1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月二日(火曜日)
午後三時十分開会
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委員氏名
委員長 岩崎正三郎君
理事 城 義臣君
石坂 豊一君
鈴木 安孝君
西田 天香君
柏木 庫治君
駒井 藤平君
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委員の異動
十月二十四日委員鈴木安孝君及び石坂
豊一君辞任につき、その補欠として寺
尾豊君、佐多忠隆君及び大島定吉君を
議長において指名した。
十一月二十四日委員佐多忠隆君辞任に
つき、その補欠として河崎ナツ君を議
長において指名した。
十一月二十六日委員西田天香君及び岩
崎正三郎君辞任につき、その補欠とし
て野田俊作君及び三木治朗君を議長に
おいて指名した。
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委員長の補欠
十月二十四日岩崎正三郎君委員長辞任
につき、その補欠として大島定吉君を
議長において委員長に指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 大島 定吉君
理事
城 義臣君
委員
柏木 庫治君
野田 俊作君
三木 治朗君
駒井 藤平君
国務大臣
郵 政 大 臣 高瀬荘太郎君
政府委員
郵政政務次官 平井 義一君
郵政省郵務局長 松井 一郎君
郵政省簡易保險
局長 白根 玉喜君
郵政省経理局主
計課長 佐方 信博君
事務局側
常任委員会專門
員 生田 武夫君
常任委員会專門
員 勝矢 和三君
説明員
郵政事務次官 大野 勝三君
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本日の会議に付した事件
○調査承認要求の件
○郵政省の所管事項及び郵政省関係の
昭和二十七年度補正予算に関する件
○簡易郵便局法の一部を改正する法律
案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/0
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001・大島定吉
○委員長(大島定吉君) 只今から郵政委員会を開会いたします。本日は第十五回国会の初めての委員会でありますので、先ず郵政事業の運営、実情に関する調査承認要求書の件についてお諮りいたしたいと存じます。本件は従来も調査を行なつて来たのでありますが、今国会も引続き調査をいたしたいと思います。先ず調査の承認の要求書を簡單に朗読いたします。
事件の名称は郵政事業の運営実情に関する調査。調査の目的は、郵政事業の運営の適正を期し、その経営改善を図る。利益は、郵政事業の公益性と独立採算制の要求を適当に調整し、以て郵政事業のサービスの向上、事業財政の健全化に寄與すること。方法といたしましては、関係者より意見を聽取し資料を求めて、必要に応じて実地調査を行いたい。従つて期間は今国会の開会中に調査をしたい。こういうのが調査要求の実情であります。
以上のようなことに要求することに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/1
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002・大島定吉
○委員長(大島定吉君) それでは御異議のないものと認めましてさように決定いたしまして取計らうことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/2
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003・大島定吉
○委員長(大島定吉君) 次に郵政省の所管事項及び郵政省関係の昭和二十七年度補正予算について、政府より説明を求めたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/3
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004・高瀬荘太郎
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 私このたびの組閣に当りまして、郵政大臣を拜命いたし、当委員会において御審議をお願いいたします郵便、為替貯金及び簡易生命保険、郵便年金の事業をお預りすることと相成つたのでありますが、何分にも全く経験のない仕事でありまして、委員各位の御教示、御援助を得て及ばずながら事業の整備充実に努力いたす覚悟でありますから、どうか各位におかれましては、格別の御支援、御協力を賜りまするよう切にお願い申上げる次第であります。
本日は、最初の委員会開催でありまするし、前国会当時と委員のかたがたも相当お変りになつておりますので、この機会に事業の現況なり当面の課題につきまして極く簡単に御報告申上げておきたいと存じます。
終戦後、一時は社会状態、経済状態の混乱の下におきまして、郵便業務の正常運行は望めず、又貯金、保險事業におきましても、その増勢は極度に低下し、いずれの事業も前途全く暗澹たるものがあつたのでありますが、産業経済の復興、国民生活の安定、それに伴う従事員の勤労意欲の向上等、条件、環境が漸次好転して参るに従いまして、三事業共極めて順調な再建復興の途を辿り、昨今ではサービスの点におきましても、施設の点におきましても、どうやら戰前の水準近くまで漕ぎ付けたのであります。
然しながら戦前の最盛期に比較いたしますると、サービス、施設いずれの面におきましても遜色を免れないのでありまして、今後一段と事業の整備充実を図つて参りたいと考えている次第であります。
特に郵政窓口機関のない町村は、全国で約一千二百にも及び、その不便を訴え、郵便局の設置を要望する声が、非常に強いのでありまして、当省といたしましては、従来ともこれが実現には努力しているのでありますが、何分にも定員及び予算等の事情のため、思うに任せず、到底一般の要望を充し得ない実情にあるのでありますが、事情の許す限り、極力郵便局の増置に力をいたしたいと考えている次第であります。
次に、長らくの懸案であり衆参両院におきましても数次に亘り、御決議を頂きました簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用啓開問題でありますが、第十三回国会におきまして、「簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律」が成立いたしまして、六月二十五日、法律第二百十号を以つて公布を見両積立金の運用に関する基本法律が確立いたしましたことは、ひとえに皆様がたの御支援御協力の賜と衷心より感謝申上げる次第であります。
この法律は、昭和二十八年四月一日から実施されることとなつておりますので、これが実施のため、運営機構の一部を整備いたしますると共に、すでに郵政省令を以ちまして、運用上の細則を定めました融通規則を制定し、明年度を期して国会方面の御意見に副いへいよいよ運用の再開を実施いたすべく目下鋭意取運び中であります。委員各位におかれましては、今後共一層の御鞭撻を賜りますよう、懇願いたす次第であります。
次にお年玉つき年賀はがきについて申上げます。昭和二十八年のお年玉つき年賀はがきは、寄附金一円を附加いたしまして総数三億五千万枚発行することにいたし、すでに去る十五日から発売しているのでありますが、今回は昨年に比し、料金が上つておりますので、売れ行きの点について実はかなり心配していたのでありますが、いざ発売してみますると、需要が予想外に旺盛で、この分では三億五千万枚も完売できそうな情勢でありまして郵便料金収入の上に、所期の効果が期待できるものと喜んでいる次第であります。
なお、寄附金の一円は、昨年度同様に中央共同募金会と日本赤十字社に贈ることと相成つております。
最後に今次の補正予算につきましてその概略を申上げるごとといたします。
今回の補正予算は、本年十一月一日から実施予定の従事員の給與改善に伴う所要経費の追加を主体としたものでありまして、これを数学的に申上げてみますると、まず郵政事業特別会計におきましては、職員の給與ベースを三〇%引上げに要する経費が四十六億九千七百余万円、貯金業務における遺家族年金支給事務の増加、郵便業務並に電気通信業務における業務量の増加等に伴う経費六億四千三百余万円がその主なものであります。
これに対しまする歳入財源は、郵政固有業務の収入増と他会計からの繰入金の増加等とを合せまして、四十五億一千六百余万円となり、差引が八億二千五百余万円の歳入不足となるのでありますが、この不足額は、本予算で成立しました物件費予算等の節約をもつてカバーいたすことと相成つたのであります。
次に郵政貯金特別会計におきましては、給與改善等の所要経費の財源として郵政事業特別会計に繰入れる経費の増加が七億九千余万円、支拂利子の増加に伴う経費が四億二千八百余万円、これを合計いたしまして十二億一千八百余万円の歳出増加となつているのでありますが、この財源は一般会計からの繰入金の増加によつて賄うことと相成つている次第であります。
なお、簡易生命保険及び郵便年金特別会計におきましては、保険、年金業務要員のベースアツプに必要な経費の財源として、郵政事業特別会計に繰入れを要する額が五億三千九百余万円となつているのでありますが、この財源は、この会計の収入を以て賄うことにいたしているのであります。
以上をもちまして、簡單ながら私の御説明を終りたいと存じますが、なお御質問によりお答え申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/4
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005・大島定吉
○委員長(大島定吉君) 只今の大臣の御説明に対する御質疑は後に廻しまして、次に簡易郵便局法の一部改正法律案の提案理由の説明をお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/5
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006・高瀬荘太郎
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 只今議題となりました「簡易郵便局法の一部改正法律案」について提案の理由を御説明申上げます。
先に郵便事業経営の実態と窮屈な定員事情にかんがみまして、郵政事業の役務を辺ぴな地方にまで広めるため、特定郵便局制度に比べて一段と簡易且つ経済的な郵政窓口機関として、簡易郵便局制度を創設して昭和二十四年七月より実施し、爾来満三箇年を経過したのでありますが、この間、簡易郵便局の設置局数はおよそ千百に及ぶ実状であります。
而して簡易郵便局における窓口取扱事務は、現在、郵便、郵便貯金郵便為替、簡易生命保險及び郵便年金に限定されておりますところ、その取扱事務として、郵便振替貯金事務を追加することについて、利用者より国会を通じ或いは一般陳情等によつて熾烈な要望もあり、公衆の利便を図る上に必要と認められますので、簡易郵便局に委託すべき事務の範囲を拡張して、新たに郵便振替貯金を加えると共に、現在取扱手数料支拂月額の最高制限額を二万円に規定されているところ、取扱手数料は委託事務の取扱量に応じて支拂わるべきものであること、及び既往における手数料の実績にかんがみ、この際、取扱手数料の最高制限を廃止しようとするものであります。
以上が、只今議題となりました法案の内容でありますが、何卒十分御審議の上速やかに可決せられんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/6
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007・大島定吉
○委員長(大島定吉君) この際御質疑がありましたらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/7
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008・駒井藤平
○駒井藤平君 今大臣から説明ありましたこのうちで、私のちよつとお尋ねしたいのは、今回の補肥予算は十一月一日から実施される予定になつておりますが、この二〇%の増額、むしろこれは少額であると思いますが、せめてこれだけでも上げられたということは、これはよほど結構だと思います。従つてこれで満足せずに、この職員諸公が叫んでいることはこれは尤もだと私は考えるのでありまするが、もう一段思い切つて給與ベースを増額するということに取計らつて頂きたいと思います。大臣にそれを私は要望するものであります。
更に又越年資金でありますが、郵政省のあの門前を見ますときに、いろいろ賑やかな状態であります。この叫び方を見て、私は従業員の当然な叫びと考えております。と申しまするのは、由来郵政省の越年資金であれ、すべての給與ベースにしても低いのであります。従来ほかの各省の模様を見ますると、大抵二カ月以上要望している。郵政省のほうはただ従来通り一カ月でやつて来ている。そのすべての関係の給與の額から考ますると、各省より従来低いのであります。これは周知の事実であります。私もよく知つております。これは隣りの、管轄が今変つておりますが公社にした、この越年資金にいたしましても、今仲裁している額が一万四千七百五十円という額に達している。然るに親類同士の郵政省のほうは一カ月にいたしまして、すべての給與がこう低いのであります。従つてこれと比較すると六割ぐらい、即ち四割方低いということになると思うのであります。又各省から考えて見ますると、大蔵省にしましても建設省にしましても、すべて給與がいいのであります。こういうことは大臣はどういうふうにお考えになつているか。やはり一般従業員として各省並みに欲しい。これは人情であります。然るにこれは慣例のごとく郵政省に限つて低いということは、私どもよく承知いたしておる。従業員の言われるのは尤もだと私ども考えますが、無理な要望はこれはいけないけれども、普通の要望はこれは聞いてやらにやいけない。ただ郵政省は慣行的にこの程度でいいのだというようなことは、大臣として更に今就任された大臣としてお考えを願いたいと思うのですが、大臣としての御意向は、本年電電公社においては、仲裁裁定が一万四千七百五十円まで来て歩み寄りをするという意思を表示している、然るに郵政省では一カ月でおつ放すというようなことでは、これは理論が合わないし、又、他と考え合せましてもこれはかわいそうです。当然の要求だと私ども考えますが、大臣として如何にお考えであるか。御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/8
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009・高瀬荘太郎
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 只今駒井委員のおつしやつたように、現在の一般公務員の給與にいたしましても、郵政職員の給與にいたしましても非常に低い、生活が非常に因るということも私も全く同感でありまして、できるだけこれは引上げて行かなければならないと考えております。それで只今お話のありました電信電話公社の調停案との関係でありますが、電信電話公社のほうでは調停案はどうしても呑むことができないということで断わつたわけであります。それで組合のほうはこれを呑むということになりまして、今まで折衝が続いていると思います。ですから今のところでは郵政省の職員と電信電話公社との間には違いが出ない状況になつていると思います。ただこれからの折衝によりましてどういうふうになつて参りますかわかりませんですが、今のところはそう違いはないように思います。
もう一つ私が考えておりますことは、やはり電信電話公社というものが国営から公社に移されまして、民営的な色彩を深くして自主的な運営をさせよう、運営の自由をもつと認めて能率をうんと上げさせようという趣旨でできた形態でありますから、そういう形態の従業員と一般公務員としての資格を持つている従業員との間には、やはり違いがあることはこれは認めなければならないと思つております。実際問題としては、仕事の上では同じ尾根の下で電信電話公社の人たちも郵政省の人たちも働いているという事実があるのでありますから、その間にひどい違いが出て来るということは決して好ましいことじやありませんから、そういうことも無論考慮しなくちやならないと考えてはおります。そうして待遇改善の問題は誰も認めていることだと思いまするので、国の財政、又は一方でどうしても待遇改善と料金が関連して来るものですから、料金の問題、或いは将来の節約による能率改善の問題へそれらの事情をいろいろと考慮しながらできるだけ早く待遇の改善を進めて行きたい。実はこれが私の考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/9
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010・駒井藤平
○駒井藤平君 今大臣の御答弁によると、いろいろ考慮しているというお話、これは結構でありますが、つまり生活苦ということが表面に現われて来たこの現状に見て、よほど御考慮願いたいと思います。今越年資金に対して詳しい御説明はなかつたのでありまするが、これは一カ月ということに突張つておられるように考えておりますが、一般従業員は二カ月を要望している、こういう現状であります。本年から料金が上つて来た、収入が従つて増大して来た、こういう面から見ても、郵政大臣としては、やはり一方収入が多ければ真面目にやつている従業員の人たちに給與ベースの引上げはいいが、これは予算の都合上一遍に行かないという大臣の御説明は御尤もな点と私は思いまするが、これは漸次向上するというお考えを進めてもらいたい。同時に、今差追つている越年資金であります。これが収入は増大しているのに、一方そこに携わつている従業員の越年資金は前年並みに一カ月にしておいて、要望している二カ月にはとてもいかない、これを突放すということはよほど御考慮願いたいと思います。現に御親類の電通公社のほうは裁定案が出て歩み寄りすると私ども聞いておりますが、一方はそうなつている。一方は一カ月で突放すということじや、これは同じ屋根の下に働いている人の気持からして、よほどこれは工合が悪いと思います。前に申しました通りに、各省よりひどいのであります。これを一つお大臣お考え願いたい。同じ並みに毎年その通りに踏襲する、各省がもらえれば、同じ公務員、同じ従業員とすれば、これは同じ取扱いにまで上げてやるということの実現が私は望ましいのであります。越年資金に対してのお考えをちよつと更に開きたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/10
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011・高瀬荘太郎
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 越年資金という意味が、今きめられておりまする年末手当から勤勉手当、奨励手当と、そういうようなものを合せたものでお考えになつておられるのか、それ以外に何かをという点が問題でありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/11
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012・駒井藤平
○駒井藤平君 合せての考え方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/12
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013・高瀬荘太郎
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 政府の予算としましては〇・五の年末手当と〇・五の勤勉手当、これが一カ月、こういうことになつております。それ以外に奨励手当というものもあるわけなんでありますが、これはまあ予算のほうとも見合せて適当に決められると思いますが、私もできるだけは多く支給したいと考えてはおりますが、今のところはつきりどうということはわかりません。とにかくはつきり決まつておりますのは、その年末と勤勉手当で一カ月になる、これはまあ、どこもはつきりしておるのは、それだけなんでありまして、それ以上はまあ各省の予算の工合とか何とかでやるわけでありましようが、できるだけは考えてやりたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/13
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014・駒井藤平
○駒井藤平君 無論、私は越年資金といいますか、年末貸金といいますか、そのうちには扶養手当だとか或いは勤務地手当だとかいうものの増額も含まして頂きたい、こういうことを私は申上げるのですが、ただ單に正月や餅代という意味じやなくて、各扶養手当だとか或いは勤務地の手当だとかいうものがありますが、これは額を上げて行くことはでき得られると思うのですしが、これは更に大野次官にちよつと聞きたいのですが、扶養手当と勤務地手当の郵政省の振合いはどういうふうになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/14
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015・大野勝三
○説明員(大野勝三君) 只今お尋ねになりました給與の問題でございますが、御承知のように新しい制度ではすべての給與は法律に基かなければならないということに決められておりまして、お話のありました本俸は勿論のこと、扶養手当や勤務地手当にいたしましても、すべて法律に基いて現在支給に相成つておるわけでございますので、その点では金額、單価の問題は一般政府職員については全部一律にきめられております。つまりそういうもののなかつた昔におきましては、各省個個の予算事情によりまして凸凹の起ることは避け得なかつたわけでありましようけれども、新らしい制度になりましては、そういうことはすべて何と申しますか、統一されたということになつております。そこで先程大臣からもお答え申上げた例の年末手当の問題につきましても、予算もさることでございますけれども、法律でそういうふうにきめられますので、それだけを更に増額するという問題は、所詮国会のほうでどういうふうにお決めになりますか、この法律はおそらくすでに国会に提案になつておるのじやないかと思いますが、そのときの問題になることでありますけれども、行政府といたしましては国会でお決めになりました法律の準則に従つてすべて支給をする、こういうことに相、成るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/15
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016・駒井藤平
○駒井藤平君 今、次官の御説明の法律によつて支給する、これはわかり切つた問題であるが、今現在各省と変つておる点、それじや法律で制定されておれば同じ支給額であるということになれば、郵政省に限つて少いというわけはないのですが、実際に少い支給はどういうところから原因して来ておるかこの点なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/16
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017・大野勝三
○説明員(大野勝三君) お尋ねの御趣旨或いは私、間違えておるかもしれませんが、そういう扶養手当とか勤務地手当というものに関する限りにおきましては、各省通じて同一になつております。新制度の前は凸凹はございました。今日ではすべて均されておりますので、特に低いということはございません。全体に低い或いは適当でないというような問題はこれは別といたしまして、現実に支給されるものについては凸凹はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/17
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018・駒井藤平
○駒井藤平君 そうすると、越年資金は、それは法律によつて定めるのですか。如何な方法ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/18
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019・大野勝三
○説明員(大野勝三君) 法律によつて定められるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/19
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020・駒井藤平
○駒井藤平君 それじや私は考えを別口にして要求することにしましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/20
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021・柏木庫治
○柏木庫治君 さつき大臣の説明を承わりまして、すでに決定しておる運用資金再開については、はつきりと私は簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律が、四月一日から実施されることにつきまして、安心もし、喜び、この確定を確認いたしたのであります。これはきまつたことですからお尋ねせなくてもいいことでありますけれども、お尋ねと申しますことよりも、資金運用部資金法の一部を改正する法律案と、簡易生命保險及び郵便年金特別会計法の一部を改正する法律案が、議会解散とともに廃案になりました。私はこれが成立すると廃案になると否とにかかわらず、運用法は微動だもせないということは、大臣の説明を信じておるのであります。ところが嫌な言葉でいえば、犬の遠吠えと申しますか、そういうものを大事なもののごとくに考えまして如何に。すでに運用部が郵政省に移つたことに傷をつけようとするようなちよつかいが蠢動しておるといつたようなことも、これは噂でありますが聞いております。そういたしますと、或る一部の人が高瀬郵政大臣は性格が弱くて、そのちよつかいに心を労するのではないか、又少しは引つかかるのではないかというふうなことを言うた者があつたのであります。私は馬瀬郵政大臣とは五年半机を並べて同じ会派におりまして、殊に親しくしております。大臣は人間は温厚であつて穏かである、温厚と穏かを弱いと考えるようなものは大変な誤まりである。もともと学者であつて、学究人である。そうして非常な良識の持主である。だから政治家として悪い意味のはつたりをやつたり、けれんをやるような点においては、それは或いはそういうものをやらないでしよう。弱いと言えばそうあるかも知れないが、一たび郵政大臣の学究的頭と、良識とに、はつきりかくあらなければならない、かくあるべきものだという結論に到達いたしたときは、過去五年間緑風会でいろいろ問題があつて、高瀬さんがその信念の上がら主張を述べたときに、ほかの人の意見とか何とかいうようなことは余りおつしやらないが、自分の信念に向つては、断じて火にも焼けず、水にも溺れぬ。その信念を貫いて行くという点において、僕は五年半はつきり先生の人柄に接しこれを信じておる。そんなことを言う者は、穏やかであるということと、弱いということを間違えておるのであつて、断じて研究し究めた信念で、真理であると信じたときの遂行力は、それこそ右顧左眄するでなく、真理のために邁進し、殉じて行くところの、現代稀に見る純潔な学者であると言つたうほがいいかも知れない。その点においては、決して何人も心配することは要らん。僕は五年半の経験で動かすことのできない事実を、五年半この目で見ておるのだ。こういうふうに申しましてこの再開が、この法案が如何ような妨げをし、遠吠えに吠えられましても、遂行されて行く事実を確信いたしており、そう述べたのでありますが、私のこの見方と信念に対して大臣は、私の見方に誤まりありと思うところがありますならば、私も訂正いたさなければならんので、これは何かこの説明とも関連がありますので、一つ心境を伺わしてもらいたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/21
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022・高瀬荘太郎
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 簡易保險積立金、郵便年金積立金の運用の問題につきましては、お話がありましたように、又私から御説明申上げましたように、基本的な法律は成立をしておりまして、これを実施するについて必要な法律が不幸にして一度審議未了になり、そうして廃案になるという結果になつておるわけであります。私としては、あのやはり附属法分というものをできるだけ早い機会において大蔵省から提案をしてもらいまして、そうしてこれを成立さして、すつきりした形で運用をして行きたい、こういう考えを持つております。それに対して只今お話のような噂もかなり飛んでおりますし、又財界方面或いは地方の行政団体の方面等は又違つた意見を持つたりしておるということも聞いております。ですから私の言つたようなふうに、この二本はもうはつきり成立さして、すつきりした形で運用できるようにするについては、随分いろいろな困難がまだ起きるだろうと予想をしておるわけであります。その困難に対しましては、私としては無論自分の信念で、できるだけその間違いを解いて参りまして実行に邁進したいという考えで、大蔵大臣等とも実は話を進めておる段階にあります。併し今お話のありましたような点で、なかなか相当の故障、抵抗が起きるかも知れないということは予想されるのであります。私としてはできるだけそれを乗り越えまして、今言つたような方針で進んで行こうというつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/22
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023・柏木庫治
○柏木庫治君 私はこの簡易生命保險及び郵便年金の積立金の運用に関するすでに通つた法律案は、あとの二つの法律案によつて実際の運用においては妨げられるものではない、この二つが通らなかつたから、すでに通つた法律案が生命を失うのではない、さつきの大臣の説明の通りに、法律の改正によりまして、私はそれは、何か摩擦を起そうと思つておる者から言えば、何でもないものでも起されるのでありますが、そうでないものはなお起されると思いますけれども、それがためにすでに通つた、四月一日からその運用再開が強行できるものであると、こう信じておるのであります。それをスムースにやる上において、今大臣の言われたようにやつて頂くことを、是非それは大臣の努力によりましてやつて頂くことは結構でありますが、併し本体であるところのすでに通つたものには微動だもせないのだと、これが私のこの法律に対する見方なのであります。この点において今はもうお答えは頂戴せなくても結構でありますが、絶対にこの法律案が何ものにも妨げられず施行されるものだと私が信じておることだけを申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/23
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024・城義臣
○城義臣君 只今高瀬新大臣から郵政事業の現況並びに当面の課題についての御説明を伺つたのでありますが、その中で私は非常に驚いたのは、郵政窓口機関のない町村というものが全国で一千二百にも及ぶというようなことですが、これはまあ私かねてからいつも事務当局のかたにお願いをし、早くこういう不便を除くことによつて国民の要望に応えるべきであると、こういう主張を続けて参つておりますが、これはもうどこの町村へ参りまして見てもですが、非常に郵政業務に対する根本的な国民の私は訴えるだろうと思う。これについて、御説明によりますというと、障害となつている原因が二つ挙げられている。一つは定員、一つは予算、これはよくわかるのでありますが、私はこの二つの理由の中の一つの、定員の問題については多少御説明を承わらんというと、ちよつと納得ができないのです。本来定員というのは、現在の業務分量を基準として、いわゆるできるだけ科学的な業務分量に応じてそこに定員というものを査定をして、従つて新らしい業務が増加した場合には当然これは定員法本来の精神から育つてこれは増員するのが正しい考え方、尤もその場合に当然予算というものが絡んで来る。だから何も冒頭に定員及び予算というような言い方で御説明されるよりも、予算ということが私は重大な新設をするに際しての障害だと、まあ結論的にはそうなるのじやないかと思うのであります。他のどこかの説明の中にも定員のことが謳われておりましたけれども、当然国家の業務というものは、国税の収支によつて減ずるものもあれば増加するものも出て参ります。減ずるものに対しては当然定員法を改正いたしまして減じ、業務分量の増加したものに対しては増員するというのが立法の本来の趣旨ですから、私はこれは本来定員ということは理由にならないだろうと思うのです。要するにこれは予算だと思うのです。
そこでお尋ねいたしたい点は、新らしい企画として一体どの程度不足しておる千二百というものに対して新設なさるというようなプランをお持ちでいらつしやいますかどうか。その数字、或いは予算乃至は今後の企画等についての根本的な大体の御方針だけでも大臣から承わりたいと思います。
更に大野事務次官からそれについての積極的な御計画があればこの際承わつておきたいと思いますし、同時に我我として、郵政委員会のメンバーとして、そういう当局の御趣旨、或いは大臣の御決意に従つて、予算の面においても、従つてそれに関連する定員においても、私どもは協力して、立法府としての本来の職責を果したい、こういうふうに考えておりますが、どうか一つ大臣から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/24
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025・高瀬荘太郎
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 只今のこと全く御尤もであります。郵政当局としてはできるだけそういう不便を除きますために早く多くの郵便窓口を作りたいという考えを持つておることは勿論で、今度の実は組閣についての新政策の中にもこういうことを考えたわけでありまして、まあ私は就任早々でありましたが、郵政当局としては今まで持つておる考え方からいつてどの程度考えるかということを聞きましたが、郵政当局が考えておるのは非常に大きなもので、千五百ぐらい局を作りたいという計画のようであります。ところがなかなかそれをやるのには厖大な予算を必要といたしますので、すぐそれが実行できるということは困難であろう。併しその中でどの程度までやれるかということは、来年度の予算折衝によつてきめて行きたいと思つておりますが、実は今事務的な折衝をしておりまして、どの程度行きますか、まだ具体的には、はつきりいたしません。併し細かい点で何とか次官から計画について話をしてもらえれば、次官から申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/25
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026・大野勝三
○説明員(大野勝三君) ありようは、只今郵政大臣から説明を申上げました通りでございまして具体的の計画につきましては、只今来年度予算の問題といたしまして大蔵当局と事務的に折衝を進めておる段階でございます。私どもといたしましては、御承知のようにここ数年来新らしい窓口機関を置くことは殆んど不可能という状態に推移いたしておりますのに、一方国土の復興或いは郵便利用に対する需要の面等を考えまするというと、現状では決して満足しておるわけに参りませんので、何とかこの際、只今お話のありましたような線に沿うて一日も早くこの窓口機関の拡充ということに努力をいたしたいと存じておるわけであります。ちよつと具体的な数字は私覚えておりませんので、まあそういうことだけを、あまり補足にもなりませんで恐縮ですが申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/26
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027・城義臣
○城義臣君 次官は非常にその事務当局の責任者として御用心して御発言ですけれども、速記があるからといつて御遠慮は要らないと思います。もつと率直に、国民に、あり方、当局の方策をこういう機会にこそお述べ頂き、いわゆる国民大衆の協力ということが私は欲しいと思うのです。何も大蔵当局に隷属しておるものでは微塵もない。それがために国会に郵政委員会があるのですから、これは衆参共に私どもにもつと毅然たる態度でお話頂いて差支えないのじやないかと私はこうも考える。それからまあいわゆる独立採算という面に拘束されて、恐らくや新設の場合には相当の設備資金なり、まあ民間で言えば運用資金と申しますか、そういう点、相当の費用も要しましよう。が併し、実際に開局して運用する場合の收支バランスというようなことですね、こういうものなどが、当初はいわゆる赤字という形でしようが、いずれ非常に有望な土地であれば相当な利用者が窓口に殺到するということも考えられ、特にそういうことをやらんとすれば、そう長い間赤字でなくていいのではないか、多少赤字が軽くなるとすれば、本来の郵政業務の公共性を考えれば、当然国家がやるべき事業ですから、営利会社でないという観点からすれば、進んでこういうサービスの面をやることが重要だと思う。個々の庁舎を立派にするとか、或いは又いろいろの御苦心の点、私どもこの目につく点がたくさんあります。ありますけれども、やはり給與等でも十分待遇を改善し、ベース・アツプ等にも極力我我も努力して、従業員諸君のためにも盡したいということと同時に、先ほど大臣がお話になつたように、それは又一面、利用者国民大衆のほうが値上げということについてはね返りが来るということをあらかじめ考えなければなりません。かれこれ考え合せますというと、いわゆる声なき声という大衆の強い要望に対しては、我々が発言し、我々が要求しなくてはほかにないと思います。ですから、これは城個人の発言でなくて、その点は一つ腹蔵なく、御計画があるものならば……大蔵省とただ事務的に折衝するという御答弁では、私ちよつと納得行かないので、それとも案をお持ちにならなければいざ知らずですけれども、その点もう一つ重ねてお願いいたしたいと思います。次官にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/27
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028・大野勝三
○説明員(大野勝三君) 誠に言葉が足りませんで申訳ございませんでしたが、只今大臣から申上げましたような、郵便窓口機関のない村がまだ千二百もあるということを、一日も早くそういう事実のないように、窓口機関の普及を図らなければならんということは、まさに城先生のおつしやる通り、又国民全体からも相当強い要望があることもよく承知いたしております。ここ数年の間には少くとも窓口機関のない村というものはないようにしたいというような腹案で計画を進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/28
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029・城義臣
○城義臣君 それで私、それ以上申上げることは差控えますが、ただ適当な機会にこういう委員会等で、速記のないような場合に、腹蔵ない一つプランをお持ちだろうと思いますから御披露頂いて、ともどもに協力したいと思いますから、私は積極的に国民の声を取上げて、当局に、政府に協力する建前から、機会を改めて伺つて、もう一つはつきり五カ年計画なら五カ年計画、三年なら三年計画で行くというようなプランを承わつた上で、一つ具体的な、別な機会に国民に公表するとか、それだけの御決意をはつきりして頂きたいというようなことを要望して私の一応の質疑を打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/29
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030・三木治朗
○三木治朗君 郵便料金の値上げをした際に、私どもその当時委員をやつておりまして強く要望したのですが、料金の値上げをするからには、いわゆるサービス改善、いろいろな施設の改善等をやるべきであるということを申上げたのですが、郵便局のない町村の問題は、今お話に出た通り余り殖えておらん、この数字で見るというと、二十七年度中において百一の増加があつたようですが、二十五年度でも四百三十四も殖えておるという、こういう数字が示されておるので、要するに各町村、小さな村にも郵便局を置くということも、これ又一つのサービスであります。ところが料金を値上げしても余り殖えておらない。それから郵便局の建物が非常に荒廃している、或いは使用に堪えないようなものもあちこちにもある。又不適当な場所にあるものもあるから、それを直さなければならん。或いは新設しなければならん面もたくさんあつたと思う。そういう点はどうなつておるか、わかつておりませんが、結局大臣の御説明になつたように、この二〇%引上げたために要する経費が四十六億九千七百余万円ということになつておりますが、これはやはり郵便事務から得た收入でこれを賄うようにちよつと見えるのでありますが、そうすると郵便料金の値上げをしたということは、サービスの面に廻らないで、給與ベースのほうにばかり廻つてしまつたのではないかと感じがするのであります。なおこの最後のほうにある簡易保險と、それから郵便年金のために増加する額が相当あるのですが、これはまだ運用部の資金がこつちに戻らない限りは、これは大蔵省で当然負担すべきものと思うが、これは本予算で成立した物件費予算の節約を以てカバーするというような説明になつておるようでありますが、こういう工合に何か郵便料金を値上げしても、一向郵便事務の改善、進歩というようなものには余り役立つていないで、そうして何かどうも予算の圧迫と言いますか、大蔵省の圧迫でも受けていて、十分な活躍ができないような感じを受けるのですが、その点、私、間を抜けておつたので、詳しい事情はわかりませんが、もう少し納得行くような御説明ができたら伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/30
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031・高瀬荘太郎
○国務大臣(高瀬荘太郎君) 今までの事業運営の状況ですから、次官からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/31
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032・大野勝三
○説明員(大野勝三君) 誠に御尤もな御質疑と拜聽いたしました。先般郵便料金の改正を御決議頂きました際にも御説明をいたしたのでございましたが、当面には当時いわゆる郵政事業の独立採算制を確立いたしますためには、どうしてもその当時の料金ではつまりバランスがとれないという状態がございました。それまでは年々一般会計から相当の多額の赤字繰入れをしてもらいまして、やつと收支のバランスをとつておつたのでありますが、いつまでもそういうふうな形では、誠に事業運営の上におきましても都合の惡い面が出て参りますので、何としてもこの料金、独立採算ということ自体については、勿論、理論的にはいろいろ争いがあるわけでございましようけれども、とにもかくにも独立採算ということを先ず保持して、そうして本当に自主自立の精神を事業の経営の面にもしみ込ませて、サービスの改善向上に寄與したいということから料金を改正して頂きまして、そのお蔭を以ちまして今年度は初めて自前で収支のバランスがとれるということに相成つたわけでございます。そのお蔭はサービス全体の面を通じて見ますというと、確かに現われておると存ずるのでありまして昨今では尻上りのように、事故の比率とか郵便の正確度、到達の速度の問題、そういう点で改善のあとが見えるようであります。そういう点は実は余りぱつと世間の目につかないところでありますが、やはり郵便とか、貯金、保險にいたしましても、そういうような目につかない面にサービスの向上という実がかなりあるように存じております。併し勿論目に見える方面でも、例えば只今御指摘になりました郵便機関の普及、或いは局舎の改善ということ、そういうことも図つて参らなければなりませんので、局舎の改善ということもまだまだ完全の域に達しておりませんけれども、逐年改善されておるのが実情でございます。ただ郵便機関の普及の点につきましては、単に予算というばかりでなく、定員の面というものがどうしても付きまとつて参りまして、この定員の面も先ほど城委員からもお話がありましたように、仕事の量が殖えればそれに相応してそれを捌く人が殖えて行く、或いは仕事の量が減つて行くと、それに比例して人も減つて行くということが当然でなければならないというようなお説でございましたが、それはその通りでありますけれども、ここ数年の状況は、皆様御承知の通り、やはり全般的に政府職員の縮減を図るというような政府の方針がしばしばとられまして、そういつた際にはどうもやはりその理窟と、実際との何と申しますか、調和を図る場合に、ややそういう理窟が場合によつては或る程度犠牲にならなければならんというような、これはまあ実際面でございますが、そういうこともあり、現に事実の上におきましても定員はここのところ年々減る一方であります。殖えておりませんので、つい手が廻りかねる、まだその域に達しておりませんが、願わくば来年度におきましては、相当その間に事業量の増進と定員の減少するという両者の逆に向う傾向も、もう頂点に達しておるのでありますから、ここらで正道に戻して頂きたいということで、目下そのほうの計画を立てていろいろと折衝をいたしておるような状況でございます。そうして今度の二割のペース・アツプによりまして四十七億近くのお金が要ります。これは実はその料金引上げをして頂きまして、何と申しますか、一つの確かにこれはお蔭でそういうことがやつぱり自前でできるということになつておることは、これ又事実でございます。と申しますのは、料金を引上げました際には、今年度のいわゆる本予算におきまして、丁度あれだけの料金にして頂きますというと、収支吻合をいたしまして、全然一般会計の赤字繰入の御厄介にならないで済むという見通しであつたわけでございまして、当時といたしましては、その見通しが果して的中するか否か、つまり料金を上げますというと、どうしても当座は、郵便の利用は、かなり何と言いますか、圧迫をされる傾きがありますので、予定通り、見込みの通り利用があるかないかということについては、かなり心配をいたしておりましたが、事実はそれをいい方向に裏切りまして、裏切りという言葉は適当ではありませんが、とにかく事実は予想以上に利用が出まして、そのために今年度はかなりの黒字と申しますか、予定以上の収入を予想できる状態になりました。たまたま今度べース・アツプの問題が実施されるごとになりましたにつきましては、先ず予定以上の収入がなかつたといたしますれば、我々は又しても一般会計からの繰入れの御厄介にならなければ二割のべース・アツプも実行不可能であつたと思うのでありますが、幸いに今申しましたような事情で相当の黒字がありましたので、これを先ずベース・アツプの財源に引当てるごとにいたしました。いたしましたが、これのみでは足りませんでございました。足らず前が八億何千万かございましたが、これは実は本年の確か夏頃であつたかと思いますが、当時閣議決定を以ちまして、各省を通じてのことでありますが、いずれベース・アツプをしなければならない。そのときの財源にもというので、旅費とか、物件費の一部を自粛しようということが決められまして、もう前以てそれに充てるつもりで、出張旅費は抑えて行く、それから物件費も自粛をして行くということで、少しぐらい貯めておつたお金がございます。その貯めておつたお金をその足らず前に充てるというのがその八億何千万円かになつておるわけでございます。それで、もう一つ、少し細かくなりますが、打明けて申しますというと、大まかに言つて郵便と貯金と保険の三つの大きな事業が郵政省にあるわけでございますが、その郵便の仕事は徹頭徹尾自分の事業で上げた收入で以て支出を賄うという行き方をとつております。ところが会計といたしましては、郵政特別会計一本の中で郵便の仕事と貯金の仕事と保險の仕事をやつておるわけでございますが、そうすると郵便の仕事は、そういうふうですから、自前の収入で賄うわけで、これは問題はありません。貯金と保険は郵政特別会計でその仕事を扱うということは、つまり人件費や、物件費、両事業で要りますところの人件費や物件費を郵政特別会計で賄うということで、賄う場合にはその財源がなくてはなりませんが、その財源はどうするかというと、保險事業に必要なものは保険特別会計が別にございますからそれから繰入れる。又貯金のほうは貯金特別会計から繰入れる、こういうことになつております。そこで今度のベース・アツプにいたしましても、その保險事業、貯金事業にもつぱら従事いたしております職員の給與引上げに必要な財源は、それぞれの親会計から郵政特別会計に繰入れるということになります。それにはそれぞれの、まあ保険特別会計ですと、これは最近又非常に好調になつて参りましたので、このくらいの引上げに必要な財源を自分の会計から郵政特別会計へ繰入れるのは問題でございませんので、これは問題なく繰入れられる。ただ貯金は、これは大臣の説明にもございましたように、もう一杯々々の、特別会計とは言いましても、一杯々々の実は会計をやつております。と申しますのは、只もちよつとその点がおかしいのじやないかという御指摘であつたように思うのでありますけれども、郵便局で集めました貯金は、これは全部一括して大蔵省の資金運用部に預け入れまして、預け入れますというと、これは三年のものとか、五年のものということにいろいろ違いはございますけれども、五年以上預け、据え置きにいたしましても五分五厘にしか廻らない一わけであります。最近今年に限つて六分五厘と一分引上げておりますけれども、それにしましても六分五厘という利子を附けて、その利子の範囲内であの郵便局の貯金や為替の仕事を全部やつて行くのにはどうしてもんかなか引合わないわけであります。本当に一杯一杯で、やつぱりどうしても多少資金運用部から足らず前を貰わなければならないというので、少し今年は貰つておるのであります。いわんや今度のベース・アツプに必要な財源を貯金特別会計から郵政の特別会計に入れるということには参りませんから、これも多少一般会計のほうから繰入れて貰つております。併しこれは少し言い過ぎになるかは知れませんが、別に不義理なこともないと、かように考えておりまして総体に申しますというと、料金是正をして頂きましたお蔭で予想以上の收入があり、そのお蔭で又今回の二割のベース・アツプには大してほかに迷惑をかけないで自前でやれたというのが実情に相成つておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/32
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033・三木治朗
○三木治朗君 御説明はよくわかるのですけれども、要するに郵便料金の値上げということについて我々の考えておつたこととちよつと違うのです。それというのは、要するに料金値上げによつて、公共事業であるこの郵政特別会計に対して政府が赤字補填をしておつた。これは当然だと我々は思うのです。そこで料金値上げしたことによつてこの郵政事業がだんだん立派なものになつて行くのだということに期待を持つて、我々は料金値上げをした。ところが独立採算制といううまい名前のもとに料金値上げによつてやつて行く。政府は面倒を余り見ないというのであつては、この日本の戦争のために荒廃した郵便事業が昔にも増して立派な近代文化の郵便事業として恥かしくないものにして行くということは、これは非常に前途遼遠だということになると思うのです。その点について当局としては、立派な日本の郵便事業というものを世界に恥かしくない郵便事業というものにする方途がありや否やということを伺いたいのですね。そうなると……。
それからもう一つは、ちよつとこれは参考に伺つておきたいのですが、航空郵便のほうは相当成績が上つておるのですか、どうですか。それをちよつとお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/33
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034・大野勝三
○説明員(大野勝三君) 前段にお話になりました点は全く私どもその通りと拜聽いたします。独立採算、ただこれが合えばいいというものではないと考えます。ただ独立採算になりますというと、もう今度は例えば只今お話のありましたように、局舎の改善というようなことにつきましても、必要な資金は堂々と公債を発行し、或いは利子を拂つて借入をするというようなことも話がよく通ずるようになりまして、現に今年から公債も少しではありますが、出しまして、局舎改善なんかやつております。それは一例でございますが、全体としてのサービスの向上によつて国民の皆様の御期待に副うようにする、これは絶対の目標であり、使命でなければならんと思います。最近ではむしろアメリカあたりの郵便のサービスよりは、日本の水準のほうが大分高くなつておるのではないかとすら私は考えておりますが、まだ無論理想のレヴエルに達するには遥かに低くございますので、更に努力をして参りたいと考えておる次第でございます。
航空郵便の点は、実は現在まだ国内では……お尋ねは主として国内の航空郵便と存じますが、国内郵便料金は幹線が一本しかございません。で、利用の範囲が狭うございますので、これはまだまだいわば未発達揺揺籃時代と申上げたほうがよろしいかと思います。併し運輸省のほうの御当局で、だんだんあの一本だけの幹線でなしに、国内の相当の方面に枝線を出すような計画もあるやに承知いたしております。そういうようなものができて参りますれば、又利用の点もうんと改善されるのじやないかと期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/34
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035・大島定吉
○委員長(大島定吉君) 本日はこの程度で散会いたします。
午後四時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101515256X00119521202/35
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