入を得るとか、地方財政が潤うとかいうことにのみ、金にのみ眼がくれて、国民の活動力と、国民精神を賭博心に駈り立てることの、大きな弊害と天秤に掛けてどういうふうに考えておられるのか。私はこれによつて自動車は少しは進歩いたしましよう。併しそれはこれによらなくても、もつと健全な方法で自動車研究はできると思います。地方財政を潤すことは地方としては大変結構でありましようけれども、それがために国の青年をまじめな仕事に進んで、大地に足の着いた立上りをいたさなければならないのに、その日暮しの、精神を堕落させるようなことがあるならば、金が少し潤うて民族を亡ぼすということになると思いますので、この点について私は満たされたアメリカなんかは結構でありますが、これは日本のような今日の状態で賭博心をそそり立てるようなことは厳に戒しむべきものであつて、これを利益の方と、そうした青年民族の精神を汚すこととを、どういうふうに立案者は考えられておるかという点についてお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/12
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013・栗山長次郎
○衆議院議員(栗山長次郎君) 只今御指摘の点、精神面の問題につきましては立案者、提出者共に何回も寄つてあなた様と同様に苦慮いたした問題でございます。一方においてはこの競走によつて自動車の性能を高め、又海外へ日本品の宣伝をなし、輸出を増大するという利益、又地方財政の利益があるにしても、精神面において失うところが多ければ如何であろうかということは、私共自問自答いたしたことでございますが、得ました結論といたしましては、失うところも若干あるけれども、得るところの方が多いであろうという、これは立証はこれからまだ先のことでございますからできませんけれども、さような思想的結論を持つたわけでございまして、弊害の現われ方をそれではできるだけ抑制しようと、そのためにはどうしたらよかろうという点につきましては、施行者となるべき団体、これは成るべく少くするということ、それから行われます回数も、年に施行者ごとに二回乃至三回、たえずこれに捉われを持つというような方法を避けますならば、若干品格を持つた一つの競技として得るところを助長せしめ、失うところを成るべく小さくして施行し得るのではないかと、私共みずから自問自答して達しました結論はさようなものでありまして、それで提案をいたして御審議を煩わすことになつた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/13
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014・柏木庫治
○柏木庫治君 非常に苦慮されたという点については、お心持はよく分るのでありますが、その方法として何回もやらないというような方法を採られたのでありますが、実際競馬の盛んなりし頃、あの競馬が一ケ所においては、今あなたがおつしやつたような工合に行われたのでありますが、やる方の者は、あの競馬のあつた回数が日本で何回であつたか私は存じませんけれども、一個の家庭の主人公が、殆んど一年中日本中を、今日はどこ、今日はどこといつてぐるぐる廻つて、家庭を悲劇に陷れた例は沢山ある。でありますから、一ケ所において一回か二回と申しましても、これをあちらこちらではやつて参りましたならば、やはりそれと結局同じことじやないか。ただ私の憂うるのは、今の競輪にいたしましても、実際精神面から見たならば、私は本当に失う方が多くなりつつあるとまで憂えておるものであります、この間川崎にあつたような、あんな馬鹿なことはこれはめつたにないことで、取るに足らないのですが、普通行われておるその裏に、家業を擲ち、それからこれから先失業した者がまじめな仕事に就こうとせず、更にあれに堕落して行くというふうに考えておりますので、私はこのことはみんながまじめに真剣に大地に足を着けて、苦しい生活をしてでも一応経済的な自立をさせ、聊か富裕になつたところでやるべき問題であつて、足らないときにやることは、賭博心をますます唆ることになる。賭博心のない者にもそれを教えることになると考えますので、今の御説明だけでは私は競輪や自動車競走が盛んになつて民族が低下する、こういうふうに考えております。だから露骨に申しますと、今までの御説明だけでは納得は行かないのです。私の見解は失うところの方が多い、余りにも地方財政なんかが苦しかつたりすると、何か金儲けがないかというような浅ましい考えから、これは確かに金儲けにはなりましようが、民族を損うようなことは、この際厳に慎むべきものである、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/14
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015・高橋啓
○委員長(高橋啓君) 外に御発言ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/15
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016・岡本愛祐
○岡本愛祐君 もう少しお伺いしたいのですが、通産省の政府当局及び立案者の方々は、こういう競技の賭博であるのと、賭博でないのとはどういう線で以て区別をされるか、その認識を伺つて置きたい。と申しますのは、今柏木委員からも御質問がありましたように、余りにこういう類のものがだんだん多くなつて、又これは嘘であれば結構ですが、又衆議院の方ではハイアライの法案も用意をされるというようなことにも承つておる、又ドツグ・レースなんかも、現に第二国会でありましたか、提案があつたようなことでありまして、こういうものが余りに多くなり過ぎるということは、柏木委員の言われる通りの弊害があると思うのであります。そういう線をどういうふうに考えておられるか、これは通産省にお聞きするのはお気の毒ですけれども、この法案を御審議になり、又前の競輪のときにもお考えになつておつたことでもありましようが、賭博と賭博でないもの、つまりこの際国で許し得るものと許し得ないものとの差異をどういうふうにお考えになつておるか、それをお伺いし置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/16
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017・栗山長次郎
○衆議院議員(栗山長次郎君) 賭博であるものと賭博でないものとの線の引きどころと拝聴いたしたのでありますが、若干のリスク、その他スペキユレーシヨン、これを伴ないます事柄は沢山あるように存じますが、前段に申しましたように、それによつて世を毒し、己を害し、得るところが少いもので、賭け形式のものは純然たる賭博、併しこれが一つの方法であつて、得るところが公共的に相当あるものは、得るところと失なうところとを計算して、政治的に考慮する値打のあるもの、かように考えるより外に考え方がないかと私共思つておりますが、今一つ付け加えさして頂きたいと存じますことは、健全娯楽いう観点から見て、人生は誰しも若干の無駄があるようでございますが、その若干の無駄のあるところを健全娯楽に導き、同時にそれが公共の利益を生む一つの手段となるというところに調節の方法があろうという、私共思想的な結論に達してこれを提出さして頂いたのでありますが、更にいろいろな方法がありましようが、よいものが悪いものを自然と駆逐して行く、自然淘汰的なことも考え得ると思いますのは、当然競争によつて現われた弊害、それをより以上のものに立案出現によつてそちらに転換し、弊害の多いと認められるものは、自然に国民の良識によつて捨てられて行くという考え方も、私共といたしましては考慮に加えて練つたわけでございます。只今行われております競輪なら競輪の弊害につきましては、通産当局と私共とは若干の考え方に開きがあるかも知れませんが、私共は皆様と共に眉をひそめざるを得ないのであります。その上を行き、より以上によいものが出て来れば、自然淘汰でよいものの方が国民の良識に投じて、自然に正常化されて行くであろう、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/17
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018・島村軍次
○島村軍次君 最後に一つ承つて置きたいと思いますのは、只今の問題に関連して、これは一つの単純な例がも知れませんが、この間大阪の方を地方行政の関係で視察したときに、たまたま堺の競輪場の話が、丁度あそこを通過して時分に出て、国道というか、道というか、その附近のおかみさん連中がもう一生懸命に競輪の賭を出して、そうして、ここらに空いておる家はまるでおかみさん方が財産も何も注ぎ込んでしまつたのだと、その理由は、競輪そのものは馬と違つて、これは一般論になりますけれども、なかなか区別がつかないので、一つの競技場としてはむしろ賭博に近いものであるという論をなされた人があるわけなんです。そこで小型自動車の競走法案が通つた場に、技術的に果して今のような弊害になるような憂えがないかどうかという点に対して、我々は疑問を持つわけでありますが、それに対する通産省の方の技術的な点からそういうことは考え得られんという御見解であるかどうか、一つ承つて見たいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/18
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019・玉置敬三
○政府委員(玉置敬三君) 昨日も栗山議員からお話ございましたが、大体自動車法案によりまして、実施される自動車面の点から申しますと、非常に機械の要素が強いわけでございます。全体を百とすれば、これは大体の推定でございますが、七━━八割というものは機械の面で占めるのではないかと思う。こう考える。あとの二〇%、三〇%は操縦技術とか、その他の面で占めるのじやないかと、こういうことに大体の考え方が持たれるわけでございます。勿論機械の構造、内容につきましては、これは先程の競走場と同じように企画、その他の登録規定を考えることに相成ると思つておりますが、而も競輪と違いまして、相当維持、補充と申上げますか、そういうものが直前におきまして相当検査をする必要があるのでございまして、これ等の企画直前のいろいろ検査に合格したものが初めて競走場に出ると、こういうことになります。全体のウエイトは、大体そういう程度に考えておりまするので、いわゆる競輪の、自転車の方とは相当おもむきの異なる点があるのじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/19
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020・岡本愛祐
○岡本愛祐君 栗山議員から賭博と賭博でないものの線の引き方について御意見がございましたが、私は単に、これは娯楽であるからこういう賭や何かを許していいということでは私はいけないのであつて、積極面がなければいけないと思つておるのです。私にこの競輪とか、この小型自動車の競走とか、そういうものは昨日も申しましたように、やはりスポーツとして発達させ、そうして飽くまでもフエアプレイの精神でやつて、そうしてそれには八百長なんかのできにくいようにしなければならない。競技方法その他のルールを作つて行く、そうして弊害面の除去が可能なものでなければいかん。こういうふうに思うのです。尚その外にプラスになるものがなければいかん、即ちビンゴとか何とか、あれは健全娯楽と言えば言えるかもしれませんが、単にチヤンスを当にして、金を張るのでありますから、福岡県などは許しておりますが、私はあれは賭博そのものだと考えております。健全娯楽だと言つておりますが、あれは私は賭博に外ならないと思つております。この競輪や、小型自動車の競走はともかく地方財政に寄与するということが一つ、それから自転車とか、自動車の改良にプラスがある。そういうことで、まあ線を引かなければならないのでありまして、そういうことがないものは、私は賭博と考えるのであります。で先程触れましたハイヤライ、これは上海で昔からやつておる八百長で、球を一つ外せばいいのであります。八百長は幾らでもできる、ドック・レースなども食餌を与えないとか、或いは少し薬を飲ますとか、そういうことによつて、その日のコンデシヨンが非常に違います。こういうものは私は断じて許しちやいかんと思つております。これは衆議院の方でこれから準備をなさることがないように栗山議員なり、その他発案者の方にも御願いしておきたいと思うのです。そこで先程西郷委員、島村委員からも御発言がありましたが、この法案は五大都市が加わりましたけれども、外の県に一つずつ許すと、こういうのでありますから、福岡市とか、それから鹿児島市とか、仙台市とか、札幌市とか、そういうところで競技場ができ、北海道庁、又は福岡県庁そういう都道府県が開催をいたします。ところが札幌市又は福岡市、鹿児島市自身はこの競技のために数百名の恐らく自治体警察員を配備しなければならないだろうと思うのです。そうするとそれだけ経費が要るのですけれども、自分のところの収入には少しもならない、それは附近の商人とか何とか多少は潤いましようけれども、それは潤おうのは個人であつて、自治体という福岡市とか、鹿児島市自身はちつとも潤おわない、その潤つた商人から、多少の税が取れるということはあるのでありますけれども、それは微々たるものである。で、これは元は市町村にも入場税の三分の二が取れたのでありますから、大いに歓迎したのでありますけれども、入場税は全部都道府県に取られてしまう、ただ自治体警察を配備し、そうして苦労をかけるだけだということになりますと、そこの都道府県の方はいいけれども、市町村の方じや割切れないものが残るわけなんです。これは何とかして開催せられる市町村も潤うようにしてやらなければならないんじやないか、この点を通産委員会でもお考え願いたいと思います。それからもう一つ、これは競輪の場合でも、どこの箇処に許すかということについて委員会ができております。併しあの委員会はそういう箇所を決定するとか……まあ基礎をどこに許すとかいう一般的の視則を作るとかそういう会議でありまして、この競輪なら競輪というものを健全に発達させる、そのルールをどうするとか、こういう弊害を除去するにはどうしたらいいかとか、そういうことは協議しない委員会である、だからああいうものをもう少し強化されまして、そうしてその仕事はやはり柏木君が先程申された、ああいう賭博そのものにならないように、責任を以て善導をするという委員会に発展させられたいと思うのであります。それと同樣にこの小型自動車競走についても、この法文の中に入れることは、必要はないかも知れませんが、できればこの中に入れた方がいいと思いますが、先程島村君から提言されましたようなものを作られまして、そうして委員会は勧告をする機関ですから、勧告をする、賭博にならないように、八百長にならないように、健全に目的を達成せられるようにする委員会を一つ作られることを希望したいと思います。こういうことについて、もう一つ提案者である栗山さんに御意見を伺つておきたいと思います。尚今の委員会の問題、競輪のものを含めて玉置局長から御意見を承つて、そうして我々の質問を打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/20
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021・栗山長次郎
○衆議院議員(栗山長次郎君) 只今の後段の方から先にお答えさせて頂きますが、野球の場合でございますと、コミツシヨナーというような制度がございまして、あれでフエヤプレーを助長いたしておりますが、それと同じように趣旨に基き、そうして又この実情に即して、勧告善導をなす、第三者的にして公正で多数の利益を目途とする委員会の構成は私共是非そうあつて欲しい。成立の際には、さように当局なり、民間の人たちに努めて強く勧奨いたすつもりでございます。それから最初の開催地の自治警察に関する負担、これは私共も立案中のいろいろな研究過程において、一応問題にした点でございます。併しそれをどういうふうにしてそれでは経費に伴う埋合せをするかということについては、はつきりした結論を得ずに、まあその事情を反映するということで補われるのではないかという結論に達してここにまかり出たものでございますが、当該委員会の御意向等だんだんと結晶せられることと存じますので、私共も委員会各位の御意向、御意見を国会の一人としてもできるだけ尊重するのは当然でありますから、その方向に仮に皆さんの多数の御意見があるといたしますれば、又方法はあり得るものと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/21
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022・玉置敬三
○政府委員(玉置敬三君) 只今岡本委員のお話でございますが、私共法律の命ずるところ、又皆さんの御審議の結果に基きまして、そういういろいろな点につきましては、研究考慮いたしたいと考えます。自転車につきましても、御承知のように各方面からの意見その他を十分承わりまして、運用を期しております。自転車競輪法におきましても、委員会の制度は法律上はないわけでございますが、私共競輪自体が、先程から御意見がありましたように、一面においていろいろ考慮すべき事項もございますことと、逆に、又積極的に行う場合、初めての経験でございましたので、非常に各方面の御意見を拝聴して、遺憾なきを期したいというようなことでやつておる次第でありますから、御意見その他に従いまして適切なる措置をとることを期したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/22
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023・高橋啓
○委員長(高橋啓君) 別に地方行政委員の方の御質疑がありませんですから、今度単独審査に入りましても委員外の御発言は十分御都合いたしますから、今までの御質疑による内容も含めて私共も審議いたしたいと思いますから、この程度で連合委員会は本日を以て終つたことにして如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/23
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024・岡本愛祐
○岡本愛祐君 或いは地方行政委員会の方で修正をして頂きたい箇所を通産委員会に申出るかも知れませんが、どうぞそういう際には宜しくお取計らい願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/24
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025・高橋啓
○委員長(高橋啓君) それでは一応連合委員会は本日を以て終了したことにいたします。これで連合委員会は散会いたします。
午後零時四分散会
出席者は左の通り。
通商産業委員
委員長 高橋 啓君
理事
廣瀬與兵衞君
玉置吉之丞君
委員
平岡 市三君
中川 以良君
境野 清雄君
阿竹齋次郎君
鎌田 逸郎君
宿谷 榮一君
駒井 藤平君
地方行政委員
委員長 岡本 愛祐君
委員
西郷吉之助君
島村 軍次君
柏木 庫治君
三木 治朗君
櫻内 辰郎君
太田 敏兄君
鈴木 直人君
参議院議員
栗山長次郎君
政府委員
通商産業事務官
(通商機械局
長) 玉置 敬三君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714790X00219500407/25
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