1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年二月二十二日(木曜日)
議事日程 第十三号
午後一時開議
第一 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、繊維製品検査所の支所及び出張所の設置に関し承認を求めるの件
第二 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第三 日本国憲法第八條の規定による議決案(内閣提出)
第四 水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第五 消防組織法の一部を改正する法律案(地方行政委員長提出)
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●本日の会議に付した事件
内地と奄美大島との経済交通の円滑化に関する決議案(床次徳二君外二十四名提出)
日程第一 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、繊維製品検査所の支所及び出張所の設置に関し承認を求めるの件
日程第二 皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 日本国憲法第八條の規定による議決案(内閣提出)
日程第四 水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第五 消防組織法の一部を改正する法律案(地方行政委員長提出)
午後二時九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/0
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001・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/1
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002・福永健司
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、床次徳二君外二十四名提出、内地と奄美大島との経済交通の円滑化に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、ぞの審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/2
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003・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/3
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004・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
内地と奄美大島との経済交通の円滑化に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。床次徳二君。
〔床次徳二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/4
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005・床次徳二
○床次徳二君 ただいま上程せられました内地と奄美大島との経済交通の円滑化に関する決議案をまず朗読いたしました後に、趣旨の弁明を申し上げたいと存じます。
内地と奄美大島との経済交通の円滑化に関する決議案
奄美大島を含む大島諸島は、一六一一年(慶長一六年)以来薩摩藩島津領に属し、一八七一年(明治四年)鹿児島県令の直轄地となり、一八七九年(明治十二年)鹿児島県大島郡となり、自来全く内地と同様に取り扱われてきた。
従つて琉球列島にはもちろん属しておらず、その住民の生活をはじめ文化、産業、経済等は全く内地に依存するの深い関係を持つている。しかします領土権はあくまで日本にあることは疑いのないところである。
しかるに一九四六年(昭和二一年)一月以来占領軍行政の便宜上北緯三十度線をもつて内地と行政所管を異にせられたため、現在鹿児島県及び内地とは全く分離せられて、向島の住民とその出身者及び血縁関係者にして内地に在住する者との交通は著しく制限せられて沖縄以上に不自由であるばかりでなく、一般の交通、物資の出入の手続については外国に対する以上の不便があり、経済、文化発展の上にも著しい障害を受けている。
又このために生ずる住民並びに関係者の苦痛は甚大で同情に堪えないが、これと関連して他面密出入国又は密輸出入による犯罪等もひん発しているのは誠に遺憾である。
政府は、この実情にかんがみ、速やかに関係方面に事情を訴え、講和の成立を待たず、内地と大島諸島との経済交通の円滑化を図るよう努力せられたい。
右決議する。
以上であります。(拍手)
われわれは、今回ダレス特使の来朝を迎えましていよいよ講和の近きを感じ、衷心より喜びにたえぬのでありまするが、この機会におきまして、わが領土の帰属に関しまして国民の間に強い関心が示されましたことは、もとより当然なことと信ずるのであります。長い伝統を有し、歴史を有しており、父祖事の墳墓の地であり、かつ肉親の現に居住しておりまする土地が、敗戰のためとはいいながら、万一わが国の領土から失われるというようなことがありましたならば、いかがでありましようか。これをおそれ、これを悲しむところのわれわれ日本人の心情につきましては、ダレス特使も十分に理解せられたことと信ずるのであります。
しかるに、この決議案において問題といたしておりまするところの奄美大島は、鹿児島を去ること二百海里の海上にありましてすでに上古よりわが民族と交渉を有し、近古におきましてわずか約三百五十年の間琉球に隷属いたしましたほかは、常にわが国に属しておつたのであります。近世におきましては、一六一一年、慶長十六年ごろからは、明瞭にわが九州薩摩藩島津領に属せられたのでありまして明治四年廃藩置県の際におきましては、鹿兒島県令の直轄地となつておるのであります。なお同十二年、一八七九年には鹿兒島県大島郡となつておるのでありまして、爾来今日に至りまするまで、まつたく内地と同一体をなしておるのであります。その住民は、まつたく日本人そのものであり、文化、経済、産業等、その生活は完全に内地に依存しておるのであります。その産物は、黒糖、大島つむぎ、かつをぶし等すでに有名でありますが、面積が千二百平方キロ、人口が約二十余万ありまして、土地が狭小でありますために、その子女の多数は、両親を島に残し、近くは鹿児島県より、広く内地の各地に移住、出かせぎしておるのでありまして、これがために幾多の成功者、名士を輩出いたしておりますることは、各位もよく御存じのことと存ずるのであります。
しかるに終戰以来、たまたま占領軍の行政の便宜上、北緯三十度線をもちまして、南部はいわゆる沖繩軍政部、北部は総司令部の管理下に属せしめられました結果、同地方と内地との関係は、ほとんど外国に対すると同様な状態に置かれるようになつたのであります。同島に関しましては、向島在住者並びにその関係者より、内地への復帰に関して幾たびか熱心な陳情を受けておるのでありますが、もとよりこの地方は琉球列島に属せぬことは明らかでありまして、われわれは、一台におきましては、その帰属に関してはまつたく疑念を有せないのであります。しかしながら、現状のままでもつて講和会議の成立まで経過いたすということに対しましては、島民の生活安定の上においてなお忍びがたいものがあると信ずるのであります。
すなわち、現在向島住民の生活は、米軍の好意によりましてまことに平和に暮しておるのでありまするから、この点に関しましては、われわれは安心いたしておるのであります。しかしながら、同地方の親族、血縁者等に対しましても、その郷里に帰りまする場合の往来等に関しましては、今でもなお、北緯三十度以南の南西諸島に本籍を有する者の渡航制限に関する臨時措置令という規則によりまして相当の制限が加えられまして、この手続は容易なものではないのであります。従つて、その関係者といたしましては、まず東京の総司令部を経由し、沖繩軍政部、さらに大島の軍政官へというような、めんどうな手続をとつているのでありまして、今日におきましては、米本国に参りますよりも遠い感じがいたすのであります。いわんや、一般の人々の交通往来等に関しましては容易でないのであります。また産業経済の面より見ましても、物資の出入に関しましては、ほぼ外国貿易と同じような手続を要するために、同島の住民並びにこれが関係者は、はなはだ苦痛といたしているところでありまして、ひいては向島並びに鹿兒島県の産業の開発振興のために大きな影響を與えているのであります。この点は、近時次第にその道が開かれて参つたのでありまするが、なお今後に期待せざる得ない状態にあるのであります。
かような状態でありまするがために、反面におきましては、法規をくぐつて違反をなすものが少くないのであります。密出入国あるいは関税法違反の密輸等の犯罪を犯す者が相当生じておりますることは、われわれきわめて遺憾とするところであります。去る一月には、内地におりますところの夫を慕つて密航して参りました花嫁並びにその付添いの親族等が、密出入国の容疑で、鹿兒島に到着するやいなや、ただちに捕えられるような悲劇も生じているのであります。われわれは、これらの事情にかんがみまして、あえて講和の成立による沖繩、小笠原等の領土の帰属の決定をまつまでもなく、政府はすみやかにこの実情を関係方面に訴えられまして一日も早く内地と大島地方との交通経済並びに文化等の円満化に努められるように要望するものであります。同鳥の住民の生活と、関係産業の振興のために、ぜひとも内地と同じような待遇が與えられ、内地との一体化が実現できるように熱望する次第であります。
なお、張る本月の十四日には、大島の名瀬市におきまして、二十団体もの代表者が会合いたしまして、同地の住民の日本復帰に関する切実なる希望を内外に訴えるために奄美大島日本復帰協議会を結成いたしまして近く二十数万人の住民の署名運動を展開すると報じておるのであります。なおこれと同様の問題が、やはり沖繩についても考えられるのでありまするが、私どもは一日も早くこれが解決せられることを要望しております。
何とぞ本決議の成立につきまして議員各位の満場の御賛成を得たいと存ずる次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/5
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006・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。これを許します。上林山榮吉信。
〔上林山榮吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/6
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007・上林山榮吉
○上林山榮吉君 ただいま議題となりました内地と奄美大島との経済交通の円滑化に関する決議案について賛成の意を表せんとするものであります。
本問題については、われわれといたしましては、すでに第六国会以来、政府に対し、あるいはその他の方面に対しまして積極的にこれが運動を展開して来ておるのでありまするが、ただいま艇案理屈の説明にもありました通り、これが結論を得ないということは、まことに遺憾にたえないところであります。言うまでもなく、奄美大島は、わが日本の領土であり、ことにわれわれといたしましては、われわれの血であり肉であるところの領土であります。この領土に住まつておる諸君が、経済交通の上において、あるいは文化の上において、あるいは血縁関係の問題において非常に苦心をしておるということは、まことに涙なくしては聞かれないところの現実の事実であります。こういう問題について、政府もそれぞれ努力をしておることはわかるのでありますけれども、一段とこれが解決にあたつては努力をしてもらわなければならぬと考えるのであります。提案理由にもありましたごとく、講和会議によつてこれらの問題を解決するという根本的な問題は別としても、講和会議以前において、経済交通のごときは、われわれ確立をすべき緊急の事態に追られているのではないか、かく信ずるがゆえに、この問題は講和会議と切り離して政府が努力をしなければならぬと私どもは考えるのであります。
なおこの際申し上げておきたいことは、琉球にいたしましても、われわれは日本の領土であると考えておる。しかも、奄美大島は鹿児島県の一部であつたことを考えますときに、ポツダム宣言を親切に拡張しで解釈するといたしまするならば、何をもつて今日これらの不安があるかということを考えなければならぬのではないかと思うのでります。よつてわれわれは、千島列島、小笠原諸島、あるいはただいま申し上げました奄美大島のごときところは、講和会議以前において、経済交通が円満にできるように、しかもダレス特使も日本に来て、領土の問題については、国民の熱意のあるところをば私は見とつてお帰りになつたものと信ずるのでありまするが、この際ポツダム宣言を親切に解釈してもらうことにいたしまして、われわれといたしましては、奄美大島はもちろんのこと、琉球、小笠原諸島、千島列島のごとき、これらの、われわれ日本民族の血であり肉であるところの領土の問題もあわせて解決せらるるように希望し、本決議案に賛成をせんとするものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/7
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008・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/8
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009・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。この際、外務政務次官から発言を求められております。これを許します。外務政務次官草葉隆圓君。
〔政府委員草葉隆圓君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/9
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010・草葉隆圓
○政府委員(草葉隆圓君) 内地と奄美大島との経済交通の円滑化に関する御決議の趣旨は、まことにごもつともと存ずるのでございます。この決議にもお述べになりましたように、現在わが国の行政権の及びまする範囲は総司令部の覚書によつて定められておる次第でありまするが、政府といたしましては、できるだけこの決議の御趣旨を十分他姓いたしまするよう努力いたす次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/10
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011・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、繊維製品検査所の支所及び出張所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員長小金義照君。
〔小金義照君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/11
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012・小金義照
○小金義照君 ただいま議題と相なりました地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、繊維製品検査所の支所及び出張所の設置に関し承認を求めるの件につきまして、通商産業委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
御案内のごとぐ、戰後繊維及び繊維製品の生産は著しく増次いたしまして、特にその輸出額は、全輸出量の重要な部分を占あておる実精でございます。かかる際でありまするから、繊維及び繊維製品の海外市場におけるその声価の向上に資する観点よりいたしまして、繊維製品検査所の拡充教化をはかつてその機能を十分に発揮せしむることは、きわめて大切な事柄であります。現在、京都ほか七箇所に本所を、その他主要生産地十九箇所に支所及び出張所が設置してございます。これを地区別に考慮いたしまするならば、適地適所に必ずしも支所及び出張所が設置せられてありませんので、そのために係官が常時出張することを必要とし、待つて厖大な出張費などを要するのみならず、検査員の往復に多大の日時を要しておる実情でございます。これらの冗費と手数を省き、検査事務の能率向上をはかり、あわせて業界の要望にこたえる必要上、若干の支所及び出張所を増設せんとすることは、まことに時宜に適した事柄かと存ずるのでございます。
以上の理由によりまして、広島県、山口県及び島根県を担当する出張所を福山市に、岡山県、島根県を担当する出張所を岡山市に、また九州一円を担当いたすものとして福岡市に支所をそれぞれ設置いたすことにしておるのでございます。よつて福岡市に神戸繊維製品検査所福岡支所を、福山市に神戸繊維製品検査所福山出張所を、京都府山科に京都繊維製品検査所山科出張所を、また小松市に金澤繊維製品検査所小松出張所をそれぞれ設置いたさんとするものであります。以上が、その設置の趣旨並びに承認を求むる点でございます。
本件は、二月三日、本委員会に付託せられました。十二日、政府委員より提案理由を聽取し、十四日質疑に入りましたところ、自由党高木吉之助君より、検査所の陣容を強化し、検査員の質の向上をはかられたいとの強い要望が開陳せられたのであります。続いて討論を省略いたし、採決をいたしましたところ、出席議員異議なく承認を與うるものと決定いたした次第であります。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/12
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013・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/13
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014・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り承認を與えるに決しました。
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015・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第二、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、日程第三、日本国憲法第八條の規定による議決案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員会理事江花靜君。
〔江花靜君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/15
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016・江花靜
○江花靜君 ただいま議題となりました皇室経済法施行法の一部を改正する法律案及び日本国憲法第八條の規定による議決案について、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず皇室経済法施行法の一部を改正する法律案の要旨を申し上げますと、皇室の費用のうち内廷費及び皇族費は、憲法及び皇室経済法の規定によりまして、皇室経済法施行法の定める定額により毎年国庫から支出することになつておるのでありますが、現在の定額は昭和二十四年度当初の決定にかかりますもので、内廷費は二千八百万円、皇族費年額の基準額は六十五万円となつておるのであります。しかるに、先般国家公務員の給與改訂が実施せられましたのにかんがみまして、明年度はそれぞれこれを二千九百万円及び七十三万円に増額しようとするものであります。
次に日本国憲法第八條の規定による議決案は、天皇その他内廷にある皇族事が、災害の御見舞あるいは各種の御奨励等のためになされる賜與は、皇室経済法の規定によりまして、一定の金額を越ゆるものはすべて国会の議決を要することになつておるのでありますが、その都度国会の議決を経ることが事実上困難でありますのみならず、その目的も定まつておりますので、従来の例によりましてこれを一括議決することとし、明年度も、その額を本年度と同額の二百五十万円としようとするものであります。
本法律案並びに本議決案は、去る一月二十五日、本委員会に付託され、政府の説明を聽取し、質疑応答を重ね、愼重審議の後、二月十七日討論採決の結果、多数をもつて原案の通り可決いたした次第であります。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/16
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017・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/17
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018・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/18
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019・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第四、水産業協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。水産委員長冨永格五郎君。
〔冨永格五郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/19
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020・冨永格五郎
○冨永格五郎君 ただいま議題となりました水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、水産委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず提案の理由と、そのおもなる内容について御説明いたします。昭和二十三年、第三回国会において成立いたしました水産業協同組合法も、実施以来本月十五日で溝二周年を経過したのであります。この間、組合の設立は順調に進み全国津々浦々に普及し、水産業協同組合設立総数は実に四千六百余にもなり、漁村の民主化と水産経済の振興に多大の寄與をなしつつあり、本事業も一応軌道に乗つて参つた次第であります。しかしながら、その内容につきましては、組合員百人未満の漁業協同組合がその総数の約五〇%もあり、その出資金についても、十万円以下の組合が約六〇%にも及ぶ、まことに零細なる組合という現状であります。また組合結成後の借入金並びに旧漁業会よわり承継いたしました負債の重圧を受け、その経営はきわめて苦難の道をたどつているのであります。このように組合の経営的基礎が薄弱であるので、その経理組織を十分整備し、さらに信用事業についても同様の措置を行い、組合の育成強化をはかろうとするのが、本案提出の理由であります。
次に本法案のおもなる内容について申し上げます。第一点として、出資組合がその組合員との間の財務関係を明らかにし、組合員の利益を保全できるように、組合の守るべき財務基準を定める政令の根拠規定を設けようとすることであります。すなわち組合の再建整備の目標を明確にし、かつ信用事業の経理につきましても確固たる基準を示し、もつて組合の健全なる育成をはかろうとする次第であります。
次に第二点としては、ただいまの説明と表裏の関係にある、組合に対する行政庁の定期的検査であります。すなわち行政庁は、組合の財務が適正に実施されているかどうか、帳簿その他について毎年一回常例として指導的検査をすることにより組合の健全なる発達を促進しようとするのであります。
その他組合の会計状況等の検査に関する罰則について、現在の千円では効果が少いのでこれを一万円に改めるほか、第八国会において水産業協同組合法の一部を改正した際当然改正されていなければならなかつた水産加工業協同組合の私的独占の禁止、及び公正取引の確保に関する法律の適用除外を受けられるよう改めた次第であります。
以上が本法案のおもなる内容並びに提案になつた趣旨でありますが、本法案は一月二十九日水産委員会に付託となり、二月一日島村政務次官より提案理由の説明を聞き、同日及び三日、六日の三日間にわたり各委員より熱心なる質疑が行われ、政府当局よりそれぞれ答弁がありましたが、なおこれを詳細にわたり審議すべきであるとし、二月六日、漁業制度に関する小委員会に移し、愼重に検討を重ねたりであります。次いで二月十九日の委員会において小委員長より、行政庁は財務基準を設け、あるいは組合の業務または会計の状況等につき帳簿検査その他の検査をし、組合を積極的に指導するとともに、組合の最大の負担になつている負債の利子補給をするか、あるいは補助金ないし資金融通により経営の打開をはかり、組合の再建を強力に推進すべきであるとの報告があつたの、であります。引続き質疑に入りましたが、質疑及び討論省略の動議により、ただちに採決いたしましたところ、多数をもつて原案通り可決された次第であります。なお詳細については委員会会議録によつて御承知願います。
以上御報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/20
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021・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/21
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022・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/22
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023・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 日程第五は委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/23
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024・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。
日程第五、消防組織法の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。地方行政委員川本末治君。
〔川本末治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/24
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025・川本末治
○川本末治君 ただいま議題となりました消防組織法の一部を改正する法律案に関しまして、地方行政委員会がこれを立安するに至りました理由及び起草の経過並びに結果についてその概要を御説明申し上げます。
御承知の通り消防組織法は、昭和二十二年十二月二十三日法律第二二六号をもつて公布され、翌二十三年七月二十四日、消防法の制定公布と同時に一部改正を見たのでありまするが、消防機関の組織を定める本法は、消防活動の作用に基準を與える消防法と相まつて、新消防制度の基盤となつていたのであります。しかしながら、その後法律施行の実績に徴し、また近年火災が頻発し、その被害も少からず、日本再建途上の一大障害となつておる現状にかんがみ、消防法については、昨年五月、第七回国会において、火災の予防及び防火活動を一層有効適切ならしめる趣旨から相当に大きい改正が企てられ、同じく本委員会から改正法案が提案されて、その成立を見たのであります。
消防組織法につきましても、かねてより全国各地の関係官民、各団体等から、その改正について陳情や要望があつたのでありますが、その主眼とするところは、要するに消防組織の強化充実をはかるとともに、消防関係者の自覚と責任を高め、あるいは無用の制限を除き、その地位を保護することによりまして、消防目的の達成に完璧を期そうとするものであります。
昨年三月、消防振興の目的をもつて衆参両院の有志議員によつて結成されました消防議員連盟におきましても、その常任幹事会において本法改正の必要を認め、数個の問題点を採択して、すみやかにこれを法律化することを議決したのであります。
本委員会におきましては、この間の事情に即応するため、昨年十二月十一日、不肖川本末治外十二名の小委員を選任し、本法改正について鋭意研究を遂げ、小委員会を開くことは二回でありましたが、その問関係方面とも連絡して、調査立案に遺憾なきを期し、愼重審議の結果、過日ようやく改正草案ができましたので、本月二十日、川十小委員長から本委員会に草案起草の姻過並びに結果の報告をなし、本委員会においては、若干質疑応答の後、これを本委員会の成案とすることについて採決の結果、賛成多数をもつて本委員会の改正法律案といたすべきものと議決いたしたのであります。
以下、改正のおもなる点を申し上げますが、その内容は大よそ次の三点であります。
まずその第一点は、現行法の第九條の規定を改正して、ここにあげられている各種の中枢的消防機関に対して閥瞭なる法的根拠を與えるとともに、これらの消防機関の全部または一部を市町村は設けなければならないとしたことであります。けだし消防団、消防署、消防本部、消防職員及び消防団員の訓練機関は、消防組織の根幹、中核であり、防火消火その他消防目的達成のため有効な現実の活動をするか、あるいはその能率を向上するための教養訓練をなす機関でありますから、これを組織法止において並列包括的に明示し、市町村はその実情に即して、それら機関の全部またば一部を義務として設置しなければならぬこととしたので事あります。
もとより消防団は、全国至るところ、いかなる山村僻地といえども設置せられており、たとい法律上これを義務づけずとも、自衛のためにもみずから組織せられる必要性のあるもので、その輝かしい伝統、事実績及び数量のいずれより見るも、消防組織上重要なことはいうまでもありません。人口やや集中して、相当な市街地ともなれば、消防団のほか、常備消防が設けちれるようになり、さらに大都市ともなれば、常時訓練を行い、相当な設備を持つた専門的な消防施設が絶対に必要であります。大よそ市制を施行する程度の都市におきましては、現今多数が消防署を設置しておるのが事実でありますので、法律上も、かかる市街地は漏れなぐ近代的、科学的な消防施設を設けなければならないとすることが望ましいと考えられるのであります。よつて、いずれを重しとし、いずれを軽しとすることなく、それぞれの重要性に着眼しつつ、すべてこれを包括的に組織法上に明示して法的根拠を與え、かつ市町村の護憲義務を法定してこれら消防機関の重要性を強調するゆえんのものは、当該市町村の具体的実情に適応しつつも、及ぶ限り消防組織の充実を期するとともに、消防関係者の自覚を高めようとするがためであります。
改正の第二点は、消防団員の災害補償制度の確立に関するものであります。一身を犠牲にして水火の難におもむく使命を帶びております消防団員が、後顧の憂いなく、危險に際して十分な活動をなし得るためには、不幸にして死傷等災害を受けた場合、相当な補償を受け得る制度を確立することの急務なることは申すまでもなく、さきに地方公務員法が制定せられ、その第四十五條の規定により、一般の地方公務員に対してはその原則が定められたのでありますが、非常勤の消防団員は特別職でありまして、地方公務員法の適用外にありますので、本法において特に新もく規定を設け、これを救済しようとするのであります。
改正の第三点は、消防団長を含めた消防団員の公職立候補禁止の解除に関するものであります。公職選挙法及び同法施行令によれば、消防団員は現職のまま公職の選挙に立候補することはできないことになつております。しかしながら、非常勤の消防団員は一般の地方公務員とは著しくその性格を異にしており、かつ地方の実情におきましては、それらの人々は、多くはその地の中堅ないし有識階層に属し、これらの人々が何ら報酬にかかわりなくして、義勇的に奉公している消防団員の職にあるのゆえをもつて、立候補できないとすることは、ただに本人に対して酷であるばかりでなく、広く人材を網羅して民主政治を行つて行こうとする趣旨にも反し、適当ではありませんがら、その制限を解き、消防団員は現職のまま立候補できるようにしようとするものであります。
その他は、この機会において数箇所字句の整備及び事項の合理化をはかろうとするものでありまして、たとえば消防吏員の階級の基準は従来一定のものがなく、各市町村で区々であつたものを、国家消防庁の定めた準則によつてこれを定めるとか、消防団長の任命形式を整備するとか、消防事務組合町村の規定を完備するとか、地方公務員法の施行に伴う法文の字句の整理及び事項の調整を行うというがごときことが改正案のおもなる内容であります。
以上、改正案の提案理由並びに起草の経過及び内容の概要を申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/25
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026・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/26
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027・幣原喜重郎
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
これにて議事日程は議了いたしました。本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101005254X01419510222/27
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