1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年七月十九日(水曜日)
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本日の会議に付した事件
○地方税法案(内閣送付)
○連合委員会開会の件
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午前十一時十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/0
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001・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。地方税法案の予備審査をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/1
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002・岩沢忠恭
○岩沢忠恭君 この法案を審議するにつきましては、私共はこの国税とそれから地方税と並行的にやるのが根本だろうと思うのですが、ところが前国会で国税の方は審議になつておるけれども、直接に尚国税体制を一応知る必要があると思うのであります。それの参考資料を大蔵省から委員会を通じ配付して貰いたい、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/2
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003・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 今岩沢君から御要求になりましたのは、第七国会において国税に関する法案が通つた。その法律になつたのを要求する。こういう御趣旨ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/3
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004・岩沢忠恭
○岩沢忠恭君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/4
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005・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/5
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006・西郷吉之助
○西郷吉之助君 私は国務大臣にお伺いいたしますが、新聞等でも又その他でも見たのでありますが、衆議院におきましても與党たる自由党がいわゆる野党側たる民主党その他の修正案に或いは同調するかのごとく伝えられておるのであります。そういうふうな状況は與党の方は大臣は御承知ありませんか。そういう点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/6
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007・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。何か新聞にもそういうことが書いてあるのでございますが、與党の幹部にいろいろ会う機会もございませんけれども、ちよつと会つた機会に新聞のことを聞きますけれども、何もそういうことは決まつていないから、こういうようなことを話しておりますが、まだ具体的なそんな話になつていないのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/7
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008・西郷吉之助
○西郷吉之助君 それでは、それは別問題といたしまして、昨日の連合委員会の終りに野溝委員からお触れになつた点であるのでありますが、例えば今度の附加価値税では、給與額、人件費等もやはり附加価値税の対象となるということであつたのですが、その点何ですがこういう我が国の経済情勢の際に、普通の場合でも賃金は一流会社においても遅配、欠配が行われておるような非常に悪い経済状態の際に、尚且つ一方には失業者が相当増大しつつある傾向があります。潜在失業者を含めると相当の数に上ると思うのであります。要するに一般経済情勢が非常に悪いときに、給與額に対しても課税をされるというふうな附加価値税を今日この際施行するというふうなことはどういうふうにお考えになつておるのであるか。政府側は一ケ年と言われるけれども、実際は今日はもうすでに八月を前にして半年もない状況でございまして、政府原案の通りにやるならば数ヶ月しかないのであつて、来年の一月からやるので、単に一ケ年というと非常に延びるようなことにも思いますけれども、今日地方税を新たに出されて審議しておる最中であります。これが八月から実行の予定のようでありますけれども、果してそうなるかどうかも非常にデリケートな関係にある。こういうような際に、今申しましたような状況下にこういうふうな税を施行されることに対して大臣はどうお考えになりますか。御質問申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/8
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009・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これは人件費にもかかるという思想じやございませんで、人件費がやはりその総売上高なんかというものがヴオリユームに入つて来るというような考え方でありますが、人件費が成る程課税標準を作る基礎の数字を作るということになりますけれども、人件費そのものにかかる性質のものとは違うのでございます。それから只今のお説至極御尤もでこざまして、日本の財界は只今非常に苦境の時期にございますので、附加価値税に限りませず、すべての税というものに対して従来の納税者も相当苦難の道を経なければならないということだけはもうお説その通りでございます。けれども根本原則といたしまして、今度の税制は、地方、中央を併せまして、少くとも三百億くらいの減税になり、而も負担能力の少い、小さい方面には軽くなり、大きな企業なんかに少し加重して来ると、こういう均衡化を図つておるわけでございますから、大体において私は附加価値税はもう半年も後から起算して、来年の一月一日から施行することになることでございますから、経済上の点にはそれは苦しい点も多々あると思いますけれども行けるという考えを持つて提案したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/9
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010・西郷吉之助
○西郷吉之助君 只今の大臣の御説明に、人件費そのものにかけるものではないというお話でございますが、その点は私もよく承知いたしておるのでありますが、御質問する際にはつきり申上げるから、人件費を、このヴオリユームの中に人件費が入るから人件費を取上げて申上げたのであつて、ただ人件費そのものだけにかかるのでなくして、人件費そのものが課税対象のヴオリユームそのものであるから、分り易く申上げただけであつて、大臣の説明でもどつちみちいろいろの形態はありましようが、いろいろの内容実質は人件費にかかるのであつて、私は外形的にどうだというのでなく、実質上かかるからそれを申上げたのであつて、そういう点ははつきりいたしておるのでございますが、その大臣の御答弁にも、例えば事業税と附加価値税と比べて、附加価値税の方が中小企業、大企業と比べた点でウエイトの点が非常に違つて来て、附加価値税の方がベターであるというそういう点も一部あると思いますけれども、ただ事業だけにかかるというのでなく、例えばその実施の時期においても、こういうような非常に厖大な条文で、今度は更に前回まり殖えて八百何条というので、その解釈は非常にむずかしいものであると思います。例えば固定資産税においても、詳細の問題であるとか、そういうようなことがいろいろありまして、一般大象がこれを読むには、これは非常に難解な条文であるのであります。それでこれを真面目に了解しようと思つても、我々議員においてもこれを咀嚼するということは非常に骨を折つておるわけです。それを一般の人が、知識人もあればそうでもない人もある。いろいろあることであつて、こういうむずかしい条文を出す方も一応読まなければならんということ、そういうことは非常に時間を要するし、又訓練を要すると思います。又実際納める場合にも、納める方も半分は事業税であり、半分は附加価値税であるというふうになつておるのじやないか。殊に今の税の条文は煩瑣で、国税であつても非常に計算違いがあつて、そこにごたごたが年中起きている現状であります。そこに又そういうごたごたをやるということは、この際もうできるだけ政府としては避けて貰いたいわけであつて、それも年度変りから実行するならばまだそういう煩瑣がありませんが、途中から差し代つでやるのであるから、今私が申上げたのですが、この点は本当に国民の側に立つてお考え願えばよく分ることであつて、現在の国税だけでも非常に計算が厄介なために、我々でも間違えて、向うから文句を言われるようなことがあつて、これはなかなかむずかしい書き方ですから、これを八月一日から実行して、更にその上に事業税で年内に計算して、来年一月から又附加価値税でやるということは、事実上非常な煩項な問題が起きて困ると思うのですが、こういう点をなぜ途中からなさつたのであるか。そういう点若し我々が修正するならば、昨日もそういう話がありましたのですが、こういうことは少くとも年度変りということが最少限度必要であり、或いは今度の修正案の中の附加価値税は無期限延期というようなことを言つてる向きもあるようですが、途中からやるというようなことは、どうしても実際の場合を考えて、非常なる混乱を来たすと思うのですが、その点を更に大臣から御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/10
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011・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。西郷さんの御説至極御尤もです。その御尤もな御趣旨を取入れまして、煩雑なる附加価値税は、外の意味もございますけれども、準備期間を置いた方がいいという考えから、来年一月一日からということにしまして、八月一日から取ります税は、大体において今までの税に似たりよつたりの税でございますから、大した支障はないとこう考えております。従いまして地方—公共団体におきましても、来年度から取りますところの附加価値税については、いろいろ納税者側におきましても、それから又徴收者側におきましても、お説の通りに、何でございますか、未知の税を納めて、又徴收するというふうにして、非常に混乱があると思います。その意味におきまして自治庁といたしましては、地方公共団体にこれが完全に遂行されるように、事前に十分なる手引とか、何とかいうようなことをして、まあ助けて行こうと、こういうような考えであります。でございますから附加価値税につきましては、もう半年準備期間ができておるということになつておりますから、御趣旨の点に応えて、この税がうまく徴收できるようになるであろうと、私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/11
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012・石川清一
○石川清一君 昨日来各委員との合同委員会におきまして、私、初めてなものですから、いろいろ第七国会の経過をお聴きしたんですが、只今の都道府県は、この改正される地方税法に基いて表面的な予算を組んでおるのか、それとも旧税法によつて、最大限に見積りをしまして、予算を組んでおるのか、これを先ずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/12
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013・小野哲
○政府委員(小野哲君) お答え申上げます。各都道府県におきましては、昭和二十五年度の予算の編成につきまして、これが編成上のいろいろな問題もございまするし、たまたま地方税法案が国会の御審議を受けておるような状況下にあつたのでありますので、これらの点につきましては、事前に地方自治庁から適当な指導をすることが必要であろうと、こういう考え方から、現行税制に基きまして、一応予算の編成をするようにということを通達いたしまして、この趣旨に基いて編成をいたしておる筈でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/13
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014・石川清一
○石川清一君 それでは、万一再び本税法案が否決された場合には、前の税法を復活しまして、そのまま旧税法によつて徴税事務がスムースにとられるだろうか、表面的な予算の面ではとられるように考えられるが、これの実施の面について承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/14
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015・小野哲
○政府委員(小野哲君) 只今の御意見につきましては、新税法が否決された場合ということは、私共は想像はいたしておりません。今回は地方税の財政上の現況に鑑みまして、何としてもこの法律案は成立さるべきものであるということを固く信じ、且つ期待をいたしておる次第でございます。一方地方団体において編成をされております予算につきましては、この税法の成立に伴いまして、適宜、更正その他の措置を講ずる場合が起つて来るだろうと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/15
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016・石川清一
○石川清一君 只今の御説明によりますと、旧税法によるところの徴收が全然行われていない、こういうふうに了解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/16
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017・小野哲
○政府委員(小野哲君) 只今申上げました昭和二十五年度における各地方団体の予算は、旧税法に基いての收入見込によつての予算でございまするので、従いましてその後の推移に基きましては、予算編成の上に更に手を加えなければならんということは、常識的に考えられることであろうと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/17
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018・石川清一
○石川清一君 そうしますと、本案の通過後においては予算の編成替が行われる。併し現在は旧税法による徴收が行われていない。併しながら町村においては、地方の指示があつたかどうか知りませんが、独立税を賦課しまして、旧税法における独立税を賦課して徴收している事実がありますが、これは御通知を地方都道府県にいたしまして町村から徴收するような通牒を出したのか、それとも町村が独自の見解に立つて徴收をしたのか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/18
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019・小野哲
○政府委員(小野哲君) 御承知のように第七国会におきまして、政府原案に基きました地方税法案が成立することを期待いたしておりました関係上、事業税、その他の租税につきましては、一応徴收を見合せる法律案の成立がいたされておるのであります。併しながら入場税、遊興飲食税、その他の随時税に属するものについては、依然として現行法に基いて、徴收を続けておるのでありますが、併しながらこれのみによつては歳入の不足があることは申すまでもないので、これに対して暫定措置として、或いは短期融資をいたしますとか、或いは地方財政平衡交付金の概算交付をいたしますとかの措置によりまして、第一四半期並びに第二四半期の地方団体に対する財政計画を立てまして、この線に沿つて施策をいたしておるようなわけでありますので、若し地方団体が法定外独立税を取つておるといたしますれば、又法定外独立税は現行法に属する問題でありますので、若しこの新税法が成立いたしました曉におきましては、或いは固定資産税との関連におきまして、又附加価値税との関連におきまして、現行の道府県税の法定外独立税、或いは地方税の法定外独立税につきましては、相当大幅の整理をいたさなければならないことになりますので、この点につきましては本法にも詳細な規定があり、これに基いて地方財政委員会が処置することに相成つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/19
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020・石川清一
○石川清一君 大体了承いたしました。それでは事業税の改正が出ておりますが、免税点が旧税法では四千八百円ということになつておりましたが、事実各都道府県において、これ以下に下廻つておるところも相当あると存じておりますが、各府県別の資料を出して頂きまして、四千八百円という旧税法による免税点が、どの程度実施されておつたかということの参考にいたしたいと思いますので、この資料の御提出を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/20
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021・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 出し得ますか。——それじや資料の提出を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/21
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022・石川清一
○石川清一君 このことは非常に重大な影響がございますので、表面的な免税点が今度の改正で二万五千円とするようになつておりますが、都道府県の財政上或いはその他の事情によるという箇条、但書によつて、この印税点が実質的には全然免税されていないように私は予想されるので、この点について、は附加価値税の条項のときにも、或いは十分論議を盡さなければならんと考えておりますので、特にお願いを申上げて置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/22
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023・西郷吉之助
○西郷吉之助君 それに関連して……今の点ですが、条文の方に「特別の必要がある場合においては、所得金額が二万五千円に満たないときであつても、事業税を課することができる。」ということになつておる。その理由はどういうふうになるのですか。その実際にできる場合には、特別の場合は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/23
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024・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 免税点の標準を法律で規定いたしておるわけでありますけれども、地税全体が成るべく地方団体の自主的な判断を加える余地を残して置くというふうな考え方から、例外的な措置を当該地方団体の条例で設けることができるようにいたしておるわけであります。今石川さんからもお話があつたわけでありますけれども、四千八百円の免税点以下で課税しておるような団体は非常に例外でありまして、或いは全国でも一つ二つがあるかも知れないというふうな程度だと思います。併し正確な資料を後で調査いたしまして出したいと思つております。地方団体によりましては免税点前後の人達が非常に多くて、例えば二万五千円以上のものには課税する、二万五千円未満のものには課税しないというふうなことを致しました場合に、その地方団体の事情から言いまして如何にも不均衡な感じが持たれる。而も又財政的にも相当な欠陥が生ずる。従つて止むを得ずそれ以下のところにおいても課税したいというふうな場合があり得ることも予想いたされますので、好ましいことではないわけでありますけれども、なるたけ地方団体の自主的な判断を尊重したいというふうな建前にいたして参つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/24
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025・竹中七郎
○竹中七郎君 私は今の逆のことをお伺いしたいと思いますが、只今の免税点の問題、これは私達三県下に参りましていろいろ伺つたのであります。一番問題になるのは免税点の境にある人、この問題は社会保障制度におきましても、いわゆる社会保障の保護にかかる人と、かからない人、この差は非常に大きなものになる。でありますからこれを政府がはつきりぴしやつとやられることに対しては地方団体は非常に迷惑しておる。これは政府の今のお考えの通りでありまして、私はこの点につきましては大いに地方団体にも相当の方々がおられるのでありますからこれはお任せになりまして、その事情によりましてやつて頂かないと非常な不均衡になる、かかつた人は非常に迷惑するが、かからない人は非常に有難い、こういうことになりますので、この点も一つお願いいたして置きたいと思います。
次の問題でありますが、我々がいろいろ調査しました結果におきまして、問題はこの自治庁の方におきまして、町村長その他の方の面、いわゆる大きい府県の方の面とか、或いは市の方面におきましては相当理解されておりますが、町村の方におきましては非常に理解がない、新税法に対しまして我々参議院が否決したこの問題に対しまして非常なる不服の言葉があるのであります。そうして又政府におきましてもさようでありまして、この自治体の財源不足というものは議会がこれを否決したから現在困つておる、こういうことを御宣伝になつております点につきましては、私は非常に疑義を持つておるものであります。ということは、自治庁におきまして徴税方法に対しまするいろいろの月割の問題をお出しになつておる。それによりますというと、市町村におきましては実際六月までにおきまして取れるものは何であるか、こういうことを考えますと固定資産税であります。そして政府がお出しになりましたあれが五月二日に通つておりましても、四月に取りますところの固定資産税というものは取れない、六月の固定資産税しか取れない、こういうことに相成ると私は思うのであります。然るに非常に困つておる、その暫定措置とせられまして平衡交付金の、何と申しますか、前渡し、或いは預金部の金に対しまするいろいろのお世話をなさつている、こういうのでありまして、却つて私は政府が三月の中にこの法案を通されましたならば順調にいつているのだが、そうでない、政府の怠慢においてか、或いは研究の不足によりまして五月に通すような関係にせられたということに政府の責任があるのでありまして、決して国会に責任はないと、私はかように考えるのであります。その点に対しまして大臣の御意見を伺つて置きたいと思うのであります。そうしてもう一つは、これは絶対に政府におきましての新税法の御研究が遅くありまして、国会に御提出になるのが遅れた、これの問題に対して地方自治体が財政上において困つておるのでありますから、これに対しまして政府は最も迅速にいろいろの点をお世話をせられなければならない責任があると思うのであります。又後半期におきましてこの改正地方税が通りましたといたしましても、徴税法におきまして市町村の方におきましては非常に困却して来る、こういうのでありますから、この際におきまして政府といたされましては、いわゆる短期預金部資金の吸上げについて何とか考慮せられる意思があるかどうか、それになりませんというと、どうしてもずつとずれて参りまして、私はこの二十五年度の年度末におきまして必ず地方財政というものが困窮して来る、かように考えておる。それは現在におきましても私達参つて見ますると、或る市におきましても一千万円以上の、それが約一割以上、或いはもつとになりますかも知れませんが、そういう滞納がある。これが三倍になりましたものに対しましては必ず滞納が多くなつて参りまして、とてもやつて行けない、こういう所におきまする市町村の救済方法に対しましてはどういうお考えを持つておられるか、この点につきまして大臣から御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/25
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026・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。今この地方財政が非常に困つておるということについての責任とか何とかいうことをたびたび私も伺うのでございますけれども、その点はとにかく不幸にしてできなかつたということに一つお考え置きを願いまして、政府といたしましてはその後の処置につきましてできる限り地方財政を崩させないようにいろいろの手を打つて、平衡交付金を出したり預金部資金を出したりしておるわけでございます。そうして只今仰せの資金が三ケ月ぐらいで短期のものになつておりますけれども、これは私はそんなことで行くものじやない、さぞお困りだろうと、重々お察しすることは只今御説の通りでございますが、これは延期するとか繰延べするとかいうことに努力し、又私も是非そうしたいと考えております。これは御了承を願いたいと思います。又利子なんかにつきましても、政府といたしましては地方財政がこの税法案が通らなかつた空白のためにできた借金でございますから、これを全部地方公共団体に背負わすということは、地方財政の現状からいたしましてこれも気の毒な点でございますから、中央政府の方からやはり御説の通りに何とか補給するという途を考えて、政府部内でも私は努力をしておりまして、大体そういうことになるだろうと考えております。御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/26
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027・西郷吉之助
○西郷吉之助君 昨日の本会議ですか、天野文相の答弁の中に標準義務教育費の問題があつたのでありますが、それに対して自分も大いに努力しようと思つておるんだという御答弁があつたと思うのでありますが、御承知のごとく前文相の高瀬さんの場合に標準義務教育費の問題が出て要綱を伺つたのですが、逐にそのままになつておりますが、文相はそういうふうなことに努力しようということを答弁しておられますが、そうしますと今平衡交付金法案によつて千五百億か予算で出ておるわけでありますが、途中においても自治庁の側としてはそれに協力してああいう法案をお出しになるのか、その点の見通しについて大臣はどういうふうにお考えか、一遍伺つて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/27
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028・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) その点におきましては政府の方で考えております。詳しいことは政教次官からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/28
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029・小野哲
○政府委員(小野哲君) 只今西郷さんからお話がございました標準義務教育費の確保に関する法律案のことにつきましてどう考えておるか、特に地方自治庁の立場においてどう考えておるかという御意見のように伺つたのであります。この問題は御承知のごとく義務教育というものが極めて重大なものであるということは、何人も異論のないところでございます。又これに伴う経費をできるだけ確保して行かなければならんということも同様でございます。ただ、この場合におきまして、教育費についての標準を設けてその最低限度を決める場合において、如何なる方法によつてやつて行くかということが一つの問題になると思うのでありまして、西郷さんも御承知のように、政府といたしましては前国会において標準義務教育費の確保に関する法律案の立案に当りまして、地方自治の運営との間においてこれを調整をして参る必要があるということについて検討を加えて、政府といたしましてはこの間の調整を図つて両法律案を提案をする、両法律案と申しますのは、地方財政平衡交付金法案と、それから只今申しました標準義務教育費に関する法律案と両方でございますが、と申しますのは、標準義務教育費を確保するという方法の如何によりましては、地方自治の運営に相当大きな支障を與える虞れがあるのであります。これらの点につきましては、地方団体においても相当真剣に検討をいたして参つておるようでありますが、従つてこの方法を如何に調整して行くかということに一つの問題があるのでございまして、中央集権的な強力な統制の方法によつて標準義務教育費を確保するというやり方ではなしに、飽くまでも地方自治の自主性を保持しつつ、それと関連しながらやつて行くような方法につきまして、実は工夫を凝らして参つておるようなわけでございます。勿論地方財政平衡交付金法が制定され、その制度が動いておりますので、従いまして交付金額の測定をいたします場合において、教育費の点につきましては各地方団体から詳細な資料の提供を受けまして、全体としての交付金額を算定する場合において地方財政委員会において十分に研究をいたすべきことになつておるような次第でございます。いろいろこの問題につきましては各見地において、又その立場において議論のあるところでございますが、政府といたしましては、以上申上げましたような方法の上において、調整を図る場合においては、この新法律案の問題につきましては今後共更に善処して行くように進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/29
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030・西郷吉之助
○西郷吉之助君 それはよくいろいろ詳しく御説明頂いて分つたのでありますが、御承知のごとくこの問題は、高瀬文部大臣が前議会にいてそういう趣旨をみずから積極的に述べられたために、非常に教育関係者はそれに期待して、前国会にこの法案が出ることを渇望していた気運が非常に強かつたのであります。無責任にも高瀬さんは文部大臣から通産大臣に横滑りして、遂にこれをすつぽかしたのでありますが、今回は遂に改造によつて文部大臣は更迭しましたけれども、高瀬さんがその責任をとることは免れないと思うのです。ああいうふうなことを自分から言つて置きながらこれをすつぽかしてしまうということは、無責任に放擲して単に波紋を描いたというだけで、教育関係者は今日でもこの問題に対して関心を抱いておる。ああいうことは吉田内閣の非常なマイナスと言わなければならんのみならず、政治責任という上においても非常に無責任だと思うので、当委員会においても前国会の末尾において高瀬文部大臣を呼んで、その責任を猛烈に各党から突いたのですが、大臣は今度この事情は御存じないと思うのですが、そういう今の問題はなかなかデリケートな点があり、平衡交付金の法案の第四条の中にもそういうことがはつきりしているのですが、これは微妙な関係があるので、今度そういうことをなさる場合には、両大臣が十分連絡された上でなされないと、地方自治団体の側に対しても非常に波紋を初めから描いて、悪い結果を與えると思いますので、なされるならば十分一致した意見でなさらんと、前のような轍を踏む結果になると思う。こういうことは私はちよつと無責任だと思う。その点は十分慎重にやつて頂きたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/30
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031・岡野清豪
○国務大臣(岡野清豪君) 只今西郷さんのおつしやること御尤もでございまして、先般ちよつと文部大臣からそんな話がございましたが、よく一つ二人で検討して、できるだけ地方の教員の生活確保のため努力しようじやないかというようなことを申合せたことでありますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/31
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032・高橋進太郎
○高橋進太郎君 今の義務教育、標準義務教育費の確保に関する問題に関連しまして、ちよつと聞きたいのですが、御承知の通り、現在地方団体を大きく重圧しているのは教育費の問題であるわけなのです。従つてこの前問題になりましたような準義務教育費確保に関するような措置が、全国画一的にとられるというような場合、言換えれば各町村なり、各府県の財政とは関係なしに、画一的全国的に考えられるというような場合には、これはどうしても国家で一律に考えて行く、言換えるならばそれは全額国庫負担というような形で考えられるべきでないかと思うのでありますが、その点に対するこの前の論議というものはどうなつたのか、それを政務次官にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/32
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033・小野哲
○政府委員(小野哲君) お答え申上げます。只今御指摘の通りに、教育費の確保は極めて重大な問題であり、又地方団体におきましても、その経費が相当部分を占めているということを承知じているのであります。この標準義務教育費の確保に関する法律案を制定いたします場合において、全額国庫負担にするかどうかというような問題につきましては、そう深く議論は行われておらなかつたと記憶いたしております。むしろシヤウプ税制報告書等の中にもございますように、教育の問題は地方団体の固有の仕事としてやるべきではないかと、こういうふうな意見もあつたように見受けられるのでありますので、従いまして、若し地方団体の義務として、固有の仕事として地方同体がやるとするならば、どういたしましても地方財政の確保が行われなければならないということが結論として出て来ると思うのでございます。従いまして政府といたしましては、一面地方税制の改革を行いますと同時に、又これと見合つて地方財政平衡交付金制度を創設いたしているというところに、問題の解決点が見出されつつあるものと考えておるのでございまして、今後、国と地方団体との負担区分の問題が更に十分な検討を加えられまして、地方行政調査委員会議からでもこれらの問題が研究をされました結果を政府並びに国会に勧告をされるというふうなことも想像に難くないと思うのでございまして、さような際に根本的にその事務の配分、負担区分の問題は検討をしなければならないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/33
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034・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 外に国務大臣に御質問ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/34
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035・西郷吉之助
○西郷吉之助君 午前中はこのくらいにしてどうですか。午後も連合委員会がありますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/35
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036・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) それでは御質問なければ休憩にいたします。
午前十一時五十一分休憩
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午後五時十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/36
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037・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) 午前に引続きまして地方行政委員会を再会いたします。
お諮りいたしますが、水産委員会から明日の連合委員会に加えて貰いたいという要求が出て参りましたが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/37
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038・岡本愛祐
○委員長(岡本愛祐君) じやそういうことに決定いたします。
それじやこれで散会いたします。
午後五時十三分散会
出席者は左の通り。
委員長 岡本 愛祐君
理事
堀 末治君
岩木 哲夫君
委員
岩沢 忠恭君
高橋進太郎君
安井 謙君
小笠原二三男君
相馬 助治君
中田 吉雄君
西郷吉之助君
鈴木 直人君
竹中 七郎君
石川 清一君
国務大臣
国 務 大 臣 岡野 清豪君
政府委員
地方自治政務次
官 小野 哲君
地方自治庁財政
課長 奧野 誠亮君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100814720X00519500719/38
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