1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年五月二十四日(木曜日)
午前十時五十八分開会
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本日の会議に付した事件
○訴訟費用等臨時措置法の一部を改正
する法律の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
○連合委員会開会の件
○民事調停法案(衆議院提出)
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001・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 只今より委員会を開きます。
訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/1
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002・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 民事局長見えているのですか。……ちよつと民事局長にお尋ねいたします。執行吏に対する給与については、やはりこれを定額の收入に対する比率に従つて、不足の場合には国よりそれを支給することになつておると承知しておりまするが、これまで各裁判所に属する執行吏で、その給与の関係は、大体国庫のほうから補助せずして済んでおるかどうか、補助したりとすればどのくらいな程度の補助になつておるか、それからなお土地によつて收入に増減があろうと思いますが、その点おわかりでありましたらお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/2
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003・關根小郷
○説明員(關根小郷君) 只今鬼丸委員からの御質問に対しまして申上げますが、現在執行吏の全国の数は大まかに申しまして二百名をちよつと越えております。それでそのうち、補助金額は御承知のように一年八万一千円に満ちませんと、その手数料の額と八万一千円との差額を国庫から受けることになつておりますが、先ほど申上げました二百名余りの執行吏のうち約七十七名が手数料が足りなくて、補助金を受けておるはずでございます。これは昨年、一昨年あたりの調査でございますが、その詳細の金額につきましては、いずれ計数を明らかにいたしましたものをお手許に差上げたいと存じます。
それから今お尋ねのうち場所によつて收入の増減があるのじやないか、従つて補助金額を受ける人と受けない人が出て来るのではないかというお話、これはお話の通りでございまして、全国的の調査によりますると、例えば東京都におきましては補助金額を受けないで済んでおる数が多く、地方に至りますると補助金額を受けておる場所がかなり多いようでございます。いずれその詳細は数字で明らかにいたしましたものをお手許に差上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/3
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004・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 この……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/4
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005・關根小郷
○説明員(關根小郷君) ちよつと失礼します。先ほど補助金の受領者を七十七名と申上げましたが、これは間違いでございまして百二十三名受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/5
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006・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 その七十七名というのは補助を受けておる人じやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/6
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007・關根小郷
○説明員(關根小郷君) 七十七名は別の数字を申上げましたのでございますが、七十七名を百二十三名と御訂正頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/7
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008・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 只今この執行吏の全国総数を約二百名という御説明でありましたが勿論その配分についたはそれぞれ予定をされておる定員数というものが裁判所のほうにはあるのだと思いますが、そのやはり異動とか、或いは定員数がどういうふうになつておりますか、それを一つ伺いたい、それからなお只今八方一千という御答弁がありましたけれども、これはこの度一部改正の法律案によつてこういうことになるのであつて、その前のものでは勿論違いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/8
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009・關根小郷
○説明員(關根小郷君) 只今鬼丸委員のお尋ねでございますが、最後の点を先に申上げますると、八万一千円になりましたのは今度の改正によりまするものではございませんで、従前国会で御審議を頂きました法律ですでにそういうふうになつております。今度は恩給の点だけに関しまする改正でございます。
それからこの八万一千円に満たない金額について国庫の補助を受ける、その予算の数字はどうなつておるかというお尋ねでございましたが、これは前年の大体数字を基にいたしまして予算を組みまして、そうして大体それに順応する程度で実際も参りますので、それによつておるわけでございます。なお定員のお話がございましたが、実は執行吏につきましては定員の定めがございませんので、各地方裁判所におきまして適当な執行吏として十分仕事ができる人がありますれば、それを殖やすということになつておりまして、定員はきまつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/9
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010・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 只今の御答弁によるというと、各地方裁判所で以て適任者があれば随時任官してよろしいというのでありますが、併しながらそれはやはりおのずから定員というものがあるべきだと思います。それからその殆んど自由職みたいなものに対して国庫の補助をするということはちよつと考えられない。それは法務府のほうで一括した定員法というものがないのであるか、或いは又法務府のほうで以て定員法をおのおの裁判所のほうに委任してきめるのであるか。それからその国庫の補助に対する関係の者を無限に差支えないということは、私ちよつと考えられませんが、その点は誤りじやないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/10
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011・關根小郷
○説明員(關根小郷君) 只今鬼丸委員のお疑問は誠に御尤もだと思います。実は執行吏に関しまする定員をきめるかどうかという問題は当然考えられるわけでございますが、実際面におきまするところの今までの定員の定めがございませんので、そうして実際は各地方裁判所の独断というと誤弊がありますが、裁量で人員がきまつておつたわけでございますが、これは実際面におきまするところの今の御疑問誠に御尤もですけれども、執行吏になり手が少いのでございまして、現在でも御承知だと思いますが、十分執行吏が受け持つ事件の割合には執行吏が充員されておらないのでございます。充員が非常に多くなるようなことがありますれば、或いは定員で押えなければならたいかと思いますが、現実の面におきましては、むしろ執行吏を任命するのに人がいないので困つておるような実情でございまして、理論的に申せばおつしやる通りになるわけでありますが、実際面ではその御心配がない実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/11
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012・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 私の承知しておりまする限りにおいては、司法書士の定員をすでにきめられておるように思います。勿論司法書士に対しまする收入とか、或いはこういうような関係は更にない、然るにいやしくも、国庫の補助をしてその仕事に携わる者が、殆んど自由職のごとくにして任命も罷免も何らないというふうなことは、手放しということは、如何に志願者が少いからというたところで私には考えられたい。然らずんば法務府のほうで以て全国の執行吏に対しまする統計というものはそれじや取り得ない。志願者の寡少のために人員は不足しておるのであろうけれども、併しながら執行吏の定員というものはどの地方裁判所には何名、どこどこには何名ということがおおよそきまつてなくて、全く手放しでいるということは全く考えられない。又やめることも自由だとすることにたる。執行吏というものは一体資格はそれじやどうしておるのか、又それをやめるとかは勝手にやめることができるのか、そういうような無統制なことは如何に供給面において得がたき事情があるとしても、それはちよつと私考えられませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/12
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013・關根小郷
○説明員(關根小郷君) 今鬼丸委員のお尋ね、誠に御尤もだと思います。現実におきましては、地方裁判所で新らしい執行吏を任命いたしますると、上級官庁でございます高等裁判所を通じまして、最高裁判所に報告することになつております。それで最高裁判所におきましては、どこの裁判所にどういう資格の執行吏がいるかということが一目でわかることになつております。これは通達でそういう報告をすることに相成つております。
それから只今お話の中にございます執行吏の任免につきましては、特に執行吏規則、それから更に執行吏任命規則という規則がございまして、一定の資格、或いは試験を受ける、或いは書記官を何年以上やつた者につきましてはその資格を与えるというかなり厳格な資格がございます。その資格に当らなければ採用できないことになつております。
それから又、今お話の中で、勝手にやめることができるじやないかというお話、これも理窟の上では御尤もでございますが、現実の面におきましては、やはり執行吏は国家公務員でございますので、そういう自由自在にやめるということはできないことに相成ろうかと思います。理論的には御疑問は確かにあろうと思いますが、実際面、それから任命規則、通達等におきましてその点は補つておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/13
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014・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 そういたしますと、これまで執行吏で以て恩給を取つておる人は何人くらいいるのか、それで国のほうから恩給を支給しておる額というのはおよそどのくらいですか。なお、任命の形式がおのずからあると思うのです。それについては裁判所のほうと何らの連絡もなく自由に発令するのであるか、発令者は何人くらいあるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/14
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015・關根小郷
○説明員(關根小郷君) 只今お話の点につきましては、現在執行吏の中には従前裁判所の書記官をいたしておりました者がかなり多数ございますので、恩給を受けている者もかなりおるかと思いますが、ただその金額につきましては、只今詳細にいたしませんので、いずれ書面ではつきりいたしたものをお手許に差上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/15
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016・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 これはこういう法案を提出しておるというときには、やはりそういうことはもう当然資料として出してもらわなければならんとこう思います。現在国のほうから恩給としてどのくらいの支給をしておるのであるかというようなことは、これはもう当然資料として附けて出して頂くだけの親切さがなければいかんと思う。私は今の定数の問題については、若しそういうような乱雑なことであるとするならば、甚だそのことはよくないと思います。やはりたとえ求めることに困難であるといたしましても、こういう国庫のほうから補助して任命するような者について、何らの限度をきめずして自由職のようなことにして置くことは、非常な放漫だと思います。先ほども申上げました通りに、司法書士のような国庫とは何ら関係なき者ですら定員があつて、その定員において調整を図つておると聞いております。であるから、この点は若し本当に言うがごとくに何らの定員について定めがないとするならば、私は当然その定員というものはきめておかなければならん性質のものではないかと思いますから、御研究を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/16
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017・關根小郷
○説明員(關根小郷君) 鬼丸委員のお話御尤もでございまして、実は執行吏は御承知のように正式の今までの官吏並みに従前は扱つておられずに、むしろ手数料で生活するといつたものでございましたので、執行吏につきましては今後一体どういうふうに制度を持つて行くかということで、まあ言葉を換えて申上げますと、地方裁判所の書記官、事務官と同じように地方裁判所の下級の機関とするかどうか、直属の機関とするかどうか、そうして俸給制度を加えて行くかといつた点につきまして研究を加えておるわけでありますが、その研究がまだ十分に達せられませんので、甚だ遺憾でありますが、それがはつきりいたしますれば、定員の問題もそのときに又考えなくちやならんかと思います。なおお話のように定員の問題につきましては、十分考慮いたしまして、法務府、政府側にも御相談いたしまして、その点の御疑問がなくなるようにしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/17
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018・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 これは私は曾つてやはりこの執行吏の国庫補助金額か何かの問題について委員会で審議したことがありまするが、やはりこれはいずれ需給の関係から出て来たこととは思いますけれども、執行吏に対して恩給或いは基準額等の定めがありまするが、基準額のことは別といたしまして、とにかく恩給の問題に至りまするとやはり同質と思われます公証人に対しては何ら定めがないように聞いております。その点は政府のほうではどういうふうにお考えになつておるのであるか。或いは、需給の関係でその必要なしと認めたのであるかどうか。これ又私は聞いておりまするところによると、公証人は勿論国の補助等も何も無関係であるにかかわらず、やはり定員があつて、そうしてその定員に従つて任命もされておるように聞いております。その点との比較並びに事情を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/18
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019・關根小郷
○説明員(關根小郷君) 今鬼丸委員のお話の点は、むしろ政府側から御答弁頂いたほうがよいかと思いますが、この公証人の点につきましては、法務府側で法務局を通じて監督しているようなことになつております。執行吏は裁判所の機関として公務員並みに扱われておりますが、公証人は債務名義を作る意味においては国家的な事務を実質上やるわけでありますが、形式上の公務員になつていないのではないか。いずれ政府側から御答弁があろうかと思いますが、私裁判所側として存じ上げておる点を申上げればこの程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/19
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020・中山福藏
○中山福藏君 私は前回の委員会におきまして、当局の明確な執行吏の取締に関する方針を承わりたいということを要求しておきましたが、なおこの際一応私の前回用いました用語の不備を調整しておきたいと思います。それは私の申上げました言葉の中に、執行吏の言動に関する非行があるということを申上げておきましたが、これは全般に関する非行があるというのではなくて、私の体験しました一、二の例について申上げたということに調整して頂きたいと思うのです。そうして、前回要求しました裁判所の明確な取締方針をこの際承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/20
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021・關根小郷
○説明員(關根小郷君) 中山委員のお尋ねは、要するに執行吏に対しまする監督の点にあろうかと存じまするので、この点ついて申上げますが、実は只今も申上げましたように、執行吏は地方裁判所所属の公務員ということになつております。従いましてその監督は地方裁判所自体が直接に監督するのでございまして、それから更に上級官庁、又高等裁判所、最高裁判所という理窟の上ではなつております。実際面といたしましては、御承知のように全国で二百名余りございますが、それが各裁判所に分れます関係で、多い所は東京都におきましては十何名、少い所は一、二名ということになつておりまして、かなり事務量と比較いたしますと、人が少い関係がございます。それでございますので、全国的に執行吏を集めまして、東京で指導、訓練するというようなことは事実上できかねます。ので、地方裁判所単位に会合なり或いは仕事を通じて地方裁判所におきましてできるだけの監督をしておるわけでございます。ただ実際面におきますると、非常に執行吏の仕事は御承知のように仕事に困難性が伴いますと同時に、人に嫌われると申しますか、やりにくい点が非常に多いわけでございましてたとえて申上げれば、債務を負つている者が債務の履行をしないために執行吏が出て行くという場合を大きく分けますと、債務者側が悪意で債務を履行しない場合と、履行したいのだが止むを得ず履行できない場合、たとえて申上げれば、労働争議等におきましては、割合に履行しないことを明らかに意思表示して、そうしてむしろ執行吏が来ると、暴力で以てそれに対坑するというようなきらいが見える場合がなきにしもあらずということがあるわけでありますが、そういう場合におきましては、非常に身が危険にさらされるわけでございます。それから一方履行したくとも履行できない場合、例えば住宅が非常に逼迫しているときに出て行く所がないのに債務名義で出て行かなければならん、金を払いたくとも明日の糧に苦しんでおるために金が払えない、そういう所にもやはり執行吏は動かなければならないわけでありまして、そういう場合にはむしろ涙を以て迎えられて非人情扱いを受けるわけであります。こういつた工合に非常に仕事に困難性を伴います関係から、なかなかすぐれた人を執行吏に任命することが困難でございまして、結局は古い書記官の人から執行吏を任命することが多いのです。この古い書記官出の執行吏を監督する面においてはかなり困難さがございますことが実情でございます。併しできるだけ地方裁判所におきまして、或いは所長自身、或いは所長の代行、或いは執行係の判事が役場に参りまして調査する、或いは執行吏のほうから相談を受ける、そういつた方法によりまして、できるだけ監督をしているわけです。ただ東京の弁護士さん等と私どもこの執行吏のことにつきまして御相談するときなどにおきましても、一体裁判所は裁判まで立派にやつても、その裁判が執行される面を注意しておるのかというお話がございました。言葉を換えて申上げますと、執行吏の監督は行届いていないのではないかというお話がございます。それでどういう点が悪いかという点におきまして、実は具体的に執行吏のやり方が悪いときは、是非所長なり或いは私どものほうにまでお申入れして頂きたいということを申上げておるのでありますが、なかなか具体的の問題が出ておりませんために、執行吏のほうにもどこが悪いのかということがわからないということを申しております。抽象的にはそういうお説があることはどこかに悪いことがあるのに違いないということで、私どものほうから抽象的にはそのたびに申し伝えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/21
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022・中山福藏
○中山福藏君 実はそれは今局長が申せられるのは私よくわかる。債務の完全な履行ができないというような場合があつて、そういうときには随分神経が興奮しておるのでしようから、思い切つた言葉とか思い切つた行いがあると私は思うのですが、私の言うのはそれじやなく、平常時の例えば弁護士が債権者の代理として行く、そういうときでも何と申しますか、競売をするときと同じような態度で接せられる。そういうときの関係とか諸般の事情をすべて含めて考慮されて、もう少し懇切丁寧にやるような一般的な指針を与えるということが裁判所の一つの義務じやないかと私は思つておりますから、そういう概括上一つの方針というものをやはり明示せられて置く必要がある、かように考えておるわけであります。これはこの間も申しましたように、こういうことから一面においては世相の混乱というものを招来する虞れがあるということを申上げたわけであります。それで一般的には指示を是非一つお願いしたい、こういう要求であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/22
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023・關根小郷
○説明員(關根小郷君) 只今中山委員のお話になる御趣旨に従いまして、でき得る限りそういつた趣旨を会合なり或いは面接の機会におきまして申し伝えると同時に、全面的に又書面等によりまして、通達その他の方法によりまして実現いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/23
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024・鬼丸義齊
○鬼丸義齊君 先ほど資料のことをお願いしましたが、拝見いたしましたから要りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/24
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025・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 別に御発言もなければ、質疑はこれで終了したものと認めて討論、採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/25
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026・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 御異議ないと認めます。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御発言もなければ、討論は終局いたしたものと認めて直ちに採決に入ります。本案に賛成のかたは御挙手を願います。
〔総員挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/26
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027・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 本案は全会一致で可決いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によりまして、あらかじめ多数意見者の承認を得なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容及び本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することにつきまして、御承認を願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/27
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028・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) それでは御異議ないと認めます。
それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書について多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされますかたは御署名を願います。
多数意見者署名
伊藤 修 宮城タマヨ
棚橋 小虎 中山 福藏
鬼丸 義齊 山田 佐一
北村 一男 岡部 常
左藤 義詮発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/28
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029・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) それでは休憩いたします。
午前十一時二十九分休憩
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午後三時十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/29
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030・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) これより委員会を開会いたします。
商法の一部を改正する法律の施行に伴う銀行法等の金融関係法律の整理に関する法律案が本日大蔵委員会に付託されましたが、本案について連合委員会を如何いたしましようか、お諮りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/30
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031・伊藤修
○伊藤修君 連合委員会を開くことが必要と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/31
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032・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 連合委員会を開くことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/32
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033・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) それでは大蔵委員会のほうへその申入をしまして、連合委員会を開くことにいたします
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034・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 次に民事調停法案を議題に供します。御質疑のおありのかたは御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/34
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035・伊藤修
○伊藤修君 一般的なことはあとでお伺いすることにして、條文について少しく説明的な事項についてお伺いしておきたいと思いますが、この第一條及び第二條中に民事に関しとこう表現しておるのですが、広く民事と申しますれば、勿論家事調停その他も入ることになるのですが、本法の説明書を拝見しますと、家事調停は入つていないというような説明もありますが、それならばそういう趣旨を明らかにしたほうがいいのじやないかと思うのですが、広く民事という文字を使わずして他に適当な文字を使うか、或いは本條において明らかにするか、どちらかにしたほうがいいのじやないか、かように考えるのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/35
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036・野木新一
○政府委員(野木新一君) 只今御質問の点は一応御尤もな御議論と拝承いたします。立案に私も多少関係いたしましたが、その際にもその点も議論をいたして見たわけでございますが、裁判所の行う調停につきましては、いわゆる家事審判法で定めておる家事調停以外は全部一本にしようということになりまして、その家事審判法と民事調停法との関係につきましては、一般法と特別法という関係に考えられるであろう。例えば民事訴訟法と人事訴訟法によりましてこれも又一般法と特別法の関係になるわけであります。場合におきましては、民事訴訟法において特に別に法律に定めるものを除くのほかというような表現をとつておりませんので、この場合もやはりそういう例と同じようにこれを一般法として書き、家事審判法は別に特別法としてあるということから、おのずからそこに民事訴訟法、人事訴訟法等の関係と同じような事柄に理解されるだろう、そういうように考えてこの案ができたように承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/36
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037・伊藤修
○伊藤修君 家事調停に関してはいわゆる本法に対するところの特別法、こういうお考え方だという立案の骨子を只今はお述べになりましたが、そういたしますると、本法を立案されました根本の趣旨は、従来その時期、その経済状態の必要或いはその他の理由によつてときどき調停に関するいろいろな法律が出て来る、そういう煩雑な法律をここに統合して一つまとめたい、こういう希望のためにこの法律が制定されたという提案理由の説明もあつたのですが、今のような御趣旨であつたならば、いわゆる特別法は又これからどんどんできる、それはこれから容認することになるのですか。そうすると結局は同じことになるのじやないか、特別法は家事調停以外には認めない、その他は認めない、こういう趣旨で法律を立案したのかどうか。又将来特別法は順次これを認めて行く、その業態において、その経済上の必要、社会上の必要においては又今後とも認めると考えるかどうか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/37
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038・野木新一
○政府委員(野木新一君) 只今のところでは、即ちこの法案を立案いたしました際におきましては、どの程度調停法規を統合するかという点が先ず最初の問題になりまして、私どもも随分研究し、各方面の意見も聴取したわけでありますが、大体家事調停については裁判所も家庭裁判所という特別の裁判所で取扱つたり、事柄も又他と少し違う関係もあるので、これだけはやはり別にしておいたほうがいいだろうという意見が殆んど全部と言つてもいいほどでありまして、ただその他の調停につきましては、例えば小作調停法、鉱害調停関係につきましては、これを統合の範囲に入れるべきや否やについてやや議論があつたわけであります。家事調停関係については殆んど法律だけは別にして置くというような議論が圧倒的に多かつたわけであります。こういう関係によりまして、これを別にしたわけでありまして、只今のところでは将来とも恐らく裁判所では調停をなす限りは、この民事調停法に対して特別法ともいうべき法律のできることを予想しかねる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/38
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039・伊藤修
○伊藤修君 予想しかねるということは、あり得ないということですか、今のあなたたちのお考えでは想像できないという意味ですか。又私はほかの人がそういう御意見があつて、どういう御意見の根拠かわかりませんけれども、ただ裁判所が違うということだからということになります。又鉱山の調停の場合においては事柄がもつと違うのです。それをも今度は統合なさるのですか。殊に鍛冶さんもおいでになりますが、人事調停の場合には民事が広く反映して来るのは当然のことです。これをただ裁判所が違うからと言つて除いて、いわゆる統合規定だとここに打出す私は強い根拠が納得できないのです。今少し御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/39
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040・野木新一
○政府委員(野木新一君) 私の理解するところにおきましては、家事調停関係を特別にいたしました第一の理由は、これは家庭裁判所で取扱つているものであるということ、第二の理由は人事というやはり一つのまとまつた事柄になつていること、第三には終戦後新らしい法規で一つにまとまつておるというこれらの点を考えまして、これだけはまあこの際別にしておいても差支えないだろうという考えと理解しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/40
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041・伊藤修
○伊藤修君 どうも御説明では納得できないのですが、あまり議論をしているというと先に進みませんから、次の問題に入ります。御説明を納得したわけじやありません。
次にお伺いしたいのは、第四條の移送の事項を規定しているようですが、これは決定でなされるのですか、どうですか、その点を先ず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/41
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042・野木新一
○政府委員(野木新一君) お説のように決定でなされるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/42
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043・伊藤修
○伊藤修君 決定といたしますと、これに対するところの坑告手続については何によりてなされるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/43
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044・野木新一
○政府委員(野木新一君) 立案当時の考え方としましては第二十一條によりまして「最高裁判所の定めるところにより、即時坑告をすることができる。」というこの裁判所の規則でその抗告を認めよう、そういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/44
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045・伊藤修
○伊藤修君 私は非常に不思議な御答弁を伺うのでありますが、一体抗告をなすがなさんかという国民の権利、即ち基本人権の重要な事項ではないかと思うのであります。さような事項をルールに讓るというお考え方は私は今日初めてお伺いするのですが、そういう例が今日まであるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/45
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046・野木新一
○政府委員(野木新一君) 大体今度の民事調停法におきましては、終戦後できました新らしい法律でありますが、家事審判法に倣つた点が多いのでござ、いまして、家事審判法第十四條におきまして「審判に対しては、最高裁判所の定めるところにより、即時抗告のみをすることができる。その期間は、これを二週間とする。」という例がございますので、これなどを参酌して作つたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/46
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047・伊藤修
○伊藤修君 只今指摘されました十四條においては、原則を定めてあるのです。要するに即時抗告のできるという原則を表現したのです。その手続を最高裁判所のルールに譲る、いやしくも法律で定める場合におきましては、上訴権を有するかどうかということを本法において定めるのは当然です。その手続を最高裁判所に譲るというのは我我是認できますけれども、抗告が行きるかどうかということまで最高裁判所に讓るという考え方は、今御指摘になつた法律自体にもそういうことは言つてない、最高裁判所のルールにどういう意味でお譲りになつたか、筋が違うと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/47
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048・野木新一
○政府委員(野木新一君) この民事調停法案の二十一條は、只今指摘いたしました家事審判法十四條と全く同じ構造になつておりまして、家事審判法でも同じように、如何なる場合に抗告できるかという、そういう具体的の場合にはルールで逐一規定してある、そういう構造になつておりますわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/48
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049・伊藤修
○伊藤修君 一般的規定としてこれをこちらへ引用するかどうかは存じませんが、第四條の解釈としてこれに対して抗告ができるかどうかということは、やはり親切にこの法文において明示する必要があるのではないか、この法文だけを見た場合において、果してこれに対して即時抗告ができるかどうかということはちよつとわかりかねるのではないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/49
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050・野木新一
○政府委員(野木新一君) お言葉はたしかに傾聴すべき御意見と存じますが、調停は成るべく当事者の意思を合致させる、そして争うということは成るべく表面に出さないで行つたらよかろうと、そういうような考えから家事審判法も恐らくこのような柔かい表現になつていると思いますので、こちらもそれに倣つたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/50
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051・伊藤修
○伊藤修君 それは柔かく表現なさるということはよろしいが、それがために法律の本意を捨ててもよいということにはならない。特に第四條の場合には管轄に関するものであり、当事者の互讓の精神とかというような問題ではなくて、基本的な問題であるから、その移送によつて受けるところの国民の利益、不利益ということは相当考慮さるべきであります。それに対して不服のあつた者は抗告ができるということを明らかにするほうが私は親切ではないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/51
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052・野木新一
○政府委員(野木新一君) この点につきましては、おつしやる通り一つの裁判所に申立てたのに対して、他の裁判所に移送されるということは当事者の利害にも関係いたしますので、実質的には抗告を認めて然るべき場合であると存じます。従つてルールのほうにおきましても、最高裁判所事務当局においてもこの場合は十分考慮するというような話合いも当時ありましたので、大体家事審判法の前例もありますし、それに従つて立案したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/52
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053・伊藤修
○伊藤修君 只今の御説のような御趣旨ならば、いわゆるルールに抗告ができるとかできないとかいうことを書かずして、原則的にここに抗告ができると、その他の規定ではルールに讓るという形をおとりになつたほうが親切ではないか。又疑義も生じないのではないかと考えます。又ルールにおいて果して抗告権を認めるかどうかということも私たちは不審と言えば不審、信用できないと言えば信用できないと思います。ですからやはりここにおいて明らかに抗告ができるということだけはしてもらいたい。少くとも表現する必要があるのではないかと、かように考えます。
次に第五條の関係ですが、第五條を見ますと、「裁判所は、調停委員会で調停を行う。」と、こういう表現を用いてあります。そうして「但し、相当であると認めるときは、裁判官だけでこれを行うことができる。一体、本法において基本的な組立てとしての立案者のお考え方は、調停は誰がやるのですか。誰が主体になつてやるのですか。それを先ずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/53
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054・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) 原則として調停委員会がやるというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/54
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055・伊藤修
○伊藤修君 調停委員会がやるということになると、裁判官はこれは調停委員会の下につくのか。裁判所はどこへ行くのですか。組立てを一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/55
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056・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) それは第六條に書いてありまする通り、「調停委員会は、調停主任一人及び調停委員二人以上で組織する」と、こういうことになつておりまして、裁判官が常に主任になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/56
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057・伊藤修
○伊藤修君 その内容、運営の形をお聞きしているのです。ここの表現では、裁判所が行うと、裁判官が行うというふうになつているのですが、その場合に、裁判官は調停委員会の一部門として行うのか、調停委員会の命令によつて行うのですか。三十四條の関係から見ますというと、裁判所が行なつているようにも見えるし、三十四條の罰則の適用りこの規定から見ますと、「裁判所又は調停委員会の呼出を受けた事件の関係人が正当な事由がなく出頭しないときは、裁判所は、三千円以下の過料に処する。」と、こう言つている。そうすると主体でないものが過料に処するということになるのですが、一体どういうわけで権限が移行しているか。この調停を一体誰が主体になつてやるのか。三つこうした主体がある、裁判所、裁判官、調停委員とあるが、その組立ての基本的構想を先ずお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/57
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058・野木新一
○政府委員(野木新一君) 只今の御質問の点でございますが、調停はこの第二條の規定によりまして、いわゆる裁判所に調停の申立をする。裁判所は調停を行うわけでありますが、裁判所にはどういう仕方によつてやつてもらうかということにつきましては、第五條に規定がありまして、裁判所は原則として調停委員会という機関を作つて、それで調停を行う。但し裁判官だけで行うこともできるということになつておりまして、調停委員会というものは別の言葉で言えば、いわば普通の裁判所で民事部とか刑事部とかあるのにやや類似しておりまして、裁判所はそれによつて調停を行う一つの機関、それが調停委員会になるわけであります。そうしてこの案では原則として裁判所は裁判官だけでなくて、調停委員を交えた調停委員会で調停を行う。こちらを原則とするということを第五條で宣言したわけであります。この趣旨の言葉はやはり家事審判法の第三條二項当りにほぼ同趣旨の考え方が出ておりまして、一応それを踏襲した形になつております。なお御指摘の第三十四條の罰則との関係でございますが、これも家事審判法二十七條に做つたわけでありますが、この裁判官が呼出をするという場合は、この裁判所又は調停委員会に呼出を受けて裁判所に入る場合、調停委員会が名前も違うし別に列記したほうがわかり易いであろうというので、「裁判所又は調停委員会の呼出を受けて」というふうに前例に做つて規定したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/58
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059・伊藤修
○伊藤修君 私もそういうふうに考えておつたのです。要するに調停自体については裁判所が受理して裁判所が民事部、刑事部というふうにその処理機関を分けてそこでおのおの事件を処理させるというふうなやり方をやる、そういうふうに考えておつた。今の鍛冶さんのおつしやるような調停委員会がやるのだ、調停委員会が主体だというふうには私は考えないのです。要するに裁判所が行う、裁判所が受理したことを調停委員会をして行わしめる、又調停委員会が適切でないという場合においては裁判官をして行わしむる、こういうふうに解釈しておるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/59
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060・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) その通りです。そういう意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/60
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061・伊藤修
○伊藤修君 そういたしますと、この第五條のこの表現がちよつとあいまいなんです。今鍛冶さんのおつしやつたような、やはり調停委員会が主体であるかのごとくに受取れるのですが、この辺から行けば「調停委員会で調停を行う。」何かちよつとここのところを一応平易に考えればそういうふうにも読取れるけれども、裁判所と調停委員会と、裁判官と、この三つが個々独立のものがあるように受取れるのですが、読み方によつては……、どうも表現方法がまずいのじやないかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/61
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062・野木新一
○政府委員(野木新一君) この点はなかなか規定の仕方が非常にむずかしかつたわけでありまして、いろいろ考えて見ましたが、実は家事審判法第三條「調停は、家事審判官及び調停委員を以て組織する調停委員会がこれを行う。」というような表現もございますし、その趣旨はこれでわかるだろうということで只今御質問のような趣旨の下に書かれているものと思つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/62
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063・伊藤修
○伊藤修君 どつかに……、よく読めばそういうふうに出て来るか知らぬが、土地管轄だけの表現が強く出されておるけれども、要するに事物、いわゆる調停事件を誰をして行わしむるかというあれが足らないために、省略されているためにちよつと疑問が起つて来るのではないでしようか。全体を読めばそういう意味が出て来るかもわかりませんが、やはりすつきりしたものがあつていいのじやないでしようか。誰が主体になるか、主人公がさつぱりわからぬようではいろいろな疑義が生じて来るのではないでしようか。それの必要はお認めにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/63
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064・野木新一
○政府委員(野木新一君) 私はこれで御趣意のように読めるものと思つております。個々の調停事件について見ますれば、或る事件は裁判官が裁判所の機関として裁判官だけで調停を行う。或る事件は調停委員会が裁判所の機関として調停事件を行う。そういうような考え方になつて行くものと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/64
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065・伊藤修
○伊藤修君 十條の三万一千円というのはどこから出て来るのですか、その根拠をお聞かせ願いりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/65
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066・野木新一
○政府委員(野木新一君) その点は訴訟物の価額のわからない場合に簡易裁判所にするか、地方裁判所にするかをきめる場合に三万一千円を基準として規定が定められておりますので、それに一応倣つたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/66
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067・伊藤修
○伊藤修君 第十二條の仮処分的な命令ですが、この本質を先ず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/67
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068・野木新一
○政府委員(野木新一君) これも在来小作調停法にございましたものを広く引用したわけでありますが、本質は仮処分とは違いまして、一つの調停委員会の行う措置でありまして、従つてこの二項にございますように、仮処分のような執行力を生じない、ただ十二條の励行が確保せられますのは、のちの罰則の規定の三十五條によりまして、正当の事由なくこの措置に従わない場合には五千円以下の過料に処せられるという罰則がございまして、この規定の励行を確保しておるわけであります。なおこの措置は調停委員会が行うわけでありますが、罰則自体を働かせるのは裁判所が働かせるわけでありますから、調停委員会は過料の裁判をすることができない、こういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/68
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069・伊藤修
○伊藤修君 その命令は裁判所ですか、何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/69
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070・野木新一
○政府委員(野木新一君) 調停委員会の一つの処分、なお突きつめて考えて見ますれば、一つの行政的な処分、従つて裁判でない。そういうことになろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/70
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071・伊藤修
○伊藤修君 裁判官が関与しておるのですが、それでも裁判ではないのですか。又裁判官だけで調停する場合においてこういう措置ができるか、できるとすればその場合におけるところの本命令の性質を伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/71
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072・野木新一
○政府委員(野木新一君) この調停前の措置は第十五條の規定によりまして、裁判官だけで調停を行う場合も準用されております。併し裁判官だけで調停を行う場合に調停前の措置として十二條の規定によつたといたしましても、その場合の裁判官は純然たる裁判機関としての裁判官ではなくして、調停機関としての裁判官と解せられますので、その場合にはやはり裁判でなくて一つの処分であると、そう解したほうが適当ではないかと存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/72
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073・伊藤修
○伊藤修君 その処分は先ほど行政的性質を意味している処分であると、こういうお説ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/73
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074・野木新一
○政府委員(野木新一君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/74
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075・伊藤修
○伊藤修君 十五條で第九條を準用しておるようでありますが、第九條による場合においては補助調停委員というのですかね、強いて名前を附ければ……それに対するところの旅費その他の日当、宿泊料を支給する規定ですが、要するに裁判官が調停を行う場合に補助調停委員というものを置くということを予想しての準用規定ですか。又置くとすればどういう場合があり得るのですか。そういうようなものを置くならば本来の調停委員会でその調停がなさるべきではないでしようか。要するに十五條で第九條を準用する必要と根拠がちよつとわからないのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/75
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076・野木新一
○政府委員(野木新一君) 第十五條で八條を準用しておりますので、お説のようにこの案におきましては、裁判官だけで調停を行う場合にも当事者の意見を聞いて適当である者と認める者に調停の補助をさせると、そういう仕組になつております。従つて第九條の規定もそれに関連して準用になつておるわけであります。建て方はそうなつておりますが、実際の例といたしましては恐らくお説のように補助者を用いるというような場合には調停委員会を開く場合が殆んど大部分で、裁判官だけでの場合にこれを用いることは非常に少いだろうと思いますが、特にこれをはずすだけのこともないだろうということで準用しておいたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/76
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077・伊藤修
○伊藤修君 第五條で以て「相当であると認めるときは、裁官だけでこれを行うことができる。」だけでこう区切つておるのですが、それを裁判官だけで行う場合に、その補助調停委員を置かなくてはならんというのはちよつとおかしいのじやないですか。それならば本来のその調停委員会に戻して行わしめたほうが最も正しいのじやないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/77
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078・野木新一
○政府委員(野木新一君) お説は尤もとは存じますが、この補助というのは補助調停委員とまで言うのは多少八條の補助者の地位を強く感じさせ過ぎるきらいがあるのではないかと思われます。例えば裁判官だけで調停を行うのは相当であるとして裁判官だけで調停に着手したところ、例えば家屋、或いは事件の調停などにおきまして、ちよつと隣の親交さんが口をきいておるというような場合に、なお調停委員会を開くまでのこともない、併し親父さんをちよつと補助に使えばうまく行くかも知れない、そういうような場合にはやはり補助的にこの制度を残しておいたほうが調停全体がうまく行くのではないかと存ぜられる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/78
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079・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) 今の言われた場合は、私はそれよりも一番この争い事は簡単だが、特殊の知識が要る場合、又計算等が要る場合、こういうようなときが予想され得るかと思います。専門的な意見をちよつと聞いて見る、事実の争いよりもそういうことで無理ということも予想し得ると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/79
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080・伊藤修
○伊藤修君 第十七條はいわゆる強制調停ですかの性質を帯びておりますが、「金銭の支払、物の引渡その他の財産上の給付を命ずることができる。」とこう言つておるのですが、然らば担保権の設定をなさしむる、担保の要求をするとかいうことはできるのですかその場合……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/80
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081・野木新一
○政府委員(野木新一君) 「金銭の支払、物の引渡その他の財産上の給付を命ずることができる。」という中には今御質問の担保の設定を命ずるということも解釈上含まれるものと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/81
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082・伊藤修
○伊藤修君 そうすると、それによつて担保権の設定を任意にすることができるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/82
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083・野木新一
○政府委員(野木新一君) 担保の設定を命じた調停に代る決定が、確定いたしますと、意思表示を求める裁判が確定した場合と同じように、その調停に代る決定書によつて爾後の手続ができるものと解せられるものと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/83
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084・伊藤修
○伊藤修君 次に十八條の「当事者又は利害関係人」とこうある、この利害関係人は十一條にいうところの調停手続に参加したところの利害関係人を指すことだと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/84
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085・野木新一
○政府委員(野木新一君) お説の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/85
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086・伊藤修
○伊藤修君 そうすると、この十八條によつてこの異議の申立期間の進行を開始するところの告知というものが利害関係人にどうしてなされないのか、又私の考えるところによると、利害関係人にも告知する必要があるのではないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/86
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087・野木新一
○政府委員(野木新一君) 只今の御質疑に対しましては、なお取調べてお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/87
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088・伊藤修
○伊藤修君 二十一條、二十三條に、「最高裁判所が定める」という規定があるのですが、この規定は予定されておると思いますが、その予定というものが、お手許にあれば御提出願いたいと思います。又なかつたならばどういう構想のものを作るかという要綱でもおありになると思いますが、本法をお作りになる以上はそういうものを予定しておると考えますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/88
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089・野木新一
○政府委員(野木新一君) この点につきましては、立案当時から最高裁判所事務局のほうにも十分な協力を願つておりまして、当時事務局といたしましては、この程度のことは一応事務局の民事局といたしましても考えておるというようなこともございましたが、その点につきましては、別に關根民事局長から御答弁願つたほうが適当と存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/89
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090・關根小郷
○説明員(關根小郷君) 今伊藤委員からお話がございました点は、この十八條、二十一條、二十三條全般的の問題でございますね。これは大体要綱程度のものを考えております。その内容を申上げますと、大体家事審判法で家事審判規則に讓られておりまする程度のものを、特に特別の事情のないものはそのまま借りて来るといつたことを考えております。主なものを申上げますれば、家事審判規則程度のもの、或いはそれ以上に附加えられるものもあるのじやないかと思いますが、大体のところはその程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/90
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091・伊藤修
○伊藤修君 この法案を拝見しますと、相当大部分の権限をルールに委ねておる。我々といたしましては、どの点をルールによつて表現されるかという点は、延いては立法権の放棄ということも考えられる重要な問題であるのですから、いわゆる当局によつて考えられておるところのルールに委ねられるところの要綱を御提出願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/91
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092・關根小郷
○説明員(關根小郷君) 実はこの要綱はまだ正式なものはできておりませんが、特に最高裁判所のルール制定諮問委員会にかける段取りになると思いますが、若しこの法案が通過いたしますれば、そういつた段取りになると思いますが、私どもが只今考えておりますのは要綱としてお手許に差上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/92
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093・伊藤修
○伊藤修君 本法を立案すればどの程度まではルールに委ねようという、要するにルールに委ねるその構想というものを頭に置かれて本法を考えられたと思うのです。従つて要綱は相当詳細なものがおありになると思いますから、至急一つお出し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/93
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094・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) この点につきましては、衆議院のほうでもいろいろ研究しまして、具体的の方法は別といたしまして、ルールを作られるときには国会の法務委員会と連絡をとつて作られるように正式に要望してございますから、念のために申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/94
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095・伊藤修
○伊藤修君 鍛冶さんのお説は誠に結構なことでありますが、我々従来最高裁判所に対する関係において、委員会においてはよくそういうお約束をなさるのでありますが、実際面においてはちつとも約束が実行されてしおらない。不履行勝ちであることを私は強く申上げて置きます。
次に三十一條について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/95
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096・一松定吉
○一松定吉君 ちよつと待つて……。今のと関連して、今のその何ですか、二十三條の「調停に関して必要な事項は最高裁判所が定める」とある。それは憲法の第七十七條か、「最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。」とある。これで最高裁判所が国会の了解も何も得んで勝手に何でもかんでもやられては立法権を害することになる。これはやはり最高裁判所が国会の了解を求めて定めるようにしてもらわないと困るのだから、その意味において伊藤委員からも質問があつたと思うのですが、最高裁判所が定められるということは結構なんですが、やはり我々がこれに協賛を与えるについては、やはり今の要綱というものをあらかじめ見せんと困る。それを一つ急にこの法案の審議が済むまでに見せてもらいたい。最高裁判所と御相談の上……、それを特にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/96
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097・野木新一
○政府委員(野木新一君) 政府といたしましても、最高裁判所の民事局とよく連絡をとりまして、この民事調停法案の規則の要点と申しましようか、こんなことを大体規則のほうに取上げると考えておるというような点を出してもらうことに努力いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/97
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098・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) この点に関しましては、これは今まででもたびたび議論がありました。先ほどの伊藤さんの御意見等もありまするが、我々は法律で定まつた基本的なものをルールで動かすことはできるものと考えております。従いましてああいうような場合はやはり即時抗告ができると書いた以上は即時抗告ができると、それの手続に関してどうとか、施行法的なものだけであると心得ておりますので、これはこの前からたびたびのお話で大体その点は最高裁判所において承知しておられるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/98
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099・伊藤修
○伊藤修君 鍛冶さんの御説御尤でありまして、あえてここでルール制度権の本質を極めようとは思いませんし、又申上げるのも駄弁だと思いますが、私たちとしてはこのように最高裁判所が折角国会において立法をしたその事項の内容がルールにおいてどうも歪められがちなんです。そういう点を非常に憂うるのです。申すまでもなく規則制定権は我々の観念といたしましては少くとも憲法に定めたところの基本的人権に影響を及ぼす事項には亘らないと、単なる手続規定に過ぎないと、だから少くともそういうような国民の権利関係に影響があるような事項は法律において賄い、そうしてそれを運行する上においてルールを作るというふうに只今鍛冶さんが仰せになつたようなお説の下に我々は常に法案に対処しておる次第ですから、この点は今一松さんが仰せになつたように過去の最高裁判所のとられた、どうもいろいろ我々の意に満たないような御態度についてどうも不審であるものですからこの際はどうしても一つのルールの要綱をお出し願いたいとこう重ねてお願いして置きます。
次にこの三十一條の問題ですが、この三十一條は特則でありますから、こういうあれも或いはよいかも存じませんが、調停委員会にこういう至大な権限を与えるということが果してどうでしようか。その与えるという一つ根拠を伺いたいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/99
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100・野木新一
○政府委員(野木新一君) この三十一條におきまして、一見調停委員会に非常に大きな権限を与えておるように見えますが、これは仲裁判断の精神を取入れたものでありまして、当事者が先ず調停委員会の定めるところに服するという、当事者の合意があるという第一前提であり、次にその合意は単なる口頭の合意ではなくて書面によるはつきりした合意でなければならないと、こういう條件の下におきまして飽くまで当事者がみずから、例えば第三者を選んであの人を仲裁人にするという場合と同じような精神をここに取入れて来たものでありまして、この行動をとる限りは弊害が生ずることはないものと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/100
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101・伊藤修
○伊藤修君 お説御尤でありますが、それは表面から見た私は考え方ではないかと思います。勿論当事者が書面によつて合意すればそれによつて選ばれた人の仲裁に服するということはこれは正しいのです。併し今日の調停の運営というものが果してそこまで行つているかどうか、私は後に質問いたしたいと思つておりますが、今日の調停委員会というものは一つの職業的調停委員会を構成しておつて、或る調停についてはいわゆる利害関係人、或いは申立人、被申立人らの訪問を受けその請託を受けて、これは或いは涜職ということになつて来るかもわかりませんが、これが巷間常に行なわれておるところですね、これは東京、名古屋当りは……、大阪のことはよく存じませんが、多く見受けられることですが、そうすると、実際の商取引の上におきましては強者は弱者を常に圧する、優越な立場で商取引をする。併し紛争が起きた場合には調停委員の合意書をくれ、くれなければこの取引はしない。いわゆる金貸が和解調書の委任状を取つて置く、東京辺りの金貸はこの和解調書の委任状を取つて置く、これは皆さん御承知の通りであります。そういうような手段に供せられる虞れはないのですか、尤もそのときはその取引をすることに汲々として如何なる書面にも判を押します。その押された合意書というものをここに利用されると、有無を言わさずとにかく強制調停に付せられるという結果を招来して、いわゆる当事者の一方から見ますれば、意に反したところの不利益な調停がなされ得るということを予想されるのでありますが、だからそういうところの救済方法はここで考えてやらなくていいのかどうか、あなたのように正面から合理的におつしやればそれはその通りです。併し社会の実情は裏はそうではないのです。そういう場合におけるところの、それはたまたまそうかも知れませんが、私はたまたまとは言えないと思う。そういうものの救済をここで認めるところの何かの手当をする必要はないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/101
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102・野木新一
○政府委員(野木新一君) この三十一條のできた沿革と申しましようか、こういう規定が立案されるに至りましたのは、現在の商事調停法第四條におきまして「調停委員会ハ当事者ノ合意アル場合ニ於テハ第一條ノ争議ニ付民事訴訟法ニ依ル仲裁判断ヲ為スコトヲ得」というような規定がありまするので、この規定の趣旨を汲んで三十一條を立案したわけであります。今御質問のうちに現われたようなことがしばしば起りますれば、誠に好ましくないとは存じますが、先ずこれは商事調停でありまして、一応証人は合理的に動くであろうという前提と、それから調停委員会でありまするから、調停委員会には常に調停審理として裁判官が入つておる。そうしてその裁判官が指導的な役割を演ずるであろう、そういうような立場から考えまして先ずこれで実際的にはさして弊害は生じないだろう、そう考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/102
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103・伊藤修
○伊藤修君 さつきからしばしば沿革沿革と、それから他の法規にあつたから云々と、こういう御説明がありますが、そう沿革にとらわれるなら、先の法文を丸写しにすればいい。今ちよつと註釈されました商事調停法といつても、これは大正十五年にできた法律です。大正十五年の社会思想及び経済の取引の理念というものを根拠にして今日の法律にそれを移して持つて来て成文化するというのは私は不親切だと思うんです。少くとも今日の経済組織に適合するような考え方を以てやる、そういう観点に立つて立案して頂くことが望ましいと思うんです。ただ前にあるからここへ持つて来たという漫然たる考え方は、およそ今日の立法者の考へ方としては私は排斥すべきことじやないかと思うんです。殊に裁判官が入つているからとかいうお説でありますが、勿論裁判官は正しいお方であり、公正な判断を下されることは我々は期待してやまないことでありますけれども、併し調停の趣旨というのは、調停委員において決定されますれば、裁判官は法律上の違法がない以上、いわゆる手続上の欠陷若しくは法律の違法性がない以上はこれを認可して来たのが今日までの実際です。今度は認可も何も要らないんです。ますます調停委員会というものは、この法律の狙いの大きな中心は調停委員会の権限の拡大ということになるんです。それで私はお尋ねしているわけです。従来の認可制度ならばまだ以て裁判所の信頼を繋ぐ、そうでなくして今度は調停委員会が主体になつてそれが従来よりは権限の強いものを与えて置く、それに国民の利害関係を処理させる。裁判の一つの方法として紛争の処理の一つの機関とするという狙いがあると思うんです。して見ますれば、少なくとも我々の予想されるような弊害というものは法律において成るべく除去する方向に私たちは持つて行きたいと思うんです。その点は御意向如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/103
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104・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) これは今の御意見誠に我々重視すべき点だと思いますが、それのみならず、調停委員のやり方については、これはいろいろ我々も実験しておりますが、ただ今伊藤さんが言われた実例でしたら、これは調停委員会ができない前に白紙で任すことの契約ですから、現在の調停委員に任せるという契約とはならんのじやないかと思いますが、ただそういうことを黙つてそれに服する、これは止むを得ませんけれども、そういう場合わかれば、この書面による合意には当てはまらんのじやないかと考えますが、そういうような場合よほどそういうことを注意しておいて、調停委員会で今後取扱うときにそういうことを十分考えてやつてもらうことにすれば或る程度防げるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/104
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105・伊藤修
○伊藤修君 それは勿論事件の起る前の合意であるのです。だから余計そういうときの取引としては容易にこういう合意はされるのです。要するに権利者の要求によつて、取引の側に立つてその売手なら売手の側から言えばこういう書面をくれ。然らばこのようにするというようなことが容易にできることです。そうしてそういうものを手に持つておつて紛争が起つた場合においてはそれを直ちに調停委員会に出して、調停委員会は勿論一つになるということになりますから、そういうところに又働きかけるというような虞れがあるのじやないか。だからその合意の中に調停委員の誰それの調停委員に服するということはお書きにならんでしよう。だから調停に服するということを書いておけばいいんですから、三十一條の場合特定されなくても差支えないわけですから、そういう危険があるということを何か我々は考えなくちやならんのじやないか、こう思うんです。又昨日の鍛冶さんの御説明によりますと、合意の成立の時期は調停の時期の前後を問わないというふうに御説明していらつしやるんですね、だからますます以て危険そ生ずる、こういうことになるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/105
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106・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) これは問題は調停委員会を抽象的に定めてもいかん、具体的でなければならんということになると思いますが、これはもう少し愼重研究しまして御返答いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/106
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107・伊藤修
○伊藤修君 それでは御研究願つて置くことにいたしまして、これは簡単なことですが、附則の十三條「この法律施行前に裁判所が受理した調停事件については、なお従前の例による。」この受理したということは職権で受理した場合、職権の場合も含むかどうかということを明らかにしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/107
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108・野木新一
○政府委員(野木新一君) お説のように含む趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/108
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109・伊藤修
○伊藤修君 次に本法において代理の規定が欠けているわけですが、これは勿論ルールに委ねられるというような考え方ではないかと思うんですが、私はやはり許可を受けて代理を認めるということが、又代理が不適当だと思えば本人を呼び出すことができるわけです。そういう行き方を本法において明らかにしておいたほうがいいんじやないかと思う。立案者の御意見を承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/109
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110・野木新一
○政府委員(野木新一君) この点も立案いたしまして、ルールで規定して頂くという趣旨で落したわけであります。勿論代理人の出頭も現在の各種の調停法の中にあるように許すようなルールが立案されるものと期待しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/110
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111・伊藤修
○伊藤修君 私は少くともここに代理権を認めるかどうかということは例外にしろ原則にしろ、やはり本法中に明らかにしておいて、その手続その他のことに関しましてはルールに委ねてもよろしい。基本的のものはやはり明らかにしておく必要があるのじやないかと思います。なお特則の小作調停ですか、今度の農事調停、農業調停ですか、農事調停事件、こうなつておりますが、この中から薪炭林の紛争、いわゆる薪炭山に関する紛争というものを除かれたということは私はこれは意外に思うんですが、鍛冶さんも御承知のことと思いますが、やはり小作争議というものは何も米穀を取る争議のみじやない。日本においては山間部が多いのです。山間部の農業者といたしましては常に薪炭林であるとか、そういうものに対するところの利害関係というものが多い。これをこれから除くということは、私は農民の立場からしては重大な事項じやないかと思う。何のためにこれを殊更に拔かれたのか、その根拠を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/111
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112・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) それはこの「その他農業用資産」という所で皆入つておるつもりでできておるのであります。そういうものをすべて入れるつもりでございます。前は小作調停と言つたのを、その意味で小作に限らない農業資産全体に関する調停、こういうふうに直しましたので、そういうのは当然入れるつもりで改正したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/112
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113・伊藤修
○伊藤修君 本法中に、利害関係人その他に対するところの責任を問うためにいわゆる過料を取ることに規定しておる。而もそれが過重された。これは私は今日の調停の実情から考えましても異論はないと思います。併し他面におきまして調停委員の責任がいわゆる秘密漏洩だけの責任を認めて、その他の責任については問うていないのですが、これは先ほどちよつと三十一條のところで触れましたように、やはり何らかの調停委員に対するところの職分に対する責任を明らかにする必要があるのじやないでしようか。権限が拡充されて、又相手方にも責任を負わせたというなら、単に評議とか人の秘密漏洩だけの責任を問うだけではなくて、職務全体に対する責任を認める必要があるのではないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/113
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114・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) 只今の御事例のような場合は、いわゆる涜職罪に相当するものと心得ております。公務員として非常勤の公務員の中に人つておりますから、刑法上の涜職罪が成立いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/114
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115・伊藤修
○伊藤修君 そうすると補助調停委員は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/115
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116・鍛冶良作
○衆議院議(鍛冶良作君) 補助は入らんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/116
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117・伊藤修
○伊藤修君 なおその点は私のほうでも研究いたしますから、一つ御研究願つて頂きたいと思います。本法だけではちよつと賄い切れんところがあるのじやないかと思いますが……。それから現在やはわ鍛冶さんも御承知の通り調停委員は殊更に調停事件を延ばして時を稼いでおれば、自然に片付くであろうというので、調停委員のほうでむやみやたらに延ばして、私の知つているのでも二十五年もかかつている事件がある、実に迷惑至極なんです。一体今日一年以上の調停事件はどれだけあるか、二年以上の調停事件はどれだけあるか、三年以上の調停事件はどれだけあるかという統計を一つ裁判所のほうで出して頂きたいと思います。相当数の古い調停事件は私はあると思います。その一つ数字をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/117
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118・關根小郷
○説明員(關根小郷君) 今伊藤委員のお問合せの点はできるだけ至急調査いたしまして、御期待に副いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/118
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119・伊藤修
○伊藤修君 今日のところは大体論だけで後ほといろいろ資料を頂いてから又質問することにいたします、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/119
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120・鈴木安孝
○委員長(鈴木安孝君) 本日はこの程度にて散会いたします。
午後四時三十八分散会
出席者は左の通り。
委員長 鈴木 安孝君
理事
伊藤 修君
宮城タマヨ君
鬼丸 義齊君
委員
北村 一男君
左藤 義詮君
長谷山行毅君
山田 佐一君
棚橋 小虎君
岡部 常君
中山 福藏君
一松 定吉君
衆議院議員
鍛冶 良作君
政府委員
法務府法制意見
第四局長 野木 新一君
事務局側
常任委員会專門
員 長谷川 宏君
説明員
最高裁判所長官
代理者
(事務総局民事
局長) 關根 小郷君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101015206X01819510524/120
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