1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十一月八日
小金 義照君 村上 勇君
河野 金昇君 今澄 勇君
永井勝次郎君
が理事に当選した。
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昭和二十七年十一月十一日(火曜日)
午後一時四十五分開議
出席委員
委員長 坪川 信三君
理事 小金 義照君 理事 村上 勇君
理事 今澄 勇君
大倉 三郎君 大島 秀一君
首藤 新八君 辻 寛一君
中峠 國夫君 福井 順一君
福田 一君 宇田 耕一君
高橋 長治君 長谷川四郎君
山手 滿男君 伊藤卯四郎君
多賀谷真稔君 田中織之進君
出席政府委員
通商産業事務官
(公益事業局
長) 石原 武夫君
労働事務官
(労政局長) 賀來才二郎君
委員外の出席者
通商産業事務官
(石炭局長) 佐久 洋君
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
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十一月十一日
委員永井勝次郎君辞任につき、その補欠として
多賀谷真稔君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
国政調査承認要求に関する件
電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案
(内閣提出第三号)
電産・炭労ストに関連する電気事業及び石炭鉱
業に関する説明聴取
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/0
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001・坪川信三
○坪川委員長 これより会議を開きます。
本日はまず国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。衆議院規則第九十四条によりまして、常任委員会は会期中に限り、議長の承認を得てその所管に属する事項について国政に関する調査をすることができることになつております。なお議長の承認を求めるには、その調査をしようとする事項、目的、方法及び期間等を記載して、書面を議長に提出しなければなりません。本委員会といたしましては、前回同様、調査する事項といたしまして、一、電気事業及びガス事業に関する事項。二、貿易の振興状況並びに貿易資金調達の現状に関する事項。三、中小企業の金融状況並びに中小企業等協同組合の結成及び活動状況に関する事項。四、鉱業、採石業、鉄鋼業、繊維工業、化学工業、機械工業、その他一般工業の実情、特に需給並びに金融状況及び企業合理化の進行状況等に関する事項とし、調査の目的として、通商産業行政の実情を調査し、その合理化並びに振興に関する対策を樹立するためとし、調査の方法として、小委員会の設置、関係各方面より説明聴取、報告及び記録の要求等をいたして、国政調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/1
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002・田中織之進
○田中(織)委員 ちよつと…第四番目に鉱業、採石業等いろいろな産産業をあげられておるのですが、最近非常に問題になつておる防衛生産関係であるとかあるいは特需関係であるとかいうような問題はこの四番目の中に含ませるつもりでありますか。この問題は、来年度の予算その他に関連して、現下の産業界、中小産業行政の上で非常に大きな問題であろうと思います。防衛生産という言葉は適当であるかどうかは別問題として、この問題を第四の関連産業の中に入れて調査する御意向でありますか。できれば一項目を立てていただきたいと思うのですが、ほかの方の御意見を聞いてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/2
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003・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 ただいま田中君から発言された種類の産業は、当面の日本経済の上から見ても、また日本産業の構造の上から見ても非常に重大な問題であると思いますので、これは別個にお扱い願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/3
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004・坪川信三
○坪川委員長 これに関連して、他に御発言はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/4
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005・小金義照
○小金委員 しばらく休憩していただいて、懇談されたらどうかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/5
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006・坪川信三
○坪川委員長 ただいま小金君から御発言がありましたが、これは非常に重要な問題とも思いますので、休憩して懇談いたした上で決定いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/6
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007・坪川信三
○坪川委員長 それでは暫時休憩いたします。
午後一時四十八分休憩
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午後一時四十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/7
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008・坪川信三
○坪川委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
ただいま田中委員並びに伊藤委員から御発言になりました、調査事項第四項につきましては、防衛生産に関連したことも含まれているやいなやという御質問でありますが、ただいま相協議いたしましたが、この問題はこれらの事項の中に含まれているということを確認いたしておきたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/8
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009・坪川信三
○坪川委員長 それでは国政調査承認要求書を、以上のごとく再確認をいたしまして議長に提出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/9
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010・坪川信三
○坪川委員長 御異議がなければさようおとりはからいいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/10
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011・坪川信三
○坪川委員長 それでは次に電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案について政府より提案理由の説明を求めます。石原政府委員。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/11
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012・石原武夫
○石原政府委員 ただいま議題となりました電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
電気事業、ガス事業その他電気及びガスに関しましては、これらの物資がわが国経済上重要な地位を占め、かつ国民生活上欠くべからざる要素となつております関係から、すでに戦前から、電気事業法、瓦斯事業法等により、また最近におきましては、昭和二十五年十二月以降、御承知の通り、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基きます公共事業会および電気事業再編成令の制定により、電気及びガスの供給度の向上と、電気事業及びガス事業の運営の調整を中心といたしまして、電気及びガス使用者の利益を確保し、かつそれらの供給事業の健全な発達をはかつて参つたわけであります。
しかしながら今年四月二十八日講和条約が発効し、わが国の独立が回復された結果、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件は、新憲法下においては存続することができなくなり、第十三回国会におきまして、同令の廃止の措置がとられたわけであります。ただ、この命令に基いて発せられた諸命令については、これをただちに廃止するときは、かえつて社会秩序を乱し、国政の混乱を招くおそれがありますために、廃止法律の施行の日から百八十日間、すなわち昭和二十七年十月二十四日までは法律として有効とされ、これを存続する必要があるときは、別に法律による措置を講ずることとされたのは、すでに御承知のことと存じます。
この趣旨に従い、政府は電気及びガスの産業及び民生に対する影響の重大性にかんがみまして、とりあえず公共事業令及び電気事業再編成令につき、この二政令を法律としてなお存続させることとし、第十三回国会に対し、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に基く公益事業委員会関係諸命令の措置に関する法律案を提出し、御審議を仰いだのでありますが、諸般の事情から可決成立を見るに至らず、次国会への継続審議を決定された次第であります。しかるに同法律案は、第十四回国会の解散に伴い審議を経るに至らずして廃案となり、ここに公共事業令及び電気事業再編成令は、昭和二十七年十月二十四日を限つて失効し、電気及びガスに関する法規制の根拠が消滅するに至つたわけであります。もちろん現在のところにおきましては、行政指導により、電気、ガス事業界を初め、国民一般の協力によりまして、その秩序はおおむね順調に守られてはおりますが、法の空白期間の長期化に伴い、予想される不測の混乱、または無用の摩擦の発生を防止するため、政府といたしましてはここに恒久法の立法に至るまでの暫定措置として、電気及びガスに関する臨時措置に関する法律案を至急本国会に提出し、御審議を仰がんとするものであります。
この法律案の内容につきましては、御審議に際し十分御説明申し上げる所存でありますが、簡単にその概要を述べますならば、この法律は本則一箇条、附則九項よりなつておりまして、本則におきましては、電気及びガスに関しまして、とりあえず失効前の旧公共事業令の全部及び電気事業再編成令の必要部分の内容と同一の法規制を行う旨を明らかにしたものであります。
附則におきましては、旧公共事業令に基いて、許可、認可等の処分を受けた者については、この法律に基いて許可、認可を受けたものとみなす等、この法律の施行に伴う必要な経過規定を置いたほか、今後の恒久法たる新電気事業法、新ガス事業法等の制定を慎重にするため、通商産業省に電気及びガス関係法令改正審議会を設置する旨を定めておる次第であります。
以上が簡単ではありますが、この法律の提案理由でありまして、政府といたしましては、もちろんこの法律をもつて電気、及びガスについて恒久的に規制しようとする意図ではなく、この法律の附則において示しました通り、今後通商産業省に法令改正審議会を設け、広く各界の学識経験者の参加を求め、慎重に審議を加えました上、新たな構想によりまして、電気及びガスに関する恒久法律を立案し、できるだけすみやかに国会に提出し、十分な御審議、御検討を願う所存でありまして、何とぞこの意を了とせられ、この法律につきましては、御審議の上すみやかに御可決あらんことを切にお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/12
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013・坪川信三
○坪川委員長 以上をもつて政府の提案理由の説明は終了いたしました。質疑は次会に行うことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/13
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014・坪川信三
○坪川委員長 次に電産、炭労スト問題に関し、政府より説明を聴取いたしたいと存じます。佐久石炭局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/14
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015・佐久洋
○佐久説明員 炭鉱のストライキ問題について従来の経過を御報告申し上げます。
炭鉱の交渉は中央交渉と、北海道、常磐、山口、九州というブロツクの交渉と、二つにわかれて従来交渉されておつたのであります。八月二十五日から十月九日までに十一回にわたりまして交渉をいたしたのであります。その交渉の内容は、労務者の賃金の値上げの問題、標準作業量問題、職員の給与の問題、基準外賃金の問題、協定期間の問題、主としてこういう問題についての交渉でございましたが、遂に交渉が妥結に至りませんで、決裂をいたしたのであります。
それで中央交渉をいたしておりました十六社につきましては、十三日と十四日の二日間ストライキをやりまして、その後十七日から、今日までずつと引続いてストライキに入つておるのであります。先ほど申し上げました地方のブロツクにつきましては、北海道の地区の一部は先月の二十七日、三十日、三十一日の三日間ストライキに入りました。常磐地区は二十七日と三十一日にストライキをいたしました。山口の地区は二十八日と三十日、九州の地区は二十七日と三十一日、おのおのストライキをいたしたのであります。このほかに炭鉱の組合系統といたしましては、日本鉱山労働組合系統のものがございますが、十月においてはその系統のものはストライキを実施しておりません。十一月に入りまして、中央交渉をいたしております十六社については、引続き今日までストライキを実施しております。北海道地区の一部は五日と六日、常磐地区が一日、山口地区が五日と六日、九州地区が五日と六日、こういうふうにストライキを実施いたしております。日本鉱山労働組合系統の、大手筋のものが九州において三日からストライキに入つております。
これによりまして減産がどの程度かと申し上げますと、十月分については全部を含めまして百五十六万トンほどの減産を来しております。十一月分も全部ひつくるめて申しますと、今日まで推定して二百六十三万トンほどの減産を来しておると思います。これについて需給関係にどういう影響を来しておるかと申しますと、これはお手元に資料がお配りしてございますが、ストライキ前の貯炭の状況は、本年度の上期におきましては、国内の生産は最初の見込み二千三百二十万トンを、大体達成いたしております。これに対して、国内の一般産業の伸びがそれほど大きくないのと、火力発電関係で豊水のために需要が減つたというような関係がございまして、九月末の貯炭は、坑所、港頭、市場を含めました貯炭が、二百六十八万七千トンでございます。そのほかに大口工場の手持の貯炭が四百五十二万トンございまして、合計して七百二十万トンほどの貯炭がございました。これを炭種別にいたしますると、お手元の資料のまん中ごろに書いてある通りでございます。ストライキが始まりまして、出炭が減少して、従つて貯炭を食うという結果になるのでございますが、十一月十一日の現在における貯炭の状況を推定いたしますると、大体坑所、港頭、市場におきまして二百二十万トン前後と思われます。そのほかに工場貯炭が、これも推定でございますが、三百八十万トンくらいじやないか、こういうふうに思われるのであります。それからお手元にお配りしました資料の二というところに書いてございますのは、今日までの減産の二百六十三万トンというのを炭種別に推定をいたした数字でございます。
そこで今後の炭の需給の問題でございますが、原料炭につきましては、大体現在の貯炭で、維持日数として一箇月半くらいのものがございます。だた特殊なガス部門の原料炭というものについては、やや貯炭の手持が少くなつておりますので、場合によりましては、他の産業との調整を行う必要があると思いまして、その準備をいたしております。下期全体の原料炭の見通しとしましては、場合によつて供給不足も考えられるのでありまして、これについては若干の輸入を、あわせてただいま準備をいたしておるところでございます。ガス発生炉用炭につきましては、大体上期の貯炭というものをすでに食いつぶしておりまするので、ただいまはストに加わらない炭鉱から出ているガス用炭で、ようやく食い延ばしをやつておるというような状況でございます。これにつきましても、五万トン程度の輸入ということを目下考えております。
このストが相当長引くということになれば、一番先に出て参りますのは、ガラスとか平炉部門における炭繰り問題でありますが、これの供給の面につきましては、輸入という手以外にはちよつと考えられませんので、工場の方においても、保安操業によつて貯炭を食い延ばすということを考えておるところでございます。大体今までの経過を申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/15
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016・石原武夫
○石原政府委員 引続きまして、電産のストライキの経緯を御説明申し上げます。便宜ごく簡単なものを資料としてお手元に御配付申し上げてありますので、その順で御説明させていただきたいと思います。
電産のストライキは、本年四月十四日に組合が基準賃金の改訂要求書を提出したに始まつておりまして、現行賃金一万二千八百六十八円に対しまして、本年四月以降二万五十五円という要求を提出したのでございます。次いで五月十六日に至りまして、組合は自主的な解決が不可能といたしまして、中央労働委員会に調停の申請をいたしております。これに対しまして、九月六日に至りまして、中央労働委員会は調停案を提示いたしております。その内容といたしましては、二十七年の十月以降基準賃金一万五千四百円という案でございます。この賃金の比較につきましては別の資料にございます。あとで計算をしていただきたいと思います。それから九月九日に、九月十六日以降無期限事務ストの指令を出しております。九月十日に組合といたしましては、調停案の拒否をいたしております。九月二十四日に第二次の、八時から十四時までの電源ストをやつております。
次に九月二十七日に至りまして、会社側も調停案を拒否しております。その理由は、調停案によりますと、年間約六十億くらいの人件費の増嵩を来し、会社の経理上困難だというので拒否をいたしております。十月三日以降七日、十一日、十五日、三次、四次、五次という電源ストを組合が実行しております。十月十八日に至りまして、電気経営者会議は、会社別の地方交渉に移したいという申入れをいたしておりますが、組合は受理いたしませんで、さらに二十一日に至りまして、第六次のストを二十一、二十二と続けまして、二十二日に至りまして電源二五%のストを初めてやつております。以降電源ストを二五%を最高としてやつておりますが、二十二日以後比率が二五%になつたのであります。十月二十三日中労委の中山会長は、労使双方を呼ばれて実情を聴取されておられるにとどまつておるようであります。二十七日に経営者は各社社長連盟で、地方別交渉に移すという通知をいたしたのでありますが、組合側はただちにこれを拒否したという状況であります。
次いで二十八、二十九日第七次の電源ストが実行されたのであります。この日も中山会長が労使双方を呼ばれて調停案を基礎として話合いをするようにという勧告をしておられますが、当事者双方とも意見を披瀝いたしませんで、交渉にまで至らぬ状況になつております。それから三十一日に再度労使双方を中山会長が呼んで、再勧告をいたしております。組合側は十一月一日に重点職場の無期限事務ストに入つております。それから十一月の四日に至りまして、中山会長はさらに労使双方を個別に招かれまして、調停案の検討を重ねて勧告をしておられます。それでこの際に組合側は統一賃金、統一交渉ということと、それから調停案を基礎として交渉するということについては、大体会長の勧告をいれております。これに対しまして会社側は、やはり統一賃金、統一交渉ということであれば、自分の方としては応ぜられないということで、このときの勧告におきましても、まだ両当事者間の交渉の段階まで達しておらないような状況でございました。それで六日、七日とさらにストが行われたのでございまするが、七日に至つて初めていわゆる停電ストと申しておりますスイツチを切つて停電を起す停電ストを組合側が実施いたしております。
以上が今日までの経過でございますが、一応予定としまして十一日にはさらに再度停電ストをやるということになつております。十二日には二五%の電源ストということが一応きまつております。さらに本日は、新聞等にも出ておりまするが、組合側としましては、今後十七、十八日に大口の工場を対象にいたしまして、四時間ずつの停電ストを実施する、十九日の午前八時から二十日の夜十二時まで、四十時間の二〇%の電源ストをするということを発表いたしております。
以上がごく概略のこれまでの経過でございまするが、別にお配りいたしましたのは、賃金の比較表でございまして、これは現行と、組合の要求と、それから調停案ということにしてわけて書いてございます。なおその下には、中央労働委員会が調停をされました調停案の前文、本文というようなものを御参考につけてございます。
以上のような経過でございまするが、政府といたしまして、あるいは通産省といたしまして、これをどう考えておるのかという点につきましては、今回の争議が両当事者の開きが相当大きく開いておりまして、なかなか簡単に折り合いません結果、ストが非常に長期になりまして、一般の需用者側に迷惑が及んでおることははなはだ遺憾に存じおりまするが、われわれといたしましては、このストの解決方法は、原則として自主的な解決が希望されまするが、なおそれが困難な際には、中央労働委員会に御尽力を願いまして、それによつてひとつこのストをできるだけ早く解決いたしたいということで、かねてから関係の事務当局が寄りまして相談をいたし、中労委の中山会長に従来から非常にたびたび御尽力を願つておるわけでありまして、現在のところ中労委の御努力にまつておる状況でございます。実は本日も午後から中労委で労使双方を呼び出されまして、さらにあつせんを続けられる予定になつておりまするが、現在までのところさような段階にあることを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/16
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017・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 ただいま炭鉱ストと電産ストについて政府委員からそれぞれ説明を承つたのでありますが、この問題は重大な問題であることは申上げるまでもありません。従つて私どもはこの二つの問題について質問をしようと思うのでありますが、その質問は、いずれも政府のこのストに対する根本的な解決への態度方針、あるいは通産大臣、労働大臣がその政府の方針に対してどのように対処してすみやかに解決をしようとしているか、こういう点をわれわれはお尋ねをしよと思うのでございます。従つて通産大臣、労働大臣の御出席を願わなければ、その重大な問題について質問をすることはできないのでございます。ついては先般も、本日両大臣の出席を求めることを委員長を通じて御相談をしてあつたのでありますが、委員長の方で大臣との交渉の状態をひとつ御報告願い、さらに本日出席できるものであるかどうか、この点をひとつ委員長からお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/17
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018・坪川信三
○坪川委員長 お答えいたします。ただいま伊藤委員から御質問になりました件につきましては、委員長から池田通産大臣に対して数回にわたり折衝いたしたのでありますが、本日午前から午後にかけまして閣議を開いておりますので、その閣議も予算閣議を開いているように承つております。従つてその終了時刻もかなり遅くなるようなことを聞いておりますので、大臣としてはぜひとも本委員会に臨んでいろいろとお答えもいたしたい熱意は持つているようでありますが、そういつた関係でこちらへ出席いたしかねる状況にありますので、この取扱いについては政府委員からの説明を終了いたしました後において理事会に諮つて協議いたしたいと委員長においては考えておつたのでありますが、今報告を受けたところによりますと、明日の午前十時ならば両大臣とも出席できるということでありますので、それらのことを勘案して、理事会に諮つて決定したいと考えておつたような次第であります。従いまして、伊藤委員の御発言は委員長としても、もつともだと思つているような次第でありますが、ただ御参考までに申し上げておきたいと思いますが、賀来労政局長が出席いたしまして、賀来労政局長からも御説明申し上げたいという意向を持つておりますので、賀来労政局長の説明を聴取いたしました後において理事会を開いて、その質疑の続行いかんの問題、明日の会議を開くという問題について御協議いたしたいと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/18
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019・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 他の同僚委員からどのような御意見等があるかは存じませんが、やはり政府委員からの答弁を受けておりますと、従つてそれは根本問題に伴つて大臣の答弁を求めなければならぬということが起つて来るのではないかと思うのであります。あるいは資料の提出であるとか事務的な問題になれば、政府委員からの答弁で満足できると思いますけれども、根本的な問題に対して質問をしようとすれば、やはり主管大臣の方針を聞かなければならぬということになると思いますので、これは私も質問をする一人でありますが、両大臣が御出席をされまして、大臣と質問応答を交換しながら、その間に政府委員がそれに答弁をするというようなことがきわめて能率的ではないかと思うのでございます。従つて私は明日午前中両大臣が出席をされて答弁をされるということであれば、その際ひとつ両大臣に答弁を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/19
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020・小金義照
○小金委員 賀来労政局長から説明をされることが簡単なものであれば、それをしてもらつて、今の大臣との質疑応答はあとで懇談したらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/20
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021・坪川信三
○坪川委員長 それでは賀来労政局長から説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/21
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022・賀來才二郎
○賀來政府委員 電産並びに炭労のストの状況につきましては、両局長から詳細御報告がありましたので、つけ加えて実情については申し上げることはございませんが、ただ労使関係につきまして扱つておりまする労働省といたしましての基本的な考え方と申しますか、それを一言申し上げまして、御了解を得たいと思うのであります。
第一は、いわゆる労働争議の処置に関しましては、占領軍がおりました間ほとんど最終的には占領軍の協力ないし圧力によりまして片がついておるのであります。これに対しましては労使双方とも不平と申しますか、不満を持つておりまして、使用者側に言わしめますならば、とにかくいつもその場その場の解決があつたがために、基本的な労働関係を正常なものに確立することができなかつた。労働組合側に言わせますならば、やはり労働者の生活の基本的な線を十分に維持することができずして、不満足な解決になつておるという意見があつたのであります。われわれ労働省といたしましては、その批判は別といたしまして、常に基本的にやはり一つの線を出して解決しなければならないときに、占領中でありました関係もございまして、占領軍がとられました処置はやはりやむを得なかつたと思うのであります。これはもちろん日本の経済状態が非常に弱体であつたということにあると考えるのでありますが、現状におきましても、やはり日本の経済状態は本格的に復興はしていないのでありまして、これに対しましては、それを考えに入れて処置をして行かなければならない。しかしながらこの際に独立後におきまする日本の労使関係のあり方につきましては、占領軍という一つの力がなくなつた状態下におきまして、何らか正常な一つの労使関係の処理の方法を確立と申しますか、漸次さような慣行の確立をはかつて行くべきではなかろうか。この行き方は、やはりできますならば労使の自主的な交渉で解決がつくというのが適当であつて、これに対しまして政府等の機関が争議にいたずらに介入することは適当ではないのであろう。もしもそれが片づかぬというふうな場合におきましては、やはり第三者の機関の決定を両者が尊重いたしまして、それでストライキに訴えずして、できるだけ問題を解決をして行くというふうな慣行の確立をはかるべきであつて、いたずらに法律で扱いましたり、あるいは法律の定めるところに従つて強権的な政府介入政策はとるべきでないというふうな考え方を基本的に持つているのであります。ところがその線は線といたしまして、一方公益事業及び公益事業に類するような石炭産業になりましたならば、その基本線だからといつて放任しておくわけには参らないと考えているのでありまして、この点につきましては、各省と常時緊密な連絡をとりつつ処置を誤らないようにという態度をとつて来ているのであります。
炭労の問題につきましては、現在まだ政府あるいは労働省といたしまして第三者機関の活動を求めるという段階には至つていない。問題はやはり三つありまして、一つは、このストの長期化によつて労働者の生活が非常にラフなものになりましたり、あるいは生活上非常に大きな痛手を負うようなことがあつてはならないのではなかろうか。第二は、保安、保坑の問題、これは炭坑の生命にも関する問題でありまして、これが正常な状態とは行きませんでも、まだまだ労使双方の協力によつて大体のところは保たれているかどうか。第三の問題につきましては、これはやはり一般の国民生活、あるいは日本経済界におきまする各種産業がどういうふうな影響を受ける状態になるかという、この三点から考えて行きたい。第一の労働者の生活の状態は常時注視をいたしておりますが、今のところはまだまだ平静な状態が保たれているようであります。保坑、保安についても通産省と連絡をとつておりまするが、まだまだ格別な応急的な措置を講じなければならぬ状態に立至つていないようでありますし、第三の石炭の需給関係につきましては、先ほど佐久局長から御説明したような状況でございます。しかしながら部分的に動いておる状況から見ますると、組合員でもだんだん困つても来ておりまするし、需給関係もやはり平衡を失うところも出ておるようでありますので、われわれ関係各省との連絡を緊密にいたしまして、ここ一週間くらいの情勢を特に重要視して注意をいたしたい。その上でやはり基本線は、なるべく強権の発動というふうなものは避けて行きたいが、しかし争議の解決に対しまして、政府は全面努力をすべきであるという考え方は捨てていないのであります。
電産につきましては、本日の状況は、いわゆる統一賃金、統一交渉というものと、それから各社別交渉、各社別賃金という労使の対立で参りましたものが、きのう、おとといの状況でやや情勢の変化があるわけであります。従いまして、あるいはきようあたりが一つの情勢の変化に即応して動くべき時期ではないかというふうな見方をいたしておりましたところが、本日の午後三時から中山中労委会長が努力をしてみようというふうな状況になつておりますので、大体われわれといたしましては、先ほど申し述べましたような基本的な考え方、すなわち一般の争議、あるいは特に公益事業の争議等におきましては、なるべく自主的な交渉によつて、もしそれができないならば、第三者の交渉によつてストライキをやらずして今後問題が解決される、しかも第三者の決定に対しては双方が十分尊重し、あるいは従うというふうな慣行の確立をはかるという線に従いまして、きよう、あすの中労委の活動の状況は非常に注視をし、これに対しできるだけ協力をして行きたい、かように考えております。しかしながら十七日から二十日までのストライキの状況を考えてみますと、やはり先ほど申しましたように、公益事業として持つております性格から見まして、これに対する影響はわれわれといたしましてもよく調べておかなければならないというふうな考え方からいたしまして、これにつきましては、各省と連絡をとりまして十分調査をいたし、その情勢に即応していつでも処置がとれるようなことを十分やつておきたい、かような考え方で進んでおる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/22
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023・坪川信三
○坪川委員長 本日はこの程度といたしまして、明十二日午前十時より開会いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101504793X00219521111/23
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