1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年三月三十日(金曜日)
午前十一時二十九分開会
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本日の会議に付した事件
○有線放送業務の運用の規正に関する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国際放送再開促進に関する決議案の
件
○民間放送問題に関して電波監理委員
会に対する要望事項の件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/0
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001・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) これより会議を開きます。前回に引続き有線放送業務の運用の規正に関する法律案の審議をいたします。
別に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/1
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002・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら、討論中にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/2
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003・山田節男
○山田節男君 私は日本社会党を代表いたしまして、意見を申上げます。先ずこの議題になつております有線放送業務の運用の規正に関する法律案、これに対しましては、左の修正を条件として賛成するものであります。
修正箇所は本案の第二条中「、又は観覧され」、それから同条第二号中「又は影像」を、同条第三号中「若しくは影像」を削る。即ちテレヴイジヨンに関する有線放送は削除するということにいたしたいと思います。
次に、第十条第二号、これを次のように改め、同条第三号を削りまして、第四号を第三号とし、以下順次一号ずつ繰上げる。それは「二、一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合においては、同一の者の占有に属する区域)において行われる有線放送(第二条第三号に該当するものを除く。)の業務」、かように修正いたしたいと存じます。なおこの第十条で申上げました構内でありますが、この構内の観念は、例えば国会のごとく、本館、議員会館、又は常任委員会庁舎、これらの建物は事実上同一の構内電話において連絡されておる。こういつたようなものは一つの構内とみなす。こういう意味におきまして、構内という定義を解釈するという条件であります。かような二つの第二条と第十条の部分的修正を加えまして、本案に賛成するものであります。なお本案の審議の過程におきまして、いろいろ論議されましたごとく、この法律の適用の主体はラジオの共同聴取にあるのであります。それと附随的に広告放送その他の有線放送業務を規正、監督しようとするものであります。で、本案は飽くまでも暫定的のものであつて、法律自体におきましては、単行法案でありますけれども、他の放送或いは電信電話或いは電気通信営業法等と併せ考えるべき法案としまして、従つてこれらの母体となるべき法律が改正乃至修正される場合においては、当然この法案は、その目的を達し、廃案となるべきものであるという了解の下に、本案の以上申上げました修正案を条件といたしまして、日本社会党は賛成いたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/3
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004・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) 他に御発言はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/4
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005・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 私も只今山田委員から言われましたと同様な意味におきまして、山田委員のお述べになつた修正案を含んで本法律案に賛成をするものであります。ただ一言附加えて置きたいことは、先般来問題になつておりました電信法の関係についてでありますが、この法律案の目標としておりますところは、山田委員も言われましたように、三つのものを対象にしているのでありますけれども、中でも共同聴取を主として目標として考えられたものであります。共同聴取については、その実態から言いまして、むしろこれを助長するというような方向に向つて処理されねばならないと思うのでありまして、その見地から電信法の上の取扱いにつきましては、規則によりまして処理せられるようでありますけれども、この法律案の趣旨に副うように、できるだけ簡便に、そして共同聴取の実態に副うように処理をせられたいということを強く要望いたしまして、山田委員提案の修正案を含むこの法律案に賛意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/5
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006・鈴木恭一
○鈴木恭一君 私は自由党を代表いたしまして、有線放送業務の運用の規正に関する法律案、只今山田委員が修正されました修正案を含みまして、本法案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/6
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007・水橋藤作
○水橋藤作君 修正案に賛成します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/7
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008・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) それでは討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異一議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/8
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009・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。有線放送業務の運用の規正に関する法律案について採決いたします。
先ず討論中にありました山田君の修正案を議題に供します。山田君提出の修正案に賛成のかたの御挙手を願います。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/9
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010・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) 全会一致と認めます。よつて山田君提出の修正案は可決せられました。
次に、只今採決されました山田君の修正案にかかる部分を除いた有線放送業務の運用の規正に関する法律案全部を問題に供します。修正部分を除く原案に賛成のかたの御挙手を願います。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/10
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011・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) 全会一致と認めます。よつて有線放送業務の運用の規正に関する法律案は、全会一致を以ちまして修正可決せられました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとし、御承認を願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/11
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012・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) 御異議ないものと認めます。
それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名をすることになつておりますから、本案を可とせられたかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
村尾 重雄 新谷寅三郎
山田 節男 大島 定吉
鈴木 恭一 水橋 藤作発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/12
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013・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/13
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014・山田節男
○山田節男君 なお私速記に残して頂きたいのですが、本法案が今日成立いたしまして、委員長から然るべくお取計らい願いたいことは、近来県市町村の地方自治体が広報を盛んにやるようになつて参りました。ここに一例の記事を私見まして、只今制定になつた法律の対象となるべきものが非常に殖えるのじやないかという私は見込みを持つのであります。ここに広島県の県民広報によりますると、山口県の下関から北進すること約四十キロの一小村、豊浦郡滝部村がそれで、農林省の総合模範電化村の指定を受けたのが昭和二十一年、現在では各種農作業に電力を利用しているのは勿論、ラジオ共同聴取施設も完備しており、役場に中央本器を、十三の部落と中小学校に各一台の本器を設置し、村内全戸にはスピーカーを取付け、全村一時に、又部落ごとにでも通達公示事項を即座に知らし、村民の意見も聞き、高級機による放送が安価に聴けるといつた仕組になつている。又村内の要所に大拡声器を取付け、田畑で働きながらラジオが楽しまれ、集会に出なくても講演会が聞け、素人演芸コンクールもできれば、病害虫防除も適時に指導できるし、村会傍聴も家庭でといつた調子。先頃も猪が出たので即時猟師に知らせ、野荒しのギヤングも忽ち退治した。泥棒などは恐れをなして寄り付きません、と村長さんは鼻高々。こういう一例の記事が載つているのでありますが、こういつた趨勢は、今後やはり農村の地帯でなくても、こういつた意味の共同聴取施設が、有線放送施設が殖えるのではないかという見込みを私は持ちますので、本法案が三十日以内に公布されることになつておりまするが、願わくは次の休会明けまでに、かかる状況を全国的に調査したものを一つ資料として本委員会の委員に配付願えるように御措置願いたいと思うのであります。なおこの問題はやはり電波監理委員会のみならず、NHKの中央放送局或いは支局等でこれに協力して、できるだけ詳細な全国的な資料を一つ我々に提供されるよう、委員長から然るべくお取計らいをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/14
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015・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) さよう取計らいます。
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016・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) なお一昨日、衆議院より申入れのありました国際放送の決議案、これに対しましては、衆議院のほうでは関係方面のほうからOKがあつたそうであります。恐らく衆議院においては二日の本会議に上程をせられる予定とのことであります。本院がこれを如何に取計らうかということは、山田委員からの一応御発言もありましたが、なお続いて他の委員からこの問題について御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/16
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017・大島定吉
○大島定吉君 国際放送再開促進に関する決議案は、一昨日来山田委員からいろいろ御意見の発表がありまして、山田委員の御意見は誠に一応私ども納得はできて、御尤もと考えておりまするが、一面におきまして、みずから民主的、文化的国家として立直る、甦生する日本の実情を見まして各国に知らしめるということが、山田君の御懸念される国際的楚歌の現在におきまするよりもプラスが多いのじやないか、こんなふうに考えます。なお且つ衆議院におきましては、すでにOKをとつて、二日の本会議に上程するやに承わつておりますので、できるならば衆議院と同調して、歩調をとつて、これを本会議に上程して可決して置いたら一層よいのではないか、かように考えまするので、皆さんの御意見をお諮り願いたいと思います。私はそういつた意味におきまして、この決議案上程に賛成の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/17
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018・水橋藤作
○水橋藤作君 一昨日でしたか、この決議案を上程されるときに私質問したのですが、決議をしまして、OKをとつたとするならば、その着手には三億かかるのです。一千万円か金がないが、三億かかる。決議してさて実施に移るときに、つまり金のない仕事をするということに対して、これに対する方法を何らかはつきりとすれば、我々は決議することもいいと思う。決議して見ても目的を達しられないじやないか、経済的に……。でしたらば、決議したことが意味をなさないじやないかというふうに思うのですが、この点一つはつきりした見通しがあるならば、決議しても別に考えるあれがあると思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/18
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019・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 私はまだ緑風会全体の意向を取りまとめたわけではないので、実は今日のうちに取りまとめて見たいと思つております。従つて今申上げることは、私自身の個人的な意見になるかと思いますけれども、私の考えでは、この国際放送を開始するということは、これは一日も早くなければならないと考えるわけであります。ただ遺憾ながら昨日当局から説明がありましたように、予算面におきましても、或いは国際放送を実施するについての各国の間の打合わせにつきましても、まだやらなければならんことが相当たくさん残つておるように思うのでありまして、若し各国の間で打合わせができ、そうして予算もとれておつて、今実施する段取りになつておりますれば、あえて決議をしなくても、我々としてはそれが、国際放送がいけないと言つて反対をする理由はないと思うのであります。本院といたしまして、決議をいたしますのは、むしろ国際放送を一日も早くやるというように準備を早く進めなさいと、こういう意味において決議をすることになるのでありますから、本院の意思表示をしますことによつて、関係官庁が予算的にも、或いは施設のほうでも、或いは諸外国との交渉におきましても、急速に準備を進められることになると思いますので、実際面としては山田さんの言われたようなことも、これは勿論御尤もな点も私は多いと思いますけれども、これが実施の段取りに行きますのには、ここで本院が決議をして、それに従つて関係官庁が非常に準備を促進せられましても、なお半年や一年かかるのじやないかと考えるのであります。そういう意味におきまして、私は早くこれを決議をして、本院の意思を明らかにして、そうして関係官庁がその線に沿つて急速に準備を進められるというようにするのが実際的であり、又適当であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/19
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020・山田節男
○山田節男君 電波監理委員会委員長にでもお答え願いますか……。これは私この決議案について一昨日意見を申上げたのですが、先ほど橋本衆議院議員からお聞きすると、衆議院では社会党もこれに同調して決議案の上程に賛成しておるということを聞いたんでありますが、私も更に加える意見はありません。ただ問題は、先ほど新谷委員の言われたように、こういつたものはとても半年や一年でできないかも知らん、であるからして、ただ速かな準備措置を行うという意味で決議案を出すのだと、こういう御意見でありますが、講和条約が果して噂されるごとく今年の半ば頃にできるかどうか、もうすでに半ば近い今日になつて、その見通しはないのであります。佐藤参議院議長の言われるように、講和条約は今年中に妥結できないかも知らんという見方すらあるのでありますから、私もこの決議案を出されても、何らそういう意味で、すぐ実現するという意味で申上げたのじやないのであります。私の個人的意見として申上げたことは、講和条約前に若し再開された場合において、今日の国際情勢の分析から見て、又国際放送の現状を見れば、決して一国の正しい姿を海外に放送するというだけの放送になり得ないという可能性が非常に濃いということを杞憂して、私意見を申上げたのであります。ただ問題は昨日も網島副委員長に技術面をお聞きしたのですが、国会両院がかような決議案を通した場合に、電波監理委員会として技術的に、例えば波長の割当等において、それからその国際放送への数億円を要する施設と、又期間的に見で、時間的に見てどのくらいかかるというお見通しなのか、この点を一つわかる程度において御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/20
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021・富安謙次
○政府委員(富安謙次君) 只今お尋ねのありました国際放送が、関係方面の了解を得まして、これを実現するということになるならば、周波数の面においてすぐに実現するということができるようなふうになつているのか、又施設の上において、これに応ずるものが整つていて実現することが可能であるのかという二つの点のお尋ねと了解いたしました。施設の面について申しまするならば、これは戦争中におきまして、数個の設備機械によりまして、随分広い範囲に亘りまして海外放送を実施いたしておつたのでありまして、その施設が勿論全部ではありませんけれども、今日なお使うと思えば直ちに使い得るような、いわゆる遊休の状態にある部分が電気通信省の施設としてあるのでありまして、これを使うということは可能である状態にあるのであります。それから又周波数の関係につきましては、前に日本として使つておりましたのを、関係方面が一時禁止をいたしたのであります。併しながら昨日もここで他の政府委員からお答えをいたしましたように、関係方面からその禁止を解除して参りましたので、若し関係方面の了解をさえとりつけることができまするならば、直ちに使い得る周波数はあるのだということに御了解をお願いいたしとう存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/21
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022・山田節男
○山田節男君 今富安電波監理委員長のお答えで、大体その外貌がわかつたわけでありますが、これは私は個人の意見として申上げておるわけですが、先ほど新谷委員或いは大島委員からの御意見がありましたように、これは私全面的に賛成です。ただ私固執するようですが、そういつたような施設がすでにもうあり、波長の割当も使い得るということになつて、講和条約前に国際放送を実施するということには多分な危険があるということは、日本のやはり現在の憲法の建前から、これが濫用、濫用というと語弊がありますが、日本の憲法に違反するような事態が十分規正された上で放送されることを、私は非常な重要なことだということの意見は私は今も変りません。そこで文句ですが、決議案の文でありますが、この点をそういう部面から、一つそういう観点から、それを審議して頂いて、それから委員長の……、これはまあ決議案の上程の説明に当られる人があるわけでありますが、その説明の場合に、そういつた方面の警戒した意味の提案趣旨の一つ弁明を頂くということにして頂きますれば、私はこれに対して全面的に反対するものではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/22
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023・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) 一言山田委員の只今の御意見に委員長といたしまして申上げます。山田委員の御意見誠に御尤もでありますので、提案理由の説明者が、理由の説明書の中にさようの懸念のあることを指摘し、そうしたことに十分の警戒をするということについて、その説明理由の中にこれを示したいというふうに、私自身もさよう考えますので、さようにしたい。決定してこれを上程いたします場合には、さような説明をいたしたいと思います。
これについて各委員の御賛成を得たいと思いますが、如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/23
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024・水橋藤作
○水橋藤作君 私が先ほど申上げましたように、予算の裏付のないものを決議しても、要するに中味がないということを言つておるのでございまして、大蔵省ならば大蔵省が、それだけの予算措置を講じてくれるならば早急にやることもいいけれども、講話でも結ばれれば、それから予算措置ができれば、我々はこんなに決議してまでやらなくても、これは可能なものではないか、今新谷さんが言われるように、この放送が実施されるまでには半年なり一年なりかかるとすれば、やはりわざわざこう無理矢理に決議しなくても、時機が来れば、やはり自然的に到達するのではないか、こう思うのです。併しながら全面的に反対するのではない。成るほど我々はこれを決議して、海外放送が必要であるから、予算措置を講じろというならば、これは又考えが違うのですが、その点はつきり将来の見通しがあるのかどうか。ただ決議しても、今の自由党内閣で予算がないから駄目だと言えば、決議も駄目なんですから、その点をはつきり聞きたいのです。そうしないと賛否を明らかにできないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/24
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025・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 水橋委員からの御意見も私も御尤もだと思うのですが、その我々の今までのやつております決議というものは、或る場合には例えば平衡交付金の増額の決議というもの、これは予算的措置を講じろという意味の決議もたくさんあるわけです。この決議はまだきまつたわけではありませんけれども、最後に「本院は、政府が速やかに必要な措置を講じて国際放送の再開を図ることを要望する。」ということの中には、早く予算的措置も講じろということも入つておりましようし、それから関係国家間の協議も早く進めろと、細目をきめろということも入つておりましようし、そういつたことはすべて必要な措置の中に包含されておるのです。そこで実際の見通しからいうと、私も予算的措置もないのに、今速かにこれが実行されると思えないのですが、併し方向としては国際放送を再開することは、これはもうどこの国でも当然やつておることでありますし、日本としてはここまで政治経済が回復して来て、まあ自立しようというときですから、日本の本当の状態を各国に知らせるということは、これは山田さんの言われるように、知らせかたによつては悪くなるかも知れませんが、知らせかたによつては非常にプラスになる面が多いという点から、方向としては私は国際放送を再開するということには、私はこれは御同意を願えるのじやないかと思う。そうすると、それの実施に必要な措置ですね、それにはいろいろの予算的なことだとか、協定だのというものはありましようが、同時に時期、方法についても十分考えてやりなさいということも、これは考えて頂いていいかと思うのです。そういう意味で水橋君の言われるのも、我我の言つているのも方向はちつとも反対じやないので、同じ方向に向いていると思うので、できれば水橋委員にもこの決議案を出すことに御賛成を願つて、山田さんが言われたようなことについては、ここに但しといつたように、決議案に但しということは書けませんから、趣旨弁明の際に、そういう実施の時期とか、方法については十分考えるようにという警告を入れて弁明してもらえば、大体委員会全体の空気を反映するのじやないか、こういうふうに考えるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/25
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026・水橋藤作
○水橋藤作君 私はあえて固執するわけではありませんけれども、海外放送で金も要る、時期も、一方的なものを放送されて、あれこれに誤解を受けるようなことをやる必要があるか、予算的措置があるならば、国内電話でも直したらいいじやないか、もつと手許に金が要る仕事があるのだ、而もそれを今決議してまで、急いで一方的だけの放送をここでやらんけりやならんという理由も見当らず、又これに対して海外放送なら三億、四億から金を出す。国内の電話のことはかまわないというのも理窟にならんと思うのです。そういう意味において私は一応意見を述べるのですが、或いは固執するわけではありませんけれども、条件としては一方的な放送のみにするという結果から、本当の手許にあるところのアジアの諸外国の感情を刺戟しないようにすること、それから今予算措置が講ぜられなければ、結局決議そのものは何にもならないことになるしするので、決議するからには、国会の権威においてもやはり実現させなければならないのであつて、そうしたことの裏付がされれば、あえて固執しません。その条件を付けて頂ければ、そういう含みを以て決議に賛成することにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/26
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027・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) 只今新谷委員からの御意見もありましたので、水橋君のそうした懸念も、これも説明の中にそうしたことを織込むということにして、できれば、これは超党派的な問題でもありますので、党派を超越して、全会一致の形で行きたいと思いますので、さように一つ御賛同を得たいのでありますが……。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/27
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028・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) それでは案文等につきましては、一つ専門員のところでも研究し、お手許にも、御意見ももう時間もありませんから、持回り等において御意見を述べることにして、一つ案文の作成を急ぐことにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/28
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029・鈴木恭一
○鈴木恭一君 参議院は一応三十一日で自然休会に入るというふうなことをきめておりますので、成るべく本日中にこれをきめて頂いて、若し出し得るならば、明日の本会議に上程して頂きたい。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/29
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030・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) ここに専門員のほうから、お手許の案文に対して多少修正をしたらどうかというのでありますが、それは丁度中頃からの「今や講和の機運極めて濃厚なる秋に当り、わが国の民主的、文化的国家としての」、こうありますところを、「わが国の平和を愛する民主国家としての」、こう草案を修正したならばどうかという意見でありますが、これは強く世界平和という点を強調して置くほうが、山田先生の御意見にも合うように存じますので、そのような……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/30
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031・鈴木恭一
○鈴木恭一君 それからちよつとお伺いしますが、この文句で最初から二行目の「役割をなすものであるが、わが国のそれは終戦以来中絶の状態にある。」というのですが、実はこれは終戦後も中国から南のほうへ放送しておつたのですが、これがいわゆるここに言う国際放送であるかどうかわかりませんが、少くとも電波は海外に飛んでおつたのです。ですからこれは「わが国のそれは終戦以来中絶の状態にある。」という言葉は要らないのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/31
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032・後藤隆吉
○専門員(後藤隆吉君) これは私電波監理委員会のほうへ打合せしましたら、あれは国際放送ではないという解釈の下に、復員関係の業務で、そういう放送をさせられておつたのだ、こういうことを言つておられましたから、正確に言いますと、国際放送というものは中絶の状態にあると言つてよいというふうに考えたわけです。なおここに監理委員会のかたもおられますから、その点をお確めなさるなら結構と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/32
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033・長谷愼一
○政府委員(長谷愼一君) お答え申上げます。只今専門員のかたからお話がございましたように、御指摘の放送は、私どもも、又関係方面も、国際放送ではないという考え方の下に処理をされております。なおこれにつきましては、特に日本政府宛に関係方面から覚書が出ておりまして、行なつておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/33
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034・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 今のお話の「平和を愛する民主国家としての成長」、これは結構ですが、その後の「国際放送によつて、直接に紹介することは、」ということなんですが、この「直接に紹介する」でも勿論間違いはないのですが、言葉としては「国際放送によつて、諸外国に認識を深めることは」というような意味のほうが、なおはつきりすると思うのです。前にも紹介というようなこともありますし、そういう意味に字句を変えたらいいのじやないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/34
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035・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) なおそのほかこの案文について御意見はございませんか。ではちよつと速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/35
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036・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) 速記を始めて下さい。
それでは案文をいま一度読み上げます。
〔後藤専門員朗読〕
国際放送の再開促進に関する決議案
国際放送は、国際親善と文化の交流に欠くべからざる役割をなすものであるが、わが国のそれは終戦以来中絶の状態にある。
戦争以来長い間国際社会から離れ、しかも戦後非常な変化を来したわが国としては、国の実情を外国に紹介できないことは、重大な損失である。今や講和の機運極めて濃厚なる秋に当り、平和を愛する民主的、文化国家としてのわが国の成長の実情につき国際放送によつて、諸外国の認識を深めることは喫緊重要のことである。
本院は、政府が速やかに必要な措置を講じて国際放送の再開を図ることを要望する。
右決議する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/36
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037・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) ではこの決議案文を以ちまして、一つ各党協同提案という形で、明日までしか会期がないといたしますならば、明日これを提案するように取計らいたいと思います。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/37
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038・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) さよう取計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/38
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039・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 決議案を離れておるのでありますが、富安委員長に要望したいことがございます。最近いろいろ民間の放送の問題について噂が入つて参ります。私どもは個々の具体的な放送事業につきましては何ら関心を持つておりません。併し電波監理委員会としては、先般委員長談を発表せられまして、民間放送会社に対する許可の方針を一応闡明せられたわけであります。我々はあの方針が今の実情から申しまして、極めて適当であると考えておるのであります。従つていろいろの噂が出ておりますけれども、そういうことが現実にあらわれないように、あの方針を以て監理委員会としてはどこまでも善処して頂きたい。許可の方針のごときはたびたび変りますと、非常にこれは混乱を来たす元になると思います。電波監理委員会としましては、あの方針によつてどこまでも強く進んで頂くように、この際富安委員長に私は要望して置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/39
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040・富安謙次
○政府委員(富安謙次君) お答えいたします。只今御発言のありました電波監理委員会に対する強き御要望ということにつきましては、十分にその御趣旨を尊重いたしまして、その線に沿いまして、私どもの能う限りの努力をいたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/40
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041・寺尾豊
○委員長(寺尾豊君) なお決議案につきましては、衆議院では関係方面に手続をとつたそうでありますからして、調査をいたしました上、適当な措置をいたしたいと思います。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十五分散会
出席者は左の通り
委員長 寺尾 豊君
理事
村尾 重雄君
新谷寅三郎君
委員
大島 定吉君
鈴木 恭一君
山田 節男君
水橋 藤作君
政府委員
電波監理委員会
委員長 富安 謙次君
電波監理長官 長谷 愼一君
事務局側
常任委員会專門
員 後藤 隆吉君
常任委員会專門
員 柏原 榮一君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101014847X01319510330/41
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