1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月十五日(木曜日)
午後零時十四分開議
出席委員
委員長 金光 義邦君
理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君
理事 吉田吉太郎君 理事 床次 徳二君
理事 門司 亮君
池見 茂隆君 大泉 寛三君
川本 末治君 佐藤 親弘君
藤田 義光君 大矢 省三君
立花 敏男君 八百板 正君
出席政府委員
総理府事務官
(地方自治庁次
長) 鈴木 俊一君
総理府事務官
(地方自治庁行
政課長) 長野 士郎君
総理府事務官
(地方自治庁財
政課長) 奧野 誠亮君
総理府事務官
(地方自治庁公
務員課長) 佐久間 彊君
委員外の出席者
総理府事務官
(地方財政委員
会事務局府県税
課長) 柴田 護君
専 門 員 有松 昇君
専 門 員 長橋 茂男君
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本日の会議に付した事件
地方公営企業法案(内閣提出第一一五号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04519520515/0
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001・金光義邦
○金光委員長 これより会議を開きます。
地方公営企業法案を議題といたします。本案につきましてはすでに政府より提案理由の説明を聴取いたしておりますが、この際さらに逐条的に説明を聴取いたします。長野行政課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04519520515/1
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002・長野士郎
○長野政府委員 地方公営企業法案の第一章及び第二章につきまして、私より御説明申し上げます。
地方公営企業法は提案理由にもございましたように公営企業の能率的な経営を促進いたしますためには、企業的な経営方式によりまして、その企業経営の成績が実際に明確になるような制度をとるという必要があつたわけであります。現在の一般の行政事務と同じようなやり方で、組織及び会計制度等において、行政事務を処理するのと同じような方式が、現在の地方制度の中には認められておりませんので、その点に非常な困難があるのであります。
まず第一条は、この法律の目的を掲げたわけでありまして、この法律は公営企業の根本基準を定めまして、結局自治の能率あるいは合理化ということによりまして、地方自治の発達に資することを目的としております。
第二条は、この法律の適用を受ける企業の範囲でございますが、これは水道事業、軌道事業、自動車運送事業、地方鉄道事業、電気事業、ガス事業にわかつておりまして、その企業規模といたしまして常時雇用される職員の数をもつて、一定の基準といたしたのであります。この規模につきましてはこのほかに企業の能力、施設なり、あるいは事業分量というようなことで測定をすることもできると思いますが、やはり常時雇用される職員の数をもつて、一定の規模を表わすことが最も妥当であるという結論に達しまして、このようにいたしたわけであります。第二項は第一項で当然にこの法律が適用になります企業の範囲がきまるわけでございますけれども、そのほかにもなお地方公共団体といたしましてこの法律の規定の全部または一部を適用して、能率的な経営を行つた方が都合のいいものもございますので、そのようなものを政令で定めまして、それぞれの地方団体が条例で定めるところによりまして、この法律の規定の全部または一部を適用することができるようにいたしたのであります。
第三条は、公営企業に対する経営の基本原則を定めておるものであります。公営企業の合理性、能率性というものを発揮いたしまして、そうしてこの企業本来の目的というものは、地方公共団体のいわゆる公共事務と申しますか、本来の地方公共団体が行う、存立の目的の重要なる部分を占めております住民に対するサービスという意味で、公共の福祉を増進するように運営をしなければならないということを明確にいたしたわけであります。
第四条は、地方公共団体はこのような原則に基きまして、公営企業を経営するのでございますが、その基本的な計画というものは、やはり当該地方団体の議会の議決を経まして、これを定めて行くべきであるという意味におきまして、経営の基本計画を議会の議決を経て定めることといたしたのであります。
第五条は、公営企業に関する法令並びに条例とか規則その他地方団体の各機関で定めます規定、そのようなものにつきましては経営の基本原則というものに合致するように、そういう命令、条例が制定され及び運用をされなければならない。それによりましてその事業の能率的な経営を促進して行くということに合致されることを目的としているものであります。第六条は、この公営企業法と地方制度についての基本的な規定を定めております。地方自治法あるいは地方財政法、地方公務員法との関係でございますが、公営企業法もやはり地方団体の組織及び運営の特例を設けるものでありますので、地方自治法や地方財政法、地方公務員法の特例、これが定められている限りは、この規定の特例になつているということを明らかにしたわけであります。第二章、組織でありますが、公営企業を能率的に経営をさせて行きますためには、やはり企業経営の直接の責任者として管理者を定めまして、管理者が企業の経営につきましては、独立して権限が行使できるという方法をなるべく広く認められますことが、企業の能率的な経営に資するゆえんでございますので、管理者を設けることといたしておりまして、ただこの管理者といえども、やはり地方団体の職員でございまして、地方団体の長の指揮、監督のもとにある職員でございますが、管理者は第二条の第一項に掲げました各事業ごとに置くことを原則といたしておりますけれども、現在の地方団体が二以上の企業を行つております場合に、一つの責任者を設けているようなものもございますし、また管理者といいますか、そういう専門の担当者を置きませんでも、市長あるいは助役等が行つているようなものもございますので、地方団体のそういう経営の多様性に即応いたしますように、条例で定めますれば管理者を置かないでもよろしい、あるいは二以上の事業を通じて管理者一人を置くこともできるというふうに考えているわけであります。
第二項は、管理者と申しますのは特別な地位を持つておりますが、しかしながらやはり一般職の職員といたしまして、地方公営企業の経営に関して識見を有する者のうちから、地方団体の長がこれを命ずることといたしております。この場合に、やはり地方団体におきましては、現在助役とかその他の者にそういう責任を持たせまして経営をさせている実情のあるものも相当ございますので、そういうことのできますように管理者が一般職ではございますけれども、そういう場合には特別職としての規定の適用については、常勤の職員との兼職をできるようにいたしますために、第二項のあとの方に必要な規定を置いたわけでございます。第八条は管理者の地位及び権限に関する事項を規定いたしております。すなわち管理者は、企業の経営に関しましては原則として地方団体を代表いたしまして独立して執行することができますが、ただ地方公営企業はあくまでも地方団体の事務でございますので、管理者と議会、あるいは管理者と地方団体の長との関係というものについては、管理者が長については特殊な地位を持つておりますが、議会に対して特殊な地位を直接持つというわけではございませんので、その点につきまして、予算の調整権あるいは「議会の議決を経べき事件につきその議案を提出すること。」でありますとか、あるいは「決算及び証書類を監査委員の審査及び議会の認定に付すること。」でありますとか、あるいは営造物の使用につきまして違反者に対しまして、過科を科するというようなことは、管理者の当然の権限ではないということを明らかにいたしているのであります。
第二項は管理者を置かない地方団体につきましての追加的な規定であります。
第九条は、管理者が当然に担任をする事務でありまして、管理者の企業の業務の執行に関しましては、概括的に広く規定を置いておりますので、必ずしもこの各号に掲げるだけではございませんで、企業の業務執行に関して必要があれば、それは当然に管理者の権限になるということを明らかにいたしております。すなわちこの第一号から第十三号に定めるところは通常管理者の独自の権限に入るわけでございます。すなわちまず各企業のための分課組織を定めることでございますとか、企業に従事する職員の任免、給与、勤務時間、その他の勤務条件等の身分取扱いに関する事項でありますとか、あるいは企業の基本計画に基きまして年々の事業計画を定めることでありますとか、あるいは企業に要する予算の見積りに関する書類を作成いたしますこと、あるいは予算の実施計画やら資金計画その他の財政計画等の書類を作成すること、企業についての決算につきまして地方団体の長に決算を作成して提出をする。あるいは企業の用に供する資産の取得、管理、処分の権限、企業の業務の執行のための契約を締結することでありますとか、料金その他使用料、手数料を徴收すること、予算内の支出のために一時の借入れをすることでありますとか、出納会計事務を行いますこと、これらはすべて管理者が独立して行い得る権限を定めているのであります。
第十条は、企業管理規程を制定するということを明らかにいたしますために、企業の管理者は公営企業の業務の執行につきまして、必要な限り企業管理規程というものを制定することができることを明らかにいたしております。
第十一条は管理者は一般職でありますが、やはり公営企業の識見を有する者の中からこれを選ぶということで、民間人をそういうところに管理者として任命するというようなことも起るわけでございます。従いまして公営企業の業務に関しまして、物品の売買や、工事の請負をしておつたような者、そういう者が管理者になることを禁止する必要がございますので、そういう規定を第十一条として置いたわけでございます。
第十二条は、管理者はこのような企業経営の直接の責任者であり、事業上のそういう高度な識見を有する者を予定いたしております。従いまして管理者が一つの事業を計画いたしまして、これを能率的に経営いたしますためには、一定の期間はその地位にとどめて置いて、その企業運営に専念せしめる必要がございます。従つて一般職ではございますけれども、やはり転職を制限いたしまして、その地位を保障することが必要でありますので、原則としては就任の日から三年を経過しなければ、その意に反しては転職できないということを明らかにいたしました。ただ三箇月以上の休養を要するような健康状態が害されましたとか、あるいは管理者の責任に帰すべき重大な過失があつた場合には、この限りでないということにいたしてあるのであります。
第十三条は管理者に事故がありました場合の代理の規定あるいは委任の規定でございます。
第十四条は、公営企業を経営する地方公共団体が、事業のために必要な組織の基本的な部分を条例で定めるということを明らかにいたしたのであります。
第十五条は、公営企業に従事いたします職員すなわち管理者の権限に属する事務の補助を執行する職員は、地方団体の長の補助機関の系統に属するものではありますけれども、これは原則としては管理者が直接に任免する。任免権を地方団体の長から管理者に与えているわけであります。但し公営企業の規定の中で、主要な職員につきましてはあらかじめ首長の容認を得て任命するということにいたしているのであります。
第十六条は、このようにいたしまして管理者に特殊な地位を与えて、企業の経営に専念させることにいたしましたが、しからば管理者と地方公共団体の長との関係はいかがであるかという点が問題になりますので、第十六条の規定を置いたわけであります。すなわち管理者といえども一応は地方団体の長の補助機関でございます。従いまして地方団体の長は当然に執務上の指揮監督ができるわけでございますが、それを地方公営企業につきましては、第十六条の各号に掲げました部分に限定をしたいということでありまして、すなわち公営企業の経営の基本計画に関すること、あるいは業務の執行に関することの中で、住民の福祉に重大なる影響があると認められるものに関すること、第三番目には企業の経営と他の地方公共団体の機関の行います事業の事務の執行との間の必要な調整に関すること、このような限度に限つて指揮監督ができるということに限定をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04519520515/2
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003・奧野誠亮
○奧野政府委員 財務関係のところを御説明いたします。
第十七条は、地方公営企業の能率を高めます等のために、特別会計を設けまして收支を明らかにしようとしているわけであります。しかしながら二以上の事業を行つています場合には、それらをあわせて議会の議決を経て、一つの特別会計で経営するのがいいということにいたしております。
第十八条は、地方公営企業は独立採算を建前とすべきでありますので、一般会計等から繰入れをいたしましても、原則としてこれらは繰入れをいたしました一般会計の方に繰りもどしをしなければならないというように規定いたしているわけであります。しかしながらたとえば水道事業の特別会計で下水道事業をあわせて経理いたします、あるいは軌道事業におきまして当該軌道の通つております道路の維持修繕を担当いたします等の場合には、下水道事業あるいは道路の維持修繕の費用等について繰入れを受けました部分については、繰りもどしを必要としないという趣旨で、第二項の但書を設けているわけであります。
第十九条は、地方公営企業の事業年度を地方公共団体の会計年度と同じにする趣旨で設けたわけであります。
第二十条は、地方公営企業の会計計理につきましては、企業会計の計理方法を採用する趣旨を明らかにしているわけであります。現に官庁会計におきましては、現金主義をとつているわけでありますけれども、企業会計の計理におきましては発生信用主義を採用いたしているわけであります。官庁会計におきましては、物を購入いたしましても現実に現金を支払いません限りにおきましては、計理上支出したことにはならないわけであります。反面また一旦物を買いました場合には、それらを使います際に非常に乱雑になりやすい。金銭であります場合には、一円の金もおろそかにしないのでありますけれども、物にかわつてしまいますと非常に濫費しがちであります。しかしながら企業会計におきましては、物を購入いたしました場合には、金を支払つておりませんでも、それを負債として計理いたして参るわけであります。従いまして物にかわりましても、その物は金と同様に大事に扱つて行くということにもなる点に、われわれは重要な点を考えているわけであります。その結果自然複式簿記を採用することになつて参るわけであります。
第二十一条は、地方公営企業の給付につきましては、現行法令の建前においては、やはり使用料を徴收するということになるのでありますけれども、料金という観念が一般化いたしました今日におきまして、地方公営企業についてのみ使用料の観念を設けて置くことは適当ではございませんので、料金を徴收することができる権能をその意味において規定する、同時に第二項におきまして、料金を定めます場合の要素といいますか、そういうふうなものを規定したわけであります。
第二十二条は、地方公営企業が建設、改良等に要する資金に充てるために起しまする地方債は、企業債ということにいたしまして、行政庁の許可を必要としないことにいたしております。しかしながら現在の金融情勢におきましては、地方公営企業の理想を追うわけに参りませんので、附則の第二項におきまして、やはり当分の間は許可を受けなければならないことにいたしております。しかし金融情勢が緩和いたしましたあかつきには、まず地方公営企業の起債から許可を必要としないというように持つて行きたいものだと考えております。なお地方公営企業の起債の面につきましては、一時借入金のところで若干の弾力性を設けることにいたしております。
次に第二十三条では、企業債につきましては償還期限を定めないことができるものといたしまして、いわゆる永久公債、株式会社の株式に類するような企業債を発行することができる。またある場合には利益の状況に応じて償還期限を定めることができるということもできるようにしたいと考えているわけであります。こういうような場合には、株式に対する配当と同じように若干特別利息をつけることができるような道も開いておきたい。こういうことによつて十分な企業を行いたいと考えまして、地方公営企業として行いまする限りにおいては、住民が地方公共団体に金を貸す形においてでなければ、運営できないというようなことを避けたいと考えているわけであります。住民が希望するなら住民が金を出し合つて、それを地方公共団体の事業として経営することができるというように持つて行くことによりまして、住民による地方自治運営という性格を強めて行きたいという期待を持つているわけであります。
第二十四条は、地方公営企業の予算につきましては、手続的に管理者の考え方を強く反映させて行きたいという考え方をもちまして、手続規定を若干置くことにしております。ことに第二項にいわゆる弾力条項を設けております。すなわちバス事業を行つております際に、バスを発車させますためにはガソリンがいるわけであります。ガソリンを一定量購入することにいたしまして予算を設けておりましても、バスの利用が非常に多かつたために收入が多くなつた。反面ガソリンの購入量は全部使い果してしまつて、ガソリン購入の予算がなくなつた。こういう場合には、バスの運転が非常に多かつたために收入がふえたそのふえた收入と見合いまして、予算がなくてもガソリンを購入することができる、こういうふうな弾力のある運営ができるように、第二項でこのような規定を設けておるわけであります。
第二十五条は、予算を議会に提出いたします際は、その予算は一般会計の予算の場合と違いまして、かなり幅の広い予算を設けることにいたしますので、同時に当該予算の実施計画や、あるいは当該年度の事業計画、資金計画等の財政計画に関する書類もあわせて提出しなければならないことにいたしておるのであります。地方公営企業の場合におきましては、予算の運営については、あとう限り弾力のある運営をさせまして、管理者の考え方を最大限度に企業運営に反映させて行く反面に決算を通じまして、厳格な監督を加えて行きたい、言いかえますと、一般会計の場合には予算中心主義でございますのを、公営企業の場合には決算中心主義に財政上の運営をして行きたいという考え方を持つておるのであります。
第二十六条では予算の繰越しに関する規定を設けておるわけでありまして、建設または改良に要する経費につきましては、年度内に支払金が生じなかつた場合には、その額を翌年度に繰越して使用できるものといたしております。これは弾力ある運営を保証しようとする一つのものであります。
第二十七条におきまして、地方公営企業の業務にかかる出納につきましては、出納長や收入役の持つておりまする権限を、管理者が持つようにいたしたいと考えておるのであります。
第二十八条はそれに伴いまして、企業出納員や現金取扱員を別個に設けまして、地方公営企業の業務にかかるそれらの会計事務をつかさどらせようといたしておるのであります。これらはいずれも管理者ないしは上司の命を受けて会計事務に当るわけでありまして、出納長、收入役の系統からは、はずれて参るのであります。
第二十九条に一時借入金の規定を設けておりまして、これも出納長または收入役の権限から管理者の権限に、地方公営企業に関するものは移して参るのであります。同時に第二項で当該事業年度内に償還のできない場合には、償還することができない金額を限度として、これを借りかえることができるものといたしております。一般会計の場合、借りかえはさらに許可を必要としておるのですが、地方公営企業のこの種借りかえにつきましては、許可を要しないものといたしておるのであります。
第三十条は、決算に関する規定でありまして、管理者は毎事業年度終了後二箇月以内に決算を作成しなければならないものといたしております。従つて毎年度五月三十一日までに決算を作成しなければならないのであります。一般会計におきましては、五日三十一日までが出納整理の期間であります。しかしながら企業会計におきましては、発生信用主義を採用しておりますので、年度が終了いたしますと、ごくわずかの期間に決算ができることになるのであります。会計年度終了後ごくわずかの期間に決算を終了することができるので、最近の事業実績を決算に基いて判断することができることになるのであります。これらの決算を監査委員会の審査に付しまするとか、議会認定に付しまするとかいうことにつきましては、おおむね一般会計の場合と同様にいたしておるのであります。ただ決算を十分に審査いたしまする関係において、第三項においていろいろな書類をあわせて提出しなければならないように義務づけておるのであります。
第三十一条では、管理者は毎月末日をもちまして試算表その他当該企業の計理状況を明らかにするため必要な書類を作成しなければならないことにいたしております。予算の運営には非常な弾力を与えるけれども、決算といいますか、あるいは運営後の審査というものは十分を期して行きたいというような考え方を持つているわけであります。
第三十二条で、剰余金の処分の問題について規定をいたしております。この場合に、「前事業年度から繰り越した欠損金があるときは、これをその補てんに充て、なお、残額があるときは、その残額の二十分の一を下らない金額を利益準備金として積み立てなければならない。」としておりますのは、一般の商法におきます規定と、おおむね同様な趣旨の規定をここに設けておるわけであります。
第二項におきまして、「各事業年度において生じた資本剰余金は、資本準備金、再評価積立金その他の科目に積み立てなければならない。」ということに規定いたしております。利益剰余金に対しまして、資本剰余金という言葉を新たに設けることにいたしたわけであります。企業債を発行いたしまして差金が生じましたような場合には、これらは資本剰余金として経理されることになるわけであります。
それから第三十三条で、資本の取得、管理及び処分についても、管理者が行うことにいたしておりまして、一般の資産の取得、管理及び処分の場合の例外を定めております。しかしながら重要なものにつきましては、地方公共団体の長の承認を受けなければならないものといたしております。
第三十四条におきましては、契約につきましても一般会計の場合とは若干違つた弾力のある規定を設けておるわけでありまして、一般競争入札の方法に準じて申込みをさせましても、必ずしも、ものを購入いたします場合には最低、ものを売り払います場合には最高の価格によつて、申込をした者だけと契約をしなければならないことにはいたしませんで、価格その他の条件につきまして、公正な協議がととのつたものと契約をすることにして行きたい。それによつて実質的に企業の運営にプラスになるような契約の仕方をして行きたいと考えておるわけであります。
第三十五条で、地方公営企業の財務に関しまして、必要な事項は政令で定める旨の規定を置いておるわけであります。
なお附則の三項のところで、資産の再評価の規定を設けておきました。「地方公営企業の資産は、資産の適正な減価償却の基礎を確立するため、政令で定めるところにより、再評価しなければならない。」という旨の規定をいたしておるわけであります。おおむね資産再評価法同様な方式で再評価をして行きたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04519520515/3
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004・佐久間彊
○佐久間政府委員 第四章以下につきまして御説明申し上げます。
第四章は地方公営企業に従事する職員の身分取扱いに関する規定でございます。
第三十六条におきまして、「第十五条の職員のうち、管理又は監督の地位にある者及び機密の事務を取り扱う者以外の者」、いわゆる一般の企業職員でございますが、これの身分取扱いにつきましては、その職の特殊性に応じまして、特別の身分取扱いを考える必要がありますので、この第四章におきまして地方公務員法に対する特例を定めております。
なお別に提案をされております地方公営企業労働関係法におきまして、労働関係に関するそれぞれ規定を設けております。管理または監督の地位にある者及び機密の事務を取扱う者につきましては、それらの特例をいたさない、適用のないことにいたしたのでございますが、それは公共企業体労働関係法等の例にならつたのでございます。
第三十七条、第三十八条及び第三十九条は、その地方公務員法に対する特例の規定でございます。
第三十七条は、職階制に関する規定でありますが、職階制につきましては、地方公務員法におきましては、人事委員会を持つ地方公共団体は職階制を実施しなければならないことになつておるのでございますが、企業職員につきましてはその特殊性を考慮いたしまして、管理者が職階制を実施したければ実施することができる。こういう建前にいたしたのでございます。
第二項は、職階制につきましての根本の原則を規定いたしております。
第三項は、人事委員会が職階制等の人事行政の専門的なことにつきましての特別な研究をいたしております機関でありますので、その管理者が職階制を実施いたします場合に、管理者に対しまして技術的な助言をすることができるという規定を定めておるわけでございます。
第三十八条は給与に関する規定でございます。地方公務員法におきましては、地方公務員の給与に関する事項につきましては、条例で定めるということになつておるのでございますが、企業職員につきましては、地方公営企業労働関係法におきまして、労働組合をつくり、団体交渉を行うことが認められておるのでありますので、それらの事情を勘案いたしまして、企業職員の場合には給与の種類及び金額決定の基準、いわば給与についての大わくだけを条例で定めまして、あとのこまかいことは団体交渉にゆだねて行こう、こういう趣旨で規定をいたしておるのでございます。第一項、第二項は、給与についての根本の原則を規定いたしたのでございます。
第三十九条は企業職員につきましての地方公務員法の適用除外の規定でございます。ここに適用除外になります条文を列挙いたしておるのでございますが、裏返しまして適用になるものを申し上げますと、任用に関する規定、分限懲戒に関する規定、服務の一部に関する規定等が適用になるのでありまして、それ以外の規定は企業職員については規定をしない、かようなことにいたしておるのであります。なおその結果労働関係に関するものにつきましては、先ほど申し上げました労働関係法でそれに相当する規定が設けられるということになつておるのであります。
第五章は雑則でございますが、第四十条は、管理者が地方公共団体の業務の状況の公表をすべきことを定めた規定でございます。
第四十一条は、地方公営企業の経営に対しまして、地方公共団体相互間で協議がととのわない場合におきまして、内閣総理大臣あるいは都道府県知事が、必要な管理ができる旨を定めた規定でございます。
附則の第一項は、この法律の施行期日を定めております。第二項以下は、必要な経過規定あるいはこの法律の規定に関連をいたしまして、他の法律で改正を要する事項を規定いたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04519520515/4
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005・金光義邦
○金光委員長 質疑は次回にいたすことといたしまして、この際休憩いたします。
午後零時四十九分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304720X04519520515/5
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