1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十六年十一月十二日(月曜日)
午後一時四十九分開議
出席委員
委員長 小金 義照君
理事 高木吉之助君 理事 中村 幸八君
理事 高橋清治郎君
阿左美廣治君 今泉 貞雄君
小川 平二君 神田 博君
澁谷雄太郎君 永井 要造君
中村 純一君 加藤 鐐造君
風早八十二君
委員外の出席者
通商産業事務官
(通商振興局
長) 井上 尚一君
専 門 員 谷崎 明君
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十一月十二日
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(
小金義照君外十八名提出、衆法第二号)
同月九日
電力増強対策確立に関する請願外一件(星島二
郎君外一名紹介)(第八五八号)
国内がボーキサイト開発に関する請願(高橋權
六君紹介)(第九〇七号)
東北地区の電力使用制限緩和等に関する請願(
庄司一郎君紹介)(第九〇八号)
同月十日
グリニツチ島の燐鉱石採掘に関する請願(庄司
一郎君紹介)(第九五九号)
須原発電所電力増強工事施行の請願(田中角榮
君紹介)(第一〇一二号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
連合審査会開会に関する件
輸出信用保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二二号)
商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(
小金義照君外十八名提出、衆法第二号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00519511112/0
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001・中村幸八
○中村委員長代理 それではただいまより通商産業委員会を開会いたします。
小金委員長が商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案の提案者として提案理由の説明をされる関係から、その間私が委員長としての職務を行います。
まずただいま本委員会に付託されました商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。その提案理由の説明を願います。小金義照君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00519511112/1
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002・小金義照
○小金委員 ただいま議題となりました商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
あらためて申すまでもなく中小企業はわが国の産業並びに経済においてきわめて重要な地位を占めており、講和後の自立経済体制の確立も、中小企業の振興発展にかかるところがはなはだ多いのでありますが、現在の経済情勢下におきましては、中小企業の振興のためには何といつても金融面の対策が最も緊要と考えられるのであります。
御承知のように、中小企業は従来より慨してその基礎が薄弱であるため、銀行等から、金融を受けることが大企業に比べて著しく困難でありますので、いろいろ中小企業専門の金融機関が設けられているのでありますが、商工組合中央金庫はその一つとして、中小企業者の協同組合に対する金融を行うことを目的として、昭和十一年に設立された国家的な金融機関であります。中小企業金融の逼迫が深刻となるにつれて、その果す役割はいよいよ重要となつて来ておりますので、この際商工組合中央金庫法の一部を改正しで、その機能の拡充強化をはかることといたしたいと考える次第であります。
改正の内容は、他の法律の改廃に伴う條文整理を含み、十数点にわたつておりますが、その最も重要なねらいは、従来取引対象が中小企業等協同組合だけに限られていたものを預金受入れについては中小企業等協同組合の構成員にまで、また貸付については、所属組合の構成員にまでそれぞれ拡張したことであります。すでに申上げましたように、商工組合中央金庫は、中小企業等協同組合に対する金融を行うことを目的とする金融機関でありますが、特に中小企業等協同組合のみを業務の対象といたしておりますゆえんは、中小企業振興対策の重心は、その組織化の推進に置くのが最も適当であるからにほかならないのであります。
しかしながら中小企業等協同組合の現段階におきましては、中小企業協同組合に対する金融は組合の共同事業に対して行うだけでは十分でなく、組合員である個々の中小企業者の事業に対しても行う必要のある場合があるのであります。このような場合、現在ではまづ協同組合に対して金融を行い、協同組合より組合員に対して転貸しを行うという形をとつているのでありますが、これはいたずらに手数がかかるのみで、実情にも即しませんので、このような場合には、直接組合員たる中小企業者に対し貸し付ける道を開く必要があるのであります。この場合直接中小企業者に貸し付けることとしても、それが協同組合の組合員である限り、組合金融機関たる商工中金の本旨にもどるものではなく、むしろ実際に即して、その機能を強く発揮することとなるものと考えられるのであります。
右の場合に対応して、預金についても当然組合員たる中小企業者から受入れられることとなりますが、これにより、従来とかく散逸しがちでありました組合員の資金が集められ、商工中金の資金繰り上に好影響を及ぼすものと期待されるのであります。
改正の第二のねらいは、商工中金の金融機関としての業務範囲を拡充することであります。商工中金は、従来中小企業等協同組合のための特殊金融機関であるという建前上、一般の銀行等に比べて業務範囲がいろいろ制限されておりますが、貸付と並行して債務保証を行うことや、業務上の余裕金をコールローンに活用すること等は、金融機関として当然の業務であり、特に商工中金についてのみこれを制限することは理由のないことでありますから、この際商工中金の業務に追加することといたしたのであります。
改正の第三のねらいは、一組合の出資口数の制限を従来の一千口から一万口に引上げることであります。商工中金に対する一組合の出資口数があまり大きくなつて、一部少数の組合に出資を独占されることは、中小企業等協同組合の全体のための金融機関であることの趣旨に反しますので、従来その限度を千口と定めていたのであります。
しかしながら、これは商工中金が設立当初資本金一千万円、総出資口数十万口のときの制限でありまして、今日のように、資本金十五億円、総出資口数千五百万口となつては低きに過ぎますので、これをさしあたり十倍の一万口に引上げることとしたいのであります。
そのほかに改正のねらいとして、国、公共団体、または銀行その他の金融機関の業務の一部を代理することがありますが、これは商工中金が中小企業の専門金融機関である立前上、中小企業金融に関しましては、国、公共団体、銀行その他の金融機関の業務の一部を代理することが必要となる場合がいろいろ予想されますので、その道を開いて置くというつもりでございます。
以上現在の経済情勢下におきまして、さしあたり緊要と考えられる諸点について改正をしようとするものでありますが、何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00519511112/2
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003・中村幸八
○中村委員長代理 以上で提案理由の説明を終りました。質疑は次会よりこれを行うことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00519511112/3
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004・中村幸八
○中村委員長代理 次に輸出信用保險法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、去る九月提案理由の説明がありましたので、これより逐條説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00519511112/4
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005・井上尚一
○井上説明員 輸出信用保險法の一部を改正する法律案につきまして、逐條的に簡單に御説明を申し上げたいと存じます。
先般提案理由の説明におきまして御了解願つたここと存じますが、本案の提案理由につきまして簡單に申しますと、従来の輸出信用保險法は、昭和二十五年の三月三十一日に施行になりまして、同年六月から輸出信用保險の引受けを行つて参りました。この内容は、輸出に伴いましての外国における為替制限あるいは戰争、あるいは暴動といいますような政治的、行政的な非常危險に基きましての不測の損失を填補するというのが従来の保險制度の本旨でございまするが、最近御承知の通りにプラント輸出という問題がますます重要性を加えて参りました。ことに東南アジア地域の開発計画あるいは南米諸国の経済進展に伴いまして、こういうプラント輸出と申しますか、生産財の輸出が逐次増加して参つたのでありまするが、この生産財、プラント輸出の場合におきましては、普通の貨物の輸出とは異なりまして、この代金の決済の方法が非常に長期にまたがりまして、その代金の全部または一部の支拂いが延期になりまする場合とか、あるいはまた現金にかえまして、現物決済の方法をとるというような場合もありまするし、要するに普通の輸出におきましては、いわゆる取消し不能の信用状の開設に伴いまして、輸出貨物の代金請求権に関する危險は一応解消せられるわけでございまするが、今申しましたようなプラント輸出の場合におきましては、その通常の取消しが不能の信用状方式をとることができない場合が少くございません関係上、そういう特殊決済の方式によりまする場合には、買手側に長期の信用を供与するという関係上、相当危險がここに多いわけであります。今後わが国としましてプラント輸出につきましては、これの発展を一層推進して参る必要がございまするので、今般この輸出信用保險法の一部を改正しまして、特にプラント輸出を主たる対象としまして、こういう特殊決済方式に基きましての輸出に伴う危險をカバーしようというのが、今回提案の本旨でございます。
なお従来の現行輸出信用保險制度は、これはこのまま続けて参ることに相なりますが、従来の輸出信用保險は、民間の保險会社が貿易業者と直接契約を締結しまして、政府はその民間の保險会社に対しまして、これが再保險を引受けるという方式でございまするが、今般の輸出信用保險制度の改正として加えることになりましたプラント輸出に伴います信用供与に関する危險につきましての保險は、これは政府の直営保險として行つて参る予定であります。この従来の保險制度と比べまして、その保險の内容、担保物件の内容が違いまする点と、契約締結方式につきましても、従来の保險とは異なる方式を今般とりまする関係上、従来の分を甲種の保險と称し、今度新たに加えました保險制度を乙種保險と称しよう、そういうことにいたしております。
次に逐條の御説明でございますが、第一條、第二條、第三條、第四條、第五條中の改正でございますが、これは今申しました新たなる乙種保險制度を今般設けることに伴いましての、従来の再保險方式によります輸出信用保險と区別をする関係上、必要な形式的改正にすぎないのであります。今般の新種の保險の内容は、次の第五條の二以下四項の規定にこれの実体を盛り込んでおります。
第五條の二といたしまして、ここに「政府、輸出者が輸出契約に基いて政令で定める貨物を輸出した場合において、左の各号の一に該当する事由によつて当該輸出貨物の代金を回収することができないことにより受ける損出(輸出貨物について生じた損失を除く。)をてん補する輸出信用保險を引き受けることができる。」とありまして、次の一、二、三、四、五というのは、保險事故をここに列挙してございます。今般の乙種保險におきましても、これは被保險者は輸出者に限つております。ここには輸出者と申しまして、輸出業者と申しておりません関係で、これは一回限り輸出を行うような場合も、この保險の被保險者となり得るというわけであります。
なお輸出エキスポーターに関連しました製造業者あるいは金融機関は、もちろん被保險者となることはできまんけれども、輸出者の承諾を得まして、第三者のための保險契約を締結することができることは当然でございます。従来の甲種保險におきましては、輸出契約の成立と同時に被保險利益を生ずるのでありますが、今般の場合には輸出貨物を輸出した場合ということに相なります。この輸出貨物を輸出しました場合というのは、この被保險利益の発生の要件であります。言いかえますれば、現実に当認貨物を輸出いたします前に、キヤンセルによりまして、この輸出を行うことができなくなつたという場合、このキヤンセルにつきましては、今般はこの対象にはいたしておらないわけであります。
なおこの輸出と申しますのは、現実の船積みのときというふうに考えております。ついでに申しますが、当認貨物を輸出します前に先方からのキヤンセルがありましても、これを今般の保險事故と考えていないというのは、キヤンセルにつきまして、そういう危險をカバーするということは、この保險制度を濫用する弊害も生ずることを考慮した結果であります。
それからここに「政令で定める貨物」といたしておりまするが、先刻も申しましたように、これはプラント輸出、すなわち機械設備等の生産財にこれを限定する考えであります。それから損失につきましては、ここに「輸出貨物について生じた損失を除く。」とありますのは、本輸出信用保險法第一條にございます通り、この保險は、通常の保險によつて救済し得ない取引上の危險を担保するのがその目的でございます関係上、海上保險その他の在来の物上保險によつて担保し得る損害については、これをその対象としないという考えであります。
次に保險事故の、この一から五までの事由について簡單に申しますが、第一が「外国において実施される為替取引の制限又は禁止」第二は、「仕向国における戰争、革命又は内乱」、この第一に「外国」と言い、第二に「仕向国」と申しましたのは、決済の場所が相手国以外の第三国である場合があるというので、第一号におきましては外国といたしたわけであります。ヨーロツパ各国に出します際に、その決済がロンドンであるというような場合も、通常そういう例が少くないわけであります。それから第三号は、これはたとえば相手国におきまするボイコツトであつたり、あるいは途中港、あるいは最終の荷揚港の港湾のストライキであるとか、そういうようなことを予想いたしておるわけであります。それから第四号と第五号、これは従来の甲種保險におきましては全然ない保險事由でありまするが、輸出契約の相手方の破産及び輸出契約の相手方の六箇月以上の債務の履行遅滞ということを保險事故として考えております。もつとも第五号におきまして、「輸出者の責に帰することができないものに限る」という限定がついておりますのは、たとえば相手方とエキスポーターとの間に同時履行の抗弁といいますか、同時履行の関係がありますような場合におきまして、こちらのエキスポーターの方からその義務を履行しないということによつて先方が債務の履行を遅滞するという場合には、当然これを除外するわけであります。
次に第五條の二の第二項といたしまして、「政府は、保險契約の申込を承諾したときは、保險証券を作成し、保險契約者に交付する。」言うまでもなく保險契約は、今般のこの保險につきましても、通常の保險と同様に、いわゆる諾成契約でありまするが、この規定によりまして、契約者に対しまして保險証券をつくつて交付をするという義務を政府に新たに課しました規定であります。
第三項に、「政府は、一会計年度内に引き受ける乙種保險の保險金額の総額が国会の議決を経た金額をこえない範囲内において、乙種保險を引き受けるものとする。」これは財政法第二十六條の規定によりまして、こういう毎年政府が締結し得る乙種保險の保險金額の総額をきめまして、毎年度の予算総則中にこれをきめておくわけであります。
次に第五條の三でございますが、これは乙種保險におきましての保險価額についての規定であります。第一項におきまして、「輸出契約に基く輸出貨物の代金の額を保險価額とする。」その括孤の中には、分割拂いの場合を想定しまして、その分割拂いの場合におきましては、一々のその時期におきまして決済を受ける金額というふうに考えております。第二項は、今度の乙種保險金額が、保險価額に百分の八十の範囲内において政令できめる割合を乗じて得た金額を越える場合は、これを無効とする。現行の甲種保險におきましても、保險価額の全額を保險に付するということは認めておらないのであります。これは、言うまでもなく輸出貿易の健全な発展という見地から考えまして、エキスポーター自身にも慎重なる考慮と、ことに今度の場合には先方のバイヤーの信用が問題でありますので、そのバイヤーの信用調査等について、十分部分的なるエキスポーターの上にもその責任を課しようという趣旨でございます。
〔中村委員長代理退席、委員長着席〕
第五條の四でありまするが、これは乙種保險におきましての損失の定義と、保險金の計算の方法をきめたものであります。技術的な事柄でありまするから、詳しい御説明は省略いたしますが、一号、二号——当該事由の発生によつてエキスポーターの方から支出を要しなくなつた金額というものは、この保險の結果保險金として受領すべき金額からこれを控除していいことは当然でありまするし、また「決済期後に回収した金額」がありますが、これは保險金請求の時期と決済期の間に多少時間的のずれがございまする関係上、決済期以後に回収するということは当然あり得るわけであります。こういう金額についても当然これを控除するわけであります。
第五條の五の規定、これはここにも書いてございます通りに、乙種保險の保險契約者、被保險者または保險金を受取るべき者が保險契約の條項に違反したという場合には、保險金の全部もしくは一部の返還を命じ得るという一種の制裁規定でありますが、これは本制度の運用上当然こういう規定を設けましても、もちろんこの規定に基きましていわゆる権利の濫用というようなことは当然慎むべきところであると考えております。
次の第五條の六でございますが、これは保險料率に関する規定でありまして、従来第二條の第二項に甲種保險に関しまする保險料率の規定が入つておつたのでありますが、今般新たにこの乙種保險を加えることになりました関係上、甲種乙種両方通じまして、保險料率につきましてここに一本の規定を新たに設けたわけであります。この規定は言うまでもなく、財政法第三條の法律上または事実上国の独占に属する事業における事業料金については、すべて法律または国会の議決に基いてこれを定めるという規定によりまして、本條を設けたわけであります。これと同時に今般の保隊は収支相償うように、すなわち独立採算制ということを建前としまして、一定の保險料を一方で徴収し、そうして保險事故が生じた場合には保險金をこれに拂うという、いわゆる独立採算制と申しまするか、
コマーシヤル・べースに立つた事業を考えておるわけでありまして、決して国からの助成金というような、いわゆる国家の補償という性質のものではないのでありまして、こういう規定を設けることによつて、いわゆるハヴアナ貿易憲章の精神に反するものではないということを明瞭にいたしたわけであります。
次に第六條第一項以下この改正の規定がここにございます。第六條は不服の申立ての制度に関する規定でありまするが、今般の乙種保險の新設に対しましても、この不服申立ての道を設けることになりました関係上、第六條中にかような改正を加えたわけであります。
最後に附則としまして、この法律は一応今年十二月一日から施行する予定にいたしておるのでありまするが、幸いにして国会の承認可決を得ました場合には、われわれの方としましても至急その準備を進めたいと思います。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00519511112/5
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006・風早八十二
○風早委員 きようは大体逐條審議はやらないというわけでありますが、ちよつとこれに関連してぜひお尋ねしておかなければならない点が一点ありますから、それをきようおわかりになれば簡單にやつてもらいたい。それは第五條の二で、乙種保険の損失の理由になる事故がずつと出ておりますが、今の御説明の中にあつたように、キヤンセルによるものはこの事故外にしてある、つまり除外してある、こういうことです。しかしながら実際に業者にとりましては、日本の輸出者あるいは輸出業者の責めによらないキヤンセルによる損失というものは実に相当のものだろうと思うのです。ずつと前の国会でも、キヤンセル、クレームのことが非常に問題になりまして、相当詳細な事故別のまた責任別の資料も提供されたことがあるのですが、最近はどうもキヤンセルという問題についての資料の提供がないわけです。一概にキヤンセルによるものをすべてこの事故に新たに組入れて行くということについては、いろいろ問題があると思いますが、しかしながら今日キヤンセルがどの程度実際に出ておるか。業者がこれによつて実際どの程度の損害をこうむつておるか。この点は一応本案を審議するにあたつて、あらかじめ知つておかなければならない重要な事項の一つだと思うのです。この点についてはどうお考えになつておられるか。そうしてキヤンセルについての最近の実情をおわかりになりましたら、振興局長に簡単に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00519511112/6
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007・井上尚一
○井上説明員 今般のこの乙種保険制度の創設におきまして、キヤンセルについて、これを保険事故として考えなかつた理由は先ほど申した通りでありまして、キヤンセルの危険をもなおかつこういう国家の保険制度の対象として考えることは、反面にいろいろ弊害の多いことが予想し得る関係上、今般のこの保険制度としましては、第五條の二に列挙いたしましたように、いわゆる輸出契約に基いて貨物を現実に輸出した場合に生ずる代金請求権について生ずる危險だけに限つたわけであります。
なおただいまの風早委員からのキヤンセルの現況はどうなつておるかという御質問ですが、すでに御承知の通りに、現実に輸出しました場合には、輸出承認統計とか、あるいは輸出の船積み統計とかいう資料は整備しておるのでありますが、輸出契約の総額がどうなつておるかという点につきましては、現行の貿易管理法令のもとではこれを把握する方法がないわけであります。従いましてこのうちどのくらいの部分のものがキヤンセルになつたかというような両者の比較につきましても、これはきわめて困難でありますが、業界としまして比較的そういう資料の把握が可能である繊維関係について例をとつて申しますれば、大体本年一月から八月ぐらいまでの間を通じまして、輸出契約の統計は九億五千五百万ヤール程度でありますが、この契約高に対しまして実際キヤンセルになつたものと考えられますものは約二億一千六百万ヤールであるというような数字に相なつております。地域的に申しますれば、パキスタンが一番多かつたと存じます。しかしながら八月以降におきましては、だんだん世界の市況も変化して参りましたし、また政府におきましても輸出貿易管理令の適切な運用によりまして、このキヤンセルの防止にいろいろ努めて参りました関係上、大体逐次減少の傾向にございます。簡單でございますが、現況としましては大体以上のようになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00519511112/7
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008・風早八十二
○風早委員 今伺いますと、繊維だけでも大体四分の一足らずのキヤンセルがある、そういうことでありますと、これはたいへんな大きな問題と思うのです。ことにキヤンセルに対しては、向う側からはキヤンセルをして参りますが、こちらからキヤンセルをするというようなことは事実上できないです。これはクレームの場合でもそうですが、こちらからクレームなりキヤンセルなりするという手段、方法その期間というものが非常に明確を欠いておるし、また事実上なかなかやれない。従つて業者としては一方的に向うから破棄して来て、それによつてこちら側だけが損害をこうむるというような非常に危險負担の多い事故でありますから、この点については、なおやはり本案の審議について十分にお互いに研究しなければならぬ点だと思うのです。
そこで今繊維関係だけあげられましたが、その他の、たとえば機械製品にしましても、ことにプラントや何かの場合に将来こういうことが起りますとたいへん大きな問題になりますので、そういう点で東南アジアの実際の現況から見て、今後ますますこういう危険が起り得る問題として、政府におかれましてももう少し積極的に資料を整備して提出していただくことを希望して、きようは私はこれで打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00519511112/8
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009・小金義照
○小金委員長 以上をもちまして逐條説明並びにこれに関連した質問は終りました。
この際お諮りいたします。ただいま私からその提出理由を御説明申し上げました商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案、本件につきましては、大蔵委員会と連合審査をいたしたいと思いますが、御異議がございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00519511112/9
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010・小金義照
○小金委員長 御異議なしと認めます。そのように決します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00519511112/10
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011・澁谷雄太郎
○澁谷委員 連合審査をされることはけつこうですが、希望としてちよつと申し上げておきたいと思います。商工組合中央金庫法の改正にあたりまして、年末金融その他の問題について、相当つつ込んだお話を伺わなければならぬと思いますので、連合審査の場合には、大蔵当局がぜひ進んで出席なさるように特に御盡力を願いたいと思います。都合によつては大臣が特に出席するように御配慮願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00519511112/11
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012・小金義照
○小金委員長 承知いたしました。
本日はこの程度にて散会いたします。次会は明十三日午後一時より開会いたし、以上二法案に対する質疑に入る予定であります。
午後二時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101204793X00519511112/12
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