1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月十六日(火曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 平野 三郎君
理事 大石 武一君 理事 野澤 清人君
堤 ツルヨ君 長谷川 保君
新井 尭爾君 池田 清君
勝俣 稔君 加藤鐐五郎君
中馬 辰猪君 永山 忠則君
日高 忠男君 平澤 長吉君
吉江 勝保君 高橋 禎一君
岡部 周治君 柳田 秀一君
只野直三郎君
出席政府委員
厚生政務次官 越智 茂君
厚生事務官
(医務局次長) 高田 浩運君
厚生事務官
(保険局長) 久下 勝次君
厚 生 技 官
(医務局長) 曽田 長宗君
農林事務官
(農地局長) 平川 守君
委員外の出席者
大蔵事務官
(管財局国有財
産第一課長) 木村 三男君
厚 生 技 官
(医務局国立療
養所課長) 尾村 偉久君
厚生事務官
(保険局船員保
険課長) 中村 隆則君
農林事務官
(農地局管理部
農地課長) 和田 正明君
会計検査院事務
官
(検査第二局厚
生働労検査課
長) 小峰 友雄君
専 門 員 川井 章知君
専 門 員 引地亮太郎君
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十二月十六日
委員池田清君辞任につき、その補欠として中馬
辰猪君が議長の指名で委員に選任された。
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十二月十六日
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第二九号)
同月十五日
霧島国立公園地区内海老野高原開発に関する予
算計上の請願(小山長規君紹介)(第九二一
号)
医療給付費の二割以上国庫負担に関する請願(
持永義夫君紹介)(第九八六号)
国民健康保険再建整備に関する請願(持永義夫
君紹介)(第九八七号)
未復員者給与法の適用患者に生活扶助料支給に
関する請願(岡田勢一君紹介)(第九八八号)
慰安謝金増額に関する請願(長谷川保君紹介)
(第九八九号)
汚物掃除法の一部改正等に関する請願(町村金
五君紹介)(第九九〇号)
国立療養所における給食費増額の請願(町村金
五君紹介)(第九九一号)
動員中戦傷学徒の国家補償強化に関する請願(
竹山祐太郎君紹介)(第九九二号)
戦傷病者及び軍属に対する国家補償確立に関す
る請願(小川半次君紹介)(第九九三号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
社会保障制度の確立に関する陳情書
(第七四
五号)
国民健康保険補助増額の陳情書
(第
七四六号)
国民健康保険事業振興対策に関する陳情書
(
第七四七号)
清掃事業施設整理に要する財源措置に関する陳
情書(第七四八号)
戦争犠牲者に対する援護強化に関する陳情書
(第七四九号)
戦傷病者及び戦没者遺族に対する年金、弔慰金
の増額等に関する陳情書
(第七五〇号)
戦犯刑死者遺族に対する戦傷病者戦没者遺族等
援護法の適用に関する陳情書
(第七五一号)
同
(第七五二号)
満洲開拓者遺族並びに留守家族援護促進に関す
る陳情書(第七五
三号)
同和問題対策に対する陳情書外一件
(第七五四号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
小委員の補欠選任
保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案
(内閣提出第六号)(参議院送付)
あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法
及び診療エックス線技師法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七号)(参議院送付)
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第二九号)
国立療養所保有地の問題に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/0
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001・平野三郎
○平野委員長 これより会議を開きます。
まず小委員補欠選任の件についてお諮りいたします。去る三日当委員会の鈴木義男君が委員を辞任されたのに伴いまして、現在水道に関する小委員会並びに国立公園に関する小委員会において、それぞれ一名の欠員を生じておりますので、その補欠選任を行いたいと存じますが、鈴木義男君は再び当委員に選任されましたので、同君を再び辞任前につかわれていた二つの小委員に補欠選任することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/1
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002・平野三郎
○平野委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/2
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003・平野三郎
○平野委員長 保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案、並びにあん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法及び診療エックス線技師法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/3
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004・長谷川保
○長谷川(保)委員 今上程せられましたあん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律案でございますが、この法律の改正につきましては、全国の盲学校長会議その他から、盲人保護の立場から十分な考慮を払つてもらいたいという陳情が来ておりますが、この改正法律案によりますと、大体二年でこの認可を与えるようなふうでありますが、これは私も盲人保護の立場から十分な考慮を払わなければならないと思う。御承知のように、世界におきまして盲人の独立をしております割合におきましては、わが国が世界で最も多いのでありまして、大体その七割が独立している。米国は三割というこでありますが、その盲人の独立しております職業のほとんどすべては御承知のようにこれであります。従いましてもしこういうことによつて盲人の生活が脅かされる、独立が脅かされるというようなことはないであろうか。このことをまず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/4
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005・高田浩運
○高田(浩)政府委員 お答え申し上げます。あんまにいたしましても、はり、きゆうにいたしましても、昔から国民の間に広く用いられております。保健衛生の上から行けば非常に重要な仕事でございます。そういう意味において、十分保健衛生の立場からごの問題を考えなければならないことは言うまでもないところでございますが、ただいまお話にありましたことく、こういつた仕事につきましては盲の方々が多数携わつておられる実情にございますし、そういつた意味で、その人たちの立場ももちろん十分考えなければならないことは言うまでもないと思うのであります。今度の改正におきまして、高等学校を出ました者を入学資格といたします学校における修業年限を、従来に比へますと短縮いたした次第でございますが、私たちの見方としましては、これによつて盲の方々の職業に対して非常な打撃を与えるというふうにはもちろん考えていないのでございますけれども、しかし非常に御心配になつている向きも多いのでございます。この御心配ということは一つの現実でございますので、こういつた現実の土に立つてお話のような点は十分考えて行かなければならない、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/5
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006・長谷川保
○長谷川(保)委員 全国で盲人のためのこういう職業教育をいたします学校の数及びその生徒数、それから公立、私立の別、それから正常な方々のための同じく学校施設数、それから生徒数、そういうものがおわかりでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/6
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007・高田浩運
○高田(浩)政府委員 これは必ずしもその養成所自体において盲の人だけしか入れない、あるいは目明きの方だけしか入れないというようなわけ方はいたしておりませんので、中は混みになつているわけでございます。そういう意味におきまして、盲の方々の専門——これは盲学校はそうなんでありますが、そのほかの養成所について盲専門あるいは目明き専門というふうになつておりませんので、その辺の数を正確に申し上げること忙困難かと思います。ただ現在その職業に携わつている方のうち、清眼の方と盲の方との数は、これは少々古い統計ではございますけれどもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/7
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008・長谷川保
○長谷川(保)委員 大体の概数でいいですが、発表してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/8
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009・高田浩運
○高田(浩)政府委員 これは二十四年の調べでございますが、その後そう大きな変化はないと存じまするが、目明きの方と盲の方についてわけまして、おのおのには男女がございますから、簡便のため男女合計して申し上げますと、あんまにつきましては清眼の方約七千人、盲の方が約一万八千人それからはりにつきましては目明きの方が約五千人、盲の方約二千人。それからきゆうにつきましては、目明きの方が約五千五百人、それから盲の方が約千六百人。それからあんま、はり兼業の方について見ますと、目明きの方が約二千人、それから盲の方が約三千人。それからあんまときゆうとの兼業について見ますと、目明きの方が二千六百人、盲の方が約千三百人。それからはりときゆうとの兼業について見ますと、目明きの方が約九千人、それから盲の方が約二千人足らず、それから次にあんま、はり、きゆう三つの兼業について見ますと、目明きの方が約一万人、それから盲の方が約九千人。そういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/9
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010・長谷川保
○長谷川(保)委員 今のお答えを伺いますと、すでに盲人の職業に対しまして、清眼の方が非常な進出をしていることがわかりました。おそらくこれらのことは、明治時代におきまして、あるいは大正の時代におきましては、あまりなかつたろうと思う。あるいは戦前にはあまりなかつたかもしれない。近年相当にふえたものと思われます。これは盲人の方々にとりましては、ゆゆしい問題である。私は身体障害者を保護するという立場からいたしまして、これは十分考慮する必要があると思うのであります。
さらにお伺いしたいことは、聞くところによりますると、温泉場等におきまして清眼の方々——これは盲人の方にも幾分あるようでございますけれども、婦人の方々で売春行為とこれとを兼ねているというようなことを伺うのでありますが、そういうことにつきまして、当局はお調べになつたことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/10
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011・高田浩運
○高田(浩)政府委員 温泉場におきまして。あんままがいのことをやつている向きがあるというので、この取扱いについて一時問題になつたことがございますが、これをいわゆるあんまの脱法行為として取締ることができるかどうか、いささか疑義もありますし、実は非常に取締りとしましてもむずかしい問題でもございますので、これが取締りの実績というところまでは、まだ行つていない実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/11
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012・長谷川保
○長谷川(保)委員 私は専門外でこのことはよくわかりませんが、厚生当局においては、はり、きゆう、あんまという三つを正確に兼ね修めるためには、何年くらいがほんとうに必要であるとしているか、このことを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/12
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013・高田浩運
○高田(浩)政府委員 今回の改正によりまして、二年以上ということにいたしておるわけでございます。これは技術的に見て、大体二年程度でできるという見方もございますけれども、いろいろな事情もございますし、それからなおさらによく時間数等も正確に検討いたしまして、法律の範囲内において適切なきめ方をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/13
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014・長谷川保
○長谷川(保)委員 聞くところによりますと、盲人の方々は大体盲唖学校におきまして、正規の時間をふんでこれを修業なさることになつておりますけれども、清眼の方にはずいぶんいかがわしい養成所と申しますか、学校と申しますか、そういう種類のものがあるということを伺つておる。たとえば小さな八畳か十畳くらいの部屋でもつて次々に夜だけその技術をやつておるということを伺うのでありますが、厚生当局はそういうことを調べたことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/14
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015・高田浩運
○高田(浩)政府委員 養成所の認定後の経営については、地方庁を通じて取締つている次第でございますが、なお今後一層お話のような間違いのないように監督を厳重にして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/15
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016・長谷川保
○長谷川(保)委員 そういうような実情がもしありまして、ずいぶんいかがわしい養成所がありまして、そういうところで夜だけ修業をする1昼間は何か働いて、夜だけその修業をするというようなことが清眼者の方々にできるといたしますれば、今日盲人の方々が非常に心配いたしまして、自分たちはもう二年もしくは三年かけてこれをやらなければならぬけれども、清眼の方々はいわば副業のようにそれをやることができる。遂に職業をみな奪われるというようなことをおそれているのは当然だと思います。でありますから、今日盲人の方々が主張しておりますような——むしろ清眼の方には気の毒であつて、ある意味では職業選択の自由との権衡上少しく問題があると思うのでありますが、やはり盲人の方々のように、はり、きゆう等の一科を修めるのには二年以上、それから二科以上をあわせ修めるのには三年以上とする、というように持つて行つたらどうかと思いますけれども、これについて厚生当局はどういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/16
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017・高田浩運
○高田(浩)政府委員 養成所の監督を厳重にいたしたいということにつきましては、ただいま申し上げた通りでございます。
養成年数の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、技術的に見れば一応今のところでは二年程度で行けるんじやないかという見方もございますが、先ほど申し上げましたように、いろいろな事情も考えなければなりませんし、さらによく技術的に時間数その他の計算もいたしまして、慎重にきめたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/17
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018・長谷川保
○長谷川(保)委員 この点についてなお私は実情を調べる必要があると思いますので、なお質疑を保留いたしまして、今日は打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/18
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019・堤ツルヨ
○堤(ツ)委員 ただいま長谷川委員から御質問がございましたが、ちようど参議院が先議になつてこの法案がまわつて参りましてから、医務局のこうした種類の療治行為に対するお考えについて、一応私はぜひただしておかなければならないと思うのであります。たとえば、はり、きゆう、あんま、マッサージを業とする者があり、さらに療術師というのがございます。常に私たち厚生委員のところへは、この法律に守られておる人たちと療術師との間の反対陳情がなされて、狭いコップの中の争いが繰り広げられておるのでありますが、厚生省自体は、こうした零細な働く人たちの立場というものを一向に真剣に考えておられないような節がうかがわれるのでございます。たとえばただいまの長谷川委員の御質問に対しましても、いかがわしい養成所の、目明きの方々を養成しておるような問題に対しましては、私どもは、あんま、はり、きゆう、こうしたことを業とする人たちが、目明きの人と盲の人が年年どういう比率において増加率を示しておるか、いかなる方向にあるかという線さえも、厚生省の医務局のお手元にないということは、まことに寒心にたえません。なぜならば。医者にはかからないけれども、はり、あんま、きゆうにかかる、療術師の治療によつて健康を支えておる人たちの体は非常に多くまた法でも認められておるのでございますから、大切な生命を預けるこうした治療師の監督についてはもう少し厚生省が怠慢を払拭してもらわなければ、われわれは安心しておれないのでございます。なお私たちのところへ参ります陳情は、いろいろな角度からの陳情がいろいろな種類にわかれておりますから、私はあらゆる場合に一部の陳情団に加わつて振りまわすというようなことはしたくないと思いますけれども、しかしその言い分は、一応こうした不具な立場におる人たちに対しましては、やはり真剣に考える必要があるのであります。この法律案が参議院に提案されておるということを知らないで遅れた人たちが遅ればせながらも衆議院にかけつけて参りました。と申しますのは、ただいまあなたが御報告になりました通り、目明きの人たちが盲人よりもはるかにこの業をたくさん営んでおる、という現状でございます、そうすれば盲の人たちとしては、ほかの職業の持てない身体障害者を保護してくれる立場にある国家は、国家の行政面においてわれわれを守つてくれるべきであるのが当然じやないかというところの陳情をするのは私は当然だと思う。そうした陳情がありますのに、私たちはこれを無視することはできません。しかもいかにこれを急がれましても、私たちは実情の上に立つて、やはりより一人でも多くの利益を守るための法律案を成立させたいと思いますから、私は長谷川委員のただいまの御発言通り、これは留保いたしたいと思います。
さらに厚生省の医務局次長にお尋ねしたいのは、先ほどから私が申しました通り、何らか厚生省のあなたの方には、こうしたトータルとか調査の結果だとかが十分でないようにお見受けいたしますが、どうしてそれが年に統計の上に上つて来ないのか。調査の結果が出ないのか。こういう点について明らかにしていただきたい。なぜ出ないのか。たとえば医者関係の問題であるとか、病院関係の問題であるとか、保健所の問題であるとかいうような、社会的にウエイトの重い問題に対しては、相当調査資料などもお持ちになつておるけれども、やや忘れがちな部門の人々に対しては、厚生省に資料がないという場合が非常に多いと私は思いますが、いかがでありますか。たとえばただいま御発表になりましたものでも、二十四年の統計しかない。まことにもつて無責任きわまると私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/19
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020・高田浩運
○高田(浩)政府委員 お話のようにあんまにしましても、特にはり、きゆうにおきましては、まことに保健衛生上非常に重要な事柄でございます。場合によりましては、はり等によつて生命の危険というようなこともおもんばかられるような関係もございますし、これらの保健衛生上の見地からする監督取締りを厳重にしなければならないということは申すまでもないのでございますし、私たちもそういうふうに考えておりますけれども、ただいまいろいろお話のございましたように、こういつたことに携わつておる入れちの立場を考えますと、保健衛生一点張りではいけないということも、これも十分考えて行かなければならない点だと思うのであります。しかし少くとも生命に危険を来すというようなことのないようにしなければならないということについては、まさしくさように考えておる次第でございます。
なお療術の問題についてお話がありましたが、御承知のように、制度としましても、昔からあんま、はり、きゆうについては明治あるいは大正年代から法律的に制度化されておりましたけれども、療術につきましては、そういつたようないわゆる試験、免許といつたような制度化はされていなかつたわけでございます。従つてその両者の間には取扱い上画然たる相違があつたし、現状も大体その体系を継受しておるというように言つてさしつかえないのではないか、かように存ずる次第であります。
それから清眼者と盲者との関係でございますが、今数字についてお話でございますけれども、あんま、はり、きゆうの場合と、あるいは柔道整復の場合と、そういう仕事の相違に基きますおのずからなる相違があるということも御了承いただけることだと思うのであります。別にどつちがどうというようなことはことはこれはないのではないかと思います。
それから資料の点おしかりを受けましたが、これは別にわれわれの方が軽視しておるということではございませんので、こういりた統計は厚生省全般としての統計としてとつておるわけでございまして、いわゆる臨時的な調査でなしに、一般的統計としてとつております関係上、全般の統計の集計、調整その他がこれは非常に厖大な事務ないし作業になる関係上、全般的に遅れておる事情がありまして、かようになつておるのでありますけれども、もし特別に御必要があるということであれば、これは非常にたくさんの資料の中から抜いてつくる、こういうこともおそらく可能だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/20
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021・堤ツルヨ
○堤(ツ)委員 私は医務局次長ばかりを攻撃する立場になつておりまして、まことに申訳ないと思いますけれども、しかしはり、きゆう、あんまや療術師の問題に対しては、議会でも根本的な検討を要する節ができておるのです。従つて法案を改正するとか何とかいうときにあたつて、私たちがあなた方に資料をほしいといつたときに、昭和二十四年の資料一つしかないくらいで、法の改正なり、われわれの正しい結論を出せるかといつたら無理なんです。今あなたは資料が非常にむずかしいようにおつしやいましたけれども、決してむづかしいことございません。各府県の県庁にお命じになつて、三府四十二県をお集めになりましたならば、あんま、はり、きゆう、療術師のトータル、統計はわかるはずなんです。この法の係官がおやりになれば、怠慢でさえなければ必ず手元にあるはずであります。私でもやつてみせます。国民の公僕として責任ある厚生省が、責任を糊塗せんがために苦しい御弁明をなさるのを、私はお気の毒に聞いておりますが、これだげでは済まされません。清眼にしろ、それから目の明かない人にしろ、いずれも自分の肉体労働の零細な収入で生活をささえておる弱き人々である。従つて目明きのあんま、はり、きゆうを退治して行こうとか、療術師の既得権を奪うというようなことは軽々には許されない。従つてわれわれは、盲人の方々の身体保護者としての立場、目明きの人たちのはり、きゆう、あんまの領域を侵す原因、社会情勢、それからまた療術師と対立する原因などを考えてみましたときには、やはり慎重な多角的な検討を要する。御存じの通り療術師のごときもまた単独立法を要求して、相当皆様のところへやかましい陳情が行つておるはずです。そういうことを見て見ぬふりをしていらつしやるような感がいたします。たびたび私は医務局の係官の方に、はり、きゆうなり、療術のことについて電話なり、私が伺つて質問したことがございましたが、責任ある、また何らか進歩した御調査があるかと思つてたびたび伺つてみても、ないのであります。この辺は医務局次長はもう少し監督なさる必要があるのじやないか、私はかように存じます。従てどうか昭和二十四年というようなばかなことを言つておらずに、政治は生きておる、お互いに人間も生きておる、職業も動いておるとすれば、あなたは二十五年、二十六年、少くとも終戦後のはり、きゆう、あんまと療術師の目明きの人と、それから目の明いておらない人との比較、参考資料となるべきものをお持ちになつてこの議会にお出になるのが、私は当然だと思います。参議院では問題にならなかつたかもしれませんけれども、私たちはこの人たちに対して責任もございますから、簡単にこの法案を上げるわけには参りません。従つて責任ある調査資料をいただいてから、良識ある他の委員の方々とこの法の検討いたしたやと思います。私まださらに質問がありますけれども、保留いたします。何だか委員長もお急ぎのようでありますから、委員長のお顔もお立ていたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/21
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022・平野三郎
○平野委員長 他に両案に対する御質疑もないようでありますが、保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案の質疑は終了したと認めるに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/22
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023・平野三郎
○平野委員長 御異議なしと認め、本案の質疑は終了したものと認めます。
次に本案の討論に入るのでありますが、本案の討論に関しましては別に通告もありませんので、これを省略し、ただちに採決に入るに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/23
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024・平野三郎
○平野委員長 御異議なしと認め、本案の討論は省略し、これより保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/24
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025・平野三郎
○平野委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたされました。
なお本案に関する報告書の作成等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、そのように決するに御写異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/25
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026・平野三郎
○平野委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/26
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027・平野三郎
○平野委員長 次に日程に追加してただいま当委員会に付託になりました船員保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。
まず政府より趣旨の説明をお聞きいたします。越智厚生政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/27
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028・越智茂
○越智政府委員 ただいま議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案を御審議せられるにあたりまして、本法案の提案理由を説明申し上げます。
今回の改正は、船員保険の失業保険金の日額の最高額を、失業保険法の規定による失業保険金額表における保険金日額の最高額を基準といたしまして、厚生大臣が社会保険審議会の意見を聞いて定めることにしようとすることであります。現行法では、失業保険金の日額は、被保険者の資格喪失前二月間の標準報酬日額を平均して得た額の六割とし、その額の最高は三百七十円を超えることを得ないことと規定されております。しかるに最近の経済情勢の推移にかんがみまするのに、その最高限を三百七十円とすることは実情に沿わなくなつたものと思われまして、これを引上げる必要が認められるに至りましたが、最高額を直接に法律によつてのみ改正する建前によりますと、国会の会期等の都合により早急に改正する措置を講ずることができないおそれがございます。そこで、陸上の労働者を対象とする失業保険におきましては、毎月勤労統計を基礎として労働大臣が失業保険金額表を改正し、平均給与額の上昇または低下に応じて保険金額を定めることとされておりますので、この際船員保険におきましては、失業保険金の日額の最高額につきまして、陸上の失業保険の失業保険金額表が改正されました場合はその表における保険金日額の最高額を基準として、厚生大臣が社会保険審議会の意見を聞いて定めることとし、もつて被保険者の保護に遺憾なからしめることといたしたのであります。
以上が、船員保険法の一部を改正する法律案を今国会に提出した理由でありますが、何とぞ、すみやかに、御審議の上司決されますよう御願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/28
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029・平野三郎
○平野委員長 これにて提案理由の説明を終りました。
次に本案についての質疑に入ります。御質疑はありませんか——御質疑もないようでありますから、本案の質疑は終了したと認めるに御異議ありま参せんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/29
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030・平野三郎
○平野委員長 御異議なしと認め、本案の質疑は終了いたしました。
次に本案の討論に入るのでありますが、本案の討論につきましては別に通告もありませんので、この討論は省略し、ただちに採決に入るに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/30
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031・平野三郎
○平野委員長 御異議なしと認め、本案の討論を省略し、船員保険法の一部を改正する法律案の採決に入ります。
本案を原案の通りに可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/31
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032・平野三郎
○平野委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は原案の通り可決いたされました。
なお本案に歯する委員会の報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、そのように決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/32
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033・平野三郎
○平野委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/33
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034・平野三郎
○平野委員長 次に中馬辰猪君より国立療養所保有地の問題について発言を求められておりますが、これを許すに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/34
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035・平野三郎
○平野委員長 ちよつと申し上げますが、本問題に関する政府側の出席者は厚生省曽田医務局長、高田医務局次長大蔵省木村国有財産課長、農林省平川農地局長、会計検査院小峰厚生労働検査課長、なおそのほか越智厚生政務次官、久下保険局長でございます。中馬辰猪君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/35
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036・中馬辰猪
○中馬委員 私は鹿児島の旧海軍病院、現在は厚生省霧島国立療養所と相なつております、この病院の持つております農地の問題について、若干の質問をいたしたいと思います。
問題のあらましは、戦争中海軍が海軍病院を設立するために、はつきりした数字は私は記憶いたしておりませんけれども、大よそ十五、六町歩ぐらいの農地、しかもこれは水田でございます。この十五、六町歩の水田を強制收用いたしまして、これに海軍病院を建設いたして今日まで至つたのであります。ところがたまたま終戦となりまして、約三町三反歩の農地が依然として国立病院の敷地に保有されておるのであります。しかもこれはたびたび地元農民諸君が、全面的に農地の解放を国立病院に要求いたしたにかかわらず、病院側は終戦以来七箇年の長きにわたつて依然として農地を保有いたしておるのであります。私どもは今日のごとき食糧増産の急務なる時代において厚生省といたしましては、すみやかに農民諸君に返すことが当然であると思うのでありますが、私どもがたびたび地元農民を代表して厚生省にお願いをいたしたにかかわらず、厚生省においては依然として誠意ある態度を示しておらない。
〔委員長退席、大石委員長代理着席〕
特に現地の病院の幹部諸君は、もしこれを騒ぎ立てれば耕作を停止せしめ、すみやかに農地を取上げるというようなことで、一方的に農民は泣寝入りをしておる状況であります。
これに対しましてまずお伺いいたしたいことは、私の聞いておる範囲では、いわゆる小作料として物納をしておるやに聞いておりますが、さような事実がもしあるといたしましたならば、かようなことは農地法の違反になるかならないかということをまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/36
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037・高田浩運
○高田(浩)政府委員 ただいまお話の国立療養所霧島病院の土地の問題につきましては、中馬先生初め前から非常な関心をお持ちいただき、またこれが円満に解決をするように種々あつせんの労をとられたことを、私たちといたしましてはよく承知いたしておる次第であります。この土地につきましては、私たちの方としましては、病院の将来の計画等も考えまして、全部を手離してしまうということは、病院の今後の拡張その他の立場からして適当でないのではないかと思うのでありますが、もちろん一片の土地も大事なことは十分よく承知いたしておりますので、その中の一部につきましては話合いをするというような考え方もいたしておるような次第でございます。お話のように現在これらの耕地につきまして耕しておるわけでございますが、終戦後のあの異常な食糧難の折から、これらの耕地をただ遊ばせておくということは国家的見地に立つて穏当でないし、惜しいきわみでございますので、そういう見地から少しでも食糧がとれるように耕やさせておりまして、御承知のようにその当時一般の国民が食糧難に非常に苦しんでおつた時代であります。もとより療養所や病院に入つております患者の食糧にも非常に難渋をいたしておつた時代でございますので、一部について寄付を受けると申しますか、そういうような処置をとつたときもあつたということは事実でございます。それは決して法をくぐる、あるいわあこぎに出たものではなくして、病院関係者が少しでも患者に食糧の不自由をかけないで、一日も早く栄養充足をして、完全な体になつて世の中に出られるようにという、医療上の念願からしたことであるというふうに考えられますので、この点ひとつ御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/37
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038・中馬辰猪
○中馬委員 現在はやはり三町歩の田をつくつておりますけれども、これは小作料といいますか、何か契約をいたして金納で納めておるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/38
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039・高田浩運
○高田(浩)政府委員 私たちの承知しております限りにおきましては、さようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/39
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040・中馬辰猪
○中馬委員 もし現在も病院の幹部が物納を強制いたしておる事実があるといたしましたならば、いかように処理されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/40
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041・高田浩運
○高田(浩)政府委員 もしそのような疑いがありといたしますれば、十分調査をいたして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/41
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042・中馬辰猪
○中馬委員 先ほどあなたのお答えでは、病院の将来の拡張計画のためにというお話がございました。私が承知いたしておるところでは、終戦以来七箇年の間病院はなぜさような計画を今まで立てなかつたのか。おそらく当時においては病院の拡張というようなことは、夢想だにできなかつたのではないかと思うのであります。聞くところによれば、あの三町歩の農地をグラウンドにして、職員の庭球コートあるいはバレー・コート等に使用すべく計画をいたしたけれども、耕作農民の全面的な反対によつて計画を撤回いたしたというのが真相であると私は思うのであります。しかも今日においては全面解放をすることが理の当然であるにかかわらず、病院の拡張のためにという言辞を奔されておりますけれども、おそらくこれは職員の住宅を建設せられるというのがその目的であると私は承つております。しかしいかに厚生省の敷地内であるといいましても、貴重な農地をつぶしてまで宿舎を建てる必要は毛頭ないと私は思う。しかも現在この療養所の敷地内においては、それこそあそこに一軒ここに一軒と大ざつぱな建て方をすれば、何町歩のたんぼがあつても足らないと思うけれども、十分に計画的に節約して使うならば、現在厚生省が考えておる住宅敷地の問題のごときは農地を全部解放いたしても、あえて病院の拡張計画には支障はないと思うのであります。現在私が内部を拝見いたしたところでは、二軒か三軒住宅が建つておりますけれども、これはほとんどぜいたくな建て方をいたしております。宿舎そのものはきわめて貧弱なものでございますけれども、その宿舎と宿舎との間の間隔というものは、おそらく二、三十メートルも離れておるのではなかろうか。よろし画というものはすみやかに変く住宅計更をいたして、そうしてアパートでも何でもよろしい——あるいはアパートでは少し極端かもしれぬけれども、極度に切り詰めて設定をいたしてもらいたい。そういう計画があるかないか、お示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/42
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043・高田浩運
○高田(浩)政府委員 終戦以来結核の問題は、御承知のように非常に重大な問題である。これの最も大きな問題としては、ベッドの増床ということが、一番大きな問題として、厚生省としても今日まで努力して参つた次第でございます。国立療養所につきましても、その間において、あるいは新しい療養所の建設でありますとか、あるいは増床でありますとか、そういつた点に十分意を用いて参つたのでございますけれども、なお今後ともベッドの増床については努力し、さらに実現を期さなければならない。すなわち現状においても相当不足しておるということについても御了承いただけることだと思うのであります。そういう意味におきまして、新しく療養所をつくるよりも、考え方としては、やはり旧来の療養所にできるだけ増床をして行くということの方が、経済的に言いましても、あるいはまた自己の運営面から言いましても、妥当な抽置である。新しいものをあちこちつくりまくよりも、その方が考え方としてはいいのだということも、御了承いただけるものだと思うのでございます。そういう意味におきまして、逐次計画を進めておるのでございますけれども、財政の関係もありまして、全部について増床を計画通り急速に実現をするということになかなか参らぬことも、今日までの財政その他のいろいろな事情からやむを得ない面もあると考えられるのでございまして、そういつた意味から今日までそう大きな増床が当該病院についてできなかつたことは遺憾でありますけれども、私たちとしては、将来の問題としてぜひこれは考えて行かなければならない、かように考えておる次第でございます。
住宅の問題等につきましては、土地柄から言いましても、あるいは医療管理その他の管理面から言いましても、この療養所に職員の一部の住宅を設けなければならないことも、おわかり願えることだと思うのでございます。理想的な形を言えば、いろいろ考えられると思いますけれども、現実の予算の関係その他から言いまして、現状とかけ離れたことを計画いたしましても、なかなかむずかしいことでもございますし、かたがた職員のうちには常に結核菌と同居をしている、これと闘つておるようなかつこうでもございますし、その辺の関係からこれの防止につきましても、相当医師その他について気を配らなければならないこともおわかり願えると思うのでございまして、そういう見地からこの問題は考えて行かなければならぬのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/43
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044・中馬辰猪
○中馬委員 ただいまのお話のように漠然たる将来の計画のためになぜ七箇年間農地を病院が保有しなければならなかつたということが、私の非常に大きな疑問であるのであります。将来の理想を言えば、結核患者の病床を増床するとか、あるいは職員の住宅を建てるとか、いろいろ理想的なことはもちろんありましようけれども、しかし現在においては何ら具体的な計画はないではございませんか。具体的な計画なくして食糧増産の貴重なる農地を、反二反ならいざ知らず、三町歩のごとく広い面積を保有する必要が、私にはどうしても理解できないのであります。厚生省といたしましては、結核あるいはその他の患者のためには、おそらく今の病院の敷地の二倍、三倍の敷地が理想的にいるということは、もちろん私も承知をいたしております。しかし現在直接何らの具体的な計画のないのを、七年間ほつちらかしておつたという理由が、私はどうしても納得が行かないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/44
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045・高田浩運
○高田(浩)政府委員 お話ごもつともだと思いますが、先ほど申し上げましたように、この間少しでも食糧の増産に役立つようにという気の配り方から申し上げまして、草ぼうぼうと生えさして、せつかくの土地を遊ばしておるということならば、これは確かに適法、不適法の問題は別にして、妥当性の問題について言えば、私は必ずしもそれは妥当でないと思うのでございますが、御承知のように、食糧の確保という見地からいたしましても、その土地をまるまる遊ばしておつたということではございませんので、附近の農民の方々に——これは事実上の問題として何と申しますか、耕作を認めておつたような次第でございまして、その意味においては、ただ保有をして遊ばしておつたというのとは類を異にしておるというふうにお考えをいただければ幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/45
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046・中馬辰猪
○中馬委員 私はあなたのおつしやるようなそうゆう考え方には承知できないのであります。なぜかというと、現在この三町歩の農地のために、約四、五十軒の農家がこれだけで飯を食つております。しかもこれらの諸君は、すでに現在病院の建物が設定されているその農地を戦争中取上げられ、残り三町歩の現在問題の土地を取上げられたら、一体どうして飯を食つて行くことができるか。しかも病院側といたしましては、敷地を探せばそのほかにもまだあるのであります。現在病院の敷地内において小高い山がございます。この山をくずして、先ほども申し上げたたんぼを埋め立てて、その上に建物の設定をしておる。従つて残りのその小高い山といえども、半分以上戦争中の勤労奉仕によつてくずれておりますから、あなたがおつしやるように食糧増産のために、農民のために必要であるならば、現在の農地はすみやかに開放して、そうして現在病院が使つておるところの敷地の中において、十二分に私は間に合せることができると思うのであります。しかも現在約四、五十軒のこの農民諸君は、自分たちの勤労奉仕によつてでもその山をくずして、あるいは建物なりあるいはその他の病院の要求するところの平地を建設するところの熱意すら示しておるのに、そういうようなもつたいない山あるいは敷地を遊ばしておきながら、あくまでも農民の生活を奪わんとするという、その気持がわれわれには理解ができないのであります。あなたはただいま農民のためにあるいは食糧増産のために、農地を単なる荒地としてほつたらかしておつたんじやない、それを十二分に利用したということでお逃げになつておられますけれども、しかし農民諸君が今日おそらくこの残りの三町歩の田をとられたならば、どうして飯を食うことができるか。病院の敷地を理想的にすることも必要であろうけれども、四十戸の農家の食生活を安定せしめるということ、農民の職を奪うということは、もつと私は重大な問題であると思うのであります。厚生省の仕事は、医は仁術でであるというではありませんか。病院の建設のためにすでに十五町歩くらいのたんぽを取上げられ、残りの三町歩、しかも必ずしも今の病院にとつては緊急必要欠くべからざるものとは思えないような、さよな農地を何の必要があつて厚生省はとらんとするのか、政務次官のひとつ農民に対する理解ある御判断をいただきたいのであります。政務次官の心境を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/46
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047・越智茂
○越智政府委員 中馬委員の御質問にお答えいたします。海軍省から厚生省に移還されました病院の敷地の問題につきましては、ただいま医務局次長がお答えいたしまた経過になつております。そこで中馬委員がおつしやるように、農民に大切なる土地を厚生省がゆえなくしてなぜ持つておるか、こういうことにつきましては、もう少し研究を要すると思いまするが、不要であろう土地は、お説に従いましてよく調査いたし、還元するように努力をいたしたいと思います。しかしながら先ほど次長が申しましたように、療養所などは、中馬委員も御同感と考えますが、各地において非常な要望があり、そうしてベットなどの要求につきましても、各地から非常な要望もございます。そこで霧島病院の療養所の希望につきましても、厚生省といたしましても、せつかくそういうような病院でありまするので、財政が許し必要なところには、大いに拡張したいという希望は持つておりまするけれども、そういうようなことが早急に実現されない、こういう場合には、御趣旨に沿いましてよく検討いたし、農民の意思を尊重して還元するように努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/47
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048・中馬辰猪
○中馬委員 政務次官の御答弁は、まことは理解のあるありがたい御答弁であると思います。しかしおそらく役所というところは、私はよくわかりませんけれども、今までたびたび私がこの問題で厚生省にお願いに来ると、すぐ現場の病院におきましては、病院の幹部諸君が、厚生省の本省に直接町村長あたりがお願いに行くと、すぐこれに対する圧迫を加える、われわれをさしおいてよけいなことを厚生省に言うからこういう問題が起つて来るのだというようなことで、そのたびごとに町村長は引つ張り出されまして、文句を言えばすぐ今度は耕作権を取上げるぞ、今度は庭球場に使おうが、野球場をつくろうが、われわれは国家公務員であるというような、まことに情ない心境からいたしまして圧迫を加えておるのが、私の知ゆておる通例であります。おそらく私はきよう皆さんにかような強い言葉でいろいろなことを申し上げますと、また当りが来るのは村長であります。従つて私は、将来の病院を広げる理想的な案に対しましては、もちろん全面的に協力をいたします。もし必要とあれば現在の三町歩以外でも強制収用を行つて、これを拡張せられることが、真に国家のためであるならば、私はこれについて農民に対して説得をいたしたいと思います。しかし今までの病院のやり方から判断いたしまして、さような理解ある態度ではない。村長に対しましても、地元の農民に対しましても、何かこの問題を取上げると、すぐ来年度は耕作権を停止するという、現に私どもが選挙の直前におきましても、耕件権を取上げるという問題で紛糾を起しているのであります。私はもしさような一方的な言動をもつて病院の諸君が当るならば、断じてこれを許すことができない。すにで先般村長が来まして、ある程度病院の宿舎のために取上げられることはやむを得ないということを申したことを、私は立会つておつたから知つております。しかしそれすら現場の病院長あるい幹部の諸君は、村長がなまいきなことを言う、あれは元から国家の所有している土地であるから、農民があれこれ文句を言う権利はないんだ、さようなことを言えば、即刻来年は耕地を全部取上げるというようなことを部落の代表に言明をいたしているような、まことにけしからぬ現状であります。宿舎あるいはその他については、まだ私は十分に余裕があると思います。先ほど申し上げました小高い山を切りくずすならば、十二分に宿舎その他の設備はできると思うし、現在の敷地においてすら、あとで地図をごらんになれば委員諸君もよくおわかりだと思いますけれども、いくら結核患者を扱つておる医者といえども、ああいう敷地のぜいたくな建物なんというものは、私は日本の病院はおろか、おそらく他におきましても例を見ないと思います。もしああいう式にぜいたくな敷地を要求するのであれは、これはいくら農地をつぶしてもつぶし切れるものではございません。政務次官は先ほど理解のあるお言葉を賜わりましたので、私も一応これで納得いたしましたけれども、どうかひとつ医務局の皆さんも、自分が農民の立場に立つて、祖先伝来の田を奪われ、さらにまた奪われんとし、一体どうして飯を食つて行くかということを考えた場合において、もう少しあたたかい気持で政治をやつてもらいたい。これはすでに厚生省の敷地であるから、お前たちは文句を言うな、文句を言うと来年の麦はつくらしてやらぬぞ、米はおろか麦作すら権利を停止するぞというような暴言を吐くに至りましては、これはすでに厚生省の役人としての資格は私はないと思います。従つて本省に、おいては皆様のような理解ある態度でおられましても、第一線の病院の諸君の態度というものは、これは厚生省の役人の頭脳ではなくて、昔の悪代官のような思想を持つておる連中であるからひとつそういうつもりで監督してもらいたい。そういうつもりで、この農地の問題はひとつわれわれの納得の行くような、また農民諸君が、なるほどこれならば国のためにたんぼをとられてわれわれは飢死にしてもしかたがないという心境になるように、現場においても具体的に相談をしてから決定をしてもらいたいのであります。私はこの問題が解決するまではこの問題は一応保留いたしまして、さらにあらためて、具体的の問題については御相談を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/48
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049・高橋禎一
○高橋(禎)委員 今の問題に関連してちよつとお伺いしたいのですが、例の三町歩の耕作をしておる農民の人たちは、国家からその農地の賃貸借をしておるわけですから、農地法の保護を受けると思うのですが、政府ではその点どういうように考えていらつしやるでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/49
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050・和田正明
○和田説明員 農地法ではただいま御指摘のように、たとい国の土地でございましても、小作契約がございますれば、それを取上げますのはかつてにはできないということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/50
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051・高橋禎一
○高橋(禎)委員 そうと侵すと、その土地を耕作しておる人は、耕作権を賃貸借によつて得ておるわけですが、先ほどの答弁によりますと、その小作料すなわち賃料は、金納であるか物納であるか、厚生省においてはまだはりきり認識がおありでないように受取れたのですが、物納ということは許されないことだと思います。金納でなければならぬと思いますが、それらの収納はどのようになつておるか。どこへどういう方法で納めて、どのようにして国家の収入になつておるのか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/51
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052・高田浩運
○高田(浩)政府委員 これが耕作に使われました趣旨は、先ほど来るる申し上げた通りでございまして、そういう関係から現在物納、金納といつたような、いわゆる小作料に相当するようなとり方はもちろんいたしておりません。ただ耕作物の一部について、患者の食糧のために買上げさしていただいておる実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/52
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053・高橋禎一
○高橋(禎)委員 ただいまの答弁ではとうてい満足できないのです。土地は国家の土地で、そして国家がそれを国民のある一部の人に賃貸借をして賃料を受取るわけですから、その賃料は正確に国庫の収入にならなければならないわけです。先ほど農林省の方の御説明もありましたように、ぢやんと農地法で保護を受けるということは、その耕作者が賃貸借によつて耕作権を取得しているからこそそういうことになるのですから、その賃料があいまいであつて、国庫の収入になつていないというようなことであれば、国家はその土地を耕作している人に対して、農地法を適用して保護をしなければならないにもかかわらず、その賃料は国庫の収入になつていないということであれば、これはまた国家としても非常な損失になつているわけでありますから、その点をはつきりさせなければならぬと思うのであります。すなわち耕作権が耕作者にありという立場に立つて、そして耕作者はそれを金納または物納によつて納めているということは争えない事実のようですから、それが国庫にいかようにして收入になつているかということを明確に御答弁願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/53
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054・高田浩運
○高田(浩)政府委員 ただいま申し上げましたように、いわゆる小作料に相当するようなものはとつていないのが実情でございます。これの適否はもちろんいろいろ見解もあることだと思うのでございますが、一面においては、農民の立場を考え、現状においてはかようにいたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/54
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055・高橋禎一
○高橋(禎)委員 農民の立場をお考えになつている、すなわち三町歩について農民の立場を考えられたということは、これは私了承するのです。しかし賃貸借をしているからこそ、その土地を耕作している人を農地法で保護しなければならぬ、こういうことになる。ところがそれを無償で貸付けているわけでもないと私は思います。先ほど政府委員の御答弁では、金納をしていると思うしかし物納かもしれぬが、それは調査してみる、こういう御答弁があつたので、決して小作料すなわち賃料というものを徴収しておらぬというふうにお考えになつているとは思わない。ただいまの御答弁ではその点があいまいのようですけれども、しかしおそらく耕作者は金納か物納か、ともかくその賃料を納めているに違いない。ところがそれが行方不明になる、もしくは正式に国庫の収入にならぬというようなことでありては一大事ですから、ここに横領とか、背任とかいうような犯罪行為がある、そういうふうな犯罪行為をなしているような者が、おこがましくも関係者に対して圧迫を加えるとか、言を左右にして、いまにも農地を取上げるなぞといつて脅迫することは不都合千万であると思うのであります。近ごろ政界においては筋の通つたことをするということがはやりのようになつておりますから、本件においても筋の通つたことをしなければならぬわけで、筋の通つた御答弁をいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/55
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056・高田浩運
○高田(浩)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、現在小作料相当のものをとつていることはないというふうに私たち承知いたしているのでございますが、だんだんのお話もございますので、先ほど政務次官から申し上げましたように、ひとつよく再調査をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/56
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057・高橋禎一
○高橋(禎)委員 それではその調査の結果に基いて質問いたしたいと思いますから、保留いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/57
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058・堤ツルヨ
○堤(ツ)委員 療養所課長がお見えになつておるようですが先ほどからの次長の苦しい御答弁を聞いていますと、計画なさる金もまだないんでしよう。そこでもし土地がいるのなら、まん中に小山があつて、それを百姓が一緒にくずして利用しようと言つておるのですから、そういう実情は療養所課長だとか、施設課長は調査にいらしやつたことがあるのですか、ちよつとそこをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/58
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059・尾村偉久
○尾村説明員 今の霧島病院のことは中馬さんとも前に話したこともありますし現地も調査しております。ただいま問題に、なつている土地は、現在の病院の敷地より一段下つたところで、ちようど今官舎が数軒建つておるところに隣接しておるのでありますが、先ほどのお話のように、土地の広さからいいますと、現在の病院のある高いところの一角は、ここに公務員宿舎を入れれば——土地の広さについて敷地を三十坪にするか百坪にするか、これは切りがない話でありますが、入れれば入るのでありまして、それも確認しております。ただ従来の各療養所の実情から見まして、官舎の建物が患者の病室ら非常に見通されるようなところにありますと、ほかの公務員宿舎と違いまして、療養所の職員が看視されておるようでそこにいつかない。昼間働きまして家庭に帰つても、患者から自分の家族たちが看視されるような感じがするというので、今まではほかに土地が得られない場合には、そこに非常に高い生けがきをつくつたり、へいをつくつたのであります。「そういう方法でもとりなさいと」呼ぶ者あり)そういう方法でも行けば行けるのでありますが、ただ今のところは幸いそういう一段下つた、低くて見通されない敷地があるものですから、現地の希望では、そこに将来官舎地帯を全部移して、上の方に極力病棟を拡充して行きたい、こういうことであります。
それで今の御質問の公務員宿舎の計画は予算があるかというとお話でありますが、これは毎年公務員宿舎の予算を各省とも割当を受けているのですが、ことしの計画ではあそこに割当てるのは持つておりません。しかしあそこは大きい療養所でございますから、割当を請求いたしましてつくつて行きたいと思います。それで現にもらつておりませんから、この点は現在もらつているかどうかについてはもらつておらないということを申し上げます。ただ希望としては毎年出さざるを得ない療養所なんです。そういう形でございますので、ただ私どもがこの前療養所当局を調査して聞いたところではそこに官舎地帯をつくれば、自分のところは六百ベットないし七百ベットまで拡充できるということで強い熱望がありますので、現在六千八百坪のうち約二千坪をを官舎地帯に残して残りの四千八百坪はやるということを言つておるのです。先ほど中馬委員のお話のように現地がまだくすぶつておるとすれば、医務局長が通牒を出したその方針にも違反しておることでございますので、そういう事実がありますれば、再調査し、よく監督いたしまして、療養所側の将来の拡充計画も最小限度さしつかえないようにという点で、円満に十分措置したいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/59
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060・堤ツルヨ
○堤(ツ)委員 先ほどから中馬委員との問答を聞いておりますと、委員会に持ち出してそんなにやかましくおつしやらなくても、常識でもつてすでに解決されていなければならないような問題が、そうした官僚の頭でむだなことがあるということは、われわれ話を聞いておつても目に見えておる。これは次官もおいでになりますし、医務局長も新しいのですが、実際この間の国立病院でも六億四千万円という金を五年も六年も寝かしておきながら、同じ療養所の看護婦が患者のわきの部屋に寝ているというようなことをしておる。おそらくただいまの療養所でも五年、六年と毎年予算で要求して来て、その計画を持つておりながらできておらなかつたであろうと私は推察いたしますが、こうしたむだなことをやつてしかもできないなりでいる。これはできたときには、大所高所から農民に協力してくれと言つて、少しでも多くお返しになるのが常識なんです。そこでここに申し上げておきますが、本省の厚生省の方々というのは地方の出先機関に対しては非常に圧力をお加わえになります。従つてさいぜんからお話がありましたように、何か地元の出先機関から言つて来れば、上ではしかられる、地元との間に立つて窮鼠ねこをかむで、官僚意識でいばる、そういうようなことで、実際不愉快なことを国の出先機関は地元にたくさんやつておる。迷惑がかかつておらないこと癒らばいざ知らず、できないことをやるやると口の先だけで言つて、農民を苦しめておるという現状はよそにもたくさんあるだろうと私は思う。たんつぼの整理さえもできないような療養所ばかりをかかえて、そして矛盾のあることばかりして、まわりまで迷惑をかけていらつしやる。これは厚生省はもつと真剣にお考えにならないといけないと存じます。少なくともこの委員会へ持つて来て、正規に発言をして、速記に残さなければいけないのに、何回言つても厚生省は誠意がないと認められますが、そういうことをやらないようにしていただきたいということを私はお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/60
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061・中馬辰猪
○中馬委員 実は小作料を法的に見てどういう性質のものかということについて、私は遠慮をして申し上げないつもりでおつたのですが、たまたま高橋委員から質問が出ましたから私も申し上げたいと思います。
先ほど厚生省のお話では、確かに小作料ではないけれども、小作料と似たような性質といいますか、少くとも何らかそれに関連があるようなお金としてお受取りになつておるということは、歴然たる事実であります。そこで農地課長にお伺いしたいけれども、小作契約というのは文書によつて契約をしなければ無効だそうでございますが、御承知のように、七箇年間もおそらく農民の方から見れば小作料だと思つて納めておるのでしよう。ところがまた病院の方から見れば、何か恩典としてこれをつくらしておるのだから、お金を持つて来なさいというような性質の金というものは、一体国の財政法上からいつてどういう性質のお金でございましようか。これはあわせて大蔵省あるいは会計検査院の方にもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/61
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062・和田正明
○和田説明員 この問題になつております現地は、私承知しております限りはいわゆる賃貸借ではございませんで、民法の使用貸借と申しますか、小作料その他の類似のもののをとらずに、ただで貸しておる使用貸借契約だというように承知いたしております。もしも御指摘のように事実何んらかの形で物なりあるいは金なりをとつているという事実があるといたしますれば、それは農地法の二十三条でいかなる名義をもつてするを問わず小作料統制規定の違反行為をしてはならないという規定の違反になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/62
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063・中馬辰猪
○中馬委員 違反の場合というのは、具体的にはどういう違反でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/63
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064・和田正明
○和田説明員 罰則の規定が適用になります。農地法の九十二条で、「三年以下の懲役又は十万以下の罰金に処する。」ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/64
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065・中馬辰猪
○中馬委員 私はさような問題が出て来るからこそ遠慮を申し上げて質問をしなかつたのですが、とことんまで争うということになつて来ると、私も今言われたように、農地課長の言もございますから、引下るわけに行きません。またかりに受取る方から見れば、小作料ではない、納める方からは小作料に準じた金であるというつもりで出したならば、その結果——これは一回、二回じやございませんで、七箇年間もこれを納めているのですから、さような場合には、これは小作契約ありと認めるのが通念だと思いますが、その点はどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/65
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066・和田正明
○和田説明員 お尋ねにお答えいたします前に、私もし誤解があるといけませんから、若干補足をいたしておきますが、今申しました農地法二十三条の違反行為は、小作料は金納でなければならぬということと、それには金額の統制額があるわけであります。それを越えた金額をとります場合に一つの違反になりますことと、金以外の物でとりました場合にも違反になりますことと、二つの違反があるわけでありますが、もしも事実上そういうことがあるといたしますれば、それは実態によつてまちまちでありますが、賃貸借ありというふうに見る実態もそれは存在はいたすであろうと思います。ただこれにつきましては、先ほど申しましたように、私ども承知いたしておりますのは、何もとらないで、いわゆる使用貸借契約によつて貸しておるというふうに承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/66
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067・中馬辰猪
○中馬委員 幸い大蔵省の管財局の方も来ておられますが管財局といたしましては、こういう場合においては一体どういう処置を今まではおとりになつて来られたでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/67
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068・木村三男
○木村説明員 実態問題につきましては、せつかく厚生省の方で調査されるということでありますので、こういう場合はこうなるというような点から国有財産の関係の事項を申し上げますと、問題の霧島療養所、これは厚生省を主管省とする行政財産であります、国の行政目的に必要な財産であるから、大蔵省で管理しないで、厚生省が管理権を持つ。それから国有財産法の関係では、そういう行政財産はみだりに貸したり売つたりしてはいけない。ただ用途または目的を妨げない限度においてはその行為が許される。つまり病院の用途その施設の目的を妨げない限度において他人に使用収益させることができる。こういう規定があるのであります。そこでその場合に使用料とかなんとかいう問題はどうなるかという問題でありますが、これは財政法第九条の規定によりまして、国が国の財産を人に貸したり使わせたりするような場合には適正な対価をとらなければいけない。無償ではいけない。こういう規定があるのであります。そこで問題が二つにわかれまして、用途または目的を妨げない限度において使わせる、収益させるというようなことは、どういう態様になるか、契約の態様であります。そこで賃貸借あるいは小作権の設定というようなものは、この行政財産に関する限り法律の方では予定していないのであります。ただそういつた一時的の使用のさせ方、これによつて農地法に認められた耕作者保護の規定の適用があるということは、また別途の法令から参るのであります。国有財産法の建前から申しますると、そういう場合に行政上の運用としましては、まずそういつた長期的なあるいは全面的に耕させる必要のある財産ならばはたしてその病院が持つていていいかどうか。もつと効率的な方面にまわすべきではないかというような判断をしなければならぬ。これはやはり財政法の規定にございますが、国の財産というものは常に良好の状態において管理しなければならない。それから最も効率的な方面に運用しなければならぬ。こういうふうな訓示規定がございますので、当該所管省としましてはそういう見地も考えなければならない。そこで農地に関する関係を申しますと。国有財産で農地に必要なものは、農林省の所管の自作農創設特別会計の方に所管を移しまして、農林省の方で適正な処分をするといような制度ができておりまして、従来国の財産でそういうものにつきましては農林省の方に私どもの方はお渡しをして、農林省の適正な処分にゆだねているわけでございます。そのときに漏れたもの、あるいは医療の上の目的、あるいは農地行政の目的、そういう問題でまだ話が残つておる問題、解決のつかぬような問題、そういうものはまだ若干あるようでございますが、これはやはり関係当局において適当な処置をされるということが望ましいのでありまして、話合いがつかぬということになれば国有財産の総轄代理人として大蔵省の方で適当に調整したい。こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/68
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069・中馬辰猪
○中馬委員 ただいまの大蔵省国有財産課長のお話はまことに私は大きな問題があると思うのであります。なぜかならば、先ほど来申し上げましたように物納なりあるいは金納によつて対価を納めておるといたしますならば、はたしてこれが正当に国庫の収入と相なつておるか。もしなつておらぬとすればこれは明らかに横領の責任があると思います。もしかりに無償でやつておつたといたしましたならばこれは明らかに財政法第九条の規定に違反する思います。従つてまた先ほどの財産課長のお話ではその本来の用途にじやまをしない限り貸し付けてもよろしい。たとえば駅の広場なんかに坑木を一時積むという程度の貸与は、対価をとつて貸し付けるということは、これはまあ当然でしようけれども、七年間も無償でやつたということになつて来るとこれは明からかに療養所といたしましては、ただちにこれを本来の目的に供する具体的なる証拠あるいは事実がない限りにおいては当然これは大蔵省から農林省に保管がえをいたしまして農地の特別の措置自作農創設維持法というのですが、それの適用を受けることが私は当然であると思うのであります。
それからもう一つは、先ほど農地課長のお話で、全額が超過した場合という話がありますが、これはおそらくさつきのこの療養所長の話では、小作料ではないけれども、患者のために対価を納めさせておる。たとえば米を持つて来い、野菜を持つて来い、あるいは種を持て来いというような事実がもしあつたといたしましたならば、これはまた明らかに、農地法第二十三条の金額超過の違反になると思います。従つてこれはもうどの方面から考えましても、明らかにこれを農地とした現状において、しかもただちに宿舎を建てる計画もない。また建てるとするならば、先ほど堤先生からもお話があつたように、ここに石がきをつくるなり、あるいは庭がきをつくるなりいたしますれば、十分に病院の患者室から見えない設備ができるし、またそれだけの敷地はあるということは、厚生省においても先ほど明言をせられた通りであります。しかも私が奇怪にたえないことは、患者の部屋から見えないようにするために、たまたま一段低いからそこに家を建てるとおつしやいますけれども、低いところになればなるほど高い二階からよく見えるのであります。こういう明らかに物理的に見ても理解に苦しむような御答弁をされておる。現在病院の病舎というものは二階建に相なつております。その二階建から見えるのが現在の宿舎、しかもここに壁をいたしまして、さらに低いところにあるから見えないとおつしやいますけれども、低いと言つたつて、これはまあ大体一間くらいのものでございまして、かえつて上から見れば下の、それこそ高い山から低い山を見ればわかるというようなことで、かえつてわかるのでありまして、あなたたちにどういう好意のある考え方をいたすといたしましても、私は皆さんの気持は理解に苦しむのであります。従つて農地法の問題、国有財産法の問題、あるいは現実の問題、農民の立場、どの方面を考えた場合におきましても、すみやかにお返しになるのが私は病院の将来の発展のためにもよろしいかと思うのであります。おそらくあの病院をつくる最初の際におきましては、当時の海軍の圧力をもつていたしました関係上、農民諸君も表面は喜び勇んで、御国のためと、しかし内心においては泣いて農地を差上げたということは、私はその当時の状況をよく承知いたしております。従つて現在におきましてはさらにこれ以上欲を出さないで、しかも付近の農民からうらまれてまで病院をりつぱにするという必要は私は断じてない。このことだけは私ははつきり申し上げて、すみやかに先ほど大蔵省の方からもお話があつたように、これは保管がえをいたされまして、全面的に開放されることを希望いたしたいのであります。
なおつけ加えて申し上げますけどれも、実は私がなぜこれほどまでにやかましいことを申し上げたかといういきさつを申し上げておきますと、この病院の中に道路が通つております。最初この道路を通すときにおいてはここを農民諸君も自由に通つてよろしいという条件でこの道路をつくつたのであります。しかるに今日におきましてはその道路も通ることができない。農民はずつと山のかなたをまわつて通つて行かなければならぬ。そこでさしあたり農道を、今言つた三町歩の下に通さしてもらいたい約一間くらいの小さな荷車が通れる程度の農道を病院に並行して通らしてもらいたいという、まことにささやかなるお願いであつたけれども、それすら農民のくせに何を言うかという一喝のもとに断わられて、さすがに穏健なる農民諸君も怒りまして、猛然として、それならば全面開放ということを要求しなければいかぬというところまで行つたいきさつがあるのであります。どうかひとつこの点については大蔵省とも御相談くださつて、すみやかに善処せられんことを、希望いたしましてまだこれはときどき私も厚生委員会の方にひとつくらがえをいたしまして、それこそこの結末がつくまでは私も引下があるわけに行きませんから……。一応この程度で私は終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/69
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070・高橋禎一
○高橋(禎)委員 先ほどこの貸地の点については政府の方からお答えがあるというお話でありましたが。その調査をなさるにつきまして若干便宜がありますから、今おわかりになつておるならばお答え願い、わかつておらなければやはりその調査をしてお答え願つてけつこうだと思うのですが、この問題の三町歩の土地はいつだれに貸し付けたのであるか、そして国を代表して契約の当事者になつたのはだれであるかそしてそれに対する代償を受けておるかどうか。受けておるとすればいつ何を受けたか。それらの点を明らかにしていただきたい。この問題はきわめて重要な問題でありまして、と申しますのは、今日本で一番大きく私どもが考えておりますことは、厚生行政を強化して行くこと、この点であります。私どもが注文をすれば、政府財源がない財源がないといつて、どうも私どもの理想としておるところの実現が非常に困難なんです。ところが本件のごときは国家の当然収入になるべきのが、どうも横に流れておる疑いが非常に濃厚なので、こういうことであつたのでは、もう厚生行政をやる財源などは出来るはずがない。一方国民はきわめて重い税の負担に苦しんでおるというときに、国家の事業自体が腐敗しておつたでは、これはゆゆしき問題である。こういう点がまず一点。それにいま一つは、政界並びに官界を粛正するということがこれまた必要なことでして、もしもこれらの問題に関連してそこに腐敗したものがあるとすれば、これは徹底的にその事実を糾明して、それを粛正しなければならないのであります。そこで私がお尋ねしたいのは、御調査の結果もし関係者において犯罪行為あるとするときには、刑事訴訟法の規定によれば公務員がその職務上知り得た犯罪行為はこれを告発しなければならぬというこうになつておりますから、厚生当局においてはこれを告発する意思があるかどうか、この点についてお答えを願つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/70
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071・高田浩運
○高田(浩)政府委員 貸し付けましたのは昭和二十一年ごろからだと承知しております。れつきとした契約はないようでございます。なお詳細につきましては先ほど申し上げましたように取調べたいと思つております。それからもちろん国の公務員が厳正に職務を執行しなければならならいことにつきましては、われわれも同様に考えております、私たちの監督に属しまするものにつきましても御同様そういう考え方でやるように常々気を配つておる次第であります。もし法に違背して、きわめて公務員とし適当でないというような行為がございますれば、これは厳重に措置をしなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/71
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072・大石武一
○大石(武)委員長代理 次に先般の委員会において国立病院地方移譲問題に対し、政府代表といたしまして大藏大臣並びに厚生大臣に、当委員会に出席を求めて、答弁を求めたいとの御希望が強かつたので、本日ここにその出席を要求いたしたのでありますが、両大臣懐本年度補正予算の押査のため万やむなく出席できないとの通知がありました。いかがいたしましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/72
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073・堤ツルヨ
○堤(ツ)委員 医務局次長がちようどおいでになりますが、大臣はここへ出て答弁できるのですか。この間国立病院のことについてははつきり答弁ができなかつた。新任早々であるから私たちはかんべんして見のがしたのですが、まだ大臣教育ができないのですか。どうもそういう節があるように思われますが、なぜそういうことを申し上げるかというと出られない出られないで三日引つばり、四日引つばつたりしたら、二十八年度の予算に間に合わないじやありませんか。そうしたら何のために小委員会を開いて、われわれが妥当な結論を出そうとしておるのか、委員会は何をしておるのかわからぬ。大臣に来てもらうにも時期があるのですが、もう大臣教育はできておるのかということを聞いておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/73
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074・大石武一
○大石(武)委員長代理 予算はあすで終りますから、理由。口実はなくなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/74
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075・堤ツルヨ
○堤(ツ)委員 そしたら大臣が出られるときをはつきりしていただきたい。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/75
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076・大石武一
○大石(武)委員長代理 これは委員長において適当にいたしますから……。
他に御発言がありませんか。——なかつたならば本日はこれをもつて散会いたします。
次会は公報をもつてお知らせいたします
午後零時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504237X00619521216/76
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