1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年七月二十日(月曜日)
午前十一時十六分開議
出席委員
委員長 稻村順三君
理事 大村 清一君 理事 高橋 等君
理事 八木 一郎君 理事 上林與市郎君
理事 鈴木 義男君
江藤 夏雄君 津雲 國利君
永田 良吉君 長野 長廣君
平井 義一君 船田 中君
宮原幸三郎君 高瀬 傳君
粟山 博君 神近 市子君
島上善五郎君 冨吉 榮二君
中村 高一君 濱地 文平君
辻 政信君
出席国務大臣
国 務 大 臣 塚田十一郎君
出席政府委員
総理府事務官
(調達庁総務部
長) 山内 隆一君
行政管理庁次長 大野木克彦君
総理府事務官
(行政管理庁管
理部長) 岡部 史郎君
総理府事務官
(行政管理庁監
察部長) 山中 徳二君
厚生事務官
(医務局次長) 高田 浩運君
運輸事務官
(大臣官房長) 壼井 玄剛君
委員外の出席者
総理府事務官
(行正管理庁監
察部調整課長) 米川 健夫君
運輸事務官
(中央気象台総
務部長) 北村 純一君
運輸技官
(中央気象台
長) 和達 清夫君
専 門 員 龜卦川 浩君
専 門 員 小關 紹夫君
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七月十七日
委員堤ツルヨ君辞任につき、その補欠として西
村榮一君が議長の指名で委員に選任された。
同月十八日
委員帆足計君辞任につき、その補欠として島上
善五郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十日
委員牧野寛索君及び松田竹千代君辞任につき、
その補欠として宮原幸三郎君及び濱地文平君が
議長の指名で委員に選任された。
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七月十七日
軍人恩給復活に関する請願(柳原三郎君紹介)
(第四四九一号)
同(淺香忠雄君紹介)(第四四九二号)
同外三件(木村武雄君紹介)(第四四九三号)
同(木村武雄君紹介)(第四五七九号)
同(早稻田柳右エ門君紹介)(第四五八〇号)
同外三件(佐瀬昌三君紹介)(第四六三七号)
金鵄勲章年金復活に関する請願(武知勇記君紹
介)(第四四九四号)
公務員の給与改訂に伴う恩給改訂に関する請願
(坂田英一君紹介)(第四四九五号)
増加恩給並びに傷病年金復活等に関する請願(
高瀬傳君紹介)(第四四九六号)
同(早稻田柳右エ門君紹介)(第四五八七号)
戦没者遺族に公務扶助料支給に関する請願(田
中久雄君紹介)(第四五五四号)
傷病恩給等に関する請願(鈴木義男君外一名紹
介)(第四五八二号)
拘禁中の戦犯者に対する恩給権復活に関する請
願(早稻田柳右エ門君紹介)(第四五八五号)
戦没者遺族の公務扶助料復活に関する請願(早
稻田柳右エ門君紹介)(第四五八六号)
同(早稻田柳右エ門君紹介)(第四六七三号)
戦没者遺族の公務扶助料の復活等に関する請願
(早稻田柳右エ門君紹介)(第四六三八号)
の審査を本委員会に付託された。
同月十八日
戦没者遺族に対する恩給法による公務扶助料の
復活に関する陳情書
(第九二八号)
青少年問題協議会設置法制定促進に関する陳情
書
(第一〇〇一号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(
内閣提出第一二一号)
行政管理庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一五〇号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/0
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001・稻村順三
○稻村委員長 これより内閣委員会を開会いたします。
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案を一括議題とし、その審査を進めます。質疑の通告があります。鈴木義男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/1
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002・鈴木義男
○鈴木(義)委員 一応行政監察について今度の法律で強化することになつでおりますが、念のためにどういう点々強化するのであるか、提案理由の説明にあつさり述べておられますけれども、もう一度お伺いをして、それから質問をして行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/2
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003・塚田十一郎
○塚田国務大臣 監察を強化するという考え方は、第五次吉田内閣の組閣後、私が総理から強く指示を受けた事柄でありまして、私もそのつもりで今までのやり方、それから現在どういうぐあいにやつているかということの調査をいたしたのであります。ぜひこれを強化しなければならないという考え方は私もしごく同感であり、そのように努力したわけでありますけれども、いろいろ調査をいたしてみますと、ただ強化するということはたとえば人間をふやすとか、予算をふやすとか、そういうことだけでは強化はできないのであつて、要するにやる人間が本気でそのつもりになり、そしてまたそれだけの素養を持つてかかるということ下ないと、ほんとうにはできない。かえつて法的権限を強化して、法的に力を強くするだけということになると、私としてはマイナスの面が出て来るというような気分も若干考えられましたので、そういうことをいろいろ考えました結果、とりあえず今度御審議願つております程度に一応法的措置をいたしまして、あとは現実にやる面でいろいろとやり、人間の訓練をいたしましたり、そういうことによつて監察を強化して行こう。しかしこれだけで十分行えるとは、私は決して思つておりませんので、なお詳細検討いたしてみますと、現在各省の監察機構、行政管理庁の監察機構、それから会計検査院の検査機構というように、三本立てになつておりますものを、どういうぐあいに統合するか、かりに統合しないにしても、相互の間の調整をして、監察を受ける者の側からも非常な混乱のないようにということを考えてみますと、これはかなり本質的に考えなければならぬ面があるというように感じましたので、それは今考えております機構改革の一環としてやる方が適当じやないか、そういうように考えまして、かたがた今度は最小限度の法的措置をいたしました。こういうように御了解願いたい。
今度の法的措置の基本の考え方は、行政管理庁が監察の機構をつくりましたのは、御承知のように、昨年の八月から非常に積極的にやつて来たわけであります。当時、今まで経済調査庁におりました人間を、全面的にそちらに持つて行つてやりましたので、いろいろな行きがかりがありまして、設置法においては、各省が持つておる監察の権限ほども、行政管理庁の監察部には与えられていない。そこで第一段階に、各省の監察機構が持つておるいろいろな権限と同じように、部内監察をする権限を行政管理庁に持たしてさしつかえない、こういう構想で、この案ができておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/3
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004・鈴木義男
○鈴木(義)委員 何か非常に弱々しいお考のようであります。将来もつと根本的に改革するときに考える、それならば、むしろそのときに、もつと根本的に考え直してお出しになる方がよいかと思われるくらいに、微温的なもののように見受けられるのです。これは非常にむずかしい仕事であるとわれわれも考える。しかも非常に大事な仕事である。今仰せられた会計検査院とか大蔵省も、ある程度の監察権を持つておる。それから監督と監察というものを、どう区別するかということも問題でありますが、非常に広い意味で監察も含めて、私は監督という言葉を使います。そこで、行政管理庁というりつぱな役所があるならば、これらのものをもつと総合的に監察をする機構を、この際お考えになるべきでなかつたかと思う。その点について、どういう考慮を払われたか。少くとも将来根本的なものを考えるとしても、今出された案について、そういう点についての調整という言葉が使つてありますが、どういうふうにお考えになつているかを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/4
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005・塚田十一郎
○塚田国務大臣 先ほども申しましたように、監察というものは非常に大事であり、どうしても徹底してやらなければならぬと思うのであります。ただ監察を徹底してうまくやりまして、効果を上げますためには、法的措置だけでは足りないのであり、むしろ法的措置よりも、やる人間の心構えと能力に重点があると考えておりますので、機構や機構の持つ法的権限というものだけでは問題は片づかない。そういう問題で片づくならば現在すでにある各省の自己監察の機構、あるいは会計検査院の機構——ことに新しい憲法のもとにおける会計検査院は、常時検査ができることになつておりまして、国務の遂行中にも、検査をしようと思えばできることになつておるわけでありますが、やはり効果は上つておらない。問題は、法律措置や機構の問題にあるよりも、むしろやる人間の問題である。会計検査院の院長に、私が行政管理庁長官を拝命した以後において、ちよつといろいろな考え方を伺つてみたのでありますが、やはり会計検査院も同じような悩みを持ち、終戦後急に人間をふやして、非常に能率が上らないで弱つておる。しかしようやくここ数年、訓練を経て、検査機構というものがやや自信の持てるようになつたと言つておられる。今まで経済調査庁から全然違つた仕事をしておつた人間を持つて来て、つくつた監察機構というものが、ほんとうに効果を上げ得るためには、やはり若干の期間をかしていただいて、人間を訓練しないといけない。そうでないと、人間が十分訓練されておらないときに、法的な権限や何かをよけい与えるということになると、むしろ逆効果を起して、かえつてマイナスの面がよけい出て来る危険があるのではないか。そういう法的な措置や機構の問題は、そう急にやらぬでもいい。むしろ今の状態で、この程度の措置をしておいて、人間をつくつて行くということに重点を置くべきである。こういうふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/5
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006・鈴木義男
○鈴木(義)委員 人の問題が一番大事だということは、われわれもよく承知いたしておるわけであります。その点についての何かの構想がなければならぬと思う。ただ普通の行政官吏が監察をするということであれば、大した権威も持てないわけです。何か裁判官のような、身分の保障のある機関が、その任に当たるというようなことで、初めてできるのです。会計検査院のごときは、そういうものをある程度持つておると思う。そういう点について、御考慮になつたかどうかということを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/6
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007・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは本格的にものを考えるときには、確かに考えなければならぬ問題の一つだと思うのであります。ただ会計検査院や裁判官などの持つておるような特殊な権限を考えるということになると、これはかなり法的にも問題があるのではないかと思います。なぜかと申しますと、検査院や司法機関というものは、一応外から問題を見ておるという考え方であり、行政管理庁の場合には、一応各省とは独立はいたしておりますけれども、やはり行政内部の自己監察の機関であるという考え方でおりますので、そこまで独立した権限を持つてやるということまでは行かないのではないか、そういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/7
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008・鈴木義男
○鈴木(義)委員 国会における監察機関、たとえば行政監察委員会のようなものがありますけれども、そういう点については、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/8
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009・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは国会が独自のお立場で行政のやり方をごらんになるのであり、私どもとしましては、それとは全然無関係に、自分のやつた仕事——ことに国務が非常に厖大複雑になり、国費も非常に多額に上つておるのでありますから、ついうかうかとやつておるうちに、気がつかないでロスを起しておるということもあり得るのですから、それの自己反省の機会を得るというような意味において、監察部が動くというように御了解願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/9
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010・鈴木義男
○鈴木(義)委員 監察の対象についてお伺いをいたしますが、監察をするについて一番大事なことは、国費がむだに使われておらないかどうかということである。ことに国費が濫費されておるという非難は至るところに聞くのです。どういう点に重点を置いて監察をされるのでありますか。国費の節減ということは、こういう機能の一番大切な任務だと思います。そういう点について承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/10
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011・塚田十一郎
○塚田国務大臣 国費の濫費といいますか、要するに国費が効率的に使われておらないという面は、私の感じでは、国政の全般にあるのではないかという感じがいたします。むだな人間を使つておるという意味において、人件費のむだもあるでありましよう。ただ、今限りある機構と人数で、まだ十分訓練されておらない機構でもつて、できる限度というものは、おのずから限られておるものでありますから、ことしはとりあえず、非常に問題になつている公共事業費や、国から出ておる補助金や、そういうものに重点を置いて調べたらどうかというように、実は考えておるのであります。ことに私が最近非常に心配をいたしておりますのは、先般の凍霜害のときに、国会で御承認になつた予算であります。あれについて、大蔵省側からも、被害の査定が甘かつたというような御意見があり、かたがた心配をしておりましたところが、ある地方で、私の方の支局から出て来た情報によりますと、凍霜害の被害面積というものが、農林省の出先機関と、その府県の養蚕連の調べた数字が、約倍ぐらいの、一方が百二十五町歩、一方が二百二町歩か三町歩ぐらいというふうに、査定のやり方が違つておる。こういう面もやはり気をつけて見なければならぬ。概して補助金や公共事業費などに金額も多うございますから、むだが多いのではないか。とりあえず、ことしはそれに重点を置いて調べたらどうかということで、今やつて参つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/11
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012・鈴木義男
○鈴木(義)委員 それは確かにお言葉の通りであります。次に国の経費のうち、政府機関の運営費とでもいいますか、そういうものは、比較的わずかなパーセンテージしか占めていないが、いわゆる産業振興費とでもいいますか、補助費というふうなものが、全予算の二〇%も占めておる。これらの監察というものは、非常に大事なことであると思います。つまり公共企業体の経理あるいはいろいろな公庫、金庫、その他政府の支出をいたします向きについての監査というものも関連して考えなければならぬと思います。そういう点について考慮が払われておるように見えない。むろん法律的に多少の疑義もありましようけれども、この際これを解決して、そういう方面の監査に力を注ぐべきではないかと思うのでありますが、いかがでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/12
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013・塚田十一郎
○塚田国務大臣 この点は私もまさに同感なのでありまして、これは何とか考えなければならぬのじやないかと思つておるのであります。ただ今の行政管理庁のあり方からいたしますと、行政の内部の自己監察という考え方に立つておりますので、そういうぐあいに一応行政機関とは別になつておるものには監察を及ぼさないという考え方で実はおるわけであります。従つて、公共企業体などは、それぞれの監督官庁の行政監察を契機として、それを監察するのに必要な範囲において公共企業体にまで及ぶというようになつておるわけであります。それから公共団体の場合でも、自治庁の監察という考え方から、それを機会に地方公共団体まで行くというようになつておりますので、理論的な考え方としてはどうかと思われる面がそこに確かにある。国から出資、投資をいたしておりますいろいろな各種の金融機関、あるいはまたそのほかにもかなりロスがあるということは私どもの耳に入つておりますので、これは今後行政監察というものを考える場合には、十分考えなければならない。しかしもしそこまで及んで行くということであれば、行政監察というものの考え方、それから行政管理庁のあり方というものが、多少観念的にかわつて来なければならぬのじやないかというように実は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/13
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014・鈴木義男
○鈴木(義)委員 観念的にかわるということは承知いたしております。かわるものはかわらせてもやはりやるべきであるというふうにお考えにならなければ、実は監査が徹底しない。それをひとつ十分に考えていただきたいと思います。
それから公共企業体やその他政府が出資あるいは補助する事業に対して、会計検査院なり、大蔵省なりがどういう監督権を持つておるのか、また実際に十分監査をしておるかということを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/14
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015・山中徳二
○山中(徳)政府委員 お答えいたします。会計検査院は、御承知のように、主として決算を確認するという意味におきまして、国の支出に関係いたしますこれらの事項につきまして検査をするのでございます。国が出資しております会計等についても検査をするということになつておるのであります。大蔵省が実施いたしております予算面の検査につきましては、会計法第四十六条の規定に基きまして、予算の執行の適正を期することのために、関係の機関に対しまして調査を実施するということになつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/15
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016・鈴木義男
○鈴木(義)委員 もう少し具体的にお答え願いたい。たとえば大蔵省がどういうふうなことをやつておるのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/16
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017・山中徳二
○山中(徳)政府委員 会計法の第四十六条の第二項に「大蔵大臣は、予算の執行の適正を期するため、自ら又は各省各庁の長に委任して、工事の請負契約者、物品の納入者、補助金の交付を受けた者(補助金の終局の受領者を含む。)又は調査、試験、研究等の委託を受けた者に対して、その状況を監査し又は報告を徴することができる。」となつております。大蔵省は地方に財務局、財務部という出先機関を持つておりまして、この機関が定期的に国の支出の項目につきまして調査を実施いたします。主として、補助金等につきまして調査をいたしますほかに、随時適当な項目を定めまして、全国的にその機関を使つて会計上の調査を実施しておる。たとえば公共事業の実施の状況でありますとか、あるいはまた財務部の仕事としては、地方の予算編成上の資料として市場消費というようなものを調査するとかいうようなやり方で調査をいたしておるというような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/17
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018・鈴木義男
○鈴木(義)委員 それならば、会計検査院については特殊の任務がありますから、多少の重複を避けることは理由があると思いますが、行政管理庁が主としてそういうことを任務としておる役所として存在する以上、管理庁がもつと有権的にそういう監査に当るという点で、少くとも統一的な構想をお持ちになるべきではないかと思うのでありますが、いかがでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/18
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019・塚田十一郎
○塚田国務大臣 考え方としては、行政監察の機構というものを考えるときに、その点は確かに考えておかなければならないと思います。今のようにばらばらになつておりまして、大蔵省が一応金を出すという建前から、金を出した先の監査をしておるということでは、やはり本来の仕事からはまた別の仕事になるものでありますから、力の入れ方も、注意力の届き方も違う。従つてそういう仕事を専門にやる機構があつて、その機構にそういう仕事を全部やらせてしまうということの方が私はよいのではないかというふうに考えております。そういうことになりますと、大蔵省だけではなしに、各省に分散しておる監察機構もそういう考え方から来れば一本にまとめて、専門的に行政監察の機構で内部監察をやるというふうにする方があるいは効率的ではないかというような考えは確かにあるわけでございます。何にいたしましてもそういう問題は本質的にかなり大きな改革を伴う問題でありますので、やはり何か大きな改革をいたしますときに一緒に考えませんと、混乱ばかり多くして実効が一向上らないというようなことも考えられますので、一応構想としては持つておるのでありますが、今回は考えなかつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/19
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020・鈴木義男
○鈴木(義)委員 今度出されました改正案の第四条六項によりますと、「長官は、監察上の必要により、公私の団体その他の関係者に対し、必要な資料の提出に関し、協力を求めることができる。」ということになつておるわけです。非常に弱い規定の仕方で、協力を求める、私は協力できませんと言えばそれまでなんですが、なぜこれを義務づけるようにもつと強力なものになさらないのであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/20
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021・塚田十一郎
○塚田国務大臣 先ほども申しましたように、行政監察というものは行政機関の内部事務の自己反省という考え方でありますので、それによつて民間団体や、それから一応政府とは別のものになつております公共企業体その他に対して、行政機関の内部に対してやる監察と同じようなやり方をするということは、考え方としては多少無理があるのじやないか、そういうように考えて、今の行政監査というものの考え方からこういう考え方が出て来たわけなんでありまして、御承知のように、これは協力してもらえなければできないということになつておることはまさにその通りでありますが、まあこの程度でできる程度以上行つたら、むしろほかの方面から行き過ぎというものが起きて弊害を起しはせぬか、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/21
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022・鈴木義男
○鈴木(義)委員 どうもそういうことでは、公共企業体に対する場合でも、その主管官庁に協力を求める。これも協力が得られなければそれまでだ。そういう場合の保障か何か考えられなければ、この種の監察というものがむずかしいことになつて来る。検事がやる仕事とは言いませんけれども、相当な強力なものでなければ実効を奏さないと思う。その点について政府としてもう少しお考えになつてしかるべきであると思う。やり方が非常に困難だからということは理由にならないと思うのであります。それから大蔵省は少くも私の理解するところでは、先ほどの御説明でも、ある程度の強権をもつて監査することができるようでありますが、大蔵省がその権限を持つているならば、行政管理庁もその権限を持つてさしつかえないのであり、持つべきである、こう思うのですが、いま一度その点をお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/22
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023・塚田十一郎
○塚田国務大臣 それは先ほども申し上げましたように、大蔵省と同じ権限だけは今度の改正で持てるようになつておるわけなのであります。なお詳細の点は政府委員から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/23
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024・山中徳二
○山中(徳)政府委員 規定の表現といたしまして、大蔵省の規定にございます会計法四十六条によりますと、「監査し又は報告を徴することができる」ということになつておりまして、私の方の行政管理庁の設置法におきましては、公共企業体や監査を受けますものの対象につきましては報告を求めることができるという、同じ表現になつておるのでありますが、御指摘のありましたような一般の第三者同士の公私の団体その他の関係者に対しては協力を求めることができるということで、規定の表現がかわつておるわけでございます。民間の機関に対しまして調査することができるということを書いてございましても、他にこれを強制いたします罰則規定等がございませんければ、しよせんこれを強制することが——強制しまして、罰則を適用してまでやるということはできないわけでございますので、私どもの行政監察といたしましては、ただいま長官がお答えいたしましたように、行政機関が監察の対象でございますので、一応その他の関係者に対しましてはよく行政監察の趣旨を理解していただきまして、そういう趣旨で、国の行政機関の監察が目的を達するということが、非常に国費の節減、行政運営の改善ということになるのであるから御協力を願いたいという意味合いのことで説明をいたしまして、協力を求めるということにいたします方が、この監察の建前から適当であろうかと考えまして、あえて現行の規定のままにいたしたのでございます。ただその調査の対象になつております機関につきましては、あるいは地方公務員といたしまして、あるいは公共企業体等の職員といたしまして、これらの職員につきましては法令に従つて業務に従事しなければならぬということになつておりますので、こういう機関に対しましては協力を求めることができるという表現よりも、やはり調査することができるという強い表現にした方が適当であろう、こういうふうに考えまして、一般のその他に関係者に対しましはできるだけよく監察の趣旨を申し上げまして協力を求めたい、こういう意味で形容いたしたことを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/24
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025・稻村順三
○稻村委員長 鈴木委員に御了解を得たいと思いますが、塚田国務大臣は郵政委員会で採決に先立つ総括質問に呼ばれているとの申出がありますので、大臣に対する質疑を次会に保留するよう御了承を願いたいと思います。政府委員に対する質疑はございませんか。
午前中の会議はこの程度にとどめ、暫時休憩いたします。
午前十一時四十九分休憩
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午後二時二十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/25
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026・稻村順三
○稻村委員長 これより再開いたします。
休憩前に引続き行政機関職員定員法の一部を改正する法律案及び行政管理庁設置法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を続けます。質疑の通告があります。宮原幸三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/26
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027・宮原幸三郎
○宮原委員 調達庁関係のことにつきまして、所管の労働大臣及び長官にお尋ねする予定でいたのですが、御出席がありませんから、便宜事務当局から、一応おわかりになるところだけお答え願いたいという趣旨で、私の質疑をいたしたいと思います。
進駐軍軍人軍属の不法行為に対する賠償責任に関する事柄でありますが、第一は、賠償責任の所在につきましては、本件について政府はGHQとの交渉で、昭和二十一年九月に一切の賠償責任がないと拒絶されたという事実があるようであります。昭和二十六年九月八日の対日平和条約第十九条によりまして、本件に関する補償責任は日本政府に転嫁したと解釈しているのであります。この点について一応お答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/27
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028・山内隆一
○山内(隆)政府委員 お答えいたします。進駐軍の不法行為に対する賠償責任が、占領期間中どちらにあるかという問題につきましては、早くから政府としても非常に考慮を払つて、この責任は当然連合軍側にある、こういう結論を下しまして、GHQに対する交渉をしておつたわけでありますが、二十一年九月、GHQから本件に関しては一切賠償の責任がないという回答を一応得たわけであります。しかしながら決してこれで満足したわけではありませんけれども、かように言つて来たものを、いつまでもこの賠償措置をほつておくわけにも参りませんので、閣議決定を経まして見舞金、これは非常に程度の低い見舞金でありまして恐縮ですが、とにかくその当時は低いけれども、見舞金の支給基準をきめまして、たびたび改正をいたしましたが、見舞金支給として取扱つて来たわけであります。しかし続いて交渉しておりまして、講和条約の中にはつきりとその責任の帰属を明確にしたいというので、交渉して参つたのでありますが、遺憾ながら二十六年九月八日調印された対日平和条約の十九条によりまして、軍の方に責任がないということがはつきりきめられましたので、その前提のもとに、講和条約の発効までの見舞金の措置をして参つたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/28
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029・宮原幸三郎
○宮原委員 そこで見舞金制度について簡単にお尋ねしますが、見舞金というのは、独立前、終戦後約七年間の期間における損害に対する政府の措置であると解釈いたしておりますが、一、二点申し上げるだけでおそらく事務当局でも御反省になるでしよう。その見舞金制度そのものの内容にきわめて重大な不備があり欠陥があるのです。昭和二十一年三月三十一日の閣議決定をもつて政府は見舞金の支払いを行うことになつたのではあるけれども、支払い一件について僅々五百円というまるで問題にならない、そういう支払いを決定しておる。昭和二十六年十二月四日の閣議で見舞金の増額を行つたのではあるけれども、同年の九月八日以降の事項に適用する、その以前の事項は放置しておる。昭和二十七年の五月二十七日の閣議了解でも昭和二十二年十月の国家賠償法施行の日まで見舞金の支給を遡及して支払いをすると言つたが、その昭和二十二年の十月以前の事項は依然として放置しておる、こういう状態であります。まことに遺憾にたえません。この終戦後独立までの七年間の事故件数の概算というものはあとでお答え願いたい。しかし私の推定は事故件数は三万件以上に上るように計算いたしております。これが間違つておれば是正していただきたい。この期間の見舞金の支払い件数はわずかに三千八百件ないし四千件と政府側で発表していらつしやる。僅々一割程度にとどまつている。あとの九割というものは見舞金を受けていない。同期間の見舞金の支払い額は三千二百万円、一件当り僅々八千円、こういうことになつおる。以上のように従前の見舞金制度というものに重大な不備欠陥がありましたというのは、反米と申しますか、反国連思想——これは与党と野党の見方によつていろいろ批判になるところでありましようけれども、これが重大な一原因になつている。最近に犬養法務大臣の発議によつて、見舞金を増額することに決定した模様であると承知いたしておりますけれども、その内容についても独立後との間においてはまことに不均衡がある。こういうような過去の見舞金制度というものについて事務当局としてはいかなる心構えで将来に対処しようという考えでいられるのか、その点についてお伺いをいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/29
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030・山内隆一
○山内(隆)政府委員 お答えいたします。見舞金の取扱いにつきましては、連合軍進駐以来講和条約発効までの取扱いは、ほとんど毎年のごとく、一番初めにきめましてから変更して参りまして、確かに人によつて非常に見舞金を受けた額に差異がございます。その意味におきましてはあるいは死亡というような問題に対して年によつて非常な見舞金の額が違うということはおかしいじやないかという考え方も起ると思います。ただ実際政府が二十一年の当初から毎年増額して参りました理由は、賃金基準あるいは物価の情勢で最初非常に低額できめまして、これまではいかぬというので次々と改めたのでありますが、その改めた額すらも講和条約を調印をしましてから発効までの間の取扱いにつきまして、昭和二十六年十二月四日の閣議決定で大幅に引上げたのでありますが、この閣議決定は二十六年九月八日の講和条約の調印から発効までの額でありまして、依然としてその以前の額につきましては年々賃金基準とかあるいは物価騰貴の情勢で改めては参つたものの、まだその額に比べますと非常に低額に失するというので二十七年の五月二十七日の閣議で過去にさかのぼつて全面的にこれが改訂をいたしまして、漏れているものはその新らしい額で支給する。それからすでに支給したものについてはその各年々の段階に応じましてその差額を支給するような措置をとつて参つたのでございます。しかしながら二十七年五月二十七日の閣議決定におきましても、二十二年の十月二十七日国家賠償法施行以前につきましては明確には触れておりません。ただそのさかのぼることが絶対いかぬとも明確にいたしておりませんために、事務当局としてはとりあえず国家賠償法施行日までさかのぼつて取扱う措置をいたしたわけでありまして、自然今日まで国家賠償法施行以前に軍の不法行為によつて死亡とかあるいはけがをしたとか、あるいは財産上の損害を受けた方々に対しては一番最初きめました、非常に今から見ると問題にならない低額のままにほうつてあつたわけであります。そこで最近そういうことではいかぬ、何とかこの見舞金の合理化をはからなければならぬというので、いろいろ研究して参つたのでありますが、何としても一面においては件数の調査をして、今度やるからには漏れるようなことがあつてはならないというので、都道府県知事に向つて調査をお願いするとともに、額をどのくらいにしたらいいかということも政府部内で検討して参つたのでありますが、ようやく最近に至りましてその方針がきまつて、この七月の十四日に大体の国家賠償法施行以前に対するいろいろの不法行為についての損害補償の基準をきめて、通達をいたしたのであります。それによりまして漏れているものにつきましても、もちろん支給したものにつきましても、その額とすでにもらつた低額との差額につきましては、追給を認めるようなことにして、目下これが事務の進行中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/30
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031・宮原幸三郎
○宮原委員 見舞金はただいまの御説明でも、同僚議員の方もおわかりくださつたでありましようが、まことにどうも政府としては、最近になつてやつと整備をしておるというような、私の方から申すと、少し言葉は過ぎるかもしれないけれども、やや怠慢に近いような処理の仕方になつておる。講和発効後は、行政協定第十八条に基く民事特別法によつて、最高五十万円の補償金を支払つておる。その間の差額の不均衡というものは、あまりに顕著なのです。それで三万件に達するところの被害者というものは泣き寝入りして、望んでも得られないのです。ひとしく不法なる損害に対する補償であるのです。講和発効前後によつて、かくのごとき差別待遇をすべきものではないと私は思う。また独立前ではあつても、その独立前の終戦後の七年間の被害者の間において、期間によつて差別待遇をしている。古い被害者は僅少の額でおつぱらわれておる。これはとうてい許さるべきことではなかろうと思うのです。根本的に考えて行くと、講和発効前の補償は、補償であつて見舞金じやない。見舞金というがごとき恩恵的措置で処理することは、基本的人権擁護の精神に背反する傾向がある、これは大きな問題です。これは法律上当然の義務に属すべきことであつて、被害者側から申しましたならば、賠償請求権というのが現存しておるもののように私どもは解釈しているのですが、これを見舞金という被害者無視の独断一方的の恩恵でもつて糊塗しておる。変なたとえを申し上げておそれ入りますが、パンを求めておるのに対して石を与えておる、こういう結果になつておる。不法行為は占領中ではありましたけれども、終戦後なんです。終戦後であるから、戦闘行為や敵対行為の犠牲と同一されてはならない。犠牲を甘受して泣き寝入りしなければならぬという立場には置かれていない、その点においては独立後の被害者との間において差別すべき根拠はない。平和条約第十九条によつて、連合国に対する請求権を特に政府が独断で行使した以上は、その政府の責任上補償の義務が日本政府に当然転嫁されたのである、見舞金の支払いは、補償義務の履行ではない、こういうことが言えると思うのであります。最近被害者側の強い要求がありましたが、これは重大視しなければならぬと思います。本年四月に被害者代表の中安甚五郎という人が、広島県呉市で犬養法務大臣に陳情したのを初め、再三再四上京して、所管の小坂労働大臣へも陳情を繰返しております。被害者側は第十六国会に切実なる請願書を提出している。さらには先般進駐軍事故被害者連盟を結成して、本月八日呉市において第二回大会を開催して、すみやかに公正なる賠償をなし、人権擁護の実を顕現せよと決議し、決議文は政府にも届いているはずであります。これら被害者側の行動は、政府の措置に対する抗議である。見舞金に対する不平、不満というものは、全国に勃発しているのであります。呉市を代表して呉市長、及び呉市会議長は、第十六国会に被害者側主張支持の請願書を提出しております。日本弁護士会連合会は、人権擁護の立場から、政府に対し公正なる補償を強く要望する運動を展開している。六月三十日の法務委員会において、社会党の猪俣浩三君が本件を取上げている。石諸理由によつておわかりくださるように、見舞金と補償金の間の不均衡を是正する必要があると思うけれども、政府はその点についてはどういう考えを持つていらつしやるか。大臣、長官でないあなたにお尋ねしたのでは、明確な御答弁は得にくいでありましようが、あなたの私見でもいいからこの際伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/31
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032・山内隆一
○山内(隆)政府委員 この問題は、お言葉のように非常に重要な問題でありまして、私のような一事務官がお答えするのは、恐縮に存じますが、お言葉もありましたので申し上げてみたいと思います。
人権擁護の立場から見ますれば、お言葉の通り、死亡に対してわずかな見舞金で片をつけるということは非常に問題だと思います。しかしながら最初申しました通り、占領期間中の軍の行動による被害は、日本政府としては日本政府の責任ではない、これは当然軍が責任を負うべきものなりこういう前提で長い間交渉を続けて参りましたが、講和条約の中に、軍の責任ではない、日本政府がかつてに権利を放棄したというわけでもない、条約の結果軍が責任を負わない、日本政府はこれをあらためて請求はせぬということになつたのでありまして、そこであらためてこの問題をどうするかというふうに政府としても考え直したわけであります。そこでこの金額につきまして、毎年の賃金あるいは物価の情勢に応じて改訂はして参つて、すでに支給は終つたのでありますけれども、さらに講和条約調印後の額等から見て、過去のものをこれではいかぬというので、二十七年七月二十七日になつて全面的に改めて、見舞金の増額をはかつて追給を認めるところまでいたしたわけであります。従つて問題は、この期間における軍の行動というものに対しての責任の帰属、それから講和条約発効後の責任の帰属、しかもその性質の問題になると思うのでありまして、あるいは見る人によつていろいろの意見も立とうと思いますが、とにかくさようなわけで、占領期間中は日本政府として当然責を負うべきではない、しかし非常にお気の毒である、またこのままほうつておくことは相済まぬというので、見舞金という形で、予算の範囲内で支給することにいたしたいと考えております。しかしながら講和条約発効後は、まつたく事情が違いまして、どこまでも正式な賠償として見なければならぬというわけで、行政協定十八条に基く臨時特別法の法律の御協賛を得て、この法律によつて正式に補償として支給いたしておるわけであります。この額をいかにするかということについても、なかなか問題がありますがゆえに、すでにいろいろの日本のかような似たような制度がありますので、制度の基準に大体準じて行うことにいたしたわけであります。その額と以前の見舞金の額との均衡問題はどうかということでありますが、これは見る人によつていろいろ違いがあろうと思いますが、すでにさようにして念に念を入れて処理いたしたのでありますので、今日先ほど申しました国家賠償法施行以前の至つて不備のままの処理を改めるということ以外に、それ以降のものについて、講和条約以前から国家賠償法施行以後の全部について、さらにやり直すということは、これはおそらく困難であろうと私は考えております。
それから額について申し上げませんでしたが、令度国家賠償法施行以前の分についての基準は、死亡者は、当時五百円、あるいは多少時期によつて千円で、五百円ないし千円ということでありましたが、これを六万三千円、それから傷害の場合は、これは程度によりますが、六万円、家財の方につきましては、これまた一世帯五百円であつたものを、今度は一万円までは全部、それから一万円を越える分については二割五分、住宅につきましては二万円までは全部、二万円を越える部分については二割五分、こういうぐあいにしてそれぞれ決定をし、漏れた者に支給する、支給した者については追給を認めるということにいたしたわけでありまして、これを全面的に直すということは、先ほど申しましたような理由からも困難でありますのと、財政的に見ましても、非常に件数にわたるものをまた額を相当上げるということは、非常な多額の財源を要するという理由もありまして、困難であろうと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/32
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033・宮原幸三郎
○宮原委員 最後にお尋ねいたします。ただいま最近決定の見舞金の御説明がありましたが、私の承知しておるところでは、終戦後から今日までの間の七年間を六期にわけてあるのでございますが、今の六万三千円というのは第一期の被害者の最高の場合である。同期間における収入のない者に対する殺傷の基準の最高は一万七千円、まことにもうお話にならない。それでは根本解決にはなりません。これについては訴訟提起の準備が被害者の方にできておるということを伝え聞いておりますし、あるいはそういつたような形になつて現われることがあろうかと思います。これは政府においては、そういうことが起るということは非常な責任であろうと思いますから、よくこういう点を勘案せられたいと思います。いろいろ理由があるとか、事務的に困難だとかいつた、ありきたりの問題でこの問題を処理しようという心構えが根本的に間違つておる。もう少し再検討して、根本的にこの問題の重要さを深く認識せられる必要があろうと私は思うのです。理由なき殺傷によつて生活の支柱を失い、生活窮乏の悲惨きわまる多数の遺家族、あるいは一生不具、廃疾になつた無数の被害者の救済ということは、そんななまぬるいことではだめであります。政府はいわゆる見舞金でなく、公正な補償を支払うよう、適切な措置を講じられるよう認識せられたい。なお、終戦後七年間の被害者の取扱いは平等でなくてはならぬ。期間によつて差別待遇をせられるのでは、最近の見舞金を大幅に増額せられたという当局のその苦心は、一面において了としますけれども、同時にその規則というものが画龍点睛を欠くうらみを感ずる次第であります。長官が来られるのがおそくなつてもう時間もありませんから、この辺で質問は打切りますが、長官及び所管の大臣ととくと御協議になつて、こういう問題が全国的にあまり重大問題化しないように適切なる措置を講ぜられることを要望いたしまして、なおこれについての事務当局の御意見も簡単に伺つて、私の質問を打切ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/33
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034・山内隆一
○山内(隆)政府委員 ただいまの御意向は十分上司にお伝えいたしまして、検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/34
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035・中村高一
○中村(高)委員 関連して。進駐軍の不法侵害によるいろいろの損害に対して、死んで見舞金が六万円とかもらえるというのでありますが、これはおそらく国家賠償法に基いて訴訟を起すことが当然できるはずでありますが、現在訴訟の係属しておりますものがたくさんありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/35
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036・山内隆一
○山内(隆)政府委員 この問題について現在訴訟しておるものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/36
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037・中村高一
○中村(高)委員 訴訟は一件もないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/37
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038・山内隆一
○山内(隆)政府委員 見舞金については一件もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/38
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039・中村高一
○中村(高)委員 私の聞いておるのは見舞金ではない。人が殺されて六万円なら六万円というものを見舞金としてもらつて、ただそれだけである。私の方にもこういう事件があるのです。いきなり入つて来たので二万円出した、金を出したからそれで帰ると思つたらピストルで殺されてしまつて、おやじさんがどうにもならないでおる、働きざかりのせがれが、二万円とられた上に帰りがけに殺されてしまつた、それでちつとも補償の金をもらつていないというのでありますが、この種の事件はたくさんあると思うのであります。それであるのに一つも賠償についての訴訟が起きておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/39
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040・山内隆一
○山内(隆)政府委員 民事特別法に基く賠償につきましても、私どもの知つておる限りにおいては訴訟はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/40
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041・中村高一
○中村(高)委員 はなはだどうもよくわからないのでありますが、これについては泣寝入りの事件が至るところにあるわけだが、訴訟を起せないことになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/41
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042・山内隆一
○山内(隆)政府委員 民事特別法に基く賠償につきましては、もちろん訴訟を起すことができるわけでありますが、今のところ、私どもの承知しております範囲ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/42
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043・中村高一
○中村(高)委員 私の聞きたいのは、たとえばジープなんかが公務で走つておつてはね飛ばしたという場合には、行政協定の関係になると思いますが、今のように飲みしろをとりに来て帰りに殺して行つてしまつたというような問題は、行政協定との関係で何か支障がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/43
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044・山内隆一
○山内(隆)政府委員 公務上となりますと正式の賠償でありまして、賠償金の負担はアメリカ側が七割五分、日本側が二割五分の負担ということになつております。公務外というふうにきめられた場合には、今言う正式の補償ではありません。しかしその責任が個人的のアメリカの人に属するというような場合には、これは慰藉料として全額アメリカで持つようになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/44
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045・中村高一
○中村(高)委員 それでよろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/45
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046・稻村順三
○稻村委員長 鈴木義男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/46
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047・鈴木義男
○鈴木(義)委員 それでは行政管理庁法について、塚田国務大臣に先ほどに引続いて質疑をいたします。現行法でも改正法でも、監査の結果不都合なことがあつたということを発見した場合には、総理大臣または関係各行政機関の長に対して、管理庁長官は意見を述べることができる、その意見というのは勧告も含んでおると思うのですが、勧告をすることができるだけでははなはだたよりないので、その勧告はどういうことによつて裏づけられることになるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/47
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048・塚田十一郎
○塚田国務大臣 監察の結果をどういうぐあいに処置するかは、一般的には勧告をいたしまして、その結果どういう処分をしたかということを報告してくれるということで推進ができるようになつております。それは第七項でございます。今鈴木委員の御指摘になつたのは第九項の綱紀に関係した問題をお尋ねになつていたのではないかと思うのですが、これはやりました結果、いろいろな不当もしくは不法な問題があつて、それに人間が関係して明らかに綱紀にも関する問題があるというときには、どこでそれをやるかという人事上の問題になりますので、これは意見を述べるだけで、あとは当該行政機関の長にやつてもらう方がいいという考え方にいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/48
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049・鈴木義男
○鈴木(義)委員 報告を求めるということは確かに書いてあるのですが、報告を求めるというだけでは不十分であつて、何か進んで機構の改革を指示する、あるいは定員の多いものは減らす、いろいろそういう具体的な手を打つことができなければ実際の効果がないと思うのでありますが、そういう点についてどういうふうに御考慮になつたか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/49
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050・塚田十一郎
○塚田国務大臣 もちろん勧告にはそういうことがずつと書いてあるので、人間が多いと思うならば人間を減らされるようにということを、また不当に支出されておるとすれば、その方法が悪ければ、方法をこういうぐあいに直すようにということが詳細に書いてあるのでございます。しかし勧告をいたします場合に、実際の運営の仕方といたしましては、事前に当該の省と話合いをしまして、そうして注意をいたします。それに対して今後適当な時期にその通り処分してもらつたかどうかという報告をもらつて跡づけをして行く、こういう考え方になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/50
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051・鈴木義男
○鈴木(義)委員 それならば、たとえば不正の事実があつたならば告発をするとか、その報告の通り実行していなければ、どういう制裁方法、あるいは強制執行の方法があるのか、それらの点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/51
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052・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは行政機関内部の事柄でありますから、管理庁がそういうことを要求いたしませんでも、おのずから当該行政機関の長に責任が出て参りまして、行政責任で問題が解決して行三のではないか、またそうするのが行政監察としてはあたりまえじやないか、こういう考え方でしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/52
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053・鈴木義男
○鈴木(義)委員 実際はいつもそういう行政機関内部のおざなりの監察ということであまり実効をあげていないのであります。そういう点についてもう少し本腰を入れてお考えを願いたいと思うのであります。それから行政監察をやつておれば——行政管理庁はそれを、主たる任務とする機関と思いますが、自然にわが国の行政機構の改革ということを考えるようになるだろうと思うのであります。また考えなければいけない。われわれの時代には、法務省に調査局というものを設けて、行政機構全般の改革について調査研究することを任務としたのですが、行政整理の結果なくなつてしまつた。おそらく今日の制度のもとにおいては、行政管理庁がそういう仕事を担当すべき唯一の機関じやないかと思うのであります。そういうことについて何かこの制度を生かして用いるという構想がおありになるかどうか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/53
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054・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは御指摘のように、行政管理庁といたしましては、機構改革というものをやらなければなりませんし、一生懸命考えておるわけでございます。行政管理庁といたしましては、管理庁に附置してあります行政審議にそういう問題のあります場合には一応意見を聞いてみる。それからついででありますから申し上げますが、地方の方は自治庁が考えておるわけでありますが、自治庁の考え方を側面から援助してもらう機関として、地方制度調査会というものを置いてやつておるわけであります。しかしどこまでもこの仕事は中央のものは行政管理庁、地方のものは自治庁において責任を持つてやる、こういう構想になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/54
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055・鈴木義男
○鈴木(義)委員 つまりそういう行政管理庁の附属機関とでもして、行政機構の制度の審議会であるとか、そういう統計の調査をやるとか、あるいはいろいろなものが必要になると思いますが、そういうものをこしらえようというようなお考えがあるかどうかということを承つているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/55
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056・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは、行政審議会の方も、統計審議会の方も現在すでに行政管理庁に附置されてあるわけでありますが、従前の方向からやや後退した形に、少し縮少したり権限を狭めたりいたしましたのは、先般の行政機構改革のときに、今までの行政委員会式のあり方のものがあまりたくさんあることは、いろいろな面で考え方としても無理があるようだし、経費などの点でも非常に多いようでありますから、今のような制度に改めたのでありますが、当分はこの制度はこのままの形で行く方がいいのではないか、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/56
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057・鈴木義男
○鈴木(義)委員 これは非常に大切な機能を営む機関でもあり、仕事もわが国の現下の情勢にかんがみても非常に大切なことと思うのでありますが、この機能を十分に働かせるために予算が必要であると思いますが、現在の予算で十分であるとお考えになりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/57
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058・塚田十一郎
○塚田国務大臣 私はこの機構改革の点はいろいろ検討いたしおるのでありますが、むしろ問題はそういう面にあるのではありませんで、私も機構改革についていろいろ過去の幾つかの内閣のお考えになつたところを調査いたしておりますが、非常にたくさんのしかもりつぱな構想があるのでありまして、今必要なのはそういうものを適当にまとめて、それを現実の改革に移すという実行の問題だけが問題になつているのであります。従つてこの機構改革の必要性をほんとうに認識して、その認識に立つてこれを断固としてやり抜くという決意を政府がいたしますと同時に、また国会その他世論一般にもそういうものに対する認識を深めていただいて、この問題をぜひ現実の仕事としてやり遂げる、むしろこの問題についてはそこに重点があると考えますので、今私は審議会その他が予算が不足であるから、そういう作業ができないという状態になつていないように、実は考えておるのであります。今管理庁といたしましても、自治庁といたましても、またいろいろな制度調査会、審議会においても鋭意案を練つていたいだておるのでありますが、もしどうしても必要があつて何かそういう措置をする、また別に、ほんとうに国家的な大きな仕事であるから、もう少し広い範囲の各層の意見を聞くというような必要があつて、特別の審議会なり、そういうものを設ける必要が起きるということであれば、それに付随して予算も必要になる、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/58
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059・鈴木義男
○鈴木(義)委員 そういうこともありましようが、先ほどから長官はたびたび、要するにこの制度の運用は人にあると言われておりますが、よほどりつぱな第一流の人物を行政部を通じて網羅して、ほんとうに本腰を入れてやつてもらいたいとわれわれも考えおるわけであります。ずいぶん目に余るものが多いのであります。実際にこの国家の費用を、国民の税金を浪費している例をあげろというなら幾らでもあげることができますが、要するに監察機関が不十分であるからそういうことになつておる。それをやるためには十分りつぱな人物を網羅しなければなりません。それには相当の待遇をしなければなりません。そういう意味においても、現在の公務員法等においてどういうふうに取扱うかが問題でありますが、最も優待し得るような、そうしてある意味において身分の保障も与え得るような立場においてやらせなければ、おざなりの監察をやることに終るのでありまして、その点について十分ひとつ考えていただきたい、こういう意味で私は申し上げたわけであります。私だけが質問するのも恐縮でありますから、この程度で私の質問は打切ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/59
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060・稻村順三
○稻村委員長 島上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/60
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061・島上善五郎
○島上委員 この改正案によりますと、各行政機関の業務に対する監察については相当権限が強化されるように思いますが、この改正案の六項に「公私の団体その他の関係者」に対する項は改正以前とまつたく同様なんです。私どもいささか不満に思いますが、最初にこの「公私の団体その他の関係者」ということに対して、大体公私の団体とはどういうものをさしているか。それからそういう団体と政府との関係はどういう関係になつているかという点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/61
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062・米川健夫
○米川説明員 お答えいたします。ここで一般「公私の団体その他の関係者」と申しておりますのは、行政管理庁が所管いたしております行政機関の監察、それから監察に関連して行う調査の対象であります公共企業体、国の委任または補助にかかる業務を行うもの、この三つのものを除いた一般の第三者をさしているのでございます。しかし監察を行います場合に、たとえば政府に物を納めている、政府が物を買つている、そういう国の調達関係の業務の監察をする場合に、国の行政機関側の調べをいたしましたときに、裏づけとして、場合によつては一般の民間のその関係業者について、資料をいただくというような場合も予想されるわけでありまして、そういう場合に第三者に資料の提供というようなことについて協力を求める、そういう場合のことを予想してここは規定しているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/62
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063・島上善五郎
○島上委員 そのようなつまり「公私の団体その他の関係者」に対して行政官庁と同様あるいはそれに準ずる程度にもう少し監察を強化する必要があると私ども考えますが、その必要についてはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/63
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064・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは監察をいたします側の立場からすれば権限が強いほどいろいろなことが要求でき、都合がいいことは言うまでもないことでありますけれども、監察を受ける側の立場に立つて考え、また行政監察というものを本来のわれわれの考え方からいたしますと、そこまではちよつと行き過ぎではないか、こういうようにまた感じているわけであります。まあ話合いの上で趣旨に賛成をしていただいて協力をしていただくというようなところが妥当な線じやないか、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/64
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065・中村高一
○中村(高)委員 長官の今お答えにもあつたのでありますが、私はどうもこの役所が曖昧模糊としておつて、やれば必要なんだろうと思うのですが、現在の機構では無用不要の役所のようにも見える。今長官の言われるように、監察を厳重にすれば幾らでもやることがあるのだけれども、そこまでも行かぬ。やる必要はあるけれども、あまり行き過ぎると同じ役所関係で摩擦もできる。必要はあるけれどもあまり行き過ぎてもいけない。どうも生ぬるくて、その程度であるならば、一体行政庁内部で監督者が幾らでもいるのですから、課長もいるし局長もいるし、次官もいれば大臣もいる。その程度の生ぬるい監察であるならば何も別な役所があつてやる必要もないのであつて、遠くの方から生ぬるいことを言つて、何か間違いありませんかぐらいのことを言う役所何んか、金を払つてわざわざつくる必要はない。しかも第一名前がはなはだ生ぬるい。行政管理庁。監察ならまだ意味はわかる。行政の監察をやるというならわかるのでありますが、わざわざ監察という名前を取除いて管理だというのであります。そしてこの役所の説明を見ましても、大体総合調整とか企画とかいうことが目的になつているのでして、監察というのは、一番最後のところの十、十一、十二号のところで監察をやるのであつて、この役所が監察の目的の役所じやないんです。管理です。それを何か監察をやるがごとくに役所を持つているということは私はごまかしだと思う。おそらくこれはほんとうのことを言えば、統制経済を強化された当時にあつた経済調査庁というものが、統制経済がなくなつて失業をする者ができる、そこでどこかに救済をしなければならぬということから、これだけの人間をそのまま置くわけにいかぬから、生ぬるいもので何か行政管理とかいうような役所をつくつて、そこに救済しておけば、まあ説明をするときには監察をやるのです、というのが私は本音だと思うのです。かくのごとき国費を使つて、かくのごとき生ぬるい役所をつくつて多数の役人を置くということは、まことに国民に対しても相済まぬことだと思うのであります。強化するのであればわれわれはその強化を認めてもさしつかえがないと思う。しかし今のような曖昧模糊として生ぬるい湯に入つたような役所であるならば、これはいらない。ことに監察を厳重にするというのでありますならば、もう少し会計検査院との間の連絡をとつて、場合によつたならば一つにしてびしびしやるものはやる。それならばいいです。それでこの行政管理庁から監察の任務を別におわけなさい。そうしてびしびしやる方はやる。ぬるい方はぬるい方にとつておいて、仲間の役所が仲間の役所をなめて歩くようなものが必要であるとするならば、それはまたあるいは役所同士長い間の官僚のごまかしで、そういう必要のあるものもあるかもしれませんけれども、塚田長官のごときは多年野におつてそういうことについてはよく知つているはずでありますから、あなたが幸いにして長官になつたときにこの生ぬるい役所を改革をして、きついものにするか、廃止をするか、よほど私はお考えを願わなければならぬと思うのですが、失業救済的な意味でできたのではないのかどうか。長官の所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/65
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066・塚田十一郎
○塚田国務大臣 たいへんうがつた御批判をいただいてどうも恐縮しているのでありますが、しかしこれは非常に生ぬるいようには見えておりますけれども、決して生ぬるくはないのでありまして、行政機関内部の監察は峻烈にやるのですし、今までもやつて参つている。たださつき生ぬるい表現をしていると御指摘をいただいたのでありますが、行政機関内部の仕事がうまく行かないために、それが機関内部のやり方のために国民に御迷惑をかけるということになると、かえつて悪いではないかというので、外部に迷惑を及ぼす面はなるべく手控える。こういう考え方であります。従つて行政監察というものは機関内部のことは秋霜烈日の考え方でもつてやるつもりでおります。まことに自分の考え方を申し上げては恐縮でありますが、私政界に出て参ります前民間会社におりました時分には、主として大きな土建会社でありましたが、土建会社の監察の仕事を実はやつておりましたので、ものの考え方としても多少経験を持つておりますし、相当徹底した考え方も持つているわけであります。まあどういういきさつで経済調査庁がこういうぐあいになつたかということは別にいたしまして、せつかくあの人間を十分活用して、ほんとうにあれだけの国費を使つて、なお十分な効果の上る監察機構というものを私は考えているわけであります。名前は管理庁ということになつておりますけれども、実態は管理の職を占めている人間の数と監察の職についておる人間の数は格段に違うのでありまして、管理庁の職員のおそらく——今正確な数字は持つておりませんけれども、九割方は監察の仕事に実は従事しております。そういうように、管理庁は名前でありますが、実態は監察庁になつておるわけです。ただやつております人間の前歴がそういうふうでありますのと、やりましてからまだ日がたちませんので、十分の実効を上げておるとは私は申し上げられませんけれども、それは先ほど申し上げましたように、今後たゆまざる努力と訓練によりまして、この人間をそう数なんかふやす必要は毛頭ないと思つております。会計検査院は千二、三百人の人間で、あれだけの仕事をやつておるわけでありますから、私は管理庁の現在の機構、あの人間——千四百人ぐらい監察に従事しておると思いますが、その人間で、先ほど鈴木委員が御指摘になつたような、予算を必ずしもふやさないで、人間の素質を改めるということによつて十分やれる、あとはこれに携わる者の決意と努力でもつてやつて行ける、またそういうふうにやつて行きたいという考え方をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/66
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067・中村高一
○中村(高)委員 今度の改正案の理由を見ますと、とにかくこの役所の権限を強化するのが目的だというのです。ところが内容を見ますると、一向権限が強化されるようなところもなくて、報告を求めることができるとか、協力を求めることができるとか、あるいは行政機関の長に対して意見を述べることができるというような、遠まわしにものをなぜ歩いているような規定が少し入つて、こんなことであるならば、改正などするほどの必要はありませんよ。古いのと比べて見たけれども、幾らか改正になるのかなあというような気はいたしますけれども、何の必要があつてわざわざこの国会の忙しいのに、こんななまぬるい、どこに一体これは強化されるのか、あなたはおそらく改正案をつくる当時には関係なすつておらぬで、説明だけ担当しておられるのだろうと思うのですが部下を督励して、こういうなまぬるいものをつくるような部下は、ひとつ厳重にあなたの方で内部監査をやらなければだめですよ。こんなずさんななまぬるい案をつくつて来ること自体が、私は監察を要するので、役所を監査する必要があるとさえ思つておるのであります。そこで、これは私が今申し上げたように、監察を徹底させるならば、別にわれわれも協力を惜しむものではありませんが、むしろこの役所の任務は、わが国の行政機構をいかに改革して冗費を節約して、もつて国民の負託にこたえるかというようなところに主力を注ぐならば、私はこの役所の任務は非常に重大だと思うのです。なまじ監察などというような中途半端なことをせずとも、任務は任務として残ると思うのであります。行政機構を改革したり、あるいは行政費の節約というようなことは、自由党内閣におきましても、しばしば言われて来たことでありまするが、事実は困難であることは私たちも知つております。さつぱりこれが行われない。この前の本多長官のときでありましたか、大騒ぎをして、自由党内閣で行政整理をやると呼号したけれども、だんだんしりつぼみになつて、幽霊のようになりまして、しまいには病院に入院している人ぐらいをやめさせるというくらいでけりをつけて、行政大臣か厚生大臣かわからないような、むしろ厚生大臣のような行政整理をやつたことがあるのでありますが、塚田長官は今日の日本の行政機構あるいは行政の内容について、多年私たちと同様に不満を持つておられるはずでありますが、あなたの長官のときに行政整理をおやりになる熱意があるかどうか、実行する決意がおありになるかどうかをお聞きいたしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/67
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068・塚田十一郎
○塚田国務大臣 最後のお尋ねのところからお答え申し上げて参りますが、私も日本の今日の行政機構というものが非常に膨大になり、国費がそのためにかさんでおる。また国費の面は別にいたしましても、国民がこのたくさんの役人を相手にして応接の労にたえないだろうと実は思つております。何とかしてこれはやらなければならないし、熱意と決意は十分持つております。ただ何といたしましても、過去幾たびかの例は私も承知いたしております。また過去幾たびかの例が、御指摘のように確かにしりつぼみになつておるのでありますが、そうなりませんように、今度は私どももそのつもりで御賛成の得られるような案を考えるつもりでおりますし、国会及び報道機関その他国民一般にもぜひ賛成していただいて、この仕事だけはやり遂げたい、こういうように考えておるわけであります。
それからこれは非常になまぬるい改革案を出したが、お前は知らなかつたのじやないかというお話でありましたが、実は全然逆でありまして、もう一つの職員定員法の方は、私は今度あまり関係しておらなかつたのですが、こつちの設置法の方は、私が指示をし、そうしてむしろ事務当局からは当初強い案が出たのであります。それを私がいろいろと考えて、自分の考え方に直したのがこれなのであります。そのために、あるいは新聞でごらんになつたかもしれませんが、総理からもそんな骨抜きの監察の強化ならやらぬ方がいいというおしかりを受けたし、また各新聞などにも大分たたかれたのであります。しかし私は行政監察というものは、少くとも法的にはこの程度でたくさんだという考え方をいたしております。これより先に行くならば、それはあるものは会計検査院の仕事であり、あるものは検察庁の仕事であり、どこまでも行政機関内部のものが、しかも一応各省からは独立したものが、おかめ八目的に見て、こういう点が悪いから、こういうぐあいに注意したらどうですかという内部の話でありますから、これは悪いのがあつたら、それに責任を問うとか、または不正の行いのあつたものはそれの懲罰を考えるとかいうことは、おのずから別の機関で別の観点からやるべきであつて、私は行政監察の本来のあり方は、そこまで行く必要がないし、またそこまで行かずに十分実効が上げられるのだ、こういう考え方をしておるわけであります。促つて法的措置というものは、今後いろいろな監察機構の強化というものを考えても、これ以上する必要もないし、むしろあとは素質と、それから、機構なんかを若干考え直せば十分行政監察の効果というものは上つて行く、こういうように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/68
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069・辻政信
○辻(政)委員 関連質問。ただいまの回答を聞きましてまことにがつかりした一人であります。塚田さんが新進気鋭でその地位につかれまして、悪い役人どもがふるえ上るだろうと実は私は喜んでおりました。蒋介石が辛亥革命であの腐り抜いた清朝を倒したのは、監察院というものが別個に独立しておりまして、ほんとうに役人の悪いところを仮借なくやつけたからであります。先ほどの御答弁の中に、あまりやると国民が迷惑するだろうというお言葉がありましたが、今日の国民はそれを期待しておる。昨年の会計検査院の報告におきましても、御承知の通り、三十億の国費の濫費が報告されておるのであります。その跡始末がどうなつたのかということについて国民はつんぼ座敷であります。そこに政治に対する不満があるのであります。私は行政監察について事務当局がきびしいものを立てたが、長官がそれをやわらげられたということを伺つて、まことに失望したのであります。より強いものにされまして、ほんとうに悪い役人が縮み上るほどの大臣が政府の中にほしいのであります。その役をやつていただきたいのであります。たいへん抽象論になりましたけれども、どうせおやりになるならば、そういう手段をおとりにならぬと、今中村さんがおつしやつた通り、ただ機構をつくつて役人を増すだけで何にもならぬということになるだろうと思います。一言申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/69
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070・塚田十一郎
○塚田国務大臣 行政監察というものがそういうものでなければならない点は、私もまつたく同感なんです。そうしてこれを徹底的にやることを国民が非常に喜ばれることも、まさにその通りだと思います。しかしそれはおのずから行政監察の機構としてのやり方は、国民に迷惑をかけてやらなければならないという形ではないと思うのでありまして、徹底的にやりますし、また今後行政監察機構内部の職員が訓練されて参りましたならば、各省にとつて相当痛いものになると思いますし、私もそうするつもりでおりますが、しかしそのためにはそんなに法的措置を必要としない。私は法的措置を必要とする面がありますなら、行政監察で端緒を開いて、それぞれの機関を動かして行けばいい、こういう考えです。もし非合法的な行為があるならば、検察庁に端緒を与えればいい、不当な支出があるならば会計検査院で受取つで処置すればいいだろう。同じような国の機関が同じようなことをやることは、利益よりも弊害の面が多いという考え方を持つております。そうかといつて監察をなまぬるいものにしようとは考えておりませんし、そういうものである場合には、先ほど中村委員の御指摘になつたように、もし行政整理をする場合には監察機構からつぶして行くべきだというくらいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/70
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071・辻政信
○辻(政)委員 昨年の会計検査院の指摘した三十億の国費の濫費は、どういう処置をとられましたでしようか、御参考までに伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/71
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072・山中徳二
○山中(徳)政府委員 検査院の指摘いたしました批難事項につきましては、これをそれぞれ各省に通達いたしまして、各省におきまして手直しといいますか、改めらるべきものについて改める、あるいはすでに職員の懲戒等をなすべきものについては処分をしたということの処置が講じられているのではなかろうかと思われます。私案は具体的に二十六年度の批難事項につきまして、どういう措置がとられているかということは、ただいまつまびらかにいたしておりませんので、たいへん抽象的なお答えでお答えにならぬかもしれませんが、お答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/72
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073・辻政信
○辻(政)委員 国民は五百円の税金を滞納しても差押えを食らうのです。三十億の国費を濫費しているということを会計検査院から国民の前に公表しておきながら、その跡始末がどうなつておつたか。もちろんあなたの主管事項じやないにしても、監察部長として業務上関連をすることです。そういうことによつて悪い官吏が一体何人首になつたのか。ただ一ぺん各行政庁の長官にこういうことがありましたということを言うだけじや何にもならない。お互いに官吏というものは左右にスクラムを組んでいるのです。悪い者をかばい合う。それを摘発するのがあなた方の仕事じやないか。一体国民が五百円滞納をしても差押えをされていることを知つておられるか。その税金を扱うのが政府じやないですか。それを知らぬということは、たといほかの官庁の仕事であつても、あなたも同じ監察業務をやつておられる職員の一人である。それで私は伺つたのである。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/73
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074・山中徳二
○山中(徳)政府委員 検査院の批難いたしました事項につきましては、私ども監察業務をやつております立場の者といたしましては、私どもの本年度の監察項目の重点項目の一つといたしまして、国費を多額に使いますものとか、あるいは終戦後の新しい制度につきまして、実情に沿わないものをどういうふうに是正するかというような、いろいろな観点の中に加えまして、最も重要な事項といたしまして——検査院の批難されましたような公共事業補助金等に対します過去におきます不当な処理の事案は相当多かつたわけであります。これらの事態を私どもの監察項目に取上げまして、今後検査院の批難されましたような事項が繰返されませんように、私どもの監察項目の重点といたしまして、公共事業の費途の是正、あるいは補助金の費途の適正を期するというような項目を選びます際に、検査院の指摘されましたような過去の事案を分析いたしまして、これを将来の私どもの監察計画の実施いたします題目といいますか、問題点として取上げて、これが是正に私どもの力を尽して行きたい、かような心組みでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/74
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075・辻政信
○辻(政)委員 そんな答弁を要求しているのではないのであります。あなたの主管事項と違いますから、委員長にお願いします。会計検査院が昨年三十億の不正を発見している。それに対してどういう処置をとつたかということを、この次の委員会でもいいから、この問題に関連して資料をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/75
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076・稻村順三
○稻村委員長 委員長はよろしく善処することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/76
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077・中村高一
○中村(高)委員 先ほど来この役所の運営に関しましてもいろいろ疑問もありますし、本案審議にも関係をいたしますので、監察の結果について当委員会に資料を提出していただきたいと思うのであります。会計検査院の方からは、決算の際に詳細に資料の提出がありまして、決算委員会で審議をいたしているのでありますが、ぜひこの役所がどういう監察をおやりになつて、跡始末はどういうふうにおつけになつておりますか、重要な部分につきましてだけでも少くとも委員会資料を提出していただきまして、その上でまた質問を継続したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/77
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078・鈴木義男
○鈴木(義)委員 けさの理事会で気象台の関係者に御出席願つております。運輸省官房長及び和達中央気象台長がお見えになつているようでありますから、行政職員定員法の改正に関連してお尋ねいたします。われわれは減らすことばかり主張するようでありますが、今度はむしろふやすことを主張したいための質問であります。一体気象台は何をやつているのかということを聞きたいのでありますが、ほんとうは本会議の緊急質問にでもいたしたい事項であります。それはなかなかお天気というものはそうわかるものじやないと言うかもしれませんが、とにかく九州の水害につきましては多少の予報があつたようでありますが、今度の和歌山の水害のごときはあつという間に来てしまつた。そして数百人の死者を出した。私は水が出るのはしかたがないと思います。たれでも阻止するわけにいかぬが、しかし一時間でも早くそれを予報して警告し、避難を促したならば人を殺すことだけは防ぎ得るのではないか。水が出るたびに千人以上も死んだ、あるいは五百人も死んだ。数千人の行方不明というようなことは、文化国と名を打つておつてはなはだはずかしいことであると思うのであります。しかし今日の気象物理学の範囲では、そういうことはとても予測できないんだということであればやむを得ませんが、しかしあまりに行政整理を徹底して、気象台の機能がうまく行つていない。もう少し人員をふやし、機能をふやし、予算をくれるならば、こういうやり方もあるんだというようなことでもありますならば、一つ考える必要があるのではないか、こう思いますので、お尋ねをするわけであります。一つお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/78
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079・壼井玄剛
○壼井政府委員 今回の和歌山の気象の予防が遅れましたことにつきましては、まことに遺憾と存じまして、関係当局といたしましては陳謝する次第でございますが、しからば幾人人間をふやし、またいかなる機械を買い、設備を増強するということによつて完璧を期し得るかということにつきましては、世界各国でも天気の的確なる判断予告ということは至難事項とされております関係もございまして、なかなか完全には参らぬかと存じます。但し若干の人間がふえれば、それだけ確かに機能もよくなる。このことは申せると思いますが、しかしながらわが国の財政状態からいたしまして、極力切り詰めた人間と施設によつて、極力効果のあがる方法を全ういたしたいということでやつておる次第でございます。いかに人間をふやし、いかに施設をふやせば、いかなる限度まで行けるかということに対しましては、ちよつと簡単にはお答えできないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/79
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080・鈴木義男
○鈴木(義)委員 この前、中央気象台及び各地の測候所の人員を減らすというために、行政機構の改革をやつたわけであります。そのときに私は中央気象台の諸君から陳情を受けた。そういうことをされれば、われわれの方ではとうてい正確に天気の予測ができなくなりますよという警告を受けたのであります。ゆえにわれわれはそのときに心配をしたのでありますけれども、時の政府は、さしつかえない、それくらい減らしたつて大丈夫だ、こういうことでお減らしになつた。そのことがこういうときに響いておるのではないかということで、私はお尋ねをしておるわけでありまして、官房長はそうお答えになりますが、気象台長がおいでになりますならば、技術者としての立場から、遠慮されずに、どういう点に欠点があるか、こういう点をもつと充実してほしいということがあるならば、国政の最高機関でありますから、ここで発表しておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/80
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081・壼井玄剛
○壼井政府委員 気象台長は今運輸委員会で答弁中でございますから、総務部長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/81
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082・北村純一
○北村説明員 ただいまのお話でございますが、私技術の方にあまり詳しくないものですから、詳しい答弁は台長が、今ほかの委員会に出ておりますので、後ほど申し上げることにいたします。非常に抽象的になりますが、現在の定員で仕事をやることにつきましては、相当の苦労をいたしておるということにとどめておきたいと思います。
ちようど台長がお見えになりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/82
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083・鈴木義男
○鈴木(義)委員 もう一度質問し直します。今私は気象台の機構その他について、完全であるかどうかということにつき、九州の水害及び和歌山の水害等に関連して御質問しておつたわけであります。運輸省の官房長は、今のままで何とかやつて行けます、最善を尽しますという御答弁であり、総務部長も同じようなお答えがあつたわけであります。ところが私は先年気象台を見に行つて知つておるのであります。それから陳情も受けた。そんなに人を減らされ、予算を減らされたのでは、とうてい健全な天気予報はできませんよということを言われたことがあるのです。それにもかかわらず、行政縮小のために減らしたのであります。おそらく中央気象台及び全国の気象台として、その点には御不満を持つておられるのじやないかと思う。もつとこういうようにしてもらえば、われわれとしてももう少し仕事がやれる、もつと早く予告を発することもできるということがあるんじやないかというので、御質問を今申し上げたわけであります。気象台長に、技術者としての立場からお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/83
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084・和達清夫
○和達説明員 ただいま参りまして御質問を十分に伺えなかつたので、はたしてそれに沿つてお答えできるかどうか疑問でありますが、気象台の現状と今回の水害に対する気象台の予報、警報の状況について申し上げます。
おそらく御質問は、本年相次ぐ水害に対しまして気象台の予報がもう少し早く的確に出ないか、またそれが出ないとすれば、従来しばしば言われておりましたところの相次ぐ行政整理あるいは予算の削減において、そういうところへ手がまわらなかつたのではないかというお尋ねでないかとお察し申し上げます。これに対しまして、私は純粋な技術的の立場から申し上げたいと思います。気象台が昭和二十四年に行政整理を受けたときに、実在の人員で千数百名を減員しておるのであります。この定員不足というものは、実に気象台の業務については何ともいたし方ない痛手であつたのであります。これは業務を人事院の査定によるところの計算をいたしましても、厳格に計算して四百何十名という不足をいたしておる。それがその後も受けました行政整理の人数を合せまして、私は最小限六百名現在の状況において不足しておるということを申し上げたこともあると思うのであります。なお経費についてでありますけれども、これはこまかいことを私が申し上げる時間はございませんが、この気象台の業務が、地方にたくさんの小さい役所を持つておりまして、徹夜でいたしておるというような非常に特殊な業務形態でありますので、予算の与えられ方がその特殊性を十分にわかつていただけないうらみから、毎年において、この予算の不足には実に困難をきわめておつたのでございます。そういうような状態におきましても、私どもはここで申し上げるのもなんでありますけれども、気象従業員は仕事をするのに一種の愛着とプライドを持つており、いかに困難をきわめましても、その観測回数とか表を読むということを、そう切り詰めたことはございません。何とか切り抜けようとして、あるいは暖房をやめ、あるいは極端に申せば電燈を暗くしてまでも、業務をやつて参つたと思うのであります。しかしそれをもつて、今回の水害にもしもその予報が遅れたといたしても、私はその言い訳にいたすつもりはございません。今回の豪雨は、御承知のように、梅雨前線の豪雨でございまして、台風のとは違つて、日本中を通つております梅雨前線がどこで、いつ豪雨になるかということは、非常に予想困難であります。現在の気象学をもつてしても、必ずしもこれが技術上的確に行くかどうかは問題であります。私どもの経験でこれをいたしておりますが、この研究あるいは適切なる観測は、私どもは実にいたしたいところであるのでありますが、現在では、西日本につきましては、私ども身内の言葉としては、あれだけでもよくやつたと申したいところであります。今回の紀州の方の水害に対しましては、まだ情報が十分に入りませんので、どういうような警報の発し方、水の出方ということを調べてはございませんが、われわれの方にいたしましても、多少もつと早く出せたのではないかというような感じもいたしますが、しかしまた一方現在の技術としては、現地の者として相当に努力してやつたとも思えるのであります。そういうことに対して、われわれの困難な事業がそうさせたとは決して申しませんが、さらに今回のように、またこの節約を一割何分も新たに受けまして、しかもわれわれの仕事は、行政協定によつてきめられておるところのやらねばならぬ仕事を持つておりますので、自由にその仕事をかえることはできないのであります。そういうようなことで非常に困難をきわめておりますが、わが国の天災の多いことに対しましては、気象台におきましては、災害防止には第一に重点を置きまして努力いたしております。これをもつて御説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/84
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085・鈴木義男
○鈴木(義)委員 大体技術者の立場からのお話はわかりましたが、あなたがおいでになる前に、気象物理学上の基本的なものは、まだ時間的にそう早く知らせることはできるものじやないということもお答えになるだろうと思つたのでありますが、しかし実は私がかつて警察の問題を扱つておりましたときに、警察を非常に人員を少くして、同時にばらばらにしてしまつて、そうしてどろぼうや強盗を遺憾なくつかまえる方法ということで研究したのでありますが、とてもそういう自信がない。ところがアメリカなんかでは、五分間で、重大な犯罪があれば全国に手配がされて、捜査網が網羅されておつてできる。ロツキー山の山の中で強盗殺人事件があつた。ただちに全国に手配をして、そうしてそのロツキーの山の中でやられた、人跡未踏の谷底に自動車が落ちておるのを電波探知機でちやんと捜査して、そうして所在を確かめて、指紋をとつて、二十四時間のうちに犯人三人をつかまえてしまつた、こういうことができるのであります。機械の力を借りてさえいれば…。それを日本でやつたらよかろうということで、幾らかかるのだと言つたら、そのころの金で三百億ほどかかるということだつた。今なら三千億近くかかるのですが、三百億ではちよつとできない。国家予算がないからというので、いいということはわかつておつたがやめた。気象通報の問題も気象台だけの問題とは私は考えません。これは行政機関全体のもので、運輸大臣以下にもお考え願いたいが、もつと何かの方法によつて、たとえば雨が降り出してからだつて決しておそくはない。五百人の人を殺すという問題ですから、水のでることを防ぐわけには行かない、これはとめるわけには行かないが、少くとも三十分なり一時間早く避難することを知らせることができれば、殺すことだけは防げたのではないか。こういう意味において、何かもう少し手がありそうなものだ、こう私は考えるのでお尋ねしたのですが、あまり要領を得た御返事は得られなかつた。金をかけても、機械の設備をしても、何をしても、梅雨前線はとにかくだめなんだというふうに承つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/85
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086・和達清夫
○和達説明員 御質問の趣旨がわからないためにたいへん失礼いたしました。災害を防ぎますのには、気象台だけでもできない問題がございますので、降水予報組織とか、警報伝達組織というふうなものがございまして、それぞれに今回の場合も働いておると思うのであります。そういうような実際的の災害防止の部面と、技術的に気象台がすぐ警報を出すという部面とがあります。早く出す面につきましては、梅雨前線はむずかしいとは申しましたけれども、技術者として詳しく、それじやどういうやり方を考えておるかについて、時間が許されるならば申し上げたいと思います。結局第一番には、中国の資料がほしいのであります。これは現在の国際情勢では得られないことは残念でありますが、それに補うような情報を私たちはほしいのであります。それが最後までできないならば、飛行機を活用したいのであります。飛行機をもつて気象偵察をやりたい。それも非常に費用が多くまた実際上困難なら、せめて優秀なレーダーを備えつけて高空気象を知るということと、上高層の観測回数をふやしまして、それらによりまして梅雨前線の消長の把握をしたいということであります。その他山地におきまして降雨量を早く知るための自動的な通報の措置というようなことも考え、大蔵省に向つて順次それらを要求し、非常にわずかではありますが進めつつあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/86
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087・稻村順三
○稻村委員長 神近市子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/87
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088・神近市子
○神近委員 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案について、塚田長官にお尋ねいたします。今度の予算で百四十五億の節約が予定されているわけでございます。その節約とこの法律案との関連性でありますが、その点について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/88
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089・塚田十一郎
○塚田国務大臣 神近委員の御指摘になりました百四十五億は、国会修正のあの分と思いますが、あれは結局百億になりましたけれども、あれと今度のこの定員法改正とは全然関係がないわけであります。この改正された定員に従つて政府の提出いたしました予算が組んである。あれが国会修正は、その上にさらに、これは人件費ではないが、一定の基準に従つて節約ができて来た、こういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/89
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090・神近市子
○神近委員 そうなりますと、これはまつたく関係がなくて出されたというわけでありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/90
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091・塚田十一郎
○塚田国務大臣 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/91
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092・神近市子
○神近委員 そうすると、やはり定員の中の超過勤務とか、給料とかいうようなものに響いて来るわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/92
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093・塚田十一郎
○塚田国務大臣 最初に考えられました百四十五億の中にはそういうものがありましたが、百億になりましたときに内容を検討いたしましたら、そういう給与に関係の部分はないように私は承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/93
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094・神近市子
○神近委員 それは大体数字がおわかりになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/94
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095・岡部史郎
○岡部政府委員 ただいま手元にその数字はございませんが、その内容につきましては、すでに大蔵省から各省に話もございますから、各省ごとに、どれだけか庁費とか旅費とか減る分があるわけであります。そういうものがどれだけ減るかということは、各省ごとにあるいは大蔵省全体としてはわかつておると思います。今私手元には持つておりませんが、必要があれば、まとめて大蔵省の方からでもお答えするようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/95
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096・神近市子
○神近委員 それではあとでけつこうでございますから、ちよつと拝見しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/96
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097・稻村順三
○稻村委員長 島上善五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/97
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098・島上善五郎
○島上委員 この行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の中で、厚生省関係の特に国立療養所の人員について御質問いたしたいと思います。これは国立癩療養所の五百床の増床に伴つて、人員が五十五人の増となつておりますが、この新規の増員もさることながら、私は現在の癩療養所における職員の定数は適当でないと思います。厚生省の役人は直接扱つている専門家ですから、数字的には私よりも詳しく御承知になつていると思いますが、今日癩、結核あるいは精神病等の病院における職員一人あたりの患者の数を見ますると、癩は職員一人当りに患者が八・九人約九人です。結核の場合は二・八人、精神病の場合は三・三人、こういう非常に大きな違いがある。癩というのは、癩の病気のほかに、結核をやつたり、その他の病気をやつたり、二重にも三重にも病気にかかつている場合が非常に多い、そうなりますとなおさらこのような数字は少な過ぎると思われますが、まず第一に、他の病院に比較して職員が少な過ぎるということに対する厚生省の当事者のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/98
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099・高田浩運
○高田(浩)政府委員 今回定員法の改正をお願いいたしておりまする分は、先ほどお話がありましたように、いわゆる従来の例にならいました増員でございます。根本的に言つて、癩の療養所における職員の数は、結核あるいは精神の療養所に比較いたしまして、総体的に少いことは、御指摘の通りでございます。職員は少い人数をもちまして、ああいうふうな病気を持つた人を対象として非常な苦労を重ね、一生懸命に勉強して涙ぐましい努力を続けておることは御承知の通りでございます。人数の問題につきましては、抽象的に申し上げれば、癩という病気は、ほかの結核でありますとか、あるいは精神等と相当違つた性質のものであるし、従いまして患者自体も結核あるいは精神の病気で療養所に入つておりますのと違つた容態を示していることは、これも十分御承知の通りでございます。癩の療養所に入つております人たちのうちには、半ば健康者に近いような容態を持つている者もかなりおるのでございまして、その意味においてあるいは園芸その他の作業にも従事し、あるいは野球でありますとか、あるいはテニスでありますとか、そういつたレクリエーシヨンにも従事をしておるような事情でございます。その意味においては一概に結核あるいは精神とこれを同列に論ずることは適当でないことは言うまでもないのでございますけれども、今後の問題として癩の療養所については、運営その他についていろいろ考えなければならないこともございますし、また癩の治療についてだんだん医学的に進歩し参ります関係もありまして、私どもとしましてはさらに一層この運営をよくするために職員の増加ということを考えなければならないというふうに、かねがね考えておつたのでございます。今後とも努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/99
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100・島上善五郎
○島上委員 基礎的なお考えは承りましたが、どうも癩の療養所に対する考え方が当局でも国民の中でもまだ改まつていないのじやないかと思われるのです。というのは、今まで古い時代の癩の療養所に対する考え方は、浮浪癩病患者の収容所といつたような考え方であつたと思う。従つて中においては人権がほんど認められなかつたり、患者に労働を強要したりというようなやり方がずつと続いておつた、戦後癩病そのものに対する医学的な見方もわかつて参りましたし、新しい憲法によつて人権を尊重するということが癩の療養所においても当然行われるようにだんだんとなつて来たと思いますけれども、しかしまだ古い考え方も完全に切りかわつていない。今なお患者に療養所の中における職員のなすべき仕事を強制的にやらしておるというふうに私ども聞いておる。患者同士で進んで手伝おうという場合ならいざ知らず、そうでない場合に、職員の仕事を強制的にやらすということは、本来これはやめさせなければならぬことであろうと思う。今後患者に好まないものを、強制的に職員がなすべき仕事をさせるという考えか、それともそういうことはやめさせようというお考えなのか承りたいし、そういう場合にはなおさら職員の増員を必要とすると思いますが、そういう点に対するお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/100
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101・高田浩運
○高田(浩)政府委員 療養所の過去の歴史についてお話がありましたが、私ども現在管理いたしております癩の療養所におきましては、いわゆる浮浪癩時代の色彩というものは払拭をして、療養所本来の姿に立ち返つて、ああいう気の毒な人たちができるだけ療養に励む、落ちついた生活ができるように努めていることは、御承知の通りでございますし、療養所においで願えば非常によくなつておることもお認めいただけることだと考えておる次第であります。
作業の点につきましては、これは強制、強要というようなお話がありましたけれども、強制、強要はいたしておりません。ただお話にもありましたように、本来からすれば、むしろ患者よりも職員自体にやらした方が、さらに適当であるというような作業の内容も、現実にあることは私どもも認めるわけでございまして、これらの点につきましては、もちろんこれは人の増員ということと関連をして意を払わなければならないと考えておる次第でございます。先ほども申し上げましたように、一般的に癩の療養所における患者の身体の容態というのは、結核、精神等と相当異なりますので、適当な作業を与えてやるということは、療養という上からいつても、これは考えようによつては必要なことでございますし、これは今後も認めて行かなければならないと考えております。内容の点については、今申し上げたように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/101
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102・島上善五郎
○島上委員 病気の性質上ほとんど普通の健康体と大してかわらない人がおる。そういう人が適当な作業をするということはもちろん必要なことであろうと思います。しかし本来職員がなすべき作業をさせるのが適当であるかどうかということに問題があろうと思います。このたび、これはこの委員会と直接関係のない法律でございますけれども、癩の予防法の改正に関して、患者が非常に不満を抱いて作業放棄の挙に出ておる。そうして聞くところによりますれば、その作業放棄は一時的な行動であるというよりは、むしろあの法律が自分たちの満足すべき状態に改正されるまでかなり長期的に作業放棄をするという態度をとつておるのであります。これは今御答弁にもありましたように、本来職員がなすべき作業でそれを強要しないとするならば、患者がそれを拒否した場合には、これに対しては当然職員を増員して対処する以外に方法はないわけでございます。現在そのために臨時職員を若干名入れているという話でございますが、長期的な作業放棄ということになれば、その臨時職員も当然長期的な採用にならざるを得ない。現在そういう意味での臨時職員をどのくらい採用しておるのか、そうして長期的になればそれを本採用にするというお考えがあるかどうか、それを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/102
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103・高田浩運
○高田(浩)政府委員 先般来癩の予防法の問題に関連いたしまして、一つの闘争の手段として、一部に作業放棄という事態が起りましたことにつきましては、われわれ非常に遺憾に思つておる次第でございまして、かような事態がなるべくすみやかに終息することを期待をいたしておる次第でございますが、さしあたりましては、これに対しまして職員の努力ないし作業員の雇上げということによつて対処しておる次第でございます。もちろん患者の作業の量は一般の者に比べまして相当軽度になつております関係上、作業員として雇い上げて、すなわち補充いたします労働力の人間は、その患者の数に比べますと総体的には数は少いわけでございます。全体の数字は、ちよつとはつきり、今資料を持つて参りませんでしたが、たとえば多摩の全生園につきましては、約二十名内外であつたかと思います。それから熊本にあります菊池の恵風園におきましては、五十名以内であつたかと思うのでございます。正確な数字はまた別の機会を与えられましたら申し述べたいと思います。しかし根本的には、今申し上げましたように、なるべくそういう事態が早く終息することを期待いたしておるのでありまして、今後長くなるということになりますればそれに応じた適当な措置をとりたいと考えておる次第でございをす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/103
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104・島上善五郎
○島上委員 今作業放棄ということが、かりに一時的事態ですみやかに解決するといたしますれば、私ども非常にけつこうだと思いますが、それにしたところで職員が足らぬということは明らかなんです。私どもはこの問題に対してはぜひ定員法のわくで縛つておかずに、必要なだけの増員をしなければならぬ、こう考えておりますが、それと関連してひとつお伺いしたいことは、どうも職員の待遇が今のような状態では、かりに人員をふやそうとしても思うように補充ができぬのではないか、こう思うのです。たとえば四国のここかの離れ島の中に療養所がある、そこにいる人はもしずつと勤めれば一生その人たちと生活をともにする。他の一般公務員なり労働者から考えるとずいぶんかわつた生活、不自由なきゆうくつな、あるいは不愉快な生活をしなければならぬ、こう思われるのですが、その待遇につきましても、私はきよう直接に多摩の職員の人から意見を聞く機会を得ましたが、どうしても増員問題とあわせて待遇問題ももつと考えてやる必要があるのではないか、こう思いますが、御参考にその点も当局の御意見を承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/104
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105・高田浩運
○高田(浩)政府委員 職員の待遇につきましては現在調整額といたしまして、一般の職員に比べますと、二号ないし六号の加算があるようになつておるのでございます。ああいう特殊な環境に働いております職員の精神的な、あるいは物質的な苦労というものはわれわれ十分察しておりますし、また世間の同情を得るに値する性格であると考えておるのでございます。そういう意味におきまして今申し上げました調整額が、まさしく十分であるとは言い切れないと思いますが、一応現在としてはこういうことになつておりまして、今後とも努力、いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/105
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106・島上善五郎
○島上委員 もし今ただちに御答弁できなければあとで資料を出していただいてもけつこうですが、現在患者に対する職員が足りないということは、抽象的にはわかりますが、具体的には医者がどのくらい足りなくて、看護婦がどのくらい足りない、その他の職員がどのくらい足りないということを、直接担当しておる当局者としてお考えになつておるかを、もし今御答弁願えれば今してもらいたいと思うのですが、今できなかつたらなるべく早急に、その職員のうち医者、看護婦その他の職員等々にわけて、どのくらい足りないとお考えになつておるかを数字をもつてお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/106
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107・高田浩運
○高田(浩)政府委員 職員の人数がどの程度足りないかという数字でございますが、これはある意味においては相対的な問題でございまして、どうしてもこれだけ足りないのだという、いわゆる絶対的なものということになりますと、これはなかなか話がむずかしくなりまして、困難だと思うのでございますが、現在私ども従来の経験に徴しまして、特に考えなければならないものといたしましては、たとえば看護婦、それから炊事をいたします炊夫、それから薬剤師、それから病棟の雑仕婦、こういつたものがおもなるものでありまして、看護婦につきましては少くとも三百人以上、炊夫につきましては百人以上、病棟雑仕婦につきましては五十人以上というもの、少くともこれだけのものは今後増員をすることが必要であると考えておるのでございます。その他のものにつきましては、今申し上げましたように、これは欲をいえば切りがない話でありますが、おもなるものとして今申し上げましたようなことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/107
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108・永田良吉
○永田(良)委員 関連質問。ただいま癩病の療養所につきましてたいへん同情ある質問をいただいて私どもは一面において感謝をしておりますが、実は私どもはもう二十年前から救癩のことについては相当苦心をした一人であります。そうして私の鹿児島県の大隅に敬愛園ができたのでありますが、あそこに今でも千数百名収容されておる。その内容は、全国のは知りませんが、私の近くにありますから、よく内容等も知つておるのですが、ただいまあなたが御質問になつたこの患者が、今度の癩の予防法案の改正についてたいへん不満を持つておることは事実であります。但し私はあれは少し患者の方でも自覚反省せんければならぬ点があることを認めております。その理由はわれわれはああいう哀れな癩患者を救うためにほとんど命をかけて、あの癩療養所をつくるには、地元民の非常な反感もあつて、私どもを殺すとまで迫つたことがあるのです。それでもこういう国辱の病気を撲滅するためには、どうしても療養所をつくつてこれを撲滅せんければならぬと思つて、われわれは過去において苦心したのであります。おかげをもつて鹿児島県は、あの敬愛園ができる当時は千五百人の患者がおつた、現在は八百近くに減つておる、たいへんけつこうでありまするが、これに収容されておる患者は、考えてみると、あれができない前はまつたく乞食同様に取扱われておつた。これが国家の恩典に浴して、今では、行つて見ますると、休養においても、部屋においてもりつぱな家をいただいて、雨露をしのいでありがたく療養を受けておる。それが現在の癩の予防法の改正において不平をとなえるということは、一理はあるけれども、私は癩患者も自粛反省せんければならぬ、まだ癩患者以上に国民のうちには、皆様が御承知の通りに日夕泣いておる非常な困窮の人がおるのです。それをあまりに不平を言うて、小言を言われるということは、少しむちやな行き方ではないかと思うのです。これらの裏面には、私はいろいろ調べおるのですが、全国の癩患者の中に、ある一つの連絡があつて、そうして何かの機関をもつてこういうことに反抗しておる傾向があります。これらは医務局次長さんも御承知だと思うが、この点について、あなたは何とかあれを鎮圧する方法はないですか。今私の方の敬愛園でもずいぶん騒いでおつて、四、五日前敬愛園長も来た。どうかといつて聞いてみたら、いや困つております、まだやつておりますがね、あんなスト的なことをやらぬでも、もつともつとおちついて自分の病気を早く治して、自分もよくなるし、国家国民に対しても感謝の意を表するような生活をするようにするのが、われわれが敬愛園設置を迫つた精神じやないか。これをあのままにしておくことは、あなたたちの監督の上からも、たいへんお困りでしようが、われわれは国民として、彼らがあまりに横暴なことをやると、立ち上つてあそこに行つて大いに弾劾演説をやります。これについて対策をどう見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/108
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109・高田浩運
○高田(浩)政府委員 今御指摘のように、ああいうような事態が起つておりますことは、たいへん遺憾に存じておるのでございます。ただいま法案自体は衆議院で可決されまして、参議院において慎重審議されておるところでございまして、そういう過程であります関係上、患者としては国会の権威と信義に信頼をして、すみやかに平静な状態になることを私どもとしては衷心から期待をいたしておるのでございますけれども、特殊な病気を持つております関係も手伝うかと思いますけれども、ああいうような状態が続いていることはたいへん遺憾に存じておるのでございます。私どもとしましても、従来この法案の問題に関連いたしましては、再々係官ないし幹部が患者にも会つて話をし、あるいは先方の話を聞き、また国会の皆様もあるいは直接園におもむき、療養所におもむいていただいて、よく患者の申し分も聞いていただいて、それらのことを集合して、現在審議されていることでございますので、なるべくすみやかに平静な状態にならんごとを期待をいたして、できるだけ努力をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/109
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110・稻村順三
○稻村委員長 この際委員長は神近君の質問と関連いたしまして一つだけ塚田国務大臣に明らかにしていただきたいことがあります。それは今次の修正予算における百億の行政費節約が、この定員法一部改正法案の実施に何ら支障がないかどうかということであります。もし支障がないとすれば、神近君の要求通りいかなるものを節約して支障なく実施できるものであるか、至急その資料を提出されたいことを要請いたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/110
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111・塚田十一郎
○塚田国務大臣 この点は先ほども御説明したように、今度の節約とは別個に考えておるのであります。それだけのものを予定して予算を組んでおつたわけでありますが、その予算にさらにあれだけの人件費以外の観点で節約が行われたのでありますから、どういう意味の支障を委員長がお考えになつておるかはちよつとわかりかねますが、私どもとしては支障は毛頭起つて参らぬ、こういうように考えております。
なお御指摘の資料はなるべく早く委員長の手元までお届けいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/111
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112・稻村順三
○稻村委員長 本日はこの程度にとどめ散会いたします。
午後四時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604889X01719530720/112
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